本記事で日本企業は10社と書いてありますが、ネット上では、実態はもっと多く29社程名が挙がっています。調べればもっと、出て来るのかもしれませんが。
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6181.html
菅官房長官は「日本は調査しない」と早々にアナウンスしましたが、調査しないことはないと思います。消費税増税を目論む財務省・国税庁が黙って見ているハズがありません。彼らの税のモットーは「公平・中立・簡素」ですので。合法であったとしても、公平性が欠けていれば立法措置を踏まえて、管理強化するでしょう。「租税回避している企業は覚悟しておけ」くらいではないか。
ファイザーがアラガンの買収を中止した上、本社移転も中止しました。米国のFATCAとパナマ文書公表の影響ではないかと思われます。「Tax inversionは許さない」という米政府の強い意志の反映では。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2744037.html
ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領の出ていたTV「Mr.サンデー」を見ました。「消費の為に自分の大切な時間を潰すのは愚かなこと。好きなことをした方が良い。出来れば何か価値のあるものを残した方が良い。自分の為だけでなく、周りが幸せになるように」との発言は大いに納得するものでした。4度の投獄と銃弾を体に受けたとのこと。本物の人間です。日本の似非インテリの薄っぺらさは微塵もありません。彼は人を集めて正義の実現のために戦うことを主張しています。
http://www.lifehacker.jp/2016/04/160408jose_mujica1.html
同番組で木村太郎は「消費するために働くのではなく、働くこと自体が好きな民族がいると言うのが初めて分かったのでは。認識を新たにしたのでは」というニュアンスのことを言っていました。確かに日本人は西洋の言う“labor”=「労働、苦役」の思いはないと思います。仏教、石門心学から働くことの大切さは日本人のDNAに刷り込まれています。
ムヒカ前大統領は宮根MCの「パナマ文書についてどう思うか?」との問いに、「政治家は儲けたいんだったら商売すれば良い。政治家になるべきでない」と明言。アイスランド首相やウクライナ大統領は合法であっても政治家失格でしょう。国民が経済的苦境にある中で私腹を肥やすとは。ヤツェニュク・ウクライナ首相も辞任しました。パナマ文書に名前が挙がっているのかも?
http://blog.goo.ne.jp/ns-japan/e/c2040c9e8c0b2f0001278f419b123a26
グンロイグソン首相はシグルザルドッティル首相の後を継ぎ、4/7でヨハンソン首相に交代しました。
記事
パナマの首都パナマ市にある、法律事務所モサック・フォンセカが入るビル(2016年4月4日撮影)。(c)AFP/RODRIGO ARANGUA〔AFPBB News〕
パナマの法律事務所モサック・フォンセカから漏洩した機密ファイルが、世界を震撼させている。「パナマ文書」と呼ばれるこの文書は、タックスヘイブン(租税回避地)であるパナマで税務処理を行なってきた「モサック・フォンセカ」が過去40年にわたって扱ってきた膨大な税務情報だ。
南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が4月3日に発表したところによると、そのデータ量は2.6テラバイト、1万4000の金融機関とそのクライアント21万4500社の税務情報が記載されているという。ウィキリークスやスノーデンのファイルより質量ともにはるかに大きく、インパクトも強烈だ。
ケイマン諸島で見たタックスヘイブンの実態
タックスヘイブンというと、実態のないペーパーカンパニーだと思う人が多いだろうが、私はその本拠地として有名なケイマン諸島に行ったことがある。1995年にインターネット上で営業していた銀行が姿をくらまし、その所在地がケイマンということになっていたので取材したのだ。
広さは淡路島ぐらいで、空港のあたりは椰子の木しかない熱帯の島なのだが、高速道路で中心部に入ると、風景が一変する。高層ビルが林立し、それもシティバンクやバークレーズなど、世界の一流銀行ばかり。問題のネット銀行も堂々たる社屋があったが、無人だった。
その銀行に預金をだまし取られた企業の北米本社もケイマン諸島にあったので、たずねてみた。たしかにそのビルは存在し、受付に聞くと会社もそこに登記されている。だが、調べてみると3階建てぐらいのビルに1500社も入居している。それも多くは北米本社とか世界本社としてケイマンで法人税(ほぼゼロ)を払っているが、従業員は受付しかいない。
一応ケイマンにも大蔵省はあるのだが、日本の税務署より小さな建物で、スタッフも数十人。問題の企業についての税務資料を出してくれというと、出てきたのは10ページぐらいの簡単な財務資料だけで、ここ10年の売り上げや利益ぐらいしか書いてない。
税率は実質ゼロなので、財務内容を知る必要がないのだ。それでもケイマンは豊かだ。これだけ多くの銀行があれば、彼らの落とす金だけで小さな島は十分やっていける。一応主権国家なので、他国がケイマンの税率に介入できない。
こんな小さな島に数千の「プライベートバンク」と称する金融機関があるが、その財務内容は “CONFIDENTIAL”としか書いてない。電話番号はあるが、電話しても「顧客の秘密を守ることが当社の使命だ」としか答えない。
地下経済を支配する英米の金融資本
不可解なのは、世界の企業や大富豪が、こんな小さな島の電話しかない「銀行」に何億ドルも預金するのはなぜかということだ。
その答は、現地の弁護士が教えてくれた。「実際にはそんな銀行は存在しない。キャッシュもケイマンにはないんだよ」。実際の取引が行なわれているのは、ニューヨークのウォール街とロンドンのシティのコンピューターネットワークで、「デリバティブ」と称する金融商品でケイマンの証券のようにみせているのだ。
だからケイマンの金融機関の経営者にも、シティの銀行を退職した貴族や大蔵省OBなど、シティの関係者が多い。もとはイギリスの植民地だったので当然だが、正体不明の銀行の多くはシティのダミー会社であり、プーチンや習近平の親族の資産も、実際には英米の投資銀行にあるのだ。
タックスヘイブン自体は違法ではないが、アップルの海外法人がこういう仕組みを利用して利益の1.8%しか納税していないことが議会で批判を浴びた。また、こういう銀行に預けられるのは犯罪や汚職などによって得られた資金のマネーロンダリング(資金洗浄)であることが多い。
アメリカ政府も2001年の9・11の後、ブッシュ大統領がアルカイダの資金が隠されているという理由でケイマン諸島の銀行を摘発したが、失敗に終わった。タックスヘイブンの実態はコンピューターネットワークであり、最近では匿名の「ビットコイン」のような仮想通貨を使えば、タックスヘイブンも必要ない。
世界の金融資産の1割は、こういうタックスヘイブンに隠された「地下経済」にあると推定されている。その最大の原因は、法人税を利益に課税した上に、その残りの配当にも所得税を課税する二重課税だからであり、法人税を廃止すれば租税回避はかなり減るだろう。
タックスヘイブンが麻薬の売買や汚職の蓄財に使われていることも事実だが、問題はそういう犯罪であって租税回避ではない。公共サービスを受けている人が税を負担しないと、財政が支えられなくなるが、これを警察や税務署が摘発するのは限界がある。
現実的な方法は、固定資産のような逃げられない資産に課税することと、消費税を増税することだ。所得税は捕捉しにくく回避しやすいが、消費は隠すことができない。ケイマン諸島に資産をもっている大富豪も、金を使うのは自国なので、そこで課税すればよい。
アジアの政治情勢にも影響か
問題はパナマ文書の信憑性だが、アイスランドのグンロイグソン首相は、この中に本人名義の口座が発見されて辞任したので、その信憑性は高い。他にもロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席の親族の名前も出ており、これが事実だとすれば、問題は単なる租税回避にはとどまらない。
タックスヘイブンには、ソ連が解体したとき国有財産を横領した「ロシアマフィア」の資金が大量にあるといわれ、プーチン自身がそういう「新興財閥」を資金源にしてのし上がってきた人物であり、海外資産の大部分はそういう犯罪による所得を隠した脱税と考えられる。
しかし彼の場合にはロシアマフィア全体が泥棒集団であり、プーチンひとりの問題ではないので、全容が分からない。政敵も「消される」ので、有力な対抗勢力が少なく、摘発する司法当局も彼の支配下にあるので、政権への影響は限定的だろう。
問題は中国である。パナマ文書を伝えるNHKニュースは、中国では放送が中断されたが、これは習近平の名前が出ることを恐れたためと思われる。中国では伝統的に、高級官僚は賄賂で蓄財して一族を養うことが義務とされているので、叩けば誰でも埃は出てくる。
逆にいうと、スキャンダルが表面化したときが政治生命の終わりだ。習近平の有力なライバルだった薄煕来(元重慶市長)は、妻の殺人と海外蓄財の容疑で起訴されて無期懲役になったが、彼より巨額の隠し資産が報じられた温家宝はおとがめなしだった。
習近平は国家主席と共産党総書記と軍事委員会主席を兼務し、かつてない権力を集中しているといわれるが、その権力基盤は意外に脆い。江沢民元国家主席を中心とする「上海グループ(上海閥)」がまだ実権をもち、党内抗争が絶えない。
いま習近平は経済危機の中で政治的に追い込まれ、「虎も蠅も退治する」と銘打って反腐敗闘争を展開している。その実態は上海グループの排除だが、最大の虎が習だとなると政変になる可能性もある。これは東アジアの軍事情勢を不安定化するおそれがある。
パナマで起こった情報漏洩は、世界経済を揺るがすだけでなく、国際政治にも大きな影響を与えるおそれがある。パナマ文書に出てくる日本企業は10社しかないが、これは対岸の火事ではないのだ。
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