4/8日経ビジネスオンライン 北村豊『「慈善法」成立後に“詐欺的慈善家逮捕”の報 13年間の寄付総額は252億円と豪語も…』、4/8ZAKZAK『習主席“失脚危機” 権力中枢の親族らに「資産隠し」疑惑 「パナマ文書」直撃』について

中国は政治・経済・外交・軍事あらゆる面で行き詰まっている感があります。大きく見れば一党独裁の共産党統治、言論の自由を認めないシステムが起こしているものでしょう。それに民族性の問題、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という基本的価値観や自己中心・散沙の民と言うのが挙げられます。社会的にはあらゆる階層で収賄するのが当たり前という感覚も問題です。

南シナ海の件では、G7外相会合での共同声明に準じた形で「国際司法裁判所の判断尊重」が盛り込まれるようです。今月下旬の岸田外相の訪中キャンセルが起こるかもしれませんし、官製反日デモが起きるかもしれません。中国の今までのやり方から言って、何もしないことは考えにくい。少なくとも、爆買いに訪れる中国人の数を制限することやネット取引を制限するでしょう。尖閣で中国漁船の拿捕のときにレアアース取引を制限したのは記憶に新しいでしょう。でも日本政府は織り込み済みと思います。でも中国が何もしなければ逆に中国政府内の権力闘争が激化していると見た方が良い。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160409/k10010472681000.html

陳光標の話は中国社会では普通に見られることです。学歴詐称は当り前、何せ偽の公的領収書や卒業証明書が広州で売られていましたから。偽のタバコ・酒・化粧品も路上で普通に売られています。海賊版のDVDも。まあ、中国社会でのし上がるにはコネが必要なので、北村氏の言うように、裏には上海派との繋がりがあるのかもしれません。

パナマ文書で胡耀邦の親族が関係しているというのは「あらゆる階層での収賄」の傍証になると思います。天安門事件の引き金になった彼の死は劇的でしたが、やはり汚濁に塗れていたという事です。富坂氏は相変わらず、現政権支援のコメント。まあ、情報収集のためには現政権を持ち上げないとダメなことは理解しますが。

中国でNHKBSニュースが遮断(点で真っ黒)されることは駐在時代結構ありました。リアルタイムで放送している訳でなく、数秒のタイムラグを置いて監視し、都合の悪いことは遮断してしまう訳です。政権に都合の悪い報道をさせない仕組みこそ共産党統治の正体です。日本共産党なんて非合法化すれば良いのに。暴力革命を綱領から外さないのは政党とは言えず、テロリスト集団です。米国では非合法化されています。米政府から公的補助を受けられないだけのようですが。

https://www.npa.go.jp/archive/keibi/syouten/syouten269/sec02/sec02_01.htm

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A

北村記事

 中国の国会に相当する“全国人民代表大会”(以下「全人代」)の第12期第4回会議は、3月5日から12日間の日程で開催され、3月16日に閉幕した。最終日の16日には全人代期間中に審議された9項目の議案に対する投票による採決が行われ、全議案が賛成多数で可決された。

 『慈善法』はこの日可決された議案の一つであった。『慈善法』は、中国政府“民政部”(日本の総務省に相当)が2005年に法案の起草に着手したもので、同法の草案は2015年に10年の歳月を費やして完成をみた。この草案は2015年10月30日に全人代“常務委員会”第12期第17回会議へ提出されて、最初の審議が行われた。その後、同常務委員会の第二次審議を経て修正された『慈善法』草案は、2016年1月11日に“中国人大網(中国人民代表大会ネット)”上に公表され、1月31日を期限として草案に対する公開の意見募集が行われた。意見募集には169人から661件の条文に対する意見が寄せられ、それら意見を踏まえて修正された最終案が、議案として全人代に提出された『慈善法』草案であった。

慈善活動に政府認定の資格を要する

 3月16日に全人代で行われた『慈善法』議案に対する表決の結果は、投票総数2857に対して賛成2636票、反対131票、棄権83票であった。反対票と棄権票が合計で214票もあり、賛成票は92%に過ぎなかったが、圧倒的多数であることに変わりはなかった。『慈善法』が可決された後、全人代常務委員会委員長の“張徳江”は、「『慈善法』は中国の慈善制度を規定する基本的かつ総合的な法律であり、我が国の慈善事業の健全な発展を促進し、その法的保証を提供するものである」と述べた。『慈善法』が全人代を通過したことを受けて、“国家主席”の“習近平”は3月16日付で第43号主席令に署名して『中華人民共和国慈善法』を公布し、2016年9月1日から同法を施行する旨を告知した。

 こうして成立した『慈善法』は全12章112条から成る。同法は慈善組織を「法に基づいて成立し、本法の規定に合致し、社会に向けて慈善活動を展開することを主旨とする非営利組織」と規定し、その形式は基金会、社会団体、社会サービス機構などと限定した上で、慈善組織としての公的な登録が必要としている。このため、慈善組織として認定されていない民間組織や個人は募金活動ができないことになる。これは大きな問題で、冤罪や迫害を受けている弱者の救済活動や弁護活動のための募金活動が違法となることを意味する。

 また、同法は「慈善組織が公開の募金活動を行うには、政府認定の資格を必要とする」と規定し、政府認定資格を持たない民間組織や個人による公開の募金活動<注1>は禁じられている。これには民間組織や個人による公開の募金活動を規制することにより、反政府活動の資金源を抑え込む目的が見え隠れする。もっとも、同法には慈善組織の管理費を10%に限定するとか、慈善組織に定期的な会計報告を義務付けるなど条項が含まれ、募金の使途を明らかにする努力は認められるものの、慈善法が一党独裁強化の手段に使われることが懸念される。

<注1>公開の募金活動には、募金箱の設置、チャリティー活動、テレビ・ラジオ・出版・ネットによる募金活動などが含まれる。

前置きはさて置き、本題に入る。『慈善法』の成立からわずか2週間後の3月30日の夜、インターネットの掲示板にハンドルネーム“中国可信的政界人士(中国の信用できる政界人)”と名乗る人物が、「慈善家として名高い“陳光標”が詐欺などの犯罪容疑で先ほど逮捕された」との情報を書き込んだ。この書き込みはネットユーザーの注目を集め、30日当夜および31日に“微博(マイクロブログ)”やSNSの“微信(WeChat)”を通じて全国へ伝えられ、大きな話題となった。

逮捕は誤報も、やつれた表情で

 しかし、31日に北京紙「新京報」の記者が陳光標の経営するリサイクル企業“江蘇黄埔再生資源利用有限公司”(以下「江蘇黄埔公司」)へ電話を入れて事の真相を問い合わせると、電話に出た人物は「陳光標は上海へ出張中であり、連絡が取れないとか逮捕されたというようなことはない」と答えた。そこで、同記者は陳光標に連絡を取り、ウェブカメラを通じてインタビューを行ったが、ベッドのヘッドボードにもたれかかり、青と白の格子縞のパジャマを着た陳光標は、「私が逮捕されたという噂は聞いているが、別にどうということはない」と述べて、自らの健在を誇示した。

 但し、ネットでこのインタビューを見たネットユーザーたちは、画面に映し出された陳光標の痩せてやつれた表情を見て、何かあるに違いないと想像をたくましくした。それもそのはずで、かつてははち切れんばかりに福々しかった陳光標の顔はげっそりと痩せ落ちていたし、俺様はと周囲を睥睨(へいげい)していた眼差しは弱々しいものに変わっていたのだった。あるネットユーザーは、痩せた陳光標の姿に“薄煕来”事件に連座して逮捕された富豪“徐明”<注2>が裁判中に見せた痩せ衰えた姿を重ね合わせ、陳光標にも近々何事(逮捕?)かが起こると予想を立てた。この予想が的中するかどうかは不明だが、ネットユーザーがそう考える理由は何なのか。

<注2>薄熙来は2013年9月に汚職で無期懲役の判決を受けた。徐明は薄熙来を支援した富豪。徐明は2013年に贈賄罪で懲役4年の判決を受け、2015年に服役していた刑務所で急死した。享年44歳。

それでは陳光標とはいかなる人物なのか。

東日本大震災後に救援来日、売名との非難も

【1】陳光標は日本とも無縁ではない。2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方と関東地方の太平洋沿岸に甚大な被害をもたらした。日本で大地震と津波による大災害が発生したことを知ると、陳光標はその日のうちに救援隊をひきつれて日本へ向かった。彼は日本に到着すると、スーパー6軒を巡って、ミネラルウオーター、懐中電灯、食品、衛生用品などの物資を1300万円分買い集め、中国国旗を掲げた5台の小型トラックを連ねて、中国の民間救援隊として千葉、茨城、福島3県の沿海地区にある被災地を回り、救援物資を配布した。この事実は中国のみならず、日本のメディアでも報道された。しかし、被災地訪問時の陳光標はブランド服にピカピカの革靴といういでたちで、自分が被害者を救助する姿やごみを運ぶ姿の写真を撮影することに情熱を傾け、これらの写真をネット経由で見た中国のネットユーザーからは明らかな売名行為と揶揄され、非難された。

【2】さて、江蘇省の北部に位置する“宿遷市”は、前漢の初代皇帝となる“劉備”と天下の覇権を争い、「西楚の覇王」と号した“項羽”の出生地として知られる。その宿遷市の片田舎にある貧困な農民家庭に5人兄弟の1人として、1968年7月に生まれたのが陳光標(47歳)であった。当時は中国全土を揺り動かした「文化大革命(1966~1976年)」の混乱期で、陳光標の実家は極度の貧困状態にあり、陳光標が2歳の時に兄と姉を飢餓で亡くした。この恐ろしい記憶が陳光標に「自力で運命を変え、必ず貧困を抜けて金持ちになる」という信念をもたらし、後に慈善家として貧困者や被災者を支援する基礎となった。

【3】陳光標のその後の経歴は以下の通り。すなわち、1990年に江蘇省の“南京中医薬大学”を卒業。卒業後は一旦実家へ戻るが、1991年に“南京市”へ出て金儲けの方策を練る。1997年、陳光標にとって最初の創業企業である“南京金威利電子医療器械有限公司”を設立。その後、1998年から2001年までの4年間に“南京大学”のエグゼクティブMBA修士課程を修了し、南京大学商学院に学び工商修士を取得。2003年、陳光標にとって事業の中核となる江蘇黄埔公司を設立。2008年、“清華大学”経営学院のエグゼクティブMBA学位を取得。

 南京中医薬大学を卒業したことは本当かもしれないが、南京大学のエグゼクティブMBA修士課程修了、南京大学商学院の工商修士取得、さらには清華大学経営学院のエグゼクティブMBA学位というのには疑問が残る。エグゼクティブMBAはカネさえ出せばだれでも取得できるとも聞く。また、南京大学商学院の工商修士がビジネスの片手間に取得できるとは思えない。ショーン・マクアードル川上氏と同様に学歴詐称の可能性も考えられる。また、南京市の医療機器業界に詳しい人によれば、陳光標が最初に創業したという南京金威利電子医療器械有限公司という会社の名前は聞いたことがないとのことで、実在したかどうかは極めて怪しい。はっきり言って、経歴のほとんどが詐称の可能性が高い。

【4】陳光標が表舞台に登場したのは、2008年4月26日だった。この日、中国政府“民政部”などの党・政府機関が指導し、“中国社会工作協会”が主催する「2008年中国慈善ランキング」の表彰式が開催され、陳光標は「中国慈善家ランキング」の第1位を意味する“首善(トップ慈善家)”に選ばれて表彰を受けた。2007年を通じて陳光標が個人で寄付した資金や資材の総額は1億8100万元(約32億5000万円)であり、過去5年間累計の寄付総額は4億7500万元(約85億5000万円)とされ、その寄付の方式は慈善組織を経由せず、被支援組織に直接寄付するものだった。

慈善家ランキングでは「対象外」

【5】翌年の2009年4月に発表された「2009年中国慈善家ランキング」では、陳光標は“首善”は逃したものの第2位に選ばれ、最高の賞である「最も影響力を備えた中国の慈善家」という称号を獲得した。2008年の陳光標の寄付額は2.1億元(約37億8000万円)であった。2010年4月に発表された「2010年中国慈善家ランキング」では、再び“首善”に選ばれた。陳光標は2008年5月12日に発生した“四川汾川大地震(四川大地震)”の被災者の救援に活躍し、“全国抗震救災模範(全国震災救援模範)”に選出され、過去10年間で総額8.1億元(約145億8000万円)もの資金や資材を寄付していることが高く評価されたのだった。また、陳光標は2010年9月に、自分が死んだら50億元(約900億円)以上に上る全財産を社会に寄付すると宣言した。

【6】ところが、その翌年の2011年4月に発表された「2011年中国慈善家ランキング」には陳光標の名前は無かった。この点について主催者の中国社会工作協会は、陳光標の寄付は現金や現物が多く、しかも被支援組織に直接寄付しており、その事実を確認することが困難であるため、今回の中国慈善家ランキングでは陳光標を選出の対象外としたと述べた。要するに、主催者がようやく陳光標が行ったとする寄付行為および寄付金額の信憑性に疑問を持つようになり、慈善家選出の候補者リストから陳光標を除外したというのが実態だった。陳光標は、「寄付行為は自分が30歳だった1998年から始めたもので、2010年までの寄付総額の累計は14億元(約252億円)に達している」と豪語したというが、どう見ても眉唾らしい。

【7】陳光標はかつてメディアに対して、江蘇黄埔公司の営業収入は、2004年が59億元(約1060億円)近くだったが、2006年と2007年の営業収入は平均して90億元(約1620億円)を超えたと述べたことがあった。しかし、これに疑問を感じたメディアの記者が江蘇省政府の関係部門が発表した「江蘇省民営企業上位100社ランキング」を調べたところ、第100位企業の営業収入は、2006年が19.7億元(約355億円)、2007年が31.7億元(571億円)で、90億元を遥かに下回っていたし、上位100社には江蘇黄埔公司の名前は無かった。

【8】記者が企業を監督管理する“工商行政管理局”の資料を調べたところでは、江蘇黄埔公司の業績は、2003年が販売収入738万元(約1億3280万円)、利潤309万元(約5560万円)に過ぎず、2004年から2009年までの6年間は連続の赤字で、2009年時点における累積赤字は1696万元(約3億530万円)に達していた。また、販売額は2007年が920万元、2008年が4229万元、2009年が3296万元に過ぎなかった。どこから見ても、陳光標が述べた江蘇黄埔公司の営業収入は誇大であり、陳光標が寄付したとする金額を捻出できるとは思えなかった。ましてや、1998年から2010年までに累計14億元もの寄付を行ったという話を裏付ける証拠はどこにも無かった。

【9】その陳光標の名が世界に知れ渡ったのは、2014年1月だった。彼は米紙「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」の買収を目的に訪米したが、肝心のNYTが身売りの計画はないとして面会を拒否したことで、買収を断念した。さらに、2014年6月に訪米した際は、250人のホームレスを高級レストランに招待するというパフォーマンスを行ったが、参加したら1人当たり300ドルを渡すという約束を反故にして大きな騒動を巻き起こした。また、この時期、陳光標が国連から「世界一の善人」という認定書を受領するということが話題となったが、国連(United Nations)とは異なり、最後の“s”が無い“United Nation”というインチキ団体の認定書であることが判明し、そのために3万ドルを支払ったと正直に告白した陳光標は笑い者にされた。

江沢民一派、本当に逮捕も?

 民政部などの党・政府機関が指導する「中国慈善ランキング」において、陳光標が2008年および2010年の「中国慈善家ランキング」で“首善”に選出されたのはどうしてか。上述した14億元もの寄付が誇大広告であったとしても、陳光標が四川大地震や東日本大震災などの被災地に出向いて救援活動を行っていたことや貧困者の救済を行っていたことは事実である。それならば、そうした救援活動や救済の費用はどこから来たのか。彼が経営する江蘇黄埔公司にはそれだけの能力が無い以上は、背後に支援者が存在するとしか考えられない。

 インターネットの掲示板に書き込まれた「慈善家として名高い陳光標が詐欺などの犯罪容疑で先ほど逮捕された」との情報が今後正しいものになるかどうかは分からないが、“習近平”政権が打倒しようとしている政敵の“江沢民”が陳光標の後ろ盾兼支援者だと考えれば、当該情報が今後起こることの先ぶれだとしても納得が行く。陳光標は今後どうなるのか。中国国民は今後の動向に注目している。

100 renminbi

ZAKZAK記事

「パナマ文書」が中国の習近平政権を揺さぶっている。習主席の義兄に続き、現役最高幹部2人の親族がタックスヘイブン(租税回避地)の法人を所有していたことが発覚。権力中枢の現役常務委員7人中3人の親族に「資産隠し」疑惑が浮上し、「反腐敗運動」で政敵を粛清してきた習指導部の正当性が根本から疑われる事態となった。国内で厳しい情報統制を敷くが、「文化大革命以来の内紛になる」との指摘もある。5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)でも回避地問題が厳しく追及されるのは確実だ。  巨大企業や富裕層、権力者らの税逃れや資産隠しに利用されているとの指摘がある租税回避地の法人設立を援助するパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から内部文書が流出した。  この「パナマ文書」を共同通信も参加する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が分析したところ、中国共産党序列5位の劉雲山(りゅう・うんざん)政治局常務委員と、同7位の張高麗(ちょう・こうれい)筆頭副首相の親族の法人利用が明らかになった。  劉氏の義理の娘、賈立青(か・りっせい)氏は、回避地の英領バージン諸島に2009年に設立された法人の取締役で株主だった。また張氏の義理の息子、李聖溌(り・せいはつ)氏はバージン諸島の3法人の株を保有していた。

すでに習主席の義兄もバージン諸島のペーパーカンパニーの所有者になっていたことが判明。現役常務委員7人中3人の親族がそろってパナマ文書に名を連ねた。  現役以外では、江沢民元国家主席に近い有力者の曽慶紅(そう・けいこう)元国家副主席や賈慶林(か・けいりん)全国政治協商会議前主席、李鵬元首相、胡耀邦元総書記、さらに中国建国の父として知られる毛沢東元主席の親族も回避地法人の株主となっていた。  歴代の中国共産党指導者の親族が、不透明な金融取引の温床とされ、資本主義の暗部ともいえる回避地を利用しているというのは不可解だが、とりわけ「トラもハエもたたく」と反腐敗運動を進めてきた習指導部にとっては大きな痛手だ。  経済が減速する中、当局は社会の不満が習指導部に向けられる事態を懸念しており、疑惑を徹底的に黙殺する構えだ。 中国当局は文書について厳しい報道規制を敷き、国内メディアは中国関係の部分を報じていない。インターネット上には批判が書き込まれ、次々と削除されている。  6日夜には、習主席らの親族の回避地利用を伝えたNHKのニュース番組が3回にわたって計約4分間、中断。画面が真っ暗になり音も聞こえなくなった。  習主席らの問題など中国に関する部分を中断した一方で、アイスランドのグンロイグソン首相が辞意表明に追い込まれたとの部分は中断されておらず、習指導部は、みずからのスキャンダルに神経をとがらせている様子がうかがえる。7日昼のNHKのニュース番組でも同様の内容が数分間にわたり中断された。

中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏は「習政権は反腐敗運動で中間層以下に圧倒的な人気があり、国民は政権のスキャンダルを望んでいない。在外資産をめぐる報道は過去にもあったが、批判の声が巻き起こるといったことはなく、今回も政権に大きな痛手を与えることはないだろう」とみる。  一方、「パナマ文書を引き金に文化大革命以来の内紛に突入する可能性がある」と語るのは、国際政治学者の藤井厳喜氏。「火種の一つが党内闘争だ。習政権は自身の派閥を増やす目的から海軍と空軍の強化に乗り出し、その意欲の表れとして、南シナ海への進出が行われている。一方で、予算と人員の削減が行われた陸軍には不満が渦巻いている。反腐敗運動で利権を失った派閥の反発も高まっており、パナマ文書は彼らがクーデターを起こすきっかけを作ったともいえるだろう」と分析する。  5月の伊勢志摩サミットでも、税逃れなど回避地問題が議題となる方向になった。習政権の内憂外患が強まりそうだ。

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