重村智計教授をWikiで調べるとシエル石油を2年で辞め、毎日新聞社入社とありました。生まれが中国遼寧省丹東ですから鴨緑江を挟んで北朝鮮の対岸となります。韓国総監府(後の朝鮮総督府)の鉄道局がかけた橋(1909年)は朝鮮戦争時に米軍によって一部爆破され、使えませんがまだ残っています。それで朝鮮半島と関わることにしたのかもしれません。
毎日新聞出身ですから朝日と同じく、朝鮮半島に有利な筆運びをする可能性もあるのではと思っています。2006年に出した『外交敗北』を読んだ時に違和感が残った記憶があります。多分外務省主導の日朝交渉を評価してなかったせいではないかと思います。でもその結果拉致を認め、5人が還って来、国民に共産主義、朝鮮半島の実態が明らかになったのだから、結果としては「外交敗北」ではありません。外務省の田中均などは自分の出世のために平気で国を売る輩です。小生は外務省を評価しませんが、中山恭子現次世代党首や安倍晋三現首相の頑張りで拉致被害者を返さなくて済んだわけですから。大きな目で見て国家意思が働いたわけです。田中均なんて人非人です。自分の子供が拉致されていて返すなんて言えますか?福田康夫も似たようなものです。それと小泉の愚かしさが分かった本ではないかと。それと情報を取るには相手の懐深く入り込まなければなりません。民団、総連、米国からの情報収集はデイスインフォメーションもあることに注意しないと。ミイラ取りがミイラになる可能性もあります。暴対法ができる前の警察のように組事務所に出入り自由にすれば、癒着も腐敗も当然出てきます。でも完全遮断は情報入手を困難にするため、もっと運用面で緩めた方が良いのでは。山口組分裂で市民に累が及ばないように。
北朝鮮がどう出るかです。干ばつで如何ともしがたくなれば、将軍様が狂って、破れかぶれで南進するかも知れません。韓国の富を掠奪しようという事です。そこが父・金正日と違う所です。そうなれば、米軍は戦時作戦統制権を持っている限り、対応せざるを得ないでしょうが、韓国軍に前線を守らせるのでは。同じ民族同士でケンカさせ、米中は高見の見物、疲弊したところで元の38度線に戻すのでは。
横は丹東市を臨む鴨緑江断橋です。
記事
韓国大統領府は8月26日、朴槿大統領が9月3日に北京市で行われる「抗日戦争勝利記念行事」の軍事パレードに出席すると発表した。朴大統領がパレード出席に参加する理由と、北朝鮮の軍事的挑発から南北高官協議に至るまでの経緯について、朝鮮半島問題が専門の早稲田大学国際教養学部・重村智計教授に話を聞いた。(河野嘉誠)
—朴槿恵大統領の軍事パレード出席をどう見るか。
韓国と北朝鮮の軍事的緊張が高官協議によって解決した背景には、中国の大きな関与があった。中国は一貫して韓国を擁護し、北朝鮮に圧力をかけ続けた。北朝鮮は妥協的な交渉姿勢に転じざるを得ず、共同報道文も韓国に有利な内容で決着した。朴槿恵大統領の軍事パレード出席は、こうした中国の協力に対する見返りと考えられる。
—韓国にとって、どのような意味を持つのか。
軍事パレードへの出席により、韓国は抗日戦争の担い手として中国から認められる。そもそも、北朝鮮による軍事的挑発が本格化したのは、朴槿恵大統領の「抗日戦争勝利記念行事」への出席を阻止するためだった。実際、青瓦台(大統領府)が20日に朴大統領の式典参加を発表したが、北朝鮮はその直後に軍事境界線付近で二度の砲撃を実施し、「準戦時状態」を宣言している。
—北朝鮮はなぜそこまでして、朴大統領の式典参加を阻止したかったのか。
朴大統領の抗日式典およびパレードへの出席が、北朝鮮の国家としての正統性を動揺させ、クーデタも憂慮されるからだ。金日成の抗日パルチザンを建国の起源としている北朝鮮は、朝鮮半島における抗日戦争の唯一の担い手を自任している。中国に対して、朴大統領の招待を中止するよう再三にわたり要請してきたが、無視された。中国は韓国の平和統一政策を支持しており、北朝鮮の「ワガママ」に付き合うつもりはない。
—南北高官交渉では、自ら南北高官協議の開催を申し入れるなど、北朝鮮の妥協的な姿勢が目立った。
計算違いが生じ、弱腰に徹するほかなかったのだろう。地雷の設置など一連の工作活動は、最近になって大将に復帰した金英哲偵察総局長などが関与して実行された。北朝鮮にとっての誤算は、米中を味方につけた朴政権の強硬姿勢だった。軍事衝突に発展すれば、米韓同盟には敵わない。中国からの圧力も日に日に強くなる。北朝鮮としては本格的な衝突の回避に奔走するしかなかった。
—北朝鮮は、韓国の拡声器による北朝鮮向け宣伝報道にも過剰反応した。
北朝鮮の政治は、指導者への「忠誠心競争」が基本原理だ。将軍様の名誉を傷つけられて、放っておくわけにはいかない。とはいえ、北朝鮮は南北軍事国境線付近に設置していた拡声器を撤去してしまっており、再設置する資金もない。宣伝放送による反撃ができないため、軍事的挑発に踏み切るしかなかったという事情もある。
—共同報道文には、南北間の協議・対話の継続や民間交流の促進などが盛り込まれ、双方にメリットがあるとの評価もある。
有り得ない。共同報道文は、協議日程が明記されておらず、具体性に乏しい内容だ。地雷事件に関し、朝鮮語では「謝罪」のニュアンスが強い「遺憾」という言葉を使用させられるなど、北朝鮮側にとってはかなり不本意な内容となっている。また、韓国は「無条件での対話再開」は望んでいない。韓国人観光客が北朝鮮兵士に殺害された2008年の金剛山の謝罪と責任者処罰をしない限り、南北の経済交流の復活は難しい。
—北朝鮮からは、崔竜海労働党書記が「抗日戦争勝利記念行事」に参加する予定だ。金正恩第一書記の出席は見送られる。
朴大統領の「抗日戦争勝利記念行事」への出席を阻止するという外交目標は達成されなかった。北朝鮮では今後、担当者の責任が厳しく問われるだろう。朴槿恵政権は今回の対応により、支持率が3ヶ月ぶりに40パーセントを超えた。22日間に及んだ両国の緊張関係だったが、結果だけ見れば北朝鮮が期せずして、朴政権を助けてしまった。
—朴槿恵大統領の軍事パレード出席により、中韓は結束を強める見通しだ。北朝鮮は国際社会からより一層孤立するのではないか。
北朝鮮が10月10日の「朝鮮労働党創建70周年」に合わせ、ミサイルを発射すれば、南北対話の継続も不可能になる。北朝鮮では今年、「100年に1度」の干ばつが発生しており、ただでさえ厳しい国内情勢が続いている。金正恩の権力基盤も脆弱であり、北朝鮮の不安要素は増える一方だ。
【メモ1:北朝鮮の軍事的挑発】
南北軍事国境に近い非武装地帯の韓国側で8月4日、地雷が爆発し、韓国軍下士官2人が重傷を負った。韓国軍は、地雷は北朝鮮が設置したとする調査結果を発表し、拡声器による北朝鮮向け宣伝報道を開始した。北朝鮮は20日、韓国側に軍事境界線付近で二度の砲撃を実施し、軍事行動の可能性を示唆した。韓国側にこれを受け、韓国も数十発の砲撃で応戦。金正恩第一書記は、軍事境界線付近の「準戦時状態」を宣言し、南北は一触即発の状態に陥った。
翌21日になると、北朝鮮は韓国に、南北高官協議の開催を申し入れ。韓国側は会談場所に板門店を指定し、黄炳瑞軍総政治局長の出席を求め、北朝鮮側はこれに応じた。韓国と北朝鮮は25日未明、共同報道文を発表し、臨戦態勢の解除を合意した。北朝鮮は「準戦時命令」を解除し、韓国も拡声器による宣伝放送を停止した。一時は軍事衝突の危機にあった両国だが、43時間にわたる高官協議の結果、南北の緊張緩和が実現した。
【メモ2:「抗日戦争勝利70年」の記念式典】
中国政府の主催により、9月3日に北京市で開催される。韓国の朴槿恵大統領、ロシアのプーチン大統領、エジプトのシーシ大統領ををはじめ、30カ国の政府首脳級が出席する見込み。このほかにも、19カ国が政府代表を派遣。また、日本の村山富市元首相やドイツのシュレーダー前首相らも個人として出席を予定している。
重村 智計(しげむら としみつ)
1945年、中国に生まれる。早稲田大学卒業。1971年、毎日新聞社に入社、79年から85年までソウル特派員。ワシントン特派員時代には、米朝核交渉で数々の国際的なスクープを報じる。この間、高麗大学大学院、スタンフォード大学へ留学。毎日新聞論説委員を経て、早稲田大学国際教養学部教授。最新刊は 『激動!北朝鮮・韓国そして日本 歴史的必然と日本の選択』(実業之日本社)。『月刊 WiLL』に『朝鮮半島通信』を連載中。