9/11ZAKZAK 田村秀男『中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」』について

周小川人民銀行総裁は拘束を受けているという話もありましたがG20に出席しました。単なる噂だったのか、取って代わる人材がいなかったのか分かりませんが。

短期金融市場で翌日もの金利が上がっているという事は貸す方が相手銀行を信用してないという事です。お互い傷んでいることに気が付いているからでしょう。シャドーバンキング(ノンバンク)と言われる地方融資平台の不良債権化が進んでいる証拠と見ます。

経常収支が黒字基調なのに外貨準備が減るのは違和感を覚えます。経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏=0ですので、資本収支が▲になっているという事でしょう。それで本記事にあるように「年間で6000億ドル(約72兆円)近い資金が外に流出している」という事でしょう。

またAIIB設立もこの外貨準備高を当てにして設立したのだとしても、「外貨準備が3兆5000億ドル(約420兆円)以上あっても、対外債務は5兆ドル(約600兆円)を超えている」のであれば金庫は空の可能性が高いという事でしょう。加盟国に拠出させ、自分の腹は傷めずに、他国のインフラ投資をすることにより、自国の過剰在庫・過剰投資である企業の救済を図ろうとしているという事です。これを詐欺と言わずしてなんと言うのでしょうか?

中国の富裕層は江沢民を中心とした上海派かそれに連なる連中です。彼らが香港市場を通じて人民元や株を売り出せば影響は大きいです。法で株の売買制限をし続けると、今度は大衆の個人株主が不満を持つでしょうから長くは制限できないのでは。でも9/3に江沢民、曽慶紅も参列したとのこと。習近平が軍権掌握したことを見せつけるパレードだったという見立てをする人がいますがそうではないでしょう。でなかったらば習の顔がもっと晴れやかになっていたはず。今回のG20に周小川が出て来たのも習がまだまだ実権を握れていないと見た方が良いのでは。

記事

china cash flight

八方ふさがりの中国経済だが、宣伝工作だけはさすがにたけている。先週末、トルコ・アンカラで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、不透明な中国当局の市場操作を厳しく追及する麻生太郎財務相に対し、中国人民銀行の周小川総裁は「市場は安定に向かっている」と言い抜けた。

 周発言の要点は以下の通りだ。

 ▽政府の措置により株式市場は崖から落ちるのを免れた。株式市場の調整はほぼ終わった。

 ▽8月の元切り下げ後に一時は元安圧力が高まったが、長期的に下落する根拠はない。

 いずれも現実とは遊離しており、麻生氏が周氏らの説明に納得しなかったのは当然だ。株価は、日本円換算で70兆円にも上るとみられる政府や政府系機関による株式買い支えや当局による厳しい投機の取り締まり、メディアへの締めつけにもかかわらず、乱高下が起きている。

 人民銀行は8月下旬に預金金利を追加利下げした。通常は「金融緩和策」のはずだが、結果からみると「金融引き締め」である。短期金融市場では銀行間融通金利上昇が止まらず、6月初めに1%強だった翌日もの金利は預金金利より高くなった。銀行は低い金利で集めた預金を銀行間で回せば儲かることになる。

 量のほうはどうか。中国人民銀行は一貫して発行する資金量(マネタリーベース)を増やす量的緩和を続けてきたが、この3月以降は減らし続けている。つまり、量的収縮策である。めちゃくちゃな金融政策で市場が安定するはずはない。

元相場の下落圧力は強くなるばかりだ。8月中旬、元相場を切り下げた後は元相場の押し上げにきゅうきゅうとしている。主因は資本の対外逃避である。周氏がいくら詭弁(きべん)を弄しようと、中国の金融市場の自壊に拍車がかかる現実を変えようがない。

 グラフは中国からの資金流出と外貨準備の減少の加速ぶりを示している。中国は厳しい資本の流出入規制を敷いているのだが、抜け穴だらけだ。党の特権層を中心に香港経由などで巨額の資金が持ち出される。預金金利が下がれば、あるいは人民元安になりそうだと、多くの富裕層が元を外貨に替えて持ち出す。

 貿易収支など経常収支は黒字を維持しているのに、外貨準備はこの8月、昨年6月のピークに比べ4358億ドル(約52兆円)減となった。経常収支黒字と外貨準備の増減からみて、年間で6000億ドル(約72兆円)近い資金が外に流出している。

 外貨準備はそれでもまだ3兆5000億ドル(約420兆円)以上あり、日本の3倍以上になるとの見方もあるが、中国の外準は「張り子の虎」でしかない。対外債務は5兆ドル(約600兆円)を超えている。いわば、外から借金して外準を維持しているわけで、外国の投資家や金融機関が一斉に資金を引き揚げると、外準は底を突く恐れがある。

 株式、元相場と金利・量と続く金融市場自壊はその予告なのだ。