2/23日経 閻学通氏 グローバルオピニオン『近隣の友情を「買う」中国』を読んで

清華大学現代国際関係研究院院長の閻学通(Yan Xuetong)氏の論考ですが、中国人の発想の枠は超えられませんね。相変わらず傲慢、高所から見下す臭いがプンプンします。共産党で相応の地位につくには当然最高権力者に擦り寄らなければ任命されないので「ヨイショ」が必要となります。江(上海派)と胡(団派)はこれを読めば苦々しく思うでしょう。

閻氏は中華思想丸出しです。中国と付き合えば経済的恩恵を受けられるというのは「冊封体制」・「華夷秩序」そのものです。こういうことを言うから嫌われると言うのが分かっていませんね。札束で頬を打っても相手は屈辱を感じさえすれ、友情を感じることはないでしょう。ASEAN諸国の大半がこういう中国のやり方を嫌悪しているのに気が付かないのは如何にも自己中の中国人という気がします。

中国は現在の世界の覇者であるアメリカに対抗しようとしているのが読み取れます。「世界のルール作り」を主導するのは、これからはアメリカでなく中国だと言いたいのでしょう。アメリカ人も同じように傲慢・強欲で好きになれませんが、少なくとも理念上、建国の精神である「自由」を尊重する国です。中国はチベット、ウイグル、内蒙古人はおろか漢人まで反政府弾圧・宗教弾圧を今この時点でもしています。どちらが人類のリーダーに相応しいか言を俟たないでしょう。「AIIB」を作って経済的に属国を作ろうとしているのでしょうが、下心は各国に見透かされています。従うのは専制国か愚かな国だけでしょう。中国には世界のリーダーになる資格はありません。人類普遍の価値である自由・民主・基本的人権の尊重・法治が中国で実現されてから発言してほしい。この4つは中国では全部実現できていません。

また自分に都合の悪いことはすぐに他人のせいにするのも中国人の特徴です。8年間の中国駐在で痛切に感じました。対日本人だけでなく、中国人同士でもです。「安倍音三首相は中国との関係が悪い方が好都合と考えているようだ。」と言うのは如何にもです。関係を悪化させているのは中国であって日本ではありません。中国の言うことを聞かない人間に対してはこのように攻撃する訳です。中国や朝日新聞を筆頭とする日本のマスメデイアと反対のことをすれば日本の国益に叶います。

メキシコ高速鉄道の落札にはペニャニエト政権中枢に対する豪邸のプレゼントという賄賂があり、補償問題に発展しています。裏でスマートに賄賂を贈る国です。経済的にかの国を富ませることがいかに危険か。

記事

2014年11月、中国共産党・.政府は8年ぶりに「中央外事工作会議」を開催した。これは外交政策を転換するときにだけ開く会議だ。習近平国家主席は鄧小平氏の時代からの方針を変更した。従来は米国や欧州を相手にする「大国外交」が主軸だった。新たな国際情勢下で習氏が最も力を入れるべきだと主張するのは、近隣国との関係を強める「周辺国外交」である。

鄧氏の最大の目標は国を豊かにすることだった。一方、習氏は「民族の復興」を果たし、国際社会の尊敬を集めることを目指している。2人のゴールは根本的に異なる。 経済発展に主眼を置くなら、外交でも「誰とでもつきあえばお金を稼げるか」と考える。 投資を呼び込み、技術を取得するため米欧諸国をはじめとする「大国」を相手にした。

この政策はもはや通用しなくなった。胡錦濤前国家主席の時代の後半には、日本や東南アジア諸国連合(ASEA N)加盟国といった周辺国との関係が悪化した。なぜか。 12年の時点で、中国は世界の124力国にとり最大の貿易相手国になった。いまや米国を除くすべての国が中国を経済規模で下回る。それなのに外交は鄧路線のままで米欧にばかり目がいっていたのだ。 自国より経済規模が小さな国とつきあうには一定の配慮が必要だ。たとえば自由貿易(FTA)を結び、中国の安い製品がなだれ込めば相手国は脅威に感じる。その場合、中国側の関税を撤廃しても、相手国の関税は残して構わない、といった配慮が必要だ。周辺国に経済の恩恵を与えなければならない。言葉は悪いが友情を「買う」のだ。

なぜ近隣国の支持が必要になるのか。国際社会の規制やルールをつくるうえで、こうした国々の助けが必要になるためだ。かつては大国同士が天然資源を争ったが、いまは過剰生産の時代だ。モノをつくっても、市場が見つからない。これからはモノを売るための規制やルールを誰が設けるのかが重要になる。ルールは一国ではつくれないのだ。

中国にとってアジアで最も重要な国は日本だ。日本が中国に友好姿勢を示して<れれば中国の国際環境は劇的に改善する。だが、残念ながら安倍音三首相は中国との関係が悪い方が好都合と考えているようだ。日本との関係改善が無理ならば、中国はせめて関係悪化を防ぐべきだろう。

中国が理想とすべきなのは唐の全盛期、貞観の治(62 7〜649年)と呼ばれた時代ではないだろうか。国内の調和がとれ、近隣国との関係は良好だった。唐に限らずエジブト、ローマ、英国といった帝国がいずれも永続しなかったのは改革が滞ったからだ。習氏の政策を評価しているが、それは様々な改革に力を入れているからだ。