2/13日経ビジネスオンライン 加藤嘉一『中国の専門家が読む、米国の「2015年版国家安全保障戦略」 2015年のハイライトは習近平の訪米』について

学歴詐称の加藤氏の記事です。どうせ中国寄りの記事を書いているだろうと予測はつきます。アメリカのライスはオバマの腰巾着で有名です。あのリベラルなヘーゲル国防長官(共和党)でも追い出しに成功、カーターに替えました。限定空爆だけと言うオバマの「戦争せず」の公約を守ろうとライスが動いたためです。(オバマはやっと地上部隊を送るようにするようですが遅い。後手後手に回っている)。どう考えてもISIL打倒には地上軍を派遣しなければできません。ただアメリカは軍事で簡単に勝っても、その後の統治に金がかかるためにオバマはやりたくないと思っているのでは。イラクがその例で、途中で手を引き、結果としてISILを跋扈させました。またアラブの春でエジプトの選挙後出来たモルシ政権のようにイスラム原理主義者が統治者として出てきてしまいます。中東・アフリカは一筋縄ではいきません。

ライスは一昨年の11月にはG2を認めた発言をして明らかに中国寄りの立場を取っています。オバマがその当時考えていたことだったのでしょう。今はG2と言うことはオバマも言っていませんが、9月の訪米に習が確実にぶり返すでしょう。戦勝パレードにオバマも招待するつもりなのかもしれません。ダメモトで。オバマは軍事オンチで同盟の意味すら知らないから不安です。

下記のフォーサイトの記事でベンガジの米大使館爆破事件やアフリカのケニアとタンザニアの米国大使館爆破事件についてライスのことが書かれています。国務大臣候補だったのが共和党の横やりでなれなかったのです。こんな人物の言うことを有難がって報道するのですから加藤の座標軸が知れます。

中国は「歴史を鑑として」とよく使いますが、それならチベット・ウイグル・モンゴルも返すべきではないか。自分に都合よく歴史解釈するのは止めてほしい。

フォーサイトの記事

『バラク・オバマ大統領は、クリスマス休暇を生まれ故郷ハワイで過ごすためにハワイへ移動する直前の今月21日、既に退任の意向を表明しているヒラリー・クリントン国務長官の後任として、現在、米議会上院外交委員会委員長の要職にあり、2004年の民主党大統領候補であったジョン・ケリー上院議員(マサチューセッツ州)を正式に指名した。当初は、オバマ大統領が出馬した2008年民主党大統領候補指名獲得争い当時から外交顧問だったスーザン・ライス国連大使を次期国務長官に指名するのではないかと見られていた。そのため、次期国務長官候補の1人であったケリー氏は、第2期オバマ政権では間もなく退任すると見られているレオン・パネッタ国防長官の後任に指名されるのではとの憶測も一部にあった。

 だが、オバマ大統領が次期国務長官としてライス国連大使を検討している事実が表面化すると、J.クリストファー・スティーブンズ駐リビア米国大使をはじめとする米国人4名が殺害された、今年9月11日に発生したリビア東部の在ベンガジ米国領事館襲撃事件が、この人事に大きな影を落とすこととなった。ライス国連大使はホワイトハウスの要請に基づき、同襲撃事件直後の9月16日に日曜政治討論番組に相次いで出演し、米諜報機関から提供された情報に基づき同襲撃事件は反米暴動が原因との見解を示していた。ところがその後、同襲撃事件は周到に準備されていたテロ事件であったことが明らかになり、オバマ政権は大統領選挙キャンペーンが本格化した直後に発生した同襲撃事件がテロ事件であることを隠蔽しようとしていたのではないかとの疑惑が浮上したのである。とりわけ、在ベンガジ米国領事館襲撃事件でのオバマ政権の対応についての批判で急先鋒に立ったのがジョン・マケイン(アリゾナ州)、リンゼイ・グラム(サウスカロライナ州)の2人の共和党上院議員であった。

 オバマ大統領は再選後初めて行なった11月14日のホワイトハウスでの記者会見で、マケイン、グラム両上院議員を名指しし、ライス国連大使の名声を汚そうとする両上院議員の姿勢は「極めて侮辱的(“outrageous”)」との厳しい表現を用いてライス氏を全面擁護した。ライス国連大使はマケイン、グラム両上院議員らに対し在ベンガジ米国領事館襲撃事件発生後の対応について米議会内で面談して説明を行なったが、マケイン上院議員らの理解は得られず、ライス氏は厳しい立場に追い込まれることとなった。さらに、共和党穏健派のスーザン・コリンズ上院議員(メイン州)は、ライス氏が第2期クリントン政権で国務次官補(アフリカ問題担当)在職当時の1998年、ケニアとタンザニアの米国大使館爆破事件で米国人をはじめとする多数の犠牲者が出たのは、ライス氏が在外公館のセキュリティ強化を十分に行なわなかったためであると指摘、当時の責任をも追及する事態となった。

「ライス国務長官」を葬ることになった決定打は、マケイン上院議員が今月10日、現在、野党筆頭理事を務めている上院軍事委員会から、次期国務長官の指名承認プロセスを担当する上院外交委員会への移籍に言及したことだった。共和党の議員規則では、6年以上連続して同じ委員会の委員長や野党筆頭理事を務めることが禁じられているために、マケイン上院議員は軍事委員会から外交委員会への移籍に関心を示した。その判断は、現在、ミッチ・マコーネル共和党上院院内総務(ケンタッキー州)ら上院共和党指導部の判断に委ねられている。だが、マケイン氏が外交委員会へ移籍すれば、委員会で行なわれる公聴会でライス氏の長官指名に反対するのは必至だ。マケイン上院議員のこのような動きがオバマ大統領にライス国連大使の次期国務長官指名を見送らせ、ケリー上院議員を指名する1つの圧力となったことは間違いない。マケイン氏のこうした意思表明が行なわれた3日後の今月13日、ライス国連大使はオバマ大統領に対し、自身を次期国務長官の検討対象から除外するよう自ら申し出ている。次期国務長官指名承認プロセスに関与する共和党有力議員らはケリー上院議員の外交政策に関する見識を高く評価しており、指名承認プロセスは順調に推移するとの見方を相次いで示している。そのことはケリー氏が上院外交委員会委員長の要職を辞任することを意味する。

 マケイン氏とケリー氏はともにヴェトナム戦争従軍経験を共有しており、ケリー氏は2004年民主党大統領候補として副大統領候補にマケイン氏を検討していた経緯がある。また、第1期ジョージ・W.ブッシュ政権当時、マケイン氏は共和党を離党することをトム・ダッシュル民主党上院院内総務(サウスダコタ州)(当時)と真剣に協議していた。だが、現在、対ロシア外交やアフガニスタンからの米軍撤退問題、あるいは、シリア情勢を巡りオバマ外交を共和党から最も厳しく批判しているのはマケイン上院議員である。2人は2008年大統領選挙を2大政党のそれぞれの大統領候補として競ったが、あれから4年以上が経過した現在の2人の関係は「協力」よりも「対立」で定義されている。今回、マケイン上院議員がオバマ大統領の信頼の厚いライス国連大使の次期国務長官指名を事実上阻止したことで、オバマ大統領とマケイン上院議員との間には感情的しこりが残ったのではないだろうか。マケイン上院議員の上院外交委員会在籍を上院共和党指導部が認めた場合、マケイン氏は上院外交委員会を舞台にオバマ外交批判をさらに強めるのではないかと筆者は考えている。

 マケイン上院議員は2010年中間選挙で5選を果たしており、任期は2017年1月までである。2017年1月はオバマ大統領が2期8年の任期を終えてホワイトハウスを去る時期と重なる。2014年中間選挙では共和党現職13名が改選期を迎えるのに対し、民主党は現職20名が改選期を迎えることになっており、上院民主党は「守りの選挙」を強いられることになる。2014年中間選挙で民主党が多数党の立場を失った場合、上院外交委員会委員長のポストも共和党上院議員により握られることになる。マケイン上院議員が同委員会での年功序列を重視し、ボブ・コーカー上院議員(テネシー州)が上院外交委員会委員長に就任しても、マケイン上院議員の外交・安全保障問題に関する発言力はさらに増大することになろう。共和党支配の議会での制約から逃れるために外交面での業績を残そうとする第2期オバマ政権にとり、マケイン上院議員は目障りな存在となる可能性がある。〔Foresight〕より』

加藤氏記事

2015年2月6日12時45分、ブルッキングス研究所、ワシントンDC。

 各国の駐米大使やテレビ・新聞の記者たちは、ノートとペンを手に、固唾を呑みながら1人の女性が現れるのを待ち構えていた。会場は緊張感に包まれていた。

 時計の針が13時を少し回ると、スーザン・ライス米大統領国家安全保障担当補佐官が姿を現した。ちょうど同じ日にバラク・オバマ大統領が発表した『2015年版国家安全保障戦略』(前回は2010年)の概要を説明すべく、ライス補佐官は、“知的集積地”であるこの研究所を訪れたのだ。ブルッキングス研究所は政策と研究の交点で、同補佐官自身、かつて勤務した経験がある。

 実母を伴って“古巣に帰省”したライス補佐官は元同僚や旧友たちに笑顔で手を振りつつ演壇に上った。スピーチの冒頭で「ブルッキングスは私にとっての家です」と述べるなど、リップサービスも怠らなかった。

 会場には中国の政府関係者や研究者、ジャーナリストの姿も多く見られた。彼ら・彼女らは、5年ぶりに発表された『国家安全保障戦略』が中国をどう描いているのかに強い関心を持っていた。ライス補佐官は、米国の強靭なリーダーシップをどのように維持・向上・発揮していくかについて、同盟国やパートナーとの関係、経済政策、普遍的価値観、国際秩序といった視点から紹介した。

対中批判を控えた? ライス補佐官のスピーチ

 対中関係についても、慎重に、言葉を選ぶようにして見解を披露した。

 「米国は建設的で、機能的な協力を中国とともに進めていく。領土問題やサイバーセキュリティー、人権といった分野で米中間には立場の違いが存在するが、公共衛生や気候変動といった分野で協力を深めていく」と語った。

 また、今年、オバマ大統領が日本の安倍晋三首相と中国の習近平国家主席を国賓待遇で招待するとも発表した。2人の名前を同じフレーズのなかで並列させるように読み上げたライス補佐官の表情を見て筆者は、「任期が残り2年となった」(ライス補佐官)オバマ大統領が日中関係の改善を重視し、米国がその橋渡しをすべきだと考えていると感じた。

 スピーチ終了後、会場で遭遇した知り合いの上海政府関係者に「彼女の対中観をどう受け取りましたか?」と聞くと、「結構、抑えていましたね。意識的に中国批判を控えていた気がする。中国に遠慮していました」との感想が返ってきた。

 筆者はこの時、前日の5日にワシントンDCで開かれた、ある朝食会の光景を思い出していた。米国の宗教関係者が1年に1度集まる会合で、チベットのダライ・ラマ14世も出席していた。オバマ大統領はスピーチの中で“友人”ダライ・ラマ14世の活動と貢献を称賛した。

 オバマ大統領とダライ・ラマ氏がどのように対面するかに注目が集まっていたが、両氏が面と向かって言葉を交わすことはなかった。オバマ=ダライ・ラマ会談に頑なに反対する中国政府に対し、米国側が遠慮した形となった。

『戦略』が表す米国の対中認識

 ライス補佐官の講演が終了した後、ブルッキングス研究所内で『2015年版国家安全保障戦略』(以下『戦略』)が配布された。真っ白な表紙に、NATIONAL SECURITY STRATEGY FEBRUARY 2015と記されている。全31ページ、7つのパート(概要、イントロダクション、安全、繁栄、価値観、国際秩序、結論)から成る『戦略』は、Chinaに約10回触れている。

 以下、Chinaが含まれているフレーズを翻訳し、箇条書きにしてみたい。

(概要)

  • 中国との協力範囲は前代未聞である。我々は依然として中国軍の近代化を警戒し、挑発的なやり方で領土紛争を解決しようとすることを拒絶しているけれども。
  • 我々は温暖化ガスを削減について中国と合意に達した。

(イントロダクション)

  • インドの潜在力、中国の台頭、ロシアの侵略は、将来の大国関係の在り方に対して重要なインパクトを持っている。

(安全)

  • 世界最大の二酸化炭素排出国として、米国と中国は、炭素公害を減らすために重要な行動を取ることを取り決めたランドマークとしての合意に至った。
  • アジアにおける領土紛争をめぐり、米国は緊張を煽るような挑発的・恫喝的な行為に反対する。国際法に基づいて平和的に紛争を解決するための開かれた対話のチャネル構築を奨励する。また、中国とASEAN諸国の間で、南シナ海問題を解決するための有効な行動原則をめぐって早期に合意に至ることを支持する。

(国際秩序)

  • 米国は中国の安定的、平和的、繁栄的な台頭を歓迎する。
  • 米国は米中両国民およびアジアと世界の安全と繁栄を促進することに資するような建設的な対中関係を発展させたいと考えている。
  • 米中の間には競争が存在するけれども、衝突が不可避だとは考えていない。
  • 我々自身の強さを持って競争をマネージしていくと同時に、海洋戦略、貿易、人権といったイシューにおいて、中国が国際的なルールや規範を守るべきだと主張していくつもりだ。
  • 我々は中国軍の近代化とアジアにおけるプレゼンス拡大を監視する一方で、誤解や誤算をするリスクを減らすべくやり方を模索していくつもりだ。
  • サイバーセキュリティーに関して、民間か政府かを問わず、中国側が商業的な利益を得るために、米国側の企業秘密を盗もうとする場合には、必要な措置を取ることを通じて我々のビジネスやネットワークを保護していくつもりだ。

 ライス補佐官のブルッキングス研究所におけるブリーフィングと比べて、『戦略』は特に(1)領土紛争、(2)軍の近代化、(3)サイバーセキュリティーという3分野で中国を比較的強く牽制しているのが読み取れる。一方で、(1)中国の健全な台頭を歓迎し、(2)衝突は不可避ではなく、(3)誤解や誤算のリスクを減らす努力をしていく必要があるとも述べている。中国が持つ不確実性に対する警戒・懸念・牽制と、中国の発展に対する評価・期待・関与のあいだでバランスを取ろうと心がけているのが伺える。

中国専門家が読む米国の『戦略』

 中国の有識者は『戦略』をどう解釈したのか。

 中国外交部直属のシンクタンク、中国国際問題研究院国際戦略研究所の蘇暁暉副所長が党機関紙《人民日報》に論考を発表している(“米国が『国家安全戦略』を発布、中国に対しては多面的なアプローチを配置”、2月9日)。

 蘇副所長は2010年版の『戦略』と2015年版の『戦略』がそれぞれ中国をどのように描写しているかを比較している。「米国はずっと中国の台頭、特に軍の近代化に注目し、中国が発展する方向性に影響を与えたいと目論んできた」と、過去5年のあいだ変わらない米国の対中戦略に言及しつつ「一方で、中国の戦略に対する米国の認識に若干の変化が生じている」と指摘した。

 蘇副所長によれば、“若干の変化”は次の4つの側面に表れている

 第1は、米中間で起こりうる衝突リスクに米国が関心を示すようになったこと。『戦略』が「衝突は不可避ではない」と主張する部分に注目する。

 第2は、中国との協力関係に米国が関心を示すようになったこと。『戦略』が「米中の協力範囲は前代未聞」と主張し、特に両国が二酸化炭素排出削減目標を共有し、合意に至った成果を前向きに評価した部分に注目する。

 第3は、中国に対する米国の警戒心が深まっていること。『戦略』が「中国が国際ルールや規範を守るべく主張」「緊張を煽るような恫喝的な行為に反対」などと言及している部分に注目する。

 そして第4は、米国が新しい分野での対中競争を強化していること。『戦略』がサイバーセキュリティーを明記し「中国側の機密窃盗行為に対して必要な措置を取っていく」と牽制している部分に注目する。

 蘇副所長は、「これらの変化は中米の国力の変化に由来する」と分析し、米国側が昨今の中国の国力と発展を次のように認識していると指摘した。

  • 中国は5年前に比べて国力を増強させた。今後も、外部的な要因に影響されることなく発展していく
  • 米国の発展や戦略に対して、“中国要素”がますます重大な影響を及ぼすようになった
  • こうした状況下において、中国と対抗・衝突することは米国の国家安全保障上の利益にかなわない。

米国に先んじて、中国は『国家安全戦略綱領』を発表

 実は、オバマ大統領が『戦略』を発表する約2週間前の1月23日、中国共産党中央政治局は会議を開き、中国版『国家安全戦略綱領』(以下『綱領』)を審議、採択している。党中央の声明や国営新華社通信などの報道を見るかぎり、『綱領』が中米関係や中国の対外政策を具体的にどのように定義しているのかはよく分からない。

 しかしながら、自ら司会を買って出た習近平国家主席が、会議のなか以下の点について強調したことは国営新華社通信による報道(2015年1月23日)によって明らかになっている。

1.『綱領』を制定・実施するのは国家の安全を保障するという差し迫った需要を満たすため

2.総合的な国家安全観を指導思想とし、国家の核心的利益、重大な利益を断固として守る

3.中国共産党による国家安全保障戦略における絶対的な領導を堅持すること

 中国のある政府関係者は「米国が『国家安全戦略』を発表する前に中国が『国家安全戦略綱領』を審議したことは象徴的だ。中国が自らの国家安全保障と核心的利益を断固として守るという決意を米国側に伝える効果を持っていた」と筆者に語った。

 筆者には“党による絶対的領導”という言葉が印象的だった。内政・外交を問わず、習近平国家主席率いる現共産党指導部が“絶対的な”指導力を発揮しつつ、あらゆる政策をトップダウンで打ち出していくに違いない。

 “核心的利益”に関して、中国は米国を意識している。台湾、チベット・ウイグル、南シナ海・東シナ海といった分野において、党指導部は中国の核心的利益を認めさせるべく、引き続き米国に圧力をかけていくに違いない。その効果は既に現れている。前述のように、オバマ大統領は同じ会場にいたダライ・ラマ14世と顔を合わせることも、言葉を交わすこともなかった。

歴史認識について中米接近を進める中国

 『戦略』が発表された6日の夜、崔天凱駐米中国大使は、ワシントンDCにある中国大使館で新春レセプションを主催した。在米華僑や留学生、中国企業やメディアなどで働く約800人の“華人”が出席した。

 スピーチの中で同大使は、こう主張した。「新しい1年を迎えるにあたり、我々は引き続き中米間の往来を、ハイレベルから草の根レベルまで、政府でも民間でも発展させ、相互理解を深め、相互信頼を増進させ、協力を推し進め、違いや摩擦をマネージし、中米新型大国関係という巨大なビルをより高く打ち立てていく」。このレセプションに出席した中国2大国営通信社の1つ、中国新聞社の記者に対して、崔大使は「我々は現在、習近平国家主席の訪米日程を調整している」と語った。この日、ライス補佐官が習近平国家主席宛てに招待状を送ったと公表したことを受けての発言だ。

 米中関係の“次”を占う上で、習国家主席の訪米が1つのカギとなることは間違いないだろう。ライス補佐官と崔大使が年内の習近平訪米を同じ日にほのめかした。それから1週間も経たない2月10日(米国東部時間)、習国家主席はオバマ大統領と電話で言葉を交わし、オバマ大統領からの招待を受け入れ、9月に公式訪問すると伝えた。2人は電話の中で、米中がサイバーセキュリティーをめぐる摩擦をいかに緩和させるか、グローバルな安全保障問題をめぐっていかに協力し、対応していくかなどを話し合っている。国営新華社通信が伝えた(2月11日、中国時間)。

 今年は終戦70年に当たる。第二次世界大戦の“戦勝国”である米中二大国が“戦後70周年”というイベントにどう向き合うのかに注目したい。筆者は、中国は習国家主席訪米と戦後70年をリンクさせ、歴史認識をめぐって米中接近をこれまで以上に推し進めるべく、綿密に戦術を練っていると考えている。

 6日夜、崔大使は新春レセプションを次の言葉で締めくくり、米中協力の必要性を強調した。「2015年は世界反ファシズム戦争および中国人民抗日戦争勝利70周年、そして国際連合設立70周年に当たる。歴史を鑑にすることでしか、より良い未来はやってこない。平和の力を大きくすることでしか、侵略の再来を防ぐことはできない」。