週刊新潮10/16号の藤巻健史の記事について

2012年1月に発売された藤巻健史の書いた本『なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか』を読んだ時にも感じたのですが、今回の週刊新潮の記事でも疑問は氷解しませんでした。何故日本で「ハイパーインフレ」が起きるのか論理的な説明がありません。1000兆円を超える国債残高にそれを求めているようですが、369兆円の借金の時から1000兆円になってもまだ全然インフレになっておらず、2%の物価目標も実現できるかどうか怪しいときに「ハイパーインフレ」と騒ぐのはためにする議論なのでは。10/9長期金利は0.485%で日本円は安全資産ということで金利が低くなっています。日銀の国債購入で低くなっている面もあると思われますが。高橋洋一に言わせれば、負債に見合った資産を持っているので心配することはないという意見もあります。また8月の経常収支も黒字で円安のため所得収支が増えます。メーカーが生産拠点を海外に移してきたため、貿易黒字を稼ぐのは難しくなってきていますが、その分所得収支が増えていきます。また原発を稼働させれば貿易赤字も減っていきます。また本日の日経はアメリカの金融緩和縮小の行方も分からないと言ったニュアンスの記事を載せています。藤巻の言うように$資産を持つことが正しいのかどうか。世界(特にロシアと中国)は$の基軸通貨を止めさせたいと願っているし、少なくとも$の占めるシエアを下げようとしているので。日本の株を持つ方が良いのでは。

<藤巻健史の週刊新潮10/16号の記事>

「これほど巨額の借金を抱えた日本は近い将来、財政破綻するか、ハイパーインフレに陷いる。そうなると、 株も円も大暴落する」。私は、日本の累積赤字が まだ369兆円だった1997年から、一貫してこう 言い続け、警鐘を鳴らしてきました。だから、この間、「保険のために、ドル資産など先進国の外貨を買って海外に資産を逃がし、自己防衛をはかるべきだ」と提唱し、自らも実践してきたのです。財政破綻した時には、国は助けてくれない。自分の身は自分で守るしかないのです。外貨シフトはまだ間に合う。では、 どうやって資産防衛を行うのか。それは、後で詳述したいと思います。

今現在、円が急落していますが、この円安ドル高はさらに進行すると思います。 世の一部からは“日銀の量的緩和の効果もあって、円安になり、藤巻の予言は当たった”“自分も預貯金をドルに換えておけば、儲かったのに”という声が聞こえてきます。『日本大沈没』などの書を著した私は、これまで、金融の実務経験のない多くの学者やエコノミストから、“業界のピエロだ”“大法螺吹きで、気が触れている”などと鼻で笑われてきました。しかし円安ドル高の進行は私が予言した通りです。ただし、今回の急激な円安は、日銀の量的緩和によるものではありません。2013年4月に黒田東彦・日銀総裁が“異次元の量的金融緩和”を打ち出した頃、 円は1$ =97円でした。その後の1年で、マネ夕リーべース(日銀の資金供給残高)が、約209兆円と74兆円も増えたのに、円は1ドル=102〜103円に留まり、為替はたった5円ほどしか動かなかったじゃないですか。むしろ、巨額負債を抱えた現下の円急落は、 日本経済の財政破綻やハイパーインフレの前兆であり、次節柄、不謹慎かもしれませんが、“火山性微振動”である可能性が高いと言わざるを得ないのです。

<10/8日経夕刊記事>

8月の経常収支

「単位は億円。カッコ内は前年同月比%、▲は赤字または減少」

2014年8 月

▽経常収支                 2,871

(82.7)

貿易•サービス収支   ▲10,826

貿易収支            ▲8,318

輸出                    56,492

(1.0)

輸入                    64,809

(2. 3)

サービス収支     ▲2,508

第一次所得収支     15,199

第二次所得収支    ▲1,503

▽資本移転等収支     ▲114

▽金融収支                6, 790

▽誤差脱漏                4,034

<10/10日経記事>

円相場が一時1$=110円台をつけた1日、ニューヨークの投資銀行ブラウン•ブラザーズ•ハリマンのオフィスで顧客からの電話がひっきりなしに鳴り響いていた。「来年初め115円も射程に入る。久々の大相場だから休む暇もないよ」。 ロンドン出張から戻ったばかりの通貨戦略部門のヘッド、マーク•チャンドラー (53)は息を弾ませた。

チャンドラーはウオール街きってのドル強気派だ。景気や金利が日欧より先に上向くドルは上がるとみるシナリオは米連邦準備理事会(FRB)の緩和姿勢でお預けになっていた。来年の利上げが既定路線となり、ついにドル買いの号砲が鳴った。 「強いドルは米国にとって常に望ましく、それは今も変わらない」。9月17日、カリフオルニア大口サンゼルス校で学生らと対話した現財務長官のジャック・ルー(59)はドルについて聞かれ、言葉を選びながらも語った。「世界の関心事はどうすれば米国のように成長できるかだ」。1995年に民主党のクリントン政権下で財務長官 に就いたロバート•ルービン(76)は「強いドルは国益」と 掲げ、表向き20年近くも路線は引き継がれてきた。

現実は単純でない。公式見解を保つルーとは対照的に、FRB議長のジャネット•イエレン (68)の側近でニューヨーク連銀総裁のウイリアム・ダドリ—(62)は9月22日、米ブルームバーグ社主催の会合で懸念をロにした。「ドルが大幅に上がれば成長への影響を伴う。雇用と物価の2つのFRBの目標は達成が難しくなる」。直前の16〜 17日に開かれた米連邦公開市場委員会.(FOMC)でもドル高を危ぶむ声が相次いだ。

9月25日、サッカー・ワールドカップ(W杯)効果も追い風に好調のスポーツ用品大手ナイキの最高財務責任者(CFO)、 ドナルド・ブレア(56)は決算会見に臨み、国外での売り上げを目減りさせるドル高について沈んだ声で答えた。「今年度は 為替の要因を除けば10%台前半の増収を見込むが、ドル高で1 〜2%は落ちそうだ」。 ドル高に敏感な企業の肉声は 「開かれた連銀」を掲げるダドリーに刻々と伝わる。ニューヨーク連銀は7月、「円安が思いのほか日本の利益になっていない」とする報告もまとめた。どこまでが国益なのか。米当局は容認できないドル高の臨界点を 静かに探り始めた。(敬称略)