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6/23・24日経ビジネスオンライン 鈴置高史『MERSに立ち尽くす韓国 「韓国外交はなぜ異様か」を木村幹教授に聞く』記事について
記事が長いのでコメントは短くします。25日の日経朝刊で韓国人の強制徴用問題で「韓国の光州高裁は24日、三菱重工業に原告1人当たり1億~1億2千万ウォン(約1100万~1320万円)の支払いを命じた。」とありました。高裁は最高裁の判断に羈束されますのでこういう判決が出るのは仕方のないこと。つくづく韓国と言うのは近代国家ではないというのが分かります。韓国憲法ができて(1948年)から日韓基本条約(1965年)が結ばれました。植民地支配で賠償金を払った国は他にないし、元々植民地でなく統合でした。慰安婦と一緒で人権問題にすり替えるのは事後法と一緒。世界に韓国のおかしさを声を大にして言うべき。一方、こういう国には「非韓三原則」で無視すればよい。人の足を引っ張ることが生きがいの民族と付き合っても碌なことはない。ヤクザのしつこさと一緒。朱に交われば赤くなりますので付き合わないことです。調子が悪くなると擦り寄り、調子が良くなれば居丈高になる、 philistine です。
記事
「衰退する日本」に対し、上から目線で接するようになった韓国。だが、最近は何やら自信を失った様子だ。韓国人の揺れる心を、神戸大学大学院の木村幹教授が読み解く(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。
オバマとの約束をドタキャン
—韓国は中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)で大騒ぎです。
鈴置:2014年4月に起きた旅客船「セウォル号」沈没以来の騒ぎになりました。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は6月中旬からの訪米を直前になって中止。オバマ(Barack H. Obama)大統領との会談も無期延期しました。
訪米中止に対して当初は「『MERS』ぐらいで取り止めるとは国の格を落とす」との批判も出ました。大統領がいなければ流行病1つ処理できない行政能力の低い国と思われる、との意見です。
でも、今となっては誰もそんな批判はしません。むしろ、メディアには「大統領が先頭に立って『MERS』と戦う姿を見せ、国民を安心させろ」という声が満ち溢れています。
発生初期に患者の管理に失敗したうえ、「MERS」拡散の源となった病院に閉鎖を命じなかった政府は、厳しい批判を浴びています。
患者が発生し始めた5月27日ごろ、教育部が全国の学校に対し「(『MERS』の病原菌が潜みかねない)ラクダの生肉を食べないよう」指示しました。「MONEY TODAY」というネットメディアが6月2日に配信した記事(韓国語)で報じました。
政府のこのピンボケぶりは格好の攻撃材料となりました。もちろん韓国人にはラクダの肉を食べる習慣はありません。そもそも韓国でラクダの肉は売っていません。
新聞各紙は連日「MERS」を社説で取り上げ「無能で無責任な公務員」と「リーダーシップを発揮しない朴槿恵政権」をなじっています。
国民が政府に不信感を抱くのも無理はありません。政府は毎日「今日が峠」と発表、事態は改善すると示唆します。でも、感染者と死亡者は日増しに増えているのです。
任期半ばでレームダック
木村:朴槿恵大統領の指導力はますます低下するでしょう。今年1月の青瓦台(大統領府)の人事交代で、大統領に直言できる人は皆無になっていますしね。
今後、与党が朴槿恵政権を「沈む舟」と見なせば、野党と一緒になって――野党以上に政権を叩くと思います。総選挙は来年です。国会議員は政権と一心同体と見なされて落選したくはないのです。
そうなれば朴槿恵政権は任期を半分残して完全なレームダックと化します。韓国の歴代政権がしばしば末期になって経験することですけれど。
経済的にも「セウォル号」事件よりも打撃が大きくなる可能性があります。「MERS」で外国からの観光客が減っています。金浦空港も観光地もガラガラ。外国人の姿が消えた、と話題になっています。もちろん「セウォル号」ではそんなことはありませんでした。
とは言え、経済規模が大きくなった韓国ですから、海外からの観光客が多少減ったくらいでは影響は限定的です。
より重要なのは内需へのダメージです。「セウォル号」でも亡くなった若者に哀悼の意を表すため、外食や行楽客がグンと減りました。経済界はその再発を恐れています。
「MERS」でも恐怖感から外出を避ける人が増えました。さらに「MERS」は、韓国人が抱く将来に対する漠然とした不透明感を加速しました。ただでさえ冷え込んでいた消費を、より冷やすのは確実です。
「セウォル号」以上の衝撃
鈴置:中央日報は「MERS恐怖、セウォル号の悲しみより2倍強かった」(6月16日、日本語版)との見出しの記事を載せました。
ツイッターとブログに書き込まれたコメントを、ビッグデータ解析で分析した結果だそうです。記事に引用された、高麗大のヒョン・テクス教授(社会学)のコメントは以下です。
- セウォル号は他人の悲劇について悲しむ事件だった。一方、MERSは本人や家族に直接的な被害をもたらす恐れがあるため、はるかに多くの反応が表れた。
木村:政府に対する不信感は「セウォル号」の時と同様に、いやそれ以上に高まりました。船舶事故は船に乗らなければ犠牲者になりませんが、伝染病はどこにいても危険にさらされるからです。
でも注目すべきは、今回は韓国人の嘆きの対象が、政府に留まらず「韓国そのもの」に向かったことです。MERSらしき自覚症状があっても、隔離されたくないと人々は病院に行かない。当然、感染者は増え続けます。
鈴置:自宅での隔離を命じられたのに出歩いた人々。検査中に病院の隔離室の鍵を壊して脱走、あとで感染が判明した人。感染の可能性が濃いのに診療した医者や教壇に立った先生――。こんな例が連日報じられています。
噂を流したら罰する
木村:MERSの発生源となった有名病院の名を当初、政府は隠しました。人々がパニックに陥ることを恐れたからです。さらに「MERSに関し、変な噂を流したら罰するぞ」と国民に警告を発しました。
でも逆に、隠したためにパニックが広がってしまった。政府と国民の間に信頼感がないことから起きた悪循環です。
政府の対応がまずかったのは事実です。しかし韓国人は「では、自分たちは成熟した国民と言えるのか」「我が国は先進国なのか」と考え込んだのです。
鈴置:中央日報の李夏慶(イ・ハギョン)論説主幹が6月17日に載せた「誰がMERSに石を投げるのか」(韓国語)は、まさにその空気を映した論説です。
「韓国は限界に達している。MERSを奇貨として国のあり方を根本から変えよう」との主張です。ポイントは以下です。
- この国ではどんな覚醒も、構造改革も不可能だと多くの人が慨嘆してきた。通貨危機ぐらいの衝撃がなければ変わることもできないとも言う。
- MERSの衝撃は、機能不全に陥った大韓民国のシステムを全面的に変えろと命じている。今や政府も、企業も、労組も変わらねば生き残れないのだ。
韓国の論説記事は悲憤慷慨調で書かれるのが普通で、割り引いて読む必要があります。でも「我が国は機能不全に陥っている」との危機感は多くの韓国人に共感されています。
そして、韓国社会を劇的に変えた1997年の通貨危機のような「国難」に直面せねば韓国人の目は醒めない、との慨嘆も決して大げさな主張とは受け止められてはいません。
”謙虚な韓国人”が増える
木村:「韓国はダメかもしれない」との弱気が、昨年あたりから韓国社会にかいま見られるようになっていました。「日本などはすぐに追い越す」と自信満々だった韓国人が様変わりしたのです。「セウォル号」と同様に「MERS」も、その弱気を社会に拡散しました。
鈴置:2015年5月末に日本経済新聞と中央日報が共同で実施した意識調査でも、興味深い結果が出ています(日経6月1日朝刊6面参照)。
「韓国企業の競争力は日本に追いついたか」との質問に韓国人の25%が「まだ、格差は大きい」と答えています。2010年の調査では12%でした。”謙虚な韓国人”が増えたのです。
一方、「追い越した」との答えは2010年の9%から2015年の5%に、「追いついた」も21%から17%に減っています。「韓国人の自信」が揺れているのがよく分かります。
—自信喪失の原因は?
鈴置:以下は1つの例です。今年に入って輸出が毎月減少し続け、5月には前年同月比で10.9%も減りました。輸入はそれ以上のペースで減っていますから、貿易収支は黒字を確保しています。が、問題の本質は経済規模が縮小していることなのです。
円安や中国の景気減速といった短期的な要因もありますが、産業競争力の伸び悩みが大きい。中国以上の高付加価値製品を作っていれば、輸出の30%を占める対中輸出はそれなりの水準を維持できるはずだからです。
少子高齢化も影を落とし始めました。内需の規模も労働力も縮み始めているのです。それは今後、日本以上の速度で進むと見込まれます。
先進国になれば事故はなくなる
木村:少子高齢化を含め、これまで対処したことのない危機に直面していることが、韓国人を不安にさせているのだと思います。
産業面での中国での追い上げもそうです。「追い上げられる」のは韓国人にとって、初めての経験でしょう。
追い上げの過程では「日本の背中」を手がかりに自分の位置を確認できた。でも、後ろには目がありません。今度はいつ中国に追い抜かされるのか、よく分からないのです。先が読めない不安なのです。
「MERS」や「セウォル号」も同じことです。昔から、韓国で大型事故はしょっちゅうありました。でも韓国人は「先進国になれば、こういう事故はなくなる」と考えていた。
ところが1人当たりGDPなど、データ的には先進国になったのに「後進国型事故」はなくならない。そしてこうした事故をなくすにはどうしたらいいのか、処方箋が見当たらないのです。
—なぜ、見当たらないのでしょうか。
鈴置:産業的な追い上げは比較的簡単です。先進国の技術を買うなり盗むなりすればいい。形があるものは真似しやすい。
でも、事故防止の要は「1人1人が決められたルールをきちんと守る」という、人間の心構えであって、形がないのです。
だから問題の所在は分かっても、簡単に処方箋が書けない。メディアは、MERSに罹っているかもしれないから自宅に籠れと言われたのに気楽に外出する人々を報じつつ、韓国人の社会性のなさを嘆きます。でも、韓国人をすぐさま変えられるわけではないのです。
昔なら、しょっぴいた
木村:昔だったら――権威主義的な政権の時代だったら、そんな人はすぐにしょっぴいたでしょうね。でも今は、できない。
現在でも法律的にはやってやれないことはないのかもしれませんが、韓国は国民から少しでも批判を浴びそうな決断は下せない国になったのです。
鈴置:韓国人から聞いたことがあります。1960年代、赤信号を無視して警察に見つかると、綱を張った空き地に半日間ほど、立たされそうです。現在の大統領のお父さん、朴正煕(パク・チョンヒ)政権時代の話です。
教えてくれたシニアの韓国人は「独裁政権はそうやって、無秩序な韓国人にルールを叩き込もうとしたのです」と、どこか懐かしげに語ったものです。1987年の民主化直後の話です。
木村:かつての韓国はジェットコースターのような国でした。悪くなる時は急角度で落ちる。1997年の通貨危機が典型的なケースです。でも、良くなる時は一気に上昇する。危機後の韓国です。
今は、恐ろしく悪くなるわけではないけれど、かといって画期的に良くなるわけでもない。国が大きくなったので「MERS」によって外国からの観光客が減っても、沈没しはしません。
でも、仮に「MERS」が片づいても明るい材料はない。追い上げてくる中国に打つ手がなく、動きがとれない――という恐怖が広がっているのです。
アップ・ダウンするジェットコースターの軌道が突然、平らになった。激しい上下動はなくなった代わりに、高空で前にも後ろにも進めなくなってしまった――といったところですね。
「ラクダ」と自己防衛
—「皆で前に押そう」と誰かが言い出さないのでしょうか。
木村:そんな掛け声をかけるリーダーは今の韓国にはいません。仮に、そういうリーダーが出てきても、その声を信じて付いていく人は少ないでしょう。韓国の政治家、さらにはエリートに対する不信感が広まっているからです。
だとすると、お客さんたる個々の韓国人は自分で問題を解決するしかない。最も簡単な方法は「止まった車両から降りる」ことです。
鈴置:ワセリンを鼻の穴に塗ればMERSを予防できる、といった怪しい情報がネットで広がりました。「政府の出す情報は信用できない」という意識の裏返しです。
—「MERSの感染源の病院名を広めると処罰するぞ」と脅されたり、「ラクダを生食するな」と政府に言われたら、個人は自衛に乗り出すでしょうね。
鈴置:少し前までの韓国なら、問題が発生すれば国が全力をあげて解決しました。少なくともそうした姿勢を見せました。でも今は、問題を前にして手をこまねくというか、立ち尽くしてしまう感じです。
2018年の平昌の冬季五輪も準備が進まず、日本との共催論や開催返上論まで出ました。「朴槿恵政権が担当するのは開会式まで。閉会式は次の政権下だから、現政権はやる気が起きないのだ」と解説してくれる韓国人が多い。昔の韓国なら、そんな「非国民的な発想」は許されなかったでしょう。
日本叩きに失敗して悔しい
木村:2014年の仁川のアジア大会も運営にいろいろ問題がありました。これに対しマスメディアは批判しましたが、改善に向け政府が仁川市など運営組織を積極的に指導する、ということにはなりませんでした。
「それなりの国」になったので、政府も国民も昔のように汗をかこうとは思わない。まして自らを手術する勇気など湧きません。そんな中、将来に対する漠然たる不安感が増しているのです。
—「ゆでがえる」の心境ですね。
木村:この、韓国人の何とはなしの不安感と言いますか「頭打ち感」。実は外交にも通じるのです。
鈴置:韓国で「外交敗北論」がにわかに高まっています(「朴槿恵外交に噴出する『無能』批判」参照)。
米国と中国を後ろ盾にして日本を叩く――というのが朴槿恵外交の基本路線でした。でも、米国は韓国以上に日本を大事にする。一緒になって日本を叩いてくれるはずの中国も、日本との関係改善に動く。
日本を孤立させたつもりが、自分が孤立しているじゃないか――と韓国人は焦り始めたのです。
ユネスコはけしからん
木村:もちろん「孤立する焦り」の背景には歴史認識問題で韓国の要求を聞いてくれないどころか、あたかも自分たちの存在を無視するかのような日本政府や安倍晋三首相に対する怒りも存在します。でも、それ以上に、韓国の世界での立ち位置への不安が大きいのです。
韓国はG20のメンバー国となり、2010年にはアジアの国として初めて首脳会合を主催しました。韓国人は、堂々たる先進国となったと国を挙げて喜びました。わずか5年前の話です。
でもふと気づくと、自分たちが考えているほどには、世界の国々が韓国の意見に耳を傾けてくれるようには思えない。その不満を具体的に並べると、次のように整理できるかもしれません。
- 米議会での安倍演説に我が国があれほど反対したというのに、米国は許したうえ、盛大な拍手で歓迎した。米国が日本の方を重視しているのは明らかだ。
- 頼りにしていた中国も、いつの間にか平気で日本と首脳会談を行うようになった。ひょっとすると中国もまた、本音では我が国より日本を重視しているのかもしれない。
- ユネスコは日本の産業遺産を世界遺産に登録しかけている。遺産の施設の一部では朝鮮人労働者も強制労働させられていた、と我々は主張したのだが、それが真剣に受け止められたようには思えない。
- ユネスコの上部組織、国連の事務総長は我が韓国から出ている。なのに、よりによって「歴史」を扱う国連機関が日本の肩を持つとは理不尽極まる。
- 「MERS」で首脳会談をドタキャンしても米国からはほとんど反応がなかった。我が国の大統領がわざわざ訪米してオバマ大統領に会うのだから「慰安婦」をはじめとする歴史認識問題で、少しはリップサービスしてくれるつもりかもしれない、と期待していたのに。この問題に米国はあまり関心がないようだ。
- あるいは逆に、韓米間で懸案になっている終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)配備問題で、オバマ大統領が韓国に怒りをぶつけるかもしれない、と考えていたのに、この問題に拘っている様子でもない。我が国がこれほど悩んだ問題を、米国は真面目に考えていない。
無視されるのが一番嫌だ
結局、キャンセルされた米韓首脳会談は、韓国側が「会う機会をくれ」と言ってきたから米国が受けただけ、という不都合な真実を明らかにしてしまった。つまり、今の韓国を巡る状況に米国が「さほど大きな関心を持っていない」ことが分かってしまったのです。
オバマ大統領は、9月に会う習近平主席と力勝負せねばなりません。そのためにも4月に安倍晋三首相と会って対中政策――露骨に言えば中国包囲網をきっちりと作っておく必要があった。でも韓国は中国包囲網に加わろうとはしないし、そこで重要な存在としてカウントされてもいない。
鈴置:それどころか、韓国は中国側に寝返りかねない。
木村:少なくとも「中国との対抗」に関しては、米国が韓国に期待するものは多くない。米国とすれば、朴槿恵大統領が来たくなければ来なくてもいいのです。だからキャンセルにも冷淡に対処することになった。
鈴置:韓国人は無視されると極端に落ち込みます。「嫌われる方がまだいい」などとよく言います。
東大新入生のイライラ
木村:東大の新入生に似ています。地元では秀才ともてはやされ、意気揚々と駒場のキャンパスにやってきた。東大でも自分の存在を見せつけるべく、意気揚々と意見を披露する。
でも、周囲も皆、東大生。「そんなこと、誰でも知っているよ」と一蹴され、自分の存在の小ささに愕然とする――そんな感じです。
「ようやく先進国になった」と思ったのに、国際社会で期待したほどに存在感を高めることができない……。韓国のイライラはこんなところにあると思います。
—なるほど、それで日本の世界遺産登録に対しても、国を挙げて阻止に動いたのですね。
鈴置:大統領自らが反対を表明したうえ、阻止するためわざわざ外相をドイツやクロアチアに送った。異様です。
木村:他の国から見れば「異様」に見えるかもしれませんが、韓国とすれば自らのプライドがかかった大勝負なのです。同時に、国内的には「大統領の面子を潰した」と叱られないか、側近たちが恐れる――という図式でもあります。
世界から向けられる「白い目」
—「先進国としての存在感」が発揮できないと悩んでいたところに「MERS」というわけですね。
木村:その通りです。韓国は海外から「この国、大丈夫?」という目で見られることになりました。ロシアなどに加え、MERSの本家本元である中東諸国も、自国民に韓国への渡航自粛勧告を出しました。韓国の人々にとって、極めて不本意な状況です。
鈴置:はっきり言えば非常識な韓国人と、いい加減な対処で感染症を輸出し始めた韓国政府に、世界から白い目が向けられたのです。
香港へは、感染の疑いのある韓国人が虚偽の説明をして入国しました。その後この人の感染が確認されたこともあって、香港紙はこの韓国人に法的処罰を下すべきだと主張しました。
自宅隔離対象に指定された韓国人の、それも医師夫妻がフィリピンに入国しました。また、感染者が搭乗した旅客機を韓国の航空会社は消毒せずに名古屋など海外に飛ばしていました。
韓国メディアは国際的な批判を浴びると「外国が悪い」「我々はかわいそうな被害者だ」と言い張るのが普通です。でも今回はさすがに「政府と個人のいい加減さによって、自ら国威を落とした」と書くしかありませんでした。
小国の自信のなさ
木村:韓国人の「ナショナル・プライド」は大きく傷つきました。「セウォル号」でも「韓国は大丈夫か」との声が上がりました。でもそれは主に韓国内部からでした。しかし、今度は同じ声が海外からも上がってくる。厳しい状況です。
韓国人は基本的には自分たちの国を「小国」と考えています。米国や中国のような「大国」と自らの存在を分けて考える傾向があります。
その背後には、長らく困難な状況に置かれてきたことに由来する、国際社会での自らの立ち位置への自信の欠如があります。そんな韓国人に「MERS」騒動が与える影響は決して小さくないでしょう。内政、外交の変化を注視したいと思います。
日韓は熟年離婚だ
—木村先生は「日韓・熟年離婚論」を唱えておられます。
木村:今の日本と韓国は、子育てを終えてお互いが必要なくなった夫婦と似ています。
50年前の1965年6月22日、両国は国交を正常化しました。米国の肝いりです。当時は冷戦のまっただ中でした。
西側陣営を率いる米国は、経済的に脆弱だった韓国をテコ入れする必要があり、その役割を日本に担わせました。韓国は北朝鮮と対抗していましたが、その北朝鮮はソ連や中国を確固たる後ろ盾にしていました。
それに対し韓国は未だ日本とも国交さえ結んでおらず、頼みの米国もベトナム戦争の激化に伴い、そちらにかかりっきりでした。
一方、日本の一部にも、もし韓国が北朝鮮に圧倒されれば朝鮮半島南部までがソ連の勢力圏に入るかもしれない――との恐怖感がありました。当時は「釜山赤旗論」などと言ったそうです。
当時においても、日韓の国民感情はとうてい良好とはいい難かったのですが、ともあれ共産圏に対抗するという共通の目的から国交正常化に踏み切りました。
それから1980年代序盤頃までの日韓関係はおおむね円滑に推移します。しかし冷戦が終わると、両国の関係を支えていた最大の共通利益が失われることになりました。1990年代以降、日韓の間で歴史認識問題が噴出したのもそれが背景にあったのです。
こうした日韓関係のあり方は、子供も成長して家を出、一緒に協力しながら住む意味が薄れたため夫の定年を期に退職金を折半して別れる夫婦の姿と二重映しになるのです。
1人当たりGDPで日本を超える
鈴置:韓国は日本の経済的な手助けなどは要らなくなりました。現代経済研究院は「2016年には韓国の1人当たりGDP(購買力平価基準)が日本を追い越す」と2014年12月に予測しています。
木村:韓国の全貿易に占める日本の比率も、2015年1-5月には7.6%に低下しました。国交正常化の年である1965年に34.5%と全体の3分の1を占めていたのと比べ、対照的です。日本向け輸出は国別で5位に後退しました。全くの様変わりと言ってよい状態です。
鈴置:聯合ニュースが「韓国の対日貿易依存度 半世紀で5分の1に低下」(6月18日、日本語版)という記事で報じていましたね。
韓国の対日貿易の比率のピークは1973年の39.8%。1980年代から1990年代にかけては20%台を維持していましたが、21世紀に入った頃から10%台に。2011年以降は一桁に落ちていました。実際の貿易額も同年以降、減っています。
木村:韓国経済は貿易に頼る比重が極めて高い。貿易面で日本の比重が下がれば、外交面でも日本の影が薄くなるのは当然です。
「卑日」で”立派な韓国”を確認
—貿易と外交の関係に関しては、3年前から木村先生が指摘されていました(「日韓関係はこれからどんどん悪くなる」参照)。
木村:今や、韓国にとって最大の貿易相手国は中国です。香港を含めれば30%前後にのぼります。
鈴置:政治的にも韓国は中国にどんどん取り込まれています。そんな韓国は日本にとって「大陸に対する盾」ではなくなっています。それどころか「中国の使い走り」も始めましたから、日本が韓国に警戒を強めるのは自然です。
一方、韓国も「もう日本には頭を下げたくないし、下げなくていいほどの力を付けた」と思っていますから、それを確認するための「卑日行動」を繰り返します(「『目下の日本』からドルは借りない」参照)。
朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に限りません。李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島上陸とか、天皇への謝罪要求がそれです。
MERSと通貨スワップ
—韓国にとって日本は本当に不要なのでしょうか。例えば、通貨危機に陥りそうになった際にドルを借りる通貨スワップを、日本と結んでおく必要はないのですか。
鈴置:通貨危機に陥りやすいことは、依然として韓国の弱点です。興味深いのは、中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)が「日本の必要性」を増したことです。
この流行で韓国では景気の冷え込みが懸念されました。そこで想定外の金利引き下げを実施せざるを得なくなったのです。韓国銀行は6月11日に基準金利を1.75%から1.50%と、史上最低水準に引き下げました。
韓銀は「景気刺激は財政で」と唱えていました。利下げは極力避けたかったからです。米国の利上げが近く予想され、利下げするほどに米ドルとの金利差から、外貨流出の懸念が高まるのです。
しかし、MERSという緊急事態に直面したため、引き下げざるを得ませんでした。すると、通貨攻撃を防ぐための日本との通貨スワップが欲しくなるわけです。「風が吹けば桶屋がもうかる」みたいな話ですが。
軟化する?韓国
—韓国には中国とのスワップがあります。
鈴置:中国と結んでいるスワップは人民元建てです(「韓国の通貨スワップ」表を参照)。いざという時に人民元スワップの効き目があるのか、疑う向きが多いのです。中国は人民元経済圏を作るため、自国通貨のスワップしか応じません。ドルスワップを結んでくれるのは、外貨準備が豊富なうえ、お人好しの日本ぐらいなのです。
韓国の通貨スワップ(2015年6月23日現在)
| 相手国 | 規模 | 締結・延長日 | 満期日 |
| 中国 | 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) | 2014年 | 2017年 |
| 10月11日 | 10月10日 | ||
| UAE | 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) | 2013年 | 2016年 |
| 10月13日 | 10月12日 | ||
| マレーシア | 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) | 2013年 | 2016年 |
| 10月20日 | 10月19日 | ||
| 豪州 | 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) | 2014年 | 2017年 |
| 2月23日 | 2月22日 | ||
| インドネシア | 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) | 2014年 | 2017年 |
| 3月6日 | 3月5日 | ||
| CMI<注> | 384億ドル | 2014年 | |
| 7月17日 | |||
| <注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)はIMF融資とリンクしない場合は30%まで。 | |||
| 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日) | |||
—外相を日本に送って来るなど、韓国の姿勢がやや軟化したかに見えます。日本とのスワップを念頭に置いているのでしょうか。
木村:尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の訪日は、朴槿恵大統領の熟慮の末の決断でしょう。一方、先ほどの鈴置さんの説明は「プロ筋」の話です。そんな複雑な、ことに面白くない話が大統領まで正確に上がっているかは疑問です。
スワップを巡るテクニカルな議論と、対日姿勢の微妙な変化は、管見の限りでは、連動していないように思います。そもそも朴槿恵大統領は、現在の韓国経済の危さを認識していないのではないでしょうか。
誠実ゲームで巻き返す
—では、軟化は何が原因なのでしょうか。
木村:米国の目を意識した「誠実ゲーム」の色彩が濃いと思います。とはいえ、それは米国が韓国に強い圧力をかけているから、では必ずしもありません。重要なのは、安倍晋三首相の米議会演説頃から、韓国国内で日本に対する「外交敗北」が語られていることです。
ポイントは、慰安婦など歴史問題で米国をはじめとする国際社会が、韓国の政府や世論が期待したほどには意見を支持してくれなかったことです。つまり、そのことが韓国の政府や世論に焦りを生み出している、ということになります。
この「外交敗北」の原因の1つは、あまりにかたくな朴槿恵大統領の姿勢にあった、との理解も広がっています。つまり、執拗な歴史問題のアピールによって、逆に米国の専門家の間でも「韓国疲れ」をもたらした、との認識です。
鈴置:最近の韓国紙にはそんな指摘が増えました。2014年3月のハーグでの日米韓首脳会談に、今ごろ言及する記事もあります。「安倍晋三首相が韓国語で話しかけたのに、朴槿恵大統領はそっぽを向いた。これがオバマ(Barack H. Obama)大統領の逆鱗に触れた」との指摘です。
より詳しく言えば、正直に感情を表す韓国人を利用して、狡猾な日本は自分だけが誠実に関係改善に取り組んでいることを演出した――という敗因分析です。
木村:その理屈に立てば今度は、韓国が日本以上に「誠実」に関係改善に動いていることを見せなければならない、ということになります。外相を日本に送ったのも、そのアピールの1つだと言ってよいでしょう。
もし、ここで日本が何の譲歩もしなければ、悪いのは問題解決に取り組まない日本だ。だから米国は韓国を支持すべきだ――という主張を展開できるからです。
「慰安婦で相当の進展」
鈴置:韓国の本音が透けて見える記事があります。例えば、中央日報の「尹炳世外交長官が訪日へ、先に手を差し出した韓国……日本に和解圧力」(日本語、6月18日)です。以下はその1節です。
・専門家は今回の決定を通じて関係改善のボールを日本に渡し、日本の前向きな回答に圧力を加える構図を作ることができると述べた。
朴槿恵大統領もワシントンポスト紙(WP)のインタビューで、日本との関係改善に言及しました。「’Eventually we will face a situation that will be beyond our control.’」(6月11日、英語)で、以下のように語りました。
・慰安婦問題で相当の進展があった。我々(日韓)は交渉で最終段階にある。
—「最終段階にある」との発言の意味は?
鈴置:韓国の大統領が米有力紙にそう言っておけば「進展がなかった」時も、日本がかたくなだったと責任を押しつけられる――と青瓦台(大統領府)は計算しているのかもしれません。
木村:その可能性が全くないわけではないと思います。ただ、現在の青瓦台にそれだけの緻密な政治的計算ができるかどうか……。
また、蒸し返す韓国
—「相当の進展があった」のですか?
木村:それは今の段階では分かりません。日本政府が求めているのは「最終的な決着の保証」、つまり両国が何らかの合意に達した場合、それを最終的な決着にすると韓国政府が保証することです。でも、国内に強力な運動団体を抱える韓国政府がのむのは難しいでしょう。
米韓は仮面夫婦
木村先生の「日韓・熟年離婚論」の一方で、鈴置さんは「米韓・仮面夫婦論」を唱えてきたわけです。
鈴置:「仮面夫婦」という表現は私の専売特許ではありません。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代(2003―2008年)に米国の安全保障専門家の間では「米韓同盟はまだ存在するが、仮面夫婦のようなものだ」と語られていました。
盧武鉉大統領は北朝鮮にとても融和的で――韓国の保守に言わせれば「北への従属そのもの」で、米国との関係も悪化しました。米韓同盟の打ち切りもあり得ると見る専門家も少なくなかったのです。
朴槿恵政権は北朝鮮ではなく中国に急接近したのですが、結果は同じで、米国と距離ができています。例えば、北朝鮮の脅威を防ぐために存在する在韓米軍基地を守るための終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)。この配備に韓国は難色を示しています。中国の恫喝のためです。
南シナ海が新たな踏み絵に
木村:韓国は、もはや米中間ではほぼ中立状態にあると言ってよいでしょう。もちろん米韓同盟を破棄する、ということではありません。韓国は米韓同盟を「対北朝鮮限定同盟」とし、維持していきたいのだと思います。
THAADのように米中双方から突きつけられる踏み絵をどうさばくか、韓国は今後も苦労し続けるでしょう。でも「米中間では等距離」という外交路線を選んだ以上、ある程度は仕方がないことです。韓国人にも一定の覚悟はあると思います。
鈴置:米中対立が深まるほどに、踏み絵は増えていきます。THAAD以上に深刻な踏み絵が南シナ海の問題です。中国はここで暗礁を埋め立て、軍事基地を作っています。米国は日本や欧州の同盟国、東南アジアの関係国を集め非難しています。しかし韓国は対中批判に一切、参加しない。
WP紙から韓国の姿勢を問われた朴槿恵大統領は「関心を持っている」とだけ答え、米国側に立つ意思がないことを明らかにしました。
同紙の先ほどの記事「’Eventually we will face a situation that will be beyond our control.’」(6月11日、英語)での南シナ海に関する問答は以下です。
問:南シナ海での中国の動きをどう見るか? 中国はその権利を声高に主張するが。
答:中国は韓国の最大の貿易相手国だ。そして朝鮮半島の平和と安定に巨大な役割を果たす。南シナ海に関し、韓国にとっても航行の安全と自由はとても大事だ。我が国はこの海域の展開を、関心を持って見守っている。状況の悪化を望まない。
鈴置:日本政府は韓国政府がのめないことを見越して「最終決着の保証」を要求しているのではないかと思います。韓国政府が何かを保証しても、反日・卑日が必要になれば、またへ理屈をこねて蒸し返す可能性が高い。その時、脇の甘さを笑われるのは日本ですから、交渉テクニック的にもハードルを目いっぱい上げる必要があります。
木村:ともあれ、韓国が癒和的な姿勢を見せる背景には、国際社会を意識した「誠実ゲーム」で巻き返す意図が、ある程度あると思います。基本的には「熟年離婚」状態なのですから「万一、裁判になった時にも、自らの意見が第三者に認められる」備えも重要だからです。
韓国は中国の核の傘に?
中国が南シナ海に軍事基地を持つことの問題は、航行の自由を侵すだけではありません。中国はこの海をミサイル原潜のねぐらにするつもりです。南シナ海の北部に位置する海南島にはすでに原潜基地ができています。
中国がミサイル原潜を自由に運用できるようになると――つまり、中国が核報復能力を保有すると、核抑止論から言えば米国と対等になります。その自信を背景に、中国はますます高圧的になるでしょう。
軍事的にも今後、米国と日本は中国のミサイル原潜の恒常的な監視が不可欠となります。冷戦期に世界中の海でソ連のミサイル原潜を常に米国の攻撃型原潜が追尾していたように、オホーツク海で日本の対潜哨戒機がソ連の原潜を見張っていたように、です。
だから米国や日本が大声で、日米の対潜哨戒を妨害する中国の南シナ海の軍事基地建設を非難するのです。なのに韓国は、非難に加わろうとしない。
朴槿恵大統領は「中国との経済関係」と「半島の安定役」との理由をWP紙のインタビューで掲げました。でも、中国の核戦力の飛躍的な強化の前に「中韓関係が大事」では反対の理由になりません。米国や日本は「韓国が中国の核戦力拡大に反対しないのは、中国の傘の下に入るつもりだからではないか」と疑います。
6月3日、米国のラッセル国務次官補が対中非難に加わるよう韓国に求めました。韓国メディアも報じています。KBSの「南シナ海を巡る紛争 米国が韓国に立場表明を要求」(6月4日、日本語版)などです。
「そんな先は分からない!」
—韓国は中国陣営に行くつもりでしょうか。
木村:本音を言えば、この問題について韓国人はあまり「考えたくない」のだと思います。多くの韓国人は米国のパワーゲームの中で自分の国が果たせる役割はさほどない、と思っている。だから、あれこれ悩んでもしょうがない。最終的には米中両国が自分たちのことを決めるのだから、その結論を待てばよい――ということになります。
昨年8月、済州島で開いたシンポジウムで私は以下のように発言しました。「中国の経済成長の速度は鈍化している。加えて人口減少問題もある。国連統計によれば、中国の人口は2100年までの間に4億5000万人も減少する。中国が影響力を拡大し続けるとは限らない。韓国も、この中国リスクを踏まえて立ち位置を決めるべきだ」。
すると韓国政治学会の長老が叫んだのです。「そんな先のことは分からない!」。驚きました。未来を予測する統計の中で、人口統計は相当に確度の高いものです。敢えてそれを否定する、というのは研究者としてちょっと考えられない。
慰安婦は麻酔剤
鈴置:私も似たような経験をしました。21世紀に入って中国の台頭が明白になった頃、アジア各国の人々とどう対応するか議論しました。韓国人の答えが印象的でした。ほぼ全員が「考えてもしょうがない」。私はその時、ハタと気づいたのです。
「日本人は努力すれば外交的な環境を変えられる、と考えている。だが、韓国人はそうは思わない。だから先のことを考えて余計な気苦労をするのはやめ、与えられる状況の変化をとにかく受け入れていこう、と思うものなのだな――」。
韓国が慰安婦など歴史問題を掲げて世界中を走り回るのも、そうして忙しくしていれば、米中対立の中でどう生き抜くのかという本質的な問題から目をそらせられるからかなあ、と思う時もあります。
木村:中国大陸の王朝が変わっても、朝鮮半島の人々は民族としてのまとまりを維持してきました。もちろん日本人が想像できないほどの、つらい目にも遭いました。でも、大陸で多くの国や民族が消滅する中、状況の変化に適応し、とにかく生き残ったのです。
今の米中間の右往左往など歴史的に見れば、彼らにとって大問題ではないのでしょう。どうせ米韓同盟だって、未来永劫に続くものではないのですから。
鈴置:思考停止状態にある以上、韓国は国家としての大方針など持ちようがありません。そこで中国に脅されれば言うことを聞く、米国から少し冷たくされれば怒って米大使襲撃事件を起こす――といった、その場しのぎの行動に終始するのです。
日本との関係改善を望むかのような最近の姿勢も「右往左往」の一環に過ぎません。冷静に眺めることが肝要かと思います。
6/22『月刊日本』2015年7月号酒井信彦 『アジアに蘇ったナチズム国家』について
経済=金儲けに目が眩んだ人間が他人を道徳的に批判する資格はありません。欧米は勿論、中韓も。そもそも民主主義国と言ったって、自分たちの利益を極大化するように歴史的に動いてきただけでしょう。王権→貴族→ブルジョワ→一般大衆と政治的に主権は変遷してきましたが、重商主義、帝国主義(=植民地主義)で自分たちのことしか考えて来なかった連中が今更何を言うかと言いたい。日本を歴史的に非難できる国はないでしょう。パル判事は「ハル・ノートのようなものをつきつけられれば、モナコ公国やルクセンブルク大公国でさえ戦争に訴えただろう」と言って日本の戦争参加を擁護しました。総てではないにしろ、アメリカと英国の陰謀に日本は巻き込まれた訳です。戦争に負けてしまった国が大国になると、妬み嫉みでいろいろ言いがかりをつけて金を取ろうとする輩が出て来るという事です。
中国は歴史的に見ると漢人以外に統治されて来た時代が長かったです。力が総ての世界です。毛沢東が「政権は銃口から生まれる」と言ったのは中国では真理です。長野朗が喝破したように中国は移民政策で自国の領土を広げようと昔からやって来ました。華僑がその典型です。今金持ち中国人が白人国家に居を構えています。中華思想にドップリ浸かった彼らを受け入れれば伝統文化が破壊されることは間違いなしです。日本も安易に移民で人口を増やすのではなく、かつ中韓からの留学生もスパイの可能性があるので少なくすべきです。
記事
※このタイトルは月刊日本によるもので、私の考えは、中華人民共和国は最初からナチズム国家であると言うものです
フィリピンのアキノ大統領が国賓として来日し、安倍首相と会談するとともに、講演や記者会見を行ったが、中共をナチスになぞらえて批判したことが、極めて印象的であった。六月四日の朝日によれば、大統領は前日の都内での講演で、「ナチスドイツを国際社会が止められずに第二次世界大戦に至ったことを例にだし、中国の動きに国際社会がストップをかける必要性を訴えた」とある。アキノ大統領の発言に対して、中共の報道官はすかさず反発した。それは中共の最も痛いところを突かれたからである。
アキノ大統領の言い分は至極もっともである。最近の動向を見ても、中共が南シナ海で大幅な埋め立てをやっていることが明らかにされた。国防白書を公表して、ますます海洋軍事力を強化する方針を打ち出した。シンガポールで行われた、アジア安全保障会議において、南シナ海での活動が軍事目的であることを初めて明言した。中共のいう「核心的利益」の範囲とは、ナチスの「生存圏・レーベンスラウム」にそっくりだ。
.ただし、いまさら指摘するまでもなく、中共が現代に存在する明確なナチズム国家であることは、ずっと以前から客観的な事実であった。第一に共産主義という、自由なき赤色ファシズム国家である。民主政治は存在しないし、国民の人権は甚だしく踏みにじられている。第二に、中共はその成立の段階から、紛れもない侵略国家である。第二次大戦後の民族独立の歴史の潮流に逆行して、清帝国を再建したからである。さらに第三に、民族抹殺を実践するジェノサイド国家である。その民族虐殺の方法は、ガス室を使うのではなく、大量のシナ人移民を送り込み、現住民族を同化・吸収・消滅させるという方法である。
このファシズム・侵略・民族抹殺という三要素が、見事なまでの三点セットとして揃っているのだから、中共が現代に生きるファシズム国家であることは、全く疑問の余地のない事実と言わなければならない。つまり旧ソ連をはるかに凌駕する、極めつけの「悪の帝国」である。
しかし約二十数年前、悪の帝国ソ連が崩壊した後、アメリカはこの中共帝国を崩壊させるという歴史的使命を、すっかり放擲してしまった。ずっと小物のならず者国家を、「悪の枢軸」「テロ支援国家」などと呼んで、テロの撲滅を歴史的課題としてしまったのである。それだけではない、日本の経済成長を危険視して、ジャパン・バッシングに走る一方、中共の経済成長を積極的に支援した。このナチズム国家を野放しにしたことこそ、最近の四半世紀において、アメリカが犯した最大の過ちに他ならない。そのために、強権・ロシアまで復活した。
また先進国を自認するヨーロッパも、中共の経済成長に伴って、かつての人権問題における中共批判すら、全く行わなくなってしまった。つまり欧米先進国が唱える、民主主義・人権主義は、明らかにまがい物であることが明らかになった。
その中でも、ドイツの場合はその堕落ぶりが実に顕著である。日本と対比する形で、ドイツは過去を真剣に反省していると頻りに言われるが、そんなことは全くない。ドイツのメルケル首相は、中共を煩雑に訪問して、経済優先の友好関係を歌い上げてきた。
元ドイツ大統領・ワイツゼッカーの、「過去に目を閉ざす者は、現在に対しても盲目になる」とは、日本を批判するために良く使われる言い回しである。現在の中共・ナチズムに対して、ドイツは盲目であるのだから、過去の歴史を決して直視などしていないのである。ナチスの過去を本当に反省しているのなら、現代に生きるナチズム国家・中共の蛮行を黙認できるわけがない。
また、ナチスの被害者であるユダヤ人の中共批判も、殆ど聞いたことがない。つまり、ナチスの加害者も、被害者も、いまだにナチスの悪を問題にする世界中も、現実に存在するナチズムに、目を瞑ってしまっているのである。これこそ現在の世界が、いかに精神的に腐敗・堕落してしまっているのかの、明白な証拠に他ならない。
中でも滑稽なまでに愚かなのは、我が日本である。戦後七十年も経つのに、ポツダム宣言や戦後談話が問題にされ、安保法制問題の大騒ぎでは、解釈憲法のやり方はナチス方式だとの批判する。ナチス方式どころか、完璧なナチズム国家が、我々の目の前に存在し、我が国を敵視して侵略せんとしているのである。どこまで馬鹿になれば気が済むのか。
兵頭 二十八著 『こんなに弱い中国人民解放軍』と6/23閻学通の日経記事について
如何に中国はプロパガンダがうまいかという事です。閻学通の記事もそう思って読まないと。平和を愛好する人間は必ず軍事のことに詳しくならないと敵のプロパガンダに踊らされ、却って戦争になるか、隷従の道を歩むかどちらかになります。戦争を防ぐために何故戦争が起きるのか、起きないためには何をすれば良いのか真剣に考えるべきです。企業でも問題が起きたときに、現状把握、原因究明、再発防止のプロセスを踏み、手を打つでしょう。それと同じです。民主党の枝野は憲法解釈変えたら次は徴兵制とか言っていますが、軍事の常識を知らない戯言です。普通軍事訓練をしない人間を戦地に送り出せば、足手まといになり、介抱に手を取られて戦闘どころではなくなります。効率を考えれば戦闘に馴れた集団がやった方が勝てると思います。全員を戦闘員にすれば、金とか女でよろめく兵士もいるでしょう。昔の大日本帝国時代とは違います。裏切るのが必ずいますので安心して使えません。今でも国のリーダーに敵の傀儡がいるくらいですので。
閻学通も認めている通り米中の利害は一致しないというか、中国が米国にあらゆる分野で挑戦しようとしているという事です。でも中国軍は兵頭氏の言う通り「張り子の虎」ですので「中国が相応の実力を付けるまで待って」と言うのが狙いです。「双方の摩擦が制御不能な災難につながることを防ぐしかない」と言うのは正しくそう。アメリカは騙されないように。騙すのが中国人の間では賢い人間と評価される訳ですから。オバマが軟弱だから頼りになりませんが。
閻氏の「中国はより多く周辺国の利益を考える。」とはよく言ったものだと思います。中華思想に汚染された中国人の本質がここに色濃く出ています。東南アジアの国々が南沙の問題で警戒し出しているのに気が付かないフリして言えることが凄すぎです。日本、ベトナム、フィリピンだけでなくマレーシア、シンガポールも警戒しています。
兵頭氏の本を読むと如何にアメリカは愚かか分かります。前にも書きました通り、米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリーは「中国に騙されて来た」と後悔していますが気づくのが遅すぎます。FDRの時代から日本敵視政策を止めておけば今の事態はなかったでしょう。ニクソンと毛の密約はあって今でも生きているのではと思います。「瓶の蓋理論」がそうです。主敵は誰か見抜くことができなかったツケが回っているという事です。中国のことですから、キッシンジャーを筆頭に親中派の政治家に金を送っていると思います。でも過去より未来の方が大事。日米同盟を基軸にして多国間で中国包囲網を作り、戦争を防がねばなりません。
6/23日経記事
米中、きょうから戦略•経済対話
海洋•投資…摩擦は必然
米国と中国は23〜24日に両国間の懸案を話し合う戦略•経済対話をワシントンで開く。対立が深まる両国の関係はどこに向かうのか。中国対外戦略に詳しい清華大学現代国際関係研究院の閻学通院長に聞いた。
習氏訪米後衝突も
—中国外務省は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進める岩礁埋め立てについて「作業は近く完了する」と発表しました。米中間の緊張は緩和しますか。
「外務省の発表は、中国と米国の戦略•経済対話の環境を良くしようという狙いが明確だ。習近平主席が9月に訪米するまでは、衝突や摩擦が生じても、 規模や程度はそう深刻にはならない。だが訪米以降、 年末にかけて両国間で比較的深刻な摩擦や衝突が生じる可能性は排除できない」 —具体的にどんな事態が想定されますか。
「サイバー、海洋、人民元相場、国際通貨基金(I MF)のSDR (特別引き出し権)への人民元の採用、 投資、貿易赤字、宇宙、北朝鮮やイランの核問題… …。どの分野でも衝突は起こりうる。中国と米国の利益は一致せず、しかも、その分野は増えている。両国間の摩擦や衝突は必然だ」 「両国はまず、危機の防止や制御を重視して摩擦を減らす、もし<は摩擦が軍事衝突に発展することを防ぐ必要がある。さらに協力の強化を通じて、双方の摩擦が制御不能な災難につながることを防ぐしかない」
—中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AI IB)の設立協定29日、 調印されます。
「AIIBが国際金融秩序に影響をもたらすことは明らかだ。一つは国際金融制度の再配置、もう一つは国際金融分野の権力の再分配だ。英国をはじめ欧州勢など多<の西側諸国が加入し、アジ地域に限られていたAIIBの影響力はグローバル規模に変化した。もともとはグローバルな影響力などなかった」
——AIIBは米中間の火種になりませんか。
「AIIBそのものが中国と米国の間の摩擦、国際金融秩序の矛盾の産物だ。 中国の発言権を大きくするMF改革は米国議会の承認が得られず、進んでいない。AIIBが摩擦を生むのではなく、摩擦や矛盾の結果生まれたのがAIIB だ」
—習指導部は周辺国外交を重視していますが、実際には摩擦が目立ちます。 なぜですか。
「中国が強調する周辺国外交とは、米国と中国の周辺国が衝突した際に中国が誰の利益に関心を払うかということだ。かつては米国周辺国との利害がぶつかった場合、中国は原則として中立か、中立に立てなけれぱ米国を支持するしかなかった。このことが中国と周辺国との緊張を生んだ」
「いまは米国と周辺国が衝突した際、中国はより多く周辺国の利益を考える。これが周辺国外交の一つの本質だ。立場が米国と一致するほど、中国の助けは要らなくなる。日本、ベトナム、フィリピンの立場に立った質問だと思うが、30力国以上ある中国の周辺国のうちの3力国にすぎな い」
—今回の対話に何を期待しますか。
「対話そのものの成果ではない。2力月余り後に迫る両国の首脳会談で成果を挙げるための条件をどう整えるかだ」
(聞き手は中国総局 大越匡洋)
兵頭氏の本の内容(P106~P.121)
中共の敵がロシアになった経緯
中共の技術開発チームは一九六七年、核弾頭を搭載した長距離弾道弾の製作に目途を付けた。ソ連はそれを予期していて、一九六六年にモスクワ周辺にABM(アンチ・ブリット・ミサイル)網を配置した。毛沢東は、「われわれも次ABMを持たねばならぬ」と思ったであろう。米国がつくっているような巨大なフェイズドアレイ・レーダーの設計が急がれた。
さかのぼると、中共とソ連の関係は、一九五八年以降、急激に悪化していた。ゴビ沙漠からニユーョークまでの距離よりも、ゴビ沙漠からモスクワまでの距離のほうが近い。ソ連は毛沢東が核ミサイルで武装しようとするのに対し、当然のように反対した。また、「理想世界」に二人の指導者は要らない。
こうして一九六〇年には、ソ連人の技術者が中共からすべて引き揚げ、一九六三年には北京対モスクワの舌戦が火花を散らした。その前年にはキユーバ危機もあった。
フルシチョフは、軍需に使っている国のカネをもっと民需に回してやらないと、ソ連国民の生活水準が改善されず(むしろ西側にどんどん格差をつけられ)、世界の共産化どころではないと判断するようになっていた。
毛沢東は、米国とすぐにも全面核戦争をしたがらないモスクワ指導部を、「修正主義」だと罵る。
一九六四年のロプノールでの原爆実験(東京オリンピック開催中であった)の成功後、国内の「修正主義者」を粛清しようと欲した毛沢東は、一九六六年から「プロレタリア文化大革命」をスタートさせた。
それに先行する毛の思いつきである「大躍進」政策から引き続いたこの政治的な大混乱のために、中共の経済と科学技術は、一九六七年の水爆実験成功など核兵器や大型ロケットの部門を除いて、一九八〇年代はじめまでの長く恐ろしい停滞期に入った。
一九六九年のウスリー川国境における武力衝突(ダマンスキー島事件)の直後、ソ連軍の機関紙『赤星』は、「現代の極左冒険主義者には核攻撃を御見舞いする」という記事を掲載した。
一方の米国は、ソ連からひそかに打診された「米ソ共同での対支先制核攻撃」案を断り、逆に、そのような誘いかけがモスクワからあったという事実を北京へ通牒した。
米支は実質的に「反ソ同盟」を組めるのではないかという模索も、毛沢東とキッシンジャー(当時、ニクソン大統領〈任期一九六九〜一九七四年〉の国家安全保障問題担当大統領補佐官) の胸中で始まっていた。
とすれば、中共にとり、当面の脅威は米国ではなくてソ連である。
モンゴル方面からのミサイル対策
そこで一九六九年、モンゴル方面から北京に向かって飛来する中距離核ミサイルを探知するための大型フェイズドアレイ•レーダーが、無理な背伸びであることは承知のうえで、一カ所以上、建設されることになった。ABM弾頭とするミニ原爆の研究も、あわせて推進された。
弾道弾早期警戒システムを機能させるためには、普段、宇宙空問を周回している衛星などの物体を、あらかじめ全部「カタログ化」しておく必要がある。さすれば、国際情勢が緊迫したとき(ソ連は開戦前に必ず国際宣伝を打つし、核攻撃には必ず他部隊の侵攻も連動するので、動員の兆候もある)に、カタログにない軌道で飛んでくる物体を、ソ連の核ミサイルではないか、と疑いやすい。そのカタログづくりのためにも、フェイズドアレイ•レーダーは早く建設しなければならないのだ。
工事は一九七〇年から始まった。北京から一四〇キロ北西にある、標高一六〇〇メートルの山腹に、「高さニ〇メートルX幅四〇メートル」の大レーダーが、北西の方角に正対して、組み上げられた。
アンテナ背後の内部には地下鉄並みの大トンネルが穿たれた。その内部は除湿空調され、石油を燃やす発動発電機などの必要な装置を収容した。
電波送出素子を計画の四分の一だけ並べた段階で、テストも実施した。そしてレーダーを作動させると、発動発電機は一日に五〇トンの石油燃料を消費。レーダー面の前方に転がっていた蛍光灯が、電波のエネルギーを受けて、照明器具に取り付けられてもいないのに光り輝いたという。
しかし残念ながら、これら初期の中共製のフェイズドアレイ・レーダーは、すべて期待水準に満たなかった。当時の中共は、どの先進外国からも部品や技術を買いつけることはできず、ダイオード素子やプリント基板にすら事欠いたのだ。
大型フェイズドアレイ・レーダーを構成するために何千個から何万個も必要となる「テジタルフェイズシフター」と呼ばれる回路を、とても国内量産できなかった。
米支間の密約で日本は
一九七一年前後の米支関係について、説明しておくことがある。 読者はこういう疑問を持つのではないだろうか。 –今日、世界第二位の公称GDPを誇るまでの金満国となりおおせた中共がどうして 旧ソ連みたいにICBMを何百基も大量生産して、米国との戦略核戦力のパリティ(対等) や、MAD (相互確証破壊)を追い求めないのか—?
MADというのは、もし外国から先制核奇襲を蒙むっても、そのお返しに主要敵国の本土の主要都市に、壊滅的な大打撃を与えられることがほぼ間違いないと自他ともに信じられるようなシステム構成の、第二撃(報復)用の戦略核兵力を保持する政策の略号だ。
この、MADによる「敵からの第一撃(核奇襲)の抑止」は、核戦力が量的に厳密に対等でなくとも、実現され得る。
中共には、何をするにも資金は潤沢にある。核ミサイル関連の技術も、ほどほどにだが、あることはある。ただ、多弾頭核ミサイルの技術はまだモノにできていない。潜水艦発射式の長距離ミサイルも開発ができていない。が、車両で随所に移動させられる単弾頭の大陸間弾道ミサイルならば、いくらでも量産可能な水準だ。これは敵の第一撃を受けても全滅はしないので、第二撃用としてカウント可能だ。
ミサイル基地用地の確保にも苦しんでいない。シナ奥地には、人が住んでいない広大な沙漠がある。人が多少存在しようと関係ない。住民や通行人の誰にも文句などいわさない。そういう軍用地事情の面でも特に不自由を感ずることがない。
それならばなぜ、旧ソ連のようなMADを、中共は選択しないのだろう?
ロシアはついに70年間、アメリカから一回も核攻撃を受けなかった。一九九一年にソ連が崩壊するときにも、その直後にも、周辺国から侵攻されなかった。これは、すべて対米MAD態勢のおかげであった。
選ぶことが可能な便利な道を、敢えて進まないことによって、中共は、安全保障上の、いかなるメリットを得ているのか?米国から先制核攻撃されたり、米国を後ろ盾とする周辺国から侵略されてもいいと思っているのだろうか?
対米MAD態勢がなければ、中共は、それら周辺国軍相手に戦術核兵器を行使することも難しく なるのである。脅しをかけにくいからだ。
こうした謎を矛盾なく説明できる仮説があると私は思っている。「一九七一年前後に、米国大統領ニクソンと、当時の中共独裁者たる毛沢東との間で、『ICBM競争はしないでおこう』という密約を結んだから」ではないのか。
このときニクソンは、日本を「切り札」に使った。その頃、日本は経済力の「高度成長」の真っ只中にあり、それに連れて自衛隊の予算も自然にどんどん増えていた。趨勢として、自衛隊の増強は果てしないのではないかと、北京は心配した。
まずアジアを支配し、ついで世界を支配したいと念願している中共指導部にとり、隣国の日本にすら軍事的に勝てないのでは、格好悪いこと甚だしい。
そこでニクソンと毛沢東は、日本を将来も核武装させないことに、共通の国益を見出したのだろう。
一九七一年春、ニクソンは、東京郊外の複数の空軍基地から、核攻撃部隊をすべて撤収させて、米軍が占領中の沖縄の基地や米本土の基地へ移転させた。東京から「核の傘」を撤去したのである。これによって中共は、「東風3」という中距離弾道弾によって、米軍の自動報復を招くことなしに、いつでも東京を破壊できることになった。
その見返りに毛沢東は、中共が将来開発するつもりの、米国まで届く ICBMの数量を、名目的・宣伝的な意義しかない 一二基程度に抑制することを誓った。それだけでなく、その ICBMからは普段は水爆弾頭を取り外しておいて、物理的に先制攻撃ができないようにすることや、「ラーンチ•オン・ウォーニング」を考えないことも、約束したのだろう。だか らこそ、対米弾道弾早期警戒システムはつくられないのだ。
米支間の唯一の密約が、この「核密約」なのだと私は思っている。
この密約は、米国においては大統領が交代する都度、そして中共においては毛沢束→華国鋒→鄧小平→江沢→胡錦濤→習近平と、党中央軍事委員会主席が代わる都度、口頭で相伝されているのであろう。
しかし、SLBM (潜水艦発射弾道弾)や戦略重爆撃機については、毛とニクソンは何も密約しなかった。だからアメリカは、中共の戦略ミサィル潜水艦の開発や配備の動向には特別に神経を尖らせている。中共海軍も、SLBMの宣伝を盛んにしてアメリカ人を挑発することについては、党から規制を受けないようである(以上の密約の詳しい背景解説が気になる方は、兵頭二十八の既著『ニッボン核武装再論』(並木書房)や『北京が太平洋の覇権を握れない理由』(草思社文庫)その他によってお確かめくだされたい)。
ソ連と中共の大違いとは
あと少し余談を続ける。読者はもう一つ疑問を持つことであろう。
米国は、ソ連崩壊前から、ロシアとの二国間で、国家の安全を決定的に左右するような軍備管理条約、軍縮条約を、いくつも締結している。
モスクワやニユーヨークなど互いの心臓部を破壊できる戦略核兵器の制限に関するものだ。その遵守のためには、米ソ両軍とも、既存の戦略核兵器のいくつかを廃棄して削減しなければならなかったこともある。プロの軍人なら、それに文句をつけたかっただろうが、 両軍ともに忠実に従って、文民政府が公的に交わした約束を裏で破ったりしなかった。
しかし、これと似たような条約が、米支間で呼びかけられたことはない。
米軍は第二次世界大戦のあと、いつでも北京などの主要都布やシナ全土の軍事施設を、思うままに核空襲することができた。中共軍も一九七〇年代から、大型ロケットに核弾頭を搭載して米国心臓部を狙うことのできるポテンシャルを手に入れ、一九八〇年代には、米国東部の政治.経済中心地区まで届く ICBM(水爆弾頭付きの大陸間弾道ミサイル)を名目的な数ながら展開している。
そしてソ連が崩壊した一九九一年以降は、中共と米国の間では「新冷戦」がスタートしている。
いつ水爆ミサイルが飛び交うかもしれないという、このあぶなっかしい二国間関係を、 米支間で「核軍備制限協定」のようなものをまったく結ばないまま、なるようにしておけばいい—とは、まさか米国の政治家の誰も思っていないだろう。
しかし、それは不可能であったし、これからも不可能であろう。 理由はソ連と違って文民統制国家ではないからなのだ。
中共は、戦前の大日本帝国とよく似ていて、軍隊が文民政府のいうことに従わないという「勝手気儘権」を謳歌できるのである。
ニ〇一一年一月一一日、当時のゲーツ米国防長官が中共を訪れ、胡錦濤と会う数時間前に、中共軍は秘密裡に開発してきた「殲20」ステルス戦闘機の初飛行テストを挙行し、世界を騷がせた。ゲーツおよびその随行員が目撃したところでは、明らかに胡錦濤はそのデモンストレーションについて何も承知しておらず、ゲーツから会談の場で質問されて、うろたえていた。
二〇〇四年から党中央軍事委員会主席であるはずの胡錦濤は、中共空軍を政治的にコントロールできていない、その事実がパレてしまった瞬間だった。
ニ〇〇七年一月一一日に「第二砲兵」が、故障したまま周回していた中共製の気象衛星を、高度八五九キロで破壊して、宇宙空間に四万個のデブリ(危険な破片)を撒き散らした迷惑なミサイル・デモンストレーションについても、中共外交部の報道官は当初、「それは噂に過ぎない」と記者会見で語るしかなく (後日になって認めた)、政府の文官セクションがこの計画をまったく事前に相談されていなかったことを世界に知らしめてしまった。 ちなみに「一月一一日」が重なっているのは、これは偶然ではない。共産圏では、国際宣伝.上の大イべントの日付を、無理をしても意図的に重ねようとするのである。
将来仮に北京の文民政府が米国ワシントン政府と何か核軍備について細かく規制する協定を結んだとしても、軍人どもはそれを守らずに陰で「ズル」をやらかすであろう。それが、あらかじめ読めてしまう。
否、おそらくそのような協定の締結そのものを拒否するように、軍人たちが文民政府に迫るであろう。シナの文民政治家には、それも予見できる。だから体面を守るためには、交渉の呼びかけそのものをしないでほしいと、米国に向かって水面下で頼むことになるのだ。
米ソ間では実行され得た僻地の基地にまで陸上から人を派遣しての厳密な「相互査察」 も中共の軍幹部は厭がって、許さないだろう。衛星による査察は、中共軍のスパイ衛星の性能があまりに低すぎて、相互対等性の確保が図れない。これまた、北京の文民政府には、どうにもできない。
このような政体構造を承知するから、米国のほうも最初から呼びかけないのである。
ところで毛=ニクソンの密約が守られているのならば、それは、中共にレッキとした 「文民統制」が存在する証拠とはいえないのだろうか?
違うのだ。
この密約が中共の軍人によっても守られ続けている理由は、あくまで、「それが毛沢東の命令だったから」なのだ。鄧小平がいい含めたり、江沢民がいい聞かせたわけでは、ぜんぜんない。中共軍の最高幹部もただ、死んだ毛沢東の遺命ゆえに、それを秘事として伝承し尊重するのだろう。
鄧小平の没後は指導者不在
今日の中共を動かしているのは、「国家主席」でも「ナント力委員会総書記」でも「なんたら委員会主席」でもない。それらを多数兼任している誰かでもない。 特定の将軍たちでもない。テレビに映し出される誰彼でもない
歴代シナ王朝には、いくたびもこのような時代があった。皇帝にイニシアチヴがなく、大物宰相も不在の時代が・・・・・。
しかし、現在の彼らの体制にとっての「神」はある。毛沢東(の亡霊)だ。そして神の残した命令を解釈改憲した「偉大な預言者」も現れた。鄧小平だ。この二人は、確かに中共の 「指導者」だった。
が、鄧小平没後では、シナに指導者などいない。この真相を隣固のわれわれは正しく知っていなければ、甚だ危うい。
その毛は、スターリンの没後、「中共こそが世界の支配者にならなければならないので、 米ソの手先になるような者は殺せ」と決めた。誰であろうと対等者の存在など決して許さないという圧倒的な指導で、まず一九六四年に核実験を成功させた毛は、さらに、核弾頭を搭載できる国産地対地ミサイルの射程を、逐次延伸させた。
ミサイルの射程が一万キロ以上になれば、それはニユーヨークにも届く ICBMになる。が、それより前により近いモスクワが、中共製の核ミサイルの射程内におさまってしまうことは、自明な道理であった。
モスクワは中共内の実力ナンパー2の劉少奇を代弁人にして、なんとかその路線を変更させようと図った。が、毛沢東は一九六六年から六九年にかけて劉少奇を追い詰めて死に至らしめた。
ソ連は、エージエントを使った工作が失敗した場合の「プランB」として、モンゴルから戦車部隊を電撃侵攻さ.せ、ゴピ沙漠にあった中共のミサイル発射基地や核施設を破壊制圧し、あわよくば中共に傀偏政権を樹てることも本気で考えていた。だが、実行前に水面下で賛同を求めた米国(第一期ニクソン政権)がイエスといわなかったため、ついに諦められている(米国は偵察衛星等の航空写真により、このモンゴルにおける部隊集中も知っていた)。
どの隣国とも「共存」などないと考えているシナ人はすぐに逆襲に出た。ソ連との国境をなしていたウスリー川の中洲「ダマンスキー島」で、わざと負けるような小競り合いを国境警備隊に仕掛けさせ、その軍事衝突を派手に報道させた。ニクソン政権と大衆に、もはや疑いようもないメッセージを送ったのである。
それまで米国人は、ソ連と中共はいろいろと論争はしているけれども、結局は同じ穴のムジナで、いつかは共同で対米核戦争をやる気なのだろうと疑っていた。だが「ダマンスキー島事件」は、米国の庶民にすら、「中共とソ連はもはやほとんど戦争状態に突入していて、 これほどの抜き差しならぬ対立関係は当分、変わりはしないだろう」と了解させた。
これで、米国政府(第二期ニクソン政権)の新外交が、やりやすくなったのである。すなわち、事実上の「米支協商」を成立させる。それによって対ソ軍拡競争を、いままでよりコストの低いものに変えるのだ。
中共が味方になるなら、ベトナム戦争から手を引く政策(それはニクソンの最初からの公約だった)も、格好がつくだろう。ベトナムだけでなく、アジア全域から、対ソ戦と関係のない駐留米軍は引き揚げてしまってもいいだろう。
そこから毛沢東とニクソンとの間にどんな密約が相談されたと考えられるかは、既に書いた通りだ。
シナでは対等な他者は常に「敵」
核武装によって、毛沢東は、世界史が近代の段階に入った「清末」以降、初めて筆頭超大国を凌駕できるかもしれぬ手掛かりをシナ人に与えていた。だが、初の原爆実験を行った一九六四年からニクソン大統領訪中までの八年問ほどは、中共は米ソからいつ核で挟撃されて消滅するかもしれない危機でもあった。
その前には、米国から核攻撃されても奥地の農村が生き残るためだとして、一九五八年から「人民公社」という国防単位を強制したが、その生産性が悪かったので、シナ全域で一ニ〇〇万人が餓死したともいわれている。そんな苦しい時期を乗り切ったのも、一九六六年か らの「文化大革命」を含めた毛沢東の独裁的な指導力だった。
そしてついに毛沢東は、米国と密約を結んで中共を生き延びさせた。毛が、中共の永遠の神とされるのは至当であろう。
しかし、米国人はシナ人の世界観について無知であった。シナ人の人生哲学にも倫理にも「対等」の二者関係など絶対にあり得ないのだ。「友好」は、相手を凌ぐまでの一時的な方便でしかない。毛沢東は米国を、いつかは屈従させるべき相手だと考え続けた。それは後継指導者の鄧小平も同じである。
中共が米国の下位にあるときは我慢して、米国からの攻撃をかわす智恵を絞ることに努める。そしていつしか中共が米国と力が並んだとき、その日から米国を直接•間接に攻撃し、米国を中共に対して屈服させる。
米国が「中共様が一番です」と認めるまで、この攻撃は止めない—。
対等の付き合いなど、彼らにはしっくりこないのだ。シナ人は本能的に対等な関係は危険で不安定な状態に他ならず、安心できないと感ずる。儒教古典の『孟子』のなかに「敵」という字が出てくるが、それは「対等の他者」を意味していた。 シナ人にとって対等な他者とは、常に敵でしかないのである。
6/22NHKニュース『自民 「東京裁判」や憲法の制定過程を検証へ』報道について
6/22朝のニュースで表題について放送していました。自民党もやっと「東京裁判の見直し」について議論ができるようになったかという思いです。それほどアメリカの凋落ぶりが大きいのかもしれませんが。でも自民党の若手議員の集まり「過去を学び、分厚い保守政治を目指す若手議員の会」(岸田派の武井俊輔議員(衆院・宮崎1区)、國場幸之助議員(衆院・沖縄1区)と無派閥の石崎徹議員(衆院・新潟1区)が発起人)にエズラ・ボーゲルを呼んで勉強会をしている映像が映りました。ボーゲルは「日本は戦時中の加害の歴史を認めるべきだ」と言ったと別のネットで読みましたが、「お前が言うな」という事です。自分の国の影の部分には目を瞑り、アメリカに対抗しようとする中韓を増長させることが分かっていません。こういう手合いを呼ぶところに、自民党の若手も大学教授の影響、日教組の影響を色濃く受けて来たというところでしょうか。ま、警察で犯人をゲロさせるときの役割分担のようなものであればいいですが。
彼らはまともに、パル判事の書いたものを読んだことがあるのでしょうか?靖国神社の裏にパル判事の顕彰碑があり、そこには「時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には また理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には その時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら 過去の賞罰の多くに そのところを変えることを要求するであろう」と刻まれています。
中国の台頭を封じ込めるには堅固な日米同盟は必要ですが、過去の歴史に目を塞ぐことは、虚偽の慰安婦問題や南京虐殺問題同様、子子孫孫に罪を負わせることになります。アメリカも「修正主義者」と非難するかもしれませんが、言わない限り彼らも気づきません。何せ戦後70年も経っているのですから。それより、日本人がもっと勉強する必要がありますが。民主主義国で国民の団結こそが相手を納得させる大きな力になります。勿論韓国は民主主義国ではありませんから、団結もムダというものですが。
内容
6/22NHKニュース
自民党は、いわゆる『東京裁判』の判決内容や、今の憲法の制定過程などについて、党の政務調査会に新たな組織を設けて、検証を始める方針です。
自民党は、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡って、「一部の誤った報道をきっかけに傷つけられた日本の名誉を回復する必要がある」として、特命委員会を設けて、検証を進めていて、来月、政府に検証結果などを報告することにしています。
これに続いて、自民党は党内の意見を受けて、いわゆる『東京裁判』の判決内容や、今の憲法の制定過程、それに、戦後のGHQ=連合国軍総司令部の占領政策などについても、党の政務調査会に新たな組織を設けて検証を始める方針です。
稲田政務調査会長は「東京裁判の結果を否定するつもりはないが、その理由の中に書かれた歴史認識はずさんなもので、日本人自身が検証する必要がある」と話しています。
自民党内では、こうした動きの一方で、若手議員らが歴史の教訓を党の政策立案に生かすとともに、党内に政治理念などを巡って多様な意見があることを示そうと、有識者や戦争を体験した人たちから話を聞く勉強会を開いており、戦後70年の節目に合わせて歴史の評価を巡る議論が活発になっています。
東京裁判 パール判事のことば(Facebook記事より引用)
「ああ 真理よ!
あなたはわが心の中にある。
その啓示に従ってわれは進む」
「日本人よ、日本に帰れ! とわたくしは言いたい」
「東京裁判の影響は、原子爆弾の被害よりも甚大だ」
「この”過ちは繰返さぬ”という過ちは誰の行為をさしているのか。もちろん、日本人が日本人に謝っていることは明らかだ。それがどんな過ちなのか、わたくしは疑う。ここに祀ってあるのは原爆犠牲者の霊であり、その原爆を落した者は日本人でないことは明瞭である。 落した者が責任の所在を明らかにして”二度と再びこの過ちは犯さぬ”というならうなずける。この過ちが、もし太平洋戦争を意味しているというなら、これまた日本の責任ではない。その戦争の種は西欧諸国が東洋侵略のために蒔いたものであることも明瞭だ。さらにアメリカは、ABCD包囲陣をつくり、日本を経済封鎖し、 石油禁輸まで行って挑発した上、ハルノートを突きつけてきた。アメリカこそ開戦の責任者である」
「東京裁判で何もかも日本が悪かったとする戦時宣伝のデマゴーグが これほどまでに日本人の魂を奪ってしまったとは思わなかった」
「日本人はこの裁判の正体を正しく批判し、 彼らの戦時謀略にごまかされてはならぬ。 日本が過去の戦争において国際法上の罪を犯したという錯覚におちいることは、 民族自尊の精神を失うものである。 自尊心と自国の名誉と誇りを失った民族は、 強大国に迎合する卑屈なる植民地民族に転落する。 日本よ!日本人は連合国から与えられた”戦犯”の観念を頭から一掃せよ」
『激動し 変転する歴史の流れの中に 道一筋につらなる幾多の人達が 万斛の想いを抱いて死んでいった しかし 大地深く打ちこまれた 悲願は消えない 抑圧されたアジア解放のため その厳粛なる誓いに いのち捧げた魂の上に幸あれ ああ 真理よ! あなたはわが心の中にある その啓示に従って われは進む』
1952年11月5日
「子孫のため歴史を明確にせよ」
「1950年のイギリスの国際情報調査局の発表によると、 『東京裁判の判決は結論だけで理由も証拠もない』と書いてある。ニュルンベルクにおいては、裁判が終わって三か月目に裁判の全貌を明らかにし、判決理由とその内容を発表した。しかるに東京裁判は、判決が終わって4年になるのにその発表がない。他の判事は全部有罪と判定し、わたくし一人が無罪と判定した。わたくしはその無罪の理由と証拠を微細に説明した。しかるに他の判事らは、有罪の理由も証拠も何ら明確にしていない。おそらく明確にできないのではないか。だから東京裁判の判決の全貌はいまだに発表されていない。これでは感情によって裁いたといわれても何ら抗弁できまい」
「要するに彼等(欧米)は、 日本が侵略戦争を行ったということを歴史にとどめることによって自らのアジア侵略の正当性を誇示すると同時に、日本の過去18年間のすべてを罪悪であると烙印し罪の意識を日本人の心に植えつけることが目的であったに違いがない。東京裁判の全貌が明らかにされぬ以上、 後世の史家はいずれが真なりや迷うであろう。歴史を明確にする時が来た。そのためには東京裁判の全貌が明らかにされなくてはならぬ。・・・これが諸君の子孫に負うところの義務である」
「わたしは1928年から45年までの18年間(東京裁判の審議期間)の歴史を2年8ヶ月かかって調べた。 各方面の貴重な資料を集めて研究した。この中にはおそらく日本人の知らなかった問題もある。それをわたくしは判決文の中に綴った。このわたくしの歴史を読めば、 欧米こそ憎むべきアジア侵略の張本人であることがわかるはずだ。しかるに日本の多くの知識人は、ほとんどそれを読んでいない。そして自分らの子弟に『日本は国際犯罪を犯したのだ』 『日本は侵略の暴挙を敢えてしたのだ』と教えている。満州事変から大東亜戦争勃発にいたる事実の歴史を、どうかわたくしの判決文を通して充分研究していただきたい。 日本の子弟が歪められた罪悪感を背負って卑屈・頽廃に流されてゆくのを、わたくしは見過ごして平然たるわけにはゆかない。彼らの戦時宣伝の偽瞞を払拭せよ。 誤れた歴史は書きかえられねばならない」
「日本人はこの裁判の正体を正しく批判し、 彼らの戦時謀略にごまかされてはならぬ。日本が過去の戦争において国際法上の罪を犯したという錯覚におちいることは、 民族自尊の精神を失うものである。自尊心と自国の名誉と誇りを失った民族は、 強大国に迎合する卑屈なる植民地民族に転落する。日本よ!日本人は連合国から与えられた”戦犯”の観念を頭から一掃せよ」
6/17日経ビジネスオンライン 福島香織 『周永康はなぜ死刑にならなかったか 裏取引か不文律か、闘争はさらに複雑化』記事について
「刑不上常委」(=政治局常務委は罪に問われない)という不文律は周永康の逮捕で破られましたので、「党内闘争で人を殺してはならない」と言うのも歯止めがかからなくてもおかしくはなかったでしょう。何故死一等減じられたかは分かりません。本文にありますように習と王の周りは皆敵なので、取引したことは間違いないでしょう。間違っても善意で寛大な措置をしたわけではありません。習の収賄資産が1兆6000億円と言われていますので、これを没収して、敵の懐柔原資にしたことも考えられます。金に弱い民族で、金のためには平気で裏切る体質ですから。
樋泉克夫のコラムによれば『中国は先ずは万古不易の性懲りもない賄賂帝国といったところだが、ワイロ問題に突き当たるたびに思い出されるのは林語堂の『中国=文化と思想』(講談社学術文庫 1999年)の次の一節だ。
「中国語文法における最も一般的な動詞活用は、動詞『賄賂を取る』の活用である。すなわち、『私は賄賂を取る。あなたは賄賂を取る。彼は賄賂を取る。私たちは賄賂を取る。あなたたちは賄賂を取る。彼らは賄賂を取る』であり、この動詞『賄賂を取る』は規則動詞である」
だとするなら、習近平政権が推し進める腐敗摘発で「虎」の一匹として仕留められ、北京の約30キロ北方に位置する「最神秘的監獄」である秦城監獄にブチ込まれた周永康は、裁判の際、はたして「私は中国では古来続く役人の伝統を順守し、『規則動詞』に従って行動しただけだ」と抗弁しただろうか。それとも判決を聞きながら心の中で「私は賄賂と取る。習近平は賄賂を取る。李鵬は賄賂を取る。私たち旧指導部は賄賂を取る。あなたたち現指導部は賄賂を取る。共産党幹部は賄賂を取る」とでも唱えただろうか。いずれにせよ、共産党もまた歴代王朝から国民党政権まで続く官場伝統文化をしっかりと引き継ぎ、「中国語文法における最も一般的な動詞活用」を忠実に守っているものだ。少なくとも賄賂文化に関する限り、「旧」も「新」も中国であることに大差はないということだ。ッったくもう、どうしようもないなア。』とありました。中国ではあらゆる階層で賄賂を取るのが当たり前の社会ですから。小生は目の前で体験したことがありますので、中国から帰国した時に(2005年)話したら「人種差別主義者」という目で見られましたが、今は流石に小生の話を「差別」レベルで捉える人は少ないでしょう。
李小琳が軟禁状態にあるという事は、まだ大トラを叩くのは止めないという事だと思います。逮捕という脅しと金で籠絡というアメとムチの政策を取っているのかもしれません。しかし、軍部の動き(特に南沙諸島は軍の面子絡むので)とアメリカの動き(ペンタゴンの考えや在米華人の幹部の腐敗証言)、経済崩壊という習政権に与える影響の大きいファクターもあり、その動きによっても政権延命できるかどうかです。
記事
周永康の判決があっけなく出た。無期懲役と予想よりも軽いものだった。それまでの、周一族の腐敗ぶりの喧伝、起訴段階でわざわざ機密漏洩容疑を付け加えたこと、習近平暗殺未遂の主犯は周永康であるといった香港などからのゴシップ報道を合わせれば、習近平政権は、彼の死刑判決を望んでいたと言われていた。少なくとも周永康が死刑判決を受けても、国民としては納得せざるを得ないだけの犯罪に関わっていたという印象を与えていた。しかも、彼と共謀していたといわれる元重慶市党委書記・薄熙来の公判が大々的にショーとして人民に公開され、SNSの微博などでもその発言や表情を逐一発信されたのとは違い、裁判は非公開でそそくさと行われた。裁判でどういった証言ややりとりがあったかは、目下ほとんど外に漏れていない。これはどうしたことか。なにか裏取引でもあったか。それとも、習近平が妥協したのか。
「無期懲役」「上訴しません」
6月11日、天津市第一中級人民法院で周永康に対する判決は言い渡された。CCTVでもその様子は放送されたが、かつて「百鶏王」のあだ名をもち、精力絶倫といわれ脂ぎっていた周永康は、その見る影もなく、頭髪は真っ白に変わり、顔も痩せほそり、こめかみには老人特有のシミが浮いていた。やや猫背になり、自分より上背のある警官にはさまれて被告人席に座る様子は、権力闘争の敗北というもののみじめさを視聴者に伝えるには十分だった。
だが、その判決内容は、おそらく多くの人たちが予想していたよりも甘かった。
無期懲役、政治的権利の終身剥奪、および個人財産の没収。罪名は職権乱用罪で懲役7年、故意の国家機密漏洩罪で懲役4年、そして約1.3億元の収賄罪、この三つの罪を合わせると無期懲役という。判決を言い渡されている間、周永康は観念したように目をつぶり、最後に罪を認め、上訴しません、と答えた。
新華社によると5月22日に裁判は開かれ、犯罪事実に関する証拠が提出されたが、国家機密に関わるものも含まれるために公開はされなかった。証言台には、四川の政商で、周永康の長男・周斌のビジネスパートナーでもあった呉兵らが立ち、また周斌と、周永康の妻で元CCTV美人キャスターの賈暁曄の証言ビデオが流されたとか。
そこで、周永康および、周斌、賈暁曄は呉兵、丁雪峰(元山西省呂梁市長)、温青山(元中国石油天然ガス集団会計師)、周灝(元中国石油天然ガス集団遼河油田公司党委書記)、蒋潔敏(元国有資産管理委員会主任、元中国石油天然ガス集団会長)らに利益を図るために、彼らから計1億2977万2113元に相当する金品を受け取ったことが、証言されたとか。
このほか李春城(元四川省党委書記)の証言で、周永康は李春城や蒋潔敏に指示して、息子や妻、弟夫婦らが経営する企業に便宜を図らせ、違法な利益21.36億元以上を得させた上、14.86億元以上の経済損失を国家と人民に被らせたとか。
また元人気気功師の曹永正の証言によれば、警察の捜査記録など国家機密保護法の規定に違反する絶密文書5部が周永康の事務所にあり、またある機密文書については、その内容を曹永正に見せたとか。
表向きはこれで決着、だが…
こういった証拠・証言を前にして、周永康はすべて事実であり、異議はありませんと答えたという。
周永康は法廷での最後の陳述で、「検察からの指摘を受け、基本事実をはっきりさせ、罪を認めて悔いたいと思う」「関係者から家人が受け取った賄賂は、実際のところ私の権力に対するものであり、責任は私が追うべきである」「個人的事情から法を犯し続けたことは客観的事実であり、党と国家に重大な損失をもたらした。私の問題が規律と法によって処理されたことは、厳しい規律に従う党と法治国家の決心を全面的に体現している」と神妙に語ったそうだ。今年4月3日に起訴された周永康の事件は、表向き、これで決着がついた、ということになる。
この判決について、いろいろと腑に落ちないことがあるので、いろいろ想像力をはばたかせてみたい。憶測を重ねるので、眉に唾をつけながら読んでほしい。
周永康事件は、薄熙来事件からつながる事件である。薄熙来事件とは、2012年秋の党大会で政治局常務委入りを目指し、「唱紅打黒」(革命家唱和と腐敗撲滅キャンペーン)という大衆運動でアピール中の薄熙来が、その側近で重慶市公安局長だった王立軍と、薄熙来妻・谷開来の犯した英国人殺人事件の処理をめぐって対立、薄熙来から命を狙われると思った王立軍は、薄熙来失脚の決定的証拠を持ったまま成都市の米総領事館に逃げ込み、薄熙来のさまざまなスキャンダルが表ざたになり、失脚した一連のできごとである。
謀議の録音が米国経由で習近平に?
薄熙来は収賄罪、横領罪、職権乱用罪などで無期懲役判決を2013年秋に言い渡された。実はこのとき、薄熙来が本当に失脚させられた理由は、彼の野望が政治局常務委入りにとどまらず、習近平から政権の座を奪うことであった、といわれている。いわゆる薄熙来クーデター説である。その片棒を担ぐと約束したのが周永康であった、といわれている。
この説を最初に報じたのは、統一教会系の米国紙ワシントン・タイムズのビル・ガーツ記者だったのだが、この情報の出所は、王立軍が米総領事館に持ち込んだ録音だったという。
私も又聞きの又聞きなのだが、その録音には、薄熙来が、父親薄一波ゆかりの成都軍区雲南第14軍の力を背景に2014年に強制的に習近平を引退させ、薄熙来が政治の実権を握る計画を周永康に相談している声が入っており、その時、周永康は「機が熟したときには、私も300万銃(公安警察、武装警察ら周永康指揮下にある武力)を引き連れて味方しますよ」と発言したとか。この録音が、米国経由で習近平の耳に入り、序列第9位の政法委書記と重慶市党委書記の軍事クーデター共謀説の根拠となった、らしい。
冷静に考えると、軍事クーデターなど、そうそう簡単に実現できるものではないので、幼馴染の弟分が総書記出世コースに乗ったことに僻んで、鬱屈した薄熙来が、「おれはいつか天下とってやるぞー!」と与太話をしたのに対して、愛人も共有する大親友の周永康が「わかった、わかった。その時は、俺も加勢してやる」となだめた程度のものかもしれない。しかし、この時の習近平の受けたショックは激しく、薄熙来、周永康への復讐を心に誓ったとか。幼馴染の薄熙来はともかく、実際に公安・司法権力を掌握していた周永康の謀反心への怒りは深く、本気で極刑で報いるつもりであったとか。
なぜ予想より軽かったのか
香港ゴシップメディアが、習近平が約6回の暗殺未遂に遭遇し、そのうち2回は周永康の指示によるものだと報じたのは、国家指導者暗殺容疑のイメージを植え付けようという習近平サイドのリークである、とも聞いた。暗殺やクーデターを計画した危険人物なので、極刑判決もやむなし、と人民に思わせるための前工作だと。
また機密漏洩容疑を付け加えたのも、スパイ罪なら最高死刑もありうるからだと言われていた。ちなみにこの機密とは、北朝鮮の高官・張成沢と中国要人との会談内容を金正恩サイドにリークしたという今年2月の香港報道と関係あると見られていた。これが中国にとっての重要な北朝鮮パイプであった親中派の張成沢の粛正につながったとすれば、周永康のやらかした罪は万死に値しよう。動機は、薄熙来失脚連座を恐れて北朝鮮亡命を画策するため、だとか。
これらの情報が嘘かまことかは、検証するすべはない。ただ、多くの中国国内外の専門家や評論家が、この判決は予想より軽かったと感じたのは事実だろう。
では、なぜ予想より判決が軽かったのか。
一つの仮定は、周永康と習近平になんらかの裏取引があった、可能性である。
習近平の反腐敗キャンペーンの名を借りた権力闘争は、すでに後戻りできない域に突入している。胡錦濤の腹心・令計画を失脚させ、共産主義青年団のホープである李源潮ら江蘇閥に照準を合わせた汚職狩りを展開し、共青団派は完全に習近平の敵である。また江沢民、曾慶紅ら上海閥との闘いも収束していない。6月9日、天安門事件当時、首相だった李鵬の娘で元中国電力投資集団副総経理の李小琳が北京の空港から香港に向かおうとした際に、出国禁止措置にあった。同じ日、中国電力投資集団は彼女がすでに同集団を離れ、大唐電力集団副総経理に移籍したと発表した。李鵬の息子の李小鵬・山西省長も失脚秒読みと噂されている。
裏取引か、不文律か
つまり、習近平にはこれから戦わねばならない大物長老・党中央幹部に囲まれている。まさしくほぼ360度、敵。なので、彼らの弱点を知る人間は、できるだけ生かして情報を引き出さなければならない。周永康は江沢民にかわいがられ、曾慶紅の後押しで出世してきた人物だから、当然上海閥のネガティブ情報にも詳しいはずだ。また胡錦濤政権では政治局常務委員9人の一人、つまり最高指導部の一員であるのだから胡錦濤政権の弱点もつかんでいるはずだ。そういった情報の提供の代わりに、周永康の判決を軽くした、のではないか。
もう一つの仮説は、「党内闘争で人を殺してはならない」という党内不文律を犯そうとする習近平に対する反対勢力が予想以上に強かった可能性。文化大革命を引き起こした罪で逮捕・起訴された毛沢東の妻・江青ら4人組に対して判決を言い渡す前に、中央政治局で事前討論が行われた際、局内のほとんどが死刑判決を支持していた。だが、当時副首相の陳雲はこれに強硬に反対。「党内闘争で殺戒をしてはならない。でなければ、後の世代がうまく機能しない」と主張し、ついには「どうしても死刑にしたいなら、陳雲一人が反対した、と記録に残してくれ」とまで言ったとか。
これは党史に残る有名な話で以来、権力闘争敗北者を死刑にしないという不文律ができた。鄧小平と趙紫陽の権力闘争の側面もあった天安門事件でも、趙紫陽は党籍そのままで終生軟禁生活を送った。党内闘争で人を殺せば、党内の疑心暗鬼は広がり団結は崩れ、共産党統治は続かないというわけだ。天安門事件の後、大規模な権力闘争自体が起きにくくなるように、権力が個人に集中しなくする集団指導体制が導入され、「政治局常務委は(司法による)罪に問われない」ことも暗黙のルールとなった。
習近平は「政治局常務委は罪に問われない」という不文律を周永康起訴で破ったので、もう一つの「権力闘争で人を殺さない」という不文律も破るのではないかと言われていたのだが、明日は我が身と思う党中央幹部、長老たちが必死で抵抗した。習近平と、反腐敗キャンペーンの指揮を執る規律検査委書記の王岐山も必ずしも清廉潔白というわけではないので、それに妥協した、という見立てである。
さらに激化、複雑化
刑が軽かった理由が、第一の仮説通りであれば、周永康判決は事件の終わりではなく、新たな事件の始まりであり、今後展開される権力闘争はもっと大物、元国家主席や元国家副主席や元首相ら大長老がターゲットにされる可能性も出てくることになる。もし、後者の仮説が理由であれば、「習近平の大虎狩り」は収束に向かうという期待も出てくるわけだ。
私個人の予測では、習近平政権の「大虎狩り」は激化し、さらに複雑化すると見ている。複雑化する原因は、米国の習近平政権に対する姿勢だ。南シナ海での埋め立て作業を急速に大っぴらにやり過ぎたことで、さすがに米国サイドも習近平政権に揺さぶりをかけてきているが、その一つが、五月雨式に報じられている習近平一族の不正蓄財疑惑と王岐山のJPモルガン・チェースとの癒着疑惑だろう。米国から習近平政権の根幹を揺るがすネタが出る可能性もある。
たぶん、2017年の党大会に至るまで、誰が勝つか負けるかわからない大規模かつ複雑な権力闘争が展開される。その間、本当に党の不文律が守られ続け、党中央内で人死にが出ないかどうかは、今知る由がない。


