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3/22JBプレス 渡部悦和『オバマを驚愕させたプーチンのシリア撤退 軍事巧者に世界は脱帽、しかし市民に甚大な被害』について

シリアの問題はオバマの面子だけに拘ってきたという気がします。アサドの退陣を要求するなら陸上部隊を派遣してでもアサドを駆逐せねばならず、その覚悟がないのに一方的な要求をしても無理と言うもの。実力以上に背伸びした行動を取るのは、ブッシュがネオコンに唆されて取った行動と一緒では。まあ、日本がロジを考えず(考えたけど制空権、制海権を敵に奪われたら兵站は確保できません)戦争突入したようなものです。オバマがアサドの首を取ることに固執するなら、習近平の首を取れと言いたい。シェールガスやシェールオイルで中東に対する米国の位置づけは低下しているはず。アジアへのリバランス政策は一体どうしたのかと聞きたい。相変わらず口先だけの男かと思います。

習近平の妻が暗殺されそうになっていたという記事がFacebookに載っていました。

<2016/03/19 08:47

「習主席夫人暗殺を計画した警察官逮捕」 中国ネット記事削除 中国ネットメディア報道後に記事本文削除 「軍改革不満勢力が関連か」

Xi Jingping & Peng Liyuan-2

 習近平中国国家主席の妻、彭麗媛夫人暗殺を図った人物が摘発されたという報道が流れたが、記事の見出しだけを残し削除されたことが分かった。

 米国にサーバーがある中国語圏のインターネットメディア博訊(boxun)は17日、「単独報道:彭麗媛、今年2月に暗殺の危機免れる」という見出しの記事を掲載した。博訊はこの記事で、北京の消息筋の話として「彭麗媛夫人が先月暗殺の危機を免れた。同夫人を狙った人物は現役の人民武装警察官だった」と報じた。

 報道によると、暗殺の陰謀が摘発されたのは、春節(旧正月)連休が終わったばかりの時期だったとのことだ。中国最高指導部警護組織・中央警衛局が、何者かが彭麗媛夫人を狙っていることを傍受によりキャッチしたという。追跡した結果、陰謀の張本人は意外なことに北京で勤務する現役の武装警察官だったと博訊は伝えた。

 博訊に情報提供した情報筋は「この人物は彭麗媛夫人が外出した時に犯行を試みようとしたが、中央警衛局が極秘に逮捕した。目的・動機が何なのか、個人の犯行なのか、それとも背後に誰かがいるのかは今のところ明らかになっていない」と語った。博訊はこの情報筋の話を引用、この陰謀は習国家主席の軍改革に伴う軍内部の不満と関連があるのではと推定している。

 しかし、博訊の記事は18日現在、見出しだけが残されたままで、記事本文は消えている。見出しをクリックすると、「確認中」というメッセージと、最初の記事を見た人々が書き込んだコメントが18件残っているだけだ。博訊は反中国傾向のあるインターネットメディアで、中国国営メディアでは見られない中国指導部の腐敗や大規模なデモ・流血事件などを報道してきた。北京では「米国の情報機関が運営している」といううわさも一部で流れている。2013年には人気女優チャン・ツィイーの「性上納説」を報道し波紋を呼んだが、後に謝罪声明を出した。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版>

人民武装警察は警察というより、治安維持のための準軍事組織です。

習の権力把握は未だしという所でしょう。今後リストラ、特に軍部の30万人削減が現実のものになれば大きな動乱となるでしょう。

ロシアのプーチンは狡猾なだけあって、オバマとか習近平とか違ったリーダーです。支持率も80%超と高いです。経済がうまく行かなくなれば下がっていくことは予想されますが、今度のシリア部分撤兵は考えた上での判断です。オバマとか習近平とかのように身の丈を考えずに行動するタイプではありません。リアリストです。安倍首相もオバマが何を言おうともプーチンと会って、ルトワックのいう中国封じ込めについて、中立か協力を要請すれば良い。経済協力もして北方領土は後回しでも良いと思います。今は中国の脅威に対抗すべきです。韓国もやがて中国に取り込まれるかもしれませんので。ロシアを取り込むことは地政学的に大変重要です。

http://www.sankei.com/world/news/160111/wor1601110001-n1.html

記事

Russian battleplanes in Syria

シリア・ラタキアにロシアが設けた空軍基地に駐機するロシア軍の戦闘機(2016年2月16日撮影)〔AFPBB News

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、3月14日、「我々の主要な任務は達成された」として、シリアに派遣したロシア軍の主要部隊を3月15日以降撤退させることを命じた。

 そして、プーチン大統領の命令に従い、ロシア軍の航空機「Su-24」、「Su-25」、「Su-34」が3月15日に逐次撤退を開始し、その迅速さは世界を驚かせた。

 昨年9月末に突然ロシア軍をシリアに投入し世界を驚かせたのだが、空爆作戦の終了と主力部隊の撤退の鮮やかさに世界は驚いたのである。その撤退のタイミングの良さは見事であると評価せざるを得ない。

 なお、ロシアの空爆による戦果は、出撃回数9000回、破壊した石油精製施設・輸送施設209か所、奪還した地域400か所、奪還した面積10000平方キロである。ロシア軍の空爆目標については、下図を参照してもらいたい、青い点で示されている。

 一方、米国政府は、ロシア軍の撤退を予想していなかったようで、驚きをもってこの撤退を受け止めた。昨年9月にプーチン大統領がシリアに空軍を投入した時に驚愕したバラク・オバマ大統領やジョン・ケリー国務長官は、プーチン大統領の果断な決断に驚かされ続けている。

Areas of control in Syria

図「シリアにおける各勢力分布図・空爆のターゲット」(出典:BBC)

 シリア問題の主導権を握ったのは明らかにプーチン大統領であり、オバマ政権の対シリア外交は、プーチン氏の果断な行動に対する後手後手の対応になっていると評価せざるを得ない。

 筆者にとってプーチン大統領は比較的理解しやすい指導者である。なぜならば、彼の実施する作戦はある程度の軍事的合理性を持っているからである。その作戦を計画・実行するロシア軍の実力も認めざるを得ず、我が国もロシア軍には心して対処せざるを得ない。

 しかし、二正面(ウクライナとシリア)作戦という愚を犯したために、ロシア軍の継戦能力の限界が半年程度だと分かったし、ISIL(いわゆる「イスラム国」)によりロシア民航機を爆破され、トルコ空軍の「F-16」により領空侵犯したSu-24を撃墜されるという失態を演じてしまった。

 プーチン大統領のシリアでの軍事作戦は高く評価する点もあれば、低く評価せざるを得ない点もあり、この論考では客観的な分析に留意する。

我が国で公開されている資料を読むと、外交的な視点での分析が多く、その視点のみではロシア軍の軍事作戦を理解することはできない。本稿においては、軍事と政治(外交)の関係に焦点を当てながら筆者の意見を記述したいと思う。

 キーワードとして、カール・フォン・クラウゼヴィッツの「戦争論」の一節を使用する。

 例えば、「戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならない」「政治的交渉の方針は戦争におけるあらゆる事象を支配し、結びつけ、戦争間から講和に至るまで一貫して維持される」「戦争は相手に我が意志を強要するために行う力の行使である」などである。

1 今回の撤退の状況をいかに認識するか?

 プーチン大統領は、シリアに派遣したロシア軍の主要部隊を3月15日以降撤退させることを命じた。

 しかし、その後のロシア政府の発表では、ロシア軍部隊が完全に撤退するのではなく、ロシアが使用している基地(フメイミム空軍基地、タルトゥース海軍基地)を防衛するために2個大隊(約800人)が残留し、最新の地対空ミサイル S-400も基地防空のために残留する。

 そして、少数の航空機が残り、必要な空爆を継続すると報道*1されていて、本当に撤退するのかという懸念を示す者もいる。この撤退がいかなるものなのかを、3月16日時点での情報で分析すると、以下のようになる。

  • ロシア軍の撤退は、空爆に参加した主要な航空機の撤退であり、ロシア軍すべての撤退ではない。しかし、ロシア軍が半年間実施してきた空爆作戦は終了したと判断する。

 ただ、必要な空爆のための必要最小限の航空機を残すという情報があるが、「バッシャール・アル-アサド政権軍を支援する空爆が完全にゼロになるのではない」というアサド大統領に対する配慮、そして何よりも残留するロシア軍自体を防護するための航空機は残すという意味であろう。

  • 駐留を継続する地上部隊および地対空ミサイル(S-400)部隊は、フメイミム空軍基地およびタルトゥース海軍基地を防護することになる。

 両基地は、ロシアが中東で確保している唯一の基地であり、両基地を保持することは将来のロシア軍の中東での作戦や影響力の保持に必要だと判断している。基地さえ確保していれば、航空機は機動力があるので、いつでも帰って来て空爆を継続することは可能である。

 基地を防護する部隊は、再展開可能な航空戦力と相まって、反アサド国家(米国とサウジアラビア)に対する抑止力になるという説もある*2

*1=BBC, Syria conflict: Russia to continue air strikes after withdrawal, 2016 March 15

*2=http://www.vox.com/2016/3/14/11224544/putin-syria-russia-withdraw

2 なぜシリアで軍事介入したのか?

 プーチン大統領は何故このタイミングで撤退を決断したのかに答えるためには、なぜシリアで軍事介入したのか、つまりシリアにおける軍事作戦の目的を明らかにしなければいけない。

  • シリアにおける作戦目的

・プーチン大統領は、シリアでの空爆の目的について、「アサド政権を安定させ、政治的な妥協が可能な状況を作ることだ」と述べている*3。彼にとっては作戦目的が限定され明確なものであったことが理解できる。

 実際に、ロシア軍の空爆により、アサド政権に有利な戦況になり、反アサド勢力を含めた和平協議が開催されることになり、その目的は達成された。この点を理解すれば、今回のロシア軍撤退の決断も理解できる。限定された目的が達成されたから撤退するというのは筋が通っている。

・中東における諸問題解決におけるロシアの重要性を世界に認識させること。同時に、「強い指導者」としてのプーチン大統領を国内外にアピールし、その結果としてのロシア国内での支持率の維持・向上を図ること*4。まさに「戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならない」のである。

・シリアにおけるロシアの影響力の拡大特に軍事基地の確保である。

・ロシアのクリミア併合やウクライナ東部への介入に反発した欧米の対ロ制裁の緩和を期待する。

  • ロシア軍のシリア派兵は海外派兵の諸原則に合致するか?

 米国では、海外での軍事行動を決定する際には、コリン・パウエル元統合参謀本部議長・元国務長官の意思決定の8原則を満たしているか否かが問われる。

 8原則の中でも特に次の4原則が重要である。

「死活的に重要な国家安全保障上の利益が脅威を受けているか?」 「明確で達成可能な目標を持っているか?」 「リスクとコストは十分かつ率直に分析されたか?」 「終わりなき介入を避けるために妥当な出口戦略はあるか?」

 この4原則をロシア軍のシリア派兵に適用し分析してみる。

・「死活的に重要な国家安全保障上の利益が脅威を受けているか?」

 「死活的」とは、国家が生きるか死ぬかということであり、シリアのアサド大統領を延命させることが、ロシアの国家安全保障上の死活的に重要な利益だとは思えない。この点に関してはかなり無理がある。中東におけるロシアの重要性を世界に認識させるという強い感情が勝ったと思われる。

・「明確で達成可能な目標を持っているか?」

 この点に関しては、「アサド政権を安定させ、政治的な妥協が可能な状況を作ること」という明確で達成可能な目標を持っていて、合格である。

・「リスクとコストは十分かつ率直に分析されたか?」

 ロシアの軍事作戦の最悪の事態を十分に分析したとは言えない。その結果として、ロシア民航機がテロリストの攻撃目標になってしまったし、領空侵犯によりロシア軍のSu-24が撃墜されるという結果になってしまった。

・「終わりなき介入を避けるために妥当な出口戦略はあるか?」

 この点に関しては、妥当な出口戦略があったことが、3月14日の撤退命令で明らかになっている。

 以上を総合評価すると、「パウエルの基準に完全には合致しない、かなりリスクのあるロシア軍のシリア派遣であった」という結論になる。

*3=ロシア国営テレビ「ロシア1」の10月11日、プーチン大統領に対するインタビュー放送

*4=Elizabeth A. Wood, “Roots of Russia’s War in Ukraine”, Woodrow Wilson Center

3 なぜ、このタイミングで撤退するのか?

 世界中で、「なぜこの時期にプーチン大統領は空軍の主要部隊の撤退を決断したのか」という議論がなされている。

 筆者は、今回のロシア軍のシリア撤退は、プーチン大統領の2正面(ウクライナ正面とシリア正面)同時作戦による作戦経費上の制約が直接の原因であると分析している。

 財政上の制約により、米国が陥っているような作戦の長期化、泥沼化を避ける思いが強く、作戦期間半年での撤退につながったと推測している。財政上の理由で撤退するとは言えないので、「シリアでの軍事作戦の任務を達成した。

 今後は14日に再開された和平協議に積極的に外交活動により貢献する」という大義名分が成立する3月14日を利用した撤退宣言であったと思う。

 先に結論を述べてしまったが、プーチン大統領がなぜこの時期に撤退を決意したかについては、次の4点が可能性として考えられるが、相互に密接に絡み合っている。

  • 継戦能力が限界にきていた。

 そもそも、ロシアにはウクライナとシリアの二正面において長期的に作戦する能力(継戦能力)はない*5

 特に2014年のクリミア併合以降における原油価格の大幅下落および欧米諸国による経済制裁により、聖域だった国防費さえ削減(2015年の当初国防費を5%削減)せざるを得ない厳しい財政状況にある*6

 シリア空爆作戦においては、空爆用の弾薬(ミサイルなど)の在庫が残り少なくなっていると予想するが、緊急生産による調達も難しい。当初搬入した航空機等の武器に対する燃料や部品の補給および整備も困難になったと予想する。

 米軍サイドの情報として、継続的な空爆作戦をするためには航空機などの交代をしなければいけないが、その兆候はなかったという分析がある。

 最新鋭の戦闘爆撃機Su-34が典型的で、ロシア中から作戦機をかき集めてきたものの、第2弾の航空機が欠乏している可能性もある。つまり、継戦能力が限界に来ていた可能性がある。

 なお、ロシア軍の戦費は1日当たり500万~750万ドル(約5億6500万~8億4750万円)で、米軍の戦費の6分の1だという*7

  • 作戦目的を達成した。

 つまり、ジリ貧状態にあったアサド政権の勢力圏を拡大し、政権の延命を達成した。また、2月末に一時停戦を達成し、3月14日に再開したシリアのアサド政権と反体制勢力による和平協議の環境作りにも成功した。

 これ以上シリアで作戦を継続すると、メリットよりも負担が大きくなる。作戦目的達成後は速やかに撤退するのが正しい選択である。

  • 最初からシリアでの作戦期間を短期間と限定していた。

 当初予定の作戦期間が経過したので、予定通りに作戦を終了する。この予定通りの作戦終了であるとすれば、プーチン大統領およびロシア軍の出口戦略はしっかりしていると評価できる。

  • アサド大統領に和平協議を受け入れさせるため。

 ロシア軍の空爆開始以前からアサド政権内におけるロシアの影響力はイランの影響力よりも弱かった。

 空爆によりロシアの影響力は上昇したが、最近は再びロシアの影響力は低下し、アサド大統領に対する統制が効かなくなった。和平協議に頑固な姿勢を崩さないアサド大統領に圧力をかけるために航空機主力を撤退させたという説もある*8

 実際には、上記の理由は相互に関連していて、それぞれが撤退の理由であったかもしれないが、最も重要な要因は「継戦能力が限界にきていた」ことであろう。

*5=Lydia Tomkiw,“ Can Russia Afford To Fight Two Wars In Syria And Ukraine?”, IBT

*6=http://thediplomat.com/2015/11/russias-military-spending-to-increase-modestly-in-2016/

*7=Lydia Tomkiw,“ Can Russia Afford To Fight Two Wars In Syria And Ukraine?”,IBT

*8=http://www.vox.com/2016/3/14/11224544/putin-syria-russia-withdraw

4 プーチン大統領およびロシア軍の軍事作戦に対する評価

  • 肯定的評価:作戦目的と能力の一致

 プーチン大統領は、軍事作戦の本質をかなり理解し、果断な決心ができる指導者である。彼は、作戦目的をロシアの能力に合致させている。ロシアの能力をはるかに超えた作戦目的を設定してはいない。

 例えば、彼のウクライナにおける作戦目的は、ウクライナがロシアのクローンになることではなくて、ウクライナがEUに接近することやNATO(北大西洋条約機構)に加盟することを防ぐことであった。

 クリミア併合作戦は、ロシアの能力に合致したシンプルで達成可能な目標に限定し、迅速に決断し行動をしたのである。

 プーチン大統領の作戦は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領が、米軍の能力を超えるイラクやアフガニスタン全土の民主化を作戦目的として行った軍事作戦とは一線を画するものである。目的を能力に合致させることは良き戦略家の証明である*9

 プーチン大統領のシリアにおける作戦目的が、崩壊の瀬戸際にあったアサド大統領を支援し、その政権を延命させることであったとすれば、その目的はかなり達成された。そして、今回の撤退命令の下達も、シンプルで現実的でロシアの限定した能力に合致している。

 以上を総合すると、戦争論の一節である「政治的交渉の方針(戦争目的*10)は戦争におけるあらゆる事象を支配し、結びつけ、戦争間から講和に至るまで一貫して維持される」がおおむね達成されていると評価できる。

  • 否定的評価:プーチンが受けた打撃など

 しかし彼のシリアでの作戦は、筆者がJBpress掲載の論考*11で予想したように手痛い打撃を受けてしまった。

 まず、ロシア自身がISIL(「イスラム国」)のテロの洗礼を受けてしまった。つまり、ロシアの民航機がISILのテロ行為のために爆発・墜落し、多くの犠牲が出たが、これはプーチン氏にとって大きな打撃であった。

 また、ロシア軍のSu-24がトルコ軍のF-16に撃墜されてしまった。これは、トルコの度重なる警告にもかかわらず、ロシア軍のSu-24がトルコ領空を侵犯したために発生したが、国際的な面目が丸つぶれで、しかもトルコとの関係を極度に悪化させてしまった。

 さらに、あまりにも乱暴な空爆(民間人と反政府勢力の区分をしないで実施する空爆、ロシア軍が使用したのは安価ではあるが無誘導の弾薬が主体の精度が悪い空爆)は、ロシア軍の意志を反アサド勢力に強要する効果はあったが、一方で多くの民間人を犠牲にし、国際的な非難を浴びている。

 また、ロシア軍の空爆は、多くの難民を発生させてしまい、世界各国から非難を浴びている。ロシアの空爆は、ロシアの世界における孤立を促進してしまった側面がある。

 また、ウクライナ正面での紛争が終了していないにもかかわらず、また欧米諸国の経済制裁および低迷する原油価格による経済危機の状況において、新たな戦端を中東シリアにおいて開いてしまった。

 経済危機状況下における2正面作戦が長期間継続できるわけはない。シリアでの戦費は膨らみ、併合したクリミアを維持管理する経費は増大し、ウクライナ東部では親ロシア勢力の支援のために負担をせざるを得ない。

 この2正面作戦は確実にロシアの国家財政に大きな影響を及ぼしてしまった。決定していた2015年の国防費を5%削減しなければいけなかったのがその証左である。

 また、今回の撤退により、今まで支援してきたアサド大統領との関係も悪化する可能性がある。支援される側は、支援する国に対してずっと支援してもらいたいものであるが、和平交渉を直前にして撤退されると、アサド政権側の交渉能力は低下せざるを得ない。

 今回のロシア軍の撤退は、アサド大統領にとって打撃になったと思うし、プーチン大統領の思惑通りに和平協議がすんなりと成功するとも思えない。

 肯定的評価と否定的評価を総合すると、ロシア軍の空爆作戦は、作戦的には一定の成果をもたらしたが、戦略的には失敗であったと分析する。

*9=Stephen M. Walt、“Who Is a Better Strategist: Obama or Putin ?”、Foreign Policy、October 9,2015

*10=「戦争目的」は、筆者が理解を容易にするために付加した。

*11=米国の最優先課題は中国、ロシアの挑発に乗るな!プーチン大統領のシリア空爆は派手だが長続きはしない、JBpress, 2015.10.19(月)

5 プーチン大統領に主導権を握られた米国の対シリア外交

 オバマ政権は、今回のプーチン大統領のシリア撤退命令に対して、「予測していなかった。突然だった」と驚きを隠していない。

 ロシア軍のシリア介入開始に驚き、撤退にも驚いていたのでは米国の立場がない。米国は、対シリア外交については、プーチン大統領に主導権を握られたのは明らかである。

 米国の対シリア外交の問題点と指摘されるのは、アサド大統領に対する処遇をどうするかという点である。

 ロシアが主張する、「アサド大統領を最初から除外したシリアの将来像に関する議論ではなく、アサド大統領を含めた将来像の議論をすべきだ」という意見は米国内のリアリスト派の意見でもある。

 オバマ政権があまりにもアサド大統領の即時退陣にこだわったために現実的な外交ができず、有効な解決策を提示できなかったという指摘は傾聴に値する。

 米国の対シリア政策は、矛盾し達成困難なものであった。「アサドは出ていけ」と言いながら、アサド後継がジハーディストになることを拒否し、穏健な反アサド勢力が後継になることを望んだが、そのようなアサド後継になる穏健なグループなどは存在しないのである。

 そのために穏健なグループを養成しようとして見事なまでの失敗をしてしまった*12

*12=Stephen M. Walt、“Who Is a Better Strategist: Obama or Putin ?”、Foreign Policy、October 9,2015

6 ロシア軍の作戦開始から撤退までの教訓

  • ロシアの国力の実態は、長期間の2正面作戦が困難であることは明白である。ことさらロシア軍の脅威に怯える必要はない。ロシア軍の実力をあるがままに評価し、これに適切に対処すればよい。
  • プーチン大統領は、軍事力の活用が巧みであり、戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならないことをよく理解している。

 ただ、実際に軍事力をもって戦争する必要はない。軍事力を背景とした外交を巧みに行えばいいのである。この点で、世界最強の軍事力を保持しながらも、それを背景とした外交を効果的に展開できない米国の奮起を期待したい。

  • 作戦の目的を能力に合致させることは極めて重要である。ジョージ・W・ブッシュ元大統領は、米国の能力を超えた作戦目的を設定して失敗した。オバマ大統領は、使用する能力を制限した作戦目的(例えば、空爆のみによるISILの撃破)を設定しがちである。
  • オバマ外交の特徴であるリベラルな価値観(自由、民主主義、基本的人権、国際法など)に基づく外交にはメリットもあれば、ディメリットもある。「国民を虐殺したアサド大統領は許容できない。彼を即座に排除し、彼を排除したシリアの将来像の議論をしなければいけない」という主張などはその典型である。より現実的な外交が求められている。
  • 今回のロシア軍主力部隊のシリアからの撤退を受けて、ロシアに対する経済制裁を簡単に解除してはいけない。相変わらず、ロシア軍がウクライナ東部を占領する親ロシアグループを支援している。制裁解除は、ロシア軍の再建に手を貸すことになる。

3/22JBプレス 老田章彦『まさかのトランプ爆走に苦悩する米国のインテリたち 白人ブルーカラーの怒りは止められない』、3/20現代ビジネス 渡辺将人『共和党主流派「期待の星」ルビオはなぜ敗れたか トランプ旋風の裏側で』、3/18JBプレス 高濱賛『独走トランプを一喝し、震え上がらせた元CIA長官 法律を冒し続けてきたスパイ一代記』について

トランプも言いたい放題ばかりではなく、大統領になった時のスタッフを発表し、安心感を与えようとしています。単なる当て馬でなく、野心を実現しようと必死です。トランプが米国を二分したという議論もありますが、二分したのはオバマ時代からです。宮崎正弘氏のメルマガにスタッフの記事が載っています。問題はトランプがヒラリーに勝てるかです。共和党員ですらトランプが共和党の大統領候補になればヒラリーに入れるとういう人も少なくありません。どう軌道修正していくかでしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6344940/

ルビオは先を急ぎすぎたかもしれません。ブッシュ家を敵に回してはフロリダ知事も覚束ないでしょう。

日米関係で言えば、トモダチ作戦を展開したロバート D エルドリッヂ著の『オキナワ論』を読みました。どうも沖縄に巣食う左翼が彼を海兵隊から放逐するよう画策した感じですね。どこまで左翼は悪逆非道なのか。沖縄県民に「天皇と日本政府は沖縄を見捨てた」と刷り込んだりしましたが、事実は違います。普天間基地も海抜95mと言う高台にあるため津波の心配もありません。小生は危険除去であれば学校等を普天間から先に移すべきと考えます。基地の移転は無しにしても良いのでは。エルドリッヂ氏は移すのであれば勝連が良いとのこと。基地反対運動は中国人や朝鮮半島人、反日左翼が主体で沖縄県人はどの程度いるのでしょうか?翁長も浦添の軍港移設工事を認め、辺野古移転を認めないというのでは、左翼に共感してと言うよりは、土地賃貸料で食っている人たちの為の反対運動なのでは。所詮、「金目でしょ」。

http://thefact.jp/2016/1205/

また、Facebookを見ていましたら、朝日新聞が英字版では誤報の謝罪をしないどころか、慰安婦の強制性を認め、犠牲になったのは朝鮮半島人との書き方の由。中・鮮人と同じで平気で嘘がつける人間です。侮蔑さるべき下種です。 なでしこアクションのHPより。

http://nadesiko-action.org/?p=9983

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Trump in North Carolina

米ノースカロライナ州ヒッコリーで選挙集会に臨んだドナルド・トランプ氏(2016年3月14日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Image/Sean Rayford〔AFPBB News

 トランプ現象という、誰も経験したことない嵐がアメリカに吹き荒れている。

 メキシコに費用を負担させて国境に壁をつくるといった荒唐無稽な政策を掲げ、アメリカ最大のタブーである人種差別の姿勢すら隠そうとしない候補者が、多くの国民の喝采を浴びている。

 アメリカ史上かつない異常事態ともいうべき状況にどう対応すればいいのか、トランプ氏の対立候補以外にも大いに困惑し悩んでいる人たちがいる。

トランプ政権入りを目論んでいるのは誰だ

 共和党の指名候補争いの序盤戦「スーパー・チューズデー」でトランプ氏が華々しい勝利をおさめた翌日、トランプ氏への反旗を高々と掲げた人たちがいた。

 長年アメリカの外交・安全保障政策を支えてきた有識者60人が、トランプ氏の排外的な外交政策はアメリカの安全を危機にさらすものだとして公開書簡で厳しく批判したのだ。

 注目すべきは、60人の有識者のすべてが共和党員または共和党の支持者だったこと。そして、右派・中道派・ネオコンまで幅広い人材がそこに含まれていたことだ。なかには、トランプ氏が共和党の候補に指名された場合は「本選で民主党クリントン氏に投票する」とまで発言した人もいる。「共和党良識派の反撃がついに始まった」「公開書簡に署名をしたのは誰か」とメディアは盛り上がった。

 一方、首都ワシントンでは、この現象を逆の方向から見ている人が少なくなかった。彼らの間で話題になったのは、「誰が署名をしたのか」ではなく「誰がしなかったのか」だった。

背景にはアメリカの政界ならではの事情がある。アメリカの政策に強い影響を与える大統領特別補佐官や各省庁の要職には、官僚でもなく政治家でもない“第3の人材”がつくことが多い。その多くはシンクタンクの研究員や大学教授といった知的エリートで、政府での数年間の任期を終えると、再び研究や教育の世界へ戻っていく。そして外部からの政策提言が評価されると、再び政府に呼ばれて働く。このような官と民の間の人事サイクルが厚みのあるエリート層を育て、アメリカ政治を支えている。

 今回の公開書簡に名をつらねた共和党系の60人は、「共和党トランプ政権」に参加したり外部から関与したりするチャンスを投げ捨ててしまったに等しい。

 逆に、公開書簡に署名しなかった人は、もしもトランプ氏が大統領になった場合、政権入りする可能性が残されている。だからワシントンでは、署名をしなかった人に注目が集まったというわけだ。

 たとえば、1990年代から政府機関と民間の往復を始め、ジョージ・W・ブッシュ大統領の外交ブレーンにもなった大手シンクタンクの研究員、スミス氏(仮名)がその1人だ。スミス氏は今回の選挙に向けて、共和党本流とされていたある候補者と連絡をとりながら、着々と自らの足場を固めていた。ところが選挙戦が始まってみると、頼みにしていた候補者はトランプ旋風に吹き飛ばされ撤退してしまった。スミス氏が公開書簡に署名しなかったのは、新政権への関与をまだ諦めていないからではないかという人もいる。

アメリカを分断させるトランプ氏

 共和党系か民主党系かを問わず、アメリカのインテリ層はトランプ旋風という未曽有の混乱のなかで困惑し対応を決めかねている。

 アメリカが指導力を失った「Gゼロ」後の世界についての著作で知られるイアン・ブレマー氏は、スタンフォード大学で博士号を取得後、わずか28歳でシンクタンク「ユーラシアグループ」を設立した気鋭の政治学者だ。ニューヨークに本拠を置くブレマー氏は、目下の選挙戦への困惑を次のようにツイートしている。

「ニューヨークとワシントンにはたくさんの知人がいるが、そのうちの誰ひとりとしてトランプ支持者に出会ったことがないという。これは大問題だと思う」

 つまり、都会のホワイトカラーでトランプ候補を支持する人は極めて少ないということだ。

 一方、トランプ支持者の中核となっているのは白人のブルーカラーである。彼らの多くは工場で働いているが、工場の海外移転や低賃金の移民労働者の増加などによって職を奪われ、不満を募らせていた。サービス業で働くブルーカラーも賃金の安い仕事を移民と奪い合わなければならない。白人ブルーカラーの怒りは高まる一方だった。

 その怒りをたくみに利用して勢力を伸ばしたのがトランプ候補だった。「偉大なるアメリカの復活」を力強く約束し、「悪いのは中国や日本」「敵はメキシコ人」などと問題を単純化してみせるトランプ氏に彼らは熱狂した。

 トランプ氏に煽られて熱狂するブルーカラーたちと、冷静な目を保とうとするホワイトカラー、インテリ層。両者のギャップはここ数カ月で急速に広がっている。ブレマー氏の目にはそれが大きな問題と映っているようだ。

「最悪の衝動」を呼び起こされた人々

 ブレマー氏のトランプ氏への懸念はそれだけではない。キーワードは「差別」だ。

 今回の選挙戦ではトランプ氏の人種差別的な姿勢が議論を呼んでいる。差別の撤廃はアメリカ社会最大の課題の1つであり、選挙での差別発言は「一発退場」につながることも多い。

 だが、トランプ氏は白人ブルーカラーからの受けをねらってか、マイノリティーへの差別的な姿勢を強めている印象さえある。白人至上主義団体「KKK」の元幹部から支持表明を受けたことに対しトランプ氏がはっきりと拒否の言葉を述べなかったことは、多くのアメリカ人をあ然とさせた。

 人種差別の姿勢を隠そうともしない候補者が選挙戦で生き残っているどころか、先頭を走っている。繰り返しになるが、これは異常事態というほかない。

 スーパー・チューズデーの4日後、NBCテレビの人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」は、トランプ陣営のテレビコマーシャルの体裁をとったパロディー映像を放送した。穏やかな地域社会に暮らす勤勉で善良な白人がトランプ氏を支持する理由を語るという設定だ。

 ある男性は「トランプは経済を、ここから、ここまで、引き上げてくれるだろうね」と言いながら腕を持ち上げるが、そこにはナチスの腕章が巻かれている。

 また、白い服にアイロンをかけながら「トランプは大胆な政治家よ。私の本音を代弁してくれるわ」と語る女性が服を裏返すとKKKのマークが・・・という内容だ。

 どぎつい冗談だと笑ってばかりもいられない。支持者のなかにはトランプ氏に同調して、心の奥底にあった差別感情を解き放ってしまった人が少なくない。トランプ氏の集会では、反トランプを叫ぶ人に暴力をふるう支持者が増えている。そういう人たちを相手にブレマー氏のような人が理性的に政治を語り合おうとしても話が噛み合うとは思えない。

ブレマー氏は、大衆をここまで引っ張ってきたトランプ氏について「人の心の奥底にある最悪の衝動を利用した低俗な人気取り」だと切り捨てた。研究者としての心のうずきが聞こえてくるようだ。

 ほんの数カ月前まで、まさかこんな状況になるとはアメリカのインテリ層は誰も予想していなかった。彼らはどんな思いで新しい大統領の誕生を迎えることになるのだろうか。

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Rubio in Florida

フロリダ州で敗北して撤退を決めたルビオ候補。共和党主流派「期待の星」であり、日本の外交筋も期待を寄せていたが……〔photo〕gettyimages

「反トランプ」連合はなぜ生まれないか

「ミニ・スーパーチューズデー」は、トランプがフロリダ州とオハイオ州という勝者総取りの大票田で勝利すれば、トランプ指名は決まったようなものだとされていた。

しかし、ルビオ候補が事前の予想通りフロリダ州で敗北して撤退したものの、オハイオ州現職知事のケーシックは地元での強さを見せて逃げ切った。

共和党内には党大会での逆転を狙う勢力も存在するが、他方で「トランプを受け入れて、トランプを操縦していこう」という打算的かつ戦略的な「受容派」も急速に増大し始めている。フロリダ州でのルビオの劣勢が決定的になったあたりから、その兆候があった。

主流派「期待の星」ルビオには、日本の外交筋も期待を寄せていた。ルビオ敗北の舞台裏に、トランプ旋風の意外な理由があった。

* * *

トランプ以外が代議員競争で首位を奪うことは困難な情勢の中、無理な「一本化」よりも、勝者総取りの大票田で、複数の非トランプ候補がそれぞれ強い州で勝利し、トランプ単独での過半数獲得を阻止するのが抵抗のシナリオだった。

しかし、ルビオが大票田フロリダ州で完敗し、このシナリオも現実性は薄くなった。

「反トランプ」が一本化できないのは、反トランプのフロントランナーが主流派ではなく、宗教右派系の「ティーパーティ保守」クルーズだったからだ。日和見主義だが「フレキシブル」でもあるトランプ以上に、原理主義クルーズは危険視されており、上院でも「外れもの」だった。クルーズをエスタブリッシュメントが支持することは困難だった。

前回の論考「続発する「反トランプ」抗議デモ」でも述べた通りだが、ある連邦議会補佐官は「銃をこめかみに突きつけられ、トランプかクルーズか、どちらか1人を選べ! と究極の選択をさせられれば、トランプを選ぶ」とすら言う。この認識は両党にまたがっている。

クルーズ支持者はルビオやケーシックに入れないし、ルビオやケーシックの支持者は「反トランプ」でクルーズを支持するのは自殺行為だと考えてきた。そうこうしているうちにトランプがトントン拍子に勝利した。

「トランプ旋風」4つの理由

2016年トランプ旋風の理由として、改めて4つの要因を確認しておきたい。

①トランプの第三候補化を懸念しての「党内への取り込み」策が、甘い判断に過ぎた(トランプが共和党に怒って飛び出さないように、初動ではトランプ批判を意図的に控えた)

②共和党の候補者が多く出馬し過ぎた(トランプだけ票田が他と重複していないので利益を得た)

③非トランプのフロントランナーが原理的クルーズだったこと(主流派は支持できない)

④ジェブとルビオという主流派内の身内争い(後述する)

これらの外部要件が揃っていなければ、どんなに経済格差が深刻化して、不法移民がメキシコから流れ込み、大衆の怒りが暴発していても、トランプがここまでスムーズに勝利できなかった。

第1に党幹部が公認指名に影響を与えられない予備選制度、第2に、第3候補が出れば相手側に漁父の利を与えるリスクが付きまとう二大政党制のジレンマが根底にある。つまり「トランプ旋風」は制度的には、起こるべくして起こった現象で、諸条件さえ重なれば、これまでいつ起きてもおかしくなかった。

以前も「トランプ旋風が止まらない!? アメリカでいま何が起きているのか」で述べたように、ジョージ・ウォーレス、ロス・ペローなどの「旋風」過去例との違いは、共和党内部で勝者を目指したトランプの本格的な共和党乗っ取り策だ。

今後アメリカの政治学者の間では、アメリカ式デモクラシーの特質とされてきたこの開放的予備選制度とアメリカ特有の二大政党制の問題が深く議論されていくことになろう。

ここにきて民主党エスタブリッシュメントから「だから、特別代議員制度を共和党も導入したほうがいいのだ」との声まで聞こえる。

特別代議員とは、主として議員や知事など党幹部に与えられた権限なので、「ワシントンの意向」が草の根の民意をひっくり返すものだとして批判も根強い。だから、ヒラリーは「正統性」を高めるために、特別代議員の加算なしに、各州の民意による代議員だけでの圧勝を目指してきた。

ブッシュ家の逆鱗に触れたルビオ

そもそもルビオに勝ち目はあったのか。

日米外交筋の間では、ヒラリー以外ではルビオ人気が突出していた。上院外交委員会所属で政策を知っており、日本に対して深い理解があった。外務省も以前からルビオに注目し日本に招き、2014年の安倍総理への表敬訪問でも、東アジアの安全保障について日本の立場を支持する意向を表明している。

外交の安定的な継続性という点では、共和党側ではルビオというのが共通認識だった(ただ、それだけに過度な「親日」期待から、日本のプレスからの質問や、東アジアについての質問に答えてくれないと取材現場ではイメージ上のギャップが増幅されたようだが)。

しかし、これは外交フロント、特に日本目線からのルビオ像(期待)であって、アメリカの国内政治の文脈での政治家ルビオは、深刻な脆弱さを抱えていた。

第1に、フロリダ州地盤でありながら、知事だったジェブ・ブッシュの組織の支援が得られなかったことだ。

両者の関係は、元々は悪くなかった。1998年のルビオの初の公職選挙以来(ウエストマイアミ市)、ジェブは「保護者」として支援してきた。ルビオもフロリダ州議会議長としてジェブの政策を支え、両者の関係は「ウィン・ウィン」に見えた。

2016年大統領選にジェブが出るなら、弟子のルビオは「待つ」のが筋という暗黙の了解が支援者筋にはあった。しかし、ルビオには魔が差した。「ブッシュ王朝」の継続に思いのほか、共和党有権者が不満を抱えていて、兄のジョージ・W・ブッシュ前大統領の不人気も根強かったからだ。

なるほど筆者も2015年夏にジェブの支援者の内輪の会合で、元知事本人と面会したことがあるが、カウボーイのイメージの兄とは真逆で、神経質でいい意味で繊細な人物で、それだけに草の根の人気が今ひとつなのも頷けた。ルビオも同じように感じたかもしれない。「今出れば行けるかも」と。

しかし、これがブッシュ家の逆鱗に触れた。「弟子が師匠を追い落としたようなものだ」と関係者は言う。

ジェブの支援者との暗黙の約束を破って出馬しただけでなく、ジェブを上回る代議員を獲得。ジェブは自分が知事を務めた州まで生き残れず撤退し、政治人生の晩節を汚された。それもこれも可愛がっていた弟子の裏切りによるものだ。

フロリダ州共和党幹部は、ルビオがアイオワで3位になった直後、「ルビオでの一本化」について質問した私に、匿名条件にこう断言した。

「ブッシュ家はルビオの野郎を許さない」

「ルビオ大統領誕生だけは許せない」と、ジェブと2回のブッシュ政権に特に忠誠心の高い層は息巻いていた。ジェブが知事として張り巡らしたフロリダ全土の組織は、ルビオのために活発には動かず(動くなとまでは命じていないだろうが)、ジェブは最後まで公にルビオを支持しなかった。

「トランプ阻止」のためですら支持できない深いわだかまり。これがルビオのフロリダ敗北の1番の理由である。トランプの高笑いが聞こえる。

裏切られたフロリダ州の有権者

第2に、今年上院の再選年のルビオが、上院議席を放棄して、大統領選挙に出ることを宣言したことだ。

一般的には「背水の陣」として評価されそうな「決意」に見える。しかし、それはフロリダ州外の「他人の目線」だ。フロリダ州の有権者は裏切られたと感じた。

日本と同じでアメリカも議会では、再選回数が権力への道だ。委員長ポストは再選を重ねないと手に入れられない。当然、地元への利益誘導も再選が前提だ。

同じスペックなら若い方を当選させるのは、フレッシュな才能云々の「建前」とは無関係で、寿命までの当選回数を冷酷に考えての判断だ。あまり高齢の新人では、再選回数が期待できない。

だから、ルビオと同じ再選年のランド・ポールは、早期に大統領選を離脱して、上院選に戻り、ケンタッキー州の支持基盤に誠意を尽くした。かくしてランドはまた、地元の支持層の協力も得た上で大統領選挙に出られる。

ルビオの若さに「永久再選」の利益をあてこんで応援したタニマチ筋は、突然「ぼくは、やっぱり大統領になります」と言いだして、議席を放棄する態度に激怒した。

それでも、育てた若手が大統領になるのであればと応援してきたが、フロリダ州共和党の顔であるジェブにまで逆らうのはどうかと「ルビオ離れ」の空気が渦巻いていた。支援組織の心の結束がこれほど弱いキャンペーンは、筆者も見たことがなかった。

なぜルビオはジェブに譲って将来のチャンスまで待てなかったのか。

オバマを意識していたからだという周囲の声がある。たしかにオバマも連邦上院1期目で彗星の如く飛来して大統領になった。しかし、今回まで負け知らずのルビオと違い、オバマは2000年に連邦下院で大敗している。予備選で地元の黒人議員に負け、それから反省に反省を繰り返し、黒人同胞の心と掴む方法を身につけた。

「外交通」という日本での好印象とは裏腹に、上院でのルビオの立法成果は少ない。実際、50個の州という「国」でできているアメリカでは、州知事が連邦議員の臨時任命権まで持つ「上司」であり、州知事のほうが小さな実績をワンマンで残しやすい。

「選挙区に説明しやすい実績が作れない上院をルビオはつまらない、知事は羨ましいと思っていた」と関係者は語る。

まだ上院に残る選択肢もあるが、将来的にはルビオは可能性があれば州知事、その他の道を考えるのかもしれない。いずれにせよ、ブッシュ家への「詫び」が先かもしれない。

「あいつはキューバ系だ」

第3に、ヒスパニック系という属性を活かしきれなかったことだ。

キューバ系は実はヒスパニック系の「主流」であるメキシコ系などと緊張関係にある。「ルビオはヒスパニック系だから、支持しますよね?」とメキシコ系の有権者に聞けば、「あいつはキューバ系だ。俺たちと違うから」という答えがよくかえってくる。

カストロの圧政を逃れ「反共移民」になった初期のキューバ系は、中南米系の中で唯一共和党支持だった。最近の若者は民主党支持も増えているが、ヒスパニック社会の中での「異端感」は消えていない。

また保守的な政策とヒスパニック系への親和性が矛盾する問題もある。クルーズもキューバ系で、片言程度のスペイン語がしゃべれるが、公の場でほとんど話さないのは、バイリンガル教育を否定し、移民は英語を学ぶべきとの自らの主張と矛盾してしまうからだ。

ルビオもティーパーティの支援で当選したにもかかわらず、超党派の移民制度改革法案に参加したりして、ヒスパニック系の武器を活かす方向で穏健派に「転向」した前科がある。保守派内に「あいつは保守の仮面を被った親不法移民派だ」という疑念を残した。

共和党候補なのにヒスパニック系という属性は、本選でかなりの武器になる。民主党はそれを恐れて「ルビオ相手だとヒラリーが危ない」と言っていた。しかし、予備選ではそれが足かせになってしまった。

折しも、キューバとは民主党のオバマ大統領が国交を回復。88年ぶりに現職大統領として歴史的な訪問を実現するという時期であるだけに、ルビオとクルーズの共和党「キューバ系」という独自の記号は、かつての「反共」のアナクロニズムを漂わせるだけに終わってしまったのかもしれない。

カリスマが欠けている

そして第4に、政治家としての臨機応変さだ。

フロリダ州での地上戦が絶望的になったルビオは、終盤戦ますますメディア戦略や支持者への雨あられのようなメール散布に依存したが、「ロボット・ルビオ」の悪印象がテレビ討論で刻印され、「空中戦」も総崩れだった。

筆者はニューハンプシャー州予備選直前、同州ハドソンでルビオの小さな集会に参加した。たまたま聴衆が貧血か何かで倒れる騒ぎが起きた。幸い救急隊が駆けつけて、病人はすぐに運び出された。

しかし、演説中だったルビオは立ち尽くしたままで、どうしたらいいのか分からないといった風だった。

米メディアのカメラは回り続けていた。米メディアは「事件」を悪意をもって報じなかった。武士の情けというより、トランプを利すネタだったからかもしれない。

しかし、「オバマやビル・クリントンなら、いやレーガンだったら、タウンホールミーティング中に目の前で人が倒れたらどうしただろうか」と現場では疑問の声がくすぶっていた。腕まくりをして手を貸さないまでも、集会の中止と人命優先を叫んだのではないか。

それは「ポピュリズム演出」かもしれない。しかし、アメリカ大統領は危機に即して、臨機応変に対応してほしいと有権者は願っている。

「人気取りの行為と思われようと、あのときのマルコには、マイクを握って何か言って欲しかったよ。悔しいよ」と支持者はこぼしていた。ルビオはその意味で、政治家にしておくには、真面目過ぎるのかもしれない。嘘があまりつけない人物なのだと思う。

「ルビオは未熟過ぎる」と批判していた共和党重鎮の評論家たちが、現場でルビオに会って「あいつ、いい奴だった」と評価を変える行為に何度も遭遇してきた。

しかし「会ったらいい人で、対外的にはカリスマが欠けている」のでは大統領としては難しい。「会ったら気に食わない奴」でもいいから、対外的にカリスマを示せていれば問題はないのだが。

次回以降は現実味を増したトランプ指名をめぐる問題について考察する。

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Trunm in Ohio

米オハイオ州クリーブランドで開かれた、選挙集会で演説するドナルド・トランプ氏(2016年3月12日撮影)〔AFPBB News

「ミニ・スーパー・チューズデー」も勝ち抜いた不動産王

 「暴言王」のドナルド・トランプ氏の独走が止まらない。

 「スーパーチューズデー」に次ぐ前半、第2の山場、「ミニ・スーパー・チューズデー」で圧勝したトランプ氏は米共和党大統領指名レースを順風満帆で突き進んでいる。これで、指名に必要な代議員数1237人まであと646人(AP通信社調べ)と迫った。

 その「ミニ・スーパー・チューズデー」前夜から米国は異様な局面を迎えている。トランプ氏の歯に衣を着せぬ人種差別発言に耐えかねた反トランプ分子が抗議行動を起こしたのだ。

 トランプ氏の行く先々ではこれら分子がトランプ支持者と激しい小競り合いを繰り広げ、流血の事態にまで発展している。予備選はもはや共和党内の指名争いの枠を超えてこの国を分裂させている。

現状打破を唱える2つの異なる反既成体制勢力

 候補者に期待する現状打破派にも2種類ある。

 1つは8年ぶりにホワイトハウスを民主党から奪還したいとする共和党保守派本流とそれを支持するウォールストリート(金融・経済界)。彼らは、本選挙で何としてでも民主党候補を打ち負かす選挙に勝てる保守本流候補を指名したいと考えている。

 もう1つは、白人が謳歌できた「50年代のアメリカへの回帰」を夢見る白人高齢者やブルーカラーたちだ。メキシコ移民への侮辱発言やイスラム教徒の一時入国禁止提案など排外的な主張を続けるトランプ氏に共鳴し、1票を投じてきた。

 共和党保守本流が推してきたマルコ・ルビオ上院議員だが、「ミニ・スーパーチューズデー」でも地元のフロリダ州でもトランプ氏に完敗。他の州でもジョン・ケーシック・オハイオ州知事に抜かれて最下位に転落。投票終了後に、ルビオ氏は予備選から撤退してしまった。

 死にもの狂いとも言える共和党保守本流のルビオ支援工作は裏目に出てしまった。既成体制が物心両面からルビオ氏を応援すればするほど、草の根保守層はこれに反発したためだ。

 ルビオ氏に代わって「ストップ・ザ・トランプ」の任を負わされているのが、超保守派の一匹狼、テッド・クルーズ上院議員だ。ところがクルーズ氏については、ウォールストリートの大企業幹部の1人は苦虫をつぶしたようにこう漏らしている。

 「企業税課税や富裕層優遇税廃止を唱えるクルーズはトランプよりも厄介な存在だ。クルーズが指名されるくらいならトランプを手なずける方がまだましだ」

過激派分子に対する拷問で朝令暮改を繰り返すトランプ

 実現不可能に近い「思いつき政策(?)」(はっきりとした政策にすらなっていない)を次から次へと打ち出すトランプ氏。文字通り、朝こう言ったかと思うと、夕方には前言を翻す。あきれるほど朝令暮改を繰り返した。

 そのトランプ氏に、いい加減なことを言うのもほどほどにしろと一喝した男がいる。泣く子も黙る米中央情報局(CIA)の元長官だ。その人物の名は、マイケル・ヘイデン退役空軍大将。ヘイデン将軍こそ、本書の筆者である。

 トランプ氏がイスラム教過激派分子に対する「過激な尋問」、つまり拷問を容認したことに対してだった。

 トランプ氏は、ブッシュ政権当時、テロリスト容疑で捕まえたイスラム教過激派分子に対する「拷問」を容認するかどうか、大統領として情報機関にそうするよう命令するか、と記者に質問された。

 これに対し、トランプ氏はこう言い切った。

 「奴らが人質にした我々の側にいる人間の首を残虐に切り落とし、その画像を全世界に流している。こちらとしても捕まえた奴らを水責めして、情報を取るのは当たり前のことだ。私が大統領ならそう命令を下す」

「トランプ大統領の命令より国際法を尊重する」

Hayden's book

Playing to the Edge: American Intelligence in the Age of Terror (スパイ工作は違法とつねに背中合わせ:テロ時代のアメリカの情報活動) by Michael W. Hayden Penguin Press, 2016

 ヘイデン少将は直ちにテレビ・インタビューで一喝した。

 「水責めは明らかに過酷な尋問(拷問)を禁じている国際法(国連拷問等禁止条約=1987年採択)違反だ。たとえトランプさんが大統領なり、そうやれと命令しても米軍および情報機関将校たちは応じない。国際法を冒してまでトランプさんの命令などには従わないはずだ」

 これを聞いたトランプ氏は、即座に、「3軍の最高司令官たる大統領である私がやれと言ったら軍はそれを実行する。それがリーダーシップというものだ」と激しく反論。

 ところが数時間後、その舌の根の乾かぬうちに「アメリカは法や条約に縛られており、私は大統領になっても軍やその他の当局に法を破るような命令はしない」と前言を撤回した。

 相手がCIA元長官だと、すぐ前言を覆す、この口から出まかせ男にフォックス・ニューズの美人キャスターは「あなたはなぜそう何度も前言を覆してばかりいるんですか」と鋭く突かれて黙りこくった。

 この事案のあやなどは国際法にも国際情勢にも疎い、トランプ支持の白人大衆たちには理解できないだろう。が、トランプ氏の軽薄さと知性のなさに開いた口がふさがらないのはヘイデン将軍だけではない。

過去41年間スパイ人生を送った根っからのスパイ

 ヘイデン将軍は米空軍情報将校として1967年から2008年まで兵役を務めた。その間1999年にはビル・クリントン大統領に国家安全保障局(NSA)局長に任命され、ブッシュ政権発足後も留任。

 2005年には国家情報局副長官に昇格、さらに2006年にはレオン・パネッタ米中央情報局長官の後任に任命され、2009年までブッシュ、オバマ両政権下で反テロ戦争におけう情報組織のトップとして活躍した「米国の諜報活動に最も精通した人物」(米上院情報活動特別委員会スタッフ)だ。

 ヘイデン将軍が指揮をとった諜報スパイ活動は、ずばりイスラム過激派組織テロ活動への挑戦だった。

 アルカイダの首謀、オサマ・ビン・ラディンや幹部の拘束・殺害活動はもとより、拘束したテロリスト容疑者に対する尋問など枚挙にいとまがない。

 なかでもトランプ氏を一喝した「水責め」容認発言は、ヘイデンにとっては忘れがたい作戦の1つだった。法を侵して大統領の命令に従った屈辱の作戦だったからだ。

 ヘイデン氏はブッシュ大統領から「すでに身柄を拘束しているアルカイダ容疑者の口を割らせるために水責めでも何でも使って情報を入手せよ」との命を受ける。

 それは極秘工作として進められ、重要なテロリスト情報を得ることにつながりはした。だが将軍は釈然としなかった。その思いがトランプ発言に対する一喝となったのだろう。

 ブッシュ大統領はこれと並行して、裁判所の許可を経ずに、米情報機関が海外に住むテロリストと米国内に住んでいる永住者、市民権保持者とのインターネットや電話の交信を傍受する許可を与えた。

 つまり大統領が直接命じた不法盗聴、いわゆる「ステラ―ウィンド」工作だ。

 これは9・11テロ事件以降、秘かに導入された秘密通信情報収集計画で、個人の電話番号やメールアドレスを取得したのち、その通信・チャット内容を入手するものだ。2004年に司法省が見つけ出すまですべて司法省抜きで実施されていた。

「法律の外で生きるなら自分に正直に」

 ヘイデン将軍は本書の中で、ボブ・ディランの「Absoltutely Sweet Marie」の一節を引用してこう書いている。

 「法律の外で生きようとすれば、君は正直じゃなきゃダメだよ。とくに自分に対しては常に正直じゃなきゃね」

 ブッシュ大統領に命じられて実施に移した「水責め」は、オバマ政権発足直後、発覚してしまう。この関連の司法省の極秘メモが上院情報活動特別委員会に提出されたのだ。

 その内容は、「CIAの残虐行為」「CIAの国際法違反」としてメディアに流された。民主党主導になった上院情報活動特別委員会でヘイデン将軍は厳しく追及される。

 国家機密保守義務という枠の中で、将軍は、テロとの戦争を強いられる中でいかにしたら、国家の安全を第一線で守れるかについて弁明する。が、議員たちはむろんのことメディアは理解しようとしない。

 本書では、そうしたヘイデン将軍の「苛立ち」と「弁明」が繰り返される。

 題名になっている「Playing to the Edge」とは、フットボールで線上ギリギリのところで相手側とボールを奪い合うプレーを指す。ここでは、スパイ活動はまさに合法、違法すれすれのところで演じる危ないプレーだと、将軍は指摘したいのだろう。

 スパイ一筋に生きてきた将軍の座右の銘、それが「Playing to the Edge」だったのだ。

テロリスト発見に不可欠な「ステラーウィンド」工作

 特に世論の激しい批判を浴びた「ステラーウィンド」工作について将軍はこう指摘する。

 「これにより我々は米市民の電話やインターネットにアクセスした。が、それはあくまでも厳しく制限された状況下で行われた」

 「例えばあなたが今まで聞いたこともない人物から電話を受けたとする。蓄積されているデータベースを情報活動のプロがその人物の電話番号をチェックした結果、海外のテロリストと関わり合いがある電話であることが判明する。そのことから直接的、間接的にテロリストのルートを探り当てる重要な情報となる」

 「国民にはプライバシーの権利がある。だが、国民は安全な生活を営む権利もある。根本的には我々はサイバー上の安全保障を必要としている。と同時にコミュニケーションの自由も保たれねばならない」

 少なくともアメリカ合衆国という、国民の自由と権利を守り、なおかつ国際法を遵守することを国家的な理念として掲げてきた民主国家において、この二律背反にどう対処するか。

 一党独裁の中国や北朝鮮とは違うのだ。ヘイデン将軍をはじめスパイたちはつねにそのことについて真剣に悩んできた、と将軍は吐露している。そのことを少しでも国民には分かってほしい、と訴えている。

 トランプ氏への一喝は、そんなスパイたちの苦悩も知らずに分かったようなことを言うなという現場からの物言いと言っていい。

3/19JBプレス 古森義久『中国のアジア戦略が失速、日本への態度も軟化? 強硬な戦略がもたらした「不都合な結果」とは』について

中国が敵を作り過ぎたと考え、軌道修正してきているという記事です。でもいつも言っていますように「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄ですから。短期的には軌道修正しても、長期的には油断させて覇権を握ろうと思っていはずです。騙されてはいけません。経済苦境にある中国を支援するなどもっての他です。手を緩めないことです。自由のない国に覇権を握らせたら、彼らの価値観で日本に容喙してくるのは必定です。というか属国扱いになるでしょう。日米豪印+台湾+ASEANでATO(Asian Treaty Organization)を作って中国封じ込めせねば。

中国が国連人権理事会(スイス・ジュネーブ)を舞台に反日活動を展開しているのは見え見えです。裏と表(各理事国に)で金を配っているのでしょう。本田悦朗大使が赴任しましたら、杉田水脈女史や山本優美子女史達の支援をしてほしい。CEDAWの林陽子委員長の皇室典範改正勧告もひどかったです。彼女は日本に関することは建前上、議論に参加できないという事ですが、普通に考えれば、日本の法律に詳しい人間なんてザラにはいません。日弁連出身のアカの林陽子が根回ししたと思われます。こんな人間を外務省が推薦しているのですから、売国外務省と思われても仕方がありません。慰安婦も国連人権理事会を舞台に戸塚悦朗弁護士を中心に福島瑞穂たちが振りまいてきた嘘です。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/international/member/work/voice/interview3.html

中国は国連での日本貶めを世論戦と思って戦争を仕掛けてきているのです。武器なき戦いです。日本も戦争の一部と自覚する必要があります。

日教組が南京や慰安婦を記述した教科書を採択してきたことにより、勉強すればするほど刷込まれ、反日になるエリートが多くなるという事でしょう。中国に行って生活すれば、そんなことは嘘と分かります。嘘をつくことが許容されている社会というか生活の一部になっている国ですので、その一番上の政府が言うことが真実であるはずもありません。日弁連は左翼信奉者が多いのでしょうけど、実態を見て来いと言いたい。昨日TVで林修が「君子豹変す」の字義の解説をしていましたが、「君子は過ちを直すに憚ることをしない」と言う意味です。共産主義の人権抑圧の実態を見て宗旨替えしてほしいと思いますが、まあ無理でしょう。

3/21宮崎正弘氏メルマガには中国のリストラ(首切り前の賃金未払い)で暴動が頻発しているとありました。昨日の小生のブログで中央政府が失対で金を出しても中抜きされると言いましたが、その通りの展開になっているのでは。予算執行の時期の問題ではない気がします。上層部はリストラされるなら先ず自分の取り分をと思うでしょうから。世界平和のために、中国の崩壊を願っています。

http://melma.com/backnumber_45206_6344587/

記事

Philippino's protesting action in front of Chinese consulate-2

フィリピン・マニラの中国領事館前で、南シナ海の南沙諸島で中国が進める開発工事に抗議する人々(2015年4月17日撮影、資料写真)。(c)AFP/Jay DIRECTO〔AFPBB News

 中国の習近平政権は、米国への挑戦的な戦略を進めるとともにアジアでの勢力拡大にも努めてきた。しかし、ここに来てアジア戦略は壁にぶつかり、修正を試みるようになった。日本に対しても、この1年半ほど続けてきた安倍晋三首相「悪魔化」キャンペーンを減速させ、態度を軟化させる戦術を見せ始めた――。

 米国のベテラン中国研究者から、中国の対アジア戦略の現状がこのように明らかにされた。

アジアでの影響力発揮を最大限に試みてきた

 前回の当コラム(「中国の『欺瞞』外交にオバマもいよいよ我慢の限界」)で、ジョージ・ワシントン大学のロバート・サター教授による3月9日の講演の内容を紹介した。

 サター教授は米国務省、中央情報局(CIA)、国家情報会議などの中国専門官として30年以上を過ごし、中国の対外戦略研究では米国で有数の権威とされている。

 サター教授によると、表と裏を使い分ける中国の対米戦略に対して、オバマ大統領がついに正面から批判を表明するようになったという。サター教授はこの講演で、米中関係だけでなく、日本にとっても重要な意味を持つ中国のアジア戦略についても見解を語っていた。

 まず中国にとってアジアでの活動はどれほど重要なのか。サター教授は次の諸点を挙げる。

・中国の対外政策は、これまで一貫してアジア地域に主要な注意を向け、アジアでの影響力の行使を最大限に試みてきた。

・中国はアジアで安全保障と主権に関する様々な問題を抱えてきた。なかでも台湾問題を最も重視してきた。

・アジアでの経済活動は、中国の経済全体のなかで最大の比重を占めてきた。

・中国自身は、アジアで確固たる力の基盤を築いていないと他の地域でリーダーの役割を果たせないと判断している。

強引な戦略によって立場はかえって不利に

 サター教授は、以上のような中国のアジア戦略の特徴を挙げた上で、戦略の大きな目標は、米国に対抗し、アジアでの米国の力を後退させる「パワーシフト」だと説明する。

 そして、その戦略がこの2年ほどの間にどのような結果をもたらしたのかについて、以下の諸点を挙げていた。

・中国の強引な領有権主張、国内のナショナリズム、軍事力増強、一党独裁体制、一方通行の投資規制などが、アジア諸国のネガティブな反応を強めた。

・習近平主席の「新シルクロード構想」は計画どおりに進まず、パキスタンやインドネシアでの鉱山事業が失敗した。中東と北アフリカへの投資も莫大な損失を生じた。

・東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との貿易と投資が伸び悩んでいる。

・韓国、オーストラリア、ミャンマー、台湾との貿易や投資は高い水準にあるが、中国の影響力の増大にはつながっていない。

・アジア諸国の多くが中国との有事を想定した軍事面での「ヘッジ(防御)」作戦を開始し、中国の影響力拡大にとってさらなる障害となってきた。

・オバマ政権の対アジア政策は欠陥もあるが、米国の開かれた国際経済システムやアジア諸国との軍事協力の強化が、中国の立場を不利にしつつある。

安倍首相「悪魔化」計画は頓挫?

 サター教授の見解によると、中国のアジア戦略には以上のような障害が立ち塞がっている。習近平政権は、アジア戦略のこうした「不都合な結果」を修正する必要があると判断し、これまでの大胆な政策や攻勢的な姿勢をある程度緩和させることを最近目指すようになったという。

習政権がアジア戦略をどの程度まで修正するのかは不明だが、中国がアジアでパワーシフトを遂行する能力は決して十分ではないことが、ほぼ立証されたというわけだ。

 そのうえでサター教授は、習近平政権が現在アジアで着手していると思われる修復措置を次のように列挙する。

・日本との距離を縮める。

・ベトナムとの緊張を緩める。

・北朝鮮との緊張の緩和を試みる。

・南シナ海での米国やその他の紛争当事国との緊張緩和を試みる。

 サター教授は、とくに中国の対日戦略について、「習政権はここ1年半ほど対日姿勢を硬化させ、とくに安倍首相に極端にネガティブなレッ テルを貼る『悪魔化』キャンペーンを展開してきた。しかし、その効果があまりないとみてか、安倍非難を減速させてきたようだ」と述べた。

 習近平主席の大胆で野心的な姿勢にもかかわらず、現在、中国の対アジア戦略はいくつもの壁にぶつかっている、というのがサター教授による総括である。

3/18日経ビジネスオンライン 北村豊『「ゾンビ企業」解体が招く“600万人失業” 「鉄鋼」「石炭」に対策費1000億元も焼け石に水か』について

西側諸国は、世界に悪を為す中国社会を世界経済に組み込んだことが大間違いだったことに気付くべきです。封じ込めていればここまで中国の問題が世界の問題としてクローズアップされることはなかったでしょう。如何に中国人の詐術が上手かったかという事ですが。日米ともにナイーブすぎです。世界的にダンピングの嵐が吹き付けることになります。

政治的には共産党一党独裁、経済的には似非市場経済(権銭交易)が根本原因であることは明らかです。でも両方とも既得権者の利益を侵すことになりますので非常に難しいでしょう。新たな革命が起きない限り無理と思われます。

今度のゾンビ企業の淘汰はそのキッカケになるかもしれません。600万の失業者を新たに雇用できる産業は出て来ないでしょう。中国経済が実質マイナス成長と言われている中で受け入れ先を見つけるのは難しいと思います。AIIBが外国に投資し、その労働力として使おうと言うのであれば別でしょうけど。ただ、その場合、現地の雇用が増えず、富の収奪と看做されますので、いくら現地国の要人に賄賂をばら撒いたとしても持続可能かどうか。

中国人の主張する民族的特質から言って、政府の方針に唯唯諾諾と従うとは思えません。やはり禁止されているデモに訴え、流血の惨事を引き起こし、それが全土に拡大し、共産党打倒の動きに繋がる可能性もあります。なにせ1000億元を失対基金として用意しても、役人が中抜きするでしょう。どの程度実効を上げるか疑問です。

日本のスタンスは「お手並み拝見」が正しい態度です。間違っても通貨スワップで助けることのないように。9条支持者は戦争反対なのでしょうから、政府がそのように動いたら「通貨スワップ」反対の声を上げないとおかしい。今中国の採っている南シナ海・東シナ海の行動は戦争誘発行為です。経済封鎖に近い行為で中国を締め上げ、戦争を諦めさせなければ。それを言わないとしたら、中共の手先or日共のシンパでしょう。

中国封じ込めのために、5/20に蔡英文氏が台湾総統に就任されますので、「台湾関係法」を日本も作れば良いと思います。一気に無理であれば、日米安保上、米国の「台湾関係法」発動時の日本の役割を日米台で擦り合わせしておく必要があります。

記事

Li Keqiang's speech

全人代で李克強はゾンビ企業の処理を重点活動に挙げたが、前途は厳しい(新華社/アフロ)

 2016年3月5日の午前9時、北京市の中心にある“天安門広場”の西側に位置する“人民大会堂”で、中国の国会に相当する「第12期全国人民代表大会第4回会議」(以下「全人代」)が、3月16日まで12日間の日程で開幕した。当日、全人代の開幕が宣言された直後に、最初の発言者として登壇した“国務院(日本の内閣に相当)”総理の“李克強”は、約2時間をかけて“政府工作報告(政府活動報告)”を読み上げた。その内容は、(1)“2015年工作回顧(2015年の活動の回顧)”、(2)“十三五(第13次5か年計画<2016~2020年>)”時期における主要目標と重点施策、(3)“2016年重点工作(2016年の重点活動)”の3項目で構成されていた。

「余剰生産」と「ゾンビ企業」に対処せよ

 李克強が発表した政府活動報告の中で、内外メディアが最も着目したのは“化解過剰産能(余剰生産能力の解消)”と“積極穏当処置僵屍企業(ゾンビ企業を積極的かつ穏当に処置する)”であった。それは、李克強が、上述した(3)2016年の重点活動の中で言及したもので、「今年重点的に取り組む8分野の活動」の2番目の分野として提起した「供給側の構造性改革を強化し、持続的成長エンジンを増強する」の中に次のように言及されていた。

 余剰生産能力の解消とコストの低減とその効果の増大に注力する。鉄鋼、石炭などの困難な業界の余剰生産能力を除去し、市場のひっ迫性、企業主体、地方の構成、中央の支持を堅持し、経済、法律、技術、環境保護、品質、安全などの手段を運用して、厳格に生産能力の新たな増大を抑制し、断固として後れた生産能力を淘汰し、整然と余剰生産能力を除去する。合併・再編、債務再建あるいは破産・清算などの措置を講じ、“僵屍企業(ゾンビ企業)”を積極的かつ穏当に処置する。財政、金融などの支援政策に万全を尽くし、中央財政は1000億元(約1兆8000億円)の特別奨励補助資金を手配し、その重点な用途を職員の配置転換に置く。総合的な措置を取り、企業取引、物流、財務、エネルギー使用などのコストを低減し、企業が関与する勝手な諸費用の徴収行為を断固止めさせる。

 さて、中国語の“僵屍(jiangshi)”とは「硬直した死体」を意味し、かつて香港映画で一世を風靡した「僵屍(キョンシー)」が飛び跳ねていたのは、彼らが硬直した死体でありながら、長い年月を経ても腐ることなく、動き回ることができた妖怪であったからにほかならない。キョンシーは、何らかの力で死体のまま蘇った人間の総称であるゾンビ(zombie)と似たような存在と言う事ができるので、メディアは“僵屍企業”を「ゾンビ企業」と名付けたのだった。

それでは、中国のゾンビ企業とは何を指すのか。1月29日付の“中国共産党新聞網(ニュースネット)”は『経済発展のがんであるゾンビ企業を断固えぐり取れ』と題する記事を掲載したが、同記事はゾンビ企業を次のように説明していた。

【1】ゾンビ企業とはすでに発展と競争の能力を喪失した企業を意味する。これらの企業は生産停止あるいは生産休止の状態にあり、庶民の呼び方では“半死不活(息も絶え絶え)”の企業である。全体的に見て、大部分のゾンビ企業は“国有企業”である。これら企業の生産と経営は市場の発展法則から著しく逸脱し、主として政府の輸血などの非市場要素に頼って生命を維持している。それはまぎれもなく、これらゾンビ企業の背後に財政資金の支援があるからである。たとえ生産能力が余剰な状況の下にあろうとも、彼らはゾンビのように息も絶え絶えの状態で生存している。今やゾンビ企業はありふれた存在であり、決して珍しいものではなく、程度の差はあるものの中国各地に存在する。

【2】市場経済の環境下では、市場があれば競争があり、競争があれば生死がある。この過程の中で、企業の生死存亡はごく当たり前のことである。ゾンビ企業の存在は市場の機能発揮に極大な損害をもたらすばかりか、国家資源の浪費、公平な競争の市場秩序を破壊し、市場メカニズムの正常な運行に深刻な影響を与え、政府に持続的な重荷をもたらす。また、長期的に見れば、ゾンビ企業は全国の経済構造調整に影響を与える障害物でもある。

鉄鋼、石炭、セメント、ガラス、造船

 ゾンビ企業の大部分が国有企業というのであれば、そこに含まれる業界は何なのか。それは、過大な余剰生産能力を持ち、膨大な在庫を抱え、すでに生産停止あるいは生産休止の状態にあり、連年の赤字にあえぎ、政府の補助金や銀行からの借入によって辛うじて経営を維持している業界であり、その主体は、鉄鋼、石炭、セメント、ガラス、造船などの業界である。

 これら業界のうちで余剰生産能力が最も深刻なのは、鉄鋼と石炭の2業界である。全人代の開幕に先立つこと1か月前の2月初旬、中国政府“国務院”は李克強総理の承認を得て、2つの意見書を配布した。それは、『鉄鋼業界の余剰生産能力を解消し、苦境を脱却して発展を実現することに関する意見』(以下「鉄鋼業界意見書」)と『石炭業界の余剰生産能力を解消し、苦境を脱却して発展を実現することに関する意見』(以下「石炭業界意見書」)であった。この2つの意見書を念頭に国務院総理の李克強は、3月5日の全人代開幕直後の「政府活動報告」の中で余剰生産能力の解消とゾンビ企業の処置に言及したのだった。

それでは2つの意見書には何が書かれていたのか。その要点は以下の通り。

(1)鉄鋼業界意見書:  2016年から開始し、ここ数年来推進して来ている後れた鉄鋼生産能力除去の基礎の上に、5年の期間内に粗鋼生産能力をさらに1億~1.5億トン削減する。また、5年の期間内に、鉄鋼業界の合併・再編を実現して実質的な進展を図り、産業構造の最適化、資源利用効率の向上、生産能力利用率の適正化、製品品質とハイエンド製品供給能力の向上、企業業績の好転、市場予測の好転を図る。  

(2)石炭業界意見書:  2016年から開始し、3~5年の期間内に、石炭業界は生産能力を5億トン前後削減し、再編により生産量を5億トン前後削減する。この比較的大幅な石炭生産能力の圧縮、石炭生産量の適度な削減により、石炭業界の過剰生産能力を効率よく解消させ、市場の需要・供給の基本的バランス、産業構造の最適化、構造転換とグレードアップの結合により実質的な進展を図る。

180万人の配置転換と不満解消に1000億元

 中国の公文書は、1つの文章の中で「読点(とうてん)」を多用することにより、いくつもの事柄をだらだらと羅列する傾向があり、日本語に翻訳する際には骨が折れる。上記意見書の原文もその類だが、その要点を端的に言えば、鉄鋼業界は5年以内に粗鋼生産能力を1億~1.5億トン削減するし、石炭業界は3~5年以内に過剰生産能力を5億トン前後削減し、産出量を5億トン前後削減するということである。

 全人代初日に行われた政府活動報告の中で、李克強総理が過剰生産能力の解消とゾンビ企業の処置に言及すると、国際ニュース通信社の「ロイター」は、中国共産党指導部に近い複数の情報筋から聴取した話を引用して、2~3年以内にゾンビ企業から500万~600万人の国有企業職員が削減されると報じた。一方、2月25日に記者会見を行った「中国工業・情報化部」副部長の“馮飛”は、中国政府が工業企業構造調整特別奨励補助資金の設立を決定し、2年間に1000億元を支出して、主として石炭と鉄鋼の過剰生産能力とゾンビ企業を処置すると述べた。また、「中国人力資源・社会保障部」は2月29日付で、国有企業の削減予定人数は180万人で、その内訳は石炭業界が130万人、鉄鋼業界が50万人であると発表した。

 “中国国家統計局”のデータによれば、中国の石炭業界と鉄鋼業界の合計職員数は1200万人であるから、180万人は全体の15%に相当する。180万人もの国有企業職員が人員整理で削減されれば、大量の失業者が発生することは否めない。そうなれば、人々はそれに反発して抗議デモを行うだろうし、不満のはけ口を暴力に求めて、社会不安が引き起こされる可能性は高い。そうした人々の不満を配置転換によって抑制するための資金が1000億元の特別奨励補助資金であり、それが全人代の「政府活動報告」の中で李克強が言及したものだった。

世界鉄鋼協会(World Steel Association、略称:worldsteel)の統計によれば、2015年の粗鋼生産量(Crude Steel Production)は、全世界の総計が16.23億トンであったのに対して、中国は8.04億トンで、全体の49.5%を占めて、世界一だった。中国の粗鋼生産量は2014年には8.23億トンだったから、2015年は2.3%減少したことになる<注1>。一方、中国の資料によれば、中国の2015年における粗鋼生産能力は11.7億トン、粗鋼生産量は8.05億トン、粗鋼見かけ消費量(生産+輸入-輸出)は7.04億トンであったから、粗鋼生産能力利用率は68.8%、粗鋼の過剰生産量は1.01億トンとなっている。なお、中国の粗鋼生産能力は2003年には約3億トンに過ぎなかったが、その後急拡大を続け、2012年には10億トンを突破したのだった。

<注1>2015年の粗鋼生産量の世界第2位はEUの1.66億トン、第3位は日本の1.05億トン。

 また、石炭に関する“中国科学院予測科学研究中心(研究センター)”の統計によれば、中国の石炭生産量は2013年の39.74億トンをピークに、2014年には38.74億トン、2015年には37.58億トン(予測)と減少しており、2016年には36億トンになると予測されている<注2>。中国では国内の景気低迷に加え、経済構造の転換および大気汚染防止の影響を受けて、2015年における国内の燃料炭市場は疲弊し、石炭価格は30%近く値下がりした。このため、石炭業界は大量の在庫を抱え、利潤は大幅に低下し、多数の石炭企業が苦境に陥り、現在に至っている。

<注2>中国の石炭生産量は世界一だが、世界第2位の米国の2015年の石炭生産量は約9億トンで、1986年以来の最低水準だった。

世界8位「武漢鉄鋼集団」も妙手なし

 さて、“武漢鉄鋼(集団)集団”(以下「武漢集団」)は、上述したworldsteelの「2014年主要鉄鋼企業生産量ランキング」で世界第8位(33億トン)にランクされる中国の国有企業であり、“中央企業”<注3>の1つである。その武漢集団の“董事長(理事長)”である“馬国強”は、3月10日午前中にニュースサイト“人民網(ネット)”が放映した『第13次5か年計画に頑張る新国有企業との対話』と題する番組の中で、「武漢集団は現在職員の配置転換を行っており、半数以上の職員は今後鉄鋼業務に従事することはない」と述べた。

<注3>“国務院国有資産監督管理委員会”が直接監督・管理する大規模国有企業。

 馬国強は、「生産能力を削減するという大前提の下、我々はすでに8万人の職員全員が製鉄や製鋼に従事することはできないという共通認識に達している。3万人の職員だけが製鉄、製鋼に従事できるというのであれば、4万人あるいは5万人の職員は別の活路を見出さねばならず、武漢集団は現在それをやっている」と述べた。

 馬国強の発言は、上述した2月の鉄鋼業界意見書、2月29日に中国人力資源・社会保障部が発表した、国有企業の削減予定人数は鉄鋼業界が50万人、さらに李克強も言及した1000億元の特別奨励補助資金を踏まえたものだった。1958年に操業を開始した武漢集団は、1949年の中華人民共和国成立後に建設された最初の大型鉄鋼企業で、長期雇用の労働者は7万~8万人で、最大時には10万人にも及んでいた。

番組のキャスターが「生産能力削減の過程の中で、どのように職員を配置するのか」と問いかけたのに対して、馬国強は次のように応じた。

 武漢集団は次のような方法で職員の配置転換を行おうとしている。

【1】法定退職年齢<注4>まで5年以内の職員は、もしその当人に労働能力が無い、あるいは働く意向が無いなら、職場を離れて退職を待っても良い。

<注4>法定退職年齢は、一般労働者:(男)満60歳、(女)満50歳、特殊環境下の肉体労働者及び身障者:(男)満55歳、(女)満45歳。

【2】武漢集団の傘下にはいくつかの非鉄鋼産業があるので、一部の職員を受け入れることが可能。

【3】地方政府と共に職員を雇用してくれそうな外部の企業に照会し、職員の新たな職場を探す。

 上記の【1】は法定退職年齢まで5年以内の職員で、労働能力が無い者と労働意欲の無い者には、最低水準の給与を払うから退職年齢になるまで自宅待機しろという意味かと思える。それにしても、鉄鋼生産量世界第8位である武漢集団の理事長たる馬国強が、4~5万人もの職員の配置転換に当たって、ありきたりの方法しか述べることができず、何らの具体策も提示できないとは、開いた口が塞がらない。これは恐らく、鉄鋼業界の他社も石炭業界の各社も推して知るべしと言えるのではないか。

切り捨て人員、ゾンビ化して反旗?

 こんな調子では、鉄鋼業界と石炭業界の180万人の配置転換が順調に行われるとは考えられないし、ましてや彼らを含むゾンビ企業から削減される500万~600万人の労働者にまともな配置転換がなされるとはなおさら考えられず、彼らは失業するしかない。そうだとすれば、特別奨励補助資金の1000億元は、彼らの生活費の一部に充当されるだけで、配置転換の目的に使われることはないだろう。

 中央政府の役人が机上で考えた過剰生産能力の削減とゾンビ企業の処置のしわ寄せをまともに受けるのは一般労働者である。切り捨てられた彼らがゾンビとして復活し、大挙して反旗を翻さない限り、中央政府の役人も企業の経営陣も、誰一人として政策の失敗を疑わないのが、中国の悪しき伝統なのである。

3/16JBプレス 古森義久『中国の「欺瞞」外交にオバマもいよいよ我慢の限界 口では協調を求め、裏では米国に大胆に挑戦』について

日本の民進党の英語名が“DIP=Democratic Innovation Party”だったのを急遽”DP=Democratic Party” と元の民主党と同じにしました。ネット上で、“DIP”の意味が名詞ですと「【名】〔物を〕下げる[沈める・浸す]こと。〔液体や容器に〕手を入れること◆物を取り出すために。軽く泳ぐこと、一泳ぎ◆【同】quick swim。〔価格などの一時的な〕下落、低下。〔地面などの〕くぼみ、へこみ。〔地面などの〕下り坂[斜面]《地学》〔地層の〕傾斜(角)◆【同】dip angle。《地学》〔地磁気の〕伏角◆【同】magnetic dip。《食》ディップ◆【同】dipping sauce。〔羊などの〕洗浄[消毒]液◆【参考】sheep-dip

〔芯を浸して作る〕ディップ・キャンドル◆【同】dip candle。〔平行棒の〕ディップ◆【同】parallel-bar dip。〈俗・軽蔑的〉ばか、間抜け。〈俗〉すり◆【同】pickpocket。〔アイスクリームなどの〕スクープ1杯分、ひとすくいの量◆【類】scoop。」(アルク調べ)で良い意味がなく馬鹿にされたため変えたのではと思われます。況してや“DIP=Democratic Innovation Party”ではなく“DIP=Democratic Innovative Party”ではないかという気がしますが。台湾の”DPP= Democratic Progressive Party”は流石に使えないと思ったのでしょう。日本の左翼・リベラル・売国政党と台湾の中国国民党からの独立を掲げ戦ってきた政党とを同じにしないでほしい。でも国民は看板の挿げ替えをしても中味はアカかピンクというのは見抜いています。鳩山・菅・野田政権による国政の混乱を挙げるまでもなく、最近の野党の国会質疑の質問のレベルの低さ、野合と言われても仕方のない選挙区での候補者調整(共産党の候補取り下げ、新潟での民主党候補の取り下げ)のやり方を見ていれば日本の民進党に政治を任せる訳には行かないと思うでしょう。国民は朝日が主導する左翼偏向メデイアには騙されません。今後呼ぶときは日本民進党と呼び、台湾民進党と区別しましょう。日本と付く政党名は日本共産党と同じく実態は反日の意味です。分かり易く反日共産党とか反日民進党とか名前を変えればよいのに。

岸田外相が4月に訪中するとのこと。外交儀礼では中国訪問の順なのに世界は日本が中国に叩頭外交しているように見るでしょう。チャイナスクールの入知恵なのでしょうが、岸田も扱い易い大臣と思われていることでしょう。こんな自分の考えを持たない人間は総理の器ではありません。中国からの注文を聞きに行くようなことは止めてほしい。放って置くのが一番です。間違っても通貨スワップを認めることのないように。

アルゼンチンは中国の漁船を撃沈しました。違法操業でこれが正しい実力行使です。日本の海での赤珊瑚盗掘を許したのは恥と思わねば。正義が実行されない、非法治国家という事です。国の大小は関係がありません。2012年にはパラオの中国船員の一人射殺、他は全員逮捕、船は中国人が放火という事件がありました。しかし、昨日安倍首相は首相として初めて海保学校の卒業式に参列したとのこと、良いことです。

自民党は東シナ海ガス田開発を国際仲裁裁判に提訴することを政府に求めました。中国のいう3戦の内の法律戦です。こんなことは遠慮せずにドンドンやればよい。中国は国際法に合わない国内法を作って好き勝手やって国民を誑かしています。比の南沙諸島の問題はハーグの国際司法裁判所に提訴しました。また越は西沙諸島・南沙諸島の領有権についてやはりハーグの国際司法裁判所に提訴準備中とのこと。中国は無視を決め込むでしょうが、国際的に中国のやっている非道を訴えられれば良い。別に受けることを目的にしなくても。世論戦を戦わねば。竹島もさっさと提訴すれば良いのに。

オバマは今頃中国の欺瞞に気付くのは遅すぎ。だからトランプのような大統領候補が出るようになってしまったのです。

記事

Xi Jingping & Peng Liyuan 

米シアトルのペインフィールドに到着し、出迎えの人々に手を振る中国の習近平国家主席(左)と彭麗媛夫人(2015年9月22日撮影)。(c)AFP/MARK RALSTON〔AFPBB News

 中国の習近平政権は、米国を後退させながら勢力を拡大する対米対決戦略をとりながら表面上は穏健で協調的な対米政策をアピールするという欺瞞作戦を進めている。それに対してオバマ大統領もついに中国への批判を正面から表明するようになった──。

 米国のベテラン専門家が、最近の米中関係の変質をこのように報告した。

協調路線から攻勢的外交へ転換

 米国ジョージワシントン大学のロバート・サター教授は3月9日の同大学での講演で、習近平外交の現況と米中関係の変質についての見解を発表した。

 サター氏は米国務省、中央情報局(CIA)、国家情報会議などの中国専門官として30年以上を過ごし、中国の対外戦略研究では米国で有数の権威とされている。

 サター氏はこう総括する。中国は胡錦濤政権下の2002年から2012年までの間、「米国との実利的な協力」外交を進めていた。しかし、2013年3月に習近平氏が国家元首となって以来その外交を止めて、「アジアその他の地域で米国に挑戦する、大胆で攻勢的な外交構想」へと転換した。

その具体的な例としては以下があるという。

・東シナ海や南シナ海で、軍事力を直接行使する寸前の多様な強制的手段を実行し、近隣諸国と米国の権益をはぎ取ろうとしている。

・巨額の外貨準備や工業生産能力の余剰分を利用して、自己中心的な「国際経済開発のプログラムや機関」を開設する。それは米国のリーダーシップを侵害するか、米国を排除することになる。

・アジア太平洋地域で、米国を主要な標的とする軍事態勢の強化を進めている。

・米国の官民に対するサイバー攻撃によって、経済資産の収奪、知的財産権違反、市場アクセスの障害、通貨レート操作などを実施し、米国に重大な損害をもたらす。

習近平主席は「新型大国関係」を推進すると言明

 サター氏は、こうした中国の攻勢を受けてオバマ大統領の対応が明らかに変化してきたことを強調する。

 オバマ大統領は就任してから6年以上の間、中国との協調的な関係の構築を求めてきた。中国側がそれに反する言動を見せても抑制された態度を保ち、中国の名を挙げて批判したり非難することは一切しなかった。だが、最近はその協調政策を変えてきている。最近、オバマ大統領は頻繁に中国の名を挙げて批判するようになったという。

 一方で、習近平主席は、今なお米国とは「新型大国関係」の構築を推進すると公式に言明し続けている。オバマ大統領の声明も含めた米国側の不満や非難に対して、中国側は閣僚級もしくはそれ以下の官僚に対応させ、簡潔に反論を述べるだけで済ませてきた。だから国家主席としては、あくまで米国との協調を求めるという態度は変えていないというわけだ。

だがその一方で、中国当局は米国の利益を侵害する行動を取り続けている。サター氏は、中国がこうして裏表を使い分ける態度を「欺瞞作戦(ダブルゲーム)」と特徴づけた。

日本にも向けられる外交の二面性

 サター氏は、習主席のこの新たな外交攻勢を「近隣諸国や米国に不利益をもたらす大胆な構想」であり、「『国力の回復』や『中国の夢』などという曖昧な自己陶酔の探求」だと描写する。

 そして、中国がこうした野望を抱くことになった土台として以下の要因を列記した。

・経済(過去30年にわたって毎年平均10%以上の経済成長を達成し、製造業、貿易、外貨保有などで世界一の地位を得た。また外国から巨額の投資を受けた)

・軍事(過去20年にわたって毎年平均10%以上軍事予算を増大させた。その結果、アジアで最大かつアジア地域で米軍に挑戦できるだけの能力を持つに至った)

・政治(アフリカやブラジルの最大貿易相手国となり政治的影響力を発揮するようになった。その他の地域でも政治的な役割が増大した)

 習近平政権は、こうした外交の二面性を米国だけでなく日本に対しても行使する可能性が十二分にある。日本も要注意ということだろう。