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4/12ZAKZAK 有本香『中国では報道されない「パナマ文書」 人民が驚きも怒りもしないワケ』、高橋洋一『「パナマ文書」流出の衝撃度 租税回避資産は720兆円 政治家糾弾続く』について
前にも小生のブログで述べましたが、パナマ文書は米国のAIIB参加国を標的にしたものという気がしています。キャメロンはその最たるものでしょう。また中国との武力行使なき戦争で基軸通貨国の強み(テロ・マネロン対策の名のもとに、米国と取引するためには各国の銀行情報を米国に知らせる)を存分に活かし、世界に蓄財している人間を知らせ、反米諸国のリーダーの追い落としを図ろうとしているのでは。
4/12テレビ朝日で遠藤誉が「中国のリーダーが外国に投資しているというのは、共産党に未来はないと思っている証拠」と言っていましたがその通りだと思います。散髪していましたので、音だけでしたが。ただ有本氏の言うように、中国人は平然と受け止めるでしょう。上から下に至るまで汚濁に塗れていますので。やはり、経済崩壊させるのがポイントかと思います。
4/12日経電子版では<中国の地銀、相次ぎ上場へ 不良債権処理に備え
【上海=張勇祥】中国の地方銀行が相次いで株式を上海など中国本土の証券取引所に公開する。杭州銀行や上海銀行、貴陽銀行など8行が監督当局である中国証券監督管理委員会(証監会)から株式公開の承認を得たほか、さらに5行が申請手続きに入った。株式の上場を通じて自己資本を積み増し、景気の減速で今後の増加が見込まれる不良債権の処理に備える。
杭州銀行は年内にも上海証券取引所に株式を公開する見通しだ。ほかに上場を計画しているのは江蘇常熟農村商業銀行や無錫農村商業銀行など、主に農村部で事業を展開する中小銀行。江蘇江陰農村商業銀行のように、深圳証券取引所の中小企業向け市場への上場を検討する例もある。
総資産が1兆元(約17兆円)に達する上海銀行など一部を除けば、多くの資産規模は数百億元から数千億元で、日本の地方銀行とほぼ同程度だ。現在、中国本土の株式市場には16行が上場しているが、大手・準大手の国有商業銀行がほとんどだ。今後、上場銀行が中堅・中小にまで広がり、国内の保険会社など機関投資家や個人が主な買い手となる見込みだ。
中国政府の意向も働いている。監督当局が銀行の新規株式公開(IPO)の認可を加速するのは、景気の減速で増加傾向にある不良債権への対応を急ぐ必要があるためだ。中国の銀行の不良債権は2015年末で1兆2744億元と、過去最高の規模を更新した。
融資全体に占める不良債権の比率は2%弱にとどまるが、「関注類」と呼ぶ不良債権の予備軍を含めると、実態は見かけよりも悪いとの見方は多い。これらの銀行の多くは中国の地方政府や地方政府系の企業が主要な株主に名を連ね、過去に積み上げた採算性の低いインフラ整備事業などが不良債権となっている可能性がある。平安証券の黄輝鋒アナリストは「景気低迷もあり、資本面で圧力を受けている銀行は少なくない」と指摘する。
中国政府は重工業の設備過剰の解消や利益を出せないゾンビ企業の淘汰を進める方針で、今後、不良債権は一段と増える可能性がある。不良債権処理に伴って財務体力が弱い中堅、中小の地方銀行の経営が揺らげば、金融システム全体に悪影響が及びかねない。このため、中堅・中小の銀行を中心に前もって財務体質の強化に動いた形だ。
ただ中国当局が株式市場の需給の悪化を懸念し、実際の新規上場のペースを抑える可能性もある。銀行の財務体質の強化がもくろみ通り進むかどうかは不透明さが残る。>とありました。
機関投資家が買うとなっていますが、買う余裕があるかどうか。機関投資家だって不良債権の山になっているのでは。
4/11FT“China looks to capitalise on improved growth signs” Tom Mitchell and Yuan Yang in Beijing
China’s premier pushed for debt-for-equity swaps and more aggressive measures to reduce the burden on struggling local governments as Beijing tries to capitalise on improved indications for economic growth in the first quarter.
Premier Li Keqiang said on Monday that some localities would be allowed to reduce contributions
“Policy measures taken so far have paid off. At the same time, a lot remains to be done to ensure steady growth, advance reform, and achieve further restructuring of the economy,” Mr Li said at a meeting of provincial leaders attended by several of the nation’s top officials.
The remarks were published after data released on Monday showed some easing in China’s producer prices deflation. Last month’s PPI, a key gauge of the woes plaguing China’s industrial and export sectors, dropped 4.3 per cent, easing slightly from a 4.9 per cent drop in February.
Consumer prices rose 2.3 per cent, largely on the back of a sharp jump in pork prices. Non-food inflation remained modest at 1 per cent.
Chinese officials have been scrambling to paint a more optimistic picture of the economy. While recent data suggest there is some stabilisation, international jitters remain over the slowdown and the extent of the government’s commitment towards rebalancing towards consumption.
A fuller picture is set to emerge this week, with the release of trade data on Wednesday, followed by first-quarter economic growth numbers on Friday. China’s economy last year grew at its slowest annual rate in a quarter of a century.
Despite the more positive March figure, PPI remains deep in deflation, according to Zhou Hao, economist with Commerzbank AG. “From the Chinese authorities’ perspective, it is far more important to get rid of [PPI] deflation,” he said.
China’s PPI has been in negative territory since March 2012, a symptom of heavy industrial spending courtesy of Beijing’s Rmb4tn ($618bn) stimulus to counteract the effects of the global financial crisis. The subsequent price deflation in sectors likesteel has rippled around the globe, adding to tensions between Beijing and its two largest trading partners.
Blowback from lower commodity prices compounded the trend, since industrial input costs account for three-quarters of the country’s PPI. But as a large importer of oil and iron ore, China also benefited from the end of the commodity boom as large trade surpluses helped bolster flagging economic growth.
“Today’s data suggest [China’s central bank] will be less aggressive in monetary easing,” said analysts at ANZ Research, who are now predicting just one more cut this year in the level of reserves banks are required to hold. ANZ had previously expected three additional cuts in the reserve requirement ratio by the end of the year.
China’s benchmark stock index, the CSI 300, rose more than 1 per cent on Monday’s inflation data and is up almost 12 per cent since January 28. The renminbi also strengthened against the dollar and has risen almost 2 per cent against the greenback over the past two months.
最初の部分だけ翻訳しますと
<4/11 FT「中国は改善された成長の徴候を利用するように見える」在北京のトム・ミッチェル、ユエン・ヤン
李克強首相は、北京では第 1 四半期の経済成長の改善された数字を利用しようとしているのと同じように、「債務の資本化」を後押しし、地方政府が苦しんでいる債務の重しを減じるため積極的な政策を採った。李首相は月曜日、国のトップ主催で省のリーダー達を集め、「一部の地域は積立金を減じることが許される。今まで採られた政策手段は効果を生んできた。同時に、なすべき沢山のことが残っている。着実な成長を確保し、改革を進める、さらに経済の構造改革を達成すること等」と述べた。>
デッドエクイテイスワップは債権者が損を引き受けることになります。何故なら健全な企業であれば債務は返済できますが、それができないための窮余の一策ですから。債権者は4大銀行=国ですが、国の損は誰が穴埋めするのでしょうか?税を上げても、3経済主体での30兆$もの債務を返済するのはできないでしょう。
有本記事

習主席に「パナマ文書」が直撃したが… (AP)
この1週間、世界を席巻しているトピックといえば「パナマ文書」である。史上最大の機密文書漏えいで、アイスランドのグンロイグソン首相は辞任を表明し、英国のキャメロン首相は政治生命の危機を迎えている。 「米国と中国がすでに新たな冷戦に入っている」「しからば日本はどうすべきか」を論じる当連載でも、触れずにいられない大事件である。 民主的な国家では、この種のスキャンダルは政治家にとって命取りになりかねない。だが、独裁国家におけるインパクトは限定的ともみられる。 「パナマ文書」に記載のある世界各国の法人、個人の情報1100万件超のうち、実は、件数が最多なのは中国である。習近平国家主席をはじめ、最高指導部7人のうち3人の親族がタックスヘイブン(租税回避地)に登記された会社の株主に名を連ねていることが、すでに報じられた。 しかし、こうした情報は中国国内では報道されないばかりか、発覚直後、中国のインターネットでは「パナマ」という単語すら検索不可能となってしまった。 筆者は先週、来日していた中国メディア関係者と会う機会があったので、「パナマ文書」についても聞くと、彼は次のように語った。 「報道はないが、多くの国民が『パナマ文書』について知っている。外国と行き来する中国人は多いし、在外の親族や友人から情報を得る人もザラにいる。策を講じて、『壁』(=中国当局によるインターネットの検閲システム)を超え、外国のサイトを見る者も少なくない」
ただ、習氏の親族の件を知っても、中国人はさほど驚いたり怒ったりしないという。日本では「腐敗撲滅キャンペーン」を実施してきた習氏自身が、親族名義で外国に財産を隠していたとなると、国民の怒りが爆発するのではないかと報じられたが、実際はさにあらずと。なぜか? メディア関係者は続けた。 「中国では『汚職をしない政治家や官僚は、この世に1人もいない』という人間界の真理を、皆が知っているからだ。資産を外国に移すことも、程度の差こそあれ、多くの国民がやっている。あなた(筆者)が追及している、中国人が日本の不動産を買いあさっている件も同じことでしょ」 彼は一笑に付しつつ、一方で中国メディアが連日、国内のショッキングな事件報道に力を入れ、「パナマ文書」が大きな話題にならないように陽動作戦を展開していることも明かしてくれた。 中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際情報紙「環球時報」は「『パナマ文書』流出の最大の利得者は米国だ」という趣旨の論説を掲載した。そのまま中国政府の公式見解とはいえず、米国の陰謀というのは早計だとしても、確かに現段階での米国のダメージは意外なほど小さい。まったく的外れな見立てともいえない。「パナマ文書」をめぐる、米中の情報戦の佳境はまさにこれから、であろう。
高橋記事

キャメロン英首相も「パナマ文書」をめぐり批判が高まってきた(ロイター)
パナマの法律事務所の内部文書が流出し、世界各国の指導者らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用した資産隠しを行った疑惑が浮上している。 パナマの法律事務所は「モサック・フォンセカ」といい、租税回避地への法人設立を代行していたが、その金融取引に関する過去40年分の内部文書が流出した。20万社以上の企業の詳細な情報が含まれているという。企業の関係者として、株主や役員等がいるが、その中には有名な政治家やその親族、著名な資産家が含まれているようだ。 これらの資料は匿名でドイツの新聞社に送られてきたが、情報量は2・6テラバイトとあまりに膨大なために、その分析は80カ国400人のジャーナリストが行ったという。今回出された文書はごく一部であり、今後も各国で分析に加わったジャーナリストによって公表されていくだろう。 「パナマ文書」には、10人以上の現職・元職の各国首相・大統領の名前が出ている。さらに、40カ国以上の政府関係者の親族や友人の名前も記載されているようだ。ロシアのプーチン大統領本人の名前は出ていないが、友人の名前は出ている。中国の習近平国家主席は義兄、英国のキャメロン首相は父、といった具合に各国首脳の関係者の名前も出ている。今のところ、これらの政府関係の情報では日本人の名前は出ていない。米国の関係者も出ていないようだ。
租税回避地の明確な定義はないが、課税が著しく軽減もしくは全くない国・地域である。具体的には、スイス、ケイマン諸島、香港、パナマなどだ。ルクセンブルク、アイルランドや米デラウェア州もタックスヘイブンだという人もいる。
租税回避地に法人を設立して、その法人との取引を使って、所得・資産を移転させ、課税逃れ・資産隠しを行う。つまり、各種の名目で租税回避地法人に手数料を払う方法などで所得・資産移転を行うわけだ。
これらはあくまで合法の取引であり、租税回避地という国・地域で課税されないという国家主権を逆手にとって、「脱税」ではなく「節税」をしているというのが表向きの理解だ。
世界の金融資産のうち8%が租税回避地にあり、その額は6・5兆ドル(720兆円)といわれ、関係国の所得税・相続税の逸失額は年間1500億ドル(約17兆円)という試算もある。
パナマ文書に関する各国政治家関連の報道を受けて、アイスランド首相は辞任した。これは、パナマ文書の信憑(しんぴょう)性が高いことを意味しており、各国のジャーナリスト魂により火をつけるだろう。中国では、パナマ文書に関してインターネットで検索できず、記事も削除されているという。
引き続き各国で政治家糾弾報道が出て、世界的な競争になる予感がする。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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4/8JBプレス 池田信夫『パナマ文書で見えた世界の「地下経済」 タックスヘイブンを動かす闇のからくり』について
本記事で日本企業は10社と書いてありますが、ネット上では、実態はもっと多く29社程名が挙がっています。調べればもっと、出て来るのかもしれませんが。
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6181.html
菅官房長官は「日本は調査しない」と早々にアナウンスしましたが、調査しないことはないと思います。消費税増税を目論む財務省・国税庁が黙って見ているハズがありません。彼らの税のモットーは「公平・中立・簡素」ですので。合法であったとしても、公平性が欠けていれば立法措置を踏まえて、管理強化するでしょう。「租税回避している企業は覚悟しておけ」くらいではないか。
ファイザーがアラガンの買収を中止した上、本社移転も中止しました。米国のFATCAとパナマ文書公表の影響ではないかと思われます。「Tax inversionは許さない」という米政府の強い意志の反映では。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2744037.html
ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領の出ていたTV「Mr.サンデー」を見ました。「消費の為に自分の大切な時間を潰すのは愚かなこと。好きなことをした方が良い。出来れば何か価値のあるものを残した方が良い。自分の為だけでなく、周りが幸せになるように」との発言は大いに納得するものでした。4度の投獄と銃弾を体に受けたとのこと。本物の人間です。日本の似非インテリの薄っぺらさは微塵もありません。彼は人を集めて正義の実現のために戦うことを主張しています。
http://www.lifehacker.jp/2016/04/160408jose_mujica1.html
同番組で木村太郎は「消費するために働くのではなく、働くこと自体が好きな民族がいると言うのが初めて分かったのでは。認識を新たにしたのでは」というニュアンスのことを言っていました。確かに日本人は西洋の言う“labor”=「労働、苦役」の思いはないと思います。仏教、石門心学から働くことの大切さは日本人のDNAに刷り込まれています。
ムヒカ前大統領は宮根MCの「パナマ文書についてどう思うか?」との問いに、「政治家は儲けたいんだったら商売すれば良い。政治家になるべきでない」と明言。アイスランド首相やウクライナ大統領は合法であっても政治家失格でしょう。国民が経済的苦境にある中で私腹を肥やすとは。ヤツェニュク・ウクライナ首相も辞任しました。パナマ文書に名前が挙がっているのかも?
http://blog.goo.ne.jp/ns-japan/e/c2040c9e8c0b2f0001278f419b123a26
グンロイグソン首相はシグルザルドッティル首相の後を継ぎ、4/7でヨハンソン首相に交代しました。
記事

パナマの首都パナマ市にある、法律事務所モサック・フォンセカが入るビル(2016年4月4日撮影)。(c)AFP/RODRIGO ARANGUA〔AFPBB News〕
パナマの法律事務所モサック・フォンセカから漏洩した機密ファイルが、世界を震撼させている。「パナマ文書」と呼ばれるこの文書は、タックスヘイブン(租税回避地)であるパナマで税務処理を行なってきた「モサック・フォンセカ」が過去40年にわたって扱ってきた膨大な税務情報だ。
南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が4月3日に発表したところによると、そのデータ量は2.6テラバイト、1万4000の金融機関とそのクライアント21万4500社の税務情報が記載されているという。ウィキリークスやスノーデンのファイルより質量ともにはるかに大きく、インパクトも強烈だ。
ケイマン諸島で見たタックスヘイブンの実態
タックスヘイブンというと、実態のないペーパーカンパニーだと思う人が多いだろうが、私はその本拠地として有名なケイマン諸島に行ったことがある。1995年にインターネット上で営業していた銀行が姿をくらまし、その所在地がケイマンということになっていたので取材したのだ。
広さは淡路島ぐらいで、空港のあたりは椰子の木しかない熱帯の島なのだが、高速道路で中心部に入ると、風景が一変する。高層ビルが林立し、それもシティバンクやバークレーズなど、世界の一流銀行ばかり。問題のネット銀行も堂々たる社屋があったが、無人だった。
その銀行に預金をだまし取られた企業の北米本社もケイマン諸島にあったので、たずねてみた。たしかにそのビルは存在し、受付に聞くと会社もそこに登記されている。だが、調べてみると3階建てぐらいのビルに1500社も入居している。それも多くは北米本社とか世界本社としてケイマンで法人税(ほぼゼロ)を払っているが、従業員は受付しかいない。
一応ケイマンにも大蔵省はあるのだが、日本の税務署より小さな建物で、スタッフも数十人。問題の企業についての税務資料を出してくれというと、出てきたのは10ページぐらいの簡単な財務資料だけで、ここ10年の売り上げや利益ぐらいしか書いてない。
税率は実質ゼロなので、財務内容を知る必要がないのだ。それでもケイマンは豊かだ。これだけ多くの銀行があれば、彼らの落とす金だけで小さな島は十分やっていける。一応主権国家なので、他国がケイマンの税率に介入できない。
こんな小さな島に数千の「プライベートバンク」と称する金融機関があるが、その財務内容は “CONFIDENTIAL”としか書いてない。電話番号はあるが、電話しても「顧客の秘密を守ることが当社の使命だ」としか答えない。
地下経済を支配する英米の金融資本
不可解なのは、世界の企業や大富豪が、こんな小さな島の電話しかない「銀行」に何億ドルも預金するのはなぜかということだ。
その答は、現地の弁護士が教えてくれた。「実際にはそんな銀行は存在しない。キャッシュもケイマンにはないんだよ」。実際の取引が行なわれているのは、ニューヨークのウォール街とロンドンのシティのコンピューターネットワークで、「デリバティブ」と称する金融商品でケイマンの証券のようにみせているのだ。
だからケイマンの金融機関の経営者にも、シティの銀行を退職した貴族や大蔵省OBなど、シティの関係者が多い。もとはイギリスの植民地だったので当然だが、正体不明の銀行の多くはシティのダミー会社であり、プーチンや習近平の親族の資産も、実際には英米の投資銀行にあるのだ。
タックスヘイブン自体は違法ではないが、アップルの海外法人がこういう仕組みを利用して利益の1.8%しか納税していないことが議会で批判を浴びた。また、こういう銀行に預けられるのは犯罪や汚職などによって得られた資金のマネーロンダリング(資金洗浄)であることが多い。
アメリカ政府も2001年の9・11の後、ブッシュ大統領がアルカイダの資金が隠されているという理由でケイマン諸島の銀行を摘発したが、失敗に終わった。タックスヘイブンの実態はコンピューターネットワークであり、最近では匿名の「ビットコイン」のような仮想通貨を使えば、タックスヘイブンも必要ない。
世界の金融資産の1割は、こういうタックスヘイブンに隠された「地下経済」にあると推定されている。その最大の原因は、法人税を利益に課税した上に、その残りの配当にも所得税を課税する二重課税だからであり、法人税を廃止すれば租税回避はかなり減るだろう。
タックスヘイブンが麻薬の売買や汚職の蓄財に使われていることも事実だが、問題はそういう犯罪であって租税回避ではない。公共サービスを受けている人が税を負担しないと、財政が支えられなくなるが、これを警察や税務署が摘発するのは限界がある。
現実的な方法は、固定資産のような逃げられない資産に課税することと、消費税を増税することだ。所得税は捕捉しにくく回避しやすいが、消費は隠すことができない。ケイマン諸島に資産をもっている大富豪も、金を使うのは自国なので、そこで課税すればよい。
アジアの政治情勢にも影響か
問題はパナマ文書の信憑性だが、アイスランドのグンロイグソン首相は、この中に本人名義の口座が発見されて辞任したので、その信憑性は高い。他にもロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席の親族の名前も出ており、これが事実だとすれば、問題は単なる租税回避にはとどまらない。
タックスヘイブンには、ソ連が解体したとき国有財産を横領した「ロシアマフィア」の資金が大量にあるといわれ、プーチン自身がそういう「新興財閥」を資金源にしてのし上がってきた人物であり、海外資産の大部分はそういう犯罪による所得を隠した脱税と考えられる。
しかし彼の場合にはロシアマフィア全体が泥棒集団であり、プーチンひとりの問題ではないので、全容が分からない。政敵も「消される」ので、有力な対抗勢力が少なく、摘発する司法当局も彼の支配下にあるので、政権への影響は限定的だろう。
問題は中国である。パナマ文書を伝えるNHKニュースは、中国では放送が中断されたが、これは習近平の名前が出ることを恐れたためと思われる。中国では伝統的に、高級官僚は賄賂で蓄財して一族を養うことが義務とされているので、叩けば誰でも埃は出てくる。
逆にいうと、スキャンダルが表面化したときが政治生命の終わりだ。習近平の有力なライバルだった薄煕来(元重慶市長)は、妻の殺人と海外蓄財の容疑で起訴されて無期懲役になったが、彼より巨額の隠し資産が報じられた温家宝はおとがめなしだった。
習近平は国家主席と共産党総書記と軍事委員会主席を兼務し、かつてない権力を集中しているといわれるが、その権力基盤は意外に脆い。江沢民元国家主席を中心とする「上海グループ(上海閥)」がまだ実権をもち、党内抗争が絶えない。
いま習近平は経済危機の中で政治的に追い込まれ、「虎も蠅も退治する」と銘打って反腐敗闘争を展開している。その実態は上海グループの排除だが、最大の虎が習だとなると政変になる可能性もある。これは東アジアの軍事情勢を不安定化するおそれがある。
パナマで起こった情報漏洩は、世界経済を揺るがすだけでなく、国際政治にも大きな影響を与えるおそれがある。パナマ文書に出てくる日本企業は10社しかないが、これは対岸の火事ではないのだ。
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4/8日経ビジネスオンライン 池田元博『強気を撤回?融和姿勢強めるプーチンの本音 EUの制裁緩和に躍起?』について
4/10日経には池田元博氏の「ロシアと中国にすきま風」の記事が載っていました。ロシアは原油・ガス価格が上がらなければ、国家財政が危殆に瀕すと思われます。日本にも擦り寄ってきている感がありますので、オバマが何を言おうとプーチンと会えば良いでしょう。ただ、領土問題の解決は一気に解決は難しく、大々的な経済支援も契約を反故にされたサハリンⅡや米国とのことを考えると、難しい面があります。しかし、中国包囲網に参加して貰うのを一番の目的とすれば良い。日本も中国が天安門事件で欧米の経済制裁を最初に解除したことがあるのだから、ロシアをそこそこ助けることはできます。敵(中国)の敵(ロシア)は味方です。プーチンも中国の交渉術には値を上げている様子。4/10日経記事によると、「2014年11月には中ロ首脳立会の下、ロスネフチと中国石油天然気集団(CNPC)がバンコール油田の10%の権益を売買する覚書を交わした。ところが最終合意に至らず、ロシアはついに中国を見限ってインドに靡いたわけだ」とありました。
ポロシェンコ・ウクライナ大統領と会い、2000億円も供与するという事はロシアから見れば敵対行為かもしれませんが、羨ましくも思っているはず。ポロシェンコ大統領はパナマ文書に名前が挙がっていますので、用途のチエックをしないと死に金になりますし、その金でロシアとの妥協も働きかけなければ。ミンスク合意での、親ロシア派が支配する東部地域への自治権付与や地方選挙の実施に必要な憲法改正をするよう圧力をかけてほしい。パナマ文書に名前が出たことで圧力はかけやすくなったのでは。そうすれば、ロシアを助けることにもなります。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48389
ロシアも中国と日本を比べてどちらが信頼するに足るか気が付いたのでは。シベリアには合法・非合法に関係なく中国人が沢山入り込んできていると言われています。中国人の発想は他人のものは自分のもの、自分のものは俺のものと言う発想ですから。2011年には、ブータンの国土の2割が既に中国に奪われてしまったと河添恵子氏が言っていました。何もしなければゴキブリのように繁殖してきます。南シナ海の九段線も。歯止めが必要です。
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原油安に加え、ウクライナ危機に伴う欧米の経済制裁に苦しむロシアが西側との関係改善に躍起となっている。シリア和平への積極関与もしかり。政権が狙っているのは、7月末に期限を迎える欧州連合(EU)の対ロ制裁解除だ。
およそ50カ国の首脳らが一堂に会し、米ワシントンで先に開かれた核安全保障サミット。「核なき世界」を唱えたオバマ大統領の〝総決算〟ともいえる国際会合だったが、本来はこの種の会合で主役級を務めるはずの、ある首脳の姿がなかった。米国と並ぶ核超大国、ロシアのプーチン大統領である。
オバマ政権への嫌がらせ?
米ロ関係は2年前の2014年春、ロシアによるウクライナ領クリミア半島の併合とウクライナ東部への軍事介入をきっかけに、「新冷戦」と言われるほど冷え込んだ。今回の核安保サミットへの参加拒否も、ロシアに冷淡なオバマ政権への嫌がらせとみるのが自然だが、真相はやや異なる。
実は、ロシアがこのサミットへのプーチン大統領の「欠席」を米側に通告したのは、1年半も前の14年10月のことだ。米ロ対立が頂点に達していた時期で、翌11月にはロシア外務省がわざわざ欠席を通告した事実を公表、米国との対決姿勢をあおったほどだ。まさに当時としては嫌がらせだったわけだが、その後のロシアの対米姿勢の微妙な変化を踏まえれば、早々と「欠席」を公表してしまった以上、今さら撤回しても外交的メンツが潰れてしまうというのが本音だったのではないか。
というのも米ロ関係はなお冷え込んだままとはいえ、外交面では昨年来、イランの核合意、シリアの化学兵器の廃棄完了など米ロ協調の成果が相次いでいたからだ。なかでも今年2月末、米ロ首脳の呼びかけで実現したシリアの一時停戦は、3月の和平協議再開につながった。

シリアに展開していたロシア軍部隊の撤退について演説するプーチン大統領(Sputnik/Kremlin/ロイター/アフロ)
プーチン大統領はその和平協議再開のタイミングを見計らったように、昨年9月末からシリアに展開していたロシア軍部隊の撤退も命じた。欧米からの批判も根強かったシリア空爆から手を引くことで、西側との融和を演出する方向に舵(かじ)を切ったともいえる。その流れをさらに生かそうとすれば、今回の核安保サミットも出席したほうが外交的な利点は大きかったのかもしれない。
GDP3.7%ダウン――苦境に立たされるロシア経済
では、ここにきてロシアが西側との関係を軌道修正し始めた理由は何か。狙っているのはやはり、ウクライナ危機を機に米欧がロシアに科している厳しい経済制裁の緩和だろう。
ロシア経済は原油安に加え、制裁の打撃で苦境に立たされているからだ。昨年の国内総生産(GDP)成長率はマイナス3.7%に落ち込んだ。できるだけ早く、制裁を緩和してほしいというのが本音だろう。

もちろん、シリア情勢とウクライナ危機は別問題だ。先月下旬、モスクワを訪れプーチン大統領、ラブロフ外相と会談したケリー米国務長官は対ロ制裁について、ウクライナ東部の和平プロセスを規定した「ミンスク合意」がすべて履行されれば、「制裁を緩和するというオバマ大統領の約束を厳守する」と表明した。
米国はミンスク和平プロセスに直接関与しておらず、この合意を順守しないのはロシアだと一方的に決めつける傾向が強い。米国の制裁緩和が容易でないことはロシアも分かっている。制裁問題でロシアが注視しているのはむしろ、欧州連合(EU)の動向だ。
EUの主要国であるドイツとフランスはミンスク合意に直接関与した。EUも米国同様、ミンスク合意の履行を制裁緩和の条件としているものの、米国ほど対ロ姿勢は強硬ではない。
ロシア、ウクライナと距離的に近いこともあって、合意の履行が進まないのはロシアだけの責任ではなく、ウクライナ側にも非があると認識している。たとえばミンスク合意は、親ロシア派が支配する東部地域への自治権付与や地方選挙の実施などを規定しているが、ウクライナのポロシェンコ政権はそのために必要な憲法改正をいまだに実現できていない。
さらに経済の絆が希薄な米ロと違い、EUとロシアの経済のつながりは非常に深い。EUは石油や天然ガスの対ロ依存も高く、EU加盟国の中でも対ロ制裁に否定的な国は少なくない。
独外相への対応ににじむ切実なアピール
そのEUはこれまで、米国とともに数次にわたって対ロ制裁を発動し、半年ごとに延長してきている。このうち、金融取引や石油分野の技術供与の制限などを盛り込んだ最も厳しい制裁は7月末に期限を迎える。EUは6月中にも延長するかどうかを決める見通しだが、ロシアはまさに、この制裁の撤回や緩和をもくろんでいるようだ。
折からロシアが対抗措置として14年8月に導入し、延長している欧米の農産物・食料品の禁輸措置も6月末をメドに再延長するかどうかを判断する見通しだ。EUが制裁を緩和すれば、欧州製品の禁輸措置は撤回する腹積もりなのだろう。もちろん、プーチン政権は制裁緩和を公に要請しているわけではないが、EUを何とか懐柔したいという思惑は随所に垣間見える。
一例は先月下旬、ケリー米国務長官に先だって訪ロした、ドイツのシュタインマイヤー外相への対応だ。独外相はプーチン大統領、ラブロフ外相とともに、経済を統括するメドベージェフ首相とも会談した。そのメドベージェフ首相は独外相との会談の直前、ロシアの政府系投資ファンド「ロシア直接投資基金」のキリル・ドミトリエフ総裁を呼んで協議し、その内容を公表した。
ドミトリエフ総裁「欧州の投資家やビジネス界は制裁に強く反対している。彼らは、政府が6月にも対ロ制裁を緩和するのではないかと期待している」
メドベージェフ首相「もし彼ら(EU)が賢明な決断をすれば、我々はもちろんあらゆる分野で協力を拡大する用意がある」
明らかにドイツ向けの発言といえるだろう。
当のメドベージェフ首相は今年2月、ミュンヘン安全保障会議に参加した際にも、ユーロニュースのインタビューで「我々は米国ともEUとも良好で実のある関係になりたい。とくにEUは最も重要な貿易パートナーだ」と指摘。対ロ制裁とロシアの報復措置についても「互いに利益を失うだけ」とし、制裁を先に発動したEU側に「我々はこの日をもってやめるから、あなたたち(ロシア)も対抗措置をやめてほしいと勇気をもって言うべきではないか」と呼びかけ、早期の制裁解除を暗に求めた経緯もある。
「幅広く協調する用意がある」
傍証をもうひとつ。ラブロフ外相が今年3月、ロシアの外交専門誌「グローバル政治の中のロシア」に寄稿した論文だ。
「ロシア外交の歴史的展望」と題したもので、キエフ・ルーシ(キエフ公国)がギリシャ正教を導入した988年以来の歴史を振り返りつつ、「常用されるテーゼとして、ロシアは常に欧州の裏庭で、欧州政治のアウトサイダーだったといわれるが、これは史実からは確認できない」と断じた。
論文はさらに、近年も東西冷戦の崩壊後には「欧州の分裂を決定的に克服し、『欧州共通の家』という夢を実現する現実的なチャンスが芽生えた」と指摘。ロシアも前向きに取り組み、多くの提案をし、主導的役割を果たそうとしたとしている。ところが、「残念ながら西側のパートナーたちは別の道を歩み、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を選択した」と続く。
NATO批判の論調は相変わらずだが、結論として繰り返し強調しているのは「我々は米国やEU、NATOと対立するつもりはない。ロシアは西側のパートナーたちと幅広く協調する用意がある」ということだ。この点は目を引く。同論文もやはり西側、とくにEUを意識した融和のアピールとみていい。
EUの制裁緩和を水面下で画策するロシア。当面は6、7月を照準に、欧州への揺さぶりを本格化させていくだろう。
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4/8日経ビジネスオンライン 北村豊『「慈善法」成立後に“詐欺的慈善家逮捕”の報 13年間の寄付総額は252億円と豪語も…』、4/8ZAKZAK『習主席“失脚危機” 権力中枢の親族らに「資産隠し」疑惑 「パナマ文書」直撃』について
中国は政治・経済・外交・軍事あらゆる面で行き詰まっている感があります。大きく見れば一党独裁の共産党統治、言論の自由を認めないシステムが起こしているものでしょう。それに民族性の問題、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という基本的価値観や自己中心・散沙の民と言うのが挙げられます。社会的にはあらゆる階層で収賄するのが当たり前という感覚も問題です。
南シナ海の件では、G7外相会合での共同声明に準じた形で「国際司法裁判所の判断尊重」が盛り込まれるようです。今月下旬の岸田外相の訪中キャンセルが起こるかもしれませんし、官製反日デモが起きるかもしれません。中国の今までのやり方から言って、何もしないことは考えにくい。少なくとも、爆買いに訪れる中国人の数を制限することやネット取引を制限するでしょう。尖閣で中国漁船の拿捕のときにレアアース取引を制限したのは記憶に新しいでしょう。でも日本政府は織り込み済みと思います。でも中国が何もしなければ逆に中国政府内の権力闘争が激化していると見た方が良い。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160409/k10010472681000.html
陳光標の話は中国社会では普通に見られることです。学歴詐称は当り前、何せ偽の公的領収書や卒業証明書が広州で売られていましたから。偽のタバコ・酒・化粧品も路上で普通に売られています。海賊版のDVDも。まあ、中国社会でのし上がるにはコネが必要なので、北村氏の言うように、裏には上海派との繋がりがあるのかもしれません。
パナマ文書で胡耀邦の親族が関係しているというのは「あらゆる階層での収賄」の傍証になると思います。天安門事件の引き金になった彼の死は劇的でしたが、やはり汚濁に塗れていたという事です。富坂氏は相変わらず、現政権支援のコメント。まあ、情報収集のためには現政権を持ち上げないとダメなことは理解しますが。
中国でNHKBSニュースが遮断(点で真っ黒)されることは駐在時代結構ありました。リアルタイムで放送している訳でなく、数秒のタイムラグを置いて監視し、都合の悪いことは遮断してしまう訳です。政権に都合の悪い報道をさせない仕組みこそ共産党統治の正体です。日本共産党なんて非合法化すれば良いのに。暴力革命を綱領から外さないのは政党とは言えず、テロリスト集団です。米国では非合法化されています。米政府から公的補助を受けられないだけのようですが。
https://www.npa.go.jp/archive/keibi/syouten/syouten269/sec02/sec02_01.htm
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A
北村記事
中国の国会に相当する“全国人民代表大会”(以下「全人代」)の第12期第4回会議は、3月5日から12日間の日程で開催され、3月16日に閉幕した。最終日の16日には全人代期間中に審議された9項目の議案に対する投票による採決が行われ、全議案が賛成多数で可決された。
『慈善法』はこの日可決された議案の一つであった。『慈善法』は、中国政府“民政部”(日本の総務省に相当)が2005年に法案の起草に着手したもので、同法の草案は2015年に10年の歳月を費やして完成をみた。この草案は2015年10月30日に全人代“常務委員会”第12期第17回会議へ提出されて、最初の審議が行われた。その後、同常務委員会の第二次審議を経て修正された『慈善法』草案は、2016年1月11日に“中国人大網(中国人民代表大会ネット)”上に公表され、1月31日を期限として草案に対する公開の意見募集が行われた。意見募集には169人から661件の条文に対する意見が寄せられ、それら意見を踏まえて修正された最終案が、議案として全人代に提出された『慈善法』草案であった。
慈善活動に政府認定の資格を要する
3月16日に全人代で行われた『慈善法』議案に対する表決の結果は、投票総数2857に対して賛成2636票、反対131票、棄権83票であった。反対票と棄権票が合計で214票もあり、賛成票は92%に過ぎなかったが、圧倒的多数であることに変わりはなかった。『慈善法』が可決された後、全人代常務委員会委員長の“張徳江”は、「『慈善法』は中国の慈善制度を規定する基本的かつ総合的な法律であり、我が国の慈善事業の健全な発展を促進し、その法的保証を提供するものである」と述べた。『慈善法』が全人代を通過したことを受けて、“国家主席”の“習近平”は3月16日付で第43号主席令に署名して『中華人民共和国慈善法』を公布し、2016年9月1日から同法を施行する旨を告知した。
こうして成立した『慈善法』は全12章112条から成る。同法は慈善組織を「法に基づいて成立し、本法の規定に合致し、社会に向けて慈善活動を展開することを主旨とする非営利組織」と規定し、その形式は基金会、社会団体、社会サービス機構などと限定した上で、慈善組織としての公的な登録が必要としている。このため、慈善組織として認定されていない民間組織や個人は募金活動ができないことになる。これは大きな問題で、冤罪や迫害を受けている弱者の救済活動や弁護活動のための募金活動が違法となることを意味する。
また、同法は「慈善組織が公開の募金活動を行うには、政府認定の資格を必要とする」と規定し、政府認定資格を持たない民間組織や個人による公開の募金活動<注1>は禁じられている。これには民間組織や個人による公開の募金活動を規制することにより、反政府活動の資金源を抑え込む目的が見え隠れする。もっとも、同法には慈善組織の管理費を10%に限定するとか、慈善組織に定期的な会計報告を義務付けるなど条項が含まれ、募金の使途を明らかにする努力は認められるものの、慈善法が一党独裁強化の手段に使われることが懸念される。
<注1>公開の募金活動には、募金箱の設置、チャリティー活動、テレビ・ラジオ・出版・ネットによる募金活動などが含まれる。
前置きはさて置き、本題に入る。『慈善法』の成立からわずか2週間後の3月30日の夜、インターネットの掲示板にハンドルネーム“中国可信的政界人士(中国の信用できる政界人)”と名乗る人物が、「慈善家として名高い“陳光標”が詐欺などの犯罪容疑で先ほど逮捕された」との情報を書き込んだ。この書き込みはネットユーザーの注目を集め、30日当夜および31日に“微博(マイクロブログ)”やSNSの“微信(WeChat)”を通じて全国へ伝えられ、大きな話題となった。
逮捕は誤報も、やつれた表情で
しかし、31日に北京紙「新京報」の記者が陳光標の経営するリサイクル企業“江蘇黄埔再生資源利用有限公司”(以下「江蘇黄埔公司」)へ電話を入れて事の真相を問い合わせると、電話に出た人物は「陳光標は上海へ出張中であり、連絡が取れないとか逮捕されたというようなことはない」と答えた。そこで、同記者は陳光標に連絡を取り、ウェブカメラを通じてインタビューを行ったが、ベッドのヘッドボードにもたれかかり、青と白の格子縞のパジャマを着た陳光標は、「私が逮捕されたという噂は聞いているが、別にどうということはない」と述べて、自らの健在を誇示した。
但し、ネットでこのインタビューを見たネットユーザーたちは、画面に映し出された陳光標の痩せてやつれた表情を見て、何かあるに違いないと想像をたくましくした。それもそのはずで、かつてははち切れんばかりに福々しかった陳光標の顔はげっそりと痩せ落ちていたし、俺様はと周囲を睥睨(へいげい)していた眼差しは弱々しいものに変わっていたのだった。あるネットユーザーは、痩せた陳光標の姿に“薄煕来”事件に連座して逮捕された富豪“徐明”<注2>が裁判中に見せた痩せ衰えた姿を重ね合わせ、陳光標にも近々何事(逮捕?)かが起こると予想を立てた。この予想が的中するかどうかは不明だが、ネットユーザーがそう考える理由は何なのか。
<注2>薄熙来は2013年9月に汚職で無期懲役の判決を受けた。徐明は薄熙来を支援した富豪。徐明は2013年に贈賄罪で懲役4年の判決を受け、2015年に服役していた刑務所で急死した。享年44歳。
それでは陳光標とはいかなる人物なのか。
東日本大震災後に救援来日、売名との非難も
【1】陳光標は日本とも無縁ではない。2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方と関東地方の太平洋沿岸に甚大な被害をもたらした。日本で大地震と津波による大災害が発生したことを知ると、陳光標はその日のうちに救援隊をひきつれて日本へ向かった。彼は日本に到着すると、スーパー6軒を巡って、ミネラルウオーター、懐中電灯、食品、衛生用品などの物資を1300万円分買い集め、中国国旗を掲げた5台の小型トラックを連ねて、中国の民間救援隊として千葉、茨城、福島3県の沿海地区にある被災地を回り、救援物資を配布した。この事実は中国のみならず、日本のメディアでも報道された。しかし、被災地訪問時の陳光標はブランド服にピカピカの革靴といういでたちで、自分が被害者を救助する姿やごみを運ぶ姿の写真を撮影することに情熱を傾け、これらの写真をネット経由で見た中国のネットユーザーからは明らかな売名行為と揶揄され、非難された。
【2】さて、江蘇省の北部に位置する“宿遷市”は、前漢の初代皇帝となる“劉備”と天下の覇権を争い、「西楚の覇王」と号した“項羽”の出生地として知られる。その宿遷市の片田舎にある貧困な農民家庭に5人兄弟の1人として、1968年7月に生まれたのが陳光標(47歳)であった。当時は中国全土を揺り動かした「文化大革命(1966~1976年)」の混乱期で、陳光標の実家は極度の貧困状態にあり、陳光標が2歳の時に兄と姉を飢餓で亡くした。この恐ろしい記憶が陳光標に「自力で運命を変え、必ず貧困を抜けて金持ちになる」という信念をもたらし、後に慈善家として貧困者や被災者を支援する基礎となった。
【3】陳光標のその後の経歴は以下の通り。すなわち、1990年に江蘇省の“南京中医薬大学”を卒業。卒業後は一旦実家へ戻るが、1991年に“南京市”へ出て金儲けの方策を練る。1997年、陳光標にとって最初の創業企業である“南京金威利電子医療器械有限公司”を設立。その後、1998年から2001年までの4年間に“南京大学”のエグゼクティブMBA修士課程を修了し、南京大学商学院に学び工商修士を取得。2003年、陳光標にとって事業の中核となる江蘇黄埔公司を設立。2008年、“清華大学”経営学院のエグゼクティブMBA学位を取得。
南京中医薬大学を卒業したことは本当かもしれないが、南京大学のエグゼクティブMBA修士課程修了、南京大学商学院の工商修士取得、さらには清華大学経営学院のエグゼクティブMBA学位というのには疑問が残る。エグゼクティブMBAはカネさえ出せばだれでも取得できるとも聞く。また、南京大学商学院の工商修士がビジネスの片手間に取得できるとは思えない。ショーン・マクアードル川上氏と同様に学歴詐称の可能性も考えられる。また、南京市の医療機器業界に詳しい人によれば、陳光標が最初に創業したという南京金威利電子医療器械有限公司という会社の名前は聞いたことがないとのことで、実在したかどうかは極めて怪しい。はっきり言って、経歴のほとんどが詐称の可能性が高い。
【4】陳光標が表舞台に登場したのは、2008年4月26日だった。この日、中国政府“民政部”などの党・政府機関が指導し、“中国社会工作協会”が主催する「2008年中国慈善ランキング」の表彰式が開催され、陳光標は「中国慈善家ランキング」の第1位を意味する“首善(トップ慈善家)”に選ばれて表彰を受けた。2007年を通じて陳光標が個人で寄付した資金や資材の総額は1億8100万元(約32億5000万円)であり、過去5年間累計の寄付総額は4億7500万元(約85億5000万円)とされ、その寄付の方式は慈善組織を経由せず、被支援組織に直接寄付するものだった。
慈善家ランキングでは「対象外」
【5】翌年の2009年4月に発表された「2009年中国慈善家ランキング」では、陳光標は“首善”は逃したものの第2位に選ばれ、最高の賞である「最も影響力を備えた中国の慈善家」という称号を獲得した。2008年の陳光標の寄付額は2.1億元(約37億8000万円)であった。2010年4月に発表された「2010年中国慈善家ランキング」では、再び“首善”に選ばれた。陳光標は2008年5月12日に発生した“四川汾川大地震(四川大地震)”の被災者の救援に活躍し、“全国抗震救災模範(全国震災救援模範)”に選出され、過去10年間で総額8.1億元(約145億8000万円)もの資金や資材を寄付していることが高く評価されたのだった。また、陳光標は2010年9月に、自分が死んだら50億元(約900億円)以上に上る全財産を社会に寄付すると宣言した。
【6】ところが、その翌年の2011年4月に発表された「2011年中国慈善家ランキング」には陳光標の名前は無かった。この点について主催者の中国社会工作協会は、陳光標の寄付は現金や現物が多く、しかも被支援組織に直接寄付しており、その事実を確認することが困難であるため、今回の中国慈善家ランキングでは陳光標を選出の対象外としたと述べた。要するに、主催者がようやく陳光標が行ったとする寄付行為および寄付金額の信憑性に疑問を持つようになり、慈善家選出の候補者リストから陳光標を除外したというのが実態だった。陳光標は、「寄付行為は自分が30歳だった1998年から始めたもので、2010年までの寄付総額の累計は14億元(約252億円)に達している」と豪語したというが、どう見ても眉唾らしい。
【7】陳光標はかつてメディアに対して、江蘇黄埔公司の営業収入は、2004年が59億元(約1060億円)近くだったが、2006年と2007年の営業収入は平均して90億元(約1620億円)を超えたと述べたことがあった。しかし、これに疑問を感じたメディアの記者が江蘇省政府の関係部門が発表した「江蘇省民営企業上位100社ランキング」を調べたところ、第100位企業の営業収入は、2006年が19.7億元(約355億円)、2007年が31.7億元(571億円)で、90億元を遥かに下回っていたし、上位100社には江蘇黄埔公司の名前は無かった。
【8】記者が企業を監督管理する“工商行政管理局”の資料を調べたところでは、江蘇黄埔公司の業績は、2003年が販売収入738万元(約1億3280万円)、利潤309万元(約5560万円)に過ぎず、2004年から2009年までの6年間は連続の赤字で、2009年時点における累積赤字は1696万元(約3億530万円)に達していた。また、販売額は2007年が920万元、2008年が4229万元、2009年が3296万元に過ぎなかった。どこから見ても、陳光標が述べた江蘇黄埔公司の営業収入は誇大であり、陳光標が寄付したとする金額を捻出できるとは思えなかった。ましてや、1998年から2010年までに累計14億元もの寄付を行ったという話を裏付ける証拠はどこにも無かった。
【9】その陳光標の名が世界に知れ渡ったのは、2014年1月だった。彼は米紙「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」の買収を目的に訪米したが、肝心のNYTが身売りの計画はないとして面会を拒否したことで、買収を断念した。さらに、2014年6月に訪米した際は、250人のホームレスを高級レストランに招待するというパフォーマンスを行ったが、参加したら1人当たり300ドルを渡すという約束を反故にして大きな騒動を巻き起こした。また、この時期、陳光標が国連から「世界一の善人」という認定書を受領するということが話題となったが、国連(United Nations)とは異なり、最後の“s”が無い“United Nation”というインチキ団体の認定書であることが判明し、そのために3万ドルを支払ったと正直に告白した陳光標は笑い者にされた。
江沢民一派、本当に逮捕も?
民政部などの党・政府機関が指導する「中国慈善ランキング」において、陳光標が2008年および2010年の「中国慈善家ランキング」で“首善”に選出されたのはどうしてか。上述した14億元もの寄付が誇大広告であったとしても、陳光標が四川大地震や東日本大震災などの被災地に出向いて救援活動を行っていたことや貧困者の救済を行っていたことは事実である。それならば、そうした救援活動や救済の費用はどこから来たのか。彼が経営する江蘇黄埔公司にはそれだけの能力が無い以上は、背後に支援者が存在するとしか考えられない。
インターネットの掲示板に書き込まれた「慈善家として名高い陳光標が詐欺などの犯罪容疑で先ほど逮捕された」との情報が今後正しいものになるかどうかは分からないが、“習近平”政権が打倒しようとしている政敵の“江沢民”が陳光標の後ろ盾兼支援者だと考えれば、当該情報が今後起こることの先ぶれだとしても納得が行く。陳光標は今後どうなるのか。中国国民は今後の動向に注目している。

ZAKZAK記事
「パナマ文書」が中国の習近平政権を揺さぶっている。習主席の義兄に続き、現役最高幹部2人の親族がタックスヘイブン(租税回避地)の法人を所有していたことが発覚。権力中枢の現役常務委員7人中3人の親族に「資産隠し」疑惑が浮上し、「反腐敗運動」で政敵を粛清してきた習指導部の正当性が根本から疑われる事態となった。国内で厳しい情報統制を敷くが、「文化大革命以来の内紛になる」との指摘もある。5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)でも回避地問題が厳しく追及されるのは確実だ。 巨大企業や富裕層、権力者らの税逃れや資産隠しに利用されているとの指摘がある租税回避地の法人設立を援助するパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から内部文書が流出した。 この「パナマ文書」を共同通信も参加する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が分析したところ、中国共産党序列5位の劉雲山(りゅう・うんざん)政治局常務委員と、同7位の張高麗(ちょう・こうれい)筆頭副首相の親族の法人利用が明らかになった。 劉氏の義理の娘、賈立青(か・りっせい)氏は、回避地の英領バージン諸島に2009年に設立された法人の取締役で株主だった。また張氏の義理の息子、李聖溌(り・せいはつ)氏はバージン諸島の3法人の株を保有していた。
すでに習主席の義兄もバージン諸島のペーパーカンパニーの所有者になっていたことが判明。現役常務委員7人中3人の親族がそろってパナマ文書に名を連ねた。 現役以外では、江沢民元国家主席に近い有力者の曽慶紅(そう・けいこう)元国家副主席や賈慶林(か・けいりん)全国政治協商会議前主席、李鵬元首相、胡耀邦元総書記、さらに中国建国の父として知られる毛沢東元主席の親族も回避地法人の株主となっていた。 歴代の中国共産党指導者の親族が、不透明な金融取引の温床とされ、資本主義の暗部ともいえる回避地を利用しているというのは不可解だが、とりわけ「トラもハエもたたく」と反腐敗運動を進めてきた習指導部にとっては大きな痛手だ。 経済が減速する中、当局は社会の不満が習指導部に向けられる事態を懸念しており、疑惑を徹底的に黙殺する構えだ。 中国当局は文書について厳しい報道規制を敷き、国内メディアは中国関係の部分を報じていない。インターネット上には批判が書き込まれ、次々と削除されている。 6日夜には、習主席らの親族の回避地利用を伝えたNHKのニュース番組が3回にわたって計約4分間、中断。画面が真っ暗になり音も聞こえなくなった。 習主席らの問題など中国に関する部分を中断した一方で、アイスランドのグンロイグソン首相が辞意表明に追い込まれたとの部分は中断されておらず、習指導部は、みずからのスキャンダルに神経をとがらせている様子がうかがえる。7日昼のNHKのニュース番組でも同様の内容が数分間にわたり中断された。
中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏は「習政権は反腐敗運動で中間層以下に圧倒的な人気があり、国民は政権のスキャンダルを望んでいない。在外資産をめぐる報道は過去にもあったが、批判の声が巻き起こるといったことはなく、今回も政権に大きな痛手を与えることはないだろう」とみる。 一方、「パナマ文書を引き金に文化大革命以来の内紛に突入する可能性がある」と語るのは、国際政治学者の藤井厳喜氏。「火種の一つが党内闘争だ。習政権は自身の派閥を増やす目的から海軍と空軍の強化に乗り出し、その意欲の表れとして、南シナ海への進出が行われている。一方で、予算と人員の削減が行われた陸軍には不満が渦巻いている。反腐敗運動で利権を失った派閥の反発も高まっており、パナマ文書は彼らがクーデターを起こすきっかけを作ったともいえるだろう」と分析する。 5月の伊勢志摩サミットでも、税逃れなど回避地問題が議題となる方向になった。習政権の内憂外患が強まりそうだ。
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4/7日経ビジネスオンライン 鈴置高史『トランプとオバマの間で惑う朴槿恵 「韓国切り捨て」も困る、「米朝接近」も困る』、4/8『交渉カードなき韓国は米中の「捨て駒」に 日本も「安保環境の激変」に遭遇する』について
「事大主義」・「自尊主義」で中国人以上に狡猾な朝鮮民族といったところでしょうか。自分の分際を弁えていません。世界に慰安婦の嘘を撒き散らし、官と民の違いを便法として使う姑息なやり方を取ったりします。
トランプは金持ちだから韓国の裏金には手を出さない、ハニーも整形美女では相手にしないでしょう。米国で逮捕された韓国人売春婦の顔を見れば、金を貰っても致したくないというのが実情です。それで中韓に汚染されていないので思い切ったことが言える訳です。強欲・嘘つきで中国からの金塗れになっているヒラリーとは違います。でもこのところの予備選でトランプの勢いも削がれて来ました。過半数を取るのが難しくなってきているようです。党大会での決選投票になれば敗れる可能性もあります。そうなれば、誓約書を無視して無所属で本選に出るかも知れません。ヒラリーの圧勝となります。トランプ、ヒラリーとも人物的には大統領に相応しいとは思えません。こういう人たちしか大統領有力候補として出て来なくなったところに米国の衰退の影が見えます。
http://jp.wsj.com/articles/SB12748367622113273976104581642051454458470
http://jp.wsj.com/articles/SB11840501165892254124304581597931434358822
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178932
韓国が今頃になってしおらしくしても本質が世界に理解されて来たから、今までのように持ち上げることは各国ともしないでしょう。人の良い日本人も流石に慰安婦の嘘、南京虐殺の嘘を世界に言いふらす中韓を嫌いな人が増えて来ています。今更揉み手で「通貨スワップ」をと言われても、今までのような甘い対応は日本政府が取れなくなっています。7/10衆参同日選を考えれば、そんなことをしたら自民党は惨敗です。何せ世論調査で中国人が嫌いなのは8割超、韓国人が嫌いなのは6割超いますので。
http://www.recordchina.co.jp/a131191.html
オバマのレガシー作りの為、北とも平和協定を結ぶかもしれません。ただ、イラン・キューバ共に上院の批准がなされていません。大統領選と同時に上院の1/3の選挙があり、その結果によって民主党が過半数を取れれば批准の可能性もあります。(wikiには上院出席議員の2⁄3の賛成とありますが)
日本も平和ボケしてなくて国防を真剣に考えないと。日本のメデイア、日教組、共産党、反日民進党が中韓の手先となってそれを邪魔してきました。いつまでも騙されていたのでは、抑止力が減じ、本当に戦争になりかねません。呪縛を解かねば。
記事

「サイレントマジョリティーはトランプを支持!」と書かれたプラカードに囲まれるトランプ氏。「切り捨て論」の連呼に、韓国は危機感を募らせる(写真=AP/アフロ)
(前回から読む)
朴槿恵(パク・クンヘ)外交が惑う。米国で「韓国切り捨て論」と「北朝鮮への接近構想」が同時に語られ始めたからだ。
日韓には核武装させよ
—米大統領の予備選でトランプ(Donald Trump)候補が、日本と韓国には核武装させろ、と言い出しました。
鈴置:共和党候補の中で支持率トップを走っている人ですから、この発言は日本でも大いに注目を集めました。トランプ氏がニューヨークタイムズ(NYT)のインタビューに答え、語ったものです。
記事は「In Donald Trump’s Worldview, America Comes First, and Everybody Else Pays」(3月26日)で、日韓に関する部分は3段落目から。要旨は以下です。
- トランプ氏は、日本と韓国には米国の核の傘に頼らせるよりも、自前で核武装させた方がいい、と述べた。彼は、日韓が駐留経費をちゃんと支払わないのなら米軍を撤収すべきだ、と語った。
日本の多くのメディアはこの発言を報じる際に「核武装」を見出しにとりました。が、トランプ氏の主張の本質は「日韓との同盟破棄論」です。
駐留米軍のコストをすべて払え。それが嫌なら同盟を破棄する。同盟を失ったらやっていけないというのなら、日韓は勝手に核でも持てばいいだろう、という理屈です。
韓国はただ乗りだ
トランプ氏は予備選出馬当初から、韓国に関し「安保ただ乗り」と言い募ってきました。NYTに語る5日前、ワシントンポスト(WSP)のインタビューを受けた時にも、韓国を名指しして「ただ乗り」批判をしています。「核武装」には言及しませんでしたが。
記事は「A whirlwind day in D.C. showcases Trump’s unorthodox views and shifting tone」(3月21日)で、韓国に関する部分は下から2番目の段落からです。
- トランプ氏は「韓国は豊かで大変な工業国家だ。だが、我々はしていることへの正当な対価を(韓国から)受け取っていない」「我々はいつも船や飛行機を送って戦争ゲームを行う。というのに、かかった経費のほんの一部だけ支払ってもらっているのだ」と語った。
- アジアに関与することで米国は利益を得ていないか、との質問にトランプ氏は「個人的にはそうは思わない」と答えた。
2015年秋からトランプを警戒
過激化する一方のトランプ発言に、オバマ(Barack Obama)大統領もほっておけないと考えたのでしょう。4月1日に以下のように批判しました。
外交政策や核政策、朝鮮半島や世界の多くを知らない人の発言だ。米国にとって日韓との同盟はアジア太平洋でのよりどころであり、地域の核拡大の可能性を防いできた。この重要性が分かっていない人に、ホワイトハウスの主になってほしくない。
米国の指導層も「外交の素人であり、子供に聞かせられないような下品なもの言いのトランプ氏が大統領に選ばれることはまずない」と口をそろえます。
でも韓国人は、トランプ氏が大統領にならなくても彼の度重なる発言により「韓国切り捨て論」が米国で勢いを増すのではないかと恐れているのです。
—韓国のメディアは日本より先に騒いでいましたね。
鈴置:ええ、韓国紙は2015年秋からトランプ発言に注目していました。シニア記者は「ただ乗り論」を警戒し、反論もしてきました(「日本を『一撃』できる国になりたい」参照)。
「身に覚え」のあった韓国人
—なぜ、韓国メディアは日本よりも早く騒いだのでしょうか。
鈴置:韓国人は「身に覚え」があったからです。朴槿恵政権は米国には後ろ足で砂をかけ、中国側にすり寄りました。「ただ乗り」どころか「裏切り」です。
2015年10月には朴槿恵大統領との共同会見の席で、オバマ大統領が「韓国が我々と同様にしっかりと声をあげて中国を批判することを望む」と語ったことさえあったのです(「蟻地獄の中でもがく韓国 」参照)。
それだけに韓国人は「裏切り者として、米国に捨てられるかもしれない」と、トランプ発言に首をすくめてきたのです。言説から推測するに、トランプ氏はまだ「韓国の裏切り」に気づいていないと思いますが。
米国がトランプ化するのではないかと韓国が恐れ始めたまさにその時、米国が中国の意見を取り入れ「非核化のために、北朝鮮と平和協定も話し合う」と言い出しました。このあたりは前回説明した通りです。
韓国はトランプ候補だけではなく、オバマ大統領の動きにも神経を尖らせることになったのです。
「米中朝」対「韓」
—「平和協定を巡る米中の談合」に韓国人はいつ気がついたのですか?
鈴置:2月23日の米韓外相会談の直前まで、韓国メディアが知らなかったのは確かです。2月18日、聯合ニュースが「中国、平和協定を並行して論議……『韓米日』対『朝中』、北の核で『同床異夢』」(2月18日、韓国語版)を配信しました。
前日の2月17日に王毅外相が「非核化と平和協定を同時に進める交渉を提案したい」と発言したことを受けて書かれたものです。見出しの「『韓米日』対『朝中』」を支えるのが以下のくだりです。
- 中国が対話を強調しているが、韓米日は6カ国協議再開には北朝鮮が最小限、核凍結の措置をとるなど非核化の意思を見せねばならないとの立場を維持している。
この時、少なくとも平和協定に関しては「韓米日」対「朝中」から「米中朝」対「韓」の構図に変化しかけていた。それなのに、聯合ニュースは「中国が何と言おうと、我々の後ろには米国が付いている」と考えていたのです。
なお、この記事は韓国外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官の以下の発言も報じています。
- 現時点では北朝鮮が挑発を中断し、誠意ある非核化の意思を見せることが(平和協定の論議よりも)優先されねばならない。
核開発の時間稼ぎ
この発言から韓国政府が「米中の談合」を知っていたかどうか、推し量るのは難しい。政府は自分が外されかけていることを知っていたかもしれません。ただそうだったとしても、メディアに漏らしていなかったのは確実です。
まだこの時点で、普通の韓国人は米国との「平和協定よりも非核化が先」という合意が、生きていると信じていたのです。
だから米中外相会談後のケリー国務長官の発言――「北朝鮮が非核化を話し合う場に来れば、最終的には平和協定も可能だ」に、韓国人は大きなショックを受けました。
朝鮮日報の朱庸中(チュ・ヨンジュン)副局長兼国際部長が書いた「非核化と平和協定の並行論は敗着だ」(3月3日、韓国語版)は韓国の焦りを代弁しました。結論が以下です。
- 韓国政府の頭の上で米中が新しい絵を描くのなら尋常な話ではない。平和協定問題に関し韓国は消極的だ。しかし今、平和協定を持ち出す時ではないことを、米国にも中国にも堂々と語るべきである。
なぜ韓国人が平和協定を議題にするのが危険と考えるのか、日本人にはピンと来にくいので、北朝鮮の意図を説明した部分を翻訳します。
- 1973年のベトナム平和協定により米軍が撤収した2年後に、ベトナムは共産化された。北朝鮮にとっては、同じことが朝鮮半島に起きることが最も望ましい。
- しかし、これはさすがに難しい。そこで北朝鮮は国際社会の対北制裁に関する雰囲気を和らげるか、あるいは密かな核・ミサイル開発の時間稼ぎをするために平和協定攻勢を繰り返すのだ。
引導を渡された韓国
—北朝鮮が平和協定を唱える目的の1つは、核開発の時間稼ぎにあるのですね。
鈴置:ええ。というのに北の提案に、中国に加え米国までも乗り始めた。このため、2月23日の米中外相会談の後、米国務省の定例ブリーフ「Daily Press Briefings」では「米朝対話」や「平和協定」に関する質問が連日のように出ることになりました。
「米国は王毅外相の『並行協議』提案を受け入れ、先に北の非核化、その後に平和協定――という方針を変えたのか」との質問です。いくつかは、韓国の記者によるものと思われます。
まず、2月26日のブリーフでトナー(Mark C. Toner)副報道官が「6カ国協議の再開を望んでいる」とケリー長官の言葉を確認しました。米中南北日露による6カ国協議は、平和協定を議論する場になります。原文は以下です(「平和協定を巡る動き」参照)。
- I think we want to see the Six-Party process start again.
| 平和協定を巡る動き(2016年) | |
| 1月6日 | 北朝鮮、4回目の核実験 |
| 1月15日 | 北、米韓演習中断と核実験中断・平和協定締結の取引を提案 |
| 2月7日 | 北朝鮮、長距離弾道ミサイル実験 |
| 2月17日 | 王毅外相「非核化と平和協定を同時に進める交渉を提案」 |
| 2月21日 | |
| WSJ「4回目の核実験の前に米朝が平和協定に関し秘密交渉」 | |
| 米国務省報道官、WSJJ報道に関連「北が交渉を提案してきた」 | |
| 2月23日 | |
| ケリー国務長官「北が非核化を話し合う場に来れば平和協定も」 | |
| 王毅外相「6カ国協議再開を通じ中国の当然の役割を果たす」 | |
| 2月26日 | 米副報道官「6カ国協議再開を望む」 |
| 3月2日 | 国連安保理、対北朝鮮制裁案を採択 |
| 3月3日 | 米報道官「並行協議に関し米国が排除したことはない」 |
| 3月7日 | 米韓合同軍事演習開始(4月30日まで) |
| 3月8日 | ソン・キム特別代表「韓国が知らない米中の秘密取引はない」 |
| 3月11日 | リッパート駐韓大使「イラン、キューバ、ミャンマーと関係改善」 |
| 3月14日 | 尹炳世外相「韓米中3カ国協議は遠くない未来に稼働と期待」 |
| 3月15日 | 金正恩第1書記「早いうちに(次回の)核とミサイル実験を断行」 |
| 3月20日 | オバマ大統領、キューバを訪問し21日にカストロ議長と会談 |
| 3月22日 | ソン・キム代表と金烘均・本部長、3カ国協議推進で一致 |
さらに3月3日のブリーフで国務省のカービー(John Kirby)報道官が「(非核化と平和協定を)何らかの形で並行して協議する可能性について米国が排除したことはない」と語りました。
- we haven’t ruled out the possibility that there could sort of be some sort of parallel process here.
結局、一連の記者とのやり取りの中で米国は、韓国に対し「6カ国協議を再開し、そこで平和協定も話し合うことにした。中国も合意している。文句はないな」と引導を渡すことになったのです。
オバマよりトランプがまし
韓国にとって“トランプ大統領”の方がまだましかもしれません。「朝鮮半島から米国が逃げ出す」のに過ぎないからです。いざとなれば、トランプ氏の勧めに従って、核武装する手もある。
一方、オバマ大統領は核武装を許してくれないまま「韓国の敵との接近」に動いているのです。いずれにせよ、米国の2つの“新思考外交”が韓国を惑わせることになります。
(次回に続く)=4月8日に掲載予定

(前回から読む)
米国と北朝鮮の関係改善を目指す「平和協定」。韓国は米中が仕切る以上、抗えないと悟って条件闘争に切り替えた。
秘密取引はない
—前回は、米中が談合して平和協定も話し合う多国間対話に動く。それを知った韓国が動揺している――という話で終わりました。
鈴置:「自分をないがしろにして米国が北朝鮮と接近するのではないか」「北の核武装を黙認するのではないか」と韓国人は疑心暗鬼に陥りました。米政府もさすがにまずいと思ったのでしょう。国務省幹部が韓国メディアの個別インタビューを相次いで受けました。
まず3月8日、ソン・キム(Sung Y. Kim)北朝鮮担当特別代表がワシントンで聯合ニュースと単独で会いました。韓国系米国人で、駐韓大使も歴任した朝鮮半島の専門家です。
発言のポイントは以下です。会見記事「ソン・キム米特別代表『非核化が最優先』……中国と秘密取引なし」(3月9日、韓国語版)から引用します。
- 中国の主張通りに、米国が「非核化と平和協定の論議を並行して行おう」と決めたことは絶対にない。
- 韓国が知らない(米国と)中国の秘密の取引は断じてない。
「並行協議」で詭弁
—並行協議を否定していますね。
鈴置:詭弁と言ってよいでしょう。米中間では「並行協議」を決めていないかもしれません。が、6カ国協議で「非核化」に加え「平和協定」を議論すれば、実質的に「並行して協議」することになるからです。
「秘密取引はない」というのは本当でしょう。米中は6カ国協議再開には合意したものの、それ以上は決めようがありません。協議は米朝の間の極めて複雑な駆け引きになるからです(「朝鮮半島を巡る米、中朝のカード」参照)。
| 朝鮮半島を巡る米、中朝のカード | |
| 米国 | 中国 |
| THAAD配備留保 | 従来より強い対北朝鮮制裁容認 |
| 米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 | 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断 |
| 米朝平和協定(不可侵協定)の締結 ・米朝国交正常化 ・在韓米地上軍撤収 ・在韓米軍撤収 ・米韓同盟廃棄 | 北朝鮮の核兵器廃棄 ・核弾頭の増産中断 ・弾頭再突入技術の開発中断 ・弾頭小型化技術の開発中断 ・保有核兵器の全廃 |
| 「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障 | |
注)左右の項目は必ずしも連動しない
続いて3月11日、リッパート(Mark Lippert)駐韓米国大使がソウルで韓国外交部の担当記者団と会いました。アジアの安全保障の専門家であり、オバマ(Barack Obama)大統領の側近とされる人です。
なお大使は、2015年3月にソウルで暗殺されかけたことがあります。犯人は反日・反米を唱える韓国人でした(「『米大使襲撃』で進退きわまった韓国」参照)。
韓国各紙は、リッパート大使はこれまでに表明した米国の立場を改めて説明した、と報じました。ニュースはなかったとの判断です。しかし大使の発言をよく読むと、韓国にとって不気味な部分があったのです。
ハンギョレの「駐韓米大使『北朝鮮の非核化を最優先、政権交代が目標ではない』」(3月13日、日本語版)から引用します。
- (大使は)バラク・オバマ政権がイラン、キューバ、ミャンマーなどとの複雑な問題を、外交を通して解決した事例を挙げ「北朝鮮指導部にはよく考えてみてほしい」と注文した。
「キューバ」に昇格?
2015年、米中を含む国連の常任理事国とドイツは、イランと核合意を結びました。それはイランに核を放棄させるものではなく、核開発に歯止めをかけるものに過ぎません。
というのに、イランへの経済制裁は解除されました。世界中の政府と企業が貿易や投資の拡大を狙い、イランに乗り込んでいます。
キューバへは3月20日にオバマ大統領が訪れたばかりです。米大統領としては88年振りの訪問でした。2015年の国交回復に続き、経済制裁の全面解除に向けた動きです。
「キューバの人権問題は解決していない」と制裁解除に反対する声が米国には根強い。それにもかかわらずオバマ政権はキューバ訪問を決行したのです。残りの任期が1年を切る中での実績作りと見られています。
リッパート発言を注意深く読んだ韓国人は、こう考えたでしょう。
北朝鮮が核開発を中断したフリをすれば、米国は「対イランと同様に対北制裁をやめよう」と言い出し、キューバとのように国交を正常化するつもりだな。
ことに、リッパート氏は「単なる大使」ではなく、大統領のアドバイザーであり、側近なのです。その発言は重い。
親中のミャンマーも引き寄せた
—確かに、この記事をじっくり読んだ韓国人はぎょっとしたでしょうね。
鈴置:軍事独裁国家として孤立していたミャンマーとも、米国は関係改善を模索しました。2012年、政治犯の釈放や民主化と引き換えに、米国を初めとする西側は一気に制裁を解除しました。
—日本の産業界のミャンマーブームも本格化しています。
鈴置:親中国家と見なされていたミャンマーを「こちら側」へと引き込んだのです。中国と勢力圏争いをする米国は、ミャンマーの次に北朝鮮を狙うとの見方が当時からありました(「次は北朝鮮に触手?米国、中国包囲網作りへ全力」参照)。
オバマ政権の外交政策は同盟国や米国の保守派の間で極めて評判が悪い。「米国は世界の警察官ではない」と演説して世界への関与を急速に薄めました。結果、中東では「イスラム国」(IS)が台頭し、アジアでは中国が、ウクライナではロシアがやりたい放題です。
平和協定はゴールポスト
—オバマ大統領は名誉回復のために、北朝鮮とも無理筋の関係改善をしかねないということですね。
鈴置:その通りです。韓国人、ことに保守派が危機感を募らせるのも当然なのです。
—朴槿恵(パク・クンヘ)政権はどうするつもりでしょうか。
鈴置:どうしようもありません。米中が足並みを揃えて「皆で集まって、北朝鮮との平和協定も論議しよう」と言っているのです。もう逆らえません。
政権に近いとされる、中央日報の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題論説委員(大記者)が書いた「米国と中国の談合を警戒する」(3月18日、日本語版)が象徴的です。
- 韓国の外交当局が韓米・韓中関係がうまくいっていると、ほらを吹いている間に、韓国は2つの強大国が置く将棋盤の駒の身分になっているのではないか。
- 金正恩(キム・ジョンウン)が狂乱の剣の舞いを踊って私たちまでがゆらゆらと調子を合わせれば、韓国は王毅(中国外相)がつくった平和協定というゴールポストに向かって、米国と中国に引きずられて行く境遇になるだろう。
米中の将棋の駒に
—平和協定を警戒していますね。
鈴置:ええ。しかし、これに続く文章――記事の結論が興味深いのです。以下です。
- 米中の意図を正確に把握して、平和協定は必ず韓国・北朝鮮と米中が署名する2プラス2方式を貫徹しなければならない。
結局は、警戒すべき平和協定に関し「交渉で我が国が外されないようにしよう」と主張したのです。背景には「我々が何と言おうがどうせ、平和協定は結ばれる」との諦めがあるのです。
なお、この記事には「将棋の駒」との例えが出てきます。韓国語版(3月17日)では「韓国将棋の歩」です。
中国共産党の対外威嚇用メディア「環球時報」が2月16日の記事で、韓国を米中の打つ碁の石に例えました。英文版ではチェスのポーン(Pawn)に例えました(「米国から『ピエロ役』を押し付けられた朴槿恵」参照)。
中国は「お前はプレーヤーではなく『捨て駒』なのだ。偉そうな顔をするな」と韓国に言い渡したのです。それ以降、韓国紙は自虐を込めて「碁石」「駒」という単語を使うようになりました。
韓国は世界のリーダー
—韓国政府も米中の要求をのむつもりでしょうか。
鈴置:もう、のんでいると思います。最近、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が興味深い発言をしています。朝鮮日報の「尹炳世、また自画自賛『荒波の北東アジアを順調に航行』」(3月15日、韓国語版)から引用します。
- 尹炳世外相が3月14日、在外公館長会議の開会の辞で「韓国は今やグローバルリーダー」「今が韓国の多国間外交の全盛期」と述べた。
- 昨年、同じ席で「米中双方からラブコールを受けることは我が外交の祝福」と語ったのに続き、2年連続で外交成果を自ら誇ったのだ。
—すごい自己認識ですね。
鈴置:今や韓国でも、朴槿恵外交は「米中からは『捨て駒』扱いされ、日本・北朝鮮とは関係が悪化した」と酷評されています(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」参照)。それとは正反対の自賛です。
当然、朝鮮日報の記者もあきれ顔でこの記事を書いています。ただ、尹炳世外相の大言壮語はいつものことです。もっと注目すべきは以下です。
- 尹炳世外相は「6カ国協議の枠組みの中で、韓米中の3者対話も遠くない将来に動かすことができると期待している」と述べた。
いつの間にか、韓国の外相が6カ国協議の再開を前提として語っているのです。要は米中に押し切られたのです。
「3者対話」で面子守る
—「韓米中の3者対話」とは?
鈴置:朴槿恵政権がスタート当初から唱えていた会談です。韓国主導で米中韓が北朝鮮問題を議論する――との構想でした。
もっとも、この構想は不発に終わっていました。中国からは「北朝鮮を孤立させたくない」と断られ、米国からは「日本を外すのはまずい」と指摘されたようです。米中の本音は「朴槿恵のスタンドプレーに付き合っている暇はない」ということでしょうが。
韓国が3者対話をまた言い出したのは「見栄」のためと思われます。米中に強要されて、北朝鮮を喜ばすだけの「平和協定をも議論する6カ国協議」に参加せざるを得なくなった。
それならせめて自分が主張していた3者対話を実現してもらおう、ということかと思われます。3月22日には韓国外交部が「米国と3者対話の推進で合意した」と発表しています。米国とすれば韓国に対する宣撫工作――「朝三暮四」のつもりでしょう。
朴槿恵政権は国民に対し「米中双方から信頼される国になった。両大国の力を借りて日本と北朝鮮を叩いている」と誇ってきました。その宣伝は政権への支持率を上げる特効薬でもありました。
ところが実態は大きく異なることが国民にも知られ始めた。そこで朴槿恵政権は周辺国から軽んじられるたびに「米中を操る、世界のグローバルリーダー」という自画像を演出してみせるのです。
軍事力こそ外交カード
—「平和協定に関する協議は北朝鮮と米中だけで実施すべきだ」と北が言い出す可能性が高い、とのことでしたね(「韓国を無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。
ええ、韓国が朝鮮戦争の休戦協定に署名していないため、北朝鮮は時々、そんな嫌がらせを言うのです。平和協定は休戦協定を格上げする性格のものですから、一応、理屈はあるのですが。
韓国が「3者対話」を立ち上げたがるのは、北のこの嫌がらせに対抗する狙いもあるのでしょう。
—3者対話を開いたとして、どんな意味があるのですか。
鈴置:何もありません。韓国は譲歩したり脅したりする「外交カード」を持たないからです。その韓国が加わっても、中身のある話し合いは期待できません。3者対話に限らず、米中南北の「2プラス2」だろうと、6カ国協議だろうと本質的には同じことと思います。
—韓国は自らの命運を左右する協議で発言力を持たないということですね。
鈴置:十分な軍事力と国民の戦う決意を持たないからです。自分の国を自分で守れない以上、国際社会で確かな発言力は持てません。それは日本も同じことです。
結局、たぶんこれから開かれるであろう朝鮮半島を巡る協議は、韓国にとって面子を保つことに汲々とする場となるでしょう。
「瓢箪から駒」の6カ国協議
日本も、6カ国協議が開催される可能性が高まっていることに注目すべきです。米朝関係が進展すれば在韓米軍の削減・撤収問題が射程に入ってきます。日本を取り巻く安保環境が大きく変わります。そして、拉致被害者を日本に取り戻す機会にせねばなりません。
—でも、そんなに簡単に米朝間の対話が進むのでしょうか? 双方が軍事力を誇示して威嚇し合っているというのに。
鈴置:そこが国際関係の面白いところです。「瓢箪から駒」となるかもしれないのです。
| 平和協定を巡る動き(2016年) | |
| 1月6日 | 北朝鮮、4回目の核実験 |
| 1月15日 | 北、米韓演習中断と核実験中断・平和協定締結の取引を提案 |
| 2月7日 | 北朝鮮、長距離弾道ミサイル実験 |
| 2月17日 | 王毅外相「非核化と平和協定を同時に進める交渉を提案」 |
| 2月21日 | |
| WSJ「4回目の核実験の前に米朝が平和協定に関し秘密交渉」 | |
| 米国務省報道官、WSJJ報道に関連「北が交渉を提案してきた」 | |
| 2月23日 | |
| ケリー国務長官「北が非核化を話し合う場に来れば平和協定も」 | |
| 王毅外相「6カ国協議再開を通じ中国の当然の役割を果たす」 | |
| 2月26日 | 米副報道官「6カ国協議再開を望む」 |
| 3月2日 | 国連安保理、対北朝鮮制裁案を採択 |
| 3月3日 | 米報道官「並行協議に関し米国が排除したことはない」 |
| 3月7日 | 米韓合同軍事演習開始(4月30日まで) |
| 3月8日 | ソン・キム特別代表「韓国が知らない米中の秘密取引はない」 |
| 3月11日 | リッパート駐韓大使「イラン、キューバ、ミャンマーと関係改善」 |
| 3月14日 | 尹炳世外相「韓米中3カ国協議は遠くない未来に稼働と期待」 |
| 3月15日 | 金正恩第1書記「早いうちに(次回の)核とミサイル実験を断行」 |
| 3月20日 | オバマ大統領、キューバを訪問し21日にカストロ議長と会談 |
| 3月22日 | ソン・キム代表と金烘均・本部長、3カ国協議推進で一致 |
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