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『対中ビジネス、懸念広がる 10年後の中国経済は?「2~3%低成長」半数近く 日中関係、国内ビジネスパーソン調査』(7/29日経)について

7/28産経ニュース<石平「九段線」とは中国が地図上に引いた線にすぎない 「世界は中華帝国の所有物」は妄想というしかない

今月12日、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は南シナ海領有権問題に関する裁定を下した。最大のポイントは、中国が南シナ海の広い範囲に独自に設定した「九段線」なるものに「法的根拠はない」とし、この海域に対する中国の「歴史的権利」を完全に否定したことにある。

世界主要国の大半が裁定の正当性を認めていることからも、裁定はまったく適切なものであると思う。問題はむしろ、中国政府が今までどうやって、南シナ海に対する自らの「歴史的権利」を主張できたのか、である。

中国側の主張をつぶさに見れば、証拠という証拠の提示はほとんどなく、ひたすら「権利」を主張するだけのいいかげんなものであることが分かる。「九段線」というのは中国が地図の上で勝手に9つの破線を引いて、フィリピンやベトナム近海までを含む広大な海域を「中国のもの」にしてしまった話だ。

国際法の視点からすれば、このような「領有権主張」はまさに乱暴というしかないが、実は現在の中国政府が主張する「九段線」は、かつて中国大陸を統治した国民党政権が設定した「十一段線」から受け継いだものだ。

つまり、「国際法無視の領有権主張」に関していえば、今の中国共産党政権も昔の国民党政権も「同じ穴のむじな」なのである。

2つの政権は両方とも、自国の国名に「中華」を冠したことからも分かるように、対外意識の根底にあるのは、やはり、中国伝統の「中華思想」である。

昔ながらの中華思想は、外部世界に対する「中華」の絶対的優位性を主張するのと同時に、いわゆる「王土思想」を世界観の基軸としている。

中国古典の《詩経》小雅(しょうが)に、「普天(ふてん)之(の)下(もと)、王土に非(あら)ざるは莫(な)く、率土(そつど)之(の)浜(ひん)、王臣に非ざるは莫し」というのがある。現代語に訳すれば、

「天の下に広がる土地は全て天の命を受けた帝王の領土であり、その土地に住む人民はことごとく帝王の支配を受(う)くべきもの」という意味だ。

漢王朝以降の中国歴代王朝においては、そのまま中華帝国の政治原理となっている。要するに中華帝国の人々からすれば、天命を受けた「天子」としての中国皇帝こそが「天下」と呼ばれるこの世界の唯一の主であるから、世界の土地と人民の全ては中国皇帝、すなわち中華帝国の所有物となっているのだ。

このような世界観において「領土」と「国境」の概念は存在しない。全ての土地は最初から中国皇帝の所有物であるから、それをあえて「領土」と呼ぶ必要もないし、「国境」を設定する必要もない。

世界全体が中国皇帝を中心にして無限に広がっていく一つの同心円なのである。

現代の国際感覚からすれば、このような世界観は笑うべき「妄想」というしかないが、近代までの中国人は本気でそう信じていたし、その残滓(ざんし)たるものが今でも、中国の指導者やエリートたちの意識の根底に根強く染み込んでいるのだ。

だからこそ、以前の国民党政権は何のためらいもなく南シナ海の広範囲で勝手な「十一段線」を引くことができたし、今の中国政府はこの海域に対する「歴史的権利」を堂々と主張することができる。要するに彼らの潜在的意識には、南シナ海であろうと何々海であろうと、最初から中華中心の「同心円」の中にあるものだから、おのずと「中国のもの」なのである。

これは冗談として済ませる話ではない。1人か2人の中国人がこのような妄想を抱くなら一笑に付する程度の話だが、核兵器を含む巨大な軍事力をもつ大国の中国がこうした時代錯誤の妄想に基づいて実際に行動しているから大問題なのである。>(以上)

7/29ZAkZAK<田村秀男 世界各地が中国化する恐れ…習政権の厚顔無恥を咎めない国際社会

古代中国を舞台にした司馬遷の「史記」では、口舌に長(た)けた英雄群像が描かれている。その弁論術は実に巧妙だが、現代中国の共産党幹部はその伝統をねじ曲げている。真っ赤な嘘をつき、黒を白と言いくるめて国際ルールを踏みにじる。  25日に閉幕したラオスでの東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国外相会議では、中国の王毅外相が、南シナ海での中国の主張を退けたハーグの国際仲裁裁判所の裁定を非難し、共同声明で触れさせなかった。中国の圧力に弱いカンボジアなどへの根回しが効いたためで、王毅外相は「(ASEAN外相らとの会談で)中国の提案が支持と賛同を得た」と吹聴する始末である。  中国・成都で23、24の両日開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、議長の楼継偉財政相が、中国の地方政府などの債務の膨張問題について、「解決は容易ではないがシステミックリスクはない」「国内の貯蓄率が高いため投資の伸び維持は可能」と言いのけた。中国の銀行融資と地方政府や企業の債券発行はそれぞれ年間で約200兆円、約220兆円と急増している。国際通貨基金(IMF)の分析によれば、銀行の不良債権比率は国内総生産(GDP)比で20%を超え、1990年代の日本のバブル崩壊期のピークをはるかに超えている。ハーグ裁定と同様、北京は徹頭徹尾、リスクを否定し、政府の手で金融危機を防げると主張する。

10月には、人民元がIMFの特別引き出し権(SDR)構成通貨に組み込まれ、円を押しのけドル、ユーロに次ぐ第3位の国際主要通貨の座を確保する予定だが、その条件である金融自由化を進めるどころか、外国為替市場に介入を続け、株式市場を党による統制下に置いている。国際合意もルールも無視して平然とし、信用バブルを膨張させる。  党幹部は国内の過剰生産の削減には取り組むと言いながら、鉄鋼などのダンピング輸出にいそしんでいる。市場原理にまかせずに、国有企業を温存するためにそうなるのだが、北京は各国に対し、「市場経済国」としての認定を迫るという厚顔無恥ぶりだ。  ところが、である。国際社会ではどの国も中国に対してはあいまいな態度しかとらない。南シナ海で米国は中国との軍事衝突を恐れる。IMFも米国も欧州、日本も中国の金融自由化約束の履行を口にしないし、人民元のSDR認定取り消しを検討する気配がない。中国の債務爆弾が破裂すればグローバル化した金融市場が巻き込まれると恐れるからだ。  このままだと、何が起きるのか。習近平政権は膨らませた人民元を武器に海外で兵器、先端技術、さらにエネルギー・食料など戦略物資を、富裕層は日本を含む快適な居住環境のある先進国で不動産を買い漁る。一方では軍事脅威の拡大、他方では世界各地の中国化が加速するだろう。 >(以上)

石平・田村両氏が共通して言っていますのは、中国人の自己中心的な生き方です。いつも言っていますように中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というものですから。南シナ海、東シナ海だけでなく、ブータンにまで中国人を入植させ、中国領土としようとしています。長野朗が言ったように「アメリカは$の力によって、ロシアは軍事力によって、中国は人の数によって」他国に進出しようとします。田村氏の言う「世界各地の中国化」(≒チャイナタウン造り、その国の伝統文化の破壊)が進んで行っています。日本を含めた西側社会が見て見ぬ振りをすれば、チエンバレンの宥和政策と同じになります。中国のバブル崩壊を恐れて先送りすればするほど大爆発となって世界を揺るがせます。チャイナマネーが軍事拡張と世界の不動産買収に充てられ、焦げ付いたときの後処理をどうするつもりなのでしょうか。中国人・朝鮮人の発想は“too big to fail”なのでしょう。敵が潰れるまで価格競争します。董明珠氏の『市場烈烈』を読むと良く分かります。中国の鉄の過剰生産も世界の鉄鋼産業を壊滅させるための仕掛けと見れば分かり易い。ソフトバンクの孫氏も同じ発想でしょう。ARMの買収もうまくいくかどうか。

http://jp.wsj.com/articles/SB12334390200972253966304582196851451900104

http://jp.wsj.com/articles/SB12334390200972253966304582196851451900104

日経の本記事は日本人の平和ボケを表していると思います。日本国内でアンケートを取ったからだと思います。それでも、10年前と比べれば中国に対する脅威の思いは強まっていると感じますが。中国在住の駐在員にアンケートを取れば、「中国からの撤退」や「事業縮小」の意見が増えると思います。所詮国内にいる日本人は海外にいる日本人のことは考えていないという事でしょう。拉致被害者に関しても「我関せず」、政治に無関心で自分の生活のことだけしか考えない日本人が増えています。やっと自衛隊機がアルジェリアの人質事件後に飛ばせるようになり、南スーダン内乱で自衛隊の陸上救出も可能になりました。左翼は海外邦人の救出には冷淡です。自分勝手な連中で中韓と同じです。自衛隊の海外派遣は平和憲法違反なんて自分の子供がテロリストに捕まっても無視するのでしょうか?ピースボートの世界一周旅行が正しく左翼の正体を現しています。海賊が跋扈するアデン湾の自衛艦航行を依頼するのですから。彼らの論理は現実の前に破綻しているのは少し考えれば分かるはず。

日経読者のアンケートを読むと、戦後GHQの呪縛が続いているのが分かります。軍事に無関心だから、洗脳が続いていますが、中国経済の伸長は軍拡を齎すといった視点が必要と思います。これは日経の設問が悪いからでしょう。平和憲法は平和を守るのには何も役立つわけがありません。こんなのものは小学生ですら分かる論理です。いじめにあった時に、「皆で仲良く」と先生が言っていると言ったって、いじめっ子がイジメを止める訳がありません。強制力が必要になります。少しは現実を見て、真の賢さを身に着けた大人になれと言いたいです。知的に未熟では。

7/28には日中交流団体「日中青年交流協会」理事長の鈴木英司さん(59)がスパイ容疑で拘束されているのが分かったとのこと。中国に尽くして来た如何わしい人物と思いますがそれでも逮捕されるのですから。理屈は後から取ってつけるだけでしょう。習派VS団派の権力闘争に巻き込まれたという見方もあります。2010年のフジタの社員の逮捕もでっち上げです。軍事施設を撮影なんて普通中国人の案内がいればどれだけ危険か分かっているのに、それをわざとさせたか、していないのにそうしたといった捏造でしょう。南シナ海がきな臭くなる中、戦争が起きれば在中邦人は人質になる危険性があります。日本の経営者は財務的に危険(横領・有報虚偽記載等)がありますが、現地は中国人に任せ家族を含めて帰国させるべきです。授業料と思って。

記事

日経・CSISバーチャル・シンクタンクが実施した日中関係に関する調査(第3回)で、日本のビジネスパーソンが中国経済の先行きに厳しい見方を持っていることが分かった。安全保障面でも中国に対する懸念を強めており、投資先も中国以外を有望視している。中国市場の重要性に対する認識に変わりはないものの、リスクを軽減したいとの姿勢が読み取れる。

201607Nikkei Survey-1

201607Nikkei Survey-2

(1面参照)<以下の通り

中国事業「縮小」4割 政治リスク意識 日経・CSISバーチャル・シンクタンク 国内3000人調査

2016/7/29付日本経済新聞 朝刊

日本経済新聞社と米戦略国際問題研究所(CSIS)が共同で設立・運営している「日経・CSISバーチャル・シンクタンク」は、日本企業で働く社員約3千人を対象に日中関係を巡る意識調査を実施した。南シナ海問題などを背景に中国の政治リスクを懸念する声が多く、今後の対中ビジネスも4割の人が「縮小が望ましい」と答えた。

(関連記事を特集面に)

調査は、日本在住の民間企業で働く係長以上の役職者2827人に、インターネットを通じて5月末から7月中旬にかけて行った。日中関係の意識調査は今回で3回目。

尖閣諸島の接続水域を中国の軍艦が航行したことについて、75%が「日本の領土・領海に深刻な脅威」と回答。人工島を建設した南シナ海情勢に関しては、95%が「反対を表明すべきだ」と答えた。中国でビジネスを行う際に懸念する問題として「政治リスク」を選ぶ人が約80%に達した。

中国経済の先行きも慎重意見が多い。10年後の経済成長率は、5割弱が「2~3%程度になる」と予想。対中ビジネスの方向性も「撤退」(15%)「縮小する」(40%)が、「拡大・発展する」(8%)「現状維持」(37%)を上回った。

新興国で有望な投資先としては、インドが50%、東南アジア諸国連合(ASEAN)が38%で続き、中国(4%)を圧倒した。政治情勢や経済の減速を背景に、中国リスクの分散を図ろうとする姿勢が目立つ。>(以上)

ビジネスパーソン約2800人を対象にした今回の調査は、2014年4月の第2回調査から約2年の時間を置いて実施した。この間、中国情勢は大きく変化している。

経済面では減速が鮮明になり、昨夏には人民元切り下げをきっかけに世界経済の混乱を引き起こした。一方、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立するなど、中国が世界経済で主導権をとろうとする動きも表面化した。

政治面では習近平政権が国内で反腐敗運動を徹底する一方、南シナ海で人工島を造成するなど海洋進出を加速し周辺国との対立を深めている。

こうした情勢の変化を受け、日本のビジネスパーソンの対中観にどんな変化があるかが調査の読みどころだ。

◎ ◎ ◎

過去2回とはっきり変わったのが中国経済の先行きに対する見方だ。

10年後の中国経済について聞いたところ、46%が「2~3%程度の低成長に移行」と答え、34%が「バブルが崩壊して経済が混乱し、マイナス成長の可能性もある」を選んだ。「5~6%程度の安定成長で推移」とみる人は全体の18%にすぎず、前回(32%)、前々回(35%)に比べ半分近くに激減した。

日中の政治的緊張が高まるリスクを想定した場合、日本企業の対中事業についても、「拡大・発展を目指す」は前々回が約20%、前回は10%あったが、今回は8%まで減った。一方、「縮小する」と答えた人は40%で最も多く、「撤退する」も15%あった。

今回調査で新たに取り上げたAIIBについては、6割弱が「加盟する必要なし」を選択。35%が「当面は様子見」とし、全体として消極的な姿勢が浮かび上がった。

貿易関係についても、「中国との貿易自由化は現状程度でよい」が32%で最も多く、「環太平洋経済連携協定(TPP)と同程度の広範で高い水準の自由貿易を目指す」の24%を上回っている。

ただ、中国市場の重要性(約8割が「必要不可欠」と回答)や、日中製造業の競争力比較(約6割が「全体として日本が優位」と回答)など、基本的な対中認識に関しては3回の調査を通して大きな変化があるわけではない。

回答者の属性別に調査結果を見ると、中国ビジネスに直接携わっているかどうかで顕著な差が出た設問もあった。

中国事業に携わる人はそうでない人より対中ビジネス戦略で「現状維持」を選んだ割合が10ポイント以上高く、逆に「縮小」は10ポイント以上少ない。中国経済の先行きでも中国事業に携わる人に楽観論の割合が高い。中国と仕事上のかかわりがあるかどうかで一定の認識ギャップが存在するのは確かなようだ。

◎ ◎ ◎

一方、外交・軍事面に関する回答からは中国の海洋進出に対する懸念が浮かぶ。

中国の南シナ海での行動が日本のシーレーン(海上交通路)確保にどんな影響が出るか聞いた設問では、回答者の半数が自社の事業活動に対して「現時点では影響はないが、将来影響が出てくると思う」と答えた。「すでに影響が生じている」も14%ある。

東シナ海についても、今後5年程度の時間軸でみた場合、「日中の緊張関係は今以上に高まる」が66%、「現在と同等の緊張関係が続く」が29%で、「徐々に沈静化していく」は2%にすぎない。

東シナ海の緊張が高まると答えた人に理由を自由に書いてもらったところ、「中国は国内統制のため国民の目を海外に向けようとするから」(50代の非製造業・部長クラス)、「米国が弱体化し、日本への関与が弱まるから」「中国は現状の枠組み、国際ルールを変えようとしている」(50代の製造業・部長クラス)といった意見が多かった。

中国による南シナ海への進出に日本がどう対応すべきか聞いた設問では、「中国の行動には反対を表明すべきだが、軍事的な関与は避ける」が4分の3近くを占めた。ここからは、中国との決定的な対立は回避したいとの意識が働いているようにも読める。

一方で、回答者の5人に1人が「自衛隊の哨戒機や艦艇を常時継続的に南シナ海に派遣するなど、軍事的な関与をすべき」を選んでいる。

中国の海洋進出に対する不安が日本で対中強硬論の高まりを招いているのか、今後も定点観測を続ける必要がありそうだ。

前回調査時点との違いとしては、台湾で今年5月に民進党の蔡英文政権が発足したことも重要な変化といえる。蔡政権との関係をどうすべきか聞いたところ、日台FTA協議を進めるなど「積極的に関係を強化する」と答えた人が6割弱に上り、中国への刺激を控えるため、「距離を置くべきだ」と答えた人(8.5%)を大きく上回った。

両国で認識にギャップ アカデミックアドバイザー(東京大教授) 川島真氏に聞く

2016/7/29付 日本経済新聞 朝刊

この調査も今回で3度目となった。2012年、2014年との比較では、特に経済面を中心に日中関係への見方はほぼ横ばいになっている。中国への見方も、必ずしも強硬になっているわけではない。しかし、いくつか顕著な変化もある。

Makoto Kawashima

中国国内政治では、共産党政権が不安定でも継続すると60%が答え、中国の民主化への道のりは、20~50年かかるとみる回答が増えた。中国国内では習近平政権への批判は増しているが、日本ではむしろ政権の継続を予測している点が面白い。

そのためか、政治リスクを考慮に入れた場合、対中ビジネスは縮小すべきだとの回答が40%に達した。前回よりも7%近い増加だ。

経済面では、中国市場の重要性への認識は変わらないが、今後の経済見通しが厳しくなった。10年後の中国経済を予測する質問で、34%がマイナス成長の可能性もあると予測した。だが、中国経済と関わりのある回答者ほど、中国経済の将来を肯定的に見ている点には留意すべきだ。

安全保障面を見ると、中国海軍の行動が日本の領土・領海への深刻な脅威だとする回答が4分の3を占め、圧倒的多数が東シナ海の緊張は今後も継続するか、あるいは一層高まると見ている。だが、日本の防衛力については、現状維持でよいとする回答がこの3回の調査で増えている。

しかし、日米同盟に関する問いでは、中国に対抗するために日米同盟を強化すべきだとの回答が、3度の調査で60、54、48%へと減少し、自主的な防衛力の強化が前回の21から26%に伸びた。

これはトランプ現象の影響だけではない。集団的自衛権を含む安保法制が施行され、日米同盟の強化が一段落したからかもしれないが、日米同盟の将来への漠然とした不安があることも否定できない。

日中関係全般では、習近平政権の対日政策を56%が「強硬だ」としたものの、安倍政権により日中関係が悪化したと見る人が75%から52%へ減少し、改善したとの見方が19%から37%へ上昇した。中国政府は南シナ海問題を理由に日中関係の悪化を指摘するが、日本国内では異なる。双方で両国の関係への認識に齟齬(そご)が生じている。

台湾については民進党政権が成立したためか、台湾独立が日本にとってよいとする回答が増え、蔡英文政権と積極的な関係を築くべきだとする回答が過半を占めた。台湾政策について、米国の意向を踏まえるべきだとの回答が30%を割ったのが印象的である。

今回の調査では、中国や日中関係についてだけでなく、米国への印象、日米同盟の位置付けが変化していることが興味深い。

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『『炎黄春秋』停刊宣言は中国の良心の断末魔 右派知識人排除の先に待つのは、絶望への下り坂』(7/27日経ビジネスオンライン 福島香織)について

7/28~7/30まで万座温泉に出かけました。湯質が非常に良く、何度もお風呂に入ったり、出たりしました。長期滞在して湯治する人もいて、80過ぎたお婆さんで、熱海で旅館を経営されている方も1ケ月の湯治に来ているとのことでした。建物は古いのですが、食事はバイキングで野菜が美味しく、お腹いっぱい食べられます。また行きたくなるところでした。

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万座温泉日進館

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対面に見える禿山、硫黄分のせいで植物は育たず

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日進館の源泉、硫黄泉で近くは立ち入り禁止でした

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禿山の上から見た日進館

さて、本記事ですが、福島氏は最後に「「炎黄春秋」停刊宣言は、中国の良心の断末魔であり、中国の未来が絶望の坂を転がり始める、ポイント・オブ・ノーリターンのように感じた。」と述べています。共産中国に言論の自由を求めるのは、八百屋で魚を求めるのに同じで、あり得ない話です。共産党支配をなくさない限り中国人には幸せは来ないという事ですが、果たして今の中国人でそれをどれだけ自覚している人間がいるかどうかですが。自己中が多いので。

人類の不幸が中国国内だけに留まるだけならまだしも中共は世界制覇に向けて着々と準備を進めています。ASEANも日本もチベット、ウイグル、モンゴルのように侵略されるのが嫌であれば、大同団結して中国の野心を挫かないとダメでしょう。日本政府・官邸も沖縄に中国が手を伸ばしてきているのにもっと危機感を持たないと。沖縄独立運動は裏で中国が金を出していると思います。「琉球民族独立総合研究学会」なるものも中国が作らせたのでしょう。中国国内でも「琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」なるものを作ってPRし出しました。日本の外務省は何もせず。腐った組織です。米大統領がトランプになり、日米同盟破棄となった時に日本は中国の軍門に下るつもりでしょうか?温泉地でケント・ギルバート&ロバート・D・エルドリッジの『危険な沖縄』を読みました。日本の左翼は良く「米国の戦争に巻き込まれる」という言い方をしますが、国際関係論の中では「見捨てられるか、巻き込まれるか」のどちらかとエルドリッジ氏は言っています。ノホホンと暮らし、左翼プロパガンダ紙の言うように生きれば間違いなくなく中国の属国です。日米同盟を確固たるものにするには「自国は自国民が守る」ことを決意し、そのため国民一人ひとりができることから行動すべきです。

liberation of Okinawa in China

http://www.mag2.com/p/news/212497

記事

1991年の創刊以来、中国知識人の良心を代表するとして愛読されてきた中国の改革派雑誌『炎黄春秋』がついに停刊に追い込まれた。おそらくは文革発動50周年に関する5月号の記事が最終的なきっかけとなったのだろう。習近平政権になってから何度も停刊危機がささやかれたが今年7月17日になって、社長だった杜導正の署名で停刊声明が出された。過去25年19回にわたって当局から圧力を受け続け停刊の危機に瀕しながらも耐え続けた雑誌が、このタイミングで停刊に追いやられた背景に何があったのか。炎黄春秋停刊から見えてくる中国の未来を考える。

当局による雑誌社乗っ取り

 停刊声明は、このような文面だった。

 「7月12日、中国芸術研究院が一方的に炎黄春秋雑誌社との契約書「中国芸術研究院と炎黄春秋雑誌社協議書」を破毀し、わが社指導機構の総入れ替えを宣言したことは、憲法第35条が与えた“公民の出版の自由”の権利を厳重に侵犯するものである。また明確にわが社の人事、出稿、財務における主権を約定している協議書にも違反している。7月15日、中国芸術研究院が派遣した人員がわが社に強硬に侵入すると、『炎黄春秋』のオフィシャルサイトのパスワードを盗み取り変更し、我らが雑誌の基本的編集出版条件を喪失させた。

 これに鑑み、炎黄春秋雑誌社委員会の討論を経て決定したことは、きょう7月17日即日停刊し、今後いかなるものも『炎黄春秋』名義で発行する出版物は、“本社”と関係ないこととする」

 これはどういうことか。炎黄春秋の主管は一昨年から国務院文化部直属機関である中国芸術研究院となり、その主管機関の研究院がいきなり25年間、社長を務めていた杜導正を解任し、人員を派遣して、編集局を占拠し、雑誌社の資産800万元を差し押さえ、資料や荷物を勝手に運び出し、オフィシャルサイトのパスワードを奪い勝手に変えて、雑誌社から編集権、出版権を奪ったわけだ。そして幹部、編集者を総入れ替えして、雑誌の性質を完全に変えてしまおうと試みたということだ。ちょうど杜導正が妻を看取り、体調を崩して入院したスキをついての、当局による雑誌社乗っ取り事件である。

杜導正はこの声明発表の直前、香港有線電視のインタビューに答えて「これは“公開強盗”と変わらない」「いや文革大革命と全く一緒だ」と激しく非難した。そして、弁護士を立てて、当局のこの無法に抵抗すべく、訴訟の準備をしているという。

 炎黄春秋という雑誌は創刊以来、何度も政治的に敏感なテーマを取り上げてきたアグレッシブな改革派誌だ。もともと天安門事件で失脚した趙紫陽に近い党中央老幹部たちが創刊。当初の主管は解放軍長老・蕭克上将が主導した中華炎黄文化研究会で、研究会の機関誌という体裁だった。このため共産党中央宣伝部がこの雑誌の人事や編集に直接介入できず、編集権の独立がかなり守られていた。社長の杜導正は今年93歳の老体だが、国務院新聞出版総署長などの閣僚経験者で現在の政治局常務委員・劉雲山(思想宣伝担当)の上司に当たる。

「八つのタブー」を守りつつ

 創刊当初は中道左派に位置するポジションだったが2001年2月25日、習近平の父親である開明派(中国的には右派)習仲勲が「炎黄春秋、弁得不錯(炎黄春秋はすばらしい)」との賛を贈ったことから、これを「丹書鉄契」(特権を付与されたというお墨付き)として、次第に右派色を強め、政治体制改革や文化大革命などの敏感なテーマに関する切り込んだ論評や史実の掘り起こしを特色とするようになっていった。

 主に中国共産党史、軍史、国史の重要な歴史事件の当事者の回顧録を通じて、近代史を見直し、中国共産党の歴史的錯誤、例えば飢饉や文革などに対する検証を行い、未来のよりよい党政にフィードバックさせることが目的だ。重大な理論問題や中国の発展方針を示唆するオピニオンも多く載せ、特に政治改革に対しては積極推進派の姿勢を示していた。

 もちろん体制内雑誌としての守るべき一線は心得ていた。雑誌社と当局の間では「八つのタブー」が決められていたという。その八つのテーマとは①軍の国軍化問題②三権分立③天安門事件④党・国家指導者及び家族の批判・スキャンダル⑤多党制⑥法輪功⑦民族・宗教問題⑧劉暁波――。習近平政権以降は⑧は劉暁波から憲政に変わった。それ以外は、雑誌で取り上げてよいということになっており、炎黄春秋はこの八つのタブーを守りながらもぎりぎりのところを狙った原稿を果敢に掲載してきた。

 たとえば天安門事件は八つのタブーに入っているが、天安門事件で失脚した故・趙紫陽の手記や回想録を最初に中国国内の公式メディアで取り上げたのはこの雑誌だ。天安門事件そのものに触れないが、趙紫陽をポジティブに取り上げることで天安門事件にかするようなエッジボール記事を掲載したのだ。

 最近では習近平の個人崇拝傾向にもどこよりも早く警鐘を鳴らしてきた。もちろん習近平を直接批判するような記事ではないが、ロシア語から翻訳された「個人崇拝」の元の言葉について劉少奇が「個人迷信」と翻訳すべきだと主張するものの毛沢東に却下された歴史エピソードなどを載せれば、個人崇拝の危うさを伝えるには十分だろう。炎黄春秋はそういう高度な洞察ができる知的レベルの高い読者を想定した雑誌だった。

しかしこうした果敢な記事を何度も載せてきたせいで、党中央宣伝部からは何度も強い圧力を受けてオフィシャルサイトが閉鎖されたり、雑誌の印刷や配送が妨害されたりした。停刊の危機にさらされたのは、わかっているだけで19回に及ぶ。だが顧問に元毛沢東秘書の李鋭や、農村改革の父として習近平も地方幹部時代に教えを請うた杜潤生を抱え、党の老幹部らの支持も広くあり、中国国内および党内高級幹部の良識的知識人にも愛読者が多いことが幸いして、これまで何とか耐え抜いてきた。

「南方週末」は全面降伏

 共青団派の政治家もおおむね支持者だ。2008年にこの雑誌の最大の庇護者であった蕭克が死去、その年の12月に趙紫陽についてポジティブに取り上げた記事が原因で、社長の杜導正が江沢民派(党中央宣伝部)から猛攻を受けて失脚しそうになったとき、最後に彼を守ったのは胡錦濤だ。ウィキリークスが後に漏らした米大使館公電の中にその詳細があった。

 こうして時の権力者や党の老幹部たちの強い庇護もあって、圧力を受けるたびにそれをはねのけ、部数を伸ばし、最近の発行部数は20万部に上っていた。南に南方週末あれば、北に炎黄春秋あり、そういわれた中国の数少ない良心的メディアだった。

 習近平政権になってこうした良心的メディアに対する弾圧が激しくなり、南方週末は2013年春節特別号の「社説差し替え事件」をはじめ度重なる報道弾圧を受け続けた。また習近平政権は炎黄春秋の編集権にも介入しようとし、老齢の杜導正に引退を迫った。杜導正は2014年10月、同誌をしっかり守れる後継の社長に、開明派政治家・胡耀邦の息子であり、習近平とも話をつけられる胡徳平をつけようとしたが、習近平からの圧力を受けた胡徳平がYesと言わなかった。

 2014年暮れに同誌の主管は文化部傘下の芸術研究院に変更され、いよいよ、雑誌の命である編集権が奪われようとしていた。こういったごたごたの中で、2015年7月に長年編集長を務めていた楊継縄が圧力に屈する形で辞任。彼が2015年の間に雑誌に掲載した記事のうち37本が事前の許可を受けなければならない内容であったと、当局から警告を受けたことを最後の読者への手紙で明らかにしていた。続いて、顧問の杜潤生が2015年10月9日、102歳で死亡、今の党中央指導部にも、影響力を持つような良心的知識人が次々鬼籍に入り、炎黄春秋を守れる立場の人がいなくなってしまった。

 南方週末は、2015年12月3日に「習近平改革三年」と題したごますり長編記事を掲載、これをもって国内外知識人は南方週末が習近平政権に全面降伏した、とささやいた。そして、「炎黄春秋」が習近平に屈するのも時間の問題となっていた。

炎黄春秋の代理人を引き受けている弁護士・莫少平がロイターやRFI(フランス国営放送)などのメディアに語っているところを総合すると、炎黄春秋は目下、中国で唯一真実を語る雑誌であるが、今の共産党はその存続に耐えられないでいるという。弁護士として提訴する努力は続けているが、裁判所は根本的に提訴を受理する気はない。しかも弁護士にまで、警察や国内安全保衛局などから強い圧力がきているという。

 今回の当局のやり方は違法性が高く、悪質であり、社会秩序擾乱に抵触する。公正な法的プロセスを経て、雑誌の復刊と救済が望ましいが、それができるかは今のところなんともいえない、としている。

 また炎黄春秋雑誌社委員会内部筋の話では、「まず停刊して、条件を満たせば復刊の可能性もあるが、条件を認めてもらえねばそのまま廃刊になる」という。杜導正はかつて「玉砕瓦全」(堕落するくらいなら玉砕を選ぶ)と語り、炎黄春秋のプライドを失うくらいなら、中国当代雑誌史上に一部の栄光を残したまま、停刊する選択をする、という姿勢を示していた。今の状況ではそれが現実になりそうだ。

父が賞賛した雑誌に、息子がトドメ

 顧問の李鋭が一部メディアに語ったところよれば、以前に炎黄春秋の主管部門の紛争について、党の老幹部たちが意見書を習近平に送ったところ「封鎖しないで、引導せよ」という指示を出したという。つまり、管理組織の改編によって雑誌の編集方針を当局の都合に合うように変えよ、ということだ。今行われていることは、まさしく習近平政権の方針だと言える。習近平の父親が「すばらしい」と褒めたたえた雑誌に息子の習近平がトドメを指すわけだ。

 炎黄春秋の停刊は、一つの雑誌の終焉というだけではなく、おそらくは中国共産党内右派の敗北、そして排除につながる、中国の行方の左右を決する歴史的な事件といえるだろう。

 この半年、何度か私的に匿名を条件に中国のメディア関係者や知識人との意見交換を行っているが、共通して訴えているのは、文革以来の厳しい知識人弾圧、メディア弾圧が起きているということである。江沢民政権時代、胡錦濤政権時代に許されていた「エッジボール」といわれる、共産党メディアとしてのタブー報道ラインにぎりぎりかするような記事は今ではすべてアウト判定になる。それどころか、明白にコートに入っているボールですら審判は、打ち手が気に入らなければアウトの判定を下して失脚させる状況であり、それはまるで文革時代の右派狩りに似ている。

 なぜそうなっているのか。

それは習近平政権の目指す方向に少なくとも、従来の中国、胡錦濤政権時代に可能性が検討されていた政治改革の目がないからだと思われる。習近平政権樹立後、炎黄春秋内部の改革派知識人たちの仲には、習近平は「隠れ改革派である」という根強い希望的観測があった。実際、習近平は胡徳平とも昵懇であった。

メディア統制の先は、破たん

 だが、その後3年の知識人に対する迫害の事実をみると、その可能性はゼロだということが誰の目にも明らかになった。最近、習近平の内部講話集というものを読み返しているのだが、その中で習近平はこんなことをいっている。

 「私はゴルバチョフのようにはならない。…皆、旧ソ連共産党の失政を歴史上の教訓として学ばねばならない」「政治体制改革はいったん始めればもう、後戻りはできず、またコントロールも不可能になる。その時、私が総書記でおられるか、党の指導的地位を維持できるかわからない。簡単に改革に手を付けて、誰が責任をとるのだ」(2013年2月27日 中南海)。

 中国を旧ソ連のようにしない、政治改革を行わない、という方針は実は習近平は幾度となく主張しており、そのために、軍権を掌握すること、ありていにいえば軍事と政治を一元化することが必要だと何度となく訴えている。胡錦濤政権時代まで党内の隠れたテーマであった解放軍の国軍化問題は完全に封印され、むしろ党と軍の一体化を習近平は目指している。

 今、習近平にとって目障りなのは、改革を期待する勢力、つまり右派知識人であり、右派知識人が集まるメディアである。彼らを弾圧して排除し、世論をコントロールするためのメディア統制を強化しつつ、軍制改革や南シナ海などでの対外強硬姿勢を利用して党と軍の一体化を進め、共産党の執政と指導的地位を維持していく、それが習近平のシナリオではないか。

 だが、そういうやり方では、中国経済が回復に必要な条件である法治の徹底や市場の自由化は遅れ、あるいは逆進し、経済失速に歯止めがかかることは習近平政権が続く限りないだろう。共産党体制は力技で維持できても、息詰まるような言論弾圧の中で、経済も悪化すれば、人々の不満が募る。その不満を対外戦争の興奮に誘導にするにしても、強力な治安維持力によって抑え込むにしても、そういうやり方では、必ずどこかで国家は破たんする。

 「炎黄春秋」停刊宣言は、中国の良心の断末魔であり、中国の未来が絶望の坂を転がり始める、ポイント・オブ・ノーリターンのように感じた。

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『裁定が出ても中国が一歩も引くわけにはいかない理由 「無謬性」の虜となった習近平』(7/25JBプレス 阿部純一)について

習と毛の近似性を筆者の阿部氏は捉えています。共産党政権の初代が毛沢東なら、ラストエンペラーが習近平となるかも知れません。「無謬性」が唱えられるのは絶対神だけで、小賢しき人間が言えるハズもありません。そういう自覚が習には欠けているのでしょう。驕りは身を滅ぼします。

中国の政権が考えているのは「中国共産党の存続が第一で、後のことは重要性から言って大したことがない」と織田邦男氏が言っていました。当然、中国国民のことはどうでもよく、共産党の延命のためには自国民だって簡単に虐殺できるという事です。ですから毛沢東が大躍進・文化大革命を、鄧小平が天安門事件を起こすことが平気でできた訳です。習近平は何事件を起こすのでしょうか?中国大陸は共産党と言う寄生虫に寄生、乗っ取られています。中国国民も気づいていないのでしょう。人民解放軍は共産党の軍隊ですので簡単に国民を殺すことができる訳です。

ASEANの全会一致の原則は逆に結束を弱めることになるのでは。共同声明で中国を名指しして非難できないようでは中国の思いのままになるだけです。南シナ海は中国のものになるでしょう。自分の国の領土・領海は自分で守る努力をしなければなりませんが、ASEANの各国が一国で中国に立ち向かっても個別撃破されるだけです。属国にされて初めて気が付くのかもしれませんが。中国の鼻薬が効いているのでしょう。フィリピンもドウテルテ大統領になってから態度が怪しくなってきています。

7/27日経に小原凡司氏は「軍事拠点化今後も続ける・・・中国は9月に杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議までは過度な挑発行動は避けるかもしれないが、今後も南シナ海で軍事拠点化する動きは続けるだろう。南シナ海で防空識別圏(ADIZ)を設定する可能性はある。米軍が中国の人工島の12カイリを航行する「航行の自由作戦」に対しては中国海軍に行動基準があるはずで、挑発的な行動には出ないだろう。東シナ海で積極的な動きを見せることは考えられる」と述べています。米軍と戦えばすぐにも中国海軍は壊滅しますし、日本は憲法9条の制約があることを知り抜いているので、ロックオンなどの挑発行動を活発化させるという事でしょう。ヘタレオバマは何もできないし、トランプはアメリカ・ファーストで中国にそれほど関心がないし、ヒラリーに至っては中国の賄賂付けになっているので足元を見てドンドン傍若無人に振る舞っていくのでは。気づいたときには手遅れになっているのかも。

記事

Philippin Embassy in Beijing

北京でフィリピン大使館につながる道路を封鎖する中国の警官(2016年7月12日撮影、資料写真)。(c)AFP/NICOLAS ASFOURI〔AFPBB News

7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、フィリピンによって提起された南シナ海の国際法上の解釈をめぐる裁定を下した。裁定は中国の主張をことごとく否定する内容であり、中国側の「全面敗訴」と言っていい内容であった。

中国はフィリピンの常設仲裁裁判所への提訴そのものを不当なものとし、裁判への参与も行ってこなかった。事前の予想で、中国に不利な裁定となることは予想されていたが、それは中国も織り込み済みのことであっただろう。

ただし、中国側が主張してきた「古来中国のものであった」ことを根拠に、南シナ海の管轄権の範囲を示す「九段線」についてまで裁定が及ぶとは想定外だったかもしれない。

裁定が出ても一歩も引かない中国

中国は不利な裁定が出ても対応できるように、中国側の南シナ海をめぐる主張に賛同する国家を多数集める工作に励んできた。同時に、自らの主張の正当性を改めて強調するための「白書」まで多言語版で用意していた。

中国によれば、南シナ海における中国の立場を支持する国は70カ国に上るとされている。だが、その多くが南シナ海の領有権をめぐる問題に関心のないアフリカ、中東、中央アジアの国々である。その中にはインドも含まれていたが、インド政府は「すべての関係国に対し、仲裁裁判所への最大限の敬意を示すよう求める」との声明を発表しており、中国の立場を支持などしていないことが分かる。70カ国の支持というのは、かなりの誇張が盛り込まれていると見てよい。

常設仲裁裁判所の裁定では、中国の主張する九段線の「歴史的経緯」は根拠なしとして否定され、南沙諸島には「島」はなく「岩(礁)」と満潮時には水没する「低潮高地」があるだけであり、「岩(礁)」は領海12海里を宣言できるが排他的経済水域(EEZ)は設定できず、「低潮高地」はどちらもその権限を持たないとされた。要するに、中国の主張する南シナ海の管轄権が否定されたのである。

問題は、中国はいかなる裁定が出されようとも、南シナ海問題で一歩も引かない姿勢を貫く意思を明確にしていたことである。

そこまで中国が決意した背景は何なのか。

それは「党・指導者の無謬性」へのこだわりであり、ひいては習近平主席を「常に正しい判断をする指導者」であることを確保するためであったと言っていいだろう。

「無謬性」にこだわり過ぎて政策が硬直化

今年3月、新疆ウイグル自治区のネットニュースサイト「無界新聞」に「忠誠なる共産党員」の名で習近平の政策的誤謬を羅列し辞任を求める「公開書簡」が出され、大騒ぎとなったことは記憶に新しい。

民主主義国家では言論の自由があり、政権批判など当たり前の現象だが、一党独裁の中国ではそれが許されない。党とそのトップリーダーは「常に正しい」ことにされているから、党や習近平を名指しで批判することなど許されてはいないのである。

「無界新聞」の件については、当局が血眼になって犯人探しを行ったことは言うまでもないが、いまだに首謀者は見つかっていない。

中国では、現在に至るも「無謬性」の神話が生きている。毛沢東は死後、文化大革命の責任を問われたものの、1981年の歴史決議で「功績第一、誤り第二」の結論となった。鄧小平に関しては、1997年に死去して今年で19年になるが、依然として1989年の天安門事件の責任さえ正式に問われてはいない。

では習近平の場合はどうか。「中華民族の偉大な復興」を「中国の夢」であるとする習近平主席は、東南アジアの「小国」に蚕食された南シナ海、とりわけ南沙諸島を「取り戻す」ことが自らに課せられた歴史的使命であるとともに、東アジア地域秩序を形成する盟主としての中国の地位確立にとってもきわめて重要な事業であると位置づけた。

そのために、これまで台湾やチベットなど「分離独立」の気配のある地域に限って使っていた「核心的利益」という修辞を南シナ海にも援用し、「領土主権に関わる問題について一切譲歩しない」姿勢を明確にしてきた。

つまり習近平政権は、南シナ海の領有をめぐる紛議に関して「退路を断つ」政策を強行してきたのである。南シナ海での中国の政策が「正しいもの」だとする「無謬性」へのこだわりが政策を硬直化させ、状況の変化に対し柔軟な軌道修正をする余裕を失わせてしまったと言える。

米中の緊張関係はさらに高まることに

今回の常設仲裁裁判所の裁定は、「南シナ海の島嶼が誰のものか」について明確にしていない。もともと裁定の目的はそこにはなかったわけであり、今回の裁定で、中国の南シナ海の島嶼の領有権の主張までは排除されていないのである。これは中国にとって幸いであり、中国にはこれまで通りの主張を展開する余地が残されたことになる。

とはいえ、国際法廷で下された「最終判断」は、それなりに重く習近平政権にのしかかる。いわば「国際的圧力」であり、今後中国が参加する国際会議で繰り返し「裁定順守」のプレッシャーがかけられることになる。

それにもかかわらず、「無謬性」を確保しなければならない中国としては、独自の論理で2つの行動を追求するしかないであろう。

第1に、国内対策である。今回の裁定は、広く国内でも報道されており、政権の主張を「鵜呑み」にすることに慣らされてきた人民に対し、国際社会の圧力に屈する姿勢は見せられない。下手に妥協すれば「裏切られた」人民による政権批判を招くからである。

一方、知識人を中心に、裁定を「中国外交の大失敗」と醒めた目で見る「民意」にも対抗しなければならない。いずれにおいても政権批判を封じ込めるには、習近平政権の「無謬性」を証明するために南シナ海における中国の拡張主義をさらに進めるしかない。

第2に、対外政策である。中国では内政がそのまま外交に反映されるから、外交も強硬路線で突っ走るしかない。領有権問題をめぐって中国は「裁定を棚上げした上での二国間協議」を主張するが、当事国であるフィリピンは言うに及ばず、もはやそんな中国に都合のいい条件で協議に応じる国はないだろう。

南シナ海における「航行の自由」作戦を展開する米国は、裁定を追い風にさらに南シナ海における米軍のプレゼンス強化を目指すかもしれない。また、裁定を歓迎する日本が南シナ海の航行の自由へ参画することを歓迎するであろう。それを嫌う中国は、日本を牽制するために東シナ海で緊張を造成するかもしれないし、南シナ海上空の「防空識別圏」設定を急ぐかもしれない。現状では、中国の空中哨戒能力は十分とは思えないが、域外国の干渉排除のため無理をする可能性は排除できない。

結局、南シナ海をめぐる常設仲裁裁判所の裁定は出たものの、それが南シナ海の緊張を解決するものとはならず、一層緊張を高める結果になりそうである。

裁定は確かに中国を窮地に追い込んだが、だからといって「引くわけにはいかない」中国と、海洋覇権国家・米国との雌雄を決する危険性は裁定前よりも高まっていると言えるだろう。

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『日本も直撃「失われる10年」 “ミスター円”が語る「分裂の時代」 重視すべきは、成長ではなく「成熟」』(7/25日経ビジネスオンライン 杉原淳一)について

7/26日経<上期輸出額大幅減、数量には回復の芽 問われる持続力、半導体・対米の動向カギ

日本の輸出に「デフレ圧力」が強まっている。財務省が25日発表した貿易統計によると、1~6月期の輸出額は前年同期比8.7%減と、6年半ぶりの大きな落ち込みとなった。新興国経済の減速に加えて円高が円換算の輸出額を押し下げている。数量ベースでは輸出が底打ちする兆しもあり、今後の持続力が試される。

amount of export for the first half in 2016 in Japan

1~6月期の貿易収支は、原油安で燃料輸入のコストが下がり1兆8142億円の黒字だった。輸出よりも輸入の減少が大きく、東日本大震災直前の2010年7~12月期以来、5年半ぶりに黒字を確保した。

単月でも輸出額は低迷している。6月の輸出額は7.4%減と9カ月連続で減少。通関ベースの為替レートが6月は1ドル=108円48銭と前年同月比で11.8%も円高に振れたことが輸出額を大きく押し下げた。

輸出の「実力」を示す数量の伸びからは、円高によるデフレ圧力が鮮明になる。為替変動の要因を除いて輸出の数量取引を示す日銀の実質輸出(季節調整値)は、6月に前月比で4.3%上昇。伸び率は中国の春節商戦が輸出を押し上げた15年1月(4.6%上昇)以来の大きさだ。4~6月期でみても2四半期ぶりにプラスに転じた。

シティグループ証券の相羽勝彦エコノミストは「熊本地震の挽回生産で、4~5月に落ち込んでいた自動車関連の輸出が回復してきた」と指摘する。同社の分析では、6月は米国向けが5カ月ぶりに増加するなど、東南アジア諸国連合(ASEAN)を除く各地域で増えた。ただ先行きは英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた影響や中国の過剰設備問題など不透明な要素が多く、「日本の輸出が基調的に増加しているとは言いがたい」(相羽氏)。

輸出が持ち直すかどうか、商品別で鍵を握るのが半導体など電子部品の動向だ。IC(集積回路)の輸出数量は15年7月以降、減少か横ばいが続いてきたが、6月に9.1%増と大幅に増加。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「先行指標となる米国や台湾のIT(情報技術)製品の指標は改善しており、輸出が持ち直す」と分析する。

地域別では米国向けの輸出が回復するかどうかに注目が集まる。財務省によると、6月の米国向け輸出数量は1年2カ月ぶりに前年同月比で増加。輸出が上向く可能性がある。

原油価格が足元で反転していることも輸出の押し上げ材料となりそうだ。通関ベースの原粗油の価格は1バレル45.3ドル。前年同月比で29.3%低下したが、前月比で見ると11.6%上昇した。低迷する中東経済や米国での資源関連投資に好影響を及ぼすとの見方もある。>(以上)

7/27日経<EUは生き残れるか(上)相次ぐ矛盾、存続の危機 国境管理の再導入は必至 竹森俊平 慶応義塾大学教授

6月23日の国民投票での英国の「欧州連合(EU)からの離脱」という選択は欧州には衝撃だった。ショイブレ独財務相は結果を受け「ともかく、問題を解決する能力がEUにはあることを示さなければならない。もし欧州委員会にできないなら、少数の国の話し合いで進めるべきだ」とインタビューに答えている。

stock price of Italian bank

Shunpei Takemori

シリア難民やテロリズムの問題は「国境審査の撤廃」をうたったシェンゲン協定により複雑化している。6年前に発生したギリシャ債務問題は未解決だ。今や銀行危機すら再燃しかねない。何も問題を解決できず、先送りするだけの無策ぶりが、英国をはじめ欧州国民の失望を生み、政治の不安定をもたらしている。

従来の統合戦略を見直し、必要なら後退すべきだ。一つの分野を選び、そこを超国家組織の管理下に統合すると、隣接する分野をなおも国家に管理させていては矛盾が生じるので、矛盾の解消のため、隣接する分野にも統合が及ぶというのがこの戦略だった。

例えば通貨だけを統合し財政を統合しないユーロは、矛盾を引き起こすと予想されていたが、矛盾はやがて財政統合により解消されると期待されていた。「統合の後退はできない」という前提がこの戦略の鍵だった。通貨を共通化して矛盾が生じるなら、自国通貨に戻す選択もあるはずだが、それには莫大なコストがかかるので、いや応なしに財政統合に進むというのだ。

だがユーロができてから金利低下を享受した一部の国が過剰な借り入れをしたため経済危機が起き、問題国が財政援助を必要としても、財政統合は進まなかった。ドイツなど財政に余裕のある国が援助を拒んだからだ。他方、ユーロ離脱の莫大なコストを勘案し、昨年ギリシャもユーロ離脱の直前で妥協した。欧州は前進も後退もできない状態に陥り、矛盾の山に埋もれた。

欧州統合からの離脱という後退については、過去グリーンランドという特殊なケースはあるが、域内総生産第2位の英国の離脱とは重要性が違う。「英国離脱」は欧州統合に、後退という選択を与えた。

英国経済の立場からすれば明らかに「残留」が賢明だった。英国が「ユーロ」「シェンゲン協定」を選択しなかったのは好判断だった。その一方で欧州の単一市場は、英国内で認可された金融商品をそのまま大陸欧州でも販売できる「パスポート制度」の恩恵を与えた。その恩恵を捨ててEUを離脱するのは無謀だ。

だが今回、EU残留を支持した地域は、特殊な事情のある北アイルランド、スコットランドを除くとロンドン市だけだ。つまり英国社会は、グローバル化で金融業が潤うロンドンと、恩恵が少ないそれ以外の2つに分裂していた。そこで国民投票を実施するのは、ガスの充満した部屋でマッチを擦るのと同じだった。

事実、大爆発が起き、国民投票後、英国社会の分裂が鮮明になる一方、二大政党とも指導体制が混乱する。今後EU離脱交渉を進めるには、リスボン協定第50条による離脱申請が必要だが、混乱により申請まで時間がかかろう。

英国には、金融業に利益となる単一市場は維持したいが、移民の管理もしたいという思惑がある。EUは、単一市場には労働も含まれ、移民の管理だけを認めるわけにいかないと考える。

加えて、英国のメイ新首相はスコットランド独立のための再度の住民投票は認めないが、EU離脱についてはその同意を重視すると公言する。スコットランド行政府のスタージョン首相は、英国がEU離脱をするなら、住民投票を再度実施すると公言する。どちらの場合も、両方の立場に折り合いのつかない矛盾があり、解決策がみつけにくい。

もっとも、EUに残留すればほとんどの矛盾は解消するから、「メイ首相の本音は残留」という解釈も可能だ。

いずれにしろ時間を置けば、方針がいつまでも決まらないことで余計に困る側が折れ初めて決着に向かう。EUと英国の駆け引きでは、金融業での外国企業の撤退を恐れる英国が先に折れるという観測が強いようだが、EUにも銀行業、とりわけイタリアの銀行業という弱みがある。

現在イタリアの銀行が抱える不良債権は約40兆円にのぼり、自己資本の減少を招いている。特に第3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(MPS)は資本不足の懸念から、今年に入り株価が下落している。さらに国民投票の結果を受けて金融市場が不安定になって以来急落した(図参照)。

EUでは今年できた銀行ルールで、国が銀行に公的資金を注入する際には、国民負担の軽減のため、銀行債などの減免が義務付けられている。国内銀行の銀行債依存が大きいイタリアの政府はこれを嫌い、主力行の出資で民間ファンドをつくり、資本注入を代行させる計画を進めてきた。しかし主力行にも余裕がなくファンドの資本金が不十分なため、問題の解決は遠い。

最近、イタリア政府は銀行危機回避のため、ルールを無視してでも公的資本の注入を断行する姿勢をみせている。

イタリアで銀行危機が起きた場合、欧州だけでなく世界経済に及ぼす影響は甚大だ。英国では、イタリアの銀行危機を見越して、今後のEUとの駆け引きの切り札にすべきだという議論が盛んだった。EUは英国との交渉を考えても銀行問題を放置できない。

結局、欧州中央銀行(ECB)が、欧州銀行のストレステストの結果を発表する7月29日の前後に、イタリアの問題行への、銀行債の減免なしでの公的資金の注入が特例として認められるというのが市場の予想のようだ。それを反映してイタリアの銀行株は反転している。銀行問題への対応は、まさにショイブレ財務相が指摘するEUの問題解決能力を示す試金石になる。

英国に続き、EUを離脱する可能性が一番高いのもイタリアといわれる。だがユーロ圏の国の離脱は通貨ユーロからの離脱も意味し、国内通貨の入れ替えが必要だからハードルは高い。政府が離脱をにおわせば、国民は信用のあるユーロ紙幣の確保に走り、預金の取り付けが起きる。対応策がなければ離脱は無理だ。

他方、シェンゲン協定を停止し、各国が独自に国境管理を再導入するのは不可避になりつつある。7月15日のトルコでのクーデター未遂事件をきっかけに、バルカン半島ルートをたどったシリア難民の流入が再開しそうだからだ。

昨年ドイツには100万人を超える難民の流入があり、歓迎の姿勢を示したメルケル独首相の支持率を急落させた。その後EUとトルコの間で、トルコ国民のビザ(査証)なしでのEU訪問などの便宜を与えるのと引き換えに、難民をいったんトルコが管理する協定について合意ができた。それで難民数は激減した。

だがクーデター未遂事件後トルコのエルドアン大統領は民主主義の抑圧と反対勢力の弾劾を強めている。ビザなしでの訪問を認めた場合、今度は人口約8千万人のトルコから難民が押し寄せかねない。トルコとの難民協定が白紙になるのは確実だ。それでEUへのシリア難民が急増したら国境を設け、国ごとの方針で受け入れるしかないだろう。

現在のEUは、一つの厄介な問題を解決できても(実際には全くできていないが)、すぐ次の厄介な問題が発生するという状況だ。問題解決能力を飛躍的に高めない限り、存続は難しいだろう。

ポイント ○問題解決先送りする無策ぶりが失望生む ○EUもイタリアの銀行業という弱み持つ ○トルコとの難民協定は白紙になる公算大

たけもり・しゅんぺい 56年生まれ。慶大卒、ロチェスター大博士。専門は国際経済学>(以上)

榊原氏は旧民主党支持者で、円高賛成論者のイメージがあります。1$60円の円高を予想しました。浜矩子氏のように1$50円の円高説を唱える現実を見ない学者同様です。6/26日経記事を見ますと、やはり、日本では純輸出でもGDPの数字を稼いでいるのが分かります。円高になれば日本の企業の利益が円換算で減り、社員や株主への還元も減り、消費にも影響を与えます。所得収支でも円高になれば日本に還元する時点で目減りします。急激な円高や円安は望ましくありません。

http://thutmose.blog.jp/archives/60349371.html

竹森・榊原両氏の記事はEUの終わりの始まりという気がします。やはり人工的に作った擬制国家には無理が付きまとうという事でしょう。通貨統合しても財政統合は難しいと両氏とも主張しています。これではドイツの独り勝ちになるだけです。他の国から不満が出て、離脱する国は増えて行くのでは。ユーロから自国通貨に戻すハードルは高いと竹森氏は言っていますが。竹森氏はシェンゲン協定も崩れていくとの見通しです。人・物・金・情報の自由な移動を主張してきたグローバリズムが敗れ、ナショナリズムの世界に戻っていくという事でしょう。ショービニズムなしで真の多文化尊重の姿勢があればナショナリズムの方が自然です。

英国の国民投票の結果は日本の憲法改正の国民投票の危険性も示唆しています。政府が国民にキチンと説明して受け入れられる時期まで待たないと否決される可能性が高くなります。特に偏向マスメデイアの影響を高齢者は受けやすいので。政府は中国の脅威について正確に国民に伝えていかないといけないでしょう。北野幸伯氏メルマガに例が挙がっていましたので紹介します。

http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2012_11_15/94728921/

記事

日経ビジネス7月25日号は「英離脱後の世界 日本も直撃『失われる10年』」と題した特集で、欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の現状と、今後の世界経済に与える影響を分析した。  欧州に亀裂を生んだ通貨統合の問題や、世界経済が抱える低成長という共通課題について、元財務官で「ミスター円」の異名を持つ榊原英資・青山学院大学特別招聘教授に話を聞いた。

(聞き手は杉原 淳一)


 

Eisuke Sakakibara

榊原英資氏(さかきばら・えいすけ)。 1941年生まれ。東京大学経済学部卒、65年に大蔵省(現・財務省)へ。理財局総務課長や国際金融局長(現・国際局長)などを経て97~99年に財務官。積極的な為替介入で円高を是正し、「ミスター円」と呼ばれる。榊原氏の次に財務官に就任したのが、黒田東彦氏(現・日銀総裁)だった。 (撮影:北山 宏一)

榊原:識者の目から見れば、あの選択は明らかに間違いなんです。キャメロン前首相の言っていたことの方が正しいわけですよ。でも、国民投票にしてしまうと、どうしても身近な問題に左右されて、単純化してこういう結果になってしまう。やっぱり、代議制というのはそれなりの意味があるんです。国民投票なんて、しょっちゅうやってはいけないんですよ。(笑)

英ポンドとユーロが相当値下がりしており、英国及び欧州には中長期的にネガティブな影響が間違いなく及ぶでしょう。英・欧州と貿易量の多い中国は、以前から成長率が下がってきていますから、これをさらに下押しする可能性があります。そうなってくると、ドミノ式に日本への影響も出てきます。

ドル円相場はいずれ1ドル=100円を突破すると思います。今は介入警戒感もあって何とかもっていますが、流れとしては緩やかな円高でしょう。さらに90円に向かうというのがいま想定されるシナリオです。為替介入もしにくいですしね。

「黒田日銀は年末までにもう一回、緩和する」

—財務官時代には積極的な為替介入に踏み切りました。介入の可能性についてはどうお考えですか。

榊原:単独介入は効き目がありません。だから米国の合意が必要になるのですが、今の為替水準では無理でしょう。市場に見透かされると、もう介入そのものが効かなくなる。介入の規模は、為替市場から見ればそんなに大きな額ではないです。だからこそ、「これが効くんだ」ということを何らかの形で市場に示さないといけないわけですよね。市場が「もう参った」と言うまでやらなければ介入なんて意味はないんです。

—日銀の黒田東彦総裁は「円安誘導ではない」と否定していますが、そうなると追加金融緩和に期待が集まりますね。

榊原:もう緩和効果が賞味期限切れなんですよ。2013年に黒田さんが就任して、当初の金融緩和は成功しました。円安・株高になったんですが、それが足元では逆に円高・株安になってきています。「金融政策を打ってもそれほど効かないだろう」という、雰囲気になってきてしまいました。

離脱問題を受けて円高が進むと、日本経済の予想成長率が下がるので、景気回復を後押しするための金融緩和だということになる。おそらく、年末にかけて黒田さんはもう一回、緩和するでしょう。でも、これは既に織り込まれていますよね。だから、市場の予想を上回るようなことをやらないといけないから、なかなか難しいでしょう。

やらないと、市場では逆にショックと受け止められます。円高・株安がさらに進行するような事態になりかねない。市場に押されて動くのを黒田さんは好まないでしょうけど、やらざるを得ないでしょうね。

大きな政府で再配分を

—アベノミクスでいう「第3の矢」、つまり成長戦略や構造改革の具体性がないという批判の声もあります。

榊原:成長戦略といっても非常に不透明ですよね。構造改革も、日本経済にはもうそれほど強い規制は残っていないんですよ。細かい規制はあるでしょうけど、それを除いたから効果がある、ということを実証している人はいません。

だからこそ「成熟戦略」が必要だと言っています。1%前後の成長を前提に、どういう政策を取るのか考えるべきです。1990年代に入ってからはずっと1%成長でしょう。それを3~4%にしようなんて無理です。先進国はみんな低成長、低インフレの時代に入ってきています。

今の低金利というのは世界的な現象で、16世紀ごろにもありました。でも、その時は技術革新や新たなフロンティアを開拓することで復活できましたが、今度はそれがないんです。

資本主義が新しいフロンティアを見つけてどんどん伸びていくという時代はもう終わったということですよね。そうなってくると、ゼロ成長の時代にどう適合するかが重要になってきます。

経済政策も配分の重要性が増します。欧州は既にそうですが、例えば消費税を20%取って、それを原資に再配分を進めるなどの施策が考えられます。日本もそういう局面に次第に入ってきているんだと思いますね。

EU分解の歯車が回り始めた

—統合通貨ユーロの存在が欧州に亀裂を生んだという見方もあります。

榊原:ユーロが誕生したことで欧州内の格差が非常に広がりました。例えば、ギリシャが旧通貨のドラクマで、ドイツがマルクであれば、一方が切り下がって、もう一方は切り上がることで調整できたわけです。

同じ通貨だとドイツの1人勝ちになってしまう。ただ、ユーロを解体するわけにはいきません。欧州統合の象徴ですから。理論的には、解決の道は財政統合しかない。しかし、違う国だからそれは非常に難しいと思います。ギリシャなど南ヨーロッパの国々には抵抗があるし、ドイツだって、逆にギリシャの面倒を見るのは嫌でしょう。

解はないが、元に戻るわけにいかない。そういう意味で、非常に欧州は難しい状況にあります。中途半端な統合でにっちもさっちもいかなくなったが、それでも問題を抱えたまま中長期的に走っていかざるを得ないわけです。

—今回の離脱問題を機に、EUはどうなっていくのでしょうか。また、米大統領選でドナルド・トランプ氏が共和党の候補に選出されるなど、自国第一主義を掲げる動きが広がっているように感じます。

榊原:世界的なトランプ現象でしょうね。つまり、トランプ氏は米国第一主義で、世界にどう貢献するかという発想が全くない。分離というか、分裂の時代になってきているということでしょう。欧州が第2次世界大戦後、70年近くずっと続けてきた統合の流れが逆転し始め、それが世界的な傾向になる可能性があるわけですね。

直ちにではないにしても、緩やかにEUが分解に向かう可能性があります。スピードは分かりませんが、少なくとも歯車はそっちの方向に回り始めたということです。

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『米大統領選に影を落とす人種差別と暴力の連鎖 権威ある機関は、早くも「クリントン圧勝」を予測』(7/25日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

7/26朝9時のNHKニュースでは

トランプ氏 世論調査で僅かにクリントン氏を抜く

アメリカ大統領選挙に向けて、最新の世論調査の平均値で、共和党のトランプ氏の支持率が民主党のクリントン前国務長官を僅かに上回り、2人の争いが激しさを増しています。

アメリカ大統領選挙に向けて、政権奪還を目指す野党・共和党は先週18日から21日までの4日間、党大会を開き、トランプ氏が党の大統領候補として正式に指名されました。アメリカの政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が25日出した最新の世論調査の平均値では、トランプ氏が44.3%、クリントン氏が44.1%とトランプ氏の支持率が2か月ぶりに僅かに上回りました。共和党の党大会前の今月17日に出された平均値と比べて、トランプ氏が3.7ポイント上昇したのに対し、クリントン氏は0.3ポイントの上昇とほぼ横ばいで、トランプ氏の支持率の伸びが逆転につながっています。 これについて、アメリカのCNNテレビは、党大会を通じてトランプ氏の好感度が僅かに改善した側面があったほか、クリントン氏を信用できないと答える人が7割近くに達しており、両者の支持率に影響していると分析しています。通常、党大会の直後にはその党の候補者の支持率が上昇する傾向があり、今後、トランプ氏が勢いを維持するのか、それとも党大会が始まったクリントン氏が盛り返すのか注目されます。>(以上) 

7/27日経では「米CNNテレビがトランプ氏指名後の22~24日に実施した世論調査ではトランプ氏の支持率は48%でクリントン氏の45%を上回った。」とあり、高濱氏記事のいうクリントンが76%の確率で勝つと言った圧勝とは違った数字が出ています。

今回の米国大統領選は歴史に残る、稀に見る最低の大統領選でしょう。余りにも候補が悪すぎます。嘘つき且つ強欲ヒラリーVS人種差別主義者且つビジネス発想だけのトランプでは余りに見ごたえがありません。リーダーからは世界観・歴史観・理想を聞きたいと思いますが、両人にはそれがありません。あるのは選挙戦術だけ。トランプは終盤になって軌道修正を図るかと思いきや、圧倒的支持者を前にそれも叶わず、以前のような発言を繰り返すだけ。確かに、白人男子にターゲットを絞ったのかも知れませんが、女子や黒人・ヒスパニックの層が逃げるのでは。これでは勝てない気がします。

子ブッシュの反動としてのオバマ、その反動としてトランプが選ばれるとしたら米国政治は振り子のようになります。これも偏にグローバリズムが蔓延し、富を米国から移転或は一部の人間に偏在させる仕組みに変えたことが祟っているのだと思います。米国民は豊かな生活を実感できなくなり、アンチウオール街、サンダースの躍進はそれが理由でしょう。富裕税の創設、タックス・インバージョン防止のための国際協調、中国からの輸入品の国内産業化等の手を打って少しでも問題を解消しなくてはトランプのいうアメリカ・ファーストにはなりません。

『評決のとき』(ジョン・グリシャム著)を英語で読み始めました。1992年の作品ですから、今から20数年前です。その時代から差別については何も変わっていない印象です。『評決のとき』は1996年に映画化され、マシュー・マコノヒー、サンドラ・ブロック、サミュエル・L・ジャクソン達が出ていました。テーマは人種差別、報復殺人、陪審制度、裁判管轄で、KKKなども登場させながらリーガルサスペンスの面白さを堪能できる小説に仕立て上げました。黒人の10歳の女の子が白人二人にレイプされ殺されかかったので、その父親が復讐の為、裁判所で二人を射殺、主人公弁護士が父親を弁護し、無罪を勝ち取るというもの。イスラムの同害報復以上の罪を犯しても許される所がミソでしょう。それはそうです。現実は今でも簡単に白人警察官から黒人が殺されてしまい、警察官が無罪を勝ち取るのですから。日本への原爆投下も基本的には白人の人種差別によるものと思っています。元KKKの幹部が上院選に出るようです。人口動態で2042年の白人のマジョリテイが崩れるのを見越した白人の焦りの表れでは。

http://www.afpbb.com/articles/-/3095015

http://www.afpbb.com/articles/-/2506773?pid=3219621

記事

Black Lives Matter

「Black Lives Matter」の標語を掲げる青年(写真:AP/アフロ)

—米共和党は党大会で、ドナルド・トランプ氏とマイク・ペンス氏(インディアナ州知事)をそれぞれ正副大統領候補に正式決定しました。民主党もヒラリー・クリントン大統領候補が事実上決定。22日にはティム・ケーン上院議員(バージニア州選出、前民主党全国委員長、元バージニア州知事)を大統領候補に内定しました。25日に開幕する民主党大会で正副大統領が正式に決まり、いよいよ本選挙に突入します。ところで本選挙の主要な争点は何でしょうか。

高濱:予備選段階で両党の候補者は次のアジェンダを挙げていました――人々の暮らし、つまり経済や雇用の問題、メキシコ系不法移民問題やイスラム教徒の入国問題、さらには同性婚や妊娠中絶問題。

オバマ政権7年半で深まる白人と黒人の確執

 しかし、選挙というものはどこの国でも、今の国際国内情勢に左右されます。米国では、警官による黒人射殺や、黒人による警官射殺事件が相次ぎ、黒人と警察当局との対立が激化しました。これが発端となり、これまでくすぶり続けていたものの、発火点には至っていなかった黒人と白人の「人種戦争」に火がついてしましました。

 米史上初の黒人大統領が2008年に誕生し、当初は、白人と黒人の確執が緩和されるのではないかという期待がありました。ところが、オバマ大統領が再選され、2期目に入ったあたりから人種対立が表面化してきました。

 ロスアンゼルス近郊パサデナのバーで会った白人の中年男性(保険会社勤務)が筆者にこう語ってくれました。「オバマが大統領になったために、それまであまり目立たなかった人種対立が一気に噴き出した。黒人大統領のお陰で白人のレイシスト(人種差別主義者)がクローゼットから日の当たる場所へ出てきたんだ。もし大統領が黒人じゃなかったら、こうはならなかったはずだ」。

 「ラジオのトークショーで誰かが言っていた。白人警官が黒人を射殺するなんていうのは日常茶飯事だった、と。警官が否定すれば、正当防衛や公務執行妨害だったということでケリがついていた」

「ところが今や警官に暴行を受けた黒人の被害者や目撃者は、待っていましたとばかりに現場動画をスマホで撮り、オンラインで流す。ビジブリティ(可視範囲)が拡大したんだ」

トリガーは黒人を射殺した白人への無罪評決

 米国は一応「法と秩序」の国です。人を殺せば裁判にかけられる。裁判で有罪か無罪かを決めるのは一般市民から選ばれた陪審員による評決です。2012年以降、黒人を射殺した非黒人が裁判で相次いで無罪判決を受けました。

 1つは、フロリダ州で起こった事件。白人とラティーノの混血の自警団員が、無抵抗の黒人少年を射殺したのです。裁判所は無罪を言い渡しました。

 「オバマが大統領だというのになぜ判決になるんだ」。黒人たちは怒りを露わにしました。全米各地で判決に抗議するデモが起こりました。

 2013年にはミズーリ州のファーガソンで白人の警官が黒人を射殺。ニューヨークでも2人の黒人が警官(中国系)に射殺されました。警官はみな無罪となりました。

「Black Lives Matter」が台頭

—最近日本のメディアにもしきりと出てくる「Black Lives Matter」(BLM=黒人の命も大切だ)はどのような組織ですか。

高濱:黒人の若者たちの間で自然発生的に生まれたグループです。警官による「残忍な行為」を許している政治体制に公然とチャレンジして、ソーシャルメディア上で批判してきました。ミズーリ大学などのキャンパスで黒人学生を中心とした集会などを重ねながら、全米各地に23の支部を結成。動きはカナダやアフリカ・ガーナなどにも飛び火しました。

 と言ってもこのグループには司令塔のようなものはなく、命令系統も統一した組織もありませんが。

—黒人公民権運動といえば、マーチン・ルーサー・キング師や全米黒人地位向上協会(NAACP)、黒人過激派団体には武装した「ブラック・パンサー」などがありましたね。BLMはどんな団体なのですか。

高濱:この運動の特徴は、公民権運動を行ってきた既成の黒人指導者、例えばアル・シャープトン師やジェッシー・ジャクソン師といった中高年層とは一線を画していることです。黒人公民権運動の歴史は、キリスト主義を軸にした無抵抗主義です。キング師はその典型と言えるでしょう。シャープトン師やジャクソン師はこの流れを継いでいます。

 しかしBLMのメンバーは20代、30代の若年層。集会にはミュージシャンが必ず登場してラップ音楽でムードを盛り上げます。著名なメンバーの一人に、ボルティモア出身のデロイ・マクケソンという31歳の政治運動家がいます。ただし、彼があれこれ指示を出しているわけではありません。デモに参加する黒人の若者たちはソーシャルメディアを通じて連絡を取り合っているようです。

 この4月、メリーランド州ボルティモアで黒人男性が白人警察官に拘束された後、死亡しました。それに抗議するため、BLMがデモを主導。このデモが暴徒化しました。さらに8月には、ミズーリ州ファーガソンで昨年起きた事件の一周忌に行なわれた追悼デモで一部が暴徒化。非常事態宣言が出される事態に発展しました。

 さらに今年7月に入ると、ルイジアナ州バトンルージュとミネソタ州セントポールで、BLMが主催するデモや集会の場で、参加者ではない黒人が白人警官を銃撃しました。一部の白人は「奴らはBLMを隠れ蓑にして警官を狙撃した」と主張しています。また、「BLMは白人警官を公然と殺害するテロリスト集団だ」という白人もいます。 (“Formally recognize Black Lives Matter as a terrorist organization,” We the PEOPLE, 7/6/2016)

警官射殺犯は精神障害に罹った帰還兵

 もう一つ注目すべきは、バトンルージュのケースもセントポールのケースも、警官を狙撃したのは、アフガニスタン戦争やイラク戦争に従軍した経験を持つ元兵士の犯行でした。

 使用されたのはAK-15という攻撃用自動小銃。元兵士にとって、アフガニスタンやイラクでの戦闘で使い慣れた銃器でした。銃撃戦になれば、警官よりも正確に銃撃することができるという指摘もあります。

 今月、米復員軍人省が発表したデータによると、2014年の1年間に自殺した復員軍人は7400人。1日に22人が自殺している計算になります。全米の自殺者の18%を占めるもの。その大半が精神障害から命を自ら断っているというのです。

 警官を射殺した黒人はみな撃ち殺されているので、その動機や背景を解明するのは容易ではありません。が、警察当局は2人が精神障害者だったと発表しています。一つ言えることはアフガニスタンやイラクの戦場での経験が彼らの精神に大きな影響を与えたという点です。 (“New VA study finds 20 veterans commit suicide each day,” Leo Shane III, Military Times, 7/7/2016)

 バトンルージュで警官2人を殺した元兵士は、実行する前日、警官を殺す理由を理路整然と語る姿を撮影し、ソーシャルメディアにアップしていました。「歴史を振り返ってもわかる通り、あらゆる変革には血を伴うのだ」。なにやら、過激組織「イスラム国」(IS)の戦闘員が口にする「ジハード」(聖戦)の理由に似た響きを感じます。

公民権法施行から52年経っても変わらないもの

—人種差別を禁じた公民権法が施行されてから50年以上たっているのに、なぜ差別はなくならないのですか。

高濱:米国における人種問題は何も今始まったものではありません。米国は「人種のるつぼ」と言われる多民族国家です。しかし、実際に住んでみると、白人と黒人がるつぼで溶け合っているとは思えません。お互いに棲み分けているにすぎません。

 公民権法が成立したのは1964年。これによって人種差別は法的に禁じられました。公的な場所、例えば職場とか学校などで白人が黒人を差別すれば訴えられます。しかし、プライベートな場では人種的差別や偏見は歴然として残っています。嫌いなものは嫌い、と感じるのは人間の性(さが)です。

—史上初の黒人大統領の下、黒人と白人との確執は解消され、黒人の地位は向上したのではないのですか。

高濱:7月13日に公表されたニューヨーク・タイムズの世論調査によると、69%の人が「人種関係は悪化した」と答えています。これはロサンゼルスで黒人暴動が起きた時(1992年) 以来の高い数字です。バトンルージュで黒人が警官2人と副保安官1人を射殺した事件の直後に行った世論調査ですから、事件の生々しさが影響した可能性もありますが。

 回答を人種別にみると、「白人警官が黒人に対して蛮行を振るっている」という問に対して「イエス」と答えた人は、黒人で4分の3、白人で半分でした。「警官はよく任務を全うしている」と答えた白人は5人中4人。黒人は5人中2人。

また「BLMの活動に理解を示す」と答えた黒人は70%、白人は37%でした。 (“Race Relations Are at Lowest Point in Obama Presidency, Poll Finds,” Giovanni Russonello, New York Times, 7/13/2016)

—オバマ氏が大統領になって、なぜ人種問題は悪化したのですか。

高濱:カリフォルニア大学アーバイン校のマイケル・テスラー教授は次のように指摘しています。「オバマが大統領になって白人は、オバマ政権は黒人に有利な政策を取るのではないかと警戒心を持ち始めた。白人の論理はこうだ。<黒人大統領だから『人種差別が白人と黒人の貧富の差を生んでいる』と考えるに違いない>と」。

 「基本的には白人の大半は、オバマが嫌いだ。それをスレートには口に出せない。というのも白人が黒人に対して持つレイシズムは米国内で最もパワフルなタブーになっているからだ」

 「そこで白人はなんと言っているか。いまだに<オバマは外国生まれだ><オバマはイスラム教徒だ>と信じて疑わない白人がそれぞれ20%、29%もいる。<オバマは黒人だから嫌いだ>という代わりに、こうした表現で嫌悪感を表していると言える」 (“For Whites Sensing Decline, Donald Trump Unleases Words of Resistance,” Nicholas Confessore, New York Times, 7/13/2016) (“One in Five Americans Still Think Obama is Foreign-Born, According to Poll,” Sam Frizell, Time, 9/14/2015)

 こうした白人のホンネは、今回のように白人警官が黒人に射殺されると爆発します。オバマ大統領は7月12日、テキサス州ダラスで射殺された警官5人の追悼式に出席しました。同大統領は席上で「米国の刑事司法制度には人種による格差が存在する」と明言しました。それをとらえて、白人保守派の一部は「殉死した警官の追悼式の席で不適切な発言だ」と激しく批判しました。

—「暴力の連鎖を断ち切るうえで最大の障害になっているのは人種差別と銃だ」と指摘する識者が少なくありません。

高濱:その通りだと思います。公の場での人種差別を一掃するにはさらなる措置が必要かもしれません。

 まず学校教育です。人種差別をなくす教育は小学校からです。

 次に警察官への教育。米国の警察機構は州単位、群単位で警官を育成します。「法と秩序」を守る公僕としての自覚と常識を、州や郡のポリス・アカデミー(警察学校)で徹底する必要があります。

 銃の問題は、独立戦争の時から米国人が堅持してきた「武器を保持する権利」への執着が背景にあります。この権利は憲法修正第2条に明記されています。侵略してきた英国兵士から自分と家族を守るために、農民も商人も銃を取り戦った歴史があるのです。自分の身は自分でしか守れないという信念なのです。我々日本人にはなかなか理解できないことなのですが。

 銃愛好家は全米に1億人います。彼らを束ねるロビー団体「全米ライフル協会」(NRA=会員数約500万人)が民主・共和両党の垣根を超えて政治家たちを支援しています。

 銃による殺人を少しでも減らす手短な対処策は、AK-47の販売・所持を禁止する銃規制法(1994年に10年間の時限立法として成立、その後廃止)を復活させることです。AK-47は、最近起きている多くのテロや乱射事件に使われているもの。クリントン氏はこの政策を実行すべきと予備選段階ですでに言及しています。

—次期大統領になりうるクリントン氏、トランプ氏は「人種戦争」についてどんな発言をしているのですか。

高濱:クリントン氏は、相次ぐ警察官射殺事件を受けて、「われわれは暴力を拒否し、社会で結束していくべきだ」「米国を分断させるのはトランプ氏だ」と訴えています。

 一方のトランプ氏は、自身のツィッターで「米国は犯罪に引き裂かれ、悪くなるばかりだ」「法と秩序を徹底させる大統領は私以外にいない」と指摘しています。

 一方のトランプ氏は、共和党大統領候補指名受諾演説で、こう述べています。 「われわれ(トランプ大統領と共和党)はこの国を安全と繁栄と平和の国へと導く。寛大さと温情のある国へ導く。そして法と秩序の国にさせる」。

 「われわれは国家が危機にある時にこの党大会を迎えた。われわれの警察官は攻撃を受け、街はテロに襲われ、われわれの日常生活は脅かされている。この危険さを把握できない政治家は我が国をリードするのには適していない」

 「今晩、私の演説を聞いている米国民は、われわれの街で最近起こっている暴動の現状や、われわれのコミュニティが無秩序な状況に置かれていることを知っている。その多くは、自らそれを目撃しているだろうし、その犠牲者もいるにちがいない」

 「あなた方(米国民)への私のメッセージはこれだ。わが国を今悩ましている犯罪と暴力はまもなく終わりを告げるだろう。17年1月20日(私が大統領に就任する日)2017年1月20日、安全は回復されるだろう」 (“ Donald Trump’s prepared speech to the Republican National convention, annotated,” Philip Bump, Washington Post, 7/21/2016)

 米国人が「法と秩序」という表現を使う時、それは国家権力に対する非合法な活動の取り締まり強化を意味します。おそらくトランプ政権はMLB運動に対して、徹底した警察力の行使をすることになるでしょう。黒人はこれに反発するでしょう。「人種戦争」は激化するに違いありません。

全米黒人地位向上協会(NAACP)の全国大会が7月19日、シンシナティで開かれました。参加した黒人指導者たちは口々にトランプ氏が大統領になることへの危惧を表明していました。

 ミシガン州から来た元ロビーストは、こう述べています。「人種差別主義者トランプが大統領になったら米国は今以上にバラバラになってしまう。米国は今以上に人種分裂国家になってしまう」 (“Black Americans fear Trump will incite a race war,” Agence France-Presse, rawstory.com, 7/19/2016)

クリントンが勝つ可能性は76%?

—クリントン氏とトランプ氏の一騎打ちはどのような展開になるのでしょうか。

高濱:各種世論調査は日めくりカレンダーのように、その時々の瞬間風速的な情報を報じています。どちらが何%リードしたとか、抜き返したとか。ですが、権威ある2つの選挙分析によると、クリントン氏が勝利する可能性が76%前後となっています。

 一つはニューヨーク・タイムズの7月19日段階での予想です。 (“Who Will be President? Hillary Clinton has almost a 76% chance of winning the presidency,” Josh Katz, TheUpshot, New York Times, 7/19/2016)

 もう一つは、バージニア大学政治研究センターが公表した6月23日時点の予想です。同センターは、米国屈指の選挙予測家であるラリー・サバト教授の下、膨大なデータに基づいて大統領選選挙人の数の動向を占っています。

 それによると、ヒラリー氏は選挙人538人中347人を獲得する見込みです。一方のトランプ氏は191人。当選に必要な選挙人数は270人ですからクリントン氏は圧勝ということになります。 (“The Electoral College: Map No. 2,” Larry J. Sabato, Center for Politics, University of Virginia, 6/23/2016)

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