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『AIIBは成功するのか?中国でも疑いの声 ADBと初の協調融資へ、それでも立ちはだかるアジアのリスク』(6/14日経ビジネスオンライン 姫田小夏)について
中国企業の海外でのM&Aは人民元暴落前に買えるだけ買っておこうとの腹積りではないかと思います。下記の日経の記事でピムコの創業者のコメントがいみじくも語っていますように「資金繰りに限界」がいずれやって来ます。ジャンプ、ジャンプ或は別の銀行・ノンバンク(融資平台)からの借換で当座はしのげるかもしれませんが、日本のバブル崩壊のように、誰かがいずれババを引き、連鎖倒産が起きて行くでしょう。3経済主体で30兆$もの債務は完全には返済できません。数字が大きすぎます。倒産→失業者増大→社会不安→暴動頻発→共産党打倒の流れとなるかどうかですが。しかし、日経もやっと中国の真実の姿を報道するようになりました。
<6/15日本経済新聞 電子版 シリコンバレーに映る中国マネーの明と暗 編集委員 梶原誠
米西海岸のサンフランシスコはシリコンバレーに近く、ハイテク企業を担当する投資銀行家が大勢集まっている。その一人で、30年以上の経験を持つエリック・エドモンドソン氏が興味深い話をしていた。「起業家たちは今、”BAT”に自社を買ってもらうのを目標にしつつある」と。

本田圭祐選手も所属するセリエAのACミランの買い手にはアリババや百度がちらついた。写真はロイター
「BAT」とは中国の百度、アリババ集団、騰訊控股(テンセント)の3社の頭文字でつくった言葉だ。急成長を遂げ、中国ハイテク企業の代名詞になった3社は豊富な資金力を使って世界で買収を繰り返す。最近もサッカーのイタリア1部リーグ(セリエA)のACミランの買収交渉を巡り、アリババや百度が買い手として取り沙汰されたばかりだ。
■「BAT」に買収される会社めざす起業家
起業家たちは今、そんなBATに認められて買収の対象になるような会社をつくろうと励んでいる。
自社株の売却は、株式公開と並んで「出口」と呼ばれる起業家の一里塚だ。株の買い手はこれまでマイクロソフト、オラクル、インテルなどの米大手企業が主に担ってきた。それに中国企業が加わろうとしている兆しは、世界企業の勢力図の変化を物語る。

梶原誠(かじわら・まこと) 88年日本経済新聞社入社。東京、ソウル、ニューヨークで記者を歴任し、現在は香港が拠点。編集委員・論説委員としてアジアの窓から世界を見ている。興味分野は「市場に映るものすべて」
BATら中国企業の動きは、買収によって自らのブランド力を高めたり、新たな技術や顧客基盤を得たりする攻めの戦略の一環だ。もっぱらアジアや欧州向けではあるが、海外企業の買収は「一帯一路(新シルクロード)構想」を担う中国の政策でもある。
ただ、シリコンバレーを歩いてみると、それだけではない中国マネーの存在も聞こえてくる。
「『ダム・マネー』(愚かなマネー)っていわれているんですよ」。30歳代の米国人の起業家の一人は、地元でこう陰口をたたかれる中国マネーの存在を明かす。
もうかるかどうかがまだはっきりせず、米国のベンチャーキャピタルも避けて通るのに、気前よくお金を出してくれるお金の出し手だ。「ドット・コム」と社名につくだけで資金が集まった2000年までのハイテク株ブームを思い起こさせる投資判断である。
「中国から逃げてきたマネー」。これが起業家の読みだった。
世界の主な金融機関で構成する国際金融協会(IIF)によると、中国からは昨年、差し引き7000億ドル近い空前の規模の資本が流出した。ペースは落ちたとはいえ、今年も流出は続いている。
■中国からの逃避資金、投資判断は甘く
これらのなかには中国経済の先行きを不安視し、その結果である人民元の先安観を嫌う中国の富裕層の逃避資金も含まれる。そんな中国マネーがシリコンバレーの出来たての企業にも流れ込んでいるのではないか。中国から離れるのが第一の目的なので、投資判断は自然と甘くなる。

債券王ビル・グロス氏は「中国の危うさは中国の人々が知っている」と指摘する
中国からのマネー逃避を中国経済への警告ととらえる投資家が、カリフォルニア州南部の海沿いの街、ニューポートビーチにいた。「債券王」の異名を持つビル・グロス氏だ。ピムコを創業し、世界的な機関投資家に育てた同氏は今、米運用会社ジャナスのポートフォリオ・マネジャーだ。
同氏の警戒は,国内総生産(GDP)の150%を超えたとの試算もある民間企業の過大な債務に向いている。
「企業はもうけを借金返済や利払いに回すのに精いっぱいで、生産的な投資どころではなくなる」。そしてこう締めくくるのだ。「中国は利下げなどで問題が露呈するまでの時間を稼げる。だがこのままだといつか資金繰りに限界が来ることは、中国の人々自身が知っている」。高級住宅やリゾートが密集するニューポートビーチにも、中国マネーが押し寄せているのだ。
世界にあふれ出した中国の巨大マネー。そこには攻めと守りという、2種類のマネーが混在している。>(以上)
本記事はAIIBも問題含みと言うものです。パキスタンのグワダル港は明らかに軍事目的です。マラッカ海峡が封鎖されても中東からの原油の輸入を可能にするためと思われます。「中国はここを「中パ経済回廊」の起点に位置づけ、内陸部の新疆のカシュガルからグワダルまでの約3000キロの陸路開通にも乗り出している」とありますが、地図で見ますと、カシュガルからグワダルまで一直線で、高速道路でも作るのかもしれません。パキスタンもそこまで中国に認めるかどうかです。普通に考えればいくら中国のお金とはいえ、中国兵を高速で派兵できるような道路を作らせることは考えにくいです。戦争になればミサイルかジェット機で道路は簡単に崩壊・陥没させられるでしょうけど。新疆もウイグル族の土地ですので、有事の際は安全とはなりません。
AIIBは審査能力が低いので、ADBの力を借りねばならず、そうすれば当然中国の思いのままの融資にはなりません。単独で融資すれば焦げ付きが増えるだけでしょう。AIIBの参加国が100国になったとして、銀行の実力とは無関係です。株主の多い民間銀行がそれだけで評価されることがないことと同じです。どれだけ利益・付加価値を上げられるかが勝負です。アフリカと同じで中東にも部族問題があり、一筋縄では行かないでしょう。中国の在庫処分・失業者派遣を図ろうとしても民族感情の問題があり、うまく行かないでしょう。
記事

中国主導の国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への参加国が100近くに達する見込みだという(写真はイメージ)(c)AFP〔AFPBB News〕
中国の主導で設立された国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の参加国数が、2016年末までに100近くに拡大する見通しだという。実現すればその規模は、日本と米国が主導する「アジア開発銀行(ADB)」(67カ国と地域が参加)をしのぐ。
また6月10日には、AIIBとADBの初めての協調融資が発表された。パキスタンの高速道路建設に対して、AIIBとADBがそれぞれ1億ドルを融資するという。これは中国の勝利を意味するのだろうか。
AIIBは、中国が提唱する「一帯一路」構想を金融面で支え推進する役割を担う。一帯一路とは、アジアと欧州をつなぐ陸と海の巨大な“シルクロード経済圏”構想だ。

「AIIB」の設立協定に署名するオーストラリアのジョー・ホッキー財務相(2015年6月29日撮影)。(c)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News〕
「『一帯一路』構想はかつての欧米列強のやり方に着想を得たものだ」──こう語るのは、中国経済と60年近く向き合うベテラン研究者の1人だ。
19世紀半ば、英国は清国をアヘン貿易の恰好の市場ととらえ、大量のアヘンを清国に売りつけた。アヘンの密輸をやめさせようとする清国と英国は衝突し、アヘン戦争(1840~1842年)が勃発する。戦争で清国が敗れると、英国は南京条約により上海、広州などを開港させた。
開港した5つの港では自由な貿易ができるようになり、英国人は家屋を賃借したり、賃借した土地に家屋を建てることができるようになった。物資が集積する港には住宅のほか倉庫や店舗が建ち並び、街として繁栄する。清国は外交上の主権を失ったが、経済的には潤うことができた。
そして21世紀の今、中国が19世紀の欧米列強と同じことをしようとしていると、この研究者は指摘する。つまり、中国がAIIBによってアジアの新興国を“開港”させ、中国の過剰在庫という“アヘン”を売りつけようとしているというわけだ。
中国が世界で港の建設に続々と出資
新興国にとってインフラ建設は最重要課題だが、膨大な建設費がかかる。港湾行政に詳しい専門家は「新興国は自国だけでは予算を確保できないため、日本も多くの円借款などを提供しています」と語る。
新興国では、インフラ建設に必要な技術も人材も不足している。「日本はアジア、アフリカに技術者を派遣したり、国内に毎年多くの研修生の受け入れるなどサポートしています」(同)。
日本はODAを通じて、これまで多くの国にインフラ建設の支援をしてきた。しかし近年は、各国の港湾建設において中国のプレゼンスが高まっている。
中国は現在、アジアを中心に港の建設に乗り出している。パキスタンのグワダル港、アフリカのジブチ港、イエメンのアデン港、バングラデシュのチッタゴン港、スリランカのコロンボ港、モルジブ港、ミャンマーのチャウピュー港、ギリシャのピレウス港など、中国の出資によって建設される港は枚挙にいとまがない。
中でも注目を集めるのがパキスタン南西部のグワダル港である。2013年、中国は同港の港湾管理権を取得し、2015年には同港の経済特区について43年の運営権を取得した。
グワダル港は西はアラビア海、東はインド洋を結ぶ海上の要衝である。中国はここを「中パ経済回廊」の起点に位置づけ、内陸部の新疆のカシュガルからグワダルまでの約3000キロの陸路開通にも乗り出している。グワダル港の開発を急ぐ背景には、米国の中東における主導的地位を覆し、エネルギーや軍事面での安全保障を強化しようという狙いがある。

印のついた場所がパキスタン・グワダル港。中国は自国からグワダルまでの陸路開通も目指している。(Googleマップ)
国内でも「AIIBの枠組みは前途多難」の声
中国政府は「一帯一路」によって「互聯互通(fulian futong)」が実現するという。互聯互通とは、アジア諸国が互いに「連結」することである。
だが、中国では「本当に連結できるのか?」という懐疑的な声もある。
「上海経済評論」(東方早報、2015年9月発行)は、AIIBという枠組みの構築は前途多難であり楽観できないとする論評を掲載した。その理由の1つに次のような指摘がある。
「アジアの政治制度や経済体制、発展水準や文化教育、宗教はみな違う。国によっては政治的に不安定で、部族間の分裂や内乱が発生しているところもある。アジアの多くの国家では賄賂が横行し、法律は十分に機能しない。領土問題を抱える国もある」
その論評は、インフラ建設の資金を必要としている国ほど問題を抱えていることを指摘している。
パキスタンのグワダル港にしても、建設地のバローチスタン州は政情が不安定な地域である。ここで生活するのは遊牧民のイラン系バローチ族で、国の6割の人口を占めるパンジャブ族とは反目する関係にある。パキスタン政府とも対立し、テロリストも潜伏すると言われている。米シンクタンクによれば、バローチ族は、中国やシンガポールなど外部の勢力が入ってくることを警戒し、国際的な港湾や輸送センターが建設されることに抵抗しているという。
港の開発とともに闇の土地取引は盛んになり、土地を追われるバローチ族も後を絶たない。グワダル港が晴れて輸送上のハブとなったとしても、恨みを買った部族に襲われる可能性は否定できない。
いかにAIIBが「互恵互利」を掲げたとしても、中国だけが参加国の利権を貪るという構図では、地元の反発は避けられない。また、経済効果を“エサ”にして参加国を増やしても、参加国同士の利害は対立し、連携は深められないだろう。
AIIBの設立当初、中国は豊富な資金力で押し切れると思ったのかもしれない。しかし、“アジア連結”のリスクを低く見積もり過ぎていたのではないだろうか。
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『アジア安保会議で日米印が急接近 日本は米印の「かすがい」に』(6/13日経ビジネスオンライン 長尾 賢)について
「世界は皆腹黒い」。その中で日本の立ち位置をどう定めて行くのかが今後の日本の命運を分けると思います。現実を見ると、理想社会からは遠いですが、「よりましな国」と付き合っていくしかないと考えます。政治家の選択と同じです。基本は自由、民主、基本的人権、法治が守られ、人種差別や特権が少ない国と付き合うことです。
米国は大統領選でフロリダのテロや銃の問題が取り上げられています。日本と米国では「自衛」の概念の違いがあります。日本は刀狩以降武器を一般人が持つことは殆どなく、米国は土地をインデイアンから奪う為、銃は手放せなくなりました。憲法修正第二条も銃の携帯の権利を認めていると主張する人もいます。
http://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2657/
中国は西側諸国の敵国です。ソ連が崩壊した今、共産主義の大国は中国しかありません。共産主義の何がいけないかと言うと、「自由、民主、基本的人権、法治」総てがないからです。立派な法律を作ってもそのとおり運用された試しがありません。一党独裁の共産党の存在が許されると言うことはイコール人類の不幸と思います。今度の意参院選では反日民進党は日本共産党と手を結ぶことにしました。反日という所がハッキリ分かって良いのでは。鉄槌を下されるでしょう。
中国はキャベツ戦術を止めて、軍艦を尖閣の接続水域に侵入させました。いよいよ野心を露骨に見せてきました。宥和政策は禍根を残します。中国包囲網を敷き、経済制裁や禁輸することにより共産党支配を止めさすことが必要です。軍事的に見て、日米VS中国では1週間で日米の勝利となるという記事もありました。ただ、中国の民主化ができたとしても民族の特質は変わらず、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という本性は変わりません。民主化になっても、付き合い方は付かず離れず辺りでしょう。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20160611/plt1606111530001-n1.htm
朝鮮半島は「火病」持ち、「息を吐くように嘘を言い」という民族ですから、関わらないことです。「非韓3原則」を徹底し、国際的なでっち上げについては事実を持って反論していくことが必要です。
インドは民主主義国かつ人口大国、インデイラ・ガンジーの人口抑制策が失敗して以降、インドの歴代の政権では、人口抑制策を強化することがタブー視されるようになりました。また民主主義国であっても、貧しい国にありがちな腐敗問題も大きな問題です。それと歴史上染み込んできたカーストについて憲法上の差別は禁止されていますが、実際はまだまだで、今後工業化して発展していくときの足枷になるでしょう。それでも日本との関係は仏教発祥(実際は釈迦はネパール生まれですが)の国、ラース・ビバリー・ボースやチャンドラ・ボース等のインド国民軍を支援し、英国からの独立を助けました。中国と違い、歴史上も領土上もトラブルがありません。同盟国として将来有望でしょう。
日米豪印の内、豪はターンブル首相になってから親中に傾いています。英国のキャメロン・オズボーンと一緒でチャイナマネーに幻惑されています。豪は中国移民を増やしてきていますので、民主選挙をすれば中国有利の政策が採られるのは自明。安易な移民・難民受け入れは国柄を変えます。自分の生まれ育った国を良くして行くのは国民の務めです。安易に国籍を移すのはどうか。スパイの可能性もあります。
http://www.focus-asia.com/socioeconomy/economy/407988/
http://www.recordchina.co.jp/a94851.html
伊藤忠の瀬島龍三も佐々淳行の本、『私を通りすぎたスパイたち』によれば、ソ連の”infiltrator”(=スリーパー、スパイ)とのこと。ソ連と言い、中国と言い、伊藤忠は売国企業です。丹羽宇一郎の中国大使時代の公用車の国旗強奪事件を思い出します。CITICに6000億も注ぎこむところですから、商社1位の座も長くはないでしょう。
記事
安全保障について少し詳しい人ならシャングリラ会議という名前を聞いたことがあるかもしれない。正式にはアジア安全保障会議(Asia Security Summit)という。世界各国の国防大臣などが毎年、シンガポールに集まり、アジアの安全保障について意見交換をする場である。2014年には安倍晋三首相も参加した。筆者も初めて招待されたので、心から喜んで参加し、インドの国防大臣に質問する機会も得た(写真1、注1)。
そこで本稿では、会議において何が焦点になったのか、特に日米印の急速な接近に焦点をおき、日本にとっての意味について報告する。

写真1:シャングリラ会議にて(筆者がバングラデシュの研究者に頼んで撮影したもの)
(注1)会議のビデオおよび議事録は以下のこちら
日米印3か国の協力関係が際立った
今年の会議は6月3~5日に開かれた。焦点は3つ。1つ目は、米国が中国に対し国際ルールに従うよう要求し、中国が激しく反論した点である。
アシュトン・カーター米国防長官は、以下の点を強調した。
- 米国はまだ軍事的に強く、地域で重要な存在であること
- ルールを定め、そのルールの違反者は取り締まるシステムを米国が主導して構築しようとしていること
- 中国が南シナ海で進めている人工島の建設はルール違反であること
そのうえで、中国に対し、南シナ海の問題を国際法廷で解決しようとするフィリピンの努力に応じるよう求めた。これに対し中国側は、問題が軍事化しているのは米国のせいだと強調するとともに、フィリピンを激しく非難した。
2つ目はロシアが米国を非難したことである。北朝鮮の核ミサイルを迎撃するために、米国は韓国においてミサイル防衛システムの配備を進めている。この米国の動きに中国は強く反対。ロシアも、中国のこの立場を支持してミサイル防衛反対を唱えた。ロシアの態度は、昨今進むロシアと中国の安全保障上の接近を示している点で興味深い。
そして、3つ目が本題だ。今回の会合の焦点は日米印3か国の協力関係が特に際立った。これは注目すべき動きだ。このシャングリラ会議は15年目を迎えるのだが、これまでインドにはあまり焦点が当たってこなかった。ところが今年は、インドの国防大臣が出席。日米や東南アジア諸国の国防大臣たちもインドの役割について再三言及し、インドが注目を集める会合となった。
米印が協力する3つのテーマ
なぜインドが注目を集めたのだろうか。実は、過去半年、米国とインドの関係強化が劇的に加速しており、シャングリラ会議も、その動きを反映したものとみられる。昨年12月以来、首脳同士が会合する機会が増えた。米国防長官と印国防大臣、米太平洋軍司令官、インド陸軍参謀長などの高官たちが次々と相手国を訪問している。
4月には、インド空軍の戦闘機が日本を経由してアラスカに飛び、米印空軍共同演習レッド・フラッグに参加した。6月7日にはインドのナレンドラ・モディ首相が訪米。6月10日からはインド海軍の艦艇も沖縄の南で日米印海軍共同演習マラバールを実施する。このマラバールはヘリ空母や対潜水艦用の哨戒機も参加して、対潜水艦戦などを行う演習になる。そして今月はさらに日米印の外務省高官級の協議も計画されている。
何を協議しているかというと、具体的な協力案件は大きく3つある。1つは、南シナ海問題を念頭に海洋安全保障協力を進める動きだ。海南島からインド洋にかけての海域を航行する中国潜水艦に関する情報の共有や、米印が南シナ海において共同パトロールを実施する計画(まだパトロールの実現可能性は低い)などである。
2つ目は、軍事交流を拡大するための協定だ。双方の基地を利用する際に必要な補給品や燃料を融通しあう協定や、通信を容易にする協定を話し合っている。これらの協定がまとまると、これまでの10年に60回という活発な米印間の軍事交流が、さらに活発になる可能性がある。
3つ目は、防衛装備品の取引だ。インドが進める国産原子力空母の建造に米国が協力することを話し合っている。米国が、空母用のカタパルト(飛行機を急加速して離陸させる装置)について技術上の協力をしたり、レーダーを搭載した空母用の早期警戒機(E-2D)を供給したりする可能性がある。これらの装備を中国の空母は保有していないから、インドの空母は中国の空母を上回る性能をもつことになる。
多国間の新しい安全保障ネットワーク
なぜ米印はこのように協力を深めるのだろうか。シャングリラ会議においてカーター米国防長官が強調したのは、多国間「ネットワーク」の構築だ。これまで、アジアでは、米国を中心とする複数の2国間システムが安全保障を担ってきた。具体的には、日米、米豪、米韓、米フィリピンといった同盟関係である。しかし、米中の軍事力の差は縮まってきている。2000年から2015年までの間に、米国は13隻の潜水艦を新規に配備したが、中国は42隻も配備した。だから、米国一国に依存するシステムは、このままでは、徐々に機能しなくなっていく。
そこで、多国間ネットワークなのである。2国間だけでなく、日米豪、日米韓、日米印といった3か国間や多国間の協力関係を組んでネットワークを形成する。これには、米国を含まない日豪印や印越の関係まで含む。こうした多国間の協力関係のネットワークを基盤に、皆でルールを定め、ルールを守る体制をつくる。これが、米国が目指す理想である。
古い同盟と新しい「同盟」(ネットワーク)の概念図

出所:長尾賢「日印「同盟」時代第11回:日豪印「同盟」で日本の安全保障が変わる!」『日経ビジネスOnline』(日経BP社)2015年8月19日
その中で、米印関係はカギになっている。インドの力が伸びているからだ。米国の力が不十分でも、新たに力をつけた国がそれを補う体制ができていれば、システムは盤石となる。
マノハール・パニカール印国防相の演説をみると、インドは米国に協力することを考えているのがわかる。その演説は、紛争や力による脅しを平和的に解決する安全保障システムが必要であることを述べた上で、インドがいかに周辺国と友好的に交流しているか、バングラデシュとの海上国境紛争を国際法廷で解決したことなどを強調したものであった。インドは責任ある大国であることを示し、各国と協力する意思を示したのである。
日本が果たすべき役割
これらの動きは日本にとってどのような意味があるのだろうか。実は日本には、以前には見られないほどの大きなチャンスがあるのかもしれない。
まず考えられるのは、米国とインドを仲介する役割だ。米国はパキスタンとの協力関係を必要とし、インドはロシアとの協力関係を必要としている。パキスタンやロシアが絡む問題が起きると、米印関係が悪化しかねない。
しかし、もし日米印の3か国の枠組みであれば、米印関係が悪化して米印の協議が中止になっても、日米印の協議は継続できる可能性がある。米国もインドも、日本に会うという理由で出席するからだ。そして出席すれば、意見交換し、理解しあうチャンスが生まれる。だから日米印のほうが、米印より強固である。日本は参加するだけで「かすがい」になれるチャンスがある。
もう一つは、責任ある安全保障提供者としての役割だ。米国が構想する安全保障ネットワークの中では、あまり大きな軍事力を持たない東南アジアの国々も含め、すべての国々が一定の役割を果たす必要がある。しかし、これらの国々にはその能力がない。例えば、一昨年マレーシア航空の旅客機が失踪したときに、その事実が露呈した。離陸した旅客機がどこへ飛んで行ったのか、当初はどの国もわからなかったのだ。レーダー網などがしっかりしていないからである。
ここに日本の出番がある。日本がもつレーダー網などの能力を、これらの国が必要としている。日本は安全保障の提供者として、これらの国々を支援する役割を担うことができる。それは責任ある大国としてふさわしい役割である。
しかも、これは同じような構想を進める米国やインドなどとも積極的に協力し合える分野だ。実は、筆者が3月にインドへ行ったとき、インドの研究者から提案があった。日印で南シナ海の島々(特にベトナムの島々)の通信網を一緒に造ろうというのだ(注2)。
すでに日印間で安全保障にかかわる具体的なインフラ整備が進んでいる。インドの戦略的重要地の発電所建設(アンダマン・ニコバル諸島)や、インド洋の戦略的重要地での港湾建設(イランのチャーバハール港)、道路建設(インド北東部)などだ。これらのプロジェクトは、関係各国との友好関係を増進しながら日本の存在感を高めることができるだろう。
(注2)この提案した研究者はインド世界問題評議会(Indian Council of World Affairs)のディレクター、パンカジ・ジャ博士(Dr. Pankaj Jha)である。東南アジアの安全保障情勢に詳しい。
ただ、日本が、こういった協力関係のチャンスを十分生かすには、日本が相手の国益を理解すると同時に、日本の国益について相手に十分理解してもらう必要がある。情報の受信と発信だ。今回のシャングリラ会議の場で特に感じたのは、情報の受信・発信の場としてとても優れていることだ。民間の担当者と軍の現役の担当者がオープンに意見交換する場が設定されていて、各国は自国の国益について率直な情報発信しやすい。
例えば、フランスは、自国がアジアでどのような国益を有しているか、オールカラーのわかりやすい冊子をつくり、配っていた(写真2)。内容は、フランスとアジアの貿易量といったあまり軍事的ではない情報から、この地域にフランス軍が軍事力を展開しており、どの基地にどの程度程度の部隊が駐留し、どのような軍事作戦を行った経験があるのかに至るまで、軍事的な情報もわかりやすい図で提示している。そういったことが自由に話し合える雰囲気があり、フランスは積極的に利用しているのだ。
日本人としては、こうした情報発信の差が、オーストラリアにおける潜水艦コンペで日本がフランスに敗れた一因であると、感じる。日本も、自由かつオープンに意見交換できる場の設定をつくり、情報の発信に努めるべきである。
だとすれば、日本国内でも同じような場のセッティングが必要となる。安全保障に関する国際会議は有用だし、防衛装備品取引に関わる国際展示会なども、場として有用だろう。それらの場においては、民と軍が率直に意見交換できるようにすることが特に必要だ。民は幅広い多くの情報を持っているが、国防分野となると軍が持つ情報も多いからだ。
例えば、民間の研究機関や防衛関連企業だけでなく、軍直属の研究機関(シンクタンク)を含めた交流はどうだろうか。日本では防衛研究所、防衛大学校以外に、陸海空の幹部学校が研究機関としての機能を果たし始めている。米国ならば陸、海、空軍がそれぞれもつ大学がある。インドにもそれぞれ陸、海、空軍に研究機関がある(注3)。
これらの組織は、現役の軍人だけでなく、民間からも研究者を雇い、メディアでも発信する開かれた機関として活動し始めている。軍という情報管理の厳しい組織においても、比較的オープンで意見交換をしやすい。ぜひ民・軍の交流を考える際には、利用すべきである。
多国間の安全保障ネットワークが構築されつつある世界の中で、こうした努力は日本の国益につながるはずだ。
(注3)インドの陸海空軍シンクタンクは以下。民間向けにも広く積極的に活動している。 陸軍Center for Land Warfare Studies 海軍National Maritime Foundation 空軍Center for Air Power Studies

フランスがシャングリラ会議の会場で配布していた冊子(筆者撮影)
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『広島演説当日、プーチン大統領が激怒した理由 米ロの相互不信の根源「NATO拡大せず」の密約はあったのか』(6/10日経ビジネスオンライン 池田元博)について
「NATOの東方拡大はせず」の密約は、米国とも口約束としてあったようです。ロシアは米国が約束を破ったと主張していますが、文書化されていない弱みがあります。しかし、「欧州が東方に攻め寄せることはないと」という約束をドイツがソ連にしなければ、ドイツは統一できなかったでしょう。西ドイツの東ドイツの統合は1990年、EUが出来たのは1993年です。ソ連が崩壊したのは1991年12月、エリツインのロシア大統領時代は1991年7月から1999年12月までです。エリツイン時代にロシア経済はガタガタになりましたから衛星国まで気を配る余裕はなかったので、NATOの東方拡大も黙認されたのでしょう。プーチンになって新興財閥征伐をし、資源企業を国営化して混乱を収束させたので、ワルシャワ条約機構はなくなったものの、地政学を復活させることができました。
https://www.foreignaffairsj.co.jp/articles/201412_shifrinson/
http://d.hatena.ne.jp/maukiti/20141129/p1
MDのルーマニア・ポーランド配備、韓国のTHHADの配備にロシアは反対するのは当然でしょう。ロシアの核戦力を無力化する可能性がありますので。オバマの言う核廃絶は現実を見ると、実現は不可能と思われます。ロシアが核兵器を削減するメリットがありませんので。中国は米ロの間隙をぬって核兵器を増やしているのではと推測しています。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016052801001218.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12118549262
日本も真剣に防衛について国民一人ひとりが考えないと。トランプが大統領になれば否応なしに考えざるを得なくなります。外圧でしか国民が考えないというのも情けないことですが。国民主権が泣きます。偏向メデイアと日教組、学者の戦後利得者のせいであります。核保有(ニュークリアシエアリングも含む)も含めた活発な議論を国民レベルでしていかないと。
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オバマ米大統領が被爆地の広島を訪問し、改めて「核なき世界」の実現を訴えた。しかし、米ロの核軍縮交渉は停滞したままだ。その背景には北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大をめぐるロシアの根深い対米不信がある。

5月27日、被爆地の広島を訪れ、改めて核廃絶を訴えたオバマ米大統領(写真:代表撮影/AP/アフロ)
「核保有国は恐怖の論理から脱し、核兵器のない世界をめざす勇気を持たなければならない」――。5月27日、オバマ米大統領が被爆地の広島を訪れた。米国の現職大統領として初めての歴史的な訪問だった。自ら推敲(すいこう)を重ねたという17分間に及ぶ「広島演説」の肝はやはり、オバマ大統領が唱え続けてきた核廃絶への訴えだった。
広島演説の当日、怒りをぶちまけたプーチン大統領
まさに、その当日のことだ。米国と並ぶ核大国であるロシアのプーチン大統領は、ほかならぬ米国への強い怒りをぶちまけていた。「我々の話を誰も聞こうとしないし、誰も交渉をしたがらない」。ギリシャを訪問し、チプラス首相との首脳会談後の共同記者会見の場だった。
プーチン大統領が問題視したのは、米国が主導する欧州でのミサイル防衛(MD)計画だ。米国はそのために、米ソが1972年に締結した弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に脱退し、「国際的な安全保障の基盤を弱体化させた」(大統領)。さらに、今年5月にはMD計画の一環としてついに、ルーマニア南部で地上配備型の迎撃ミサイル発射基地の運用を始めた。ポーランドでも同様の発射基地の建設を進めており、大統領は「ロシアの核戦力を脅かす」とかみついたのだ。
米国がABM制限条約からの脱退を通告したのは、ブッシュ前政権下の2001年末のことだ。その翌年に失効した同条約まで改めて持ち出して米国を批判したのは、MD計画がいよいよ、ロシアの安全保障を揺るがす現実の脅威となったという危機感からだろう。
「核なき世界」への痛烈な皮肉
ロシアもこの間、手をこまぬいていたわけではない。欧州のMD計画は「イラン対策」という米側の説明を受け、ロシアも構想の代案を提案したことなどもあった。ところが、米国はロシアの提案を受け入れなかった。これが「我々の話を誰も聞こうとしない」と憤るプーチン発言の背景だ。
「(米国は)イランの核計画の脅威に備えると言ってきたが、その計画は今、どこにあるのか。イランの核合意を主導したのはまさに米国ではないか」とプーチン大統領。MDをめぐるロシアの対米不信は募る一方だ。
もちろん、オバマ大統領の唱える「核なき世界」と、欧州のMD計画は直接には関係しない。だが、米ロは2010年に調印し、翌年に発効した新戦略兵器削減条約(新START)以降、核軍縮で全く歩み寄れていない。その最大の要因がまさに、MDをめぐる対立だ。ロシアはこの計画が「自国の核抑止力を無力化する」と反発し、米国との新たな核軍縮交渉に応じていないのだ。
その意味で偶然とはいえ、オバマ大統領の「広島演説」の当日にぶち上げたプーチン大統領の対米批判は、「核なき世界」への痛烈な皮肉だったともいえる。
東方拡大でロシアへの国境に迫るNATO
こうしたロシアの根深い対米不信の底流には、北大西洋条約機構(NATO)を基軸とする欧州の安全保障体制への不満がある。とりわけ、米国がNATOの枠組みで進めるMD計画と、NATOの東方への拡大を毛嫌いしている。
NATOは東西冷戦下の1949年にソ連に対抗する軍事機構として発足した。かつて東側ブロックの軍事機構だったワルシャワ条約機構は東西冷戦の終結で消滅したのに、NATOは加盟国を増やして東方拡大に動き、ロシアの国境へとどんどん近づいている。MD計画などを通じて防衛体制も着々と強めている。NATOは冷戦時代さながらの「対ロ包囲網」を構築するための軍事機構ではないかと、ロシアは疑心を強めているわけだ。
実は、米欧とロシアの対立を決定的にしたウクライナ危機も、ロシアのNATO不信が一因だったともいえる。
ウクライナ危機は政権運営をロシア寄りに軌道修正したヤヌコビッチ政権(当時)が14年春に親米欧派の市民らによって倒され、その動乱のさなかにロシアがウクライナ領のクリミア半島を併合したのが発端だ。プーチン大統領は当時から同国の政変を「米国の陰謀」と糾弾し、ウクライナのNATO加盟を阻止するためにクリミアを併合したことを示唆している。実際、大統領はクリミア併合を宣言した時の演説で、「(西側は)何度も我々を裏切った」と表明。NATOの東方拡大と国境付近での軍事施設の配備を批判している。
「米国の陰謀」説に関しても、ロシアが好んで引用する〝証拠〟がある。15年1月末、米CNNによるオバマ大統領のインタビューだ。米大統領はウクライナ危機を招いたプーチン政権を批判するなかで、「我々がウクライナの政権移行を仲介した」と発言したのだ。ロシアのラブロフ外相は即座に反応し、「オバマ氏は政権移行という中立的な表現で、米国がウクライナ反政府勢力による政権転覆に関与したことを認めた」と指摘。ヤヌコビッチ政権の追い落としに米国が加担した〝事実〟が裏付けられたとした。
「約束違反」であり「西側の裏切り」
ウクライナ問題でも明らかなように、ロシアにとって「NATOの旧ソ連圏への拡大阻止」は安保政策上の最重要課題になっている。旧ソ連のバルト3国はすでにNATOに加盟しているので、西側寄りとされるウクライナ、ジョージア(グルジア)、モルドバの加盟阻止が喫緊の命題となる。
ただ、仮にNATOの影響力がこの3カ国に及ばなくても、ロシアのNATO不信が消えることはない。そもそもロシアは、NATOの東方拡大そのものを「約束違反」であり「西側の裏切り」とみなしているからだ。
では、「NATOは拡大せず」という〝密約〟はあったのだろうか。
プーチン大統領は今年1月、独ビルト紙のインタビューで、1990年当時のソ連側と西独の政治家エゴン・バール氏らとの「一度も公表されていない」会談記録を明かした。バール氏は旧西独のブラント政権下で東方外交を主導した人物として知られる。そのバール氏は「少なくとも軍事機構としてのNATOは中欧に拡大してはならない」と言明したという。同氏はさらに東西ドイツの統一に当たってNATO拡大ではなく、欧州の中心に新たな連合を作る必要性も強調したというのだ。
NATOの拡大問題については、独シュピーゲル誌もドイツ側の記録として、ゲンシャー西独外相が90年2月10日、シェワルナゼ・ソ連外相(いずれも当時)に「我々は統一ドイツのNATO加盟が複雑な問題を提起していることを熟知している。しかし明らかなことは、NATOは決して東方に拡大しないということだ」と述べたと報じている。
ソ連は結局、「NATOは東方に拡大しない」との約束を前提に、東西統一後のドイツのNATO残留を容認したとされている。ただし、「NATO拡大せず」との明文化された条文があったのかどうかは、明らかではない。当時はソ連の崩壊はもちろん、NATOの拡大も想定外だったのだろう。
核戦力をめぐる米ロの攻防は激化の一途
そのNATOの東方拡大は99年、チェコ、ハンガリー、ポーランドの3カ国の加盟で始まった。米ロ間で事実上の手打ちがあったのは、97年のヘルシンキ首脳会談だった。米側はクリントン大統領、ロシア側はエリツィン大統領だった。米国がこの首脳会談で3カ国加盟の見返りに約束したのが、ロシアのG8(主要8カ国)入りだった。
NATOの東方拡大はその後も続き、2004年には旧ソ連の構成共和国だったバルト3国も加盟した。一方でロシアは、14年春のクリミア併合を機にG8の枠組みから排除された。ウクライナ危機をきっかけにバルト・東欧諸国はロシアの脅威をことさら訴えるようになり、米国はNATOの対ロ防衛能力の強化に動き始めた。ロシアはそんな米国への対抗意識をむき出しにし、核兵器の近代化や再配備に努めているのが現実である。
米ロは世界の核弾頭の9割以上を保有する。核廃絶に向けては米ロが率先して核軍縮に取り組む必要があるが、現状ではその機運は全くみられない。英エコノミスト誌は今年1月、米国の現政権が30年間で1兆ドルを投じ、核兵器の更新を計画していると報じた。オバマ大統領の唱える「核なき世界」の理想と、核戦力をめぐる米ロの激しい攻防が続く現実。その落差はあまりに大きい。
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『それでもサンダース氏が降りない理由 最も好感度の低い2人による激戦が始まった』(6/10日経ビジネスオンライン 高濱賛)について
6/10「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
< 『もしサンダースがクリントンとチケットを組めば。。。。 トランプの当選は覚束なくなる』
オバマ大統領の秘策は、民主党予備選で最後までクリントンを猛追したバーニー・サンダースを説得し、「副大統領」のチケットを組ませることになる。そのために、オバマはサンダースをホワイトハウスに招く。
民主党がふたつに分裂するほどの戦果をあげたサンダースが、もし、この仲介案を受けると民主党は一気に団結するため、トランプの当選の可能性は稀薄となる秘策である。
予備選の結末はでた。残る問題は党大会での正副大統領チケットが、どのようなコンビとなるか、其れが次の見所だろう。>(以上)
6/12「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
< 『役者はそろったが、帷幄は不協和音でギシギシと トランプ、組織が団結に遠く、そして資金集めは立ち後れ』
人気投票ではヒラリー・クリントンと五分五分のドナルド・トランプ陣営、しかしクリントン陣営と決定的な差違は、組織化の立ち後れ、資金集めがようやく開始されるという泥縄的な遅れである。
まず帷幄をみるとメンバーは揃いつつある。
戦略チーフはフィクサーとして著名なポール・マニフォート、主将格は真っ先にトランプを支持したクリス・クリスチーヌ(ニュー・ジャージー州知事)。
資金集めの応援団長格にブッシュ陣営の責任者だったウッディ・ジョンソンとジョン・カスティマテイディスが加わって、共和党からもベテランのライス・プライパスが急遽加わり、なんとか陣営の中核部分が形成された。
選挙スタッフはと言えば、トランプは70名しかしない。
一方のクリントン陣営にはウォール街や労組からの派遣組で732名のもスタッフ。十倍の開きがある。
資金面はどうか。クリントンはすでに10億ドルを集めた。
トランプはこれまでの予備選で5600万ドルを使い果たし、資金切れとなる。
ようやく本格的な資金集めを開始するが、目標は10億ドル。半分も集まらないと予測されている。
ウォール街と金持ちが依然としてトランプに冷淡だからだ。
この遅れを取りもどそうと、トランプ陣営は6月10日にニューヨークのフォーシーズンズ・ホテルに幹部を集め、初めての資金キャンペーン対策会議を開催した。
しかしカスティマティデスはいう。「彼の効果的なテレビ出演をCM費用に換算すれば、優に10億ドルに値する」と強気である。
さて最大の難題は組織化だろう。
共和党組織が強いのはニュー・ジャージー州、メリーランド州、そしてカリフォルニア州だが、選挙本番で死命を制するほどの影響力を持つフロリダ、ウィスコンシン、ペンシルバニア、オハイオ州でトランプ選対の組織化が遅れに遅れている。
ところでバーニー・サンダースはまだ民主党の予備選から撤退しないが、もし「副大統領候補」としてのチケットを引き受けるとなると、トランプの勝ち目はまずなくなると見られている。
しかしサンダース支持者は「それなら棄権する」「トランプに入れる」というウィング現象も予測される状況下、直近の「ワシントンポスト」(6月11日)の世論調査では、第三候補のグレイ・ジョンソン(リバタリアン党)へ投票が相当数流れそうだという。
1980年のカーター vs レーガンではアンダーソンが第三候補として出馬し、7%を取った。
92年にはブッシュ vs クリントンにロス・ペローが出馬し、19%もとって、優位といわれていたブッシュ落選となった。
2000年にはラルフ・ネーダーが「緑の党」からでて、3%だったが、こんどはクリントン、トランプともに「嫌い」「大嫌い」とする反応があまりにも強力であり、思わぬ第三党の大飛躍があれば、予測はさらに難しくなる。>
①副大統領に誰が指名されるかによって投票行動が変わるかも・・・民主はサンダースになればトランプに勝ち目はないでしょう。ただヒラリーが受け入れるかです。選挙戦中、互いに遣り合ってきた関係で、プライドの高いヒラリーが呑むかどうかです。6/12日経には「エリザベス・ウオーレン上院議員」の名前が副大統領候補として挙がっていました。これが実現すれば、民主党は大統領・副大統領とも女性になります。ただ、ウオーレンは反ウオール街の立場ですので政策の擦り合わせには苦労するでしょう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48069
共和党はコンドリーザ・ライスを副大統領にすれば黒人・女性で民主党に対抗できると思いますが、ライスは人種差別主義者と目されるトランプでは受けないでしょう。誰にするのかは予想がつきません。
②第三党の存在・・・リバタリアン党のジョンソンが出れば間違いなく共和党にはダメージで民主党が勝つことになるでしょう。トランプを支持しない共和党員の票が流れますので。
③ヒラリーへのFBIの聴聞・・・ベンガジ事件や私用メールアドレス使用問題で嘘をついてきたヒラリーにどこまでFBIが迫れるかです。この結果如何では大統領候補から辞退も考えられます。そうなれば民主党候補は誰になるのか?
ヒラリーの腐敗も槍玉に挙がっています。中国人から違法に献金を受けたのではないかとの疑惑です。彼女が大統領になれば中国にキツイことは言えないでしょう。共和党が勝ってほしいと思います。
http://www.sankei.com/world/news/160610/wor1606100002-n1.html
記事
—カリフォルニア州などの予備選・党員集会が6月7日に終了。民主、共和両党の大統領候補が事実上決定しました。もっとも、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官(64)も共和党のドナルド・トランプ氏(69)も7日の予備選前に、指名に必要な代議員数を獲得していましたから何となく拍子抜けした感がありますが…。 (6月7日実施された両党の予備選・党員集会の投票結果、各候補者が獲得した代議員の総数はこちら)

米民主党の大統領候補への指名を確実にしたクリントン氏(写真:The New York Times/アフロ)
高濱:これで2月1日にアイオワ州から始まった予備選は、6月14日に行われるワシントン特別区を残すのみとなりました。長い長い闘いでした。
史上初の女性大統領が誕生するのか、それとも政治歴ゼロのビジネスマンが第45代大統領になるのか――どちらが大統領になっても前代未聞の米大統領が誕生することになります。
史上最も好感度の低い候補者同士が対決
もう一つ、クリントン、トランプ両候補ともに米国民からものすごく嫌われている点が気になるところです。5月中旬に実施された世論調査によると、クリントン氏の「非好感度」(unlikeability)は61%、トランプ氏は56%でした。
なぜそれほど嫌われているのか。
政策ではなく性格や態度が対象になっているようです。クリントン氏は「傲慢さ」「お高い」、トランプ氏は「人を見下した態度」「品のなさ」といった項目が上がっています。
もっとも、「非好感度」が高いからといって大統領になる資格がないわけではありません。「好感度」が低くかったリチャード・ニクソン氏が第37代大統領になった例もあります。ただ一般有権者の目線で見ると、「好感度」はある意味で政策面より重要かもしれません。
米有力紙の政治エディターの一人は筆者にこう述べています。「本選挙に勝つにはクリントン、トランプともにいかに好感度を高めていくかが極めて重要になる。が、一度有権者のマインドに入り込んだ好き嫌いの感覚を払しょくするのは至難の業だ」 (”Clinton’s negatetives surpass Trump’s,” Dana Blanton, FoxNews.com, 5/18/2016)
ヒラリー、トランプの「アキレス腱」はこれだ
指名に必要な代議員数を獲得したあともトランプ氏の無責任な毒舌は続いています。これが続くようですと、クリントン氏の思うつぼになりかねません。
当初、泡沫候補と見なされていたトランプ氏の発言は、半ばエンターテインメントとして、ある程度見過ごされてきました。しかし、いやしくも今は、共和党という二大政党の一つの大統領候補への指名を確実にしました。これからは、これまでのようにはいきません。一つ一つの発言が厳しくチェックされます。
多民族・多文化国家の米国には数々の禁句(タブー)があります。とくに人種、宗教、性別に関する禁句は法的にも禁じられています。
トランプ氏の暴言に政治的行動を起こした地方議会があります。カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のアナハイム、ディズニーランドのある町です。その市議会に4月下旬、トランプ氏の発言を非難する決議案が上程されました。
賛否両論が拮抗し、結局、同決議案は棚上げされました。「主要政党の大統領候補の発言をめぐって地方議会が非難決議案を論議するのは前代未聞」(同市議会関係者)だそうです。 (”Anaheim City Council to consider resolution denouncing Donald Trump,” Jason Song, Los Angeles Times, 4/25/2016)
またトランプ氏には詐欺疑惑も浮上しています、自らが不動産投資オンライン講座と称して設置した「トランプ大学」の授業料返還訴訟問題です。この事件を担当した判事(メキシコ系)について、トランプ氏はテレビのインタビューで人種的侮蔑発言をしました。それでなくともメキシコ系移民を「レイプ犯」と言ってのけるトランプ氏のこと、米メディアは「トランプ氏はレイシスト(人種差別主義者)だ」とレッテルを張っています。
一方のクリントン氏はいまだに「メールゲート」疑惑を引きずっています。私的メールで国家機密が漏えいしたかどうか、真相究明を進めてきた米連邦捜査局(FBI)が近日中に最終判断を下すようです。
また、夫君と一緒に創設した「クリントン財団」への寄付金を外国政府などから集めるため、国務長官としての職権を乱用したのではないか、といった疑惑も指摘されています。サンダース氏は選挙演説の中でこの問題を取り上げました。 (”Sanders finally raises challenge to Clinton Foundation cronyism,” Larry O’Connor, hotair.com., 6/6/2016)
サンダースが副大統領になる可能性
—民主党全国党大会は7月18~21日までフィアディルフィアで、共和党大会は7月25~28日までクリーブランドでそれぞれ開かれますね。
高濱:クリントン氏とトランプ氏にとって、11月8日の本選挙までの約150日は二つのステージに分けられます。第一ステージは、それぞれが党大統領候補に正式に指名される全国党大会までの約50日間。第二ステージは党大会から11月8日の本選挙までの約100日です。
第一ステージにクリントン氏がやらねばならない最大の仕事は、撤退を拒否しているバーニー・サンダース上院議員(74)を説得して候補者から降りてもらうこと。そして出来るだけ早期に党内一致結束体制を確立したいところです。
指名を事実上獲得したとはいえ、同じ党の候補者に連日、自分を批判する発言をされるのは、クリントン氏にとって厄介です。反論せざるを得ませんが、すればするほど党内の亀裂が深まってしまう。トランプ氏との一騎打ちに注がねばならないエネルギーが削がれてしまいます。
6月7日に6州予備選・党員集会が終わったあとも、サンダース氏は最後まで戦うと息巻いています。全く撤退する気はなさそうです。
サンダース氏に降りてもらうため、クリントン氏はなんらかの条件を出さねばならないでしょう。可能性の一つはサンダース氏を処遇面で優遇すること。クリントン氏の周辺では「サンダース副大統領起用説」がまことしやかに流れているそうです。
サンダース氏は5月29日、副大統領候補を受け入れる可能性があるかをテレビ・インタビューでただされて、こう答えています。「今、私の頭は民主党大統領候補の指名を勝ち取ることでいっぱいだ。そのあとどうなるか、わからない」。
インタビューアーはこう応じました。「典型な政治家の発言だ。それで十分だ。あなたはその(副大統領候補を受け入れる)可能性を否定していない」 (”Bernie Sanders Is Sounding A lot Like A Guy Who May Want To Be Vice preesident,” Jason Easley, politicalusa.com., 5/29/2016)
トランプにとっての「時の氏神」は誰か
一方のトランプ氏はクリントン批判のオクターブを一気に上げたいところです。が、それよりもなによりも党大会前にどうしてもやらなければならない最優先課題は、党内エスタブリッシュメント(保守本流)との和解にメドをつけることです。
全国党大会を取り仕切るポール・ライアン下院議長の支持は取り付けました。しかし前々回の大統領選で共和党大統領候補に指名されたジョン・マケイン上院議員や、前回の候補となったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事のほか、ブッシュ一家が党大会欠席を早々と決めています。トランプを指名する党大会なんかには出られるか、というわけです。
政治的、道義的、個人的理由からトランプ氏を忌避する共和党員はこうした大物だけではなさそうです。そっぽを向いている共和党の大幹部たちとどうやったら和解できるのか。誰が仲介役になってくれるのか、トランプ氏にとっての「時の氏神」は誰なのか、注目されます。
サンダースが最後まで撤退しない三つの理由
—話を民主党に戻します。サンダース氏は指名獲得が不可能になったのに、どうして撤退しようとしないのですか。
高濱:三つほど理由があると思います。一つは、「貧富の格差を是正する」という自身の政治理念を最後の最後まで訴えたいのです。大統領選ほど効果的に訴えられる場はありません。
その政治理念に照らして見てみると、「貧富の格差是正」に不熱心なクリントン氏は既成体制派であり、「ウォール・ストリート」に象徴される大企業の代弁者ということになります。
サンダース氏は自らを社会民主主義者だと言って憚りません。一方のクリントン氏は自らをリベラル派と言わずに、むしろ「プログレッシブ」(改革者)と呼んでいます。
最近発行された「Alter Egos: Hillary Clinton, Barack Obama, and The Twilight Struggle over American Power」の著者、ニューヨーク・タイムズのマーク・ランドラー氏はクリントン氏を評してこう書いています。「ヒラリー自身、かって『私の政治信条は生まれ育った保守主義的環境に根付いている』とまで言っている。その後民主党に転向、リベラル派の弁護士として社会の不正義や女性差別、人種差別に立ち向かってきた。だがヒラリーのプログレッシブな言動はあくまで保守的な基盤に根差していたと言える」
社会民主主義者のサンダース氏からしてみれば、同じ民主党員とはいえ、保守主義的の基盤に根差したクリントン氏とは相いれないものがあるのでしょう。
そのクリントン氏を当初から全面的に支援してきたのは党内エスタブリッシュメントです。サンダース氏が大統領選に立候補して改めて認識したのは、クリントン氏が一般民主党員の票とは無関係な「特別代議員」の票を独占的に集め、指名に必要な代議員数を獲得した事実です。確かにクリントン氏は特別代議員712人のうち571人(6月7日現在)を獲得しています。
サンダース氏は、民主党のこうした旧態依然としたルールを変えるべきだと主張しています。けれども党執行部は現段階では耳を貸そうとしていません。
二つ目は、サンダース氏自身が口癖のように言っている以下の理由です。「ここで引き下がるわけにはいかない。撤退は民主主義の常識の範囲を著しく侵す行為につながるからだ」。
政治ジャーナリストのダニエル・デペトリス氏はこのサンダース氏の発言を次のように読み解いています。「サンダース自身、代議員獲得争いで負けたことは十分わかっている。ただし、予選選挙が進む中で、『代議員数争い』とか『従来からの選挙常識』といったものが、有権者のパッションや現状に対する憤りによってかき消され、隅に追いやられた」。
「確かにサンダースは、(民主党大統領候補には指名されることのない)死人が歩き続けているようなものだ。彼は選挙運動を、民主党内の旧態依然とした悪習を外部に暴露する伝達手段として使っているのだ。自分の始めたことは、『党を改革する』という道義に基づく本物の一揆だと信じて疑うことがない」 (”Wjy Bernie Sanders Won’t guit,” Daniel R. DePetris, The National Interest, 5/26/2016)
三つ目は、この「老兵」を最初から今まで支持し続けてくれた若者たちへの「仁義」(Duty)のようなものかもしれません。
世論調査で、サンダース氏は17~29歳までの若年層から150万票を獲得していることが判明しました。これに対して、クリントン、トランプの両氏に流れた若年層の票の合計は120万票。つまり、二人の合計よりも30万票多い票を得たことになります。若者はどこの国でも理想を追い求めます。「貧富の格差是正」もさることながら、「公立大学授業料免除」も若者にアピールしたのでしょう。 (”Updated–Total Youth Votes in 2016 Primaries and Caucuses,” The Center for Information & Research on Civil Learning and Engagement, 4/28/2016)
2月以降、サンダース氏を密着取材してきたソーシャルメディアの記者は筆者にこう述べています。「若者たちは手弁当で選挙運動を続けている。サンダースはこれまでついてきた若者たちを裏切るわけにはいかない。代議員獲得争いでは敗れたが、自分を応援してくれ、票を投じてくれた党員990万人の生の声を7月の党大会会場に届けなければならないと考えているのだ」。
第三の党「リバタリアン党」はトランプ票を食うか
—第三政党「リバタリアン党」から6月29日、ゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事が立候補しました。クリントン氏とトランプ氏の一騎打ちに影響を与えるでしょうか。
高濱:リバタリアン党は共和党と同じく「小さな政府」を目指しています。連邦政府の支出を削減することで均衡財政と減税を実現すると主張する「財政保守」の党です。ただし社会政策は民主党寄りです。同性結婚の権利を擁護しており、人工妊娠中絶にも寛容です。
リバタリアン党を取材するテレビ局の政治記者の一人は筆者にこう解説しています。「ジョンソンは08年大統領選でロン・ポール下院議員(16年の大統領選に共和党から立候補したランド・ポール上院議員の父親)を支持するなど共和党穏健派とのつながりが深い。今回の出馬はトランプに乗っ取られた共和党の反トランプ分子の受け皿になろうとする意味合いがある」。
となると、ジョンソン氏の立候補によって票を奪われる可能性があるのはトランプ氏です。NBCとウォールストリート・ジャーナルが5月19日に実施した世論調査では「第三の候補に投票するか」との質問に、「検討する」と答えた人が47%もいました。 (”More Americans Consider Third-party Options,” Byron Tau, Wall Street Journal, 5/24/2016)
また前述のFoxニュースの世論調査の支持率では、トランプ氏42%、クリントン氏39%に続き、ジョンソン氏は10%を獲得しています。トランプ氏を忌避する共和党支持者がジョンソン氏に流れることは十分考えられます。 (”Fox News Poll: Trump tops Clinton, both seen as deeply flawed,” Dana Blanton, FoxNews.com., 5/18/2016)
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『北京の地下住民「ネズミ族」と止まらない格差 上海ディズニーと格差(4) 「持つ者」の心の葛藤と現実主義』(6/9日経ビジネスオンライン 山田泰司)について
鼠族について『互動百科』(中国版Wiki)には「“鼠族”指靠租地下室来生活的一群人,他们大多像老鼠一样生活在地下。因为收入不高,又为了在大城市生活,只能待在地下室。2014年1月,外媒报道:高房价催生“鼠族”,北京28万人住地下室。另有同名漫画作品《鼠族》,作品讲述了阿特父母从纳粹大屠杀中逃生的真实经历,曾获得普利策奖项。」(鼠族は地下室を借りて生活する人を指す。彼らの大部分は鼠と同じような生活を地下でしている。収入が高くないのに、大都市で生活したいので、地下室で暮らすしかない。2014年1月、海外の報道によると「不動産の高騰が鼠族を生ぜしめた。北京では28万人が地下で暮らしている。他には同名の漫画で鼠族というのもあり、作品中作者のアトの父母がナチの大虐殺(そう言えば南京大虐殺記念館も“侵华日军南京大屠杀遇难同胞纪念馆”と表記されています。日本語表記は屠殺になります)から逃げる真実の体験が述べられていて、ピューリッツァー賞を獲得しました」とありました。以前には蟻族もいて「中華人民共和国の都市部に生活する安定的な職を得られない大卒者集団」とのこと。
http://matome.naver.jp/odai/2137427535216293801
鼠族の数は『互動百科』では28万人とありますが、本記事の100万人が実数に近いでしょう。中国は都合の悪い数字は少なく公表するからです。
日本でも貧困ビジネスが話題になりました。タコ部屋に押し込み、生活保護を受給させ、その中から家賃を払わせるもの。大阪では中国人の生活保護の不正受給が問題になったことがありました。日本は外国スパイに甘いだけでなく、外国の一般人にも甘いです。日本人の本当に困っている人には手が差し伸べられていないのでは。もっと外国人の生活保護受給者を監督し、必要に応じ本国に帰還させるべきと思います。
http://www.yawaran.net/news/column7.shtml
本記事に出て来る中国人の姿は普通でしょう。公の概念がなく、自己中心なのは当たり前です。世話になっても恩を感じず、場合によっては九州の身元保証をしていた社長夫婦を襲い、夫を殺害、妻に重傷を負わせるようなことさえ起こります。
http://c212pv76.jugem.jp/?eid=1227
自由のない国ですから、兄のように米国に行けば、中国には戻らないでしょう。ただ、家族が人質になる可能性もありますが。鄧小平の「先富論」は間違いだったことが明らかになってきました。自己中な中華民族の特質を無視、経済的自由だけを認め、政治的自由を認めないため、格差は広がるばかり、かつ腐敗も底なし沼の様相を呈するまでになりました、仮初の豊かさ(30兆$の負債を抱えた中国経済)であっても、軍事で暴走、他国を侵略するに至りました。自己中の極みです。鼠族・蟻族とも社会矛盾を解決するため立ち上がらなければならないのに、自分の利益しか考えないので難しいでしょう。
記事
ジンジン(26)から去年の秋、「弟のハンション(23)が北京で地下室アパートの経営をするようになった」と聞かされた時には、へえ、あの出前の仕事も続かなかったハンションが、今やアパートのオーナーになったのか、成功したものだ、結婚も決まったし、出稼ぎ労働者として身を粉にして働いてきた両親もこれで一安心だろう、とまず思った。
上海で働く両親と離れ、祖母と2人で暮らしていた安徽省の農村にある自宅で私が初めてハンションに会ったのは彼が中学2年生の時だった。その後、大学に進んで欲しいという両親の希望に反し、「勉強が嫌いだから」と高校にも進学せず両親のいる上海に出て来て飲食店の出前など短期間で職を転々とした彼だったが、専門学校ぐらいは出ていないとどうにもならないと周囲に説得され、田舎に戻って自動車修理の専門学校に進み、内陸の重慶で米国の自動車会社系列の自動車修理工場に修理工として就職した。
堅い仕事に就いたと周囲が喜んだのもつかの間、長時間の重労働に耐えられずすぐに辞めてしまった。ちょうどそのころ、北京で駐車場の管理の仕事を請け負う会社を立ち上げた親戚が見かねて、北京に来いと声をかけてくれ、その仕事を手伝うようになったが、今度はいつまで続くのだろうかと両親は案じていた。
このような経緯を知っていただけに、ハンションがアパートの経営をするようになったと聞いた時には、反射的に、ああ、北京での生活は順調なのだな、学歴もないのによく短期間で頭金を貯めて中古のアパートが買えたものだ、よく頑張っているなと、単純に彼の今の境遇を喜んだのだ。
ただ、少し落ち着いてから、ジンジンの言葉を改めて反芻してみた。アパートはアパートでもハンションが経営するのは「地下室」だという。「地下室」という言葉が、私の口の中にザラリとした苦いものを残した。
中古のアパートを購入しそれを貸しに出しているのだろうと勝手に思い込んでいたが、どうやらそうではないらしい。
北京の地下室のアパートは、お金さえあれば買える、という類いのものではない。「権力」というにはいささか大げさだが、お金で買うことができない「権利」を持った人間との絡みを持たなければ、地下室のアパート経営にかかわることはできないのである。

地下室アパートの入り口と階段。暗い闇の先に部屋が並んでいる(北京市内)
100万人が地下に住む
不動産の高騰に拍車がかり、「地上」に家を借りることができない地方出身の低所得者が、本来住居用でない地下の空間に設けられた狭い部屋に住み始めているということが最初にクローズアップされたのは、2008年の北京五輪前後のことだろうか。その後、地下居住者の数は増え続け、ピーク時には100万人にまで膨れ上がったと言われる。これら地下住民は、地下に巣を作って暮らすネズミのようだとして「鼠民」という呼ばれ方をする。
北京にあるこうした地下のスペースは、冷戦時代の1950~60年代にかけて、ソ連(当時)の侵攻を警戒して防空壕として掘られたものだという。当初、これら防空壕に住居を設けることに制限はなかったというが、地方から北京への人口流入が続き、地下に居住する人の数が膨張するにつれ、治安や防災の面から問題視されるようになった。そして2011年の条例改正で、本来は居住用途でない地下の空間を住居として貸し出すことが禁止された。ただその後も地下居住者が目に見えて減少したということはない。中国当局は春節(旧正月)や国慶節(建国記念日)などに合わせて毎年、犯罪などの撲滅キャンペーンを張るが、地下室もこうした節目に合わせて年に数回、取り締まりが強化され、キャンペーンが終わると緩むということが繰り返されているようである。
地下室ビジネス参入の条件

平均的な地下室アパートの1室
とはいえ、条例で禁止されているのだから、誰でもがこの「市場」に参入できるわけではない。マンションの管理を請け負う不動産会社が地下室の賃貸の元締めであるケースが大半だ。管理会社はさらに別の会社や個人に店子探しや家賃の徴収などを下請けに出す。ハンションはまさにこの部分に位置している。そして、徴収した家賃は管理会社と折半する。さらに管理会社はこの中から、その地域を管轄する「組織」に必要に応じて一部を上納するという図式である。
北京の賃貸住宅の平均価格は2015年、4463元(約7万6000円。偉業我愛我家市場研究院調べ)。これに対して、ハンションは2カ所の地下スペースに計13室を管理しているが、家賃は平均すると月額600元(約1万円)だ。
つい最近、私は北京でハンションに地下室を案内してもらった。今年の春節に例年にないほどの大規模な取り締まりがあって、いったん住民が全員出て行ってしまったとのことだったが、それでも8割が既に埋まっていた。4畳半から6畳ほどのスペースに入り切らない家財道具を廊下に並べている光景は地上の安アパートと同じだが、空気は澱んでいる。自然光がまったく入らない真の闇の奥に潜む自分の住み処に向かって毎日、階段を下りて行くのは想像するだけでも気が滅入る。ただ、600元という家賃は、地上の相場からするとやはり格安だ。
「共食い」の葛藤と現実の選択

各戸の家財道具が並ぶ廊下。電灯を点けると暗闇に造花が浮かび上がった
ハンションが地下室ビジネスをしていると聞いて、私は正直、「条例で禁止されている商売をやっている」という点を咎める気持ちはまったく起こらなかった。「上に政策あれば、下に対策あり」と言われる中国である。これと類似するケースは日常茶飯に存在するのだから。
ただ、北京の地下住民の問題には、都会の人間が、地方から出て来た人たちの窮状につけ込んで食い物にしている、という構図がある。ジンジンとハンションの両親が働く上海では、北京のような地下住居は多くないのだが、それに代わる存在が、やはり居住が許されてない取り壊しが決まった廃虚だ。ジンジンとハンションの両親も、正規の住宅に比して格安の廃虚を転々とし、ひっそりと生活してきた。
それだけに、自分の両親や自分自身と同じ境遇にある人たちを相手に地下室ビジネスをやるのは、ハンションにとって、共食いをするに等しいことだとも言える。その点について、ハンションに葛藤はないのかが気になった。聞けば、800台を収容する「正業」の駐車場の管理の仕事だけで、ハンションは毎月1万5000元(約25万円)前後の収入があるのだという。臨月の妻は産休に入っているが、やはり仕事を持っている。それだけの収入があれば、何も地下室の経営をしなくても、比較的余裕のある暮らしができるはずだ。駐車場経営の実績を評価して、管理会社はハンションに地下室管理を持ちかけたのだろう。ただ、余裕の出た地方出身者が、格差を利用した商売をしていたら、都市の人間と地方出身者、強者と弱者の格差はこの国から未来永劫、なくならないだろう。
個人の利益の最大化
とは言え、面と向かってハンションにこの気持ちをぶつける勇気は、私にはなかった。そこで、より交流がある兄のジンジンに私の考えを伝えてみた。するとジンジンは、「北京に家のない、地方から裸一貫で出て来た若者が、4000元や5000元(6万8000~8万5000円)の給料から5000元の家賃をどうやったら出せると言うんですか? 安い住宅を提供して、弟は住人たちから感謝されていますよ」と気色ばんだ。
北京を発つ前、お兄さんは、安いお金で住居を提供してくれているあなたに住民たちは感謝している、と言っていたけど、あなた自身もそう思う? とハンションに聞いた。するとハンションは、「兄貴はそんなこと言ったの?」と苦笑いし、すぐに真顔になって、「感謝なんかされてないよ」とつぶやいた。そして、「地下室アパートの件は、運に恵まれて、それをつかんだ、そういうことなんだ」と言った。
ジンジンは、国の研究所に付属する大学院の博士課程で大気汚染の改善を研究している。学費は全額免除、かつ研究所の業務を補佐しているということで、月2000元(約3万4000円)程度だが報酬も得ている。卒業後も研究所に残って就職するには海外に3年間留学するのが条件だとのことで、ジンジンも米国に留学する予定だが、「チャンスがあれば、そのまま米国に移住したい」という希望を常に口にする。

地下室で見かけた人影
それを聞く度に私は、あなたのようなエリートが海外に移住してしまったら、PM2.5に苦しむ中国の問題はだれが解決するの? 国に尽くすのがあなたのような若いエリートの使命ではないのか。ある程度の条件が揃ったり権利が手に入ったりすると、問題を解決しようとしないでひたすら権利を行使する側に回ってしまうのが、中国の最大の問題だと言って説教する。ジンジンは、オジサンの説教を「うーん。それはそうですね」と毎回真面目に聞いてくれるし、理解もしてくれているようだ。
しかし、ジンジンも、そしてハンションも、実際に取る行動は恐らく、国よりも、格差の是正よりも、個人の権利や利益を最大化するかどうかに基準を置いて判断するのだろうと、彼らの話を聞いて思う。そしてそれが、中国のリアルに基づいた彼らにとっての最適解なのだろうな、とも。
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