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『「百害あって一利なし」の日韓スワップ 真田幸光教授に「慰安婦像への対抗措置」を聞く(1)、「中国側に寝返る韓国」にスワップは追い銭 真田幸光教授に「慰安婦像への対抗措置」を聞く(2)』(1/16・17日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『世界の富の99%を動かす英国王室、その金庫番のユダヤ資本』(真田 幸光著)について
韓国人というのは乞食民族のくせして、日本に対し何時も上から目線でモノを言う哀れな民族です。儒教の序列で中国が親、韓国が兄、日本が弟なんて孔子が言ってる筈もない。孔子は日本の存在すら知らかったのでは。徐福以前の時代ですから。思い込みと言うか勘違いも甚だしい。儒教が国教と言っても、裏切り者の李成桂が1392年に開いた李氏朝鮮からでしょう。今やキリスト教信者が1/3を占め、海外移住するときに便利と言う理由で宗教を選んでいます。そんな現世利益追求の宗教なんてカルトでしょう。ヘル朝鮮だから海外に出る人が多い。そのくせ、海外で故国に気に入って貰うためにか、反日活動に勤しみます。中共統治の中国もヘル中国だから反日に勤しむのでしょうけど。
岸田外相は外務官僚の振り付け通りにしか動けません。無能としか言いようがない。日本人としての気概がなければパペットで終わりでしょう。とても総理の器ではありません。青山繁晴氏は安倍総理の後は中山恭子氏が良いと言っているのを、ブログ「ぼやきくっくり」で読んだことがありますが、確かに保守派の中で安倍氏の後継ができるのは中山氏くらいしかいないのかとも思います。ただ、自民党ではなく「こころ」であることと、自民党の中に、男のジェラシーで足を引っ張るのが出て来るのでは。石破のように平気で後ろ足で砂をかける手合いは、総理はダメでしょう。稲田氏はまだまだ安倍総理の手法を勉強した方が良いと思います。
日本人の優しさを、韓国人は「自分には力があるから日本人も言う事を聞く」と勘違いすると呉善花氏は言っています。こういう話を聞くと日本人と言うのは本当に国際化していないと感じます。日本的発想で何でも物事を処理しようとするから、相手に足元を掬われるのです。語学ができれば良いという話ではありません。如何に社益、国益を主張できるかにかかっています。
http://blog.goo.ne.jp/think_pod/e/6096ff93b5ee111a0c9168a8f395017e
韓国がクーデターで軍事政権になるのか、赤化政権になるのか、日本にとってはどちらでも良く、『非韓三原則』で臨むだけ。軍部がクーデターを起こし、戒厳令を敷いても、北の反乱分子が事を起こすでしょうから内乱になると思います。同じ民族同士で争うのは勝手ですが、反日教育で歪んだ思想を持つ人間に、日本人は虐殺される可能性があります。韓国駐在員の早期の帰国を勧めます。
安倍総理は「大使の早期帰任」について否認しています。今選挙をやれば自民党は勝てるでしょう。朝日新聞は慰安婦問題に自ら火を付けたにも拘わらず、自分の責任には頬かむりして、政府を批判し、韓国の味方をします。倒錯・異常者の考えでしょう。いい加減朝日の購読者は読むのを止めませんと。
赤化したら、在日は朝鮮半島にお返ししましょう。どうせ、半島の日本の資産は返って来ないでしょうから、日本国内の在日の資産も接収すべきです。東レやみずほ銀行はどうするのでしょうか?愚かな経営者を持つと従業員が不幸になる典型では。真田氏が言うように一企業の為に日本が韓国にスワップすることはありません。そんなことをすれば自民党は選挙でボロ負けするでしょう。あの二階ですら今回の韓国への制裁を認めたくらいですから。選挙が近づくにつれ、強硬な対抗措置になると思います。
記事

1月4日、釜山の日本総領事館前。慰安婦像の前で安倍首相のお面を付け、ひざまずくパフォーマンスが(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
(前回から読む)
「そもそも韓国とのスワップは日本に必要なのか」――。真田幸光・愛知淑徳大学教授と話し合った(司会は坂巻正伸)。
「冷静さ欠く」と朝日が批判
—慰安婦合意を覆し始めた韓国政府。さすがに日本政府も怒り、1月6日に「4つの対抗措置」を発表しました(「『民衆革命』は軍事クーデターを呼んだ」参照)。
■日本の「慰安婦像」への対抗措置 ・長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事の一時帰国 ・通貨スワップ再開に向けた協議の中断 ・次官級による日韓ハイレベル経済協議の延期 ・釜山総領事館員の釜山市関連行事への参加見合わせ

真田 幸光(さなだ・ゆきみつ) 愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(研究科長)/1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年に愛知淑徳大学に移った。97年のアジア通貨危機当時はソウルと東京で活躍。2008年の韓国の通貨危機の際には、97年危機の経験と欧米金融界に豊富な人脈を生かし「米国のスワップだけでウォン売りは止まらない」といち早く見切った。
真田:ソウルの日本大使館前と釜山の日本総領事館前の慰安婦像を韓国が撤去するまで、日本は「4つの対抗措置」を粛々と進めるべきです。
韓国側は「いずれ日本は対抗措置を取り下げる」と考えています。実際、日本側にも「日本のやり方は大人げない」と言う人がいて、政府がどこまでこの措置を貫くかは疑問です。
—「大人なげない」などと言う人がいるのですか?
鈴置:朝日新聞は1月7日の社説「韓国との外交 性急な対抗より熟考を」で「ここまで性急で広範な対抗措置に走るのは冷静さを欠いている。過剰な反発はむしろ関係悪化の悪循環を招くだろう。日本政府はもっと適切な外交措置を熟考すべきである」と主張しました。
それに日本が1月9日に実行に移した「大使らの一時帰国」も「一時帰国」であって「招還」ではありません。いずれ大使らは韓国に戻ります。
真田:対抗措置を最後まで貫かないのなら、むしろ中途半端に拳(こぶし)を挙げない方がよいと考えています。日本政府は自国民を意識してこうした措置をとった側面もあるでしょう。
それは理解できますが、でも中途半端なやり方は韓国に舐められてしまいます。逆効果になります。発表した以上はきちんと貫いていただきたい。
鈴置:同感です。韓国人は「日本に対しては何をやってもいい。本気で反撃してはこない」と考えています。
「対抗措置」を下手に取り下げたら、その認識をますます強化してしまいます。すると韓国はさらに日本を侮蔑する行為に出るでしょう。
苦しみ続ける韓国
—「4つの対抗措置」は実際に効果があるのでしょうか。
鈴置:「大使らの一時帰国」は韓国人を驚かせはしました。でも、仮にそれが長引いても「大使がいなくても別段、実害はないではないか」との認識が広がるでしょう。日本の大使には失礼な見方ですけれど。
真田:しかし「通貨スワップ中断」は効きます。米国の利上げにより今後、世界からドルが米国に引き上げられていきます。
これによる新興国の金融破綻が懸念されています。テール・リスク――可能性は高くないけれど起こったら大ごとになる、という危険性が高まっています。
韓国はいざという時に外国からドルを借りられる通貨スワップ協定を積み上げておく必要があります。これは「保険」なのです。
2016年8月に日本との通貨スワップ協定の協議再開を決めたのも、それが目的でした。というのに、韓国は日本とケンカしてスワップは宙ぶらりんになりました。
韓国は苦しみ続けることになります。テクニカル・デフォルト(債務不履行)を起こす可能性が高まりました。韓国の銀行は恒常的なドル不足に悩んでおり、邦銀などからドルを借りてしのいでいます。
何かの拍子に、オーバーナイトの貸し出し――翌日渡しの当座貸し出しを受けられなくなったら、ドルの「超短期の借金」が返せなくなります。
これがテクニカル・デフォルトです。銀行が1行でもデフォルトすると、韓国すべての金融機関が取引を打ち切られてしまう可能性が高い。もちろん、貿易にも支障をきたします。
日本が幇助したウォン安
鈴置:国際金融市場が大きく荒れれば「日本に見捨てられた韓国」は狙い撃ちにされるでしょう。ウォンが売られたうえ、ドルの貸し渋りが始まる。
今のところはまだ、大量のウォン売りは出ていないようですが。日本政府は「対抗措置」と呼んでいますが、はっきり言えば「スワップ交渉中断」は制裁措置なのです。
—「ウォンが急落したら日本の輸出競争力が落ちる。だからスワップを結んでウォン安を食い止めるのだ」とメデイアは説明してきました。
鈴置:官僚や政治家は真顔でそう言うのですが、大いなる誤解です。国際金融市場が荒れた際、韓国は死に物狂いでウォンの価値を守ろうとします。ウォン安政策をとり続ければ、制御不能になって暴落――通貨危機に陥りかねないからです。
でも、日本とのスワップがあればウォン安政策をとってもウォンは売り浴びせられない。いざという時にドルを供給する日本が後ろに控えているからです。韓国は安心してウォン安誘導できる。それを日本が幇助するわけです。2008―2012年がまさにこの状態でした。
経団連はムシロ旗を
—とは言え、スワップを与えず韓国が通貨危機に陥ったら、極度のウォン安になるでしょう。
鈴置:その際は韓国の金融システム全体が破壊され、企業倒産が多発します。韓国がいくら安い通貨を武器に輸出ドライブをかけようにも、モノを作る工場が消滅してしまうのです。1997年から1998年にかけてこの状況が現出しました。
日本がマレーシアやインドネシアにスワップを付けても問題はありません。これらの国と日本は産業構造が異なるからです。
しかし、日本を真似して成長してきた韓国にスワップを与えると、日本が損害を受けることが多いのです。ウォン安とは、すなわち円高だからです。
ウォン安・円高になるといかに日本経済が疲弊するか――。2013年1月14日に日経新聞がそれをデータで裏付けた記事を載せています。「『最強連動通貨』と日本株の不思議な関係」です。
この記事によると、日経平均株価とウォン・円レートはほぼ完全に連動します。円に対しウォンが安くなるほどに日経平均は下がるのです。相関係数は何と0.98。少なくとも「この頃は完全連動していた」と言い切ってよいでしょう。
つまり日本政府はスワップにより、自国経済を弱体化させながら韓国経済を支えてきたのです。2016年8月に財務省が韓国とのスワップ協議再開を発表しました。その時、本当なら経団連がムシロ旗を立てて財務省に押し掛けるべきだったのです。
恩を仇で返す国
—韓国との通貨スワップは「百害あって一利なし」ですね。
真田:経済的な損害だけではありません。韓国はいくら助けても「日本のスワップなど意味はない」「日本のせいで通貨危機に陥った」と吹聴して回ります。恩を仇で返す国なのです。
1997年の通貨危機の際、事実上破綻していた韓国に邦銀は最後までドルを供給しました。それなのに韓国人は「日本が逃げたから通貨危機が起きた」と言い張っています。
米国や欧州の銀行が早々と韓国を脱出した後、孤軍奮闘、韓国に踏みとどまったのは邦銀です。最後まで残っていたからこそ、IMFの救済金融を求めることを内定した際、融資を打ち切らざるを得なかったのです(「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」参照)。
—最近も中央日報の日本語版で「日本のせいで通貨危機になった」という記事を読みました。
鈴置:イ・ジョンジェ論説委員が書いた「韓日通貨スワップは政治だ」(1月12日、日本語版)ですね。以下のくだりがあります。
- (国際金融専門家の)S氏は「日本は一度も韓国が絶対に必要な時、望む時に助けてくれたことがない。むしろ最初にお金を抜き出し、不意打ちを食らわせた」と話した。通貨危機が押し寄せた1997年、(日本は)真っ先に韓国からドルを抜きだした。
真田:当時、韓国の内実を知る金融界の経営陣は、最後まで踏みとどまった我々に深く感謝していました。ところが今ではこのありさまです。
加害者は言うことを聞け
—なぜ、こんな言説がまかり通るのでしょうか。
鈴置:危機を起こした金泳三(キム・ヨンサム)政権が、責任逃れのため「日本のせいだ」と言い出したのです。ただ20年前は、もちろん専門家は事実を知っていました。政権の言い訳を批判した議員もいました。
2008年に通貨危機に陥った際、韓国人は日本にスワップ締結を要求しようと「1997年の通貨危機は日本のせいで起きた。加害者であることを反省して、今度はさっさとスワップを寄こせ」という理屈をひねり出した。
それが今や「定説」となりました。まあ、韓国では「何か問題が起きたら日本のせい」にするのが常道なのですけれど。
—疲れますね。
鈴置:だから、米国のアジア専門家も「韓国疲れ」(Korea Fatigue)と言い出しているのです。中国だけは韓国を取り込んでやろうと、脅しつつ付き合っていますが。
左派政権なら中国からスワップ
—表「韓国のスワップ」を見ると、完全に「中国頼み」です。
韓国の通貨スワップ(2017年1月15日現在)
| 相手国 | 規模 | 締結・延長日 | 満期日 |
| 中国 | 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) | 2014年 10月11日 | 2017年 10月10日 |
| 豪州 | 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) | 2014年 2月23日 | 2017年 2月22日 |
| インドネシア | 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) | 2014年 3月6日 | 2017年 3月5日 |
| CMI<注> | 384億ドル | 2014年 7月17日 |
<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)など
真田:でも、その中国と関係が悪化しスワップを延長してもらえるか、不安になった。そこで韓国は日本に頼んできたのです(「『中国のスワップ』を信じられなくなった韓国」参照)。
ただ、中韓関係はまた状況が変わりそうです。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領への弾劾で、政権交代が早まる見込みです。
今年前半にも左派政権が誕生すると思われます。そうなったら中国から「心配するな。スワップは続けるから」と言ってもらえると韓国は考えています。
左派のすべての候補者が在韓米軍へのTHAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)配備に関して反対か、見直しを主張しています。中国との関係悪化はこのTHAADが原因でした。
次期政権が米国に対し「THAAD配備を認めない」と言えば、中国とのスワップは確保できるというのが韓国の目論見でしょう。
(次回に続く)=1月17日掲載予定

トランプ次期米大統領は「従中」を加速する韓国に何を求めるのか。それとも見捨てるのか(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)
「義のない国は見捨てられる」――。真田幸光・愛知淑徳大学教授の韓国を見る目は実に冷ややかだ(司会は坂巻正伸)。
食い逃げの達人
鈴置:前回は、韓国に左派政権が登場しそうだ。すると中韓関係が一気に改善されるので日本との通貨スワップなど不要になる――と韓国は踏んでいる、との話で終わりました。真田先生の御説です。
—となると「韓国が中国側に行くのを防ぐために、日本は韓国にスワップを付けるべきだ」と言う人が出そうです。
鈴置:荒唐無稽な理屈です。日本がスワップを与えるかどうかに関係なく韓国には左派政権が登場し、ますます「離米従中」します。韓国の大統領選挙を左右する力など日本にはありません。
それどころか韓国にスワップを与えると「日本から獲れるものは獲った」と考えて、ますます「やりたい放題」になるでしょう。韓国には食い逃げの実績が多々あるのです。
2012年8月、李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島に上陸しました。さらに天皇陛下に謝罪も要求しました。
その前年の10月に日本にスワップを700億ドルに積み増してもらい、辛うじて通貨危機を乗り切った直後のことでした(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。
「約束破る」と宣言
2015年12月に結んだ慰安婦合意も同じです。「慰安婦像の撤去」に動かないことを理由に、日本が10億円を支払わないのではないかと韓国政府は心配していました。
ところが、撤去もしないのに2016年8月、日本が10億円支払うことに合意した。その瞬間、韓国は手のひらを返しました。国会議員10人が竹島に上陸するなど、国を挙げて「卑日」に邁進しました(「『慰安婦の10億円拠出合意』直後の動き」参照)。
- 「慰安婦の10億円拠出合意」直後の動き(2016年8月)
| 12日 | 日韓両外相、慰安婦合意に基づく10億円拠出で合意 |
| 15日 | 韓国与野党の国会議員団10人、竹島に上陸 |
| 19日 | ソウル中央地裁、元徴用工裁判で新日鉄住金に1億ウォンの支払いを命令 |
| 25日 | ソウル中央地裁、元徴用工裁判で三菱重工業に14人の遺族に1人当たり9000万ウォンの支払いを命令 |
| 27日 | 日韓財務対話で、通貨スワップ再開に向けた協議開始で合意 |
「ここまで来れば、何をやっても韓国のせいで慰安婦合意が壊れたとは言われない」と考えたのです。
というのに8月27日、日本は「スワップ協議再開」で合意しました。韓国はその思いをますます強めました。
9月6日、外交部の林聖男(イム・ソンナム)第1次官は国会答弁で「政府も国民世論を把握しながら動くため、今の段階では政府が前に出てこの問題を推進する考えはない」と述べました。堂々と「約束は破る」と宣言したのです(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。
日本の扇動に乗るな
—韓国は慰安婦合意を初めから守る気などなかったのですね。
鈴置:その通りです。2017年1月6日に日本が「4つの対韓措置」をとって以降、以下の説明が広まっています。
■日本の「慰安婦像」への対抗措置 ・長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事の一時帰国 ・通貨スワップ再開に向けた協議の中断 ・次官級による日韓ハイレベル経済協議の延期 ・釜山総領事館員の釜山市関連行事への参加見合わせ
- 韓国では朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が国会で弾劾され職務停止処分となった。今は大統領の権限代行しかいないので、韓国政府は釜山の慰安婦像設置に適切な処理がとれなかった。
でも、これは韓国側の言い訳に過ぎません。さきほど言いましたように、韓国政府はそもそも合意を本気で守る気はなかった。
朴大統領が「少女像(慰安婦像)の撤去など、合意の中で一切言及されていない問題だ。(日本は)そんなことで扇動してはならない」と公言していたからです。
—「一切言及されていない」のですか?
鈴置:完全に事実に反します。慰安婦合意に関する尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の発表に以下のくだりがあります。日本の外務省の発表(日本語)でも韓国の外交部の発表(韓国語)でも読めます。
- 韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。
声が大きい者が勝つ
—なぜ、こんなにはっきりと言及しているのに「一切言及されていない」と主張するのですか?
鈴置:朴大統領がそう説明を受けていたのか、そう思い込んだのか、あるいは「撤去の約束」に対し韓国で批判が高まったので居直ることにしたのか――。それは分かりません。
—居直ると言っても、これだけはっきりと約束したのですから……。
鈴置:韓国では嘘でも大声で主張すれば真実になるのです。声の大きい者が勝つのです。ことに大統領が「約束などしていない」と言えば、下僚は「日本や米国が怒ってくるだろうな」と思っても、従うしかありません。
ただその意味では、朴大統領の不在が続く現在の方が、役人は慰安婦像の撤去に動きやすくなったはずです。大統領から叱責される危険性は減りましたからね。
野党も「大統領の食言」を批判
—朴大統領はいつ「一切言及されていない問題」と言ったのですか。
鈴置:2016年4月26日、韓国メディアの編集・報道局長との懇談で語りました。同日付の聯合ニュースの記事「朴大統領 言論懇談会③」(韓国語版)がこの発言を伝えています。
翌27日、菅義偉官房長官は「日韓それぞれが今回の合意を、責任を持って実施することが重要だ」と述べ発言を批判しました。が、朴大統領は馬耳東風でした。
9月12日に与野3党代表と会った際にも、全く同じ発言をしています。同日付の中央日報「朴大統領『少女像撤去など日本の言論操作に丸めこまれては』」(韓国語版)で読めます。
なお、「大統領の食言」は韓国で政争の材料になりそうです。大統領レースの先頭を走る文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表が「日本と裏合意したのではないか」と朴政権を追及し始めました。
—「裏合意があった」とは?
鈴置:日本政府に対し「日本大使館前の慰安婦像は世論が落ち着いた後、どこかに移す」と韓国政府がこっそりと約束したに違いない、との批判です。
が、「こっそり」も何も「努力する」とはっきりと約束しているのです。先ほど引用した尹炳世外相の発表を普通に読めば誰だって「日韓両国は可能な限り、移す方向で合意した」と見なします。「裏合意」などと陰謀が企まれたかのようにおどろおどろしく表現するのは、国民を扇動するためです。
聯合ニュースの「慰安婦合意は『無効』=韓国次期大統領候補の文氏」(1月11日、日本語版)は文・前代表の以下の発言を伝えています。
- (日本との間で)裏合意はなかったか、堂々と公表すべきだ。国民をだましているのではないか、疑わしい。
中国は韓国を助けられる?
–騙す方も騙す方ですが、騙される日本政府も相当なものですね。
鈴置:ええ、誠に残念ながら。さて、真田先生に質問です。中韓スワップはウォンを担保に人民元を借ります。いざという時、ドルではなく人民元でウォン防衛が可能なのでしょうか。
真田:実際に韓国がドル資金を調達せざるを得ない状態に陥ると、中韓スワップは絵に描いた餅に終わる可能性が高いと思います。
前回に申し上げたテクニカル・デフォルトを防ぐにはドルが要ります。韓国の外貨建て債務もほとんどがドル建てです。人民元を貸してもらっても意味はありません。
鈴置:中国から借りた人民元をドルに転換すればいいのでは?
真田:韓国が必要になるであろう数百億ドル規模のドルへの交換は一気にはできません。そんなに大きな人民元のマーケットはないからです。
それに今、中国自体が資本逃避――人民元売りに悩んでいます。外貨準備が急速に減っているのがその証拠です。
人民元を防衛するために中国は「人民元売り・ドル買い」取引の規制をもっと強化しようとしています。そんな時に、韓国にだけ大量の「人民元売り・ドル買い」取引を許すのか甚だ疑問です。
鈴置:中国は仮想敵の日本にまでスワップを頼んできています。よほどドルが欲しいのでしょう。韓国を助ける余力があるとは考えにくい。要は人民元のスワップである限り、韓国にとって中国とのスワップは効力がない、ということですね。
IMFに行けばよい
—「一部の邦銀が韓国に貸し込んでいる。だから韓国がデフォルトしないよう、スワップを与えるべきだ」という人もいます。
真田:理屈になりません。それは民間金融機関の個別リスクです。韓国の危険性を見落とした銀行の責任なのです。
日本の金融機関の韓国への債権が不良債権化し、それが日本国経済を著しく毀損するという場合を除いて、そうした議論が出ることはあり得ません。私の認識するところ、今はそんな状態にありませんので、理屈にならないと申し上げたのです。
鈴置:デフォルトを起こせば金融だけでなく貿易取引もできなくなり経済全体が崩壊します。韓国だってそれは避けたいでしょう。本当に困ったら、IMF(国際通貨基金)にドルの緊急貸し出しを頼めばいいのです。
IMFも1997年のように厳しい条件は付けないでしょう。処方箋を間違えて韓国などの状況を悪化させた、と批判されましたから。
—米国が日本に対し「韓国とスワップを結んでやれ」と言ってこないでしょうか。
真田:まずないと思います。米国だって、中国に鞍替えしようとしている韓国に甘い顔はしません。
在韓米軍を守るためのTHAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)配備を拒否し、米国が苦労してまとめた日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)や慰安婦合意を蹴り飛ばす――。そんな韓国を助けるほど米国はお人好しではないと私は見ています。
万が一、私の見通しが外れて、米国が韓国とスワップを結んでやれと言って来たなら、その時はおもむろに再締結すれば済むことです。
鈴置:仮想敵の陣営に走る国の危機は助けない、ということですね。当たり前の話で、日本もそうあるべきです。
真田:むしろ今後、日本が韓国にスワップを与えようとしたら、米国は止めてくるかもしれません。1997年の通貨危機の際もそうでした。
鈴置:あの時、日銀が韓銀にスワップを付けようとした。すると直ちに米国が「やめろ」と言ってきました(「米国は『日韓スワップ』を許すか」参照)。
邦銀は最後まで韓国にドルを供給していた。しかしその邦銀に対しても、日本政府経由ですが米国政府が供給を止めさせました。
もう、米韓同盟は持たない
—なぜ、米国はそれほどに厳しい姿勢をとったのですか?
鈴置:米韓関係が悪化していたからです。でもこれから、当時とは比べものにならないほど関係は悪くなります。米韓同盟の打ち切りもあり得ます(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。
真田:1月20日、トランプ(Donald Trump)政権がスタートします。就任前から、実利を徹底的に追っています。
トランプ氏はツイッターを通じ、米国企業やトヨタのメキシコへの工場移転を露骨に牽制しました。前例のない話です。そんな米国にとって韓国は経済面でさほどプラスになる存在ではありません。
軍事的には完全なお荷物です。ニクソン(Richard Nixon)政権(1969―1974年)の時から、在韓米軍の縮小・撤収が米国の課題でした。トランプ政権はそれを加速する可能性が高い。
この政権は軍人が支えることになります。その軍が韓国に極めて厳しい。米国はこれまで以上に韓国に冷たい姿勢で対することになるでしょう。
鈴置:2010年頃から「米韓同盟はもう、長くは持たない」との米軍幹部のつぶやきが日本にも伝わって来ました。
中国と敵対の度を強める米国。一方、恐怖心から中国との関係をとにかく良くしたい韓国――。米韓の間で主敵が完全に異なったのです。韓国が在韓米軍へのTHAAD配備を長い間、拒んだのも米韓同盟のきしみの象徴です。
興味深いことに、同じ頃から米国の機関投資家が韓国株を手放し始めた。ペンタゴン(国防総省)だけではなく、ウォール街も韓国と距離をとり始めたのです。
真田:そこが注目点ですね。米国の軍と金融界は地下茎でつながっていて、この2つが外交の中軸です。
そもそも「義」のない国は信用されません。いくら国際政治が利害で動くといっても、平気で約束を破ったり、同盟国の仮想敵にすり寄る国は見捨てられるものです。
日本の鼻をあかせ
—韓国人はそこをどう見ているのでしょうか。
鈴置:韓国紙にはいまだに「日本など相手にせず、スワップは米国に頼もう」という記事があふれています。
前回に引用した中央日報の「韓日通貨スワップは政治だ」(1月12日、日本語版)もそうです。この記事は「米国に上手に根回しすれば、スワップを勝ち取れる」と檄を飛ばすのが目的でした。日本語を整えつつ、その部分を引用します。
- 日本にとって韓国は大した考慮の対象ではない。THAADをめぐる葛藤に巻き込まれた今、中国も活用するのが難しい。2017年10月に満期となる韓中通貨スワップの存続をむしろ心配するべきだ。
- 結局、残るのは米国だ。そのズボンの裾にしがみついてでも、トランプ大統領に食い込まなければならない。
- トランプ氏の大統領在任期間中、米国との間で300億―500億ドルの通貨スワップを維持するだけで、韓国の外国為替・金融市場は大いに安定する。
- それに成功すればついでに、我々が厳しい時に常に裏切る日本の鼻をぺしゃんこにできるのだ。
真田:うーん。これを読む限り、米国の冷ややかな視線に韓国人はまだ、気がついていないということですかね。この記事は米国に対するアピールかもしれません。いずれにせよ、米国が今の韓国にそこまでの価値を見出しているとは思えません。
(次回に続く)
本の内容
P.144~149
1997年、アジア通貨危機が襲った
1984年、私は東京銀行の韓国語トレーニーで、語学とその国の経済を学ぶために延世大学とソウル大学を行ったり来たりしながら聴講生として講義を受けていました。そのような時、ある大きなパーティーに参加しました。
多くの著名人が参加するパーティーでしたが、その中にアメリカの大企業の韓国駐在のトップの方がいました。その方が私に次のように話してくれたのです。 「アメリカはね、真田君。これから韓国の動脈に注射針を入れていくよ。そして、韓国がグーッと伸びてきたら注射針から血を抜くよ、逆に我々の意図にそぐわない動きをしてき たら、毒を盛るからね」
と。その時は、つたない英語力しか持たなかったこともあり、聞き間違えたかと思いました。
そうこうしているうち、1997年、アジア通貨危機が起こったのです。韓国経済は危機に瀕しました。その時、最初の引き金を引いたのはアメリカです。「韓国は危ない」といって最初に資金を引き上げたのはアメリカの銀行です。そして、韓国で通貨危機が始まりました。日本の銀行は最後の最後まで韓国を助けようと資金供給を続けましたが、結局どうにもならなくなり、最後に資金を引き上げます。そしてアジア通貨危機が決定的になりました。多くの韓国企業が倒産していきました。日本は悪役になってしまったのです。 しかし、張本人はアメリカです。
それまでアメリカは韓国の主要産業に資本を投下していました。金融や通信やマスコミに入り込んでいきました。そして、そこから収益を上げていたのです。
私はその時、パーティーでアメリカの大企業のトップが話していた内容にやっと気づきました。彼のいった「動脈」とは韓国の主要産業であり、「注射針」とは投下した資本です。そして、毒とは「資金の引き上げ」だったのです。
私はその時、背筋の寒い思いをしました。それが経済の裏の仕組みなのです。
「ザラバ」を仕切るユダヤ資本
国際金融の場で仕事をしている多くの人は、その裏の仕組みに気がついているでしょう。そういえば属国論を繰り広げている副島隆彦氏も、英国の銀行に出向していた経験を持っています。国際金融の中心にいるのは明らかにユダヤ資本です。
先述しましたが、アメリカの紙幣を発行しているのはFRB=連邦準備制度理事会で、それは日本とは違い民間の機関です。そしてそのFRBの株主が、ユダヤ資本のロスチャイルド系とロックフェラー系の銀行で占められているのです。このことは世界の通貨であるアメリカの紙幣発行にかかる利権は、すべてこれらのユダヤ資本が牛耳っているということに近いと考えてよいでしよう。
これは氷山の一角でしかありません。ユダヤ資本が牛耳っているのはアメリカの紙幣だけではありません。世界覇権を握る4つの要素のひとつであるエネルギーは、ロックフエラーが握っていました。石油で一大財閥になったロックフェラーは石油市場を仕切ったのです。現在、原子力に関する利権を享受しているのはアレバというフランスのユダヤ資本です。
それだけではありません。ユダヤ資本は歴史上のさまざまな場面に登場し、歴史をも動かしています。幕末のとき、倒幕側に武器を提供したのはロスチャイルド系のジャーデイン・マセソン商会で、その指示の下、グラバーが武器を坂本龍馬を通して売り歩いていたのです。ジャーデイン•マセソン商会は、イギリスの東インド会社を最終的に牛耳っていたロスチャイルド系の企業であり、アヘン戦争の立役者でもありました。現在でも存在し、ロスチャイルド系の世界最大級の多国籍企業です。
これらについて、一つ一つあげていたら切りがありませんし、常識と化しているので、 この辺にしておきますが、ユダヤ資本が国際金融や主要産業の中心にいるのは間違いありません。そして、ユダヤ資本に限らず、多くのプレーヤーがこのような「ザラバ」で蠢いています。そして、この「ザラバ」の上にいて、その仕組みを作り出したのが、英国王室を中心とした王族・貴族たちなのです。
王室を尊敬と羨望のまなざしで見る「ザラバ」のプレーヤーたち
私がこのような「英国王室などの現人神が頂点」にいると感じたのも、国際金融の場、香港でした。
ある時、「ギルド」の連中とそれぞれの家の話がテーマとなり、その際に私の名前の由来を話すことになってしまいました。「SANADA」って何だということです。その時、私は、私の名前の「真田」が戦国武将であり、私自身が長野・松代藩主の末裔であり、天皇家よりかつて「伯爵」の爵位をもらっていたことを紹介したのです。すると、彼らの雰囲気が一変しました。
それまでは、アジアのアセット・イー夕—の一人としてバカにしていた彼らが、突然、水戸黄門の印籠を目にした代官のように、表情と態度が少しの尊敬と信頼に変わったのです。それ以来、私は「ギルド」の中の話を少しだけ聞くことができるようになりました。
そこで感じたことは、欧米人の、それも上流階級の王室の捉えかたが、現在の日本人と まったく違うということでした。日本にも英国王室よりも長い歴史を持つ天皇家があります。私の家はその天皇家から爵位を拝領していたということによって、私への見方を少しだけ変えたのではないかと思いました。しかし、現在、天皇はGHQによって象徴とされてしまいました。第二次世界大戦前であれば、天皇は現人神だったわけです。欧米人の上流階級では、この現人神と同じような尊敬と畏怖が、現在の王室に注がれています。
それは“王だから尊敬する”というものではありません。王が世界を治めるシステムを作ったからです。それが現在も続いているからです。ロスチャイルドが財を成したのは、所詮、王の資産と、何よりもその胥後にある「dignity」を運用したからであります。
ロスチャイルドが財を成すきっかけは1801年、当時神聖ローマ帝国の領邦国家だった後のヘッセン選帝侯ヴィルへルム一世の資産の管理を任されたからです。ヴィルへルム一世の資産は世界最大級のものでした。彼はその膨大な資産を運用して(他人に貸し付けて)利益を上げます。それがロスチャイルド家の始まりでした。
王の資産がなければ、現在のロスチャイルド家は存在しなかったのです。では、王族はどのように、世界のシステムを構築してきたのでしようか。それをこれから見ていきたいと思います。
P.161~162
大英帝国の誕生、イギリスが言語のスタンダードを握る
エリザベス1世の時にイギリスは、世界一の大国、大英帝国の道を歩み始めます。しかし、海洋では力を発揮しても、まだまだ、ヨーロツバ大陸では最強とはいえませんでした。フランスとは百年戦争に敗れたままです。
そのイギリスがヨーロツバ随一の大国になり、ということは世界一の大国になり、世界の覇権を握るのは、それから200年の時が必要でした。
世界の覇権を取るには、言語、通貨、法律、製造基準、会計基準のスタンダードを握る必要があります。さらにそれを支える軍事力が必要です。そしてそれらの背景には、水と食糧、エネルギーと原材料を持っていることが大切になるわけです。
それらを、どのようにイギリスが握っていったか、順番に見ていきましょう。 まず言語です。この当時、世界に英語が普及していきます。理由はイギリスが世界に植民地支配を広げていったからです。現在、インド、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フイリピン、ケニア、タンザニア、カメルーンなど62カ国と27の地域が英語を公用語あるいは事実上の公用語としています。それらは、ほとんどが元植民地です。
さらに英語は比較的覚えやすい言語です。日本人にとっては文型(主語、述語などの位置)がったため、どうしても難しく感じますが、アルフアベツトは文字が26しかなく、フランス語やドイツ語に比べて語形変化や、冠詞の変化が極めて少ないのです。植民地支配を広げていく過程でも、その国や地域の人にとって、覚えやすかったという利点もあったのでしよう。
P.190~191
そして、これらは、決して目立たず、粛々清々と行い(すなわち、覇権争いを決してしない!!)、謙虚な中で日本の良さを世界に浸透させていくことがポイントとなります。その具体策としては、
★新•日英同盟の締結。これにより、表の秩序の管理人は、歴史と経験、ノウハウを持ち、日本が敵にしては決していけない国である英国に任せ、日本は実体経済で、汗を流して世界のお役に立つ立場を貫く。
★見た目は小国ながらも技術力と資金力を持ち、また、情報戦も含めた軍事力では世界有数の国々である、スイス、イスラエル、シンガポールと緩やかな連携を取り、デイールバイデイール、ケースバイケースでこれら3力国のいずれか、あるいはすべてと連携をする。
★米国や中国、あるいはロシアといった、いわゆる大国とは決して戦わない。しかし、一定の距離を保ちつつ、日本のアイデンテイテイを守るとなります。
P.178~179

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『トランプは「アジア回帰」踏襲、軍事色強める 中国のAA/ADに対抗し「米全軍統合構想」を本格化』(1/13日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『トランプ新政権は中国の冒険主義的な行動をもう許容しない』(1/15ZAKZAK)について
マイケル・グリーンが中国と台湾と米国の関係を述べていますので、紹介します。Facebookから取ったものです。
<Bonnie S. Glaser& Michael J. Green
What Is the U.S. “One China” Policy, and Why Does it Matter?
On January 11, Rex Tillerson, President-elect Donald Trump’s nominee for secretary of state, reaffirmed the U.S. commitment to Taiwan, based on the Taiwan Relations Act (TRA) and the Six Assurances, at his Senate confirmation hearing. He also indicated that he is not aware of “any plans to alter” the U.S. “one China” policy.
Q1: What is the U.S. “One China” policy? Why does it exist?
A1: When the United States moved to recognize the People’s Republic of China (PRC) and de-recognize the Republic of China (ROC) in 1979, the United States stated that the government of the People’s Republic of China was “the sole legal Government of China.” Sole, meaning the PRC was and is the only China, with no consideration of the ROC as a separate sovereign entity.
The United States did not, however, give in to Chinese demands that it recognize Chinese sovereignty over Taiwan (which is the name preferred by the United States since it opted to de-recognize the ROC). Instead, Washington acknowledged the Chinese position that Taiwan was part of China. For geopolitical reasons, both the United States and the PRC were willing to go forward with diplomatic recognition despite their differences on this matter. When China attempted to change the Chinese text from the original acknowledge to recognize, Deputy Secretary of State Warren Christopher told a Senate hearing questioner, “[W]e regard the English text as being the binding text. We regard the word ‘acknowledge’ as being the word that is determinative for the U.S.” In the August 17, 1982, U.S.-China Communique, the United States went one step further, stating that it had no intention of pursuing a policy of “two Chinas” or “one China, one Taiwan.”
To this day, the U.S. “one China” position stands: the United States recognizes the PRC as the sole legal government of China but only acknowledges the Chinese position that Taiwan is part of China. Thus, the United States maintains formal relations with the PRC and has unofficial relations with Taiwan. The “one China” policy has subsequently been reaffirmed by every new incoming U.S. administration. The existence of this understanding has enabled the preservation of stability in the Taiwan Strait, allowing both Taiwan and mainland China to pursue their extraordinary political and socioeconomic transitions in relative peace.
Q2: What is the U.S. position on who has sovereignty over Taiwan?
A2: In the San Francisco Treaty of Peace of 1951, Japan renounced “all right, title and claim to Formosa and the Pescadores.” Neither the Republic of China nor the People’s Republic of China were parties to the treaty, and thus neither was declared a beneficiary of the Japanese renouncement.
While President Richard Nixon’s private notes show him willing to recognize the status of Taiwan as determined and part of China, subsequent U.S. documents and statements show the United States as having no position on the Taiwan sovereignty question.
The U.S. position regarding sovereignty over Taiwan remains steady and consistent with its “one China policy”: both sides of the Taiwan Strait should mutually and peacefully agree to a resolution of this as yet unsettled issue. The United States doesn’t agree with Beijing’s claim to sovereignty over Taiwan, nor does it agree with Taipei that the ROC is an independent, sovereign state.
Q3: What is the Taiwan Relations Act, and what role does it play in U.S. policy toward Taiwan?
A3: After the Jimmy Carter administration recognized the PRC, Congress passed the Taiwan Relations Act in 1979 to protect the significant U.S. security and commercial interest in Taiwan. The TRA provided a framework for continued relations in the absence of official diplomatic ties. It also set out U.S. commitments regarding Taiwan’s security and empowered Congress to oversee various aspects of U.S. Taiwan policy. The law required that the president inform Congress promptly of any anticipated danger to Taiwan and consult with Congress to devise an appropriate response. The TRA also authorized the continuation of commercial, cultural, and other relations between the people of the United States and the people on Taiwan. Each subsequent Congress has reaffirmed the TRA to ensure that the absence of diplomatic ties does not negatively affect the continued strong, substantive relationship enjoyed by the United States and Taiwan.
The TRA sets forth the American Institute in Taiwan as the corporate entity dealing with U.S. relations with the island; makes clear that the U.S. decision to establish diplomatic relations with the People’s Republic of China rests upon the expectation that the future of Taiwan will be determined by peaceful means; considers any effort to determine the future of Taiwan by other than peaceful means, including by boycotts or embargoes, a threat to the peace and security of the Western Pacific area and of grave concern to the United States; mandates that the United States make available defensive arms to Taiwan; and requires that the United States maintain the capacity to resist any resort to force or other forms of coercion that would jeopardize the security, or the social or economic system, of the people on Taiwan.
The TRA also reaffirms unequivocally that the preservation and enhancement of the human rights of all the people on Taiwan are objectives of the United States. The TRA gives the United States the legal means to continue relations with Taiwan in economic, cultural, and security dimensions. In lieu of official exchanges, all programs, transactions, and relations are conducted and carried out by a nonprofit corporation under contract of the State Department—the American Institute in Taiwan (AIT). AIT and its counterpart, the Taipei Economic and Cultural Representative Office (TECRO), handle interactions between Taiwan and the United States. Together, these two private organizations carry out the unofficial relationship between the United States and Taiwan, but neither operates in an official capacity as an embassy.
Q4: What are the Six Assurances?
A4: In the third U.S.-China communique signed on August 17, 1982, the United States stated “that it does not seek to carry out a long-term policy of arms sales to Taiwan”; “that its arms sales to Taiwan will not exceed, either in qualitative or in quantitative terms, the level of those supplied in recent years since the establishment of diplomatic relations between the United States and China”; and “that it intends to reduce gradually its sales of arms to Taiwan, leading over a period of time to a final resolution.”
Concerned about the possible impact of the communique on Taiwan, President Ronald Reagan placed a secret memorandum in the National Security Council files that stated that U.S. willingness to reduce arms sales to Taiwan was conditioned upon the continued commitment of China to the peaceful solution of cross-Strait differences. The memo underscored that the quantity and quality of weapons provided to Taiwan must be determined by the threat posed by the PRC.
Reagan also took the additional step of asking the head of AIT, James Lilley, to deliver orally, in the president’s name, six assurances regarding U.S. policy toward Taiwan. Those assurances are that the United States:
Had not agreed to set a date for ending arms sales to the Republic of China;
Had not agreed to hold prior consultations with the PRC regarding arms sales to the Republic of China;
Would not play a mediation role between the PRC and the Republic of China;
Would not revise the Taiwan Relations Act;
Had not altered its position regarding sovereignty over Taiwan; and
Would not exert pressure on the Republic of China to enter into negotiations with the PRC.
Q5: Why is Taiwan important to the United States?
A5: Taiwan ended martial law in 1987 and held its first direct democratic presidential election in 1996. Today, Taiwan is a fully functioning democracy, respects human rights and the rule of law,
and has a open economy that, in 2015, made it the ninth-largest U.S. trading partner, with bilateral trade between the United States and Taiwan reaching $66.6 billion. As such, Taiwan is a vital partner for the United States in Asia, a robust, prosperous, free, and orderly society with strong institutions that stands as a model for the region.
Taiwan and the United States are engaged in joint programs, under the Global Cooperation Training Framework, working together to expand their already robust cooperation to address global challenges in such areas as international humanitarian assistance, public health, environmental protection, energy, technology, education, and regional development.
In 2012, the two countries jointly launched the Pacific Islands Leadership Partnership, and in 2014 the United States joined as a founding partner of the Taiwan-initiated International Environmental Partnership program. The partnership is also highlighted by recent cooperative efforts of Taiwan and the United States in response to pressing issues ranging from the Ebola and MERS epidemic to the humanitarian refugee crisis in the Middle East. Taiwan has proved to be a vital partner not just for the United States, but for the region.
Taiwan’s government is committed to maintaining the peace and stability that currently exists across the Taiwan Strait, a top U.S. priority for the region. The United States’ adherence to its long-standing commitment to the people of Taiwan remains important for maintaining U.S. credibility throughout East Asia.
Q6: What are U.S. obligations and commitments regarding the defense of Taiwan?
A6: The Mutual Defense Treaty between the United States and the Republic of China was in effect from March 3, 1955, to January 1, 1980. The termination of the treaty ended the obligation that both parties had to provide the other with aid and military support in the event of an attack. Some of the content of the treaty was included in the Taiwan Relations Act. The TRA states that any effort to determine the future of Taiwan by other than peaceful means, including by boycotts or embargoes, is a threat to the peace and security of the Western Pacific area and to be considered of grave concern to the United States. It also establishes that the U.S. decision to establish diplomatic relations with the People’s Republic of China rests upon the expectation that the future of Taiwan will be determined by peaceful means.
The TRA set forth a policy of providing Taiwan with arms of a defensive character, but the specific decisions regarding weapons sales are left up to the president, who is obligated to notify Congress of pending arms sales. In the last 10 years, the United States has approved $23.7 billion in arms to Taiwan. The TRA also requires that the United States maintain the capacity resist any resort to force or other forms of coercion that would jeopardize the security, or the social or economic system, of the people on Taiwan.
Q7: Why is China so fearful of Taiwan becoming independent?
A7: With the return of Hong Kong to Chinese control in July 1997, Taiwan remains one of the few areas over which Beijing claims sovereignty but does not control. It is widely viewed by Chinese on the mainland as the last vestige of the century of humiliation that began with the Opium Wars in the middle of the nineteenth century. The persisting separation of the mainland and Taiwan is also portrayed as a hindrance to China’s reemergence as a great power, which President Xi Jinping has dubbed the great rejuvenation of the Chinese nation. The Chinese Communist Party’s legitimacy is linked to its pledge to achieve reunification of Taiwan with the motherland. A commonly held view on the mainland is that no Chinese leader could remain in power if he allowed Taiwan to separate from the PRC and be recognized by the international community as an independent sovereign state.
The Anti-Secession Law, adopted by Beijing in 2005, sets forth three conditions under which China would be justified in using “non-peaceful means and other necessary measures to protect China’s sovereignty and territorial integrity: 1) Taiwan independence forces cause Taiwan’s secession from China; 2) Major incidents entailing Taiwan’s secession from China occur; or 3) possibilities for peaceful reunification are completely exhausted.
Bonnie S. Glaser is a senior adviser for Asia and director of the China Power Project at the Center for Strategic and International Studies (CSIS) in Washington, D.C.
Michael J. Green is senior vice president for Asia and holds the Japan Chair at CSIS.
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html>(以上)
トランプがプーチンと手を結び、中国を抑えるようにしてほしいと願っています。ルトワックが言っていますように、中国封じ込めにはロシアの力が必要になります。シーパワーのアメリカが海上封鎖してもロシア経由でモノが入ってくるのであれば効果が減殺されます。中国はミャンマーのチャウピュ港を、中国が海上封鎖されても大丈夫なように用意していると思いますが、米国がミャンマーに圧力をかければ中国の港湾使用は難しくなるでしょう。でなければミャンマーも海上封鎖されます。やっと米国の経済制裁が解除されたばかりなのに、元の貧しい生活に戻ることは考えられません。パキスタンのグワダル港も同じです。
ZAKZAK記事にありますように、オバマ時代と違い米国は中国と対決する道を歩むと思います。先ず、中国を為替操作国に指定し、反ダンピング関税を強化、中国からの輸入を減らして、中国を経済的に締め上げるでしょう。ピーター・ナバロが主導的役割を果たすと思います。
中国の共産党統治を崩して、台湾、チベット、ウイグル、南モンゴル、香港が独立できるようになれば良いでしょう。ただ、中国に民主主義が根付くとは思えません。賄賂社会で、選挙をしても買収のオンパレードでしょう。日米欧と比べ、教育レベルが違いすぎます。やはり、中央集権政治か連邦制になるのか分かりませんが、せめて今の中共のような人権弾圧がなく、言論の自由を持った国に生まれ変わってほしいと願っています。
高濱記事
—ドナルド・トランプ氏は、米大統領への就任前から波乱含みですね。大統領選を狙ったロシア情報機関のサイバー攻撃を巡って、米情報機関と鞘当てをしています。トランプ大統領はいったいどのような外交を展開していくのでしょう。
高濱:同氏がツイッターを使って発する「140字メッセージ」のために、世界中が一喜一憂している感じです。

この男がカギを握る。国家安全保障担当大統領補佐官に指名されたマイケル・フリン氏(写真:ZUMA Press/アフロ)
トランプ氏は1月11日、大統領当選後、初めての記者会見をしました。アジア関連では、中国や日本との貿易不均衡には触れたものの、具体的なアジア太平洋地域外交の青写真は示しませんでした。
同じ日、次期国務長官に指名されているレックス・ティーラーソン前エクソンモービル会長は米上院外交委員会の承認公聴会で証言。同氏は中国が南シナ海で人工島などを建設していることを「違法だ」と批判しましたが、これに米国がどう対応すべきかには触れませんでした。
米主要メディアの国務省担当記者の一人は、筆者にこう解説しています。「どのような外交政策を立案し、実施に移すかは、今トランプ氏の超側近グループが水面下で協議している最中だ。1月20日の就任演説でも明らかにはならないはず。片鱗が表れるのはずっと後だよ」
そんな中で、トランプ氏の外交の行方を占うカギを見つけました。筆者がワシントン読売新聞の特派員だった頃から親しくしてきた二人の米政治ジャーナリストが教えてくれたのです。ホワイトハウスの高官人事です。これを見ると、トランプ氏の外交政策決定メカニズムが浮かび上がってくるというのです。
二人とも、リチャード・ニクソン第37代大統領の頃から歴代政権の閣僚・補佐官人事を見てきた米主要紙のベテラン・ジャーナリストです。
その二人の話を筆者が聞いて整理すると、以下のようになります。「トランプ氏はビジネスマン国務長官や軍人国防長官を指名した。これはあくまでも表向きの人事だ。トランプが彼らに外交や国防の主導権や決定権を与えるとは思えない。重要案件はすべて自分、つまりホワイトハウスで決めるつもりだろう。ホワイトハウスの陣容をみればそれが手に取るようにわかる」。
「この陣立てはニクソンのそれに似ている。ニクソンは、大統領首席補佐官に選挙参謀だったH・R・ハルデマン、次席補佐官にジョン・エーリックマンという側近を侍らせ、すべての政策面を統べるトラテジスト(戦略担当)にした」
「国家安全保障政策では、ネルソン・ロックフェラー(元ニューヨーク州知事、のちに副大統領)の知恵袋だったヘンリー・キッシンジャー(当時ハーバード大学教授)を借りてきた。キッシンジャーこそニクソン自身の外交理念を構成できる人物とみたからだ」
「ニクソンは国務長官にはウィリアム・ロジャーズ(司法長官)、国防長官にはメルビン・レアード(下院議員)を指名した。言葉は悪いが二人とも『お飾り』的存在だった。実際の外交国防政策を立案し、決定したのはニクソン=キッシンジャー・ラインだったからだ。それを可能にしたのはハルデマンとエーリックマンという『壁』だった。国務省や国防総省の官僚たちに有無を言わせなかったのはこの二人だった」
「おそらくトランプもこの手法を取るに違いない。ハルデマン役はスティーブ・バノン大統領上級顧問、エーリックマン役はケリアンヌ・コンウェイ大統領顧問、キッシンジャー役は、ちょっと荷が重いかもしれないが、マイケル・フリン国家安全保障担当補佐官といったところだ」
「ただトランプ氏の場合、ニクソンと一つ違うことがある。大統領上級顧問に指名された娘婿のジェレッド・クシュナーの存在だ。トランプの信頼も厚いし、頭脳明晰、若いのに人心掌握術に長けている。トランプ氏に影のようにつきまとい、政策全般で重要な役割を演じそうだ」
「帝釈天・トランプ」を支える「四天王」
ご参考までに1月7日現在、決定したホワイトハウスの陣容と記しておきます。
*大統領上級顧問(上級戦略担当) スティーブ・バノン(元保守系メディア経営者) *大統領上級顧問 ジャレッド・クシュナー(娘婿、クシュナー不動産オーナー、オブザーバー・メディア社オーナー) *大統領顧問(戦略全般担当) ケリーアン・コンウェイ(保守系コラムニスト) 大統領首席補佐官 ラインス・プリ―バス(共和党全国委員長) *国家安全保障担当補佐官(兼国際テロ対策担当、国家安全保障会議=NSC=事務局長) マイケル・フリン(元国防情報局長) NSC首席スタッフ ジョセフ・ケロッグ(退役陸軍中将) NSC担当副補佐官 キャサリーン・マクファーランド(元国防総省高官) NSCアジア担当上級部長 マット・ピッティガー(元ウォールストリート・ジャーナル中国特派員、退役海兵隊大佐) NSC上級戦略コミュニケーション部長 モニカ・クロウリー(保守系コラムニスト) 国土安全保障担当補佐官(兼国内テロ対策担当) トーマス・ボサード(元大統領国土安全保障担当副補佐官) 国際交渉特別代表(新設) ジェイソン・グリーンブラット 国家通商会議議長(新設) ピーター・ナバロ(カリフォルニア大学アーバイン校教授) 大統領報道官 シーン・スパイサー(共和党全国委員会コミュニケーション部長) 戦略コミュニケーション部長 ホープ・ヒックス(選挙対策本部報道官)
*印をつけたバノン上級顧問、コンウェイ顧問、フリン国家安全保障担当補佐官と、娘婿のクシュナー氏の4人は、言ってみれば、「帝釈天」であるトランプ大統領を支える「四天王」です。トランプ氏が当初「泡沫候補」「億万長者ピエロ」などと言われていた当時からトランプ氏の勝利を信じて忠誠を誓ってきた「忠臣」です。
プリ―バス氏は、肩書こそ大統領首席補佐官であるものの、共和党保守本流からきた「外様」。ホワイトハウス内では微妙な立場に置かれそうです。
国務、国防両省を睥睨する「ニクソン型NSC」
—ということは、外交安全保障政策の立案では国務、国防両省よりもホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の方が重要な役割を演ずることになりますね。
高濱:そう思います。ニクソン時代のNSCは、国務省や国防総省といった管轄官庁を差し置いて主導権を握っていました。ニクソン大統領は12人だったNSCスタッフを一挙に34人に増員。そしてNSCの事務局長を務めるキッシンジャー補佐官の下、各省庁から人を集めたワーキンググループや国家安全保障政策検討グループを設置、NSC指令やNSCメモランダムを作成させるなど外交安全保障政策立案の主導権を与えたのです。トランプ大統領がこうした方式をとることはまず間違いなさそうです。
(“President Nixon and the NSC.” A Short History of the Department of State, Office of Historian, Department of State)
(“National Security Council Structure and Functions,” Richard Nixon Presidential Library and Museum)
—そのトランプ・ホワイトハウスは、オバマ政権が外交政策の基軸としてきた「アジア回帰」政策を継承するのでしょうか。
高濱:イエス・バット・ノー(Yes but No)です。つまり継承はするでしょうが、その中身はかなり変わるということです。
確かに「アジア回帰」という言葉はオバマ政権が言い出しっぺですが、アジア重視というのはオバマ政権以前から米外交の方向性としてありました。国際テロ組織「アルカイダ」の台頭で、ジョージ・W・ブッシュ政権の軍事外交能力は中東地域にそがれましたが、21世紀の米国にとって通商貿易、安全保障の両面からアジアほど重要な地域はありません。中国の軍事力増強や北朝鮮の瀬戸際外交は、「太平洋国家・米国」にとって死活的に重要な意味を持っています。
「アジア地域に米国の国益、米国の成功がかかっている」
したがって、「アジア重視」のスタンスは、大統領が共和党のトランプ氏になろうが、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官であろうが変わりません。
アントニー・ブリッケン国務副長官が1月5日の記者会見で次のように言い切っています。ビル・クリントン、オバマ両政権で中長期的な外交方針を決めてきた核となる人物です。
「トランプ政権を代弁することはできないが、米国の国益を考えた場合、アジア太平洋地域ほど重要な地域はないというのが米国の認識だ。米国が『アジア回帰』政策を推進してきたのは、この地域に米国の将来、米国の成功がかかっていると見ているからだ。この地域は世界人口の3分の1以上、世界全体の国内総生産(GDP)の3分の1以上を占める。米国の同盟国5か国がこの地域に存在する。今後10年間に世界の中産階級の3分の2、世界経済の3分の2がこの地域に集積する」
(“Joint Press Availability with Japanese Vice Foreign Minister Shinsuke Sugiyama and Republic of Korea First Vice Foreign Minister Lim Sung-nam,”Antony J. Blinken, Deputy Secretary of State, 1/5/2017)
変貌した「アジア回帰」の練り直しを模索
「アジア回帰」政策の立案に参画し、実行に移したのは元々、国務長官だったヒラリー・クリントン氏です。同氏は「アジア回帰」政策の骨格として、以下の点を「フォーリン・ポリシー」誌(2011年10月号)への寄稿で挙げていました。①アジア地域の新興勢力との実務的協力関係強化、②アジア地域との貿易・投資の促進、③アジア同盟諸国との軍事同盟の強化、④アジア地域での広範囲な米軍事プレゼンス強化、⑤アジア地域の民主主義と人権主義の促進、⑥アジア地域の多国間機関への関与。
(“America’s Pacific Century,”Hillary Clinton, Foreign Policy, 10/11/2011)
ところがクリントン氏が国務長官を辞めたあと、後継者のジョン・ケリー国務長官は「アジア回帰」政策の中の安全保障面、つまり「米軍事プレゼンス強化」を疎かにしてしまったという指摘があります。気候変動問題や北朝鮮の核開発阻止などで中国の協力を得ようとして中国に気を遣い過ぎたというわけです。
大統領選の最中、クリントン陣営には、クリントン氏が大統領になった時に取り組む「アジア回帰」政策では軍事的側面を前面に押し出すべきだ、という主張がありました。
(“So Long Deployment, Hello Employment: Redefining the Rebalance to Asia,”Shannon Tiezzi, The Diplomat, 11/6/2014)
クリントンの「改定版」とトランプの「改訂版」の共通項
皮肉なことですが、「アジア回帰」政策に取り組むうえで、トランプ氏もクリントン氏も同じような修正を考えていたようです。軍事面にもっと力点を置くべきだという点で両者は一致していました。
トランプ政権にも影響力を及ぼす保守系シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」のマイク・オースリン上級研究員は、その点についてこう述べています。
「トランプ氏が『アジア回帰』政策を踏襲するとすれば、オバマ大統領よりももっとアグレッシブに推し進めるだろう。中国の台頭、北朝鮮の核の脅威に対抗するために『アジア回帰』政策の柱だった日韓豪との軍事同盟関係をさらに強めるに違いない。選挙中には日韓との同盟関係に疑念を表明したこともあるが、当選後はそうしたスタンスは影を潜めている。安倍晋三首相と会談したり、豪韓比首脳らと電話会談したりしているのはその変化のシグナルと見ていいだろう」
(“What Future for the Asia Pivot Under Trump?” Michael Auslin and others, Expert Roundup, Council on Foreign Relations, 12/14/2016)
中国の「AA/AD」に「JAM-GC」行使
—中国は海洋利権拡大に向けた露骨なデモンストレーションを続けています。2016年末には、空母「遼寧」を太平洋に進出させました。南シナ海では人工島を築き軍事化。東シナ海では、尖閣諸島周辺の日本の領海を侵犯。軍事色を強めるトランプ流の「アジア回帰」政策は、中国に対して具体的にはどのような行動に出るのでしょう。
高濱:トランプ氏の対中軍事政策ブレーンの一人、ハリー・カズアニス博士は具体的な対応についてこう指摘しています。同博士は「センター・フォア・ザ・ナショナル・インタレスト」(ニクソン大統領が設立)で国防研究部門の主任研究員を務めています。
「オバマ政権の『アジア回帰』政策は安全保障面をないがしろにしてきた。その結果、過去10年、中国はアジアでやりたい放題のことをやってきた。南シナ海の公海上に人工島を作り、そこを軍事化するのを米国は手をこまぬいて見ていた」
「米国は中国の海洋進出に対抗するだけでなく、アジアにおける米国の抑止力がなんであるのか、中国に明確に理解させる必要がある。中国は、『接近阻止・領域拒否』(AA/AD)*戦略を採用し、東アジアにおける米軍力を無力化しようとしてきた」
*『接近阻止・領域拒否』とは、①西太平洋海域で中国軍が行う軍事作戦に対する米軍の介入を阻止、第2列島線(伊豆諸島を起点にグアム・サイパン・パブアニューギニアに至るライン) 以西の海域で米軍による自由な作戦展開を阻害するという中国の作戦構想。
「中国は、米軍が万一、台湾や南シナ海・東シナ海における紛争に軍事介入すれば、米中戦争となる。そして米軍は空母を失い、多くの米兵が犠牲になるというシナリオを描いている。冷戦終結以後、こんなシナリオを米国が突き付けられたのは初めてだ」
「これに対抗するために米国は『JAM-GC』(Joint Concept for Access and Maneuver in Global Commons=国際公共財におけるアクセスと機動のための統合構想)*を策定した。ところが策定後2年たったものの、詳細は決まっていない」
(“How Donald Trump Can make the Pivot to Asia Great Again,” Harry J. Kazianis, The National Interest, 11/14/2016)
*:『JAM-GC』とは中国の『接近阻止・領域拒否』作戦構想に対応し、陸海空・宇宙・サイバー空間のすべての作戦領域において四軍部隊の能力を統合するための作戦構想。2015年1月まで『エアシー・バトル』(Air-Sea Battle)作戦構想と呼ばれていた。
—そうなれば、西太平洋を舞台に米中が軍事対決する可能性が出てくるということですか。
高濱:トランプ政権としては、無論そこまではいかない手前のところで、中国に脅しをかけることになるのでしょう。ただし、中国がどう出るか。いずれにしても「西太平洋波高し」という事態が皆無とは言えません。
国務省OBの一人が今年送ってくれた年賀Eメールには葛飾北斎の「富嶽百景 神奈川沖浪裏」が添付されていて、「今年の西太平洋は米中対決の巨大な波に翻弄される」と書かれていました。
ZAKZAK記事
著書『中国4.0』が話題のエドワード・ルトワック氏は、トランプ新政権で米中関係が大きく変わると予測する。変質する「米中関係」を産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が聞いた。 2017年にはトランプ政権登場により米中関係が一変し、アメリカは東アジアでの軍事力を強化して、中国の力の膨張を抑え、さらに中期、長期には中国を封じ込めるようになるだろう。順を追って説明しよう。 ドナルド・トランプ氏は新大統領として、米軍を中東とアフガニスタンから撤退させる意思をすでに表明している。その結果、アジア・太平洋での米軍の存在が自動的に比重を増すことになる。 アメリカが欧州でも中東でも関与を減らせば、自動的にアジア・太平洋での関与が増加できるわけだ。このほぼ自動的な流れに加えて、トランプ氏は中国を封じ込めたいと意図している。 「封じ込め」とは、これまでのアメリカの政権のように、中国が海洋に新たな島をつくり、その島に軍事施設を建てるのを、まるで観光客が火山の噴火を眺めるようにただ見ているのではなく、抑止のための行動を起こすということだ。 トランプ氏はこの基本の政策はすでに公式に表明した。中国が無法や不当な膨張の動きをとった場合には、アメリカも実際の行動でそれを抑えるという政策だ。同氏はこの政策を繰り返し述べており、大統領として確実に実行するだろう。
トランプ次期大統領は必要に応じて中国と対決するという政策をすでに示している。中国が紛争海域で無法な行動を取り、他国の権利を侵し、軍事力で威嚇する際は、アメリカの新政権はその威嚇された国を擁護し、艦隊や軍用機をその海域に送って、中国の膨張を抑えるだろう。 中国はこれまでその種の威嚇的な拡張を続け、なんの代償も払わないままできた。トランプ新政権は中国の冒険主義的な行動をもう許容しない。中国が軍事力を前面に出して対決してくれば、アメリカも対決を辞さない。その場合、必ずや後退するのは中国側だろう。だから実際の戦争にはならない。 だがアメリカは最初から中国と対決を求めはしない。中国が無法に進出してきたときだけ断固として反応するということだ。これが封じ込め戦略だ。中国の膨張に対しては、これまでのオバマ政権の単なる警告や消極的な「航行の自由作戦」ではなく、アメリカ海軍を出動させ、積極的な武装パトロールを実行するだろう。 トランプ陣営がもう一つ、強い不満を抱いているのは、中国が北朝鮮への経済制裁を履行せず、結果として北朝鮮の核武装や人権弾圧を助長している実態だ。中国は北朝鮮と取引する国営企業の利益を北の核武装阻止という目的より優先させている。 中国側の北朝鮮に接する吉林省や遼寧省の経済利益を優先させているのだ。その結果、北朝鮮は韓国や日本を一気に破壊できる核兵器の開発へと前進する。トランプ新大統領はそんな中国の行動をもう許容しないだろう。
オバマ大統領は中国とうまく接触することで中国のあり方を変えられるという「中国形成可能論」をとってきたと言える。中国との対決や衝突はすべて避けて、中国の出方をじっくりと眺めようというわけだ。アメリカ側の対応次第で中国という国家の本質をも変えられるという論だった。 だがトランプ氏はまったく違う。中国が押してくれば必ず押し返すという姿勢なのだ。 【PROFILE】1942年、ルーマニア生まれ。ロンドン大学、米ジョンズ・ホプキンス大学で学び、国防省長官府任用。現在は戦略国際問題研究所(CSIS)上級アドバイザー。『自滅する中国』『中国4.0』など著書多数。 ※SAPIO2017年2月号
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『北京「高級ナイトクラブ一斉取り締まり」の意味 腐敗一掃の陰で江沢民派への一撃、雷洋事件の幕引きも』(1/13日経ビジネスオンライン 北村 豊)について
中国で共産党は別にして、一番腐敗しているのは軍、二番目が公安です。実権が大きければ大きいほど腐敗しますので。政府を批判する自由、言論の自由のない国ですから。それと、中国の歴史上「清官三代」と言われるくらい、贈収賄は社会にビルトインされていますので。身分の上下に関係なく、受け取る額の問題だけです。
公安の腐敗ぶりは中国国民も分かっているでしょうけど、自分達もやっているので文句が言えない所です。列の割り込みと一緒。自分も力を持てば、金を受け取る側になります。社会が腐敗を許容しているとも言えます。そこは押えて中国を見ておきませんと。
保利集団は人民解放軍が経営していることで有名でした。兵器の横流しをやって儲けていた記憶があります。日本の企業では佐川急便が中国で保利と合弁しています。保利とは明記されていませんが、兵器の横流しの記事がありましたので紹介します。
http://www.sankei.com/world/news/130530/wor1305300027-n1.html
“賈慶林”は北京市長も経験しました。97年~2002年まで北京市長、その後政治局常務委員に選出されて党内序列第4位になりました。頼昌星のアモイの遠華事件への関与が有名です。頼は豪華接待所をアモイに作り、密輸できるよう権力者を接待していました。2011年7月27日日経ビジネスオンラインの福島香織氏の『汚職摘発は政争とセットになっている 頼昌星の中国送還、ターゲットは習近平氏か』の中に触れられた部分があります。
その記事中に、「役人や軍人を接待する場所として通称「紅楼」と呼ばれた赤茶色の7階建のビルが用意された。その中で、党の幹部や高級官僚や軍人は選りすぐりの美女の“特別接待”を受け、その美女らとのあられもない姿を盗撮し、協力要請を引き出す材料にしていたと言われる。」とあります。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110725/221662/?P=1
王小洪は政敵を倒すためだけに選ばれたのでしょう。中国在勤時代、ナイトクラブやカラオケ経営者が公安にみかじめ料を払うのは当り前で、視察に来る警官の飲食も当たり前でした。暴力団と何ら変わらないというか、権力を握っている分もっと悪いといえます。本記事の最後にありますように、王小洪は敵に恨みを買ったので暗殺される可能性もあります。習近平にしては使い捨てでしょう。代わりはいくらでもいますので。
北京駐在時代、北京市にある人民解放軍の研修施設では売春が行われていました。公安も踏み込めないので、軍施設での売春が安全と言われていました。これこそ、従軍慰安婦です。自分達が今やっていることを朝日新聞や韓国を使い、嘘の従軍慰安婦で日本を世界的に貶めてきました。騙され、洗脳されて来た日本人にも問題があります。「従軍慰安婦」について異議を述べると、右翼とかのレッテルを貼り、主張できなくしてきたメデイアの主張を鵜呑みにして来ました。河野洋平だけの問題だけではありません。インターネットが発達した現在、いろんな情報がタダでとれるのですから、自分で取りに行けば、正しい判断ができると思います。メデイアの発する情報や記者に権威を認め、盲従することは危険です。朝日新聞は戦前、売上を伸ばすために戦争を煽った前科があります。情弱が一番悪い。
記事
12月23日夜、“北京市公安局”は大規模な“掃黄(性的不道徳一掃)”行動を行い、違法犯罪の売買春を行っている容疑で“夜総会(ナイトクラブ)”の一斉取り締まりを行った。対象となったのは3軒の著名なナイトクラブで、いずれも北京市を代表する絢爛豪華な最高級ナイトクラブであった。その内訳は以下のとおり。
【1】“保利倶楽部(保利クラブ)”: 所在地:北京市東城区東直門南大街14号の21階建ビル“保利大厦”内にある“北京保利大厦酒店(Beijing Poly Plaza Hotel)”の3階
【2】“藍黛倶楽部(藍黛クラブ)”: 所在地:北京市海淀区板井路39号にある“世紀金源大飯店(Empark Grand Hotel)”の地下2階
【3】“麗海名媛倶楽部(麗海名媛クラブ)”: 所在地:北京市海淀区大鐘寺東路9号にある“京儀科技大厦”A棟内の“京儀大酒店(Jingyi Hotel Beijing)”の地下1階
江沢民グループの資金源?
12月25日、“北京市公安局”は中国版メッセンジャーアプリ“微信”に持つ公式アカウント「@平安北京」に、12月23日夜に行われたナイトクラブの一斉取り締まりに関して次のような報告を掲載した。
群衆からの告発に基づき、周到な偵察を経て、12月23日夜、北京警察当局は法に照らして“売淫嫖娼(売買春)”の違法犯罪活動を行っている容疑で複数の社交場に対する取り締まりを行った。現場は東城区東直門南大街の保利クラブ、海淀区板井路の藍黛クラブ、海淀区大鐘寺東路の麗海名媛クラブで、売買春の容疑で数百人を逮捕した。目下、事件はさらなる調査を行っている。
これら3軒の高級ナイトクラブは多数の“紅二代”や“太子党”<注1>と深い関係があると言われているが、そのうち麗海名媛クラブは中国共産党元総書記“江沢民”のグループに属する前党政治局常務委員“賈慶林”の資金源であると考えられている。
<注1>“紅二代”は「革命世代の中国共産党高級幹部を父祖に持つ子弟」を指し、“太子党”は「中国共産党の高級幹部の子弟等で特権的地位にいる者たち」を意味する。
ところで、北京市では2010年5月11日にも今回と同様に当時の北京で知らぬ者がいない程に有名な四大ナイトクラブに対する一斉取り締まりが北京市公安局によって行われた。この時も“掃黄(性的不道徳一掃)”行動の一環で、名目は法令で禁止されている“有償陪待(有償で席に着いて接客する行為)”と消防安全規定違反の容疑であったが、実質は違法犯罪である売買春行動の容疑であった。この取り締まりの結果、四大ナイトクラブは6か月間の強制的な営業停止処分を受けた。
この四大ナイトクラブとは、“天上人間”、“名門夜宴”、“凱富国際”、“花都”であるが、このうち名実ともに群を抜いて“京城第一夜総会(北京No.1ナイトクラブ)”と呼ばれていたのは、北京市“朝陽区”の“北京喜来登長城飯店(The Great Wall Sheraton Hotel)”の1階西ホールに所在した“天上人間夜総会”であった。
客は政府機関の幹部たち
“天上人間”の“小姐(ホステス)”には容姿端麗な大学生やモデルが多数在籍し、文化程度も高く、客のどのような会話にも対応できる学識を持っていたと言われている。また、ホステスは厳しく管理されており、5月11日の一斉取り締まりでも“有償陪待”はあったが、売買春の事実が確認されることはなかった。なお、天上人間を含む四大ナイトクラブの客はそのほとんどが政府機関の幹部たちで、自由自在に接待費を使っていた。天上人間では一晩で10万元(約169万円)を消費するのは容易なことだったという。天上人間は60日間の営業停止を受けた後に廃業となり、新たに営業が再開されることはなかった。
2010年5月11日に四大ナイトクラブの一斉取り締まりを強行したのは当時北京市公安局長の地位にあった“傅政華”である。1955年3月に河北省“灤県(らんけん)”で生まれた傅政華は1970年12月に15歳で労働に参加したが、北京市公安局に職を得てからは出生街道を一歩ずつ着実に進み、2010年2月には北京市公安局の局長兼党委員会書記の任命を受け、北京市公安局のNo.1となった。その就任からわずか74日後に実施されたのが四大ナイトクラブの一斉取り締まりであった。傅政華はその後も順調に出世を続け、2013年8月に北京市公安局長兼党委員会書記の職に留まったまま中央政府“公安部”の副部長となり、2016年8月に定年退職するまで公安部副部長の地位に留まった。北京市公安局長に就任した直後に天上人間を廃業に追い込んだことは、傅政華の輝ける業績の一つとされている。
高級ナイトクラブで豪遊する人々に対し、庶民は微かな羨望を覚えると同時に強い憎悪を抱いている。このため、公安局が高級ナイトクラブの取り締まりを行った結果、多数の官僚や企業経営者が売買春の容疑で逮捕されると、庶民はこれを拍手喝采し、日頃の貧しい生活の中で蓄積された鬱憤を解消する一助とするのである。
さて、話は現在に戻る。12月23日に北京市公安局の一斉取り締まりを受けた3軒の高級ナイトクラブのうちで、かつて“京城第一”とされた天上人間の後を継ぐナイトクラブは何と言っても保利クラブである。保利クラブは「天上人間なき後、最高級で商売が良いのは唯一保利クラブだけ」と豪語していたのだった。人々は保利クラブが北京保利大厦酒店の3階に所在していることから、同ホテルを経営する中国最大の武器輸出企業である“中国保利集団公司(China Poly Group、略称:保利集団)”<注2>が保利クラブの実質的経営者だと考えた。
<注2>米誌「フォーチュン」の『2016年版世界企業500社番付』で、保利集団は2015年の売上高266.8億ドルで401位(2015年版では457位だった)。従業員は約7万人。
保利クラブは保利集団にあらず?
ところが、保利集団は26日に微信の公式アカウント「保利風采」に、次のような声明を発表したのだった。
【重要声明】社会機構が“保利”の商標を盗用したことに関する声明
中国保利集団公司は著名商標「保利」の保有者であり、“北京保合利佳文化倶楽部有限公司”はこの有名な商標を盗用した「保利クラブ」の名称で社会大衆に向けてサービス・宣伝・推奨を行った。その行為は著名商標の専用権に対する侵害を構成する。
商標保有者は特に以下の如く声明する。すなわち、中国保利集団公司はその他機構に「保利クラブ」の名称を使用する権利を授与しておらず、その他機構が「保利クラブ」の名称を盗用したことによる責任と結果は本集団とは関係なく、本集団は合法的な権益を侵害した責任を追及する権利を保留することを特にここに声明する。
中国保利集団公司
保利集団は“中国人民解放軍総参謀部装備部”と“中国国際信託投資公司(略称:中信公司)”が連合組織した“保利科技有限公司”を基礎として1993年に設立された企業で、2003年には“国務院国有資産監督管理委員会”の指導を受ける“中央企業”<注3>に組み込まれた。保利集団の“名誉董事長(名誉会長)”である“賀平”は“鄧小平”の娘婿であり、現役“董事長(会長)”の“徐念沙”は“中央軍事委員会”前副主席であった“劉華清”の娘婿であり、その他の役員は“紅二代”や“太子党”の人々で構成されている。
<注3>2016年12月末時点における中央企業の総数は102社。米誌「フォーチュン」の『2016年版世界企業500社番付』には中国企業110社が含まれているが、このうち中央企業は50社。
その保利集団が急きょ保利クラブとは無関係であるとの特別声明を出したのである。しかし、保利クラブは保利集団が拠点とする“保利大厦”内にある北京保利大厦酒店の3階に所在する。保利クラブを経営する“北京保合利佳文化倶楽部有限公司”は、2010年1月6日に“北京市工商行政管理局”に経営範囲を「ダンスホール、飲食業」として会社登記を行って“保利大厦”の中で保利クラブの営業を始めており、すでに営業開始から7年が経過している。7年もの間、保利集団は保利クラブが「保利」の商標権を侵害していたことに気付かなかったというのか。それは考えられない。保利集団は「灯台下暗し」であったと言いたいのだろうが、保利集団が保利クラブを“保利大厦”内に容認したのは、両者が背後で結びついていたからであって、決して無関係ではないだろう。但し、その真相は今後も闇の中に隠蔽され、決して公表されることはないだろう。
12月26日付の中国メディアは、一斉取り締まり後のナイトクラブ3軒の状況を報じたが、いずこも門前に高級車があふれていた3日前までの状況は嘘のように閑古鳥が鳴いていたと伝えた。保利クラブ、藍黛クラブおよび麗海名媛クラブの正門にはそれぞれ「事情により暫時営業を停止します。ご不便をおかけすることをお許しください」との通知が貼られていたというが、果たしこれら3軒に営業再開の日は来るのだろか。
追い込んで、知らしめる
さて、12月23日の一斉取り締まりを指揮したのは、2015年3月に傅政華から北京市公安局長の座を引き継いだ“王小洪”であった。福建省“福州市”出身で1957年7月生まれの王小洪は、工員生活を経て、1979年に福建省“閩侯県”公安局員になり、“中国人民公安大学”で学んだのを皮切りに、福州市公安局長、“漳州市”公安局長を歴任し、2002年に45歳で福建省“公安庁”副庁長、2011年に“厦門(アモイ)市”副市長兼市公安局長となった。2013年8月には河南省に転じて省長補佐兼公安庁長、2014年12月に河南省副省長兼省公安庁長となり、2015年3月に北京市副市長兼公安局長となった。2016年5月には公安部副部長に任命された(北京市副市長と北京市公安局長を兼務のまま)。
河南省公安庁長時代には当時省都の“鄭州市”で豪華な高級ナイトクラブとして全国に名を轟かせていた“皇家一号国際娯楽会所”を同省“新郷市”公安局の警官1000人以上を動員して<注4>一斉取り締まりを行い、“皇家一号”を廃業に追い込んだことで、全国にその名を知らしめた。
<注4>鄭州市公安局の警官が“皇家一号”と癒着している可能性があることから、敢えて新郷市公安局の警官を動員したもの。管轄地区の異なる警官を動員することを“異地用警”と言うが、王小洪は福建省時代も“異地用警”を多用し犯罪の撲滅を行っていた。
2011年以降の王小洪は出世街道を驀進していることが見て取れる。それもそのはずで、王小洪は中国共産党総書記の“習近平”の旧部下なのである。習近平は1985年6月から2002年10月に浙江省副省長へ異動するまでの約17年間を福建省で過ごし、福州市党委員会書記、福建省副省長、福建省長などを歴任したが、福州市時代に傘下の公安局に勤務していた王小洪と知り合い、密接な関係を結ぶようになったと言われる。習近平は2012年11月に総書記に就任して実権を握ったが、これに呼応するかのように王小平はとんとん拍子で出世の階段を上り、ついには北京市公安局長から公安部副部長にまでなったのだった。
その王小洪が公安部副部長兼北京市公安局長として指揮したのが、今回の高級ナイトクラブ3軒の一斉取り締まりであった。北京市のみならず中国国内でナイトクラブが問題なく営業を続けるには地元の公安当局の“保護傘(後ろ盾)”が絶対条件であり、「みかじめ料(用心棒代)」を公安幹部に支払うのが通例だという。王小洪は習近平の絶対権力を後ろ盾として、“紅二代”や“太子党”と深い関係を持つと言われる高級ナイトクラブを取り締まることで、北京市公安局内に巣くう不良幹部に一撃を加えたものと考えられる。
雷洋事件から関心そらす?
北京市では2016年5月7日に、修士号を持つ若き研究者の“雷洋”が北京市公安局の警官によって買春容疑で逮捕され、抵抗した末に心臓発作で死亡した事件が発生した。これを「雷洋事件」<注5>と呼ぶが、買春が冤罪であるだけでなく、死因は警官による暴行であったことが明白なものとなり、雷洋の家族が警官5人を告発して大きな社会問題と化していた。しかし、北京市公安局は12月末に家族と秘密裏に和解し、警官5人を無罪とした。一説によれば、家族は和解金として現金2000万元(約3億3600万円)と2000万元相当の住宅を受領して、全ての訴訟を取り下げたという。
<注5>雷洋事件については、本リポートの2016年5月20日付「若き研究者は偽りの買春逮捕の末に殺されたのか」、2016年6月17日付「雷洋事件続報、売春逮捕は警官による偽装が濃厚」、2016年7月15日付「雷洋事件続々報、鑑定は窒息死、暴行に言及せず」参照。
この和解により北京市公安局は体面を守ったが、法の正義を信じていた全国の庶民は失望し、公権力に対する憤りを露わにした。王小洪は今回の高級ナイトクラブ3軒の一斉取り締まりを敢行することで、庶民の目を雷洋事件から転じさせ、世論の圧力を軽減させることを目的とした可能性が考えられる。また、“掃黄(性的不道徳一掃)”の取り締まりを標榜することで、冤罪とされた雷洋が実際に買春を行ったという印象を庶民に持たせることも目的だったのかもしれない。
今後、王小洪によって3軒の高級ナイトクラブからの「みかじめ料」という収入源を失い、後ろ盾としての機能を発揮できなかった北京市公安局の不良幹部たちが、紅二代や太子党の既得権者と結びついて王小洪に報復することは十分考えられる。中国社会の動きからは目が離せない。
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『米中対立、国家資本主義 VS 国家資本主義 「PTA包囲網」による中国封じ込めは危うい選択』(1/11日経ビジネスオンライン 岡部直明)について
軍事が分からない人間のコメント程、害のあるものはないでしょう。日経の論説主幹だっただけに、中国べったりです。何故尖閣や沖縄を強奪しようとしている中国の味方をするのか分かりません。利敵行為であることは間違いありません。金かハニーで籠絡されたかと思ってしまいます。中国を助けることに、論理的な説明がほしいです。中国と戦争を避けるには軍拡を止めさすことです。そのためには中国の経済を崩壊させることでしょう。ソ連が崩壊したように。そんなことすら分からないようであれば、目先の利益で国を売る売国奴と言われても仕方がないでしょう。
地政学で言えばランドパワーの中国は海洋に出て行くとシーパワーの国(米国)に打ち負かされると言われています(海上封鎖、制海権がシーパワーに取られる)。海洋に出て行く中国を肯定的に見る見方は世界の標準からずれているのでは。
また、米国:中国=「国家資本主義」:「国家資本主義」と位置付けていますが、トランプは口先介入だけで、制度的に国家が企業に介入できるようにはなっていません。況してや米国は三権分立が厳格に行われており、議会の助けを借りなければ、大統領のできることは限られます。オバマはそれで大統領令を乱発しました。それで今回議会共和党主導で、2017年予算案の中でオバマケア(2010年上下院で通過した法案であるが)は廃止、代替案の作成が決められました。それを「国家資本主義」と呼ぶのは如何なものか。
中国は「国家資本主義」と呼ぶのも正しくないのでは。「社会主義市場経済」ならぬ「共産主義市場経済」が正しいでしょう。日経出身者が「国家資本主義」と呼び「共産主義市場経済」を埋没させているのは、中国の持つ共産主義(国民に政治的自由を持たせない、人権弾圧、粛清、虐殺のシステム)の悪いイメージを覆い隠そうとしているのでは。中国は世界で最悪の弱肉強食である市場経済システムを取っていますが、民主主義国家ではありません。そう言う国を民主主義と親和性の高い資本主義と言い換えるのは間違っていると思います。
金融グローバリズムに乗せられている人が多いのでトランプをバッシングするのが正義のように刷り込まれていますが、日米メデイアは偏向しています。BBCが一番真面かと。トランプがツイッターを多用するのも、メデイアが歪曲報道するためです。IoTの時代にメデイアの果たすべき姿勢を再定義できない限り、凋落していくことは間違いありません。それに気づいていないメデイア経営者が多いのでは。老害です。
中国に時間の利益を与えることの無いように、早く日米露、岡部氏は「PTA(プーチン・トランプ・アベ)」包囲網と言っていますが、これを作るべきです。岡部氏は「包囲網による中国封じ込めは危うい選択である。中国の海洋進出に強く警告するのは当然だが、不測の事態を招かないよう慎重な姿勢こそ肝心だ。日米同盟を強化しつつ、偶発的事故を防ぐため中国とのパイプを太くする必要がある。」と主張していますが、尖閣に対する中国の航空機や艦船の威圧をご存じないのですか?日本が何もしていないのに、現状変更しようとしているのは中国ですよ。ヤクザが脅しているのに話し合いで解決は出来ないでしょう。多国間の同盟、準同盟で中国包囲網形成、中国経済を崩壊させることが世界平和の為には一番良いと考えます。それによって世界経済がダメージを受けようとも。戦争になるより良いと思います。
記事
ドナルド・トランプ米大統領の登場は世界をリスクにさらすことになるが、なかでも米中対立は最も深刻である。第2の経済大国である中国を為替操作国とし中国の対米輸出に高関税を課すといった対中強硬姿勢は、海洋強国を掲げる中国の海洋進出をあおる恐れがある。経済と安全保障の複合危機を招きかねない。なによりトランプ次期大統領が個別企業への介入主義に傾斜すれば、「国家資本主義」対「国家資本主義」の対立に発展する危険がある。それはグローバル経済を揺るがすことになる。
「資本主義」対「資本主義」から大転換
冷戦終結後、経済システムをめぐる対立は「資本主義」対「資本主義」になった。それは「資本主義」対「社会主義」の対立構造の終わりを意味していた。提起したのはフランスの実業家、ミシェル・アルベール氏で、その著書『資本主義対資本主義』はベストセラーになった。米英によるアングロサクソン型の市場経済と独仏など欧州大陸のライン型(集団や合意を重視、投資において中・長期の展望に立ち、社会貢献にも配慮する共同体型)の混合経済の対立である。日本はライン型に属すると分類された。
もっとも、資本主義の枠内での対立にはそれほど大きな差異は認められなかった。グローバル化が進展するなかで、資本主義のすり寄りが行われたからでもある。経済システムをめぐる論議に衝撃を与えたのは、国家資本主義(ステート・キャピタリズム、国家が資本主義に介入し管理する経済)の台頭である。国家資本主義に寄り掛かる中国が第2の経済大国になるなかで、好むと好まざるにかかわらず無視できない存在になった。「資本主義」対「国家資本主義」の対立である。
トランプ米大統領の登場はこの経済システム論議に異次元の衝撃を与えることになる。市場経済の先頭を走っていたはずの米国だが、トランプ氏は企業の自由という大原則を無視して個別企業の経営にあからさまに介入している。国家資本主義の中国顔負けの介入主義である。米国版の国家資本主義といえるだろう。
冷戦後の「資本主義」対「資本主義」から、「資本主義」対「国家資本主義」になり、いま米中による「国家資本主義」対「国家資本主義」の時代を迎えたといわざるをえない。

トヨタ自動車やフォードのメキシコでの新工場建設への“恫喝”など、トランプ氏のツイッターでの発言により、メキシコでの事業リスクが顕在化してきた(写真:Drew Angerer/Getty Images)
メキシコから中国へ飛び火の危険
トランプ氏の恫喝ともいえる企業に対する介入はいまメキシコに照準を合わせている。メキシコとの国境に壁をつくり、その費用はメキシコに払わせるという大統領選での公約に連動する介入である。まず空調大手、キャリアのメキシコへの工場移転を中止させた。介入は基幹産業である自動車にも広がった。フォードのメキシコでの新工場建設を「恥知らず」となじり、撤回させた。ゼネラル・モーターズにも「メキシコでつくる車には高関税をかける」とすごんだ。
あからさまな介入は米企業だけでなく、ついに日本企業にも及んだ。トヨタ自動車のメキシコでの新工場建設を「ありえない」と語り、高関税をちらつかせている。これに対して、トヨタの豊田章男社長が米国内の雇用に貢献している点を強調し、メキシコでの新工場建設を変更しないとしているのは当然だ。合わせて豊田社長は米国において今後5年間で100億ドルを投資する計画を表明し、トランプ政権への配慮もにじませた。
トランプ氏が主張する北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しが実現すれば、メキシコに進出している多くのグローバル企業のサプライチェーンを分断することになる。それはメキシコ経済だけでなく、米国経済を含めグローバル経済全体に深刻な打撃を与える。米国の雇用拡大どころか雇用悪化を招く結果になるだろう。
もちろん、NAFTAの見直しは米議会の承認が前提であり、簡単には進まないとみられるが、トランプ氏が引き続き大統領権限を振りかざして、個別企業への介入を強化する恐れは消えない。問題は、トランプ流の介入がメキシコから中国に飛び火する危険があることだ。
対中強硬派そろえるトランプ政権
第1の経済大国である米国と第2の経済大国である中国の相互依存は、グローバル経済の土台である。それはウィン・ウィンの関係にあるはずだが、トランプ政権は米中間の貿易不均衡をどう是正するかを最優先しているようにみえる。中国の対米輸出は年50兆円であるのに対して、米国の対中輸出は10兆円にとどまる。「輸出は善・輸入は悪」と考えがちなトランプ流からすると、許せない不均衡ということになる。中国を人民元を安値に誘導する為替操作国と位置付けるのもそこからきている。
トランプ政権の通商布陣は「対中強硬派」で固められている。米通商代表部(USTR)の代表には、ロバート・ライトハイザー氏を起用する。米鉄鋼業界に通じており、中国に対してダンピング(不当廉売)の制裁措置を重ねて求めてきたことで知られる。
新設の通商政策の司令塔「国家通商会議」のトップに就くのは、対中強硬論で名をはせたピーター・ナバロ米カリフォルニア大教授である。商務長官は著名投資家のウィルバー・ロス氏が起用される。いずれも「管理貿易」を支持している。保護主義の風潮は超大国から広がりかねない。
通商チームはトランプ氏が主張しているNAFTA見直し、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱とともに、強硬な対中戦略を実践するとみられる。メキシコに続いて中国をめぐって、米企業の進出をけん制する恐れがある。米中間の相互依存が崩れれば、グローバル経済の土台が揺らぐことになりかねない。
経済と安全保障の複合危機
こうしたトランプ氏の対中強硬姿勢に、2017年後半の共産党大会で再任をめざしている中国の習近平国家主席は過剰反応する危険がある。米国の強硬姿勢に対して弱腰と受け止められるのは国家主席として命とりと考えるだろう。
リスクをはらむのは台湾問題である。台湾の蔡英文総統と電話会談し、中国から反発を受けたトランプ氏は「なぜ一つの中国に縛られないといけないのか」と表明した。中国の核心的利益である「一つの中国」を米中経済関係のけん制材料に使うのは危険なかけである。中国の琴線に触れる台湾問題をあえて持ち出せば、貿易不均衡是正へのおどしになると考えるとすれば、外交音痴のそしりを免れないだろう。
海洋強国をめざす習近平政権は、トランプ氏の対中姿勢を読んで、海洋進出をさらに活発化している。空母「遼寧」が南シナ海での発着訓練を行うなど、示威行動を広げている。旧ソ連製空母を改造した「遼寧」は、かつて大連港で見たことがある。いかにも旧式で専門家の間ではこれで軍事行動は可能かといわれていたが、空母を保有するというデモンストレーション効果はあるのだろう。
旧尖閣列島周辺での海洋進出も目立ってきている。中国の海洋進出は硬軟両様のオバマ米政権下で本格化し始めたが、トランプ政権の出方しだいでさらに拡大する恐れがある。それは米中関係をいたずらに緊張させかねない。
中国経済は成長減速の過程で、難題に直面している。トランプ政権から目の敵にされる鉄鋼の過剰生産をどう軟着陸させるかは至難である。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の融資だけでは、需要拡大は望めない。成長減速のおありで不良債権問題も深刻化しかねない。資本流出が続けば、外貨準備を取り崩して、人民元を買い支えざるをえなくなる。
こうしたなかで、トランプ政権が介入主義にもとづいて対中投資の抑制に動けば、中国経済はさらに難題に直面する。それは米国経済を含めてグローバル経済全体にはねかえることになる。

トランプ氏の対中強硬姿勢に、2017年後半の共産党大会で再任をめざしている中国の習近平国家主席は過剰反応する危険がある。「弱腰」と受け止められると命とりとなるためだ。(写真:Feng Li/Getty Images)
米中対立を防ぐ日本の責任
米中対立で最も深刻な打撃を受けるのは、はざまにある日本である。安倍晋三政権にはトランプ政権の誕生を受けて、プーチン・ロシア政権とも組んで、中国包囲網を築こうという狙いが見え隠れする。「PTA(プーチン・トランプ・アベ)」包囲網である。しかし、包囲網による中国封じ込めは危うい選択である。中国の海洋進出に強く警告するのは当然だが、不測の事態を招かないよう慎重な姿勢こそ肝心だ。日米同盟を強化しつつ、偶発的事故を防ぐため中国とのパイプを太くする必要がある。
いま求められるのは、米中対立を防ぐため米中双方に物申すことである。「国家資本主義」VS「国家資本主義」の対立構造をやめさせることが先決だ。トランプ政権には資本主義、市場経済の原則を踏み外す企業への介入をやめるよう申し入れることだ。NAFTA見直しは避け、TPPに戻るよう粘り強く説得するしかない。
中国にも国家資本主義からの卒業を求めることだ。国営企業の改革なしに、中国経済の再生はない。人民元を国際通貨にしたいなら、変動相場制の導入など国家資本主義に寄り掛からない大改革が必要だ。
「国家資本主義」対「国家資本主義」の行きつく先は、保護主義の蔓延によるグローバル経済の崩壊である。保護主義の危険を防ぎ、自由貿易を立て直すには、TPPと東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を結合させるしかない。双方に参加する日本の歴史的使命はかつてないほど重い。
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『トランプ台風直撃の台湾海峡、波高し 「一つの中国」という“虚構”をいかに越えるか』(1/11日経ビジネスオンライン 福島香織)について
1/11中国観察記事より<北京明暗兩線試探川普 馬雲肢體語言有玄機?(北京は表裏併せてトランプの出方を探る、ジャック・マーのボデイランゲージは微妙さを現している。)

近日,中國商人馬雲到紐約會見美國當選總統川普,引發各方關注。會談結束後,兩人並肩出現在了媒體面前。外界注意到馬雲有緊攥雙手的肢體語言,有評論認為這出賣了他會見川普的〝政治使命〞。
1月9日,川普在紐約川普大廈會見了阿里巴巴集團創辦人馬雲。據稱,馬雲的新計劃是想通過促進美國小型企業與中國消費者之間的貿易,為美國創造100萬個就業機會。
會談結束後,川普和馬雲兩人一起下樓與記者見面,並通過網路視頻進行了直播。有細心的人士發現,馬雲在直播過程中出現了攥雙手的肢體語言,這表明馬雲有緊張的情緒,壓力很大。(ジャック・マーが実況中継時、両手を握ったボデイランゲージは彼の緊張感を表し、圧力が大きいことを示している)。
有觀察人士認為,馬雲在距離川普總統就職典禮不到半個月的時間點上訪美,雖然名義上是〝化身全球小企業的推銷員,向川普描繪一幅以小企業為核心的新商業文明圖景〞,但其背後的政治信號意義不言而喻,也難怪承擔著政治使命的馬雲有壓力。
外界還有分析稱,中方面對不按常理出牌的美國〝新總統〞,正試圖通過民間層面的外交手段實現中美實質性接觸。而川普和馬雲發表的會談感言,實際上也包含了政治信息。
川普對媒體說,他和馬雲會一起做一些很棒的事情,馬雲則插話補充:中小企業,關於中小企業。
馬雲表示,將幫助、支持美國100萬個小企業,尤其是中西部的農場主。他還提到:〝我們認為中美關係應該加強——應該更加友好〞,〝討論關係與貿易議題的門是打開的,我認為候任總統非常聰明,樂於傾聽〞。
另外,近期關於〝川普女婿和中國安邦集團吳小暉談生意〞的報導,也引發了各界的猜測。(安邦保険グループの呉董事長がクシュナーとビジネス談義の報道は各界に疑いの眼差しを引き起こした)
《紐約時報》稱,川普的女婿賈里德-庫什納正與中國安邦保險集團董事長吳小暉,商談了紐約第五大道一座41層高摩天大樓的翻新工程等項目。
報導還稱,吳小暉是中國政治人脈最強的人物之一,他的妻子卓芮是鄧小平的外孫女。吳小暉的一個居於中心地位的生意夥伴是一位中共元帥的兒子,他還把幾名曾在政府的保險監管機構任職的人招攬進了公司董事會。(報道によれば、呉は中国政治の人脈の中で最強の一人である。(3人目の)妻が鄧小平の外孫で(既に離婚したと言われる)、呉のビジネスパートナーは中共の元帥だった陳毅の息子、陳小魯で、彼は政府の保険監督機構のCEOである)。有觀察認為,吳小暉的生意經比馬雲的〝幫助全球小企業主〞目標,顯得更加隱秘。馬雲、吳小暉一明一暗的動作正是北京在試探川普。(観察人士は、「呉のビジネスはマーの世界中の小企業主を助けるという目標と比べ裏があるのかも。呉とマーは表と裏の動きである」と思う)。【新唐人2017年01月11日訊】>(以上)
1/11の日経報道(抜粋)では<「アリババ会長トランプ詣で」 偽造品問題打開狙う
【上海=小高航】中国 のネット通販最大手、アリババ集団(浙江省)の馬雲会長が9日、トランプ次期米大統領と会談した。馬会長は「米国で100万人の雇用を創出する」と確約。いち早く「トランプ詣で」し、偽造品問題などでぎくしゃくする米政府との関係の立て直しを狙う。馬氏は習近平指導部の「民間外交」の担い手であり、対中強硬姿勢を強める卜ランプ氏の腹の内を探る思惑もありそうだ。(3面参照)
「すばらしい会談だった。彼は偉大な起業家だ」。ニユーヨークのトランプタワーで約40分間の会談を終えたトランプ氏は、馬氏を伴って記者団の前に姿を現した。ただ笑みは少なく、大げさな身ぶり手ぶりの「トランプ節」も乏しい。1分ほどで記者の質問を遮ると、執務室に戻った。
1人残された馬氏。普段はラフな格好でユーモアあふれる経営者だが、この日は濃紺のスーツ姿 で表情も硬い。「米製品を中国の消費者に届ける橋渡しをし、中小企業を支援する」と語った。 アリババは会談後に発表した声明で、中国には 3億人以上の中間所得層と海外商品への旺盛な需要があるとしたうえで、 自社のネット通販サイトを通じ米国の農産品やワイン、衣料品などを中国で販売支援する方針を示 した。結果として今後5年で100万人の雇用創出が見込めるとする。>(以上)
ジャック・マーは共産党から「トランプを中国に対し宥和姿勢を取るよう工作する」使命を帯びてきたのでしょう。100万人の米国人の雇用なんて口で言うのは誰でもできますし、況してや平気で嘘がつける中国人であれば猶更です。トヨタの豊田章男社長が約束した5年で1兆円投資するのと重みが違います。ソフトバンクの孫社長も東日本大震災で100億円寄付の話をしましたが、その後どうしたのかと言うと、小中華の子孫ですから利が先に来ます。それでも立派は立派ですが。でも、中国人がmade in USAを喜んで買うかどうかです。“天猫”モールで昨年の双十一(独身の日)に短時間の内に最も売れたのはユニクロでした。米国も日本企業を買収しないと中国市場には受け入れられないと思います。
https://www.k2wave.com/tatemae_41.html
日経の報道によれば、1分間くらいしかトランプタワーのロビーに同席しなかったのは、孫社長の時とは明らかに差をつけています。あの時はトランプが孫社長と肩を組んで話し、その後見送りました。敵国から派遣された者に対して「警戒しているぞ」というサインを中共に送ったと思います。それで、マーは一層緊張したのでしょう。会談も友好的に終わった訳ではないのでは。「100万人の雇用創出と言うができるならやって見ろ」といったところでしょうか。中国は人口の多さを武器に相手を籠絡、入植・侵略のツールとします。流石にトランプは見切っていると思います。これから、南シナ海か東シナ海で激突する覚悟を持っていますので。テイラーソン次期国務長官とマテイス次期国防長官の上院での公聴会も終了しました。多分承認されると思います。
ジャック・マーの「馬」と言う姓は祖先が「回族」=イスラム教徒であると、北京在勤時代に聞いたことがあります。中国の歴史の中で、宗教に寛容な時代があったという事でしょう。まあ、中国大陸を漢人以外が統治した時代が長いので、寛容だったのかもしれませんが。今の中共政権が最悪です。「宗教は阿片」其の儘の政策を採っています。フランシスコ・ローマ法王も中共と変な妥協(中共が指名した僧侶をバチカンが指名する)はしてほしくありません。地下教会は一層弾圧されるでしょう。
福島氏の記事を読んで感じることは、トランプも台湾を南シナ海の軍事拠点撤去の身代わりにしかねない危惧を持ちました。勿論、台湾を売るという事ではなく、撤去しない限り「一つの中国」政策は認めないとデイールするのではと不安に思います。福島氏の言うように、国民党支持の外省人も中国大陸に帰って、台湾人とは別な生き方した方が良いでしょう。反日在日も韓国へ帰るべきです。
下の石平氏の記事のような中共が滅亡するシナリオが理想です。日本の黒船と同じ効果を果たして、軍事膨張と言う世界に受け入れられない政策転換ができれば良いですが。傲慢な中国人にできるとは思えません。
1/13石平氏メルマガ<習近平政権を襲うトランプ政権という「黒船」 3つの戦い…負ければ政権崩壊も
中国の習近平政権にとって2017年は文字通り、内憂外患の年となりそうだ。まず、その「外患」について論じたい。中国政府に降りかかってくる最大の外患はやはり、今月誕生する米トランプ政権の対中攻勢であろう。大統領選で中国のことを、「敵」だと明言してはばからないトランプ氏だが、昨年11月の当選以来の一連の外交行動と人事布陣は、中国という敵との全面対決に備えるものであろうと解釈できる。
トランプ氏は日本の安倍晋三首相と親しく会談して同盟関係を固めた一方、ロシアのプーチン大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領とも電話会談し、オバマ政権下で悪化した両国との関係の改善に乗り出した。見方によっては、それらの挙動はすべて、来るべき「中国との対決」のための布石と理解できよう。
そして昨年12月初旬、トランプ氏は米国外交の長年のタブーを破って台湾の蔡英文総統との電話会談を敢行し、中国の「一つの中国の原則」へ挑戦状をたたき付けた。対中外交戦の外堀を周到に埋めたトランプ氏はいきなり、北京の急所をついて本丸へと攻め込もうとする構えを見せたのである。
人事面では、トランプ氏は新設の国家通商会議委員長と米通商代表部代表のそれぞれに、対中強硬派の面々を任命して対中国貿易戦の準備を整えた一方、国防長官のポストには強硬派軍人のマティス元中央軍司令官を起用した。南シナ海での中国の軍事拡大を断固として封じ込める姿勢を示したのである。
おそらく政権発足直後から、トランプ政権は日米同盟を基軸とする対中包囲網を固めた上で、中国の急所となる台湾問題を外交カードに使い、習政権に強烈な揺さぶりをかけながら、南シナ海問題と米中貿易の両戦線において未曽有の大攻勢をかけていくのであろう。
一方の習近平政権は、情勢の激変に心の準備も戦略上の布陣もできていないまま、退路のない「背水の陣」を強いられる羽目になっている。貿易戦争の展開によって中国の対米貿易が大きく後退すれば、輸出こそが命綱の中国経済は深刻な打撃を受け、既に危険水域にある経済の衰退に
さらなる拍車をかけることとなろう。
そして南シナ海では、今まで「有言不実行」のオバマ政権の生ぬるさを幸いに中国の軍事拡大がやすやすと進んできたが、トランプ政権と米海軍が中国の封じ込めに本気になって当たれば、習政権の拡大戦略は頓挫し立ち往生してしまう可能性も十分にあろう。
習政権にとって政治的リスクが最も高いのは台湾問題への対処だ。ニクソン訪中以来、対米外交を含めた中国外交の土台は台湾というれっきとした国を国として認めない虚構の上に成り立っている。
トランプ政権が台湾問題を米中間の争点として持ち出し攻勢をかけてくると、中国からすればそれこそ「外交崩壊」につながる深刻な事態である。台湾問題への対処を間違えば、国内政治的にも
習政権にとっても命取りとなりかねない。
結局、トランプ政権が仕掛けてくる「貿易戦争」「南シナ海の対決」、そして「台湾問題の争点化」という3つの戦いに、習政権は今後、いや応なく応戦していくしかない。
今の中国にとっては3つの戦いのすべてを制し、トランプ政権の攻勢を食い止めることはまず無理であろう。北京ができることはせいぜい、どこかで折り合いを見つけて「1勝2敗」か「2勝1敗」に持ち込むことであろう。
問題は3つの戦いの1つにでも敗退してしまえば、中国国内の経済危機・政治危機の発生を誘発し、習政権を窮地に追い込むことになりかねないことだ。
「習近平幕府」にとっての「黒船」はやはり太平洋から襲ってくる。>(以上)
記事

「一つの中国」という“国際的フィクション”に、いかに決着をつけるか。米中のせめぎ合いが台湾を揺らし続ける(写真:ロイター/アフロ)
台湾総統の蔡英文が中米訪問の経由地・米ヒューストンでテキサス州知事のグレッグ・アボットや米上院議員のテッド・クルーズと面談した。クルーズは中国側から蔡英文に面会しないように要請する書簡を受け取ったことを明らかにし、「誰と会おうか決めるのは私たちだ」「この件に中国は関係ない」と不快感をあらわにしたとか。
とにかく中国が今、トランプ政権に関して最も神経をとがらせているのは、台湾問題であろう。トランプが正式に大統領就任前とはいえ、「一つの中国になぜ縛られなければならないのか」と、米中関係の前提となっている「一つの中国」原則を、対中交渉カードに持ち出したことは、中国にとっては共産党体制の存続にすら影響を与えかねないからだ。
トランプ政権がどこまで本気で言っているのか測りかねている中国では、とりあえず台湾武力統一論を盛り上げ、台湾と米国に揺さぶりをかけてきている。折しも、台湾では今年が2・28事件という国民党の白色テロ事件から70周年を迎え、台湾の民主と自由を勝ち取るまでの長い道のりを振り返る節目の年でもある。今年の中台関係の行方を少し考えてみたい。
揺らぐ国際的フィクション
国共内戦の末、勝利した中国共産党が今の広大な中国の土地を支配し中華人民共和国を建国したわけだが、台湾に敗走した中華民国国民党政府も大陸反攻を今に至るまで建前上は放棄したわけではない。中台統一というのは、孫文をともに国父と掲げる国民党・共産党の悲願だ。
実際には台湾にすでに国民党政府は存在せず、選挙で選ばれた台湾土着の民進党政権が台湾を統治している。そもそも新疆、チベット、モンゴルまで自国の領土だとする中華民国の主張がフィクションであることは、1971年の国連脱退と、その後の台湾の民主化の道程の中で誰の目にも明らかになっていた。
だが「一つの中国」であったものが分裂したのが、中華民国と中華人民共和国であり、もともと一つだったものが元に戻るのが一番望ましいという考えを国民党、共産党とも持ち続けてきた。そして、国際社会もすでにフィクション、虚構とわかっていながら、その前提を受け入れてきた。
それが、トランプという率直な男が、一つの中国の原則なんてものはとうの昔に破綻していたという事実を口にしてしまったわけだ。中国としては狼狽せざるをえない。
というのも、選挙による人民の支持も取り付けずに中国共産党が執政党としての地位に居座り続けている根拠の一つに、侵略者・日本と戦い、中国を守った紅軍から生まれた政党であるという点がある。実際のところは、旧日本軍に中国正規軍として相対したのは国民党軍であり、カイロ宣言に署名したのも中華民国政府の蒋介石である。
中華人民共和国と中華民国が別の国であったならば、国連の常任理事国に中華人民共和国がなることも、尖閣諸島(釣魚島)を自国の領土と主張することも実は無理がある。中国としては、何が何でも台湾は台湾省であり、釣魚島は台湾省の一部と主張しなければならないのだ。ちなみに中華民国からみれば、大陸は中華民国共産党区という建前だが、国民党員ですら、この主張に無理があることは承知している。
40年続いた戒厳令を越えて
台湾の歴史を軽く振り返れば、中華民国国民党政府は連合国の委託を受けて、日本の植民地であった台湾の行政権を預かることになった。だが、日本統治下でハイレベルの教育文化水準にあった台湾の人々は、汚職や強奪を当然のように行う国民党の官僚や軍人を嫌悪し、その嫌悪と抵抗感が2・28事件の勃発を招く。それが台湾人の抵抗を武力で鎮圧する白色テロへと発展し、このとき発令された戒厳令は、実に40年、1987年まで続いたのだった。
中国大陸での国共内戦で敗れた中華民国政府がまるごと台湾に敗走し蒋介石独裁時代が始まるなか、台湾エリートたちへの迫害はさらに苛烈なものになっていく。一方で、米ソ冷戦時代の対立のなかで、中華人民共和国を陣営に取り込もうとした米国の電撃的な米中国交回復によって、蒋介石は国際社会で立場を失う。
やがて蒋介石の死をきっかけに、李登輝ら日本統治時代に教育を受けたエリート政治家たちが台頭、国民党独裁下での迫害に耐え抜いた民主化運動家、独立運動家たちの長きにわたる奮闘が実を結び、1996年に統治者を直接選挙で台湾人自身が選ぶ総統選の実施をもって台湾の民主を確立した。
話はそれるが、この2・28事件で台南の若者の命を守るために自らの命をなげうって非暴力で戦った、台南の弁護士・湯徳章(坂井徳章)の生涯をまとめたノンフィクション『汝、ふたつの故国に殉ず』(門田隆将著、角川書店刊)が最近、日台同時に出版された。これを読めば、2・28事件と日本の台湾統治の歴史の関係がよくわかる。台湾の民主確立までの苦闘の歴史に、日本は少なからぬ関わりがある。
台湾の民主が確立した段階で、台湾人にとっての脅威は国民党ではなく、中台武力統一も辞さぬという中国共産党になった。1996年の台湾海峡ミサイル危機など、中国の露骨な武力恫喝に対し、国民党の白色テロを戦い抜いてきた台湾人はおびえるよりも抵抗姿勢をあらわにし、2000年には初の民進党政権である陳水扁政権が誕生する。
江沢民政権の台湾に対する恫喝政策が失敗とみた胡錦濤政権は、2005年国家反分裂法を制定し、台湾が憲法や中華民国名を変えるなどの現状変更をすれば武力行使も辞さぬという条項を含みながらも基本的には平和統一を模索する姿勢を前面に打ち出し、ECFA(両岸経済協力枠組み協定)を推進、台湾経済の対中依存度を進めて、経済でからめとる戦略に転換する。中台統一のスローガンも封印し、経済を通じて台湾メディアをコントロールして台湾世論を誘導していく戦略を組んだ。馬英九政権という親中派政権の登場もあって、胡錦濤政権時代まではこれがうまくいき、中国が台湾を飲み込む形で平和統一されるのは時間の問題と、少なくとも中国人たちは見ていたことだろう。
露骨な独裁志向が若者たちを起こす
この状況が大きく変わったのは習近平政権になってからで、習近平と馬英九が任期中の中台平和協定の実現を乱暴に急ぎすぎたこと、習近平政権の露骨なまでの独裁志向に、台湾の若者が危機感を取り戻したことで、ひまわり学生運動などが起きたわけだ。その学生運動への対応も相当まずかったので、台湾人の国民党政権や中国共産党への拒否感はますます高まり、蔡英文政権の登場につながった。
蔡英文は慎重な人で、国民党の1992年コンセンサス、つまり中国側と「一つの中国」原則についての条件付き合意については、うまくはぐらかし、否定もしなかった。だが、彼女の政策の方向性が行き過ぎた対中経済依存からの脱却と、台湾アイデンティティの確立であることは比較的はっきりしていて、中国サイドには平和統一の機会は逸しつつあるという認識が広まっている。さらに、米国に登場したトランプ政権が、ひょっとすると「一つの中国」原則を放棄するかもしれないという懸念が出てきて、いま焦りまくっている。
仮に米国が「一つの中国」に縛られない、として台湾との関係を正常化すれば、日本だっておそらくそれに続くだろう。中国にすれば台湾の統一機会も建前も完全に失われる。釣魚島の領有権主張の根拠も崩れる。胡錦濤政権まで中台統一は時間の問題だと思い込んでいたのに、習近平政権になって統一機会は完全に失われた、となっては習近平のメンツはまるつぶれだ。習近平政権どころか共産党体制の存続も危うい。台湾が中国とは違う国家だというならば、チベット独立派や東トルキスタン独立派も大人しくはしていられまい。それこそ、中国が五つか七つに分裂しかねない危機に見舞われる可能性もあるだろう。
そう考えれば、習近平政権とて、決死の覚悟で台湾武力統一に動くというのは、単なる脅し以上の可能性がある。
上策は北平モデル、中策は武力統一
中国台湾研究会の副会長で元国務院台湾事務弁公室副主任の王在希が環球時報のインタビューに答えた台湾統一の手法は、上策として「北平モデル」、つまり戦わずして勝利した1949年1月31日の北平解放のように、開戦の準備をしつつ台湾政権内部の矛盾を突いて解体を画策し、台湾サイドに戦わず降参を選択させる方法だという。
そして中策が武力統一。最も短時間で両岸統一が実施できる。被害を最小限にとどめるには中国解放軍サイドが圧倒的に台湾軍よりも実力が大きいことが求められるが、この点については、軍部は自信を持っているようだ。ただ、王在希に言わせれば中国人同士が戦うことが後々に禍根を残す、としている。武力統一については2021年までの実行を元解放軍南京軍区副指令の王洪光が提案していた。「武力統一はもはや最悪の選択ではない。ずるずると分裂状態を維持することの方が下策」と王在希も語っている。
ただこれは、中国サイドの考えであって、今の中国に蔡英文政権の内部矛盾やスキャンダルを暴き人心を離れさせ、武力の威嚇の前に降参を選択させるだけの工作能力が本当にあるのか、本当に短期決戦で台湾を武力統一できるだけの実力があるのか、という部分ははっきり言ってわからない。中国が奇襲作戦を行ったとしても、台湾関係法を結ぶ米国が何もアクションを起こさないということもないだろう。
人民大学国際関係学院副院長の金燦栄は「トランプは商人だ。台湾は商品にすぎない。商品はいつでも売られる可能性がある。…台湾は気をつけなければならない。彼らの前途は大変まずい。状況はふたつあって、トランプに売られるか、大陸を激怒させるか。大陸はもう昔のお遊びは終わりだと思っている」(環球時報)と語っており、台湾がトランプに期待を寄せすぎると裏切られるのだと決めつけている。実際、共和党内でも「一つの中国」原則をカードに振りかざすことに対しては意見が割れていて、政権がスタートすればトランプの姿勢も変わるかもしれない。
しかしながら、トランプの周辺には、「一つの中国」原則は旧冷戦時代の遺物であり放棄すべきだ、ニクソン・キッシンジャー時代の米中枠組みは終わらせるべきだと強く主張するアジアアドバイザーもいるようでもある。新設の国家通商会議代表に指名されているエコノミスト、ピーター・ナヴァロもそうだし、共和党系シンクタンクのアメリカンエンタープライズ公共政策研究所のランダル・シュライバーやダン・ブルメンタールといった名前も挙がっている。彼らは台湾が民主主義国家として存在し続けることが中国の太平洋進出を阻み、中国の米国に対する挑戦を封じ込める重要なカギだとしている。
「一つの中国」より「二つの政党」
トランプが本気で、中国の覇権主義に脅威を感じ、かつての旧ソ連を解体に追い込んだやり方で中国共産党体制を解体に追い込むつもりならば、この「台湾カード」は、南シナカードやロシアカード、経済貿易カード以上に強烈な切り札になる。
「一つの中国」原則がないがしろにされれば、共産党は執政党としての求心力を維持できず、これを阻止しようと武力恫喝を続けるために軍拡に走れば、レーガン政権時代のSDI(戦略防衛構想)に対抗する軍拡競争で旧ソ連の財政が疲弊したように中国経済にとどめを刺すかもしれない。万が一、台湾有事が発生しても、中国の台湾統一は成功しない確立の方が高いだろう。いずれにしても、中国共産党はひどくメンツを失う結果になるだろう。
ただ、あの小さい台湾が米中間の荒波にもまれるのはあまりに気の毒なので、中国は早々に台湾統一などという夢想を諦めて、それよりも国民党を中国に迎えて、行き詰まりつつある共産党一党システムに見切りをつけ、国共二大政党制への政治改革を研究したほうが、共産党も国民党も中国人民もハッピーになるのではないかと意見したい。
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