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『中国が操る韓国大統領レース THAADに連座、ロッテもイジメの対象に』(12/27日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/28安倍首相の真珠湾での演説は素晴らしかったです。オバマ大統領はやや軽い感じがしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161228/k10010822371000.html

日本のTV報道によれば、保守派と言われるFOXニュースが「和解するには謝罪が必要だ」と言ったというのは、米国人の驕りが透けて見えます。NHKの報道で、多分真珠湾の生き残りの米兵と思われますが、オバマ大統領・安倍首相共に彼らに話しかけましたが、安倍首相は身を低くして聞き入っていました。天皇・皇后両陛下が被災者に寄り添う姿勢と同じで、米国人は気が付かないかも知れませんが、相手に気を遣っていることが感じられ、日本人として嬉しく思いました。願わくば、何故日米開戦になったのかを、国民レベルで相互に真剣に学んで行った方が良いと思います。日米ともに、今までの通説だけでなく、新たな証拠に基づいて。和解ができた環境であればこそ可能です。

ハフィントンポストによれば、「安倍首相へオリバー・ストーン監督ら公開質問状、「日本が攻撃したのは真珠湾だけではない」と声明を発表とのこと。真面に答える必要はありません。中韓が裏で糸を引いているのは見え見えですから。ヨタ連中の為せる業です。オリバー・ストーン監督の現夫人は韓国人のチョン・ソンジョン氏とのこと。記者会見時の写真にハングルが見えています。朝鮮人は国を捨てて、世界に出ていても、反日活動に勤しみます。通貨スワップはもっての他、GSOMIAも解消しないと。次期大統領は誰がなっても(潘基文氏でも)、必ず北と一緒になるように動くでしょう。国民感情には抗えません。抗えば朴槿恵大統領のように弾劾されます。共産主義国は粛清が当たり前の国なのに、それを国民レベルで望むとは。ヒトラーを民主的手続きで選んだドイツ国民以上に愚かとしか言いようがありません。後で自分が粛清の対象になった時に気付いても、時既に遅しです。ハフィントンポストに依れば、公開質問状には高橋哲哉東大教授も名を連ねているとのこと。左翼は分かりやすい行動を取ります。朴槿恵大統領が「1000年忘れない」と言ったり、中国のように「従軍慰安婦、南京虐殺、強制徴用」で歴史を改竄・捏造、尖閣や沖縄を盗もうという国に和解を求めてもしょうがないでしょう。過去の歴史でずっと日本を強請る気でいるのですから。彼らに未来志向はありません。あるのは、ゆすりタカリの精神だけです。金を取れれば嘘でも何でもよいという民族性です。未来永劫付き合わないことです。

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http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/25/story_n_13854564.html

次は韓国ではなく、相手は中国と思われますが、東芝の原発で数千億円の損失を再度計上するとのこと。東芝の株主としては、経営者の劣化に怒り心頭です。経営者が、国際環境の変化を読み間違えたのではと疑っています。米国or経産省が中国への原発技術流出を嫌い、今のタイミングでわざと情報をリークしたのでは。12/28日経web版には「消費者、株主、取引先、従業員にとって「寝耳に水」状態だっただけでなく、経営陣も混乱している様子が垣間見えた」とあり、綱川社長も情報がどこから出たのか把握してないのでは。

12/27日経<日米、中国と原発受注目指す 資金期待も技術流出懸念

日米中企業による3カ国連合がトルコで原子力発電所4基の受注を目指している。東芝傘下の米原子力大手ウエスチングハウス(WH)が中国国有の国家電力投資集団と組んで、トルコ政府と交渉中だ。日本にとって強力なライバルだった中国のマネーを活用して海外で原発を受注すれば、日本の原発輸出のあり方にも一石を投じることになる。

受注が実現すれば2兆円規模の商談になるとみられる。3カ国連合の関係者は「2017年中にはトルコ側と(原発建設に向けて)合意できると期待している」という。受注を目指しているのは第3世代と呼ばれる最新の中型炉。WHの新しい加圧水型軽水炉(PWR)「AP1000」が軸になる。

WH会長のダニー・ロデリック氏は、今回のスキームの役割分担を「中国が発電事業に資金を提供し、WHは機器を供給する」と説明する。東芝・WHは出資を避けながら、中国マネーを活用して原発を受注しようとしている。

背景には資金面での高いハードルがある。2兆円規模とされる費用を、10年単位という長期間の売電収入で回収しなければならない。自分たちだけでそのリスクを負うのは難しいとみている。特に、政情が不安で地元通貨の急変動が起きやすい新興国では困難が多い。現地で出資者を募るのも簡単ではない。

一方、中国勢は潤沢な資金を持ち、日米などの原発技術を欲しがっている。海外での受注実績をつくり、自国の原発産業を早期に育成したい考えもある。WHのロデリック氏は3カ国連合について「すべての国にとって利益となる」と述べ、中国と日米の利害が一致すると指摘する。

懸念もある。技術が中国に流出することだ。将来、中国企業が海外市場で一段と台頭する可能性が高まる。日本政府もこうした懸念を抱いている。中国と組んだことについて日本政府関係者は「事前にまったく聞いていなかった」と戸惑いを隠さない。

だが、東芝・WH関係者は「何十年も同じ技術を抱え込むのは無理。次の技術を開発すればいい」と話す。

こうした姿勢は中国をライバル視する三菱重工業とは好対照だ。三菱重工はトルコ・シノプで新型の原発、PWR「アトメア1」を建設する計画。シノプは日本の官民が中国勢と受注を競った案件だ。

三菱重工などが事業に出資し、日本政府は国際協力銀行(JBIC)の融資でファイナンスを支援する方針。だが、事業性の調査を進めるにしたがい、収益を確保する難しさが浮き彫りになっている。

原発の輸出拡大は日本の原発メーカーにとって重要な課題。国内で新規建設が見込めないなか、技術を維持し成長を果たすためには必要不可欠とみている。技術流出を覚悟して中国と手を組むのか、それともあくまで中国と真っ向勝負を貫くのか。トランプ次期米政権が中国に強硬姿勢をとるとみられることも、選択を難しくしそうだ。

(花房良祐)>以上

12/28日経ビジネスオンライン<東芝、原発事業で陥った新たな泥沼 減損額は数千億円か、始まった債務超過へのカウントダウン 小笠原 啓

「減損回避のために買収した企業が、1年後、新たな減損の火種になるとは思わなかった。まるでブーメランのようだ」。ある東芝関係者は12月27日、本誌の取材に対してこう漏らした。

東芝は同日、米国の原子力事業で数千億円規模の減損損失が発生する可能性があると発表した。米原発子会社ウエスチングハウス(WH)が2015年末に買収した企業の資産価値が、想定より下回ったのが原因だ。

会見した綱川智社長は「(損失の可能性を)12月中旬に認識した」と述べ、「経営責任を痛感している」と強調した。一方で具体的な損失額については「精査中で答えられない」として言及を避けた。年明けにも減損テストを実施し、2月中旬までに計上すべき損失額を算定する。

問題となったのは、WHが子会社化した米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)。原発建設におけるパートナーだった米エンジニアリング会社のシカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から、2015年12月31日に「0ドル」で買収した。

買収後にWHがS&Wの経営状況を見直したところ、原発の建設プロジェクトなどでコスト超過が判明。資材や人件費などが想定よりも大幅に増えたという。その結果、S&Wの資産価値が当初の想定から大きく下がり、多額の損失計上が必要だと判断した。今後、数千億円規模の「のれん」を計上し、減損テストを経てその一部または全部を取り崩すことを検討する。

東芝は2017年3月期の連結最終損益を1450億円の黒字(前期は4600億円の赤字)と見込んでいる。数千億円の減損損失を計上すれば、最終赤字に陥る可能性が高い。

今年9月末の自己資本は3632億円。損失の規模によっては債務超過に陥る可能性すら出てきた。この点を問われた平田政善CFO(最高財務責任者)は「お答えできる状況ではない」と述べるにとどめた。

傘下に収めてわずか1年で、巨額減損の火種となったS&W。なぜ東芝とWHはこの企業を買収したのか。その理由を知るには、時計の針を1年ほど巻き戻す必要がある。

東芝の不正会計が発覚したのは2015年4月。7月に第三者委員会が2000億円以上の利益水増しを認定し、田中久雄氏ら歴代3社長が責任を取って辞任した。9月には東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定され、半導体や家電など複数の事業で厳しいリストラが始まっていた。

この間、一貫して焦点になっていたのがWHの減損問題だった。

電力会社との関係を修復する条件だったS&Wの買収

東芝は2006年に約6000億円を投じてWHを買収。買収価格とWHの純資産との差額、約3500億円の「のれん」を計上していた。買収後、リーマンショックや原発事故などで経営環境は激変したが、東芝は一貫して原子力事業は「好調」と説明し、巨額ののれん計上を正当化してきた。仮に不調を認めると減損処理を迫られ、経営危機に直面する可能性があったからだ。

一方で、原発建設の現場では「コストオーバーラン」が深刻な問題になっていた。WHは米国内で4基の原発を建設していたが、規制強化による安全対策や工事の遅延などでコストが増大し、事前の見積り額を超過するようになったのだ。

発注元の米電力会社はWHに超過分のコスト負担を求め、一部は訴訟に発展。工事を担当するCB&IとWHとの間でも、負担割合などをめぐって争いになっていた。こうした係争が深刻化して損失計上を迫られれば、WHの収益計画を見直さざるを得なくなる。すると、のれんの減損処理が現実味を帯びる。こうした事態を回避するために、東芝はS&Wを買収することで関係を整理することにした。

東芝は2015年10月28日、WHがS&Wを完全子会社化すると発表。プレスリリースには次のように記載されている。「米国のプロジェクトに関し現在訴訟となっているものも含め、全ての未解決のクレームと係争について和解する」。「価格とスケジュールを見直すことにも合意した」。

つまりS&Wを買収することが、電力会社との関係を修復する条件だったのだ。前述の東芝関係者は「S&Wを買収しなければ、WHは2015年中に減損処理に追い込まれていたかもしれない。資産査定などの時間は限られていたが決断せざるを得なかった」と振り返る。冒頭の「減損回避のための買収」とはこういう意味だ。

東芝は結局、2016年4月に原子力事業で約2500億円の減損損失を計上した。それが可能になったのは直前の3月に、東芝メディカルシステムズをキヤノンに約6655億円で売却できたからだ。

だが改めて数千億円の減損処理を迫られた場合、同じ手を使うのは難しい。過去1年でリストラを進めた結果、売れる事業が社内にほとんど残っていないからだ。資本増強の手段としてNAND型フラッシュメモリーの需要が旺盛な半導体事業の売却や、分社化して株式上場する案も考えられるが、それは東芝の「解体」と同義だ。

会見に志賀会長とWHのロデリック前社長は出席せず

東証から特設注意市場銘柄に指定されている東芝は、公募増資などの資本増強策が事実上取れない。12月19日には東証が指定期間を延長することを発表しており、2017年3月15日以降に東芝が提出する内部管理体制確認書で改善が認められなかった場合、上場廃止になる。平田CFOは会見で「銀行に状況を説明して協力を得たい」と述べ、金融支援の可能性に言及した。

日経ビジネスが繰り返し述べてきたように、WHの買収こそが東芝が粉飾決算を始めた「原点」だ。原子力での巨額買収の失敗を覆い隠すために、パソコンや社会インフラなど複数の事業部門が利益の水増しに手を染めた。S&Wの買収は、原発建設でのコスト超過に直面したWHが、それをカバーするために選んだ苦肉の策なのかもしれない。最初の失敗から負の連鎖が始まり、今なお新たな損失リスクを生みだしている。

なお、12月27日の記者会見には原子力事業を率いてきた志賀重範会長と、S&Wの買収時にWHの社長を務めていたダニエル・ロデリック氏(現エネルギーシステムソリューション社の社長)は姿を見せなかった。平田CFOによると両氏は「現地(米国)に飛んで、数字の精査をしている」という。>(以上)

IR法で菅官房長官は、パチンコや競馬競輪を含めてギャンブル依存症対策を講じるとのこと。良いことです。パチンコは脱税の温床且つ朝鮮総連経由で北に資金が流されています。入場時にはマイカードを提示させるようにし、且つ1日の上限枠を設定、且つ売上の5割は税金として国庫納付を義務付ければ10兆円(税)/20兆円(売上)で消費税増税しなくても済みます。日露戦争のための軍事費調達として課税されたビール税の小売価格に対する割合は、今の所42.2%もあります。(ビール酒造組合調べ)。それを考えれば、売上の半分を税金で取って依存症を減らすのは国民も賛成するのでは。反日民進党もきっと賛成に回るでしょう(笑)。パチンコの所管も警察ではなく、厚労省にして、規制した方が良いです。警察の天下り先で、公営でなく違法賭博なのに、取締りしてませんので。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000090959.html

記事

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2016年7月、抗議デモが展開される中で決定したTHAAD配備だったが、韓国「離米派」の台頭で、中国が望む「配備撤回」への動きが勢いを増している(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

韓国で次期大統領を争うレースが始まった。裏で操るのは中国だ。

観光局長までが脅し

鈴置:朝鮮日報に興味深い記事が載りました。イ・キルソン北京特派員が書いた「中国に向けてろうそくを掲げられるか」(12月21日、韓国語版)です。

韓国の有力大統領候補が米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)の配備に反対の声を上げた。すると、中国政府の観光関係者までが「THAADに反対しろ」と韓国を脅し始めた――との書き出しです。要約しつつ訳します。

  • 12月15日、韓中両国政府の観光部局が北京で式典を開いた。中国の李金早・国家観光局長は祝辞で「最近、両国関係がTHAAD配備で新たな局面と課題に直面した。適切な方法を探し、観光協力強化のために条件を整えてほしい」と述べた。
  • 9月の北朝鮮の5回目の核実験後、中国の外交・国防部以外は公にTHAADを取り上げなかった。北の核に不安を増す韓国の世論を考慮したためだろう。
  • しかし「THAAD反対」を叫ぶ韓国野党の声が大統領弾劾の局面で大きくなり、文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表のような有力大統領候補が配備延期を主張すると、中国は観光局長までがTHAADを語り始めたのだ。

外から援護射撃

7月8日、米韓は在韓米軍へのTHAADの配備を正式に決めました。すると、それに強力に反対していた中国が韓国への嫌がらせに乗り出したのです。10月、中国政府は「韓国に行く観光客を20%減らせ」と中国の旅行会社に指示しました。

中央日報の「中国政府『韓国に行く中国人観光客20%減らせ・・・ショッピングも1日1回だけ』」(10月25日、日本語版)などが報じました。

影響が出始めています。2016年11月に韓国を訪問した中国人客は前年同月比1.8%増に留まりました。

2015年に韓国でMERS(中東呼吸器症候群)が大流行。反動で2016年8月には同70.2%増を記録するなど、訪韓中国人数は急回復していました。その伸びが一気に鈍ったのです。

聯合ニュースの「訪韓中国人客が伸び悩み 日本人は3割増=11月」(12月22日、日本語版)は「THAAD問題が響いた」との大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の分析を紹介しています。

当初、中国政府は訪韓観光の規制強化とTHAADは関係ないと説明していました。ところが朝鮮日報が書いたように、12月15日には国家観光局長がはっきりと「THAADを何とかしないと観光客をどんどん減らすぞ」と脅すに至ったのです。

韓国で文・前代表ら大物政治家が「THAAD反対」を叫び始めた時です。タイミングから見て「内側の声」に合わせ「外側からの圧力」を韓国政府にかける目的であるのは間違いありません。

韓流ドラマにも罰

韓流ドラマも同じパターンです。中国政府が映画、ドラマなど韓国製コンテンツを使うなとの「禁韓令」を放送局に指示したと11月、中国メディアは報じました。

同国政府はそれを否定していましたが12月20日になると、中国外交部の参事官が「禁韓令」に関する韓国記者の質問に答えて「まず、THAADを解決することが必要だ」と語りました。

国家観光局長と同様に韓国内で「離米派」が立ち上がった瞬間、方針を変更し、はっきりと「THAADを認めた罰だ」と言い渡したのです。

聯合ニュースが「韓流締め出しへの批判に『THAAD問題の解決必要』=中国高官」(12月21日、日本語版)で報じています。

毎日経済新聞の「中国の報復で非常燈が点いた対中事業・・・ロッテ税務調査、旅客中断、反ダンピング関税」(12月16日、韓国語版)は「THAADに対する報復」がオンライン通販、化粧品、石油化学製品、自動車関連など多様な業種に広がっていると報じています。

ゴルフ場でとばっちり

—記事の見出しに「ロッテ」が立っていますが。

鈴置:その部分を訳します。以下です。

  • 11月29日から、ロッテグループの中国内の(量販店)150余店舗が税務調査に加え、消防法や食品安全法による検査の対象となった。ロッテケミカルなど在中工場も同様だ。中国でこれほど厳しい「全方位検査」を受けるグローバル企業はなかった。
  • ロッテは中国での広告を停止した。ホームショッピング事業も売却を検討している。3兆ウォン(3000億円)をかけて瀋陽にロッテタウンを建設中だが、許認可が困難になるかもしれない。

—なぜ、ロッテがイジメに遭うのですか。

鈴置:米軍のTHAAD配備は住民の反対運動により、用地選定が難航しました。二転三転の結果、慶尚北道の星州(ソンジュ)郡にあるロッテグループのゴルフ場を軍が入手して米国に提供することになりました。

ロッテが頼んだわけではありません。とばっちりを食ったのです。でも、「泣く子と中国には勝てない」のです。

中国の威嚇で票稼ぎ

—韓国にとっても中国は「困った国」ですね。

鈴置:必ずしもそうとは言えません。「離米派」の大統領候補にすれば、中国は極めてありがたい存在です。

「離米派」は「3点セット」――THAAD配備、日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)締結、従軍慰安婦合意――の見直しを主張しています(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。

一方、中国がTHAAD配備容認に対する露骨な報復に乗り出しました。「3点セット」を見直さないと大変なことになる、との恐怖感が国民の間に広がるほど「離米派」は票をかき集められるのです。

—GSOMIAや従軍慰安婦合意も、中国と関係するのですか?

鈴置:大いに関係します。日韓GSOMIAに対し中国政府は明確に反対しています。「朝鮮半島の対立を深める」などと理屈をこねていますが、要は日米韓による中国包囲網を作らせたくないのです。

表「中韓の『慰安婦共闘』」を見れば分かる通り「慰安婦」でも両国は共闘体制を組んでいます。2014年7月の首脳会談で「慰安婦の共同研究」に中韓は合意し、共同声明の付属文書に盛り込みました。

中韓の「慰安婦共闘」

2014年7月3日
中韓首脳会談で「慰安婦の共同研究」に合意。共同声明の付属文書に盛り込む(聯合ニュース・韓国語版
2014年12月15日
韓国政府系の東北アジア歴史財団と、中国吉林省の機関、档案局(記録保管所)が慰安婦問題関連資料共同研究のための了解覚書(MOU)を締結(聯合ニュース・日本語版
2015年8月15日
中国国家公文書局が『「慰安婦」–日本軍の性奴隷』第1回文献テレフィルムを公式サイトで公表(人民網日本語版
2015年9月22日
サンフランシスコ市議会が「慰安婦碑または像の設置を支持する決議案」を全会一致で採択。運動の中心となったのは中国系団体(産経新聞)
2015年10月12日
中国外交部の華春瑩副報道局長、旧日本軍の慰安婦に関する資料について「ユネスコ世界記憶遺産への登録申請を他の被害国と共同で進める方針」(聯合ニュース・日本語版
2015年10月13日
韓国外交部の魯光鎰報道官、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産に中韓が共同で登録申請することに関し「推進中の民間団体が判断すべきだ」。推進中の民間団体とは女性家族部傘下の財団法人、韓国女性人権振興院(聯合ニュース・日本語版
2015年10月28日
「中韓の慰安婦像2体」をソウル城北区に設置、除幕式。中韓の彫刻家が製作し、両国市民団体が支援(産経新聞

中国からすれば、米国の仲介による2016年12月の慰安婦合意は韓国の裏切りです。共同声明を証文に韓国に対し「慰安婦合意を破棄しろ」と圧力をかけることもできます。

米韓同盟の紐帯である「3点セット」の見直しを主張する「離米派」とは、中国の顔色をうかがう「従中派」でもあるのです。

意地を見せた韓経

—中国の報復に対し、反発は起きませんか?

鈴置:起きています。東亜日報は社説「ロッテにTHAAD報復し、北朝鮮制裁は真似だけする中国」(10月30日、日本語版)を載せました。

ただ、この記事は中国への反感を表明したうえで、中国依存度を下げようと呼び掛けただけです。私が見た限りですが、明確に中国に対抗しようと訴えたのは韓国経済新聞の社説「政府は中国の市場経済国(MES)の地位認定を撤回せよ」(12月2日、韓国語版)くらいでした。

—韓国政府は「市場経済国」と認定しているのですか?

鈴置:2005年、中国がWTOにおける「市場経済国」であるとの主張に韓国は賛成しました。今、中国の度重なるルール破りに怒った日米欧が「今後も認定しない」と言っているのと対照的です(日経「WTOの『市場経済国』、日本も中国を認定せず」参照)。

韓経は「ロッテなど我が国の企業があれだけ苛められているというのに、まだ認定すると言うのか」と韓国人に訴えたのです。ただ、韓経のように「意地」を見せたメディアは例外的です。

中国に屈する韓国紙

左派系紙はもともとTHAADなど「3点セット」に反対です。そして韓経以外の保守系紙は中国の報復に屈し始めました。

中央日報は社説「中国の偏狭なTHAAD報復・・・大国にふさわしくない」(12月3日、日本語版)を載せました。

見出しや本文では「中国の偏狭さ」を批判しています。韓国語版(12月2日)の見出しも同じです。でも、結論部分では次のように書いたのです。

  • 我々は中国が大局的な立場でTHAAD報復を撤回することを期待する。韓国政府もTHAAD導入において中国の立場を十分に配慮する措置が求められるだろう。

中国が報復を撤回するとは考えにくい以上、「中国の立場に配慮」とは「THAAD配備を拒否」を意味するのです。中央日報はもともと「拒否派」です(「『南シナ海』が加速させる『韓国の離脱』」参照)。

中国で「日本より下」に

—最大手の朝鮮日報は?

鈴置:中国に詳しい政治部のアン・ヨンヒョン次長が「中国の統一戦線戦術」(12月10日、韓国語版)を書きました。まず、中国が日本に対して以上に、韓国に冷たくなったと指摘しました。

  • 11月22日に北京で開かれたアキヒト日王(天皇)の誕生日祝賀会には、中国外交部の劉振民・副部長(次官)が壇上に上がり、中国駐在の日本大使と乾杯した。
  • 一方、10月19日に駐中韓国大使公邸で開かれた開天節(韓国の建国記念日)のパーティには中国外交部の課長が出席しただけだった。毎年、次官補級以上が参加していたというのに様変わりだ。
  • 中国は韓中共同戦線を組むことで日本を圧迫してきた。しかし、7月にTHAAD配備の発表に韓米同盟の強化を見て取ると、日本との関係改善を模索する姿勢を打ち出した。

中国が日本との関係改善に動いているとは言い切れません。ましてそれがTHAADのせいだ、というのは韓国人特有の天動説的発想と思います。

ただ、韓国人読者がこれ読めば「やはり、THAADが諸悪の根源だ」と思うでしょう。アン・ヨンヒョン次長は次のように結論付けました。

  • 中国共産党は国益のためには過去と理念にこだわらず、統一戦線戦術を繰り広げる。THAAD報復に怒るだけで、米国と北朝鮮だけを見つめる外交手法では中国のこの戦術に当たるのは難しい。

はっきりと「THAAD配備に反対する」とは書いていません。しかし「北朝鮮と米国だけを見つめる」とは「北の核ミサイルに対抗することだけを考える」ということです。

アン・ヨンヒョン次長は「それではダメだ」――つまり「THAAD配備を再検討しよう」と説いたのです。

脅せば従う韓国人

—韓国はTHAAD拒否に向かって雪崩を打っているのですね。

鈴置:ええ。7月に米韓がTHAADの配備を正式に決めた直後、人民日報の姉妹紙「環球時報」は「5つの対韓制裁」を発表しました(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。

「環球時報」の英語版「Global Times」の記事「China can counter THAAD deployment」(7月9日)で読めます。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」

(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止 (2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止 (3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応 (4)対北朝鮮制裁の再検討 (5)ロシアとの共同の反撃

注)環球時報の英語版「Global Times」では「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)で読める。

THAADに関し「協力した韓国企業製品の輸入禁止」だけでなく「賛成した政治家の入国禁止」も明言しています。

訪中できなければ韓国の大統領はやっていけません。大統領選挙で「THAAD賛成」を明確に訴えられる政治家はまず、いないと思います(「『習近平のシカト』に朴槿恵は耐えられるか」参照)。

ただ、これまでは1つ問題がありました。政治家として「中国の報復が怖いからTHAADに反対する」とは言えなかったことです。

韓国人の多くも本音では「不愉快でも中国の言うことを聞くしかない」と思っています。意識調査を見ても「中国が最も重要だ」と答える人が「米国」と答える人を上回っているのです。

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冒頭に引用した朝鮮日報の「中国に向けてろうそくを掲げられるか」(12月21日、韓国語版)に以下のくだりがあります。

  • 中国は我々を「強く出れば頭を下げる民族」として扱う。「歴史的に統一した中国に対し、韓国はただの一度も抗ったことがない」ということだ。
  • 「中国側に立てば10倍の褒美をやるというのに、なぜ、中国に反旗を翻し10倍の罰を受けるのか」ということでもある。

2匹目の「ドゥテルテ」

—「脅せば言うことを聞く」と、中国にすっかり見切られていますね。

鈴置:だからこそ、韓国の政治家は「中国の報復を避けるためTHAADは拒否しよう」との本音は言いにくかった。

それが朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾騒動で「THAAD反対」の言い訳ができたのです(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。

「朴のやったことはすべて悪い」との雰囲気が盛り上がる中、離米派は「あれは『朴印』の政策だから反対する」と言えばいいのです。「従中派」のレッテルを張られず「従中」できるようになったのです。

—「離米派」と中国の共闘が始まったのですね。

鈴置:その通りです。中国が報復カードをちらつかせるほどに「離米派」の票は増える。それにより「離米派」の大統領が誕生すれば、韓国は自動的に「従中」する。明快な共闘の構図です。

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中国は目を細めて韓国のドゥテルテ(Rodorigo Duterte)たち――米軍は出て行けと叫ぶフィリピンの大統領――を眺めているでしょう。

「離米」に警告したトランプ側近

—米国はどうするつもりでしょうか。

鈴置:12月20日になって、トランプ(Donald Trump)次期政権から「見解」が明かされました。国家安全保障問題担当の大統領補佐官に就任する予定のフリン(Michael Flynn)元陸軍中将が韓国の外交部と国防部の高官に以下のように語りました。

東亜日報の「フリン次期国家安保補佐官、在韓米軍とTHAAD配備は韓米同盟の正しい決定」(12月22日、日本語版)から引用します。

  • 米軍とTHAADの(韓国への)配備は、韓米同盟次元の正しい決定であり、韓米同盟の堅固さを象徴するものだ。

もちろん「在韓米軍を追い出したり、THAAD配備を拒否したら米韓同盟がなくなると思えよ」という意味です。韓国に広がる「離米ムード」に警告したのです。

—ズバリ、言いましたね。

鈴置:でも、米国とスクラムを組む政治家が出てきそうにないのも事実です。中国と共闘したがる政治家はいっぱいいるのに。

—「親米派」の国民もいるのでは?

鈴置:もちろん残っています。「親中政権ができたら移民する」という人もいます。親米クーデターを考える人も出てきました。

※2017年は1月1日付で「2017年の日韓関係を占う(仮題)」を掲載します。

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『緊急連載 先読みトランプ 「素人外交」世界に波紋 最終回 変わる世界のパワーバランス』(日経ビジネス2016年12月26日・2017年1月2日号)、『トランプ氏、中国空母に鉄槌! 米国への挑発に猛反発必至 海上民兵の尖閣上陸もあり得る』(12/27ZAKZAK)について

トランプが第二のレーガンを目指すのであれば、SDIに代わる政策を打ち出すかもしれません。レーガンの敵はソ連でしたが、今回は中国です。如何に経済的結び付きが強くとも、中国が世界覇権を目指していることがはっきりしていますので、妥協の余地はないでしょう。国益の観点から言っても、従来米国の持っていた利益が損なわれるのは必定ですから。太平洋を何故米国が二分割して中国にくれてやる必要がありますか。米国の第二次大戦の戦利品です。米兵の血で贖ったもので、中国が戦争で勝ちとった訳ではありません。中国が太平洋、南シナ海に出てこようとするなら、早晩ぶつかることは間違いありません。ぶつかるのであれば、相対的に米国の力が弱まる前の方が良いに決まっています。

「肉を切らせて骨を絶つ」精神が必要です。日経は経済紙ですので、米中戦わば、経済的混乱が起きることを恐れていますが、そもそも戦闘が始まる前に、経済制裁をお互いにしあうのでは。戦前の日本の場合は一方的に制裁されましたが。トランプはまず経済的に締めあげて、中国の軍拡を押えようとするはずです。日本も経済面で中国との取引が減りますが、戦争するより良いでしょう。経営者は中国事業を授業料として諦めることです。そもそも人口の多さに幻惑され、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という信義誠実の原則が成り立たない国でビジネスしようとしたのが間違いですので。

日米露で準軍事同盟ができれば、日本の安全は飛躍的に高まります。勿論、ロシアはスターリンが日ソ中立条約を無視して日本を攻めましたが、所詮銀行強盗上りの共産主義者です。今のプーチンは柔道精神を大事にし、日ソ共同宣言を履行して、平和条約を結びたいと思っていると思います。ロシアにとっても国境線を接し、シベリアに中国人が増殖し、北極海航路を耽耽と狙っている中国は脅威です。如何に核大国で軍事大国のロシアと雖も、GDP比でみれば中国11,186B$:ロシア1,326B$と、ロシアは中国の1/10くらいしかありません。勿論、中国の公称のGDPが信用できないというのはありますが、継戦能力がないことは明らかです。ロシアにとって日米と準軍事同盟を結ぶことは悪い話ではないと思います。問題は、グローバリズムに染まった国際金融資本の影響を受けた米国議会が米ロの提携に難色を示すことと、北方領土に米軍基地を置かないことを米国が認めるかと言う点と思います。

藤井厳喜氏はトランプが大統領就任してすぐに経済制裁を中国に課し、「大統領令による『在米資産の凍結』だが、その前に特定個人や企業への制裁」と言っています。中国も米国の本気度に恐れをなすのでは。今の人民解放軍のレベルでは勝ち目がないのに、虚勢をはっても、コテンパンにやられるだけです。田村秀男氏は12/24ZAKZAKで「中国 止まらぬ資金流出、人民元の下落 習政権の慢心が自滅招く」という記事を書いています。先ずは中国を経済的に困らせることが大事かと。

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20161224/ecn1612241530002-n2.htm

日経記事

「偉大なる米国の復活」を掲げて次期大統領の座を手にしたドナルド・トランプ氏の外交手腕は未知数とされてきた。ツイッターの書き込みや主要閣僚人事には「素人」との批判が上がるが、「意外に戦略的」との見方も。少なくともオバマ政権とは異なる新たな秩序を築こうとしているのは間違いなく、世界はそれに身構えている。

中国を挑発する言動を連発

●トランプ氏の最近の行動や発言

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トランプ次期大統領(右上)は台湾の蔡英文総統(右下)と電話会談したほか、ツイッターなどで中国を非難。中国の習近平国家主席(左)はどう対応するか(写真=左:ロイター/アフロ、上:ロイター/アフロ、下:AP/アフロ)

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「米中関係が悪くなっても、米ゼネラル・モーターズ(GM)製自動車の販売に大きな影響はないと信じている。中国最大手メーカーの上海汽車集団との合弁事業だし、ディーラーは現地資本だから。しかし大統領就任後のトランプ氏の動きは気になる」

12月中旬、中国・上海でGM車などを販売する李方氏は、ドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任について、わずかな不安を口にした。

GMは昨年、中国での新車販売台数で独フォルクスワーゲン(VW)を抑えて3年ぶりに海外メーカーとしてシェアトップに返り咲いた。GMが昨年、世界で販売した約996万台のうち、実に3分の1強を中国市場で売った。同社にとって中国は決して失うことのできない大切な市場だ。

だが、トランプ氏の最近の言動は、近年の米国と中国の安定した関係の上に築かれてきたビジネスにも影響を与えかねない。

そもそも米大統領選の直後まで、中国にはトランプ氏に対する楽観論があった。ビジネスマン出身のトランプ氏は交渉できる余地があり、人権など中国が抱える問題の根幹を突いてくる可能性の高いヒラリー・クリントン氏よりくみしやすいといった見方だ。

ツイッターで中国を批判

だが今月に入ってからトランプ氏は中国を挑発する言動を繰り返している。

12月2日、トランプ氏は台湾の蔡英文総統と電話で約10分間、会談した。米国の大統領や次期大統領と台湾の総統の会談が明らかになったのは、1979年の米国と台湾の断交以来、初めてのこと。さらにトランプ氏は12月11日、FOXニュースのインタビューで「1つの中国になぜ縛られなければならないのか」と再び台湾の問題に言及した。

中国は台湾を自国の一部とする「1つの中国」の政策を堅持しており、台湾を国家として認めていない。米国も79年の米中国交正常化後、「1つの中国」の原則を守ってきた。

96年には中台関係が悪化、中国が台湾に向けミサイルを発射し、米国が空母を派遣する事態に陥ったこともある。台湾を巡る問題は、米中関係で最もデリケートなテーマの一つだが、トランプ氏は台湾問題をも中国との取引材料に使う勢いだ。

トランプ氏の中国への挑発はさらに続く。12月4日には、ツイッターで「中国は我々に南シナ海で大規模な軍事施設を建設していいかどうか了承を求めたか。私はそうは思わない」などと中国を批判した。さらに12月15日に米海軍の無人潜水機が南シナ海の公海上で中国海軍に奪われたことを受けて、トランプ氏は17日、再びツイッターで「前代未聞の行為だ」と非難した。

「外交の素人」ゆえの振る舞い──。トランプ氏の言動はそう受け取られることが多い。しかし米国と中国、ロシアの3カ国に駐在経験のある商社関係者は「相当したたかだ」と言う。

その象徴が国務長官に親ロシア派と目される米エクソンモービルCEO(最高経営責任者)のレックス・ティラーソン氏を充てるという人事だ。「政治経験のないティラーソン氏の国務長官就任の含意は、どちらかと言えば米国よりも中国寄りのロシアとの関係を改善し、3カ国のパワーバランスを見直すつもりなのだろう」(同)と分析する。

日本企業も報復の巻き添えに?

中国へのトランプ氏の強硬な姿勢が続けば、経済にも影響が及びかねない。同氏はかねて中国製品に高関税をかけると公言しており、実行に移せば中国側も米国製品に高い関税をかけるといった報復措置に出ることが考えられる。ロイター通信は専門家の話として、中国政府が報復対象となり得る米企業のリストを作成していると報じている。

米国勢調査局によると、2015年の米中間の貿易額は約6000億ドル(約70兆円)に達する。米中関係が緊張した20年前の1995年と比べると10倍超に膨らんでいる。両国の経済関係の悪化が世界の経済に及ぼす影響は過去とは比べものにならないほど大きい。

中国に駐在する日系商社の幹部は「中国が米国に対し報復措置を取れば、日本企業も巻き込まれかねない。今後の中国ビジネスがどうなるかは予断を許さない」と話す。米国企業以外にも規制の網がかかり、日本企業の事業も落ち込みかねないとの見立てだ。

中国に対する厳しい言動から透けるのは、新たな国際秩序を築こうというトランプ氏の意志だ。大統領就任後に取る対中政策は2017年の世界経済の最大の波乱要因になる可能性がある。

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欧州では2016年、各国で既存の政治に「ノー」を突きつける動きが広がった。移民、難民、経済格差など、国民の鬱積した不満が爆発。6月に英国は欧州連合(EU)からの離脱を決め、12月にイタリアでは憲法改正を否決。マッテオ・レンツィ首相(当時)が退陣した。さらに、国民の不満を巧みに拾い上げ、「打倒既存政治」を掲げる極右政党が躍進しており、トランプ氏の大統領選勝利後、勢いを増している。

「東欧からの移民には労働許可証制度を導入すべきだ」。今年11月、オランダ地元メディアの掲載した記事が、EU加盟国に波紋を広げている。発言の主は、同国のローデワイク・アッシャー副首相。社会・雇用相も兼務するアッシャー氏は、これまで移民に寛容な姿勢を示す人物として知られてきた。ところが、最近になって移民の扱いに対する考え方を転換。早急な移民管理の必要性を訴え始めた。

現実には、EU加盟国の国民に労働ビザの取得を義務付けることは難しい。EUの基本理念の一つである「人の移動の自由」に反するからだ。それでもアッシャー副首相が移民制限を主張し始めたのは、来年3月に予定されている総選挙を意識しているためだ。

同選挙で躍進が予想されているのが、「反移民」を掲げる極右政党の自由党だ。党首のヘルト・ウィルダース氏は移民に対する過激な発言で知られ、12月にはモロッコ移民への差別発言で有罪判決を受けた。

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欧州では極右政党が躍進。ウィルダース氏(左)とルペン氏が注目される(写真=左:ロイター/アフロ、右:AP/アフロ)

「オランダのトランプ」躍進

にもかかわらず、移民流入に不満を抱くオランダ国民からの支持は高い。11月に実施された世論調査では、自由党の支持率は与党の自由民主党を抑えてトップに立った。トランプ氏とも親交があると言われるウィルダース党首はトランプ氏と似た主張を繰り返し、「オランダのトランプ」の異名を持つ。

アムステルダムは国際都市として、多国籍企業が欧州拠点を構えてきた。英国のEU離脱後、ロンドンに代わる都市としても注目を集めている。だが、仮に右翼勢力が台頭すれば、これまで築き上げてきた国際都市のステータスが崩れる恐れもある。

オランダ同様に極右政党の躍進に戦々恐々としているのが、2017年4月に大統領選を予定しているフランスだ。現職のフランソワ・オランド氏に代わり1月に選出される与党候補、既に出馬を表明した最大野党の共和党のフランソワ・フィヨン元首相、そして極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首の争いになると見られている。

なかでも「反EU」「反移民」を掲げるルペン氏のFNは、着実に支持を高めており、2015年の地方選でも注目を集めた。ルペン氏は、大統領に就任した場合、「EU離脱を問う国民投票を実施する」と明言している。

秋に予定されるドイツ連邦議会選挙も懸念が広がる。2016年12月にキリスト教民主同盟(CDU)党首に再任したアンゲラ・メルケル首相は、EUの枠組みを維持する最後のとりでと目されている。しかし難民受け入れを続ける政策へのドイツ国民の不満はくすぶり、反難民を掲げる極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)は勢いを増している。

欧州版TPPへの影響も必至

米国との経済関係も不安要因だ。トランプ氏がTPP(環太平洋経済連携協定)から撤退を宣言すると表明したことなどから、欧州版のTPPとも言える、環大西洋貿易投資協定(TTIP)を巡る交渉も、不透明感が増している。

特にドイツにとって米国とメキシコの関係悪化は自国の製造業を考えると頭の痛い問題だ。これまでVWグループや独BMWはメキシコに生産拠点を開設、NAFTA(北米自由貿易協定)を活用して米国への輸出を増やしてきた。米国とメキシコの関係が悪化すれば、戦術を見直す可能性が出てくる。

東欧の安全保障も懸念事項だ。トランプ氏がロシアとの関係改善を進めれば、ロシアの東欧での影響力が増しかねない。シリアでは政府軍とロシア軍がアレッポを制圧するなど中東地域の力関係も変わる可能性がある。

トランプ氏は欧州が進めてきた温暖化対策の国際的な枠組みにも懐疑的な見方を示している。英国との離脱交渉開始、主要国での選挙に加え、トランプ氏にどう対峙するか。EUの苦悩は深まりつつある。

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トランプ次期大統領の存在は日本の外交や経済にも影響を及ぼしつつある。

12月15、16の両日に行われた日ロ首脳会談。安倍晋三首相はウラジーミル・プーチン大統領と北方領土問題を含む日ロ間の平和条約締結に向け北方四島での共同経済活動に関する協議の開始で合意し、記者会見などで「平和条約への重要な一歩だ」と強調した。

経済協力をテコに日ロの信頼関係を深め、領土問題の解決につなげようというのが安倍首相の基本戦略。会談に合わせ日本側が提案した8項目の対ロ経済協力プランに基づき、約80件の経済協力に関する合意文書を交わした。だが北方領土の主権を巡る溝は埋まらず、領土問題の解決に直接つながる合意は得られなかった。共同経済活動の枠組みに関する協議も難航は必至だ。

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安倍晋三首相とプーチン大統領の会談にも影響を与えたとみられる(写真=読売新聞/アフロ)

今年5月や9月の安倍首相との会談で領土問題の解決に前向きな姿勢をにじませていたプーチン氏だったが、その後、態度を一変させた。領土問題で弱腰を見せればプーチン氏の政権基盤が揺らぎかねないといったロシアの国内事情に加え、大きな要因と見られるのがトランプ氏の大統領選での勝利だ。

オバマ米大統領とプーチン氏の仲は険悪と言える状況だ。EUもロシアと対立を深めている。米から圧力を受けながらも安倍首相がプーチン氏との関係強化を進めたのは、欧米の包囲網に直面するロシアに接近することでプーチン氏との信頼関係を構築し、領土交渉の前進と東アジアの安全保障を脅かす中国をけん制する狙いからだった。

だが、トランプ氏は国務長官にプーチン氏と親交のあるティラーソンCEOを起用するなど、ロシアとの関係改善に取り組む姿勢を鮮明にしている。ロシア経済を揺さぶってきた原油安も減産合意で一服しており、「政治・経済両面で日本との関係打開を急ぐ必要性が急速に薄れたのだろう」と政府関係者は指摘する。

利上げ・保護主義に警戒感

中東で戦闘指揮経験があるジェームズ・マティス元中央軍司令官を国防長官に充てるなど、トランプ氏は外交面では中東を重視する姿勢も見せている。その一方で対アジア政策の方向性は不透明だ。10ページでも見たように、トランプ氏は中国に強硬姿勢をちらつかせており、今後、南シナ海などで緊張が高まる恐れがある。

安倍首相は1月にも行われるトランプ氏との首脳会談で日米の緊密な連携を確認したい考えだ。ただ外務省幹部は「韓国政治の混乱が続く中、対中、対北朝鮮外交の基軸である日米韓の連携に揺るぎがないことを早く示さないと、中国、北朝鮮に隙を与えることになりかねない」と懸念する。

トランプ氏の勝利後に一変した市場環境の先行きはどうか。トランプ氏は大規模減税やインフラ投資などに注力する意向を表明。財政拡張路線を先取りして世界のマネーが米国に回帰し、ドル高・円安、日米などでは株高、金利高が進んでいる。米経済の改善を踏まえて米連邦準備理事会(FRB)も1年ぶりの利上げに踏み切った。

トランプ政権が掲げる大型減税などがある程度実現すれば米経済の成長が加速し、米長期金利やドルの一層の上昇につながる可能性がある。円安が進めば日本の輸出企業の収益改善を後押しする一方、食料品や原材料価格の値上がりが消費を冷やす恐れも出てくる。

米経済が過熱するようだとFRBの利上げが加速し、新興国からの資金流出や通貨急落リスクが高まりかねない。米国内の雇用維持に主眼を置くトランプ氏がドル高を嫌い、FRBに政治介入する可能性もささやかれる。米議会との調整が壁となってトランプ氏の政策の実現性に疑問符がつけば、日本を含む世界の市場が揺さぶられかねない。

保護主義への傾斜も大きな懸念だ。TPP離脱やNAFTA再交渉の方針をどのように具体化していくのかは不透明だが、これらが実行されれば企業のグローバル展開の阻害要因になるだけでなく、安倍政権の成長戦略にとって大きな痛手となる。

トランプ氏が特定の貿易相手国や海外企業に批判の矛先を向けるリスクへの警戒感もじわり広がっている。政府はEUとのEPA(経済連携協定)など大型の経済連携交渉の加速を目指しているが、経済産業省幹部は「2017年は日本の経済連携戦略が正念場を迎える年になりそうだ」と漏らしている。

(上海支局 小平 和良、ロンドン支局 蛯谷 敏、編集委員 安藤 毅)

ZAKZAK記事

習近平国家主席率いる中国が、新たな軍事的挑発を仕掛けてきた。同国初の空母「遼寧」の艦隊が25日、沖縄県の宮古海峡を通過して西太平洋に進出したのだ。「対中強硬姿勢」を明確にするドナルド・トランプ次期米大統領を牽制するとともに、弱腰が指摘されるオバマ政権の間に「第1列島線」(九州-沖縄-台湾-フィリピン)を突破した既成事実を示したかったのか。経済・安全保障面で、断末魔の苦しみに直面しそうな中国が暴発する危険性とは。今後、トランプ氏が猛反発するのは確実だ。  夕刊フジは19日発行の「スクープ最前線」(ジャーナリストの加賀孝英氏執筆)で、《中国が暴走する危険がある》《南・東シナ海で決起行動に出かねない》《沖縄県・尖閣諸島も危ない》と警鐘を鳴らしたが、やはり中国は動いた。  防衛省統合幕僚監部は25日、中国初の空母「遼寧」が同日午前10時ごろ、宮古海峡を太平洋に向けて通過したと発表した。海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」と、那覇基地所属のP3C哨戒機が確認した。  遼寧が太平洋に進出したのを海自が確認したのは初めて。領海侵犯はなかったという。  遼寧は、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦、ジャンカイII級フリゲート艦など5隻とともに艦隊を組んでいた。海自は24日午後4時ごろに東シナ海中部の海域で初めて遼寧を発見しており、動向を追っていた。  防衛省はまた、25日午後にジャンカイII級フリゲート艦からZ9ヘリコプターが発艦し、宮古島領空の南東約10キロから30キロの空域を飛行したと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。  伊藤俊幸・元海上自衛隊呉地方総監(元海将)は「中国側は『訓練の一環だ』と言うだろうが、これは訓練レベルが上がるのを意味しており、米国への挑発と言える。トランプ氏に『1つの中国』を否定されたことへの意趣返しとみられ、示威的に力を見せ、出方を見たいのだろう」とコメントした。

遼寧は、ウクライナから購入したスクラップ状態の空母「ワリヤーグ」を、遼寧省大連で改修したもので、2012年に就役した。全長305メートル、全幅73メートル、排水量6万7500トン。  米海軍横須賀基地を母港とする米原子力空母「ロナルド・レーガン」が、全長333メートル、全幅77メートル。排水量は約10万1400トンだけに、大きさは大差がないが、性能は大違いだ。  ロナルド・レーガンは原子力空母のため、長期間連続航海が可能で、航行速度も速い。遼寧には、航空機を甲板から空中へ飛ばすカタパルト(射出機)がなく、甲板前部を坂にしたスキージャンプ式の発艦しかできない。艦載戦闘機「殲(せん)15」(J15)も重いと飛び立てないため、ミサイルや爆弾などのフル装備は不可能とされる。  軍事研究家は「パイロットの訓練の精度からみても、複雑な空母の運用は困難」と見る向きが多い。だが、中国が米海軍の無人潜水機を強奪したのに続き、空母を西太平洋に進出させる「対米強硬姿勢」に出たことは見逃せない。  背景には、トランプ次期政権の「対中強硬姿勢」が考えられる。  トランプ氏は、安倍晋三首相といち早く会談し、ロシアのプーチン大統領にも好意的なメッセージを送ったが、習氏の中国には批判的だった。  選挙中から「中国は為替操作国だ」と断じ、米国の雇用を奪っていると繰り返し批判。「中国からの輸入品に45%の関税をかける」と主張した。  通商政策などをホワイトハウスに助言する「国家通商会議(NTC)」の新設を決め、委員長に「対中強硬姿勢」で知られ、中国の政策を強く批判する著書を執筆してきた、カリフォルニア大学アーバイン校のピーター・ナバロ教授を充てると発表したのだ。

安全保障面でも、国防長官にジェームズ・マティス元中央軍司令官(退役海兵隊大将)、大統領補佐官にマイケル・フリン元国家情報局長(退役陸軍中将)ら「対中強硬派」の指名を決めた。  さらに、トランプ氏は台湾の蔡英文総統との電話会談に踏み切り、FOXテレビのインタビューで、「なぜ、『一つの中国』政策に縛られる必要があるのか分からない」と発言した。中国が「核心的利益」と位置付ける台湾問題で、「一つの中国」政策を見直す考えを示したのだ。  完全に中国は追い込まれ、習氏は大恥をかかされた。  中国には「死不認錯」(=死んでも間違いを認めない)という言葉がある。自分に非があっても謝らないし、勝てない相手にも弱みを見せない。 冒頭の「スクープ最前線」でも指摘したが、事実上、「死に体」状態であるオバマ政権の間に、中国が軍事的暴発に踏み切る危険性があるのだ。  前出のナバロ氏の著書『米中もし戦わば』(文芸春秋)には、米中戦争の「引き金となるのはどこか?」という分析が各章に分けて行われている。「台湾」「北朝鮮」に続き、3番目に「尖閣諸島の危機」がある。「ベトナムの西沙諸島」「南シナ海の『九段線』」より前であり、「危険度が高い」とみているようだ。  今後、習氏はどう動き、トランプ氏はどう対抗するのか。  国際政治学者の藤井厳喜氏は「ナバロ氏が国家通商会議のトップに決まったことで、トランプ政権は『経済と安保の両面で中国を追い込む方針』だと明白になった。断末魔にある中国は、オバマ政権の間に、できる限り、既成事実を積み重ねるつもりだろう。海上民兵の尖閣上陸も十分あり得る。トランプ氏は就任前は『許し難い暴挙』などと言葉でけん制しながら、就任直後から一気に動くはずだ。伝家の宝刀は大統領令による『在米資産の凍結』だが、その前に特定個人や企業への制裁を科すのではないか。台湾との関係強化も進めるだろう」と語っている。

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『アメリカに冷たくされたタイに食い込んだ中国兵器 オバマの理想主義がもたらした中国の“成果”』(12/22 JBプレス 北村淳)について

本記事を読みますと、日米で中国と言うモンスターを造り上げてしまった感を強くします。日本の大東亜共栄圏を日本に替わり実現しようとしているのでしょう。日本の五族協和とは違い、人民からの収奪が目的でしょうけど。日本も戦後委縮し過ぎです。米国が日本を押さえつけてきたせいもありますが。一帯一路政策が成功してしまうでしょう。

オバマは無能と言うか、世界に害を為しただけという気がします。リベラルというのは共産主義を認めるのでしょう。リベラルは、語源はリベレイトで黒人奴隷解放から来ています。まあ、中共もチベット侵略も農奴からの解放と主張していますが。そもそも人民解放軍と言う名前からして英語名がPeople’s Liberation Armyと言うのですから、リベラルと共産主義は相性が良いのでしょう。でも、オバマのように軍を嫌うのは珍しいです。日本の左翼リベラルと同じで、敵に陣地を明け渡す作戦なのかも知れません。こういう人物がノーベル平和賞なのですから、ノウルエー人も人を見る眼がありません。

タイはブミポン国王が逝去され、新しいワチラロンコン国王が就任されました。不倫問題等で国民の人気はイマイチと言われていまして、中国が介入する余地は沢山ありそうです。ネパールのように王制を打倒し、ネパール共産党毛派が牛耳っているように。ネパールのルンビニはお釈迦様がお生まれになった土地で有名ですが、今の宗教はヒンズーでインドの影響が大きい所にも中国は手を突っ込んできている訳です。

日本も沖縄独立を中国国内で喧伝し、中国人に刷り込みをしていますし、沖縄の左翼2紙を反基地運動のアジビラにして煽動しています。騙される方が悪いとはいえ、中国の人権弾圧の政治について沖縄県民は危機感が足りません。翁長を県知事に担いでいるようでは危ないでしょう。日本の公安調査庁と米国議会報告で反基地闘争の裏には中国がいるというのを明言しました。マスメデイアは殆ど報道していません。

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-a146.html

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47344

12/21日経でもこの内容はスルーされております。中国に不利になる記事は流さない「日中記者交換協定」を墨守しています。これで社会の木鐸を気取るのですから、どうしようもありません。情報はネットで取った方が正しい情報が取れ、正しい判断ができます。

12/21日経<「サイバー攻撃深刻化」 公安調査庁が回顧と展望 

公安調査庁は21日、国内外の治安情勢をまとめた2017年版の「内外情勢の回顧と展望」を公表した。「サイバー攻撃の脅威が多様かつ深刻化している」と分析。20年東京五輪に向けて警戒を一層強める必要があると強調した。

回顧と展望によると、リオデジャネイロ五輪・パラリンピックでは、公式サイトに約2千万件のサイバー攻撃が確認された。企業などから重要情報が盗み取られるケースに中国や北朝鮮、ロシアなどの関与が指摘されているとした。

一方、国内ではオウム真理教から改称した「アレフ」が今年5月、札幌市に最大規模の施設を新たに確保するなど「危険な体質を維持している」と記した。信者の数は昨年と同じ約1650人で、10月末時点の資産は約9億1千万円としている。〔共同〕>(以上)

記事

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タイ陸軍が米国製M41戦車の後継として発注した中国のVT4戦車(出所:Wikipedia)

中国の軍事的・外交的拡張戦略の進展は、南シナ海だけにとどまらない。南シナ海での人工島建設や基地群誕生のように大々的に取り上げられることはないが、タイとの軍事的関係の親密化も目を見張る勢いで推進されている。

露骨にタイに冷たく接したオバマ政権

2014年5月、タイで政治的混乱を鎮定することを大義とした陸軍が中心となってクーデターが敢行され、8月にはプラユット陸軍総司令官が国王から首相に任命され軍事政権が発足した。

それ以降、軍事政権を一律に忌み嫌うオバマ大統領は、タイに対して露骨に冷たい姿勢を示し始めた。

オバマ政権の方針により、それまでタイ軍部と親密な交流を続けてきていたアメリカ軍部も、合同演習などの規模を縮小したり、中止したりせざるを得なくなった。そのため、東南アジアや極東軍事戦略を担当していたアメリカ軍関係者などの間からは、「アメリカ軍とタイ軍の関係が疎遠になってしまうと、その隙に乗じて中国人民解放軍の影響力が強まりかねない」といった危惧の声が上がっていた。

その心配は的中した。オバマによるタイ軍事政権に対する“冷たいあしらい”が始まるやいなや、中国側からタイ軍事政権への軍事的・経済的なさまざまなアプローチが開始されたのである。

本コラムでも指摘したように、2015年夏には、中国によるタイ海軍への潜水艦売り込みに関する具体的情報が流れ始めた。国防予算の関係でこの年の取引は白紙となったが、中国側が“経済的パッケージ”を提供したことで、2016年の夏には3隻の中国製「元型S26T」潜水艦をタイ海軍が手にすることが決定した(本コラム2016年7月14日「潜水艦3隻購入で中国に取り込まれるタイ海軍」)。

潜水艦は国家機密の塊ともいえる軍艦である。そのような潜水艦をタイ海軍に売却し、潜水艦要員の教育訓練や合同演習などを行うことで、人民解放軍海軍とタイ海軍の結びつきは強固になっていく。そして中国側は、潜水艦売却に加えて、継続的に必要となるメンテナンスや修理などを通して経済的利益をも手に入れることになったのである。

今度は新鋭地対空ミサイル

オバマ政権がタイ軍事政権を敵視する政策をとることは、中国にとって好機に他ならない。中国はこの機に乗じて、軍事上の利益と経済的利益を手中に収めつつ、中国国防圏をタイにまで拡大していこうとしている。その戦略は潜水艦取引にとどまらない。

12月13日、タイ空軍は、中国の「中国精密机械进出口总公司」(CPMIEC:中国国営の防衛企業。主としてミサイルや防空システムに関連した兵器や技術の輸出の代理店)から輸入したKS-1C中距離地対空ミサイルシステムを公開した。

1980年代以降、タイ空軍は短距離(最大射程10キロメートル以下)地対空ミサイルをイギリス、スイス、スウェーデンなどから輸入していた。だが、その後、それらは中国製のQW-2短距離地対空ミサイルに置き換えられてきた。そして今回、最大射程距離70キロメートル、最大射程高度27キロメートルとこれまでの短距離地対空ミサイルに比べると極めて高性能のKS-1C中距離地対空ミサイルを、タイ空軍は手にすることになったのだ。

KS-1Cは人民解放軍(陸軍と空軍)が使用しているHQ-12対空ミサイルシステムの輸出向けバージョンである。そのため、中距離地対空ミサイルを初めて手にしたタイ軍に対して、中国人民解放軍が教育訓練を実施することになる。訓練を通して両軍の関係はますます親密になっていくものと思われる。

中国は、KS-1Cよりも射程距離が短いKS-1A中距離地対空ミサイルをミャンマーに輸出しているし、タイと同じKS-1Cを中央アジアの隣国であるトルクメンスタンにも持ち込んでいる。そして、タイに引き続いてパキスタンとマレーシアにもKS-1Cの売り込み攻勢をかけている。それらの売り込みが成功すれば、地対空ミサイル供与を突破口に、人民解放軍の影響力が中国周辺諸国に広がることになるのだ。

タイ国内に中国の装甲車両工場が誕生?

中国が経済的利益を手にしながら軍事的影響力を拡大していくために用いているのは、潜水艦や地対空ミサイルだけではなく戦車にも及んでいる。

タイ陸軍は、かつてアメリカから輸入したM41戦車(陸上自衛隊も1960年代にはM41戦車をアメリカから供与されていた)の後継として、28両の中国製VT4(MBT-3000)を発注した。初期の試験運用などの状況如何では、VT4を150両ほど追加注文するものとみられている。

VT4は中国北方工業公司(ノリンコ)が製造する輸出向け主力戦車であり、旧式の米国製軽戦車であるM41と違って、人民解放軍が使用している99式主力戦車を元にした近代的戦車である。このような新鋭戦車の輸出を通して、タイ陸軍と人民解放軍の交流がさら深まることは確実である。実際に、VT4の輸出にとどまらず、中国の装甲車両メーカー(すなわちノリンコの子会社)がタイに進出する話まで飛び出した。

先週、北京の中国国防省を訪問したタイのプラウィット国防大臣(副首相を兼任、退役陸軍大将)は、人民解放軍の最高幹部たちに対して、主力戦車をはじめとする装甲車両の整備工場や生産拠点をタイ国内に建設するよう誘致したという。中国側は即座にタイ側の誘致案を支持し、さっそくワーキンググループを発足させることで合意したという。

このほか北京では、プラウィット国防大臣と李克強首相との間で、タイ縦貫鉄道や高速道路を建設するための中国・タイ共同プロジェクトが合意されている。そのため、タイに中国の装甲車生産・整備工場が誕生する日もそう遠くはないと考えられる。そして、タイ陸軍が手にする100輛以上のVT4主力戦車は、タイ国内のノリンコ工場で生産されることになるかもしれない。

世界各国が最先端防衛技術を戦略的に活用

潜水艦にしろ、地対空ミサイルシステムにしろ、主力戦車にしろ、中国は、タイのように自ら兵器を製造できない国々に売り込むことにより、経済的利益を手にするだけではなく軍事的影響力をも着実に植え付けつつある。もちろんそのような武器供与は、単なる思いつきではなく綿密に練られた安全保障戦略に基づいている。まさに防衛産業を国防ツールとして有効に活用しているのだ。

このように、新鋭兵器の輸出を戦略ツールとしているのは中国だけではなく、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、イスラエル、ロシアをはじめ枚挙にいとまがない。最先端技術力を有し、各種兵器を生み出している国々の多くは、兵器の輸出を戦略ツールとして活用し、経済的利益を手に入れると共に、外交的立場を強化したり、国内産業の保護を図ったり、国内の最先端技術力の発展に役立てたりしている。

日本には、中国が戦略ツールとして輸出する元型S26T潜水艦、KS-1C中距離地対空ミサイル、VT4主力戦車と同等か、それ以上の性能を誇る潜水艦、地対空ミサイル、主力戦車を作り出す技術が存在する。ところが、いくら高性能兵器を生み出しても、自衛隊だけにしか供給できない仕組みが続いていては、国際競争から脱落することは自明の理である。日本政府は、せっかく国内に存在する技術力を戦略ツールとして活用していかなければならない。

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『トランプ次の一手は?オバマが激怒した「プーチンのサイバー攻撃」黒幕は中国』(12/18MONEYVOICE カレイドスコープのメルマガ)、『習近平と激突。手のひら返しで「対中国強硬路線」に舵を切るトランプ』(12/20MONEYVOICE 斎藤満)について

“MONEYVOICE”はメールで毎週金曜日送られて来ます。どちらかと言うと、グローバリズムとリベラルな論者の記事が多い印象です。また、記事全体が読める場合だけでなく、一部だけで後は購読しないとダメと言う場合もあり、本両記事ともそうでした。故に小生は全体を読んでいませんので、コメントが的を外している可能性もありますが、その場合にはご容赦願います。

「カレイドスコープ」記事でアーネスト報道官の「ハッキングしているのは中国」と口を滑らしたのが本当であれば、やはり民主党政権は米・日とも腐っています。困った時のプーチン頼みで、悪いことは総てプーチンのせいにするのであれば、一体何のためにロシアをそんなに敵国扱いしなければならないのか、不思議に思います。馬渕睦夫氏の講演会に参加したことがありましたが、ナポレオン戦争後のウイーン会議で、英国の提案にロシアが反対したため、その恨みが続いていると言う話だったと記憶しています。

http://www.kanekashi.com/blog/2015/01/3751.html

カレイドスコープ氏はロシアを中国との仲立ちと考えているようですが、それは無いと思います。斎藤氏の記事の方が的を射ているのでは。それこそキリスト教同盟で中国を包囲するのでは。ただ米中とも拝金体質ですからその点の注意は必要です。

中国は空母「遼寧」を西太平洋に進出させ、米国と太平洋二分割を実現させるつもりのようです。ただ、地政学上、沖縄に基地を置く米海軍は、太平洋二分割は認めないでしょう。「遼寧」は原子力でないので、どこかで給油しなければならないのでは。中国は太平洋に基地がある訳でなく、給油艦が並走しなければなりませんが、それを攻撃されれば空母は単なる鉄屑になります。離発着の訓練も時間が足りず、脆弱であり、こけおどしの為でしょう。電磁カタパルトを開発した可能性もあると言われていますので、今回の就航で発艦訓練されれば、事実が掴めると思います。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4888?page=3

中国のA2/AD戦略は米軍空母群を中国の領海に近づけない戦略で、多数のミサイル攻撃がそれを可能にします。それであれば米軍も同じことができる筈です。空母は目くらましで、下には潜水艦がいて米大陸がSLBMで攻撃できる8000Kmのところまで連れて行くのが狙いではと想像しています。

空母は建設に金がかかる上に、護衛艦等が必要で単独行動できないため、コストがかかります。トランプが言うように、経済的に中国を締め上げる方が賢明かと。ピーター・ナバロが大統領通商顧問になりそれを実行していくことを願っています。軍拡に勤しむ中国は世界平和の攪乱要因です。南シナ海の国際仲裁裁判所の判決を紙屑と言ってのける国ですので、ロシアに課しているような経済制裁をすべきです。欧米は二重基準ではないでしょうか。クリミアを侵略と言うのであれば、南シナ海も同じ扱いにすべきです。

日本も防衛兵器だけで対応するのは限界があります。マッハ5(20Km/m)のミサイルを数多く撃たれたらミサイル防衛だけでは間に合いませんし、外す場合もあると思います。米国とニュークリアシエアリングの話をすべきですし、攻撃用武器の開発も進めるべきです。防衛費を10兆円に近づける努力をして行かないと。国民の支持が大切ですが、政府はキチンと国民に説明する必要があります。

レアアースの記事は、2010年尖閣での漁船拿捕時に中国がレアアースを日本に禁輸しましたが、日本は代替国や代替品、都市鉱山で困りませんでした。南鳥島沖にはレアアースが埋蔵されているとの情報もあります。中国が米国にレアースで報復するのであれば、日米で対応策を講じれば何とか乗り切れると思っています。

カレイドスコープ記事

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「米大統領選中のサイバー攻撃はロシアの仕業だ」オバマとワシントン内部のヒラリー派は、困ったときのプーチンとばかり濡れ衣を着せていますが、このロシア・ハッキング説は虚偽でしょう。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年12月15日第186号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文もすぐ読めます。

サイバー攻撃を仕掛けた「中国の罪」をロシアに擦り付けた米CIA

プーチンロシアとトランプ政権の「疑惑」

トランプ次期大統領は、国務長官にエクソンCEO、レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)の指名を決めました。ティラーソンが有能であることは誰もが認めるところです。

しかし、ティラーソンが、トランプの選挙を操作したのではないかと疑われているロシアのプーチンと親しい関係を築いているということから、トレーダーたちは、この指名を訝しく思っているのです。

事実、ティラーソンは、数年前から、ロシアの英語圏向けニュース「RT」に何度か出演している有名人です。

トランプが、マイク・ペンスを次期副大統領にするために、元ニューヨーク市長のジュリアーニを推さず、クリス・クリスティーをあえて降格させたように、トランプが、一人の候補者に多くの政治的リソースを割く意味が不明で判然としない以上、ウォール街はやや困惑させられています。

なぜ、ペンスをそこまで高く評価するのか?なぜ、ティラーソンを外交の重要なポストに就けるのか…?

米国の左翼の陰謀論者は、プーチンが米国の大統領選を馬鹿にしているだけでなく、ティラーソンを指名したことは、トランプ政権をロシアの傀儡にするためのシナリオの一種であると考えています。

「困ったときはプーチンのせい」ヒラリー派の誤算

ここで珍妙な、ほほえましい場面(YouTube動画・英語)があります。

先日、ホワイトハウスで行われた記者会見で、ワシントンの報道官が、ロシアとの間の種々問題について、外交的解決の道はあるかという記者の質問に答えている場面です。ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)報道官が、ついうっかり漏らしてしまったこととは――

彼は、今回の大統領選を混乱させ「サイバー攻撃を仕掛けたのは中国である」と、うっかり口を滑らせてしまったのです。その後、すぐに「失礼、ロシアでした」と言い直したものの、ときすでに遅し。

ワシントン内部のヒラリー派は、「困ったときのプーチン」とばかり、この忍耐強く、なかなか真相を言わない男に濡れ衣を着せてしまえば、12月19日に実行される全米の大統領選挙人による投票でヒラリーを勝たせることができるかもしれないと考えているのでしょう。

しかし、ロイター(英文)が報じるところによれば、CIAを含む米国の情報機関のすべてを束ねているODNI(Office of the Director of National Intelligence)は、「CIAが主張しているロシア・ハッキング説を支持しない」と公式に言明したとのことです。

この会見でのアーネスト報道官の舌禍と、その後のバツの悪そうな表情は、ホワイトハウス自体がディスインフォメーションを流していることを決定的に証拠づけるだけでなく、さしてそれを気にも留めない大統領府の腐敗した体質を垣間見せたという点で、非党派的な政権移行への希望を持っていた米国の有権者を大いに失望させたのです

「トランプ・プーチン同盟」を形成させた2つの背景

トランプとロシアのプーチンとの間には、確かに信頼関係が形成されています。それには、明確な理由が一つ二つあります。

その一つは、ロシアと中国が、経済協力において同盟国であるだけでなく、軍事に関しても、強固な同盟関係を結んでいる事実があることから、実利的な中国との仲立ちをできるのがロシアしかないということです。

もう一つは、米国の産業界が中国のレア・アースに依存しているということ、この二つです。

今年4月、中国は、超音速兵器の最先端を行っていると軍事関係者に評されている最新鋭の超音速滑空体「DF-ZFグライダー」の7回目のテスト飛行に成功しました。それは、完成の域に達しています。

中国とロシアは、これまでにも、核攻撃を行う能力を持つ超音速兵器を繰り返しテストしてきました。少なくとも2014年から始まっています。

米国情報当局は、ますます複雑化している世界のミサイル防衛に対処するため、中国が、超音速で高高度を滑空できるグライダー型の核搭載型飛行体を配備する計画を持っていることを早くから掴んでいます。

DF-ZFグライターも、1時間以内に世界中のターゲットを攻撃することができる通常戦略攻撃兵器の一部として使われる可能性があります。

これらの超音速兵器の速度と破壊力が、どれほどのものか想像することさえ困難です。それは圧倒的で、マッハ5以上で飛行することができます。

中国とロシアの新兵器は、世界の安全保障に深刻な脅威を及ぼします。米国の兵器開発力は、すでにそれに追いつけないほど衰弱しています。

全米アカデミー(※)は、最近、空軍の委託を受けてとりまとめた詳細な報告書のうち、機密扱いにされていない部分の要約を発表しました。 ※全米アカデミー: United States National Academies ; National Academy Complex。全米科学アカデミー、全米技術アカデミー、米国医学研究所、全米研究評議会の4組織から構成されている。

そこには、「今の米国には、新兵器の明確な獲得方法が欠如している。(中国などの)潜在的な敵対者の熱狂的な研究開発のペースは速く、その成果は驚くべきものである。これは、米国とはまったく対照的であり、この分野への投資は重要である」と書かれており、新兵器開発で米国がロシア・中国の後塵を拝していることを認める記述があります。

なぜ中ロは野放しにされたのか?

なぜ中国とロシアは、国防を目的としながらその実もっとも攻撃的な新兵器の開発を、まったく邪魔されず成功させるに至ったのでしょうか。

もちろん、ネオコンに牛耳られているワシントンでは、米国とロシア、中国の利害が一致したからに他ならないのです。

日本では、北朝鮮が小型核弾頭の開発に成功したと、極東有事の可能性を煽っています。そして、米国は、北米が北朝鮮の大陸間弾道ミサイルのターゲットになろうとしている、と国民の恐怖を煽っています。

また、日本の自称右翼の人々は、核武装化によって日本の真の独立を勝ち取るべきだ、と主張しています。

これらは、現状をまったく知らないか、あるいは、知っていながら保守を気取っている軍事評論家による情報操作の賜物なのです。

レア・アースの獲得に赤信号が点った米国

米国も、もちろん、DARPA(国防高等研究計画局)が宇宙兵器の開発を急いでいます。しかし、この分野でロシアと中国に大きく水をあけられてしまったことは否定しようのない事実です。

その理由は、米国が幅広い分野で、コモディティー(原油・ガスなどのエネルギー、金・銀・プラチナなどの貴金属、小麦・大豆・とうもろこしなどの穀物の総称)の逼迫(品不足)に直面しているからです。

一方で、中国の兵器開発を牽制するかのような厳しい中国への批判を行い、一方で、米国の経済成長と軍事増強の二つを同時に達成しようというトランプの計画は、経済成長だけを求める新自由主義の投資家の熱狂を冷やすこととなり、トランプ政権の船出は、かなり厳しい障害に直面しそうです。

米国は重要なコモディティーのうちの50%以上を輸入しています。中でも、電気自動車から軍事技術までの広い範囲で必要不可欠なレア・アース(希土類元素)は中国に依存しています。

ペンタゴンは、10年以上の間、レア・アースの供給網への不自由なアクセスを改善しようと何ら手を打ってきませんでした。

しかし、2016年、米・連邦監査局は、レア・アースに関する広範な報告書の中で次のように警告しています。

「ペンタゴンは、重要なレア・アースを構成することについてまだ同意しない」。

中国のレア・アースに頼っている産業界は米国だけでなく日本も同じです。その中国が、レア・アースを外交カードに使うために、さらに戦略性を強化しようと、2020年に向けて生産量を制限する方針を発表しました。

米国にとって、それは安全保障を直撃するほとのインパクトになるのです。

米国は、完全に中国が輸出しなくなった場合に備えて、レア・アースを採掘し複雑なサプライチェーンを管理するエンジニアを、一刻も早く養成しなければならないのです。

しかし、米国のたった一つの大学でさえも、レア・アースについての本科を設置していないのです。人材の育成には、大分時間がかかります。

時間を稼ぐトランプ

トランプは、中国に軽いジャブを与える程度にして必要以上に刺激せず、資源確保のための計画を練る時間を稼いでいるのです。

だから、トランプにとってロシアのプーチンとの友好関係は、中国を間接的に制御する上で必要欠くべからざる要素なのです。

斎藤記事

親中派のキッシンジャー氏が北京を訪れている最中に台湾の蔡総統と電話会談し、習主席を怒らせたトランプ氏。今後も、経済・軍事両面で中国を攻める可能性が高いでしょう。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年12月19日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

トランプ政権は経済・軍事の両面作戦で中国を潰しにかかる

弱まっていた対中強硬論

トランプ次期大統領の対中国戦略が、かなり強硬路線になりそうなことが見えてきました。中国サイドがかなり神経質になっていると同時に、米国内にも対中関係の悪化、報復を危惧する声が高まっています。

これは日本にも当然大きな影響を及ぼしますが、日本政府の準備、対応が必ずしも十分でないのが気がかりです。

トランプ氏の米国が、これまでのオバマ政権以上にロシア寄り、英国寄り、イスラエル支持に傾斜していることが明確になり、さらに不透明であった中国戦略も、当初の予想と異なってきたのです。

【関連】トランプ次の一手は?オバマが激怒した「プーチンのサイバー攻撃」黒幕は中国

巷では、「アメリカ・ファースト」はかつての「モンロー主義」に近く、ロシアや中国には一定の範囲で好きなようにやらせる、との説がありました。このため、選挙キャンペーン中に発していた対中国強硬論、例えば中国を為替操作国に指定する、あるいは中国のダンピングに対して、高率関税をかける、などの発言は、実際には実行されず、最後には米中経済関係を重視せざるを得ない、との見方がありました。

12月8日には習主席と近いブランスタド・アイオワ州知事を中国大使に指名し、この感は強まりました。

またトランプ陣営の中では、中国が主導するAIIBにアメリカも参加すべき、との声も上がり、さらに、CFR(外交問題評議会)の重鎮で、親中派の代表ともいえるキッシンジャー元国務長官を北京に派遣したことから、対中強硬論はかなり後退しました。

手のひら返し

ところが、ここから事態は急変します。キッシンジャー氏がまさに北京を訪れている最中に、トランプ氏は台湾の蔡総統と電話会談をし、習主席を怒らせ、キッシンジャー氏の面子を潰しました。

トランプ氏は、中国の反発に対し、今度は「一つの中国」という考えにはとらわれないと、中国の基本認識自体を否定する発言をしました。ここに至って、トランプ次期政権の対中国路線は、これまで以上に強硬路線になることがほぼ判明しました。

中国は米国の出方を探るために、東シナ海で日本の領空を脅かし、日本を挑発し、南シナ海では米国の無人水中捜査船を拿捕しました。

中国は米国をけん制したつもりでしたが、さすがに米国は強硬に抗議したため、中国軍はこの無人水中捜査船の返還を約束しました。中国は米国と戦争しても勝てないのはわかっているので、軍事行動には慎重にならざるを得ないからです。しかし、米国が強硬策に出てくれば、中国が指をくわえてみているとも考えられません。

経済、軍事両面で中国を攻めるトランプ

トランプ氏は米国経済の苦境の一因として、中国の為替操作、ダンピングを挙げ、敵視しています。トランプ氏は今後、経済、軍事両面から中国を攻めてくる可能性があります。

一般に軍産複合体とは相いれないトランプ氏との評価も見られますが、実際には軍事産業にも配慮した動きが見られ、軍事面でも強硬論に出る懸念があります。

その点、対中国では米国が台湾への武器供給を進める可能性があり、台湾海峡の緊張が高まる可能性があります。米国では軍事産業にいい顔をすることができます。また国務長官に指名されたエクソンCEOのティラーソン氏は、親ロであると同時に、中国嫌いでも有名です。

経済的には、2つの面から米国が中国を攻める可能性があります。1つは、米国製品に対して中国が不当な関税をかけ、逆に中国製品は通貨安政策とダンピングで米国製造業を圧迫していることへの対応。今1つは、FRBの利上げを通じて中国の債務負担を高め、その面から中国の経済力を削ぐことです。

米国企業の中には中国の報復を懸念する声が上がっていますが、中国の対米黒字が圧倒的に大きい点を見ても、経済戦争になって大きなダメージを受けるのは中国です。

中国に進出している米国企業が不当な差別を受ければ、米国の軍事力行使や米国内での中国資産の凍結など、こちらの報復も甚大で、米国企業よりも中国マネーが大きな負担を強いられます。

来年のFRBの利上げには中国当局はかなり神経質になっています。ドル建て債務が大きいこともさることながら、中国からの資金流出が一層加速する懸念があり、中国経済がダブルで影響を受け、中国経済は来年かなり悪化が予想されます。

共産党政権が維持されている間は、中国危機は回避できます。しかし体制が崩壊すれば、旧ソ連と同じ運命になります。

このように、米中関係が緊張し、関係悪化が進むと、その影響は日本経済にも及びます。日本の輸出の約2割が中国向けで、アジア全体で5割、これに豪州を加えると6割を占め、これらも中国の影響を受けます。中国投資や中国に進出している企業も中国経済悪化の影響を受けます。中国関連銘柄は、今後米中の動きに細心の注意が必要です。

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『なぜ中国は米軍の潜水ドローンを拿捕したのか 忍耐力の低い米中の「偶発事件」に備えよ』(12/21日経ビジネスオンライン 福島香織)について

10/22日経<習氏悩ますトランプ流(ニュース解剖) 「一つの中国」も取引材料に

米次期大統領、トランプと中国国家主席、習近平が激しい神経戦を演じている。トランプは台湾総統、蔡英文との歴史的な電話会談に踏み切り、「一つの中国」さえも経済問題などの取引材料だとした。助走段階から不協和音が聞こえるトランプ時代の米中関係。その実相を追った。=文中敬称略

「南シナ海で米中が戦争か」――。アジアの一部メディアが派手に伝えた事件は20日、中国軍が奪い取った米国の無人潜水機を返還し、決着した。海中で情報を集める米軍と、それを実力で阻止した中国軍。一連の動きは、原子力潜水艦がせめぎ合う米中軍事対峙の危うさを浮き彫りにした。

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■政権移行期狙い挑発

中国は、トランプの「無人機が盗まれた」とのツイッターでの言及に対し、「路上で物を拾ったら(所有者などを)調べなければならない」と主張した。だが450メートルという近さにいた米無人機の母船は無線で返還を求めていた。所有者を知りながら持ち去れば窃盗である。中国軍の明らかな挑発だった。

しかも、場所はフィリピン・スービック港の北西90キロの公海上で、中国が一方的に管轄権を主張する「九段線」の外だ。中国が埋め立てを狙うスカボロー礁にも近い。中国側の意図は何か。その背景には、米国と軍事協定を結ぶフィリピンの大統領、ドゥテルテが突然、中国に急接近したことがある。

「中国軍は今ならフィリピン近海で米軍に手を出しても安全だと踏んだ。米政府とドゥテルテの反応を試したのだ」「米軍が動きにくい政権移行期を利用し、中国軍がスカボロー礁周辺を仕切る既成事実をつくりたい」。南シナ海問題の専門家らは中国の狙いをこう指摘する。

17日、ドゥテルテは7月の仲裁裁判所判決に絡み「中国にいかなる要求もしない」と述べ、米国との共同歩調を否定した。スカボロー礁の埋め立てをあきらめていない中国にとっては、狙い通りの展開だ。米側の反応が限定的なうちに無人機を早期に返還しても目的は達成したことになる。

中国軍は東でも駒を進めていた。10日、中国空軍の編隊は沖縄本島・宮古島間の「第一列島線」を突破。台湾・フィリピン間のバシー海峡を抜けて、台湾を取り巻くように飛んだ。

航空自衛隊のF15が緊急出動。米軍は無人偵察機グローバルホークで高空から中国軍を監視した。台湾紙、聯合報の報道だ。中国軍は日台に圧力をかけ、背後の米軍の動きを探った。

中国には別の政治目的もあった。接近する日本の首相、安倍晋三とロシア大統領、プーチンへのけん制球だ。2人が日本で会談した前後、中国軍のリークとされる奇妙な軍事映像がインターネット上に出回った。

「我が軍のスホーイ30戦闘機が(日本の)F15を狙う」。中国機の脇を飛ぶF15の映像説明は刺激的だ。しかもスホーイ30がF15を「ロック・オン(照準の固定)」との表現まである。

映像リークの思惑を中国の安保関係者が解説する。「注目点は、映像で中国がロシアから導入したスホーイ30を確認できること」。スホーイ30は中ロ「準軍事同盟」の証しだ。日ロ会談中にプーチンは中国陣営にいるとアピールしたのだ。

習近平は唯一の盟友、プーチンの動向が気になる。トランプもエクソンモービル出身でプーチンと親しいティラーソンを次期国務長官に指名した。

「トランプはプーチンを利用して中国に圧力をかけかねない」。中国のシンクタンク内では警戒の声も上がる。

■中国不動産王の脅し

中国が当初、トランプ当選を歓迎したのは、利で動く「商人」と見たからだ。中国に厳しいヒラリーとは違う。ニンジンをぶら下げて陰に陽に圧力をかけ、取引に誘い込めば中国有利に動かせる。そんな読みがあった。中国は資金力なら絶対の自信がある。

中国の戦術の一端が垣間見える動きがあった。主役はトランプの向こうを張る中国一の不動産王、王健林だ。「我々は米国に100億ドルを投じ、2万人超を雇っている。うまくいかないなら2万人が食いぶちを失う」。商業用不動産で中国トップの大連万達集団(ワンダ・グループ)を率いる王健林は10日、北京で言い放った。

中国の利益を侵せば投資を引き揚げる。それは単なる脅しではない。大連万達は既に米大手映画館チェーンAMCエンターテインメント、映画バットマンで知られる米映画製作会社、レジェンダリー・エンターテインメントを買収した。

関係者は、裏に控える共産党の意向を指摘する。大連万達は民間企業だが、中国の高級幹部の子弟を指す「太子党」と関わりが深い。王健林は習近平の姉の夫の会社が以前、同社株を持っていた事実も明かした。

トランプは旧来の枠組みを軽々と超え、「一つの中国」まで取引材料だとする。巨額の対中貿易赤字、関税、為替操作……。これらも皆、取引の対象になり得る。「利にさといビジネスマン」。そう甘く見ていたトランプが本領を発揮し、習近平が手を焼く構図だ。

来年後半、中国は最高指導部人事を控える。権力闘争が山場を迎える頃、習近平が海洋で強硬策に出る可能性は残る。2012年の最高指導部人事の直前、中国は尖閣諸島問題で突然、強硬姿勢に転じた。反日デモで日本企業に多大な被害が出たのは記憶に新しい。

トランプは次期国防長官に「狂犬」の異名を持つ元中央軍司令官、マティスを指名した。アフガニスタン、イラクで戦った経験豊富な元軍人を相手にする「火遊び」は危険だ。トランプの大統領就任後、南シナ海に変化があるのか、目が離せない。

米中ロ「三角関係」の先行きは読みにくい。日本もどんな展開にも対応できる入念な準備が要る。旧来の発想にとらわれない柔軟な外交戦略が求められる。(編集委員 中沢克二)>(以上)

12/23日経<米マクドナルド、中国事業2300億円で売却 CITICなどに

米マクドナルドは中国事業を中国の国有複合企業、中国中信集団(CITIC)と米投資ファンドのカーライル・グループの連合に売却する方針を固めた。対象は中国と香港に保有する店舗で売却額は20億ドル(約2300億円)を超えるとみられる。マクドナルドは業績が頭打ちとなっており世界でリストラを進めている。競争が激化している中国事業の売却で収益基盤を立て直す。

年明けにも発表する見通しだ。複数の投資ファンドが中国企業と組んで名乗りを上げていたが、金額などの条件面から最終的にCITIC連合が独占交渉権を獲得した。

マクドナルドは1990年に中国に進出した。現在は約2200店を展開し約10万人の従業員を抱えている。だが、2014年夏に取引先が賞味期限切れの鶏肉を使っていた問題が発覚し、売り上げが大きく減少した。中国の消費者の所得水準が向上し、最近は地元資本の外食チェーンや外資のカフェチェーンなどに顧客を奪われている。

米マクドナルドは成長鈍化に直面する。16年7~9月期決算は純利益が前年同期比3%減になるなど利益減少が続き、コストのかかる直営店から外部に運営を任せるフランチャイズ店への切り替えを進めている。

18年末までに世界の店舗の1割弱をフランチャイズ店に移行する計画を掲げ、シンガポールとマレーシアでも店舗の経営権を売却した。中国事業もCITIC連合に売却したうえで、マクドナルドの店舗として営業を続ける公算が大きい。

米マクドナルドは保有する日本マクドナルドホールディングス株の一部売却も検討している。日本でも賞味期限切れ鶏肉問題などで客離れが進んだが、11月まで既存店売上高が12カ月連続で増加するなど業績が回復している。株価も大きく上昇しており、株の売却計画が進むかは不透明だ。>(以上)

マックの中国事業の株式売却は経済的理由だけでなく、今後の米中(トランプVS習)の覇権争いで、関税問題や経済制裁等の報復合戦、場合によっては南シナ海or東シナ海での小競り合いが起きるかもしれないと考えた上での決断では。賢明と思われます。日本企業の撤退は時間がかかり過ぎて間に合わないでしょう。ソニーは株式売却を従業員に手切れ金を払う形で解決しました。平時であれば非難の対象とすべきですが、准戦時と考えれば見事な決断と言えます。ただ中国事業は「まだまだ、かなりの投資機会があると見てよい」というのは中国へのリップサービスでしょう。本当にそう思っているなら売却しないと思います。因縁つけられるのを避けるためです。中国は暴力団が国を運営しているという事の証拠です。従業員を裏で煽動しているのは共産党でしょう。撤退させないように。

12/23日経<ソニー、中国工員スト金銭解決「供給守る現実策」 現地法人トップに聞く

ソニーの中国南部にある広東省の工場で11月、従業員約4千人による大規模なストライキが起きた。工場を中国企業に売却することに不満を示し、補償金を求めるストが約2週間続いた。同時期に米コカ・コーラの中国工場でも同様の理由でストが起き、中国ビジネスの難しさが改めて浮き彫りになった。ソニーの中国の現地トップ、高橋洋董事長(55)に金銭解決に至った判断や中国事業への見方を聞いた。

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約2週間にわたってストが続いたソニーの広州工場で掲示板を見る従業員ら(11月)

――今回、カメラ部品を生産する広東省の広州工場で、なぜ大規模なストが起きたのですか。

「11月に中国企業への工場売却が決まった。従業員も労働条件など、そのまま中国企業に引き継ぐことも決まり、我々は粛々と業務移管を進めればよかった。ただ、従業員はソニーと全く関係のない企業に移ることが不安で、不満を持った」

――ソニー側に何か、落ち度はありましたか。

「正直ない。今振り返っても、こうすればよかったと思うこともない。我々は全力を尽くした」

――ただ、従業員はソニー側から工場売却に関し、事前の説明不足を指摘していました。

「私には2つの原則がある。1つは、不安になっている従業員に誠心誠意寄り添い、包み隠さず、会社の決定を丁寧に説明すること。2つ目は法に従い、現地政府の指導も受け行動を進めること。この2つの原則を絶対に曲げずに貫くことが中国ビジネスでは大事で、今回もそれを貫いた」

――ただ今回、従業員は職場を放棄したうえ、支払う義務のない経済補償も求めました。

「非合法な要求だが、会社が替わることに不安を持つ気持ちも分かる。だが、我々には顧客への供給責任がある。だから、生産ラインに戻って仕事を再開してくれる従業員には(最大約1万6千円の)『功労金』を支払うことにした」

――従業員のごね得にも映りますが、やはり金銭解決は必要ですか。

「顧客への供給責任がある以上、(2週間も続いたストに)どこかで落とし所をみつけるしかない。我々も、最後は現実的な解決をしたわけだ」

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インタビューに応じた高橋洋ソニー(中国)董事長兼総裁(上海市)

――高い経済成長を遂げた中国ですが、この10年間で従業員の質にどんな変化がありましたか。

「ホワイトカラーの質が格段に上がった。非常に能力が高い。一方、工場の従業員の方々は正直、本質的には、まだあまり変わってはいない」

――中国で労働争議は今後も続きますか。

「中国は国全体が今、構造改革の途上にある。改革にはリストラなど大変な痛みが伴う。労働争議は不可避で今後も増えるだろう。だが、だからといって中国が駄目だというのは少し短絡的だ」

「労働争議は改革に必要なプロセス。それを通して色々な経験を今、企業も政府も労働者も蓄積している段階だ。政府もそれをよく理解していて今回起きたストへの対処にも協力的だった」

――ソニーは中国で7工場を持ち、数万人を雇用しています。今後のビジネスをどう見ますか。

「(政府に対しては)外資企業の参入や撤退の手続きを、もう少し容易にしていただきたい。だが、中国のビジネス環境自体は間違いなく良い。日本企業の場合、自社が強い分野に特化して参入したとしても、まだ巨大な市場が広がっている。こういう国は他にない。当社も確実に利益を出している。日本企業にはまだまだ、かなりの投資機会があると見てよい」>(以上)。

呉士存の言う「米国が(中国が領海と主張する)九段線の中に入ってきたのは・・・」と言うのは、事実誤認であります(九段線の外)が、わざとそう言ったと思われます。そもそも、九段線を世界で認めている国は中国以外であるのか、国際仲裁裁判所の判決が出ているのに、です。本当に中国と言うのは自己中心で平気で嘘がつける民族と感心します。

日本人は、米中で局地戦がおきる可能性を考えておかないと。それが尖閣になるのか南シナ海になるのかに拘わらず。尖閣は警察・海保・自衛隊が米軍より先んじて出動しなければなりません。米軍が先に血を流すことはありません。そうしなければ日米同盟は危殆に瀕します。その時に、左翼にかぶれている日本人がどういう行動を取るかです。すぐマスコミは「戦争反対」の大合唱が始まるでしょう。その声は中国に投げかけるべきなのに。洗脳された軽薄な人々もマスメデイアの言いなりになるに違いありません。そうなれば、日本の終わりです。如何に国民全体で国家権力の行使を支えられるかが勝負と思います。そのときにしか国民は憲法改正の意義が分からないと思います。

記事

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「暴君トランプ」と「狂犬マティス」は中国の挑発をいなせるのか(写真:AP/アフロ)

中国の人民解放軍海軍が南シナ海で米軍の無人潜水探査機(ドローン)を「違法に奪取」した。12月15日のことである。米国側はすぐさま返還を要求、18日には中国側も返還に応じることを決定したが、いったい中国側は何を考えて、このような大胆な真似をしたのだろうか。今後の米中関係の行方を占ううえでも、気になるところだ。

フィリピンと中国の係争水域で

米国防総省の発表では、15日、アメリカ海軍の海洋調査船「バウディッチ」が南シナ海のフィリピン・ルソン島沖、スービック湾から北西93キロの地点で、無人潜水探査機(ドローン)2機による海洋調査を実施、探査機を回収しようとしたところ、中国海軍の潜水艦救難艦がボートを出して1機を奪ったという。バウディッチは無線で返還を要請したが、救難艦は応答せずに探査機を持ち去った。

米国側によればドローンは海水の塩分濃度や透明度などを調査するものだが、これは潜水艦航行時のソナーデータに役立つ情報でもある。潜水艦の航行、作戦に必要とされる情報といえば、軍事情報になるが、機密というほどのものはない。国防総省の発表でも、今回の調査は、民間用のドローンを使って非機密情報を収集していたという。

無断でこのドローンを拿捕した中国国防部は「中国海軍は15日午後、南シナ海海域で正体不明の装置を発見し、船舶の航行の安全と人員の安全を守るために、救難艦の責務としてこの装置の識別検査をしたのだ」と主張した。

だが、目の前に米海軍の調査船があり、無線で返還を呼び掛けているのに持ち去ったとなれば、この主張も口実にすぎないとわかる。中国国防部側は識別検査の結果、無人潜水探査機であると判明したので米国に返還すると決定した、と説明。「中国側は米国側とずっと連絡を保っているのに、米国側が一方的に問題を公開し、騒ぎ出したのは不適当であり、問題をスムーズに解決するのに不利となった。我々はこのことに遺憾を表明する」と開き直った。

さらに中国国防部は「強調すべきことは、長年、米軍は頻繁に中国当面海域で偵察や軍事測量を行ってきているが、中国はこのことには断固反対しており、この種の活動を停止することを米国側に要求する。中国側は引き続き米国側のこうした活動に対し警戒を維持し、必要な措置をもって対応する」とけん制した。

米海軍海洋調査船が寄港していたスービック湾沖という現場は、本来フィリピンの排他的経済水域内だが、スービック湾西200キロの地点にあるスカボロー礁はフィリピン、中国が領有権を争う係争地である。米国側はこの周辺海域を国際水域、つまり公海や自由海に準ずるものとして認識しているが、中国側にすれば現場は中国の排他的経済水域ということになる。排他的経済水域内の科学目的調査は沿海国への「妥当な考慮」が必要となっている。

この海域の認識はともかく、軍の船が領海領空のボーダーに近いところで調査を行えば、沿海国にとっては苛立つものだし、情報収集艦が接続水域や領海に入ってこないように、追尾し、監視して追い払おうともするだろう。中国の情報収集艦もしばしば尖閣諸島などの接続水域に入り、ときに領海を横切ることもあったので、日本もきりきりしている。ただ、日本は抗議するが、実力行使を行ったことはない。

中国側がいきなりドローンを無断で拿捕するということは、これは実力行使、戦闘行為に発展してもおかしくないぐらいの挑発といえる。

米国側が抗議と返還要求という抑制の効いた対応になったのは、前代未聞の中国海軍の行為にあっけにとられたのか、ひょっとするとこれは中国政府の意思に反した現場の暴走ではないかと考えたのか、奪われたドローン自体が民間の商用品で収集していた情報も非機密情報であったので、さして慌てる必要もなかったのか。トランプはこの件について、そんなドローンなど中国にやってしまえ、とツイッターで発言したのは、そこに軍事機密として保護を優先させるものはなく、中国の挑発に乗らないことを優先させた、ということかもしれない。

しかし、いったい、中国側は何を考えて、こうした前代未聞の、米国に対して真っ向から喧嘩を売るような行動に出たのだろう。

中国側の主張は、南京大学中国南海研究院院長の呉士存が環球時報のインタビューに対して語ったことにまとめられている。

「米軍の腹はわかっている」

「外国メディアが言っている国際水域、これは米国サイドの言い分であって、海洋法公約上にはこういう言い方はない。海洋には領海、領海の外側の接続水域、排他的経済水域、その外に公海がある。公海は公海としての管理規則がある。国際水域という明確な法律上の定義はない。

したがって、米国が中国に無人潜水探査機を拿捕されたのは国際水域ではない。黄岩島(スカボロー礁)の近海、つまり中国の排他的経済水域内かどうかを判断しなければならない区域である。ならば中国はこの種の科学的研究目的の潜水機に対し管轄権を有することになる。拿捕後、中国は米国と話し合い、最終的な交渉結果を出したわけだ」

「米国はどうして軍事測量船を用いたのか。なぜなら海洋法公約にはアナがあるからだ。沿岸国家が排他的経済水域における排他的主権・管轄権を有しており、海洋科学研究や海底ケーブル敷設や、人工施設建設・管理などについては沿岸国の同意が必要だ。だが、軍事測量については沿岸国の同意が必要、とは書いていない。米国はこの法的アナをついてきたのだ」

「米国が(中国が領海と主張する)九段線の中に入ってきたのは、米国の言うような海水濃度のデータ収集といったものではなく、実際のところは、中国の南沙諸島における施設建設状況にかかわる情報偵察が目的であろう。あるいは、中国の南シナ海の潜水艦航路の探索が目的であろう」

「この意味から言えば、米国の無人潜水探査機は中国の安全に対して脅威をなすものである。これは新たな接近偵察である」

「米国よ、お前は何をしに来たのか? 米軍の腹はわかっている」

習近平政権における「南シナ海政策ブレーン」の筆頭、呉士存がここまではっきりと中国の立場を主張するからには、おそらく今回の事件は現場の暴走というようなものではないと考えられる。一部で習近平自身も知らされなかった「現場の暴走」説が出たのは、そうしないことには、米国側も収まりがつかないからではないか。

ちなみに、2013年1月に東シナ海尖閣諸島付近で起きた「ロックオン事件」も、日本側は「現場の暴走」説をとることによって早期に収束させたが、後々に漏れ伝えられる情報を突き合わせると、習近平政権は2013年当初は、東シナ海で日本を挑発し軍事行動をとらせることで、日本の軍国主義台頭脅威の国際世論をあおり、日米離反を画策する目論見があったようである。日本は挑発に乗らず、この目論見は崩れた。

軍の末端が、政権の意向を無視して、勝手に対象国の軍艦に火器照準を合わせたり、探査機を拿捕したりしたら、それはそれで政権が軍を制御できないということであり、恐ろしい状態である。習近平の軍制改革があまりうまくいっていないという話もあるので、その可能性は捨てきれないのだが、拿捕後の中国の対応、落ち着きぶりを見れば、今回の件に関しては計算づくで来たような印象を受ける。

「やられたら、やり返す」

呉士存の意見をさらに見てみると、こう続く。

「いわゆる南シナ海の国際法廷による仲裁が出たあと、南シナ海問題は中国、フィリピンの当事国同士で解決するという形で下火になったのに、米国はそれに甘んじることができなかった。つまり、それは米国利益に合致しておらず、米国は南シナ海をかき回して中国の平和的発展をけん制しようとしている」

「中米の南シナ海における“地縁的政治競争”、海洋覇権ゲームに決着がついていない以上、米国はまたやってくる」

「中国が南シナ海問題のコントロールを強くできるか否か、それが米国に欲しいままにさせないためのカギだ」

「中国軍はこの点に関しては自信がある。南シナ海情勢は中国の南沙における関係施設の配置にともない徐々に変化してきている。米軍は焦っているのだ」

そのうえで、中国側がドローンを米国におとなしく返還したのは、「我々には米国の接近偵察が国家安全を脅かすことに対し、反撃の用意がある。…中国はただ黙っているだけの忍耐はない。今の時代、やられたらやり返す、ということだ」ということを伝える意味があったという。

トランプは国防長官に中国に強い警戒感を持つ元海兵大将・ジェームズ・マティスを指名しており、軍事的には対中強硬姿勢を強めてくるとの観測が中国側にも出てきている。トランプ政権が登場した当初は、トランプはオバマのアジアリバランス政策を後退させるのではないか、という期待が中国側にもあったが、政権チームの概要が見え始めてくるにつれ、南シナ海、台湾問題など、アジア太平洋における米中軍事対立の先鋭化は避けられないという見方に修正してきた。

もっとも、それでも習近平政権にとっては、トランプ政権はヒラリー政権よりも歓迎すべきだという考えが政権内部には強い。国外に巨大な敵の存在があれば、不安定な内政問題から国民の関心は逸れ、国内はまとまりやすく、共産党政権の求心力は高まる。軍、特に海軍空軍の士気は上がり、習近平の考える軍制改革、つまり陸軍中心から海空軍中心の覇権拡大に向けた軍制への改革が進めやすくなるし、それに伴う軍の掌握によって習近平が目指す独裁体制への道も近くなる、という期待があろう。

しかも米中二大大国冷戦構造というのは、中国が大国として米国に認識されたということでもあるので、そこはかとなく自尊心もくすぐられる。かつての冷戦構造は米ソ対立であり、その米ソ対立ゆえに、米国は中国を経済的軍事的に支援して自分たちの仲間に引き入れようとしてきたのだ。それが今やロシア(旧ソ連)と中国への米国の対応は入れ替わっている。

呉士存が指摘するように、南シナ海は米中の地縁政治競争、海洋覇権ゲームの最重要対局盤である。特に中国は、フィリピンのドゥテルテ政権が心底嫌米であることを布石として、今のタイミングをもってこの対局を制したいところではないか。それが成功するかしないかはともかく。

日本は「偶発的有事」を覚悟せよ

とすると、米中の間に、そう遠くない時点で、なにがしかの軍事的衝突があってもおかしくはない。

誰もが思い出すのは2001年の海南島付近上空での米中軍用機衝突事件(海南島事件)である。無線傍受偵察をしていた米海軍電子偵察機に対して、中国海軍戦闘機が挑発行為をした結果、接触し海に落ちた中国人パイロットは行方不明、米軍電子偵察機は中国側に回収され、機体の返還をめぐって緊張感の続く長い交渉があった。

この事件は中国を「戦略的競争相手」と認識したブッシュ共和党政権下で起きたこともあって、一つ間違えば紛争に発展しかねないものだったが、時の江沢民政権が外資導入による中国経済高度成長政策にプライオリティを置いていたこともあり、双方が忍耐をもって事件を決着させた。

これに続く米中危機は2009年のインペッカブル事件だ。米軍海洋調査船「インペッカブル」が海南島沖南120キロの地点で調査を行っていたところ、中国艦船5隻が取り囲み、立ち退きを要求。中国艦船はインペッカブルに25メートルまで近づき、あわやアレイ・ソナーを奪われそうになった。このときも、ひょっとすると軍事紛争に発展しかねないという危機感があったが、当時のオバマ政権、胡錦濤政権とも基本は協調外交路線にあり、双方が忍耐をもって危機を回避した。

今後、南シナ海で同様の軍事的偶発事件が起きる可能性は十分に予想されることだ。だが過去二度の米中軍事危機と明らかに違うのは、米国・トランプ政権にしても中国・習近平政権にしても、忍耐力が過去の政権と比して明らかに低そうなことだ。政治的にも経済的にも地政学的にも両国の動きに翻弄されやすい立ち位置の日本は、十分にアンテナを張って覚悟を決めておく必要があるだろう。

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