『日本の悪夢、中国の属国になる日はトランプ次第 米国が経済で譲歩を迫れば、「新型大国関係」で太平洋真っ二つも』(3/1JBプレス 織田邦男)について

3/3TV朝日の「モーニングショー」では朝から森友問題で安倍昭恵氏を叩いていました。メデイアがTVの中で、公人か私人かという愚にもつかない問題提起をしたのは、三木首相の靖国参拝を公人・私人に区別させて成功した事例からヒントを得たのだろうと思います。また、下記の写真にありますようにトランプ大統領と安倍首相が夫婦同伴で楽しく会話しているのを見て、朝日新聞は、トランプと安倍が意気投合したのはそれぞれNYTと朝日新聞に勝ったと話合った所からと思い、復讐のチャンスを窺っていたのだろうと思います。何とかして共謀罪を潰したいという一念(在日朝鮮人や在日中国人も当然対象。米北戦争や米中戦争が現実のものに近づきつつある中で、破壊工作の予防の法律が必要です)と、安倍首相本人には突っ込めるところが無いので、夫人を標的にしました。江戸の仇を長崎で討つ方式です。メデイアは「女性の活躍をもっと進めなければ」と言っているのに逆行するのでは。これで安倍昭恵氏が委縮しなければ良いですが。でも、相手を選んで付き合わないといけないと思います。相手は利用しようと思っている人間が多いですから。でもメデイアは朝鮮人と同じで、妬み・嫉みの塊なのでは。

鴻池議員も偉そうにインタビューを受けていましたが、地元秘書のノートが流出したとのこと。どういう経緯でそうなったか分かりませんが、機密保持ができていない議員事務所という印象です。そもそも共産党にどのようにして渡ったのか。中共に連なる敵性政党なのに。

籠池氏も強引なやり方が目につきます。小生も大阪勤務時代、自宅と言っても社宅ですが、新入社員の親が突然訪ねて来て、「お世話になります」と言ってギフトを置いて行きました。断るのも悪いと思い、一旦貰いました。帰ってからギフトを調べましたら、中にメロンと現金が入っており、手紙を添えて現金は書留で返し、メロンは戴いた記憶があります。関東と関西の文化の違いかと感じました。金を受けるような立場でもないですし、やはり現金を受け取ることにはアレルギーがあります。中国に赴任して中国の賄賂文化と関西の金文化と似ていると感じた次第です。

織田氏が言いますように「最悪を考えて準備をする」のはどんな組織であれ、危機管理の要諦でしょう。国、地方公共団体、会社、個人のレベルにおいても、です。大多数の日本人は平和ボケしていて、戦争忌避、「平和」という念仏を唱えていれば戦争は起きないという考えの持主のようです。戦争は人間的な営みで、違法ではありません。最終的な紛争解決手段です。それが証拠に人間の歴史は戦争の歴史ではありませんか。核兵器の出現により、地球が破壊される可能性があっても、通常兵器による戦争は今でも起きています。

トランプ大統領の敵は金の力(ウオールストリート)を持ち、なかなか思ったように事が運びません。今度はセッションズ司法長官の駐米ロシア大使とのコンタクトが問題になっています。CIA、FBIといった諜報機関を相手に戦うのですから、生半可な覚悟ではできません。一進一退を繰り返すと思います。

トランプ大統領はWTOの決定には従わずと宣言しました。思いは「中国はWTOのルールに従っていないのに、それを止められないのは無用の長物」との思いでは。中国が南シナ海の国際仲裁裁判所の判決を「紙屑」と呼んで従わないなら、米国もという事でしょう。多国間の組織は国連を含め、左翼・リベラルに乗っ取られていますので。二国間or有志連合という形で物事を進めて行くのでは。イエレン議長が利上げするような雰囲気ですので、中国からの外貨流出ももっと起きるのでは。良い傾向です。

但し、織田氏の言うようにトランプ大統領もいつ心変わりするかも分かりません。敵は強大ですから。そうならないように、いろんなルートを使い、自由が保障される社会の維持に向けて、日米双方が努力するようにしませんと。太平洋を二分するくらいで中国の野望は収まらないでしょう。世界が悪の共産主義に染まれば、人類にとってこの上ない不幸となります。

日本は防衛費を自主的に増額し、脅威に少しでも対抗できるようにしていかないと。安倍内閣はずっと増額してきたといいますが、金額的にはまだまだです。江崎道朗氏の『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』の中に、中曽根首相は、ロンヤスと謳われて良好な日米関係を演出していましたが、その実、米国の防衛費増額要求に応えず、不信感を持たれ、米国をもっと中国に近づけることになったとありました。中曽根は言われるほどには有能ではないでしょう。胡耀邦を助けるために靖国参拝中止をして、靖国を外交カードにしてしまったりして。

記事

米フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ大統領のリゾート施設「マーアーラゴ・クラブ」で食事を共にする安倍晋三首相(中央左)、トランプ大統領(中央右)、昭恵夫人(右)、メラニア夫人(左)、ニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフト氏(左下、2017年2月10日撮影)〔AFPBB News

2月10日、ドナルド・トランプ政権発足後、初の日米首脳会議がワシントンで実施された。3日のジョージ・マティス米国防長官訪日に続き、トランプ政権での日米関係は上々の滑り出しだ。特に安全保障に関しては、日本にとって予想を超える成果を得たと言っていい。

「尖閣諸島が安保条約5条の適用対象」であることが共同声明に初めて明文化され、核を含む「あらゆる種類の米国の軍事力」による対日防衛を確約させた。駐留経費問題は話題にも上らず、在日米軍の重要性を確認するだけでなく、米軍受け入れに「謝意」まで盛り込ませたのは安倍外交の勝利と評価できる。

東、南シナ海で挑発行為を繰り返す中国、そして安倍晋三首相の訪米中にもあった核・ミサイルの恫喝を繰り返す北朝鮮に対し、日米の蜜月振りを見せつけたのは両国に対する強いメッセージとなったことは確かだ。

だが、「安保は満額回答」といって手放しで喜ぶ日本の姿勢に、危うさを覚えるのは筆者だけではないだろう。

2月3日、マティス長官の「尖閣は5条の適用対象」発言を「ニュース速報」で報じるメディアの当事者意識を欠いた属国姿勢、そして打つべき「次の一手」に係わる思考停止状態に対し、2月8日の拙稿「マティス発言にぬか喜び禁物、強か中国次の一手」で警鐘を鳴らしたところである。

1200人の高級官僚が決まるまでは全くの白紙

日米首脳会談が大成功裏に終わったことは、率直に評価したい。だが国内に蔓延する安堵感、政府関係者までが「まるで宝くじが当たったよう」と舞い上がる姿には大いなる違和感を覚えるのだ。

トランプ政権主要閣僚の議会承認は異例の「薄氷」採決が相次いでいる。いまだ閣僚人事で綱渡り状態だ。外交の要である安全保障担当補佐官マイケル・フリン氏が対ロ制裁問題で事実上更迭された。後任には現役陸軍中将のヒューバート・レイモンド・マクマスター氏が指名されたが未知数である。

議会承認が必要な約1200人に及ぶ高級官僚が決まるには、少なくともあと数か月はかかるだろう。外交・軍事を含むトランプ政権の方向性は未だ不透明、不確定である。

外交政策に安易な楽観論は禁物である。政治的任用の主要ポストがすべて確定し、トランプ政権が実質的に動き出すまでは、米国の外交・軍事政策は白紙と見た方がいい。

今、日本に必要なのは、トランプ大統領の「ちゃぶ台返し」を防ぐ外交戦略の策定である。大成功裏に終わった日米首脳会談後の安堵感に浸っているときに、「ちゃぶ台返し」「手の平返し」は考えたくないものだ。だが、「考えたくないことを考え、考えられないことを考える」のが危機管理の鉄則である。

英国のパーマストン卿が語ったように「永遠の同盟も、永遠の敵もない。あるのは国益であり、これを追求するのが政治家の責務」である。

「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領は、政治経験も外交経験もない。過去に縛られず政策方針を決定できるところは、新大統領の強みでもあり、弱みでもある。同時に同盟国にとっては危うさでもある。

日米首脳会談前日の9日、米中首脳の電話会談を行った。日米首脳会談に先立ち、「一つの中国政策」維持を表明するなど対中外交で配慮をみせた。

政権発足前、トランプ氏は従来の「一つの中国」政策を巡って疑問を呈した。また慣例を破って台湾の蔡英文総統とも電話会談をした。これが一転して「今後も『一つの中国』を尊重する」と述べ対話重視を表明した。

またトランプ氏は、これまでNATO(北大西洋条約機構)は「時代遅れ」だと発言してきた。だが、テリーザ・メイ英国首相との首脳会談では、一転して「100%」NATO支持を言明し、今後も重視していくと表明している。

ある評論家は、トランプ氏はビジネスマンであり、「取引の瞬間だけ親しいのは、ビジネスマンの常。本物の信頼関係かどうか分からない」と述べている。「最悪を予期して準備せよ」は危機管理の要諦である。まさに、首脳会談成功に浮かれている場合ではないのだ。

トランプ大統領と安倍首相との間で、これ以上ない緊密な個人的関係ができたことは喜ばしいことだ。だが、パーマストン卿の箴言が警告するように、国家間にあっては、いつ何時「手のひら返し」があってもおかしくはない。この警戒心は忘れず、先手を打って戦略を考え、あの手この手で実行に移していくことが求められている。

過去にも苦い経験がある。いわゆる「朝海の悪夢」である。

1971年7月、突然リチャード・ニクソン大統領が訪中を発表した。佐藤栄作首相には発表の5分前に電話連絡があったという。それまで中華人民共和国との国交を米国によって強く止められてきた日本にとっては、一夜にして「梯子を外された」形となり、まさに「寝耳に水」の出来事であった。

当時の駐米日本大使の朝海浩一郎氏は普段から、ある朝起きたら突然、米国と中国が手を結んでいた、こうなるのが日本にとっての悪夢だと語っていたが、それが現実となったことから「朝海の悪夢」と呼ばれるようになった。

現代版「朝海の悪夢」

現代版「朝海の悪夢」はあるのか。最悪のシナリオは、米国が勝手に中国と「安保と経済」を取引することだろう。

共同声明では、中国を名指しこそしないものの「威嚇、強制または力によって海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する」「拠点の軍事化を含め、南シナ海における緊張を高める行動を避け、国際法に従って行動することを求める」とある。

またホワイトハウスのスタッフたちは対中強硬派が占めている。だが、これで安心している場合ではない。

対中貿易赤字のドラスティックな改善、雇用の大幅な創出を中国が取引材料として出してきた場合、共同声明は一挙に死文化する可能性は排除できない。これまでのトランプ大統領の言動から見て、経済的利益のためには、安全保障をディールする可能性は十分あり得るのだ。

中国は経済で大幅に譲るとしたら、何を代わりに取りに来るだろう。「台湾関係法の廃止」「在韓米軍撤退」など考えられる。だが、日本にとって最も厳しいシナリオは「西太平洋の覇権移行」である。

これは別に目新しい話でもなければ、荒唐無稽な話でもない。中国はバラク・オバマ政権に対し「新型大国関係」という言葉で繰り返し「西太平洋の覇権」を求め続けてきた。

中国が主張する「新型大国関係」を簡単に言えばこうだ。

米中は核大国であり「米中が対抗すれば両国と世界に災難をもたらす」。従って「互いの主権と領土を尊重し、矛盾や摩擦をコントロールする必要」があり、「互いの『核心的利益』を尊重」しよう。「太平洋には2つの大国を受け入れる十分な空間」があり、それは十分可能だというものである。

もっともらしい言葉の下に、鎧が透けて見える。つまり太平洋を東西に分割し、米中それぞれの主導の下に国際秩序を構築しようとするものである。

戦後、太平洋からペルシャ湾まで米海軍の制海権の下に置かれてきた。この地域における国際秩序は事実上、米国主導で作られてきた。

この「パックス・アメリカーナ」を、西太平洋に限定して「パックス・シニカ」に置き換える、つまり西太平洋については、中国が主導する国際秩序に置き換えるというパラダイム・シフトを狙った「太平洋、覇権分割論」である。

もともと鄧小平の懐刀であった劉華清が提唱した海洋戦略があり、「太平洋、覇権分割論」の淵源となっている。2010年までに第1列島線以西の制海権を握り、2020年までには第2列島線までを、そして2040年にはハワイまで制海権を掌握して西太平洋の覇権を握るという戦略である。

中国はこの海洋戦略を正式な中国海軍戦略に格上げし、すでに着々と手を打ってきている。

中国は本気、太平洋分割論

2007年5月、ティモシー・キーティング米太平洋軍司令官が初めて訪中した際、中国海軍高官から「太平洋分割論」を持ちかけられたという。「最初は冗談かと思っていたが、本気だったので驚いた」と議会証言している。

2013年3月、李克強首相が全国人民代表大会で「新型大国関係」について報告し、中国の対米外交方針となった。

2013年6月、米中首脳会談で習近平がオバマに正式に提案している。同年9月、中国の「衣の下の鎧」が読めないオバマ大統領は、これを検討することで合意。以降、習近平国家主席は米中首脳会談のたびに、壊れたレコードのようにこれを繰り返し主張してきた。

他方、アジアにおける多国間会議では、別の名前で覇権分割論を持ち出している。

2014年5月、上海で実施された「アジア相互協力信頼醸成措置会議」(CICA)で、習近平主席は「アジア新安保構想」を提唱した。「アジア安全観」というアジアの人にとっては耳に優しい言葉を巧みに使い、アジアからの米国排除を訴えている。

つまり「アジア安全観」とは、「アジアの問題はアジアの人々が処理し、アジアの安全はアジアの人々が守る」ことを原則とし、平等な立場で安全に関する協力を推進するというものである。そして「互いの主張、領土保全を尊重し、内政不干渉」の下に「平等協力」をうたうものだと主張する。

アジアからの「米国外し」が見え見えであり、米国なき後のアジアで、中国主導による国際秩序を構築する。つまりアジアの国々向けの体の良い覇権分割論であり、「パックス・シニカ」そのものである。

2014年11月、北京で行われた「中央外事工作会議」で、習近平は「国際社会の制度改革を進め、わが国の発言力を強める」と述べ、国際社会の制度を中国主導で作り変えることの重要性を述べている。

米議会では、早くからこの発言に注視し、2014年度の「米中経済安保見直し委員会」議会報告では、「中国は米国が主導する東アジアの安全保障アーキテクチャーが自国の体制維持、経済、社会的発展、領土の一体性といった核心的利益を利するものではないと判断している」と報告している。

ポール・ケネディが名著「大国の興亡」で述べるように「台頭した大国はすべて、古くから根を下ろしている大国の既得権に沿うように作られた国際秩序の再編を望むもの」であり、台頭した中国にとっては至極当然のことかもしれない。

2014年11月の米中首脳会談では、オバマ大統領は習近平主席の「新型大国関係」についての執拗なアプローチに「同意する」と発言した。だが、さすがにアジア諸国からは懸念の声が即座に上がった。

驚いたオバマ大統領は「アジアでの効果的な安全秩序は、大国が小国をいじめるような影響、威圧、脅しではなく、相互安全保障、国際法、国際規範、平和的解決を基本にしなければならない」と軌道修正している。

中国の覇権分割の動きに対し、オバマ大統領が明確に拒否したのは「経済分野」だけだ。2015年10月、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉で参加国が大筋合意したことを受け、「中国のような国に世界経済のルールを書かせることはできない」と述べている。

その後、南シナ海での埋め立てなど、露骨で挑戦的な中国の動きが目立つようになり、警戒感を強めたオバマ大統領は、習近平主席が繰り返す「新型大国関係」に対しては、明確な意思表示を避け今日に至っている。

「新型大国関係」は、中国が周到な時間をかけ、繰り返し持ち出したものであり、中国の対米戦略上、特別な意味を持つ。

中国冊封体制下に置かれる危険性も

当然、習近平主席はトランプ大統領に対しても「新型大国関係」に名を借りた覇権分割論を要求してくるはずだ。今はその機会を伺っているときであろう。トランプ大統領が経済でディールを持ちかければ、これ幸いと、真っ先に打ち出してくる可能性は十分にある。

「新型大国関係」は日本やアジア諸国にとっては死活的意味を持つ。西太平洋が中国の覇権に組み込まれると、日本は中国が決めるルールに従わざるを得なくなる。当然、日米同盟は空洞化する。

最悪の場合、日本は事実上の中国冊封体制下に置かれ、日本のチベット化が始まる。これは悪夢に違いない。これが杞憂に過ぎるよう、日本はあらゆる手を尽くさねばならない。

「安保は満額回答」などと浮かれている場合ではなく、このための「次の一手」を考えるのが今求められているのだ。

今後のアジアの情勢を占う時、カギとなるのが米中関係であることは間違いない。この成り行きによっては、日本は死活的影響を受ける。

習近平主席は、この秋の党大会で発足させる2期目体制の盤石化に向け、いかなる失点も許されないという局面にある。トランプ政権への対応については、慎重に検討しつつ、様子見の状態と言っていいだろう。

トランプ政権には対中強硬派が多く入閣している。だからといって希望的観測や楽観的予断は許されない。米国の対中外交の成り行きにまかせるというこれまでのような受動的対応では覚束ない。手遅れになってからでは遅いのだ。

繰り返すが危機管理の要諦は「最悪に備えて準備せよ」である。最悪のシナリオにならぬよう、首脳会談で得た成果を梃に、「次の一手」を考え、能動的に行動することが必要である。

重要なポイントは、米中関係の緊張を保たせるよう努めつつ、さりとて武力衝突にはさせないことだ。この微妙なバランスをコントロールするイニシアティブが日本に求められている。

これまでのような受動的態度から脱皮し、米国の対中政策形成に積極的に関与することにより、日本に有利なアジア情勢を創成していく気構えと姿勢が求められている。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『共和党に回り始めたオバマケアの「毒」 「撤廃」ではなく「修理」を唱える共和党議員も』(2/28日経ビジネスオンライン 篠原匡)について

ネットで読んだ記事です。Embed from Getty Imagesで埋め込まれた部分は映像をカットしています。但し、紹介したい部分だけは映像に残しています。トランプが、夫が戦死した妻を議会演説時に招待し、議場全体スタンデイングオベーションで激励したという感動逸話の部分です。実は戦死したウィリアム・ライアン・オーウェンズがイエメンで戦死したことに、父親がトランプの軍事作戦を批判した経緯があります。3/2日経にはこの部分がごっそり抜けていました。軍人を讃えることが嫌なのでしょう。意図的に外したとしか思えません。日本国民全体が自衛隊に感謝し、国会でスタンデイングオベーションできるようにならないと。民共社生の議員などを選挙で選ぶと、それができなくなります。

トランプ大統領初の議会演説で全米が涙した理由 2017/3/2  ニュースメディア

アメリカ現地時間2月28日午後(日本時間3月1日午前)に、トランプ大統領が上下両院合同会議で行った初めての施政方針演説ですが、今や宿敵となったCNNをはじめ、多くのアメリカの主流ニュース・メディアは好意的に取り上げたようです。

Embed from Getty Images

Contents [hide]

もはやトランプの宿敵となったCNNの意外な反応

演説終了直後のCNNのスタジオには、いつも通り反トランプ色の強いキャスターと解説者の面々がスタンバイしていたのですが、最近は割とフェアな報道姿勢が目立つアンダーソン・クーパーはともかく、トランプ大統領誕生時に「これは白人の逆襲だ」とまで言ってのけたリベラル政治評論家ヴァン・ジョーンズの好意的な反応には驚かされました。

今回のトランプ大統領の演説が(少なくとも演説終了直後は)CNNの解説陣に好意的に受け止められた主な理由ですが、以下のポイントによるものだと思います。

  • これまでの選挙キャンペーンモードを引きずったような演説に比べるとトランプが「大統領らしかった」から。
  • (スティーブン・バノンなのか、イヴァンカの夫なのか分からないが)スピーチ・ライターの原稿が素晴らしかったから。
  • トランプ大統領もプロンプターの扱いに慣れたのか、演説の技術が向上したから。
  • 民主党が理想とする高福祉型社会、つまり「大きな政府」を目指してるかのような政策が示されたから。(これは「小さな政府」を目指す共和党の基本政策とは相容れないはずで議会の協力が得られるのか疑問だ。)

トランプのあまりの変貌ぶりに、演説終了直後は軽い興奮状態に陥ったCNN出演者達でしたが、この記事を書いている時点では、すでに数字上の矛盾点などを指摘した上で批判を展開しつつあります。(さすがCNNですね。)

トランプ批判の急先鋒、あのヴァン・ジョーンズも感動した瞬間とは?

今回のトランプ大統領の施政方針演説には、あのヴァン・ジョーンズをして「アメリカの政治史において最も素晴らしい瞬間の一つだ」とまで言わしめた瞬間がありました。

その瞬間をもたらしたのはトランプ大統領の娘イヴァンカ、・・・ではなく、イヴァンカの隣に立っていたキャリアン・オーウェンズという女性でした。彼女はトランプ政権下で初めて行われたイエメンでの対テロ軍事作戦で命を落とした海軍特殊部隊ネーヴィー・シールズの隊員ウィリアム・ライアン・オーウェンズの未亡人です。

それではトランプ大統領がウィリアム・ライアン・オーウェンズに触れた部分をスピーチ原稿から抜粋・翻訳してみましょう。

我々が国家として直面するチャレンジは強大だ。しかしながら、我が国民はさらに強大なのだ。そして制服に身を包んでアメリカのために戦う者達以上に偉大で勇敢な人達はいない。

今晩、我々は海軍特殊部隊の上級下士官ウイリアムズ”ライアン”オーウェンズの未亡人、キャリアン・オーウェンズをお迎えする栄誉に恵まれた。勇者であり英雄として生きたライアンは、我々の国家に安全をもたらすために、テロとの戦いで戦死したのだ。

議事堂の全員がスタンディングオベーションでオーウェンズ夫人に拍手を送ります。この時点で彼女はまだ着席したまま、必至に涙をこらえようとしていました。

Embed from Getty Images

ただ、トランプ大統領が続けた演説の次の部分で彼女の様子が変化します。

私は先ほど戦果を確認したマティス国防相と話したのだが、彼は私にこう言った。「ライアンは、将来に渡りおさめることになるであろう、敵との戦いにおける数多く勝利に我々を導く膨大で価値のある情報をもたらした極めて優れた襲撃部隊の一員だった」

ライアンの遺産は永遠に刻み込まれたのだ。

Embed from Getty Images

演説のこの部分で、溢れ出る涙もそのままに立ち上がったオーウェン夫人は、おそらく自分の夫に対して力強く拍手しながら天を仰ぎます。ここで再びスタンディングオベーションが起こり、おそらく2分以上拍手が続きます。その間、オーウェン夫人は歓喜の表情を浮かべながら天国の夫ライアンに語り掛けているように見えました。

Embed from Getty Images

Embed from Getty Images

拍手がようやく鳴りやむと、トランプ大統領は原稿にないアドリブで夫人に語りかけました。

今、ライアンは我々を見ている。分かりますよね。ライアンは喜んでいるに違いない。今新記録を打ち立てたから。

2分近く鳴りやまなかった拍手のことを指して冗談を言ったトランプ大統領に、夫人は涙があふれた目で笑い返します。

Embed from Getty Images

トランプ大統領はウィリアム・ライアン・オーウェンズに触れた部分を以下のように締めくくりました。

聖書は、自分の命を友人に捧げることほど愛の行いとして偉大なことは無いと説いている。ライアンは彼の命を、彼の友達と、彼の国と、自由のために捧げた。我々は決して彼のことを忘れないだろう。

以下が映像です。

演説のこの部分に多くのアメリカ人が感動したことは想像に難くありません。スピーチの内容もさることながら、オーウェン夫人の気丈な振る舞いに胸を打たれます。

軍事作戦には批判の声も

一方、既に報道されているように、今回のイエメンでの軍事作戦には疑問や批判の声が上がっていました。オーウェンの犠牲以外にも、死亡したアルカイダのアメリカ人幹部の娘とされる少女が犠牲になったほか、作戦に使用された航空機に損害があったことなどが理由とされています。

なお、退役軍人で元刑事のオーウェンの父親は、今回の軍事作戦に関する調査を訴えており、トランプ大統領の面会希望も拒否しています。

また、今回のトランプ大統領の演説内容に対しても「軍事作戦の失敗から国民の目をそらそうとする企み」として、あるいは「死者を政治的に利用した」として、早速非難の声が上がっているようです。

まとめ

就任直後としては最低水準の支持率にあえぐトランプ政権が、今回の演説である程度劣勢を挽回したことは間違いありません。

ただ、CNNの解説陣もコメントしていたように、ポピュリズム的な内容であった事は否めないと思いますし、実際に全ての項目に着手し、実現するのは容易ではないと思います。

日本に関わる部分としては、米国企業と並んでソフトバンクが雇用拡大につながる投資を計画する企業として好意的に紹介されたこと、アメリカの外交姿勢示す際に「かつての敵国と緊密な友好関係を結んでいる」と暗に日本にも言及したこと、貿易交渉では何よりも公正さを重要視するとしたこと、ヨーロッパ、中東、太平洋の安全保障に関与するが基地経費の公平な負担を求めるとしたことなど、特に目新しいものではありませんでした。(演説のトーンにも大きな違いを感じませんでした。)

個人的には、トランプ大統領の演説内容そのものよりも、オーウェン夫人の姿勢に心を動かされました。夫を亡くした悲しみ、あくまでも想像ですが、政治的に利用される可能性について義理の父親や周囲から反対や忠告を受けつつも最終的に議事堂に赴いた彼女の心境、そして夫が受けた最高レベルの栄誉に対する喜びが複雑に交じり合う様子が伝わってきました。

彼女に一日も/早く心の安らぎが訪れることを祈るばかりです。>(以上)

北野幸伯氏の8/2メルマガでBBCの記事を紹介していました。一部抜粋します。

「▼中国は、いかにトランプを懐柔したか???

BBC News 2月27日付で、キャリー・グレイシー中国編集長は、「中国は、どうやってトランプの反中を変えたのか?」について、「7つの理由」をあげています。

長い記事ですので、要約してみましょう。興味深いところは、引用します。そして、原文アドレスを最後にはりつけておきます。興味がある方は、全文読んでみてください。

中国が、トランプの反中を軟化できた一つ目の理由は?

<1. 家族や友人を取り込む>

中国は、トランプの家族を取り込むことにしました。家族とは具体的に、娘のイヴァンカさん、彼女の夫クシュナーさん、もう一人の娘ティファニーさんです。

<駐米中国大使の崔天凱氏は、トランプ大統領の娘イバンカさんに巧みに手を差し伸べた。ワシントンの中国大使館で行われた春節の祝宴にイバンカさんが出席した姿は広く報道され、イバンカさんは両政府の分断に橋を渡した。イバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏もまた、中国事業のパートナーを通じて中国政府につてを持っている。さらに、トランプ大統領のもう1人の娘ティファニーさんは、ニューヨーク・ファッション・ウィークで中国人デザイナー、タオ・レイ・ウォン氏のショーをあえて最前列で鑑賞した。>

そして、共産党の指令を受けた中国企業群も、いっせいに「アメリカに投資し、トランプさんを助けます!」と宣言しました。

<トランプ氏の私的な人脈を強化するため、中国で最も著名な起業家のジャック・マー氏はトランプ氏と会談し、自身が所有する電子商取引サイト、アリババで米国の商品を販売し米国に100万人規模の雇用を創出すると約束した。中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。ジャック・マー氏は任務を背負っており、政府の方針にも沿っていた。ニューヨークのタイムズ・スクエアの屋外広告に、トランプ氏への春節の挨拶を掲載するため資金を提供した他の中国系企業100社も同様だった。>(同上)

<中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。>

この部分、非常に大事ですね。

中国では、どんな巨大企業のトップでも、習近平の命令にはさからえない。

2番目の理由は。

<2. 贈り物をする>

これは、なんでしょうか?

<トランプ氏の企業帝国は物議を醸しているが、中国ではトランプ氏の商標に関する裁判が複数、棚上げ状態になっている。中国政府は、裁判所が共産党の影響下にあるという事実をはばから

ずに認めている。

(中略)

トランプ氏の商標登録の場合、必要な手続きは昨秋、派手な告知もなく迅速に行われ、裁判はトランプ氏の勝利で先週、集結した。>

(同上)

習近平は、裁判所を動かして、トランプの司法問題を解決し、喜ばせたと。さすがは「人治国家」中国。

3つ目の理由は、

<3. 必要な時まで声は荒げず>

これは、何でしょうか?

トランプさんは、明らかに中国を挑発していました。しかし、中国は、挑発に乗らなかった。

<大統領選挙活動中ずっと、中国を泥棒だとか貿易の強姦魔だと呼び、台湾について中国が頑なに守り続けてきた立場に挑み、中国を侮辱し、脅し続けたのだ。政府関係者はまた、南シナ海での取り組みを強化すると警告もしていた。しかしその間中ずっと、中国政府は鉄の如き自制心と抑制力を見せていた。>(同上)

<中国政府は鉄の如き自制心と抑制力を見せていた。>

実に立派です。これぞ「老子の戦略」ですね。

4番目の理由。

<4. 台本に納得するまでは語らず>

これは、トランプが「『一つの中国』の原則」を認める状況になるまで習近平は登場しないということ。

<ついにトランプ大統領と習国家主席との電話会談が実現した時、中国は自国が大切にしてきた「一つの中国」政策への米国の支持をあらためて取り付け、2人の出会いを尊厳あるものにもできた。習国家主席が決然とした忍耐強い役者であるという評判は、より一層高まった。トランプ大統領は、台湾について新しい立場を取ると話していたが、そのような発言は控えるに至った。>(同上)

5番目の理由。

<5. 甘い言葉は効果があるところで>

これは、「協力できるところから、協力関係を深めていこう」ということ。アメリカと中国が協力できるのは、もちろん「金」がらみ。ターゲットは、親中「財務省」、フラフラ「国務省」です。

<この電話会談以降、米中政府間では活発なやり取りが行われている。新たに財務長官に就任したスティーブン・ムニューチン氏は、中国の主要人物複数と経済政策について協議しており、ティラーソン氏も中国の外相である王毅外交部長や上級外交官の楊潔篪と会談を行っている。中国政府は、「習主席とトランプ大統領の間で達した合意」、つまり「不衝突、不対抗、相互尊重、相互利益への協力」を特徴とした関係の実現について協議を始めている。>(同上)

6番目の理由。

<6. 可能なものを与えよ>

これは、「口でいうだけでなく、実際にアメリカに与える」と。

<実際面では、相互利益というのはつまり、可能な際は常に譲歩や協力をするということだと中国は理解している。そして米国が懸念するある領域において、中国は協力する意思をすでに示している。北朝鮮からの石炭を輸入停止にすることによってだ。>(同上)

ホントに輸入を停止しているか、大いに疑問ですが・・・。少なくともトランプ政権は、信じているのですね。

7番目の理由。

<7. 相手の弱みを自分の強みに>

これは、なんでしょうか?RPE(北野氏のメルマガ)でも何度か触れましたが、「評判の悪いトランプさんと『逆』のことをする」。

具体的には?

トランプは、「ナショナリスト」なので、習近平は「私はグローバリストです!」と宣言する。

「中国の夢!」(=ナショナリズム)は、どこにいっちゃったのでしょう?

<世界の舞台では、習主席は、自分がドナルド・トランプとは違うということを巧みに示した。ダボスでの世界経済フォーラムで、習主席がグローバル化と自由貿易を擁護したのは有名な話だ。>(同上)

というわけで、習近平政権は、トランプが大統領になってから、「国をあげて」アメリカ新政権「懐柔」に奔走してきました。そして、大成功をおさめた。

BBC、キャリー・グレイシー中国編集長は、「中国の勝利」と断言しています。<こうした戦術でこれまで上げてきた効果について、中国政府は非常に満足だろう。

しかしこれは複数参加型の多面的なゲームで、長期的には多くの危険や罠が存在する。

中国は、危険をうまく中和し、トランプ大統領就任1ヶ月目という機会を巧みに利用した。

第一ラウンドは中国が勝利した。>(同上)

しかし、キャリー・グレイシーさんは、「戦術」的勝利とはっきり書いています。中国は、依然としてアメリカの戦略上「最大の敵」であることに変わりありません。

ですから、米中関係の平穏は長つづきしないでしょう。

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39099806

」(以上)

トランプがおとなしくなったのはキッツシンジャーの影響と2/18号の週刊新潮に櫻井よしこ氏が書いています。戦略的忍耐で時間を稼ぐためであれば良いでしょう。何せ施政方針演説で軍事予算を10%(540億ドル)増やす目的は中国の脅威に備えるため以外には考えられませんので。火蓋を切るとしても渡邉哲也氏が言う金融制裁からでしょうが。まず北朝鮮問題を片づけるのが先になります。

オバマケアは見直すにしても対案が出て来ない限り、見直せないでしょう。時間の制約などありません。あったとしても、2年後の議会選挙の時まででしょう。良い案が出なければ、其の儘でも良いのでは。篠原氏の書きぶりだと、トランプや共和党よりオバマが勝ったと喜んでいる印象を受けますが、リベラルはそう思いたいのでしょう。

記事

トランプ大統領と共和党は、オバマ前大統領のあらゆる「レガシー(政治的成果)」を書き換えようとしているが…。(写真:UPI/アフロ)

オバマケアの撤廃・置き換えは実は至難の業

トランプ大統領と共和党によって自身の「レガシー(政治的成果)」を書き換えられようとしているオバマ前大統領。だが、オバマケア(医療保険制度改革法)に関していえば、その“毒”が逆に共和党をむしばみつつある。

「私がいつも言っているように、オバマケアは機能していない。(中略)。われわれはオバマケアの撤廃と置き換えを進めていく」

2月24日に開催された保守の祭典、CPAC(保守政治活動会議)でトランプ大統領が改めて宣言したように、トランプ大統領と共和党にとって、オバマケアの廃止と代替プランの導入は引き続き政策実行リストの最上位にいる。

もっとも、大統領の鼻息とは裏腹に、オバマケアの廃止・置き換えには時間がかかっている。

2月16日にライアン下院議長はオバマケアの廃止・置き換え計画について共和党議員に説明したが、税制優遇を伴う医療貯蓄口座の普及や保険料の所得税控除など、従来の共和党の主張を踏襲しただけで、プランと呼べるようなものではないという声が上がった(ワシントン・ポストの記事)。ライアン議長の前任、ベイナー前下院議長も、オバマケアの完全なる置き換えはないという見立てを米ポリティコに述べている。

オバマケア撤廃の政治的打撃に気づいた共和党

共和党はオバマケアが成立して以来、同法の廃絶を声高に主張してきた。悪名高い2013年10月の政府の一部閉鎖も、翌年から実施が始まるオバマケアの予算案に反対したことが要因だ。

健康保険加入の是非を州政府ではなく連邦政府が決めるという点において、オバマケアは共和党の党是とも言える「小さな連邦政府」と、その党是と表裏一体の「個人の自由」というイデオロギーと真っ向から対立する。共和党、とりわけティー・パーティの流れをくむ保守層にとって、オバマケアの撤廃は譲れない一線である。

それだけに、トランプ大統領がホワイトハウスに入った現状はオバマケアの撤廃と置き換えを進めるまたとない好機だ。それなのに、置き換え作業がなかなか進まないのはなぜなのか。その最大の理由は、オバマケアの撤廃と置き換えに伴う政治的打撃の大きさに気づき始めているためだ。

約5000万人とも言われた無保険者をなくすために導入されたオバマケア。根拠法の“Affordable Care Act”という名前が示しているように、手頃な価格で国民が医療保険にアクセスできるようにすることが最大の狙いだった。持病を抱えている人でも保険に加入できるような制度設計にしたのも、国民のアクセスを保証するためだ。

財政負担なくして手頃な医療保険は成立しない

半面、民間保険会社のヘルスケアプランが中心の米国の場合、市場原理に委ねるだけでは保険料が下がらないと考えられたため、収入に応じて保険料の一部に補助金を投入するという仕組みになった。結果として増税につながった上に、保険会社がリスクに応じてプランを見直したことで、既に保険に加入していた人々(主に中間層)の保険料上昇やプランの劣化を招いた。その怒りが、トランプ大統領の勝利の一因だったことは記憶に新しい。

選挙期間中、トランプ大統領は市場原理を導入することで、オバマケアよりも優れた保険制度を導入すると主張していた。ところが、オバマケア設立の経緯を見ても分かるように、そもそも市場原理では解決できないと考えられたために現行の仕組みになっている。「補助金か税控除かはともかく、政府の財政負担なくして手頃な医療保険は成立しない」(ある大手金融機関の調査担当)という声が圧倒的で、代替案を考えること自体が難しい。

「私には死にかけている夫がいる」

さらに、導入から2年以上が経過して、オバマケアが有権者の既得権になっていることも共和党を縛っている要因だ。

プレジデントデーの祝日だった2月20日の週、共和党議員の多くは地元の選挙区に帰り、有権者との対話集会に臨んだ。だが、多くの場所でトランプ大統領に対する厳しい批判に晒された。怒号が飛び交うなど炎上した集会も少なくなく、その様子はメディアで報道された(CNNの報道)。批判した人々はカネで雇われたサクラだとトランプ大統領サイドは主張している。

集会で炎上したテーマは様々だが、多くの場所でオバマケアの扱いが焦点になった。オバマケアが廃止されることで、自分の保険はどうなるのかという不安だ。アーカンソー州のタウンホールで、同州選出のトム・コットン上院議員に声を詰まらせ訴えた女性の言葉は象徴的だ。

「私には死にかけている夫がおり、金銭的な余裕はありません。もし今よりもいい保険を提供してくれるのなら是非そうしてください。夫の保険料は月29ドルです。29ドルで必要としている給付を受けている。それよりもいい制度を作れるって言うんですか?」

最初からオバマケアがなければ、国民もそういうものだとあきらめていただろうが、本来、保険に加入できなかった層が保険を得れば、あるいは既往症があっても加入できるとなれば、それはもう既得権である。それを以前の状況に戻すのは政治的に極めて困難だ。タウンホールの発言からは、共和党がどのような代替案を考えたとしても、保険内容の劣化につながると考える有権者が多いことを示唆している。

「Repeal(撤廃)」ではなく「Repair(修理)」を

ライアン議長など共和党指導部は是が非でも廃絶したいと考えているが、代替案を用意しないまま葬り去れば政治的な打撃があまりに大きい。ポピュリズムの流れに乗って大統領選を勝ち抜いたトランプ大統領にとっても、オバマケアの廃絶で再び低所得者を無保険の状況に放置するという選択肢はない。

一方で代替案を考えるにしても、保険内容を劣化させずにオバマケアの補助金を削減していくことは至難の業。長年、オバマケアの撤廃を訴えているだけに現状維持というわけにもいかない。既に、オバマケアに仕込まれた毒は共和党の全身に回っている。

ライアン議長は議会の休会期間が開けた3月初旬、もしくは中旬までに見直し計画を出すと語っており、残された時間は短い。2月24日に米ポリティコがすっぱ抜いたオバマケア撤廃法案のドラフトを見ると(ポリティコの記事)、保険に加入しない人々に対する罰則やオバマケアに伴って導入された各種増税を撤廃するなど、現在のドラフトはオバマケアの根幹を骨抜きにするものだが、カバレッジの劣化は免れないという指摘は相変わらず多く、「撤廃(repeal)」ではなく「修理(repair)」を唱える共和党議員も増えている。

最終的に、オバマケアの撤廃と置き換えがどういう形になるのかはまだ読めないが、少なくとも単純な撤廃は政治的にあり得ず、国民に広くあまねく医療保険を提供するというオバマケアのコンセプトが存続することは確実だ。大統領令によるレガシーは大統領令によって覆されているが、オバマケアを巡る戦いでは、既にオバマ大統領は勝利しているといっても過言ではない。ライアン議長をはじめ共和党はどう対処するのだろうか。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「市街戦が始まる」と悲鳴をあげた韓国紙 「北爆」危機の中、南では左右対立が激化』(3/1日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『金正男報道は、朴大統領弾劾への興味そらすため?』(3/1日経ビジネスオンライン 趙 章恩)について

Facebookよりの記事で村上春樹著の「騎士団長殺し」には南京虐殺について刷り込みが為されるようなとんでもない記述があるとのこと。議論がある部分をわざわざ話題にするという事は大江健三郎と同じくプロパガンダ作家という事でしょう。ハルキストなるものは彼の正体に気付き早く読むのを止めることです。「日本を貶めてまで、ノーベル賞が欲しいのか」という意見もありましたが、パレスチナ国家に肩入れし、ユダヤ人国家のイスラエルに厳しい発言をしたことから、如何に日本を貶め、東京裁判史観に寄り添うともノーベル賞は無理でしょう。ま、小生は時間の無駄と思い、村上春樹の本は読んだこともないし、今後も読むことはないでしょうけど。

<その年の十二月に何があったか?

「南京入城」と私は言った。

「そうです。いわゆる南京虐殺事件です。日本軍が激しい戦闘の末に南京市内を占拠し、そこで大量の殺人が行われました。戦闘に関連した殺人があり、戦闘が終わったあとの殺人がありました。日本軍には捕虜を管理する余裕がなかったので、降伏した兵隊や市民の大方を殺害してしまいました。正確に何人が殺害されたか、細部については歴史学者のあいだにも異論がありますが、とにかくおびただしい数の市民が戦闘の巻き添えになって殺されたことは、打ち消しがたい事実です。中国人死者の数を四十万人というものもいれば、十万人というものもいます。しかし四十万人と十万人の違いはいったいどこにあるのでしょう?」

もちろんそんなことは私にはわからない>(以上)

韓国は反日が行き過ぎて、まともな国家運営ができなくなっています。李承晩の時代から反日が国家の成り立ちの基礎となっています。韓国憲法の前文からして、「悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び、不義に抗拒した四・一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して、~」とあり、歴史的虚構以外の何物でもありません。米国に与えられた独立でしょうに。捏造・改竄が得意な民族です。抗日伝説のある金日成が朝鮮半島統治の正統性があると愚かな韓国人は思い、従北派になってしまう訳です。プロパガンダですが反日に重点を置くとそうならざるを得ません。

国家を二分する議論が行われることは民主主義国家として健全な証でしょう。しかし、威圧・暴力によってそれを解決しようとするのは成熟していない証拠です。米国の反トランプデモも然り。不法移民の連中がグローバリスト達の金で踊らされているだけでしょう。韓国の従北派は北の裏に中国がいることには気づいていないようです。世界の左翼・リベラルの論調は中国が裏で糸を引いていると考えた方が良いのでは。戦勝国組織の国連ではなく、自由諸国連合から成る新たな組織を作った方が良いです。

韓国民は自責で考えることができない『恨』の民族であり、『事大主義』で強きに転ぶ破廉恥な民族でもあります。歴史的に蝙蝠外交を続けてきたのであり、告げ口外交も中国の機嫌を取るためという部分もあったでしょう。それが今や中国から制裁を受けている立場ですから。自分の都合で立場を変える人間は基本的に信頼されません。嘘つき中国人にさえも、です。

鈴置記事

2月25日、保守派の集会は300万人を動員(主催者発表)、特大の星条旗も持ち込まれた。朴槿恵大統領の弾劾を求める集会との衝突が懸念されている(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

韓国で左右対立が激化、力の衝突を懸念する声が高まる。3月上旬にも朴槿恵(パク・クンヘ)大統領弾劾の可否に判断が下る。それを目前に、双方が「負けたら従わない」と言い出したのだ。

血がアスファルトを覆う

鈴置:最近の韓国紙には悲愴感が漂っています。各紙とも「このまま行くと、内乱状態に陥る」と訴えています。

朝鮮日報の「大統領側『アスファルトに血』、驚愕すべき法治拒否騒動」(2月23日、韓国語版)のポイントを訳します。

  • 我が国では弾劾を決めよと要求する「ろうそく(集会)勢力」と、棄却を要求する「太極旗(集会)勢力」が厳しく対峙する。彼らは自分たちが望む結果が出ない場合、従わないとの意向を堂々と打ち出した。
  • 2月22日に憲法裁判所で開かれた弾劾審判の弁論で、朴槿恵大統領側の弁護人、金平祐(キム・ビョンウ)弁護士が「(憲法裁判所が公正な審理をしないのなら)市街戦が起き、アスファルトが血で覆われるだろう」と語った。
  • 同弁護士は「大統領派がこの裁判は無効だと主張し、内乱状態に突入することもあり得る」「英国のクロムウェル(Oliver Cromwell)革命では100万人以上が死んだのだ」とも言った。
  • 早期に大統領選挙が実施された場合、政権を握る可能性の高い「共に民主党」の候補者も、ただ1人として憲法裁判所の決定に快く従うと約束していないのが現実だ。
  • 安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事は2月22日、弾劾棄却が決定された際に「国民の喪失感を考えると、憲法的な決定だから承服するとは言い難い」と語った。文在寅(ムン・ジェイン)前代表は「私は従う」としながらも「民心とかけ離れた決定が出れば、国民が認めないだろう」と解説した。

なお、金平祐氏は大韓弁護士協会の会長を務めたこともある大物弁護士です。「そんな人がなんと過激なことを」と思う日本人も多いと思われますが、韓国の保守からは拍手があがりました。

「こんなことで弾劾し、いちいち大統領を辞めさせていたら今後、誰が大統領をしようと弾劾合戦に陥り、国が滅茶苦茶になる」との理屈からです。

破局を避ける道は?

中央日報も社説「葛藤をそそのかす大統領候補、破局を望むのか」(2月26日、韓国語版)で「このままでは解放(日本からの独立)直後のように、極度の左右対立で国が混乱に陥る」と警告を発しました。

東亜日報は社説「27日に弾劾最終弁論…憲法裁判所に従わないのなら汚辱の歴史に」(2月27日、韓国語版)で「いずれになろうと、広場(力)の論理で憲法裁判所の審判に不服を唱えるなら、大韓民国の憲政史に汚辱を残すだろう」と訴えました。

朝鮮日報は連日のように社説で「内乱勃発」を防ごうと訴えています。先に引用した社説に続き、2月24日には「弁護士協会と憲政会、『候補者は憲法裁判所の決定に従うことを明らかにせよ』」(韓国語版)を載せました。

同じ24日には別の社説「憲法裁判所で繰り広げられた光景は破局の予告編でもある」(韓国語版)で「弾劾が棄却されれば革命、弾劾されれば血、という2つが対立する行き止まりに入りこんだ」と危機感をあらわにしました。

—韓国に破局を避ける道はあるのですか?

鈴置:憲法裁判所が審判を下す前に、朴槿恵大統領が自発的に下野し、弾劾訴追そのものを無効にする。見返りに朴大統領はいかなる刑事訴追も受けない――とのアイデアが語られもしました。しかし、大統領側が拒否しました。

政治テロ恐れ、裁判官も警護

—自分の意見が通らない場合、両勢力は具体的にどうするつもりでしょうか?

鈴置:「太極旗勢力」――弾劾に反対する保守派からは、戒厳令を求める声があがっています。弾劾の審判が出た際、戒厳令を布告して憲法を停止すれば、それを無効にできるとの思惑からです。

左派系紙、ハンギョレは「太極旗には苦労が多い」(2月24日、韓国語版)という記事に、太極旗集会への参加者が「戒厳令を布告せよ」「戒厳令が答!」と書いた腕章を巻いている写真を載せています。

敢えてこの写真を使ったのは、左派系紙として「保守派は戒厳令を考えているぞ」と警戒を呼び掛ける狙いからでしょう。

そもそも、大統領の下野を要求するデモが始まった2016年秋の時点で保守からは「弾劾を防ぐには戒厳令を布くしかない」との意見が出ていました(「『悪手』を重ねる朴槿恵」参照)。

憲法裁判所が弾劾を決めた際、保守勢力が強力なデモによって市街戦状態を作り出し、戒厳令を引き出そうとしても不思議ではありません。

すでにテロの恐れから、憲法裁判所の裁判官や文在寅・前代表には警護がついています。東亜日報の社説「政治暴力の影差す2017年の韓国」(2月24日、韓国語版)は以下のように訴えました。

  • 万が一、法治主義を蹂躙する政治テロが起きた場合、産業化と民主化を成功させた世界10位圏の大韓民国の政治文化は、左右のテロが横行していた解放当時に墜落する。

棄却されても戒厳令

—一方の「ろうそく勢力」は弾劾が棄却されたらどうするのでしょうか。

鈴置:巨大なデモを組織して青瓦台(大統領官邸)と憲法裁判所に押し掛けるのは間違いありません。「共に民主党」の次期大統領の有力候補は2人とも「国民が認めない」と言っています。その1人、文在寅・前代表は「棄却されたら革命だ」とも語っています。

青瓦台に巨大なデモが押し寄せたら、あるいは保守勢力との間で市街戦が起きたら、政権は戒厳令を布くかもしれません。弾劾が棄却されてもやはり、戒厳令布告という非常事態に韓国が陥る可能性があるのです。

—弾劾が認められるものの、戒厳令が布告されないという状況は考えられませんか?

鈴置:もちろんありえます。弾劾が決まれば60日後に次期大統領を決める投票が実施されます。現在、大統領権限代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相が戒厳令を布告せず、選挙管理内閣に徹すればそうなります。

ただ、この場合も憲法が停止される非常事態――クーデターが起きるかもしれません。次の大統領選挙では左派が政権を握りそうだからです。

韓国ギャラップの2月第4週の調査(韓国語)で、支持率1位は文在寅(ムン・ジェイン)前代表で32%。2位は安煕正知事で21%。いずれも「共に民主党」の党員です。

保守からは3位に黄教安首相が顔を出しますが、支持率は8%に過ぎません。弾劾後の大統領選挙は事実上、左派同士の戦いになると見られています。

左派政権なら米韓同盟は崩壊へ

—左派が権力を握ったらクーデターが起きるというのですか?

鈴置:その可能性があります。左派、ことに文在寅・前代表が権力を握れば韓国は一気に「離米従北」すると、保守側が見なしているからです。

米中どちら側に付くか――の踏み絵となっているTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)に関し、文在寅・前代表は在韓米軍への配備容認を見直すと宣言しています。

北へのドル送金のパイプとなっていた開城工業団地や金剛山観光も再開すると言っています。韓国のコメと北の鉱産物を交換するとも言い出しました。現時点でそれらを実行すれば、国連の対北朝鮮制裁違反です。

もちろん米国もこの動きに注目しています。米国のアジア関係者が日本の専門家にまで「文在寅が当選したら韓国は我々側に留まると思うか」と聞くようになりました。

韓国の保守は死に物狂いです。「文在寅大統領」が登場すれば、米韓同盟が消滅しかねない。核を持った北朝鮮の言うことを唯唯諾諾と聞く韓国になってしまう――。

保守系紙の朝鮮日報は社説「文の『コメと鉱物の物々交換』、核と毒ガスが目に見えぬのか」(2月27日、韓国語版)で、露骨な文在寅攻撃に出ました。結論部分を翻訳します。

  • 昨年12月、文代表は「躊躇なく言う。私は(米国よりも)北朝鮮に先に行く」と語った。「事前にその必要性に関し、米日中に十分に説明する」とも言ったが、核・ミサイルはそのままにして金正恩を延命させる恐れがある。
  • 国際社会は北朝鮮の化学武器を核に次ぐ脅威と見なし始めた。それでも文代表は対北制裁案と圧迫案を、国民に一度としてきちんと説明したことがない。関心自体がないようだ。これでいいのか。

膨らむ太極旗集会

朝鮮日報はさすがに「クーデターを」とは主張しません。しかし真の保守――右派を自認する趙甲済(チョ・カプチェ)氏は、左派政権登場の際のクーデターを念頭に執筆・発言してきました。

それしか韓国の左傾化を防ぐ道はないとの思いからです。(「『民衆革命』はクーデターを呼んだ」参照)。「太極旗集会」には「国軍よ、立て」とのプラカードも目立つようになりました。

ただ、趙甲済氏ら保守は当面の目標として弾劾の棄却を目指しています。有力な保守の大統領候補が存在しない以上、まずは弾劾を棄却させ時間を稼ぐしかないのです。

2017年12月の通常の大統領選挙に持ち込めば、それまでに風向きが変わるかもしれません。例えば北朝鮮との間に緊張が高まれば、文在寅候補の票は大きく減るでしょう。

保守は今、弾劾棄却のために「ろうそく集会」に負けない数の参加者を「太極旗集会」に集めようと必死です。憲法裁判所が「ろうそく集会」の数の力を恐れ、弾劾を認めることを防ぐのが目的です。

集会参加者数のグラフをご覧下さい。主催者発表ベースでは保守派――「太極旗集会」が反・朴大統領派の「ろうそく集会」を上回っています。いずれも自己申告ベースですから、かなり多めの数字と思いますが。

変質した「名誉革命」

—警察のデータでは?

鈴置:警察発表によると、1月7日の集会で「太極旗」が「ろうそく」を抜きました。なお、「ろうそく側」からの抗議でその後、警察は参加者数の発表をやめてしまいました。

だから現在の正確なところは分かりません。ただ、現場を見た人によると「太極旗集会」への参加者が急速に増え、少なくとも「ろうそく」と変わらない規模に育っているようです。

それを左派も脅威に感じたのでしょう。ハンギョレは「怒るほどに明るく・・・『ろうそく』を降ろしてはいけないわけ」(2月10日、韓国語版)で、2016年12月9日に弾劾訴追案が国会を通った後、参加者数が伸び悩んだ「ろうそく集会」へのテコ入れを図りました。

韓国人は「名誉革命」と胸を張っていたのに……(「『名誉革命』と」韓国紙は自賛するのだが」参照)。

鈴置:当初「ろうそく集会」に参加していた人の中には根っからの左派もいました。が、多くは朴大統領の権威主義的な手法に嫌悪を感じた普通の人々でした。

最近の「ろうそく集会」には「共に民主党」の大統領候補も加わります。次の大統領選挙をにらんでのことです。主催者団体の一部は「THAAD反対」も唱えるようになりました。保守的な人は参加に二の足を踏み始めました。

一方、「太極旗集会」に参加する人は親・朴槿恵派もいます。が、相当部分は朴大統領のやり方に疑問を感じながらも、左傾化した韓国には絶対に住みたくないという人です。

「星条旗」で「ろうそく」を消す

—2つの集会は弾劾に賛成するか否か、だけで対立しているのではないのですね。

鈴置:その通りです。大統領選挙を前に左右対決の場となったのです。象徴的なのは「太極旗集会」に多数の星条旗が登場するようになったことです。

小さな星条旗と太極旗を重ねて2本持つ人もいれば、巨大な星条旗を掲げる人もいます。「米韓同盟を守ろう」「ろうそく勢力が勝てば米韓同盟がなくなるが、それでもいいのか」との訴えです。

—今後の展開は?

鈴置:憲法裁判所の裁判官の1人が3月13日に退任することから、3月上旬に弾劾への審判が下されると見られています。

左右両派はこれまでの土曜集会に加え、独立運動を記念する「三一節」つまり3月1日にも大量動員をかける方針です。もちろん憲法裁判所への圧力が目的です。

「名誉革命」と自賛した韓国の政治騒動は、力で物事を決する「クロムウェルの革命」に変わり始めています。

始まった暴力沙汰

—2つの集会の間で衝突は起きないのですか?

鈴置:いずれもソウル一番の大通り、世宗路で開かれます。「ろうそく」は北の方に、「太極旗」は南の側に集まります。警察はその間に2万人弱の機動隊を置いて衝突を防いできました。

とは言ってもごく近い場所で開くので、韓国メディアは左右対立が激化する中、物理的な抗争が起こるのではないかと懸念しています。

2月25日には両派の間で小規模ながら暴力沙汰が起きました。中央日報の「太極旗集会で引火物質携帯していた60代の男を立件=韓国」(2月26日、日本語版)が伝えています。

理念闘争に明け暮れた日々

—第2次朝鮮戦争が起きるかもしれないという時に、当事者の韓国は……(「弾道弾と暗殺で一気に進む『北爆時計』の針」参照)。

鈴置:内輪もめです。朝鮮日報は社説「新幹会90年、統合運動の烈士が嘆く子孫の分裂」(2月16日、韓国語版)で、次のように嘆きました。

  • 北朝鮮の核が民族の生存を危険にさらし、周辺の強大国の争いが日増しに激しくなるというのに、我が政界では党派が四分五裂し、自分の利益を守るのに血眼になっている。
  • 大統領の弾劾を巡る憎悪と敵対感を見るにつけ、国連の信託統治に賛成か反対かに分かれ、生きるか死ぬかの理念闘争に明け暮れた解放直後を思い出す。

韓国の指導層も状況は十分に理解しています。でも、どうにもならないのです。

(次回に続く)

趙記事

クアラルンプールの空港で残留薬物を検査する特殊チーム(写真:ZUMA Press/アフロ)

金正男氏とみられる人物がマレーシアで殺害された事件をめぐって、韓国メディアが連日、報道合戦を繰り広げている。「速報」「単独報道」の見出しがあちらこちらで飛び交う。しかし、その多くが日本とマレーシアメディアの報道を後追いしたもので、北朝鮮の情勢に関して韓国がもっとも情報を持っていないのではないかとの不安が広がっている。

韓国では、朴槿恵大統領の弾劾に北朝鮮問題まで重なり、落ち着かない日々が続いている。今でも毎週土曜日にはソウル市内の光化門広場で、朴大統領の退陣を求めるろうそく集会が行われる。その現場に、弾劾に反対する朴大統領支持者らも集まる。弾劾反対集会の現場では発行者不明の「偽新聞」が配布され、それを情報ソースとする根拠不明の北朝鮮関連ニュースがSNSで拡散している。

2月27日付の中央日報によると、金正男氏は「北韓(編集注:北朝鮮)が国家主導で起こした化学武器使用テロ」で殺害されたとみなすべきとの意見が出ている(マレーシア警察は最終捜査結果をまだ発表していない)。マレーシア当局が逮捕した容疑者らはFTF(外国人テロ戦闘員=Foreign Terrorist Fighter)というわけだ。FTFは過激派組織「IS(イスラム国)」が全世界の若者を集めてテロリストにしているのを受けて登場した用語。国連安全保障理事会の定義によると、テロを実行・準備・計画・参加する目的で本人の国籍国以外の国に移動する個人を意味する。

「北韓は化学武器を使用」

中央日報は韓国政府関係者の話として、「北韓の工作員がマレーシアまで行き第3国人を雇って空港で(金正男を)殺害した。(神経性毒ガス)VXを使用し、他の民間人や空港施設を2次被害に陥れることも恐れなかった。これはFTFがしていることと同じだ。『北韓をテロ支援国に再指定(2008年に解除)すべき』という美国(編集注:米国)と(韓国政府は)同じ考えである」と報じた。

複数の韓国メディアによると、韓国の外交部(韓国の「部」は日本の「省」)は、国連が使用を禁じた大量殺傷を目的とする化学兵器を北朝鮮が所有し、実際に使用したとみなしている。韓国政府としてはVXガスを使用した対韓国テロを警戒しないわけにいかない。そのため、同政府は北朝鮮をテロ支援国に再指定して、民間企業の対北朝鮮輸出はもちろん、全ての援助を断ち切るべきと厳しい姿勢を見せている。

2月27日に開かれた国会情報委員会全体会議に、国防部の情報本部長が出席。金正男氏殺害事件について今までの経緯を説明し、対策を講じた。統一部(北朝鮮関連政策を担当する省庁)のチョン・ジュンヒ報道官は、同日の定例記者会見で、「北韓が化学武器を、民間人を相手に使用したことを強く糾弾する。化学武器禁止協約違反であり、国際規範に露骨に違反した」と批判した。

外交部のユン・ビョンセ長官は、国連人権理事会とジュネーブ軍縮会議に出席するため26日に出国した。仁川空港で記者らに向けて「(会議では)北韓が化学武器を保有することの危険性と、それを使用することの不当性について説明し、国際社会の対策、特に北韓当局の責任究明と(VXを製造・使用した)関連者に対する例外なき処罰を求める」と話した。

外交部によると、当初、同理事会には次官が出席する予定だったが、金正男氏殺害に国際的に禁じられている化学兵器が使用されたことが確認されたため、長官が自ら会議に出席し、事の重大さを国際社会に伝えることにしたという。

韓国政府と国民に対するテロにも警戒が必要

国家情報院は事件後の2月15日、国会情報委員会で次のように説明した。「金正男殺害は事件の3~4時間後に認知した。殺害は金正恩が発した暗殺命令に基づくもので、金正恩が命令を取り消さない限り、工作員は必ず履行しないといけない。北韓の工作員は最初、北韓の中で金正男の暗殺を試みたため、金正男は2012年シンガポールへ逃避。『命令を取り消してほしい。自分の逃げ道は自殺しかないことをよくわかっている』という内容の手紙を金正恩に送ったこともある。しかしその後も暗殺命令は取り消されていなかったことになる」。

「中国との関係が悪化すると知りながら金正恩が金正男を殺害したのは、金正恩が偏執狂的な性格だからだとみられる」  「金正男が韓国に亡命を試みたことはなかった。韓国に2016年に亡命したテ・ヨンホ前・駐英北韓大使館公使の警護を強化している」

ファン・ギョアン大統領権限代行は2月20日、国家安保会議・常任委員会を開き、以下のように述べた。「(金正男殺害)は容赦できない反人倫的犯罪行為でありテロ行為である。政権を維持するためには手段と方法を選ばない北韓政権の無謀さと残虐性を見せつけた。北韓のテロ手法がより大胆になっているだけに、韓国政府と国民に対して北韓がテロを実行する可能性にも格別に警戒しないといけない」。

「3月に始まる韓美軍事訓練を通じて北韓の挑発を強力に抑制すると同時に、国民が国家安保に対して信頼と自信を持てるようにする。政界を含め安保に関して国民が団結した声を出す必要がある」

公営KBSの報道は親・朴大統領に偏向?

韓国では、朴槿恵大統領をめぐるスキャンダルを捜査する特別検事の活動期限が2月28日に終了し、同大統領の弾劾の是非を決める判決がもうすぐ下される。さらに、大統領選挙の前倒しをめぐる保守派と進歩派の闘争がピークに達している。一部進歩派の間では大統領選挙前の「北風」がまた始まったのではないかと懸念する声がある。

北風とは、1997年に大統領選挙が実施された時、与党ハンナラ党が擁する候補への支持を高めるため、大統領官邸で働く行政官3人が北京で北朝鮮側に接触し、「休戦線付近で武力騒動を起こしてほしい」と依頼した事件をいう。国民を不安にすることで、「北朝鮮に人道的支援をすべき」と訴える野党候補(当時の金大中候補)ではなく、保守候補に票が集まるよう仕向ける狙いだった。大法院(日本の最高裁判所に当たる)の判決で、この行政官3人は国家保安法違反で有罪が確定した。

これ以来、韓国のネットには、大統領選挙を前にして北朝鮮がミサイルを発射したり、おかしな行動を取ったりすると、「北風ではないか」と疑う書き込みが増える傾向がある。今回も、政府の発表もメディアの報道も疑わしく見えて、何を信じたらいいのかわからない状況に陥っている。

全国言論労働組合は22日に報告書を発表し、公営放送KBSの報道が偏向していると主張した。KBSが15~22日に報道したニュースをモニタリングしたところ、金正男氏の殺害に関する報道ばかりで、朴大統領の弾劾や特別検事の捜査動向、次期大統領選挙に関する報道は縮小されていたという。

全国言論労働組合は、さらに次のように指摘した。  「KBSは特に2月16日以降、民放のソウル放送や文化放送に比べ3倍近く長い時間を金正男氏殺害関連ニュースに割き、朴大統領弾劾ニュースを流す時間を短くした」  「ニュースに対する価値判断は放送局によって違うが、それにしてもKBSは偏っている。事実関係が不明な推測報道で国民の不安を刺激している。このままでは国民を混乱に陥れる可能性がある」  「KBSは『北風』報道を行い、大統領弾劾に向かう国民の視線を他へ向けようとしているのではないか。KBSは正確な事実を伝えるという公営放送の役割を全うすべき」

朴大統領と金正男氏につながり?

一方、週刊キョンヒャンやキョンヒャン新聞が2月11日に報じたニュースが、保守派を支持する勢力に衝撃を与えた。「朴槿恵大統領が2002~2012年まで理事を務めたヨーロッパコリア財団は、金正男を窓口にして金正日と繋がっていた」という。ヨーロッパコリア財団が、統一部の許可なく金正男氏とメールのやりとりをしていたことも、関連人物のインタビューや証拠をもって報道した。北朝鮮に対して厳しい姿勢をとってきた朴大統領に、裏の面があったことになる。

そして、この報道の2日後に金正男が殺害されたことも話題になった。

週刊キョンヒャンは2月15日に別の記事で、「本誌が2月11日に報道をしたことが、金正恩委員長を刺激し、金正男氏の殺害につながった」という北朝鮮専門家の意見を報じた。

さらに「2012年の大統領選挙の時、国家情報院は金正男を韓国に亡命させるか、または金正男のインタビューを地上波の文化放送に流す計画を立てていた」という。北朝鮮との間に安全保障上の問題があることを読者に改めて知らせることで保守派に有利な世論を作り、朴槿恵候補への支持を高める狙いだったという。

週刊キョンヒャンはこの報道の中で、金正男氏がヨーロッパコリア財団側に送信したメールの原本も公開した。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『“新”正恩氏斬首作戦 トランプ氏「最終決断」秒読み…特殊部隊の単独作戦で「すでに待機」』(2/28ZAKZAK)、『弾道弾と暗殺で一気に進む「北爆時計」の針』(2/23日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

2/28麹町にあります戸嶋靖昌記念館に行ってきました。1/22にNHK「日曜日美術館」で放映されたようです。予備知識もなく行って分かったことは、戸嶋靖昌は三島由紀夫に影響を受けた人物で、スペイン・グラナダ(アルハンブラ宮殿がある。レコンキスタの最後の舞台となったところ)で創作活動をし、絵も売らずに生活していた不思議な人であります。「滅びの美学」を其の儘、絵にしたのではと小生は解釈しました。

いよいよ金正恩の斬首作戦が実行される雲行きです。やるなら中途半端は止めて、基地と思しきところには総て爆撃をかけなければ。自走砲から核ミサイルが飛んでこないとも限りません。日本も米軍に協力できるところは協力しないと。本来は日本の安全の問題です。敵基地先制攻撃できる法的・装備的能力を日本も持たなければ。北を料理した後は中国の問題に日米で対処しなければなりません。でも、米中密約で北を共同管理するとなると韓国の扱いはどうなるのでしょう?朴大統領に対して特別検察官が収賄容疑で立件したとのニュースです。裁判官構成上、朴大統領に有利と言われています憲法裁判所も弾劾を認めざるを得ない方向になるのでは?何せ国民情緒が法より上位にある国ですから。ロッテのゴルフ場にTHAADの配備を今年中にするとのニュースがありました。早ければ5~7月にTHAAD配備は完了するとのこと。斬首作戦はTHAADが配備されてから?

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/619549/

http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/02/28/0900000000AJP20170228001800882.HTML

ZAKZAK記事

北朝鮮情勢が緊迫している。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件などを受け、ドナルド・トランプ米大統領が最終決断を迫られているのだ。「兄殺し」もいとわない狂気のリーダーに、核・化学兵器搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を握らせれば、世界の平和と安定が脅かされ

かねない。ジャーナリスト、加賀孝英氏の独走リポート。

「あいつ(正恩氏)は異常だ! テロリストだ! トランプ大統領は、そう吐き捨てたようだ」

旧知の米情報当局関係者はそう語った。

驚かないでいただきたい。朝鮮半島有事が秒読みで迫っている。

米国は、国連安保理決議を無視した新型中距離弾道ミサイルの発射(12日)や、猛毒の神経剤VXを使用したマレーシアでの残忍な正男氏殺害事件(13日)を受け、新たな「作戦計画=正恩氏斬首作戦」を準備した。

米国はこれまで、北朝鮮に対して「作戦計画5015」を用意してきた。どこが違うのか。米軍関係者が明かす。

「5015は、北朝鮮の核・軍事施設など約700カ所をピンポイント爆撃し、同時に、米海軍特殊部隊(ネービーシールズ)などが正恩氏を強襲・排除する。新作戦計画は、特殊部隊の単独作戦だ。国際テロ組織『アルカーイダ』の最高指導者、ウサマ・ビンラーディン殺害時と同じだ」

米国は2011年、パキスタンでビンラーディン殺害を決行した。米軍の最強特殊部隊が深夜、ステルス型ヘリコプターなどに分乗して、潜伏先上空からロープで降下し、わずか40分の銃撃戦で成し遂げた。

「ビンラーディンにつけられたコードネームは『ジェロニモ』だった。正恩氏にもコードネームがつけられた」といい、米軍関係者は続けた。

「作戦部隊はすでに朝鮮半島周辺の所定の場所に待機している。トランプ大統領の決断待ちだ。正恩氏の隣にわれわれの協力者がいる。正恩氏は100%逃げられない」

事態は緊迫している。以下、複数の米政府関係者らから得た情報だ。

「米国は昨年末から、中国に『米国の作戦計画の黙認』『正恩政権崩壊時の介入方法』について事前協議を申し入れた。トランプ氏と習近平国家主席による9日の米中首脳電話会談でも出た。中国は逃げている」

「米ウォールストリート・ジャーナルが24日に一部報じたが、北朝鮮は水面下で『正恩氏直結の女』こと北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長の訪米と、元米政府当局者との非公式接触を打診していた。命乞いの訪米だが、米国は崔氏の入国ビザの発給を拒否、蹴飛ばした。米国の断固たる決意だ」

一方、正恩氏は狂乱状態のようだ。

「正恩氏は米国におびえて、周囲を罵倒し、暴れ、影武者を立てて、居場所が特定されないよう、地下にある5カ所の秘密部屋を転々とし、隠れている」

3月には、正恩政権殲滅(せんめつ)を目的とした史上空前規模の米韓合同軍事演習が始まる。

日経ビジネスオンライン記事

2月12日の中距離弾道ミサイル発射で、北朝鮮はレッドラインを越えた(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

弾道ミサイル発射と暗殺により、北朝鮮への先制攻撃の可能性がグンと高まった。

日経読者の4割強が「軍事的解決を」

—2月に入り、朝鮮半島情勢が目まぐるしく動きました(「北朝鮮を巡る動き」参照)。

  • 北朝鮮を巡る動き(2017年2月)
2日 マティス国防長官、韓国訪問(3日まで)、「北朝鮮の核の脅威が最優先課題」と表明
3日 マティス国防長官、日本訪問(4日まで)、「日米安保、尖閣に適用」と表明
   
10日 ワシントンで日米首脳会談
12日 北朝鮮が弾道弾「北極星2型」を発射。パービーチに滞在中(現地時間11日)の安倍首相「断じて容認せず」。トランプ大統領は「100%日本と共にある」
13日 金正男氏、クアラルンプールの空港で暗殺
13日 国連安保理、北朝鮮非難の共同声明
13日 トランプ大統領「北朝鮮はとてつもなく大きな問題だ。極めて強く対応する」
17日 日米韓外相、北朝鮮の弾道ミサイルの試射に関し「最も強い表現で非難」との共同声明
17日 ティラーソン国務長官、王毅外相に「あらゆる手段を通じ北朝鮮の核・ミサイル挑発の抑制を」
18日 中国、北朝鮮産石炭の年内の輸入を中断と発表
20日 マレーシア、金正男暗殺事件に関し北朝鮮に抗議し、大使も召還
22日 マレーシア警察庁長官、金正男殺害事件に北朝鮮大使館員が関係していたと発表。帰国した4人の容疑者の引き渡しも北朝鮮政府に要求
 

鈴置:2月12日の中距離弾道ミサイル「北極星2型」発射と、翌13日の金正男(キム・ジョンナム)暗殺――。後世の人は「この2つが転換点だったな」と振り返ると思います。

2つの事件により、北朝鮮の核武装を阻止するには「話し合い」ではもう無理だ。結局「力」が必要なのだ――との認識が世界に広がったからです。

日経が2月18日から21日まで、電子版読者に聞いた「第310回 クイックVote 北朝鮮、日本はどう対応すべき?」の回答を見ても明らかです。

設問は「ミサイル発射や核開発を続けている北朝鮮に対して、あなたは日本政府に何をもっとも優先して取り組んでほしいですか」。

最も多い回答が「ミサイル基地攻撃など軍事オプション」で、43.9%を占めました。2番目が「経済制裁の強化」で28.9%。「6カ国協議の再開など外交努力」(12.5%)、「中国への働きかけ」(9.0%)が続きました。

1位の「軍事オプション」と2位の「経済制裁」は、いずれも回答者が「北朝鮮の核問題は対話ではなく、力で解決するしかない」と考えていることを示します。足すと何と、72.8%にのぼります。

「話し合い」を意味する「外交努力」と「中国への働きかけ」の合計の21.5%と比べ、圧倒的に多いのです。「話し合い」が大好きな日本人も変わったものだと思います。

米国の「脅威NO1」は北朝鮮

—米国の空気は?

鈴置:ワシントンでも「強硬論」が盛り上がっています。2月13日、カナダのトルドー(Justin Trudeau)首相との会談後の会見で、トランプ(Donald Trump)大統領は以下のように語りました。

「就任して1カ月近く諜報ブリーフを受けただろうが、米国が直面する最も重大な安全保障上の問題を何と見るか」との質問に答えたものです。

  • Many, many problems. When I was campaigning, I said it’s not a good situation. Now that I see it — including with our intelligence briefings — we have problems that a lot of people have no idea how bad they are, how serious they are, not only internationally, but when you come right here.
  • Obviously, North Korea is a big, big problem, and we will deal with that very strongly.

「最も重大な脅威」の筆頭に「北朝鮮」を挙げたうえ「米国は極めて強く出る」と述べたのです。「状況は極めて深刻なのに、それが認識されていない」とも。

「北朝鮮に強く出る」具体策には言及しませんでしたが、核・ミサイル施設に対する先制攻撃と、これまでにない強力な経済制裁の2本立てであるのは明らかです。

北朝鮮への先制攻撃――北爆は2016年9月以降、米国の安全保障関係者が堂々と語るようになりました(「『ソウルは火の海になる』のデジャブ」参照)。

2016年9月5日の長距離弾道弾の試験と、9月9日の5回目の核実験により「米国も射程に入れた北朝鮮の核武装は間近である」「このままではそれを防げない」との危機感が、この時点で米国の政界に定着したのです。

「先制攻撃」を巡る動き(2016年)

9月
5日 北朝鮮、高速道路から3発の弾道ミサイル連射、1000キロ飛び日本のEEZに落下
9日 北朝鮮が5回目の核実験を実施し「戦略ミサイルの核弾頭の生産が可能になった」
   
10日 稲田朋美防衛相、韓民求国防相に電話会談で、GSOMIA締結を呼び掛ける
12日 韓国国防相報道官「日本とのGSOMIAは必要な雰囲気。ただ、国民の理解必要」
16日 マレン元米統合参謀本部議長「北の核の能力が米国を脅かすものなら先制攻撃し得る」
19日 カーター国防長官、在韓米軍のスローガン「fight tonight」を引用「その準備はできた」
20日 北朝鮮「推力重量80トンの静止衛星運搬用ロケットの新型エンジン燃焼試験に成功」
20日 ハイテン米戦略軍次期司令官「北朝鮮はいずれICBMを持つ。すぐに備えるべきだ」
22日 米大統領報道官、対北攻撃を聞かれ「一般に先制的軍事行動に関し事前に論議しない」
24日 ヴィクター・チャ教授、中央日報に「北朝鮮のICBMの破壊も検討」と寄稿
26日 米韓海軍、日本海で合同訓練。韓国軍「北朝鮮の核・ミサイル施設や平壌が攻撃目標」
10月
1日 米韓海兵隊、白翎島で合同軍事演習
5日 労働新聞「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換。核はいつでも米国に使える」
6日 国連軍縮委員会で北朝鮮代表「自主権が侵害されない限り先に核は使わない」(朝鮮通信、8日報道)
10日 北朝鮮、労働党創建71周年記念式典を開催
10日 米韓海軍、黄海含む朝鮮半島周辺海域で「陸上精密打撃訓練」(10月15日まで)
11日 シャーマン前米国務次官「北の核には経済制裁に加え全ての選択肢を使うべきだ」
11日 朝鮮中央通信「来年1月の金正恩委員長の誕生日は盛大に祝う」
12日 ラッセル米国務次官補、記者団に「金正恩が核攻撃する能力を持てば直ちに死ぬ」
15日 北朝鮮、中距離弾道弾を平安北道・亀城から発射。米軍は「直後に爆発」と発表
19日 労働新聞「先制攻撃は米国と南朝鮮の特権ではない。南全域は火の海、米本土も修羅場になる」
20日 北朝鮮、亀城から長距離弾道ミサイル発射。米韓は「直後に失敗」と発表
21日、22日 北朝鮮の韓成烈外務次官と米国のガルーチ元国務次官補らがクアラルンプールで接触
 

中国を標的に金融制裁案

—「強力な経済制裁」とは?

鈴置:「対北朝鮮制裁に違反した対象と取引する組織や個人にも制裁を適用する」セカンダリー・ボイコットがその中軸です。

北朝鮮と取引を続けることで、金正恩(キム・ジョンウン)政権の核・ミサイル開発資金の獲得を幇助する中国企業が念頭にあります。

すでに2016年9月に米上院の有力議員が、当時のオバマ(Barack Obama)大統領にそれを求める書簡を送っています。東亜日報が「米上院議員19人、『セカンダリー・ボイコット』要求」(9月20日、日本語版)で報じています。

今回の「北極星2型」の発射を受け、米上院の有力議員が再び動きました。米議会の運営するRFA(ラジオ・フリー・アジア=自由アジア放送)の「米上院議員6人、『対北追加金融制裁』書簡」(2月15日、韓国語版)は、2月15日に彼らがトランプ政権に求めた新たな金融制裁案の中身を以下のように報じました。

  • 北朝鮮のすべての銀行を例外なく特別指定制裁対象(SDN)リストに載せ、国際金融システムから完全に遮断する。
  • スウィフト(SWIFT)を含む国際銀行間通信サービスに関し、北朝鮮の銀行との関係を断つよう、欧州連合とベルギー政府に要請する。
  • 財務省が追加財源と人員を投入し北朝鮮のマネーロンダリング組織と、これを支援する中国の関係者を探し出し、資産凍結はもちろん民事・刑事上の責任を問う。
  • 中国銀行を含む中国の13行に関し、北朝鮮の核開発を支援してきた丹東ファイナンシャングループの法令違反との関連をできるだけ早く調査に乗り出す。

後ろ2つは、中国の大手銀行も国際的な金融取引から締め出すぞ、との脅しです。これが実行に移されたら中国経済はパニックに陥ります。

トランプの顔色見た中国

—「対北」を超えて「対中制裁」に乗り出す感じですね。

鈴置:国連がいくら北朝鮮への経済制裁を定めても、中国がさぼったため効果が上がらなかったからです。

2月17日、ボンで行われた米中外相会談でもティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が王毅外相に対し、北朝鮮にあらゆる手段を使うよう促しました。

さすがに中国も「まずい」と考えたのでしょう、米国に「誠意」を見せました。翌2月18日、中国政府は突然、2月19日から同年末まで北朝鮮からの石炭輸入を中断する、と発表しました。

北朝鮮の外貨稼ぎの主力は石炭輸出です。北朝鮮産の石炭輸入には上限が設けられていたのですが、中国が守っていないとの疑いがもたれていました。今後、中国が本当に石炭輸入を中断するかも分かりませんが。

北は核の先制攻撃も宣言

—北朝鮮に核武装を放棄させるため、米国はまずは経済制裁の強化で、それが効かねば先制攻撃、との方針でしょうか。

鈴置:そうとは限りません。経済制裁の強化を国連が決めても、中国がちゃんと協力しないかもしれません。仮に中国が応じても、北朝鮮経済を痛めつけるには時間がかかります。

経済制裁の強化に国際社会が動き始めた後でも、北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)を試射すれば、あるいはその素振りを見せれば、米国がすぐさま先制攻撃する可能性があると思います。

2017年1月1日、金正恩委員長は新年の辞で「ICBM試射の準備が最終段階にある」と表明しています。

そのうえ「米国とその追随勢力の核の威嚇と恐喝が続く限り、年次的というベールをかぶせた戦争演習騒動を中止しない限り、核武力が中核の自衛的国防力と先制攻撃能力を強化する」と宣言しました。

3月から始まる米韓合同軍事演習を中断しない限り、核・ミサイル実験を続けるとも表明したのです。

2016年10月5日の労働新聞は「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換した。核はいつでも米国に使える」と書きました。北朝鮮は核による先制攻撃までも宣言済みです。

北朝鮮の核武装を阻止するために残された時間はほとんどありません。2月12日の「北極星2型」の発射以降、安全保障の世界では「これ以上手をこまねいていてはいけない」との認識が共有されました。

日米の戦略的環境が一変

—北朝鮮はこれまで弾道ミサイルを何度も撃っています。長距離弾道弾でもない「北極星2型」に、それほど大きな意味があるのですか?

鈴置:日本や米国にとって戦略的な環境がガラリと変わりました。2月13日、北朝鮮は前日に発射に成功した「北極星2型」は固体燃料式エンジンである、と発表しました。それを否定するに足る材料はありません。

液体燃料式なら発射の際に燃料を注入するのに時間がかかるので、ミサイルが地上にあるうちに攻撃する手があります。

一方、固体式だと北朝鮮が発射を決意した瞬間に撃てるので、米国や日本は奇襲攻撃されやすくなります。

日米にとってさらなる問題もあります。軍事ジャーナリストの惠谷治氏は、今回の発射で使った自走式発射台に注目しています。

地中に設けるサイロ式の発射台なら場所は容易に特定でき、先制攻撃しやすい。しかし、北朝鮮はあちこちに動かせる自走式発射台の導入で、ミサイルの所在を隠蔽できます。すると奇襲攻撃しやすくなるうえ、先制攻撃されても反撃が可能になります。

となると、日米は先制攻撃に逡巡することになります。反撃のため飛んでくるミサイルに核弾頭が載っているかもしれないからです。

MDで阻止できなくなる

—北朝鮮は自走式発射台を持っていなかったのですか?

鈴置:持っていました。ただ、いずれも中国製で数は限られると見られていました。惠谷治氏によると、自走式発射台の製作には結構、難しい技術が要るため、中国から買っていたのです。

ところが今回の発射で使ったのは北朝鮮製だった模様です。国産化により自走式の発射台を大幅に増やせると、惠谷治氏は懸念しています。

同時により多くのミサイルを発射できるようになるので、日本や米国がいくらミサイル防衛網(MD)を充実させても、完全に阻止できなくなる――撃ち漏らすミサイルが出てくる可能性が高まるのです。

要は日米にとって、北朝鮮の核・ミサイルシステムを早急に除去しないと安全を確保できない段階に至ったのです。

「離米従中」という逃げ道

—日米だけではなく、韓国にとっても北朝鮮の核の脅威はぐんと増したのですね。

鈴置:必ずしもそうとは言えません。韓国の次期政権が米国を離れ、中国側に走れば――中国の核の傘に入ってしまえば、北朝鮮の核の脅威は相当に減ります。

大統領レースで現在、支持率トップを走る「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は、在韓米軍基地へのTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)の配備を見直すと宣言しています。

配備は米国が強く進める半面、中国が強力に反対しています。配備を拒否すれば米韓同盟は風前の灯となります。韓国の「離米従中」は現実のものになっています。

文在寅前代表は「大統領に就任したら当然、米国よりも先に北朝鮮に行く」とも語っています。北朝鮮との関係を一気に改善すると表明したのです。(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)

韓国には、どれだけ頼りになるか分からない米国よりも、恐ろしい中国や北朝鮮と仲良くした方が国の安全を確保できる、との発想もあるのです。

ちなみに、南北朝鮮が関係を改善し一緒になって北の核で日本を脅す、というあらすじの小説『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』が1990年代の韓国でベストセラーになっています。

何をやらかすか分からない国

—確かに、北朝鮮は何をしでかすか分からない国ですからね。

鈴置:そこなのです。今回の金正男暗殺事件で、世界の人々は「金正恩委員長は異様な人間である」との思いを強くしました。これも北朝鮮への先制攻撃論を加速しました。

普通、仮想敵が核ミサイルを持っても、こちら側が持っていれば直ちに戦争が始まるわけではありません。「相手だって核戦争で自らの国民が犠牲になるのは躊躇するだろう」との判断から、話し合いにより戦争を避けようと双方が考えるからです。

しかし「自分の邪魔になる異母兄は、外国に刺客を送っても殺す」指導者には、合理的な対話は期待できません。

北朝鮮政府は今回の暗殺への関与を認めていませんが、世界はそれを前提に動き始めました。犯行現場となったマレーシアの警察が、主犯グループは北朝鮮籍の人々で構成されたと判断しているからです。

2月22日、マレーシアの警察庁長官は、金正男殺害事件に北朝鮮大使館員が関係していたと発表しました。犯行後に帰国した4人の北朝鮮籍の容疑者の引き渡しも北朝鮮政府に要求しました。

冒頭に紹介した日経の世論調査で、43.9%もの人が北朝鮮への軍事攻撃を日本政府に望んだのも、この暗殺事件が影響していると思います。北朝鮮は対話では解決できない相手だと、ついに日本人も考えたのです。

政権交代シナリオに重み

—米国人も、ですか?

鈴置:米国人も同じです。東亜日報のイ・スンホン・ワシントン特派員は「米メディア『本当に狂っている』『金正恩は何をするか分からない』」(2月16日、韓国語版)で、以下のように書きました。

  • 「これは本当に狂った(insane)話です」。「金正恩は今後、何をしでかすか分かりません」。CNN、FOXニュースは2月14日(現地時間)、金正男殺害事件を報じた際、こう評した。
  • 米国でも金正恩の暴走がどこまで続くか、予測不能との空気が強まっている。米本土を狙ったICBMの試験が迫っているとの憂慮も深まった。
  • ワシントンの外交界と主なシンクタンクにも、この事件によりトランプ政権がいっそう強硬策に出るとの見方が多い。
  • CNAS(新アメリカ安全保障センター)のパトリック・クローニン(Patrick Cronin)上級顧問は「戦争状態でもないのに真昼間に暗殺を敢行する北朝鮮が、国際社会の正常な一員となることはほぼなくなった」としたうえで「先制攻撃、政権交代シナリオがこれまで以上に重みを持って議論されることになろう」と語った。

難民を恐れる中国

—話を聞いていると、米国による北朝鮮への攻撃が今にも始まる気がしてきました。

鈴置:専門家は軍事的にはいつでも可能だし、早ければ早い方がいいと判断しています。ただ、政治的な問題が残っています。

北爆によって北朝鮮の核を除去し金正恩政権を倒した後、朝鮮半島の勢力圏をどう確定するか――までは米中間で合意ができていないように思われます。

—そもそも「北爆」を中国は嫌がりませんか?

鈴置:それにより、大量の難民が中国になだれ込むことは大いに警戒していると思います。一方、米国にしても、北朝鮮の「液状化」に伴う朝鮮半島の混乱に巻き込まれたくはないでしょう。

そこで米中が「北爆後の液状化」を避けるため、何らかの協力体制を模索する可能性が高いと思います。北朝鮮を国連、実質的には米中が共同管理するアイデアもあるのです。

21世紀に入ったころから米国は中国に対し「事後処理を話し合おう」と何度も呼び掛けたようです。しかし、中国側が応じなかったとされます。

ただ、状況が切羽詰まって米国が「北爆」のハラを固めれば、中国も協議に応じるしかありません。もう、応じているかもしれません。

激変する朝鮮半島の構図

—そこで米中の取引が始まるのですね。

鈴置:米国との交渉の過程で、中国は自らの脅威となっている在韓米軍の撤収、あるいは米韓同盟の廃棄を求めると思います。「事後処理での協力」との交換条件に持ち出せば、米国も飲むかもしれません。

米国にとっても在韓米軍は財政的な重荷になっています。朝鮮半島北部から「何をするか分からない政権」が消えれば米軍、ことに地上軍を韓国に置いておく必要性は減ります。

もちろん、米中の談合が成立する前に時間切れとなり「北爆」が始まる可能性もあります。いずれにせよ、今後予想される「半島の激変」に日本は身構えるべきです。

(次回に続く)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『欧州最後の“独裁者”に振り回されるロシア 人口1000万人弱の隣国が強気に出る理由』(2/24日経ビジネスオンライン 池田元博)について

本記事に金正恩に触れた件がありますので、Facebookで見た中朝関係の記事を紹介します。

金正男被毒殺後 習近平罕見公開提到對朝制裁

2017年2月24日 | Filed under: 時事動向

出訪中國的法國總理卡澤納夫周三(2月22日)在北京與中國國家主席習近平會談,在此期間習近平表示,世界需要穩定的歐盟作為推動力量,同時他也指出,中國與朝鮮的對話變得越來越困難,中國近期停止了朝鮮煤炭進口。分析稱,習近平在這次對外會談中公開提及朝鮮實屬罕見,表明這次對朝制裁可能由他親自下令。

 據法新社報導,正在出訪中國的法國總理卡澤納夫2月22日在北京與中國國家主席習近平會晤,習近平表示,中國願意看到一個穩定的歐盟,歐盟對中國來說具有着重要的意義。

法國外交方面消息稱,習近平還指出,中國與朝鮮的對話越來越變得困難,中國近期停止了朝鮮煤炭進口。卡澤納夫則低調的談到人權問題,他呼籲中國解除對法國報紙世界報(ル・モンドのこと)的網路封鎖。

旅美時政評論人士唐靖遠認為,習近平主動向法國來客提到對朝關係以及對朝制裁,顯示這次對朝鮮的制裁很可能是他親自批准的,其對朝政策可能有大的變化,他需要尋求歐盟的支持,這對金正恩來說肯定不是好消息。

據BBC中文網報導,朝鮮於今年2月12日再次試射導彈,遭到國際社會的譴責。日本首相安倍晉三表示對朝鮮試射導彈〝絕對不能容忍〞,韓國和法國也譴責了朝鮮的導彈試射,中共官方則沒有任何錶態。

報導稱,美國總統川普在競選總統期間曾經表示,將向中國施加更多壓力,對朝鮮進行控制。

據海外媒體大紀元報導,美國智庫外交關係委員會Jonathan Berkshire Miller對彭博社表示,朝鮮的〝生命線〞是源於中共的支持,而不是中國進口朝鮮煤炭。但是中共對西方所希望的施壓方式不感興趣。

中共是朝鮮的主要盟友和貿易夥伴。雖然川普敦促中共對朝鮮施壓,但是北京不願意觸發朝鮮的崩潰。

習近平當局2月18日宣布,今年將停止朝鮮的所有煤炭進口。美國專家認為,中國除了禁止進口朝鮮的煤炭,實際上還可以做得更多。

中國海關數據顯示,中國去年向朝鮮出口28億美元商品,包括逾1億美元的鋼鐵,5000萬美元的燃油和數千萬美元的大米和化肥。卡托研究所報告說,北京向朝鮮提供90%的能源供應。對金正恩政權來說,這些可遠比停止進口煤炭造成的現金損失更為重要。

前中共外交部朝鮮政策主管楊希雨對彭博社表示,習近平對朝鮮實施了政治壓力,表現在直到今日拒絕與金正恩會見。

自習近平上任以來,他從未訪問朝鮮或允許金正恩訪問北京。除了中共政治局常委劉雲山2015年10月參加朝鮮勞動黨慶祝之外,沒有其他中共高層官員訪問平壤。

【新唐人2017年02月23日訊】

金正男の毒殺後、習近平が珍しいことに対北制裁することを発表

2017年2月24日時事動向の記事

中国を訪問していたフランスのカズヌーヴ総理は、水曜(2月22日)北京で中国国家主席習近平と会談した。この間、習近平は、「世界は推進力としての安定したEUを望んでいる」、「中国と朝鮮の対話はますます困難になり、近く、中国は朝鮮からの石炭輸入を停止する」と発表した。彼の言ったことを分析すると、「習近平は今回の会談で朝鮮に対し公開で言及したことは珍しく、また今回の対北制裁はおそらく彼自身が命令を発する」と表明しました。

AFP通信に依れば、中国を訪問中のフランスのカズヌーヴ総理は、2月22日、北京で中国国家主席習近平と会談、習近平は「中国は安定したEUを見たい、EUは中国にとって重要な意味を持っている」と表明した。

フランスの外交筋からの情報は、「習近平は、中国と朝鮮の対話がますます困難になり、近く朝鮮からの石炭輸入を停止する」と表明した。カズヌーヴが提起した人権問題は低調に終わり、 フランス新聞のル・モンドのネット版の封鎖を解除するよう中国に要請した。

米国亡命中の時事評論家の唐靖遠は、「習近平は積極的にフランスからの客に対北関係と制裁に言及した。今回北朝鮮に制裁を課すことについて、おそらく彼自身が批准し、そのことは北朝鮮政策におそらく大きな変化を齎し、彼は本件でEUの支持を求めた。これは金正恩にとって必ずや悪い知らせである」と言った。

BBCの中国語版ネットに依れば、朝鮮は今年の2月12日に再度ミサイルを試射して、国際社会の譴責に遭った。日本の安倍晋三首相は朝鮮のミサイル試射に“到底容認できない”と表明、韓国とフランスは同様に朝鮮のミサイル試射を譴責したが、中国共産党の政府筋はいかなる態度の表明もなかった。

報道では、アメリカ大統領のトランプは大統領選の期間中、「中国にさらに多くの圧力をかけて、朝鮮をコントロールする」と表明した。

海外大手メディアの大紀元に依れば、アメリカのシンクタンクの外交関係委員会のJonathan Berkshire Millerはブルームバーグ社に、「朝鮮の“生命線”は中国共産党の支持であって、中国の朝鮮からの石炭輸入ではない。ただ中国共産党は、欧米が望む圧力をかけるやり方はおもしろくないと思っている」と表明した。

中国共産党は朝鮮の主要な盟友と貿易仲間である。トランプは中国共産党が朝鮮に圧力をかけるよう催促したけれども、北京は朝鮮の崩壊を触発したくはない。

「今年、朝鮮のすべての石炭輸入を停止する」と、習近平は2月18日になって宣言した。アメリカの専門家は「中国は朝鮮からの石炭輸入を禁止すること以外に、実際、まださらに多くのできることがある」と思っている。

中国の税関のデータははっきり示している。中国は去年、朝鮮へ28億ドルの商品を輸出した。その中には、1億ドルを越える鉄鋼、5000万ドルの石油、数1000万ドルの米と化学肥料を含んでいる。カトー研究所の報告は、「北京は朝鮮に90%のエネルギーを提供している。これは、金正恩政権に対して、石炭輸出による外貨獲得の供与と比べて難しいが、いっそう重要である」と述べている。

前中国共産党・外交部の朝鮮政策主管の柳希雨はブルームバーグ社に「習近平は朝鮮に政治的圧力をかけ、今日に至るまで金正恩と会見することを拒絶している」と表明した。

習近平が就任以来、彼はいまだ朝鮮を訪問せず、金正恩の北京訪問を許可していない。中国共産党の政治局常務委員の劉雲山が2015年10月に朝鮮労働党の慶祝時に参加したことを除いて、他の中国共産党の高級幹部はピョンヤンを訪問しなかった。

【新唐人 2017年02月23日のニュース】

ベラルーシ(旧白ロシア)はウクライナ、ロシアと合わせて東スラブ3兄弟と言われるほどの国でした。ウクライナは欧州に近づき、ベラルーシはプーチンを振り回すといった外患がロシアに続いているという事です。ウクライナ問題では欧米日の経済制裁を受ける羽目になりました。ウクライナへの準軍事侵攻は米国の工作にしてやられたことに対する逆襲だっただけですが。

プーチンとしてみれば、早くトランプと協議して、経済制裁を解除して貰いたいと願っているでしょうが、閣僚の指名も遅々として進んでいませんので対話しても下に降ろすことができません。また、今の米議会の雰囲気では、一気にロシアとの和解につき進むことはできないと思います。中国包囲網を完成させるにはロシアの中立化が必須条件ですが。米国もグローバリズムに汚染されているのでしょう。馬渕睦夫氏によればナポレオン戦争後のウイーン会議でロスチャイルドが提案した中央銀行の民営化をロシア皇帝が蹴ったことから、欧米はロシアを敵視するようになったとのことです。

http://www.kanekashi.com/blog/2015/01/3751.html

トランプの真の敵もユダヤグローバリズムであり、プーチンの真の敵もユダヤグローバリズムで手を組むには良いのですが、如何せん相手は世界の金を牛耳る勢力ですから、あらゆる手段を使って妨害しようとします。中国の共産主義とグローバリズムとは相性が良いのでしょう。中国の人権抑圧など歯牙にもかけず、金が儲かれば良いという強欲ぶりです。マルクスもレーニンもユダヤ人ですので。ロスチャイルドがナポレオン戦争で金儲けをし、財を成したので、今度は米中戦争で金儲けを考えているのかも知れません。

プーチンは習近平の金正恩切りのようにルカシェンコ大統領を切れるかどうか。ロシアは懐柔するしかないでしょう。北朝鮮もベラルーシも独立国ですが、それぞれ中国、ロシアの属国扱いされています。習近平は、米国の金正恩への斬首作戦(早ければ3月にも)の後、金漢率(ハンソル)をたてて、北を統治しようと考えているのでは。江沢民派としての瀋陽軍閥と北との関係を一気に習派に切り替えられますので。米中密約している可能性はあります。韓国はそうなればどういう行動に出るでしょうか?THAADの配備で国論を二分するのでは。約束してもすぐに反故にする国なので。

記事

ロシアが隣国の“独裁者”に振り回されている。近隣の独裁者というと、思い浮かぶのは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長かもしれないが、そうではない。西の隣国ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領だ。

2016年2月、ベラルーシの首都ミンスクで行われた首脳会談の際の、ベラルーシ・ルカシェンコ大統領(左)とロシア・プーチン大統領(写真:Sputnik/Kremlin/ロイター/アフロ)

7時間超すマラソン会見でロシアを批判

ベラルーシはロシアとポーランドの間に位置する小国だ。ロシアと同じスラブ系主体の国家で、人口は1000万人弱。かつてはソ連を構成した共和国のひとつで、最も親ロシア的な国とされてきた。そのベラルーシとの関係に、ロシアが困惑しているのはなぜか。

(出所:外務省ホームページ)

事の発端は今月3日、ルカシェンコ大統領が国内で開いた記者会見だ。7時間を超す異例のマラソン会見で、ロシアへの不平、不満を並べ立てたのだ。

大別すると、大統領の不満は3つ。ロシアからのエネルギー供給問題、両国間の国境管理問題、そしてロシアによるベラルーシからの食品輸入制限の問題だ。

まずはエネルギー問題。ベラルーシは石油、天然ガスの調達をロシアに依存しているが、ロシアはガスの未払い代金が5億5000万ドルに上ったことを理由に、年初からベラルーシ向けの原油供給量を一方的に削減し始めた。大統領はこれを「合意違反だ」としてかみついたのだ。

天然ガスの未払い代金は、契約価格が1000立方メートル当たり132ドルだったにもかかわらず、ベラルーシが昨年、年間を通じて同107ドルしか払わなかったために発生した。

ところが、ルカシェンコ大統領は国際的な原油安の状況を踏まえれば、ロシア産のガス価格は同83ドルが妥当だと主張。ベラルーシにはガス代金の支払額を引き下げる権利があるとし、それにもかかわらず、ロシアが原油供給の削減という手法で圧力をかけるのは「違法」と断じた。

「我々は兄弟国ではなかったのか?」

大統領はロシアの油田開発権をベラルーシ企業に付与することまで要求。さらに「我々はイランやアゼルバイジャンの原油を調達すれば、ロシアの原油なしでもやっていける。ロシアはそれが分かっていない」と、ロシア政府の高圧的な対応に激しい怒りをぶつけた。

ロシアによる「国境ゾーン」の設置に猛反発

次に国境管理の問題。ベラルーシはロシアが主導するユーラシア経済同盟に加盟し、両国間の国境管理も原則廃止されている。

ところが、ロシア連邦保安庁(FSB)は最近、ベラルーシとの国境地域のスモレンスク、ブリャンスク、プスコフの3カ所に「国境ゾーン」の設置を命じた。ルカシェンコ大統領はこの決定が国境管理の復活につながると猛反発したのだ。

実は、ルカシェンコ大統領は先月、米欧や日本を含めた80カ国を対象に、5日以内の滞在なら査証(ビザ)なしで入国を認める大統領令に署名した。ロシアによる「国境ゾーン」の設置はそれに対処したもので、FSBは特にベラルーシ経由のテロリスト流入を阻止するのが目的とする。しかし大統領は事前に何ら打診もなかったとし、「両国関係を悪化させるだけだ」と非難した。

そして食品の輸入制限問題。大統領はロシア連邦動植物検疫監督庁が衛生管理の問題を理由にベラルーシからの食肉、乳製品などの輸入を頻繁に禁止、制限していると非難。同庁長官の対応が「ベラルーシ国民に多大な損害を与えた」として、刑事事件として立件するよう内務省に指令したと述べた。

これもロシアには言い分がある。欧米の食料品輸入禁止措置との関連だ。

ロシアはウクライナ領クリミア半島を併合した2014年以降、欧米からの食料品輸入を禁止している。ウクライナ危機に伴って欧米が発動した対ロ経済制裁への対抗措置だが、禁輸対象の欧米の食料品がベラルーシ経由でロシア市場に流入するケースが頻発した。ロシア当局にしてみれば、ベラルーシからの食料品の輸入には、ことのほか目を光らせなければならないというわけだ。

今月前半に予定されていたモスクワ訪問も見送り

ベラルーシはかつて、ロシアによるクリミア併合を支持した数少ない国のひとつだ。2014年3月、国連総会で「ウクライナの領土一体性」に関する決議を採決した時も、ロシアを除く旧ソ連諸国で「反対」した国はアルメニアとベラルーシだけだった。

ただし、ウクライナ危機にはかなり神経をとがらせており、ドイツとフランスが仲介した停戦協議の場を提供したこともある。もちろん、ロシアが発動した欧米からの食料品禁輸措置には否定的で、しかも自国に「多大な損失」を与えているとすれば、大統領として黙っていられなかったのだろう。

ルカシェンコ大統領はこうした一連のロシアの措置に善処が見られない限り、プーチン大統領と会談しても「意味がない」として、国際会議の場を含めた両国の首脳会談を拒否する構えだ。現に昨年末にサンクトペテルブルクで開いたユーラシア経済同盟の首脳会議は欠席し、今月前半に予定されたモスクワ訪問も見送られた。

ベラルーシ大統領の尋常でない「憤り」に慌てたのがロシアだ。ロシア大統領府はルカシェンコ大統領のマラソン会見があった当日、さっそく両国関係に関する異例のコメントを発表した。

ロシアはベラルーシとの統合プロセスの継続を優先課題とみなしている――。コメントは両国関係の重要性を強調するとともに、経済問題は実務協議を通じて冷静に解決すべきだと指摘。「国境ゾーン」の設置も第三国の市民を対象にしたもので、国境管理を導入する意図は毛頭ないと弁明した。

一方で、エネルギー問題に関しては、「ロシアは2011年から2015年にかけ、毎年1800万~2300万トンもの原油を関税ゼロでベラルーシに供給してきた」と言明。それに伴うロシアの歳入減は223億ドルに上ったと具体的数字を挙げ、いかに多額の支援をベラルーシに施しているかを訴えた。

所詮、ロシアの支援抜きには国家経済が成り立たないのに、あれこれ文句をつけるとは何事か。ロシア大統領府のコメントからは、そんな不満もにじみでているようにもみえる。

べラルーシの怒りを放置できない理由

ロシア国民の反発も強まっている。全ロシア世論調査センターが先に実施した調査では、市場価格より安い価格でのベラルーシへの原油・天然ガス供給に69%が反対し、78%が両国間のビザなし制度を廃止すべきだと回答した。

しかし、プーチン政権がルカシェンコ大統領の怒りをそのまま放置しておけないのも事実だ。

国内人気が高いルカシェンコ氏は1994年に大統領に就任して以降、すでに5選を果たしている。「兄弟国」ロシアとの関係を最優先にするとともに、かつては国内で野党勢力の弾圧やメディア統制を強めたことから「欧州最後の独裁者」と呼ばれた。欧州連合(EU)が制裁を科したこともあった。

ところが、ウクライナ危機の長期化の影響もあって、ロシアとベラルーシの関係は次第にぎくしゃくしつつあるのが実情だ。ルカシェンコ大統領自身、欧州との関係にも配慮するようになり、政治犯の釈放などにも応じた。EU側も昨年、人権問題で改善がみられたとして制裁の大部分を解除している。

大統領が80カ国の市民を対象に、ビザ免除で短期入国を認める措置を打ち出したのも、西側との関係改善と交流拡大を視野に入れたとみられる。

こうしたベラルーシの“ロシア離れ”を黙認すれば、ロシアにとって打撃となりかねない。まず、ロシアが主導するユーラシア経済同盟への影響だ。現在はベラルーシのほか、カザフスタン、アルメニア、キルギスが正式加盟しているが、その成果は乏しく加盟国の不満も多い。仮にベラルーシが抜けるようなことがあれば、この同盟がますます形骸化しかねない。

ベラルーシの地政学的な重要性

さらにロシアが危惧しているのは、北大西洋条約機構(NATO)対策という安全保障への影響だ。ベラルーシはポーランドや、バルト諸国のラトビア、リトアニアと国境を接する。いずれもNATO陣営の中で反ロシア色が最も強い国々だ。ロシアにとって、ベラルーシの地政学的な重要性は増している。

ロシア軍はかねてベラルーシにも空軍を展開している模様だが、ウクライナ危機で緊張が高まって以降、NATOに対する抑止力強化が喫緊の課題となっている。プーチン政権はその一環として2015年、ロシア軍の空軍基地設置を認める合意文書に署名するようベラルーシに要請した経緯がある。

しかし、ルカシェンコ大統領はロシア側の要請を拒否。先の会見でも「ロシアは空軍基地を設置するのではなく、我が国に軍用機を引き渡すべきだ」と強弁した。こうした発言には、ロシアがベラルーシを独立国家ではなく属国のようにみなしていることへの不満もにじむ。

かといってロシアの支援が命綱なのが現実だけに、ルカシェンコ大統領の執拗な対ロ批判はロシアからより多くの援助を引き出す戦術といえなくもない。両国の関係が完全にこじれることはないとみられるが、ロシアも隣国の“独裁者”の機嫌取りを怠ると、将来的に大きな痛手を被りかねない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「借金踏み倒し人リスト公表」は中国を変えるか 裁判所サイトに顔写真掲載、規制強化の効果は』(2/24日経ビジネスオンライン 北村豊)について

中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というものです。返す気がハナからない人に金を貸す方が悪いというものでしょう。小生の中国駐在時代、98年深圳で工場を立ち上げたときに、敵会社の工作により、会社に資本金が振込めない状況に陥り、「ない袖は振れない」状態になりました。建設業者等に支払うことができないので、「待って下さい」としか言えませんでした。会社にずっと寝泊まりして督促した者もいましたが、如何せん金がないので、どうすることもできませんでした。新華社の記者を使い、役所に「記事にする」と脅させて振込可能にして決着しましたが。

人民幣(renminbi)に印刷されていますのは毛沢東です。天安門に掲げられているのも毛沢東の肖像画です。中国人民を2000万から8000万(正確なデータが取れないため、幅が大きい)も殺した張本人です。それを国の英雄として崇め奉まっている所に中共の倒錯した心理が窺われます。中国人民民も海外に出るチャンスが増えていますので、反日に邁進するのでなく、正しい歴史を学び、共産党を打倒したらどうかと思います。

中国では「上に政策があれば、下に対策あり」と良く言われます。北村氏が言いますように、個人情報を公開しても本人は何とも思わないでしょう。金を持っていれば、公安に賄賂を贈り、偽の「身份证」を作って貰い、「银联卡」や「信用卡」も簡単に作れてしまいます。航空券も簡単に取れるはずです。小生が考えつくくらいのことは悪辣な中国人が考えつかないはずがありません。

日本も個人情報保護にだけ力点を置くのではなく、公共の安寧にも目を向けるべきでしょう。昨日のブログでも指摘しましたように、日中or台中or米中で戦争が始まれば、必ずや在日中国人が破壊工作をすると渡部悦和氏は述べています。「自警団“vigilante group”」を作って警戒に当たるべきです。「防犯パトロール」とか「火の用心」をやっているのですから問題ないでしょう。また警察は在日中国人と在日朝鮮人の動向を把握しておかなければ。中国は当然、在中日本人の動向をチエックしていますし、盗聴もしています。動向把握でしたら相互主義でやってもおかしくないのでは。敵性分子です。

記事

中国語の“老頼”という言葉は、「借金を踏み倒す人」を意味する。それも、借金の返済能力が無い訳ではないのに、勝手な理由をつけて借金の全部あるいは一部を返済しない人を指す。大多数の老頼は借金する時には低姿勢だが、一度借りてしまったら、借りたカネは自分の物と考えて、なんだかんだと理由を付けて返済を渋り、貸手が諦めるのを待つ。それでも諦めないと姿をくらます。なお、老頼には、未払い賃金を延々と先延ばしして支払わない経営者や交通事故を起こしながら被害者に治療費や慰謝料を支払わないまま放置する加害者などの輩も含まれる。

個人も法人も“老頼”が跋扈

中国の“法院(裁判所)”にはこうした質の悪い老頼を相手取った借金返済を要求する民事事件の告訴が殺到している。裁判所は告訴を受理した後、事件の詳細を調査した上で、原告の要求が正当と認めれば、被告に対して借金の返済を命じる判決を下すことになる。しかし、面の皮が厚い老頼たちは、裁判所の判決など歯牙にもかけず、カネがないから払えないと知らぬ顔の半兵衛を決め込む一方で、返済に充てるべきカネを密かに隠匿してほくそ笑んでいるのである。

これは中国で事業を行っても同様で、品物を納入したらすぐに代金を支払うと約束していながら、容易には支払ってくれないことが多い。代金の支払いを先延ばしすればするほど、社内の業績評価は高まるのだそうで、「支払いを受けたければ値引きしろ」だの、「部品を無償供給しろ」だのと駄目元の要求を出し、全て拒否されたのを確認してから渋々支払いに応じることが多い。中国企業にはこのように支払いを半年でも1年でも先延ばしできて初めて一人前という伝統的な観念があるのかも知れない。従い、老頼は個人に限ったものではなく、企業や法人にも適用される概念である。

さて、老頼が裁判所の判決を無視して借金の返済を行わない場合は、原告からの執行申請を受けて、“法院幹警(裁判所所属の司法警官)”が判決に基づき借金の回収を執行することになるが、海千山千の老頼を相手では執行が困難である場合が多く、簡単には全面解決と行かないのが実情である。なお、裁判所の判決により法の執行を受ける人を“失信被執行人(信用喪失被執行人)”と呼ぶ。

ブラックリスト入りで“信用懲戒”

中国の“最高人民法院(最高裁判所)”は2013年7月16日付で『信用喪失被執行人名簿情報に関する若干の規定』を公布し、同規定は同年10月1日に発効した。同規定の前文には、「被執行人に法律文書で発効し確定した義務を履行する自覚を促し、社会信用体系の建設を推進するため、『中華人民共和国民事訴訟法』の規定に基づき、裁判所の実務と結びつけて、本規定を制定する」とあった。また、その第1条には「被執行人が履行する能力を有しながら、法律文書の発効で確定した義務を履行せず、下記する6項目(詳細略)の一つに該当するならば、裁判所は同人を信用喪失被執行人名簿に登録し、法に基づき“信用懲戒(信用処罰)”を実施する」と規定されていた。

「信用喪失被執行人名簿」とは、中国政府が社会信用体系を確立するために作った「老頼ブラックリスト」と言える。この老頼ブラックリストには、後述するように信用喪失被執行人の氏名、性別、年齢、身分証明書番号、同人が履行すべき義務、信用喪失の内容などが登録される。

それでは、その信用処罰とは何なのか。ブラックリストに登録された信用喪失被執行人は、身分証明書の提示が必要な航空券、列車のソフト寝台や高速列車の乗車券(1等席以上)が買えないばかりか、クレジットカードも使用できないし、スタークラスのホテルにも宿泊できない。銀行から融資を受けたくとも受けられないし、住宅を購入することも、株式を買うこともできない。そればかりか、企業の法人代表、取締役、上級管理職などの地位にも付けない。また、企業ならば政府入札にも参加できないし、融資も受けられない。さらに、信用喪失被執行人の名前は必要に応じて新聞、ラジオ、テレビ、インターネットを通じて社会に公表される。信用喪失被執行人が極めて悪質と判断されれば、顔写真付きで手配されることもあるし、時には懸賞金までかかることもある。

さて、2月14日付で中国の各メディアが「全国の裁判所が延べ615万人の航空券購入を規制」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

処罰範囲をさらに拡大

【1】2月14日に“最高人民法院(最高裁判所)”から入手した情報によれば、2013年に「信用喪失被執行人名簿データバンク」が開設されて以来、現在までに全国の裁判所が規制した老頼による航空券購入は延べ615万人、高速列車の乗車券は延べ222万人に上っている。<注1>

<注1>「規制」とはチケットを購入できなくすることを意味する。下記【3】で述べるインターネット捜査システムにより身分証明書番号を入力すると瞬時に当該人物がブラックリストに登録されている信用喪失被執行人に該当するか否かを調べることができる。

【2】2016年3月に最高人民法院院長の“周強”は、第12期全国人民代表大会第4回会議で「2~3年以内に執行困難を基本的に解決する」と言明したが、その言葉通り、2016年に全国の裁判所が受理した執行申請件数は529.2万件であったのに対し執行件数は507.9万件に達し、それぞれ前年比27.2%、33.1%の上昇を示し、執行件数は大幅に改善された。

【3】最高人民法院“執行局長”の“孟祥”は次のように述べた。

(1)執行困難の問題を解決するため、最高裁判所は2014年末に「本部対本部」の“網絡査控系統(インターネット捜査システム)”を開通させた。同システムはすでに3400以上の銀行および公安部、“交通部”、“国家工商行政管理総局”、“中国人民銀行”などの機関とネットワークを組み、被執行人の預金、車両、証券など14種類16項目の情報を全国範囲で捜査することが可能である。全国に3520か所ある裁判所は全てこのシステムを使うことができる。たとえば、甘粛省の裁判所の裁判官は彼の執務室に座って被執行人が河南省の“郷鎮銀行(田舎の銀行)”に持つ預金の状況を捜査することができる。これは過去には到底考えられないことだった。

(2)統計によれば、現在までのところ、全国の裁判所がインターネット捜査システムを利用して捜査した事件の総数は975万件で、凍結した金額は752億元(約1兆2400億円)、突き止めた車両は1427万台、証券は133億株、漁船・船舶は12.6万艘、インターネット銀行の預金は2.37億元(約39億円)であった。

(3)信用喪失被執行人名簿データバンクには、現在までに673万人が登録されている。昨年(2016年)12月末、最高人民法院と“公安部”、“中国民航信息網絡股份有限公司(中国民間航空情報ネット株式会社)”、“中国鉄路総公司(中国鉄道総公司)”は共同で、当事者の身分証明書とその他の証明書を照合することにより、信用喪失被執行人が各種身分証明書を提示して飛行機や列車のチケットを購入するのを徹底的に規制した。

(4)信用喪失被執行人に対する処罰範囲をさらに拡大するため、最高人民法院は“国家発展改革委員会”など44の機関や企業と備忘録を締結し、信用喪失被執行人に対する55項目からなる多面的な規制を実現した。現在までに、信用喪失した企業の法人代表や上級管理職は7.1万人に及んでいる。“中国工商銀行”1行だけでも信用喪失被執行人として融資申請やクレジットカード申し込みを拒否された人数は55万人に達し、関連する資金の総額は69.7億元(約1150億円)に上っている。

(5)裁判所は今までは積極的には行われていなかった国家機関や国家事業組織の従業員、最下層の人民代表、政治協商会議委員、党代表などを信用喪失被執行人名簿に登録しようとしている。また、一部の人々は信用喪失被執行人にされたことで、“開除(懲戒免職)”、“撤職(免職)”、“降級(降格)”などの処分を受け、関連する資格にも影響を受け、採用や昇格を取り消されたりしている。

2014年3月3日、中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」のウェブサイト“人民網(ネット)”は、最高人民法院が初めて発表した全国の「“老頼黒名単排行榜(老頼ブラックリストランキングリスト)”」を掲載した。それによれば、信用喪失金額が最高の老頼は、広東省の“閻占新”であり、その信用喪失金額は3.8億元(約62.7億円)であった。ランキングリスト上にある閻占新の名前をクリックすると詳細が表示されるが、その内容は以下の通り。

同ランキングリストで信用喪失金額が最高の法人は広東省“江門市”の管轄下にある“開平市”に所在する“佳江温泉有限公司”で、その信用喪失額は3.5億元(約57.8億円)であった。信用喪失事件を50回以上起こしている個人は全国に7人おり、個人の信用喪失事件の最多回数は79回であった。また、2つの法人が信用喪失事件を100回以上引き起こしていた。信用喪失時間は個人の最長が24年、法人の最長が20年であった。

地方裁判所が「ブラックランキング」公表

最高人民法院のウェブサイトを調べても上記の老頼ブラックリストランキングリストが最初の最後で、2014年3月以降のランキングリストは掲載されていない。その代わりに、それ以降は各地の裁判所がウェブサイト上で「“老頼曝光(老頼公表)”」と題して信用喪失被執行人に対する執行申請状況を一覧表で公開している。そこには、【通し番号】、【氏名/名称(法人名)】、【執行番号】、【執行申請金額】が列記され、誰が信用喪失被執行人であるかが一目瞭然となっている。

2017年の“春節(旧正月)”は1月28日だったが、春節間近な1月13日、広東省“中山市”の“中山市第一人民法院(地方裁判所)”は、ウェブサイトに特に悪質な老頼10人を特大の顔写真付きで公表し、ポータルサイト上にも掲載した。そこには「春節は間もなく到来する。老頼たちよ、もう運が良ければカネを返さないで済むなどと駄々をこねることは止めなさい。さもないと、家に帰るチケットを購入する資格さえも剥奪されます。早く老頼の群れから離脱して誠実な人間になり、家に帰って心安らかに年を越しなさい」との呼びかけがなされていた。10人の内訳は、男女各5人であったが、このうち20代後半から30代前半で最年少と思われる“張花”という女性の写真の下に書かれていた詳細を例として示すと以下の通り。

張花が支払うべき金額の合計は7万1000元(約118万円)だが、彼女は裁判所の判決を無視して身を隠しているものと思われる。裁判所が特に悪質な老頼と認定し、警察の指名手配と同様に特大の顔写真付きで公表したのは、張花が完済できる資金を持っていることを確認してのことだと思われる。

すでに述べたように信用喪失被執行人に認定されると種々の規制が加えられるが、生活する上で一番困るのは高額消費の制限であるという。その概要は以下の通り。

(1) 列車、飛行機の乗車・搭乗制限 (2) 旅館・ホテルの宿泊制限 (3) 高額旅行(含海外旅行)の制限 (4) 子女の高学費学校での修学制限 (5) 高額保険への加入制限 (6) 家屋の新築、増築、高級改装の制限

返済促進、効果やいかに

大々的に老頼公表が実施されると、信用喪失被執行人は身動きが取れなくなり、自ら出頭して来る比率が高まるという。彼らにとって一番の泣き所は上記(4)の「子女の高学費学校での修学制限」で、無理やり転校させて子供に迷惑をかける訳には行かないと渋々借金の返済に応じるという。社会全体が“向前看(前向きになる)”と同じ発音の“向銭看(カネ儲け第一主義)”に染まっている中国では、いくら裁判所が頑張っても信用喪失被執行人が増えることはあっても減ることはないように思えるのだが、どうだろうか。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『トランプ外交をよむ(2)東アジア関与継続 求めよ 米中の対峙回避、目配りを 川島真・東京大学教授』(2/24日経朝刊)、『米中戦争 そのとき日本は 渡部悦和著 軍事能力を分析し備えを提案』(2/12日経朝刊 川島真)について

渡部氏の『米中戦争 そのとき日本は』は日本国民全員必読の書です。戦争が嫌いだからと言って目をそむけるだけでは“ostrich policy”の持主になってしまいます。ハーバード大学ケネデイ・スクールのグラハム・アリソン教授は「トウキュデイデスの罠」に注目、「過去500年間の歴史の中で台頭する大国が既存の大国に挑戦する場合、16ケース中の12ケースで戦争になった。4ケースは戦争に至っていない。戦争は回避できないわけではないが、「トウキュデイデスの罠」から逃れるには大変な努力がいる。米中間の戦争は現時点で我々が認識するよりも蓋然性が高い」(P.21)と警告しています。ナバロはこれを読んで主張したのでは。

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/23117.html

読後の感想として大事なポイントと思った部分を列挙します。(順不同)

  • 中国の主張する第一列島線は日本全体だけでなく、カムチャッカ半島をもカバーしている。
  • 日中・米中で戦争が起きれば、在日中国人が必ず破壊工作をする。大陸に人質を取られているので嫌々でもやらなければと思う人もいる。「共謀罪」に反対している民進党や共産党は中国の手先でしょう。
  • 米日とも中国に先制攻撃はしない。(空手に先手なしと同じ。作戦行動に制約を受ける。中国を有利にするだけ)
  • 陸・海・空・サイバー・宇宙のドメイン全部での戦争になる。中国は超限戦を主張している。各ドメインでのKFSはC4ISR(指揮(Command)、統制(Control)、通信(Communication)、コンピューター(Computer)の4つのCと、情報(Intelligence)、監視(Surveillance)、偵察(Reconnaissance)のこと)。
  • 脅威=能力×意思÷距離。台湾海峡有事になった時に米軍は苦労する。嘉手納基地も米軍がいるので攻撃を受ける。南沙諸島は米軍有利。尖閣は日本の機雷敷設と潜水艦と戦闘機の能力で日本が有利。但し、POSOW(Paramilitary Operations Short Of War、準軍事組織による、戦争には至らない作戦)を中国は取ってくる可能性あり。今のままでは日米は警察・海保でしか対応できず。法的整備と警察・海保・自衛隊の縄張り争いをせずに連携して対応が必要。
  • 電磁レールガンとDEW(directed-energy weapon)の開発が核ミサイルを無力化?
  • 継戦能力。石油備蓄、装備の充実と消耗品の在庫。ACSAを多国間で締結。敵基地攻撃能力も。
  • バランスオブパワーこそが戦争の抑止になる。日米同盟の緊密化が必要。オバマは口先だけの男で中国の脅威を増大させて来ました。トランプを支援せねば。もうこれ以上時間の利益を中国に与えてはなりません。
  • レーニンは、資本家は自分の吊るされる縄を綯っていると喝破しました。日米で中国の軍事力拡大に手を貸してきました。中国経済を伸ばすために投資の形で支援してきました。ピルズベリーによれば軍事支援もしてきたとのこと。愚かです。日本の技術者も大陸に渡って技術支援しています。人質になる危険性もあるので帰った方が良いでしょう。日本企業も国内で高齢者と雖も雇用を増やすことを考えないと。
  • 中国はOTHレーダーを持っています。対抗して石垣島にTHAADを配備させるのはどうでしょう?

2/24の記事で川島氏は中国のいう「一つの政策」と日米のいう「一つの政策」の違いを的確に述べています。“recognize”と“acknowledge”の違いです。日本の平和も米中の出方次第で、破られる可能性が高いです。先ずは経済(金融)制裁から始まるでしょうけど。日本人も最悪の事態を想定して、準備をしていきませんと。地下に防空壕は必須でしょう。また、左翼リベラルメデイアの言説に惑わされないようにしてほしいです。

2/24記事

トランプ政権発足から1カ月がたち、対外政策の輪郭がおぼろげながらみえ始めた。対中政策についても習近平国家主席と電話会談をして、米国の「一つの中国」政策を引き続き尊重する旨を伝えた。米中関係や台湾問題の大枠には変更がないことを示している。日米間でも日米安保の重要性が確認され、東アジアの国際関係の枠組みは従来通りであるかにみえる。だが依然不透明な点が多く、現段階で見通しを立てるのは難しい。

政権発足前の著作だが、国家通商会議議長のピーター・ナバロ氏の「米中もし戦わば」(Crouching Tiger: What China’s Militarism Means for the World)は米中間の覇権交代の可能性を前提に議論を進める。また大統領選の投票日直前に米誌フォーリン・ポリシーに掲載されたナバロ氏とトランプ陣営の上級政策顧問だったアレキサンダー・グレイ氏のアジア・太平洋政策に関する共同論文は、レーガン政権に倣い、軍事力の拡大に基づく「力による平和」を実現するとしている。

2つの著作からは中国に厳しく対峙する米国の姿が想定されるが、これらが政策として現実になるかは未知数だ。

まず比較のためオバマ前政権の政策を確認したい。東アジアに対して進めたリバランス政策は、同盟国との関係強化と経済貿易政策としての環太平洋経済連携協定(TPP)の両輪から構成されていた。また東南アジア諸国連合(ASEAN)を重視し、東アジアの多国間枠組みにも積極的に関与した。戦略的には中国を意識していたのだろう。

そして米中2国間関係では当初「G2論」を提起したものの、次第にその姿勢を厳しくし、南シナ海で航行の自由作戦などを展開した。

だがオバマ政権期には米中が相互に相手を尊重する関係が築かれた。さらに米中間には多様で多層な対話の枠組みが形成された。その政策の基調は対話路線にあり、安全保障面でもヘッジ(回避)の一方で、常にエンゲージ(関与)を維持してきた。航行の自由作戦を展開しつつ、米中合同軍事演習を実施し、環太平洋合同演習(リムパック)にも招待したのがその好例だ。

それだけにオバマ政権の対中政策は中国に極めて融和的に映っていただろう。中国を適切にシェイプ(形づくる)するという政策の意図も中国側に届いていたか疑わしい。一方で、オバマ政権が進めた同盟国間のネットワーク形成は中国には脅威に映ったのではないか。

現時点で判断は難しいが、トランプ政権の安全保障面での対中政策は前政権に比べて厳しくなるとみられる。だがそれほど事態は単純でない。

第1に「力による平和」政策での同盟国の位置づけが依然判然としない。日米同盟については首脳会談で重要性が確認されたが、韓国やオーストラリアとのネットワーク形成推進については不明確だ。

第2にTPPからの米国の撤退だ。中国は今年5月に「一帯一路サミット」の開催を予定している。経済金融面でのルールづくり、公共財の提供という場から米国が撤退・後退すれば、中国にとっては好機となる。世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での習近平氏の発言もこうした状況を踏まえている。

第3にASEANを起点とする国際協力や東アジアサミットへの関与の減退だ。トランプ政権は明確に多国間枠組みに対して消極的だ。南シナ海で航行の自由作戦を維持するにしても、東南アジアへの関与が減れば、米国の影響力は漸減していくだろうし、中国からみて戦略的好機が到来する。日豪がいかに事態に対処するかが課題になろう。

とはいえ政権発足後1カ月間の東アジア政策は比較的オーソドックス(正統)だ。まずは「一つの中国」政策の原則的維持である。米中首脳の電話会談で同政策の基本的な維持について言及がなされた。1972年、78年、82年の米中共同声明、79年の台湾関係法などを骨子とするのが米国の「一つの中国」政策だ。

しかしこれを維持することは、中国の「一つの中国」原則を受け入れることとは異なる。外交関係を持つ以上、中華人民共和国政府を中国政府と認めることは確かではあるが、中国は一つであるとか、台湾が中国の領土の不可分の一部分であるといった点について米国は「認識(acknowledge)」しかしていない。

米中電話会談を経てトランプ氏は安倍晋三首相と首脳会談に臨み、日米安保の重要性を確認し、また朝鮮半島問題にも言及した。つまりトランプ政権は同盟国との関係を維持しつつ、台湾海峡、朝鮮半島に関する立場も維持するという姿勢を示したのである。

トランプ政権の対中政策の当面の焦点は経済問題だろう。米国の貿易赤字の最大の相手は中国だし、大統領が最も固執する雇用創出の面からみても米中経済問題の解決は重要だ。また選挙期間中に為替操作国として中国を批判したことも記憶に新しい。

2月17日のムニューシン米財務長官と中国の汪洋副首相や周小川・中国人民銀行総裁らとの電話会談で、均衡のとれた米中経済関係を築いていくことで合意したという。米国政府の為替、貿易を巡る中国問題の位置づけを示す報告書が今後作成されるだろう。

米国は経済問題で中国の現状維持を認めるわけでなく、必ず何かしらの譲歩を引き出そうとするとみられる。その際に中国が一定の譲歩に応じるかどうか、粘り強い交渉が続けられるかが焦点となる。

以上のように、トランプ大統領は選挙期間中に述べていた「一つの中国」政策の見直しの可能性、為替操作国指定、中国製品への高関税付与といった一連の発言をいったん取り下げた格好になっている。これは日本に対する防衛費負担問題などに関する批判を取り下げたこととも重なる。結果的には対東アジア・北アジア外交では、比較的オーソドックスな政策が採用されており、国際政治上での「取引(ディール)」の兆候は具体的にはいまだみられない。

むしろ選挙期間中も含めたトランプ発言による「揺さぶり」を利用して、従来通りの路線を採用して相手を落ち着かせ、外交成果を上げるというのがトランプ外交のスタイルでさえあるかのようだ。

東アジアからみた場合、米中間の争点となるのはインド洋から東南アジアに至る空間だと考えられる(図参照)。トランプ政権はインド洋にいかに関与するのかまだ不明確だが、ASEANを基軸とした国際協力枠組みとは一定の距離をとるだろう。また同盟国との2国間関係には関心を払っても、同盟国間のネットワークという多国間枠組みへの関心も判然としない。

これに対して中国は、ブルネイ、スリランカなどで港湾建設、経営に関わり「一帯一路」政策の下に、経済活動とジブチの海軍基地へと至る海軍の世界展開を結びつけている。また米国がこの地域から後退すれば、ASEANを中心とした枠組みでの中国の発言権は一層増すだろう。

それでも中国が東アジアで国際主義を採っているうちはまだよいとの見方もある。最悪のシナリオは、中国が「チャイナファースト」となり、東アジアでの多国間主義を放棄し、トランプ政権に対峙する事態かもしれない。日本はそうならぬよう米国にこの地域への関与継続を求めつつ、豪州や韓国と連携し、中国とともに多国間主義を支える姿勢を示してもよいだろう。

ポイント ○対中安全保障政策は前政権よりも厳しく ○政権発足後の東アジア政策は比較的正統 ○「中国第一主義」に走らぬよう働き掛けを

かわしま・しん 68年生まれ。東京大博士(文学)。専門はアジア政治外交史

2/12日経記事

本書は、元陸上自衛隊東部方面総監である著者が、米中それぞれの軍事能力、戦略を客観的に、専門的に考察し、米中衝突のシナリオとその展開の予測、日本の果たすべき役割について記した著作である。米中戦争など起きる筈(はず)はないなどというのはまさに「思考停止」であり、最悪の事態を想定して万全の備えをすべきだと著者はいう。

(講談社現代新書・840円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

著者は、中国について、特に1996年以降着実に軍事能力を上げつつ、習近平の下で軍事改革を進めていると見る。中国は、あらゆる限界を超えて作戦を遂行する「超限戦」を想定し、陸・海・空・宇宙・サイバーの各ドメインでアメリカに学びながら着実に差を縮めているという。その能力は衛星攻撃やサイバーなどの面で躍進しているが、まだ弱点も少なくなく、たとえA2/AD戦略でアメリカのエア・シーバトルに対峙しても、総合力では簡単に米軍に追いつかないという。時間軸から見れば今後5年から15年はこのままで推移するものの、次第に米軍の支配空間は小さくなり、東アジアは将来的に中国の影響下に入る可能性があるとも示唆する。

本書の分析には幾つかの特徴がある。第1に、脅威について一般に「意思と能力」で判断するが、対象までの「距離」を重視すべきだという。東シナ海、台湾海峡、南シナ海など、米中衝突の可能性のある場所まで、それぞれの基地や拠点からどれだけの距離があるかを本書は重視する。これは説得的である。第2に、これは著者からすれば当然だろうが、電磁レールガンなどの新たな軍事技術など、アメリカ側の軍事技術の開発も考慮している点だ。その上でおこなわれるスコアカードというシミュレーションも読者には新鮮だろう。それにより、アメリカは依然として優勢だが、その優位性が次第に失われてきていることにも気づかされる。

本書は米中の双方を「等身大」に捉えながら、客観的、かつ具体的に軍事力と戦略を見据えて、米中戦争の可能性と結果を見定め、とかく偏りがちな日本の安全保障に関する言論を諌(いさ)めていることがわかる。その日本について著者は、大災害などが複合的に生じる「同時に生起する複合事態」への警戒が必要としつつ、安全保障については自己規制を解き、一方で自力で国土防衛する能力とともに、他方で日米により統合作戦を実施する能力を高めるべきだと提案する。尖閣諸島周辺での衝突に際してのシミュレーションもなされ、国土防衛の具体像が示される点も考える材料になるだろう。

(東京大学教授 川島 真)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『金正男暗殺は中朝“仮面夫婦”関係を変えるのか 国内政争と対米関係が絡む混沌下、中国の選択は…』(2/22日経ビジネスオンライン 福島香織)について

2/23三島由紀夫研究会に参加しました。講師は松本徹氏、テーマは「三島由紀夫の時代」でした。三島は大正14年=昭和元年生まれですが、大正時代には円本や文庫本が安く大量に出版されていました。世界文学全集や日本文学全集だけでなく、能、歌舞伎、浄瑠璃等の全集も出ました。日本文化の集大成として、です。三島と言う天才が彗星の如く現れる裏にはこのような時代背景がありました。

蓮田善明は「花ざかりの森」を読んで、16歳の三島を天才と呼び、三島の人生にも多大な影響を与えました。彼は終戦の詔勅をボホールバルで聴き、上官と意見の対立で、上官を射殺後、自殺したことで有名です。松本氏によれば、蓮田は単に意見の違いで射殺したのではなく、自分の立場が「承詔必謹」で天皇の命令は絶対、上官の命令は絶対という中にあって、反乱を起こそうとした兵士との板挟みになることを恐れたのではとの解釈でした。上官の中島連隊長も蓮田も死んでいますのであくまでも推測の域を出ませんが。小生はこれを聞いて、三島の「憂国」を思い出しました。正しく主人公がそのような境遇にあって切腹しますので。

北の今回のミサイル発射と金正男の暗殺(影武者との説もあります。TV映像では倒れる映像は顔が写っていませんので。救急車で運ばれたときに掏りかえられた可能性もあります。マレーシアの発表だけでは何とも。本人が生きている可能性もあります)という暴挙は、いよいよ米国に早期の先制攻撃を決意させただけなのでは。北がそんな行動を取ったのは、金正恩の「斬首作戦」が行われるというニュースを米国と日本から得ていたからでは。

中国は表面的には制裁すると言っていますが、朝鮮半島人と同じく嘘つき民族ですので全然信じられません。今までもそうでしたし、これからもそうでしょう。石炭の輸入禁止にしても第三国経由でやすやすと輸入すれば良いだけです。

福島氏の見方によれば、中国は地政学上北を見捨てることができないとのこと、そうであれば同じくアメリカも南を見捨てることはしないでしょう。どんなに従北大統領になっても。暗殺やクーデターという手段を取っても、です。まあ、キチガイ民族同士ですから、米中の強力な圧力がなければ、うまく統治できないのでは。日本は朝鮮半島の面倒を見るのは御免蒙ります。

http://diamond.jp/articles/-/119004

記事

金正男暗殺は中朝関係にどんな影響を与えるのか(写真:AP/アフロ、2001年5月撮影)

北朝鮮の流浪の王子、金正男は、日本人の愛人をもち、偽造旅券で東京ディズニーランドを楽しみ、赤坂のコリアンクラブの上客でもあったという、その日本びいきぶりと、記者とメールでやり取りにも応じる気さくさと、愛嬌のある容貌と、意外に開明的で視野の広い知性も備えていて、日本のネットユーザーの間で「俺たちのマサオ!」と結構人気があった。その金正男がマレーシアで、謀略小説さながらの方法で白昼、空港で暗殺された。いや、殺されたのは影武者で、偽装暗殺だった、俺たちの正男は生きている!という人もいる。とりあえず本当に暗殺されたとして、このことは中朝関係になにか影響があるのだろうか。

11人が関与、3か月前から準備か

まず、事件の概要について、少し整理しておこう。

北朝鮮の最高指導者、金正恩の異母兄である金正男はクアラルンプール第二国際空港の自動チェックインカウンターで、2月13日午前9時、暗殺された。マレーシア警察の記者会見によれば、事件には11人が関わっているとみられ、うち4人が逮捕された。残り7人の男は逃走中。

金正男の検死解剖は15日に行われているが、目下、毒物の検出結果を待っているところで、死因となった毒物は確定していない。

わかっていることは、インドネシア籍女性のシティ・アイシャ容疑者(25)が前から正男に何か話かけ、ベトナム籍のドアン・ティ・フォン容疑者(28)が後ろから手をまわし、顔に何かを擦り付けた。倒れた正男は空港職員に助けを求め、空港内の診療所に足を運び応急手当を受けたのち、市内の病院に搬送されたが死亡した。正男は金哲名義のパスポートで今月6日にマカオからマレーシア入りし、事件当日の13日午前10時50分の飛行機でマカオに戻る予定だった。死亡が確認されたのは午前11時ごろだった。

逮捕されたのはこの女容疑者2人と、シティ・アイシャ容疑者のボーイフレンドのマレーシア男性と、主犯格とみられる北朝鮮籍のリ・ジョンチル容疑者(46)。指名手配を受けている7人の男のうち5人は朝鮮人で、その名前と年齢は判明。すでにマレーシアから出国している。この5人以外の2人の男の身元については、手がかりとなる情報提供を呼び掛けている。写真から判断すると朝鮮人らしい。

暗殺計画は3カ月前から準備されていたもようで、リ・ジョンチルが二人に犯行を指示したとされる。ドアン・ティ・フォン、シティ・アイシャ両容疑者はともに自称ネットアイドルで、犯行当日に知り合ったという。シティ・アイシャの家族が日本のテレビメディアに答えたところによると、日本のテレビ番組のために「お金持ちにいたずらをしかける」仕事を依頼され、インドネシアのショッピングモールでも、いたずらを仕掛けて、報酬をもらったことがあるようだ。リ・ジョンチルは金日成大学卒業のエリートで、抗がん剤などを製造する製薬会社に勤務、クアラルンプール郊外の高級マンションに妻子とともに暮らしていたという。

だが一部韓国メディアでは、この女たちも含めて北朝鮮の特殊部隊、工作員だとする説も報じている。

マレーシア警察当局は、金正男の遺体を遺族に引き渡すとしており、本物の遺族であるかどうかもしっかり確かめるとしている。一方でマレーシア当局としては、事件の背後の政治問題に関しては関心がないとして、警察として犯罪事実をはっきりさせることだけに全力をあげるとしている。

ちなみに北朝鮮サイドは、北朝鮮公民が一人死亡したことを在マレーシア北朝鮮大使館として確認していると発表。だが、朝鮮大使館はマレーシア側が検死を行うことを拒絶。マレーシア当局は大使館員の立ち合いのないまま、検死解剖を行い、また遺体を大使館に引き渡すことを拒否したため、大使館側はマレーシア警察当局に厳重抗議をし、再度遺体の引き渡しを要求している。

中国は国境警備強化、石炭輸入停止

さて、中国の報道は、マレーシアメディア、シンガポールメディアを引用する形で、こうした事実関係を報道する一方、外交部記者会見では、公式には中朝は友好の隣国関係にあり、その友好往来の伝統は続いている、という無難な答えに留めた。だが、正男暗殺事件のあと、中朝の間で変化がいくつか起きている。

まず、中国側は中朝国境の兵員配置を強化した。建前は突発事件に備えて、第一線哨戒を1000人増強したという。金正男は、典型的な親中派として知られており、彼の存在が、親中人脈の中心人物であった張成沢の処刑につながったと解放軍サイドは分析している。正男の死が、なんらかの対中アクションに連動する可能性はゼロとは言えないと警戒したのだろう。あるいは単なる亡命者増加に対する警戒かもしれない。

韓国メディアの分析によれば、まだ金正男暗殺事件の首謀者が北朝鮮であるかは確認がとれていない。もしかしたら、北朝鮮の仕業と見せかけた国際謀略の可能性だってある。

ただ金正恩は2012年からずっと、正男の暗殺機会を狙っていたという。デイリーNK編集長の高英起は、正男には政権奪取の意思も力もないながら、国際社会で意外に評価の高い異母兄に対する嫉妬が直接の動機だという見立てを話していた。一部で正男が亡命政権を中国や韓国などに樹立することを恐れていたという話もある。

もう一つの動きは、中国が北朝鮮からの石炭輸入年内停止を発表したことだ。これは18日のことで、韓国メディアをはじめ多くの海外メディアがタイミングから言って、正男暗殺事件と無関係とはいえないとみている。中国の石炭輸入停止は昨年4月から、するするといっていたが、やってこなかった。

正男と中国の関係を簡単に述べると、正男はかねてから典型的な親中派人士であり、北朝鮮も中国式改革開放に学ぶべきだと言っていた。正日存命の間にすでに、後継者候補から外れていた正男については、中国は正日に頼まれるかたちで、早くから正男の庇護役を引き受けてきた。それは最近まで続いていたはずで、最初の妻は北京郊外の豪邸に今も住んでいるはずであるし、二番目の妻や愛人はマカオに住んでいるはずである。正男の最も優秀な息子とみられている金韓松も、パリ留学を終えたあとは、中国の庇護を受けられるマカオに戻っているはずだ。一部メディアでマレーシア入りが報じられているが、詳細は現時点では不明だ。

親中・後ろ盾の張成沢処刑で価値低下

2013年ごろまで、記者たちの目撃談では、たしか金正男には中国当局が複数の厳重な護衛をつけていた。金正男は、かつて金正恩政権のナンバー2で北朝鮮内親中派の筆頭であった張成沢(処刑済)が実の父親がわりになって育てていたこともあって、金正恩にとっては、いつ自分が排斥されて正男に政権を奪われるかもしれぬという恐れがあったとみられている。実際、中国が正男を対正恩政権外交のジョーカーに使おうと準備していたフシはある。

2013年に、突如、張成沢が残忍な方法で処刑されたのは、中国サイドが、張成沢と結託して、正男を擁立して正恩を排斥し、北朝鮮に親中政権を発足させる陰謀があるのではないかと、正恩が疑ったせいだとみられている。

中国国内では、習近平政権に追い詰められていた周永康が、北朝鮮亡命を画策し、金正恩政権の庇護を受けるために、胡錦濤政権時代に張成沢と中国共産党の間で、正恩を正男に挿げ替える可能性について話題にのぼったという情報を提供し、そのことが、張成沢はじめ北朝鮮内の親中派への苛烈な粛清の原因となったという説がある。この粛清で、中朝関係は過去最悪と言われるまでに冷え込んだ。

同時に張成沢亡き後では、中国にとっては正男の切り札としての価値は急激に下がった。だから、ひょっとすると、中国側は護衛を減らしたのかもしれない。しかしながら、正男の最大庇護者が中国であったことは変わらなかったはずだ。正男暗殺は、張成沢処刑に並んで、正恩政権の対中挑発という風に受け取られても不思議はない。

正男暗殺事件だけでなく、その前に、2月11日の北朝鮮ミサイル発射実験もあり、なにより、米大統領トランプが中国の立場を慮って「一つの中国」原則放棄のカードを引っ込めたことに対する“返礼”の必要もあり、中国側もこのタイミングで北朝鮮に対する経済制裁の全面参加を決断したといえる。これだけの材料があれば、中国共産党内の親北派を抑えて対北制裁に踏み切っても誰も文句は言えない。ちなみに中国の昨年の北朝鮮産石炭輸入量はドル換算にして12億ドル近くあった。北朝鮮の2015年の輸出総額が約27億ドルぐらいだから、相当な打撃となる。

だが、これを単純に、習近平政権VS金正恩政権の対立先鋭化とみるのは、単純すぎるかもしれない。中国と北朝鮮の関係は、米国との利害関係も絡んで非常に微妙な均衡の上にある。建前上は中朝はともに朝鮮戦争で戦った同盟関係であり、「血で固めた友誼」が存在する。また中国にとっては北朝鮮は、米国勢力との緩衝地帯であり、その存続自体に地政学的意味があることから、経済上政治上の最大パトロンであり続けた。だが、北朝鮮にとっては、中国は「生かさぬよう殺さぬよう」に自分たちの命綱を握り、外交交渉にカードとして利用するだけ利用し尽くす潜在的な敵であり、特に金正恩にとっては、自分の地位を脅かしかねない正男を庇護していただけに恨みが強い。

中国からみれば、北朝鮮はその生存を大きく中国に依存しておきながら、中国の言うことを聞かずに核兵器を保有し、その核兵器は北京を攻撃する能力をもち、さらには結果的に、韓国にTHAADミサイル配備という、中国にとって最悪の展開につながった。中国にとって北朝鮮は、中国に依存しながら、中国に刃向かい、弱小国のくせに、その安全や地政学的重要性を人質にとって大国中国を振り回す潜在的仮想敵だ。憎いにもかかわらず、表向き敵対できない、いつか殺してやると思いながら、今日も同じベッドに寝る仮面夫婦のような関係だ。

韓国THAAD配備決定で関係修復?

しかも、そこに中国共産党内の権力闘争も影響してくる。金正男、張成沢ら北朝鮮親中人脈は北京においては主に江沢民派の利権にかかわってきた。また中朝国境の東北地域においては、解放軍旧瀋陽軍区という習近平ときわめて相性の悪い旧軍区の利権であった。張成沢ら親中派人脈の粛清は、中国共産党にとっては対中挑発という文脈で捉えられるのだが、中国共産党内権力闘争においては、習近平派にとって、政敵たちの北朝鮮利権をつぶす好機となった。習近平は、江沢民派や旧瀋陽軍区とつながる既存の北朝鮮利権をつぶしながら、新たな北朝鮮利権を模索しているという見方もある。

特に韓国のTHAADミサイル配備が決まったあたりから、張成沢処刑で冷え込んだ中朝関係修復の動きが伝えられるようになった。昨年秋、北朝鮮に核兵器開発に必要な部品素材を輸出していたとして失脚させられた東北の女企業家・馬暁紅は、米国の情報筋によれば、党中央対外連絡部(部長の宋濤は習近平の核心人事の一人で、習近平の右腕として対北朝鮮外交を担っている)に属する人間であり、むしろ習近平派に属するらしい。国内で「習近平が激怒して自ら彼女に逮捕状を出した」という報道が喧伝されたのは、習近平、馬暁紅の北朝鮮利権ラインが米国につかまれたことを精一杯カモフラージュするためだという見方もある。一方で、解放軍筋から、中朝関係の悪化を伝える情報が集中して流れている。こうしたリークは、さまざまな陽動目的がありそうだ。

こういう状況を整理しつつ、最近の新華社や中国社会科学院の半島研究専門家のリポートなどを読み解いていくと、中朝関係の現状と未来については、次のような見立てが言えるかもしれない。

過去最悪、政争の具、制裁強化…楔打つ好機だが

① 現状、中朝関係は過去最悪にまで冷え込んでいる。しかしながら、習近平政権にとって、張成沢粛清や正男暗殺は、中朝対立の決定的な要因にはならない。むしろ、習近平の権力闘争に利用された感がある。ただし、米国の妨害もあって、習近平の新しい北朝鮮利権人脈の構築はうまくはいっていない。

② トランプ政権の登場で、1958年の朝鮮半島停戦以来、米朝関係は最も厳しい状況を迎えそうだが、その米朝対立の先鋭化を利用して、中国としては、潜在的仮想敵とみなす北朝鮮に対するコントロール力を強化するとともに、韓国のTHAADミサイル配備を何とか阻止したい。そのために、米国に協力して北朝鮮に対する経済制裁を強化することはやぶさかではないし、今後さらに、北朝鮮の締め付けを強化していく可能性はある。

③ 新華社世界問題研究センターのリポートを参考にすれば、北朝鮮が核保有国となることは規定路線であると中国はすでに認めている。中国にとっての最大の問題は、北朝鮮の核保有ではなく、その核保有問題を利用して朝鮮半島をアジア太平洋戦略の拠点に利用しようとする米国であり、それを阻止することが最大にして最終目標である。

④ 米国のアジア太平洋戦略を阻むために、韓国との関係正常化が必要だが、THAADミサイル配備は妥協できない。次の韓国の政権が親北政権となるのは歓迎であり、願わくばTHAADミサイル配備の白紙撤回をさせたい。だが韓国の翻意を促すには、中国が善意を示すだけでは難しく、相応の実力を見せつける必要がある。中国は今後も韓国に対しては経済圧力などを使って揺さぶりをかけていくだろう。

⑤ 中国社会科学院の半島研究専門家・李敦球の中国青年報への寄稿(1月18日)によれば、目下の状況では、韓国の次の政権が親北政権になろうとも米韓同盟が大きく損なわれる可能性は低い。半島情勢はますます緊張化し、南北衝突あるいは米朝衝突の可能性は高まるだろう。となると中国としては、適度に核問題を超越して、(現状冷え込んでいる)中朝関係正常化を加速することは現実的地縁政治の必需であり、中国の国家利益に符号する。

⑥ 南北問題は半島の病根である。南北が分裂していなければ、米韓同盟もなく、米国が半島情勢にコミットしてくることもなかった。中国が南北融和推進に積極的な役割を果たすことこそが、米韓同盟を揺さぶることであり、半島および東北アジアの地縁政治秩序を中国に取り戻すことにつながる。

あくまで中国サイドに立った見立てであり、北朝鮮には北朝鮮の思惑があろう。ただし中国にとってぶれない目標は、半島の小NATO化阻止の一点だと考えれば、いくら習近平と金正恩の相性が悪くとも、中国の方から北朝鮮を見放すことはないだろう。逆にいえば、中朝関係に本当に楔を入れられれば、半島の旗色は一気に日米韓同盟に有利に動き、中国のアジア覇権の夢に大きな打撃を与えることになるのだが、日本や韓国は、そういう中国を出し抜くような外交のできる状況にないのが、残念である。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『米国でささやかれ始めた“合法的クーデター” 共和党がトランプ大統領を見限る日』(2/21日経ビジネスオンライン 篠原匡)について

本記事は筆者の“wishful thinking”なのではと思います。既存のやり方を変えようとするゲームチエンジャーのトランプを既存のシステムを使って妨害しようとしている構図です。ユダヤ系国際金融資本が裏で動いているのでしょう。娘婿のクシュナーはユダヤ人であるにも拘らず。アメリカ(国民)ファーストを唱えるトランプはグローバリズムの目で見れば障害物にしか見えないでしょう。中国の賄賂もグローバリストにとっては魅力なのでしょうけど。

米国のメデイアは国際金融資本に牛耳られています。敵のトランプを叩くのは当り前です。トランプはシエールオイル・ガスの産出により、ロシアと和解し、中東をロシアに任せて、中国と対峙しようと考えていたのではと思われます。フリンの辞任だって、CIAが盗聴してなければ分からなかった話です。CIAやソロスは大統領選の時から反トランプでヒラリーを露骨に応援していました。本来ヒラリーはベンガジ事件で刑務所行きが当然の人間です。トランプはヒラリーのメールについてキチンと再調査した方が良いでしょう。ただ、暗殺の可能性が高まりますが。

トランプがやりたいことは既存勢力に阻まれています。議会共和党もその一つです。既成概念に捉われているから、大局が見えてこないのでしょう。閣僚人事も承認が進まず、トランプの思惑通りの人事も修正を余儀なくされているように見えます。最高裁判事の指名もフイリバスターのため上院の60人の承認が必要で、ペンデイングになったままです。三権分立がハッキリしている米国の統治システムですので、時間がかかるのは仕方がありません。特に大幅な変革を目指そうとしていますので。トランプの反対運動をしているのは不法移民や国際金融資本から金を貰った連中でしょう。日本の沖縄で反基地運動しているのが在日や中国から裏で金を貰っている左翼と同じ構図です。グローバリストとコミュニストは親和性がありますので。

日本はナショナリスト(国民主義者)であるトランプを支援し、グローバリスト(ユダヤ国際金融資本)とコミュニスト(中国)に反対していかねば。日本の伝統文化が壊されてしまいます。

記事

2月16日、ホワイトハウスで共和党下院議員との会談に出席したドナルド・トランプ大統領。(写真:AP/アフロ)

「4年間、政権が持つのかどうかかなり疑問」  

トランプ大統領は“Like a fine tuned machine(精緻に調整された機械のように)”と自身の政権運営を評しているが、足元の現実を見れば、カオスと指摘されても仕方のないような状況だ。

トランプ大統領の最側近の一人、マイケル・フリン大統領補佐官(安全保障担当)は就任前に、駐米ロシア大使と対ロ制裁について協議した問題で辞任した。労働長官に指名したファストフードチェーンCEO(最高経営責任者)のアンドルー・パズダー氏も上院での承認の見込みが立たず、指名辞退を余儀なくされた。

大統領選の最中にトランプ大統領の側近がロシア高官と接触していたという報道も浮上、フリン氏を辞任に追い込んだロシアスキャンダルに大統領自身が関与していたかどうかが焦点になりつつある。「4年間、政権が持つのかどうかかなり疑問」(大手商社の幹部)という声が上がるように、不安定な政権運営が続く。

発足1カ月にも満たず政権の持続可能性が問われるという異例の事態にあって、ある条項の存在がクローズアップされている。それは合衆国憲法「修正25条第4節」だ──。

合衆国憲法「修正25条第4節」について 上院のウェブサイト(※ ページ下部に「Amendment XXV(修正25条)」がある)  ■コーネル大学のウェブサイト

合衆国憲法「修正25条第4節」は、副大統領と閣僚による“合法的クーデター”の手順について述べた条項だ。米ワシントンポストは2月15日に、“Capitol Hill Buzz(連邦議会のひそひそ話)”というコラムで、同条項に対する民主党の関心を報じている。

“合法的クーデター”の手順

修正25条第4節は以下のような内容だ。

「副大統領および行政府長官の過半数が上院仮議長と下院議長に、大統領が職務上の権限と義務を遂行できないと文書で申し立てを送る際には、副大統領が大統領代理として権限と義務を直ちに遂行するものとする」。

つまり、ペンス副大統領と15人の閣僚の8人が「トランプ大統領は職務の遂行が不可能」と判断すれば、更迭できるということだ。

民主党の一部はトランプ大統領を放逐するための手段として関心を寄せるが、過去にこれでクビになった大統領がいないという事実が示すように、実現のハードルは高い。

副大統領や閣僚はトランプ大統領が指名した人物であり、通常の状況であれば忠誠心は高く、クーデターに加担するとは考えにくい(大統領は閣僚を解任することもできる)。また、同条項は大統領の不服申し立てを認めており、大統領の不服申し立てに対して上下両院の3分の2が副大統領を大統領代理として認めなければ、大統領の復帰が認められる。

共和党が大統領を切り捨てる可能性はあるか?

今のところ、上下両院を制している共和党はトランプ大統領を支持しており、共和党がトランプ大統領を見限らない限りあり得ない。その中でなお、修正25条第4節が注目を浴びるのは、米国の国益と2018年の中間選挙を見据えたときに、絵空事と笑えない状況になっているためだ。

共和党はオバマケアの撤廃、置き換えや大規模減税、法人税改革など宿願とも言える政策を推し進めようとしている。細部で意見の相違はあるものの、トランプ大統領も基本的に同じ方向を向いており、今のところ両者は手を携えて政策を実現しようとしている。

だが、トランプ大統領の乱暴な政権運営に対しては懸念の声も上がる。

1月27日に署名したイスラム教徒の入国制限に関わる大統領令は米国のみならず、世界中で混乱を招いた。細部を詰めず、議会への根回しもなく進めたことに対する批判は根強い。また、同大統領令の執行差し止めを命令した判事を「いわゆる裁判官」と嘲笑したことは、司法に対する侮辱と受け止められている。

それ以外にも、長女のイバンカ・トランプ氏が手がけるブランドの取り扱いを停止した米百貨店ノードストロームに対する批判、企業に対するツイート介入、メキシコ大統領との会談中止や豪首相との険悪な電話会談など常軌を逸した振る舞いが続いている。このままの暴走が続けば国益と党勢にかかわる──。共和党幹部や閣僚がそう判断すれば、大統領を切り捨てる可能性もゼロではないという読みだ。

共和党や議会の中で人気の高い、ペンス副大統領

実際、フリン氏の辞任劇では同氏が「不完全な情報」を関係者に伝えていたということがペンス副大統領にシェアされず、フリン氏の説明に基づいて最後まで擁護したペンス副大統領は赤っ恥をかいた。この件でペンス副大統領は激怒したと報じられている。ペンス氏は共和党、とりわけ議会の中で人気が厚く、トランプ大統領とペンス副大統領のどちらを望むかと聞けば、大多数はペンス氏を選ぶだろう。

支持率も低空飛行が続いており、最近の世論調査でも不支持率が50%を上回る。

冒頭の“Like a fine tuned machine”発言が出た2月16日の記者会見。トランプ大統領は従来のメディア批判とともに、ヒラリー・クリントン氏に対する批判を展開した。トランプ大統領が大統領選に勝利した一因に、有権者のクリントン嫌いがあった。今のタイミングでクリントン批判を再開したのは、同氏を再び槍玉に上げることで支持率を浮上させようという思惑だ。

「トランプ大統領は共和党の重荷になっている。ある時点で、下院での再選を固めるためにトランプと距離を置く必要があるだろう」。英マンチェスター大学のアンジェリア・ウィルソン教授(政治学)は英インディペンデント紙にこう述べた(記事)。現状では、副大統領や閣僚による合法的クーデターを「希望的観測」と見る専門家が多いが、今の状況が続けばどうなるかわからない。

ストレートに弾劾に至る可能性もある

もちろん、修正第25条第4節の発動を待つまでもなく、ストレートに弾劾に至る可能性もある。

あるワシントンウォッチャーによれば、弾劾につながり得る罪状として現時点で認識されているものに、「報酬条項違反」があるという。これは連邦議会の同意なく、大統領が外国政府から報酬や官職、称号などを得てはならないという規定だ。トランプ大統領は世界中に企業を所有しており、そういった企業を外国政府などが利用すれば、同条項に抵触する。

また、先に述べた「いわゆる裁判官」発言も、三権分立の原則を踏みにじったとして弾劾対象になり得るという指摘もある。何より、フリン氏の辞任につながったロシアスキャンダルはくすぶったままだ。トランプ大統領の関与が示されれば、事態は劇的に動き出すだろう。

現状のカオスは政権を立て直す好機という声もあるが、事態が好転しそうな気配は今のところ見えない。どう引きずり下ろすかという議論が就任わずか1カ月で始まっているところに、終末感が漂う。頼みの大規模減税や法人税改革も財源の国境税調整を巡って紛糾していることを考えれば、案外、共和党がトランプ大統領を見限る日も近いのかもしれない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『中国の国際貨物列車、ロンドンへ18日で走破』(2/17日経ビジネスオンライン 北村豊)について

小生が中国に初めて赴任しました1997年頃には、山賊がいて列車を襲い、物を掠奪すると言われていました。本記事にありますように、百円ショップで売られるようなものであれば、襲う値打ちもないでしょう。今の中国は2001年のWTO加盟により、経済的に豊かになりましたので。

イギリスも中国から安い物が入ってくると喜んでいて良いのでしょうか?そのうち英国産業が傾くことになり、雇用にも甚大な被害を及ぼすのではと心配になります。英国がEU離脱したのは移民問題・外国人労働者問題での自主決定権の回復と関税自主権の回復があったと思います。EU内の競争相手でなく、今度は中国が競争相手になるのでは。価格面では、中国は鉄鋼に代表されるように大量生産・過剰生産しますので、英国には勝ち目はないと思います。

中国はアヘン戦争の恨みを晴らそうと思っているハズです。英国は日本ほどヤワではありませんので黙って仕返ししようと思っているでしょう。ただ、ロスチャイルドがどう動くかです。金にしか忠誠心が無いのは中国人と一緒でしょう。気が合うのかも知れません。注視しておく必要があります。

鉄道輸送が海運より高いとすれば普通に考えれば、百円ショップで売られるようなものは海運にするのでは。中国人お得意の一帯一路の宣伝の為でしょう。昔、モルトケが育てたドイツ参謀本部は鉄道を使い、兵士の迅速・大量輸送をして戦争に勝ちましたが、今は簡単に空から線路を爆破できます。海外の線路の軍事利用はなかなか難しいでしょう。国内の反乱分子の鎮圧には威力を発揮すると思います。

記事

1月18日、中国・浙江省から遠路、ロンドンに到着した貨物列車(写真:ロイター/アフロ)

1月18日午後1時、英国のロンドン東部(イーストロンドン)のバーキング駅(Barking)にゆっくりと姿を現したのは、中国の浙江省“義烏市”から古(いにしえ)のシルクロードを経由して遠路はるばる英国へ到着した貨物列車だった。バーキング駅には、「“First freight train from China to UK  Yiwu(義烏) to London(倫敦) January 2017(中国義烏から英国ロンドンへの最初の貨物列車 2017年1月)”」と書かれた横断幕が掲げられ、多数の鉄道ファンや英国・中国の政府関係者および鉄道関係者、メディアの記者が待ちわびる中、貨物列車がバーキング駅に到着すると観衆から万雷の拍手が巻き起こった。

68個のコンテナに「百円商品」を積んで

2017年の年が明けた1月1日の午前0時、合計700トンの輸出商品が詰まった68個のコンテナを積んだ列車番号X8024/X8065の中国・欧州直通国際貨物列車(義烏-倫敦)(以下「義・倫国際貨物列車」)が始発駅である義烏西駅から終着地の英国ロンドンへ向けて出発した。その貨物について、1月19日付の英紙「ザ・サン(The Sun)」は100万足の靴下と報じたが、そこには靴下だけでなく各種各様の日用雑貨が含まれていた。義烏市は“金華市”が管轄する“県級市(県クラスの市)”で、世界最大の“小商品批発市場(日用雑貨卸売市場)”として名高く、日本の百円ショップで販売されている商品の故郷として知られており、今では遠くアフリカ、中東からも多数の商人が押しかけている。世界のクリスマス用品の60%は義烏から出荷されていると言っても過言ではないほどである。

今回、義・倫国際貨物列車に積み込まれたのは、“杭州海関(杭州税関)”が新たに拡張した「義烏鉄道税関検査所」で2016年11月16日に税関検査を終了した貨物で、最初の義・倫国際貨物列車ということで出発の1か月半も前に万全を期して税関検査をすませたのだった。1月1日午前0時、義烏西駅を出発した義・倫国際貨物列車は34両の車両に68個のコンテナを積んで一路英国のロンドンを目指した。列車は湖北省“武漢”、陝西省“西安”、新疆ウイグル自治区“ウルムチ”を経て隣国カザフスタンとの国境の町である新疆ウイグル自治区“阿拉山口”の税関を通過してカザフスタンへ入り、その後、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、フランスに到り、英仏海峡(ドーバー海峡)トンネルを抜けて英国のケント州フォークストンに到着、さらに北西に向かって走り、1月18日午後1時にロンドン東部のバーキング駅に到着したのだった。

義・倫国際貨物列車が走破した距離は1万2451km、所要日数は18日間、実質的には17日と13時間であった。伝統的な海上輸送であれば、義烏から英国の港までは35日間を必要とするが、義・倫国際貨物列車はこれを半分の17.5日間に短縮したのである。貨物到着までの所要時間を考えれば航空輸送(3~5日)の方が速いのは当然だが、列車輸送はその運賃が航空輸送の20%前後に抑えられる。なお、この17.5日間に国毎に異なるレール幅の関係から台車を3回交換していたのであり、義・倫国際貨物列車は国毎に鉄道規則が異なる中を驚異的な速度で貨物を義烏からロンドンまで運んだのである。

義烏から8路線、中国から38路線

さて、義烏から欧州へ向けて国際貨物列車が運行されたのは今回が初めてではない。これらの列車は「“義新欧”国際貨物列車」と統一的に命名され、上述した英国ロンドンを終着地とする「義・倫国際貨物列車」を含めて都合8路線が運航されている。その内訳は<表1>の通り。

<表1> 義新欧国際貨物列車の運行状況

(出所)浙江省交通運輸庁統計から作者作成

英国は義烏市にとって欧州で最大の貿易相手国である。統計によれば、2016年1~10月の義烏市の対英国輸出入総額は5.69億ドルで前年比10%増であった。このうち、対英国輸出額は5.63億ドルで前年比9.4%増、対英国輸入額は564万ドルで前年比172.8%増であった。義烏市は義・倫国際貨物列車の運行を成功させたことにより、欧州最大の貿易相手国である英国との鉄道輸送ルートを確立したのであった。

ところで、中国にとって最初の“中欧班列(中国・欧州国際貨物列車)”(以下「中・欧国際貨物列車」)は、2011年3月19日に重慶市からドイツ西部のデュースブルク(Duisburg)を終着地として運行された。この成功を契機として、四川省“成都市”、湖北省“武漢市”、河南省“鄭州市”、江蘇省“蘇州市”、広東省“広州市”、浙江省“義烏市”などの諸都市が次々と中・欧国際貨物列車の隊列に加わり、ポーランドのウッチ(Lodz)、ドイツのデュースブルグやハンブルグ、スペインのマドリードなどの欧州諸都市との間でコンテナの鉄道輸送を開始した。今回のロンドンは中・欧国際貨物列車の15番目の都市になったのだった。中・欧国際貨物列車の運行回数は2014年に100回、2015年に156回、2016年には200回に達し、累計運行回数は1700回に及んでいる。また、中国から欧州諸都市への運行路線は38本に上っている。

中国メディアが報じた中・欧国際貨物列車の欧州諸都市までの所要日数は<表2>の通り。

<表2>  中・欧国際貨物列車の所要日数

義烏市と時を同じくして2017年の1月1日午前0時に、四川省の省都“成都市”からもポーランド第3の都市「ウッチ」に向けて中・欧国際貨物列車、通称“蓉欧快鉄”<注1>が発車した。蓉欧快鉄は成都市からウッチまでの9965kmを14日間で走破するが、今回の蓉欧快鉄には、中国家電メーカー“TCL集団”製のテレビが満載されていたほかに、成都市“温江区”で栽培された生花が積み込まれていた。TCL集団の生産拠点は広東省の沿海都市“恵州市”だが、彼らはテレビの生産ラインを成都市へ移して、成都市で生産されたテレビを蓉欧快鉄で欧州へ出荷しているのである。

<注1> “快鉄”は“快速鉄路(快速鉄道)”の略。“蓉欧”の“蓉”は成都がかつて“芙蓉城(芙蓉の都市)”と呼ばれたことにちなむ。

現状のところ、蓉欧快鉄はポーランド、トルコ、ロシアの3路線あり、成都-ウッチ(ポーランド)の中央ライン、成都-イスタンブール(トルコ)の南ライン、成都-モスクワ(ロシア)の北ラインで構成されている。蓉欧快鉄にとって2017年の目標は3路線のさらなる拡大であり、2017年は芙欧快鉄を1000回運行することを予定しているという。

「一帯一路」の一翼に

2013年9月7日、カザフサタンを訪問していた中国国家主席の“習近平”は首都アスタナにあるナザルバエフ大学で講演し、「シルクロード経済ベルト」の共同建設を提案した。また、習近平は同年10月にブルネイのバンダルスリブガワンで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席した際、「21世紀海上シルクロード」の戦略構想を提起した。これは古代に中国と地中海世界とを結ぶ交易路「シルクロード」を構成した北方の「草原の道」と南方の「海の道」を現代に復活させて関係諸国による一大経済圏を建設する構想である。この両者を統合させたものが“一帯一路(The Belt and Road、略称:B&R)”経済圏構想であり、中国がさらなる発展を目指すための国家的最重要戦略なのである。2014年11月に北京市で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で、習近平は正式に“一帯一路”経済圏構想を提起して、関係諸国に支持と参加を呼び掛けた。

2015年3月28日、中国政府の“国家発展改革委員会”、“外交部”、“商務部”は連名で『シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードを共同で建設するためのビジョンと行動』を発表し、具体的な一帯一路の方向性を示した。中国政府が提唱して2015年12月25日に発足したアジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank、略称:AIIB)は、創設メンバー57か国、資本金1000億ドルで、2016年1月16日に開業式典を挙行した。AIIBは一帯一路経済圏の建設を促進することにより、不振を極める中国経済を活性化させると同時に、同経済圏における中国の覇権を確固たるものとすることを目的としたものだった。

その一帯一路の一翼を担っているのが、上述した中・欧国際貨物列車なのである。古代、絹を主体とする中国産品を西域や中東へ運ぶ隊商がラクダを連ねて砂漠を踏み越え遥々と往来したシルクロードを、今では機関車に牽引された数十両のコンテナを載せた台車がラクダと比べものにならない速度で疾走している。これこそは中国と欧州がユーラシア大陸でつながっていることの証であり、中国の経済力を示すデモンストレーションに他ならない。

BBCが実況、270万人が注目

1月18日、英国放送協会(BBC)は義・倫国際貨物列車のバーキング駅到着をテレビで実況放送し、それを270万人の英国民が見たという。英国の総人口は約6400万人であるから24人に1人が実況放送を見た勘定になる。それほどまでに中国東部にある義烏市から遠路遥々1万2451kmをわずか18日間で走破した中国の国際貨物列車に対する英国民の興味は大きかったと言える。

英国では鉄道は元来国営事業であったが、1980年代のサッチャー首相時代に民営化された。このため、鉄道は多数の民営企業により複雑に分割され、運賃が値上がりしたばかりか、各民営鉄道相互間の制約が多く、英国全土の鉄道を統一的に運行することは困難となっている。従い、多くの英国人は中国から多くの国々を横断してロンドンまで18日間で到着した義・倫国際貨物列車に対し驚くと同時に強い羨望を感じたのだった。英国の或るネットユーザーは、「中国人は全長1万2000kmの鉄道を整然と秩序立てて運行できるが、英国政府と民営の鉄道会社は恐らく数百kmの鉄道もまともに運行できないだろう」と述べた。また、別のネットユーザーは、「中国の列車は中国からロンドンまで運行できたが、我々の北部鉄道ならソルフォード(Salford)からバースカフ(Burscough)までの52km、所要時間50分さえも正常に運行できないだろう」と辛らつな書き込みを行った。

こうしてみると、義・倫国際貨物列車が18日間で順調にロンドンへ到着したことは、中国の底力を見せる意味で非常に大きな意味を持っていたと言える。但し、中国は今回の国際貨物列車のロンドン乗り入れで、欧州連合(EU)の金融の中心であるロンドンに貨物を届けることにより、EU諸国への中国商品の販売を促したいというのが本来の心積もりだった。それが2016年6月の国民投票で英国のEU離脱が決定したことで、既定方針の変更を余儀なくされた。

「鼠一匹」の恐れも

1月17日付のウエブサイト“海運圏商務網(ネット)”は「理性分析:中国の“一帯一路”政策は海運貿易に影響しない」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

(1)“中国鉄路総公司(中国鉄道総公司)”は、衣類や小包などの物品を満載して、東部の浙江省義烏市を発車した貨物列車が、カザフスタン、ロシア、ドイツを経由して1万2000kmを走行し、18日間でロンドンに到着する予定であると対外的に宣伝している。ロンドンは習近平総書記が“一帯一路”計画を提起してから第15番目の中国・欧州直通列車の終着都市になる。

(2)中国から欧州までは、列車輸送は15~19日間で、海上輸送の所要時間(33~38日間)の半分だが、航空輸送(3~5日間)に比べれば遅い。英国海事調査機関DrewryのチーフアナリストMr. Victor Waiは次のように述べた。すなわち、海上輸送のコストは列車輸送のコストに比べ顕著な優勢を保っている。特に、現在のコンテナ船の建造は節約型となっているから尚更である。これ以外に、貴重なあるいは急を要する物品は速度が速い運輸サービスを受けることが必要だが、普通の商品はその必要がない。従い、海上輸送が列車輸送に取って代わられる可能性はなく、極東から中央アジアを経て欧州へ到る貿易の中で、列車輸送が輸送市場全体に占める比率は非常に小さい。

義・倫国際貨物列車のロンドン到着は中国と英国のみならず世界中で華々しく報じられたが、専門家の目から見れば、上述したように海上輸送が列車輸送に取って変わられる可能性はないばかりか、列車輸送が輸送市場全体に占める比率は小さいという。成都市から出荷される生花のように輸送時間を短縮する必要があるものは列車輸送が必要となるが、義・倫国際貨物列車で運ばれた靴下や日用雑貨は、敢えて列車輸送にして無駄に高い輸送コストを費やす必要なないということになる。これでは“一帯一路”も「大山鳴動して鼠一匹」と言われかねない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。