2/28麹町にあります戸嶋靖昌記念館に行ってきました。1/22にNHK「日曜日美術館」で放映されたようです。予備知識もなく行って分かったことは、戸嶋靖昌は三島由紀夫に影響を受けた人物で、スペイン・グラナダ(アルハンブラ宮殿がある。レコンキスタの最後の舞台となったところ)で創作活動をし、絵も売らずに生活していた不思議な人であります。「滅びの美学」を其の儘、絵にしたのではと小生は解釈しました。
いよいよ金正恩の斬首作戦が実行される雲行きです。やるなら中途半端は止めて、基地と思しきところには総て爆撃をかけなければ。自走砲から核ミサイルが飛んでこないとも限りません。日本も米軍に協力できるところは協力しないと。本来は日本の安全の問題です。敵基地先制攻撃できる法的・装備的能力を日本も持たなければ。北を料理した後は中国の問題に日米で対処しなければなりません。でも、米中密約で北を共同管理するとなると韓国の扱いはどうなるのでしょう?朴大統領に対して特別検察官が収賄容疑で立件したとのニュースです。裁判官構成上、朴大統領に有利と言われています憲法裁判所も弾劾を認めざるを得ない方向になるのでは?何せ国民情緒が法より上位にある国ですから。ロッテのゴルフ場にTHAADの配備を今年中にするとのニュースがありました。早ければ5~7月にTHAAD配備は完了するとのこと。斬首作戦はTHAADが配備されてから?
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/619549/
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/02/28/0900000000AJP20170228001800882.HTML
ZAKZAK記事
北朝鮮情勢が緊迫している。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件などを受け、ドナルド・トランプ米大統領が最終決断を迫られているのだ。「兄殺し」もいとわない狂気のリーダーに、核・化学兵器搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を握らせれば、世界の平和と安定が脅かされ
かねない。ジャーナリスト、加賀孝英氏の独走リポート。
「あいつ(正恩氏)は異常だ! テロリストだ! トランプ大統領は、そう吐き捨てたようだ」
旧知の米情報当局関係者はそう語った。
驚かないでいただきたい。朝鮮半島有事が秒読みで迫っている。
米国は、国連安保理決議を無視した新型中距離弾道ミサイルの発射(12日)や、猛毒の神経剤VXを使用したマレーシアでの残忍な正男氏殺害事件(13日)を受け、新たな「作戦計画=正恩氏斬首作戦」を準備した。
米国はこれまで、北朝鮮に対して「作戦計画5015」を用意してきた。どこが違うのか。米軍関係者が明かす。
「5015は、北朝鮮の核・軍事施設など約700カ所をピンポイント爆撃し、同時に、米海軍特殊部隊(ネービーシールズ)などが正恩氏を強襲・排除する。新作戦計画は、特殊部隊の単独作戦だ。国際テロ組織『アルカーイダ』の最高指導者、ウサマ・ビンラーディン殺害時と同じだ」
米国は2011年、パキスタンでビンラーディン殺害を決行した。米軍の最強特殊部隊が深夜、ステルス型ヘリコプターなどに分乗して、潜伏先上空からロープで降下し、わずか40分の銃撃戦で成し遂げた。
「ビンラーディンにつけられたコードネームは『ジェロニモ』だった。正恩氏にもコードネームがつけられた」といい、米軍関係者は続けた。
「作戦部隊はすでに朝鮮半島周辺の所定の場所に待機している。トランプ大統領の決断待ちだ。正恩氏の隣にわれわれの協力者がいる。正恩氏は100%逃げられない」
事態は緊迫している。以下、複数の米政府関係者らから得た情報だ。
「米国は昨年末から、中国に『米国の作戦計画の黙認』『正恩政権崩壊時の介入方法』について事前協議を申し入れた。トランプ氏と習近平国家主席による9日の米中首脳電話会談でも出た。中国は逃げている」
「米ウォールストリート・ジャーナルが24日に一部報じたが、北朝鮮は水面下で『正恩氏直結の女』こと北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長の訪米と、元米政府当局者との非公式接触を打診していた。命乞いの訪米だが、米国は崔氏の入国ビザの発給を拒否、蹴飛ばした。米国の断固たる決意だ」
一方、正恩氏は狂乱状態のようだ。
「正恩氏は米国におびえて、周囲を罵倒し、暴れ、影武者を立てて、居場所が特定されないよう、地下にある5カ所の秘密部屋を転々とし、隠れている」
3月には、正恩政権殲滅(せんめつ)を目的とした史上空前規模の米韓合同軍事演習が始まる。
日経ビジネスオンライン記事
2月12日の中距離弾道ミサイル発射で、北朝鮮はレッドラインを越えた(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)
弾道ミサイル発射と暗殺により、北朝鮮への先制攻撃の可能性がグンと高まった。
日経読者の4割強が「軍事的解決を」
—2月に入り、朝鮮半島情勢が目まぐるしく動きました(「北朝鮮を巡る動き」参照)。
- 北朝鮮を巡る動き(2017年2月)
2日 | マティス国防長官、韓国訪問(3日まで)、「北朝鮮の核の脅威が最優先課題」と表明 |
3日 | マティス国防長官、日本訪問(4日まで)、「日米安保、尖閣に適用」と表明 |
10日 | ワシントンで日米首脳会談 |
12日 | 北朝鮮が弾道弾「北極星2型」を発射。パービーチに滞在中(現地時間11日)の安倍首相「断じて容認せず」。トランプ大統領は「100%日本と共にある」 |
13日 | 金正男氏、クアラルンプールの空港で暗殺 |
13日 | 国連安保理、北朝鮮非難の共同声明 |
13日 | トランプ大統領「北朝鮮はとてつもなく大きな問題だ。極めて強く対応する」 |
17日 | 日米韓外相、北朝鮮の弾道ミサイルの試射に関し「最も強い表現で非難」との共同声明 |
17日 | ティラーソン国務長官、王毅外相に「あらゆる手段を通じ北朝鮮の核・ミサイル挑発の抑制を」 |
18日 | 中国、北朝鮮産石炭の年内の輸入を中断と発表 |
20日 | マレーシア、金正男暗殺事件に関し北朝鮮に抗議し、大使も召還 |
22日 | マレーシア警察庁長官、金正男殺害事件に北朝鮮大使館員が関係していたと発表。帰国した4人の容疑者の引き渡しも北朝鮮政府に要求 |
鈴置:2月12日の中距離弾道ミサイル「北極星2型」発射と、翌13日の金正男(キム・ジョンナム)暗殺――。後世の人は「この2つが転換点だったな」と振り返ると思います。
2つの事件により、北朝鮮の核武装を阻止するには「話し合い」ではもう無理だ。結局「力」が必要なのだ――との認識が世界に広がったからです。
日経が2月18日から21日まで、電子版読者に聞いた「第310回 クイックVote 北朝鮮、日本はどう対応すべき?」の回答を見ても明らかです。
設問は「ミサイル発射や核開発を続けている北朝鮮に対して、あなたは日本政府に何をもっとも優先して取り組んでほしいですか」。
最も多い回答が「ミサイル基地攻撃など軍事オプション」で、43.9%を占めました。2番目が「経済制裁の強化」で28.9%。「6カ国協議の再開など外交努力」(12.5%)、「中国への働きかけ」(9.0%)が続きました。
1位の「軍事オプション」と2位の「経済制裁」は、いずれも回答者が「北朝鮮の核問題は対話ではなく、力で解決するしかない」と考えていることを示します。足すと何と、72.8%にのぼります。
「話し合い」を意味する「外交努力」と「中国への働きかけ」の合計の21.5%と比べ、圧倒的に多いのです。「話し合い」が大好きな日本人も変わったものだと思います。
米国の「脅威NO1」は北朝鮮
—米国の空気は?
鈴置:ワシントンでも「強硬論」が盛り上がっています。2月13日、カナダのトルドー(Justin Trudeau)首相との会談後の会見で、トランプ(Donald Trump)大統領は以下のように語りました。
「就任して1カ月近く諜報ブリーフを受けただろうが、米国が直面する最も重大な安全保障上の問題を何と見るか」との質問に答えたものです。
- Many, many problems. When I was campaigning, I said it’s not a good situation. Now that I see it — including with our intelligence briefings — we have problems that a lot of people have no idea how bad they are, how serious they are, not only internationally, but when you come right here.
- Obviously, North Korea is a big, big problem, and we will deal with that very strongly.
「最も重大な脅威」の筆頭に「北朝鮮」を挙げたうえ「米国は極めて強く出る」と述べたのです。「状況は極めて深刻なのに、それが認識されていない」とも。
「北朝鮮に強く出る」具体策には言及しませんでしたが、核・ミサイル施設に対する先制攻撃と、これまでにない強力な経済制裁の2本立てであるのは明らかです。
北朝鮮への先制攻撃――北爆は2016年9月以降、米国の安全保障関係者が堂々と語るようになりました(「『ソウルは火の海になる』のデジャブ」参照)。
2016年9月5日の長距離弾道弾の試験と、9月9日の5回目の核実験により「米国も射程に入れた北朝鮮の核武装は間近である」「このままではそれを防げない」との危機感が、この時点で米国の政界に定着したのです。
「先制攻撃」を巡る動き(2016年)
9月 | |
5日 | 北朝鮮、高速道路から3発の弾道ミサイル連射、1000キロ飛び日本のEEZに落下 |
9日 | 北朝鮮が5回目の核実験を実施し「戦略ミサイルの核弾頭の生産が可能になった」 |
10日 | 稲田朋美防衛相、韓民求国防相に電話会談で、GSOMIA締結を呼び掛ける |
12日 | 韓国国防相報道官「日本とのGSOMIAは必要な雰囲気。ただ、国民の理解必要」 |
16日 | マレン元米統合参謀本部議長「北の核の能力が米国を脅かすものなら先制攻撃し得る」 |
19日 | カーター国防長官、在韓米軍のスローガン「fight tonight」を引用「その準備はできた」 |
20日 | 北朝鮮「推力重量80トンの静止衛星運搬用ロケットの新型エンジン燃焼試験に成功」 |
20日 | ハイテン米戦略軍次期司令官「北朝鮮はいずれICBMを持つ。すぐに備えるべきだ」 |
22日 | 米大統領報道官、対北攻撃を聞かれ「一般に先制的軍事行動に関し事前に論議しない」 |
24日 | ヴィクター・チャ教授、中央日報に「北朝鮮のICBMの破壊も検討」と寄稿 |
26日 | 米韓海軍、日本海で合同訓練。韓国軍「北朝鮮の核・ミサイル施設や平壌が攻撃目標」 |
10月 | |
1日 | 米韓海兵隊、白翎島で合同軍事演習 |
5日 | 労働新聞「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換。核はいつでも米国に使える」 |
6日 | 国連軍縮委員会で北朝鮮代表「自主権が侵害されない限り先に核は使わない」(朝鮮通信、8日報道) |
10日 | 北朝鮮、労働党創建71周年記念式典を開催 |
10日 | 米韓海軍、黄海含む朝鮮半島周辺海域で「陸上精密打撃訓練」(10月15日まで) |
11日 | シャーマン前米国務次官「北の核には経済制裁に加え全ての選択肢を使うべきだ」 |
11日 | 朝鮮中央通信「来年1月の金正恩委員長の誕生日は盛大に祝う」 |
12日 | ラッセル米国務次官補、記者団に「金正恩が核攻撃する能力を持てば直ちに死ぬ」 |
15日 | 北朝鮮、中距離弾道弾を平安北道・亀城から発射。米軍は「直後に爆発」と発表 |
19日 | 労働新聞「先制攻撃は米国と南朝鮮の特権ではない。南全域は火の海、米本土も修羅場になる」 |
20日 | 北朝鮮、亀城から長距離弾道ミサイル発射。米韓は「直後に失敗」と発表 |
21日、22日 | 北朝鮮の韓成烈外務次官と米国のガルーチ元国務次官補らがクアラルンプールで接触 |
中国を標的に金融制裁案
—「強力な経済制裁」とは?
鈴置:「対北朝鮮制裁に違反した対象と取引する組織や個人にも制裁を適用する」セカンダリー・ボイコットがその中軸です。
北朝鮮と取引を続けることで、金正恩(キム・ジョンウン)政権の核・ミサイル開発資金の獲得を幇助する中国企業が念頭にあります。
すでに2016年9月に米上院の有力議員が、当時のオバマ(Barack Obama)大統領にそれを求める書簡を送っています。東亜日報が「米上院議員19人、『セカンダリー・ボイコット』要求」(9月20日、日本語版)で報じています。
今回の「北極星2型」の発射を受け、米上院の有力議員が再び動きました。米議会の運営するRFA(ラジオ・フリー・アジア=自由アジア放送)の「米上院議員6人、『対北追加金融制裁』書簡」(2月15日、韓国語版)は、2月15日に彼らがトランプ政権に求めた新たな金融制裁案の中身を以下のように報じました。
- 北朝鮮のすべての銀行を例外なく特別指定制裁対象(SDN)リストに載せ、国際金融システムから完全に遮断する。
- スウィフト(SWIFT)を含む国際銀行間通信サービスに関し、北朝鮮の銀行との関係を断つよう、欧州連合とベルギー政府に要請する。
- 財務省が追加財源と人員を投入し北朝鮮のマネーロンダリング組織と、これを支援する中国の関係者を探し出し、資産凍結はもちろん民事・刑事上の責任を問う。
- 中国銀行を含む中国の13行に関し、北朝鮮の核開発を支援してきた丹東ファイナンシャングループの法令違反との関連をできるだけ早く調査に乗り出す。
後ろ2つは、中国の大手銀行も国際的な金融取引から締め出すぞ、との脅しです。これが実行に移されたら中国経済はパニックに陥ります。
トランプの顔色見た中国
—「対北」を超えて「対中制裁」に乗り出す感じですね。
鈴置:国連がいくら北朝鮮への経済制裁を定めても、中国がさぼったため効果が上がらなかったからです。
2月17日、ボンで行われた米中外相会談でもティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が王毅外相に対し、北朝鮮にあらゆる手段を使うよう促しました。
さすがに中国も「まずい」と考えたのでしょう、米国に「誠意」を見せました。翌2月18日、中国政府は突然、2月19日から同年末まで北朝鮮からの石炭輸入を中断する、と発表しました。
北朝鮮の外貨稼ぎの主力は石炭輸出です。北朝鮮産の石炭輸入には上限が設けられていたのですが、中国が守っていないとの疑いがもたれていました。今後、中国が本当に石炭輸入を中断するかも分かりませんが。
北は核の先制攻撃も宣言
—北朝鮮に核武装を放棄させるため、米国はまずは経済制裁の強化で、それが効かねば先制攻撃、との方針でしょうか。
鈴置:そうとは限りません。経済制裁の強化を国連が決めても、中国がちゃんと協力しないかもしれません。仮に中国が応じても、北朝鮮経済を痛めつけるには時間がかかります。
経済制裁の強化に国際社会が動き始めた後でも、北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)を試射すれば、あるいはその素振りを見せれば、米国がすぐさま先制攻撃する可能性があると思います。
2017年1月1日、金正恩委員長は新年の辞で「ICBM試射の準備が最終段階にある」と表明しています。
そのうえ「米国とその追随勢力の核の威嚇と恐喝が続く限り、年次的というベールをかぶせた戦争演習騒動を中止しない限り、核武力が中核の自衛的国防力と先制攻撃能力を強化する」と宣言しました。
3月から始まる米韓合同軍事演習を中断しない限り、核・ミサイル実験を続けるとも表明したのです。
2016年10月5日の労働新聞は「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換した。核はいつでも米国に使える」と書きました。北朝鮮は核による先制攻撃までも宣言済みです。
北朝鮮の核武装を阻止するために残された時間はほとんどありません。2月12日の「北極星2型」の発射以降、安全保障の世界では「これ以上手をこまねいていてはいけない」との認識が共有されました。
日米の戦略的環境が一変
—北朝鮮はこれまで弾道ミサイルを何度も撃っています。長距離弾道弾でもない「北極星2型」に、それほど大きな意味があるのですか?
鈴置:日本や米国にとって戦略的な環境がガラリと変わりました。2月13日、北朝鮮は前日に発射に成功した「北極星2型」は固体燃料式エンジンである、と発表しました。それを否定するに足る材料はありません。
液体燃料式なら発射の際に燃料を注入するのに時間がかかるので、ミサイルが地上にあるうちに攻撃する手があります。
一方、固体式だと北朝鮮が発射を決意した瞬間に撃てるので、米国や日本は奇襲攻撃されやすくなります。
日米にとってさらなる問題もあります。軍事ジャーナリストの惠谷治氏は、今回の発射で使った自走式発射台に注目しています。
地中に設けるサイロ式の発射台なら場所は容易に特定でき、先制攻撃しやすい。しかし、北朝鮮はあちこちに動かせる自走式発射台の導入で、ミサイルの所在を隠蔽できます。すると奇襲攻撃しやすくなるうえ、先制攻撃されても反撃が可能になります。
となると、日米は先制攻撃に逡巡することになります。反撃のため飛んでくるミサイルに核弾頭が載っているかもしれないからです。
MDで阻止できなくなる
—北朝鮮は自走式発射台を持っていなかったのですか?
鈴置:持っていました。ただ、いずれも中国製で数は限られると見られていました。惠谷治氏によると、自走式発射台の製作には結構、難しい技術が要るため、中国から買っていたのです。
ところが今回の発射で使ったのは北朝鮮製だった模様です。国産化により自走式の発射台を大幅に増やせると、惠谷治氏は懸念しています。
同時により多くのミサイルを発射できるようになるので、日本や米国がいくらミサイル防衛網(MD)を充実させても、完全に阻止できなくなる――撃ち漏らすミサイルが出てくる可能性が高まるのです。
要は日米にとって、北朝鮮の核・ミサイルシステムを早急に除去しないと安全を確保できない段階に至ったのです。
「離米従中」という逃げ道
—日米だけではなく、韓国にとっても北朝鮮の核の脅威はぐんと増したのですね。
鈴置:必ずしもそうとは言えません。韓国の次期政権が米国を離れ、中国側に走れば――中国の核の傘に入ってしまえば、北朝鮮の核の脅威は相当に減ります。
大統領レースで現在、支持率トップを走る「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は、在韓米軍基地へのTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)の配備を見直すと宣言しています。
配備は米国が強く進める半面、中国が強力に反対しています。配備を拒否すれば米韓同盟は風前の灯となります。韓国の「離米従中」は現実のものになっています。
文在寅前代表は「大統領に就任したら当然、米国よりも先に北朝鮮に行く」とも語っています。北朝鮮との関係を一気に改善すると表明したのです。(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)
韓国には、どれだけ頼りになるか分からない米国よりも、恐ろしい中国や北朝鮮と仲良くした方が国の安全を確保できる、との発想もあるのです。
ちなみに、南北朝鮮が関係を改善し一緒になって北の核で日本を脅す、というあらすじの小説『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』が1990年代の韓国でベストセラーになっています。
何をやらかすか分からない国
—確かに、北朝鮮は何をしでかすか分からない国ですからね。
鈴置:そこなのです。今回の金正男暗殺事件で、世界の人々は「金正恩委員長は異様な人間である」との思いを強くしました。これも北朝鮮への先制攻撃論を加速しました。
普通、仮想敵が核ミサイルを持っても、こちら側が持っていれば直ちに戦争が始まるわけではありません。「相手だって核戦争で自らの国民が犠牲になるのは躊躇するだろう」との判断から、話し合いにより戦争を避けようと双方が考えるからです。
しかし「自分の邪魔になる異母兄は、外国に刺客を送っても殺す」指導者には、合理的な対話は期待できません。
北朝鮮政府は今回の暗殺への関与を認めていませんが、世界はそれを前提に動き始めました。犯行現場となったマレーシアの警察が、主犯グループは北朝鮮籍の人々で構成されたと判断しているからです。
2月22日、マレーシアの警察庁長官は、金正男殺害事件に北朝鮮大使館員が関係していたと発表しました。犯行後に帰国した4人の北朝鮮籍の容疑者の引き渡しも北朝鮮政府に要求しました。
冒頭に紹介した日経の世論調査で、43.9%もの人が北朝鮮への軍事攻撃を日本政府に望んだのも、この暗殺事件が影響していると思います。北朝鮮は対話では解決できない相手だと、ついに日本人も考えたのです。
政権交代シナリオに重み
—米国人も、ですか?
鈴置:米国人も同じです。東亜日報のイ・スンホン・ワシントン特派員は「米メディア『本当に狂っている』『金正恩は何をするか分からない』」(2月16日、韓国語版)で、以下のように書きました。
- 「これは本当に狂った(insane)話です」。「金正恩は今後、何をしでかすか分かりません」。CNN、FOXニュースは2月14日(現地時間)、金正男殺害事件を報じた際、こう評した。
- 米国でも金正恩の暴走がどこまで続くか、予測不能との空気が強まっている。米本土を狙ったICBMの試験が迫っているとの憂慮も深まった。
- ワシントンの外交界と主なシンクタンクにも、この事件によりトランプ政権がいっそう強硬策に出るとの見方が多い。
- CNAS(新アメリカ安全保障センター)のパトリック・クローニン(Patrick Cronin)上級顧問は「戦争状態でもないのに真昼間に暗殺を敢行する北朝鮮が、国際社会の正常な一員となることはほぼなくなった」としたうえで「先制攻撃、政権交代シナリオがこれまで以上に重みを持って議論されることになろう」と語った。
難民を恐れる中国
—話を聞いていると、米国による北朝鮮への攻撃が今にも始まる気がしてきました。
鈴置:専門家は軍事的にはいつでも可能だし、早ければ早い方がいいと判断しています。ただ、政治的な問題が残っています。
北爆によって北朝鮮の核を除去し金正恩政権を倒した後、朝鮮半島の勢力圏をどう確定するか――までは米中間で合意ができていないように思われます。
—そもそも「北爆」を中国は嫌がりませんか?
鈴置:それにより、大量の難民が中国になだれ込むことは大いに警戒していると思います。一方、米国にしても、北朝鮮の「液状化」に伴う朝鮮半島の混乱に巻き込まれたくはないでしょう。
そこで米中が「北爆後の液状化」を避けるため、何らかの協力体制を模索する可能性が高いと思います。北朝鮮を国連、実質的には米中が共同管理するアイデアもあるのです。
21世紀に入ったころから米国は中国に対し「事後処理を話し合おう」と何度も呼び掛けたようです。しかし、中国側が応じなかったとされます。
ただ、状況が切羽詰まって米国が「北爆」のハラを固めれば、中国も協議に応じるしかありません。もう、応じているかもしれません。
激変する朝鮮半島の構図
—そこで米中の取引が始まるのですね。
鈴置:米国との交渉の過程で、中国は自らの脅威となっている在韓米軍の撤収、あるいは米韓同盟の廃棄を求めると思います。「事後処理での協力」との交換条件に持ち出せば、米国も飲むかもしれません。
米国にとっても在韓米軍は財政的な重荷になっています。朝鮮半島北部から「何をするか分からない政権」が消えれば米軍、ことに地上軍を韓国に置いておく必要性は減ります。
もちろん、米中の談合が成立する前に時間切れとなり「北爆」が始まる可能性もあります。いずれにせよ、今後予想される「半島の激変」に日本は身構えるべきです。
(次回に続く)
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