5/12渡部亮次郎メルマガ掲載 杉浦 正章『中露の「法秩序無視」が「歴史認識」を霞ませる』記事について  

杉浦正章氏は時事通信出身だけあってリベラルな立場で小生とは意見を異にする時が多くあります。ただ彼の世界を視る眼は曇っていませんというと、小生がさも偉らそうにと思われるかもしれませんが、そうではなく彼の見方が素晴らしいということです。嗅覚鋭く先を読みます。そこが他の底の浅い売国且つ平気で嘘がつける左翼リベラルとの違いかも。

彼の言う『9月の「抗日戦勝記念式典」を“不振”に終わらすのだ。』と言うのは大事なポイントで、9/3に中国が開催する抗日記念行事の参加国を5/9のロシアの70周年戦勝記念のように減らすことです。9/3以降のオバマと習の訪米会談は要注意です。オバマが八方美人のため、4月の安倍首相訪米時の歓迎と同じように行動する可能性もあります。これはラジオで青山繁晴氏が危惧していたところです。議会は上下とも共和党が多数だから習に演説させることはないと思いますが。

TVでは外務省出身の宮家邦彦氏は、「中露はいじめっ子で誰も近づきたがらない」と言っていました。まさしくその通りで、ジャイアンが二人もいたのでは学級崩壊になってしまいます。外務省出身と言うと栗山や孫崎を思い浮かべ、非常に印象が悪いのですが、宮家氏はまともです。「中露の連携は結局のところ「弱者同盟」に過ぎない。要は両国が失敗を続けているからこそ成り立つ関係であって、逆にどちらか一方が成功すれば、早晩弱体化していく運命にあると思う。」と彼のブログにもありました。

ロシアの60周年戦勝記念には50数か国参加したのに今回は20カ国でプーチンも寂しさを感じたのではと思います。軍事大国ではありますが、経済も今いち、欧米日と仲間はずれになって、悔しいけど習近平と手を結ばざるを得なくなってきているということでしょう。オバマがもっと地政学を学ばないとダメです。真の敵は誰かと。ケリーとプーチンが会って話すようですが。もっと早くロシアと話すべきだったのではと思います。ただ習はロシアの帰り、旧ソ連のカザフやバラルーシにも足を運んだとのことでプーチンは内心面白くなく思っているハズです。

「5/12軍事情報メルマガ」によれば、自衛隊も南シナ海での哨戒活動?との記事がありましたので、紹介します。皆で中国の軍事拡張を止めないと。個別に戦えば負けますので合従連衡が大事です。中国の戦略は「そうはさせじ」と分断を図ってきますからその手に乗らないことです。

■防衛省、南シナ海での哨戒活動参加を検討?

http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2015/04/148469.php

によれば防衛省は、米軍と共同しての南シナ海哨戒活動への参加について検討を始めたとのことです。

昨日もお知らせしましたが、南シナ海の危機を煽る報道等が目立ってきているのはその証左でしょう。

ただ、中共の侵略的海洋進出の姿勢がアジア太平洋情勢の不安定化を招いていることだけは確かで、わが国にとっては臺灣、尖閣という目の前の危機に直結する重大問題でもあります。

南沙諸島侵略に直面している東南アジア諸国は、我が国のプレゼンス発揮を待ち望んでいるのが実際のところです。

わが国は、世界の大国としての責任を、国益と天秤にかけつつ果たしてゆく必要があります。いま、南シナ海方面、ホルムズ海峡が有力候補なのは確かでしょう。

たとえば今年3月に米は、ASEANに対し統合海上部隊の結成を呼びかけています。

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/150321/cpd1503210500003-n2.htm

米・豪など各国がASEAN各国と共同演習等を実施してはいますが、南シナ海方面で現在展開している国連活動、多国籍部隊はありません。

ホルムズ海峡では連合任務部隊CTF150が展開しています。

【参考】(H27.4.27配信 軍事情報517号より)

記事

“悪意の枢軸”による「擬似的冷戦」の構図は長期化する

このところ目まぐるしく展開する世界情勢を鳥瞰(ちょうかん)するなら、ナチスや日本軍と戦っていない中国共産党政権が、「戦後70年」をプロパガンダに活用しロシアに急接近し、米欧に対抗し始めたことであろう。

ロシアは北朝鮮にも急接近し、ロシアを軸とする中国、北朝鮮との「悪意の枢軸」を形作っている。一方極東における日米関係は、首相・安倍晋三訪米によりその歴史上最も強い絆で結ばれ、豪州、インドとともに海洋覇権を目指す中国を抑止する構図が確立した。

この「擬似的冷戦構図」ともいえる二つの潮流は、少なくとも10年単位の長期にわたりしのぎを削るものとなり、世界情勢に影響を及ぼし続けるだろう。日米は70年前の歴史認識より、今そこにある法秩序の破壊を展開している国の動きにくさびを入れる国際世論を盛り上げるべきだろう。

まずはモスクワの「対独戦勝70年式典」を米欧日首脳がボイコットしたように、9月の「抗日戦勝記念式典」を“不振”に終わらすのだ。

中露2国の接近はいわば「同病相哀れむ」の色彩を濃くしている。なぜなら両国とも国連憲章の定める法と秩序による世界平和の達成に真っ向から挑戦しているからだ。

ロシアはウクライナ侵攻へのごうごうたる世界世論の非難をどこ吹く風とばかりに、隙あらば軍事行動を本格化させる姿勢である。そればかりかプーチンは窮鼠猫をかむがごとくに核使用までほのめかしている。

一方で中国は、東・南シナ海への覇権行動を繰り返している。最近では東シナ海は安倍訪米で日米共同防衛の方向が確立した結果、容易に進出出来ないと見たか、矛先を軍事力の手薄な南シナ海に向け、過去4か月で埋め立てを4倍に拡大して、軍事拠点化を推し進めている。

南シナ海は欧州のウクライナと同様にアジアの火薬庫としての色彩を深めている。

この中露2国による覇権行動はあの手この手の懐柔策が伴っており、巧みである。プーチンは、北方領土に解決策があるかの如き“そぶり”を安倍に見せて、日本が米ソ冷戦時のような形で米国に付くことを引き留めようとしている。

しかしクリミア半島を濡れ手で粟のごとくかすめ取り、プーチン支持率が天上を突き抜けそうになっていることを目の辺りにして、今ロシアが北方領土で譲歩することはあり得ない。

安倍はプーチンの“たらしこみ”にやすやすと乗ってはならない。一方中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)でG7にくさびを打ち込んだ。イギリス、フランス、ドイツなどの加盟は日経・風見鶏が「渇して盗泉を飲む欧州」と形容したが、まさにその通りだ。

尤も米国はいくらNATOで軍事的結びつきがあるからと言って、その経済活動にまで口を出すことは難しい。欧州は中国とは日本のように安全保障問題に直面していないから、参加は無理もない。

日本は「武士は食わねど高楊枝」でネガティブな立場で静観するしかない。

筆者が最初から指摘しているように、AIIBを巡る中国の思惑はその国内対策であるような気がしてならない。バブル崩壊が始まっているというのは既に通説であり、その対応策としての様相が強いからである。

高度経済成長を維持してきたけた外れの過剰生産能力を振り向けるのに絶好の材料となるからだ。振り向けなければバブルはのっぴきならぬ事態へと発展する。

習近平は海と陸のシルクロードを一路一帯と称して大風呂敷を広げているが、中国内の過疎はどうして起きたかと言えば、人口の都市集中であり、これは高度経済成長にとって構造的に不可欠なものである。

そのシルクロードに沿った過疎地帯に莫大な投資をして利益がどうして上がるだろうか。極めて疑問である。つぎにシルクロードに面した世界的過疎国家群の存在である。やはりこれらの国々に莫大な投資をして、取得できる利益があるのだろうか。

習はアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが世界恐慌を克服するために行ったニューディール政策を意識しているのかもしれない。TVA(テネシー川流域開発公社)などの公共事業を起こして恐慌克服に役立ったが、それを先取りしようとする思惑が見られるのだ。

しかし、まかり間違えば中国のバブルをユーラシア全域に及ぼしかねない側面がある。したがって日米が慎重に参加を見送っているのは賢明である。日本国内には元首相・福田康夫や村山富市のようにAIIBが何であるかも分からない内から参加の必用を説く盲目的親中派があるが、元首相

たるものもう少し情報を集めて判断をしてもらいたいものである。

その習近平が、おそらくりつ然としたのが去る9日にモスクワで行われた「対独戦勝70年式典」だろう。

9月3日に予定している「抗日戦勝記念式典」の“予行演習”で気勢を上げようともくろんでいたに違いないが、ウクライナへの軍事介入の余波で米欧日本がボイコットして、国際政治の厳しさをまざまざと見る羽目陥ったのだ。

これは紛れもなく今そこにある安全保障問題が70年前の歴史認識に優先順位として勝(まさ)ったことを意味する。習にしてみれば抗日式典が、同様の有様になった場合など考えたくもないだろうが、事態の展開は甘くはない。

南沙諸島での埋め立てという領有化政策をどんどん進めて、まるでその竣工祝いのように、抗日戦争式典を催すことに世界がどう反応するかだ。おまけに中国共産党は抗日戦争で一線に立っていない。

日本は国民党政権に負けたのであって、対日軍事行動を避けて逃げ回っていた中国共産党軍に負けたのではない。

安倍は70年記念行事にたじろぐ必要は無い。6月7,8日のドイツ・エルマウサミットで堂々と戦後日本の平和主義を主張し、過去70年間にウイグル侵攻、チベット侵攻、朝鮮戦争に介入、インドに侵攻して中印戦争、中ソ国境紛争、中越戦争と血塗られた好戦的国家・中国の姿と対比させるべきであろう。

今月15日に開かれた先進7か国(G7)外相会合が「海洋安全保障に関する外相宣言」を初めて取りまとめたことは成果であろう。この流れをサミットへと勢いづけ、極東においても今現実にある安保問題を歴史認識より優位に立たせて、中国のプロパガンダにクギを刺すべきであろう。

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