『米政治を動かす宗教勢力「福音派」の正体、中絶問題を軸に巨大化した政治力とホワイトハウスへの影響力 【著者に聞く】『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』の加藤喜之が語る、多様性も秘めた福音派の実像』(12/28JBプレス 長野 光・加藤 喜之)について

12/28The Gateway Pundit<WATCH: Treasury Secretary Bessent Says Americans Will See ‘Gigantic’ Tax Refunds in 2026 Thanks to Trump’s One Big Beautiful Bill Act=ベセント財務長官は、トランプ大統領の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」により、2026年には米国民は「巨額」の税金還付を受けるだろうと語る>

関税効果?日本は官僚の天下り法人を廃止、民営化すれば、純債務は減る。それを原資に消費税減税すべき。

勤勉な米国人にとって嬉しいクリスマスの雰囲気として、スコット・ベセント財務長官は、ドナルド・トランプ大統領の大規模な税制改革のおかげで、2026年には「巨額の」税金還付金がもたらされると予測した。

IRS長官代理も務めるベセント氏は、最近「オールイン・ポッドキャスト」に出演した際にこの衝撃的なニュースを明かし、ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(OBBBA)がいかにして一般家庭の懐に多額のお金を取り戻すことになるかを強調した。

「働く米国人は、源泉徴収額を変えなかったため、第一四半期の還付金が莫大な額になることは明らかだ」とベセント氏ははっきりと述べた。

ベセント氏は、OBBBAの減税措置が2025年初頭に遡及適用されるため、ほとんどの労働者は年間を通して以前の高い税率で源泉徴収され続けると説明した。その結果、2026年初頭の確定申告シーズンには、多額の還付金が支払われ、巨額の過払いが発生することになる。

ベセント氏は、この予期せぬ利益の可能性について言葉を濁さず、世帯内の労働者数に応じて1,000ドルから2,000ドルの還付金が受け取れる可能性があると見積もった。

「労働者の数に応じて、世帯は1,000ドルから2,000ドルの払い戻しを受ける可能性があると思う」と彼は付け加えた。

ベセント氏の予測は、12月17日に発表された超党派の税務財団による確かな数字によって裏付けられており、報告書では、2025年にOBBBAが実施する1440億ドルの個人減税により、還付金だけで最大1000億ドルが納税者に還付される可能性があることを確認している。

https://x.com/i/status/2003541279834276313

税務財団の分析によれば、正確な金額は個々の状況によって異なるものの、平均的な還付金は申告者一人当たり最大1,000ドルも跳ね上がる可能性があるという。

IRSは法案可決後、源泉徴収表を更新しなかったため、米国人の手取り収入はすぐには増加しなかった。その代わりに、還付金の支給時期になると、節税効果が一気に現れる。これは、新年に待望の経済刺激をもたらす可能性のある一時金となるだろう。

これらの還付の中心となるのは、中流家庭と労働者の負担を軽減するために設計された、OBBBA に組み込まれた 7 つの主要な減税です。

  • 児童税額控除の増額:次世代を育てる親への支援を強化。
  • 標準控除額の引き上げ: 税金を簡素化し、納税額を削減します。
  • SALT控除上限の引き上げ: これまでの制限によって大きな打撃を受けた高税率の州に住む人々への救済措置。
  • 高齢者向けの新たな控除: 退職者が苦労して貯めた貯蓄をより多く保持できるように支援します。
  • 自動車ローン利子控除: 自動車の所有をより手頃なものにします。
  • チップ所得控除: チップに頼っているサービス労働者にとって有利です。
  • 残業手当控除: 残業時間外に働いた人に報酬を与えます。

返還金の総額が数十億ドルに達する可能性もあり、これは成長促進政策が米国民に利益をもたらしていることを明確に示すものだ。

https://www.thegatewaypundit.com/2025/12/watch-treasury-secretary-bessent-says-americans-will-see/

https://1a-1791.com/video/fwe2/e4/s8/2/K/v/G/L/KvGLz.caa.mp4?b=1&u=ummtf

12/29阿波羅新聞網<升级!川普不断出重拳 中俄各怀鬼胎—美对委内瑞拉施压升级:中俄各怀“鬼胎”= エスカレート!トランプは絶えず厳しい攻撃をする、中国とロシアはそれぞれ独自の隠れた思惑を抱えている――ベネズエラへの米国の圧力がエスカレート:中国とロシアはそれぞれ独自の隠れた思惑を抱えている>

トランプ米大統領はベネズエラに対する行動をエスカレートさせている。この紛争は地政学的にも重要な意味を持つ。中国とロシアはそれぞれどのような地政学的利益をベネズエラで追求しているのだろうか?

カリブ海における米艦隊の行動は、さらなる混乱を招く可能性がある。米軍艦は2025年12月以降、麻薬密売船とされる船舶だけでなく、石油タンカーも標的にしている。

麻薬取引におけるベネズエラの役割については専門家の間で意見が分かれているものの、同国の石油輸出の重要性については全ての関係者が一致している。経済崩壊寸前のこの国は、3,000億バレルを超える世界最大の石油埋蔵量を保有している。

これらの地下資源は、「石油支持派」のトランプ大統領の戦略において、明らかに重要な役割を果たしている。これは、ベネズエラのマドゥロ大統領が外交関係を維持するための鍵でもある。しかし、石油だけで現在の紛争の激化を説明することはできない。他の多くの利害が絡んでいるのだ。米国に加え、中国とロシアという二大国も、この問題に関してそれぞれ独自の目的と要求を持っている。

中露は当然トランプの新モンロー・ドクトリン上に自分の拠点を置きたいと考える。また米国はベネズエラが世界の不正選挙マシーンの拠点になっているので、それも潰すでしょう。

https://www.aboluowang.com/2025/1229/2326905.html

12/29阿波羅新聞網<北京完败美国?中共牌坊在巴拿马运河轰然倒下—胜负已分?巴拿马运河一座中共牌坊被拆=北京は米国に完敗? パナマ運河の中共アーチが轟然と倒される ― 勝負はついたのか? パナマ運河の中共アーチが取り壊される>

パナマ運河の入り口にあった中国の記念的建築が、土曜日の夜(12/27)、地方政府の命令により取り壊された。この出来事は、極めて戦略的な大洋横断水路であるパナマ運河において中国の影響力を低下させようとしている中で起こり、国際的な注目を集めている。

AFP通信によると、取り壊されたのはパナマ運河の太平洋側入口付近にあった伝統的な中国式のアーチ道である。アメリカ橋を渡って右折すると、黄色のタイルと赤い柱が特徴的なこのアーチ道が見える。このアーチ道は展望台の上に建っており、長年にわたり地元のランドマークとして親しまれてきた。

取り壊し命令は、運河入口に位置するアライハン市役所から発せられた。市役所は重機を用いて、2004年に建設されたこのアーチ道を取り壊した。このアーチ道は「パナマと中国の友好の象徴」とされていた。

市役所が発表した声明によると、アーチ道は構造的な損傷により「安全上のリスク」があると判断され、取り壊しが決定された。

しかし、パナマのムリーノ大統領は日曜日、この決定を公に非難し、取り壊しは「いかなる正当化もできない野蛮な行為」であり、「許しがたい非合理な行為」であると述べた。

徐学渊駐パナマ中国大使は、記念建築物の被害状況を視察した後、この日はおよそ30万人の中国系パナマ人にとって「暗黒の日」であると述べた。大使は、両国の友好関係への影響について「深い悲しみ」を表明し、「歴史はこの瞬間を記憶するだろう」と述べた。

ムリーノ大統領は、取り壊しに関する即時調査を命じた。取り壊された記念施設には、メインのアーチに加え、2体の石造ライオン像が含まれている。オベリスクはまだ残っている。

大統領と市長の役割分担?

https://www.aboluowang.com/2025/1229/2326898.html

12/29阿波羅新聞網<逼急了!成都男引爆丰田汽车店 致多人死伤=追い込まれた!成都の男がトヨタディーラーで爆発事件を起こし、多数の死傷者発生>

12/28、中国四川省成都のトヨタディーラー(4Sストア)で爆発が発生し、5人が死傷した。捜査の結果、男が店舗との口論をきっかけに爆発を起こしたことが判明した。

日本企業はこれでもまだ中国で商売する気?昔から中国人は「怒ると何をするか分からない」と言われていた。官憲も反日だから大目に見るでしょう。

https://www.aboluowang.com/2025/1229/2326810.html

12/29阿波羅新聞網<首次!中共活摘器官罪行系统性呈现在世界面前—《铁证如山》:中共活摘器官罪行蔓延到世界=初!中共の臓器狩り犯罪システムが世界に暴露される――《鉄壁の証拠》:中共の臓器狩り犯罪が世界に広がる>中共が「摘出臓器」を世界に輸出するブラックサプライチェーンへと変貌させる中、中共の臓器狩りが中国から世界へとどのように広がったのかを真相究明する報告書《鉄壁の証拠》は、中共の臓器狩り犯罪を組織的に世界に初めて明らかにした。

中国人は道徳心が高いと思っているあなた、このニュースを見てもそう思う?

https://www.aboluowang.com/2025/1229/2326897.html

何清漣 @HeQinglian 8h

今日のインターネット時代において、セルフメディアは世間に迎合しなければトラフィックを獲得することはできない。トラフィックこそが生活の質を決定づけるのだ。必然的に、視聴者の感情的価値がトラフィックを決定づけ、トラフィックは経済収入に直結する;トラフィックを増やすためには、セルフメディアは視聴者に感情的価値を提供しなければならない。視聴者の感情的価値とセルフメディアの世間受けが相まって、外部世界の真正性は著しく歪められ、メディアの早期警戒機能を著しく損なっている。

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陶瑞 aoRay @TaoRay 13h

やっと気づいたが、小Linは中国経済に関するコンテンツをYouTubeではなく、国内のセルフメディアに投稿している。YouTubeで批判されるのを恐れて、両方のプラットフォームでファンを維持したいのだろう。これは良くないと思う。中国がうまくいっているなら、たとえアンチがいても海外のウェブでそれについて話すのを恐れてはならない。うまくいっていないなら、中国で大きなことを言うべきではない。とにかく、レトリックを二つも使い分けするのはあまりにも低レベルだと思う!コンテンツで生計を立てているブロガーとして、真正性は重要である。

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何清漣 @HeQinglian 5h

データを読むには、米国の福祉制度などは、関連する背景を結び付ける必要がある。数日前、私は米国で貧困ライン以下の収入がある3人家族が年間6万ドル以上の補助金を受け取っていると投稿した。これは同程度の給与収入がある家族よりもはるかに有利である。関連する制度を考慮せずにデータだけを議論することに一体何の意味があるのか?

しかし、皆さんがこのメッセージを心から信じ、積極的に広め、様々な国から米国への不法移民を減らす一助になれば幸いである。米国の納税者には、これほど多くの不法移民を養う余裕はない。😅

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Essen @essen_ai 17h

補充して訂正:ピュー・リサーチ・センターのデータによると、中国系米国人の上位層の収入は下位層の19倍である。中国系米国人コミュニティは極めて二極化している:一方では、H1B/L1ビザを持ち、年収数十万ドルのハイテク系新移民(Twitterでキル閾値を認めようとしないグループ)がいる。一方、チャイナタウンの狭いアパートに住み、現金で暮らしている(意見を表明する機会もない)高齢のブルーカラー移民もいる。x.com/essen_ai/statu…

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何清漣 @HeQinglian 1h

私も反撃に賛成だ。米国の「快楽教育」が分別を失って以降、子供へのあらゆるしつけは有害だと見なされ、際限のない私欲を持つ無責任な若者世代(10年間)を生み出した。個人の衰退は必然的に社会の衰退につながる。今、反省しなければ手遅れになるだろう。

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WSJ 中国語版 @ChineseWSJ 8h

#今週の注目記事 長年にわたり、成人した子供たちは「有害」とみなす家族との関係を断つよう促されてきた。今、子供たちと疎遠になった母親たちが反撃し、ソーシャルメディアで子供たちの恩知らずを非難している。彼女たちの経験は、何千人ものフォロワーの共感を呼んでいる。 https://buff.ly/ogJ3V9G

何清漣 @HeQinglian 4h

極端なことを言えば、王でさえ頭上にダモクレスの剣をぶら下げている(歴史的な暗示)。誰もが必ず死ぬのと同じように。これは紛れもない真実である。

外出すれば交通事故に遭うかもしれないし、飛行機に乗れば墜落事故に遭うかもしれないし、川で泳げば溺れるかもしれないし、スキーをすれば雪崩に遭うかもしれない。ある年、ニュージャージー州では猛吹雪で木が倒れ、車が押しつぶされて3人が亡くなった。森の近くのドリームハウスでクリスマスを過ごしている6人家族もいる。

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羲皇 @TidVR7NzHA26324 21h

興味深いことに、英語で「キル閾値」の存在について尋ねるのと、中国語で尋ねるのとでは全く異なる答えが返ってくる。英語での答えは、「キル閾値は現実であり、普遍的であり、ダモクレスの剣が誰の頭上にもぶら下がっている」というものである。

中国語のTwitter上の米国愛好家たちは、米国に真に溶け込んだことも、英語圏に溶け込んだことも、そして本当の米国を理解したこともないのかもしれない。

何清漣 @HeQinglian 2h

胡平のツイートとこの記事「ホームレスの原因トップ10」を合わせると、ほぼすべてが薬物に関連している。暗黙の家庭崩壊は、薬物依存、性的指向、未婚での早産にも関連している。

https://arlingtonlifeshelter.org/how-we-help/resources/causes-of-homelessness.html

  1. 依存症 米国の都市の68%が、依存症がホームレスの主な原因であると報告している。

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引用

胡平 @HuPing1 12月25日

米国のホームレス問題から話そう。1. 米国に行ったことがない人でも、米国、特に大都市にはホームレス、いわゆる浮浪者やホームレスがいることを知っている。x.com/xizzhu/status/…

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長野氏の記事では、今はトランプ支持層で福音派よりMAGA派の力が強いように思う。但し、最近のラスムセンによれば、共和党支持者はMAGAより普通の共和党員を支持したいとの回答だったですが。

「妊娠中絶」は2024年大統領選で大きな争点にはならなかった。争点は経済とインフレ抑止だった。来年の中間選挙もそうなる。上のベセント長官の発言のように大幅税還付の実現やインフレが今のレベルで止まり、不正選挙をできなくすれば、共和党は勝てると思いますが・・・。ただラスムセンによれば、若者のトランプ支持率が下がっているのが気になります。トランプは手を打たないと。

記事

ホワイトハウスの祈禱会でトランプ大統領に手を置く福音派の指導者たち(提供:Daniel Torok/White House/Planet Pix/ZUMA Press/アフロ)

目次

 世界各国で右傾化が見られるが、震源地アメリカの核心には、キリスト教保守「福音派」の意向が大きく反映されていると言われる。来年11月に米中間選挙が迫るが、エプスタイン文書で揺れるトランプ政権は引き続き福音派の支持を得られるのか。福音派とはどのような人たちで、いかに今のアメリカの政治と関わっているのか。『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(中央公論新社)を上梓した加藤喜之氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──福音派について膨大な情報をまとめ、本書を書かれています。福音派とはどのような人たちなのでしょうか?

加藤喜之氏(以下、加藤):「福音派」は、英語で「evangelical」ですが、この言葉は古くからあるもので、もともとは16世紀に起きた神学者マルティン・ルターの宗教改革運動を指す言葉でした。基本的にはプロテスタントを意味し、18-19世紀にかけて、同様の意味でイギリスでも使われました。

その後、アメリカにこの言葉が入ってきたときも、最初は「熱心なプロテスタント」を指す言葉でした。ただ、20世紀初頭にプロテスタントが聖書や教義に忠実に生活する「原理主義」と、より多様な価値観を受け入れる「主流派」に分かれると、主流派の教会から原理主義者は追い出されました。

追い出された原理主義者は1920年代は社会から離れ、自分たちの価値観に合致したサブカルチャーの中で生活していましたが、1940年代になると、教育、メディア、政治などに影響力を及ぼそうと動き出し、「福音派」と名乗ってモデルチェンジしました。福音派の存在が全米で認知されるようになってくるのは、もう少し後の1970年代後半頃からです。

──福音派というと、キリスト教の古典的な価値観や倫理観を徹底して大事にする人々という感覚で語られがちですが、本書を読むと、時代の中でかなり変化してきていることがうかがえます。

加藤:辺境の南部に暮らす極右の狂信者というイメージを持たれますが、実際はかなり多様性もあります。地域ごとの違いも見られ、厳格な人々、知的階層、郊外のラフな庶民など、福音派は多様な層を包摂した非常に大きな傘です。

──福音派というと「人工妊娠中絶を許さない人々」という印象も強いですが、昔の福音派にはそのような考え方はなかったと書かれており、驚きました。

加藤:もともと人工妊娠中絶は福音派にとって大きなイシューではありませんでした。伝統的な家父長制の中で、子供ができたら産むもの程度の感覚でした。ところが、1960年代頃から官民両方でリベラリズムが広がります。とりわけ「第二のフェミニズム」や「フリーセックス」などの価値観が普及しました。

もともと性交渉は結婚の中のものと捉えられていましたが、「フリーラブ」「女性の権利」などが語られるようになり、並行する形で「中絶の権利」が議論され、特にマサチューセッツやニューヨークなどリベラルなエリアから、中絶という選択肢が州というレベルで可能になっていきました。

こうした流れに南部の人たちは反感を持つようになります。最初に反発したのはカトリックでした。1973年に中絶を禁止しようとしたテキサスの法律に対して、「女性のプライバシーの権利の侵害だ」と最高裁が違憲判決を出します。有名な「ロー対ウェイド判決」です。

テキサス州の保守層は自分たちの意志が覆されたと感じて怒りましたが、まだこの時点でも南部の一般的な感覚では、中絶に関することはそれほど問題とはされていませんでした。

ところが、牧師で神学者のフランシス・シェーファーなどが主導し、「これは人間の生命の尊厳に関わる問題であり、この問題を軸に福音派をまとめて政治活動をしていく必要がある」という考え方を展開していきました。

中絶がアメリカを分断する争点になった経緯

──意図的に主導された主張だったのですね。

加藤:この直前にもう1つ重要な展開がありました。人種隔離の問題です。1954年に「ブラウン判決」と呼ばれる米最高裁の判決があり、白人と黒人を分ける社会の構成が否定されました。

ただ、その後もしばらく白人側は子供たちを黒人の子供と同じ学校に行かせないようにしました。その手段の1つが白人の私立学校を作ることです。私立学校の中で、白人だけでキリスト教的な教育をする。そうした私立学校に長いこと国から非課税待遇が与えられていました。

1960年代後半に黒人の政治家たちがその非課税待遇に気づき、「人種差別を容認する私立学校に非課税待遇はおかしい」と声を上げて訴訟を起こします。この裁判は黒人側が勝利して、非課税待遇は撤廃されました。そのことに南部の福音派の原理主義者たちが怒り、政府と闘おうと考えました。

しかし人種問題は皆で共闘できるテーマではありません。特に北部の進歩的な福音派などは賛成できない。そこに1973年以降、人工妊娠中絶という問題が出てきたので、これだったら皆で団結して闘えると福音派の指導部は考えたのです。

しかも、カトリック、モルモン教徒、ユダヤ教徒も一緒になって闘えるテーマでした。こうして70年代後半から80年代にかけて、宗教右派や関連のロビイスト団体にとって中絶は重要なテーマになっていったのです。

──福音派といえば、性的マイノリティには極めて厳しい考え方を持つと一般には考えられていますが、若い層を中心に47%が同性婚に理解を示しているデータも紹介されています。

加藤:米国における同性婚は2000年代以降、状況が大きく変わりました。2009年から民主党政権が続き、2014年から各州で同性婚の法制化が進み、福音派がひっくり返すことが難しいイシューになりました。

同性愛者を公表する人が若い層にはかなりいて、エンタメなどポップカルチャーを通しても同性愛者たちの実存に触れるようになり、福音派でも特に若い層を中心に受け入れている人は少なくありません。

一方で、近年再び若い人たちの間に保守的なキリスト教の感覚が復活する動きも見られます。凶弾に倒れたチャーリー・カークやZ世代のアクティビスト・ニック・フエンテスなどは、同性愛をリベラルの悪の結晶のように語ります。

2022年に「ドブス判決」が出て、1973年の「ロー対ウェイド判決」が覆された時に、最も保守的なクラレンス・トーマス最高裁判事が「同性婚も再び覆せるかもしれない」と可能性に言及しています。

同性婚に関しては一般の人々の間でも見解は変化していて、司法や政治運動の中で、同性婚に対して一方的に法を通す(違憲判決を出す)ことも今後あり得るかもしれません。

強大な力を持つ福音派ロビイスト団体

──今のアメリカの若者たちが、人工妊娠中絶や同性婚をあらためて批判的に論じるのは、保守的な親に倣ってのことですか?

加藤:むしろ若い人たちの運動を通して広がっている変化だと思います。世論調査を見ると、自らの意志で教会に通い始めるZ世代の動きが見られますが、その大部分は保守的な教会です。カリスマ派やペンテコステ派などがその半分で、もう半分が保守的なカトリックです。反人工妊娠中絶も反同性婚も、そうした場で新しい思想として保守的に理論武装されるのです。

日本の神道系のグループの中にも、同性婚や夫婦別姓の問題意識がありますが、神道系グループの勉強会で福音派のテキストが使われることがあります。グローバルにつながる保守ネットワークもあり、アメリカの宗教保守が羨望の眼差しを向けるハンガリーのオルバーン・ヴィクトル政権やロシア正教などもこうした保守的な政策を進めようとしています。

──ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプと福音派は思想が相反する歴代大統領たちに、それぞれ異なる理由から寄り添ってきたことが本書からうかがえます。なぜこのようなことが可能なのですか?

加藤:大統領側は支援がほしいので、大票田である福音派の支持がほしい。福音派の側も自分たちの要求を政策に反映させてほしい。相互に歩み寄っているのです。

そうした中で重要なのは、福音派のロビイスト団体が非常に大きな力を持っているということです。最も有名なのは、南部パブティスト連盟所属の牧師ジェリー・ファルエルが立ち上げたロビー活動団体「モラル・マジョリティ」です。

それ以降も、福音派の原理主義者たちは自分たちのロビイスト団体を持ち政治家を支援しています。新しくて有名なものに、元キリスト教連合事務局長のラルフ・リードが統括する「信仰と自由の連合(FFC)」などもあります。

こうしたロビー団体は献金ばかりではなく、全米に数多くいる福音派のキリスト教信者を使って、ボランティア活動などでも選挙を応援します。アメリカの選挙は郡(カウンティー)の単位なので、要所に人を送り込み熱心に選挙活動をしています。

ちなみに、トランプ氏が大統領選で勝利して第二次トランプ政権が発足すると、見返りとしてトランプ政権はホワイトハウス内部に信仰局を設立しました。福音派の影響力をホワイトハウス内部にも浸透させようとしているのです。

──牧師のビリー・グラハムについてページが割かれています。彼こそが、福音派をより現代的に一般的なものに押し上げた人物であるという印象を受けました。

加藤:そうですね。1920年代から1940年代までは、福音派が原理主義者として、社会の隅っこに追いやられていた時代です。しかし彼らは、ラジオを通して大衆にアピールすることがとても上手でした。当時はまだラジオの草創期でしたから、規制も少なく自由に番組を流すことができました。

この流れに危機感を覚えた主流派が、ワシントンの自分たちのロビイスト団体を使い、放送法を理由に福音派のラジオ放送をやめさせようとしたこともあります。

福音派の活動が大々的にしたビリー・グラハム

──キリスト教の内部抗争ですね。

加藤:1942年に福音派が「全国福音派協会」を作ったのも、主流派に対抗するためという意味合いもありました。そうした中で、ビリー・グラハムという牧師が注目されるようになっていきます。「大衆伝道」といいますが、彼は大きな天幕のようなものに人々を招いて、音楽を用意して、若者向けのメッセージを放つ屋外ライブのようなものを行いました。

最も有名なものは、1949年にロサンゼルスで行われた大伝道集会です。当時は、ソ連の核実験が成功したり、中国の共産主義化などの動きがあったりと、赤の脅威が強まっていました。当時のロサンゼルスは共産主義の色が非常に強い場所でしたから、そこの大衆に向かって「共産主義を信じ続けると神がこの都市を破壊するぞ」と語ったのです。

実際に核兵器という脅威がありますから、彼の共産主義脅威論と「アメリカ人は精神的にもう一度復活しなければならない」という説教がうまくマッチして、多くの人たちの心をつかみました。

彼のそうした大規模なスピーチは盛況で、ニューヨークでもマディソンスクエアガーデンやヤンキースタジアムなどを貸し切って満員にする伝道集会が開かれました。第二次世界大戦から朝鮮戦争などが続く中で、疲弊したアメリカ人の心に強く訴えたのです。そこから保守的なプロテスタントの運動として、福音派の活動が大々的なものになっていきました。

──アメリカは今でも、ラジオやケーブルテレビでクリスチャン系のチャンネルが存在感を持っていますよね。

加藤:そうですね。今だと、かなりSNSやポッドキャストも使いこなしています。チャーリー・カークはまさに代表的な存在でした。

加藤 喜之(かとう・よしゆき)
立教大学文学部教授
1979年愛知県生まれ。2013年、プリンストン神学大学院博士課程修了(Ph.D取得)、東京基督教大学准教授、ケンブリッジ大学クレア・ホールやロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの客員フェローなどを経て現職。専門は思想史、宗教学。共著『記憶と忘却のドイツ宗教改革』(ミネルヴァ書房、2017年)、『ルネサンス・バロックのブックガイド』(工作舎、2019年)、Petrus van Mastricht (1630-1706):Text, Context, and Interpretation(V&R,2020年)、『日本史を宗教で読みなおす』(山川出版, 2025年)など

長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。

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