『ウクライナに破壊されたロシアの最先端航空機が物語る、中国による台湾侵攻のハードル』(12/3JBプレス 西村金一)について

12/3The Gateway Pundit<DOJ Sues SIX More States for Withholding Voter Rolls — 14 States Now Targeted as Bondi and Dhillon Launch Aggressive Nationwide Crackdown=司法省、有権者名簿の非公開でさらに6州を提訴 ― ボンデイとディロンが全国規模の強硬な取り締まりを開始、対象は14州に拡大>

未提出の14州の内訳(州知事の出身政党)は民主党:共和党=12:2。如何に民主党が不正選挙しているかが窺える(多分死亡者や不法移民等市民権のない人物が混じっている)。

司法省公民権局は火曜日、連邦法で義務付けられている州全体の有権者登録名簿の提出を拒否したとして、デラウェア州、メリーランド州、ニューメキシコ州、ロードアイランド州、バーモント州、ワシントン州の6州に対して連邦訴訟を起こしたと発表した。

選挙の透明性に関して前任者よりも大幅に厳しい姿勢を取ってきたパメラ・ボンディ司法長官は、各州による妨害行為は公正な選挙への直接的な脅威であると述べた。

「正確な有権者名簿は公正で自由な選挙の基盤であり、あまりにも多くの州が基本的な有権者名簿管理を遵守しないというパターンに陥っている」とパメラ・ボンディ司法長官は述べた。

「司法省は、各州が基本的な選挙保護措置を遵守するまで、積極的に選挙の完全性に関する訴訟を起こし続ける。」

司法省の近代史上最も積極的な選挙の完全性の執行を指揮してきたハルミート・K・ディロン公民権担当司法次官は、さらに踏み込み、不遵守の州が積極的に国民の信頼を損なっていると非難した。

「我々の連邦選挙法は、すべての米国民が自由かつ公正に投票できることを保証している」と司法省公民権局のハルミート・K・ディロン司法次官は述べた。

連邦投票法に違反し続ける州は、米国民が投票所に行く際に正確な有権者名簿を入手し、すべての票が平等に評価され、すべての有権者が選挙結果に信頼を持てるようにするという私たちの使命を阻害します。司法省として、連邦公民権法に対するこのような公然たる違反を容認することはありません。

この最新の訴訟の波により、現在 DOJ の訴訟に直面している州の総数は 14 州となった。

ディロン氏は、各州が有権者名簿の提出を避けるための言い訳を、根拠がなく、無意味であり、政治的な動機によるものだとして論破した。

ハルミート・ディロン氏:
「彼らは主にプライバシーを主張したり、司法省がこの情報開示の理由として挙げているものが本当の理由ではないと主張しています。彼らはいつもくだらない陰謀論を唱えますが、実際には理由を示す義務はありません。私たちが引用した連邦法の下では、私たちはこの情報を得る権利があります。州は私たちとあれこれ議論する権利はありません。」

よく聞く最も馬鹿げた理由の一つは、「社会保障番号は機密情報だから」というものです。社会保障番号を発行する連邦政府が、どうして機密情報として扱えるのでしょうか?本当に馬鹿げています。

もう一つ知っておくべきことは、この議論を展開している州のほぼ全てが、自発的に有権者名簿を非営利団体やNGO団体に引き渡しているということです。ERICもその一つです。では、プライバシーの問題は何でしょうか?自分の政治的目的に資する非営利団体に渡すのなら、なぜ米国に渡さないのでしょうか?

ですから、私たちはこうした理由でひるむつもりはありません。だからこそ、多くの州が実際に従っているのです。こうした取り組みに抵抗するのは税金の無駄だと、彼らは認識しています。そして最終的に、私たちが目指しているのは、すべての州がそれぞれの職務をより良く遂行できるよう支援することです。

各州は、有権者名簿をクリーンな状態に保つ義務があります。しかし、ほとんどの州はそれを怠っています。共和党支持の州と民主党支持の州です。残念ながら、両陣営から多少の抵抗はありましたが、私たちはただ支援するためにここにいるのです。ですから、データを比較し、重複を排除し、不正を根絶し、登録すべきでない人を有権者名簿から削除するのを支援します。そして、それを維持し続けるかどうかは、繰り返しになりますが、各州の責任です。それは彼らの責任です。」

司法省の訴訟では、有権者名簿の透明性を義務付ける連邦法の3つが引用されている。

  1. 国民有権者登録法(NVRA)

各州は正確で最新の有権者名簿を維持し、要求に応じて提供することが義務付けられます。

  1. 米国投票支援法(HAVA)

各州が最新かつ安全な有権者登録システムを運用することを保証します。このシステムは連邦政府の監督なしでは評価できません。

  1. 1960年公民権法(CRA)

司法省に有権者登録名簿および関連する選挙記録の検査およびコピーを許可します。

司法省(DOJ)が州全体の有権者登録ファイルの完全な提供を拒否したとして訴訟を起こした14州は以下のとおりです。

カリフォルニア州(民主党)

デラウェア州(民主党)

メイン州(民主党)

メリーランド州(民主党)

ミシガン州(民主党)

ミネソタ州(民主党)

ニューハンプシャー州(共和党)

ニューメキシコ州(民主党)

ニューヨーク州(民主党)

オレゴン州(民主党)

ペンシルベニア州(民主党)

ロードアイランド州(民主党)

バーモント州(共和党)

ワシントン州(民主党)

https://www.thegatewaypundit.com/2025/12/doj-sues-six-more-states-withholding-voter-rolls/

https://x.com/i/status/1996236671939919958

12/3Rasmussen Reports<Generic Congressional Ballot Democrats Still Lead in 2026 Midterm Forecast=一般議会投票 2026年中間選挙の予測では民主党が依然としてリード>

次の議会選挙まで1年を切ったが、下院の支配権をめぐる戦いでは民主党が共和党に対してリードを保っている。

ラスムセン・レポートによる最新の全国電話・オンライン調査によると、連邦議会選挙が今日実施された場合、米国の有権者の45%が民主党候補に投票し、42%が共和党候補に投票すると回答しました。また、5%は他の候補者に投票すると回答し、8%はどちらとも言えないと回答しました。

民主党の優位は、 7月に46%対42%で4ポイントリードしていた時と比べてわずかに縮小した。しかし、共和党の立場は、2024年11月の選挙前(48%対45%で3ポイントリードし、下院で僅差の過半数を獲得した時)と比べて依然として6ポイント悪化している。

この調査は、ラスムセン・リポーツ社が2025年11月18日から23日にかけて、米国の有権者2,410人を対象に実施しました。標本誤差は±2%、信頼水準は95%です。ラスムセン・リポーツ社の調査はすべて、Pulse Opinion Research, LLC が現地調査を実施しています。 調査方法の詳細はこちらをご覧ください。

民主党のリードは主に党派間の対立が激しいことによるものですが、無党派層では両党の支持率はほぼ互角です。民主党支持者の85%が次回の議会選挙で自党の候補者に投票すると回答したのに対し、共和党支持者では81%が共和党候補に投票すると回答しています。共和党支持者は民主党支持者よりも「わからない」と回答する傾向が強いです。主要政党に属さない有権者のうち、共和党に投票すると回答したのは36%、民主党に投票すると回答したのは35%でした。一方、第三政党の候補者に投票すると回答したのは12%、未定と回答したのは17%でした。

女性有権者は民主党を7ポイント差(47%対40%)で支持し、男性は共和党を4ポイント差(45%対41%)で支持しているため、「男女格差」は実質11ポイントとなっている。

白人とヒスパニックの43%、黒人有権者の54%、その他の少数民族の40%が民主党の下院議員候補に投票する一方、白人の45%、黒人有権者の33%、ヒスパニックの43%、その他の少数民族の34%が共和党に投票する。

民主党は現在、30歳未満の有権者層で13ポイント(46%対33%)リードしており、50歳から64歳までの有権者層でも7ポイント(47%対40%)リードしている。一方、共和党は30歳から49歳までの有権者層でリードしている。

リベラル派と自認する有権者の86%が民主党下院議員候補に投票する一方、保守派の74%は共和党に投票する見込みだ。穏健派有権者の間では、民主党が21ポイント(51%対30%)の差でリードしている。

大学卒の有権者では民主党がリードしている。有権者を所得階層別に見ると、年収3万ドル未満の有権者では民主党が13ポイント(47%対34%)リードしている一方、年収20万ドル以上の有権者では共和党が最も優勢となっている。

昨年の大統領選挙でドナルド・トランプ氏に投票した人のうち、81%が来年の中間選挙で共和党の下院議員候補に投票する予定であり、一方、カマラ・ハリス氏の支持者の86%は民主党に投票する予定である。

2028年の大統領予備選挙まではまだ2年以上あるが、J・D・ヴァンス副大統領は他の共和党候補者に対して圧倒的なリードを保っている。

トランプ大統領の11月の月間支持率は46%で 、 10月から2ポイント低下した。一方、先月同大統領の職務遂行を評価しなかった人は53%で、10月から2ポイント上昇した。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/mood_of_america/generic_congressional_ballot_dec03?utm_campaign=RR12032025DN&utm_source=criticalimpact&utm_medium=email

https://x.com/i/status/1996258484581437591

トランプの不支持率は55%。

12/4阿波羅新聞網<中共国告急!这国停止出口—中国这产业也被“掐脖子”了=中共国は焦る!この国の輸出停止――中国のこの産業も「締め上げ」られている>中国は4月に希土類元素の輸出規制を開始し、世界の自動車産業と半導体産業がこの危機に直面していたちょうどその頃、アフリカのコンゴ民主共和国(DRC)は2月に電気自動車用バッテリーの主要金属であるコバルトの輸出を停止した。コバルトは中国に到着するまでに3~4ヶ月かかるため、当初は中国への影響は軽微だった。しかし、時が経つにつれ、中国のコバルト在庫はここ数ヶ月で急減し、電気自動車産業も深刻なボトルネックに直面している。

ロイター通信によると、コバルトは電気自動車用バッテリー製造に不可欠な資源であり、世界のコバルト生産量の70%がDRCに集中している。しかし、同国は2月にこの金属の輸出を停止した。この輸出禁止措置は10月に新たな割当制度に置き換えられたが、DRCの生産者は依然として、出荷再開のための国家鉱物規制機関ARECOMSの承認を待っている。

DRCによるコバルト輸出停止は、中国におけるコバルト不足につながり、電気自動車産業に急を告げている。

DRCで採掘されたコバルト鉱石は、水酸化コバルトなどの中間製品に加工される。中国はDRCから水酸化コバルトを輸入し、バッテリーメーカーに必要な硫酸コバルトに加工している。しかし、これらの製品はDRCから輸送されるまでに約3~4か月かかる。そのため、DRCが2月に出荷を停止した際には、中国は何も感じていなかった。しかし、5月以降、中国のコバルト中間製品の輸入量は急減した。6月から9月までの4か月間の輸入量はわずか5万トンで、前年の月間輸入量を下回った。

供給途絶が中国に及ぼす影響は、ますます顕著になりつつある。DRCが直ちに出荷を再開したとしても、中国が受け取るのは早くても来年第1四半期末となるだろう。これはあくまでも楽観的なシナリオに過ぎない。これは、DRCの今後2年間の輸出割当量がこれまでの出荷量の約半分に過ぎず、割当量の発表から7週間が経過したのに、多くのメーカーがまだ出荷承認を受けていない。

今後数日で輸出が回復すれば、2026年初頭に新たな出荷が中国に到着するまで、深刻だが一時的な供給不足が発生するだろう。しかし、この供給不足は需要が供給を上回ったことでコバルト価格の上昇にも繋がっている。今年2月以降、スポットコバルト価格は1ポンドあたり10ドルから26ドルに急騰し、主に水酸化コバルトの形で輸出しているDRCのコバルト価格も、同時期に1ポンドあたり6ドルから23ドルに急騰している。

DRCのコバルト市場支配の野望は、コバルトフリー電池の波に見舞われている

DRCは、世界のコバルト生産量を掌握することで市場を掌握しようとしている。しかし、急速な技術進歩により、DRCはこの支配力を徐々に失いつつある可能性がある。世界最大の電気自動車市場である中国は、リン酸鉄リチウム(LFP)電池への転換を大きく進めている。これらの電池はコバルトもニッケルも必要とせず、より安価で安全であり、コバルト、ニッケル、マンガンを使用した電池との性能差を縮めている。

オーストラリアのマッコーリー・アセット・マネジメントは、自動車用電池市場におけるリン酸鉄リチウムのシェアが、2024年の48%から2029年には65%に上昇すると予測している。一方、ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス社は、電気自動車市場の成長傾向にもかかわらず、電気自動車用電池におけるコバルト使用量は昨年わずか2,300トンの増加にとどまり、モバイルエレクトロニクス分野の2,700トンの増加を下回ったと指摘している。これは、電池用金属市場全体におけるコバルトのシェアが低下していることを示している。

EVは売れない。

https://www.aboluowang.com/2025/1204/2314904.html

12/3阿波羅新聞網<习噩梦来了 百万网友疯转这视频=習の悪夢到来:数百万人のネットユーザーがこの動画を共有>

https://www.aboluowang.com/2025/1203/2314669.html

何清漣 @HeQinglian 8h

米経済学会(AEA)は火曜日、ハーバード大学前学長サマーズの「自主的な辞任」を受け入れ、「永久追放」を科したと発表した。これにより、サマーズはAEA主催のイベントへの出席、講演、その他の活動、そしてAEAのジャーナルの編集者や査読者を務めることが禁止された。サマーズの行動は「職業倫理基準に根本的に違反し、経済学界の評判を裏切る」とされた。

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何清漣 @HeQinglian 7h

「MIT学生のAI研究がトップエコノミストを感服させる――そして全てが崩壊」。AIに関する論文が、27歳のエイダン・トナー=ロジャーズを経済学界のスターダムに押し上げた。しかし、あるコンピューター科学者が何かがおかしいことに気づいた。

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cn.wsj.comより

何清漣 @HeQinglian 6h

最近は詐欺師が非常に多く、そのほとんどは若い天才やエリートだ。

  1. 2022年、数学の天童からスタンフォード大学の才女、且つ28歳になる女性CEOで、暗号通貨界の風雲児であるキャロライン・エリソンがいた。FTXの創設者バンクマン=フリードが資金を持ち逃げし、FTXは破綻した。バンクマンと密接な関係にあったヘッジファンド、アラメダ・リサーチは、この劇的な破綻の背後にキャロライン・エリソンがいると暴露した。

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西村氏の記事では、ロシアの防空能力は低いというのがバレてしまった。同じ型の防空ミサイルを持つ中共も台湾侵攻時に、防空システムは役にたたないことが予想されると。非常に良い展開ですが、疑問に思うのは、それだけの力をウクライナが持っているなら、なぜ陸戦でロシア軍を蹴散らせないのか?物量が足りない?賄賂で兵器まで金が回らなかった?やはり、ゼレンスキーは退場しないと、ロシアを追い込めないのでは。無駄にウクライナ人が死んでいるような気がする。

記事

ウクライナ東部ドネツク州の前線付近に展開するウクライナ兵(11月27日撮影、写真:ロイター/アフロ)

都市や空母を守れない防空兵器

目次

ウクライナ戦争において、ロシアの最新防空兵器はウクライナ軍の戦闘機は撃墜できている。

しかし、大きな翼のある戦闘機に比べレーダー反射面が小さいミサイル等は撃墜できていない。

その結果、ウクライナのドローンや巡航ミサイル(ミサイル等)でロシアの最新防空兵器は次々と破壊されている。

図1 ロシアの防空の実態 イメージ

出典 各種情報に基づき筆者が作成したもの(図は以下同じ)
参照:JBpress『巡航ミサイルによる攻撃を防げないロシア防空網はすでに壊滅状態』(2025.11.23)

北京や上海など中国の主要都市を守っている長距離防空兵器はロシアの防空兵器とほぼ同じ。

つまり、万が一戦争になれば、中国はミサイル攻撃から主要都市を守れない可能性がある。加えて、中国海軍が誇る空母やその他の軍艦を守る兵器もこれらの防空兵器の派生型である。

これが意味するところは、ウクライナ戦争におけるロシアの防空兵器と同じ運命を辿り破壊されるということである。

防空兵器が破壊されれば、それらが守るはずの北京などの主要都市や空母などは、ミサイルで破壊され尽くされてしまうであろう。

その理由を次に述べる。

同じ防空ミサイルを保有するロシアと中国

ロシアは侵攻前には、「S-300」防空ミサイルを330基、「S-400」を約250基保有していた。

そのロシアの防空兵器は、ウクライナ戦争でウクライナが開発・改良した巡航ミサイルや無人機で破壊され続けている。

ロシアはウクライナのミサイル等を撃墜できないために、多くの石油関連施設、軍事工場、そしてそれらを守るための防空ミサイル基地でさえも失っている。

中国は、これまで長距離防空ミサイルはロシアから導入し、部品などを調達して自ら製造した。そのミサイルの数量は、S-300が約350基、S-400を32基である。

最新型のS-400でもウクライナ戦争で巡航ミサイルを撃墜できないのだから、大部分を占める旧型のS-300では全く役に立たない。

S-300については、輸出したロシアと導入した中国は、ほぼ同数を保有している。しかし、比較的最新型のS-400については、ロシアは少数しか輸出していない。

ロシアは、性能の低い防空兵器を大量に輸出して最新型は出し惜しみしてきたが、その最新型さえ能力を発揮できないままウクライナ軍のミサイルに破壊されているのが実態である。

防空兵器の次に重要施設が破壊される

ウクライナ保安庁(SBU)の無人機攻撃がロシアの防空兵器(発射機や監視レーダー等)を攻撃する白黒の映像がウクライナ軍によって頻繁に流出している。

特に、クリミア半島の原野に展開しているロシアの防空兵器が、無人機やミサイルによってことごとく破壊された映像が多い。

この映像が物語るのは、ウクライナのミサイルはクリミア上空を妨害されずに通過し、ノボロシスク地域のロシアの港湾を破壊できている事実だ。

そして、ロシアの重要港湾施設を守るべき最先端防空ミサイルが配備してある基地までも破壊できている。

例えば、11月25日夜には、ノボロシスク北方のロストフ州タガンログ航空機製造工場にあったロシアにとって最重要の航空機が破壊された。

ロシアが長年研究開発を進めてきたレーザー兵器を搭載した実験機「A-60」と、次世代早期警戒管制機(AWACS)「A-100 Premier」の2機が正確に攻撃され破壊された。

この破壊が、ロシアの先端航空機開発や開発インフラにとって過去最大級の打撃となったとみる世界の安全保障専門家は多い。

写真 破壊された「A-60」と「A-100 Premier」

出典:ウクライナ保安庁

防空兵器がウクライナのミサイルや無人機を撃墜できないばかりか、その防空兵器も破壊され、その結果、ロシアの先端軍事開発拠点が破壊された事実はロシアにとって大きな衝撃だったに違いない。

役立たずのロシア防空兵器

一般的に防空システムは、長・中・短距離ミサイルや高性能高射機関砲から構成されている。

各種の防空兵器により幾重にも構成された防空ミサイル網(アンブレラ)で、敵戦闘機のほか、弾道ミサイル、巡航ミサイル、無人機を撃墜する仕組みだ。

ウクライナの防空網の実態をみると、防空ミサイル網が濃密に形成されていないところでは防空網は破られ、濃密に形成されているところは敵機やミサイルを撃墜できている。

だが、ロシアの防空網は弾道ミサイル・巡航ミサイルの多くを撃墜できていない。

防空網自体も攻撃を受けて破壊され続けた結果、ロシアの防空網はどんどん薄くなり、重要なインフラが次々と破壊されるようになった。

ロシアの防空戦闘の映像のいくつかを見ていると、例えばレーダー、防空ミサイルと対空砲を組み合わせた短距離防空システム「パーンツィリ」は、目標の多くを外し空中で自爆することが多い。

とはいえ、たまに攻撃してくる無人機に命中することはあったが、まぐれという言葉を使うのがふさわしいような状況だ。

機関銃の射撃も頻繁に行われたが、全く命中していない。そもそも機関銃の攻撃では、昼間よく見える場合でも1000発発射して1発でも命中すれば良い方である。

この映像が意味することは、ウクライナの大型自爆型無人機が、ロシアの長中距離防空兵器の網をすり抜け、さらに攻撃目標に近いところに配備されている短距離防空兵器はそれを撃ち漏らしているということである。

機関銃で航空目標を射撃するのは最終手段であり、防空組織が崩壊していることを意味している。

機能しない中国の都市を守る要域防空

さて、中国国土内には、都市、重要インフラ、軍事工場、軍事基地がある。それらは、戦闘機、弾道ミサイル、巡航ミサイル、大型の自爆型無人機の攻撃から守られなければならない。

中国は防空戦闘のために、ロシアと同じか、あるいは同じ技術で製造されている防空兵器を配備している。

ロシアと同じ兵器あるいはそれらよりももっと旧型であれば、中国が万が一戦争する事態になったとき、ロシアより打ち漏らす可能性は高くなるだろう。

つまり、中国が保有する攻撃用のミサイルがどれほど優秀でも、ロシアと同程度の防空兵器では中国国土内の重要施設は守れないということだ。

中国空母は巡航ミサイル攻撃を防げない

では、中国の空母や駆逐艦などは、巡航ミサイルや自爆型無人機の攻撃を防ぐことができるのか。

空母は通常、数隻から数十隻の駆逐艦・フリゲート艦などと行動を共にする。

その理由は、防空能力や対潜水艦能力を有する駆逐艦などにより、巡航ミサイルや魚雷などから貴重な空母を守るためだ。

図2 中国空母を守る防空システム(イメージ)

防空面を考えると、「駆逐艦が長中短距離の防空兵器を装備していれば、ミサイル攻撃から空母は守られる」と考えるのが普通だ。

実際、公表されている性能で評価すれば、中国の防空システムは米欧やロシアのものと同水準と考えられる。

だが、これまで述べてきたように、ロシア製の防空兵器は、ウクライナ戦争では公表されている性能を出せず大量に破壊されている。

したがって、艦船がそれと同じ防空兵器を駆逐艦等に設置していれば、ミサイル攻撃を防ぐことはできないことになる。

中国の駆逐艦等は、「HQ-9(紅旗9)」防空ミサイルを装備している。これは、ロシアのS-300を基に製造され、ほぼ同じといってよい。

実際に、ウクライナ戦争では防空兵器が役に立たず、対艦ミサイルで撃沈された例がある。

2022年4月、ロシア黒海艦隊旗艦「モスクワ」がS-300と同種の防空ミサイルを搭載していたにもかかわらず、ウクライナの対艦ミサイルから攻撃を受け、被弾して沈没した。

S-300という防空ミサイルは射程が120~300キロあり、同時攻撃目標は4~6だとされている。この数値から読み取れるのは、戦闘機には効果があっても巡航ミサイルの撃墜は難しいということだ。

つまり、このHQ-9を搭載している中国のすべての駆逐艦等自体も巡航ミサイルの攻撃を防ぐことはできないことになる。

それはすなわち、その駆逐艦の防空覆域内にいる空母も守れないということになる。

ウクライナが開発し、現在実戦で使い始めた巡航ミサイル「フラミンゴ」の弾頭には、約1トンの爆薬が搭載されている。防空能力がない空母にこのミサイルが命中すれば、1発で撃沈してしまう。

ミサイルが艦の至近距離に近づけば、中国の近接防空システム (CIWS: Close-in weapon system)でそのミサイルを破壊することになっている。

しかし、これは最終的な防護手段であって、艦船への飽和攻撃を受ければ、阻止することはできないだろう。

防空能力がなければ揚陸艦も餌食

中国海軍は近年、おそらく台湾進攻時の上陸侵攻を考えてであろう、大型揚陸艦を建造している。大型揚陸艦は、一度に大量の兵員と上陸用戦車を運搬できるからである。

中国は大・中型揚陸艦について、具体的には次の56隻を保有している。

・2万5000~4万トンのドック型揚陸艦(1隻で兵員600~1600人、戦車20~35両輸送可)11隻
・4200~4800トンの戦車揚陸艦(兵員200~250人、戦車10~11両)25隻
・800~1500トンの中型揚陸艦(兵員250~500人、戦車2~9両)14隻
・560トンの大型エアクッション揚陸艇(兵員230人、戦車10両)6隻

これらの大型艦は一度に大量の兵員や戦車を輸送できる利点はあるが、大型であるがゆえに欠点もある。

有事に台湾海峡、バシー海峡、南西諸島の各海峡を通峡時には、海上で容易に発見され、対艦ミサイルの格好の標的になりやすいのだ。

揚陸艦の防空能力はほぼ皆無なので、駆逐艦等がそれらの艦の防空カバーを行う。

だが、前述のとおり、ロシア製またはロシアの技術を詰め込んだ防空ミサイルでは、攻撃を阻止できない。

図3 対艦ミサイルで攻撃される中国揚陸艦(イメージ)

台湾からみれば、わずか56隻の大中型揚陸艦を撃沈さえすれば、中国の上陸能力をほぼ壊滅状態にできる。

駆逐艦等にミサイルを撃ち落とせる防空能力が備わっていないと、台湾への上陸作戦はできないということである。

ウクライナ戦争が中国海軍力の脆弱性暴露

今まで述べてきたように、中国の防空ミサイルは、ウクライナ戦争でほとんど役に立っていないロシア製のミサイルと同じであり、そのロシアの防空兵器は、ウクライナに「壊滅」といえるほど破壊されている。

ということは、中国の防空能力は低レベルで、防空の機能を果たせない。もしも台湾有事になれば、中国の空母・駆逐艦等・揚陸艦は、米欧製の対艦ミサイルの攻撃を止められず、撃破されてしまうことになる。

中国の空母機動群は、平時には相手国にその威容を見せつけている。それは、相手国がミサイルをその艦に向けて発射しないと分かっているからできることである。

防空能力がない空母は、格好の標的である。高価な戦闘機などが一度に破壊され大損害を被ることになる。

ウクライナ戦争がなければ、ロシアの防空兵器の実力が分からなかった。ロシアが発表する性能だけであればかなりの脅威に見えていた。

だが、戦争では全く役に立たたなかったのである。ロシアが公表してきた性能にはかなりバイアスがかかっていたということだ。

ウクライナ戦争以前、米欧はその「性能」に脅威を感じ、中国もその「性能」に高いカネを支払った。

ウクライナ戦争をつぶさに見ている中国軍の幹部は今頃、都市や空母を守れない防空能力の欠陥に冷や汗をかき、焦りに焦っているのではないだろうか。

米国に対抗すべく中国は空母打撃群を拡充させているが、その防空能力はウクライナ戦争でネガティブなお墨付きを得てしまった。

ミサイル防衛能力が高い米国の空母打撃群とは、規模だけでなく防空能力でも彼我の差が極めて大きいということだ。

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