『「助けて! プーチン」が袖にされた金正恩の哀れ 具体的提案のない社交辞令に終始した“やる気”のないプーチン』(4/27JBプレス 黒井文太郎)、『金正恩、ロシア訪問の収穫は「亡命ルート」の確認か 漂流する東アジアを撃つ』(4/27JBプレス 右田早希)について

4/29日経<米中「新冷戦」揺れる台湾 論説委員長 原田 亮介 ハイテク分断に現実味

米中の「新冷戦」で、台湾が揺れている。最大の投資先である中国とのハイテクを巡る「分断」が現実化する恐れがあるからだ。米国は本気で先端技術の流出を止めにかかっている。台湾の行方は日本にも他人事ではない。

中国の習近平国家主席は「中国製造2025」を掲げ、先端産業育成を目指す。特に半導体は輸入依存度が高く、総額15兆円とされる巨額の基金を設けて国産化プロジェクトを進めている。頼みは台湾企業の技術力。中国に大量の技術者を招き、川上から川下までの一貫生産体制を構築する計画だ。

米政府は18年秋、そこに先制パンチを食らわせた。

まず商務省が福建省晋華集成電路(JHICC)向けの半導体製造装置の輸出を規制すると発表。同社は中国の半導体メモリー国産化プロジェクトの一角だ。さらに米連邦大陪審が「台湾の受託生産大手である聯華電子(UMC)が米マイクロン・テクノロジーの技術を盗み出し、JHICCに渡していた」として両社を起訴したのである。UMCはJHICCの提携先で、技術侵害でマイクロンと米中で訴訟合戦となっていた。

18年秋からUMCの株価は低迷。JHICCのプロジェクトもUMCが技術協力を大幅に縮小したことなどから量産開始を目前に頓挫した。

台湾に2度の駐在経験があるアジア経済研究所の川上桃子氏は「台湾では当初、米中対立について、米国が中国製品に関税をかければ、中国などに進出した台湾企業の地元回帰が進むという楽観論が多かった。だが、今はハイテク摩擦と技術漏洩で緊迫感が高まっている」と話す。

台湾にも技術などの漏洩を防ぐ営業秘密法がある。台湾企業が半導体関連の技術を窃取された事件は17年に17件起き、多くが中国企業への漏洩だった。1990年代から盛んになった人と経済の交流は水面下の動きも活発にしてきた。

台湾当局は、半導体工場の対中投資は旧世代半導体のラインに限って認めている。しかし地元経済誌は、台湾北部で半導体企業が集積する新竹科学工業園区の近くでは中国企業が営業拠点の看板をかけ、その実は技術者を招き、設置を禁じられている研究開発拠点にしていると伝える。

技術者の流出も今に始まったことではない。中国の主な半導体メモリー国産化プロジェクトはJHICC以外に2つあり、その1つは清華紫光集団が進めている。同社は15年に米マイクロンを買収しようとして米政府から待ったをかけられ、東芝メモリの買収にも意欲をみせていた。

清華紫光集団を支える人材は高額の報酬で引き抜かれた台湾の経営者や技術者だ。15年秋には台湾を代表するDRAMメーカー、南亜科技の総経理だった高啓全氏が移籍した。高氏はこの世界で「台湾のゴッドファーザー」と呼ばれる人物。韓国サムスン電子に対抗できるDRAM勢力を中国に築こうという願望が移籍の動機だったといわれる。

今後の焦点は、半導体の受託生産で世界最大の台湾積体電路製造(TSMC)の対応だ。5Gの技術で先行しているとされる中国・華為技術(ファーウェイ)の最先端の半導体もTSMCが製造している。技術の保秘やコンプライアンスに定評があり、米企業も有力な顧客だ。ただ、売上高の「中国比率」はどんどん高まっている。

米政府は半導体そのものを対中輸出規制の対象にしているわけではない。日本企業の部品もファーウェイのスマートフォンに使われている。

だが、中国包囲網は狭まっている。19年4月になって発光ダイオード(LED)世界大手の中国企業が「輸出注意先」に指定され、米メーカーが半導体製造装置の取引を停止した。少なくとも半導体製造の関連技術は、米政府の厳しいチェックは避けられないだろう。台湾だけでなく日本企業についてもだ。

拓殖大総長で元防衛相の森本敏氏は「米国の中国に対する厳しい要求は、選挙後の政権が共和党だろうが民主党だろうが当面のところ変わらないだろう。まず貿易不均衡の是正、次いで海洋覇権の断念、3つ目が投資・貿易と安全保障にまたがる知的財産の窃取をやめること」と話す。

台湾では20年1月に総統選がある。民進党の蔡英文総統は米国との関係強化を進め、中国の統一への圧力をかわそうとしている。19年4月には中国製の情報機器の調達規制を公的機関から公営企業に拡大し、技術流出に一段と厳しい姿勢をみせた。

これに対し、国民党から突然、出馬する意向を示したのが、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長だ。同社は中国で100万人ともいわれる雇用を生み、アップルのスマホ「iPhone」などを製造する。中国企業と組み、大陸で半導体をつくるためにシャープの技術も活用する構えだ。

出馬の真意は不明だが、習国家主席との近さや、事業成功のカギが大陸との関係にあったことを考えれば、経済も技術も「大陸との間の壁をもっと低く」という主張に傾いても不思議ではない。

総統選の行方を占うのは時期尚早だが、民進党が政権を維持するのは簡単ではないというのが大方の見方だ。

複雑に絡み合う「ハイテク生態系」。半導体と台湾を巡る米中攻防で生態系にひびが入りつつあるが、終着点はまったくみえていない。>(以上)

TSMCの張忠謀会長は本省人乍ら米国で教育を受けたせいもあって、自由の有難さを知っていますので米国側に付くと思っています。鴻海の郭台銘は本省人で政商だから、米国に隠れて中共に機密を流すつもりなのでは。それで総統選に出て通れば米国の言う通りに從うこともなくなるし、最悪台湾ごと中共にプレゼントする気でいるのでは。こんな輩に台湾国民が投票すれば、後で痛い目に遭うのが見えている筈です。

日本企業もやがて米国から踏み絵を踏まされるでしょう。中国進出企業は資産を中国に置いてくることになります。日本の経営者は見えているか?

4/29阿波羅新聞網<民阵称13万港人大游行 港府不撤案将再围议会=4/28民主陣営は13万の香港人の大規模デモ 香港政府は中国への犯罪人引渡法案を撤回しないので再び議会を囲むことになるだろう警察調べではピークでわずか2.3万人とのこと。どちらが正しいのか分かりませんが。一国二制度はドンドン切り崩されています。まあ、銅鑼湾事件が起きるくらいですから、香港政府に施政権は無いも同然ですが。

バチカンと中国の合作を厳しく批判している名誉司教・陳日君も参加

https://www.aboluowang.com/2019/0429/1281800.html

4/28希望之声<访俄行程意外“缩水” 金正恩提早返国因遭普京羞辱?=訪ロの行程は意外にも短縮 金正恩の早期帰国はプーチンの辱めに遭ったから>近日、ロシアのプーチン大統領と会談した北朝鮮の指導者金正恩は26日、突然前倒しでロシアから去った。 ある情報では、金正恩は24日ロシアに到着して以来、ずっと「屈辱的な」扱いを受けて来たので、早く帰国することを選んだとのこと。

ロシアが接待を任せたのは高官ではなく、プーチンは「別の約束がある」との理由で当日になって夜に開催される宴会もキャンセルした。そのため、北朝鮮の代表団は宿舎の1階のビュッフェで食事するしかできなかった。2日目、プーチンは会談にわざと30分遅刻し、当初予定されていた歓迎式典もキャンセルされた。 会談終了後、プーチン大統領は直接ロシアから中国へと飛び、金正恩を置き去りにした。

また、宿舎の面では、金正恩一行は高級ホテルには入れず、極東連邦大学の宿舎に手配された。 ロシアはキャンパスと宿舎の周りに5台のパトカーと数十名の警察官を配置したが、それでも車は自由にキャンパス内を通過でき、学生も宿舎の周りを自由に移動できた。

プーチンにとって金正恩なんて利用価値もないという事なのでしょう。米中露の順で後回しされたことも手伝って冷遇されたのでは。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/28/n2841708.html

4/29阿波羅新聞網<金正恩提前回国 遭普京羞辱内幕流出 狂喘90秒张嘴猛吸气 两大失落 还针对习近平=金正恩は早めに帰国 プーチンに屈辱を与えられた内幕が流出 狂ったように喘ぎ90秒間も口を大きく開けて息をした>北朝鮮の指導者金正恩は26日突然ロシアでの行程を変え、早めに特別列車で北朝鮮に戻った。 これは世論の憶測を呼んでいる。あるロシアメデイアは「金正恩の今回の訪ロは得る所が何もなく、プーチンに辱められただけだ」と。プーチンと会った時に、金正恩は狂ったように喘ぎ90秒間も口を大きく開けて息をした。 金正恩は一帯一路サミット時にロシアに行くことを選び、中共と習近平に不満の信号を送っていると指摘された。

CNNの記者、Josh Berlingerは会談のビデオをTwitterにアップロードし、「金正恩とプーチンは初めて会ってから、談話を発表した。金正恩は喘いで空気がうまく取り込めていないようだ」と書いた。しかし彼は車から降りて会議場までわずか4分歩いただけである。金正恩とプーチン二人ともゆっくりと歩いた。 外国メディアの写真によると、2人はエスカレーターを利用しているが、なぜそれで息を切らすのか、各界の興味を引いている。

2018年1月1日に金正恩は新年の挨拶をした時、韓国のメディアは彼の顔が急速に老化していることに気づいた。 2016年7月、韓国国家情報院は「金が北朝鮮政権を引き継いだ4年間で、大食い、大酒のみの不摂生をし、約40Kgも体重を増やし、130Kgになった」と指摘した。さらに、英国メディアは、「症状を見れば、彼は痛風、糖尿病、心臓病、そして高血圧に苦しみ、足もうまく動かない」と指摘。

陳破空は、「北朝鮮とロシア、金正恩とプーチンが中国のBRIサミット後に列車内で会うことも選択できたはず。でも彼らは待つことができず、早めのこの日を選んだ。これは中国に対する北朝鮮とロシアの不満の合図である。 露朝会談は、トランプへの合図と言うより習近平への合図だろう。中共は国民に真実を言わずに宣伝しているだけ。事実、ロシアでは現在、至るところで中共に対する抗議に満ちている。 中共に「No」と言うのはロシアの与野党のコンセンサスであり、プーチンはそれを最後に言っただけにすぎない」と述べた。

陳破空の言うように本当にロシアが中共を敵と認識し、行動してくれればこんなに嬉しいことは無い。

https://www.aboluowang.com/2019/0427/1281310.html

これで、金正恩はトランプとプーチンとにケッチョンを食らわされたことになります。頼るは習近平か頼りにならない文在寅か?追い詰められているのが分かります。まあ、習も文も米国を敵に回してまで金正恩を助けようと思わないか、できないでしょう。一番いいのは右田氏の記事にあるように金正恩の亡命でしょうけど、プーチンがあの態度では亡命しても好待遇にならないのでは。中国では金正男のように暗殺団が迫って来るような形が考えられますし。金漢率が北を統治すれば実行するかも。親の仇ですから。血筋で言えば、在日の母親を持つ金正恩より金漢率の方が遙かに良いでしょう。

でも、朝鮮人民軍を残せば核廃棄はできません。日本の安全の為には申し訳ありませんが、米軍に朝鮮人民軍を壊滅してほしい。3つの空母打撃群を朝鮮半島に派遣して、武装解除を迫るのはどうでしょうか。北は米露中で統治するようにしたら。日本は朝鮮半島人と付き合うと碌なことがないので行かない方が良い。

黒井記事

ロシア・ウラジオストクの市街地(資料写真)

4月25日、金正恩委員長とプーチン大統領の初顔合わせとなる露朝首脳会談が、ロシア東部ウラジオストクで行われた。プーチン大統領はその夜、中国・北京に向かって発った。同地で開催されている一帯一路フォーラムの会合に出席するためだ。

他方、残された金正恩委員長は、そのままさらにウラジオストクで2泊し、27日に帰国の途につく予定だった。しかし、異変が起きた。首脳会談の翌26日午後、予定を前倒しして帰国してしまったのだ。

まず、金正恩委員長はその日の朝、午前10時に予定されていた戦没者慰霊碑での献花式に、時間になっても姿を見せなかった。ロシア側は受け入れ態勢を整えて待機していたが、いったん撤去した。ロシア側には事前に通知されていないことだった。

結局、金正恩委員長は予定から2時間遅れて到着し、献花の儀式は行った。しかし、その後に予定されていたバレエ鑑賞などのスケジュールはすべてキャンセルし、帰国を1日前倒しして帰国してしまったのだった。

早く帰りたい・・・金正恩委員長はおそらく、今回の首脳会談に失望していたのだろう。

もっとも、首脳会談の冒頭は、そんな雰囲気でもなかった。遅刻常習者のプーチン大統領にしては珍しく先に会談会場に到着し、笑顔で金正恩委員長を迎えた。両首脳は、友好的な雰囲気で会談に臨んだ。

現地時間の午後2時過ぎから始まった会談は当初、両首脳だけで行われた。当初の予定は50分間だったが、約2時間に及んだ。その後、閣僚を含めた拡大会合が約1時間半行われ、さらに約1時間半の夕食会に臨んだ。

ロシアのウラジオストクにある極東連邦大学を訪れ、ウラジーミル・プーチン大統領に迎えられる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2019年4月25日撮影)。(c)Alexander Zemlianichenko / POOL / AFP〔AFPBB News

金正恩はプーチンに支援を懇願

では、その会談で、どんなことが話し合われたのか?

まず、会談の冒頭、プーチン大統領は以下のように語った。

(この会談は)「朝鮮半島情勢をどのように解決し、ともに何ができるか、ロシアに何ができるかを理解するうえで有効だと確信する」
「北朝鮮と米国の関係を正常化するための努力を歓迎する」
「貿易、経済、人道問題の分野で協力する」

他方、金正恩委員長側は以下のとおり。

「全世界の視線が朝鮮半島問題に集中しているが、互いの見解を共有し、共同で調整、研究していくうえで意味のある対話になるだろう」

また、会談後の金正恩委員長の言葉は以下のとおり。

「戦略的にこの地域の安定を図り、共同で情勢を管理していく問題などで意見交換する目的がある」

「共同」という言葉を多用しているが、要するにロシアが自分たちと同じ陣営にいるのだということを強調しているわけだ。金正恩委員長側からはロシアに対して、自分たちを支援してくれるよう懇願しているに等しい。

なお、プーチン大統領はさらに、会談後に記者会見に応じた。主な発言は以下のとおり。

「我々の利益は米国と一致している。完全な非核化だ」
「非核化は北朝鮮にとっては軍縮。そのために北朝鮮は安全と主権の保証を必要としている。それは国際法によるべき」
「その保証を実現するには、これは時期尚早だが、米朝合意があった2005年に遡り、互いの利益を尊重して慎重に進むべき」
「6カ国協議を今すぐ再開すべきかどうかは分からないが、北朝鮮には安全の保証が必要であり、6者協議の形式も重要だ」
「(金正恩委員長が)北朝鮮の立場を米国に伝えてほしいと依頼してきた」

このように、両首脳は友好的な雰囲気のなか、今後も朝鮮半島の緊張緩和に向けて協力していくことで合意した。

「やる気」がなかったプーチン

しかし、これだけをもって「ロシアと北朝鮮の協力関係が一気に進んだ」かのような見方は間違いだ。

両首脳が語った言葉をみると、具体的な措置の提案がない。

特にプーチン大統領の言葉は、例えば「貿易、経済、人道問題の分野で協力する」と言いながら、「我々の利益は米国と一致している。完全な非核化だ」として、北朝鮮側が期待しただろう制裁解除への具体的協力案は示していない。力による圧力ではなく、国際法的に北朝鮮の安全を保証する必要性を説いていながら、6カ国協議の再開などの具体的動きには「時期尚早」と逃げを打っている。

いわば、言葉だけの社交辞令のようなものに終始している。通常はこうした首脳会談後に発表されることの多い共同声明の類も一切、発表されなかった。

会談前には「非核化に向けた何らかの声明が出るのではないか」とか「ロシアが経済制裁に苦しむ北朝鮮を助けるために、何らかの経済協力の提案を行うのではないか」といった“期待”が、メディア各社などでも報じられていたが、特に注目されるような進展はなかった。

また、会談翌日、北朝鮮の朝鮮中央通信は、会談で金正恩委員長がプーチン大統領に対して、「米国が一方的で悪意的な態度をとったため、朝鮮半島情勢が膠着状態に陥り、原点に戻りかねない危険な状態に至った」と語り、責任は米国にあることを伝えたと報じた。しかし、前述したとおり、プーチン大統領は一切、米国への批判を控えた。これは要するに、プーチン大統領の「やる気のなさ」を表している。

今回のプーチン=金正恩会談で明らかだったのは、両者の期待値の温度差だ。

そもそも今回の首脳会談は、プーチン大統領が北京に行くついでにセッティングされた。プーチン大統領はその日、まずは東シベリア南部のチタへ飛び、大火災の対策会議に出席、午後にウラジオストクに入って首脳会談をこなし、夜には北京に発った。

対して金正恩委員長は、前々日に平壌を鉄道で出発し、前日にウラジオストクに到着。会談後も同地で2泊するはずだった。プーチン大統領がわずか半日の滞在だったのに対し、金正恩委員長はウラジオストクに3泊もする予定だったのである。

もともと両国の首脳会談は、ロシア側が約1年前に、金正恩委員長を招待するかたちで提案していた。しかし、米国との関係改善を望外に順調に進めてきた金正恩委員長は、ロシアを後回しにしてきた。つまり北朝鮮側が前向きではなかったのだが、それが今回の会談ではむしろ態度が逆になっている。

北朝鮮がロシアにすがりつく理由

では、なぜ北朝鮮は今、ロシアとの接近を切望したのか? それは、北朝鮮が追い詰められているからだ。
金正恩は今年(2019年)2月末、ベトナムで2回目の米朝首脳会談に出席した。金正恩としては、すでに老朽化した寧辺の核施設を放棄する見返りに、大幅な制裁解除を狙っていたのだが、周知のとおり、トランプ大統領はそれを受け入れず、交渉は決裂した。

現状でトランプ政権は、まだ北朝鮮敵視政策には回帰しておらず、あくまで非核化進展を前提に交渉継続の構えだが、金正恩としては、非核化をこのまま拒んだ場合に米国との関係がさらに悪化する事態に備えなくてはならない。

 そこでどうしても必要になるのが、米国を牽制できる大国の後ろ盾だ。具体的には、中国とロシアである。

しかし、中国は現在、経済問題で米国と綱引きの状態であり、不必要にトランプ政権と揉めたくはない。米朝首脳会談決裂後、金正恩委員長はおそらく習近平主席との中朝首脳会談を切望したはずだが、米朝交渉の行方が不透明な状況では、習近平主席としても安易に応じるわけにもいかない。

中国はもちろんこれまでも北朝鮮の第一の庇護者だが、やはり米国と対決するわけにはいかないので、米朝が厳しく対立している時には一歩引いており、米朝が和解に向かうと北朝鮮サイドから仲介役として振舞う傾向がある。現在の中国は、北朝鮮の崩壊を避けるために制裁破りを非公式に黙認することはあっても、外交の舞台で堂々と北朝鮮側の肩を持つことはできないのだ。

そうなると、金正恩委員長としては、そんな中国だけが後ろ盾というのは心もとない。その点、ウクライナやシリア、ベネズエラなどの紛争、化学兵器を使った英国での暗殺未遂工作、米国大統領選への不当な介入やINF全廃条約破棄などの軍拡競争などで、もはや米国との対立を辞さない強気の姿勢が一貫しているプーチン政権は、北朝鮮としても味方につけられれば、これほど心強いものはない。

したがって、今回の首脳会談でも、本来ならば金正恩委員長は、プーチン大統領から社交辞令以上の力強い支持の言葉を引き出したかったはずだ。具体的には、米朝交渉の決裂は米国側の責任だと明言し、米国側に妥協を促す言葉であったり、あるいは経済制裁の大幅解除を支持するような発言だったりだ。

しかし、プーチン大統領はそこまでは踏み込まず、冒頭に示したような社交辞令の範囲に留まった。ベネズエラ問題などで声高に米国を非難しているのに比べて、米国を非難することはなく、非核化という目標でロシアは米国と完全に一致しているとまで断言した。ロシアはもとより北朝鮮の安保理決議違反の核・ミサイル開発に対する制裁には参加していく方針を堅持している。自らが先頭に立ってそれを覆すほどは、北朝鮮を「使えるカード」とは評価していないのだ。

プーチンにとって北朝鮮問題の優先度は?

両者の初の会談は、おそらく北朝鮮サイドの強い希望で行われた。プーチン大統領としては、金正恩委員長と会談してやることで北朝鮮を自らの手駒に加え、対米牽制カードの1枚にする思惑はあっただろうが、それ以上は特に大きな政治的もしくは経済的な利益が見込まれるわけではなく、実際にはさほど熱意はなかったということだろう。そこは北朝鮮と深い経済的な関係があり、さらにその動向が自国の安全保障にも大きな影響がある中国とは、ロシアは異なる立場にある。

もちろん米朝交渉の進展次第では、朝鮮半島における米軍のプレゼンスを弱められる可能性があり、それが実現すればロシアにとっては大きな安全保障上の利益になる。だが、その切り札にするには、北朝鮮は「それほど使えるカードでもない」というのが、おそらくプーチン大統領サイドの評価だろう。

現在、プーチン政権は前述したように、米国や西欧主要国などと激しく対立している。しかし、その対立の主戦場は欧州正面であり、中東であり、米露核戦力であり、サイバー空間だ。東アジアの優先順位は低い。

しかも、これはロシア政府だけの意識ではない。今回、会談後のプーチン大統領の記者会見でも、質問の後半はウクライナ問題に集中した。ロシアでも欧米でも、露朝首脳会談は大ニュース扱いというわけでもない。北朝鮮の問題は、結局は米朝の問題なのだ。

今後、米朝の主張が対立する局面では、ロシアは北朝鮮側をなにかと擁護することもあるだろうが、それほど深入りすることもないだろう。

右田記事

ロシア極東地方のウラジオストクにある極東連邦大学で、会見するウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働委員長(2019年4月25日撮影)。(c)Alexey NIKOLSKY / SPUTNIK / AFP〔AFPBB News

4月25日に、ロシア極東のウラジオストクで行われた、金正恩委員長とウラジーミル・プーチン大統領の露朝首脳会談。会談は3時間余りに及び、その後のディナーまで含めると、5時間にもなった。

中でも、最初のテタテ会談(両首脳と秘書だけの非公式会談)は、1時間の予定が、約2時間に延びた。初顔合わせだった2人は、ここでいったい何を「密談」したのか?

考えられる話題としては、トランプ政権との今後の核交渉、ロシアから北朝鮮への食糧・エネルギー支援、ロシアに派遣している北朝鮮労働者、ロシアから朝鮮半島へのパイプライン設置・・・と幅広い。

だが私は、まったく報じられることはないが、もう1つ、2人は重要なイシューを話し合ったと推定している。それは、北朝鮮有事の際の「金正恩ファミリーの亡命ルートの確認」である。

中国への「南浦ー威海ルート」だけでは不安に

朝鮮戦争が休戦したのは1953年だが、金日成主席は、再度、アメリカから空爆を受けた際の対策を考えた。平壌から中国に逃げるには、海岸沿いの陸路で新義州へ抜けて、そこから鴨緑江を渡って中国側の丹東に入るというのが「最短ルート」である。距離にして、約200kmだ。

だがこの陸路は、海沿いのため、空爆が容易で危険である。そこで密かに、平壌の「金日成官邸」(金日成主席の執務室)からトンネルを掘って、黄海に面した港湾都市・南浦(ナムポ)まで通じるようにしたのである。約60kmの地下トンネルだ。

南浦には、密かに非常用の高速艇と小型機を用意した。それに乗って、海路もしくは空路で、黄海の対岸に位置する中国山東省威海の中国北海艦隊基地まで向かう。距離は300km弱だ。

中国と北朝鮮は、国連軍(アメリカ軍、韓国軍)を相手に、朝鮮戦争をともに戦った「血盟関係」にある。1961年には、金日成主席が訪中して、中朝友好協力相互援助条約という軍事同盟も結んでいる。

だが、金日成主席は、1994年に急死。用心深い性格だった2代目の金正日総書記は、21世紀に入って、この「南浦-威海ルート」だけでは不安に思うようになった。中国は1992年に、朝鮮戦争以来の仇敵である韓国と電撃的に国交を結んでおり、信用できなかったからだ。

埠頭の租借と引き換えに・・・

一方、ロシアも、2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟し、2008年に北京でオリンピックが開かれたことなどで、100年続く「ロシアが兄で中国が弟」という両大国の関係が逆転することを恐れた。そこで、「中国の裏庭」である北朝鮮に接近を図ったのである。

2008年、ロシアと北朝鮮は大胆な「合意」に達する。それは、北朝鮮はロシアに、日本海側の羅先港の第3埠頭の権益を49年間租借させる、ロシアは港湾の整備と、羅先-ハサン間54kmの鉄路の復興を担当する、というものだ。この鉄路はもともと、日本植民地時代に整備したもので、すでに廃線になっていた。

金正日総書記は、このロシアへ向かう鉄路に、「保険」をかけたのである。すなわち、鉄路の地下に、「亡命用道路」の整備も、密かにロシアに対して依頼したのだ。

そのため、この国際鉄道建設は、鉄道建設を専門とするロシア鉄道(本社モスクワ)と、トンネル建設を専門とするロシア極東山岳建設(本社ウラジオストク)とが、共同して請け負った。そして、わずか全長54kmの「鉄路の整備」に、丸5年もかかり、2013年9月22日に、完成式典がハサンで行われたのだった。ロシア鉄道のウラジーミル・ヤクーニン社長(当時)と、北朝鮮の全吉洙鉄道相(当時)が式典に参加し、国際的な輸送網が完成した意義を強調した。

この時、北朝鮮は、金正日時代から金正恩時代へと変わっていた。「不動のナンバー2」と言われ、この鉄道建設の最高責任者でもあった張成沢党行政部長が処刑されるのは、この式典から2カ月余り後のことだ。

北朝鮮で金正恩委員長が、完全に推戴儀式を済ませてから半年ほど経った2012年11月、中国では習近平が、中国共産党総書記に就任した。その後、2017年まで、丸5年にわたって、中朝はいがみ合っていた。両者とも「お山の大将」のような似た者同士だったため、互いに反発していたのである。

2017年、アメリカにトランプ政権が誕生し、北朝鮮空爆の可能性がかつてなく高まっていった。たが、金正恩委員長は、習近平政権とも「反目」していたため、北朝鮮有事の際に中国へ亡命するという選択肢はなかった。そのため、この「ロシア亡命ルート」が、極めて重要になってきたのである。

「亡命ルート」確認のため空路ではなく鉄路で訪露

金正恩委員長は、北朝鮮側の羅先は、何度か視察したことがあったが、ロシア側へ行くのは、今回が初めてだった。露朝首脳会談前の一部報道では、金委員長がロシア製の専用機でウラジオストク入りするとの憶測が伝えられたが、それでは「亡命ルート」を確かめられないので、鉄路で行くに決まっていた。

金委員長は国境を越えると、まずはハサンで「1号列車」(スターリン大元帥が金日成主席に贈ったお召列車)を降りた。表向きは、かつて金正日総書記も見学した「露朝友好の家」を見学するためだった。だが、まったく報道されないものの、有事の際にハサンで避難する場所を確認した可能性がある。

ロシア国境の町ハサンに到着した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2019年4月24日撮影)。(c)AFP PHOTO / Press Service of Administration of Primorsky Krai / Alexander SAFRONOV〔AFPBB News

そして、金正恩委員長とプーチン大統領の首脳会談が行われたウラジオストクである。テタテ会談に続いて行われた、側近を交えた首脳会談には、ロシア側に、ロシア鉄道のオレグ・ベロゼロフ社長が着席しているのが確認できた。

4月25日、ウラジオストクで金正恩氏との会談に臨むロシア代表団のメンバー(写真:ロイター/アフロ)

極東山岳建設の幹部は確認できなかったが、首脳会談の終了後に行われた晩餐会には、当然、招待されていただろう。もしかしたら金正恩委員長はお忍びで、極東山岳建設の本社を訪問していたかもしれない。

ともあれ、米朝は「振出し」に戻りつつあり、今後の朝鮮半島情勢は、2年前のように、刻一刻と深刻化していくリスクを孕んでいる。そうなると、やはりポイントは、「ロシア亡命ルート」になってくる。今回の露朝首脳会談の成果は少なそうだが、金正恩委員長にとってのせめてもの「成果」は、亡命ルートの確認だったのではなかろうか。

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『中国海軍の国際観艦式、気持ち悪い“違和感”の正体 勇ましさがトーンダウンした習近平、ソフト路線化は本物か』(4/25JBプレス 福島香織)について

4/26希望之声<川普称司法部将审查乌克兰帮助希拉里竞选的新曝丑闻=トランプは司法省に、「ウクライナがヒラリーの選挙支援をした新しいスキャンダルを捜査するよう」命じた>4/25の夜、トランプはフォックスニュースに、「ウィリアム・バー司法長官は、明らかにされたばかりのウクライナとヒラリーの選対チームの“信じられない”“大きな”情報を調べている」と語った。 ヒラリーを当選させるために、ウクライナの俳優は当時のトランプの選挙対策本部長であったポールマナフォートの不利な情報をヒラリー選対に漏らした。

先月、ウクライナの検事総長Yurii Lutsenkoが「黒い財務諸表」の調査を開始したらその中にマナフォートが突然トランプ選対を去ったとあった。その調査は発見された短い録音から始まり、録音記録はウクライナの反腐敗組織高官によって承認されたもの。 その記録は2016年の米国大統領選時、高官がヒラリーのキャンペーンを助けるために、マナフォートの財政状況やロシアに支持された俳優との関係などの情報さえも漏らした。

「それは大ごとだ。ウクライナと付き合うのは非常に面白い。私はウクライナの新大統領と話をし、彼を祝福した…しかし、今回の調査は大きな事のように思える。私は別に驚かない」と トランプは言った。

2017年のオンライン政治メディア「Politico」の調査では、2016年の米国大統領選挙で、ウクライナの官員はトランプの大統領の資質に公に疑義を呈するだけでなく、ヒラリーの勝利を確実にするためにヒラリーの選対と秘密裡に協力した。 当時、ウクライナ政府は、米国民主党の顧問と協力して、トランプのマイナス情報の調査を行った。トランプ選対の本部長であるポール・マナフォートが辞任に至ったロシアとの関係を調査することを含んで。

この報道は日本ではありません。ウクライナの大統領が替わったためでしょうか、こういう情報が出て来たのは。前ウクライナ政権はロシアに対抗していたので、トランプよりヒラリーに勝たせたかったのでは。今回の大統領はロシアに対して中立のように見えます。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/26/n2838168.html

4/26阿波羅新聞網<重磅 北京好战 美承诺核武伺候 习近平很快访美 高层会议显束手无策 市场恐慌=重大 北京の好戦的態度、米国は核も含めて受けて立つ 習近平は早く訪米、高官会議は拱手無策 市場はパニック>トランプは25日、「米中貿易交渉合意はそれほど遠くない。中共の指導者である習近平氏は間もなく訪米することになるだろう」と示唆した。 しかし、米中貿易戦争は中国の経済と外交に依然として影響を与え続けている。

時事評論家の周暁輝は、「19日の中共政治局会議では“6穏”=①穏就業(雇用)、②穏金融、③穏外貿(貿易)、④穏外資(外資導入)、⑤穏投資、⑥穏予期工作(先行き)について言及していなかったが、これは北京の拱手無策と経済が好転していない結果である」と分析した。

米学者の謝田は、「中共のBRIは、元本割れが多く呼び売りで小銭を稼いでいるだけ。トランプの抜本対策でBRIは持続不可能である」と分析した。 米国防省副次長のDavid J. Trachtenbergは、「中共はますます好戦的になっており、米国の核三位一体と核の傘戦略は同盟国とパートナーに強力な保護を提供する」と述べた。

心強い限りです。早く共産主義をこの地球からなくしてほしい。

https://www.aboluowang.com/2019/0426/1280677.html

4/28阿波羅新聞網<美中关系变化 传美资200公司集体迁往印度设厂=米中関係の変化 米国資本の200社は工場設立のために纏まってインドに移転>米中関係は変化した。中国の賃金上昇と高コストのため、約200社の米国企業が中国の製造拠点から撤退し、インドに移っていく。

企業名は載っていませんが、中国に替わるサプライチエーンをインドに定めたという事でしょう。米中貿易交渉もトランプの言葉とは裏腹に長引かせるかもしれません。下の遠藤氏の記事とか八重山日報の記事を読むと日本の対応は遅いのでは。中国に工場を残しておいて後で泣くことの無いように。

https://www.aboluowang.com/2019/0428/1281322.html

4/27yahooニュース 遠藤誉<「“一帯一路”国際シンクタンク」結成を提唱:「新国連」を立ち上げる勢い>まあ、悪辣・腐敗集団で新国連を作って貰った方が良いでしょう。$を使えなくするためSWIFTから追い出して、金融制裁をかけるのが理想かと。でも日本の対中協力を遠藤氏は非難していますが当然です。政官財共に考える頭を持っていなかったという事です。

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20190427-00123965/?fbclid=IwAR0Zc3QyNjE9AcVFgPRk-SroCkSD8Cb5zDGmqDQ-qYAve4oRg0ASeIic740

4/27琉球新報<「一帯一路、沖縄活用を」 知事、訪中時に提案  中国副首相も賛同 定例会見で明言>沖縄県民は共産主義の恐ろしさを知らないから、こんな脳みその無い人間を知事に選んでしまったわけです。沖縄タイムズと琉球新報は中共の手先と言うのが見えていないのでしょう。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-909978.html?fbclid=IwAR3d2XSiq9dfBGaFwV3qWfk3JRlGnM99WZv-g2HW-AiGboCHWQpikGTEDkM

福島氏の記事では、習近平が「ともにウィンウィンの海上安全の道を進み、ともに手を取り合って海上の各種の威嚇や朝鮮に応対し、海洋の平和安寧を守るために協力すべきだ」とか「国家間に問題があれば、よく話し合うことだ。そうすれば、すぐに動いて武力で相手を威嚇することはできない」とか言ったとのこと。見事に言行不一致を表しています。対米国に向けてだけでしょう。「攻めて来ないで」と言う意味で。でも、4/27のニュースではドウテルテ大統領が習に南シナ海領有権について仲裁判決尊重を要望しても従来通りの立場を維持したとのこと。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190427-00000112-kyodonews-int

如何に中国人が口先だけで、言ったことを守らないか分かろうと言うもの。騙せればよいというダメモトの発言と思えば良いでしょう。しかし、簡単に騙されるのが多いのが困ったもの。日本にいる似非平和主義者の左翼は本音を知っていてもこの発言を利用しようとします。日本国民は騙されないようにしてほしい。

記事

中国山東省の青島

人民解放軍海軍創設70周年記念の国際観艦式(中国語で海上閲兵式)が4月23日に山東省・青島港で開かれた。日本の海上自衛隊からは護衛艦「すずつき」が参加。日本の自衛艦が中国の港に入ったのは7年ぶりだ。

この式典は、どこか違和感が漂うものだった。盛大にやりたいのか、投げやりなのか、微妙。国内報道も微妙。習近平の表情も、式典のお天気も微妙。世界最高水準の攻撃力を持つ新型駆逐艦「南昌」を誇示しつつ、やたら「平和」を強調しているのも、微妙。この“微妙さ”の背景を考えてみたい。

中国・青島で開かれた国際観艦式で披露された中国海軍の駆逐艦「太原」の甲板に立つ乗組員ら(2019年4月23日撮影)。(c)Mark Schiefelbein / POOL / AFP 〔AFPBB News

艦艇派遣を断った米国

この式典に参加したのは日本、ロシア、韓国、インド、オーストラリア、ブルネイ、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、バングラディッシュの13カ国18艦艇。日本からは山村浩・海上幕僚長が出席。日本の海幕長の出席も5年ぶりだ。日中関係改善アピールが印象的なのだが、日本の同盟国・米国は艦艇派遣を断り、大佐級交流活動に将校を派遣するにとどめた。

米海軍は10年前の60周年式典には、フィッツジェラルド駆逐艦を派遣していた。10年前の参加艦艇は14カ国21艦艇で、招待国は増えているが参加艦艇は10年前よりは減った。メンツにこだわる習近平は胡錦濤政権時よりも大規模にするつもりだろう、と思っていたら意外に規模が縮小されていた。

前回参加したのに今回参加しなかったのは、米国のほかフランス、カナダ、ニュージーランド、パキスタン、メキシコ。代わりに日本、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、ブルネイとアジア参加国が大幅に増えた。

米国艦が参加しなかったのは、南シナ海、台湾海峡の軍事的緊張が危険水域に入っており、その中で米海軍が艦を派遣しては中国の都合のよい宣伝に利用されて国際社会に間違ったメッセージを送りかねない、という判断があったらしい。カナダも華為(ファーウェイ)問題でカナダ人が“人質”に取られている状況で軍事交流というムードでもなかろう。パキスタンはインドが来るなら出席できない、とインドとの軍事的緊張を理由に欠席したそうだ。ということで、日本の海自艦の旭日旗掲揚容認を含めた配慮は、出席していない米艦の名代扱い、ということかもしれない。

ライブ放送されなかったのは濃霧だけのせい?

観艦式はあいにくの濃霧に見舞われた。北京で行われた2013年9月の抗日戦争・反ファシスト世界戦争勝利記念の軍事パレードのときは素晴らしい晴天が印象的だった。もちろん、季節的、地理的な要因もあるのだろうが、習近平政権は気合の入れた国際イベントのときは人工的に晴天を作り出す「習近平ブルー」が慣例となっている。濃霧と曇天は要因が違うので、技術的に防ぎようがなかったのか、天気に対して今回はあまり気を使わなかったのか。

国際観艦式で披露された中国海軍の空母「遼寧」(2019年4月23日撮影)。(c)Mark Schiefelbein / POOL / AFP〔AFPBB News

そして天気のせいなのかもしれないが、CCTVはじめ国内中央メディアの報道がずいぶん低調だった。普通ならライブで全部流すものだ。だが今回、ライブ放送は省略され、全体のニュース映像も、習近平のカットも、かなり短かった。本当に濃霧で映像映えしないから、という理由だけなのだろうか。

習近平が暗殺未遂に怯えていたという説も

中国海軍からは、ウクライナから購入した中古空母の改造版「遼寧」を含む32艦艇、39機の戦闘機が参加。期待されていた中国初の国産空母(001A型)はお披露目されなかった。米軍の神経を逆なでしないように配慮したのか、単に仕上げが時間的に間に合わなかったのか、あるいはもっと他の理由があるのか。001A型の正式就役は2020年予定となっているので間に合わなかった、というのが一番の理由と受け取られているが、2019年が海軍創設70周年の記念すべき年であることは前々から分かっているのだから、お披露目するつもりなら意地でも間に合わせるのがこれまでの中国だっただろう。

ちなみに、習近平の乗艦は中華版イージス艦ともよばれるミサイル駆逐艦「西寧」。目玉は最新型の055型ミサイル駆逐艦「南昌」の初披露だ。全長180メートル、基本排水量1万トン、満載排水量1万4000トン。空母キラーと米軍も恐れる鷹撃18型超音速巡航ミサイル搭載に加え、最新情報処理システム、高度なステルス機能を備えたアジア最強、いや世界最強という説もある海上戦闘艦だ。ほか、潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪2」搭載の改良型原子力潜水艦も昨年の南シナ海海上閲兵式に続いて登場していたので、最新型国産空母が“欠席”しても、見所はあるとはいえる。

国際観艦式で披露された中国海軍の新型駆逐艦「南昌」(2019年4月23日撮影)。(c)Mark Schiefelbein / POOL / AFP〔AFPBB News

規模としては、2018年4月に南シナ海上で行った海上閲兵式よりは小さい。2018年4月南シナ海上の海上閲兵式は中国海軍史上最大規模と“鳴り物”入りだったが、習近平は遼寧に乗艦せず、予定時間を大幅に前倒しして、そそくさと終了したことで憶測を呼んだ。当時、一番もっともらしく信じられた噂は、海上閲兵式に乗じた習近平暗殺計画があると恐れたために、遼寧乗艦も取りやめて閲兵式を時間短縮して終わらせた、というものだった。

2006年5月に青島で行われた北海艦隊の海上閲兵式では、当時の中央軍事委員会主席の胡錦濤(国家主席、総書記)が乗艦しているミサイル駆逐艦に対し、護衛艦が左右からミサイルをぶっぱなすという胡錦涛暗殺未遂事件が発生している。2009年4月の解放軍海軍60周年記念の国際観艦式のときも、直前に胡錦濤暗殺計画の情報をつかみ、観艦式の時間を午前から午後へ急きょ変更した経緯がある。

こういう状況を総合すると、今回の70周年記念国際観艦式が前回よりも小規模かつ低調で、習近平自身が今ひとつ気合が入っていないように見えるのは、南シナ海、台湾問題で対立が先鋭化している米軍から圧力を受けての強軍路線緩和説や、解放軍内アンチ習近平派の暗殺未遂に怯えている説などが考えられている。

“融和路線への変更”は習近平の意向なのか

だが一番の違和感は、習近平の海軍成立70周年記念演説の内容だ。ちょっと引用翻訳してみよう。

「海洋は生命を育み、世界に通じ、発展を促進する。我々人類が暮らすこの青い惑星は、海洋で分割された孤島ではなく、海洋で結ばれた運命共同体であり、各国人民は安全と危機を共にする。海洋の平和と安定は世界各国の安全保障と利益に関係し、ともにこれを維持し惜しむことが必要だ。中国人民は平和を熱愛し、平和を渇望し、平和発展の道を確かに歩み続けるのだ。中国は防御性国防政策をとり、共同的、総合的、協力的、持続可能な新しい安全観をとると固く決めている。中国軍は終始ウィンウィンの旗を掲げて平等な信頼関係、公平正義のお互いが受益できる安全の枠組みを打ち立てるために力を注いでいる」

「海軍は国家海上パワーの主体であり、海洋の平和と安定、良好な秩序維持という重要責任を担っている。皆、お互いに尊重し、平等に相対し、お互いの信頼を増進し、海上の対話交流を強化し、海軍の実務協力を深化すべきだ。ともにウィンウィンの海上安全の道を進み、ともに手を取り合って海上の各種の威嚇や朝鮮に応対し、海洋の平和安寧を守るために協力すべきだ

「海洋を市場、技術、情報、文化などの協力の土台と紐帯(ちゅうたい)として協力を日ごとに緊密化させるために、中国は21世紀海上シルクロードを提案し、海上の各領域の実務協力を促進したいと願っている。ブルーエコノミーを発展させ、海洋文化の融合を促進したい。中国軍は各国軍隊と同じ道をいき、海洋発展繁栄に積極貢献していきたい」

国家間に問題があれば、よく話し合うことだ。そうすれば、すぐに動いて武力で相手を威嚇することはできない。各国対等の話し合いを堅持して、危機管理のコミュニケーションメカニズムをパーフェクトにし、地域の安全協力強化と海洋上の対立の妥当な解決を推進すべきだ。今回、“海洋運命共同体構築”をテーマとしたハイレベルシンポジウムを開くが、皆の考え方を集めて広く利益を求め共通認識を増進し、海洋運命共同体構築推進のために智慧をもって貢献する努力を願う」

確かに、これまでの強軍化路線のスローガンは抑えられて、海洋平和論っぽいことを言っている。だが、今回、公式には初めて登場した「海洋運命共同体」などという造語は、なんとも上から目線ではないか。そもそも、南シナ海の緊張の原因は、中国の国際海洋法を無視した岩礁人工島の軍事要塞化から始まっているのだ。

一見、これまでの習近平節の“勇ましさ”がずいぶんトーンダウンしているようにも見えるが、いかにも海のシルクロード沿線国海軍のリーダーシップをとっているかのような中国海軍の振る舞いが、日本人としては額面通りの「強軍路線から融和路線への変更」とは素直に思えないのである。

たしかに、インド海軍があえて台湾海峡を通って来たのに、中国は無反応だったし、自衛艦の旭日旗についてもメディアに批判論が出なかったも考えあわせると、習近平政権としては少しソフト路線に変更しようとしているのかもしれない。あるいは党内的に習近平にそういう自制を求める声が強まった、というような気もする。

だが、それは習近平自身の意向ではなく、不承不承そうせざるを得なくなったということで、なんとなく全体に投げやりな雰囲気、やらされている感がにじみ出ている。こういう言葉と態度と本音のひずみが透けてみえるのが、違和感の正体なのかもしれない。

日本はホッとしている場合ではない

さて、日本は、中国のこうした姿勢の変化にホッとするよりは、警戒心を高めてほしい。

中国の海軍力は目覚ましく向上し、この10年で空母2隻を造り、南シナ海に7つの人工島軍事要塞を造り、一帯一路戦略に沿った海のシルクロード沿線にグワダル、ハンバントタ、ジブチなどの港を造り、空母キラーミサイルを持つようになった。今回の参加国の中で最強海軍と言えるだろう。東南アジア国の参加が増えた今回の国際観艦式は、中国が主導で形成する「海洋運命共同体」メンバーが、中国軍というコマンダーインチーフ(最高司令官)に閲兵を賜る、という風に見えなくもない。今回、勇ましい強軍路線を対外的に叫ばなくなったのは、実力に自身を持ち始めた中国海軍が弱いアジア諸国海軍を脅えさせないように気遣う余裕を持てるようになった、という見方もできる。

日本のメディアは、これをきちんと脅威ととらえて、日本人が国防に向き合うよう世論を刺激してほしいものだ。

【訂正】記事初出時に「2008年、2011年の自衛艦訪中時には、日本側が中国世論を配慮して旭日旗を掲揚しなかった」という記述がありましたが、実際には掲揚していましたので、当該部分を削除し、文章を修正しました。(2019年4月26日)

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『韓国経済の「行き詰まり」を象徴する中堅財閥のアシアナ航空売却』(4/23ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

4/26日経電子版<「一帯一路」軌道修正 習氏、米批判受け低姿勢演出

【北京=原田逸策】中国が広域経済圏構想「一帯一路」の軌道修正に動き始めた。習近平(シー・ジンピン)国家主席は26日の関連会議で相手国の財政の持続可能性に配慮する方針を示し、インフラ建設でも国際ルールを順守すると約束した。「途上国を借金漬けにしている」とする米国などの批判に配慮し、ひとまず低姿勢を演出した形だ。

一帯一路首脳会議の開幕式で基調講演する習近平国家主席=AP

「一帯一路は世界経済の成長に新たな空間を切り開いた」。北京での一帯一路首脳会議の開幕式で、習氏は成果を誇った。これまでに150超の国・団体と覚書を結び、直接投資額は900億ドル(約10兆円)超、関連融資額も4400億ドルに達した。中国と沿線国の貿易額は2018年に約1.3兆ドルと、構想を提唱した13年に比べ2割増えた。

ただ、一帯一路に伴うインフラ建設には中国企業の利益を優先し、地元住民のニーズを無視した事業が多いとの批判がつきまとう。習氏は「現地の社会や経済の発展に実のある貢献をしなくてはいけない」と強調。中国企業が落札しなければ中国の銀行から融資を受けにくい「ひもつき融資」の見直しを示唆した。

習氏は「(相手国の)財政の持続可能性を確保する」とも語った。スリランカから債務免除と引き換えに港湾の運営権を得るなど、借金のカタに途上国から重要インフラを取り上げる「債務のワナ」批判を意識した発言だ。マレーシア東海岸鉄道の建設費用を当初計画から3割も圧縮するなど、一部事業ではすでに見直しに動いている。

習氏が見据えるのは、会議に高官を派遣しなかった米国だ。トランプ政権は「主権を危うくする外国融資を受け取ってはいけない」(ペンス副大統領)と呼びかけるなど、一帯一路批判の先頭に立ってきた。習氏は直接関係ない市場開放や知的財産保護への取り組みにも言及し「中国の企業、留学生、学者を平等に扱ってほしい」と求めた。

もっとも中国に一帯一路をあきらめる気配はない。今後の焦点はデジタルや通信分野だ。米国が次世代通信規格「5G」からの中国製品排除を同盟国に求めるなか、アジアやアフリカの沿線国に活路を見いだす。

ジンバブエは中国企業の顔認証システムを空港や駅に導入した。タンザニアやウガンダ、ケニアでは中国にならい、メディアや言論を制限する法整備も進むという。米中のつばぜり合いは世界規模に拡大しつつある。>(以上)

嘘つき中国人代表の習近平の言うことなんて信じられないでしょう。オバマと公開の場で南シナ海の人工基地を軍事化する意図はないと言ったのは誰?臆面もなく嘘がつけるのは中国人と共産主義者です。彼らは両方合わせ持っているから始末に負えない。世界は騙されてはいけません。また騙す気で言っていることは間違いないでしょう。

4/26希望之声<库德洛:对中贸易谈判 美国的优势还在增加=クドロー:米中貿易交渉 米国の優勢は増加>WH最高経済顧問、ラリー・クドローは、「現在の米国経済は力強く、貿易交渉でワシントンの北京に対する影響力は強まっている」と語った。

トランプは4/26(金)のインタビューで、「米中貿易交渉は非常に順調に進んでいる」と述べた。 4/25(木)にはWHでの「子供帯同日」で、トランプは「習近平とWHでもうすぐ会えるだろう」と述べた。

クドローは「交渉の進展はかなり良い……しかしトランプ大統領と私は次の点で一致すると思う。彼は単なる取引以上のものを必要としていて、両国にとり有効な合意に達することを願っている」と言った。

有効な合意とは約束を守る、またその仕組み、不履行時の担保について合意するという事でしょう。まあ、中国が約束を守るとは思えませんが。次のステップの金融制裁に踏み込む準備をしていた方が良いかと。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/26/n2838462.html

4/27看中国<班农:美中较量 华尔街和美国大企业资助了中共(图)=バノン:米中比較 ウォール街と米国の大手企業が中共に資金を提供した>中国への差し迫った危機委員会Committee on the Present Danger: China,略称CPDC“は声明を発表し、「過去のソビエト連邦と同様に、共産中国は、米国とその自由の理念に対し、生存の脅威と意識形態への脅威を構成している。この脅威に打ち勝つために、米国は内部で政策と優先順位について新たなコンセンサスを得る必要がある」と。

4/25(月)、バノンはCNBCのキャスターBrian Sullivanに「中国人民は世界で最も勤勉で儒学を学んだ民族の一つである。我々が相手するのは中国の共産党政権である。中共は過去20年米国に工業戦争を挑んで、中国人民は奴隷化された」と語った。

「中国共産党のこれらの活動は国の内外を問わず、全部ウォール街による資金援助で出来たものである」とバノンはSullivanに述べた。

「今日のアメリカの大企業は中国共産党のロビー部門であり、ウォール街は投資家向け広報部門である」とバノンは述べた。 「ウォール街と米国の大手企業はトランプにずっと“中国と貿易協定に合意するよう”圧力をかけ続けている。 中共こそが、米国が今までになかった最も重大な生存の脅威である」とも。

昨日の本ブログでのバノンの紹介に続きます。やはり、中共と言うモンスターを造ったのは米日かと。製造物責任を果たさねばなりません。ユダヤ国際金融グローバリストが第二次大戦同様蠢いて米国の採るべき道を誤らせてきたのでしょう。日本の政府と企業は真剣に赤化防止を考えないと。

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/04/27/891781.html

4/27阿波羅新聞網<联邦调查局局长:中共经济提升靠的是全民皆偷=FBI長官:中共の経済上昇は、全国民の盗みにかかっている>FBI長官は4/26(金)、「中共は米国にとって最も深刻な防諜の脅威であり、米国の利益を犠牲にし、“窃取で経済上昇を図っている”」として中共を非難した。

FBI長官のChristopher Wrayは、シンクタンクの外交問題評議会(Council on Foreign Relations)での公開行事の中で、「FBIは依然として伝統的なスパイ活動の脅威に対処する必要があるが、今防諜では産業スパイに重点を当てている」と述べた。

「以前と比べても甚大で、我々の相手は我が国の資産を対象とし、我々の情報、アイデア、革新、研究開発、科学技術を対象としている」

「情報収集の観点から言って、中共程米国に対しより広範で深刻な脅威となる国はない」と述べた。

「中共は、国民皆兵ならぬ国民皆偸方式を作り上げ、あらゆる企業、大学、組織を通じて我々の創造したものを盗みつくし、中共の諜報機関、国営企業、多数の民間企業を通じ、或は大学院生や学者を通じて、中共のために働くようにしている」と。

日本政府と大学、企業は大丈夫か?平和ボケもいい加減にしたら。

https://www.aboluowang.com/2019/0427/1280860.html

4/27阿波羅新聞網<最新机密文件曝光 中共竟出动「16警种」联合镇压宗教=最新の機密文書の公開 中共は何と16もの警察組織で合同して宗教弾圧>中共の内部機密文書が暴露され、江蘇省当局は2018年にキリスト教新興宗教の全能神教会を弾圧しようとし、16もの警察組織で合同して教会を迫害した。

中国の人権問題について長期に亘り監視して来た「寒冬」誌は今日、「キリスト教の新興宗教の全能神教会は中国政府から「カルト」と見なされ、2018年の教会に対する全国的な弾圧事件では、江蘇省の逮捕者数は1984人で、各省市の中で最多であった」と述べている。

自由の無い国が如何に恐ろしいか。ボーッとして生きていると悪の国にしてやられます。

https://www.aboluowang.com/2019/0427/1280853.html

4/27日経<兄弟の確執、衰退招く 錦湖アシアナ「解体」へ

【ソウル=鈴木壮太郎】最盛期には韓国の財閥中、資産規模で7位まで浮上した錦湖(クムホ)アシアナグループ。15日、経営難のため中核のアシアナ航空を売却すると発表した。実現すれば、グループの資産規模は韓国政府が定める基準を下回り、「財閥」ではなくなる。極端な膨張と急速な衰退の陰には、創業者の後を継いだ兄弟間の確執があった。

「グループの名称を錦湖から錦湖アシアナに変えたのは朴三求(パク・サムグ)会長だ。さぞかし無念だろう」。あるグループ企業の幹部は、会長職から退き、愛着のあったアシアナ航空まで手放すことになった三求氏の胸の内を推し量る。

韓国の公正取引委員会は資産規模が5兆ウォン(約4800億円)以上の企業グループを経営情報の公示が必要な「企業集団」に指定する。これがいわゆる財閥だ。錦湖アシアナの2018年の資産規模は約12兆ウォンで25位だった。約8兆ウォンのアシアナ航空が抜けると、残りは5兆ウォンを下回り、指定は解除される。

錦湖アシアナグループ創業者の朴仁天(パク・インチョン)氏は立志伝中の人物だ。1901年に南西部の全羅南道羅州の貧農の家に生まれ、日本に渡り巡査になった。日本の敗戦で朝鮮に戻り、2台の中古車を買って始めたタクシー業がルーツだ。その後バス運送やタイヤ製造、タイヤ原料の合成ゴム製造まで業容を広げ、全羅道有数の財閥を築いた。

仁天氏の後継は、5人の兄弟が順番にトップを務める「兄弟経営」が不文律になった。84年に仁天氏が死去すると、長男の晟容(ソンヨン)氏が2代目会長に就任。大韓航空に次ぐ、韓国2番目の航空会社となるアシアナ航空を設立した。

晟容氏は96年、すぐ下の弟の定求(ジョング)氏に会長職を譲った。定求氏が02年に死去すると、4代目の会長に就いたのが三求氏だ。ここまでは不文律どおりに進んだ。

だが、ここから兄弟経営の雲行きが怪しくなる。「財閥5位」を目標に飽くなき拡大に突っ走る三求氏と、堅実経営を志向する弟の賛求(チャング)氏との間の確執が表面化したのだ。

朴三求会長の退陣を求める声は従業員からも上がった(街頭デモをするアシアナ航空の従業員 2018年7月、ソウル市内で)

「ナンバーワン企業以外は生き残れない」が信条の三求氏は06年に大宇建設、08年に大韓通運を立て続けに買収した。いずれも当時の国内最大手で、グループは財閥7位までのし上がる。

だが、絶頂期を迎えた三求氏に思わぬ荒波が押し寄せる。08年のリーマン・ショックだ。莫大な負債を抱えるグループはたちどころに資金繰りが悪化した。

経営危機を受けて動いたのが、優良部門の錦湖石油化学を率いてきた賛求氏だ。兄との合意を破ってグループ中核の錦湖実業の持ち株を売却。その資金で錦湖石油化学の株を買い増したのだ。

三求氏は09年7月に賛求氏を解任。自らも会長職を退くことで混乱収拾を図ろうとしたが、賛求氏は10年、錦湖石油化学を率いてグループから独立してしまった。

賛求氏は大宇建設の買収に当初から反対だったとされる。兄の経営失敗のツケを石油化学部門が支払うのは耐えられないと判断したようだ。グループは優良事業からの収益の下支えも失い、結局は買収した2社を手放さざるを得なくなった。

三求氏と賛求氏は、その前から確執があったとの見方もある。あるグループ幹部は「会社を大きくしたいというのは経営者の本能だ。三求氏は考えが違う弟にはグループを任せられないと思ったのだろう」と語る。

アシアナ航空は世界22カ国に路線を持つ。日本にも東京、大阪、福岡などに就航、地方路線にも強みがある。ただ売上高はライバルの大韓航空の半分にすぎず、近年は格安航空会社(LCC)との競争が激しい。18年の旅客機の平均稼働率は5割を下回った。顧客のマイレージポイントなどをめぐる不適切会計の発覚で18年12月期の連結売上高は7兆1833億ウォン、最終損益は1958億ウォンの赤字に転落。深刻な経営実態が露呈した。

韓国では、弟の賛求氏がアシアナ航空の買収に乗り出すか関心を集めている。会長を務める錦湖石油化学が、アシアナ株を約12%保有する第2位の株主だからだ。錦湖石油化学は「アシアナ買収戦に主導的に参加するつもりはない」とする一方「共同買収の提案があれば検討する」としている。

◆後継「お家騒動」頻発 韓国財閥、世襲経営に限界
創業家一族による世襲経営が主流の韓国財閥は、代替わりに「お家騒動」が起きやすい。創業者の子どもたちがグループ継承をめぐって対立するためだ。
典型例が現代グループだ。2001年に亡くなった創業者の鄭周永(チョン・ジュヨン)氏には8人の息子がおり、後継者に指名したのは五男の夢憲(モンホン)氏だった。早世した兄に代わり長男格だった二男の夢九(モング)氏は反発。自動車事業を率いてグループを脱退した。その後、他の兄弟もそれぞれ独立してグループは分裂した。韓国内で「王子の乱」と呼ばれる。
ロッテグループも韓国事業を率いる辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)会長と日本事業を率いた実兄・辛東主(シン・ドンジュ、重光宏之)氏が対立。軍配は弟に上がったが、裁判は続いている。錦湖アシアナと同じ「兄弟経営」を実践した斗山グループも結局は兄弟が対立し続かなかった。
公正取引委員会によると10大財閥の資産規模合計は国内総生産(GDP)の8割に達する。財閥改革を掲げる文在寅(ムン・ジェイン)政権は経営監視を強める。巨大化した財閥の承継には莫大な資金がかかることもあり、世襲経営は限界を迎えている>(以上)

真壁氏の記事で、所詮学者の書くものは問題提起までで、解決策はでて来ないというか記事執筆依頼が来なくなるのを恐れて自主規制しているのか分かりませんが、不満です。南北朝鮮が世界の政治経済のリスクとなるというのであれば、日本の採るべき処方箋を示すべきです。少なくとも防衛能力を高めるため、憲法9条改正や自衛隊法のネガテイブリスト化くらいは提案してみたらと言いたい。知識人を標榜するなら、国民の安全を確保する手立てを示さねば。ミサイルが飛んできて犠牲が出てからでは遅すぎます。泥縄にならないよう国民を啓蒙するのが知識人では。

韓国経済がどうなろうと日本の知ったことではありません。反日教育をずっとやって来て、嘘の慰安婦問題を世界に流布して来た咎めが出てきているだけです。裏に中国がいて日韓離間を図って来て、それを成功させるのかと言う意見もあるかもしれませんが、時すでに遅し。離間策と言うのが分からない時点でトロイ民族です。そんな民族を仲間として迎えたら足手まといになるだけです。『非韓三原則』でいきましょう。まあ、憲法改正もなかなかできない左翼に洗脳された日本人もどうかと思われますが。

日経の記事では、同族経営の問題を取り上げていますが、日本にだって味の素やサントリーが同族経営です。でも社会の要請に応えて経営の透明化を図って来て、世の中から支持を受けているではないですか。韓国は小中華で、中国の悪いところを真似しているからでしょう。博奕好きだから過大投資で失敗、賄賂も当たり前で、政権が変わるたびにしょっちゅう企業家も逮捕されているではないですか。儒教国家とは名ばかりで、道徳の無い、自己中心な民族です。朱に交われば赤くなるので付き合わないことです。

記事

錦湖(クムホ)アシアナグループは、グループの中核企業である韓国2位のエアライン「アシアナ航空」を売却すると発表 Photo:YONHAP NEWS/AFLO

錦湖アシアナグループが中核企業のアシアナ航空を売却

4月15日、韓国の中堅財閥企業である錦湖(クムホ)アシアナグループは、グループの中核企業である韓国2位のエアライン「アシアナ航空」を売却すると発表した。この発表の影響は韓国経済にとって大きい。中核企業の売却は、錦湖グループという財閥の瓦解(がかい)につながるからだ。財閥企業の成長に依存して経済成長を遂げてきた韓国にとって、これは見逃すことのできない大きな問題だ。

最大のポイントは、韓国の財閥企業が世界経済の変化にうまく対応できなかったことだ。特に、航空会社の経営内容は、その国の経済状況を的確に映す水晶玉のようなものといえる。錦湖グループが解体に向かっていることは、韓国経済の減速だけでなく、成長が行き詰まりつつあることを示唆しているように思えてならない。

企業にとって重要なことは、変化に適応し、利害関係者の納得を得ながら成長を実現することだ。錦湖アシアナグループは外部環境に目を向けず、独善的な発想でリスク管理を欠いた経営を漫然と続けた。それは、韓国の財閥企業全体に共通する問題だ。財閥企業という経済の最重要基盤がぜい弱になる中、韓国の政治・経済への不安は高まるだろう。

韓国経済の屋台骨である有力財閥の行き詰まり

錦湖アシアナグループによるアシアナ航空の売却決定。これは、韓国の財閥企業の“同族経営”が限界を迎えたことを意味する。韓国の財閥企業は、経営の形態を根本から変えなければ、持続的な成長を目指すことが難しいだろう。それは、韓国の経済にとって、最も重要かつ深刻な問題である。

錦湖アシアナグループは、アシアナ航空を中核に、レジャー、石油化学、タイヤ、建設など複数の事業を運営してきた韓国特有の財閥企業だ。2000年代に入り、同グループは拡大路線を追求した。その目的は、韓国のナショナル・フラッグ・キャリアである大韓航空を傘下に収める韓進グループを追い抜くことだった。

特に、2006年、錦湖グループが大宇建設を買収したことは、韓国経済界でも論争を呼んだ。どちらかといえば、大宇建設の企業価値を大きく上回る買収金額、買収のための借り入れ増加が錦湖グループの経営を悪化させるとの見方が多かった。

そこまでのリスクを冒してまで、同グループを率いる朴三求(パク・サムグ)会長は、財閥全体への統帥権を確立したかったわけだ。同グループ傘下の企業は、朴兄弟によって経営が指揮されてきた。兄弟とはいえ、常に利害が一致しているわけではない。朴三求会長は大宇建設買収を強行して拡大路線を進めることによって、弟の朴賛求(パク・チャング)氏の影響力を弱めたかった。

兄弟同士の覇権争いが、身の丈を超えた買収の正当化につながり、同グループの経営を悪化させた。2009年、錦湖グループは資金難に直面し、大宇建設の経営権を手放さざるを得ない状況に直面した。それ以降、同グループは資産の売却を進め、当座の資金繰りを確保せざるを得ない状況に陥ってきた。資産売却によっても同グループの財務状態は悪化し続けた。最終的にはグループの収益の柱であるアシアナ航空を売却しなければならなくなってしまった。これは、リストラを続けると最終的に企業そのものがなくなることを確認する良い例だ。

環境変化に対応できなかった同族経営

韓国財閥企業は、世界経済の環境変化に適応することができなくなっている。それは、財閥企業の成長に依存してきた韓国経済にとって、深刻な問題だ。

まず、アシアナ航空の業績悪化の背景には、韓国経済の減速が大きく影響している。大手航空会社の経営状態は、その国の経済状況を的確に表すことが多い。景気が良ければ、観光やビジネスでエアラインを使う人は増える。それが航空会社の業績拡大を支える。反対に、景気が減速すると観光などのためにエアラインを使う人は減少する。

昨年、最大の輸出国である中国の景気が悪化し、韓国経済のエンジンである輸出が大きく落ち込んだ。その結果、韓国経済は下り坂を転がり落ちるような勢いで減速した。中国は、これまで輸入に頼ってきた半導体などを国内で生産しようとしている。中国の景気が持ち直したとしても、韓国の景気が上向くとは言いづらい。

韓国が中国に対して関係の強化を求めたとしても、中国にそのゆとりはない。中国は、対米交渉などを念頭にわが国との関係強化に動いている。韓国経済の不確実性はかなり高まっている。グローバル経済の中で、韓国経済は漂流していると言ってよい。

その上、格安航空会社(LCC)の参入によって、競争が激化し、航空運賃には低下圧力がかかっている。大手航空会社が利用者を獲得するためには、接客サービスなどを向上させ、LCCにはない満足を提供することが欠かせない。

しかし、大韓航空も、アシアナ航空も、同族経営の下で創業家出身のトップの方だけを向いてビジネスを続けた。その結果、大韓航空では“ナッツリターン事件”が起き、社会からバッシングされた。

アシアナでは資金繰りのために子会社を売却し、機内食を提供することが難しくなってしまった。さらに、アシアナ航空では朴会長のための行事準備のために、フライト前のブリーフィングが省略されていたことなども暴露されている。複数の企業で同族経営の弊害が明らかになり、株主や従業員、地域社会から非難されている状況はかなり深刻だ。

財閥企業依存度の高い韓国経済の限界

韓国経済は成長の限界に直面していると言わざるを得ない。

韓国は、財閥企業を優遇し、競争力を高めることで経済を成長させてきた。経済成長を支えた財閥企業の同族経営は、一族の栄華を追求するあまり、環境変化に適応することの重要性に関心を向けなかった。韓進や錦湖の経営危機はその典型だ。経済を牛耳ってきた財閥企業の経営形態を根本から改めない限り、韓国が持続的な成長を目指すことは難しい。

本来であれば、財閥企業の同族経営問題はかなり前に是正されるべきだった。しかし、韓国の政治家は自らの政治生命を守るために、同族経営を黙認してしまった。問題の先送りが続いてきた結果、手を付けることができないほど、同族経営のマイナス面が大きくなっている。韓国政府の財閥企業への対応を見ていると、“腫れ物に触るような”印象すら受ける。

半導体の輸出という成長の原動力が弱まっていることを考えると、サムスンを筆頭に財閥企業の収益環境は一段と厳しさを増すだろう。それに伴い、韓国の所得や雇用不安も高まる可能性が高い。韓国世論は、政治・経済への不満をさらに募らせるだろう。

追い打ちをかけるように、韓国を取り巻く外部環境が変化している。中国は韓国との関係を重視しなくなっている。米国は明らかに韓国と距離を取り始めた。米韓首脳会談の中で文大統領がトランプ大統領と“サシ”で話した時間は、約2分だった。文大統領は米国に北朝鮮への配慮を求めたかった。米国はそれを真っ向から遮った。これは、米国にとって韓国が国際秩序を乱す“困った国”と化しているからだ。

韓国は、政治・経済・外交とあらゆる政策領域で、袋小路に入ってしまったように思う。国内経済や対日関係において世論が不満を募らせるだろう。他方、韓国政府は民間企業の成長を促進し、富の再分配機能を強化する策を持ち合わせていないように見える。北朝鮮の核開発活動が継続している中で、韓国国内の情勢不安が高まることは、世界の政治・経済にとって無視できないリスクと考えるべきだ。

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『習近平が毛沢東を全面的に否定できない理由』(4/23ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)について

4/25希望之声<美“应对中国当前危机委员会”起底中共 先抓一经济死穴=米国”中国への差し迫った危機委員会Committee on the Present Danger: China,略称CPDC“は中共を揺るがす  まず経済で行き詰まらせる>「中共は我々の脅威だが、中国国民は脅威ではない。中国国民は、世界で最も勤勉で立派な人達である。これは、共産党が過激な路線を取っているという非難になる。 そして、彼らの産業戦略は米国や世界でさえも最大の脅威となっている」と。

CPDC委員のバノン

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/25/n2835381.html

4/25阿波羅新聞網<习近平开全球一带一路峰会 连金正恩普京都双双抵制 大国首脑集体缺席 北京风声鹤唳=習近平はグローバルBRIサミットを開く 金正恩・プーチンともボイコット 大国の首脳は欠席 北京は驚き慌てふためく>第2回BRIサミットフォーラムが25日(木)に北京で開始された。当局は敵を仮想し、警備を厳重にし、そして民衆の自由を制限した。中共は国内では高圧的に厳戒体制を採り、対外的にはより多くの国が参加することを期待していたが、米国やインド等の大国はサミットフォーラムに参加しなかった。 金王朝の三代目の豚も中共に面子を与えず、プーチンに会うためにウラジオストクに行ってBRIの招待を拒否した。 中共のBRIは始まって6年後、その沿線の国々に債務の罠、汚職、政治的混乱をもたらし、国民に大きな恨みを抱かせた。 ある学者は、BRIは資源の無駄遣いと非難した。 国内では経済面で苦境に立たされ、産業は凋落を辿り、対外的には20世紀末の冷戦でも続いていた第二次世界大戦後のヤルタ – マンハッタン体制は動揺するかもしれない。

BRIサミット参加国はそのほとんどがアジアの指導者たちであり、欧州ではオーストリア、キプロス、チェコ、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、そしてイタリアである。

https://www.aboluowang.com/2019/0425/1280373.html

4/25阿波羅新聞網<中美分歧难解 白宫神比喻 美宣布对一中国产品征重税—— =米中の違いは解決が難しいWHの比喩 米国は中国製品に重い関税をかけると発表>4月30日、米中は新たな貿易交渉に入る予定であるが、トランプは4/24(水)、交渉は順調に進んでいると述べた。 米国のメディアは、双方の間にはまだいくつかの重大な違いがあり、そのうちの1つが関税撤廃の問題に関連していると報じた。 同日、米国国際貿易委員会は、中国製ホイールは5年間高い輸入関税の対象となると決定した。 中国に対抗ため、WHの経済顧問は比喩として「貿易戦争は経済を傷つける壊血病と戦うための苦い良薬である」と述べた。

ブルームバーグは23日、WH経済顧問委員会委員長のハセットは米国の貿易戦争を擁護し、かつ貿易戦争の必要性を指摘して「壊血病にかかれば、ビタミンCを摂取しないと、死亡する」と報じた。

「ビタミンCはすべての問題に効かないかもしれない。しかし、私があなたにビタミンCを与えたなら、私はあなたの生命に関しリスクを増やすことになるのか?あなたは前に死ぬと確信していたが、今は(ビタミンCがあるので)そうではない」

ブルームバーグの説明は「ハセットの見方は、トランプが米国の経済の病気を治していて、米国経済は長期に亘り、様々な壊滅的な貿易協定の抑圧の下にあり、米国を中国やメキシコなどの貿易国と競争するのを不利にしてきた」と。

https://www.aboluowang.com/2019/0425/1280382.html

加藤氏の記事で思うことは、中国は米国の資本主義を利用してここまで富んで来たという事が習は分かっているのかどうかという事です。トランプもそれに気が付き、米国から中国への富と雇用の移転を防ごうとしてやっているのが今の貿易戦です。中国を富ませることは軍拡に繋がり、侵略の野心を持っている国を制御できなくなります。

共産主義は歴史の審判を受け、ダメなシステムの烙印を押されて、ソ連が退場したのだと思います。共産主義は①民主的手続きを踏まないで、被統治者の代表を選んでいるので統治の正統性がない②三権分立していないので為政者の為すが儘③絶対権力は絶対に腐敗することで、今の時点で人類を幸福にしないシステムと思っています。

日本人ももっと共産主義の悪に目を向けませんと。中国国内の人権弾圧がやがて日本にも伸びてくる恐れがあるという事を考えておかなければ。少なくとも憲法9条改正は必須です。戦争を起こさせないためには抑止力を持つことが大事です。自主防衛努力と多国間同盟で抑止力を大きくしていく必要があります。

記事

Photo:iStock/gettyimages

習近平が示した3つのポイント

「進路問題こそ党の事業の盛衰に関わる第一義的な問題である。進路こそが党の生命線なのだ」

前回コラム(習近平が「中国の特色ある社会主義」を魯迅の言葉で解説した理由)でも扱った、党機関紙『求是』に寄稿された一本の論考にて、習近平共産党総書記はこう主張した。その進路とは“中国の特色ある社会主義”であり、「改革開放の歴史における新たな時期に、新中国が社会主義の基本制度を構築し、それから20年以上に渡る建設の基礎の上に立って開拓されたものである」。

習近平政権が発足して以来しばしば議論される、改革開放前と後の歴史の関係性に関する記述である。この問題を考える上で、習近平は3つのポイントを把握する必要があると述べている。

「まず、1978年我々の党が断固として改革開放の実行を決定、推進し、この正しい方向性を掌握していなければ、社会主義中国は今日のような素晴らしい局面を迎えることは不可能であったはずだ。ソ連や東欧国家のように、亡党亡国の危機に直面していたかもしれないということである。

次に、この2つの歴史的時期は社会主義建設の思想指導、方針政策、実際の仕事といった分野で大きな違いがあるが、両者は互いに分裂しているわけでもなければ、根本的に対立しているわけでもない。

最後に、改革開放前の歴史に対して正しい評価をしなければならない。改革開放後の歴史を以て改革開放前の歴史を否定してはならないし、その逆もまた然りである。」

筆者から見て、この段落には習近平率いる中国共産党が保守派と改革派双方からの圧力や要望に挟まれながら、それでも政治的均衡を保ち、党の権威や正統性を保持すべく奔走している現状がにじみ出ているように思える。

共産党内に常に存在する“右”を弾圧する土壌

特筆すべきは“左”、すなわち保守派への配慮であろう。

中国が過去の40年間改革開放の進路を歩んできて、今後もそれを続けていくという方針に根本的な変更は考えられない。一方、市場経済が進行するなかで格差や拝金主義が生まれ、国際社会、とりわけ西側世界との接触が深まるなかで自由、民主主義、三権分立、多党制、選挙といった制度や価値観が中国国内に“浸透”し、その“誘惑”に駆られる国民が増えたりする状況に不満や警戒を持つ勢力も少なくない。

2012年に失脚した薄熙来元重慶市書紀・政治局委員が、“唱紅”という掛け声の下、“文化大革命”時代の歌を市民が合唱する場面を作り出し、格差が横行する現状に不満を持つ“無産階級”からの支持を取り付けようとした政治手法が想起される。

“左”の勢力、風潮に迎合しているように見受けられるのが、鄧小平の言説を借りながら展開する次の段落である。

「鄧小平同志は指摘した:“毛沢東思想という旗を失うことはできない。それを失うことは我々の党の輝かしい歴史を否定することにほかならない。我々の党は歴史上、特に建国以降の30年のなかで大きな過ちを犯してきた。‘文化大革命’のような大きな過ちすら犯したことがある。しかし、我々の党は最終的に革命を成功させた。中国の世界的地位は中華人民共和国建国後に著しく向上したのであり、初めて世界の4分の1近い人口を持つ大国が世界で立ち上がり、しかもしっかりと立つことができたのである”。

彼は更に強調する:“毛沢東同志への評価、毛沢東思想への論述は毛沢東同志個人の問題だけではなく、我々の党、国家全体の歴史と分けて語ることはできない。この全局を見なければならない。これは理論問題という以上に政治問題である。国内的にも国際的にも大きな政治問題である”。

考えてみてほしい。仮に当時、全面的に毛沢東同志を否定したとして、我々の党は、我々の国家の社会主義制度は生き延びられただろうか?仮に生き延びられなければ、天下は大きな混乱に陥っただろう。故に、改革開放前後の社会主義の実践と探索の関係を正しく処理することは歴史問題であるという以上に、政治問題なのである」

“文化大革命”を「大きな過ち」として認めるというのは、共産党にとってのボトムラインであろう。ただ最近、それを肯定的に見る向きや、あたかもその時代に戻るかのような政治的風潮が蔓延しているのは気になる。特に、日を追うごとに広がり、深まる習近平への個人崇拝は、中国の政治が制度ではなく運動によって、規則ではなく衝動によって左右されてしまう危険性を露呈している。

改革開放という進路を引き続き発展させることは、“鄧小平路線”を継承することに他ならないと言えるだろうが、“文化大革命”を引き起こした張本人である毛沢東を否定することは共産党の原理原則としてはできない。なぜならそれをすることで、政党としての団結と正統性を保つことができなくなるからということなのだろう。

この論述から、共産党内で“毛沢東”を引き合いに出しながら改革開放、市場経済、市民社会、普遍的価値観、制度改革、教育の国際化、そして政治の自由化など“左”の勢力から見れば“右”に映る政策を弾圧しようとする動きが生じる土壌が、常に存在するという現実を見出すことができるのである。

習近平の言葉からにじむ中国共産党の“名目”

中国がこれからどこへ向かっていくのかに関して、習近平は次のように語る。

「党規約は明確に規定している。党の最高理想と最終目標は共産主義を実現することであり、中国共産党人が追求する共産主義の最高理想は社会主義が充分に、高度に発展して初めて実現できるのだと。

すぐに共産主義に入るのは現実的ではない。それは長い歴史的段階であり、我々数世代、十数世代、更には数十世代の断固たる努力が必要になる。数十世代とはどれだけ長いことか!孔子や孟子から現在に至るまでも七十数世代に過ぎない。

このように問題を認識することは、我々中国共産党人が政治的に明晰であることを充分に説明している。我々は現在の努力、およびこれから多くの世代の持続的な努力によって共産主義という最終的な大きな目標を実現するために前進しなければならないのだ」

習近平は続ける。

「資本主義が最終的に滅亡し、社会主義が勝利するというのは必然的に長い歴史的過程になる。我々は資本主義社会の自己調整能力を深く認識しなければならない。

西側先進国が経済、科学技術、軍事などの分野で長期的に保持してきた優勢という客観的現実を充分に把握しなければならない。そして2つの社会制度が、長期的に協力しつつ闘争する各方面の準備に真剣に取りかからなければならない。

相当長い間、初期段階にある社会主義は、生産力がより発達している資本主義と長い協力と闘争を繰り広げなければならないし、資本主義が創造した有益な文明の成果から学ばなければならない。

ときには人々が西側先進国の長所を以て我が国の社会主義の欠点と比較し、批判を加える現実にも向き合わなければならない。我々には強大な戦略的定力が必要である。社会主義を捨てるべきだという類の誤った主張を、断固として抑えこまなければならないのだ」

「共産主義の実現」や「数十世代に渡る持続的な努力」といった文言は、マルクス・レーニン主義を中国化したものこそが“中国の特色ある社会主義”であると定義する中国共産党が、イデオロギー政党として存続するための一種の名目に過ぎないと言える。

米中貿易戦争の先行きを占う際に注目したい2つの視点

一方で、それを崩せば約9000万人いる共産党員、全国各地に分布する共産党組織を政治的に管理できないという事情もあるのだろう。自由や民主主義といった西側の価値観が共産党内で一定の吸引力を持ち、それらを信仰する勢力が党内で生まれ、一定の政治的影響力を持ってしまえば共産党として持たず、その帰結として“社会主義中国”は崩壊してしまうという危機感を習近平やその周辺は本気で抱いていると筆者は考える。

だからこそ、今を生きる人々がどれだけ意に介していなくても、心の底から信じていなくても、“共産主義という最高理想”“資本主義との闘争”といったイデオロギーを捨てることができないのであろう。

興味深いのは、習近平が資本主義の経験値や優位性から学ぶ必要性、そして社会主義と資本主義との関係性は闘争だけでなく協力も含まれる、言ってみれば長期的に共存していく局面が歴史的必然なのだと説いていることである。

筆者はそこから2つの点を感じ、読み取った。

一つは、数世代、十数世代も先のことなど習近平に読めるはずもないだろうし、そんなに先のことを語ることで逆に説得力や合理性に欠ける論述になっているようにも見受けられるが、裏を返せば、国家主席の任期を撤廃し“終身主席”を制度的に可能にした習近平でさえ、中国共産党政治という歴史的文脈のなかでは、あくまでも一人の“つなぎ役”に過ぎないのだろうという視点である。

もう一つは、制度や国情の独自性を随所に出し、中国はあくまでも中国だ、わが道を往くのだと宣伝しているものの、中国経済と世界経済が切っても切れない関係にまで浸透しあい、多くの中国人が外国へ観光に行き、学びに行き、社会主義中国で生きる人々の生活のなかに資本主義的要素が多角的に浸透している現状下で、そんな資本主義に真っ向から対抗するというやり方は、逆に自らの首を絞めることにつながると習近平やその周辺が考えているという視点である。

現在正念場を迎えている米中貿易戦争の行方を占う際にも、そうした視点を考慮する必要があるのだろう。

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『客席ガラガラ、それでも映画館を増やす中国の狙い スクリーン数急拡大、興行収入“世界一”狙うが・・・』(4/22JBプレス 山田珠世)について

4/24ダイヤモンドオンライン WSJ<日本の静かな「一帯一路」、中国を上回る成果>通貨の信頼性は当然元より円の方があるという事です。

https://diamond.jp/articles/-/200855?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor_01

4/25ダイヤモンドオンライン WSJ<中国の銀行がドル不足、「異変」に要注意>「人民元を他の通貨と交換することは難しく、外国人が中国資産を保有すれば、好意的に見ても、中国の司法制度による不透明な運命にさらされることになる。投資家はドル資金調達市場に「異変」がないか注視すべきだ。中国銀行は「痛み」を感じているかもしれない。」とあります。前から囁かれていましたが、中国の外貨準備は発表数字よりかなり低いと。まあ、中国の発表数字は全部出鱈目ですけど。日本の銀行や企業が人民元で債権保有していると危ないのでは。3兆円の通貨スワップも危なくなるのでは。

https://diamond.jp/articles/-/200994?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

4/25阿波羅新聞網<中资银行美元负债超过美元资产 面临美元短缺问题=中国の四大銀行のドル建て債務は米ドル資産を上回っている 短期のドル不足に直面>上記のWSJと同じ中国版記事

https://www.aboluowang.com/2019/0425/1279876.html

4/25ダイヤモンドオンライン WSJ<習氏に健康不安? 後継巡り内部闘争懸念も>習が病死しても、影響は中国国内に止めておいてほしい。中共が解体し、チベット・ウイグル・南モンゴルが独立できるのが理想ですが。

https://diamond.jp/articles/-/200997?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

4/25阿波羅新聞網<党媒高调赞扬肖扬六四下狠手 江泽民罕见”露头”什么信号? 习近平接班人问题引发关注=共産党メディアは64天安門事件で残酷な手を打った肖揚を高らかに褒め称える 江沢民は姿を見せずにいたのに出て来たのはどんな意味が? 習近平の後継者問題が注目を集める>中共の最高人民法院長の肖揚は4/19に亡くなり、22日に公的告別式を行ったが、6/4中共の弾圧において肖揚が果たした役割があるのに、稀に見る高い調子で言挙げした。 長い間現れていなかった中共の元主席である江沢民もまた「哀悼」を表明した。肖揚は積極的に江沢民をフォローし、法輪功を残酷に迫害した。 習近平が3月に欧州訪問した時、足もとが定まらずたどたどしく歩いた現象が見られた。本日、WSJは中共の後継者問題を論じている。

肖揚は4月19日81歳で、病気で亡くなった。ずっと姿を見せていなかった江沢民はさまざまな形で「哀悼」を表明した。

習の後継者問題は上述のWSJの記事の引用。法輪功信者から臓器摘出・売買をし出したのも肖揚からでしょう。共産主義者の座標軸は如何にずれているかです。

https://www.aboluowang.com/2019/0425/1280123.html

4/25阿波羅新聞網<为了这件事 中共前总书记秘书对郭台铭说重话=この問題に関して、中共の書記長の元秘書は郭台銘に重い言葉を述べた>鴻海会長の郭台銘の過去の言動が外部からチエックされた。ある中国ネチズンは富士康にいたときのことを暴露し、”郭語録”を暗唱するよう要求されたと。 この話は意外にも趙紫陽の秘書であった鲍彤の発言につながった。彼は郭を「どんなものなのだ!」と叱責した。

一部のネチズンはツイッターで富士康に勤務していたと言い、その頃は毎日郭台銘の語録を暗唱しなければならず、工場内には至る所に郭語録があり、郭台銘は富士康の毛沢東であると批判した。 「今や台湾の毛沢東になりたいと思っている」と。この記事を読んで、鲍彤は意外にも「彼にも語録があるって?どんなものか?」と言った。

ボイスオブアメリカは、「中国では “どんなもの”というのは、重い言葉である。文革を経験した鲍彤は、あらゆる語録と呼ばれるものに反感を感じ、語録の持つ意味は個人崇拝なので、それを嫌っている」と。

さらに、“北京の春”の編集主幹である陳維健はツイッターで、「郭台銘は蔡英文総統が民主的権利として郭の権利も保証したことを痛罵したが、彼は中国で習近平を痛罵できるか?中国社会を批判できるか」と。鲍彤は彼の意見に賛成し、「率直な人間は率直な話をする」と。

来年の総統選で台湾国民がどういう選択をするかです。中共のネットを使った干渉や裏で金を渡すことは当り前で民進党がしっかり対策を採らないと負けてしまうのでは。

https://www.aboluowang.com/2019/0425/1279864.html

4/25看中国<原企业家曝中共外交部“性贿赂”外国政要内幕(组图)=元企業経営者は、中共外交部が外国要人に「性賄賂」を提供していたことを明らかに>米国に亡命した元上海企業経営者の胡力任は、最近のツイッターで、「中国外交部は北京に非正規組織を持ち、美女を物色して寝るのを目的に来る外国要人に伽をさせていたこと」を明らかにした。更に「中国外交部は多額の資金を使い、中国女性にアフリカの変態大統領に性供応をさせている」とも。

元上海企業経営者は、中国外交部の「性賄賂」スキャンダルをツイートした

4/19、米国に亡命している上海企業経営者の胡力任は次のようなツイートをした。「中共の恥知らずは普通の人には想像できない。中国外交部は北京に非正規組織を持ち、美女を物色して来訪した外国要人の夜の相手をさせる。高額の経費が非正規組織に支払われる。本当に写真や名前を出したいのだが、出さない方が良いか考えをめぐらしている所」と。

4/20、彼は他に2つの関連ツイートを出した。そのうちの1つは、次の通り。「中国外交部は大金をはたき、中国人女性を性病にかかるリスクを取らせた。 エイズの危険のあるアフリカの変態大統領に性賄賂を行わせた。これは中国対外性交部が行っていることである。中共よ、俺は中共のパンツを脱がせているぜ! “

小生はいつも、「中共は要人に金かハニーで籠絡している」と言ってきたのを裏付ける記事です。写真の女は河野太郎と一緒に写真を撮った外交部報道官の華春瑩でしょう。彼女は李肇星の愛人で、米国籍も持っている女と噂があります(2/17本ブログ)。まあ、左翼人は性の乱れを気にしないのでしょう。

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/04/25/891590.html

山田氏の記事で、中共の発想はマーケットオリエンテッドでなく、面子優先、だから新幹線は不採算路線にも拘わらず拡張を続ける事態となっています。まあ、鉄道は高速で兵を運ぶ道具と言う意味もありますので、それを狙っているだけなのかもしれませんが。

映画も同じで、国民の洗脳の道具として使おうというハラでしょう。中共にオリジナリテイのある面白い映画ができるとは思えません。自由の無い所に新しいアイデアは生まれないでしょうから。

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中国の今年(2019年)1~3月期の映画興行収入が、前年同期比8%減の186億1400万元(約3025億6650万円)となり、ここ数年で初のマイナス成長に転じた。右肩上がりで成長を続け、2018年に通年の興行収入としては過去最高の609億7600万元となった矢先のことだ。

ただ、このニュースを目にしたとき、「やっぱり」というのが筆者の率直な感想だった。筆者が住む上海では、以前に比べ映画鑑賞が身近な存在になっているものの、インターネットの有料サイトなど映画館以外で映画を観る人も増えていると感じていたからだ。無料でダウンロードできるサイトも少なくない。

中国の映画料金は安い!

また普段から、映画チケット料金がほかの娯楽消費に比べて格段に安いと感じていることもある。

上海では標準的な映画チケットは50~150元程度。ただ、「団購(グループ購入)」サイトや映画チケット購入専門アプリを利用すれば、時間帯によっては定価100元(約1600円)のチケットを半額以下の35元(560円)で購入することもできる。

筆者はお目にかかったことはないが、団購サイトには約10元といったタダ同然のチケットも存在するという。消費者にとっては財布にやさしい価格だが、これで映画館は儲かるのか? と心配したくなるほどの安さだ。

映画マーケティング会社の芸恩などが今年1月に発表したリポートによると、中国の18年における映画チケットの平均価格は33元(約550円)で、米国のそれは9.14米ドル(約1020円)。日本映画製作者連盟によると、日本の平均入場料金は1315円となっており、中国の映画料金がいかに安いかが分かる。

客席稼働率は13%未満

中国の映画スクリーン数は2016年末時点で4万1179スクリーンに達し、米国を抜き世界最多となった。12年比では3.3倍と劇的な速さで増えている。

2017年3月には4万4489スクリーンとなり、北米を抜いて世界最大の映画市場に成長。18年通年では新たに9303スクリーン増え、同年末時点でのスクリーン数は6万79スクリーンとなった。中国の映画スクリーン数は現在も世界最多記録を更新中とされる。

だが、スクリーン数が急拡大する一方で、中国の映画館ビジネスに警鐘を鳴らす声もある。客席稼働率が低下を続けているのだ。

中国メディアによると、全国の映画館の客席稼働率は2015年の18.1%から2017年には14.2%に低下しており、収益の確保に苦労している映画館も少なくないという。また2018年には中国全土で約300カ所の映画館が閉館したほか、平均客席稼働率は13%を下回ったとされる。

筆者の自宅から徒歩10~15分の距離に、シネコンが入居する商業施設が4カ所ある。うち2カ所は10年以上前にできた商業施設に入居している。住民人口からすればこの2カ所で十分だったが、2年前、大型の商業施設が新たに2カ所オープンし、いずれもシネコンが入った。

新しいシネコンができてからはもっぱらそちらに足が向いていたが、先日、久しぶりに、以前からあるシネコンに家族で映画を見に行った。定員約100人の館内には筆者家族ともう一家族がいただけで、ほぼ貸切状態だった。話題になった映画だったにもかかわらず、である。シネコン内にいる人もまばら。どう見ても採算が取れているとは思えない。これもスクリーン数の急拡大による結果だろう。

2020年までにスクリーン数を8万枚に

そんななか、中国国家電影局は2018年12月、映画館の建設や新設備の導入に対して資本金を支給する支援策「映画館建設の促進、映画市場の発展・繁栄に関する意見」を発表した。2020年までにスクリーン数を8万枚以上に増やす方針だという。

同意見では、映画館建設に先進技術を採用することを奨励。超大型スクリーンやレーザー映写機などの先進設備を導入した場合、1施設につき50万元を上限に設備調達費の20%を補助するとした。

また、中・西部地域での映画館建設が進んでいないことを指摘した上で、同地域の県級市で映画館を新設する場合は1施設当たり最大30万元を、拡張する場合は最大20万元を、それぞれ支給するなどとしている。

2020年までに8万スクリーンに拡大させるということは、つまり、年間1万スクリーンずつ増やす必要がある。一見、不可能のようにも思えるが、中国では2018年に映画館300カ所が閉館となった一方で新たに1120カ所増えたことも分かっている。その結果、同年にスクリーン数は9303スクリーンも増えている。このペースでいけば実現可能な範囲だとする見方もあるようだ。

目指すは「米国を越えて世界一」

採算の取れない映画館が増えているにもかかわらず、なぜスクリーン数を増やす必要があるのか?

同意見発表の背景には、中国の映画興行収入があと少しで米国を抜き“世界一”の座を獲得する目前まで来ていることがあるとみられる。

中国の映画興行収入は2012年に170億7000万元となり、日本を抜いて世界第2の市場となった。2016年には457億1000万元に拡大。2018年1~3月期には202億1700万元(約3377億1000万円)となり、米国の28億9000万ドル(3236億8000万円)を抜いて初めて世界首位となっている。

ただ、2018年通年ではわずかの差で世界一の座を逃している。そこで、中国が向こう2年間で映画興行収入を世界一に押し上げ、業界を安定させるために、中国国家電影局が同意見を発表して市場に活を入れたのだとも言える。映画館チェーン運営会社設立の条件を引き上げているほか、スクリーン数の拡大は、実力のない映画館チェーン運営会社を淘汰させ、業界の質を引き上げることにもつながるからだ。

中国は、2年後に世界一の座を手にすることができるか。そして、世界一になったとき、安定した市場は形成されているのか――。中国の映画館ビジネスの勝負は、ここにかかっているのかもしれない。

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『これぞ交渉人、辣腕マハティール首相に中国脱帽 米国一辺倒の安倍首相が学ぶべき点が多いアジアのリーダー』(4/22JBプレス 末永恵)について

4/23阿波羅新聞網<习近平访日遭遇下马威 美日针对中共做重大宣示 央企海康威视英国响警钟=習近平の訪日は厳しい目に遭う(国賓待遇はしない) 日米は中共に対し重大発表をする 中国企業の海康威視は英国に警報を鳴らす>米国現地時間の9日、日米両国はワシントンで安全保障会議を開き、終わってから合同記者会見で重大な発表を行った。 中共のサイバー戦争にはほとんど隙間はない。 中共に対抗し、日米両国は、サイバー攻撃は武力攻撃と同等であると宣言した。 それは中共にとって本当に悪い知らせである。それは習近平の訪日に暗い影を落とすだろう。米国は日本の国防能力の発展に同意し、中共を針のむしろに座らせるようなものだ。 最近、米国のメディアは、中共の「Skynet計画」の発展により、中国企業海康威視が英国で120万台のモニターカメラを設置し、英国政治家の警戒を引き起こしていると指摘した。海康威視は、新疆の監視システムにおいて極めて重要な役割を果たしている。

https://www.aboluowang.com/2019/0423/1278958.html

4/23阿波羅新聞網<英国影集重现六四天安门镇压场景 网友看后深感震撼=英国のフィルムは6月4日の天安門事件の鎮圧場面を再現している それを見てネチズンたちは深くショックを受けた>

(なおこのフイルムは事実に基づいた創作とあります。天安門事件の映像は5分50秒くらいまで、全部で47分)

中国人は全員このフイルムを見るべきでしょう。偽南京虐殺フイルムを見るより。如何に中共が中国国民に酷いことをしたか分かる筈。中国国民が立ち上がって共産党を打倒しなければ、平和で安心できる生活は望むべくもないことを知るべきです。

https://www.aboluowang.com/2019/0423/1279051.html

末永氏の記事を読んで、マハテイールも反米一辺倒では国を過つのではと言う思いがします。中国もマレーシアも権威主義国だから、マレーシアは親中なのかとも。しかしマレーシアはイスラムが多く、新疆でウイグル人、カザフ人が弾圧されているのを見て何とも感じないのかなあ。中共はその魔の手を世界に広めようとしているのに。末永氏はマハテイールの交渉テクニックを褒め称えていますが、中共にメリットがなければ譲歩しなかったでしょう。マハテイールが要求した以上のものを中国は得ることができたと見るべきです。それ程賞賛に値するかです。最も悪いのはナジブでしょうけど。更に言えばナジブを選んだマレーシア人と言うことになりますが。

末永氏は最後に安倍首相の対中の煮え切らない態度を非難していますが、旗幟鮮明にすることが良いことかどうか。米国がどう転ぶか分からない、憲法9条の問題という制約がある中で、反中を呼びかけてもASEANが付いてくるかです。日本にも足を引っ張る左翼野党・左翼メデイア・金儲けしか考えない自分の首を吊るロープを売るような企業家が沢山いる中で、反対勢力に言質を与えるようなものです。無言実行、裏で自由主義国と手を握ってやっていけば良いのでは。

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中国の一帯一路の生命線「東海岸鉄道計画」の事業継続で合意したマレーシア・中国の政府代表関係者ら(中国交通建設提供。12日、中国・北京)

「世界で最も影響力のある人物」(米タイム誌、4月18日発表)にアジアから、マレーシアのマハティール首相とパキスタンのカーン首相が選ばれた。

本コラムでも以前、東南アジアで今、域内に改革を呼ぶ新しいタイプのASEAN(東南アジア諸国連合)のリーダーとして、この2人を挙げていた。

受賞理由に共通する点は、世界の地政学的地図を一党独裁の赤色に塗り替えようとする強硬な中国を揺さぶる巧みな「中国操縦力」にある。

中国による一帯一路事業関連融資額が、アジア地域で1、2位の「一帯一路被支援国家」である両国は、中国からの財政支援を受ける一方、したたかに「脱中国依存」も進めてきた。

その最も象徴的な出来事が起きた。

9か月に及ぶマレーシアとの長期決戦交渉の末、4月12日、まるで“バナナの叩き売り”のように、中国が一帯一路の建設事業の大幅譲歩を受け入れた。

マレーシアの要求に応える一方、中国も交渉国と融和的関係を演出することで、強権的とする批判をかわし、イメージチェンジを図り、今後の一帯一路全体の交渉に弾みをつけようとした狙いも見え隠れする。

結果、当初の建設費を3割強(440憶リンギ)カットし、計画を縮小、さらに中国色を減らし、地元マレーシアの事業者参入を40%にまでアップさせた。

また、マレーシアの基幹輸出産品であるパーム油の中国輸出を「現行比較で約50%アップ」(マレーシア政府関係者)させるという取引も考慮されることが決まったという。

中国の大手食用油、益海嘉里グループなどが、8億ドルを超えるパーム油購入を決め、超大型契約を結んだ。

中国はパーム油の爆買いで、一帯一路の首をつないだ、ともいえるのだ。

結果、昨年7月に中止された同事業の継続合意が正式に決定された。

米一部メディアはこのチャイナ・ショックを「マハティール首相の大勝利」と絶賛。今回のマハティール・モデルが、対中国で債務問題を抱える諸外国が学ぶべき画期的なケースとして紹介した。

今回、中国が譲歩した事業とは、習近平国家主席肝いりのプロジェクト「東海岸鉄道計画」(ECRL)だ。

南シナ海とマラッカ海峡を688キロ(当初、交渉合意後640キロに短縮変更)の鉄道路線で結ぶ、一帯一路の生命線ともいえる最重要事業の一つだ。

総工費655億リンギで、2017年8月に着工された。

ECRLは、諸外国の一帯一路案件同様、中国輸出入銀行が融資し、中国交通建設が「資材のネジから工員に至るまで」中国から“輸入”して建設する。

筆者が取材した2017年8月9日の起工式は、まさに「中国にハイジャックされた事業」のお披露目だった。

式には、マレーシアのナジブ首相(当時)、中国側からは、汪洋副首相と中国交通建設 の劉起濤会長らが出席した。

司会や進行は当然、マレーシアの公用語のマレー語か、英語かと思いきや、中国語で敢行された。

式場周辺の看板なども中国語があふれ返り、中国に乗っ取られた事業を象徴する式典だった。

一方、今回、中国が大幅譲歩した背景には、東海岸鉄道計画が頓挫すれば、中国の安全保障が根幹から崩れ落ちるという危機的状況があった。

中国は、自国の輸入原油の90%が通過するマラッカ海峡を、米国が管理するという安全保障上の最大リスクである「マラッカ・ジレンマ」を抱えている。

シンガポールには米海軍の環太平洋の拠点がある。万一、マラッカ海峡を封鎖された場合、中国は原油を手に入れることができなくなる。

ECRLは、アフリカや中東からマレー半島東海岸側に抜ける戦略的優位性があり、これによってマラッカ・ジレンマの解決につなげたいというのが中国の狙いだ。

しかし、そのためにはマレーシアを取り込まなければならない。マハティール首相はまさにここを突いたのだ。

マハティール首相は昨年8月に北京を訪問し、「新植民地主義は望まない」と中国を一蹴した。

世界のメディアの前で、あえて中国の面子を傷つけ、老獪なマハティール首相への警戒を増幅させ、中国側から有利な交渉条件を引き出そうとした。

また、マハティール首相は、本コラムで日本のメディアとして第一報を報じたマレーシア政府系投資会社「1MDB」を巡る世界最大級の汚職事件も巧みに利用した。

捜査の進展で、ECRLを含む中国支援の一帯一路関連の大型プロジェクトの資金が、ナジブ前政権が抱えた1MDBの債務返済に流用された疑いが濃厚となってきた。

ナジブ前首相の公判が始まり、同事件への中国の関与をカモフラージュする意味でも、中国が「交渉で軟化した」(マレーシア政府筋)ともいわれている。

さらにマハティール首相はその老獪ぶりを十二分に発揮。

今年1月、中国との交渉が膠着すると「マレーシア政府は、ECRLの廃止を決めた」と腹心のアズミン経済相が「断言」したかと思えば、今度は華人系のリム財務相が「寝耳に水」と発言するなど、中国を困惑させる手法を展開。

国家の威信がかかっている第2回一帯一路国際フォーラム(4月25日から27日まで北京)で、目玉プロジェクトであるECRLの成果を発表したい中国の泣き所を突っついた。

結果的に同フォーラム開催直前の2週間前に、マレーシアの狙い通りの条件で事業継続の合意に漕ぎ着けた。

米国が最大出資国(2位は日本)の世界銀行の新総裁、デビッド・マルパス氏は、第2回の一帯一路会議を前に4月11日、就任後初の記者会見を開き、中国の“債務の罠”への国際社会の懸念を指摘。

「アフリカでは17カ国が、透明性のない深刻な債務に直面している。今後、債務に苦しむ国々が増加するだろう」と同会議を主催する中国を非難した。

一帯一路が提唱されて6年。124か国と29の国際組織が協力文書に調印している。

米国のドナルド・トランプ政権は、2017年の第1回フォーラムには、ポッティンジャー国家安全保障会議アジア上級部長を派遣していたが、今回は「政府高官レベルは派遣しない」と決めた。

米国はこれまで、「中国はインフラ投資目的で関連国に過剰な債務を負わせ、経済的、軍事的支配を高めている。一帯一路は“借金漬け外交”そのものだ」と批判してきた。

しかし、今回の不参加は別の意味もある。

3月末、G7の一員としては初めて、イタリアが一帯一路の覚書に中国と調印したことへの反発だ。

さらに米国は4月23日、中国海軍の創設70周年記念式典が開催される山東省青島での国際観艦式にも、参加しないことを表明している。

本コラムでも日本のメディアとして真っ先に報じたが、最近ではフィリピンの実効支配する南シナ海のパグアサ島での中国の大量艦船侵入が大きな問題となっている。

米国には、中国が南シナ海で軍事拠点化を進めるなど、中国の軍事力増強への懸念が拡大している。

19日の王国務委員兼外相の記者会見によると、4月25日から開催の第2回一帯一路国際フォーラムには、150か国以上の代表(首脳は37人)が出席することになっているという。

マハティール首相は2月の中旬、筆者の質問に対し、「一帯一路フォーラムに出席する」と世界の首脳陣の中で最初に参加を表明した。会議では、演説も行う予定だという。

その狙いは何か。

今回、米中貿易戦争真っ只中で、米国不在となる第2回フォーラムは、一帯一路に拒否権を発動する米国への反論の場となる可能性が高い。

一部の日本メディアは勘違いな報道をしているが、マハティール首相は「嫌中」では全くない。「嫌米」なのである。

一帯一路への支持・参加表明は、実は米国に対するアンチテーゼでもある。

3月の中国メディアとのインタビューでも、「米国と中国のどちらを支持するか」と問われ、「中国だ」と断言している。

「西洋諸国がそうであったように中国は発展したいと考えているだけだ。そんな中国の発展を我々は享受したい」と中国を擁護。

フィリピンのドゥテルテ大統領も、嫌米だが親中ではない。マハティール首相は筆者との単独インタビューでも、「一帯一路を自国が有利になるよう活用する」と話している。

今回の東海岸鉄道計画交渉では、中国が融和的イメージを醸し出すことで、日本など今後の諸外国との交渉をスムーズに進めたいとする軟化政策を標榜したともいえる。

しかし、人口3300万人の小国マレーシアが、廃止に伴う賠償額が巨額であったからとはいえ、大国・中国に対して「大幅減額、(国益を考慮した)規模縮小、主要輸出品拡大など」、多くの指導者では到底、無理な辣腕の交渉劇を果たしたと言える。

こうしたアジアの指導者は、自国の国益を最優先する確固たるビジョンを兼ね備えていると言ってもいいだろう。

いまだ一帯一路への不参加や不支持を明確にせず、日本列島をアジアの潮流に“漂流させている”安倍晋三首相より、信頼できる頼もしい指導者ではないだろうか。

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『ロシア疑惑は「推定無罪」、司法妨害は限りなく「灰色」』(4/24日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『米国民がみな“惚れる”同性愛市長、大統領選出馬 ミレニアム世代の「神童」が巻き起こす新たな旋風』(4/24JBプレス 高濱賛)について

4/22阿波羅新聞網<中共大使:不懂普通话还谈什么人权=中共の大使:北京語を話せないで何の人権を話すというのか?>駐カザフスタン中国大使の張霄は驚くべきことに、「北京語を話せないで何の人権を話すというのか」と新疆人を叱責した。「教育訓練センターは監獄ではなく、“社会全体のための学校”であり、この学校の唯一の目的は“人々を教育し、善人が悪者になることを防ぐ”ことである。中国人として、国の共通の言葉と文字を学ばなければならない。それで初めて“善人”と言える。現代人にとって、国の共通言語を読み書きできなければ、どんな人権があるというのか」と。

流石に漢人だけあって臆面もなく傲慢な所を見せています。それなら新疆を独立させれば良いのに。人種も違うし、宗教、文化、言語も違う訳ですから。そもそもで言えば中共党員に人権の概念が理解できているとは思えませんが。

https://www.aboluowang.com/2019/0422/1278925.html

4/22阿波羅新聞網<北京最差 中国经济反弹是假象 首季就业是6年来最严峻 白宫:社会主义经济模式如暴君=北京は最悪 中国経済の回復は上辺だけ 第1四半期の雇用は6年間で最も厳しい WH:社会主義経済モデルは暴君と同じ>中国大陸の労働市場はここ数年で最悪の状況になり、2019年の第1四半期の雇用景気指数は5年ぶりに悪い数字を記録し、中国の景気回復は上辺だけである。 中国の製造業は中国政府から巨額の補助金を受けているため、液晶ディスプレイ(LCD)パネルの価格は下落して価格競争に突入し、台湾と韓国の製造業者を対抗させなくしている。最近米国のメディアからインタビューを受けたWH顧問のクドローは、「社会主義経済モデルは“専横で暴君”のようなものである」と述べた。

RFIの報道では、「中共との交渉に参加していたクドローは交渉から離れ、米国の保守メディアHill.TVとのインタビューで次のように述べている。 “我々は相手を怒らせるつもりはない。しかし、社会主義の高度に集中した計画経済は根本的にうまくいかない。もちろんソ連を忘れることはない。ベネズエラも見れば良い。歴史、中央の計画経済、集権主義を振り返ってみよう。同じような政治的、経済的モデルは専制的、暴君的で、貧困が造られるだけだ」と。

米国も早く中国大陸から中共を無くせばよいのに。ベネズエラと中共と一緒に金融制裁をかければ良いでしょう。

https://www.aboluowang.com/2019/0422/1278910.html

4/23日経<欧米の対中政策、今は団結モード(The Economist)>ある外交官は「「西側諸国はそのリーダーと一緒に戦う準備ができている。だが、そんな米大統領は今、存在しない」と言っているようですが、トランプの表の顔だけを見ているのでは。裏では中共打倒で自由主義国と握っていると思います。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44035990S9A420C1TCR000/

高濱氏の記事を読んでいつも感じることは、トランプ憎しで凝り固まっていることです。自分が2016年大統領選で予想を外したせいか、民主党の影響を受けたメデイアや民主党員からの情報によるのか知りませんが。左翼はどの国でも共通するようで、日本でもモリカケ騒動で無駄な時間とコストをかけました。人権を尊重するなら冤罪にもっと敏感になれと言いたい。悪魔の証明はできないのですから。

今回のロシアゲート事件は、トランプは少なくとも“推定無罪”なので無罪として打ち切るべき。本来は民主党やデイープステイトの犯罪であるクリントン財団やステイール文書について捜査すべきと思うのですが。まあ、それよりは力を合わせて中共打倒に動いた方が良い気がします。

ブティジェッジ氏が同性愛者であっても仕事ができればそれでよいと思います。ただオバマに似た所がある印象です。頭脳明晰でクイックレスポンスするのは口先だけ、オバマのように優柔不断で決断できず、無能の烙印を押されるのでは。大統領のスピーチライターの方が向いているかもしれません。

小生はLGBTであろうと生き方は自由で良いと思っていますが、法律上の配偶者にするのは反対です。憲法24条の問題もあるし、社会の価値観がずれるのを危惧します。異端は異端のままで生きれば良いのでは。人は人、自分は自分、別に国が認めなくても良いと思います。

日経ビジネスオンライン記事

モラー特別検察官(右)が作成した、ロシア疑惑捜査に関する最終報告書の全文が18日公表された。448ページに及ぶ(写真:ロイター/アフロ)

ロバート・モラー特別検察官が22カ月にわたり進めた、ロシア疑惑捜査に関する最終報告書の全文 (448ページ)が4月18日公表された。報告書は米下院司法委員会(ジェロルド・ナドラー委員長)に提出された。

捜査結果の概要は、モラー特別検察官の上司であるウィリアム・バー司法長官が3月24日、下院司法委員長に提出し明らかになっている。これによると、ロシア疑惑に関しては、ドナルド・トランプ大統領とロシア側との間に接触も共謀もなかったと結論づけた。4月18日に公表された報告書全文にも(当然のことだが)「大統領はシロ」と明記されていた。

トランプ大統領はツイッターで「共謀も司法妨害もなかった。左翼民主党よ、ゲーム・オーバー(Game Over)だ」と勝利宣言した。4月14日に再開したテレビの超人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)第8部」のレタリングをもじり、無罪を一般大衆向けにことさらアピールしていた。

だが、これはぬか喜びというものだ。確かにロシア疑惑に関してはシロが確定したが、疑惑捜査の過程で同大統領が妨害行為を働いていたかどうか、報告書を読む限り、まったくのシロとは言い切れないからだ。限りなく「灰色」といった印象を受ける。

公表に先立ち、バー司法長官が記者会見した。同司法長官は、トランプ大統領が捜査に介入したかどうかについてこう説明した。「妨害する不正な意図は認められない。トランプ氏の行為が犯罪であり、起訴するに値するか否かの判断を委ねられたが、自分は証拠不十分との結論に達した」

いわば「推定無罪」というわけだ。

さらに司法妨害容疑についてはこう述べた。

「トランプ大統領による司法妨害の疑惑について10件の事例(episodes)があった。モラー特別検察官はこれについて訴追事案に値するとの判断(prosecutorial judgement)はしなかった。また自分とロッド・ローゼンスタイン司法副長官は同大統領が違法行為を犯したかどうかを立証するには証拠不十分との結論に達した(司法妨害に関して、トランプ大統領の言動に)違法性があったかどうかについての法的解釈をめぐっては、自分とモラー特別検察官との間で意見の相違」があった。

トランプ大統領の「司法妨害」容疑事案はなんと10件

民主党や主要メディアが噛みついたのは、この「10件の事例」だ。バー司法長官は、これらが訴追に値するか否かについては、バー長官とローゼンスタイン副長官との間でも意見対立があったことを認めている。

メディアは当然、この10件を一つひとつ精査するだろうし、下院司法委員会はもとより関係する他の委員会も集中的に解明するだろう。同大統領による司法妨害疑惑の解明を続ける下院司法委員会は18日、モラー特別検察官の証人喚問を正式に要請した。バー司法長官は記者団の質問に、「モラー特別検察官の議会証言には反対しない」と答えている。ホワイトハウスと事前にすり合わせたうえでの決定だろう。ここまではすべてシナリオ通りと考えられる。

報告書全文の公表を受けて、トランプ大統領が司法妨害したか否かの解明は、民主党が過半数を握る下院に委ねられた。

下院では司法委員会以外に、査察・政府改革委員会などが一斉に動き出している。これらの委員会もモラー特別検察官の証人喚問を要請するだろう。トランプ大統領の長男ジュニア氏や娘婿ジャレッド・クシュナー上級顧問らも証人喚問を余儀なくされる。

ロシア疑惑を取材してきた、主要紙のベテラン記者は、現状について筆者にこう解説する。「すべては2020年の米大統領選に向けた民主党と共和党の前哨戦だ。民主党は司法妨害容疑を武器にトランプ大統領を攻め立てるだろう。ナンシー・ペロシ下院議長ら民主党首脳陣は、弾劾決議案を出しても共和党の一部が賛成しない限り可決成立は難しいことを十分理解している。トランプ共和党を打ち負かす確実な方法は20年の大統領選で民主党が勝つ以外にないと判断している」

「そのためには各委員会を舞台にトランプ大統領の容疑についてできるだけ長く聴聞会を続ける。20年大統領選でトランプ再選を阻むため、トランプ氏に徹底的にダメージを与えるのが狙いだ」

「トランプ大統領が関わる不正の疑惑はロシア疑惑だけではない。脱税疑惑、公選法違反、親族による権力乱用容疑などオンパレードだ。これらについても議会は動くだろう。なによりもトランプ氏が恐れるのは、連邦検察局ニューヨーク州南部地区地検の捜査だ。トランプ一族が営利活動を行っているマンハッタン地区を管轄する最強の検事集団だ」

ついに逮捕されたアサンジ氏もFBIの重要参考人

トランプ大統領は、ロシア疑惑をめぐる自らの「容疑」はこれで完全に晴れたと胸を張っている。だが、政治サイトのアクシオス(Axios)は、これに反論する。

ロシア疑惑ですら、同大統領の「容疑」はまだ消えていないというのだ。次のような事案を列挙している。

1)マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)が駐米ロシア大使と会い、対ロシア経済制裁について協議したが、トランプ大統領はそのことを事前に知っていたのかどうか。事前に知らなかったとすればいつそのことを知らされたのか。

2)ヒラリー・クリントン民主党大統領候補(当時)や民主党全国委員会の内部文書を内部告発・情報漏洩サイトの「ウィキリークス」が流したことをトランプ選対委員会の責任者、ロジャー・ストーン氏ら幹部はいつ知ったのか。トランプ大統領はいつ知ったのか。

3)「ウィキリークス」は漏洩した民主党全国委員会の内部文書をどうやって入手したのか。ロシア側が「ウィキリークス」に流したのか。それとも「ウィキリークス」発行人のジュリアン・アサンジ氏が独自に入手したのか。
(同氏は亡命先のエクアドル駐英大使館から追放された直後に英国警察に逮捕された。米FBIは身柄引き渡しを要求しており、ロシア疑惑捜査における重要参考人とする考え。公判が始まるとして、いつから、どのくらい続くのか。20年の大統領選とのタイミングとの関連で米政治・社会にインパクトを与えるのは必至だ)
“1 big thing: What Mueller witness expect,” Axios AM, 4/18/2019)

モラー特別検察官の最終報告書が公表された。これによってトランプ大統領をすっぽりと包んできた暗雲の一部が晴れた。だが、初夏の透き通るような青空が出現したわけではない。

JBプレス記事

米大統領選に立候補したピート・ブティジェッジ市長(左)とパートナーのチェステン氏

泡沫候補から一気に「ビッグスリー」へ

「37歳 同性愛市長が出馬表明、支持率急上昇で注目」

こんなニュースが全米を駆け巡っている。名前は「Pete Buttigieg」(BOO-tih-jej)。

「何て読むの?」「このへんてこりんな名前?」「いったい、何者か?」

37歳はドナルド・トランプ大統領の長女、イバンカ・クシュナー大統領補佐官と同い年。娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問より1歳若い。

トランプ大統領の「懐刀」、マイケル・ミラー大統領上級顧問兼首席スピーチライター(33)より4歳年上だ。

ミレニアム世代などまだまだだと、ベイビーブーマー世代が小ばかにしているうちにミレニアム世代は着実に権力の中枢に入り込み、権力者の座を狙うところまで来ているのだ。

「どうして、同性愛者が市長になれたのか?」「地方都市の市長がどうして大統領を狙うの?」

「世論調査の支持率が急上昇しているのはなぜか?」「民主党予備選ではどこまでやれるんだろう?」

中西部インディアナ州サウスベンド市*1の市長、ピート・ブティジェッジ氏が4月15日、大統領選民主党予備選に正式立候補した後、全米がざわめいた。

*1=インディアナ州北部の人口10万人の小都市(人口規模では静岡県三島市や岐阜県多治見市と同じ)。隣接市にはカトリック系の名門校、ノートルダム大学がある。人口の60.5%が白人、26.6%が黒人、ヒスパニック系13%。1968年以降、市長は民主党が独占、市議会も民主党が過半数を占めている。自動車メーカーのスチュードベイカー工場があったが、63年に閉鎖され、活気を失った。その後、ハニーウェル・エアロスペースやボッシュなどの部品工場が進出している。

民主党大統領候補指名を争う候補はまだ正式に立候補表明していない人を含め4月17日現在17人。まだ増えそうだ。

(世論調査の支持率トップのジョー・バイデン前副大統領はまだ立候補していない)

そうした中で2月の時点では1%前後だったブティジェッジ氏の支持率が急上昇。

ハイデン氏、バーニー・サンダース上院議員のトップ争いに続く第2陣、ベト・オルーク下院議員、カマラ・ハリス上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員に肉薄する勢いなのだ。

予備選のスタートを切るアイオワ州(党員集会)やニューハンプシャー州ではバイデン、サンダース両氏と並ぶ「ビッグスリー」入りしている。

軍資金(政治資金)は今年第1四半期だけで710万ドルを集めている。

立候補者中トップはサンダース上院議員の2000万7000ドル、ウォーレン氏は1605万ドルで、これには及ばないが、中央政界では無名の候補者としては異例の集金力だ。

https://www.realclearpolitics.com/epolls/2020/president/us/2020_democratic_presidential_nomination-6730.html#polls

名物キャスターも脱帽する発信力と頭脳回転力

Shortest Way Home: One Mayor’s Challenge and a Moral for America’s Future by Pete Buttigieg Liveright/Norton, 2019

まず、この動画を見ていただきたい。

ブティジェッジ氏に注目するテレビ各局は先を争って同氏との単独インタビューを行っている。そのうちの一つだ。

https://www.youtube.com/watch?v=4Re5OyMdtQE

相手はMSNBCのベテラン。ジャーナリストのローレンス・オドンネル氏。同氏の矢継ぎ早な質問にブティジェッジ氏はメモ一つ見ることなく、立て板に水のような回答。

内政、外交、経済、何でもござれだ。

同性愛者だという先入観から頭から嫌う人もいるだろう。だが、オドンネル氏の鋭い質問に対する受け答えを聞いているうちにそうした先入観は消えていくはずだ。

端正な顔つき。トレードマークは白いワイシャツにネクタイ。袖を二の腕のところまでたくし上げている(保守系フォックス・ニュースとのインタビューの時だけジャケットを着ていた)。

目が煌めいている。頭の良い証拠だろう。

インタビューアは冒頭、みな名前を「ブティジェッジ」と紹介して、「こう発音していいんでしたっけ」と聞く。

英語圏では聞きなれない名前は、父親が地中海の小国マルタ出身だからだ。

幼い頃から「神童」と言われた。フランス語、ドイツ語、スウェーデン語など8か国語を操る。ハーバード大学では歴史学と文学を専攻している。

生まれも育ちもサウスベンド。地元高校を卒業するとハーバード大学へ。ハーバード大学の卒論は『ピューリタニズムは米外交にいかなる影響を与えたか』だった。

在学中に米海軍に志願入隊し、予備役としてアフガニスタン戦争に情報将校として従軍している*2

その後ローズ奨学生としてオックスフォード大学(ペムブローク・カレッジ)に留学、帰国後マネージメント戦略コンサルタントとしてマッキンゼーで働いている。

*2=米国では従軍するということは「英雄」になる重要な要素だ。直近の歴代大統領で従軍したのはジョージ・ブッシュ第43代大統領(父)が最後だ。トランプ大統領などは兵役逃れしている。

元々、政治に強い関心を持っていた。

28歳の時にインディアナ州財務長官選に出馬するが落選。29歳の時にサウスベンド市長選に立候補し、見事当選。現在2期目だ。2017年には民主党全国委員長のポストを狙ったが対抗馬に敗れている。

ベイビーブーマーの3大統領を上回る知力と発言力

このインタビューを聞いた筆者の知人2人はこうコメントしている。

まず無党派層の中年白人男性(シカゴ在住)はこう語る。

「ここ2年、あの語彙不足で乱暴なトランプ大統領の発言に慣れっこになっていた私にとっては、久々に聞くブティジェッジ氏の知的な英語と回転の速い受け答えには驚いた」

「オバマ氏を除く直近の3人の大統領(クリントン、ブッシュ、トランプ)は1947年生まれの72歳。いわゆるベイビーブーマー世代だ。ブティジェッジ氏はミレニアム世代。ミレニアム世代政治家の方が頭が良いことの証明かね(笑)」

次にバラク・オバマ前大統領の熱狂的支持者だった女性ジャーナリスト(ロサンゼルス在住)はこう感想を述べる。

「MSNBCを見た後、ブティジェッジのことが気になりだしたわ。彼のインタビューを手あたり次第に見てしまった。View、Ellen Show、Bill Mayer、Stephen Colbert*3 CNN、フォックス・ニュースまで2時間ぶっ通しで(ユーチューブで)見たわ」

*3=テレビ各局の最も視聴率の高いインタビュー番組。日本で言えばNHKの夜7時や9時のニュース、テレビ朝日の報道ステーションに相当する。

Pete Buttigieg: An Unofficial Concise Guide to the 2020 Presidential Candidate by Tyler J. Morrison Kindle Edition, 2019

「フォックス・ニュースのインタビューを見た保守層の視聴者からも好意的なコメントが出てるなんて、驚きだわ」

「何人かは、彼はモデレートで頭脳明晰かつ正直。しかも軍歴もある。こういう人物が米国をまとめられそうだと言っていた」

「民主党候補は17人もいて迷っていたけど、私は彼に1票入れるわ」

ブティジェッジ氏の地元新聞の編集者はちょっと誇らしげに筆者にこうコメントしている。

「わが町の市長に全米は驚いているね」

「保守派もリベラル派も同性愛嫌いもエバンジェリカルズ(キリスト教原理主義者)も南部人も東部人も頭脳明晰なブティジェッジ氏の発言に舌を巻いている」

「わが市長は、話術だけで今や有名人になってしまった。スタートはオバマ氏と同じだね」

「同性愛者は非生産的」でも「違憲」でもない

いったい37歳の同性愛市長が、なぜ2020年大統領選に立候補したのか。それよりも何よりも、米国では同性愛者でも市長になれるのか。

折しも日本では、同性同士の結婚を認めないのは憲法違反だ、と同性カップルが国に賠償を求める裁判が4月15日東京地方裁判所で始まった。

政治家の中には「同性愛者は非生産的だ」といった意見を堂々と唱える人さえいる。

同性愛者の政治活動にも詳しいは米シンクタンクの上級研究員は筆者にこう解説する。

「ここ10年、米国民の同性愛者=LGBT(同性愛、性向同一性障害などの性的指向や性自認などの性的少数者)に対する態度は急速に変化してきている」

「特に結婚とか、軍隊などでは顕著だ。州や市町村によってもまだ濃淡があるが以前に比べると公的偏見や差別は和らいできた」

「その傾向は無論年代差がある。同性愛者を全面的に認知するミレニアム世代やX世代とベイビーブーマー世代以前の世代とは格差がある」

「地域差もある。寛大な東部、西部に比べ、南部、特にディープサウス(深南部)とでは大違いだ。また宗教、宗派でも濃淡がある」

「ブティジェッジ氏が市長を務めているサウスベンドは保守的なインディアナ州でも例外的に同性愛が社会問題になっていない小都市だ」

「近隣にはノートルダム大学などカトリック系大学が3つある学園都市だ。学園都市は概してリベラルだ。同性愛者を受け入れる環境が出来上がっている」

「同性愛市長だけではない。全米50州には同性愛者だと公言して公職に就いている人は多い。46州では連邦議会議員にもなっている」

「バイセクシャル知事も1人いたし、同性愛知事も一人いる。今のところ、正副大統領や最高裁判事に同性愛だと公言した人はいないが、ブティジェッジ氏が最初の同性愛者大統領候補になった」

「同性愛者が悪いかどうかは創造主に聞け」

「こうした背景には同性愛主義者だろうとなかろうと、職場で実力を発揮する人物ならその人の私生活がどうであろうと問題視しないという米国人気質が従来からの宗教的な規律を跳ね除けてきたのだと思う」

「誰と同棲しようとしまいと、自分の生活に悪影響を与えないのであれば関係ないという米国人が増えてきた。むろん、聖書に書かれていることを一字一句信ずるエバンジェリカルズは同性愛など一切受け入れない」

ブティジェッジ氏が同性愛者だと公言したのは2015年市長選の最中だった。同棲している男性との関係を反対派から問題視されることを懸念し、自らカミングアウトしたのだ。

当時インディア州知事だったのはマイケル・ペンス現副大統領(59)だった。敬虔なエバンジェリカルズ系カトリック教徒だ(エバンジェリカルズは大半がプロテスタントだがカトリック教徒の中にもいる)。

ペンス氏がブティジェッジ氏が同性愛者であることを激しく批判した。これに対してブティジェッジ氏はこう反論した。

「私が同性愛者であることをペンス氏が批判し、言い争いをするのは、私の問題ではなく、彼の問題だ。言い争うのであれば(私を同性愛者として創りたもうた)創造主とやってほしい」

ブティジェッジ氏は自らを敬虔なクリスチャン(エピスコパル=聖公会)であるとも公言している(聖公会は同性愛者が聖職者になることを認めている)。

「国家安全保障は国境の壁などでは守れない」

37歳のブティジェッジ氏がなぜ2020年大統領選に出馬したのか。またよって立つ政治理念、政策は何か。

4月3日、ボストンにある名門校ノースイースタン大学での対話集会で詳細に語っている。司会者との質疑の後は会場に集まった数百人のうち手を挙げた10人近くの参加者と一問一答。

どんな質問にも真正面から直球を投げ返した。最後には参加者がスタンディングオベーションでブティジェッジ氏を見送った。

その時の動画がこれである。

https://www.youtube.com/watch?v=g_J0i79uKBY

質疑応答でブティジェッジ氏はなぜ、いま大統領を目指すのかについてこう述べている。

「私は今37歳だ。2057年には今の大統領と同じ年になる。それまでに成し遂げねばならないことが山積みだ。それまで手をこまぬいている余裕はない」

「最優先課題は貧富の格差を招いている税負担の問題、地球温暖化、教育、民主主義がある」

「地球温暖化は昨日解決の道筋を立てるべき課題だった。地球温暖化などあるとかないとか言っている話ではない。私の市では大洪水という地球温暖化に直結する惨事が起きている」

「教育は、高等教育を受けるためのカネの問題だ。教育水準が米国民の生活水準を決める要素になっている以上、国民の教育費、授業料負担について国がどうカネを出すのかを変革することは直近の問題だ」

(公立大学授業料・ローンについては卒業後公的に働くなどの条件を付けることを提案している)

「民主主義は今危機に直面している。いい例が大統領が一般有権者数ではなく、選挙人制度によって決まっていること。最高裁が完全に党派化しまっていることだ」

(選挙人制度廃止、最高裁判事枠の拡大などを提唱)

「国家安全保障問題はただ単に外敵から国を守るために国境に『壁』を張り巡らすだけでは解決しない。サイバー攻撃からどう国を守るのか」

通商問題にしてもグローバル化に逆行するような政策をとるべきではない。グローバル化は避けて通れない。そうした流れの中で他国といかにフェアな協定を結び、国益を守るか、得た利益をどうやってサウスベンドのような小都市に住む人たちにも配分していくのか」

「米国は偉大な国家だ。だが過去の偉大さに戻るわけにはいかない。新たな偉大さを求めて前進するしかない」

党派色むきだしオルークvs.超党派懐柔ブティジェッジ

保守派や共和党支持者がブティジェッジ氏を真っ向から批判していないのは、トランプ大統領を名指しで一切批判しないこと(言ってみれば、完全に無視しているかもしれないが)、対決の度合いを深める議会での民主、共和両党にも直接触れないことにありそうだ。

その点は同じく若手大統領候補として注目されているテキサス州のベド・オルーク下院議員(46)とは対照的だ。オルーク氏は徹底してトランプ氏と共和党を激しく批判しているからだ。

トランプ大統領の選挙ブレーンたちは、オルーク氏を一番恐れていると言うが、トランプ氏を狙う「矢」は意外な方角から放たれるかもしれない。

オルーク氏は民主党の地盤を守りながら共和党との対決を激化させようとしている。

これに対し、ブティジェッジ氏は予備選段階から党派の壁を取っ払って戦域を広げようとしている。

1960年には共和党支持者の中からもジョン・F・ケネディ第35代大統領に票を投じた人がいたし、1980年には一部の民主党支持者はロナルド・レーガン第40代大統領に投票した。

参考=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55945

米大統領選はまだ序盤も序盤。まだまだ何が起こるか分からない。

それでもこれまで40年以上、大統領選をはじめ上下両院、州知事選まで取材してきた米主要紙のベテラン政治記者は現状を筆者にこう解説する。

「今米国では何かが起こり始めている。そうした兆候は過去にもあった。直近ではトランプ現象がそうだったし、2008年にはオバマ旋風があった」

「ブティジェッジ氏はいみじくもこう言っている。『僕は大統領選挙に勝つために立候補したのではない。時代(Era)に勝つために立ち上がったのだ』」

「同氏が民主党大統領候補に指名されるのかどうか。トランプ氏との一騎打ちで勝つのか。それを論じる前にミレニアム世代がいよいよ大統領を目指す過程で今米国では何かが起こり始めている。そのことに注目すべきだろう」

確かに米有権者は新しがり屋だ。ワシントンに何十年と住みついているプロの政治屋を嫌っている。だから新鮮な「神童市長」をもてはやしているのだろう。麻疹のようなものかもしれない。

エバンジェリカルズをはじめ南部や中西部に住む中高年層が同性愛者の大統領候補をすんなり受け入れるかどうか。

ブティジェッジ氏自身、本当は大統領などは狙っていないかもしれない。大統領選立候補は州知事や上下両院議員になるための踏み台程度に考えているのかもしれない。

それは百も承知で、エキサイティングな役者の登場に米国は早くも沸き立っている。

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『郭台銘、総統選出馬で揺れる鴻海とシャープの命運 中台米日4カ国にまたがる事業バランス、激変の予感』(4/20JBプレス 中田行彦)について

4/22阿波羅新聞網<美癌症中心开除3华裔教授 知情者披露内情=米国癌センターは3人の中国系教授を追放 情報通が内幕を暴露>米国国立衛生研究所(NIH)の所長であるフランシスコリンズ博士が米国の大学は「内なる敵」を追放すると発表してから1週間後、世界第一位にランクされるMDアンダーソン癌センターが率先して3人の中国系教授の追放を発表した。アンダーソン癌センターは、追放された人の名前を明らかにしなかったが、情報通は最近突然離職した何人かの教授の名を大紀元に明らかにした。 彼らは1年以上に亘りFBIによって調査されていた。

3人は謝某、黄某、台湾から来た洪某である。(某は不明を表す)

アンダーソン癌センター

台湾にも中共に加担しているのがいるという事です。今後益々米国は中共に対する締め付けを厳しくすると思います。日本企業はボーっとしていると制裁を食らうでしょう。

https://www.aboluowang.com/2019/0422/1278507.html

4/21看中国<公司年利润770亿 一生献台湾的半导体之父(组图)=TSMCは年間利益が770億台湾$ 一生を台湾に捧げた台湾半導体の父>半導体業界を理解している人はTSMCの名は必ず知っている。TSMCは世界最大のファウンドリであり、ほとんどのチップ設計業者はTSMCなしでは造れない。 TSMCの創業者は、有名な起業家・張忠謀である。

Texas Instrumentsの社長になる

張忠謀は1931年浙江省寧波市で生まれた。父の張蔚観は鄞県の財政所長をし、1932年に南京に移り、1937年には広州に移った。日本との戦争が始まり、一家はしょっちゅう引越し、寧波から南京、香港へと転居した。

1941年に太平洋戦争が勃発し、日本軍が香港を占領した。 1943年に重慶に移り、重慶南海中学校に入学した。 1945年には戦争に勝ち、上海に引っ越し、上海南陽モデル高に入学した。 1948年、国共内戦で、一家は香港へ移った。

1949年にハーバード大学で勉強するために米国ボストンに行き、翌年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)の機械工学科に転学し、1952年にはMITの機械工学の学士号と修士号を取得した。

張忠謀は機械工学の専攻で、学校では一生懸命勉強したので、ずっと最高にランクされていた。 卒業後、張忠謀は機械関係の仕事に従事せず、半導体業界に入った。この業界を良く理解するため張忠謀は、昼間は働き、夜は勉強した。ゆっくりと半導体を理解し出していた。

27歳のとき、彼は半導体業界の雄だったTexas Instrumentsに入社し、41歳で、副社長になった。 1964年、彼はスタンフォード大学で電気工学の博士号を取得した。

TSMC設立

52歳の時、彼はTexas Instrumentsの戦略は時代の趨勢に合致していないと考え、そこを離れた。当時の張忠謀の見解は正しかった。Texas Instrumentsは既に衰退している。

1985年、孫運の招きに応じ、台湾・工業技術研究院の院長を務め、同時に聯華電子の会長を兼任し、翌年には、縁があってオランダのPhilipsと工業技術研究院が合弁でTSMCを作り、会長兼社長となった。

今日、TSMCはすでに半導体業界の覇主となっており、華為やAppleのチップ設計者だけがTSMCのファウンドリを使っているのではなく、ファウンドリのIntelもTSMCに製造委託している。 その理由は、TSMCの高度な技術が顧客のニーズを満たし、現在5NMチップの試作を準備して半導体業界をリードしている。

張忠謀によって設立されたTSMCは、最も収益性の高い企業の1つで、2018年の純利益は770億元であった。張忠謀の起業家としての道程を振り返ると、彼は一生懸命勉強し仕事を愛する人であることがわかるし、それが成功の原因である。

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/04/21/891175.html

4/21希望之声<(组图)郭台铭若能带他这顶帽子见习近平 才是“真老虎男子汉”=郭台銘がこの帽子を被り習近平と会うのなら、郭は本当の虎漢である>鴻海集団の会長である郭台銘は、先週、2020年の台湾大統領に出馬すると発表した。中国のメディアは、さまざまな方法で彼の被った帽子にある中華民国の国旗を覆い隠した。郭台銘は最近、「民主主義では食べられない」との言い草で、中華民国の蔡英文総統と空中戦を始めた。 蘇貞昌行政院長は、4/21に「郭台銘は自分が総統になれば、台湾の自由で民主的な社会は必要ないと考えている。もし彼がこの中華民国国旗を象った帽子を被り習近平と会うのなら、郭は本当の虎漢である」と。

4/17郭台銘は中華民国国旗を象った帽子を被り淡水の行天武聖宮を参拝

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/21/n2823048.html

張忠謀と郭台銘の二人を比べれば、同じ本省人でもこんなに違うのかと思います。張忠謀は日中戦争に翻弄されたが、向学心は止まず、米国に渡って勉強したことが大きかっと思います。台湾の自由と民主主義を守るために彼は戦うでしょう。翻って郭台銘は典型的な中国政商です。阿漕なことが平気ででき、平気で嘘をつくタイプです。深圳にあった台湾人経営の洗壜工場の人権無視な作業環境や住環境を思い出します。

鴻海が中国大陸に持っている富士康の工場は従業員の飛び降り自殺で有名になりました。人権無視の働かせ方をしていたからでしょう。トランプは郭の中国での生産を許さなくするでしょうから、TSMCは生き延び、鴻海は衰退していくのでは。

東大名誉教授の中川威雄氏は郭の投資判断の速さに驚いていますが、ソフトバンクの孫と同じで、単に博奕が好きなだけでしょう。中川氏こそが日本の産業空洞化を推し進めた戦犯なのにその自覚がありません。シャープの佐々木正副社長と同じです。こういう似非エリート達が日本をダメにしてきて、不祥事が多発する社会にしてしまったと考えます。

記事

鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘会長。米ウィスコンシン州で(2018年6月28日撮影)。(c)Brendan Smialowski / AFP〔AFPBB News

電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長(68)が2019年4月17日に、2020年1月の総統選に出馬する意向を正式表明した。

中国との融和路線の最大野党・国民党は、2019年4月17日に式典を開催し、郭氏に資金面で貢献したことで「栄誉賞」を授与した。郭氏は、そのあいさつで「(総統選出馬に向け)党内の予備選に参加する」と表明したのだ。

「媽祖のお告げ」で出馬を決意

その日の午前には幼少期を過ごした台北郊外の板橋の道教寺院「慈恵宮」を参拝し、この寺院に祭られる台湾で有名な海の女神「媽祖(まそ)」が2日前に夢に現れ、立候補するよう告げられたと語ったのだという。

郭氏は、中国に多数の工場を保有しているとともに、中国広州に10.5世代液晶工場、珠海に半導体工場を計画し、習近平国家主席とも良好な関係を築いている。また、米国では、ウィスコンシン州に6世代の液晶工場を建設予定し、トランプ大統領に食い込んでいる。日本では、2016年にシャープを傘下に収め、シャープ再建につなげた。

このように郭氏は、台湾産業界のトップとして、中台米日の4カ国で事業を展開してきた実績を持っている。

しかし、郭氏の総統選出馬に伴い、日常業務や会長職から遠ざかる可能性があることから、鴻海やシャープの経営に影響する。また、中台米日の4カ国でパワーバランスが激変するするリスクがある。

この、鴻海・郭董事長の台湾総統選へ出馬に伴う、鴻海やシャープの経営への影響、中台米日の4カ国の状況とパワーバランスの変動を、分かりやすいように先取りして【図1】に示しておく。

郭台銘氏の関係者へのインタビューを元に、創業と鴻海への発展過程から郭氏の経営理念、さらに鴻海、シャープへの影響、そして中台米日の4カ国のパワーバランスの激変リスクについて述べてみたいと思う。

【図1】郭董事長を取り巻く中台米日4カ国のパワーバランス (筆者作成)

「外省人」の両親から生まれた郭台銘

郭氏の両親は中国山西省の出身である。中国共産党の支配を恐れて台湾に渡った人々は、やがて現地で「外省人」と呼ばれた。両親が台湾移住後まもなく板橋の「慈恵宮」に住み込んだことから、郭台銘氏は「慈恵宮」で、1950年10月8日に生を受けた(『野心 郭台銘伝』安田峰俊著、プレジデント社、2016年)。

この生立ちが、「外省人」の中国への恩返しと、道教への信心という、現在の考え方に影響している。

郭氏は24歳の時、2人の友人とともに「鴻海プラスチック工業有限公司」を1974年2月に設立した。従業員は15人で、白黒テレビの選局つまみをプラスチック成型していた(『野心 郭台銘伝』)。それからわずか3年後の1977年には自社の金型工場をつくる決断をし「積極投資」する。1982年に社名を「鴻海精密工業」に変更した。

その後、「鴻海精密工業」はどのように発展していったのか?

私は鴻海特別顧問でファインテック会長である中川威雄氏に、2016年5月13日に面談する機会を得た。中川氏は、東京大学の名誉教授であり、機械加工の世界的権威者である。その時のやり取りを、拙著『シャープ再生』から一部抜粋しよう。

「私が鴻海の郭台銘董事長と最初に出会ったのは、1988年にシンガポールで行われた第2回金型国際会議の席でした。当時は従業員240人程で、普通の射出成形屋さんでした。(中略)その後、私が東京大学を60歳で定年となったのを機に、1999年4月から鴻海の技術顧問となりました」

「顧問となって最初に中国深圳工場で郭董事長に会った時、質問がありました。『何をやったらいいのか』と、聞かれたので、当時日本で話題となっていたノートパソコンのケースを軽くするための、マグネシウム筐体のダイカストを提案しました。中国には、人件費が安く、仕上げに人手を要する仕事が向いていると思ったからです。『じゃあやろう』と、10分も話をしない間に、即断即決です。その後、ダイカスト工場は、世界最大規模の工場となり、日本から殆どの工場が消えることになりました。この時郭董事長の凄さを見た気がしました。即断即決には驚かされましたし、顧問としての自分の発言に重い責任を感じました」

――技術顧問だけでなく、創業もされましたね。

「その後間もなく、2000年10月に、郭董事長から日本に技術開発会社の創業の話が持ち込まれました。光通信のコネクターを扱う話で、こちらは自信がない分野で渋っていました。すると、郭董事長の勘違いで出資金額が跳ね上がり続け、最終的に100億円も投資する話となってしまいました」

郭董事長は、必要とあれば、100億円の投資も、「スピード重視」で「即断即決」する。

――その後、どのようにされましたか?

「携帯電話の後にスマホが現れ、アップル社は、独自のデザインを優先し、スマホのケースを金属製の高級感あふれるものにしました。このため、一台ずつ切削加工をして、また磨きを行わざるを得なくなりました。鴻海は、それに対応してなんとか力ずくでクリアしてしまいました。切削加工は、金型を使った成形のようには能率は良くないのですが、今は1日100万個を生産しています。何万台もの工作機械を夜中まで無人で動かしているのは驚きです。これだけの投資をすばやく決断して実行できることに鴻海の凄さがあると思います」

この話は、郭董事長の「経営理念」の本質を表している。

通常は、スマホのケースは、安価にするため、プラスチック材料で「射出成型」という方法で作成する。

しかし、アップル社は、こだわりがあった。「金属製の高級感あふれるものにしたい」と。

このためには、金属材料から一台ずつ削り出し、また磨きをかけて光らせざるを得なくなった。

このアップル社の要求に応えるためには、非常に高価な工作機械を、多数購入し、夜中まで動かさないといけない。

郭董事長は、ハイリスクで多額の投資を必要とする要求を受け入れることにより、アップルから仕事を取る。敢えてそれまでの規範を破壊することで、常識で動く競争他社を大きく引き離しているのである。私は、この郭董事長の経営を「規範破壊経営」と名付けた。

郭董事長のシャープへの「片思い」

その後、鴻海はシャープへ出資する。シャープから鴻海のフォックスコン・グループに移った矢野耕三氏(フォックスコン日本技研代表)から、直接話を2013年9月に聞いた。

――シャープと鴻海の交渉が暗礁に乗り上げた理由は、なんでしょうか?

「いちばん大きな理由は、中国人や台湾人との交渉をよくわかっていないということでしょう。関西のおばちゃんは必ず値切る。中国や台湾も一緒。言ってみて、できたら儲けと考える。交渉で詰めても、次の日にはもうちょっとどうにかならないかとくる。これに怒って帰ったのがシャープです。テリー(郭台銘)さんは上から目線で、これもつけてくれと中国式に交渉する。片山(シャープ片山幹雄社長(当時))さんは、本社の決済を取ったのになんだと、相性が合わなかった」

――テリー董事長は、いまでもシャープとの提携に期待されていますか?

「テリーさんは、いまでもシャープに片想いです。テリーさんの想いがシャープに伝わらない。テリーさんは、会議の席では『シャープは先生だ。そういうつもりで対応するように』と言っています」

この時は、結果として、鴻海の郭董事長は、シャープ本体への出資は行わず、シャープへの片思いは続くことになった。しかし、堺工場の運営会社には出資した。

金色マフラーで勝負

その郭董事長のシャープへの片思いが実を結ぶチャンスが巡って来た。

国内工場への過大投資によって経営が悪化したシャープは、官民ファンドの産業革新機構(INCJ)からの出資によって救済され、液晶部門はジャパンディスプレイ(JDI)と、家電部門は東芝の家電部門と統合されるはずであった。

ところが、2016年1月末、鴻海の郭董事長が来日して、シャープ経営陣と直談判し、長年の「片思い」を成就させることに成功した。この時、郭董事長は金色のマフラーを身に着けていた。これは、両親の出身地・山西省の出身で、三国志でおなじみの「関羽」にちなむものだった。関羽をまつる「関帝廟(かんていびょう)」から贈られたものと言われ、郭董事長が勝負所で身に着けているものだった。

中国・河南省で金色のマフラーを身に着ける郭台銘氏(写真:Imaginechina/アフロ)

鴻海・郭董事長の提案と産業革新機構の提案を比較し、参考として2019年2月時点の鴻海が行った実際の行動を比較して、【表1】にまとめておく。

【表1】鴻海・郭董事長と産業革新機構の提案比較と実際の対応(出典:『シャープ再建』表6-1に追記・変更)
鴻海とINCJとで綱引きされたシャープにとって最も重要な点は、支援の先に「成長戦略」を描けるかどうかだった。

産業革新機構の案では、シャープの液晶部門とJDIを統合するという同種企業の「日の丸液晶連合」を形成し、規模の経済でコストを抑えようという考え方であり、「成長戦略」が不透明だった。一方の鴻海は、郭董事長が「グローバル成長戦略」でシャープ経営陣を説得したことが、大逆転の決め手となったのである。

縁起を担いだ「値切り」交渉

しかし、鴻海の提案から3年を経た現時点から振り返ってみると、その後、「値切り」が起こっている事項があることが分かる(【表1】参照)。

社員の雇用については、「原則現状維持」としていたが、実際には2015年7月~9月に国内3500人の希望退職を実施した。

また、2016年2月24日早朝、シャープから鴻海に送られてきた「偶発債務」リストが騒動を引き起こし、交渉の結果、出資額は3888億円に落ち着いた。中国の習慣から、縁起を担いだ「八並び」の数字となった。合意してもさらに経済合理性を目指し「値切り」を試みる。

「三兎を追う」リスクが拡大

ここで見てきたように、郭台銘という人物は、即断即決型のワンマン経営者で、グローバルな視点からの成長戦略を描ける人物であり、いったん合意した内容もさらに踏み込んで「値切る」ことも厭わない経済合理性を優先する男と言える。

その郭董事長は現在、米中対立が激化する中、あえて中国で二兎、米国で一兎と、米中の双方で「三兎」を追ってきていた。三兎とは、米中でそれぞれ1兆円を超える液晶と半導体工場への投資計画である。

【表2】:郭董事長が進める中台米日の4カ国の液晶・半導体投資計画(『シャープ再建』から引用)
最初は、世界最大の10.5世代の液晶工場への投資である。広州に総額約1兆円を投資して建設する計画だ。

米中が知的財産権を巡って激突する最中、郭董事長は中国と同時に米国への接近を敢行した。トランプ大統領率いる米国に食い込むためだ。そして鴻海は2019年2月1日、ウィスコンシン州に液晶パネル工場を建設する計画を予定通り進めると改めて発表した。

さらには中国の珠海に半導体工場を建設する計画が持ち上がった。「中国製造2025」の実現に必須の半導体素子を、中国が自前で製造したいためである。

もちろんこれらの投資計画は、シャープが保有する技術をあてにするものであり、鴻海・シャープ連合なくしては成り立たない。

戴正呉社長の後継者不在のシャープ

対立する中国と米国の間に立って、郭董事長が計画推進することにより、総額3兆円の液晶・半導体投資計画が成り立っている。この中台米日の4カ国のパワーバランスは、既に【図1】に示したが、難しいバランスの上で全てを成功に導けるとしたら、経営者としての能力と経験、そして絶大な権限を持った郭董事長しかいないと思われていた。そうした中での総統選出馬なのだ。

「総統候補」としての郭氏に期待されているのは、台湾が抱える経済問題の解決だ。その有力な突破口と考えられているのが中国との経済交流であり、その分野において郭氏は過去に事業面では十分な実績を上げてきた。しかし、中国が目指す中台統一に、台湾では警戒がある。中国との距離感は非常に難しい。

郭氏は、総統選出馬に伴って、鴻海の日常業務から退くが会長職には留まる意向とのことである。郭氏は「ワンマン経営」と言われているだけに、会長職に留まるにしても、鴻海の経営にマイナスの影響が出るのは避けられないだろう。そのうえ、仮に総統に当選すれば、兼業が禁じられているため会長職も退かねばならず、もっと大きな影響が出る。

『シャープ再建』(中田行彦著、啓文社書房)

シャープにとってみれば、現状では戴正呉社長が「日本型リーダーシップ」で経営しているので、戴社長の舵取りが続く限りにおいては影響が少ないかもしれない。しかし、郭氏が鴻海の経営の一線から離れることになれば、戴正呉社長が鴻海の業務を担う可能性が出てくる。そうなれば、シャープへはマイナスの影響が出てくるだろう。最悪のケースとして、戴正呉社長がシャープを離れ、鴻海に戻ることになれば、シャープの経営は非常に大きなダメージを受けてしまうだろう。戴社長の後任として、シャープの経営を担える人材がまだ育っていないからだ。

さらに、総額3兆円のプロジェクトは、郭董事長が中心なり、中台米日の4カ国の間で絶妙なバランス感覚を発揮しながら進められている。郭董事長以外の人物がそのプロジェクトの舵取りをすることになれば、バランス感覚をうまく発揮できず、プロジェクトが崩壊するリスクさえ出てくる。

もちろん、自分の総統選出馬がこのような大きなリスクを冒すことになることを、郭董事長は百も承知だろう。それを押しても出馬しようという「真意」は、「故郷」中国に貢献したいという思いがあるからだろう。

ただそれが、鴻海やシャープ、そしてなにより台湾の人々にとって最善の選択になるのかどうかは、また別の話である。

*中田行彦氏がJBpressで書かれた記事を加筆・修正した『シャープ再建 鴻海流 スピード経営とリーダーシップ』が、啓文社より4月2日に発売されました。
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『挙国一致で中国と対決、何が米国を本気にさせたのか?これ以上中国を放置できない、米国の専門家が語る米中関係の展望』(4/20JBプレス 古森義久)について

4/20希望之声<调查报告指出华为所有者很可能是中共的理由=調査報告は、華為の株保有者すべてが中共に関係している可能性が高いと指摘>ボイスオブアメリカは4/20華為の所有権についての報告書を引用し、華為の株は従業員による持株であるという主張はありえないと報道した。 華為社の所有者は、恐らく中共政府だろう。 報告書はまた明らかな理由を示している。

「華為の株主は会社の従業員ではなく労働組合である。この組織は共産党によって支配されている。華為の株式の99%が労働組合によって所有(1%は任正非)されているとしても、この会社は国営企業であると言える。」

華為創業者の任正非

中国の会社は純粋に民間と言える会社はありません。必ず裏に共産党の存在があるからです。従業員持ち株会も従業員の名義を借りているだけです。便衣兵と同じく、彼らは脱法行為を平気でします。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/20/n2821377.html

4/21阿波羅新聞網<台湾紧随美国 对大陆科技公司产品说不=台湾は米国に続き、中国大陸のテクノロジー企業にノーと言う>米国はサーバー、クラウドコンピューティング等のサービスをカバーする中国本土の技術製品の政府調達を制限しようとしているが、台湾もセキュリティリスクを心配して米国に続こうとしている。アリババ、華為、レノボ、小米等の中国企業が影響を受けると予想される。

多くのメデイアの1月の報道では、台湾はすべての政府機関・組織、政府管理企業に、カメラモニターメーカー海康威視、華為、ZTE等大陸の電信設備メーカーの使用を禁じるブラックリストを起草しているとあった。

台湾行政院は4/19(金)に、大陸の通信機器、監視カメラ、サーバー、ウェブカメラ、ドローン、クラウドコンピューティングサービス、ソフトウェア、ウイルス対策ソフトウェア、およびコンサルティングの使用を禁じるガイドラインを公表した。同時に、禁止を遵守しなければならない台湾の会社の範囲は、運送会社、銀行および電気通信業にも拡大適用される。 政府関係者は、政府が運営するハイテク工業団地の民間企業もこの新しい規制に従うことを提案している。

日経アジアレビューは、4/19(金)に事情通の発言を引き、「華為、ZTE、アリババ、レノボ、小米、百度、海康威視、浪潮(サーバーサプライヤー)、大疆(ドローンメーカー)がリストに含まれる可能性がある。 ロシアのウイルス対策ソフトウェア会社であるKaspersky Labも禁止のリストn入るだろう」と述べた。

日本もしっかり規制しなくては。民間企業と個人にも中共製のものは危険と周知を徹底してほしい。小生のPCはNEC(レノボ)、スマホはASUS(台湾)ですが。

https://www.aboluowang.com/2019/0421/1278021.html

4/20阿波羅新聞網<政治敏感年 习李忧心想出一招 美资撤 中共高科技芯片厂关门 传中共在WTO最大案败诉=政治に敏感な年 習と李は心配して一手を思いつく 米国資本は撤退 中共のハイテクチップ工場は閉鎖 中共はWTOの最大事案で負ける>米国のチップ製造大手クアルコムと中共政府の合弁会社 “華芯通 Semiconductor”は今月末に閉鎖される予定。これは再度中共に”チップがない痛み”を強いる。 外国メディアの報道によると、WTOは「中共が主張しているように2016年に市場経済国の地位を自動的には獲得していない」と裁定した。これは中国経済に大きな打撃を与えるであろう。 貿易戦争の圧力の下で、中国経済は下降を加速させ、中共の経済の舵とりの難しさは日に日に増している。それは中共のリーダーにとって頭痛の種となっている。 2019年は、中共が政権を取って70年になり、中共にとって政治的に敏感な年である。 平和で繁栄したイメージを創るために、中南海は決断を下し、将来の財源を見込んで、先に経済刺激策を打ち出した。

スイス・ジュネーブのWTO-OMC

https://www.aboluowang.com/2019/0420/1278010.html

4/19ブルームバーグ<中国を「市場経済国」とWTO認めず、欧米の見方を支持>

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-19/PQ6NTT6K50XS01

4/19時事ドットコム<中国は約束違反=米、穀物関税めぐり勝訴-WTO>

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041900188&g=int

中共のやらずぶったくり商法の化けの皮が剥がれだしたという事でしょう。彼らが如何に嘘を言い、狡く立ち回って来たかが、自由主義諸国に理解され出したという事です。世界に共産主義が蔓延するのを防ぎませんと。

古森氏の記事で、ロバート・サター氏は「統一戦線工作を駆使しての威嚇、圧力、買収、スパイ工作まで米国の心臓部に踏みこむような乱暴な浸透活動が、米側で一気に指摘され、警戒されるようになったのです。」と述べていますが、中共は米国だけでなく世界中の国に魔の手を伸ばしています。日本は政府も企業も危機感が薄いのでは。昨日の本ブログで紹介しました中国国際航空公司の女性管理職の例にもあるように、中国人は総てスパイと思った方が良い。

サター氏は今の大統領がトランプで良かったと述べていますが同感です。悪の権化・中共を相手に大立ち回りができるのはマフィアを相手にしてきたトランプでないとできません。破天荒且つ度胸がないと駄目です。小生は大統領選の時からトランプ支持です。

記事

米国のロバート・ライトハイザー通商代表部代表(左)、中国の劉鶴副首相(中央)、スティーブン・ムニューシン財務長官(右、2019年2月14日撮影、参考写真)。(c)Mark Schiefelbein / POOL / AFP〔AFPBB News

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

米国の首都ワシントンで取材していて、外交について最も頻繁に接するテーマはやはり対中国である。政府機関の記者会見でも、議会の審議や公聴会でも、民間のシンクタンクの討論会でも、「中国」が連日のように語られる。

しかも「中国の不正」や「中国の脅威」が繰り返し指摘される。ほとんどが中国への非難なのだ。

そうした非難を述べるのはトランプ政権や与党の共和党だけではない。他の課題ではトランプ政権を厳しく糾弾する民主党系の勢力も、こと相手が中国となると、トランプ政権に輪をかけて、激しい非難を浴びせる。ときにはトランプ政権の中国への対応が甘すぎる、と圧力をかける。

米中対決の真実』(古森 義久著、海竜社)

私はワシントンを拠点として米中関係の変遷を長年追ってきたが、米側からみるいまの米中関係は歴史的な変化を迎えたと言える(その実態を3月中旬、『米中対決の真実』という単行本にまとめた。本稿とあわせてお読みいただきたい)。

では、なぜ米国は中国と対決するのか。今後の両国関係はどうなるのか。その原因と現状、さらには米中関係の展望について、米国有数の中国研究の権威であるロバート・サター氏に見解を尋ねてみた。

サター氏は米国歴代政権の国務省や中央情報局(CIA)、国家情報会議などで中国政策を30年以上、担当してきた。10年ほど前に民間に移ってからも、ジョージタウン大学やジョージ・ワシントン大学の教授として中国を分析してきた。

サター氏の認識に私が重きをおくのは、彼が政治党派性に影響されていないという理由もある。政府機関で働いた時期はもちろん官僚としての中立性を保ってきた。個人的には民主党支持に近い立場のようだが、民間での研究を続けてからも、時の民主党政権をも辛辣に批判し、共和党政権からも距離をおくという感じだった。

今回はジョージ・ワシントン大学にあるサター氏の研究室を訪れて、話を聞いた。インタビューの主な一問一答は次のとおりである。

共和党も民主党も中国を強く警戒

──米中関係が歴史的な変化の時代を迎えたと言えそうですが、その変化をもたらした原因とはなんだと思いますか。

ロバート・サター氏(以下、敬称略) 変化を招いた直接の原因は米国側での危機感でしょう。中国をこのまま放置すれば米国が非常に危険な状況へと追い込まれるという危機感が、政府でも議会でも一気に強くなったのです。ただし中国側は米国のこの感覚を察知するのが遅かった。トランプ政権や議会を誤認していたといえます。ここまで強く激しく中国を抑えにかかってくるとは思わなかったのでしょう。

米国側の危機感、切迫感を生んだ第1の要因は、中国がハイテクの世界で世界の覇権を目指し、ものすごい勢いで攻勢をかけてきたことです。米国は、このままでは中国に経済的にも軍事的にも支配されると感じたわけです。この状況を変えるには、たとえその代償が高くても今すぐに行動をとらねばならない、という決意になったのです。

第2には、中国側が不法な手段を使って米国の国家や国民に対して体制を覆そうとする浸透工作、影響力行使作戦を仕掛けてきたことです。統一戦線工作を駆使しての威嚇、圧力、買収、スパイ工作まで米国の心臓部に踏みこむような乱暴な浸透活動が、米側で一気に指摘され、警戒されるようになったのです。

ロバート・サター氏

──米側の中国への不信はきわめて広範囲のようですね。

サター 一般国民も政府も議会も中国に対して強い警戒心を持っています。共和党議員だけではなく民主党議員も、共和党議員と歩調を合わせて対中強硬策を提唱しています。たとえば大統領選への名乗りをあげたエリザべス・ウォーレン上院議員が中国のスパイ活動を非難しました。また、民主党ベテランのパトリック・ リーヒ上院議員は「一帯一路」を嫌っています。民主党で外交問題に関して活躍するマーク・ウォーナー上院議員も、米国のハイテクが中国に輸出されることに強く反対しています。

──であれば、米中間の対立は今後もずっと続くということになりますね。

サター 摩擦がずっと続くでしょう。中国が米国の要求をすべて受け入れることはありえません。また、米国が中国に強硬な態度をとることへの超党派の強い支持は揺るがないからです。

これまでの大統領とは大違いのトランプ

──現在、米中両国の対立で最も分かりやすいのは貿易面での衝突ですね。米中関税戦争とも呼ばれます。

サター これまでの関税交渉では、米側が中国に圧力をかけ守勢に追い込みました。中国側はトランプ政権の勢いに押され、状況の悪化を恐れて、圧力に屈したという感じです。問題は、中国が米国の要求にどこまで応じ、米側からの圧力をどこまで減らすことができるか、でしょう。中国側がかなり妥協して、関税問題では一時的な休戦あるいは緊張緩和になるかもしれません。

ただし経済問題では、トランプ政権内部にいくらかの姿勢の違いがあります。ロバート・ライトハイザー通商代表のように中国に対してきわめて強硬な人たちと、スティーブ・ムニューシン財務長官のようなやや協調的な人たちが混在しているのです。ではトランプ大統領がどんな立場なのかというと、この判定が難しい。

関税問題では米側がある程度の妥協を示すこともあるでしょう。ただし、基本的な問題は厳然と残っています。関税問題の基盤にある米中間の底流は非常に対立的であり、険悪です。

当面の関税交渉では、米国の中国に対する懲罰的な関税を中止するのかが焦点となりますが、この点に関してトランプ大統領はこれまでの歴代大統領とはまったく異なります。中国に対して譲歩や妥協をしないのです。トランプ氏にとって「譲歩」というのは、懲罰の量を減らすだけということになります。

──中国はトランプ大統領に対して戸惑っているということですか。

サター そうです。トランプ大統領はオバマ氏ら前任の大統領たちと違い中国に対して譲歩をしません。米側が欲することを中国側に圧力をかけて実行させるという点では、トランプ大統領は今のところ大きな効果をあげています。しかし、習近平主席は米側が求める総合的な構造変革をすることはないでしょう。ライトハイザー通商代表が要求しているような経済の体系的な変革はないだろう、ということです。

中国側は「大きな変革を実行する」という合意に応じたところで、アメリカ側をだます見通しが強いといえます。このことはこれまで繰り返し起きてきました。ライトハイザー氏はすでにこのことを指摘しています。だから関税問題でたとえ米中間の合意が成立しても、両国関係の基本を変えるような前進はまずないだろうと思います。

──関税問題とは別に、厳然と残っている基本的な経済問題とはなんですか。

サター 米中間のハイテク競争、そして中国の米国への浸透、知的所有権の窃盗、米側企業を取得して米国のハイテク産業をコントロールすることなどです。米側は中国のこの種の動きに、はっきりと抵抗しています。

さらには中国への輸出管理です。米側の商務省がこの問題に対処しています。中国の膨張を許すような品目の対中輸出は自粛する。これは東西冷戦時代にソ連圏への輸出を規制したココム(対共産圏輸出統制委員会)に似た概念です。中国との関係は、東西冷戦時代のソ連との対決とはまだ同じ段階に達していません。しかし、ファーウェイに対する米側の対応は事実上ココム的管理に等しく、その厳しさはさらに強くなっていくでしょう。

中国は「大きな変革」に着手するか

──サターさんは、米側が求める最終目標として中国側の「総合的な構造変革」という言葉を使いましたが、具体的になにを意味するのでしょうか。

サター 国家がコントロールする企業の役割、国家が産業界と一体になる産業政策、特定企業への優遇財政措置、外国企業、とくに米国企業の中国市場へのアクセスの制限、といった中国の産業政策が実際にどう変わるかです。知的所有権の扱い、外国の技術などの盗用、スパイも大きな要素です。こうした諸領域で中国政府がどんな改革措置をとるかが『総合的な構造変革』を占う指針となります。

しかし、中国政府は表面をとりつくろうことがきわめて巧みです。なにもしていないのに、なにかをしているかのようにみせかける。そのため米国政府側の中国不信は非常に強い。だから米国政府は最大の注意を向けて中国側の動向を監視しています。もし中国側がこれまでのように大きな変革措置をとるという約束をして、実際にはしなかったことを確認した場合、米中関係は重大な危機を迎えるでしょう。トランプ大統領はそんな中国の背信を許さないでしょう。この点では、議会でも共和党、民主党が一致して中国への強硬な姿勢を保っています。

中国の危険な拡大を食い止めよ

──トランプ政権は経済問題以外でも中国を非難しています。具体的には中国のどのような動きが米側を最も強く反発させているのでしょうか。

サター 南シナ海での膨張、日本への圧力、ロシアとの結託、ウイグル民族の弾圧など米国の国益や価値観を侵害する一連の動きです。中国は米国のパワーを削ごうとしている。米国はその動きを止めようとしているということです。

米国が究極的に目指すのは、中国にそのような侵略、侵害を冒させない国際秩序の保持だといえます。中国の攻勢に対しては、ケースバイケースで対応していく。そこで商務省、財務省、通商代表部、国防総省、連邦捜査局(FBI)などがそれぞれ中国の攻勢に立ち向かっているという状況です。

──サターさんのこれまで40年もの米中関係への関わりからみてトランプ政権の現在の中国への対応は適切だと思いますか。

サター はい、米国は中国の攻勢をはね返す必要があったと思います。中国が米国を弱いとみて進出や膨張を重ね、米国の勢力圏を侵害していくという近年の状況は危険でした。率直に述べて、オバマ政権時代の後半はそうでした。トランプ政権の政策担当者たちはそうした中国の危険な拡大を止めるための具体策を取り始めた。私はその基本姿勢に同意します。

トランプ大統領が長期の総合的な対中政策のビジョンを持っているかどうかは別として、中国の膨張を止める政策を断固としてとれた指導者は、2016年の大統領選の候補者の中には他にいませんでした。中国への有効な対策を取るためには、米中関係の緊迫を覚悟せねばならない。トランプ氏以外にそうした緊迫を覚悟して自分の政策を推進できる指導者はまずいなかったと思います。現在のような強固な対中政策が米国には必要なのです。

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『「下放」の悪夢再び?若者の農村派遣計画に中国騒然 「農村の都市化」政策失敗のツケか、共産党内の権力闘争か』(4/18JBプレス 福島香織)について

4/18希望之声<安倍将会川普磋商朝核对策 第一夫人生日晚宴座上宾=安倍首相はトランプと朝鮮の核問題の対策について検討 トランプ夫人の誕生日ディナーに呼ばれる>安倍首相は今月末米国を訪問し、北朝鮮の核問題についてトランプと良く打合せする。メラニア夫人の誕生日パーティーにも出席する。 安倍首相の訪米はトランプとの個人的な信頼関係を深め、中共や北朝鮮に対応し、日米同盟を強化することに繋がる。

昨日本ブログで北朝鮮問題を取り上げましたが、攻撃するのであれば良く打合せしておいてほしい。空母は動いていないので未だだとは思いますが。来年の大統領選前辺りでは。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/18/n2815098.html

4/18希望之声<广州坦尾村500特警镇压村民 多村民受伤8人被抓=広州市坦尾村で500名の特別警察は村人を鎮圧 多くの村人がけがをし、8人が逮捕>広州市の坦尾村政府は最近、「違法建設」を理由に村人が自らの費用で建設した3階建ての3つの建物を取り壊したため、村人の権利保護抗争を引き起こした。 4/17(水)当局は村人を鎮圧するために500人の特別警察を派遣し、多くの村人が負傷し、8人が逮捕された。

広州だけでなく、抗議行動は中国各地で頻発していると思われます。何せ中国の暴動数は20万件と言われていますので。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/04/18/n2816601.html

4/19阿波羅新聞網<涉英国打人 央视记者孔琳琳未到庭应讯 法院发拘捕令=英国で殴るCCTVの記者の孔琳琳は法廷に出頭せず 裁判所は逮捕状を出す>CCTVの駐英記者、孔琳琳は昨年9月に開かれた香港問題に対する保守党のシンポジウムで大騒ぎし、2度も香港の留学生ボランティアのエノク劉を殴打し、暴行罪で告発された。BBCは孔琳琳が法廷に出頭しないので、逮捕状を出した。

共産主義者は民主主義の善意や弱点をついて好き勝手な行動を採るという事です。

https://www.aboluowang.com/2019/0419/1277426.html

4/19阿波羅新聞網<国航女经理认是中共特工 孟晚舟案法官接手后认罪 涉多个大案和系列调查 =中国国際航空公司の女性管理職は中共のエージェントだったことを認めた 孟晩舟事件の判事が引き継いでから、主な事件と一連の調査により罪を認めた>米国メディアは、4/17(水)に中国国際航空公司の元管理職が中共のエージェントだったことを認め、職務を利用し、中国軍関係者やその他の官僚が米国から小包にして密輸するのを助けたと報じた。林英はまた、中共政協委員でもあり、マカオの実業家呉立勝が国連総会前に議長国のアンティグア·バブーダのJohn Asheに賄賂を贈った事件、外交官の鐘丹が中国人に奴隷労働させていた事件に関与した。2016年に、FBIは林英の住まいを急襲し、大量の証拠を以て告発した。林英は何年も前から調査されていたが、孟晩舟事件の判事が引き継いだ後、彼女は初めて罪を認めた。

左は弁護士、右が林英、法廷を出た所

判事のDonnelly。今年初めにNY東部地区裁判所の判事が交代し、Donnellyになった。彼女は孟晩舟事件の判事で、20数年検事の経験があり、証券詐欺事件や、2017年1月にはトランプの7ケ国からの入境禁止令を停止した。

https://www.aboluowang.com/2019/0419/1277561.html

福島氏の記事では、中共の打ち出す政策の真意が下々には伝わらないという事でしょう。いろんな解釈ができるという事で、求心力を働かす道具とはなり得ないという事です。福島氏が言うように自由の無い世界では創意工夫も出て来ないでしょう。国家が個人の自由を認めないシステムを取っていれば発展は見込めないと言うことです。

中国は少子高齢化(未富先老)の人口問題を抱え、経済見通しは暗いうえに、技術革新ができないのであれば、米国に適うはずがありません。中国に味方する人はそれを忘れているのでは。

4/20日経<時節が来た日中の和睦 7年越しの修復の重み 本社コメンテーター 秋田浩之

尖閣諸島をめぐってぶつかり合い、ひところは一触即発の危険までささやかれた日本と中国。そんな過去にさよならするように、両国が仲直りを進めている。

4月14~15日、北京で閣僚級の日中ハイレベル経済対話があった。王毅外相は日本に冷淡だった態度を変え、「中日関係は正常な軌道に戻った」と言い切った。

15日、河野太郎外相らと会談した李克強(リー・クォーチャン)首相も「正常化」という言葉を使い、両国関係が春の季節に入ったことを確認した。いずれも個人の見解ではなく、共産党内の決定を受けた発言にちがいない。

それを裏づけるように、両国の交流は次々と復活している。4月23日、約7年半ぶりに自衛隊の艦船が中国を訪れるほか、6月末に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に、習近平(シー・ジンピン)国家主席が出席することも固まった。中国の国家主席が来日するのは11年ぶりだ。

2012年秋の尖閣国有化に猛反発し、中国が棚上げした次官級、局長級のさまざまな定例協議も、相次いで再開している。両国関係はひとまず、正常化したといえるだろう。

この仲直りはどこまで本物なのか。表面だけなぞると、深まる米中対立の衝撃を和らげるため、中国が日本に打算で近づいているにすぎないようにみえる。

実際に中国共産党内では、米中は覇権争いの時代に入り、対立は長年続くという認識が主流になったようだ。そうした見方を決定づけたのが、昨年12月の米中首脳会談とその後の動向だという。

会談の冒頭、習主席は異例の挙に出た。外交筋によると、約35分間にわたり長広舌を振るい、米側が懸念する知的財産権やハイテク問題に、自ら取り組んでいく考えを詳しく説明したという。

トランプ氏を抱き込めば、貿易戦争を和らげられる……。こんな期待があったようだが、失望に終わった。米政権や米議会では対中強硬論が勢いづき、トランプ氏から簡単に譲歩を得られないことが明確になっている。

こうした事情から、日本との関係を修復し、米国の圧力をしのごうという思惑が習主席にあるのは間違いない。

しかし、中国の対日接近には目先のトランプ対策だけではなく、より深い動機もあると思う。トランプ政権が生まれるずっと前から、日中改善を探る動きが出ていたからだ。日中の政府関係者らによると、その流れはこうだ。

安倍氏が首相に復帰した12年末以降、日中の高官が極秘裏に接触を重ね、尖閣などの諸問題について一定の「了解」を交わし、関係を修復する交渉が進められた。

「了解」案はできあがり、13年3月に安倍氏と習氏側近に上げられた。すぐには合意に至らなかったものの、翌14年11月、両氏による初会談が実現し、対立に歯止めをかける流れにつながる。

次の転機は17年5月だ。中国が開いた「一帯一路」の国際会議に、安倍氏は二階俊博・自民党幹事長を送り、習氏への親書を託した。習氏は自身の訪日を含め、首脳交流を復活させる意向で応じ、修復への伏線を敷いた。

そして3つめの転機となったのが、18年5月4日、安倍、習両氏の電話だった。中国の国家主席と日本の首相が電話するのは、史上初めて。ひそかに持ち掛けたのは中国側だったという。

両首脳は約40分話し、一層の改善で一致した。が、中国側にはそれ以上の意味があった。習氏が日中の「正常化」にゴーサインを出した――。電話について、首脳部は共産党内にこんな解釈を流し、要人交流を一気に再開させる契機にしたのだという。

ここからうかがえるのは、中国を対日修復に動かしたのは、ただのトランプ効果ではないということだ。「対米けん制の対日接近」という以上の重みが、関係改善にはあるとみるべきだろう。

日中双方の話をまとめると、中国の対日融和には2つの理由がある。ひとつは12年以降、東シナ海や南シナ海で強硬な行動に走りすぎ、墓穴を掘ってしまったという反省だ。日米同盟や日米豪印の連携が深まり、中国包囲網を生み出す結果を招いた。

中国はこのため、日本との対立を制御し、関係を改善することで、日米離間を試みる路線に軸足を移そうとしている。

第2に、ここ数年、経済成長が鈍り、少子高齢化が速まるなか、中国首脳は日本の利用価値に着目しつつある。中国が安定を保つには、立ち遅れている年金や医療などの社会保障制度を、直ちに整えなければならない。この方面では「先輩」である日本との協力が役に立つというわけだ。

だとすれば、仮にトランプ氏が退場しても、日中改善の潮流がすぐに息切れすることはないだろう。ただ、それには1つ、大事な条件がある。米中対立が今の水準にとどまり、抜き差しならない新冷戦にまでは過熱しないことだ。

安全保障にかかわる分野の米中覇権争いがし烈になれば、日中の土台は揺らいでしまう。同盟国として、日本は米国に同調せざるを得ないし、そうすることが国益にかなうからである。

ハイテクや海洋秩序をめぐる米中の角逐を見る限り、そのシナリオもぬぐいきれない。逆説的にいえば、だからこそ、今のうちに日中関係が壊れないよう、耐震度を高めておくことが肝心だ。>(以上)

中共支配の中国は日本の敵国です。かつ詐騙や窃取を歴史的に得意とする国です。誠実を旨とする日本とは違うという事を胸に刻んで付き合いませんと。友好が第一ではないことを自覚すべきです。

記事

中国の農村

(福島 香織:ジャーナリスト)

中国のエリート養成機関「共産主義青年団(共青団)」が2022年までに延べ1000万人の学生たちを農村に派遣する計画を打ち出したことが、毛沢東時代の“上山下郷”運動の再来か? と物議を醸(かも)している。

習近平国家主席が第19回党大会の政治活動報告で打ち出した「郷村振興計画」に呼応した方針のようだが、文革時代のトラウマをいまだ抱える知識人層には大不評。習近平はかねてから共青団に対して辛辣な批判を公表し“共青団”つぶしに動いていたので、権力闘争ではないかという見方もある。一体、この“新・上山下郷”運動の狙いはどこにあるのだろうか。

ネットは大騒ぎ、知識人たちも敏感に反応

通達は3月22日付けで中国共産党中央から「郷村振興精神建功を深く展開することについての意見」という紅頭文件として出された(紅頭文件は、共産党の権威ある重要通達である。赤い文字で表題が書かれているため紅頭文件と呼ばれる)。

この通達が4月11日に一部中国メディアで報じられると、「大変だ! 国家が3年内に1000万人以上の青年を下放する計画を発表した」「“上山下郷”再び? 中国共産党が1000万人の青年を農村に動員!」「文革の“上山下郷”! 運動が再び!」といったコメントが相次ぎ、ネット上では大騒ぎになった。

文書に使われた「三下郷」という言葉が、まさに「上山下郷」に共通する印象であること、そして習近平政権の折からの“文革回帰”を臭わせる発言や政策に、文革時代に迫害された知識人たちが敏感に反応したのだ。

この反応に共青団はあわてて、「三下郷と下郷は違います」「通達の全文を読んでください!」と反駁していた。

「短期ボランティア」で農村振興を

通達の内容を整理すると、以下のような6大計画を展開するという話になる。

(1)農村の人文環境向上プロジェクト:農村の共青団思想政治、指導工作の価値を強化・改善し、文明的で良好で純朴な農民の風紀を育成し、農村の物質文明、精神文明を向上させるために、2020年までに累計10万人以上の青年を参与させる。

(2)農村青年の起業創業リーダー育成計画:農村に青年起業家人材の育成システムを構築するために、2022年までに県レベルの青年創業組織の構築率80%を目指す。この連絡業務に20万人のチームリーダーを送り込む。

(3)農村Eコマース育成プロジェクト:農村でEコマース創業を普及させ、良好なEコマース市場環境を構築するために、2022年までに、1万人の青年を送り込みEコマースを運用して三農(農村、農業、農民)領域で就業創業を実現できるよう連携、支援を目指す。

(4)大学、高等専門学校生を、夏休みなどを利用して、農村、特に昔の革命区、貧困地域および少数民族地域に派遣し、社会発展実践活動を実施させる。2022年までに延べ1000万人を参与させる。

(5)在外既卒青年に故郷に戻らせて就業創業の指導、支持、サービスを行わせ、郷村振興の新たな駆動力を育成する。2022年までに10万人を故郷に戻し、就業創業させる。

(6)在外学生を故郷に戻し、現代郷村社会統治システムをめぐる建設、後継の人材育成に当たらせる。2022年まで累計1万人以上の在外学生及び党員、共青団員を故郷に戻し、団幹部育成を担当させる。

この6大プロジェクトの中で特に(4)が、下放の再来だ、と知識人たちが慌てたわけだ。ただ、(4)についていえば、「知識青年たちに農村の厳しい労働に従事させて鍛える」「知識人たちの学問の機会を奪う」というかつての知識人迫害にも似た下放とは異なる。実際には、1カ月くらいの期間に、ボランティアで貧困農村、少数民族地域、旧革命聖地に行って、見聞を広めて、親が出稼ぎに行って農村に放置されている“留守児童”の面倒を見たり、家庭教師などをしたり、衛生や病気予防教育などのボランティアに従事して、習近平新時代の社会主義思想を農村に広めましょう、という内容だ。下放というよりは、農村の短期青年ボランティア募集、といった感じである。

共青団中央は、メディアが勝手に下放的なものを想像して報道しただけだ、誤解だ、と懸命に言い訳していた。だが、本当にそうなのだろうか。

知識人への迫害だった“上山下郷”運動

ここでかつての下放、正式名称“上山下郷”運動について少し振り返っておきたい。上山下郷とは1956年頃から70年代まで続いた政治運動で、都市の知識青年を農村に送りこみ定住させ、労働させるというもの。

理論上は、この運動によって“三大差別”、つまり、工業従事者と農業従者の格差、都市と農村の格差、体力と知力の労働差別を縮小できるという話であった。だが、文革が始まると“黒五類”(地主、富農、反革命分子、悪徳分子、右派)家庭の子女の“労働改造”的な意味合いをもつようになり、特に知的に成熟した右派家庭の子女に対して、農村労働を通じて、自らの思想の汚れを“清め”るために自ら“希望”して農村に行くことが強要された。実質は“知識人迫害”であった。

一方、文革初期は、自分たちが黒五類でないことを証明するために“紅衛兵”となり、望んで黒五類を迫害する側に立つ知識青年も大勢いた。この結果、アカデミズムは10年に及んで機能不全に陥り、中国の知的発展を長きにわたって停滞させた。この文革期だけで下放された知識青年は1600万人以上という。

ただ、今も上山下郷運動の擁護派はいて、この運動によって、農村の小学校入学率が劇的に上がり、農村の基礎学力のレベルが上がったとポジティブな評価をしている。また、大学入試が停止されたことで大学生は10万人にまで減少。農村と都市の学力差は、都市のレベルを引き下げることで確かに“格差是正”に働いたことになる。

この上山下郷を経験してきた、今の60歳代以上の知識人にしてみれば、「あの悪夢をもう一度繰り返すのか」ということになる。中国メディアの上層部はまさにその世代である。だから、中国メディアも批判的に報じたわけだ。

失敗した「農村を都市化する」政策

では、突如、共青団がこうした“計画”を発表したのは一体どういうわけだろうか。まさか、本気で、こんなやり方で農村振興が実現すると思っているのだろうか。

このテーマについて、在外華人評論家たちがいろいろな分析を試みている。いくつか興味深い見立てを挙げてみよう。米国在住の何清漣は、ネット華字メディア「大紀元」への寄稿「偽都市化への反噬(はんぜい=逆襲、反抗)」の中で、今回の共青団の計画発表と、それに対するメディア、知識層の過敏な反応は、失業圧力が引き起こした生存パニックの感がある、と何清漣は分析する。

今や中国の都市化率は6割近くに上り、都市人口はこの40年で4倍に増加した。このため、都市の就職難は極めて深刻化している。毎年800万人以上の新卒者があり、さらに最近は海外留学生も帰国者が増え、加えて経済の低迷が重なり、すでに1000万人以上の知識層が就職できずに都市に滞っている。一方、出稼ぎ農民の失業も深刻で、昨年だけで740万人の出稼ぎ者が農村に返された。だが、農村でそれだけの雇用創出は簡単ではない。そこで、都市の優秀な知識青年に農村で起業・創業させようというわけだ。

いわば、日本の「地域おこし協力隊員」みたいなものだろうか。何清漣は、今の中国が直面しているこうした問題の背景に、“偽都市化”政策の失敗があり、そのツケが来ているのだ、と見ている。つまり「農村を都市化する」政策が農村の崩壊を招き、レベルの低い地方都市を増産した結果、不動産バブルと失地農民問題を引き起こし、都市の深刻な失業問題と農村の雇用喪失という現状につながっているというのだ。

なんとかして生き残りたい共青団

一方、やはり米国在住の政治評論家、陳破空は、権力闘争が背景にあるとみる。彼は、ほぼ同時期に国務院発展改革委員会が「都市移住者に対する戸籍制限の緩和」政策を打ち出したことに注目し、権力闘争の構図を次のように説明する。

「都市の知識青年の農村派遣」と「農村からの都市移住者の戸籍制限緩和」という対立する政策は、習近平のブレーンとしてイデオロギー政策を主管する王滬寧と、改革派の李克強のそれぞれの異なる路線を代表する政策である。習近平政権の毛沢東回帰的イデオロギーを推進する王滬寧は、李克強が主管する国務院による農民の都市移住を促進する「戸籍改革」路線を批判する意味を込めて、共青団にこの計画を発表させた。つまり、これは一種の権力闘争の激化の表れである、という。

また、習近平の共青団支配の一環ではないか、という見方もある。在米の中国民主活動家、楊建利は「文件をよくみれば、“1000万人下放”というのは正しくなく、実際のところは30万人未満の規模の計画だ。だから、これは典型的なイメージ工作であり政治的動揺の表れ、といえる」。つまり共青団が習近平に忠誠を誓っているのだと宣伝したいわけだ。

一般に共青団は、胡耀邦が作り、胡錦濤、李克強が指導してきた「改革派」集団というイメージがあった。だが、習近平は、優秀な知識エリート然としている共青団に対して強い敵意をもち、政権の座についてからは共青団に圧力をかけ続けてきている。共青団幹部に「党中央の後継者になれるという幻想は捨てよ」と言い放ったこともある。共青団は中央規律検査委員会から「機関化、行政化、貴族化、娯楽化」していると強い叱責を受け、一時は共青団解体説も出ていた。そこで、共青団は生き残りのため、習近平におもねる文革的政策に迎合する政策を打ち出してみせ、習近平の神格化路線に貢献する姿勢をアピールしている、というわけだ。

習近平政権は、都市部の大量失業者、とくに知識層と大量の失業出稼ぎ農民が結びつき、反体制的な運動でも起こすのではないかと恐れている。だから、習近平から敵視されている共青団は、習近平政権には盾突く意思がないということをことさら示す必要があったのかもしれない。

習近平に対する高度な“褒め殺し”か?

かつて王滬寧の教え子でもあったニューヨーク市立大学教授の夏明は、習近平の神格化キャンペーンであった“梁家河”に通じる、と指摘する。梁家河とは、習近平が文革時代下放された北陝の農村で、この地を聖地として、習近平の精神を学ぶぼうというキャンペーンそのものをさす。党内から習近平の個人崇拝が行き過ぎる、と強い批判が出て、昨年(2018年)夏以降は下火になった。

夏明が可能性としてほのめかすのは、言ってみれば一種の“高級黒”ではないか、ということだ。高級黒とは、一見持ち上げてみせるが、実のところ足を引っ張る高度な批判、妨害レトリックである。すなわち、共青団が“梁家河”を持ち出して習近平にすり寄るようにみえても、結果的に知的中国人たちや国際社会の間で「習近平がまた文革みたいなことをやろうとしている」という警戒を生み、習近平の批判増大、習近平路線の妨害につながる、というわけだ。

同時に夏明は、李克強が推進してきた「農村の都市化」政策が失敗に終わり、昨年、1300万人大卒者の就職問題に直面している状況が背景にあるとも分析している。

党主導による“計画”の限界

“下放計画”が突然メディア上で盛り上がり物議を醸した要因は、1つではなく、以上の背景が複合的に絡んでいるのだろう。

いずれにしろ、政治的な意味合いは別として、純粋にこの政策が農村の振興、雇用創出や農村の経済・文化的水準の向上効果につながるか、というと疑わしい。

おそらくは、これまでの「農村の都市化」政策の失敗がはっきりしてきたので、発想を裏返しにして考えた政策であろうが、なぜ「農村の都市化」政策が失敗したのかを踏まえていない。失敗の最大の原因は、党の主導で行われた“計画”だからではないか。

人が自由に移動し、自分でチャンスと夢を見出し、自由意志で頑張らない限り、本当の発展は手に入らない。それは個人レベルでも、都市レベルでも、国家レベルでも同じことだろう。自由と希望がないところに発展チャンスはない。そして、都市でも農村でも、人々から一番自由と希望を奪っているのは習近平政権の独裁的支配そのものではないだろうか。

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