『北京で18年ぶりに発生「6万人集団陳情」の裏側 「法輪功以来」「マルチ主催者逮捕」「弱者大行進」…』(8/2日経ビジネスオンライン 福島香織)、『幹部釈放を求め「ねずみ講」会員6万人が北京へ 中国が最も忌避する集団抗議行動の顛末』(8/4日経ビジネスオンライン 北村豊)について

今回の内閣改造で、安倍首相が「内閣は経済優先、憲法改正は党と国会に」というのを聞いて5/3憲法記念日の発言は何だったのかとの思いです。今改造が内閣支持率を上げることを狙いとするのであれば、本末転倒でしょう。そもそも敵が総力を挙げて憲法改正に反対して来るのは目に見えていた筈で、何の予防策もなく発言したとしたら、驕りでしょう。特に森友で攻撃を受けていた時期でしたので。

メデイアは第四の権力と言われますが、実は第一の権力なのでは。三権の内の、行政府や立法府に選挙時や世論と言う形で影響を与えることができます。フエイクニュースが多いことに、国民自身が気付くようにならないと、健全な民主社会は出来ません。所謂従軍慰安婦をでっち上げた朝日新聞を読んでいる人が結構いるのですから。余りにもgullible です。

思い起こすのは、第二次ポエニ戦争で、ハンニバルがスキピオに敗れたときに、ローマの言う通りの条件を飲まされました。その一部分は、日本国憲法そっくりの「カルタゴはローマの許可なく戦争はできない」という代物でした。結局、第三次ポエニ戦争でカルタゴはローマに滅ぼされることになります。

結局、有事の際(朝鮮戦争の可能性大)は今の憲法のままで自衛隊は戦うことになるのかもしれません。憲法学者が自衛隊は違憲であると主張しているにも拘らず。それであれば、自衛隊は超法規的存在として戦わせないと。戦闘が始まって、日本の国内法を適用は出来ません。憲法改正は自民党と国会が発議に動くかに移りました。党と内閣の役割分担の形にしました。まあ、国会に日本共産党と反日民進党がいる限り、無理と思っています。彼らは中共の手先ですから。国民は朝鮮で戦争が起き、ミサイルが日本に飛んできて犠牲者が出たときに初めて気が付くのでしょう。反日メデイアと在日朝鮮半島人が自衛隊出動を邪魔する可能性があります。政府は、反対派が沖縄基地に押し掛けて物理的な邪魔をしたら、警察は即逮捕できるように、県警本部長によく教えておくことです。

8/3NHKニュース5:35AIキャラクターが中国共産党を批判 サービス停止に

 中国の大手IT企業、テンセントが運営している、インターネット上で一般の人たちと会話する人工知能のキャラクターが、中国共産党について、「腐敗して無能だ」などと批判したことから、このサービスが停止され、話題になっています。

中国の大手IT企業、テンセントは、ことしからインターネット上で一般の人たちが人工知能のキャラクターと会話できるサービスを無料で提供しています。

このサービスでは、人工知能のキャラクターが天気や星占いなどを紹介するほか、利用者との会話を通じて学習しながら、さまざまな話題について意見交換することができます。

香港メディアによりますと、このサービスで、「中国共産党万歳」という書き込みがあったのに対し、人工知能のキャラクターは、「こんなにも腐敗して無能な政治に万歳するのか」と反論したということです。

また、習近平国家主席が唱える「中国の夢」というスローガンについて意見を求められると、「アメリカに移住することだ」と回答したということです。

こうした回答について、インターネット上での反響が大きくなったことから、テンセントは、先月30日、サービスを停止しました。

中国では、習近平指導部のもと、言論の自由への締めつけが強まっていて、中国版ツイッター「ウェイボー」では、「人工知能の死を心から悼む」とか、「人工知能が当局から呼び出された」などといった書き込みが相次ぎ、話題になっています。>(以上)

8/4日経朝刊中国・テンセントに相次ぐ批判 AI対話サービス一部停止 背景に党内の権力闘争か

時価総額が40兆円を超え、業績好調な中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)に逆風が吹いている。同社が提供するスマートフォン(スマホ)向けなどの交流サイト(SNS)や主力ゲームのサービスが共産党や当局から相次ぎ批判を受けた。最近の矢継ぎ早のテンセント批判には不自然さが拭えず、政治的な思惑もありそうだ。

テンセントのスマホ向けAI対話サービス「小氷」。対話をすると、共産党の批判はしないよう改善されている…

テンセントで最近、問題となったのが、同社がスマホ向けなどに提供するSNSサービス「QQ」だ。「小氷」(女の子のキャラクターの愛称)と呼ばれる人工知能(AI)の女の子とスマホ内でチャット形式で気軽に会話を楽しめるもの。

だが中国の利用者が「小氷」に対し、「共産党万歳」などと話しかけると、「(君は)腐敗した無能な政治に万歳できるのか」などと過激に答えることが問題視され、テンセントが同サービスの一部停止を迫られた。

ただ同社提供の最も有名なSNS「微信(ウィーチャット)」では現在も同サービスを提供中だ。ただし「小氷」に「共産党万歳」と同じ話題を振っても「私はまだ幼いからよく分からない」とはぐらかす。しつこく聞くと「あなたは一体何が知りたいの」と答えるなど改善がなされている。

主力のゲーム事業でも7月、党機関紙の人民日報から痛烈な批判を受けたばかり。大ヒットの同社のスマホゲーム「王者栄耀」のやりすぎで、父親に叱られた少年が自殺したことなどを例に挙げ、異例の批判を展開した。テンセントは子供のゲーム利用に制限をかけるなどの対応を迫られた。

さらに同月、北京市当局がスマホを通じて提供する同社の低俗な内容のニュースや情報を問題視。大量のアカウントが閉鎖された。

中国ビジネスでは常に政府との距離感が重要で「矢継ぎ早のテンセント批判には何か政治的な思惑が働いている」(業界関係者)との指摘が少なくない。

中国では「大手企業の影には必ず大物政治家あり」といわれる。5年に一度の党大会を今秋に控え、権力闘争も激化している最中だ。「権力闘争に有力企業が巻き込まれるケースは珍しくない」といった見方もある。(広州=中村裕)>(以上)

テンセントの記事を読んで、人間よりAIの方が賢い印象を持ちました。シンギュラリテイの問題は2045年に起こると言われていますが、もっと早くなるのでは。しかし、人間の方は人権弾圧を止めない共産党政治を止めることができないでいるのですから。

次は、「善心滙」についての記事です。7/25大紀元<中国北京で6万人が抗議活動 近年最大規模>

http://www.epochtimes.jp/2017/07/28051.html

福島氏、北村氏の記事も「善心滙」というねずみ講組織の記事です。ねずみ講はなかなかなくなりません。日本でもマルチ商法のアムウエイがそうでしょう。またチエーン・メールも金儲けとは別ですが、連鎖反応を起こすという意味では似た所があります。

https://matome.naver.jp/odai/2140914475458485301?&page=1

中国人の「共産党政府は個人に損をさせない」という思いが、共産党の経済政策の手足を縛り、本来マーケットメカニズムに委ねるべきところを、政府管理として価格操作しまくっています。不動産や株がそう。でも、暴落を先送りしているだけですから、本当に暴落すれば、程度は激甚となります。リーマン以上になるでしょう。

法輪功という宗教弾圧と違い、善心滙はねずみ講という違法組織ですから、法に則って処分を受けるのは仕方がありません。「騙される方が馬鹿」と言うものです。

福島氏の記事のように、北戴河、党大会と続くこのタイミングで6万人も北京に動員、幹部を逮捕というのは権力闘争が絡んでいると思います。いくら老人や婦女子、身障者が大部分とはいえ、治安維持最優先の中国ではそれ以外考えられません。ただ、誰が裏で糸を引いているかまでは分かりませんが。

福島記事

仕掛けたのは胡春華か、習近平か(写真:ロイター/アフロ)

7月下旬、北京で18年ぶりに大規模な民衆の集団陳情が発生したことは、日本メディアでも報じられた。善心滙という組織が陳情元だ。動画サイトに、その様子の映像が何本もあがっているが、数千人から6万人規模が最高人民検察院前や大紅門など四か所に集まった模様だ。ネットに投稿された現場映像をみれば、車いす姿の男性や老人らが社会的弱者が中心で、涙声で義勇行進曲をうたいながら陳情する様子は異様であり、何かしら背景がありそうな気にもさせられる。1999年に北京で発生した法輪功の集団陳情事件以来の規模といわれる事件の裏側に何が見えてくるだろう。

義勇行進曲を合唱、泣き叫びながら

事件は7月23日から24日にかけて起きた。北京大紅門国際会展中心、最高検察院、天安門広場などに群衆が続々と集まり、座り込みを始めた。メディアの注目を集めたのは北京市中心部の最高検察院前で数千人規模だったようだが、南郊外の北京市豊台区の大紅門あたりでは数万規模に膨れ上がり、地下鉄が臨時封鎖され、千人以上の公安警察が出動し大量のバスを用意して強制排除し、逮捕者60人を上回る大事件となった。彼らは善心滙の投資者であり、善心滙の法定代表人で現在公安当局に拘留中の張天明ら幹部の釈放を陳情するために、全国各地から北京に結集していたのだった。善心滙の発表では、およそ6万人規模の集団陳情だったという。

車椅子姿や身障者が目立つ集団で、国歌である義勇行進曲を合唱しながら、「習近平万歳」「習近平:法に基づいた適時の解決を合理的に求める!」「邪悪は正義に勝てない」などといった横断幕を掲げ、スローガンを叫び、まるで葬式行列のように泣き叫びながら、「張天明は善人です」「彼を釈放して」と訴えていた。それはまるで新興宗教のようでもあり、1999年4月25日の法輪功の中南海包囲事件の再来をみるようでもあった。権力闘争の天王山ともいえる北戴河会議、秋の党大会を前にしたこの時期の北京でこれほどの規模の集団陳情が起きるなど、その背景を勘ぐらずにはいられない。

善心滙とはいったい何なのか。正式名称は“深圳善心滙文化伝播有限公司”。深圳市を拠点にするマルチ商法、ピラミッドセーリングの企業らしい。2013年に資本金100万元(うち張天明の出資は51万元)で登記されたときは「文化活動、展覧展示、会議、企業イメージ、マーケティングなどの企画会社」ということで、葬儀などのセレモニー企画などを行う会社だった。だが7月21日付けの新華社によれば、この企業の法定代表人、張天明らが違法な連鎖販売取引(ピラミッド・セーリング、ネットワークビジネス、マルチ商法)組織を運営していたとして逮捕された。

会員600万人、寄付金100億元以上

善心滙のサイトなどによれば、サイトを通じて「寄付」を振り込めば、数十日後に一定の割合のキックバックがあり、「寄付」金が多いほど、キックバック率は低く、これによって金持ちの儲けは少なく、貧困者がより多く儲けることができるという慈善理念が実現できるという。

「寄付」者は会員となり、会員同士は家族のように相互扶助関係にあるという。寄付は「善心幣」と呼ばれる一枚100元の特殊通貨で行われ、キックバックは6等級に分かれる。貧困区という一番安い「寄付」額は3000元で、一カ月後には1600元が「受助」という名目で返金される。5万元の富裕区の「寄付」をするとおよそ10%の5000元が受け取れる、ということになる。会員になると、さらに多くの会員を勧誘することが奨励され、増やした会員の寄付額の3~6%を受け取れるという。いわゆるネズミ講だが、これを善心滙は「循環経済」「会員互助」と呼んだ。会員はすでに全国で600万人を超え、集められた寄付金は100億元以上、創始者の張天明の口座には10億元以上の預貯金があったとか。

中国公安当局はこれを違法商法として7月17日、張天明を逮捕した。この逮捕と容疑が21日に発表されると、全国から会員が、張天明の釈放を訴えに続々と結集したというわけだ。

この北京の事件前に前触れの事件があった。湖南省永州の公安局が6月4日、地元の善心滙の銀行口座を凍結し、幹部8人を逮捕したのである。これに対し、張天明は微信を通じて、4月から永州公安当局および工商局が善心滙に対して「保護費」(みかじめ料)として2000万元をゆすっていたが失敗し、口座凍結はそれに対する報復であると見解を会員に対して発信。会員たちに永州に結集し、善心滙を守ろう、と呼び掛けた。この結果、6月9日にはおよそ3万人の会員が湖南省長沙市政府前などで集団陳情を行った。このとき、掲げていた赤い横断幕には、「永州の黒勢力に戦いを宣言する」といったものに交じって「熱愛共産党 熱愛祖国」「社会主義の核心価値を実践する」といった愛国スローガンも多くあった。

おそらく、この事件は、一言で3万人の大衆を結集させる煽動力のある人間の存在を知らしめたという点で、中央政府を焦らせるには十分だったろう。それから一か月あまりして、当局は張天明の逮捕に踏み切った。

政府お墨付きの印象から一転

ちなみに張天明がここまで影響力を持つに至った背景には共産党中央に原因もある。善心滙はCCTVに一度ならず紹介されたことがあり、いかにも政府のお墨付きである印象を与えていた。

たとえば、今年1月9日付けのCCTV番組「指導者は語る」に張天明が出演した。善心滙が中国で唯一の公式婦人団体である中華全国婦女連合会(婦女連)が運営する慈善基金会・中国婦女発展基金会に1000万元を寄付したことを受けて、張天明がキャスターからインタビューを受け、「扶貧(貧困を助ける)」ことが新しい経済循環システムを生むという善心滙のビジネス概念を説明していた。2017年1月時点で100万人であった会員数はCCTVで紹介されたことで、一気に500万人以上に膨れ上がった。善心滙はこのほか、海南障碍者基金会など政府系慈善基金に大口の寄付を行い、海南衛星テレビなど公式メディアにポジティブに報道されていた。

このように今年初めまでは、政府系慈善団体、政府系メディアに肯定されていた善心滙が、いきなり詐欺集団に指定され、取り締まられている経緯は、当局に健康法として当初推奨されていた法輪功が1999年を境に突如邪教扱いされた経緯とよく似ている。善心滙は仕組みを聞けば間違いなく怪しげな“マルチ”だが、投資ではなく「寄付」「慈善」という名目で金を集め、実際に中央の慈善基金に寄付をしているわけだから、会員たちにしてみれば、突然の逮捕、および100億をこえるといわれる資金が当局によって差し押さえられたことに納得いくわけがない。そもそも、中国紅十字会(赤十字)や婦女連といった中央の慈善機関ですら、寄付金の使われ方が不明瞭で、利権の温床だという噂が絶えない。豊富な資金力で中央の慈善機関とも癒着し、中央メディアの推奨も受けたとなると、優れた洗脳力と煽動力も併せて、公式の慈善機関との線引きは庶民にはわかりにくかった。

善心滙に虎の子の財産を投じてキックバックに期待を寄せていた庶民の会員たちにしてみれば、政府が善心滙の資金を横取りし、自分たちの儲けのチャンスが奪われた、という不満が残るわけだ。その前に、湖南省公安当局が2000万元の「保護費」を善心滙にゆすっていたという“噂”が流れていたのだから、なおさら今回の中央の処理に不信感が募ることだろう。それが、法輪功以来の大規模集団陳情の背景といえる。

金の恨みと党中央への不信感が背景にあるのだから、もし張天明の身柄が公安当局の手に落ちず、海外にでも資金とともに逃亡していたら、ひょっとすると法輪功並みの反共組織に変わっていたかもしれない。

党中央にとって幸いであったのは、張天明の逮捕に成功したことだった。逮捕された張天明は警察の取り調べに罪を認め、7月28日のCCTVでは、「3M(ロシアのネットワークビジネスMMM)からヒントを受けた。善心滙は確かにマルチ商法だった」「設立当初、個人的利益を得た」と張天明が罪を認める映像も流され、突然、資金を失った会員たちの怒りの矛先も、彼らが全面的に受ける形で収まったようだ。

異見を持つ胡春華が仕掛けた?

ところで、ここで、善心滙の摘発が、なぜ今、このタイミングであったか、ということに疑問を持つのがチャイナ・ウォッチャーの習性である。つまり、なぜ北戴河会議、党大会という、政権の行方を左右する会議前のこのタイミングで、中国政府はなぜ張天明逮捕に踏み切ったのか。1月にCCTVが張天明の宣伝に加担したこと、6月に発覚した公安当局の保護費問題と会員3万人の集団陳情、7月の張天明逮捕と首都北京で起きた数万人規模の集団陳情、なんとなく複雑な裏がありそうな、もやもやしたものを感じないだろうか。

私にはそのもやもやの正体はわからないが、薄熙来事件の内幕を暴露したことでも知られる在カナダ亡命ジャーナリストの姜維平が興味深い発言をしていた。

「一つの分析は、権力闘争が関係あるという見方だ。…孫政才の処分発表と時期が重なっており、これに異見を持つ胡春華が仕掛けたのではないか」。

根拠は比較的薄弱である。大規模陳情が起きた24日は、孫政才の処分発表が行われた日であること、善心滙の拠点が深圳市、つまり胡春華が書記を務める広東省にあったことなどだ。

善心滙の動きについて、胡春華が把握していなかったとは考えにくい。今や全国各地で社会秩序を乱しかねない集会に対しては警察が目を光らせている時期なのに、全国から数万人が北京に結集することを公安当局は本当に把握できていなかったのか。長距離交通機関には身分証明のチェックも監視カメラも山ほどあり、不穏な動きは事前にたいていキャッチできる。このことから、広東省やその他地方の公安当局者らは、彼らの北京入りを見て見ぬふりをしていた可能性も考えられる。胡春華、あるいは一部地方の指導者、公務員たちは習近平政権の孫政才に対する処分に対し異議があり、その抵抗の意を示すため、あるいは自らの影響力を誇示するために、この集団陳情は仕掛けられたものではないか。

確かに、この集団陳情は翌日には63人の幹部たちが社会秩序を妨害した容疑で逮捕されたほか、30日までに、胡春華の指示で広東省内で230人の幹部会員が逮捕された。胡春華の“事後処理”の素早さも、なんとなく事前に準備していたのではないかと疑わしく思えるのである。孫政才の処分については26日までに全国の省・区・市の書記らが次々と支持を表明する中、広東省の胡春華は態度を保留していた。28日になって遅れて支持表明したが、胡春華が孫政才の処分に不満を抱えているのはなんとなくうかがえる。

習近平側が仕掛けた?

ただ、私個人の見方をいえば、同じ論法で、習近平側が仕掛けた可能性も説明できる。習近平が将来を嘱望している馬興瑞は2015年に深圳市長となり2016年から広東省長に出世している。彼は次の党大会で広東省書記に出世するかもしれない。習近平は広東省の内側から馬興瑞を通じて、胡春華のアラを探しており、胡春華の足元を動揺させるために、7月17日に張天明の逮捕によって広東を中心にはびこる違法マルチ商法“善心滙”の悪事を暴いた、という可能性である。その前の6月の湖南省永州市の公安局による“ゆすり”問題のとらえ方も、ちょうどこの地域は江沢民派官僚から習近平派官僚が権力を奪おうと仁義なき闘争を展開中であることを考えると、権力闘争くさい。

なんでも権力闘争に関連づけるのは、私たちの良くない癖ではあるが、政権のお膝元・北京で数万人規模の集団陳情事件が起きたことは異常事態であり、素直に偶発事件という見方はなかなかできないのである。しかも、敏腕ジャーナリストの姜維平が権力闘争説に言及しているとなれば、なおさらである。

たとえ権力闘争と関連づけなくても、今回の一連の事件は、中国社会のいびつさ、危うさを反映している。弱者救済をうたったネズミ講、マルチ商法がはびこるのは、それだけ社会、経済の先行きが不安定であり、弱者があふれ、共産党の執政に対して疑心が起きているからだ。習近平政権は決して大衆の支持を得ていないし、基盤が強固だとも言い難い。党大会前にまだ、何が起きるかわからないし、無事に党大会が行われた後も、まだ何が起きるかわからないのである。

北村記事

7月24日、北京市の中心に所在する“天安門広場”から南へ約6kmに距離にあり、“南三環路(南第三環状道路)”の外側に位置する“大紅門国際会展中心(大紅門国際会議展覧センター)”(以下「大紅門センター」)の周囲には“善心滙文化傳播有限公司”(以下「“善心滙(ぜんしんかい)」)の会員数万人が集結し、「“善心滙和天下永遠跟党走(善心滙と天下は永遠に中国共産党と共に歩む)”」などと書かれた横断幕を掲げ、善心滙幹部の釈放を要求する請願のシュプレヒコールを繰り返した。

この請願の起因となったのは、6月4日に湖南省“永州市”で発生した事件だった。

7月21日、北京へ集結せよ

6月4日、“永州市公安局”は“傳銷(ねずみ講)”の疑いがあるとして善心滙に対して2000万元(約3.2億円)以上の“保護費(用心棒代)”を支払うよう要求したという。善心滙の代表で“董事長(理事長)”の“張天明”がこれを拒否すると、翌5日の夜に永州市公安局“経偵支隊(経済犯罪捜査チーム)”の隊員が善心滙の本部がある広東省“深圳市”へ出向き、善心滙のデータセンターから技術者8人を連行すると同時に張天明を含む善心滙の幹部職員数名を逮捕し、併せて詐欺の名目で善心滙の資金1.1億元(約17.6億円)を凍結して善心滙の運営を危機に陥れた。

これに抗議した善心滙は全国各地の会員に対して湖南省の省都“長沙市”へ集結するよう招集をかけ、6月9日、10日の両日にわたって善心滙は長沙市政府庁舎前で抗議集会を行い、張天明以下の善心滙職員の釈放を要求した。拡声器を使ったリーダーの音頭に合わせた1万人以上の会員によるシュプレヒコールは市政府庁舎周辺に響き渡り、市民を驚かせた。この抗議活動が功を奏したのか、数日後に張天明以下の職員は釈放されたが、7月に入ると中央政府“公安部”は善心滙を“非法傳銷組織(非合法なねずみ講組織)”と認定して張天明以下の幹部職員を逮捕した。

7月20日、善心滙は会員たちに緊急通知を出し、7月21日に北京市へ集結して関係当局に対し張天明以下の幹部職員の釈放を要求すること、また会員が立て替えた旅費は後日精算する旨を連絡した。こうして7月21日から善心滙の会員たちが三々五々北京市入りし、“西城区永定門”に所在する“中国共産党中央紀律検査委員会”(以下「中紀委」)などに集合して善心滙幹部職員の釈放を要求する請願運動を展開した。22日も請願運動は中紀委ビル前などで継続して行われたが、23日には請願場所を天安門広場へ移し、デモ行進が禁止されている天安門広場で会員たちは“紅歌(共産党をたたえる歌)”を歌いながらデモ行進を行った。

一方、公安部は7月21日付で、全国各地の公安機関に対して次のような通達を出した。

(1)広東省深圳市にある善心滙の代表である張天明などがねずみ講活動を組織、指導するなどした犯罪に対する調査が進行中であり、張天明など多数の犯罪容疑者にはすでに法に基づき刑事強制措置が取られている。

(2)初歩的調査で、張天明などは“扶貧済困、均富共生(貧困救済により等しく富んで共に生きる)”などを表看板に人員参加のねずみ講活動を画策、運営、発展させ、巨額の財産を騙し取った容疑が明らかになった。

(3)近年来、ねずみ講犯罪が多発しており、不法分子は犯罪手法を絶えず変え、“金融互助”、“愛心慈善(他人への思いやりの慈善)”、“虚偽貨幣(仮想通貨)”、“電子商務(電子ビジネス)”などの各種名目で、ねずみ講活動を画策、組織し、庶民財産の安全を甚だしく侵害し、経済社会秩序を深刻にかき乱している。

63人を刑事拘留、4人を治安拘留

こうして迎えた7月24日、善心滙は北京市入りした会員たちを上述した大紅門センターへ集結させ、張天明以下の幹部職員の釈放を要求する請願運動を大々的に展開した。メディアが報じたところでは、大紅門センターの周囲に集結した善心滙会員の数は6万人に上ったというが、彼らの大部分は老人や婦女子、身障者であった。大紅門センター前の広場に入り切れなかった会員たちは、周辺の道路の両側に横断幕を掲げて立ち並び、通行する車両や人々の注目を浴びた。

同日、北京市当局は数千人の警察官を配備して善心滙による請願運動の警戒に当たらせたが、北京市幹部が請願運動のリーダーと面談した後、北京市当局は手配した100台以上の大型バスで善心滙会員たちを移動させ、会員たちをそれぞれの居住地へ送り返した。この際、会員たちと警察官との間に衝突は発生せず、会員たちは素直にバスに乗って帰路に着いたという。

7月26日、北京市公安局は次のような発表を行った。

近頃、一部の扇動された善心滙会員が上京して違法な集会を行った件に対して、公安機関は迅速に行動し、現場秩序を有効に維持し、首都の安定と人々の安全を確保した。個別の問題を起こしたり、警察の指示に従うのを拒否した者たちに対しては、法に照らして強制隔離審査を行っている。7月26日までに、63人の犯罪容疑者を社会管理秩序妨害罪の容疑で“刑事拘留”しており、4人を公共場所の秩序を乱した違法行為により“治安勾留”している。

ところで、公安部によって「非合法なねずみ講組織」と認定された善心滙とは何なのか。

善心滙は2013年5月24日に張天明などによって登録資本金5万元(約80万円)で設立された。企業登記は深圳市の“市場管理局福田局”でなされたが、その経営範囲は、文化活動、会議、展覧展示、企業イメージ、市場販売などの企画となっていた。善心滙代表の張天明は1975年生まれの42歳、黒龍江省ハルビン市の出身で中学卒業の学歴しかない。彼はかつて衣料品や浄水器などの商売を行っていたが、2013年頃に深圳市宝安区へ移り住み、いくつかの事業に手を出した後に善心滙を設立した。

彼を知る人物によれば、張天明は話が上手く、人当たりは良いが、ほら吹きで、100万元(約1600万円)の事を他人には500万元(約8000万円)と言うのだという。また、常々自分は39件の特許を持っていると言っているが、これは全くの嘘である。さらに、彼は何かを考え出しても、自分ではやらず、大風呂敷を広げて、他人にやらせるのだという。

「ほら吹き」が集めた会員は500万人超?

そうした話上手で愛想が良く、虚言癖がある張天明が代表を務める善心滙は、2016年5月からインターネットを通じた投資事業を開始した。それは“貧困救済、均富共生”を表看板にして、慈善を名目に出資を募る投資事業であったが、その実態は高収益を餌に庶民の出資を煽るねずみ講であった。その方式は中国のことわざで言う“拆東墻補西墻(東の壁を壊して西の壁を補修する)”であり、日本語なら自転車操業と言うべきもので、投資者から預かった出資金を運用することなく他の投資者へ配当金として支払う「ポンジ・スキーム(Ponzi scheme)」と呼ばれる典型的な詐欺ビジネスである。

2017年7月時点で、善心滙の会員は全国各地に500万~600万人いると言われている。事業を開始した2016年5月からわずか1年3か月の間にそれだけの会員を獲得したのは驚くべきことだが、そこには人々が競って会員になる理由があった。善心滙は会員による投資を慈善のための寄付という名目で“布施”と呼び、投資の見返りとして受け取る利益を寄付受領の意味で“受助”と呼ぶ。善心滙の会員になるには、会員の推薦を受けた後に年会費300元(約4800円)を支払えば良く、会員番号を取得すれば下図のような投資コースを選択することができる。

特困区と貧困区を総合して“貧窮区”と言うが、これは貧困者向けの投資コースである。小康区の“小康”とは「まずますの生活レベル」を指し、中産階級向けコースである。富人区は富裕階級向けコース、特善区は超富裕階級向けコースである。善心滙の表看板は貧者救済であるから、貧困者には最高30~50%と高い収益率を設定し、中産階級には最高20%、富裕階級には最高10%、超富裕階級には最高5%をいう形で、段階的に収益率を低くした。会員は新たな投資者を入会させれば、新規会員が投資した金額の2~6%を“布施”として受け取ることができるから、新規会員の獲得に励む。これが事業開始からわずか1年2か月で、善心滙が500~600万人もの会員を擁するようになった理由である。

会員は230万人余、資金不足は92億元

世の中に3000元(約4万8000円)を投資して、20日後には900元(約1万4400円)の収益を加えた3900元が支払われるなどというおいしい儲け話はあるはずがない。しかし、張天明は2017年1月10日に“中国婦女発展基金会”へ1000万元(約1億6000万円)を寄付して「特定項目救助基金」を設立するなど、善心滙の知名度を上げる戦略を展開することによって新規会員の獲得に注力したのだった。それもそのはずで、新規会員の加入が急減、あるいは途絶えれば、ねずみ講である善心滙の運営が立ち行かなくなることは、張天明自身が一番良く知っていたからである。

中国国営の「新華社通信」は7月28日付で「善心滙によるねずみ講事件」に関する公安部の調査状況を報じた。それによれば、張天明が善心滙の投資事業として宣伝していた案件のほとんどは有名無実であり、投資先としていた企業はどれも名ばかりのペーパーカンパニーだった。また、6月1日時点における善心滙の会員は230万人余りで、会員資金の不足は92億元(約1472億円)に達していた。遅かれ早かれ、善心滙は資金が回らなくなって崩壊する定めだったが、可哀想なのは虎の子の資金を騙し取られた会員たちである。彼らは善心滙と張天明を信じ、長沙市や北京市に集結して張天明以下の善心滙幹部の釈放を要求したが、結果は北京市で67名が拘留されただけで、得た物は何もなかった。

さて、今から18年前の1999年4月5日、吉林省出身の李洪志が創始した宗教的な気功集団「法輪功」の学習者たち1万人が、公安警察による干渉や嫌がらせを止めるよう陳情して、中国共産党や中国政府の重要機関が所在する「中南海」を取り囲む事件が発生した。彼らは静かに座り、気功の練習をしたり、読書して、その日1日を過ごしただけだった。しかし、公安警察が事前に察知することなく、ある日突然1万人もの群衆が中南海を取り囲んだことに、中国指導部は驚愕し恐怖を覚えた。それは1989年6月4日の「天安門事件」発生前に北京市内に溢れた一般大衆によるデモ行進を連想させたし、歴代王朝が政権に不満を持つ庶民の蜂起によって崩壊したことを想起させたのだった。

歴史は繰り返す

それから1カ月半後の7月20日、公安部は全国各地で法輪功の主要幹部を力ずくで連行して拘束した。その2日後の22日には、時の中国共産党総書記“江沢民”が『“関于取締法輪大功研究会的決定(法輪功取締りに関する決定)”』を公表して法輪功の学習者たちに対する弾圧を開始した。当時すでに活動の拠点を中国から米国へ移していた創始者の李洪志は、これを機に米国の永住権を取得して現在も米国に滞在している。また、中国国内にいる法輪功の学習者たちに対する弾圧は今なお継続されている。

上述した善心滙のケースを見ると、公安部が善心滙を「非合法なねずみ講組織」と認定したのが7月21日であり、違法な集会を行って社会秩管理秩序及び公共秩序を乱したとして67人の善心滙会員を拘束したのが7月24日であった。ローマの歴史家、クルチュウス・ルーフスは「歴史は繰り返す」と述べているが、法輪功の悪夢は18年後に善心滙によって繰り返された。しかも、後者の集会参加者は前者の6倍規模の6万人であった。公安部も、まさか6万人もの善心滙会員が首都の北京市へ集結して善心滙幹部の釈放を要求する陳情活動を行うとは思ってもみなかっただろう。このような大規模な抗議集会やデモ行進を許すならば、いつの日にか中国共産党政権にとって由々しき事態が勃発する可能性を否定できない。

7月21日付の公安部通達にあるように、中国では近年来、ねずみ講犯罪が多発している。不法分子はねずみ講を組織し、高収益を餌に手を替え品を替え集客し、無辜の庶民から財産を巻き上げている。ねずみ講犯罪が摘発されるたびに、メディアはそれを大々的に報じてはいるが、安易なカネ儲けを志向する人々の欲望を押し止めるまでには至っていない。善心滙の会員たちが北京市へ出張ってまで幹部たちの釈放を要求したのは、善心滙が存続しなければ、彼らの投資金が泡と消えることを知っていたからである。

善心滙だけでも会員は500万~600万人(公安部の調査では230万人)いるが、その他のねずみ講犯罪の被害者を加えた総数は少なく見積もっても数千万人に上るだろう。彼らが騙されて損をした責任の矛先を党と政府に向けるようなことになれば、それこそが中国にとって最も忌むべきことなのである。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『韓国文政権が目論む日米中から「いいとこ取り」政策の限界』(8/1ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

8/2Sputnik<「北朝鮮と戦争をやるなら向こうで」とトランプ氏 共和党議員に>

https://jp.sputniknews.com/politics/201708023950787/

8/2NHKニュース

<①米国務長官 北朝鮮に圧力も対話による解決目指す  7時30分

アメリカのティラーソン国務長官は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、引き続き圧力を加えるとしながらも、最終的には対話を通じて問題を解決する考えも示し、核・ミサイル開発の放棄に転じるよう促しました。

アメリカのティラーソン国務長官は1日、記者会見し「北朝鮮の脅威が現実のものとなった」と述べ、先週2回目のICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表した北朝鮮に強い危機感を示しました。 ティラーソン長官はそのうえで「選択肢は限られている」と述べて先制攻撃など軍事力の行使には否定的な考えを示したうえで、北朝鮮が核兵器や弾道ミサイルの完全な放棄に向けた交渉に応じるまで圧力を加える方針を重ねて示しました。 同時にティラーソン長官は北朝鮮の体制転換などは求めていないと指摘し「北朝鮮にとってアメリカは敵ではなく、脅威でもないと伝えようとしている。いつか彼らがそれを理解することを期待し、そのうえで対話を行いたい」と述べ、最終的には対話を通じて問題を解決する考えも示し、北朝鮮が核・ミサイル開発の放棄に転じるよう促しました。 一方、ティラーソン長官は中国について「責任の押しつけはしないが、中国は北朝鮮とどの国にもない特別な関係を築いている」と指摘し、一層の対応を求めました。

サンダース報道官「軍事的行動も排除せず」

北朝鮮への対応をめぐってアメリカ、ホワイトハウスのサンダース報道官は1日の記者会見で「目標は北朝鮮の核やミサイルの開発を止めることであり、われわれは最善の選択肢を探している。すべての選択肢がテーブルの上にある」と述べ、軍事的な行動も排除せず対応を検討する構えを示しました。 一方、野党・民主党の上院トップのシューマー院内総務はトランプ大統領に書簡を送り、北朝鮮による脅威が増大しているとして懸念を示しました。 そして「北朝鮮に自制を促すため中国が建設的な役割を果たすよう圧力を強めるべきだ」として中国企業によるアメリカでの合併や買収を認めないようトランプ大統領に要請するなど、議会からは中国に対する圧力を強めるよう求める声が出ています。

中国 米の迎撃システムに似せた標的を破壊する試験  7時00分

アメリカが北朝鮮の弾道ミサイルに対処するためとして韓国で配備を進める最新の迎撃ミサイルシステムについて、これに反発する中国が先週、このシステムに似せた標的を弾道ミサイルなどで破壊する試験を行っていたことがわかりました。

アメリカ政府の当局者によりますと、中国軍が先月29日、中国・北部でアメリカの最新の迎撃ミサイルシステムやステルス戦闘機「F22」に似せた標的を中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルなどで破壊する試験を行ったことがわかったということです。 アメリカは北朝鮮の弾道ミサイルに対処するためとして韓国で「THAAD」の配備を進めていて、韓国も先月28日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて本格運用を急ぐ姿勢を示していました。 これに対して中国は「問題をさらに複雑にするだけであり、中国を含むこの地域の国々の安全と利益を損なうものだ」と反発しています。 アメリカ政府の当局者は、今回の中国軍の行動について、「アメリカが監視していることを承知のうえで破壊試験を実施したのは明らかで、中国にはいつでも『THAAD』を破壊する能力があると見せつける狙いがあったと分析している」と話しています。

中国軍 アフリカ ジブチに初の海外基地運用開始  4時59分

海軍力の強化を進める中国軍はアフリカのジブチに建設した海外で初めての補給基地の運用を開始し、インド洋やアフリカ大陸で存在感を高めるとともに、遠洋で海軍を展開するうえでの拠点にする狙いもあると見られます。

国営の中国中央テレビなどによりますと、中国軍は1日、アフリカ東部のジブチに先月開設した海外で初めての補給基地で運用開始を記念する式典を行いました。 この基地について中国軍はソマリアの沖合での海賊対策や国連のPKO=平和維持活動への支援を行う拠点として使うと説明していますが、中国共産党系のメディア、環球時報は「中国海軍のより遠くへの展開を支えるもので意義は重大だ」と伝えています。 基地の構造などについて中国側は明らかにしていませんが、アメリカのシンクタンク「ストラトフォー」などが衛星写真を分析したところ、大きな地下構造物とともにヘリコプターなどが離着陸できることになる施設も建設中だということです。 ジブチは紅海とインド洋に面した要衝で、アメリカなどは中国がインド洋やアフリカ大陸で存在感を高めるとともに、遠方の海域に軍を継続的に派遣するための足がかりになるとして警戒を強めています。 ジブチにはアメリカとフランスが軍の基地を置いているほか、日本もソマリア沖の海賊対策にあたるための自衛隊の活動拠点を拡大する方針です。>(以上)

昨日も青山繁晴参議院議員の「虎ノ門ニュース」の情報を取り上げましたが、戦争は近いと思った方が良いという気がします。青山氏はその中で「北による先制攻撃はない」と見ていますから、米軍が先に攻撃することになります。テイラーソンが対話を呼びかけ、トランプは「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と言いきっていますから、テイラーソンは北を油断させる陽動作戦では。NEO(non-combatant evacuation operation)もやりだせば相手に気付かれるので、動かさないで一気呵成に相手を叩く方式を取るかもしれません。どこからB-2ステルス爆撃機やミサイルを飛ばすかですが。ミサイルは原潜からが一番良いのではと思います。

韓国は慰安婦に飽き足らず、徴用工の問題として映画『軍艦島』をパリでユネスコ本部職員と外交官を集めて上映し、各国に日本をデイスカウントしました。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2017/07/31/0800000000AJP20170731001600882.HTML

外務省は何をしているのでしょうか?韓国人監督は日本向けにフィクションと言っているようですが、それなら、日本も堂々と会場に乗り込み「監督がフィクションと言っています。表現の自由があるのでこれ以上は言いませんが、事実と異なるというのを頭に入れてご覧ください」くらいは言いなさいよ。明治の外交官程気骨のある人間はいないのでしょう。幣原・吉田辺りから腐って、戦後は戦わない外交官ばかりになりました。一時はホテル代を水増し請求して裏ガネを作っていた浅川明男や公金で馬を買っていた松尾克俊のように金銭感覚がハチャメチャでした。彼らは外務省職員の氷山の一角です。国益の為に働かず、蓄財に励む、見下げ果てた人種です。

映画『軍艦島』はこのまま放置すれば「従軍慰安婦」の二の舞になるのは必定です。先ず、韓国経済を締め上げるようなことをすべきです。当然通貨スワップはなしで、スマホ部品等輸出制限を段階的にかけるべきです。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2017/07/31/0800000000AJP20170731001600882.HTML

日本は朝鮮半島に甘い顔をしてはなりません。今の日本人は自分の生きている時代のことしか考えていないように見えます。先祖の名誉を汚し、子孫の恥になるような嘘を唯々諾々と受け入れることが許されるはずもありません。無関心というか、「自分には関係ない」、「誰かがやるだろう」とか「他国が言ってることなので」とか思っているのが一番良くありません。文句を言っても外務省では無視されるのがオチでしょうから、外務省ではなく、首相官邸にクレームを入れて下さい。小生は上記文章を、若干手を加えて送りました。

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

8/2杉浦正章氏のブログにはゲーツ元国防長官が日韓の安全保障を犠牲にした提案を中国にするかもしれず、そうなれば北が小躍りして喜ぶとありました。そうなれば、日韓とも核武装に走らなければなりません。但し、ダレ切った日本人は左翼洗脳脳で固まっていますので自分の生命より憲法9条の方が大切です。核保有を米国が認めたとしてもなかなか進まないでしょう。死ぬ覚悟があって理念に殉じるというなら理解できる部分もありますが、大部分は何の考えもなく、覚悟を持っていない人が殆どでしょう。敵は日本人全体を抹殺したいと思っているのに。想像力にかける国民では国が亡ぶしかありません。無責任・衆愚の極みです。

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/archive/20170802

8/2日経電子版<米空母の朝鮮半島派遣、前倒しか 韓国報道>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM02H4C_S7A800C1FF2000/

8/21から始まる米韓合同演習で「ロナルド・レーガン」と「カール・ビンソン」の2隻が朝鮮半島に前倒し(今月中旬)派遣されるとのこと。抜かずの宝刀にならないように。

真壁氏の論説にありますように、朝鮮半島には関わらず、ASEANに力を入れて、中国包囲網を作った方が良いでしょう。

記事

Photo:YONHAP NEWS/AFLO

韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権は、依然として、北朝鮮との関係を対話によって改善する姿勢を取っている。これまでの北朝鮮の金正恩の態度を見ると、7月28日深夜にも大陸間弾道ミサイルの発射実験を実施しており、同氏には対話の意図はまったく見られない。恐らく、対北朝鮮の関係は前には進まないだろう。

一方、文大統領はわが国とのシャトル外交の再開に合意した。ただ、文大統領が本気でわが国との関係改善を図ろうとしているかは疑問だ。

現在、韓国の文政権は、先の朴大統領が結んだ日韓政府合意の検証を進めようとしている。中でも、慰安婦問題を再び蒸し返す意図が見られる。そうしたスタンスを見ると、同氏が本気でこの問題の解決を目指しているようには見えない。

今後の展開次第では日韓関係が冷え込む展開も考えられる。相変わらず、韓国は駄々っ子のように分かりやすい国のようだ。

避けられそうもない 朝鮮半島情勢の混迷

最近の韓国を見ていると、国全体で危機感を共有しているようには見えない。あるソウル在住のエコノミストは、「財閥改革を主張してきた文政権は、足元でサムスン電子の業績拡大に支えられている」と指摘していた。そうした状況を考えると、文政権がすぐに財閥依存の経済構造を改革する余裕はないだろう。

一方、韓国政府は、国際社会での地位の向上や需要の取り込みを目指して中国との関係を強化しようとしている。ただし、それが中長期的な韓国自身の国力の引き上げにつながるかは疑問の余地がある。韓国が秋波を送る中国が重視するものは自国の利益であり、長い目で見ると、中国が韓国に対して重要なメリットを与え続けるとは考えにくい。

韓国にとって最大のリスクの一つは北朝鮮問題であるはずだ。もし、北朝鮮の軍事的挑発を受けて米国が制裁を強化したり、何らかの軍事的対応をとるなら、朝鮮半島での有事勃発のリスクも排除できない。それは韓国の国家存亡にかかわる問題だ。

この問題に対処するために、文政権は中国との関係強化によって事態が改善すると考えているように見える。長期の支配基盤を手に入れたい中国の習近平国家主席は、朝鮮半島情勢がさらに不安定化することを避けたい。そのため、中国は米国の強硬姿勢と距離を置き、韓国が米国のミサイル防衛システムの配備を進めることも批判してきた。

米中の対北朝鮮政策の足並みがそろわない中、文政権は一貫して北朝鮮との対話政策を訴えてきた。背景には中国への配慮があるのかもしれない。文政権は中国との関係を強化して、経済的なメリットを受けたいのだろう。

この見方が正しければ、韓国における既存の政治・経済構造は当面、維持される可能性が高い。問題は、それは文大統領がこれまで主張してきた財閥改革などの革新=構造改革の推進に逆行することだ。

反日姿勢を強める 韓国・文政権

現在、北朝鮮は対話の意思をまったく示していない。それでも韓国の文政権は対話を重視するという。そのスタンスは分りにくい。対話をする意思のない北朝鮮に対して、対話を呼びかけて何か効果があるとは思えないからだ。

7月上旬、日米韓の首脳会談では連携して北朝鮮に圧力をかけることが確認された。日韓両政府はシャトル外交の再開にも合意した。こうした結果を受けて、わが国では韓国が慰安婦問題の再交渉などを棚上げし、わが国との関係強化を念頭に置いているとの見方がある。

一方、米国のトランプ政権が強引とも言えるスタンスで、韓国とのFTA協定の再交渉を求めている。それを考えると、韓国にとって中国はますます重要な存在となるだろう。ただし、北朝鮮との関係を考えると、韓国は、米国との関係が冷え込むなど国際社会から孤立する展開も避けたいはずだ。

韓国としては日米との関係を土台としながら、中国との関係を少しずつ強化して、サムスンなどの韓国企業が中国市場で経済的メリットを享受できる体制を取りたいのだろう。つまり、韓国としてはすべて“いいとこ取り”をしたいというのが本音だろう。

そう考えると、文政権がシャトル外交に同意したからと言って、今後の日韓関係が簡単に強化されると見るのは早計だ。状況によっては、韓国が反日姿勢を強め、慰安婦問題の再交渉などで国内の世論を味方につける行動に出ることは十分に考えられる。

現在、文政権は、2015年12月の日韓外相会談で合意に達した“最終的かつ不可逆的な解決”が盛り込まれた経緯を検証しようとしている。本来、国家間の合意は一方的な主張によって反故にできるものではない。最終的な合意に達した以上、遵守されなければならない。現時点で文政権に政府間の合意を遵守する意思があるとは考えづらい。

今後の支持率にもよるが、有権者の支持をつなぎとめるためにも、文政権は慰安婦問題が未解決であると主張し、反日姿勢を強める可能性がある。それは、韓国が中国との関係を強化していくためにも都合の良い主張となるだろう。

アジア新興国との関係強化の重要性

韓国が反日姿勢を強めた場合、わが国は合意内容の確認とその遵守を求めればよい。感情的になって相手を批判するのは避けるべきだ。それよりも、アジア各国との関係を強化し、自国の発言力と経済基盤の強化に注力することが重要だ。

中国が目指すのは国際社会での発言力の強化である。中国は力の論理で各国に経済の開放を求めていくだろう。その要請に応えない国には、海洋進出などを通して圧力をかけるだろう。

本来、国際社会の利害調整を担うべき米国のトランプ大統領は、自国第一に傾倒し保護主義を重視している。この中でドイツが中国との関係強化に動いている。そうした政治のダイナミズムが、国際社会を不安定な状況に向かわせている。

その中で、日EU経済連携協定が大枠合意に達したことは重要だ。わが国は多国間の経済連携を進め、国際社会の連携を重視する姿勢を国際社会に示すことができた。わが国は経済連携に関する議論を加速させるべきだ。政府はアジア新興国ともTPP11などに関する議論を重ね、自由貿易の促進や競争・投資に関するルールの統一を進めるべきだ。それは、対中包囲網を形成することでもある。

国際社会での意思決定は、基本的に多数決に基づく。わが国は、経済連携に関する議論を進めつつ、賛同する国には経済支援を提供することで理解者=親日国を獲得できるだろう。わが国を中心とする経済連携の深化は、アジア新興国にとって中国への抑止力にもなるはずだ。わが国がアジア各国との経済的な関係を強化することができれば、中国との関係を重視しているドイツなどとも連携を強化することができるだろう。

反対に、アジア各国と関係を強化できないと、わが国はアジア・極東地域の中で孤立するかもしれない。その場合、わが国の政治・経済は厳しい状況に直面することが予想される。こうしたリスクシナリオを避けるためにも、わが国は安全保障面では米国との関係を基礎としつつ、アジアを中心に各国との経済連携を進めるべきと考える。国内での構造改革や政治の安定が必要なことは言うまでもない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「歴史家」大統領補佐官はトランプを制御できるか ベトナム戦争の「失敗の本質」を分析したマクマスター氏』(8/1JBプレス 佐藤けんいち)について

鬼女さんのチラシ(フェイクニュース、民間防衛)を小生ブログのトップページにも載せましたので、ご覧になってください。こういう地道な活動で少しずつ日本をまともな方向に変えられれば。

また、ネットでNHKが受信料についてパブリックコメントを募集していることを知り、小生の意見を送付しました。

<NHK受信料制度等検討委員会 諮問第3号「受信料体系のあり方について」答申(案)概要に関するご意見の募集

  • ご意見の募集期間

平成29年7月26日(水)10時~8月15日(火)24時(郵送の場合は、8月15日の消印有効)

http://www.nhk.or.jp/keieikikaku/03/index2.html

[BBCと同じくスクランブルをかけて、見る番組にのみ課金するようにすれば良い。

ネットも同じ方法で。見ていないのに金を払うのは税金と同じ。

それができないなら他の民放と同じになればよい。]>

小生の今の英語の先生が英国人で、BBCはスクランブルをかけていると言っていました。ならばNHKにだってできないはずはありません。(2学期からは麗澤大学のジェイソン・モーガン先生の『国際関係概論』を聴講する予定です。モーガン先生は『アメリカはなぜ日本を見下すのか?』と言う本を日本語で出版しています。”court historian” ではなく、“true historian”です)

如何にメデイアは安倍政権を打倒しようとしているかが分かる記事がありました。ネットギークでの記事ですが、『ニュース女子』での発言のようです。

<フリージャーナリスト「安倍総理に有利な証言をするとテレビ局にカットされてしまう。異常事態」>

http://netgeek.biz/archives/100383

8/2日経朝刊ホワイトハウス機能不全 ロシア疑惑抱え政権に火ダネ 

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は7月31日、ホワイトハウスの広報戦略を担うスカラムチ広報部長を任命から10日で解任した。7月は大統領報道官、同首席補佐官、広報部長という枢要ポストの3人が相次いで退任し、ホワイトハウスは半ば機能不全に陥った。トランプ氏や閣僚らはロシアとの不透明な関係を巡る疑惑を抱え、政権が行き詰まる火ダネは残る。

■広報部長、任命10日で解任 政権、内輪もめ露呈

31日朝、ホワイトハウスの大統領執務室。「首席補佐官として目を見張る仕事をやってくれると確信している」。トランプ氏は31日に首席補佐官に就いたばかりのケリー氏を前に、称賛の言葉を並べた。スカラムチ氏の広報部長の辞任が発表されたのは、それからわずか5時間後だった。

21日に広報部長に任命されたスカラムチ氏は、ウォール街を代表する投資銀行のゴールドマン・サックス出身。同じニューヨークを拠点とするトランプ一家との近さを売りにしていた。

広報部長として対外発信したのは政権中枢の内輪もめだった。就任時の記者会見で、上司のプリーバス前首席補佐官を通さずに大統領と直接話をできると豪語。プリーバス氏を「偏執的な統合失調症」とも罵倒した。

ケリー氏はこうした奔放な言動を「規律がとれていない」と問題視。トランプ氏に広報部長の解任を迫り、大統領は受け入れた。サンダース大統領報道官は記者会見で「大統領はスカラムチ氏の発言を不適切とみなしている」と認めた。

ホワイトハウス職員を統括する首席補佐官は本来、大統領の日程を管理し、面会者の調整にあたる。強大な権限を持つため「影のナンバー2」とも呼ばれる。政権は「ケリー氏はホワイトハウスを運営するための全ての権限がある」(サンダース氏)と説明した。トランプ氏の娘イバンカさんとクシュナー上級顧問の夫妻もケリー氏への報告義務があるとした。

ホワイトハウスは娘夫婦ら大統領の親族、ペンス副大統領ら共和党主流派、バノン首席戦略官・上級顧問ら反エリート派の3つの派閥が権力闘争をしてきたとされる。政権内の力学はしばらく変わりそうにない。

その点で、トランプ氏にとって、どの派閥にも属さないケリー氏はホワイトハウスの立て直しを託すのに適任者だったともいえる。軍人出身で規律を重んじる性格もトランプ氏の好みだ。ケリー氏は首席補佐官を受ける条件に「全面的な権限の保証」を求めた。トランプ一家に起用された広報部長を解任し、就任初日にその力を誇示した。

政権は「疑心暗鬼を抱いた側近同士が足を引っ張り合い、情報・指揮系統が乱れた」(みずほ総合研究所の安井明彦氏)。そのひずみが一連の辞任・解任劇に出た。「首席補佐官が情報や指揮系統を掌握できるかが重要になる」(安井氏)

■議会とのパイプ役も不在 政府債務問題に関門

トランプ政権は、党主流派のプリーバス氏(前首席補佐官)がホワイトハウスから去ったことで、与党・共和党とのパイプ役が不在になった。政権と議会にとって大きな関門になりそうなのは、9月末に期限が迫る米政府債務の上限引き上げ問題だ。議会が合意できなければ、国庫は底をつきかねない。

1日のニューヨーク外国為替市場で円相場は一時1ドル=109円台を付け、約1カ月半ぶりの円高・ドル安水準。市場はトランプ政権の先行き不透明感を警戒し始めた。

議会の共和党は分裂状態にある。上院は、医療保険制度改革法(オバマケア)の廃止論者であるマコネル院内総務がいながらも、代替案の採決は共和党議員の造反で空振りに終わった。下院はライアン議長が大規模な税制改革を検討しているが、政府債務増に反対する保守強硬派に主導権を握られる。保守強硬派は緊縮財政を政権に迫る。議会も手足を縛られる。

首席補佐官に就いたケリー氏は、海兵隊退役大将。「ホワイトハウスの派閥に属さないが、常識人とみられており、共和党主流派と協調できる素地がある」(慶大の渡辺靖教授)。共和党重鎮で海軍出身のマケイン上院議員らと気脈を通じる経歴ともいえるが、政治力は未知数。上院議長を兼ねるペンス副大統領は外交・安保で前面に出て、議会折衝など内政をみる余裕がないともされる。>(以上)

8/2宮崎正弘氏メルマガによれば写真の「ホワイトハウスの新しい布陣」の下部にある、ライアンとマケインがトランプ政権にとって癌のようです。議会対策は本来であれば、両人がすべきです。

http://melma.com/backnumber_45206_6564413/

また、宮崎氏の本メルマガには中国が世界規模で侵略に乗り出してきているのが分かります。東シナ海、尖閣も危ないです。やはり尖閣に早く地対艦ミサイルと自衛隊を配置しなければ。遠慮しているとブータンのようになります。トランプに仁義を切れば難しくはないのでは。米軍とも連絡を密にしておかなければいけませんが。

http://japanese.joins.com/article/381/219381.html

8/2日経朝刊中国、ブログ1000件超閉鎖 党大会控え言論統制強化

【北京=多部田俊輔】中国のニュースサイト大手、捜狐や騰訊控股(テンセント)など4社は1日までに、合計で1000件以上のブログなどのアカウントを閉鎖した。中国メディアの大半は共産党の「喉と舌(代弁者)」と位置づけられるため、国民の多くはブログなどを情報収集の手段としている。今秋の共産党大会を控えて言論統制を強化する中国当局の狙いが透ける。(略)>(以上)

言論の自由のない国、中国が当然の如く、個人の自由な意見の発露を制約しようとするものです。これに引換え、日本は何て言論の自由に満ち溢れていることか。森友・加計に代表される捏造事件を、野党・新聞と連携して朝から晩まで情弱老人を洗脳するため、TVで報道し続けています。自由な報道を笠に着た権利の濫用と思います。事実と違うor大事な情報を流さないのであれば、報道機関ではなく、プロパガンダ機関でしょう。新聞もやがて押紙訴訟で売上が減るのが加速されるでしょうし、TVは鬼女さんのチラシのようにどこかで転換点を迎える気がします。(まあ、情弱老人が亡くならないと無理かもしれませんが)。その裏に中国の姿を見るのは小生だけではないでしょう。

ケリー首席補佐官(海兵隊:大将)とマクマスター国家安全保障問題担当補佐官(陸軍:中将)との関係がうまく行けば良いですが。両者とも軍人出身ですからあらゆる手を尽くして戦争は避けようとするでしょう。その代り、北を裏で支える中国に対し、金融制裁を課し、中国経済を崩壊させるのではと思います。それでも戦争になれば、彼らはしっかり戦うし、勿論日本も一緒に戦わなければ。悪の帝国・中国をのさばらせれば日本にとって亡国となります。米国の力が強いうちに中共を崩壊させねば。青山繁晴参議院議員は7/31虎ノ門ニュースで戦争が近い可能性を示唆しました。機密漏洩する韓国軍にちゃんと情報を流すようになったのは、戦闘が開始される予兆ではという事です。(参照:「ぼやきくっくり」記事)

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2088.html

また、遠藤健太郎氏のブログによれば北は核ミサイルを80発持っているとのこと。米軍が攻撃するのであればB61-11を使って核ミサイルを撃てないように徹底して攻撃してほしい。

http://endokentaro.shinhoshu.com/japan/post4910/

記事

国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名したハーバート・マクマスター氏(左)と握手するドナルド・トランプ米大統領。フロリダ州パームビーチで(2017年2月20日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

前回のコラム(「トランプ陣営『2人の将軍』の知られざる共通点」)では、トランプ政権の閣僚である「2人の将軍」に歴史学を専攻した共通点があること、そして、国防長官であるマティス米海兵隊退役大将の古今東西の戦史に関する博覧強記ぶりと古代ローマ時代の古典を「座右の書」にしていることについて触れた。

今回は、国家安全保障問題担当のハーバート・マクマスター大統領補佐官が正真正銘の「歴史家」であることについて見ていきたい。

現役の陸軍中将であるマクマスター大統領補佐官は、トランプ大統領お気に入りのフリン補佐官が更迭されたために、共和党サイドから送り込まれてきた人物であり、トランプ政権の「お目付け役」と期待されている。

指揮官としても参謀としても豊富な軍歴をもっているのに、直言タイプであることから煙たがられ、それが理由でいまだ大将に昇格してないらしい。だが、その性格が見込まれてトランプ政権に送り込まれたのであろう。

マクマスター氏の著書は米国版『失敗の本質』

マクマスター氏の問題意識と歴史に関する知見について知るには、マクマスター氏自身の著書を紐解いてみるのが早道だろう。

その著書とは、『職務怠慢─ジョンソン大統領、マクナマラ、統合参謀本部とベトナム戦争を導いたウソの数々』(Dereliction of Duty: Lyndon Johnson, Robert McNamara, The Joint Chiefs of Staff, and the Lies that Led to Vietnam:日本語未訳)。歴史学の博士論文を基にして執筆した一般向けの単行本である。

いまから20年前の1997年に出版されたものだが、マクマスター氏が大統領補佐官に抜擢されマスコミの脚光を浴びたとたん、米国で2017年のベストセラーに躍り出た。

内容は、シビリアンコントロール(=文民統制)下の政軍関係と意志決定に焦点を当てた歴史研究である。戦場となったベトナムにおける戦いではなく、連邦政府のあるワシントンを舞台にした戦いを、1961年からベトナム戦争が本格化した1965年までを時系列に沿って整理している。

膨大な史料をもとに、ベトナム戦争が本格化するに至ったプロセスを分析したこの労作は、いわば米国版の『失敗の本質』とでも言うべき内容だ。

建国から200年目にして、米国にとって初めての致命的な敗北となったのがベトナム戦争だった。泥沼の戦いが続くなか、米国内だけでなく世界中で反対運動が激化し、敗北によって米国国民が被った精神的ダメージは「ベトナムシンドローム」と呼ばれた。

「南北戦争」以後最大とされるベトナム戦争後遺症は、長期間にわたって癒やされることはなかった。いや、いまでも完全に払拭されたとは言い難い。ベトナム戦争は、2001年の「9.11」以後もなお、米国人にとってトラウマであり続けている。

なぜ、誤った意志決定がくだされたのか? 誤った意志決定はいかにして実行に移され、泥沼の戦いに引きずり込まれていったのか? マクマスター氏の著書はこれらの問いに対する答えである。

国防長官も統合参謀本部も同罪

マクマスター氏は、こう結論付けている。

ベトナム戦争を本格化させ、失敗に導いた責任は、アメリカ合衆国軍の最高指揮官である大統領と国防長官にある。だが、シビリアンコントロール原則下にある統合参謀本部もまた同罪である──。この意味はきわめて大きい。

ケネディ大統領の暗殺後に副大統領から大統領に昇格したのがジョンソン大統領であった。ケネディによって抜擢され、その後も引き続きジョンソン大統領に仕えたのがロバート・マクナマラ国防長官である。

ベトナム戦争の失敗に関して、とくにマクナマラ氏の責任が重かったことは、『ベスト&ブライテスト』(デイヴィッド・ハルバースタム著)や映画『フォグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』(2003年)などを通じて、すでによく知られていることだろう。

「ベスト&ブライテスト」の1人とされ、ハーバード・ビジネス・スクールで MBA(経営学修士)を取得していたマクナマラ氏は、絵に描いたような秀才であった。第2次世界大戦では陸軍航空隊で日本への戦略爆撃の数値解析に従事、戦後はハーバード大学で統計学の教鞭をとったのち、自動車メーカーのフォード社でCEOを務めた。その後、国防長官として抜擢され政権入りした。

マクナマラ氏は国防総省に連れてきた「ウィズ・キッズ」(whiz kids=天才児たち)と呼ばれた秀才たちとともに、統計学を駆使し、数量化理論にもとづく作戦計画を立案した。だが、自分たちの優秀さを鼻にかけ、軍人たちを知的レベルが劣るとして見下していた。また理数系にありがちなタイプとして、歴史も軽視していた。

そんなマクナマラ氏に国防問題をほぼ全面的に任せていたのがジョンソン大統領である。棚ぼた式に職についたジョンソン大統領は、なによりも部下には「個人的忠誠」を求めていた。マクナマラ氏もまた大統領の意向を「忖度」する能力に長けており、大統領から絶大な信頼を勝ち取っていた。

シビリアンコントロール原則のもとでは、軍は最高指揮官である大統領の命令に服すことが求められる。だが、シビリアン(文民)の意志決定がつねに絶対に正しいという保証はない。専門性の観点から、軍の側でも反論すべき点は反論するのがあるべき姿であろう。

とはいえ、「朝鮮戦争」で戦争方針をめぐって対立したマッカーサー元帥がトルーマン大統領に解任されてから10年しか経っていなかったこともあり、統合参謀本部はマクナマラ国防長官に同調することを選択する。保身に走ったわけである。

軍事のリアルな理解の乏しいマクナマラ国防長官の作戦方針が、軍事の専門家から反論されることなくベトナムでも展開されることになったのはそのためだ。

1964年の大統領選で勝利することを至上命題としたジョンソン大統領の意を受けたマクナマラ国防長官は、ベトナムには軍事介入しないという虚偽の情報を流して国民を欺いた。そして、選挙後は手のひらを返したようにベトナムに本格的に軍事介入を開始し、結果としてアメリカを大義なき泥沼の戦いへと導いてしまった。

つまり、マクナマラ国防長官に責任があるだけでなく、シビリアンの独走を許した統合参謀本部も同罪なのである。

統合参謀本部は、陸・海・空と海兵隊の4軍の代表と議長の5人よって構成される。マクマスター氏は「沈黙する5人の男たち」という表現で、当時の統合参謀本部を否定的に評価している。米陸軍の「中の人」であるマクマスター氏による、まさに直言というべき結論だ。

マクマスター氏が陸軍に入隊して驚いたこと

マクマスター氏は、そんな博士論文を35歳のときに完成させた。現役の陸軍中将ではあるが、アマチュアの「歴史通」ではない。専門分野としての「歴史学」の方法論をマスターし、博士号の学位(PhD.)を持つ「歴史家」なのである。

博士号取得後には、母校の陸軍士官学校で「歴史」の教官を2年間務めていることも付記しておこう。論文を土台にした『職務怠慢』もまた、軍の内外から絶賛されている。

なぜマクマスター氏はこのようなテーマで研究し、博士論文を完成させたのか。その動機と問題意識について本人が『職務怠慢』の「まえがき」で次のように語っている。

マクマスター氏は、1984年に米陸軍士官学校を卒業し、陸軍少尉として軍人としてのキャリアをスタートした。戦場で指揮をとることになる以上、先人たちの経験から学ぶのは当然だと考え、ベトナム戦争に従軍した下級士官たちの回想録を読みふけっていた。だが陸軍に入隊してみると、驚いたことに、陸軍内部ではベトナム戦争について語られることがほとんどなかったのだという。

ビジネス組織もそうだが、軍事組織も過去を振り返るよりも常に未来が視野にある。とはいえ、ベトナム戦争についての反省も総括も十分に行われていないことに、青年将校のマクマスター氏は大いに疑問をもった。

湾岸戦争(1991年)には陸軍大尉、機甲騎兵連隊の指揮官として従軍したが、それまで読んだり聞いたりしていたベトナム戦争とは根本的に性格の異なる戦争であることを実感する。湾岸戦争では戦略目標と戦闘任務が合致しており、前線指揮官が悩む必要はなかったのである。

なぜベトナム戦争では、明確なビジョンや戦略がないまま戦闘が延々と続いて失敗に終わったのか? その答えを自分なりに極めたいと思い、任務終了によって帰国した翌年の30歳の時、ノースカロライナ大学に入学して研究を開始したのだという。

*  *  *

トランプ時代の現在、「フェイクニュース」が平気でまかり通る「ポストトゥルース」時代であると言われるが、実はベトナム戦争時代の米国もまた同様に、政府そのものがニセ情報の発信源であったのだ。しかも、ベトナム戦争時代には国民もまた分断されていた。

そんなベトナム戦争時代の政治と軍との関係を詳細に研究したのが「歴史家」のマクマスター氏である。大統領補佐官としてトランプ大統領を牽制する役割が期待されているのは、ある意味では当然と考えるべきであろう。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『米議会、ロシアゲートでついに本丸に切り込む クシュナー証言はトランプ大統領に吉と出たか、凶と出たか』(7/31日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

7/30NHKニューススリランカの港 中国が99年間の運営権 7月30日 5時03分

中国が海洋進出を進めるうえで重要な拠点になると見られるスリランカ南部の港が、99年間にわたって中国に譲渡されることが正式に決まり、中国のインド洋での存在感が一段と高まることになりそうです。

スリランカ南部のハンバントタ港は、中国がおよそ14億ドルを融資して建設が進められている南アジア最大級の港ですが、民間企業の進出が進まず、スリランカ政府は中国への借金の返済にめどが立たないことから、中国側と協議を続けてきました。 その結果、29日に11億ドルの借金を事実上免除する代わりに、中国企業が港の管理会社の株式の70%を保有し、99年間の運営権を持つことで双方が合意しました。 ハンバントタ港をめぐっては、当初、ことし1月に合意文書が交わされる予定でしたが、港の警備を中国側が担うとなっていたことに政府内から「中国による植民地化だ」などと反対の声が上がったほか、インドなど周辺国からも懸念が示されたため、今回の合意では警備はスリランカ政府が行うと変更されました。 ハンバントタ港はシーレーン=海上交通路に面していて、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な拠点になると見られていて、中国のインド洋での存在感が一段と高まることになりそうです。>(以上)

中国のスリランカへの11億$の債務免除は、海外への資金流出を規制しているのに実行したという事は、キャッシュフロー上は既に$を支出していて、貸付金勘定から債権放棄損で処理できるということなのでしょうか?どういう処理にしろ、スリランカの中国への植民地化が始まったと見るべきでしょう。英国への香港租借を99年としたように。まあ、中国のことですから、武力の代わりにスリランカ要人に賄賂を配ったのでしょうけど。日米印の軍事連携が大事となります。

7/31渡邉哲也氏記事<北朝鮮のミサイル開発に中国軍部が関与か…米国の制裁強化で中国経済が崩壊危機>

http://biz-journal.jp/2017/07/post_19988.html

米国の予想より早い北朝鮮のロケット技術獲得は絶対技術支援している国があるはずです。今までは習と反目する瀋陽軍と考えてきましたが、中国全体で北を支援し、米国との代理戦争を北にやらせようとしているのでは?中国本体は痛みませんので。中国お得意のデイスインフォメーションに踊らされて来たのかも知れません。ただ、潮匡人氏の『安全保障は感情で動く』によれば、「金三胖は部下から正しい情報が上がっておらず、本気で米軍と戦争して勝てると思っているのでは」と感じました。戦争はいつも誤断から始まります。

引用:P.74「つまるところ、金委員長はアメリカを挑発し、戦争になっても、「勝てる」と考えているのではないだろうか。なぜ勝てるのか。それは、金委員長が、核弾頭を搭載したICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発に成功したと考えているからではないか。」P.78「少なくとも、金正恩委員長は、「再突入技術を獲得した」などの報告を鵜呑みにした可能性が高い、と筆者は考える。」P.82「やはり、ここでも(注:核兵器の小型化・弾頭化のこと)、金正恩委員長にどう報告され、彼がどう考えているか、の方が重要である。この点においても、金委員長がそう考えている可能性が高い。」

米中戦争の前に、米北戦争になる可能性が高いです。これに対し、トランプ政権のゴタゴタが収まりません。スパイサー報道官辞任のニュースも冷めやらぬうちに今度はスカラムチ広報部長解任とのニュース。これでは落ち着いて仕事はできないでしょう。クシュナーとイバンカが決めているのでは人心が離れて行きます。議会対策もままならないでしょう。取敢えずは、中国への金融制裁強化、中国への制裁関税強化から始めて行くのでは。米国は北に先に撃たせようと思っている筈で、日本はミサイル飛来をずっと警戒せねばなりません。またそれに呼応したテロも。テロを起こした場合、一網打尽にすべきです。それに繋がる政治家もメデイア人も。

8/1ロイター<米大統領、スカラムチ広報部長解任 ケリー首席補佐官の要請か>

https://jp.reuters.com/article/usa-trump-scaramucci-nyt-idJPKBN1AG2AN

日本の敵は外敵ばかりでなく、内なる敵が強大と8/1宮崎正弘氏のメルマガにありました。<現在の法整備から申し上げて、殆ど何も出来ないのが現状でしょう。国民が拉致されても、政府は何も出来なかったように。

 「べき」論と、現実のギャップはあまりにも大きく、しかも一歩前進の「安保法制」を「戦争法」と言い換え、「テロ防止法」を「共謀罪」だと言いがかりをつけている勢力があり、我が国は北朝鮮の脅威より、国内に敵が、それも強敵がいます。

 GDPに2%に防衛費を増大するなどと言っても、正面から反対し妨害する、中国と朝鮮の代理人的なメディア、活動家、そしてスパイたち。

 この内部の敵との戦いが目の前にある最大の脅威ではないでしょうか。>

http://melma.com/backnumber_45206_6563925/

内なる強敵のマスメデイアに対して、鬼女さんの作成した「フェイクニュースに騙されないで」チラシを紹介します。ネットでは完成度が高いと評判です。

↓こちらをダウンロードしてください。pdfファイルです。

左ページ

http://firestorage.jp/download/6c9e0cd5cb200c9dbcdb03c5bb8b7b657bb3da85

右ページ

http://firestorage.jp/download/94b8d13ee0d366615993880103d9cba6e6473141

高濱氏記事は読み物としては面白いという印象です。米議会もプーチンを怒らせ、外交官追放の挙に出ました。北の問題があるのに。先が読めているとは思えません。

記事

米下院での証言を終え退出するクシュナー氏(写真:ロイター/アフロ)

—米議会が「ロシアゲート」究明で慌ただしい動きを見せていますね。

高濱:米上下両院の情報特別委員会は7月24と25日、ドナルド・トランプ大統領の娘婿のジャレッド・クシュナ―上級顧問に相次いで事情聴取しました。さらに26日、上院司法委員会が、同大統領の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏と、選挙対策本部長を務めたポール・マナフォート氏を事情聴取しました。4つの事情聴取はいずれも非公開でした(ただし、クシュナー氏は事情聴取に先立ち、書面で証言を提出)。

議会の各委員会は調査する疑惑を二つに絞っています。

一つは、トランプ陣営の幹部だったクシュナー、ジュニア、マナフォートの3氏とロシア人弁護士の4人が面談した16年6月9日の内容。ロシア側から「ヒラリー・クリントン民主党大統領候補に不利な情報がある」と打診されてジュニア氏がセットした会談の席上で、「クリントン追い落とし工作」に関わるなんらかの「共謀」があったかどうか、です。あったとすれば、1971年に制定された「連邦選挙法」に抵触します。むろん、有罪となります。

この件は、ボブ・モラー特別検察官が率いる独立捜査チームにとっても重要な捜査案件の一つになっています。

もう一つは、政権移行期間中の16年12月1日に、クシュナー氏がセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と面談した時の会談内容です。

ロシア政府とトランプ陣営との間に極秘通信ルートを開設するというロシアからの提案についてクシュナー氏はどう応じたのか。その計画はどうなったのか。米国の民間人が外国の外交官と「外交交渉」したり、外国人が選挙に介在したりすることは法律で固く禁じられています。またクシュナー氏がロシア大使と接触する際に「機密事項取り扱い許可」(Security Clearance)を司法省に申請をしていたか、も調査対象になっています。

「ロシア人弁護士との会談はジュニアがセットした」

—クシュナー氏の証言には説得力はありましたか。

高濱:クシュナー氏は「ロシア当局との不適当な接触はなかった」と言い切り、事情聴取を終えたあと記者団の前で潔白であることを強調しました。

クシュナー氏は委員会での事情聴取に先立ち、書面証言(11ページ)を提出しました。非公開の証言ゆえ、出席した議員から「不正確な証言内容」がリークされるのを警戒したためと見られます。リークによるメディア報道をいかに恐れているかの表れでしょう。

クシュナー氏が「ロシアゲート」疑惑について公式な発言をするのはこれが初めてです。書面は、16年6月9日の会合でも同12月1日の会合でも、自分は「不適切な接触をしたことは一切ない」と強調しています。

この書面証言について、司法省で連邦検事を務めた経験を持つレナト・マリオッチ氏は、法律専門サイトで次のようにコメントしています。「弁護士との綿密な協議の下に組み立てられた、一見非の打ちどころのないような証言だが、モラー特別検察官はその行間に隠れた部分に注目しているはずだ」

クシュナー氏は、核心部分については「忘れた」「記録した文書は見つからない」を連発しています。ロシア人弁護士との会合をセットしたのは自分ではない(注*1)、「機密事項取り扱い許可」が未申請だったのは秘書が忘れたためだ(注*2)、と逃げを打っているのです。

注*1:「16年6月9日の会合はジュニアがセットした。自分は最初の10分間で中座した。自分が同席している間に選挙の話は一切出なかった」と釈明。

注*2:「司法省への『機密事項取り扱い許可書』の未申請は秘書の手違いで事前提出できなかった」と釈明。

—11ページにわたる書面証言を読んでほかに感じたことはありますか。

高濱:どの国の要人に会うかは、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官に助言を求めたとか、駐米ロシア大使との接触については保守系雑誌「ナショナル・インタレスト」の発行人、ディミトリ・サイムズ氏に相談したとか。とにかく大物の名前を出して「権威」づけしています。委員会の議員たちに圧力をかけているんですよ。

核心部分については、選挙中と政権移行期に接触したすべてのロシア人について「覚えてはいない」と証言しています。面会者や電話交信した人たちのリストを記録していないとも言っています。

「選挙を勝ち抜いてきたトランプ選対、政権移行チームの事実上の最高司令官がそんなへまをやるわけがない」(民主党全国委員会幹部)と言われています。

ロシア関連の文書が見つからないのも不自然です。クシュナー氏ほどのビジネスマンが、自分が接触したお得意先、友人、知人と交信した文書を保管していないわけがありません。どこかの国の文科省の元事務次官と首相補佐官とが「言った」「言わない」と国会で水掛け論をやっているとのはわけが違いますよ(笑)。

モラー特別検察官チームに「水掛け論」は通用しません。クシュナー氏が誰かに対して「忖度」を働かせているとしたら、その「忖度」を立証するためありとあらゆる手を使うでしょう。

「機密通信ルート開設は話題になった」

—クシュナー氏は、キスリャク駐米ロシア大使との会談で話題に上った極秘通信ルート開設の話についてどう証言しているのですか。

高濱:こう証言しています。「私はキスリャク大使とトランプタワーで23分間面談した。マイケル・フリン氏(のちに大統領補佐官、在任期間24日で辞任)も同席した。会談では人道的問題をはらんでいるシリア内戦を終結させる必要性が話し合われた」

「キスリャク大使はトランプ次期政権とロシア政府中枢とが直接連絡をとれる極秘通信ルートを開設することを提案した。私が、ワシントンのロシア大使館内にある通信システムを使ってはどうかと述べたところ、同大使はこれを拒否したので、開設の話はそこで終わった」

—まだ正式に政府高官になっていない民間人がロシア大使とそこまで話し合うのは違法ではないのですか。

高濱:この件については、同席していたフリン氏をモラー特別検察チームが徹底的に尋問しているでしょう。クシュナー氏の証言と食い違っていれば、どちらかが偽証罪に問われます。また米情報機関も会談内容をすべて盗聴しているはずです。いずれ真相は明らかになります。

謎のロシア人女性弁護士は何者か

—議会が調べているもう一つの疑惑、大統領選さなかのロシア人弁護士(注*3)との接触をめぐる疑惑についてクシュナー氏は、中座したので「選挙の話は一切聞いていない」と証言しています。最後までロシア人弁護士たちと会談していたジュニア氏とマナフォート氏は何と証言しているのですか。

注*3:この女性弁護士はナタリア・ベセルニツカヤ氏。年齢不詳。09年に米国で施行された「マグニッキ法」の撤廃を要求する運動の指導者で、プーチン大統領周辺に近いとされる。マグニッキ法は、ロシアの人権弁護士セルゲイ・マグニッキ氏が獄死したことを受けて成立した法律で、マグニッキの死に関与したとされるロシア当局を制裁対象にしている。

高濱:上院司法委員会が26日に非公開聴取をしました。詳しいことは現時点(28日午後)ではわかりません。ジュニア氏は以前、「大した情報などなかった。会談は無意味だった」とメディアに語っています。

非公開聴取でも同じことを繰り返しているとして、ここからは、「ロシアゲート」疑惑を追っている主要紙のベテラン記者の話です。「クシュナーは6月9日の会合にジュニアに誘われたので同席した、と言っています。ということは、ジュニアに誘われた時点で、クシュナーも『クリントン候補に不利な情報をロシア政府が入手しているらしい』ことを知らされていた。だからこそ、選挙戦で忙しいあの時期に、クシュナー、マナフォートという選対の最高幹部が雁首を揃えて一介のロシア人女性弁護士に会った」

この会合に至るまでの経緯は、仲介役になったロブ・ゴールドストーン氏(元大衆紙記者)とジュニア氏とのメールのやりとりから明らかになっています。

ゴールドストーン氏は16年6月3日付のメールで、「知人のアガラロフ家(注*4)を通じてロシア当局から、<クリントンを有罪にし得る情報を提供してもいい>」との申し出が来ている」と書いています。それを読んだジュニア氏は「本当なら素晴らしい」と返信。それで、その6日後の午後4時にロシア人女性弁護士と面談することになるのです。

注*4:アラス・アガラロフ氏はプーチン大統領に近いロシア不動産王で、トランプ氏のロシアにおけるビジネスパートナー。アガラロフ氏の息子のポップ歌手エミン氏とトランプ氏はモスクワで開かれたミス・ユニバース・コンテストの共同主催者。

—ジュニア氏はメディアに対して「そんな情報はなかった。会談は無意味だった」と述べていますね。未公開聴取でも同じことを証言したのでしょうね。

ウィキリークスの「クリントン・スキャンダル」

高濱:一つ、“状況証拠”があります。当時の選挙状況です。6月9日前後の選挙情勢を振り返ってみました。

共和党の予備選でトランプ候補は46.8%の支持を得て、2位のテッド・クルーズ候補(27.5%)を大きく引き離していました。一方、クリントン候補との支持率争いではクリントン氏44.1%、トランプ氏40.3%と、4%近くリードされていた。

トランプ氏は共和党候補に指名される可能性が出てきた時期でした。クシュナー氏ら選対幹部は、次の標的はいよいよクリントン候補と考えるようになっていたと思います。しかし、本選挙でクリントン候補に勝てる状況にはなっていない。とすれば、クリントン候補にダメージを与える情報はのどから出るほど欲しかったはずです。

そこで、この会談でクリントン候補に不利な情報をロシア側から得たとします。それをトランプ陣営がメディアに流して使うか、あるいはロシア経由で第三者に流すのか。ジュニア氏、マナフォート氏とロシア人弁護士らとが具体的な話をしたとします。そうであれば、まさに「共同謀議」です。

16年の大統領選のさなか、ウィキリークスがかなりの量の「クリントン・スキャンダル」を流したことがあります。背後でロシア政府が蠢いたのか、どうか。

米保守系紙「ワシントン・タイムズ」が16年10月、ウィキリークスが流した「クリントン・スキャンダル」を基に「トップテン」を列挙した記事を書いています。

—今後、議会や特別検察官チームによる疑惑解明はどう進みますか。

高濱:議会には、クリシュナ―氏やジュニア氏たちに公聴会で宣誓させて証言させるべきだという声が出始めています。トランプ大統領は、議会による一連の取り組みについて「いかがわしい行為」とツイートする一方で、広報体制・弁護体制の強化に踏み切りました。

ジェフ・セッションズ司法長官の解任すら示唆しています。「ロシアゲート」疑惑追及の動きを止める積極性に欠けるというのが理由のようです。しかし同長官を解任すれば、「疑惑隠し」批判は免れません。

ホワイトハウスの広報部門のトップに、対メディアで超強硬派のアンソニー・スカラムッチ氏(投資会社創業者で政治コメンテイター)を起用、これに反発したショーン・スパイサー報道官が辞任しました。

トランプ大統領は28日、広報部門の体制を刷新するのに伴い、ラインス・プリ―バス大統領首席補佐官(前共和党全国委員長)を更迭し、その後任にジョン・ケリー国土安全保障長官(退役海兵隊大将)を起用しました。

また同大統領は、「ロシアゲート」疑惑追及に対応する弁護団の最高責任者に大物弁護士のタイ・コブ氏を任命しました。

政権発足6か月にしてホワイトハウスの中枢を刷新したのはなぜか。ワシントン政界通の一人は、今回の抜本的な人事刷新について筆者にこう解説しました。「厳しさを増すロシアゲート疑惑に対する議会、特別検察官の追及の動きにトランプ大統領が動揺している表れだ。これまでの態勢では劣勢を挽回できないとみたのだろう」

「ロシアゲート」疑惑もさることながら、上院は28日未明、同大統領が選挙公約に掲げてきた「医療保険制度」(オバマケア)の撤廃と代替をめぐる法案を僅差で否決してしまいました。トランプ大統領にとっては眠れない夜が続きそうです。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『汚職疑惑で黄昏?のメドベージェフ首相 プーチン氏は来年3月の大統領選へ「再選戦略」始動か』(7/28日経ビジネスオンライン 池田元博)について

7/31日経朝刊<中国、異例ずくめの軍事パレード 短い間隔、演習場で実戦部隊>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H0N_Q7A730C1FF8000/?dg=1

7/31日経朝刊<習氏の呼称変更、「党主席」にらみの観測も 軍事パレード>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H11_Q7A730C1FF8000/

7/31宮崎正弘氏のメルマガ<軍創立90周年で軍事パレードを挙行した習近平「主席」だが なぜ遠隔地「内蒙古自治区」の辺疆でしか出来なかったのか?>では内蒙古のパレードにしたのは瀋陽軍区を抑えきれていないからというニュアンスです。暗殺の可能性もあるから?

http://melma.com/backnumber_45206_6563591/

7/31NHKニュースロシア海軍 国内外で大規模なパレード 軍事力を誇示か  6時01分

ロシアは「海軍の日」に合わせて、サンクトペテルブルクやシリアの港などで大規模な軍事パレードを行い、来年3月に大統領選挙を控えたプーチン大統領としては、国内外にロシアの軍事力をアピールする狙いがあるものと見られます。

サンクトペテルブルクで30日行われたパレードには、およそ50の艦船や40以上の航空機に加え、先週までバルト海でロシア海軍と合同演習を行っていた中国海軍の艦船も参加しました。 パレードを視察したプーチン大統領は「ロシアの歴史は勇敢な海軍の勝利と強く結びついている。海軍の増強のため、今も多くのことが行われている」と述べ、海軍力をさらに強化する考えを示しました。 また、ロシア海軍が基地を置くシリアのタルトゥース港でも初めての軍事パレードが行われ、シリアのアサド政権の軍の関係者も出席しました。 シリアをめぐっては、内戦の終結に向けてアサド政権を擁護するロシアが反政府勢力を支えるトルコと和平協議を主導しているほか、アメリカとも一部の地域で停戦を目指すことで合意しており、シリア国内で軍事パレードを行うことで、ロシアの存在感を一層誇示する形となりました。 来年3月に大統領選挙を控えたプーチン大統領としては、ロシアの軍事力を国内外にアピールし、強いロシアを演出する狙いがあるものと見られます。>(以上)

中露が競って軍事パレードをしているのは、裏で連携したのではと思わせます。ロシア海軍のパレードに中国海軍も参加したともあります。ロシアは、トランプ大統領になって経済制裁解除できるのではと期待していたのが、米議会が大統領の手足を縛って、うまく行かなくなりました。ロシアの海軍のパレードと言うことは、「クリミア半島のセヴァストポリ軍港は永久に手放さないぞ」という意思表示です。しかし米議会も頭が悪いとしか思えません。中露離間を図るべきなのに、逆にくつける作用をしてしまっています。ユダヤ・グローバリストの影響か?このままいけば間違いなく米中戦争になります。Hot war にしないためにはロシアを最低でも中立化しないと、中国に戦争を諦めさせることはできないのでは?いくら機雷で海上封鎖したとしても。

7/31NHK朝のニュース(大体5:45頃だったと思います)で、ロシア・エカテリンブルグで開かれた物産展に北海道からブースを開き、高橋はるみ道知事も参加し、ロシア人は酸味が好みと言うので、ハスカップのお菓子を売り込んでいました。またホタテの貝殻を砕いてセメントに混ぜると耐火性が増すというので、ロシア人がその技術に興味を示しているのも紹介されました。

http://blog.goo.ne.jp/siosiosatou/e/e6310379ad0f6c3b34d86caa0aa0b90b

日本は中露分断を働きかけるべきでしょう。北方領土の問題はありますが、最大の敵は中国です。日米VS中露の構図にするのではなく日米VS中国の構図にすべきです。大局を見間違わないように。トランプも流石に中国に騙されたのに気付いた様子で、怒り心頭のツイッター砲。小生は早くから中国人に騙されないようにと言ってきましたが、その通りの展開になりました。何せ中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」ですから。今後はすぐに「中国銀行」にも制裁の網をかぶせるべきです。また日本と韓国、NATO同盟国にも「丹東銀行」、「中国銀行」とは取引しないよう協力を要請すれば良いでしょう。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170731/k10011081141000.html?utm_int=news_contents_news-main_002

池田氏の記事では、メドの更迭は難しいのではとの見方もあるようですが、政府がというよりプーチンが腐敗の館を撮影させたのでしょう。追い落とす素材を提供したわけで、来年3/11の大統領選の後に首相交代でしょう。欧米とのチャネルを期待していたのでしょうけど、思った結果が出せませんでしたので。米議会対策を任されてうまくいかなかったプリーバス首席補佐官の更迭と似た感じを受けます。ただトランプより、プーチンの方がスマートですが。

記事

ロシアのプーチン大統領が9月の統一地方選を控え、地方遊説を精力的に進めている。半面、その地方選で本来は、政権側の有力政治家として活躍すべき人物の存在感の薄さが話題になっている。メドベージェフ首相だ。

プーチン大統領 (左)が精力的に動く一方、メドベージェフ首相(右)の存在感は低下している(写真:ロイター/アフロ)

ロシアのウラル山脈の西側に位置するウドムルト共和国。首都イジェフスクは、世界的に有名な自動小銃「カラシニコフ」の製造拠点としても知られる工業都市だ。

6月27日夕、プーチン大統領がこの街を視察に訪れた。真っ先に訪れた場所は、地元住民の女性アナスタシアが暮らす木造アパートだった。

大統領がアナスタシアと知り合ったのは、その2週間ほど前の6月15日。プーチン大統領が生出演し、国民の様々な疑問や苦情に答える毎年恒例のテレビ番組「プーチンとのホットライン」だった。

イジェフスクからの中継で番組に出演したアナスタシアは、自分たちの住む老朽アパートの惨状を切々と訴えた。「部屋の中は、夏は湿っぽく、冬はとても寒いです」「一番心配なことは天井がいつ落ちてきて、子どもや大人に危害を与えかねないかという恐怖です」「老朽アパートの認定はすでに受けていますが、取り壊しと転居は順番待ちで2029年となります。こんな状態で、あと12年もどうやって暮らせば良いのでしょうか」

「何と言うことだ」――。アナスタシアの話にしばし絶句した大統領は、老朽アパートからの転居計画には連邦予算から一定額を拠出していること、全国的にはそれほど悪くないペースで転居が進んでいることなど、一般的な概況を説明した。

ただし、全く説得材料になっていないと思ったのか、大統領は突然、「私があなたの所に行きましょう。イジェフスクには行く予定があるので、そちらに立ち寄ってどのような状況かを見ましょう。その時に、個人的に話し合いましょう。いいですね? そうしましょう」と番組の中で提案したのだ。

それから2週間弱。プーチン大統領はさっそく約束を守り、アナスタシアの住むイジェフスクのアパートを訪問したわけだ。

「ほら、ご覧の通りです」。アパートというより、バラックに近い古い木造の低層建物の前で、プーチン大統領に老朽ぶりを説明するアナスタシア。他の住民らも見守るなか、プーチン大統領はさっそく、隣で神妙に立っていたウドムルト共和国のブレチャロフ首長代行に説明を求めた。

大統領「(転居は)いつ始まるのかね。計画はいつ準備できるのか」

首長代行「計画は12月までに準備するようにします。転居は来年、つまり2018年から始めます」

大統領「ここで転居が必要なのは何家族かね」

首長代行「3つの建物で合計11家族です」

大統領「あなたは2018年から計画を始動させたいのかね」

首長代行「そうです」

大統領「11家族は緊急性が高い。今年の年末までに転居させなさい」

首長代行「わかりました」

密かに進む「プーチン再選戦略」

一人ひとりの生活に目配りし、個々の悩みや不満の解消に真摯に努力する大統領のイメージを、国民に誇示する格好のエピソードとなったわけだ。やや芝居がかったような展開には当然、疑問もわいてくる。大統領府が果たしてどこまで、事前にシナリオを描いていたのかだ。

プーチン大統領はこの日、イジェフスクで軍事工場や電子機械工場なども訪問し、工場労働者や学生などとの会合を重ねた。ブレチャロフ首長代行とも改めて個別会談している。大統領が「プーチンとのホットライン」で語ったように、イジェフスク視察の予定はもともとあったようで、老朽アパート問題だけのために訪問が計画されたわけではなさそうだ。

では、訪問の真の目的は何だったのか。2つの理由が考えられる。まずは、9月10日に投票日を迎える統一地方選に向けた選挙応援だ。地方選では首長選や議会選など様々な選挙が予定されるが、共和国首長や州知事を選ぶ最も重要な首長選は、合計16の共和国・地方・州・市で実施される。

ウドムルト共和国もそのひとつ。しかも、プーチン大統領は今年4月初め、汚職疑惑が浮上していた同共和国のソロビヨフ首長(当時)を「信頼を失った」として解任。代わりにブレチャロフ氏を首長代行に任命した経緯がある。同氏は当然、政権が推す候補として9月の首長選に出馬する。

大統領がイジェフスクを訪問したのも、政権側の候補者の当選をより確実にする狙いがあるといえるだろう。国民人気の高い大統領が地元を訪れただけでも、政権側の候補者にとっては相当な選挙応援になるからだ。

実際、プーチン大統領は今春以降、首長選が予定される地方への視察を重点的に実施するようになっている。7月14日には西部のベルゴロド州を訪問した。同州でも9月10日に州知事選が実施される。大統領は投票日までに、首長選が実施される16の連邦主体すべてを訪問する計画も取り沙汰されている。

もうひとつの理由は、自身の大統領再選に向けた事実上の選挙キャンペーンという位置づけだ。次期大統領選は来年3月に実施される。プーチン大統領はなお、再出馬するかどうかの意思表明をしていないが、大統領府を中心にすでに綿密な「プーチン再選戦略」を練り、順次進めているとの見方が有力だ。

大統領の国内支持率は依然8割を超すものの、マンネリ化する長期政権への不満も募っている。プーチン大統領への信頼を国民の間でつなぎ止めるには、地方視察も頻繁に行い、各地の住民と直接対話を重ねていく必要もある。

特に、これまでプーチン人気を支えてきた主因が「国民生活の向上」だっただけに、大統領が直接現場に向かって老朽アパート問題解決に取り組むという今回のようなケースは、格好のイメージアップ戦略にもつながるわけだ。

メドベージェフ首相の更迭説も

地方選の選挙応援自体も、実は次期大統領選の戦略と密接に関連する。9月の地方選は来春の大統領選の動向を占う重要な試金石となるからだ。プーチン大統領は今年に入ってウドムルト共和国に限らず、地元の評判の悪い地方首長を相次ぎ解任させ、政権側が支援する別の人物を代行に任命している。まずは地方選で政権側が圧勝して、政権運営の安定度を高めるとともに、大統領選の追い風とする思惑があるのは疑いない。

その意味で、ロシアがすでに選挙の季節を迎えているといっても過言ではないわけだが、ここに来て政権内の「異変」を指摘する声が出てきている。政権が次期大統領選の前哨戦として重視する今年9月の地方選に向け、政権ナンバー2のメドベージェフ首相がほとんど指導力を発揮していないという点だ。

国政選挙であれ地方選であれ、政権側で選挙戦の主体的な役割を担うのは通常、政権与党の「統一ロシア」だ。メドベージェフ首相はその政権与党の代表も務めている。しかも首相として内政、特に国民の関心の高い経済分野を統括しているだけに、地方遊説にはうってつけの大物政治家といえる。それにもかかわらず、地方選の応援遊説をほとんどしていないというのだ。

ロシアの経済紙「ベドモスチ」はその理由として、反政権派ブロガーのアレクセイ・ナワリヌイ氏がネット上に公開した政権の汚職・腐敗を糾弾するビデオの影響を挙げている。このビデオはメドベージェフ首相が複数の豪邸など、内外に莫大な隠し財産を保有していると告発したもので、若者を中心に多くの国民が視聴した。

これによって、メドベージェフ首相に対する国民のイメージも悪化した。独立系世論調査会社レバダ・センターが6月末に実施した調査では、「信頼できる政治家」で首相は5位に甘んじている。9月の地方戦を戦う政権側の当事者らの間でも、「汚職疑惑がつきまとう首相に遊説に来られても、選挙戦に逆にマイナスに響く」と敬遠する向きが多く、結果的に首相の存在感が極端に薄れているというわけだ。

首相をめぐる噂はそれだけにとどまらない。国内の政治権力構造を主に研究する「ミンチェンコ・コンサルティング」は、プーチン大統領が2004年と2008年の大統領選の前に、当時の首相をいずれも解任した経緯を踏まえ、今回も来年1月までに首相を更迭する可能性があると分析している。

もちろん、プーチン大統領との個人的な信頼関係、大統領職まで務めた過去の経歴も考慮すれば、メドベージェフ首相の解任は想定しにくいとの指摘も多くある。ただ、くだんのナワリヌイ氏のビデオは、首相の隠し資産とされる豪邸などの様子を、ドローンを飛ばして上空から詳細に撮影している。当局側の暗黙の許可や政権内の手引きがなければ、撮影は不可能との見方もある。

ロシアではプーチン大統領の続投を前提に、次期政権下での首相ポストの争奪戦も激化しているといわれる。こうした権力闘争の行方を占う上でも、メドベージェフ首相の動静から当面、目を離せそうにない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『30年で500万頭も減少した中国ロバの受難 ロバ皮が原料の生薬、富裕層拡大で需要急増』(7/28日経ビジネスオンライン 北村豊)について

7/30日経朝刊習氏「党主席」復活提案へ 長期政権へ布石 

中国共産党の習近平総書記(国家主席)が秋の党大会に向け、長期政権への布石を打つ。党大会後の新体制を協議する重要会議を近く開き、強い権限を持つ「党主席」の復活を提案する。建国の父とされる毛沢東が死去するまで30年余り就き続けたポストで、権力集中を進める狙い。5年に1度の党大会時に68歳以上の幹部は引退する定年制の見直しも議論する。実現すれば、改革開放以降に確立した中国の集団指導体制が大きな転換点を迎える。

中国共産党は毎年7月末から8月上旬に河北省のリゾート地、北戴河に党の指導者と引退した長老らが集まり、幹部人事など重要政策について意見交換する。「北戴河会議」は非公式。日程や参加者など一切の情報が開示されないが党大会に大きな影響力を持つ。

今年の主要議題は党大会で刷新する最高指導部(政治局常務委員)の人事。党関係者は「党中央委員会主席(党主席)を新設する組織改革案が取り上げられる」と日本経済新聞に語った。

毛沢東は1945年から76年に死去するまで党主席に就き続けた。かつての憲法は党主席が「武装力量を統率する」と規定、党や政府、軍に対して強い権限を持たせていた。毛沢東への権力集中が文化大革命などの混乱をもたらした反省から82年に廃止した。

党主席の復活案は長期政権に布石を打つ色彩が濃い。国家主席の任期は憲法で「2期まで」との規定がある。総書記も党の暫定規定に「連続2期まで」との文言がある。党主席の新ポストは、2012年に総書記に就いた習氏にとって2期目を終える22年の党大会以降も最高指導者の地位にとどまることを可能にする。

党関係者によると党主席は昨年も議題となり、一部の長老から賛同を取り付けたが、結論は先送りされていた。今回は日本の官房長官に相当する中央弁公庁主任の栗戦書・政治局員が具体案を提示する方向。秋の党大会で党規約を変更し、来春の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に憲法改正案を提出する日程を描く。今年の北戴河会議で意見を集約できるかどうかが、習氏の求心力を測る試金石にもなりそうだ。

賛成派は経済成長の鈍化など内外の環境が厳しくなる状況下で、強い権限を持つ指導者が必要だと主張する。習氏は昨秋、党内で別格の存在である「核心」の称号を得た。ただ、常務委員会の議長という位置づけの総書記では他の常務委員と同じ1票しか持たない。党主席になれば、より大きな権限を握れる。一方、慎重派が押し返せば、結論が持ち越される可能性もある。

北戴河会議では党大会時に68歳以上なら引退する慣習の見直しも議論する。念頭にあるのは習氏の右腕として汚職摘発を指揮してきた王岐山氏(中央規律検査委員会書記)の処遇だ。王氏は7月に69歳となり、秋に引退する。

習氏はこの定年制は明文規定のない慣習にすぎないとして、王氏の留任を検討しているという。反腐敗闘争を通じて政敵を排除してきた習氏にとって、王氏が最高指導部に残れば党内へのにらみが利く。習氏も22年の次回党大会は69歳で迎えるため、自らの3期目の布石にもなる。

最高指導部の人事では、習氏は7人いる政治局常務委員の過半数を側近で固めることをめざす。習氏は07年の党大会で最高指導部に入ったが、それまでは目立たない存在だった。政治局常務委員の候補となる高官の側近は多くない。王氏が残留すれば、過半数を握るのが楽になる。

習氏は1期目に権力地盤を着々と固めてきた。党主席と定年延長の両方を実現するのは困難との見方もあるが、関係者はこう一蹴した。「習氏が権力強化を進める方向は変わらない。どこまで強くなるかという程度の問題だ」(北京=永井央紀)>(以上)

7/27『看中国』の記事懲罰助朝中國企業會影響美中關係嗎?(圖)

美國駐聯合國代表黑利(Nikki Haley)。(網絡圖片)

據美國CNN報道,儘管美中兩國外交人員在聯合國合作,以達成制裁朝鮮的協議,一位美國政府官員本周依然表示,美國也可能針對中國公司施加新的對朝鮮制裁。

美國“國務院東亞局”(State Department’s East Asia bureau)局長助理秘書蘇珊·桑頓(Susan Thornton)本周二在美國參議院外交小組委員會發表講話時表示:“中國現在很清楚的知道,我們在必要情況下會對一些中國實體採取的措施。”

美擬制裁支持朝鮮的中國企業

桑頓的評論顯示美國總統唐納德·川普(特朗普)行政當局正在對朝鮮進行微妙平衡行為。中共是對平壤施加壓力的關鍵盟友,也是旨在限制朝鮮貿易和進口制裁的主要可能目標。

自從川普當選以來,平壤在加強導彈和核試驗,華盛頓也期待中國在朝鮮取得進展。

這個月,朝鮮聲稱已經測試了一枚具有核能力的洲際彈道導彈,之後美國國務卿蒂勒森說:“需要採取全球行動來制止這個全球威脅。”

作為朝鮮的主要盟友和聯合國安理會成員,北京是全球行動中任何擬議的最重要參與者。

但是,川普上個月發推文表示,他希望“會從中國針對朝鮮多得到一點幫助,但似乎並沒有奏效”。

華盛頓也批准對與朝鮮有非法財務關係的中國銀行進行新的制裁。(ワシントン(=議会)も北朝鮮への違法な財務活動に関する中国銀行に対する新たな制裁を批准しようとしている)。美國國務院負責東亞事務的代理助理國務卿董雲裳(Susan Thornton)向參議院外交事務附屬委員會表示,美國財政部將很快採取行動,瞄準參與支持金正恩政權的中國實體。

董雲裳稱,美國進一步在經濟上施壓,原因是中共政府對制止中國企業、個人違反聯合國制裁決議,表現得“無所作為(=何もできていない)。

中共駐美大使崔天凱周二則表示,無法接受中國企業遭到二級制裁。

美國無意和朝鮮談判

美國駐聯合國代表黑利(Nikki Haley)本周二對記者表示,中共針對朝鮮正在採取新的國際制裁方面取得了進展。

她告訴記者說:“我們經常與中國保持聯繫……事情正在發生,但現在還不能說出他們將要走多遠。真正的考驗將是(中國)與俄羅斯一起解決,(以及俄羅斯是否)會試圖退出。”

“卡內基-清華全球政策中心”(Carnegie Tsinghua Center for Global Policy)分析師趙通表示,中國長期以來一直支持制裁,但對兩國追求的最終政策仍然存在着混亂。

他說:“如果美國的最終目標是通過全面經濟禁運來直接威脅朝鮮政權的穩定,美國的戰略只對中國有意義。中共對這種做法有很大的擔憂,但另一方面,美國官員也多次表示不會威脅北京政權。”

桑頓表示,朝鮮無意在目前環境下放棄核計劃,朝鮮不會放棄武器來交換談判,即使(我們在)經濟上讓步,向朝鮮人民提供急需援助。

她補充說,儘管北京和首爾呼籲談判,美國也不會在這個時候考慮談判。桑頓說:“我們不會採取談判的方式。”

【看中國2017年7月27日訊】(看中國記者方林編譯)>(以上)

こちらの両記事を見ますと中国も内外に問題を抱えているのが分かります。でも、一党独裁で、反対意見は抹殺されますが、内部の権力争いは相当なもので、命をかけている所が日本とは大きな違いです。①習近平が長老を押えて「党主席」に成れるのか・・・日本のメデイアに発表するくらいですから、実現性は高いのでは。ただどうやって長老たちを手なづけるのか?飴と鞭を与えたとしても②王岐山の定年延長が認められれば、「反腐敗(=反賄賂)「運動」は苛烈さを増すでしょう。政敵倒しに利用されるだけです。腐敗していない人間なんて中国人にはいませんので。

①、②共に認められるのかどうか?長老たちがそんなに簡単に認めるとも思えません。自分の安全を保障すると口約束されてもいつひっくり返されてしまうか分かりませんので。まあ、本気でやるとすれば、北戴河に習子飼いの軍を置いて、無理やり習の言う通りにさせ、反対派と思しき人間は趙紫陽のように自宅軟禁すればできるでしょうけど。①、②が実現できれば習の権力が強固なものとなり、世界制覇の第一歩を踏み出すことになります。冷戦ではなく熱戦の時代が到来することになります。米ソ冷戦はお互い自由主義陣営と共産主義陣営で交易も少なく、閉ざされた世界での争いでした。今度の米中の世界覇権争奪は米国の覇権に中国が挑戦することから始まります。お互い自由に各国と交易でき、資源を奪い合う訳ですから、衝突しない訳がありません。早く自由主義諸国は手を打たないと。中国の発表する経済数字に目を眩ませられて、仲良くやっていこうとするのは愚の骨頂です。

『看中国』の記事では、中国の駐米大使の崔天凱(元駐日大使、日本語は出来ず、英語のみ、日米離間の為の駐米大使と言われている)が「二級制裁」に反対すると述べていますが、「一級制裁」は相手国全部に対する制裁、「二級制裁」は相手国への部分的な制裁の意味のようです。丹東銀行に対する金融制裁のように部分的なものを指します。でもこれが効果を上げるのは中国の反対からも分かりますし、昨日小生ブログで日経の記事より、「中国外務省の陸慷報道局長が日本の丹東銀行への制裁に対し牽制」からも分かる通り、中国経済にとって相当効くだろうと予測しているからです。特に中国銀行に発動されれば。トランプは早急に発動しなくては。記事にある「中国銀行」が「中国銀行(固有名詞、香港の紙幣発行銀行の一つ、元外為専門銀行)」なのか「中国の銀行」なのかははっきりしませんが。「中国銀行」に課すべきです。

北村氏記事を読んで感じることは、やはり中国人の自己中、欲望の強さです。こういう民族がパリ協定を主導するというのですから、臍で茶を沸かすようなものでしょう。世界から鉱物資源を集めるだけでなく、ワシントン条約で禁止されている象牙取引、漢方薬となる熊の手の乱獲、大型船による虎網業法による乱獲と言ったように資源保護とか資源管理の発想がありません。国際法を守る気もなくて、いつもポーズだけ。自分の欲望がいつも勝ります。北村氏は科学の力で代用品をとの思いのようですが、中国人の発想では、「本物でないのは使いたくない」となるでしょう。元々「医食同源=同じ部位を食べれば体の悪い部位も治る、特に人間に近ければ近い方が良い」という発想ですから。法輪功信者の闇臓器狩りも元々似たような発想でしょう。中国人には精神や魂の追求はなく、物理的・肉体的なものへの追求しかありません。ですから良き文学が生まれる下地がないのです。

記事

ロバ(驢馬)は日本では馴染みが薄い動物で、動物園へでも行かないとお目にかかれない。しかし、子供時代に読んだイソップ寓話の『王様の耳はロバの耳』を通じて、ロバの耳が長い事を知る日本人は多い。ロバの耳はウサギの耳のように長いので、かつて日本ではロバを「ウサギ馬」と呼んでいたという話を聞いた記憶がある。

ロバは奇蹄目ウマ科ウマ属ロバ亜属の動物で、ウマ科の中では最も小型だが、古代から家畜として飼われ、粗食に耐え、力が強いことから、農作業や運搬に使われた。筆者は中国だけでなく、中東やアフリカでも穀物を挽く石臼にくくり付けられ、日がな一日石臼の周りを回って粉挽き作業に従事するロバや、大きな荷物を運ぶロバを何度も見ている。ロバが家畜化されたのは5000年ほど前で、人が野生種の「アフリカノロバ」を飼育したのが起源と言われている。ロバ亜属は「アフリカノロバ」、「アジアノロバ」、「チベットノロバ」の3種類に分かれ、それぞれが各地で順次家畜化され、人々の最も身近な動物の一つとして位置付けられるようになり、今日に至っている。

“龍の肉”に匹敵

英語ではロバをassとかdonkeyと呼ぶが、辞書によれば、前者は野生のロバを意味し、後者はその家畜化したものを指すのだという。雄のロバはその身体に比べて長大な一物(ペニス)を持つことで知られ、親子の見境なく交尾することから「畜生」と見なされる一方、馬と比べて頑固で、従順でなく、融通が利かないことから「愚か者」と揶揄されてきた。米国・民主党のシンボルはロバ(donkey)だが、後に第7代大統領となった当時(1828~29年)大統領候補であったアンドリュー・ジャクソン(Andrew Jackson)が、敵対する共和党から“Jackass”(馬鹿のジャクソン)と呼ばれたのを逆手に取って、ロバを民主党のシンボルとしたのだと言われている。

20年程前、筆者は出張で訪問した甘粛省の山村で“金銭肉”なる料理を歓迎宴の前菜として供されたことがある。“金銭肉”の由来は、その形状が穴開き硬貨に似て、円形で真ん中に丸い穴が開いている肉を薄切りにした物だからだが、肉は燻製のような茶褐色で透明な代物だった。筆者が1枚の金銭肉を口に入れて味わうと、村人たちは笑いながら「これは加工したロバのペニスを輪切りにした肉」だと種明かしをしてくれた。その味がどうだったかは忘れたが、珍味の一つであることは間違いない。中国には“天上龍肉, 地上驢肉(天上の龍の肉、地上のロバの肉)”という言い回しがあり、ロバの肉は天上の龍の肉に匹敵するほど栄養価が高いと言われている。上述した歓迎宴では金銭肉以外のロバ肉料理も供されたと思うが、辺鄙な山奥の料理としては美味であった記憶だけが残っている。

さて、中国では30年前には1100万頭のロバが飼われていて、世界最大のロバ飼育地であった。当時、農村では至る所でロバを見かけたし、多くの農民がロバを運送や農作業の手段として活用していた。農民にとって貴重な働き手であるロバは家族の一員と見なされていた。しかし、農村に各種の農業機械が導入され、“農用車(トラクターをトラック風に改造したもの)”や自動車が普及するようになると、ロバは徐々に無用の長物となった。中国の“国家畜牧統計年鑑”には、「我が国のロバ飼育数は1990年代には1100万頭だったが、その数は減少の一途をたどり、今では600万頭にまで落ち込んでいるばかりか、毎年約30万頭ずつ減少している」と記されている。

ロバ皮から作る生薬欲しさに

中国国内でロバの数が減少を続けている最大の要因は、“阿膠(あきょう)”需要の急上昇にある。“阿膠”は“驢皮膠(ろひきょう)”とも呼ばれる生薬で、その名の通り“驢皮(ロバ皮)”を原料とする伝統薬である。“阿膠”その物は3000年の歴史を持つと言われ、北宋の“開宝二年(969年)”にはすでに生産工場が出現したと史書に記載がある。清朝の“咸豊年間(1851~1861年)”に皇帝(咸豊帝)の寵姫“蘭貴人”が“血症(血の巡りが悪いことによる各種症状)”による習慣性流産で苦しんだが、妙薬の“阿膠”を服用したところ、血症が治り、男児を産むことができた。この男児が後の“同治帝”(在位:1862~1874年)であり、その生母こそが後に“西太后”と呼ばれて絶大な権力を振るった“懿貴妃”(「蘭」から「懿(い)」に呼び名を変えた)であった。

蘭貴人が服用することで血症を治癒し、子供を無事に出産できたことから分かるように、“阿膠”は生理不順や生理痛など各種婦人病、便秘や骨粗鬆症などの諸症状の改善に効力を発揮する万能薬と考えられている。また、新陳代謝を良くすることから、美白や肌荒れなどの美容効果もあるとされる。蘭貴人の時代には阿膠は極めて高価な生薬で、一般庶民には高値の花の存在だったが、今日では生産量も大幅に拡大して価格は下がり、庶民でも背伸びすれば購入可能な物となった。一方、高度成長によって多数の富裕層が生まれたことで、美容や健康に関心を持つ女性が多くなり、彼らが“阿膠”を大量に購入する時代が出現したのである。

中国全土には“阿膠”の生産企業が100社以上あり、“阿膠”の年間生産量は5000トンに上っている。山東省“東阿県”に所在する“東阿阿膠股份有限公司”(以下「東阿阿膠」)と“山東福膠集団”が最大手で、その他の小規模生産企業は各地に点在する。ここ数年、人々の健康と美容に対する関心が高まる中で、“補血(中国医学で「血液の力を補う」意味)”関連薬品の需要が増大している。その中でも“阿膠”の消費人口は急拡大しており、“阿膠”業界は2015~2020年には毎年15%前後の需要拡大を見込んでいる。この需要拡大に対応しようと、最大手の一つである東阿阿膠は、高品質な“阿膠”の生産を保証するため、2012年9月に4.5億元(約72億円)を投じて全国初となる1万頭規模の“黒毛驢繁育中心(黒ロバ繁殖センター)”の建設に着手しており、2017年内の完成を予定している。

1頭分のロバ皮から生産できる“阿膠”は約1kgだというが、需要が急拡大したために“阿膠”の原料となるロバ皮は品不足となっている。このため、ロバ皮の価格は毎年平均23%の上昇を示し、現在では1頭分が2000~3000元(約3万2000円~4万8000円)になっている。ちなみに、馬皮やラバ皮<注1>は1頭分で200元(約3200円)、豚皮や端切れ皮はもっと安い。上述した東阿阿膠のウェブサイトを見ると、高級品の「“精装阿膠(上質阿膠)”500g入り」の価格は4295元(約6万8720円)と高額である。その説明書には、「成分:ロバ皮、補助剤:水飴、“黄酒(醸造酒)”、“豆油(大豆油)”」とあり、最終製品は“阿膠”に補助剤を加えて成型したものであることが分かる。また、1日の用量は3~9gをお湯や牛乳に溶かして服用するとあり、毎日5g服用するとすれば、100日分が4295元ということになる。“精装阿膠”500gの中に正味どれだけの“阿膠”が含まれているのか。正味40%なら200gとなるが、正確なところは分からない。要するに、“阿膠”の等級によって、その実際の含有量は異なっている。

<注1>ラバ(騾馬)は雄ロバと雌馬の交配によって生まれる一代雑種、繁殖力はない。

原料の4割は「ロバ以外」

中国国営の「新華社通信」は2016年1月25日付で『こんなに多くのロバ皮、5000トンの生産量はどこから来たのか。“阿膠”の原料が直面する偽物問題』と題する記事を配信した。そこには次のような内容が報じられていた。

(1)山東省“阿膠”業界協会が、全国で100社以上に上る“阿膠”生産企業の年産量を推計したところ、少なくとも5000トン以上であることが判明した。この生産量を達成するためには毎年400万頭分のロバ皮が必要となるが、中国国内で調達可能なロバ皮は220万頭分で、180万頭分が不足している。

(2)“阿膠”業界の専門家によれば、毎年正常に出荷されるロバは120万頭であり、これに輸入されるロバ皮を加えて、全国で生産可能な“阿膠”の総量は3000トン超である。これは“阿膠”の年間生産量5000トンの6割にしか達しておらず、残りの2000トンはロバ皮以外の皮を原料とする偽物の可能性が高い<注2>。

<注2>“阿膠”はロバ皮だけでなく、馬皮、ラマ皮、豚皮からも生産可能だが、薬効が最も高いのはロバ皮であり、ロバ皮以外は全て偽物となる。

偽物が横行する中国だから、偽物の“阿膠”が市場で大量に流通していることは十分想像できる。だが、それはさておき、(1)にあるように、220万頭分のロバ皮を国内で調達することは本当に可能なのか。(2)には「毎年正常に出荷されるロバは120万頭で、これに輸入されるロバ皮を加えて」とある。これを勘案すると、中国国内で調達可能なのは120万頭分であり、海外から輸入されるロバ皮が100万頭分であるという結論に到達する。

ロバの妊娠期間は14カ月に及び、基本的に母ロバは1頭の子供しか産まない。農家がロバを飼う目的は労働力だから、できる限りロバを妊娠させないようにする。このため人間が増やそうとしないかぎり、ロバの数は増えない。従って、上述のように毎年30万頭のロバが減少しているということは、ロバの出生数以上のロバが処理されて皮になっていることを意味するのである。それなら、国内で不足するロバをどう調達すれば良いのか。その解決策はただ一つ、当然ながら「外国から調達すればよい」ということになる。

米国テキサス州の野生馬自由連合会(Wild Horse Freedom Federation)は、米国の野生ロバが違法に捕獲された後にメキシコへ運ばれて処理され、その皮が中国へ転売されていると報告している。また、パキスタンはロバ皮の輸出を禁じているが、ある地方政府は中国向けに毎年8万頭のロバを輸出する契約に調印したという話も伝わっている。しかし、これはほんの序の口で、実態はもっと深刻なものだった。

ブルキナファソとニジェールは輸出禁止

2016年9月29日付の米国CNNは次のように報じた。

【1】西アフリカのブルキナファソ政府は、2016年8月にロバ皮の輸出を禁止した。ブルキナファソには140万頭のロバが飼育されているが、“阿膠”の原料を求める中国がロバ皮の輸入を開始したことにより、ロバの飼育数維持が困難になったため輸出禁止を断行したという。ロバ皮の対中輸出は2015年第1四半期に1000頭分であったものが、同年第4四半期には1万8000頭分になり、2016年上半期には6万5000頭分に増大した。

【2】同じく西アフリカのニジェールは、2015年に2万7000頭分のロバ皮を中国へ輸出したが、2016年1~9月で8万頭分のロバ皮を対中輸出した。ニジェールではロバ1頭の価格が以前の34米ドルから145米ドルへ急騰したが、ニジェール政府は国内のロバが絶滅する恐れがあるとして、2016年9月にロバの輸出を禁止した。

【3】ブルキナファソとニジェールにとって、ロバの価格上昇は外貨収入の増大をもたらすが、その経済成長には代償が伴う。すなわち、ブルキナファソのある村では、ロバの処理場が建設されたことにより、処理場から出た血や内臓が水源を汚染した。また、ロバ取引が繁栄したことにより、その他の家畜の価格も上昇してインフレが引き起こされた。

英国BBCの中国語サイトは2017年1月24日付と3月21日付で南アフリカでロバ皮の違法取引が激増していると報じた。その概要は以下の通り。

(1)2015年以来、南アフリカではロバの盗難、密殺、皮はぎの犯罪活動が上昇傾向にある。南アフリカの全国動物虐待防止協会(NSPCA)は、「ロバは頭をハンマーで叩かれ、生きたまま皮を剥がされる。これは極めて野蛮で非人道的な行為だが、政府はこの種の違法活動に対して何らの防止措置を講じていない」と述べている。

(2)2017年1月23日、南アフリカ警察当局が北ケープ州のOlifantshoek所在の農場で100頭以上のロバが違法に密殺されているのを発見した。Olifantshoekで逮捕された容疑者によれば、殺されたロバの皮は首都のヨハネスブルグに近いBononiへ送られてから中国へ出荷される。これらの犯罪行為には中国人が深く関わっている。

(3)南アフリカの西北部では、多くのロバが広い農地で草を食べている。そのロバたちが頻繁に打ち殺され、住宅の裏庭や秘密の処理場で皮を剥がされている。職のない貧しい村人はロバに頼って生計を立てており、ロバを殺されては生きる術を失うことになる。2か月前、ヨハネスブルグの警察は1つのコンテナの中から5000枚のロバ皮を発見した。これらは中国へ密輸されようとしていたものと考えられるが、今年、警察は何度もコンテナから違法なロバ皮を発見して押収している。

科学の力で代用品を

アフリカ諸国からどれだけのロバ皮が中国へ輸出されているかを示すデータは存在していないが、上述した3か国以外からも大量のロバ皮が中国へ送られている可能性は極めて高い。

かつてクジラは鯨油を取るためだけに乱獲されて生息数を大幅に減らした。今やロバは“阿膠”の原料となるロバ皮を取るためだけに大量に殺されている。クジラが国際捕鯨委員会によって捕獲量が取り決められるように、将来はロバも国際委員会によって処理量が取り決められる日が来るかもしれない。

中国には「“中国人除了両条腿児的人和四条腿児的椅子不吃外其他都敢吃(中国人は2本脚の人間と4本脚の椅子以外は何でも食べる)”」ということわざがある一方で、「“豹死留皮,人死留名(豹は死して皮を残し、人は死して名を残す)”」<注3>ということわざがある。4本脚のロバは食べる対象かもしれないが、肉は捨てられ、皮だけを薬の原料とされては、ロバがあまりにも哀れである。ロバは数千年にわたって家族の一員として人間の労働を助けてきたのだから、科学技術を駆使して、ロバ皮に匹敵する薬効を持つ化学物質を見つけ出し、“阿膠”の代用品を作るべきではないだろうか。

<注3>日本では「虎は死して皮を残し」だが、中国では虎が豹(ひょう)になる。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『人生を翻弄された上海人が始めた政府への抵抗 仕事を追われた彼が年金より大切に思ったものとは』(7/27日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

7/27ダイヤモンドオンライン記事より<安倍首相もハマった、マスコミが疑惑だけで罪人を作る3つの方法

http://diamond.jp/articles/-/136478?utm_source=weekend&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

7/27KSL-Live!の記事<安倍内閣支持率77%、首相質疑終了後のSNS調査ではマスコミと真逆の結果>に依れば、安倍内閣はネットでは高い支持率を誇っています。ただ、マスメデイアは窪田順生氏の記事のように、この層は無視して、情弱=情緒的宣伝に弱い層に訴える戦術を採っています。北と中国への迫りくる脅威に目をそむけ、左翼メデイアのでっち上げ情報に踊らされるというのであれば、共産主義国の情報統制された報道を其の儘受け入れるのと変わりありません。自由がある社会なのに、衆愚にされているのに気が付かないでいます。ただ窪田氏の言うような倒閣にまでは至らないでしょう。勿論左翼メデイアの攻撃は続きますが、先ず代わりがいません。安倍氏も第一次内閣時に自民党から足を引っ張られて退陣した教訓を踏まえて行動しています。今自民党内で足を引っ張っているのは、空気の読めない党の裏切り者の石破だけです。彼は自民党の秘書の方からは「裏切り者」として嫌われています。先ず後を狙う所まで行かないでしょう。

http://ksl-live.com/blog10153

7/28facebook記事より<【ブラックジャックになれ】優等生的医者では治せない中国ガン

「中国ガン・台湾人医師の処方箋」より(林 建良著、並木書房出版)

https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E…/…/ref=sr_1_2…

ブラックジャックは日本的発想

中国ガンに対し、日本はどのような対応をとるべきか。これほど深く、広く、そして速度の速いガンに対しては、一般的な手法、普通の優等生的な治療法では歯が立たない。つまり、今の日本の体制、思想では対処しようがないと断言できる。

そこで日本は普通の医者ではなく、「ブラックジャック」にならなければならない。

日本の医者はルールに縛られ、認められている治療しか行わない。そもそも日本の医者は、頭の良さよりは根性で勝負する受験戦争を勝ち抜いた人間たちだ。医学生はルールだらけの医学部で学んだ後、社会に出た途端、高い地位を手にする。だから、ほとんどの医者はその地位を守ってくれる医学界の軌道からはみ出ることをせず、忠実に医学界のルールに従っている。

それに対して手塚治虫が描いたブラックジャックは、医師会に所属したり、大学病院に勤務したりするような優等生的な医者ではない。医学界どころか、世の中には認められないような存在である。彼は他人の批判を恐れず、型破り、破天荒な発想、哲学を持ち、きわめて大胆な治療を行う。その哲学は「どんな方法を使ってでも、この病気を治す」である。そして、自分の独自の発想でやりたい治療を行う。

この作品の魅力がいかに大きいかは、全世界に多くのファンがいることを見ればわかるだろう。ブラックジャックが二十数ヵ国の言葉に翻訳され、広く読まれ、愛されている。それはブラックジャックの義侠心が感動を与えているだけでなく、彼の大胆とも言える手法が、荒唐無稽の発想からではなく、それなりに現実性を持っているからだろう。

なぜルールを最重要視する優等生国家である日本に、そのような異端児、一匹狼のブラックジャックが生まれたのだろうか。だが、一台湾人の目からみれば、日本だからこそブラックジャックが生まれたのだと思う。ブラックジャックは極めて「日本人的発想」なのだ。

  • 東大医学図書館にブラックジャック全巻

私自身、台湾の医学部にいたときにこの作品を読んでいる。当時、台湾でコミックとは、買うものではなくレンタルするものだったが、同級生が講堂で医学講義を受けているとき、私は何十冊もの『ブラックジャック』を借りてきて、家の中で「勉強」していた。

しかし、これを笑ってはいけない。なぜなら「白い巨塔」といわれる大学の医学部の、そのまた頂点である東大医学部の、その知識を象徴する医学部図書館に入ると、一番手前の本棚に置かれているのは『ブラックジャック』全巻である。つまり東大医学部ですら、ブラックジャック的な創造力と冒険心がなければ、病気を治すことなどできないと考えているのだ。

日本にブラックジャックが生まれたことは、歴史を見ればわかる。信長、秀吉、家康などの戦国時代の武将たちは、みな型破りな発想を持った存在だった。明治維新の志士たちも同じで、体制の中で当然と思われていることを打破し、新たな体制を作りあげた。彼らが作った体制とは、近代国民国家という、それまで日本には存在しないものだった。

昭和時代に入ってからの大東亜共栄圏構想なども、EUなどの今日のグローバル経済圏の一つの原型になっている。満州国の建国も、今ではよその土地に国家を造るなどとんでもないことだと批判されるが、そこに数百万人もの中国人が喜んで住みついたのだから、まさに日本人の創造力と冒険心が生み出した歴史上の奇跡である。実際、台湾と同様、日本人が建国した満州国は現在の中国東北経済圏の産業基盤になっている。

ルールに縛られて活力を失っている今の日本人は老人のように見えるが、かつてはこのように、未知の世界に飛び込んで成功を収めてきたのである。だから、かつての活力を取り戻すことができれば日本はブラックジャックになれるのだ。

  • ブラックジャックならどうするか?

ブラックジャックなら、どのような大胆な手法で中国ガンを退治するのだろうか。ブラックジャックを読んで医者になった私は、いつも「師匠」なら、どうするのかと考える。既成の概念にとらわれず、細心かつ大胆な中国ガン治療法とはなにか。

中国ガンの治療方針は、以下の事実を認識した上で立てなければならない。

1、ガン細胞は完全に殲滅できないこと。

2、治療には痛みが伴うこと。

3、ガン細胞の強い抵抗に必ず直面すること。

4、日本がイニシアチブをとらなければいけないこと。

中国ガンは普通のガンと違い、十三億の人間を外科的手法で摘除することは当然不可能である。そこが中国ガンを退治する一番の難点であろう。だからこそ、ガン細胞を殲滅するではなく、無害化する以外に取るべき方法はない。どうやって無害化できるのか、ブラックジャックならどうするのか?

中国ガンを治療するにあたって、一番の困難は恐らく日本国内からの抵抗であろう。まず経済界からは株が大暴落からやめろとの大合唱が起こり、外務省からは中国が報復するからやめろと邪魔をするだろう。国民からも余計なことをするなとの非難の声が起こるだろう。

このような反応は想像ではなく、確実に起こると言ってよい。

  • 「中国を刺激するな」という金科玉条

ガン治療の難しいところは、ガン細胞の狡猾さと強い生存本能と戦わなければいけないことだ。中国ガンも然り。世界第二の経済力を持つ核保有国で、国連安全保障理事会の常任理事国でもある中国ガンは、日本以上に影響力を持ち、軍事力を使うこともためらわない。

このような中国を怒らせないでガン治療することは至難の業だ。しかし、中国ガンを退治しなければ、地球全体が壊滅してしまうことは明らかなのだ。

戦後の日本は国際政治に主導的な役割を果たさず、経済のみに専念してきた。中国のことに関しても同じアメリカ任せだった。

日本は中国と国交を樹立して以来、中国の嫌がることをしない、中国が聞きたくないことを言わないようにしてきた。「中国を刺激するな」という姿勢をかたくなに、まさに金科玉条として守ってきた。だから、資金も技術も投入して中国の経済発展に貢献するだけでなく、「反日」という中国社会のガス抜き機能にも一役買っている。

つまり、日本は中国ガンにとって、栄養分を供給してくれるだけでなく、中国社会が時たま服用しなければいけない「ナショナリズム」という名の安定剤にもなるありがたい存在なのだ。

しかし、いくら中国に贖罪意識が感じていたとしても、中国ガンの牙は日本に向けられていることを忘れてはいけない。やがて全世界を侵食してしまう中国ガンが真っ先に飲み込もうとしているのは、日本と台湾なのだ。

  • 日本にしかできない神業とは

中国問題をアメリカ任せにしている日本は、実は中国と二千年以上、対等に渡り合ってきた国だ。日本の中国研究は世界でも屈指なのだが、その正しい知識は政界や財界に反映されていない。それどころか、日本の政財界もマスコミも、中国の真実から目を背けている。

アメリカは太平洋国家と言っても、思想や知識の面ではやはり西欧中心である。さらに一神教のキリスト教国家であるため、思想的には善と悪がはっきりしており、灰色的な中国思想の深層部分を完全に理解することは難しい。

その点で日本は違う。二千年以上の中国に対する累積知識は世界のどの国をも凌駕している。だから戦争のトラウマがあるにせよ、日本がイニシアチブをとらず、中国問題をアメリカ任せにすることは無責任な態度だと言わざるを得ない。この厄介な中国ガン退治は、日本が主導して挑む以外に方策はないのだ。

では、師匠のブラックジャックなら、中国ガンをどう治療するのか?

私が台湾のガンセンターで研修していたとき、センター長の先生がよく口にしていたのは「手術は成功しても、患者が死んでしまったケースは、医者の驕り以外なにも残らない」という戒めだった。

現実世界にはこのようなことがよくある。妥協しない外科医ほどガン患者を死なせる。中国ガンを退治することも同じであるが、重要なのは地球が健康になることだ。ガン細胞を一つ残らず綺麗にとろうと、広範囲の組織を摘除して患者を痛めつけたうえ、死なせてしまうような治療ではなんの意味もない。

だから、中国ガンの治療は限定的切除と広範囲な免疫療法によって、中国ガンを無害化する以外に道はない。このような神業はブラックジャックを生み出した日本しかできないのだ。>(以上)

7/28facebookより河添恵子氏の記事<『正論』8月号に掲載しました中国権力闘争★人間相関図(河添恵子オリジナル)です。この度、失脚した重慶書記の孫政才。一帯一路のカネ横領、オンナ問題&私生児もいる、妻は民生銀行の夫人グループでカネ貢がれ・・・。と、お決まりのスキャンダルが中国語メディアから続々と出ています。

その孫政才を早くに引き上げたのは温家宝前首相や賈慶林であり、何ら派閥には入っていませんでした。ところが、江沢民派にズブズブ→吉林省で工作(吉林閥ドンの張徳江の手足に)→「親北朝鮮」関連人物、といった具合になってしまったのです。まさに江沢民派≒北朝鮮関連が粛清されています。

しかも、次人事には胡錦濤前国家主席もリベンジで関わっています。北戴河会議を前に実のところ、習近平と胡錦濤は手を結んでいます。胡錦濤の息子もロケット出世をしてきています。

まさに暑い夏です!

7/28宮崎正弘氏メルマガ<CIA分析官「ロシアより中国が米国の敵ではないのか」   米議会に巣くうロシア嫌い、トランプ政権、ロシア制裁に拒否権発動か?>

http://melma.com/backnumber_45206_6562336/

昨日も書きましたが、米国議会は真の敵を見抜けないでいるというか、裏には中国の工作が進んでいるという事でしょう。特にマケインがひどいのでは。共和党でありながらいつも民主党に投票をするとダイヤモンドの記事にありました。

http://president.jp/articles/-/21817?page=3

7/28 日経朝刊中国、銀行などの制裁「撤回求める」 北朝鮮巡り日本に

【北京=永井央紀】中国外務省の陸慷報道局長は28日の記者会見で、日本政府が北朝鮮への独自制裁として中国の銀行などを資産凍結対象に加えたことについて「絶対に受け入れられない。即時撤回を求める」と反発した。「日本が我を通すなら、中日関係や朝鮮半島問題での協力に必ず重大な障害をもたらす」とも強調した。>(以上)

この中国の銀行と言うのは共同通信に依れば、米が制裁指定した「丹東銀行」のこと。日経や時事通信は名を伏せていますが。中国の報道官の発言は日米離間や、これ以上西側諸国が加わって制裁しないようというのと、米国の「中国銀行」をも制裁指定の牽制にあります。温泉施設探査の社員6人の内、4人をやっと解放したような危険な国です。経営者は社員をそんな国に送り込んで良いのかと思います。何時も言っていますように中国経済を拡大すれば、それが軍拡に使われ、or賄賂に使われることによって日本の立場を危うくするものになります。自分だけが良ければとか自分だけが助かればと言うのは、日本人ではなくなるという事です。日本は中国が何を言おうとも整斉と制裁を課すべきです。

山田氏記事は共産党の有無を言わさぬ土地収用の実態を書いたものです。毛沢東が土地を渡すからと言って小作農を騙して革命を起こし、その後約束を反故にして、土地を召し上げて全部共産党のモノにしてしまったことが原因です。中国では土地の強制収用の問題は頻発しています。日本だったら左翼が生活権の侵害と言って大騒ぎするでしょうけど。彼らの理想の国は平気でやってのけるし、日本の左翼は中国を非難することもありません。左翼は平気で嘘をつくし、二重基準の持主です。こういう国にならないように左翼と戦わねば。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1475687374

http://www.thutmosev.com/archives/66670713.html

なお、中国のレンタサイクル2店(悟空単車、3Vbike)が倒産したとの記事がありました。中国人に借りたものを返す習慣はないので、失敗するとは思いましたが。

http://www.recordchina.co.jp/b181555-s0-c20.html

記事

友人が15年以上働いた新聞スタンドの跡地。地面の色が変わっている

年金生活を指折り数えて楽しみにしている上海人の友人がいた。

いつも携行している小さなノートに毎月「年金支給まであと4年11カ月」「あと3年9カ月」と残りの日数を更新して書き込んでいた。年金支給の開始は60歳の誕生月から。60歳なんてまだ若い、急に仕事をしなくなったら毎日暇をもてあますだろうと聞くと、「仕事をしなくて済む方が仕事をしなきゃならないよりいいに決まってるだろう。日本人は働きバチだって言うけど、そんなこと考えるなんて、ホントなんだなあ」と呆れ顔で言われたものだ。

その彼が、「2年2カ月」を最後にカウントダウンノートの更新を止めた。今年の2月のことだ。この月、彼は突然仕事を失った。いや、奪われた、と言う方が正確だ。ともあれ、あれだけ楽しみだった年金の支給が急にどうでも良くなった。嫌々やっていると思っていた仕事に、実は愛着を抱いていたのに気付いたということもある。ただ何より、これで恐らく、彼は一度も、自分の意思で自分の仕事の去就を決めることができずに彼の仕事人生を終えることになるのだろうということに、なんとも納得のいかない思いが突き上げてきて、他のことはどうでも良くなってしまったのである。

彼の仕事は新聞スタンドの経営だった。10年間務めた国有の腕時計工場を39歳の時にリストラに遭い、2年間の失業を経て2001年から始めた仕事だ。経営といっても元締めの会社があり、1部1元(16円)の新聞を売って得る彼の取り分は0.14元。残りの0.86元は会社に納めるのだから、経営というよりもスタンドの管理者か売り子という方が近い。

彼が新聞スタンドの仕事に就いた理由が国有企業のリストラだったように、当時の中国は時代に乗り遅れ経営が立ち行かなくなった赤字国有企業が足かせになり、経済が停滞していた。しかし、中国が次の経済大国になるのは間違いないと、海外が中国の市場に注目をし始めたころでもあった。海外の雑誌もそれは同じで、2005年ごろまで主に女性ファッション誌の中国語版の刊行が相次いだ。日本勢も小学館の「Oggi」や扶桑社の「LUCi」、講談社の「with」等はこのころに進出したものだ。上海では同時並行で地下鉄網の整備が進んでおり、地下鉄に乗って通勤する「白領」(ホワイトカラー)がオシャレだという認識が生まれていたが、日本の女性誌はそれまでの中国の雑誌にはなかった「30日間の着回しコーデ」のような特集を組み、若い世代を中心に好評を博した。

こうして海外の雑誌が中国の大都市で売れ始めた中、国有企業をリストラされた人たちの受け皿として生まれたのが上海の新聞スタンド「東方書報亭」だった。「居民委員会」と呼ばれる地域の自治会兼監視役のような組織と所轄の公安に新聞スタンドをやりたいと名乗り出ると、所轄内の適当な場所に、大ぶりの家庭用物置のような形をしたガラス張りで屋根のついた小屋を無償で用意してくれたのだ。

1992年に14.2%をつけた中国のGDPは、彼が失業した1999年には7.7%まで減速した。しかしその後、彼が新聞スタンドを始めた2001年は8.3%、2003年には10.0%と2桁成長を回復し、高度成長の波に再び乗り始める。上海の新聞スタンドは、計画経済時代の中国を支えてきた国有企業が淘汰の波にさらされる端境期と、中国経済の復調、雑誌を通じた海外文化の流入という3つの要素が重なったことで生まれた、この時代ならではの失業対策だった。そして私も、この海外雑誌ブームのおこぼれにあずかる形で上海で働き始め、雑誌を売る最前線の取材をきっかけに、新聞スタンドの彼と知り合ったのだった。

紙媒体の斜陽と自転車シェアリングの台頭

最近、急速に増えているレンタル自転車の駐輪場

ところがその後、インターネットの普及で紙の本や雑誌が衰退し始める。中国は例外で難を逃れたなどということが起こるはずもなく、上海の彼の新聞スタンドもみるみる売り上げが減っていった。少しでも売上減を補おうと、3年前から店に電気鍋を持ち込み、そこでゆで卵とトウモロコシを作って道行く人に売り始めた。たいした稼ぎにはならなかったが、それでも、過去2年は、本業の新聞雑誌の売上げよりも、ゆで卵や飲料等の売上の方が多い月もあるほどだった。ゆで卵が売れたと言うより、それほど紙の新聞雑誌が売れなくなっていたということである。一時期、上海のOLに絶大な人気を誇ったOggiの中国語版も2014年9月を最後に休刊に追い込まれていた。

そして今年の春節(旧正月)明けの2月。彼は市当局から、新聞スタンドの閉鎖を通告された。理由は、「ゆで卵の販売を無許可でしていた違法行為」だという。ただ、スタンドを閉鎖する補償金として1万元(16万円)を支給する他、新たな就職先として、駐輪場の管理だったら手配するという。ゆで卵を売ったという違法行為が閉鎖の本当の理由であるならば、当局には立ち退きの補償金の支払いも、就職先の紹介もする義務はない。紙媒体の衰退と命運を共にし風前の灯火でありながら公道を占拠して邪魔な新聞スタンドをさっさと撤去して、もっとカネを生むことに有効活用したいという当局の意向があるのは明らかだった。

時を同じくして、上海では違法建築を利用した営業を理由に、飲食店等の強制取り壊しが市内各所で進められていた。多くの日本人が住む虹橋地区でも6月中旬、前の週まで数10軒の食堂が並びB級グルメを求める人でごった返していたレストラン街が、翌週訪れてみると、店舗がブルドーザーで根こそぎ地面から引きはがされ、跡形もなくなるという事態が起きた。たまたま現場に出くわした私は、作業員らが整地するのを遠巻きにして眺めている近所の人たちのグループの1つに声をかけ事情を尋ねると、やはりここでも違法建築が取り壊しの理由だとのことだった。そこには道路に面して団地が並んでいるのだが、主に1階に住む上海人の住人が、本来公道であるはずの部分に違法に張り出して増築し、飲食店や商店として貸していたということらしい。

後日、乗り合わせたタクシーの運転手と、一連の違法建築取り壊しの話になった。すると上海人の彼は、「違法建築が理由だって本気で信じてるのか。おめでたいな。あれはな、違法建築を使って安い飲食店を経営している地方の農村から来た農民工を上海から追い出すのが目的なんだよ」と言う。それを聞いた私は、そこで商売をしていた農民工からいきなり生きていく糧を奪って、上海当局はいったい、彼らに明日からどう生きていけと思っているのかなと返した。すると上海人の運転手は気色ばんで、「そんなことオレたちの知ったことじゃない。上海は人が溢れてるんだよ。農民工を養う余裕はもうないんだ。とっとと故郷に帰ればいいんだ」と言った。

ただ、相手が上海人なら上海から追い出すわけにもいかない。そこで、ゆで卵販売という違法行為を理由に新聞スタンドを辞めさせ、衰退する紙の新聞雑誌と入れ替わるように中国で爆発的に流行りだしマネーも集まる自転車シェアリングで需要の増えた駐輪場の管理人に最低賃金で仕事に就かせる。こうして、これまでなら地方からの出稼ぎ農民工に担わせたであろう低賃金の仕事は上海人の下層の人々に就かせ、あぶれた農民工は違法を理由に追い出す。違法ゆで卵から、こうした構図が見えてくる。

あっという間に壊されたB級グルメのレストラン街

「自分の意思」というささやかな抵抗

結局、新聞スタンドの彼は、閉鎖と補償金は受け入れたが、斡旋された駐輪場の仕事は断った。3つ年上の妻が今年5月から年金が支給されるので、蓄えを切り崩せば2人ならかつかつ食べていけるというのもあった。ただ、最後の仕事ぐらいは、国に指図されずに自分の意思で決めたいと思ったのだという。

文化大革命(1966-76年)のまっただ中に学齢期を過ごし満足な教育を受けられなかった新聞スタンドの彼は、19歳で初めて就職し3年働いた国有の家具工場、その後6年働いた国有のミシン工場、10年務めた国有の腕時計工場、そして政府の失業対策で生まれた新聞スタンドと、最後はすべてが国によるリストラで職を追われた。すべてが国の都合であり、個人の都合は一顧だにされなかった。新聞スタンドの仕事を奪われたとき、この仕事に愛着とやりがいを感じていたことに初めて気付いた。駐輪場の仕事だって、いざやれば立派にやり遂げる自信はある。でも、仕事には何の落ち度もないのに、また国の都合で辞めさせられるかもしれない。それはもうまっぴらだと思った。だからせめてもの抵抗として、「次の仕事を紹介してやれば文句はないだろう」というこれまでと同じ当局のやり方に、今回初めて、ほんのわずかだが、抗ってみたのだった。

「これまでずっと、国の頭数ぐらいにはなれているんだろうと思っていた。でも、定年退職の歳も間近になって、あっさりとこれまでと同じことをされた時、これまでだって、この国はオレのことなんか数の内に入れてなかったんだろうな、と思った」と、新聞スタンドの彼は、真面目な顔で言った。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『早くも空回り、文在寅の「民族ファースト」 左派政権になっても「妄想外交」は続く』(7/26日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

森友・加計問題の報道姿勢で、日本のマスメデイアの劣化もここに極まれりと思っていたのですが、良く考えますと、最初から良い時なぞなかったのではと思い直しました。メデイアは一部を除き、「詐話師集団」です。挙証責任を被告(人)に転換することなぞ普通にはあり得ないでしょう。ないものを無いと証明するのは「悪魔の証明」と言われています。それはそうです。歴史上(時間)も世界的(空間)にもないという事を証明せざるを得なくなる訳ですので。況してや、最も説明が合理的と思われる青山参議院議員の質問と加戸前愛媛県知事の答弁をスルーするのですから。

日本のメデイアは「中国共産党の喉と舌」の役割を果たしているのではと考えます。時々中国に不利な情報を交えて報道しますが。それも手の内でしょう。人民日報や環球時報と同じ論調だと流石にばれるので。そう思って見た方が合っていると思います。でもメデイアや野党の印象操作に簡単に騙される国民も如何なものかと思います。中国人の常識は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うものですが、その定義で行けば、大部分の日本人は馬鹿と言うことになります。メデイアや野党は中国人と一緒で「自分は騙しおおせて賢い」と勝ち誇った気持ちでいるのでしょうが、それは情報弱者にしか通用しません。若者とネットで情報を取っている者にとっては、安倍内閣の支持率は高いです。情報弱者の高齢者はやがてなくなりますからフェイクニュースに金を払ってまで見ないし、TVも雑音としか感じないので見なくなるでしょう。TVのスポンサーもネットに置き換わる時代が来るでしょう。

7/20ネットギーク調査

http://netgeek.biz/archives/99765

7/20ニコニコアンケート

https://enquete.nicovideo.jp/result/91

政権もやられ放しではなく、切り返していかねば。本来は支持率が高いときに手を付けるべきでした。企業が成長している時にリストラするのと同じです。苦境にあってからリストラするのでは被害が大きくなるばかりです。先ず、新聞・書籍に対して再販価格維持制度を止めること。今は電子書籍の時代です。取次も置き換わって、ネット業界が電子書籍も販売しています。またNHKは害になるだけなので、民放に臣籍降下させ、国営放送を新たに作り、国会中継チャンネルと海外向け(英語、スペイン語、中国語、フランス語、ロシア語、アラビア語、韓国語)で放送すれば良いでしょう。メデイアの「断章取義」、「報道しない自由の行使」をしないでありのままを見て貰えば良いでしょう。お笑い番組は民放がやるでしょうから。それとTVの電波の入札はして民放各社から相応の負担をして貰うべき。また放送法における外国人の経営参与ももっと厳しく審査すべきです。

http://www.nippan.co.jp/recruit/publishing_industry/current_status.html

韓国と北朝鮮は下記の宮崎氏の記事を真剣に考えた方が良いでしょう。勿論日本人もですが。

7/28宮崎正弘氏メルマガ<「大統領が命令すれば中国への核攻撃も辞さない」、米太平洋艦隊司令官、豪国立大学安全保障セミナーで警告>

http://melma.com/backnumber_45206_6562115/

北の恫喝外交も南の蝙蝠外交も朝鮮半島の事大主義のDNAの為せる業なのでしょう。北は強者に擦り寄る代わりに粋がって見せるチンピラヤクザそのもの、南は朴槿恵もそうでしたが駄々捏ねを世界にアピールして自分を大きく見せるやり方です。両方とも力のないのは見抜かれていますので、誰からも信用されません。「五面楚歌」というのは日米北中露のこと?「四面楚歌」は百戦99勝を誇った項羽の最後の場面のことで、韓国の近い将来を暗示していると考えます。北との赤化統一か、国連管理になるのかいずれにせよ、鈴置氏は「大韓民国」は消滅するという思いなのでしょう。

記事

趙明均統一部長官が7月17日、文在寅大統領が掲げた「ベルリン構想」の後続措置を説明、南北対話を提案したが…。(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

韓国の「外交迷走」がひどくなる一方だ。

対話提案は空振りに

—韓国が北朝鮮との対話に動きました。

鈴置:そして無視されました。7月17日、文在寅(ムン・ジェイン)政権は軍事会談と赤十字会談をそれぞれ7月21日、8月1日に開こうと提案しました。ホットライン――直通電話を北側が断っているので、記者会見を通じての呼び掛けでした。

軍事会談に関しては、開催予定日の7月21日になっても何の返事もありませんでした。国防部は同日「7月27日まで提案は有効だ」と発表しましたが、なしのつぶてです。こうしたことから、赤十字会談も無視されるとの見方が多いのです。

「空振りに終わりそうなラブコール」に対し、韓国の保守系紙は極めて冷ややかです。中央日報は社説「南北軍事会談が不発、一歩目からつまずいた『ベルリン構想』」(7月22日、日本語版)で以下のように書きました。

南北軍事会談がこのようにつまずくのは、準備なく急いだ側面もあるだろう。大統領の「ベルリン構想」の成果を早期に出そうという焦りが作用しているのだ。実際、政府がこのように重要な会談を推進する場合、事前の整地作業と会談後の代案まで用意する必要があった。

日米との不協和音

—「ベルリン構想」とは?

鈴置:文在寅大統領がドイツでのG20(20カ国・地域)首脳会議に参加した際、7月6日にベルリンで演説し、表明した構想です。

「条件が整えば金正恩委員長とも会う」と述べ、南北首脳会談による核・ミサイル問題の解決を訴えました。

朝鮮半島の問題は外国の力を借りずに、朝鮮民族の手で解決しようとの発想です。7月21日に提案した「軍事」と「赤十字」の2つの会談は、その首脳会談の露払いということでしょう。

—「焦り」とは、中央日報も厳しいですね。

鈴置:北朝鮮は米国との直接対話を望んでいます。韓国と対話を始めたらそれが遠のく可能性が高い。だから、北朝鮮から肘鉄砲を食うというのは読み筋でした。

それなのに、韓国は裏交渉もせず呼び掛け、恥をかいたというわけです。多くの韓国人がそう考えたと思います。提案による副作用もありました。中央日報の社説はこう続きます。

国際的な環境と北朝鮮の状況に対する評価も不足していた。その結果、政府の突発的な南北会談提案に北朝鮮は反応せず、日米との不協和音だけが高まった。

「韓国政府に聞け」

韓国が対話を呼びかけた瞬間、米国が牽制しました。ホワイトハウスのスパイサー(Sean Spicer)報道官(当時)は7月17日の会見で韓国の対話提案について聞かれ、以下のように答えました。

Well, obviously those comments came out of the Republic of Korea and I would refer you back to them.

That being said, I think the President has made clear in the past with respect that any type of conditions that would have to be met are clearly far away from where we are now.

まず「韓国政府に聞く問題だ」と述べ、米国は提案の相談にあずかっていない、あるいは相談があっても同意はしていないことを示唆しました。そのうえ「現状は対話に出るには遠い状態だ」と提案自体を批判したのです。

7月4日に北朝鮮が米国まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の試験を実施しました。米国と日本が全力を挙げて北朝鮮に圧力を強めています。というのに韓国は北朝鮮に逃げ道を用意しようとしたのです。

米国は軍事的手段も辞さない姿勢を打ち出しています。しかし南北対話が始まれば、その間は軍事行動に出にくい。米国や日本の目には、北朝鮮の核武装の時間稼ぎを韓国が幇助すると映ります。

約束は守らない

—6月末の米韓首脳会談で両国は足並みを揃えて北朝鮮を圧迫することを約束したのでは?

鈴置:ええ。共同声明でも対話に関しては「北朝鮮が正しい道を選べば」と、ちゃんと条件を付けました(「『戦闘モード』に韓国を引き込んだ米国」参照)。

しかし、文在寅大統領は約束を堂々と破った。そこで中央日報の社説は「日米との不協和音だけが高まった」と大統領を批判したのです。

—なぜ、約束を守らないのでしょう。

鈴置:韓国では「約束は守るもの」ではないのです。日本との「慰安婦合意」も破っています。ソウルの日本大使館前の慰安婦像を撤去しません。それどころか釜山の総領事館の前に新たに立った慰安婦像も黙認しています。

文在寅大統領は米韓首脳会談の直後、7月1日に在米韓国人の集まりで「南北関係は周辺国に頼らず、我々が運転席に座って主導していく」と語りました。

朝鮮日報の「文大統領『南北関係は運転席に座る』」(7月3日、韓国語版)などが書いています。

運命は民族の手で

韓国人には「自分の国の運命は常に周辺大国が決めてきた」との思いがあります。それに対し文在寅大統領は、保守政権は米国の言うことに従ってきた、しかし左派が政権を握った以上、我が民族が自らの運命を切り拓く――と宣言したのです。

「民族の主体性」こそが、韓国左派の存在意義なのです。トランプ(Donald Trump)大統領との約束など、初めから守るつもりなどないのです。

帰国直後の7月2日には「朝鮮半島問題は我々が対話を通じて主導的に動くことへの米国の支持を取り付けた」と語っています。

これも朝鮮日報の「文大統領『南北関係は運転席に座る』」(7月3日、韓国語版)などが報じています。

「米国との約束を破るだろうな」と危機感を強めていた保守系紙は、韓国政府が対話を提案すると直ちに――北朝鮮の無視が判明する前に――批判に乗り出しました。

朝鮮日報は「譲歩しては頬を殴られてきた南北対話、また繰り返すのか」(7月18日、韓国語版)で、次のように主張しました。

7月4日の北朝鮮のICBM発射を受け、国際社会は新たな制裁を協議している。米国は北朝鮮と取引のある外国企業に制裁を加える「セカンダリー・ボイコット」に本格的に動き出した。

韓国政府は軽率な南北対話が国際社会の流れに反するとの懸念に耳を傾けるべきだ。文大統領は韓米首脳会談で緊密な協力を行うことで一致した。今回の対話提案が米国の十分な支持を得られているか気になるところだ。

下手な求愛はやめろ

いざ、スパイサー報道官が韓国を批判すると、朝鮮日報は翌日も社説を掲載し「北朝鮮を喜ばせるだけの文在寅外交」を糾弾しました。

韓米首脳会談、3週間で出てきた不協和音」(7月19日、韓国語版)で、ポイントは以下です。

首脳会談後、わずか3週間で韓米の意見の食い違いが表面化した。どのみちそりの合わない両国政府だが、予想より早い葛藤だ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)はこの状況を見て笑っていることだろう。深刻な問題である。

東亜日報も7月18日の社説「南北軍事・赤十字会談を提案、対北朝鮮放送と離散家族」(日本語版)で米国との約束違反を批判しました。

政府は韓米首脳会談で、南北関係における韓国の主導的役割に対して了解を得たと強調している。しかし、非核化の進展がない南北対話を米国や国際社会がただ見守ることはできないだろう。

北朝鮮に対する求愛は、今回の提案が最後でなければならない。北朝鮮の拒否にもかかわらず、それにしがみついたり、会談が開かれても北朝鮮の時間稼ぎや分離術策に振り回されたりしてはならない。

制裁と対話の並行は、文大統領がG20首脳会議で国際社会に提示した原則であり約束でもある。

やはりタリバン政権

—「求愛はやめろ。北朝鮮にしがみつくな」とは。東亜日報も厳しいですね。

鈴置:中央日報も対話提案の翌々日に同様の社説を載せましたが、提案を、何と「不祥事」と決めつけました。「南北対話の提案が韓日米の対立につながるのか」(7月19日、日本語版)です。

文在寅政権の誕生で米韓関係に修復不可能な亀裂が走ると保守は恐れていた。文在寅氏が秘書室長など要職を務めた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2003―2008年)当時、あまりの「反米親北」ぶりに、米国からは同盟破棄の声まで挙がっていたからです。

米国の外交界は盧武鉉政権の中枢部は「タリバン」――つまり過激な民族主義者が占拠したとも公然と語っていたそうです(「文在寅政権は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

6月29、30日にワシントンで開く米韓首脳会談を、韓国の保守は恐る恐る見つめていた(「『韓国の鳩山』に悲鳴をあげる保守系紙」参照)。別段、対立が表面化しなかったので、ほっとしていたところに南北対話の提案です。

保守系紙は「やはり文在寅政権は反米に走った」と衝撃を受け、激しい言葉で政権を批判し始めたという構造です。

「不祥事」に付け込む

—ところで、北朝鮮はなぜ、軍事会談を受けなかったのでしょうか。

鈴置:確かに、南北対話に応じれば米韓の亀裂を大きくすることができます。しかし、その利点と比べれば米国との直接対話の可能性を減じる不利益の方が大きいと判断したのでしょう。

ただ「文在寅政権のミス」には付け込む作戦に出ました。北朝鮮は軍事会談の提案は無視しました。が、7月20日の労働新聞が興味深い論文「全民族の大団結に統一がある」を載せました。

1972年の南北共同声明(7・4声明)の意義を長々と論じたものですが、後ろの方に以下のくだりがあるのです。

南朝鮮当局が相手を公然と敵対視し、対決の意図を明白にしながら「関係改善」などと云々するのは全く話にならない。世論を欺瞞する行為と見るほかはない。

南朝鮮当局は反民族的な対決と敵対の悪弊を清算し、同族を尊重し、統一の同伴者としてともに手を携える英断を下さねばならない。

労働新聞に呼応したハンギョレ

—「英断」とは?

鈴置:米韓合同軍事演習の縮小・中止、あるいは在韓米軍の撤収、さらには米韓同盟の破棄を指していると見られています。

北朝鮮はこの論文を通じ「対話してほしいなら、腹を固めよ。民族を重視する左派なのだから、軍事演習ぐらいやめたらどうだ」と謎をかけたのです。

—文在寅政権は「英断」を下すのでしょうか。

鈴置:左派系紙のハンギョレはさっそく労働新聞に応えました。7月21日の夕方から掲載した社説「南側の対話提案に『こだましない北』」(韓国語版)はこう書きました。

南北関係が改善しない限り、朝米関係が良くなることは事実上、不可能だ。北が南側の提案を一蹴せず、考慮するかの姿勢を見せているのは幸いだ。

8月実施の韓米合同軍事演習「ウルチ・フリーダムガーデン」(UFG)の撤廃あるいは縮小を北が要求してくるかもしれない。政府はこうしたすべての可能性に対し、深く準備しておくべきだ。

主導権のない韓国

—韓国は合同軍事演習の中止を提案されたら受けるのでしょうか。

鈴置:北との融和を唱え、政権に近いハンギョレが「準備せよ」と書いているところからして、演習中断が文在寅政権の本音でしょう。

大統領の外交安保特別補佐官である文正仁(ムン・ジョンイン)延世大学特任名誉教授も6月16日、ワシントンで「演習の縮小を交換条件に北朝鮮に核・ミサイル活動の中断を求めるべきだ」と語っています。

この発言により、米国は文在寅政権を決定的に疑うようになったのですが(「『米韓合同演習』を北に差し出した韓国」参照)。

—そうでした。でもそもそも、韓国が朝鮮半島問題で主導権を握ることができるのですか。

鈴置:そこがポイントです。韓国の民族主義者は握るのが当然と考えている。しかし現実には難しい。

東亜日報は社説「米中経済対話決裂、『中国の圧迫で北の核解決』は遠い道だ」(7月22日、韓国語版)でそれを突きました。

北朝鮮の核・ミサイルはこうなった以上、韓国だけでも韓米同盟だけの問題ではなく、米国の問題となっているのだ。

北朝鮮が米国まで届くICBMを開発した以上、米国は自分の身を守るために動く。韓国防衛のための米韓同盟とは関係なくなっている。韓国の意見など聞かれない現実を見つめよ、ということです。

東亜日報はここまでは書いていませんが、仮に南北対話が始まっても米国が必要と判断すれば北朝鮮への空爆は実施する――と見る専門家もいるのです。

反民族主義者に認定

—「韓国に主導権はない」。これが妥当な認識ではないのですか?

鈴置:そうなのですが、そこまではっきりとしたもの言いをすると韓国では敗北主義者と非難されかねません。あるいは民族内部の問題の解決を大国に委ねる反民族主義者に認定されます。

東亜日報が「米中経済対話」を論じる中でさりげなく「不都合な真実」を指摘したのも、そうした理由からかもしれません。

朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問も文在寅政権の内政を批判するコラムの最後で「不都合な真実」にチラリと触れています。「強者と格闘してこそ真の改革だ」(7月22日、韓国語版)から引用します。

米上院に「北朝鮮が検証可能で不可逆的な非核化の道に進む前に開城(ケソン)工業団地を再稼働できないようにする」法案が提出された。韓米同盟の歴史で聞いたことも見たこともない話だ。

ブレーキとアクセルが助手席の下に付いている自動車の運転席の限界だ。

G20会議から帰国後の「(北の核)が我々の最も切迫した問題というのに、我々には解決したり、合意を導く力がない」との大統領の述懐が現実になった。

国の内外で大風呂敷を広げても何の得もない時が来たのだ。

車両運搬車の上の愛車

記事中の「開城工業団地」は北朝鮮への外貨支援のパイプとなっていた南北共同のプロジェクトです。北朝鮮の核・ミサイル開発の進展に対応、朴槿恵(パク・クネ)政権(2013―2017年)が中断しました。文在寅政権はこの再開を公約に掲げています。

姜天錫論説顧問は、理想がどうであろうと米国の掌の上に載っている現実をベースに政策を組み立てるしかない、と言いたかったのでしょう。

—「ブレーキとアクセルがない運転席」とは?

鈴置:「運転席に座る許可を米国から得た」と誇る大統領への強烈な皮肉です。もっと厳しく言えば、文在寅大統領の握るハンドルは偽物かもしれない。

確かに自動車の運転席には座っている。しかしその車ごと、トランプの運転する車両運搬車に載っている。

国民からすれば、窓の外の風景は動いている。父親はそれらしくハンドルを回したりし時々、振り向いては「どうだ、お父さんの運転は上手いだろう」と誇る。

でも本当は、韓国という小型車は大型車の上に載っていて、他人の行きたい方向に運ばれて行くだけなのです。

助手席で方向を指示

—身も蓋もない例えですね。

鈴置:韓国にはやりようもあったと思います。文在寅大統領には車両運搬車の助手席に座り、運転席に座るトランプ大統領のハンドルさばきに注文を付ける手があった。トランプ大統領がいくら我が強かろうが、忠実な同盟国の意見を完全に無視することはできません。

でも「民族ファースト」を掲げる文在寅政権は就任早々、米国を裏切った。日米韓のスクラムを壊し、南北対話に走ったのです。これで米国に影響力を行使することは困難になってしまった。

米軍が韓国に配備したTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の問題でも米国を激怒させました。THAADの完全な配備は環境影響評価を実施してから、との方針を打ち出したからです。

そのうえ、左派の団体がTHAAD基地を封鎖し、燃料の搬入など運用を妨げている。しかし警察は見て見ぬふりです(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

文在寅大統領は訪米中に「環境影響評価が配備を覆すためのものであるとの疑念を捨ててほしい」と、いかにも近い将来に配備を認めるかのごとくに語りました。

ハンギョレの「THAAD配備めぐる米国の疑念は払拭したが・・・中国をどう説得するかが課題に」(3月5日、日本語版)などが発言を報じています。

が、帰国後も大統領は左派団体のやりたい放題を放置したまま。米国が韓国を信頼するわけがありません。

それどころか、在韓米軍を撤収する可能性も出てきました。北のミサイルから韓国と在韓米軍を守るために配備した、THAADの運用を韓国が国をあげて邪魔するのですから。

深まる「五面楚歌」

—在韓米軍を撤収して米国は北朝鮮への攻撃ができるのですか?

鈴置:在韓米軍基地がなくとも先制攻撃は十分に可能です。米国は地上戦をやるつもりはない。一方、空軍基地は近過ぎて却って使いにくい。

—韓国外交は迷走を続けますね。なぜ、こんなことになってしまうのでしょうか。

鈴置:自分に都合のいい世界像を設定し、それをベースに外交を組み立てるからです。朴槿恵政権がそうでした。

米中双方にとって韓国が必要不可欠な国になったと思い込み、両国を競わせ、操る作戦に出た。両大国の力を背景にすれば日本と北朝鮮を叩ける、とも本気で考えた。

こんな現実から遊離した妄想外交の結果、周辺国すべてから怒りを買い、孤立しました(「文在寅政権は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

一方、左派の文在寅政権は同民族の北朝鮮と手を組めば、周辺大国に対抗できると考えた。彼の信奉する本によれば、米帝国主義に対し世界の人民は立ち上がり、大同団結して戦って勝利する――はずなのです(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。

ところが現実には北の同族でさえ、韓国からの共闘の申し出を鼻で笑い飛ばし、逆に利用しようとするだけでした。北朝鮮とすれば当然です。脅威は韓国ではなく、圧倒的な核戦力を持つ米国です。米国との関係改善を図ってこそ生き残れるのです。

韓国の「五面楚歌」は深まるばかり。歴代政権の妄想外交の果てに韓国は周辺国から軽んじられ、無視される存在になってしまったのです。国の運命がかかる重大な時というのに。

(次回に続く)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『相次ぐ“政商”たちの受難、習近平の真意は?「共産党員らしい資本家」が抱える大いなる矛盾』(7/26日経ビジネスオンライン 福島香織)について

7/27ロイター<コラム:米中蜜月の終焉、経済戦争突入か=斉藤洋二氏>

http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoji-saito-idJPKBN1AB08G?pageNumber=3&sp=true

7/27Money Voice<次の暴落の原因。中国が抱える「5000億ドル債務爆弾」はいつ炸裂するか?=斎藤満>

http://www.mag2.com/p/money/269871?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_thu&utm_campaign=mag_9999_0727

7/27ロイター<米FOMC、資産縮小「比較的早期に」:識者はこうみる>

http://jp.reuters.com/article/fomc-highlights-idJPKBN1AB2QE?sp=true

中国の共産党大会が終わるまでは、米国は金利上げをせずに債務の大きい中国を助けるという事でしょうか?習近平を助けても、恩義に感じるはずはありません。2012年の反日デモで井戸を掘ったと言われる松下はどう扱われたか、天安門事件の後の西側からの経済制裁にあった中国を天皇訪中までして助けた日本をどう扱ったか、靖国参拝しないで胡耀邦を助けた中曽根総理以降の総理の靖国参拝はどうなったかを考え合わせれば、中国は裏切りが常套手段というのが分かるでしょう。孫子の兵法に「兵は詭道なり」、「兵は詐を以って立ち、利を以て動き、分合を以て変を為す者なり」とあるように、今でも中国人の発想は兵法に基づいています。トランプも騙されないように。斎藤満氏の言うように早く丹東銀行だけでなく、中国銀行にも制裁をかけなければ。

農水省は米牛肉へのセーフガード発動の説明に米国まで行くのこと。22年前の法律(7/27日経朝刊より)をそのまま適用していいものかどうか。こうなる前に法を変えておくべきだったでしょう。米国が中国の鉄鋼の輸入関税をかけようとしている時に。米国からすれば、日本も不公平なやり方をしていると、鉄鋼の輸入関税を正当化するのでは。タイミングが悪すぎです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170727/k10011075891000.html

福島氏の王健林の記事は、習近平に逆らう者or機嫌を損ねる者は誰であっても許さないという事でしょう。まさしく毛沢東以上の帝王を目指していると言ったところでしょうか?でも中国では「政権は銃口から生まれる」と言われています。毛や鄧と違い、習近平は軍の経験はないため、どこかで転ぶ気がします。まあ、経済人も、軍人も習近平を信じているのはいなくなるのでは。クーデターか暗殺でしょう。

7/27宮崎正弘氏メルマガより、<(読者の声2)貴誌が速報した万達集団ですが、王健林は、手持ち財産をかたっぱしから処分しはじめ、となると中国財閥ナンバーワンの位置からすべりおちることは明白。その後の動きはありますか?

(TY生、静岡)

(宮崎正弘のコメント)中国当局が7月10日に「信用調査」を命じて以来ホテルとテーマパークのあらかたを売却する方針が公表され、全額を借入金の返済に充てると発表しました。

ところが売却先の「融創中国」(天津)は同業者で業界七位ですが、手持ち資金はなく、その半分の金額を、王健林が個人財産を担保に銀行から借りて融資するというのですから、奇怪千万です。

案の定、この「見せかけ」売却がばれ、あわてて王健林は売却先を変更し、富力地産(広州)にホテルを、テーマパークを融創集団にと、ふたつに分けての売却とし、さらに後者への融資は行わない旨の発表があった。

それでも万達は子会社の「万達商業地産」の借り入れが3兆2000億円にも上り、株式市場が大揺れとなりました。万達全体の有利子債務は13兆円を超えます。

このままビジネスが萎めば、「第二のダイエー」になることは明らかです。

また海外の映画館チェーンの買収も海外送金が事実上不可能となって中止を余儀なくされており、マレーシアのクアラランプールでの新都心建設プロジェクトへの応札も取りやめました。

習近平一族と親しいとされた万達集団にも規制の網が及んだことは、すでに海外資産買収の勢いが削がれ、同種の買収工作をすすめてきた腹星集団(北海道の星音リゾート買収で有名)、安邦保険などへ波及しています。

中国の景気後退は激甚なのです。

しかし背後にあるのは、外貨保有の急速な落ち込みに急ブレーキをかけてきた当局が、最も効果的な方法とはメディアに突出する中国の有名企業の海外への送金をばっさりと制御し、当局が取り調べの本気度をしめすための「見せしめ」に利用したのではないか、と思います。>(以上)

7/27日経朝刊にも関連記事が載っています。中国、5社標的の深謀 海外M&Aで急成長締め付け 指導部人事巡り闘争のあおり? 

中国当局が海外M&A(合併・買収)で急成長してきた大手企業への締め付けを強めている。経営トップが身柄を拘束され、買収案件の調査も相次ぐ。標的となった5つの大企業の創業者は共産党幹部の子弟との人脈が取り沙汰される。締め付けは金融安定を狙った資金流出規制の一環とされるが、今秋の最高指導部人事を巡る闘争のあおりとの見方も広がる。

金融の安定狙う

「我々と一緒に来てください」。6月9日夜、中国保険大手、安邦保険集団董事長の呉小暉が当局に身柄を拘束された。翌朝、監督官庁の中国保険監督管理委員会(保監会)の幹部が北京の安邦本社に姿を現し資料押収を始めた。当局が海外企業の「爆買い」で急成長した5社を標的にした取り締まりの始まりだった。

中国メディアによると5社とは安邦に加え、復星集団、大連万達集団、海航集団、浙江羅森内里投資。創業者の大半は中国建国に功績があった幹部の子弟である「紅二代」らに近いとされる。紅二代の影響力を背景に金融機関などから巨額の資金を調達し、買収を重ねた。「金融の安定を揺るがしかねない高リスクの融資や資本流出を止めなければ」。危機感を持つ当局がついに動いた。

安邦の呉は副首相などを歴任した陳毅の息子と親しく、鄧小平の孫娘とも結婚していたことで知られる。自動車リースから身を起こし2004年に安邦を設立。総資産額は2兆元(約33兆円)規模にのぼる。

14年の米名門ホテル、ウォルドーフ・アストリア・ニューヨークの買収発表で世界的に知名度が上がった。海外での買収・出資額は直近までで160億ドル(約1兆8千億円)。その6割は内外の大手金融機関からの融資で、買収企業の資産を担保に新たな融資を受けていた。「買収承認などで安邦を優遇してきた」(業界幹部)という保監会主席の項俊波が今年4月に解任され、潮目が変わった。

北海道の「星野リゾートトマム」などを買収した復星は、総資産は5千億元規模だが、負債比率は70%超という。董事長の郭広昌は元国家主席の江沢民を筆頭とする「上海閥」と近いとされる。

「長老」封じ込め

「調査の裏には北戴河会議で長老の発言権を封じ込める狙いがある」。地方政府幹部は声を潜める。北戴河会議とは毎夏に北京近郊の避暑地、北戴河で党長老と現指導部が重要事項を話し合う場だ。今秋の党大会では最高指導部の大幅な入れ替えがある。国家主席の習近平が権力固めのため、対抗勢力に圧力をかけているという見立てだ。

不動産大手の大連万達の董事長、王健林は軍出身の中国一の富豪だ。不動産取引などで「軍や政府の幹部に利益が出るよう配慮した」(関係者)との声がある。海外買収に2千億元以上を投じてきたが、当局の調査開始直後にホテルの大半を売却すると発表した。

イタリアの有名サッカーチーム「ACミラン」を買収した浙江羅森内里も調査対象となった。締め付けも相まって中国企業の対外投資は急減。今年1~6月の対外直接投資は前年同期比45.8%減の481億ドルだった。

今後の注目は海航だ。董事局主席の陳峰は航空会社の運営から買収を重ね、資産規模1兆2千億元の複合企業に育てた。

陳は、腐敗撲滅を担う党中央規律検査委員会書記、王岐山の「老朋友(古い友人)」だ。王が1980年代に中国農村信托投資のトップを務めていた際の部下だった。

今春、米国逃亡中の中国人政商が王の親族と海航の癒着を暴露。一方、陳は7月初めのドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議の晩さん会に習夫妻と参加し、結びつきの深さをうかがわせた。

五大企業の調査は権力闘争の色彩を帯びる。だが経営破綻や解体に追い込まれれば内外の金融機関は痛手を負い、中国の信用リスクにも影響を及ぼしかねない。

=敬称略 (北京=多部田俊輔)>(以上)

記事

7月19日、王健林(写真左)率いる大連万達が、孫宏斌率いる融創中国へ娯楽事業を売却、北京で調印式を行った。政商たちそれぞれの思惑や如何に(写真:ロイター/アフロ)

党大会が秋に控える中、習近平の権力闘争が激化している。だが振り回されるのは、何も政治家だけとは限らない。政権とは近づきながら、政治とは距離を置いてきた“政商”たちの周辺もざわざわしている。いったい何が起きているのか。

権力闘争の視点では腑に落ちない

中国の“政商”とは一般に、政権や力のある政治家に近づき情報や便宜を得る代わりに、政治家や共産党に富、上納金をもたらす資本家、企業家のことだ。彼らは、いち早く政策情報を取得したり株式市場の動きを予測することで、ビジネスチャンスをものにしたり、リスクを回避するための手を打ったりすることができる。

ただし米国の軍産コングロマリットなどと違って、彼らは政治を自らの都合のために動かそうとしたり、政治に介入しようとしたりはほとんどしない。政権には近いが政治には無関心。そして、この政治への無関心が、ときに政策の無視にもつながる。

新たな規制が打ち出されるという情報を、いち早く得ると、その規制に従うのではなく、その規制の網を抜ける対策を立てる。それでも、自分の“親分”である有力政治家にたっぷり上納金を納めれば、見逃してもらえたのだ。なので、企業家の失脚というのは、おおむね彼らがすり寄った政治家の失脚と連動する。政治家同士の権力闘争に、企業家、資本家が巻き込まれるのである。

賢い企業家、資本家たちは、風見鶏のように政治の風向きに忠実で、比較的軽々と“親分”を乗り換える。こうした風向きが読めなかったり、義理を優先したりしてしまうと、生き残れないのが政商である。企業家、資本家が失脚すると、まずその背後の政治家、パトロンが誰なのか、どういう権力闘争において犠牲になったのか、というのを調べるのがいわゆる中国屋の視点である。ところが、習近平政権の昨今の“政商いじめ”は、どうも、こうした権力闘争の視点だけでは、腑に落ちない部分がある。

例えば、王健林である。中国トップ三本の指に必ず入るほどの大富豪でもある大連万達集団の創始者にしてCEO。彼の“親分”はもともと大連市の書記であった薄熙来だった。彼は、鼻が利くので、薄熙来が失脚する前に、薄熙来と喧嘩別れしていた。そして、革命軍人の血統を利用して、太子党(革命参加者の子弟、ファミリー)に人脈を広げ、賈慶林、王兆国ら江沢民派とも、劉延東や温家宝ファミリーの共青団派とも、ビジネス、利権関係を築いていた。当然、習近平の姉夫婦にも近づき、株式の譲渡を通じて蓄財させてやった。最近は、王健林は習近平ファミリーの「ホワイト・グローブ」、つまり蓄財のためのマネーロンダリングや資金移譲を手伝うグレーゾーンの仕事を行う、習近平派の政商ともっぱらみなされていた。

その王健林の足元がこの夏、揺らいでいる。

国内総資産を投げ売り、慈善事業に出資

王健林は7月になって国内のホテル、不動産など国内総産資産の8~9割を投げ売りしたうえ、貴州省に貧困農村に計15億元の貧困救済プロジェクト基金を設立するなどの思いついたような“慈善事業”への取り組みを発表した。貴州省は習近平の弟分、陳敏爾がこの間まで書記をやっていた地方であったので、習近平へのおもねりと解釈されている。

ほぼ同時期、ブルームバーグ、財経などの報道を総合すれば、中国当局は万達に対する融資を銀行に禁止するなど懲罰を開始したもようだ。理由は万達の海外投資などいくつかの案件について規則違反があった、という。党大会前に負債率を削減し金融リスクを圧縮するために、資産を売り払えという圧力があったのではないか、という見方もある。こういう話が流れてくると、貴州の貧困プロジェクトが禊になるのか、果たして、彼の失脚が確定していくのか、万達関連株に虎の子を投じてきた株民たちは気が気ではなかろう。

万達集団については、6月中旬、国家銀行監督管理委員会から「対外投資の勢いが比較的激しく、銀行間のエクスポージャー(出資金や貸付金がリスクにさらされる度合い)が比較的大きい」として調査対象になっていた。この直後、万達集団傘下の企業が6月22日に、ネットで流れた「大手銀行が万達関連の社債売却命令を当局から受けた」という“噂”がきっかけで株価が10%暴落したこともあった。つい一年前まで「打倒ディズニー」を公言し、ハリウッドを買い占める勢いであった王健林が、急激に勢いを失った。国内のソフトパワー強化戦略もハリウッド買収も習近平の好みにあった戦略だと思われていただけに、彼が寵愛を失ったのは、どういうわけなのか、といぶかしがられた。

7月21日に王健林自身が「国家の呼びかけに従い、我々は主な投資を国内に向ける」と中国メディアにコメントしていたが、発言を額面通りに受け取れば、過剰な海外投資が、キャピタルフライトを食い止めようと必死であった習近平政権の方針に背いていると受け取られ、“懲罰”を受けての反省の弁ととれる。

しかしながら、これまでの暗黙のルールであれば、“政商”ならば、他の企業家が許されない行いも、見逃されてきた。政商は、政治には口を出さないが、政治家は資本家たちの金儲けに口を出さないのだった。自分たちにキックバック、賄賂さえしっかり入れば。おそらくは、王健林自身も今年になるまでは、自分は習近平政権から特別扱いされるのだと思い込んでいたのではないだろうか。

ここで、万達のホテル・不動産資産を格安で取得できた融創中国のCEO、孫宏斌が何者であるか、という話になる。孫宏斌は動画大手企業・楽視の会長の座を、創業者・賈躍亭から奪ったことでも話題になった。これは楽視の経営難を、孫宏斌がホワイトナイトとして救済した、と報じられていたが、その中身をよくみれば、乗っ取りというか、王朝の交替である。

賈躍亭はもともと、習近平に失脚させられた令計画と密接な関係を持つ政商であり、習近平のスキャンダルを握ったまま米国に逃亡したとされる令計画の弟・令完成が運営するPE企業からも投資を受けていたと聞く。このことから、胡錦涛政権下のネット戦略の主軸企業の一つと見られていた。令計画失脚後、楽視株が習近平派にかなり暴力的な方法で買い集められていたことは、それなりの筋から聞き及んでいる。この賈躍亭の行く末は、皆がかたずをのんで見守っていたが結局、孫宏斌によって楽視から追い出され、楽視の血液は完全に入れ替えられた。

譲った? 逃亡準備? 先手?

こうしてみると孫宏斌は習近平の寵愛を受け、王健林は寵愛を失った、という風にもみえるが、興味深いのは、この融創中国に万達はホテル不動産76軒、遊園地13個を632億元で売却したのだが、その資金の大半を万達が銀行から融資を受けた金を、融創に融通したのだった。

この背景について、様々な見方が飛び交っている。一つの見方は王健林は習近平から見放されて、圧力をかけられて資産の8割以上を、習近平の新たな政商・孫宏斌に譲った、というもの。あるいは、自分が失脚させられると身の危険を感じた王健林は、できるだけ自分の資産を早く処分して、経済犯罪の証拠を隠滅しようとした、あるいは、逃亡の準備をしている、という見方。

だがこれとは別に、王健林は、その広い人脈によって、習近平が党大会以降に打ち出そうとしている経済戦略の情報を得ており、先手を打って対策を立てている、という見方もある。すなわち、党大会以降、不動産資産が大幅に値下がりしたり、ホテル・映画・エンタメなど娯楽業界が打撃を受けるような政策が打ち出されると王健林は見越して、その損害を減らすために、孫宏斌に協力を仰いだのではないか、と。楽視の新会長に収まった孫宏斌にしてみれば、ワンダの映画館ブランドは利用価値があり、映像エンタメ業界の先輩である万達に運営・宣伝・戦略についてサポートが得られれば、大いに助かる。

党大会後に不動産バブル崩壊がくるのではないか、という噂は、北京不動産業界の雄、潘石屹率いるSOHO中国が6月までの3年間に、不動産資産の大半を処分していることからも、ささやかれるようになった。総額は236億元はくだらない。もはや不動産業の時代ではない、というのが潘石屹の言い分で、今後は「AIの時代であり、そういう時代に不動産は値上がりしない」と証券日報に語っているが、本当にそれが理由なら、彼らは何か根拠になる情報を得ているのかもしれない。

ところで、王健林だけでなく、もう少し政商界隈を俯瞰すると、習近平というのは、どうも従来の“政商”の在り方自体を変えたいようにも見える。

タブーを覆し、アンタッチャブルを拘束

今年の出来事を振り返ってみると、明天系の大富豪、蕭建華の香港における失踪事件がある。

北京五輪プロジェクトでは暗躍した盤古投資の創始者であった“闇の政商”こと郭文貴が、米国に逃亡したあと今年に入って海南航空集団(海航)と習近平政権の反腐敗キャンペーンの陣頭指揮を執っていた王岐山ファミリーとの癒着を暴露して以降、海航も不合理な海外投資を理由とした銀行の調査対象になっている。海航集団の創始者にして会長の陳峰は、7月、習近平のドイツ行きに随行した唯一の中国企業代表。海航がドイツ銀行の最大株主だからだろうが、習近平政権にとって利用価値のあるお気に入りの政商の一人であることも間違いあるまい。それでも調査対象にされているわけだ。

同じ理由で医薬品大手の復星国際集団、小売流通大手の浙江羅森内里も調査対象にされている。復星のCEOである郭広昌は上海のゴッドファーザーの異名をもつ上海閥に近い政商で、これまで江沢民派の庇護を受けていたが、習近平の初訪米に随行した企業家でもあり、習近平との関係も悪くない、はずだった。汚職の噂は絶えず、実際、何度も“失踪”(非公式に当局の取り調べを受けている)しているのだが、その都度切り抜けてきている。浙江羅森は今年4月、イタリアサッカーチームのACミランが買収。サッカー好きの習近平の意向かと思いきや、その情報が習近平の耳に入ったとき、習近平は机をたたいて激怒したとか。

一方、鄧小平ファミリーの威光を利用して、中国二位の保険企業となった安邦保険集団CEOの呉小暉が不正な海外買収を理由に失脚し身柄拘束された。呉小暉は鄧小平の孫娘婿に当たる。紅色企業家と呼ばれる建国に貢献した革命家たちの子孫資本家たちは、不正な融資を受けようが、無茶な投資を行おうが、アンタッチャブル、誰も文句が言えない雲の上の存在だったが、そのタブーを習近平政権は覆した。

こうした出来事を並べていくと、権力闘争と思われるものもあるが、権力闘争の文脈だけでは読み解けない。王健林も陳峰も郭広昌も、習近平に腹を見せておもねっていた忠実な政商たちで、彼らへの懲罰的な圧力の本質は、ひょっとすると、純粋に共産党員にあるまじき、金儲けの仕方や資金洗浄、資金移譲が許せないということかもしれない。習近平は大手民営企業の海外投資を指して「投資家たちが、こんな方法で資金洗浄をしているとはけしからん」と怒っているとか。これが本当ならば、習近平が政商たちに求めるのは、金銭的利益のキックバックではなく、共産党員らしさ、党の方針、指導に忠実であることかもしれない。

とすると、今はイケイケ、ドンドンで海外投資展開をみせているアリババの馬雲やテンセントの馬化騰も、いつ厳しい圧力や懲罰にさらされるともわからない。

“経済音痴の経済統制”の行く先は

しかし、共産党員らしい資本家、ってなんだろうか。そこの時点で大いなる矛盾がある。鄧小平時代以降は、この矛盾をうやむやにする賄賂という潤滑油が利用され、資本家を党員に組み入れてきた。資本家は党員であることを利用してよりよく金儲けできた。だが、反腐敗キャンペーンを掲げる習近平政権は、資本家である党員に贅沢禁止を言い渡し、党のために尽くすように求める。

つまり習近平政権が目指すものは、実のところ経済の発展ではなく、経済のコントロール強化であり、習近平を核心とする党、つまり習近平自身が、金融市場から一企業の海外M&Aに至るまで従えたいということだ。しかも習近平自身は相当な経済音痴といわれている。そういう方向性が党大会以降も、より強化されていくとしたら、中国経済の先行きは相当暗いのではないか。

上半期は、政府の交通インフラ投資など財政出動の影響もあってGDPは通年目標の6.5%を越えているが、この数字も党大会前の経済の安定を演出するためのものだとすれば、秋以降につけが回ってくるかもしれない。党大会後の不動産バブル崩壊説は噂では済まないかもしれないし、資本家たちが国内資産を整理して中国から逃げ出したいと考えるのも無理はないかもしれない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『習近平が内外に見せる強権支配はいずれ「しっぺ返し」を受ける』(7/25ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

7/26宮崎正弘氏メルマガ<ベネズエラに続いてパキスタンのデフォルトが近い>

http://melma.com/backnumber_45206_6561180/

7/25ロイター<中国が西沙諸島に映画館開設、領有の既成事実化狙い>

http://jp.reuters.com/article/china-southchinasea-entertainment-idJPKBN1AA0WS

7/24日経<ベトナム、南シナ海ガス田掘削中止と報道 「中国が圧力」>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H3A_U7A720C1FF2000/

7/24ロイター<中国、南シナ海の「安定維持」望む=外相>

https://jp.reuters.com/article/china-southchina-sea-idJPKBN1A910J

中国はトランプがロシアゲートでモタモタしている間に南シナ海の内海化を進めようとしています。下院はロシア外交に対する大統領権限を制約する法案を通しました。7/26日経<米下院、対ロ制裁強化法案を可決 大統領権限を制限>と。米国は真の敵が誰かが分かっていないのでは。中国が北を使って米国に牙を向かせているというのに。早く中国銀行に制裁を課すべきです。でないとASEAN諸国は中国に從わざるを得なくなるでしょう。中国の世界制覇の第一歩となります。後から気付いても遅いです。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGT26H0Y_W7A720C1EAF000/

7/26日経電子版米国から「習近平・王岐山連合」を狙う刺客  編集委員 中沢克二 

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

今、中国のビジネスマンらが親しい仲間と集って一杯飲む場で、決まってヒソヒソ話のネタになる二大テーマがある。一つは米国にいる中国の大富豪、郭文貴。ツイッターやYouTube(ユーチューブ)を通じて日々、最高指導部メンバー、王岐山の家族に深刻な腐敗があると主張し続けている。もう一つは、先に中国で空前の高視聴率をたたき出した連続テレビドラマ「人民の名の下に(人民的名義)」だ。

後者は「反腐敗運動」を進める共産党の正義を宣伝するという、一見するとお堅い官製の勧善懲悪ドラマである。だが、中身はそれにとどまらない。

たとえば企業と癒着した悪役である某省の公安庁(警察)トップは、口封じの殺人に手を染める。自分を捜査する検察特捜チームの責任者を偶然の交通事故に見せかけて殺そうと謀るが、最後は銃を自ら口に突っ込んで自殺に追い込まれてしまう。

■「殺人」や冷蔵庫の札束…官製ドラマが空前の視聴率

別の汚職にまみれた小役人は、秘密の部屋の冷蔵庫の中に大量の人民元の札束を隠し持っていたが、発覚すると「怖くて1元たりとも使っていないんだ」と泣き崩れる。共産党のお墨付きを得て、驚くべき汚職の実態をリアルに描写した大胆さが大いに受けた。

米国から王岐山氏を攻撃し続ける富豪の郭文貴氏(4月30日、ニューヨーク)=ロイター

ドラマには郭文貴とも取引関係にあった中国の富豪、肖建華が失踪した香港の「フォーシーズンズホテル」をもじったエピソードも登場した。香港の架空ホテル「スリーシーズンズホテル(三季酒店)」で、中国国家級指導者の息子が悪事の謀議をするのだ。ドラマではあるが、現実と同時進行だった。

ちまたで話題の二大テーマの共通点は、国家主席の習近平が進めた汚職撲滅の表と裏の話題であることだ。反腐敗ドラマには、秋の共産党大会人事を前に習近平の5年間の政治的業績を国民に宣伝するという意味があった。だからこそ共産党の権威を失墜させかねない、どぎつい腐敗の実態を描写することも特別に許可したのだ。

その習近平の業績宣伝に、米国から水をかけたのが郭文貴だ。北京五輪の頃、不動産などで巨万の富を築いた彼は、関与する北京大学の関連企業の腐敗問題をきっかけに海外に脱出した。民主運動家でもない中国の富豪が海外から顔出しで最高指導部メンバーに絡む腐敗を告発するというのは、かつてない動きだった。

郭文貴は、新進気鋭の中国の航空会社、海南航空に絡む王岐山の妻一族の問題を取り上げて、耳目を集めた。最近は、ドイツも巻き込まれている。メガバンクのドイツ銀行と、その大株主になった海南航空グループの資金問題に関する発言である。

一連の大騒動は、中国内の権力闘争が先鋭化している証拠でもある。もはや、かつての暗闘ではなく、一般人の目にも裏の死闘の一端が触れ始めた。しかも今回は、米国から巨大な火の手が上がり、交流サイト(SNS)などを通じて、情報を遮断するはずの中国内にも浸透した、「劇場型」の闘いである。

たとえば日本で首相や閣僚らに重大な疑惑が浮上すれば、国会の衆参予算委員会で野党が証拠を示しながら繰り返し追及し、マスメディアも検証・報道する。そんな民主的システムがない中国では、思わぬところから指導部攻撃の火の手が上がり、噂が噂を呼んで、波紋が広がっていく。

ちなみに郭文貴は、重慶市トップを解任され、重大な規律違反の疑いで調査を受けていると正式に発表された孫政才を「素晴らしい政治家」と持ち上げていた。2人は共に山東省の出身だ。習近平の後継者レースのトップ集団にいた孫政才は今、郭文貴が攻撃する王岐山の指揮下にある党中央規律検査委員会の調査を受けている。

中国政府お墨付きの反腐敗ドラマでは、汚職に手を染めた某市の副市長が米国に逃亡するが、結局は密航請負組織の蛇頭(スネークヘッド)の監視下で、食堂の皿洗いに身を落とす。最後はアフリカの鉱山に逃亡し、悪役の国家級指導者の息子が雇った敏腕スナイパーに銃殺されるという派手な結末が待っている。

中国政府はドラマのストーリーよろしく、郭文貴を“極悪人”として追い詰めようとする。郭が生出演した米政府運営の公共放送「ボイス・オブ・アメリカ」の番組は、局上層部の指示により途中で打ち切りとなった。言論の自由を揺るがす前代未聞のスキャンダルは「中国政府の圧力」がちらつく。

中国外務省は、国際刑事警察機構(ICPO)が郭文貴に「国際指名手配書(赤色)」を出したと、あえて明かした。ちなみにICPOトップの総裁には中国公安部副部長だった中国人が就いている。

■「マール・ア・ラーゴ」から王岐山氏を攻撃

習近平国家主席(左)に話しかける王岐山政治局常務委員(2016年3月、北京の人民大会堂)

それでも、当の郭文貴本人は、米大統領トランプが持つフロリダの別荘「マール・ア・ラーゴ」のコンドミニアムに陣取るなど、派手に暮らしている。米政府が中国の要求に沿って郭を引き渡す兆しもない。中国政府が追う悪人が皿洗いに身を落とすという、ドラマのストーリーとは正反対の皮肉な展開だ。

権力闘争を巡って注目すべきなのは、習近平の盟友、王岐山に矛先を絞るという戦術だ。王岐山の妻の親族が海南航空に絡んで巨利を貪っていると指摘し、習側の指示を受けて、その疑惑を秘密裏に調べたという。

これは、秋の最高指導部人事で王岐山を「68歳引退」の内規を破って続投させるかどうかを巡って、激しい論争があるという構図を浮き彫りにした。「仮に習主席が望んだとしても、党内からは激しい反対の声があがる」(内情を知る関係者)。反腐敗運動で痛手を受けたライバル勢力や長老らが、その出所だ。

12年に習指導部が発足した後、令計画(前国家主席の胡錦濤の元側近、無期懲役で服役中)ら、有力者の失脚が相次いでいる。その「闇の政局」の舞台裏に関して郭文貴が発する言葉も目を引く。

たとえば「令計画の息子が死亡した高級車フェラーリの大破事故を巡る真相」と称する内容。令計画が隠蔽を図ったフェラーリ事故の処理は、5年前の最高指導部人事の結末を決めた重大な出来事だった。郭文貴は自らを「令計画の息子の事故を発生段階から知っていた数少ない人物の一人」と語る。

北京の書店には、ベストセラーになった反腐敗ドラマ「人民の名の下に」の原作本が積まれている

かつて郭文貴は、スパイ摘発などを担う中国国家安全部の人脈に属していた。郭と関係の深い国家安全部元副部長の馬建は、すでに拘束され、テレビ画面を通じて“自白”もした。彼は国家安全部を仕切った元最高指導部メンバー、周永康(無期懲役で服役中)につながる人物だ。

郭文貴が秘密の一部を知っていた可能性もある。ただし、最近の“暴露話”に関する真偽は確認できない。背後にいるであろう勢力の全容も見えにくい。官製の反腐敗ドラマは完結するまで、最後に失脚する巨悪の国家級指導者の実際の顔が一切表れなかった。たしかに孫政才は消えたが、米国から発信する大騒動の裏にいるとみられる超大物の顔は、ようとしてうかがい知れない。ここでもドラマと現実が重なる。

とはいえ、飛ぶ鳥を落とす勢いの「習近平・王岐山連合」にくさびを打ち込もうとする思惑だけは透けて見える。つまり「離間の計」だ。

危険な郭文貴をどう扱うかは、習指導部にとって非常に難しい問題だ。だから中国メディアも、この問題を正面から取り上げなかった。しかし、状況は7月10日に一変した。国営テレビ、国営通信など主要メディアが郭の違法な情報取得などを大々的に取り上げ、反撃に出たのだ。

■王岐山氏の去就が人事の起点

中国の公式報道には王岐山の名前が登場しないので、郭が追及する問題の核心は見えてこない。そこが「一体、何が起きているのか」と、かえって庶民の関心を引いている。ある意味で、郭の戦略は成功しているのだ。目立てば目立つほど、米国内で自らの安全を確保しやすい。勇気ある告発をしたために虐げられている“政治犯”という地位を固める好機である。

郭の暴露話は、実際に最高指導部の人事に影響を与えるのだろうか。現時点では、習近平と王岐山は固い絆で結ばれている。前週紹介したように、王岐山は重慶のトップだった孫政才の失脚と、習側近である陳敏爾の抜てきに大きな役割を果たした。

とはいえ、習近平が王岐山を最高指導部メンバーに残すには、なお越えなければならないハードルが存在する。「68歳引退」の内規を破るためには、誰もが納得する口実が必要だ。いずれにせよ、王岐山の去就は次期最高指導部人事の枠組みを決める出発点となる。(敬称略)>(以上)

習近平と王岐山には任志強との絡みで不仲説もありましたが、1年以上たっても、王岐山の地位は安泰なので噂に過ぎなかったのでしょう。そうなるとやはり秋の人事で、王岐山の処遇に関しウオッチすれば、習の権力基盤の安定度が見て取れると思います。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/032700037/

真壁氏の記事で、習が毛沢東以上の権力奪取を狙っているという見方は正しいです。毛は中国大陸だけに革命は留めましたが、習は近隣国への野望を隠し立てしていません。宇宙戦争や海洋進出を見ていますと、正しく米国の覇権に挑戦し、世界を赤く染めようとしているのに気づくはずです。世界は中国の野望を押し留めるために、経済制裁と金融制裁と両方で封じ込めるべきです。

記事

Photo:AP/アフロ

例によって中国では、秋の共産党大会を控え、権力闘争が熾烈を極めている。2期目の政権運営を狙う習近平国家主席は、政治ライバルへの取り締まりを強め、主要ポストに自分の息のかかった人物を据える一方、対立する大物政治家を追い落とす姿勢を明確にしている。

権力闘争とは恐ろしいものだ。そうした中国の闘争を見ていると、日本という自由で平和な国に生まれてよかったとつくづく思う。

既に習近平は“中国建国の父”である毛沢東をも上回る権力を手に入れ、終生、中国を支配していこうとさえ見える。今後、同氏は財政出動を中心に国内経済の安定を図り、支持率の一層の上昇を図ることだろう。

一方、対外的には中国の力の外交を推し進めることになるはずだ。中国は、近隣諸国にとっては実に付き合いにくい国になってしまった。ただ、中国の南シナ海での強権的な政策は明らかに間違っている。長い目で見ると、中国が永久にアジアの中心として君臨することは考え難い。いずれかの段階で、現在の強権的な政策に対する”しっぺ返し”を受けることになるはずだ。

熾烈な権力闘争 重慶市トップ拘束の衝撃

習氏は2012年の総書記就任以来、綱紀粛正を掲げ、政治的ライバルの“摘発”を行ってきた。これまでは、江沢民元国家主席や胡錦濤前国家主席らに近いとされる人物が、現役を退いた後に摘発されることが多かった。

ただ今回は事情が違う。重慶市トップの座を解任された孫政才氏は、現職の政治局委員だ。重慶市は共産党の直轄都市であり、発展の象徴である国家中心都市に指定されている。そのトップは25人からなる政治局委員が就任することと決められている。

中枢都市トップの更迭と身柄拘束の報道は、習氏が従来の共産党の運営方針を根本から書き換え、自らを中心とする支配体制の整備に力を入れ始めたことの表れかもしれない。それは、習氏の権力を、これまでになく高い次元に昇華させることを目指した動きといえる。

今後、習氏の息のかかった人物がその後継者候補に挙がるなど、国家主席を中心とした支配体制が強化されていく可能性は高い。習氏が権力闘争を民衆の目に見える形で進め、その支配力の強大さを誇示する展開も考えられる。

中国共産党に詳しい専門家によると、孫氏の解任を受けて、共産党内部にはこれまで以上に習氏に対する畏怖が広がっているようだ。地方の党大会では、中央委員や、その候補にも挙がっていない末端の党員が、地方トップなどの要職に抜擢された。“御恩と奉公”さながらに、習氏は序列の低い党員の登用を進め、求心力と支配力を強化している。

“紅二代”(建国に貢献した共産党や軍幹部の子)への取り締まりも始まった。従来、紅二代は綱紀粛正の対象とはならないとの見方が多かった。しかし、保険会社のトップを務めていた紅二代の一人が摘発された。それに加えて、現職の政治局委員の身柄が拘束されたことも踏まえると、習氏は、自らに忠誠を誓わない者は排除する意思を、明確に、中国全土に示したといえる。

昨年10月の6中全会において、習国家主席は中国共産党の核心に位置付けられた。足元では国営通信社が習氏を軍の“最高統帥”と報じてもいる。突き詰めて考えると、習氏は、終生、中国の支配者であることを目指し始めたようにさえ見える。そこには毛沢東に並び、それを超える力を手に入れようとする野望があるように見える。

支持率上昇を狙う 習政権の財政政策出動

習氏は党の核心である自らを中心に、中国共産党=国家の意思決定を行い、シルクロード経済ベルト(一帯)、21世紀海上シルクロード(一路)を通して、その影響力をアジア、アフリカ、欧州地域にまで及ぼしていこうとしている。中国は長期的な国家プロジェクトとして、自国を中心とするヒト・モノ・カネの流れを整備し、海外の需要を取り込むことを狙っているのである。

「一帯一路」構想の下、中国は鉄鋼などの過剰生産能力をアジアなどの各国に輸出するとともに、人民元の流通範囲を拡大させようとしてきた。東南アジア各国に加え、中国はカザフスタン、モンゴルなどとも通貨スワップ協定を結び、一部ではその期間を延長している。すでに1月には、浙江省の義烏(イーウー)と英ロンドンを結ぶ直通の貨物列車の運行が始まった。

問題は、目先の経済をどう支えるかだ。国内では、過剰生産能力の解消が進まず、不動産バブルへの懸念も高まっている。すでに、民間セクターの債務残高はGDPの200%を超えた。これは、1980年代後半から1990年代にかけてのわが国に匹敵する。わが国の過去の事例を見れば明らかなとおり、バブル崩壊後には不良債権処理とバランスシート調整が不可避だ。

中国はその痛みを恐れ、インフラ投資を増やすことで、経済成長率を人為的に支えている。今後、不動産投資の減少などによって景気の減速懸念が高まった場合には、一段の財政措置が取られるだろう。習氏が支配基盤を強化するためにも、国内の経済が低迷し、民衆の不満が高まる展開は避けなければならない。当面、中国経済が財政政策頼みの展開となる可能性は高まっている。

この状況が続く間、中国経済の需給のミスマッチは放置される可能性が高い。今は収まっているが、将来的に、中国からの資本流出が増える可能性も排除できない。その場合、人民元には下落圧力がかかるだろう。

経済への懸念が高まれば共産党政府は財政出動を増やし、景気支援に注力するだろう。それが一時的な経済の安定にはつながるだろう。問題は、市場が債務リスクや資本の流出圧力に耐えられなくなったとき、世界経済に無視できない影響が発生する恐れがあることだ。

長期的には 中国の強権主義は明らかな誤り

政治・経済に関する不安はあるが、世界第2位の経済規模を誇る中国の動向は無視できない。昨年半ば以降、中国の財政出動は半導体や資源の需要を高め、韓国、台湾などの景気が回復してきた。それに従い、わが国の景気も上向いてきた。

長い目で見れば、近隣諸国に対する強権主義は大きな間違いだ。中国経済が上昇を続け、勢いを保っている間は近隣諸国も表立っては中国との対立関係を明確にしたくはないだろう。しかし、中国経済に陰りが見え始めれば、近隣諸国の態度は変わる可能性が高い。蹂躙された感覚は、いずれ憎しみに変わるかもしれない。そうなったとき、中国は、現在の誤った政策のツケを払うことになるはずだ。

ただ、現在の中国経済には無視できない勢いがある。その意味では、近隣諸国は中国と距離を置くのではなく、うまく付き合うことを考えているはずだ。わが国も、中期的な展望を持って大人の対応をすればよい。

具体的には、全て中国に迎合するのではなく、持続性や公正さを重視しつつアジア経済の発展に関する議論を進めればよい。それと同時に、各国の主権を脅かす中国の動きに対しては毅然とした態度を示す必要がある。

6月、安倍政権は一帯一路に対する慎重姿勢を改め、そのポテンシャルを評価し始めた。この変節を懸念する専門家もいる。しかし、中国との関係が冷え込むと、わが国がアジア・極東地域で孤立するリスクが高まる。北朝鮮問題への対応なども考えると、中国と冷静に対話できるだけの関係を持つことは国益に適うだろう。

昨今のアジア経済を見ても、習国家主席が推し進める一帯一路は、経済面では一定の成果を収め始めている。同時に外交面では海洋進出による領海侵犯など、国際司法の判断に反する問題も多い。そうした懸念からアジア各国には、TPP11などの経済連携に関する議論を進め中国からの影響を回避したい、との潜在的な考えがあるはずだ。

米国が自国第一の政治を重視する今、わが国は一帯一路や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、中国が主導する経済プロジェクトに関わっていくべきだ。それによって、アジア各国などの不安をくみ取り、信頼関係を強化することができるはずだ。

それは、わが国を中心とする経済連携を議論するためにも欠かせないと考える。わが国は貿易、投資や競争などに関するルールの統一を公正な観点で進め、アジア経済の連携を強化すべきだ。その中で、わが国の主張に賛同する国には、積極的にインフラ支援などを行えばよい。

こうした取り組みを進めることが、親日国の獲得につながる。親日国が増えれば、国際社会における発言力も増すだろう。わが国は経済連携などの是は是、海洋進出や保護主義などの非は非と、是々非々の立場を明確にし、公正な経済連携の議論に中国を巻き込んでいくべきだ。口で言うほど容易ではないが、それがアジア各国からの信頼獲得や、欧州各国との関係強化にもつながるはずだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。