『世界のスーパースターたちの「汚染」が次々と明るみに 米司法省の捜査が佳境に入ったマレーシアの1MDB横領事件』(7/21JBプレス 末永恵)、『中国の「高速鉄道外交」、中止や延期が相次ぐ』(7/22Money Voice)について

マレーシアのナジブ首相は賄賂問題で反米のマハテイールに糾弾されていました。ナジブ首相はマハテイールの陰謀と主張していたようですが。米国は賄賂の有無より反米のマハテイールでない方に肩入れし、15年にはTPP交渉のため、その時点では追及しなかったようです。

http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/201507_nakamura_1.html

http://sp.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160601-OYT8T50000.html?page_no=1

米国司法省が米国の芸能人相手に本件を問題にし出したのは、トランプ政権発足が影響しているのかも。ハリウッドは民主党支持者が圧倒的に多いし、デイカプリオのように環境保護で一儲けを企む者もいるでしょう。ヒラリー自体が国の情報を外国に売り、クリントン財団に寄付させていたわけですから。米国も弱体化する訳です。グローバリストは金儲けの為には悪魔とも手を組むし、共産主義者とも手を組みます。ただ、トランプ政権もスパイサー報道官が辞任したりでガタガタの様子。これでは北や中国にぶつかれる訳はありません。上下両議員はロシアとの関係改善を大統領の手から奪おうとしています。グローバリストに騙され、真の敵が見えてないと思われます。第二次大戦で日本を敵にしたのと同じです。

7/24日経電子版米大統領報道官、対ロ制裁強化「政権は支持」 

【ワシントン=共同】米共和、民主両党が一部修正で合意したロシアに対する制裁強化法案について、サンダース大統領報道官は23日、ABCテレビのインタビューで「政権は法案を支持する」と表明した。制裁強化はトランプ大統領が模索する対ロ関係改善の障害になりかねないため、トランプ氏が拒否権を発動するかどうかが注目されていた。

ただ、ホワイトハウスの広報部長に起用されたスカラムチ氏は23日、CNNテレビのインタビューで「大統領は法案に署名するかまだ決めていない」と述べ、サンダース氏と食い違う説明をした。ワシントン・ポスト紙は「混乱を招くメッセージ」として、政権内の意思統一が不十分であることを批判した。

法案はウクライナ情勢や昨年の米大統領選への干渉を受けた対ロシア制裁の徹底を政府に促し、制裁の緩和や解除には議会の審査が必要と定めて大統領の権限を制限した。サンダース氏は「制裁を含め、ロシアへの厳しい対応を支持する」と表明した。

一方、スカラムチ氏はロシアが選挙干渉を行ったかどうかについてトランプ氏が最近「やったかもしれないし、やっていないかもしれない」とスカラムチ氏に語ったと明らかにし、トランプ氏はロシアが関与したと断定した米情報機関の分析を受け入れていないとの見解を示した。

サンダース氏は前任のスパイサー氏が21日に辞任したのに伴い、副報道官から昇格した。AP通信によると、スカラムチ氏は8月15日に正式に広報部長に就任する。>(以上)

7/23日経電子版対ロ制裁 米与野党合意 大統領の権限制限、トランプ氏反発も 

【ワシントン=共同】米上下両院で多数派の共和、少数派の民主両党の指導部は、既に上院を通過しているロシアに対する制裁強化法案について一部修正した上で合意した。複数の米メディアが22日報じた。法案は制裁の緩和や解除には議会の審査を必要とすると定め、トランプ大統領の権限を大きく制限する内容。対ロ関係の改善を目指すトランプ氏は、重要法案で初めて拒否権を発動するかどうかの難しい選択を迫られる。

法案は下院の採決を経て夏季休会前の月内にもホワイトハウスに回される可能性があるという。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、複数の政権高官は、ロシアゲート疑惑の捜査進展で苦しい立場のトランプ氏が拒否権発動に踏み切ることは想像しがたいとの見方を示した。

法案は6月中旬、賛成多数で上院を通過したが、制裁の緩和、解除時の議会審査のあり方などを巡り調整が難航。制裁強化の影響を受ける米エネルギー関連企業も難色を示していた。上院で通過した法案はロシアのほか、イランに対する制裁強化も盛り込まれていたが、今回合意した修正案には既に下院が可決した北朝鮮への制裁強化法案も統合された。フォームの始まり

>(以上)

中国政府がマレーシアの鉄道事業に許可を出さなかったとしたら、余程外貨が逼迫していると思われます。ナジブは親中派のイメージがあり、日本が鉄道事業に協力したとしても、中国の嫌がらせで方針変更されるかもしれません。契約時に破棄する場合の懲罰的損害賠償請求可として契約額の3倍を明記しておいた方が良いと思います。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/post-6203_1.php

Money Voiceの記事も中国の鉄道事業が頓挫している内容の紹介です。「一帯一路」もうまく行っていないという事です。折角のチャンスなので日本も主体的に動けばよいと思いますが、メデイアは加計問題というでっち上げ事件で執拗に政府を攻め立てて、チャンスもモノにできない、北と言う脅威に対応できないようにしています。左翼は北の核ミサイルで日本の人口が激減し、歴史あるものを破壊したくてしようがないのでしょう。

7/23日経電子版の記事では内閣支持率39%に続落 「政権におごり」65% 本社世論調査

日本経済新聞社とテレビ東京による21~23日の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率は39%となり、6月の前回調査から10ポイント下がった。不支持率は10ポイント上がって、2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最高の52%となり、支持率と逆転した。

学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題が影響したとみられる。第2次政権以降のこれまでの内閣支持率の最低は安全保障関連法が衆院を通過した15年7月の38%。安倍政権が安保法以来の厳しい局面に入ったことを示す。内閣支持率の前月からの下落幅は、15年6~7月の9ポイントを上回って最大だった。

第2次安倍政権が発足してからすでに4年半以上が経過しており、政権に「おごりがある」とする回答は65%に上った。「おごりがあるとは思わない」は25%だった。

政党支持率は自民党が35%と前回から5ポイント下がった。民進党は2ポイント低下の6%で、民進党が発足した昨年3月以降では最低となった。無党派層は41%と9ポイント上昇した。

調査は日経リサーチが21~23日に全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD方式)による電話で実施。1069件の回答を得た。回答率は48.6%。

>(以上)

敵の憲法改正阻止が奏功している気がします。国会で発議ができても国民投票で国民が賛成に回らないようにするためです。まあ、TVと新聞だけしか見てないとこうなる結果は見えていましたが。日経の読者は仕事が忙しく、ネットで情報を取る暇もないのでしょう。「洗脳」=「Manchurian candidate」がピッタリ当て嵌まります。もっとincredulousにならないと。

JBプレス記事

中国の資産購入ラッシュが続くマレーシア。中国政府の狙いは2つ。まずは、1MDBが手がけるマレーシア最大級の再開発事業「バンダー・マレーシア」の整備地区に開通するマレーシアとシンガポール間の高速鉄道受注への布石を打つこと。もう1つは、米中間の緊張が走る南シナ海紛争でのマレーシアからの支持獲得。1MDBで130億ドル(約1兆5000億円)の巨額の負債を抱え、リンギットの貨幣価値が下がる中、ナジブ政権に貸しを作り、中国支援の拡大を企む(中国中鉄=CREC=が参画のクアラルンプール市内の再開発地、筆者撮影)

スーパーモデル、ミランダ・カーさん(34歳)は、前夫の俳優、オーランド・ブルームさんが熱心な創価学会インターナショナル(SGI)の会員だったことで、当初、自身も創価学会に入信。そんな日本との縁もあり、日本の各企業とCM契約を結ぶなど、日本でも特に人気がある世界のセレブとして知られる。

その彼女が世界のメディアを賑わしている。

5月に、携帯アプリ「スナップチャット」のCEO(最高経営責任者)で総資産50億ドル(約5600億円)、“世界で最年少の億万長者”といわれるエヴァン・スピーゲルさん(26歳)と再婚し話題をさらっただけでなく、6月末には、米司法省に810万ドル(約9億円)相当の宝石を返還したことが明らかになったからだ。

ジョー・ロー氏から贈られた億単位のジュエリー

同宝石は、マレーシアの政府系投資会社「1MDB」の不正流用資金絡みで現在、米国をはじめ、英国、スイス、イタリア、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦、オーストラリア、シンガポール、香港、タイなど世界10カ国で、不正疑惑の中心人物として捜査対象となり、刑事訴追がささやかれるマレーシア人の若き大富豪、ジョー・ロー氏(34歳)から贈られたもの。

2014年から1年間ほどミランダさんの恋人だった同氏が彼女にプレゼントした宝石は、ピンクダイヤモンドのペンダント(480万ドル=約5億3800万円)やハート型のダイヤモンドのネックレス(180万ドル=約2億100万円)などで、億単位の超豪華なジュエリーばかり。

いずれも1MDBの公金から不正に購入された疑いが強く、ミランダさんが米当局に引き渡したというわけだ。

1MDB不正流用・横領事件は、日本のメディアで初めて、約2年半前の2015年3月と4月、JBPressの本コラムで報道した「消えた23億ドル~マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑(1)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43250(2)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43277(3)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43331」(日本貿易振興機構=ジェトロ=の経済産業省所管、国のシンクタンク「アジア経済研究所」が調査論文で参考文献として引用=http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/201507_nakamura_2.html)に関連するもので、スイスでは同事件に関わった取引銀行(BSI)がすでに刑事訴追を受けている。

日本のメディアは当時、報道していなかったが、ここ2年間で米司法省の捜査が進み、今回、世界のセレブ、ミランダさんが巻き込まれたこともあり、米国のメディアが一斉に報道。「週刊新潮」(7月13日号。筆者の解説記事掲載=https://www.dailyshincho.jp/article/2017/07170559/?all=1)など日本のメディアも詳細を暴露するなど、ここにきて日本でも関心が高まっている。

そもそも今回のミランダさんの宝石返還は、6月15日に米司法省が起こした民事訴訟で明らかになったもの(参考=https://www.justice.gov/opa/pr/us-seeks-recover-approximately-540-million-obtained-corruption-involving-malaysian-sovereign)。

米司法省は、「1MDB」に関する不正流用疑惑で、米ロサンゼルスの連邦地裁に、約5億4000万ドル(約600億円)の資産差し押さえを申し立てた。

本コラムでも報道した昨年7月の提訴(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47506 )と合わせ(136ページに及ぶ訴状=参照1=https://www.justice.gov/archives/opa/page/file/877166/download、参照2=https://www.youtube.com/watch?v=_gBNuJCGezY&app=desktop)、1MDB関連の資産の差し押さえ請求額はこれで、合計約17億ドル(約1900億円)にも上った。

今回、米司法省はさらに膨大な251ページの訴状(参照=https://www.justice.gov/opa/press-release/file/973671/download)の中で、45億ドル(約5000億円)以上の資金が、1MDBの幹部などによって横領され、巨額な宝飾品や不動産、さらには世界的に著名なピカソの絵画などが“爆買い”されたと告発。

泥棒政治による米国史上最大の横領事件

「不正流用された資金をマネーロンダリングするため企てられた国際的な陰謀」と厳しく糾弾。この一連の事件が「泥棒政冶(盗賊政冶)による米国史上最大の横領摘発事件」と名指しで、マレーシアのナジブ・ラザク政権を批判。

さらに、同首相が不正資金を流用、“影の最高権力者”でマレーシアのイメルダ夫人と揶揄される大浪費家、ロスマ夫人(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44463)が、ミランダさんの9億円をはるかに超える約30億円のピンクダイヤモンドのネックレスを受理していたと指摘。

今回、国際的な刑事訴追が噂れる1MDBの投資ブローカー(1MDBの資金運用責任者)のジョー・ロー氏が贈答品を贈っていたのは、ロスマ夫人やミランダだけではない。

ハリウッド映画「タイタニック」の主演で国際的俳優のレオナルド・ディカプリオさんも、前回の訴状では「ハリウッド映画俳優1」と記されていたが、今回の訴状では実名で告発された。

米司法省での記者会見でも言及された上述のピカソの絵画は、ミランダさんより事前に、ディカプリオ氏が司法省に返還したもの(330万ドル相当)。

訴状によると、ジョー・ロー氏は偽名、「エリック・タン」という名前で、ディカプリオ氏にプレゼントしていた。さらに、司法省が同氏に返還を命じた中には、マーロン・ブランドのオスカー像(60万ドル相当)のお宝をはじめ、バスキアのコラージュ(900万ドル相当)やアーバスの写真(80万ドル相当)が含まれるというから、驚きだ。

1MDBの不正資金で設立、運用されていた映画会社「レッド・グラナイト・ピクチャーズ」製作の米アカデミー賞候補、ディカプリオ主演作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の権利差し押さえも敢行されたが、ディカプリオ氏の“容疑”は、完全に晴れたわけではない。

それは同映画会社の創設者でマレーシアのナジブ首相の義理の息子、アジズ氏(ロスマ夫人の連れ子)やジョー・ロー氏との密接な関係だ。

訴状では、2012年に3人がラスベガスで1週間のカジノ豪遊をするために1100万ドル(約13億円)が1MDBからロー氏の個人口座に振り込まれ、1日に115万ドル(約1億3000万円)が浪費されたことがあったという。

数百万円の高級シャンパンを贈呈

さらに、環境保護団体のディカプリオ財団への寄付の名目で数百万円もの高額なシャンパンが贈呈されたり、南アフリカのワールドカップサッカーに招待されたりと、ディカプリオ氏を巡る疑惑は枚挙に暇がない。

最も特筆すべきは、いまだディカプリオ氏の広報担当も明確にしていない米司法省に差し押さえられたアカデミー賞候補作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の出演料2500万ドル(約28億円)の返還についてだ。

映画会社の設立、運営資金だけでなく、同会社の100%出資で製作された同映画への出演料。自ら返還し、潔白を晴らした方が今後の俳優人生にも“汚名”を着されずにすむだろうに・・・。

しかし、すでに、暗雲は立ち込めている。

トヨタ自動車の「プリウス」や「レクサスLS」などのエコカーを早くから保有し、アカデミー賞授賞式にはベントレーやベンツで来場するハリウッドスターと一線を画し、プリウスで登場。環境活動家としても知られていたディカプリオ氏の“影”の部分が、1MDBの事件がきっかけで暴露され始めた。

自ら代表を務める環境保護団体「レオナルド・ディカプリオ財団」(https://www.leonardodicaprio.org/)の不透明な資金の運用が明らかになってきた。

同団体は、非営利組織(NPO)でなく、寄付顧問基金(DAF)で、米国では、法的には支出と収入の公開義務はない。しかし、環境活動の慈善事業を実施する組織としている手前、チャリティの運営資金、経費、収益の実態を明らかにする“社会的責任”があると、批判する環境関連団体が出てきた。

その1つが、今回の事件の震源地、マレーシアの熱帯雨林の保護・保全活動を行う環境慈善団体、「ブルーノ・マンサー基金」だ。ディカプリオ氏に、下記の公開状を送った。

同団体は、ディカプリオ氏とアジズ氏およびローとの親密な関係が、熱帯雨林の破壊につながっていると指摘。政治腐敗が深刻なマレーシアでは、賄賂と引き換えに、政府が森を伐採しているからだ。

米大統領選にも影響を及ぼす

「ディカプリオは、世界の環境保全を訴えてきたのに、賄賂と引き換えに森の伐採に“加担”している。不正流用資金で受理した映画のギャラは、我々の税金。我々と使命を同じにするなら、腐敗したお金を受理するのは、恥ずべきことで返還するべき!」と痛烈に批判している。

さらに、ディカプリオ氏の“腐敗疑惑”は、外交や米大統領選にも影響を及ぼしている。

ドナルド・トランプ政権が離脱し、国際問題となっているパリ協定の署名式に熱心な環境問題活動家として招かれ出席したディカプリオ氏。彼のプレゼンスは、各国の政治的な格好の“広告塔”としての役割を担っただけに、国際社会にも大きな影を落とそうとしている。

また、昨年の米大統領選では、ヒラリー・クリントン氏の資金集めのパーティがディカプリオ氏の自宅で開かれるはずだったが、直前になって、著名な歌手のジャスティン・ティンバーレイク氏の自宅に変更されるというハプニングが起きた。

通常は考えられないことだが、「1MDBの事件が、ディカプリオ財団と関与していれば、クリントン氏にとって不利な材料となる可能性があったから」(米政冶アナリスト)という見方が有力だ。

ハリウッドでは、ディカプリオ氏に次ぎ、ミランダさん、「次は自分の番かと」、びくびくしているスターもいるだろう。

ヒルトンホテル創業者の孫、パリス・ヒルトンさんをはじめ、女優のリンジー・ローハンさん、さらには、歌手のアリーシャ・キーさん・・・。驚愕の公金不正流用事件が揺さぶる、米映画界や芸能界を巻き込んだ“余震”は計り知れない。

また、余震は米国だけではない。2年半前の本コラムでも解説(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43250)したが、1MDBの事件は、日本が受注を目指す2026年開業予定のマレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設計画にも大きな影を落とす。

クアラルンプールの高速鉄道駅は、1MDBが手がける再開発プロジェクト「バンダー・マレーシア」で整備予定の地区に建設されるからだ。同計画は高級住宅街やオフィス街が立ち並ぶマレーシア最大級の再開発事業。

日本が受注目指す高速鉄道事業にも影響

1MDBがもともと同建設予定の土地を所有していたが、2015年末時点で、1兆5000億円以上(マレーシアの国家予算の約20%、GDPの約5%に相当)の負債を抱えていたところ、中国の国有鉄道建設「中国中鉄」などの企業グループが、2015年12月、約74億リンギ(約2000億円)で1MDBの負債と不動産の60%を、肩代わりすることで一旦合意。

中国は、再開発事業に投資することで高速鉄道受注を有利に展開させようと狙っていたと見られたが、今年5月になって突然、交渉は不調に終わり、ナジブ首相は再びスポンサーを募ることを発表。

マレーシア政府は計画が白紙となった原因は、中国中鉄側が支払い義務を履行しなかったこととしているが、「中国政府が中国中鉄に投資の許可を出さなかったため。中国政府は昨今、資本規制を厳重にしており、特に地政学的に利益が得られないと見る事業には慎重になっている」(中国の投資アナリスト)という。

2国間にまたがる高速鉄道は、日中の企業が激しい受注競争を展開しているが、開発全体が遅れることは必至で、日本が受注を目指す高速鉄道計画のスケジュールにも影響する。

高速鉄道の入札を、マレーシアとシンガポールは今年の10月から12月、運行も2026年としているが、遅延になる可能性が高い。

中国が狙っていたのは、そもそも、「事業費約2兆円」ともいわれる高速鉄道事業だったが、1MDBの負債処理の行方が不透明になったことで、「これまで中国が優勢だった高速鉄道受注戦も、日本が勝ちに行く希望が出てきた」(マレーシアの企業投資家)とする見方もある。

マレーシアを震源地とする「米国史上最大の泥棒政冶(盗賊政冶)による横領摘発事件」の“余震”は、まだまだ世界を揺るがすだけでなく、日本が切望する高速鉄道の行方をも左右する事態となっている――。

Money Voice記事

最新の調査で、中国政府の主導する「一帯一路」経済圏構想のインフラ計画の一環である高速鉄道の輸出戦略は、キャンセルが相次いでいることが明らかになった。理由は収益計画の不透明さや現地の経済状況にあわないためだと伝えられている。  英フィナンシャル・タイムスと米シンクタンク国際問題研究センター(CSIS)によると、世界18カ所で約束された中国資本の鉄道建設計画は、総価値1,430億ドル(約14兆円)に達する。うち1件が竣工済み、5件が建設中、12件は計画中だ。  同紙の推計によると、中止されたミャンマー、リビア、アメリカ、メキシコ、ベネズエラでの5件の建設計画の価値は475憶ドル(4.7兆円)に上る。これは、現在建設中の5件の合計249億ドル(約2.4兆円)のおよそ2倍になる。  また、計画中の12件に含まれるインドネシア、セルビア、ラオスなどの3件では、現地の電力配給能力に合わないとして、中止される可能性があると指摘した。  さらに、中止の要因は、中国側の「鉄道外交」に対する不信感との見方がある。2014年、メキシコの中止の決定について、同国のエスパルサ通信運輸大臣は「合法性、透明性を欠く」と述べた。  なぜ、キャンセルされながらも、鉄道外交は推進されているのか。背景には、中国共産党政権による独自の「政商結託」の問題がある。中国政府との強い繋がりと保証を受けられる国営企業は、リスクを顧みず、借金を積みあげて、はばからずに損失を重ねている。計画が成功すれば、共産党や国営企業の幹部の昇進に繋がる。  国有鉄道と高速鉄道プロジェクトを管理する中国鉄道公社は、3.8兆元(約50兆円)の負債を抱えており、ギリシャの政治債務残高をはるかに上回る。同紙が伝える関係者の話では、中国の高速鉄道2万2000キロの多くが、赤字稼働だという。  台湾政治大学経済学教授・荘奕キ氏は大紀元の取材に対し、発展途上国を広大なインフラ計画で貫く「一帯一路」構想のリスクの多さを指摘する。高速鉄道は数百キロと非常に長く、地形の複雑さもあり、運用コストに見合っていないとしている。荘氏は「人口が多い地域でも経済水準は低く、市場規模や購買力も小さく、実質の利益はほとんどない」とみている。  さらに、現地の経済事情に合わない高速鉄道計画を受け入れた国の多くは、中国からの援助や多額の融資を抱えており、中国経済への依存がますます強くなると警告している。 (翻訳編集・佐渡道世)【ニュース提供・大紀元】

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『東アジアで中国海軍と米海軍の力が逆転する日 明確な海軍戦略を描く中国、かつての栄光にすがる米国』(7/20JBプレス 北村淳)、『消えた中国包囲網。日本はこのまま「一帯一路」の野望に飲み込まれるのか?』(7/23Money Voice斎藤満)について

中国の軍拡は止まるところを知りません。専制国家で市民の監視もなければ、予算の制約もないから好き勝手できる訳です。でも、これは米ソ冷戦のアナロジーが適用できるのでは。SDIをレーガンが提唱、ソ連が無理にそれに合わせようとしたため、軍事費が国家予算の40%も占めるようになって米国に降参したわけです。中国のGDPはいい加減な数字で、437兆円以下と上念司氏は言っていますが、世界銀行は11.2兆$(=1840兆円)と言っています。上念氏の数字とは4倍も離れています。

中国とソ連の大きな違いは、西側と東側とが対立して、交易が少なかったことが挙げられます。ソ連は共産国家の盟主として、自分達の陣営での貿易をしていましたから豊かになれませんでした。翻って中国は、自由主義国家の米国がソ連に対抗するため後押ししたため、低賃金での生産物を輸出することにより、WTO加盟以降、急激に経済成長しました。

http://alterfree.blog.fc2.com/blog-entry-34.html

中国の軍拡の息の根を止めるためには、ソ連同様、経済を崩壊させることです。金融制裁して$を使えなくして、人民元だけで取り引きさせるようにすれば良いでしょう。世界の銀行は米国と取引していますので、中国と人民元で取引している銀行の情報も米国はキャッチできると思っています?人民元のSDR入りはそうした思惑があったのでは?

「一帯一路」は中国の滞貨一掃処分と軍事侵攻の道の開拓にあります。関係国は目先の欲得で判断すると後々痛い目に遭います。安倍首相も「一帯一路」に条件付き協力を表明しましたが、中国の透明度や公平性が上がるはずもなく、高いバーを設定した、単なるリップサービスと見るべきでしょう。金融制裁を課せば間違いなく中国経済は死に体になります。戦争を仕掛けて来るかも知れませんが、その時は海上封鎖で石油が入らなくすれば良いでしょう。ロシアがどう動くかですが。

北朝鮮の潜水艦が日本海を潜航したとの記事がありました。SLBMの発射訓練かどうか知りませんが、朝鮮半島から7分で日本にミサイルが着くのであれば、潜水艦から撃つ必要はないので、米国へ向けてでしょう。でも、日本のP3-Cも北朝鮮の領海内(22.2Km)には入れませんが、公海での監視活動はできる筈です。活動範囲を広げる必要があります。そのためには防衛予算増と人員の確保が前提となります。

7/21日経<北朝鮮潜水艦が日本海航行 米報道、異例の動きに警戒 

 

【ワシントン=共同】米CNNテレビは20日、北朝鮮の「ロメオ級潜水艦」(1800トン)が48時間連続で、本国から約100キロ離れた日本海で活動していると報じた。北朝鮮の潜水艦がこれほど離れた海域を航行するのは異例で、米韓両軍は警戒を強めている。複数の米国防当局者の話としている。

CNNによると、ロメオ級はディーゼル式で全長65メートル。米軍はこの潜水艦が母港から遠く離れた海域で航行する能力はないとみていた。沿岸地域で行う典型的な訓練活動とは異なるといい、米軍が偵察衛星から監視を続けている。

北朝鮮のロメオ級は旧式潜水艦で、弾道ミサイルの発射能力は備えていない。>(以上)

また、米海軍は空母ジェラルド・フォードを就役させたとのこと。中国が海軍力を増強する前に、北を片づけ、次には中国を片づけなくては手遅れになります。目先だけでなく、将来のことも併せて考えなければ。

http://www.sankei.com/world/news/170722/wor1707220028-n1.html

北村記事

今年だけでも既に2隻が誕生した中国海軍の054A型フリゲート

トランプ大統領は「強いアメリカの再現」のシンボルの1つとして、大統領選挙中から一貫して大海軍再建を標榜し、国防予算、とりわけ海軍関連予算の大増額計画を打ち出している。

しかしながら、トランプ政権発足後半年を経過した現在まで、大海軍再建の司令塔となるべき海軍長官(海軍と海兵隊の最高責任者でシビリアンのポスト)人事が決定していない(これまでは代理海軍長官としてシーン・スタックリー氏が代行してきた)。トランプ大統領は6月初旬に元投資会社役員のリチャード・スペンサー氏を海軍長官候補に指名し、あと数週間以内には上院で指名認可がなされる見込みとなっている。だが、大海軍再建計画が順調に滑り出すまでにはまだまだ時間がかかる状況と言わざるを得ない。

順調に進んでいる中国の大海軍建設

一方、中国においても、「中国の国益を保護するための大海軍建設」が喧伝されている。共産党独裁国家である中国では、党が打ち出した「大海軍建設」はアメリカと異なり極めて順調に進んでおり、今後も加速度的に海軍力が強化されていくものと思われる。

ちなみに、2017年上半期に誕生した中国海軍艦(小型艇を除く)は以下の10隻である(表)。

2017年の上半期に誕生した中国海軍艦(小型艇を除く)

2016年に大小取り混ぜて30隻ほどの艦艇を誕生させた中国海軍の戦力強化は、少なくとも数の上では目覚ましいものがあるとアメリカ海軍側も認めている。

新鋭艦艇の質に関しては「見かけ倒しではないか」「恐るるに足りない」といった評価を下している海軍首脳も少なからず存在する。だがそれに対して、「確実な情報がない以上、そのように楽観視しているととんでもないことになりかねない」「アメリカも含めて世界中から最先端技術を取り込んでいることを忘れてはならない」と警戒を促す人々も少なくない。

いずれにせよ、対中戦略を専門とする海軍関係者たちは、「敵を過大評価して恐れおののくのは慎むべきではあるが、敵を過小評価するのはさらに良くない姿勢である」との基本姿勢を尊重している。

中国国産の001A型航空母艦

海軍戦略達成のために強化される海軍戦力

人民解放軍は昨年より抜本的再編成を進めている。中国国営メディア(人民日報、環球時報)によると、その一環として陸軍人員数の大幅削減を実施するという。また、海軍、ロケット軍(かつての第二砲兵部隊)、そして新設された戦略支援部隊の人員数は、今後それぞれ大幅に増強するという。空軍は現状維持とされている。

人民解放軍再編成の方針に基づき海軍力増強が推進されていくことは間違いないものと思われる。実際に、2017年上半期だけでも上記のように多数の軍艦が誕生している。

そもそも、中国海軍が近代的海軍(海上自衛隊など西側海軍と肩を並べるような海軍)となりうるきっかけとなったのは、1980年代に鄧小平軍事委員会主席の片腕として活躍した海軍司令員(海軍のトップ)、劉華清が打ち出した防衛戦略である。

毛沢東時代の中国の防衛戦略は、基本的には敵勢力を中国大陸内部に引き込み、ゲリラ戦も交えつつ殲滅していくというものであった。それは自然と陸軍が中心となる戦略であった。当時はアメリカの核恫喝に自力で抵抗するため核搭載大陸間弾道ミサイルの開発運用にも多大な資源が投入された。そのため、海軍や空軍を充実させることは後回しにされ、鄧小平によって国防改革が開始された当初は、中国海軍は沿岸警備隊(それも時代遅れの)に毛が生えた程度の極めて貧弱な海軍に過ぎなかった。

このような状況に対して劉華清は、「鄧小平による経済発展策の根幹となる幅広い交易活動を支えるには強力な海軍戦力が必要である」と力説した。そして、劉華清が打ち出したのが、「近海積極防衛戦略」と呼ばれる海軍戦略であった。

すなわち、日本列島から台湾、フィリピン諸島、そしてカリマンタン島(ボルネオ島)を経てシンガポールに至る、いわゆる第1列島線内の東シナ海や南シナ海に進攻してきた敵(=アメリカ海軍や海上自衛隊をはじめとするアメリカ側海軍)を、それら海域のできるだけ遠方で撃破し、中国沿岸域には敵を寄せ付けない──そして、いずれは第1列島線に接近させないようにする、という戦略である。

「積極防衛戦略」の“積極”というのは、「島嶼や海岸線を防衛するには、待ち受けるのでなく、こちらから出撃しできるだけ遠方洋上で敵を迎え撃たねばならない」という海洋国家防衛の伝統的鉄則を意味している。そこで、その戦略を実施できるだけの実力を持った海軍を建設することが急務となり、1980年代後半から近代海軍建設に努力が傾注されたのである。

海軍建設には少なくとも四半世紀はかかると言われているが、21世紀に入ると中国海軍は近代海軍の呈を成し始め、2010年を過ぎるといよいよ強力な海軍として世界中の海軍から一目置かれる存在になってきた。

そして、昨年から正式に推し進められている人民解放軍の再編成と平行して、海軍戦略も「近海積極防衛戦略」からさらに歩みを進め、「外洋積極防衛戦略」とも表現しうる戦略へとバージョンアップされた。

中国国防当局はアメリカや日本を強く刺激することを避けるため、この戦略を単に「積極防衛戦略」と称している。だが、要するに敵を撃破する海域を東シナ海や南シナ海からさらに遠方の西太平洋へと拡大させた戦略ということになる。

海軍戦略を欠いているアメリカ

このように、中国の軍艦建造の目を見張るほどの勢いは、明確な海軍戦略を達成するために必要不可欠の動きということができる。

ところが、トランプ政権が打ち出している350隻海軍建設は「偉大なアメリカの再建」という政治的目標の道具の1つとはなり得るが、確固たる海軍戦略に基づいているわけではない。

そもそも、「近海積極防衛戦略」そして「(外洋)積極防衛戦略」といった具体的な海軍戦略を策定してきた中国軍とは異なって、アメリカ軍は「エアシーバトル」「マルチドメインバトル」といったコンセプトを打ち出してはいるが、いずれも戦略というレベルのものではない。

達成すべき海軍戦略を構築し、それに向かって海軍戦力増強にいそしむ中国。片や、確固たる戦略なしにかつての栄光を取り戻すために大海軍を再建することを標榜しているアメリカ。これでは、少なくとも東アジア海域における海軍力バランスが逆転する日が現実のものとなってしまったとしても不思議ではない。

斎藤記事

トランプ政権の親中路線はまやかしに過ぎません。日本政府や日本企業も、綺麗事ばかりの中国「一帯一路」構想の誘惑に負けないよう、冷静に判断すべき局面です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

中国の一帯一路構想に協力表明!? 日本政府はどこまで正気なのか

「中国包囲網」はどこへ消えた

米国にトランプ大統領が誕生して以来、日米の対中国戦略が揺れ動いているように見えます。

昨年の米大統領選挙キャンペーンでは対中国強硬論を唱えていたトランプ氏が、今では習近平国家主席を「大好き」と持ち上げ、これまでの強硬論がどこかへ消え去ったかのような印象です。これを受けて日本の対中国戦略も微妙に変化してきました。

安倍総理は第二次安倍政権誕生以来、今や中国こそ最大の脅威と位置づけ、「中国包囲網」を構築すべく、その周辺国を相次いで訪問してきました。

尖閣諸島の領有権を脅かす中国が、東シナ海から南シナ海へと、軍事力を伴った進出を進めているためで、これに対処するには日本としても東南アジアの関係国との連携が必要と考えたからです。

もちろん、これら関係国との連携にとどまらず、中国を取り巻く各国との関係改善を図り、軍事的にもいざという時に日本の味方をしてもらい、ともに中国に対峙する体制を構築する狙いがありました。

そのために、ロシアから中央アジア、インド、東南アジアを歴訪し、まさに日本の「友人」で中国を包囲する形を作ることに専心してきました。

このため、中国が進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、周辺国のみならず欧州各国が参加するのをしり目に、日本は米国とともにこれに参画せず、中国とは距離を置く姿勢を鮮明にしていたのです。

安易に乗ると危ない「一帯一路」

ところが、トランプ政権が対中国戦略を軟化させ、AIIBへの参加を検討すると言い出し、AIIBと対をなす「現代版シルクロード建設」ともいうべき習主席の長期戦略「一帯一路」構想に米国も関心を持ち始めました。

そして今年5月に中国で開催された「一帯一路」構想に関する大規模な国際会議に、米国は代表チームを参加させ、日本も親中派の二階幹事長の他、安倍総理の名代を送りました。知らぬ間に、日米ともに中国の長期世界戦略に巻き込まれていく構図が鮮明となってきました。

そんな中で、日本の企業も、次第に習主席の「一帯一路」構想に関心を持つものが増えています。中国事情に詳しい人物やコンサルタントに、この「一帯一路」構想の内容、ビジネスの観点からの妙味について、質問が増えていると言います。

しかし、この中国の「一帯一路」構想は、中国の苦しい事情、矛盾もはらんでいるだけに、安易にこれに乗ろうとするのは危険なのです。

習近平主席の「野望」と「矛盾」

そこでまず、習主席が提唱する「一帯一路」構想をおさらいしておきましょう。

この構想、もとはと言えば、習主席が2013年9月に中央アジアを歴訪した際に提示した大規模経済開発構想が発端で、それが2015年になり、国家発展改革委員会が中心となって、「シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードの共同建設推進のビジョンと行動」として交付されたものです。

その名からも伺えるように、陸路(一帯)と海路(一路)の両方から、現代版のシルクロードを建設し、その大規模なインフラ投資を通じて、中国や当該経路の地域の経済発展を促進し、完成後には中国とユーロッパとの結びつきを強める効果が期待され、いずれも習近平国家主席が歴史に名を遺す一大イベントと位置付けられます。

陸路(一帯)は中国蘇州から西に向かい、新疆から中央アジア、中東、トルコを経て、ドイツなどヨーロッパにつながります。そして海路(一路)は、中国の福州、広州からシンガポール、インド洋のスリランカ、紅海を経てサウジ、エジプト、そして地中海に入りギリシャ、イタリアのヴェネチアへとつながります。

その大規模な構想を可能にするには資金的、金融的な裏付けが必要となり、それを賄うのがAIIBということになります。

つまり、中国が一国で進めるには資金面でも限界があり、広く欧米やアジア周辺国の資金も導入する必要がありました。実物面での「一帯一路」構想と、資金金融面でのAIIBが、セットで進められることになるわけです。

これがアウトラインですが、そもそも習主席が進める最近の経済改革と、この「一帯一路」構想は相容れない面を持ち、さらに周辺国の資金事情や中国が抱える債務問題の深刻さを考えると、この「一対一路」がスムーズに進むのか、その実現には多くの疑問符がつきます。

ロスチャイルド資本が構想を後押しか

「一帯一路」構想は、発展途上国にとっては有効な経済政策ですが、発展段階の異なる地域での進め方を中国が指導できるのか疑問です。そもそも中国はこれまでの発展途上国型経済モデルから転換し、経済や産業の構造改革を進めようとしていたはずです。それを周辺の「途上地域」のために、自ら構造改革を差し置いて以前の成長モデルに戻るのは理解に苦しみます。

それでもあえてこれを進めようとしている裏には、簡単には進まない鉄鋼、石炭、セメントなどの過剰生産能力の削減問題があり、結果としてこれを積極的に「一帯一路」構想で活用して過剰生産能力問題を拡大均衡の中で吸収しようとしている面があります。また、新たな「人民元経済圏」の構築を目指している、との見方もあります。

西側からは中国版「マーシャル・プラン」ではないか、との批判もあります。戦後米国が欧州経済復興に支援の手を差しのべながら、欧州を取り込んでいった記憶が残っているようです。そして中国国内的には、これを契機に、習国家主席が独裁的指導力を高め、「現代の毛沢東」を目指そうとの意図がうかがえます。

さらに、トランプ大統領の背後で影響力を行使するロスチャイルド資本が、積極的に欧州と中国の橋渡しを進めるべく、この構想を後押ししているように見えます。中国だけのインタレストで動いているのでないとすれば、ますますその全貌を理解することが容易でなくなります。

習近平氏の野望はわからないではありませんが、残念ながらここまで金銭的な裏付けが進んでいません。AIIBへの出資も欧州勢が協力的でないために順調ではないようで、事務局は何とか日米の協力を取り込みたいようです。

だからこそトランプ大統領の「親中派」色を利用して今のうちに協力を取り付けたいとの思惑もあるようですが、簡単ではありません。計画の多くが資金面のネックから立ち往生する懸念があります。

トランプの中国接近の意味

この「一帯一路」構想は、その大きな野望とは裏腹に、具体的な計画、準備が進んでいないので、日本企業が慌てて参画しても計画が頓挫し、持ち出しだけで終わるリスクがあります。

それよりなにより、トランプ政権の「親中」路線がまやかしと思われます。そもそも、「黄禍論」のトランプ氏が、黄色人種の安倍総理や習近平主席を好きだということ自体、眉唾物です。

それはさておき、トランプ陣営の中国に対する基本姿勢は「米中冷戦」であって、決して中国にシンパシーを持ったわけではありません。

一見、親中派に転換したかに見えるのは表向きだけで、これは中国に北朝鮮の核ミサイル開発を抑止させるための「アメ」の面と、今後米国が習主席の下で中国と冷戦を進めることを前提に、まずは習主席に秋の共産党大会で絶対的地位を確保させたいがゆえの「協力」の面があります。

このうち、まず北朝鮮の管理は、裏で米国のネオコンやユダヤ系が入り込んで北朝鮮に影響力を行使している面があるだけに、中国の成果は期待しにくい面があります。

ある意味では北の核ミサイル開発を遅らせる「時間稼ぎ」の面があり、しばらくの間、北からイランに核やミサイルの提供がなされないようにする目的が考えられます。最後は「結果が出ない」ことを理由に、対中強硬論に戻る兆しはすでに見られます。

秋以降、トランプの「中国叩き」再開へ

また秋の中国共産党大会で習国家主席の地位が安泰となれば、トランプ氏の目的は達成されたことになり、そこからは遠慮なく中国叩きに戻り、冷戦体制の構築を進めることになります。ウィルバー・ロス商務長官などは、共産党大会が終わるのを待ちきれずに、早くも「米中包括経済対話」のなかで、中国に無理難題を突き付けています。

7月19日の第1回包括経済対話の冒頭で、ロス商務長官は中国の巨額の対米黒字を批判し、早急に米中関係を公正で公平、かつ相互的なものにするよう求め、中国が米国製品をより多く輸入する形での不均衡是正を進めたいとしました。

会議の中で、米国は中国に対して、鉄鋼などの過剰生産能力を解消しろと迫り、中国からの鉄鋼輸入に高率関税をかけると脅しをかけ、さらに中国金融サービスへの米国企業のアクセス、外国企業に対する中国企業への出資上限の引き上げ、撤廃などを迫ったようですが、中国はこれらに難色を示し、共同記者会見も声明文もまとめられないまま終わりました。

つまり、トランプ政権の「親中派」転換は見かけ上のもので、せいぜい一時的で、少なくとも秋の共産党大会後には、改めて対中国の強硬論が復活すると見られます。

その時には巨大な貿易不均衡を力ずくで是正し、市場開放、金融の自由化、国有銀行への出資、経営介入、南シナ海への進出牽制、韓国への「THAAD」配備など、改めて中国攻勢を強めることになるでしょう。

中国の「壮大な公共事業」に潜むリスク

このようにみると、日本企業が「一帯一路」に加わることにはいくつかのリスクがあります。

確かに日本市場は少子高齢化による先行き縮小懸念が強く、これを打破するために「一帯一路」構想に乗ってみたいという気持ちはわかります。壮大な公共事業とも言えるからです。

しかし、話はそう簡単ではなさそうです。

前述のように、「一帯一路」構想については、中国当局のコントロールがどこまで及ぶのか、計画は進めたものの、途中で事業が頓挫するリスクがあります。とりわけ資金面で行き詰まる懸念があります。途中で行き詰まっても、中国の商業慣行では、資金や資源の回収が簡単にできないケースが少なくありません。

また、米国の対中国姿勢の変化により、中国経済、新興国経済に打撃となる事態も予想せざるを得なくなります。

中国共産党大会が終われば、米国は遠慮なく利上げを進める可能性があり、人民元安が新たな資本流出を招く面があり、他の新興国にも同様の問題が及びます。その場合、欧州資本(ロスチャイルド)からの支援で収拾するのか、予断を許しません。

日本は「トランプの次の一手」を読み切れるか

日本政府の外交姿勢も微妙になります。米国追随の日本政府としてはトランプ政権に倣って中国と対峙する面はあるものの、トランプ政権の米国が、世界から遊離し孤立化する面があります。

その米国に追随していると、日本も一緒になって世界から遊離するリスクがあります。

米国が世界の警察機能を放棄し、暗に世界の多極化を促すのであれば、日本としても米国一辺倒ではなく、ロシアや欧州、中国とも外交網を広げる必要があり、トランプ大統領もこれを拒否しないと見られます。

問題は、日本の外交当局が米国の動きを正しく評価し、米国と距離を置きつつ、弾力的に中国やロシアと外交を展開できるかどうかでしょう。

政府も日本企業も、表向きの米中関係に振り回されず、綺麗事を並べた「一帯一路」の誘惑に負けないよう、冷静な判断が必要です。中国は日本マネーを取り込みたいのですが、安易に乗ると、これが不良債権になって回収不能となるリスクがあります。

中国が政治経済面でスーパー・パワー化することも、日本には大きなリスクです。美しいバラには棘があることをお忘れなく。

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『劉暁波の苦難は自業自得? 反体制派が冷笑を浴びる国』(7/16Newsweek ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌アジアエディター))、『中国当局、タブー破棄か 気功を「国民的スポーツに」』(7/21大紀元)、『美議員羅拉巴克:法輪功學員將世界從邪惡中拯救=米議員のローラバッカーは法輪功を学ぶものは世界を悪から救うと言った』(7/21大紀元新聞網)について

Newsweekの記事を見て、97年に語学留学した北京外国語大学の先生宅をお邪魔した時のことを思い出しました。ご主人は北京大学物理学の教授でしたが、政治の話は避けようと努力していました。自由に話せない暗い国と言う印象を行った早々持ちました。経済発展していても同じでしょう。「物言えば唇寒し秋の風」になることは明らかで、政府批判をネットで発言しても公安がすぐ調べに来る国です。日本の左翼人士に言いたい、日本から出て行って左翼の国に骨を埋めたらどうですかと。

http://www.thutmosev.com/archives/60683850.html

また中国語の授業で台湾人の先生から聞いた話では、今中国で、ネットで使えない言葉は「維尼熊」(=くまのプーさん)とのこと。習近平を揶揄しているからとの理由ですが、やっていることは北朝鮮と変わらないという事です。

http://www.sankei.com/world/news/170719/wor1707190032-n1.html

まあ、中国人というのはどこまで行っても拝金教が止まずと言う所で、体制に擦り寄り、金さえ儲けられれば良いと言ったところでしょう。でもいつ落馬するのかわからないし、逮捕状なしで拘引される国です。中国人も海外に出て行く機会が増えているのですから、相対化して見れば良いと思うのですが、中華思想が邪魔するのでしょう。また「国内の反体制運動は必ず「外国の勢力」と結び付いている」という表現が出てきますが、これは「和平演変」を指すと思われます。中国人的発想では、「自分は総て正しい、悪いのは他人」ですから。

大紀元の記事では法輪功と習近平が手を結び、江沢民派を追い落とそうとしているように見えます。宗教が政治に近づくと碌なことはありません。況してや習近平は侵略の野心を隠さないタイプです。世界の法輪功信者が中国の侵略の先兵ともなりかねません。キリスト教宣教師が植民地開拓の先兵になったように。要観察です。

大紀元新聞の記事では、大事な点だけを説明します。法輪功のワシントン議会前での集会のスローガンは「中共を解体し、迫害を終わらせ、江沢民を法の裁きに」、「二億7000万の中国民衆を支援し、中共関連組織から救い出そう」というもの、ローラバッカー議員(中国の臓器狩りを止めさせる運動の中心人物、国務長官候補にもなった共和党下院議員)の発言のポイントは次の通り。

「中共の今のような態度や価値観では、我々が彼らに譲歩し、このようにコントロールできない状況が続けば、最終的には戦争と混乱を招くだろう。明らかな点は、中共は共産主義を信奉しているのではなく、事実上の派閥政治をおこなって巨大な土地と人口を持つ国を統治している。この派閥政治が人民を攻撃、弾圧するやり方を続け、外交上も南シナ海のような攻撃的な行為が続くのであれば、我々は戦争に直面するだろう。これは我々にとって想像できる最も愚かな状況の一つである」と。悪の帝国、中共を打倒するように動いてほしいし、法輪功が中共を打倒し民主化できるのならそれも良しです。ただ、モンゴルやウイグル、チベットの独立も認めてほしいのですが。

Newsweek記事

体制に反抗しても太刀打ちできないなら、そういう世の中だと割り切ったほうが気楽なのか ZHANG PENG-LIGHTROCKET/GETTY IMAGES

<ニューズウィーク日本版7月25日号は「劉暁波死去 中国民主化の墓標」特集(2017年7月19日発売予定) 。重病のノーベル平和賞受賞者を死に追いやった共産党。劉暁波の死は中国民主化の終わりか、それとも――。この緊急特集から、中国社会の冷めた民衆心理に関する記事を転載する>

中国の民主活動家で作家の劉暁波(リウ・シアオポー)は、天安門事件の首謀者として投獄されたこともある。09年に懲役11年の判決を受けたときの「罪状」は、政治改革を要求する「08憲章」の中心的な起草者だったこと。彼は5月に末期癌と診断されて先月末に仮出所が認められ、今月13日に国内の病院で死去した。

ただし、中国の市民にとって、劉は英雄というわけではない。大半の中国人は名前を聞いたことがある程度で、全く知らない人もいる。知っている人も、私の経験では嫌悪感を隠さない。劉が危篤状態だと報じられていた頃、ある知人は、「タダで治療してもらえるのだから政府に感謝しろ!」とネットに投稿した。

中国の中流階級は、比較的リベラルな人々さえ、反体制派を軽蔑している。最初の反応は、何かしら非難する理由を見つけることだ。悪いのは被害者であって、彼らを逮捕し、拷問し、牢屋に入れる人々は悪くない。そういう社会なのだから、と。

そんな考え方に最初は衝撃を受けたが、次第に分かってきた。これは生き延びるための自己防衛であり、独裁主義に順応する1つの方法なのだ。

悪いことが起きるのは、本人に相応の理由があるはずだと、私たちは意識的にせよ無意識にせよ考えがちだ。公正な社会では全ての正義は報われ、全ての罪は罰せられるという、いわゆる「公正世界仮説」のためだ。祈りが足りないから癌になった、よく知らない街をうろうろしたからレイプされた、警察官にもっと敬意を表していればそんな扱いを受けなかったのに、といったものだ。

明らかに、そして恐ろしく不公正な世界を前にしたとき、人間は精神的な防衛機能として、世の中は公正だと思い込もうとする。自分がクモの糸で炎の上につり下げられていることに気付かないふりをして、他人の苦しみを正当化する理由を探し、自分は大丈夫だと根拠もなく安心したくなる。

しかも、中国の人々が本能的に見過ごしたくなる相手は、不公正な社会だけではない。不公正な政府という、より差し迫った恐怖がある。

公正世界仮説では、受け入れ難い現実に直面すると、精神的に許容できる物語に変えようとする。不公正をあからさまに否定するのではなく、肩をすくめて犠牲者のせいにする。社会の摂理にあらがっても仕方がない。嵐に向かって傘をさすようなものだ。

ほかの独裁国家と同じように、多くの中国人は、どんなときも権力が自分たちに対してすることに抵抗したくない。政府が市民を鎮圧するなら、犠牲者が悪い。どんな仕打ちを受けるのか分かっていたはずだ。戦おうと思うのが傲慢過ぎる。

「一線を越えるな」という教訓

従って中国政府は、劉のようにあからさまに体制を批判する人々については、話題にすることも比較的容認する。服役中の劉がノーベル平和賞を受賞したときも、政府の報道統制による1週間の沈黙を挟んで、中国メディアは一斉に受賞決定を非難した。

劉のような人物は、格好の教訓になる。一線を越えれば破滅する、それは自分の責任なのだ。一線を越えたらどうなるかは明白だが、問題は、不注意で越えてしまうまで危険なラインが分かりにくいことだ。

私の友人のおじは建設会社を経営していたが、ある入札で、素性も知らず競合した相手が実は、地元の役人とマフィアが関わる会社だった。彼は誘拐されて工事中のビルの屋上に連れて行かれ、両脚を切り落とされ、放置されて出血多量で死亡した。彼の兄は冤罪で逮捕された。

中国では、国家にとって不都合なタイミングで不都合な場所にいたというだけの理由で、市民はとてつもないダメージを被る。そのような行為は、政府にとって最も危険な不正なのだ。

市民が無関心から目覚めることができるとしたら、歯に衣着せぬ活動家ではなく、普通の犠牲者によって突き動かされたときだ。従って、当局とのありふれた衝突が悲劇に発展した事件の多くは、国内で報道が許されるのは一瞬だけ。事件直後に注目を集めた後は、 議論にさえできなくなる。

一方で、政治的糾弾のプロセスは大々的に宣伝される。例えば、中国政府は13年に、盛り上がり始めたオンライン社会を抑圧すると決めた。そして、中国版マイクロブログ新浪微博(シンランウェイボー)の有名ブロガーだった薜必群(シュエ・ビーチュン)が買春容疑で逮捕され、ブログで人々を扇動した「罪」を自白する姿がテレビの生放送でさらされた。

番組を見た後、知的でリベラルな中国人女性の同僚が私に言った。「彼は警告を受けていたはずよ」

気功集団の法輪功が弾圧を受け始めた頃も、最初は多くの市民が同情的だった。しかし、創設者や幹部が国との対立姿勢を強め、99年に大勢の信者が北京の役所を取り囲む事件が起きると、共感は消え去った。

中国には昔から、人間の運命は現在ではなく過去の罪によって決まるという考え方がある。劉はかつて、中国は「300年間の植民地支配」を経て、ようやく香港と同じくらい文明化されるだろうと書いた。アメリカの対テロ戦争に繰り返し支持を表明し、時には欧米の欠点にあえて目をつぶった。

中国の多くの知識人は、このような過去の言動を引き合いに出して彼を非難した。しかし、大胆な発言や純粋な姿勢が、なぜ長年の迫害と懲役を正当化する理由になるのかは、誰も説明しなかった。誰かを批判して、その口実が見つかれば、自分は安らかな気持ちでいられる。

劉や、人権活動家として知られる現代美術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)のような反体制派について中国の人々は、欧米での注目やカネを目当てに、欧米に擦り寄っていると捉えることが多い。

共産党機関紙の人民日報系のタブロイド紙である環球時報は、民主化運動は「賭けに負けた」と書いた。このような風潮は、国内の反体制運動は必ず「外国の勢力」と結び付いているという、政府の徹底したプロパガンダの成果でもある。

一方で、反体制派に対するこのような感情は、中国社会の皮肉な世界観で全てを片付けるすべでもある。社会制度に盾突く人は欧米のカネが目当てだと思っていれば、自分の日々の妥協と堕落を正当化できる。

80 年代に青年時代を過ごし、一度は理想主義を掲げた人々は、特にその傾向が強い。自分たちは妥協したのに、いつまでも頑固な奴らはどうしてできないのか。今は誰もが、少なくとも教育を受けて都会で専門職に就いている自分たちは、うまくやっているのに、というわけだ。

いつの日か劉が、より公正で、より良い、より優しい中国を目指した多くの殉教者の1人として、人々の記憶に刻まれてほしい。だが、それはかなり先の話だろう。今は多くの中国人が、彼の運命に肩をすくめている。あんなことをすればどうなるかなんて、分かっていたじゃないか、と。

大紀元記事

気功愛好者(LILLIAN SUWANRUMPHA/AFP/Getty Images)

中国最大のスポーツの祭典「全国運動会」(日本の国体に相当)に、「健身気功」が初めて競技種目に追加され、気功がふたたび国民的な習慣として定着する風向きがある。気功については、1999年に江沢民政権が「法輪功」を弾圧して以降、禁忌の話題として中国社会のなかで避けられてきた。この伝統的な鍛錬法に再びスポットがあたったのは、国策が転換する兆候ではないかの見方がある。

10日付き中国メディア・新浪網などによると、第13回全国運動会の一般部門コンテストは7月9日、天津濱海新区の大港スポーツセンターで開催され、健身気功を初めて新たな競技種目として追加した。

中国国家体育総局の健身気功管理センターのトップ・常健平主任は新浪網メディアの取材に対し、気功の「神秘性」については否定するものの、全国運動会の競技に追加されたことは「画期的意義を持つ」と強調し、「2020年までに愛好者数を1000万人に増やしたい」と述べた。

米政府系「ラジオフリーアジア(RFA)」は13日、気功が新種目として追加された中国当局の動きの背景には、法輪功への弾圧政策の終結を裏付けるものとの分析を示した。

中国政府系シンクタンクでも気功修煉の講座

今回、全国運動会の競技種目として追加される前から、これまでのタブーを破って、気功に注目が集まった出来事がある。今年6月10日、中国政府系シンクタンクの中国科学院の朱清時・院士が北京医薬大学で、気功修煉に関する講座を開いたことだ。

朱氏は『身体を通じて真気と気脈を観察する』と題した講座のなかで「漢方医学の経絡を含む真気が仏学と同じ、中国伝統文化の真髄である。疑似科学ではない」と論じた。

中国官制メディアも、中国科学院のこの講座について肯定的に報道している。中国青年網は「修煉は太古の『黄帝内経』から三教(儒教・仏教・道教)まで、五千年の中華文明を貫いている」と報じ、「修煉文化」について言及した。

習政権 腐敗と汚職を一掃 伝統文化の尊重目指す

習近平政権は発足から、積極的に反腐敗を推進させ、汚職蔓延の「元凶」とされる江沢民派の影響力を払拭し続けている。同時に習政権は「伝統文化の尊重」を政策に取り組んできた。実際に、政府系シンクタンクが、以前は忌避されてきた「真気」や「修煉」といったテーマを取り上げて1カ月後、気功を国民的なスポーツ大会の一競技に取り入れた。

中国民主活動家・元山東大学教授の劉因全氏は、気功の良さを広めることは、弾圧政策により国営メディアから汚名を着せられた「法輪功」の名誉挽回のための事前準備と見ている。「最高指導部では民主化の道を歩む『開明派』が優勢となり、法輪功弾圧を肯定した江沢民派の勢力は失われつつある」と述べた。

1980年代から90年代にかけて、中国全土で気功ブームが巻き起こった。そのなかでも、1992年に伝えだされた法輪功は、身体の健康と道徳の向上に顕著な効果がみられたとして、中国政府も推奨していた。政府は法輪功に「学際科学進歩賞」など6つの賞を授与している。体育当局の統計では、弾圧前の1999年まで 1億もの人々が愛好していたという。

(翻訳編集・王君宜)

大紀元新聞網記事

來自加州的資深國會議員達納‧羅拉巴克(Dana Rohrabacher)在720法輪功反迫害集會上發言。(大紀元)

2017年7月20日,美國東部部分法輪功學員在美國首都國會山前,舉行大型集會,要求“解體中共、結束迫害、法辦江澤民”,同時“聲援二億七千萬中國民眾退出中共和相關組織”。多位美國國會議員和非政府組織代表到場發言聲援。

來自加州的資深國會議員達納‧羅拉巴克(Dana Rohrabacher)在集會上發言,他表示法輪功學員將全世界善良正義的民眾聯繫在一起,努力將世界從邪惡力量中拯救出來,法輪功學員所信仰的美好理念也會使世界變得美好。

以下是他的發言全文:

“你們是非常重要的,你們中的每一個人,今天來到這裡,都是一個重要歷史使命的一部分。這使命不僅是關於廣傳法輪功學員信仰的真、善、忍理念,你們的使命也是幫助世界人民維繫和平。

事實上,中共現在這種態度與價值觀,如果我們讓他們如此持續下去並失控的話,最終我們會面臨戰爭和混亂。現在非常清晰的一點就是,中共也並不信奉共產主義,他們實際上是一種幫派性質,控制着如此巨大的一片土地和全世界人口最多的國家。這種幫派政府,如果繼續以這種方式治國,繼續以這樣攻擊打壓人民的方式持續下去,同時在外交方面,也表現出我們在南海看到的攻擊性行為,我們就有可能面臨戰亂。這是我們能想像的最糟糕的情況之一。人們會互相殺戮,不相識的人們會互相殺戮。

感謝上帝,我們有像法輪功群體這樣的人在發聲。在美國,我們理解和尊重人民的權利,並在全世界試圖追尋和平,這是高尚的努力。

今天,我感謝你們所有人與美國善良的人們同在,共同進行這高尚的努力,將世界從邪惡力量中拯救出來。感謝你們的努力,你們讓我們意識到,全世界善良的人們都是一個整體。

現在美國的商界,為了快速獲取利益,為了在他們已有的大量財富上掙取更多錢財,願意跟中國做生意——和鎮壓自己人民並威脅全世界的中共合作。

但我們這裡也有善良的好人結成的同盟,在中國也有正義人士結成的陣營。法輪功學員將我們聯繫在了一起,願上帝因此保佑你們。

美國善良的人與你們站在一起,我們會為人類贏得這場戰爭,而法輪功學員和全球每一位善良、正直的民眾都相信的那些美好的理念,也會幫我們讓這個世界變得美好。

非常感謝你們今天允許我表達對你們的支持。”#

【大紀元2017年07月21日訊】(大紀元美國華盛頓DC記者站報導)

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『米貧民街の公立校はこうして立ち直った ハーレム発、教育格差を克服する物語』(7/21日経ビジネスオンライン 篠原匡)について

米国の教育問題で感じるのは、やはり国の成り立ちが移民からというのが大きく影響しているのでは。移民で優秀な人材を集めることがアメリカを偉大な国にならしめ、アメリカンドリームが実現されています。一方、貧しい人間は真面な教育も医療も受けられないでいます。共産国家中国と似ています。まあ、優秀な人が中国に移民することは今の所はないでしょうけど。世界が共産主義にひれ伏す時代が来れば分かりませんが。劉暁波氏のような死を迎えさせるような国に、自由を満喫できる国の人が、行きたいとは思わないでしょうけど。日本のメデイアに代表される共産主義にシンパシーを持った人間は是非中国に帰化したらよいと思います。「理想の国」に殉ずべきです。森友・加計・稲田日報問題で平気で嘘がつけるのも中国人と同じですし。

日本の教育の癌は日教組でしょう。組織率は23.6%と1/4以下ですが、左翼にありがちなノイジーマイノリテイとなって、少数であるにも拘わらず、声を大きくしてサイレントマジョリテイを抑えるやり方をします。子供の教育を優先すべきなのに、政治闘争を優先するのは輿石東が言った通りです。こんな先生の下で子供たちが教わるのですから堪ったものではありません。また買春次官を輩出している文科省も同罪です。「ゆとり教育」を推し進めた寺脇研ともども日本の弱体化を図っているとしか言いようがありません。文科省と日教組がグルとなり、敗戦後利得の構造を固定化しようとしている構図です。民主主義国家では声を上げなければ、声の大きい方にしてやられます。勿論共産国家では劉暁波氏のように殺されますが。あらゆる政策を考えるうえで、一般国民が既存のメデイアへの高い依存度がなかなか方向転換できない原因です。情報弱者こそが日本を悪くすると考えています。

http://www.sankei.com/life/news/170301/lif1703010077-n1.html

http://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/028fed333afb9ffe0ac2eb21165ec9d0

本記事のように米国は貧しくともor予算が無い中でも、工夫と共感者を集めることにより、学校を再生させつつあるというは素晴らしいと感じました。さすがアメリカと言う感じです。日本でも「百ます計算」で有名な陰山英男氏のように「基礎的な生活習慣を身につけさせること」と「反復練習」をすることを重視した教育が広がっていくことを願っています。また、教科書も左翼教科書ではなく、自由社か育鵬社のが採択されることも願っています。

記事

米ニューヨークの有名な貧民街「ハーレム」。その123ストリートとモーニングサイド・アベニューの角にある市営公園では、毎朝8時になると子供たちの声が響き渡る。ある子供は滑り台やモンキーバー(雲梯)などの遊具で遊び、別の子供は大人とバスケットボールに興じている。授業が始まるにはだいぶ早く、公園の外では職場に向かう人々が行き交う。(以下の動画をご覧ください)

なぜこんな早い時間に子供たちが遊んでいるのか。実は体育の授業の一環だ。校舎の中の体育館が自由に使えないため、授業が始まる前の時間を利用して体を動かしている。

公園の隣に、「P.S.125 Ralph Bunche」という名の公立小学校がある。コロンビア大学のある高級住宅街、アッパーウェストの北隣にあたるが、周囲には低所得者向けの公営住宅「プロジェクト」が林立している。ここに通っている生徒は貧困層の子供が多く、ランチ無料プログラムを受けている子供が全体の7割に達する。全校生徒267人の内訳を見ても、アフリカ系米国人(黒人)が40%、ラティーノが35%とマイノリティが大半だ。世界中の富が集まるニューヨーク・マンハッタン。その中にあって、貧困層が多く住む地域である。

この学校の生徒が自由に使えないのは体育館だけではない。子供たちがランチを食べるカフェテリアは使える時間が限られている。図書館がなく、特別なケアが必要な子供のための教室もないため、廊下の片隅でカウンセリングを実施することもしばしばだ。日本の公立小学校に当然のように存在する設備が、この学校にはない。

図書館を高校に取られたため、壁の空いたスペースを使って保護者が図書館を作った(写真:Retsu Motoyoshi)

特別なケアが必要な子供のための教室もない(写真:Retsu Motoyoshi)

原因は、校舎を他の2つの学校とシェアしていることにある。米国で生徒数を伸ばしているチャータースクールと、コロンビア大学の付属高校が同じ建物を使用していて、その2校に施設の一部を奪われた形となっている。P.S.125とチャータースクールは入り口が別だが、高校とは入り口も共有しているため、小学生と高校生が行き交う。

「6年前に赴任した時は、とても不公平に感じた。体育館や図書館はもともとこの学校の施設だったのに、別の学校が入ってきたことで使えなくなった。他の学校との兼ね合いで、ランチの時間帯も変わってしまう。リソースをどんどん失っているという感覚だった」

P.S.125の校長、レジナルド・ヒギンズは初めて学校に赴任した2011年のことを振り返る。

6年前にヒギンズ氏が校長として赴任した時、学校は崩壊の危機に瀕していた(写真:Retsu Motoyoshi)

同じニューヨーク市でもブルックリンの小学校で教鞭を執っていたヒギンズは、ニューヨークの中心であるマンハッタンの小学校は環境が整っていると思っていた。ところが、新米校長として赴任して愕然とする。設備のシェアは仕方がないとしても、予算不足で体育や音楽、美術の教師はおらず、授業は英語と算数のテスト対策が中心だった。保護者は学校に無関心なのに、成果は求めてくる。

「学校の士気は完全に低下していた」(ヒギンズ)

なぜこのような状況になってしまったのか。それを理解するには、米国の公立学校が置かれている状況と、教育改革の歴史をひもとく必要がある。時計の針を34年前に巻き戻そう。

学校評価と競争原理

レーガン政権下の1983年、「A Nation at Risk(危機に立つ国家)」というタイトルの報告書が出た。「われわれの国家は危機に直面している」。そんな衝撃的な書き出しで始まる報告書は、SAT(大学進学適性テスト)の悪化や読み書き能力の不足など、米国の学力低下と教育の荒廃を白日の下にさらした。

レーガン政権以降、教育改革は米国の最重要政策の1つになった(写真:Wally McNamee/CORBIS/Corbis via Getty Images)

「公教育の質が余りにひどく、敵国からの攻撃と同等と論じられた。この報告書をきっかけに、米国の教育に問題があるという意識が広く共有されるようになった」

ニューヨーク市立大学ブルックリンカレッジ教授(教育学)のピーター・タウブマンはこう語る。その後、レーガン政権は教育改革を国家戦略に位置づけた。それ以降の政権も、教育改革を政策の柱に据えている。

その方向性は、大きく言うと、学校に対する競争原理の導入とテストによる学校評価だ。その一翼を担ったのは公設民営のチャータースクールである。チャータースクールとは、公立の一種で補助金を受け取るが、運営自体は民間企業やNPO(非営利組織)という形態を取る小中学校のことだ。生徒数は140万人と公立の5%に満たないが、90年代以降、チャータースクールに通う生徒は右肩上がりで増えている。

もう一方のテストによる学校評価は、生徒の成績に対して学校と教師の説明責任を問うという90年代以降の動きがベースになっている。

ジョージ・W・ブッシュ政権は全国一斉学力テストを義務化、成績によって学校や教師にペナルティを科す「落ちこぼれゼロ法」に署名した。オバマ政権では「Race of the Top(頂点への競争)」というプログラムが導入された。これは成果を出した州に手厚く補助金を分配するという政策だ。結果的に、テストスコアが低迷した学校は教師の入れ替えやチャータースクールへの転換を余儀なくされた。

現在のトランプ政権も、基本的に過去の政権を踏襲している。教育長官に就任したベッツィ・デボスはチャータースクールやバウチャー制度の強力な推進者だ。

教育長官のベッツィ・デボス氏はチャータースクールやバウチャー制度を強力に推進している(写真:Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images)

バウチャー制度とは公立に通う低所得者の生徒を対象にクーポン券(バウチャー)を支給、チャーターや私立の学校を選べるようにするもので、新自由主義の生みの親、シカゴ大学のミルトン・フリードマンが提唱した。それ以来、共和党が掲げる教育政策の主要パーツとなっている。

競争原理とテストによる学校評価――。これは米国の教育改革を貫く背骨と言っていいだろう。

30年以上続く米国の教育改革。その歴史はP.S.125が没落していく歴史でもある。

荒廃のスパイラル

「80年代の半ばから後半にかけて、この学校には1000人を超える生徒がいた。当時は教科もたくさんあり、演劇や言語、音楽を教える専門の教師もいた」

32年間、P.S125の教壇に立つベンジー・ブラットマンはそう振り返る。だが、90年代以降は生徒数が大きく減少していく。地域の子供が減ったという人口動態的な要因もあるが、近隣のチャータースクールとの競争に敗北したという面も大きい。

ヒギンズが赴任する前のP.S.125は、学区の中でも成績の悪い落ちこぼれ校として有名だった。それに対して、チャータースクールは大学進学率やテストスコアの良さを前面に出して生徒募集を進めていた。現実を見ればチャータースクールはピンキリで、英語を母国語としない子供や障害を持つ子供を受け入れないなどの批判は根強い。公立はそういう子供も受け入れなければならず、テストの点数を学校の評価と見なすのは公平とは言えない。

また、ニューヨークのような大都市は移民が多く、子供の語学力や学力レベルにばらつきがあるという面もある。だが、貧困にあえぐ親ほど貧困から抜け出すために、子供に充実した教育を受けさせたいと考えるもの。チャータースクールを選ぶ家庭が増加、ヒギンズが着任した頃は全校生徒が150人まで落ち込んでいた。

「生徒が減り、教科や放課後のプログラムがカットされた。われわれ教師は英語と算数を教えるだけで、それ以外のことは何もできなかった」。そうブラットマンは振り返る。

生徒数の減少はP.S.125の苦境に拍車をかけた。

一般的に、米国では固定資産税が教育予算の財源のおよそ半分を占める。固定資産税は不動産価格に連動するため、裕福な地域ほど教育予算が潤沢で、貧しい地域ほど教育にかける予算が少ない。予算が多ければ子供の興味に応じて様々なプログラムを提供することが可能になるが、予算に限りのある学校は教師の人件費をまかなえず、教科の削減などにつながる。

住んでいる場所で教育の質が大きく変わる現実――。教育の機会不平等と、それに伴う格差の固定化は米国の病理の一つだ。

「教育の質の低さと税収の低さは貧困層の多い都市部でとりわけ深刻だ。裕福な地域には素晴らしい公立校があり、そもそもチャータースクールを選ぶ必要がない」

ニューヨーク市立大学教授のデイビッド・ブルームフィールドはこう指摘する。

正確を期すと、ニューヨーク市は少し事情が異なり、学校の予算配分は生徒数がベースになっている。P.S.125の予算が削減されたのも新学期の生徒の登録数が減少したためだ。もっとも、学区内の所得レベルが教育に影響を与えているという点では変わらない。

米国では課外授業や放課後プログラムを充実させるために、保護者が中心になって資金を集めることがしばしばある。この手の資金集めの時にモノを言うのは親の財力とステータス(社会的地位)だ。

マンハッタンの中でも屈指の高級エリア、トライベッカの小学校では近隣の有名シェフを招き50万ドル以上を集めたことが話題になった。だが、ランチ補助を受けているような貧困家庭にはそんな芸当は期待できない。現に、P.S.125が資金調達のためにイベントを開いたときなど、大の大人が7時間クッキーを売り続けて60ドルしか集まらなかった。

「われわれ教師も廃校になると思っていた」

13年前からP.S.125で教えているブリンダ・フォックスが吐露するように、2000年代後半のP.S.125は土俵際に追い詰められていた。予算の減少によって体育や音楽、美術などテストに関係のない教科はどんどん削られた。英語と算数のテスト対策ばかりで子供の学ぶ力が養われるはずもない。結果的に子供たちの学校離れが加速した。まさにデススパイラルである。

だが、あるきっかけで歯車が逆回転し始める。ヒギンズの就任とプログレッシブ教育へのシフトだ。

好奇心を軸にした教育

プログレッシブ教育とは何か。人によって定義が異なるが、一人の教師が生徒に答えを教えるような伝統的な教育スタイルではなく、子供が持っている好奇心や一人ひとりの習熟度に応じて、最適な学びの機会を提供する教育のことだ。

なぜ空は青いのか、なぜ雲は動くのか。子供は素朴な疑問を持つ。興味のあることを学ぶときはフラストレーションを感じることなく楽しめる。そうした好奇心をつぶさずに、上手く引き出して学ぶ機会につなげていく。それがヒギンズの考えるプログレッシブ教育である。

そのためには読み書きソロバンだけでなく、アートやオペラ、ダンス、水泳、野菜作りなど子供の好奇心のアンテナに引っかかる様々なプログラムが必要になる。「プログレッシブ」という用語を使うかどうかはともかく、こういった教育は裕福な家庭の子供が通うボーディングスクール(全寮制学校)や私立校、寄付の多いチャータースクールでは当然のように提供されている。

プログレッシブ教育を求める保護者は増えているが、様々な教育プログラムが必要なうえに、教える側のスキルも求められる。予算に限りのある公立校で実現するにはハードルが高い。ヒギンズはあえてそこにチャレンジしようとした。

「プログレッシブ教育自体は古くからあるスタイル。教師だった両親にそれが理想だという話はよく聞いていて、自分が校長になったときに試したいと思っていた」

プログレッシブ教育への転換――。それが可能になった大きな要素として、併設しているPre-K(満4歳の児童が通う幼稚園前のプログラム)で実施されていたことが挙げられる。

幼児教育はそもそも学力ではなく、それぞれの好奇心を引き出すようなプログラムであることが多い。P.S.125のPre-Kも積極的に外に連れ出していろいろな体験をさせるプログラムを提供しており、不人気の小学校とは違って高い人気を誇っていた。そこで、Pre-Kの教師と協力して、そのメソッドを幼稚園、1年生、2年生に広げていくことにした。

「幼い子供には自分で試して発見できる環境を作って上げることが大切です。言葉で教えるよりも、実際に触って何かを発見するものです。その発見を授業に持ち込みます」

小雨がぱらつく天気だったが、子供たちは菜園で様々なものを観察していた(写真:Retsu Motoyoshi)

Pre-Kのプログラムを作り、今は一つ上の幼稚園で教えるミシェル・アレンは言う。

取材で訪れた6月初め。外はときおり小雨がぱらついていたが、幼稚園の子供は気にするふうもなく、学校に隣接する小さな家庭菜園に出ていた。あるグループは片隅にあるコンポストに食べたバナナの皮を入れ、あるグループは畑に座ってバジルなどの苗の絵を描き、あるグループは土の中の虫を探し、あるグループは敷地にある桜の木に登っていた。服が汚れることを気にする大人は誰もいない。アレンによると、自然の循環を感じさせる意味があるのだという。

「子供の学校を良くする」

もちろん、トラディショナルな授業をプログレッシブに転換するのは容易ではない。ニューヨーク市の底辺校がプログレッシブ教育と叫んだところで、市当局がすんなりと首を縦に振ることはないだろう。そこで、ヒギンズはまず、テストの点数を引き上げることに注力した。

個々の学力をテストで検証、何が分かっていないのかを個別に把握していった。同時に、教師の得意分野を改めて整理、向き不向きでチームを編成しなおした。「テストの点数」はヒギンズが目指している方向とは正反対だが、学校運営の裁量を増やすため、あえてテストにフォーカスしたのだ。

その後、テストの成績が向上し始めると、市当局の監督者もフレキシブルなプログラムを認めるようになった。それを確認したヒギンズはテスト勉強のウェイトを下げ、英語と算数以外のプログラムを増やし始めた。

もう一つ、P.S.125の変革に決定的な影響を与えたのは保護者の変化だ。「子供の教育はプロである学校に任せる」というスタンスの保護者が大半だったが、徐々に学校の運営に主体的に関わる親が増え始めた。その中で主導的な役割を果たした一人の日本人がいる。

鈴木大裕。研究者としてコロンビア大学に在籍した2011~16年まで、鈴木は2人の娘をP.S.125に通わせていた。ニューヨーク在住の日本人は駐在員を中心に公立のレベルが高い地域に住むか、私立に通わせるケースが多いが、鈴木はコロンビア大学に近いハーレムに住み、子供をP.S.125に通わせた。その背景にあるのは「選ばないことを選ぶ」という鈴木の哲学だ。

2人の娘を通わせていた鈴木大裕氏。理想とする教育を実践するため、帰国後、高知県土佐町に移住した(写真:Retsu Motoyoshi)

「選ぶことのできる人間が選び始めると、選ばれなかった学校はよくならない。子供の通っている学校を良くすることを考えた」

コロンビア大学に来る前は公立中学校の教師だった鈴木。その中で培われた考え方である。

もっとも、体育館も図書館も、音楽や美術の授業もないという最悪期である。実際に通わせてみると、想像を絶する窮状だった。体育館がないため体育は教室の机をどけて体を動かすだけ。音楽の授業がないのに、隣のチャータースクールからは楽しそうなジャズが流れてくる。ボンドやコピー用紙などの備品を買う予算がないため、各家庭が用意することも頻繁にあった。

「同じ校舎の中にカースト制があるような感じだった」。そう鈴木は振り返る。

彼自身、米国の教育システムの最も優れた部分に触れていただけに失望が大きかった。

高校時代、鈴木はニューハンプシャー州のボーディングスクールに留学していた。米国のボーディングスクールは全人教育を掲げる学校が多く、テストの点数だけでなく音楽やアート、スポーツなど子供の得意分野を伸ばす環境が整っている。また少人数のため、教師も子供の声に耳を傾け、生徒自身に考えさせる姿勢が徹底されている。ところが、我が子の通っている小学校を見ると、そうした教育と正反対だった。

「そもそも米国の教育の優れたところを学び直そうと思ってコロンビア大に来たのですが……。自分の受けた教育との違いに愕然とした」

そして、鈴木は保護者の立場で学校に関わっていく。

「まずは仲間を増やさなければ」と考えた鈴木は小学校の子供を持つ友人に積極的に声をかけた。9月の新学期前に開催する保護者向けの学校説明会も、それまではヒギンズが説明していたが、保護者や生徒が前面に出るスタイルに変えた。学校関係者がアピールするより、実際に子供を通わせている保護者や子供が語る方が説得力があると考えたからだ。他の学校の事例を参考に、SNS(交流サイト)を使った情報発信や資金調達の多様化なども進めた。

保護者会長を務めるトモイ・ゼマー氏。他の保護者とともに建設的に学校に関わっている(写真:Retsu Motoyoshi)

現在、Parents Association(保護者会)の会長を務めるトモイ・ゼマーも鈴木に引っ張られた一人だ。P.S.125のPre-Kに娘を通わせていたゼマーは、アレンの教育方針に深く共感したが、小学校の方はテスト重視の伝統的な学校である。どうしようかと考えていたときに、親の力で学校を変えていこうと鈴木に誘われた。Pre-Kのプログラムを低学年に広げていくという話もあり、「ならば」と残留を決めた。

「ミス・アレンがいなければ残っていませんでした。最悪、(自宅で教える)ホームスクールを考えていました」

無関心だった保護者が変わった要因として、地域のジェントリフィケーションも大きい。ジェントリフィケーションとは、再開発などで都市部の貧困地域に中間層が流入し、地域の人口構成やコミュニティが変化する現象のことだ。

長年、P.S.125のあるエリアは所得の低い黒人やラティーノが中心だったが、マンハッタンの不動産価格が高騰したあおりで、相対的に安価なハーレムに中間層が流入するようになった。貧困層は朝から晩まで働いており、子供の教育に関わっている余裕はない。一方、新たな住民は所得が比較的高く、子供の教育にも熱心だ。地域のダイバーシティが進んだことも、P.S.125にとっては追い風になった。

教育プログラムの多様化にも保護者が一役買った。一時は英語と算数だけに教科が絞られたP.S.125だが、現在はミュージカルやオペラ、楽器演奏、アート、水泳、脚本づくりなど多彩なプログラムを提供している。その大半は、外部のNPOなどが提供しているものだ。

水泳やオペラ、演劇などの授業(写真上・中)はNPOなど外部の専門家が関わっている。写真の女性はその中の1つ(写真下)、Young Audiences New Yorkの担当者(写真:Retsu Motoyoshi)

(写真中)

(写真下)

ミュージカルや脚本はプロのアーティストで構成されるYoung Audiences New York、水泳はAsphalt Green Swim for Life、野菜作りはHarlem Grownなどが専門家を派遣している。こういったプログラムの中には保護者が実施主体を探し、資金調達にも関わったものも少なくない。

「昨年は菜園を作り、週1回の水泳も実現しました。音楽や演劇などの授業は数年前にはなかったはずです。保護者として校長に私たちの考えるプログレッシブ教育を伝えましたし、校長にもそれは伝わっていると思います。今はポジティブなエネルギーにあふれています」

1年生の息子がP.S.125に通っているアンジェラ・エステスはこう語る。同じく幼稚園生の息子がいるアリヤ・トーマスも続ける。

「この2年間でプログレッシブ教育の導入は着実に進んでいます。ここに来た保護者はみんな感じていると思いますが、変わりたいのであれば自分たちが変化の一端を担わなければなりません。すぐに完璧になることはありませんが、私たちの校長はアイデアを受け入れる人です。校長がオープンだからこそ、こうしてカリキュラムづくりに関われる」

昨年は10人に満たなかった保護者会の参加人数が、今年は30~40人になった。自分たちでも学校が変えられると思い始めたからだろう。

この声は、ヒギンズにパワーを与えている。

他の2つの学校と校舎をシェアするようになって以来、ヒギンズとP.S.125は常に譲歩を迫られてきた。だが、体育館が一部使用可能になるなど変化も見られる。保護者の声が大きくなるとともに、市当局や他校に対する交渉力が増したのだ。なぜ学校の施設を他校に取られたのか。生徒数の減少ももちろんだが、保護者が無関心だったことも大きい。

そして、教師も変わりつつある。

生徒が増える好循環

6月2日、1年生の授業では4つのグループに分かれてピザを作っていた。あるグループは生地を練り、別のグループはトマトソースやチーズなどのトッピングを乗せている。あるグループはランチョンマットのデザインを描き、別のグループは会計係としてお金を数えていた。ピザ屋の営業を通じた読み書きソロバンのレッスンだ。

テスト対策ばかりだった授業は様変わりした。写真はピザ屋の営業を通した読み書きソロバンの授業(写真:Retsu Motoyoshi)

「6年前にこの学校に来たとき、私は6歳の子供に1週間で5種類のテストをやっていました。でも、昨年からは一度もテストをしていません。授業は遊び形式で、2人のアシスタント教員と生徒の状況を見ながら進めています」。1年生を担当しているサラ・ランドンはそう語る。

これまでの学校現場は既存のカリキュラムをどう教えるかというところにフォーカスしていた。それはテストをベースにカリキュラムが作られているからであり、大学の教員課程でも「どう教えるか」を厳しく指導される。ランドンも大学でカリキュラムに沿った教え方をたたき込まれた。それだけに、マインドセットや染みついた教え方を変えるのは難しい。アレンなど、ほかの教師たちの授業を研究したり、外部の研究者に教えを請うたり、日々プログレッシブ教育に最適なプログラムや教え方を学んでいる。

「自分で考えた授業で生徒が成長する姿を見るのはとても楽しい。正直、仕事量は増えていますが、パズルのピースをつないでいるようで楽しいんです」

ランドンのように変化に対応している教師がいる一方で、苦しむ教師もいる。

「私を含めシニアの教師には大きな変化」とブラットマンが打ち明けるように、これまでの教え方に慣れた教師にとっては間違いなく試練がたちはだかる。それでも適応しようとしているのは、結果としてテストの点数が改善するなど、プログレッシブ教育が成果を出し始めているからだろう。ヒギンズは言う。

「私が校長になったばかりの頃、学年に相応しい読み書きができる子供は23%だったが、今では44%だ。算数のテストで州平均を上回る生徒も37%だったが、54%になった。もちろん、この学校は学力を成功の基準にはしていませんよ。子供が笑っていたり、勉強を楽しんでいる、親も幸せに感じている、そうした姿を見ると、自分たちのやっていることが正しいと感じる」

9月から始まる新学期に向けて、P.S.125に入学を希望する子供のウェイティングリストは200人近くに上っている。6月に開催した学校説明会でも、保護者がハンバーガーやTシャツなどを販売して8000ドルを調達した。来年度はフルタイムの音楽教師が赴任する予定だという。

今の課題は生徒の増加に伴うスペース不足だ。また、このままジェントリフィケーションが進めば、住み続けていた貧困層が押し出されるという批判もある。地域の小学校として地元の貧しい子供に、いかにして門戸を開き続けるか。いずれ、新たな困難に突き当たることになる。だが、ヒギンズが言うように、P.S.125は正しい軌道に乗っている。

学力の低下と教育改革の槍玉に挙げられてきた公教育。米国を筆頭に、教育に成果を求める声は根強い。事実、トランプ政権と共和党は「スクールチョイス(学校選択)」という掛け声の下、チャータースクールや私立校を後押ししている。

財源が限られる中で投資に対するリターンを求めるという思想は理解できる。では、教育の成果とは何か。学力の向上なのか、生きる力の構築なのか。あるいは、民主主義を支える優れた市民の育成なのか、それらすべてなのか。答えは人間の数だけ存在する。その中で、公立校が果たす役割は何か。ハーレムの落ちこぼれ学校は、一つの答えを示している。

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『北京大学卒業式・張維迎講演はなぜ削除されたか SNSから即座に消えた「自由は一種の責任である」』(7/21日経ビジネスオンライン 北村豊)、『米中の衝突 対話で避けよ 米ハーバード大教授 グレアム・アリソン氏』(7/21日経朝刊)について

18日に提出した蓮舫の台湾国籍喪失許可証書が偽物ではないかと言うので、三立新聞が台湾内政部に電凸したら「本物」との返事。でもおかしい所満載です。小生の考えでは、内政部の役人と一緒に(忖度どころではなくグルで)偽造したのでしょう。ただ、後々内政部が追及されるとマズイので、中途半端な偽造になったと思います。内政部の国民党派=中国人と組んでやったことと思います。中国では卒業証明者や公的領収書の偽物が普通に買える国ですので。なお、文中に出てきますPO=post an articleの意味だそうです。

小生のFacebookの記事より。

<蓮舫偽造「放棄國籍許可證」?內政部:證書是真的

2017/07/20 08:05:00

記者雷明正,張之謙/綜合報導

日本民進黨黨代表台裔政治人物蓮舫18日出示了台灣內政部所發的「喪失國籍許可證書」,但這個證書似乎與正常的台灣行政文書有很大的不同。有台灣網友甚至直接在網路上質疑這份文件跟本是偽造。不過我國內政部證實這份「喪失國籍許可證書」確實是由內政部所發。

▲蓮舫放棄國籍證明書(圖/翻攝自Daily)

這份證書上的照片所擺的是蓮舫的選舉照,側面且微笑的大頭照,與我國一般在戶籍文書上所放的身分證照片有所不同。根據「喪失國籍申請書」上載明,照片黏貼處應比照「國民身分證相片規格」;而且相片明顯規定「無特殊表情且嘴巴合閉」,但這張證書的大頭照中的蓮舫卻笑的合不攏嘴,似乎不太符合規定。

另外是發證日期,發證日期為去年的9月13日,根據我國內政部規定,喪失國籍辦理期間約需2個月左右;而蓮舫是在9月3日提出申請,網友質疑為何能在短短10天就能取得證書。再者,網友上內政部的官網以蓮舫證書號碼查詢結果,內政部官網顯示此案件在2016年的10月17日才被內政部審核完成,那蓮舫是如何提出9月13日發給的文件?

▲推特上網友的質疑(圖/翻攝自推特)

其它如地址詳載不明、國籍不應使用西曆或是蓮舫自己公開的台灣護照居然是手寫等等,網友都提出質疑,也被日本一部分輿論人士轉貼。一向反對蓮舫的旅日中國籍漫畫家孫向文也PO文質疑,認為蓮舫把全日本當作白癡。評論家池田信夫更辛辣的指出,蓮舫根本是偽造公文。

但《三立新聞網》今早和內政部確認文件真偽,內政部發言人表示這份文件並非偽造,確實是由內政部所發行的「喪失國籍許可證」。

☆Chris*台湾人☆‏ @bluesayuri

蓮舫氏喪失國籍証の波紋、台湾の三立新聞と風傳媒新聞が私のtwを取り上げて報道した。台湾ネット民と呼ばわれ、面白い、三立が内政部に問い合わせたら→本当?「喪失國籍証は内政部発行」と返事、記者もっと質問「何故一週間発行?2ヶ月じゃない?」内政部は答えれなかった、やっぱり裏がありそう。

蓮舫の中華民国の喪失国籍許可書には、許可した人の署名のサインがない。原本の写しではないことが明白である。他の二人の許可書には、ちゃんとサインがある。>(以上)

中国が自由を認める=共産党支配の終結を意味します。甘い汁を吸っている党幹部にとって、国民に自由を与えれば、自分達にとっては失うものの方が大きいです。共産党内部からそんな動きは絶対に出て来ないと思っています。それは張維迎教授も百も承知でしょうけど、言わずにはいられなかったと言う所です。張維迎教授は発言中、日本の発明の例は挙げていませんが、言うのは沽券に関わると思ったのか、「愛日有罪」の烙印を押されることを避けたのか。

中国を民主化させれば戦争の危機は遠のくと考える人がいます。小生は民主化だけではダメで分裂(領土分割)が必要と思います。特に南モンゴルやウイグル、チベットと言った非漢族の地域を独立させる事です。中国やロシアは地政学上、北朝鮮を緩衝地帯と見て尊重しているのですから、この3地域を独立国として承認して緩衝地帯とすれば良いでしょう。それでも自己中心の漢族に民主主義が似合うかどうか?孫文も言っています。『中山思想体系』より、<孫文學説第六章説:「常人有言,中國四萬萬人,實等於一片散沙。今欲聚此四萬萬散沙,而成為一機體結合之法治國家,其道為何?=『孫文学説』第六章には<普通の人は、中国は4億も人口がいるが、その実一握りの砂に等しい(バラバラで纏まっていない)と言っている。今欲するのはこの4億の砂の民を集め、法治国家として纏め上げるにはどうしたらよいか?>と。中国人に民主主義は出来ない、強権政治がお似合い何て言うと劉暁波氏や石平氏、陳破空氏に失礼です。また大陸内で共産党と戦っている人権派弁護士も沢山います。日本の知識人や日弁連のように我が身を安全地帯に置いて政府を批判しているのとは訳が違います。日本は中国共産党と内部で戦っている人をもっと支援すべきです。明石元次郎がやったように。

グレアム・アリソン教授は中国人を理解しているとは思えません。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という不信社会で成り立つ民族です。ピルズベリーがやっと気づいたではないですか。こちらが善意で一譲れば、十踏み込んでくるタイプです。オバマのように善意でなく、無能で傍観していたから、国際裁判所の判決が出ても「紙屑」と言って南シナ海を自分の内海にしようとしている訳です。中国に譲歩は禁物です。トランプは中国との1年間計画は認めるべきではありません。時間稼ぎに使われるだけです。早く北との取引銀行総てを金融制裁すべきです。アリソン教授の言うような話合いだけでは解決しません。制裁と言う道具を使わなければ。8年間中国に駐在した体験から考えて。

北村記事

7月1日、北京大学卒業式で行われた張維迎教授の講演は、SNSにアップされるや即座に削除された。写真は2011年のダボス会議に出席した張氏(写真:AP/アフロ)

7月13日、2010年にノーベル平和賞を獄中で受賞した“劉暁波”氏が多臓器不全により亡くなった。劉暁波は2009年12月に“扇動顛覆国家政権罪(国家政権転覆扇動罪)”により懲役11年の判決を受け、遼寧省“錦州市”の“錦州監獄”で服役していた。彼は今年5月に発病したので検査した結果、肝臓がんの末期であることが判明し、特別措置により6月末に遼寧省瀋陽市の“中国医科大学附属第一医院”へ移送されて治療を受けていた。

劉暁波は2008年に中国に大幅な民主化を求める『“零八憲章(2008年憲章)”』を主体となって起草したことで逮捕され、人生で4回目となる監獄生活を送っていたのだった。劉暁波が零八憲章で提起したのは「自由、人権、平等、共和、民主、憲政」の基本理念であったが、その中で最も重視したのは自由であった。そこには言論、出版、信仰、集会、結社などの自由が含まれていた。

劉暁波の死亡より12日前の7月1日、中国を代表する“北京大学”で学部に相当する“国家発展研究学院”の卒業式が“北京大学百周年記念講堂”で行われ、教員を代表して著名な経済学者である教授の“張維迎”<注>が「自由は一種の責任である」と題する講演を行った。この内容が国家発展研究学院のSNS“微信(WeChat)”に掲載されると、即座に当局によって削除されたのだった。微信から講演内容が削除された理由は何だったのか。そこには真の愛国者である劉暁波が一貫して主張していた自由の必要性が、経済学者の視点から述べられていたのだった。

<注>張維迎:1959年に陝西省で生まれる。中国の“西北大学”卒業後、修士課程に進み、英国オックスフォード大学で博士号取得。北京大学教授、経済学者。

14分44秒に及ぶ同講演の模様は、動画サイト「YouTube」でも『“張維迎演講:自由是一種責任”』という題名で配信されているが、非常に興味深い内容を含むので、筆者の翻訳で以下の通り紹介する。

張維迎演講:自由是一種責任

演題:自由は一種の責任である (講演者:張維迎)

学生諸君 先ず皆さんの卒業をお祝いします。

“北大人(北京大学人)”は一種の光背であると同時に責任を意味します。それは特に我々のように苦難が深刻で、いやというほど蹂躙された民族に対する責任です。中華文明は世界最古の文明の一つであり、しかも唯一現在まで継続している古い歴史を持つ文明です。古代中国は輝ける発明創造を持ち、人類の進歩のために重要な貢献を行いました。しかし、過去500年、中国は発明創造の分野で取り立てて言うほどの物は何もありません。この点を数字で説明しましょう。

英国科学博物館の学者ジャック・チャロナーの統計によれば、旧石器時代(250万年前)から紀元2008年までの間に世界を変えた重大発明は1001項目生まれたが、その中で中国が産み出したものは30項目で、全体に占める比率は3%でした。こられ30項目の全てが1500年より前に生まれたもので、1500年より前に世界で生まれた重大発明163項目の18.4%を占めました。その中の最後の1項目が1498年に発明された“牙刷(歯ブラシ)”であり、明代で唯一の重大発明だったのです。1500年から後の500年以上の期間に全世界で生まれた838項目の重大発明の中に中国で生まれたものは1項目も無かったのです。

中国は過去500年、歴史書に載る発明がない

経済成長は新製品、新技術、新産業が絶えず出現することから生み出されます。古代の社会に有ったのは、農業、冶金、陶磁器、手工芸などの限られた職業だけでしたが、その中で農業は絶対主導的な地位を占めていました。現在、我々にはどれだけの職業が有るでしょうか。国際労働機関(ILO)が定めた『国際標準職業分類(ISCO)』によれば、輸出製品に限定しても、2桁コードの職業は97個、4桁コードの職業は1222個、6桁コードの職業は5053個有り、なおかつまだ絶えることなく増加しています。これら新しい職業の全ては過去300年のうちに創造されたものであり、新製品毎にその起源を遡ることができます。これら多くの新産業や新製品の中に、中国人が発明した新しい職業や重要製品は一つもありません。

自動車産業を例に挙げましょう。自動車産業は1880年代中頃にドイツ人のカール・ベンツ、ダイムラー、マイバッハなどが創造し、その後の一連の技術進歩を経て、1900年から1981年までの間に600項目以上の重要な発明が行われました。中国は現在世界一の自動車生産大国ですが、もし諸君が⾃動⾞産業に関する技術進歩の歴史を書くならば、そのリストには1000人以上の名のある発明家が掲載され、その中にはドイツ人、フランス人、英国人、米国人、ベルギー人、スイス人、日本人が含まれますが、残念ながら中国人は1人もいません。よしんば冶金、陶磁器、紡織などの17世紀より前に中国が先導していた古代の職業であろうとも、過去300年の重大発明や創造の中に中国人が産み出したものは1つもないのです。

私が特に強調したいのは、西暦1500年より前と西暦1500年から後は同じではないということです。1500年より前は、地球が様々な区域に分割されていて、区域間は基本的に封鎖状態にありました。一つの新技術がある地方で出現しても、その他の地方に対する影響は軽微で、人類全体に対する貢献は極めて限定的でした。たとえば、東漢の蔡倫は西暦105年に製紙を発明しましたが、中国の製紙技術は751年にようやくイスラム世界に伝わり、その300~400年後に西欧へ伝わったのです。私が小学校へ入学した頃、習字にはまだ“土盤(土製の皿)”を使っていて、紙は使えなかったのです。

但し、1500年から後に、地球は一体化を開始し、技術発明の速度が加速されたばかりか、技術拡散の速度も速くなり、一つの新技術がある地方で出現すると、非常に速く他の地方に導入され、人類全体の進歩に重大な影響を及ぼしたのです。たとえば、ドイツ人が1886年に自動車を発明すると、その15年後にはフランスが世界一の自動車生産国となり、さらに15年後には米国がフランスに取って代わって世界一の自動車生産国となり、1930年に至ると米国の自動車普及率はすでに60%に達したのでした。このため、1500年から後は、イノベーションの国家間における比較が可能となり、その優劣が一目瞭然となったのです。中国は過去500年において歴史書に載るような発明や創造が一つもありません。これは我々の人類の進歩に対する貢献はほぼゼロであることを意味しており、我々の祖先と比べてその差は大きいものがあります。

我々は自由と法治の逆を行った

私はさらに人口規模の問題についても強調しなければなりません。国家の規模には大小があり、国家間でどこの発明や創造が多いかで単純に比較すると、容易に誤解が生まれます。理論上から言うと、その他の条件を考えなければ、国家の人口規模が大きければ、イノベーションも多くなり、技術の進歩もより速くなります。また、イノベーションの比と人口の比は指数関係にあり、簡単な等比数列の関係ではありません。10年以上前、米国の物理学者ジェフリー・ウエストなどは、都市生活の中では、人類の発明・創造と人口の関係は5/4指数の拡大縮小規則に従うことを発見しました。もしある都市の人口が別の都市の10倍であるなら、発明・創造の総量は後者の10の5/4乗、すなわち17.8倍となるのです。

これから見れば、世界の発明・イノベーションに対する中国の貢献と中国の人口規模は全く比例をなしていません。中国の人口は、米国の4倍、日本の10倍、英国の20倍、スイスの165倍です。知識創造の指数拡大縮小法則に基づけば、中国の発明・創造は、米国の5.6倍、日本の17.8倍、英国の42.3倍、スイスの591倍でなければなりません。但し、実際の所は、近代500年の中で発明・イノベーション分野で中国の世界に対する貢献はほぼゼロで、米国や英国とは比較にならないばかりか、スイスの端数にも達していません。スイス人は手術用鉗子、電子補聴器、安全ベルト、整形技術、液晶ディスプレーなどを発明しました。中国人民銀行が人民元紙幣を印刷する際に使用する偽札防止用のインクはスイスの技術ですし、中国が生産する小麦粉の60~70%はスイスのビューラー社の機械で加工されています。

問題はどこに起因するのでしょうか。中国人の遺伝子に問題があるというのでしょうか。明らかにそれは違います。さもなければ、我々は古代中国の輝かしい実績を説明できません。問題は明らかに我々の体制と制度にあります。想像力は自由に依存します。それは思想の自由と行動の自由です。中国の体制が持つ基本的特徴は、人の自由を制限し、人の創造性を扼殺(やくさつ)し、企業家精神を扼殺することです。中国人が最も想像力を備えていた時代は、春秋戦国時代(紀元前770年~紀元前221年)と宋代(960年~1279年)でした。これは偶然ではありません。この2つの時代は中国人が最も自由な時代だったのです。西暦1500年より前は、西洋は明るくなく、東洋は暗かった。西暦1500年から後は、西洋の一部の国家が宗教改革と啓蒙運動を経て自由と法治に向けて一歩一歩動き始めたのに対して、我々はその逆を行ったのです。

もしグーテンベルグの印刷機が禁止されていたら

私は強調しなければなりません。自由は1個の分割できない統一体であり、心が自由でない時は、行動が自由であるはずはなく、言論が自由でない時は、思想が自由であるはずがないのです。自由があってこそ、創造があるのです。一つの例を用いて、この点を説明しましょう。現在では、食事の前に手を洗うことはすでに習慣となっています。しかし、1847年にハンガリーの内科医、センメルヴェイス・イグナーツは、医師と看護師に対し妊婦に接触する前に手を洗うことを提起しましたが、同業者の機嫌を損ねると同時に仕事を失ったあげく、精神病院で死亡しました。享年47歳でした。

イグナーツの観点は彼の産褥熱に対する観察に基づくものでした。当時彼がいた医院には2つの産室が有り、1つは金持ち用の産室で、専門の医師と看護婦が念入りに世話をしていましたが、これらの医師は絶えず子供を取り上げるのと死体の解剖を交互に行っていました。もう1つは貧乏人用の産室で、産婆が担当していました。彼は、産褥熱にかかる金持ちの比率が貧乏人の3倍であることを発見したのです。彼は、その原因は医師が手を洗わないことであると考えたのです。しかし、彼の見方は当時流行していた科学理論と相矛盾しており、彼も自分の発見に対して科学的に証明することができなかったのです。

人類の衛生習慣はどのように変わったのでしょうか。それは印刷機の発明と関わりがあります。1440年代、ドイツの企業家ヨハネス・グーテンベルグが活版印刷機を発明しました。印刷機は書籍と読むことの普及を促進しました。その結果、多くの人々が遠視であることを発見し、メガネに対する需要が生まれて爆発的に増大しました。印刷機の発明から100年後、欧州には数千社のメガネ製造業者が出現し、これによって光学技術の改革が起こりました。1590年、オランダのメガネ製造業者ジャンセン父子は幾つものレンズを1つの筒の中に重ねて置くと、観察する物がガラスを通して拡大されることを発見し、これが顕微鏡の発明につながりました。英国の科学者ロバート・フックは顕微鏡を用いて細胞を発見し、科学と医学に一大革命を引き起こしました。

但し、最初の顕微鏡は解析度が高くありませんでした。1870年代にドイツのメガネ製造業者カール・ツァイスが正確な数学公式に基づく斬新な顕微鏡を生産しました。まさにこの新しい顕微鏡の助けを借りて、ドイツ医師のロベルト・コッホなどの人たちが肉眼では見えない微生物細菌を発見し、ハンガリー医師のイグナーツの観点が正しかったことを証明したのです。こうして微生物理論と細菌学が確立されたのです。正に微生物学と細菌学の確立が、しだいに人類の衛生習慣を変え、人類の平均寿命を大幅に延長させたのです。

我々は想像してみましょう。もし当初からグーテンベルグの印刷機が使用を禁止されていたなら、あるいは教会や行政当局の審査を通過した読み物だけが印刷することを許されていたなら、読むことは普及せず、メガネに対する需要もさほど大きくならず、顕微鏡や望遠鏡は発明されなかったし、微生物学が確立されることはなかったでしょう。また、我々が消毒された牛乳を飲むことは不可能で、人類の平均寿命も30数歳から70数歳まで延びることはなかったでしょうし、宇宙空間の探索を夢見る必要はなかったのです。

自由の向上を持続できるかにかかっている

過去30数年、中国経済は世間の人が注目する成果を収めました。この成果は西側世界が過去300年間に発明・創造して積み重ねた技術的基礎の上に打ち立てたものであり、中国経済の高速成長を支えた様々な重要な技術や製品は全て他人が発明したもので、我々自身が発明したものではありません。我々は“套利者(利ざやを取る人)”に過ぎず、“創新者(起業家)”ではないのです。我々はただ他人が建てたビルディングの上に小さな楼閣を組み立てただけで、我々が“狂妄自大(尊大で傲慢)”になる理由はないのです。

ニュートンは30年の時間を費やして万有引力を発見しましたが、我々は3か月を費やすだけで万有引力の法則を理解することができます。もし私が3か月間でニュートンが30年を費やした道を走り抜けたと公言したら、諸君はきっとばかばかしいと思うでしょう。もし私がさらに反発してニュートンを嘲笑することを言おうものなら、その言葉は私があまりにも無知であると説明することになるでしょう。

私は常に「中国は世界の7%の“可耕地(耕作に適した土地)”を用いて、世界人口の20%を扶養する」と言っています。しかし、我々は「中国はそれをどうやって成し遂げているのか」と問う必要があります。簡単に言えば、それは大量に化学肥料を使っているからです。中国人の食品に含まれるほぼ半分の窒素は無機化学肥料から来ています。もし、化学肥料を使わないなら、半数の中国人は餓死するでしょう。窒素肥料の生産技術はどこから来たのでしょうか。それは100年前、ドイツの科学者フリッツ・ハーバーとBASF社の技術者カール・ボッシュが発明したもので、我々が発明したものではありません。1972年に米国大統領ニクソンが訪中した後、中国は米国と最初のビジネスを行いましたが、それは当時世界最大規模で、最も現代化された合成アンモニア・尿素製造プラント13基を購入したもので、その中の8基は米国のケロッグ社製品でした。

さらに50年、100年が経過して改めて世界の発明・イノベーション史を書く時に、中国は過去500年の歴史的な空白を変えることができるのかどうか。その答は、大体において、我々が中国人の享有する自由の向上を持続できるかどうかにかかっていると思えます。なぜなら、自由がありさえすれば、中国人の企業家精神と想像力を存分に発揮させることが可能であり、中国を一つのイノベーション型の国家に変えることができるからです。このため、自由を推し進め、守り抜くことは、中国の命運に関心を持つ国民全ての責任であり、さらに言えば“北大人(北京大学人)”全ての使命です。自由を守り抜けないなら、“北大人”の称号を名乗る資格はありません。皆さん、ご清聴ありがとう。

上記の講演で張維迎教授が述べたことは正論であり、決して間違っていない。彼は自由を推進し、それを守り抜いてこそ、真の意味で繁栄する中国が到来すると述べているのだ。中国がカネに物言わせた外国企業の買収や技術者引き抜き、さらにはハッキングなどを通じて、諸外国から高度技術を収得したとしても、地道な研究の基礎がない限り、さらなる発展は望むべくもないはずである。張維迎教授が言う通り、「自由なき繁栄」はあり得ないのだ。

日経記事

米国の覇権に対する中国の挑戦が続き、衝突のリスクが高まっているように思える。米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席という強権的な指導者が、危険に拍車をかけているのは否めない。

新旧の大国の衝突が避けられなくなる事態を、古代ギリシャの歴史家の名前にちなんで「ツキジデスのわな」と呼ぶ。私の近著「Destined For War(運命づけられた戦争)」で論じたように、過去500年間にみられた世界の主要な覇権争い16事例のうち、実に12事例が戦争に発展した。米中もこのわなにはまりかねない。

「偉大な米国の復活」を唱えるトランプ氏と「中華民族の偉大な復興」を訴える習氏には、多くの共通項がある。自身の指導力と自国の優位性に誇りを持ち、急進的な改革で偉大な国づくりにまい進するだけではない。自らの野心を満たすうえで、お互いの存在が障害になるとみなしている。

そんなトランプ氏と習氏が特定の懸案を巡り、対立を深めるのが心配だ。両氏は8日、20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれたドイツのハンブルクで会談した。核開発を急ぐ北朝鮮への対応で足並みがそろわず、関係が幾分悪化したような印象を受ける。

北朝鮮からの石炭輸入を停止した習氏に対し、トランプ氏はひとまず謝意を伝えたという。だが期待通りの結果は得られず、より厳しい制裁を求めて圧力をかけたようだ。北朝鮮と関係の深い中国の銀行や企業への「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」も強化する公算が大きい。

北朝鮮の核開発にとどまらない。貿易の不均衡や台湾問題が衝突の引き金を引く可能性もある。米中はもはや「敵対的な競争者」だ。両国経済の相互依存の深まりが摩擦の緩衝材になるのは確かだが、だからといって決定的な対立を回避できる保証はない。

20世紀初頭にぶつかった覇権国の英国と挑戦国のドイツも、経済的な結びつきは強かった。得るものより失うものが大きいから、戦争など起きないと思われていた。それが「大いなる幻想」だとわかったのは1914年だ。オーストリア皇太子の暗殺事件をきっかけに、双方も望んでいなかった第1次世界大戦に突入した。

覇権国はほかの主要国との関係を強化し、既存の国際秩序に適応するよう挑戦国に迫るケースが多い。ところがトランプ氏は米国の影響力を高める連携の枠組みを基本的に軽視している。環太平洋経済連携協定(TPP)や地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱が最たる例だろう。

内向きの米国は中国につけいる隙を与えてしまった。習氏が自由貿易や温暖化防止の主導者として振る舞うのは、まさに皮肉としか言いようがない。これはトランプ氏の大きな過ちである。

米中は「ツキジデスのわな」から逃れられるのか。その答えはイエスだ。私が研究した16事例の覇権争いのうち、4事例は戦争に至らずにすんだ。新旧の大国が譲歩して針路を修正したためで、20世紀初頭の英国と米国、冷戦期の米国とソ連などが該当する。私たちは世界の歴史から多くを学んできた。過去の覇権争いからも、一定の教訓を得ることができる。決断力の乏しさや近視眼的な発想のせいで、回避できる過ちを犯してはならない。

トランプ氏と習氏は真摯な対話を続けるべきだ。米中の厳しい現実はもはや覆い隠せず、楽観論を前提とするのは危うい。「ツキジデスのわな」に陥るリスクを直視し、衝動的で常軌を逸した行動を抑え込む方法を探す必要がある。お互いに妥協して針路を修正しなければ、悲惨な結末が待っていることを忘れてはならない。

米中は4月の首脳会談の合意に基づき、閣僚級の外交・安全保障対話や経済対話を立ち上げた。これらの枠組みも有益だろう。トランプ氏は極めて異例な大統領で、政策の方向性も定まらないが、マティス国防長官やティラーソン国務長官らはもっと現実的だ。2つの大国が衝突の確率を低下させるよう努力してほしい。

(談)

Graham Allison 米ハーバード大博士。国際政治の権威で、キューバ危機時の米政権の意思決定を論じた著書「決定の本質」で知られる。クリントン政権で国防次官補。77歳。

共存の道探れ

「ツキジデスのわな」の危険を説くアリソン氏は、悲観的な運命論者ではない。世界を破滅に追いやる米中の衝突を避けるため、両国首脳に自制を求めるところに真意がある。

1979年の国交正常化から約40年を経て、米中のパワーバランスは大きく変わった。経済・軍事の両面で台頭する中国が攻勢に転じ、守勢に立つ米国のいら立ちは募るばかり。そこに登場したトランプ氏が「均衡点」を押し戻そうと力任せに動き、習氏との緊張が高まっているのは確かだ。

「チャイメリカ」という造語ができるほど、相互依存を深める米中両国。共存の道を探ろうと、ブッシュ(子)元政権やオバマ前政権は中国との戦略対話を続けてきた。トランプ氏もその場で折り合いをつけざるを得まい。

(ワシントン支局長 小竹洋之)

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『今さら何のための「軍民融合」か 習氏と確執噂の李首相もメンバー』(7/19ZAKZAK 富坂聰)、『米で「宇宙軍」に向けた動き、下院が創設条項含む法案を可決』(7/15AFP)、『米国を警戒させる中国『宇宙強国』計画の軍事的側面』(2/3WEDGE REPORT 福島康仁)について

米国はつくづく愚かと思います。真の敵は誰かがつい最近まで分かっていなかったのですから。ロシアと対抗するために、共産中国に資金と技術を提供しつづけモンスターを作ってしまいました。裏で中露が握って来たかも知れないのに。FDRからずっと反日政策を続け、「壜の蓋」論で日本の頭を押さえつけて来た咎めが出て来たのでしょう。ピルズベリーに代表される国務省は気付くのが遅かったというか、気付いていてもハニーとか賄賂でやられてきたのかもしれませんが。

日本も中国が官民挙げて軍拡に邁進している時に、学術会議が学会に軍事研究させないようにしているのは中共の手先としか思えません。どうせ日共分子かシンパが牛耳っているのでしょう。日弁連と同じ構図です。両者ともサイレント・マジョリテイのメンバーがいる筈です。どうして声を上げないのでしょうか?まさか多数がアカに染まっているとは思えませんが。危急存亡の秋で、声を上げないと。敵は宇宙にまで魔の手を伸ばしてきているというのに。余りにも平和ボケし過ぎでしょう。

中露と言う米国の敵国は米軍の脆弱な点を攻めるに決まっています。武道でも相手の弱点を攻めるのと同じでしょう。

日米とも政策転換すべき時です。米国はまず、北朝鮮と取引のある銀行総てに金融制裁をかけるべきです。欧州が文句言ったら、「ロシアに経済制裁しているのは、ロシアの侵略を防ぐためだろう。日米とも北と中国の侵略行動を見逃す訳に行かないので金融制裁した」と言えば良いでしょう。北にどういう銀行が融資してきたのかも明らかになります。中国には海上封鎖も辞さないようにすれば良いでしょう。お互い犠牲が出るかもしれませんが。

また、日本にはニュークリアシエアリングとレーザー技術の米軍との共用を図りたい。宇宙戦争まで参加しなくても良いですが、発射技術や探索技術は保持していないと、民生用に転化できません。日本は技術立国なので。

北と中国の攻撃を恐れて今何もしないのは将来の脅威を増大させるだけです。日米とも覚悟が必要です。劉暁波氏を簡単に殺すような国が世界を牛耳ったらどうなりますか?トランプ・安倍を叩いている時ではないでしょう。

富坂記事

6月20日午後、中国共産党本部のある中南海において、第1回の「党中央軍民融合発展委員会(以下、融合委員会)」全体会議が開かれた。

会議を主催したのは党中央総書記であり国家主席、また党中央軍事委員会主席である習近平だ。

軍民融合--。

そう聞いてすぐに連想するのは、米国の軍産複合体である。そのココロは、「もし軍事技術を進化させようとすれば産業の底上げが不可欠」とでもなるのだろうか。

だが、いうまでもなく軍事技術を支える産業なら中国には不足していない。身近な例では、北方工業公司や保利集団公司などの商社の関連の名前はよく聞かれる。メーカーであれば第三工業部系列や第七工業部系列の中国航天科技集団公司、中国航天科工集団公司など。空母建設でも名を馳せた中国船舶重工業集団公司も有名だ。

これらの企業は「一部軍と関わりのある企業」程度を飛び越えて、軍のために存在する企業だ。

では、何のためにいまさら「軍民融合」なのか。

そもそも軍民が融合する必要性は、「軍の近代化推進のためには社会経済発展のなかで人材や科学技術との融合が必要」といった考え方に根ざしている。要するに経済発展によるライフスタイルの変化と軍事技術がもはや不可分の関係にあるということが前提なのだ。

具体的にはドローンの進化がそのまま軍事技術の進化と重なり、サイバー攻撃を行う人材は民間のハッカーから集めなければならないのが実情であり、またAIに絡んではビッグデータの応用が当然のことながら軍事にも大いに役に立つということだ。

逆に宇宙開発など民政に利用できる技術は民間におろし、ビジネスとして利益に結びつけた後にそれを研究費用に還元するといった必要もある。

そうした民間と軍との線引きを政治的に判断し見極めるというのが、融合委員会の役割だ。

驚くべきは、この組織に対する中国共産党の熱の入れようだ。

すでに今年1月の政治局会議で習近平国家主席自身が主任に就くことは決まっているが、今回の第1回会議にともない、脇を固める人事も明らかにされている。

それによれば副主任には李克強首相に続いて劉雲山、そして張高麗という3人の政治局常務委員(常委)が選ばれたのである。

こうした組織では一般に、一人の常委または政治局委員がトップに就けば十分である。その例外性は公安組織を統括する政法委員会の書記が政治局委員止まりなのをみても明らかだ。つまり、いかに融合委員会に習氏が力を注いでいるかが人事から見て取れるのだ。

そんな重要な組織のナンバーツーに習氏との確執が噂される李克強氏をもってきている点も注目しなければならないのだが、その一方でやはり退役軍人の再就職問題に対する党の気配りを示す意味もあるとの指摘もある。ちょっと目の離せない組織である。

■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

AFP記事

米カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地に帰還した米軍の無人シャトル「X-37B」(2010年12月3日撮影、資料写真)。(c)AFP/US AIR FORCE

【7月15日 AFP】米下院は14日、現在は空軍にある機能の一部を独立させて宇宙軍(Space Corps)を創設する条項を盛り込んだ国防授権法(National Defense Authorization ActNDAA)案を可決した。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は、軍の組織構造をもう一段階増やす必要はないとしてこの宇宙軍創設に激しく反対しているが、宇宙軍創設支持派や一部の議員は、米軍が保有している宇宙アセット(装備品など)や米軍が人工衛星に強く依存している現状を考えると、こうしたものを防護・監視する独立した軍種が必要だと考えている。

しかし上院のNDAAには同様の条項は盛り込まれておらず、宇宙軍がすぐに設置される情勢ではない。

ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官は今週、宇宙軍創設反対派のマイケル・ターナー(Michael Turner)議員に送った書簡の中で「今は軍の合同戦闘機能を統合しようとしているところであり、私は独立した軍種の新設を望んでいない。そんなことをすれば宇宙における軍事行動に対する視野を狭め、偏狭的とさえいえるアプローチにつながるだろう」と述べた。「私が諸経費を削減しようとしているときに組織を新設するというのは時期尚早だ」

ヘザー・ウィルソン(Heather Wilson)空軍長官も宇宙軍に反対していると議員らに表明した。

それでも宇宙軍創設をめぐる動きは、米軍が戦争の多くの側面で宇宙に大きく依存している事実を浮き彫りにしている。多くの軍事技術には地球測位システム(GPS)が組み込まれており、必要不可欠な情報が各種センサーと軌道上に浮かぶ人工衛星のネットワークによって継続的に収集されている。(c)AFP

福島記事

2016年は、中国が宇宙事業開始60周年と位置付けた年であった。この1年間の中国による宇宙活動の進展は目覚ましい。

10、11月に行われた有人宇宙船「神舟11号」と宇宙実験室「天宮2号」のドッキングおよび宇宙飛行士2人の実験室滞在は、中国版宇宙ステーションの運用開始に向けて計画が着実に進んでいる印象を世界に与えた。

2016年11月に打上げられた中国の新型ロケット「長征5号」 (写真・REUTERES/AFLO)

同じ11月の新型ロケット「長征5号」の打上げ成功は、現状における米国最大のロケット「デルタⅣヘビー」に近い打上げ能力の獲得を意味する(低軌道への打上げ可能重量は前者が約25トン、後者が約28・4トン)。

1956年の国防部第5研究院(当時)の設立から始まったとされる中国の宇宙事業は、部分的には既に米ロに匹敵する水準に達している。人工衛星の軌道投入を目的とするロケット打上げ回数は15年にロシア(26回)と米国(20回)につぐ19回を記録し、16年には20回超を計画した。

衛星の運用数もロシア(140基)をぬき、米国(576基)につぐ規模(181基)となっている(16年6月末時点、UCS Satellite Database)。

20年頃には中国版の全地球測位システム(GPS)である「北斗」が全世界で利用可能となる。22年頃には中国版宇宙ステーションが完成し、10年を超える運用が始まる。さらに30年頃には、米国のアポロ計画で使用された史上最大のロケット「サターンV」に近い打上げ能力を有する「長征9号」を実用化し(低軌道への打上げ可能重量は前者が約118トン、後者が約100トン)、有人月探査などを行う計画である。こうした事業が順調に進めば、30年に米国と並ぶ「宇宙強国」になるという目標も現実味を帯びる。

加速する軍事利用、妨害や攻撃能力も向上

宇宙活動能力の全般的向上は、中国の軍事力強化につながる。15年公表の国防白書「中国の軍事戦略」は軍民融合の推進を掲げており、その具体的領域の1つとして宇宙を挙げている。

同時に中国軍は宇宙を作戦に活用する取り組みを進めている。15年12月新設の戦略支援部隊は、陸軍、海軍、空軍、ロケット軍(同月、第二砲兵から軍種に昇格)という4軍種につぐ地位を与えられており、初代司令官には第二砲兵出身の高津中将が任命された。

同部隊の任務は、サイバー・電子戦に加えて宇宙から各軍種の作戦や統合作戦を支援することにあるといわれる。同部隊設立の背景には、中国軍が現代戦を「情報化局地戦争」ととらえており、情報を制する者が戦争を制するとの考えを有していることがある。中でも宇宙空間は情報の収集・経由・配布の起点として現代戦に勝利するうえで鍵を握る領域と位置付けられている。

中国は宇宙の軍事利用の実態をほとんど公表していないが、軍用あるいは軍民両用の通信衛星(中星)、測位衛星(北斗)、地球観測衛星(遥感ほか)をそれぞれ4基、22基、30基ほど運用しているとの指摘がある(16年6月末時点、UCS Satellite Database)。

「宇宙強国」に向けた中国の計画 (出所:各種資料をもとに筆者作成) 

このうち「北斗」については、民生用シグナルに加えて軍用シグナルの存在が公表されている。有事の際、米軍は敵対者によるGPS利用を防ぐために、当該地域でGPSの民生用シグナルに自ら電波妨害を行う方針を明らかにしている。このため中国にとっては独自の衛星測位システムを保有しておくことが軍事上不可欠である。

宇宙からの作戦支援は、中国軍が作戦領域を拡大するにつれて重要性を増している。中国海軍は近海(東シナ海や南シナ海)のみならず、遠海(太平洋やインド洋)での活動を活発化させ始めている。09年からはソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動も開始した。中国空軍もまた、海軍と軌を一にする形で西太平洋まで作戦領域を拡大中である。

こうした中、大容量かつ確達性のある遠距離通信を可能とする衛星通信は、洋上の艦艇と陸上司令部間の通信や、滞空型無人航空機(翼竜ほか)の運用上、極めて重要である。

また、慣性航法装置よりも高い精度での測位航法を可能とする測位衛星も、作戦中の艦艇や軍用機が自己の位置を把握したり、弾薬の精密誘導を行ったりするうえで極めて重要である。

さらに海洋偵察衛星は、遠方の海域を航行する敵艦艇の位置把握に有用である。実際、冷戦期のソ連は信号情報収集衛星とレーダー偵察衛星の組み合わせで米機動部隊の位置特定を行う体制をとっていた。

中国は「空母キラー」とも呼ばれる対艦弾道ミサイル(DF-21D)の運用にあたり、超水平線レーダーに加えて海洋偵察衛星による敵艦艇の位置把握を行うとみられている。

中国は自らの部隊運用に宇宙を活用するのと同時に、「制天権」の獲得も目指しているといわれる。これは制海権や制空権に類するものであり、味方の宇宙利用を維持する一方で、必要に応じて敵対者による宇宙利用を妨げることを指す。前者については、宇宙システムに対するサイバー攻撃への備えや、「北斗」システムに対する電波干渉を防ぐ電磁シールドの開発に取り組んでいる。

後者については、他者の宇宙利用を妨害する能力の整備を進めている。07年、中国は高度約860キロメートルの低軌道上で衛星破壊実験に成功した。衛星破壊能力を獲得したのは米ソについで3カ国目であり、冷戦後に同種の実験を実施したのは中国が初めてであった。

衛星破壊に使用したのはDF-21準中距離弾道ミサイルを改造した対衛星(ASAT)兵器(米情報コミュニティはSC-19と呼称)であったといわれる。同実験は宇宙開発史上最多の宇宙ゴミを発生させたため、世界の宇宙関係者に衝撃を与えた。その後、中国は衛星破壊を伴わないSC-19ミサイルの発射試験を繰り返している。

また13年には、新型ASAT兵器の発射試験を行ったとみられている。報道ではDN-2と呼ばれる同兵器は静止軌道(高度約3万5800キロメートル)まで射程におさめており、事実であれば各国が運用する衛星の大半が標的となり得る。

さらに15年にはDN-3と呼ばれる新型ASAT兵器の発射試験を実施したとの報道もあるが、詳細は不明である。こうした衛星を物理的に破壊する手段に加えて、衛星に対するレーザー照射能力やGPSシグナルに対する電波妨害能力、宇宙システムに対するサイバー攻撃能力も有しているとみられている。

中国はこれらの手段を状況によって使い分けていくものと考えられるが、中国自身が宇宙依存を深めていることを考えれば、宇宙ゴミの発生を伴わない妨害手段の重要性が中国にとって増していることは明らかである。

中国による対衛星兵器の発射試験(出所・各種資料をもとに筆者作成) 

無視できなくなった米国、進める「宇宙戦争」への備え

既存の「宇宙強国」である米国は、宇宙利用をめぐる戦略環境の変化に強い危機意識を抱いている。

16年11月、宇宙作戦を担う戦略軍司令官の交代式典において、新任のジョン・ハイテン空軍大将は宇宙での戦争を決して望んでいないが、平和を維持するためには備えておかなければならないと述べた。

陸海空が戦闘領域となって久しい中、宇宙は戦争のない聖域であり続けてきた。冷戦期の米ソ間には戦略的安定を支える宇宙システムを互いに妨害しないという「暗黙の了解」があったが、そうした状況は過去のものになったと米国は考えるようになっている。

むしろ湾岸戦争以降の米国の戦い方を観察してきた潜在的敵対者は米軍が作戦上依存する宇宙システムを攻撃するのではないかとの懸念が米国にある。こうした米国防当局者の認識変化を促してきた主な要因こそ中国による衛星破壊能力の獲得とその後の能力向上である。

(写真左)2016年10月、中国の宇宙船「神舟11号」が宇宙実験室「天宮2号」とドッキングした(写真・IMAGINECHINA/AFLO) (写真右)「神舟11号」に乗り込む人民解放軍所属の宇宙飛行士(写真・IMAGINECHINA/JIJI)

このような戦略環境の変化を受けて、バラク・オバマ政権下の国防総省高官は、従前の慎重姿勢を転換し、「宇宙コントロール」(中国の制天権に相当)を重視する方針を公言するようになった。

現在、米国防総省が自身の宇宙利用を維持するうえで鍵と位置付けているのが、レジリエンス(抗たん性)の向上である。

これは、各種のアセットを組み合わせることで、ある特定の衛星の利用が妨げられた場合でも、作戦に必要な機能(例:通信、測位、画像情報収集)を維持するための取り組みである。そのために同盟国や企業が保有する宇宙関連能力を活用する方針を示している。

同時に、米国防総省は他者の宇宙利用を妨害する能力の必要性も明らかにしている。これは宇宙の軍事利用が世界的に拡大する中、敵対者が宇宙を活用することで陸海空での作戦を有利に進めようとする可能性が高まっているためである。ただし、米国は宇宙への依存度が高いため、宇宙ゴミの発生をまねかない攻撃手段を模索している。

注目されるトランプ政権の宇宙戦略

次期ドナルド・トランプ政権の方針は未だ明らかになっていないが、政策顧問のロバート・ウォーカー元下院議員とカリフォルニア大学アーバイン校のピーター・ナヴァロ教授は、大統領選挙前の10月24日に業界紙「SpaceNews」に寄稿している。

この中でウォーカー氏らは、中ロが米国の宇宙依存に伴う脆弱性を認識し、米国の衛星網を狙っていることと、こうした脆弱性を克服するために小型で頑強な衛星群を必要とすることを指摘している。

宇宙は戦争のない聖域でなくなったという認識は米国の関係者の間で広く共有されており、宇宙コントロールを重視する姿勢はトランプ政権にも継承される可能性が高い。

中国は「宇宙強国」への道を着実に進んでおり、その軍事的側面は米国に強い警戒心を抱かせる水準に達し始めている。

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『ポスト習近平候補の孫政才が失脚、「次」は? “お友達人事”ゴリ押しで、「院政」にも布石』(7/19日経ビジネスオンライン 福島香織)について

権力闘争・生存競争の激しい中国では、いつ落馬するかは分かりません。上司と連座するときもあるでしょうし、また孫政才のように習近平から損な役回りを演じさせられ、結果を問われる場合もあるでしょう。中国で勤務した体験から言えば、文革(80后前)の下放や紅衛兵を体験した連中は、実務能力に乏しく、“口号”と言われるスローガンを作るのはうまかった印象があります。それと責任逃れも。本来肩書きのある人間が“签字”=署名しないといけないはずですが、後々の処分を恐れてか、総て日本人にサインさせていました。合弁企業の就業規則には「個人が会社に損害を与えた場合、全額(or相当額?)を個人に求償する」という条項があったような記憶があります。

それに、合弁企業と雖も、会社経営には直接タッチしませんが、裏に書記がいて誰が担っているかは分かりませんでした。副総経理(=副社長)が中共の幹部を兼務していましたので、書記が裏から彼をコントロールしていたのではと思います。幹部とは言いながら、プライドだけは異様に高く、しかし論理的に考えることは得意ではなかったという印象です。

中国は実力主義ではなく、完全なネポテイズム(縁故主義)でしょう。法治主義でなく人治主義と言われる所以です。日本のメデイアはすぐに自民党政治を「お友達内閣」とか揶揄しますが、中国はそんなものではないです。トランプは逆に副長官以下がなかなか決まらないという記事が7/19日経に載っていました。まあ、民主党支持の裏切り者の炙り出しを図っていると思われます。政治任用でない役人が活躍すれば良いのでは。

米政権、高官人事に遅れ 10省庁で副長官未定 

【ワシントン=川合智之】トランプ米政権の高官人事が遅れている。政権発足から半年近くが過ぎたが、閣僚や政府高官210ポストのうち、17日までに指名・承認されたのは33ポストと、同時期のオバマ前政権の4分の1にとどまる。15省庁のうち10省庁では副長官が承認されていない。トランプ政権での任官を避ける人が多いとの見方もあり、深刻な人材難が政策の停滞を招く事態となっている。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が17日報じた。閣僚や高官は大統領が指名し、上院が承認する。閣僚は全員決まったものの、17日時点で未承認の次官や次官補らは177人。同時期の前政権では84人だった。

特に15省庁の副長官のうち、承認されたのは5人のみ。財務省や商務省は指名すらされていないのが現状だ。省庁のナンバー2が不在では業務に支障が出かねない。

「(省庁幹部に)貧乏人はいらない」。こう豪語したトランプ大統領は、商務副長官に米大リーグ、シカゴ・カブスのオーナーで富豪のトッド・リケッツ氏を就任後すぐに指名した。米メディアによると、同氏は大統領選でトランプ氏の支援に100万ドル(約1億1千万円)以上を投じており、典型的な論功行賞人事だった。

しかし、リケッツ氏は4月に「利益相反を回避する義務を考慮し、指名を辞退する」と表明した。職務との利益相反で、家族を含めた資産の処分を迫られたことが原因とみられる。財務副長官に指名された米金融大手ゴールドマン・サックス幹部のジム・ドノバン氏も同様に指名を辞退した。両氏に代わる副長官候補は決まっていない。

特に空席が目立つのは外交を担う国務省だ。就任したのはティラーソン長官とサリバン副長官だけで、次官や次官補は未定のまま。26ポストのうち24ポストが空席だ。大使の多くも未指名で、外交に空白が生じている。

指名が遅れているのは、政権が過去にトランプ氏を批判した人物を候補から外したためとみられる。政権交代時にはシンクタンクなどから専門家を省庁幹部に起用するのが通例だが、今回は共和党系の専門家の多くがトランプ氏の政策を批判する公開書簡に署名するなどしたため、適任者が減った。

トランプ氏周辺とロシアとの不透明な関係を巡る疑惑「ロシアゲート」の捜査が進むなか、専門家の中にも政権入りに二の足を踏む雰囲気が根強いようだ。このままでは人材不足で省庁が空転する事態も招きかねない。>(以上)

加計問題の報道の仕方を見ていますと、日本の記者のレベルは劣化する一方と思います。その点、官僚は腐っても鯛と言うか教育はキチンとされています。キャリア組の前川や豊田を見ると、東大法学部もやはり大したことがないというか、人間的に問題があるのでは思われますが、一方「問題提起するときには、世界の事例を調べ(空間的な広がり)、国内では歴史的にどう対応して来たのか(時間の広がり)をキチンと調べてから」ということを大野功統衆議院議員(東大・法、大蔵省出身)から教わったことがあります。同じことを高橋洋一(東大・数、大蔵省出身)氏も述べています。大蔵省にはそういう伝統があるのでしょう。経済をシュリンクさせる消費税増税を裏で画策したり、天下り先の開拓をさせるような点は首肯できませんが。そう言えば今度国税庁長官になった佐川宣寿前理財局長(森友問題で国会答弁に立った)は佐川官兵衛(会津藩士、西南戦争・阿蘇で戦死)の末裔と本人から聞きました。

片や朝日新聞には東大生が入らなくなったと言われています。プロパガンダ新聞で記事をでっち上げるのが当り前の新聞社に、良心を持っている学生は入りたいとは思わないでしょう。左翼にシンパシーを持っている人間しか応募しないのでは。中国人のように平気で嘘がつけるような人間でないと、朝日では出世は覚束ないという事です。(まあ、他の日本の企業も似たり寄ったりかも。茶坊主が多いでしょう)

中国の人事は北戴河を経てから、党大会となり、習近平が長老たちを抑えられるかどうかが見ものです。まあ、誰が政治局員や常務委員に選ばれようと反日のスタンスは取らないと出世できないでしょうけど。日本は侵略の野望を持つ中国に対する備え(人材育成、装備、予算)をしっかりしておかねば。

記事

重慶市書記を解任された孫政才。習近平のライバル追い落としが着々と進む(写真:ロイター/アフロ)

ポスト習近平の地位に近いとみなされていた共産主義青年団ホープの一人、孫政才が突然、重慶市書記を解任された。後任は貴州省書記であった陳敏爾。重慶市は直轄市であり、これで之江新軍(習近平派)のエースとみなされる陳敏爾の政治局入りは確実となった。孫政才は取調べのために党中央に北京へ呼び出されているとか。だとすれば、ただの解任ではなく、失脚である。秋の党大会、およびその前の水面下の調整機会にあたる北戴河会議の直前に起きた突然の人事の背景を考えてみる。

重慶市書記任命「嫌がらせ人事」の果てに

孫政才は広東省書記の胡春華とともに1963年生まれの若き共産主義青年団派(共青団派)のホープとして、習近平の次の総書記ポストに一番近いとみなされていた官僚政治家だった。2012年11月、彼を重慶市書記に選んだのは習近平だ。それは共青団の有望株である孫政才に対する嫌がらせだといわれていた。

当時の重慶は、薄熙来事件によって不安定化していた。「打黒」という反腐敗キャンペーンで権力強化を図っていた薄熙来自身が失脚すれば、当然、薄熙来に失脚させられた中級官僚たちが名誉回復を求める。この陳情、事後処理に市政はてんやわんやの混乱状況で、こういう状況の重慶市政を担ったとしても、出世につながるような経済成長も民生改善も望めない。習近平の狙い通り、孫政才は薄熙来事件事後に明け暮れて、まともな市政運営ができなかったといわれている。ちらりと聞いた話では、薄熙来事件処理のあまりの多忙さに、孫政才はちょっと鬱ぎみであったとか。

ロイターなどの報道を参考にすれば、孫政才は14日に召集された重慶市党幹部会議で解任が宣言され、同日北京で行われていた全国金融工作会議に出席中のところを拘束されて、目下、取り調べを受けているらしい。後任の陳敏爾は、この会議において、習近平の核心的地位を維持することが我々の主要政治任務だ、と語ったとか。

中国の公式報道では、孫政才の解任と取調べの理由については説明されていない。ただ、前触れはあった。重慶市公安局長の何挺が4月に汚職で失脚していた。これで重慶の公安局長は三代続けて失脚しており、当時は、風水が悪いんじゃないか、と噂されたほどだ。何挺の汚職と孫政才との接点はあまりないように思われた(むしろ張徳江との関連が噂されている)が、監督不行き届きで孫政才の政治局常務委入りには影響するのではないかともいわれていた。いずれにしろ、習近平が仕掛ける権力闘争に利用されるスキはあった。

在米中国学者の謝選駿がロイターに対してこうコメントしていた。「習近平は秋の党大会のためにまさに政治ライバルの排除に動いている。今度の党大会では鄧小平時代から続いている最高指導者の任期10年という規定を打ち破って、江沢民の三つの代表、胡錦涛の科学的発展観を飛び越えて、鄧小平理論と毛沢東思想に自分を並べるつもりだろう」と。

2022年の第20回党大会のとき、これといった後継者候補がなければ、“経験豊富な現職総書記が皆の期待に応えて三期目も継続する、という言い訳が立つ。後継者になり得る優秀な政治家を早めに潰したいのは、そういうわけだ。

胡錦涛の“弟分”胡春華の評価は崩せず

しかしながら、そうであれば習近平にとってもう一人邪魔な人間がいる。広東省書記の胡春華だ。

孫政才についていえば、実のところ共青団的にも、一番のエースとしては扱ってこなかった。共青団派への忠誠心や頭脳の優秀さからいえば、胡春華の方が一枚上だ。

胡春華は湖北省の農村(五峰県)で状元(試験で一番)をとって15歳で北京大学中文系(文学部)に入学を果たすほどの頭脳。しかも、貧困ゆえ北京に行くまでの靴と交通費がなかったため、試験が終わってから一カ月の間、地元工場で労働して靴と交通費を自分で稼いでから入学した、という勤労エピソードもある。

卒業後は、チベット地域という苛酷な土地での仕事を志願して赴いた生真面目な共青団員であり、長いチベット勤務中に、自治区書記として赴任した胡錦涛との親交を深めた。胡錦涛は清華大学の理系のテクノクラートで、中国の古典にはもともと疎い。国家指導者として最低限必要な古典知識を身に付けることができたのは、高山病で苦しんでいた胡錦涛を親身に世話する胡春華が、夜な夜な語ってくれた古典よもやま話のおかげだとか。胡錦涛と胡春華は上司と部下というよりは、兄弟のような濃密な人間関係、と評する人もいる。

こういった逸話から想像できるのは、元総書記の胡錦涛が胡春華を習近平・李克強世代の次の指導者としてずっと期待して目をかけていたこと、共青団全体がそのつもりで、彼を支えてきたであろうということだ。胡春華に関しては、明らかに習近平派による権力闘争を仕掛けられたとみられる事件が広東省で何度も起きたが、それをうまくしのいできており、最終的には習近平自身が胡春華の広東省行政の成果を高く評価せざるを得ないほどだった。

それに比べると、同い年の孫政才は、同様に若く優秀ではあるが、彼自身が江沢民派との親交も深いこともあって、むしろ習近平派、共青団派双方の権力闘争のコマの一つに成り下がった感がある。

孫政才の後任となった陳敏爾についていえば、習近平が浙江省書記時代に自分の手で出世させた子飼いの部下だ。浙江日報の社長を務めたのち浙江省の党委宣伝部長となって、習近平の宣伝もおこなった。浙江日報では習近平は匿名の政治コラムを持ち、そのタイトルが「之江新語」という。

後任は「ゴマすりポスト」から抜擢

このタイトルからとって、浙江省時代に習近平に仕えた子飼いの部下たちは、「之江新軍」と呼ばれるが、官僚としてどれほど優秀かどうかというと、そもそも宣伝部長出身というのは「ゴマすりポスト」という印象が先に立つ。つまり、習近平をほめたたえて出世街道をまい進してきた。習近平が総書記になって後、一省の宣伝部長クラスがいきなり貴州省の副書記、省長、書記と急スピードで出世し、わずか5年で直轄市書記に大抜擢されてしまうのだから、“お友達人事”と揶揄されるのは致し方ない。

重慶市書記抜擢の理由は、貴州省におけるおよそ2年の勤務で貴州省のGDP10%台成長を維持し、ビッグデータ先進地域に発展させた功績だろうが、これは中央のビッグデータ戦略において貴州を中国のシリコンバレーにするつもりで試験区に指定し、その中央の戦略にしたがって箱物をがんがん建設したゆえのGDPだから、必ずしも陳敏爾の手柄といえるかどうか。

ちなみに陳敏爾の娘は、失脚した胡錦涛の側近・令計画と関係の深い斯鑫良(元浙江省宣伝部長)の息子と結婚していたが、令計画事件に連座する形で斯鑫良も失脚すると、娘を離縁させたという話が噂がまことしやかに伝えられている。このとき陳敏爾の娘は妊娠していたが無理やり堕胎され、娘は精神を病んだとか。つまり、娘も孫も犠牲にして習近平に忠誠を尽くしている“出世欲”の塊、という陰口である。

之江新軍”のもう一人の期待の星は5月、北京市書記に抜擢された蔡奇である。蔡奇も浙江省で習近平に育てられた腹心で、浙江省副省長からいきなり、習近平の意向で新設された中央国家安全委員会弁公室副主任に抜擢された。しかしながら、この鳴り物入りで作った中央国家安全委員会が実質的な機能をほとんど持たないことは周知の事実。なので、2016年にこのポストからいきなり北京市副書記に抜擢されたことは、完全な“お友達人事”とささやかれた。そのまま北京市市長、書記へと出世していく。これまでの北京市書記という地位の重要性から考えると、信じられないような特進人事であった。しかしながら首都であり北京の書記になれば、自動的に政治局入りは約束される。

政治局常務委員には滬寧推しか

こういう状況を整理すると、習近平は自分の子飼いの部下を今度の党大会では確実に陳敏爾と蔡奇の二人以上、政治局に入れるであろうし、ひょっとすると彼らを後継者に育てるつもりかもしれない。長期独裁体制確立に失敗すれば、傀儡の指導者を通しての院政を狙うしかない。習近平は目下、政治局にこの二人を含めて9人を自分の派閥から政治局入りさせようとしているといわれている。すなわち、劉鶴(習近平の経済ブレーン)、陳希(組織部副部長)、黄坤明(宣伝部副部長)、丁薛祥(習近平のスピーチライター)、応勇(上海市長)、李強(江蘇省書記)、李鴻忠(天津市書記)あたりだ。このうち、年齢的にポスト習近平として養成可能なのは、陳敏爾、蔡奇、応勇となる。

では次の党大会で党中央の最高指導部である政治局常務委員会には誰が入り得るのか。人事の決定が見えるであろう北戴河会議までは、まだ時間があり、まったくもって何もわからない。しかし、普通に予想するならば、政治局常務委員枠が現行の7人のままであるとすれば、習近平、李克強が残留したとして、残り5人。当初は、汪洋、李源潮、胡春華、孫政才が共青団派として常務委員入りし、残り一人が、習近平派閥の栗戦書ではないか、と見られていた。

だが孫政才が外れるとなると、習近平派がもう一人ねじ込まれるかもしれない。候補として考えられるのは趙楽際(中央組織部長)、王滬寧(党中央政策研究室主任)あたりだ。趙楽際は共青団派にも近いので、習近平としては王滬寧を推したいのではないかと思われる。

王滬寧は政策学者として江沢民、胡錦涛、習近平三代の指導者の政策スローガンや党指導理論、総書記のスピーチなどの起草を行ってきた。今は習近平にべったりで、例えば習近平が先日香港を訪問した際の解放軍香港駐留部隊の閲兵式で、従来の「首長」呼びから「主席」呼びに変更させることを提言したのも王滬寧だといわれている。“習核心”キャンペーンのシナリオを描いているのも彼だ。ただ、政治局常務委入りには必須といわれている地方政府での行政実務経験がないので、もし彼がすぐさま政治局常務委入りすれば、それは明らかに習近平のごり押し人事ということになるだろう。

栗戦書は習近平より年上なので、習近平の後継にはなり得ない。だが、1955年生まれの王滬寧ならば、2022年の第20回党大会で、一期のみの任期とはいえ後継ポストに就くことは不可能ではない。習近平は任期10年に限らない長期独裁体制を望んでいるようだが、もし、あと5年で鄧小平が作った共産党指導者の任期10年ルールを打破できずに習近平が2022年で引退するのであれば、自分で育てた陳敏爾や蔡奇ら後継者を就けたいだろう。だが、その養成が間に合わない可能性は大きく、そのための“つなぎ”というのであれば、王滬寧は理想的な傀儡になるかもしれない。

官僚の妨害で政界地震は止まず

このように考えると、この時期での孫政才失脚は習近平の権力闘争の大いなる勝利の一歩ということになる。ただ「習近平が毛沢東のようになるには、党内に妨害勢力がある。一部官僚たちは表向き従順だが裏では背いており、場合によって潰してやろうと企んでいる。それが、中国共産党政界地震が止まない根本原因だ」(謝選俊)というように、権力闘争はこれで終わりではなく、むしろこれからが本番なのだ。

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『中国人が台湾の民主主義にもはや影響されない理由』(7/18ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)、『中国政府に必ず跳ね返ってくる劉暁波氏への仕打ち 国際社会が一斉に非難、対外戦略に大ブレーキは必至』(7/16JBプレス 古森義久)について

台湾の蔡焜燦さんが逝去されました。『台湾人と日本精神』を読み、昔の日本人が台湾に残っているという印象を持ちました。司馬遼太郎の著書「街道をゆく 台湾紀行」で案内役を務め「老台北(ラオタイペイ)」と紹介されたのでご存じの方が多いと思います。ご冥福をお祈りいたします。

Facebookから取った「中国観察」の生きたままで臓器摘出した医師の告発が載っています。ナチと同じような非道をして、ウイグル人とか法輪功信者から摘出したと。「中国観察」は法輪功関係ですから100%の信頼はなくても、金儲けの為だったら何でもする中国人ですので充分ありうると思っています。米国人が同じことを言っています。(音声は英語、ただ、字幕が中国語なので理解できます)。

https://www.facebook.com/ST.WONG81/videos/1692670757440000/

蔡焜燦さんと「中国観察」と古森氏の記事と比較すれば、加藤氏の記事が如何に薄っぺらいか分かるでしょう。学歴詐称するくらいの人間ですから。東大なんて前文科省事務次官の前川を見ていればレベルが分かります。それでも「東大を蹴った」と言いたいと思っているのですから。心根は中国人と一緒です。富坂聰と同じく工作員でしょう。ハーバードに行ったのも裏で中共が金を出したと睨んでいます。下記のURL記事ではスパイではないと言っていますが、スパイが自らスパイと公言することはありません。また、情報を取るため紅二代辺りと付き合っているようですが、結局中共の論理に合わせた記事しか書かないと思っています。

http://kinbricksnow.com/archives/51938303.html

蔡英文総統を腐す記事で、さもそれが台湾人全体の思いのような書き方をしていますが、今の安倍首相と蔡英文総統の支持率はたいして違いません。これが政府を批判できる=言論の自由を有する民主主義の良い所です。でも偏向メデイアに騙されやすいのが民主主義国家の欠陥でもあります。彼の議論は為にする議論と思います。中国の紅二代が言った「中国人は物質主義者だ。自由や民主主義に敬意を払う伝統もない」と言うのは合っています。特に為政者側であれば富と人民には無い自由を独占できるのですから。まあ、紅二代の意見が中国人の代表と日本人に刷り込ませて、誤断させる狙いでしょう。日本のメデイアのやりそうなことです。まあ、加藤氏を使う段階から眉唾物としか言いようがありませんが。

古森氏の記事では、劉暁波氏の死が中国を国際的な批判に晒し、外交上も失点となり、影響を与えるのではと見ていますが、中国人の発想は先程の紅二代と同じく「金が総て」です。金を出せば皆黙ると思っています。ですから効果的なのは中国に金を稼がせない、国際市場から締め出すことです。金融制裁が一番効くでしょう。人民解放軍に金も回らなくなります。トランプはアメリカの覇権に挑戦してきている人権無視・非法治の中共を打倒しなければならないと思います。それこそManifest Destinyではないですか。「1年計画」何て中・北に時間の利益を与えるだけです。止めて早く金融制裁を発動するのを願っています。

また、ネットでは劉暁波氏は刑務所にいたのに肝臓癌になるかと言う意見もありました。確かに酒が飲めるわけでもなく、やはり発癌物質を摂取させられた可能性もあります。中国ですから何でもありです。

加藤記事

戒厳令解除30周年に 考える中国の民主化

現在、台北の一角で本稿を執筆している。

前回台湾を訪れたのは昨年1月に行われた台湾総統選挙・立法委員選挙のときであった(「蔡英文陣営が大勝した台湾選挙は“中国民主化”に何をもたらすか?」)。くしくも、7月15日は戒厳令解除30周年という節目の時間で、現地では一定の議論が展開されているところであった。本稿では、この時間に久しぶりに訪れた台湾の地で、本連載の核心的テーマである中国民主化研究を念頭に置きながら、私が考えることを書き下したい。

まず、「中国民主化と台湾」という関係性について、私の基本的な考えの一端を記しておきたい。

《若者世代を中心とした台湾人は、「中国とこういう付き合い方をするべきではないか」「中国と付き合う過程で法治や民主の枠組みを着実に重んじるべきではないか」といった市民としての欲求を訴えている。中国との付き合い方という文脈において、法治・自由・民主主義といったルールや価値観を守るべく、市民社会の機能を駆使しつつ、自らの政府を徹底監視し、自覚と誇りを持って奮闘する過程は、対岸の中国が民主化を追求する上でポジティブな意味合いを持つ。

  なぜなら、台湾が中国と付き合うなかで、政治体制やルール・価値観といった点で中国に取り込まれる、すなわち台湾が“中国化”していくことは、中国共産党の非民主主義的な政治体制が肥大化しながら自己正当化する事態をもたらし得るからだ。その意味で、同じ中華系に属する社会として、民主化を実現した歴史を持つ台湾、そしてそこに生きる人々が果たす役割は大きい。》

(『中国民主化研究:紅い皇帝・習近平が2021年に描く夢』(ダイヤモンド社、2015年7月刊、第12章“台湾と中国人”、394~395頁)

蔡英文総統がフェイスブックに投稿した「思い」

7月15日、蔡英文総統が自らのフェイスブックに“台湾人民に敬意を払う:戒厳令解除三十周年に思うこと”を投稿し、中国語約800字でその思いを綴っている。

「30年前の今日、台湾はついに38年に及ぶ国民党戒厳統治から脱出し、自由と民主に向けて重要な一歩を踏み出した。この一歩は台湾人民が力を合わせて踏み出したものだ。長い間、一部の人は台湾の民主化を蒋経国前総統による功績だとしてきた。しかし、戒厳令が解除されて30年が経った今日、我々は視線を台湾人民たちに注ぐべきだと私は考える」

冒頭でこう述べた投稿は、1980年代、無名の人民たちがいかにして台湾民主化のために力を注いできたのかを強調する。その上で、台湾民主主義の未来について3つの思いを語る。

「より多くの、本土発の新しい力が民主政治の運営に加わることを期待したい。そうすることで、台湾の民主政治は若い活力を保ち続けることが可能になるからだ」

「台湾の市民社会が引き続き強靭になっていくと同時に、政党と市民社会の間でより理性的・健康的なインタラクションのモデルが見つかることを期待したい」

「いつか、台湾のすべての政党が台湾の主体性という立場に立って国家の未来を思考できることを期待したい」

その上で、「民主と自由は台湾のアドバンテージである。民主主義を強固なものにすること、台湾人は永遠に民主人、自由人であること、そしてこれらの信念を世界に伝えていくこと」の重要性を謳って投稿を結んでいる。

蔡総統が言わんとすることは理解できるし、一人の日本人として、台湾が自由と民主主義に立脚した、成熟した市民社会および政治と世論の間に健全な理性を育む社会であり続けることを望んでいる。

と同時に、台湾がこれらの目標を追求・実現する過程において、我々日本人もただ傍観するのではなく、台湾人と相互に学び、このアジアという私たちが暮らす地域に自由と民主主義に立脚した市民社会が根付くよう、ともに汗をかくべきだと考える。

信頼を得られていない蔡総統

さて、投稿全体がポピュリスティックに傾いているのは、蔡政権として世論の政治への支持を取り付けるプロセスに苦心している現状を体現しているものと思われる。

実際、現在行政院長オフィス(Office of the Premier)で働く旧知の友人に会って蔡政権の状況を聞いてみると、「蔡総統は世論、企業、知識人などを含めた外界からも、党内・政府内部でも信頼を得られていない。側近ですら彼女が何を考えているのか、どこへ向かおうとしているのかをつかめない。まったくヒトを使えていないという状況だ」と返してきた。「いま台湾で最大の問題は何だと考えているか?」と問うた際には「蔡総統本人」とのことだった。

外界の蔡政権への不満は、戒厳令解除30周年における世論にもにじみ出ていた。翌日の現地新聞を読んでいてもその空気感は伝わってくる。《聯合報》は各界の関係者が戒厳令解除30周年に際して民主主義の現状をどう評価するかを伝えた。以下の政界関係者らのコメントは興味深い(《聯合報》A3版による)。

「台湾政治文化は1990年代よりも後退しており残念だ」(林濁水・民進党元立法委員)、「台湾の民主主義が有名無実化する問題は近年悪化の傾向を辿っている。民主法治の素養を強化する必要がある。民主政治は多数決にとどまらない。より重要なのは憲政、法治への尊重である」(葉匡時・元交通大臣)、「戒厳令解除30周年を迎え、ポピュリズムが益々深刻になっている。現在の執政は以前よりも困難であるが、民進党は完全執政しているのだから、完全に責任を持たなければならない」(柯建銘・民進党党団総招集人)、「民進党が完全執政して以来、少なくない反民主主義の傾向が生じている。国民党は民衆に呼び掛け、真の民主主義の価値を死守しなければならない」(費鴻泰・国民党立法委員)

政治関係者にとどまらず、社会の各界にも台湾の民主主義への懸念は広範に存在すると感じさせられる。「教育システムにおける戒厳はいまだに解除されていない。制度は開放されたが思想や観念はいまだに党國時代に留まっている」(《自由時報》A15版、陳啟濃・水里高校校長、“戒厳令解除30周年、戒厳が未だに存在する場所もある”、7月16日)、といった主張である。

台湾に残された唯一の価値は民主主義

前述の「中国民主化と台湾」の関係性に対する基本的考えから出発すれば、台湾社会が戒厳令解除30周年という節目の年に、現状に満足することなく、与党から野党、官から民までクリティカルに議論を展開し、台湾の民主主義を死守し、前進させようと奔走する情景はポジティブだといえる。

前出の行政院長オフィスで働く友人は言う。「中国の台頭を前に、台湾の安全保障分野における戦略的価値は下がらざるを得ない。台湾に残された最後の、唯一の価値は民主主義だ」。民主主義を不断に深化させることこそが、台頭する中国に向き合う上での最大のレバレッジになるという意味であろう。

その意味で、《聯合報》が掲載した社説“民主主義の夢は口だけのものであってはならない”(7月16日、A2版)の以下の記述は示唆に富んでいる。

「蔡英文は次のように言う。“対岸(筆者注:中国を指す)が政治改革を推進し、大陸の人民に民主主義と自由によって保障される本来の権利を享受させ、両岸関係に新しい契機をもたらしてくれることを期待する。仮に“中国の夢”が民主主義なのであれば、台湾は中国がその夢を実現する過程で必要な協力を提供するだろう”。このような言い方は自大で矛盾している。考えてみよう。現在、両岸の交流は停滞し、以前であれば大陸からやってくる観光客や留学生を民主主義で説得することができたが、いまではそんな機会も失われている。一部観光客は台湾で非友好的な目に遭っている。こんな現状で対岸が民主主義の夢を実現する過程にどう協力するのだというのか?」(筆者注:台湾交通省の統計によれば、2016年、中国からの観光客は前年に比べ延べ67万人減り、昨年5月から今年2月にかけては、前年同期比で延べ112万人減っている)。

国民党寄りとされる《聯合報》による社説であるが故に蔡政権への批判がより顕著であろうことを断っておきたいが、同社説が指摘する、政権が中国寄りの国民党から中国と距離を置く民進党に代わるなか、中国からの観光客や留学生が減っている(確かに街を歩いていても、以前と比べて中国からの観光客に遭遇する場面が減っていると私自身感じる)という状況は中国民主化研究という視角からすれば考察に値する。

中国人民は物資的発展に満足 自由や民主主義に敬意を払う伝統もない

少なくとも私の周りにおいて、学生や社会人を問わず、これまで台湾へ赴いた中国人は、ほぼ一様に台湾の市民社会や民主主義に好感や敬意を抱いていた。その意味で、台湾社会に直接触れる中国人が増えれば増えるほど、中国社会を民主化していく上でのボトムアップ型のチカラが醸成されやすくなると、理論上はいえる。そう考えると、《聯合報》が指摘する両岸関係の停滞は、中国民主化プロセスにとっても一つのネガティブな要素になるといえる。

この感想を1990年代から2000年代にかけて中国共産党中央で対台湾工作を担当していた“紅二代”にシェアしてみると、こう返ってきた。

「30年前なら考えられたかもしれない。ただ今となっては中国社会も変わり、人民は物質的発展に満足している。外の世界に赴き、帰ってきても、自分たちが暮らす社会が外よりも劣っているとは必ずしも考えない。中国のほうが発展している、外の世界は思っていたほど良くないと考えるに至る人民だって少なくない。中国人は物質主義者だ。自由や民主主義に敬意を払う伝統もない」

なるほど、私なりに納得させられた。そう考えると、両岸間の交流が増えたり減ったりしても、中国民主化プロセスへの質的影響は限定されたものになるのかもしれない。やはり鍵を握るのは“内部”ということか。共産党大会を数ヵ月後に控えた時期だけに、色々と想像を掻き立てられる今日この頃である。

(国際コラムニスト 加藤嘉一)

古森記事

劉暁波氏の死去を受け、中国・香港の中央政府駐香港連絡弁公室に設けられた記帳台と劉氏の写真(2017年7月13日撮影)。(c)AFP/Isaac Lawrence 〔AFPBB News

ノーベル平和賞受賞者の中国人の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏が7月13日、肝臓がんの全身への転移のため中国遼寧省の病院で亡くなった。その悲惨な死は、中国共産党政権の苛酷な本質を全世界にみせつけた。

国際社会では中国政府の非人道性への非難が一気に広がっている。中国が進めようとしているグローバルな影響力の拡大にも暗い影が広がることは確実だといえよう。

不当に拘束し、海外での治療を許さず

劉氏の死に関連して米欧などが中国政府を非難しているのは、主に以下の点についてである。

(1)劉氏の民主主義活動をそもそも犯罪と断じて懲役11年の刑に課したことの不当性

(2)劉氏は明らかに服役中に病気となったのにがんが末期症状になるまで適切な医療措置をとらなかったことの非人道性

(3)末期がんによる死が確実となり、劉氏本人がドイツでの治療を希望したのに応じなかった過酷さ

(4)劉氏の妻、劉霞氏をさまざまな形で弾圧した残虐性

(5)劉氏の獄中での病状や対処に関する情報を一切、開示しなかった閉鎖性

とくに米国では政府、議会、メディア、民間の人権団体などが中国政府の残酷さを糾弾する声明などをいっせいに公表した。その一例として米国大手紙「ウォール・ストリード・ジャーナル」は7月13日の評論で次のように述べていた。

「中国政府が、劉暁波氏の治療のための出国を拒否したことには、恥ずべき理由がある。彼が外国に出て、獄中での医療に関する状況、とくに当局に肝炎の治療を拒否されたと語ることを恐れたのだ。劉氏の肝炎は明らかに肝臓がんの原因だった。早い時期に適切な医療措置がとられれば、彼は必ず生きながらえたはずである」

「劉氏の政治的信条を理由に彼を投獄し、しかも獄中で適切な治療をあえて行わなかった中国政府は、もはや世界に向かって自国の主張を信用せよと求めることはできない。いまや世界は、中国の最も重要な民主主義活動家だった劉氏が、人生の最後に中国での戦いについて自由に語るのを聞くという機会を失ったのだ」

また、米国を拠点とする国際的な人権擁護組織の「中国人権」は7月13日、シャロン・ホム会長名での声明を出し、世界各国に中国政府の責任を追及することを訴えた。その声明の骨子は以下のとおりである。

・平和的な方法による中国の民主化を説く劉暁波氏を、中国政府はその主張だけを理由に拘束し、適切な医療を与えないことで命までを奪った。その行為は共産党政権の卑劣さと道義欠落を証明した。

・中国政府には、劉氏に対する獄中での医療措置の実態を詳しく公表し、彼の肝臓がんの病状をなぜ末期となるまで明らかにしなかったのか、さらにはなぜ劉氏の最後の願いだった国外での治療を認めなかったのか、を公表する責務がある。

・各国政府、そして国際社会は、劉氏の未亡人となった劉霞氏の軟禁を解き、行動の自由を認めることを中国政府に強く求めるべきである。同時に各国政府は中国に劉氏の死の詳細な経緯の公表を迫るべきだ。

中国の対外戦略に大きなブレーキ

今回の劉氏の死によって、中国政府の独裁性や非人道性、そして「人権尊重」や「法の支配」という国際的な普遍価値である基本原則を無視している実態が改めて明らかになった。

このことは、超大国の立場を目指し、国際社会で多角的に拡張を図るという中国政府の試みには間違いなく大きなブレーキとなる。

中国は最近、習近平主席の野心的な政策の下、「一帯一路」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」といった国際的構想を推進している。これらは、中国の主導の下に他の諸国との多様な連帯や協力を深めることで、中国自体の国際的な影響力を強化していこうという戦略に基づいている。

そうした国際的な連携の拡大では、関係各国がどこまで共通の価値観を共有できるかが大きなカギとなる。現在の世界での共通的な価値観といえば、やはり民主主義、法の支配、人権尊重、人道主義などである。だが、今回の劉暁波氏死亡事件によって、中国政府がそうした共通要因を持ち合わせていないこと、それどころか反発あるいは敵視していることが実証されてしまった。その結果、中国政府の対外戦略全体が暗い影に覆われることになるだろう。

一方、米国の人権団体は、中国政府が自国の政府や共産党への批判を理由に逮捕して拘束した政治犯のなかには、劉暁波氏以外にも獄中で重病となったり、病死した実例が多数あることを指摘している。これらの実例に新たな光があてられ、国際問題となる可能性も浮かんできた。

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『「中国の夢」実現に成果を上げるパンダ外交 世界中の動物園に貸与されているパンダは67頭』(7/14日経ビジネスオンライン 北村豊)について

習近平の後継候補の一人だった重慶市長の孫政才が身柄拘束されたとの日経報道です。7/15産経では代わりの市長となる陳敏爾が秋の19回共産党大会で政治局員入りは確実と見られ、ただ孫政才の異動先がないとの報道でした。

http://www.sankei.com/world/news/170715/wor1707150037-n1.html

現役の政治局員の摘発は異例といえば異例でしょう。習の権力基盤強化の一環でしょうが、いつ寝首を掻かれるか分からない状態では安心して仕事もできず、面従腹背の茶坊主を増やすだけでは。或は習が暗殺される可能性もあるでしょう。

7/17日経朝刊習氏後継候補を拘束 前重慶市トップ 規律違反で 

【重慶=多部田俊輔】中国共産党の中央規律検査委員会が重慶市トップだった孫政才・前同市党委員会書記の身柄を拘束して規律違反で調査していることが16日、明らかになった。孫氏は2012年に49歳の若さで党指導部を構成する政治局員に選ばれ、習近平国家主席の後継候補の一人とされた。最高指導部が入れ替わる今秋の党大会に向け、習氏は党内を引き締めて権力基盤を固める。

中国全人代の全体会議に臨む習近平国家主席(手前)と孫政才氏=3月、北京の人民大会堂(共同)

複数の関係者によると孫氏は14日、北京で開かれた全国金融工作会議の1日目の討議が終わった後に身柄を拘束された。重慶市は内陸部の重要地域で、共産党は翌15日、後任の同市党委書記に習氏側近の陳敏爾・貴州省党委書記を充てる人事を発表していた。

中国で最高指導者の有力候補が規律違反で調査されるのは異例。孫氏は広東省トップの胡春華・同省党委書記と陳氏とともに、習氏に続く世代の指導者候補として注目された。もともと農業の専門家で、農業相などを経て12年に重慶のトップとなり、2ケタの経済成長を実現してきた。

規律委の孫氏に対する調査の具体的な内容は明らかになっていないが、4月から調査が本格化した元重慶市幹部の規律違反の疑いに関連しているもようだ。

習政権、初の現役指導部摘発 党大会前引き締め狙う 

【重慶=多部田俊輔】中国共産党の中央規律検査委員会が調査に着手した前重慶市トップ、孫政才・前同市党委員会書記は党指導部を構成する政治局員の一人だ。習近平政権が25人しかいない現役政治局員の摘発に踏み切るのは初めて。最高指導部のメンバーが大幅に入れ替わる秋の党大会を控え、習氏は党内の引き締めと自身の求心力を高めることを狙う。

中国全人代の全体会議に臨む習近平国家主席(手前)と孫政才氏=3月、北京の人民大会堂(共同)

調査内容は明らかになっていないが、4月に規律違反の疑いで調査が本格化した何挺・元重慶市副市長兼公安局長と関連しているもようだ。2012年に失脚した薄熙来・元重慶市党委書記らが残した腐敗構造の一部を温存したことに対する取り調べとの見方もある。

「大虎もハエもたたく」。習氏は党総書記就任直後の13年1月に表明したが、政治局常務委員だった周永康氏ら大物の摘発は現役引退後だった。現役の政治局員の摘発は大きな決断だ。

孫氏は北京市幹部時代に同市トップだった賈慶林氏や首相だった温家宝氏に抜てきされ、農業相となったのが出世のきっかけだ。習氏とは近くなく、江沢民・元国家主席らの「上海閥」や胡錦濤・前国家主席ら共産主義青年団出身者のグループとも一線を画すとされてきた。背後に最高指導者級の大物がいないことで摘発対象になりやすかった可能性がある。

将来の指導者候補とされた孫氏を巡り、雲行きが怪しくなったのは今年2月。薄氏らの悪い影響を払拭できていないと規律委が批判した。

共産党は5年に1度の今秋の党大会を控え、権力闘争が激しさを増すばかり。不正蓄財などの疑いをかけられ米国に逃亡した実業家、郭文貴氏が習氏の盟友である王岐山・規律委書記の不正蓄財にかかわる発言を繰り返し、習氏は引き締めを迫られていた。

後任の重慶市トップとなった陳敏爾氏は15日夜に早速、孫氏が提唱した都市開発計画や演説内容を記した野外の宣伝板を入れ替えるように命じる通知を出した。

孫氏が指導者候補レースから脱落するのは必至だ。香港メディアなどは孫氏の妻の不正蓄財の問題などを取り上げて「重大な規律違反」の疑いと報道。党籍剥奪など厳しい処分も予想される。一方、規律違反の疑いは軽く、処分までは至らないとの見方も残っている。

一時は習氏のライバルと目された薄氏が失脚した12年は前回の党大会が開かれた年だ。今秋の党大会を控え、有力幹部の摘発が孫氏で終わらない可能性もある。>(以上)

7/17日経朝刊<米、鉄鋼で対中圧力も 「100日計画」合意内容公表へ 

【北京=原田逸策、ワシントン=永沢毅】米国と中国による経済協力案件を並べる「100日計画」が16日、策定の期限を迎えた。両国は19日には包括経済対話を初めて開き、100日計画の合意内容を公表する。北朝鮮の核・ミサイル問題で米中関係はきしみ始めており、対話も米国が鉄鋼の過剰生産などで中国に圧力をかけ、中国がかわす展開になりそうだ。米中関係は経済も視界不良になりつつある。

会談するトランプ米大統領(左手前)と中国の習近平国家主席(右手前)(8日、ドイツ・ハンブルク)=AP

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は4月の首脳会談で100日計画の策定に合意。会談から100日目の今月16日前後が期限となった。

米中は5月、100日計画のうち先行して合意した内容を公表した。柱は中国がBSE(牛海綿状脳症)問題で止めた米国産牛肉の輸入を再開し、米国は中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に協力すること。「合意は『米中が貿易戦争を始める』との見方も変えた」(中国商務省幹部)とみられた。

当時の米中関係は良好。中国の協力で北朝鮮問題が進展すれば、貿易不均衡など経済問題は大目にみるというのがトランプ米政権の方針だったからだ。その方針の期限は100日計画と同じだったとされ、米側は「中国は時間があまりないと理解している」(ソーントン米国務次官補代行)と中国による北朝鮮への影響力行使を期待した。

だが、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射成功を誇示し、米本土が核攻撃の対象になる懸念が生じた。それにもかかわらず、中国はあくまで対話による解決を主張し、原油禁輸など強力な制裁に慎重。「彼には北朝鮮問題で支援を求めてきた。恐らくもっとできる」。トランプ氏は13日、習氏への不満を隠さなかった。つかの間の「米中蜜月」は終わり、今回の経済対話で「米国は厳しい姿勢を示すことになる」(米中外交筋)。

対話の焦点は中国による鉄鋼の過剰生産。5月の合意では「双方が努力する」と具体的な内容の詰めを先送りした。中国製鋼材の対米輸出は16年に120万トン弱とピーク時の3分の1まで減ったが、米国は「第三国を経由して米国に流れ込んでいる」とみる。トランプ氏は関税上げと販売量制限による鉄鋼輸入制限を検討中だが、中国は反発しそうで対話でも激しいやり取りが予想される。

中国は目標を上回るペースで過剰な鉄鋼生産能力を減らしたと説明する見通し。だが、どこの高炉を閉じたか詳しい情報を明かさないため「休止していた高炉を廃棄しただけではないか」との疑念が消えない。中国のアルミニウムの過剰生産も論点になりそうだ。

今回の対話は100日計画を決めるとともに、後継の「1年計画」をつくることでも一致するとみられる。中国側にすれば1年間の時間稼ぎができることを意味し、秋の共産党大会前に米国から構造改革や市場開放を厳しく迫られるリスクが減る。100日計画も中国側が提案したとされ、「計画策定中」を盾に米国の要求をかわす中国側の狙いが透けてみえる。>(以上)

7/16佐藤和夫氏facebook<国際情勢の行方と題し、宮崎正弘君が千田会で講演。

トランプ大統領は北朝鮮と一戦交える覚悟があるのかと思いきや、アメリカの兵士の犠牲を考え踏み切れず。

中国も北朝鮮の締付が果たせず、中国を当てに出来ず、ロシアとの連携を探り出した。

その指南役がキッシンジャー、アメリカは核実験の凍結で手を結ぶ可能性がある。

日本の脅威は残ったままで安保体制もおかしくなる。

中国は沖縄だけでなく北海道にも手を出してきており、自衛隊のクーデターでもなければ日本は救いようがない所まできていると。>(以上)

トランプも学習効果を上げないと。中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うものです。中国の北への対応を見ていたら分かるでしょう。ここで100日から1年計画への延長を認めれば、中北へ時間の利益を与えるだけです。制裁関税なんて中途半端は止めて、北と取引のある銀行総てに金融制裁をかけたほうがWTOの問題にもならず、効果はもっと大きいでしょう。中国経済のバブルは崩壊し、軍にも予算が回らず、東シナ海・南シナ海の暴挙も防ぐことができます。マテイス長官が言ってるように、軍事力行使は金融制裁の後です。日本についてはこれだけ左翼メデイアに騙され、倒閣運動に乗せられる国民が多いのを見ますと確かに絶望的になります。ただ、自衛隊のクーデターを期待しても三島の時に決起できなかったのに、今はもっと難しくなっていると思います。慢性自殺と言うかゆでガエル状態でしょう。メデイアの言うことを簡単に信じる人達に言いたい。「“use your noodle”,もっと自分の頭を使え。脳の皺があるのか」と。片や人権無視の民主主義国家でない中共が日本侵略の牙を研いでいるというのに。

パンダ外交でドイツの例が挙がっていますが、戦前から中独の結びつきは強く第二次大戦前の第二次上海事件で日本軍が手古摺ったのは独軍事顧問団の存在とトーチカのせいと言われています。

韓国紙「中央日報」の「則天武后から天武天皇へパンダ贈呈?」の記事は相変わらずでっち上げが好きとしか思えません。唐の時代の地図ではチベット(地図上の吐蕃)は別の国になっているでしょう。

パンダだけでなくチベットは中国や東南アジアへの水源地です。チベットを独立させないと東南アジアの国々は中国の言うことを聞かざるを得なくなります。フィリピンは水の問題が無いのですからドウテルテ大統領は国内で見せる強い顔を中国にも見せてほしいものです。

藤井厳喜著『最強兵器としての地政学 あなたも国際政治を予測できる!』P.164~165

記事

習近平主席は7月5日、ベルリン動物園のパンダ館開館式典にメルケル首相と共に出席した(写真:ロイター/アフロ)

6月24日の午後3時30分、ドイツの首都ベルリンにある「ブランデンブルグ空港」のカーゴセンターに1機のルフトハンザ・カーゴの貨物専用機が到着した。同機は中国の四川省“成都市”から12時間かけて飛来したもので、その貨物室から慎重に運び出されたコンテナの中には檻に入れられた2頭のパンダがいた。それは、4歳の雌パンダ“夢夢(モンモン)”と7歳の雄パンダ“嬌慶(チャオチン)”の2頭で、彼らは中国・ドイツの友好の証として、成都市に所在する“大熊猫繁育研究基地(パンダン繁殖育成研究基地)”から送られたものだった。

モンモンとチャオチン、年100万ドルでベルリンへ

この日、空港には中国駐ドイツ大使の“史明徳”とベルリン市長のミヒャエル・ミューラーをはじめとする百人以上のドイツ官僚やメディア記者が2頭のパンダを出迎えた。空港での歓迎式の中で、史明徳は、「今年は中国・ドイツの両国にとって国交樹立45周年に当たり、パンダが友好の使者としてドイツ国民にかわいがってもらえることを希望する」と述べた。また、ミューラー市長は、パンダ来訪に尽力したドイツ・中国双方の関係機関並びに関係者に感謝を表明すると同時に、2頭のパンダがベルリンに新たな魅力を増すでしょうと述べた。

ドイツではベルリン動物園にいた雄パンダのパオパオ(宝宝)が2012年8月22日に死亡してから5年以上にわたってパンダの不在が続き、ドイツ国民は新たなパンダの来訪を心待ちにしていた。このため、ベルリン動物園は中国側と協議を続け、ベルリン動物園が園内に1000万ユーロ(約13億円)を費やして敷地面積5500m2の広さを持つパンダ館を建設すること、パンダ2頭を研究目的で15年間借り受ける代償として中国側へ毎年100万米ドル(約1.14億円)の野生動物保護資金を支払うことで合意した。その合意に基づき、中国から送られて来た2頭のパンダがモンモンとチャオチンであった。

7月7~8日にドイツのハンブルグで開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)への参加を主目的として、7月4日に最初の訪問国ロシアからドイツ入りした中国国家主席の“習近平”は、7月5日にベルリンを訪問し、同日にベルリン動物園で開催されたパンダ館の開館式典にドイツのメルケル首相と共に出席した。式典で習近平は「2頭のパンダは中国・ドイツ両国の距離をさらに縮める友好大使の役目を果たしてくれるだろう」と述べ、メルケルは「ドイツと中国の交流の中でパンダは両国民の友好を深める重要な役目を果たして来た。モンモンとチャオチンは両国の友好がさらに発展する証である」と述べた。

ところで、6月12日、上野動物園では雄パンダのリーリー(力力<中国名:比力>)と雌パンダのシンシン(真真<中国名:仙女>)の間に雌の赤ちゃんが誕生した。リーリーとシンシンは、2011年2月に来日し、シンシンは2012年7月5日に第1子となる雄の赤ちゃんを出産したが、赤ちゃんは肺炎のため生後6日目の7月11日に死亡した。このため、5年ぶりの赤ちゃんパンダ誕生は上野動物園にとって正に待望の出来事であった。

1972年から続く日中パンダ外交

1972年9月29日に北京市で日本の田中角栄首相と中国の周恩来総理が共同声明に署名したことにより日本と中国の両国は国交を回復したが、これを「日中国交正常化」と言う。その国交正常化からわずか1カ月後の10月28日に日中国交正常化記念行事の一環として中国から贈られたのが2頭のパンダ、雌のランラン(蘭蘭)と雄のカンカン(康康)だった。ランランは1979年9月に死亡したため、1980年1月にホァンホァン(歓歓)が新たな花嫁として来日したが、カンカンは1980年6月に死亡した。ホァンホァンは1982年11月に来日したフェイフェイ(飛飛)との間に雄のチュチュ(初初)、雌のトントン(童童)、雄のユウユウ(悠悠)と3頭の子供をもうけた。

1985年6月に生まれた第1子のチュチュは生後48時間で死亡、第2子のトントン(1986年6月生まれ)は2000年7月に14歳1カ月で死亡、第3子のユウユウ(1988年6月生まれ)は1992年11月に雄のリンリンと交換で北京動物園へ移送された。1992年11月に来日したリンリンは2008年4月に死亡した。なお、2003年12月から2005年9月まではメキシコ生まれのシュアンシュアン(双双)が上野動物園に滞在し、リンリンとの交配を試みたが失敗した。

2008年4月にリンリンが死亡したことにより、上野動物園にはパンダが不在となったため、日本国内に後継パンダを要望する声が高まった。同年5月6日に来日した中国国家主席の“胡錦濤”は6日夜に行われた福田首相主催の非公式夕食会で、来日土産としてパンダ2頭を貸与する旨を表明して日中友好の証とした。これを踏まえて、2010年7月に北京市で、上野動物園を管轄する東京都と“中国野生動物保護協会”は東京都が2頭のパンダ(“比力”と“仙女”)を10年間にわたり、年間95万米ドルで借り受ける協議書に調印した。しかし、この直後の2010年9月7日、尖閣諸島付近の海域で日本の巡視船から退去命令を受けた違法操業の中国漁船が逃走時に巡視船2隻と故意に衝突しては破損させる事件が発生した。海上保安庁は漁船の船長を公務執行妨害で逮捕して取り調べのために石垣島へ連行し、同漁船で船員を石垣港へ回航して事情聴取を行った。

この「尖閣諸島中国漁船衝突事件」では、時の民主党政権は2010年9月13日に漁船を解放して船員を帰国させたが、22日に中国の温家宝総理から中国人船長の即時・無条件解放の要求を受けた。温家宝の釈放要求に加え、中国政府による種々の報復措置を受けた民主党政権は腰砕けとなり、9月25日に船長を処分保留で釈放し、中国手配のチャーター機で石垣島から中国福建省へ送還した。こうして事件は早期に決着したため、当初は延期が危ぶまれたパンダ2頭の来日は予定通り進み、2011年2月21日に比力と仙女は来日した。同年3月9日、上野動物園は2頭の日本名がリーリーとシンシンであると公表した。中国政府が2頭のパンダを予定通り来日させた背景には、中国漁船衝突事件で悪化した日本国民の対中感情の改善を意図したものであった。

「絶滅危惧種」から「危急種」へ

中国固有の動物である“大熊猫(ジャイアントパンダ、略称:パンダ)”は、中国の“国宝”と呼ばれている。これは生息数が非常に少ないからで、「国際自然保護連合(IUCN)」が2016年9月に発表したところによれば、野生のパンダは1864頭で、これに子供を加えた総数は2060頭という。中国政府の“国家林業局”が1985~1988年に行った調査では、野生パンダの総数は1114頭であったというから、過去30年間に生息数は大幅に増大したことになる。このため、IUCNはパンダに対するレッドリストのレベルを従来の「絶滅危惧種《EN(Endangered)》」から「危急種《VU(Vulnerable)》」に引き下げた。

レッドリストのレベルがENからVUに引き下げられたとはいえ、パンダは依然として希少動物であり、その白と黒の愛嬌ある外観から世界中の人々から愛されている人気者である。このため、上述したように、中国政府はパンダを外国政府との友好促進のための外交手段として活用しており、これを世界は中国政府の「パンダ外交」と呼んでいる。

中国政府のパンダ外交は歴史的に見て以下の3段階に分けることができる。

【第1段階】1949年~1971年(合計8頭)  中国の同盟国であったソビエト連邦(1頭)および北朝鮮(6頭)へ友好の証として贈られた。また、1958年にはオーストリアの動物商経由で1頭がロンドン動物園は販売された。

【第2段階】1972年~1983年(合計16頭)  1972年2月、ニクソン米国大統領が訪中した際に中国政府が雌のリンリン(玲玲)と雄のシンシン(興興)の2頭を土産として贈呈したのを皮切りに、日本:4頭(ランラン、カンカン、ホァンホァン、フェイフェイ)、フランス:2頭、英国:2頭、メキシコ:2頭、スペイン:2頭、西ドイツ:2頭がそれぞれ友好の証として贈呈された。

【第3段階】1984年~現在まで  1984年にパンダがIUCNのレッドリストで「絶滅危惧種」に指定され、ワシントン条約で最高ランクの「付属書Ⅰ(今すでに絶滅する危険性がある生き物)」に格上げされたことにより、「商業のための輸出入は禁止され、 学術的な研究のための輸出入などは、輸出国と輸入国の政府が発行する許可書が必要」となった。このため、学術研究を名目としてパンダを外国に貸与し、その見返りとして相手国から中国の野生動物保護資金の供与を受ける形式を採ることになった。

アドベンチャーワールドは11頭を返還

2017年6月末時点で中国から世界各国(含香港およびマカオ)の動物園に研究目的で貸与されているパンダの合計は67頭であると思われるが、その明細は下表の通り。

中国から貸与されているパンダの国別分布

(出所)パンダ研究所「パンダのいる動物園」から筆者作成

なお、貸与期間中に生まれたパンダの子供は、原則として誕生から2年以内に中国へ返還する取り決めになっている。このため、上表の(子供)に内数として記された子供の数は常に変動する。総数である67頭から子供の19頭を差し引くと、世界中の動物園にいる大人のパンダは48頭になる。

ところで、中国国内で何か大きな問題が起こると、中国政府は国民の目から当該問題をそらそうと、反日を煽ることがしばしばある。それにもかかわらず、その日本がパンダの貸与数では米国の13頭に次ぐ9頭で第2位というのは意外に感じられる。日本の動物園でパンダがいるのは、上野動物園のほかに神戸市立王子動物園(雌1頭)と和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド(雄1頭、雌1頭、子供の雌3頭)がある。特に、アドベンチャーワールドは2017年6月に3頭の子供パンダ(6歳、6歳、4歳)を中国へ返還しており、2004年から2017年6月までに中国へ返還した子供の数は合計で11頭にも上っている。6月12日に上野動物園でパンダの子供が生まれたとメディアは大々的に報じたが、アドベンチャーワールドは長年にわたって積み上げた研究成果を踏まえて、多数の子供を誕生させているのである。

話は中国のパンダ外交に戻る。2017年4月、フィンランドを公式訪問した習近平はニーニスト大統領との会見した際、パンダ2頭(雌・雄各1頭)をフィンランド中部のアフタリ動物園に15年間貸与することで合意に達した。また、翌5月に、デンマークのラスムセン首相が訪中した際、中国政府はコペンハーゲン動物園に2頭のパンダ(雌のマオスンと雄のホーシン)を15年間貸与することを表明した。これは中国の北極圏開発参入を認めることとの交換条件であると言われている。なお、フィンランド向けの2頭は2017年末、オランダ向けの2頭は2018年末に、それぞれ新築されるパンダ館の竣工後に両国へ移送される。

これ以外に中国政府はインドネシア政府との間で、2016年8月にパンダの保護協力に関する合意覚書に調印しており、同年9月にタマン・サファリ動物園内に完成したパンダ館に貸与されるパンダ2頭(雌・雄各1頭)を受け入れる予定だったが、2頭のパンダは未だに中国から送られていない。インドネシアはパンダ貸与の代わりにコモドドラゴンを中国へ贈呈する予定となっている。

則天武后から天武天皇へ?

3月4日付の韓国紙「中央日報」は、中国のパンダ外交は685年に唐朝の則天武后が日本の天皇へ雌雄1対のパンダを送ったのを起源とすると報じ、上述した3段階のパンダ外交を簡潔に説明した記事を掲載した。中国で唯一の女帝である則天武后(中国名:“武則天”、624~705年)が日本の天武天皇にパンダを贈呈した件については、2008年5月16日付の本リポート『「パンダ貸与」の意味するもの』を参照願いたいが、今から1300年以上前の685年にパンダが日本を懐柔する手段として日本の天皇に贈られていたと考えれば、そこにはロマンが感じられる。

この話を中国で報じた記事によれば、「紀元685年10月22日の巳の刻(午前10時)頃、長安宮廷の護衛兵と2人の調教師が2つの赤い絹と花で飾った大きな獣の檻を持って快速の車に乗り、東へ向かって疾走した。一行は揚州(現在の江蘇省揚州市)から船に乗り、日本の遣隋使に随行して海を越えて日本に到着した」とあり、この記事の出所は「日本の“皇家年鑑(皇室年鑑)”」だという。「皇室年鑑」などという書物は存在しないし、竹がなければ生きて行けないパンダをいつ日本に着くか分からない船旅で運ぶなどということは物理的に不可能で、はっきり言って荒唐無稽な話と言って良いと思う。

パンダが希少動物として珍重されて外交手段に活用されるようになったのは、中華民国総統“蒋介石”の夫人であった“宋美齢”が、第二次世界大戦中に米国が行った難民救済に感謝して、1941年に米国へ雌雄1対のパンダを贈呈したことに始まるという。今では、世界中の人々が愛するパンダは、「中華民族の偉大な復興」という中国共産党の政治理念を基礎に、2012年11月に中国の最高指導者(党総書記)となった習近平が打ち出した“中国夢(中国の夢)”の実現に必要不可欠な外交の手札となっている。そして、好むと好まざるとにかかわらず、それは大きな成果を上げているのである。

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『プーチン大統領が天然ガスで日中を天秤に サハリンのガスを使う「極東ルート」は要注意』(7/14日経ビジネスオンライン 池田元博)について

7/15日経記事について江崎道朗氏がfacebook上でコメント。小生は朝5時起きして柏市議のチラシ400枚(7/16は残り400枚配布。全部で1700枚一戸建てに、柏駅頭での少女のAV出演勧誘防止の警告文)を配布してから日経を読みましたが、江崎氏と同じ危惧を抱きました。日本政府は何をしているのでしょうか?相互主義を徹底しないとロジ倉庫に危険物が置かれるではないですか。またチラシ配りで気付いたのは新聞を取っていない世帯が結構いましたが、取っている世帯では、まだまだ朝日新聞の世帯が結構多かったです。個人の自由の範囲ですが何も考えてないのだろうと思います。自分が朝日を取ることは彼らの経営を助けることに繋がると。代わりの新聞は他にもありますし、図書館へ行けばあるのでそこで読むようにすれば良いのに。安倍首相は国会の閉会中審査で「朝日、毎日は青山氏の質問も加戸氏の答弁も報道しなかった」ことを強調すれば良いでしょう。それでも民放各局が「報道しない自由」を行使するのであれば、TVの入札制と自民党の放送局を作ればよいでしょう。外国の介入は出来ないようにして。

http://www.sankei.com/politics/news/170712/plt1707120010-n1.html

江崎道朗氏のfacebook

<不動産大手の万科企業など中国系5社連合は14日、シンガポールの物流施設大手、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)を約160億シンガポールドル(約1兆3000億円)で買収すると発表した。

先日は、パナマ。今回は、シンガポール。

物流、つまりロジスティックスを押さえることで、貿易・経済を押さえるとともに、その国に対して秘密裏に工作員や武器を送り込み、内乱を仕掛けるというのが中国共産党の常套手段。

リー・クアンユーが存命であれば、こんな事態は避けただろうが、嫌な動きだ。

しかも、この会社、今年3月末時点で日本全国に97カ所の物流拠点を持つ。相模原市では約1300億円を投じ、合計6棟で構成する日本最大の物流施設を22年から順次稼働する予定だという。相模原といえば、在日米軍基地(在日アメリカ陸軍司令部があるキャンプ座間)のすぐ近くだし、そのほかにも全国97か所に中国系の物流拠点が出来る。安全保障上も由々しき事態だ。

インドネシアのタンジュンプリオク港も、中国系企業が使用権限を確保したという話を先日、聞いたばかり。この港、日本のODAで整備したところなんだが、中国共産党の札束攻勢の前に、日本は劣勢だ。

経済規模の拡大を死に物狂いで目指さないと、ASEANも本当に危ういし、何よりも、日本の物流も心配だ。

(以下、引用)

中国系連合、シンガポール物流施設大手GLPを買収 1.3兆円

2017/7/15 1:30日本経済新聞

【シンガポール=中野貴司】不動産大手の万科企業など中国系5社連合は14日、シンガポールの物流施設大手、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)を約160億シンガポールドル(約1兆3000億円)で買収すると発表した。ネット取引の拡大で物流施設の需要は今後も増えるとみて、GLPが施設を持つ日本のほか米中で事業を広げる。中国勢のグローバル展開が不動産分野でも鮮明になっている。

5社連合は万科、中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)の投資部門、高領資本と、GLP役員の関連企業2社。GLPの株主総会の決議を経た上で、全株を買い取る。GLPの約37%の株式を持つシンガポールの政府系投資会社、GICは賛意を示しており、買収は成立する見通しだ。

1株あたりの買い取り額は12日の終値に25%、売却検討前の3カ月平均の株価に72%を上乗せした金額になる。調査会社のディールロジックによると、買収総額は今年の世界の不動産分野の買収で最大となる。

2010年にシンガポール取引所に上場したGLPは、日本でも1兆円を超える資産を持つ最大級の物流施設の運営会社だ。今年3月末時点で日本全国に97カ所の物流拠点を持つ。相模原市では約1300億円を投じ、合計6棟で構成する日本最大の物流施設を22年から順次稼働する予定。古い小型の物流設備が多く残る日本でネット通販による物流需要の拡大を見込み、積極的な投資を続けている。

中国では38都市に約1750万平方メートル、米国でも36の主要都市に約1610万平方メートルの施設を持つ最大級の物流施設業者となっている。資産から負債を差し引いた純資産ベースでは、総額の6割弱を中国市場が占める。5社連合は、いずれも世界有数の市場である日米中に豊富な資産を持つGLPの事業に魅力を感じたもようだ。

GLPによると、19年の中国の小売分野の電子商取引は16年に比べ、4割超増える見通し。中国では小規模な小売業者がなお多く、今後大手小売りのシェア拡大が進めば、大型物流施設の需要も増えるとみている。日米や、GLPが進出するブラジルでも電子商取引の伸びる余地は大きく、GLPは新たな株主の下で収益の拡大をはかる。

中国の不動産大手である万科などは、既存の事業や投資先との相乗効果を狙う。GLPの役員2氏も5社陣営に参加しており、早期の買収完了を目指す。

6月には中国の政府系ファンドである中国投資(CIC)による欧州の物流施設大手、ロジコールの巨額買収が明らかになったばかりだ。自国市場の成長で資金余力が増している中国勢の買収攻勢が不動産分野でも目立っている。

上場前からGLPの大株主であるGICは今回の売却で巨額の利益を計上する見通し。5社連合による買い取り額は13年の上場来高値を8%上回る水準のため、売却の好機と判断したもようだ。

日米欧の中央銀行の金融緩和によって、世界的にカネ余りの状態が続いており、アジアの不動産市場にも資金が流れ込んでいる。日本円換算で1兆円を超す今回の買収はこうしたカネ余りの一断面と捉えられる。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の保有資産の縮小が今後見込まれる中、市場の活況がいつまで続くかは不透明だ。>(以上)

次は、メデイアが如何にフエイクな報道をしているかという事で、米国も同様と言う記事です。日本も追求しているのは視聴率か売上かは知りません。見た所、中共からの裏金でないかという気もしますが。

7/9Money Voice<日本メディアが報じない「米CNNの捏造体質」元祖フェイクニュースの罪>

http://www.mag2.com/p/money/259737?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000115_sat&utm_campaign=mag_9999_0715&l=ttv0c03f55

続いて、7/14ぼやきくっくりブログから青山繁晴氏の7/10虎ノ門ニュースの中のコメント。

<(5)米戦略爆撃機が韓国で訓練 日本でも訓練  ニュースの途中に、「アメリカ軍の戦略爆撃機による、朝鮮半島上空での爆撃訓練が、公表されるのは初めてです」と。  これは共同通信、正確に書いてある。  

本当は北朝鮮上空も含めて、米軍は前から、威圧も含めてやってます。  公表したこと、一切ないですが。  それを前にこの番組だったか、発言したら、そんなことはないと軍事評論家も言ってると、またネットでこう盛り上がるんですけど、私は当事者に確認して言ってるわけですから。  内部文書ってあって、なかなか見ることできないけど、見られる時もあります。  そのうえで申してるんであって。  ま、それでようやく、朝鮮半島のかりそめの安定が保たれてきた面もあるわけですね。  

今回は公表するのが前提だから、38度線以北には入ってない。  あくまでも韓国の領内に建てた、ミサイル発射台に見立てた模型を爆撃すると。  それは公表するから。  北朝鮮はもちろん賢く、いろんなものをしたたかに見てますから、今回が今までより急に戦争準備が進んだわけじゃなくて、脅しだってことはよく理解してます。  但し、国会議員なんで慎重に話さないといけないんですが、アメリカのルート、どこの誰というのは拷問されても言えませんけど、やっぱり今回は北朝鮮を威圧するってメディアでは報じられる、その受け止めもいいけど、むしろ、韓国に対してなんだよねと。  それは僕も、よく分かるよねと。  つまり文在寅政権になって、要するに、軍のトップである大統領が、北朝鮮に対して融和融和で、軍の士気は大丈夫かということと、トップのもともとの考えがどうであれ、韓国民のために戦うのが軍でしょということを、韓国の軍部に、一兵卒から将軍に至るまで目に見える形で確認したかった。  そこに日本が加わるっていうのも、これまた独特な意味があって、僕は諸手を挙げて賛成ですけど、でも今まで国会で説明してきた専守防衛の枠なのかってことは野党が聞いて何もおかしくなくて、これ閉会中審査に値しますよね、もうこれだけで。  だって戦略爆撃機が朝鮮半島で実弾使って、北朝鮮にそっくりなやつを爆撃してるんですよ?  そこに我が航空自衛隊の戦闘機、戦闘機ですよ?輸送機じゃなくて戦闘機が2機加わったことについて、閉会中審査を要求しないっていうのは、野党は一体何が仕事だと思ってるんでしょうかね。  いちゃもん付けるのが国会じゃないんですよ。  

僕は大賛成ですけど、これは敗戦後の日本の防衛力のあり方の大転換が今、起きてます。間違いなく。  つまり自衛官の、一番こう、強く訓練された部分にとっては、新しい知見が今、もう滝のように入ってくる。  つまり攻撃とはこういうものだと。  これはアジアにとっては超大ニュースです。  いわば眠れる虎ですから、日本は。  はっきり言ってアジアでこれに対抗できる国はありません。  中国も含めて。核戦力を別にすると。  でも核は実際に使えないから。  現状ではですよ、将来は分かりません。  将来は日本も必ず選択肢に置いておかなきゃいけない、核武装の件は。  僕は、今、反対ですけど、選択肢は絶対残さないといけません。  で、そういう部分も含めてものすごく大きな地殻変動が起きてる、実は大ニュースですが、これで北朝鮮との戦争が始まるわけじゃないっていうのが、まさしく次のニュース。

(6)米朝戦争「近づいてない」マティス国防長官  米軍の前線トップのマティスさんが、別に北朝鮮がICBM発射実験をやったからと言って、北朝鮮とは戦わないよと言ったように見えますが、これ2つの意味で、そうではない。  マティスさんは何言ってるかというと、警告してる。  

本当にやる時にはやらざるを得ないけど、その時には犠牲が出ますと。  米国民も、日本国民も、韓国民もそれを踏まえて下さい、こんなはずじゃなかったって話をしないで下さい、民間人すら犠牲が出かねないってことをちゃんと踏まえたうえで、軍の活用を考えて下さいってことをずっとおっしゃってる。  それがひとつ。  もうひとつは、アメリカがかつて北朝鮮にやった制裁の中で唯一効いたものがあって、それをまだ完全にやりきれてないから、それをやりましょうって意味もある。  それは何かというと、金融制裁。  

北朝鮮がマネーロンダリングする時に、バンコ・デルタ・アジアが協力してきたから、そういう銀行にもうドルは扱えないというのをかけたら、北朝鮮は本当に根を上げた。  ブッシュ政権の末期だったが、あの時続けてたら、拉致被害者が帰ってくることも含めて、今の北朝鮮はなかった。  アメリカの一官僚が、北朝鮮は話が分かったと言って、一緒にワイン飲んだり中華料理食ったりして、当時、関西テレビ「アンカー」水曜日で徹底的に批判したが、批判したのは少数派で、日本の評論家やコメンテーターはやっと米朝雪解けだと、素晴らしいと言ってたわけですよ。  このために実は北朝鮮は今の事態に至った。  それをアメリカはさすがに記憶してて、金融制裁を改めてやろうとしたんですが、その前に、北朝鮮が手を打ってて、1カ所に、資金を集めていった。  チャイナです。  

だからトランプさんが最近チャイナに、思ったほどやってくれないじゃないかとずっと言ってるのは、石油のパイプラインを止めないことと、ちゃんと中国の銀行、共産党政権なんだから全部コントロールできるだろうと。  なのにやってないのはどういうわけかと。  これを中国の銀行といえどもドルを扱えなくなったら、人民元は本当は通貨と言えないシロモノだから、もう行き詰まっちゃうわけですよ。  これをやったら下手すると世界経済は凍り付いて、大不況。  世界恐慌になると言ってるマーケットの関係者もいます。  それをマティスさんは言ってる。  膨大な犠牲が出る米朝戦争の前に、この金融制裁の完成は必ずやるべきだと。  それでも北朝鮮がなぜか倒れないとなったら、分かりました、犠牲は払うけれどもやりますと。  だから米軍は今までになかった訓練(前項参照)をやってる。

(7)対北朝鮮で日米韓共同声明 トランプ氏が防衛確約  「核戦力も含むアメリカ軍の全能力を使って、日韓を防衛すると確約した」と。  前にMOAB(モアブ)っていう最強の爆弾実験したというのがあった。  あれだけじゃなくて、北朝鮮はその後の気配見てると、MOABでは金正恩が住んでる蟻塚みたいな地下施設は全部はやられないと。  じゃあ核を使いますよと。地中貫通型の戦術核爆弾。  戦闘機から撃ち込むこともできる。もうアラスカで実験してる。  これはそれを意味してる。  北朝鮮は鋭敏に反応する。  人類に二度目の核兵器を使っても北朝鮮を終わらせてやるぞと。>(以上)

中露は裏で北を支援しているとすると、やはり信用できないとなります。ただ、其の儘で良いかと言うと、中国が後背地を気にせず太平洋に出て来れるようになってしまいます。中西輝政氏は『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』の中で、日本が四島返還の旗を降ろすことは、法治でなくなることを意味すると述べていました(表現の違いはあるかもしれません。記憶で書いています)。その中で中西氏は具体的な四島返還の方法がなかったのは残念です。プーチンは領土を売ることはしないと言っていますので、取り返すには戦争するしかありません。今の日本人が望むとは思えません。藤井厳喜氏の『最強兵器としての地政学 あなたも国際政治を予測できる!(2016年9月出版)』の中でもロシアを少なくとも中立化すべきと言っています。(P.154~155)

<第一に台湾人の忍耐心と愛国心は疑いもなく強くなっている。台湾国民は断固として自らの自由と民主政治を守る決意である。 しかし第二の条件も大事である。日本やアメリ力がシー・パワーとして台湾を後ろからサボ一トする必要がある。後背地=補給基地としての日米なしでは、台湾をチャイナから守ることはできない。こういった条件を整えた上で、台湾は自国の制空権を守り抜かなければならない。現在では、ミサイル防衛の問題も考えなければならないので、少々複雑だが、状況は基本的に同じである。台湾は複層的なミサイル防衛網を築く必要がある。 現在の日本のことを考えても、日本とチャイナは相対峙しており、日本の場合はアメリカのサポートが不可欠だ。チャイナは核兵器保有国なので、当然、核保有国アメリカのパックアップが絶対必要なのだ。ロシアとチャイナの関係を分断して、ロシアをなるベくこちら側へひきつけておくことは、実は正面の東シナ海、南シナ海の防衛が非常に楽になるということである。できれば、ロシアがチャイナの後ろから牽制してくれれば、我々台湾の戦いはもっと楽になるであろう。

戦略の要諦というのは、まさに優先順位である。日本にとってチャイナが今一番危ない国なわけだから、ロシアとの関係は友好化しておいたほうがいいだろう。少なくともニュートラルな立場にしておき、向こう(チャイナ)の味方をしないように牽制しておくことが重要だ。アメリカとロシアの関係は基本的に現在は良好で、日本としては有利だし、台湾防衛にとっても良い方向である。逆をいえば、日本国内で北方領土うんぬんということをやたらと強調している人々には、隠れ親中派が多いともいえる。それを言っている限りロシアとの関係はうまくいかないからだ。

アナロジーの話に戻すが、地政学の基本戦略の一つは「挟み撃ち」である。敵の敵は味方なのである。ここで言うならば、チヤイナという敵の敵であるロシアをどうやってこちらに誘い込むか、もしくは誘い込めなくともニュ一トラルな立場でいてもらうかが重要なのだ。ロシアはチャィナの人口圧力によりどんどん侵略を受けており、放っておけばシベリアはチヤイナに獲られかねず、それをプーチン大統領もよくわかっている。

だから、とりあえず北方問題はペンディングにしてでも、日本は行動を起こさねばならない。北方領土の問題も、今日本は人口が減ってきているので、仮に返還して貰うことができても、そこの資源が手に入るものの、すぐそこに人が住むようにはならないだろう。

ただ、この北方領土問題は「正義の戦い」であるわけだから、 この看板を降ろす必要はない。降ろす必要はないが、今-番重要なのはチャィナの脅威である。日本の中の親中派は北方領土のときだけあたかも日本の味方をしているように声高に反ロシアを唱えているが、これに騙.されてはいけない。>(以上)

やはり中露は分断させないといけないと思います。北極海の氷が解けて航路が開発されれば、強欲な中国との間で争いになるのでは。日本はガスのパイプラインまでは必要ないと思いますが、船で運ぶようにしてエネルギーミックスを考えていけば良いでしょう。将来はメタンハイドレート、核融合もありますし。

記事

中国の習近平国家主席が7月3~4日、ロシアを公式訪問した。米韓合同軍事演習の凍結を求めるなど、北朝鮮の核問題で中ロが共闘して米国に対抗する姿勢が話題となったが、中ロ間の天然ガス供給でも注目すべき合意があった。

7月4日、プーチン大統領と習主席がロシアのモスクワで会談した(写真:代表撮影/Russian Look/アフロ)

モスクワのクレムリンで7月4日に開かれた中ロ首脳会談。プーチン大統領は会談の冒頭、「尊敬する主席さん、親愛なる友人たち」と呼びかけた。大統領は習主席のロシア公式訪問の意義を強調するとともに、中ロ間の貿易額が増えている現状に満足の意を示し、「経済問題は常に我々の関心の中心だ」と語った。

習主席も「尊敬するプーチン大統領さん、我が良き友よ!」と呼応した。2013年3月に国家主席に選出後、自らの最初の外遊先がロシアだったと振り返り、訪ロは6回、プーチン大統領との会談回数は22回に上ったと指摘。「私にとってロシアは最も訪問回数の多い国で、あなたとは外国首脳の中でもっとも緊密な間柄だ」と持ち上げた。

両首脳は今年も既に、5月に北京で開かれた現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議、翌6月にカザフスタンの首都アスタナで開催された上海協力機構の首脳会議の際にも会談している。こうした首脳間の頻繁な対話が「蜜月」といわれる中ロ関係の礎となっているのは間違いない。

かつ、中ロ首脳の互いの公式訪問の際には、両国の企業が数多くの合意文書や覚書などに署名し、経済面での成果をアピールするのが習わしになっている。特にロシアにとって、中国は最大の貿易相手国だけに重要なのだろう。

現にプーチン大統領は、今回の首脳会談後の報道向け声明で中ロの貿易額に触れ、「2016年は(前年比で)4%増えて660億ドルに達した」と表明。今年も貿易額が膨らんでいるとしたうえで、エネルギー、原子力発電、宇宙、航空機産業、農業など、個別分野の経済協力案件を詳細に列挙した。

国内ガス需要が急増している中国と利害が一致

中でも大統領が今回の目玉として挙げたのが、ロシア産天然ガスの対中供給の開始時期をめぐる合意だ。シベリアの巨大ガス田から中国北東部にパイプラインで輸出するもので、プーチン大統領は「天然ガスの初の供給が2019年12月に始まる」と誇らしげに表明した。

ロシア国営天然ガス企業のガスプロムと中国国有石油企業の中国石油天然気集団(CNPC)が結んだこの契約は、2014年5月に合意した。中国の年間ガス需要のおよそ2割に当たる年間最大380億立方メートルの天然ガスを30年間にわたって供給する計画で、「世紀のディール」と呼ばれた。

東シベリアにはチャヤンダ、コビクタという2つの巨大ガス田がある。その天然ガスの仕向け先に苦慮していたロシアと、国内のガス需要が急増している中国の利害が一致したわけだ。

ガスプロムによれば、チャヤンダの天然ガス推定埋蔵量は1兆4000億立方メートル、コビクタは2兆5000億立方メートルに達する。ロシアは契約通り、大量のガスを長期間にわたって中国に安定供給できる埋蔵量を誇ってはいるが、当初から最大の課題とされたのがパイプラインの敷設問題だ。東シベリアのパイプライン網は未整備で、2つのガス田から中国国境まで、全長で約3000キロメートルに及ぶパイプラインを新設する必要があったからだ。

パイプライン建設が大幅に遅れている

ガスプロムは通常、「東ルート」と呼ばれるこの新パイプライン計画を「シベリアの力」と命名。当初は中国からガス代金の前払いの形で融資を受け、パイプラインを新設する予定だった。しかし、融資条件などで折り合いが付かず、結局は自力での建設に踏み切った。ただし、その後も原油・天然ガス市況の急落によって採算性の問題なども浮上し、パイプラインの完工は大幅に遅れるのではないかとの観測が大勢だった。

実際、2014年9月からパイプライン建設に着手したものの、これまでに完成した距離は約800キロメートル。対中輸出を開始するには最低限、当面の供給を予定するチャヤンダのガス田から中ロ国境のブラゴベシェンスクまで2156キロメートルのパイプラインを敷設しなければならないが、建設着手から3年近くたつのに、その半分も完成していない。

それにもかかわらず今回、ガスプロムとCNPCは2019年12月の供給開始を最終決定したわけだ。しかも両社のトップはプーチン大統領と習主席が見守る中で文書に署名しており、政府間の正式な合意となった。ガスプロムはすでに今年の「シベリアの力」向けの投資予算を大幅に増やしているものの、パイプライン建設を急ピッチで進めなければならなくなったといえる。

ロシアは巨大な中国のガス市場を何としても押えたい

ロシアがそこまでして対中ガス輸出に力を入れるのは、中ロの絆をさらに強める狙いに加え、巨大な中国のガス市場を押さえたいという思惑がある。ガスプロムなどによれば、中国のガス需要は年々急増しており、2016年は約2100億立方メートルに達したという。

ロシアにとって天然ガスの主要な輸出先は欧州市場だが、ウクライナ危機をきっかけに欧州との関係はぎくしゃくしつつある。欧州向けのガス輸出が将来的に先細りする懸念も浮上しつつあるなか、中国を欧州に代わる有望な輸出市場と見込んでいる面もあるようだ。

現にロシアはウクライナ危機以降、天然ガスの売り込みで中国に大攻勢をかけている。今回、供給開始の日程を固めた「東ルート」のほかにも、西シベリアのガスを中国北西部に大量供給する「西ルート」も打診し、2015年5月には中ロ間で基本合意書も交わしている。ただ、北東部への供給を重視したい中国側の思惑などもあり、「西ルート」の交渉は難航しているのが実情だ。

日本を巻き込む「極東ルート」構想

そこで新たにロシアが中国側に持ちかけているのが「極東ルート」。極東サハリン沖の天然ガスを中国北東部にパイプラインで輸出する構想だ。

ガスプロムはすでにサハリンから極東のハバロフスク、ウラジオストクに至るパイプラインを建設・稼働済みで、中ロ国境まで短距離のパイプラインを建設すれば供給できる。ガスプロムとCNPCは2015年9月に「極東ルート」をめぐる覚書を交わした経緯もあり、ガスプロムのミレル社長は今年6月末、「2017年末までには供給条件で合意したい」と表明したばかりだ。

ただ、「極東ルート」の動向には、日本も注視せざるを得ない。サハリン沖のガスは日ロ間のエネルギー協力案件にも深く関わってくるからだ。

例えば、ガスプロムと英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、日本の三井物産、三菱商事が資本参加する資源開発事業「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)基地増設計画、現在は凍結状態にある日本市場向けを想定したウラジオストクのLNG基地新設計画は、いずれもサハリン沖のガス田からのガス供給を前提にしている。

さらに安倍晋三首相が「8項目の対ロ経済協力プラン」を打ち出し、対ロ経済協力を積極的に進める姿勢を打ち出すなか、日本では日ロ間に海底ガスパイプラインを敷設する構想を推進する動きも一部に浮上している。その構想でも対日供給を想定しているのが、サハリン沖に埋蔵される天然ガスである。

サハリンのガスで日本と中国を天秤に

サハリンのガス田のうち、ガスプロムが最有望鉱区としているのが「サハリン3」の南キリンスキー鉱区だ。同社によれば、天然ガスの推定埋蔵量は7000億立方メートルを超えるという。ところが大きな問題がある。

米政府は2015年8月、ウクライナ危機をめぐる対ロ経済制裁の一環として南キリンスキー鉱区を制裁対象とし、開発のための技術供与や機器の提供を禁止してしまったのだ。制裁の影響によりロシアはサハリンで果たして十分な量を確保できるのか、危ぶまれているのが実情だ。

こうした現実にもかかわらず、今年6月末に開かれたガスプロム株主総会後の記者会見では、ミレル社長から意外な発言が飛び出した。事実上、凍結していたウラジオストクのLNG基地建設計画を、「外国企業の関心がある」として復活させると明言。さらに、「サハリン2」のLNG基地増設も遅くとも2019年第1四半期までに最終決定し、2023~24年中に稼働させると述べたのだ。

中国に「極東ルート」の実現を積極的に呼びかける一方で、LNGの最大の需要国である日本にも秋波を送ったといえるだろう。日本と中国を天秤(てんびん)にかけながら、より優位な契約条件が見込める案件の実現を目指しているようにもみえる。

しかも、ロシアのエネルギー輸出は経済的利益だけでなく、外交政策とも密接に絡む。最終決定には当然、政権の意向が色濃く反映するはずだ。表面的には「蜜月」とはいえ様々な問題を内包する中ロ、安倍首相とプーチン大統領が頻繁に首脳会談を重ねているとはいえ、先行き不透明な日ロ関係。それぞれの外交関係の行方も絡めながら、ロシアはサハリンのガスの利用法を固めていく腹積もりなのだろう。

日本としてもまずはサハリンのガス開発状況を慎重に見極めつつ、冷静に対応を検討していく必要がありそうだ。

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