『台美最高層級安全對話 傳已密辦(圖)=台米最高幹部による安保対話、伝わる所では既に秘密裡に行われたとのこと』(8/13看中國)について

8/11facebookの記事から< Take4さん

高山正之氏「(対ナチス企業賠償訴訟で味をしめた)米弁護士バリー・フィッシャーは対日賠償請求を3国で一斉に始めた。岡本行夫は彼と組んで三菱マテリアルに金を払わせた。韓国光州地裁は三菱重工に賠償を命じたが、日本は応じないだろう。日本はこれを機に国交を断絶してもいい。」>(以上)

岡本行夫は北米一課長時代に湾岸戦争で日本が拠出した金をちょろまかした最低・最悪な男です。日高義樹氏の本に書いてありました。こういう輩が大手を振って世の中を渡っていけるのですから、日本の社会はおかしいとしか言いようがありません。でも国民の大多数は気が付かないでいる訳です。メデイアはお友達の悪口は国民に知らせようとしませんので。しかし岡本が日本の名誉を蔑ろにし、自分の懐だけ潤うように動いているというのは、左翼リベラルの共通項です。

8/13 Share News Japanの記事に<亀石倫子「北朝鮮のミサイル発射がなぜ日本の生命を脅かされる状態なのか!憲法違反!絶対に許さない!」>というのがありました。偏向TBSの中でも悪名高い「サンデーモーニング」の中での発言のようです。しかし、勉強すればするほど馬鹿になる典型です。

http://snjpn.net/archives/27877

まあ、今の日本の支配構造は東大法学部卒が官界・学界・経済界を牛耳っていますので。戦後押付け憲法を後生大事に守ろうというのは、自分達に既得権があるからです。自衛隊を嫌うのも、戦前のように軍に権力を持って行かれたのではという思いからでしょう。そもそも宮澤俊義の憲法を勉強しないと司法試験にも公務員試験にも通らないようでは、画一的な頭の構造にしかなりません。宮澤なんて3回も自説を変えたのは前にも述べました。天皇機関説、次には神勅主権主義、8月革命・国民主権主義と。法律は当て嵌め学だからと言って、法学部卒業後に仏文に進んだ辰野隆がいます。

当て嵌めの学問だからなのか、テクニカルな枝葉末節に拘り、大局を見ることができません。歴史観・世界観が養われません。況してや今回の米朝戦争の危機に際して、「憲法違反」とかしか叫べないのでは頭の程度が知れるでしょう。憲法を残してでも、国民が亡くなった方が良いという気持ちの持主です。倒錯としか言いようがありません。幼稚すぎます。勉強して弁護士になった努力は買いますが、判断能力ゼロでしょう。学力のみ偏重すると、前川や豊田同様こんな変な輩が出て来て跋扈するようになります。エリートに必要なのは愛国心とノブレス・オブリージュです。東大が牛耳っている間は駄目かもしれませんが。

米国の台湾への武器供与は難しい問題です。最新鋭の兵器を供与すれば、台湾軍は国民党出身者が上を占めるので、台湾ではなく、大陸に愛着を持つものが多いです。為に、中共に秘密を漏らしたり、大陸に亡命したりしますのでリスクがあります。

だからと言って、軍を強くしなければ、中国に取られてしまいます。地政学的に見て、日本と台湾は中国が太平洋に出るためには邪魔な存在です。一所懸命になって、領土を奪いたいという気持ちは分からんでもないですが、悪貨と一緒になることはありません。中国は悪逆非道の歴史しかありませんので。台湾にも米軍基地を置くべきでしょう。

8/13BLOGOS記事<日本の旗色を鮮明にした小野寺五典防衛相発言>がありました。この中で、グアムへの4発のミサイルを日本が撃ち落とすのは無理と書いてありますが、8/14TV朝日「モーニングショー」で香田洋二氏は「技術的に撃ち落すことはできる」と言っていました。

BLOGOS記事の中で印象に残ったのは、米国人が“Our allies are more supportive of us than the Democrats… =私たちの同盟国は民主党よりも頼りになる……。”と言ってくれたことです。これで日本がキチンと行動しなければ「裏切られた」との思いになることは間違いありません。米国は今回8/17の2+2終了後に発表する共同文書にも核の傘を明記するようですので、日本としてできることは何でもしなければ。

http://blogos.com/article/240127/

http://www.nikkei.com/article/DGXKASFS13H1K_T10C17A8PE8000/

記事

美國總統川普與台灣總統蔡英文(圖片來源:維基百科)

台美之間最高安全對話“蒙特瑞會談”(Monterey Talks),據最新消息顯示,已於8月10日至11日在美國夏威夷舉行。這是川普接任美國總統後,首度與台灣蔡政府舉行的最高階層安全對話,但對於外界都關心的,是否會提及軍購,台美雙方皆採取謹慎保密態度。

《聯合報》報導,日前盛傳“蒙特瑞會談”將於八月中舉行,但時間與地點對外保密。據熟悉台美關係之消息人士透露,會談時間為10日至11日,舉辦地點則與去年相同,在夏威夷舉行。

據了解,與會者包括台灣國安會副秘書長陳文政、國防部副部長蒲澤春等在內的多位官員,美方人士則是美軍太平洋司令哈里斯、美國在台協會(AIT)主席莫健等人列席。知情人士表示,蒲澤春早前六月赴華府參與智庫會議時,已經與美國白宮國安會亞洲事務資深主任博明見過面。

《自由時報》報導,有消息指,台灣可能在會中提出向美國購買F-35B戰機一事,但消息人士指出,美方已多次向台灣相關機構表示,不太可能。但關於此事目前並沒有肯定的清晰描述。

不過該消息人士表示,美國之所以在此問題之上猶豫,一是因為中國大陸向美國清楚表明此事是“紅線”,二是美國認為台灣根本不需要F-35B。

美國在台協會(AIT)主席莫健七月在華府智庫“戰略暨國際研究中心”的一場研討會上,關於台灣可能在“蒙特瑞會談”上提出購買F-35之事,莫健這樣表示,此事得讓台灣政府決定要提出哪些需求,但他也善意提醒,F-35造價相當昂貴,後續的維護非常不易,尚待美台雙方討論商定。

【看中國2017年8月13日訊】(看中國記者靈素綜合報導)

アメリカ大統領のトランプと台湾総統の蔡英文 (画像由来:ウィキペディア)

台米間の最高級安保対話“モントレー会談”(Monterey Talks)は、最新のニュースによれば、すでに8月10日~11日にアメリカのハワイで行なわた模様。これはトランプがアメリカ大統領になって初めて台湾との最高級の安保対話であるが、外部が関心があるのは兵器の購入の件で、台米双方とも秘密保持の態度を取っている。

《連合報》の報道では、先日、モントレー会談は8月なかばに行なわれると伝えていた。ただ時間と場所は外部には秘密である。台米関係の情報を熟知した人によれば、会談の日取りは10日から11日まで、開催地は昨年同様で、ハワイで行なわれると、明らかにした。

話によると、出席者は台湾国家安全委員会の事務次長の陳文政、国防省副大臣の蒲沢春など多くの役人が参加し、米側は米軍太平洋司令官ハリスと米国台湾協会(AIT)主席モリアテイなどが列席する。情報通は、蒲沢春が、6月にワシントンへ行ってシンクタンクの会議に参加した時に、既にホワイトハウスのNSCアジア部古参主任の博明と会ったことがあった。

《自由時報》の報道では、台湾はおそらく会議中にアメリカにF-35 Bの戦闘機を購入したいと提案し、ただ情報通が言うには、米側はすでに何度も台湾の関係機関に難しいと伝えて来たと。ただ此の件については目下きっぱりと言い切れるものではないとも。

ただこの情報通は、アメリカがこの問題で躊躇するのは、一つは中国大陸がアメリカにはっきりとこの事は“レッドライン”であると表明したこと、2つ目はアメリカは台湾にはまったくF-35 Bはいらないと考えていることを、明らかにした。

米国台湾協会(AIT)主席モリアテイは、7月にワシントンのシンクタンク“戦略国際問題研究センターCSIS”の1つのシンポジウムにて、台湾はおそらく“モントレー会談”でF-35の購入の件を提案して来るだろうが、この事は台湾政府が決定してどの程度の要求があるのかを提案しなければならない。ただ彼がアドバイスしたのは、F-35の建造費は高く、メンテも容易くない。米台双方が討論して決めるのを待とうと。

【看中国:2017年8月13日】 (看中国の記者:霊素の総合報道)

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『自衛隊はドローン1機の攻撃を防げない 欧米の戦略家たちが注目するロシアの軍事革命』(8/11JBプレス 部谷直亮)について

8/12NHKニューストランプ大統領 ツイッターで北朝鮮に再び強く警告 より中国・ロシア部分のみ抜粋

中国外務省「関係各国は言動を慎んで」

北朝鮮とアメリカが互いに相手を強く威嚇していることについて中国外務省の耿爽報道官は11日、コメントを発表し、「現在、朝鮮半島情勢は、複雑かつ敏感であり、関係各国は言動を慎み、緊張緩和の助けとなることをするよう望む。緊張をエスカレートさせるような道を歩むべきではない」として、米朝双方に強く自制を求めました。

こうしたなか中国共産党の機関紙「人民日報」の傘下の新聞「環球時報」は11日の社説で、「もし北朝鮮がアメリカの領土を脅かすミサイルを発射して、アメリカの報復を招いても、中国は中立の立場を保つべきだ」と主張しました。一方で、アメリカと韓国が北朝鮮の体制の転覆を試みた場合には「中国は断固としてそれを阻止すべきだ」と訴えました。

ロシア外相「危険性は非常に高い」

ロシアのラブロフ外相は11日、中部のウラジーミル州で行われた若者とのフォーラムに参加した際、アメリカと北朝鮮との間で激しい言葉の応酬が続いていることについて、「強く懸念している」と述べました。さらにラブロフ外相は、アメリカと北朝鮮が軍事衝突する可能性について質問を受けたのに対し、「危険性は非常に高い」と答えたうえで、「けんかになりそうな状況では、より強くより賢い者が危険から離れる第1歩を踏み出すべきだ」と述べ、アメリカに対し事態の沈静化に向けた行動をとるよう促しました。>(以上)

上記の「環球時報」の社説部分(抜粋)を挙げてみます。<中国应当明确,如果朝鲜主动发射威胁美国领土的导弹,并招来报复,中方将保持中立。我们还应明确,如果美韩同盟发动军事打击,试图颠覆朝鲜政权,改变朝鲜半岛的政治版图,中国将坚决出手阻止。>とあり、NHKの訳は「朝鮮半島の政治地図を変えようとするなら」というのが抜けていますが、後は一緒です。

8/12ZAKZAK<国連決議の対北制裁、実効はトランプ氏の対中強硬策がカギ 期待裏切り続けてきた習氏>で田村秀男氏は「思い起こすべきは、中国の軍拡は対米貿易黒字なくして不可能なことだ。グラフはその実態を物語る。」と。

http://www.zakzak.co.jp/eco/news/170812/eco1708120003-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsPhoto

中国人は嘘つきが普通ですから。「騙す方が賢い」と思っている民族を信じることは愚かです。北をさっさと片づけ、次は真の敵・中国と対峙しなければ。中国はインドと戦争を起こすかもしれません。

8/11六辻彰二氏記事<ブータンをめぐる中国とインドのメディア戦:中印開戦を左右する中国の二つの「大国意識」>で。ブータンの国土の2割を掠め取ったと言われる中国ですから。(河添恵子氏:SAPIO 2011年7月20日号掲載)、何も南シナ海や東シナ海だけではありません。

https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20170811-00074422/

米国が北朝鮮と戦争している隙にインドに攻め込むと言う話もあります。国際世論を盛り立てないと。中国が如何に侵略国家であるかを訴え、経済制裁して貿易できないようにしないと。

部谷氏の記事は、戦争のやり方が変わろうとしているのに、自衛隊は追いついていないという事でしょう。日本国内にいる在日中国人がドローンを使ってインフラ攻撃したら、産業はストップするだけでなく、自衛隊も運用できなくなるのでは。自家発電で賄える?

思い起こすのは、日本海軍は航空機の役割を評価したにも拘らず、大艦巨砲主義から脱することができなかったことと、真珠湾攻撃でセカンドアタックを認めなかったことです。セカンドアタックで石油タンクを炎上させて使い物にならなくすれば、結果は違った展開になったかもしれません。既存のやり方を踏襲するだけでは敵にやられてしまうという事です。

ドローン対策はレーザー砲のようなもので?自衛隊員だけでなく警察官にも配備すべきでしょう。ドローンの飽和攻撃にも耐えられるようなことも考えねば。ドローンの7割は中国産です。

http://gigazine.net/news/20150831-boeing-laser-cannon/

<『Laser Avenger』は、近づいてくる航空機を撃ち落とすために使われる対空レーザー砲だ。Boeing社は、『Humvee』に搭載したレーザーで無人偵察機を空中から撃ち落とした。このレーザーのパワーはさほど強力ではなく、ほんの1キロワットほどの微弱なビームだが、遠隔操作の無人機を撃墜することができた。> http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-197.html より。

https://www.change-makers.jp/business/11123

記事

ウクライナ東部バラクリヤで、爆発が起きた弾薬庫から立ち上る煙。同国政府提供(2017年3月23日撮影)。(c)AFP/UKRAINIAN PRESIDENTIAL PRESS SERVICE〔AFPBB News

以前、本コラムで、イラクとシリアでイスラム国が人類史上初の自爆ドローン戦に踏み切った事実を紹介し、これが日本にも深刻な影響を与えると指摘した。

◎「100億円のF-35が数万円のドローンに負ける日」 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48136

この指摘に対してドローンを過小評価する見解も見受けられたが、その後、とうとうドローンによってウクライナ軍の世界最大の弾薬庫が爆破されるという事態が発生し、米国の戦略家たちの注目を浴びている。

以下ではこの事件についての概要や見解を紹介し、我が国への教訓を論じたい。

世界最大の弾薬庫がドローンで破壊

今年3月23日、ロシア軍はたった1機の小型ドローンで世界最大の弾薬庫を爆破してしまった。「ウクライナのKGB」と言われるウクライナ保安庁の発表によれば、ウクライナ東部バラクリヤに存在する約7万トンもの弾薬(10億ドルもの損害)を破壊したのは、たった一発の焼夷型手りゅう弾を積載したロシアの小型無人機だったという。

米陸軍戦争大学特任招聘教授のロバート・バンカーは、「この種の焼夷型手りゅう弾と無人機を組み合わせた弾薬庫への攻撃は、ウクライナ南東部ではすでに二度発生している」と指摘している。

実際、ウクライナではこの2年間、そうした攻撃が上記以外にも以下のように相次いでいる。

・2015年10月29日、スヴァトヴォ弾薬庫が爆破され、3000トンの弾薬が1700軒の民家を巻き込んで吹き飛ぶ。

・2015年12月、小型ドローンがバラクリヤ弾薬庫に少なくとも14個の手榴弾を投下。

・2017年2月17日、ザポロジエの弾薬庫が爆発した。

・同年3月14日、ドネツク近郊のウクライナ軍施設が無人機攻撃を受ける。

これらの攻撃で使用されたのはZMG-1手榴弾だったという。この手榴弾はテルミット式で、爆発するのではなく2200度以上の高熱で炎上し、厚さ1.27cmの鋼板を溶かすことができる。

戦略家たちが重大な懸念

こうした事実は、欧米の戦略家たちの間で重大な危機感を持って受け止められている。

例えば、日本でも「オフショアコントロール戦略」の提唱者として知られ、我が国の防衛省とも交流がある元米海兵隊大佐、国防大学上席研究員のトーマス・ハメス氏は、メディア取材に対して、ドローン攻撃の威力を次のように語っている。

「脆弱な目標であれば、弾頭が小さい無人機でも大ダメージを相手に与えることができる。爆薬は必要ない。なぜなら、すでにそこにあるからだ。この意味で駐機中の航空機も危ない。液化天然ガス施設、石油化学製品工場、燃料貯蔵施設も危ない。また、危険な化学物質の貯蔵タンクは爆発はしないが、破裂すれば壊滅的な影響を与える可能性がある。1984年のボパールの事故では、工場からメチルイソシアナートガスが誤って放出され、3000人以上が死亡した」

現役の米軍人も注目している。マイヤー・ヘンダーソン・ホール基地司令を務めるパトリック・デューガン大佐も、自らの論説の中で以下のように危機感をあらわにしている。

「ロシアの情報機関とゲリラ軍は、ウクライナの基地に対して、ドローンと手榴弾を組み合わせた体系的な攻撃を行っている。なお、バラクリヤが大爆発したのと同じ週、ワシントンの陸軍基地のわずか1キロ以内で、5体の小型ドローンが飛行制限規制を無視して飛んでいた。ドローンを飛ばした飛行者の意図は不明であり、将来の陸軍基地が大丈夫かどうかも不明である」

さらに欧州評議会の無人機専門家、ウルリッケ・フランクは、「こうした弾薬庫は、ちょっと燃やせば大爆発するので、ドローンの小規模攻撃の良い目標だ」とし、先のバンカー氏も「これは弾薬庫だけの問題ではない。航空機燃料タンクや給油したままの民間機も良い目標だ」とメディアにコメントしている。

ゲリラコマンドへの警戒が薄すぎる自衛隊

それでは、これらの指摘を我が国はどう考えればよいのか。

確かにバラクリヤ弾薬庫の保管状況はひどいものであった。いくつかの爆破前の写真を見れば分かる通り、弾薬入りの木箱を大量に野ざらしに置いているような、お粗末極まりないものであった。一方、自衛隊の弾薬庫や備蓄燃料は基本的に盛り土がしてあったり、地下化されているし、弾薬管理は非常に厳密である。

しかし、本件は我が国にとっても看過できない。例えば、航空自衛隊の那覇基地は、那覇空港と共有しており、民間ジェット機が(特に滑走路で離陸時に)破壊され、大炎上すれば幾日かは航空作戦は不可能になる。その間に航空優勢を奪取されるなり、空爆されれば目も当てられない。

また、早期警戒機E-2CやKC-767空中給油機のような、数が少なく、戦力発揮に重要な影響を及ぼす機体も破壊・損傷されれば大変なことになるだろう。一発の焼夷手榴弾および数万円のドローンで、1機100億円のF-35やF-15戦闘機を短期的にでも機能停止に追い込めるならば、非常に効果的である。

そして、航空自衛隊の弾薬庫は高蔵寺等、非常に数が限られており、弾薬庫からのトラックなどへの積み出し時は露出している。こうしたところやトラックでの基地内での移動時に複数のドローンで焼夷手榴弾を投下すればどうなるかは、火を見るより明らかだ。PAC-3等の防空装備も同じような攻撃で無力化されてしまうだろう。

海上自衛隊も同様である。基本的に護衛艦の装甲は薄く、停泊時に狙い撃ちされればひとたまりもない。例えば、イルミネーター、SPYレーダー、艦上の地対艦誘導弾などにドローンで自爆攻撃なり引っかかるような爆発物を落とされればひとたまりもない(VLSのような装甲がある部署は除く)。実際、ソマリア沖に派遣された艦艇は小銃弾で貫通するために装甲板が追加されている。しかも、海自は作戦行動中の低高度低速目標からの防衛訓練は行っているが、停泊時の対策については訓練していない。

陸上自衛隊も同様だ。地対艦誘導弾システム等の高価値目標は平時は駐屯地に駐機しており、装甲もないため、簡単に手榴弾で破壊できるだろう。また、オスプレイも同様である。陸自が南西諸島等に戦力を派遣するために契約している高速船「ナッチャンworld」もアルミ船体でよく燃えるだろう。艦橋も狙いやすく、ここが燃えれば動けないだろう。

もちろん、地対艦誘導弾システム等については「有事が近づけば掘削機でトンネルを掘る」というのが陸自の理屈だが、そうした行動が緊張状態において許されるのか、また、すべてのシステムを格納できるトンネルを掘る時間的余裕があるのか非常に疑問である。

自衛隊は、こうしたゲリラコマンドへの警戒が薄すぎる。自衛隊の訓練等は相対的にほとんどされていない。陸上自衛隊の理屈としては、野戦演習がすべての基礎であり総合戦闘力発揮の基盤なので大丈夫だ、としているが、野戦と市街戦や施設警備がまったく違うというのは子供でも分かるはずだ。

航空自衛隊も、基地警備の人数は非常に足りない。仮に増強したとしても、あの程度ではどう考えてもあの広大な敷地の防衛は不可能である。一部の空自関係者は中国の弾道・巡航ミサイルで空自基地が破壊されても民間空港が使えるなどと豪語するが、せいぜいT/G訓練程度で、そのための訓練も態勢も何もない状況で単なる軍事的妄想でしかない。

自衛隊がドローン1個で壊滅する日

そもそも、三自衛隊のすべてがドローンディフェンダーのようなドローン迎撃用の装備もなく、訓練もしていない。

地対空ミサイルでドローンを迎撃するのは、自衛隊のただでさえ少ない弾薬量を減少させるだけだし、レーダーに映るのかも微妙だ。実際、英国王立防衛安全保障研究所のジャスティン・ブロンク氏も「パトリオットでドローンを撃墜したという事例は明らかに費用対効果が悪く、現代の高価な装備の軍隊が安価で容易に利用できる民間技術に苦戦する課題を露呈している。また、パトリオットのレーダーは、小型ドローンを効果的に狙うのは難しい可能性がある」と指摘している。

もちろん、小銃で迎撃するというのもあるだろう。だが、多くの人間が小銃での迎撃は難しいと語る。そもそもの問題は、平時と有事の葉境期において、自衛隊が不審なドローンを小銃なりミサイルなりの実弾を使用できるかである。しかも住宅が近接している状況で、である。法的に自衛隊が平時に不審な基地に近づく小型ドローンを撃墜が可能かという問題もある。要するに、事実上、能力的、法的に小型ドローンによる自衛隊への攻撃は死角となっている。

しかし、こうしたドローンは家電量販店で数~10万円で購入可能であり、操縦も簡単で目立たない。あとは工作員が焼夷手榴弾等を持ち込めば、簡単に那覇基地等を機能停止に追い込むなり、高蔵寺弾薬庫からのミサイル搬出中に一気に爆破して弾薬欠乏にさせるなり、自衛隊の宮古島に配備した地対艦ミサイルを破壊するなり、あらゆる攻撃が可能である。また、ハメス氏やバンカー氏が指摘するように民間インフラへの脅威も重く受け止めるべきだ。

しかも、こうしたロシア軍のやり方を、A2/AD戦やドローン戦を我が国以上に重視している中国や北朝鮮が真似しないはずがない。その意味で「数万円のドローンで自衛隊は1日で壊滅!」というのは、誇張であっても虚偽ではないのである。今やドローン対策のための装備・訓練・態勢の導入こそ急務なのだ。

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『強力な国連決議で近づいた「北朝鮮先制攻撃の日」 重大決意に直面することになる安倍政権』(8/10JBプレス 北村淳)について

8/12facebookからの記事です。

①8/10ワシントンポスト記事<If Trump wants a nuclear attack against North Korea, his military advisers have few other options=トランプが北朝鮮に核攻撃を望むなら、軍事顧問たちの取りうべきオプションは少ない。辞めるか実行するかである>

https://www.washingtonpost.com/news/checkpoint/wp/2017/08/10/if-trump-wants-a-nuclear-attack-against-north-korea-his-military-advisers-have-few-other-options/?tid=sm_fb&utm_term=.39c7be573e48

②8/10ロイター記事<平壌の金日成広場で9日に政府の対米姿勢を支持する大規模集会が行われた>

Reuters / 2017年 8月 10日 Thursday

People participate in a Pyongyang city mass rally held at Kim Il Sung Square on August 9, 2017, to fully support the statement of the Democratic People’s Republic of Korea (DPRK) government. KCNA/via REUTERS

8/10アンデイチャン氏のメルマガ<金正恩に「ケンショウキン」>

http://melma.com/backnumber_53999_6568133/

米国流に”wanted”と言うのは発想は面白いですが、これが効果を上げたとなると、次に悪い国が悪用するのではないかと心配します。例えば、中国が天皇に懸賞金をかけて、日本の国体を破壊しようとするのではないかと。それに踊らされる在日や反天連が現実に動き出す可能性があります。日本の憲法改正はメデイアに簡単に騙される情弱老人の世代が亡くなってからか、ミサイルが落ちて犠牲者が出てからでないと実現できないと思います。国民は「自分で自分の首を絞めている」のに愚かにも気付いていない状態です。日本のメデイアは中共の手先になって、日本国民を騙し続けて来て、悪辣であることは言を俟ちません。しかし、国民に民主主義を守る自覚があるのかどうか?「騙される方が馬鹿」です。今は既存メデイア以外からも情報が取れるのに、そうしない。日本国がなくなる前に似非平和主義を打倒し、憲法改正を始めとする自衛隊を国軍とする法律改正をしなければ。軍人は反日左翼を含む同胞を守るために戦うのです。徴兵制は足手纏いになるためあり得ません。左翼のプロパガンダです。自衛隊を国軍化し、名誉と補償(死亡・傷害)を与えなければなり手がなくなります。

8/10田岡俊次氏ダイヤモンドオンライン記事<トランプは日韓で多数が死ぬと知りつつ北朝鮮に「予防攻撃」を考える>を読みましたが、流石元朝日新聞記者らしく「極端な「アメリカファースト」思想を露骨に表明したものだ。もし米国がそのつもりなら、日本も「ジャパンファースト」に徹し、米軍を退去させ、戦争に巻き込まれないようにするしかなくなる。」とのこと。日本を中国の属国にするつもりなのでしょう。西村幸祐氏によれば田岡氏の言ってきたことで正しい意見はないとのことです。

http://diamond.jp/articles/-/138120

北村氏の言うように、日本も覚悟を決めないといけないと言うか米国から決断を迫られるでしょう。米国は日本が反対してもやる時はやるでしょう。もし別の提案もなく、反対だけすれば、反対の事実だけ残ります。中国の属国化を防ぐには日米同盟が限りなく重要です。日本単独では防ぎきれません。何でも先送りすれば、脅威をドンドン大きくするだけになります。本来であれば日本が解決(脅威除去)すべきことを米国にして貰う訳です。米国と一体となって戦わねば。

米軍も全面的な核使用ではなく、地下の兵器工場破壊と金正恩の抹殺を狙ってバンカーバスターのB61-11(水爆)を使い、地上では普通のミサイルを使うのでは。地下での使用であれば、地下核実験と同じでしょう。日本にミサイルが飛んでこないように撃ち洩らさないようにお願いしたい。米軍の物量に物を言わせた飽和攻撃で北の軍事力を殲滅してほしい。その後は国連軍管理とするしかないでしょう。韓国に統治能力はありません。米中露の3ケ国管理になるのでは。

記事

北朝鮮国内の非公表の場所で打ち上げられた北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」。朝鮮中央通信(KCNA)配信(2017年7月28日撮影、同月29日配信)。(c)AFP/KCNA VIS KNS〔AFPBB News

米国時間の8月5日、アメリカが提出していた北朝鮮の核ミサイル開発に対する経済制裁決議案が、国連安全保障理事会で承認された。

中国やロシアも賛成した今回の国連安保理決議2371号は、これまでになく厳しい経済制裁手段が盛り込まれた強力な制裁である。トランプ大統領やアメリカ外交当局は、その内容について自画自賛している。

しかしながら、「この国連決議によって、北朝鮮のICBMを含んだ核ミサイル開発プログラムが頓挫し、米軍による軍事攻撃オプションは姿を消すであろう」と考えるのは早計だ。

極めて強力な経済制裁決議である(とアメリカ政府が考える)国連安保理決議2371号は、トランプ政権にとって北朝鮮に対する経済制裁の最後の一手と考えることができる。ということは、今回の国連決議が効果を奏さずに状況がさらに悪化した場合、むしろアメリカによる軍事攻撃というオプションが発動される可能性が高まったと言わなければならない。

北朝鮮に時間を与えてきた国連決議

北朝鮮の核実験やミサイル開発に対する国連安全保障理事会の経済制裁決議は、2006年の決議1718号を皮切りに、2009年(1874号)、2013年(2087号、2094号)、そして2016年(2270号、2321号)と連発されている。それに加えて、アメリカ、韓国そして日本も独自の経済制裁を実施している。

ところが、国連安保理決議1718号から10年以上経過して、それらの経済制裁が何を生み出したのかというと、アメリカ本土を攻撃可能な核弾頭搭載大陸間弾道ミサイルを手にする能力である。経済制裁の目的は全く達成されなかったどころか、真逆の結果が生じてしまったというのが歴史的事実だ。

北朝鮮に対する経済制裁決議が出される都度、北朝鮮あるいは東アジアを専門とする米軍関係戦略家たちは、「また北朝鮮に(核ミサイル開発のための)時間を与えてしまった。ホワイトハウスや国務省などは、本気で北朝鮮の脅威を感じていないのか?」と疑問を呈してきた。北朝鮮のミサイル技術や核技術が伸展すればするほど、軍事オプションは厳しい状況に追い込まれる。戦略家たちは「アメリカ本土に到達するICBMまで手にした場合は、どうするつもりなのか?」と、今日の状況を危惧していた。しかし、その危惧は現実のものとなってしまったのだ。

したがって、このような考え方に立つ軍関係者たちが、「北朝鮮に再び時間を与えて多数のICBMを生み出させたり、核ミサイル技術のさらなる性能向上を計らせたりするほど、ホワイトハウスや外交当局が間抜けとは思えない」と考えても無理からぬところである。つまり、「いきなりアメリカ本土が危険に晒されていることを口実に北朝鮮に先制攻撃を仕掛けるのは、国際社会の手前、乱暴に映りかねない。しかし、国連決議に対する重大な違反を口実に軍事オプションを発動するならば、それなりに格好がつく。だから今回の強力な経済制裁決議は、まさにそのための布石なのだ」というわけだ。

北朝鮮に対する「予防戦争」を準備

実際に、今回の決議案に対する根回しがほぼ決着していた先週には、アメリカ国家安全保障問題担当大統領補佐官ハーバート・マクマスター陸軍中将が、北朝鮮に対する軍事オプションに対して念を押すような発言をしていた。

マクマスター補佐官はアメリカのテレビ番組におけるインタビューで、アメリカは北朝鮮に対する「予防戦争」の計画を準備していることを明言した。これまでもトランプ大統領はじめ政権幹部たちは「北朝鮮に対するあらゆるオプションはテーブルの上に載っている」と軍事攻撃の可能性を否定していない。マクマスター中将も、アメリカが準備している北朝鮮に対する軍事オプションの存在を公の場で強調したのだ。

予防戦争とは、“ほぼ確実な軍事的危機が迫っており、現状のまま手をこまねいているとさらに大きな危機を招いてしまうと考えられる場合に、そのような脅威を未然に除去するために先制攻撃によって開始される戦争”を意味する。要するにマクマスター補佐官は、場合によってはアメリカは北朝鮮に対する先制攻撃を敢行するとの決意を表明したのである。

「アメリカ市民を守るためには仕方がない!」

かねてより北朝鮮に対する先制攻撃を研究してきた米軍関係者の多くは、金正恩政権首脳たちを一斉に葬り去る作戦、北朝鮮の核ミサイル関連施設を短時間のうちに壊滅させる作戦、または両作戦を同時に実施する大規模作戦など、米軍による先制攻撃によって引き起こされる北朝鮮軍の反撃によって、米軍と韓国軍だけでなくソウル周辺の一般市民(外国人も含む)にも甚大な損害が生ずることをシミュレートしている。

そのような犠牲に加えて、かなりの高い確率で、米軍の策源地である日本に対して多数の弾道ミサイルが撃ち込まれることも予想されている。その場合には、当然のことながら、日本国民の間にも多数の死傷者が出ることが不可避と考えられる。

朝鮮の対日攻撃用弾道ミサイルの射程圏

アメリカによる北朝鮮に対する先制奇襲攻撃が開始されてから30分から1時間程度で北朝鮮軍の弾道ミサイル部隊が全滅できなかった場合には、日本にもスカッドER弾道ミサイルやノドン弾道ミサイルが撃ち込まれ、少なからぬ数のミサイル弾頭が着弾することとなる。

このように米軍の先制攻撃によって韓国や日本の一般市民、すなわち無辜の非戦闘員が被る損害の甚大さに鑑みると、これまでは米政権が北朝鮮に対する軍事攻撃に踏み切ることは至難の意思決定であると考えられてきた。

しかしながら、北朝鮮がアメリカ本土を射程に収めた核弾頭搭載ICBMをほぼ確実に手にしてしまった現在、そうした想定は通用しない。「軍事力を行使してでも北朝鮮の核ミサイル開発能力、ならびに金正恩政権を葬り去らないと、これまでのシミュレーションの比ではない計り知れない犠牲を被りかねない。何といっても、その犠牲はアメリカ本土で生活する一般のアメリカ国民にも及ぶのだ」といった論理が浮上し、まかり通ることは十二分に推察できる。

安倍政権は覚悟を決めるとき

かつて太平洋戦争の終盤において、米海軍首脳などは、無数の非戦闘員まで殺戮してしまう原爆の使用に異議を唱えていた。それにもかかわらず、「原爆攻撃により、数十万の米軍側の損害を避けることができる」という正当化理由を振りかざして、二度にわたり原爆攻撃を実施したアメリカである。

「今この時点で北朝鮮の核ミサイル開発施設を壊滅させ、金正恩一派を葬り去らないと、100万人以上のアメリカ市民が犠牲になりかねない」といった正当化理由によってマクマスター補佐官が明言した「予防戦争」が発動される日は、国連安保理決議2371号が発動されたために近づいたのかもしれない。

もちろん、トランプ政権が北朝鮮に対する先制攻撃の最終決断をするに当たって、多数の人的物的犠牲を覚悟しなければならない日本に対して、そして軍事同盟国である日本に対して、先制攻撃の容認、そして協働要請を打診してくるのは当然である。

安倍政権は、日本国民の大きな犠牲を覚悟の上でアメリカによる「予防戦争」に賛同するのか、それとも日本国民の生命財産を保護するために「予防戦争」に断固反対して他の手段を提案するのか、腹を決めておかねばならない時期に突入したのだ。

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『米政権、ラスプーチンと将軍たちとの新たな戦い 火だねを残したホワイトハウスの人心一新』(8/10日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

昨日も書きましたようにマテイス国防長官の影が薄くなっていると思ったら、アフガン派兵問題で、トランプ大統領がマテイス長官の全権を取り上げ、最終判断は国家安全保障会議(NSC)に移されたとのこと。自分の好みで人事を動かしていては山積する課題に向き合えません。すぐに結果を求めても、長く堆積してきた問題を一気に片づけることはできません。

トランプは、本来は真の敵・中国とその手先である北朝鮮を如何に料理するかに力を注がなければならないのに。米国社会も二分化して纏まりに欠ける印象です。黄金時代と言われた1950~60年代にはアメリカンドリームという言葉がぴったりくるような、米国人であれば誰もが経済的な豊かさを享受できていました。それがグローバリズムの展開と共に生産拠点を海外に移し、豊かさを実感できなくなった中流層が多く出て、昨年の大統領選でのトランプ勝利となった訳です。

確かに議会対策がうまく行っていません。でもそれを他人のせいにするのではオバマと一緒では。自分が票獲得の為に電話なり会ったりして協力を要請しないと。ドンドン中国のやりたいようにやられてしまう場面が増えていくでしょう。

北との遣り取りでは、チキンレースの観を呈してきました。北は日本上空を通ってグアム近くへ4発ミサイルを落とすとのこと。8/11TV朝日「ワイドスクランブル」で小川和久氏は「日本上空と言っても宇宙空間なので領空ではない」と言っていました。存立危機事態かどうかの法律適用の話よりも米軍と連絡を密にして、日本側がミサイル防衛で撃ち落とすかどうかを事前に詰めておかないと。今、日米同盟が崩壊すれば、北の核ミサイルで焦土となるか中国の属国になるかだけです。

8/10増田俊男氏記事<変動する世界情勢の真実>には北朝鮮の建国記日9月9日に米軍の対北先制攻撃があるかもしれないとのこと。話が飛び過ぎていて俄かに信じることはできませんが。

http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h29/jiji170810_1183.html

また8/11facebookの記事から鍛冶俊樹の軍事ジャーナル第292号(8月10日) *北朝鮮、広島を威嚇

トランプが北朝鮮に「炎と怒り」を込めて警告し、北朝鮮がそれに反発した声明を出す。こうして口でやり合っている間は、戦争にならないから誠に平和な光景だと言う見方も出来ない訳ではない  だが7月5日号で指摘した通り「世界大戦」は既に始まっている。現代の戦争は情報戦争が中心になっており、情報戦争は別名「見えない戦争」と呼ばれる。つまり米朝のこのやり取りも世界大戦の一コマなのである。

今日の北朝鮮の声明では、広島県等の上空を通過しグアム島近くに着弾させる作戦計画を検討中だという。北朝鮮の弾道弾には中国のGPSが組み込まれているから、この軌道は中国の承認を得ていることになる。  もっと言えば他ならぬ中国がこの作戦計画の概要の発表を北朝鮮に命じたのであろう。なぜ命じたかと言えば、上旬にフィリピンの首都マニラで開かれたアセアン地域フォーラムで中国の目論見が外れたからだ。  この会合では、中国は北朝鮮問題だけを議題にし、中国の海洋進出問題を隠蔽する狙いがあった。もともと中国は米国に北朝鮮問題で影響力を行使する見返りに、中国の海洋進出を大目に見るように働きかけていた。  それでいて北朝鮮を蔭では支援したのは、北朝鮮問題が大きくなればなるほど、米国は中国に頼らざるを得なくなり、最終的には中国の海洋進出を黙認せざるを得なくなるという読みからである。

ところが、河野外相は外交デビューにもかかわらず、この問題を公然と持ち出し、世界中に問題の所在を明確にアピールした。これでは夜中にコソ泥に入ったところを撮影されて公表された泥棒の様なもので、「あなたには失望した」との王毅外相の言葉は、勲章と言っていい。  赤っ恥を掻かされた中国の返礼が、まさに今回の北朝鮮の声明である。被爆地である広島の上空を通過し、米軍の南太平洋最大の拠点グアム島を狙う弾道は、核兵器禁止条約を日本が批准すれば、世界中から核兵器がなくなると思い込んでいる日本のお花畑に除草剤を撒いて見せた。

前号で指摘した通り、中東のISの首都ラッカが陥落しない限り、米国は朝鮮半島に空母3隻を展開できない。2隻でも攻撃可能だが、湾岸戦争の様な完全試合を望むのであれば空母3隻は欠かせない。  見えない戦争(情報戦争)はやがて、見える戦争(正規戦)に転化する。その時期は早くて年末、遅くとも来年前半であろう。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)>(以上)

まあ、いろんな人がいろんなことを言っていますが、時期の問題は別にして、戦争は起こると見ています。いつ起きても大丈夫なように、覚悟と機敏な行動が取れるよう準備をしておきたいものです。

記事

新たに大統領首席補佐官に就任したジョン・ケリー氏(写真:AP/アフロ)

—ドナルド・トランプ米大統領は、課題山積の中で17日間の夏休みに入りました。7月のホワイトハウスはまさにハリケーンが襲ったような感じでしたね。

高濱:8月に入ってもハリケーンの余波はホワイトハウスをすっぽりと包んでいます。まだまだ不安定な天候が続くと見る「政界天気予報」もあります(笑)

トランプ大統領は、ロシアとの不透明な関係をめぐる「ロシアゲート」疑惑に対して積極的な動きをとらないと見なしているジェフ・セッションズ司法長官を更迭する可能性すらほのめかしているのですから。

7月28日にはラインス・プリーバス大統領首席補佐官(*1)を、同31日には10日前に起用したばかりのアンソニー・スカラムチ広報部長(*1)をそれぞれ更迭しました。同26日には、ショーン・スパイサー報道官(*1)が辞任しています。 *1:プリ―バス氏の後任には7月31日、ジョン・ケリー国土安全保障長官が就任。スパイサー氏の後任はサラ・ハッカビー・サンダース副報道官が7月21日に昇格。スカラムチ氏の後任は8月6日現在未決定。

政権発足から6カ月の間に首席補佐官、国家安全保障担当補佐官、報道官が全員交代するという異例の事態です。それでも「裸の王様」と化したトランプ大統領は、得意の「You’re fired!」(*2)(お前は首だ!)の連発でした(笑) *2:トランプ氏はかつてテレビ番組「アプレンティス」(見習い)に出演。「You’re fired!」を決まり文句として使ったため、この表現は同氏のトレードマークになった。

—ホワイトハウスの内紛はこれまでにも噂されてきましたね。

高濱:トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー上級顧問に連なる中道派と、スティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問らの保守強硬派との確執が注目されてきました。

その中で両派の間に立って蝶つがいの役割を果たしてきたのが、プリーバス首席補佐官でした。共和党全国委員長だった経験からトランプ大統領と共和党保守本流の連絡役でもありました。そのプリ―バス氏の首を斬ったのですからワシントン政界は開いた口が塞がりません。

—プリーバス氏を更迭した理由はなんですか。

高濱:プリーバス氏が「ウエストウィング」(ホワイトハウス行政府)を取り仕切ることができていたのは、一にも二にも大統領との信頼関係でした。

首席補佐官は閣僚外の役職ですが、日本で言えば、内閣官房長官です。首席補佐官のオフィスは大統領執務室に一番近いところにあり、大統領に会おうと思えばいつでも会えます。

トランプ大統領はそのフリーバス氏を7月に入って遠ざけ始めたんですね。理由は、ロシアゲート疑惑への対応にしても医療保険制度改革(オバマケア)を撤廃・代替する法案にしてもうまくいかないのは「お前が悪いんだ」と、責任をプリーバス氏になすりつけたのです。

加えてプリーバス氏は、クシュナー上級顧問やバノン首席戦略官とは異なり、大統領選を一緒に戦った「譜代」ではありません。政権発足と同時に陣営に入った「外様」です。本人はそう思わなくても、トランプ大統領に対する「忠誠心」に差がありました。

もっとも山積する課題が解決しないのは、プリーバス氏だけの責任ではありません。最大の理由は、トランプ大統領自身が思いつきで政策を決定することと、ツイッターによる暴言・放言です。

保守系新聞のウォール・ストリート・ジャーナルは7月30日付の社説でこう指摘しました。「ホワイトハウスが混乱する原因はプリーバス氏ではなく大統領自身にあることを認識しない限り、いくらスタッフを刷新しても問題解決にはならない」 (“WSJ says ‘Trump is the problem, not Priebus, ” Brian Freeman, www.newsmax.com.,7/30/2017

ケリー新首席補佐官は軍隊式秩序を持ち込めるか

—プリ―バス首席補佐官を追い出したのは、「ホワイトハウスのラスプーチン」とも呼ばれているバノン首席戦略官と言われていますが……

高濱:そう言われています。トランプ大統領はバノン氏を怒鳴りつけたり、批判したりしているのですが、同氏は同大統領の「アルターエゴ」(alter ego=分身)的存在です。トランプ大統領の思考を理路整然と整理する知的同志なのですね。

それにロシアゲート疑惑の追及はひたひたとウエストウィングに押し寄せています。トランプ大統領の最側近であるクシュナー氏は疑惑を晴らそうと議会証言に臨みました。当面はなんとか切り抜けたものの、疑惑から完全に抜け出せたとはいえない状態です。

バノン氏は側近グループでは唯一、ロシアゲート疑惑と無関係とされています。そのためウエストウィングで最近特に影響力を強めています。

—プリーバス氏に代わって急きょ、首席補佐官に起用されたのは軍人出身のジョン・ケリー国土安全保障長官ですね。

高濱:中南米を担当する南方軍司令官でした。トランプ大統領はケリー氏に、情報管理を含め軍隊式の規律と秩序をホワイトハウスにもたらして欲しいようです。

ジェームズ・マティス国防長官(元中央軍司令官)、H.R.マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当、元陸軍中将)に続き、首席補佐官までが軍人出身者になったわけです。

—退役将軍が政権の中枢に座を占めてもあまり批判が出ないのはなぜでしょう。

高濱:米国ではシビリアン・コントロールがそれだけ定着しているからかもしれません。それにこの3人の将軍は、輝かしい軍歴もさることながら、ワシントン政界や言論界でも人品骨柄申し分ないと太鼓判を押されている人たちですから。むしろトランプ政権を立て直すのはこのマティス長官、マクマスター補佐官、それにケリー補佐官の3人と言われているくらいです。 (“100 days, Trump’s Generals seen as a moderating force,” Tom Bowman, NPR, 4.28.2017 )

「ノーナンセンス・アプローチ」だが、安定化には火種残る

—これで“ハリケーン一過”、トランプ政権は仕切り直しで順風満帆となりますか。

高濱:それが、そうもいかないようです。暗雲は依然として立ち込めています。

タイム誌でホワイトハウスを担当しているゼーキ・J・ミラー記者はこう指摘しています。「ケリー氏を首席補佐官に起用したことを評価する声が大方だ。だがノー・ナンセンス・アプローチ(現実的でしっかりしたアプローチ)ではあるものの、混乱しているホワイトハウスを安定させることができるかどうかはまだ分からない」

「ホワイトハウス高官の一人は、『トランプ大統領はケリー首席補佐官に強力なリーダーシップを期待している』と言っている。だが、トランプ大統領自身が唯我独尊、勝手な言動と決定を続けている。大統領がそれをやめない限り、ケリー補佐官が本当にリーダーシップを発揮できるかどうか。不安定要素は残ったままだ」 (“What the White House Staffing Changes Mean.” Zeke J. Miller, Time.7/31/2017

アフガニスタン派兵規模をめぐって対立

—バノン氏とマクマスター補佐官が対立していると言われます。直近の案件はなんですか。

高濱:アフガニスタン情勢をめぐっての案件です。具体的には、トランプ政権としてどのようなアフガニスタン戦略を策定するか。「オバマ政権のアフガニスタン戦略は間違っていた」(トランプ大統領)のであれば、それに代わる新しい戦略を打ち出さなければなりません。ところが政権発足から6カ月たってもはっきりした戦略を出せずにいるのです。

アフガニスタンには依然として8400人の米軍兵士が駐屯しています。治安状況は厳しいまま。主要な反政府武力勢力であるタリバンのほか、「ISILホラサーン州」を称する勢力などが各地でアフガニスタン政府軍への攻撃を繰り返しています。テロなどによる民間人の死者は17年上半期だけで1662人と、前年同期比で2%も増加しているのです。8月3日にはカンダハル州でタリバンが自爆テロを起こし、米軍兵士2人が死亡しています。 (“Iran Gains Ground in Afghanistan as U.S. Presence Wane,” Carlotta Gall, New York Times, 8/5/2017

トランプ大統領の考えは「米兵はアフガニスタンから1日も早く引き揚げるべきだ」と単純明快です。しかし、情勢が悪化する中で直ちに撤退はできません。好転させるには増派せざるを得ない。マティス国防長官は少なくとも3000人の増派が必要だと見ています。

全権移譲されていたマティス長官が増派を決めれば実地に移されるはずだったのですが、最近になってトランプ大統領がその全権を取り上げてしまいました。最終決定は国家安全保障会議(NSC)の判断にゆだねることになりました。

マクマスター補佐官は、マティス長官の意見に賛同しています。しかし、バノン氏がこれに横やりを入れている。バノン氏は「われわれは勝っている。だから引き揚げろ」という考えです。トランプ大統領はバノン氏の考えに賛同しているふしがあります。

—バノン氏が大統領の耳元でなにやら囁いているのが目に浮かぶようですね。ケリー首席補佐官としては、バノン対マクマスターの確執を和らげ、ウエストウィングに秩序を取り戻すことが最初の腕の見せ所ですね。

高濱:悪いことに、バノン氏の主張を超保守系メディアがリングの外で支援しています。バノン氏の古巣であるブライトバード・ニュースはじめ、FOXニュースでホストを務めるショーン・ハニティ氏たちです。同氏はトランプ支持のハードコアです。

こうしたメディアは8月に入って「マクマスターはオバマ政権からの生き残りに追従している」「マクマスターは本当にトランプ支持者なのか」などと批判し始めています。集中砲火を浴びせているのです。 (”The War Against H. R. McMaster,” Rosie Gray, The Atlantic, 8/4/2017

大統領がほのめかす「マクマスター・アフガン駐留米軍司令官」説

—トランプ大統領はどちらの肩を持っているのですか。

高濱:心情的にはむろん、バノン氏を信頼しています。ただマイケル・フリン氏が大統領補佐官(国家安全保障担当)を辞任したあと、マクマスター将軍を三顧の礼で迎え入れたのですから、そう簡単に更迭するわけにはいきません。それにマクマスター氏は軍事問題の権威、文武両道兼ね備えた学者将軍です。

トランプ大統領は最近になって、「アフガニスタンの戦局が好転しないのは、ジョン・ニコルソン司令官の責任だ。奴を更迭して別の将軍を送れ」といい出しました。これもバノン氏の入れ知恵でしょうね。

直接の上司であるマティス長官や国防総省(ペンタゴン)の制服組最高幹部はニコルソン司令官の続投を主張して反発しています。

こうした状況の中でトランプ大統領は、ニコルソン司令官を更迭し、その後釜になんとマクマスター補佐官を送ることを考え始めたといわれています。

—となると、マクマスター氏の後任は誰になるのですか。

高濱:マクマスター補佐官の後任には、マイク・ポンペオ米中央情報局(CIA)長官(*3)を横滑りさせるというのです。米メディアは「ホワイトハウスのドミノ現象」と呼んでいます。 *3:ポンペオ氏は下院議員。米陸軍士官学校卒の退役陸軍大尉、ハーバード大法科大学院卒の弁護士。マクマスター氏の後任になれば、引き続き軍人出身者が大統領補佐官(国家安全保障担当)になる。

—マクマスター補佐官の反応はどうですか。

高濱:マクマスター補佐官は、NSCの人事刷新を終えたばかりです。ロシアゲート疑惑で事実上解任されたフリン前補佐官が引き連れてきた人材を一掃しました。

7月末までに、上級部長のエズラ・コーエン・ワトニック氏、情報担当首席補佐官のテラ・ダール氏、中東政策補佐官のデレク・ハービィ氏、戦略担当部長のリッチ・ヒギンズ氏を更迭しました。 (“White House purging Michael Flynn Allies From National Security Council,” Glenn Thrush and Peter Baker, New York Times, 8/2/2017

マクマスター補佐官としては、自前のスタッフを集めて、さて仕事を始めようとしていた矢先に、“戦場送り”になる可能性が浮上したわけです。相当、頭にきているのではないでしょうか。戦場送りにされるようなら辞表を叩きつけるかもしれません。

—なるほど、ホワイトハウスが混乱している最大の要因が大統領自身であることが手に取るようにわかります(笑)。それでこれからどうなるのですか。

高濱:「神のみぞ知る」ですね。

しかし、トランプ大統領にとっては、お膝元の内紛どころじゃない状況が続いているのです。内政・外交もさることながらロシアゲート疑惑に対する捜査が新たな段階に入りました。

ホワイトハウスの「ドミノ現象」が続く中で、ロバート・モラー特別検察官がロシアゲート疑惑をめぐって大陪審を招集したことが3日に明らかになっています。捜査は当面、トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏とロシア人弁護士の面会(16年6月9日)などロシア側との接触が焦点になっているようです。

トランプ大統領はモラー特別検察官を捜査から外す可能性を否定していません。同特別検察官を解任するのではないのかといった憶測も消えていません。

内憂外患、17日間もゴルフなぞしている余裕はないはずです……。打つ手なしだからゴルフ三昧しかない、のかもしれませんが。注目はこれからの17日間、トランプ大統領がツイッターで何を発信するかですね。

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『中国にも凄んで見せたトランプ 国連の「強力な制裁」は引き出したが……』、『「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国 中国は「その手」に乗るのか』(8/9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

本記事を読んで、マテイス国防長官はどう思っているのか聞いてみたいと思いました。以前は「軍事的手段の前に、やるべきことは沢山ある」と言っていました。しかし、北は米全土に届くICBMかつ核弾頭の小型化が完成(ワシンントンポスト)したのであれば、状況も変わったと思います。まあ、この話も米国が北朝鮮を攻撃しやすくするために意図的に流したものかもしれませんが。なお、8/9にはマテイス長官が声明を出しました。8/10NHKニュース<「北朝鮮は体制の終わりにつながる行動停止を」>と。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017080100606&g=prk

http://www.sankei.com/world/news/170809/wor1708090009-n1.html

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170810/k10011095371000.html

7/14ぼやきくっくりブログから7/10虎ノ門ニュースの青山繁晴氏の発言米朝戦争「近づいてない」マティス国防長官  米軍の前線トップのマティスさんが、別に北朝鮮がICBM発射実験をやったからと言って、北朝鮮とは戦わないよと言ったように見えますが、これ2つの意味で、そうではない。  マティスさんは何言ってるかというと、警告してる。  本当にやる時にはやらざるを得ないけど、その時には犠牲が出ますと。  米国民も、日本国民も、韓国民もそれを踏まえて下さい、こんなはずじゃなかったって話をしないで下さい、民間人すら犠牲が出かねないってことをちゃんと踏まえたうえで、軍の活用を考えて下さいってことをずっとおっしゃってる。  それがひとつ。  もうひとつは、アメリカがかつて北朝鮮にやった制裁の中で唯一効いたものがあって、それをまだ完全にやりきれてないから、それをやりましょうって意味もある。  それは何かというと、金融制裁。  北朝鮮がマネーロンダリングする時に、バンコ・デルタ・アジアが協力してきたから、そういう銀行にもうドルは扱えないというのをかけたら、北朝鮮は本当に根を上げた。  ブッシュ政権の末期だったが、あの時続けてたら、拉致被害者が帰ってくることも含めて、今の北朝鮮はなかった。  アメリカの一官僚が、北朝鮮は話が分かったと言って、一緒にワイン飲んだり中華料理食ったりして、当時、関西テレビ「アンカー」水曜日で徹底的に批判したが、批判したのは少数派で、日本の評論家やコメンテーターはやっと米朝雪解けだと、素晴らしいと言ってたわけですよ。  このために実は北朝鮮は今の事態に至った。  それをアメリカはさすがに記憶してて、金融制裁を改めてやろうとしたんですが、その前に、北朝鮮が手を打ってて、1カ所に、資金を集めていった。  チャイナです。  だからトランプさんが最近チャイナに、思ったほどやってくれないじゃないかとずっと言ってるのは、石油のパイプラインを止めないことと、ちゃんと中国の銀行、共産党政権なんだから全部コントロールできるだろうと。  なのにやってないのはどういうわけかと。  これを中国の銀行といえどもドルを扱えなくなったら、人民元は本当は通貨と言えないシロモノだから、もう行き詰まっちゃうわけですよ。  これをやったら下手すると世界経済は凍り付いて、大不況。  世界恐慌になると言ってるマーケットの関係者もいます。  それをマティスさんは言ってる。  膨大な犠牲が出る米朝戦争の前に、この金融制裁の完成は必ずやるべきだと。  それでも北朝鮮がなぜか倒れないとなったら、分かりました、犠牲は払うけれどもやりますと。  だから米軍は今までになかった訓練(前項参照)をやってる。>

国連制裁決議なんて北朝鮮にとって痛くも痒くもないでしょう。どうせ嘘つき中国が裏から手を差し伸べる筈です。時間稼ぎに使われるだけ。安保理全会一致なんて各国国連大使の自己満足だけです。北の横暴を抑える力とはなりません。青山氏や渡邉哲也氏のように一番効くのは金融制裁です。北と取り引きのある銀行は、いかなる国の銀行であろうとも米国との取引ができないようにすれば良いです。これこそが基軸通貨国としての強みです。中国が欲しがっても絶対手に入れられないものです。それはそうでしょう。自由な資本取引を認めない国の通貨が基軸通貨になることはありません。米国は何故逡巡するのかです。

キッシンジャーもやはり中国の手先です。「金正恩政権の崩壊後は在韓米軍をおおむね撤収する」とまで、中国に約束して、中国が強大化することに加担しようとしています。真の敵が誰かを分かっていません。まあ、中国から賄賂漬けの身としては如何ともしがたいでしょうが。

北は中国にダシとして使われているだけです。瀬戸際政策をして、どこで米国の怒りを買うかを愚かな金三胖は身を以て中国に見せる役割を演じさせられています。ミサイルを誘導させる人工衛星は多分中国が利用させているのでしょうし、緩衝国家が必要と言う論説を流布してきていますが、それなら南モンゴル、ウイグル、チベットも独立させて緩衝国家にすれば良いのにそうはしません。中国の都合の良いように論理を組み立てているからです。チベットは中国、ASEANの水源ですから、独立させれば中国も勝手にダムを作って来てASEANに迷惑かけてきたというのが身を以て分かるようになるでしょうけど。在韓米軍が撤退すれば、すぐ、人民解放軍が金三胖を捕えて処刑し、首を挿げ替えるかもしれません。キッシンジャーは甘いです。中国は約束を守った試しがありません。本来、キリスト教のロシアの方がまだ信頼できるのでは。

鈴置氏の言う「日本人の覚悟」というのは朝鮮半島も中国の軍門に下れば、日本が中国とぶつかる最前線になるという事でしょう。アチソン声明通りです。しかし、南シナ海も中国の手に握られそうになっている所が大きな違いです。オバマの8年間のツケが大きかったでしょう。もっと言えば、中国を此処まで強大化させて来た、米日に責任の大半はあります。やはり国際ルールを守らない中国に金融制裁すべきです。

記事

8月5日、国連安保理は新たな北朝鮮制裁決議を採択した。手前右側の挙手する女性は米国のヘイリー国連大使(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

国連の「強力な制裁」で、北朝鮮は核武装を諦めるのか。

口だけの中国に失望

—国連安保理が「強力」とされる対北朝鮮決議を採択しました。

鈴置:8月5日、北朝鮮への制裁強化の決議を全会一致で採択しました。石炭、鉄・鉄鉱石、鉛、海産物の輸出を全面的に禁止しました。

北朝鮮の外貨獲得手段にタガをはめることで、核・ミサイル開発の資金源を断つ狙いです。海外での北朝鮮労働者の新規受け入れや北朝鮮の企業との新たな合弁・共同事業の禁止も盛り込みました。

—中国やロシアは制裁強化に慎重でした。今回はなぜ賛成に回ったのですか?

鈴置:7月4日と28日の北朝鮮の2回のICBM(大陸間弾道弾)試射の後、米国が戦争も辞さないとの強い姿勢を見せるようになったからです。

トランプ(Donald Trump)大統領は7月29日、ICBMの試射についてツイッターを連投しました。初めのと、次のつぶやきのポイントを訳します。

中国にはとても失望した。

彼ら(中国)は北朝鮮に関し我々に何もしてくれない。口だけだ。このままじゃおかないぞ。中国はこの問題を簡単に片づけられるのに!

死ぬのは向こう側

米国のヘイリー(Nikki Haley)国連大使も7月30日「対話の時間は終わった」と語りました。CNNが「‘Time for Talk is Over’: US grapples for new approach on North Korea」で報じています。

「対話が終わった」と言うことで「戦争の覚悟」をちらつかせたのです。その変化を中国も見てとりました。王毅外相は8月6日「(朝鮮半島情勢は)危機の臨界点に迫っている」と語りました。

中ロを動かす決定打となったのが、トランプ大統領の「戦争をやっても米国側に死者は出ない」との発言と思われます。

大統領が自身に面と向かって語った言葉として8月2日、共和党のグラハム(Lindsey Graham)上院議員が以下のように述べました。NBCの「Sen. Lindsey Graham: Trump Says War With North Korea an Option」から引用します。

If there’s going to be a war to stop [Kim Jong Un], it will be over there. If thousands die, they’re going to die over there. They’re not going to die here.

正確に訳せば「もし(金正恩=キム・ジョンウンを)止めるための戦争になっても、それは向こうで起こる。数千人が死んだとしても、死ぬのは向こう側だ。こちら側では死なない」。

中国の銀行にも制裁を

—はっきりと言ったものですね。

鈴置:でも、この発言が――「戦争を怖がってはいないぞ」と言い切ったことが、国連制裁への中国やロシアの賛成を引き出したと思われます。

それまで、中国の外交関係者からは「トランプは口だけ。戦争に踏み切る勇気はない」と米国を甘く見る発言が聞こえていました。

「死ぬのはお前だ」発言は一義的には北朝鮮向けですが、同時に中国向けの脅しでもありました。

米国の議会やメディアも一気に強硬論に傾きました。共和党のガードナー(Cory Gardner)上院議員もCNNに寄稿した「Senator: How to really turn the screws on North Korea」(8月2日)で「言葉の時は終わった」(The time for words is over )と言い切っています。

さらに「北朝鮮と取引する中国の金融機関などにも制裁を科すべきだ」とトランプ政権に要求しました。米国で盛り上がる「中国への制裁論」も、中国を対北制裁決議への賛成に向かわせたと思います。

ガードナー議員は上院外交委員会・アジア太平洋小委員会の委員長を務める大物です。朝鮮半島問題にも詳しく、5月に訪韓しました。

その際、韓国の国防長官に対し、THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)を見直すなら米韓同盟を打ち切るぞと脅しました(「『第2次朝鮮戦争』を前に日米を裏切る韓国」参照)。

対話を呼びかけた国務長官

—同じ頃「米国務長官が北朝鮮に対話を呼びかけた」との報道もありましたが。

鈴置:8月1日の記者会見で、ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が「我々は北朝鮮の敵ではないと伝えたい」「北朝鮮と、その安全と繁栄を保障する未来をじっくりと話し合いたい」と述べました。原文は以下です。

we’re trying to convey to the North Koreans we are not your enemy, we are not your threat, but you are presenting an unacceptable threat to us, and we have to respond.

We would like to sit and have a dialogue with them about the future that will give them the security they seek and the future economic prosperity for North Korea, but that will then promote economic prosperity throughout Northeast Asia.

米国の北朝鮮に対する基本方針は「圧力と対話」でした。北朝鮮が核武装に向け時間稼ぎに利用する対話には否定的ですが、対話を頭から拒否はしていなかったのです。

「北朝鮮を潰す意図もない」ことを示すために、ティラーソン国務長官は5月3日、国務省職員への演説で、いわゆる「4つのNO」を約束しました。

北朝鮮が核開発を放棄するなら(1)体制変更は求めない(2)金正恩政権の崩壊を目指さない(3)朝鮮半島の統一を加速しない(4)38度線(軍事境界線)を越えて北進しない――です。

8月1日の会見でも「4つのNO」を繰り返していることから見て、ティラーソン国務長官は米国で盛り上がる強硬論の軌道修正を図ったと思われます

対話を拒否した副大統領

でもワシントンは、そんな融和的な姿勢はとても許されない空気になっています。ペンス(Mike Pence)副大統領は翌8月2日、記者らに北朝鮮との直接対話は拒否すると語りました。

前日のティラーソン発言を否定したものです。WSJが「Pence says U.S. Won’t Hold Talks with North Korea」(8月2日)で報じています。その部分は以下です。

U.S. Vice President Mike Pence rejected the notion of holding direct talks with North Korean leader Kim Jong Un aimed at curbing the nation’s , nuclear weapons program saying the right strategy doesn’t involve “engaging North Korea directly.”

WSJの8月2日の社説「Tillerson’s Korea Confusion」はティラーソン国務長官の「敵ではない」との発言を取り上げ「米国の都市を長距離ミサイルで狙う北朝鮮が敵ではないと言うのは明らかな偽善であり、米国を弱く見せる」と厳しく批判しました。

Saying that North Korea is not an enemy even as it threatens American cities with its new long-range missiles is obviously false and makes the U.S. look weak.

サブ見出しは「The Secretary of State offers happy talk about Chinese cooperation」。スラングを使って意訳すれば「中国との協力にいまだ期待する国務長官の脳内お花畑」です。WSJは「まだ、そんな甘い願望を持っているのか」とため息をついたのです。

55%が軍事的解決を支持

—米国人は日本が考える以上に怒っていますね。

鈴置:北朝鮮は「米国を先制核攻撃する」と公言しています(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。その北朝鮮が米国まで届くICBMを保有したのです。当然、普通の米国人は、自分の身に及ぶ脅威は自らの手で取り除こうと考えます。

EEZ(排他的経済水域)にミサイルを撃ち込まれても「抗議する」と繰り返すだけの自国政府に、不満も漏らさない日本人とは大いに異なります。

FOXニュースが7月16-18日の間に実施した世論調査で、米国人に「外交的な手段だけで北朝鮮に核・ミサイルを放棄させられない場合、米国は軍事力を使っても阻止すべきと思うか」と聞いています。

55%が「軍事力を行使」と答えました。「あくまで外交手段で」と回答したのは29%です。4月23―25日の調査では、それぞれ51%と36%でしたから、世論も戦争に傾いていることが分かります。

難民で中国だけが損

—しかし、国連安保理が「強力な制裁決議」を採択しました。戦争は避けられるのでは?

鈴置:「強力」と言っているのは採択に関わった外交関係者だけです。自画自賛です。この制裁の効果がどれだけ上がるかは疑問です。まず、中国やロシアが本気で制裁を実施するかは不透明です。

仮に完全に実行したとしても、実効がどれだけあるか怪しい。北朝鮮の輸出を止めると言っても全体の3分の1程度。外貨収入を3分の2に減らされたからといって、北が核・ミサイル開発を諦める可能性はまずない。少なくとも、即効性は期待できません。

米国が求めた石油の対北朝鮮輸出の禁止を盛り込めば、かなり威力を発揮したことでしょう。これをやられると北朝鮮経済はマヒしますし、ミサイルの燃料も確保しにくくなったのですが……。中国などの反対で盛り込めませんでした。

—なぜ、中国は石油の禁輸に反対したのでしょうか。

鈴置:中国の国益を大きく損なうからです。禁輸で北朝鮮経済が混乱すれば、難民が中国になだれ込むのは確実です。

トランプ大統領は「中国ならできる」とツイートしました。そりゃできますが、やったら「中国だけが損を見る」のです。

習近平主席がもしツイッターを愛用していたなら「米国は自己中心的だ。人の身になって考えろ!」とつぶやいたと思います。

第2のミャンマーに

—中国の立場からすれば当然ですね。

鈴置:だから「北朝鮮の石炭などの輸出を止める」との国連での約束も、本当に効果が出そうになったら、中国は手を緩めると思います。

中国にはあと2つ、本気で経済制裁に踏み切りたくない理由があります。まず、北朝鮮を「米国側の国」にしかねないことです。

北朝鮮が核・ミサイル開発を諦めたら、米国が救いの手を差し伸べます。米国は旧敵と良好な関係を築くのが得意です。ドイツや日本、中国ともそうでした。

北朝鮮も米国といい関係を築くことが、隣の超大国の干渉を避ける最大の手段と考えています。

もし米朝が一気に関係を改善したら、中国外交の屈辱と言われるミャンマーの「離中接米」の二の舞です(「次は北朝鮮に触手?米国、中国包囲網つくりへ全力」参照)。

経済制裁を通じて北朝鮮に核を放棄させたら、中国は米国の強力な友好国を自分の下腹に抱えることになりかねない。「骨折り損のくたびれ儲け」どころか、外交上の大失態です。

米韓同盟を破壊するチャンス

—中国が北に核を放棄させたくないもう1つの理由は?

鈴置:北朝鮮に、米国まで届くICBMの配備を諦めさせると中国は「得べかりし利益」を放棄することになります。

北朝鮮が米本土を核攻撃できるようになると、韓国人は米韓同盟を疑うようになります。「もし北朝鮮が核で脅してきた場合、米国はワシントンやニューヨークを核攻撃されるリスクを冒してまで韓国を守ってくれるだろうか」と考えるからです。

要は、米国の「核の傘」の威力が衰えるのです。専門用語を使えば「核の拡大抑止が効かなくなる」わけです。

韓国では自ら核武装するという案と、中国の核の傘を頼ろうという案が急浮上するでしょう。すでに前者は堂々と語られるようになっています。これは『孤立する韓国、「核武装」に走る』(2016年10月刊)でじっくり論じています。

後者は大っぴらには語られにくいでしょうが、中国への外交的な接近・密着という形で、実質的に進むでしょう。

「中国の核の傘」なら信頼

—中国の核の傘は米国の核の傘よりも確実なのですか?

鈴置:確実です。北朝鮮が米国を核攻撃する可能性は低い。なぜなら、米国に核で反撃されたら国が消滅するからです。

しかし、核を使うぞと北朝鮮が米国を脅しただけで、米国が本気で韓国を守るのか「疑い」が生まれます。韓国は動揺し、米国との同盟を信頼できなくなります。

一方、北朝鮮は中国を核攻撃するぞと脅すことさえできません。経済的に生殺与奪の権を中国に握られているのです。そんなそぶりを見せただけで政権を倒されてしまうでしょう。韓国から見れば「中国の核の傘」は「米国の核の傘」よりもはるかに信用できるのです。

話をまとめます。中国が北朝鮮の核武装に歯止めをかけると、せっかく中国側に転がり込みそうになっている韓国の動きをも止めてしまうのです。

2017年5月に反米親北の文在寅(ムン・ジェイン)政権が誕生し、米国からの遠心力が働き始めました。この大統領は「反米書籍」を国民に推薦したばかりです(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。中国がこの機会を見逃すはずがありません。

韓国が米国を離れ中国に傾けば、日本も動揺します。「日米同盟をやめて中国と同盟しよう」とまではいかないにしろ「米中等距離外交」を主張する声が出てくるのは確実です。すでに、民主党政権時代に「米中等距離」を目指した実績が日本にはあるのです。

首のすげ替え論が登場

—そんな中国の事情を米国は理解しているのでしょうか。

鈴置:もちろんです。北朝鮮のICBMの試射以来、米国で「金正恩のすげ替え論」が公然と語られるようになりました。それも中国のお家の事情と、大いに関係していると思います。

(次回に続く)=8月10日掲載予定

ポンペオCIA長官は7月20日、「核と金正恩は切り離さなければならない」と語った(写真:AP/アフロ 2017年4月撮影)

前回から読む)

米国で浮上する北朝鮮の体制変更論。それは米韓同盟消滅の伏線でもある。

CIA長官が言い出した

前回は「米国で金正恩すげ替え論が公然と語られ始めた」というところで終わりました。

鈴置:初めに「すげ替え」を語ったのはポンペオ(Mike Pompeo)CIA長官でした。7月20日、コロラド州でのシンポジウムの席でした。

CNNの「CIA chief signals desire for regime change in North Korea」が伝えています。発言を引用します。

It would be a great thing to denuclearize the peninsula, to get those weapons off of that, but the thing that is most dangerous about it is the character who holds the control over them today,

So from the administration’s perspective, the most important thing we can do is separate those two. Right? Separate capacity and someone who might well have intent and break those two apart.

As for the regime, I am hopeful we will find a way to separate that regime from this system,

ポンペオ長官はまず、北朝鮮の核の脅威を核兵器そのものと、それを行使しかねない金正恩(キム・ジョンウン)委員長に2分しました。

そのうえで、最大の危険要因である後者を前者から切り離そう――金正恩体制を転換しようと言ったのです。要は「金正恩の首をすげ替えよう」と主張したわけで、政府高官としては相当に思い切った発言です。

ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官の主張とは真っ向から対立します。国務長官は「金正恩体制の維持を保証するから核を捨てよ」と北朝鮮に呼び掛けてきました(「中国にも凄んで見せたトランプ」参照)。

斬首作戦は困難

—なぜ、CIAの長官は国務長官と180度異なる意見を言い出したのでしょうか。

鈴置:中国などの反対で、北朝鮮に対する経済的な圧迫がうまくいかない。そんな中、7月4日と28日、ついに北朝鮮は米本土まで届くICBM(大陸間弾道弾)の試射に立て続けに成功した。

ポンペオ長官はしびれを切らし軍事的な圧迫に加え、首をすげ替えるぞと金正恩委員長を威嚇するに至ったと思われます。

—「首のすげ替え」なんて、簡単にできるのですか? テレビのワイドショーではしばしば「斬首作戦」が語られますが。

鈴置:簡単ではありません。「斬首作戦」とは秘密部隊が金正恩を急襲して暗殺する方法です。しかし、これは本人の居所が分からないと不可能です。もちろん、北朝鮮側も「大将」がどこにいるか悟られないよう徹底的に情報を統制しています。

一方、米国の専門家が「金正恩のすげ替え」を語る際、北朝鮮の不満分子がクーデターを起こして金正恩体制を転覆する方法を念頭に置くことが多い。しかし、これも容易とは思えません。簡単にできるのなら、もう実行しているかもしれません。

もちろん「クーデターを起こさせるぞ」と脅せば「誰が自分を裏切るのだろうか」と金正恩委員長が疑心暗鬼に陥り、体制が動揺するでしょう。

でも「動揺」に期待するわけにはいきません。時間が経つほどに北の核武装の可能性が高まります。そんな状況下で、不確実なシナリオだけに賭けることは危険です。

リベラルなNYTも

—確かにそうですね。

鈴置:ただその後、保守派のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)に加え、リベラルなNYT(ニューヨーク・タイムズ)も体制変更論を掲載しました。思い付きの、泡沫的なアイデアではないということでしょう。

WSJの7月30日の社説「The Regime Change Solution in Korea」はポンペオ長官の意見を紹介したうえで「もう、北朝鮮の核武装を阻止するにはこの方法に賭けるしかない」と全面的に支持しました。

WSJは具体策として「北朝鮮と取引する中国の銀行や貿易会社に対し制裁を科すことで北朝鮮経済を締め上げる」「金正恩ファミリーの犯罪を北朝鮮の国民と指導層に知らしめる」「北朝鮮が発射した直後のミサイルを撃ち落とし、データの収集を邪魔して開発を妨害する」などを列挙しています。

—そんなことでクーデターが起きますか?

鈴置:これを書いたWSJの論説委員も「材料不足だな」と思ったのかもしれません。中国が北の体制変更に乗り出すかもしれない、と付け加えています。中国は北朝鮮の軍や党との人脈を誇ります。中国なら可能と見る人が多いのです。

But a debate is already underway among Chinese elites about the wisdom of supporting the Kim dynasty. China might decide to manage the process of regime change rather than allow a chaotic collapse or war on the Korean peninsula, perhaps by backing a faction within the army to take power.

中国でも「すげ替え論」

中国の指導層の間でも北の体制変更が検討されています。2016年10月にワシントンで開かれたシンポジウムでは、中国の学者――コロンビア大学のZhe Sun上級客員研究員が以下のように語りました(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。

聯合ニュースの「China scholars, policy makers begin talking about supporting surgical strike on N.K.: Chinese professor 」(2016年10月7日、英語版)を翻訳して引用します。

米韓による「外科的手術と首のすげ替え」を支持すべきだと語り始めた学者や当局者がいる。もっと過激な意見もある。中国が指導者(金正恩)を換えねばならない。軍が国境を超えて北朝鮮に駐屯し、核開発の放棄と改革開放政策の採用を迫る――との意見だ。

金正恩委員長の目には、米中が談合して自らを除去しようとしていると映ったに違いありません。

2017年2月13日にマレーシアで起きた金正男(キム・ジョンナム)暗殺事件はこの記事が引き金となったかもしれません。「すげ替え」を阻止するには「後釜」を殺すことが一番手っとり早いからです。

「すげ替え」という手法を採ろうとは言わないまでも、中国では「金正恩を見捨てた方が国益にかなう」との議論が活発になっています(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。

難民が来るよりはいい

—米中合作で金正恩の首をすげ替え――。国際陰謀小説のノリですね。

鈴置:NYTへの寄稿「We need a Radical New Approach on North Korea」は「中国によるすげ替え」をもっと明快に主張しています。

筆者はレフコウィッツ(Jay P. Lefkowitz)氏。米国の北朝鮮人権大使を2005年から2009年まで務めた法律家です。

The challenge for Mr. Trump is to find a way to persuade the Chinese that a regime change in North Korea — or, at the very least, serious containment of its nuclear ambitions — is actually in China’s best interest.

「トランプ政権は、中国をして北朝鮮の体制変更を実現させるべきだ。それは中国にとっても最高の利益になる」との主張です。

「対話解決」もうれしくない中国

「『北朝鮮の核』6つのシナリオ」をご覧下さい。朝鮮半島の近未来を6つに分類してあります。

■「北朝鮮の核」6つのシナリオ

  • 軍事的に解決● ①米軍が核施設などを空爆 ②空爆が地上戦に拡大
  • 交渉で解決● ③「核武装放棄」受け入れ、見返りに在韓米軍撤収・米韓同盟廃棄 ④「米国まで届くミサイル」だけ認めずに手打ち
  • その他● ⑤クーデターで金正恩政権が崩壊 ⑥現状維持

レフコウィッツ氏の想定した軍事的な解決は①、あるいはその発展形である②に当たります。

米国は交渉で解決する③あるいは④も模索しています。対話による解決を主張する中国ですが実は内心、それらにも不安を感じている。

いずれも米朝和解につながるシナリオであり、中国は自らの柔らかい腹に米国の友好国を抱えることになるからです。中国側から一気に西側に寝返ったミャンマーが、北東アジアにも生まれることを意味します。

今の米国は中国が最も困る方法でもって北朝鮮の核問題を解決しようとしているとレフコウィッツ氏は指摘しているのです。当然、それに中国は応じないし、中朝を団結させてしまう。米国は実現性に乏しいシナリオをゴリ押ししてきたわけです。

クーデターなら八方、丸く収まる

—そこで、残る⑤の「クーデターで金正恩政権を崩壊」を中国に持ちかけよう、というわけですね。

鈴置:その通りです。これなら中国の利益を損ねない。そのうえ、大いなる利点もあります。中国が介入して政権交代を実現すれば、北朝鮮の新政権は中国の言うことを聞かざるを得ない。中国は朝鮮半島での影響力をぐんと増せるのです。

なお、レフコウィッツ氏は中国の疑念を完全に払しょくするために、米国は「1つの韓国政策」の放棄、つまり「南北統一」を追求しないと約束すべきだとも言っています。

北の政権が転覆すれば在韓米軍が北上し、中国との国境沿いにまで展開すると中国は恐れている。「北進はしない。半島の北半分は中国が自由にすればよい、と米国は確約せよ」との意見です。

—「米国の約束」を中国が信用するでしょうか。

鈴置:中国は信用し切れないでしょう。これに関連、キッシンジャー(Henry A. Kissinger)元国務長官がさらなる譲歩を提案しています。「金正恩政権の崩壊後は在韓米軍をおおむね撤収する」とまで、中国に約束すべきだと言うのです。

これを報じたNYTの「After North Korea Test, South Korea Pushes to Build Up Its Own Missiles」(7月29日)によると、キッシンジャー氏はティラーソン国務長官らにこの意見を進言済みだそうです。

この記事は、キッシンジャー氏の言う「崩壊後」が⑤のクーデターによる崩壊後とは明示していません。ただ「中国を説得できる新たな、従来とは異なったアプローチが必要だ」との発言を紹介していることから「首のすげ替え」も念頭にあると思われます。

信用しないなら脅せ

—でも、それも口約束に終わるかもしれません。

鈴置:米国には「そんなに信用できないのだったら勝手にするがいい。軍事的手段で解決する。そうなったら、困るのは中国だろ?」と言い放つ手があります。

先に引用したWSJの社説。「中国が北の体制変更に乗り出すかもしれない」と書いたくだりで「(中国にとって望ましくない)崩壊による混乱や半島の戦争に直面するよりは」と付け加えています。

レフコウィッツ氏の意見はもっと強烈です。北の体制転換に賛同しないというのなら、周辺国にミサイル防衛網を構築し中国を脅せばいいのだ、と主張しています。

結局、米国は軍事的な圧迫を強化しながら「金正恩すげ替え論」を模索していくと思われます。

朝鮮半島201Z年

—そして、つまるところは在韓米軍の撤収ですか……。

鈴置:それが直ちに米韓同盟の廃棄につながるわけではありません。しかし、同盟が弱体化する契機になるでしょう。

文在寅(ムン・ジェイン)政権は「首のすげ替え」に賛成はしないかもしれませんが、在韓米軍の撤収は受ける可能性が大です。

もともと「反米」政権なのです。6月末の米韓首脳会談でも、米軍撤収を呼ぶ「戦時の作戦統制権の返還」を改めて米国に求めました。

米国側もそれを了承しました。トランプ(Donald Trump)大統領もかねてから在韓米軍は予算の無駄使いと主張していました。北朝鮮の核問題が解決すれば、さっさと兵を引くと思います。

—米韓同盟も打ち切るのでしょうか、米国は。

鈴置:状況次第と思います。トランプ大統領は4月12日「韓国は歴史的に中国の一部だった」と語りました。4月の米中首脳会談で習近平主席からそう講義を受けたのです(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

「韓国は中国の勢力圏に属する」と認めたのも同然です。米韓同盟を維持する意思は見られません。北朝鮮の核問題を解決するためなら、米韓同盟を「切り売り」することに躊躇しないと思います。

4月の米中首脳会談で「金正恩すげ替え」も話し合われ、ひょっとすると、ある程度の合意が固まっているのかもしれません。

—その時は、日本が大陸に向きあう最前線になります。小説『朝鮮半島201Z年』みたいになってきました。

鈴置:日本人も覚悟を固める時が来ました。

(次回に続く)

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『北戴河で習近平の「毛沢東に並ぶ夢」は叶うか 党大会で「党主席復活」「党規党章に“習近平思想”」目論むが…』(8/9日経ビジネスオンライン 福島香織)について

昨日に続き、中国の秋の共産党大会の動向です。議会制民主主義体制と違い、共産主義の人民民主体制は秘密主義を旨としますので、情報がなかなか入ってきません。「鉄のカーテン」ならぬ「竹のカーテン」です。ただ、中国は何でもご都合主義で、西側を利用する所は利用し(資金・技術・貿易)、軍事大国になるまでになりました。米日の愚かさです。

党大会が習の思惑通りに行くかどうかは分かりません。王岐山を利用した反腐敗運動で怨みを買っているためです。結局、面従腹背の役人が増え、業務停滞を招いています。中国人は上から下に至るまで賄賂を取らない人間はいません。チップのようなものと思っているのでしょう。桁は違いますが。ですから反腐敗運動が正義の実現の為でなく、政敵打倒で使われているのは、中国人は先刻承知です。

昨日の「看中国」の記事では、習は政治局常務委をなくすと噂を流しているとのことでしたが、それも噂だけに留まるのかどうか。ハッキリしていますのは習が独裁できるだけの絶対権力をほしがっているということでしょう。

習がもし、独裁できる権力を握れば、福島氏が懸念していますように、日本と戦争を引き起こすことを考えているのでは。中国は日本のことをよく研究していて、平和憲法の制約があり、自衛隊は思う存分戦えないと思っている可能性があります。戦争になれば、国民もやっと覚醒するでしょう。日本から戦争を仕掛けることはありませんから。自衛隊は超法規的存在として戦うしかありません。憲法や法改正は間に合いません。戒厳令の発動でしょう。(法律がありませんから宣言して、治安維持を警察にさせることになるかも)。中共の手先であるメデイアの活動はストップさせないと。中国に攻撃情報を与えるようなものです。

また、中国国内では「食い詰める」人間が増え、海外に人口輸出を強制的に行うのでは。毛沢東の「大躍進」のように餓死させるわけには行かないでしょう。「一帯一路」がそれに使われるのではないかと考えています。余剰産品だけでなく、人もです。AI、ロボット化は中国の人件費の高騰から来ています。この流れは変わりません。となると人口の多さが逆にハンデになります。

8/9日経電子版習近平派が牛耳る「一帯一路」と「北京大改造」 

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

中国が総力を挙げる「一帯一路」。海と陸で欧州、アフリカまでつなぐ経済ベルトづくりを通じて、中国の影響力を広げてゆく「新シルクロード経済帯」構想である。今後、長い間、天文学的な数字の巨費を投じる一大国家プロジェクトの要のポストが、いま次々と入れ替わっている。

「一帯一路を核とする大きな国家プロジェクトの司令部は、あっという間に習近平国家主席の側近らで占められた。彼らの出身地は浙江省と福建省に偏っている。“浙江閥”と“福建閥”の勢いはすごい」。中国の経済関係者が指摘する。

「一帯一路」の総合計画や国際協力を仕切るのは、かつて社会主義計画経済の司令塔だった国家発展改革委員会。トップは2月に抜てきされた習近平側近の何立峰(62)である。前任は前首相、温家宝(74)の人脈だったが、習近平派への衣替えが一気に進む。

■「浙江閥」に加え「福建閥」台頭

習と何立峰の親密さを示す32年前の物語がある。まだ30代前半だった習は、当時としては異例の若さで副市長として福建省アモイ市に赴いた。出迎えた職員は目の前の習が余りに若いため、新任の副市長だとは夢にも思わなかった。そこで習本人に「習副市長はまだ来ないのですか」と尋ねたという。

習は、元副首相の習仲勲を父に持つ「紅二代」(高級幹部の子弟)だ。いきなりやってきた若すぎる副市長が“落下傘人事”と見られたことも響いて、当初は年長の部下が多い役所で手持ち無沙汰だった。そんな習の気晴らしはバスケットボール。市の秘書職で2歳下だった何立峰もバスケ好きで、2人は年の近さもあって意気投合し、休憩時間にバスケを楽しんで親交を深めた。

「一帯一路」の要を担う国家発展改革委トップは「福建閥」の何立峰氏

スポーツは時に身を助ける。何立峰の場合、バスケが将来を切り開いたといえる。ありがちなゴルフやテニスではなく、米国のスポーツであるバスケというのが面白い。

習はアモイに赴いて2年後、軍の国民的な歌手、彭麗媛と再婚し、新婚生活を始めた。17年近く過ごした福建省で出世の階段を登っただけに思い入れは深い。この9月、ロシア大統領のプーチン、インド首相のモディらがやってくるBRICS首脳会議をアモイで開く裏には、習の想いがある。

アモイを代表する観光地のコロンス島は2017年、世界遺産に登録された。福岡県の「神宿る島」宗像・沖ノ島と同時の承認だ。コロンス島は西洋風家屋から常にピアノの音が響く風流な地である。「習主席は故郷アモイのコロンス島を推すため、一筆添えてくれたんだ」。現地の人々は、うわさし合う。

「一帯一路」に絡む習側近は、もう一人いる。中国の命脈に関わる対米貿易摩擦の処理を担う商務省のトップも習派が制した。浙江省トップだった習を副省長として支えた鐘山(61)だ。こちらは「浙江閥」。失脚した孫政才(53)の後任として重慶市トップに座った陳敏爾(56)と同じグループだ。

対米貿易問題を仕切る商務相には「浙江閥」から鐘山氏を起用

習側近の新任閣僚、何立峰と鐘山は4月、フロリダにいた。米大統領、トランプの別荘「マール・ア・ラーゴ」の米中首脳会談で、2人は習の横に並んだ。いまトランプは、フロリダで習が約束した北朝鮮への圧力が功を奏しないため、再び貿易で中国を攻める構えである。「米中貿易戦争は百害あって一利なし」。鐘山は訴えるが、さすがのトランプも中国に甘い顔は見せにくい。正念場である。

中国のマクロ経済政策の司令塔としては、中央財経指導小組弁公室主任の劉鶴(65)が知られる。「この人は私にとって重要だ」。習がこう言ってはばからない知恵袋だ。国家発展改革委トップの何立峰、商務相の鐘山は今後、重鎮の劉鶴が描く画に沿って動く。

■北京大改造と雄安新区「千年の大計」

「一帯一路」と並んで、もう一つの巨費を投じる注目プロジェクトは、大気汚染と人口増でパンク寸前の北京の大改造だ。ばらばらだった北京、天津、河北省を三位一体で開発し、バランスのとれた人口、産業の再配置を目指す。すでに北京市の核となる政府機能は中心部から東の通州地区に移った。

次の焦点は北京から150キロも離れた河北省の農業地帯、雄安地区に一からつくる新たな開発区である。「雄安新区は千年の大計である」。習自らもこう大風呂敷を広げた。現地では、習の老齢の母親、斉心の出身地近くであることが選定の決め手になった、といううわさまで出ている。

この5月、雄安新区の予定地を訪れた。広大なトウモロコシ畑と湿地帯、そして小さな町があるだけだ。毛皮加工が有名で、軒先にはピンクに着色した毛皮がぶら下がる。すでに地価高騰の兆しから土地取引は禁止されたが、ここが10年、20年後に摩天楼に一変するとは想像もつかない。

中国には、単なる原っぱだった上海浦東地区を摩天楼に変えて新空港を整備し、ディズニーランドまで引っ張ってきた実績がある。とはいえ、高度成長期はもう終わった。巨費を投じる新都市づくりには、大きなリスクも伴う。鳴り物入りだった河北省の曹妃甸地区開発は、すでに問題が生じている。

雄安新区に絡んで、北京中心から南50キロに超大型の新国際空港を建設する計画も着々と進む。19年末の完成・運用を目指す。現在の首都空港は第3ターミナルまで拡張したが、すでに満杯で便の遅れも深刻だ。2300万人の人口を抱える首都として、もう一つ空港を持つのは理にかなう。

浙江・福建両閥の顔を持つ蔡奇・北京市党委員会書記は、朝日まぶしい人民大会堂で引っ張りだこだった(3月全人代で、当時は北京市長)

「北京大改造」の中心は、5月に北京市トップに就いた蔡奇(61)だ。まだ中央委員候補ですらない。蔡奇もまた福建省の出身。1990年代末に福建省から浙江省に異動し、同じく福建省から浙江省トップに赴いた習を現地で待ち受けた。蔡奇が「福建閥」「浙江閥」の2つの顔を持つ由縁だ。

習は、珍しく人前で蔡奇の人柄を褒めたことさえある。きたる共産党大会で「三段跳び」の党政治局入りは確実だ。河北省の保養地に要人が集う「北戴河会議」が始まったとみられる8月3日、蔡奇は北京で動いた。会議で「習近平総書記の重要思想」に繰り返し言及したのだ。党大会で習近平思想を党規約に書き込むための露払い役である。慎重派の機先を制する手でもあった。

北京で蔡奇とコンビを組むのは、代理市長の陳吉寧(53)だ。首都の市長としては極めて若い。環境保護相からの横滑りである。習の出身校、清華大学の学長という経歴からわかるように明らかな習派だ。首都ナンバーワン、ツーを身内で固めた豪腕人事には、党内から驚きのまなざしが向けられている。

■「お友達人事」にただよう危うさ

「北京、天津、河北に投ずる巨費を自派(習近平派)で動かしたいと考えるのは当然だ」。元官僚はこう見る。一連の「お友達人事は」は、習の権力基盤固めに必要な権限の再編と関係が深い。長老とそれに連なる官僚の影響力が強い北京、隣に位置する直轄市の天津をいったん解体し、新都市「雄安新区」をつくる河北省と一体で開発。自派の人材を配すれば、全権限が習の周辺に集まる。

従来、北京官界には電子・機械部門に人脈を張る元国家主席の江沢民(90)、国家発展改革委を仕切った前首相、温家宝の影響力が強かった。しかも天津は地元出身の温家宝、現最高指導部メンバー、張高麗の金城湯池だ。巨大利権を習派が牛耳る第一歩が、首都大改造と雄安新区建設である。

「身内で固める人事からは基盤の弱さも見える。組織的登用の術(すべ)がないから、知り合いを配置せざるをえない」。中国の政治学者の指摘だ。これもまた真実である。習は十分な準備を経てトップに就いたわけではない。07年秋の党大会前、急浮上して「ポスト胡錦濤」の地位を固めた。

習は最高指導部メンバー入りに先立ち、上海市トップに就いたが、わずか半年間だった。その前の5年間は浙江省トップ、さらに前の17年間弱は福建省で過ごした。習は「紅二代」とはいえ、共産主義青年団のような組織的バックを持たず、浙江や福建の人脈に頼るのは致し方ない。

「一帯一路」「北京大改造」は習の目玉政策だけに、絶対に失敗が許されない。上から下まで担当者が受けるプレッシャーは計り知れない。各部門で経験が浅い習派の人材が司令塔として本当に機能するのか。誇り高き官僚らとの間に軋轢(あつれき)を生まないのか。興味は尽きない。(敬称略)>(以上)

「北京大改造」なんて不動産バブルを煽るだけでしょう。土建屋国家そのものです。8/7宮崎正弘氏メルマガ<中国の住宅ローン残高、ついにGDPの44・4% 香港のエコノミスト、朗喊平の予言「住宅ローンを組んだら99%は破産する」>にありますように、バブルの傷を深くするだけです。

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8/9日経朝刊<中国の対外投資46%減 1~6月、資本流出規制が響く 

【北京=原田逸策】中国企業の対外投資の落ち込みが鮮明になっている。1~6月の中国による対外直接投資は前年同期比46%減の481億ドル(約5兆3千億円)と大幅に減り、対中国直接投資(656億ドル)を再び下回った。当局が資本流出と人民元安を止めようと海外企業の買収を制限したためだ。資本規制を嫌って対中投資も前年割れに落ち込む。目先の市場安定を優先した資本規制は、中国企業の経営の高度化に逆風となる。

中国は1978年の改革開放から外資を大胆に導入して経済成長を実現し、対中投資は対外投資をずっと上回ってきた。国内の資本蓄積が進んだ2000年代から中国当局は「走出去(海外に打って出よ)」の掛け声のもと、中国企業の海外進出を後押し。16年には金融以外の対外投資が1701億ドルに急増し、初めて対内投資を上回った。

対外投資が対内投資を上回る国を「資本純輸出国」と呼び、経済発展が成熟してきたことを示す。中国当局も「経済貿易大国から経済貿易強国へと躍進する上での重要な出来事」(商務省)と評価していた。それが17年に再び「資本純輸入国」へと逆戻りした。

原因は当局の資本規制による対外投資の急減だ。昨年11月から1件500万ドルを超す海外買収や海外送金、両替などは当局の事前審査を義務づけた。以前の5千万ドル超から対象を大幅に広げた。さらに「不動産、ホテル、映画館、娯楽業、スポーツクラブなどで非理性的な海外投資がみられる」(商務省)とし、高い技術を持つ製造業以外の買収が認められにくくなった。

6月には不動産大手の大連万達集団、投資の海航集団など5グループの海外買収向け融資を点検するよう、銀行監督当局が銀行に要請したことが判明した。アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所とヘリテージ財団の調査では5グループの海外買収は1~6月に全体の約6割を占めた。

中国当局は当面は海外買収の制限を続ける意向とみられる。今月1日からは財政省が国有企業を対象に、海外買収に失敗した場合に担当者の責任を問う制度を導入した。買収した企業の経営が健全か継続的に調べることも求めた。「買収先のいくつかの企業は資産状況が思わしくなく、収益力も弱く、投資の収益率も低いなどの問題がある」(財政省)という。

規制で資本流出と人民元安を抑える目的は達成した一方、海外企業による対中投資が減る「副作用」も出ている。1~6月は前年同期比5%減った。特に米国(44%減)、英国(40%減)、ドイツ(37%減)など、高い技術を持つ欧米企業の大幅な減少が目立つ。「資本規制により利益を本国に送金しにくくなった」との不満が一因だ。

李克強首相は「対中投資の減少を高度に重視し、投資の障害を必ず取り除く」とハッパをかけるが、利益を出しても自国に還流できないとの懸念があれば、海外企業も投資拡大には二の足を踏む。

中国の習近平国家主席は1月の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で「開かれた中国」をアピールした。だが、現状は中国と海外の間を行き来する資本が細り、このままでは掛け声とは裏腹に「閉じた国」に逆戻りしかねない。>(以上)

普通に考えたら、儲けた金を還流できないような国に投資する人はいないでしょう。政策がチグハグです。習は経済音痴と言われていますので、経済政策を統合する組織が必要と思われますが、余りに数字の改竄、バブルの額が巨大すぎて打つ手がないと言ったところでしょう。でも、世界制覇を目指す中国の野望を挫くには、先ず経済で打撃を与えることです。西側は中国への投資を止めることです。

記事

7月30日、内モンゴル自治区で行われた中国人民解放軍建軍90周年の記念パレードでは習近平主席が軍服姿で閲兵した(写真:新華社/アフロ)

河北省のリゾート地、北戴河で開かれる非公式会議、別名「北戴河会議」が8月3日ごろから始まったようだ。3日ごろから習近平を含む政治局常務委員7人の動静がぴたりと報じられなくなったからだ。同時に北戴河の警備がものものしくなった。

そのころ、香港誌・争鳴が7月14日に行われた政治局委員候補予備選の結果を報じた。選ばれた35人の候補で500票以上をとったのは習近平、王滬寧、王岐山だったとか。この報道を信じるならば、王岐山の留任の可能性は強い。69歳の王岐山が留任となると、共産党ルールである定年制は崩れたということになり、習近平としては三期目の展望が開けてきたわけだ。習近平独裁体制は本当に始まるのだろうか。北戴河会議の中身はまだ不明ながら、その見どころと予測について整理してみよう。

習近平派15人、胡錦涛寄り13人、江沢民派2人

争鳴の報道を信じるなら、政治局候補の名簿は以下の通りだ。

習近平派が15人。習近平(国家主席)、王滬寧(中央政策研究室主任、習近平の政策・理論ブレーン)、王晨(全人代常務委会副委員長)、丁薛祥(中央総書記弁公室主任、習近平のスピーチライター)、栗戦書(中央書記処書記、習近平の側近、大番頭)、呉英傑(チベット自治区書記)、蔡奇(北京市書記)、応勇(上海市長)、劉家義(山東省書記)、馬興瑞(広東省省長)、黄坤明(宣伝部副部長)、陳敏爾(重慶市書記)、趙楽際(中央組織部長)、楊潔篪(国務委員)、李鴻忠(天津市書記)。

比較的共青団派、胡錦涛寄りが13人。李克強(首相)、王勇(国務委員)、憂権(福建省書記)、汪洋(副首相)、許其亮(中央軍事委員会副主席、空軍上将)、房峰輝(解放軍参謀長)、張春賢(前ウイグル自治区書記)、胡春華(広東省書記)、陳全国(ウイグル自治区書記)、孫春蘭(元天津市書記)、韓正(上海市書記)、李源潮(国家副主席)、楊晶(国務院秘書長)。

江沢民派も2人いる。郭声琨(公安部長)、車俊(浙江省書記)。風見鶏的に態度を変えそうなのが周強(最高人民法院長)、曹建明(最高人民検察院長)、黄樹賢(監察部長)、張国清(重慶市長)だろうか。そして王岐山(中央規律検査委員会書記)。王岐山と習近平の距離感は今もって、よくわからない。少なくとも習近平に従順というわけではなさそうだ。これは私見であって、人によっては違う組分けもあり得るだろう。

予備選は512人の中央委員および中央委員候補、各省自治区直轄市書記らが合格、不合格の票を入れる。最多合格508票をとったのは習近平、次に王滬寧が504票、王岐山が501票。500票以上をとったのは35人中3人だけだったという。9割以上の合格票獲得者は李克強、丁薛祥、房峰輝、許其亮、趙楽際、栗戦書、楊晶らだ。

栗戦書は習近平の側近と評されるが…

この結果をみると、習近平は別として、王岐山の高得票が印象的で、普通に考えれば王岐山は政治局常務委員に留任することになるだろう。政治局委員が現行の25人のままだすると、習近平派とアンチ習近平派の勢力図は拮抗しているといえそうだ。ただし、派閥としての団結度、信頼関係の深さに関していえば、習近平派閥はかなり早急に養成されたメンバーが多く、またイエスマンが多いという印象がある。

たとえば、栗戦書は習近平の半径5メートル以内に寄り添う側近と評されているが、習近平とのしっかりした信頼関係が構築されているかというと、疑問視する人は結構いる。

栗戦書は河北省党委員会秘書長時代に当時の河北省書記であった程維高に苛め抜かれ、あわや潰されそうになったことがあり、このとき、助け舟を出したのが当時、陝西省書記であった李建国だった。李建国が栗戦書の遭遇している不条理な状況を中央に説明し、陝西省常務委員会秘書長に引き抜かなければ、今の栗戦書はいなかったことになる。団派の李建国は2015~16年、習近平によって失脚させられそうになるのだが、このとき習近平に逆らって李建国の失脚を防いだのは栗戦書であり、これが栗戦書が義理人情に厚い人間という評価の一つの根拠になっている。ただし、習近平の性格からすれば、一度自分に盾突いたことのある部下に対して深い信頼関係を維持できるかはあやしい、というわけだ。

とすると、政治局常務委員会メンバー、つまり最高指導部の顔ぶれを予想するに、習近平が全面的に信頼できるメンバーはいないかもしれない。政治局委員を最低1期務めた人間が政治局常務委員に昇格するという前例を考えれば、習近平、李克強、王岐山、汪洋、胡春華、李源潮、栗戦書、趙楽際、韓正あたりに絞られる。予備選における王滬寧の得票数を考えると彼がトップ7入りする可能性もあるが、王滬寧は地方政府における行政経験がなく、行政経験なしに政治局常務委員会入りする前例はなかった。王滬寧を一度、地方に出すという話は指導部でしばしば話題に出ているそうだが、本人が生粋の学者肌で、地方の実務で苦労することを望んでいないという噂もある。

李克強、汪洋、胡錦涛、李源潮の人間関係の深さに比べると、習近平と王岐山、栗戦書、趙楽際の関係は微妙だ。王岐山との関係の不安定さは、“十日文革”事件の背景や“闇の政商”郭文貴の暴露情報などから、推測できるだろう。趙楽際も栗戦書も今は習近平派に分類されているが、根っこは共青団派であるし、韓正に至っては、団派で江沢民派、しかも一度ならずも、習近平から汚職摘発の照準を当てられたことがあり、習近平に対しては警戒心がある。

となると、政治局全体では勢力は拮抗しているかもしれないが、政治局常務委員会では共青団派が優勢になる見通しが強い。

強人独裁「党主席」復活を目論む

そうなってくると、習近平としては政治局常務委員会の影響力、権力をいかに削ぐか、ということがテーマになってくる。そこで党主席制度の復活を目論んでいるといわれているのだ。

党主席というのは毛沢東の肩書であり、毛沢東の死後は華国鋒が受け継ぎ、その失脚後は胡耀邦が継いで、1982年に廃止された。その後は党中央総書記が新たに最高指導者職として設置された。初代総書記は胡耀邦である。

党主席と総書記のどこが違うかというと、党主席とは毛沢東のことなのだ。党の絶対的権力。一方、総書記は鄧小平体制の中で、分散された権力の一つにすぎない。天安門事件で楊尚昆が国家主席権限で戒厳令を出して以降、総書記職の権威はさらに低下し、鄧小平が確立した共産党秩序においては、政治局常務委員会メンバーの一人として以上の権限はない。つまり、政治局常務委員会の総意と総書記の意見が違えば、総書記といえども政治局常務委に従ういわば“党内寡頭民主”のシステムが今の中国共産党秩序の基礎なのだ。

党主席制度復活は、これを毛沢東時代に戻す、つまり強人独裁を復活するということが狙いだ。習近平が党大会でこの党主席制度を提案して通るかどうか。これがおそらく北戴河会議での重要テーマの一つになるだろう。

習近平はこれを実現するために、2015年暮れあたりから自分を党の“核心”と呼ばせる習核心キャンペーンを展開。また今年の6月30日に、解放軍香港駐留部隊駐留20周年記念においての閲兵式および7月30日の内モンゴル自治区朱日和訓練基地での建軍90周年記念の閲兵式において、従来の「首長」(軍内における司令官に対する呼称)ではなく「主席」と呼ばせたのも、党主席制に向けたアピールの一環ではないかと勘繰られている。建軍記念日(8月1日)にあわせた閲兵式を行った例はこれまでなく、また任期5年の間の三回目の閲兵式という点でも、習近平が軍において特別であるということを内外に印象付けようとしているということは、事実だろう。

ただ、党主席の権力が絶対的であったのは毛沢東だけであって、実力の伴わない華国鋒も党主席の地位のまま失脚したし、最後の党主席、最初の総書記であった胡耀邦も失脚した。つまり、肩書がどんなに立派でも、政治家としてのカリスマ、実力が伴っていなければ失脚するときは失脚する。中国共産党においては、そのカリスマの裏付けが軍掌握にあるということを考えると、閲兵式を繰り返す習近平の気持ちはわかるのだが、実際に習近平が軍が掌握できているかは微妙な気がする。

党規党章に“習近平思想”を盛り込めるか

党主席と並んで、習近平の独裁体制に向けた攻防の焦点は、党規党章に“習近平思想”という言葉を盛り込めるかどうか、である。

習近平思想の骨子は「四つの全面」(ややゆとりある社会の全面的実現、全面的法治、全面的改革の深化、全面的に厳格に党を治める)や「五位一体」(経済、政治、文化、社会、エコを一体化して進めることがゆとりある社会、中華民族の偉大なる復興を実現する中国の特色ある社会主義事業推進のための全体的な方針)などであるが、一番重要なのは偉大なる中華民族の復興による「中国の夢」の実現である。この「中国の夢」というのは、中国が最も栄えた清朝あたりをイメージした版図や国際社会への影響力の復興であることは、これまでの習近平の言動からも明らかだろう。

指導者の指導思想を党規に書き込むというのは鄧小平以来、慣例となっているが、しかし書き込むタイミングはたいてい任期二期目が終わる最後の花道であり、任期全体を評価されて書き込むというスタイルであった。

習近平の場合は、一期目5年が終わるこの段階での党大会で書き込もうとしている。しかも、当初は習近平の指導思想は「四つの全面」という用語であらわされていたが、ここにきて「習近平思想」という個人名を冠した用語を喧伝しだした。現在、党章に書き込まれているのは「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表理論、科学的発展観点」。個人名を関した指導思想・理論はマルクス・レーニン、毛沢東、鄧小平だけであり、江沢民、胡錦涛は奥ゆかしく自分の名前は隠している。鄧小平理論は自分で書き入れたのではなく、江沢民が書き入れた。ついでにいえば、共産党において思想と理論では思想の方が格上であり、鄧小平理論というのは、毛沢東思想よりも格下という印象を守っている。

毛沢東に並ぶイメージ構築と戦争の影

もし、ここに「習近平思想」という言葉を入れれば、習近平は鄧小平を飛び越えて毛沢東に肩を並べる指導者である、という印象を内外に与えることになる。これは普通の党員からすれば、非常におこがましい行為であり、まさか本気でそんなことをするとは思えないのだが、最近の習近平の周辺では確かに「思想」という言葉が多様されているのは事実である。

こうした漏れ伝えられる情報を総合すると、習近平はこの党大会で毛沢東に並ぶイメージを作り上げたいと目論んでいるように見える。

定年年齢に達した王岐山の政治局常務委留任となれば、年齢による制限もなくなるので、習近平独裁の道が開かれる公算は高くなるという見込みもある。

しかしながら、強軍化、軍権掌握こそが共産党執政の権威を維持する方法だと考え、西側の影響力排除を最優先に、イデオロギー、言論統制の猛烈な強化と党内粛清、経済コントロールに走る習近平政権の指導思想が、30年以上にわたる鄧小平路線、改革開放の道をきた中国社会の現実と乖離していることは言うまでもなく、習近平は次の任期で失脚するか路線を転換せざるを得ない局面がくると、私は思う。というか、それを願っている。なぜなら、過去の中国の歴史を振り返れば、強軍化、軍権掌握のプロセスには必ず外国との戦争・紛争が利用されているのだ。中国が戦争、紛争をしかける相手国に日本は入っていないだろうか。習近平が突き進んでいる路線は、少なくとも日本の国家安全や経済発展にとって望ましいという気はしない。

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『中国次期政権のカギ握る王岐山氏』(8/7・14日経ビジネス FT)について

8/7宮崎正弘氏メルマガ<中国の住宅ローン残高、ついにGDPの44・4% 香港のエコノミスト、朗喊平の予言「住宅ローンを組んだら99%は破産する」>

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8/7看中国<北戴河掀暗戰 習陣營放風?再傳取消常委(圖)

中南海權斗激烈,十九大之前政局極其敏感。(圖片來源:視頻截圖)

習近平可能會取消政治局常委制度的消息,早在一年前就已熱傳,有銷聲匿跡一段時間後,在臨近中共十九大召開、北戴河會議悄然進行的當下,又再成為熱話題。習近平主導的未來政治格局備受關注。

8月5日,中國戰略研究雜誌社前社長李偉東在接受海外媒體採訪時說,習近平在中共十九大不設政治局常委、不設中共中央副主席的可能性都變得非常大。中共十九大可能就只有一個由25人或26人組成的政治局,這樣做,習就可以把他的親信都拉入政治局來。

李偉東並認為,7月30日內蒙古閱兵時,受閱軍人喊“主席好”的現象,這可能為中共十九大重新設立中共中央主席的位置作鋪墊。

此前,習近平於6月30日檢閱駐港部隊時,受閱官兵也喊出“主席好”的口號。

法廣8月6日對此分析說,如果相關消息屬實,今後北京的最高安排將不再設中共政治局常委制度。

據境外媒體披露,中共現任或退休高層目前已雲集北戴河,一年一度的“休假式”中共高層密會已經開始,當地近期進入高度警戒狀態。有人認為,過往有“老人干政”傳統的北戴河會議,已由習近平主政成功主導;不過也有觀點認為事關中共換屆人事布局,內部角力仍然激烈。

是否取消常委制、設立黨主席及取消接班人制度等中共頂層設計,早在一年多前就開始成為熱話題,其中習近平的取向成為焦點。

在2015年10月6日,海外一篇題為《紫荊來鴻:驚人之舉》聲稱有內部消息,未來只要條件成熟,或條件許可,習近平很可能會有驚人之舉。

2016年5月初,《亞洲周刊》披露,在當年的北戴河會議上,習近平當局可能要研議“取消常委制”“廢除七上八下”(即六十七歲可留任常委,六十八歲須退休)等議題。

隨後,2016年6月16日,中共黨媒《人民日報》刊登題為《中央主要領導機構歷史演進》的文章,回顧政治局常委會、中央書記處、中央軍委等機構的歷史發展過程,指中央主要領導機構並非一成不變,而是隨着形勢發展而改革完善。

《法廣》引述分析稱,這篇看似不起眼的文章暗藏玄機,或許預示十九大上可能會對領導機構進行大幅度改革。

與取消常委制配套,習近平本身的職務設置也是一個關注點。

2016年3月底,中共國家行政學院教授汪玉凱對外媒透露,中國未來可以由國家主席制變為總統制。但從目前中國的政治生態看,必須是“系統性改革”。

另一種消息指向的則並非總統制,據說習近平可能恢復設黨主席。

據香港《爭鳴》雜誌2016年12月號曾披露一份十九大籌備組下發的內部草案,指中共擬設中央委員會主席,設兩名副主席,原來的政治局常委制實質上已被打破。換言之,習近平下屆連任,將不再是總書記職務,而是黨主席。

不過,早有觀點指,有關習近平要取消政治局常委制之說,可能只是習陣營為在內部角力中取勝而有意放風。

去年8月北戴河會議期間,在外界盛傳習近平要取消常委制的消息之際。趙紫陽時期智囊團成員之一、現任加拿大維多利亞大學教授吳國光對美國之音表示,中南海進入了十九大前最後最緊要的權力再分配關頭,高層權力博弈應該是相當緊張、相當激烈。取消常委制消息不排除是習陣營有意在海外放風,目的是在博弈中“討價還價”。

他認為習近平有兩個目標:“第一,可能就是不願意接受上一屆已經安排的更年輕的政治局委員作為下一代的接班人;第二,他希望下一屆政治局常委的安排中有他自己的多數——他願意的政治局常委人選。”

【看中國2017年8月7日訊】(看中國記者李文隆綜合報導)>(以上)

北戴河では暗闘が始まっている。習陣営は噂を流しているのか?政治局常務委員をなくすとまた伝えられている。

中南海の権力闘争は激烈で、19大会前の政局はきわめて敏感だ。

習近平が多分政治局常務委員制度をなくすだろうというニュースは、1年前にはすでに広く伝わり、出て来てから時間を置いて、中共の19大会に近づき、北戴河会議が開かれている時に、再び話題を提供している。習近平主導の将来の政治の仕組みがどうなるのか関心が払われる。

8月5日、中国戦略研究の雑誌社前社長の李偉東は海外メディアのインタビューを受け、「習近平は中共19大会では政治局常務委員を設けず、中央委員会副主席も設けない可能性があって変化はかなり大きい。19大会では恐らく25~26人からなる政治局のみで、この中に習の側近を入れようとしている」と。

李偉東はまた、「7月30日の内モンゴルでの閲兵の時には、軍人から“主席は最高”を叫ばせた。これはおそらく19大会で中国共産党中央委員会主席の地位を確立するためであろう。」とも。

その前、6月30日に習近平が香港部隊を閲兵する時も、官員と兵士に“主席は最高”と呼ばせた。

仏メデイアは8月6日に分析、「もし情報が真実であれば、今後北京のトップは再び中国共産党政治局常務委員制度を設けないことを意味する。」と。

海外メディアに流したものによれば、「中国共産党の現・元高級幹部はすでに北戴河に集まって、1年に1度のリゾートを楽しむ密会は始まり、現地では近日高度の警戒の状態である。「過去には「老人が政治をするもの」という伝統的な北戴河会議であったが、すでに習近平が主導的立場になるのに成功した。」と見る人もいる。しかし、ある見方では中共の人事を変えることにつき、内部の争いは依然として激烈である。

常務委員会をなくして、党主席を作り、トップの後継者制度もなくすやり方は、1年前から話題になっていた。習近平がどう扱うかが焦点になる。

2015年10月6日に、海外の一篇として《紫荊來鴻:人を驚かすの挙》のような内部情報があり、将来条件が熟し、あるいは条件が許せば、習近平は人を驚かす挙に出ることができるだろう。

2016年5月の初め、《アジア週刊》は「その年の北戴河会議で、習近平当局はおそらく常務委員もなくし、67才定年制をもなくすなどの議題を討議するのでは。」と。

その後、2016年6月16日には、《人民日報》の中の《中央主要幹部機関は発展変化する》の文章で「政治局常務委員制度、中央書記処、中央軍事委員会などの組織の歴史を振り返り、中央主要幹部組織がいったんできあがってしまうと変更することができなくなる訳ではなく、情勢に随い、発展・改革していく。」と。

仏メデイアは、この篇の言外の意を汲み取り、もしかしたら19大会ではトップ組織の大幅改革をするのでは。常務委をなくすことと習の身分がどうなるかがポイント。」と分析する。

2016年3月末には、中共国家行政学院の汪玉凱教授は海外メディアに「中国は将来、国家主席を大統領制にするかも。但し、目下の所は中国の政治生態を見て、システム改革は必須だろう。」と。

もう一つの情報は、大統領制ではなく、習近平はおそらく党主席を再設置するのではというもの。

香港の雑誌《学術論争》は、2016年12月号で、19大会の準備として内部草案を発表した。中共中央委員会主席、両名の副主席を設け、なんと政治局常務委員は事実上になくす。言い換えれば、習近平は次も再任される。総書記でなくて、党主席として。

ただ、先の見方をした人は、「習近平が勝負に勝つために、政治局常務委員をなくす説をわざと流した可能性もある」と。

去年の8月の北戴河会議の期間は、外に向かい、盛んに常務委員会をなくすニュースを伝えていた。趙紫陽時代のシンクタンクメンバーの一人で、カナダビクトリア大学教授の呉國光はボイスオブアメリカに対し、「南シナ海に当たることは19大会の前に当たり、最後の最も重要な権力闘争に入り、かなり緊張し、かなり激烈である。常務委員会をなくすという海外に向けての情報は、目的はバクチの“かけ引き”である。

彼は、習近平は2つ目標があると捉えている。「第一は、おそらく前に決めた若い政治局員の中から、後任を出すことは受け入れられない。第二は、彼は次の政治局常務委員の数を自分自身のシンパで固めたい。」”【看中国:2017年8月7日】 (看中国の記者の李文隆が報道> (以上)

FTの記事は当たり障りのない記事で、読んでもヒントになる部分はありませんでした。ポールソンと王岐山の関係なんて、如何に帳簿を誤魔化すかを教え合ったのではと思ってしまいます。中国では、総ての企業は小金庫(賄賂と接待に使う裏金)があり、不正に手を染めていない企業はありません。

また王岐山のGITIC(広東国際投資信託公司)の破綻処理は李長春(江派)と共に当たり、首相は朱鎔基だったと思います。何のことはない、日本の銀行に泣き寝入りさせ、損を被らせただけです。各行、数百億の損になったはずです。それで文句も言えない日本企業と言うのは骨がありません。

翻って「看中国」の記事は、中国人が書いているだけあって、いろんな取材源があるようです。真実かどうか分かりませんが、習が裏で画策しているのは窺えます。成功するかどうかで、毛沢東時代のような専制政治が始まるかどうかになります。中国人の発想は西側の発想とは全然違います。習の独裁が認められれば、人民統治も苛烈を極めるでしょう。また、男が多いこともあり、地球上のあらゆるところで戦争を仕掛けて来ると思われます。西側はそれだけの覚悟があって中国を甘やかすのですか?

宮崎氏のメルマガは、不動産の価格維持の話ですが、庶民には手の届く価格ではなくなり(=実需でない)、投機の為だけで売買しているのが分かります。日本のバブル崩壊と同じく、誰かがババを引けば、バブル崩壊の序奏曲となるでしょう。而もGDPが437兆円くらいしかないとも言われています。日本のバブル崩壊では乗り越えられる体力がありましたが、中国の真のGDPでは無理でしょう。中国に投資している人は手じまいを考えた方が良いと思います。

記事

今秋の中国共産党大会を経て、習近平体制は2期目に入る。注目すべきは王岐山・政治局常務委員の処遇だ。反腐敗運動を主導してきた。“引退年齢”を過ぎても首相に推す声がある。王氏が指導部に残れば、指導力を発揮し、行き詰まっている習政権の経済改革を再び動き出させると期待される。

今秋に予定される共産党大会を控え、最高指導部人事をめぐり注目の的になっている王岐山氏(写真=ロイター/アフロ)

中国共産党の最高指導部、中央政治局常務委員の一角を占める王岐山氏(69歳)は、同氏の崇拝者に言わせると、中華人民共和国史上最高の首相になるはずだ。

王氏は現在、習近平国家主席の下で反腐敗運動の指揮をとる。過去40年にわたり積み上げてきたその経歴は、現代中国の政界においてとりわけ注目に値するものだ。

王氏は1980年代前半に若き改革派として頭角を現した。国際金融危機の際には、対米貿易をはじめとする米国との経済関係を調整した。そのほか、現代中国が経験したほぼ全ての主要な金融・経済改革において、重要な役割を担ってきた。

 

「触れたものを全て黄金に」

王氏は大学では歴史を専攻した。文化大革命で社会が混乱した後は、古代の遺物を展示する陝西省博物館に勤務した。

王氏は、上の世代の党幹部が欠いているユーモアのセンスを持ち合わせていることで知られる。

また、政権トップの中でも特に読書家といわれる。友人や同僚によると、公的な発言でも私的な会話の中でも話題を次々と転じることが珍しくないという。その興味はアレクシ・ド・トクビルの有名なフランス革命研究から最新の天文学説に及ぶ。

王氏は1990年代半ばに、将来有望なテクノクラート(高級官僚)として中央政界に登場した。中国初の国際投資銀行である中国国際金融を発足させるべく働いた時のことだ。同行は中国建設銀行と米金融グループ、モルガン・スタンレーとの合弁事業だった。後者はその後、2004年に撤退した。

1990年代末に、国有投資グループの広東国際信託投資公司(GITIC)が50億ドルの負債を抱えて破綻した。王氏は、この中国史上最大の破綻処理を監督。その後2010年まで、国有銀行部門の再編に深く関わった。

GITICの破綻処理を成功させたことで、王氏は中国最高の「消防隊長」と呼ばれるようになった。03年に北京でSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際には北京市に移り、公衆衛生危機を鎮静化させることに成功。引き続き、08年に開催される北京オリンピックの準備に当たった。

ある政府高官は、「王岐山が触れるものは全て黄金に変わる」と表現する。王氏をギリシャ神話のミダス王になぞらえたこの例え話は、広く知られるようになった。北京で昨年来、「王氏を首相に」という声が高まっている理由の一端はここにある。

過去の慣例に従えば、今秋に予定される党の主要会議で、現職である李氏の5年間の首相続投と王氏の引退が承認される。しかし、ある政府高官が昨年10月に公の場で、引退年齢とされているものは「全くの俗説にすぎない」と発言した。また党の機関紙も、幹部の任命に際して「単純に年齢で線引きすることはできない」という習氏の発言を伝えた。

こうした発言を背景に、李氏が、お飾りにすぎない全国人民代表大会(国会に相当)委員長に降格させられるとの臆測が浮上している。経済問題に対する李氏の権限は、習氏の権威に押されて縮小を余儀なくされている。この状況は、王氏を首相の座に押し上げる道を開く。

李氏が首相の座にとどまり、王氏も政治局常務委員のまま経済や金融を担当する、というシナリオもあり得る。中国政界にパイプを持つあるアジアの外交官は、「習氏と李氏は和解した」と語り、李氏が留任するとの見方を示した。

しかし、状況はいずれとも定まっていない。党大会を前にした駆け引きは、ぎりぎりまで続く。王氏の処遇については、党大会の最後に習氏と同氏の2期目を支える指導部が壇上に登る瞬間まで、確実なことは言えないのだ。共産党のある元中央委員は最近、「次期首相が誰になるのか、我々にも分からない」と、ごく親しい者たちに語ったという。この会話を知る2人の関係者から聞いた話だ。

王氏には敵も多い。特に、反腐敗運動を指揮した5年の間に多くの敵を作った。それゆえ党内の激しい政治工作に足をとられる危険性も高まっている。

今年の春以降、これまで表立った動きを見せなかった米ニューヨーク在住の中国人富豪、郭文貴氏が、ツイッターやユーチューブを通じて、王氏とその家族を非難する発言を派手に繰り返している。発言の多くは、王氏の家族と中国の複合企業である海航集団との疑惑の関係に関するものだ。同社の不透明な所有構造については、海外の規制当局も調査を実施している。

海航集団は郭氏からの非難を懸命に否定する。非難を裏づける証拠は今のところ存在しない。しかし、中国問題の専門家の中には、王氏が国営メディアに登場しない期間が長くなればなるほど、王氏と習氏の関係が悪化している可能性が高まると見る者もいる。

中国共産党政治局常務委員を務める7人。中央に習近平国家主席、その右に李克強首相、右端に王岐山氏。秋の党大会を経て、この顔ぶれはどう変わるか(写真=新華社/アフロ)

孫政才氏の失脚の裏にも……

習氏も王氏も、中国共産党の初期の革命活動家の家系につながる、いわゆる「太子党」だ。習氏の父親は党の幹部。王氏は別の幹部の娘と結婚した。

中国メディアの報道によると、両氏は遅くとも文化大革命の時には知り合っていた。共に「下放」された陝西省で、将来の上司となる習氏に王氏が経済学の教科書を貸したという。

王氏(左)と習近平国家主席は文化大革命の時、ともに「下放」され陝西省で出会った(写真=ロイター/アフロ)

王氏が政治的に失脚するという噂は、習氏が王氏をライバルとして警戒しているせいだとされることが多い。しかし、これまでのところ、そうした噂はどれも誇張されたものであることが分かっている。

王氏は公の場に姿を表さなくなることがよくある。これは通常、彼自身ではなく、ほかの人間が危険に陥っているしるしと見なされる。

事情に詳しい2人の関係者によると、最近では、7月に入って王氏が久しぶりに姿を現した直後、中央規律検査委員会が、習体制を支える現職政治局員の身柄を初めて拘束した。習氏の後継者と目されてきた孫政才氏だ。中国の大都市の一つ、重慶市の党委員会書記だった孫氏は、「重大な規律違反」があったとして調査を受けている。

一方、王氏による中国金融界の腐敗摘発は衰える兆しを見せない。この動きは今年に入って始まり、肖建華氏など金融業者や民間の大物が次々と拘束された。肖氏は中国でも指折りの富豪で、資産は400億元(約6600億円)とされる。肖氏には、支配下の銀行や上場企業を使って、様々な金融機関の株価をつり上げた疑いがかけられている。

金融部門の捜査に詳しいある中国高官は「肖建華はがんだ。彼は実体経済に何の貢献もしていない。多くの者と自分自身を大いに富ませたが、国家には害悪をなした」と指摘する。

この高官はさらに、王氏による捜査の背景には、経済政策上の大きな目的があると続けた。「金融制度を、経済成長のテコとして利用するのをやめることだ。それができれば、投機的資産バブルなど、ほかの多くの問題も消え去る」

王氏を特に強く推しているのは、中国国内の経済改革派と、国際企業の経営者、海外の外交官らだ。彼らは、世界第2の経済大国となった中国は、朱鎔基氏のような気質を持つ改革派の首相を切実に必要としていると考えている。朱氏は1998~2003年に中国の首相を務めた人物で、王氏の師でもある。

 

朱鎔基氏の後を継ぐ

朱氏は首相を1期しか務めなかった。しかし、退任時には自分が大きな実績を残した首相として記憶されることを確信していた。中国は同氏の任期中に世界貿易機関(WTO)に加盟するとともに、産業・金融部門の国有企業を対象に抜本的改革を断行した。

1期目の習政権は、朱氏が成し遂げたような複雑で痛みを伴う改革に取り組むことができなかった。また取り組む意欲にも欠けていた。

改革派の官僚は、朱氏をしばしば「偉大なる首相」と呼ぶ。朱氏に近い2人の関係者は、同氏は2期目の続投を強く望んでいたと証言する。しかしその望みがかなわなかった時、朱氏は自分の仕事をいずれ王氏が引き継ぐことを期待したと、この2人は続けた。

中国の指導部人事に詳しい別の人物によると、王氏を政治局常務委員に押し込んだのは朱氏だったという。

しかし、王氏を腐敗を取り締まる組織のトップに据える決定は、王氏自身にとってさえ驚きだった。中央規律検査委員会の内部会合を撮影した1本の動画が流出している。その中で王氏は、一人の委員が新たに難しい仕事を課せられ「自分は準備ができていない」と渋っていることについて、次のように冗談めかした発言をしている。

「私も(12年には)『中央規律検査委員会を率いる準備など、申し訳ないが、できていない』と尻込みしたものだ。私がこの組織のトップに立つことなど誰が考えただろう。誰も考えなかったことだ。そう言って断ろうとしたとき、私だって本気で渋っていたさ」

王氏と親しいある人物は、「彼には世界的な人脈があり、常にコンタクトをとっている。同僚たちの大半が自分と同じようにしないのは恥ずべきことだと彼は言っている」と話す。

米財務長官や米金融大手ゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)を務めたヘンリー(ハンク)・ポールソン氏は、15年に発表した回顧録『ディーリング・ウィズ・チャイナ』の中で、世界金融危機の真っただ中で王氏と会談した際に受けたある忠告を振り返っている。

「ハンク、あなたは私の先生だったけれど、自分たちのシステムを見詰め直してほしい。我々は、あなたたちからこれ以上学ぶべきか確信が持てずにいる」(王氏)

金融危機の時、王氏(右)はポールソン米財務長官(当時)に苦言を呈した(写真=ロイター/アフロ)

一方、国家主導の資本主義という中国独自のモデルを王氏は信頼している。その自信は、むしろ強まる一方に見える。あらゆる面で統制を強めてきた習氏の独裁的な姿勢についても、王氏は不安な様子を一切見せない。王氏は今年2月、公の会合の席で「党と政府の分離というようなことはあり得ない」と発言した。

王氏はまた、自分が政治の表舞台に残るか否かにかかわらず、自身と習氏が5年前に巻き起こした政治改革旋風は今後も続くと考えているようだ。

流出した動画の中で、王氏はこう語っている。「反腐敗運動は、一陣の突風のようなものでもなければ、数日で過ぎ去るものでもない。この運動に始まりはあっても終わりはないのだ」

Tom Mitchell, Gabriel Wildau, and Henny Sender ©Financial Times, Ltd. 2017 Jul.28

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『米太平洋軍司令官が語ったアジア太平洋の3つの脅威 強固な日米同盟で北朝鮮、中国、ISに対抗を』(8/3JBプレス 北村淳)について

8/7産経<【北朝鮮情勢】中国外相、米の独自制裁に反対と伝達 マニラでの米中会談>

http://www.sankei.com/world/news/170807/wor1708070001-n1.html

8/6産経<【北朝鮮情勢】米、中国の制裁履行を見極め 「二次制裁」準備で圧力 トランプ氏「北に甚大な打撃」と称賛 >

http://www.sankei.com/world/news/170806/wor1708060045-n1.html

8/7産経<【緊迫・南シナ海】中国の時間稼ぎ奏功 ASEAN会議 軍事拠点を既成事実化、南下食い止め手立てなく>

http://www.sankei.com/world/news/170806/wor1708060054-n1.html

北朝鮮に対する決議ですが、北も中国も守ったことはないでしょう。今回も中国は裏で北に便宜を図るはずです。中国としては北を使って米国一極支配を打破したいと思っているのですから、当然でしょう。「騙す方が賢い」と評価される国ですから。時間稼ぎに使われるだけです。さっさと金融制裁、制裁関税に踏み切った方が良いと考えます。両国とも国際ルールを守らないというか、ルールは破るためにあると思っている国です。

翻って日本が満州進出した時に、中国(顧維均)は国際連盟に日本の不当性を訴えました。元々満洲は漢族の土地ではなく、満州族の土地です。万里の長城より北ですので、漢族が今でも中国の領土としているのは、南モンゴル、ウイグル、チベット同様おかしいことです。孫文だって、日本に満洲譲渡の交渉をしようとしていました。中国はいつでも二重基準です。利用できるものは何でも使います。力が弱いときには国際組織を使って嘘を蔓延させました。

http://blog.livedoor.jp/aryasarasvati/archives/46798335.html

また中国は新京(長春)の満洲国皇宮を偽満皇宮博物院と呼んで貶めて展示しています。歴史の改竄は、彼らはお手の物。「歴史」という言葉も日本が中国に伝えたのですから。「歴=暦」と「史=記録係の役人(岡田英弘)」しかありませんでした。両者とも“history”の意味はありません。日本が満州国を植民地化したと中国は言っていますが、愛新覚羅溥儀の家庭教師をしたジョンストンの『紫禁城の黄昏』には溥儀が望んで満洲王朝を作りたがったと言う話が出てきます。岩波版は都合の悪い部分はカットされているようで、渡部昇一氏監修版をお勧めします。頭が左翼洗脳脳の人ほど読んだ方が良いでしょう。何せ2004年くらいに丹東の「抗美援朝(米国に対抗し、北朝鮮を支援する)博物館」に行ったときに、朝鮮戦争は南鮮が起こしたと歴史的事実と真逆のことが書かれていましたのでびっくりした覚えがあります。改竄・捏造の得意な国です。外国人には漢字が分からないと思ってのことでしょう。

http://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=329

http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h21/jog589.html

http://nettaro-note.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-e0e8.html

ハリス司令官としては大統領命令があればいつでもとの思いでしょうが、トランプ政権の腰が定まりません。ケリー、マクマスター、マテイスと軍人官邸と言われますが、バノンとマクマスターの相性が悪く、バノンはマクマスターを追い出そうと右翼メデイアを使って攻撃、解任の噂も出ているとのこと。(8/7日経朝刊)。米国がモタつけばモタつくほど中国に陣地を取られていきます。ASEANの動きで分かるでしょう。早く中国を金融制裁し、国際取引の場から締め出すことです。戦争や侵略を認めることになるより良いでしょう。

記事

ハリー・ハリス海軍大将(2016年12月7日撮影、資料写真、U.S. Marine Corps Photo by Lance Cpl. Patrick Mahoney/Released)

7月28日、駐米日本大使が主催した会合(第4回Japan-U.S. Military Statesmen Forum )でアメリカ太平洋軍司令官のハリー・ハリス海軍大将が講演し、アジア太平洋地域(太平洋からインド洋にかけての広大な海域の沿岸諸国ならびに海域)が直面している軍事的脅威について説明した。説明の概要は以下のとおりである。

アジア太平洋地域が直面する軍事的脅威

(1)北朝鮮の核弾道ミサイル

ICBMを手にした北朝鮮は、国際平和と安定に対する「明確かつ差し迫った」脅威である。それは、日本とアメリカにとってだけでなく中国にとってもロシアにとっても、そして世界中にとっても共通の脅威といえる。なぜならば、北朝鮮のミサイルは日本やアメリカのみならず、あらゆる方向に向けることができるからである。したがって、国際社会は協調して、とりわけ日米韓は緊密に連携して北朝鮮に対する経済制裁を強化し続けなければならない。

北朝鮮に対する経済制裁という外交努力が効を奏するには、日米韓は現実味のある強力な戦力を見せつける必要がある。そのためにアメリカ海軍はイージス艦を伴った空母打撃群を派遣し、世界最強の攻撃原潜を出動させ、そして爆撃機もこの地域に常駐させている。また、日本の防衛を鉄壁に維持するため、最新最強のF-35戦闘機、P-8哨戒機そしてMV-22(オスプレイ)を展開させているのである。

中国は北朝鮮唯一の同盟国であり、北朝鮮に対して最大の影響力を持っている。そこで、以上のような軍事的支援を伴った北朝鮮に対する経済的・外交的圧力とともに、中国による北朝鮮への経済的圧力が強化されることが、朝鮮半島の平和が保たれるために何よりも大切である。

(2)中国による海洋進出

国際社会が北朝鮮の核兵器開発を牽制するために中国の協力を期待しているからといって、中国による強引な海洋侵出を容認することはできない。今週も(東シナ海上空で)米軍機に対して中国戦闘機が危険な方法で接近して威嚇するという事案が発生した。このような無責任で危険極まりない中国側の行動が(東シナ海や南シナ海の上空で)頻発しているのは、理解に苦しむところである。

中国は、南シナ海に人工島を建設して軍事拠点化し、領域紛争中の海域や島嶼環礁に対する中国の主権を既成の事実としようとしている。それらの軍事施設を伴った人工島は、南シナ海の物理的、政治的な状況を根本的に変えつつある。しかし、かねてより指摘しているように、われわれは“偽の島”を真に受けてはならない。

中国軍艦はアメリカの排他的経済水域内で作戦行動をとっているが、それに対してアメリカは何ら苦言を呈していない。なぜならば、そのような海域は公海であるからだ。ところが、アメリカの軍艦や軍用機が中国軍艦や中国軍機と同じ行動を(中国の排他的経済水域内で)とると中国当局は抗議をしてくる。このように、中国は国際的ルールを選択的に用いているのである。

かねてより繰り返し主張してきたように、中国には現実的な対処、すなわち「このようにあってほしい」と期待するのではなく「このようである」として対処しなければならない。我々は、中国と協調できる部分をより発展させるために、中国と協調できない部分に関して妥協してしまうことは避けねばならない。

(3)ISのフィリピンへの勢力浸透

フィリピンに勢力を浸透させているISも、アジア太平洋地域における大きな軍事的脅威の1つと言える。

フィリピン南部に勢力を張り巡らせているアブ・サヤフ(イスラム原理主義組織)の指導者の1人であるイスニロン・ハピロンは、昨年、ISの東南アジア指揮官に指名されている。(今年の5月から6月にかけて)ミンダナオ島のマラウィ市におけるフィリピン軍治安部隊(アメリカ軍特殊部隊も支援していた)とアブ・サヤフの武力衝突は、東南アジア地域において発生したISの影響を受けた武装勢力による戦闘としては最大規模のものであった。

アメリカ海兵隊とフィリピン海兵隊の対アブ・サヤフ合同訓練

マラウィ市での戦闘は、外国から流入したISのイデオロギーや戦闘資源やノウハウが地元出身者の間にも浸透し、東南アジアにも拡散しつつあることを物語っている。

ISのような暴力的過激組織の勢力の伸張を防ぐためには、国際協力が必要不可欠である。このようなIS打倒のための国際連携に日本は貢献している。たとえば、日本がフィリピンに供与した巡視船や海洋哨戒機などは有用だ。アメリカも、新型哨戒機をフィリピンに提供し、それらはミンダナオ島やスールー諸島での対IS作戦に貢献している。

このような二国間(日本とフィリピン、アメリカとフィリピン)の協力も大切だが、それ以上に効果的なのは多国籍間の協働(共通の目的に向けての協力)である。最近実施されたアメリカ、日本、オーストラリア、そしてインドによる合同軍事演習は、批判を加える勢力もあるが、民主主義という共通の価値を分かち合って集結する安全保障協力関係の構築努力と言える。

講演するハリス司令官(写真:米国防総省)

*  *  *

以上のようにハリス司令官は北朝鮮の核ミサイル、中国の海洋進出、そしてISの東南アジアへの浸透がアジア太平洋地域の3大軍事的脅威であることを説明した。

同時に、アメリカがアジア太平洋地域を最も重視し、今後も最優先で関与していくことが、アメリカの指導者たちの共通認識であることを強調した。

ハリス大将によると、これまでの70年と同様に、アメリカ太平洋軍は今後もその強力な統合戦力で睨みを効かすことによりアジア太平洋地域の軍事的安定を維持していき、アメリカが太平洋国家そして太平洋のリーダーとしての地位に留まり続ける決意であるという。そして、世界中で脅威が高まり、より強いリーダーシップが求められている今日ほど強固な日米同盟が求められている時はない、と日米同盟の必要性を繰り返し強調した。

米海軍が誇る空母打撃群

いまだに定まっていない中国に対する姿勢

本コラムでも何度か触れたように、ハリス司令官は太平洋軍司令官に就任する直前の太平洋艦隊司令官時代より、中国による好戦的な海洋進出政策に対して強い警鐘を鳴らし続け、対中強硬派とみなされていた。しかし、極めて“平和愛好”的な日本主催の会合での講話であることに加え、アメリカとしては中国に北朝鮮への何らかの圧力を発揮してもらうことを期待せざるを得ないという状況のため、ハリス大将の中国に対する姿勢は上記のように穏やかなものであった。

ただし、アメリカ海軍関係者たちの間では、来年の「リムパック2018」に中国を招待したことを巡って、それを容認したとしてハリス司令官を含む海軍やペンタゴン上層部を強く批判する人々も存在する。

また、アメリカ軍関係者たちの間では、東アジア地域での新興覇権国である中国と既成覇権国であるアメリカは武力衝突が避けられないという「トゥキディデスの罠」に関する議論も半年以上にもわたって続いている。さらには、最近、中国海軍首脳が明らかにした最新鋭潜水艦技術を巡っても、アメリカ海軍関係者たちの間では中国に対する姿勢を巡って意見の対立が見られる。

そのため、果たしてトランプ政権がアジア太平洋を最優先させるのか、中国に対して封じ込め的姿勢を取るのか? それとも融和的姿勢を取るのか? については、いまだに定まっているとは言えない状況である。

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『一瞬の蜜月関係が終わった米国と中国 北朝鮮を制裁しない中国に米国は「失望」』(8/5JBプレス 古森義久)、『「日本に核武装させるべきか?」米メディアに現れ始めた「日本頼み」の論調』(8/4NewSphere)について

トランプは習近平に騙されたと思っているでしょう。習はトランプを騙せて賢かったと思っているのでは。そもそも中国人を信用するのが間違いです。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う価値観で動いていますので。北の問題を始め、時間の利益を中国・北朝鮮に与えてきたことになります。南シナ海だって2015年9月に習近平はホワイトハウスで「軍事化することはない」と約束しました。今はもう完全に軍事基地化したではないですか。

http://www.sankei.com/politics/news/170801/plt1708010007-n1.html

米国がロシアと対抗するために中国という悪魔の帝国を製造したわけです。壜の蓋論で日本を抑えながら。製造物責任は米国にあります。米国が解決する義務を負います。今になって日本にだけ押し付けられても、片づけられないくらい中国は軍事力が突出してしまいました。ただ、日本の核武装は必要と思います。第二、第三の広島、長崎を出さないために。唯一の被爆国ですから、核を持つ権利はあります。左翼政党・左翼メデイアは反対するでしょうけど、彼らは中共の手先ですから、当然そうするでしょう。

米国が北を攻撃するのは9月以降かもしれません。8月までに北朝鮮にいる米国民の国外避難を求めているからです。遠藤氏のブログによれば、本年9月から1年の内には攻撃があるかもしれないとのこと。

http://endokentaro.shinhoshu.com/japan/post4918/

韓国は愚かにも中国と北の煽動に乗り、8/15ソウルの米大使館前で反「THAAD」のデモをするようです。自国の安全に関することなのに、政府も司法もデモを許すところに、衆愚民主の弱さがあります。敵はそこをついてきて利用するだけです。共産主義国は自国の自由なデモは簡単に鎮圧できますので。天安門事件のように容易に虐殺します。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/03/2017080303030.html

8/6宮崎正弘氏メルマガに<マレーシア、中国のフォレストシティをめぐり政局化 マハティール vs ラジブ政権+サルタン連合が「主権」で論争>という記事が載りました。北海道にも同じ手でやってくるのではと危惧されています。いつの世でも人口侵略を実践して来た中国ですから、さもありなん。ラジブとサルタンには賄賂を贈っていると思います。日本では、官僚に賄賂は贈れませんが。中国でも人件費が上がり、AI化やロボット化が進んできています。人口の多さが消費を支える筈(でも富の分配がうまく行ってないため、個人消費の占める割合はGDPの37%)でしたが、それが逆回転し出しています。そうなると共産党が考えるのは人口輸出・棄民でしょう。そこの土地も奪い、中華帝国に跪くようにすることを狙っていると思います。

http://melma.com/backnumber_45206_6565870/

中国で流行っていると言われるレンタサイクルが日本に進出との記事。中国では返さない顧客が多いので潰れた会社が2社ありましたが。中国のモバイク進出も軍事用なのかもしれません。日本のGPSを使って攻撃地点を調べるように使われるかもしれません。日本の役人はセキュリテイに危機感がなさ過ぎです。

http://www.imasugu-chinese.net/chinese/post19685

https://japan.cnet.com/article/35103252/

古森記事

米フロリダ州にトランプ氏が所有するリゾート施設「マーアーラゴ」で、中国の習近平国家主席(左)を歓迎する米国のドナルド・トランプ大統領(右、2017年4月6日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

米中関係の“ミニ蜜月”は終わった――米国のトランプ政権の最近の対中姿勢と、中国側の反応をみていると、北朝鮮問題に共同で対応しようという一時の協調関係は完全に終了し、本来の対立状態へと戻ったようである。新たな米中対立は、日本にも当然、大きな影響を及ぼしそうだ。

中国への失望が鮮明に

トランプ大統領は4月上旬の習近平国家主席との米中首脳会談で、北朝鮮の核兵器開発阻止のための協力を中国に要請した。北朝鮮経済の生殺与奪も可能な中国に、石油の輸出停止など北朝鮮に対するこれまでにない強硬で大規模な経済制裁措置をとることを頼んだのである。それと引き換えに、トランプ政権は経済面や軍事面での中国の荒っぽい行動への抗議は当面みあわせるという態度をとった。

トランプ政権はこの対中要請に、米中貿易不均衡問題での中国側の善処策とからめ、100日間という期限をつけた。その間、トランプ大統領は中国への批判を一切行わず、逆に「習近平氏は好ましい人物だ」などいうコメントを発し、米中協調の構えをみせた。

もともとトランプ氏は、大統領選キャンペーン中から中国に対して厳しい非難を浴びせていた。当初は、中国の巨大な対米貿易黒字や、米国企業を不当に扱う不公正貿易慣行、知的所有権の侵害など、経済分野での非難だった。だが、次第に南シナ海での無法な領有権の主張やその拡大についても批判するようになった。中国からの米国の官民に対するサイバー攻撃もトランプ氏は糾弾していた。

ところがトランプ政権は、4月上旬に、中国に北朝鮮への圧力行使を要請するのに伴い、こうした批判的な対中姿勢を一変させた。それ以降の米中関係は、あたかも小さな蜜月関係に突入したかのようだった。

しかし、中国は北朝鮮問題に関して米国が求めるような動きを見せなかった。トランプ政権は中国への批判的な姿勢の表れとして、6月下旬に台湾への兵器売却を決定し、7月初頭には南シナ海で中国の領土拡張に抗議する意を込めた「航行の自由作戦(FONOP)」を実行した。いずれも中国政府が嫌がる動きであり、同政府はその両方について米国政府に激しい抗議の意を表明した。

そして、「100日の猶予」が完全に終わる7月中旬ごろには、トランプ政権の中国への失望が鮮明となった。

とくに北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)と豪語する長距離ミサイルの実験発射を7月に2回実施すると、トランプ大統領は「中国には失望した。アメリカの政治指導者たちはこれまで中国の対米貿易黒字の巨額な膨張を許容して、中国側に利益を与えてきたのに、中国はこちらの要請を受けても北朝鮮に圧力をかけもしない。この状態を続けることはできない」と激しい中国非難を打ち上げた。

トランプ大統領の対中非難に呼応するように、CIA(中央情報局)のマイク・ポンペオ長官も米国の一部メディアとのインタビューで、「米国にとって中期、長期の最も深刻な脅威は中国だ」と語った。ポンぺオ長官はさらに「経済面でも軍事面でも米国に対して最もチャレンジをする能力を持つのは中国だ。南シナ海でも東シナ海でも、中国は米国やその同盟国の利益を盗むか、侵すかしている」とも述べた。

中国側は国営新華社通信がこのポンぺオ長官の発言を詳しく取り上げ、「米国は自分たちのせいで生まれた危機を中国のせいにしている」と反撃した。トランプ大統領自身の中国批判に対しては中国外務省の報道官が「米国政府は北朝鮮の核危機を中国の責任だと非難するが、まったくの的外れだ」と反論した。

民主党勢力もトランプ政権に同調

トランプ政権は同時に議会の共和党議員たちと連携して、北朝鮮との取り引きを続けている中国企業への経済制裁の強化や、中国企業の米国との間の不公正な貿易慣行を新たに指摘して、経済制裁をかけるという動きにも出始めた。

この動きには議会の民主党勢力も珍しくトランプ政権に同調する形で、中国企業による対米投資に厳しく規制をかける措置を提案し始めた。上院の民主党院内総務のチャック・シューマー議員は8月1日、「中国政府が北朝鮮の核開発を抑える具体的な行動をとるまで、中国企業の米国内の企業買収を一切、認めない政策をとるべきだ」というトランプ政権への要望を発表した。

中国側も黙ってはいない。トランプ政権や米国議会のこうした姿勢の硬化に反発し、政府報道官の言明や国営メディアの評論を通じて米国を非難するようになった。

米中関係のこうした悪化によって日米同盟が強化されるという現象も起きている。安倍晋三首相はこれまで、北朝鮮の核問題で中国に頼ることは賢明ではないという見解をトランプ大統領に伝えてきた。しょせん中国は米側の思いどおりには動かないという意味の見解である。現実の展開は、この見解が正しいことを証する形で動いたわけだ。米中両国が安全保障面で再び対立すれば、米国は在日米軍の基盤となる日本との同盟関係をより重視するようになるであろう。

NewSphere記事

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このところの北朝鮮の相次ぐ大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験成功は、米本土に到達する能力を秘めたものであるだけに、アメリカの危機感を大きく煽ったようだ。しかし、外交的手段は手詰まりで、直接攻撃にも踏み切れない状態だ。これに業を煮やしたような形で、米メディアには、北の核に対する最も有効な抑止力は、「日本の核武装」だとする論調も出始めた。

◆日本のタブーは破られた  FOXニュース(web版)は、「日本の核が北朝鮮の攻撃を止めるか? 北の実験で弱まる日本のタブー」と題した記事で、専門家の意見を交えて日本の核武装の是非を論じている。冒頭で、「北朝鮮がさらなる長距離ミサイルの実験で核の野望を前進させる中、かつては考えられなかったことが日本でメインストリームになりつつある。非常に不安定な地域で生存するために、日本には核による抑止力が必要だという考えが、議論されているのだ」と書く。

4人の専門家がFOXニュースのインタビューに答えているが、それぞれ日本の核武装に対して賛成、反対の違いはあるものの、共通しているのは、今の日本には核武装を議論することのタブーがなくなったという認識だ。Center for Non-proliferation Studies(核不拡散研究センター)のアナリスト、マサコ・トキ氏は、世界で唯一の被爆国である戦後の日本には、「政治家が少しでも核武装を論じただけで辞任に追い込まれる」ほどの“核アレルギー”があったことを指摘。しかし、北朝鮮と中国の脅威が急激に増している今は、そのタブーが破れ、「比較的自由に論じられるようになった」と述べている。

国際戦略研究所のエグゼクティブ・デレクターで『Asia’s Latent Nuclear Powers(アジアの潜在的核戦力)』という著書があるマーク・フィッツパトリック氏は、事態はさらに進んでいて、核武装をするべきだという考えが「主流になっている」と分析する。ポリティカル・リスクのコンサルタント会社を運営するアンダース・コール氏も、「日本では、過去数ヶ月間で核武装を支持する軍事アナリストが急増した」と語る。

◆「日本が核を持てば情勢はさらに不安定に」と反対派  FOXニュースは、戦後日本の“核のタブー”がなくなった理由に、隣国の中国が核保有国として領土拡大の野心をあらわにしていることと、北朝鮮の相次ぐミサイル発射実験、トランプ米大統領が自国を優先し、日米安保における日本の役割の拡大を望んでいることを挙げている。

それを十分に認識したうえで、フィッツパトリック氏は核不拡散を提唱する立場から、日本の核武装に「私は、それは非常に危険だと思う。なぜなら、故意であろうが、偶発的であろうが、(極東地域の)軍拡競争と核取引の機会を加速させるからだ」と反対する。また、アメリカは敵対している国に対しても同盟国に対しても、等しく核の不拡散を求めている。その点でも、日本が核武装すれば、アメリカに大きな外交的課題が突きつけられるという見方を示している。

そもそも日本はアメリカの核の傘に守られているので、独自に核を保有する必要がないと主張する専門家もいる。カーネギー国際平和基金の核政策プログラムの共同ディレクター、ジェームズ・アクトン氏は「日本の核兵器だけではない。アメリカの核兵器もあるのだ」と語り、「これは日本が核を保有すべきだという議論において、見逃してはならないことだ」と強調している。

◆賛成派は「最大にして唯一の抑止力」  一方、ユダヤ系保守メディアのコメンタリー誌(web版)は、「日本が核武装すべき理由」と題した記事で、日本の核武装を強く推している。相次ぐ北朝鮮のミサイル発射実験に対し、今のところトランプ政権は無策であり、事態は悪い方向に進んでいると同メディアは見る。そして、「大統領選の最中、トランプは日本と韓国には核兵器が必要だと示唆した。後に幅広い層からの批判を受け、自ら撤回したが、日本について言えば、彼は間違っていなかったかもしれない」と書く。もはやアメリカの核抑止力が無視され、外交的手段では北朝鮮の蛮行を止めることができない以上、隣国の日本が核を持つこと以外に解決策はないという考えだ。

コメンタリー誌は、「日本は既に核兵器を開発可能だ。既に作り方を知っている爆弾を、材料を手に入れて組み立てればいいだけだ」とも書く。また、「日本の核武装の可能性は、中国の高官たちを本当に立ち上がらせ、傾注させるただ一つのものだ」と、中国に対しても絶大な効果を発揮するとしている。Foxニュースのインタビューに答えた賛成派、アンダース・コール氏は、「近年、急速に日本の領空でアグレッシブになっている」ロシアも抑えることができると語っている。

コール氏は、日本の核武装は東アジアの不安定化を加速させるという反対派の懸念を、「実際には東アジアの緊張を和らげる」と一蹴する。北朝鮮は核開発を中止するし、中国も尖閣諸島を奪取するのをあきらめることになると、同氏は見ている。さらに、韓国と台湾も核武装すれば、東アジアはより安定するという持論を展開する。日本在住のジャーナリスト、ウィリアム・ペセク氏も、韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)設置に対する中国のヒステリックな反応(韓国旅行の禁止、K-POPスターのビザ発給拒否、ロッテの店舗を閉鎖)を引き合いに出し、中国や北朝鮮のような国に対しては武力による抑止力こそが有効だと見ているようだ(フォーブス誌)。

アメリカの影響力は無視できないとはいえ、最終的に決めるのは我々日本人自身だ。臭いものには蓋をしたままでやり過ごせるほど、日本を取り巻く情勢は甘くはない。結論はどうであれ、核武装について議論を進めること自体は必要なことだと思うが、いかがだろうか?

Text by 内村浩介

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『「北爆」準備は着々と進む 北朝鮮の反撃に備えを固めた日米』(8/3日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

8/4北野幸伯氏メルマガでは、米国世論も北への攻撃止む無しに傾いているとのこと。「▼アメリカ世論は、「朝鮮戦争やむなし!」に傾いてきている

夕刊フジ8月1日に、非常に興味深い情報が載っています。

FOXニュースが7月16日~18日、世論調査を実施した。その結果・・・。

<北朝鮮が核兵器開発を続けるのを止めるため、米国が軍事行動を取ることに賛成か反対かを聞いた質問に対しては、51%が賛成と回答した。共和党員に限ると、73%が賛成だった。>

なんと「朝鮮戦争賛成」は、51%!共和党員だと、73%(!)が賛成!注目してください。

世論調査が行われたのは7月16日~18日。

「ニューヨークを射程に収める」ICBM実験が実施されたのは、7月29日。調査には、この実験結果が反映されていない。

つまり、次の世論調査では、「朝鮮戦争支持者数」は、もっと増えると予想される。おそらく、アメリカ全体で6割を超え、共和党員では8割を超えてくるのではないでしょうか?

「世論の後押し」は、トランプに「決断する勇気」を与えることでしょう。

(私は、もちろん戦争反対です。)」(以上)

潮匡人氏の『安全保障は感情で動く』には故松原正早大名誉教授の言葉が紹介されていました。「未来永劫人間は決して戦争を止めはしない。なぜなら、戦争がやれなくなれば、そのとき人間は人間でなくなる筈だからである。では、人間をして人間たらしめているものとは何か。「正義とは何か」と常に問はざるをえぬという事、そして、おのれが正義と信じるもののために損得を忘れて不正義と戦いたがるという事である。即ち動物は縄張を守るために戦うに過ぎないが、人間は自国を守るために戦うと同時に、その戦いが正義の戦いであるかどうかを常に気にせずにはいられない。これこそ動物と人間との決定的な相違点なのである。」(P.186)

米国は自衛権の発動、正義の闘いとして北を先制攻撃するのでは。米軍の攻撃があるとすれば、鈴置氏の言う北の核実験後にあるのではないでしょうか。以前言っていました、レッドゾーンを越えた状態(米国に到達するICBM開発と核開発)になりますので。

韓国人100万人が犠牲になると言われて、韓国は戦争をストップさせようとしているでしょうけど、米国にとってこれ以上待つと米国人に大量の犠牲が出かねません。米軍もソウル南部80Kmの所に移した点や、横田にバラックを作っているという事は「やる気」と見ておいた方が良いでしょう。

問題は日本です。朝鮮総連や朝鮮高校、在日がテロを起こす可能性があります。「テロ等準備罪」法案を適用して事前に取り締まれれば良いのですが。警察がキチンと抑えられるかです。出動があるとすれば、沖縄の海兵隊もあると思われますので、沖縄県警は米軍基地をしっかり警護しませんと。長谷川慶太郎氏によれば、在韓米軍を動かすには議会の承認が必要ですが、沖縄海兵隊は大統領命令だけでできるとのことです。ただ、空母やグアムからの攻撃は議会承認がいるのかどうかは分かりません。でも、事後承認の形になるのでは。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=6610

記事

北朝鮮のICBM発射を受け、7月30日に米爆撃機B-1Bと自衛隊F2戦闘機が朝鮮半島南方で共同訓練を行った(提供:航空自衛隊/AP/アフロ)

前回から読む)

米国は戦争準備をほぼ終えた。それは北朝鮮も分かっている。

「嫌がらせ」をあきらめた文在寅

鈴置:文在寅(ムン・ジェイン)大統領が7月29日未明、米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の追加配備を認めました。7月28日深夜、北朝鮮が米本土まで届くと見られるICBM(大陸間弾道弾)を試射したからです。

180度の姿勢転換です。文在寅政権は追加配備に難色を示したうえ、国を挙げて在韓米軍のTHAAD基地を封鎖するなど嫌がらせをしてきました(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

態度急変の前日、7月28日には韓国国防部が「すでに配備した装備を含めTHAADすべてに関し、環境影響評価を実施する」と正式発表したばかりでした。

文在寅大統領は2017年3月、テレビ討論会で「THAAD問題を次の政権に手渡せば、いろいろな外交カードとして使える」と主張しました。

環境影響評価を理由に配備を遅らせることにより、米国を脅す作戦でした。在韓米軍の兵士と韓国国民を守るTHAADを、外交の小道具として使おうとしたのです。

米軍の顔色を見る国防部は環境影響評価の実施に否定的でしたが、青瓦台(大統領府)に押し切られたのです。

THAADの「非正常な運用」

これを報じた東亜日報は「THAAD、年内配備は不透明に」(7月29日、日本語版)で「(環境影響評価は)1年以上かかる可能性が高く、THAADの非正常な運用が長期化すると懸念されている」と書きました。

韓国の左派団体は慶尚北道・星州(ソンジュ)の米軍THAAD基地を封鎖。通行する車両を検問しては、新たな発射台や発電機の燃料の搬入を阻止してきました。それを警察も止めません。

文在寅政権が「環境影響評価が実施されていない」ことを盾に追加配備を認めないこともあって、4台の発射台は韓国に持ち込まれましたが、星州の基地に配備されていません。米軍は本来なら6台の発射台で構成するTHAADを、先に持ち込まれた2台で運用しています。

高性能レーダーに必要な電力も外部から供給されず、ヘリコプターで発電機用の燃料を運んでいます。このため、北朝鮮がミサイルを発射しても稼働していなかったこともあると朝鮮日報は報じています(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

「見捨てられ」の恐怖

—政権が態度を急変したのはなぜでしょう?

鈴置:「米国に見捨てられる」との恐怖でしょう。5月末に訪韓した米国の大物議員は「韓国がTHAAD配備を望まないなら他で使う」と語りました(「『第2次朝鮮戦争』を前に日米を裏切る韓国」参照)。

韓国に頭を下げてまでTHAADを配備するつもりはない、ということです。この発言により、米朝間の緊張が高まった時に韓国が配備を邪魔し続けるなら、米国は軍を引き揚げる可能性が高いと見られるようになりました。

韓国の保守も「THAADでつまらぬ嫌がらせをしていると米国から見捨てられる」と悲鳴をあげました(「『韓国の鳩山』に悲鳴をあげる保守系紙」)。安全保障に鈍感な日本の軍事専門家の間でも、在韓米軍撤収が囁かれ始めていたのです。

文在寅政権は7月29日の北朝鮮のICBM発射を見て「米国が軍事行動に出る可能性が増した。もう、米国への嫌がらせを続けるわけにはいかない」と判断したのでしょう。

この政権の基本路線は「反米親北」です(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」)。しかしまだ、米韓同盟の廃棄につながる米軍撤収までは覚悟できていないのです。

南下した米軍兵士と家族

—米国は「第2次朝鮮戦争」への備えをさらに固めましたね。

鈴置:その通りです。2台より、6台の発射台の方がいいのは当然です。米国防総省のスポークスマンは7月31日、韓国記者らに「追加配備の準備は終えている」と語りました。

「すべてのことは韓国政府との継続的な協議の産物」とも述べ、追加配備容認は対韓圧力の結果と誇りもしました。

聯合ニュースの「米国防総省『THAADの追加発射台、可能な限り迅速に配備の準備完了』」(8月1日、韓国語版)が伝えています。

文在寅政権は北朝鮮との対話に未練を持っています(「早くも空回り、文在寅の『民族ファースト』」参照)。

北朝鮮は追加配備に怒り出しますから、米国は韓国にそれを認めさせることにより「対話より戦争準備」を選択させたのです。

戦争準備と言えば、7月11日には在韓米軍の主力である陸軍第8軍の司令部の移転が終わっています。ソウルから、その南方80キロの平沢(ピョンテク)に移りました。

これに伴い、各地に分散して駐屯していた米軍部隊も平沢に集結、ソウルよりも北に残るのは砲兵1個旅団だけになりました。もちろん在韓米軍の家族も一緒に平沢に移り住みます。

これらの大移動は予定されていたことですが、北朝鮮の長距離砲や多連装ロケット砲の射程圏内から、多くの米軍兵士と家族が脱したことを意味します。米国は戦争を始めやすくなりました。

なお「最近、横田基地に大量のバラックが建てられた。朝鮮有事の際、韓国から退避した米軍関係者を収容するためだろう」と語る日本の専門家もいます。

「人間の盾」を予防

—米国政府は自国民の北朝鮮旅行も禁止したとか。

鈴置:7月21日、北朝鮮への渡航禁止を発表しました。7月27日に施行され、30日の猶予期間を経て発効します。北朝鮮旅行を斡旋してきた中国の旅行社には発表前から通知しており、実質的には7月中旬から渡航を止めている模様です。

北朝鮮で拘束された米国人青年が6月13日、人事不省の状態で送り返されました。この青年は6月19日、脳の損傷のため亡くなりました。

米国政府は渡航禁止を発令した理由にこの事件をあげました。が、米朝の軍事衝突を念頭に置いているのは間違いありません。いざ戦争になった際、北朝鮮が米国人旅行者を「人間の盾」に使うのは確実だからです。

渡航禁止令の発表と同じ日、7月21日にはハワイ州政府が、北朝鮮の核攻撃を想定した市民向け対応マニュアルを公表しました。7月4日に発射したICBMの射程距離が従来の北朝鮮のミサイルよりも長いため、ハワイが核攻撃に晒されると判断したのです。

北朝鮮支援が目的の吹田事件

—米国は準備、着々ですね。

鈴置:日本も備えを進めています。安倍晋三政権は6月15日、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を成立させました。「第2次朝鮮戦争」に伴う日本国内でのテロの防止にも活用する狙いと見られます。

北朝鮮軍の奇襲攻撃で始まった朝鮮戦争(1950-1953年)。一時は朝鮮半島の東南の片隅に追い込まれた米軍が、態勢を挽回できたのは日本の強大な補給力のおかげでした。

戦争の真っただ中の1952年6月24―25日、北朝鮮を支持する左派勢力は朝鮮半島に送られる米軍の武器・弾薬を阻止しようと吹田事件を起こしました。

大阪大学豊中キャンパスを出発したデモ隊は、警官隊から拳銃を奪い、米軍の高級将校に暴行したうえ、国鉄・吹田操車場に突入しました。    朝鮮半島で再び軍事衝突が起きれば「日本の補給力」を潰そうとするテロが起こり得ます。安倍政権が「共謀罪」を強引に国会で通過させたのも、新たな朝鮮半島有事を意識してのことと思われます。

「北への侵略と共謀罪を許すな」

—「共謀罪」が「第2次朝鮮戦争」と関連するとは初耳です。

鈴置:公安関係者には関連付けて考える人が多いのです。逆に、北朝鮮を支援する勢力にすれば、共謀罪は「目の上のたんこぶ」です。

7月29日、「北朝鮮への侵略戦争を阻止せよ!」をスローガンに掲げ、署名を呼びかける人々が都内で見受けられました。彼らのもう1つのスローガンが「共謀罪を許すな!」でした。自分たちに適用されかねないと懸念しているのでしょう。

1994年の朝鮮半島の核危機の際、日本には戦争準備が全くないことが露呈し、米国を激怒させました。例えば、日本を守る米海軍の艦船が敵から攻撃を受けても法的に、自衛隊は指をくわえて見ているしかなかったのです。

そこで安倍政権は2016年9月になってようやく、米艦防御などを可能にする安全保障関連法を成立させました。

それから2年近く経った2017年7月26日、青森県陸奥湾沖で海上自衛隊は「米艦防御」を実施しました。もちろん、安全保障関連法が根拠です。参加したのは海自の掃海母艦「ぶんご」と、米海軍の掃海艦「パイオニア」(Pioneer)です。

戦争になったら北朝鮮の流す機雷を、海上自衛隊と米海軍の掃海部隊が一緒になって除去することになります。その訓練を新しい法制の下で実施したのです。

深夜のICBM試射

—これだけ準備したとなると、米国は北朝鮮を攻撃するのでしょうか?

鈴置:それは分かりません。準備はあくまで準備です。「いざ」に備えているに過ぎません。ただ、北朝鮮は米国の戦争準備にしっかりと対応しています。7月28日のICBM試射はその好例です。

北朝鮮が発射した場所は中国国境沿いの慈江道・舞坪里(ムピョンリ)です。「先制攻撃してきたら、国境沿いから核ミサイルで反撃するぞ。中国への誤爆が怖くて、ここは攻撃できないだろう」と、米国を嘲笑したのです。

発射時刻も28日午後11時42分ごろと、珍しく深夜でした。米国が戦争を開始するのは、真っ暗な新月前後の夜がほとんどです。

湾岸戦争の「砂漠の嵐」作戦(1991年1月17日開始)も、イラク戦争の「イラクの自由作戦」(2003年3月20日開始)もそうでした。

北朝鮮は「米国は深夜に攻撃してくるだろうが、いつでもICBMで反撃できるぞ」と言いたかったのだと思われます。7月の新月は23日で、試射の28日はその少し後でしたが。

次の新月は8月22日

—次の新月は?

鈴置:8月22日です。その前日の8月21日から米韓は合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」を始めます。

「演習を始めると見せかけて兵を集めておき、一気に攻撃してくるのではないか」と北朝鮮は疑っていることでしょう。「米国の先制攻撃」を牽制するため、6回目の核実験など新たな動きに出るかもしれません。

■北朝鮮の核実験

回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1
4回目 2016年1月6日 M5.1
5回目 2016年9月9日 M5.3

(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による。

■「軍事衝突」準備年表

2015年
9月19日 米艦防御などを可能にする安全保障関連法成立(施行は2016年3月29日)
2016年
1月6日 北朝鮮、4回目の核実験
9月9日 北朝鮮、5回目の核実験
2017年
3月17日 秋田県男鹿市で全国初の弾道弾を想定した住民の避難訓練実施
6月15日 共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法成立(施行は7月11日)
7月4日 北朝鮮、ICBM「火星14」を試射、飛行時間は約40分間
7月11日 在韓米軍の主力、陸軍第8軍司令部がソウルから平沢に移転
7月21日 米政府、自国民の北朝鮮渡航禁止を発表(施行は7月27日)
7月21日 ハワイ州政府、北朝鮮の核攻撃を想定した市民向け対応マニュアルを公表
7月26日 海上自衛隊と米海軍の掃海艦が青森県陸奥湾沖で共同訓練。安全保障関連法を根拠にした「米艦防御」を実施。
7月28日 北朝鮮、ICBM「火星14」を試射、飛行時間は約45分間
7月29日 文大統領、難色を示していた米軍のTHAAD発射台の増設を認めるよう指示
7月31日 安倍首相とトランプ大統領、北朝鮮のICBMに関し、52分間に渡り電話で協議
 

(次回に続く)

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