10/1日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「中国の尻馬」にしがみつく韓国 「もう、中国がアジアの盟主だ」』について

韓国の世界を視るセンスのなさは歴史的な物です。中国の属国が長かったからでしょう。そういう自覚すらない可哀想な民族です。日本が第二次大戦中、「ドイツが世界を牛耳る」と思ったに似て判断が間違っているでしょうと思わざるを得ません。中国がスパイ容疑で邦人2人を逮捕したというのですから、普通に考えますと反日教育している国は危ないと思わないと。北と南が戦争になった時に日本は韓国の同意がない限り、在韓邦人の救出はできないようです。まあ、犠牲が出ても仕方がないということでしょう。日本人はこういう韓国人の態度が許されますか?韓国人が都合のいいときだけ「助けてくれ」というのは止めてほしい。企業は在留韓国の日本人は早く日本に帰すべき。在中日本人も。

中国でのスパイ容疑で捕まった2人は公安調査庁から依頼されたとのこと。こんなトウシロを使ってスパイ活動ができる訳もなし。中国の対応は過剰でしょうけど。でも日本のインテリジェンス部門のレベルの低さにはあきれ返ります。小生が以前に北京在勤時代、関西の警察から「中国の実態が聞きたい」と電話があり、余りの脇の甘さに唖然としてお断りしたことがありました。当然でしょう。中国は盗聴が当たり前なのに、その自覚もなく、電話で協力を要請するなんて情報機関としてはあるまじき話です。日本が弱体化していると思いました。

日韓通貨スワップがなくなったのは勿怪の幸い。絶対日本に言い寄って来ないのを祈ります。でも慰安婦に代表されるように恥を知らない民族ですから言ってくる可能性はあります。言って来たら「世界に従軍慰安婦は間違いでした。日本の朝日新聞を信じたのが間違いでした」と韓国が言わない限り、国民の税金を使わせるのは許すまじです。

中国は「胸が厚い」だけではありません。少なくとも韓国人と比べればずる賢さでは上を行くでしょう。小生中国在勤時代、煙台出張時、ホテルでデポジットを要求されました。今までなかったことなので、「何故?」と聞いてみると「韓国人が不況で家賃も払わず夜逃げしたので、日本人と雖も保証がないと」との返事でした。何を偉そうに「ウリジナル」なんて言っているのかと言う気がします。中国人だって韓国人は全然信じていないと思います。「手先」で使うに充分と思っているだけでしょう。本当に愚かな民族と付き合うことはしない方が良いと思います。

記事

(前回から読む)

 「中国がアジア金融の盟主になる」と主張する記事が韓国主要紙に載った。中国発の金融危機までが懸念されているというのに。

次の救世主は中国

—前回は、韓国はなぜ、あれほど中国に突っ込んでしまうのか、との質問で終わりました。中国経済は大きく揺れています。

鈴置:それに関連、興味深い記事が中央日報に載りました。これを読んだ日本の金融専門家は一斉に「韓国はいったい何を考えているのだろう」と驚きました。

 「米国が利上げすれば、中国がアジアを掌握?」(9月15日、日本語版)です。この記事は無署名ですが、原文の韓国語版(9月13日、中央SUNDAY 第444号)を見ると、書いたのは中国経済金融研究所長の肩書を持つ、チョン・ビョンソという韓国人エコノミストです。

  「今、世界が直面する金融危機により、米国のドルによる支配は終焉する」と主張した記事で、結論部分を要約すると以下です。

  • (前回、金融危機の発生した)1998年と2015年のアジアの状況は異なる。今後、米国の利上げによってアジアからドルが流出し金融危機が発生すれば、救世主は米国と国際通貨基金(IMF)ではなく、中国だ。
  • 中国が、その3兆5000億ドルの外貨準備を使って貸し出し枠を作ればアジアを支配できる。これまでアジア諸国は代案がないため、しぶしぶ米国のドルを受け入れてきた。が今回、アジアは米国を捨てて中国に走る可能性がある。アジアの金融の盟主が代わるのだ。

張子の虎の中国経済

—ユニークな見方ですね。

鈴置:世界の基軸通貨としてのドルに対し、不信感が高まっているのは事実です。2008年の世界同時不況の際も「ドルに代わる世界通貨が必要だ」との意見が出ました。

 でも、年内にも予想される米利上げを機に、直ちに中国が米国に代わってアジアの金融を支配する――というのは相当に大胆な意見です。

 「盟主になる」中国経済こそが大きく揺れています。7月以降、株価は暴落しましたし、人民元も売られています。そもそも、「アジアに貸し出す3兆5000億ドルの外貨準備」なるものに疑問符が付いているのです。

 日本経済新聞の滝田洋一編集委員は「中国3.6兆ドルの外準マネーは張子の虎か」(9月2日、日経電子版)で、中国の外貨準備に関し、以下のように指摘しています。

  • 「外準のうち、運用先の見当がつかない分が、少なく見積もっても1兆ドル程度はある」と、ベテランの市場エコノミストはいう。
  • 市場関係者が気をもむのは、ソブリン・ウエルス・ファンド(政府系ファンド)などに、外準マネーが流れていることだ。直近ではシルクロード基金(SRF)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の元手ともなっている。
  • 中国はアフリカや中南米で資源開発投資のアクセルを踏んできた。外貨準備がこうした開発投資に振り向けられているとしたら、どうだろう。開発・採掘コストの高いこれらの案件は、最近の国際商品相場の崩落で火を噴いているはずだ。投入した資金も、相当額が焦げ付いていると思われる。
  • 中国の外貨準備や人民銀行の外貨資産も、水増しされた張り子の虎ということになる。中国の外貨準備の中身をめぐる疑惑が、新たな金融危機の火種になりはすまいか。

7%成長は本当か

—1兆ドルも怪しげな投資に使ったとすると「真水」――いざという時に使えるまともな外準は2.5兆ドルということですね。

鈴置:しかも8月末時点の外準は3兆5573億ドルと、8月の1カ月間で939億ドル――1000億ドル近くも減ったのです。韓国の外準の4分の1に相当する額です。ピークの2014年6月末の3兆9932億ドルと比べると、14カ月で4359億ドルも減っています。中国人が母国を見限り、人民元を売っているのです。

—日本経済研究センターが「中国の本当の成長率は政府発表よりも相当に低い」と言っています。9月29日の日経新聞で読みました。

鈴置:中国政府は2015年第2四半期に年率で7.0%成長したと発表したけれど、鉄道貨物輸送量や銀行貸し出しの伸びから見て、実際は4.8%から6.5%の間に留まった――と日経センターは推計しました。

 また、2013年夏頃から中国の公式発表が日経センターの推計値を大きく上回るようになった、とも分析しています。世界のエコノミストの間でも「中国の粉飾」が常識化しています。今や、公式発表数値を信じる人はほとんどいないでしょう。

韓国は属国に戻るつもりですか

—世界同時株安の震源地にもなったというのに、なぜそれほど中国経済を賛美する記事が韓国の新聞には載るのでしょうか。

鈴置:自分が買った商品の問題点から目をそらす消費者と似ています。判断の誤りを認めたくはないのでしょう。

 韓国人は「落ち目の米国、浮上する中国」と信じ、国の存続を中国に賭けました。「中国がまずいことになっている」などという情報は耳に入れたくないのです。

 例えば、8月に外準が1000億ドル近くも減ったニュース。発表翌日の9月8日に日経は2面で、フィナンシャル・タイムズ(FT)は3面で報じました。が、韓国のメディア――経済紙も含め、ほとんど報じませんでした。

 そして、その1週間後に日本の金融専門家らは中央日報の日本語版で「中国がアジアを支配する」との記事を読んで、腰を抜かすほど驚くことになったのです。

 その中には「日本の一部メディアは中国経済を悲観的に報じ過ぎる」と語る人もいます。そんな人でさえも韓国紙の中国絶賛には首を傾げたのです。ある金融専門家からは「韓国は中国の属国に戻るつもりか」と聞かれました。

目下の日本からドルは借りない

—属国回帰ですか?

鈴置:この記事は最後のくだりで、アジアの国がドル不足に陥ったら今度は米国ではなく中国から借りる――と書いています。筆者がどう考えているかは分かりませんが、実際には「アジアの国」とは韓国だけを指すことになるでしょう。

 なぜなら、東南アジア諸国連合(ASEAN)や南アジアの国々は日本と通貨スワップを結んでいますから「中国を頼る」必要性は薄い。

 「『目下の日本』からはドルを借りない」で書いたように、韓国だけが「日本からは借りない」と大見えを切って、中国との人民元スワップに頼ることにしたのです(表「韓国の通貨スワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2015年9月30日現在)

Korea's swap

 

 

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)はIMF融資とリンクしない場合は30%まで。

資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

新しい兄貴がいる

—この記事は韓国という特殊ケースを「アジアの国」と拡大している点がまず、怪しいのですね。

鈴置:そのうえで、米国が金利を下げ、韓国が通貨危機に陥りそうになっても「日本はもちろん米国にも頭を下げないぞ。俺にはもう、もっと頼りになる新しい兄貴、中国があるからな」と筆者は肩をそびやかしたのです。

 だから日本のある専門家が「韓国は中国がこんな状況にあっても金融で中国一点張りを決めた――属国に戻ることを決めたのか?」と聞いてきたのです。

—本当にそう考えているのでしょうか。

鈴置:書いているのは1人のエコノミストに過ぎず、韓国政府の意思とは言い切れません。しかし韓国には「中国に賭ける」空気が未だに濃いのです。

 米国の強い反対を押し切って、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は北京での抗日式典に参加しました。「中国ブロック」に鞍替えしたと世界から認定されるのも覚悟の上でしょう(「韓国は『帰らざる橋』を渡る」参照)。

人民元スワップは頼りになるか

—「新しい兄貴」は頼りになるのでしょうか。

鈴置:いざという時に中国が貸してくれるのは人民元。韓国の外国に対する負債の相当部分はドル建てですから、返済するには人民元をドルに替える必要があります。切羽詰まった状況で、ドルへの転換が間に合うか、疑問視する人が多いのです。

 一部の専門家は「人民元が売られる中、中国が韓国へのスワップ発動を嫌がるのではないか」と見ています。なぜなら、韓国が中国から借りた人民元をドルに転じれば、巨額の人民元売りが発生するわけです。

 ただでさえ人民元売りに苦しみ、外準のドルを使って防戦している時です。韓国からのスワップ発動要請は中国にとって、はなはだ迷惑なのです。

 もちろん「約束通り中国は韓国に人民元を貸してやるだろう。減ったと言っても外準の『真水』は2.5兆ドルあるのだし、何よりも大国の面子がかかっているのだから」と言う人もいます。

 ただ、スワップを発動するにしろ、中国は何か条件を付けるかもしれません。例えば最近、韓国に要求し始めた「米韓合同軍事演習の中止」とか。これを実行させれば、米韓同盟に相当大きなヒビを入れられますからね。

人口オーナスは今年から

—やはり、韓国の現実認識は甘いのですね。

鈴置:ええ、現実から相当にずれていると思います。もちろん、冒頭で紹介した金融面での「離米従中」を宣言した記事は極端な例です。中国株が下がった後は、韓国紙も「中国経済変調」と報じ始めました。

 ただ、記事のほとんどが短期的な失速と捉えています。構造的な問題であり、対策が困難な「少子高齢化」の症状が中国経済にも出始めた、といった視点の記事はほとんど見当たりません。

 日本総研の大泉啓一郎・上席主任研究員が作成した「日中韓の高齢化率の比率」(グラフ1)をご覧下さい。中国も急ピッチで高齢化が進んでいます。

グラフ1:日中韓の高齢化率の比較

Chaina working peaple-1

注:65歳以上の高齢者が7%以上を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」といい、高齢化の進み具合を示す目安になっている

出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

 

 

 

 

グラフ2「日中韓の従属人口比率の推移」は中国が2015年から「人口オーナス」の時期に突入することを示しています。つまり少なくとも計算上は今年から、少子高齢化によるマイナス面が顕在化するのです。

グラフ2:日中韓の従属人口比率の推移(中位推計)

china working peaple-2

注:従属人口比率は0~14歳と65歳以上の人口の比率

出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

 中国経済はこれから基礎体力が衰えていく可能性が高い。というのに国威発揚を狙って人民元のレートを高めに設定してしまい、景気が悪くなった。

 内需も伸びないので、巨額の建設投資によりアクセルを一気に踏んだ。しかし、すぐに限界に直面した。そこで株高を演出し、景気に点火しようとして失敗した。

 この危うい構造に気がついた国民は、手持ちの人民元をどんどんドルに替えている――というのが中国の現状でしょう。

 これが世界の普通の見方です。でも韓国紙は、こうした分析をほとんど書きません。「中国の懐に入ることで経済成長を実現する」という国家戦略が足元から崩れてしまうからです。

胸の筋肉だけ厚い中国

—中国経済の長期停滞論は一切、言及されないのですか?

鈴置:ごくまれに語られます。朝鮮日報の宋煕永・主筆が「G2の中国、本当にNo.2なのか」(9月5日、朝鮮語版)を書きました。結論部分を訳します。

  • 先月の人民元暴落を通じて、政府が為替を強引に調整しているとの事実が満天下に公開された。「やはり中国の(先進国への道のりは)遠い」との評価と同時に「胸の筋肉は厚いが頭は足りない」「自動車免許でジャンボジェットを操縦する国」との印象を植え付けた。一部の研究所からは「中国の溶解」(China Meltdown)との厳しい分析も出た。
  • さらに深刻なのは内部の不満だ。階層間の二極化、都市・農村間の貧富の格差の中で、株価と不動産価格が暴落した。政府の対策が信認を受けたとは言い難く、国民の不満は膨れるしかない。成長率は低下している。企業も地方政府も債務の山に埋もれている。一人っ子政策の影響で、世界で最も急速に高齢化が進んでいる。
  • この中、朴槿恵大統領が天安門から史上最大の人民軍パレードを見学した。米国との同盟を思い浮かべ眉をひそめる人もいる。しかしそれよりも、我々は中国経済の先行きをまず考えなければならない。株式会社大韓民国の貸借対照表では、多くの項目が中国の未来に従い変化するからである。
  • 苦労が今後2-3年間で終わるか、10―20年間の長期の低迷に陥るかは、今後の中国次第だ。ただし、党主導の統制経済がもはや限界点に到達したことだけは明らかになった。中国が米国になるのにはまだ時間がかかる。

高齢化と金融危機

 しかし、宋煕永・主筆のように「20年もの長期停滞に陥る可能性」を指摘する人は韓国ではまれです。普通、こうした新しい視点には提灯が付いて、誰かが似たような記事で追い掛けるものです。

 でも、1カ月近く経っても宋煕永論文は孤立したままです。こうした見方はなかなか主流になりません。

 実は宋煕永・主筆は、少子高齢化による韓国の長期停滞を真っ先に指摘した人でもあります。4年半前の「不動産政策にあぐらをかく政治」(2011年3月26日、韓国語)で、激しく警鐘を鳴らしました。非常に興味深い記事なので要約します。

  • ハーバード(Harvard)大のマンキュー(N.Gregory Mankiw)教授は、生産年齢人口(15~64歳)の減少が住宅価格の下落に大きな影響を与えると予測した。ただその後に米国の住宅価格が上がったため、彼は嘲笑された。
  • しかし2008年、ベビーブーム世代の引退とともに米国は金融危機を経験した。これにより長い目で見れば、人口構造の変化が住宅価格に及ぼす影響が少なくないことが知られるようになった。
  • 韓国がその時期にさしかかっていることを認識すべきである。ベビーブーム世代の710万人の引退が本格化している。生産人口は今後4~5年後に頂点を付けた後、下り坂に転じる。
  • 青瓦台(大統領府)や与党のハンナラ党、建設業界は「不動産はいつかは上がる」との信仰に陥っている。日本のように20年間以上にわたって低迷し得るとの現実を信じない。
  • 日本でも生産人口の減少が始まる1995年の4~5年前から不動産価格が暴落した。政治家たちは、不動産活性化策で選挙に勝とうとの妄想を捨てるべきだ。

老化は直視したくない

—4年半前に「韓国の今」を言い当てた記事ですね。

鈴置:でも、この不都合な警告に誰も耳を貸さなかった。最近になって、専門家の間でようやく少子高齢化問題が議論されるようになりました。しかし韓国政府が現実を直視しているとは言い難い。

 相変わらず景気対策というと住宅市場の活性化策頼みです。少子高齢化に対応した社会の仕組みを、本腰を入れて作ろうとするわけでもない。

—なぜでしょうか。

鈴置:日本もそうでしたが、成長するのが当然だと長い間考えてきた人々が、衰退を想像するのは極めて難しい。50歳になって体力が衰えても、それを老化とは認めたくない心情と似ています。

日本に勝った!

—でも韓国には日本とは異なって、隣に悪しき先行例があります。それを見れば……。

鈴置:私もそれが不思議で韓国人に聞いてみたのです。面白い答えが返って来ました。「韓国では『日本に追いついた、勝った』と皆が万歳をしている。そんな時に『日本みたいになるぞ』という話は聞きたくないのだ」そうです。

 中国の長期停滞への認識もそれに似ています。韓国人はいち早く「落ち目の米国、浮上する中国」と見切って「離米従中」した。「情勢判断が遅く、中国と関係を悪化させた」日本人に対しては「俺の後ろには中国がいるぞ。どうだ、怖いか」などとそっくり返っていた。

 それを今さら「中国の成長は限界に達したかも知れない」とは言い出しにくいのです。ここでも「日本に勝った!」と快哉を叫んでいたのですから。

ウェイト・アンド・シー

—韓国人が日本に強烈なライバル心を持つのは分かります。でも、世界観までも「勝った、負けた」の対象にするというのは信じられません。

鈴置:19世紀に「西洋の衝撃」に直面した時、日本人はいち早く適応し、開国し西欧文明を導入してアジアで先頭に立った。しかるに我々は世界の変化を読み誤り、旧弊にしがみついて植民地に転落した――と韓国人は信じています。だから「今度は勝った」のです。

 前回、保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が「ヒトラーと心中した日本」になぞらえて現在の韓国を憂えていることを紹介しました。

 1940年4月、ドイツはデンマークとノルウェーを急襲し占領しました。5月にはフランスも席巻しました。この快進撃を見て日本では「勝ち馬のドイツに乗ろう」との意見が大勢を占めるに至ったのです。

 同年9月には日独伊3国同盟を締結。しかしまだ、この時点では対米戦争を避け得る余地がありました。

 趙甲済氏も記事で引用した、大本営・陸軍参謀の瀬島龍三氏の『幾山河』によれば、無傷の連合艦隊を維持しながら、欧州での戦争の帰結を見守る「ウェイト・アンド・シー」を説く高級参謀もいました(文庫版では114ページ)。

大日本帝国の失敗

 しかし大日本帝国の陸海軍ともに「軍事情報の収集に重点を置き、政治、経済を含む総合的な国力の判断をおろそかにした」結果、対米戦争に踏み切ってしまった、と瀬島氏が回顧していることは前回に紹介した通りです。

 趙甲済氏は親米保守であり、勝った方に付こうと考える「米中二股派」ではありません。しかし「仮に二股をかけるにしろ、もう少し腰を据えて状況を見極めろ」と言いたいのでしょう。

 大日本帝国の「無傷の連合艦隊」は現在の韓国にとって「米韓同盟」に相当します。朴槿恵政権はそれを危険にさらしているのですから。

—要は韓国も、冷静な判断をおろそかにして「中国が米国をしのぐ」と決めつけて動いた、ということですね。

鈴置:ええ。それに、ものごとには「勢い」というものがあって、「ウェイト・アンド・シー」でいかねば、と理屈では分かっていても、そんな地味な道を選ぶのは難しいのでしょう。

平和を願う中国共産党

—韓国は今からでも米国側に引き返せませんか?

鈴置:難しいと思います。隣の超大国、中国はとても強い引力を持ちます。米中間で等距離を保つのも、国民1人1人がよほどの覚悟を持って中国に立ち向かう決意を固めて、初めて可能です。

 口先で「等距離」とか「二股」なんて言っている限り、中国にどんどん引き寄せられて行きます。

 9月3日の抗日式典に参加した潘基文(バン・キムン)国連事務総長が習近平主席と会いました。韓国の外相も務めた外交官僚出身で、2017年12月の次期大統領選挙への出馬が噂される人です。世論調査で「次期大統領にふさわしい人」を聞くと、1位に選ばれることもしばしばです。

 人民網の「習近平主席が潘基文国連事務総長と会談」(9月4日、日本語版)によると、潘基文氏は習近平主席に対し、以下のように語っています。

  • 本日午前に行われた中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年記念大会は大変素晴らしかった。中国の人々は反ファシズム戦争の勝利に大きな犠牲を払い、重大な貢献をした。
  • この行事によって、平和を守るという中国の人々の願いが存分に示された。中国は長年にわたって国際平和・開発事業に積極的に尽力してきた。

—「平和を守るという中国の願い」ですか。なるほど、韓国が引き返せるとは、とても思えませんね。

鈴置:韓国は「中国の尻馬」にしがみつくしかなくなったのです。