10/23日経ビジネスオンライン 田村秀男『中国GDP偽装は世界のリスク 人民元は国際通貨の資格なし』について 

元が国際通貨、次に基軸通貨と同じ扱いになったら偽装が世界的に広まり、投資家は何を信じて投資して良いか分からなくなるでしょう。軍事拡張も留まるところを知らなくなるでしょう。人類が時間をかけて営々として築いてきた価値観(自由、民主、人権、法治)もひっくり返されるでしょう。西側世界はここが我慢のしどころです。

確かに、中国の産業構造が変化して鉄道輸送量だけでは見えない部分もありますが、輸入量が2桁マイナスであれば石油を筆頭とした原材料を買い控えたという事でしょう。GDPが6.9%なんて数字はどう考えてもあり得ません。輸出の数字が出てないので分かりませんが、輸入の数字に合わせ下がっていると思います。生産せずに在庫処分に邁進したのかも知れませんが。そうであればGDPの構成要素の純輸出は増えますけど。

でも、中国のGDPを支えて来た投資もおかしくなっています。10/23宮崎正弘メルマガでは『「マッハンタンの総面積の六倍が空室です   中国の不動産バブルの付け、NYの繁華街六個分とは」

 「中国不動産情報センター」の調査結果に拠れば、中国大手不動産企業45社のうち、75%が減益となり、25%は赤字経営に陥ったことが分かった(10月14日)。

 「売れ残りの在庫処分には8年から10年を要するだろう」と不動産専門家はみているという。

 北京では不動産の売れ残りが新築ビルの30%を占めるとも見られ、当局は頭金の低減、各種ローンの延長など、泥縄の対策を講じているが、まったく焼け石に水。

工事中断のビルが目立ち、夜はゴーストタウン化していることは、いまや世界承知の事実である。

 不動産取得税、取引税で成り立っていた地方政府は歳入が激減しており、これは中央政府の歳入激減に繋がる。「中国の財政危機は過去三十年で最悪」(張智威ドイツ銀行ストラテジスト)。

 なにしろ売れ残りだけでも、NYマッハンタンのテナント総面積の六倍というのである。』とありました。2桁マイナスまで行かなくとも、プラス6.9%ではなく、マイナス成長と推定するのが普通では。

安倍首相が中央アジアに行ってインフラ整備の話をすることは良いと思います。AIIBや一帯一路の「詐欺にかかるな」と言っていると思います。日本がその分支援しますと。「中国は自国の在庫処分と自国の人の在庫処分を図るだけ。(中国人の命は軽いです。工事で何人死んでも気にしません、というか犯罪者(含む政治犯)を送り込んでいるという話もあります。歴史的に見ても人民の命は虫けら同様の扱いでした。2005年に中国駐在から帰ってきてそのことを言ったら、「人種差別主義者」と言われました。飛行機が落ちたときの補償額が日本人と違うので実態を言っただけですのに)。中国のやり方は貴国の人材育成・技術移転には役立ちません」と言っているのではと想像します。

中国がカリカリしているのは、海は米国に抑え込まれ、陸も日本から抑えられたら、出口が無くなる訳です。世界制覇の野望が潰えます。それで国連を通じて日本を誹謗中傷してきているのでしょう。イギリスが中国の味方を本当にするのかどうか。キャメロン、オズボーンに田村氏のような分析を届ける人材はいないのでしょうか?まあ、いてもすぐ首になるのかもしれませんが。ユダヤ陰謀論者の意見も聞いてみたいところです。(米国は英・ロスチャイルドの指示通りに動いているという風に彼らは見ています)

記事

China fake GDP

 中国の国内総生産(GDP)の7~9月期の前年比の成長率が6・9%と、7%を割った。「世界の工場ほころび」(朝日新聞20日付朝刊)、「中国リスク、出口見えず」(日経新聞同)などと大騒ぎだが、何かヘンである。小学生でも知っている経済の常識では7%近い成長は高成長であり、好景気そのものである。なのに各紙は何の説明もしない。

 その点、20日の朝刊1面トップではっきりと「偽りのGDP、異様に巨大化」と報じた産経新聞を読んで、ストンと胃の腑に落ちた読者も多いだろう。親中国各紙は北京のご機嫌を損なわないよう、問題の本質から目をそらし、読者を混乱させている。

 中国GDP統計が嘘だと詳報したのは産経ばかりではない。米ウォールストリート・ジャーナル紙も20日付で、米欧の有力エコノミストに取材して「中国GDPの信憑(しんぴょう)性、エコノミストは疑問視」との特集をした。同記事によれば、エコノミストの多くがGDP発表値は党中央の政治圧力の産物であり、実際の7~9月期成長率について4~5%の間とみている。筆者が重視する鉄道貨物輸送量や輸入額でみると、グラフのように2ケタ台のマイナス成長とみてもおかしくないはずだが、北京の公表値はまさしく偽装データも同然との見方を裏付ける。

 偽装といえば、ドイツのフォルクスワーゲンの排ガスや横浜市の大型マンションの杭(くい)打ちデータが世を騒がしている。中国のGDPは2014年、ドル・ベースでみて日本の2・2倍以上もある。そんな超大国のサイズを示すGDPが偽装だとすると、世界に及ぼす衝撃はどの程度大きいのか。以前から多くの世界の専門家が虚偽だとみなし、北京公表値に代わる指標を試算してきたから、市場は織り込み済みだとの見方もあるが、甘い。

 筆者は中国GDP偽装がすでに極めて深刻な影響を世界に及ぼし、問題解決を困難にしているとみる。

 中国GDPは政治で決まるのであって、経済実体とはほとんど無関係だ。党中央が前年の秋に決めた翌年の経済成長率目標を政府がそのまま受け入れる。各地の党書記は目標値達成に血道を上げるので、過剰投資、過剰生産が蔓延(まんえん)する。

 需要がなければモノは動かないので、鉄道貨物量は減るのだが、GDPが増える。持ちこたえられなくなると、発注を突如大幅に減らすので、世界の商品市況は悪化して資源国経済をパニックに陥らせる。対中輸出に依存する部品や資本財メーカーも減産を強いられる。世界の株価は急落する。これがチャイナリスクというものだが、需給原理ではなく不透明な党の政治意思によって決められるGDP目標と、虚偽に満ちたその実行プロセスがリスクを増幅させるのだ。

 その中国が通貨人民元を国際通貨基金(IMF)の国際準備通貨SDR認定をめざしている。元の価値を左右するGDPデータが偽装なら、元は国際通貨の資格がないはずだ。