冷泉彰彦はアメリカ在住でリベラルな立場の人間です。日本人と言うよりはアメリカの国益を優先するタイプです。そういう風に見ると、今回のAIIBへの眼差しはクールです。アメリカの国益に反するからでしょう。分かり易いと言えば分かり易い。でも彼の言う様子見は正しいと言うか、ずっと入ることは必要ないと思っています。軍拡に熱を上げる中国を経済的に支援してどうするのか?宮崎正弘氏に言わせれば、中国国内の在庫処分のために他国へのインフラ投資促進するための銀行という事で、何で日本が中国にとって有利になることをしなければいけないのか訳が分かりません。日本のメデイアは狂っているというか座標軸がずれていて、軍事について全く無理解なため、そこまで頭を巡らすことができません。相手にしないことです。
鈴木氏の記事で見るべきところはカザフにロスチャイルド系銀行が投資していると言ったところです。ロスチャイルドとロックフェラーの争いという事でしょうか?でも「中国ーウクライナ友好協力条約」でウクライナが中国の核の傘に入ることをロシアが認めたというのは俄かには信じ難いです。1.同じ正教会の国で、ベラルーシと東スラブ3兄弟の国と言われている。2.軍事的にもウクライナはヨーロッパへの緩衝地帯。3.地政学的にウクライナが中国と同盟関係になればロシアは封じ込められる。今でもシベリアに中国人の入植が多くて困っているのに。でも米国覇権の延命を図っているというのは正しいでしょう。アメリカも基軸通貨を中国に奪われないためにはいろいろ画策するでしょうから。
高島記事
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が世界に衝撃を与えています。一部では「アメリカの世紀」が終わり、中国の新しい秩序が始まると言われるなど、歴史的に大きな転換点となるかもしれません。世界の未来を独自の視点で斬る「未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ」のヤスさんは、その先には「中華経済圏」という野望があると言います。
中華経済圏の出現、新シルクロード経済圏構想
アメリカの圧力にもかかわらず、中国が立ち上げた「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」には多くの国々の参加が殺到し注目されている。50カ国以上が創設メンバーとして参加することが決まり、これからこの組織がアジア全体のインフラ投資のひとつの重要な機軸になることがはっきりした。
当面は参加しないことにした日本も、数カ月後には圧力に押され、参加せざるを得ない状況におかれるだろうとの観測が強い。
新シルクロード経済圏構想
AIIBは、平均成長率が6.6%で世界経済のけん引力となっているアジアのインフラ投資を加速し、さらなる成長を実現するために創設された機関だ。しかしながら、AIIBの創設の背後には、中国による「中華経済圏」とも呼べるような、新しい経済圏の構想があることは意外に知られていない。AIIBとは、この構想を実現するための機関であると見られている。
その「中華経済圏」構築に向けた計画こそ、「新シルクロード経済圏構想」である。これは、中国から中央アジアと中東を通ってヨーロッパまで至る鉄道を付設する陸路のシルクロードと、中国からインド洋を経由してペルシャ湾と紅海まで至る海のシルクロードという2つの交易路を整備する壮大な構想だ。
これが完成すると、中央アジア、中東、そしてヨーロッパのユーラシア全域の貿易が活性化し、この地域で最大規模の中国経済の影響力が、ユーラシア全域にまで及ぶことが期待されている。
すでに一部が完成している鉄道路線
「新シルクロード経済圏構想」は、これから実施が計画されているプロジェクトではない。すでに昨年の11月には、中国東部の工業都市、義烏とスペインのマドリッドを結ぶ貨物路線が開通している。これは、シベリア鉄道よりも長い1万キロの世界最長の鉄道路線である。
さらに、工業都市の重慶からドイツのデュースブルグを結ぶ路線は開通しており、今後、北京とモスクワを結ぶ7000キロの路線や、中国の諸都市をトルコ経由でヨーロッパ各国の諸都市と結ぶ路線も計画されている。
このように「新シルクロード経済圏構想」はすで走りだしており、これから計画が作られるというものではない。AIIBには、この構想の実現に向けて資金を調達する目的があると見て間違いないだろう。その意味ではAIIBは、「中華経済圏」の構築に向けて設立された機関としての目的を有している。
ハブとなるカザフスタン
そして、こうした「新シルクロード経済圏構想」の鉄道網の重要な中継地となっているのが、中央アジアのカザフスタンだ。カザフスタンの首都、アスタナには投資が集中的に集まっており、見たこともないような近代的な都市が出現している。以下のYouTubeで見ることができる。
ちなみにカザフスタンの新都市建設には、ロスチャイルド系の金融機関が支援していると言われている。
もうひとつのハブ、クリミア
さらに、中国とヨーロッパを結ぶ路線のもうひとつのハブが実はクリミアであった。周知のようにウクライナは、2014年2月に親ロシアのヤヌコービッチ政権が抗議運動で打倒され、親欧米の政権が成立した。この政変は自然に発生したものではなく、米ネオコンと軍産複合体、ならびにウクライナの極右勢力が画策したものであったことはよく知られている。
ところがヤヌコービッチ大統領は、政権が打倒される直前、北京で習近平主席と会い、「中国ーウクライナ友好協力条約」を調印していた。これは、中国がクリミアに100億ドルを投じてインフラ整備などを行い、クリミアを「新シルクロード経済構想」のハブとして整備する計画であった。それには、ロシア黒海艦隊の母港、セバストポリに大型港を新たに建設し、それを「新シルクロード経済構想」の鉄道網につなげる計画も含まれていた。
さらに「中国ーウクライナ友好協力条約」には、ウクライナが核の脅威に直面した場合、中国が安全保障を提供するとの一節が含まれていた。これはウクライナが、事実上中国の「核の傘」に入るとも受け取れる条項である。
このように中国とウクライナの関係は、水面下で同盟関係にまで発展しつつあった。そして、中国とウクライナの緊密な関係を、ロシアは肯定的に評価しており、中国に対抗する意思はまったく見せていなかった。むしろロシアは、「新シルクロード経済圏構想」をユーラシアにおける中露同盟の一環として認識していたふしがある。
金融資本の支援
さて、カザフスタンの首都、アスタナの建設のみならず、「新シルクロード経済圏構想」全体が中国単独ではなく、ロスチャイルドのみならず、欧米の名だたる金融資本が積極的に支援していることは、筆者が情報交換している外資系シンクタンクやコンサルティング会社のアナリストたちが、口をそろえて指摘していることである。
ロスチャイルドをはじめとした欧米の金融資本は、成長限界にきたアメリカの覇権の秩序から、これからも高い成長が期待できる中国を中心とした新しい秩序への転換を行う計画だと言われている。もしこれが事実であれば、「新シルクロード経済圏構想」は、まさにこのような意図をもつ欧米の金融資本による新しい秩序を反映した構想と見ることができる。
アラブの春、ウクライナ政変、イスラム国
さて、このように見て行くと奇妙なことに気づかないだろうか? ウクライナ政変によって、「中国ーウクライナ友好協力条約」は現在頓挫した格好になっている。また、ウクライナ東部の親ロシア派とキエフの政府軍との内戦の影響で、クリミアを「新シルクロード経済圏構想」のハブとする構想は進んでいない。
ウクライナ政変は自然に発生したものではなく、米ネオコンと軍産複合体が画策したものであることは、あまたの証拠から明らかだ。とするなら、ウクライナ政変を画策した目的のひとつは、「新シルクロード経済圏構想」という「中華経済圏」形成に向けた動きをつぶし、米国覇権を延命させることにあったのではないだろうか?もちろん、これが目的のすべてではないだろうが、目的にひとつである可能性は高い。
さらに、2010年12月に始まった「アラブの春」は、米国務省の意図で結成されたNGO、「CANVAS」が深く関与し、中東各地の騒乱を指導したことも明らかになっている。
また、最近注目を集めている「イスラム国」の活動には、米軍とイスラエル軍が深く関与し、支援している実態はすでに広く知られるようになっている。
「アラブの春」や「イスラム国」が招いた結果は、中東全域の混乱状態であった。過去の記事に何度も書いているように、これには、中東を小集団に分裂させることで、イスラエルに挑戦する国家を周辺地域から消し去るというオデット・イノンの「大イスラエル化計画」があった。
しかし、混乱している中東の一部の地域には、「新シルクロード経済圏構想」の鉄道路線、ならびに中国からの海路の拠点港となる地域が含まれている。今回の中東の混乱状態で、計画の一部は進まなくなっているに違いない。
このように見ると、「アラブの春」、「ウクライナ政変」、「イスラム国」など米国務省や軍産複合体が関与して仕掛けた一連の出来事は、やはり中国の「新シルクロード経済圏構想」を挫折させて中国の覇権化を押さえ、米国覇権を延命させる目的があったのではないだろうか?
冷泉記事
中国が主導して設立されるアジア・インフラ投資銀行。日本は参加しておりませんが「置いてきぼりをくうのでは?」と心配しております。アメリカ在住の作家・冷泉 彰彦さんは自身のメルマガで読者からの質問に答える形で、「心配無用」と斬っています
アジア・インフラ投資銀行、日本は加盟をしなくても大丈夫?
—中国はアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に日本が加盟するように誘っています。
参加すれば中国に屈することになりますし、かといって日本とアメリカだけが「カヤの外」というのも、置いて行かれるようで不安です。どうすべきなのでしょうか?
冷泉 彰彦の回答
余り深刻に考えることはないと思います。
AIIBというのは銀行ですから、カネを貸して戻ってくれば生き延びますし、貸したカネが焦げ付いて戻ってこないようですと、倒れてしまいます。
では、どうして中国は多くの国を誘っているのでしょうか?
それはカネが足りないからだと思います。
覇権を広げるためには子分になる国にカネを融資しなくてはなりません。
ですが、カネが足りないし、万が一の場合に融資が焦げ付いた場合に、自分たちだけ困るのはイヤなわけです。
こういう言い方をすると語弊があるかもしれませんが、下手をすると失敗した「新銀行東京」のような話になる危険性もあります。
またAIIBが世銀やIMFあるいはADBなどと協調して「リスクを広範囲で受け止めれば」安全かというと、例えばリーマンショックやギリシャ危機のように、「カネの凹みが巨大」になると、広く薄く「仲良し同士がお手てつないで」いても、その仲良しグループ全体が穴に吸い込まれてしまうわけです。
そんなわけで、余り深く考えずに、通常の経済行為、投資活動として妙味があれば参加し、危険性が大きければ最初からは入らないでおいて、タイミングを見計らって白馬の騎士のように「後だしジャンケン」で行けば良いのではないでしょうか?
同時に、韓国が入ろうが、欧州が軒並み入ろうが、余り気にしないことです。