12/18日経ビジネスオンライン『見事に空回りする朴槿恵政権 「分水嶺の韓国」を木村幹教授と読む(2)』記事について

本日(12/21)日経のコラム「春秋」に韓国のナッツ姫を揶揄する記事が載っていました。彼らマスコミは権力者と戦うフリをしながら「弱いもの」を叩くことしかできない卑怯者の集団です。世界で「慰安婦像」を建立する運動が展開しようとしているのに彼らは何も言いません。朝日新聞が誤りを認めたのに、それを日本人として世界に伝道していくのが彼らの使命だと思います。「広義の強制性」なんて事後法で裁くようなもの。分かっているのにやらない。「慰安婦」報道がされた時点で、秦郁彦教授が済州島で実地に調査したのは1992年3月です。その時点で吉田清治の話は嘘と気づいたはずです。「不作為」の罪たるや大きなものがあります。これによる国益毀損は計り知れません。石川久遠氏によればマスコミは在日に牛耳られているようです。数の上で圧倒的に多い日本人が上に行けない会社というのはおかしくありませんか?不買運動、TVは見ない運動をしないとダメかも。でも読売が朝日新聞の誤報を英文で伝えたことをBBCのglobal newsで事実を淡々と伝えていました。6割くらいの理解ですが、おかしなことは言っていなかったと思います。こういう地道な取り組みが重要。国民はもっと国際問題、国内政治に関心をもたないと、世界で嘘を吹きまくられるし、騙されます。何せ「騙す人が賢く、騙される人が馬鹿」という民族を相手にしているのですから。

石川久遠氏 在日の恐ろしいマスコミ支配 在日枠について

 1)1960年代~

テレビ放送が始まってまもなくの頃、放送中のちょっとした言葉づかいの問題 に対して、 朝鮮総連からテレビ局及び経営幹部の自宅に対して脅迫に近い抗議行動が繰り返された。(例えば「朝鮮民主人民共和国」を「北朝鮮」と言うと猛抗議を受けた)どのテレビ局も「北朝鮮…朝鮮民主人民共和国」という不自然な言い方をしていた。抗議行動に対する「手打ち」として、採用枠に「在日枠」が密かに設けられた。総連幹部の子弟を中心に入社は無試験、形式的な面接だけでの採用が毎年続いた。在日枠の密約を所轄官庁に対して内密にしてもらうよう局側から総連に「お願い」をして、更に弱みを握られるなど、素人のような甘い対応で身動きがとれなくなっていった。

 2)1970年代~

政府を叩きさえすれば世論が喝采する狂った時代。在日社員の「反日番組」を「権力に対するペンの戦い」「調査報道」と勘違いした経営幹部が、社内で在日を積極登用するようになる。「日本人社員と在日社員に昇進の差別があってはならない」 などと理想論を述べたのは良かったが、結果を見れば、課長、部長と昇進してきた社員は、帰化した在日二世ばかりで、理不尽なまでに在日を優遇する逆差別人事が徹底された。 異を唱えた日本人社員は徹底的にマークされ、営業や総務など番組制作の第一線から退けられる。

 3)1980年代~90年代

昇進した在日社員が主要な報道番組のプロデューサーや報道局長など、決定的なポストを占めるようになる。サヨク週刊誌「週刊金曜日」の在日編集長(故 筑紫哲也)をキャスターに迎えた「ニュース23」の番組が学生時代に学生運動に没頭した団塊の世代の視聴者の支持により高い視聴率を得る。1989年の参議院議員選挙では「土井社会党」の「マドンナブーム」を演出し「消費税反対キャンペーン」で徹底的に援護した。宇野総理のスキャンダルを連日報道し、社会党党首を徹底して「おたかさん」と呼ぶなど、あからさまな社会党支持を打ち出し。社会党を地すべり的勝利に導いた。「山が動いた」などと扇情的な報道もした。

 4)1990年代~2000年代

偏向報道、捏造報道、取材情報を特定の勢力に提供するなど、報道機関としての存在を否定されかねない不祥事が続発した。TBSと同様に「左翼的」と呼ばれる朝日新聞、系列のテレビ朝日が、どちらかといえば「北京の意」を汲んだ報道が多く、その手法が良くも悪くも緻密で計算高いのに対して、TBSの場合、この時期に発生した数多くのトラブルは、殆んど全てが朝鮮半島絡みであった。不祥事の内容も、テロを実行した朝鮮カルトの手伝いをしたオウム事件を筆頭に、粗雑で行き当たりばったりの取材と報道振りであった。バブル崩壊以降の景気低迷で、ただでさえ厳しい広告収入が、「サラ金」と「パチンコ」に大きく依存。正に、在日朝鮮人の資金で、在日朝鮮人が運営しているのがTBSテレビであった。2005年以降は、もっと露骨なカタチで在日のスターを「作り上げる」ような番組制作が為される。「在日は武器」= 在日である事自体が入社試験の強力な強みとなった。独島は韓国の領土だと言わんばかりに竹島の韓国名の独島と面接で発言し入社できる日本企業が在日企業である。TBSは違法入社した在日が幹部になり、コネで在日を入社させている。(毎日新聞も同様)公正と中立。その社会的立場を遵守すべきメディアがおかしい。その中でも、TBS(毎日系)の報道が際立って偏向している。まるで、中韓の出張メディアのようだ。偏向放送が増える理由は、その制作に携わる人物に偏向した輩が増えているからだ。その中に、創価学会の隠れ信者や、日本国籍を持たない恨みの民族が増殖する。まともな放送が出来なくなるはずだ。TBSの人気アナウンサー安住紳一郎は生放送中「うちはハングルが読めないと出世できません。僕は読めませんから…」と自嘲気味に不満を漏らした。作為的な放送をもって刻々と社会に逆貢献する。メディアに携わる者が持つべき基本姿勢は無い。ひたすら自らが所属する組織の権益、利害を守る為の「要員」でしかない。かねてより、TBSに「在日採用枠」がある、との情報が漏れ聞こえていた。それは、表向きの社内人事制度の中の「採用枠」というよりは、「コネ」「縁故採用」に近い「同志、同胞の増殖」の為の見えざる流れである。つまり「枠」ならば人数制限があるが、「見えざる流れ」には制限がない。こうした流れを放置し続ければ、この先、臨界点を超えた時点で、危険な宗教の信者や国籍を持たない「社員」によって、TBSが占拠されてしまいかねない。採用側の人物も彼らの同胞であろう。TBSと同様の傾向は、他のメディアにも見られる。忌むべき事態である。ここは日本国である。企業経営者や責任者がこの流れを容認すること自体、真正の日本人学生の就職活動の妨げであり、日本国籍を持つ日本人に対する明らかな「差別」である。

各界に広がる在日民による侵蝕

半島勢力を日本国内へと誘導する。この流れの背景には、あの公明党らが制定に躍起になった「個人情報保護法」がある。この個人情報保護法の制定により、企業の採用活動には暗幕が降ろされる事になった。出自や宗教、思想信条など、それらの事項を採用判断に取り込めなくなったのである。マスコミへの脅迫や嫌がらせ、在日のパチンコ、ロッテ、サラ金などのスポンサーの圧力、朝鮮系カルト創価学会のNHK、民放支配による恐ろしい情報操作、これだけの「在日、韓国、北朝鮮勢力」が捏造した歴史が、テレビでも、新聞でも、学校の教科書でも、普通に掲載されるという恐ろしい朝鮮人の邪悪な権力が蔓延っている。在日スポンサーの圧力と朝鮮総連の脅迫、嫌がらせの事実は全く報道されない。 在日枠が事実だと実感させ、唖然としたのはNHKのEテレのバラエティである。「自己主張できない日本の草食系男子はモテず、自己主張できる中国、韓国人の肉食系男子が持てる」と言う日本人を侮辱するバラエティ番組内容だ。もう在日朝鮮人によりNHKが乗っ取られているのである。

記事

「朴槿恵(パク・クンヘ)政権はなぜ、空回りするのか」――。木村幹・神戸大学大学院教授が「指導力」から解き明かす(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

鈴置:総選挙で自民党が勝ちました。韓国メディアは露骨に不快感を表明しています。いろいろ理屈をつけていますが、要は「極右のアベが首相を続ける。『慰安婦』で日本に頭を下げさせるなんて当分、不可能になった」との不満からでしょう。

日本がうらやましい

木村:もう1つ、この総選挙に関しては興味深い反応がありました。韓国人、ことに何らかの形で政治に関わっている一部の人たちから「必要な時に国会解散・総選挙によって民意を問える日本がうらやましい」との声が聞こえてきたことです。 こういった発言の背景にあるのは、政治や社会の閉塞感が高まっているのに、自らの政治的意思を示すことで打破できない、とのいら立ちだと思います。韓国の大統領は法律違反などの理由で弾劾されない限り、5年間の任期を全うします。また、大統領には任期4年の国会を解散する権利はありません。

87年体制の崩壊

鈴置:閉塞感が高まってきた2014年秋には、憲法改正論が韓国紙に登場しました。「87年体制の終焉」という言葉も登場しました。日本の政治用語「55年体制」をもじったものかもしれません。日本から独立した韓国は、1948年に米国の指導の下、民主主義国家の形をとって出発しました。でも、2度にわたる軍人のクーデターで権威主義的な体制――いわゆる軍事独裁が30年近くも続きました。言論の自由は大きく制限されました。拷問も当たり前のように行われるなど、民主主義とはほど遠い状況でした。ちなみに1961年に1回目のクーデターを主導したのは、朴槿恵大統領の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)少将です。朴正煕政権時代の1972年以降、大統領は与党に有利な間接選挙で選ばれるようになりました。大統領がちゃんとした直接選挙で選ばれるようになったのは、1987年の民主化からです。そもそも、民主化運動を進めた側の最大の要求が「直選制」だったのです。民主化後、初の選挙では保守が政権を維持しました。しかし、10年後の1997年の選挙で初めて革新が勝ち、いわゆる政権交代も実現しました。韓国人は第2次大戦後に独立した国の中で、経済成長だけではなく民主化にも成功したまれな例、と自らを誇るようになりました。しかし最近、閉塞感が社会に広がると、憲法を改正して今の政治システムを変えねばならぬ、との主張が出始めたのです。

憲法への八つ当たり

木村:確かに最近、改憲論が盛んに語られています。でも、注意しなければならないのは、彼らがそれを実現すべき目標として真剣に語っているようには見えないことです。本気で憲法を変える気はない。しかし、現状への不満が高まる中、その矛先をとりあえず憲法に向けているように思えます。韓国人の多くは、民主化以降27年間も続いている「87年体制」に愛着もあるし、誇りもある。今の改憲論は、閉塞感や不安感のはけ口――現憲法への言わば「八つ当たり」に過ぎない気がします。

鈴置:韓国の保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が面白い指摘をしています。木村先生と同様に、改憲論を「八つ当たり」と見ています。TV朝鮮で語ったもので、趙甲済ドットコムの「憲法否定勢力が改憲を語ることができるのか」(10月22日、韓国語)で読めます。関連する部分は以下です。

父よりも権威主義的

•改憲論議の核心は「大統領の1回限りの5年の任期に問題がある」ということだろうが、私は現憲法は成功したと見る。大韓民国の政治に問題があるとするなら、制度の問題ではなく運用する人々の問題だ。

•朴正煕元大統領はポピュリストではなかった。一方、朴槿恵大統領はポピュリスト的な側面が強い。だから、父親の朴正煕元大統領よりもはるかに選挙に強く「選挙の女王」と呼ばれるのだ。

•朴正煕元大統領は強く権威主義的に見えたが、内面は柔軟な人だった。これに対し朴槿恵大統領は表は柔らかいが、内は相当に権威主義的だ。

趙甲済氏も今の改憲論は、形を変えた朴槿恵批判と見ています。なお、趙甲済氏自身も大統領を「ポピュリスト」と批判的に見ている部分があることを隠していません。確かに、多くの改憲論者が「1回限り5年間の任期」を「4年間で再選可」にしようと主張します。その理由は「『5年で1回』は有能な人には短すぎる。無能な人には長すぎる」です。ここで、朴槿恵大統領が前者と見なされていないのは確実です。議院内閣制への改憲論も語られます。機動的に指導者を交代させられることと、強すぎる大統領を阻止できることへの期待です。朴槿恵大統領の統治能力への不信と、権威主義的なやり方に反発が高まっていることが背景にあります。

保守派に危機感

–朴槿恵大統領が父親よりも権威主義的、とは厳しい評価ですね。

鈴置:趙甲済氏は必ずしも権威主義を否定していません。ただ、やるならやり方がある、と言っています。以下は彼の意見の続きです。

•朴正煕元大統領は意思決定の過程で実務者の意見を重視した。権威主義的な政府が効率的であるためには、正確な情報を持たねばならないからだ。

•朴槿恵大統領は実務者に会いもしないようだ。それでは本当の情報は得られない。権威主義的な統治で情報判断が乱れれば、事故を起こす。

木村:現在の韓国の閉塞状況を理解するための、最も重要なポイントがここにあります。保守的な韓国人でさえも、というか保守派こそが、かつては自らが期待した朴槿恵大統領のリーダーシップに懸念を抱くようになっているのです。

–「保守派こそが懸念を抱く」のですか?

「原則固守」でこじれる

木村:まず、一部の保守派には、朴槿恵大統領が失敗すれば次の選挙で進歩派の野党に政権をとられる、との心配があります。 だからこそ「もうちょっと上手にやってほしい」とハラハラして大統領を見守っている感じです。実際、この政権の運営はかなり危くなっています。現在の状況をもたらしたのは、朴槿恵大統領の柔軟さを欠いた政治手法です。分かりやすく言えば、大統領の手法は1つしかない。それは「当初に立てた原理原則を最後まで貫く」です。相手には決して妥協せず徹頭徹尾、自らの要求を押し通す。これは一見、格好いいのですが、政治には相手がありますから成功する保証はありません。むしろ、原理原則を貫くため、相手に拒否されてしまうことの方が多い。すると朴槿恵大統領は、さらに相手に対する攻撃を強めることで原理原則をのませようとします。この結果、時に問題はますますこじれてしまう。

韓国こそが孤立

鈴置:対日外交がその典型ですね。「慰安婦で日本が譲歩しない限り、日本の首相とは会わない」と強気に出た。安倍晋三首相は「そこまで卑屈になってまで首脳会談に応じるつもりはない」と放っておいた。すると朴槿恵大統領は世界中で日本の悪口を言って歩いた。こうなると、少し前までなら「韓国の言い分も聞くべきだ」と言い出したであろう日本の“リベラル”も声を出せない。結果的に日韓関係はどんどん悪化しました。朴槿恵大統領にとって、日本と首脳会談をしなくても別段困りません。むしろ、中国の習近平主席が安倍首相と会う前に日韓首脳会談はしにくかったので――中国から睨まれますから――日本との関係悪化は好都合でした。ただ、日本が米国との良好な関係を維持する一方、中国や北朝鮮との関係改善に動いたので「日本を孤立させて国民の喝采を得る」作戦に齟齬が出ました。朴槿恵政権の「離米従中外交」に米国が不快感を示すと、韓国紙は「日本ではなく、我が国が孤立してしまったのではないか」と批判するに至りました。

「ギロチンにかける」

木村:内政も同じです。旅客船「セウォル号」の沈没事件でも、初めから原理原則を立てて強い姿勢に出ました。この場合、攻撃対象は身内とも言える官僚でした。朴槿恵大統領は「悪いのは救護活動の責を負った海洋警察だ」と最初から決めつけ、事実関係の解明の前にその解体を宣言してしまった。また、捜査前から関係者の処罰まで約束してしまいました。

鈴置:海洋警察庁は日本の海上保安庁に相当します。事件発生直後は世論も、300人以上の救助に失敗した海洋警察に非難を浴びせました。ただ韓国人が冷静さを取り戻すと、海洋警察も可能な限り努力はしていたし、そもそも事件の“主犯”ではないことに気づいたのです。でも、大統領の「懲罰宣言」により、海洋警察の組織は改編されました。これにより、海の安全性は低下するとの危惧が高まっています。朴槿恵政権の経済政策の柱である規制緩和問題でも、大統領はたびたび「規制をギロチンにかける」などの強い表現を使って官僚を脅します。しかし、大統領が期待するほどの規制緩和策は役所から出てこない。

木村:ある段階以降の朴槿恵政権は、多くの問題で「きれいに空回り」しています。少し変な表現ですけれど。

鈴置:まさに、その感じですね。「見事なほどの空回り」です。

号令政治の限界

木村:規制緩和だけではありません。韓国の浮沈を左右する、少子高齢化問題への備えもほぼ手つかずの状態です。短期の景気対策も空回りしているように見えます。国民が一番関心を寄せる経済面で効果的な策を打ち出せていない、と言わざるを得ません。こういった状況がもたらされる原因の1つは、問題を指摘しては激しい言葉で号令をかけるだけ、という大統領のリーダーシップにあります。大統領からの指示の多くは、関係者に対する厳しい糾弾の響きを持つ一方で、常に抽象的なものにとどまっています。そこには具体的にどう問題を解決すべきか、との指示は含まれていない。つまり、官僚は「何とかしろ」と難問を押し付けられただけになります。そして、うまく対処できなければ責任を問われ、長官や多くの官僚の首が飛ぶ……。

–上司にはしたくないタイプですね。

鈴置:韓国の役人だってそう思っています。最近は、景気低迷の責任も「規制にしがみつく役人のせい」と官僚に押し付けられつつあります。大統領に本気で協力する気にはならないでしょう。官僚は「目立たないよう、頭を下げて動かないのが得策。あと、3年の我慢だ」と考えているのです。

木村:それを見た大統領はますます苛立ち「見事なほどの空回り」に拍車がかかっているのが現状です。そしてこの特異さは、政権発足時からのものでした。官僚たちが大統領批判を――もちろん小さな声で、ですが――口にしていたのです。 官僚は政治的指導者を守る立場にありますから、普通、私のような外国人の前でむやみに大統領の悪口などは言わないものですが……。

朱子学に生きる韓国人

–でも、朴槿恵大統領への国民の支持率は高いと聞いています。

木村:政権発足から2年近く経ったつい最近まで、40%以上の支持率を維持してきました。過去の政権と比べても異例に高い数字です。この支持率については、実に興味深いデータがあります。韓国ギャロップの12月第1週の調査によると、支持する理由の1位は何と「大統領は熱心に努力しているから」なのです。「何かを具体的にうまくやっているから」ではないのです。

–しかし、結果が出なければいくら一生懸命やっても意味がない、と韓国人は考えないのでしょうか。

木村:韓国人独特の朱子学的な発想が影響しているように思えます。彼らからすれば「正しいことを行えば、必ず良い結果が付いてくるもの」です。また「もしそうならないのなら、誰か悪い人が邪魔しているのだ」ということになります。いずれにしても、支持者は「朴槿恵大統領は悪くない」と考えるのです。そして朴槿恵大統領こそが、このような信念の持ち主だということが重要です。それ故に「正しい原則」――あくまで大統領が信じる「正しさ」なのですが――を強力に主張し、日本や北朝鮮、官僚の“誤った考え”を正し続けるのです。このように「正義」を全面に掲げる朴槿恵大統領は、韓国人の心性を凝縮した存在と言えます。

司馬遼太郎もうんざり

鈴置:朱子学は正邪――正しいことと間違ったこと――を峻別することが基本です。司馬遼太郎は『街道をゆく〈28〉耽羅紀行』で、その危うさを看破しています。以下は同書・文庫版の91ページからの引用です。

•朱子学がお得意とする大義名分論というのは、何が正で何が邪かということを論議することだが、こういう神学論争は年代を経てゆくと、正の幅がせまく鋭くなり、ついには針の先端の面積ほどもなくなってしまう。その面積以外は、邪なのである。 要は朱子学を奉じる人は、自分だけが正しく他人は絶対に間違っていると確信してしまうのです。朝鮮朝は朱子学を統治理念としました。21世紀のこの政権も再び国教に採用した感があります。

–しかし、いくら主観的に正しかろうが、現実の政治がうまくいっていないのに、国民が大統領を支持するものでしょうか。

正しく生きる運動

木村:内心、朴槿恵大統領を困ったものだと考えている韓国人も多いだろうと思います。ただ、大統領は「間違ったこと」を言っているわけではない。となると、大統領を表だって批判しにくいわけです、朱子学的には。最近、韓国の街角のあちこちで「正しく生きよう(パルゲ・サルジャ)」という標語を見かけます。「正しく生きる運動」というのがあって、そこが掲げているのでしょう。 以前からもあった運動のようですが今、広がりつつあるのはそれなりに理由があるのだと思います。社会で「閉塞感」が高まる。でも、解決策が見当たらない。そこで、韓国の人々はせめて「正しく生きよう」と言い合い始めたように思われます。「正しく生きれば、きっと良いことがあるに違いない」というわけです。でも、「正しく生きる」方法が提示されない以上、この標語を見た人は困ってしまうのではないでしょうか。日本でも「交通安全都市宣言」などのスローガンが掲げられます。もう少し具体的な呼びかけをしないと、効果がないのではと首を傾げたくなります。ただ、それと比べても韓国の「正しく生きよう」は抽象論といいますか、観念論の究極を行っています。だって「何が正しい生き方か」を明確に説明できる人などいませんからね。

–なるほど、韓国がいまだに観念論的な――朱子学国家であることがよく分かりました。

鈴置:韓国紙の日本関連のコラムで、しばしば「日本人を変えねばならない」という主張を見かけます。もちろん日本人は「正しくない存在である」という前提があっての話です。「正しく生きる運動」に韓国が本腰を入れたとなると、日本人は今後ますます「悪い存在」として韓国人から叱られることを覚悟せねばなりません。

十常侍事件

–大統領側近の国政介入疑惑なるものが韓国を揺さぶっています。

鈴置:ええ。韓国紙が「側近の専横」を一斉に批判しました。事件の名称は新聞によってまちまちです。仮に「十常侍事件」と呼んでおきます。朴槿恵大統領の昔からの側近が権勢を振るい、権限外の政策と人事を思うがまま仕切っている。政権No.2の大統領秘書室長の追放まで計画した――という話を、世界日報という新聞が11月28日に報じたのです。側近ら――議員時代からの秘書軍団ですが――のうち3人は、儀典担当者などの肩書で青瓦台(大統領府)に入っています。一番の大物秘書は政権には入りませんでしたが、この人が裏で3人に指示を出している、とも同紙は報じました。 単なる噂話ではありません。青瓦台で公務員の規律を監察する警察出身の職員が、上部に報告した公式文書を基に書いた記事だったのです。韓国は大騒ぎになりました。さらに文化体育観光部の前長官が「朴槿恵大統領の指示で部下の局長と課長を更迭した。大統領の元大物秘書の私怨からだった」とメディアに暴露しました。「(自分に対し)朴槿恵大統領が手帳を見ながら『悪い人たちだそうですね』と局長らの名前を挙げた」との、極めて具体的な証言でした。取り巻きが好き勝手にやっているだけでなく、大統領まで操っている――と元長官は示唆したのです。前の長官が、少し前まで仕えていた現職の大統領に真っ向から歯向かうのも前代未聞です。韓国社会はこれにも大きなショックを受けました。

大統領の目をふさぐ側近

–「十常侍」とは?

鈴置:後漢の末期に、最後の皇帝となった幼い霊帝を操った10人の宦官のことです。青瓦台の監察担当者が書いた報告書の中で、朴槿恵大統領の側近を指してこの言葉が使われました。「大統領は幼い霊帝」と見なされたわけでもあります。左派系紙はもちろん保守系紙も「側近3人組」の排除を大統領に求めました。与党内部にもそれを求める声が強まっていると各紙は報じています。保守も左派もメディアは「3人組」に加え、秘書室長の更迭も主張しました。「政権No.2として混乱の責任をとれ」との理由です。しかし本当は「3人組」と対立しているとされるこの秘書室長こそが大統領の目と耳をふさぐ問題の人物であると、メディアから見なされていたからです。

–政権はどう対応しているのですか。

記者を相次ぎ起訴

鈴置:大統領自らが「専横疑惑」を全面的に否定しました。問題となった青瓦台の報告書は、街の噂を基にしたいいかげんなものだったとも語りました。検察は、その報告書を外部に漏らした疑いで警察官を相次いで逮捕しました。うち1人は冤罪を主張し、自殺しました。さらに検察は大統領の実弟の朴志晩(パク・ジマン)氏を出国停止処分としました。この報告書の作成と流出に関わっていたとの見方が浮上したからです。それに加え、政権側は事件をすっぱ抜いた世界日報や、続報を書いた東亜日報の記者らを起訴しました。朴槿恵大統領は正面突破の道を選んだのです。メディアは声を揃えて「政権2年目で早くもレイムダック(死に体)だ」と総攻撃に出ました。もう、全面戦争です。趙甲済氏が懸念していた「事故」が、まさに起こったのです。

頭痛の種の実弟

木村:ポイントは大統領の親族に飛び火するか否かです。事件の背後には大統領の実弟の朴志晩氏と、大統領の元大物秘書氏の間の権力闘争があるとの観測が韓国のメディアに流れています。自らの大統領への接近を実力者である元大物秘書氏が阻んでいる、と朴志晩氏が抗議の声を挙げた結果、この事件が起きたというのです。

–宮廷内で陰謀をめぐらせ、暗闘する王族と家臣団――。李朝ドラマみたいですね。

鈴置:韓国で大統領のレイムダック化は、親族問題から始まることが多い。

木村:その通りです。麻薬中毒問題で世間を騒がせたことのある朴志晩氏は悪い意味で有名人。朴槿恵大統領にとっても頭痛の種でした。そんな彼が今回の事件を巡り検察の聴取に応じました。場合によっては、公衆の面前に立って大統領の元大物秘書を糾弾するかもしれない……。そうなれば韓国のメディアにとってこれほど「面白い」ニュースはないでしょう。

–真相は?

鈴置:関係者の主張は大きく食い違います。現時点では誰の言い分が本当なのか、分かりません。

手帳で人事

木村:1つ言えるのはこの事件で、朴槿恵大統領のリーダーシップの特徴というか、弱点が一気に露呈したように見えることです。自分と近い人しか信用せず、彼らだけを重用するという大統領の手法への不満が噴出した形です。ここで言う大統領に「近い人」とは、モノの考え方が近いという意味もありますが、大統領が実際に会ったことのある人、という意味でもあります。 朴槿恵大統領がいつも手帳を持ち歩き、細かくメモを取る――という話は韓国では有名です。「近い人」は、大統領が実際に面談し、好意的な評価を下してメモした人です。でも当然、大統領が直接会える人の数は限られます。この結果、政権の意思決定は極めて狭い、それも大統領と同じ価値観を有する、同質のサークルの中で行われるようになりました。また、大統領は執務の際に実務担当者には直接会わず、下から上がってくるレポートだけ読んで判断を下すことも多いようです。これでは青瓦台のスタッフが、大統領の機嫌を損ねるようなレポートを上げることは難しい。結果として大統領が喜びそうなレポートだけが執務室に並び、それを書く人が要職に就くことになります。

鈴置:趙甲済氏も「“事故”は大統領に正確な情報が上がらないことから起こるだろう」と懸念していました。

修正効かず、猪突猛進

木村:日本でも知られ始めた話ですが、会議では大統領が語る。長官以下はそれをメモするだけ。メモを取らなかった人は大統領から叱責を受ける……。

鈴置:北朝鮮の高官も、最高指導者の前でメモを取らないと生きていけません。

木村:最近では、大学の講義でもこうした一方的なやり方は「よろしくない」とされます。ましてや、一国の政治がこうした大統領の「講義」だけで動かされてよいはずがない。与党の代表ともほとんど会わない。記者会見もほとんどしない。しても質問には応じない。軌道修正すべき時に、それを教えて貰える機会がないのです。この結果、対日政策でも対北朝鮮政策も当初の方針を変更できず、いたずらに突っ走るだけになっています。今回の事件でも、大統領はメディアや野党との全面対決を選びました。朴槿恵大統領は「原理原則を重視する」発想の持ち主ですから、軌道修正がしにくい。それに加え、この「率直な意見具申が上がらない」仕組みもあって、事態が悪化したように思えます。

大統領への諫言

鈴置:確かに「否定声明を出すだけにしておけばよかった。検察への捜査指示や、新聞記者の告訴によって却って問題を大きくしてしまった」と語る韓国の識者が多いのです。 今回の朴槿恵政権に対する批判は「側近の専横」から始まりました。しかし韓国指導層の本心は、これを機に「大統領の独走体質」を諌めたいということでしょう。各紙の社説からその思いが伝わってきます。以下は朝鮮日報の社説「大統領と前長官の衝突 “国政乱脈”どこまで」(韓国版、12月6日)のポイントです。

•この政権になって、人事で濡れ衣を着せられた高官たちが相次ぐ。「取り巻きにやられた」という人が多い。政権発足2年にもならないのに、人事の不満が噴き出すのは初めてのことだ。

•濡れ衣との主張のすべてが本当かは分からない。しかし、政府の中核にいた人々が声を同じくして指摘する問題が、人事の不満と大統領側近の国政介入である。

•これを見ると、朴槿恵政権の最も深刻な病がどこにあるか、推し量ることができるのだ。

急落した支持率

木村:「十常侍事件」により、大統領の人気にも影響が出始めました。世論調査機関「リアルメーター」によると、12月第2週の大統領の支持率は39.7%。わずか2週間で10%以上低下しました。初の30%台への落ち込みです。ちなみに、過去の最低値は43.4%でした。不支持率もついに50%台に乗せて52.1%に達しました。ただ先ほど申し上げたように、この数字でも歴代政権と比べれば、まだ高水準です。そして今後の支持率は、大統領が事件をどう収拾するかにかかっていると思います。失敗すれば「コンクリート支持層」と言われた大統領の熱烈な支援者が、一気に離れる可能性があります。逆に元秘書や実弟を切り捨てて「私情にとらわれない」「ぶれない」イメージをさらに打ち出し、支持層固めに成功するかもしれません。

–朴槿恵政権は分岐点に立っているのですね。

木村:この政権だけではなく韓国という国もまた、分水嶺にあると言えそうです。韓国の仕組みだと、国論が分裂しても解散・総選挙によって民意を聞くという手が打てません。大統領がいったん支持を失うと、任期が終わるまでレイムダックのまま、国政が一切動かないという恐ろしいことになってしまうのです。

(次回に続く)