中国のGDPの発表数字はまやかしがあると言われています。2013年で9.5兆$(ジェトロ発表数字)と言っても、下記の記事のように、ケインズの「穴を掘ってまた埋め戻す」ような失対事業ばかりでは、政府債務が山のように膨れ上がるだけです。3/5のブルームバーグの記事では政府、企業、家計の債務合計が21兆$とありました。これではAがBから借金してビジネスし、BはCから借金、CはAから借金するようなもので、信用創造と言えば聞こえは良いですが、花見酒経済で、何の裏付けもなく通貨発行しているような気がします。2014年3月で日本の政府債務は1158兆円ありますが、個人金融資産が1630兆円あります。政府債務が毎年増えていってますが、個人の金融資産もそれに連れて伸びていっています。一説によれば「政府の国債発行を民間が引き受け、家計の預金として持つだけでは生産性向上に役立つ事業に金が回らないことを意味し、これはこれで問題である」という意見もあります。でも少なくとも政府の借金は民間の支払い能力に裏付けられています。産経の田村秀男記者によれば「中国は4兆$に上る外貨準備を担保に人民元資金を発行し、金融機関に資金を流す。あるいは、緊急事態には党指令で、問題金融機関にドルを資本注入できる。日本のバブル崩壊期の「飛ばし」が国家的規模で行われる可能性が高い。これまでにも、飛ばされた巨額の不良債権は経済膨張のプロセスの中で、もみ消されてきた。」とのこと。「飛ばし」とは「決算対策のために、企業が保有する評価損(含み損)を抱えた有価証券(株式・債券等)を一時的に第三者(他社)に転売することをいう。これは、企業が保有している株式や債券などが値下がりして、含み損がバランスシートに載ることを避けるために、含み損の出ているものについて買い戻し条件付きで時価とかけ離れた価格で第三者に転売することである。そのスキームとしては、証券会社に間に入ってもらい、決算期の異なる企業を相手に、後日の金利付き引き取りを条件として、時価より高い価格で売却するなどして損失を決算書上において見えなくする(隠す)。一般に飛ばしは、1980年代までは証券会社の損失補填の手段として利用されていたが、その後(1990年代)の証券不祥事で社会問題化し、現在では粉飾決算の一つとして金融商品取引法で禁じられている(その背景には、バブル時代の財テクの失敗などがあった)。なお、飛ばしで転売を繰り返しても、時価が回復しない場合は含み損がさらに膨らんでいくことになる。」とあります。中国の不動産の実需は、一般個人の所得が多くない現在、出て来るとは思えません。バブルが破裂した時にどうなるか。中国国内だけで治まれば良いですが、戦争で解決しようとする可能性もあり、心配です。
記事
中国はパキスタンの南北を縦断する「経済回廊」の建築に全面協力すると打ち上げた。イランとパキスタンの国境グァイダールの浚渫、港湾整備、波止場建設は中国企業が請け負い、一本のバースは完成した。これは将来の原潜寄港地でもあり、グァイダールからカラチ、ラホール、イスラマバードからさらに北上して中国カシュガルへと至る全長4000キロの「経済回廊」に総計450億ドル(5兆3000億円)を投下するという。その内の350億ドルは沿線部のインフラ建設、鉄道改良、光ファイバー併設。付近に発電所も建設する。グァイダール港には貯炭、原油備蓄基地ならびに精油所を建設し、原油を中国まで輸送するという複合的計画で、パキスタンのインフラ整備に寄与してくれるうえ、パイプラインの通過料でうるおう。シャリフ首相は2014年11月に北京を訪問し、北京との間に20の合意文書にサインした。ともかく大風呂敷を広げるのが大好きな中国。天津の北、唐山に建設した大工業区は胡錦涛政権が鳴り物入りで熱中したプロジェクトだった。十兆円を投下してハイウェイ、港湾、発電所、複合ビル、高層住宅に貯炭場、政庁ビルなどを建設し、世界最大のエコシティだと胸を張った。90%ほど仕上がった時点で突如このプロジェクトは失速した。人工島の地盤が沈下し始め、ビルの一階は満潮時に海水に沈み、蟹が捕れる。十兆円で廃墟を造った。南水北調という大プロジェクトは水量の多い長江の水を運河を三本も造成し、北京、天津に水を運ぶという世紀の試みだった。すでに沿岸部ルート、中央ルートは完成したが、せっかく運ばれる水は病原菌だらけで飲み水には使えないことが分かった。西ルートは峻険な山岳地帯を通過するため、まだ着工されてもおらず、実際に工事のメドは立っていない。中国全土に225の飛行場を作った。週に一便しか飛んでこないへんぴな場所や冬の間はまったく使えない極寒地の飛行場が出現し、つぎの廃墟候補となる。風力発電は40万基。その三割が送電線に繋がっていない。同様に遠くトルクメニスタンから新彊ウィグル自治区を経由した上海までの6500キロのパイプラインは完成したが、キャパを満たせず、同様にミャンマーを南北に縦断し、雲南省から広西チワン自治区南寧に運ぶ4000キロ弱のパイプラインはミャンマーから昆明までの790キロが繋がったが、輸送量は計画の二割前後しかない。大風呂敷がすきな中国、世界で廃墟を量産するらしい。
12/25日経 『中国、地方債務抑制に動く 隠れ借金の膨張防ぐ』
【上海=土居倫之】中国が地方債務問題の改善に動き出した。江蘇省と新疆ウイグル自治区の地方政府は、傘下のインフラ投資会社の新規発行の債券を「保証しない」と明確にした。中国ではこうした投資会社が地方政府からの支援を前提に安易に資金を集め、野放図にインフラを開発してきた。新方針でこうした債券を発行しにくくすることで、地方政府の過剰債務・投資を解消する。
地方政府が出資して設立するインフラ投資会社は中国で「融資平台」と呼ばれる。地方政府はこれまで多くの場合、明示的に保証しないまま傘下の投資会社に資金を調達させ、道路や公共住宅の建設を代行させてきた。 「投資家の利益を保護するため、債券発行を中止する」。17日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市政府が100%出資する投資会社、ウルムチ国有資産投資は10億元(約190億円)の債券の新規発行中止を宣言した。
中止に追い込まれたのは、ウルムチ市政府が15日「政府債務に組み入れる」との通知を「撤回する」と発表したためだ。集めた10億元で経済開発区の道路を建設するはずだったが、道路を建設しても収益は見込めず、政府の支援がなければ債務の返済はおぼつかない。既に買い手が決まり、発行手続きも終わっていたが、急きょ中止した。
12日には、江蘇省常州市政府傘下の投資会社、常州天寧建設発展も、政府の「償還責任を負わない」との発表を受けて債券発行の延期を決めた。
中国では、地方政府による地方債の発行が原則禁止されてきたため、こうした投資会社がインフラ開発の抜け穴となってきた。中央政府も全貌を把握しきれないまま、こうした隠れ借金が膨張。国際的に中国の地方財政に対する不信感が高まる要因となってきた。
地方政府の不透明な財政慣行にメスを入れるため、財政省は地方政府に対し2015年1月5日までに「14年末時点の返済すべき債務を分別し、その金額を報告する」よう求めている。両市の決定はこれに沿った措置だ。両市が「保証しない」ことを明確にしたことで、地方債務としてカウントする必要がなくなる。
焦点は既存債務の取り扱いだ。地方政府が財政省に報告する金額を圧縮するため、既存債務についても「保証しない」と明確にした場合、金融機関の反発は必至で市場が動揺する可能性が高い。金融機関は政府の支援を前提に、こうした投資会社に資金を提供しているからだ。24日時点で既存債務について対応を明確にした地方政府はない。
国務院(政府)は、16年をめどに地方政府傘下の投資会社による資金調達を禁止する方針だ。代わりに地方債の発行を条件付きで解禁し、今後は地方政府が直接、地方債発行で財源をまかなう。
市場規律の導入により、資金面の制約から地方のインフラ投資会社は従来のような採算を度外視した大規模な投資は難しくなりそうだ。民間住宅投資と並ぶ成長のけん引役だった地方のインフラ投資は来年以降、一段の減速が必至で、中国の成長率の下押し圧力となる。