3/12レコードチャイナ<韓国次期大統領、誰がなっても経済危機に直面―台湾紙
10日、台湾・聯合新聞網は、韓国の憲法裁判所が同日、国会に弾劾訴追された朴槿恵大統領に罷免を宣告したことについて、「次期大統領が誰になるにせよ、韓国経済は困難に直面するだろう」とする記事を掲載した。写真は韓国大統領府。
2017年3月10日、台湾・聯合新聞網は、韓国の憲法裁判所が同日、国会に弾劾訴追された朴槿恵(パク・クネ)大統領に罷免を宣告したことについて、「次期大統領が誰になるにせよ、韓国経済は困難に直面するだろう」とする記事を掲載した。 韓国の延世大学経済学教授の金正植教授は「雇用機会の創出、特に若い世代の雇用機会の創出は国内の最優先課題だ。仕事が増えれば家庭負債が減る。在中国企業が新たな成長エンジンとなり、米国の貿易保護主義に対応する。韓国の次世代リーダーの重要な任務になるだろう」と述べた。 韓国経済は現在、米国や中国との関係、雇用、企業統治、家庭負債や財政、為替政策などの問題に直面している。中国は在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に不満を表明。トランプ米大統領の保護主義的な貿易政策も、韓国の経済成長の大きな脅威となっている。韓国は輸出が国内総生産(GDP)の50%以上を占め、うち米中は4割近くに達している。 韓国では30歳以下の失業率が高く、全国平均の2倍に達している。家庭負債も1344兆ウォン(約134兆円)に増加。米国の利率が上がる中、韓国は経済成長を維持するのは難しいだろう。(翻訳・編集/大宮)>(以上)
3/13レコードチャイナの記事<韓国の「ろうそくデモ」にノーベル平和賞を!次期大統領候補が提案=韓国ネットも大賛成「ギネスにも登録しよう」「世界史に残る運動だ」 Record china
12日、韓国の野党・国民の党の大統領選候補である千正培氏が、朴槿恵大統領を罷免にまで追い詰めた市民集会「ろうそくデモ」をノーベル平和賞候補に推すべきだと提案した。写真はろうそくデモが行われたソウル・光化門広場。
2017年3月12日、韓国の野党・国民の党の大統領選候補である千正培(チョン・ジョンベ)氏が、朴槿恵(パク・クネ)大統領を罷免にまで追い詰めた市民集会「ろうそくデモ」をノーベル平和賞候補に推すべきだと提案した。韓国・聯合ニュースなどが伝えた。 千氏は同日、声明で「韓国のろうそく国民を代表して、非暴力で平和なろうそく集会を主導した『朴槿恵退陣非常国民行動』をノーベル平和賞候補に推薦しよう」と提案し、「特に、軍事的対立が高まる世界唯一の分断国家が、戦争と独裁の歴史を克服して平和な国民革命を成し遂げたという事実だけでも、世界の民主主義発展の大きな手本になったと言える」と評価した。具体的な方法については、「国民の署名を通じてノーベル平和賞の推薦を国会へ請願し、国会が民意を反映してノーベル平和賞推薦決議案を通過させる方法で推進できるだろう」と話している。 朴氏退陣などを求め昨年10月29日に始まった「ろうそくデモ」は現在までに全国で20回行われ、延べ1600万人が参加したとされる。韓国ではこれを「世界的にも類を見ない記録」とし、終始一貫して非暴力的で平和な集会だったとして評価する声が高い。 千氏の提案には韓国のネットユーザーから賛同意見が多く寄せられ、コメント欄には「この平和革命は21世紀の民主運動の金字塔としてギネスに登録すべき。ノーベル平和賞も受賞できるはず」「妥当性のある言葉。そしたら朴槿恵は『世紀の独裁者』になるね」「これは世界史に残る出来事。ノーベル平和賞はろうそくデモに参加した全国民に授与しよう」といった声が並んだ。 また、「久しぶりにいい話題」「国民の党から初めていい政策が発表された」と喜ぶコメントも。さらにろうそく業者というネットユーザーからは「全国のろうそくのお客さま、本当にありがとうございました。おかげでろうそくがたくさん売れました」という感謝のコメントも寄せられた。 一方で、「(朴氏支持者の一部が暴徒化したことを受け)朴槿恵擁護派の団体はISと同じテロ団体として登録すべき」と提案するコメント、「ろうそく大革命は始まったばかり。そんな賞は要らない」「保守陣営からまた『賄賂で平和賞をもらった』と言われそう(2000年に同賞を受賞した金大中〈キム・デジュン〉元大統領に対し、裏で工作があったという見方がある)」と批判的なコメントもあった。(翻訳・編集/松村)>(以上)
韓国民と言うのは本当に鏡に映る自分の姿が見えていないと思います。通貨スワップをインドネシアやオーストリアと結んでも、日本円のように基軸通貨の$、ユーロ、UK£、カナダ$、スイスフランと無制限に融通し合えるスワップ以外では意味を成しません。国際決済通貨(ハードカレンシー)ではありませんので、日本のメーカーが部品を韓国に輸出し、その代金をウオンや両通貨建て支払いのLCでは、日本の買取銀行が受取拒否すると思います。
「ろうそくデモ」をノーベル平和賞にというのも「憲法9条」をノーベル平和賞にというのと同列でしょう。「憲法9条」はノルウェー・ノーベル賞委員会から、『一般に「国民全体」は「受賞の基準外」』という理由で却下されました。こういうニュースが流れていないのですかね。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201703/CK2017030402000140.html
また平和デモで留まるかどうか。今後の保守派と左派の衝突、内戦状態になるやも知れないのに。火病持ちの韓国人がこのままおとなしく次期大統領を迎えるとは思えません。
「史実を世界に発信する会」の3/7記事には<日本の参戦によりヨーロッパ植民地主義体制が崩壊し その恩恵を受けた「スリランカの独立」 セナカ ウィーララトゥナ,弁護士(スリランカ)
2月4日は、スリランカの独立記念日ですが、この日に向けて スリランカで弁護士をされているセナカ・ウイーララトゥナさんは、上記の趣旨の文章をLankawebに投稿しました。
インドのネルーが1930年代に、インドの英国から独立はいつになるだろうか、と聞かれたときに「はるか先のことだ。おそらく1970年代になるだろう」と答えました。それが予想もできない1947年に独立し、48年にはビルマもセイロンも独立しました。
その最も大きな力となったのは、日本がアジアのヨーロッパ勢を駆逐したことにあることは明らかですが、著者は「チャンドラ・ボース:インドのサムライ」(G.D.バクシ著)の中から次のような興味あるエピソードを書いております。
アトリーがイギリスの首相の時にインドに独立を与えたのですが、アトリーがその後インドに来て独立時西ベンガルの知事代理をしていたチャクラボーティと会った時に、イギリスがインドを放棄した理由を聞かれて「インド国民軍将校裁判がきっかけで暴動、反乱が起きたこと」を第一の理由に挙げたといいます。
さらに「ガンジーの影響はどの程度あったか」を聞いたところ minimal 、すなわち「ごくごくわずか」「もしくはほとんど全くない」と答えたとのことです。
ご存知のようにインド国民軍は日本軍が育て、チャンドラ・ボース指揮の下、インパール作戦を日本軍とともに戦った軍です。これこそがインド独立の最大の要素であったと筆者は言っているわけです。
セナカ論文の日本語訳:http://hassin.org/01/wp-content/uploads/Senaka2.pdf>(以上)
理想で物事が動く訳ではありません。クロムウエルの清教徒革命でのアイルランドでの虐殺、フランス革命時に行ったロベスピエールの虐殺、米国・アンドリュー・ジャクソンの行ったインデイアン虐殺等、世界は力の信奉者の論理で動いています。ノーベル平和賞受賞と国が亡びるのと韓国人はどちらを選ぶのでしょうか?「国破山河在城春草木深感時花濺涙恨別鳥心驚烽火連三月家書抵萬金白頭掻更短渾欲不勝簪」で国が亡くなることに恐怖を感じないのでしょうか?
昨日の小生のブログで、三権の上に超然として立つ憲法裁判所の存在について書きましたが、本日の鈴置氏の記事は、憲法裁判所の判断の中に、訴因に含まれていないものをも弾劾・罷免材料としたとのこと。人を断罪するときには、法技術の面から言えば、許されないことと思います。法のプロと言うよりは、先ず「断罪ありき」で論理構成した感じがします。まあ、西欧型の法治国家ではないという事です。韓国民は、漢字を捨ててしまったので、過去の情報や歴史について読めなくなっているというのが未熟さに大きく繋がっていると思います。愚かとしか言いようがない。日本も既存メデイアだけの情報を鵜呑みにして判断していると、ミスジャッジになります。他山の石or反面教師としないと。
記事
韓国の憲法裁判所は8人の裁判官全員の一致した意見として朴大統領の罷免を宣告した(写真:代表撮影/AP/アフロ)
(前回から読む)
「朴槿恵罷免」は韓国の法治への疑問を呼んだ。
「極悪非道」に因果応報
—「我が国の民主主義の勝利だ」と韓国人が胸を張っています。
鈴置:3月10日、憲法裁判所が朴槿恵大統領(当時)に対する弾劾訴追を認め、罷免を宣告しました(「朴大統領の罷免が決定、選挙は5月9日か」参照)。
弾劾訴追案は大統領の下野を求めるデモに押され、国会が可決しました。要は韓国では超法規的な存在の、絶対的権力者である大統領をデモが引きずり降ろしたのです。
審判直前の世論調査では77%が罷免に賛成していましたから、国民の4分の3以上が自分の意思を通せたわけです。保守、左翼を問わず多くの韓国人が「民主主義の勝利」と胸を張るのも無理はありません。
左派系紙、ハンギョレの社説「民主主義の道しるべを新たに打ち立てた市民革命の勝利」(3月10日、日本語版)が典型です。「胸を張る」部分を引用します。
- 愚かで極悪非道な大統領は、結局権力の座から追い出された。事必帰正。国民を蔑視し国家権力を私物化して国の根本を揺るがした罪に対する当然の因果応報だ。
- 朴槿恵大統領罷免の外的形式は憲法裁判所の弾劾認容だが、実際的内容は常識と当然な道理の勝利だ。
- 冬の間に広場で燃え上がったろうそくの炎は「法治と民主」に向けた渇望であったし、憲法裁判所は「全員一致の罷免賛成」でこれに答えた。
—「民主」だけでなく「法治」も自賛していますね。
鈴置:流血もなく罷免に追い込んだからです。それに大統領の弁護団は、弾劾訴追そのものが「不当だ」と批判してきました。
「勝った側」としては「法治が実現した」と大声で叫ぶことで、そうした疑いを払拭できたと言いたいのでしょう。
もっとも10日夕刻には保守派のデモ隊が機動隊と衝突する中で、死因は不明ですが3人の参加者が亡くなりました。憲法裁判所が宣告を下してからも、弁護団や一部の保守は不当な宣告だと声をあげ続けています。
チラリと漏れた本音
—「宣告がおかしい」という意見は、韓国紙の日本語版には見当たりません。
鈴置:韓国語版も同じです。保守、左派を問わず韓国紙は「朴槿恵下野」を要求してきましたから、自分たちの主張に沿った宣告に疑義は挟みません。ただ瞬間的にですが、宣告に首を傾げる法曹関係者の姿が垣間見られました。
TV朝鮮の「<ニュースを撃つ> 弾劾審判 憲法裁判所の要旨…「容認」決定の争点は?」(3月10日、韓国語の動画)で、です。
座談会の焦点は、大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏による「国政壟断事件」に関し、朴大統領が罷免されるに足る憲法・法律違反をしたか、でした。
国会がそれ以外の訴追事由としてあげた言論の自由の侵害や、旅客船「セゥオル号」沈没の際の行動に関し、憲法裁判所は宣告の中で罷免するには当たらない、との判断を示したからです。
この座談会で、ヨ・サンウォン弁護士(前・ソウル地裁副所長)とイ・サンギョン弁護士(前・憲法裁判所裁判官)の2人が大略、以下のように述べました。
- 憲法裁判所は罷免の理由に、国政壟断を許した職権乱用に加え、大統領が検察や特別検察の事情聴取を拒否したことをあげた。しかし、後者は弾劾訴追案には入っていない。訴追されていないことまで罷免の理由とするのはおかしい(それぞれ動画開始後8分20秒後と11分48秒後)。
不愉快な奴は裁判でやっつけろ
—裁判官が、検察官が訴えていないことまで裁いてしまった、ということですね。
鈴置:その通りです。朴大統領の弁護団との間でかなりの諍いがあったので、憲法裁判所が感情的になってこのくだりを入れたのだろうとヨ・サンウォン弁護士は解説しています。
別の見方もあります。弁護側は「朴大統領のやったことは歴代大統領もやっていたこと。罷免するほどの憲法・法律違反ではない」と主張していました。
そこで憲法裁判所は「事情聴取の拒否」を持ち出し、職権乱用に足して“合わせ技1本”とした、との分析です。
でも、「事情聴取の拒否」は弾劾訴追案にはない……。
鈴置:法曹関係者はともかく、普通の韓国人はいわゆる「起訴状」に書かれているかなどは気にしません。「不愉快な奴をなんでもいいから、寄ってたかってやっつける」のが韓国の裁判なのです。
宣告のその部分を見ましょう。中央日報の「<大統領弾劾>憲法裁判所 宣告文全文『認めることのできない行為・・・政治的弊習を清算するため罷免』」(3月9日、韓国語、動画付き)からポイントを引用します。
被請求人(朴大統領)は国民への談話で、真相究明に最大限協力するとしましたが、実際は検察と特別検察の調査に応じず、青瓦台(大統領官邸)への押収・捜索も拒否しました。
この事件の訴追事由と関連した被請求人の一連の言行を見るに、法に違反する行為が繰り返されないようにしようとの、憲法を守る意思が見られません。
結局、被請求人の違憲・違法行為は国民の信任を裏切ったことで、憲法を守るという観点から容認できない重大な法律違反行為と見なければなりません。
被請求人の法違反行為が憲法秩序に与える否定的な影響と、波及効果の重大さから、被請求人を罷免することで得られる憲法守護の利益が圧倒的に大きいと言えるでしょう。
国民をなめるな
—検察に逆らったのがけしからん、というわけですね。
鈴置:「こいつは検察、つまりは国民をなめているぞ。けしからん」との呼び掛けです。多くの国民が「そうだ!」と考えたと思います。
なお「調査に応じなかったことは、被疑者の当然の権利だ」との意見も韓国の法曹界にはあります。先ほど引用したTV朝鮮の座談会でも、ヨ・サンウォン弁護士が指摘しています。
この座談会に出席した法曹関係者は4人。うち2人が宣告の法的な正当性に疑問を提議したのです。
TV朝鮮は保守系紙、朝鮮日報のグループ企業です。でも、朴大統領支持派ではありません。それどころか「国政壟断事件」を真っ先に報じ、社運を賭けて大統領と戦ってきました。
「宣告に対する疑問」はTV朝鮮が意図して報じたものではなく、宣告直後の「どさくさ」の中で、専門家からつい本音が語られてしまったのだと思います。
なぜなら、私が見た限りですが「弾劾訴追案にない事由で罷免した」ことへの指摘は、TV朝鮮含め韓国の大手メディアでは2度と語られませんでしたから。
気分が決める判決
—韓国は法治国家と言えるのでしょうか。
鈴置:儒教国家としてはこの宣告に何の問題もないのです。京都府立大学の岡本隆司教授が、儒教と法律の関係について以下のように説明しておられます。「『韓国異質論』のススメ」から、肝心のところを再録します。
- 中国法制史の専門家の間では、法源――裁判官が判決を下す際の基準ですが――その1つとして「情理」という言葉が語られます。
- 四文字に引き延ばせば「人情天理」とか「人情事理」とか言います。裁判記録でもよくこの「情理」が使われます。
- 裁判で判決を下すなり、政府が何らかの政治的決定を下す際に、大多数の人々が「なるほどな」と納得できる判断を示す、これが「情理」です。
- 法律の条文はこの「情理」によって解釈され、また変更もされるものです。法が最終的なよりどころではあり得ない。判決などが最終的に依拠するのは「情理」――人々が「この辺が正しい」と思う、コンセンサスなのです。
—なるほど!「法より情理」ですか。
鈴置:今回の宣告はまさに「情理」――韓国人の気分にのっとったものでした。8割近い人が「大統領を罷免しろ」と考えている。だったら憲法裁判所もそれに従うだろう――という空気の中での宣告でした。
憲法裁判所としては、訴追案になくても「国民をバカにした罪」かなにかで、とにかく大統領をやっつける必要に迫られたのです。
先ほどの質問に答えれば、韓国は西欧的、あるいは日本的な意味での法治国家ではない。けれど、立派な「儒教式の法治国家」ではあるのです。
- 韓国歴代大統領の末路
①李承晩(1948年7月―1960年4月) | 不正選挙を批判され下野、ハワイに亡命。退陣要求のデモには警察が発砲、全国で183人死亡 |
②尹潽善(1960年8月―1962年3月) | 軍部のクーデターによる政権掌握に抗議して下野。議院内閣制の大統領で実権はなかった |
③朴正煕(1963年12月―1979年10月) | 腹心のKCIA部長により暗殺。1974年には在日韓国人に短銃で撃たれ、夫人の陸英修氏が殺される |
④崔圭夏(1979年12月―1980年8月) | 朴大統領暗殺に伴い、首相から大統領権限代行を経て大統領に。軍の実権掌握で辞任 |
⑤全斗煥(1980年9月―1988年2月) | 退任後に親戚の不正を追及され隠遁生活。遡及立法で光州事件の責任など問われ死刑判決(後に恩赦) |
⑥盧泰愚(1988年2月―1993年2月) | 退任後、全斗煥氏とともに遡及立法により光州事件の責任など問われ、懲役刑判決(後に恩赦) |
⑦金泳三(1993年2月―1998年2月) | 1997年に次男が逮捕、懲役2年判決。罪状は通貨危機を呼んだ韓宝グループへの不正融資関与 |
⑧金大中(1998年2月―2003年2月) | 任期末期に3人の子息全員が斡旋収賄で逮捕 |
⑨盧武鉉(2003年2月―2008年2月) | 退任後、実兄が収賄罪で逮捕。自身も2009年4月に収賄容疑で検察から聴取。同年5月に自殺 |
⑩李明博(2008年2月―2013年2月) | 2012年7月、実兄で韓日議員連盟会長も務めた李相得氏が斡旋収賄などで逮捕、懲役2年 |
⑪朴槿恵(2013年2月―2017年3月) | 2017年3月10日、憲法裁判所が罷免を宣告 |
北朝鮮に似てきた韓国
—それを韓国人はどう考えているのでしょうか。
鈴置:ほとんどの人はおかしいとは考えていません。憲法裁判所の「罷免」宣告は、デモや集会の力――「情理」や「気分」を反映して実現したと彼らは信じているではありませんか。
冒頭に引用したハンギョレの社説をもう一度、見て下さい。「広場で燃え上がったろうそくの炎は『法治と民主』に向けた渇望であったし、憲法裁判所は『全員一致の罷免賛成』でこれに答えた」と堂々と書いています。
そう考えるのは保守派も同じです。だからこそ、弾劾推進派よりも多くの人を憲法裁判所前に集め「弾劾棄却こそが情理だ」と訴えたのです(「『市街戦が始まる』と悲鳴をあげた韓国紙」参照)。
私の観察するところでは、韓国の「儒教式法治」はどんどん強まっています。2014年に起きた、産経新聞の前ソウル支局長が起訴された事件がいい例です。
朝鮮日報の朴槿恵批判を引用して記事を書いたら、名誉毀損で起訴され出国停止処分に。一方、「原本」の朝鮮日報は一切おとがめなし。当時、朝鮮日報も含めほとんどの韓国紙は起訴を批判するどころか、産経批判に全力をあげました。
中央日報に至っては「産経や前支局長が日ごろから韓国に批判的だったことが起訴につながった」と、何の疑問もなく書いたのです(「北朝鮮にどんどん似てきた韓国」参照)。
「度の過ぎた嫌韓・反韓報道で信頼を失う産経」(2014年10月10日、韓国語版)という大型の記事です。不愉快な奴は、適当に法律にひっかけて牢屋に放り込め、との主張――まさに「儒教的法治」です。
ブーメランの朴槿恵
—「儒教的法治」で産経をやっつけようとした朴槿恵氏が、今度は……。
鈴置:今度は自分が「法律などに関係なくやっつけられる」羽目に陥ったのです。皮肉な話です。
—韓国が儒教的法治に先祖返りしたのはなぜでしょうか。
鈴置:理由は2つあると思います。まず、1987年の民主化で世論の力が強くなった。「韓国の世論」はしばしば暴力行為に及びますから、裁判所も異様に気を使うようになった。
もう1つは「離米従中」です。民主化まで、韓国はいわゆる「軍事独裁体制」だった。でも、米国の庇護が必要でしたから「米国流の民主主義・法治主義」を奉るフリはしていた。
でも、中国の台頭により「米中を天秤にかけられる」と信じた韓国人はもう、米国に気を使わなくなったのです。その結果、昔ながらの「儒教式法治」の地が出てきたのです。
民度を落とした憲法裁
—不気味ですね。
鈴置:日本人には不気味です。隣国の司法の総元締めである憲法裁判所が、法律をゴムのように伸縮して適用する「儒教式法治」を先導しているのですから。
ヴァンダービルドの筆名で論陣を張る韓国の外交・安保専門家が「憲法裁判所が日本との関係を瀬戸際に追い込んだ」と書いています。
保守サイトの趙甲済(チョ・カプチェ)ドット・コムの「法服を纏い、謹厳に国を危機に陥れる裁判官たち」(3月11日、韓国語)です。要点を翻訳します。
- 憲法裁判官がその本分を忘れ、時流に迎合する判決を下して国を混乱と試行錯誤に陥れるのは今回(弾劾)だけではない。
- 慰安婦問題は金泳三(キム・ヨンサム)政権時代に日本の謝罪(河野談話)と補償(アジア女性基金)により事実上、決着していた。
- 2006年に特定の色を持つ反日団体が主導し、憲法裁判所に「政府が日本に対しさらなる要求をしないのは違憲」との訴訟を起こした。
- 感情は別にして法的には、慰安婦や徴用問題は1965年の韓日請求権協定で完全に消滅した問題だ。
- しかし、憲法裁判所は2011年に反日団体の手を挙げた。国家間で結んだ協定に反する、時流迎合的な判決を下したのだ。
- この判決を契機に対日慰安婦攻勢が続き、日本との関係に加え韓米日の共助にも亀裂が入った。安保にも悪影響を及ぼしている。
- もっと大きな問題は韓国人の民度(国民性)がひどく落ちたことだ。慰安婦を口実にすれば(日本には)外交的な非礼でも何をしてもいいとの誤った習性が定着した。
厳しい読売の社説
—「慰安婦」も憲法裁判所が“犯人”だったのですね。
鈴置:普通の日本人はともかく、専門家はちゃんと覚えています。慰安婦を初めとする一連の「卑日」もあって、韓国の法治に疑いを表明する新聞が出ています。
韓国の主な「卑日」
「従軍慰安婦」像設置 |
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。 |
大統領の竹島上陸 |
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。 |
天皇謝罪要求 |
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。 |
対馬の仏像窃盗 |
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。 |
中国人放火犯の本国送還 |
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。 |
朴大統領の「告げ口外交」 |
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。 |
産経元支局長起訴 |
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。同年12月17日に無罪判決、同月に確定。 |
安倍首相の米議会演説阻止 |
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。 |
今回の事件に関する読売新聞の社説の見出しは「朴大統領罷免 司法の行き過ぎた政治決定か」(3月12日)でした。本文でも事情聴取の拒否が罷免につながったことに言及しました。以下です。
・(憲法裁判所は)朴氏が崔被告の国政介入を隠蔽し、政府から独立して捜査する特別検察官や検察の取り調べに応じなかったとも指摘した。朴氏には「憲法を守る意志がない」と結論づけた。 ・憲法裁が、大統領罷免を求める国民の声に阿(おもね)って権力を行使したとすれば、行き過ぎだろう。
朝日新聞は揶揄?
—「韓国に理解のある」朝日新聞はどう書いたのですか?
鈴置:朝日は読売のように厳しくはありませんでした。批判がましいことは一切、言いませんでした。ただ、微妙なところが1カ所あります。「朴大統領罷免 国政の安定化が急務だ」(3月12日)から引用します。
- かつての軍事独裁を脱却し、韓国が民主化を勝ち取って今年で30年。民衆の圧倒的な行動が「絶対権力」といわれた大統領の交代をもたらしたのは、韓国型民主主義のひとつの到達点として歴史に残ることだろう。
「韓国型民主主義のひとつの到達点」――。韓国は欧米や日本とは異なった民主主義に突き進んでいるとの認識を朝日も持っているわけです。
なにやら揶揄、皮肉の臭いがします。底意地の悪い書き方です。あるいは「韓国の素晴らしいやり方を見習おう」という意味で朝日は書いているのかもしれませんが。
モンゴルより遠い韓国
—韓国との付き合い方を考えねばなりませんね。
鈴置:「日本とは全く異なるタイプの国」という前提で対するべきでしょう。安倍晋三首相は完全にその認識を持つに至ったと思います。
2015年以降、日本政府の韓国に対する公式的な見解から「価値観を共有する国」との文言を外しました。
2016年にモンゴルを訪問した際、安倍首相はエルベグドルジ大統領に以下のように述べました。外務省の「安倍総理大臣のモンゴル訪問(結果)」(2016年7月15日)から引用します。
- 日本とモンゴルは基本的価値を共有する地域の重要なパートナー。モンゴルの自立的発展のためにできる限りの支援を惜しまない。
韓国はモンゴルよりもはるかに遠い国となったのです。
(次回に続く)
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