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6/8日経ビジネスオンライン 白壁達久『天安門事件から26年後の香港の現実 中国化の波が迫る中で進む悲しい民主派の分裂』記事について
今の香港の姿を台湾の人達は良く見ていた方が良いでしょう。去年3、4月の台湾での太陽花学運では王金平立法院長の斡旋で中国とのサービス貿易協定にストップをかけることができました。外省人の馬総統が焦って中国との統一の足がかりとしようとしましたが、結局11月の統一地方選で国民党は惨敗を喫しました。来年1月の総統選は蔡英文民進党党首で決まりです。今回の訪米でも前回の総統選前の取り扱いと違い、アメリカは歓待しました。それはそうでしょう。総統になるのが確実な上に、中国がアメリカの覇権に挑戦しようとしているのですから。
それに引き換え中国と陸続き、かつ97年に法的にも中国の一部となった香港の運命は悲惨です。行政長官の民主選挙の約束も共産党はあっさり反故にしてしまいました。昨年9月の雨傘革命もポシャリ、本年6月4日の天安門事件追悼集会の参加者も少なくなったという事は、中国共産党の意思が香港内部にどんどん浸透してきているという事です。香港は今までは自由世界との経済的な窓口でしたが、上海や深圳が成長し、香港の地位はぐっと下がっています。共産党は強気で香港に臨めます。
民主派の分裂と言いますが多様な意見の存在は民主主義の根幹をなすものです。ただ、共産党という大なる敵を前にして大同団結しないといけないのでは。本記事を読んで、意見の違いというよりは世代間の人生観の違いかと感じました。年寄りは老い先長くないので「長いものに巻かれよ」式で、若い人は「将来の香港の基本的人権の一つである自由権」が確保されるかどうか心配という所。日本でも、南シナ海の中国の内海化を見ても年寄りは考え方が変わらず(新聞・TVから情報入手しているためと思われる)、集団的自衛権に反対している人が多い。若い人はいろんな媒体から情報入手できるので、年寄りよりは自分の頭で判断できるのではないかと思います。
共産党というか左翼の人間は、どの国であれ、平気で嘘がつけれる人達です。また虐殺が得意です。毛沢東、スターリン、ヒットラー(国家社会主義ドイツ労働者党)が御三家です。そこにポルポトも加わります。左翼の言うことは疑ってかかった方が良いです。
記事
「今年は明らかに人が少ない…昨年はもちろん、2年前に参加した時でさえもっと混んでいて、身動きもできないほどだったのに…」
6月4日夜、香港島で最大の公園であるヴィクトリアパークにやってきた香港のある男子大学生(21歳)は、困惑気味にこう語った。
(6月4日に香港島のヴィクトリアパークで開かれた天安門事件の追悼集会。13万5000人が参加したが、昨年より25%も減少した。)
( 1人で参加する若い人も少なくなかった)
香港では毎年、6月4日の午後8時からこのヴィクトリアパークで、天安門事件の犠牲者を追悼する大規模集会が開かれる。参加者は配られたろうそくに火をともし、みんなで歌を歌い、黙祷を捧げるなどして天安門事件で命を落とした学生たちの魂を鎮めると同時に中国本土の民主化を願う。
ただ、天安門事件から26周年となった今年6月4日の香港の追悼集会は、恐れていた通りの展開となってしまった。
参加者が前年比で25%も減少
追悼集会を主催する香港市民支援愛国民主運動連合会の発表によると、今年の参加者は13万5000人と、昨年の18万人から大幅に減少した。昨年は天安門事件から25周年という節目の年でもあり、参加者数が過去最高を記録したのは自然なことで、その意味で今年の参加者数が減る可能性はあったとも言える。
とはいえ、香港市民の間で、民主化に対する関心が薄れているのかというと、そうではない。2017年以降の香港政府のトップである行政長官を選ぶ選挙の仕組みを巡って、昨年9月末から大学生が中心となって大規模なデモを繰り広げたことをご記憶の読者も多いだろう。
昨年9月にデモが起きたのは、同年8月末に中国の全国人民代表会議(全人代)の常務委員会が、2017年の行政長官選挙に立候補するには、「指名委員会の半数以上の委員の推薦が必要」との条件を盛り込んだからだった。指名委員会は中国共産党の意を受けたメンバーが多数を占めているため、指名委員会の推薦が必要となると、民主主義を求める人物は事実上、排除され立候補できなくなることを意味する。
そのため、一国二制度の下で自治権が認められていたはずと考えていた香港市民の間では、この選挙制度に対する失望が広がった。なかでも、大学生や高校生を中心とした若者たちが強く反発、大学の講義や学校の授業をボイコットし始め、さらに大規模なデモをしたり香港の経済の中心地である中環(セントラル)の一角を占拠したりと、3カ月にもわたって抗議活動を展開したのだった。
そうした動きを踏まえれば、中国の民主化を求める今年の追悼集会には、昨年の25周年にも増して人が集まってもおかしくはなかったはずだ。だが、今年の追悼集会への参加者数は昨年に比べ25%も減り、2008年以来の少なさとなったという。
民主派が分裂、世代間で認識のギャップも
悼会への参加者数が減った背景には、香港における民主化を求める運動が、ここへ来て変質してきていることが大きい。追悼会場で参加者がなぜ減ったのかを聞くと、みな同じ答えを口にした。
「分裂です」
香港の民主化運動が、その求める民主化の内容によって分裂してきているのだという。まず従来から香港民主派を自称してきた一派の主張は、「中国本土の民主化を願い、進めること」だった。若かった頃、大陸で何らかの民主化運動に加わり、そのために政府から厳しい弾圧を受けるなどしたことから、当時はまだ英国統治下にあって自由が保障されていた香港へと逃れてきた人が少なくない。今や年配になったとはいえ、そうした香港人の多くは本土の民主化を心から願っている。だからこそ、中国における民主化を求めて1989年に立ち上がったものの、中国政府による武力弾圧で犠牲になった天安門の学生たちを今も追悼したいとの思いから毎年、6月4日に集っている。
ところが、学生を中心とした若者たちが求める民主化の主張は異なる。昨年のデモで中核的存在となった香港大学など複数の大学の学生会は今年、天安門事件の追悼集会への不参加を事前に表明していた。中国本土の民主化ではなく、自分たちが住むこの香港の民主化の維持、発展にこそ集中すべきだ、というのが彼らの言い分だ。
香港の民主化を重視する一派の中には、さらに香港そのものの独立を目指すべきだとして、抗議活動を展開している強硬派グループも誕生している。
民主化運動が、その求める内容、主張によって分かれていく一方、追悼集会に参加した人たちに話を聞くと、彼らの間にも様々な意見、見方があることがうかがえる。
友人と参加した18歳のある女子大生は、「(中国本土の民主化を求める)この追悼集会の主旨すべてに賛成しているわけではない。(行政長官の)選挙制度改革について、真の普通選挙の実現をもっと訴えるべきだと思う」と香港の民主化の必要性を主張する。一方、ある53歳の会社経営者の男性は「大陸の民主化こそが私の願いだ」と訴える。
民主派の弱体化は中国政府の思うつぼ
このような状況に対し、ある中年の会社員男性は「この集会は、天安門事件で犠牲になった人たちを追悼する儀式のはずだ。それが最近、香港の民主化運動をまとめて論じる人が増えてきた。おかしい。本来の姿に戻すべきだ」と不満を漏らす。
年配の世代は自らの過去を振り返って中国本土の民主化を願い、若い世代は自分たちが暮らしていく今後の香港の民主化を願う。今後の行政長官選挙の在り方が明らかになった昨年以降、こうした世代間ギャップが、これまでひとくくりに論じられていた民主派を分裂させている。
背景には年々、香港への圧力を強めつつある北京政府の動きに対する不安が高まっていることがあるのは間違いない。それを間近に感じているのは若年層だ。2012年、中国共産党は香港政府に対して、中国国民としての愛国心を育む「愛国教育」を導入するよう求めた。教育という仮面をかぶった洗脳には、教師や保護者だけでなく中高生も強く反発、香港の街中で住民も巻き込んだデモを起こし、愛国教育義務化の撤廃に持ち込んだ。
自分たちがこれからの人生を送る香港の自由が侵されるのであれば、将来に不安を感じるのは当然だろう。しかし、年配者にとっては「若者の抱く将来への不安」を我がことのように理解するのは難しいかもしれない。
本来、そうした逆風の時にある時こそ市民の一致団結が求められる。それだけに、筆者はこうしたこの世代間ギャップによる民主派の分裂という展開を恐れていた。
民主化を求める運動が分裂すればするほど、1つの抵抗勢力としては弱体化する。それは中国政府にとっては思うつぼだろう。香港市民が懸念する急速な中国化。民主派の分裂は、自らこの流れを早めることになるからだ。
6/8ダイヤモンドオンライン 北野幸伯『「AIIB」後~米国の逆襲で、激変する日米中ロのパワーバランス』記事について
一昨日のBS日テレ「深層News」に宮家邦彦と朱建栄が出演していました。朱建栄は7ケ月も上海で監禁されたこともあって、中国の肩を持つ発言ばかり。(以前もそうでしたが)。朱の発言は他の中国人同様論理がムチャクチャ。中国にとって都合の悪い話になるとすぐ論理のすり替えをする。「中国だけが埋立している訳でない」(中国がやったから対抗上か、先制防御の意味だろうに。規模が違いすぎるし、中国と違って将来ミサイル基地にとか考えていないでしょう)、「戦争中は西南諸島(西沙諸島と南沙諸島?)は台湾が統治していた」(台湾と言う国はなかった。あるとすれば日本の統治だが、戦争中にそんな島が価値があったかどうか)とか。宮家が「日本の外務省は中国が領有権を主張するのであればキチンと説明してくださいと言っている」と言ってもそれは説明できるはずもない。盗み・パクリの得意な民族ですから。証拠があれば中国のことですから我先に出すでしょう。でっち上げてでも。それが出て来ないのはないからです。日本の尖閣領有を認めた中国の地図を日本が出した時に中国は何と言いましたか。「百枚、千枚でも出せる」と大見得を切ったにも拘わらず出して来ないではないですか。ないからです。言ったもの勝ちの発想でしょう。そう言わないとクビでしょうから。証拠のあるなしは関係なし。中国が如何に法治国家でないかという事です。法治国家であれば、挙証責任は訴える側にあり、明確な証拠が必要です。韓国の慰安婦のように証言だけで断罪するのでは法治国家とは言えません。明確な証拠が必要です。
日本は日米同盟機軸でしか生きる道はありません。核保有が理想ですが、時間的余裕がなければ、米国と早くニュークリアシエアリングすべきです。中国は基本的に「騙す人が賢く、騙される人が馬鹿」という価値観の民族ですから、まともに付き合ったら経済的な損失はおろか精神的にスポイルされます。中韓のような人たちと付き合えば発想が彼らのようになるでしょう。日本人は敬して遠ざけるべき。天心、新渡戸、鈴木大拙の英語で書いた本を読んでみると良いです。彼らが白人に英語で日本人の立場を主張していますので。ゴマスリ日本人とは志の高さと美に対する意識の違いを感じさせてくれます。
記事
AIIB事件」で世界的に孤立した米国が、中国に逆襲をはじめている。一方、これまで「主敵」だったロシアとの和解に乗り出した。一方、「尖閣国有化」以降、戦後最悪だった日中関係にも、変化がみられる。
コロコロ変わり複雑! 大国間の関係は今、どうなっているのか?
「AIIB事件」以降、米国の対中戦略が大きく変わってきた。南シナ海における「埋め立て問題」で中国を激しく非難するようになったのだ。一方で、これまで最大の敵だったロシアとの和解に乗り出した。
対する中国政府は、日本からの訪中団を大歓迎し、「日中和解」を演出した。“昨日の敵は今日の友”を地で行くほどにコロコロ変わり、複雑にみえる大国間の関係。いったい今、世界で何が起こっているのだろうか?
2015年3月に起こった「AIIB事件」は、後に「歴史的」と呼ばれることになるだろう(あるいは、既にそう呼ばれている)。
3月12日、もっとも緊密な同盟国であるはずの英国は、米国の制止をふりきり、中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への参加を決めた。その後、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国、イスラエルなども続々と参加を表明し、米国に大きな衝撃を与えた。
この問題の本質は、「親米国家群が米国の命令を無視し、中国の誘いに乗ったこと」である。「誰もいうことを聞かない国」を、はたして「覇権国家」と呼ぶことができるだろうか?「AIIB事件」は、「米国の支配力衰退と、中国の影響力増大」を示す歴史的な出来事だったのだ。しかし、米国は、あっさり覇権を手放すほど落ちぶれていない。
「米国は必ず『リベンジ』に動くだろう」。筆者はそう確信し、米国の過去の行動から予想される「リベンジ戦略」について書いた(詳細はこちらの記事を参照)。そして米国は、はやくも予測通りの行動をとりはじめている。
「南シナ海埋め立て問題」で 緊迫する米中関係
もっともわかりやすいのは、米中関係が急に冷え込んできたことだろう。これは、特に世界情勢を追っていない人でも感じているはずだ。表向きの理由は、「中国が南シナ海で大規模な埋め立てをしていること」である。たとえば、米国のカーター国防相は5月27日、中国の行動を厳しく批判した。(太線筆者、以下同じ)
<米国防長官、中国を非難…「地域の総意乱す」 読売新聞 5月28日(木)12時6分配信
【ワシントン=井上陽子】カーター米国防長官は27日、ハワイ州で行われた米太平洋軍の司令官交代式で演説し、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で岩礁埋め立てや施設建設を進める中国の動きについて「中国は、国際規範や、力によらない紛争解決を求める地域の総意を乱している」と強く非難した。>
そして、数ヵ月前には想像もできなかったことだが、「米中軍事衝突」を懸念する声が、あちこちで聞かれるようになった。
<米中激突なら1週間で米軍が制圧 中国艦隊は魚雷の餌食 緊迫の南シナ海 夕刊フジ 5月28日(木)16時56分配信
南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺の領有権をめぐり、米中両国間で緊張が走っている。
軍事力を背景に覇権拡大を進める習近平国家主席率いる中国を牽制するべく、米国のオバマ政権が同海域への米軍派遣を示唆したが、中国側は対抗措置も辞さない構えで偶発的な軍事衝突も排除できない状況だ。>
「中国が、他国と領有権問題を抱える場所での埋め立てをやめないから米国が怒っているのだ」というのは、「表向き」の理由に過ぎない。
なぜなら、この問題は以前から存在していたからだ。中国が本格的に埋め立てを開始したのは、13年である。そして14年5月、フィリピン政府は、ミャンマーで開かれたアセアン首脳会議の場でこの問題を提起し、中国に抗議した(フィリピンは、中国が埋め立てを進める場所は、「自国領」と主張している)。
つまり、この問題は、1年前には全世界の知るところとなっていた。ところが、米国はごく最近まで、この問題を事実上「無視」「放置」していた。米国が、急に中国の動きを大々的に非難しはじめたのは、「裏の理由」(=AIIB事件)があるからだろう。
中ロ両方は敵に回せない! 突如ロシアとの和解に動き出した米国
前回の記事で筆者は、米国が中国にリベンジするにあたって、「ロシアと和解する可能性がある」 と書いた。米国はこれまで、「敵に勝つために、他の敵と組む」ことを繰り返してきたからだ。
たとえば、米国は第2次大戦時、日本とナチスドイツに勝つために、「米帝打倒」を国是とするソ連と組んだ。戦後は、敵だった日本とドイツ(西ドイツ)と組み、ソ連と対峙した。1970年代にソ連の力が増してくると、米国は中国との和解に動いた。
こういう過去の行動を見れば、米国がロシアと組む可能性は否定できない。誰がどう考えても、中国・ロシアを同時に敵に回すより、ロシアを味方につけて(少なくとも中立化させて)中国と戦うほうがいい。では、「AIIB」後、米ロ関係にどんな変化が生じているのだろうか?
米国のケリー国務長官は5月12日、ロシアを「電撃」訪問した。
<露訪問の米国務長官、ウクライナ停戦履行なら「制裁解除あり得る」 AFP=時事 5月13日(水)7時13分配信
【AFP=時事】米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は12日、ロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相とそれぞれ4時間、合わせて8時間に及ぶ会談を行った。
その後ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>
引用部分は短いが、非常に重要な内容を含んでいる。まず、ケリー(そして、ケリー級の政府高官)のロシア訪問は、「クリミア併合後」はじめてだった。つまり、「ケリーが来た」こと自体が、ロシアにとっては「大事件」だった。
そして彼は、プーチンと4時間、ラブロフ外相と4時間、計8時間も会談している(テーマは、シリア、イラン、ウクライナ問題だったと発表されている)。
個人でも会社でもそうだが、仲良くしたくない相手とは、長く話さないものだ。「長話」はつまり、米国側もロシア側も「仲直りしたい」という意思があるということだろう。そして、ケリーは決定的なことをいった。
<ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>
「制裁解除もあり得る!」これも、「AIIB事件」前には、想像できなかった事態である。ここには書かれていないが、ケリーはこの訪問中、「クリミア問題」を一度も口にしなかったという。つまり「クリミアのロシア領有権を認めることはできないが、『黙認』で『手打ち』にしたい」ということではないだろうか?
このように米国は、ロシアとの和解に動いている。理由は、中国との戦いに集中するためだろう(ちなみに、米国は、中東最大の仮想敵イランとの和解にも動き、イスラエルから激しく非難されている)。
中国が日本に擦り寄る本音は やはり「日米分断」
もう一つ、「AIIB」後の目に見える変化について触れておこう。そう、中国が日本に「擦り寄ってきた」件だ。習近平は5月23日、中国を訪問中の日本使節団の前に姿を現し、日本に「ラブコール」を送った。
<「朋(とも)あり遠方より来る、また楽しからずや。 3000人余りの日本各界の方々が遠路はるばるいらっしゃり、友好交流大会を開催する運びになった。われわれが大変喜びとするところだ」
習氏は23日夜、北京の人民大会堂で開かれた交流式典に突然姿を見せ、孔子の言葉を引用しながら笑顔であいさつした。
会場では二階氏とも面会し、安倍首相の親書を受け取り、「戦略的互恵関係を進めていけば、日中関係はいい結果になると期待している。安倍首相によろしく伝えてほしい」と語った。>(夕刊フジ 5月25日)
これは、なんだろうか?これまで何度も書いてきたが、中国は、12年9月の「尖閣国有化」をうけて「反日統一共同戦線戦略」を作成した。その骨子は、
1.中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」を作る。
2.日本には、北方4島、竹島、そして「沖縄」の領有権もない。
3.「反日統一共同戦線」には、「米国」も参加させる。
(驚愕の「対日戦略」の全貌はこちらの記事で詳しく解説している)。
この戦略に沿って中国は、全世界、特に米国で、「反日プロパガンダ」を大々的に展開してきた。その効果は十分あり、13年12月26日に安倍総理が靖国を参拝すると、世界的「大バッシング」が起こった(小泉総理は、在任中6回参拝したが、騒いだのは中韓だけだった)。
中国の「日米分断作戦」は成功しつつあったが、「AIIB事件」と安倍総理の「希望の同盟」演説で、日米関係は逆に「とても良好」になってしまった。
では、今中国が日本に接近する理由はなんだろう?実をいうと「日米分断戦略」は、今も変わっていない。中国はこれまで「反日プロパガンダ」で、日米分断をはかってきたが、挫折した。
では、「日中友好」を進めるとどうなるのだろう?実は、これも「日米分断」になる。たとえば、日中関係は、民主党・鳩山−小沢時代にもっともよかった。その時、日米関係は「最悪」だったのである。日本政府は、「反日統一共同戦線」戦略を常に忘れず、「中国が接近してくるのは『日米を分断するため』」ということを、はっきり認識しておく必要がある。
米国を信頼していいのか? 日本はどう動くべきなのか
今、よほど鈍感な人でないかぎり、「米中関係が急に悪化してきた」ことに気がついている。そして、多くの「反米論者」は、日本が米国につくことに反対で、「米国はハシゴを外す!」と警告している。
彼らの主張は「日本が米国を信じて中国と争っていると、米国は、突然中国と和解し、日本は単独で中国と戦うハメになり、ひどい目に遭う」ということ。要するに米国は「日本と中国を戦わせ、自分だけ漁夫の利を得ようとする」というのだ。
これは「まっとうな指摘」と言わざるを得ない。われわれは、大国が「敵」と戦う戦略には、大きく2つあることを知っておく必要がある。
1.バランシング(直接均衡) …これは、たとえば米国自身が「主人公」になって、中国の脅威と戦うのである。
2.バックパッシング(責任転嫁)… これは、「他国と中国を戦わせる」のだ。もっとわかりやすくいえば、「米国は、日本と中国を戦わせる」のだ。
そして、事実をいえば、どんな大国でも「敵国と直接対決するより、他の国に戦わせたほうがいい(つまり、2のバックパッシングの方がいい)」と考える。リアリストの世界的権威ミアシャイマー・シカゴ大学教授は言う。
<事実、大国はバランシングよりも、バックパッシングの方を好む。 なぜなら責任転嫁の方が、一般的に国防を「安上がり」にできるからだ。> (大国政治の悲劇 229p)
「米国が直接、中国と戦うより、日本に戦わせたほうが安上がり」。ひどい話だが、これが世界の現実である。
そして、われわれは、「バックパッシング」の例を知っている。たとえば、03年の「バラ革命」で、親米反ロ政権ができたジョージア(旧名グルジア)。この小国は08年8月、ロシアと戦争し、大敗した。そして、「アプハジア」「南オセチア」、2つの自治体を事実上失った(ロシアは、この2自治体を「独立国家」と承認した) 。
もう1つの例は、ウクライナである。14年2月の革命で、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が打倒され誕生した、親欧米・反ロ新政権。オバマ大統領は最近、CNNのインタビューで、ウクライナ革命が「米国の仲介で実現した」ことを認めた(その映像は、ここで見ることができる)。
つまり、ウクライナは、米国に利用され、ロシアと戦うハメになったのだ。結果、ポロシェンコ政権はクリミアだけでなく、ドネツク州、ルガンスク州も事実上失ってしまった。これらの例から、日本は「米国に利用されること」には、常に敏感であるべきだ。
では、日本はどうふるまうべきなのか?「大原則」は2つである。
1.日本は、安倍総理の「米議会演説」路線で、ますます米国との関係を強化していくべきである。結局、日米同盟が強固であれば、中国は尖閣・沖縄を奪えないのだから。
2.しかし、中国を挑発したり、過度の批判はしない。これは「バックパッシング」、つまり米国にハシゴを外され、(米国抜きの)「日中戦争」になるのを防ぐためである。
中国を批判する際は、「米国の言葉を繰り返す」程度にとどめよう。日本は、米国に利用されたグルジアやウクライナ、中国に利用されている韓国のような立場に陥ってはならない。
日本が目指すのは、あくまで「米国を中心とする中国包囲網」の形成である。だから、米国が先頭に立って中国の「南シナ海埋め立て」を非難している現状は、日本にとって、とても良いのだ(もちろん、油断は禁物だが)。
6/4日経ビジネスオンライン 鈴置高史『ついに「核武装」を訴えた韓国の最大手紙 「米国は今度こそ許してくれるはずだ……」』記事について
韓国人の方がまともに見えます。脅威に対してどう手を打ったらよいかを真剣に考えたら、核保有も選択肢の一つになって然るべき。日本に核を持たせたくないのは米中露全部そうでしょう。ですから左翼を使って日本の核保有を邪魔してきました。韓国が核保有すれば当然日本も保有するようになるから米国は韓国の核保有に反対するでしょうけど。
問題は国内にいる敗戦後利得者です。自分たちが国を売ってきて利益を得て来た権益を手放したくないものですから「今そこにある危機」も見ようとしないし、分かっていても米国ではなく中国に隷従した方が良い(中国に代表されるように左翼は金に汚い)と思う人がいることです。国民の大多数が政治に無関心ですからいいようにやられる訳です。
弱腰のオバマを信じることはできません。自ら生き延びることを考えるのであれば、真剣に国民一人ひとりが、偏向メデイアや学者の権威に関係なく、自分の頭で考える必要があります。今の日本は享楽主義に染まっているといってよいのでは。GHQの3S(sex、screen、sports)政策が戦後70年蝕んできました。子子孫孫や国家のために何ができるかを自分の生き方として考えないと。
「安全の欲求」はマズローの欲求5段階説でも生理的欲求の次段階の根源的な欲求として、これが確保されてやっと上位の欲求に行くという説です。高邁に平和論を唱える人達は中国の南沙での侵略行為についてどうして黙っているのでしょう。第二次大戦の日本の行為を非難するのであれば当然今の中国を非難すべき。それができないのであれば、過去の日本の行動も非難できないと言うべき。(小生は日本軍の中国駐留は欧米列強と同じで侵略とは思っていませんが。中国人に聞きたい。欧米の取った行動と日本の取った行動とどこが違うのか教えてほしい。アへン戦争、円明園の焼き討ちとか。満州は漢人の土地ではなく(万里の長城の北側にある)、清朝(満州族の土地)の故郷です。詳しくは「紫禁城の黄昏」(レジナルド・ジョンストン著)を是非読んで戴きたい。見方が変わるでしょうから。)
安全保障を真剣に考えないと。右翼と言って発言を封じ込める時代は終わったというべき。覚醒してほしい。
記事
誰からも止められず、核武装を着々と進める北朝鮮。焦った韓国人が「我々も核を持つ」と言い出した。
次の核実験で宣言
鈴置:韓国の朝鮮日報が「核武装」を訴えました。朝鮮日報は韓国で最大の部数を誇る保守系紙です。日本の新聞業界で言えば、読売新聞のポジションと似ています。
書いたのは楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹。政治部長、編集局長を経て論説委員会入りした、韓国保守論壇の本流中の本流の人です。それもあって、この「核武装論」は見過ごせません。
以下は、その「金正恩も、恐れさせてこそ平和を守る」(5月21日、韓国語)のポイントです。
- 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、北朝鮮のミサイルを先制打撃するシステムであるキル・チェーンと、韓国型ミサイル防衛(MD)で十分(北の核に)対応できると言う。だが、それが技術的に可能になるには相当の時間がかかる。
- さらに核保有国を相手に、成功するか不確実な先制攻撃をするというのは机上の空論だ。今の韓国にそれを命令する大統領も、実行する軍も、耐える国民もいない。
- MDの重要手段である終末高高度ミサイル防衛(THAAD=サード)も、数十発のミサイルを同時に発射された場合、対応できない。
- 国家間の平和の本質は恐怖の均衡だ。「自分も死ぬ」という恐怖が双方にあってこそ戦争は防げる。核国家である北と、非核国家である南の間の最も大きな危険は、恐怖の不均衡にある。
- それを均衡させるために、有事の際は金(正恩=キム・ジョンウン=第1書記)を含む北の指導部を「最優先」で「必ず」除去するという斬首作戦を、対北抑止戦略の第1の軸に据えるべきである。
- 第2の軸は核武装の選択権を持つことである。今後、北が核によって挑発した時に、米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合には、韓国も即座に核武装すると予告しておくのが核選択権だ。
- 北が4回目の(次の)核実験を実施し、核ミサイルの実戦配置が確認された瞬間が、大韓民国が核選択権を明らかにすべき時期と思う。
- 月城原子力発電所(慶尚北道慶州市)の重水炉を利用すれば、核武装には2年もかからない。我が国の技術をもってすれば、核実験の必要もない。
1年半以内に核選択権
重水炉から出る使用済み核燃料は、核兵器への転用が比較的容易です。1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が月城原発への重水炉の導入を決めたのは、核兵器開発を念頭に置いたためと言われています。
—「核武装論」とはいえ、今すぐの話ではないのですね。
鈴置:北は近く4回目――次の核実験を実施する可能性が高いのです。1回目は2006年、2回目は2009年、3回目は2013年です。このペースから判断して、2015年か2016年に4回目が実施されると見られています。
そして4回目の実験で、核弾頭が実用化段階に達して――ミサイルに載せられるほどに小型化して――実戦配備される、と見る専門家が多い。
ですから、もし楊相勲論説主幹の主張が採用されれば、1年半以内に韓国が「核選択権」を宣言する可能性が増すのです。
「弱腰のオバマ」は信頼できない
—でも「核選択権」の宣言から、次の段階の「核武装」に進むには条件が付いています。
鈴置:その通りです。「米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合」との条件です。「米国の拡大抑止」とは、北朝鮮が韓国を核攻撃すれば、必ず米国は北を核報復する――との見通しから、北が韓国攻撃を思いとどまる、という意味です。
ただ、韓国人はここを――米国が本当に核報復してくれるかを、疑い始めたのです。韓国が北によって核攻撃された際、米国が在韓、在日米軍基地、あるいはグアムへの核攻撃のリスクを甘受してまで北朝鮮を核攻撃してくれるのかと、韓国人は考えるようになったのです。
この記事では触れていませんが、米国の大統領が「弱腰のオバマ」であることも、韓国人の不安をかきたてています。
一方、北の指導者は粛清で権力を維持する、何をするか分からない若者です。韓国人にとっては最悪の組み合わせなのです。
もっとも米国は北朝鮮の核の脅威の増大を受けて、日本とはMDを共同で開発する一方、在韓米軍基地やグアムへのTHAAD配備を計画するなど、努力しています。
侵攻後に「核を使うぞ」
—米国の拡大抑止、要は「核の傘」ということでしょうが、それが破れているのではないかとの恐れですね。
鈴置:その通りです。日本人だって「実は破れ傘ではないか」と心配してもいいのですが。
—韓国人はなぜ、米国を疑うのでしょうか。
鈴置:「米国に捨てられた」記憶があるからです。まずは、朝鮮戦争の引き金になったアチソン国務長官の声明。「韓国は米国の防衛線の外にある」ことを表明したもので、1950年の話です。
もっと古くには米国と日本が、朝鮮とフィリピンの支配権をお互いに認め合った1905年の「桂―タフト協定」があります。
韓国紙はいまだに「米国から捨てられる不安感」を大きく書きます(「日米の『同時格下げ宣言』に慌てる韓国」参照)。アチソン声明も桂―タフト協定も、彼らにとっては昔の話ではないのです。
北朝鮮と領土を接する韓国ならではの、極めて困惑するシナリオもあります。北が通常兵力による攻撃と、核威嚇を組み合わせたらどうなるか、考えて下さい。
北が韓国に侵攻した場合、米韓両軍は空軍の攻撃により北朝鮮の兵站線や指揮部を叩きます。これで侵攻を食い止める計画であり、空軍力が北の冒険主義を抑止しているわけでもあります。
でも今後は、核武装した北が「爆撃への報復として核兵器を使うぞ」と恫喝するかもしれません。米韓両国は逡巡し、韓国の一部を北に占領されたまま、休戦に応じる羽目に陥るかもしれないのです。
未曾有の恐怖と混乱
—核を持った北は、通常兵力の使用を逡巡しなくなる、ということですね。
鈴置:その通りです。さらに注目すべきことがあります。このケースでは、北は核を使っているわけではない。ただ「使うぞ」と言うだけです。
米国はその北に対し核攻撃はかけにくいのです。そして米韓両軍は、通常兵力による反撃もしにくくなってしまいます。
楊相勲論説主幹の言う「北が核によって挑発した時に、米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合」とは、このようなケースを念頭に置いているのです。
この記事では、2010年に砲撃された延坪島を含む西海5島――ソウル西北の黄海上にあって、北朝鮮と目と鼻の先で対峙している韓国領の島です――に北朝鮮が侵攻する可能性が高い、と指摘しています。
さらに楊相勲論説主幹は「こうした北の挑発に対抗できない場合、韓国社会には未曾有の恐怖と混乱、内紛が起きるであろう」と警告しました。
結局、核を持った北朝鮮が次回、小規模なものでも通常戦力を行使した際に、韓国が「核武装」に動く可能性が大きいのです。その前に「核選択権」を宣言してあれば、ですが。
「核選択権」の元祖
—「核選択権宣言論」は韓国でどう受け止められていますか?
鈴置:掲載されて2週間経った今も、メディア上に大きな反応は見られません。ただ、この記事が掲載される少し前の5月12日に、保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が同様の主張を訴えています。
実は、趙甲済氏こそが「核選択権」の元祖的存在です。左派から「極右」と批判されるこの人の意見を、大手紙がついに掲載したのです。韓国の保守指導層に「核選択権」の合意が形成されつつあるように見えます。
趙甲済氏の記事「核ミサイル実戦配備に対応する政策を国民投票に付せ!」(韓国語)の論旨は以下です。
- 大韓民国の憲法72条には「大統領は必要だと認めれば外交、国防、統一、その他の国家の安危に関する重要な政策を国民投票に付すことができる」とある。大統領は「国民投票案」に「自衛的核武装の権利の確認」を入れることができる。
- 国連と国際社会が北韓政権の核武装を防ぐことができなかったことにより、大韓民国は国家の生存次元で核武装を含むすべての自衛的な手段を考究する権利を持つとの宣言だ。国民は必要なら核拡散防止条約(NPT)も脱退する権限を政府に付与する。
- NPT第10条の規定によれば、韓国は北韓の核武装を防げなかったNPT体制から脱退する権利がある。
- 核選択権を政府に委任するとの案が国民投票を通過し、政府がNPT脱退を検討した瞬間、韓国が核問題解決の主導権を握ることになる。中国と北の指導部に深刻な悩みの種をもたらすであろう。
楊相勲論説主幹の記事と比べ、より具体的です。「国民投票にかけて核選択権の権威を増す」とか「NPTからの脱退を検討する」とか、核武装が世界に受け入れやすくなる手法を提言しています。
なお、趙甲済氏も「北韓の潜水艦が釜山港のそばから核ミサイルを撃ったなら?」(5月9日、韓国語)で、「西海5島への攻撃と、核を使うぞとの威嚇により、米国は北朝鮮にどんどん譲歩するのではないか」との懸念を表明しています。
70%弱が「核武装に賛成」
—国民はどう考えるでしょうか。
鈴置:被爆国、日本とは大いに異なり、韓国人には核兵器への忌避感が薄い。例えば、世論調査すると70%近い人が――3分の2の韓国人が核武装に賛成します。
例えば、3回目の核実験(2013年2月12日)の直後に韓国ギャラップと、峨山政策研究院が国民に聞いています。
核武装に賛成した人はそれぞれ64%と66.5%に上りました(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。もっとも、大手メディアが核武装を主張することはタブーだったのです。
朴槿恵大統領の就任式の日の2013年2月25日――3回目の核実験の直後でしたが、朝鮮日報は社説で核武装を検討する必要性を説きました。
ただ、この社説「北の核を切りぬける新しい国家安保戦略が必要だ」では「核」という単語は一切使いませんでした(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。
「北朝鮮から核兵器で脅されている韓国としては、国際協力などとは別次元の軍事的・政治的な対処方法を独自に模索するしかない」と、読む人が読めば分かる書き方に留めたのです。
原子力協定改定で”解禁”
—なぜタブーだったのですか?
鈴置:朴正煕政権(1963-1979年)が核武装に動き、米国に潰された過去があるからです。朴正煕大統領暗殺もそれに絡むとの見方さえ韓国にはあるのです。もちろん米国もそれをしっかりと覚えています。
娘の朴槿恵大統領が初めて訪米した時、米議会調査局(CRS)は「U.S.-South Korea Relations」(米韓関係)という報告書で「韓国の核武装への希求」をはっきりと指摘しました(「『独裁者の娘』を迎える米国の険しい目」参照)。
それに加え、2010年から韓国は米国と原子力協定の改定交渉に入り、ウラン濃縮や使用済み燃料の再処理の権利を要求していました。
大手メディアが核武装論など書こうものなら、米国から「ウラン濃縮などの要求は核保有が目的だな」と見なされ、交渉が不利になるのが確実でした。
2015年4月22日に、新たな米韓原子力協定が仮署名されたので、核武装論が”解禁”になった面もあると思います。
水中発射が最後の一撃
—5月9日に北朝鮮が「潜水艦から弾道ミサイルを水中発射する実験に成功した」と発表しました。これも韓国の「核武装論」の背中を押したということですか?
鈴置:ええ。それが最後の一撃となったと思います。北朝鮮の実験が本当に成功したか、疑問を持つ向きもあります。しかし、もし本当なら、米韓両国は対北軍事戦略を根本から見直す必要に迫られます。
これまでの計画では、北が核ミサイルを発射しようとしたら、それを察知し、発射前にミサイル基地に攻撃をかける――キル・チェーン――で防ぐつもりでした。
でも「察知」が可能なのは陸上のミサイル基地。水面下から撃たれたら発射前に察知するなんて、とてもできないのです。
このため、韓国が北の核ミサイルを防ごうと思ったら、韓国も核ミサイルを持つしかない――との結論に至るのです。
日本とは異なって、国民の間に忌避感がありません。今後「核への希求」が一気に表面化する可能性があります。
核武装論のバイブル
趙甲済氏は、韓国の核武装や、その前段階の「核選択権」の必要性を説いた本を、2014年に日本語で出版しています。『韓国の自衛的核武装論』です。
朴正煕時代の核武装の試みと、米国の牽制によって断念した経緯を丹念に取材し書いています。韓国の参考になるとして、インドやイスラエルの核開発にも詳しく言及しています。韓国の核武装論のバイブルといえる本です。
—核武装に関し、韓国政府はどう考えているのでしょうか。
鈴置:分かりません。ただ言えることは保守の指導層には、核武装のような戦略的動きは朴槿恵政権にはできないと見る人が多いのです。
ポピュリズムそのままに、その場その場で一番受けそうな行動をしているだけ、との冷ややかな見方です。
だからこそ、核武装論者は「核選択権の宣言」や「国民投票」へのムードを盛り上げて、政権をそちらに動かそうとしているのでしょう。
日本も駒のドミノ
—「核武装するぞ」と韓国が言えば、日本や台湾もその方向に動く。それを嫌う中国が北から核兵器を取り上げるはず、との狙いも核武装論者にはあるのですか?
鈴置:そうした「口先介入によるドミノ効果」も、あることはあるでしょう。が、本音は「自分も核を持つ」ことではないか、と思います。なぜなら「口先介入によるドミノ」はさほど効果がないと韓国では見なされ始めているからです。
趙甲済氏は『韓国の自衛的核武装論』の第4章「北核の後援者は中国」で、米国に対抗するため中国こそが北朝鮮などに核を拡散させてきたのだと説きます。
そして第5章「イスラエル式の秘密核開発」(178頁)などでは「北は米中の間で緩衝の役割をしているため、中国は日本が核武装をすることがあっても、北の核武装を止めないだろう」とのリー・クアンユー・シンガポール首相の発言を引用しています。
もし、核武装論者が期待するなら、中国ではなく米国でしょう。オバマ政権は北朝鮮にまんまと騙されて以来、北の核問題からは身を引いています。
北が核やミサイルを実験しても非難するだけ。「戦略的忍耐」と呼んでいますが、はっきり言えばこの問題を放置したままなのです。
6月16日に米韓首脳会談がワシントンで開かれます。朴槿恵大統領は、この場で切羽詰まる北の核問題の解決をオバマ大統領に迫るべきだ、との声が韓国にあがっています。
朴正煕の復讐劇
—「核武装論」を持ち出せば、オバマ大統領も少しは本気になって北の核阻止に動くかもしれない、ということですね。
鈴置:もう1つあります。「暗黙に」でしょうが、米国が韓国の核武装を認めるかもしれない、との期待が韓国にはあるのです。
カーター(James Earl “Jimmy” Carter, Jr.)政権(1977-1981年)時代に大統領国家安全保障担当補佐官を務めたブレジンスキー(Zbigniew Kazimierz Brzezinski)氏が、2012年に『Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power』を書きました。
この本の114ページでブレジンスキー氏は「米国の力が弱まると、その核の傘の信頼性が落ちる。すると韓国や台湾、日本、トルコ、ひいてはイスラエルでさえ新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と指摘しています。
安全保障の専門家として名高いブレジンスキー氏が、韓国の核武装を自然な流れと認識し、食い止めるべき対象とは書かなかったのです。
そしてこの本を、韓国各紙は一斉に社説で取り上げています(「『中国に屈従か、核武装か』と韓国紙社説は問うた」参照)。
米国の大きな変化に気づかない日本人が「寝ぼけて」いるのであって、韓国人はそれを織り込んで「自前の核」を語り始めているのです。朴正煕の屈辱の歴史を塗り直す核武装を――。
6/4JBプレス 北村淳『南シナ海への認識が甘すぎる日本の議論 人工島の出現で迂回航路も危険な状態に』記事について
中国は西側世界が何もできないことを見越して攻めにかかってきています。欧州にとっては南シナ海は遠く、ウクライナのように近くてロシアの脅威に対抗するのを優先するでしょう。ましてや中国との貿易を考慮に入れれば、東南アジアの国々との領土係争地が中国のものになろうと関係ないと考えていると思います。アメリカも腰が引けているのも中国は見ているのでしょう。オバマは戦争できないと見てオバマが大統領の間に取れるものは取ろうという発想です。
ここに書かれていることが現実になれば、日本で生産するのはコストが高くなり、全産業が壊滅します。農業だって石油が高騰すればコスト高になります。失業者が山のように出るという事です。戦争せずに中国の野望を挫くには経済封鎖しかないでしょう。AIIBは勿論欧州も参加取りやめ、自由主義国は天安門事件に中国に課した経済制裁をするしかないでしょう。G7も非難声明だけでなく、中国の行動を見て次の段階まで来たらこの制裁、次はこの制裁というのを決める会議にすればやる意味も出ようというもの。イラン・北朝鮮・キューバには経済制裁を課してきたではないですか。中国は規模の問題なんて言っても、借金を重ねて大きくなってきただけです。返済できないし、するつもりもないでしょう。いざとなれば武力に訴えてでも借金を棒引きさせるでしょう。アメリカもここが正念場です。これ以上中国が大きくならないうちに罰を与えないと世界は暗いものになります。
日本も核武装して中国と対抗しないといけないのに、国会は集団的自衛権でグダグダやっています。日本国民も目先のことしか考えないから、相応の国会議員しか出てきません。昨日は新渡戸稲造について書きましたが、鳥内浩一氏の情報によると、新渡戸記念館のある十和田市の市長が「耐震強度の問題で廃館もやむなし」とのこと。偉大な先人の扱いを忘れた所業。財政的な問題があるのか、他の問題があるのか分かりませんが、歴史を大切にしない民族に明日はないと思います。県なり、国に相談するのが先で、それを市民に説明してからではないかと思います。国民も政治家を選ぶ時には良く人物を見て選んでほしい。
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201506/20150603_25008.html?utm_source=dlvr.it
記事
南シナ海で接近する中国の沿岸警備隊の船舶(上)とフィリピンの補給船(2014年3月29日撮影、資料写真)。(c)AFP/Jay DIRECTO〔AFPBB News〕
安倍政権は日本国内での安全保障関連法案に関する説明では、中国の軍事的脅威を極力口にしていない。
例えば、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威は繰り返し強調しているが、北朝鮮の弾道ミサイルとは比較にならないほど日本を脅かしている中国の弾道ミサイルならびに長距離巡航ミサイルの脅威(拙著『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』参照)はなぜか口にしたがらない。
同様に、中国人民解放軍によって南シナ海を縦貫する海上航路帯を妨害される可能性についても沈黙を続けている。
南シナ海を機雷で封鎖するのは困難
一方で、ホルムズ海峡でイランが機雷を敷設して海上航路帯を封鎖する可能性については安倍首相自らも繰り返し指摘し続けている。安保法制国会審議では「現時点では、ホルムズ海峡での機雷掃海しか、他国領域での自衛隊による集団的自衛権に基づいた武力行使は念頭にない」とまで公言している。
もっとも、安倍政権はホルムズ海峡危機に関しては「機雷敷設による海峡封鎖」のみを想定しており、イランの地対艦ミサイルや潜水艦や小型攻撃艇それに航空攻撃といったアメリカ海軍が機雷戦以上に警戒している脅威に関しては何ら言及していない。
日本政府は南シナ海の自由航行妨害という局面についても、このような思考回路の延長で想定しているようだ。つまり、「人民解放軍が機雷を敷設して南シナ海を封鎖する」というシナリオのみを対象にしており、南シナ海における中国軍事力の脅威は真剣に考えられていないように見受けられる。
確かに、日本にとって重大なチョークポイントとなるルソン海峡(バシー海峡とバリンタン海峡との総称=台湾とフィリピン・ルソン島の間の海峡部)を機雷により封鎖するのは、ホルムズ海峡を機雷で封鎖するようなわけにはいかない。海峡の最大幅一つをとっても、ホルムズ海峡が39キロメートルであるのに比して、ルソン海峡は250キロメートルにも及んでいるからである。
さらに、広大な南シナ海を縦貫する航路帯のあちこちに機雷原を設置するにしても、いくら人民解放軍海軍がロシア海軍に次いで世界第2の機雷保有数(10万個と言われている)を誇っているとはいえ、極めて効率が悪い妨害手段と考えざるをえない。
したがって、「航路妨害=機雷敷設による海峡あるいは海域封鎖」という単純な等式で考えるならば、南シナ海を封鎖するのは困難であり、いくら南シナ海が中国軍事力によりコントロールされても「重要影響事態」や「存立危機事態」とは見なしがたい。したがって、「南シナ海は迂回可能である」程度の認識が公言されることになったのであろう。
約1800キロ長くなる南シナ海の迂回航路
しかしながら、南シナ海は迂回できるからといっても、中国によるコントロールが可能になってしまった場合、日本国民生活や経済活動が深刻に脅かされることにはなりえないのであろうか?
現在、日本に原油や天然ガスその他の天然資源などを運搬するために、膨大な数のタンカーや貨物船が毎日ひっきりなしに南シナ海を航行している。そもそも、そうした船が「南シナ海を迂回」しなければならなくなる事態とは、中国共産党政府が「日本関連船舶の南シナ海での自由航行を妨害・阻止する」といった決断を下した事態を意味している。
中国政府がこのような決断をした場合、人民解放軍は、日本に関係しない船舶にもダメージを与えてしまう可能性が高い機雷戦は行わず、日本関連船舶だけにターゲットを絞って、ミサイル攻撃・魚雷攻撃・爆撃・砲撃といった手段で航行を妨害するであろう。日本政府はそのことを覚悟せねばならない。
そして、実際にタンカーに魚雷を打ち込む必要はなく、日本関連船舶が「南シナ海を航行した場合には、深刻な危害が加えられる」との認識を船会社に与えれば十分なのである。
そのような状況になっても日本向け物資を運搬しようとする船会社は、
「インド洋 → マラッカ海峡 → 南シナ海 → バシー海峡 → 西太平洋 → 日本」という南シナ海縦貫航路を避けて、「インド洋 → ロンボク海峡 → ジャワ海 → マカッサル海峡 → セレベス海 → 西太平洋 → 日本」という迂回航路を通航しなければならない。
前者の中東産油国から南シナ海を北上して日本に至る航路はおよそ1万2200キロメートルであり、後者の迂回航路は、日本までおよそ1万4000キロメートルである。もっともこの迂回航路は、水深が浅いマラッカ海峡を通航できない超大型タンカー(UVLCC、30万トン超の原油を積載)などが平時においても利用している航路である。
南シナ海航路(白色)と迂回航路(赤色)、大迂回航路(ピンク)
迂回の負担は燃料費だけではない
大型タンカー(VLCC、20万~30万トンの原油を積載)で迂回航路を航行すると日本まで3日余計にかかることになり、燃料代も(もちろんタンカーごとに差があるが)およそ8万5000ドルから10万ドル余計にかかることになる(このような経済的理由によって、往復では1週間ほど無駄になるうえに燃料代も嵩んでしまう迂回航路を通過をせざるを得ない超大型タンカーは、建造されなくなってしまった)。
もし燃料代だけを考えるのならば、迂回航路を通航した場合には、往復でおよそ2000万~2400万円の費用がかさむことになる。すると30万トン積みVLCCの場合、燃料代の増加分は1トンあたり67~80円程度となり、20万トン積みVLCCのそれは100~120円程度ということになる。すなわち迂回航路を経由したVLCCで運搬される原油1バレル(原油1トン=7.396バレル)あたりの燃料費増加分は“わずか9~16円”ということになる。原油1バレル60ドルすなわち7200円とすると、このような燃料代分の価格上昇は“取るに足りない額”ということになる。
ところが、米海軍関係者や日本で船会社を営む専門家によると、燃料代の増加分だけで迂回航路経由の影響を論ずることは「論外」であるということになる。
なぜならば、平時において迂回航路を通航するのとは違い、中国の軍事的脅迫により迂回航路を通航せざるを得なくなった場合には、国際海運マーケットが過敏に反応して船員費などが沸騰するとともに、船舶保険料も信じられないほど高騰することは必至であるからだ。
それに加えて、そもそも船員の確保そのものが極めて困難になると考えるべきである。というのは、日本船体の船員構成といえども、日本人は船長と機関長それに極めて少数の航海士と機関士だけであって、ほとんどの航海士、機関士、デッキ要員、機関部要員それに司厨員は外国人である(高級士官はクロアチア人、北欧系、台湾人、韓国人など、一般船員はフィリピン人、韓国人、中国人、インド人など)。したがって、中国に軍事的に圧迫された中での日本向け航海への乗組員調達は望み薄となるというのだ。
人工島出現により迂回航路も危険にさらされる
さらに、日本にとって都合の悪いことに、日中間が上記のような険悪な関係に立ち至った場合には、南シナ海縦貫航路どころかマカッサル海峡経由の迂回航路すらも通航できなくなる可能性が現実のものとなりつつある。
本コラムでも繰り返し取り上げているように、中国は南沙諸島の数カ所に軍事拠点としての人工島を構築している。そのうちファイアリークロス礁には3000メートル級滑走路が建設中であり、ジョンソンサウス礁をはじめその他の人工島にも本格的な軍用滑走路が出現するものと考えられている。
それらの南沙諸島人工島の航空基地に人民解放軍戦闘機や爆撃機などが配備されると、迂回航路が通過するセレベス海やマカッサル海峡は人民解放軍戦闘機の攻撃圏内にすっぽりと入ってしまう。その外縁であるジャワ海やロンボク海峡その他のインドネシア海峡部だけでなくティモール海やオーストラリアの北西の要衝ダーウィンまでもが人民解放軍爆撃機の攻撃圏内に収まることになる。
したがって、迂回航路を日本に向かって北上するタンカーも、中国軍戦闘機や爆撃機の攻撃の脅威に曝されることになり、マカッサル海峡経由の迂回航路は“危険回避”の役割を果たさなくなる。そのため、日本向けタンカーは、中国軍機による攻撃可能性がほぼ存在しない(そうでなければ乗組員は絶対に集まらない)以下のような“大迂回航路”を経由しなければならない。
「インド洋 → メルボルン沖 → 珊瑚海 → グアム沖 → 日本」
およそ2万2000キロメートルに及ぶ大迂回航路を通航する場合、航海日数は南シナ海経由の倍の6週間近くかかることになるため、もはや燃料費も無視しうるレベルではなくなってしまう。それに、航海日数が2倍になってしまうと、当然ながら必要な船腹数も船員数も全て2倍ということになる。そのため、中国軍機による攻撃の可能性はゼロでも、船腹数や船員の確保そのものが極めて困難になり、日本が必要とする原油や天然ガスの供給量は維持できなくなる。
やはり南シナ海は日本の死命を左右する
中国は広大な南シナ海の8割以上の海域を“中国の海洋国土”と公言してはばからない。いくらアメリカや日本やオーストラリアが非難したからといって、中国がすでに巨額の建設費を投入している“中国の主権下における”人工島の建設を中止する見込みは全くない。
中国に中止させる唯一の手段は、アメリカをはじめとする反中国勢力が人工島建設を武力によって阻止することであるが、当然それは中国との全面戦争を意味するため、実施可能性はゼロに近い。
要するに、極めて近い将来に、南沙諸島に複数の航空基地や軍港を備えた強力な人民解放軍海洋基地群が誕生することは避けられそうもない。
ということは、日中関係が最悪の事態に陥った場合には、「南シナ海は迂回できる」などと言っていられない事態に日本国民は直面することになる。南シナ海は日本にとって「重要影響事態」も「存立危機事態」も発生しうる生命線であるとの認識を持って、安全保障関連法案に関する国会審議は進められなければならない。
6/2~6日経『変調 中国ビジネス』記事について
日経も中国の異変に気付きアリバイ作りを始めました。下の記事がそうです。今週ずっと特集していました。今まで中国進出を煽るだけ煽り、企業が苦しんできたことなどは全然報道してこなかったのに。「後から結うのは福助頭」(= Monday morning quarterback)でしょう。リスク管理が全然できない。中国を増長させた責任は日本のマスメデイアが大部分を負うべき。靖国問題、教科書問題、天安門事件後の天皇訪中等如何に中国を助けてきたか。それが南沙諸島の侵略に繋がっている訳です。いつも「平和」「平和」と唱えるだけで真に「平和」を実現しようとはしない似非平和主義者です。
中国から撤退するには時間がかかります。工商局、税務局等の認可を受けなければなりませんので。2年くらいはかかると見ておいた方が良いでしょう。日本人の経営者は債務(含む税、優遇措置)を支払わなければ中国から出ることはできません。経営者を中国人にするとjoyouの蔡みたいに堂々と不正をします。藤森も中国の実態を知らないで買収したのでしょうが責任問題です。辞任は当然でしょう。損失を払ってから辞めてほしい。株主は怒っているでしょう。裁判に訴えて勝てるつもりですかね。中国の司法は行政の一部で裁判官は賄賂を取るのが当たり前というのを知っていて言ってるのでしょうか。小生が中国の裁判・労働委員会で3勝1敗になった時と時代が違います。あの時の中国は外国の金と技術を欲しがっていましたから。今や外資を追い出そうとしている時代です。高い授業料です。他の日系企業も早く撤退した方が良いでしょう。
6/2もう逃げるしかない 中国ビジネス変調(ルポ迫真)記事
中国随一の経済都市、上海。空の玄関口、上海浦東国際空港にその日本人男性が現れたのは寒風吹き付ける1月の夜のことだった。「どこでもいい。国際線のチケットを1枚頼む」。切羽詰まった表情に気押されるように、発券カウンターの女性は日本行きのチケットを手配した。
「支払いが確認できるまで放すわけにはいかない」。数時間前。男は上海市郊外の日系縫製工場で複数の取引先の中国人に詰め寄られていた。
進出して20年。最盛期には200人の従業員を抱え、日本のアパレル大手に衣料品を供給してきた。安い労働力を活用して利益も上げていたが、この数年で急速に業績が悪化。ついに取引先に支払いすらできなくなった。
日本の本社も資金を差し出す体力がない。仲裁役の中国人を挟みながら取引先にわびを入れ、返済の繰り延べを懇願するも形勢は明らかに不利。「生きて帰るには、逃げるしかなかった」。事情を知る関係者が語る。
中国が対外開放して約40年。安くて豊富な労働力と巨大な市場をにらみ、日本企業は1980年代から続々と進出してきた。政治リスクに翻弄されながらも拠点を増やし、日系企業は2万社を超える。
だが今の中国に少し前までの右肩上がりの成長は見込めない。この数年で一気に世界に名を知らしめた中国スマートフォン(スマホ)大手、小米(シャオミ)ですら成長に急ブレーキがかかる。
4月末の週明けの早朝。日系電子部品メーカーが北京オフィスで東京と結んで開いたテレビ会議。日本人幹部らは中国人営業マンの報告に凍り付いた。小米による今年2度目の大がかりな部品納入の延期要請だった。「小米のスマホが売れなくなっている」。日本人幹部らは一様に落胆した。
景気減速の影響がじわり広がるなか、5年で2倍のペースで上昇する人件費も企業に重くのしかかる。日本企業に限れば、円安の逆風も吹く。
企業は「撤退」も現実的な選択肢に据える。経済産業省が2014年7月に調べた「海外事業活動基本調査」によると、13年度に中国から撤退した現地法人数は205社と前年度を17社上回った。企業の事業再編を手伝う弁護士、賈維恒(44)は「景気減速で拠点の過剰感は強まっている。今後も撤退案件は増える」とみる。
閉鎖されたシチズンの工場では最終の後片付けが静かに続けられていた(5月30日、広東省広州)
5月30日。雨期に入り、灰色の雲が覆う広東省広州。シチズンホールディングスが2月に閉めた時計部品工場を訪れると、わずか4カ月前に起きた騒動の記憶を消し去ろうとするかのようにフォークリフトがせわしなく設備や資材を運び出していた。
春節(旧正月)連休を目前に控えた2月5日。帰省を楽しみにする従業員の表情が一変した。「あしたで工場を清算します」。1千人いる従業員の一斉解雇通告だった。
「なぜ、解雇する直前に通告するんだ!」
従業員の不満を抑えつけるかのように雇用契約の解除を迫るシチズン。「書類にサインをしないと、あなた、近いうちに、ほんと大変なことになるよ」。深夜、見知らぬ男からこんな脅迫めいた電話を受けた従業員は300人を数えた。
「日本人経営者が憎い」。今、閉鎖された工場で最終の後片付け作業をする総務担当の男性社員、劉俊穎(40=仮名)が声を震わせる。真面目に19年間勤め上げた末の突然の解雇通告。「我々は使い捨てか」
撤退業務が完了する1カ月後には工場は完全に閉鎖される。劉の目が潤む。「私には中学生の息子がいる。お金がかかる。でも40歳を過ぎた私が働ける場所は簡単には見つからない」
経営難に陥った工場に乗り込んで従業員を解雇する。沿海都市部の工場街ではこんな「撤退屋」が出没している。
「この会社の資産を買い取った。これからは俺の言うことを聞いてもらうぞ」。企業から工場や設備などの機械を100ドル(約1万2千円)程度の破格の価格で買い取り、地元政府への面倒な手続きも口利きで解決する。手数料や資産売却で暴利をむさぼる。
「高速成長時代の“遺産”を金を払ってでも手放したい」。そんな企業の思いを見透かしたように撤退屋が暗躍する。(敬称略)
景気減速が当たり前の「新常態」に入った中国。現地企業に忍び寄る変調の現場を歩く。
6/3変調 中国ビジネス2
「やる気は全くないわ……」。 中国東北部の中核都市、遼寧省大連。同市内の日系電機大手の 工場に勤める40歳代女性従業員、李梅(仮名)がつぶやいた。10年以上も前に今の工場に入った李。とにかく毎日まじめに働いた。地道にモノ作りを続ける日本企業も自分に合った。そんな彼女が最近になって工場に背を向け始めた。きっかけは2013年末、近所の東芝の大連工場で起きたストライキだ。
「もっと補償金を出せ」。武装警察官が見守るなか、約900 人の従業員が声を張り上げた。
1997年からテレビを生産した大連工場。東芝は赤字を理由に閉鎖を決めたが職を失う従業員は退職金相当の補償金を少しでも多く得たいと経営側に抗議。東芝はやむなく要求をのんだ。あの日の事が、今の李には他人事に映らなくなった。
大連に今、景気後退の大波が押し寄せる。大連のある遼寧省の1〜3月国内総生産(GDP)は前年同期比1.9%増。中国が今年目標とする7%前後を大きく下回る全国最低に陥った。 2000社近い日系企業が集積する大連。李の工場も「いつ閉鎖されてもおかし<ない」。だから今は仕事より補償金を多く手にすることしか関心が向かな い。「今は補償金を楽しみに待つだけだわ」
3月5日、北京で開幕した全国人民代表大会(全人代)。午前10時すぎ、所信表明演説で首相の李克強(59)が「中国は製造大国から製造強国へ転換する」と読み上げていた頃、広東省東莞の工場街では5000人規模のストライキが勃発していた。
「未払いの給料を払え」。ナイキなどの1流ブランド靴を作る台湾系工場の従業員がロ々に叫ぶ。翌日には周辺の他の工場にも次々に波及。拳を突き上げた従業員数は数万人に達した。
「もう疲れた」。日本人幹部がこんな言葉を残して東莞から去った日本企業は過去5年で100社以上。輸出競争力は低下 し「世界の工場」は苦境に立つ。 「今、中国では何をすればよいのか」。厳しい現実を前に日系企業幹部の苦悩は深まる。
だが、今の中国の従業員は幹部らのそんな迷いに同情などしない。日系電機大手の工場で長く労働組合トップを務める共産党幹部はいらだちをあらわにする。「そんなに中国から出て行 きたいなら、早くそうすれぱいい。でも二度と中国ではビジネスはさせない。中国とはそういう国だ」
6/4変調 中国ビジネス3
中国首相の李克強(59)をうならせた新興企業は古びた雑居ビルの6階にあった。情報技術 (IT)企業が集積する北京・中関村。壁は薄汚れ、電気が消えた通路には段ボールや資材がうず高く積まれている。
IT専門の転職支援サイト 「拉勾網」を2年前に立ち上げた北京拉勾網絡技術。5月7日午前、創業者の馬徳龍(31)は 中関村に突然視察に訪れた李に自社の事業内容を説明した。「100人あまりの社員で昨年150万人の転職を支援しました」。 行政の効率化に熱心な李は感心した。「それは見事だ。政府も見習わないと」
拉勾網の飛躍のカギは中国I T企業2万社の膨大な求人情報にある。起業家に無料でオフィ スを貸し出す創業支援施設が整う中関村でもべンチャー企業が次々に生まれ、IT人材の需要は旺盛。成長企業でキャリアを積みたい若い人材もあふれている。馬はそこに目を付けた。
「何よりも中国企業で働きたかった」。3月に米系ソフト企業から中国のインターネット大手の部長職に転じた北京在住の張傑(仮名、29)が言う。魅力はその待遇。検索大手、百度(パイドゥ)や電子商取引最大手のアリババ集団など大手を中心に人材獲得競争は激しさを増し、中国IT企業では部長級で年数千万円の高給取りはざら。張の月給も2倍の5万元(約100万円)に跳ね上がった。
1990年代から米マイクロソフトなど外資系IT大手が進出して立ち上がった中国IT産業。「昔は給料が高い外資企業へ憧れがあったが、今は中国大手の方がいい。外資は好待遇を手にする踏み台」。張は言う。
「調査を妨害したらどうなるか。賢明なあなたたちなら分かりますね」。昨年冬、中国独禁法当局の突然の来訪を受けた米半導体大手クアルコムの関係者は調査員の高圧的な態度に驚いた。それからまもない2月。中国当局は60億8800万元という巨額制裁金の支払いを同社に命じた。自社技術をスマートフオン(スマホ)メーカーに押しつけ、不当に特許使用料を得たとの判断だ。
.アリババのような世界的企業が育ち、自信を深める中国IT 産業。習近平(61)指導部も「国産技術.製品の育成を」と外資排除をいとわない。「昔はとにかく技術を教えてくれと頼ってきたのに。時代は変わった」。 クアルコム関係者の言葉からは敗北感がにじむ。
6/5変調 中国ビジネス4
「不明朗な取引が行われている」。5月29日に子会社8社を化学品・医薬品販売興和グループ(名古屋市)に譲渡して創業109年の歴史に幕を下ろした化学薬品商社の江守グループホールディングス(HD)。解体のきっかけは2014年7月に寄せられた匿名の電子メールだった。
疑惑の中心は江守HD中国現地法人トップだった謝飛紅(50)。髪を短く刈り込み、縁なし眼鏡をかけた謝は上海ではやり手の実業家_として知られていた。「丸紅(の中国事業)を抜きますよ」。こう豪語する謝をHD社長の江守清隆(54)はかわいがった。HDの連結売上高は直近5年で3倍の約2200億円に膨らんだが、売上高の7割を謝が率いる中国事業が稼いだ。
その裏で謝は自身の親族がかかわる企業との取引を通じて見かけ上の売上高を膨らませていた。取引先の仕入れ代金を肩代わりして金利をつけて回収する。急成長を演出したビジネスモデルも景気減速で取引先から支払いが滞ったとたん、崩壊した。
「以前から危ない取引をしているのではと思っていた」と同社閏係者は明かす。だが、背後に清隆が控える謝には「誰も何も言えなかった」。
3日午前、上海で開幕した住設機器の大型展示会。水栓金具や温水便座など100点以上の商品を出展した中宇建材集団 (福建省)の営業担当者は「費用対効果の高さが私たちの強み」と来場者にアピールしていた。
どこにでもある展示会風景だが、その様子を苦々しく思っている日本人経営者がいる。同日、 最大660億円の損失を発表したLIXILグループ社長の藤森義明だ。
巨額損失の原因はドイツで上場する子会社ジョウユウの不正会計。創業者の蔡建設が財務諸表を改ざんしていた。その蔡が中国で率いるのが中宇。中宇はジョウユウの子会社だ。 5月22日にジョウユウはドイツで破産を申し立てた。だが、察は虎の子の中国事業を手放さない。中宇の40歳代の男性社員は「破産はドイツの話。私たちに影響はない」と言い切る。
「(蔡氏らに対する)法的措置も辞さない」。3日午後2時。 LIXILが都内で開いた記者会見で藤森は力を込めた。蔡の耳藤森のその言葉は届いただろうか。
6/6変調 中国ビジネス5
北京西部の住宅街の一角。3月末、イトーヨーカ堂が運営する「華堂商場右安門店」がひっそりと営業を終えた。今は看板も取り外され、店舗前の広場では地元の小学生たちがサッ力ーに興じる。のどかな光景を前に近所に住む主婦の王さん(56)は「昔は食品売り場がにぎわっていた」と教えてくれた。イトーヨー力堂が北京に出店したのは中国で近代的な小売店がまだ少なかった1998年。「従業員教育が大事」とヨーカ堂が主張すれば、{安いものを売る大衆店にすれぱいい」と国有企業 の合弁相手も譲らない。経営の軸は時にぶれたが、経済成長時代は利益を出せた。
中国全土が沸いた北京五輪が終わった2008年夏。客足がぱたりと止まった。「北京の上客は五輪向けインフラ工事に駆り出されていた出稼ぎ労働者だった」。ヨーカ堂中国総代表の三枝富博(65)は振り返る。地元客を呼び戻そうと必死になるほど周辺の競合店との価格競争に巻き込まれる悪循環。日本流のサービスで増収を続ける四川省成都での事業とは対照的に不振が続く北京はこの1年で4店舗を閉めた。
「生鮮品以外、お店に出向いて買い物をすることはほとんどない」。遼寧省大連の銀行員、鄒婷婷(27)は話す。最近購入した空気清浄機もインターネット通販サイトで買った。安くて種類.も豊富なネット通販は今や中国の小売市場の1割を占める。店舗を展開する既存の小売業を取り卷<環境は厳しさを増す。
人口1千万人を誇る内陸部の中核都市、湖北省武漢。昨年末に開業したイオンモール武漢店は平日の夕方にもなると、食材の買い出しやレストランで食事を楽しもうという地元客でにぎわう。現地法人の総経理、椎名孝夫48)は「日本の安心・.安全を求めて来店する顧客が多い」と手応えを口にする。 12年には山東省青島の店舗が「反日デモ」で破壊されたイオン。中国事業は赤字が続くが、 それでも購買力が高まる中国の消費市場で商機を見いだす。
世の中が上げ潮の時の事業拡大は簡単。逆に苦しい時に知恵を絞って顧客に受け入れられて こそ価値があるー—。イオンの源流の一つである岡田屋具服店はこんな戒めを家訓に込めた。「下げにもうけよ」。高速成長時代の終わりを迎えた中国で椎名はその家訓をいま一度、かみしめる。




