ブログ

サイト管理人のブログです。

ブログ一覧

8/24産経ニュース 野口 裕之『海賊退治に原潜を随伴する中国軍 山賊には重戦車軍団を充てる!』について

相変わらず、中国のあくどさが分かる記事です。世界覇権の野望を着々と進めています。口先では綺麗なことを言いながら、中国の属国にという野望を「衣の下の鎧」をちらつかせながら進めようとしています。でも、ミャンマーもスリランカもそれに気づいて中国とは距離を置くようになりました。

アメリカがリバランス政策とか言いながらアジア回帰に見えない所が問題です。中国の増長・傲慢はアメリカの軍事費削減とオバマの「世界の警察官はヤメタ」発言を見聞きしてからです。プーチンも然り。だからクリミアや東ウクライナを取りに行ったのです。オバマは史上最低の米国大統領として記憶されるでしょう。彼の言動により、侵略を事実上許してしまったのですから。オバマケアの成功など大したことはありません。米国内の問題ですから。

昨日はAIIBの記事を載せましたが、彼らに金融まで好き勝手やらせれば、軍事目的に使われることは必定です。寄港地にするために大きなポートやバースをAIIBの低利貸し付けでやらせ、その国の貿易も活性化すると言った触れこみで取り込み、属国化するつもりでしょう。

中国人は過去に拘る民族(=未来志向ではないが、未来の阿漕な掠奪については知恵が回る)で、鄭和(馬三保、1405~1433年7度にわたる大航海をし、アフリカまで行った。中国で馬姓は先祖は回教徒と聞いた覚えがあります)が回った国々も中国にひれ伏すべきと考えているのでは。

中国ほど人権・民族自決を蔑ろにしている国はありません。孫文の三民主義の「民族主義」ですら、滅満興漢の意味で、漢民族の政府樹立を目的としました。民族自決とは程遠い。だから今でもチベット、ウイグル、内蒙古の人々は悲惨な目に遭っています。邪悪な国・中国をのさばらせない為に①中国の経済崩壊②多国間よる封じ込めが必要です。日本人も中国との貿易が減る、株価がそれで下がる痛みを覚悟し、かつまた集団安保法制を早めに通して、中国の経済崩壊で国民の目を逸らすための戦争勃発に備えなければなりません。平和を愛する人々こそこの法案の大切さが分かるはずです。

記事

狡猾な帝国は海賊の悪用法をご存じだ。イングランドを治めたエリザベス1世(1533~1603年)は、海賊の頭目フランシス・ドレーク(154頃~96年) に出資して略奪行為を支援し、見返りに莫大な金銭を受け取り、大英帝国繁栄への道筋を敷いた。今なお、海賊は使い勝手がすこぶる良い。

◆実体は戦力投射演習

中国海軍はソマリア沖などで跋扈する海賊より商船を護る任務に、憑かれたように、参加各国中突出した積極性を見せる。南シナ海の係争海域で岩礁を埋め立て、東シナ海では日本領海を侵すなど、国際法を公然と破る中国が、海賊退治では国際社会との協調性を示す不可解。

案の定「水面下」でたくらんでいた。海賊退治には無用の長物・原子力潜水艦を随伴したのだ。海賊退治は隠れみので、実体は米軍に比肩する遠征軍創設に向け、実戦を意識した長期・遠方での戦力投射演習。

しかも 往復の航海中、インド洋での有事を想定し、宿敵のインド軍や米軍など敵性国軍を迎え撃つべく、潜水艦の待ち伏せ場所の探査まで行う。中国軍膨張を看過できぬ国はインド洋を表玄関とするインドや、航行の自由を国是とする米国に限らない。

エネルギーや食料の大動脈=インド洋で、航行の生殺与奪権を中国が握れば、日本や東南アジア諸国の生存に関わる。中国海軍はエネルギーや途上国の市場など、世界の富をあさりまくる「大海賊」の様相を呈している。

中国海軍は2008年12月~15年8月まで21次にわたり、延べ1万7000人の海軍将兵+1400人の海軍陸戦隊・特殊作戦部隊が800回以上の任務を遂行。13年12月 以降だけで、攻撃型原潜や通常型潜水艦、潜水艦救難艦が最低各1回随伴した。

海賊をにらむ商船護衛に潜水艦は原則必要ナシ。そもそも海賊の操る高速艇に比し、水上航行する潜水艦は遅い。新世代は甲板に大砲や機関銃は装備していな い。丸みを帯びる船体も、海賊船の拿捕に使う小型ボートの緊急発進を阻害する。

実は、オランダ海軍が10年と12年、海賊対処活動中のNATO(北大西洋条約機構)艦隊に通常型潜水艦を参加させている。潜水艦には、海賊根拠地の偵察や、 根拠地に対する特殊作戦部隊の潜入・急襲任務を支援する母艦としての役割も考えられる。

ただ、海賊の警戒網突破は潜水艦の隠密行動が不要なほど難度が低く、潜水艦投入は例外中の例外だ。

◆「親善」寄港も看板に偽り

国力や取り巻く情勢に見合う《軍備=能力》保有は独立国の権利だが、問題は《意図》。日米印や豪州、東南アジア諸国の多くは中国が邪悪な軍事拡大意図を隠していると警戒する。

中期的には、エネルギー・市場や台湾の支配を狙った南シナ海/東シナ海の覇権確保。長期的には政治・経済・安全保障上の「中華圏」に、米国を介入させない総合力の確立だろう。中華圏が膨張し続けるには南シナ海/東シナ海のみならず、さらに遠方=インド洋での覇権も必要となる。

覇権達成には、陸海空軍の統合運用を基盤としつつ、陸空軍兵力投射が難しい遠地における、海軍の長期作戦が不可欠。作戦成功には、武装水上艦/潜水艦/補給艦/艦載・艦上機の相互連携などがカギとなる。

当然ながら、純粋に国際の安定を目的に海賊対処に加わる国の海軍でも装備・作戦・補給・教育訓練といった各面での「戦訓」を得ようと総括を繰り返す。ただし「付加価値」追求には常識と節度が求められる。

「戦訓」を暴力的な覇権目的に悪用されては、東シナ海/南シナ海/インド洋をエネルギー・食料の生命線と位置付ける国々の生存は脅かされる。

中国が静粛性を向上した潜水艦の投入をインド側に通告しなかったケースでは、探知できなかった印国防省が衝撃を受けた-との情報も在り、生命線を分断される不吉な予兆は既に顕著だ。

「親善・補給・休養」目的の寄港でさえ看板に偽りが有る。一般的に「移動大使館」でもある海軍艦は陸空軍に比べ外交の一翼を担いやすいが、中国の軍事外交は生臭過ぎる。中国海軍は海賊対処活動を行っている7年近くの間に百数十回の外国寄港を果たした。多くはインド洋上か沿岸の国々で、その内ミャンマー▽イエ メン▽オマーン▽パキスタン▽スリランカ▽ケニア▽タンザニア▽モザンビーク▽セーシェル▽ジブチ…などで、中国企業が港湾・補給施設建設を終了か計画している。

◆モルディブが「周辺国」?

16世紀の海賊は港湾都市などを急襲して財宝を奪い、酒と女性に飽きれば次の獲物を目指した。ところが、現代の「海賊」はもっと獰猛で、相手国を骨抜きにして事実上乗っ取る。

中国海軍は海賊退治を名目に、乗っ取りの先兵として寄港。 本国が乗り出し次第に誼を深め、文化交流→経済支援・インフラ建設→貿易拡大→軍事交流や兵器供与→兵器輸出→労働者派遣→港湾・補給施設建設→軍事同盟締結→中国 船・国民保護名目で駐留軍派遣→中華街建設…と、受け入れ国の意向に関係なく、中華圏に呑み込んでいく。

欧州列強の苛烈な植民地政策に虐げられたアフリカ・アジアの人々に「遅れてきた帝国」の恐ろしさは自覚してもらわなければなるまい。

ハリウッド映画上はともかく、今どきの海賊は損得しか考えぬ。インド洋上のモルディブで14年12月、海水淡水化施設が火災に遭い断水に陥ったときのこと。

淡水化装置を有す中国潜水艦救難艦が対海賊任務を中断、来援したのは支援要請2 日後だった。大量の飲料水を積む空軍の大型輸送機や民間機も次々に到着。迅速な給水・資金支援に国際社会は目を疑った。

同時に、中国外務省報道官の「モルディブ国民の危機をわが身のことのように感じ(略)親・誠・恵・容という中国の外交政策 を明示した」とのコメントに、少なからず関係者は白けた。

インド国防関係者も、伝統的に担保してきたモルディブの安全保障を切り崩している、中国の野望を憂う。 借款+外務省庁舎・国立博物館建設などは全て、軍事協定締結と潜水艦基地建設を求める“中国の善意”だった。

中国外務省報道官は「中国と周辺諸国は運命共同体」だとも説明したが、小欄には「周辺諸国の運命は中国が握っている」と響く。はるか遠方のモルディブ が「周辺諸国」と認定するズレた感覚にも中華帝国の「鎧」を見る。

8/25・26・27日経『中国の「一帯一路」、世界に増殖  (アジア・インフラ大競争)』『アジアインフラ大競争(下)リスク投資に挑む日本 試される目利き力』について

8/26宮崎正弘メルマガ『中国経済大破綻、そして「シルクロード」構想も破綻への一歩 習近平の中国、株暴落、人民元切り下げ、天津大爆発で蟻地獄へ』の記事で、

「習近平の中国、高度成長時代は終わった。予測されていたように株暴落、人民元切り下げ、そして天津大爆発で蟻地獄へ陥没寸前の状況となった。

 世界同時株安に見舞われ、日本株まで悪影響が波及しているが、理論的に考えると、日本経済はしっかりしており、5%ていどの影響しか受けない筈である。いまの同時株安は投資家のパニックを利用してファンド筋の空売りが主因ではないだろうか。

 たとえばトヨタの中国依存度は3-4%程度であり、なぜトヨタ株が上海株下落開始以後に10%も値下がりしているのか、中国主因ではなく複合的なものであろう。

 さて、シルクロード構想が破綻するのは時間の問題となったように見える。

 世界的規模で中国の軍事的脅威はアジアに留まらず、全地球的規模に及んでいた。しかし、財源の問題がでてきて、「真珠の首飾り」は新バージョンになって実現しそうな状況から一転するだろう。

従来は南シナ海からマラッカを越え、ミャンマー、スリランカ、モルディブ、パキスタンを越えアフリカの南部ジンバブエまでを「海のシルクロード」として「一帯一路」構想の中核と位置づけされてきた。

ところがミャンマーは反中国に転び、スリランカは中国の建設していた人口島プロジェクトを見直して過度の中国傾斜を再考するに到り、総選挙の民意も全方位外交を良しとしたため、中国の構想に大きな誤算が生じた。

 中国はスリランカの影響力回復、人口島構想復活に執念をもやし、ラジャパスカ前大統領を梃子に権力の奪還を目指させたが、八月の選挙で敗北、中国の影響力は頓挫した。

 スリランカに中国の潜水艦は二回寄港している。

 ▲上海株暴落で少なくとも二兆ドルが蒸発した

そこで中国は南インド洋にあってインドを南西から脅かすモルディブ群島に濃密に接近した。「中国城」の建設である。

モルディブ政権は独裁色が強く、中国の海洋埋立てプロジェクトにのって、外国の土地所有を、その国が開発したのであれば70%まで認める法律を制定した。

 つぎに国際的な海賊退治で協力行動の拠点であるジブチに目を付けた。

 ジブチ政権も独裁、米国はここの空港と港湾を借り受け、巨大な軍事基地(レモニエ空軍基地とオボック海軍基地)を設営しているが、一方で米国務省がゲレ大統領の独裁を強く批判するため、ジブチは中国にも軍事基地建設を持ちかけ、シルクロードの一環とする方向にある。

 すでにジブチの港湾運営は中国企業が請け負っている。パキスタン、ギリシアと同様である。

 さらに中国は「海のシルクロード」の通貨拠点としてケニア、タンザニア、マダガスカル、セイシェルからモザンビーク、ジンバブエから喜望峰をまたぎ南西アフリカのナミビア、アンゴラへと一帯一路構造を延ばす戦略に傾いている。 

 これらを支える財源が問題となった。ついに高度成長経済が終幕を迎え、上海株式の破綻に直面して、強気の財政支出を継続できるかどうか、きわめて怪しくなった。

 拙著『アジアインフラ投資銀行の凄惨な未来』(PHP)で指摘したように、もはや『中国の時代は終わった』とみてよいのではないか。」とありました。

日経も中国が主導する「一帯一路」の危うさについて触れるようになりました。今まで中国進出を煽りに煽ってきたのとは様変わりです。そりゃそうでしょう。上海株が一気に8%下落とか、株の売り禁止とかありとあらゆる禁じ手を使い放題です。異形の大国と言われる所以です。これでもAIIB参加を日経は勧めるのでしょうか?買収したFTの母国イギリスが参加表明したとしても彼らは地政学的なリスクを負っている訳ではありません。

中国は過剰設備・過剰負債・過剰在庫に陥っています。それらを解決するためには人の褌で相撲を取るのが一番良い。さしずめ騙しやすい日本を誘って、日本の金で信用を付け、AIIBの格付けを上げ、「一帯一路」の国々に融資し、インフラ投資させ、過剰在庫を吐き出すつもりでしょう。そうすれば中国経済も浮上できると思ってのこと。だから習が安倍首相に9月に会談をしつこく持ちかけたのです。でも考えても見て下さい。ADBが融資をしない案件が、還ってくるメドがありますか?多分融資を受けた国は払うつもりもないでしょう。そうなれば中国は債務国を徳政で棒引きにする代わりに中国の属国にするつもりでしょう。そんな敵国・中国を助ける必要はありません。利敵行為に他なりません。日本がAIIBに投資・貸付けても焦げ付き戻ってくることはないと断言します。

ADBもAIIBに張りあって安易な融資はしないことです。計画に合わせた数字作りは止めて、現地政府と良く擦り合わせ、ネック解消を親身になって教えることが必要と思います。日本の民間銀行の知恵を借りるのも良いでしょう。

記事

「一帯一路(新シルクロード構想)はウィンウィンの道であり、各国経済の緊密な結合を促す原動力になる」――。習近平国家主席の大号令のもと、国内外で巨大インフラ整備プロジェクトに乗り出した中国政府と企業。「一帯一路」は、はやくも世界各地で増殖が始まっている。

■海洋進出や海底資源の確保狙う

 世界的なリゾート地として知られる南太平洋の島国フィジー。首都スバの郊外で5月中旬、片側1車線の真新しい道路の建設が進んでいた。中国の援助を受け、2011年6月から建設が始まった全長19キロの「セリア・ロード」だ。

 工事現場ではフィジー人のほか、多くの東洋系の労働者が汗を流す。現場監督より上の役職はほとんどが中国人だ。道路脇には中国人作業員向けの簡易宿泊所が立ち、中国人の料理人が油をふんだんに使った中華料理に腕を振るっていた。

 島の東端にあるスバと西側の地域を結ぶ幹線道路沿い。中国の援助で建てられた病院や、中国企業による建設計画を示す看板が数多く並ぶ。現在は空き地が広がる道路脇に産業団地をつくり、企業を誘致する計画のようだ。「農地を買いたい」「リゾート開発の用地を探してほしい」。スバで観光業を営むサミー・アリさんの携帯電話には、中国本土からこうした依頼が毎日のように寄せられるという。

 フィジーは南太平洋の島々をつなぐ船舶や航空の要衝で、地域の大国だ。現首相のバイニマラマ氏による軍事クーデターを機に、06年から14年9月まで軍事政権が続き、欧米との関係が冷え込んだ。その隙間を埋めたのが中国だ。

 オーストラリアのシンクタンク、ロウイー研究所によると、フィジーに対する06~13年の中国の援助額は3億3300万ドル(約410億円)に達し、豪州の2億5200万ドルを抜いてトップに躍り出た。中国はフィジーの政治問題に深入りせず、インフラ整備の受注拡大という実利を取る戦略に徹してきた。

 「中国語しか話せない中国人との意思疎通は手間がかかる」「仕事の質が悪い。フィジーをインフラ建設の練習場にしているのではないか」――。これまで批判も多かった中国企業の進出だが、どんなに小さな案件でも積極的に手を挙げる姿勢に「インフラが不足するフィジーで、いま本当に必要な相手は中国かもしれない」と、地元の見方も徐々に変わってきているという。

 もちろん、中国の積極姿勢には、南太平洋への海上進出をにらんで足がかりをつくることや、付近に眠る広大な海底鉱物資源の確保という狙いが透ける。インフラ支援は外交の一環――。中国の実利主義が、南太平洋へも「一帯一路」を広げる。

■ミャンマー山岳地帯でダム建設計画目白押し

 中国・チベット高原に源を発し、ミャンマーを縦断してインド洋に注ぐ大河、タンルウィン川。山岳地帯で長く開発が手つかずだったが、ミャンマー国内の流域でいま、中国企業によるダムの建設計画が目白押しだ。

 漢能控股集団(ハナジー)、中国水電工程(ハイドロチャイナ)、中国長江三峡集団……。名だたる電力大手が競って大型水力発電所の開発計画を打ち出す。

 国内に大規模河川が多いミャンマーは、電力の7割を水力に依存する。だが、水力は雨期と乾期の出力変動が大きい。このため経済成長に伴う電力不足に悩む政府は、稼働の安定する火力主体の電源構成への転換を急ぐ。大型ダムと水力発電所の相次ぐ建設計画はそうした政府の方針と大きな食い違いを感じさせるが、実はいずれも生み出した電気の8~9割を中国に供給する計画だ。

 ミャンマーは11年に民政移管を果たすまで旧軍事政権時代に国際的な孤立を深めたが、その間は中国による大型資源開発が相次いだ。象徴が07年に中国電力投資集団が主導してスタートしたミッソンダムの建設だ。総事業費は約36億ドルで、最大出力は600万キロワットとミャンマーで最大の水力発電所となる計画だった。周辺地域で約700平方キロメートルを水没させる可能性があるとされ、環境破壊を懸念する住民らの間で中国に対する反発が強まった。

 11年春に発足した今のテイン・セイン政権は“脱・中国”を志向。ミャンマーにおける中国の大型開発の象徴だったミッソンダムは、同年秋に建設が凍結された。テイン・セイン大統領は自身の任期中に開発を再開しないと明言している。

 ただ、今年11月の総選挙が近づくにつれ、再び中国資本による電源開発が勢いづいてきた。総選挙ではアウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)の優勢が予想される。政権交代という波乱の芽は、中国の「一帯一路」と結びついて、ミッソンダムの開発の再開という思わぬ形で吹き出す可能性も出てきた。

 無人の新築マンションが次々と砂嵐に飲み込まれていく。中国・新疆ウイグル自治区の南西部に位置するカシュガル市。郊外ではパキスタンと高速道路や鉄道、原油パイプライン、光ファイバー網で結ぶ「中パ経済回廊」の拠点整備が進むが、実際に広がっていたのは「鬼城(ゴーストタウン)」だった。

 4月中旬、中国の習主席がパキスタンを訪問し、同国を縦断する経済回廊の開発に総額約450億ドルを拠出すると約束した。カシュガルからアラビア海にのぞむパキスタン南部のカラチ、南西部のグワダルまでを結ぶ壮大な計画だ。起点となるカシュガルは少数民族のウイグル族が多数派を占め、砂漠と小さな果樹園だけの経済発展が遅れた地域だったが、回廊計画で地元経済も一気に活気づくかに見えた。

 たしかに、現地では開発の進展を見越した巨大な工業団地や商業施設の整備が進む。だが、よく見ると、どこも人影がなく、建設途上の建物の多くが砂にまみれている。上海市政府が主導する「上海新城」地区。250万平方メートルの広大な敷地に60億元(約1200億円)を投じ、高層マンションや大型ショッピングモール、高級ホテルを建てる巨大プロジェクトが進行中だ。ただ、地元のウイグル族からの評判は散々だ。

 「花都大道」「明珠大道」……。各新城の地名はいずれも中国名。「ここはカシュガルなのに、なぜ中国の地名を使うのか」。多くの地元住民から不満が漏れる。入居が始まったニュータウンもあるが、実際に購入する地元住民は少数で、多くの建物が利用される当てもないままゴーストタウンと化している。

(北京=阿部哲也、シドニー=高橋香織、ヤンゴン=松井基一)

万年雪を頂く天山山脈が間近にそびえる。中国の西端、カザフスタン国境の新疆ウイグル自治区ホルゴス市。「世界有数の商業地区になる。買い時だよ」。不動産会社社長が高層マンションの購入を熱心に勧めてきた。

中国―カザフの国境地帯で重機が列をなして待機する(中国・新疆ウイグル自治区ホルゴス市)

 商業施設や五つ星ホテル、国際会議場……。東京ドーム400個分の広さを誇るカザフとの「共同開発特区」は、中国側だけで200億元(約3850億円)を投じる。

 3年前は砂と岩だけだった辺境の地は、山を切り開いた高速道路と鉄道の建設を合図に、開発の大波が押し寄せた。「年内にカザフ側の開発も始まる。道がつながれば必ずにぎわう」。閑古鳥が鳴く免税百貨店に出店した電器店店主は強気だ。

 自国から中央アジア、中東、欧州を陸路と海路でつなぐ「一帯一路(新シルクロード構想)」を掲げた中国。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設と併せ、ヒト・モノ・カネの三位一体でアジアのインフラ整備に手を貸し、周辺の開発まで主導しようと狙う。

地元は潤うが…

 先行する一帯一路の国内部分はすでに多くの大規模事業が進行し、地元経済を潤している。が、各地を歩けば、国家戦略に名を借りた過剰開発の実態が浮かび上がる。

 「一帯一路の建設へ団結しよう」。中部の陝西省西安市の街中には勇ましい標語があふれる。ここでも道路と鉄道に沿い、巨大工業団地やマンション群が建設される。威容が際立つ韓国サムスン電子の半導体工場には70億ドル(約8500億円)が投じられる。

 「昔は畑しかなかった。習近平(国家主席)のおかげさ」。タクシー運転手の鄭藍藍さん(43)は喜ぶが中国経済は減速が鮮明。「こんなに工場を建てて大丈夫か」。現地進出した欧州機械大手の幹部は心配顔だ。

 中国政府が自作自演する開発バブルは、国境を越えてまん延し始めた。

 3つの高層ビルの屋上を200メートルの巨大な船型プールでつなぐ。シンガポールの名所「マリーナベイ・サンズ」にそっくりな光景がカンボジアのプノンペンで再現される。リゾートホテルや国際展示場、商業施設を詰め込む開発の背後に中国企業の影がちらつく。

 中国は港湾や橋、最近では国立競技場の建設を支援し、その見返りに巨大複合施設の開発権を得た。建設現場で目立つのはクメール文字ではなく漢字。コンドミニアムの販売価格は1平方メートル当たり1800ドルと、地元の工場労働者の年収より高い。

支援待ちの現実

 「開発が年内に始まる」というホルゴス市の特区のカザフ側に入ると、散乱した古びた資材とパイプが白い砂をかぶっていた。「本気で開発を進める地元企業はいない。中国の支援待ちだ」とカザフ側関係者は言う。

 中国とカザフは今年、総額230億ドルの「インフラ整備協力契約」を結んだ。セメントや鉄鋼、ガラスなど、中国からの過剰生産品目の供給が柱だ。突然の人民元切り下げにも通じる、輸出促進策の顔が見え隠れする。

 天津市や山東省での相次ぐ大規模爆発事故で国民からの不信が強まるなか、中国政府は国威発揚のため一帯一路をむしろ加速する公算が大きい。検問所で会った30歳代のカザフ人貿易商は「中国のカネを利用する。でもバブルは持ち込まれたくない」と流ちょうな中国語でささやいた。

フィリピンの首都マニラ。線路際まで雑草が生い茂ったレールの上を、かつて日本で走っていた中古の電車が満員の乗客を詰め込んで都心へと走り去る。

対中国で危機感

 スペイン統治下で開業したフィリピン国有鉄道は戦後の混乱で整備が遅れ、走行距離はピークの半分以下になった。今は3~5両編成で1日26便が運行するだけだ。マニラの人口は約1200万人。東京に匹敵する大都市だが、それに見合う社会基盤が整わない。

 経済成長を阻むインフラ不足を解消しようと、アキノ政権は鉄道や高速道路など50事業を立ち上げた。だが着工にこぎ着けたのはわずか数件。採算割れでも政府保証がないといったリスクが高く、資金集めが難航したからだ。

 今夏、そんなフィリピンの窮状に日本が手を差し伸べた。マニラの鉄道事業に1回の政府開発援助(ODA)としては過去最大規模の2400億円の円借款に踏み切る。通常は工事の進み具合を確かめながら複数回に分けて資金を出すが、今回は資金を一括で提供する。

 「(アジアのインフラ整備では)現地政府に必要以上のリスク保証を求めるやり方がまかり通っていた。そうした慣習を変える」。安倍晋三首相は今春のセミナーでこう語り、有言実行とばかりにフィリピンの案件に手を挙げた。

 日本の背を押したのは中国主導で発足するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の登場だ。AIIBは素早い資金提供が売り物。うかうかしていたら、中国の影響力が増すばかりだ。採算性第一だった日本の尻に火がつき、よりリスクを取る方向にかじを切った。

民間資金を呼ぶ

 政府は来年の通常国会に国際協力銀行(JBIC)法の改正案を出す。採算が合う案件にしか資金を出せない制約をやめ、複数案件を合算して黒字ならば個別案件の赤字に目をつぶる。対象が広がるのは確実だ。

 日本が描くのはJBICやアジア開発銀行(ADB)が主導し、潤沢な民間資金を巻き込む姿。膨らむ投融資リスクを官民で分かち合う。だがリスクを避けてきた日本にはAIIBに対抗して素早く案件を組成できる人材が足りない。

 苦い教訓がある。国際協力機構(JICA)は2012年、インフラ整備を手がける民間事業体への直接出資を11年ぶりに再開した。経団連が切望した事業だが、ふたを開けると案件は6月末時点で3件のみ。政府関係者は「JICAにリスク投資に詳しい人材がいなかった」と漏らす。

 枠組みを整えても迅速に組成できないと絵に描いた餅。ADBは米ゴールドマン・サックスの元幹部など経験豊かな人材獲得に注力する。日立製作所の幹部は「スピード感が高まれば(国の支援を)より活用しやすくなる」と期待する。

 「AIIBは民間がどう関与できるか分からない」。JBICの渡辺博史総裁はAIIBの融資基準が不透明ならば民間の参加は難しいとみる。裏を返せば、民間との協調でリスク許容度を高める枠組みの日本に勝機はある。ただリスクを取りながら、不採算案件をどう排除するか。アジアのインフラ競争に向け、迅速な実行と目利きの力の両方が求められる。

8/26日経ビジネスオンライン 福島香織『北戴河で何が話し合われたのか 江沢民排除、習近平の「下剋上」は成ったか?』について

習近平のやり方は確かに能力のない会社の会長・社長が部下の責任を追及するようなものです。“能上能下”(上に上がるか下に下がるか)で一番の責任は会長・社長が負うべきところ、自分を棚に上げて部下の責任にしてしまう。東芝がその最たるものでしょう。そんなことをして自分の能力は高いと思えるのかなあ。ま、日本は一企業の問題ですが、中国は共産独裁の国で、国全体に影響を与えます。いくら権力闘争とはいえ、元主席を槍玉に上げるとなると、やがてそれが自分の運命になるということに気付かないのでしょう。

“能上能下”の人事評価は政敵打倒の道具として使われます。日本の企業の人事評価だってそれほど公正ではありませんから。覚え目出度い人間が出世できるように数値化して合理性の装いを施しただけです。数字ですから付ける上司の主観で何とでもなります。

江沢民を好きな日本人は二階俊博くらいのものでしょう。今は宗旨替えしたそうですが。そりゃそうでしょう。風前の灯になった男にくっついていれば累が及びかねません。流石変わり身の早い男。写真は大紀元の記事にあった微博(weibo:ミニブログサイト)のものです。福島女史の言うようにこれはコラージュされたものでしょう。流石に逮捕の場面を写真で撮って流すことはしないでしょう。薄熙来、周永康だって裁判の場面だけ。ましてや元主席です。多分逮捕すると言っても国家機関の逮捕でなく、党の機関による双規違反での逮捕と思います。まあ、江が逮捕されたかどうかは今の所分かりません。

しかし、北戴河の性格を変えてしまった習近平の実力たるや凄いものがあります。文革時、下放されてまともな教育も受けなかった(一応名門清華大学出ですが胡錦濤と違い多分裏口でしょう)下積みが長く、権力闘争を真近に見てきた男の凄さでしょう。日本はこの強かな男に油断してはなりません。高杉良の『金融腐蝕列島 呪縛』を読みますと社長に指名した最高顧問が一番偉く、会長・社長も逆らえないケースが描かれていました。中国も鄧小平が生きていた時は党総書記だった胡耀邦・趙紫陽も失脚させられましたが。鄧と習を戦わせてみたいものです。どうなるでしょう。

arrested jiang

記事

天津の大爆発事件や安倍晋三首相の歴史談話発表などに気を取られていたが、いつの間にか北戴河会議が終わっていた。天津大爆発事件で、李克強首相が8月16日まで現地入りできなかったのは北戴河会議に参加していたからだと見られている。これほどの大事件で、首相が事件発生からまる四日も現場入りできないのは、少なくとも温家宝首相時代なら考えられなかったことなので、よほど身動きの取れない状況であったと言える。政治局常務委員7人の動静が同時に不明になった6日から16日午前までの間が北戴河会議開催期間(正式には3日からという説も)のようだが、一体何が話し合われたのだろう。

江沢民不在、異例づくめの開催

 蛇足ながら北戴河会議とは、中国共産党の現役指導部と引退した長老たちが8月に、バカンスをかねて河北省の避暑地・北戴河に集まり開く非公式の密室会議のことである。中国では秋の中央委員会全体会議で主要政策および主要人事が裁決されるが、その正式の党中央員会全会を前にした、根回しを行う。翌年3月の全人代(国会のようなもの)は、党中央委員会が決定したことを改めて討議し裁決するのだが、実のところほとんど影響力がなく、全国人民代表によって政治が運営されているという議会政治のふりをするためだけの政治パフォーマンスである。言い換えれば、中国政治において本当に重要な決定や方針、人事が決められるのはこの北戴河会議である。

 ところで、今年の北戴河会議は例年とは違う、ありえないことが多かった。まず、長老の代表格で元国家主席の江沢民が出席した様子がない。元国家副主席で太子党の筆頭の曾慶紅も出席していないようだ。北戴河会議は現役指導部と長老(引退指導部)が意見をすり合わせる会議である。そこにこの二人がいないということは何を意味するのか。また中央宣伝部長の劉奇葆も出席していない。健康問題を理由に欠席したというが、彼は北戴河会議前後は普通に元気に公務に出ている。劉奇葆は共産主義青年団出身という点で団派、つまり胡錦濤派に属する政治家だが、周永康とも親密な関係で、徐才厚や令計画や張春賢らとともに周永康の誕生日を祝った際に、お返しにドイツ製の拳銃をプレゼントにもらったという香港ゴシップ報道がある。

そもそも、今年は北戴河会議が行われない、という観測もあった。国営新華社通信傘下の雑誌「国家財経週刊」が今年の北戴河会議は行われないので、待つな、という意味の論評記事を8月5日、ウエブサイトで流したのだ。これは奇妙なことである。まず、「北戴河会議」というのは秘密会議なので、建前上、中国中央の公式メディアでその存在について言及されることはなかった。内部通達や内部参考なら別だが、一般市民が読めるメディアで、北戴河会議なるものがあり、長老が政治に口を挟んでいることを暗に批判している。

「公式メディア」で長老政治批判

 この論評記事では、「中国政治は透明化に向かっている。もう『神秘的な』北戴河はいらない」「7月20日、30日と二回も政治局会議を連続して開いているのに、なぜまた北戴河会議を開く必要があるのか」と論じている。北戴河会議は毛沢東時代の産物で文革時代に中断して鄧小平がこの慣例を復活させたあとは、2003年の胡錦濤政権時代にSARS蔓延の非常事態を理由に指導部が「夏休みを返上」して中止した一回以外、中止されたことはない。

 さらに国内外の人々が驚いたのは8月10日付人民日報が掲載した「人走茶涼をどう見るか弁証する」(人が去れば茶は冷める)と題した顧伯冲という作家の論評だ。これは、明らかに江沢民院政を批判したものだと国内外で話題になった。「客が去れば茶は冷める」とは本来は、現役を引退するととたんに人の態度が冷淡になるという人情の移ろいやすさを示すことわざだが、政治的用語として、党中央指導者が引退したあと、影響力を失うことを暗喩している。

 論評では「一部の幹部は在職中の腹心の部下を配置して引退後も影響力を発揮し、元の職場の重要問題に口をだす。少しでも思い通りにいかないと、“人去って茶冷める”といって、他人の冷淡さを権勢に目がくらんだと批判する。この種の現象は、新指導者を困らせるだけでなく、大胆な政策を行うことに支障をきたし、一部職場を低俗凡庸なムードに染め、派閥を産み、リーダーが林立し、人心が乱れ、正常な業務が難しくなり、党組織の弱体化を招く…」と、長老政治を批判している。間違いなく江沢民批判である。

新華社系雑誌と人民日報の論評がともに発信しているメッセージは、習近平政権は長老・江沢民に、政治に口をはさむことはもう許さない、ということだ。そして、それを人目につくメディアで公表したことで、習近平はいよいよ江沢民を失脚させるのだと、あるいはすでに失脚しているのかもしれない、と人々の憶測を呼んだ。そして、それを裏付けるように北戴河会議は開かれたが、そこに江沢民は出席しなかった。8月16日、共産党中央長老の一人で7日に病で死去した尉健行の葬儀が北京市八宝山で行われたが、中央メディアは出席者として習近平、李克強らを含む7人の政治局常務委と胡錦濤らの名前を上げたのち、わざわざ江沢民は遠方より花輪を送り哀悼を示した、と出席していないことを強調した。

 こうした目に見える現象から、今年の北戴河会議では、江沢民派(上海閥)が関与することなく習近平中心に話し合いが運ばれたのではないかと推測されている。

 今年の北戴河会議で話し合わねばならないのは、第13次五か年計画という2016年からの経済政策の骨子、軍制改革、今年秋から来年にかけての反腐敗キャンペーン計画、そして第19回党大会に向けた人事案の四テーマである。この中でも、政治ウォッチャーとして興味があるのは反腐敗キャンペーン計画と習近平人事だ。

汚職以外の左遷人事を可能に

 RFI(フランス国際放送)の華字ニュースサイトや香港雑誌「動向」など独立系華字メディアを総合すると、反腐敗計画については、まず、周永康、令計画、徐才厚、郭伯雄の党と政治と軍内に残る影響力を完全に排除することで出席者の合意が得られたという。それをもって軍、政、党の純潔性とおよび党中央の絶対的指導権を確立する。習近平は、徐才厚と郭伯雄の残党が騒乱を企てることを警戒するよう訴えたともいう。また関連省庁部局の主要人事について、習近平がそのリストを示し、それを元に議論が進められたという。

 習近平政権は「指導幹部の“能上能下(昇格降格)”推進に関する若干の規定(試行)」を7月28日に中央弁公庁発で各省庁部局に通達している。規定では、【1】退職年齢に達した者【2】任期を満了した者【3】責任問題に問われた者【4】現職に適任でない者【5】健康により職務がまっとうできない者【6】規律法規を違反した者に関して、退職、免職、異動を行うというもので、建前上は、官僚の問責制を確立し、組織を活性化させるために、能力のない者、凡庸な者を淘汰し、有能なものを出世させるという内容だ。

 要するに、政敵派閥の官僚の排除をこれまでは汚職摘発という方法だけでやってきたが、汚職だけでなく能力査定や健康査定による昇格降格という方法も使うということである。特に、明確にしたのが、中央の高官と地方官僚の入れ替え人事を頻繁に行うという点で、例えば中央に残る周永康・令計画・徐才厚・郭伯雄の息のかかった官僚らに対し、無能ということで左遷していくということだ。

 そして習近平はすでに左遷したい人間と出世させたい人間のリストを用意しており、北戴河ではその人事リストが提示された。これはもちろん第19回党大会、あるいは次の第20回党大会に向けた習近平の望む指導部人事の下地となるものである。

江沢民派に「能力の問題」?

 あちこちで漏れ伝えられるところを総合すると、この能力に応じた昇格降格のルールは政治局常務委も例外ではないという。習近平人事リストには現役政治局常務委の張高麗も含まれているらしい。張高麗は派閥で言えば江沢民派であり、この“能上能下”の規定を利用して、任期満了前に党中央の江沢民閥も徹底排除していきたいようだ。折しも北戴河会議開催中、天津市浜海新区で大爆発が発生。浜海新区は不合理な開発でいろいろ問題を抱えるいびつな地域だが、その開発の音頭を取って推進したのは当時天津市党委書記であった張高麗であったので、まさしく「能力の問題」で張高麗を追及することはできるかもしれない。

 このほか中央宣伝部長の劉奇葆、北京市党委書記の郭金龍、上海市党委書記の韓正も左遷リストに入っているという。劉奇葆も郭金龍も胡錦濤派の団派に属するが、彼らについては全国政治協商会議の副主席や全国人民代表の副委員長に降格したい考えのようだ。韓正は江沢民派だが、習近平と一緒に仕事をしたこともある元部下である。彼に関しては国務院で李克強の補佐にあたる部署を用意したいとか。また天津市書記代理の黄興国の配置換えもこのリストに含まれているようだ。昨年暮れに天津市党委書記だった孫春蘭(団派)が党中央統一戦線部長に左遷させられたのも、まさしく「能力の問題」として処理されたようだ。

 そして習近平が出世させたいリストの筆頭は現在、党中央弁公庁主任の栗戦書。いずれ自分の後継者に育てたい考えで北京市党委書記につけたいようだ。そして上海市党委書記には習近平政権のブレーンでもある王滬寧。天津市党委書記は中央書記処書記で国務院弁公室秘書長の楊晶の名前が挙がっている。そして栗戦書の後釜は、習近平弁公室主任の丁薛祥ではないかとみられている。この人事がすんなり通るかは別として、そういう習近平の意向は伝えられたもようである。

安定的発展に導けない指導者の能力は…

 また、これはあくまで推測でしかないが、江沢民の処分に関しても何らかの合意に至った可能性がある。というのも、北戴河会議終了後、ネットではまるで“解禁”とばかりに、江沢民のネガティブ情報がどっと流れだしたのだ。例えば、党中央校南門の江沢民揮毫の石碑が撤去された、とか、あるいは江沢民が公安当局者らしきいかめしい男たちに両腕を抱えられるように連行されている合成写真とともに「ガマガエルが逮捕された」といったコメントが流れたのだ。ネットの言論がいかに厳重に統制されているかを知っていれば、このネットの噂を装った江沢民ネガティブ情報氾濫は、一つの政治メッセージともいえる。つまり江沢民は事実上失脚したというシグナルではないか。

 香港誌「動向」の報道を信じるならば、北戴河会議では、胡錦濤、朱鎔基、宋平、李瑞環、李嵐清ら長老および41人の退職幹部による「自己批判座談会」が開かれたともいう。

 北戴河会議というのは、現役の指導者が長老たちにお伺いを立てるという「長幼の序」を建前に続いてきた慣例だが、今年は現役の習近平が長老たちに過去の過ちを自己批判させた下剋上会議であったとも言える。

 こうした漏れ伝え聞く情報を整理してくると、今年の北戴河会議は実に異常な会議であった。習近平が完全に仕切り、自分の思う通りにふるまい、言いたいことを言っただけの印象を受ける。胡錦濤や李克強ら団派は左遷リストや時代錯誤の自己批判座談会に何か物申したのだろうか。この異常事態は習近平が権力を掌握した証だという人もいる。だが、強いリーダーが権力を完全に掌握すれば、もっと政治にも経済にも社会にも安心感が出るだろう。強い権力を持ちながら国家を安定的な発展に導けない指導者こそ、“能上能下”を問われる必要があるのではないだろうか。

8/22渡部亮次郎メルマガ Andy Chang『泥沼の深みに嵌ったヒラリー』について

本題とは関係ありませんが昨日家内と「ミッションインポッシブル・ローグネーション」を見に行きました。「ローグネーション」というのでどの国かと思って見ていましたが、「ローグオーガニゼーション」の方が正しいと思います。強いて言えばイギリスかなあと。まああれだけ植民地を持っていた国なのでそう言われても仕方がない。(この文は映画とは関係ありません)。見ていてウイル・スミス、ジーン・ハックマンの「エネミーオブアメリカ “enemy of the State”」を思い出しました。

それより気になったのは映画が始まった時に、アリババピクチャーズ制作の字幕が出たことです。米中合作(中国IT大手のアリババの子会社、ソフトバンクの孫が投資して大きくなり、数兆円儲かったところです)ではヤバイのではと直感しました。案の定、オーストリア首相がウイーンのオペラハウスを出たところで暗殺されるのですが、そのオペラの曲目はプッチーニの「トウーランドット」。ペルシャ王子と中国の王女の恋の物語なので、建物、服装全部中華風になっていました。アリババがこの曲を選んだのかも知れません。中国は人口が多いのでこれで中国人の心を揺さぶり、観客動員数を増やす魂胆でしょう。悪いことではありませんが。

でも、中華(アメリカもそうですが)は映画でも歴史の改竄をしますから注意しないと。中国映画『カイロ宣言』は抗日70年記念パレードの日の9/3公開です。会談したのはFDR・チャーチル・蒋介石ですが、ポスターには毛沢東が中心に描かれているそうです。(カイロ宣言は3巨頭の日時・署名がないので法的には無効です。ポツダム宣言もカイロ宣言のくだりは当然無効です)。こういう刷り込みをする訳です。大体日本軍は共産党とは殆ど戦っていません。だから「長征“long march”」という言葉が残っている訳です。要するに共産軍は逃げ回っていて、国民党軍と日本軍を戦わせ、漁夫の利を得た訳です。それが戦勝70周年を祝う訳ですから、何をか況やです。でもハリウッドも中国資本や中国市場を狙って映画製作すれば捏造の得意な連中ですから気を付けていないと。アンジェリーナ・ジョリーの『UNBROKEN』は日本人に食人の習慣はないのにそう捏造された映画が作られました。(中国人は食人の習慣はあります。古典に出てきますし、今でも広東省では嬰児を食べると言われています)。

来年のアメリカ大統領選は、ヒラリーが出られるかどうかとトランプがどこまで選挙戦を引っ張れるかが焦点なのでは。両方とも俗物であることに変わりがありません。ヒラリーは金に汚い弁護士、トランプは人種差別主義者です。どちらが大統領になっても世界をリードしていくには相応しくありません。ベンガジ事件で思い出すのはハリソン・フォード主演の『今そこにある危機』です。不実な大統領を議会で告発することをハリソンが予告するのが最後のシーンです。真実が明らかになれば、亡くなった大使の家族はヒラリーを一発殴ってやったらよい。本日は映画の話題中心になりました。

記事

8月18日のラスベガスの記者会見で、FoxnewsのEd Henry 記者からサーバーのメールを消去したことについて追及を受けたヒラリーは、「どうやって消去するの?布きれで拭くっていうの?」と質問をはぐらかしたが、追及を止められず記者会見を中止した。

記者たちはヒラリーが記者会見をするからには少しでも理に適った弁解をするかと期待していたが、彼女は今でも「機密メールを送ったことはないし、“機密マークのあるメール”を受け取ったこともない」と強調している。

だがこの弁解は通用しない。ヒラリーは今年三月にメールを提出した時、「私有スマホで機密メールを受信したことも送信したことも、一切ない」と断言したが、最近になると“機密マークのあるメール”と言い替えている。つまり機密マークの付いたメールは受け取っていないと言い換えて、もしも受け取ったメールが機密メールだったら「誰かが機密記号を消去したかもしれないが、私ではない」と言い逃れをするつもりである。

でもこの弁解は通らない。なぜならオバマが就任した2009年の始め、オバマ大統領は資料の機密度を決定する権利を持つ政府の要員を20人指名したが、ヒラリーはその重要人物の一人である。

しかもヒラリーは米国政府最高の地位にある国務長官だから、送受信したメールに機密マークが付いている、いないに係わらず、機密に属するかどうかは受け取った時点で知っているはずだ。

先週14日に書いたAC通信No.554から1週間の間にヒラリーのメールとサーバーのことでいろいろな事実が報道されたが、彼女はまだ違法ではないと強弁している。

  • ヒラリーの弁護士からメモリーを没収

10日の午後、司法部がヒラリーのサーバーを没収したことについて彼女は自主的に提出したと言ったが、司法部はヒラリーのサーバーの外にもヒラリーの個人弁護士ケンドール(David Kendall)からサーバーのメールをコピーを内蔵したフラッシュメモリー三個も没収したことが判明した。

フラッシュメモリーに機密資料が入っていなかったら問題はないが、メモリーに機密メールが入っていたら機密資料を扱う許可(SecretClearance)がないケンドール弁護士に機密資料を渡したヒラリーは機密漏洩罪に該当する。

また、フラッシュメモリーの内容とヒラリーが提出したメール全般の内容が一致しなければならない。すでにヒラリーの提出したメールに機密メールがあったと発表されているから機密漏洩罪はかなり

確実で、罪がまた一つ増えたのだ。これで内容が一致しなかったらもっと大きな問題になる。

  • サーバー会社はデンバー市にあった

このサーバーの話はもっと複雑怪奇である。ヒラリーのサーバーが没収された後に、サーバーの本社はアメリカ東部ではなくコロラド州デンバー市にあることが判明した。DailyMail.comの記事によると、デンバーにあるPrette River Networkと呼ぶ電子情報サービス会社は、オーナー3人で従業員8人のパパママ会社と言われる小会社で、本社のサーバーは風呂場の衣類棚に設置してあったというのだから呆れる。

こんな小会社が政府の機密を扱う許可を得ていたとは思えないが、ヒラリーがなぜアメリカ東部の大きな会社を使わずコロラドの家庭オペレーション会社とサービス契約をしたのかは不明である。

DailyMailの記事によると、オバマ政権が発足した2009年1月13日にヒラリーはclintonmail.comを設置し、同21日国務長官に就任した。2013年3月20日、ルーマニアのハッカーがヒラリーの元部下のシドニー・ブルーメンソールとヒラリーの交信をハッキングし、ヒラリーの個人メールアドレス、hdr22@clintonmail.comを発見してそれを公開したと言う。つまりヒラリーのメールがハッキングされていた事実がわかった。他国のハッカーもいるはずである。

報道によると、Prette Rive Networkのサーバーのデータはおそらくバックアップされていたからヒラリーが消去したメールも取り出す事が出来るかもしれない。話があまりにも複雑怪奇なので報道した記者もハッキリしたことはまだわからないと述べている。

  • ベンガジ事件に曙光

ベンガジ事件でアメリカの大使と護衛3人がテロの攻撃に逢って死亡した事件はオバマとヒラリーが最も隠したい事件である。アメリカ大使が攻撃に晒されていた12時間あまり、オバマとヒラリーの二人はホワイトハウスに詰めっきりで経過を見ていながらついに救援隊も攻撃機も出さなかった。国会のベンガジ調査委員会は今年3月からヒラリーの事件当時のメールの提出を要求していたがヒラリーは傲慢にも要求を無視していた。国務省は300通のメールを渡しただけであとは何も見つかっていないと言っていた。

ところが18日、国務省は突然ヒラリーのPhillipe Raines補佐官が国務省に提出したメール、81000通が見つかった、おまけにこの厖大な数のメールの中にベンガジ事件関係のメールが17855通あったと発表した。どのような情報が含まれているかは調査を待たなければならないが、ベンガジ事件の調査に曙光がさしたともいえる。

  • 国務省の発見した機密メール

国務省が発見した二通の機密メールは、実は国務省の検査から漏れて公開されてしまったので、仕方なく機密を解除したメールだったと言う。2通のメールはヒラリーのアドバイサーだったHume Abelinと、ヒラリーの補佐官だったJake Sullivanがヒラリーに送信したと言う。これでヒラリーのサーバーには機密メールがあったと言う証明となり、ヒラリーが個人のスマホを使って機密メールを受け取っていたことが明白になったのである。

前にも書いたが、ヒラリーはサーバーに機密メールはないと強調していたが、最近は「機密記号の付いたメール」は受け取っていないと言い換えた。この言い訳が通用しないこともわかっている。なお、国務省が公開した3000通のメールに4通の機密メールがあったことは今では305通まで増加されている。

どこまで続く泥濘ぞ。どんどん泥濘の深みに嵌っていくヒラリーがどこまで言い逃れを続けられるかはわからない。オバマ政権の司法部は独立検察官の任命を渋っているが、いずれ時間の問題と言われている。国会のベンガジ事件調査会のトレイ・ガウディ委員長は10月22日にヒラリーを喚問する。このあとヒラリーが選挙に出られるかが決まるだろうと言われている。

8/13・20号週刊新潮 櫻井よしこ『戦後70年、中国の大戦略に備えよ』について

安倍首相は9月の訪中を中止しました。保守派の反対が多かったことが耳に入ったのかもしれません。本記事にありますように櫻井氏は「止めた方が良い」というニュアンスでした。欧米で「紀念抗日戰爭暨(及び)世界反法西斯(ファシスト)戰爭勝利70周年」行事に参加する国はありませんので。自由主義陣営からは韓国が参加という事で米国の韓国を視る眼は益々厳しくなっているでしょう。ましてや北と一戦交えるかも知れないと言うときに。まあ、これを理由に韓国は訪中をドタキャンする可能性もありますが。安倍首相も計算ずくで、中国に気を持たせて、やはり断ったとすれば演技賞ものです。しかしファシズムが全体主義と定義するなら、共産主義も全体主義の一種でしょう。

尖閣近辺は元々そんなに石油が取れないので、日本の石油会社も気にしてなかったのです。コストでペイしないという事は分かっていました。であればこそ、中国は経済合理性以外の何かを考えてリグを置いたという事でしょう。平松茂雄氏は十数年前から中国の尖閣への野心は軍事目的と言ってきました。経産省のエリートは軍事に無関心なのか、知っていても口を噤んできたのか、現代のエリートというのは真のエリート足り得ません。ノブレスオブリジェの考えを持ち合わせず、単に前例踏襲の記憶力の勝負をしているだけでしょう。

今、韓国と北が戦争になっても、法案が通っていないので集団的自衛権の行使ができません。まあ、同じ民族同士でやりあうのは構いませんが、在韓邦人の救出が出来たとしても米艦に載った邦人を護衛できません。法案成立に反対している民主党、共産党、社民党、朝・毎・東の新聞は戦争が起きても救出に行くなというに近い。しかし集団的自衛権が認められても相手国の同意が必要(この場合韓国が認める可能性は低い)、戦時作戦統制権を持つ米軍が認めればOKとなると思われます。第二次朝鮮戦争になれば北朝鮮の難民が中国国境と、南に向かうでしょう。鴨緑江は人民解放軍が中国領土に入れないようにするでしょう。南は隔離政策(スパイの可能性あり)を取るでしょうが、食糧備蓄が70日分しかないとのこと。日本にタカリに来ないよう。日本人は世界に慰安婦像を建てようとしている国と言うことを忘れないように。厳しく政治家を監視しましょう。

記事

中国研究を専門とするペンシルバニア大学教授のアーサー・ウォルドロン氏は、いま日本人は13世紀の元寇以来、最も深刻な危機に直面していると警告する。

蒙古と高麗軍が壱岐・対馬を占領した当時、日本人は危機を実感した。だがいま、中国が日本を遠くから包囲し、包囲網をじわじわと狭めていることに多くの日本人が気づいていないというのだ。

「気づいた時は既に遅く、日本は身動きできなくなっている危険が大きい」と、ウォルドロン氏。

中国の日本への挑戦は歴史の捏造から領土・領海侵犯まで幅広い。これらを個々の問題としてではなく、一体化してとらえ、日本への挑戦を中国の世界戦略の中に位置づけて考えなければ、中国の意図は掴めない。

しかし全体像を見渡せば、中国の意図は明白である。東シナ海と南シナ海で支配権を確立し、日米両国に中国の支配を受け入れざるを得ないと納得させることを目指している。

2008年のガス田の日中共同開発合意を無視して、中国が東シナ海に新たに建造した12基もの海洋プラットホームも彼らの戦略の全体像に立って見れば、開発の動機が経済のためだけではないことが見てとれる。

国家基本問題研究所副理事長、田久保忠衛氏は、これら海洋構築物が軍事転用されれば日本にとってのキューバ危機になると警告する。しかし、大な意味を持つ中国の海洋開発を日本政府は国民に知らせずにきた。日本の安全保障政策を担う国家安全保障会議(NSC)局長の谷内正太郎氏の訪中後に、政府は初めて発表したが、政府の反応は総じて鈍い。

中国側が全プラットホームを日中中間線の中国側に建てたことを以て「法的には抗議しにくい」という。建造物が天然ガス採掘用のプラットホームであるために議論は経済的要因の分析にとどまり、中国の軍事戦略に結びつける議論は少ない。いわんやその本質をキューバ危機の再来と受けとめる危機感はどこにも見当たらない。

空白圏を埋める

だが、これこそ平和ボケではないか。まず、ガス田開発の経済的側面を見てみよう。中国はエネルギー調達先の多様化において、日本に先行する。

結果、東シナ海のガス田をはじめ、海洋由来のエネルギーが中国のエネルギー供給量全体に占める割合は決して大きくない。10年実績で中国の海洋由来の石油・ガス生産量は約6500万トン、中国の総消費量約6・8億トンの9・5%である。ガス単独で見れば、12年実績で中国はLNG(液化天然ガス)3040万トンを11か国から輸入、内52%がトルクメニスタンからだ。

カザフスタンを経由するパイプラインで送られるトルクメニスタンのガスは他に買い手が存在しないために、完全な中国の買い手市場である。

中露間にも同様の中国優位の契約が結ばれた。ロシアのガスはモンゴルを迂回してパイプラインで沿海部に運ばれる見通しだ。ロシアが大幅に譲歩を迫られた同案件は、エネルギー需要が伸びる中で中国が安定した安価なガス輸入の枠組みを作り上げたことを示している。

従って中国の海洋進出に関してエネルギー確保の可能性は否定できないが、真の動機には、むしろ軍事的側面があると考えなければならない。

南シナ海、東シナ海と共に、第一列島線を出た太平洋での中国の動き、たとえば沖ノ鳥島を島と認めず、同島周辺の日本の排他的経済水(EEZ)を認めない中国の意図を、一体のものとして考え、彼らの目的を探り出さなければならない。

右のいずれの海域にも共通しているのが、中国は空域を管制する能力持っていない点だ。そしていま中国が進めているのが、その支配圏の空白域を埋める作業なのである。

東シナ海のプラットホームの軍事転用は同海域上空に設定した中国の防空識別圏(DIZ)を真に機能させ、自衛隊と米軍の動きを制限する結果をもたらす。

南シナ海で7つの島を埋め立て造成した人工島は、中国管制の空白圏だった南シナ海中央部、フィリピン、台湾間のバシー海峡で、中国の航空管制力を強化することになる。

中国はあらゆる意味で台湾への影響力を強めており、中国の侵略を阻止する台湾の力は失われつつある。7月30日、沖縄本島と宮古島間の宮古水道上空を中国人民解放軍の爆撃機など4機が2日連続で飛行した。4機は東シナ海から太平洋に出て反転し、同じルートで中国側に戻ったが、台湾海峡への中国のコントロールが強まれば、日本への影響は測り知れない。

中国が沖ノ鳥島を島だと認めないのは、射程3000キロを誇る米軍の巡航ミサイルが北京を襲う可能性への恐れだと専門家は見る。米国との戦闘を想定すれば、中国は北京を起点に半径3000キロ以内の海を確保し、米軍の接近を許さないのがその戦略の基本となる。沖ノ鳥島周辺の日本のEEZを断じて許さないと主張するのは、周辺海域を逆に中国の支配下に置く意思であろう。

気味悪い程の熱心さ

習主席は「中華民族の偉大なる復興」を掲げるが、中国の夢の実現は米国と戦うよりも、米国の脅威を無効化することによって戦わずに達成するのが賢明な方法だと、孫子の兵法に倣って考える。

戦わずして勝つその手法が、東シナ海、沖縄・南西諸島、沖ノ鳥島海域を含む西太平洋、南シナ海、バシー海峡、台湾海峡をまたいで勢力圏を形成し、日米両国にとっての生命線であるシーレーンを握ることなのだ。日本は石油の90%以上を同海域を通って運び、米国の戦略物資の過半も同様である。

こうした全体像の中に東シナ海ガス田問題を置いて考えれば、同問題を経済的要因だけで判断することの危険性は明らかだろう。

中国を駆り立てるエネルギーは、かつて中国は全てを奪われたという恨みと暗い情念とである。彼らは米国でも欧州でもない、中国自身の価値観基づいた世界の形成を目指しているが、彼らの価値観を体現する中国で人々は幸せになっているだろうか。

7月のわずかひと月で人権擁護派の弁護士ら200人以上が拘束・逮捕された。チベット、ウイグル、モンゴルの人々は弾圧され、虐殺され続けている。空気も水も金儲け優先で汚染されている。

その中国がいま、気味悪い程の熱心さで、安倍晋三首相の訪中を働きかけている。靖国神社に参拝しないという意思の伝達を含む3条件つきの訪中の要請だそうだ。

自由と人権を認めず歴史を捏造する指導者に、留保もつけずに訪中することは、価値観を大事にする日本の首相には似合わない。日本らしさを殺ぎ国益に適わない訪中なら、慎重にすべきだ。