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1/8JBプレス 柯 隆『中国がなかなか退治できない毛沢東の亡霊 今なお聞こえる文革を賛美する声』について

中国・河南省・開封市・通許県の毛沢東の金像が撤去されました。造る方も造る方ですが、撤去する方も撤去する方です。中国には表現の自由がないことが、この1件で、1発で分かるでしょう。世界中の人がこのニュースを聞いてどう思うかです。中国には立派な法律は沢山できていますが、そのとおり運用された試しはありません。賄賂が物を言う世界ですので。PM2.5があれだけひどい状況になっても打つ手がないのは、法律を作っても誰も守らないからです。

確かに、毛沢東は大躍進時代、少なくとも2000万人の中国人を餓死させました。その後の文革でも知識人を迫害・粛清し、中国の発展に大きくマイナスとなることをしてきました。TVで「金像はネットで中国人からの大躍進・文革のことを批判されたから撤去」とか言っていましたが、嘘でしょう。そんな意見はすぐ削除されるハズです。でなければ天安門に掲げる毛沢東の肖像画も外すべきです。所詮、権力闘争の一部です。

でも柯隆氏のように日本にいる中国人は、自由な日本の中で、いろいろ調べた方が良いと思います。如何に中共が歴史を自分の都合よく、嘘で糊塗しているかが分かるはずです。ユネスコの南京虐殺の記憶遺産登録もロクに調べず1委員が認めたとのこと。多分買収したのでしょうけど。

http://www.sankei.com/politics/news/160110/plt1601100006-n1.html

因みに柯隆氏は南京生まれで大学も金陵科技学院です。金陵は南京の意味です。彼が南京虐殺に対してどういう立場を取っているかというと中国側の立場ですが。日本人だってひどいことをしたと思っている人の方が多いので仕方ありません。しかし、中国の出している資料は悉く東中野修道氏によって否定されています。挙証責任は中国にあり、証明されなければ日本は無罪で、中国はここでも歴史を改竄・捏造していることになります。中韓北と本当に碌でもありません。

http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201401/2014-1-4.html

ただ自由のない中国では、大陸に残した家族が人質になります。だから、なかなか本音は言えません。我が身だけでなく、家族の身も危うくしますので。毛の「百花斉放、百家争鳴」は見せかけで、後に反右派闘争の手段として使われます。それで身に染みて能力ある人間は文系の大学に行かず、理系で政治から遠去かっていました。90年代後半、小生が北京大の物理の教授と話した時も、大分話題に気を使いながら話していたのを覚えています。柯隆氏もこのような論文を発表すると、朱建栄のように中国大陸に拘留されるのではと心配になります。でも真実は真実、日本人が言うより、多くの中国人が言った方が、中国人は真剣に聞いてくれるでしょう。石平さん然り。古くは汪兆銘だっていた訳ですから。蒋介石が大陸を自分のものにしたかったから、汪兆銘と袂を分かち、英米に媚びた訳です。でも最終はスターリン、米国に裏切られ哀れな末路を辿りました。台湾国民にとっていい迷惑でしたが。

記事

Mao's portrait

中国・北京の毛沢東の肖像画(資料写真)

中国の旧暦では、まだ2016年になっていない。春節(旧正月)を迎えてはじめて新年になるのだ。

 中国人にとって2016年はどのような年になるのだろうか。この設問に答える前に、まず自分にとっての2015年を振り返っておきたい。

 これまでの1年間、筆者が集中的に読んだ本は、経済学の本に加えて中国の近現代史の本である。なぜなら、筆者が中国で受けた教育では、本当の歴史がまるで空白のようになっているからだ。

 大学受験の勉強では歴史的事件の背景や意義ばかり暗記させられ、歴史上の事実の多くは教わっていない。歴史とは国、民族と文化の歩みであり、学者による意義づけよりも事実そのもののほうが重要だと考えている。

 2016年は中国にとって、毛沢東(1893~1976年)が文化大革命(1966~76年)を発動してから50年目の節目の年にあたる。同時に、文革が終わってから40年になる重要な年である。今年はすべての中国人にとって、文革を検証し反省する年となる。そして、その後の鄧小平による「改革・開放」政策(1978年~)の始まりを記念すべき大事な年だといえよう。

2000万人以上を餓死させ中国文化を破壊した毛沢東

 中国では「国父」といえば毛沢東ではなく孫文(1866~1925年)である。しかし、毛沢東はそれ以上の存在感を放っている。今でも中国では、毛沢東は公式に批判できない存在だ。

 鄧小平が復権してから、共産党はいちど公式文献のなかで文革を否定する総括をしたが、その後、公の場で文革を発動した毛沢東の責任を追及することはタブーとなった。

 皮肉なことに鄧小平自身も文革の被害者である。北京大学に在学していた鄧小平の長男は、文革の最中に迫害を受けて学生寮の上層階から飛び降り、命こそ助かったが下半身不随となった。

 歴史的な事実を検証すると、毛沢東が犯したのは単なる過ちではなく、間違いなく犯罪であった。

 まず、反右派闘争(反体制狩り)において数百万人もの知識人と共産党幹部が迫害された。革命時に共に戦った同士の多くも迫害され、殺害された。自殺に追い込まれたものも少なくない。

 そして1950年代半ば、「英米に追いつき追い越す」ために毛沢東の鶴の一声で「大躍進」運動が繰り広げられた。農民が鉄鋼生産に動員された結果、農産物が収穫されず、59年から61年までの3年間、中国は大飢饉に見舞われた。公式の統計でもこの3年間において少なくとも2000万人が餓死したとされている。大飢饉で餓死した人数はもっと多いという人口学者や歴史学者もいる。

 中国共産党の公式文章では、この3年間の大飢饉は自然災害によるものとなっている。しかし気象記録によれば、この3年間に中国で大飢饉をもたらすほどの自然災害は起きていない。自然災害ではなく人災が大飢饉をもたらしたのである。

 大飢饉を招いた張本人は紛れもなく毛沢東本人である。しかし、毛は責任を負おうとはしなかった。党内で沸き起こった毛沢東への批判を封じ込めるため、文化大革命を発動した。

 その直接な狙いは一番の政敵だった劉少奇である。政治には権力闘争がつきものである。通常、権力闘争は権力者同士の争いである。しかし毛沢東は全国民を巻き込んだ権力闘争を繰り広げた。その結果、劉少奇と直接関係のない学校の先生や共産党幹部も多数迫害された。

 振り返ってみれば、文革のときに知識人や共産党幹部を迫害し、中国の歴史的な文化財を破壊し尽くした紅衛兵自身も実は被害者であった。彼らは貴重な青春時代を失い、若くして農村に下放された。元紅衛兵たちは、今、中国各界のリーダーとなっている。

歴史の逆戻りは許されない

 1つの民族や国にとって歴史は木の年輪のようなものである。年輪の形を変えることはできない。しかし中国の近現代史は政治的な必要性から大きく書き変えられている。

 歴代の中国指導者は「いかなる者も歴史を直視しなければならない」と訴えてきたが、なぜか学校教育のなかで教わる歴史は大きく歪んだものになっている。

 文革の始まりと終わりの節目となる重要な年に際して今の中国を観察すると、危機はまだ去っていないことが分かる。というのも、毛沢東が残した負の遺産が中国を不安定化させているからである。

 中国各界のリーダーの多くが元紅衛兵という現実から事態の深刻さが分かるはずだ。文革のときに青春期を過ごした者はまともな学校教育を受けておらず、まっとうな人格形成もなされていない。彼らは政治的必要性が認められれば、平気で人権など無視してしまう。

 文革の世代は法律を無視する世代でもあった。習近平国家主席は就任してから、法治の強化を繰り返して強調している。しかし中国では司法の強化が遅れている。法律が強化されても、法律が順守されていないのである。

 法の秩序が乱れる一番の原因は特権階級の存在にある。特権階級は法の訴追を免れることが多い。これは毛沢東時代から始まったものだ。逆に正規の裁判を経ずに政敵や“政治犯”などを投獄してしまうことも多い。

 2016年は習近平政権にとって、1期目の政権を安定させて2期目の政権構築の準備を行う過渡期にあたる。しかし、「毛沢東と文革」の負の遺産をきちんと清算しなければ、法による統治は強化されず、社会は安定しない。習近平国家主席がどれだけ汚職幹部の撲滅に取り組んでも徒労に終わるだけだ。

 近年、中国社会では、毛沢東の時代を評価し賛美する保守左派の動きが台頭している。これは中国社会の病根だといえよう。毛沢東を完全に否定しなければ政治改革は行われない。中国社会の不安定性は当面続くものと思われる。

柯 隆:富士通総研 経済研究所主席研究員。中国南京市生まれ。1986年南京金陵科技大学卒業。92年愛知大学法経学部卒業、94年名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。長銀総合研究所を経て富士通総研経済研究所の主任研究員に。主な著書に『中国の不良債権問題』など。

1/10日経 伊奈久喜『オバマ氏を褒め殺しする』について

米国の「瓶の蓋」論(日本封じ込めの米中密約)が如何に愚かだったかです。対華21カ条条約(1915年)は密約部分(5号条項)をわざと中国が洩らしました。国際世論に日本の横暴さをイメージつけるためです。中国人は平気で約束を破ります。別に密約を破ったとして咎められるわけはありません。後は米国の態度の問題でしょう。尖閣は米軍自体が射爆場として使用していたことがあり、中国に領有権があればそんな行動は取れなかったはずです。台湾も領有権を主張していたので(今も国民党は主張していますが)、米軍が射爆場として使わなくなったときに、素直に日本領有とは言えなかっただけ。オバマもレガシー作りで尖閣の日本領有を明言して、大統領職を去ればよいと思います。

一昨日はグアム発でB-52機がソウル近郊の烏山(オサン)上空まで威圧飛行しました。北朝鮮だけでなく、中国に対して目に見える形での恫喝でしょう。本来、米軍原潜は日本海を遊弋している可能性が高く(軍事作戦上のことなので、当然公表するはずがありません)、わざわざグアムからB-52を飛ばす必要はないでしょう。また以前ブログでも書きましたが、キャプター型の機雷を朝鮮半島に沿って海底に敷設するだけで、海上封鎖と同じ効果が得られます。http://dwellerinkashiwa.net/?p=1983

ここでも米国の意思がどうであるかだけです。米国経済に中国経済は必要なのかどうか?中国の門戸開放を巡って日米は戦争しましたが(スターリンの謀略に乗せられたFDRが開戦したかっただけと小生は思っています)、安価な労働力でなくなった中国、AIIBを作り米国に金融面で挑戦する中国、自由・民主主義、法治、基本的人権のない中国に肩入れする必要があるのか聞きたい。米国要人に賄賂まがいの金を送っているので、そういう人(キッシンジャーやブレジンスキー)の意見は中国擁護でしょう。金を受け取っているかどうかを見分けるリトマス試験紙になります。

B-52

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Senkaku,Xi & Obama

2016年の世界が最も注目するニュースが11月8日の米大統領選挙であることは論をまたない。民主、共和両党の候補者がどんな組み合わせの対決になるにせよ、外交政策の焦点は、中東、ロシア、中国などだろう。

 このうち日本が最も深い関心を持つ対中政策には米政治に一種の公理めいたものがある。どの政権も選挙中は中国に厳しく、政権に就けば現実的対応に変わる点である。

 典型的だったのが01年に発足したブッシュ政権だった。選挙中は中国を「戦略的競争相手」と警戒し、政権末期の08年8月8日には、中国の人権状況に絡めた米国内の批判を承知で北京五輪開会式に参加した。

 例外はオバマ政権だった。08年の選挙中のオバマ氏は「中国も含めた包括的なアジア安保体制」を志向した。日米同盟の相対化であり、共和党のマケイン候補は日米同盟を「アジア外交の中核」に据えていた。

 中国に対しては「世界の課題解決により責任ある立場をとるべきだ」と、責任ある行動に期待する言い方をしていた。これらの政策の「対中融和度」を考えれば、70程度だったろうか。この点ですでにオバマ政権は異質であり、公理を覆していた。

 政権に就いてからも、中国が主張する新型大国関係論に反論せず、融和度は90以上になった。しかし15年10月27日、逆方向に再び公理を覆す。イージス艦「ラッセン」が南シナ海で中国が建設した人工島から12カイリの領海と主張する海域を航行した。融和度は40程度に落ちた。

 だが、日本の月刊誌が形成する外交論壇では懐疑的な意見が目立つ。「中央公論」の1月号(以下同じ)で外交評論家の佐藤優氏は、米艦は国際法で認められる無害通航をしただけであり、「なんらかの明示的、もしくは合意があったうえでの行動」と述べた。

 評論家の桜井よしこ氏も「正論」で「一番望ましい形の進入は、中国が、自分の領海だと主張している十二海里の海域に進んで、そこで軍事行動、軍事訓練をすること」とする。それがなかったから「既に負けている現状」と、厳しい。

 一方、「Voice」は、矢板明夫産経新聞北京総局長の「外洋拡張路線の挫折」を掲載した。副題には「米軍と爆撃機の派遣により傷ついた習主席の権威」とある。中国の敗北、米国の勝利との見立てだ。

 矢板氏の意図を離れ、これはオバマ大統領に対する褒め殺しになる。狙いは小欄でも何回かとりあげてきた尖閣諸島の領有権である。立場をとらないとする米国の態度を変更させ、日本領と認めさせるには、いまが好機であり、それにはオバマ氏に対する褒め殺しが効果的だからだ。

 1970年代初め、米国が尖閣領有権で立場をとらないとしたのは、北京政府ではなく、当時国交のあった台湾への配慮だった。15年の中台首脳会談をみれば、国民党はもはや北京に近い。国民党への配慮は無用である。

 では対中配慮か。融和度がすでに40まで下がっているとすれば、仮に尖閣問題で30に下がっても大差はない。冷戦時代の米ソ関係もそうだったが、2つの大国に世界を共同管理する意識がある時、直接衝突は寸止めで避けられてきた。

 尖閣でオバマ政権が日本の領有権を認めれば、日米間の不信のとげは抜け、対中抑止力も増す。中国は米国との軍事衝突を選べないから、米国は失うものはない。それはオバマ政権が歴史に残すレガシー(遺産)として輝く。

1/5日経ビジネスオンライン 上野泰也『トランプ躍進に見る米国人の「復活」願望』について

今週の注目は米大統領選ではなくて台湾総統選+立法委選でしょう。蔡英文の勝利は揺るがないでしょうし、立法委選でも民進党+時代力量で過半数は超えそうです。宮崎正弘氏のメルマガにもそうありました。中共に擦り寄る国民党では日米の信頼は得られませんし、台湾国民の支持も得られないでしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6311539/

本文中の「ミザリー・インデックス」を見れば米景気は悪くなく、それで年末にFRBも利上げしたと思います。では何故共和党でトランプ現象が起きているのか?本文の「エリート政治家に舵取りを任せてきた結果、米国では中間所得層が崩壊し、所得格差(貧富の差)が拡大している。」というのは違うのでは。富の分配がうまく行っていないのかもしれませんが。でも金持ちトランプがそれで支持率を上げているとは考えにくい。やはりオバマの無能にホトホト嫌気がさしているのだろうと思います。レーガンの「強いアメリカ」に戻ってほしいという気持ちの為せるわざでしょう。ただレーガンはスタッフの意見を良く聞く耳を持っていましたが、トランプはワンマンタイプで、大統領になれば躓きを起こすのではと思われます。やはりマルコ・ルビオが良いかと。ただ1/10日経にバーナンキ(共和党支持)がルビオの「大統領になったらイエレン氏の再選は認めない」の発言を受けてか、「共和党をずっと支持してきたが、最近は愛想が尽きた」と自伝で歎いたとありました。

前にブログでも書きましたが、ヒラリーは大統領になる前に、人間的にどうしようもありません。でも米国民が選ぶのでどうしようもありませんが。トランプが「女性大統領はいつの日か出て来るだろう。ただ、ヒラリーではない」との発言をTVで見ました。今回は『ガラスの天井』があればよいのにと思います。

1/5日経には「米のアジア系移民 学歴高く世帯収入多め

 テロの潜在的脅威の中で移民規制を唱える声も出るものの、欧州からの移民中心に建国された米国は依然としてその受け入れ大国であることに変わりはない。

rate of Asian people in US

 中でも存在感が高まるのがアジア系だ。米国勢調査局の推計では2014年の米国の総人口(約3億1800万人)に占めるアジア系移民の比率は5.4%。50年前の1965年には1%に満たなかったが、その年の改正移民法施行で出身国別の移民数の制限が撤廃されたのを機に急増した。

 総人口に占める人種別比率では白人(62.1%)、ヒスパニック(17.4%)、アフリカ系(13.2%)に次ぐ4番目の規模。ただしこれは累計で、新たに入ってくる数ではアジア系が最も勢いがある。米シンクタンクのピュー研究所によると年間移民数に占めるアジア系比率は2000年時点の19%から10年に36%へと高まり、ヒスパニック(31%)を5ポイント上回る。

 同研究所はアジア系の特徴を「学歴と世帯収入の高さ」と指摘する。25歳以上で大学の学位以上を持つ割合は10年時点で49%と全体の28%を上回る。平均世帯収入も6万6千ドル(約800万円)と全体の4万9800ドルより3割強多い。

 アジア系は働く人の半分が企業役員や弁護士、医師といった専門職やその関連職で、この比率も全体の40%より高い。タクーン・パニクガル氏のようなデザイナーは全体ではまだ珍しいが、分母となる人口が膨らんでいけば、今後は多方面で才能を開花させる人たちが増えるだろう。」とありました。

アジア系の移民が2000年以降増えてきているのが分かります。勤勉・優秀な人材が多いので、そういう結果になったのでしょう。将来の大統領選に影響を与えます。中韓は米国で反日活動を活発化してきています。国際社会にアピールするには米国の世論を味方につけるのが手っ取り早いからです。中国は人口が多く、マンパワーを持って世界進出の強みとしています。中国系米国人を大統領にして世界を牛耳ろうと考えていますので、注意していかないと。日本の外務省は土下座外交するしか能がありません。キチンと戦略を立てろと言っても無駄なのが悲しい。

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Carson & Trump

2015年12月15日、米国の大統領選で、共和党候補の指名争いを繰り広げる元神経外科医のベン・カーソン氏(左)と不動産王ドナルド・トランプ氏(右) (写真=AP/アフロ)

 米国の共和党大統領候補指名争いで、不動産王ドナルド・トランプ氏の独走状態が長く続いてきた。イスラム教徒の米国への入国を禁止すべきだという発言が物議をかもした後、トランプ氏の支持率はむしろ上昇。モンマス大学が昨年12月14日に発表した調査結果では共和党内での支持率が41%に達し、同党の候補者で初めて4割を超えた。経済問題ではなくテロに対する不安が米国民にとって現在は最大の関心事になっているのが原因だと説明されている。

 2位に付けたのは、草の根の保守派運動「ティーパーティー(茶会)」に加え、キリスト教右派にも支持を広げているテッド・クルーズ上院議員(14%)。3位はマルコ・ルビオ上院議員(10%)。ともに40歳代のクルーズ氏かルビオ氏のどちらかが最終的に共和党の指名争いで勝つだろうという見方が専門家の間では根強い。経歴詐称などが問題視された元神経外科医のベン・カーソン氏はこの調査では9%にとどまり、4位に沈んだ。

 米ワシントンポストとABCテレビが共同実施して昨年12月15日に結果を発表した世論調査では、トランプ氏の支持率が38%に上昇。クルーズ氏は15%で4位から2位に浮上した。

クルーズ氏とトランプ氏がデッドヒート

 もっとも、大統領候補指名争いの皮切りとなる党員集会が2月1日に開かれるアイオワ州では、クルーズ氏がトランプ氏とのデッドヒートを繰り広げている。アイオワ州の地元有力紙が昨年12月7~10日に実施した州内の世論調査では、クルーズ氏が31%の支持を集め、トランプ氏の21%を上回った。

 過去の事例から、アイオワ州やニューハンプシャー州といった序盤の戦いで勝利するかそれなりの健闘を示さないと、支持率が急速に下がって、選挙戦からの撤退を余儀なくされる可能性がある。

 筆者を含む多くの日本人にとり、まさに予想外の「トランプ現象」。市場関係者の間では「トランプ・リスク」がささやかれ始めている。過激な発言で知られるトランプ氏が核のボタンを握ることになるようだと何が起こるのか予想がつかないというわけだ。

 では、型破りの発言を連発するトランプ氏を少なからぬ米国人が支持しているのはなぜだろうか。

多数説は、エスタブリッシュメントと呼ばれる伝統的エリート層による米国の政治支配への失望や強い不満がトランプ氏支持の原動力になっているという見方である。エリート政治家に舵取りを任せてきた結果、米国では中間所得層が崩壊し、所得格差(貧富の差)が拡大している。

 テロや銃撃事件への恐怖も以前より強まっている。そこで、これまでとは違う考え方・出自の人に政治を任せてみてはどうかというムードが広がっているのだという。トランプ氏の歯に衣着せぬ大胆な発言は人々のうっ積した不満のはけ口にもなっているようである。

 だが、本当にそれだけだろうか。筆者は、オバマ政権下で何度も明らかになった国際社会における米国の力や威信の低下に強い不満を抱いた米国人が、「強いアメリカ」復活願望を抱いてトランプ氏に期待している面が、少なからずあるのではないかとみている。

 1980年代に映画俳優出身のロナルド・レーガン氏が共和党から出馬して当選し、大統領を2期務めた。その1期目の前半にヨーロッパを長期フリー旅行していた際、たまたま出会った米国人の女子学生と語り合ったことがある。

 詳しい内容は忘れてしまったが、景気悪化に加えてイラン米大使館人質事件への対応(救出作戦)に失敗した民主党の前大統領カーター氏を徹底的にけなした上で、レーガン大統領の話になると彼女が目を輝かせながら「強いアメリカ」に絶対必要な人物だと熱弁していたことを、今でも記憶している。

本当に国を任せたらかなり危なっかしいが…

 トランプ氏はテレビの人気番組「アプレンティス」で、課題をこなせなかった脱落者に対する「おまえはクビだ!(You’re fired!)」という決めゼリフで人気を集めた人でもある。銃を手にして西部劇映画で活躍した俳優出身のレーガン氏に対する米国民の30数年前の心情と同じようなものが、今回はトランプ氏に寄せられているのではないか。

 昨年12月14日、シリアからの難民受け入れに対してトランプ氏は反対を改めて表明し、自分が大統領になれば「彼らは(シリアに)帰ることになる」と発言。パリ同時テロ事件で犠牲者が拡大したのはフランスの厳しい銃規制のためだという持論も展開した。

 もっとも、内政・外交の両面で経験がまったくないトランプ氏に米国という大国の先行きを本当に委ねることができるかどうかとなると、よく言えば未知数、悪く言えばかなり危なっかしいと言わざるを得ない。

 トランプ氏は、東部ウクライナの親ロシア派による分離運動を支援して国際社会から非難されたロシアのプーチン大統領とは、どうやら緊密な関係を築けそうである。プーチン大統領は昨年12月17日の記者会見で「トランプ氏には花があり、才能があることに疑問の余地はない」「ロシアとの関係を深めたいと(同氏は)発言しており、われわれはもちろん歓迎する」と述べた。

 これに対しトランプ氏は、「内外で尊敬されている人物からこうした賞賛を受けるのは常に大変な名誉だ」「米ロがもっと協力すればテロを根絶でき、世界平和を再構築することができると常に感じている。貿易のみならず、あらゆる恩恵が相互の信頼関係からもたらされる」と返答した。

 ソ連を「悪の帝国」と呼んで強硬姿勢をとったレーガン大統領は1980年代後半になると、重い軍事費負担や計画経済の行き詰まりから経済的に疲弊したソ連のゴルバチョフ書記長との間で、東西冷戦の終結に向けた動きを積極的に推し進めた。仮にトランプ氏が米国の大統領になれば、米ロ関係の改善が進む可能性は確かに高いだろう。米国が方針を転換してアサド政権の存続を認める形で、シリア問題の「交通整理」も進むと予想される。

レーガン時代と比べると

 だが、いまの世界情勢は、レーガン政権の頃とはだいぶ異なっている。中国の影響力が格段に大きくなったことに加え、欧州では統合の動きが進んだ。中東ではイスラム国家やイスラム組織の動向が重要になっており、米ロ2国だけで世界秩序をいかようにもできるわけではない。そうした中でトランプ氏が米国の外交をうまく操ることができるかどうか。筆者は懐疑的である。

 経済問題でも、トランプ氏の主張には危うさがつきまとう。日米などがTPP(環太平洋経済連携協定)で大筋合意に達した昨年10月5日、トランプ氏は「現政権の能力のなさは理解を超えている。TPPはひどい協定だ」と批判。11月10日のテレビ討論会では「恐ろしい合意だ」「承認されれば雇用がますます失われる」「私は自由貿易主義者だが、交渉には頭のいい人があたらなければならない。今の米政府には頭のいい人がいない」と述べた。だが、仮にTPPが再交渉となれば各国の利害が再び噴出することになり、まとめ上げるのは至難の業だろう。

 為替相場についてトランプ氏は、「ドルの競争力が弱い」ことを問題視する立場をとっている。「中国や日本など他の多くの国の通貨切り下げによって、米国の企業がわたりあっていくことが不可能になっている」と述べ、中国や日本の通貨下落を非難した。

 その一方で、FRB(連邦準備理事会)が利上げに動かないことについて、昨年12月の利上げ開始よりも前の11月上旬の時点で、「オバマ大統領が利上げをしないよう要請しているからだ」「オバマ大統領は在職中にバブル崩壊を目の当たりにしたくないためイエレンFRB議長に利上げしないよう要請した」という、明らかに根拠のない発言をした。

 12月19日のアイオワ州での集会では、「バブルが崩壊するなら、次の政権が発足してから2カ月後ではなく、今起きればいいと思う」「今はとんでもないバブルの状態かもしれない。もしそのバブルが崩壊すればやっかいだ」と、他人事のように述べていた。もしトランプ氏が本当に大統領になるようなら、崩壊の前か後かにかかわらず、バブルへの最善の対応策をとっていかなければならないのだが…。

 だが実際には、オバマ大統領が再選を果たした前回2012年の大統領選と同様に、内輪の争いの中で共和党は消耗してしまい、幅広い米国民の支持を得られる候補者を出せないという「負けパターン」に陥りつつあるように見える。今回の大統領選では民主党のヒラリー・クリントン氏が勝利するだろうというのが、筆者の予想である。

 ちなみに、大統領選(特に現職が再選を狙うケース)でその行方を占う際に注目される「悲惨指数(ミザリー・インデックス)」、すなわち失業率と消費者物価上昇率(前年同月比)を足した数字は、2015年11月時点で5.0+0.5=5.5という歴史的な低さである<図>。12月の数字は未発表だが、各年の12月の数字を遡ると1955年(4.6)以来の低水準になる。翌56年の大統領選挙ではアイゼンハワー大統領(共和)が再選を果たした。

■図:米国の「悲惨指数(ミザリー・インデックス)」

misery index

注:各年12月のデータのみ表示。ただし15年は11月のデータ(出所:米労働省資料より筆者作成)

 むろん、既に述べたように雇用の数は増えても賃金の伸びが鈍く、中間所得層が崩壊しつつあるという米国経済の厳しい実情も常に指摘されるのだが、このインデックスで見る限り、オバマ大統領と同じ民主党のクリントン氏には経済状況という面からも追い風が吹いていると言える。

1/5日経ビジネスオンライン 倉都康行『2016年に忍び寄る「ドル高変曲点」 ドル円100円時代は来るか?』について

本記事とははずれますが、昨年の慰安婦合意について「英霊に失礼」という意見がありますが、この表現はどうも軍人だけへのニュアンスが強い気がします。「従軍・慰安婦」という実態はなかったのにという気持ちからだと思います。しかし、戦ったのは軍人だけでなく、「進め一億総火の玉」となって国民全員が戦ったわけですから、「日本人の名誉を汚す」表現の方が良いかなあと思います。当時の総ての日本人の名誉を傷つけている訳ですから。中国が良く言う「日本国民も軍国主義者の被害者」のような二分論で、国民の軍嫌いを助長させる論理に、意図はなくても与する可能性もあります。ドイツのヒットラー、セルビアのカラジッチ等彼らを犠牲にして「国民は悪くなかった」というカタルシス(小生から言えば卑怯者の論理ですが)として利用されなくもないでしょう。

 

中国の人民元についての1/8ZAKZAK田村秀男『習政権にとって“人民元自由化”は自滅の道 日本としては大いに結構』の記事によれば

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「年明け早々から株式市場はチャイナ・リスクで大荒れである。世界最大水準の中国債務は今後さらに膨らむ情勢なのだから、不安がグローバルに伝播してしまう。  「中国、今年は改革の正念場に」(米ウォールストリート・ジャーナル1月4日付)であることには違いないが、習近平政権にとってはそれどころではない。  中国金融のどん詰まりぶりを端的に物語るのは、中国人民銀行による人民元資金発行残高である。昨年後半から急減している。前年比マイナスは実に16年ぶりだ。  人民銀行は2008年9月のリーマン・ショック後、元の増発に増発を重ね、国有商業銀行を通じて資金を地方政府や国有企業に流してきた。大半は不動産開発など固定資産投資に向けられ、国内総生産(GDP)の2ケタ成長を実現した。その結果、10年にはGDP規模で日本を抜き去ったばかりか、党中央は豊富な資金を背景に軍拡にもいそしんできた。東シナ海、南シナ海などでの海洋進出はマネーが支えてきた。党の意のままにできる元資金こそが「超大国中国」の原動力だ。  元膨張を支えてきたのはドルである。リーマン後の米連邦準備制度理事会(FRB)によるドルの増発(量的緩和=QE)に合わせて、人民銀行が元を刷る。グラフはQE開始後、元資金のドル換算値がドル資金発行増加額とほぼ一致していることを示す。偶然にしては、でき過ぎの感ありだ。  人民銀行は自らが定める基準レートで流入するドルをことごとく買い上げては元を発行する。買ったドルはゴールドマン・サックス、シティ・グループなど米金融資本大手に委託して米国債で運用するのだから、北京とウォール街の間には何らかの合意があったとしてもおかしくない。

 ところが、FRBは米景気の回復に合わせて14年初めごろから、世界に流れ出た余剰ドルの回収の模索を始めた。QEを14年10月末で打ち切った。さらに先月下旬には利上げした。バブル化していた中国の不動産市況は14年初めに急落、次いで上海株も15年6月に暴落した。

 中国からの資本逃避に拍車がかかり、人民銀行は外貨準備を取り崩して元を買い上げ、暴落を食い止める。それでも売り圧力は高まるばかりだ。元の先安予想がさらに上海株売りなどによる資本流出を助長する。

 一方で、ワシントンは昨年11月、習政権に対し「金融市場改革」を条件に、元の国際通貨基金(IMF)・特別引き出し権(SDR)入りを認めた。改革とは自由化のことである。すると資本はより一層逃げやすくなるし、元相場は暴落の自由を得る。そうなるなら平和を求める日本にとって大いに結構。中国膨張の方程式が成り立たなくなるからだ。

 ならばなおさらのこと、習政権にとって自滅の道だから、自由化約束を履行するはずはない。その場合、IMFは元のSDR入りを白紙撤回せよ、と安倍晋三首相は官僚に言わせる。それこそが今年の財務省の優先課題だ。 」とあります。倉都氏は「中国の人民元のSDR通貨バスケット入りは、元を緩やかに下落させて、各国から文句が出ないようにする」作戦との見方ですが、田村氏は「人民元のSDR通貨バスケット入りは、元を暴落させる」チャンスと見ています。

小生の考えは、中国経済の終わりの始まりです。中国は膨張主義を標榜して止まず、実際行動に移してきている「遅れて来た帝国主義国」です。21世紀には相応しくない行動です。干戈を交えるよりは平和的手段(経済崩壊)により、軍事拡張できないように「金」の面から締め付けた方が良いというのは大方賛成するでしょう。日本の経済界も自分の会社の利益のみを考えるのでなく、歴史観・世界観を持たないと。米国は「AIIB」事件で、中国は軍事・金融分野で米国に挑戦してきているというのが無能なオバマでも気が付いたでしょう。これから米中の情報戦となります。欧米メデイアはドンドン中国経済の悪化の記事を流すでしょうし、南シナ海だけでなく、アフリカ進出のあくどさの記事も流してくるでしょう。「AIIB」の債券格付も金立群が如何に喚こうとも「格付なし」=ジャンク債以下になりましたし。

本記事の後にサウジVSイラン断交のニュースが流れました。裏でプーチンが原油価格を上げるために動いたとの見方もあるようです。産油国にとっては今の低価格の状況は望んでいないでしょう。輸入国日本にとっては有難いことですが。

記事

2016年を迎え、市場は新たなリスク要因の吟味を始めようとしている。一般論としては、昨年遂に利上げに踏み切った米国がどこまで金利を引き上げるのか、に注目が集まりそうだが、筆者自身はこの点をそれほど警戒していない。FRBが目論むような今年4回の利上げはまず無理筋だ、と思っているからだ。

 既に何度か指摘したように、米国のコア・インフレ率や期待インフレ率の足取りは重く、雇用が改善中だからといって、何度も利上げする必要がある状況ではない。米国の金融市場も、せいぜい今年の利上げは2回程度と踏んでいる。筆者も同様に、来る3月に2回目の利上げを行った後、大統領選挙までにもう1回利上げ出来れば御の字だ、と考えている。

 勿論、米国にインフレ基調が戻ってくる可能性はゼロではなく、それをリスク・シナリオとして捉えておく必要はあるだろう。そうなれば長期金利は急上昇し、株価は急落し、ドルは一段高となる。だが「インフレの死」を告げる昨今の世界経済構造において、その確率は相当に低いように思われる。むしろ2016年に注目すべき点は、中国の人民元と原油価格のリスク・シナリオだろう。

厄介な存在になりそうな不透明材料

 2015年の国際資本市場では、大きなセンチメント変化が三つあった。一つ目は、中国経済の成長モデルの限界が明らかになったことである。上海株の暴落や人民元の急落は、過去何年にもわたって中国に対して指摘されてきた警報が「オオカミ少年の警告」ではなかったことを証明した。今年も成長率鈍化の傾向は変わらず、市場リスクの筆頭に位置することは誰にも異論はないだろう。

 二つ目は、原油価格の長期低迷である。昨年初の時点では、年末には70ドル近辺まで相場が戻るとの見方が大勢であったが、実際にはその半分の水準での越年となった。サウジが戦略を大胆に転換しない限り、この低水準が急速に切り上がる可能性は乏しいだろう。

 そして三つ目がジャンク債などクレジット市場の心理悪化である。これも昨年前半までは、エネルギー・セクターに限定された売りであったが、それが徐々に他産業へと拡大し、ジャンク債全体の利回りを大幅に押し上げてしまった。そして昨年12月には、幾つかのクレジット・ファンドが清算を余儀なくされている。

 市場には、このジャンク債の動揺に2007年の「パリバ・ショック」を思い浮かべる人もいる。当時、サブプライム・ローン関連の証券化商品に投資していたフランス大手銀行のBNPパリバの傘下にあったファンドが、投資家からの解約を凍結すると発表して市場に激震が走り、その後の金融危機の序曲となった事件である。

 今回はジャンク債が対象であり、サブプライム・ローンとは異なるが、同じ「クレジット市場」の仲間での現象であり、類似性は確かに高い。金融危機の引き金を引くのは株価の急落ではなくクレジット市場の崩壊である。利上げ時期と重なったこともあり、嫌な雰囲気が醸成されていることは否めない。

 但し、前回と違うのは金融システムにおけるレバレッジの水準が低いことである。仮にレバレッジの問題が深刻でなければ、悪影響の波及も限定的である。損失を被る投資家は間違いなく存在するが、ジャンク債市場はいわゆる「リプライシング」という一段の価格調整で収束するのではないかと思っている。

 それに比べれば、人民元と原油という二つの不透明材料は、昨年以上に厄介な存在になるかもしれない。ブラジルやロシア、インドネシアなど新興国問題もまだ燻ったままである。それらの材料が、我々にとって気になるドル円や株価動向などに意外な影響を及ぼす可能性は小さくない。

 中国経済に関してはほぼ世界中が「景気減速」を織り込んでおり、特に目新しい話題がある訳ではないが、資本流出や人民元の相場動向に関しては不透明感が強い。昨年8月に中国人民銀行が予想外の人民元切り下げを発表したことで世界の市場が動揺し、FRBは9月の利上げ断念に追い込まれたことは記憶に新しいが、今年もそんなサプライズが無いとは言えまい。

 為替市場では昨年秋に習主席が「8月と同じような切り下げは二度とやらない」と公言して相場が安定したことで、相場は落ち着きを見せている。だが低迷する中国経済と割高な人民元相場とを並べてみれば、更なる切り下げ以外の答えは出てこない。

 中国からの資本流出と人民元のじり安傾向は、依然として継続中だ。後者に関しては、オフショア人民元の下落につられるように、人民銀行が設定する基準値も既に8月の安値を通り越して約4年半ぶりの水準に低下している。中国政府の本音も一段の人民元安にあることは明らかだが、政府や人民銀行がそれを認めれば、収拾のつかない通貨急落を招きかねない。

 市場混乱は是非とも避けねばならない。だが割高な通貨を放置する訳にもいかない。各国や市場が認める形で人民元安を進めるにはどうすればよいか、と考えて出てきたのが、ドルではなく通貨バスケットを参照する、という案である。

人民元の二面作戦

 市場は通常、人民元を対ドル相場で見ている。昨年8月の人民元急落も、対ドルの実勢相場に基準値を近付けるという作業の中で起きたものだ。だが人民銀行は「ドルではなく通貨バスケットとの対比で通貨の適正価値を判断する」という手法に転換しようとしている。

 人民元は対ドルでやや低下しているが、通貨バスケットとの参照においては多少ながら上昇していると言える。従って、適正水準に戻すためには人民元の一層の下落が必要だ、と正当化することが出来るのである。つまり人民銀行は、人民元に切り下げ余地があることを世界にアピールし、通貨切り下げの贖宥状を受けようとしているのだろう。

 もっとも、中国が通貨バスケットに言及するのはこれが初めてではない。2005年7月に米ドルとの固定相場制から管理フロートに移行した際、ドルや円、ユーロ、ウォンなどに7通貨を加えた11通貨のバスケットに対して相場水準を設定する方法に切り替える、と発表した。だがその詳細は発表されないまま、今日まで事実上の対ドル管理相場が採用されている。恐らく対外的には通貨バスケットを強調しつつ、対内的には対ドルでの相場が参照され続けるものと推測される。

 こうした二面作戦がうまくいくのか、保証はない。いずれにせよ人民銀行と投機筋との駆け引きが続くことになるだろうが、悲願の「SDR採用」を果たした中国が、以前のように派手な介入策を採ることも難しいだろう。従って、人民元が対ドルで7.0超えといった水準にまで急落するリスクは存在する。人民元急落懸念は市場のリスクオフを生み、株価急落や円急上昇といった副次的な作用をもたらす可能性は高い。

 一方の原油市場に関しては、ゴールドマン・サックスなどが1バレル20ドル台までの下落を予想するなど、先安観が根強い。昨年末にWTI市場では期近物が34ドル台まで低下、ブレントは7年ぶりに36ドル台にまで下落した。ドバイ原油は11年ぶりとなる33ドル台を付けている。

 ブルームバーグに拠れば、メキシコ原油は既に28ドル台で取引されており、イラクのアジア向けバスラ重油は25ドル台という超安値が観測されている、という。もはや世界中で原油生産は採算割れの状況だ。だがサウジやイラクの増産体制だけでなく、今年は制裁解除でイランによる輸出増が見込まれており、供給過剰感は強まるばかりである。

 ファンド勢の原油先物市場における空売りポジションは、過去最高水準にまで積み上がっているが、先安観から新たなショート積み上げに向かう投機筋も居るようだ。確かに産油国が価格や需要水準を無視した生産を続ける限り、原油価格下落を止める力はない。

 こうした原油市場への警戒感にさほどサプライズは無さそうに見えるが、リスク・シナリオがあるとすれば、何らかの材料で起きる投機筋のパニック的な買い戻しであろう。原油も株価や為替と同様にオーバーシュートした後、どこかで急反転する傾向がある。それが来年中に起きないとは言えない。

 因みに原油市場のセンチメントをよりよく示すと言われる長期先物水準を眺めると、ブレント3年先物水準は既に2009年当時を下回っている。世界経済は現在も多々問題は抱えているが、底割れすら懸念された2009年とは比べ物にならない。それは、投機筋の弱気度がやや過剰になっている可能性を示唆しているようにも見える。買い戻しの契機となる一つの可能性があるとすれば、サウジアラビアの戦略転換だろう。

サウジアラビアとロシアに共通する「思い」

 IMFに拠れば、サウジアラビアの財政収支が均衡する原油価格の水準は、今年86ドルと推定されている。昨年の財政赤字はGDP比20%に達しており、歳出削減が進めにくい経済構造を考えれば、今年も同程度の赤字が続くことは避けられまい。同国は昨年8年ぶりとなる国債を発行、今年は史上初の外債を発行する予定である。また財政穴埋めのための資産取り崩しも行っており、米国債だけでなく日本株を含む先進国優良株の処分を始めている。

 同国の公的債務はGDP比7%程度に過ぎず、長期戦には耐えられるとの計算のようだが、いくら体力に余裕があるとはいえ、40ドル台の水準を長期間放置する訳にもいかない。財政均衡水準が100ドルを超えるリビア、アルジェリア、バーレーンなどからは悲鳴が上がっている。

 原油シェア死守を御旗に掲げるサウジも、生産調整に関して関心が無い訳ではない。先月のOPEC総会では生産目標で合意出来なかったが、それはOPEC外の生産増ペースが落ちないために、自分たちだけで調整しても意味がないからだ。OPECは既に価格維持機能を失っているのである。

 そこでサウジは水面下でロシアにOPEC参加を促している、とも言われている。中東情勢に関しては、シリアのアサド政権を支持するロシアと、同政権崩壊を願うサウジとは対立中であるが、原油に関しては市場支配力を回復させて価格を採算コストまで早期に戻したい、という共通の思いがある。

 ロシアのオレシュキン財務副大臣は「我々は2022年まで1バレル40ドルでの財政計画策定に着手した」と述べて、低価格の長期化にロシアが十分耐え得ることをアピールしている。ルーブル安も救いである。それは減産合意出来ないOPECに対する挑戦状のようにも見えるが、ロシアの財政状況がかなり疲弊していることも明らかである。

 ロシアの財政赤字はGDP比4%程度に拡大する見通しで、サウジに比べれば低水準だが、依然として欧米市場での資金調達は困難であり、石油基金も来年末には底を突くとの見方もある。サウジとロシアの消耗戦に、勝者は居ないのかもしれない。となれば両者がどこかで妥協する可能性もゼロではあるまい。

 サウジの早期戦略転換は無い、と確信する市場にパニック的な買い戻しが起きれば、原油価格の急反転は世界的金融緩和の終焉を想起させ、市場にはリスクオフの嵐が吹き荒れる。確率は低そうだが、それが原油に関するリスク・シナリオと見て良いだろう。

ドル円急落のリスクも

 そんな外部環境を想定しながら日本市場を見渡せば、メイン・シナリオである「日銀による追加緩和政策への期待、円安地合いの継続、日経平均の上昇基調維持」といったムードも、時々水を差されることになるだろう。

 日銀は、いずれ衆参ダブル選挙を目指す官邸からの圧力で追加緩和に踏み切る可能性が高そうだが、それが円安・株高基調を維持する力が残っているかどうか、筆者はやや疑問視している。昨年12月の補完措置は、日銀のコミュニケーション力を大きく低下させてしまったようにも見える。

 まず米国では、FRBは3月に利上げした後、暫く様子見を強いられる可能性が高い。インフレ期待が上昇しない中、景気のもたつき感が出始める可能性があるからだ。そして大統領選を控えて、何か問題が起きれば政治家は必ず利上げを悪者にして、利上げにブレーキを掛けようとするだろう。

 それは、ドルの上昇力を殺ぐことになる。過去のパターンから見てもドルは利上げ開始後3か月程度でピークを打つケースが多い。ドル円も125円程度を天井に、春あたりから徐々に下値を切り下げていくものと思われる。115円近辺までの下落はもはや想定内だろう。

 問題は、それ以上のドル円の下落即ち円高が有り得るかどうかであり、上述した人民元と原油のリスク・シナリオがそこに関わってくる。仮に人民元急落といった場面が来れば、リスクオフの嵐にドル円が100円近くまで急落するかもしれない。中国不安は日本売り材料だから円安だとの見方もあろうが、「リスクオフの円買い」という公式はまだ健在だ。人民元安が最終的に中国経済回復への材料となれば、日本買いにも説明が付く。

 また原油が急反発すれば、日銀の追加緩和シナリオは霞んでしまう。それは、2012年末以来の円安・株高モードの終焉を意味する。日本経済がそれで腰折れするとは思えないが、永続的な緩和期待で浮ついている市場には冷水が浴びせられるだろう。

 誤解しないで頂きたいが、人民元急落も原油急反発も飽くまで「リスク・シナリオ」でしかない。今年こそはメイン・シナリオ通りに平穏に過ごせるかもしれない。だが、コンセンサスが外れ気味の昨今の市場では、こうした材料をひとまず頭の隅に置いておいても損はあるまい。

『古森義久がオバマ・習近平・朴槿恵・金正恩を斬る』について

本年の国連事務総長選挙の候補にユネスコ事務局長で南京虐殺を記憶遺産に登録したブルガリアのボコバが入っています。共産党員です。日本と米国は(非)常任理事国で選挙権を持つので絶対阻止で動かないと。潘基文の二の舞にならないように。スケジュールは昨年12/22産経ニュースによれば「立候補は来年3月にも締め切られ、国連総会で公開ヒアリングが本格化。「能力に疑問符が付く人は、この時点で振り落とされる」(国連外交筋)。候補者が1人もしくは数人に絞られた後、安保理が7月中に本格選定に入り、10月にも国連総会に「勧告」、総会での採択を経て選出される。」とのこと。下の写真は抗日70周年戦勝記念閲兵式に参加したボコバです(天安門楼上。中央の女性)。中国が彼女に言うことを聞かせてありもしない「南京虐殺」を世界にアピールしようとしています。

これこそまさに「日本の悪魔化計画の一環」です。中国は着々とそのために手を打ってきているという事です。翻って日本は何もしていないように見えます。無能の外務省はさておき、安倍内閣が昨年末韓国と慰安婦合意を結んだのは早計・軽率の謗りを免れません。いくら米国の圧力があったにせよ、中国はほくそ笑み、これを最大限利用して日本を道徳的に劣った民族という刷り込みを世界に広めるでしょう。内閣の責任でキチンと反論していって貰いたい。それができないなら、合意すべきではなかったという事です。今年の参院選(「衆参同時選挙」と見ていますが)では保守派から手痛いシッペ返しを食らうかもしれません。でも憲法改正のこともあるので我慢かなとも思います。これ以上いい加減妥協はしないでほしいし、慰安婦の外務省の英文の説明も修正するように。

Bokova

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二階のような政治家は落とすべきだし、それに唯唯諾諾と従う業界と言うのも情けないと思います。日本人の誇りより所詮は「カネ」かと。日本人の劣化もここに極まれりという事です。安全保障を蔑ろにして富を追求して滅んだカルタゴそのものです。エリートと言われる人達が腐っているのと「朝日新聞」を購読して経営を支えている自覚なき日本人が問題でしょう。

内容

アメリ力の「対中政策」は大まちがいだった

米国の軍事研究家『100年のマラソン』によって明かされた衝撃

ヒルズべリー氏の「最新報告」

アメリ力の歴代政権の中国への「関与」政策はまちがっていた。関与すれば中国はアメリカ主導の国際秩序に協調的な一員として参加してくるという推定は幻想だった。中国はアメリカを排除して独自の世界覇権を一貫して目指しているのだ              —。

こんな大胆な新考察がアメリカの国防総省で長年、中国の軍事研究を任されてきた権威によってこの’15年2月、公表された。その中国の世界覇権への野望は「100年のマラソン」 と評され、中国が日本を世界の悪者に仕立てる「日本悪魔化」工作もその長期戦略の重要な一環なのだという。

この衝撃的なミスの自認はアメリカの1970年代のニクソン政権時代から一貫して国防総省の高官や顧問として中国の軍事動向を研究してきたマイケル・ピルズベリー氏により最新刊の書『100年のマラソン—アメリカと交替してグ口―パル超大国になろうとする中国の秘密戦略』のなかで明らかにされた。

ピルズベリー氏といえば、アメリカの中国研究者多数の間でも軍事分野での第一人者とされる。とくに中国語に堪能で共産党や人民解放軍の軍事戦略関連の文書を読みこなす一方、中国側の軍首脳との親密な交流を保ってきた実績で知られる。同氏は東西冷戦中のレーガン政権時代にはアメリカがソ連を牽制するために中国に軍事関連の支援をするという政策を提唱し、中国軍首脳と緊密な関係を築いて、中国側の信頼をも得てきた。そのピルズベリー氏がいまやその中国強化の政策はまちがいだったと告白したのである。だからその書はいまワシントンの外交政策形成の世界では衝撃的な波紋を広げている。

同氏の著書によると、アメリカ_には官民ともに中華人民共和国に対しては「欧米や日本の侵略の犠牲になった貧しく弱い国」という思いこみがあり、とくに1970年代のニクソ.ン政権や力ー夕―政権の時代から中国をより強く、より豊かにすることがソ連への牽制だけでなく、中国自体をアメリカ側に協調的、友好的な姿勢をとらせる最善の方法だと信じてきた、というのだ。つまりアメリカは「建設的関与」により中国を最大限に支援して、その根幹を強くし、豊かにすれば、中国は国際社への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきた、というのである。

だがピルズベリー氏はいまや自分自身のかつての思考をも含めてアメリカ側の年来の「中国に対する関与政策は中国の対米協カをもたらす」「中国は民主主義へと向かっている」「中国は国家としてまだ弱体」「中国はアメリカのようになりたいと願っている」・・・・といっ想定はみな錯誤だったとも断じるのだ。 そのうえで同氏は自書のなかで次のような重大な指摘をしていた。

中国「タカ派」指導者が主流に

▽中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という偽装めいたスローガンの下に力の拡大を進め、アメリカを安心させ、対中関与政策をとらせてきた。だが実は建国から100年目の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面でアメリカを完全に追い抜く超大国となり、 自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしているのだ。

▽中国共産党指導層はアメリカが実は中国の現体制を骨抜きにし、国際的にも封じ込めて変質させ、アメリカ主導の国際秩序に従属的に参加させる意図だと長年、判断してきた。だが表面はアメリカの主導と関与の策に従うふりをしながら、国力を強め、アメリカの覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を「100年のマラソン(馬拉松)」として進めてきた。

▽中国指導層のそうした真意は人民解放軍の最高幹部や共産党の幹部のうち「タカ派(白鷹)」とされる人たちの意見の発表で明示されてきたが、実はそのタカ派的な「100年のマラソン」の思考が指導層の主流であり、とくにいまの習近平主席の考えに近いことが明白なった。

▽ピルズべリー氏自身は中国が実際にはアメリカを圧して、自国が覇権を行使できる世界秩序を構築することを意図している事実を2010年ごろから認識するにいたった。アメリカ政府側でもCIA (中央情報局)などはその事実を認めるようになった。対中関与政策が中国をアメリカの好む方向へ変質させるというのは幻想だといえる。

「日本悪魔化」のブロパガンダ

以上のように、なにしろ中国軍事研究の最高の権威がこれまでの自分の認識が幻想だったと自認するのだからその余波は大きくなる。

しかし、ピルズべリー氏は日本についても重大な指摘をしていた。中国がアメリカを圧倒して世界最大の覇権国家になろうという野望「100年のマラソン」には日本を極端に敵視する戦術が組み込まれているというのだ。同氏によると、中国はその野望の主要手段として「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作をすでに実行してきた。アジア諸国と日本国内をも対象とするこの反日工作は ロ本がアメリカの主要同盟国として安保と経済の大きな柱である現状を突き崩すことを目的にするという。つまり日本を悪魔のような悪の存在として描き、その負のイメージを国際的に、さらには日本国内に向けても投射する、というのである。つまりは日米分断の試みともいえよう。

ピルズベリー氏の指摘によると、中国側ではこの「日本悪魔化」戦術の一貫として次のようなプロパガンダをも内外に発信しているという。

「日本の首相の靖国参拝は中国への再度の侵略への精神的国家総動員のためなのだ」 「日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のため、プルトニゥム保有は核兵器製造のためだ」

このような日本非難が中国共産党指導層内部で堂々と操り返されているというのである。

その発信役はおもに「白鷹」と呼ばれる党や軍の強硬派だが、そのメッセージ自体は共産党全体の発信として重く受けとめられるという。

だからピルズベリー氏は日本側としてはこの種の有害なプロパガンダを取り上げて、正面から論争を挑み、正すべきだと提言するのだった。

(2 015年2月18日)

「態度軟化」の中国が腹の底で考えていること

二階俊博氏が3千人を引き連れて訪中した裏側には

15年前の訪中と多い「酷似点」

中国の習近平国家主席が日本の観光業界関係者約3千人に対日和解とも思える歓迎調の演説をした。だがその言葉の行間には日本国内で安倍政権への批判をあおるという計算が露骨ににじみ、背後には最近のアメリカの対中硬化への戦略的な対応の意図が影を広げていた。

15年5月23日の北京の人民大会堂での習主席の演説は一面、中国の対日政策の軟化をも

思わせた。だがこの種の演説は多角的な解釈が欠かせない。同主席の言葉をよく吟味すると、日本への従来の批判や圧力はまったく緩めず、むしろ日本国内の分断を図るような意図があらわなことがわかる。

それにしても人民大会堂に異様なほど多数の日本人が座って、中国の国家主席の壇上からの言葉に耳を傾けるという光景は私にとってデジャピユー(既視体験)だった。産経新聞中国総局長として北京に駐在していた’00年5月、日本からの観光交流使節団という日本人訪中のグループ約5千人がまったく同様にしていたのだ。私もその場にいて、一部始終を目撃していた。その15年前の光景と今回の展開とは気味の悪いほど酷似点が多ぃのである。

当時も現在も日本側の主役は二階俊博衆議院議員である。中国側の国家主席は江沢民氏から習近平氏へと代わっていた。二階氏の肩書は当時は現職の運輪大臣、現在は自民党総務会長だが、自分の管轄あるいは影響下にある日本側の業界に指示を出して訪中者を大量に動員するという手法も同じだった。 二階氏は各政党を見渡しても代表的な親中派である。中国側の理不尽な言動にも一切、 批判を述べないという点では二階氏は「媚中」と評されたこともあるが、日本の中国との関係をとにかく中国側が求めるような形で良好に保とうとする努力は長年、一貫している。 今回も人民大会堂の会場で習主席と会った際、習氏が単に片手で握手を求めたのに対し、二階氏は両手を添えて、相手の手を握り、しかもそのまま相手の手を高く持ち上げようとするという動きは、いかにも友好の強調、悪くいえば媚びてもみえる動作だった。

二階氏は会合での声明や習氏との挨拶でも、日中友好や民間レベルの交流の重要性をもっばら説いていた。両国間の緊張を高めている中国側による尖閣諸島日本領海への頻繁な侵入、そして核拡散防止条約(NPT)の軍縮会議での中国側による日本の「各国首脳の広島、長崎訪問」提案の削除など、目前の日中間の課題には二階氏はなにも触れなかった。要するになにがなんでも とにかく「友好」を唱えるという姿勢なのだ。

一方、習主席の言葉は対照的だった。「中日関係発展の重視」を語りながらも、「いまの日本で軍国主義を美化し、歪曲する言動は許されない」とか「日本国民も戦争の被害者であり、歴史の歪曲には(中国と日本国民が)ともに戦おう」などと述べたのだ。明らかに安倍晋三首相とその政権を日本国民から切り離して、安倍政権だけを非難するという「分断」のこの姿勢だった。

習主席は日本の遣唐使についても述べ、日本が中国への朝貢外交を続けていた歴史を現代の友好というオプラートに包むような形で語るのだった。

さて前述のように、今回の二階訪中団の動きと中国側の対応は00年5月の5千人規模の二階訪中団の展開とあまりに似た諸点が多い。

まず日中関係が基本的に冷えこんでいる状況である。しかも日本の訪中団との北京での会合で国家主席が登場するのは意外だった点である。’00年も江主席が出てくることは事前に.は予測されていなかった。だが江主席だけでなく、胡錦濤国家副主席(当時)までいっしょに登場したので、日本側はびっくりだった。もちろん喜ぶ方向でのびっくりである。 今回も習主席の出席は日本側の一般には事前まで予測されていなかった。やはり日本側としては喜ぶ方向へのびっくりだったのだ。

中国の国家主席が日本との基本的な関係を良好に保つことの重要性を強調する一方、日本側の「歴史」への態度などを非難し、叱責するという部分も今回、前回まったく同じである。

訪中団の動きと国家主度の歓迎の挨拶の内容を中国側の官営メディァが大々的に報道したことも00年と15年と同じだった。

日米同盟の強化がポイントに

類似点はさらにより重要な次元でも指摘できる。

私は00年5月の日本からの訪中団の動向と中国側の対応について当時、書いた記事のなかで以下の点を明記していた。中国側がその時点でなぜ軟化とも呼べる態度の変化をみせたのか。その原因についてだった。北京の日中関係に詳しい専門家たちの分析を聞いての記述だった。以下がその骨子である。

▽中国側が最近の日本国内での対中観の悪化を懸念するようになった。

▽米中関係が行き詰まりとなった。

▽日米関係が強化された。

当時の江沢民国家主席は’98年の訪日でも日本側に対して、歴史認識を「正しく持つ」ことを叱責するように要求し続け、日本国民一般の対中観をかつてなく悪化させていた。 またアメリカでは当時のクリントン政権が中国の台湾への軍事恫喝などを理由に中国への姿勢を険しくしていた。同時に日米関係が一段と強固になっていた。こんな要因が中国に日本への融和ともみえる姿勢をとらせたという分析だった。

現状をみてみよう。日本側の反中、嫌中の傾向は激しくなるばかりだといえよう。中国側としては、ここらでなんらかの予防策を講じておかないと、日本側の反中意識は日中両国間での経済交流にまで悪影響を及ぼしかねないと判断してもおかしくない。私自身のうがった見方だが、最近、日本で激増している中国人観光客たちの傍若無人の言動も日本側一般の対中認識のかなりの負の要因になっているようだ。

一方、アメリ力のオバマ政権は中国へのソフトな姿勢の保持に努めてきたが、中国側がそれに応じず、逆に強硬な手段をとる。南シナ海の紛争海域での一方的な埋め立て作業、更にはフィリピンやべトナムへの軍事威嚇の数々、東シナ海での一方的な防空識別圏(ADIZ)の宣言などがあいつぎ、オバマ政権をすっかり硬化させた。そして最新の米中関係の摩擦の最大要因として南シナ海での中国の無法な埋め立て作業にオバマ政権がついに軍事艦艇をその至近海域にまで送りこむ構えをみせ始めたのだ。

中国はアメリカとの関係が悪くなると、日本への非難や叱責を緩めるのが年来のパターンである。アメリカと日本と、両方を同時に敵に回すのは得策ではないという判断からだろう。今回の状況がまさにそんなパターンを浮き上がらせる。

さらに日本とアメリカの関係が最近、より緊密になったことも明白である。とくに安全保障面での日米同盟の強化が顏著だといえる。安倍首相の訪米がその例証であり、原因だともいえよう。

中国は日米同盟に反対である。日米両国の同盟のきずなを減らすこと、7なくすことは中国の国家戦略上の長期目標とさえいえよう。だから中国は日米共同のミサイル防衛や防衛ガイドライイン改定など、日米同盟強化策にはすべて反対する。その逆に日米両国が同盟を薄めることには賛成する。日米同盟の弱体化を実際に企図するわけだ。そのためには日米離反の諸策は可能な限り、推進する。ちなみに奇しくもこれにぴたりと合致するのが朝日新聞の論調である。

最近の日米関係が安倍首相の訪米などにより、また一段と強化されたことは明白である。中国からすれば、これ以上の日米連携強化を防ぐためにも、また日本にきつく当たり、日本をさらにアメリカの方向へと追いやることは当面、自制する。いまの中国指導部はそんな対外戦術を考えているといえよう。

いずれにしても中国首脳部のいまの対日軟化にみえる動きは決して対日政策の基本的な変化ではない。外交的な戦術としての一時的な強弱、緩急の調整なのだといえよう。その調整のメロディーに二階俊博氏が伴奏をしてみせる。そんな構図としてとらえるのが適切だろう。

(2 015年5月27日)