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1/28日経ビジネスオンライン 倉都博行『原油安が暴いた「市場の黙示録」 崩れた中国経済と米国金融の二人三脚』、1/27日経『中国 ソロス氏の「影」に市場萎縮』について
1/30日経に「中国、ソロス氏に警戒感 人民日報「絶対にハードランディングしない
【上海=土居倫之、ニューヨーク=山下晃】著名投資家のジョージ・ソロス氏が唱えた“中国売り”に中国が警戒感を強めている。中国は外貨準備高が減少しており、世界の投資家に強い影響力を持つソロス氏の発言をきっかけに人民元安や資本流出が加速しかねないためだ。中国共産党が「喉と舌(代弁者)」と位置づける党機関紙の人民日報や国営新華社通信は相次いでソロス氏の主張に対する反論を掲載、中国経済に対する不安払拭に躍起になっている。
「中国経済は絶対にハードランディングしない」。28日、人民日報は1面と2面にこうした記事を掲載した。ソロス氏は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「中国経済のハードランディングは不可避」と発言し、アジア通貨の空売りを宣言した。記事はソロス氏の発言を紹介した上で、「中国の政策ツールは少なくなく、経済が下振れしても中国には対応する能力がある」と主張した。
人民日報は26日にも海外版に商務省研究院の梅新育研究員によるソロス氏への反論を掲載したばかり。梅氏は「中国経済は世界の大国のなかで相対的に好調」と強調し、人民元や香港ドルの空売りなどソロス氏による“中国売り”を一蹴した。
ソロス氏は1992年、英中央銀行のイングランド銀行を相手に回し、英ポンドを売り浴びせたことで一躍有名になった。イングランド銀行は1日に2度も公定歩合を引き上げたが防戦しきれなかった。97年にはタイのバーツなど東南アジア通貨に対する空売りによりアジア通貨危機を招いたとしてマレーシアのマハティール首相(当時)らから批判を浴びた。
ただソロス氏は現在は慈善活動に活動の軸足を移すためファンド規模を縮小し、かつてのような影響力は失われている。それでも中国が警戒感を隠さないのは、人民元を防衛するための手段が限られてきたためだ。
人民銀は昨年8月11日、人民元売買の基準となる対ドルレート「基準値」の設定方法を、前日の市場終値を参考にする方法に改めた。従来と比べて透明性が高まった半面、人民銀にとっては基準値設定の裁量が減り、人民元相場の安定のために為替介入に頼らざるを得なくなっている。
ただ中国の外貨準備は15年に約5千億ドル(約60兆円)減り、23年ぶりの減少を記録した。たび重なる元買い介入は外貨準備の減少を通じてかえってソロス氏のような投資家を元売りに向かわせる逆効果を強めている。
人民元は対ドルで約5年ぶり、上海株は約1年2カ月ぶり安値圏にある。国有メディアが指摘するように中国の経済成長率はまだ相対的な高水準を保っているが、投資家が重視する企業業績は減速が鮮明だ。
バンクオブアメリカ・メリルリンチの株式ストラテジスト、アジェイ・カプール氏は「中国企業は利益率が低下しており、市場はどこまで利益率が下がるのか見極めようとしている」という。
「人民元の空売りをしたいと思っている短期筋は少なくないが、市場の仕組み上、大規模には仕掛けにくい」(米ヘッジファンド)との見方も多い。 」とありました。中国の焦りを感じます。キャピタルフライトを恐れなければわざわざ人民日報を使ってハードランデイングを否定することもないでしょう。泰然自若であれば良いでしょうに。
日銀も2/16からマイナス金利を導入します。投資家は中国から日本の株式市場に資金を移すことが考えられます。10年物国債金利も-0.125と下げて0.095になりました。日本の財政状況が悪いとか言われながら0.1%以下の金利水準です。それだけ日本に信用がある訳です。勿論マイナス金利採用の影響もありますが。
1/30日経には「黒田電気が一転最終減益に 16年3月期、中国スマホ不振で44%減
黒田電気は29日、2016年3月期通期の連結純利益が前期比44%減の38億円と従来予想(3%増の70億円)から一転減益となる見通しだと発表した。中国でスマートフォン(スマホ)部材の受注が減る。納入する製品の仕様変更で10億円の特別損失を計上する。売上高は14%減の2800億円と従来予想を500億円引き下げた。
期末配当は18円と前回予想から29円減らし、年間配当は65円(前期は記念配含め36円)とする。同日発表した15年4~12月期連結決算の純利益は前年同期比36%減の32億円、売上高は微減の2330億円だった。」とありました。中国の実体経済が相当傷んでいる証です。売り上げが500億円も減ったら大変です。
中国の統計数字は全く当てになりません。王保安中国統計局長を解任したり、権力闘争の一つの手段として統計も使われます。また、GDPの数字が出世に繋がるので、地方は改竄・捏造した数字を並べます。中国の企業も少なくとも3種類の財務諸表を用意します(監督官庁用、株主、銀行用)。
黒田日銀総裁は中国は資本規制をすると読んでいるようですが、人民元のSDR採用に反するのでは。中国経済の崩壊は中国の軍事膨張をストップし、かつ実体経済の良い日本に資金が戻ってくることを意味します。中国に肩入れしてきた日本企業は咎めを受けますが仕方がありません。戦争になるよりはマシでしょう。
日経ビジネスオンライン記事
2016年のダボス会議で中国経済の先行きについて話すブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏(ロイター/アフロ)
年初早々から世界的な急落地合いに見舞われた株式市場は、1バレル20ドル台に突入して漸くショートカバーが入った原油市場と、追加緩和政策を示唆したECBへの期待感などをきっかけに、下げ止まりへの期待感も見え始めている。だが、前例のない続落基調の株式市場のスタートに、まだ戸惑いを隠せない投資家も多いことだろう。まるで、先頭走者が予想外の失速で躓いた駅伝のようなものである。
株価下落を誘引したのは中国であったが、その変動を増幅したのは13年ぶりの低水準まで落ち込んだ原油価格であった。供給過剰感の長期化懸念で原油価格に強い売り圧力が掛かり、その下値目途が立たない中で、不透明性を最も嫌がる株式市場にも売りが膨らんでいく。それに輪を掛けたのが、原油安で財政事情が悪化していると見られる産油国に拠る保有資産売却であった。
原油安にはメリットもある。少し前までは、原油価格が10%下落すれば世界経済の成長率を0.5%程度押し上げる、と教えられたものである。だが2014年秋以来、原油価格は75%も下落したのに世界経済は足踏みしたままだ。むしろ設備投資の凍結や資源国・新興国の景気低迷感が表面化し、株式市場への重石になっている。先進国にも金融危機の後遺症が残る中で貯蓄志向が強まっており、原油安は個人消費増には繋がらない。
もっとも、原油価格が1バレル20ドル台という水準は、需給バランスの崩れを相当程度織り込んでしまったように見える。需給予想と価格予想は似て非なるものであり、価格は既に先行して底値を確認し始めていると見て良いだろう。一段の下値をトライする可能性もあろうが、株式市場が原油価格の日々の値動きにパニック的な変動を示す異常な光景は、そろそろ終焉に近付いたように思われる。
但し、それが株式市場の本格的な反転を促すと期待するのは早計だろう。空売りの買い戻しが一巡すれば、再び市場が膠着状態に陥り、新たな下落局面を迎える可能性はまだ残っている、というのが筆者の現在の相場観である。
「クレジット市場」の強烈な下げ
市場には、金融政策に期待する声も根強い。だが今回の株価急落を通じて、もはや量的緩和の拡大では隠し切れなくなった世界経済の脆弱さが滲み出しており、市場の救世主として奮闘してきた中央銀行の影響力にも限界が見え始めている。
年明けから人々の視線は原油と株価に釘付けとなったが、激震に見舞われたのはその二つの市場だけではなかった。米国のジャンク債市場と新興国市場という二つの「クレジット市場」がともに強烈な下げに遭ったことは、世界経済に暗い影が忍び寄っていることを示唆している。
2009年以降着実なリターンを上げてきたジャンク債市場は、2015年に遂にマイナス局面に陥った。昨年末には同市場に投資してきたクレジット・ファンドが3本閉鎖され、今年も清算に追い込まれるファンドが増える見通しである。
ジャンク債と米国債との利回り格差は上昇中であり、CCC格付け債の平均利回りは18%台にまで上昇、エネルギー・セクターの同利回りは19%台と、2008-9年の金融危機時点の水準を超えてしまった。こうした動向から、年内にも米国が景気後退に向かう確率が30-40%程度に高まってきた、と警戒する向きもある。今回は詳細を語る余裕がないが、米国経済は堅調な雇用情勢とは裏腹に、やや鈍化傾向を見せ始めている。
ジャンク債で怖いのは、年末のファンド運用報告書を見て解約が殺到する可能性だ、と言われている。これから投資家に手渡されるほとんどのジャンク債ファンドの成績表には、恐らく悲惨な数字が並ぶ筈だ。投資家の解約要請が加速すれば、社債の投げ売りが始まって市況が更に悪化する恐れがある。米国市場では、ジャンク債が放つ経済の先行きに関するメッセージは、株価と同様、或いはそれ以上の重みがあることに注意を払う必要がある。
更に問題なのは、満期10年以上の投資適格債のうち1000億ドル超が今後2年間でジャンク債へと転落する、との見方が強まっていることだ。UBSはその額を1170億ドル、バークレイズは1550億ドルと試算している。現時点で10年以上の満期を有するジャンク債は約480億ドルと見られており、上記2行の予想に基づけば、それが一気に3倍近くの規模に膨らむという計算になる。
米国市場に限定すれば、S&PによるBBB格付け社債のシェアは23.5%で、A格は16.6%となっている。ジャンク債保有が禁じられている機関投資家は、全体の約40%を占める社債について見直しを行う必要に迫られることになる。市場には既に利回りが15%前後まで上昇しているBBB格付けの社債も散見されている。
話題に上り始めた新興国の信用収縮リスク
そして新興国も新たな痛みを感じ始めている。為替市場ではロシアのルーブルが史上最低値を更新中であり、各国の株式市場では軒並み2009年の危機以来の水準へと落ち込んでいる。そして債券市場では過去数年間に急増してきたドル建て債券の返済不能を懸念する投資家の投げ売りが加速しており、欧米メディアにはしばしば新興国の「クレジット・クランチ(信用収縮)」のリスクが話題に上るようになってきた。
2013年の春以降、新興国市場は米国の金融政策変更を主因とする資本流出懸念から、通貨・株式・債券が売り込まれるという厳しい局面に直面してきたが、年初来の逆風は、実体経済の悪化というファンダメンタルズの理由から発生している。中国経済の予想以上のペースでの成長鈍化の影響が波及し、構造改革の遅れが成長率を押し下げているところに、原油安が産油国の財政を直撃するという新たな不安材料が加わったのである。
現在、米国債との利回り格差が7%以上の「懸念されるドル建て新興国債」の総額は約2200億ドルと、2008年時点の水準を僅かではあるが、凌駕している。ジャンク債同様に新興国債券市場も、リーマン・ショック当時と同程度のストレスを感じ始めていると見て良いだろう。
再燃する中国「ハード・ランディング説」
一般的に景気動向への不安感は株価に最も良く表れるが、ジャンク債と新興国債にも同様に警戒感が強まっているのは、原油安と中国不安という二つの要素が絡み合っているからだ。従って、原油が仮に底打ちしたとしても中国経済に対する懸念が残る限り、市場の安定性は担保されない。その中国経済に関し、以前から燻っている「ハード・ランディング説」がじわじわと再燃してきたのは気になるところである。
先週、ダボス会議に出席した日銀の黒田東彦総裁は、持論である中国経済への楽観的姿勢を維持しながらも、資本規制の必要性を唱えて、中国から押し寄せる大津波のリスクに警戒感を示している。中国に対しては、資本規制ではなく変動相場制への移行を支持する声が強いが、それが大波乱を呼んで海外市場に波及し、日本がデフレに逆戻りすることを、同総裁は恐れているのだろう。
IMFのラガルド専務理事はこの問題に対して「無益に外貨準備を消費すべきでない」と述べるに止めたが、SDR入りした人民元の先行きに強い懸念を抱いていることは確実である。またハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、中国不良債権比率の実態は公表値の1.5%ではなく6ー8%だと指摘し、銀行の追貸しや当局の黙認姿勢は永続しないとして「想定外の事実が暗闇の中から飛び出てくることに備えるべきだ」とより厳しいトーンで警告を発している。同会議で、ジョージ・ソロス氏が「中国のハード・ランディングは不可避だ」と悲観的なコメントを吐露したのも特筆される。
人民元に関する先安観も変わっていない。運用総額で世界最大規模のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の創設者であるレイ・ダリオ氏は、クレジット・サイクルの最終局面でも中国の新規融資がまだ増加傾向にあるのは驚きだとして、昨今の資本流出ペースは人民元が今後25%程度下落する可能性を示唆している、と警鐘を鳴らしている。ゴールドマン・サックスのブランクフェインCEOも、人民元が大幅下落するかと聞かれれば私の答えはイエスだ、と述べている。
中国当局は、国内貯蓄の大きさや外資依存度の低さなどを挙げて「危機に直面している新興国とは違う」と反論し、人民元は対ドルではなく通貨バスケットで適正水準を維持することを政策目標に置いている、と強調しているが、問題は、市場の誰も中国の言い分を信用していないことである。当局の締め上げで仮に投機筋の人民元売りが一旦収まっても、その動きはいずれ復活するだろう。
株価急落は金融政策の残滓
だが、株価急落の原因を原油安と中国不安だけに求めるのはバランスを欠く。2015年までの株高の源流を生成し、新興国への急激な資本流入を加速したのはFRBを筆頭とする先進国中央銀行の金融政策であるからだ。量的緩和は、デフレ・スパイラルを防いだと評価されているが、一方でリスク資産価値を過剰なまでに持ち上げたことも事実である。それが中国に代表される新興国の「クレジット・バブル」を招いたことは否定できない。
年初来の株価急落は、原油安を媒介として噴き出した金融政策の残滓に他ならない。つまり、量的緩和という異形の金融政策が持ち上げたリスク資産の価値修正過程を、世界中のプロが読み損なったのが年初来の株式市場の展開なのである。言い訳に聞こえるかもしれないが、前例がないことは予想のしようもない。投資家だけでなく銀行や証券会社も、そして当事者である中央銀行すら1月の荒れ模様は予想できなかったのである。
隠されていた真実が暴かれたという意味で、世界経済の中に潜んでいた「市場の黙示録」が表面化したと言っても良いかもしれない。その黙示録に描かれていたのは、金融危機対策として中央銀行が生み出したマネーが大量に中国に流れ込み、不動産からコモディティに至るまで信用バブルを発生させ、各国の株価を実力以上に押し上げて、あたかも金融危機が終焉したような錯覚を人々に抱かせていた、という世界像である。
目を覚ましてみれば、資源・穀物などの貿易動向を反映するバルチック海運指数は2008年の水準を割り込んで1985年の統計開始以来最低水準の300台まで急落している。その現状は、極めてデフレ的である。2008年の再来を危惧するジョージ・ソロス氏や長期停滞論で米国利上げの愚を批判し続けるローレンス・サマーズ氏に続き、オズボーン英国財務相も「危険のカクテルに注意せよ」と、国民に警戒を呼び掛けている。欧米市場はいまや臨戦態勢モードである。
なんと悲観的な、と思われるかもしれない。株式市場にそれほど強気でない筆者自身も、2008年の再来が現実のものになる可能性は極めて低いと思っている。だが、中国経済と米国金融の怪しげな二人三脚の構図が崩れた以上、日本政府・日銀が示すような経済成長の持続性を期待するほど楽観的ではない。
「中国が全く信用できない」とファンドが運用停止
最近、なるほどと思った話題が一つあるので、それをご紹介して話を締めくくることにしよう。それは、英国系のネフスキー・キャピタルという、過去15年間で平均18%という高いリターンを上げていたファンドが、突然運用停止を発表した「事件」である。その運用責任者であるマーチン・テイラー氏が投資家に送った手紙には「残念だが、もはや合理的な投資判断をすることが出来なくなった」と記されていた。
同氏はその理由として、株式市場における三つのリスクを挙げている。一つ目は低金利を利用したレバレッジ(負債比率)が急速に高まって主要な米国企業の財務力が低下し始めていること、二つ目は高頻度取引などアルゴリズム運用に占有されたことで株価動向や流動性の不透明感が強まっていること、そして三つ目は中国やインドの存在感が急上昇しているにもかかわらずその経済統計が全く信用できないこと、である。
それぞれ重要な指摘であるが、注目したいのは三つ目、特に中国に関する不透明性だ。この点に同意する投資家は少なくないだろう。先進国の市場は昨年来、原油だけでなく中国にも振り回されてきたのである。
実際には、中国の成長率が多少下がっても、或いは銀行経営に支障が生じても、具体的な津波の影響は限定的だという見方が強い。特に金融システムに関しては、閉鎖的な中国金融とグローバルな金融との接点は薄い。にもかかわらず、中国の株価や人民元が変動するたびに市場が揺れるのは、世界中の投資家が「中国経済の実態は訳が分からない」という不安感に苛まれているからだろう。
中国という伏魔殿から何が出てくるのか、正直言って分からない。世界の金融を牛耳るイエレンFRB議長にも、大国主義を振りかざす習主席にも、魔物をすべて退治する力はないかもしれない。そんな不安が今後何年間も続くとすれば、テイラー氏のように資産運用業を止めたくなるプロも増えるのではないか。株式市場が多少落ち着いたとしても、それが「偽りの夜明け」に終わる可能性には常に留意しておきたいものである。
1/27日経記事
26日のアジア株式市場は指数が下落する国が目立った。中国でも上海総合指数が前日比6.42%安と急落した。背景には中国の通貨、人民元の下落不安がある。中国は不安打ち消しに躍起になっているが、投資家心理は萎縮したままだ。
「ジョージ・ソロス氏の人民元と香港ドルに対する挑戦は成功しない」。26日、中国共産党機関紙の人民日報海外版は1面に商務省研究院の梅新育研究員による評論を掲載した。
梅氏は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でアジア通貨の空売りを宣言したという著名投資家のソロス氏に対して「中国経済は世界の大国のなかで相対的に好調で、昨年の成長率は米国の2倍だった」と強調。「中国経済のハードランディングは不可避」というソロス氏による“中国売り”を一蹴した。
梅氏が主張するように人民元は一時的に小康状態を取り戻している。人民元売買の基準となる対ドルレート「基準値」は26日まで3日連続で元高基調となった。中国人民銀行(中央銀行)による相次ぐ元買い・ドル売り介入と日欧の中央銀行による追加金融緩和期待の高まりが背景にある。
ただ中国の15年12月の外貨準備高は前月比1079億ドル(約12兆7000億円)減り、過去最大の減少幅となった。ピークの14年6月と比べ2割近い落ち込みだ。度重なる元買い介入は外貨準備の減少を通じてかえってソロス氏のような投資家を元売りに向かわせる逆効果を強めている。
加えて元安は中国の金融政策の自由度も損なっている。人民銀は26日、定例の公開市場操作(オペ)で計4400億元(約7兆9200億円)を供給した。1日の供給額としては約3年ぶりの高水準だった。
資金供給オペには満期がある。銀行は一定期間後に人民銀に資金を返済しなければならず、預金準備率の引き下げなどより緩和効果は限定的だ。
人民銀の馬駿チーフエコノミストは中国中央電視台(CCTV)の電話インタビューで「オペによる資金供給は預金準備率引き下げの代替だ」と述べた。預金準備率の引き下げは金利低下を通じて元安や資本流出を加速させかねない副作用があるからだ。
上海総合指数は26日、約1年2カ月ぶり安値水準まで下落した。中国政府はソロス氏に反論しても、個人投資家の信頼を失いつつある。
(上海=土居倫之)
1/28日経ビジネスオンライン 高濱賛『ヒラリーが予備選直前で失速、緒戦2州で敗北も』について
米国大統領選も混沌としてきました。ヒラリーの代わりに社会主義者と言われるサンダースがアイオワ、ニューハンプシャーで勝つ可能性が出て来たとは。以前、原丈人がアメリカで「公益資本主義」を唱えたときに、「君は社会主義者か?」と聞かれたという話を思い出しました。隔世の感があります。自由を尊ぶアメリカで政府の規制を大きくしようとする社会主義者が大統領選でいい線まで来るのは初めてではないかと思います。それもこれも8年間のオバマの失政が大きく、アメリカの威信をずっと傷つけて来ましたから。プーチン、習近平の為すが儘。ノーベル平和賞を貰っても世界平和に全然貢献していません。「世界の警察官を止める」発言が尾を引いています。1/29日経には『ハリス太平洋軍司令長官が「南シナ海航行拡大 オバマ氏への不満代弁」、中国の軍事拠点化止まらず』とありました。民主党と名が付く政党は日米ともにダメです。
ヒラリーはベンガジ疑惑(メールの私的利用)が、選挙が本格化すれば共和党から何度も蒸し返し追及されるでしょう。隠蔽工作をしたことが明るみになれば大統領選の候補となる前に、政治家としては終わりです。FBIもしっかり捜査して公表してほしい。
共和党のトランプは世論調査の数字のように本当に勝てるのかどうかです。遊説会場には追っかけや面白いかと思い物見遊山の気分で来ている人も多く見受けられます。それで焦って、女性キャスターの拒否、討論会不参加となったのかと。かなりナーバスになっている感じです。共和党はマルコ・ルビオが選ばれるのが理想です。
記事
民主党の大統領候補に名乗りを挙げているバーニー・サンダー氏。アイオワ州で行われた世論調査で、クリントン氏を上回る支持を得た(写真=AP/アフロ)
—米大統領選の予備選が2月1日、アイオワ州で火ぶたを切ります。それを前に、CBSが民主党員・支持者を対象に実施した世論調査で、バーニー・サンダース上院議員(47%)がヒラリー・クリントン前国務長官(46%)を抜いてトップに立ちました(1月26日現在、以下同)。サンダース氏はニューハンプシャー州でも支持率57%を獲得してクリントン氏(38%)を突き放しています。盤石といわれたクリントン氏に何が起こっているのですか。 (“Poll: Sanders edges Clinton in Iowa, leads big in New Hampshire,” Anthony Salvanto, CBS News, 1/24/2016)
高濱:米ニューヨーク・タイムズも「民主党指名争いは緒戦から民主党のあり方を巡る画期的な戦い(An epochal battle)になってきた」と驚いています。CNNが1月21日に公表した世論調査でも、サンダース氏(51%)はクリントン氏を8%リードしています。アイオワ州の民主党党員集会でサンダース氏が勝つ可能性が出てきました。 (“Hillary Clinton and Bernie Sanders Battle for Party’s Future,” Patrick Healy, New York Times, 1/25/2016)
伏兵サンダースが躍進
「党員集会での投票は、接戦になることは間違いない。サンダースが勝つ可能性も限りなく強まってきた」と予想する民主党アイオワ州支部幹部もいます。 (“Sanders: Clinton is running a ‘desperate’ campaign that lacks excitement,” John Wagner, Washington Post, 1/24/2016)
ただ最後の最後まで接戦が続くことは間違いありません。CBS世論調査の後にフォックス・ニューズが公表した世論調査では、クリントン氏が48%でサンダース氏が42%とひっくり返っています。 (“Latest Election Polls, RealclearPolitcs, 1/25/2016)
ニューハンプシャー州でサンダース氏が勝つのはほぼ間違いありませんから、クリントン氏は予備選緒戦で連敗スタートになるかもしれません。
ただし、問題は獲得する票数とそれに基づく獲得代議員数です。第2位になってもそれなりの票数を獲得できれば、後に続く州の予備選で逆転が可能だからです。 (“Iowa CNN/ORC Poll: Full Results, 1/21/2016)
アイオワ党員は「民主党エスタブリッシュメント」に反発
—これまで絶対優勢と言われていたクリントン氏はなぜ予備選が始まる直前で支持率を落としているのでしょう。
高濱:CBSとCNNの世論調査を詳細に見ていくと、いくつかのことが分かります。
第一にクリントン氏を支持するアイオワ州の民主党員・支持者は、外交と銃規制、テロ対策に対する同氏の姿勢を評価しています。
一方サンダース氏を支持する人は「ウォール・ストリート改革」、つまり大企業優遇政策の是正と税制改革をその理由に挙げています。「クリントン氏は民主党系大企業・労組から大口の選挙資金を集めている」と見る民主党員・支持者が多く、彼らは「クリントン氏には、ジョージ・W・ブッシュ時代から続いている大企業優遇税制を撤廃することなどできない」と判断しています。
CBS世論調査は、「あなたは、クリントン氏とサンダース氏のどちらが『今あなたが感じていることを一番とらえているか』(Gets it)」と党員・支持者に質問しています。これに対して、「サンダース氏だ」と答えた人は85%、「サンダース氏ではない」と答えた人は15%。「クリントン氏だ」と答えた人は65%、「クリントン氏ではない」と答えた人は35%となっています。「Gets it」ではサンダース氏がクリントン氏に20%も差をつけています。
面白いのは、「民主党の伝統的な価値観を誰が堅持しているか」との問いに、リベラル派のサンダース氏と答えた人が57%、クリントン氏と答えた人が38%だったことです。これがニューヨーク・タイムズが指摘する「画期的な戦い」なのです。
共和党でも一般党員・支持者は、不動産王のドナルド・トランプ氏やテッド・クルーズ上院議員を支持し、「共和党エスタブリッシュメント」(共和党穏健保守本流)が推すジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事やクリス・クリスティ・ニュージャージー州知事らに反発しています。ある選挙専門家は、それと似た現象が民主党内にも起こっていると筆者に指摘しました。つまり「民主党エスタブリッシュメント」(民主党穏健リベラル本流)に対する一般党員の反発がサンダース氏支持になっているというのです。1972年に急進リベラル派のジョージ・マクガバン上院議員が民主党の大統領候補になった時を彷彿させます。
それでいながら、民主党員・支持者は現状を理解しています。「本選挙で共和党候補に勝てるのはどちらか?」との問い対する回答は、「クリントン氏」が60%、「サンダース氏」が38%でした。こうした認識も共和党支持者の多くが「トランプ氏では本選挙には勝てない」と言っているのと似ています。
CNNの世論調査に答えた民主党員・支持者のうち、「投票する候補者を最終的に決めている」「ほぼ決めている」と回答した人が80%(男性の82%、女性の77%)に上っています。従って、この世論調査の結果がそのまま投票結果を示す可能性が大です。
NH州はサンダース勝利が確実
—ニューハンプシャー州の予備選はどうなりますか。
高濱:ニューハンプシャー州でも、サンダース氏への支持がクリントン氏を上回っています。その差は、CNNの世論調査では3%、CBS世論調査は19%。リベラル派が多くいる同州でサンダース氏が勝つことが確実になってきました。1月13日以降、現在までに実施された7つの世論調査でサンダース氏はすべてリードしています。各種世論調査の平均値を見ると、その差は14.6%になっているのです。 “New Hampshire 2016 Democratic Primary,” RealClearPolitics, 1/24/2016
クリントン氏はかってはリベラル派と呼ばれましたが、今の彼女をリベラル派と呼ぶ人は少なくなってきています。外交ブレーンの中に歴史学者のロバート・ケーガン氏のようなネオコン(新保守主義者)がいる、といったことが指摘されているからです。 (“The Next Act of the Neocons,” Jacob Heilbrunn, New York Times, 6/5/2014)
一方、米連邦捜査局(FBI)はクリントン氏の「メールゲート」に伴う国家機密漏えい容疑に依然として関心を持っているとする保守系メディアの報道もあります。サンダース氏が政治家として徹底してリベラリズムを貫き通してきたのに比べて、クリントン氏のリベラリズムは色あせて見えるわけです。 (“Page and Mclaughlin: The FBI will recommend prosecution for Hillary,” Ian Hanchett, Breitbart, 1/23/2016)
そこへいくと、自らを「民主社会党員」と呼ぶサンダース氏のクリーンなリベラリズムは、民主党の一般支持者にとって一服の清涼剤になっているのかもしれません。
尾を引くメールゲート疑惑
—緒戦でクリントン氏が連敗すると、その後の予備選はどうなるのでしょうか。
高濱:2月20日には西部ネバダ州、27日には南部サウスカロライナ州でそれぞれ予備選があります。そして3月1日には11州が同時に予備選、党員集会投票を行う「スーパーチューズデー」が待ち構えています。
CBSがサウスカロライナ州で行った世論調査ではクリントン氏60%、サンダース氏38%という結果が出ています。クリントンびいきの黒人票がクリントン支持率を押し上げているからです。緒戦で連敗してもサウスカロライナ州で挽回、そこで勢いをつけて「スーパーチューズデー」に臨む考えでしょう。その間にFBIが「メールゲート」捜査で追及の手を強めることがなければですが。
—不測の事態が起こったら?
高濱:その時はその時。出馬を断念したジョー・バイデン副大統領が急きょ立候補する可能性もあるでしょうし、無所属で立候補する可能性を探っている元ニューヨーク市長のマイケル・ブルンバーグ氏が大統領選に加わる可能性が高まるかもしれません。まさに政治の世界は「一寸先は闇」です。 “Michael Bloomberg Mulling Run for President as Independent,” Mara Gay, Wall Street Journal, 1/23/2016
1/27日経ビジネスオンライン 福島香織『中国の「越境拘束」、タイや香港で続発の脅威 中国に屈した周辺国で「知識人狩り」止まらず』について
中国の極悪非道ぶりは留まるところを知りません。米国だって昔はパナマのノリエガ将軍やホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領の拉致・拘束がありました。大国は身勝手ですが、まだ政府を批判できるメデイアの存在があるから良い。日本のメデイアのように反政府だけを唱えるのでなく、二重基準でもない所が良い。中国のメデイアは「党の喉と舌」ですからプロパガンダで人民抑圧機構の一つです。
日本にも旅行客のフリをして中国・公安の人間が入ってきて在日中国人の監視はしていると思います。朱建栄だって上海で7ケ月間拘束されましたが、日本でチエックしていて中国入国と同時に拘引したと思います。
人権侵害という概念が中国の為政者にはないと思います。中国の長い歴史の中で、民主的に為政者を選ぶ時代はありませんでした。ですから選挙で国民の代表を選ぶシステムを取っている台湾と中国は全く違った国と言えるでしょう。通貨発行権、関税自主権、独自の軍の存在、パスポートの発行権等どれをとっても中国とは別な国としての実体があります。ここまで違うものを何故無理やり一つの国と認めなければならないのでしょうか?香港も一国二制度の約束を反故にされました。雨傘革命は挫折しましたが、台湾の「時代力量党」の躍進で、香港でも新たな動きがあるようです。
記事
以前、このコラムで紹介した銅鑼湾書店関係者失踪事件は、恐れていたことが現実になった。中国当局が筆頭株主の桂民海(桂敏海)と李波を拘束していることを認めたのだ。タイのパタヤにいたスウェーデン国籍の桂民海や、香港にいた英国籍の李波が、中国公安当局の手元にいる。しかも、そのあとも、タイでネットニュースサイトの元編集者が忽然と消え、おそらくは中国公安に拘束されていると見られている。香港を含めた東南アジアで、次々と起こる「中国の越境拘束」。日本を含む国際社会は、なぜこの無法を問題視しないのか。事件の続報も含めて、今の中国や中華圏で起きている状況をまとめてみたい。
「中国のテレビで懺悔」の不自然
10月中旬、タイのパタヤのリゾートマンションから謎の中国人に連れ去れらたと伝えられていた香港の禁書書店・銅鑼湾書店の筆頭株主・桂民海は、1月17日、なぜか桂敏海という漢字一文字を入れ替えた名前で中国公安の拘束下にあることが公式に発表された。中国側によれば桂民海は通名であり、桂敏海が本名であるという。
例によって1月17日、本人がCCTVのニュース番組中で、罪を認め、懺悔した。彼は自ら2003年に起きた飲酒運転による女子学生死亡交通事故の犯人であることをテレビ画面に向かって告白し、2004年8月に懲役2年、執行猶予2年の判決を受けるも、怖くなって逃亡した。だが、遺族の気持ちを思うとやましくなり、自らの意志で中国に渡り中国公安当局に自首したのだという。
彼は「この件にスウェーデン政府が干渉することを望まない」と強調。「自分が1人の中国人であると感じている」と涙ながらに訴えた。
この顛末の不自然さは、多くの人が気づいている通りだ。本当に裁判で執行猶予付きであったならば、桂民海に逃亡の必要性はない。それよりも、2003年の事件について執行猶予付き判決を受けたのは本当に桂民海であったのか。事故記録にある桂敏海の名前と桂民海は同一人物なのか。23歳の寧波紡績学院の女子学生が飲酒運転の車にはねられて死亡したこの事件は当時、中国でも盛んに報じられた。
この時の報道では、犯人の名前は”桂某”と匿名であったが、事件を報じるCCTVの画面にちらりと「事故調査報告書」が映っている。それには容疑者は「桂敏海、46歳」とあった。公式の資料によると、桂民海は1964年生まれ、1985年に北京大学を卒業。とすれば2003年の事故当時、彼は39歳であり、桂民海と桂敏海は名前が一字違うだけでなく、年齢が合わない、ということになる。この不自然さに、一部の中国ネットユーザーから「中国公安当局のシナリオが甘い!」とダメ出しが出ている。
文革時代の「批闘大会」の現代版
そもそも、正式の起訴、裁判の前に、容疑者をCCTVのテレビカメラの前に連れ出し、弁護士の立ち合いもなく、自白と懺悔を行わせるというのは当然、中国の司法プロセスにおいてもおかしい。だが、習近平政権になってから、建前の司法ですら、尊重されなくなっており、この3年の間、人権派弁護士やジャーナリスト、知識人ら、中国当局にとって都合の悪い思想やイデオロギーを持つ著名人物を起訴前にテレビ画面上で自白、懺悔させ、世論に対する有罪印象を植え付けてから起訴、裁判を行うというやり方が常態化しつつある。
良識ある知識人はこれを文革時代の「批闘大会」(つるし上げ)の現代版だと鼻白む。一方で、国際的にも著名な知識人や企業家、弁護士といった”成功者”が、テレビ画面上で涙を流して懺悔する様子は、暮らしが一向に良くならず漠然と不満を抱える庶民にとっては中々の娯楽となっているという側面もある。
続いて、昨年12月30日、香港の書店の倉庫に行ったまま忽然、姿を消していた銅鑼湾書店のオーナーで作家の李波も、中国公安当局に身柄を抑えられていることが明らかになった。李波は23日午後、中国国内のホテルで妻と面会したと香港警察が発表した。妻は香港警察に対して、李波は証人の立場で中国の警察の捜査に協力しており、香港警察はこの問題にかかわらないようにと申し入れたという。
香港紙・星島日報はさらに、スクープとして李波が香港警察宛に書いた直筆の手紙と、李波と妻が面会した証拠として一緒に写っている写真を公開している。その手紙では、「自分は拉致されたのではなく、また買春によって警察に捕まったわけでもなく、香港警察は警察力を浪費する必要はない。内地(中国)で捜査に協力しているのは自発的なものだ。まだしばらく時間はかかりそうなので、どうか家族の安全を守って、これ以上騒ぎ立てないでください」と、訴えていた。
李波は17日に桂民海がCCTVで懺悔した翌日、妻に手紙を送っているが、それによると、「桂民海の来歴は非常に複雑で、それに私も巻き込まれた」という。
銅鑼湾書店関係者の失踪はこの2人以外に、店長の林栄基ら3人いるが、彼らの安否はまだ確認が取れていない。
「主権侵害」の知識人狩りが横行
たとえ李波の手紙が真実であっても、あるいは桂民海の懺悔が真実であっても、中国公安当局がとったプロセス自体は、明らかに香港やタイの司法、主権を無視したものである。いくら本人が望んだからといって、香港出入境管理当局や香港警察当局が知らない間に、香港から香港人あるいは外国人を中国国内に連れ出すようなことが許されて良いわけがない。ましてや、タイのような完全な独立国から、中国人を密出国という形で勝手に連れ出すなど、明らかな主権の侵害である。
タイではこの事件に続いて、中国人元編集者が失踪する事件が起きている。香港に拠点を置くラジオフリーアジアによれば、元南都ニュースサイトの編集者、李新が1月半ばにタイで失踪。妻は中国当局に拉致されたと考えており、知人を通じて、タイ警察に捜査を求めているが、タイ警察はこれを拒否しているという。
李新は中国政法大学法学部を卒業後、2007年に公民社会ネットという公民社会を提唱する情報サイトを設立。2010年にインドに留学し、2012年に帰国後、国家安全当局に軟禁され、海外における情報収集に協力するよう迫られた。早い話が、公民運動家としての人脈を持つ李新は、中国国家安全当局から半ば脅しによってスパイにリクルートされたわけだ。2013年から南都ネットの編集者を務めながらスパイ活動をしていたが、仲間への裏切り行為に耐えられず、昨年10月、中国から逃亡、各地を転々としたのち1月1日にタイに入った。妻は、1歳の子供をつれて昨年12月、香港経由で出国しようとしたが、深圳で足止めされたという。
実は、こういう事件は初めてではない。習近平政権の知識人狩りが始まって以来、雲南国境からミャンマーやベトナムを経由しタイに脱出を図る中国人政治亡命希望者は急増しているが、彼らが次々とタイやベトナムで拘束されているのだ。
2015年10月28日、タイ・バンコク市内で2人の亡命中国人民主活動家が逮捕された。姜野飛と董広平だ。2人は中国から政治犯として国際指名手配を出されていたが、2015年春までに国連の難民認定を受けていた。逮捕したのはタイ警察で、逮捕理由は不法滞在であるが、明らかに中国当局の差し金である。中国当局はタイ政府に強制送還費用や保釈金を出していた。
11月13日には中国政府の要請に従って強制送還された。この時、氏名は明らかにされていないが、バンコクにいた3人の中国人”難民”も一緒に送還されたという。
姜野飛は、風刺漫画家としてネットに習近平政権を揶揄するコラージュ写真や漫画を発表していた。董広平は「鄭州十君子」の1人でもある著名人権活動家。天安門事件、趙紫陽紀念などの活動に参加。2人とも何度も逮捕され拷問にもあったが、なんとかタイに逃げおおせ、難民認定されたのだった。
タイ、ベトナム、ミャンマー、香港で
タイはもはや、中国に対して国家としての主権を守るつもりもなく、タイ国内では中国当局に都合の悪い人間は失踪したとしても、タイ警察は捜査もしてくれないし、国連が難民と認定した人間に対しても不法移民として拘束して中国に強制送還する。こうした中国に対して主権を守り切れない国が東南アジアでは増えてきており、タイだけでなく、ベトナム、ミャンマー、1国2制度で司法が独立しているはずの香港でも同じような事件が起こっているし、これからも起こりそうなのだ。
余談ながら、タイでこうした政治難民華人が次々と捕まる背景には、李新のように、当局によってスパイにリクルートされて仲間に情報を売っている人間がいると見られており、東南アジアの政治難民華人ネットワークの間では、さまざまな疑心暗鬼とパニックも広がっている。
これは、非常に恐ろしいことで、習近平政権に批判的な言論活動を行っている中国人、あるいは外国人がタイや香港に旅行中に失踪したり、あるいは飲酒運転死亡事故を起こしたとして逮捕されたり自首したりするような事件が、これからどんどん起きるかもしれないのだ。中国に行くときは、それなりに注意深くなる人も、まさかタイのリゾートで中国当局に嵌められるとは思っていまい。
台湾の尊さ、改めて実感
先日、”中国関連ライター”の集まりのときに、中国のみならず香港や東南アジアに旅行するときも危なくなってきたな、という話になった。「クスリも買春も飲酒運転も絶対にやらないので、もしその手の容疑で私が逮捕されたと報じられたら、メディアに『そんなことをするような人ではない』とコメントしてほしい」と冗談まじりに言い合っていた。
中国の知識人狩りはもはや国内にとどまらず、海外にまで手を広げている。しかも外国籍の知識人までがターゲットになっている。それを許しているのはチャイナマネーに屈服し、中国の価値観、秩序に染まってゆく周辺国である。
そういうアジアの中で、民主選挙という方法で、有権者の意思で、中国経済依存にブレーキをかけた台湾は、だから本当に貴い主権国家だと思う。
1/26JBプレス 姫田小夏『中国「住宅が余りすぎだから農民に買わせてしまえ」 バブルのツケを農民に押し付ける見当違いの収拾策』について
中国人の考えそうな話です。農民に売れない土地を売ろうと言う発想はなかなか出てきません。貧しい農民には買えるはずはありません。金を持っていれば「民工」(=昔は「農民工」と言われていました)のように出稼ぎに出る必要もありません。問題は本記事にもありますように農村戸籍と都市戸籍です。档案と並ぶ基本的人権の侵害です。日本のように「法の下の平等」が保証されていないという事です。共産主義国は結果の平等を目指したはずですがそれすらできず、差別と格差社会になっているのが実態です。こんな国を理想としている朝日新聞を始めとした日本のメデイアは狂っているとしか思えません。朝日新聞もOBへの新聞の無料配布のストップや報酬減額のリストラに踏み切るようですが、まだまだ手を緩めることはせず、不買に協力して貰う人を増やしましょう。中国・北朝鮮の手先になって日本を貶め続けてきたわけですから。
分譲住宅の在庫が6億9637万平米とすると、1戸70㎡とすると1000万戸になりますがこんなものでないでしょう。日本の空き家が820万戸です。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/10_1.htm
中国は数字を誤魔化しています。大前研一氏は2、3年前に8000万戸と言ってましたから。大体人口が10倍ですから8000万戸くらいはあるでしょう。日本ほど豊かではありませんし。
農民に住宅ローンを組んでも焦げ付くだけです。農民に損失の「飛ばし」をやろうとして銀行の不良債権を増やすだけです。しかし、苛斂誅求の典型です。「生かさず殺さず」をイメージしてしまいます。国家とは何のために存在するのか、経世済民こそがその目的では。そこから一番遠いのが共産中国です。
話しは変わって、宜野湾市長選では自公の推す現職が勝って良かったです。琉球新報と沖縄タイムスは朝日より左で、中国の手先となって沖縄を中国のものにするような報道をしています。村田春樹氏の「三島由紀夫が生きた時代」のP.212~213には(1971年(昭和46年)12月30日)には
「私が奴らと論争したのはいくつもあるテントの中の司令部のテントだった。このテントの中になんと人民解放軍の将校が軍服を着て胡坐をかいてニコニコと座っていた。日本語が分からないようでほとんど反応しなかった。彼がこの部落の全共闘の指導者だった。彼の後ろには毛沢東と林彪の大きな写真が飾ってあったので、私が最後に、「林彪は失脚したのにどうして飾っているのだ」
と指摘したら、通訳されても意に介さず、嘘は信じないというようなことを言っていた。林彪失脚はその時点では一部の外電しか報じていなかったので、中共の在外の工作員には知らされていなかったのであろう。
復帰前で日本の統治権がないとは言え、沖綿で人民解放軍の将校が日本人の全共闘に軍事訓練を実施していた!私はこの目で見て当時はさほど驚かなかったが、今思えば驚天動地の出来事である。あの人民解放軍の将校は五ヶ月後の復帰後どうしたのだろうか。あの時テント村にいた多くの全共闘は今、年老いて今度は辺野古のテント村にいるのだろうか。ちなみに私は平成ニ十五年ニ十六年と二回辺野古のテント村に抗議に行ったが、昭和四十六年末の奥のテント村の方が遙かに巨大で人数も十倍くらいいたように記憶している。
そのあと奥にある旅館の人にご馳走して貰い、名護着。公民館に泊めてもらったらお茶お葉子はおろか、酒(泡盛)から野菜炒めまで出てきて大歓迎。その上、翌朝はお茶……と冲縛の人の人情 に感激した。実に感激した。」とあ.りました。その当時から中国は日本へ革命の輸出、侵略を考えていたということです。今でも辺野古のテント村には中国人・朝鮮人が多いと言われていますので、人民解放軍や朝鮮人民軍が入っているのでは。沖縄県警はキチンと逮捕・排除してほしい。翁長の宜野湾市長選での個別訪問でも同じく。
記事
中国の農村。不動産バブルのツケが農民に?(資料写真)
経済の失速に歯止めがかからない中国で、2016年の最大の課題となりそうなのが住宅在庫の処理だ。
1級都市を中心とする沿海部のいくつかの大都市では活発な住宅需要が見られるが、規模の小さい3~4級都市ではすっかり停滞している。
積み上がる住宅在庫は国家統計局の数字を見ても明らかだ。昨年(2015年)11月末、分譲住宅の在庫は6億9637(万?)平米に達した。2014年同期における分譲住宅の在庫は5億9695万平米だったから、この1年で在庫は約1億平米も増えたことになる。昨年9月末からの1カ月間には2122万平米が増え、過去最高の増加数を記録した。
こうした状況に対し、中央政府は強い危機感を抱いている。昨年末に翌年の経済政策の方向性を決める「中央経済工作会議」が開かれたが、この会議で初めて住宅の在庫問題が取り上げられた。
政府は、どのようにして在庫処理を進めるのか? 会議で出た“妙案”というのが、「農民に買わせる」というものだ。
会議に先立つ11月に、李克強首相は「『戸籍制度』の改革こそが住宅需要を喚起する」と述べた。
中国の都市部には常住人口が7.5億人いると言われるが、その3分の1にあたる2.5億人が、都市戸籍を持たない農村出身者だ。彼らは「民工」として都市部に集まり、都市部の発展を支えた貴重な働き手である。だが、中国には「戸籍制度」が存在するため、都市戸籍保持者と同様の教育や医療といった公共サービスを受けられない。都市部で住宅を購入することもできなかった。
そこで中央政府は、農村出身者も都市部で住宅を購入できるようにすれば在庫を処理できると考えたのである。
農民も住宅を持て余している
しかし、その施策への批判が高まっている。まず、中央政府は「農民がまだ住宅を持っていない」「都市部の住宅に憧れている」と見ているが、見当違いの可能性がある。
農民は住宅を持っていないわけではない。確かにぎりぎりの生活をしている“貧農”もいるが、その一方で、農村では多くの農民が2~3階建ての戸建てに居住している。農村の住民は自分たちの手で住宅を建てる習慣があり、都心部の集合住宅よりはるかに広い家に住むケースも珍しくはない。
不動産ブームが中国全土を席巻すると、地方政府と不動産業者が結託し、農民を立ち退かせて農地をどんどん宅地に転用させた。その際、それまで住んでいた家を手放して近代的な集合住宅に移転した農民も少なくない。全国的な宅地化の結果、農民もそれなりの家に住むようになったのである。
中には家を持て余している農民も存在する。筆者は、湖南省出身の中国人女性に話を聞く機会を得た。この女性は次のように語る。
「私の両親は数年前、湖南省のある町に分譲マンションを買いました。高齢の祖父を農村から呼び寄せ、家族で都市の郊外に居住しようと計画したのです。ところが今、その部屋には誰も住んでいません」
時間が経つにつれ、家族の誰にとっても必要ではないことが分かってきたのだという。女性はこう続ける。
「祖父は生まれ育った農村での生活を望んでいます。両親は商売のために省都に近い郊外で生活しています。私と弟も海外での生活に憧れており、そんな中途半端な町には住みたくありません。だから誰も住まないのです」
購入した部屋は、打ち放しのコンクリーが剥き出しのまま、内装も施されず放置されているという。「この住宅を借りたいという人もいません。価格は下がる一方ですが、売るにも売れない。まったく無駄な買い物だったというわけです」
同様の話は中国各地で枚挙にいとまがない。中国紙「経済視察報」は、こんな記事を掲載した。ある地権者が農地再開発に際して6戸の住宅を手に入れた。1戸目は自宅に使い、2戸目を犬小屋に使い、3戸目はハトの養殖に使っている。残りの3戸は空き家のままだ――。
また、そもそも農民に経済的な余力があるのかという問題が立ちふさがる。前出の中国人女性は、「農民に不動産を買わせるなら、価格を下げなければ無理だ」と訴える。不動産バブルによって、地方都市でも住宅価格が吊り上がった。農民の平均的な年収は1万元(約18万円)と言われている。その年収で都市部の住宅を購入できるのかという根本的な問いは避けて通れない。
現実的には政府が補助金を支給し、農地を売り払わせ、住宅ローンを組ませることになるのだろう。だが、当然こんな反発が沸き起こる。「農民はようやく『小康(まずまずの暮らし向きの意)』になった。その農民に新たに住宅を買わせれば、再び貧困に逆戻りだ」
こんな状況の中で農民が都市部の住宅を欲しがるとは、とても思えないのである。
解決には価格を下げるしかない
「農民による在庫処理」をたくらむ中央政府だが、それ以前に着手すべきことがある。例えば、住宅の保有に関する課税の見直しや、住宅価格の正常化などだ。
中国の不動産事情に詳しい日系企業の経営者はこう述べる。「中国では依然として住宅需要はありますが、価格があまりに高いので誰も買いません。市場を正常に戻すには、不動産業者が損を覚悟で価格を下げるしかないでしょう」
中国の「証券時報」も、「農民に含み損を抱えさせていいのか」「(不動産市場を正常化させる)唯一の方法は価格を下げることだ。不動産業者が損失を被るのは当たり前だ」と訴える。
「住宅を建てることが経済発展」という地方政府の勘違いで、中国の住宅バブルは膨れ上がった。今度は中央政府の見当違いで、バブルのツケが農民に回されようとしている。結局、農民に「トランプのババを引かせればいい」ということなのだろうか。
1/24日経『「ゾンビ企業」退治へ供給にメス=習体制、薄氷の改革=』、1/22日経『中国発で世界の市場混乱、アジア企業が防衛に動く 外貨債務前倒し返済 中国東方航空や宝山鋼鉄』について
中国のGDPは公式発表の6.9%ではなく、5%程度と言う人もいますが、李国強指数からいって水面下と思われます。1/26日経の記事「日中が新経済協議」の中で、「日銀と人民銀行は円と人民元を交換する通貨協定の再締結を交渉している。・・・・・・南シナ海の領土問題や歴史認識問題は残るが経済分野では連携を深める」とありました。どうせ裏で財務省が動いているのでしょうが(日銀は財務省の子会社でしょう)、大局観の無い連中です。日本の強みは経済しかありません。その経済を外交カードとして使わねば。南シナ海、歴史認識、東シナ海について中国が日本の言い分を聞いて初めてスワップを認めなければ。敵が苦しんでいる時に手を差し伸べるのは「愚か者」のすることです。
中国の過剰在庫、過剰雇用を外国への輸出で賄おうとする(「一帯一路」)と、世界にデフレを齎します。価格低下で自国の産業がダメになり、中国人が跋扈すれば自国の文化が駆逐(悪貨は良貨を駆逐する)されます。世界は中国のやり方に反対しないと。金に目が眩んではなりません。
中国系企業も人民元安を見据えて、外貨建て債務の返済を積極化しているという記事です。利に敏い中国人ですから、機敏に動くでしょう。日本人も中国市場から撤退を急がねば、と言っても手遅れかも知れませんが。完全撤退するには2,3年はかかるでしょうから。伊藤忠のCITICへの6000億円投資は失敗でしょう。
1/24記事
中国の景気減速を世界中が心配している。
2015年の成長率は6.9%と25年ぶりの低水準。それでも中国は本格的な景気対策へは動かない。それを宣言する記事が年明け早々の4日、共産党機関紙「人民日報」に載った。タイトルは「供給サイドの構造改革が新常態を導く」だ。 新常態とは高成長から中高成長への移行を指す。
それを実現するために需要拡大よりも、過剰な供給能力の解消に力を入れるというのが見出しの意味だ。具体的には余った生産設備を整理し、利益を出せない「ゾンビ企業」の淘汰を進める。
官製メディアが経済の構造改革の必要性を訴えるのは珍しいことではない。問題はこの文章の主語だ。
記事は「権威人士」が取材に応えるという形式をとっているが、SMBC日興証券の肖敏捷シニアエコノミストは「内容は、習近平国家主席の意向を強く反映している」と指摘する。 その根拠として挙げるのが「2つのテーブルで食事を用意したが、客が来たのは1つのテーブルだけ。 完食できない」などの独特の表現だ。過剰生産能力を例えたこの文章は、かみ砕いた言い方を好む習氏の特徴が強く出ているという。
そう思って読むと、記事の持つ重みが違ってくる。「各レベルの幹部を激励するとともに、監督もし続ける」。
内容に沿って動くかどうかが、地方の幹部の昇進を左右するとの通告だ。地方政府が保護し続けてきた赤字のゾンビ企業の整理はそれを象徴する。
需要刺激の抑制は、昨年の成長率を発表した19日の記者会見でも論点になった。
「融資の伸びは昨年が14.3%で08年が18.8%、固定資産投資の伸びは昨年が10%で08年が26.6%」。
王保安国家統計局長はリーマン・ショック時とは違い、無理に景気をふかしていないと強調した。
需要を刺激せずに企業を整理すれば成長率がさらに落ち、国内外に影響を及ぼす。国内の最大の懸念は雇用。不採算企業の淘汰はリストラを通して失業増を招く恐れがある。この点で人民日報の記事は「陣痛は避けられない」と指摘。王局長は会見で「雇用政策や失業保険の改善」などで対応すると説明した。
一方、海外は中国の需要減退に身構える。過剰生産能力を代表するのが鉄鋼。中国鋼鉄工業協会は昨年11月、公式の場で先行きの厳しさを打ち明けた。「鉄鋼の消費量は15年の6.9億トンから30年には4.9億トンに減るだろう」。需要の減少と設備の廃棄のいたちごっこはこれからも続く。その間、国内で余った鋼材が海外にあふれ出し、国際市況を揺さぶる可能性は否定できない。
年明けの株価下落への中国の対応は、市場の急変に不慣れで慌てるさまを露呈した(=市場経済を理解していないテクノクラートが施策を立案実行しているリスク)。だが景気への対応では当局の姿勢は揺らいでいない。 積年の課題である構造改革の断行は、基盤を固めた習氏だから可能だともいえる。だがそれは薄氷の上を行く道のりになる。
中国は社会不安を回避できるのか。今後も長く続く中国の減速に世界は耐えられるのか。国内外で緊張が続く。(編集委員 吉田忠則)
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中国経済の減速に端を発した通貨や株式、資源安が続く市場の混乱に対し、アジア企業が防衛に動き出した。中国では人民元安のリスク軽減へ航空や鉄鋼大手が外貨建て債務の前倒し返済を進める。東南アジアではマレーシアの国営石油大手ペトロナスが設備投資や人件費の500億リンギ(約1兆3千億円)削減を打ち出し、中国への輸出依存度を見直す企業も出てきた。市場の先行きが不透明ななか、アジア企業で財務面での対策やリストラが広がりそうだ。
急激な人民元安は一服したものの依然として先安観は強く、中国企業が対策を急いでいる。三大航空会社のひとつ、中国東方航空は4日、10億ドル(約1180億円)の外貨建て債務を前倒しで返済したと発表した。
航空会社はいずれも外貨建て債務が多く、元安によって返済負担が増すことを回避する狙いがある。長江証券によると、東方航空は人民元が対ドルで1%下落すると、為替差損が6億~7億元(100億~120億円)発生するという。
「為替差損の増加によって利益水準が大幅に減少した」。宝山鋼鉄は20日、2015年12月期の純利益が前期比83%減ったもようだと発表した。こうしたなか、同社も人民元の対ドルでの大幅下落を受けて、6月末時点で33億ドルあった米ドル建ての短期債務の前倒し償還に踏み切った。
ただ長期の米ドル建てのほか、ユーロ建てや日本円建てなど多額の外貨建て債務は残り、業績への悪影響懸念は続く。
為替デリバティブによって元安対策を進めるのが中国石炭最大手の中国神華能源だ。今年から為替デリバティブを採用し、元安リスクの回避を始めた。同社は昨年12月時点で円建て債務を454億円、ドル建て債務を10億ドル抱えていた。
為替デリバティブの採用は「外貨建て債務による為替リスクの発生を抑える」目的で為替スワップやオプション、先物取引によって為替リスクを回避するという。資源価格の下落に為替差損が重なる懸念が強いからだ。
台湾・仁宝電脳や韓国・ポスコ、中国以外の市場も開拓
中国向け輸出が全体の4分の1を占める台湾、韓国では他市場の開拓を目指す動きもある。
「インドのニューデリー郊外にスマートフォン(スマホ)用の工場を設置する」。台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、仁宝電脳工業(コンパル)の陳瑞聡・総経理は15日の記者会見で表明した。当初の月産能力は50万台で3月にも稼働させる。スマホ市場の成長力が比較的高いインドで現地生産し、需要を取り込む戦略だ。
韓国鉄鋼最大手のポスコは15年12月期に初の連結最終赤字になったとの見方が広がっている。ウォン安の進展で外貨建て負債の為替差損の発生が響いたもよう。収益力の強化へ、メキシコやタイなどで好採算の自動車用鋼板の販売を強化する方針を打ち出している。
マレーシアのペトロナス、設備投資など1.3兆円減
中国発の変調の影響は東南アジア企業にも広がる。マレーシアの国営石油大手ペトロナスは19日「原油価格下落に対応してコストの見直しを進めている」との声明を発表した。今後4年で設備投資や人件費を500億リンギ減らす計画が軸だ。中国の需要減退を起点に原油相場は年明けから一段と下げ資源関連企業で規模拡大の先送りが目立つ。
国を代表する企業の投資削減は幅広い企業の収益を圧迫する。CIMBグループなど大手銀行は一斉に人員削減に踏み切っている。雇用や所得への不安で個人消費が縮み、小売りなどに影響を与える可能性がある。
インドネシアの石炭大手アダロ・エナジーは中国依存の引き下げに動き始めた。中国向け輸出が売上高の1割強を占め、収益が悪化傾向にあるためだ。ガリバルディ・トヒル社長兼最高経営責任者(CEO)は1月上旬地元メディアに対し「発電所など国内での投資に力を注ぐ」と話した。
株式市場にも連鎖した。フィリピンのカジノ大手ブルームベリー・リゾーツの株価は年初から3割超下落。上海株下落で中国富裕層の利用が鈍るとの連想からだ。中国向けが好調だったシンガポールの健康器具大手オシム・インターナショナルの下落率も30%近い。
中国経済の減速は2つのルートで東南アジア企業を揺さぶる。中国の需要減退による販売低迷と中国の過剰生産による価格の下落だ。変調の兆しから一足早く他の市場開拓を進める企業もある。
タイ食品大手チャロン・ポカパン(CP)フーズは欧州の食品工場や外食企業の買収を続ける。親会社のCPグループは中国事業が成長の原動力となったが、中国依存を薄める。小売りのセントラル・グループも中国の店を閉める一方、独老舗百貨店3店を買収した。
ただこうした動きは一部にとどまる。各社は中国需要を見込み外貨建て債務を増やし、通貨安で返済負担に苦しむ。新たな成長戦略を打てる企業は限られるのが現状だ。
(上海=土居倫之、シンガポール=吉田渉、台北=山下和成)







