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『ヒラリー大統領誕生で日米関係はかつてない危機も ニューヨーク・タイムズ紙の辣腕記者が明かすヒラリーの本音』(5/24JBプレス 高濱賛)について
米国の世論調査のやり方は日本の世論調査と同じで固定電話でしているとのこと。これでは暇な老人しか対象にならず、結果に偏りが出ます。日本の左翼マスコミは誘導尋問に近い質問や、あまつさえ結果をいじったりします。心情的に中・韓と同じものを日本のメデイアは持っています。共産主義にシンパシーを持つ人は「目的は手段に優先する」と考え、「嘘も方便」とするのでしょう。邪悪な考えです。
ヒラリーは強欲、嘘つき、自己顕示欲の強い人間で好きになれません。ましてや民主党は中国に近い議員がおり、多分金で懐柔されているのだろうと思います。民主党の支持基盤である全米自動車労組もマフィアとの繋がりも噂され、ジャック・ニコルソン主演の映画『ホッファ』にもなりました。まあ、大統領がマフィアと繋がりがあり、暗殺されるケースがある国ですから。
共和党はRepublican Party =Grand Old Party=GOPと呼ばれ、リンカーンが奴隷解放宣言を出した偉大な政党です。ところが、リンカーンの意に反した人種差別を広言するトランプが共和党の大統領候補となりました。歴史の皮肉でしょうか。いくら、厳しい選挙レースがあるからと言って禁じ手のような気がします。ただトランプに言わせれば「こうでもしなければ、メデイアは取り上げず、選挙に生き延びれなかった」との弁解がありました。
オバマは力の行使を極端に嫌がります。戦争嫌いとも言われますが、戦争が好きな人はそんなに多くないでしょう。日本人であれば100%に近いと思います。ただ、力の行使を躊躇すれば悪が蔓延ります。警察や軍の存在はそれを防ぐためにあります。中国やロシアの侵略は、オバマでは反撃してこないと読んだからです。理念だけでは平和は守れませんし、9条を守る会のように念仏を唱えるだけで平和が守られる筈がありません。抑止力があって初めて戦争が回避できるのです。そうしなければ奴隷の平和が待つのみです。オバマは口先だけで行動がないと言われてきて、ここにきてレガシー作りに勤しんでいます。広島訪問は日本人として喜ぶべきことと思っています。謝罪は不要ですが、「死の行進」の生き残りの兵士を連れて来なくとも良かったのでは。連れて来る意味が良く分かりません。原爆の悲惨さを彼らに見せ仇を討ってやったと思わせるのか、戦争は非人間的行為を誘発するという事を悟らせるのか?オバマのことですから後者だと思いますが。
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オバマには「レガシー作り」しか頭にない
米民主党大統領候補指名争い終盤戦をよそにバラク・オバマ大統領は、あと6か月の任期をレガシー(遺産)作りに懸命だ。
とにかく大統領として歴史に名を残したくて仕方がないのだろう。
その手段は、ノーベル平和賞に輝いた「核廃絶」宣言の上塗りであり、旧敵対国との和解だ。歴代大統領がやろうとしてできなかったことを6か月の間に成し遂げようというのだ。
こう見ると、キューバ訪問にしてもベトナムや被爆地・広島訪問にしてもその狙いが手に取るように分かってくる。後世の史家は「ベトナムを訪問した最初の現職米大統領」「広島を訪れた最初の現職米大統領」としてオバマ氏の名前を未来永劫記録することだろう。
国内政策では、全米の公立学校区と大学に対し、心と体の性が異なる「トランスジェンダー」の生徒・学生が自身の認識する性のトイレを使用できるよう義務づけるガイドラインを通達。LGBT(性的少数者)の権利を保護するのが狙いだ。

南部中西部の保守的な州では反発が起こっているが、オバマ大統領は意に介さない。
大統領の3選はないのでオバマ氏が再選されることはない。従って選挙民の動向を心配する必要もない。米議会共和党とは完全な絶縁状態にある。
「やりたい放題のレイムダック大統領(任期切れ間近の大統領)」と皮肉る共和党幹部もいるくらいだ。
「オバマ大統領の民主党」の次期大統領候補を決める代議員獲得競争ではヒラリー・クリントン前国務長官が大きくリードしている。
しかし各州ごとの最高得票数争いでは伏兵バーニー・サンダース上院議員(バーモント州)が19勝23敗2分(5月19日現在)で善戦している。同上院議員は最後まで撤退しないと明言している。
世論調査は必ずしも選挙結果を見通せず
サンダース善戦の背景についてこんな指摘がある。
「ヒラリーはもともとオバマ政権の国務長官だった人間。民主党系労組や大企業から巨額の政治資金を得ている。ヒラリーが大統領になっても政治が抜本的に変わるとは思えない。民主党の一般党員や支持者がヒラリーに反発しているのはそのためだ」(米大手紙政治記者)
「ヒラリーが一部でなぜ嫌われているかだって?そりゃ、あの高慢ちきな人間性だよ」(ロスアンゼルスのレストラン経営者、白人中年男性)
が、クリントン指名に向けた流れは変わりそうにない。指名決定まであと、90人の代議員数を獲得すればいい。サンダース氏はあと850人必要だ(5月19日現在)。
当然のことながら米国民の関心は、そのヒラリー氏と共和党大統領候補が確実視されてきた不動産王、ドナルド・トランプ氏との一騎打ちに注がれている。
ここ1~2週間、トランプ氏が僅差でヒラリー氏をリードしているといった世論調査結果も出ている。予備選を振り回してきた世論調査が果たして本当に民意を反映しているのか。疑問視するものも少ない。
「現在実施されている世論調査はすべて電話で行われている。が、米国内では固定電話所有者数は年々減っている。電話をかけてもなかなか受話器を取らない人が増えている。電話回答する層は暇なリタイア組、白人中高年層が多い。世論調査機関の老舗、ギャラップなどは大統領選の世論調査を一切やめているのはそのためだ」(カリフォルニア大学バークレイ校ジャーナリズム大学院教授)
理想主義者オバマと現実主義者のヒラリー
本選挙までまだ6か月ある。何が起こるか分からない。
少し先走りすぎかもしれないが、「ヒラリー大統領」ってどんな大統領になるのか。オバマ大統領とはどこかどう違うのか。政治理念、政治手法の違いはなにか。いずれ論じられる興味深い命題だ。
本書「Alter Egos: Hillary Clinton, Barack Obama, and The Twilight Struggle over American Power」はそれを予測するうえで貴重な材料を提供している。
著者は、ニューヨーク・タイムズのマーク・ランドラー記者。外交、内政なんでもござれのベテラン・ジャーナリストだ。クリントン国務長官(当時)の国務省を担当、外遊には常に同行、外交の第一線から鋭い記事を送ってきた。その後オバマ大統領のホワイトハウス詰めとして現在に至っている。
本のタイトルは難解だ。著者がこの本で書きたかったすべてがこのタイトルに凝縮されている。
Alter Egoは日本語でも「アルター・エゴ」つまり「分身」だ。リベラリズムを標榜する2人はその意味では「一心同体の友」だ。
「2人ともリベラルな国際主義者だ。ルールに基づく秩序を重んじ、第2次世界大戦後、ハリー・トルーマン第33代大統領とディーン・アチソン国務長官とが築き上げた戦後体制を堅持することでは完全に一致している」(著者)
ところが危機に直面した際の2人の対応は異なる。米国という国家が持つパワーを国際社会でどう行使するか、という外交理念で2人は大きく異なるからだ。
ムバラクを見捨てたオバマに反発したヒラリー
チュニジアで長期政権を倒したジャスミン革命に触発されて2011年1月から2月にかけてエジプトで起こったエジプト革命。約30年にわたり大統領の座に座り続けてきたホスニー・ムバラク大統領の退陣を迫った大規模なデモは、まさに騒乱だった。
少なくとも850人が死亡、約5500人が負傷した。
オバマ大統領は直ちにデモを支持し、ムバラク退陣に賛同した。しかしヒラリー国務長官は違った。
長年にわたり米国との同盟関係を堅持してきたムバラク大統領の退陣には慎重な姿勢を見せていた。オバマ大統領はこうしたヒラリー氏のスタンスに激怒したと著者は書いている。
「しかしながらオバマとヒラリーの間に生じた意見対立は、それがイラン問題にしろ、シリア、中国問題にしろ、中身に関するものではなく、むしろ戦術面でのものだった。つまり2人ともリベラル派国際主義者という点では同じだった。だからイスラム国(ISIS)を巡る意見対立も実は戦略面というよりも戦術面でのものだった。言い換えると、方向性というより程度の問題に関してだった」
外交理念の違いは2人の出自にあり
その違いはその出自と育った環境にある、と著者は指摘している。
「オバマは幼児・少年期にシングルマザーとともにインドネシア、ハワイで過ごす。米本土に住む米国人の子供に負けないだけの学力をオバマにつけさせようと母親は孤軍奮闘する。そのために絶えず本を読ませた。オバマはアフリカ人の父と白人の母との間に生まれた混血児だ。人種的偏見や差別を痛いほど経験してきた」
「一方のヒラリーは、中西部シカゴ近郊の保守的な町で育った。父親はゴリゴリの反共主義者だった。熱烈な共和党支持者だった。だからヒラリーは学生時代にはボランティアで共和党候補を応援した」
「ヒラリー自身、かって『私の政治信条は生まれ育った保守主義に根づいている』とまで述べていた。その後民主党に転向、リベラル派弁護士として社会の不正義、女性差別、人種差別に立ち向かう。だがヒラリーのプログレッシブな言動はあくまで保守的な基盤に根差していたと言える」
「オバマは自制的であり、内向的であり、痛いほど自らをがんじがらめにしている制約に敏感だった。一方のヒラリーは、鋭角的であり、プラグチックであり、厚かましくて、オールドファッション(古風な)なところがあった」
「オバマは理想主義者だった。米国が他の国は異なる国家だという考え方には組みしなかった。国家安全保障についてはナイーブなところがあった。一方のヒラリーはリベラル派干渉主義者だった。米国には神から与えられた不正義と戦う任務があると信じていた」
イラン核合意にいちゃもんつけたヒラリー
2人の考え方の違いは、2008年の大統領選予備選でも露呈した。
公開討論会で司会者から「大統領就任1年目に無条件でイラン、シリア、ベネズエラ、キューバ、北朝鮮の指導者に個別に会うか」と聞かれたオバマ氏はまごうことなくこう答えている。
「私は会う。一定の国の指導者と会って、話をしないという考え方は馬鹿げている」
一方のヒラリー氏は「イランの指導者はイスラエルと米国を完膚なきまでに打ちのめし、抹殺すると言っていることを忘れてはならない」とイラン指導者と無条件で会うことには難色を示した。
おかしなことだが、あれから8年後、当時のオバマ氏と同じようなことを言っているのは今を時めくドナルド・トランプ氏だ。無条件で金正恩委員長と会うと言っている。
国務長官辞任後、ヒラリー氏はオバマ大統領の外交政策について批判がましいことは一切口にしなかった。
ただ大統領選立候補を表明して以降は、そうしたスタンスが微妙に変わってきている。
2015年7月、オバマ大統領はイランとの「包括的共同行動計画」(JCPOA)で合意した。イランは今後10年、核開発が大幅に制限された。オバマ大統領はこの合意を「最強の核拡散防止合意だ」と自画自賛した。
ところがヒラリー氏は「私の外交交渉上の出発点は常に相手の出方を疑うところから始まる」と慎重な言い回しで、この合意にいちゃもんをつけている。
ヒラリー氏は、オバマ大統領が金科玉条にしてきたTPP(環太平洋経済連携協定)についても微妙な言い回しになってきている。むろん、民主党の強力な支援団体の労組の顔色を窺ったポーズだ。
票目当ての選挙時の発言だということを差し引いても「オバマ離れ」が見え隠れしている。
「ヒラリー大統領」がオバマ外交路線をそのまま踏襲すると見るのは甘いかもしれない。「ヒラリーのアメリカ」はリベラル派の看板を掲げながら、その実、「オールドファッションな保守路線」に舵を切るかもしれない。
訪日のたびに元ファーストレディの「特権」を生かして「旧知の皇后陛下」とハグし合う「ヒラリー大統領」は知日派ではあっても「親日派」とは限らない。
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『あなたに真似できる? トランプ氏の悪の交渉術 大衆やマスコミを知り尽くした、老獪な戦略家
5/25日経朝刊によれば<トランプ氏支持率が逆転、クリントン氏を僅差で 米サイト
【ワシントン=川合智之】米大統領選の共和党候補指名を確実にした不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は支持率で民主党のヒラリー・クリントン前米国務長官(68)を初めて逆転した。これまで本選はクリントン氏の勝利予想が多かった。対日政策にも大きな影響を与える米大統領選は混戦模様になってきた。

米政治専門サイト、リアル・クリア・ポリティクスが集計した主要世論調査の平均(13~19日)によるとトランプ氏の支持率は43.4%で、クリントン氏の43.2%を僅差で上回った。直近の調査でトランプ氏に軍配が上がる結果が相次いだためで、米紙ワシントン・ポストなどの調査で2ポイント、FOXニュースは3ポイント差でトランプ氏が優位だった。
両氏の支持率は人種や性別で大きく異なる。男性の支持率はトランプ氏が上回るが、逆に女性の多くはクリントン氏を支持する。白人の多くはトランプ氏支持、黒人やヒスパニック(中南米系)はクリントン氏支持だ。
4月にはクリントン氏が10ポイント前後の差を付けていた。ただ、民主党のバーニー・サンダース上院議員(74)が「最後まで戦い続ける」と大統領予備選の撤退を拒否し、クリントン氏を攻撃。5月以降の予備選はサンダース氏が優勢だ。
本選では選挙結果が年ごとに揺れ動く激戦州での勝敗が鍵を握る。このため、全米の平均支持率はあてにならないとの見方もある。ただ、激戦州であるフロリダ州やオハイオ州などの直近の調査では、クリントン氏とトランプ氏は数ポイント以内の接戦になるとの予測があり、トランプ氏の勢いは止まらない。
支持率が逆転した原因はクリントン氏への不信だ。トランプ氏の暴言に注目が集まりがちだが、クリントン氏への反感も根強い。トランプ氏とサンダース氏の原動力は有権者の政治不信。大統領夫人や国務長官など政界の中心に長くいたクリントン氏は既存政治の象徴とみなされている。
両候補ともに党内からの反発を抱えているため、党内の亀裂を補えるような信頼が厚い副大統領候補を選ぶのではとの観測が出ている。トランプ氏は副大統領候補の条件として、政治経験があり選挙で選ばれた人物だと語った。女性州知事や撤退した大統領候補らの名が取り沙汰されている。
一方、クリントン氏が本選で勝つには、熱心なサンダース氏支持者の取り込みが必須となる。サンダース氏の一部支持者が「クリントン氏に投票するならトランプ氏に入れる」と反発。民主党は本選の対応で分裂する懸念も出ている。
クリントン氏は米CNNテレビのインタビューで、サンダース氏の副大統領起用の可能性を問われ「それは今後考えることだ」と否定しなかった。環太平洋経済連携協定(TPP)への反対や金融機関の規制強化といったリベラル色が強い政策に、クリントン氏が影響される可能性もある。>(以上)
リアルクリア・ポリテックス、ワシントンポスト、FOXの3社の支持率の世論調査でトランプがヒラリーを上回りました。
また、ヒラリーの元選対が中国人からの違法献金の疑いでFBIの捜査を受けているとのこと。
http://www.sankei.com/world/news/160524/wor1605240036-n1.html
FBIはベンガジ事件や職務上のメールの遣り取りを自分のサーバーでしていたことなどの法的証拠が掴めないため別件から追い落としを図っているのかも。或は、元選対のモコーリフ・バージニア州知事と司法取引するつもりかもしれません。ホワイトウオーター事件が蒸し返される可能性もあります。法的には時効になったとしても政治的なダメージは大きいでしょう。
今度のサミットの隠れた主役はトランプという見方もあります。英国のEU離脱はロシアが裏工作しているとの話もありますが、離脱の可能性は少ないと思います。離脱は益々中国依存が強まるだけで、経済崩壊が言われている中国と心中する判断はしないと思うからです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48695
トランプの交渉術は中国と一緒です。10倍くらいの値段を吹っかけ、そこから値段を下げて行く。自分に都合悪い話は、話をすり替える。相手を驚かして自分の土俵に持ち込む。日本人は誠実さを旨としているので、こうやられると胆を潰してすぐ相手の言いなりになります。だから事実でない南京虐殺や慰安婦で苦汁を舐めさせられているのです。国際化社会で生きていこうとすると強かさを身につけないと。イカサマ麻雀をすることはありませんが、相手のイカサマを見抜く目を持たないと損します。ヒラリーが脱落してトランプが大統領になる可能性は高くなってきました。日本政府も入念に準備してほしい。外務省だけでなく民間の声も聴いた方が良いと思います。
記事
ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に向けて共和党の候補者指名を確実にした。昨年、共和党の予備選挙への立候補を語り始めたときは、誰もが冗談にしか思っていなかったのだが…。
立候補を正式に表明したのは昨年6月。その数週間前の世論調査では、共和党候補者としてのトランプ氏の支持率はわずか3%。10人以上いた共和党の候補者の中では、泡沫候補だった。それなのに立候補表明後、次々とほかの候補者を撃破し、11カ月後の2016年5月には共和党の大統領候補となることを確実にしたのだから、驚くほかない。
トランプ氏は、長年にわたり世界一の大都市であるニューヨークにおいて不動産ビジネスを行い、成功を収めた人物である。不動産ビジネスに不可欠なのは交渉力やPR力。トランプ氏がこれらの手法に長けた「達人」であろうことは間違いない。そしてその手法を今回の予備選挙でも駆使している。
トランプ氏はどのようにして共和党の予備選を勝ち抜いたのか、そして、われわれ日本人がトランプ氏の手法から学べることはあるだろうか──。今回は、トランプ氏の「悪の交渉術」「悪のPR術」について考察する。

過激な発言をすればするほどマスコミが大きく取り上げることを熟知したドナルド・トランプ氏。マスコミもトランプ氏の老獪な戦略にはめられたか? (写真:The New York Times/アフロ)
攻撃をしかけてくる「プチ・トランプ」氏は海外では珍しくない
まず最初に前もってお断りしておく。言うまでもなく、トランプ氏の手法は必ずしもほめられたものではない。アメリカ国内においても多くの非難を受けている。ましてや、われわれ日本人にとっては思わず顔をしかめるような、品のない手法も数多い。
しかし、私がアメリカで弁護士として長く仕事をした経験から言うと、時折、われわれ日本人の常識では考えられないほど、品のない攻撃をしてくる弁護士が出てくることがある。プチ・トランプ氏とも言えるようなタイプである。トランプ氏を見ていると、私は以前に対峙したことのあるそういった弁護士たちをつい思い出してしまう。
日本社会も国際化が進んでいる以上、こうした攻撃的な人物に背を向けているだけでは、やられてしまうだけだ。トランプ氏から学ぶべき手法もあるかもしれない。あるいはトランプ氏のような戦略を取るのは控えるにしても、交渉の場に同じような交渉相手が出てきたとき、動揺せずにその狙いを探り、冷静に対応する心の準備はできるようにしておきたい。
ここでは共和党予備選挙戦中に見られたトランプ氏の交渉術やPR術について分析してみたい。私が思うに、トランプ氏の手法には以下の3つの特徴があるように思う。
「トランプ氏の手法の特徴」
① 「高い(無茶な)要求」から始める ② 相手を攻撃する ③ 非常識な発言でとにかく注目を集める
①から順に説明していこう。
① 「高い(無茶な)要求」から始める
交渉術のセオリーの1つとして挙げられるのが、「高い要求からはじめる(“Start high”)」というものだ。アメリカ国民もこのセオリーについてよく知っている。トランプ氏は、この“Start high”を以下の2つの観点から駆使している。
(1)自分の交渉力のアピール
トランプ氏は、「不動産ビジネスを通じて培った自分の交渉術は、アメリカ大統領としての職務を行うにあたり大いに役立つはずだ」と繰り返し主張している。
・「イスラム教徒の外国人の一時入国禁止」 ・「1100万人の不法移民の国外への強制送還」 ・「メキシコ国境への壁の建設」
上記のような無茶な政策はいずれも、移民国家であるアメリカの政治家が本来、主張するはずもない荒唐無稽なものだ。だからこそ、マスコミがこぞって大きく報道する。
トランプ氏はビジネスにおける豊富な経験から、「すべては交渉だ」と考えているふしがある。そしてアメリカ人はたいてい、交渉における強者が好きで、交渉の達人を称賛する。もし大統領になったとすれば、交渉技術を駆使してとてつもなく「高い(無茶な)次元」から交渉を始めるであろうトランプ氏を、アメリカ人は頼もしく思う。実際にはそこまで強硬にできないかもしれないし、譲歩もするはずだが、最初に浴びせるパンチの強烈さゆえに大きな見返りを得るかもしれない。そういう期待感がある。
(2)有権者そのものを交渉相手とみなしている
トランプ氏は、有権者そのものを交渉相手とみなし、無茶な要求や発言を繰り返してきた。例えば、「イスラム教徒の外国人は一時入国禁止」「メキシコ人はレイプ犯」といった発言である。これらの発言はあり得ない発言としてアメリカ中で強く非難された。アメリカにはイスラム教徒やメキシコ系(ヒスパニック)がたくさんいる。彼らは、怒り、恐れている。しかし、それも計算の範囲内かもしれない。大統領選挙の本選が進むにつれて、徐々に軌道修正してくるのではないか。
今後、トランプ氏がイスラム教徒やヒスパニックに「やさしい」メッセージを送れば、最初がひど過ぎた分、改心した良い人に見えるかもしれない。無茶な発言から始めることにより、軌道修正した後の自分をよく見せようとしているのかもしれない。
② 相手を攻撃する
トランプ氏は自らの行動において、相手を攻撃することに重きを置いている。トランプ氏の著書「Trump: Art of Deal」(邦題:『トランプ自伝――アメリカを変える男)に以下のようなフレーズがある。
”…when people treat me badly or unfairly or try to take advantage of me, my general attitude, all my life, has been to fight back very hard.” =「人が私を悪くあるいはアンフェアに扱ったり、あるいは足元を見たりした場合、私の通常の態度は、私の人生を通して、極めて激しくやり返すというものだ」。
しかし実際には、やられたらやり返す、というよりは、やられる前に攻撃をしかけているように見える。まず共和党の候補者が攻撃を受けた。トランプ氏は予備選の間、対立候補者を次々とこき下ろし続けている。
驚いたのは、女性のルックスさえも攻撃の対象にしたことだ。攻撃されたのは、最後までトランプ氏と競合を続けたテキサス州選出の上院議員のテッド・クルーズ氏の妻。トランプ氏は、自らのツイッター上で、自らの妻である元モデルの美しい顔写真とクルーズ氏の妻の写りの悪い顔写真を並べ、「写真は何千もの言葉より価値がある」などと対立候補の妻のルックスをこき下ろした。クルーズ氏は、はらわたが煮えくり返ったに違いない。
唯一の女性候補者であった、元ヒューレット・パッカードCEOのカーリー・フィオリーナ氏に対しても同様だった。「あの顔を見ろ! 誰が投票するんだ? あの顔が我々の次の大統領だと想像できるか? 女性だから悪いことは言いたくないが…しかし本当に、本気か?」などと、やはりルックスを対象とした攻撃をし続けた。特に女性の権利に敏感なアメリカではありえない下品な攻撃だ。
対立候補をバカにするようなあだ名をつけるのも特徴である。フロリダ州選出の上院議員であるマルコ・ルビオ氏に対しては“Little Marco”(「ちっちゃなマルコ」)と呼び続け、からかっていた。また序盤戦は共和党のトップを走っていた元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏に対しては“a very low-energy kind of guy”(「全く精気のないやつ」)、“Spoiled Child”(「甘やかされた子供」)などと馬鹿にした発言を繰り返した。クルーズ氏には、予備選中、ずっと“Lyin’ Ted”(「うそつきテッド」)と呼び続けていた。
さらには、クルーズ氏に対しては「実は父親がケネディ大統領の暗殺にかかわっていた」とか、まったく根拠のない無茶苦茶なコメントを出したりもしていた。ほかにも沢山あるが、これ以上は控える。
こういった言葉による攻撃は、米国の大統領選挙に出るような、世の中の道理がよくわかった69歳の大人が、対立候補に言うはずのないような品のないものばかり。ほかの候補者は、いじめっ子の悪口のような下品な攻撃を受け続けて、だんだん嫌になってきた、という影響もあっただろう。有権者の目にはそういった候補者が弱者に見えてくる。そうなれば支持率が落ちる。選挙戦からの撤退につながる。トランプ氏は、こうやって対立候補の戦意を喪失させ、支持率を下げて撤退させていったのだ。
これからの大統領選挙の本選の相手となるだろう民主党のヒラリー・クリントン元国務長官。さっそく“crooked Hilary”(「不正なヒラリー」)などと呼ばれている。今のところクリントン氏は「トランプ氏の攻撃による挑発には乗らない」と言っている。挑発を無視し続けることができるのか、それで有権者の支持が得られるのか、あるいはどこかで反撃に転じるのか、これからが見ものだ。
あからさまな争いを好まないわれわれ日本人からすると、トランプ氏の公の場での対立候補への手ひどい攻撃にはびっくりさせられる。しかし、前述したが、敵対的な国際交渉の場には、時に相手方にこういった攻撃をしかけてくることを何とも思わないような人物がいる。相手が嫌な思いをしようが、相手が傷つこうが、下品なやつと思われようが、自分の目的のためには関係ない。交渉相手が戦意を喪失して、交渉を続けたくなくなって、しぶしぶ多額の支払いに応じてくれば、それでよい。こうした人物が交渉相手の場合は、対抗意識を高く維持し、戦意を喪失しないようにこらえないといけない。
③ 非常識な発言でとにかく注目を集める
トランプ氏は、アメリカの4大ネットワークの一つであるフォックス・ニュースのインタビューで、メキシコとの国境に壁を建設することについて、“Not negotiable”(「交渉の余地なし」)と強調している。つまり自分が大統領になればメキシコとの国境に必ず壁を建設する。交渉の余地はない、と言い切っているのだ。
トランプ氏によれば、この壁の建設コストはざっと100億ドル(約1兆900億円)。しかもこれにかかる費用を全てメキシコに負担させると言っている。アメリカのメキシコに対する貿易赤字は580億ドル(約6兆3220億円)。しかしトランプ氏は涼しい顔で「メキシコにとっては(対アメリカ)580億ドルの黒字なんだから、100億ドル程度の負担は悪くはないだろう」と言っている。途方もない主張だ。
「イスラム教徒の入国禁止」も常識はずれの主張だし、いじめっ子の悪口のような対立候補への攻撃もアメリカ大統領選挙の予備選のものとは思えない非常識なものばかりだ。
この狙いは何だろう。マスコミに取り上げさせるためである。マスコミはトランプ氏の要求の途方のなさ、品のなさに驚きながらも、だからこそ、対象となったヒスパニック、イスラム教徒、共和党の候補者たちにコメントを求める。彼らは反論したり、攻撃し返したりする。それに対してトランプ氏は「倍返し」で応える。
有権者にとっては、報道が過熱するほど、面白いショータイムとなる。トランプ氏とすれば、相手を傷つけたり怒らせたりしても、有権者に下品だと思われても、とにかく自分中心のショーを見せることができる。自分に注目が集まる。それを狙っていたのだ。
トランプ氏は著書『Trump: Art of Deal』の中でこうも述べている。
”One thing I’ve learned about the press is that they’re always hungry for a good story, and the more sensational the better… The point is that if you are a little different, a little outrageous, or if you do things that are bold or controversial, the press is going to write about you.” =「私がマスコミについて分かったことの1つは、彼らはよい(面白い)話にいつも飢えていて、そしてそれはよりセンセーショナルなほうがよいということ。もしあなたが(他人と)少し違っていたら、あるいは少し常軌を逸していたら、あるいは大胆あるいは物議を醸すようなことをしたら、マスコミはあなたについて書いてくれるということだ」
ちなみにこの本は1987年に出版された。それから30年近くたった後の大統領選挙においてトランプ氏は自著に書いたことを実行している。そして今までのところは功を奏しているようだ。
マスコミは、トランプ氏の術中にはまった?
もっともアメリカ人の多くもその手法について気づき始めている。つまりマスコミがトランプ氏の術中にまんまとはまったことにより、トランプ氏が成功したということだ。オバマ大統領も任期中最後となった毎年恒例のホワイトハウス記者会ディナーにおいて、皮肉を込めて記者たちに次のように述べている。
”I hope you all are proud of yourselves.” =「あなた方皆が(トランプ氏の快進撃をもたらしたことについて)誇りに思っているといいのだが」
つまりマスコミによるトランプ氏についての過熱報道がトランプ氏を作り上げたとジョークを通じて示唆したのだ。
ちなみに日本もトランプ氏の攻撃の対象である。「駐日米軍の経費を全額負担させる」などと発言している。日本の政治家は、真に受けて心配し始めているかもしれない。しかしトランプ氏は、交渉で勝つために、日本に対しても「高い要求」から始めている。そのために攻撃をしかけているのだし、またあえて常識からかけ離れた主張を繰り返しているのだ。真に受けて対応しなくてよいのではないかと私は思う。日本の有力政治家が反論すれば、それはアメリカでもニュースになる。それこそトランプ氏の思うつぼである。
日本人ビジネスマンとして、トランプ氏から学べる教訓について考えてみよう。例えば、交渉相手や競合相手から自社への手ひどい攻撃がニュースになったようなときである。それは相手が「仕掛けた」ことかもしれないので要注意だ。下手に同じ土俵で対抗すると、火に油を注ぎ、エスカレートさせてしまう恐れがある。地雷を踏めば、状況はさらに不利な状況になるかもしれない。そうならないよう、相手の真の狙いを見極めて冷静に対応することが大切だ。
以上、トランプ氏の交渉術やPR術について考察してきたが、必ずしも日本のビジネスマンに真似をしてほしいものではない。しかしこうした手法を知っておけば、少なくとも、トランプ氏のような人物が交渉相手となったときに冷静な対処ができるかもしれない。
ここまで書いてきて、ふと気づいた。私もこういう記事を書いたということはトランプ氏の戦略にはまってしまったということではないのか──。やはりトランプ氏、恐るべしである。
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『蔡英文・台湾新総統「妥協的就任演説」の裏側 「玉虫色」に秘めた、改革への強い意志』(5/25日経ビジネスオンライン 福島香織)について
5/25日経朝刊のアジア便りの記事の中で「蔡英文総統のことを(飾らない人柄に)親しみを込めて小英と呼ぶが、企業関係者は空心蔡(空芯菜と同じで具体的中身がない)と揶揄する」とありました。企業関係者とは外省人のことでしょう。企業関係者で本省人が蔡英文総統をそのように呼ぶ人はいないと思います。本省人は中国に籍を移し、台湾とは無関係になったらどうでしょう。抜けた穴は日本企業が埋めれば良いでしょう。それこそ昨年10/6に蔡英文氏が東京で講演しました「産業同盟」になると思います。でも日本の企業経営者も中国の顔色を窺う人間が多くいますから・・・・・。『武士道』を忘れた日本人です。
どの国にも自分勝手な人間はおります。台湾では本省人、日本では左翼とリベラルと言われる軽薄な人達です。我が身を安全な場所に置き、好き勝手政府を批判しますが、困ると政府に助けを求めたり、政府から金を出させようとします。自衛隊の存在を否定するピースボート主催者がアデン湾通過の為に、海自の護衛艦に守って貰うというのは神経を疑います。普通の民間旅行会社であればそういう危険な航路は避けます。国民の税金を利用して儲けるという二重にも悪辣な団体です。同和も然り。左翼は国(我々の税金で成り立つ)から金を搾り取ることしか考えません。中共と同じで国民から収奪することしか考えません。美辞麗句で誤魔化し、反腐敗運動とか、日本のヘイトスピーチとか、クズのやる事です。リベラルと言われる人達も政府を批判すれば受けると思いこむ短絡的・軽薄な人達です。自分で政治に乗り出してやれば良いと思うのですが。民主主義で選ばれた政府に批判するだけで提言することもない(考えていないから)、ロビー活動することもないというのは無責任な人間のすることです。茶飲み話と一緒。まあ、マスコミに受けるためには擦り寄る必要(=金になる)があるからなのでしょう。
小原凡司氏の本によれば「中国が南シナ海を内海にしたいと思っているのは、潜水艦のSLBMの射程距離が8000kmしかなく、敵国アメリカに核を打ち込むには太平洋まで出なければならない。東シナ海は米軍と海自があるのですぐ捕捉されてしまう。一旦太平洋に出られてしまえば米軍と言えど捕捉は難しい」とありました。台湾が中国の手に落ちれば南シナ海経由で太平洋に出なくとも簡単に出航できるようになるでしょう。その意味でも、日米台は運命共同体です。本記事で総統就任式に米国・日本は質量ともに歓迎の代表団を送りました。中国のネット社会もいろんな意見があるようです。
http://www.recordchina.co.jp/a133476.html
記事

就任式で手を振る蔡英文・台湾新総統。「妥協的就任演説」に秘めた改革への強い意志の先には、中国との「別れ」を見据えるか(写真:AP/アフロ)
台湾の新総統・蔡英文の就任式が5月20日に行われたのに合わせて、台北に出かけた。一時は馬英九前総統のどのような妨害があるかと心配されたが、日本の沖ノ鳥島を岩と宣言してみたり、公邸の引っ越しをぎりぎりまで遅らせる程度の嫌がらせぐらいで、就任式はつつがなく終わった。
台北の雰囲気は、さほど盛り上がっておらず、祝賀ムードというほどのものではない。去年と比べると中国人観光客を見かける頻度もぐっと減り、例年の5月より気温が低めであったせいもあるかもしれないが、なんとはなく活気が落ちたような印象も受けた。民進党界隈は確かに非常に盛り上がっているのだが、街ゆく普通の人に、新総統への期待を尋ねれば、「期待もしていないが、馬英九よりはましだろう」といったあっさりした反応が多い。
就任演説は「92共識(92年コンセンサス)」や「一つの中国」という言葉をうまく避けながらも、中国にも配慮した形でまとめられ、リアリストの蔡英文のバランス感覚がうかがえるものだったおかげか、当日の台北市場の株価は、「株価は下がる」という大方の予想を裏切り、ご祝儀相場というほどではないにしても、若干あがった。蔡英文政権としては、あまり気負う必要もなく、よい感じで就任1日目がスタートしたのではないだろうか。
だが、中国の方は、心穏やかではないようでもある。就任式の注目点をまとめながら、今後の台湾と台湾をめぐる中国、米国情勢を少し予想してみたい。
「滅私奉公型の官僚政治家」を前面に
まず、全体の式の印象を述べれば、従来のものと比べて、悪く言えば荘厳さに欠け、よく言うと庶民的、フレンドリーな演出であった。だが、カメラワークなどに凝っており、ライブが動画サイトで配信されている点からも、非常に大衆の目、特に若者の目を意識した就任式であることははっきりしている。
蔡英文は、黒のスラックスに白のカットソーと白のジャケット、一切の貴金属宝石類のアクセサリーを身に着けず、腕にロンジンの使い慣れた12万円程度のシンプルな時計をはめているだけだ。化粧もほとんどしていないようで、少なくともファッションにおいては、就任式という晴れの舞台に臨む気負いが一切なかった。
テレビでは、朴槿恵・韓国大統領やミャンマーの国家顧問、アウンサン・スーチー、タイの元首相・インラック・シナワトラなどと比べて、そのファッションの色気のなさを論評していたが、それは国民党の「無駄遣い」政治のアンチテーゼとして、むしろ有権者にとっては好ましいものであったと思う。
陳水扁政権は夫人の物欲が政敵に付け込まれる隙を与えて失脚させられたが、蔡英文は結婚もせず、家庭ももっていないので、その心配もない。本人はおすすめの飲食店を尋ねられたらB級屋台グルメをあげ、着るものも無頓着で、一切の私欲物欲を感じさせない。日本などではすでに絶滅した滅私奉公型の官僚政治家のイメージを打ち出すことに成功していた。
就任式では国歌を歌うのだが、蔡英文は声を出して、これを全部歌っていた。中華民国国歌はもとは国民党歌である。歌のフレーズに「三民主義、吾党所宗」(三民主義をわが党の宗とする)とあり、この党とは国民党のことなので、民進党員はこの部分を歌わないという慣習があった。彼女も今年の元旦の桃園市の国旗掲揚式のときに、この部分は歌っていなかった。だが、就任式では、おそらく初めて全部これを声に出して歌っており、中華民国総統という立場で、現実的な妥協をしていく姿勢を見せたといえるだろう。
就任宣誓式が終わったあと、総統府前では2万人以上の来客の前で、就任祝いの歴史劇「台湾之光」が上演された。これは台湾400年の歴史を約40分でたどり、今の台湾アイデンティティに至る道筋を整理したのものだが、そこで二・二八事件の惨劇を再演したのは極めて斬新で挑戦的な試みだったといえる。もちろん日本統治時代に日本の軍人が民衆を高圧的に徴兵していく様子なども演じられているのだが、その後に演じられている二・二八事件の虐殺の様子がすさまじく、国民党政府がどのように台湾を接収したかをあからさまに見せ、台湾人が植民地支配した日本から被った圧力がずいぶん甘いものに見える演出となった。こうした国家行事で二・二八事件を真正面から取り上げるのもこれが初めてだ。
中国に妥協した「玉虫色」にも見えるが…
注目の就任演説自体は中国にも配慮しつつ、よく言えばバランス感覚のとれた、悪くいえば玉虫色のものとなった。
演説のほとんどは内政問題の解決にむけた約束である。年金制度改革、若者の境遇改善、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を含む多国間および二国間の経済協力・自由貿易交渉への積極参加、セーフティネット強化、歴史問題の和解に向けた処理、先住民族の尊重、司法改革への前向きで熱意ある姿勢を打ち出した。国際社会が注目する中国との関係については次のような表現を使った。
「私は中華民国憲法に基づいて総統に当選したのであり、中華民国の主権と領土を守る責任があります。東シナ海、南シナ海での問題に対し、我々は争いの棚上げと資源の共同開発を主張します。
台湾海峡両岸の対話と意思疎通では、既存のメカニズムの維持に努めます。1992年に両岸の交渉窓口機関が、相互理解、並びに“求同存異”(合意点を求め違いは棚上げする)という政治的な考え方を堅持して話し合い、若干の共通の認識と理解に達しました。
私はこの歴史的事実を尊重します。1992年以降20年あまりの交流と協議の積み重ねで形成された現状と成果を、両岸は共に大切にして守っていかねばなりません。そして今後も、この既存の事実と政治的基礎の下で、両岸関係の平和で安定した発展を引き続き推進していくべきなのです。新政権は、中華民国憲法、両岸人民関係条例、並びに関連の法律に基づいて両岸業務を進めていきます。…」
「92共識」(1992年に両岸の交渉窓口機関が非公式に合意したコンセンサス。中国は一つであり、その“一つの中国”の解釈権は双方にある)という言葉を出さず、「一つの中国」という言葉も出さなかった点は、92共識を認めないという民進党の立場をぎりぎり守ったものの、1992年に「求同存異」の政治的考え方で話し合われた会談を歴史的事実ととらえ、中華民国憲法、両岸人民関係条例に基づいて中台関係を推進していくとした。
中華民国憲法はいわゆる「一中憲法」。領土についていまだ「中華民国の領土はその固有の疆域による」の一文があり、それがチベットやモンゴルを含むいまの中国の領土以上を示す36年憲法第四条を踏襲していることになる。この憲法の延長にある両岸人民関係条例(台湾地区および大陸地区人民関係条例)を基礎にするということは、李登輝の「二国論」「一辺一国」(台湾と中国は特殊な国と国の関係)は放棄したというふうに受け取られる。「一中」を否定せず「二国論」を放棄したという意味では、かなり中国に妥協した内容だ。
問題を棚上げしつつ、改革への意志を示す
だが、字数にして6000字30分以上の演説の中に中華民国という言葉はわずか5回しか使っておらず、一方、台湾という言葉は41回も出している。演説の締めくくりに、就任式のパフォーマンスで歌われた台湾語の歌「島嶼天光」のワンフレーズ「今がその日だ、勇敢な台湾人よ」という言葉を掲げて、「国民同胞、2300万人の台湾人民よ、待つのは終わった。今がその日だ。今日、明日、将来の一日一日、われわれは民主を守り、自由を守り、この国を守る台湾人になろう」と呼びかけた意味を含めると、いまの段階は「一中憲法」を容認しつつ中国を刺激しないように問題の棚上げを図るも、将来に向けての改革への強い意志は秘めている、というメッセージは伝わっている。
反中国共産党的な論調で知られる台湾蘋果日報紙の世論調査では、聴衆の76パーセントがこの演説に満足だといい、92年の会談に触れつつ92共識に言及しなかったことについては63.75パーセントの聴衆が肯定的だったという。
国際社会からみても、この就任演説はおおむね好評であったように思う。
こうした一見、妥協した就任演説に対して、だが中国はむしろ警戒感を高めている。
中国国務院台湾事務弁公室は就任演説後、即座に「両岸同胞の最も関心を寄せている両岸関係についての根本問題で曖昧な態度をとり、92共識を明確に承認せず、その核心の意義を認めず、両岸関係の平和安定発展に対する具体的方法に言及しなかった。これでは答えになっていない」と強く非難した。
さらに「一中原則を共同の政治起訴とするのか、それとも両国論、一辺一国的な台湾独立分裂の主張を維持するのか、両岸関係の平和発展の道を継続するのか、台湾海峡の緊張と波乱を再び挑発するのか、両岸同胞の感情と福祉を増進するのか、それとも同胞の精神的絆を分裂させて根本利益を損なうのか?」と問いかけ、「この重大な問題においては、台湾当局はすぐさま実際的行動で明確な回答を出し、歴史と人民の審査を受けよ」と主張した。一部メディアは少なくとも2014年2月以来続いてきた閣僚対話は停止になる見通しを報じている。
「南シナ海」見据えた米台接近に苛立つ中国
中国がこのように警戒心をむき出したのは、蔡英文の就任演説そのものより、おそらく国際社会の台湾に対する反応の変化にある。
蔡英文の総統就任式は、外国からの来賓出席数が破格であった。台湾と国交を結んでいる22か国を含む59か国から約700人が出席。これは過去最多である。
中でも、米国は前米通商代表部代表のロン・カーク、初代国家情報長官のジョン・ネグロポンテ、米国在台協会(AIT)理事長のレイモンド・バッカード、AIT台北事務所長のキン・モイ、東アジア専門の元外交官アラン・ロンバーグらを派遣する手厚さだった。米国は蔡英文の総統就任式4日前に「一つの中国の原則を堅持する」とケリー国務長官が中国の王毅外相との電話会談で話しており、いかにも米政府が蔡英文政権に中国との関係を悪化させないように釘をさしたふうに報じられているが、特使団5人、しかも安全保障問題、東アジア問題の専門家2人が含まれているということは、南シナ海問題においての米中対立の先鋭化を受けての米台接近のサインの文脈で読むのが正しいだろう。
さらに興味深いのは就任式前日の5月19日のワシントンポストで「米国は“一つの中国”原則を放棄して、台湾との関係を正常化するときだ」というタイトルのゲイリー・シュミット(共和党系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所専任研究員 兼マリリン・ウェア安全保障研究センター共同ディレクター)の論文が寄稿されたことだ。
米「ディプロマット」誌では「2049計画研究所」研究員のイアン・イーストンの寄稿を掲載し「米国にとって台湾の新総統就任は危機ではなくチャンスである。戦略的角度から“中国が嫌いな新リーダー”とは“米国が愛すべき人物”である」と提言している。
同誌はさらに「蔡英文は台湾と米、日、オーストラリア、インドなど民主国家との関係強化を希望している。これは米国にとって、逸してはならない絶好のチャンス。蔡は冷静で、中間路線をとっている。彼女の最大のリスクは独立に傾いていることではなく、おそらくは慎重、後手になりすぎて、大陸との抗争で先手を打たれてしまうことだろう。米国は、アジア太平洋地域に強力なパートナーを必要とする以上、蔡英文に“米国は中国と対抗する気骨がある”ということを信じさせ、台湾が米国サイドにいると知らしめねばならない。つまり、台湾の政権交代は北京を除く、各国にとってすべからくチャンスであって、リスクではないのである」と解説している。こうした論評はやはり米国内のある種の空気を反映しており、あるいは国際世論への観測気球を上げているのではないかと思う。
中国の恫喝や懐柔策に動じず、関係強化を
日本も交流協会理事長の今井正、衆院議員の古屋圭司が率いる日華議員懇談会の12議員を含む252人の大型祝賀団を就任式に参加させた。安倍政権が蔡英文政権に比較的好意的なのは周知の事実で、台湾側も台北駐日経済文化代表処代表(駐日大使に相当)に知日派の謝長廷を送り込む。また蔡英文政権の外交ブレーンに日米外交ともに精通し、老獪な対外工作でも知られる邱義仁がついている。
総統就任後、外国の賓客との面談では、蔡英文は必ず「台湾的政府」(通訳はTaiwan Government)という言葉を使っており、「中華民国政府」という言葉はあえて使わなかったということも、中国から見れば就任演説を素直に台湾側の妥協とは受け取れなかった要因だろう。
少なくとも中国側は、日米同盟に台湾が参与し、中国の南シナ海軍事拠点化計画を妨害する計画が水面下で進められるのではないか、という予測をもっており、蔡英文政権および日本に対してはなんらかの揺さぶりを仕掛けてくると予想される。おりしも2017年秋には第19回党大会が開かれ、中国国内の権力闘争も激化するタイミングである。民族主義的傾向の強い習近平政権にとっては台湾への圧力をかけることも、内政的パフォーマンスとして必要になってくるだろう。
こうした状況下で、日本が考えるべきことは、中国の恫喝や懐柔策に揺さぶられることなく、台湾との関係を固めていくことが、東シナ海、南シナ海の平和と安定の鍵になると見定めることだろう。そろそろ日本でも「一中政策放棄論」を問いかけるメディアが出てきてもよい頃合いではないだろうか。
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『現代の毛沢東 個人崇拝の偶像を作り上げようとする習近平』(5/20JBプレス 馬建)について
文革時代にはカニバリズム(食人)が行われていたと「ぼやきくっくり」ブログにありました。
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1885.html
特段驚くことではありません。凌遅刑で皮を剥いで長く苦しみを与え乍ら殺し、その肉を漢方薬として売っていました。何せ医食同源の意味は悪い部位があればその部位を食べるのが良いとされ、人間に近づけば近づくほど良いとされています。また、孔子の弟子子路が反乱で落命し体を切り刻まれ、塩漬けにされる刑罰を受けたという記述が『史記』「孔子世家」にあるとのこと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%8C%E9%81%85%E5%88%91
宮城谷昌光の小説でも親孝行の為に自分の腿を削って塩漬けにしたものを与えるという記述があったような気がします。紀元前の中国の話ですが。
自分の子を食すのも宮城谷昌光の『太公望』の中に出て来たと思います。代わりに次の記事を。
http://marco-germany.at.webry.info/200709/article_27.html
今でも広東人は嬰児を食すと言われています。
大躍進、廬山会議、文革とどれをとっても権力闘争、華国鋒から鄧小平に実権が移ったのも権力闘争の結果です。今も行われていると思えば良いでしょう。選挙と言う時間のかかる手段でなく、如何に民衆から収奪するための頂点に立つかの醜い争いをしている訳です。
習と李の争いが本格化してきたようです。共産党内部の争いが外に漏れてきているというのは、箍が緩んできた証拠です。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160523/frn1605231312007-n1.htm
記事

天安門広場に掲げられている毛沢東の肖像画(資料写真)
(ロンドンより)
50年前の今月は、毛沢東が文化大革命を始めた月だ。それは、政治イデオロギーの名のもと、毛沢東個人の権力を拡大するために実行された混乱と迫害、暴力の10年であった。
しかし、中国政府はこの破滅的な負の遺産を反省するのではなく、文化大革命に関するすべての議論を禁止している。そして中国市民は、30年にわたる市場志向の改革によってもたらされた富に目を向けて、甘んじて政府の方針に従っている。
しかし、習近平主席が冷酷な粛清を実行し、個人崇拝の偶像を作り上げている現代のような時代において、過去を闇に葬る代償は高くつく。
* * *
1966年8月、毛沢東は、「司令部を砲撃せよ―─ 私の大字報」という文書を出した。これは中国共産党の中で資本主義に寄っていた実権派だった第二主席の劉少奇を粛清しやすくすることが目的だった。この「大字報」の中で毛沢東は、中国の若者層に「皇帝を馬上から引きずりおろせ」、そして反乱を起こせと呼びかけた。
若者たちは迅速に反応した。すぐさま「紅衛兵」となった学生民兵組織が全国に現れて、毛沢東の意志を掲げた。100日も経たないうちに、毛沢東は、劉少奇や鄧小平をはじめとする共産党の主力を幅広く粛清することに成功した。
しかし、毛沢東の政敵への攻撃はこれだけではなかった。その年の8月、9月だけで紅衛兵は1700人以上を撲殺または自殺を強要して殺し、10万人もの北京市民の家や所持品を焼き払って彼らを北京から追い出した。教育者たちは特に攻撃の対象となった。紅衛兵が小中高等学校や大学に現れるたびに、教師や管理者たちは消されていった。
しかし、毛沢東が「紅衛兵の構成員は実権派の“傘下にある”」といって紅衛兵を次なる攻撃の対象にするようになるのには長くはかからなかった。中国に軍事政権を敷いた後、毛沢東はしばしば紅衛兵の当初からの構成員を「再教育」と称して遠方の村へ飛ばして、紅衛兵の一団を新しい労働者反政府運動に入れ替えた。
文化大革命は習近平の家族も直撃した。彼の実父・習仲勲は共産党の高官であったが、権力から追放されて投獄され、最終的にはトラクター工場に左遷された。習の家族は国中に散り散りばらばらになった。
しかしそれでも、家族や故郷をばらばらにしたイデオロギーや組織に委縮するのではなく、習近平は、文化大革命の信条や手法を我がものとした。
習近平はどうやら今でも彼の内部に、青年時代の文化大革命の好戦性をとどめているようだ。権力とは彼の道しるべであり、権力を守るためなら彼はどのようなことでもするのではないかと思われる。権力を守るために努力して、習近平は「毛沢東の遺産」という大きな強みを得た。
* * *
何十年もの間、毛沢東は、市民がお互いに告発し合う階級闘争を促してきた。親友や隣人、家族であっても彼らは密告し合った。安全な場所はなく、誰もが(党員でない者でさえも)共産党員のしもべとなった。この恐怖政治の下においては、個人のアイデンティティなどというものは、こっそりと、しかし効率よく国家に組み込まれていった。
人民に対する絶対権力を主張するために政治権力が残虐になるということは、文化大革命の1つの教訓である。だが、習近平はその教訓には関心を示さない。彼の関心はただ、「絶対権力」の一点のみにある。
そして絶対権力を手中にするために、文化大革命の生き残りたち(つまり怖気づいて個人のアイデンティティではなく政治を選ぶということが何を意味するかを、分かっている者たち)は、習近平の頼れる政争の具になっている。
習近平は、共産党の権威を強め、指導者としての彼の地位を再強化することでのみ成功できるということを分かっている。そのため、彼は中国内部から(つまり腐敗した裏切り者の指導者たちから)の深刻な脅威がある、というフィクションを持ち出した。そして、共産党への忠誠が最大の重要性を持つということを宣言した。
* * *
中国には、今やもう2種類の人間しかいない。共産党を支持する者と、支持しない者である。
1966年の毛沢東のように習近平は、自分の権力は、あらゆる手段を使って全中国人民(政府官僚も一般人も等しく)を忠実にし、彼に従わせることができるかにかかっていると信じ込んでいる。例えばノーベル平和賞受賞者の劉曉波やそのほか何万人もの投獄された作家や研究者たちといった政敵を弾圧することで、彼の権力は築かれる。
しかし、習近平は、統治を恐怖政治のみに頼っているわけではない。彼はまた、新しい1つのイデオロギーによって大衆の支持を受けようとしている。それは、「チャイナドリーム」と呼ばれる「中国国家の偉大な再生」によってもたらされるとされている社会主義の価値や目標である。
これは「世界、ことにアメリカ合衆国が、正当な権利を有するはずの中国を国際秩序の頂上に座らせまいとしている」と見立てるナショナリズムとともに主張されているが、こういったナショナリズムはメッキをかぶせたナショナリズムだ。そして彼は、毛沢東以来の個人崇拝を仕込んでいる。
文化大革命から50年、その罪や業はいまだなくなることはない。逆に、これらは中国のさらなる政治的・経済的弾圧を正当化する理由として使われている。しかし、毛沢東スタイルの権威を守ろうとする習近平の試みは、毛沢東とは違ってむなしく終わることだろう。習近平の経済支配や政治粛清の不適格さは少しずつ、水面下で、彼に反対する幹部たちを生み出していくことだろう。
経済政策の失敗が政治不安の事態に発展するにつれ、旧・紅衛兵たちは、歴史に無知な若者世代に支持されて、再び文化大革命の時の中心的役割を繰り返すかもしれない。そのときこそ、彼らが馬上から引きずりおろす「皇帝」とは、習近平なのだ。
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『低迷に喘ぐ中国経済は「10月信用危機」を切り抜けられるか』(5/21Money Voice 斎藤満)について
5/22ZAKZAKで大前研一氏は「安倍首相はオバマの広島訪問の代わりに真珠湾訪問をしたらとライス補佐官が言ったらしいが、行ってはいけない。行って謝罪しなければ米人の大部分は怒る」とのこと。大前氏はグローバリストで小生の考えと合わないときが多いですが、この件については賛成します。ヘタをすると日米同盟を危殆に瀕するような状態を作り出しかねません。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160522/dms1605220830003-n1.htm
スーザン・ライス補佐官は2013年に中国とのG2を認めた発言をしたことで有名です。オバマの立場を反映しただけか、金に転んだのかは分かりませんが。こういう利敵行為をする人物の甘言に乗せられて、道を誤ってはならないと思います。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2100S_R21C13A1EB1000/
中国の数字は何時も言っていますように、デタラメで信用できません。都合の良い話は大きく、都合の悪い話は小さく数字を発表します。企業の財務諸表も少なくとも3種類あるようにいい加減です。こんなものを信用して投資すれば痛い目に遭います。そろそろ日本企業も覚悟しなければ。暴発の備えをキチンとしておかないと。
中国の債務の問題は中国政府のプロパガンダを真に受けない人達の間では共有されています。
http://blogos.com/article/155459/
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20151211/ecn1512111550002-n1.htm
http://melma.com/backnumber_45206_6345224/
ただ、オバマが中国の困窮に手を差し伸べるのではという気がします。軍事力を行使せず、敵を叩き潰す良いチャンスなのに。レーガンはSDIで経済的にソ連を追い込み、崩壊させました。偉大な大統領と優柔不断な大統領の差では。AIIBにADBが協調融資するなんて腑抜けのやる事。いくら米国債の多くを中国に握られているにしても。
記事
中国政府は自ら経済のL字型回復、長期低迷を予想していますが、裏を返せばいよいよ手詰まり感が強まったようです。先週末に発表された銀行関連の二つの数字がこれを示唆しています。商業銀行の不良債権の増加と、新規貸し出しの大幅減の二つです。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2016年5月16日号を抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に無料のお試し購読をどうぞ。
総債務はGDPの300%、国際機関も中国の信用急拡大を警戒
国内商業銀行の不良債権が急増
中国銀行監督管理委員会は、今年3月末における国内商業銀行の不良債権が1兆4000億元と、11年ぶりの高水準になったと発表しました。貸出残高全体に占める不良債権比率は1.75%になり、昨年末の1.67%からさらに上昇しました。
さらに、これとは別に不良債権になるリスクのある融資が3兆2000億元と、融資全体の4%を超え、すでに不良債権とされる1兆4000億元と合わせると「問題債権」は4兆6000億元に上ります。これは昨年末と比べて4280億元の増加となります。
【関連】チャイナ・リスクに備えよ~中国不動産バブル崩壊で世界はどうなる?=栫井駿介
しかも、多くのアナリストは、現実の不良債権は、公表データよりもはるかに大きいと言います。一部の銀行ではそもそも不良債権の状況を全く掌握していないと言い、また多くの銀行で、不良債権を隠すために簿外融資を行っている、と言います。
一方で新規融資は急減
もう一つの数字は、4月になって新規の人民元建て融資が5556億元と、前月の1兆3700億元から急減したことです。市場は9000億元を予想していたので、これも大きく下回りました。3月は景気対策の一環で地方政府の資金調達による投資が増えたのですが、これが一巡して反落した形になっています。
この結果、貸出残高の伸びも14.4%増と、市場が予想した14.8%増を下回りました。そしてマネーサプライM2の伸びも、市場の予想13.5%増を下回る12.8%増となりました。
中国では財政政策と金融政策の区別がありません。景気対策など経済対策で資金が必要な時には、通常国有銀行からの借り入れで賄われます。地方政府には従来地方債の発行が認められなかったため、融資平台などからの「裏借入」が増え、問題になったためこれを規制し、地方債発行での肩代わりを認めましたが、最近はまた融資平台からの調達が増えています。
官民合わせた総債務が、米国機関の試算ではGDPの300%にも及ぶとされ、国際機関も中国の信用の急拡大に警告を発しています。
「ゾンビ企業」淘汰で起こる大量失業
そして中国は今回、構造改革の一環として、存続の見込みがない「ゾンビ企業」の整理淘汰を進める方針を打ち出しました。その過程で、石炭、鉄鋼でのゾンビ企業整理だけで180万人もの失業者が出ると言われます。
このゾンビ企業の整理淘汰によって、そこに貸し付けていた資金の回収ができなくなるうえに、大量の失業者対策に資金が必要になり、これがまた生産性の低い融資に頼らざるを得なくなります。
このため、構造改革がなかなか進まず何年もかかる間に中国経済の非効率化、弱体化が進むリスクがあり、それがまた不良債権を高める悪循環となります。
銀行融資に頼る中国の経済対策ではどうしても銀行への負担が大きくなります。市場原理が働かず、政府の裁量で融資が拡大してきただけに、これが行き詰まっても「膿」が出ないまま、矛盾を抱え込む形になっています。
そこへ政府が人民元の国際化を急いだために、IMFから規制緩和、西側の規制、ルール適用を求められるようになりました。
この秋が危ない中国経済
今年の10月以降、人民元がSDR(IMFの通貨引き出し権)の構成通貨に組み入れられますが、これに伴って中国は資本や為替の自由化を進めることになります。これは中国の金融制度に対しても、西側のルール、規制が適用される方向となります。
つまり、不良債権の定義から、銀行の自己資本規制に至るまで、BIS(国際決済銀行)の規制に縛られるようになります。
このルールをいきなり適用すれば、中国の銀行は資本不足で行き詰まるところが多いはずで、その前に融資の抑制、不良債権処理を進めるにしても銀行への負担が大きくなります。
この秋に向けて、中国が西側ルールに適用しようとすれば、それが結果的に銀行の不安定化、信用不安につながるリスクがあります。
中進国の段階ですでに過大な債務問題を抱え込み、経済が行き詰まる時期に、中国は人民元の国際化を急いでしまい、背伸びしたツケが銀行圧迫という形で現れることになります。
この秋には、これが信用不安を引き起こして中国経済を危機に陥れるリスクが高まる可能性があります。IMF、米国が目をつぶってルール適用の先送りを認めてくれるかどうか。
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