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『韓国ロッテが怯えた中国「告発TV番組」の顛末 日本産食品の「産地誤読」で面子を失った国営中央テレビ』(3/24日経ビジネスオンライン 北村豊)、『中国の「放射能汚染」告発に無印良品が徹底反証 “小清新”は「中国産フェイクニュース」より「日本産」を支持』(3/22日経ビジネスオンライン 福島香織)について
本両記事を読んで感じましたのは、「無印良品」の中共への戦い方が正しいという事です。ナイキは米国企業なのに簡単に謝罪し、補償金まで払ったというのでは、余りに骨がありません。思い起こすのは小生が2005年に北京駐在時代、反日デモを仕掛けられたことでした。本社の指示で、「翌日記者会見を開いて謝罪せよ」とのことでした。言いがかりに近いもので、義憤を感じ、北京駐在の役員に掛け合っても「本社指示」とのことで相手にしてくれませんでした。後で聞くと、社外取締役の岡本行夫氏が「早く謝罪した方が良い」と言ったからとのこと。それを鵜呑みにして、現地に言ってくる本社役員もどうしようもありません。岡本氏はアメリカ、エジプトしか駐在経験がないはずです。それが、中国について判断し、あろうことか「謝罪を」というのですから。アメリカにいれば謝罪の意味が何であるかが分かるはずです。謝罪=賠償と言うのは国際常識です。ですから、慰安婦でも強制徴用でも韓国は金をせびる道具として使っている訳です。認めたら歴史への冒涜、日本人の不名誉、賠償と繋がる訳です。日本の政治家は国際化していないし、共産国家の思惑にしてやられてきたという事です。
岡本氏は三菱マテリアルの強制徴用問題でも簡単に謝罪をさせ、賠償金を払ってしまいました。売国奴です。日韓基本条約で解決済なので突っぱねれば済むのに、金で解決という安易な道を選びました。外務省は戦える人間がおらず、日本の名誉を傷付けても、自分が安泰であれば良いという輩ばっかりです。また岡本氏は「北米一課長時代、日本が出した湾岸戦争の戦費をちょろまかした」と日高義樹氏の本にありました。機会があり、日高氏にこの件を確認しましたところ、「そのとおり。岡本氏から何も抗議が来てないのが良い証拠」という事でした。最低な奴が偉そうに発言している所に、戦後日本の問題が凝縮されていると思います。
話しが飛びましたが、反日デモの話に戻ります。謝罪したくないと思った社員達が知恵を出し、日本の広告会社と新華社の合弁企業のPR会社の社長を読んで話を聞こうという事にしました。来たのは女性社長でしたが、きっぱりと言われました。「新聞に掲載された内容は事実ですか?もし、事実でなければ、謝る必要はないし、中国国民を愚弄するものになる。事実を何らかの手段で伝えた方が良い」とのことで、彼女の考えを本社に伝達、翌日の謝罪記者会見は中止とし、中国用のHPに事実関係を掲載しました。
その後、本記事の福島氏(当時、彼女も産経新聞社の北京駐在でした)から小生宛電話があり、「もし、御社が事実でないことを書かれたなら、裁判を起こした方が良いのでは」と。小生は「この中国で今まで、裁判や労働委員会に訴えられ、逃げずに相手をしてきたことはありますが、国家を相手では・・・・。またご存じのように中国の裁判官は賄賂を取りますし。個人的には戦いたいという気持ちはありますが・・・」ということで電話を置きました。まあ、あの当時の日本企業の役員で中国を相手に戦うという気概を持った人はいないでしょうし、蟷螂の斧になるだけです。今の役員でも大部分そうだろうと思います。その後、福島氏とは日本で「士気の集い」の講師としてお招きし、懇親会で北京時代の話をしたりしました。
北村記事

中国の「告発番組」で日本産の食品が標的となったが…(写真:Imaginechina/アフロ)
中国の国会に相当する“全国人民代表大会”の第12期第4回会議は3月5日に開幕し、3月16日に12日間の会期を終えて閉幕した。その閉幕日前日の3月15日は“国際消費者権益日(世界消費者権利デー:World Consumer Rights Day)”で、中国では“中国消費者協会”が毎年テーマを決めて全国的な活動を展開している。今年のテーマは「“網絡誠信 消費無憂(誠実で信用できるインターネットで憂いなき消費)”」で、全国各地の消費者協会はインターネットショッピングで安全な消費を行うためのキャンペーンを展開した。
最有力候補は韓国ロッテグループ
また、3月15日の夜には国営の“中央電視台(中央テレビ)”が、特別番組「世界消費者権利デー消費者の友特別夜会」(略称:3・15夜会)を放送するのが毎年恒例となっている。3・15夜会は1991年3月15日から開始された番組で、中国政府の関係部門と中国消費者協会が共同で主催し、社会生活の中で消費者の権益を侵害する事例を取り上げてその実態を暴露することにより、消費者の権利保護を呼び掛けると同時に、消費者の合法的権利意識の向上を目的としている。
3・15夜会に対する中国国民の関心は非常に高く、視聴率が高い国民的人気番組の一つとなっている。このため、3・15夜会で消費者権益を侵害している事例として取り上げられると、致命的なダメージを受ける可能性が高く、企業は存亡の危機に立たされるし、商品は販売に急ブレーキがかかり、売上高の大幅な低下は避けられない。そればかりか、3・15夜会は外資企業を標的とした外資叩きの手段としての役割も果たしており、2013年にはアップルとスターバックス、2014年にはニコン、2015年には日産、ベンツ、フォルクスワーゲンが消費者権益を侵害しているとして取り上げられ、各社が大きな損失を被っている。
さて、中国国民は3・15夜会を心待ちにすると同時に、消費者権益を侵害している事例として取り上げられる可能性が高いのは何かと想像をたくましくした。そこで最有力候補に浮かび上がったのは韓国のロッテグループ(中国名:“楽天”)であった。中国が反対する米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(略称:THAAD)」の韓国配備に、その配備地として所有するゴルフ場の敷地を国有地と交換する形で提供したのがロッテだった。THAADの韓国配備に協力したロッテは中国に盾突いた企業となった。ロッテ所有のゴルフ場敷地がTHAAD配備地に決定した昨年11月以来、中国はロッテ叩きを開始し、中国国内でロッテが「楽天」として展開する事業に対する規制を強化し、楽天は事業の休止を余儀なくされつつある。<注1>
<注1>中国の楽天叩きについては、2017年3月17日付の本リポート「THAAD韓国配備開始、止まらぬ中国のロッテ叩き」参照。
人々は3・15夜会で消費者権益侵害の事例として槍玉に挙げる可能性が最も高いのは楽天であろうと想像していたし、多数の評論家も同様の予想を発表していた。そうした事態を最も恐れていたのは楽天を始めとする韓国の中国進出企業であった。今や韓国はTHAAD配備によって中国に敵対する国として位置づけられ、楽天を筆頭とする韓国の中国進出企業は針のむしろに座らせられ、祈るような気持ちで3・15夜会の放送が始まるのを待った。
告発は7件、韓国企業は含まれず
3・15夜会は中央テレビの「財経チャンネル(CCTV2)」で3月15日の夜8時から2時間にわたって会場となる中央テレビ本部ビル内の大ホールから実況放送された。同番組の中で消費者権益を侵害している例として取り上げられたのは7件で、その概要は以下の通りであった。
(1)世界最大の中国語百科ウェブサイト“互動百科”に掲載されているデタラメな広告。
4800元(約8万円)を支払えば、科学的裏付けのない薬品や経歴詐称の医院の広告が堂々と掲載され、善良な消費者を騙す手助けをしている。
(2)河南省“鄭州市”の“科視視光公司”
科視視光公司は無資格で鄭州市内の小中学校で視力検査を行い、検査時に児童・生徒に家庭情報を記入させ、そこに書かれた電話番号を使って父母に連絡を取り、同社が扱うコンタクトレンズの販売を行っている。彼らには医師資格もなく、彼らの行為は全て違法である。
(3)家畜の成長促進剤、オラキンドックス(Olaquindox)
かつて中国では“痩肉精(赤身エキス)”<注2>と呼ばれる飼料添加剤が大きな問題となったが、今日新たにオラキンドックスが飼料添加剤として販売されている。その肉を人間が食べることにより健康に与える影響は極めて危険である。
<注2>“痩肉精”の詳細については、2011年4月1日付の本リポート『薬品漬け「健美豚」の恐ろしい副作用』参照。
(4)日本の放射能汚染地域で生産された食品を輸入して販売
2011年3月に日本の福島県で発生した原発事故による放射能汚染地域で生産された食品が生産地をごまかす形で輸入されて、「無印良品」や「“永旺超市(イオン)”」などの店舗で大量に販売されている。中国は日本の放射能汚染地域からの食品輸入を禁止しており、これは明らかな違反行為である。
(5)“耐克(ナイキ)”製シューズの「エアクッション」搭載という虚偽広告
米バスケットボールの選手「コービー・ブライアント」が2008年の北京オリンピックで使用したシューズの複製品の販売広告で、ナイキが特許を持つエアクッション「ズームエアー」搭載の製品と宣伝していたのに、実際に当該製品を購入したらズームエアーは搭載されていなかった。これは明らかに虚偽広告である。
(6)黒いサプライチェーンの“月嫂(出産・育児ヘルパー)”
浙江省“杭州市”の一角には100m足らずの路地に数十軒の“月嫂公司”が軒を連ねて“月嫂”の紹介・派遣業務を行っている場所があるが、“月嫂公司”は無資格なのに、“月嫂”になりたい女性たちに“月嫂”の資格証明書である「“月嫂証”」の偽物を販売して金儲けしている。このため、彼らが派遣する“月嫂”の多くは何の知識もない無資格者である。
(7)老人に伸びる黒い手、悪辣な「健康講座」
全国各地で老人を集めて行われている健康講座は、優しい言葉で老人の信頼を獲得した後は、病歴などを聞き出した上で言葉巧みに騙して、病状の改善には何の効果もない健康補助食品を数十倍の高値で販売する詐欺集団である。
人々の予想に反し、上記の通り3・15夜会が提起した7件の消費者権益侵害の事例には楽天を始めとする韓国の中国進出企業は含まれていなかった。3・15夜会を外資叩きの手段の一つとしている感のある中国が、どうして楽天を筆頭とする韓国の中国進出企業を標的にしなかったのか。その理由は不明だが、楽天が胸を撫で下ろしたことは想像に難くない。
ナイキは謝罪・賠償、無印良品は反駁
外資企業として消費者権益侵害の例に挙げられたのは、(4)の日本の放射能汚染地域で生産された食品を輸入販売したとされた無印良品などの日本企業と(5)の米国のナイキであった。“耐克体育(中国)有限公司(ナイキ中国)”は3・15夜会の放送直後に“上海市楊浦区市場監督管理局”の調査を受け、翌16日には謝罪を表明した。3月17日、ナイキ中国は声明を発表し、同社製品の「ハイパーダンク(Hyperdunk)2008 FTB」モデルの宣伝に間違いがあったとして販売済み商品の回収を表明し、回収に応じた購入者に対して販売価格1499元(約2万5000円)の全額を返金するのに併せて4500元(約7万4000円)の賠償金を支払うことを言明した。さすがはナイキで、3・15夜会が告発した問題に迅速に対応し、わずか2日で解決にこぎ着けたのだった。
ところで、無印良品などの日本企業はどう対応したのか。中国は2011年3月に福島県で発生した原発事故から6年間が経過した現在もなお、日本の宮城県、福島県、茨城県、千葉県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、新潟県、長野県からなる10県を放射能汚染地域として認定し、当該10県を原産地とする食品の輸入を禁止している。良品計画の中国子会社“無印良品(上海)商業有限公司”は、3月16日に“微博(マイクロブログ)”を通じて中央テレビの3・15夜会の指摘に対して下記の声明を発表して強く反駁した。
声 明 書
2017年中央テレビ「3・15夜会」の中で暴露された「無印良品の一部輸入食品が日本の放射能汚染地域産である」とされた件に関し、当社は次のように声明する。
【1】今回誤解を引き起こした原因は、当社が販売している輸入食品の表示に「販売者・株式会社良品計画RD01 東京都豊島区東池袋4-26-3」とあったことだが、これは当社の親会社の名称と登記住所を示すものであり、当社が輸入販売する食品の原産地ではありません。
【2】3・15夜会が指摘した2件の輸入食品の原産地は以下の通り:
無印良品「ノンカフェイン ハト麦とレモングラス(穀物飲料)」原産地:日本国福井県 無印良品「卵黄ボーロ(焼き菓子)」原産地:日本国大阪府
【3】当社は全国の消費者に向けて言明します。当社が輸入・販売する日本の食品は、「国家品質監督検査検疫総局」が公布した日本の食品・農産物の検査検疫に関わる規定を厳格に遵守しており、中国政府が禁止した日本の放射能汚染地域産の食品を輸入・販売していません。当社が輸入・販売する食品には全て「原産地証明書」が有り、証明書の正本は「上海出入境検査検疫局」に提出し、併せて「中華人民共和国入境貨物検査検疫証明」を取得しています。毎回の輸入食品の通関検疫申告書および証明書は全て規定に合致しています。
声明者:無印良品(上海)商業有限公司 2017年3月16日
無印良品の2件以外に3・15夜会が暴露したのは、(a)“永旺超市(イオン)”が販売していた北海道産米の「パックご飯」の中国語表示を剥がしたところ、実際の原産地は放射能汚染地域の新潟県であった、(b)広東省“深圳市”の“海豚跨境科技有限公司”がネット上で販売していたカルビーの「フルグラ(フルーツグラノーラ)」は中国語の原産地表示は「日本」となっていたが、袋の裏面に表示されていた工場記号K1は放射能汚染地域である栃木県の清原工場であった、という2件であった。(a)と(b)について反論が行われた様子はなく、3・15夜会の指摘が正しいものであるかどうかは分からない。
北京市で「汚染地域産食品」見つからず
3月16日に“中新網(中国新聞ネット)”は「“北京市食品薬品監督管理局”:北京市で日本の放射能汚染地域産の食品は差し当たって見つからず」と題する記事で次のように報じた。
【1】3月16日、北京市食品薬品監督管理局は全市の流通要所に対し食品安全監督取締り検査を行った。“食品管理流通処”の処長は、「今回の検査範囲は、市場、“超市(スーパーマーケット)”、“便利店(コンビニエンスストア)”、農産物市場などの実質的な食品経営企業で、無印良品、“永旺(イオン)”、“711(セブンイレブン)”、“屈臣氏(Watsons)”などの総合食品経営企業も含むものだ」と述べた。
【2】16日午前9時までに、北京市内の“家楽福(カルフール)”、“華堂(イトーヨーカ堂)”、“永旺(イオン)”、“沃尓瑪(ウォルマート)”、“楽天(ロッテ)”などの18のスーパーマーケットチェーン、北京市の農産物市場、“京東商城”などの電子商取引企業が輸入食品の自主検査を行った結果、国家が禁止する日本の放射能汚染地域を原産地とする輸入食品はとりあえず見つからなかった。セブンイレブン本部は北京市内の全店舗に対して日本からの輸入食品を売場から下げて自主検査を行うよう指示したが、問題の商品は存在しなかった。
上記の事実から分かることは、3・15夜会が暴露した「中国が禁止している日本の放射能汚染地域を原産地とする食品が輸入され、中国市場で販売されている」という事実は存在しないということである。それは単に食品薬品監督管理局の役人が商品に貼られていた表示を読み誤り、生産企業の本社所在地を生産地と誤解しただけのことだった。その誤解を鵜呑みにして、3・15夜会で意気揚々と消費者権益侵害の事例として放送したのは中央テレビの極めて恥ずかしい勇み足と言える。
「独善と我田引水」治す薬、見つからず
この事実を踏まえて、中国のインターネットの掲示板には中央テレビを非難する書き込みが殺到した。あるネットユーザーは、「ばつが悪い話だ。中央テレビは問題の商品を摘発しようとして、逆に虚偽報道を摘発された」と書き込んだ。また、別のネットユーザーは、「無印良品をやっつけようとしたのは中央テレビではなく、“外交部(外務省)”だった。結果として、中央テレビは無印良品の宣伝に寄与した」と書き込んだ。
事の真相は分からないが、中央テレビは国営メディアであり、中国共産党総書記の“習近平”が主導する“媒体姓党(メディアの名前は党)”であるからには、中国共産党が何らかの意図で日本からの輸入食品に対し打撃を与えようとした可能性は否定できない。だが、残念ながら、その意図はあっけなく打ち砕かれ、中央テレビは面子を失ったのだった。
3・15夜会が楽天を含む韓国の中国進出企業を槍玉に挙げることはなかったが、それが確認された後の3月20日、韓国政府はTHAADの韓国配備を理由に中国が韓国に対する経済的報復を強めているとして、世界貿易機関(WTO)へ中国による協定違反の可能性を提起した。これに対し中国外交部の報道官は、報復措置は中国国民の民意によるものだとして、政府の関与を否定した。しかし、上述の無印良品に関わるネットユーザーの書き込みからも分かるように、報復措置への中国政府の関与を否定する中国国民はごく少数なのではなかろうか。独善と我田引水は中国が患う難病だが、それを治す薬は残念ながら未だ開発されていない。
福島記事

中国中央テレビCCTVは特別番組「315晩会」で「無印良品」を告発したが…(写真:Imaginechina/アフロ)
毎年3月15日の世界消費者デーの夜に、中国中央テレビCCTVは特番を組んで消費者目線に立って企業やブランドの問題点を暴露する。いわゆる「315晩会」である。消費者保護のためのキャンペーン番組の体をとっているが、その実、外資企業や大手企業をバッシングすることで、社会不満を募らせる庶民のガス抜きをする番組でもあり、また外資系企業の評判を落とすことで、中国国内企業を擁護する狙いもあるといわれている。とにかく視聴率は高く、その番組でやり玉に挙げられた企業は株価が一気に下がったり、クレームが殺到して、一時的にでも市場から排除されるので、外資企業も含め、この日はびくびくなのだった。
今年は、折りからTHAADミサイルの報復として韓国企業・ブランド・韓流ドラマなどが排斥されていたので、ターゲットは韓国企業になるだろうと思われていたのだが、蓋を開けてみると、ターゲットになったのは、米国企業と日本だった。ナイキと、日本の“福島原発汚染食品”を販売していたとされた無印良品だ。
興味深いのは、無印良品側はこの報道に対し、「誤解である」と反論、対象商品の撤去にも応じなかったことである。そしてさらに面白いことには、ネット上にはCCTVの取材のほうが怪しい、どっちを信じる?といった発言まで流れた。これまでも「315晩会」の取材の在り方には確かに不条理な部分もあったのだが、企業側はその不条理に文句を言わず、ひたすら謝罪し、“バッシング”をやり過ごす、という方法をとってきた。その方が“被害”が少ないからだ。
では、無印良品が強気にも反論した背景は何なのか。
互動百科は謝罪、ナイキは返金を表明
今年の315晩会で、消費者をだます悪徳企業としてバッシングされたのは大手では、中国ネット企業・互動百科、アメリカのスポーツ関連品メーカー・ナイキ、そして日本の無印良品(良品計画)である。
互動百科は中国のウィキペディアみたいな、ネット上の知識プラットフォームだが、そこにはあからさまな商品広告が載せられていた。例えば健康食品「極核5S」の欄には、「冬虫夏草の800培の功能」といった虚偽の商品宣伝が載せられている。中国では健康食品の広告において、根拠のない功能をうたってはいけないと決められているが、互動百科という、“ネットユーザーによる知識プラットフォームにおける意見”というスタイルにすることで、その盲点をついた“広告宣伝”が可能というわけだ。
しかも、百度百科は本来、ユーザーが無料で知識・情報を書き込んでいくもので、そこに虚偽があった場合は、互動百科側が削除・凍結するルールになっているのだが、実のところ、互動百科側に広告費を払えば、あたかもユーザーによる知識プラットフォームの体を装った広告が、削除されないまま残ることまで暴いた。互動百科はこの番組放送後、いち早く「一部社員のやったことで、今後企業管理に漏れがないようにいたします」と謝罪を表明した。
またナイキのテクノロジーシューズ・ズームエアに内蔵されているはずのエアユニットが、中国でコービー・ブライアント北京五輪仕様復刻版と銘打って売り出されたものに関しては内蔵されていなかったことも315晩会で暴露された。国際標準のズームエアと、中国国内限定販売用のズームエアと仕様が二つあるというのだが、消費者にしてみれば納得いかない話だろう。ナイキ側は誤解を呼ぶ広告の仕方をしたとして、消費者が望めば全額返金に応じるとしているが、消費者側は消費者権益保護法にのっとって、購入額の三倍の慰謝料を支払うべきだと訴えていた。ちなみに、この番組放送後、ナイキ側は沈黙を守っている。
「なんと恐ろしいことか」
さて、問題の日本の“放射能汚染食品”のバッシング報道だが、CCTVは中国国内1万3000以上のネットショップやスーパーで日本の核汚染食品が売られていると暴露した。例えば、カルビーのスナックの製造元は東京都。工場は栃木県。東京都も栃木県も2011年の311東北大地震以降、中国が食品輸入禁輸措置をとっている対象12都・県(現在は10都・県)に含まれている。スーパーの棚に並んでいるレンジでチンするごはんパック。中国語の製造元表示には北海道産とあるのだが、その中国語表示をめくると、製造者住所は新潟県。これも禁輸措置対象地域だ。こうした“日本の放射能汚染食品”は、良質・安全を売りにしているブランド・無印良品のスーパーで売っていることも判明した。
からくりは至って単純で、天津や深圳の保税区留めで輸入したのち、保税区内から宅配便で保税区外に送る。よくある密輸入のパターンである。
こうしたCCTVの調査報道映像のあと、スタジオの司会者は、「初期統計で1万3000もの店で放射能汚染食品が売られているとは。この数字はなんと恐ろしいことか。まさか輸入代理店は、国家の法律を知らないわけではないでしょう。まさか、これら食品が自分たちの同胞友人たちの健康を損なうかもしれないことを知らないわけではないでしょう」と怒りをあらわに訴えるのである。
この放送を受けて、中国のメディアは「恐怖!日本の放射能汚染食品を我々は食べていた!」と煽情的なニュースを流し、ネットショップでは一斉にカルビー製品が姿を消し、全国のスーパーは日本産の食品を棚から撤去したのだ。だが、この番組に反論した企業があった。無印良品だった。
CCTVを信じるか、無印を信じるか
無印良品サイドは、中国のSNS微博のオフィシャルアカウントで「輸入食品はすべて安全検査を受けている。放射能汚染食品を販売したという事実はなく、CCTVは製造会社の住所と生産地を混同しているだけであり、報道は全くの誤解だ」と表明した。そして315晩会で批判対象となった日本産食品・飲料の原産地は、実は福井県と大阪府であるとの説明をしたうえで、原産地証明を出してきちんと税関検査を受けて、合格を得た商品であるということを、税関書類の写真を添付しながら訴えた。もちろん、店舗から対象食品・飲料を撤去しなかった。
さらに意外なことに、この無印良品の抵抗は中国のネットユーザーたちを味方につけ「無印良品の逆襲が成功!」「企業広報は無印良品に学べ!」「CCTVを信じるか?無印を信じるか?」といった発言も飛び出した。また、一部大手ネットメディアも無印良品側の言い分を丁寧に報じた。
これはなぜかということを考えるとなかなか面白い。
微博ユーザーのV(VIP称号、影響力のあるアカウント)アカウントの少なからずが、CCTV報道に突っ込みを入れて、無印良品サイドの立場に立って発言している。
例えば「青年考古学生」という編集者のアカウントはこういう。
「CCTVが何を言おうが、地方メディアが何を信じようが、無印良品が声明を出す前は、ほとんど一方的な暴露でしかなかった。さらに言えば新京報メディアは、(独自取材もせずに)“無良印品”などと揶揄した。メディアは自分で事実を求める精神で再調査・再取材しないのか?」
とあるブログニュースはこう指摘する。
「中国において、メディアの擬人化がひどく進んでいて、まるで視聴者・消費者を父母のように一方的に誘導するようになっている。…CCTVが発信したのだから、我々も唱和せねばならない。CCTVをそらんじておけば、どちらにしろ私たちには責任がない。こういう大衆の心の在り方は、無責任なメディアと同じである」
中国における官製メディアへの不信は実は、ネットを駆使するような若い世代や知識層の間には根強くある。だが、メディアが共産党の喉舌であり、党の代理人としての立場にある以上、表立った官製メディア批判は党批判となるので、多くの視聴者はフェイクニュースだとわかっていても、あまり文句はいわない。そして、政治的安全を考えて、時にそのフェイクニュースにあえて乗じて、自分の利益になるように行動する。
例えば、かつて日本で生産されているSK‐Ⅱの化粧水に、中国の品質検査上問題のある成分が検出された、という報道があると、それが実は日中関係悪化にともなう中国サイドの一種の報復バッシングであるとわかっている消費者も、空のSK‐Ⅱの瓶を持って返金を要求したりもした。真実は何かということよりも、どう行動すれば政治的に安全であり、個人として利益を得られるか、ということが中国大衆の判断基準でもあった。
では、この“日本の放射能汚染食品”問題について、少なからぬネットユーザー、大衆が多少の“政治的安全”を犯して、無印良品のサイドに立ったのは、どういうわけか。
“小清新”が好む村上春樹、岩井俊二、無印良品
ここからは私の想像なのだが、一つの背景は、“無印良品”という日本を体現するようなブランドの威力、信頼性というものがあったのではないか、と思う。中国経済の悪化にともない、外資系企業、外資系ブランドの撤退ラッシュが続く中、無印良品は怒涛の出店を展開し中国の若い世代に圧倒的な支持を受けている。中国の「名創優品」チェーンなどは、明らかに無印良品のブランド力に乗じた戦略で人気を博した。しかも無印良品の持つイメージ、たとえばシンプル、ナチュラル、エコ、オーガニック、ちょっと上質な暮らしといったキーワードは、中国のプチブル層に誕生した“小清新”と呼ばれる若い女性層の好みに合致し、いわゆるエルメスやシャネルに身を固めるセレブ層とは違う、洗練された自然派の都市民ファッションの一つの流行となった。
そもそも小清新というイメージ自体が、非常に日本的といわれ、小清新が好む小説・映画といえば村上春樹や岩井俊二がトップに来るし、化粧も日本的なナチュラルメイク、美肌スキンケアに重点を置き、ふかひれアワビの飽食よりも、オーガニック食品やマクロビ(日本発の健康食生活法)にこだわる。つまり小清新のイメージは無印良品であり、無印良品のイメージは日本を体現しており、若い小清新な中国人にとって日本とは、シンプル、ナチュラル、エコ、オーガニック、ちょっと上質な国として、圧倒的な信頼を得ている。日本のこの無印良品的ブランド力は、中国における一つの文化形成に寄与するだけの影響力を持っていたわけだ。このあたりの背景は、拙著『本当は日本が大好きな中国人 (朝日新書)』(朝日新書)に詳しいので参照してほしい。
そのきわめて日本的イメージの無印良品が、CCTV報道に対して「誤解だ」といち早く発信した。ここで、CCTVは嘘つきだ、といわずに「誤解だ」というあたりが奥ゆかしい。そして、わざわざ丁寧に、証拠の税関書類や品質検査合格書類などを添付して、冷静に誤解を解こうとしていることが、好感を得た。こうなってくると、普段、中国のフェイクニュースに対して正面から声を上げることが難しい中国ネットユーザーたちも、ちょっと嬉しくなってくるようだ。ネット上では「疑いなく、無印良品の勝利」と指摘する声もあった。
傲慢フェイクニュースにうんざり
もう一つは、中国人消費者の間に、中国の“日本の放射能汚染地域生産物”の全面禁輸にうんざりしている空気があった。エコ、ナチュラル、安心、安全、ちょっと上質にこだわる中国の都市部プチブル層は、実は日本製の食品を買いたい。だから、日本旅行に行った際に食品の爆買いをするし、日本に留学・駐在している友人に頼んで送ってもらったりする。売れるから、ネットショップで、カルビーのフルグラ(栃木県産)が販売されるのだし、密輸入の真空パックごはんにわざわざ北海道産とウソの生産地を書いたシールを張ってまでスーパーの棚に並べられるのだ。
スーパー側も消費者側も、震災後6年も経つ今なお、日本の10都県からの禁輸措置を不条理だと感じているのだ。はっきり言って、日本の放射能汚染食品の問題よりも、そろそろ北京にも飛んでくる黄砂とともに放射性セシウムを吸い込むことによる内部被ばくの方がよっぽど深刻で切実な問題ではなかろうか。
この後、中国当局の無印良品イジメが本格化して、最終的に無印良品側が前言を撤回して謝ることになるのか、それとも無印良品の冤罪ということで決着がつくのかはまだわからない。
だが、消費者にとって、バッシングすべき不良品は、自前取材をせずにフェイクニュースを日常的に流し、あたかも自分たちが世論をコントロールしているかのような傲慢さを隠さないメディアの方だということは、別に中国だけの話ではないということだ。
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『高まる経済ナショナリズム 中国の反韓行為は自滅的』(3/24日経FT)、『米中首脳は歩み寄れるか 』(3/23日経FT)、『強硬トランプ 中国危機感 対北朝鮮制裁を前倒しか 石炭輸入停止、米に配慮 』(3/23日経朝刊)について
メデイアの中国の見方は甘いとしか言いようがありません。歴史的に国家が他国の製品ボイコットやデモをさせ(五四運動・裏には米国が動いたという説もあり。反日デモ、カルフールへのデモ、マックへの期限切れ鶏肉調査)、中華思想に基づく国際的なルール破りは当り前です。レアアースの対日輸出禁止に見られるようなWTO違反や南シナ海の国際仲裁裁判所の判決を「紙屑」と言い切ることができる国です。
中国が自由貿易の守護者と言うのは間違っています。自国の輸出には甘く、ソーシャルダンピングを平気でします。鉄鋼の在庫を吐くために低価格で輸出してきていました。また、非関税障壁で、輸入物品の通関をいくらでも遅らせることもできます。通関職員に賄賂を贈らない限り、スムースな通関は出来ません。それで外国企業は、通関は中国人にやらせるわけです。日本人は担当できません。賄賂の金は当然「小金庫」(中国企業は必ず二重帳簿、三重帳簿にして役人に贈る賄賂の裏金をプールする仕組みにしています)から出します。韓国にも懲罰的な製品・サービスのボイコットを国がやらせています。どんなに民間が決めたと言い逃れてしても、中共に営業の自由はありません。党の命令以外に、外交問題に発展することが決められるはずがありません。
3/23FT記事では、習近平がトランプを自由貿易に戻るよう説得せよとの話ですが、中国は自分の都合の良いときだけ「発展途上国」を主張して、国際ルールは守らないような行動を取る国です。トランプを説得できる立場にはないでしょう。先ず自分の行動を改めてからのみ人に説得は可能です。蓮舫が森友問題で安倍昭恵氏を国会で証人喚問をと喚いていますが、先ず自分の二重国籍の問題を説明してから他人に要求するのが筋では。自分を棚に上げられるところは、やはり中国人(≠台湾人)の面目躍如たる所があります。
また中国は米国のインフラ投資に協力できるとの見方ですが、①軍事的に米中対決するかも知れない国に、インフラ投資させれば、バックドアを仕掛けられ、機雷を陸上に仕掛けられるのと同じ意味を持ちます。筆者は平和ボケの典型です。米国軍はそんなことは許さないでしょう。②中国経済は崩壊寸前にあり、データを遣り繰りして誤魔化しているだけです。自国内でも融資平台の扱いに困り果てているのに、これ以上の投資余力はないし、外貨流出防止策を採っていて、下請けとなる米国の土建・建設業者に払う米$もないのでは。
3/24FT記事
歴史上、自国のナショナリストの不満が他国への攻撃に向かうようにした結果、逆に同じナショナリストに倒された政権は枚挙にいとまがない。中国共産党はこのことを知っているのに、神経を逆なでした国に対し、国民による攻撃をあおり、製品ボイコットをたきつけている。
今回は韓国だ。北朝鮮による核攻撃の脅威にさらされる同国は、国内に米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を配備することを認めた。これに対し中国は、レーダーの監視範囲が国内の軍事拠点まで届くことから、地域の戦略バランスが崩れ、同国の軍事力が脅かされると主張している。
確かに、これも米国が配備する理由だろう。もし、中国が韓国内のミサイル配備を望まないなら、北朝鮮の挑発的攻撃を抑えるため、さらに手を打つべきだというのが米国の言い分だ。
ところが、中国共産党は国営メディアを総動員して韓国への辛辣な批判を展開し、韓国企業へ嫌がらせをしたり、中国人観光客が訪韓しないようにしたりもしている。小学生児童にも韓国製品をボイコットするよう教え込んでいる。
そうした攻撃の矢面に立たされたのが、配備に土地の一部を提供した韓国のロッテグループだ。中国で展開するスーパー99店舗のうち87店舗が一時的なものも含め、閉店に追い込まれた。
中国はトランプ米大統領の保護主義的な主張に反発しているにもかかわらず、こうした反韓行為をとっている。これは自滅的だ。グローバル化に問題点があるのは中国のせいだと非難する西側諸国に、攻撃材料を与えるようなものだ。
韓国の次期大統領が配備を撤回することを期待し、中国がボイコットなどで反韓感情をあおっているのは明らかだ。
朴槿恵(パク・クネ)前大統領の後任の最有力候補で、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は、既に配備を見直すと表明している。どの候補が大統領になっても、北朝鮮との緊張緩和の道を探らなければならない。しかし、中国の経済的圧力に屈し、一方的に配備を撤回するのは誤りだろう。
他国との対立に経済ナショナリズムを利用するのは中国の常とう手段で、これまではそうしてかなり言い分を通してきた。自国内でナショナリズムをあおる一方、戦略的要請と商業的重要課題を混同して外交を展開するのは賢明な指導者のやることではあるまい。今のやり方では、重要な隣国との貿易関係をこじらせるだけでなく、外に向けたはずのナショナリストの怒りが、結局、国内に跳ね返ってくることにもなりかねない。
(23日付、社説)
3/23FT記事
今後の世界は、建国の歴史は比較的浅いが覇権国として長く世界に存在感を示してきた米国と、古代は帝国であり、近年再び超大国として急浮上してきた中国がどんな関係を築くかに大きく左右される。両国の関係は、ポピュリスト(大衆迎合主義者)で排外主義を掲げるトランプ氏が米国で大統領に就任し、中国では権力を一手に掌握する習近平国家主席が独裁色を強めていることから、非常に厳しいものになっている。

保護主義を掲げる米国のトランプ氏=AP
同様に対照的なのは、両者の世界経済の捉え方だ。中国をかつて支配した毛沢東が目指したのは自給自足による経済の自立だった。だが1978年以降は、一貫して毛の後継者、鄧小平が提案した「改革開放」を合言葉にしてきた。一方、米国は第2次世界大戦後、国際的な自由主義体制を築いたが、多くの米国人は米国が世界の指導者であることに問題を感じ始めた。そのため、目覚ましい成果を収めてきた従来の米国の政策は自国の利益に反すると考える人物を指導者に選んだ。
■世界経済への姿勢、食い違い
開かれた世界経済に対する両国の姿勢が逆転したのは皮肉だ。それを浮き彫りにしたのが1月の2人の発言だ。世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で習氏はグローバル化を支持するとのメッセージを強く発したのに対し、トランプ氏は3日後の20日、大統領就任式で「(自国産業の)保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる」というとんでもない演説をした。3月18日に閉幕したドイツでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、共同声明から「あらゆる形態の保護主義に対抗する」という文言が削られた。米国によるこうした保護主義的な動きがどんな影響をもたらすかは未知数だが、極めて気がかりだ。脆弱な世界経済にとり、米中間の貿易戦争ほど望ましくないものはないからだ。

自由貿易の重要性を強調する中国の習近平氏=AP
北京で先ごろ開かれた「中国発展高層論壇(チャイナ・デベロップメント・フォーラム)」に参加して、各国政府が掲げてきた理想と現実のギャップがいかに大きいかを痛感した。中国側の参加者らは非公式に、資本主義や民主主義、開かれた経済の成功モデルとして米国を見てきたと話してくれた。ところが世界金融危機が起こり、トランプ氏が大統領に選ばれ、米国が保護主義に傾くのをみて、彼らはこの3つのモデルにおける米国の成功は崩れ去ったと考えている。
これに対し西側諸国は、中国は先端産業で世界に通用する企業を育成しようと手厚く保護するなど、中国経済は開かれているとする中国の主張は現実とかけ離れていると批判する。海外企業への中国のサイバー攻撃も批判の対象だ。加えて、中国の経済開放を支援すれば民主化が進むだろうとの期待にもかかわらず、中国の民主化が進んでいないことへの失望感も強い。
しかし、欠くことのできない世界的な公益、つまり地球規模で人類が共有している資産の管理や国際安全保障、安定した繁栄を確保していくには、この奇妙なコンビが協力しなければならない運命にあることも明らかだ。トランプ氏が「米国第一」を宣言し、習氏は自国民の快適な暮らしの実現を最優先しようとするかもしれない。
ただ、いずれも他の国々の利益や考え方に注意を払わなければ、自分の望みを実現させることはできない。現在、中国の指導者の方が米国の指導者よりもこのことをよく理解しているように見えるのは、驚くべきことだ。
■会談、多くは期待できぬが
両氏が4月、初の首脳会談で「冬のホワイトハウス」と呼ばれるフロリダ州にある別荘「マール・ア・ラーゴ」で会う時は、互いに協力できる基盤を見つける必要がある。最近の状況を考えると、会談にはあまり期待できそうにない。トランプ氏は中国の通商政策と為替政策を標的にし、中国大陸と台湾が一つの国に属するという中国政府の「一つの中国」の政策に異議を唱えるそぶりまで見せた。2人は性格もこれまでの経験も大きく異なる。「最高ツイート責任者」であり、様々なディール(取引)をまとめてきた不動産王のトランプ氏に対し、習氏は昇進していくのが難しい共産党の組織を上り詰めた勝者だ。
ここで経済にだけ目を向け、互いに相手の言うことにほぼ耳を傾けない2人が会談でどうしたらうまくいくか考えてみたい。
まず、習氏とトランプ氏は、2人が対立していたら、どちらも自分の目標を達成できないことを互いに納得し合わなければならない。これが実際の戦争なら当てはまるのは明白だ。だが、貿易戦争にも当てはまる。どちらの国がより深く打撃を被るかはあまり重要なことではない。間違いなく両国ともに直接的、間接的に損をする。
第2に、習氏はトランプ氏に、中国の政策に対するトランプ氏の見方は救いがたいほど時代遅れだということを説得する必要がある。中国は2014年6月以降、人民元を下支えするために外貨準備から1兆ドル(約111兆円)を使った。06年から16年にかけて、中国の輸出は国内総生産(GDP)比35%から同19%に低下した。中国の劇的な経済成長を支えた輸出はもはや昔の話だ。
第3に、トランプ氏は習氏に対し、中国の産業政策について諸外国が懸念を持つのはもっともなことだと伝える必要がある。中国が自国はまだ発展途上国だと主張するのは当然だろう。だが既に巨大な経済大国でもある。中国が発展を求めて進める諸政策は、他国の目には侵略的な重商主義のように映る。各国が互いに依存する今の世界では、他国も中国がやることについては相応の利害を持っているということを中国は認識すべきだろう。この点は、中国の経常黒字の規模にも当てはまる。トランプ氏も当然、似たような論点を理解しなければならない。トランプ氏が自分の行動が世界にもたらす影響を気にしないのなら、中国も気にする必要はないということになる。
第4に、中国はトランプ氏が望みを実現するのに手を貸せる。トランプ氏は産業空洞化により打撃を受けた米国の地域に新しい工場を建設していきたいと望んでいる。産業空洞化の流れを反転させることはできないが、習氏にとって、喜んで米国に投資したい中国企業を見つけるのは簡単だろう。トランプ氏はそうした投資決定の発表を好むだけに、習氏はトランプ氏を支援すべきだ。
最後に、トランプ氏は米国でのインフラ投資ブームを起こしたいと考えている。中国は、実際のインフラ構築から、その引き渡しまで圧倒的なスピードで実現できると自負する存在だ。この中国の能力をトランプ氏の目標と結びつけるのは可能に違いない。
米中がどれほど対照的に見えるとしても、両国は利益を共有している。開かれた世界経済を維持することもその一つだ。トランプ氏に、貿易に対する彼の見方が間違っていると納得させることも極めて重要だ。自由な世界貿易を維持するメリットについて、米大統領を説得するのに中国の共産党指導者を頼りにしなければならないとは、従来は考えられなかった。しかし、今の絶望的な状況においては、そうした考えにくい手段も必要ということだ。
By Martin Wolf
(2017年3月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
3/23日経朝刊
中国は2月19日から北朝鮮からの石炭輸入を停止した。核・ミサイル開発の原資を断ち切るために国連制裁決議が定めた上限に、2017年の輸入額が「近づいたため」だと説明する。ところが1月の税関当局の統計をみると上限額の3分の1にも達していない。浮かぶのは、トランプ米政権の強硬姿勢に危機感を強め、前倒しで制裁に踏み切ったという構図だ。

北朝鮮・新義州の石炭積み出し港
「こんな数字が出るとは不可解だ」。2月下旬、北京で中朝関係を担当する外交官の間で疑問の声があがった。中国税関総署が発表した1月の石炭輸入額は1.2億ドル。国連制裁決議が定めた上限額は4億ドルで、まだまだ余裕があった。
中国政府と深いつながりがあるシンクタンクの研究者が日本経済新聞の取材に、からくりを解説してくれた。「米国に協力姿勢をアピールするために制裁を前倒しで発動した」。トランプ米大統領の対北強硬姿勢への危機感があったという。
難民流入を懸念
トランプ氏は大統領選中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との直接会談に意欲を示したが、最近は「かなり先になる」と後退。「中国に意思があれば北朝鮮問題は簡単に解決できる」と中国に積極的な対応を求めるようになった。
中国は北朝鮮への圧力強化に及び腰だ。北朝鮮はそれに乗じて核・ミサイル開発を進め、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)で米本土を射程に収めようとしている。そうなる前に、米国は手を打つ必要があり、まずは中国を動かすのが先決だ。ある中国人研究者はトランプ氏の思考をこう分析する。
2月17日、ティラーソン国務長官は王毅外相との初会談で、北朝鮮の挑発抑止へあらゆる手段を使うよう求めた。中国ではトランプ政権の強硬姿勢に危機感が一気に高まった。中国商務省が北朝鮮からの石炭輸入停止を関係者に通知したのは翌18日のことだ。北京の外交筋は米が中国に3つの圧力をかけたとみる。
一つは日韓両国との安全保障協力の強化。中国が嫌がる在韓米軍への地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備はその一環だ。もう一つは北朝鮮と取引する第三国企業に独自制裁をかけること。実施されれば中国企業が対象になる。最後に北朝鮮への軍事力行使。発足したばかりのトランプ政権がすぐに打てる策ではないが、北朝鮮の混乱で難民が押し寄せることを懸念する中国がもっとも嫌がる話だ。
ティラーソン氏は3月中旬のアジア歴訪でも、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と軍事オプションをちらつかせた。韓国から中国へ移動する専用機内では、米メディアのインタビューに応じて日韓の核武装に言及。現時点では検討していないとしたうえで、「将来はわからない」と含みを持たせた。石炭禁輸だけでは足りないとの意思表示だった。
次の協力探る
王毅氏は3月の会談で北朝鮮への圧力強化に一定の協力姿勢を改めて示した。米国をなだめると同時に、中国が期待する早期の首脳会談へ環境整備する必要があったからだ。ただ、「対話による解決」を求める方針は変えず、石炭禁輸に続く協力策を明示することもなかった。北朝鮮を混乱させない範囲内で協力しつつ、米国を北朝鮮との直接協議へ促すとの方針をなお維持した。
中国の筋書きに展望があるわけではない。かつては米朝平和協定を結べば北朝鮮が核兵器を放棄するとみていたが、すでに北朝鮮は憲法に核保有国と明記し、核を手放す選択肢は事実上ない。対話しても米国が受け入れ可能な合意は得られそうにない。このまま次の協力策を出さなければ、米国が再び中国への態度を硬化させるとの見方が浮上している。
北朝鮮は今月19日、北京での米中外相会談を尻目に弾道ミサイル用とみられる新型エンジンの燃焼実験を実施したと発表した。中国は北朝鮮問題の根本的な解決策を探しあぐね、先送りしてきた。だからこそ微妙な均衡にある現状を崩しかねないトランプ政権の強硬姿勢に神経をとがらせる。王毅氏はその翌日、北京での講演で語った。「我々は戦争に至るか対話に戻るかの岐路にある」
(北京=永井央紀)
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『見え始めたトランプ政権の“行動原理” ピュアな外交課題は従来路線を踏襲する(3/22日経ビジネスオンライン 篠原匡、長野光)、『トランプ氏 移ろう中国観』(3/22日経朝刊 本社コメンテーター 秋田浩之)について
トランプが中国に弱腰になってきたように見えるのは、やはり、クシュナー・イバンカへの安邦保険のプレゼントが効いているのかもしれません。でもそれでは、本記事のオースリン氏が言っている「米国の労働者と米国経済を守りたい」という所から外れます。「アメリカ・ファースト」の看板が泣きます。
本当に弱腰になっているかどうかは
①4/6,7に習近平の訪米を受け入れるかどうか
②訪米したら、共同声明の中味がどうなるか
によって判断できると思います。まあ、訪米しても、両者譲れる所は多くないでしょう。両者の裏には軍がついており、迂闊な譲歩は出来ません。経済的な面にしても、トランプは国民に公約してきた手前、中国に甘い顔をすることは出来ません。そう考えると、習の方が不利で、それなら訪米は止めようとなるでしょう。いくら訪米しても、帰りのお土産もなくては北戴河会議でここぞとばかりに叩かれます。何せ反腐敗運動で政敵をつるし上げて来ていますので。
昨日の小生のブログで宮崎氏のメルマガを紹介しましたが、米国は台湾の軍事支援に力を入れ出しました。ただアンデイ氏や兵頭氏が心配するように、中国への技術流出が国民党残党から為されることです。早く内省人中心の部隊編成にしないと、台湾軍は台湾国民党軍となり、国共合作がまた起こり得ます。
蔡総統も少しずつ現状維持の姿勢を変えようとしているのでは。李登輝総統のように慎重こそが政治家には必要かも。昨日のブログで兵頭氏は機雷敷設すれば中国は台湾に負けると述べました。ただ、台湾経済も対中依存度が高いため、ガタガタになります。やはり、中国を抜きにした経済体制を作っていかねば。日本も勿論そうです。敵を経済的に助け、軍事拡張に手を貸すのは愚の骨頂です。
日経ビジネスオンライン記事
トランプ政権が発足して早2カ月。貿易・通商政策や移民政策、国境警備の厳格化など大統領選の際のスタンスを継続している分野もあるが、同盟国に対する立場や「一つの中国」原則に対する見方など、主張を修正させている分野も目立つ。端から見るとぶれているように見えるトランプ政権の主要政策。その背景にある法則について、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマイケル・オースリン日本部長が解説した。(日経ビジネスニューヨーク支局 篠原匡、長野光)
—日韓の核武装を容認したり、北大西洋条約機構(NATO)を時代遅れと批判したり、ロシアとの関係改善に強い意欲を示したり、外交・安全保障に関するトランプ氏の選挙期間中の発言は従来の米国の政策とは大きく異なるものでした。ただ、その後は「一つの中国」原則を尊重するなど、伝統的な路線に回帰しているようにも見えます。トランプ政権の外交・安全保障政策をどう整理すればいいのでしょうか。
マイケル・オースリン氏(以下、オースリン):トランプ氏が大統領選に勝利した後、誰もが彼の外交政策はラジカルなのではないか、米国の外交政策のプライオリティは大きく変わるのではないか、と考えました。ただ現実を見ると、彼が変えようとしているのは国内問題に直結する外交課題に過ぎません。

「トランプ大統領には一貫したロジックがある」と語るAEIのマイケル・オースリン氏(写真:Aaron Clamage Photography (c) American Enterprise Institute)
例えば、トランプ大統領はTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱やNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を表明しましたが、これは国内の雇用問題につながるイシューとしてTPPやNAFTAを捉えているからです。イスラム圏7カ国の入国禁止を命じた大統領令も、国内のテロ対策という文脈で捉えれば一貫しています。どちらも外交課題ですが、トランプ大統領は国内問題としてみています。
一方で、純粋な外交政策については従来の政策を踏襲しています。トランプ大統領は日米同盟の重要性に繰り返し言及していますし、(対日防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用も明言しました。NATOに対する支持も表明しており、従来からの「一つの中国」という原則を尊重するとも語っています。
もちろん、そういう伝統的な外交政策を変えようと思えば変えられます。トランプ大統領と外交政策チームは今後、変えようとするかもしれない。ただ現在についていえば、あらゆることが直ちに変わると思われてきたけれども、それは起きていません。国内問題に直結する外交課題か否か。トランプ大統領には一貫したアプローチがあるとみています。
—トランプ大統領は選挙期間中からロシアに対して融和的な姿勢を取ってきました。先ほどのロジックに照らすとロシアはどうでしょうか。
オースリン:少し前に統合参謀本部のジョセフ・ダンフォード議長がシリアにおけるロシア軍との共同作業について、ロシアのカウンターパートと話し合いを持ちました。これはオバマ政権からの大きな変化です。一方で、トランプ政権はウクライナを巡る対ロ制裁は続けていますし、国連代表も国連の場でロシアによるウクライナ侵攻やシリア介入を批判しています。
確かに、ロシアについてトランプ大統領はかなり複雑なポジションを取っており、現時点では様々なものが混じり合っています。ロシアを巡るスタンスについては、もう少し成り行きを見守る必要がありますが、ロシアに対する伝統的な政策を維持していると言えます。
彼の言う経済ナショナリズムは保護主義とは異なる
—トランプ政権にはスティーブ・バノン首席戦略官のような人物がいる一方で、マティス国防長官など伝統的な立場を取る人々もいます。
オースリン:我々が知る限り、バノン氏はかなり高いレベルで政策に関与しており、トランプ大統領に強い影響力を持っています。イスラムすべてを指しているのかは分かりませんが、彼は米国がイスラムと戦争状態にあると信じています。宗教上の対立をナチュラルなものと捉えているという面で、バノン氏の世界観はかなり独特と言えます。
一方で、トランプ大統領はマティス国防長官やティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官など伝統的な志向を持つ人々を数多く指名しています。彼らは並外れた頭脳を持つ、クオリティの高い優れた人々です。彼らはバノン氏の世界観を共有していません。そのため、政権内には競争が起きていますが、意見の相違があるのは決して悪いことではありません。
バノン氏は強固な信念を持っていますが、それがトランプ政権のすべてを形作っているとは思いません。バノン氏のビジョンに同意すべきものがあれば、大統領は自身の政策を変えるでしょうし、同意しない場合もあるでしょう。最終的に決断するのが大統領だということを考えれば、自身の政策がベターだと両方のサイドが大統領を納得させなければなりません。
足元でみれば、純粋な外交政策については伝統的な立場を取る人が勝利を収めているように見えますが、移民や貿易など国内問題についてはバノン氏が勝利を収めているように見えます。どちらかが100%という話ではありません。バノン氏の世界観は物議を醸していますが、その裏側にある「米国に利益をもたらす」という哲学は議論されてしかるべきものだと思います。
—バノン首席補佐官は経済ナショナリズムを主張しています。
オースリン:彼の言う経済ナショナリズムは保護主義とは異なるものだと思います。トランプ大統領は米国の労働者と米国経済を守りたいと考えています。そして、彼らが実際に話しているのは、現在の自由貿易がフェアかどうか、米国が経済活動の中で打撃を受けていないか、それを確認しましょうということです。経済ナショナリズムとは、こういう考え方を指す新しい言葉です。
ご存じの通り、保護主義は海外の貿易相手に対して国境を閉ざすということですが、トランプ大統領がそれを望んでいるとは思いません。日本の方々がどう受け止めているかは分かりませんが、米国の利益のために、もっといいディールになるように交渉しようと言っているだけです。それがピュアな保護主義だとは思いません。
—メキシコなど海外に製造拠点を移そうとした企業を攻撃している点はどうでしょうか。
オースリン:経済ナショナリズムという観点で見れば、トランプ大統領のしていることはロジカルだと思います。次に生じる疑問は、トランプ政権が採ろうとしている政策がいい政策なのかどうかです。彼の政策が経済を改善させるのか。それこそが問われるべき真の問いでしょう。我々は開かれた国境がベターであり、強固な自由貿易体制がベターだと考えていますが、真実はまだ分かりません。トランプ政権の下で経済に何が起きるのか、もう少し注視する必要があると思います。
日経記事
なぜだろう。就任前、あれほど厳しかったトランプ米大統領の中国観が、じわりと変わり始めているという。その真相を探ると、アジアに混乱をもたらしかねない不安の種がみえてくる。
米中要人の往来が加速している。中国外交トップの楊潔篪国務委員(副首相級)が2月末に訪米したのに続き、ティラーソン国務長官が18~19日に北京入りした。習近平国家主席が4月上旬に訪米する案も検討されている。
「中国と建設的で、結果を重視した関係をめざしていく。米国民の利益になり、同盟国との信頼関係にもかなうはずだ」。米政府高官はこう説明する。
だが、米国のアジアの同盟各国には不吉な予感が漂っている。米中が何らかの裏取引を交わし、自分たちが外されてしまうのではないか。そんな不安だ。
なぜなら、トランプ氏の対中戦略はなかば空洞であり、軸足がぶれやすい現実が少しずつ明らかになってきたからである。
たとえば、事実上、台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」政策への対応がそうだ。トランプ氏は当初、これに従わない可能性をにじませていた。
ところがトランプ氏は2月上旬になると、この政策の堅持をあっさり中国に約束し、関係改善に意欲すらみせた。かつて強く非難した人民元や南シナ海の問題でも、最近は発言を控え気味である。
いったい、トランプ氏の中国観はどうなっているのか。手がかりになるのが、2月10日の安倍晋三首相との初会談だ。複数の関係者によると、伏せられたやり取りはこんな感じだったらしい。

約40分間の会談のほとんどが中国問題に費やされたほか、その後の昼食会でも中国が主な話題のひとつになった。
中国は経済力や軍事力にものをいわせて、東・南シナ海で勢力圏を広げようとしている。「中国主導のアジア」をつくり、米国の影響力を排除するつもりだ。そうさせないよう、日米同盟を強めなければならない――。
会談は安倍氏が主導し、こんな対中認識を共有する流れになった。最側近のバノン大統領首席戦略官・上級顧問は会談後、「中国に関する安倍首相の説明はすばらしい」と、日本側にささやいた。
ところが、トランプ氏は時折、日本側が「おやっ」と、不安を感じる発言もしていたのだ。
「そうはいっても、習近平氏もなかなか見どころがある人物だ」
「習近平氏とは初めて電話したが、とても良い話ができた」
トランプ氏は、安倍氏との共同記者会見でも米中連携に前向きな姿勢をみせた。彼は安倍氏と親交を結ぶ一方で、もう片方の手で習近平氏とも握手をかわそうとしているようなのである。

秋田浩之(あきた・ひろゆき) 政治部、北京支局、ワシントン支局などを経て、外交・安全保障担当の編集委員兼論説委員。近著に「乱流 米中日安全保障三国志」
トランプ氏の心変わりのきっかけは、日米首脳会談の前日にあたる2月9日、習近平氏と交わされた電話だ。
米中関係者らによると、米政権が重視する国内雇用やインフラの整備のため、中国が協力していく姿勢を習近平氏がみせたらしい。オバマ前政権が求めていた米中投資協定の締結について、前向きな意向を示したとの情報がある。
トランプ氏はこの見返りとして「一つの中国」政策を堅持し、関係の改善に動いたとみるべきだろう。習近平氏への4月の米国招待も、この延長線上にある。
トランプ氏には骨太な戦略観がなく、損得に外交が流されやすいという不安がかねて指摘されていた。やはり、そうだったのだ。
むろん、彼としても中国の対米貿易黒字や東・南シナ海での強硬な行動に怒ってはいる。だが、それは明確な理念にもとづく反応というより、感情的に腹を立てているといったほうが近いという。
中国の外交ブレーンによれば、習近平氏は「トランプ氏は取引好きで、御しやすい」と見抜いている。トランプ氏を取り込むため、今後、さまざまな協力案件を打診するにちがいない。経済に加えてもう一つの有力なカードが北朝鮮問題での協力だ。
ひそかに、米中間で取引が始まっている形跡がある。米国は先月17日、ドイツで開かれた初の外相会談で、北朝鮮に「あらゆる手段」を使って圧力を強めるよう、中国側に求めた。
すると、その翌日。中国商務省は突然、北朝鮮からの石炭輸入を今年末まで停止すると発表した。「偶然とは思えない。何らかのディールが交わされたのだろう」。アジアのベテラン外交官からはこんな声が漏れる。
北朝鮮問題をめぐって米中が連携を深めること自体は、世界にとっても朗報だ。問題は、トランプ氏がその見返りに、中国側にどんな譲歩をするのかである。
もし、東・南シナ海での中国の行動をめぐり、米政権が甘い態度をとることになれば、日本やオーストラリア、東南アジアの同盟国の安全保障が脅かされてしまう。
では、日本やオーストラリアはどうすればよいのか。ひとつの方策は安全保障に精通し、厳しい対中観をもっているマティス国防長官らと連携し、トランプ氏が危ない対中取引に走らないよう抑えることだ。この意味で、ペンス副大統領もカギをにぎる。
それでも、大統領が絶大な権力をにぎる米国では、副大統領や閣僚の影響力には限界がある。空洞になっているトランプ氏の中国観がきちんと肉付けされていくよう、同盟国は彼との対話を深めていかなければならない。
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『台湾の自衛力』(3/21AC通信 アンデイ・チャン)、『トランプ政権、過去最大の武器供与を台湾へ 総額18億ドル、対艦ミサイル、フリゲート艦など』(3/22宮崎正弘メルマガ)、『台湾の蔡英文総統、潜水艦の自主建造を表明』(3/21 Newsweek)、について
本日は台湾関係のニュースです。日本が本年1/1より「交流協会」を「日本台湾交流協会」に名称変更したのに合わせ、今般台湾でも「台湾日本関係協会」に名称変更しました。
3/20李登輝友の会HPより<行政院が認可「亜東関係協会」を「台湾日本関係協会」に名称変更へ>
http://www.ritouki.jp/index.php/info/20170320-1/
兵頭二十八著『日本の武器で滅びる中華人民共和国』を読みますと、台湾関係についても書かれていますが、それ以外でも面白い部分がありますので紹介します。(主な頁だけ表記)
・尖閣を守るにはtripwire(=鳴子)を配置する必要あり。自衛戦争だけが国連憲章で認められているため。Tripwireとして、魚釣島に穴を掘り、日本の74式戦車を半分埋め、コンクリで固めて「沿岸砲台」とする。(当然人員配置する)。日本の施政権を強調できる。(P.32)
・ニクソン・毛の密約。「両国はICBMの競争をしない」、「米国は東京に核の傘をさしかけず、日本には決して核武装させない。東京は当分、中共からの核攻撃に対して丸裸にしておく。」(P.58)
(3/21三島由紀夫研究会主催の西村幸祐氏講演会で、氏は、片岡鉄哉氏から聞いた話で「沖縄返還交渉時、ニクソンは佐藤総理に日本の核武装を勧めたが、佐藤総理が断った」とのこと。日本側密使として若泉敬京産大教授が当たったが、この裏話を三島に話したのではと推測している。あくまでも推測でしかないが。それを基に三島は『美しい国』を書いた。これは映画化され、本年5月に封切りされる。核戦争の危機を書いたものだが、映画は原作と違っている。ただ、若い人は三島を知らない人が多いので、三島を知るきっかけとしては良いとのこと。)
・米国とNATOのニュークリア・シエアリングはB61(小型水爆)を分解して部品として貯蔵されているドイツ、オランダ、ベルギー、イタリアが「核の傘」があるとロシアは認識している。(P.74)
・日本に「核の傘」はあるか。71年11月の「非核三原則」衆議院決議で核の持ち込みすら拒否した形。(P.75)
・弾道ミサイル防衛の如何わしさ。弾道ミサイルは、その軌道の絶頂部分が、スピードが最低に。その時を狙って迎撃ミサイルをヘッドオン(正面衝突)できれば破壊が可。イージス艦も敵ミサイルの飛翔コースの中間点にいる必要あり。現実に中国大陸から発射されれば、朝鮮半島の陸地に阻まれ、位置することはできない。(P.95)
・中国の核脅威から逃れる術=中共体制を崩壊させ、各地に軍閥政府が乱立、米政府の特殊部隊が「核弾頭差押え」のため出動する。(P.100)
・中共の「アキレスの踵」は沿岸の大陸棚に沈底式機雷を撒かれること。(繋維式機雷と違い安い)。水深30m未満の浅い海面に機雷敷設は簡単。マレーシア、フィリピン、ベトナム、ブルネイ、インドネシアの海軍でも、特別な訓練は必要でなく、高額な専用設備も必要ない。(P.111)
・アジアに平和を齎すにはマレーシア、フィリピン、ベトナムでスプラトリー島嶼全域での領有権主張の調整が必要。+ブルネイは簡単。(四か国で軍事同盟を結べば良いという事)(P.129)
・これに対し、台湾は、『まあ、「本当に戦争にでもなったら、台湾から遠い海外へ逃げてしまえばよい」というのが、フットワークの軽い台湾国民の本音でしよう。そして政府にも、工廠などの固定資本に投資しても、内戦になれば持って逃げられないから損だ、という、チャイナ夕ウンの零細料理店主に似た思惑があるのかもしれません。
台湾軍がいくら望もうとも、台湾政府と国民は、台湾海峡に機雷を敷設することに反対するでしょう。大陸との往来ができなくなったら、ビジネスが干上がってしまうのは台湾湾人のほうなのです。
面白いのは、中共海軍もそこを見抜いていることでしょう。「こっちが機雷を撒けば台湾は終わりだぞ」と、よく宣伝しています。第三者から見たら、台湾海峡が機雷だらけになったら、中共軍は輸送船や揚陸艦で台湾へ押し寄せられなくなってしまうのですから中共側が困り、台湾側は喜んでよいはずです。』(P.131)
・『現今の台湾政権は、二〇一五年一〇月に、「一五〇〇トン級の国産潜水艦を整備する」 という計画を公表しています。しかし、もしその話が最速で前進しても、初号艦の就役は 二〇二五年よりも後になるらしい。
いったいその前に中共軍が上陸作戦を発起したら、彼らはどうするつもりなのでしょうか?
台湾の指導層は、大陸(中共)の最大の弱点が、「沿岸に機雷を撒かれると簡単に体制 が崩壊し、長期にわたって経済的三等国に転落するしかない運命にある」ということがよく分かっている。それゆえに機雷戦には乗り気ではないのだと想像しますと、台湾のこのような不自然な軍事政策が、矛盾なく説明されるように思います。
両国間には暗黙の了解があるので、台湾海軍もまた、沈底式機雷を探知•掃海するための近代的装備が事実上ゼロであっても、平気なのでしよう。』(P.157)
・『中共に筒抜けになる軍事情報
米国は、国民党がシナ大陸内に保持している人脈、すなわち親戚や戦前の知人を通じた情報の収集力を、貴重だと評価しています。
ところが一九八五年以降、大陸と台湾のあいだの直接商売や個人旅行が趨勢としてもう止めようがなくなると、それに乗じて台湾軍内にも中共側のスパイ工作が浸透しました。
台湾軍の中堅将校としては、いまさら台湾軍が大陸を征服できるわけのないことは判断できますし、その逆に米国政府次第では大陸が台湾を吸収してしまう事態があり得るという計算ができます。だから、古い長老将軍たちに義理立てするよりも、自分の現在や将来を考えるようになるでしよう。米国は、そこまで読んでいます。』(P.160)
・『台湾単独でも機雷戦で勝てるが
台湾経済は、一九九〇年代から、大陸経済への依存を強めてきました。そしてニ〇〇九 〜一三年にかけて、もう事実上、中共経済に隸属してしまったと見ていいのではないでしょうか。
インド、マレーシアもしくはインドネシアが(台湾の行動とは関係なく)、マラッカ海峡を機雷で封鎖した場合、中共の石油輸人はそれだけでも八割を断たれることになると思われますけれども、実は台湾単独で機雷戦に訴えても、中共を亡ぼすのにはもう十分なのです。
そうなってしまうのは、なにも現代の機雷がスーパー兵器だからではなくて、誰も予想もしなかったほど経済発展してしまった一九九〇年代以降の中共の「地政学的弱点」が、それだけ特異であるからなのです。
しかし、撒いた機雷の効果が長期におよぶことを、台湾人は怖れているように見えます。要するに台湾人は、中共経済を破壊したくはないのです。』(P.167)
著者は中国に民主主義革命を起こさせることが、世界への中国の脅威をなくすことと信じていますが(P.206)、中国は民主主義にはならないでしょう。分裂してもミニ中共ができ、軍閥支配の多国家ができるだけのような気がします。それでもそちらの方が安心ですが。
日本の新幹線技術も台湾高鉄の副総裁から中国に流出しました。彼は台湾人ではなく、中国人だからできたのでしょう。外省人と思われます。
https://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1630582/
アンデイ記事
中国の強い圧力にもめげず韓国はサード(THAAD、終末高高度防衛)ミサイルを導入すると決定した。日本の自衛隊は二年前からサードミサイルの導入を検討していて、稲田防衛相は今月13日にグアムの空軍基地でサードミサイルを視察した。ところが台湾では同じ日に国会で議員から台湾にサードの導入を聞かれた馮世寛国防部長はNoと答えた。しかも馮世?部長は理由を聞かれて、台湾は米中間の戦争に巻き込まれたくないと答えたのだ。 ●サード導入に反対の理由 馮世寛部長が導入に反対した理由の第一は、台湾は米中間の戦争に介入せず中立を守る。台湾は自国の主権を守るために戦うべきで他国を援助すべきではないと言ったのだ。これは誰でもおかしいと感じる。アメリカは台湾の安全を守ることを法律で決めている。つまり台湾の敵か味方かはすでに明らかだ。アメリカに頼っていながらアメリカの味方にならないで中立を守ると言う理屈は通らない。 米中戦争に巻き込まれたくないと言っても戦争になれば中国は真っ先に台湾と沖縄、グアムを攻撃する。馮世寛が台湾は中立を守ると言ったのは中国に忠誠心を示したのであろう。これが台湾の国防部長なら一旦戦争になれば台湾軍はすぐに降参するか、それとも中国に寝返るかもしれない。この男は早急に更迭すべきである。 次に馮世寛部長は、台湾は中国に近いから高高度ミサイルで台湾を攻撃する必要がないと言った。だが韓国と北朝鮮はもっと近いけれど韓国はサードの設置に踏み切ったのだ。中国がサードを怖れる理由はサードのレーダーが広い範囲にわたって敵陣の動きを探知できるからである。サードを台湾に設置すれば韓国に設置したサードレーダーが探知できない中国の内部や、海南島や南シナ海まで監視できる。サードを拒否した馮世寛は中国の味方である。 馮世寛部長の第三の理由は高価なサードを買う金で他の武器を買う方が良いと言うのだ。確かにサードは高いだろう。しかしサードは中国の動きを監視できるから台湾の安全にも寄与するはずだ。 台湾がサードを買わなくてもアメリカにサード基地を貸せば金は要らない。アメリカの基地があれば中国は台湾を攻撃できなくなる。台湾を防衛するならこれが最良だ。アメリカと台湾は国交がない。しかしアメリカは台湾から99年租借で土地を借りて大規模な領事館を建設した。それならサード基地の租借など簡単である。 台湾の安全はアメリカに頼っているのに台湾の国防部長は中国を怖れているか、中国に味方しているかのような態度である。台湾はこのような軍隊に頼れるだろうか。 ●アメリカの軍備提供 アメリカがトランプ政権に変わって台湾に新しい武器を提供すると言い出した。最近のニュースではアメリカが台湾に高移動性ロケット砲撃システム(HIMRS)を売ると言ったそうだ。HIMRSミサイルは射程が200キロもあるので、ミサイル防御の外に中国沿岸のミサイル基地を先制攻撃することもできる。 これについて蔡英文総統は、アメリカが最新武器を提供するならF35ステルス戦闘機や潜水艦も売って欲しいと述べた。台湾のニュースによるとアメリカはブッシュ時代に潜水艦を台湾に売ると約束したが今になってもまだ提供していないと言う。アメリカが最新武器を提供しないのは台湾の軍部が信用できないからだろう。 三年ほど前にアメリカがアパッチヘリコプターを台湾に売ったところ、パイロットの空軍中佐が芸人グループを軍事基地に招待してアパッチヘリを見せびらかし、コックピットの計器類の写真を撮らせた事件があった。しかもこの操縦士は叱責されただけで今でもアパッチのパイロットとして軍務に勤めている。こんな軍隊にF35ステルス戦闘機を提供したらどうなるか。パイロットが離陸して台湾のレーダーから消えたとたんに中国に飛んでいくかもしれない。潜水艦も同様だ。馮世寛部長の話を聞けば台湾軍の忠誠心に問題があることは明らかである。 ●最新武器よりも忠誠心が先決 問題の核心は台湾に中台統一したい人間がいて、おまけに彼らが政治や軍事の決断をする上層部に居ることである。台湾にはすでに中国から来た人が数十万も居る。戦争になったら台湾軍が最新武器を持っていても上層部が降参するかもしれないし、内通する者が居るかもしれない。国民の85%が台湾人で独立を望んでいても少数の中国人が政治や軍事を操っていれば安心できない。 台湾人の蔡英文が総統になったが、彼女にとって大切な仕事は台湾に忠誠を尽くし、台湾のために戦う軍隊を作ることである。それには中国系の将軍たちを引退させ、台湾人を上層部に任命して最新武器を持つ部隊の忠誠心を厳しく監督しなければならない。 国会議員も国家の安全と将来を真剣に考えるべきである。先日の国会ではある議員が馮世?部長を召喚し漫才の掛け合いのように二人で軽口をたたいていた。時間の浪費だけでなく政治家失格である。 軍事機密を中国に渡した事件は数え切れないほどある。武器よりも軍隊の士気と軍人の忠誠心が大切だ。アメリカが最新武器を提供しても台湾軍の自衛力は疑問だらけ、台湾人さえ信用しない軍隊をアメリカが信用するわけがない。外省人の台湾に対する忠誠心が問題なのだ。蔡英文は現状維持など寝言を言うときではない。台湾軍の刷新は蔡英文にかかっている。
宮崎記事
トランプ政権は台湾の安全保障のため、要請のある武器供与を過去最大の規模に拡大する模様である。 もっとも米国は「台湾関係法」により、台湾への武器供与を条約上も義務付けているが、オバマ政権では北京からの抗議の少ない、「比較的穏やかな武器」(ネッド・プライス前安全保障会議スポークスマン)に限定してきた。 トランプ大統領は昨年12月3日に、蔡英文台湾総統からの祝賀電話を受け、「ひとつの中国」という過去の歴代政権が取った原則には拘らないと発言し、北京を慌てさせたが、その後、やや発言を修正し、浮上した北朝鮮のミサイル実験以後は、中国との関係重視に傾いた。 4月6日には習近平主席をフロリダ州に招待し、北朝鮮問題を主議題に話し合う予定が組まれている。 このため、事前のつめの目的でティラーソン国務長官を北京に派遣した。 こうした情勢を踏まえ、台湾への武器供与は米中会談が終わるまで表面化することはないが、ロイターは(3月18日)、政権内部で真剣に議論されており、供与される武器は対艦ミサイル、フリゲート艦など、総額18億ドルを超えるだろう、と報道した。 しかしながらトランプ政権は肝腎の政権高官人事が遅れに遅れており、国務省、国防省ともに副長官、次官、次官補人事が難航している。 このため、実際に台湾への武器供与が決められるのは、2018年に持ち込むことになろうと観測筋はみている。
ニューズウイーク記事

3月21日、台湾の蔡英文総統は、南部・左営の軍港を視察し、潜水艦を自主建造する方針を表明した。同総統が視察した潜水艦は50年近く運用されており、主要防衛装備を刷新する必要性が浮き彫りとなった。写真は潜水艦から手を振る同総統。台湾の高尾市の海軍基地で撮影(2017年 ロイター/TYRONE SIU)
台湾の蔡英文総統は21日、南部・左営の軍港を視察し、潜水艦を自主建造する方針を表明した。同総統が視察した潜水艦は50年近く運用されており、主要防衛装備を刷新する必要性が浮き彫りとなった。
蔡総統は、水中での戦闘能力の引き上げは台湾の防衛にとって必要不可欠だと指摘。「これは誰もが認識している問題だ」とし、「軍の指揮官として、この問題を解決する決意がある」と述べた。
台湾が所有する潜水艦4隻のうち、2隻は第2次世界大戦時代の潜水艦。米国から購入し、主に訓練用に使われている。残りの2隻は1980年代にオランダから購入したもので、運用開始は70年代となる。
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『米中経済戦争勃発に新たな火種 北朝鮮リスクと中国市場悲観論に傾き始めた米産業界』(3/21JBプレス 瀬口清之)について
瀬口氏の中国に対する見方は、基本的に間違っています。中国に完全に自由な民間活動はありえません。あるのは共産党の指導の枠内での自由です。勿論、自由主義国であっても法律による規制はありますが、中共は法治国家を仮装している人治国家です。賄賂で何とでもなる世界、逮捕状なしで拘引できるのですから。
「主要プレイヤーが政府ではないことによるリスク」と言って、恰も自由に行動できる民間企業が存在するように書いていますが、あのアリババのジャック・マー会長がトランプ大統領と会いに行ったのも、中共の命令です。ソフトバンクの孫社長がトランプ大統領と会ったのとは目的が違います。ジャック・マーは中国への経済制裁防止、孫は「Tモバイル」の買収の道筋をつけ、「スプリント」と合併させ、シナジーを出すことです。勿論、民間企業が国の外交に関与して悪いと言う訳ではありませんが、国が民間企業に強制的にやらせる仕組みが問題と思っています。共産主義は官民の総力戦ができ、非常に効率は良いです。共産主義こそが全体主義の一部でしょう。
瀬口氏も富坂聰氏と同じく、中国をわざと誤解して見せるような誘導をしているようにしか思えません。まあ、中国の悪口、中国に不利な記事を書けば、ペナルテイが待っています。情報をシャットアウトすれば記事が書けなくなりますので。金もハニーも使う必要はありません。
今般のテイラーソン国務長官と王毅外相、習近平主席との会談で、中国は北朝鮮問題にゼロ回答だったようです。4/6~7の習訪米(3/14日経から、未確定?)、トランプとの会談も中味の無いものになりそうです。それはそうでしょう。今秋には大事な党大会があり、人事が決定されるので、迂闊に譲歩できません。そんなことをすれば北戴河会議で長老から袋叩き似合い、望んでいる人事もできなくなります。でも、手土産なしで会えば、トランプがメルケルに示したような態度で終わることでしょう。中国国内的には、「米中経済の発展を確認」くらいでお茶を濁すのでは。鄧小平が中越戦争で中国が勝利したと誤魔化したように。
瀬口氏は米中経済戦争を避けることを願っていますが、中国の軍事拡張に時間の利益を与えるものです。現実の戦争になるより、経済で追い込み、崩壊させて、軍事拡張もできなくさせ、ひいては解放軍の内乱、中国の分裂となるのが理想でしょう。このまま中国を肥大化させれば、日本にとっての軍事的脅威は膨大なものとなります。日本の独立は心もとなくなります。それが読めない人間は、学力レベルだけの頭の良さでしょう。地頭が無いという事です。“没有头脑”です。
記事

20か国・地域(G20)外相会合の開催地であるドイツ・ボンで初会談に臨む、レックス・ティラーソン米国務長官(左)と中国の王毅外相(2017年2月17日撮影)〔AFPBB News〕
米中両国は経済的相互依存関係を深めており、仮に経済戦争に突入すれば互いに報復をエスカレートさせ、双方が極めて深刻な打撃を受ける関係にある。
これは両国経済のみならず、最悪の場合、世界経済全体にリーマンショック以上の衝撃を与え、世界大恐慌を招く可能性も十分ある。
米中両国間の経済戦争がそうした深刻な打撃を与えることを考慮すれば、両国政府は経済戦争を仕かけることによるリスクを十分認識し、互いにそうした事態を回避するよう努力するはずである。
以上が米中両国の経済関係には大量の核兵器保有国同士の間の相互確証破壊と似た関係が成立しているように見えると述べた前回2月の拙稿の主な論点である。
3月前半に米国出張した際に、以上の筆者の見方を米国の国際政治学者らに伝えたところ、概ね賛同を得られた。
ただし、米中両国間の外交問題を巡る深刻な対立による関係悪化が経済面での疑似的「相互確証破壊」の成立を妨げ、経済戦争に突入するリスクを完全に否定することはできないなど、いくつかの貴重な指摘を受けた。
本稿ではそれらのポイントについて紹介したい。
1.北朝鮮リスク
先月の筆者の論稿は米中両国の経済関係に焦点を当てたものだったが、米国の国際政治学者は以下のような外交問題が両国の経済関係に与えるリスクについても考慮する必要があると指摘した。
ドナルド・トランプ政権下において、現在、米中外交関係上の最大の懸案は北朝鮮問題を巡る対立先鋭化のリスクである。
トランプ政権は北朝鮮がミサイル発射による対米牽制行動をとったことに対し、北朝鮮に対する武力攻撃を含むあらゆる選択肢を検討し、強い態度で臨むスタンスを示していると報じられている。
早ければ4月にも行われる可能性があるトランプ大統領・習近平主席間の初の米中首脳会談において、北朝鮮への対応が主要議題の1つになると予想されている。
トランプ大統領は習近平主席に対して、中国からも北朝鮮に対してより強く厳しい対応をとるよう要求すると見られている。
しかし、中国と北朝鮮の関係はすでに冷え切っており、中国がある程度強く厳しい制裁措置を実施したとしても、北朝鮮が中国からの要求に耳を貸す可能性はほとんどないとの見方が一般的である。
そうした状況下で中国が北朝鮮に対してとり得る制裁措置は、エネルギーおよび食料の供給停止といった究極の強硬策しかない。もしこれを実施すれば北朝鮮経済は危機的状況に陥り、大量の難民が中国東北地域にあふれ出してくると予想される。
東北地域は過剰設備を多く抱える構造不況業種が集積しており、ただでさえ長期の経済停滞に苦しんでいることから、ここに難民が流入するのは中国の政治経済の安定確保に深刻な悪影響を及ぼすリスクが高い。
これほど内政上のリスクの大きな措置を中国政府が米国のために実施することは考えにくい。
そうした点を考慮すれば、中国が米国からの強い要請に応えて、米国がそれに満足する可能性は極めて低いと見られている。その場合、米中両国の対立が先鋭化し、米国側が中国に対して一段と強硬姿勢に転ずる可能性が高まる。
それが米国政府のどのような施策につながるかは未知数であるが、仮に南シナ海における軍事行動を伴う対中強硬姿勢や台湾に関する「1つの中国」論の見直しを迫るといった対応に出れば、米中関係は一気に悪化する。
そうした米国の強硬姿勢が中国国民の反米感情を煽り、中国全土で米国製品ボイコット運動や反米デモなどを引き起こし、米国政府が為替操作国の認定や関税引き上げなどで対抗するといった形でエスカレートしていくと、経済戦争に突入する可能性は否定できない。
ただし、以上のシナリオは民主党寄りの国際政治専門家が主張する、かなり極端な悲観的シナリオであり、トランプ政権の外交政策の欠陥を強調するために、あえて最悪のケースを想定している面は否めない。
これに対して、共和党寄り、あるいは中立的な立場の専門家は、これほど深刻な事態に至る可能性はそれほど高くないと見ている。
現在、トランプ政権内において対中政策をリードしているのは、ジェームズ・マティス国防長官、レックス・ティラーソン国務長官、ゲーリー・コーンNEC(国家経済委員会)委員長、ケネス・ジャスター国家安全保障会議(NSC)国際経済担当大統領次席補佐官らであると言われている。彼らはトランプ政権内では穏健派に属する。
これに対して、対中強硬路線を主張するタカ派には、スティーブ・バノン主席戦略官、ピーター・ナヴァロ大統領補佐官(国家通商会議担当)、ウィルバー・ロス商務長官らがいるが、今のところ対中政策にはあまり影響を及ぼしていないと見られている。
こうした穏健派主導の体制で対中外交を進めていくと、上述のような激突シナリオを回避できる可能性も十分あると考えられる。
ただし、これらのトランプ政権の主要メンバー間の勢力バランスの変化というリスクに加え、トランプ大統領自身の気分の変化が政策に及ぼす影響がもう1つのリスクであるとの見方がある点は考慮しておく必要がある。
このようにトランプ政権の対中外交方針は不透明で予測不可能な部分が多い。これに対して中国政府があまり過敏に反応せず、じっくりと構えて慎重に対応していくことができれば、米中衝突リスクは軽減される。
2.主要プレイヤーが政府ではないことによるリスク
当面、米中関係を悪化させる主因は上記の政治外交要因であるが、これを受けて米中関係の悪化を加速させる可能性があるのが、経済分野における主要プレーヤーである市場参加者=一般国民の動向である。
安全保障面における本来の相互確証破壊の関係を支える主要プレーヤーは両国政府である。一方、経済面での疑似的「相互確証破壊」の主要プレーヤーは市場参加者=一般国民であるため、政府同士のような制御が効きにくい。
いったん相手国に対する強い不満や憤りが国民感情として広く共有される場合、政府の力でこれをコントロールすることが難しくなる。
つまり疑似的な「相互確証破壊」の関係が成立していると分かっていても、両国の激突を招くモメンタムを止めることができなくなる可能性がある。
具体的には、中国国民による米国製品のボイコット運動や反米デモの動きが中国全土に拡散する場合、これを中国政府が短期間の間に沈静化させるのは極めて難しい。
あるいは、米国の労働者や一般国民の間で強い反中感情の高まりが生じる場合、米国政府もこれをコントロールすることは難しい。これは以前、尖閣問題発生後の日本に対する中国国民の姿勢の変化を思い起こせば容易に理解できる。
この主要プレーヤーのコントローラビリティの低さが疑似的「相互確証破壊」の成立を妨げる1つの要因となる。
3.中国ビジネスに対する米国企業の悲観論増大の影響
さらに、もう1つの指摘は、最近の米国企業の対中投資姿勢の変化である。
米国企業はこれまで、アップル、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、ファイザー、P&G、マクドナルド、スターバックスなど、様々な分野で中国国内市場の大きなシェアを確保し、巨額の売上高と利益を享受してきた。
しかし、最近になって、上海の米国商工会議所の不満に代表されるように、知的財産権の侵害、資金回収難、政府の規制の突然の変更、中国企業と外資企業との差別的な扱いなどに対する不満が強まっている。
この1、2年、これらの問題点により、米国企業にとって中国市場は以前ほど魅力的ではなくなっているとの見方が増大している。
同時に中国経済の減速を眺め、中国市場の将来に対する見方も悲観的になっていることから、対中投資が慎重化しているとの声を耳にすることが多くなっている。ただし、実際の米国企業の対中直接投資金額は減少せず、むしろ逆に増加している。
以上で指摘されている問題点は日本企業にとっては数年前からずっと直面してきている問題であるため、最近になってこうした問題点に関する懸念が高まっているという声は聞いたことがない。
米国企業が最近になってこうした懸念を強めている背景についてはさらに分析を深める必要がある。
以上のような米国企業の中国ビジネス悲観論の拡大、それに伴う対中投資姿勢の慎重化は、両国が激突することによって生じる経済的打撃に対する受け止め方の変化をもたらす。
以前であれば深刻なダメージを懸念して、米中対立が先鋭化しないことを強く望んだ人々が、今後はそれほど強く望まなくなる可能性が高い。
これも疑似的「相互確証破壊」の成立にとってマイナス要因である。
以上のように、経済面における疑似的「相互確証破壊」は上記の3つの要因によって成立しにくくなる脆弱性を内包している。
米中両国はこうした点にも慎重に配慮しながら、経済戦争への突入を回避するために、様々な努力を重ねていくことが望まれる。
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