ブログ

サイト管理人のブログです。

ブログ一覧

『香港初の女性行政長官は親中派だが習派にあらず 中国権力闘争の余波が、7月の返還20年記念式典を揺らす』(3/29日経ビジネスオンライン 福島香織)について

陳破空氏の『常識ではあり得ない中国の裏側 中国人だからよくわかる』から、中国人の民族性、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というのが良く分かる話を紹介します。漢民族は嘘つきが当り前です。まあ、日本人経営者も東芝、てるみくらぶ、籠池氏を見ていると他人のことも言えませんが。メデイアと教育の責任は大きいと思います。彼らに騙されないように眉に唾して見ないと騙されます。

・共産党は今も昔も「“人民元”の為に働く」(P.67)。これは毛沢東が言った“為人民服務”をもじったもの。拝金教の意味です。

・中国嫌いで西洋崇拝者の世界一の殺人者—「建国の父」毛沢東の知られざる素顔(P.85)。ヒトラーは600万人のユダヤ人を虐殺し、スターリンは1200万人のロシア人を虐殺した。だが毛沢東が虐殺した中国人は少なくとも3000万人以上に上る。大躍進に因る餓死者を合わせれば7000万人以上(8000万人以上との説もある)の中国人が命を落としている。(P.86)

・危険な覇権主義、冒険主義の行き着く先(P.96~98)。中国政府にとって軍拡の本当の目的は、実は対外的なものではない。国内、すなわち中国の民衆に対してであり、独裁政権の存続を守ることが目的。第一段階は中国人民をターゲット。第二段階は台湾をターゲット。第三段階は周辺諸国をターゲットにし、アメリカを挑発すること。中国共産党が狂ったように軍拡を押し進めるその目的は、中国国内のみならず世界をコントロールするため、中国人民のみならず世界の人々を奴隷化するため。

・最強の友人関係か、はたまた従属関係か?—隣国ロシアとの100年に亘る愛憎劇(P.106)。これまでの歴史のどこを見ても、ロシア人が中国に入ってくるたびにもたらされたのは、例外なく大きな災難。

・19世紀のドイツの哲学者ヘーゲルは中国について研究し、次のように指摘している。「中華帝国は神権政治を実施する全体主義国家である。父親が個人を制御する家父長制の思想が、その政治体制の根幹を為す。この暴君は多くの等級を通してただ一つの組織系統をもつ政府を指導する。個人は精神上の個性を有していない。中国の歴史とは本質的には歴史がなく、ただ君主が入れ代わり立ち代わり減亡しては復興しているにすぎない。そこからは如何なる進歩も生まれることはない」

へーゲルの判断は基本的に正しい。

思想と文化に対する厳しい取締りは、歴代王朝はみな似たり寄ったりで、このため民族の生命カはがんじがらめに抑制され、中華民族を保守的で活力のない民族へと変貌させた。今日の中国共産党による独裁の世は、これが極限に達した状態である。

今の中国は、過去数十年にわたる経済成長を経験し、再び繁栄の世を謳歌しているかのようだが、中国の市場経済はいまだに強固な一党独裁の政治制度に阻まれて、これ以上前に進むことができないでいる。「復興した」中国は、再びさまざまな面で泥沼にはまり込み、 あちらこちらで綻びが生じている。いわゆる「空前の盛世」とは一時の強がりの言でしかなく、実を伴わないため、持続的に維持していくことは難しい。今日の中国の「盛世」と は、漢唐の盛世にははるか及ばず、時代に逆行して継続し続ける一党独裁のもとで咲いた“あだ花”だから、今にも崩壊寸前なのである。(P.148~149)。やはり中国で民主主義の芽が育つのは難しいのでは。香港という小さな土地ですら民主主義を認めないのですから。

・モンゴル人は漢人が反乱を起こさないよう、漢人の武器所有を禁じた。包丁ですら何家族かで1丁を共用しなければならず、しかもその包丁は村を管轄するモンゴル人の家にあり、許可がなければ、漢人はそれを使って調理することもできなかった。このため、漢人はモンゴル人を「老竈爺(“竈の旦那様)」「老竈姐(“竈の奥様)」と呼んだ。

また、毎年旧暦の12月23日には、漢人の各家庭はモンゴル人の家へご馳走を届けてご機嫌うかがいをしなければならなかった。これが今に伝わる「祭竈(竈の神を祭るしきたり)」の由来である。モンゴルによる中国滅亡は、遊牧民が農耕民族を征服し、遅れた文明が進んだ文明を減ぼした世界史上初の例であった。これは中国にとって大きな不幸であり、人類史に暗い1 ページを刻んだ。ある歴史学者は「崖山の後、中華は消滅した」と述べた。

モンゴルのチンギス•ハンも、自分の死後、中国人が自分を「中国人」だと見なして盲目的に崇拝しようなどとは、思いもよらなかったであろう。征服され奴隸化された人々が、征服者をなおも拝するとは、非論理的であり得ないことだ。中国はあたかも「ストックホルム症候群」に冒された病態にあるともいえるのである。(P.153)

・辛亥革命が生んだ成果が維持されなかった原因はいくつかある。まず、2000年もの独裁体制を経験してきた中国において共和思想を育む土壌は肥沃ではなく、いまだ独裁観念が支配的だったことだ。人々に国民としての自覚が欠けていたため、ちょっとした問題が起こると耐えることができず、「何が新しくて共和国で民主的だ」「全体主義で独裁の昔の中国と同じじゃないか」という潜在意識が働き、新国家建設への支持や意欲を結局なくしてしまう。政治的野心を持つ者も権力に目が曇ったまま蜂起し、軍事力の増強や縄張りの拡人に躍起となり、権力の獲得に夢中になってしまった。

外国の強敵、ソ連や日本はこの機に乗じて中国を分割しようと企み、中国の知識人に影響を与えて転向を促した。また、ある思想家は「救亡が啓蒙を圧倒する」(滅びつつある国を救うことは、啓蒙を行うことよりも緊急の一大事である)と提起した。こうして言論界は衰退していき、これにより政治的野心家や独裁を復活させようとする者たちを、さらにのさばらせることとなったのだ。こうしてついに共和制中国は消滅し、民主という胎児は生まれ得ぬまま一生を終えた。これが近代中国にとって非常に大きな悲劇なのだ。

だが歴史はまだ終わってはいない。今日の共産中国は歴史における1つの過程にすぎない。フランス革命に成功した後も、共和制がいったん中断され、独裁勢力が一時勢力を盛り返したこともあった。共和制と独裁制を繰り返しながら、第2次世界大戦後、5回目の共和国を建設し、フランスの民主と憲政はやっと定着したのである。

人類の歴史とは曲がりくねった道である。どの国も理想へ一直線などといううまい話はないということを、肝に命じなければいけない。(P.158~159)

・この時、袁世凱と宋教仁の関係は良好だったが、孫文と宋教仁の関係は決裂していた。まさに絶好調の宋教仁に孫文は深く嫉妬していたのだ。

孫文は宋教仁暗殺事件を口実として、袁世凱への攻撃を開始する。1913年7月、「第2次革命」を発動して袁世凱陣営を破り、袁世凱は日本へと亡命する。(?)孫文は1911年の暮れに中国に帰国して以来、袁世凱を倒して自分が出世することだけを目的としてきた。

国家の大局などにはおかまいなしであった。

孫文はただ大総統になりたかった。当時の情勢では、選挙によってそのチャンスを獲得するしかなかった。だが、孫文は自分が党内でも、また国民からも人望がないことをよく知っており、選挙によって大総統に選ばれることは難しいとわかっていた。だから、「第 2次革命」の狼煙を上げ、共和への道を歩き出した新生中国を再び、ぶち壊し、自分が総統になるために最初からやり直ししようとした。自分以外の者によって実現された共和政治は孫文にとっては価値がなく、自分自身の手によって実現してこそ価値があるものであったのだ。

そのためには誕生したばかりの中華民国を再び混乱に陥れることもいとわなかった。「天下為公(天下は公の為に)」とは笑わせる。「天下為私(天下は私の為にこそが彼の本心だったのだ。(P.164)

・打ち続く「天災3割、人災7割」の去則—未だ報われない「大躍進」での犠牲者3800万人

1959年から1961年まで数千万人の中国人が餓死したことについて、中国の教科書は「3年間の自然災害」「困難な3年問」などと表記している。

当時の劉少奇主席は毛沢東の「天災7割、人災3割」との言葉を看過できず、「7 千人大会」で「私が思うに天災3割、人災7割であった」と発言。これが毛沢東の逆鱗に触れ劉少奇は後に文革で死に追いやられる。

1950年代末、毛沢東は「大躍進」運動を発動した。「米英を追い越せ」をスローガンに、「中国人民には勇気があり、広大な土地という財産を持っている」と人々にハッパをかけ、農工業全般の大増産を求めた。毛沢東自ら「衛星を打ちあげる」よう鼓舞、(大躍進中に虚偽の生産量を記した生産物を衛星に見立てて描き、ポスタ—化した)。こうして、無意味な政策のもと、設定された高すぎるノルマを達成するため、「1ムー(1畝=6.7アール)当たり5000キロの収穫」などという水増し報告が横行した。さらに、全国で乱獲や森林伐採が行われ、生態系は壊滅的な状態に追い込まれたのだ。さらに致命的だったのは、国民経済の崩壊を招いたため、大飢謹の速鎖をもたらしたことだ。1960年代初頭、大躍進の失敗で少なくとも3800万人(4300万人という 説もある)が餓死した。わずか3年という短期間で発生した餓死者数は、中国数千年の歴史における餓死者の総数を超えたのだ。

同時に中国共産党政府は原爆製造に国カを惜しげもなく注ぎ、人民の財産を浪費した。 中国が製造した1発目の原子爆弾は41億ドルかけて製造された。イギリス在住の中国人作家張戎は、もしもこの1発の原爆にかけた費用を国民のために使っていたなら、当時の物価に基づいて計算すれば、「餓死した3800万人は、本来1人として死ぬことはなかった」 と指摘している。また、中国人作家楊継縄は大量の資料を分析し中国大飢饉の真相を暴いた『墓碑』を上梓し、米ハーバード大学から「ルイス• M .ライオンズ賞」を受賞した。だが中国政府は楊氏が受賞のために出国するのを禁じたのだ。

この大躍進による飢饉も含め、中国共産党の統治下で起きたほぼすベての災難は天災より人災による側面のほうが大きい。たとえば1976年に唐山大地震が起き、死者24万 人、重傷者16万人という甚大な被害が生じた。だが、その死傷者の数を政府が公表したのは発生から3年も経ってからだ。死者が最も多く、損失が最も大きく、救援が最も乏しく、 復興が最も遅い、という点で世界に類を見ない地震災害といえよう。(P.178~179)

陳破空氏は天安門事件で広州での民主化運動のリーダーとして活躍、4年半に及ぶ投獄生活を送りました。如何に共産党一党独裁が人権無視のひどいシステムか分かるでしょう。日本の左翼人士はこういう現実を見ながら、日本を中国のものにするため策動しているのですから。今回の森友問題も日本共産党、反日民進党、社民党、自由党(一番自由でない党、中核派に牛耳られている)、同和が倒閣の為、共同戦線で動いています。ネットでは裏の動きを伝えています。メデイアが反日民進党の恫喝に屈しというか、元々仲間だと思いますが、フジ・産経以外は辻元議員の嘘を報道しません。籠池氏も、辻元議員も公の場での嘘つきです。日本人の劣化も極まれりです。まあ、日本人のなりすましの可能性もありますが。

http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/

香港の行政長官選挙は茶番であり、北朝鮮の代表選びと何ら変わることがありません。一番問題なのは国際的な公約である「一国二制度」を中国が反故にしているのに、英国が何も言わない所でしょう。英国も落ちぶれたとしか言いようがありません。まあ、EU離脱でそれどころではないのかもしれませんが。

記事

香港の行政長官選挙では親中派の林鄭月娥が、世論調査で高い支持を集めていた曾俊華を大差で破ったが…(写真:ロイター/アフロ)

先週の日曜日は香港の行政長官選挙であった。2014年秋の“雨傘革命”はまさに、この選挙において“普通選挙”を実施しようと願った反政府運動、反中国運動であり、結局は挫折したのだった。なので、今回の選挙は約1200人の「選挙委員」による間接選挙のままである。結果から言えば、中国共産党中央が推していたとされる、元政務官の林鄭月娥(キャリー・ラム)が、香港大学の世論調査で56%とラムより27ポイントも高い支持率を誇る曾俊華(ジョン・ツァン)候補にダブルスコアの大差で勝利し、香港初の女性行政長官となった。世論調査の支持率と選挙結果が違うのは、米国大統領選挙の例もあるので、不思議なことではないが、米国選挙と違うのは、世論調査結果が操作されているのではなく、選挙結果の方が“コントロール”されているということだろう。しかもそのコントロールバーを握っているのは中国である。

中国への返還から20年目、選挙結果から香港の行方を考えてみたい。

777票にまつわる噂と汚れ役の責務

投票総数1194票、有効票1163票のうちキャリー・ラムの得票は777票。対抗馬のジョン・ツァンは365票。香港本土派が最も期待を寄せていた元裁判官の胡国興はわずか21票。ラムのスロットマシーンのジャックポットのような得票数は何かを暗示しているのかもしれない。七の広東語発音が、侮蔑語の発音と似ていることから、選挙管理当局がひそやかな抵抗の気持ちを込めて、この得票数にした、などという噂も流れた。

しかしながら、同じく行政長官選に出馬した親中鷹派の葉劉淑儀(レジーナ・イップ)と比べれば、政務官として、それなりに真面目に仕事をしてきた有能な官僚という印象もある。彼女の不人気は、「雨傘革命」が発生したとき、梁振英(CY・リョン)行政長官に代わって、メディアで政府の立場を発言し、学生代表らと対面したときの譲歩を拒否した強面の印象と、北京が露骨に後押していることがあるからだろう。だが、逆に言えば、一官僚としての立場と責務を自覚しての汚れ役を引き受けたわけで、少なくとも学生たちとの対面を逃げ回っていた行政長官よりもよっぽど、ましである。

生い立ちを振り返れば、湾仔のボロアパートで育った庶民家庭出身で、香港大学社会科学科で学位をとり、ヒラの一公務員からキャリアを積んで、最終的に香港初の女性行政長官に上り詰めた。その行政能力の高さは推して知るべしだろう。しかも出馬会見で「(出馬は)香港のために働けという神の思し召し」と締めくくるほどのクリスチャンでもある。

習近平はツァン推しだった?

そもそも、対抗馬のツァンも元財政官で親中派。雨傘の学生たちに理解を示すなどリベラルな面が注目されているが、香港基本法23条に基づく国家安全条例(詳細は後述)の制定に反対はしていない。どちらが当選したとしても、香港の明るい未来につながるとはいえない。ラムを推していたのは、党中央の中では、張徳江ら、上海閥や旧香港利権派で、習近平は実はツァンを推したかったが、党内権力闘争に負ける形で習近平サイドが妥協した、という説もある。香港でもっぱら流れているこの噂を信じるならば、香港の選挙であっても、その実は中国党中央のおなじみの権力代理闘争に過ぎなかったといえるかもしれない。

ちなみに、香港の今回の選挙が上海閥と習近平の代理権力闘争であり、習近平は実はツァンを行政長官にしたかったという噂の根拠は、ツァンが習近平の経済ブレーンと親交があり、習近平自身とも2回も握手したことがあるという香港紙「信報」などの報道や、中国太平保険(習近平に近い国有保険会社)の宣伝紙「太平報」がツァンを大絶賛し、ラムを批判する4000字の記事を書いた(2月27日付け)ことなどに求められている。

全人代常務委員長(国会議長に相当)の張徳江が深圳に赴き、香港の親中派議員や団体・組織の代表を呼びつけて、ラムを中国共産党中央が推す唯一の候補だと、全面支持するよう党の意向を伝えたと報じたのは香港紙明報(2月6日付)や成報。これらは、どちらかというと親習近平派と見られているメディアで、ラムが党中央とべったりだ、というマイナスイメージを流そうとしたのかもしれない。共産党が応援すると候補の人気が落ちるということは、彼ら自身もよくわかっているらしい。

中国メディアが、選挙一か月前に、ツァン持ち上げ報道をする、というのは異常な感じがするので、やはり党中央の意向が選挙直前まで割れていたという可能性はある。そういえば、選挙2日前の香港紙、星島日報で、「党中央は曾俊華を信用していない」と発言した全国政治協商委員会副主席の盧文瑞が、急に汚職で罷免されたという未確認情報(大紀元の独自取材)が流れたのも、ラム当選について、習近平自身が沈黙を守っているのも、奇妙といえば奇妙である。

実際、香港社会の急な不安定化は党中央の権力闘争とリンクしている。香港は少なくとも習近平政権発足前までは、上海閥、特に曾慶紅がその利権をほぼ完全に掌握していた。例えば国務院香港・マカオ事務弁公室トップを13年務めてきた廖暉も、中央政府駐香港連絡弁公室(中連弁=中国の在香港大使館のようなもの)のトップの張暁明も、曾慶紅の子飼いの部下であり、彼らの後押しで行政長官を務めていた梁振英も上海閥の利権とからんでいた。宋林(華潤集団元董事長)や蕭建華(明天系創始者)ら、香港経済・金融の重鎮も曾慶紅の側近だ。香港芸能界、スポンサーも、ほぼ曾慶紅人脈に牛耳られていた。

最大の受難は「国家安全条例」の制定

だが、その曾慶紅の子飼いたちは、現在までにほとんど失脚させられている(張暁明は一時消息不明で双規の噂が流れていたが、彼は選挙直前になって無事が確認された)。しかも、すでにこのコラムでも取り上げた蕭建華事件などの例を見てもわかるように、この権力闘争とみられる現象のあおりで、香港の一国二制度があからさまに踏みにじられることも一度や二度ではない。

今回の香港行政長官選挙が、上海閥VS習近平派の代理権力闘争で、上海閥が勝利し、習近平としては、あまり面白くない選挙結果であるとしたら、香港の受難はむしろこれからである。最大の受難は、おそらく、基本法23条に基づく国家安全条例の制定を迫られることだろう。

国家安全条例は、いわゆる香港における治安維持法で、香港内に居住する市民、外国人に対して、中国共産党政権、体制に脅威を与える人間を反乱煽動の罪などで逮捕できる法律だ。民主活動家や法輪功学習者、香港本土派・独立派なども、こうした脅威とみなされる可能性があり、もしこの法律が制定されれば、香港の言論空間は厳しく制限され、中国本土と変わらない言論・報道・思想の統制が進むことになる。2003年の董建華長官時代、中国当局は一度、この法律の制定を試みたが、香港市民の激しい抵抗にあい、香港の安定を優先した中国・胡錦濤政権は、これを断念した経緯がある。

だが、習近平政権は、香港市民がいかなる反対運動、抵抗運動を展開しようとも譲歩をすることはないのではないか。

一般にキャリー・ラムのように世論調査で支持率が極めて低い候補を北京の操作によって無理やり行政長官につけた場合、世論の反感を抑えるために、政権発足当初は香港に対して厳しい要求をしないよう北京サイドが手心を加える様子見期間がある。せっかくできた傀儡政権を早々につぶすわけにはいかないからだ。梁振英が行政長官に就任したばかりのときの北京の態度がそうだった。

自らの失敗を政敵の失敗で相殺

だが、もしキャリー・ラムが習近平の“コマ”でないならば、その支持率が低迷し、香港市民から激しい抵抗運動が起きようとも、香港社会が不安定化したとしても、責任は張徳江ら上海閥のせいと突っぱねることができる。現在の香港の不安定化の根っこは、習近平政権になって香港・台湾のコントロール強化をあからさまに急ぎすぎたことで、市民が危機感に目覚めたからであり、ありていに言えば、習近平の対台湾、対香港政策の失敗だとされている。この失敗を相殺するには、より大きな、政敵による香港コントロールの失敗を招けばいい、ということになる。

すでに習近平は雨傘革命のときも、一切の妥協をせず、香港の混乱が2か月半におよび、その経済的信用が地の底に落ちても気にしなかった。それどころか、この香港の混乱の責任を理由に、曽慶紅人脈の筆頭であった廖暉を失脚させるなど、権力闘争に利用している。さらに、銅鑼湾事件や蕭建華事件のような香港の司法の独立を平気で踏みにじるようなこともしている。

秋には党大会が控えており、権力闘争はこれからも激化するだろう。香港は、間違いなくその権力闘争の一つの戦場だ。返還20年という今年の7月1日、新行政長官の就任も兼ねた香港の中国返還記念式典に、習近平は出席すると見られている。また習近平は解放軍駐香港部隊の閲兵式も行うとの観測も出ている。

このときにもし、香港市民による大規模デモがぶつけられたら、習近平はどうするだろうか。2015年に話題となった香港映画「十年」のシナリオではないが、習近平も、その政敵も香港の安定より権力闘争をいかに勝ち抜くしか考えていないとしたら、どのような流血沙汰の陰謀が仕掛けられるかもしれない。このときの政権の対応次第では、50年維持すると中英共同宣言で決められた一国二制度が、20年で放棄される可能性もゼロではなかろう。

ラムは当選を受けての演説で、自分の使命は、香港の分裂を修復し、一国二制度と香港の核心的価値を守ることだと語り、香港の若者たちの意見や主張を重視していきたいと殊勝に語った。その言葉に嘘がないならば、(クリスチャンの彼女が嘘をつかないとしたら)、彼女の行く先も、香港の行く先も、茨の道でしかない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『F22戦闘機24機とB2爆撃機10機で北朝鮮の核粉砕 真剣に「軍事的対応」を検討し始めたトランプ政権』(3/27日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『トランプの米国で起こっている真に恐ろしいこと ニューレフトから超保守に転向した論客の指南書が示す米国の今』(3/27JBプレス 高濱賛)、『監視は事実?オバマによるトランプ盗聴疑惑に新資料 下院委員長が「通話は傍受されていた」と言明』(3/26JBプレス 古森義久)について

「金三胖」と呼ばれる金正恩が米軍襲撃を恐れ、ヤク漬けになっているかもしれないとの記事がありました。そんなに怖いのなら、自分の北への統治を諦めて、米国か中国の軍門に下ればよいのにと思いますが、朝鮮人民軍のクーデターが起こり、処刑されることは充分考慮していると思います。何せ無慈悲に粛清してきたトップですから、幸福な死に方はしないと思います。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20170328/plt1703281130001-n1.htm

北と言い、南と言い、朝鮮民族は合理性を基にした判断ができません。情緒優先なので、科学的思考ができません。韓国のノーベル賞などこういうスタンスが続く限り無理でしょう。

米国の北への「斬首作戦」ですが、トランプはやると決めたらやるでしょう。トランプケアの議会工作失敗や入国制限の大統領令への司法の却下など、失政が続いていることもあり、リカバリーをどこかでと考えるかも知れません。ただそうは言っても、米国民の犠牲が大きくなれば、大統領弾劾にもなりかねません。記事にある通り、最初は、北と取引のある金融機関の取引停止を目論むでしょう。北と取引があるのは、3/28宮崎正弘氏のメルマガによれば、中国以外にも、ナミビア、南ア、モザンビーク、アンゴラ、ウガンダ、タンザニア、コンゴ等アフリカ大陸です。中国の銀行を取引停止にすれば経済的困難の状況にあり、中国の経済崩壊を早めて良いと思われます。AIIBの参加加盟国が70国に増えたと嬉しそうに中国は報道していますが、銀行業務の本筋は金を集めて、必要な所に貸付することです。いくら支店を増やしても預貸業務で実績を示さない限り、評価されないのと同じです。況してや無格付けでスタートして、今も取れていません。高い金利を払って預金集めせねばならず、必然的に高い金利で融資することになります。北との取引は人民元でやるようになるのかも。でも、人民元は暴落の噂もあり、大損こくようになるのでは。

http://melma.com/backnumber_45206_6506616/

http://melma.com/backnumber_45206_6506280/

http://melma.com/backnumber_45206_6506943/

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170118/frn1701181130003-n1.htm

「斬首作戦」を実行するとなると、在韓米軍の家族の安全を第一に考え、訓練に名を借りた、沖縄基地への移動が先にあるでしょう。B61-11が使われるかどうかです。小型水爆とのことで米国は核を2度もアジアで使うことになります。国際世論の非難に耐えられるかどうか。でも、これを使わなければ確実に北の反撃を許します。自走砲による、固体燃料のミサイルではミサイル防衛で全部撃ち落せるかどうか。日本は森友問題に現を抜かしている状況ではないのに。

CIAやFBIが盗聴しているのはアサンジやスノーデン、フーバー元FBI長官の例を挙げれば納得するでしょう。ただ、トランプ側の傍受をオバマが命じたかどうかは藪の中でしたが、連邦議会下院情報委員会のデビン・ヌネス委員長が「トランプ陣営の通話はオバマ政権の情報機関に傍受されていた」と公式の場で発言したとのこと。ウオーターゲートならぬオバマゲートになる可能性も出てきました。パシフィストのオバマがノーベル平和賞を貰い、世界の平和が混迷してきたのは皮肉です。彼は無能を絵に描いた人間です。民主党のカーター、ビル・クリントン、オバマが北と中国を増長させた主犯です。日本の安全にとって物凄い脅威を育ててきたという事です。

高濱日経ビジネスオンライン記事

米軍のF22戦術戦闘機(写真:ロイター/アフロ)

—米国では、レックス・ティラーソン米国務長官の日中韓歴訪をどう評価していますか。同長官が歴訪中に「北朝鮮次第で、軍事的対応も辞さず」と発言したことに対し北朝鮮は「いかなる戦争にも対応できる意志と能力がある」(3月20日北朝鮮外務省報道官)と反発しています。

高濱:ティラーソン長官は、就任して以来1回も記者会見をしていません。外交面では、ドナルド・トランプ大統領の過激なツィッター発言*ばかりが目立っていました。

*:トランプ大統領は3月17日にもツイッターで「北朝鮮は悪事を働いている。中国は(北朝鮮問題で)ほとんど協力していない」と中国を批判している。

米国民は、ティラーソン長官について、エクソンモービルの元会長でロシアのウラジミール・プーチン大統領と個人的に親しいことぐらいしか知りません。

同長官は、軍人出身のジェームズ・マティス国防長官にすっかり水をあけられています。マティス国防長官はすでに日韓を訪問して一定のインパクトを与えました。口の悪い外交関係筋の中には、「影の薄い国務長官」(米主要シンクタンク上級研究員)などティラーソン国務長官の陰口を叩く者もいます。

今回のティラーソン国務長官の東アジア歴訪は、汚名を返上する絶好のチャンスでした。

「オバマ前政権の対北朝鮮政策は完全な失敗」

ティラーソン国務長官が日中韓を歴訪した狙いの一つは、「オバマ前政権の対北朝鮮政策は失敗だった」と内外に公言し、「新たなアプローチで臨む」と宣言することでした。そのこころは、「北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返すなら軍事行動も辞さず粉砕する」という決意表明です。

マティス国防長官の後塵を拝した「米外交の司令塔」、ティラーソン国務長官の初めての東アジア歴訪の最大の懸案は何だったか。ギクシャクしている米中関係を正常化することと、瀬戸際外交を続ける北朝鮮への対応を日米ですり合わせることでした。

韓国は朴槿恵大統領(当時)の弾劾で政局は流動的。米国としては、最新鋭ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍への配備を急ぐ必要がありますが、韓国の暫定政権と交渉しても進みません。

ティラーソン国務長官は韓国滞在中、韓国政府高官と昼食も夕食も共にしませんでした。夕食は一人で食べたと言っています。「現実」を反映したビジネスライクな対応でした。

ティラーソン訪中の評価は二分

—中国の習近平国家主席ら最高指導者との会談の成果について、米国ではどう受け止められていますか。

高濱:トランプ大統領は、「一つの中国」という米中合意の基本原則に疑義を唱えたり、安全保障や経済の面から中国を批判したりしてきました。トランプ大統領と習国家主席との電話対談で関係改善に一応一致したものの、双方ともに疑心暗鬼。それを解消するのがティラーソン国務長官のミッション(任務)でした。そのうえで、対北朝鮮問題について習国家主席からポジティブな反応を引き出しかったわけです。

その結果はどうだったか。米国内での評価は二分しています。

米ロサンゼルス・タイムズのジェシカ・マイヤーズ北京特派員は極めて辛い点数をつけています。

「中国は、『北朝鮮の挑発行為に対して米国は軍事行動も排除しない』としたティラーソン長官の主張を一蹴。トランプ政権の対中関係改善の真意を試そうとした。中国メディアは会談後、『中国外交の勝利』だと宣伝している」 (“China pushed back on tougher U.S. approach to North Korea.” Jessica Meyers, Los Angeles Times, 3/18/2017

マイヤーズ記者はさらにこう解説しています。  「ティラーソン国務長官と習国家主席以下の中国指導部は、北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止すべく米中が協力することで一致したものの、米国の強硬姿勢には猛反発、従来通りの対話重視を求めた。そのうえで北朝鮮には一定の影響力を持つ中国が北朝鮮にさらなるプレッシャーをかけることに関しては明言を避けた」

中国は「相互尊重」「ウィン・ウィン」発言を高く評価

一方、ティラーソン訪中を評価するメディアもあります。米ワシントン・ポストのサイモン・デニヤー北京特派員はこう分析しています。

「ティラーソン国務長官の訪中は中国最高指導部との建設的かつ結果重視志向の関係を築くのが狙いだった。これに対して中国は、トランプ政権が対北朝鮮に対し軍事行動の可能性を示唆しているにもかかわらず、ティラーソン長官を歓迎した。習国家主席は、ティラーソン国務長官に『あなたは、米国の政権交代をスムーズにするために積極的な努力をされてきた。米中関係は協力と友好によってのみ定義づけられるというあなたのコメントを評価したい』と述べた」

「ティラーソン国務長官は、公の場では中国最高指導部が好んで使う『相互尊重』『ウィン・ウィン協力関係』(持ちつ持たれつの共存関係)というフレーズを使った。これは中国にとって驚きだった。ティラーソン国務長官はその一方で、非公開の席上では、対北朝鮮問題や米中貿易不均衡問題に対する中国の対応を厳しく批判したはずだ」 (“In China debut, Tillerson appears to hand Beijing a diplomatic victory,” Simon Denyer, Washington Post, 3/18/2017

ティラーソン国務長官は、トランプ大統領の就任でギクシャクした米中関係を正常化し、切迫する北朝鮮情勢での連携を強化するための下地作りには成功。それを受けて4月の米中首脳会談に向けた調整に漕ぎつけたと、デニヤー記者はみるわけです。

国務省を担当する米主要紙のベテラン記者はデニヤー記者の見解に同意して、筆者にこう指摘しました。「ティラーソン国務長官は対中交渉では百戦錬磨のビジネスマンらしいアプローチを見せたように思う。前例を重んじる職業外交官にはできない交渉術だ。相手のメンツを立てつつ、こちらの言いたいことはばしっと言ったようだ。王毅外相や楊潔篪国務委員とは、中国が対北朝鮮石炭輸入禁止などでもっと圧力をかけるべきだと釘を刺したに違いない」

直ちには実施できない「軍事的選択」

—ティラーソン国務長官は歴訪中に対北朝鮮問題で「軍事的選択」をちらつかせました。北朝鮮が瀬戸際外交を続ける場合、米国は本当に対北朝鮮で軍事行動に出る可能性があるのでしょうか。

高濱:「軍事的選択」発言の狙いは、北朝鮮の金正恩委員長に揺さぶりをかけることにあります。

金委員長は最高指導者になって5年の間に、核実験3回、ミサイル発射実験は30回以上も実施しています。なぜ、経済難が続く中で、核開発やミサイル開発にそこまでこだわるのか。

米専門家の中には、「若輩で何ら実績のない金委員長にとって、偉大な指導者としての地位を確立する手段はこれしかない」(元米国務省高官)といった指摘があります。また「北朝鮮が金正男氏を暗殺したのは、正男氏の後ろ盾になっていた中国が正男氏を担ぎ出すのではなかろうか、という疑心暗鬼があった」(米シンクタンクの北朝鮮問題専門家)と分析する向きもあります。

北朝鮮の瀬戸際外交は、同国の内政に大きく関わり合いを持っているという認識です。ということは、米国が「軍事的選択」に踏み切る時には、北朝鮮の核・ミサイル施設を攻撃してそれで「終わり」というわけにはいきません。核施設を粉砕し、ミサイル施設を全滅させたあとの北朝鮮がどうなるのか。当然、金正恩体制が崩壊する事態も視野に入れる必要があります。

北朝鮮は在日米軍基地を核の標的にしていると公言しています、したがって米国は当然、日本や韓国の出方も見極めなければならない。日本政府は日米軍事同盟の深化を強調していますが、万一、北朝鮮が報復措置として日本の原発や自衛隊基地を標的にする事態になったらどうなるでしょう。

韓国は5月には革新派が大統領になりそうです。米軍による北朝鮮攻撃に猛反対するでしょう。

ティラーソン国務長官が「軍事的選択」発言をした直後に、北朝鮮は新型ロケットエンジンの燃焼実験に成功したと発表しています。このエンジンを使った長距離弾道ミサイルの発射実験を近く行うことも示唆しています。

金委員長はまったく空気が読めないのか。それとも突っ走るほか選択肢がないのか。

核・ミサイル基地攻撃機は在韓、在日米軍基地から発進

—米国は「軍事的選択肢」としてどういった軍事作戦を検討しているのでしょう。

高濱:「ストラティジック・フォーキャスティング社」(Stratfor)*は、米軍が北朝鮮を攻撃する際の具体的な軍事作戦について分析しています。

それによると、北朝鮮の防空網は旧式で、米軍のB2ステルス爆撃機やF22戦術戦闘機の侵入を探知するのは極めて困難だとしています。

*:国際軍事・経済・政治の動向を予測分析する有力民間調査機関として定評がある。

具体的には、米軍が北朝鮮の核施設を攻撃し破壊するには大型貫通爆弾*(Massive Ordnance Penetrator=MOP)や誘導爆弾GBU-32**(Joint Direct Attack Munition=JDAM)を搭載したF22戦術戦闘機24機とB2戦略爆撃機10機もあれば十分だと分析しています。

F22戦術戦闘機は在韓米軍基地や在日米軍基地から発進することになります。

北朝鮮攻撃となれば、在日米軍基地が重要な役割を演ずることになります。北朝鮮が在日米軍基地を標的にすると宣言しているのも頷けるというものです。

*:MOPは1万3600キログラムの「バンカーバスター」精密誘導爆弾(制式名称はGBU-28)。貫通力は30メートル、強固な地下要塞、地下に配備された弾道ミサイル、地下指令所の精密機器破壊用として開発された。 **:JDAMは、無誘導爆弾に精密誘導能力を付加する装置で、無誘導の自由落下爆弾を全天候型の精密誘導爆弾(スマート爆弾)に変身させることができる。イラクやアフガニスタンで使用された。 (“What the U.S. Would Use to Strike North Korea,” Analysis, Stratfor, 1/4/2017

トランプが攻撃決定を決める時

—トランプ大統領が北朝鮮攻撃を決断するのは、どんな状況になった時でしょうか。

高濱:ティラーソン国務長官は今回の歴訪時に二つのケースを上げています。一つは、北朝鮮が韓国軍あるいは米軍に脅威を与える行動に出た時。二つ目は、「米国が行動しなければならない」という段階にまで北朝鮮が兵器装備計画をレベルアップさせた時です。

北朝鮮に対して米国が軍事行動を取る狙いは、あくまでも核開発阻止です。第二次朝鮮戦争に陥る事態は絶対に回避するのが大前提です。しかし核とミサイルを失った北朝鮮はどうなるのか。北朝鮮を攻撃する時にはそれによって生じるコンセクエンス(必然的な結果)についても考えなければなりません。

確かに、米国内にも軍事行動に出ることを疑問視する向きがあります。事態が悪化した場合は、とりあえず、対北朝鮮経済制裁の強化に踏み切るでしょう。トランプ政権内部は北朝鮮を国際金融から排除する広範囲な制裁措置を検討しています。北朝鮮と取引がある第三国で活動する中国企業などを制裁対象にする案が有力視されています。イランに対して実施した制裁と同じようなものです。

忘れてならないのは、トランプ大統領はオバマ前大統領ではないことです。何をやりだすか、予想不可能なのがトランプ大統領です。本当に怒り出したら何をやりだすか分かりません。大統領を取り巻くスティーブ・バノン首席戦略官ら超側近はタカ派ばかりです。

「そのへんを甘く見て、金委員長が火遊びを続けていると、何が起こるか、わからんぞ」。ホワイトハウス中枢を良く知るワシントンのジャーナリストの一人は、筆者にこう囁きました。 (“Adult Supervision: Secretary Tillerson in Asia,” Stephan Haggard, PIIE, 3/20/2017

■変更履歴 掲載当初、「F22戦術戦闘機は在韓米軍基地や在日米軍基地、空母から発進することになります」としていました。「F22戦術戦闘機は在韓米軍基地や在日米軍基地から発進することになります」の誤りです。お詫びして訂正します。[2017/03/28 14:30]

高濱JBプレス記事

米大統領の娘イヴァンカさん、ホワイトハウス入りへ オフィス確保(ホワイトハウスで開かれた記者会見に出席した時の写真、右は夫のジャレッド・クシュナー氏、2017年3月17日撮影)〔AFPBB News

反対する共和党下院議員を脅迫する大統領

「I’m gonna come after you」(お前らを追いかけ回すぞ)

次の選挙で「お前らを追いかけ回して、落っことしてやるからな。そう思え」という意味だった。

発言の主はドナルド・トランプ米第40代大統領。場所は立法の府、米連邦議会議事堂、上院と下院とを分けるドーム下のロタンダ(円形広間)。数人の下院議員に向かって言ってのけた。

選挙公約の最重要課題であるオバマケア(国民健康保険改革)廃止に伴う共和党提案に異議を申し立ててた一部下院議員に放った暴言だ。与党内から出ている反論に怒り心頭に発したのだろうが、行政府のトップが立法府の議員に向かっていうべき言葉ではない。

大統領選の時から言いたい放題を言ってきたトランプ氏が「思ったことを腹にしまっておけない」性格なことはすでに米国民は分かっている。が、それでもこの暴言はいただけない。

FBIの否定もなんのその、「オバマは俺を盗聴していた」

それだけではない。

トランプ大統領が「オバマ前大統領は選挙中にトランプ選挙本部を盗聴していた」とツィートしたのは3月4日。

米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官自らが議会での証言で「それを裏づける証拠は見つかっていない」と全面否定しているにもかかわらず、2週間以上その発言を取り消そうとはしていない。

大企業目線で保守的な論調を旨とするウォール・ストリート・ジャーナルですら3月22日付け紙面で「A President’s Credibility」と題する社説を掲げ、「トランプの欺瞞は国内外での大衆の信頼を失っている。事実を軽視すれば、国民はトランプを偽大統領と見なすようになる」と警告している。

なぜ、そうまでして言いたいことをTPOをわきまえずに言い、自分の思い込んでいる「間違った事実」を頑なに堅持しようとするのか。

その謎を解く1つのカギを提供してくれている本が出ている。今回紹介する本書、「A Big Agenda: President Trump’s Plan to Save America」(重要なアジェンダ:トランプ大統領のアメリカ救済計画)だ。

一言で示せば、「トランプ大統領の勝利は保守主義の復権であり、革命なのだ。目指すは個々の政策ではなく、保守イデオロギーの復権にある」ということ。

その意味では事実関係がどうのこうの、ごちゃごちゃした枝葉末節などうっちゃっておけというのだ。

トランプ大統領をはじめトランプ陣営の面々にとっては「バイブル」とまで言われている本だ。この本の書評を書いているのは保守系メディアだけ。トランプ大統領が対決するニューヨーク・タイムズほか主流メディアは完全に無視している。

かって黒人過激派を支援した論客はなぜ「転向」したのか

Big Agenda: President Trump’s Plan to Save America by David Horwitz Humanix, 2017

筆者は「米国でも屈指の保守主義扇動者」と評されているディビッド・ホロウィッツ(78)。

両親は生粋の共産主義者。その影響を受けて1956年から75年までニューレフトの旗手と言われてきた。70年初頭には黒人過激派組織「ブラックパンサー」に共鳴し、運動資金集めに奔走した。

当初は、ソ連のヨシフ・スターリン(ソ連共産党書記長)に傾倒するが、厳しい粛清・殺戮を繰り返すスタリーンに失望して共産党を脱党する。

長い沈黙ののち、1994年の大統領選には保守派のロナルド・レーガン共和党候補に1票を入れたのを機会に左翼から右翼へ転向した。

「ウィキーリーク」編集長ジュリアン・アサンジ氏のインターネット番組に出演したホロウィッツ氏は転向の動機についてこう述べている。

「共産主義者の言うユートピアは理想に過ぎない。人間というものはそれほど崇高なものではない。自己中心的であり、嘘つきであり、欺瞞だらけだ。スターリンがそのいい例だ。共産主義者というものは他の人間を裏切り、貶める」

「人間は宗教心がなければ、ユートピアを求めてナチスか共産主義に走る。しかし権力の座についたとき、独裁者に化ける」

「私はその恐ろしさを知っている。私は最初からオバマは隠れ左翼だと思っている。その証拠にオバマ政権内部には左翼の危険人物が張り込み、アメリカを骨抜きにしようとしている」(リンク

レーガンの時より「保守革命」実現のチャンス

本のタイトルを見る限り、トランプ大統領が目指す個々のプランを伝授しているかのような印象を与える。しかし、中身はむしろトランプ政権の政権たるゆえん、つまり「トランプ革命」の本質を論じている。

「トランプ氏の2016年大統領選挙での勝利は歴史的番狂わせ以上の意味合いがある。この勝利は、大規模な政治的、経済的、社会的革命の始まりを意味しているからだ。それは米国を変え、世界を変えるだろう」

「トランプ政権は、就任100日のうちに大統領令を次々と発布する。その第1弾は、グエンタナモ捕虜収容所の再開、キーストンXL*、恩赦拒否。そして連邦最高裁判事や地方裁判事の指名。さらにはオバマケア破棄、環境保護局の規模縮小、黒人向けの『ニューディール』政策だ」

*カナダから米国に原油を輸送する「キーストン・XLパイプライン」と米ノースダコタ州に敷設予定の原油パイプライン「ダコタ・アクセス」の建設を推進する大統領令。

「与党共和党が上院の過半数を占めたことでトランプ大統領は、米国の政治的風景を作り直し、海外における米国の死活的な国益を確実なものにしたロナルド・レーガン(第40代大統領)よりもより大きなチャンスを手中に収めた」

「トランプ大統領と共和党は今や、個々の政策を実現するために戦っているのではなく、保守主義のイデオロギーを復権させるために戦っていることを忘れてはならない。その反対勢力とは、米国のパワーと偉大さを弱体化させ、トランプ革命を阻止するためにラディカルなアジェンダを掲げて抵抗しようとする左翼どもだ」

「大統領選という1つの戦いに我々は勝利した。しかし戦いはまだまだ続く。この本は、保守主義の復位を阻止しようとする左翼勢力とどう戦うかを書き留めたガイドブックだ」

米主流メディアが完全に無視してきた「もう1つの米国」

日本のメディアが好んで引用する米メディアの主流の主張や論調とは、全く異なる「もう1つの米国」がある。その「もう1つの米国」の復権を目指す勢力が2016年の大統領選挙で勝利した。

言い換えると、これまで馴染んできた「オバマの米国」が名実ともに「トランプの米国」に取って代わったのだ。

その「トランプの米国」が「オバマ前政権によって大きく左に動いた時計の針を強引に右へ動かそうとしている」(カリフォルニア大学バークレイ校政治学教授)。

その「トランプの米国」の本質は何か――。

ともすれば、我々日本人には馴染みが薄い「もう1つの米国」。本書は、今、「分裂国家・米国」で何が起こっているのか、を知るための必読の書と言える。

 

古森記事

米下院情報特別委員会の公聴会で証言する連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官(2017年3月20日撮影)。(c)AFP/Nicholas Kamm 〔AFPBB News

3月初頭、ドナルド・トランプ氏が、大統領に就任する前にオバマ政権の情報機関によって盗聴されていたとツイートし、大きな波紋を広げた。

これについてFBI(連邦捜査局)長官は「盗聴」には証拠がないと反論している。ところが3月22日、連邦議会下院情報委員会のデビン・ヌネス委員長が「トランプ陣営の通話はオバマ政権の情報機関に傍受されていた」と公式の場で発言し、その証拠をホワイトハウスに送ると述べた。

トランプ陣営、オバマ政権、FBI、そして共和党と民主党・・・さまざまな組織や機関が政治的な利害を絡ませてせめぎ合うなかで、「盗聴」事件はますます混迷と対立をエスカレートさせてきた。

トランプ大統領のツイート

トランプ陣営内部の会話が記録されていた

3月22日、下院情報委員長のヌネス議員(共和党・カリフォルニア州選出)は、米議会で臨時の記者会見を開き、情報機関関係者から新たに入手したという資料の内容を公表した。

その突然の暴露は、「オバマ政権によるトランプ陣営の盗聴」をめぐる論議に新たな爆弾を投下する内容であり、衝撃が広がった。

ヌネス議員の証言の骨子は以下の通りである。

・トランプ氏が大統領に当選した2016年11月7日ごろから、大統領に就任する2017年1月20日までの間に、オバマ政権の情報機関がトランプ陣営の多くの人間の言動を傍受していた。その結果を詳しく記述した数十通の報告書を入手した。報告書は、情報機関の関係者たちから下院の情報委員長である自分のもとに、参考書類として合法的な形で届けられた。

・報告書にはトランプ陣営内部の人物たちの言動が実名とともに記され、各政府機関に流されていた。

・記録された内容は、トランプ氏の住宅兼オフィスであるトランプタワーを「オバマ政権が『盗聴』した」ことの直接的な裏づけにはならない。しかし、トランプ陣営のメンバーと他の人たちとの内部のコミュニケーションが数多く記録されていた。政府情報機関が、電話やその他の通信手段の盗聴や傍受によって情報を収集した結果だと思われる。トランプ氏本人の交信が傍受された可能性もある。

・情報機関は、最初からトランプ陣営の人たちを標的として監視を始めたというよりも、他の情報収集のための監視や傍受の活動をしているうちに、偶然、その対象がトランプ陣営にまで広がった可能性が高い。

・報告書の内容を詳しく確認して、トランプ大統領に提出する。議会でも公表して、立法府として対応する際の資料にする。CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)、FBIにもさらなる協力を求める。

FBI長官は今も民主党寄り?

米国議会下院では、「オバマ政権のトランプ陣営盗聴」に関する公聴会を3月20日に開き、FBIのジェームズ・コミ―長官らが証言した。コミー長官は「政府機関がトランプタワーを盗聴したと証明する情報はない」と答え、トランプ大統領の発言を否定していた。

コミ―氏は2013年にオバマ大統領によってFBI長官に任命された。政治スタンスは民主党寄りの人物だとされる。FBI長官は、政治的立場にかかわらず10年の任期を務めることができる。そのためトランプ政権側には、コミ―長官は今も民主党側についており共和党政権に不利になる言動が多いという批判もある。

こうした両党の思惑がからみ合うなかで、ヌネス議員の暴露的な発言が突然出てきたわけだ。

ヌネス議員の発言は、トランプ政権や共和党側からは歓迎される一方、民主党議員たちからは「議会で追及すべき案件を突然大統領のところへ持ち込むのはおかしい」(下院情報委員会の民主党側筆頭メンバーのアダム・シフ議員)などと反発されている(その件についてヌネス議員は委員会メンバーに謝罪した)。

今後、さらにどんな情報や証拠が出てくるのか。最終的な決着まではまだかなりの期間を要しそうである。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『身内に通じなかったトランプ流交渉術 立法府での第一ラウンドで完敗、次ラウンドは税制改正』(3/28日経ビジネスオンライン 篠原匡)、『「君は2種類の違う生き物の話をしているよ」 国境のレストランオーナー、オバマとトランプを語る』(3/23日経ビジネスオンライン 篠原匡、長野光)について

3/24ロイターにトランプケアの議会工作失敗と税制改革の見通しの記事がありましたので、紹介します。

Bull market not dead as tax reform takes spotlight

Traders work on the floor of the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., March 21, 2017. REUTERS/Lucas Jackson

By Rodrigo Campos and Chuck Mikolajczak | NEW YORK

NEW YORK The death of the Republican healthcare reform may not prove to be the knife to the heart of the bull market some had feared, but to keep the Trump Trade alive investors should temper expectations for the breadth of expected tax cuts.

Anxiety over prospects for the healthcare bill gave stocks their largest weekly drop since the November presidential election. But its failure to pass could also force the Trump administration to come up with a palatable tax reform that could deliver this year some of the stimulus Wall Street has rallied on.

The S&P 500 rose as much as 12 percent since the surprise Nov. 8 election win President Donald Trump, mostly on bets that lower taxes, deregulation and fiscal stimulus would boost economic growth and corporate earnings.

As he acknowledged defeat for the healthcare bill, Trump said Republicans would likely pivot to tax reform. Bets on that shift in focus were seen in stocks late on Friday, as the market cut its day losses when news of the health bill being pulled emerged.

“The market believes it raises the probability of a tax cut later this year since Trump is showing more strategic behavior. (It) puts the market a little more at ease,” said Paul Zemsky, chief investment officer of multi-asset strategies and solutions at Voya Investment Management in New York.

On the campaign trail Trump promised to lower the corporate tax to 15 percent. In order to make the tax reform revenue-neutral, and agreeable to the most money-sensitive wing of his party, his administration counted on savings from the health bill that will no longer materialize.

“If we want to get something passed by the August break, it’s going to look a lot like tax reform light,” said Art Hogan, chief market strategist at Wunderlich Securities in New York.

“If we settle somewhere between the 25-30 percent corporate tax rate, that is far from the 15 percent offered in the campaign trail and the 20 percent currently in the House plan, (and) I think that’s where we end up.”

Softer cuts in corporate taxes leave stocks vulnerable after a rally on hopes for more, he said.

“It’s not a negative, it’s just not the positive the market had priced in.”

Aside from Trump’s pro-growth agenda some investors have pointed to an improving global economy and expectations for double-digit growth in corporate earnings as support for the lofty valuations in stocks.

“The evidence suggests to me that there is some Trump fairy dust sprinkled on this rally. That said, the underlying fundamentals do look better,” said Alan Gayle, director of asset allocation at RidgeWorth Investments in Atlanta, Georgia.

A survey on Friday showed Germany’s private sector grew at the fastest pace in nearly six years in March, suggesting an acceleration in growth for Europe’s largest economy in the first quarter.

Stocks could also turn to earnings to justify their price. First quarter earnings are expected to grow by more than 10 percent, according to Thomson Reuters data. In another sign of investor bullishness, February’s reading on consumer confidence touched its highest level since July 2001.

If earnings fail to deliver double-digit growth, stocks could again be seen as too expensive. At $18 per dollar of expected earnings over the next 12 months, investors are paying near the most since 2004 for the S&P 500.

“The advance we’ve had and the large spike in confidence, the expectations on the economy and earnings expectations – we continue to believe it is too high,” said Julian Emanuel, executive director of U.S. equity and derivatives strategy at UBS Securities in New York.

(Additional reporting by Lewis Krauskopf; Editing by Cynthia Osterman)

強気市場は、税制改革を焦点としたため、死なず

(写真)2017年3月21日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のトレーダーの働きぶり。ルーカス・ジャクソン /ロイター

ロドリゴ・カンポスとチャック・ミコロイザック/NY

共和党のヘルスケア改革の崩壊は、何人かが恐れている強気市場の中心へナイフを突き立てたことにはならないかもしれない。しかし、トランプの貿易政策を生かしておくために、投資家は期待される減税幅の予想を下げるべきである。

ヘルスケア法案の見通しに対する不安は、11月の大統領選挙以降、株式市場に1週間の間で最大の下げとなった。

しかし、ヘルスケア法案が通らなかったことは、トランプ政権に対し、ウォール街がずっと議論してきた刺激策の一部を今年になって実現すべく、口当たりの良い税制改革を出すように仕向けるだろう。

スタンダード・アンド・プアーズ500は昨年11月8日のまさかのトランプの大統領選での勝利以降12%も上げたが、大部分は低い税、規制緩和と財政刺激の政策によるもので、それらが経済成長と企業収益の向上を齎すと考えられたため。

トランプはヘルスケア法案についてしぶしぶ敗北を認めたが、共和党は次に税制改革に軸を置くだろうと言った。ヘルスケア法案の当面の撤回のニュースが出たとき、市場はその日の内に損切りしたように、税制改革への移行に焦点を当てた賭けは金曜日遅くに株式市場で見られた。

「トランプがより戦略的なスタンスを示している限り、今年後半には減税の可能性を高めると市場は思っている。それは、市場を緩和させるように働く。」と、ポール・ゼメスキー(NYのボヤ投資会社の多面的投資戦略・解決に関する主任投資アドバイザー)は言った。

選挙遊説中に、トランプは15パーセントまで法人税を下げると約束した。しかし、税制改革を税収中立で、かつ共和党内の財政規律派に承認されるために、政権は、もはや材料の無いヘルスケア法案からの救いを目論んでいた。

「もし、8月の夏休みまでに通過できると期待するものがあるとすれば、それは税制改革のように見える」と、アート・ホーガン(NYのウンダーリヒ証券の主任市場戦略分析家)は言った。

「法人税率が25-30パーセントの間に決まれば、選挙遊説で約束した15パーセントからは程遠いが、今議会で検討されている20パーセントが、結局落ち着くところであると思う。」

法人税の削減幅の少なさは、多くの期待を寄せた議論の後では、市場を脆弱にすると、彼は言った。

「それは消極的投資でなく、市場が値付けしてきた積極的投資でないというだけだ。」

トランプの民間主導の開発方式を支持する一部の投資家は、世界経済の改善と企業収益の二桁成長への期待は株の急激な値上がりが予想されると指摘した。

「この会議で撒かれたトランプの妖精の粉があるように、証拠は示している。またそれは、経済の基礎的条件が良くなっているように見えるとも」と、アラン・ゲイル(アトランタのリッジワース投資会社資産配分取締役)は言った。

金曜日の調査では、ドイツの民間部門が3月に於いてはこの6年で最も速いペースで成長したことを示し、第1四半期においてヨーロッパでの最大の経済主体が成長を加速できたことを意味する。株は、利益に変えれば、価格に反映される。トムソン・ロイターのデータによれば、第1四半期の利益は、10パーセント以上成長することが期待されている。

投資家が強気なのは、消費マインドが2001年7月以降、最高の水準にあると2月に読み取ったため。

利益が二桁成長できないならば、株は高過ぎと看做されるだろう。次の1年で、期待収益率が18倍どまりであれば、スタンダード・アンド・プアーズ500の投資家は、2004年以降ほぼ最も多く払っている計算になる。

「我々が体験した前進と経済と利益に関する予想の急騰への自信に関し、我々は、それがあまりに高過ぎると思っている。」と、ジュリアン・エマニュエル(NYのUBS証券のデリバテイブ戦略と米国資産の上級取締役)は言った。

(ルイス・カウスコフによる追加報道、シンシア・オスターマンによる編集)>(以上)

税制改革には保守強硬派も賛成しているので、減税幅がいくつであっても賛成すると思います。ヘルスケア法案は無資格者が出る恐れと国の財源カットが少なすぎと保守強硬派に思われて賛成を得られなかったのが大きく響いたと思います。トランプのやりたいことがなかなかできない、これも三権分立が進んだアメリカの現実と思います。

3/23の記事は、米墨の壁について書かれています。勿論壁を米国が造れば、米国が負担するのは当り前です。それを国境税で賄うつもりなのでしょうけど。メキシコがもっと非合法移民対策をしないと壁はつくられるという気がします。

3/28記事

3月24日、トランプ米大統領は、オバマ前大統領が推進した医療保険制度改革、いわゆる「オバマケア」に代わる法案を、採決直前に取り下げた。(写真:AP/アフロ)

「ディール・メーカー」としての能力に疑問符

期せずして、政策の優先順位が変わることになりそうだ。

3月24日、共和党指導部はオバマケア(米医療保険制度改革法)の代替法案を撤回した。もともとは23日の木曜に下院で採決される予定だったが、法案通過のための賛成票に見通しが立たず、一度は延期が決まった。その後、翌金曜の夕方に再び採決されることになったが、反対派の切り崩しが進まず、撤回に追い込まれた。

オバマケアの撤廃は過去4回の選挙で訴えてきた共和党の看板政策だ。上下両院を共和党が制し、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスの主になった現状は長年の宿願を果たすまたとない好機だった。それが、まさかの大敗北である。ディール・メーカーとしてのトランプ大統領の能力、下院議長としてのポール・ライアン氏の指導力に疑問の目が向けられている。

トランプ政権の命運を左右する「下院フリーダム議連」

採決にすら持って行けなかった最大の理由は共和党内の分裂だ。とりわけ、保守強硬派が集う下院フリーダム議連(HFC:House Freedom Caucus)の造反である。

HFCはティー・パーティの流れをくむ下院共和党の保守強硬派。小さな政府を金科玉条とし、徹底的な歳出カットや減税を求める財政タカ派だ。大きな政府の象徴であるオバマケアを蛇蝎のごとく嫌っている。メンバーが開示されていないため正式な数は不明だが、30~40人とされる。

彼らの存在が一躍、有名になったのは2015年9月のベイナー・前下院議長の追い落としだ。

2013年10月以来の政府閉鎖を回避すべく、2016年度予算案の成立に向けてギリギリの調整を続けていたが、前議長の政治的妥協を批判していた同議連は解任動議を提出、ベイナー前議長は辞任に追い込まれた。後任として白羽の矢が立ったライアン氏は挙党一致を条件に下院議長に就任した。この時はHFCもライアン議長の支持を表明している(下院フリーダム議連がライアン氏を支持した時の声明)。

トランプケアは「撤廃とはほど遠い内容」

トランプ大統領の最初のビッグディールでHFCの面々が造反したのは、ライアン議長など下院共和党指導部の提示した案が撤廃とはほど遠い内容と考えたためだ。

代替法案では批判の多かった個人や従業員の健康保険加入の義務付けを撤廃、低所得者向けの補助金に替わるものとして、年齢や収入をベースにした税額控除も盛り込んだ。だが、払い戻す形での税額控除は補助金と替わらないと反発を強めた。

下院共和党は定数535議席中、過半数を超える237議席を抑えている(空席が5議席)。ただ、下院で法案を可決させるには空席を考えると216票が必要で、22人が反対すれば、法案は通らない。

共和党の穏健派は無保険者の増大を懸念

一方で、共和党の穏健派は代替法案によって想定される無保険者の増大に懸念を強めた。

オバマケアによって2000万人以上の無保険者が健康保険に加入することが可能になった。既存保険者の保険料アップやオバマケアに伴う増税には強い批判があるが、既にオバマケアは制度として定着している。オバマケアの撤廃と置き換えで無保険者が増加すれば、次の選挙で自身の首が危うい。

実際、2月の議会休会中に各議員が地元で開催したタウンホール・ミーティングでは、自身の保険内容が劣化するのではないかと不安に感じた有権者の批判が相次ぎ、各所で炎上した。中立的な議会予算局(CBO)も、「代替案を施行すれば、現行制度を継続させた場合と比べて無保険者が2016年に2400万人増える」という衝撃の試算を発表している。

撤廃しなければ公約違反だが、撤廃後、無保険者が増えても政治的打撃が大きい。中道派の共和党議員は極めて難しい立場に置かれた(参考 2017年2月28日配信記事「共和党に回り始めたオバマケアの『毒』」)。

HFCのメンバーをボーリングに招待したりしたが…

トランプ大統領は保守強硬派や立場を決めていない議員を懐柔するため、「代替法案に賛成するか、さもなくば(2018年秋の)中間選挙で落選するか」という脅しに近い圧力をかけた。同時に、HFCのメンバーをボーリングに招待したり、賛否未定の議員をエアフォースワンに同乗させたり、執務室で記念写真を撮ったり、硬軟織り交ぜて説得に当たった。だが、結果はご存じの通りである。

大統領令を連発するなど就任直後は活発に動いた感のあるトランプ政権だが、その後は側近の辞任やロシアを巡る疑惑など足元はふらついている。肝心の政策も、イスラム圏からの入国制限を企図した大統領令は連邦裁判所によって二度にわたり差し止め命令が出された。各省庁の政治任命スタッフは指名さえされていないケースが大半で、「政権の体をなしていない」という声も漏れる。今回の挫折は混乱が続く政権には大打撃だろう。

さらに、オバマケア撤廃の頓挫によって、今後予定される抜本的な税制改正にも暗雲が垂れ込める。

下院共和党はオバマケアの撤廃・置き換えを完了させた後、税制改正に取り組む意向を示しており、代替法案の撤回によって税制改正の時期が繰り上がった格好だ。もっとも、下院共和党指導部はオバマケアの撤廃で削減される公的支出を法人税減税や個人所得税引き下げの原資に考えていた。これまで財政タカ派は税収中立を訴えており、大規模減税を実現するには別の財源を見つけなければならない(一方で「完全な税収中立は求めない」という声も上がり始めた)。

「税制改正」はトランプ大統領に可能か

財源確保のウルトラCとして下院共和党指導部は「国境調整」の導入も視野に入れるが、こちらも大きな影響を受ける小売業界やエネルギー業界の反対が強く、共和党の上院議員を中心に反対の声が広がっている(国境調整とは:参考 2017年2月7日配信記事 「トランプ政権は言われるほどひどくない」)。10年間で1兆ドルとささやかれる国境調整の税収がなければ、トランプ大統領の提唱する法人税15%はともかく、ライアン議長の20%も難しいが、議会の批判もあり、導入の可能性は低いという声が大半だ。

「ヘルスケアはとても複雑なイシューだが、ある意味で税制改正はオバマケアよりもシンプルだ」。ムニューシン財務長官はこう述べるが、オバマケアの顛末をみていると、再びHFCが抵抗勢力になる可能性は否定できない。

今回の税制改正では税率の引き下げだけでなく、ワールドワイド課税(米国外で稼いだ利益を配当で持ち帰る際に課税される制度)の見直しなど、1986年のレーガン改正以来の大規模な税制改正になることが期待されている。だが、カオスの中で政治資本を浪費しているトランプ大統領に、そして凄腕のディールメーカーとしての看板が色あせつつあるトランプ大統領に可能なのか。懐疑の目が向けられている。

3/23記事

米国最南端の町、ブラウンズビル。メキシコ国境に隣接する町には国境のフェンスが既にある。もっとも、両国を隔てるリオグランデ川から離れたところに建てられたため、実際の国境とフェンスの間に取り残された住民も少なくない。彼の日常生活に支障が出ないよう、道路のところはフェンスが切れている。フェンスの目的が不法移民を阻止することだとすれば、その効果は全くない。  「米国第一主義」というスローガンの下、トランプ大統領は雇用の国内回帰と治安の強化を推し進めようとしている。その政策を支持する米国人は一定数、存在する。それでは、国境に住む人々はどう感じているのか。 「フェンスの向こう側」シリーズ5回目は、ブラウンズビル(米国)の対岸の町、マタモロス(メキシコ)で人気レストラン「Garcia’s restaurant bar」を経営している親子に意見を聞こう。

(ニューヨーク支局 篠原 匡、長野 光)

(フェンスの向こう側  Vol.1 / Vol.2 / Vol.3 / Vol.4  から読む)

メキシコとの国境に接するブラウンズビル(米国テキサス州)。国境のフェンスよりメキシコ側に住むアメリカ人が少なからずいる

フェンスの向こう側 Vol.5  レストラン・ガルシア

 

Raul Garcia(ラウル・ガルシア)  Manuel Garcia(マヌエル・ガルシア)  レストランなど経営

過去10年を振り返ると、最初の8年は客足が減少しましたが、ここ2年くらいはだいぶ戻ってきています。麻薬カルテルの抗争でマタモロスが特に危ないという噂が広がったことがとにかく大きかったですね(参考記事「パトカーが先導する『死のハイウエー』、メキシコ」 毎日新聞)。マタモロスだけでなく、国境の町はどこも危険でしたが、メディアが危険性ばかりを声高に語ったんです。そういう話が、ここ2年でようやく落ち着いてきました。

「銃撃戦なんて一度も見たことはありませんよ」

噂ではなく事実ではないかって? 確かに、ここから10マイル(約16キロメートル)、20マイル離れれば危ないところもあるかもしれません。ただ、私たちの店は国境のゲートからあまりに近いので、麻薬カルテルが銃撃戦を始めるなんてことはまずない。私の家族はマタモロスに住んでいますが、銃撃戦なんて一度も見たことはありませんよ。

ブラウンズビル(米国)の住民が足繁く通う人気レストラン「Garcia’s restaurant bar」のラウル・ガルシア氏(写真:Miguel Roberts、以下同)

その昔、この場所に大きな市場があったのですが火事で焼失してしまいました。その跡地を私の父が購入しビジネスを始めたのがきっかけです。1969年のことです。その後、1980年か1981年にまた火事があり、当時のビルが全部燃えてしまった。それで1983年に今のビルを建てたんです。

2000年代後半以降、麻薬カルテルの抗争が激化したマタモロス(メキシコ)。外務省の海外安全情報ではレベル2(不要不急の渡航は止めてください)に指定されている

もともとは米国からの旅行者向けにメキシコのアートや雑貨を扱っていましたが、奥さんが買い物をしている間、旦那さんが酒を飲んで待てるように…とバーを併設したところこれが成功しまして。その後、レストランやドラッグストアとビジネスを拡大していきました。1975年頃は10人客が来たら8人が米国人でしたが、今は国内(メキシコ)のお客さんの方が多いね。

安価な薬を求めて米国から買いに来る人が多い

ドラッグストアを開いたのは、薬を買いに来る米国人が多いからです。向こうで「タイレノール」(頭痛・解熱薬)がいくらするのかしらないけれど、こちらでは30錠が1ドル程度で手に入る。マタモロスの病院に通う人も多いですね。米国では虫歯を治すのに1000ドル近くかかると思いますが、こちらだと100ドルで直してくれる。医者の腕? 全く悪くありませんよ。

マタモロスの町には安価な薬や歯科治療を求めて大勢の米国人がやってくる

私が子供の頃、1975年ぐらいの話ですが、国境警備自体ほぼありませんでした。みんな好きに行き来して、1週間くらい米国で過ごして帰るなんていうこともよくあった。リオグランデ川も今よりずっときれいで、子供の時はよく泳ぎました。とても楽しかったですね。

政治に関するコメントは控えさせてもらいますが、国境警備の厳格化やNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しでマキラドーラ(注)が影響を受けることはあり得るだろうね。自動車産業は特に怖がっているよね。ああ、父がちょうど来ました。

(注)製品製造にかかる原材料や部品、機械を無関税で輸入できる保税輸出加工区のこと。ティファナやシウダー・ファレスなどメキシコの国境の町にある。

八百屋の店主とマタモロスの日常

仲のいい隣人との間に壁を作るなんて

私は「壁」に大反対だ。なぜかって? メキシコと米国はずっと仲良くやってきたんだ。それなのに、トランプは高い壁を建設するといっている。攻撃的だ。これは人権に関わる問題だ。仲のいい隣人との間に壁を作るなんて。われわれのビジネスに与える影響なんてどうでもいい。人権の問題なんだ。

何で壁なんて作る必要があるんだ? 米国の大統領はしゃべり方、やることなすことすべて攻撃的だ。オバマはどうかって? 君は2種類の違う生き物の話をしているよ。片方は横暴で、片方は穏やかでナイスだ。ケンカの前に、まずは座って話そうじゃないか。オバマは本当にいい大統領だった。

壁の費用なんてメキシコが払うわけないだろう! この店のためにカネを借りれば払うのは私だ。そんなの当たり前だろう。NAFTAはどうかって? 彼はやめないと思うよ。彼自身が必要と思うはずだ。時々、ヒトラーみたいなクレイジーな人間が出てくる。トランプとヒトラー? そっくりだよ。

このカーブを曲がると入国ゲートがある

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『メルケルを脅かすSPDの「シュルツ旋風」 ポピュリズム台頭に対抗するドイツ』(3/23日経ビジネスオンライン 熊谷徹)、『EUは危機打開の第1関門を通過したけれど 「極右ポピュリズム」のドミノ倒しは防げたか』(3/22日経ビジネスオンライン 岡部直明)について

欧州は米国と違い、日本国内ではあまり関心がないのではと思います。文化芸術の部分では米国より遙かに優れたものの蓄積があり、旅行へ行くのでしたら欧州へという日本人は多いと思いますが。

本記事を読みますと、ドイツでは欧州統一派のシュルツがドイツ優先主義(?)のメルケルを破るかも知れないという事のように思えます。メルケルはトランプのアメリカ・ファースト政策を批判していますが、彼女はEUの統一通貨ユーロのお蔭で、強いマルクの代わりに、ユーロ使用の欧州各国にドイツ製品を輸出して、経済的にドイツの独り勝ちの状況を作り出してきました。ギリシャ救済でも緊縮財政を要請して支援を渋る所なぞ、トランプを批判できないのでは。欧州全体の利益よりドイツ人の価値観を押し付けている形でしょう。それはそうです。各国話す言葉が違うし、伝統文化が違うものを無理やり、一つにしようとしても国民が受け入れないでしょう。欧州で反EU、反移民の嵐が吹いていますのは、グローバリズムというフィクションに国民が反旗を翻している構図です。

シュレーダーのアゲンダ2010は誤りだったというのは、端的に言えばグローバリズムが誤りだったという事でしょう。「雇用市場改革プログラム」は労働者の地位を低下させ、経営者のみが富む状況であれば、国民が犠牲になるだけです。ビル・クリントンの政策が会社の利益の90%を株主に還元することを始めてから、世界的に貧富の差が拡大したと思われます。日本の経営者は横並びが好きで、よそがやっているからウチもとなり、労働市場も自由化して、非正規労働者を増やしてきました。非正規労働者が増えれば生活が苦しくなり、結婚もできず、少子化に拍車をかけます。グローバリズムのやり方を真似したことが日本の社会に歪みを齎しました。今は労働力が足りなくなってきており、非正規労働者を正規に切り替える動きが出てきています。やっとまともになってきました。

大学でもグローバリズムの美名のもとに、中国人が爆留学してきているとのこと。3/26TV“バンキシャ”の中の「モクゲキシャ! (ニュース)」で紹介していました。概要が下記のように纏められています。世界の大学ランキングで北京大学とか清華大学とかが東大より上との解説がありましたが、週刊朝日の記事が事情をキチンと説明しています。『北京大を卒業し、東大大学院博士課程に在籍する朱偉(仮名・26歳)の回答はこうだ。「北京大が東大よりもランキング上位? そんなの中国人は誰も信じないですよ。そもそもイギリスの会社が発表したランキングで、評価基準は曖昧で欧米有利。教授の英語論文の数では日本が不利なのは当たり前だし、英語で学位が取れるコースも日本はもともと少ない。でも、少なくとも教授の質という点で東大はアジアでナンバーワンだと自分は思います。少なくとも北京大学を卒業し、アジアでの進学を考えるなら、香港大やシンガポール国立大よりも東大に行きたいと望むはずです」』と。自由のない国が学問の自由を認める訳がないのに、北京や清華大学を日本の大学より上のランクにするのはおかしいでしょう。ですから、日本の大学は外国人の入学枠を設け、制限しないと。長く税金を納めて来なかった外国人の子弟を試験だけで入学させるのは納得いきません。また中国人の研究は中国に帰れば、軍事目的に利用されます。日本学術会議の軍事研究はしないというのはおかしいでしょう。また、日本を侵略しようとする国にメリットを与えて放置するのは、愚かなことです。在日が東大や京大で研究したものが核ミサイル開発に利用されたのは有名な話です。日本人は自分以外のことにももっと関心を持つべきですし、メデイアのいう事をもっと疑ってかかるべきです。

<昨年度、東京大学や早稲田大学では外国人入学生が過去最多を記録、そのおよそ半数を中国の入学生が占めていた。1月、成田空港の到着ロビーでは男性が日本の大学を目指す中国からの受験生31人を待っていた。3月10日に合格発表が行われ今年は3012人が難関を突破した。日本にやってくる外国人留学生は増え続けている。来日した受験生が通うのは中国人専用の名校志向塾であった。中国人女性は「競争もそんなに厳しくないので日本にきてよかった」などと話した。

朱光耀さんは一昨年日本へやってきた。月20万円の仕送りを受け寮で暮らしている。朱光耀さんは「北京大学とか定員数がかなり限られていて、なかなか入れない」などと話した。中国では大学のある地域に戸籍を持つ受験生が優遇されるなど、過酷な入試制度が敷かれている。北京大学の場合去年の新入生3425人で特別枠で2027人。一般入試の受け入れは1398人だった。この一般枠も地域ごとに何人合格できるか決まっている。

上海から来た蔡蘊多さん。取材した日は1か月半ぶりの外出。蔡蘊多さんは高校生のときに日本に1年間留学していた。その時に日本の高校生の英語力が酷くて驚いた、中国だと小学校で習う内容だという。蔡蘊多さんは地方出身のハンデがのしかかり、得意な日本語をいかし東大を目指そうと決意した。中国では学歴で人を見極める社会だという。

園田茂人は「江蘇省で北京大に落ちた子と北京市で受かった子では落ちたこの方が頭がいいかもしれない。そういう子たちが東京大学の研究・教育全体の水準をあげてくれればハッピーなこと」などと話した。

東京大学の合格発表の日。蔡蘊多さんは不合格だった。しかし蔡蘊多さんは早稲田、慶応、一橋に合格していた。蔡蘊多さん「中国にいると一橋大学レベルの中国の大学には絶対に入れない」などと話した。>(以上)

http://www.news24.jp/articles/2017/03/06/07355783.html

https://dot.asahi.com/wa/2016120700209.html

本記事で、ルッテが勝ったとありますが、議席数を減らしておいて勝ったというのはおかしいでしょう。印象操作の一つです。オランダ自由党は議席数を増やしたのですから、自由党勝利と言っても良い。ドイツの選挙の前に仏大統領選がありますのでそちらに注目したいと思います。ルペンとマクロンの争いと言われていますが、どちらに転ぶかは分かりません。

熊谷記事

SPDの党大会で挨拶するシュルツ氏(写真:ロイター/アフロ)

9月に連邦議会選挙が行われるドイツ。この国の政治のダイナミズムを象徴する現象が今起きている。左派勢力のカムバックは、欧米を覆いつつある右派ポピュリズムの暗雲に対するドイツの回答だ。

3月19日、社会民主党(SPD)はベルリンで臨時党大会を開催した。最も重要な議題は、党首の正式な選出である。最も有力な党首候補は、欧州議会の議長だったマルティン・シュルツ(61歳)。1月末にジグマー・ガブリエルが党首の座を退き、シュルツが事実上内定していた。

得票率100%で党首に

この党大会で、驚くべきことが起きた。有効票を投じた605人の代議員の全員が、シュルツを党首に選んだのだ。SPDの153年の歴史の中で、党首が100%の得票率で選ばれたのは、今回が初めて。

シュルツは満面の笑みをたたえて「この投票結果は、我々が連邦首相府を制覇するという堅い意志の表れだ」と獅子吼。党員たちは座席から立ち上がり、スタンディング・オベーションを送った。年配の女性党員は「全員が立ち上がって党首に拍手を送ったのは、ヴィリー・ブラントが1964年に党首に選ばれた時以来ではないかしら」と感慨深げに語った。

シュルツ登場でSPDの人気が急上昇

いまSPDは、熱い興奮に包まれている。10年以上にわたり低迷を続けた同党が、シュルツの登場以来、猛然たる巻き返しに転じたのだ。SPDによると、今年1月以降、約1万人の市民が新たにSPDの党員になった。この「シュルツ現象」の勢いにはドイツの政治ジャーナリストだけではなく、SPDの幹部たち自身も目を丸くしている。

シュルツ現象のダイナミズムは、ここ数カ月間の世論調査の結果にはっきり表れている。公共放送局ARDが3月9日に行った調査によると、SPDの支持率は1ヶ月前の調査に比べて3ポイント増えて31%となった。今年1月に比べるとほぼ10ポイントの上昇である。

SPDはメルケルが率いるキリスト教民主・社会同盟=CDU・CSU(32%)に肉迫している。もしもSPDが左翼党(リンケ)、緑の党と連立すれば47%になり、CDU・CSUを大幅に上回る。

メルケルは2015年に89万人のシリア難民を受け入れたことをめぐり、保守勢力から厳しく批判され、支持率が低下している。ARDが実施した世論調査によると、回答者の55%が「メルケル政権の仕事ぶりに不満だ」もしくは「やや不満だ」と答えている。

左派連立政権が誕生する可能性

保守派に属するドイツ人の間では、「メルケルの政策があまりにも左傾化している」として疎外感を抱く人が増えている。このためCDU・CSUは、反EUと反イスラムを旗印に掲げる右派ポピュリスト政党「AfD(ドイツのための選択肢)」に支持者を奪われつつある。メルケルにとって最大の脅威は、これまでAfDだと考えられてきた。

しかし今年1月に突如巻き起こったシュルツ旋風も、メルケルが無視することのできない重大な脅威となりつつある。つまり、シュルツを首班とするSPD+リンケ+緑の党の「赤・赤・緑連立政権」の誕生が、急激に現実味を帯びてきたのだ。

ARDが2月初めに行った世論調査によると、「もしも首相を直接選ぶとしたら、シュルツを選ぶ」と答えた回答者は50%に達し、メルケルへの支持率(34%)を上回った。

ドイツ政党支持率調査(2017年3月9日)

資料・ARD

「アゲンダ2010は誤りだった」

なぜシュルツの人気は高いのだろうか。彼はベルリンでの党大会で「社会的公正を実現するとともに教育と家庭を重視し、労働組合との結束を強める」と宣言したが、具体的な政策はまだ提示していない。詳細は今年6月の党大会で発表する予定だ。

だがすでにはっきりしていることは、彼が社会保障を重視するSPD左派に属することだ。つまりシュルツは、1998年以来SPDを支配してきた、シュレーダー、ガブリエルという財界寄りもしくは実務派の政治家とは、一線を画す人物なのである。ある意味では、SPDが「労働者と社会的弱者を守る」という伝統路線に戻ろうとしていることを示している。そのことが、多くの党員を熱狂させているのだ。

シュルツは今年2月に、かつてSPDの党首だったゲアハルト・シュレーダーが断行した雇用市場改革プログラムを修正し、富の再配分を強化する方針を明らかにしている。2003年に実施されたこの改革は、戦後ドイツの雇用市場・社会保障制度に最も深くメスを入れた。

「アゲンダ2010」と呼ばれるこの改革で、シュレーダーは失業者に対する国の給付金を切り詰め、長期失業者の数を大幅に削減することに成功した。さらに彼は社会保障サービスの切り詰めによる労働コストの削減、人材派遣業の規制緩和など、企業の利益を増大させる政策を次々に打ち出した。この政策は、財界だけではなくCDU・CSUからも高い評価を受けた。メルケルは、2005年に首相に就任した時に、アゲンダ2010について、シュレーダーに感謝の言葉を送ったほどだ。

2009年にユーロ危機が表面化した後も、ドイツ経済が絶好調であった理由の一つは、シュレーダー改革によって、労働コストの伸び率を他国に比べて低く抑えることに成功したからだ。

だがシュルツは、「ドイツでは所得格差が拡大する一方で、不安定な仕事しか持てない人が増えている。これは、社会の主流派が過去に犯した過ちがもたらした結果だ。我が党も過ちを犯した。だが我々はそのことに気づき、過ちを修正しつつある」と述べた。

つまり、彼は「アゲンダ2010」が過ちだったとして、この改革プログラムを批判したのだ。

社会保障の拡充による富の再配分を

特にシュルツは、中高年の失業者向け援助金の支給期間を延長する方針を打ち出した。なぜ彼は、この点を問題視しているのか。

シュレーダー改革以前のドイツには、Arbeitslosengeld (失業者給付金)とArbeitslosenhilfe(失業者援助金)という2つの援助金があった。前者は税引き前の年収(上限6万2000ユーロ)から社会保険料と税金を引いた額の60%~67%を、最長32カ月支給した。また後者は、失業者給付金の支給期間が過ぎた後に、手取り所得の53%~57%を支給。その期間は、無期限だった。

シュレーダーは「失業者への援助が手厚すぎるので、賃金の低い仕事に就きたがらず、失業者でいる方が良いと考える人が多い」として、このシステムを廃止。これらに代えて、Arbeitslosengeld(第一次失業者給付金)とArbeitslosengeld II(第二次失業者給付金)という2つの給付金を導入した。

前者は、税引き前の年収から社会保険料と税金を引いた額の60~67%を支給するもの。この点は変わらないが、シュレーダーはその支給期間を18カ月に短縮した。以前のシステムに比べて14カ月も短い。

18カ月が過ぎると、失業者は第二次失業者給付金を受け取ることになる。その金額は当初西独で毎月345ユーロ(4万1400円・1ユーロ=120円換算)、東独では月331ユーロ(3万9720円)と定められた。これは、生活保護とほぼ同じ水準である。多くの年配の勤労者が、失業して1年半経つと生活保護並みに低い援助金しかもらえなくなったのである。これは多くの失業者にとって、屈辱だった。

2005年に誕生したメルケル政権は、シュレーダー改革はあまりにも厳しいと考え、58歳以上の失業者に対する第一次失業者給付金の支給期間を24カ月に延長した。さらに第二次失業者給付金の金額も若干引き上げた。

シュレーダー改革は、企業に長年勤めた後に解雇された失業者も、ほとんど働いていない若年失業者と同じく、生活保護と同水準の援助金しかもらえないシステムを生み出した。このことは、特に中高年労働者のSPDに対する怒りを増幅させた。彼らは長年にわたり失業保険制度に保険料を払い込んできた。それゆえ、若年労働者と同じ扱いを受けるのは不当だと感じたのだ。

シュルツは、これらの政策が社会の不公平感を強めていると主張している。

さらに、期限付き雇用契約についても彼は批判の目を向けている。ドイツの雇用契約は、原則として無期限だった。シュレーダーが規制を緩和し、期限付きの雇用契約を締結しやすいようにした。シュルツは、企業が期限付きの雇用契約を締結できる条件を、これまでに比べて厳しくする方針を打ち出している。

アゲンダ2010はSPDに深い傷を与えた

ドイツの雇用統計を見ると、失業者数は2005年には486万人だったが、2012年には290万人に減った。だがその一方でシュレーダー改革は、低賃金労働者を増加させた。たとえばシュレーダーは、ミニジョブという制度を作り、企業に対し社会保険料の支払いを免除した。仕事の内容はオフィスの掃除など、低賃金の職種である。

だがミニジョブだけでは、給料の額が低すぎて生活できない市民が多い。このために第二次失業者給付金を受け取っていた市民の数は、2011年の時点で286万人に達した。彼らは国から援助金をもらっているものの、一応仕事を持っているので、雇用統計上は失業者とはカウントされない。シュレーダーが失業者数を大幅に減らすことに成功した陰には、こうした統計上のトリックがあった。つまりシュレーダー改革は、米国や日本と同様のワーキング・プアー問題をドイツにもたらしたのだ。

シュレーダー改革に対して、旧東独を中心に抗議の声が上がった。SPDは州議会選挙で次々に惨敗。SPD地方支部からは、シュレーダーを批判する声が高まった。労働組合も、彼に背中を向けた。シュレーダーは2005年の連邦議会選挙で敗北して、首相を辞職し政界を去った。1998年の連邦議会選挙におけるSPDの得票率は約40%だったが、2009年には23%に落ち込んだ。史上最低の得票率を記録することになった。

シュレーダー政権で財務大臣を務めたオスカー・ラフォンテ―ヌら党内の左派勢力はSPDを去り、「リンケ」を創設した。1990年にSPDの党員数は約94万人だったが、2012年には約半分の47万人に減少した。アゲンダ2010はドイツに未曽有の好景気をもたらしたが、SPDは満身創痍となった。

庶民派首相候補・シュルツ

シュレーダーがアゲンダ2010を実施して以降、CDU・CSUとSPDの政策が似通ってしまい、両党とも独自性が見えなくなった。

つまり、SPDが「アゲンダ2010」をはじめとするネオリベラル的な政策を取り始め、労働者ではなく企業を利する党に変質したとして、市民たちは落胆した。彼らは今、シュルツが登場し「アゲンダ2010を見直すことによって、SPDが以前の姿を取り戻す」ことに強い希望を抱いているのだ。これに対してCDU・CSUと経済界は「シュルツの政策はドイツの経済成長にブレーキをかけ、再び失業率を高めるだろう」と警告している。

社会保障を拡大することで富の再配分をめざすシュルツの路線は、CDU・CSUとSPDの政策の違いを多くの市民に見えやすいものにした。

シュルツの経歴は異色だ。彼は1955年に、オランダ国境に近い、ノルトライン・ヴェストファーレン州のヴュルゼレンという人口4万人足らずの町で、警察官の家庭の五男として生まれた。1966年にアーヘンの近くのギムナジウム(大学へ進学する準備をするための高等中学校)に入ったが、1974年に中退。大学などの高等教育を受ける道は閉ざされた。

このため彼は本屋の店員になるための実務教育を受け、出版社や書店に勤務。1982年から1994年まではヴュルゼレンで書店を経営していた。彼は1970年代に一時アルコール依存症となったが、克服して1980年からは断酒している。

彼は19歳の時にSPDに入党し、1984年にヴュルゼレン市議会の議員、1986年にはヴュルゼレンの市長を務めた。1994年には欧州議会選挙で初当選し、欧州議会の社会民主党議員団の院内総務などを歴任。2012年から今年1月までは、欧州議会の議長を務めた。

つまり、シュルツは23年間欧州議会に所属し、ドイツの州レベル、連邦レベルでは議員として活動したことが全くない。ドイツ国内の政争にもまれず、シュレーダーが2003年にアゲンダ2010を断行した時にも、この国の政界から離れていたことが、シュルツにとって幸いした。前党首ガブリエルの人気が高まらなかった理由の1つは、彼がアゲンダ2010を支持したために、党内の左派から常に冷ややかな目で見られていたことである。

つまりSPDはシュルツというドイツ国内政治の門外漢を迎えることによって初めて、アゲンダ2010の呪縛から解放されることができた。髭面のシュルツは大学を出ていないせいもあり、エリート臭さがない。むしろ町工場の経営者か食料品店の店主のような、庶民的な印象を与える。

同じSPDに属しながら、イタリアの高級紳士服「ブリオーニ」をまとい、葉巻をくゆらすのを好んだシュレーダーとは、全く毛色が異なる政治家なのだ。CDUに属するヴォルガング・ショイブレ財務大臣は、シュルツについて「左のポピュリストだ」と警戒心をむき出しにしている。

首相レースは振り出しに?

ドイツの保守系日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の記者ヤスパー・フォン・アルテンボックムは、3月20日付の社説で「シュルツが登場し、連邦首相の座をめぐる競争は振り出しに戻った」と述べた。彼は、去年12月まではほぼ確実と見られていたメルケル4選が、覆されるかもしれないと主張しているのだ。

政治の世界ではモメンタム(勢い)が重要な役割を果たす。2003年以来右に振れていたSPDの振り子は、今大きく左へ戻ろうとしている。この勢いを利用したシュルツが、メルケルを破って首相の座に就く可能性も否定できない。

9月の連邦議会選挙の動向を占うカギとなるのは、3月から順次行われる州議会選挙の結果だ。まずは3月26日にザールラント州で、5月14日にはノルトライン・ヴェストファーレン州で行われる。ドイツの政治が、ますます面白くなってきた。(文中敬称略)

岡部記事

オランダ下院選(定数150)の投開票が3月15日行われ、現職のマルク・ルッテ首相率いる与党・自由民主党が33議席を獲得し、現有の40議席から大きく減らしたものの、第1党を維持した。(写真:新華社/アフロ)

欧州連合(EU)の行方を左右すると見られていたオランダの下院選は、ウィルダース党首率いる極右ポピュリズム(大衆迎合主義)政党、自由党が伸び悩み、ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党が第1党を維持した。英国のEU離脱、米国のトランプ大統領の登場で、世界にポピュリズムが蔓延するなかで、EUはともかく危機打開の第1関門は通過した。しかし、反EUの排外主義はEU全域に浸透しており、フランスの大統領選挙はなお予断を許さない。EUが危機打開できるかどうかは、EU自身が大胆な改革に踏み出せるかどうかにかかっている。

反面教師になったトランプ流排外主義

「オランダ国民は誤ったポピュリズムに待ったをかけた」。ルッテ首相はこう勝利宣言をした。自民党は議席を40から33に減らしたが、ともかく反イスラムを鮮明にする極右ポピュリズム政党・自由党の台頭に歯止めをかけたのは、勝利だったと言えるのだろう。英国のEU離脱、トランプ米大統領の誕生に連鎖する形で、オランダで極右ポピュリズム政党が第1党になれば、フランスの極右「国民戦線」を勢いづかせる恐れがあった。それはEUの今後に深刻な打撃を与えかねないところだった。投票率が80%を上回ったのをみても、オランダ国民の間に極右台頭への警戒感が強かったことを示している。

その背景にあったのは、トランプ米大統領が実践する排外主義をめぐる大混乱だろう。大統領令による移民排斥、難民受け入れ停止など保護主義を超えた排外主義は、米国の分裂を招いただけでなく、国際社会の批判にさらされた。そんななかで、「オランダのトランプ」と言われるウィルダース氏率いる自由党が第1党の座に就く危うさを、オランダ国民は感じていたのだろう。ウィルダース氏をはじめ欧州の極右勢力はトランプ大統領の登場を「次はわれわれの番だ」と大歓迎したが、トランプ流排外主義はオランダ国民にとって「反面教師」になったのである。

オランダの選択は時代の流れを変えるか

では、オランダ国民の選択はポピュリズムの世界的潮流を変えられるだろうか。小さな国ではあるが、先進国のオランダが時代の流れを変えたことはある。冷戦末期の1980年代はじめ、米ソ間の軍拡競争はピークに達していた。旧ソ連の中距離核ミサイルSS20配備に対抗して、米国の核ミサイルが西欧諸国に配備されるなかで、西欧には核危機への不安が高まっていた。西欧に反核運動が広がるなかで、オランダ政府は米核ミサイルの配備延期を決断する。

それは北大西洋条約機構(NATO)の一員として苦渋の決断だった。当時のルベルス・オランダ首相にインタビューしたが、狭い首相執務室で頭をかきむしる若き首相の姿をいまも思い浮かべる。

NATOの結束を乱す決断に西側で一時批判が高まったが、この小さな国の選択は世界を動かすことになる。米ソ緊張から米ソ・デタント(緊張緩和)へ、そして冷戦の終結へと時代は大きく転換することになる。

世界に蔓延するポピュリズムに対するオランダの選択もまた時代の流れを変えることになるだろうか。オランダ国民の選択がそれに続く仏独の国政選挙にどんな影響を及ぼすかにかかっている。

仏大統領選にどう響くか

オランダの選挙結果に、仏独を中心に欧州の首脳たちは祝意を表明した。メルケル独首相は「欧州人として協力を続けられるのが楽しみだ」と民主主義の勝利を素直に喜んだ。フランスのオランド大統領は「過激主義に対する明白な勝利だ」と述べた。国政選挙を控えて、極右ポピュリズムへの防波堤になってくれたことを歓迎した。

最大の焦点は、フランスの大統領選挙である。4月23日に第1回投票、5月7日に決選投票が実施されるが、いまのところ極右・国民戦線のルペン党首が先頭を走り、無所属でリベラル派のマクロン前経済相が追い上げる展開になっている。一方で、当初は有力とみられていた共和党のフィヨン元首相は、家族の不透明な給与問題で苦戦を強いられている。決戦投票では、ルペン氏とマクロン氏の対決が予想されるが、極右大統領の誕生を食い止めるため左派と右派が連携できるかどうかが注目点だ。

オランダ国民の選択がルペン陣営の足を引っ張るかどうかは別にして、ルペン陣営が隣国の極右政党の台頭という追い風を受けられなくなったのは間違いない。

もっとも、オランダ選挙でウィルダース氏率いる自由党は、第1党になれなかったとはいえ、議席を8から20に伸ばしている。当初の見積もりははずれたものの、議会で影響力を発揮できる地位を確保したともいえる。仏国民戦線のルペン党首は、この極右勢力の伸長に着目している。

少なくともEU諸国で極右ポピュリズムはなお影響力をもっているとみておくべきだろう。移民問題などでオランダのルッテ首相はウィルダース氏の主張を一部受け入れることによって、第1党の座を維持した面はある。そこに政権に影響を及ぼすポピュリズムの本質がある。

フランスの大統領選も英国のEU離脱とトランプ流排外主義の影響は大きいとみられる。トップを走るルペン候補が反EU、反ユーロを鮮明にしているだけに、英国のEU離脱交渉の展開は微妙な影響を及ぼすだろう。交渉の難航が避けられないうえに、スコットランドの独立機運など「英国の分裂」を招く事態になれば、仏国民も反EU、反ユーロの極右ポピュリズムを選択しにくくなるはずだ。

トランプ米政権が排外主義を強め、地球温暖化防止のためのパリ協定を離脱する事態になれば、トランプ大統領を歓迎してきたルペン候補の足を引っ張る可能性もある。

メルケル首相は4期目に入れるか

ドイツでも右派「ドイツのための選択肢」が勢力を拡大している。といっても、ドイツの場合、右派が政権の座に近づく可能性は皆無である。秋の総選挙でEUの盟主といえるメルケル首相が4期目を迎えられるかどうかが焦点である。

対抗馬と目されるのは連立を組む社会民主党の新党首、シュルツ前欧州議会議長である。ここにきて急速に支持率を高めている。メルケル、シュルツ氏ともに筋金入りのEU主義者だけに、EUを主導する姿勢には変わりはないだろう。シュルツ氏は内政経験がないのがアキレス腱だが、社民党が前に出れば、財政規律より成長戦略という現実路線が期待できるという見方もある。

しかし、英国のEU離脱とトランプ米大統領の排外主義のもとでEUを運営するには強力なリーダーシップが求められる。メルケル首相4選への期待は高まるだろう。

「2速度方式」でEUは再生できるか

EUは反EUのポピュリズムを乗り越えて統合を進化させられるかが問われている。ユンケルEU委員長は、英国のEU離脱を受けて2025年に向けての「欧州の将来に関する白書」を公表した。そこには統合をどう進化させるか5つのシナリオを提示している。第1は現状維持、第2は単一市場の完成、第3はEU域外の国境警備などに限定・集中、第4は2速度方式(統合を進めるのに熱心な加盟国はどんどん統合を進め、熱心でない国や現状では困難な国はゆっくりで構わないという方式)、第5は連邦主義的統合、である。

現状維持から「欧州合衆国」までかなり広い視野で統合を推進する姿勢である。EUの究極の目標であるはずの「欧州合衆国」構想を1つのシナリオと位置付けているのは、危機のなかで、EUも現実的選択を模索せざるをえなくなったことを示している。

この5つのシナリオのうち、ユンケルEU委員長やメルケル独首相はじめEU主要国の首脳が推しているのが2速度方式である。防衛、治安対策、税制などでの統合推進を念頭に置いている。

EUはもともと原加盟国と後発国、ユーロ加盟国と非加盟国、移動の自由を求めるシェンゲン協定加盟国と非加盟国など、2速度方式で運営されてきているが、これをさらに広げ徹底しようというものだ。

これは現実的選択にみえるが、この構想に後発組の旧東欧圏がはやくも強く反発している。27カ国の結束を維持しながら、統合を進化させられるかどうかが問われる。

とはいえ、EUが崩壊の危機にさらされているとみるのは悲観的すぎる。2度の世界大戦を経て創設され、冷戦終結で進化したこの平和の組織は簡単には崩壊しない。危機にあってこそEUの粘り強さに着目すべきだ。オランダ国民の選択は、そんなEU市民の粘り強さを示したといえる。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『米国から「同盟国」と呼ばれなくなった韓国 「食事会なし」で韓国を離れた米国務長官』(3/23日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『韓国の米ミサイル配備に中国の不満(社説)』(3/23日経FT)について

テイラーソンの食事接待の問題は、嘘つき韓国の面目躍如たるものがあります。韓国は「所謂従軍慰安婦」と同じく、嘘をついてもその場が凌げれば良いという発想でしょう。米国は日本と違い、事実関係を追及して発表します。翻って我が国はすぐに謝ります。事実関係を無視してまでも。GHQの占領期間、彼らに媚び諂ってきたメデイアが未だ自虐史観によって立つ報道を続けますので、ネット情報を取れない人は、洗脳されたままその情報を安易に信じてしまいます。戦後の呪縛がまだまだ解けていません。

米国人もやっと韓国人が嘘をつく民族だというのに気付いてきているのでは。“Korean fatigue”と言う言葉が囁かれ出した頃から、日本人と朝鮮半島人は違うと気付いたはずです。「金三胖(=金王朝三代目のデブ)」の瀬戸際政策も米国にとっては許し難く、今迄問題解決してこなかった中国(というか米国攪乱の道具として放置してきた)にも怒りを覚え、従北に揺れる韓国にも呆れ返り、今回の接待問題で、同盟破棄の手前まで来ているのを分からせようとしたのでは。

同盟を破棄したとしても、米軍基地を置くこととは別問題です。THAADは配備したままにすると思います。“tripwire”の役目を果たすのでは。しかし、同盟破棄すれば間違いなく戦時作戦統帥権は韓国に返還されると思います。同盟破棄後、もし朝鮮半島で戦争が起きれば、米軍基地が襲われない限り、米国としては自動参戦せず、北と南で戦争するのを暫し眺めるという可能性もあります。核を北が使わない限り、放置するでしょう。米国が出なければ、中国も傍観するでしょう。その前に、米軍基地はかなり、縮小するのでは。その分を台湾に回せば良いでしょう。

FTの記事は、白人は中国人のことを殆ど理解していないと思います。歴史的に中国は外国製品ボイコットや暴力的デモを多用してきました。そもそも個人の基本的人権や民主主義について中共が国民に教えているとは思えません。個人が自由に生きる権利を制限していますので、中共の命令は絶対です。個人で動くにしても、中共の了解のもとに動かなければ、逮捕抑留されます。所詮共産主義国家、一党独裁国家です。自由主義諸国と社会構造の基本が全く違うという事を必ず思い起こして判断しないと間違います。習近平がダボスで「自由貿易を擁護」する発言をしたとのことですが、先ずは自国民に「言論の自由」を与えてから言ってほしいと思います。

日経ビジネスオンライン記事

尹炳世外相と臨んだ会見で、ティラーソン国務長官は厳しい表情を見せた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回から読む)

米韓の間の外交的な亀裂が、傍目にも分かるほどに広がった。

岸田外相とは飯を食べたのに

鈴置:米国のティラーソン(Rex Tillerson)国務長官の訪韓で騒ぎが起きました。国務長官は3月15日からの訪日の後、17日にソウル入りしました。

米国は現在、THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の在韓米軍への配備を進めています。それを韓国が邪魔しないよう督励に来たのです。

マティス(James Mattis)国防長官らの訪韓と同様、対韓圧力の一環です(「米国のTHAADを巡る対韓圧力」参照)。

米国のTHAADを巡る対韓圧力

2016年
12月20日 安全保障補佐官に内定のフリン元陸軍中将、訪米した韓国政府高官に「THAAD配備は米韓同盟の強固さの象徴」
2017年
1月31日 訪韓を前にしたマティス国防長官、韓民求国防長官に電話し、THAAD配備を確認
2月2日 マティス国防長官、訪韓し「北朝鮮の核の脅威が最優先課題」と表明、THAAD配備も再確認
3月1日 マクスター安全保障補佐官と金寛鎮・国家安保室長、電話会談し「THAAD配備を再確認」
3月1日 マティス、韓民求の米韓両国防長官、電話で会談しTHAAD配備を再確認
3月6日 米軍、THAADの一部機材を烏山空軍基地に搬入
3月17日 訪韓したティラーソン国務長官、会見で「韓国の次期政権もTHAADを支持することを期待する」

ティラーソン国務長官は翌18日に北京に向かいましたが、韓国政府の誰とも食事をしませんでした。これが騒ぎの発端です。

韓国各紙は「尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が夕食に誘ったのに断られた」と一斉に書きました。

中央日報の「米国務長官、日本外相と1時間の夕食会、韓国では会談だけ」(3月18日、日本語版)から引用します。

  • 予想されていた尹長官との夕食会がなかった。韓国側は今回の訪韓を契機に両国外相間のスキンシップ強化を内心望んでいた。
  • このため外交部は当初、夕食会の日程を構想していたが、ティラーソン長官は個人の日程を消化するという立場だった。外交部は招待を断られる格好となった。
  • ティラーソン長官は岸田外相とは3月16日午後5時40分から1時間ほど業務協議を兼ねて夕食会をした。
  • 同長官は3月17日の晩、ナッパー(Marc Knapper)駐韓米国大使代理と食事をし、韓国の動向などについて報告を受けたという。

国務長官の「疲れ」のせいだ

—「差別された」と怒っているのですね。

鈴置:韓国人はどんなことでも「日本並み」の待遇を受けないと怒り出します。当然、この怒りを英語でも発信しました。

コリア・ヘラルド(The Korea Herald)はティラーソン訪韓のまとめ記事「US says ‘strategic patience’ on NK is over」(3月17日、英語)の最後でそれを訴えました。

  • Tillerson spent almost 2 1/2 hours with Japanese Foreign Minister Kishida including a dinner, and another hour with Prime Minister Abe. But his meetings with Yun and Hwang were each confined to about an hour, without a lunch or dinner gathering. Seoul officials said the US side opted not to have a meal together, citing the secretary’s “fatigue.”

岸田外相とは夕食付きで2時間半も話したのに、尹外相とはたったの1時間。ランチも夕食もなかった――という恨み節です。

これだけなら「また韓国人がひがんでいるな」という話で終わったと思います。が、韓国の役人が言ったとされる「余計な一言」が問題に火を付けました。「食事なしはティラーソン長官の疲労のせい」との部分です。

米国の外交界には「韓国疲れ」(Korea Fatigue)という言葉があります。日本の足を引っ張ろうと韓国政府が「日本の首相を米議会で演説させるな」などと無理難題を言うようになったからです(「米国の『うんざり』が『嫌韓』に変わる時」参照)。

米国の外交担当者は一時は韓国人に会うのも嫌がるようになりました(「『アベの米議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。でも、今回の「疲れ」は肉体的な「疲労」です。

この記事を読んだ誰もが「それぐらいの体力がなくて米国の国務長官が務まるものか」と考えたことでしょう。さっそく、世界のメディアがこの記事を引用しました。

ワシントン政界に大きな影響力を持つ政治サイト「ザ・ヒル(The Hill)」は「Report: Tillerson cuts short South Korean Visit, citing ‘fatigue’」(3月17日、英語)と「疲労」を見出しにとりました。

訪韓のまとめ記事ですが「疲労のために訪韓日程をはしょった話」から書き起こしています。

韓国政府は嘘八百

—なぜ、韓国の役人は「疲れのせい」にしたのでしょうか。

鈴置:米国側の、それも不可抗力の理由にしておかないと「日本と比べ軽んじられた」との怒りが、自分たちに向くと思ったからでしょう。韓国の役人が本当にそう言ったとしての話ですが。

国務長官としての資質に疑問を付けられたティラーソン長官は、直ちに反論しました。3月18日、ソウルから北京に向かう機中で、ただ1社だけ長官搭乗機への同乗を許されたウェブメディア「インデペンデント・ジャーナル・レビュー」(IJR)の記者に以下のように語ったのです。

Transcript: Independent Journal Review’s Sit-Down Interview with Secretary of State Rex Tillerson」(英語)から引用します。記者の初めの質問が「韓国紙は疲労から夕食会を断ったと報じているが、何があったのか?」で、それへの答えです。

  • They never invited us for dinner, then at the last minute they realized that optically it wasn’t playing very well in public for them, so they put out a statement that we didn’t have dinner because I was tired.

ティラーソン長官は「私が夕食会を断ったのではない。韓国政府が招いてくれなかったのだ」と明言しました。さらには「それが明らかになると世論に悪い影響が出ると気がついた韓国政府が、私の疲労のせいにしたのだ」と言い切りました。

すると記者がすかさず「韓国側が嘘を言っているのですね?」と確認しました。それに対してティラーソン長官は「いや、状況を説明しただけだ」と答えました。

中国の顔色を見た韓国

—「状況を説明しただけ」ですか……。

鈴置:「韓国人が嘘つきと大声で言うつもりはないが、彼らの言っていることは嘘だ」ということです。

長官は自らの主張を補強するためでしょう、「政府高官の日程はホスト国が組むものだ」と付け加えています。

—どちらの言っていることが本当なのでしょうか。

鈴置:それに関しては「ヴァンダービルド」のペンネームで外交・安保に精力的に筆をふるう韓国の識者が考察を加えています。

崔甲済(チェ・カプチェ)ドットコムの「朴槿恵の最悪の失策は尹炳世の起用」(3月20日、韓国語)の一部を翻訳します。

  • ティラーソン長官の主張が事実なら「尹炳世の外交部」の態度(思惑)を以下のように推定(仮定)しても無理筋ではない。
  • 「中国はTHAAD配備に反対している。ティラーソン長官は配備を督励(強調)するために韓国に来た。その長官を我々(韓国外交部)が手厚くもてなせば、中国が不快に思うことだろう」

「ズボンが破れた」と言い訳

—「飯なし」は中国の顔色を見てのことだった、というのですね。

鈴置:十二分にあり得る話です。中国の反対を懸念して韓国外交部はTHAAD配備に消極的でした。朴槿恵政権内部でも、配備派の国防部と厳しく対立していました。

2016年7月8日、国防部は在韓米軍司令部と突然、「2017年末までの配備に合意した」と発表したのです。この時「尹炳世の外交部」は決定に「すねて見せる」パフォーマンスを敢行しました。

国防部の記者会見と同時刻に尹炳世長官は「ズボンが破れた」と称し、ソウル市内の百貨店の紳士服売り場でショッピングをして見せたのです(「『中国入り陣営寸前』で踏みとどまった」参照)。

外相として顔を出してもいい会見には出ず、敢えて衆目の中で買い物をする――。韓国では「私は配備に反対しました」との中国に対する言い訳だったと見なされました。

中国に気に入られるためなら、せこいパフォーマンスを平気でやる外相ということです。である以上は今回の「飯なし事件」の犯人も韓国側と見なされてもおかしくはありません。

安倍首相にも「飯なし」

—そう言えば、訪韓した安倍晋三首相に対しても「飯なし」でしたね。

鈴置:2015年11月、日中韓首脳会談に出席するため訪韓した安倍首相は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と2国間でも会談しました。が、食事には招待されませんでした。朴槿恵大統領は李克強首相に対しては晩さん会で歓迎しましたから、露骨な嫌がらせです。

どの国でもそうですが、ことに韓国では客に飯を出さないというのは異常なこと。当時、韓国では「いくら日本との関係が悪いからと言って、これは恥ずかしい」との声も上がりました。

ヴァンダービルド氏も先ほど引用した記事で、安倍首相とティラーソン長官がそれぞれ経験した「飯なし事件」を並べて書いています。以下です。

  • 「尹炳世の外交部」にはすでに「反日に迎合する昼食不提供(対安倍)」という前科がある。先の推定が正しければ、今回は「親中に迎合する夕食不提供(対米国)」である。
  • 中国の顔色を見、反日勢力の顔色を見るためなら、友好国(米日)との外交に悪影響を及ぼす非礼も辞さないアマチュア(国益毀損)外交を「尹炳世の外交部」は展開してきたのだ。

「文在寅の門前」に市

—韓国人はよほど中国が怖いのですね。

鈴置:元・朝貢国とはそういうものなのでしょう。もっとも「尹炳世の外交部」が顔色を見るのは中国だけではありません。

5月9日の大統領選挙で本命と見られるのが文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表です。

朴槿恵前大統領の「国政壟断事件」が起きる直前には、北朝鮮との関係を疑われて支持率が低迷していました。というのに大統領の弾劾事件を主導した形となって、他を大きく引き離す人気No.1候補に躍り出たのです。

文在寅・前代表は反米左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で秘書室長を務めました。今も「大統領になったら、THAAD配備の見直しや開城工業団地の再開を検討する」と明言しています。

そして「共に民主党」は大統領権限代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相に対し「THAAD配備は国会の批准を得てからにせよ」と米国との約束をひっくり返すよう要求し始めました。

朝鮮日報が「事前に約束もなしに突然、黄代行を訪れTHAADを抗議した民主党」(3月21日、韓国語版)で報じています。

政権をとったかのような「共に民主党」の一連の振る舞いに、同紙は社説「いくら支持率1位とは言え、やり過ぎの民主党人士」(3月17日、韓国語版)で厳しく批判しています。

一方、役人も次期政権で登用してもらおうと、文在寅氏の周辺に群がっています。朝鮮日報の「文の前に列を成す官僚たち」(3月17日、韓国語版)が詳しく報じました。

韓国はただのパートナー

—それを聞くと今回の「飯なし事件」の犯人は「尹炳世の外交部」という気がしてきました。

鈴置:確たる証拠はありませんが、状況証拠では真黒です。ティラーソン長官も、そうしたレクチャーを受けたと思います。ちゃんと「お返し」しています。

先に引用した「インデペンデント・ジャーナル・レビュー」(IJR)の「Transcript: Independent Journal Review’s Sit-Down Interview with Secretary of State Rex Tillerson」で、「尹炳世の外交部」を真っ青にさせる発言をしました。

「韓国人の嘘」に関する会話の次に「日本に何を求めるか」と聞かれた長官は以下のように答えました。

  • Japan is ― because of the size of their economy ― they are our most important ally in the region, because of the standpoint of both security issues, economic issues, stability issues. So that’s not anything new. That’s been the situation now, for decades. South Korea, similarly, is an important partner relative to stability of northeast Asia.

「日本は最も重要な同盟国」と語った後に、聞かれてもいない韓国に触れ「北東アジアを安定させるための重要な1つのパートナー」と述べたのです。

韓国では「日本が最も重要な同盟国と位置付けられた半面、我が国は同盟国と呼んでもらえなかった」「米国にとって、我が国は『1つのパートナー』に過ぎない」と問題になりました。

聯合ニュースのシム・インソン・ワシントン特派員の「ティラーソン『日本は同盟、韓国はパートナー』で論議、日本優先の本音が露呈?」(3月20日、韓国語版)は、必死で火を消そうとする韓国の外交関係者の発言を紹介しています。

  • ティラーソン長官はインタビューで米日と韓米関係に不均衡はないと言っている。全体の文脈を見れば「同盟」か「重要なパートナー」かに意味を与える必要はない。

しかし、この記事はそれを否定する次のような「反証」も載せています。

  • 米国の当局者は通常、友好国に言及する時には戦略的な重要度に応じて、同盟―友人―パートナーの順で言及する。

お灸を据えた米国

—「同盟国事件」は、ひがみがちな韓国人の思い過ごしでしょうか。

鈴置:いいえ、ティラーソン長官は意図的に韓国を「同盟国」扱いしなかったのだと思います。

この「たった1人の同行記者」との一問一答は実によく練られていて、米国政府の意向の微妙なヒダまで伝えています。

例えば「日韓の核武装」というテーマにも触れていますが、日本で大騒ぎにならないよう言葉を選ぶ半面、「北の核武装を許すのなら日韓にもさせるぞ」と、ちゃんと中国を脅しています。

米国政府の意向をとにかく正確に伝えることを狙ったこの記事で、不要な誤解を招く発言をするはずはありません。明らかに韓国にお灸を据えるために「同盟国から外した」のだと思います。

身から出たサビ

—そもそも韓国は米国から離れ始めていますしね。

鈴置:そこです。韓国人は「米国が大事にしてくれない」と文句を言いますが、韓国自身が米中二股外交に邁進して来て今、一気に「離米」に動くところなのです。「軽んじられる」のは当然です。身から出たサビなのです。

ことに第2次朝鮮戦争が始まるかもしれないという時です。米国にすれば、在韓米軍を守るTHAADの配備を韓国政府に邪魔されてはかなわない。

ティラーソン長官の訪韓の最大の目的は、韓国が中国側に寝返ってTHAAD配備を拒否することを防ぐことでした。

しかし5月中旬にスタートする次期政権は配備拒否に動く可能性が高い。現政権でさえ、中国の顔色を見るのに必死であることが現地に来てよく分かったことでしょう。

となれば、ここで一発、韓国を脅しておく必要があります。「THAAD配備を拒否したら同盟を打ち切るぞ」――とです。

同盟を直ちに打ち切るかはともかく、配備を拒否したら米国は在韓米軍の撤収に動くと見るのが日米の専門家の常識となっています。

「パートナー」という言葉にも意味があるのかもしれません。米軍は北朝鮮の核武装を防ぐために韓国の基地を使う可能性が大です。

「パートナー」からは「とにかく基地は使うからな。その後、同盟がどうなろうと気にしない。もう、お前は一時的な協力者に過ぎないのだ」との米国の気分が嗅ぎ取れます。

「米韓」は「日米」の下受け

—ティラーソン長官の脅しは効きましたか?

鈴置:大いに効きました。韓国経済新聞の社説「『日本は核心同盟、韓国はパートナー』と述べた米国務長官」(3月21日、日本語版)は「同盟国事件」と「飯なし事件」に関し、強い懸念を表明しました。

  • 韓米同盟は我々にとって死活的な利害関係だ。繁栄を可能にした原動力でもある。「隷属だ」と騒ぐ一部の声は民族主義的な安っぽい感傷論にすぎない。
  • 米国は「アメリカファースト」のスローガンの下、外交安保葛藤を覚悟して原点から見直している。世界は動いているが、韓国外交部はどういう考えなのか心配だ。

朝鮮日報は3月21日の社説「米国務長官の言葉通り、朝鮮半島の未来は予測できない」(韓国語版)で以下のように書きました。

  • トランプ政権は韓米同盟を米日同盟の下部システムと認識している感もある。米国の朝鮮半島政策と韓米関係が、これまでは想像もできなかった方向にも行くかもしれないという事実をまずは受け入れねばならぬようだ。

「米韓同盟」は「日米」の下請けに過ぎなくなった。それに気づかず今まで通りに行動していると、米国から見捨てられるかもしれない、との焦りの表明です。

陳謝のためワシントンへ?

中央日報の金玄基(キム・ヒョンギ)ワシントン総局長も同じ日に「あきれる韓国外交」(日本語版)を書きました。この記事は「飯なし事件」を主題にしていますが、興味深いくだりがあります。

  • 怒ったティラーソン長官に陳謝でもするかのように、尹炳世外交部長官は会談4日後の21日、我々には特に急ぎでもない米国務省主催の「反イスラム国(IS)外相会議」に出席するためワシントンへ行く。

確かに、尹外相のこの会議への参加発表には唐突感がありました。「陳謝」のための可能性が大です。記事は以下のように結ばれています。

  • 朝米間、米中間の衝突より韓米間の衝突が先に発生するしかない構造だ。その場合、「コリアパッシング」どころか、韓米同盟64年の最大の危機を迎えることもある。大統領候補らはそのような覚悟ができているのか。

「名誉革命」が呼ぶ米韓同盟の危機

ほとんどの保守系紙を含め、韓国メディアは「世界に誇る名誉革命」と、朴槿恵弾劾劇を誇って来ました(「『名誉革命』と韓国紙は自賛するのだが」参照)。

でも、その結果「反米左派政権」が誕生しそうです。「革命」を煽っているうちに、国を滅ぼしかねない危険な穴に自らを落とし込んでしまったと保守系紙もようやく気がついたのです。今となってはもう、手遅れの気もしますが。

(次回に続く)

FT記事

他国を攻撃させるために自国のナショナリスト(国家主義者)を解き放ち、逆に同じナショナリストに倒された政権の事例は歴史上いくつもある。中国共産党はこのことを知っている。にもかかわらず、その時々にたまたま中国を刺激した国がどこであれ、中国はその標的に対する攻撃をあおり、ボイコットを促さないと気が済まない。

今回は韓国にその順番が回ってきた。韓国は、北朝鮮による核武装の脅威にさらされるなか、国内に米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を配備すると決断した。これを受けて中国は、そのレーダーの監視範囲が中国の奥深くにまで届くことから、この配備は地域の戦略的バランスを崩し、中国自身の軍事力を弱体化させると主張している。

米ミサイルの韓国配備に反発して韓国製品のボイコットが広がっている(北京のロッテマートの店舗)=AP

これこそが、米国政府によるTHAAD配備計画の理由の一部であることに間違いはない。米国は、中国に依存する北朝鮮を制する中国の行動は不十分で、そのことに業を煮やしているのだと中国政府に告げている。もし中国がTHAAD配備を望まないのであれば、北朝鮮による挑発的攻撃を抑え込むようさらに手を打つべきだ。

■子どもにも韓国ボイコット教え込む

だが、中国共産党はそうする代わりに、反韓国の辛辣な批判や、韓国ビジネスに対する攻撃、中国人観光客の訪韓阻止を国営メディアで展開した。さらには、学校の子どもたちに対してさえも、韓国製品に対する大規模集会やボイコットを教え込んでいる。

中国による攻撃の矢面に立ったのは、THAAD配備に土地の一部を提供した韓国のスーパー、ロッテだ。中国で展開する99店舗の実に87店舗は一時的、もしくは恒久的に閉店させられた。なかには、偽りの「防火安全対策」違反の標的になった店舗も多かった。こうした行為は世界貿易機関(WTO)の規則に抵触する可能性があり、韓国政府は既に、WTOに中国の行為を調査するよう求めている。

中国は現在、米国のトランプ大統領が持つ保護主義への強い衝動に対抗しようとしているが、そのなかで、中国自身がとったこの行為は自滅的だ。中国がグローバル化を嫌っていると非難する西側諸国に、攻撃の手段を与えるようなものだ。

中国は、単に国民の意見を反映したものだとして、対韓国の抗議行動から距離を置こうとした。だが、中国では、党の指導者がいら立ちを募らせる最新の的(韓国)に対して不満を募らせる人たちを除いて、公の場でのあらゆる形の抗議は実質的に禁止されているのだが。

■ナショナリズム利用は慎重に

中国が、韓国の次期大統領にTHAAD配備を撤回させることを期待して、ボイコットを促し、反韓感情をあおっているのは明かだ。韓国の大統領を罷免された朴槿恵(パク・クネ)氏の後任を選ぶ選挙は5月上旬に実施される。後任の最有力候補は、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表で、配備を見直すこと既に表明し、米国に対して「ノー」と言うことを学ばなければならないと語っている。どの候補が大統領になっても、北朝鮮との緊張緩和の道を探らなければならない。また、最大の貿易相手国である中国とも協力しなければならないだろう。だが、中国の経済的圧力に屈したり、一方的にTHAAD配備を撤回するのは過ちだ。

中国は、圧力をかけるのは効果的だと考えており、他国との対立に経済的ナショナリズムを利用し続ける。これまで圧力で他国を引き下がらせることに成功してきた。良識のある指導者なら、自国でナショナリズムをあおる一方で、そうした戦略的要請と商業的強要を混同して他国に対することには慎重になるだろう。この混同は貿易関係をこじらせるだけでなく、同じナショナリストが、結局は自分にとっても手に負えない勢力であると証明しかねない。

(2017年3月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。