『北京大学卒業式・張維迎講演はなぜ削除されたか SNSから即座に消えた「自由は一種の責任である」』(7/21日経ビジネスオンライン 北村豊)、『米中の衝突 対話で避けよ 米ハーバード大教授 グレアム・アリソン氏』(7/21日経朝刊)について

18日に提出した蓮舫の台湾国籍喪失許可証書が偽物ではないかと言うので、三立新聞が台湾内政部に電凸したら「本物」との返事。でもおかしい所満載です。小生の考えでは、内政部の役人と一緒に(忖度どころではなくグルで)偽造したのでしょう。ただ、後々内政部が追及されるとマズイので、中途半端な偽造になったと思います。内政部の国民党派=中国人と組んでやったことと思います。中国では卒業証明者や公的領収書の偽物が普通に買える国ですので。なお、文中に出てきますPO=post an articleの意味だそうです。

小生のFacebookの記事より。

<蓮舫偽造「放棄國籍許可證」?內政部:證書是真的

2017/07/20 08:05:00

記者雷明正,張之謙/綜合報導

日本民進黨黨代表台裔政治人物蓮舫18日出示了台灣內政部所發的「喪失國籍許可證書」,但這個證書似乎與正常的台灣行政文書有很大的不同。有台灣網友甚至直接在網路上質疑這份文件跟本是偽造。不過我國內政部證實這份「喪失國籍許可證書」確實是由內政部所發。

▲蓮舫放棄國籍證明書(圖/翻攝自Daily)

這份證書上的照片所擺的是蓮舫的選舉照,側面且微笑的大頭照,與我國一般在戶籍文書上所放的身分證照片有所不同。根據「喪失國籍申請書」上載明,照片黏貼處應比照「國民身分證相片規格」;而且相片明顯規定「無特殊表情且嘴巴合閉」,但這張證書的大頭照中的蓮舫卻笑的合不攏嘴,似乎不太符合規定。

另外是發證日期,發證日期為去年的9月13日,根據我國內政部規定,喪失國籍辦理期間約需2個月左右;而蓮舫是在9月3日提出申請,網友質疑為何能在短短10天就能取得證書。再者,網友上內政部的官網以蓮舫證書號碼查詢結果,內政部官網顯示此案件在2016年的10月17日才被內政部審核完成,那蓮舫是如何提出9月13日發給的文件?

▲推特上網友的質疑(圖/翻攝自推特)

其它如地址詳載不明、國籍不應使用西曆或是蓮舫自己公開的台灣護照居然是手寫等等,網友都提出質疑,也被日本一部分輿論人士轉貼。一向反對蓮舫的旅日中國籍漫畫家孫向文也PO文質疑,認為蓮舫把全日本當作白癡。評論家池田信夫更辛辣的指出,蓮舫根本是偽造公文。

但《三立新聞網》今早和內政部確認文件真偽,內政部發言人表示這份文件並非偽造,確實是由內政部所發行的「喪失國籍許可證」。

☆Chris*台湾人☆‏ @bluesayuri

蓮舫氏喪失國籍証の波紋、台湾の三立新聞と風傳媒新聞が私のtwを取り上げて報道した。台湾ネット民と呼ばわれ、面白い、三立が内政部に問い合わせたら→本当?「喪失國籍証は内政部発行」と返事、記者もっと質問「何故一週間発行?2ヶ月じゃない?」内政部は答えれなかった、やっぱり裏がありそう。

蓮舫の中華民国の喪失国籍許可書には、許可した人の署名のサインがない。原本の写しではないことが明白である。他の二人の許可書には、ちゃんとサインがある。>(以上)

中国が自由を認める=共産党支配の終結を意味します。甘い汁を吸っている党幹部にとって、国民に自由を与えれば、自分達にとっては失うものの方が大きいです。共産党内部からそんな動きは絶対に出て来ないと思っています。それは張維迎教授も百も承知でしょうけど、言わずにはいられなかったと言う所です。張維迎教授は発言中、日本の発明の例は挙げていませんが、言うのは沽券に関わると思ったのか、「愛日有罪」の烙印を押されることを避けたのか。

中国を民主化させれば戦争の危機は遠のくと考える人がいます。小生は民主化だけではダメで分裂(領土分割)が必要と思います。特に南モンゴルやウイグル、チベットと言った非漢族の地域を独立させる事です。中国やロシアは地政学上、北朝鮮を緩衝地帯と見て尊重しているのですから、この3地域を独立国として承認して緩衝地帯とすれば良いでしょう。それでも自己中心の漢族に民主主義が似合うかどうか?孫文も言っています。『中山思想体系』より、<孫文學説第六章説:「常人有言,中國四萬萬人,實等於一片散沙。今欲聚此四萬萬散沙,而成為一機體結合之法治國家,其道為何?=『孫文学説』第六章には<普通の人は、中国は4億も人口がいるが、その実一握りの砂に等しい(バラバラで纏まっていない)と言っている。今欲するのはこの4億の砂の民を集め、法治国家として纏め上げるにはどうしたらよいか?>と。中国人に民主主義は出来ない、強権政治がお似合い何て言うと劉暁波氏や石平氏、陳破空氏に失礼です。また大陸内で共産党と戦っている人権派弁護士も沢山います。日本の知識人や日弁連のように我が身を安全地帯に置いて政府を批判しているのとは訳が違います。日本は中国共産党と内部で戦っている人をもっと支援すべきです。明石元次郎がやったように。

グレアム・アリソン教授は中国人を理解しているとは思えません。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という不信社会で成り立つ民族です。ピルズベリーがやっと気づいたではないですか。こちらが善意で一譲れば、十踏み込んでくるタイプです。オバマのように善意でなく、無能で傍観していたから、国際裁判所の判決が出ても「紙屑」と言って南シナ海を自分の内海にしようとしている訳です。中国に譲歩は禁物です。トランプは中国との1年間計画は認めるべきではありません。時間稼ぎに使われるだけです。早く北との取引銀行総てを金融制裁すべきです。アリソン教授の言うような話合いだけでは解決しません。制裁と言う道具を使わなければ。8年間中国に駐在した体験から考えて。

北村記事

7月1日、北京大学卒業式で行われた張維迎教授の講演は、SNSにアップされるや即座に削除された。写真は2011年のダボス会議に出席した張氏(写真:AP/アフロ)

7月13日、2010年にノーベル平和賞を獄中で受賞した“劉暁波”氏が多臓器不全により亡くなった。劉暁波は2009年12月に“扇動顛覆国家政権罪(国家政権転覆扇動罪)”により懲役11年の判決を受け、遼寧省“錦州市”の“錦州監獄”で服役していた。彼は今年5月に発病したので検査した結果、肝臓がんの末期であることが判明し、特別措置により6月末に遼寧省瀋陽市の“中国医科大学附属第一医院”へ移送されて治療を受けていた。

劉暁波は2008年に中国に大幅な民主化を求める『“零八憲章(2008年憲章)”』を主体となって起草したことで逮捕され、人生で4回目となる監獄生活を送っていたのだった。劉暁波が零八憲章で提起したのは「自由、人権、平等、共和、民主、憲政」の基本理念であったが、その中で最も重視したのは自由であった。そこには言論、出版、信仰、集会、結社などの自由が含まれていた。

劉暁波の死亡より12日前の7月1日、中国を代表する“北京大学”で学部に相当する“国家発展研究学院”の卒業式が“北京大学百周年記念講堂”で行われ、教員を代表して著名な経済学者である教授の“張維迎”<注>が「自由は一種の責任である」と題する講演を行った。この内容が国家発展研究学院のSNS“微信(WeChat)”に掲載されると、即座に当局によって削除されたのだった。微信から講演内容が削除された理由は何だったのか。そこには真の愛国者である劉暁波が一貫して主張していた自由の必要性が、経済学者の視点から述べられていたのだった。

<注>張維迎:1959年に陝西省で生まれる。中国の“西北大学”卒業後、修士課程に進み、英国オックスフォード大学で博士号取得。北京大学教授、経済学者。

14分44秒に及ぶ同講演の模様は、動画サイト「YouTube」でも『“張維迎演講:自由是一種責任”』という題名で配信されているが、非常に興味深い内容を含むので、筆者の翻訳で以下の通り紹介する。

張維迎演講:自由是一種責任

演題:自由は一種の責任である (講演者:張維迎)

学生諸君 先ず皆さんの卒業をお祝いします。

“北大人(北京大学人)”は一種の光背であると同時に責任を意味します。それは特に我々のように苦難が深刻で、いやというほど蹂躙された民族に対する責任です。中華文明は世界最古の文明の一つであり、しかも唯一現在まで継続している古い歴史を持つ文明です。古代中国は輝ける発明創造を持ち、人類の進歩のために重要な貢献を行いました。しかし、過去500年、中国は発明創造の分野で取り立てて言うほどの物は何もありません。この点を数字で説明しましょう。

英国科学博物館の学者ジャック・チャロナーの統計によれば、旧石器時代(250万年前)から紀元2008年までの間に世界を変えた重大発明は1001項目生まれたが、その中で中国が産み出したものは30項目で、全体に占める比率は3%でした。こられ30項目の全てが1500年より前に生まれたもので、1500年より前に世界で生まれた重大発明163項目の18.4%を占めました。その中の最後の1項目が1498年に発明された“牙刷(歯ブラシ)”であり、明代で唯一の重大発明だったのです。1500年から後の500年以上の期間に全世界で生まれた838項目の重大発明の中に中国で生まれたものは1項目も無かったのです。

中国は過去500年、歴史書に載る発明がない

経済成長は新製品、新技術、新産業が絶えず出現することから生み出されます。古代の社会に有ったのは、農業、冶金、陶磁器、手工芸などの限られた職業だけでしたが、その中で農業は絶対主導的な地位を占めていました。現在、我々にはどれだけの職業が有るでしょうか。国際労働機関(ILO)が定めた『国際標準職業分類(ISCO)』によれば、輸出製品に限定しても、2桁コードの職業は97個、4桁コードの職業は1222個、6桁コードの職業は5053個有り、なおかつまだ絶えることなく増加しています。これら新しい職業の全ては過去300年のうちに創造されたものであり、新製品毎にその起源を遡ることができます。これら多くの新産業や新製品の中に、中国人が発明した新しい職業や重要製品は一つもありません。

自動車産業を例に挙げましょう。自動車産業は1880年代中頃にドイツ人のカール・ベンツ、ダイムラー、マイバッハなどが創造し、その後の一連の技術進歩を経て、1900年から1981年までの間に600項目以上の重要な発明が行われました。中国は現在世界一の自動車生産大国ですが、もし諸君が⾃動⾞産業に関する技術進歩の歴史を書くならば、そのリストには1000人以上の名のある発明家が掲載され、その中にはドイツ人、フランス人、英国人、米国人、ベルギー人、スイス人、日本人が含まれますが、残念ながら中国人は1人もいません。よしんば冶金、陶磁器、紡織などの17世紀より前に中国が先導していた古代の職業であろうとも、過去300年の重大発明や創造の中に中国人が産み出したものは1つもないのです。

私が特に強調したいのは、西暦1500年より前と西暦1500年から後は同じではないということです。1500年より前は、地球が様々な区域に分割されていて、区域間は基本的に封鎖状態にありました。一つの新技術がある地方で出現しても、その他の地方に対する影響は軽微で、人類全体に対する貢献は極めて限定的でした。たとえば、東漢の蔡倫は西暦105年に製紙を発明しましたが、中国の製紙技術は751年にようやくイスラム世界に伝わり、その300~400年後に西欧へ伝わったのです。私が小学校へ入学した頃、習字にはまだ“土盤(土製の皿)”を使っていて、紙は使えなかったのです。

但し、1500年から後に、地球は一体化を開始し、技術発明の速度が加速されたばかりか、技術拡散の速度も速くなり、一つの新技術がある地方で出現すると、非常に速く他の地方に導入され、人類全体の進歩に重大な影響を及ぼしたのです。たとえば、ドイツ人が1886年に自動車を発明すると、その15年後にはフランスが世界一の自動車生産国となり、さらに15年後には米国がフランスに取って代わって世界一の自動車生産国となり、1930年に至ると米国の自動車普及率はすでに60%に達したのでした。このため、1500年から後は、イノベーションの国家間における比較が可能となり、その優劣が一目瞭然となったのです。中国は過去500年において歴史書に載るような発明や創造が一つもありません。これは我々の人類の進歩に対する貢献はほぼゼロであることを意味しており、我々の祖先と比べてその差は大きいものがあります。

我々は自由と法治の逆を行った

私はさらに人口規模の問題についても強調しなければなりません。国家の規模には大小があり、国家間でどこの発明や創造が多いかで単純に比較すると、容易に誤解が生まれます。理論上から言うと、その他の条件を考えなければ、国家の人口規模が大きければ、イノベーションも多くなり、技術の進歩もより速くなります。また、イノベーションの比と人口の比は指数関係にあり、簡単な等比数列の関係ではありません。10年以上前、米国の物理学者ジェフリー・ウエストなどは、都市生活の中では、人類の発明・創造と人口の関係は5/4指数の拡大縮小規則に従うことを発見しました。もしある都市の人口が別の都市の10倍であるなら、発明・創造の総量は後者の10の5/4乗、すなわち17.8倍となるのです。

これから見れば、世界の発明・イノベーションに対する中国の貢献と中国の人口規模は全く比例をなしていません。中国の人口は、米国の4倍、日本の10倍、英国の20倍、スイスの165倍です。知識創造の指数拡大縮小法則に基づけば、中国の発明・創造は、米国の5.6倍、日本の17.8倍、英国の42.3倍、スイスの591倍でなければなりません。但し、実際の所は、近代500年の中で発明・イノベーション分野で中国の世界に対する貢献はほぼゼロで、米国や英国とは比較にならないばかりか、スイスの端数にも達していません。スイス人は手術用鉗子、電子補聴器、安全ベルト、整形技術、液晶ディスプレーなどを発明しました。中国人民銀行が人民元紙幣を印刷する際に使用する偽札防止用のインクはスイスの技術ですし、中国が生産する小麦粉の60~70%はスイスのビューラー社の機械で加工されています。

問題はどこに起因するのでしょうか。中国人の遺伝子に問題があるというのでしょうか。明らかにそれは違います。さもなければ、我々は古代中国の輝かしい実績を説明できません。問題は明らかに我々の体制と制度にあります。想像力は自由に依存します。それは思想の自由と行動の自由です。中国の体制が持つ基本的特徴は、人の自由を制限し、人の創造性を扼殺(やくさつ)し、企業家精神を扼殺することです。中国人が最も想像力を備えていた時代は、春秋戦国時代(紀元前770年~紀元前221年)と宋代(960年~1279年)でした。これは偶然ではありません。この2つの時代は中国人が最も自由な時代だったのです。西暦1500年より前は、西洋は明るくなく、東洋は暗かった。西暦1500年から後は、西洋の一部の国家が宗教改革と啓蒙運動を経て自由と法治に向けて一歩一歩動き始めたのに対して、我々はその逆を行ったのです。

もしグーテンベルグの印刷機が禁止されていたら

私は強調しなければなりません。自由は1個の分割できない統一体であり、心が自由でない時は、行動が自由であるはずはなく、言論が自由でない時は、思想が自由であるはずがないのです。自由があってこそ、創造があるのです。一つの例を用いて、この点を説明しましょう。現在では、食事の前に手を洗うことはすでに習慣となっています。しかし、1847年にハンガリーの内科医、センメルヴェイス・イグナーツは、医師と看護師に対し妊婦に接触する前に手を洗うことを提起しましたが、同業者の機嫌を損ねると同時に仕事を失ったあげく、精神病院で死亡しました。享年47歳でした。

イグナーツの観点は彼の産褥熱に対する観察に基づくものでした。当時彼がいた医院には2つの産室が有り、1つは金持ち用の産室で、専門の医師と看護婦が念入りに世話をしていましたが、これらの医師は絶えず子供を取り上げるのと死体の解剖を交互に行っていました。もう1つは貧乏人用の産室で、産婆が担当していました。彼は、産褥熱にかかる金持ちの比率が貧乏人の3倍であることを発見したのです。彼は、その原因は医師が手を洗わないことであると考えたのです。しかし、彼の見方は当時流行していた科学理論と相矛盾しており、彼も自分の発見に対して科学的に証明することができなかったのです。

人類の衛生習慣はどのように変わったのでしょうか。それは印刷機の発明と関わりがあります。1440年代、ドイツの企業家ヨハネス・グーテンベルグが活版印刷機を発明しました。印刷機は書籍と読むことの普及を促進しました。その結果、多くの人々が遠視であることを発見し、メガネに対する需要が生まれて爆発的に増大しました。印刷機の発明から100年後、欧州には数千社のメガネ製造業者が出現し、これによって光学技術の改革が起こりました。1590年、オランダのメガネ製造業者ジャンセン父子は幾つものレンズを1つの筒の中に重ねて置くと、観察する物がガラスを通して拡大されることを発見し、これが顕微鏡の発明につながりました。英国の科学者ロバート・フックは顕微鏡を用いて細胞を発見し、科学と医学に一大革命を引き起こしました。

但し、最初の顕微鏡は解析度が高くありませんでした。1870年代にドイツのメガネ製造業者カール・ツァイスが正確な数学公式に基づく斬新な顕微鏡を生産しました。まさにこの新しい顕微鏡の助けを借りて、ドイツ医師のロベルト・コッホなどの人たちが肉眼では見えない微生物細菌を発見し、ハンガリー医師のイグナーツの観点が正しかったことを証明したのです。こうして微生物理論と細菌学が確立されたのです。正に微生物学と細菌学の確立が、しだいに人類の衛生習慣を変え、人類の平均寿命を大幅に延長させたのです。

我々は想像してみましょう。もし当初からグーテンベルグの印刷機が使用を禁止されていたなら、あるいは教会や行政当局の審査を通過した読み物だけが印刷することを許されていたなら、読むことは普及せず、メガネに対する需要もさほど大きくならず、顕微鏡や望遠鏡は発明されなかったし、微生物学が確立されることはなかったでしょう。また、我々が消毒された牛乳を飲むことは不可能で、人類の平均寿命も30数歳から70数歳まで延びることはなかったでしょうし、宇宙空間の探索を夢見る必要はなかったのです。

自由の向上を持続できるかにかかっている

過去30数年、中国経済は世間の人が注目する成果を収めました。この成果は西側世界が過去300年間に発明・創造して積み重ねた技術的基礎の上に打ち立てたものであり、中国経済の高速成長を支えた様々な重要な技術や製品は全て他人が発明したもので、我々自身が発明したものではありません。我々は“套利者(利ざやを取る人)”に過ぎず、“創新者(起業家)”ではないのです。我々はただ他人が建てたビルディングの上に小さな楼閣を組み立てただけで、我々が“狂妄自大(尊大で傲慢)”になる理由はないのです。

ニュートンは30年の時間を費やして万有引力を発見しましたが、我々は3か月を費やすだけで万有引力の法則を理解することができます。もし私が3か月間でニュートンが30年を費やした道を走り抜けたと公言したら、諸君はきっとばかばかしいと思うでしょう。もし私がさらに反発してニュートンを嘲笑することを言おうものなら、その言葉は私があまりにも無知であると説明することになるでしょう。

私は常に「中国は世界の7%の“可耕地(耕作に適した土地)”を用いて、世界人口の20%を扶養する」と言っています。しかし、我々は「中国はそれをどうやって成し遂げているのか」と問う必要があります。簡単に言えば、それは大量に化学肥料を使っているからです。中国人の食品に含まれるほぼ半分の窒素は無機化学肥料から来ています。もし、化学肥料を使わないなら、半数の中国人は餓死するでしょう。窒素肥料の生産技術はどこから来たのでしょうか。それは100年前、ドイツの科学者フリッツ・ハーバーとBASF社の技術者カール・ボッシュが発明したもので、我々が発明したものではありません。1972年に米国大統領ニクソンが訪中した後、中国は米国と最初のビジネスを行いましたが、それは当時世界最大規模で、最も現代化された合成アンモニア・尿素製造プラント13基を購入したもので、その中の8基は米国のケロッグ社製品でした。

さらに50年、100年が経過して改めて世界の発明・イノベーション史を書く時に、中国は過去500年の歴史的な空白を変えることができるのかどうか。その答は、大体において、我々が中国人の享有する自由の向上を持続できるかどうかにかかっていると思えます。なぜなら、自由がありさえすれば、中国人の企業家精神と想像力を存分に発揮させることが可能であり、中国を一つのイノベーション型の国家に変えることができるからです。このため、自由を推し進め、守り抜くことは、中国の命運に関心を持つ国民全ての責任であり、さらに言えば“北大人(北京大学人)”全ての使命です。自由を守り抜けないなら、“北大人”の称号を名乗る資格はありません。皆さん、ご清聴ありがとう。

上記の講演で張維迎教授が述べたことは正論であり、決して間違っていない。彼は自由を推進し、それを守り抜いてこそ、真の意味で繁栄する中国が到来すると述べているのだ。中国がカネに物言わせた外国企業の買収や技術者引き抜き、さらにはハッキングなどを通じて、諸外国から高度技術を収得したとしても、地道な研究の基礎がない限り、さらなる発展は望むべくもないはずである。張維迎教授が言う通り、「自由なき繁栄」はあり得ないのだ。

日経記事

米国の覇権に対する中国の挑戦が続き、衝突のリスクが高まっているように思える。米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席という強権的な指導者が、危険に拍車をかけているのは否めない。

新旧の大国の衝突が避けられなくなる事態を、古代ギリシャの歴史家の名前にちなんで「ツキジデスのわな」と呼ぶ。私の近著「Destined For War(運命づけられた戦争)」で論じたように、過去500年間にみられた世界の主要な覇権争い16事例のうち、実に12事例が戦争に発展した。米中もこのわなにはまりかねない。

「偉大な米国の復活」を唱えるトランプ氏と「中華民族の偉大な復興」を訴える習氏には、多くの共通項がある。自身の指導力と自国の優位性に誇りを持ち、急進的な改革で偉大な国づくりにまい進するだけではない。自らの野心を満たすうえで、お互いの存在が障害になるとみなしている。

そんなトランプ氏と習氏が特定の懸案を巡り、対立を深めるのが心配だ。両氏は8日、20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれたドイツのハンブルクで会談した。核開発を急ぐ北朝鮮への対応で足並みがそろわず、関係が幾分悪化したような印象を受ける。

北朝鮮からの石炭輸入を停止した習氏に対し、トランプ氏はひとまず謝意を伝えたという。だが期待通りの結果は得られず、より厳しい制裁を求めて圧力をかけたようだ。北朝鮮と関係の深い中国の銀行や企業への「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」も強化する公算が大きい。

北朝鮮の核開発にとどまらない。貿易の不均衡や台湾問題が衝突の引き金を引く可能性もある。米中はもはや「敵対的な競争者」だ。両国経済の相互依存の深まりが摩擦の緩衝材になるのは確かだが、だからといって決定的な対立を回避できる保証はない。

20世紀初頭にぶつかった覇権国の英国と挑戦国のドイツも、経済的な結びつきは強かった。得るものより失うものが大きいから、戦争など起きないと思われていた。それが「大いなる幻想」だとわかったのは1914年だ。オーストリア皇太子の暗殺事件をきっかけに、双方も望んでいなかった第1次世界大戦に突入した。

覇権国はほかの主要国との関係を強化し、既存の国際秩序に適応するよう挑戦国に迫るケースが多い。ところがトランプ氏は米国の影響力を高める連携の枠組みを基本的に軽視している。環太平洋経済連携協定(TPP)や地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱が最たる例だろう。

内向きの米国は中国につけいる隙を与えてしまった。習氏が自由貿易や温暖化防止の主導者として振る舞うのは、まさに皮肉としか言いようがない。これはトランプ氏の大きな過ちである。

米中は「ツキジデスのわな」から逃れられるのか。その答えはイエスだ。私が研究した16事例の覇権争いのうち、4事例は戦争に至らずにすんだ。新旧の大国が譲歩して針路を修正したためで、20世紀初頭の英国と米国、冷戦期の米国とソ連などが該当する。私たちは世界の歴史から多くを学んできた。過去の覇権争いからも、一定の教訓を得ることができる。決断力の乏しさや近視眼的な発想のせいで、回避できる過ちを犯してはならない。

トランプ氏と習氏は真摯な対話を続けるべきだ。米中の厳しい現実はもはや覆い隠せず、楽観論を前提とするのは危うい。「ツキジデスのわな」に陥るリスクを直視し、衝動的で常軌を逸した行動を抑え込む方法を探す必要がある。お互いに妥協して針路を修正しなければ、悲惨な結末が待っていることを忘れてはならない。

米中は4月の首脳会談の合意に基づき、閣僚級の外交・安全保障対話や経済対話を立ち上げた。これらの枠組みも有益だろう。トランプ氏は極めて異例な大統領で、政策の方向性も定まらないが、マティス国防長官やティラーソン国務長官らはもっと現実的だ。2つの大国が衝突の確率を低下させるよう努力してほしい。

(談)

Graham Allison 米ハーバード大博士。国際政治の権威で、キューバ危機時の米政権の意思決定を論じた著書「決定の本質」で知られる。クリントン政権で国防次官補。77歳。

共存の道探れ

「ツキジデスのわな」の危険を説くアリソン氏は、悲観的な運命論者ではない。世界を破滅に追いやる米中の衝突を避けるため、両国首脳に自制を求めるところに真意がある。

1979年の国交正常化から約40年を経て、米中のパワーバランスは大きく変わった。経済・軍事の両面で台頭する中国が攻勢に転じ、守勢に立つ米国のいら立ちは募るばかり。そこに登場したトランプ氏が「均衡点」を押し戻そうと力任せに動き、習氏との緊張が高まっているのは確かだ。

「チャイメリカ」という造語ができるほど、相互依存を深める米中両国。共存の道を探ろうと、ブッシュ(子)元政権やオバマ前政権は中国との戦略対話を続けてきた。トランプ氏もその場で折り合いをつけざるを得まい。

(ワシントン支局長 小竹洋之)

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