『冷戦の再来、欧州で高まるロシアとNATOの緊張 プーチン訪日の真の狙いは?』(9/29日経ビジネスオンライン 熊谷徹)、『平和友好条約の勧め 日ロの領土交渉促すには』(10/2日経朝刊 池田元博)について

熊谷徹氏は元NHK出身だけあって、池上彰と同じ匂いがします。欧米の主張するのが正しい、日本もそれに沿った行動をせよと。左翼・リベラルにシンパシーを感じているのも同じでしょう。ロシア側から見た主張は余りされませんし、侵略を強める中国に強いことは言いません。

日本も遠く離れたヨーロッパ内のNATO VS ロシアの構図に関心がないのは、ヨーロッパ諸国が南シナ海や東シナ海に関心が薄いのと同じです。熊谷氏の関心は日本の安全より、ヨーロッパ諸国の安全に危惧を覚えている感じがします。メデイア人に多いデラシネでしょう。ドイツに帰化した方が良いのではと感じます。

日本は中国の尖閣侵略はおろか、沖縄、日本まで狙われています。中国は日本の左翼に金を出して、沖縄・高江のヘリパッド建設の邪魔をしています。そもそもで言えば、暴力革命を否定しない日本共産党が議席を獲得できるのがおかしい訳で、反自民というだけで共産党に投票するのは愚かとしか言いようがありません。中共の例を見るまでもなく、一党独裁・司法権の独立無し・人権抑圧国家を目指そうという政党です。反日民進党も選挙協力を続けるようですから、蓮舫の二重国籍問題もあって、次期衆院選では壊滅状態になるのでは。連合もこんな泥舟を未だ支援しようとしているのですから、危機感が足りないとしか言えません。化学総連が連合を脱退したように民間産別は今後も脱退が続き、官公労中心となるのでは。

http://www.sankei.com/region/news/160615/rgn1606150058-n1.html

ロシアとの領土・平和条約交渉は厳しいものとなります。当たり前で、失われた領土は「戦争」か「金」で解決するしかありません。平和愛好の人々が多い日本で「戦争」という方法は取れるはずがありません。尖閣を取りに来ている中国に国民レベルで怒りの表現すら発露できない民族に成り下がっていますので。ロシアとは「金」で解決することになります。それが政府の「8項目協力プラン」です。ロシア側からすれば、日ソ中立条約違反で奪った島とは言え、実効支配を続けてきました。それを無償で返還することはできないでしょう。池田氏の言うようにロシア国内で領土返還に否定的な見方が多い中での信頼醸成が大事と言うことになります。日本は中国包囲網の形成という大きな枠組みの中で考える必要があります。

熊谷氏はロシア人の入植を言いますが、中国だって同じことをやっています。日本に関心がないとしか思えません。そもそもで言えば、東西ドイツの統合時に欧米はNATOの東方進出はしないとロシアと密約しました。米国の裏切りでドンドン約束が破られて言ったわけですが、各国にはそのままロシア系住民が残っていて、多くなるのもむべなるかなです。況してやスラブ民族の兄弟国と思っていたウクライナ、ベラルーシの内、ウクライナが裏切ったと思ったことは間違いありません。ヨーロッパはロシアに経済制裁していますが、国際法を守らない中国に経済制裁を課す動きがありません。ヘタレ・オバマのアメリカが弱腰だからです。中国が日本に攻めて来た時にヨーロッパは助けてくれるのかです。そんなことも考えず、ヨーロッパの為に日本がロシアと交渉するのは考えた方が良いという論調は本末転倒でしょう。

熊谷記事

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NATOの演習に参加するヘリコプター「アパッチ」(写真:ロイター/アフロ)

日本のメディアは今、ちょっとした「ロシア・ブーム」に沸いている。ロシア大統領のプーチンが日本の首相、安倍の招きで、今年12月に日本を訪れることが決まったからだ。日本側の目的は、経済協力をテコに北方領土の返還を引き出すことにある。安倍首相が北方領土の返還を切望する気持ちは、よくわかる。

ヨーロッパで高まる緊張

だが日本では、ロシアと欧米諸国との間で軍事的な緊張が高まりつつあることがほとんど知られていない。プーチン訪日を報じる日本のメディアも、ヨーロッパの緊張についてはほとんど触れない。ドイツに住んでいる筆者には、日本のメディアの沈黙が奇異に感じられる。

ヨーロッパでは、「東西冷戦」が再燃している。市民の間でも、「新たな戦争の時代が近づいているのか」という漠たる不安感が強まっている。

クリミア併合が引き金

そのきっかけは、2014年3月にロシアがクリミア半島に戦闘部隊を送って制圧し、ロシアに併合したことだ。同年2月にウクライナで起きた政変で、親ロシア派のヤヌコヴィッチ大統領が失脚し、親EU政権が誕生。新しいウクライナ政府は、EUやNATO(北大西洋条約機構)との協力関係の強化を希望した。

EUとNATOはベルリンの壁崩壊とソ連解体以降、かつてソ連の影響下にあった中欧・東欧諸国を次々と加盟させて「東方拡大」を続けてきた。かつての東側の盟主、ロシアの勢力圏は小さくなる一方だった。この際にEUとNATOは、シベリア出兵や第二次世界大戦中のナチスによる侵略など過去の経験から「外国勢力の介入」に強いアレルギーを抱くロシアの感情に、十分配慮しなかった。西欧諸国はかつてソ連の一部だった国・ウクライナと協力関係を深めたことで、虎の尾を踏んだ。

プーチンは、「ウクライナの新政権が、同国に住むロシア系住民にロシア語の使用を禁止するなど、その権益を脅かしている。我々はロシア系住民を守らなくてはならない」として、2014年2月末に、戦闘部隊をクリミア半島に派遣して軍事施設や交通の要衝を制圧。3月に同半島を併合した。

その後ロシア系住民の比率が多いウクライナ東部では、分離派とウクライナ政府軍との間で内戦が勃発。ロシア政府は分離派に兵器を供与するなどして、内戦に介入している。ウクライナ東部ではロシア軍の兵士が捕虜になっており、同国がウクライナ内戦に関与していることは確実だ。

EUとNATOは、ロシアの「奇襲作戦」によって、完全に虚を突かれた。21世紀に入って以来、ロシアに対するNATOの警戒感は緩んでいた。

たとえばロシアが2008年の南オセチア紛争で隣国グルジアに侵攻した時、NATOは強く反応しなかった。EUも本格的な経済制裁に踏み切らなかった。さらに、2014年2月にロシア軍はウクライナ国境付近で大規模な軍事演習を行ったが、NATOは反応しなかった。欧米諸国は、ロシアがウクライナの領土に戦闘部隊を送り、併合に踏み切るとは予想していなかったのだ。

欧米はクリミア併合に対し軍事的な手段で対抗せず、「冷戦終結後、最も重大な国際法違反」として非難し経済制裁措置を取るにとどめた。プーチンの「電撃作戦」は功を奏したのだ。ロシアがクリミアを併合した直後、プーチンに対するロシア国民の支持率は、一時約80%にまで上昇した。

焦点はスバルキ・ギャップ

プーチンの強硬な態度に驚いた欧米諸国は、2014年9月にウェールズで開いたNATO首脳会議で、緊急介入部隊の創設を決めた。NATOは、これにより欧州のどの地域にも数日以内に3000~5000人規模の戦闘部隊を投入できる体制を整えた。この措置は、「東欧のNATO加盟国にロシアが侵攻することは許さない」という欧米の意思表示だった。

NATO関係者は「東西対立がエスカレートした場合に、ロシアが次に併合しようとするのはバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)だ」という見方を強めている。その中で焦点となっているのが、ポーランド北東部にある、スバルキという町だ。日本ではほとんど知られていないが、欧米の安全保障、軍事関係者の間では「スバルキ・ギャップ」という言葉が頻繁に使われている。

ロシアは、バルト海に面したカリーニングラード(旧ケーニヒスベルク)周辺に飛び地を持っている。この町には、ロシア海軍にとって重要な軍港があるからだ。カリーニングラードの飛び地の北にはリトアニア、南にはポーランドがある。さらにこの飛び地の南東には、ロシアの友好国ベラルーシがある。

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ロシア領土の飛び地とベラルーシの間の距離は、わずか100キロメートル。この地峡部がスバルキ・ギャップだ。NATOは、東西間の対立が高まった場合、ロシア軍の戦車部隊がカリーニングラードの飛び地からスバルキ・ギャップに突入し、友好国ベラルーシへ向かうと推測している。そうすることでロシアは、バルト3国をそれ以外のNATO加盟国から切り離すことができる。NATOは、バルト3国に向けて地上から応援部隊を送ることができなくなる。ちょうどソ連が1948~1949年にかけてベルリンを封鎖したように、ロシアはバルト3国を袋小路に追い込むことができるのだ。

米国のランド研究所が最近作成した研究報告書も、バルト危機が勃発する場合、ロシアのスバルキ・ギャップ突破で始まる可能性が強いという見方を打ち出している。この報告書の作成には、NATOの最高司令官を務めたウエズリー・クラークも加わっている。

東西冷戦の時代、NATOはワルシャワ条約機構軍の戦車部隊が、西ドイツのフルダ付近で東西ドイツ国境を突破し、2日間でフランクフルトを占領するシナリオを想定していた。この付近には険しい山脈や森林地帯が多いが、フルダの前面だけは幅の狭い平原になっており、戦車部隊の移動に適していた。このため西側の軍事関係者は、ワルシャワ条約機構軍がこの「回廊」を通って西側に侵攻する可能性が最も高いと見て、「フルダ・ギャップ」という言葉をしばしば使った。その現代版が、スバルキ・ギャップなのである。

ロシア系住民の比率が高いバルト3国

リトアニア、ラトビア、エストニアは第二次世界大戦の初期にソ連、次いでナチス・ドイツ軍に占領された。戦後はソ連の一部に編入されたが、1990~1991年にソ連から独立。21世紀に入ってEUとNATOに加盟している。だが最大の問題は、ロシア系住民の比率だ。ラトビアのロシア系住民の比率は25.8%。エストニアでは25.1%、リトアニアでは4.8%がロシア系だ。これはソ連が第二次世界大戦後に多くのロシア系住民を移住させたためである。

ウクライナもロシア系住民の比率が17%と比較的高い。ロシアが併合したクリミア半島では、住民の約60%がロシア系だった。現在内戦が続いているウクライナ東部でも、ロシア系住民の比率が高い。

つまり「ロシア系住民の権益を守る」というプーチンの大義名分は、バルト3国についても使われる可能性があるのだ。

ロシアは2013年に、カリーニングラード周辺に7万人の兵士を動員し、「SAPAD2013」という大規模な軍事演習を行っている。またロシアは、カリーニングラード周辺にSA400型対空ミサイルを配置した。ロシアはこのミサイルを使うことで、NATOがリトアニア上空の制空権を確保するのを阻むことができる。さらにロシアは、戦術核弾頭を搭載できる短距離ミサイルをカリーニングラードに配備することも検討している。

2016年夏に大規模な軍事演習

このため、NATOは対ロシア戦略の重点をポーランドとバルト3国の防衛に置いている。

そのための具体策として、NATO加盟国は、今年7月8日にポーランドの首都ワルシャワで開いた首脳会議で、ポーランドとバルト3国にそれぞれ1000人規模の戦闘部隊を駐屯させることを決めた。1997年にロシアとNATOが調印した基本合意書によると、NATOは東欧地域に同じ戦闘部隊を常駐させてはならないことになっている。このためポーランドとバルト3国にいる合計4000人のNATO部隊は定期的に交替する。しかし、今年からNATOがこの地域の軍事的プレゼンスを強化したことに変わりはない。

NATOは今年6月にポーランドで、3万1000人の兵士を動員した軍事演習「アナコンダ」を実施した。この演習は、敵国がバルト海からポーランドに侵攻し、東の隣国からも戦闘部隊が侵入するというシナリオの下に行われた。

「アナコンダ」を終えた数日後には、演習「セーバー・ストライク」を実施した。これはエストニア領内の、ロシア国境から約150キロの地域で行なわれたもの。NATO加盟国から約1万人の部隊が参加した。これらの演習は、ロシアがスバルキ・ギャップを突破する誘惑にかられないように、牽制するためのものだ。

筆者は米軍のエイブラムス戦車や装甲兵員輸送車が大量に投入され、迷彩服に身を固めた兵士たちが榴弾砲を発射する訓練風景を見て、東西冷戦がたけなわだった頃のヨーロッパを思い出した。それは筆者にとって一種のデジャヴュ(Déjà-vu=既視感)だった。

筆者は、1980年に初めて西ドイツを訪れた。当時は、列車に乗るたびに車窓からNATOの戦車部隊の訓練を目撃したものだ。サンダーボルト・A10型地上攻撃機が激しい轟音とともに低空飛行し、ワルシャワ条約機構軍の戦車が西ドイツに侵攻する事態を想定した訓練を繰り返していた。もちろん東西ドイツを隔てる壁の向こう側でも、ワルシャワ条約機構軍がしばしば演習を行っていた。

1989年にベルリンの壁が崩壊して以降、ヨーロッパには雪解けムードが広がり、長い間このような演習は行われなくなっていた。だがロシアがクリミアを併合して以降、NATOは軍事演習を再開し、ヨーロッパの緊張感は確実に高まっている。欧米諸国は、「クリミアの二の舞は許さない」というメッセージをプーチンに送っているのだ。

NATOの盟主である米国は、ロシアとの緊張の高まりを背景に、防衛予算を少なくとも国内総生産(GDP)の2%まで引き上げるよう加盟国に求めている。2015年の時点で防衛予算がこの値を超えていた国は、米国を除くとギリシャ、英国、エストニア、ポーランドの4ヶ国だけだ。

ドイツの防衛予算もGDPの1.19%であり、目標にほど遠い。だが今年5月にドイツ連邦国防大臣のフォン・デア・ライエンは、「防衛予算を、2020年までに現在よりも約14%増やして、392億ユーロ(約4兆5080億円にする」と発表。またドイツ連邦軍の兵士の数も2023年までに1万4300人増やす。ロシア軍が得意とするサイバー攻撃に対応するための専門部隊も、大幅に増強する。

ドイツが将兵の数を増やすのは、東西ドイツ統一後初めてのこと。徴兵制を廃止したドイツ連邦軍の将兵の数は、1990年の58万5000人から17万7000人へと激減していた。こうした動きにも、東西冷戦の再燃が浮き彫りになっている。

他地域で盟友を求めるプーチン

筆者は今年8月、講演を行うために3週間日本に滞在した。ヨーロッパで緊張が高まっている現状がほとんど報じられておらず、「プーチン訪日」のニュースだけが盛んに伝えられていることに奇異な印象を抱いた。

ヨーロッパで欧米諸国との対決姿勢を強めているプーチンは、他の地域では新しい「盟友」を見つけようとするだろう。したがってロシアは、日本への接近を試みるに違いない。ロシアが、EUによる経済制裁の効果を減じるために、中国との間で天然ガスの長期販売契約に調印したのはその表れだ。

またプーチンは、トルコとの関係改善もめざしており、今年8月初めに同国の大統領、エルドアンと会談した。トルコが去年11月に、ロシア軍の戦闘機をシリア国境付近で撃墜して以来、両国の関係は悪化していた。

エルドアンは、クーデター未遂事件後に多くの軍人や市民を逮捕したために、EUから強く批判されている。EUに加盟するというトルコの悲願も、遠のきつつある。エルドアンと欧州諸国の間の関係は、極めて険悪化している。もしトルコをNATOから脱退させることができれば、プーチンはヨーロッパ南部での混乱、特に難民危機をさらに深刻化させることに成功するだろう。

さらにロシアは、フランスの右派ポピュリスト政党「国民戦線(フロン・ナショナール=FN)」に資金を援助している。FNは、英国と同様に、EU離脱に関する国民投票を実施するよう要求している。プーチンにとって、EUの足並みを乱す政党は味方なのである。またユーロ圏からの脱退を求めているドイツの右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」も、ロシアに友好的な態度を持っていることで知られている。

ちなみに日本では、ドイツ首相のメルケルとプーチンは仲が良いと多くの人が信じている。これは誤解である。むしろ、この2人は仲が悪い。メルケルは東ドイツで育った。多くの東ドイツ人は「占領国」であるソ連に反感を抱いていた。

メルケルはモスクワを訪問した際に、ロシア政府に批判的な人権団体のメンバーを訪ねたことがある。これはプーチンに対する面当てである。一方、プーチンはメルケルを別荘に招待した時に、メルケルが犬嫌いであることを知っていながら、会談をした部屋に犬を連れ込んだ。このためメルケルは顔面蒼白になった。明らかな嫌がらせである。

メルケルがロシア語、プーチンがドイツ語を流暢に話すことは事実だが、それは両者が親しいということを意味しない。プーチンの刎頸の友は、メルケルの前任者だったシュレーダーである。

プーチンがヨーロッパで、国外にいるロシア系住民の権益を守るという目標を前面に打ち出している中、彼は極東で、ロシア人が住む島を日本に返還するだろうか。我が国は、プーチンと北方領土の返還について交渉する際に、彼がヨーロッパでNATOと対峙し、軍事的な緊張が高まっている事実を念頭に置く必要があると思う。地政学的な変化が急速に起きつつある時代には、極東だけではなく、世界の他の地域にも目配りをする、複眼的思考が重要になる。(敬称略)

池田記事

ロシアのテレビ局「TVツェントル」で人気のトークショー「プラバ・ゴロサ(発言権)」が9月中旬、日ロ関係をテーマに取り上げた。

「日本式のリセット」と題し、各界の専門家らが議論を戦わせた。総じて日本への期待よりも、日本の経済停滞や日ロの貿易額が少ない現実などが指摘され、北方領土問題でも後ろ向きの発言がめだった。とはいえ、日ロの関係改善の動きがロシアでも、国民の関心事になってきた証しとはいえるだろう。

番組の題名でも明らかなように、最近の日ロ外交を主導しているのは日本側だ。安倍晋三首相は5月のソチ訪問に続き、9月には極東のウラジオストクで開いた東方経済フォーラムに出席し、プーチン大統領と長時間の会談を重ねた。ロシアとの経済協力を深めるための「8項目の協力プラン」も打ち出している。

「私たちの世代が勇気を持って、責任を果たしていこうではありませんか」。首相がフォーラムの演説で熱弁したように、その主な狙いが北方領土問題の解決と平和条約の締結にあることは、ロシア側も承知している。それでもプーチン大統領が8項目プランを「政治問題を解決する条件づくりにも重要だ」と評するなど、日本のイニシアチブを歓迎しているのは確かだ。

しかも、評価している点は経済だけではない。外交評論家のフョードル・ルキヤノフ氏は「安倍首相は明らかに米国が支持しない対ロ路線を打ち出した。かなりリスクの伴う行動だが、現代世界では多様性と柔軟性がカギを握る。ロシアの有識者や政権関係者は、日本が米国追随型の国家という先入観を修正しようとしている」と語る。ウクライナ危機で冷え込む米ロ関係を意識した発言といえる。

日ロ関係を進展させる動機はロシア側にもある。カーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長は極東開発を含めた経済的な利益に加え、「アジアで中国一辺倒の関係を変えようとする地政学的な意図がある。外交のバランスという意味で、日本は特別で大きな位置を占める」と指摘する。

米国や中国との関係といった地政学的な思惑も絡みながら進む日ロの接近だが、12月にプーチン氏が大統領として11年ぶりに来日し、首相の地元・山口県で首脳会談を開くことは決まった。領土問題を含めた条約交渉を進展させる道筋は描けるのだろうか。

プーチン大統領はかねて、1956年の日ソ共同宣言の有効性は認めている。「両国議会が批准したことが非常に重要だ」と最近の記者会見でも強調したばかりだ。同宣言は平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を日本に引き渡すと明記している。ただし大統領は「どのような条件で返すかは書いていない」とし、問題解決には「非常に高いレベルの信頼が必要だ」と予防線を張っているのが現実だ。

ルキヤノフ氏は「プーチン大統領が国民の支持を得ているのは、大衆の気持ちを敏感に察して対応するリーダーだからだ。一般の人々が正しいと納得できるなら、彼は行動する」という。ちなみにロシアの世論調査会社レバダ・センターが5月末に実施した調査では、歯舞、色丹の2島だけを日本に引き渡す妥協案でも71%が反対し、賛成は13%だった。世論は厳しい。

では、打開策はあるのか。モスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ教授は「平和条約という交渉の名称を変えるべきだ」と提唱する。同教授によれば、平和条約は日本では北方領土問題の別名だが、ロシアの世論では第2次世界大戦の結果としての戦勝国と敗戦国の関係の固定化を意味するという。

「平和条約はロシアでは戦争の結果でしかない。一般市民はなぜ戦勝国が敗戦国に領土で妥協しなければならないのかと思ってしまう」。そこで条約を平等で未来に向けた位置づけにするため、例えば「平和友好条約」と命名して政治や国際連携、経済協力などのロードマップも盛り込んだ多面的な条約にすることが望ましいと強調する。

トレーニン所長も「いずれにせよ領土割譲につながる日本との条約締結は、プーチン大統領にとって歴史的功績にはならない。それだけに日本が信頼できるパートナーとなる確信が得られるかが交渉のカギを握る」と予測する。

今後の交渉で基軸になるであろう日ソ共同宣言は、今月で調印から60年を迎える。この間に両国関係も世界情勢も大きく変化した。日ロが真に条約締結をめざすのなら、文字通り「新たなアプローチ」が不可欠になっている。

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