4/7日経ビジネスオンライン 鈴置高史『トランプとオバマの間で惑う朴槿恵 「韓国切り捨て」も困る、「米朝接近」も困る』、4/8『交渉カードなき韓国は米中の「捨て駒」に 日本も「安保環境の激変」に遭遇する』について

「事大主義」・「自尊主義」で中国人以上に狡猾な朝鮮民族といったところでしょうか。自分の分際を弁えていません。世界に慰安婦の嘘を撒き散らし、官と民の違いを便法として使う姑息なやり方を取ったりします。

トランプは金持ちだから韓国の裏金には手を出さない、ハニーも整形美女では相手にしないでしょう。米国で逮捕された韓国人売春婦の顔を見れば、金を貰っても致したくないというのが実情です。それで中韓に汚染されていないので思い切ったことが言える訳です。強欲・嘘つきで中国からの金塗れになっているヒラリーとは違います。でもこのところの予備選でトランプの勢いも削がれて来ました。過半数を取るのが難しくなってきているようです。党大会での決選投票になれば敗れる可能性もあります。そうなれば、誓約書を無視して無所属で本選に出るかも知れません。ヒラリーの圧勝となります。トランプ、ヒラリーとも人物的には大統領に相応しいとは思えません。こういう人たちしか大統領有力候補として出て来なくなったところに米国の衰退の影が見えます。

http://jp.wsj.com/articles/SB12748367622113273976104581642051454458470

http://jp.wsj.com/articles/SB11840501165892254124304581597931434358822

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178932

韓国が今頃になってしおらしくしても本質が世界に理解されて来たから、今までのように持ち上げることは各国ともしないでしょう。人の良い日本人も流石に慰安婦の嘘、南京虐殺の嘘を世界に言いふらす中韓を嫌いな人が増えて来ています。今更揉み手で「通貨スワップ」をと言われても、今までのような甘い対応は日本政府が取れなくなっています。7/10衆参同日選を考えれば、そんなことをしたら自民党は惨敗です。何せ世論調査で中国人が嫌いなのは8割超、韓国人が嫌いなのは6割超いますので。

http://www.recordchina.co.jp/a131191.html

オバマのレガシー作りの為、北とも平和協定を結ぶかもしれません。ただ、イラン・キューバ共に上院の批准がなされていません。大統領選と同時に上院の1/3の選挙があり、その結果によって民主党が過半数を取れれば批准の可能性もあります。(wikiには上院出席議員の2⁄3の賛成とありますが)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E4%B8%8A%E9%99%A2

日本も平和ボケしてなくて国防を真剣に考えないと。日本のメデイア、日教組、共産党、反日民進党が中韓の手先となってそれを邪魔してきました。いつまでも騙されていたのでは、抑止力が減じ、本当に戦争になりかねません。呪縛を解かねば。

記事

Trump's supporter

「サイレントマジョリティーはトランプを支持!」と書かれたプラカードに囲まれるトランプ氏。「切り捨て論」の連呼に、韓国は危機感を募らせる(写真=AP/アフロ)

前回から読む)

 朴槿恵(パク・クンヘ)外交が惑う。米国で「韓国切り捨て論」と「北朝鮮への接近構想」が同時に語られ始めたからだ。

日韓には核武装させよ

—米大統領の予備選でトランプ(Donald Trump)候補が、日本と韓国には核武装させろ、と言い出しました。

鈴置:共和党候補の中で支持率トップを走っている人ですから、この発言は日本でも大いに注目を集めました。トランプ氏がニューヨークタイムズ(NYT)のインタビューに答え、語ったものです。

 記事は「In Donald Trump’s Worldview, America Comes First, and Everybody Else Pays」(3月26日)で、日韓に関する部分は3段落目から。要旨は以下です。

  • トランプ氏は、日本と韓国には米国の核の傘に頼らせるよりも、自前で核武装させた方がいい、と述べた。彼は、日韓が駐留経費をちゃんと支払わないのなら米軍を撤収すべきだ、と語った。

 日本の多くのメディアはこの発言を報じる際に「核武装」を見出しにとりました。が、トランプ氏の主張の本質は「日韓との同盟破棄論」です。

 駐留米軍のコストをすべて払え。それが嫌なら同盟を破棄する。同盟を失ったらやっていけないというのなら、日韓は勝手に核でも持てばいいだろう、という理屈です。

韓国はただ乗りだ

 トランプ氏は予備選出馬当初から、韓国に関し「安保ただ乗り」と言い募ってきました。NYTに語る5日前、ワシントンポスト(WSP)のインタビューを受けた時にも、韓国を名指しして「ただ乗り」批判をしています。「核武装」には言及しませんでしたが。

 記事は「A whirlwind day in D.C. showcases Trump’s unorthodox views and shifting tone」(3月21日)で、韓国に関する部分は下から2番目の段落からです。

  • トランプ氏は「韓国は豊かで大変な工業国家だ。だが、我々はしていることへの正当な対価を(韓国から)受け取っていない」「我々はいつも船や飛行機を送って戦争ゲームを行う。というのに、かかった経費のほんの一部だけ支払ってもらっているのだ」と語った。
  • アジアに関与することで米国は利益を得ていないか、との質問にトランプ氏は「個人的にはそうは思わない」と答えた。

2015年秋からトランプを警戒

 過激化する一方のトランプ発言に、オバマ(Barack Obama)大統領もほっておけないと考えたのでしょう。4月1日に以下のように批判しました。

外交政策や核政策、朝鮮半島や世界の多くを知らない人の発言だ。米国にとって日韓との同盟はアジア太平洋でのよりどころであり、地域の核拡大の可能性を防いできた。この重要性が分かっていない人に、ホワイトハウスの主になってほしくない。

 米国の指導層も「外交の素人であり、子供に聞かせられないような下品なもの言いのトランプ氏が大統領に選ばれることはまずない」と口をそろえます。

 でも韓国人は、トランプ氏が大統領にならなくても彼の度重なる発言により「韓国切り捨て論」が米国で勢いを増すのではないかと恐れているのです。

—韓国のメディアは日本より先に騒いでいましたね。

鈴置:ええ、韓国紙は2015年秋からトランプ発言に注目していました。シニア記者は「ただ乗り論」を警戒し、反論もしてきました(「日本を『一撃』できる国になりたい」参照)。

「身に覚え」のあった韓国人

—なぜ、韓国メディアは日本よりも早く騒いだのでしょうか。

鈴置:韓国人は「身に覚え」があったからです。朴槿恵政権は米国には後ろ足で砂をかけ、中国側にすり寄りました。「ただ乗り」どころか「裏切り」です。

 2015年10月には朴槿恵大統領との共同会見の席で、オバマ大統領が「韓国が我々と同様にしっかりと声をあげて中国を批判することを望む」と語ったことさえあったのです(「蟻地獄の中でもがく韓国 」参照)。

 それだけに韓国人は「裏切り者として、米国に捨てられるかもしれない」と、トランプ発言に首をすくめてきたのです。言説から推測するに、トランプ氏はまだ「韓国の裏切り」に気づいていないと思いますが。

 米国がトランプ化するのではないかと韓国が恐れ始めたまさにその時、米国が中国の意見を取り入れ「非核化のために、北朝鮮と平和協定も話し合う」と言い出しました。このあたりは前回説明した通りです。

 韓国はトランプ候補だけではなく、オバマ大統領の動きにも神経を尖らせることになったのです。

「米中朝」対「韓」

—「平和協定を巡る米中の談合」に韓国人はいつ気がついたのですか?

鈴置:2月23日の米韓外相会談の直前まで、韓国メディアが知らなかったのは確かです。2月18日、聯合ニュースが「中国、平和協定を並行して論議……『韓米日』対『朝中』、北の核で『同床異夢』」(2月18日、韓国語版)を配信しました。

 前日の2月17日に王毅外相が「非核化と平和協定を同時に進める交渉を提案したい」と発言したことを受けて書かれたものです。見出しの「『韓米日』対『朝中』」を支えるのが以下のくだりです。

  • 中国が対話を強調しているが、韓米日は6カ国協議再開には北朝鮮が最小限、核凍結の措置をとるなど非核化の意思を見せねばならないとの立場を維持している。

 この時、少なくとも平和協定に関しては「韓米日」対「朝中」から「米中朝」対「韓」の構図に変化しかけていた。それなのに、聯合ニュースは「中国が何と言おうと、我々の後ろには米国が付いている」と考えていたのです。

 なお、この記事は韓国外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官の以下の発言も報じています。

  • 現時点では北朝鮮が挑発を中断し、誠意ある非核化の意思を見せることが(平和協定の論議よりも)優先されねばならない。

核開発の時間稼ぎ

 この発言から韓国政府が「米中の談合」を知っていたかどうか、推し量るのは難しい。政府は自分が外されかけていることを知っていたかもしれません。ただそうだったとしても、メディアに漏らしていなかったのは確実です。

 まだこの時点で、普通の韓国人は米国との「平和協定よりも非核化が先」という合意が、生きていると信じていたのです。

 だから米中外相会談後のケリー国務長官の発言――「北朝鮮が非核化を話し合う場に来れば、最終的には平和協定も可能だ」に、韓国人は大きなショックを受けました。

 朝鮮日報の朱庸中(チュ・ヨンジュン)副局長兼国際部長が書いた「非核化と平和協定の並行論は敗着だ」(3月3日、韓国語版)は韓国の焦りを代弁しました。結論が以下です。

  • 韓国政府の頭の上で米中が新しい絵を描くのなら尋常な話ではない。平和協定問題に関し韓国は消極的だ。しかし今、平和協定を持ち出す時ではないことを、米国にも中国にも堂々と語るべきである。

 なぜ韓国人が平和協定を議題にするのが危険と考えるのか、日本人にはピンと来にくいので、北朝鮮の意図を説明した部分を翻訳します。

  • 1973年のベトナム平和協定により米軍が撤収した2年後に、ベトナムは共産化された。北朝鮮にとっては、同じことが朝鮮半島に起きることが最も望ましい。
  • しかし、これはさすがに難しい。そこで北朝鮮は国際社会の対北制裁に関する雰囲気を和らげるか、あるいは密かな核・ミサイル開発の時間稼ぎをするために平和協定攻勢を繰り返すのだ。

引導を渡された韓国

—北朝鮮が平和協定を唱える目的の1つは、核開発の時間稼ぎにあるのですね。

鈴置:ええ。というのに北の提案に、中国に加え米国までも乗り始めた。このため、2月23日の米中外相会談の後、米国務省の定例ブリーフ「Daily Press Briefings」では「米朝対話」や「平和協定」に関する質問が連日のように出ることになりました。

 「米国は王毅外相の『並行協議』提案を受け入れ、先に北の非核化、その後に平和協定――という方針を変えたのか」との質問です。いくつかは、韓国の記者によるものと思われます。

 まず、2月26日のブリーフでトナー(Mark C. Toner)副報道官が「6カ国協議の再開を望んでいる」とケリー長官の言葉を確認しました。米中南北日露による6カ国協議は、平和協定を議論する場になります。原文は以下です(「平和協定を巡る動き」参照)。

  • I think we want to see the Six-Party process start again.

 

平和協定を巡る動き(2016年)
1月6日 北朝鮮、4回目の核実験
1月15日 北、米韓演習中断と核実験中断・平和協定締結の取引を提案
2月7日 北朝鮮、長距離弾道ミサイル実験
2月17日 王毅外相「非核化と平和協定を同時に進める交渉を提案」
2月21日  
WSJ「4回目の核実験の前に米朝が平和協定に関し秘密交渉」
米国務省報道官、WSJJ報道に関連「北が交渉を提案してきた」
2月23日  
ケリー国務長官「北が非核化を話し合う場に来れば平和協定も」
王毅外相「6カ国協議再開を通じ中国の当然の役割を果たす」
2月26日 米副報道官「6カ国協議再開を望む」
3月2日 国連安保理、対北朝鮮制裁案を採択
3月3日 米報道官「並行協議に関し米国が排除したことはない」
3月7日 米韓合同軍事演習開始(4月30日まで)
3月8日 ソン・キム特別代表「韓国が知らない米中の秘密取引はない」
3月11日 リッパート駐韓大使「イラン、キューバ、ミャンマーと関係改善」
3月14日 尹炳世外相「韓米中3カ国協議は遠くない未来に稼働と期待」
3月15日 金正恩第1書記「早いうちに(次回の)核とミサイル実験を断行」
3月20日 オバマ大統領、キューバを訪問し21日にカストロ議長と会談
3月22日 ソン・キム代表と金烘均・本部長、3カ国協議推進で一致

 さらに3月3日のブリーフで国務省のカービー(John Kirby)報道官が「(非核化と平和協定を)何らかの形で並行して協議する可能性について米国が排除したことはない」と語りました。

  • we haven’t ruled out the possibility that there could sort of be some sort of parallel process here.

 結局、一連の記者とのやり取りの中で米国は、韓国に対し「6カ国協議を再開し、そこで平和協定も話し合うことにした。中国も合意している。文句はないな」と引導を渡すことになったのです。

オバマよりトランプがまし

 韓国にとって“トランプ大統領”の方がまだましかもしれません。「朝鮮半島から米国が逃げ出す」のに過ぎないからです。いざとなれば、トランプ氏の勧めに従って、核武装する手もある。

 一方、オバマ大統領は核武装を許してくれないまま「韓国の敵との接近」に動いているのです。いずれにせよ、米国の2つの“新思考外交”が韓国を惑わせることになります。

(次回に続く)=4月8日に掲載予定

Obama VS Xi-2

前回から読む)

 米国と北朝鮮の関係改善を目指す「平和協定」。韓国は米中が仕切る以上、抗えないと悟って条件闘争に切り替えた。

秘密取引はない

前回は、米中が談合して平和協定も話し合う多国間対話に動く。それを知った韓国が動揺している――という話で終わりました。

鈴置:「自分をないがしろにして米国が北朝鮮と接近するのではないか」「北の核武装を黙認するのではないか」と韓国人は疑心暗鬼に陥りました。米政府もさすがにまずいと思ったのでしょう。国務省幹部が韓国メディアの個別インタビューを相次いで受けました。

 まず3月8日、ソン・キム(Sung Y. Kim)北朝鮮担当特別代表がワシントンで聯合ニュースと単独で会いました。韓国系米国人で、駐韓大使も歴任した朝鮮半島の専門家です。

 発言のポイントは以下です。会見記事「ソン・キム米特別代表『非核化が最優先』……中国と秘密取引なし」(3月9日、韓国語版)から引用します。

  • 中国の主張通りに、米国が「非核化と平和協定の論議を並行して行おう」と決めたことは絶対にない。
  • 韓国が知らない(米国と)中国の秘密の取引は断じてない。

「並行協議」で詭弁

—並行協議を否定していますね。

鈴置:詭弁と言ってよいでしょう。米中間では「並行協議」を決めていないかもしれません。が、6カ国協議で「非核化」に加え「平和協定」を議論すれば、実質的に「並行して協議」することになるからです。

 「秘密取引はない」というのは本当でしょう。米中は6カ国協議再開には合意したものの、それ以上は決めようがありません。協議は米朝の間の極めて複雑な駆け引きになるからです(「朝鮮半島を巡る米、中朝のカード」参照)。

朝鮮半島を巡る米、中朝のカード
米国 中国
THAAD配備留保 従来より強い対北朝鮮制裁容認
米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断
米朝平和協定(不可侵協定)の締結  ・米朝国交正常化  ・在韓米地上軍撤収  ・在韓米軍撤収  ・米韓同盟廃棄 北朝鮮の核兵器廃棄  ・核弾頭の増産中断  ・弾頭再突入技術の開発中断  ・弾頭小型化技術の開発中断  ・保有核兵器の全廃
「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障

注)左右の項目は必ずしも連動しない

 続いて3月11日、リッパート(Mark Lippert)駐韓米国大使がソウルで韓国外交部の担当記者団と会いました。アジアの安全保障の専門家であり、オバマ(Barack Obama)大統領の側近とされる人です。

 なお大使は、2015年3月にソウルで暗殺されかけたことがあります。犯人は反日・反米を唱える韓国人でした(「『米大使襲撃』で進退きわまった韓国」参照)。

 韓国各紙は、リッパート大使はこれまでに表明した米国の立場を改めて説明した、と報じました。ニュースはなかったとの判断です。しかし大使の発言をよく読むと、韓国にとって不気味な部分があったのです。

 ハンギョレの「駐韓米大使『北朝鮮の非核化を最優先、政権交代が目標ではない』」(3月13日、日本語版)から引用します。

  • (大使は)バラク・オバマ政権がイラン、キューバ、ミャンマーなどとの複雑な問題を、外交を通して解決した事例を挙げ「北朝鮮指導部にはよく考えてみてほしい」と注文した。

「キューバ」に昇格?

 2015年、米中を含む国連の常任理事国とドイツは、イランと核合意を結びました。それはイランに核を放棄させるものではなく、核開発に歯止めをかけるものに過ぎません。

 というのに、イランへの経済制裁は解除されました。世界中の政府と企業が貿易や投資の拡大を狙い、イランに乗り込んでいます。

 キューバへは3月20日にオバマ大統領が訪れたばかりです。米大統領としては88年振りの訪問でした。2015年の国交回復に続き、経済制裁の全面解除に向けた動きです。

 「キューバの人権問題は解決していない」と制裁解除に反対する声が米国には根強い。それにもかかわらずオバマ政権はキューバ訪問を決行したのです。残りの任期が1年を切る中での実績作りと見られています。

 リッパート発言を注意深く読んだ韓国人は、こう考えたでしょう。

北朝鮮が核開発を中断したフリをすれば、米国は「対イランと同様に対北制裁をやめよう」と言い出し、キューバとのように国交を正常化するつもりだな。

 ことに、リッパート氏は「単なる大使」ではなく、大統領のアドバイザーであり、側近なのです。その発言は重い。

親中のミャンマーも引き寄せた

—確かに、この記事をじっくり読んだ韓国人はぎょっとしたでしょうね。

鈴置:軍事独裁国家として孤立していたミャンマーとも、米国は関係改善を模索しました。2012年、政治犯の釈放や民主化と引き換えに、米国を初めとする西側は一気に制裁を解除しました。

—日本の産業界のミャンマーブームも本格化しています。

鈴置:親中国家と見なされていたミャンマーを「こちら側」へと引き込んだのです。中国と勢力圏争いをする米国は、ミャンマーの次に北朝鮮を狙うとの見方が当時からありました(「次は北朝鮮に触手?米国、中国包囲網作りへ全力」参照)。

 オバマ政権の外交政策は同盟国や米国の保守派の間で極めて評判が悪い。「米国は世界の警察官ではない」と演説して世界への関与を急速に薄めました。結果、中東では「イスラム国」(IS)が台頭し、アジアでは中国が、ウクライナではロシアがやりたい放題です。

平和協定はゴールポスト

—オバマ大統領は名誉回復のために、北朝鮮とも無理筋の関係改善をしかねないということですね。

鈴置:その通りです。韓国人、ことに保守派が危機感を募らせるのも当然なのです。

—朴槿恵(パク・クンヘ)政権はどうするつもりでしょうか。

鈴置:どうしようもありません。米中が足並みを揃えて「皆で集まって、北朝鮮との平和協定も論議しよう」と言っているのです。もう逆らえません。

 政権に近いとされる、中央日報の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題論説委員(大記者)が書いた「米国と中国の談合を警戒する」(3月18日、日本語版)が象徴的です。

  • 韓国の外交当局が韓米・韓中関係がうまくいっていると、ほらを吹いている間に、韓国は2つの強大国が置く将棋盤の駒の身分になっているのではないか。
  • 金正恩(キム・ジョンウン)が狂乱の剣の舞いを踊って私たちまでがゆらゆらと調子を合わせれば、韓国は王毅(中国外相)がつくった平和協定というゴールポストに向かって、米国と中国に引きずられて行く境遇になるだろう。

米中の将棋の駒に

—平和協定を警戒していますね。

鈴置:ええ。しかし、これに続く文章――記事の結論が興味深いのです。以下です。

  • 米中の意図を正確に把握して、平和協定は必ず韓国・北朝鮮と米中が署名する2プラス2方式を貫徹しなければならない。

 結局は、警戒すべき平和協定に関し「交渉で我が国が外されないようにしよう」と主張したのです。背景には「我々が何と言おうがどうせ、平和協定は結ばれる」との諦めがあるのです。

 なお、この記事には「将棋の駒」との例えが出てきます。韓国語版(3月17日)では「韓国将棋の歩」です。

 中国共産党の対外威嚇用メディア「環球時報」が2月16日の記事で、韓国を米中の打つ碁の石に例えました。英文版ではチェスのポーン(Pawn)に例えました(「米国から『ピエロ役』を押し付けられた朴槿恵」参照)。

 中国は「お前はプレーヤーではなく『捨て駒』なのだ。偉そうな顔をするな」と韓国に言い渡したのです。それ以降、韓国紙は自虐を込めて「碁石」「駒」という単語を使うようになりました。

韓国は世界のリーダー

—韓国政府も米中の要求をのむつもりでしょうか。

鈴置:もう、のんでいると思います。最近、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が興味深い発言をしています。朝鮮日報の「尹炳世、また自画自賛『荒波の北東アジアを順調に航行』」(3月15日、韓国語版)から引用します。

  • 尹炳世外相が3月14日、在外公館長会議の開会の辞で「韓国は今やグローバルリーダー」「今が韓国の多国間外交の全盛期」と述べた。
  • 昨年、同じ席で「米中双方からラブコールを受けることは我が外交の祝福」と語ったのに続き、2年連続で外交成果を自ら誇ったのだ。

—すごい自己認識ですね。

鈴置:今や韓国でも、朴槿恵外交は「米中からは『捨て駒』扱いされ、日本・北朝鮮とは関係が悪化した」と酷評されています(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」参照)。それとは正反対の自賛です。

 当然、朝鮮日報の記者もあきれ顔でこの記事を書いています。ただ、尹炳世外相の大言壮語はいつものことです。もっと注目すべきは以下です。

  • 尹炳世外相は「6カ国協議の枠組みの中で、韓米中の3者対話も遠くない将来に動かすことができると期待している」と述べた。

 いつの間にか、韓国の外相が6カ国協議の再開を前提として語っているのです。要は米中に押し切られたのです。

「3者対話」で面子守る

—「韓米中の3者対話」とは?

鈴置:朴槿恵政権がスタート当初から唱えていた会談です。韓国主導で米中韓が北朝鮮問題を議論する――との構想でした。

 もっとも、この構想は不発に終わっていました。中国からは「北朝鮮を孤立させたくない」と断られ、米国からは「日本を外すのはまずい」と指摘されたようです。米中の本音は「朴槿恵のスタンドプレーに付き合っている暇はない」ということでしょうが。

 韓国が3者対話をまた言い出したのは「見栄」のためと思われます。米中に強要されて、北朝鮮を喜ばすだけの「平和協定をも議論する6カ国協議」に参加せざるを得なくなった。

 それならせめて自分が主張していた3者対話を実現してもらおう、ということかと思われます。3月22日には韓国外交部が「米国と3者対話の推進で合意した」と発表しています。米国とすれば韓国に対する宣撫工作――「朝三暮四」のつもりでしょう。

 朴槿恵政権は国民に対し「米中双方から信頼される国になった。両大国の力を借りて日本と北朝鮮を叩いている」と誇ってきました。その宣伝は政権への支持率を上げる特効薬でもありました。

 ところが実態は大きく異なることが国民にも知られ始めた。そこで朴槿恵政権は周辺国から軽んじられるたびに「米中を操る、世界のグローバルリーダー」という自画像を演出してみせるのです。

軍事力こそ外交カード

—「平和協定に関する協議は北朝鮮と米中だけで実施すべきだ」と北が言い出す可能性が高い、とのことでしたね(「韓国を無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。

 ええ、韓国が朝鮮戦争の休戦協定に署名していないため、北朝鮮は時々、そんな嫌がらせを言うのです。平和協定は休戦協定を格上げする性格のものですから、一応、理屈はあるのですが。

 韓国が「3者対話」を立ち上げたがるのは、北のこの嫌がらせに対抗する狙いもあるのでしょう。

—3者対話を開いたとして、どんな意味があるのですか。

鈴置:何もありません。韓国は譲歩したり脅したりする「外交カード」を持たないからです。その韓国が加わっても、中身のある話し合いは期待できません。3者対話に限らず、米中南北の「2プラス2」だろうと、6カ国協議だろうと本質的には同じことと思います。

—韓国は自らの命運を左右する協議で発言力を持たないということですね。

鈴置:十分な軍事力と国民の戦う決意を持たないからです。自分の国を自分で守れない以上、国際社会で確かな発言力は持てません。それは日本も同じことです。

 結局、たぶんこれから開かれるであろう朝鮮半島を巡る協議は、韓国にとって面子を保つことに汲々とする場となるでしょう。

「瓢箪から駒」の6カ国協議

 日本も、6カ国協議が開催される可能性が高まっていることに注目すべきです。米朝関係が進展すれば在韓米軍の削減・撤収問題が射程に入ってきます。日本を取り巻く安保環境が大きく変わります。そして、拉致被害者を日本に取り戻す機会にせねばなりません。

—でも、そんなに簡単に米朝間の対話が進むのでしょうか? 双方が軍事力を誇示して威嚇し合っているというのに。

鈴置:そこが国際関係の面白いところです。「瓢箪から駒」となるかもしれないのです。

 

平和協定を巡る動き(2016年)
1月6日 北朝鮮、4回目の核実験
1月15日 北、米韓演習中断と核実験中断・平和協定締結の取引を提案
2月7日 北朝鮮、長距離弾道ミサイル実験
2月17日 王毅外相「非核化と平和協定を同時に進める交渉を提案」
2月21日  
WSJ「4回目の核実験の前に米朝が平和協定に関し秘密交渉」
米国務省報道官、WSJJ報道に関連「北が交渉を提案してきた」
2月23日  
ケリー国務長官「北が非核化を話し合う場に来れば平和協定も」
王毅外相「6カ国協議再開を通じ中国の当然の役割を果たす」
2月26日 米副報道官「6カ国協議再開を望む」
3月2日 国連安保理、対北朝鮮制裁案を採択
3月3日 米報道官「並行協議に関し米国が排除したことはない」
3月7日 米韓合同軍事演習開始(4月30日まで)
3月8日 ソン・キム特別代表「韓国が知らない米中の秘密取引はない」
3月11日 リッパート駐韓大使「イラン、キューバ、ミャンマーと関係改善」
3月14日 尹炳世外相「韓米中3カ国協議は遠くない未来に稼働と期待」
3月15日 金正恩第1書記「早いうちに(次回の)核とミサイル実験を断行」
3月20日 オバマ大統領、キューバを訪問し21日にカストロ議長と会談
3月22日 ソン・キム代表と金烘均・本部長、3カ国協議推進で一致

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