両記事とも習の権力奪取がうまく行っていないことを示唆しています。
3/25NHK朝のニュースで中国が銀行協会を設立して、外国銀行に加入を働きかけ、日本の大手三行も参加するとのこと。大手三行といえば東京三菱、みずほ、三井住友でしょう。入らなければ中国でのビジネスで祟りがあるぞと脅されたのでしょう。中国では脅すのは日常茶飯事ですから。でも銀行経営者はハニーにかかっているかもしれません。それですと必ず入るでしょう。日本政府がAIIBに入らないので、民間と言う搦手から攻めてきています。それだけ中国政府はデフォルトを恐れているのでしょう。日本の民間銀行の信用を利用して延命しようとしている訳です。AIIBやブリクス銀行がうまく行っていないので新たな手を出してきたのでしょう。国営企業が殆どの(特に銀行)中国が、世界の民間銀行の協会を作ると言うのですから、お笑い種です。日本にとっては中国経済が崩壊するチャンスなのに、手を貸すとは、将来を見通す力に欠けます。中国と戦争になった時に、日本人のリーダーの愚昧さに気付くでしょうが、そのときは既に遅しです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160325/k10010455621000.html
3/25日経の「経済教室」でも筑波大名誉教授の進藤栄一に「アジア投資銀参加検討を」という記事を寄稿させました。小生の記憶によれば、エルドリッジの『オキナワ論』の中で、彼の「天皇メッセージ」の資料を見せてほしいとの申し出を断った人物だったと思います。小生の好きでない五百旗頭真の研究室にエルドリッジは入りましたが、彼は総てオープンにしたそうです。進藤と言う人物の狭量さが浮かび上がります。進藤は猪木正道や高坂正堯の弟子にしてはお粗末。リベラル・アカでしょう。だから不都合な真実が暴露されるから、資料も見せなかったと思われます。左翼のブログを引用します。
日経もこのタイミングでこの記事を載せるとは。経営陣がハニーにかかったとしか思えません。中国共産党と連携してアピールしているのでしょう。
福島記事
2月19日、習近平主席は主要国営メディアを視察。党への忠誠を求めるが、その行方やいかに(写真:新華社/アフロ)
中国で知識人やメディア・出版関係者が突如、音信不通となり、連絡が取れなくなることがあまりに頻繁になったため、もはや大ニュースにもならなくなった。恐ろしいことである。最近では日本の法政大学に在籍する東アジア国際関係の専門家、趙宏偉教授が2月末に北京に向かったあと連絡が取れない状況であるという。また、中国や香港で人気のコラムニスト、賈葭が3月15日午後以降、連絡が取れず行方不明であるとか。二人とも、それぞれの別件で中国当局に身柄を拘束されていると思われている。
今回、取り上げたいのは賈葭の件である。趙教授の身柄拘束理由はまだはっきりとわかっていないが、賈葭事件は全人代(全国人民代表大会)開幕前日に無界新聞のネット上に掲載された「習近平引退勧告」公開書簡に絡むと見られている。
良識的な中国人知識人を秘密裡に拘束
香港を拠点にするラジオフリーアジアによれば、賈葭は15日午後、北京国際空港で北京市公安当局に連行された。彼の弁護士が北京市公安局首都空港分局から得た情報だという。アムネスティインターナショナルは19日に、中国政府に対して、賈葭に関する状況を公開するよう声明を出した。
賈葭は新華社「瞭望東方週刊」や香港「鳳凰週刊」の編集者を歴任したあとコラムニストとして独立。香港に在住しながら、中国や香港の雑誌に寄稿、またウェブマガジンなどの編集にも携わってきた。最近は『我的双城記』(北京三聯書店出版)を上梓し、必ずしも反共産党的な人物ではない。きわめて良識的な中国人知識人であり、中国国内外にファンが多い。
周辺の情報を突き合せれば、3月4日に「忠誠の党員」という匿名で新疆ウイグル自治区主管のニュースサイト無界新聞に「習近平引退勧告」公開書簡が掲載された件に関わっていると見られている。無界新聞のCEOはかつて賈葭の同僚であった欧陽洪亮であり、賈葭はくだんの公開書簡をいち早く見つけて、すぐに削除するように欧陽に知らせたのだという。だとすると、彼が秘密裡に拘束されたのは、単なる事情聴取の可能性もあるのだが、家族には一切の連絡がなく、今の習近平政権の異常なまでのメディア弾圧を鑑みれば、その身の安全は当然心配されるのである。
この無界新聞「習近平引退勧告」公開書簡に絡んで、音信不通となっているのは、賈葭以外にも4人いる。香港蘋果日報によれば、無界新聞のCEOの欧陽洪亮、主筆の黄志傑、そしてセキュリティシステム担当の技術員2人。この情報のネタ元は、人権活動家の北風で、彼はツイッター上でも発信している。
無界新聞は「ハッキングされた」と回答
事件を振り返ると、無界新聞サイトに習近平の引退を促す公開書簡が掲載されたのは3月4日。書簡中には、習近平政権がとった経済、外交、社会、文化における失策を列挙し、その責任を取って習近平同志は国と党の指導職務を辞任すべきだと主張。
書簡では「我々は忠誠の共産党員だ。両会(全人代と政治協商会議=国会に相当)開催に際し、我々がこの書簡を送り、あなたに党と国家の指導職務の辞任を要求する。この要求は党の事業、また国家と民族の前途を考慮したものである」とあり、「習近平同志、あなたには党と国家を未来に向かって率いていく能力が備わっていない。総書記の職務に適任ではない。我々は党の事業の発展と国家の長期の安定、あなたとあなたの家族の安全のために、党と国家のすべての職務を辞任し、党中央および全国人民に別の能力者を選ばせて、我々を積極的に未来に導いてもらいたい」と、恫喝を含んだ言葉で結んでいる。
個人崇拝キャンペーンを始め、自分に批判的な発言をする記者や知識人を次々と失脚させている習近平がこの挑発的な恫喝すら含んだ公開書簡を黙って見過ごすはずはなく、当然犯人探しが始まっている。
無界新聞サイト側は、国家インターネット情報弁公室の初期の問い合わせには、「ハッキングされた」と回答し、国外の民主活動家や反共産党勢力によるハッキングの可能性を匂わせたが、国家インターネット情報弁公室の技術チームが無界新聞のサーバを分析した結果、外部からのハッキングの痕跡はなく、今のところ、内部犯行説が強い。無界新聞のサーバは「中国で最も安全」と称されるEC最大手のアリババ集団が提供するものであり、確かにハッカーの仕業とは考えにくい。文中の主語が「我々」となっているので、“単独犯”ではないと見られている。
ただ、今回、身柄を拘束されている賈葭が、この件に直接関与していた可能性は薄いのではないかというのが、周辺情報から得た私の感触である。たまたま、無界新聞の編集責任者らと昵懇であったために巻き添えを食ったのではないだろうか。
では誰の仕業なのか。
新疆ウイグル自治区党委書記が関与?
この公開書簡に関して、米国に拠点を置く華字ニュースメディア博訊は、新疆ウイグル自治区党委書記の張春賢の関与の可能性を報じている。
博訊によれば、中南海は事件を極めて重視、中央宣伝部、国家インターネット情報弁公室に調査を命じており、その最初の矛先はCEOの欧陽洪亮に向かっている。この欧陽洪亮は実は張春賢の妻で元CCTV美人キャスターの李修平の親友である。
実は張春賢は、全人代開催中、新疆代表団の会見で、記者らから「習近平の指導を支持するか」と質問を受けたとき、「その話は改めて」と言葉を濁していた。「習近平同志の指導を支持する」と即答しなかったことが、張春賢の関与を疑わせる根拠の一つともなっている。
張春賢は2009年7月5日に発生した“新疆騒乱”後、当時の書記であった王楽泉の後任として新疆問題の解決を託され、湖南省党委書記から新疆ウイグル自治区党委書記に異動。胡錦濤の信任が非常に厚い胡錦濤派の政治家と言われている。この時、胡錦濤政権の意向を受けて、ウイグル融和政策を打ち出した。
しかし博訊によれば、張春賢は、当時の中央政法委員会書記の周永康とも昵懇で、張春賢の妻・李修平と周永康の妻である賈暁燁はともにCCTVキャスター出身の親友関係にあったという。周永康は、習近平政権によって汚職の罪で失脚させられた大物政治家である。また、同じく習近平政権によって失脚させられた令計画との関係も深いという。
無界新聞は新疆ウイグル自治区政府が主管であり、そこに時事経済誌・財経などを発行している財訊集団とタオバオなどで有名なEC最大手アリババ集団が1億元を超える初期投資を行い、北京に本部を置いて百人を超えるベテラン編集者、記者を招集して昨年4月に立ち上げられた。
犯人は陳情者ではなく内部に? 誤植事件も
アリババのトップは、ジャック・マー(馬雲)、財訊集団のトップは王波明。王波明は、中信証券の前董事長・王東明の兄弟でもあるが、王東明は、昨年6月の上海株式市場の乱高下問題の責任を取らされる形で、辞職した。上海株式市場の乱高下問題は、私が仄聞する限りでは、習近平の無理な株高誘導政策が破たんした、という評価が多く、そのことで責任を取らされた証券会社幹部らの間には強い不満が残っているという。
こうした情報を繋ぎ合わせた博訊の見立ては、今回の「習近平引退勧告」公開書簡事件の背景には、政治的陰謀があるかもしれない、というものだ。少なくとも習近平の眼からみれば、張春賢は、非常に怪しい人物、習近平政権に“謀反”の動機ありの人物、ということになる。
博訊の報道によれば、中央宣伝部がこの事件を、黒竜江省の陳情者の仕業ということで片付けようとしている動きがあるという。だが、「陳情者の仕業」というのは、おそらくは冤罪者をスケープゴートとして適当にでっちあげたものだ、という見方を示している。
また、張春賢と新疆ウイグル自治区党委宣伝部長の李学軍、中央宣伝部副部長の蒋建国はともに湖南閥に属することから、この事件は中央宣伝部内部にも関係者がいるのではないか、という見方がある。少なくとも、海外の民主活動家のハッキングでもなく、陳情者の仕業でもなく、党内部の“政治事件”と考えるべきだろう。
この無界新聞事件に続いて、新華社の“誤植”事件があったことも、ここで触れておくべきだろう。3月13日夕方に新華社のサイトに掲載された「全人代記者手記:昆泰ホテルの内外から中国の経済的自信をさぐる」中で、「中国最高指導者・習近平」とあるべきところを「中国最後指導者・習近平」と誤植され、14日まで放置されていた。新華社の校閲体制の厳しさを知っていれば、こんな誤植は、まずあり得ない。党総書記に関わる政治的間違いを見過ごせば、校閲記者だけでなく上司もふくめで全員クビが飛ぶので、“習近平”の文字の前後は、目を皿のようにして何度も繰り返してチェックを入れる。
とすれば意図的に校閲記者たちが見逃したとしか思えない。もちろん、極めてまれに、純粋に技術的な誤植のミスはあるのだが、何年かに一度あるかないかのレベルである。この“誤植”は14日まで放置されていたという。14日になって博訊が報道したため、まもなく修正された。新華社は、中央宣伝部直属の通信社。この件から、中央宣伝部は習近平に掌握されておらず、内部で激しい権力闘争が行われているのではないか、という推測もある。
「ペン」の掌握に手こずる習近平
こうした事件からうかがえることは、習近平政権が掲げる「メディアの姓は党」というスローガンを復唱している党中央メディア内部でも、習近平の厳しすぎるメディアコントロールへの不満をくすぶらせ、党中央宣伝部内部にも習近平に反感を持つものが少なくないのではないかということだ。
現中央宣伝部長の劉奇葆は共産主義青年団出身の胡錦濤派であり、習近平から睨まれている政治家の一人。いわゆる汚職Gメンである中央規律検査委員会特別巡視隊が2月28日から中央宣伝部に対して、取り調べを行っているが、この一連のメディアの政治事件となにか関係があるのではと勘ぐる声もある。
共産党を支える二本の棒(杆子)は銃(軍事力)とペン(メディア・宣伝力)。この二本の棒を掌握できるかどうかが、習近平政権の安定性を左右する。だが、少なくともペンの掌握には、習近平は相当手こずっているような印象を受ける。中央メディアから、習近平政権への反乱が起きたとしても、私はさほど意外な気はしない。
中沢記事
「これまで習近平(国家主席)の『一人舞台』だった中国だが、ここにきて最高指導部内で不協和音が聞こえ始めた。来年の重大な人事に向けて顕在化するかもしれない」
全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を終えた北京で、中国政界の風向きを測っている関係者がつぶやいた。
端緒は意外なところに現れた。中国共産党の序列第4位、兪正声の発言である。14日の全国政治協商会議の閉幕時、同会議の主席である愈正声はこう挨拶した。
■消えた「核心意識」と「一致意識」
全国政治協商会議の閉幕式であいさつする兪正声氏(14日、北京の人民大会堂)=写真 小高顕
「政治意識、大局意識、責任意識を一層強める…」
兪正声の前に座る委員らの中でも、政治的な嗅覚が鋭い諸氏は、ハッとして顔を上げた。本来なら、政治意識、大局意識、核心意識、一致(中国語で『看斉』)意識、と4つをそろえて言わなければならない場面だった。なぜなら共産党の指導部が全員そろった政治局会議での事実上の合意事項だからだ。
兪正声は4つのうちの、後半の2つを言わなかった。「核心意識」と「一致意識」を省き、代わりに「責任意識」と言い放った。
「核心意識」と「一致意識」は、習の権力固めの上で極めて重要は言葉だ。「核心」は習を指している。共産党の単なる指導者であるばかりではなく、全てを仕切る一段上の地位を意味する。習は、年初から子飼いの地方指導者らに次々とこの言葉を言わせて、政治的に定着させていった。
3月の全人代までに、かなりの数の地方指導者らが先を争うように「核心」を口にした。そこに「一致意識」も加わる。これは「右にならえ」との意味である。ここでは「核心」となった習にならえ、というニュアンスになる。戦略はほぼ成功したはずだった。
「兪正声は4つのうち2つをあえて言わないことで、簡単には習の核心という地位を認めず、習になびくこともない、と宣言したのだ。一種の抵抗だろう」。別の研究者の分析である。
問題となるのは、兪正声が言及した「責任意識」である。この責任は、政協委員のみならず指導者、とりわけ習や、首相の李克強にも向けられていた。メッセージは、リーダーとしての職責をきちんと果たそう、というものだ。
■仏頂面、不機嫌だった習
政協の閉幕式に出席した習近平国家主席(14日、北京の人民大会堂)=写真 小高顕
習は不機嫌だった。確かに兪正声の報告があった全国政協会議の閉幕式の際、習は仏頂面。眠さからか、不機嫌さからかは不明だが、常に頭が揺れており、写真を撮ろうにも焦点を定めにくかった。
兪正声は政治的にどんな立場にいるのか。そもそも元国家主席、江沢民に近い。長年、中国政界で力を持ってきた機械工業閥、上海閥の一員でもある。
江沢民も、上海のトップだった当時の兪正声の仕事ぶりについて、外国人客の前で「兪正声は良くやっている」とあえて褒めている。現最高指導部で言えば、江沢民の人脈には、思想・宣伝担当の劉雲山、石油閥系の張高麗らがいる。
習は、長く「院政」を敷いてきた江沢民の力をそごうと「反腐敗」運動を発動した。江沢民グループの重鎮だった周永康や、軍の制服組トップだった徐才厚(故人)、郭伯雄らを摘発し、牢の中に追いやった。今、習と江沢民は微妙な関係にある。
一方、兪正声は、最高指導者だった鄧小平の一族と極めて親しい。鄧小平の息子、鄧樸方(身体障害者福利基金会会長)の秘書役だった経歴からだ。1980年代には、この立場で鄧樸方と共に来日し、旧首相官邸で当時の首相、中曽根康弘と会っている。
兪正声には、江沢民の系列と鄧小平一族に連なる「太子党」(高級幹部の子弟ら)という二重の人脈がある。なかなか強い。
しかも兪正声の父は、毛沢東の妻、江青の元夫だ。江青は、悲惨な文化大革命(1966~76年)を主導した「4人組」の1人である。兪正声自身も「太子党」の一員だ。一方、1980年代には、安全部門にいた実兄が米国に“亡命”し、米中央情報局(CIA)に情報を提供するという一族にとって不名誉な事件もあった。
「(当時9人だった最高指導部の)最後の1人になんとか滑り込みたい」。2012年の人事を前に、兪正声は周囲に意欲を語っていた。
ところがフタを開けてみると、2人減って7人になった最高指導部の序列4位。既に67歳という高齢にも関わらず、予想外の大抜てきだった。江沢民系と鄧小平系の2つのバックのなせる技だった。
兪正声は、親しい人物らに現政権での自らの役割について「自分はバランサーになる」と説明している。習、江沢民系、鄧小平系など各グループの間に争いが起きそうな場合、仲裁役になるという意味だ。
今、まさにそういう時期に突入している。皆、来秋以降の共産党大会での最高指導部人事を見据えている。前哨戦は始まっているのだ。習は権力集中に成功しつつある。それでも人事を自由自在に行うにはなおハードルがある。長老らの力は侮れない。
■「多様性」に言及
兪正声は始めから習にケンカを売っているわけでなない。なぜなら、3月3日の全国政協会議の開幕式での報告では、幅広い層、党派から選ばれる政治協商会議委員の中の共産党員だけに適用するという限定付きで「核心意識」と「一致意識」に触れた。留保付で習への礼儀は尽くした。ところが、11日後の閉幕式では、これを「責任意識」にすり替える意地を見せた。
開幕式の兪正声報告では、もう一つ注目すべき言い回しがあった。「具体的な問題の見方や認識には違いが生じる。多様性を尊重するなかで一致を求める」。多様性にも繰り返し言及しているのだ。異例である。この言葉も臆測を広げた。
今、習をトップとする中国では多様性を許さない雰囲気が強まっている。前々回、前回とこのコラムでこうした問題に触れた。不動産王のネット言論人、任志強の言論封鎖、習への「個人崇拝」などだ。
1945年生まれの兪正声は現最高指導部内では最も高齢である。既に70歳。党大会の際、68歳以上の人材は引退するとの内規に従うことになる。それだけに怖いものはない。不協和音が強まる中、今後、どう立ち回るのか。注目したい。(敬称略)