『米朝首脳会談でなぜ北朝鮮は無謀な要求をしたのか、元駐韓大使が解説』(3/2ダイヤモンドオンライン武藤正敏)、『決裂すべくして決裂した米朝首脳会談だが・・・日本は過度の対米依存から脱却して自立すべし』(3/1JBプレス渡部悦和)について

3/4阿波羅新聞網<金正恩慌了 两会期间似到访 定要见习近平 北京交管 中共另一大武器不久就失效 ——猪瘟肆虐猪肉价格持续走跌=金正恩は慌てる 両会の間に金は北京を訪問するかも 習と会うのでは 北京の交通は益々厳重 中共のもう一つの武器は失効した アフリカ豚コレラで豚肉価格は低下を続ける>先日の情報では金は4日に北京を訪れると見られていた。評論家は「もしそれが本当なら、金の三代目の豚は如何に慌てているのか、必ずや習と会うだろう」と。米中貿易戦にあって、ロシアから齎されたアフリカ豚コレラが各省に蔓延、新疆・チベット・海南省だけまだ出ていない状況である。両会前に豚肉価格は下がり続けてきた。中国経済は下向き、消費も低迷している。Foxconnの鄭州工場の待遇は下がり続け、給与はダウン、福利も削られている。米国メデイアの評論によれば「数字の示すところによれば、中国人の海外自由旅行客が増えるに従い、中共が数に付け込んだ横暴を働くのは益々難しくなってきた」と。

台湾・中央社は北京市の交通管理部門の通知を引用して「4日早朝から午前まで天安門前の長安街及び空港までの高速道路に交通規制をかけた。これは金が北京訪問することの可能性を表している」と分析。

https://www.aboluowang.com/2019/0303/1254700.html

3/4阿波羅新聞網<金正恩专列不经北京见习 直奔最短路线返国=金正恩の専用列車は北京で習に会わずに通過 最短で北朝鮮に帰国>元々は北京に寄って、習に報告すると外界は見ていた。北朝鮮外務省の相李吉次官が2/28急遽北京まで飛んで報告したのは金が訪問するための露払いと思われていた。しかし列車は広西省南寧を通り、北上して長沙に向かっている。広州には向かわず、来た時と同じルートである。ベトナムから北朝鮮までは3800Km、時間にして60時間である。もし北京に寄らなければ3/5早朝には中朝国境に着く。中朝友誼橋の遠くから列車が見えるかもしれない。丹東市の中聯ホテルは3/2~5までは予約を受け付けていない。

まあ、金正恩は失意のどん底にいて誰とも会いたくないのでは。この誤判断の基になった人間への処刑と国民への嘘の発表の仕方を考えていると思います。

https://www.aboluowang.com/2019/0304/1254704.html

金正恩が北京に寄って習と会うかどうかは見方が二つに分かれるという事です。3/5は全人代ですから(3/3政治協商会議)、その日に会うのは難しいかと。3/4に会うにはルートが違っているのでは。

3/4阿波羅新聞網<上诉胜利 加州法庭判旧金山侨社须把中华民国国旗挂回=上訴して勝利 カリフォルニア州の裁判でサンフランシスコ華僑社団は中華民国国旗掲揚が再度できるようになった>2013年、社団が月例会議を開いたときに左派(中共の手先では)から中華民国国旗を掲揚しないよう緊急動議を出して通過させてしまった。それに不満を持った人たちが、社団を相手取り訴訟へ。3年前にカリフォルニア高裁は規約違反の手続きで決議した国旗取り外しは無効の判決を出し、左派が上訴していた。2/25に高裁判決を支持して最終判決として確定した。

日本の光華寮事件の最高裁判決とは違いますね。日本の司法は司法試験のせいか左翼・リベラルが多いし、中共に阿った判決だったような気がします。下級審の判断を引っ繰り返したわけですから。

https://www.aboluowang.com/2019/0304/1254712.html

3/1FNN<「独裁打倒」呼びかける声明 金正男氏の息子を保護した団体>米国が裏で動いているかもしれません。金漢率をかくまっているのは米国との噂ですから。

https://www.fnn.jp/posts/00413143CX

3/2niftyニュース(産経ニュースから)<台湾の蔡英文総統が日本に安保対話要請 外交関係がないも安倍晋三首相の指導力に期待>米日台で良く示し合わせて結果を発表したのでは。ビジネスの世界でもトップの発言が“希望”で終わる筈がありません。水面下で実務者が擦り合わせたと思います。日本も真剣に国防を考え、台湾を中国に取られたら日本の独立は危殆に瀕することをイメージしなければ。日本一国で安全を守れる時代ではありませんし、台湾もそう。「外国の安全は日本と関係ない」と思っている人は視野狭窄です。

https://news.nifty.com/article/world/china/12274-206953/

3/3時事通信<核兵器ある限り「未来ない」=米朝首脳会談は「生産的」-トランプ大統領>

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E6%A0%B8%E5%85%B5%E5%99%A8%E3%81%82%E3%82%8B%E9%99%90%E3%82%8A%E3%80%8C%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8D%EF%BC%9D%E7%B1%B3%E6%9C%9D%E9%A6%96%E8%84%B3%E4%BC%9A%E8%AB%87%E3%81%AF%E3%80%8C%E7%94%9F%E7%94%A3%E7%9A%84%E3%80%8D%EF%BC%8D%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98/ar-BBUiFop

武藤氏の記事では、如何に金正恩が米国の出方を読み間違えたかです。習近平の誤判断にも似て米国というかトランプを見くびり過ぎたのでは。穿った見方をすれば、トランプが金を嵌めたのかもしれません。世界に恥をさらさせた訳です。ポンペオとボルトンという対北強硬派を同席させたのは金が米国の要求通りに行動しなければ破談させる覚悟だったのでは。コーエン証言が金正恩の増長を招き、狙い通りの展開となったのでは。別に米朝交渉が決裂してもトランプにとって失点とはならないでしょう。あくまでCVIDを認めない北が悪いと言えば良いので。日本も席を立つ交渉術を学ばないと。「何としても合意を」と上から圧力がかかれば相手から足元を見られます。

渡部氏の記事では、やはり中華、小中華と言うのは嘘つき民族ということが分かります。中国は貿易戦争で、知財を盗まないし、政府は関与していないと主張していますが、共産党が指導してやらせているではないですか。合弁企業には中国の有利になる事を強制してきます。中共の常套手段です。中国人は平気で嘘がつけないと生きていけない民族です。小中華は中国人をもっとセコクした民族です。慰安婦問題は中共→北朝鮮→韓国+朝日新聞の流れで捏造された問題です。朝鮮民族は事大主義ですから今は中国に付いていますが、米国が本当に攻撃する態勢を採れば、中国から寝返り米国に付くかもしれません。第1回米朝首脳会談も米国が攻撃姿勢を取ったから金から頼んで会談して貰ったわけでしょう。渡部氏も北朝鮮攻撃についてトランプの軽挙を戒めていますが、もしそうなった場合の日本の守りについてと、日本の核政策についても触れてほしかったです。

武藤記事

写真:ユニフォトプレス

ベトナムの首都ハノイで行われたトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の2度目の首脳会談は、事実上の物別れに終わった。その原因は、金委員長が無謀ともいえる要求を突きつけたからだ。なぜ、そんなことになったのか、元在韓国特命全権大使の武藤正敏氏に解説してもらった。

首脳会談開催に至った朝の国内事情

トランプ大統領にとって、2月27日から開かれた2回目の米朝首脳会談は、いわゆる「ロシア疑惑」をめぐるモラー特別検察官の報告書から目をそらすことを狙って開催されたといわれている。このためトランプ大統領は、多少の譲歩をしても合意をまとめたかったはずだ。

他方、米国では、議会下院がトランプ大統領の腹心で顧問弁護士だったコーエン被告の公聴会をあえて27日にセットし、トランプ大統領が米朝首脳会談を外交的成果としようとしていることを牽制していた。そのため弱腰で合意するよりも、それを蹴ってでも帰国した方が得策と考えたとの見方がある。

公聴会でコーエン被告は、トランプ大統領が内部告発サイト「ウィキリークス」による民主党のメール暴露計画を事前に把握していたと説明した。メールは、ロシアが選挙介入のためサイバー攻撃で盗んだとされているものだ。しかも、トランプ大統領の長男がロシアの弁護士と会う予定になっていたという話も出ており、これが事実であればロシア疑惑は重大局面を迎える。

さらに、不倫問題をめぐっても、コーエン被告が女性に口止め料を払った後、トランプ大統領が分割払いで返したとされている。こうした国内の政治情勢に鑑み、トランプ大統領は譲歩を重ねてでも合意を得て、成果を“誇張”しようとするのではないかと見られていたのだ。

一方、北朝鮮は、国連による経済制裁によって、軍や側近などの忠誠を確かなものにするためのいわゆる「統治資金」が枯渇しているといわれている。実体経済は、闇市場の拡大で落ち込んでいないようだが、アジアプレスが調査したところによれば、昨年11月から北部の広範な地域で電力供給がほぼストップするなど経済制裁が効いており、なんとしてでも制裁の全面解除を勝ち取らなければならなかったのだ。

こうした両国の事情を背景に、2回目の首脳会談が開かれたわけだが、結果は決裂。では、どういう経緯で決裂したのか見ていくことにしよう。

トランプ大統領の飲めない要求を突きつけ会談は決裂

合意文書の大枠はあったにもかかわらず、最終的に署名に至らなかったのは、両首脳に判断が託された最後の重要な部分で合意できなかったためだ。

トランプ大統領は、会談の内容は生産的であったと評価し、今後のさらなる会談の可能性について否定していない。しかし、予定していた昼食会はキャンセルされ、次回の会談についても見通しを語らなかった。そして記者会見を早め、急いで帰国の途についた。これは、交渉が膠着状態に陥ったことを意味するもので、会談結果に不満だったことの証左だろう。

トランプ大統領の会見によれば、北朝鮮は制裁の完全な解除を要求する一方、非核化については寧辺の核施設の廃棄以外の譲歩には応じなかったもよう。これではいくら「前のめり」なトランプ大統領でも譲歩はできるはずがない。北朝鮮の非核化はあきらめざるを得ず、米国内で「トランプ大統領は交渉に失敗した」とのレッテルを貼られてしまうからだ。

このような米国が決して飲めない要求を、なぜ金委員長が突きつけたのだろうか。

そもそも金委員長は、米朝の高官・実務者会合に乗り気ではなかった。しきりにトランプ大統領に親書を送って首脳会談の開催を求め、首脳会談で決着させようとしてきたのだ。背景には、昨年6月に開催された1回目の首脳会談がある。

米国は1回目の首脳会談の事前協議の段階で、まず非核化を先行させなければならず、そのための具体的な措置を北朝鮮に求めた。もしそこまで至らない場合でも、少なくとも「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」という原則は確認する方針だった。

ところがトランプ大統領は、抵抗する北朝鮮側に妥協し、曖昧な内容の共同宣言を出してしまった。そのため北朝鮮は、会談直後から「米国は段階的非核化を受け入れた」と主張、「非核化なくして見返りなし」という原則には応じず、終戦宣言や制裁の緩和といった見返りを要求するようになった。

当然のことながら、こうした北朝鮮の行動は、核施設の申告などを要求する米国側の主張とは相いれなかった。そのため北朝鮮は実務協議に見切りをつけ、首脳会談で打開を図る道を選んだのだ。

首脳会談では、開催を決定する前に実務者会談で双方の立場を見定めるのが通常である。しかし、今回はこうしたプロセスが完全に省かれた。というのも、韓国の文在寅大統領が北朝鮮の非核化の意思を伝えていたことに加え、金委員長の親書という誘惑にトランプ大統領が負けてしまったからだ。開催を決定してから実務者協議を急ぎ、最終的な合意ができたといわれている。

恐らくこの合意の重要な部分については、いくつかの選択肢を入れたものであったのだろう。それらをめぐって、激しいやり取りが行われたと見られる。にもかかわらず、北朝鮮が想像外の過大な要求を突きつけてきたため仕切り直しとせざるを得なかったのだ。

トランプ大統領の窮地を見て一気に勝負に出たものの見誤る

北朝鮮は喉から手が出るほど外貨がほしいはずなのに、なぜ現実的な妥協をしなかったのか。今回は適当なところで合意し、米国の譲歩を引き出すべく、次の首脳会談に懸けるという手があったにもかかわらずだ。

交渉は続けるというものの、首脳会談で合意できなかったものを、実務者で調整するのは難しい。それでも北朝鮮が無謀な要求を突きつけたのは、米国の国内事情を見て今回の首脳会談に懸けた可能性がある。トランプ大統領のロシア疑惑をはじめとするスキャンダルが今後一層深刻化すれば、トランプ大統領が譲歩しづらくなると見て、一気に勝負に出たということだ。

それにしては、差し出す見返りが寧辺の廃棄だけというのではあまりにも小さすぎた。それだけで制裁を全面解除すれば、北朝鮮はそれ以上の非核化をしなくて済むことになる。要するに、「非核化には応じない」との意思が明確に表れている対応だ。

いずれにせよ、金委員長も米国の反応を見誤ったことは間違いない。首脳会談を終えてホテルへ戻る、車中の金委員長の顔は引きつっていた。3月1日未明、北朝鮮の李容浩外相が記者会見を行って、北朝鮮の要求は「一部の制裁解除だった」と釈明したが、会談のわずか8時間後にこうした会見をしなければならないほど、会談決裂の衝撃が大きかったということだろう。

トランプ大統領にしても、北朝鮮が非核化に対しこれほど強い抵抗を示すと考えていなかったのではないか。通訳だけを交えた1対1の会談に続いて、側近を交えた拡大会合でどのようなやり取りがあったかは明らかではないが、かなり激しいやり取りが繰り広げられたのは間違いない。それでも大きな溝を埋め埋めることはできなかった。

トランプ大統領が国内の政治情勢を重視するあまり、情報機関や北朝鮮との交渉経験者が警鐘を鳴らしていたにもかかわらず無視してきたことが、今回の結果につながったといえる。

こうなると、金委員長は習近平中国国家主席や、文在寅韓国大統領にすがっていかざるを得ない。ベトナムからの帰途、中国で首脳会談があれば注目だ。ただ、トランプ大統領が会見で言ったように、北朝鮮が直ちに核ミサイルの実験を再開して挑発するような行動に出ることはないと見られる。米国の攻撃を最も恐れているのは、金委員長だからだ。しかし、今後制裁がさらに強化されれば、どうなるかはわからない。

よほど追い詰められないと非核化は考えない

今回の交渉を通じて再確認できたことは、北朝鮮には非核化に誠実に取り組む姿勢が見られないということだ。

もともと北朝鮮政府は、夫婦間でも互いの反政府的な行動を密告させるなど、国民を一切信用していない。そのような国は、米国が体制を保証し経済協力を申し出ても、核を放棄すれば生き残れないと考えていても不思議ではない。北朝鮮が非核化するなどと期待感を持ってはいけないのだ。核放棄を促すためには、強い制裁によって「核保有のままでは出口がない」との現実を突きつける以外にない。

一部の人道支援の再開はいいとして、韓国の文大統領が提案した、南北の経済協力をテコに北朝鮮の譲歩を引き出すという考えは危険だ。韓国政府は、開城工業団地を再開しても労働者の賃金を労働者本人に直接支払えば制裁違反にならないとして、米国に南北事業の再開を認めるよう提案したというが、労働者に支払っても北朝鮮政府にピンハネされるだけで結果は同じだ。

加えて、工場稼働のための電力など、エネルギーの供給は制裁違反になる。北朝鮮に対する制裁を解除しなくても、韓国が制裁破りをする形になれば、世界各国、特に中国やロシアも堂々と制裁破りをすることになる。つまり南北交流事業の再開は、経済制裁の事実上の緩和なのだ。

終戦宣言にしても、在韓米軍の地位に影響を与えないということにはならない。終戦となれば、国連軍が駐留する根拠はなくなり、日本が国連軍に対して行っていた後方支援業務も終了することになる。そうなれば、在韓米軍の行動にも影響が及ぶことは必至だ。

韓国にとっても大きな痛手

今回の米朝会談の決裂は、韓国の文政権にとっても大きな痛手だ。南北の交流事業にめどをつけ、北朝鮮との関係促進を一気に進めようとするもくろみが崩れてしまったからだ。北朝鮮との融和を政権の最大の課題とする文政権にとっては予想外のことだろう。

文政権にとっては下降気味の支持率を上げる唯一の“カード”が北朝鮮との緊張緩和だった。だが、米朝会談決裂によって金委員長がソウルを訪問しても“うまみ”がないとなれば、相互訪問は実現しないかもしれない。そして政権浮揚の機会も失われることになる。

逆に、「米国との関係がうまくいかないときには南北関係に軸足を移す」というこれまでの北朝鮮の行動パターン通り、ソウル訪問が実現する可能がないわけでもないが、いずれにせよ文政権は、米国と北朝鮮との仲を取り持とうと一層必死に動いてくるだろう。

最後に、今回の米朝首脳会談で拉致問題を取り上げられたことは、日本側がこれまでトランプ大統領に拉致問題の重要性を訴えてきた成果といえる。ただ、金委員長がいつ日本との関係改善に乗り出してくるかは不透明だ。

米国との交渉再開のため、日本の役割を意識したときがいいきっかけとなるだろう。北朝鮮は、一筋縄ではいかない交渉相手だ。北朝鮮の意図をよく分析し、その機会をうまく活用していくかが重要である。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)

渡部記事

ベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談で、休憩中に散歩するドナルド・トランプ大統領(右)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(左、2019年2月28日撮影)。(c) Saul LOEB / AFP〔AFPBB News

2月27日・28日に米首脳会談が行われましたが、結果はドナルド・トランプ大統領が適切な決断を行ったと評価したいと思います。

首脳会談前には、トランプ大統領が成果を急ぐあまり、北朝鮮に過度の譲歩をするのではないかと多くの関係者が懸念を抱いていました。

しかし、トランプ大統領が金正恩労働党委員長の要求する「経済制裁の完全解除」を拒絶して、会談は破談となりました。

トランプ大統領は、合意に至らなかった理由について、次のように説明していますが、極めてまともな理由づけです。

「北朝鮮は制裁の完全な解除を求めたが、納得できない」

「北朝鮮は寧辺の核施設について非核化措置を打ち出したが、その施設だけでは十分ではない」

「国連との連携、ロシア、中国、その他の国々との関係もある。韓国も日本も非常に重要だ。我々が築いた信頼を壊したくない」

今回の結果を受けて一番失望しているのは金正恩委員長でしょう。彼は最小限の譲歩(寧辺の核施設について非核化措置、ミサイルの発射はしない)を提示し、最大限の成果(制裁の完全な解除)を求めすぎました。

金委員長は、トランプ大統領を甘く見過ぎて、理不尽な「経済制裁の完全解除」を要求したのは愚かな行為であり、世界の舞台で取り返しのつかない恥をかいてしまいました。

私は、今回の首脳会談の決裂は日本にとって最悪の状況が回避されて良かったと思います。一方で、朝鮮半島をめぐる環境は依然として予断を許しません。

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、首脳会談開始日である27日に「日本がやるべきことは、徹底した謝罪と賠償をすることだけだ」と非常に無礼な反日的な主張をしています。

また、韓国は朝鮮半島の諸問題の交渉から日本を廃除し、朝鮮半島に反日の南北連邦国家を目指しています。我が国は自らを取り巻く厳しい状況を深刻に認識することが大切です。

そして、過度に米国に依存する姿勢を改め、自らの問題は自らが解決していくという当たり前の独立国家になるために、国を挙げて全力で取り組む必要があります。

トランプ大統領の発言に多くが懸念表明

27日の首脳会談の滑り出しをみて、「非核化交渉ではなく、単なる政治ショーに終わるのではないか」と懸念する人は多かったと思います。

27日会談当初のトランプ大統領と金正恩労働党委員長の発言には危いものを感じました。

トランプ大統領は「1回目の首脳会談は大成功だった。今回も1回目と同等以上に素晴らしいものになることを期待している」と発言し、金委員長は、「誰もが歓迎する素晴らしい結果が得られる自信があるし、そのために最善を尽くす」と述べました。

しかし、トランプ政権内のスタッフを含めて多くの専門家は、「1回目の首脳会談は失敗だった」と認めていて、トランプ大統領の自己評価の高さが際立っていました。

また、金委員長が発言した「誰もが歓迎する素晴らしい結果」など存在しません。

例えば、日本が歓迎する素晴らしい結果とは、北朝鮮が即座に核ミサイル・化学生物兵器及びその関連施設を廃棄し、拉致問題が解決されることです。

金委員長が日本が歓迎するような結果をもたらすわけがありません。

北朝鮮は核ミサイルを放棄しない

まず金委員長が核ミサイルを放棄することはないことを再認識すべきです。

金委員長は、核ミサイルの保有が自らの体制を維持する最も有効な手段であると確信しています。北朝鮮にとって核ミサイルの保有は国家戦略の骨幹であり、それを放棄すると北朝鮮の戦略は崩壊すると思っています。

一部のメディアは、金委員長の年頭の辞を引用し、「北朝鮮は核開発と経済建設の並進路線から経済建設一本の路線に移行した」と報道していますが、それを信じることはできません。

北朝鮮は、あくまでも核開発と経済建設の並進路線を今後も追求していくと認識し、対処すべきなのです。

一方で、トランプ大統領が自国のインテリジェンスを重視しない姿勢は問題だと思います。

トランプ氏は、「北朝鮮は脅威でない」と発言しましたが、米国の情報関係者や第一線指揮官の認識は正反対です。

彼らは、北朝鮮の核は脅威であり、その非核化に疑問を表明しています。

例えば、米国のインテリジェンス・コミュニティを統括するダニエル・コーツ国家情報長官は1月29日、上院の公聴会で次のように指摘しています。

「北朝鮮は、核兵器やその生産能力を完全には放棄しないであろう。北朝鮮の指導者たちは、体制存続のために核兵器が重要だと認識しているからだ。北朝鮮では非核化とは矛盾する活動が観測されている」

また、米インド太平洋軍司令官フィリップ・デイビッドソン海軍大将は2月12日、上院軍事委員会で次のように指摘しています。

「北朝鮮が、すべての核兵器とその製造能力を放棄する可能性は低いと考えている。北朝鮮が現在も米国と国際社会に与えている脅威を警戒し続けなければいけない」

また、在韓米軍司令官ロバート・エイブラムス陸軍大将も、「米国、韓国、そして周辺地域の米国の同盟国は引き続き危険な状態にある」と警告しています。

彼らの脅威認識と「北朝鮮はもはや脅威でない」と発言するトランプ大統領との認識の差は大きいと言わざるを得ません。

25年間騙し続けてきた北朝鮮

北朝鮮は、核と弾道ミサイルの開発に関して、25年以上にわたって西側諸国を騙し続けてきました。北朝鮮は、核兵器の開発中止を約束しても、その合意をすべて反故にしてきました。

北朝鮮にとって核兵器と弾道ミサイルは、体制を維持していくために不可欠なものと認識しています。

北朝鮮と長年交渉してきた外交官によりますと、「北朝鮮と締結する合意文書に関しては一点の疑義もないように細心の注意を払わなければいけない。そうしないと、核放棄の約束は簡単に反故にされる」そうです。

2018年6月12日に実施された第1回米朝首脳会談の大きな問題点は、首脳会談までに両国で徹底的に詰めるべき核およびミサイル関連施設のリストや非核化のための具体的な工程表などを詰めていなかったことです。

第2回米朝首脳会談も同じ状況になっていました。米朝間においていまだに、「何をもって非核化というか」についてのコンセンサスができていないという驚くべき報道さえあります。

第2回の首脳会談も担当者間での調整不足は明らかでした。今回の会談では、金委員長が「制裁の完全な解除」という愚かな主張をしたために、米国からの譲歩は回避できたとも言えます。

北朝鮮は、今後とも「北朝鮮の非核化ではなく朝鮮半島の非核化」「段階的な非核化」を主張し続けていくことでしょう。

これらは、過去25年間の北朝鮮の常套句であり、米国などが騙されてきた主張です。

今後の米朝交渉では担当者レベルで徹底した議論と合意の形成に努力すべきです。それをしないで、首脳会談に任せるというのは避けるべきでしょう。

変化するトランプ政権の交渉姿勢

27日、記者団に「朝鮮半島の非核化を求める姿勢を後退させるのか」と問われると、トランプ氏は短く「ノー」とだけ答えました。

しかし、トランプ政権の北朝鮮に対する交渉姿勢はどんどん後退していました。かつては、「すべての選択肢はテーブルの上にある」「最大限の圧力」を合言葉にしていました。

北朝鮮に対しては、この「力を背景とした交渉しか効果がない」という経験則から判断して妥当な交渉姿勢でした。

ところが、この交渉姿勢はどんどん後退していきました。

2018年6月12日以前にトランプ政権が使用していた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID: Complete Verifiable Irreversible Denuclearization)」というキャッチフレーズは死語になりました。

その後にCVIDを放棄し、CVIDの「完全と不可逆的」の部分を削除し、グレードを下げたFFVD(Final Fully Verified Denuclearization)という用語を昨年後半から使い始めました。

FFVDは「最終的かつ十分に検証された非核化」という意味ですが、このFFVDは昨年までは使われていましたが、第2回米朝首脳会談を前にしてあまり使われなくなっていました。

そして、トランプ大統領やマイク・ポンペイオ国務長官は、「米国民が安全であればよい、核実験や弾道ミサイルの発射がなければ、北朝鮮の非核化を急がない」とまで発言するようになりました。

米国の対北朝鮮対応の変化が結果として、金正恩委員長の「制裁の完全排除」という過剰な要求の原因になったのかもしれません。

北朝鮮への対処法では、韓国の金大中元大統領の太陽政策は有名です。この太陽政策の起源は、旅人の外套を脱がせるのに北風が有効か太陽が有効かをテーマとしたイソップ物語です。

金大中の太陽政策は北朝鮮には通用しませんでした。

トランプ政権の交渉姿勢の後退は、北風から太陽への変化と比喩する人がいますが、太陽政策の失敗は「北朝鮮との交渉においては太陽政策による融和は通用しない」ことを明示しています。

米国の北朝鮮への対応は、「すべての選択肢がテーブルの上にある」に戻るべきではないでしょうか。

トランプ大統領が主張していた「北朝鮮に対する最大限の圧力」は、2017年12月がピークでした。日本の軍事専門家の一部も「2017年12月、米軍の北朝鮮攻撃」説を唱えていました。

しかし、2018年に入りトランプ大統領は「北朝鮮に対する最大限の圧力という言葉を使いたくない」とまで発言するようになり、第1回の米朝首脳会談後の記者会見では「米韓共同訓練の中止や在韓米軍の撤退」にまで言及しました。

我が国の保守の一部には、「第2回米朝首脳会談で北朝鮮が非核化を確約しなければ、トランプ大統領は躊躇なく北朝鮮を攻撃する」と主張する人がいますが、どうでしょうか。

戦争を開始するためには大統領の強烈な意志と周到な軍事作戦準備が必要です。現在の米国には両方とも欠けています。トランプ大統領には、今後とも冷静な判断を継続してもらいたいと思います。

日本にとって厳しい状況は続く

第1回の米朝首脳会談では、「核を含む大量破壊兵器とミサイル開発に関する完全で正確なリストを提出すること」が米朝間で合意されましたが、北朝鮮はそれを実行しませんでした。

この北朝鮮の頑なな姿勢が今後も変わることはないでしょう。北朝鮮は、核ミサイルの全廃を拒否し、その大部分の温存を追求するでしょう。

トランプ大統領の「米国民が安全であればよい、核実験や弾道ミサイルの発射がなければ、北朝鮮の非核化を急がない」と発言することは、米国の国益を考えればむげに非難できません。まさに、アメリカ・ファーストの考えに則った主張です。

しかし、この米国中心の発想は、日本の国益に真っ向から対立します。

なぜなら、北朝鮮の核兵器や短距離・中距離弾道ミサイルは温存されることになり、日本にとっての脅威はなくなりません。

米国の国益は日本の国益とは違うという当たり前のことを再認識すべきです。トランプ大統領が日本のために特段のことをしてくれると期待する方が甘いのです。

結言

私は、安全保障を専門としていますが、重要なことは「最悪の事態を想定し、それに十分に備え対応すること」だと思っています。

今回の首脳会談の結末は、日本にとって厳しいもので、「北朝鮮の核兵器、弾道ミサイル、化学兵器、生物兵器が残ったままになり、拉致問題も解決しない」状態です。真剣に、この厳しい事態に対処しなければいけません。

また、我が国では2020年に東京オリンピックがあり、サイバー攻撃、テロ攻撃、首都直下地震などの自然災害が予想される複合事態にも備えなければいけません。

一方、トランプ大統領にとって、米朝首脳会談後、米中の貿易戦争(覇権争い)をいかなる形で収めていくのかが最大の課題です。

この件でも米中首脳会談で決着を図ろうとしています。今回の米朝首脳会談による決着の問題点を踏まえた、適切な対応を期待したいと思います。

また、米国では2020年に大統領選挙があり、トランプ大統領の再選が取り沙汰されていますが、彼は現在、米国内において難しい状況にあります。

2018年の中間選挙において民主党が下院の過半数を確保したことにより、予算の決定権を民主党に握られ、下院の全委員会の委員長を民主党が握ることにより、厳しい政権運営を余儀なくされています。

また、トランプ大統領は複数の疑惑を追及されています。2016年大統領選挙を巡るロシアとの共謀疑惑(いわゆるロシアゲート)、その疑惑を捜査するFBIなどに対する大統領の捜査妨害疑惑、その他のスキャンダルです。

この疑惑の捜査結果いかんによっては2020年の大統領選挙における再選が危うくなることもあるでしょう。

いずれにしろ、民主主義国家において選挙は不可避です。その選挙に勝利するために対外政策への対応を誤るケースが過去に多々ありましたから、適切に対応してもらいたいと思います。

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