『中国・幼稚園の不衛生な食事で園児に健康被害か 幼児教育のベテラン園長が愛したのはおカネだった』(10/12日経ビジネスオンライン 北村豊)について

10/13看中国<“五眼联盟”联合德日 共同应对北京扩张野心(图)=5アイズ連盟に日独も 北京の拡張野心に共同して対応>5アイズは第二次大戦中、米英加豪新の5か国が枢軸国に対して情報交換した組織。そこに今年初めから日独を加え、7ケ国で北京のグローバルな拡張主義の情報を交換する。ここにはフランスも参加させる。今の所、中国の投資制限、政治活動や政治献金規制の動き。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/13/873538.html

9/23<安徽通报幼儿园大米长虫事件 其法人代表被刑拘(图)=安徽省の幼稚園で米の中に虫がいた事件 法人代表が逮捕・拘留>

品質保証期間が切れた酢 後は説明がないため分からず

https://news.toutiaoabc.com/newspark/view.php?app=news&act=view&nid=318874

客の満足度を上げるより、コストを下げることは中国ではよくある話です。自分達の取り分を増やすためには他人がどうなろうと知ったことはないと言うもの。取引で見本は良いものを持ってくるが、納入時になると品質の悪いものを持ってきたりします。

でも、言葉も話せない幼稚園児と思い、よくもまあこんな悪巧みができますね。流石は中国人と言ったところでしょうか?

記事

厨房の悲しい実態に保護者たちは激怒した(写真はイメージ)

9月22日の夜9時頃、安徽省の東南部に位置する“蕪湖市(ぶこし)”で幼稚園児の父母500人以上が集結して抗議活動を展開した。彼らは高速道路の入り口や大橋のたもとで横断幕を打ち振り、11時過ぎには高速道路の料金所へ押しかけて通行する車に大声で訴えを行った。抗議活動は翌23日の早朝3~4時まで続けられたが、解散後に人々は家路に就いた。

抗議活動に参加していた父母たちが掲げていた横断幕には、下記の文言が書かれていた。

安徽省蕪湖市に所在し同一グループに属する「得得貝幼稚園」と「童馨幼稚園」は、遺伝子組み換えの大豆油を使った食品や、消費期限切れでカビが生えた食品を子供たちに食べさせていた。それが子供たちに腫瘍マーカーの異常な数値をもたらした。蕪湖市政府と“鳩江区政府”は我々の抗議する権利を妨げるな。“天理何在(道理はどこにあるのか)”、“公道何在(正義はどこにあるのか)”。

蕪湖市の「得得貝幼稚園」は、子供たちに残飯や遺伝子組み換えの大豆油、蛆(うじ)がわいた食物を食べさせて、子供たちに食中毒を引き起こさせ、祖国の未来に深刻な損害をもたらした。容赦なく厳罰に処せ。

さて、この事件の発端は9月18日に遡る。18日に童馨幼稚園では園児の昼食に“鶏腿(鶏腿肉)”が出された。家に帰った園児から「昼食に僕が好きな鶏の腿肉が出たけど、食べなかった」という話を聞いて何かおかしいと感じた父親が、幼稚園の教諭にその理由を問い合わせたところ、教諭からは「料理酒を多めに入れた所為じゃないですか」との答えがあった。しかし、この園児の父親は居酒屋で働いているので、鶏の腿肉がすでに腐っていて、腐敗臭がしたから子供は食べなかったのではないかと疑問を抱いた。

翌19日、その父親は童馨幼稚園の食堂へ出向いて厨房の衛生状況を調べ、その結果を「冷蔵庫には腐敗臭のする鶏腿肉があり、米はカビが生えて虫が這いずり回っていたし、消費期限切れの酢が使われている」と“蕪湖市食品薬品監督管理局”へ通報すると同時に、インスタントメッセンジャーアプリ“微信(WeChat)”を通じて童馨幼稚園の父母たちへ厨房の悲惨な状況を報告した。

厨房の悲しい実態

一方、当該父親の親戚が同じ鳩江区内にある得得貝幼稚園へ子供を通わせていたので、童馨幼稚園を経営する園長の“梁愛蓮”が、得得貝幼稚園の経営者でもあることが判明した。そこで、同父親は親戚に協力を要請し、9月20日に親戚が子供を得得貝幼稚園へ送った後に、得得貝幼稚園の食堂へ行き、食堂内にある厨房の衛生状況を調べるよう依頼した。親戚が調べたところでは、食堂にはハエが飛び回り、厨房は全体に不潔で、蛆が動いている場所もあり、米には虫が這いずり回り、ジャガイモは発芽してカビが生え、真空包装のソーセージは消費期限切れで変質していたし、レンジの周囲にはゴキブリが走り回っていた。

冷蔵庫の中には数日前の「緑豆粥(かゆ)」が残されていたので、親戚がその場にいた食堂の職員に質問すると、職員は「緑豆粥は豚の餌で、園児に食べさせる物ではない」と答えたが、豚の餌なら冷蔵庫に入れておく必要はない。当該親戚は園長の梁愛蓮に「冷蔵庫内に消費期限切れの食品があるのはなぜなのか」と直接問い合わせたが、梁園長は「食べ物を節約するため」と答えたので、「すえたお粥も節約なのか」と詰問すると、梁園長は何も答えられなかった。親戚から報告を受けた当該父親は得得貝幼稚園の食堂に関しても厨房の非衛生な状況を蕪湖市食品薬品監督管理局へ通報し、併せて親戚の協力を得て、微信(WeChat)経由で得得貝幼稚園の父母たちへ厨房の悲しい実態を報告した。

こうして童馨幼稚園と得得貝幼稚園の父母たちはそれぞれの幼稚園に集まり、子供たちの健康に関する情報交換を行った結果、子供たちに共通する一つの現象が浮かび上がった。

それは頻繁に起こる腹痛であり、体格が劣る子供は下痢をすることだった。父母たちの動きを見て、情勢が悪いと気付いた両幼稚園の食堂に勤務する職員たちは、厨房を含む食堂内を徹底的に掃除して非衛生な状態を全て消し去った。20日午後に蕪湖市の“教育局”から2人の役人が両幼稚園を訪れて証拠取りの調査を行ったが、すでに食堂は徹底的な清掃が終わっており、何の証拠も集められなかった。また、同日に蕪湖市の“衛生局”からも役人が来て両幼稚園で写真を撮影して行ったが、写真では両幼稚園の問題点が何も分からないというのが親たちの見解だった。

9月20日の夜、得得貝幼稚園の親たちの一部は、清掃が終わった厨房で冷蔵庫の上に蠢(うごめ)く数匹の蛆、冷蔵庫内に依然として残っている消費期限切れの食材、聞いたこともないような安価で無名な醤油や大豆油があるのを見て非常に憤った。それは、2つの幼稚園の学費は他の幼稚園に比べて相当に高額であるのに、園児に提供する食事の材料がこのような消費期限切れやカビが生えて変質している物とは一体何事かという怒りだった。怒り狂った彼らは得得貝幼稚園の正門を封鎖し、二日一晩にわたって園長の梁愛蓮を幼稚園に閉じ込めた。最後には地元の派出所が警官を派遣して梁愛蓮を幼稚園から救出した。

9月21日にはポータルサイト“騰訊(Tencent)”傘下の開放プラットフォーム“企鵝号(ペンギン号)”にあるサイト「ハ百里晥江」<注>は、得得貝幼稚園の食堂内にある冷蔵庫上で蠢く蛆、冷蔵庫内の消費期限切れ食品、不潔な調理台やレンジの汚れなどを写真で公開し、中国全土に不衛生な幼稚園の実態を訴えたのだった。

<注> “晥江”は長江が安徽省の沿岸を流れる部分の名称であり、“八百里(400km)”はその距離を意味することから、「八百里晥江」は安徽省を表わしている。

童馨幼稚園の親たちは子供たちの健康を気遣っていたが、9月22日に蕪湖市政府は童馨幼稚園の園児に親同伴で健康診断を受けさせるべく、多数の大型バスを手配した。バスは隣接する江蘇省“南京市”にある“南京市児童医院”へ向かう予定で走り出したが、途中で「南京市児童医院が受け入れてくれない」との理由で省都の“合肥市”へ行き先を変更した。多数の親たちが、合肥行きは幼稚園に有利な結果を出すための陰謀だと抗議し、子供を連れてバスから途中下車した。

9人中8人に「神経芽細胞」の基準超過

そのうちの親9人はそれぞれの子供を連れて当初予定されていた南京市児童医院へ向かい、園児たちに健康診断を受診させた。その結果、腫瘍マーカー検査で9人中8人の園児に「神経芽細胞」の基準超過が認められた。これは同一検査で3回連続して基準超過だと、“腫瘤(腫瘍)”だと確認される深刻な事態である。ガンの潜伏期間は5年と言われるので、現在は問題なくとも、5年後にガンが発症しないという保証はない。また、1人の子供からは胃腸と脾臓のリンパ肥大が発見された。わずか園児9人でこの結果だから、園児全体ではどれだけの人数が健康に異常ありと判定されるか分からない。

9月23日の午後、それまで無言を貫いて来た蕪湖市政府は、急きょメディアに対し本件に関する状況説明会を開催し、次のように報告を行った。すなわち、童馨幼稚園が消費期限切れの米酢と虫が涌いた米を使用していたことは明白であり、食品や食器および炊事用具に対する抜き取り検査の結果は10月7日に公表する。また、童馨幼稚園長の梁愛蓮は9月22日早朝に刑事拘留された。当該幼稚園の園児たちは安徽省内外の名の知れた医院で組織的に身体検査を受けている。一方で、幼稚園児の親たちは幼稚園の門を封鎖したり、道路や橋を封鎖するという違法行為を行っているが、これは法的責任を追及されることになろうと親たちに脅しをかけた。さらに、ネット上での情報発信に対しても厳粛に処理すると述べて、関連情報の拡散に歯止めをかけた。

しかし、園児の親たちは、すでに幼稚園を卒業して小学校へ入学している子供たち、とくに小学1~2年生の健康状態はどうなのか大きな問題であると指摘した。彼らは2つの幼稚園のいずれかで数年を過ごした間に、非衛生的な食事を食べさせられていた可能性があるので、身体検査を行う必要がある小学生は恐らく1000人近い人数に上るものと思われる。さらに、親たちの間で流れている噂では、両幼稚園の責任者である梁愛蓮は地元の役人と親戚関係にあり、幼稚園の食堂で調理をしていた2人も苗字は“梁”なので、梁愛蓮と親戚関係にある可能性は高い。それが事実ならば、蕪湖市政府の調査結果が梁愛蓮に都合よく歪曲される可能性は否定できない。

9月25日には幼稚園児の父母からの告発により、蕪湖市“弋江区(よくこうく)”に梁愛蓮が経営する「江岸明珠幼稚園」があることが判明し、同幼稚園でも不衛生な環境の下で消費期限切れ食材を使用した昼食が調理されて園児に提供されていたことが暴露された。

9月29日の午後、蕪湖市政府は記者会見を開催し、9月19日に発生したことから“9.19事件”と呼ばれる上記の事件に関し報告を行った。その報告に中で、市政府は「9.19事件に関わる幼稚園の食品安全問題は、集団的な“食源性疾患(食品に起因する疾患)”を構成するものでなく、食品安全事故には含まれない」と結論付け、幼稚園を管轄するのは教育部門であり、食品の品質を監督する市場監督管理部門が介入するのは不適切と逃げを打った。

園長は幼児教育一筋の成功者

ところで、問題となった3カ所の幼稚園を経営していた園長の梁愛蓮とはどのような人物なのか。中国メディアが報じた履歴は以下の通り。

【梁愛蓮】
梁愛蓮は蕪湖市では有名な人物で、かつて「蕪湖市民教育先進人」の称号を獲得したことがあり、地元テレビの番組で「蕪湖の優良青年」として取り上げられたこともあったし、彼女が書いた幼児教育の論文は何度も賞を獲得している。テレビが報じたところによれば、梁愛蓮は幼児教育に16年間従事し、4つの幼稚園を開設し、100人以上の職員を擁している。梁愛蓮は、中国の十大教育チェーンの一つである“紅纓教育”の蕪湖地区代表であり、9.19事件が起こった得得貝幼稚園は全国に3000軒以上ある紅纓系列の幼稚園の中で突出し成果を収めている幼稚園である。

もし、この履歴が正しいのであれば、梁愛蓮は幼児教育の専門家であり、自ら4つの幼稚園を経営し、幼児教育で傑出した成果を収めていたことになる。そのような立派な人物が経営していた幼稚園のうちの3カ所で、消費期限切れや不衛生な食材を使って不潔な厨房で園児の昼食を作っていたことになる。恐らくもう1か所の幼稚園も似たり寄ったりだとは思うが、それはさておき、梁愛蓮が園児の親に「冷蔵庫内に消費期限切れの食材があるのはなぜか」と問われた際に、「食べ物を節約するため」と答えたのは笑わせるが、その後の調べで園長や教諭たちは全く問題のない食材で作った昼食を食べていたというから罪は重い。

要するに、幼児教育一筋で成功者となった梁愛蓮でさえも、幼稚園児の健康よりも大事なのは金儲けであり、親にばれず、園児に急な変化が表れなければ、園児に何を食べさせようが構わないという、利己主義と拝金主義が合体した精神構造になっていることなのである。

筆者は1985年から1990年まで北京に家族帯同で駐在し、息子は1989年6月4日に天安門事件(略称:六四事件)が発生する2カ月前の3月末に外国人の子供も入園が許されていた「北京第一幼稚園」を卒園したし、娘は同幼稚園の年中組に在籍していた。古い話で恐縮だが、その経験から言うと、当時北京第一幼稚園の食事は大変に美味しく、子供たちは昼食やおやつを楽しみにしていたし、子供を迎えに行く妻も度々ご相伴に預かり、調理方法などを聞いてきたりなどしていた記憶がある。北京第一幼稚園は中国の表看板である北京市を代表する幼稚園だから予算が潤沢にあったのかもしれないが、次代を背負う子供たちに美味しい物を食べさせようという意欲に溢れていた。

中国で少子化が問題となっているこのご時世に、幼稚園児を食い物にして金儲けを目論み、園児の健康にまで影響を及ぼすとは、許しがたいことだが、その犯人を捕らえてみれば幼児教育の成功者だったとは笑いの種にもならないし、馬鹿馬鹿しくて洒落にもならない。

同様の幼稚園、全土に相当数存在か

話は童馨幼稚園と得得貝幼稚園の父母に戻るが、彼らは9月29日に蕪湖市政府が記者会見で述べた「9.19事件は食品安全事故には含まれない」との結論に対して不満を露わにした。しかし、言論統制が厳しい中国で、政府の結論に納得せずに抗議を継続することは得策ではない。彼らは子供たちが健康に育つことだけを念頭に、抗議を止めて現実を受け入れた。

なお、9月29日付の“鳳凰網(ネット)”「安徽綜合」は、9月25日から童馨幼稚園と得得貝幼稚園は、蕪湖市党委員会、蕪湖市政府および関係部門の協力を受けて体制を一新し、鳩江区教育局から派遣された新しい園長を中心に立て直しを図るとし、この決定については父母たちも了解したと報じた。これで本件は一件落着となるのだと思うが、童馨幼稚園と得得貝幼稚園は梁愛蓮が経営していた民間の幼稚園のはずであるのに、新たな園長が鳩江区教育局から派遣されたというのはどういう意味なのだろうか。梁愛蓮が持っていたはずの経営権は蕪湖市政府によって没収されたということなのか。

上述した9.19事件は安徽省の蕪湖市で発生したが、幼稚園児の言葉がたどたどしいのを良い事に、衛生上問題のある食事を園児に提供している幼稚園は、中国全土に相当数存在するものと考えられる。このため、不衛生な食事を提供されたことにより健康を害する園児たちが多数いる可能性は高いが、明確な証拠がないために、統計もなければ、事件が明るみに出ることもほとんどない。9.19事件は園児の父が子供の一言に異常を感じ取ったことで、実態が明るみに出た稀有な例であったといえる。中国政府が全国の幼稚園に対して適確な行政指導を行うことにより、園児に供する食事の質と衛生環境の改善が促進されることが望まれる。

園児が口にする食事の質と衛生環境の改善が望まれる(写真はイメージ)

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『中間選挙で負け、トランプは偉大な大統領になる 国難を救った4人の大統領の「リーダーシップ」が読まれる理由』(10/12JBプレス 高濱賛)について

10/13阿波羅新聞網<白邦瑞:特习会前提是中共做出重大让步=ピルズベリー:トランプ・習会談は中共の大きな譲歩が前提となる>トランプと習がアルゼンチン・ブエノスアイレスでのG20出席時会談するかどうかを、米中を長く観察して来た専門家は、世界一位と二位の経済体の緊張が緩和して幾分楽観視できると判断。米国メデイアは「G20時の面談はWH内のハト派に委任して習と会談させるのでは。米国の内情に詳しい人間からは「トランプ・習の会談の前提として中国側が貿易上、実質のある譲歩が必須である」と。

今の所、中共がどのような妥協ができるのか分からない。FTがかつて報道したのに依れば「米中交渉時に於いて、劉鶴は米国の出したリストを分析して、1/3は即決、1/3は交渉で解決可、1/3は国家安全に絡むもので交渉不可とした」と。

ハドソン研究所のピルズベリーはFOXテレビに、「トランプ大統領の理想とする目標は互恵の原則の下に貿易均衡を図り、米国の就労を増加させることにある。中国には面子があり、そのことに承認もしなければ、強制技術移転や知財窃取の問題も解決しないかも。しかし、もし中国が2年間連続して米国の貿易赤字を削減する案を出せば、米国の就業者数は増え、トランプは受入、貿易戦は一時停止するかもしれない」と述べた。

http://www.aboluowang.com/2018/1013/1188257.html

10/10看中国<川普警告对2670亿加税 英媒:习近平不让步G20免谈(图)=トランプは2650億$関税賦課を警告 英国メデイア:習近平は譲歩することなく11/30のG20で会談はせず>トランプは「中国は合意に至る準備ができていない。我々は一方通行ではなく、双方向の取引を望む。この25年間は一方通行だった。我々はその中から利益を受けるべきだ」と。中国側はリストの準備はしているが、ワシントンの安定した政治情勢の下で受け入れることができなければ、或はトランプに替わる代表として交渉責任者が現れない限り、中国はこのリストを出すことは無いだろう。

しかし、クドローは「米国政府は中国との貿易協議の合意は急がない。今の協議の重点は、北京の知財窃取と強制技術移転に移っているため」と述べた。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/10/873256.html

今や米国は貿易戦だけでなく、人権状況でも中国を叩き出しましたから、鉾を収めるのは難しいのでは。中国は「貿易で妥協するから、人権で中国叩きは止めよ」と主張しても、米国は今更人権での追及は止めれません。中共の人権弾圧がストップすれば別ですが、存在そのものが悪なので止めることはあり得ません。また、貿易でも妥協すれば中国経済はボロボロになり、外資に乗っ取られるので、譲歩は無いと思います。

高濱氏はカバナー判事が選出されたことが面白くないようです。10/5に本ブログで紹介しました10/2日経ビジネスオンラインの高濱氏の記事『セクハラ疑惑一色に染まった米最高裁判事の人事 36年前の性的暴行を告発し一矢を報いた被害者』の時の論調よりは抑えた内容になっていますが。

上院は共和党が優勢とのことで、できたら下院も共和党が取るのが望ましい。でも、少くなくとも弾劾の可能性は減る訳で、中国との冷戦路線を確固たるものにするためにはトランプに8年やって貰って、次にヘイリーがなるのが理想です。

10/12希望之声<【中期选举】共和党在参院选举中呈上升攻势 预计可获多数席位=中間選挙:共和党は上院で上向き攻勢 過半数を確保する見込み>FOXの調査によれば、下院も議席を減らしても、多数を取るだろうと。上院について、テキサス、ノースダゴダ、テネシー州は共和党勝利に。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/12/n2262831.html

コロンビア大学の歴史学者、ドリス・カーンズ・グッドウィンはリベラルの典型でしょう。異論を受け入れず、「修正主義」のレッテルを貼る連中の一人と思われます。何せ、コロンビア大学且つ歴史学教授と来れば・・・・。FDRが正しく、日本は誤った道を歩んできたと言うのが彼らのストリー。そこに異論をはさめば、異端として米国学界から抹殺されます。米国も韓国を笑えない状況です。過去を現在の価値観で断罪するのであれば、彼らにはインデイアンの銅像を建て、虐殺に対して膝まづいての謝罪を求めたい。

http://d.hatena.ne.jp/ujikenorio/20150613/p1

記事

米ニューヨークにある国連本部で、ニッキー・ヘイリー米国連大使(右)と話し合うドナルド・トランプ米大統領(左、2018年9月26日撮影、資料写真)。(c)Nicholas Kamm / AFP〔AFPBB News

セクハラ告発を封じ込めたトランプ共和党

「ニュースメーカー」ドナルド・トランプ米大統領の周辺が慌ただしい。

全米を騒がせた最高裁判事人事は、保守派のブレット・カバノー判事を押し込むことで事実上ドナルド・トランプ大統領の勝利に終った。

かと思うと、今度は「虎の子」と見られていたニッキー・ヘイリー国連大使が辞任を申し出た。

「忠臣」マイク・ポンペオ国務長官の訪朝を受けて、2回目の米朝首脳会談を中間選挙(11月6日)後に実施すると公言。

完全非核化に向けてあたかも動きがあるかのような思わせぶりだが、中間選挙前のアナウンスメント効果を狙ったのだろう。

最高裁判事人事では、中道派判事の退官に伴う空席に保守派のブレット・カバノー連邦控訴裁判事を指名したものの、36年前の性的暴行容疑が浮上。上院での人事承認が一時危ぶまれたものの辛うじて承認されたからだ。

セクハラ告発の嵐が吹き荒れる中で女性層の反対を押し切って「初心」を貫徹したトランプ大統領は意気軒高のようだ。

被害者の女性教授の上院聴聞会での証言はインパクトは与えたが、「男尊女卑」社会を根底からひっくり返すまでにはいかなかった。視聴率の高いリアリティショーの域は出なかった。

果たして、主流リベラル系メディアが騒ぐほどカバノー判事の「罪状」はそれほど重かったのか。メディアの援護射撃も今一つに終わった。

告発者の女性教授の議会証言内容を調べ上げた連邦捜査局(FBI)は十分な物的証拠を見つけ出せなかったのか。

まるでテレビで法廷ものを愉しむように聴聞会実況中継にかぶりついた米市民もショーが終わってしまえば、「それはそれ、これはこれ」とトランプ大統領が指名したカバノー人事を黙認したのか。

「最高裁判事はみな女になってしまう」

中間選挙を1か月後に控えたこの段階での「カバノー錯乱シンドローム」(Kavanaugh Derangement Syndrome=一部米メディアは新語を作っている)はトランプ共和党に凶と出たのか吉と出たのか。

カバノ―氏の学生時代、寮のルームメートで、その後功成り名を遂げた元弁護士のA君は、中高年層を「代弁」してこうコメントしている。

「出世街道を驀進してきたカバノーが高校時代のセクハラ疑惑で最高裁判事になれなかったら判事のなり手はいなくなるだろう」

「第一、(セクハラ告発を受けた)クラレンス・トーマスなんか、今最高裁判事になんかなっていないよ。判事のなり手は女しかいなくなるさ」

「あの時代、俺たちの時代は女の子を引っかけるなんて日常茶飯事だったろう」

恐らく米国、いや世界の男性陣も同じ考えではないだろうか。

上院選の「激戦区」で共和党候補が盛り返す

まだ早計かもしれないが、最新の選挙予想ではこの「シンドローム」、トランプ共和党にとっては、どうやら吉と出始めている。

各種世論調査は、民主党は下院を奪還、上院も過半数を取る勢いだと予想している中で、選挙予想ではその的中率の高さで評価されている「FiveThirtyEight」がこんな予想をしている。

「上院では共和党が過半数を確保できる確率が10月9日時点で79%に跳ね上がっている。それまでは67%から70%だったのに比べると9ポイント上昇している」

「ノースダコダ、テネシー、テキサス、ミシシッピの『激戦区』で共和党候補が競り勝ってきたのが要因とされる」

“What’s Behind Democrats’ Shrinking Senate Odds?,” Election Update, Nate Silver, A FiveThirtyEight, 10/9/2018(https://fivethirtyeight.com/features/whats-behind-democrats-shrinking-senate-odds/

過激化する民主党に危機感を抱き始めた有権者

要因は、民主党が左に偏りすぎていることへの一般有権者の危機感らしい。

トランプ大統領が10月9日のオハイオ州の集会で鋭くも指摘している。

「民主党の言っていること、やろうとしていることは過激すぎる。万一民主党が議会を制したら米国にとっては極めて危険な状況になる。今すぐ、選挙前投票をしたまえ」

さすが世間の流れを動物的勘でとらえるトランプ大統領だ。その心を忖度するとこうだ。

「『カバノー錯乱シンドローム』を起こした元凶は、民主党主導のセクハラ告発キャンペーンだ。民主党は今や女性に振り回されている。中間選挙に向けた予備選で大量の女性候補を選んでいる」

「この女性候補の中には、男女がお互いに節度を持って生きてきた人間らしい古き良きアメリカをぶち壊そうとしている過激派が大勢いる。こんな連中が議会を制したら米国はどうなると思うか」

トランプ大統領にとっては万一下院選で負けても上院で共和党が過半数を死守すれば、たとえ弾劾決議案が下院で可決しても上院が防波堤になれる、という判断があるわけだ。

民主党も負けてはいない。超人気歌手のティラー・スウィフトさんを使って民主党への支持キャンペーンに打って出た。

若者を中心に全米はおろか世界的に人気が高い歌手だ。彼女がインスタグラムで呼びかけるや48時間で24万人が有権者登録をしている。

トランプ大統領も気になるのか、人気の黒人ラップ歌手のカニエ・ウェストさんをホワイトハウスに招いて共和党支持を呼びかけさせようと必死だ。

もっとも黒人票の8~9割は反トランプの民主党支持。いくらウェストさんが呼びかけても黒人票が共和党候補に行くとは思えない。

芸能界まで巻き込んで熾烈な選挙戦を繰り広げる今年の中間選挙は異常だ。かってこれほど盛り上がった中間選挙はなかった。

理由はただ一つ。「ちゃぶ台返し」を続けるトランプ現政権をこのままやらせるのか、それとも3権の1つ、議会にブレーキをかけられる民主党勢力を増やせるのか。それを決める天王山だからだ。

リンカーン、2人のルーズベルト、ジョンソンの共通項

その最中、知識層の間で読まれている本がある。

歴代大統領の研究では右に出るものはいないとされているコロンビア大学の歴史学者、ドリス・カーンズ・グッドウィン博士の新著、「Leadership: In Turbulent Times」(激動期におけるリーダーシップ)だ。

同博士は歴史学とともに精神分析学(Psychanolytic theory)を極めており、歴史の「主人公」たちを深層心理面から分析するという独特の手法をとっている。

著者が本書で取り上げた歴代大統領は4人。

エイブラハム・リンカーン第16代、セオドア・ルーズベルト第26代、フランクリン・ルーズベルト第32代、リンドン・ジョンソン第36代各大統領だ。

Leadership: in Turbulent Times by Doris Kearns Goodwin Simon & Schuster, 2018

4人の大統領の間には共通項がある。

幼年期、青年期、壮年期にそれぞれその後の人生に強いインパクトを与えた挫折、トラウマを経験している点だ。

リンカーンは父親から厳しく躾けられたこともあってか、極端な人嫌い。小学校ではまさにいじめの対象にされる日々だったという。

成人になってもその挫折感を引きずったために人間関係がうまくいかなった。「リンカーンのストイックな生きざまと、時々見せる皮肉なウェットはその副産物だった」というのだ。

セオドア・ルーズベルトは、裕福な家庭に育ったが、大人になって同じ日に愛妻と母親が他界するという悲劇に接し、極度の挫折に陥った。

フランクリン・ルーズベルトは小児麻痺に襲われて、生涯そのハンディキャップを背負いながら大統領にまでなった。

そしてジョンソンにとっての挫折は、政界入りを目指し、テキサス州から上院議員選に挑戦したものの敗れてしまったことだ。その挫折感は生涯つきまとったとされる。

さらに共通していることは、その挫折感をバネにそのトラウマを克服するだけの並外れた回復力を兼ね備えていたことだ。

国難を乗り越えたリーダーシップの原動力はトラウマ

4人はともに米国史上最大の危機に直面している。

リンカーンは南北戦争の最中、大統領になり、1863年には黒人奴隷解放を宣言。65年には憲法修正第13条(奴隷解放)署名、南軍が降伏して南北戦争が終結した直後には暗殺される。

合衆国が南北に分かれて戦った危機をリンカーンは文字通り身を賭して打開した。

セオドア・ルーズベルトは1901年ウィリアム・マッキンリー第25代大統領の暗殺を受けて昇任、緊張が高まる欧州や極東をにらみながらアジア系移民排斥に奔走した。

今ラティーノ系や中東系移民に厳しい措置をとっているトランプ大統領と一脈通じるところがありそうだ。

フランクリン・ルーズベルトは1933年から45年まで12年間の長期政権下で29年の大恐慌以後の米経済立て直し、対外的には日本軍による真珠湾攻撃を受けて、対日宣戦、対独伊宣戦に踏み切り、45年には日独伊降伏により第2次大戦を終結させた。

世紀のヤルタ会談直後に病死した。まさに米国が直面した激動期にリーダーシップを発揮した大統領だった。

著者はこれら4人の弱点や失敗についても容赦なく分析している。

例えばリンカーンの人種的平等主義の限界、セオドアの帝国主義者的自惚れ(Imperialist swagger)、フランクリンのナチスから逃れてきたユダヤ人入国拒否、ジョンソンのベトナム政策の失敗などだ。

「人間には欠点はつきものだ。そうした弱点や失敗にもかかわらず、それでも彼らは国家の緊急事態の最中、反対する勢力に対し真っ向から対決し、自らの信ずる主張を貫き通した」

「彼らには謙虚さなどはなかった。それが彼らが示した米国という国家の持つ偉大さだし、偉大なリーダーシップだった」

オレ流を貫き通すことでは4人とトランプ氏は同じ

トランプ大統領は口癖のように言う。

「私はこれまでの歴代大統領が成し遂げられなかったことをすることだ」

そこにあるのは本書が取り上げた4人の大統領と共通するオレ流の決意だ。反対するなら勝手にしろ。妥協はない。俺はオレ流で内政外交を貫徹する。逆らう人間は排除するだけだ。

ここまで読み進んでいくと、トランプ大統領と4人とは確固たるオレ流の決意を持って突き進むという点で似ているように思えてくる。

違いがあるとすれば、トランプ氏には、4人の大統領が体験した挫折というものがない(あるいは挫折したとしてもそれを頑なに認めようとしない)点だ。

4人はそのトラウマを原動力に大仕事をしてきた。ここが大きく違う。

万一、中間選挙でトランプ共和党が大負けしたら、それはトランプ氏にとって挫折となり、それが原動力となって、心機一転、大変身して、「偉大なリーダーシップ」を発揮する大統領に生まれ変わるのだろうか。

前述のA君は、「トランプ氏に限ってそんなことは絶対あり得ないさ」と吐き捨てるように言っている。

「我々は指導者に何を期待すべきか」が問われている

2016年民主党副大統領に指名されたこともあるティム・ケイン上院議員(バージニア州選出)は、本書についてこう記している。

「今、米国の偉大さ(America’s Greatness)を語るとき、利己的行動のみが力説されている」

「本書に登場する4人の大統領たちは他の人のために働くという情熱に燃えていた。米国の偉大さは単なる私利私欲を超えた包容力によってのみ評価されることを信じていた。そのことを本書は教えている」

「この本が発刊されたタイミングは抜群だが(現在の米国が置かれた状況に照らしてみると)少々滅入ってくるのも事実だ」

「本書は、我々は今、我が国の指導者たち、国家、そして我々自身に何を期待するべきなのか、何をなすべきかを問いかけている」

“In times of csrisis, four presidents became great leaders,” Tim Kaine, Washington Post, 9/20/2018(https://www.washingtonpost.com/outlook/in-times-of-crisis-four-presidents-became-great-leaders/2018/09/20/6844e0e6-a574-11e8-97ce-cc9042272f07_story.html?noredirect=on&utm_term=.8f8dae55f65a

バラク・オバマ氏が大統領在任中、米国民は「偉大なるリーダーシップ」について今ほど考えてはいなかった。

「トランプ大統領」の存在は、米国民、そして世界の人々が米国の歴史を振り返るきっかけになっているようだ。

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『世界で売りたいため? 日本を貶める村上春樹の大罪 平然とでっち上げた「南京40万人虐殺」は中国の思う壺』(10/10JBプレス 森清勇)について

10/10毎日新聞<村上春樹さん 「騎士団長殺し」英語版、米国で出版>毎日新聞もこんな下らん本の宣伝をするなら、秦郁彦氏の著書『慰安婦と戦場の性』がジェイソン・モーガン氏による翻訳で米国で出版されることを報道したらどうでしょう?左翼は自分達の都合の悪いことは報道しません。知的怠惰、No知的誠実さです。

https://mainichi.jp/articles/20181010/k00/00e/040/187000c

https://tr.twipple.jp/p/49/21256.html

10/12新唐人アジア太平洋TV<BBC電話迅獲中國肝臟 黃潔夫緊張閃躲問題BBCは電話で中国人の肝臓を取るのを尋ねる 前衛生大臣・黄潔夫は緊張してこの問題を避ける>8日のBBC報道。

BBC:彼らの調査では(臓器摘出が)毎年10万件にも上ると見込まれている。

黄:その非難は全部出鱈目だ。この話はしたくない。

BBC:それでは、私が中国の病院に何故電話したのか?どうしてこんなに早く移植用の肝臓を得られるのか?

黄:聞きたくない。この件について言いたくない。この質問は政治目的がある

欧州議会、米国議会の中共の法輪功信者の臓器強制摘出の非難決議

http://www.ntdtv.com.tw/b5/20181011/video/231718.html

村上は時代遅れでしょう。売らんかなと言うだけです。そもそも中共の人権弾圧(上述の臓器強制摘出の記事を村上に読ませたい)には目を瞑り、平気で嘘を言い、日本を貶めるためのプロパガンダを世界に流布させ、日米分断を図り、日本を侵略しようと画策している(沖縄県知事選には中国の影があると青山繁晴氏も言っていました)中国の言うことを鵜呑みにするとはいくらフィクション作家と雖も許されないのでは。時代考証、合理的説明もない、論争のあるテーマを一方的な意見だけ採り上げて記述するのは、作家以前に人間として偏っているのでは。こんな人間を持ち上げる人の気が知れません。不誠実です。まあ、自由主義国では何を読もうと自由ですが、読む本に人格が現れるのでは。

村上の小説は一度も読んだことがなくて批判するのも何ですが、大学入学してすぐ大江健三郎の『性的人間』を読んで嫌いになり、それと同じ匂いが感じられますので、一生読むことは無いでしょう。小生には時間の無駄です。

記事

ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏(2017年10月6日作)。(c)CNS/唐志順 〔AFPBB News

2018年のノーベル賞が次々に発表されている。

例年、各分野の受賞者に大いに関心をもっているが、文学賞については、今年初めに選考機関のスウェーデン・アカデミーで、女性選考委員とその夫にまつわる不祥事から該当者選びどころではなくなり、今年分は来年に発表されることになった。

このため、例年喧噪を極める村上春樹氏の名前が聞かれないことで、ある種の安堵感を感じている。

いかなる分野にしろ、ノーベル賞受賞者が出ることを待ち望むが、こと文学賞に関しては大江健三郎氏の受賞に辟易した記憶から、村上氏が噂になるだけで同様の感じを抱いてきたからである。

村上氏は「等身大の文学を拓いた」と評する人もいるが、筆者が嫌悪感を抱く理由は、検証されていない歴史認識・・・ざっくり言えば中国の政治的誇大宣伝・・・を大衆迎合的に取り上げる姿勢に疑問をもつからである。

もう一つ追加するとすればあまりに軽すぎるセックス描写である。

ノーベル文学賞の受賞資格

『日本にノーベル賞が来る理由』の著書もある作曲家で指揮者の伊東乾氏によると、アルフレッド・ノーベルの遺言の趣旨からするノーベル賞の設置意図は「人類全体に対して、最大の公益をもたらした人を顕彰する」ものだという。

また、文学賞は「literatureのfieldにおいて、理想を指し示す方向で最も際立った仕事/作品を生み出した人物に与えられる」と規定され、作品の売り上げや作家の人気度には一切関係ないという。

「literature」は「小説」ではなく詩、戯曲、はたまたジャーナリズム、社会評論、哲学、ノンフィクションでも構わず、ともかく「文筆という領域」であればいいらしい。

日本では川端康成などの作家が受賞してきたが、サルトル(哲学者・受賞辞退)やチャーチル(政治家・自伝作家)、スヴェートラーナ・アレクシエーヴィッチ(チェルノブイリを告発したノンフィクション作家)、ボブ・ディラン(シンガー・ソング・ライター)など、小説家でない人も受賞している。

「混乱の時代に、皆が進むべき道を見出せなくなり、踏み迷っている。そんななかで『これだ!』という明かりを見せる、希望の光を明確に示すような貢献をした人を、アルフレッド・ノーベル記念財団は、ノーベル文学賞の授与対象として選ぶのです」と伊東氏は語る。

(JBpress「『ニューアカ』の罪作りな偽ノーベル賞 本物がもらえなくなる、苦し紛れのキャンペーン」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54037

そして、次のように明言する。

「アカデミーが刷新して 頭がおかしくなってしまわない限り、この作家がノーベル文学賞を受けることはないと認識しています」

「別段、罵詈雑言でもなければ批判ですらありません。大衆小説作家が芥川賞にノミネートされないというのと同じくらい、根拠のはっきりした『お門違い』だからです」

「文学賞の選考に関わるまともな人で、村上氏を候補と考えている人はいないと思います」

(JBpress「また一つ追加、村上春樹にノーベル文学賞が来ない理由 前代未聞の偽ノーベル賞『ノミネート辞退』が発散する下心臭」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54151

村上氏のノーベル文学賞受賞を願ってやまないハルキストたちにとっては死刑宣告にも等しい謂いであろうが、要はノーベル文学賞の本質が分かっていないということであろう。

村上発言や作品の評価

伊東氏はオウム真理教事犯で13人が死刑執行されたことに関連して、「この種のタイミングで、必ずと言っていいほどピントのボケた文を発表する村上春樹氏」と批判し、

「事件後にデータマンやスタッフがおんぶにだっこで作ったインタビュー集を既成事実のごとく前提として、一般読者がなるほど、と思うような、本質と無関係なファンタジーを書き連ねる点」を指摘する。

その一つが海外向けと国内向けの二重基準である。

「英語やスウェーデン語で国際社会の歓心を買いそうなヒューマニズムのポーズを取る際には、トレンドどおり『死刑制度そのものに反対』と宣伝してみせ、返す刃で、こちらは必ず日本語だけですが、死刑存置の世論が高い国内読者向けには、『「私は死刑制度には反対です」とは、少なくともこの件に関しては、簡単には公言できないでいる』と、時と場所によって見解を使い分けていることを自ら露骨に記してしまいました」という。

そして、「現状を追認し、およそ理想的な方向に国内外世論を導かないのみならず、こうした現実を自己PRに利用する姿勢そのものに、倫理の観点から強い疑問を抱かざるを得ません」と締めくくる。

ネット検索すると、作家・評論家で元東大総長の蓮實重彦氏や評論家の柄谷行人氏などからも「厳しい言葉を浴びてきた」ようだ。

ストックホルムで活躍するジャーナリストで「ノルウェイの森」など7冊の村上作品を共訳しているデューク雪子(50)氏は「アカデミーから漏れ聞こえてくる声は『才能は十分認めるが……』なんです。『……』をはっきりは言わないんですが、何かが望まれている。深みというのか……。軽すぎると思われているんじゃないですかね」と語っている。

村上氏が米国の敏腕の出版代理人と組んで声価を上げ、ベストセラーを連発していったことから、「商業主義的な作家」とみなされ、アカデミーの「重厚好み」とはズレがあるかもしれないという批判もある。

当然ながら、肯定的な評価もある。

日本の近現代文学を研究し、イタリア文化会館東京館長を務めるジョルジョ・アミトラーノ氏は、「村上は世界のどの作家の追従も許さないほど、現代という時代の本質をつかみ取っている」と断言している。

不安な時代をどう生きるか――。ポップな文体で重いテーマを語り、ドストエフスキーを敬愛していることでも知られると評価される村上氏でもある。

しかし、「重いテーマ」を語っている割にはセックスや歴史認識などでは能天気に軽い記述としか思えない部分がある。

重いテーマというけれど

最近のノーベル文学賞の受賞者の経歴や受賞理由は、「重い」方に傾いているとされる。

2014年受賞のパトリック・モディアノ(仏)は、ナチス・ドイツ占領下のパリで、ユダヤ系イタリア人の父と、ベルギー人女優の間に生まれた作家で、「最も捉え難い人々の運命を召喚し、占領下の生活世界を明らかにした記憶の芸術」で授与された。

2015年受賞の女性作家スヴェトラーナ・アレクサンドロヴナ・アレクシエーヴィッチ(ベラルーシ)はベラルーシ人の父とウクライナ人の母の間に生まれ、『チェルノブイリの祈り』で「我々の時代における苦難と勇気の記念碑と言える多声的な叙述」が授与理由であるが、自国(ベラルーシ)では出版できなかったという。

こうした授与理由から、日本人作家では村上氏よりも、むしろ「水俣」をテーマとする石牟礼道子氏の方が有力ではないかと思う人さえいるようだ。

ハルキストたちはカズオ・イシグロが受賞した時は一瞬がっかりもしたようであるが、同時に両者には類似性が見られるらしくイシグロの受賞に納得したとも言われる。

イシグロの作風はリアリズム小説あり、SF仕立て、あるいはファンタジーの趣のものなど、多岐にわたる。

しかし、どの作品にも共通して、人間の生が抱える原理的な不自由、すなわち「運命の囚われ人」を描いていることだといわれる。そのテイストはカフカに近いという人もいる。

スウェーデン・アカデミーがイシグロへの授与で挙げた理由は、「偉大な感情の力をもつ小説で、われわれの世界とのつながりの感覚が不確かなものでしかないという、底知れない淵を明らかにした」であった。

村上作品に登場するのも、多くの場合、疎外意識をもった人物ではあるが、その不自由さはイシグロの登場人物ほど切羽詰まってはいないと評される。

イシグロの世界では「意のままにできない現実」のただ中に否応なく巻き込まれる人物であるのに対して、村上ワールドの人間は自分を取り巻く「なじめない状況」に距離を保ち、これと批判的に関わるという「重さ」の違いがあるようだ。

こうしたことから、イシグロの作品が「深刻な印象」を残す点で過去の大文学に近い読後感を与え、真剣に向き合うには相当の覚悟がいるとされる。

他方で、村上作品は「等身大」で読者にとっては読みやすく、ベストセラーも出やすいといわれる。

筆者には村上氏の初期作品『風の歌を聴け』の印象が強く残っている。特にセックスについての記述があまりに軽いといったネガティブな印象でである。

架空の話として「彼女は海岸の避暑地にやってきて、最初から最後までオナニーするんだ。風呂場だとか、林の中だとか、ベッドの上だとか、海の中だとか実にいろんな場所でさ」という記述ある。

他方で、「僕はこれまでに三人の女の子と寝た」と述べ、順番に述べていく。

「最初の女の子は高校のクラス・メートだったが、・・・僕たちは朝日新聞の日曜版の上で抱き合った。僕たちは高校を卒業してほんの数カ月してから突然別れた」

「二人目の相手は…ヒッピーの女の子だった。16歳で一文無し、…一週間ばかり僕のアパートに滞在した。彼女は毎日昼過ぎに目覚め、… 時折僕と気のなさそうなセックスをした」「三人目の相手は…」と続く。

また別のシーンでは、「私とセックスしたい?」「うん」「御免なさい。今日は駄目なの。…手術したばかりなのよ」…「ねえ、もしどうしてもやりたいんなら、何か別の…」といった会話もある。

若者の「等身大」の表現かもしれないが、倫理観や道徳が心にのしかかる。紙上などの書評を読む限り、『劇場』(又吉直樹)や『地球星人』(村田沙耶香)などの方が「重い」ように感じてしまう。

いかに「兵士」から「市民」へ拡大したか

南京事件に関しては『南京戦史』など直接の関係者らの言行などを集めて編纂された浩瀚な資料もある。

それによると、南京で起きたことは上海戦に続く「掃討戦」で、死者は市民や婦女子ではなく、掃討戦に関わった兵士たち(中国の督戦隊による自国軍殺戮や日本軍による反乱捕虜鎮圧も含む)である。

日本軍の南京入城に先立ち、ラーベ(独)を委員長に「安全区」が設けられ、城内の中国市民は全員安全区に避難した。

このため、殺されるような市民はいなかったわけで、当時の駐仏中国大使で国際連盟代表も兼ねていた顧維鈞が国際連盟における会議で、「兵士」2万人が殺されたと提訴している。

それが、中国の宣伝意図のもとに「市民」2万人となり、次いで最弱者の「婦女子」2万人に変容する。

東京裁判では「(市民)57418人」と一桁まで数え上げられ、中国人専門家も疑問視したほどである。共産党政権になると一気に「(市民)30万人」に拡大して、南京の記念館にも掲げている。

戦闘直後の顧維鈞代表の発言を重視する筆者にとっては、その後の拡張数字は、日本を貶めようとする中国独特の三戦(世論戦、心理戦、法律戦)の一種以外の何ものでもない。

この過程が示すように30万人自体がとんでもないデマゴーグである。

ところが、村上氏は『騎士団長殺し』で、「一九三七年七月七日に盧溝橋事件が起こり、それをきっかけに日本と中国の戦争が本格化していきます。そしてその年の十二月にはそこから派生した重要な出来事が起こります」

「(中略)いわゆる南京虐殺事件です。日本軍が激しい戦闘の末に南京市内を占領し、そこで大量の殺人がおこなわれました。戦闘に関連した殺人があり、戦闘が終わったあとの殺人がありました」と平然と記述する。

続けて「日本軍には捕虜を管理する余裕がなかったので、降伏した兵隊や市民の大方を殺害してしまいました。正確に何人が殺害されたか、細部については歴史学者のあいだにも異論がありますが、とにかくおびただしい数の市民が戦闘の巻き添えになって殺されたことは、打ち消しがたい事実です。中国人死者の数を四十万人というものもいれば、十万人というものもいます」と述べる。

この記述自体はイデオロギーでも40万人の断定でもないが、そんなことにはお構いなしに、「著名人」が書いた「40万人」として、歴史戦に利用価値を見出すのが中国である。

証拠を見い出せなかった林芙美子

盧溝橋事件から3週間後に中国軍が日本市民250余人を一晩に虐殺した通州事件が起きた。

中国が起こした虐殺事件で記者などもほとんどいなかったが、生き延びた僅かな人々による事件の記録が生々しく残された。

『女人平家』で人気作家の吉屋信子は事件から1か月後に取材する。そして書ききれないほどの事実を現場で発見し記録した。

中国軍が行った蛮行だから中国側は早急に隠蔽したかったであろうが、至る所に証拠は散在していたのだ。

他方で、南京での掃討戦は6週間続き、件の数の市民を日本軍が虐殺したと中国側は主張する。

朝日新聞や毎日新聞、同盟通信社などそれぞれ従軍記者や写真家、画家などを各50人前後、外国の新聞や通信社なども含めると総勢200人を超す記者などが南京にいた。

石川達三などの小説家もいた。しかし、誰一人として大量虐殺というものものしい報道をしなかったし、記事も書かなかった。

当時のアサヒグラフなどは路上でにこやかに散髪している写真や、菓子をもらった中国人の子供が喜んでいる写真を掲載している。虐殺の痕跡などどこにも見当たらない。

女流作家として吉屋と張り合い、従軍記事も好んで書いた『放浪記』の林芙美子も、また虐殺が続いていたとされる年末から正月にかけて取材する。

日本軍の蛮行となれば何でも誇大宣伝したい中国は好んで証拠を残したであろうが、林は何一つ見つけることができなかった。

それどころか、『女性の南京一番乗り』で、「玄武湖の元旦の景色はなごやかなものだ。昨日まで馬や支那兵の死骸を見てきた眼には、全く幸福な景色である。立ってゐる歩哨の兵隊さんも生々してゐるし、街には避難民達がバクチクを鳴らしてゐる。バクチクの音は耳を破るやうにすさまじく鳴ってゐて、その音をきいてゐると、わっと笑声を挙げたいほど愉しかった」と記している。

翌二日も「南京上空には敵機の空爆があったさうだけれども、私は、日当りのいゝ徐堪の宿舎の二階で、故郷の友人達へ宛てゝ年始状を書いてゐる長閑さであった」と書いているではないか。

批判者は、『ラーベ日記』にある事件などを持ち出して、軍の検閲が厳しく、真実が書けなかったともいうが、ラーベ日記に書いている事件も、虐殺とは程遠い略奪や強姦、放火などで、しかも日本軍とは限らず、また件数も2桁台、人数にして数十人でしかない。

従来、南京について語る人は、局所的に南京事案だけを取り上げて云々してきた。

しかし、中国軍の蛮行である通州事件、そして上海戦、続く日本軍の蛮行とされる南京事件を相対的に見て比較検証すれば、実体が火を見るよりも明らかに浮かび上がってくる。

国民党時代の蒋介石は「タイプライターで戦争している(すなわち宣伝戦)」と、中国軍にも従軍した米人記者が種明ししている。

共産党政権になってからは「愛国虚言」で、大きな嘘ほど大きな愛国心の証として一層歓迎されるようになる。こうして、「兵士2万人」の戦死は、いつの間にか「市民30万人の虐殺」に拡大されたのだ。

ちなみに、支那事変で日本軍が与えたとする320万人の死傷(「市民を盾にしないように」という日本の提案を蹴って蒋介石は上海戦で市民を巻き込んだ。その後、黄河決壊作戦を展開して市民100万人を水死させ、日本軍は追撃をやめ10万人を救助する。このように、320万の多くが中国側自身によるものである)も、江沢民政権になると3500万人に拡大した。

伊東氏が「一般読者がなるほど、と思うような、本質と無関係なファンタジー」と批判したように、南京の「40万人」も「データマンやスタッフにおんぶにだっこ」で、読者の歓心を買おうとしたのであれば、日本の名誉、特に軍人の名誉にかけて許されることではないであろう。

おわりに

あまり政治的主張を公にしてこなかった村上氏が、近年は政治的主張を発信するようで、一部では「大江健三郎化」と言われているようだ。それを「ノーベル文学賞」狙いと評する人もいる。

「エルサレム賞」の受賞で、イスラエルに行き、「壁と卵」と題したスピーチで、「私は常に卵側に立つ」、「その壁がいくら正しく、卵が正しくないとしても、私は卵サイドに立ちます」と、強者より弱者の立場に立つことを強調したことに象徴的に表れたとされる。

「シオニズムにせよイスラム原理主義にせよオウム真理教にせよ、それが宗教であれイデオロギーであれ、ある種の『原理主義』に魂を委譲してしまう人たちは、『原理原則の命じるままに動くようになる』ために、極めて扱いづらい危険な存在となっていく」という発言などから、ネット上では炎上したようである。

原発や尖閣諸島問題でも、ネット上では「日本政府の背後から銃弾が炸裂するように、思い切り国益に反する発言を続けざまにしていた」などの批判が見られる。

当時の南京市民は20万人であったことが確認されており、そもそも40万人虐殺などファンタジーでしかあり得ない話である。

それとも、文芸評論家の田中和生氏が「混沌化が増す村上春樹の世界」(『WiLL』2017年5月号所収)で書いたように、日本(軍)による「自明の悪」としたかったのだろうか。

たとえ伝聞の形をとった小説でも、歴史に無神経に向き合えば、日中間の政治問題に発展しないとも限らない。

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『国際機関ICPOの中国人総裁はなぜ消えたか 人が簡単に行方不明になる中国という国』(10/10日経ビジネスオンライン 福島香織)について

10/13日経朝刊<中国、打算の対日急接近 自動運転技術で連携合意 米の規制強化に備え 日本企業、バランス苦心

日本と中国が12日、自動運転技術での連携で正式合意した。米中貿易戦争で米国が中国への技術移転に警戒を強める中、中国側には日本への接近で米国をけん制するとともに、米国からの技術協力が難しくなる事態に備えておく狙いがある。安倍晋三首相の25日からの訪中でも、両国の経済協力拡大を話し合う方針だ。

自動運転などの技術開発で協力の覚書を締結した日本と中国の自動車業界団体の関係者(12日、東京都港区)

日中両国の業界団体である日本自動車工業会と中国汽車工業協会が12日、自動運転技術での国際標準化の策定を共同で進める覚書を結んだ。まずは自動運転での車の制御の仕方や通信方法など技術的な仕様に関する国際規格の策定で協力する方針だ。

もともと中国側は自動運転分野では米国勢との連携を柱としてきた。中国政府の国家プロジェクトとして自動運転の開発を進めている百度(バイドゥ)の「アポロ計画」にはすでに米フォード・モーター、半導体大手の米エヌビディア、米インテルなど米国企業が参加しているからだ。

インターネット検索の検閲を巡り中国当局と対立する米グーグルも、今年初めから中国での研究開発を本格的に再開。グーグル系のウェイモも中国に拠点を設立したと報じられた。検閲問題を棚上げしてでも中国側がグーグルに秋波を送った裏には米国からの技術協力への期待があった。

にもかかわらず、日本との技術協力を急ぐ理由は米国との対立関係の激化だ。米国は中国へのハイテク分野での技術流出を警戒し、10日には航空宇宙関連の米企業から機密情報を盗もうとしたとして中国国家安全省の高官の男を訴追したと発表。技術流出防止に向けて外国資本による対米投資規制も強化しており、米企業による対中投資も規制される可能性がある。

自動運転技術は次世代の自動車産業の覇権争いに直結し、米国が中国の動きを最も警戒する分野の一つだ。日中の合意には世界的な開発競争をリードしたい両国の思惑とリスクが入り交じる。日本はトヨタ自動車と日産自動車・仏ルノー連合の2社が世界の自動車トップ3に食い込み、いまだに存在感が大きい。

自動運転車の「目」にあたるセンサーなど部品関連の技術力も高い。米国からの技術協力が途絶える事態になることを恐れる中国側にとって、日本企業を味方に付けることで巨大産業である自動車で覇権を握ろうとの思惑が透けて見える。

日中は8月にも電気自動車(EV)の次世代充電器の共同規格の策定で合意したが、規格統一を持ちかけてきたのは中国側だった。同規格を巡っては日本が世界に先行する形で急速充電の「CHAdeMO(チャデモ)」を2010年に策定。一方で、12年に米欧8社が別企画の「コンボ」を標準規格に採用し、日本と米欧で規格が分かれていた。

日本側にとっても中国と組むメリットは大きい。中国は世界の新車販売の3割を握る最大市場。日本車メーカーは中国市場で独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)などの欧米勢に出遅れており、次世代車での巻き返しを狙っている。

ただ、自動運転技術は巨大なデータを扱う「データエコノミー」の中核を担う存在と目される。日中合意の行方次第では大きなリスクも抱える。焦点となるのはデータの存在だ。蓄積された走行データは自動運転の競争力に直結する。

エンジンに代わる自動車技術の肝であるデータをどう扱うか。中国側がデータの共有を持ちかけてくる可能性も高いが、中国で車を売りたい日本勢にとっては無視できない。すでに民間レベルでは百度のアポロ計画にホンダが参加している。

もっとも日本側には中国との連携について、技術的な思惑だけでは割り切れない部分もある。日本メーカーにとって米国も重要市場で、日本政府も貿易戦争では米国との同盟関係を重視する。日本企業が中国企業との協力を進めすぎればトランプ政権から標的にされるリスクがある。米中対立のはざまで日本企業も難しい対応を迫られそうだ。(北京=多部田俊輔、杉本貴司)>(以上)

10/13日経朝刊<臨時国会24日召集へ  政府方針、入管法改正案の成立目指す 

政府は臨時国会を24日に召集する方針だ。西日本豪雨や北海道地震に対応する2018年度第1次補正予算案や、外国人労働者の受け入れを拡大する入国管理法改正案などの成立を目指す。12月上旬までの会期を想定している。安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正に向けた議論がどこまで進展するかも焦点となる。

野党は森友・加計問題の追及を続ける(3日の与野党国対委員長会談)

17日に開かれる衆参両院の議院運営委員会理事会で、菅義偉官房長官が24日召集を伝える。

安倍首相は24日に衆参両院の本会議で所信表明演説を行う。25~27日には中国を訪れ、習近平(シー・ジンピン)国家主席や李克強(リー・クォーチャン)首相と会談する予定だ。このため演説に対する与野党の代表質問は29日からとなる。衆院予算委員会での実質審議は11月1日にスタートするとみられる。

政府・与党は災害復旧などで9400億円を計上した第1次補正予算案の11月上旬までの成立を目指す。安倍首相は11月11日からシンガポールで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議と東アジア首脳会議(EAS)、同17日からパプアニューギニアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する。首相の海外出張前に補正予算案を成立させる考えだ。

重要法案の審議は補正成立後に本格化する。安倍首相は11月30日からアルゼンチンで開く20カ国・地域(G20)首脳会議にも参加する予定で、採決までに首相出席が求められる法案の場合は綱渡りの審議日程となる。

入管法改正案は最重要法案の一つだ。外国人労働者の受け入れを拡大するため新たな在留資格「特定技能」をつくる。菅長官は19年4月の新設を表明している。ただ審議の場となる法務委員会では人事院勧告に対応した給与法改正案が先に議論される見通しだ。

政府・与党が想定するシナリオ通りに進むかどうかは不透明だ。立憲民主党など野党側は学校法人「森友学園」や「加計学園」をめぐる問題で安倍首相や麻生太郎副総理・財務相の責任を引き続き追及する。内閣改造で初入閣した12人の閣僚の答弁にも注目している。

国会運営をさらに難しくするのは憲法だ。

改憲手続きを定めた国民投票法改正案は、通常国会から継続審議になっている。公職選挙法にあわせて、駅や商業施設に共通投票所を設置し、洋上投票を拡大するための法案だが、立憲民主党は通常国会でも質疑に応じなかった。

自民党は臨時国会中に党の改憲案を衆参両院の憲法審査会に提示し、説明する構え。連立を組む公明党に配慮し、発議を前提とした原案提出とはしない。だが立憲民主党は安倍政権下での改憲論議そのものに反発しており、憲法審査会の開催が困難になる展開も予想される。>(以上)

安倍内閣の動きはこのところおかしい。ヘタレぶりが際立ちます。①入管法改正して実質移民を増やすこと・・・少子化問題を解決するのは移民ではなく、女性・高齢者・AIを活用すべき②海自艦の済州島観艦式(日本攻撃の為の海軍基地とも言われている)不参加は良いが、村川豊海自幕僚長の式典参加や韓国海軍の佐世保寄港を認めるのでは参加拒否の意味合いが薄れる③憲法改正は国民投票法と言う手続き法の入口の所をうろちょろしているだけ、本丸にいつになったら斬りこむのか?総裁3期目で後がないというのに、憲法改正を餌に保守派を誑かしてきたのか?④擦り寄って来た中国に良い顔をし過ぎ。尖閣を取りにサラミスライス戦略を採ってきているのが分からない訳ではないでしょう。10/13朝のNHKニュースでも自衛隊のスクランブルが多かったのは中国機との報道がありました。勿論、政府だけでなく企業も相当悪い。ESG投資とかSDGsとか言っていますが、言っていることとやっていることが全然違います。数字の改竄や人権弾圧している中国への投資や協力等、経営者の劣化としか思えません。その内、米国が中国にCOCOMを発動したらどうするのでしょう?まあ、自業自得、そういう会社の株は持っていない方が良いでしょう。

10/10阿波羅新聞網<孟宏伟案内幕深 比王立军棋高一着 老婆可能爆大料 对川普有利=孟宏偉事件の内幕は深い 王立軍と比べ地位が高い 妻は機密を晒すかもしれない トランプに有利>孟の送った刀の図案は単なる警告だけでなく、妻に次の行動を取らせるための暗号だったのではと言う意見もある。「白兵戦」「共倒れ=相打ち」の意では。

中国ネチズンは「当局の計画では、先に孟を捕まえ、妻の仏からの帰国を交換条件にして、それから体の不調を理由に辞職させるつもりだった。しかし、孟は長年の公安の経験から危ないと思い、中国に行く前に妻に文書の保管を頼んだ」と。

http://www.aboluowang.com/2018/1010/1186764.html

10/10阿波羅新聞網<孟宏伟妻曝被追捕内幕 外媒:孟手握两大机密 有三大传闻=孟宏偉の妻は逮捕の内幕を晒す 外国メデイア:孟の手には2つの機密が 3つの伝聞がある>2つの機密は産経が報道した①海航集団の王健董事長の死にまつわるもの②孟は中共権貴の隠し資産のデータを持って米国亡命を企てていたこと。3つの伝聞は香港のアップルデイリーが報じたもので、①政法委の皇帝だった周永康の残党狩り②新しい反習闘争に巻き込まれた③ICPOでの働きが中共の思い通りでなかったこと。

http://www.aboluowang.com/2018/1010/1186956.html

10/12阿波羅新聞網<孟宏伟妻是小三扶正 中共大事露馅了=孟宏偉の妻は不倫相手 中共は大事が漏れる>騰訊財経ニュースによれば「孟宏偉の妻の名は高歌で、手段を選ばず孟の30年連れ添った妻と分かれさせ、2005年に33歳になった高歌は自分の夫を棄て、孟と19歳差がある結婚をした。当時孟は公安部副部長だった」と。

高歌は北京に豪邸があるだけでなく、欧州にも別荘を買い、貴婦人として暮らした。高は低く見積もっても毎年300万元(4869万円)で暮らしていたが、副部長クラスの給料は2万元/月で、こんな豪奢な生活が送れるのは、腐敗していないとできない。

2016年に孟はICPO総裁の地位に就き、国際組織の「人権観察」は「ICPOは孟の下で人権尊重や保護ができるか疑う」と公表した。国際社会はICPOがRed Notice(海外逃亡犯の引渡要請と警告、引渡義務はない)を濫用するのではと危惧したが、その通りになって、2014年にはRed Noticeが100通だったものが2015年には423通にも増えた。在米の天安門事件の当事者である魏京生もその一人で、多くの中国人の名前が上がっていると。

まあ、中国内部の情報ですから孟とその妻を悪く言うのは当り前ですし、また高官が賄賂を取るのも当たり前です。悪い奴同士が争っている国、それが中国です。

福島氏の記事と上述の記事を併せて考えますと、孟の逮捕の理由はいろいろあるのでしょう。でも因果は巡るです。孟は北京大学を出ても、汚いことに(汚職ではない、汚職は中国では当たり前、自分へのチップと思っています。暗殺のこと)手を染め、それが我が身に降りかかって来ただけのことです。でも袋をかぶせて拉致と言うのは荒っぽいし、北朝鮮の拉致とやり方は全く一緒です。こういう社会にしないためには、共産主義を打倒しなければなりません。日本共産党を支持する人はどう考えます?日共は別だと?いいえ、同じです。彼らが政権を握れば同じことをします。左翼政党も同じです。立憲は中核や革マル出身の議員がいます。もっと日本国民は民主主義のありがたみを感じて投票しませんと。

記事

中国で忽然と姿を消した孟氏=2017年7月シンガポールで撮影(写真:AP/アフロ)

ルパン三世の銭形警部が所属するということで、日本ではその名が子供でも知るようになったICPO(国際刑事警察機構、インターポール)。そのICPOの中国人の総裁・孟宏偉が9月25日以降、忽然と姿を消した。家族もICPOもフランス当局もその行方がわからず、家族はフランス警察に捜査を依頼した。ICPOは中国当局に「うちの総裁の行方、ご存じですか?」と問い合わせた。それから2週間たち、10月8日になって中国国内で国家監察委員会の取り調べを受けていることが判明した。それとともにICPOは孟総裁の辞表を受理し、副総裁の韓国人、キム・ジョンヤンが総裁代理となった。国際機関の現職トップが突然行方不明になり、その機関もあずかり知らぬ間に中国で拘束され取り調べを受けていたなど、前代未聞だし、ICPOのメンツも、あったものではない。中国にしても、史上初の中国人ICPO総裁を失う損失は大きいはずだ。

ではなぜ今、こんなことが起きているのか。

国家監察委員会は今年3月に設立した新機構で、党中央規律検査委と連動して党員のみならず幅広い公職者、つまり公務員や全人代代表、国営企業幹部らの汚職容疑を取り調べる捜査機関。おそらく孟宏偉ケースはこの機関が新設されて初めて経験する大物の取り調べといえるだろう。

中国では党幹部に関しては、伝統的に警察・検察機関の取り調べの前に、党中央規律検査委員会の「双規」と呼ばれる取り調べを受ける。そこで罪の有無・軽重を政治的に判断されたのち、司法機関に移送されるのだが、この「双規」というのは、呼び出しを受ける場所と時間が指定されているだけで、拘留期間の明確な制限もなければ、家族に通知もなく、秘密裡に行われるため、取り調べ過程で拷問が行われることもあるなど、近代法治国家ではありえない制度だった。そのあたりを問題視されていたので、今年、憲法上にもその位置づけを明確に規定されている国家監察委員会が作られ、その法的根拠となる国家監察法も制定された。

だが、やっていることは双規とそう変わらない。留置期間に3カ月(最長6カ月)と期限を設けたぐらいで、逮捕状が用意されるわけでも、拘束を家族に通知する義務もなく、また弁護士の立ち合いもない。一度、中国の体制内法学者に、なぜ監察法において被疑者の弁護士立ち合いの権利を認めないことにしたのか(専門家の議論の中には、法治国家を名乗るためには、被疑者に独立した弁護士をつける必要性を主張する意見もあった)たずねたことがあるのだが、「君たちの言いたいことはわかるのだが、中国において弁護士という職業は司法を破壊する存在とみなされているのだ」と説明された。

汚職の取り調べについては、こうした共産党体制独特のルールの下で行われているので、双規にしろ監察法にしろ、被疑者は忽然と社会から失踪したように見えるのだ。長い時でこの失踪機関は監察法に基づいても、ときに6カ月に及ぶ。この失踪状態の間は、被疑者自身や家族にとって、どのような処分を受けるのか、なんで拘束されているのかもわからない地獄のような時間である。孟宏偉に関しては、失踪期間が2週間ほどで済んだのがむしろ幸いであったかもしれない。大富豪・蕭建華は2017年1月に香港のフォーシーズンズホテルから忽然と姿を消して以来、まったくもって消息不明だ。

孟宏偉とはどんな人物か

さて、ICPO総裁という国際機関の要職につき、妻子ともにフランス・リヨンにいた孟宏偉はなぜ突然帰国したのか。そして帰国した北京空港で身柄拘束され、違法行為(おそらく汚職)容疑で取り調べを受ける羽目になったのか。このあたりのことは、現段階では全くわからない。だがわからないからこそ、ゴシップコラム書きとしては、いろいろ想像を掻き立てられる。

まず孟宏偉とはどんな人物か。1953年ハルビン生まれ。文革後期の1972年から共産党府活動に参加、75年に入党。北京大学法学部を卒業後は、頭が良かったのであろう、中南工業大学管理工程専科を卒業して工学博士の学位も取っている。1989年のチベットにおけるパンチェン・ラマ10世の暗殺疑惑がある急死事件当時、同姓同名の人間が臨時警衛任務の責任者であったことから、暗殺(疑惑)事件の実行犯の一人ではないか、という噂が付きまとう。

習近平の政敵として2013年に失脚させられた周永康が公安部長時代の2004年、公安副部長、ICPO中国国家センター長に取りたてられており、周永康閥の主要メンバーのひとりと目されていた。2012年3月には次長職(党委員)継続のまま国家海洋局副局長、海洋警察局長に任ぜられたのは周永康の威光がまだ残っていたからともいえる。だが、周永康失脚が確定後も連座せず、2016年にはICPO総裁に初の中国人官僚として選出され海外駐在勤務についているからには、それなりに習近平からも信頼されるだけの有能な人物という評価もあった。

習近平政権は2014年から「キツネ狩り行動」と呼ばれるキャンペーンを張って海外逃亡腐敗官僚・公務員の逮捕、中国送還に力を入れてきたが、孟宏偉がICPOトップになったことで、国際指名手配の発行や中国司法機関と逃亡先国家の地元警察との連携などがスムーズになったという評価が2017年1月の段階では中国公式メディアなどで報じられている。つまり孟宏偉は忠実に習近平政権のもとで職務を果たしていた、と思われていた。

ところが2017年暮れあたりから風向きが微妙になっていた。まず2017年12月に海洋局副局長、海警局長職が解任され、2018年4月には公安部の党委員から外された。2018年1月に全国政治協商委員(参院議員に相当)という名誉職に選出されたので、単なる年齢的な引退だろうという説と、失脚の前触れではないか、という説が出ていた。結果から見れば、失脚の前触れであったということになる。

習近平の不興を買った?

では、なぜ今のタイミングで彼は失脚せねばならなかったのか。

ゴシップレベルの話でいえば、ICPO総裁としての仕事の上で、孟が習近平の不興を買った説がある。今年2月、ウイグル人権活動家で世界ウイグル会議総裁のドルクン・エイサに対して出ていた、テロリスト容疑の国際指名手配書をICPOが撤回したのだ。これをきっかけに欧米メディアに中国のウイグル弾圧問題関連の記事が急増。習近平はこれを“裏切り”と激怒したという説がある。

もう一つは、今年7月にフランス南部で起きた海南航空集団会長の王健の“転落事故死”(多くの人が事故死とは信じていない)に何等かの関与がある、あるいは事情を知っていたのが孟であり、この情報が外部に漏れてはならじと急いで口止めをする必要があった、と言う説。王健の死が噂されるように、海南航空集団と王岐山や習近平にかかわるスキャンダルへの口封じであるならばフランスに駐在する公安幹部の孟宏偉が何か情報をつかんでいたり関与していたりしたとしても不思議はない。

もう一つは中国公安部が公式に発表している収賄容疑。すでに失脚している周永康の「害毒」の排除だ。昨年秋の党大会以降、習近平による公安幹部の入れ替え人事に伴って、新たに腐敗容疑で取り調べを受けている幹部が何人かいた。腐敗容疑取り調べの建前で、公安内に残る周永康の“遺毒”を洗い出し徹底排除したいというのが習近平の本音だ。この取り調べ過程で、習近平に忠実そうに見えた孟を疑うにたる証拠をつかんだのではないか、と言う説。あるいは自分に疑惑の目が向けられていることにおびえた孟宏偉が、公安幹部時代を通じて手に入れた情報・機密を手土産に米国やフランスに亡命を画策していると疑われた可能性。成都の米総領事館に駆け込んで亡命を求めた重慶市公安局長の王立軍と同じパターンだ。孟宏偉はこれまで公安実務派として、麻薬取り締まり、アンチテロ、辺境コントロール、移民管理、国際協力、海警局の方面で実績を積んでおり、こうした仕事は軍部との連携も必要だ。つまり孟の握る情報・機密というのは、外国政府の安全保障上からみてもかなり値打ちがある。

ひょっとして本当に亡命準備をしていたのではないか、と思ってしまうのは、孟宏偉の妻の奇妙な行動である。まず妻子がリヨンにいたというのは、ちょっと驚いた。と言うのも、自分の忠誠を指導者に試されていると自覚している高級官僚が海外勤務に就くとき、妻子のいずれかを本国に人質替わりに残すことが多いのだ。臆病な人は、夫婦同時期に海外出張に出ることすら、亡命を企てているのではないかと疑われないように慎重になると聞いている。孟宏偉の妻子がリヨンにいて地元警察の庇護下に入ったというのは、偶然だろうか。中国に戻った夫に妻はスマートフォンのSNSで「電話を待っていろ」とのメッセージを受け取って、4秒後にナイフの絵文字が送信されたので地元警察に届けたという。

このナイフの絵文字はスマートフォンを奪った者からの脅迫なのか、あるいは夫が自分の身に危険が迫っているというシグナルなのか。妻はこの数日後、欧米メディア相手に記者会見まで開き、「真相と正義を追及してほしい」と訴えている。これは中国の高級官僚の妻の行動としては尋常ではない。妻はグレースと名乗っているがこれは偽名なのか。偽名でなければ外国人? いやこのクラスの高級官僚の妻が外国人であることは許されない。後ろ姿の印象では64歳の孟の妻にしてはずいぶん若そうだ。ならば内縁の妻(内縁の妻の場合は外国籍もありうるが)? いずれにしても中国人の共産党幹部の高級官僚の妻であれば、こうした行動が共産党への敵対行為と受け取られることは承知のはずだから、これは相当覚悟を決めたアクション、つまり国家と党を捨てることを覚悟をした者の言動ではないか。

そう考えながらこの事件を眺めていると、これは傍目に見る以上に複雑な背景があるかもしれない。時間がたてば、もっと真相に近いところから情報が漏れ出てくることだろう。

頭に袋をかぶせられて拉致

あらためて思うに、中国では意外に簡単に人が消える。范冰冰は忽然と姿を消してから120日あまり音信不通だった。香港蘋果日報の報道を信じるならば、彼女は南京市のショッピングモールの20階にある有名占い師(占い料200万元!)のところにいるとき、とつぜん頭から袋をかぶせられて公安当局に拉致されたという。巨額とはいえ脱税しただけで、3カ月も社会から消滅していた。2017年1月に香港の五つ星ホテルから姿を消した大富豪・蕭建華は今に至るまで、どこにいるのか、生きているのかどうかも明かされていない。

范冰冰も蕭建華も孟宏偉も、地位も金も知名度もある国際的有名人だから失踪したら、外国メディアも騒ぐが、中国国内では、ウイグル、チベット、人権活動家、民主化運動家、弁護士、ジャーナリスト、陳情者、ヒラ官僚といった人たちが毎日のように、音もなく消えて、時にはしばらくたってからひそやかに日常に戻り、時にはそのまま忘れさられ、時にはあとから実は逮捕されていたことが公表され、時には事故死や自殺の遺体と言う形で発見されたりする。

私はそういう失踪して戻ってきた当事者から、その間何があったのかといった話を聞く機会が何度かあったが、実に恐怖である。いきなり頭に袋をかぶせられて拉致されて、知らない場所で、取り調べ官から身に覚えのない罪の尋問を延々と行われるのだという。「一番怖いのは、私がこうして社会と隔絶されたところで監禁されていることを、家族も友人も誰も知らないということ。このまま私が消えても、誰も私の身に何が起きたかを知らないまま」と彼らは語った。

それは中国では、さほど特別なことではないのだ。私も消えることがあるかもしれないと思う。だから、もし私が消えたら、どっかに監禁されて尋問されているかもと思って、とりあえずがんがん報道してほしい。

良ければ下にあります

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『中国との冷戦を宣言したペンス副大統領 米国世論も操る「悪の帝国」と戦え』(10/11日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

10/11宮崎正弘氏メルマガ<米国議会、2022年の北京五輪の開催を見直せとIOCに勧告    「人権弾圧の国家で五輪開催はふさわしいとは思えない」とルビオ上院議員>今の日本人、政治家にしても、経営者にしても、覇権を握っている米国が中国を追い落とそうと躍起になっているのが見えていません。どちらに付いた方が良いかは自明でしょうに。中国は昔から専制で、今でもそうですから。

http://melma.com/backnumber_45206_6743574/

10/10NHKニュース21:14<新疆ウイグル自治区でイスラム容認しない方針 中国検察当局

横断幕には(ウルムチ市検察機関 “汎イスラム化(=中共の言う過激派)” 決戦大会)とあります。

イスラム教徒のウイグル族が多く住む中国の新疆ウイグル自治区で検察当局が検察内部でイスラム教の習慣などを容認しない方針を確認し、ウイグル族の風習や宗教の影響を排除する動きが強まっています。

中国メディアによりますと、中国でイスラム教徒のウイグル族が多く住む新疆ウイグル自治区で、中心都市ウルムチの検察当局が8日会議を開き、検察内部でイスラム教の戒律にのっとった習慣を容認しない方針を確認したということです。
この中で検察のトップは「イスラム化のまん延に対する戦いを徹底してやり抜く」と述べて、共産党員として宗教を信仰せず、神の存在を否定する無神論を貫くよう求めました。
さらに公共の場では職員同士がウイグル語ではなく、中国語を使うべきだとも強調されたということで、当局の中でウイグル族の風習や宗教の影響を排除する動きが強まっています。
ウイグル族をめぐっては中国当局がイスラム過激派によるテロを防ぐためとして、自治区での治安対策を強化する一方、アメリカ政府などは大勢のウイグル族が不当に拘束されていると問題視していて、当局の取り締まりが厳しくなり、この問題への懸念が強まることも予想されます。>(以上)

宗教を認めない中共に、手を差し伸べたバチカンの愚かさが分かるでしょう。

10/11阿波羅新聞網<美国会:中国人权状况恶化文革以来最严重 活摘器官要制裁 =米国議会:中国の人権状況は文革以来最悪 活きたままの臓器摘出は制裁されるだろう>米国議会&行政当局・中国委員会は2018年度人権報告を公表した。組織の共同代表であるルビオ議員とスミス議員の両者は「中国の人権状況は悪化の一途を辿っている。制裁や罪のある官員に対するビザ発給拒否、米中討議の議題に上げること等」提案した。スミス議員は「我々は強制臓器摘出販売の報告を受けている。これは、邪悪な政策に制裁を加えることができるという意味である。猖獗を極めているのは法輪功の信者にである」と述べた。ルビオ議員は「我々は中国人民を批判しているのでなく、中共とその政府である。中国は歴史上、人類に大きく貢献して来た。ウイグル人の教育キャンプに反対するため、新疆ウイグル人権法案を今週超党派で議会に提出する。また2022年北京オリンピックも見直しを要請する。Appleの技術サービスを中国当局に移転して人権侵害に利用されるのも防ぐ。FBIに在米中国人、ウイグル人、チベット人に脅しや攻撃を受けていないか調査を呼びかけている」とも。

左はルビオ議員、右はスミス議員

http://www.aboluowang.com/2018/1011/1187457.html

米国は本気になって中国の追い落としを図ろうとしています。核大国同士ですからホットウオーにはならないかも知れません。でも既に冷戦になっていることは間違いありません。旧ソ連と同じように封じ込められるでしょう。ルビオの「中国人は悪くない。中共とその政府が悪い」という言い方はどこかで聞いたことがありますが・・・・。でも中国と戦前戦中の日本の違いは専制VS民主主義国だったことですが。まあ、早く人民が共産党を打倒しろと言いたいのでしょう。

情報統制が敷かれている中国内で、中国国民に正確な情報を伝えるのは至難の業です。ですから今でも正しい情報は口コミになります。中国メデイアは全部「党の喉と舌」のプロパガンダ機関ですから、都合の悪い情報は流さないし、少しでも有利になると思えば針小棒大にして報道します。それは共産主義の構造的問題です。事実より党に有利か不利かで判断されるという事です。左翼に傾いている人の脳を調べてみたい。知的誠実さを持ち合わせているのですかと。

中共の都合の悪い情報をどんどん出して、口コミでも伝わるようにすることが今の所は良いのでは。

記事

ペンス米副大統領は10月4日、対中国政策に関してハドソン研究所で講演した(写真:AFP/アフロ)

前回から読む)

米国のペンス(Mike Pence)副大統領が「邪悪な中国共産党」との戦いを国民に呼びかけた。

善きサマリア人

鈴置:ペンス副大統領が10月4日、ワシントンのハドソン(Hudson Institute)研究所でトランプ(Donald Trump)政権の対中政策に関し講演しました。40分以上に及ぶ本格的な演説で、動画でも視聴できます。

副大統領は中国を「米国に挑戦する国」と決めつけたうえ、「大統領と米国人は後ろに引かない」と国民に訴えました。中国とはともに天をいただかないと言い切ったのです。

NYT(ニューヨーク・タイムズ)は「新冷戦への号砲」と評しました。米中関係が暗くて長いトンネルに入るとの認識が広がりました。

ペンス副大統領はまず、中国が困っていた時代に米国がいかに助けたかを強調しました。その部分を要約しつつ翻訳します。

(19世紀から20世紀にかけて)中国が西欧や日本の半植民地の境遇に陥った際、米国だけがその主権を尊重した。伝道師を送って中国に最高の大学(清華大学)を設立しもした。

(21世紀には)中国をWTO(世界貿易機関)に招き入れ、米国市場への参入も許した。中国は米国の投資で急成長にも成功した。

米国らしい自画像です。米国人は自らを聖書に出てくる「善きサマリア人」と見なしがちです。この演説では、盗賊に襲われた瀕死の旅人は中国。「善きサマリア人」である米国に助けられてきたというわけです。

好意を裏切った中国共産党

—「中国には恩恵を施してきた。それなのに……」というのですね。

鈴置:その通りです。ペンス演説は「だが、我々の中国への好意は共産党政権によって裏切られた」と続きます。

冷戦が終わった後、米国のこれまでの政権は中国が政治面でも自由化すると期待した。個人の財産の尊重、宗教の自由、人権の尊重などだ。だが、そんな希望は満たされなかった。

過去17年間で中国経済は9倍に拡大し世界第2位の規模となった。自由や公正とはとても言えない為替操作、技術移転の強要、知的財産の盗みなどを駆使してのものだった。

以下、演説では「中国の罪状」が延々と続くのですが、あまりに長いので一覧表にします。要は、中国は米国の好意を利用して経済成長に成功したが、今度はその力を悪用して米国の覇権を揺らしている、と非難したのです。ペンス副大統領が示した例をまとめたのが「罪状①米国の覇権への挑戦」です。

★中国の「罪状」①米国の覇権への挑戦★

米国の2017年の対中貿易赤字は3750億ドルで、全赤字の半分近くを占める。

「メード・イン・チャイナ2025」計画により、官民あげて米国の知的財産を獲得しロボットやバイオテクノロジー、AIなど世界の先端産業の90%の支配を目論む。

米国企業を買収することで、先端的な武器の設計図などの技術を盗む。

陸海空、宇宙における米国の軍事的な優位を脅かす。西太平洋から米国を追い出そうとする。

日本の施政権下にある尖閣諸島の周辺を恒常的に哨戒する。中国の指導者は2015年にホワイトハウスで「南シナ海を軍事基地化しない」と述べたが、人工島に対艦・対空ミサイル基地を建設した。

南シナ海で「航行の自由作戦」を展開中の米イージス艦の45ヤード以内に中国の軍艦が接近し、衝突しかけた。しかし米国は今後も国益を守る。

米国は中国との良好な関係を望むが、中国は経済的な攻勢を緩めず、軍事力の強化につなげてきた。

聖書を燃やされ、信者は投獄

—中国人が聞いたら「なぜ、米国に挑戦してはいけないのか」と思うでしょうね。

鈴置:「米国は倫理性が高く、世界を指導すべき国である」と考える米国人が多い。こんな人は「米国に挑戦することこそが悪だ」と考えるでしょう。

もちろんそんな理屈は世界では通用しないと考える米国人もいます。そこでペンス演説は「クリスチャンが投獄され、聖書が燃やされている」などと数々の実例を挙げて中国の宗教弾圧を非難しました。

「罪状②中国での人権侵害」をご覧下さい。宗教弾圧に加え「オーウェル的世界」に突き進む中国の危さを指摘。そのうえでこんな国に覇権を握らせてはいけない、と訴えたのです。

★中国の「罪状」②中国での人権侵害★

自由と人権の尊重に向け歩み始めたこともあった。しかし近年、国民を支配・圧迫する方向に明らかに逆戻りした。

ネットによる中国の国民の自由な情報への接近への規制を強化している。

2020年までに人間のあらゆる側面を管理するジョージ・オーウェル的な世界の構築を狙う。

中国のクリスチャン、仏教徒、イスラム教徒が新たな迫害を受けている。

先月、中国最大の地下教会が閉鎖された。全国的にも当局は十字架を壊し聖書を燃やし、信者を投獄している。今や無神論者の共産党がカトリックの神父を任命できるよう、バチカンと交渉中だ。

チベットでは過去10年間で150人の僧侶が中国に抗議して焼身自殺した。新疆で共産党は100万人ものイスラム教徒のウイグル人を投獄している。

米国の裏庭にも魔の手

—でも、それは中国の中でのこと。宗教弾圧はともかく「オーウェル的世界」にまで介入する必要はないと思う米国人もいるのでは?

鈴置:いるでしょうね。そこでペンス副大統領は「野蛮な中国が米国の安全保障を脅かしている」と危機感をあおったのです。具体例が「罪状③世界への影響力拡大」です。

★中国の「罪状」③世界への影響力拡大★

アジアからアフリカと欧州、果ては中南米にまで不透明な融資条件の「債務外交」を展開し、影響力を拡大中だ。

中国国営企業から多額の借金をしたスリランカは2年前に返済できなくなり、港を中国に引き渡すよう強要されている。いずれ中国の遠洋海軍の最前線の軍港となろう。

腐敗し無能で、国民を弾圧するベネズエラのマドゥロ政権にも怪しげな50億ドルの借款を提供した。中国は今や最大の債権者だ。

中南米の3カ国に対し台湾との関係を断ち、自らを認めるよう動いている。台湾海峡を不安定にするものであり、米国はこれを認めない。

米国の裏庭たる中南米にまで中国は触手を伸ばしている――と言われれば、のんきな米国人も「中国は危険な存在だ」と考えるでしょう。「台湾が中国に取られそうだ」と言われても同じです。

米国世論も操る

そして決め手が「罪状④米国への介入」です。米国の世論さえも中国に操られているのだ。裏庭どころではない。土足で家の中にまで踏み込まれているのだ、と警告を発したのです。これは効くでしょう。

★中国の「罪状」④米国への介入★

米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。

中国共産党は米国の世論への工作も進めており、2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙の環境も変えようとしている。中国はトランプ大統領以外の大統領を望んでいる。

6月に中国は「宣伝と検閲に関する通知」という文書を回覧した。これは「中国は正確に注意深く、米国世論を分裂させねばならない」と指示している。

中国は米国の有力企業に対し、米政府の政策に反対しないと事業免許を取り消すと脅した。

中国が米国に課した関税は、中間選挙の動向を左右する産業と州を狙い撃ちにしている。

米国の駐中大使の地元であり、2018年と2020年の選挙でカギを握る地域の新聞に先週、中国政府は記事体の冊子を挟み込ませた。それらは米国の通商政策が不注意で有害なものだと主張した。

米国の在中合弁企業が社内に共産党組織を作るよう求められている。

「台湾は中国の1省」と呼ばなかったデルタ航空に、中国政府は謝罪させた。マリオット(ホテル)はチベットに関しツイートした米国人社員を辞めさせるよう強要された。

映画「ワールド・ウォーZ」はウィルスの発生源が中国とのくだりをカットさせられた。「レッド・ドーン」は悪役が中国ではなく、北朝鮮であるとデジタル処理で編集された。

中国共産党は米国と世界で数10億ドルの宣伝費用を使っている。

中国国際放送局は親中的な番組を米国の主な都市の30以上の局で流している。CGTN(中国国際電視台)は7500万人の米国人が視聴している。

米法務省は先週、この放送局に外国の(メディアではなく)政府組織としての資格を得るよう命じた。

中国共産党は米国メディアのサイトの閲覧を妨害し、米国人記者のビザ取得に障壁を設けている。

全米の150の大学に支部を持ち、43万人以上の中国人の学生と学者で構成する団体が存在する。中国人学生や米国人研究者が中国共産党の定めた枠を外れた場合、中国の大使館や領事館に知らせている。

メリーランド大学の卒業式で米国での「言論の自由を支える新鮮な空気」に言及した中国人学生は、中国共産党の新聞から批判され、家族もいじめられた。

中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。中国専門家は、彼らの研究が中国政府の気にいらないものである場合、ビザが遅れるか出ないことをことによく知っている。

中国からの資金提供を断る研究者やグループでさえ、中国の標的となる。ハドソン研究所も中国が好まない講演を企画した際、上海からサイバー攻撃を受けた。

中国のカネ漬けの研究者

—そして……。

鈴置:邪悪な中国に立ち向かおう、と国民に訴えたのです。原文は以下です。

our message to China’s rulers is this: This President will not back down. (Applause.) The American people will not be swayed.

この辺りから「トランプ大統領の下に団結し、中国と戦おう」とのニュアンスが濃くなってくるのです。

—中間選挙対策の演説だ、といった批判は出ないのでしょうか。

鈴置:それに対しては「罪状④米国への介入」が効果を発揮します。ペンス副大統領は以下のように指摘しました。

米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、研究者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。

中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。

もし、研究者や記者が「トランプの反中政策」を批判しようものなら、普通の米国人は「やはり彼らは中国からおカネを貰っているのだ」と見なすでしょう。

8月24日には米議会の米中経済安全保障問題検討委員会が有力シンクタンクや大学に中国が資金を提供し、影響力の行使を図っているとの報告書を発表したばかりです(「米国は中国をいたぶり続ける」参照)。

China’s Overseas United Front Work』です。産経新聞の「『中国共産党が米シンクタンクに資金提供』 米議会委が報告書発表」(8月26日)が内容を報じています。

弱腰の記者を叱る

—ちゃんと「伏線」が敷いてあるのですね。

鈴置:2015年には「中国は1949年の建国当時から100年かけて米国を打倒し世界を支配する計画を立てていた」と警告する本が米国で出版されています。これも「米国は中国をいたぶり続ける」で紹介済みです。

『The Hundred- Year Marathon』で、書いたのは中国専門家のピルズベリー(Michael Pillsbury)氏。『China 2049』というタイトルで邦訳も出ています。

CIAの職員だった同氏は親中派から転向。この本では、米国の中国研究者の多くが中国共産党の思いのままに動かされていると暴露しました。米国の親中派は動きが取れなくなっていると思われます。

ちなみに著者のピルズベリー氏は、ペンス副大統領が演説したハドソン研究所のシニア・フェロー兼中国戦略センター所長です。

副大統領は演説で「ジャーナリストは中国を恐れるな。中国がいかに米国社会を操っているか報じよ」「研究者は学問の自由を守れ。中国のカネに踊らされるな」と呼び掛けています。以下です。

It’s also great to see more journalists reporting the truth without fear or favor, digging deep to find where China is interfering in our society, and why.

More scholars are also speaking out forcefully and defending academic freedom, and more universities and think tanks are mustering the courage to turn away Beijing’s easy money, recognizing that every dollar comes with a corresponding demand.

ここまで言われて「トランプの反中政策はおかしい」と声を上げるメディアや研究者は少ないでしょう。

NYT「新たな冷戦」

—「反トランプ」の先頭に立つNYTは?

鈴置:ペンス演説に関しては「反トランプ」の声をあげていません。社説でも、この問題を「パス」しています。

NYTはこの演説に対する中国の反論を「Pence’s China Speech Seen as Portent of ‘New Cold War’」(10月5日)で報じました。

ペンス演説の細かな点については「反論の余地があるかもしれない」と書いたものの、大筋では「米中冷戦が始まった」と客観的な状況認識を示しました。

中国専門家の言葉を引用し「ペンス演説は新たな冷戦を宣言したのも同然だ」と評したのです。2005年に当時の国務次官が「responsible stakeholder」と呼ぶなど米国は、中国を世界の問題を手を携えて解決していくパートナーと見なしてきたのですが。

it was unmistakably clear that the era of Washington holding out a hand to Beijing to become a “responsible stakeholder” in world affairs alongside the United States ─ a phrase used in 2005 by Robert B. Zoellick, then the deputy secretary of state ─ was over.

“This will look like the declaration of a new Cold War, and what China may do is more important than what it will say about Pence’s speech,” said Zhang Baohui, professor of international relations at Lingnan University in Hong Kong.

「鉄のカーテン」演説

—本当に、米中冷戦が始まったのですね。

鈴置:安保専門家の中にはペンス演説をチャーチル(Winston Churchill)の、冷戦の開始を告げた「鉄のカーテン」演説に例える人もいます。

首相を退任後に米国に招かれたチャーチル氏は1946年3月5日、ミズーリ州フルトンのウェストミンスター大学で講演しました。「ヨーロッパでは鉄のカーテンが降ろされた」と東西の2つの陣営の対峙が始まったと指摘した、あの有名な演説です。

レーガン(Ronald Reagan)大統領がソ連を「悪の帝国(evil empire)」と決めつけ、軍拡競争に誘い込んだことを思い出した人もいます。

米国のウェブ・メディア、VOXは「Pence says US “will not back down” from China’s aggression in fiery speech」(10月4日)で、中国専門家の「これはトランプ政権の『悪の帝国』だ」との談話を引用しています。

“This is the Trump administration’s ‘evil empire’ speech,” Bonnie Glaser, a China expert at the Center for Strategic and International Studies think tank in Washington, said. “This looks to me like deliberate confrontation.”

なお、「悪の帝国」という言葉をレーガン大統領は1983年3月8日の演説で初めて使ったとされています。

レーガンの「悪の帝国」再び

—ペンス演説は歴史に残る演説になりそうですね。でも日本ではさほど話題になりませんでした。

鈴置:日本ではまだ「米中の葛藤は貿易摩擦程度」といった認識にあるからでしょう。「米国は中国をいたぶり続ける」で指摘したように、米国は「おとしどころ」を設定していない。中国を潰すまで叩くということでしょう。

日本やカナダ、メキシコ、EUとの摩擦とはここが根本的に異なります。日米貿易摩擦では「いったん合意したTPP(環太平洋経済連携協定)の市場開放水準にどれだけ近付けるか」がポイントと米国側もはっきり語っています。

一方、中国への要求は「技術を盗むな」「為替を操作するな」と極めて抽象的。中国も譲歩のしようがない。そのうえ米国は人権まで持ち出し始めた。中国がいくら譲歩しても「まだ不十分だ」と言われることは目に見えています。

ペンス演説も米中両国民の友好は謳いました。が、中国共産党は米国の存在を脅かし、人権を蹂躙する、ともに天をいただくことのない、まさに「悪の帝国」であると米国人に訴えたのです。

中国から逃げ出す工場

注目すべきは米国の対中関税が、極めて注意深く準備されたものであることです。一部の人が見るように「トランプの思い付き」ではないのです。

適用範囲、税率、その拡大のプロセスを上手に設定することで米国の被害は最小化する一方、時間の経過と共に中国から工場を引き剥がすよう設計されています。

ことに重要なのは、米国の本気度を世界が見抜いたことです。例えばFTの「対中冷戦へと進む米国」(10月4日、日本語)は以下のように指摘しました。

今回のあまり賢明とはいえない追加関税は、ホワイトハウス内だけで拙速に決めた政治判断ではない。今回の措置は、もっと危険で永続的なものを表している。

米国と中国の経済的、政治的関係は完全にリセットされ、これからは貿易戦争というより冷戦に近い状態が始まる。

こうした「米中の葛藤が長期化する」との見方こそが、企業の中国離れをどんどん加速します。日経は企業の中国脱出劇を報じた「台湾EMSの新金宝、米中摩擦で脱『中国生産』」(9月20日)、「米中貿易戦争、日本企業も対策 生産・調達見直しへ」(9月22日)などを相次ぎ載せています。

—ところで前回の最後のところで「南北が手を組んで民族の核に動く」話を今回に話すとのことでしたが。

鈴置:「米中冷戦」の方が緊急性が高いと判断し「民族の核」は先送りしました。

—では、その話はいずれ落ち着いた時に。

(次回に続く)

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『習近平が“お荷物”の東北地方視察で「中国第一」を強調した理由』(10/9ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)について

10/10facebook 中国观察 Zhang Jun氏2017年8月20日投稿

土匪 ゴロツキ

権力を笠に着て弱いもの虐めをするのが、中国人の長い歴史の中で培われた特性です。

https://www.facebook.com/100003606658900/videos/1101908076606070/

10/10読売新聞<習氏一族所有の香港不動産資産90億円…地元紙>香港のアップルデイリーが伝えたもの。前に習一族の名前が「パナマ文書」に載っていたと記憶します。これから通貨覇権を握っている米国が、中国の権貴達の不都合な情報(隠し資産・郭文貴や令完成から得た情報)を、メデイアを使って流していくと思います。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20181010-OYT1T50110.html

2016/6/7ZAKZAK<【大暴走中国】習一族こそ“裸官”の代表 ダブルスタンダードが共産党政権の実体>

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160607/frn1606071140001-n1.htm

10/10阿波羅新聞網<中国大妈澳洲墨尔本扮红卫兵 网友惊:群魔乱舞=中国のおばさん達はメルボルンで紅衛兵に扮する ネット民は「魔物の群れが乱舞する」と>

中国では10/1~7まで国慶節休暇であった。ネット民がツイッターで「9/30中国人のおばさんたちがメルボルンの公共の場所で、身に紅衛兵の服を纏い、楽隊の伴奏と共に歌ったり、踊ったりした。「魔物の群れが乱舞している」」と批判。周りには多くの中国人が集まり3C(Computer、Communication、Consumer Electronics)設備を取りだし、録画していたのは奇異である。

また9/30のツイーターには「現地の中国人は2017年9月9日には「毛沢東記念活動」を挙行しようとしたが、豪政府は阻止した。意外や今年の10・1の前夜、中国人たちは再度集まり、高らかに文化大革命時の歌を歌いだし、誰も質さず、誰も阻止しない。現地のオーストラリア人はうろたえるだけ」と。

多くの現地の中国人は録画を見終わった後、感想は同じではなく、いろいろと意見が出て来た。「このような行為を根絶やしにするのは彼らが死に絶えないと」「彼らはおべっか遣い。思想なんてない」「共産党は邪教である。邪な考えがとりついてしまうだけ」「このようなdog days(辞書には不妊期とあります。メンスの上がったおばさんの意?)は全部中国に追い返せ」「海外華僑の大多数は共産党のゴロツキの活動に協力or持ち上げすることを軽蔑する」「文革の残り香がまだ除染されていない。だからこれらのゴミが眼前に現れた」と。南シナ海問題では数百人の中国人がメルボルン植物園でデモ行進し、赤旗を掲げ、「南シナ海は中国のモノだ」と。

流石にこれでは親中派のターンブルでも我慢できないでしょう。モリソンも同じ路線を採っているようですが、気が付くのが遅すぎです。米国もトランプになって変わりましたが。翻って日本は?孔子学院の整理も、中国人の土地買いも遅々として進んでいません。まあ、平和ボケの老人が亡くならないと路線が変えられないのかもしれませんが、それでは手遅れになります。

http://www.aboluowang.com/2018/1010/1186541.html

米国のFRBの利上げで米国株下げ→日本株下げ→上海株下げ→日本株下げのパターンとなりました。トランプはFRBを異常と罵りましたが、本音はどうでしょうか?中国から外資を撤退させるための演技かもしれません。でも、どうせなら中間選挙後に利上げしてほしかったと思われます。民主党を応援したいユダヤ・グローバリストの陰謀?

加藤氏の記事では、陳雲の「鳥籠経済」に戻るだけと言う視点が欠けているのでは。毛沢東は世界に暴力革命を起こして、世界と言う天下を取りたかったのでしょうが、何せ親分のスターリンが世界を革命塗れにするのは許しませんでしたから。習は毛の衣鉢を継ぐつもりだったのでしょうが、何せ経済に明るくないから、米国の覇権の源が軍事力と経済力(通貨覇権・SWIFTコード)にあることを知らなくて、虎の尾を踏んだわけです。ダボス会議で「自由貿易を守る」といくら言ったって、裏で不正のやり放題では欧米も中国の味方をする訳には行きません。リベラルで無責任なメデイアを除き、各国の政府は反中になっていると思います。

習近平としては、もう自力更生の道しか残されていません。米国と貿易できなければ、国富の源泉が閉ざされる訳ですから。軍事費にも多くを回すことはできなくなるでしょう。アフリカとの貿易だって、規模が違いますし、中国で生産したものを買ってくれるお客が必要です。中国国内だけで需要は賄えないでしょう。それでなくとも過剰設備、過剰生産、過剰在庫と言われてきているのに。まあ、世界平和の為に早く中共が崩壊することを願っています。

記事

Photo:PIXTA

習近平総書記が“お荷物”的地域の東北地方三省を視察

中国が69回目の国慶節を迎える直前の9月25〜28日、習近平総書記が東北地方三省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)を視察した。

近年、「東北振興」の4文字は中国経済を議論する上で一種の流行語のようになっている。「老工業基地」と呼ばれ、インフラ建設や都市化建設という意味では全国的にも“早熟”と言えた東北地区であるが、産業構造の最適化、成長モデルの転換、持続可能な発展、イノベーション、環境保護、市場化、民間企業の勃興、そして国有企業改革や過剰生産能力の解消といったテーマや目標が国家戦略の次元で掲げられる中、経済成長と構造改革双方の意味で“問題児”“お荷物”的に認識され、扱われるようになってきた。

2017年度の経済成長率を振り返ってみると、黒竜江省が6.4%増、吉林省が5.3%増、遼寧省が4.2%増といずれも全国平均(6.9%増)よりも低い結果となっている。

筆者は縁あって2016年9月から約1年間、遼寧省の省都・瀋陽市で生活した。2016年、同省の成長率は2.5%減でダントツ最下位であった(下から2番目は山西省の4.5%増)。そんな瀋陽で生活するなかで最も印象深く感じた光景が二つある。

一つは筆者が所属していた遼寧大学オールドキャンパス付近の繁華街「北行」地区の大衆レストランにビール「買一送三」というポスターが貼られていた場面である。

要するに、瓶ビールを1本買うと3本サービスで付いてくる、という仕組みだ。反射的に「そこまで景気が悪いのか」と実感したものである。その他、スポーツ用品店の前などを通っても、運動靴やウィンドブレーカーといった割と高価な商品が「買一送一」、すなわち1足(着)買うともう1足(着)がサービスになるなどの価格設定・商売感覚が日常化していた。

もう一つが、私が遼寧大学国際関係学院で教えていた学生の進路動向である。北京や上海、そしてその他南方の若者と比べると、圧倒的に役所や国有企業への就職願望が強かった。

中国では役所や国有企業へ就職する際、大学院修了の方が処遇面で有利な場合が多く、そのため、同学部の学部生に至っては約9割が大学院への進学を希望し準備を進めていた。修士生の多くも博士課程への進学を希望する学生を除いて、政府機関や国有企業への就職を希望していた。

これは決して学生やキャンパス内だけの問題ではなく、家庭・世論・社会環境においても役所や国有企業へ就職することこそがまともで、周囲に顔向けができ、メンツが立つ職種なのだという雰囲気や考え方が蔓延していた。

筆者が約10年間暮らした(2003〜2012年)北京では日常的に目にしていた大学卒業生のスタートアップなど、瀋陽の地では聞いたこともなかったし、そこに挑戦しようという学生も少なくとも筆者の周りでは皆無であった。

このような土壌では民間企業・経済は育たず、市場は活性化されず、経済成長の新しい原動力も生まれない、一体どうやってこの地域の経済を持続的に発展させていくのか、そのために改革を実行していくのかと考えさせられたものである。

だからこそ、まさに筆者が瀋陽で生活を始めた2016年、国家発展改革委員会が向こう約3年間で約1.6兆元を投入することを決定し、“東北振興”を促そうとしたのだ。ボトムアップによる民間経済ではなく、トップダウンによる国有経済によって、当分の間この地域における最低限の成長、そして雇用の安定を確保しようとした。中央政府としても苦肉の策だったに違いない。

このような流れのなかで、習近平が東北三省に赴いたのだと筆者は理解している。各省で省書記と省長同行の下、黒竜江省では穀物生産基地、農産品生産工場、自動車生産工場を、吉林省では生態環境を、遼寧省では国有石油コンビナート、民間のアルミニウム製造企業を視察した。

“東北振興”の中身は国有企業から率先して強くなること

印象的だったのは、すべての視察が終了した最終日、遼寧省瀋陽市で東北振興に関する座談会が行われた際、習近平自身が呼びかけていた「東北振興を推し進める過程で共産党による全面的な領導を堅持しなければならない」という“党性”が視察先の随所でにじみ出ていた点である。

「我々が掲げている“2つの100年”目標だが、今ほどその目標に近い時期はない。と同時に、今ほど多くの困難や挑戦に遭遇している時期もない。国際社会に目を向けると、一国中心主義と保護主義が台頭している。この状況は我々に、自らに依拠し、自力再生の道を歩むことを要求している。これは決して悪いことではない。中国の発展は、結局は自らの力に頼るしかないのだ」

黒竜江省の国有企業・中国一重集団有限公司を訪れ、国産のハイテク技術や装備を視察した後、習近平は左手に移動マイクを持ち、右手でジェスチャーを交えながら同社の従業員たちにこう訴えた。

昨年1月、習近平はスイスで行われたダボス会議に出席した際に経済グローバリゼーションや多国間主義を擁護し、中国経済と世界経済がいかに融合し、切っても切れない関係になっているかを強調した。

米国がトランプ政権の下で内向きになっている昨今だからこそ、中国が開放的な政策を取り世界経済の融合性や互恵性を保証するような姿勢を前面的に押し出したものと筆者は受け取った。

実際に今になっても中国はそういう姿勢を押し出している。しかしながら、習近平が上記の文言を語る映像を中国中央電視台(CCTV)夜7時の番組《新聞連播》で眺めながら、筆者はなんとも言えない違和感を覚えた。

自動車や日用品の関税を下げ、輸入品がより安く中国の消費者の手元に届くような政策を取っている一方で、今回穀物生産、装備生産、研究開発といった現場への視察を通じて、習近平は終始「国産」「自力再生」、そしてエネルギー・食料・生態の安全保障をめぐる重要性を強調した。

黒竜江省の北大荒精准農業農機中心一階展示場を訪れ各種農産品を視察した習近平は、現地で生産されたお米が入った白いお椀を両手で持ちながら意味深長な面持ちで、感慨深く声に出した。

「これが中国の食料だ。これが中国のお椀なのだ」

吉林省松原市にある中国十大淡水湖・査乾湖での生態視察を終えると、習近平は遼寧省遼陽市にある中国石油遼陽石化公司にやってきた。コンビナートでの視察を終え、同社の従業員、そして随行する党の幹部らに向かって次のように主張した。

「国有企業の地位は重要であり、その作用は肝心であり、余人をもって代えがたい。党と国家にとって重要な依拠すべき力量、それが国有企業である。と同時に、国有企業にも改革が必要であり、自らを改善し、発展させなければならない。首尾一貫して党の国有企業への領導を堅持し、国有企業改革を深化させ、高質で効率的、構造がより良好な発展を実現させるべく努力すべきである」

“東北振興”という国家戦略プロジェクトにおいて、農業、製造業、研究開発などを含め、まさに国有企業が先頭に立ち、国有企業から率先して強く、大きくなること、国際的に一国中心主義や保護主義が台頭する困難な状況下で、中国はそうなって初めて自らの力量に頼って祖国を復興させるための“自力再生”の道を歩むことができる。

習近平はそう言いたかったのだろう。

筆者はそれを“チャイナファースト”だと解釈した

国産、自力再生、国有企業——―。

今回の習近平東北視察をめぐる3つのキーワードであったと筆者は総括しているが、昨今米国との間で激化し、出口の見えない貿易戦争においても話題になっている「Made in China2025」という国家戦略を議論する際にも、これらのキーワード、そしてその背後に潜む習近平本人のDNAが考慮されるべきであろう。

トランプ米大統領は選挙キャンペーンを通じて「米国の労働者を雇い、米国の商品を買え」と言い、それをもって“アメリカファースト”というスローガンを掲げた。

今回、習近平は「国産を作り、国産に頼り、国産を愛せ」というメッセージを随所で訴えていた。筆者はそれを一種の“チャイナファースト”だと解釈した。米中貿易戦争に出口が見えない根本的な原因や背景にこういう部分が質的に影響しているのだと考えさせられた。

習近平の東北三省、4日間にわたる視察に最初から最後まで同行していたのが劉鶴・国務院副総理である。米中経済貿易対話・交渉の中国側統括者だ。

習近平は自らが信頼し、相互に必要とし、良好な関係を築いてきた劉鶴を今回の視察に終始同行させ、これから長期化する見込みの対米貿易戦争を戦い抜き、勝利するために中国側に必要な精神を劉鶴にたたき込もうと目論(もくろ)んだのかもしれない。

(国際コラムニスト 加藤嘉一)

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『ドラッグの運び屋を捕捉せよ!アリヴァカ、灼熱の「国境自警団」』(10/9日経ビジネスオンライン 篠原匡、長野光)について

10/10日経<南北共演、極まる核危機   本社コメンテーター 秋田浩之

北朝鮮の金正恩委員長は7日、訪朝したポンペオ米国務長官に、非核化の道筋を話し合う実務協議に応じると約束した。一見すると、対話が続き、核危機は最悪期を脱したように映る。

しかし、冷静に状況をながめれば、現実は逆だと思う。北朝鮮による核武装という最悪のシナリオが、瀬戸際に近づいているとみるべきだ。

そう考える理由は2つある。ひとつは韓国が南北の融和を一気に先行させ、北朝鮮の包囲網が風前の灯になっている。第2にトランプ米大統領が功を焦り、交渉に一段と前のめりになっていることだ。このままでは外交の圧力は大きく弱まり、正恩氏は核を手放さなくても大丈夫だと結論づけてしまうだろう。

このうち前者について、先週、耳を疑うような発言が、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相から飛び出した。

核施設や核兵器のリストの提示は当面、求めない。北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)の核施設などを解体すれば、見返りに終戦宣言に応じる――。

彼女は10月3日、米ワシントン・ポスト紙の取材でこんな提案を唱えた。北朝鮮の意にほぼ、沿った案だ。これは、すべての核施設・兵器をまず申告させるという、日米の基本路線に逆行する。

米研究機関などの分析によれば、北朝鮮は20~60個の核爆弾を持ち、核施設は40~100カ所にわたる。北朝鮮はこれらリストの提示を拒み、一部施設の解体で逃げ切ろうとしている。

韓国もそんなことは百も承知のはずだ。ところが、ワシントン・ポスト紙に示した妥協案をひそかに米国に打診し、受け入れを働きかけている。

舞台裏では最近、南北融和に走る韓国に、ポンペオ国務長官が激怒する騒ぎもあった。「いったい、何を考えているのか」。彼は9月下旬の電話で、康外相をこう難詰したという。

原因は、先月18~19日の南北首脳会談で交わされた軍事分野合意文書にあった。米軍として到底、受け入れられない内容であるばかりか、韓国側から事前に詳しい説明や協議がなかったのだという。

とりわけ米側が怒っているのが、南北境界線の上空を飛行禁止区域にしてしまったことだ。米韓両軍はこの上空に頻繁に偵察機などを飛ばし、北朝鮮軍を見張っている。それが封じられたら、目隠しされたにひとしい。

さらに軍事分野合意文書は、米韓軍事演習を大きく制限する項目も含まれている。米議会関係者からも「韓国はもはや、在韓米軍はいなくなってもよいと思っているのでは」との声が聞かれる。

米国との対立を深める中国とロシアは、すでに北朝鮮をかばう態度を鮮明にしている。9月の国連安全保障理事会でも、中ロは制裁の緩和を公然と求めた。

そこにきて韓国までもが日米側から離脱すれば、核危機をめぐる構図は「日米vs中朝韓ロ」になってしまう。北朝鮮が強気になり、制裁緩和を迫るなど要求をエスカレートしているのも、包囲網の緩みを受けてのことだ。

では、韓国はなぜ、まるで北朝鮮と共演するような動きに出ているのか。韓国専門家らによると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はただの人気取りではなく、本当に正しい道だと確信し、南北の先行融和路線を走っている。韓国にとって最優先は非核化よりも、朝鮮半島での戦争を防ぐことにあるからだ。

韓国の立場になれば、分からない話ではない。戦争になれば、韓国側にも数万~数十万人の死傷者が出るという試算がある。さらには、北朝鮮が核を温存しても、将来、統一すれば問題ないという発想もあるのだろうか。

それでも長い目でみれば、融和先行路線は韓国にも危険な道だ。このままなら北朝鮮は核兵器をため込み、在韓米軍の機能も下がる。日米の安全保障専門家は将来、北朝鮮が武力統一に動く余地を与えてしまうと心配する。

本来なら日米が韓国の融和路線にブレーキをかけ、結束を締め直すときだが、見通しは明るくない。すでに触れたように、外交の手柄に飢えたトランプ氏も、終戦宣言に前のめりだからである。

トランプ氏はむろん、非核化をないがしろにするつもりはないが、米外交ブレーンによると、目に見える成果を早く出すよう、側近を急かしている。非核化の進展が不十分のまま、終戦宣言に乗ってしまう危険がある。

文大統領からすれば、ポンペオ国務長官や強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)がいくら抵抗しても、トランプ氏を取り込みさえすれば、終戦宣言に持ち込めると映るようだ。そうなれば、構図は「日米vs中朝韓ロ」よりも厳しくなる。

正恩氏が年内にソウルを訪れ、トランプ氏が合流する。北朝鮮から核リストが提示されないまま、米国と南北が終戦宣言に署名する……。外交関係者の間で、こんな筋書きがささやかれる。

北朝鮮に核が残れば、日本も深刻な脅威にさらされる。そうならないよう、安倍晋三首相は電話も含めると、三十数回にわたりトランプ氏と話し、非核化を説いてきた。尋常ではない頻度だ。

それでもトランプ氏を制御できないなら、40回でも、50回でも働きかける価値がある。あきらめるには、あまりにも代償が大きいからである。>(以上)

10/10JBプレス古森義久<トランプ大統領が「天敵」CNNから褒められた CNNが認めた「2つの政治的な足跡」とは>には①保守派のカバノー最高裁判事の任命②49年ぶりの経済好転をクリントン・ニュース・ネットワークと揶揄されるCNNが褒めたくらいですから。北朝鮮のニュースに米国民が関心を持っているとは思えません。「核搭載のICBMを米国にブっ放す」とでも脅せば別でしょうけど。北との融和は中間選挙対策にはならないでしょう。それより、ヘイリーが国連大使を辞めて、2020年の大統領選に出るという噂の方が国民の関心事では。残念ながら民主党の候補はいませんが。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54342

10/10NHKニュース5:42<福島などからの食品輸入規制 継続の是非問う住民投票へ 台湾

台湾では、来月24日に行われる統一地方選挙に合わせて、東京電力福島第1原子力発電所事故のあとから続く福島県など5つの県からの食品の輸入規制を継続するかどうかをめぐって住民投票が行われる見通しとなりました。

この住民投票は、野党・国民党が署名を集めて実施を求めていたもので、台湾の中央選挙委員会は9日、署名が必要な数を超えたとして実施を決定しました。
与党・民進党は規制の緩和を検討していますが、野党・国民党は規制を継続すべきだとしており、住民投票の結果、規制の継続が支持されれば、日本が求めている規制の解除が当面難しくなるおそれがあります。
これについて、台北にある日本の窓口機関「日本台湾交流協会」の沼田幹夫代表は、日本国内で流通している食材は安全だと指摘したうえで「食品の輸入規制の是非は、本来、科学的・専門的な見地から冷静に判断されるべきものが政争の具にされている。良識ある台湾の皆様の冷静な判断をせつに希望する」というコメントを発表しました。>(以上)

10/10NHKニュース5:42<五輪に「台湾」で参加求め住民投票へ 中国は反発か

台湾で、スポーツの国際大会での呼び方を「チャイニーズ・タイペイ」から「台湾」に変更して、東京オリンピックなどの参加申請を行うべきかを問う住民投票が来月行われることになりました。今後、中国の反発も予想されます。

この住民投票は、台湾の市民団体が実施を求めていたもので、台湾の中央選挙委員会は9日、有効な署名が必要な数を超えたとして、住民投票を実施することになったと発表しました。投票は、台湾で来月24日に控えた統一地方選挙に合わせて行われる見通しです。
「チャイニーズ・タイペイ」という呼び方は、1981年にIOC=国際オリンピック委員会との合意で決まり、台湾を中国の一部とする中国政府もこれを受け入れてきました。
しかし、これを変えようとする台湾での動きは、これまでの合意に反するとして中国側から問題視され、来年、台湾で開催される予定だった国際的なユース大会も中止に追い込まれました。
今回、住民投票の実施が決まったことで、中国のさらなる反発も予想されます。>(以上)

蔡・頼コンビはうまいことを考えました。台湾正名運動の一つであるスポーツ大会での呼称と福島産食品の輸入をセットで国民投票にかけるとは。(NHKは「住民投票」と言っていますが、正しくは国民投票です、中共に気兼ねしているのがありあり)。国民党(≒外省人=中国人)提案の福島産食品輸入の国民投票と刺し違える形で正名運動を投票にかけるのでは中国も少しは文句をつけにくくなったでしょう。後は投票で福島産の輸入が認められ、東京オリンピックの呼称も台湾と言う結果が出るのを願っています。何せ外省人より本省人が多いので、それが結果に反映されればと。

http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3341.html

篠原、長野氏の記事は長いので、簡単にコメントします。ジェイソン・モーガン先生の授業で米国の保守派の定義は「憲法を守る人達」と習いました。でも日本の護憲派と違い、憲法修正したものも含め、かつ法執行を厳格にと考える人達です。この逆がリベラルと言われ、この記事に出てきますようにBorder Angelsのエンリケ・モロネスのような人物を指し、彼らは法を蔑ろにします。聖域都市を作っているのはリベラル民主党の政治家でしょう。彼らは犯罪を幇助しているのに気が付いていないか、気付いても無視します。法治国家が効いて呆れます。こういう人たちは牢に入れてやった方が良い。オバマやヒラリーを含めて。

記事

太平洋岸のサンディエゴからメキシコ湾岸のブラウンズビルまで、米国とメキシコを分かつ3000キロ長の国境線。その国境が米国の政治や経済、社会の最重要課題に浮上したのは、あの男がホワイトハウスを奪取してからと言っていい。第45代アメリカ合衆国大統領、ドナルド・トランプである。

不法移民の締め出しやビザ発給の厳格化によって米国で働くハードルは確実に上がった。関税の導入や自由貿易に対する嫌悪感は、米国への輸出を前提にした国境沿いの企業を不安に陥れている。壁の建設こそ実現していないが、人とモノの流れを妨げる障壁は既に構築されつつある。米国と世界を揺るがしているイシューの震源地は紛れもなく国境だ。

米国の国境では何が起きているのか。それを取材すべく、取材班は国境沿いのコミュニティを訪ね歩いた。国境に生きる人々の悲喜劇と、国境を舞台に繰り広げられる人間模様--。

1回目はアリゾナ州アリヴァカを拠点に活動する自警団を取り上げる。アメリカはエクストリームな国だが、ここに登場する男もまた、常軌を逸している。

(ニューヨーク支局 篠原匡、長野光)

「こっから先は揺れるぞ。しっかりつかまっていろよ」

迷彩帽とカーキのTシャツを着た男は、そう言うとジープのアクセルを踏み込んだ。首の後ろに彫られたタトゥーは“DILLIGAF(Does It Look Like I Give A Fuck:知るか、ボケ!)”。59歳にはとても見えないほど深く刻み込まれた顔の皺、それはアリゾナの強い日差しと乾いた大地に肌をさらし続けたからだろう。長年、体一つで身を立ててきた男の顔である。それも彼にとっては勲章だ。

男の名前はティム・フォーリー。アリゾナ州ノガレス郊外のアリヴァカに拠点を置く自警団、“Arizona Border Recon”のリーダーである。

自警団のリーダー、ティム・フォーリー

乾いた泥がこびりついたフロントガラス、その向こうには米国とメキシコを隔てる国境の山々が見える。道らしき道はない。あるのは、年老いたような赤茶けた大地とむき出しの岩、ところどころに茂る灌木ぐらいのものだ。そして、お構いなしにジープは国境に向けて突き進む。

「きれいだろ。オレはこの風景が大好きなんだ」

活動内容はドラッグカルテルの監視である

「国境の壁」は既に建設されている

トランプ政権になって以来、「国境」が米国の政治や経済、社会の主要な争点に浮上している。

NAFTA(北米自由貿易協定)によって、米国、カナダ、メキシコの3カ国の関税はほとんどすべてが撤廃された。メキシコで製造された工業製品も一定の原産性を満たせば関税ゼロで米国に輸出できる。米商工会議所によれば、1994年のNAFTA発効以来、カナダやメキシコとの貿易金額は4倍になり、1400万件の雇用創出につながったという。NAFTAが最も成功した自由貿易協定といわれたゆえんだ。

だが、アメリカ・ファーストを唱えるトランプ政権はNAFTAの再交渉に着手、原産地比率の引き上げや酪農市場の開放など米国に有利な条件をカナダやメキシコに飲ませた。NAFTA離脱や完成車に対する関税をちらつかせながら渋るカナダとメキシコを個別撃破した結果である。さらに、外資による米企業の買収審査は厳格化された。対中関税や鉄鋼・アルミ関税は相変わらず世界経済の重石になっている。

米国とメキシコの国境に立てられたフェンス(写真はアリゾナ州ノガレス)

アリゾナの山岳地帯にあるフェンス(写真はトホノ・オーダム・ネーション)

社会的に見ても、国境の壁は日に日に高く積み上げられている。不法移民の親子を引き離して収容するゼロトレランス(不寛容)政策は米国社会に激しい賛否を巻き起こした。高度な技術を持つ外国人向けのビザ「H1B」の枠も実際に減らされている。日本人駐在員でも、ビザ更新がうまくいかなかった人がいる。実際に物理的な壁ができるかどうかはともかく、トランプ政権は人やモノの流入を制限し始めている。いわば仮想バリアの構築だ。

グローバル企業やリベラルなメディアの多くは貿易障壁の撤廃や開かれた国境を望んでいるが、1990年代に端を発する自由貿易の拡大プロセスで米国の労働者や中間層が打撃を被ったのは紛れもない事実。不法移民やドラッグの流入など国境管理にまつわる問題にも直面している。トランプ大統領の強硬路線を支持する人は根雪のように存在する。

それでは、国境で暮らしている人々はトランプ政権についてどう考えているのか。それを聞こうと調べる中で、ふとArizona Border Reconの存在を思い出した。メキシコの麻薬カルテルと戦う自警団を描いた『カルテル・ランド』に、フォーリーが登場していたことを思い出したのだ。すぐに彼にメールを送ったところ二つ返事でOK。そして取材班はアリゾナの荒野をジープで爆走している。

空を見上げると、まだ昼だというのに、どす黒い雲があたりを覆い始めている。7月下旬、アリゾナの国境付近では毎日のように雷が発生する。この辺りは乾燥したソノラ砂漠の一部だが、カリフォルニア湾から来る湿った空気が雷雨を伴った熱帯性低気圧を作り出すのだ。この後の国境探索で雨に降られるのは間違いない。国境のオフロードを走り回るという得がたい経験に興奮しつつも、後々のことを考えると少し憂鬱な気分になる。

フォーリーの愛車で道なき道を突き進む

30分ほど道なき道を走ると、フォーリーはジープを止めた。彼が言う「給水ポイント」をチェックしに行くためだ。

Arizona Border Reconの活動地域はアリゾナ州ノガレスとササベの間にある幅50マイル(80km)ほどの山岳地帯だ。ノガレスやササベの国境にはゲートがあり、出入国管理事務所の担当官がメキシコから入国する人々を厳しくチェックしている。その周辺にも高さ10メートル近くはありそうな鉄製フェンスが屹立しており、国境警備隊の目をかいくぐってフェンスを乗り越えるのは至難の業だ。だが、その間の山岳地帯は警備も緩く、麻薬カルテルの運び屋や不法移民の格好の抜け道になっている。

運び屋の足跡をトラッキング

もっとも、国境から近隣の集落まで軽く10キロはある。気候は厳しく、真夏には40度を超えるため脱水症状で死ぬ人間も出る。そのため、人道的な見地からリベラル団体が水や缶詰などの救援物資を山の中に置いているが、国境を越える人間は不法移民の親子だけでなく、麻薬カルテルが組織した運び屋ももちろん交じっている。

フォーリーの具体的な活動は、そういった運び屋のトラッキング(追跡)だ。

ハンターが野生動物の足跡や糞を調べて追い詰めていくように、給水ポイント周辺の足跡を調べ、運び屋のルートを特定する。通常、ドラッグの運び屋は隊列を組み、重量のある“商品”を担いでいることが多い。運び屋かどうかは足跡の人数や足跡の深さなどで見極める。実際に運び屋を発見した場合は直ちに国境警備隊に突き出す。

「国境警備隊は四六時中ここにいるわけではないし、彼らの基地から国境まで片道2時間はかかる。でもオレはここに毎日24時間住んでいるし、国境まで30分しかかからない。だから、オレがここを守っているんだ。背後の広大な土地はカルテルのゲームの舞台。オレたちはやつらのゲームで遊んでいるんだよ」

あの山を越えればそこはメキシコ

灌木や涸れ川を避けてしばらく歩くと、ある給水ポイントにたどり着いた。周囲には空の水ボトルやゴミが散乱している。まだ開けていない豆の缶詰も10個以上置いてあった。フォーリーはしきりに地面の足跡を探している。

「これを見ろ。メキシカン・レインコートだ」

フォーリーは黒いポリ袋をつまみ上げると、取材班に見せた。

「メキシカン・レインコート?」

「やつらは穴を開けたゴミ袋を頭からかぶるんだよ。オレたちはメキシカン・レインコートと呼んでいる。こういうものや空のボトルを見つけた場合、やつらがどちらの方向に行ったのかを確認する」

「それから、君らの横に青いふたの水ボトルがあるだろ。そこに連中は“Good Luck”と書くんだよ」

「連中って不法移民?」

「違う。人道主義者だよ、リベラルの。あいつらはゴミの片付けもしねえ」

「ここに水を置いたのはいつ頃だと思う?」

メキシカン・レインコート。正体は頭を出す穴を開けたゴミ袋

「この状況を見るに、恐らく火曜日(3日前)だろう。見てみな、わざわざケースで囲ってやがる。この辺の動物がかじるのが分かっているんだよ」

「しかし、人道的な見地から水を置くという行動は理解できる」

「オレたちだって、あやしいやつを見つけた時は食べ物や水、薬を渡してから国境警備隊に引き渡す。ここは40度を超える過酷な環境だ。だが、子供を連れた不法移民がどれだけいると思っている? ここを通る85%はドラッグで、人間は15%にすぎない」

「それに、子供が自分の子供かも怪しいもんだ。あとでオレが撮った映像を見せるが、大半は組織的な運び屋だ。あいつらは途中でただ飲み食いしていく。人道主義者はカルテルに協力しているようなもんだ」

リベラルグループが置いた救援物資

山の上にドラッグカルテルの監視ポイント

そこまで言うと、フォーリーはおもむろにスマホの地図アプリを開いた。周辺の水置き場とカルテルの監視ポイントがプロットされている。2キロ圏内に10を超える水置き場があるという。

「あの山を見ろ。あそこにはカルテルの監視ポイントがある。この黄色のプロットはやつらの監視ポイントだ。オレはすべての山に登って確認した。監視ポイントの双眼鏡をのぞいたら、オレの家が見えたよ。くそったれ」

フォーリーによれば、カルテルの運び屋は10〜20人の集団で山を越える。アリヴァカの自宅でフォーリーが仕掛けたビデオ映像を見たが、大きなリュックを背負った男たちが列になって進む様子が映っている。ある男は手に受信機と双眼鏡を持っていた。この人物が道案内役だという。

「1回の往復は10日ほど。前に聞いた話では、運び屋の報酬は1回で650~1000ドルだそうだ」

「密輸の報酬としては大したことがない気がするが……」

「1000ドルは1万8000ペソだぜ。メキシコではデカいよ。1日のハイキングで100ドル。悪くない報酬だ」

これまで見つけた最大の獲物は560パウンド(約250キロ)のドラッグだ。ある時、自宅の前をキャンピングカーが走り去った。「怪しい」と直感したフォーリーは愛犬を連れて後を追った。そのまま監視していると、キャンプの準備をするわけでもない。そのうち大きなバッグを背負った男が木陰から走ってきては何かを下ろし始めた。最後に麻袋を燃やし始めたのを見て国境警備隊に通報した。

「捕まった連中は米国の市民権を持っていたよ」

実際に山の上からカルテルが監視しているかどうかは確認できなかったが、山や小高い丘に囲まれており、そう言われると、誰かに見られているような気分になる。われわれの他に誰もおらず、いつどこで運び屋と鉢合わせするかも分からない。向こうにこちらを襲うメリットはほとんどないというのは理解しているが、フォーリーが腰に吊り下げている拳銃だけではいささか心許ない。

カルテルの監視所がある山

ちなみに、フォーリーに話を聞いた2週間後、取材班がティフアナの国境で取材していると、Border Angelsの創設者、エンリケ・モロネスに偶然会った。フォーリーが人道主義者と言って批判している団体だ。彼らは30年以上、国境の砂漠に水を置く活動を続けている。世界中で移民や難民を支援しており、その活動に賛同したボランティアは5000人を超える。この日はティフアナ事務所の記念イベントがあり、ティフアナに来たという。

「Arizona Border Reconはあなた方の活動がカルテルを利するだけだと批判しているが……」

「彼らのことは知っている。ヘイトグループの民兵だ。ヘイトグループはわれわれが置いた水を隠したり、移民を撃ったり、嫌がらせをしたりする。KKK(クー・クラックス・クラン)みたいなものだ。トランプ以上の差別主義者はいないがね」

「合法的に米国に入国すべきだという意見もある」

「彼らは合法的に来る術のない人々だ。ビザが取れないから命のリスクを抱えて国境を渡る。実際、彼らが並ぶ列なんてどこにもないよ。不法移民が国境を渡るのは、仕事が必要だったり、家族と一緒にいたかったり、危険な環境から逃げ出すためだ。壁を作ったり、自警団を組織したり、親と子を引き離したり、そんなことは非人道的だ」

「ドラッグの問題はどう思う?」

「薬物は問題だ、だが、それは需要側、つまり米国の問題だ。越境する移民は問題ではない」

「トランプは?」

「邪悪だ。ヘイトを促進している。しかも、彼は(大統領選の)一般投票で負けていた。彼は米国の大統領でいるべきじゃない」

「われわれはかつてないほど忙しい。壁の建設を主張したり、移民の親子を引き離したり、非人道的なことをしているからだ。われわれは愛に国境はないと信じている」

右派と左派。両者の主張が交わることはないが、いずれの主張も理解できるだけに、この問題は一筋縄にはいかない。

「彼らはヘイトグループの民兵だ」と語る移民支援団体の創設者

メンバーは元軍人から心臓外科医まで

Arizona Border Reconのメンバーは80人ほど。消防団員や警察官から元軍人、トラックドライバー、心臓外科医まで様々だ。みんなフォーリーの活動に賛同した無給のボランティアで、休みなどを利用してアリヴァカの拠点に集まる。通常は4~5日、長い時は7日間、国境の山の中にベースキャンプを作り、パトロールに従事している。この日のように、他の仲間が来ていない時は給水ポイントの偵察がメインだ。

「ここにはいろんな人間が来る。ウルグアイ、エルサルバドル、ガーナ、スペインなど、他の国から来て市民権を得た人間も多い。彼らは何年もかけて、正しい方法でこの国に入ってきた。そういう人間にとって、不法に入国してうまみをむさぼるような連中は許せないんだよ」

「元軍人もいると言っていたが……」

「ああ。ちょっと前までPTSD(心的外傷後ストレス障害)の男が来ていた。確か35歳だったな。これまでに5回、戦場に行っている男だ」

「なぜPTSDの人がここに?」

「普通の生活が送れないんだよ。なぜなら、そういうふうにトレーニングされているから。彼らはここで一緒に外に出て、山に登り、つらい生活を送る。それで気分が楽になる」

「どういうこと?」

「つまりこういうことだ。軍隊に入ると市民的な思考や感覚は剥ぎ取られ、軍が望む形に作り替えられる。それは何ごとに対しても恐れない人間であり、戦場のあらゆるストレスに対処できる人間だ。そんな時間が長く続くとそれが人生になっちまう。脳みそがそういうふうに機能するようになるんだよ。だが、任務が終わり、社会に放り出されると、今度は何を考えればいいのか分からなくなる」

「兵隊は何も考えない」

「それと、戦場では自分の周りにいる人間はみんな敵に見える。そうだろ? だからいつも警戒していなきゃいけない。だが、町では大勢の人間やクルマが動き回っている。騒音だらけだ。それが彼らを動揺させるのさ」

「ここだと、大自然の中で昔の軍隊生活を思い出すことができる?」

「そうだ。この半年に4人の退役軍人が来た。命を助けてくれてありがとうと感謝していたよ」

地面の足跡をしきりに探している

落下傘、アルコール依存、そして国境監視

イラク戦争後、米国ではホームレスになる退役軍人が続出して社会問題になった。退役軍人は社会保障など様々な面で優遇されているが、軍隊と市民生活のギャップに順応できず、苦しむ例は枚挙にいとまがない。

冷戦後、世界の警察官としてグローバルに軍隊を派兵した米国。そのピークが2003年からのイラク戦争だったと言っていいだろう。トランプ大統領が語るように、米国は今なお世界最強の軍事力を誇る。だが、その背後には心が壊れた無数の屍がいる。

実のところ、フォーリー自身が退役軍人である。

フォーリーはレーガン政権の1982年に米軍に入隊、AA(All American)の愛称で知られる第82空挺師団に所属した。航空機からパラシュートで飛び降りる命知らずの落下傘部隊である。もっとも、フォーリーが入隊したのはベトナム戦争後であり、実際の戦場は減っていた。1年半後に除隊したこともあって、実際に戦場に出たことはない。

彼が除隊した理由は、本人いわくアルコールへの依存だ。

戦場に立てないフラストレーションか、幼少期の虐待経験が影響しているのかは定かではないが、当時のフォーリーは毎晩のように酒を飲み、ケンカに明け暮れていた。そのうち軍の中でフォーリーの相手をする人間も減り、街のバーで一般人とトラブルを起こし始める。1982年に基地内の刑務所にいたという記録も残っており、おおかた酒と暴力のトラブルで除隊処分になったのだろう。

その後は覚醒剤にハマった時期もあったが、20年ほど前にアルコールやドラッグをすべて絶ち、建設現場で働き始めた。現在は年金と寄付で国境監視活動を続けている。

「人間には何かしらの使命がある。だからオレはここにいる」

ドラッグの密輸が国境で暮らす人々にとって深刻なイシューになっているのは確かだが、自警団を組織し、野営しながら運び屋を追跡するというのは個人の活動としては常軌を逸している。彼は使命感が原動力だと言うが、アルコールとドラッグから抜け出す中で国境監視活動に自身のレゾンデートルを見いだしたのではないか。

「そこは気をつけた方がいい。Fire ant(ヒアリ)だ。噛まれるとクソみたいに痛いぞ」

過酷なアリゾナの自然環境。その中に身を置いていると、全身にエネルギーがあふれてくるのを感じる。

アリゾナの国境地帯。アフガニスタンといわれても違和感がない

給水ポイントに30分ほど滞在していると、予想通り、大粒の雨がポツポツと落ち始めた。乾いた大地がみるみる赤く染まり始める。

「カメラが濡れると一大事だろ。早くクルマに戻って次のポイントを見てしまおう」

そう語ると、早足でジープに戻り、再びオフロードを走り始めた。ジープに窓はなく、後輪が跳ね上げた泥が容赦なく降りかかる。それまで道だった窪地が川に変わっていく。

「あれ、水置き場がないぞ? モンスーンの時期になるとまわりの植物が雨で育っちまうんだ。風景が変わるんだよ。あれ、やっぱりないな。ちくしょう、あいつら場所を動かしたな」

ブツブツ言いながらフォーリーが給水ポイントを探している間に雨脚はさらに強くなった。雷鳴もどんどん近づいている。正直、カルテルの運び屋と遭遇するよりも雷の方がはるかに恐ろしい。

「雨の日ほど運び屋が増える。雨の時ほど仕事の時間だ。国境警備隊は雨の日には出てこないからな。こんな時にここにいるのはオレみたいに狂っているやつだけだよ」

そこまで言うと、フォーリーはきびすを返した。

「よし戻ろう。今日はここまでだ」

大雨でできた川など何のその

不法移民の原因としてのNAFTA

フォーリーがArizona Border Reconを設立したのは2010年に遡る。その理由の一つは国境で起きている事実を世間に知らしめることにある。

麻薬カルテルの運び屋が国境を越えるのは米国にドラッグの根強い需要があるため。処方箋薬の鎮痛剤、オピオイド(ヘロインの一種)の依存症からヘロインや覚醒剤などの依存症に移る人間も多く、違法ドラッグだけの問題ではないが、理屈の上では米国人がヘロインやメス(覚醒剤)などの使用をやめればドラッグの流入も減る。だが、国境に住むフォーリーにすれば、犯罪者が土足で庭に入り込んでいるに等しい。

「メディアは不法移民の親子が引き離された話ばかりを報じて、国境のリスクについては語ろうとしない。だが、それは真実の半分だ。メディアで語られることとは違う」

もう一つは不法移民に対する単純な憤りだ。

米国の労働者の平均時給は右肩上がりで増えているが、インフレを加味した実質賃金で見ると、1970年代とほとんど変わらない。労働分配率の長期的な低下やグローバリゼーションの影響に加えて、安価な移民労働力の増加によって賃金上昇が抑えられた面もあるに違いない。除隊後、建設現場で働いていたフォーリーはその影響をもろに受けた。

さらに、10年前の苦い記憶もある。

米国人を奈落の底に突き落とした金融危機。フォーリーも金融危機で仕事と自宅を失った。ところが、行く先々で不法移民が建設の仕事に就いている。不法滞在がばれても強制送還されることもなく、数カ月後には別のIDを作って現場にいる。税金を払わず、社会システムだけを利用する。

「3カ月の夏休みだと言っていた。ふざけるなって話だ」

そこで、有り金をはたいてArizona Border Reconを設立した。当初の目的は不法移民の密入国を防ぐことだったが、カルテルが人間とドラッグの密輸を取り仕切っていることを知り、カルテルの排除に目標を変えた。彼もまた、金融危機の被害者である。

ドラッグの運び屋が使っていた麻袋

メキシコ移民の歴史をひもとけば、もともとはカリフォルニアやアリゾナの農家の収穫を手伝う季節労働者である。1942年から1964年まで続いたブラセロ・プログラムでは、約450万人のメキシコ人がゲストワーカーとして米国に渡った。1964年のプログラム打ち切り後、そのまま米国に居着いたメキシコ人は数多い。

その後も農業や建設業、飲食業など安価な労働力を求める需要は強く、国境の南から北に向かう流れは続いた。ピューリサーチセンターによれば、1990年に350万人ほどだった不法移民はピークの2007年に1220万人に達している。その半分がメキシコである。

「リベラルがやっているのは犯罪者に市民権という利益を与えることだ。子供が悪さをした時に怒らないで、おもちゃを買うカネをやるようなもんだよ。刑務所を見てみろよ。中にいる犯罪者の多くは不法移民だぞ。この国にはもう十分悪いやつらが入り込んだ。これ以上、輸入する必要はない」

不法移民が増加した背景にはNAFTAの影響もある。

北米3カ国の関税が撤廃されたことで、トランプ大統領とその支持者が主張するように米国の製造業はメキシコや中国に流れた。だが、同様に安価な米国産トウモロコシが流入したことで、メキシコの農業も大打撃を受けた。とりわけ貧しい南部の小規模農家に与えた影響は深刻だった。そして、彼らは故郷を捨て、国境沿いの工場や米国を目指した。

1845年のテキサス併合以降、メキシコは地続きの最強国に蹂躙されてきた。米墨戦争の敗北によって、現在のカリフォルニアやアリゾナ、ニューメキシコ、コロラドなど当時の国土の半分を失った。その後のアメリカ資本による鉄道網の構築やプランテーションの経営は搾取と貧富の差の拡大を産み落としている。さらに、第2次大戦に伴う労働力不足を解消するため、ブラセロ・プログラムを導入したが、米政府によって一方的に終止符が打たれた。そして、NAFTAである。

隣国の悲哀と言ってしまえばそれまでだが、メキシコから見れば、米国の都合によって国境の壁の高さが変わっているようなものだろう。

フォーリーが言う「刑務所の中の多くは不法移民という話」は正直よく分からない。リバタリアン系のシンクタンク、米ケイトー研究所によれば、不法移民の収監率は0.8%と米国生まれの半分以下に過ぎない。右派は当然のように主張しているが、不法移民に犯罪者が多いというのはバイアスである可能性も高い。

「君らの国の移民政策を見てみろよ。最高に厳しいじゃないか。そういう政策によって文化やアイデンティティ、主権が守られる。だから、オレはここにいるんだ。この国を愛しているから」

彼の主張していることは、Brexit(英国のEU離脱)に一票を投じたイギリス人やアメリカ・ファーストの理論的支柱のスティーブン・バノンに近い。

国境を徒歩で越えるドラッグの運び屋

「トランプ大統領についてはどう思う?」

「今のところは支持している。反対サイド(リベラル)を支持するわけにはいかないからな。彼はこの国を本当に愛していると思う」

「壁はどう? 意味ある?」

「ある程度は効果的だろう。庭にフェンスがあって、キッチンから誰かが覗いていれば誰も庭に入ってこない。では、買い物に行っている間はどうか。ここも同じだ。見張りは必要だ」

「じゃあ、トランプ大統領を信用している?」

「信用は自ら手に入れるもので、与えられるものではない。今のところ、彼は自分の言ったことをちゃんと実行している。だから信用を集めるんだ」

「改めて不法移民については?」

「この国は世界に多くを与えている。多くの人を助けている。それは誇るべきことだ。だが、誰でもいいから入っておいでというのは違う。長年、建設関係の仕事についてきたが、不法移民が入ってきたことで賃金は下がった。賃金は下がったが税金は下がらない。アメリカ人の生活水準は豊かだったが、政治家がスタンダードを下げたんだ」

「それが、トランプ大統領が誕生した原動力だった」

この国のすべてをぶちこわしたのはポリティカル・コレクトネスだよ。オレたちはいい大人だ。オレが言ったことが君を傷つけることもあるだろう。ムカついた君はオレを殴るか、中指を立てて去っていくかだ。ところが、今は『そんなことを言っちゃダメだ。人の心を傷つけちゃう』だ。オレが首に入れているタトゥーの意味が分かるか? オレが君の気分を害するように、君もオレの気分を害するだろう。それが人生ってもんだ。受け入れるべきだろう?」

「なぜそこまでポリコレが進んだ?」

「リベラルの泣き声が大きいからだ。保守の連中が怖くて口をきけなくなった。アレを言っちゃダメ、コレを言っちゃダメ。言えばレイシスト(差別主義者)のレッテルを貼られる。その人間が何をしているかなんて何の問題にもならない」

「トランスジェンダーのトイレ問題があるだろう? 女性の格好をして女子便所に行くがペニスはついている。まだついているんだぜ。男だろ、それは。それを口にすれば瞬殺でレイシストだ。オレは切り落とすまで女だとは認めない」

「オバマ前大統領はどう評価する?」

「正直、何とも言えないが、彼の8年間に間違ったことはなかったか? ストリートで抗議は一度も起きなかったか? だが、トランプになれば、あいつのやっていることはすべて間違っている、だ」

「先日、フェイスブックでリベラルの活動家がアップした写真を見た。フェンスの中にいる子供の写真で、トランプ政権のゼロトレランス政策を批判したものだ。ところが、だ。写真の日付を見るとオバマ大統領の任期中だ。やったのはお前んとこの野郎じゃねえか。いずれにせよ、この問題は難しい。政治イデオロギーの問題なんだ。みんな右か左。真ん中はない」

Arizona Border Reconの拠点(フォーリーの自宅)

カリフォルニア大学ヘイスティングス法科大学院で法律学の教授を務めるジョアン・C・ウィリアムズがウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で語ったように、リベラル政治家やビジネスエリートは世界市民を自認している。若きエリートの中には国境という概念そのものを否定する人間すらいる。

一方で、フォーリーのような労働者階級の白人はアメリカ人であることに誇りを感じている。その源流が「白人がマジョリティのアメリカ」だったとしても。トランプ大統領の一つの功績は白人に鬱積していた不満を表に出したことだ。今後、アジア系を含め非白人の比率は増加する。その過程で、国境の壁を求める声はさらに強くなっていくに違いない。

「問題は人種ではなく持続可能性だ。学校、病院、刑務所。どこも満杯だが、その費用は払うのはオレたち納税者だ。毎年、不法移民対策に130ビリオン(1300億ドル)を使っているんだぞ。ダメだろ、そんなの」

米Federation for American Immigration Reformによれば、連邦政府や州政府、地元自治体が負担している不法移民の対策コストは1349億ドルに達する。不法移民の納税額は189億ドルと見積もっており、差し引き1160億ドルの負担だ(いずれも2017年の数字)。この金額が多いか少ないかは意見が分かれるかもしれないが、納税者として腹が立つ気持ちは理解できる。

国境のドン・キホーテ

国境の監視ポイントを出て30分ほど。フォーリーの自宅に戻り、温かいお湯で顔と手を洗う。ワイシャツは無残にも泥だらけだが、国境の非日常から現実社会に戻った気分になる。ふと見ると、壁に12ゲージのショットガンが立てかけてある。聞けば、自衛のためだという。

「運び屋を見つけた場合、どういう対応を取る? ライフルで威嚇する?」

「しないしない。運び屋を見つけた時は4人ずつに分けて北と南から挟み込む。こちらも武装しているが、銃は決して向けない。実際、武装した8人の男に囲まれれば、向こうも『やっちまった』となるだろう。逃げれば逃げたで構わない。案内役とはぐれてバラバラになれば、道に迷って座り込むか、オレたちのキャンプに投降してくる」

「国境警備隊に引き渡した後は?」

「強制送還されるが、すぐにまた戻ってくるよ」

「これまで戦闘になったことは?」

「ない。オレたちの表現で言えば、今のところは『ソフト・ウォー』だ。カルテルは損得で判断する。オレたちがドラッグを見つけても今のところは利益の方が大きい。だが、状況は変わりつつある」

「銃を持つ運び屋の姿が多くなっているのを確認している。先月、4マイル向こうで国境警備隊が4発撃たれた。テレビは30秒報じただけで、すぐに引き離された移民の親子の話になったけどな。それは真実の半分だ。やつらとバトルになるのは時間の問題だろう」

「向こうは当然、あなたのことを知っているよね」

「面白いことがあったよ。ブッシュに隠れている二人組を見つけた時、オレを指さして『映画か?』だって。『カルテル・ランド』を見ていたんだな。カルテルはオレのことを知っている。年2回くらい脅迫が来るよ。『バラバラに刻むぞ』とか」

「いつまで続けるつもり?」

「2つのことが起きない限りやめない。一つは国境が十分に警備されるようになったと感じた時、もう一つはオレが死ぬ時だ。ただ、明日からしばらくは留守にする。カリフォルニアに行くんだ。娘の結婚式なんだ」

フォーリーが警備しているのは10マイル四方の国境の山岳地帯。3000キロを超える国境の中では点に過ぎない。その姿は風車に立ち向かうドン・キホーテに等しいが、これが彼の国境の日常、これが彼の生き様である。

愛用のショットガン

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『異例のプーチン発言に見る日露領土問題の光明 領土問題を解決できるのは、プーチン大統領と安倍首相しかいない』(10/5日経ビジネスオンライン 菅野沙織・泰夫)について

10/7阿波羅新聞網<习近平语录“我在必不成功” 爆“高级黑” ?大反转!—— 习语录“我在必不成功”有深意?是“高级黑”还是马屁拍过了?=習近平語録に「私はどうしても成功しない」 黒幕の陰謀か 大反転(意味が逆) 「私はどうしても成功しない」はどういう深い意味が 黒幕の陰謀かおべんちゃらか>

写真は貴州省の道路管理局が立てた看板。習語録は「成功不必在我」とある。原典は1932年、胡適が大学卒業生に送った言葉、「成功不必在我,而功力必不唐捐=成功を望むなら、必ずや努力が必要。努力すれば必ずや報われる。しかし、自分に対して報われるだけでなく、他の人にも良い影響を齎す」から。

それが何故「我在必不成功」となったのか?あるネット民は「PS=フォトショップを使って変えられたのでは」と言う。米国在住の王篤然は「PSで改造したものではない。おべんちゃらの為だろう」と。

習語録の元は左からの横書き、それを右からの横書きに直す時に間違えたのでは。

台湾メデイアの自由時報に依れば、ネチズン達は「失敗は必ず彼のせい」「中国人の中には中国語を学ぶのが永遠にダメなのがいる」「裏には謀反を企てる奸臣がいるのでは」「左から読むべきか、右から読むべきか?」。また、笑って「現地の当局は穴を掘って習に入れと言ったようなもの」と。

https://www.aboluowang.com/2018/1007/1185368.html

10/8希望之声<评论:希拉里一直在破坏民主 不承认败选=評論:ヒラリーはずっと民主主義を破壊して来た 選挙に負けたことを認めず>10/8ニューヨーク・ポストのコラムニストのMichael Goodwinは「ヒラリーはリベラルメデイアの支援を受けてずっと民主主義を壊す方法を探してきた。彼らの破壊行為は昔からである。米国だけでなく国民をも大きく傷つけた。ヒラリーには大統領選に負けたという気持ちが欠けている」と。

Goodwinは「民主党と共和党の争いは許容できる範囲をすでに超えている。第二次内戦(1次は南北戦争)が勃発することを恐れる。和解の呼びかけは聞くが、臭いものに蓋にならないことを希望する」とも。

また、「カバナー事件は、公権力を濫用し、選挙で選ばれた大統領を辞めさそうとしているのを表している。現在米国の真の敵は、何としてでもトランプ大統領の正当性を壊す目論見を以て外国の利益と合わせる輩である。米国は今まさにこの売国行為の代価を払っている所だ。オバマが任命したケリー元国務長官がイラン外相に「次の大統領まで待て」と言うのは売国の一例である。カバナーのセックススキャンダルを仕組んだファインスタイン上院議員(20年も中国人スパイを運転手として使っていたくせに)に誰がその情報を教え、どのようにリークしていったのか。このリークは36年前に発生した証拠のない事件なのに攻撃できる武器となっただけでなく、非難する者も非難される者も戦いの中で傷つき、両者とも負けた形である」とも。

まあ、ヒラリーが抵抗するのも分かりますけど。抵抗しなければ一生ブタ箱で暮らさねばならないほど悪いことをして来ましたので。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/08/n2247753.html

10/6 Russia Insight<WOW: US Could Launch Preemptive Strike Against Russia – Trump’s Ambassador to NATO>駐NATO米国大使は「米国がロシアに先制攻撃できたら」と発言。音声はロシア語で字幕が英語。字幕の消えるのが早く、見る気が起きませんでした。やはり中国語は表意文字で見てすぐ意味が取れますが、表音文字ですと難しいです。10/3産経に依れば<米NATO大使、露中距離巡航ミサイル破壊示唆 「先制攻撃についてでない」と軌道修正>とありました。

https://www.sankei.com/world/news/181003/wor1810030008-n1.html

10/9阿波羅新聞網<普京民意大幅下滑=世論調査でプーチンの支持率は大幅に下がる>10/8の世論調査でプーチンの支持率は39%まで下がった。6月時点より9ポイントも下げた。2014年2月の36%以来の低さである。原因はやはり年金受給年齢の引き上げにある。

https://www.aboluowang.com/2018/1009/1186060.html

米国人は真の敵をよく間違えます。第二次大戦でも日本を敵に回した結果、あれほど望んでいた中国大陸を共産党に奪われました。ソ連を打倒したのは正しかったとしても、同じ共産主義の中共に入れ上げ過ぎたのは判断の誤りでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が賢い」と言う価値観、賄賂が当り前の民族です。やはり、トランプがやろうとしているロシアと協力して中国を封じ込めるのが戦略的に正しいのかと思います。ロシアを中国側に追いやることはないでしょう。

まあ、4島一括返還は無理で、どこかで旗を降ろさないと駄目なのでは。今や正面の敵は中共ですので。残り2島は継続協議で良いのでは。それでも人気の落ちたプーチンに実効支配している領土を割譲することはできないでしょう。2島と大型経済協力のバーターの形がせいぜいと思われます。

記事

16年12月のプーチン大統領の訪日以降は日露関係、とりわけ領土問題解決と平和条約締結に向けての外交に大きな進展が見られていなかった。すでに恒例となった安倍首相のロシア東方経済フォーラムへの参加にも大きな期待はなかった。このように後退も前進もしない停滞気味の状態がしばらく続くと思いきや、プーチン大統領の「平和条約を先に……」というサプライズ発言は、領土問題解決に双方を近づけたとは思えないまでも、膠着した状況に目を向かせ、日露関係のこれからについてもう一度考えさせてくれたのは間違いなさそうである。

アジア太平洋地域の地政学的な状況は20世紀後半と比べて、着実にかつ大幅に変化している。米中間の経済関係は貿易戦争が勃発するほど悪化しているが、そうした中で現役の米国大統領が北朝鮮のトップと首脳会談を行うことなどは以前では考えられなかったであろう。

では、日露関係はどうかと言うと、安倍首相がロシア側に対する新アプローチを提案した16年以降、日露貿易に弾みがついた。ただ肝心の領土問題解決と平和条約締結は依然として進展がない。

ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで、ロシアのプーチン大統領が日露の平和条約に言及した(写真=代表撮影/AP/アフロ)

9月にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムでプーチン大統領は、日露貿易総額は17年に前年比14%増加し、18年上半期には同20%伸びたと述べた。日露間で、極東地域を中心に三桁に上るプロジェクトが進められている実績もある。今年で4回目となる当該フォーラムには、プーチン大統領と安倍首相のほか、中国の習近平国家主席、モンゴルや韓国の首脳が参加するなど、年々、注目度が高まっている。

当該フォーラムの開催に先立ち、9月10日には安倍首相とプーチン大統領による首脳会談が実施された。同会談のアジェンダは、日露経済関係から北朝鮮問題に至るまで幅広い議論に及んだ。また日露平和条約についても議論されたが、その時点では領土問題解決および平和条約締結に向けて進捗があったのか判断可能な材料が少なく、メディアの注目度も低かった。

日露関係が世界の新聞紙面の一面を飾ったのは、12日の東方経済フォーラムの山場となった全体会合の後の出来事であった。代表国の首脳が参加する大きな会場とテレビカメラを相手にプーチン大統領は、「……私たちは70年間交渉してきました。シンゾウ(安倍首相)はアプローチを変えようと提案しました。そこで私はひらめきました。今ではなくても年末までに、前提条件なしで平和条約を締結するという案を。そして、その平和条約に基づき、友人として、私たちは引き続き論争の的となっている問題を解決します。これ(平和条約締結)によりすべての問題をより容易に解決できるようになります」と発言した。

プーチン発言は「ひらめき」ではない

安倍首相はこのような「ひらめき提案」が日本側では受け入れられないことを誰よりも承知していると思われる。しかし、会場ではポーカーフェースを崩さず、この場面を上手く切り抜けた。このような冷静な判断がなぜできたのだろうか?

人の行動や言動を鵜呑みにせずその背後にどのような思惑があるかを判断するには、その人の性格や理念を把握していなければ不可能である。安倍首相はプーチン大統領と個人的な関係を築き上げたことによって、プーチン大統領ではなくウラジミール・プーチンと言う人間の本音を読み取ることができるようになった、と考える以外に、安倍首相の対応を説明することは難しい。

実際、領土返還より先に平和条約を締結する案は目新しいものではなく、プーチン大統領の「ひらめき」などではない。それは旧ソ連時代のロシア政府の正式なスタンスであった。それを考えると、プーチン大統領がいまさらながら「ひらめき案」を敢えて発表した理由は、実は提案の内容よりも「解決したい」という強い意思を公に広くアピールしたかったためと読み取ることができる。

帰国した安倍首相は日本のメディアに対し、領土問題解決の後に平和条約を締結するという日本政府の基本路線に変わりがないことを再確認したが、プーチン大統領の言動は、両国間の問題解決への意欲の表れと受け止めている、と述べている。

さらに、この発言の翌13日、ペスコフ大統領報道官は、日本側の基本方針に変更がないことについて記者から質問を受けた際、「それぞれのスタンスが違うことは承知している。しかし、周知のとおり、プーチン大統領はこの問題を解決したい意思がある。また、良好な関係構築への安倍首相の努力を高く評価しており、(解決を目指して)建設的かつ好意的な共同作業を実施していく」と述べ、大きな歩みよりをみせた。

ロシアでは年金改革に反対する大規模なデモ

さて、なぜ今になってプーチン大統領はこのような奇抜な形で日露関係の根本的な問題解決への意欲を示さなければならなかったのか。その理由はロシアを取り巻く厳しい地政学的環境にある。ロシアは米国との関係改善に期待を寄せていたものの、その思いはかなわなかったどころか、米露関係は冷戦時代に例えられるほど悪化し、改善の兆しすら見えていない。

米国による制裁はロシア経済、特にルーブル相場に圧力をかけ、海外からの投資のハードルを高くしているばかりではない。ロシア中銀の最新の報告書によれば、制裁に関連する要因が同中銀のリスクシナリオに含まれている。つまり、制裁がより厳格化し、かつ幅広く適用された場合、ロシアは再び景気後退に陥る可能性があるというものである。

国内要因としては、政府が実施を目指している年金改革(定年年齢の引き上げ)に反対し大規模なデモが行われるなど、不安定な内政が続いていることが挙げられている。これはソ連崩壊時に比べるほどではないにしろ、近年でもっとも厳しい環境であることをロシア政府は認識している。

こうした中で、プーチン政権の動きからは、安倍首相の良好な関係構築への努力に応え、インパクトの強い平和条約を締結し、国際舞台におけるロシアの評判を高めようという強い意思が読み取れる。さらにこれは、欧米との関係悪化により我慢を強いられている国民に対してアピールする機会でもある。もちろん、アジアのみならず世界規模で力が増している中国を牽制しようとの思惑があることも否定できない。

もちろん、領土問題の解決がないまま平和条約を結ぼうという呼びかけに対する日本側の答えはノーである。だが、ロシア側には日露間の領土問題解決について実行力のある人物は、事実上プーチン大統領をおいてほかにはない。

プーチン大統領自身が年内に解決するという強い意思を示したことや、「ひらめき案」を公の外交の場で発表したことで一種の解決に向けての意欲表明となった。日本政府にとっては今や、長年の交渉が実を結ぶ可能性が出てきたと言えよう。

ロシア側が考えている解決策とはどのようなものだろうか。プーチン大統領が2000年の就任以来訴え続けている「1956年日ソ共同宣言」への回帰、つまり二島(色丹・歯舞)返還の後、平和条約を締結し、その後残りの二島(択捉・国後)を返還するスキームが可能性の一つと判断される。無論、日本政府は、四島一括返還後の平和条約締結が基本方針となっているため、受け入れることはできない。

ただ、早期解決したいという点では双方の考えは近い。実際、安倍首相はロシアから帰国後、9月14日の日本記者クラブの討論会でも、平和条約締結は、従来の基本方針と変わらないという立場を示したうえで、「今年の11月、12月の首脳会談は重要なものになる。私が意欲を見せなければ動かない」とも述べている。

領土問題は非常に難しい議題であるものの、両政府は双方の国民が納得できる解決策に向けて努力と話し合いを前進させる可能性が高まったともいえるだろう。年内に行われる首脳会談への注目度が高まっている。

図表1 北方領土交渉の歴史

(出所)内閣府および外務省より大和総研作成

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『中国・スウェーデンの外交問題で正しいのは?頻発する中国人海外旅行者の「不文明的行為」』(10/5日経ビジネスオンライン 北村豊)について

10/7阿波羅新聞網<好友曝范冰冰已缴纳完近9亿罚款 公布范冰冰近照=親友が範氷氷の9億元の罰金は既に納めたと明かす 最近の写真をアップ>10/5親友の魔術師・鄭龍風が本人から罰金は払ったと聞いた。

誰が払ったかは記載なし。払ったことにしたのでは。罰金の額が大き過ぎです。

http://www.aboluowang.com/2018/1007/1185442.html

10/7阿波羅新聞網<孟宏伟被计划请君入瓮 范冰冰模式失败酿变局 北京恐出第二个王立军=孟宏偉は「請君入甕」(=自分の出した案で懲らしめられる。この場合人を陥れて逮捕して来たのと同様に逮捕される、因果応報の意)の計にかかる 範氷氷モデル(秘密裡に拘束して取り調べ、数か月後に情報を出す)は失敗して変化を醸し出す 北京は第二の王立軍となることを恐れる孟宏偉の妻のGrace孟が仏警察に届け出したため、北京の計画が狂ったと。下の写真は孟宏偉と妻のスマホの遣り取り。包丁の図は身に危険が迫っていることの意味でしょう。その7分後には繋がらなくなったと。でもこれで中国は法治国家ではないことを示しました。詳しい情報は分かりませんが、ある情報では「留置はされているが、双規(国家でなく共産党の尋問)は未だ」とのこと。

http://www.aboluowang.com/2018/1008/1185716.html

10/7希望之声<过千名老兵聚山东维权 用灭火器回击中共特警=千名を超える退役兵が山東省に集まり権利保護を訴える 消火器を使って特務警察に反撃>中共の10/1の国慶節(国の為に戦死した兵を悼む日)の間に、山東省平度の38名から成る退役兵が北京に訴えに行こうとしたが省当局の妨害に遭い、殴られた。10/5~6数百名の退役兵が全国から平度に向かい、殴られた兵を励ましに行ったところ、当局は特務警察を出動させ鎮圧した。一部の退役兵は怪我したり、逮捕されたりした。10/7再度退役兵が平度に集まり、権利保護活動をした。

退役兵と雖も、軍の一部が政府に反する行動をとりだしていることは中共の命脈も長くはないという事だろうと思われます。

https://twitter.com/twitter/statuses/1048508984079110144

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/07/n2243583.html

2017年1月1日の本ブログで中国人の非文明行為を揶揄した記事を掲載しました。北村氏が言いますように、中国人の自己中は死ぬまで治らないでしょう。反日教育する前にキチンと道徳教育をすべきです。それにつけても、2005年に中国駐在から帰って来て、実態を話した時の日本人の反応は「国粋主義者」とか「人種差別主義者」と罵ることでした。13年経って少しは分かって来たのかも。やはり、現実を見るべきで、見てない人間に人を批判する資格はないという事です。左翼は建前の綺麗事で、自分を棚にあげ乍ら他人を非難します。今の日本の老人も左翼メデイアに洗脳されていて、そういう行動を取る人が多いです。その代り、中共のモンゴル、ウイグル、チベット人への人権侵害については無関心です。

http://dwellerinkashiwa.net/?m=20170101

記事

スウェーデンと中国の関係は予断を許さない状況が続いている(写真:PIXTA)

 9月2日早朝にスウェーデンの首都・ストックホルムで発生した中国人親子3人による宿泊騒動は、親子が駐スウェーデン中国大使館へスウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと訴えて出たことで事件になり、中国とスウェーデンの外交問題に発展した。外交問題に発展するまでの経緯は、9月28日付の本リポート「宿泊騒動が中国とスウェーデンの外交問題に」を参照願いたい。

 中国人親子に非があることは明白なのに、駐スウェーデン中国大使館だけでなく、本国の中国政府“外交部”までが、スウェーデン政府に拳を振り上げて謝罪を要求するその態度に、スウェーデン国民は中国の傲慢さに憤りを禁じ得なかった。そうした中、スウェーデン国民の気持ちを代弁して、スウェーデンテレビ(SVT)の娯楽番組「スウェーデン・ニュース(Svenska nyheter)」で、コメディアンで作家の司会者ジェスパー・ロンダール(Jesper Ronndahl)が、9月21日の同番組で皮肉を込めて中国に対する強烈な一発を見舞ったのだった。

 それはテレビ画面に映しだされた「尊敬する中国人観光客を歓迎する」という題名の映像であった。映像の中で女性アナウンサーが「文化の衝突を避けるために提案する」と前置きした上で、「歴史的建造物に小便をするな」と言うと、画面には中国語で書かれた「大便禁止」の標識を映し出され、これに続いて画面に食卓の映像が映し出され、アナウンサーが「スウェーデン人はトイレの後には必ず手を洗う」と述べると、又しても例の「大便禁止」の標識が映し出された。さらに、画面に犬に散歩をさせている映像が流れ、アナウンサーが「これは昼食を取る目的ではありません」と説明し、犬肉を食べる風習を持つ中国人に当て付けた。

 続いてアナウンサーは、「中国人は人種主義者だ」と言明し、「スウェーデンは人々の権利が守られた多人種国家であり、人々がどこから来ようとも問題ないが、中国から来る人たちはその限りではない」と述べた。そして、最後にアナウンサーは子供に言い聞かせる口調で「中国人観光客のスウェーデン訪問を歓迎しますが、もしも貴方たちの態度が良くなければ、我々は貴方たちのお尻をペンペンしますよ」と述べたが、この時画面には宿泊騒動の当事者である中国人親子が路上で泣きわめく映像が流された。

この「スェーデン・ニュース」の映像は、SVTから中国国内の動画サイト“優酷(YOUKU)”へ投稿されたので、同番組の内容は広く中国国民に知れ渡った。しかし、中国国内で放映が許されたのは、中国側に都合良く編集された映像に、都合よく翻訳した字幕を付けたものだった。

 SVTはスウェーデンの国営テレビである。そのSVTがその番組「スウェーデン・ニュース」の中で、中国および中国人を揶揄(やゆ)したことを知った中国政府はすかさずスウェーデン政府に噛みつき、SVTに謝罪させるよう強く要求した。また、当該番組で映しだされた中国の地図に、台湾とチベットの一部が含まれていなかったのは故意としか思えず、極めて遺憾であると表明した。しかし、「言論の自由」を国是とするスウェーデンは中国と異なる。たとえ大国の中国が脅そうとも、これに屈して国是を曲げることはしない。恐らく、スウェーデン政府はSVTに中国政府の意向を伝えただけで、謝罪要求にどう対応するかはSVTの判断に任せたものと思われる。

 SVTの公式サイトは、9月23日付で、事件は誤解であり、中国側が見た「スウェーデン・ニュース」の内容は、字幕の翻訳が中国側に都合の良い部分だけが使われたものと思われると反論した。また、9月25日に「スウェーデン・ニュース」のプロデューサーであるトーマス・ホール(Thomas Hall)は、SVT公式サイトに声明を発表し、番組が当初表現したかった意図が失われたことを認め、同時に「我々はスウェーデンの問題を浮き彫りにしようと考えていた」と述べ、「番組を動画サイト“優酷”に投稿した目的は、中国国民の注意を促すためだったが、我々の表現方法に欠陥があったことはお詫びする」と表明した。

「謝罪」に激怒した中国政府

 9月28日に放映された「スウェーデン・ニュース」の中で、司会者のロンダールは、先ず自分が中国からのネット暴力に悩まされていると自嘲気味に述べた上で、先週の番組で心に傷を負った数多くの中国国民に謝罪すると表明した。但し、彼はこの謝罪は中国国民に向けたものであって、中国政府に向けたものではないと強調した。そして、香港“銅鑼湾書店事件”注)の被害者でスウェーデン国籍の“桂民海”が逮捕後にテレビ画面を通じて懺悔させられたことを例に取り、中国政府が言論の自由を認めていないことを非難した。

注:2015年10~12月に香港で反中国関連の書籍を販売していた“銅鑼湾書店”の関係者5人が中国政府によって拉致され、後に逮捕された事件。5人のうち4人はすでに釈放されて香港へ戻っているが、書店の株主でスウェーデン国籍の桂民海(現在53歳)は未だに釈放されていない。

 さらにロンダールは、先週の番組で中国の地図に台湾とチベットの一部が含まれていなかったことは謝罪せず、当日の番組では中国国旗の“五星紅旗”で世界地図を覆(おお)って、中国政府に反抗する姿勢を見せていた。

 ロンダールの謝罪は改めて中国政府を激怒させた。翌29日、ロンダールの挑発に応じる形で記者会見した駐スウェーデン中国大使館のスポークスマンは、「スウェーデン・ニュース」の謝罪は、極めて不真面目かつ不誠実であり、中国政府に悪態をつき、その魂胆は腹黒いと高飛車に言い放った。

今後のスウェーデンと中国の関係がどうなるのかは予断を許さないが、少なくともスウェーデン政府が国是である言論の自由を曲げてまでも中国の言いなりに謝罪することはないのではないだろうか。「スウェーデン・ニュース」が番組の中で中国人旅行者に対し侮蔑的な対応を示したのは、非常識極まりない中国人親子3人が引き起こした宿泊騒動に起因するものであり、彼ら親子が自分たちの所業を棚に上げ、スウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと駐スウェーデン大使館に訴え、それを鵜呑みにした駐スウェーデン中国大使ならびに中国外交部がスウェーデン政府に抗議したことに起因する。

 誰が考えても、これは言いがかりであり、今や世界第2の経済大国になった中国としては余りにも大人気ない対応と言える。スウェーデンがチベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世を受け入れる国であり、上述した香港・銅鑼湾書店事件で不当逮捕されて、未だ捕らわれの身である桂民海の早期釈放を要求している国であっても、中国は大国としての矜持を示すべきだった。しかも、「スウェーデン・ニュース」が、中国人観光客を揶揄した内容は、世界各国から指摘され、中国政府自身が十分認識している民度の低さに起因するものなのである。

海外旅行客向けのマナー指南

 2006年10月1日、中国共産党中央委員会傘下の“中央精神文明建設委員会辦公室(略称:「中央文明弁公室」)”と中国政府“国家旅游局(国家観光局)”は、『中国公民海外旅行文明行為指南』と『中国公民国内旅行文明行為公約』を発表した。これは中国人観光客のマナーが余りにも悪く、海外のみならず国内からも非難の声が上がるので、対応に苦慮して取りまとめたものだった。このうち、海外旅行客向けの『中国公民海外旅行文明行為指南』を見ると、以下の内容が記載されている。

中国公民は、海外旅行では、礼儀を重んじ、尊厳を保つ。

衛生に注意し、環境を守り、身分や場所に相応しい衣服を身に付け、ケンカをしない。

老人を敬い、子供を愛(いつく)しみ、女性を優先し、礼儀正しく譲り合う。

出かけて事をするなら、時間厳守。列を作って秩序を守り、立ち入り禁止の線を越えない。

宿泊は礼節をわきまえ、備品を壊さない。食事は静かに、浪費はしない。

健康な娯楽は心身に有益。賭博や風俗は断固拒否する。

観光をするなら、規則を厳守。習俗のタブーは犯さない。

判断がつかないことに出会ったら、大使館や領事館に問い合わせる。

公衆道徳を守って海外旅行に行けば、道中は安全。

 なお、同時期に発行された『“文明旅游出行指南(文明観光旅行案内)”』には、イラスト付きで細かい説明が書かれている。たとえば、「痰(たん)やガムを所かまわず吐くな、ゴミを捨てるな、大小便をどこにでもするな。他人の前で鼻をほじる、歯をせせる、咳(せき)をする、くしゃみをするなどの失礼はするな」とあり、別の項には「果物の皮、紙屑、雑物などの廃棄物はゴミ箱に入れ、そこらに捨てるな。ゴミの分別投棄には注意を払え」と書かれている。まさに手取り足取りであるが、それほどに2006年当時の庶民は民度が低かったと言える。

“不文明的行為”の10項目

 上述の『中国公民海外旅行文明行為指南』は、2015年6月4日付で駐日本中国大使館の公式サイトに掲載されているから、10年間が経過した後も依然として有効な指南なのであろう。2016年5月7日付の「人民日報」海外版には、“中国旅游研究院”院長の“戴斌”が「我が国の海外旅行は過去10年間に急増し、昨年(2015年)の出国旅客は延べ1.2億人に達したが、これだけ海外旅行客がいれば、確率から言っても、一部の旅行客による“不文明的行為(公衆道徳をわきまえない行為)”の発生を防ぐことは困難である」と述べている。

 最近、中国国内で実施された「中国人の海外旅行で“不文明的行為”と考えられるのは何か」というネット調査では、1)文化財や文化遺産への落書き、2)所かまわぬゴミ捨て、3)芝生の踏み荒らしおよび草花の乱採、4)大声でのケンカや電話、5)秩序を守らず行列への割り込み、6)どこにでも痰を吐く、7)所かまわず大小便、8)団体旅行で時間の観念なし、9)ホテルのタオルで靴を拭く、10)地元の風俗習慣を尊重しない、などが上位にランクされたという。

これらは常識ある中国人が恥ずかしいと考える、中国人の海外旅行客による“不文明的行為”であり、『中国公民海外旅行文明行為指南』の発表から12年が経過した現在も大きな改善がなされていないことを意味している。

 中国語のニュースサイトで「大便」、「小便」を検索すると、多数の記事が見つかるが、2016年以降の例を挙げると以下の通り。

2016年8月:

ロシアのサンクトペテルブルグにあるエカテリーナ宮殿で、歴史的価値のある貴重な床板に中国人の母親が子供に小便をさせた。これは歴史上初めての出来事だった。

2016年11月:

オーストラリアのシドニーにある王室植物園で、2人の中国人男性が小便をして警官に見つかり、逃げようとして抵抗した末に逮捕された。2人は66歳と41歳で、浙江省“義烏市(ぎうし)から団体旅行でオーストラリアを訪れていた。

2018年3月:

マレーシアのクアラルンプール市内のPhileo Damansara駅に附属するイスラム教の祈祷室内にある足洗場で、中国人男性2人が小便をして問題になった。2人は「ここはトイレではない」という地元民の説明を無視して小便をしたのだという。

2018年7月:

香港の尖沙咀(チムサーチョイ)にある地下鉄駅のホールで、中国から来た10~12歳の少年5人と引率者の男性1人の団体のうちの少年1人が人目もはばからず大便をした。周囲の人が文句を言うと、「彼は急な下痢でどうしようもなかった」と引率者は答えたが、彼らは誰一人も大便の後始末をしようとしなかった。そこで引率者に大便を処理するよう言うと、「地下鉄の清掃係にやらせれば良く、我々が処理すると、彼らが失業する」と真顔で答えた。

2018年9月:

ロシアのモスクワにあるクレムリン宮殿内の「生神女福音大聖堂」で中国人観光客が小便をした。ガイドがトイレの場所を教えなかったことが原因とされるが、前代未聞の出来事にクレムリン宮殿はガイドに対する規制を強化するという。

2018年9月:

ガーナ共和国の花園で中国人の男が大便をして現地人に見つかり、ショベルで処理するよう要求を受けた。「お前の国では所かまわず大便をするのか」と尋ねられた中国人は、言葉に詰まり、ひたすら謝るだけだった。

ブラックリストで見せしめ

 中国政府は旅行中に“不文明的行為”を行った人物を罰則としてブラックリストに載せ、一定期間その旅行を制限する『観光客不文明行為記録管理暫定弁法』を2015年5月に施行した。これは見せしめを示すことで、中国国民に自覚を促そうとするものである。現在までに何人がブラックリストに載っているかは分からないが、2017年6月の時点で29人という報道があった。2018年9月末にも3人がブラックリストに新規登録されたが、このうちの2人は、マレーシアのボルネオ島に所在するサバ州の州都コタキナバルにあるイスラム教のモスク前でセクシーダンスを踊った不届き者で、37歳と25歳の中国人女性であった。

 こうして見てくると、「スウェーデン・ニュース」が中国人観光客を揶揄した内容は決して間違っておらず、中国政府がそれを十分認識していることは明白である。「スウェーデン・ニュース」が中国政府の痛い所を鋭く突いたので、国家の面子を守るために、逆切れするしか方策が無かったというのが真相かと思える。

 上述した10項目の「不文明的行為」が中国人の海外旅行者から無くなるのはいつの日だろうか。中国人の「自分さえ良ければ、他人が何と言おうと、我関せず」という性質から考えて、中国人の海外旅行者から「不文明的行為」を消滅させるのは困難と思える。義務教育を通じて子供たちに世界に共通する常識と道徳を学ばせ、国民全体の民度を引き上げることが先決ではなかろうか。

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『トランプの「中国潰し」に世界が巻き添え、貿易戦争は覇権争奪戦だ』(10/3ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『日本に巣くう、強烈な「FTAアレルギー」 深層解説:日米首脳会談の知られざる内幕』(10/3日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

10/7阿波羅新聞網<惊传孟宏伟或涉北戴河政变 国际刑警正式向北京要解释=驚くべきことにICPO(国際刑事警察機構)のトップの孟宏偉は北戴河の政変にひっかかったのかも ICPOは正式に北京に説明を求める>アップルデイリーは「孟宏偉は中国政治のタブー、北戴河の政変に触れた嫌疑で勾留されたのかも。事件は重大且つ緊急を要するため、当局は与える影響も顧みず孟宏偉から話を聞くこととした」と報道。但し詳細は分からず。

香港の東方日報に依れば、中共はICPOにまだ正式に回答していないとのこと。

ある情報によれば、中共の役人が言うには「孟宏偉は貪欲にも法に違反して不動産を購入、それなのに一所懸命人々を拘留し、世界を驚かせた。論理矛盾である」と。

AFPとロイターは「仏警察は孟宏偉の在仏の妻の安全保護の命令を出した。妻は夫の失踪届を仏警察に出し、その時に生命の危険に関する脅しを受けたとも指摘した。仏警察は既に調査に入った。

中国では上から下に至るまで賄賂漬けですので孟宏偉に限ったことではありません。ただ上に行けば行くほど賄賂額が大きくなるだけです。腐敗で捕まるのは政敵打倒と、額や配るべき人を間違えたときだけです。産経によれば、14年間公安省次官を14年務め、周永康派とのことです。習近平の暗殺計画でも起こそうとしていれば別ですが、国際組織のトップを呼びつけて逮捕拘留するのは異常です。前に周永康と組んで習を狙ったとしても済んだことであり、緊急性はないでしょう。習の判断が狂ってきているのでは。安倍首相も訪中した時には、彼らの権力闘争に巻き添えを食わないように発言には充分注意しませんと。

http://www.sankei.com/world/news/181006/wor1810060017-n1.html

http://www.aboluowang.com/2018/1007/1185223.html

10/7看中国<一幅中国地图隐藏的秘密(组图) 我的中土情怀=中国の地図の隠された秘密私の国土への思い>毛沢東がソ連を助けるために、外蒙古を売ってしまった。蒋介石は同意せず、それで中華民国の地図には外蒙古が入っている。

中華民国地図

中華人民共和国地図

釣魚島の歴史については大陸人だから台湾の歴史については詳しくない。台湾と付属島嶼(含む釣魚島)は日清戦争で日本に割譲・帰属した。第二次大戦で日本は負けたのだから還すべきなのにまだ返していない。

この中国人は歴史を知らない。中共の主張を鸚鵡返ししているだけでしょう。別に尖閣は日清戦争前から日本が統治していたのを、国民党政権が、68年の国連の石油埋蔵調査を知り、70年に台湾のものと言いだしたのが始まり。そうでなければ米国が射爆場として使用することは無かった筈。尖閣問題は長崎純心大学の「いしゐのぞむ」教授が詳しいです。歴史的に日本の領有の正当さを主張しています。日本政府がもっと「いしゐ」氏を活用すべきと思いますが。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/07/869839.html

10/4日経 FT<対中冷戦へと進む中国

米国が9月24日、対中制裁関税第3弾として2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に追加関税を課したことを、トランプ米大統領によるいつもの挑発行為の一つとみるのはたやすい。トランプ氏の首にかけられた法的な縄がここへきて締まり始めているように思えるなか、米国民の目を海外に向けさせる必要があるのだろう、と。

しかし、それは間違った見方だ。実際、今回のあまり賢明とはいえない追加関税は、ホワイトハウス内だけで拙速に決めた政治判断ではない。今回の措置は、もっと危険で永続的なものを表している。米国と中国の経済的、政治的関係は完全にリセットされ、これからは貿易戦争というより冷戦に近い状態が始まるということだ。

■米中関係のリセットは企業に根本的変化もたらす

イラスト Matt Kenyon/Financial Times

中国との関係を根本的に見直すというのは、トランプ氏の考えだけでなく、右派と左派双方の幅広い支持も得ている。それだけに事態は深刻だ。トランプ氏は確かに対中貿易赤字の削減に固執しているものの、同時に自分の利益になると思えば取引をする人間だし、中国がトランプ氏の態度を軟化させる策を何かひねり出せないはずがない。

しかし、トランプ政権の経済的タカ派であるナバロ大統領補佐官(通商担当)や通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、トランプ氏とは異なり、まったく別のゲームを戦っている。彼らは、中国との経済関係を断ち切ることが長期的には米国の国益にかなうと信じている。

こうした考え方に同意する向きは、米国防総省にも多くいるし、労働運動を手掛ける進歩的な左派にもいる。彼らの中には、トランプ氏が大統領職を去った後もずっと権力のある地位に就く人も多くいるはずだ。それぞれに目指すものは異なるが、米中は長期的に戦略的対立関係にあり、従って米国の貿易政策と安全保障政策を別々に考えていてはいけないという見方でほぼ一致している。

米中関係をこのように根本から見直すことは、グローバルに事業を展開する企業にとって根本的な変化を意味する。

国際的な企業の経営者たちは、今回の追加関税はあまりに広範囲にわたり、かつ高率なため、米国にインフレ圧力をもたらすことから、製品価格を引き上げざるを得なくなると不満を表明している。しかし、政権内の経済的タカ派たちには、こうした経営者に同情する向きは全くない。それどころか、こうした企業を米国の裏切り者だとさえ考えている。中国という西側の根本的な価値観を共有することもなく、いろいろ条件をつけて最終的には自国の市場への平等なアクセスも認めない国に、自社の短期的な利益を優先して米国の事業を移してきたとんでもない存在だとみている。

今の経済的、政治的環境で政策の方向性や世論を牛耳っているのは、タカ派だ。彼らには、中国による知的財産権や人権の侵害、南シナ海での中国の攻撃的な行動など、自分たちの主張を正当化する材料は多くある。

中国を専門とする調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの責任者アーサー・クローバー氏は、「中国をかつてのソ連のような『修正主義』勢力だとみなす意見をよく聞く。従来とは全く異なる体制を世界に広めようとしているという意味だ」と話す。この見方は大げさすぎるかもしれないが、中国やロボット(中国製ロボット)に仕事を奪われるのではないかとの懸念を強めている一般の米国民には、今の経済のグローバル化を擁護する意見より、こうした大げさな意見の方が心に響きやすい。

■米企業にサプライチェーンの見直し迫る

タカ派はこれまでのところ非常に巧妙に、消費者物価への影響を最小限に抑えるよう関税対象を選別する一方で、最も重要と考えられるサプライチェーンを中国に移してきた企業を罰している。米半導体大手クアルコム(米中両国のナショナリズムの犠牲になった面もある)や米IT(情報技術)機器大手シスコシステムズをみれば分かる。シスコのルーターやスイッチは、欧米だけでなく中国でも都市のIT化に利用されており、同社はこれらの製品を今回の関税対象から外すようロビー活動を展開したが、そうはならなかった。

ホワイトハウスは、国防総省がこのほどまとめた白書を近く発表するようだが、同白書は米企業に一部の部品調達については米国内に移すよう提言している。このように同白書が、トランプ政権の今後の産業政策をどういう方向に持っていくかを示すことになるかもしれない。ただ、米中が冷戦に突入すれば、企業によってその被る影響に差が出ることは間違いない。

従来型の消費者向け事業を展開する米スターバックスや米ウォルマートなどは、様々なデリケートなデータを吸い上げるIT企業や、マッピングや自動運転車など戦略的分野に取り組む企業よりも、中国市場での立場を維持しやすい。米中の貿易戦争が冷戦に発展したら、米アップル、米フェイスブック、米マイクロソフト、米グーグルおよびその他中国で事業をする多くの米国の多国籍企業は、難しい選択を迫られるだろう。米国の中国に対する国家的な懸念に対して、見て見ぬふりを続けられなくなるからだ。

■政治をもはや無視できなくなる米企業

短期的には輸出依存が大きい中国の方が苦労するかもしれない。だが、中長期的には米企業の方が米国内にサプライチェーンを再構築しなければならないという意味で、苦労しそうだ。

ゲームの「フォートレス・アメリカ」のように、すべてを米国内で調達することは政治的にも現実的にも不可能だ。従ってトランプ政権は、米国としての産業政策を進めたいのであれば、欧州を含む貿易パートナーと同盟関係を確立する必要がある。だがこれは、決してトランプ氏が得意とすることではない。

企業が進む先には、事業の存亡に関わる本質的難題が立ちはだかる。例えばグーグル。同社の親会社、米アルファベットのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は、ロシアが米IT企業のプラットフォームに干渉したかどうかについての上院の公聴会での証言を拒否した。だが、一方で同社が、中国当局の検閲を容認する形で同国向け検索サービスを始めるとしたら、それはこの企業にとって、どんな意味を持つことになるのか。

経営者らは、政治は自社の事業には関係がないとの立場を貫けるだろうか。これまで経営者は好んでそう考えてきたが、それは今、希望的観測にすぎないように思える。

By Rana Foroohar

(2018年9月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)>(以上)

FTも気づくのが遅いとしか思えません。トランプ大統領が誕生したのは、敵の中共を倒し、産業を米国に回帰させ、雇用を拡大するためです。儲かれば何をしても良いと言うような経営者は淘汰されるでしょう。中国側に立つ経営者は自由社会でビジネスできなくなるでしょう。今はそこまで行きませんがやがて来ると思っておいた方が良い。日本の経営者も同じようにしなければ排除されるようになります。今の日本の経営者でそこまで読めている人は殆どいないでしょうが。政府もきっちり指導して国益を守るように動かねば。第二次大戦の誤りは組む相手を間違えたことです。今中国に近づくことは同じ過ちを繰り返すことです。

北野氏の記事は、まさしくその通りで、今米国は米国が作って来た国際組織を壊そうとしています。何故そんなことをするのかと言うと、狡猾な国が善意を利用し、悪をはびこらしてきたからです。悪を罰することもできない組織はガラガラポンして作り替えるしかないでしょう。

細川氏の記事では、交渉の場面でトランプと部下とで役割分担しているのではという気になりました。「俺たちは合意したけれど、上がNoだから」「上と相談して」と言い訳して、相手を幻惑するのでは。中国に米国は何年も騙されて来ましたので、ちゃぶ台返しするのも良いでしょう。やはり、自由貿易の論理を主張できるは自由を認める国でないと。一党独裁・言論の自由のない国に「自由貿易を守る」と言われても。

北野記事

エスカレートする一方の米中貿易戦争。これは、もはや「米国の貿易赤字解消」といった次元を超えている。米国は覇権を維持するために、中国つぶしに動き始めたと見るべきだろう。そう、米中貿易戦争は、「米中覇権争奪戦争」でもあるのだ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米中が経済制裁の応酬!戦争には「戦闘」以外の形態もある

中国を本気でたたきつぶし、覇権を維持しようと目論むトランプ。中国には勝っても、世界経済を道連れにする恐れがある Photo:Reuters/AFLO

トランプ政権は9月24日、対中国制裁第3弾を発動した。中国からの輸入品2000億ドル相当に、10%の関税をかけることになる。これに対して中国は、米国製品600億ドル相当に報復関税をかける意向を示している。

これを受けてトランプは、対米報復制裁が発動されれば、さらに2670億ドル相当の中国製品に関税を課すと警告した。現実にそうなれば、米国は、中国からの全輸入品に関税をかけることになる。

筆者はこれを、「米国の貿易赤字解消」という次元を超えた、米中の覇権争奪戦と見ている。そう、実際に武器を使用していなくても、立派な戦争である。

「大げさだな」と感じる人は多いだろう。日本人は「戦争」と聞くと、「ミサイルをぶっ放した」「空爆した」「戦闘機が戦った」「戦車で進軍してきた」など、「戦闘行為」を思い浮かべる。しかし世界的に見ると、「戦争」という言葉の意味は、もっと広い。

考えてみよう。戦争はまず、ある国の「指導者の頭の中」で始まる。彼は敵国を設定し、「たたきつぶそう」と決意するが、翌日早速軍隊を送るだろうか?敵国が弱く、間違いなく圧勝できる場合ですら、いきなりそんなことはしない。

国際社会から非難されて経済制裁を科され、かえって自国の方が苦しくなる可能性があるからだ。

では、どうするのか?

普通、戦争は「情報戦」から始まる。これは、敵国を「悪魔化」する目的で行われる。理由は2つ。第1に「国際社会を味方につける」ためである。戦闘して勝ったはいいが、結果国連から制裁を受けては意味がない。第2に、自国民に「戦争やむなし」と信じさせるためである。戦争中に「反戦派」がうるさくては困るのだ。

第2次世界大戦前に行われた情報戦、外交戦、経済戦

情報戦の例を挙げよう。1932年、日本は満州国を建国した。中国は当然これに不満で、国際連盟に訴えた。そして、情報戦を開始。「田中メモリアル」という「日本の世界征服計画書」を全世界に拡散した。もちろん、実際は日本の「世界征服計画」など存在せず、「田中メモリアル」は「偽書」である。
しかし、中国は情報戦を有利に進め、世界の国々に、「田中メモリアル」=「本物」と信じさせることに成功した。その結果、日本は「世界支配を企む悪の帝国」となり、「国際連盟脱退」に追いこまれてしまった。1930年代の例を挙げたが、もちろん現在も情報戦は行われている。

「外交戦」も重要だ。これは、自国の仲間を増やすことで、敵国を孤立させるために行われる。たとえば、1937年から始まった日中戦争で、中国は、米国、英国、ソ連から支援を受けていた。日本は、外交戦でも負け、孤立していた。

そして、「経済戦」。経済制裁によって、敵国に大打撃を与えることができる。一番わかりやすい例は、米国が、英国、中国、オランダを巻き込んで、日本に対して実行した「ABCD包囲網」だろう。

米国は、1937年から日本への経済制裁を開始。1941年8月には「対日石油全面禁輸」措置が発動されている。この4ヵ月後、追い詰められた日本は真珠湾を攻撃し、「戦闘」という意味での「日米戦争」が始まった。

トランプ政権誕生前から米国内は「対中戦争モード」だった

最後に「代理戦争」。これは、大国が特定の勢力を支援することで行われる。たとえば、シリアで欧米は、「反アサド派」を支援している。一方、ロシア、イランなどは「アサド政権」を助けている。これは、欧米vsロシアの「代理戦争」である。
ほかにもある。ウクライナだ。欧米は、ポロシェンコ政権を支持している。ロシアは、ウクライナ東部ドネツク、ルガンスクのいわゆる「親ロシア派」を支援している。ウクライナ内戦は、欧米とロシアの「代理戦争」なのである。

こうして歴史を振り返ると明らかなように、リアルの「戦闘」は、武器を使わないさまざまな戦争を経て勃発する。では、米中の現状は、どう考えるべきなのだろうか?

筆者が「米中貿易戦争」を「覇権争奪戦争」と見る理由はいくつかある。

まず、トランプが大統領になる前、すでに米国内では、「中国と戦って勝たなければならない」と主張するベストセラー本が出ていた。

1冊目は、国防総省顧問マイケル・ピルズベリーの『China 2049』。「中国は、建国100年目にあたる2049年までに、世界覇権を握ろうとしている」という内容だ。ピルズベリーは、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」(P.28)、つまり、覇権争奪戦で中国に負けると警告している。

2冊目は、トランプ大統領の補佐官で国家通商会議議長ピーター・ナヴァロの『米中もし戦わば~戦争の地政学』だ。この本は、「米中戦争が起こる確率」は、「非常に高い」という話から始まる。そして、第6部のタイトルは、「力による平和への道」である。中国に強硬な姿勢で対抗することを主張している。
この2冊は共に、米国での出版は2015年である。つまり、トランプが大統領になる2年前に出されている。

そして、この年の3月、「AIIB事件」が起こっている。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国など親米国家群が、米国の制止を無視し、中国が主導する「AIIB」への参加を決めたのだ。

反中→仲直り→やっぱり反中…目まぐるしく変わるトランプの胸中は?

この事件は、米国の支配力低下と、中国の影響力増大を世界に示した。つまり、米国には「中国を打倒しなければ、わが国の時代は終わる」という強い危機感が、トランプ政権誕生前からあったのだ。

このような機運の中、トランプは「反中大統領」として登場した。選挙戦中も、一貫して反中だった。選挙に勝つと早速、台湾の蔡総統と電話会談し、中国と世界を仰天させた。

しかし、2017年4月、初めて習近平に会ったトランプは、以後「私は彼のことが大好きだ!」と公言するようになる。米中関係は、一気に改善された。
なぜ、そうなったのか?トランプは、北朝鮮問題で習近平の助けを必要としていたからだ。そして習近平も、トランプを助けることを約束した。

ところが、それから1年たって、トランプは中国との貿易戦争を開始した。唐突に見えるかもしれないが、以下のような流れだったのだろう。
(1)トランプは、もともと「米国の覇権を維持するために、中国をたたこう」と考えていた
(2)しかし、習が北朝鮮問題で協力する意向を示したので、様子を見ていた
(3)ところが、1年たっても何も変わらないので、元の路線に戻った

ご存じのように、中国はロシアと共に、北朝鮮を守り続けている。

さらに、報道されているように、「米国の貿易赤字を減らすため」とか「知的所有権を守るため」だけの「貿易戦争」ではない理由はほかにもある。

トランプ政権の動きを見ていると、もっと「トータルな戦争」を開始しているからだ。

人権問題批判に中国軍への制裁 台湾への武器輸出も再開した米国

たとえば、トランプ政権は突然、中国が「100万人のウイグル人を拘束している!」と批判し始めた(太線筆者、以下同じ)。

<米国務長官、ウイグル人拘束めぐり異例の中国批判
【AFP=時事】9/22(土) 17:38配信  マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官が21日、中国政府に対し、イスラム教徒の少数民族ウイグル人を多数拘束していると異例の強い論調で批判し、不穏さを増す米中関係に新たな火種が浮上している。>

これは、「中国悪魔化」のための「情報戦」を開始したと見ることもできる。なぜそう言えるのかというと、米国は、自国に都合のいい時しか「人権カード」を切らないからだ。

たとえば、米国の同盟国サウジアラビアは、民主主義のカケラもない、絶対君主制の人権侵害国家である。しかし、米国がサウジの人権問題を批判することはない。

実際、米国は長い間、中国の人権問題を批判してこなかった。これが再開されたことには、大きな意味があると見るべきだ。

また、トランプ政権は、なんと「中国軍」にも制裁を科している。

<米国>中国人民軍を制裁 露から戦闘機など購入
毎日新聞 9/21(金) 19:15配信  
 【ワシントン鈴木一生】トランプ米政権は20日、中国人民解放軍の兵器や装備品を管理する部門とその責任者に制裁を科すと発表した。米国の対ロシア制裁に違反して2017~18年、ロシア国営武器輸出企業「ロスオボロンエクスポルト」と取引し、戦闘機10機と最新鋭の地対空ミサイルS400関連部品を購入したことが理由という。制裁は、米金融機関との取引や米国人とのビジネスを禁じる内容。>

さらにトランプは、中国が「自国の一部」と主張する台湾に武器輸出することを決め、中国を激怒させた。

<中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官は25日、トランプ米政権が台湾への武器売却を議会に通知したことに関し、「中国の主権と安全保障の国益を損なうものだ」と述べて「強烈な不満」を表明した。中国は米台の軍事交流の停止を求めているが、米中間では貿易分野だけでなく軍事部門でも関係が悪化しているのが現状だ>(産経新聞 9月25日)

戦闘しにくい核時代は「経済戦争」がメインに

米中関係は、過去の戦争のように、情報戦、外交戦、経済戦、代理戦争などを経て、必要があれば「戦闘」をして敵国をたたきつぶすところまで行ってしまうのだろうか?

1930年代と現代では、実は大きく異なる1つの事情がある。「核兵器」の存在である。これが、戦争の形態を変えた。

米中ロにはそれぞれ、敵国を壊滅させるのに十分な核兵器がある。それどころか、地球を「人の住めない星」に変えることすらできる。結果、大国間の戦闘は、起こりにくくなっている(既述のように代理戦争は起こっているが)。

現在では、「経済戦争」が「主戦場」になっているのだ。たとえば、ロシアは2014年3月、クリミアを併合した。さらに、ウクライナ東部ルガンスク、ドネツクを支援して、事実上の独立状態に導いた。そして、ロシアは、シリア・アサド政権支援を続け、ここでも勝利している。
しかし、米国は、ロシアと直接戦闘することはない。では、米国はロシアに負けっぱなしなのだろうか?

そうではない。何かあるたびに、米国はロシアへの経済制裁を強化している。それで、ロシア経済はボロボロになってしまい、プーチン政権は、大打撃を受けている。

トランプが、「米中貿易戦争で、中国に勝とう」と考える理由もわかる。米国は、年間5000億ドル強を、中国から輸入している。一方、中国は、米国から年間1300億ドルしか輸入していない。貿易戦争によって、お互いの全製品に関税をかけたとすると、中国が受ける打撃は、米国が受ける被害の3.8倍になる。

それでトランプは、「貿易戦争で、米国は中国に勝てる」と確信しているのだろう。

中国に勝ちたい米国が世界経済をも破壊する

果たして、米国は中国に勝てるのだろうか?

その可能性は、高い。というか、成長期の最末期にある中国の栄華は、米中貿易戦争がなくても、終わりつつあった。トランプが何もしなくても、中国の成長率は鈍化し続けていたのだ。今回の貿易戦争は、中国の没落を加速させる結果になるだろう。

ところが、それで米国の繁栄とはなりそうもない。世界中の研究者が懸念しているのは、「中国を倒したいトランプが、世界経済を道連れにすること」である。

ノーベル賞学者のクルーグマン教授は、6月にこうツイートした。

「トランプ大統領が貿易戦争に向かって行進する中、私は市場の慢心に驚いている」
「トランプ氏が行くところまで行って、世界経済を壊すのかはわからない。しかし、相当な可能性があるのは確かだ。50%?30%?」

対中制裁第3弾発動で、「トランプが行くところまで行って、世界経済を壊す可能性」は、さらに高まった。

細川記事

日米首脳会談で「物品貿易協定」(TAG)の交渉に合意したといわれるが、実態は自由貿易協定(FTA)にほかならない――。通商交渉の舞台裏を知り尽くした細川昌彦氏が、日米首脳会談におけるパワーゲームの深層を徹底解説する。

日米首脳会談 国連総会に合わせて実施 貿易交渉開始で合意(写真:AFP/アフロ)

まず、今回の首脳会談について素直に評価する点から始めよう。

9月26日に開催された日米首脳会談における日本側の最大の焦点は、トランプ大統領が打ち出した自動車への25%の追加関税という脅しを避けるために、新たな貿易交渉をスタートすることだった。

米国は追加関税で脅しながら、交渉入りを迫った。これに対し日本が最優先としたのは、自動車の追加関税を発動しない確約を得ることだった。とりあえず今後交渉している間は発動しない確約を得たようだ。これは7月の米欧首脳会談での欧州連合(EU)も同様の交渉をしており、日本はEUのやり方を参考にした。

ただし、その拳は「挙げたまま」、ということも認識しておくべきだろう。米国はまだ脅しのカードを手放したわけではない。EUも日本も「交渉が続く限りは自動車への追加関税はない」と説明するが、米国から言えば、「脅しのカードを持ち続けて交渉する」というものである。

日本はこれまで長年、米国からの圧力で譲歩を迫られることを懸念して、米国との2国間交渉を避けてきた。他方、今のトランプ政権は2国間協定にこだわって、米韓自由貿易協定(FTA)の見直し交渉、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉、EUとの貿易交渉など、次々と2国間交渉を進めている。いつまでも日本だけが交渉に入ることを拒否し続けられないと、日本も現実を見据えた対応をしたのだろう。

日米首脳が合意した交渉は「物品貿易協定」(TAG)という名のFTAの交渉だ。日本政府の発表では、これから日米でスタートするのは「物品貿易協定(TAG)」だとして、あえてFTAという名称を避けたようだ。それはなぜか。

日本が「FTA」の名称を避けたいわけ

確かに、モノの貿易の関税の交渉を始めることにしたのだから、TAGと呼ぶこと自体は間違いではない。しかし世界貿易機関(WTO)という国際ルールでは、特定国に対して関税を引き下げるにはFTAという手段しかないということを忘れてはならない。TAGという名称を付けようが、付けまいが、それはFTAなのだ。

安倍総理は「これはFTAか」との記者の質問に、「日本がこれまで締結してきた包括的なFTAではない」とすれ違い答弁をわざわざしている。これがその後、日本の報道に混乱と誤解を招いたのだ。これは「包括的でないFTA」であっても、当然FTAである。

では何故FTAと呼ぶのを避けたのか。

日本には伝統的にFTAに対して強烈なアレルギーがある。FTAになれば、米国からの圧力で日本は農産物の市場開放をさせられるとの被害者意識が根強くある。だから、国会答弁でも「今の協議はFTA交渉ではない」と言い続けてきた。

実は同じように日本がFTAという名称を避ける動きは16年前にもあった。日本が編み出した「経済連携協定」(EPA)という言葉がそうだ。この言葉も日本の造語だと言うことはあまり知られていない。

かつて1990年代後半ごろから世界はFTA締結へと動いていたが、日本はこうしたこともあって、この潮流に乗り遅れていた。そこで日本もついに2002年にシンガポールとの間で初めてFTAを締結した。その際もやはり、FTAと聞くと強く反発する農業関係者にどう説得するかが最大の問題であった。相手国にシンガポールを選んだのは、農産物の市場開放にはおよそ無縁な国だからだ。しかも名称をFTAではなく、関税引き下げよりもルールの策定を重視したFTAとして「経済連携協定(EPA)」という名称を編み出して、FTA色を薄めることに腐心した。実は名前がEPAであっても、実態はFTAなのだ。

15年以上経った今も、日本の“FTAアレルギー”は変わらない。今回、「TAG」という名称を考え出したのもFTA色を薄めるためで、歴史は繰り返される。EPAと言おうが、TAGと言おうが、WTOのルール上はFTAという概念しかない。現に米国では日米のFTA交渉として認識され、「日本とFTA交渉をする」と報道されている。

いつまでも言葉で逃げるのではなく、むしろFTAであることを正面から認めて、その中身の是非について議論する成熟さが日本には必要だ。

むしろ問題は交渉の内容だ。恐らく中間選挙後の年明けからスタートするであろうFTA交渉で後述する点で日本はどこまで頑張れるかが大事だ。

トランプ氏の中間選挙対策として「牛肉の手付金」

自動車の追加関税の回避のために2国間交渉に入った日本が懸念するのは、「農産物の市場開放において環太平洋経済連携協定(TPP)で合意した以上の譲歩を迫られるのではないか」という点であった。これが日本の農業関係者の最大の懸念で、この懸念を払拭することが、日本にとっての次の優先事項だった。首脳会談では、「TPP水準が最大限である」ことを留意させたことは成果であった。

ただしそれは裏返せば、「TPPで約束した水準までは引き下げる」と言ったのも同然だ。これからの交渉で関税引き下げが決まるのではあるが、今回、既に “手付金”を払ったと言える。トランプ大統領にとってはありがたいことに違いない。

トランプ大統領の狙いは中間選挙に向けての得点稼ぎだ。ターゲットは牛肉である。

TPPを離脱した結果、TPPに参加している豪州産牛肉に比べて、相対的に不利になる。さらに米中間の関税合戦の結果、中国の報復関税によって、米国の牛肉、大豆が打撃を被っている。中西部の農業州の農畜産業者の不満は爆発寸前だ。11月の中間選挙に向けて、この不満解消はトランプ大統領にとって至上命題となっている。

そこで7月の米欧首脳会談では欧州から大豆の輸入増を勝ち取り、今度は日本から牛肉の輸入拡大を勝ち取って支持層にアピールする。わかりやすい構図だ。

日本も欧州同様、コミットではないが、トランプ大統領が支持者に成果とアピールできるような「仕立て方」をEUのやり方を参考にして考えたのだ。

今後の焦点は自動車の数量規制

今回の首脳会談の共同宣言文に気になる文言が盛り込まれてしまった。

今後の交渉において日米双方が目指すものとして、「米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」と書かれているのだ。これは要注意だ。日本が農産物について既に述べたような「TPPでの水準が関税引き下げの最大限だ」とする文言を入れること主張したために、「それならば」と米国がその引き換えに持ち出したものだ。

今回の首脳会談の結果に対して、日本の中には「自動車の追加関税を免れるために、農業が犠牲になった」という人もいるが、逆に「農業はTPP止まりという条件を米国に飲ませるために、日本は自動車で譲歩させられた」とも言える。

これは何を狙っているのか。

米国の交渉責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の目指すのが自動車の数量規制だ。追加関税の脅しで数量規制に追い込もうとしている。米韓FTAの見直し交渉で韓国に、NAFTA見直し交渉でメキシコ、カナダに数量制限を飲ませた手法だ。G7(先進7カ国)の一角であるカナダまでこの“毒まんじゅう”を食べさせられたのは衝撃だ。

そして今、ライトハイザー代表は同様の手法で、EU、そして日本と交渉をしようとしている。

米国の自動車販売台数は年間およそ1700万台で成熟市場になって、今後大きな伸びは期待できない。そういう中で、日系メーカーが米国で生産するのは377万台、米国内で生む雇用(間接も含めて)は150万人だ。これをさらに増加させるには、対米投資を増加させ、現在174万台である対米輸出台数を減らすことになる。その結果、日本での国内生産969万台は減らさざるを得なく、国内雇用にも影響する大問題なのだ。

そしてそれを実現するために、今後の交渉で、米国がこの文言を盾に「対米輸出の数量規制」や「対米投資の数値目標」を強く要求してくると考えるのが自然だ。まさにこれこそ日本が断固拒否すべき管理貿易なのだ。

これが、これから始まる交渉の最大の焦点であろう。

日本政府はこの文言を受け入れたことで、もちろん今後厳しい交渉が予想される。日本政府は平静を装い、メディアも大本営発表のせいか、意味不明の解説をしているものまである。本当にこの文言が日本にとって大きな失点でないならば、それを今後の交渉の結果で示すことを日本政府には期待したい。

新交渉で注目すべきは「米国の自動車関税」への攻めだ

今回の首脳合意を受けて、新たな日米交渉が年明けにも始まるが、そこで注意しなければならないのが、日本は受け身一辺倒にならないことだ。日本はメディアも含めて、伝統的に「米国から攻められるのをどう守るか」にばかりに関心がいく悪い癖がある。しかし交渉は相手を攻めることも大事なのだ。

具体的に米国を攻めるべきポイントは「米国の自動車関税」だ。米国は乗用車で2.5%、ライトトラックで25%の関税をかけて、これを死守しようとしている。

かつてTPPにおける米国との関税交渉では、日本の農産物の市場開放と米国の自動車の関税撤廃がパッケージで合意されたことを忘れてはならない。

新交渉でも当然、日米双方向でなければならない。かつてのTPP合意と同様に、日本の農産物の関税引き下げだけでなく、日本が米国の自動車関税の引き下げを要求するのは当然の主張だ。米国にかつてのTPP合意の“いいとこ取り”をさせてはならない。

注目すべき、対中国を睨んだ日米欧協力

日米共同声明に盛り込まれた注目点は、こうした日米2国間の問題だけではない。中国の知的財産権の収奪・強制的な技術移転など中国の不公正な貿易慣行が日米共通の今後の大きなテーマだ。その問題に欧州も含めた日米欧が協力して対処することが盛り込まれた。これは大いに評価すべき点だ。メディアの目が余りこの点に向いていないのは問題だ。

これがトランプ大統領の首脳会談の共同声明だからこそ意味がある。

こうした中国の経済体制に起因する根深い問題にはトランプ流の関税合戦は手段として問題解決にはつながらない。むしろ中国が徐々に改善せざるを得ない国際的状況を作り出すことこそ大事なのだ。しかしトランプ大統領自身は恐らく全く関心がない。中国とは2国間の関税合戦での駆け引きにしか関心がない。

そのことを理解しているのはライトハイザー代表だ。2017年12月から日米欧三極での貿易大臣会合を4回と頻繁に繰り返しながら、中国問題への対処を進めてきた。

問題はそうした取り組みがトランプ大統領のお気に召すかである。トランプ政権の通商戦略はトランプ大統領の独断で仕切られていることから、いかにうまくトランプ大統領の頭に刷り込むかがポイントになる。

それはライトハイザー代表の手腕にかかっている。

7月の米欧首脳会談の共同宣言にも同趣旨の文言が盛り込まれている。これはまさしく日米欧が連携した「トランプ対策」なのだ。これはこの政権が独特の構造であることを物語っている。

会談直前の夕食会が持つ大きな意味

同じく「トランプ対策」という意味では、会談直前での日米首脳2人きりの夕食会が大きな意味を持った。日米首脳会談の前に茂木大臣-ライトハイザー代表による閣僚レベルの交渉があったが、それに先立って、まず安倍総理とトランプ大統領との間で2人だけの夕食会がトランプ大統領の発案で開かれた。そこで安倍総理はトランプ大統領との直接の会話で、繰り返し刷り込んでいくことが可能になった。

トランプ政権ではトランプ大統領だけがポイントだ。それで失敗したのが中国で、閣僚レベルで折角合意できても、トランプ大統領にちゃぶ台返しにあってしまった。逆にEUは直前の閣僚折衝では物別れに終わっても、翌日の首脳会談でトランプ大統領のお気に召せば、丸く収まった。失敗した中国と成功したEUの例をみれば、どう対処すればよいか明らかだ。

そういう意味では安倍総理がトランプ大統領の頭を事前に作っていく機会があったことは効果的だったようだ。

これがトランプ政権との付き合い方なのだ

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