6/26ロイター<焦点:頓挫する「中国版マンハッタン」、債務抑制が天津を直撃>天津は温家宝の利権(生まれ育った場所でもある)だから中央政府も支援しないのでは。
https://jp.reuters.com/article/china-debt-tianjin-idJPKBN1JL0RD
6/28日経ビジネスオンライン 飯山辰之助<中国、「一帯一路」沿線住民の不安 記者が各国を歩いて分かったこと>こうなることは見えているのに、騙される方が悪い。賄賂を受け取る要人を選ぶのが悪いのです。民主主義化していなくても不正に声を上げることはできるでしょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/062600587/?n_cid=nbpnbo_mlpum
6/26有線中国組
【數千退役軍人到鎮江抗議】
【清場後不少老兵仍被當局扣押】
退役老兵在鎮江市政府門口的示威上星期六清晨政府清場後,現場剩下便衣和公安駐守。有關注事件的維權人士指當局出動武警清場,有老兵因為拒絕離開被打到頭破血流,也有老兵受傷要留院。
清場後網上流出片段,軍隊和軍車已經被調動進城,甚至準備好了裝甲車。
被驅趕的老兵大部分被扣留在附近校舍,並被要求簽保證書同意是自願返回所屬地,拒絕簽名的則被繼續扣留。即使清場也陸續有老兵來到鎮江聲援,為了阻止他們,公安派出車隊在部分老兵居住的賓館外留守,不讓他們出外。亦有從外地來的老兵,在公路上被截查。
令當地政府那麼緊張的是因為上星期四開始,幾千名退役老兵從全國十多個省市來到江蘇鎮江市政府門口聲援維權時被打傷的老兵。鎮江老兵王益宏和幾十名老兵,上星期二到市政府抗議當局一直未處理好退役士兵的轉職安排,可是卻被人打傷。片段傳出後激發更多人來聲援,並在市政府門外留宿,最終公安在星期六清場。這是繼河南和四川後,本月第三次發生老兵示威事件,示威的老兵多年來一直爭取退休保障。
[数千もの退役軍人が江蘇省鎮江市で抗議]
[デモ終了後、多くの老兵が当局に拘束]
鎮江市政府の前でデモがあった後、土曜日の朝に現場は私服と公安が警備していた。 事件について懸念していた人権活動家は, 「当局が武装警察を出動させ事態解決を図り、現場を離れることを拒否した老兵は頭から血を流して倒れ、傷ついた老兵は病院送りになった」と指摘した。
デモ終了後、ネットの投稿によれば, 軍や軍用車両が市に入り 装甲車の準備もできた。追い払われた退役軍人のほとんどは近くの学校の構内に拘留されており、原籍地への帰還の同意書にサインをすれば帰ることができ、 署名を拒否すれば拘留が続けられた。たとえ現場が片づけられても、続々と退役軍人が集まるので、彼らを阻止するために公安は治安部隊を退役軍人の宿泊先の外で警戒し、彼らが外に出られないようにした。よそから来た退役軍人も途中で行く手を遮られた。
現地政府は「緊張は先週の木曜日から始まり、全国から数千人の退役軍人が江蘇省鎮江市に集まり、市政府の前で、権利を主張していた時に、彼らは攻撃を受けた。鎮江の老兵である王益宏と数十人の退役軍人は、先週の火曜日に退役軍人の就職斡旋がずっと未処理なのを抗議するために市政府に行ったが、却って負傷した。この録画が出た後, 多くの人々が集まり、市の門外に逗留して声援を送った。公安は土曜日に事件を解決した。これは, 河南や四川の次の3度目の退役軍人のデモであり、彼らは長年退職後の保証を求めている。
https://www.facebook.com/cablechinadesk/videos/1760851147392697/
6/28阿波羅新聞網<中国经济三大定时炸弹颗颗要命 川普“修墙”反中共入侵=中国経済には3つの時限爆弾がセットされ命を落とすだろう トランプは中共の侵略を防ぐ壁を造る>3つの爆弾は①中国全体の債務がGDPの350%にも上ること②不動産バブル③通貨供給量が174兆元で欧米合算のそれを超えることである。この他にも①中国からの米国への投資制限②ミンスキーモーメントが既に起こっていること③米国は貿易戦争により中国のバブル経済崩壊への引き金を引くことを狙っている事等中国経済の先行きは暗い。人民元レートと株式市場の下落がそれを物語っている。
http://www.aboluowang.com/2018/0628/1135710.html
福島氏の記事では、退役軍人を動かしたのは江沢民という噂があると書いていますが、江沢民にはもうその力はないでしょう。ただ江沢民派の軍人が習に酷い目にあわされていますので、彼らが結託して事を起こした可能性もあります。軍人だけでなく中国の社会保障の仕組みは貧しく、セーフテイネットが全然ありません。豊かになっているのは共産党幹部だけです。彼らに鉄槌を下さねば。中国国民は軍と協力して共産党を打倒すべきです。
細川氏の記事は今まで日本が中国に甘く対応(技術支援+資金支援)して来た咎めが出て、中国が国際標準を取りに動き出していると言うものです。何時も言っていますように日本人の人の良さが自分の首を絞めるパターンです。いい加減日本は政府も企業も中国に協力するのを止めたら。徹底した反日国家であるのに。
福島記事
中国ではここ数年、元軍人による抗議デモが頻発している(写真:AP/アフロ、2016年10月撮影)
習近平政権の最大の矛盾は軍部周辺で起きているのかもしれない。習近平政権最初の5年の任期で難しい軍制改革に手を付け、大規模リストラと軍部の利権剥奪、汚職摘発を名目にした粛清を続けている。こうした軍制改革が決してうまくいっているわけではない。もちろん、解放軍報を見れば、習近平礼賛記事であふれているが、これらが面従腹背で、解放軍内外の矛盾と不満はかなり膨らんでいるようである。
そういうものが、目に見える形で表れた一つが、昨今頻発している退役軍人デモである。6月下旬にもかなり大規模な退役軍人デモが起き、しかも解放軍下部組織の武装警察や軍が出動して鎮圧するという、軍内身内同士の流血事件に発展した。習近平政権二期目始まって以来の最大規模の退役軍人デモであり、ひょっとすると最大危機への導火線となるやもしれない。
このデモが起きたのは江蘇省鎮江。6月19日から24日にかけて 、全国22省から微信(中国ネットSNS)で呼び掛けられた退役軍人たちが続々と鎮江市の政府庁舎に集まり続けた。ネットに上げられた映像を見る限り1万人規模にはなっていた。香港紙の中には5~6万人が集結という報道もある。彼らは迷彩服姿で市内を行進するなどした。
当初は抗議活動を容認するかたちで、1万人の武装警察が治安維持のための厳戒警備にあたっていたが、鎮江市政府周辺で、一人の退役軍人と警備の武装警察が衝突、退役軍人側が頭から血を流して倒れ、怒ったデモ隊が非道を訴え、一部で暴徒化したようだ。退役軍人を殴ったのは、武装警察の制服ではなかったという説もれば、私服の武警であったという説もある。
相手は退役しているとはいえ軍人である。農民、市民の抗議活動とは迫力が違う。現地当局は最終的に武装警察および軍の出動を依頼、23日午前3時40分ごろには、2万人の武装警察および解放軍が退役軍人デモ鎮圧のために出動した、という話も出ている。
この結果、かなり暴力的な鎮圧が行われたようで、ネットには漆黒の闇の中で、「殴られた!」と叫び声をあげながら武装警察と群衆が衝突している様子が動画に挙げられている。ネットで散見する動画や写真をみれば、血まみれの退役軍人たちは一人や二人ではなかった。武装警察側の武器は主に盾やこん棒であったようだ。死者が三人以上出ている、という話もあるが、確認は取れていない。また、この鎮圧騒動で負傷した退役軍人が入院した病院では、大勢の退役軍人が“見舞い”に押し寄せ、病院前で退役軍人と7両の軍警車両が一時対峙する場面もあったとか。
また、当局は市庁舎近くの中学校に退役軍人を拘束、収容。その数は2000⼈以上とか。食事しに外に出ることも禁じられ、トイレに⾏くのすら⼆⼈が監視につくなどの厳しい監視をうけている、という。
当局は一切の報道禁止をメディアに通達し、ネット上でも動画や写真などの投稿削除が行われているが、なぜか微信だけは、完全に封鎖されていない。25日には「装甲車が投入された」という写真付きSNSの投稿や、鎮江市の外で二個師団が待機している、といった噂もながれた。こうした情報の真偽を確かめるすべは今のところないが、事件に関する情報は今なお断続的に発信され続けている。
党内部、軍内部が関与の可能性も
微信では、どこそこから退役軍人グループが応援に向かった、その応援グループが地元警察に連行された、誰それとの連絡がとれない、といった情報が次々と更新されており、今回のデモが、かなり組織的かつ全国的規模で入念に計画されたものではないかという気がしてくる。しかも中央ハイレベルから、このデモを事前に防ごうという動きがない。ご存じのように、中国ではすでに顔認識機能のついたAI監視カメラが駅や高速道路など要所要所に設置されており、大量の退役軍人が一斉に鎮江に向かおうとすれば、事前に察知されて当然なのだ。
微信が遮断されていないこととも考え併せると、党内部や軍内部のハイレベルが一枚かんでいる可能性は否定できない。あるいは治安維持部門があえて上層部に報告しない、といった現場のサボタージュがあったのかもしれない。江蘇省上層部すら、誰も現場に出てきていないので、これが退役軍人有志らの自発的アクションなのか、軍部が関与しているのか、背後に糸を引く大物がいるのかどうかも、目下は判断に悩むのだ。
だが、武器を携帯した武装警官・兵士が武力鎮圧を行ったことは事実らしく、ネット上では「軍人版天安門事件」などという声もある。24日以降は、現場に至る高速道路などは封鎖され、退役軍人に鎮江行きの鉄道切符を売らないなどの対応策に出ているという。また鎮江で拘束された退役軍人には原籍地に戻ることに同意する保証書にサインをさせて帰郷させ始めているようだ。
一般市民は退役軍人側の味方が多く、退役軍人に対してはタクシー運転手がただで現場に運ぶなどの応援も行われたようだ。微信上では、一般庶民からの退役軍人の身の安全を心配したり、がんばれと応援したりする声も多く上がっている。
私は26日に鎮江を訪れた。すでに退役軍人も武装警察の姿はなく、市庁舎も病院も中学校も平穏な様子であったが、複数のタクシー運転手によれば、23日に武装警察、特別警察、軍が出動してデモの鎮圧にあたったことは事実のようだ。あるタクシー運転手によれば「23日の夜は、街頭が消されて真っ暗の中、退役軍人たちが次々と拘束されていた。多くが中越戦争で戦った英雄なのに、ひどい仕打ちだ」と退役軍人側に強い同情を寄せていた。
ところで退役軍人の境遇とは、そんなにひどいのだろうか。ちょうど、この事件を報じた香港蘋果日報が退役軍人の現状についてまとめていたので、引用する。
2011年に施行された退役兵士安置条例によれば、12年以上の兵役者には軍が就職口を手配してくれるが、12年未満の兵役者及び義務兵は自力で就職先を探さねばならず、自主就業手当と呼ばれる一時退役年金が支払われるのみだ。しかし、これは1年の兵役につきわずか4500元が基準で、10年服役してやっと4万5000元が得られるということになる。
兵役経験者はよい就職口が用意される、というのはほんの一部の話であり、ほとんどの兵士は青春期の10年を軍に捧げてのち、退役後に一般社会に適応するのは現代中国ではなかなか簡単ではない。しかも習近平による軍制改革で、この数年は一気に30万人以上の退役兵士が新たに社会にあふれるわけだ。
感動巨編映画の公開が遅れた理由
中国の人気映画監督・馮小剛がメガホンをとった「芳華」(2018年)は、最近の中国映画の中では出色の感動巨編だが、第19回党大会前に当局からの検閲チェックに引っかかり、公開が大幅に遅れることになった。その理由は映画中で表現された中越戦争の描写が、大勝利という中国の公式宣伝と大きく違い、悲惨な泥沼の負け戦である事実を浮き彫りにしていたため、と言われているが、実はこの映画で描かれている退役軍人の境遇の悲惨さが、当時頻発していた退役軍人デモを刺激するからだ、とも言われている。
この映画で人気俳優・黄軒が演じる主人公は、中越戦争で片足を失ったあと退役し、地方都市で違法なコピーDVD露天商で日銭を稼ぐ生活で、城管(町の小役人)に摘発されて、罰金を払えといたぶられるのだ。
あの苛烈な中越戦争経験者の中には、確かに現代社会の底辺で苦しんでいる人たちが今もいる。改めて、この映画を見てみると、目下習近平の軍制改革で縮小されつつある文工団への懐古(馮小剛は文工団出身の監督)や、勝ち目のない戦場に駆り出されて心や体に傷を負った兵士たちが、その後の改革開放の発展の中で取り残されている様子がかなり残酷にリアルに描かれている。
かつての鄧小平がそうしたように、思い切った軍制改革を行い、台湾統一や南シナ海の有事の可能性を盛り上げることで、軍を掌握し、政権への求心力強化を図ろうとする習近平を、そこはかとなく批判しているような、においがしないでもない。
中国には現在5700万人の退役軍人がいる。今年3月の全人代後に習近平主導で行われた国務院機構改革の一環として退役軍人事務部が新設されたのは、こうした退役軍人の社会復帰を援助し、その人権を守り、その不満を解消するのが目的だった。だが退役軍人の登録を開始しただけで、なんら具体的な対策は打ち出されず、今回のデモについても、公式コメントすら出していない。
退役軍人事務部の設置は習近平の肝入りであり、一般の傾向としては、こうした退役軍人問題の責任は習近平の手中にある、という形で、今回の事件の矛先は習近平政権批判に向かいつつある。趙紫陽の元秘書、鮑彤は「警察力によって、(退役軍人の)正当な権利を粉砕すれば、(習近平)新時代の社会矛盾が消滅したり緩和したりするとでもいうのか? これが(習近平のスローガンである)治国理政の新理念新方向なのか?」と習近平政権批判につなげている。
習近平の「宿敵」江沢民が関与の噂も
さて、この事件の背景はまだ謎である。だが、香港の民主化雑誌「北京の春」の編集長・陳維健がやはりツイッターで興味深いコメントをしていた。
「今回のデモの現場の鎮江は江沢民の故郷の揚州のすぐ隣の地方都市だ。デモと江沢民が関係あるかはわからないが、鎮江政府は(軍による鎮圧という)軽率な対応をしてはならなかった。…退役軍人問題は習近平自身の手中にあり、官僚たちは自分に責任の火の粉がかかるのを恐れて、行動したがらない。この問題を解決するには必要予算があまりにも大きく、鎮圧するにはリスクが高すぎる」
習近平の宿敵ともいえる江沢民が何らかの形でかかわっているのか?
また、一部SNS上では、国家安全部二局(国際情報局)がこの事件の背景を調査するために現地入りしたというまことしやかな噂も流れている。中国当局は海外の情報機関の工作を疑っているのか?
すべてがネット上のSNS発情報というもので、何が事実で、何がデマなのかはまだわからない。だが、退役軍人デモが頻発していることは事実である。日本では2016年10月に北京で行われた数千人規模の退役軍人デモが大きく報道されたが、それ以前もあったし、それ以降も増え続けている。2017年も相当規模のものが少なくとも4件はあった。
1989年再来の可能性も否定できない
習近平政権としては退役軍人デモには、他のデモとは違う「話し合い姿勢」を見せており、今回のような武力鎮圧事件に発展したことは意外感がある。習近平の判断というよりは、偶発的な事件をきっかけにした鎮江市の対応の誤りが引き起こした騒動と言えるが、今後の中央の対応次第では、本当に1989年の再来の可能性だって否定できまい。
習近平政権は今世紀半ばまでに、戦争に勝利でき党に従う一流の近代軍隊を作るという強軍化の夢を掲げて軍制改革に踏み出した。だが、退役軍人への権利や尊厳が守れない状況で、誰が命をかけて党に忠誠を尽くそうというのか。このままでは、強軍化の夢どころか、体制の根底を揺るがしかねないのである。
細川記事
中国が技術の「標準化戦略」で、国内産業育成という「守り」から、世界標準獲得という「攻め」の姿勢に転じている。特許戦略と並び経済覇権を得るための「車の両輪」で、日本企業にとってのリスクが高まっている。
標準化戦略でファーウェイの存在感が世界的に高まっている(写真=ロイター/アフロ)
標準化による“国境の壁”戦略
本コラムの前稿「対中報復では解消されない、中国・知財強国の怖さ」で、中国の知財戦略の怖さを指摘したが、これと同様に、中国が経済覇権獲得のために戦略的に活用しているものがある。標準化(規格化)戦略だ。これらが相まって「中国製造2025」を下支えしている。そしてこれらをナイーブに、中国を「知財大国」「標準化大国」と単純に評価していては見誤る。
かつて中国には苦い経験がある。中国企業が海外進出した際、欧米市場では国際標準に準拠しないと市場に参入できなかった。準拠するためには知財権のライセンス取得が必要となり高額のライセンス料を要求された。これらの経験から、中国政府は、特許と標準を「車の両輪」として戦略的に取り組むようになったのだ。
既に、ハイテク、デジタルの分野では顕著だ。中国国内で独自の中国標準を採用することによって、海外技術による中国市場への進出を阻止している事例が目立っている。
例えば、無線LANがそうだ。2003年にWAPIという独自の暗号化規格を作って、中国国内でのWAPI採用を義務付けて欧米企業の参入障壁にしようとした。これはその後、米国の強い反発を受けて、米中合意で無期延期になったものの、中国の標準化による“国境の壁”戦略は明確である。
このように中国が国際標準と異なる独自の中国標準を採用すると、外国企業は中国標準に対応するためのコストがかかったり、標準の認証のために技術情報を開示させられたり、多大なリスクを抱えることになる。
さらにこの標準化による“国境の壁”は広がろうとしている。中国では約30年ぶりに標準化法が改正され、今年から施行されている。狙いの一つは標準化の対象をこれまでの工業品だけでなくサービス産業にまで拡大するものだ。中国の経済発展とともに経済のサービス化が進展したこともあるだろうが、この結果、標準化による“国境の壁”によって守られる範囲が広がるのだ。
「一帯一路との一体化戦略」でアジア標準に
こうして巨大な国内市場を独自の標準化によって守りながら、さらにそれをアジアに広げるために、中国標準をアジア標準にしようとしている。その強力な手段が「一帯一路」との一体化だ。
中国は数十の一帯一路の対象国と次々と“標準化協力”の覚書を締結している。そして相手国で標準化のワークショップを開催して中国の標準を紹介し、それを採用してプロジェクトを進めていくよう誘導している。その結果、中国の製品をそのまま相手国に輸出できることになり、中国企業が外国企業に比べて圧倒的に優位になるという仕掛けだ。
中でもデジタル分野では昨年12月に習近平主席は「デジタル・シルクロード構想」を提唱して、「一帯一路」の一環として沿線国でネットインフラを建設することも推進している。これと標準化協力を組み合わせて、デジタル技術の中国標準を広げていく戦略を着々と進めている。その結果、電子商取引市場や電子決済市場では中国標準がアジア標準になろうとしている。
さらに注目すべきは、今年4月に北京で開催された「全国サイバーセキュリティ情報化工作会議」である。米朝核問題、米中貿易摩擦に目を奪われていた中、中国政府首脳が集まって「ネット大国化」への方針が決定された。サイバー分野での軍民融合と並んで、この「デジタル・シルクロード構想」による海外展開が柱になっていたことは特筆すべきだろう。
このような中国の動きに対して、日本も決して手をこまぬいているわけではない。
日本政府もアジア諸国、とりわけASEAN(東南アジア諸国連合)の標準化当局とは以前から、協力の枠組みを作ってきた。そしてエアコン、建材など省エネ性能で差別化できる分野に焦点を当てて、技術協力も絡めて戦略的に取り組んでいる。
しかし、中国の巨額のインフラ整備支援を絡めた“実弾作戦”の前に、苦戦を強いられているのが現状だ。今後、アジアのマーケットを確保するためにも、ODA(政府開発援助)との連携、欧米との連携など、多角的に一層強化することが急務だ。
独自標準から世界標準へ、“標準化強国”への戦略転換
先に述べたように、独自の中国標準を作って、中国市場を守るというのがこれまでの中国のやり方であった。しかし中国は今や豊富な資金と人材をバックに技術進歩に大いに自信をつけて、大きく戦略を転換しようとしている。
すなわち独自標準によって中国市場を守るという「守りの戦略」ではなく、世界市場を狙って世界標準を獲るという「攻めの戦略」への転換だ。まさに“標準化強国”を目指して大きく舵を切ったのだ。前稿で指摘した、“知財強国”への転換と軌を一にするのは決して偶然ではない。
今年から施行されている30年ぶりの改正標準化法にそれを見て取れる。中国は戦略分野ごとに規格の戦略を作って、国際標準の主導権を取ろうとしている。これまでの標準化法では「国際標準を採用するよう努める」と書かれていた。ところが改正標準化法では、これを大きく変更して、「中国標準を国際標準にする」との明確な方針を打ち出した。
その代表例が中国製造2025において10大重点分野の一つになっているロボット分野だ。昨年5月に中国政府は「国家ロボット規格体系の整備指針」を発表した。今後2020年までに100項目のロボット規格を制定する目標だ。部品から完成品、そしてシステム全体にいたるまで広範に分野を網羅している。これらをもって国際標準に攻め込もうとしている。
通信分野でも、2006年には前出の中国独自の暗号化規格WAPIを国際標準にしようとしてもできず、苦汁をなめたが、いまや次世代通信規格5Gでは華為技術(ファーウェイ)が中心となって中国が国際標準化の主導権を握ろうとしており、米国の対中警戒感が高まっている。
官民一体となった戦略の下、民間による国際標準を策定する国際会議での中国の存在感は圧倒的に大きくなっている。中国からは若手の優秀な人材が参加し(40代以下が過半を占める)、がむしゃらに議長や幹事のポストを取って、中国標準を国際標準にしようと余念がない。また中国は議長や幹事になれば先進国の先端技術の情報を入手することにもうま味を見出しているようだ。
特に戦略的な通信分野では中国のロビー活動も熾烈を極めている。国際的に影響力のあるコンサルタントに猛烈に働きかけており、例えば5Gの世界では、ファーウェイが影響力を及ぼすコンサルタントが今や支配的になりつつあるのだ。
標準策定のプロセスは不透明で、技術流出の懸念も
これに対して、日本企業の「戦略性の欠如」は長年指摘されているとおりだ。かつてよりは改善されてはいるものの、国際標準の議論の場には年配の研究者、技術者だけが参加して、情報収集にとどまるものが未だに多い。議長や幹事ポストの獲得面でも中国の積極性に圧倒されて、明らかに後手に回っている。日本企業の経営層には、優秀な社内人材を投入するなど、これまでのように対欧米だけではなく、中国をも意識した戦略性と積極性が急務である。
さらに中国標準の策定にも、日本企業が警戒すべき「落とし穴」が潜んでいる。
それは、中国の標準策定プロセスに透明性が確保されていないことだ。表向き、外資企業にも制定過程への参加が一応謳われて、中国も海外からの批判を避けるような手は打っている。しかしそれが実際どう運用されるかが問題だ。
実はいくつかの業界で懸念すべきことが起こっている。
日本企業の中には中国当局から標準策定への参加・協力依頼の声がかかって、中国の標準策定プロセスのインサイダーになれると、喜んで参加するところもある。もちろん情報収集を早期に行い、早い段階から標準策定プロセスに関与して、自社の技術が採用されるよう働きかけることは大事だ。
しかし実はこれも注意が必要なのだ。
参加のアメと引き換えに、自社の技術情報の開示を求められる。そうすると競合の中国企業に流出しないとも限らない。日本企業は参加するにしても、こうした「落とし穴」にはまらぬよう慎重な対応が必要なのだ。
“標準化強国”を打ち出している中国では、今後ますますこうした場面が増えてくるだけに、日本企業にとってのリスクは大きくなっている。日本企業の経営層も現場任せにならないようにしたいものだ。
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