『公開40分後に削除 北京大記念文に見る「叫び」 「犬儒となるのを拒絶しよう」 呼び掛けた常務副院長、辞職か』(4/6日経ビジネスオンライン 北村豊)について

一昨日は「防人と歩む会」の事務局長と新宿文化センターで開催された「桜祭りコンサート」を聞きました。それ程期待はしていなかったのですが、物の見事に裏切られました。特に小柳拓人氏(24歳、自閉症とのこと)の演奏するピアノは力強く感動ものでした。あとの方も流石プロという方ばかりでした。その後二人でウイグル人支援を兼ね、且つ7/28(土)に「防人と歩む会」主催のジェイソン・モーガン先生の講演会の打合せの為、巣鴨のレイハンレストランで乾杯。シシカバブーがおいしかったです。マトン料理は総て美味しかったですが。

http://reyhan.co.jp/restaurant/

4/4看中国<世界之谜 中国到底有多少贪官?(组图)=世界の謎 中国には一体どのくらい腐敗役人がいるのか?>正確に述べるのは難しいが、筆者の見立てでは千万元以上の資産を持つ者は数は多くなく、百万元以上も少なく、百万元以下の者が多い。清廉な役人はごくごく少数だろう。腐敗役人の中には、妾を連れて大名旅行をするのもいると。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/04/04/852109.html

4/9看中国<金正恩真弃核?他向习近平说出这些条件(图)=金正恩は本当に核放棄するのだろうか? 彼が習近平に出した条件とは目新たらしい情報はありません。日本の読売や日経からの引用もあります。ただ、米朝首脳会談の開催が準備の関係で危ぶまれる中、米高官が「準備会議の中で、北は開催に自信を持ち、金正恩は本当に開催を待ち望んでいる」と発言したとのことです。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/04/09/855180.html

北村氏の記事を読んで、北京大学には硬骨漢がまだ残っているという印象を持ちました。ただ、共産党に逆らえば過酷な運命が待っていることは間違いありません。学界から追放され、どこも雇わずに、生活もできなくなる可能性もあります。蓄えがあれば良いでしょうけど。政治亡命も共産党は認めず、出国させないでしょう。

翻って日本の大学はどうでしょう。身の危険を感じてまで、自己の主張をするような硬骨漢はいないのでは。時流に阿り、反日活動に勤しむ輩が多すぎです。文科省が三流官庁と言われるのは、真に科学技術の振興に金を出さなければいけないのに、「北朝鮮のスパイ」と名指しされた立命館の徐勝に3536万円も出し、日共御用達の山口二郎に6億円も科学研究費名目で出していることです。税金の使い方がおかしいです。日本国民はもっと声を上げていかねば。また海外の留学生を優遇するのであれば、日本の学生の奨学金をもっと増やせと言いたい。

記事

開校120周年を迎えた北京大学。「独裁強権」に屈せず、その“背筋”を伸ばし続けることはできるのか(写真:Imaginechina/アフロ)

香港紙「蘋果日報(Apple Daily)」は3月25日付で『北大三君子「犬儒となるのを拒絶」ネット上に文章を発表するが、即座に削除される』と題する記事を掲載した。“北大”とあるのは、“清華大学”と並んで中国の最高学府である“北京大学”を意味するが、同記事の内容を要約すると以下の通り。

【1】“習近平”は全国人民代表大会で順調に再任されたばかりか、任期の制限がなくなり、今後も再任が可能となったことで、習皇帝の位についた。北京大学“元培学院”の常務副院長である李沈簡は、3月22日に“戊戌変法”<注1>と北京大学開校の120周年に際して元校長の“蔡元培”を記念するとして、『“挺直脊梁拒做犬儒(背筋をまっすぐ伸ばして犬儒になるのを拒絶しよう)”』と題する文章を発表した。

<注1>清朝の光緒24年(1898年、戊戌の年)、時の皇帝“光緒帝”の全面的な支持の下で康有為、梁啓超などの変法派によって行われた政治改革運動。しかし、この運動は西太后を中心とする保守派のクーデター「戊戌の政変」によって100日余りで終結した。戊戌の変法が目指した改革の大部分は日の目を見ずに終わったが、唯一実現したのが西洋式大学を目指して1898年に創設された“京師大学堂”で、1912年に“北京大学”と改称された。

【2】この文章は3月22日の午後6時に、元培学院がメッセンジャーアプリ“微信(WeChat)”に持つ公式アカウント「大師直通車」に転載されたが、わずか40分後には「大師直通車」そのものが閉鎖された。同文章が発表されてすぐに李沈簡は辞職し、教養担当副院長の“張旭東”と院長の“鄂維南”も一緒に辞職した。学院の公式アカウント「大師直通車」は閉鎖を要求され、学院の教師が微信通話や電話などで学生に転載した文章の削除を要求した。

記事の表題にあった「三君子」とは、元培学院を辞職した李沈簡、張旭東、鄂維南の3人を指しているようだが、中国語の“君子”とは「知徳の優れた人」を指す言葉である。彼らの経歴について3月25日付の「蘋果日報」は次のように報じた。

米国大学留学で博士号を取得した「三君子」

李沈簡(47歳):北京大学生物学部、基礎医学部を卒業後、米国へ留学し、インディアナ州のパデュー大学(Purdue University)で博士号を取得。専門は神経生物および分子遺伝。その後、ニューヨークのロックフェラー大学での研究を経て、コーネル大学医学院副教授、ニューヨーク大学マウント・サイナイ医学院教授を歴任。2012年、“中国共産党中央組織部”による海外人材を呼び戻す「千人計画」に応じて帰国し、北京大学生命科学学院教授となり、現在は北京大学元培学院の常務副院長。

鄂維南(54歳):“中国科技大学”数学部卒業、中国科学院計算機センターで修士号取得。その後、米国へ留学し、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)で博士号取得。2011年中国科学院の院士に選ばれ、2015年8月設立された北京大学データ研究所を経て、現在は北京大学元培学院院長。

張旭東(52歳):北京大学中国語学部卒業後、米国へ留学、ノースカロライナ州のデューク大学(Duke University)で博士号を取得。その後はニューヨーク大学で比較文学部と東南アジア研究学部の教授、東南アジア研究学部主任、中国センター主任を歴任し、帰国して北京大学元培学院の教養担当副院長。

こう見ると、3人共に米国の大学へ留学して博士号を取得しており、その経歴から考えて「徳」があるかは判断できないが、学識があることは間違いないと言えるから「三君子」と呼ばれる資格はあるのかも知れない。

さて、李沈簡が発表後に元培学院の副院長を辞職することになった文章とはどのような内容だったのか。下記するように、李沈簡は2月28日付で文章を書き終え、それから3週間後の3月22日に文章を発表したのだった。李沈簡が発表した文章の全文は以下の通り。

なお、文中にある“犬儒”とは「無為自然を理想として、現実社会に対しては諦めた態度を取る」ことを意味する。

発表後に削除された文章の全文

李沈簡:『“挺直脊梁拒做犬儒(背筋をまっすぐ伸ばして犬儒になるのを拒絶しよう)”』

戊戌の変法と北京大学設立から120年、我々は“蔡元培”先生を記念する。中国近代史上で、蔡元培先生は現代教育の父という名に恥じない。彼が我々に残した「“兼容併包(多くの事柄を包括すること)”、“思想自由(思想の自由)”」は、北京大学の精神的松明(たいまつ)であり、代々受け継がれている。蔡校長は人々の印象の中ではいつも謙虚な紳士タイプの思想指導者であったが、その実、もう一つの側面も同様に“万世師表(永遠の模範)”であり、それは背筋を伸ばして犬儒となることを拒絶する男であった。

若い頃の元培先生は清朝に反抗するために、一介の読書人でありながら命を捨てて暗殺団を組織し、清朝の役人を暗殺しようとした。その後の数十年では、真理だけを認め、強権を恐れず、北京大学校長の在任中に前後8回辞職して抗議を示した。1917年には、軍人で政治家の“張勲”が、すでに退位していた先帝の“溥儀”を担いで帝政の復古を宣言したのに抗議して辞職した。1919年5月には、捕らわれた学生を救出するために辞職した。1919年末と1920年1月には、北京市教職員が給与問題で政府に抗議するのを支持して辞職した。1922年8月と9月の2度にわたって、政府が校長を侮辱したのと、教育経費の支払いを遅らせたのに抗議して辞職した。1923年には、“教育総長(教育大臣)”が人権と司法の独立を踏みにじったのに抗議して辞職した。1926年には、政府が学生を鎮圧したのに抗議して辞職した。

このような意味から見ると、元培先生の「“兼容併包”、“思想自由”」は個人の大きな犠牲を払って、当時の北京大学において空前の活気を勝ち取ったのであった。北京大学には、全面的西洋化を求める“胡適”がいたし、共産主義を追求する“陳独秀”、“李大釗(りたいしょう)”、“毛沢東”もいた。さらに辮髪を垂らして日々清朝の復古を叫ぶ“辜鴻銘(ここうめい)”もいて、各種の思想が生まれてぶつかり合っていた。

Freedom is never free. 自由が天から落ちて来たことはなく、気骨のある人が大きな対価を払って勝ち取ったものであるが、その中で北京大学の先人にはこのような手本が多い。胡適は一生恐れずに“蒋介石”と“国民党”の専制を批判した。人口学者の“馬寅初”は自分の学術的観点を堅持し、批判の下でも間違いを認めることを拒否した。“林昭”は狂気じみた“文化大革命”(1966~1976年)の時代にいささかも尻込みすることなく、唯一人で人道に反する罪悪と徹底的に戦って銃殺されるに至った。この理由で北京大学は中国の神聖な殿堂になったのであって、彼女が思想を持っていただけでなく、彼女には理念のために全てを惜しまない師弟がいたのであった。

しかし、我々は冷静に客観的に見ることも必要である。中国5千年の歴史の中で、固い背骨を持っていたのは少数で、その多くが持っていたのは軟骨で、悪人を助けて悪事を働いた者までいた。抗日戦争の中で、中国は人類史上で傀儡軍が占領軍よりも多いという不名誉な記録を作った。“大躍進”(1958~1961年)や文化大革命の中で、いったいどれほどの人が騙されたか、どれほどの人が姑息にも良心を隠したり、自分を守るために仲間を陥れたり、昇進するために人の危急につけこんで打撃を加えたことか。

民間の“人在屋檐下不得不低頭(人は軒下では頭を低く下げざるを得ない)”とか、“好死不如頼活着(立派に死ぬよりみじめでも生きている方がよい)”といった類の犬儒的生活信条が人心に深く入り込むだけでなく、高級知識分子の中の恥知らずはプロレタリア大衆に比べて少なくない。上古<注2>には“指鹿為馬(鹿を指して馬と言う)”というような、その場で自分の意志を曲げて他人に迎合し、手段を選ばず人に媚びる臣下がいた。当代にも“郭沫若”のような詩書に優れた二股膏薬の風見鶏がいた。もっと怖いのは米国のカリフォルニア工科大学で最高の科学訓練を受けた“銭学森”<注3>までもが、新聞紙上で「1ムー当たりの産量が“十数万斤(約60~70トン)”」と、誰でも知っているお笑い草の嘘を述べて政府の提灯(ちょうちん)持ちをしたことである。これでは我々の教育システムが真理の防衛者でなく、巧妙な嘘つきを育成したことになるが、それは知識と関係があるのではなく、人格の問題なのである。

<注2>“上古”とは、商・周・秦・漢までの歴史区分を指す。

<注3>銭学森(1911~2009年)は、中国の「宇宙開発の父」、「ミサイルの父」として知られる科学者。

このような“犬儒”や“無恥(恥知らず)”はどうして流行るのか。人間性の中にある固有の“懦弱(いくじのないこと)”と“卑微(身分が卑しいこと)”を除くと、社会は数千年来、“敢言者(勇気ある発言者)”は消滅させられることになっている。“文字獄(文字の獄)”<注4>から“株連十族(一族皆殺し)”まで、勇気を持ってはっきりと物を言う一人が消滅させられた後に、負の淘汰の結果として残るのは千人の唯々諾々と従う人々である。この種の千年にわたる冷酷な条件下で、人々は沈黙を守る権利すらも剥奪され、追従とお世辞の大合唱に加わることを強制されるのである。

<注4>文字の獄は中国諸王朝で起きた言論弾圧、筆禍事件の総称。

しかし、長い歴史の中で頑強に燃える火種はいつでもある。北京大学では、蔡元培、馬寅初、胡適、林昭などが北京大学人の硬骨と公民の尊厳を受け継いで来た。我々はたとえ手を振り上げて高らかに叫べなくとも、筆を旗印として“懦弱”“卑微”に妥協しない抗争を行い、少なくとも最低限の尊厳と思想の独立を譲り渡すことがないようにする。北京大学人、蔡元培の弟子は互いに励まし合わねばならない。

Where there is darkness, may we bring light.
Where there is despair, may we bring hope.
Where there is doubt, may we bring faith.
Where there is hatred, may we bring love. <注5>

(訳)
闇あるところに光を、
絶望あるところに希望を、
疑いあるところに信仰を、
憎しみあるところに愛をもたらしたまえ

<注5>この英文は13世紀にイタリアで活動したカソリック教会フランシスコ会の創設者である聖フランシスコに由来する「フランシスコの平和の祈り(Prayer of Saint Francis)」から抜粋して引用したもの。

“戊戌双甲子(1898年の戊戌から120年)”、 諸君、“犬儒”になるのを拒絶しよう。
北京大学120周年、師弟は背筋をまっすぐに伸ばそう。
李沈簡       2018年2月28日   北京大学

公開されている資料によれば、北京大学は2001年9月20日に蔡元培の名前の“元培”を冠した本科教育の授業改革計画を開始し、指導教官から指導を受ける学生は専攻科目を自由選択できるようになった。元培学院はこの元培計画の産物で、2007年に元培実験班の基礎の上に設立された“博雅教育(学識豊かな教育)”を提供する、北京大学で入学試験の合格点が最も高い学部の一つである。その元培学院の副院長が辞職し、これと同時に院長ともう一人の副院長が辞職したとすれば由々しき問題である。李沈簡が当該文章を書き終えたのは2月28日であるから、国家主席の任期制限を撤廃して習近平が皇帝に即位することになった第13期全国人民代表大会第1回会議(3月5~20日)の開催よりも早い。

しかし、李沈簡の文章に書かれていた内容は、国家主席の任期制限撤廃を含む憲法修正草案を賛成:2958票、反対:2票、棄権:3票、無効:1票で可決し、習近平が国家主席と中央軍事委員会主席に満票当選したことに異議を唱えるものと見なされる可能性があるものだった。その文章が発表されぬままとなっていれば何事もなく終わっただろうが、3月22日に李沈簡が文章を外部に発表し、その文章を学生たちが元培学院の“微信”公式アカウント「大師直通車」に転載したことで、問題が発生したのだろう。上部機関から李沈簡の文章をネット上から削除するのと同時に、「大師直通車」を閉鎖するよう命じられた北京大学および元培学院はその指示に従った。

この結果、問題の文章を執筆した李沈簡、元培学院の最高責任者として院長の鄂維南、公式アカウント「大師直通車」の管理責任者である教養担当副院長の張旭東が責任を問われた。これを受けて、李沈簡が辞職を表明し、その後に鄂維南と張旭東が辞職表明を行ったのではないか。但し、これはあくまで筆者の推測であって、実際に確認されたものではない。とにかく、李沈簡が辞職したことは事実のようだが、3月25日にメディアが当事者の1人である張旭東に連絡を取ったところ、張旭東は彼が辞職したとする話を「“一派胡言(全くのでたらめ)”」と切り捨て、自分は依然として副院長であり、明日(3月26日)には鄂院長と共に米国エール大学の副校長の表敬訪問を受けることになっていると述べたという。実際にエール大学副学長が元培学院を訪問した時の記念写真には、ホストとして鄂維南と張旭東の2人は写っていたが、李沈簡の姿はなかった。

犬儒を迫られる国家指導者の“北大人”

そこで、改めて第13期全国人民代表大会第1回会議で決定した国家指導者のリストを調べてみると、北京大学卒業および在籍の経歴を持つのはわずか4人しかいなかった。具体的には、国務院総理の“李克強”(62歳)、国務院副総理の“胡春華”(54歳)、自然資源部部長の“陸昊”(50歳)、中国人民銀行行長の“易綱”(60歳)の4人である。李沈簡の文章の主旨から考えると、中国政府の中枢にいる李克強と胡春華には、北京大学卒業の“北大人”として背筋をまっすぐ伸ばして犬儒となるのを拒絶してもらいたいところだが、習近平の独裁が強まる中で犬儒にならざるを得ないのが実情だろう。犬儒となることを拒絶して敢えて発言すれば、消滅させられることになるのだから。

李沈簡のその後の動向は不明だが、中国には少なくとも彼のように、たとえそれが“北大人”に向けたものであったとしても、「犬儒となることを拒絶しよう」と叫び声を上げる人の存在が明らかになったのは朗報と言えるのではないだろうか。

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『中国軍首脳、3日で台湾を占領できると豪語 メッセージは日本にも向けられている』(4/5JBプレス 北村淳)について

渡部悦和氏の『米中戦争 そのとき日本は』の中に「戦争の脅威について一般に「意思と能力」で判断するが、対象までの「距離」を重視する。脅威=能力×意思÷距離。台湾海峡有事になった時に米軍は苦労する」とありました。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=5785

『米中戦争 そのとき日本は』が出版されたのは2016年11月ですから、状況は変化していると思います。ただ中国の俄か編成の空母打撃群では戦争にならないのでは。米軍の錬度と比べて足元には及ばないでしょう。また、米軍が一度に11の空母打撃群を持つのに対し、中国は未だロシア製の中古空母・遼寧の1つです。新型空母も自力で建造しているようですが、それに合わせ巡洋艦や駆逐艦、潜水艦、補給艦も併せ建造し、水兵の錬度を上げなければなりません。米国としては、中国の軍事力が米国に匹敵するまで待っていることは明らかに愚策です。

https://interestyou.info/aircraft-carrier2.html

北か南シナ海で戦争になったとしても、米軍の勝利で終わることは間違いないでしょうが、不確定要素が多すぎ、やはり経済で中国を締め上げ、軍拡の原資が出ないようにするのが良いでしょう。トランプの中国との貿易戦争は正しいやり方です。その次は一歩進んで、金融制裁で$を使えなくして決済に支障をきたすようにすれば良いと思います。宮崎正弘氏の『連鎖地獄 日本を買い占め世界と衝突し自爆する中国』の中には人民元の脆弱性を自覚している中国

中国の経済が破綻していることは世界情報に日ごろから接し、しっかりした目を持っている人なら、公表されている数字からでも簡単に読み解ける。

エコノミストの一部に「中国が保有する米国債を市場で売却されたらたいへんなことになる」とまことしやかに恐怖論を説く人がいる。筆者は前々から「おそるに足りず」と発言して来た。既にこの資産を担保に中国は外貨を借りているからだ。

米財務省統計(一七年八月十五日)に拠れば米国の赤字国債保有は、中国がふたたび日本を抜いて第1位に返り咲き、一ヶ月で四四三億ドルを増やしていた。ちなみにロシアは同期間に六〇億ドル分を売却し保有高は一〇ニ九億ドルとなった。ロシアは一八年に大統領選挙を控え、経済的困窮からの克服が優先課題となっているため政治的に米国に対抗するポーズを示す必要がある。

しかし米国との競合に明け暮れ、二〇四〇年には米国を凌駕するなどと豪語している中国が、しかも一六年十月にはIMFのSDR通貨に参入したにもかかわらず、なぜ米国債権を增やす必要があるのか。

モスクワ大学の経済学教授アレキサンドル・ブズガリエは「プラウダ」(英文版、八月十六日)の質問に答え、「中国はドルが必要だからさ」と単純明快に背景を説明している。

人民元決済圏のラオス、カンボジアなどを別として、中国の輸出先はアメリカであり、しかも多くの国々との決済はドル基軸であり、通貨スワップを行っている香港、マカオ、マレーシアなどでも人民元建ての貿易は少ない。豪語していることと矛盾しているが、中国はドル基軸体制のなかで、経済活動を維持せざるを得ないという自国通貨の脆弱性を自覚しているのである。」(P.28~29)とありました。4/6の本ブログでも書きましたように、「全面的な報復関税合戦となったなら、中国が失う利益の方が大きい。「中国の対米輸出の対GDP(国内総生産)比は3.5%なのに対して、米国の対中輸出は同0.6%」」です。どんどんやってほしいです。4/6トランプのツイッターには中国には発展途上国として今までハンデをあげて来たが(これからはそうはいかない)。WTOと言う組織は公正ではないと。

北村氏の言うように中国の台湾侵攻を対岸の記事と考えているようでは日本も危ないという事です。4/6の本ブログで多維新聞の記事を紹介しましたが、「20年には台湾攻撃の秘密計画があり、いつでも好きな時に尖閣を取って、台湾への攻撃の踏み台にする」とありました。日台は運命共同体です。この2ケ国では中国に対抗できません。米国を巻き込んで自由民主主義国VS共産一党独裁国との争いと言う構図にして世界にアピ-ルして、世界を味方につける戦略で臨めばよいと思います。もっと多くの日本人が国内だけでなく、海外の事柄に関心を持つようになってほしい。

記事

台湾・花蓮の陸軍基地で毎年恒例の軍事訓練を行う台湾軍の兵士ら(2018年1月30日撮影)。(c)AFP PHOTO / Mandy CHENG〔AFPBB News

トランプ政権は「国家安全保障戦略」や「国防戦略概要」などによって、中国との対決姿勢すなわち「中国封じ込め」へと戦略を変針した。そしてトランプ大統領はティラーソン国務長官を解任し、強硬派といわれているポンペオCIA長官を新国務長官に据えた。引き続き陸軍中将マックマスター国家安全保障担当大統領補佐官を解任し、後任に対中強硬派かつ新台湾派のボルトン前国連大使を据えた。さらに、アメリカ政府高官による台湾訪問を解禁するための「台湾旅行法」を制定した。

このような動きに対して中国人民解放軍首脳は、中国軍は3日間で台湾を占領することができると台湾と米国を恫喝している。

全面攻撃による軍事占領は現実的ではない

南京軍区副司令員、王洪光中将によると、中国軍は6種の戦い方(火力戦、目標戦、立体戦、情報戦、特殊戦、心理戦)を駆使することにより、台湾を3日で占領してしまうことができるという。

王洪光の主張が掲載された「環球時報」は中国内外の一般向けプロパガンダ色が強い中国政府系メディアであるため、王洪光は「中国軍が台湾を占領する」という単純なシナリオをぶち上げたものと考えられる。

しかしながら、王中将が豪語するように中国軍が3日で台湾を軍事的に制圧できる能力を保持しているとしても、そうした全面的な台湾侵攻作戦を実施するとは考えにくい。

実際には、中国軍が侵攻占領部隊を台湾に送り込む「立体戦」の準備段階として、大量のミサイル攻撃や砲爆撃(「火力戦」)によって台湾側の軍事的・戦略的拠点を徹底的に破壊(「目標戦」)した段階で、台湾軍には組織的反撃能力がなくなってしまう。中国政府はこの機を捉えて台湾政府に降伏勧告を突きつけ、台湾島内での地上戦を回避しようとするだろう。

中国政府にとっては、台湾を併合することが究極目的である。将来統治する土地で地上戦を繰り広げるのが得策でないことは、古今東西の歴史が物語っている。

「戦わずして勝つ」が中国の伝統

現時点でも、中国軍は中国本土から台湾に打ち込める短距離弾道ミサイルを800~1000発、長距離巡航ミサイルを1000発以上は保有している。また、それらに加えてミサイル爆撃機や駆逐艦、それに潜水艦などから発射する対地攻撃用ミサイルも数百発保有している。

そのため、米軍関係戦略家たちの間で「短期激烈戦争」と呼ばれる、中国軍による敵(台湾や日本)に対する各種ミサイル集中連射攻撃により、3日といわず半日で敵の軍事拠点や戦略拠点は徹底的に破壊されてしまうだろう。

台湾には、中国による短期激烈戦争を跳ね返すだけの軍事力は備わっていない。また、「台湾関係法」によって台湾が侵攻された場合に備えて軍事的対抗能力を用意することを公言している米国といえども、そして、対中封じ込め戦略に転じたトランプ政権といえども、米中戦争を前提とした対中国軍事行動を即座に発動することは考えにくい。したがって、現状では、中国が台湾に対して短期激烈戦争を発動した場合、台湾は数時間にわたるミサイル集中攻撃によって中国の軍門に降る確率が極めて高いといわざるを得ない。

ということは、中国側にとっては、なにも実際にミサイルを発射する必要はない。「短期激烈戦争を発動する」と台湾政府を脅して、中国側の要求(とりあえずは「台湾の軍事外交権を中国共産党に明け渡せば、そのほかの自治的統治権と資本主義経済システムの維持は保証する」という要求)を台湾政府に呑ませることが可能になりつつあるのだ。「孫子」の伝統に立脚する中国軍事戦略にとって、「戦わずして勝つ」ことこそ最優先事項である。

台湾の危機は日本の危機

中国政府にとっては、もちろん台湾を完全に併合してしまうことが理想である。だが、古今東西の数多くの事例から、軍事侵攻を経た後の占領統治が容易ではないことは明らかだ。

そこで、「短期激烈戦争を発動する」という脅しによって台湾の軍事外交権を手中にし、香港マカオのような一国両制に持ち込めば、軍事的には「戦わずして勝つ」ことになる。

なんといっても、台湾に中国人民解放軍の航空基地や海軍基地を設置するとともに各種ミサイル部隊を配備すれば、南西諸島とりわけ先島諸島は中国軍の各種ミサイルの射程圏内にすっぽり収まり、台湾から飛来する中国軍爆撃機や攻撃機のほうが沖縄から飛来する自衛隊機よりも「距離の優位」を手にすることになる。また、台湾東部に中国海軍基地を設置し、潜水艦や水上戦闘艦を直接太平洋に送り出せるようになれば、沖縄周辺海域の日米海軍艦艇を東シナ海側と西太平洋側から挟撃することも可能になる(下の図)。

中国海軍は直接太平洋に出動できるようになる

日本の国防にとっては、台湾が中国人民解放軍に占領されて完全に中国に併合されてしまおうが、台湾政府が「短期激烈戦争」発動の脅しに屈して中国政府に軍事外交権を明け渡してしまおうが、いずれにしても極めて深刻な状況に直面することになる。王洪光中将のメッセージは、台湾とアメリカに対してだけではなく、日本にも向けられているのだ。

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『韓国の原潜保有を認めた米国、焦る北朝鮮走らす 急遽行われた中朝首脳会談の背景と朝鮮半島をめぐるバランス・オブ・パワーの激変』(4/4JBプレス 矢野義昭)について

4/6ZAKZAK<南西防衛体制の抑止力強化の要「第8師団 機動師団化改編」>陸自と海と空との連携、且つ即応能力を高める組織編成にしたとのことです。敵が牙を向いてそこまで来ているのですから、それに見合った体制にしませんと。人員、装備、予算も見直しが必要でしょう。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180406/soc1804060008-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

自衛隊OBは講演を聞いても、文章を読んでも奥歯に物が挟まった表現の仕方をします。日本は軍人が尊敬されない社会どころか足蹴にされる社会です。我々及び我々の家族を守るために自らの命を懸けて敵と戦うのにですよ。その人たちに敬意が払えないというのは日本人の精神が蝕まれて来たという事でしょう。アカが戦後浸透してきたからで、自分の頭で考えない人は簡単にアカの言うことに洗脳されるからです。新聞・TV、左翼政党、学界のレベルの低さは目を覆うばかりです。国民を引っ張っていくリーダーとしての役割を期待されながら、勉強不足か知っていてわざと国民を誤導しようとしているのかどちらかです。でも何時も言っていますように騙される方が悪いのです。後で泣き言を言っても仕方がありません。物事は疑ってかからないと。中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く騙される方が馬鹿」と言うものです。こういう民族と真の友好はあり得ませんし、敵として対峙することになる訳ですから、日本人はもっと疑うことを覚えた方が良いです。

例えば、沖縄の基地で中国人工作員が日本人になりすましてスパイ行為をしていたとの記事です。4/6アノニマストポスト<<#テレビが絶対に報道しないニュース>中国人が日本人名義の偽造運転免許証を使って沖縄米軍基地内の工事に従事 1人を逮捕、他複数の中国人は沖縄県外に逃亡~ネットの反応「ググってもヒットしない! ニュースになってないのか?」>米軍も日本人の採用時に日本語のできる米国人と別な日本人に立ち会わせ、日本語のチエックと出身地を聞き、故郷の周りの情報が正しいかどうかを確認してから雇用するようにしないと。元請け、下請けに任せ放しでは危ないです。宋文洲もスパイ認定し、六興電気は米軍出入り禁止にすれば良いでしょう。沖縄は中国人だけでなく、朝鮮半島人も多くいます。彼らが左翼政治家と結託して、厳正な法執行を妨げています。まあ、早く連帯ユニオン・関西生コンが極左暴力団として解体されるようになれば、沖縄へ動員かける原資も減ると言うもの。自衛隊の日報問題は自衛隊の中にも共産党のスパイがいるという事です。そもそもで言えば、日報を開示する必要があるのかどうか。敵に自衛隊の部隊の運用の仕方を教えることにもなりかねません。左翼政治家とメデイアは日本人の敵です。

http://anonymous-post.com/archives/22070

矢野氏は、米国が韓国に原潜所有の許可を与えたと述べていますが、トランプの在韓米軍撤退の前触れかもしれません。自分達でもっと防衛努力せよと。それならトランプは日本にも核武装しろと言ったかもしれません。可能性は別として、矢野氏は韓国の状況だけでなく、日本の装備、特に核保有について明言してほしかったです。でも自衛隊OBがそれを口にすると現役の自衛隊がバッシングを受けるので書けなかったのでしょうけど。米国は統一朝鮮をどう考えているか?中国の軍門に下ることになるのに。原潜を造らせれば統一朝鮮となれば北が運用するようになるでしょう。敵を利するようになるだけです。

記事

中国・北京の人民大会堂で会談する習近平主席(左から3人目)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(右から3人目)。北朝鮮国営の朝鮮中央通信提供(2018年3月26日撮影、29日公開)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS 〔AFPBB News

今年3月27日から28日にかけて、金正恩北朝鮮労働党委員長が電撃的に中国を訪問、習近平国家主席と会談したことが明らかにされた。

親中派とみられていた張成沢(チャン・ソンテク)の粛清、中国の面子を潰すかのような北朝鮮の度重なる核・ミサイル実験の実施、それに対する習近平国家主席の訪韓優先、国連安保理での対北朝鮮制裁決議への賛同など、かねて中朝関係は冷却化しているとみられてきた。

それだけに今回の中朝首脳会談は意外性をもって受け止められた。その背景として、北朝鮮としては、

(1)南北首脳会談、米朝首脳会談を控え、中国の後ろ盾を得て外交的な立場を強めたいとの思惑

(2)国連の経済制裁に苦しむ北朝鮮として、制裁の抜け道提供、制裁緩和を中国に要望すること

(3)米朝首脳会談が決裂すれば米国が軍事選択肢をとる可能性が高まっており、それに備えて中朝の同盟関係を再確認することなどの狙いがあるものとみられる。

他方の中国としては、

(1)昨年10月の党大会では鄧小平思想からの脱却を訴えて人事を刷新し、今年3月の全人代では憲法を改正し国家主席の任期制限を撤廃するなど、独裁体制を強めた習近平主席にとり、大きな外交的成果となること

(2)米中貿易戦争の兆しが強まるなか、北朝鮮を取り込むことで、対米交渉上の立場を強化できること

(3)米国の北朝鮮に対する軍事選択肢行使のおそれが高まるなか、中朝同盟を誇示することで米国の軍事選択肢を抑止することなどの狙いがあるとみられる。

しかし、それだけではない。より根底的な動きとして、米トランプ政権が主導した南北朝鮮間のバランス・オブ・パワーの変化による中朝の利害の一致という側面がある。

1 もはや米国は軍事選択肢により北朝鮮の核ミサイルを放棄させることはできない

昨年9月の北朝鮮による6回目の核実験の直後、米国は韓国の本格的な弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)の建造を容認し、韓国の核保有についても黙認する姿勢に転換したとみられる。その背景にある戦略的判断は、以下のようなものであろう。

1994年のビル・クリントン政権時代に、北朝鮮の核戦力を軍事的に破壊することを検討したが、結局できなかった。

その理由は、

(1)北朝鮮には当時約1万1000か所の地下施設があり空爆のみでは地下の核関連施設を完全制圧はできないとみられたこと

(2)完全制圧には地上兵力による本格的な北朝鮮制圧が必要だが、その場合米軍は、50万人を増派し4か月間の激戦を戦い続けねばならず、犠牲者は数十万人以上に達すると予想されたこと

(3)当時の日韓の指導者がともに戦争に反対したことなどが挙げられている。

現在では北朝鮮の核関連施設の破壊はさらに困難になっている。

核関連施設の数ははるかに増え、「38ノース」の見積によれば、核搭載可能とみられるミサイルの数は約1000発を超え、それらの基地の数も最大200か所に上り、大半が地下に格納されかつ移動式になっているとみられている。

それらの位置に関するリアルタイムの正確な情報把握は極めて困難で、先制空爆による地下施設の破壊も容易ではない。

もし空爆を行えば、先制攻撃から生き残った核ミサイルや化学・生物弾頭の弾道ミサイルが数十発の規模で、日本や韓国に向け集中発射される恐れがある。そうなれば、全数をミサイル防衛システムで破壊するのは困難となり、一部が着弾する可能性が高い。

核・化学・生物兵器の弾頭では、被害は弾頭の威力、爆発高度、人口密度、建物の構造、地形や気象などにより異なるが、1発でも数十万人から百万人以上の死傷者が出ると予想される。

さらにそれに連携した

(1)生物・化学兵器攻撃とサイバー、特殊部隊攻撃などの非対称戦

(2)休戦ライン沿いに展開した長射程の火砲、多連装ロケットによるソウル砲撃と

(3)それに続く本格的な通常戦

(4)中露による軍事介入の恐れ

などの要因を考慮すれば、軍事選択肢を採れば、その結果は、ジェームズ・マティス国防長官が指摘するように、「かつてない規模の災厄」をもたらすことになると予想される。

北朝鮮は、通常の近代兵器によらない「非対称戦」に力を入れている。核兵器以外の大量破壊兵器である生物、化学兵器についても、生物兵器として炭そ菌、天然痘、ペストなどを保有し、生物兵器弾頭の耐熱試験を行っているとの見方もある。

また化学兵器については、2500~5000トンのサリン、VXガス、マスタードガスなど各種の化学兵器を保有しているとされている。

化学・生物兵器については、「火砲や弾道ミサイルで投射できる可能性も否定できない」(『平成29年版防衛白書』)。

神経剤サリンのバイナリー兵器(使用直前に無害な複数の剤を合成し使用する化学兵器)を使ったとみられる金正男暗殺事件でもその能力が示された。

サイバー戦についても、小学生の時から適性を持った要員を選抜し、エリート教育を施して約6000人規模のサイバー戦部隊を擁していると伝えられている。北朝鮮は、ここ数年来、ロシアなどの支援を得て能力を急速に向上させている。

サイバー戦の実行に当たっては、中国、マレーシアなどの国外に出て、国外のコンピューターを主に使っているとみられている。

世界最先端のサイバー防衛技術を持つとされるイスラエルの電力公社を狙い、北朝鮮がサイバー攻撃を行っていることが報じられている。

発電や送電などのインフラに誤作動を起こさせるマルウェアを作り出す能力が高いとされている。攻撃能力を上げるための演習ともみられている(『産経新聞』平成30年1月30日)。

また、昨年12月19日トランプ政権高官は、昨年5月の世界各地150か国の病院や銀行などに甚大な被害を与えたサイバー攻撃に北朝鮮が直接に関与していたことを確認したことを明らかにしている。

パソコン内のファイルを勝手に暗号化し暗号を解除する見返りにお金を要求するウィルス「ワナ・クライ」が使われた。攻撃は北朝鮮政府の直接の命令を受けて行われたとされている(『産経新聞』平成29年12月20日)。

特殊作戦部隊も、核・化学・生物戦能力の向上などが重視され、兵員数も6万人~最大20万人とされるなど、増強が図られている。オリンピック閉会式に訪韓した金英哲は、特殊作戦部隊を束ねて2009年に創設された偵察総局の初代総局長である。

電磁パルス攻撃についても、ロシアから技術を導入したとの見方があり、北朝鮮自らその能力を保有していることを誇示している。

北朝鮮は、ノドンなどの弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭も保有しており、高高度核爆発の際に一般的に発生する強烈な電磁パルスにより、数千キロの広範囲にわたり電子部品やコンピューターを麻痺あるいは破壊する能力も持っているとみられる。

これらの生物・化学兵器攻撃、サイバー戦、特殊部隊攻撃、電磁パルスなどの非対称戦の脅威は、韓国のみならず、都市化と情報化が進み人口稠密な点で韓国と共通する米日にとっても、深刻な脅威となるであろう。

結論的に言えば、米国としては、実行可能で、かつ本格的な武力戦にエスカレートせず北朝鮮に核ミサイル攻撃を決心させるに至らないとみられるぎりぎりのソフトキル、あるいは海上封鎖のような準軍事選択肢を追求せざるを得ないであろう。

しかしそれでは、北朝鮮の核・ミサイル能力を「完全かつ恒久的に」奪うことは困難であろう。

2 昨秋、対朝鮮半島戦略の大転換に踏み切った米トランプ政権

もはや北朝鮮の核ミサイル保有を止めることはできない。水爆実験にも成功したとみられる。

1年程度で北朝鮮は米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させるであろう。そのような現実を踏まえて合理的戦略判断に立った場合、米国がとり得る次善の選択肢は、韓国の核保有を黙認することになるであろう。

もし、韓国に北朝鮮の核戦力を抑止するに十分な独自の核戦力を持たさず、朝鮮半島内で局地的な相互核抑止態勢をつくるのを認めなければ、米国自らが、米本土に対する北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)による報復のリスクを犯しながら、自ら朝鮮半島に軍事介入し、北朝鮮の核戦力とその基盤を破壊するしかなくなる。

しかしそれが事実上できないことは、上に述べたとおりである。

それでは、韓国に独自の核抑止力を持つ能力はあるのであろうか?

核保有の意思は、世論調査でも過半数が核保有に賛成しているなど、韓国国民も支持している。政治指導者が意思決定すれば、韓国国内の政治的障害は少ないであろう。

能力面でも、韓国には北朝鮮を上回る核・ミサイル保有の潜在能力がある。韓国が本腰を入れてSSBN(弾道ミサイル搭載原子力潜水艦)建造とそれに搭載する核ミサイル(SLBM)の開発に乗り出せば、北朝鮮の核ミサイル戦力との間に相互核抑止態勢が成立するであろう。

南北がともに核弾頭付きSLBMを搭載したSSBNなどの核戦力を保有し朝鮮半島で局地的な相互核抑止態勢が成立すれば平和共存路線を北も選択せざるを得なくなる。

通常戦力では、北朝鮮軍は、「現在も、依然として戦力や即応態勢を維持・強化していると考えられるものの、その装備の多くは旧式である」(『平成29年版防衛白書』)。

北朝鮮の装備は更新が遅れ老朽化しており、質的には米軍装備を主体とし国産化を進めている韓国の比ではない。平和共存を破り、韓国の核報復のリスクを犯しながら、通常戦力で南進を企てて成功させる能力は北朝鮮にはない。

平和共存が長く続けば、北の約35倍のGDP(国内総生産)と2倍の人口を有する、自由で国際社会に対し開かれた韓国が、長期的な経済建設、社会の発展、外交戦でも勝利する可能性が高い。

核ミサイルによる恫喝という優位性を失った貧しい独裁体制の北朝鮮は、いずれ内部から変質し自己崩壊を起こし、南主導の半島統一が実現する可能性が高まるであろう。

ただし、韓国がSSBNを建造・配備し実戦化するまでには5~10年程度を要するとみられる。それまでの間の対北核抑止力維持のために、米国の核巡航ミサイル、地上配備核弾道ミサイルなど、米国の核兵器の再配備による抑止力再強化も必要になるであろう。

ただし米国の核戦力の再配備が長期恒常化した場合は、韓国のナショナリズムを掻き立て、反米親北勢力を勢いづかせて韓国の政治的安定性が損なわれ、北主導の政治統合が進む恐れが高まる。

米国の核戦力再配備は、あくまでも韓国独自核保有までの暫定措置として位置づけるのが望ましい。

以上のような判断に立ち、北朝鮮が水爆とみられる6度目の核実験に成功した昨年9月以降米トランプ政権は、韓国のSSBNとSLBMの保有容認の方向に踏み切ったとみられる。

韓国紙『中央日報』2017年11月9日付は、昨年9月の米韓の電話首脳会談で、トランプ大統領が、韓国の原潜建造に原則同意したと報じている。

さらに、昨年11月のトランプ大統領訪韓時の米韓首脳会談で米国は、弾道ミサイルの射程と弾頭重量について韓国に課してきた制限を取り払い、原潜の建造も容認している。

左派の親北政権とみられている文在寅政権下でも、韓国の国防費は保守政権下の年率5%から2018年度は7%の増額に踏み切るなど、国防努力に拍車をかけている。

韓国の計画では、2025年頃には射程1000キロ以上の弾道ミサイルを搭載した通常動力型大型潜水艦が建造される予定である。

宋永武(ソン・ヨンム)国防長官は昨年7月31日に韓国国会で、原子力潜水艦の建造を検討する準備ができていると発言している。

また、韓国国防部の原潜研究に参加している専門家は、韓国国内で建造するとしても、米国が積極的に技術支援をすれば3年あれば原潜の進水が可能と述べている。

弾道ミサイルの開発も進んでいる。北朝鮮のICBM発射に対抗して韓国は昨年7月28日に戦域弾道ミサイル(射程1000キロ以上)の試射映像を公開している。2発が発射され、1発目は標的に命中し、2発目は掩体構築物と見られる標的の破壊に成功した。

韓国は昨年6月30日、張保皐(チャン・ポゴ)-Ⅲ級潜水艦(3000t)3番艦の起工式を行った。張保皐-Ⅲ級は初めて韓国独自の技術で建造される潜水艦で、SLBMを発射する垂直発射管を6本装備し、射程500キロの玄武(ヒョンム)-2B(弾道ミサイル)の発射が可能である(『中央日報』2017年6月30日)。

韓国の核兵器開発の潜在能力も北朝鮮よりもはるかに高い。韓国では、朴正煕政権下で約10年間秘密裏に核開発を行っており、プルトニウム抽出技術も持っている。

韓国紙『中央日報』2017年11月1日付は、韓国の原発には約50トン、核爆弾1万発分と日本以上のプルトニウムが蓄積されていると報じている。

このように、韓国はトランプ政権容認のもと、SLBM搭載SSBNの建造に向けて、着々と歩を進めている。

3 焦る北朝鮮と突然の金正恩訪中の背景

韓国のSSBN保有を容認した昨年の11月の米韓首脳会談での合意に対する北朝鮮の回答が、11月29日の「火星15」打ち上げであった。その狙いは、その直後の宣言でも明らかなように、「国家核武力の完成」を内外に示すことにあったとみられる。

しかし北朝鮮が2か月以上の沈黙を破り突然、米大陸全土を攻撃可能とする「火星15」の発射を敢行したのは、北朝鮮の焦りも反映しているとみられる。焦りは、ロフティッド軌道で打ち上げたことに表れている。

ロフティッド軌道での試験の方が、本来の最大射程に近い低角度の発射に比べて、弾頭再突入時の角度が大気圏に対して直角になり、熱や衝撃の影響度を押さえて試験ができる。

逆に言えば、再突入技術やそれに続く核弾頭の指定高度での起爆には自信がないことを示唆している。低角度での長射程発射試験に成功しなければ、再突入技術が完成したとは言えないであろう。

これを裏づけるように、今年1月ポール・セルバ米統合参謀本部副議長は、「(北朝鮮は)弾頭の起爆や大気圏再突入などの技術を確立させたと実証していない」と発言している。

米韓の動きに焦りを感じた北朝鮮が、自信の持てないまま「火星15」の発射試験に踏み切り、一応能力を誇示することには成功したとみて、あえて「核武力の完成」を宣言したとみることができよう。

その狙いは、「核武力」すなわち米本土全土に届くICBMを「完成」させ、対米報復能力を持ったと「宣言」し、米国の軍事選択肢を抑止できると実証しようとしたのであろう。その背景には、北朝鮮の、米国による軍事選択肢発動への恐れがある。

しかし米国側にも、北朝鮮のICBM配備という脅威が差し迫っており、残された時間はあまりないとの懸念がある。

ダン・コーツ米国家情報長官は今年2月13日、今後1年間の最も差し迫った脅威として、北朝鮮での有事やサウジアラビア対イランの代理戦争を挙げ、北朝鮮の核・ミサイル脅威について、「米国の存在に関わる問題」であり、「決断の時が迫っている」と述べている。 .

このような米側の微妙な変化を察知し、金正恩委員長は平和攻勢を強めた。実は、昨年11月の「火星15」打ち上げ後から、米朝の秘密裏の接触は始まっていたとも報じられている。その背景には、米朝双方のこのような切迫した事情があったとみられる。

しかしより追い込まれていたのは、北朝鮮であった。なぜなら、米国が韓国のSSBN保有を認めれば、北朝鮮が韓国に勝てる切り札であった核ミサイルによる恫喝が効かなくなるためである。

そのことを金正恩委員長は痛感していたのであろう。今年に入り、表立った平和攻勢が北朝鮮側から開始された。

平昌オリンピックの開会式に最も信頼を置く実妹の金与正氏と実質ナンバー2の金永南最高人民会議常任委員長が送り込まれた。しかし、マイク・ペンス米副大統領は意図的に彼らを無視した。

予定されていた金与正氏とペンス副大統領との接触は、直前に北朝鮮側が断ってきたとされているが、実は北朝鮮側が米側との接触を望んでいたことが、その後明らかにされている。

北朝鮮側は焦りを感じたのか、閉会式に、天安撃沈事件を主導したとされる金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党統一戦線部長を送り込み、米側との対話の用意があると初めて表明させた。

しかし、米国が派遣したイヴァンカ・マリー・トランプ大統領補佐官は一言も言葉を交わさなかった。

他方で、トランプ大統領は対北強硬派で側近を固める人事を発令している。北朝鮮との対話を唱えたレックス・ティラーソン国務長官を突然解任し、対北・イラン強硬派の軍出身のマイク・ポンペオCIA長官を国務長官に就けた。

また、ハーバート・R・マクマスター国家安全保障問題担当米大統領補佐官を対北朝鮮外交のベテランで強硬派として知られた、ジョン・ボルトン元国連大使にすげ替えた。

在韓米軍、在沖縄米軍の訓練強化、韓国からの米国人非戦闘員の退避行動に関する訓練も伝えられている。

このように、トランプ政権は経済制裁、軍事演習などのこれまで歴代政権によりとられてきた政策のみならず、韓国のSSBN建造容認、強硬派による人事固めなど、北朝鮮の核ミサイル配備に対し、力で対抗し、軍事選択肢を実行できる態勢を固めている。

ボルトン次期補佐官は今年3月、5月末までに予定されている米朝首脳会談について、「真の目的は北朝鮮の非核化であるべきだ」とし、「もし北朝鮮が(真の非核化に向けた)真剣な議論をする気がないなら、会談は極めて短時間で終わるだろう」と警告している(参照=http://www.sankei.com/world/news/180324/wor1803240028-n1.html)。

このように、米朝首脳会談は、北朝鮮に対し、「真の非核化」をする意思があるのかどうかイエスかノーかの返答を迫ることが目的の、最後通牒に等しいものとなることが明言されている。

このようなトランプ政権の強硬姿勢に怯えた金正恩委員長が、同時期の今年1月から密かに打診してきたのが、今回の突然の訪朝、中朝首脳会談であった。

しかし習近平主席には、米国に軍事選択肢をとらせるような北朝鮮の対応は決して容認できないはずである。金正恩委員長としては、非核化の意思を何らかの形で示すことになろう。

しかし中朝会談の内容として伝えられている金正恩委員長の非核化発言は、「遺訓に沿った朝鮮半島の非核化」であり、実質的な在韓米軍撤退と同内容の主張の繰り返しに過ぎない。

このままでは、米朝首脳会談は決裂し、米軍が軍事選択肢をとる可能性が一気に高まることになろう。

しかし前述したように、米国側にも「完全不可逆で検証可能な非核化」を確実に強要できる決め手には欠けている。あえて断行すれば、第2の朝鮮戦争となり、その被害は日米にも及び、「かつてない規模の惨害」を招くことになるであろう。

米国としては、限定的な斬首作戦や海上封鎖などの準軍事選択肢により一撃を与え、有利な立場から北朝鮮と交渉することを可能な目標とせざるを得ないのではないかとみられる。

結局は、

(1)イラン、シリアなどの他国やテログループに核拡散させないこと
(2)核実験の禁止
(3)核関連物質の増産制限と管理強化

などを条件に、北朝鮮と核・ミサイル開発凍結交渉を行うことを具体的達成目標とする程度でおさめることにならざるをえないのではないかと思われる。

まとめ 真の問題は米朝会談後の日本の安全保障

むしろ真の問題は、当面の北朝鮮の非核化ではなく、南北共に核保有をした朝鮮半島がもたらす、北東アジアのバランス・オブ・パワーへの衝撃、とりわけ、依然として防衛費は対GDP比1%程度と、応分の防衛努力を怠っている日本の安全保障への影響である。

米国への鉄鋼、アルミ製品の輸入に対する関税引き上げについて、トランプ政権は韓国を対象外としながら、日本を対象外とはしなかった。このことはフリーライダーにとどまろうとする、日本に対するトランプ政権の不信感の表れかもしれない。

今後も日本が応分の防衛努力を怠るならば、日米関係も危うくなる恐れが出てくるであろう。

防衛努力の怠慢が続けば、日本が、今後10年以内に出現するかもしれない核兵器と膨大な通常戦力を持つ統一朝鮮や、今世紀半ばには米軍と並ぶ「世界一流の軍隊」を建設すると表明している習近平による長期独裁下の中国の脅威に対し、主権と独立を守り抜くことは不可能であろう。

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『WUC CONDEMNS ATTEMPTS BY THE CHINESE GOVERNMENT TO SPREAD DISINFORMATION=WUC(世界ウイグル会議)は中国政府が嘘情報を撒き散らす試みを非難する』(4/4 World Uyghur Congress)について

4/4宮崎正弘氏メルマガ<アジアは借金の罠におちたが、中国総体の債務はいくらなのか 債務の公表数字はあまりにも少なすぎて、統計の参考にもならない>

http://melma.com/backnumber_45206_6665936/

中国の全公的債務は3875兆円(1$105円換算)、これに民間企業と個人の債務が加わる。理財商品は900兆円、住宅ローンが688兆円とのことで、債務の全体が不良資産ではないでしょうけど凄い借金です。中国のGDPは公称1253兆円(119375億$)ですから3倍近い公的債務を抱えているという事です。而も不動産に実需はなく投機で買っていますから、何かの拍子にバブルが弾けると思います。この貿易戦争がキッカケになってくれればと思っています。世界に悪を為す中共をどうしても崩壊させねば。国内にあっては、ウイグル人だけでなく、少数民族のチベット人、モンゴル人、それに漢人でも民主派や土地収用に反対する人間は弾圧されます。国外では嘘を撒き散らし、侵略戦争をしようと考えています。

2/16Newsweek<ウイグル「絶望」収容所──中国共産党のウイグル人大量収監が始まった>

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/02/post-9547.php

3/13Newsweek<ウイグル絶望収容所の収監者数は89万人以上>

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/89-3.php

2016/11/10AFP<インターポール総裁に初の中国人 人権団体は「悪用」懸念>

http://www.afpbb.com/articles/-/3107542

国際刑事警察機構のトップがヤクザ国家から派遣されるようではお終いでしょう。泥棒が警察と二足の草鞋を履くようなものです。自由主義国では重要な情報は出せなくなってしまっているのでは。機密漏洩してわざと犯人を逃がすことだって中国であればやりかねません。賄賂の額にも依るでしょうけど。

AFPの記事にもウイグル人の違法取り締まりついて触れています。Newsweekの記事でもウイグル人に対し、如何に酷い仕打ちが為されているかが分かります。エスニッククレンジングが行われています。あれだけユーゴでセルビアを悪者にしてムスリムを支援したNATOはどこに行った?日本もNATOの一員になって中国の暴虐を止めさせないと。中国の属国になればこうなることは必定。明日は我が身と思い、少数民族の支援を日本人もしていかないと。無関心で自分には関係ないと思っていると、長い時間の間に中国の思う通りになっていたという風になるかもしれません。共産主義者や左翼は民主主義国の弱点を必ず突いてきます。攻めようと思っている国をメデイア・政治家・役人・学界を使い、衆愚にすることです。今のモリカケ何てその構図でしょう。朝日というアカ新聞が火をつけ、野党が騒ぎ、TVで大写しし、財務省や大阪地検もそれに協力し、山口二郎のようなイカレポンチが声を大にして非難する。何のことはない。左翼お得意の捏造連携パターンです。中共や北の得意とするところと一緒。「南京」や「慰安婦」と同じ構図です。モリカケを非難する暇があったら「南京」「慰安婦」についてもっと声を上げろと言いたい。

記事

 

WUC President Dolkun Isa and Executive Chairman Omer Kanat are currently engaged in human rights advocacy work in Japan.

The World Uyghur Congress wishes to draw attention to ongoing efforts by the Chinese government to undermine the Uyghur people’s struggle for their basic rights by drawing false parallels to terrorism and by spreading blatant lies and misinformation.

It has long been the strategy of the Chinese government to use the narrative of terrorism to try and delegitimize the Uyghur people’s peaceful struggle for human rights, democracy and freedom and to attempt to justify the brutal repression and sweeping human rights violations against the Uyghur people.

However, we are now witnessing a more targeted and direct propaganda effort, focused on manipulating public opinion in specific countries. One such example is an article published in TNS (the International News), a Chinese propaganda vehicle aimed at a Pakistani audience. The article, written in English, focuses on supposed cross border cooperation between the Pakistani and Chinese authorities.

The article claims that Chinese and Pakistani authorities have been taking action in Pakistan against supposed Uyghur terrorists and the East Turkestan Islamic Movement (ETIM) to protect Chinese infrastructure projects in Pakistan. This ignores the fact that ETIM has not existed as a group for over a decade, if it ever existed at all. Among other glaring errors, it also claims that WUC President Dolkun Isa (written as Dolqun Isa) and WUC Executive Chairman Omer Kanat (written as Umer Kanat) were captured in Pakistan by security forces in a raid against ETIM. This outrageous claim can be easily disproven due to the fact that Dolkun Isa and Omer Kanat have never been in Pakistan and are currently conducting advocacy work in Japan. The article also falsely alleges that Uyghur political prisoners, such as Abudukadir Yapuquan, who is currently arbitrarily detained in Turkey, and Ablimit Tursun who the article claims was killed by Pakistani forces, but who remains very much alive in Germany.

Such glaring and obvious errors cannot be a mistake, but rather constitute an intentional attempt to manipulate the international public, to undermine the Uyghur people’s peaceful resistance to Chinese oppression and to besmirch the names of Uyghur human rights activists by associating them with terrorism. The blatant lies and misinformation should be apparent to anyone with knowledge of East Turkestan or human rights in China, but we are concerned that it has the potential to influence people unfamiliar with the Uyghurs or Chinese politics.

China has repeatedly tried to portray any calls for respect for basic rights for Uyghurs or expressions of dissent as terroristic activity, but never backs up these claims. When pressed to provide credible evidence, the Chinese government consistently fails to provide it.

One notable example of this was the Chinese government’s use of the INTERPOL Red Notice system to try to label the current President of the WUC and prominent Uyghur human rights activist, Dolkun Isa, as a terrorist. After his activities in advocating for the basic rights for the Uyghur people, the Chinese government falsely filed for an INTERPOL Red Notice against him, alleging he was involved in terrorist activities. The red notice stood for approximately 20 years, until it was overturned this year. After diligent work done by Fair Trials, the Red Notice was proven to be politically motivated and the Chinese government were unable to provide any credible evidence of their claims that led to the Red Notice being issued.

In recent weeks, we have also observed a notable increase in lies and misinformation being spread by various media sources about the Uyghur people and the Uyghur diaspora. These efforts are by no means new. Publications like the Global TimesXinhua and China Daily act as mouthpieces for the Chinese government, spreading its narrative and attempting to influence international audiences. The same day that legitimate media outlets publish articles about the hundreds of thousands of Uyghurs detained in ‘re-education’ camps by the Chinese authorities and the ongoing massive human rights violations against Uyghurs, Chinese propaganda outlets publish articles claiming all the Uyghurs are happy and that any dissent is due to the actions of terrorists.

The World Uyghur Congress must reiterate that it condemns any acts of terrorism or violence and maintains a strictly non-violent approach and a commitment to human rights, democracy and freedom. However, any allegations of terrorist activity from the Chinese government must be taken with a large dose of skepticism and must be supported by clear and substantiated evidence.

These efforts are only likely to increase in the near future, as the Chinese government continues to up the pressure on Uyghurs at home and abroad. It is vital that the international community is aware of the Chinese government’s attempt to manipulate the international public and influence the narrative to cover up and try to justify its inhuman policies towards the Uyghur people. We urge the citizens of the world to fully investigate the sources of their information to seek objectivity, rather than the Chinese government’s fabrications.

ドルクン・エイサWUC(世界ウイグル会議)総裁とオマル・カナット議長は、現在日本で人権擁護の仕事に携わっている。

WUCは、「中国政府がウイグル人に対し、テロリストという嘘を撒き散らし、且つ見え透いた嘘と誤報を蔓延させることによって、彼らの基本的な権利のために苦闘しているウイグル人の名誉を傷つけている」ことに注意を払ってほしいと望む。

人権・民主主義・自由のためにウイグル人が平和的に闘っていることを非合法化し、ウイグル人に対して残酷な弾圧と人権侵害を正当化しようとするためにテロリストとでっち上げることは、長い間中国政府の戦略だった。

しかし、我々は中国が特定の国で世論を操ることに集中し、より一層攻撃目標とされ且つ直接的に宣伝攻勢をかけているのを目にしている。一つの例はTNS(国際報道)で発表される記事だ。TNSは中国のパキスタン人対象の宣伝媒体である。英語で書かれた記事は、パキスタンと中国当局の間で、国境での協力関係を思わせる内容である。

パキスタンでの中国のインフラ工事を守るために、ウイグルのテロリストと東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)に対してパキスタン領内で中国とパキスタン当局は共同歩調を取って来たと記事は主張する。これは、ETIMがあったとしても、10年を超えてグループとしては存在しなかったという事実を無視している。他のひどい間違いは、ドルクン・エイサ総裁とオマル・カナット議長がETIMに対する襲撃で治安部隊によってパキスタンで捕えられたと、主張する。この不合理な主張は、ドルクン・エイサとオマル・カナットはパキスタンに行ったことがなく、現在人権擁護の仕事を日本でしているという事実のために、容易に逆証明される。記事ではウイグル政治犯のアブヂュカヂールヤプチュエンはトルコで任意で抑留されていると嘘を言い、アブリミットツルサンはパキスタン軍によって殺されたとしているが、ドイツでまだ生きている。

そんなひどく且つ明らかな誤報は、間違いではなくて、むしろ世界の人々に対し情報操作し、ウイグル人の中国の弾圧への平和的な抵抗を傷つけ、ウイグル人の人権活動家をテロリズムと結びつけることによって名前を汚す意図があると言えよう。東トルキスタンまたは中国の人権状況について知っていれば、見え透いた嘘と誤報というのは明らかである。しかし、ウイグルや中国の政治をよく知らない人達には影響する可能性があることを、我々は心配している。

中国は繰り返しテロリストの活動として、ウイグル人の基本的な権利に対してテロ活動として認めないように努力して来たが、それらは決して成功してきたとは言えない。信用できる証拠を提供するよう迫られると、中国政府はそれを提供することが一貫してできない。

顕著な例は、中国政府が現在のWUC総裁且つ著名なウイグル人権活動家であるドルクン・エイサをテロリストとしてインターポールレッドノーテス(国際刑事警察機構が加盟国の申請により発行する通知。その国で逮捕状が出ている被疑者などについて人物を特定し、発見したら手配元の国に引き渡す方向で協力するよう各国に要請するもの)に名前を挙げようとした。しかし、彼のウイグル人の基本的な権利の擁護活動の後で、中国政府は彼に対してインターポールレッドノーテスを不正に申請し、彼がテロ活動に関与していたと主張した。それが今年ひっくり返されるまで、レッドノーテスはおよそ20年ずっと続いていた。公正な裁判によってなされた努力の後、レッドノーテスは政治的に動機づけされたものということが証明され、レッドノーテスの発行につながった彼らの主張に対し信用できる証拠を提供することが、中国政府はできなかった。

ここ数週間には、我々はウイグル人とウイグルの国外離散者について嘘と誤報をいろいろなメディアが広めているのが増えてきているのを目にしている。これらの努力は、決して目新しくない。環球時報、新華社、中国日報のような出版物は中国政府の代弁者の働きをする。そして、その内容を広げて、国際世論に影響を与えようとする。

合法的なメディアがウイグル人に対する酷い人権侵害があるにも拘らず、中国当局によって数十万のウイグル人が『再教育』キャンプで抑留されているという記事を発表すると同時に、すべてのウイグル人が幸せである、而も異議申し立てはテロ活動であると主張している記事を、中国の宣伝機関は発表する。

WUCは「テロや暴力行為を非難し、人権・民主主義・自由へ関与し、厳格で非暴力的なアプローチを維持する」と、繰り返して言わなければならない。しかし、中国政府のテロ活動の主張に対しては、大きく疑ってかからねばならないし、明確かつ実体のある証拠で支えられなければならない。

中国政府が国内外でウイグル人へ圧力をかけ続けているので、これらの努力は近い将来、増加しそうである。国際社会は、中国政府が国際世論を操ってウイグル人に対するその非人間的な政策を隠蔽、正当化しようとする試みに、気づくことが不可欠だ。

中国政府の捏造よりも客観性を求め、彼らの情報源を調査するよう、我々は世界の市民に訴える。

http://www.uyghurcongress.org/en/?p=34291

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『米中貿易戦争、中国の冷静さで当面は摩擦回避も本番はこれから』(4/4ダイヤモンドオンライン)、『スマホ決済サービス、普及しすぎて中国で監視対象に シェア激減の国家公認「銀聯カード」が息を吹き返すのか?』(4/3JBプレス 姫田小夏)について

4/4ZAKZAk<麻生氏が「悪いのは昭恵だろう!」と怒鳴る声が役人に話題>まあ、麻生大臣が怒鳴ったのが事実かどうか分かりません。これも自民党を分裂させ、政権打倒の工作の一つと見れば良いのでは。下種な連中です。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180404/soc1804040013-n1.html

4/4ビジネスインサイダー<東大生はなぜ“森友改ざん問題”後も安倍政権を支持するのか>教師はバカ(アカ)でも学生は真面。特にモリカケは改憲阻止・政権打倒の手段と見抜いているのが良い。何でも大きく捉え、裏で何が行われているかを想像することが大切です。マスコミ不信は拭い難いようです。メデイアも報道姿勢を改めないと、衰退産業になる(もう既になっている?)というのを自覚しているかどうか。記者クラブ等特権に胡坐をかき、談合を批判するくせに自分達が談合しているのにも気づかないか、知っていてやっているのは左翼体質そのものです。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180404-00010000-binsider-pol&p=1

4/3多維新聞<美报告曝中国计划闪电夺取钓鱼岛 将摧毁美日同盟 =米国は「中国は尖閣を一瞬で奪取する計画がある 日米同盟を毀損させるため>米・シンクタンクの2049計画研究所は3/30研究報告をした。「もし尖閣で戦争が始まれば“a short sharp war”になるだろう。勝者が永久に支配権を持つ」と。尖閣・台湾・南シナ海は核心的利益と主張しているので、口で脅して駄目であれば軍事力を行使してでも奪うだろう。時期は2020~2030年の間。2049年は中共100周年なので2030年までに未解決の領土問題を解決して、2049年までの20年を平和な時期とし、中国の夢を実現させる。20年には台湾攻撃の秘密計画があり、いつでも好きな時に尖閣を取って、台湾への攻撃の踏み台にする。中国は海警の大型船に漁民を乗せて尖閣を取りに来る。もし上陸を許せば、日本は放棄か防御か迫られる。海警の船は相手の船に衝突して沈める能力を持つ。海警の船は無傷とのこと。

報告の提案:

①米国は「中国が軍事or非軍事力を行使して尖閣を取りに来たら、米国は日本の承認のもと軍事力を使うことを強調しておく」ことを明らかにする。

②米国はインド-太平洋で米海軍のプレゼンスを日常的に高め、中国の挑発行動にも懸念なきようにしておく。

③米国は中国への政策を改めるべき。これは「一中政策」を含む。もし中国が日本を脅す行為に出れば、重大な結果を齎すことを知らしめておくことが必要。他に、国防総省は中国との無限の接触政策を止め、環太平洋軍事演習参加も暫時停止を求めるべき。

④米議会は国防総省に2地域での戦争ができるだけの軍資金を与えるべき。

⑤米国は国民に向けて中国の軍事拡張の本当の意図を伝え、教育すべき。

⑥日本政府には尖閣の実効支配の強化を提言。尖閣に気象台や灯台、ヘリポート、船着き場等施設を造り、人も派遣して駐在させる。

⑧尖閣で日米合同演習をする。

http://news.dwnews.com/global/news/2018-04-03/60049780.html

是非⑧の尖閣での日米合同演習は実施して貰いたい。

4/4看中国<中国领土被拱手赠俄 外交部成被告(图)=中国の領土を、手を拱いてロシアに贈る 外交部は被告となる>中国の領土をロシアにくれてやったのは江沢民のせいとのこと。退役軍人が外交部に資料開示請求したが、外交部は「公開範囲にあらず」として拒否。彼は北京市法院に開示させるよう外交部を被告として提訴。外交部は開示請求された土地はソ連・ロシアのものと回答。退役軍人は「1727年中露で締結したブリンスキー条約で中国側領土だったものが1944年にロシアに奪われてしまった」と言うもの。江沢民が中共の暴政を支持して貰う代わりに領土をくれてやった。(中国の主張が正しいとは思えません。長城以北は漢人の土地ではなかったので。勿論、ロシアの領土かどうかは分かりません。モンゴルだったのかも?)

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/04/04/854707.html

4/4日経電子版<米中貿易戦争、高まる懸念 中国が報復関税発表>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28994040U8A400C1MM8000/

4/4日経電子版<中国、106品目に報復関税 大豆・自動車など25%>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29012130U8A400C1MM8000/

4/5宮崎正弘氏メルマガ<中国新国防相の魏鳳和が訪ロ 中露国防相会談をこなしていた   バルト海共同軍事演習につづき、近く南シナ海でも中露合同演習か>

http://melma.com/backnumber_45206_6666396/

米中が貿易戦争になればダイヤモンド記事にありますように割を食うのは中国です。いくら威勢のいいことを言っても、米国の貿易赤字の半分は中国由来ですので。遣り合えば遣り合うほど中国の貿易黒字(=軍拡原資と各国要人に配る賄賂+共産党幹部への賄賂)が減りますので、世界平和とクリーンな社会の為には良いことです。ドンドン遣り合ってほしい。自由貿易云々何て言うのは自分が約束を守ってから言えと言いたい。日本のアホな評論家等も軍拡には目を向けず、経済論議だけに止まっているので、片端です。海外で軍事が理解できない人は何を言っても信用されないでしょう。日本は左翼でないと糊口を凌げない社会で、おかしいと思っていましたが、ジェイソン・モーガン著『リベラルに支配されたアメリカの末路』を読みましたら、米国の学界や学生も自由な発言は自主規制されていると。そうでなければテニュアは貰えず、学界からも相手にされなくなるとも。また学生は雪片“snow flake”と呼ばれ、臆病ではあるが自分は特別な存在と思いこみ、自分の意見に一致しない場合や理解できない場合は只管逃げる。アメリカの大学程真相を探求しない機関はない。学生に教え込むのはイデオロギーだけと。米国もウイルソン時代からアカにずっと染まって来たという事でしょう。

姫田氏記事でスマホ決済が縮小する気配とのこと。多分銀聯が裏で工作したのでは。人民銀行系であれば猶更です。アリペイにしろウィーチャットペイにしろ民営ですから、国営企業を強化する習の方針とは合いませんので。日本にそんなに影響はないでしょう。

宮崎氏の中露の提携で南シナ海を内海にされたら次は東シナ海です。やはり中国の横暴を早く止めませんと。貿易戦争で先ずは首を絞める所から。

ダイヤモンドオンライン記事

対中報復措置に署名したトランプ大統領(右)と貿易戦争を仕掛けられた習近平国家主席 Photo:AFP/アフロ、REUTERS/アフロ

トランプ政権が対中国の貿易赤字解消に向けて真正面から圧力をかけ始めた。鉄鋼・アルミニウム製品の関税引き上げに続き、知的財産権侵害を理由にさらなる関税引き上げと米国への投資制限に踏み切る。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)

米国が台頭する中国封じ込めに動き始めた。トランプ米大統領は3月22日に知的財産権の侵害を理由に、通商法301条に基づく報復措置を取ることを決めた。

301条は不公正な貿易慣行に対し、大統領の権限で関税引き上げなどの措置を取ることを定めている。中国で外国企業が事業を展開する際、多くの場合中国資本との合弁会社を設立する。その際、外国企業が保有する技術の移転を実質上強制されているのが現状だ。トランプ政権は昨年8月に現状の調査を開始させ、その結果、知的財産権の侵害があると認定した。

今回の内容は、WTO(世界貿易機関)への提訴と、中国からの輸入の1割強に相当する600億ドル相当の品目に対する25%の関税と米国への投資制限である。

3月23日には、知的財産権の侵害を理由に中国をWTOに提訴した。さらに、4月6日までに報復関税の対象リストが作成される。ハイテク製品などが対象になるとみられる。その後、民間の意見などを聞き、正式に発動される対象が決まる。投資制限については、22日にトランプ大統領がムニューチン財務長官に60日以内に案をまとめるように指示した。

先立つ3月1日にトランプ政権は鉄鋼・アルミニウム製品について、安全保障を理由に関税引き上げを表明し、23日から実施した。その主な対象も中国である。

中国が標的にされるのは第一に、大幅な貿易収支の赤字が続いているからである。2017年の米国の対中貿易赤字は3752億ドルに上り、赤字全体の約47%を占める。その赤字幅は07年からの10年間で約1.5倍に膨らんだ。トランプ政権は対中赤字の1000億ドル削減を中国に要求している。

関税引き上げは、経済へのマイナスの影響が無視できない。中国からの輸入品で引き上げ対象となるとみられる製品には、「対中依存度が50%を超えるものが少なくない」(大木博巳・国際貿易投資研究所研究主幹)。

関税によるコストアップを回避するため、調達コストが安い輸入先から代替することは容易ではない。少なからぬ米国企業は、中国の拠点に生産を委託し、その製品を米国へ輸入する形態を取っている。関税引き上げは米国企業、米国の消費者にとってもコストアップ要因だ。

足元は摩擦回避の公算

全面的な報復関税合戦となったなら、中国が失う利益の方が大きい。「中国の対米輸出の対GDP(国内総生産)比は3.5%なのに対して、米国の対中輸出は同0.6%」(大木氏)と彼我の差は大きい。そのため、中国は表向きの報復辞さずの言葉とは裏腹に、摩擦回避に向けて冷静に動いているようだ。

鉄鋼・アルミニウム製品の関税引き上げに対する報復措置として、中国は23日に、ワイン、果物などへ15%、豚肉などへ25%の関税引き上げを準備していると発表した。ただ、これらの17年の対米輸入額は30億ドルと、200億ドルを超える鉄鋼・アルミニウム製品の関税引き上げ対象額よりもかなり小さい。

知的財産権侵害に対する措置に対しても、ムニューチン財務長官は、中国と協議していることを明らかにした。中国は、トランプ大統領就任後に示した対米黒字縮小を目的とした100日行動計画、トランプ大統領の中国訪問時の米国製品の大量購入契約締結などと同様に、新たな製品購入などの譲歩を見せて、対象の縮小を図ろうとすると予想される。

ただ、一時的な製品購入などで貿易赤字を縮小させても、現状の赤字を生み出す構造はすぐに大きくは変わらない。米国企業の生産委託先が直ちに中国から移転されることはなく、すでに触れたように対中依存度が大きい製品の代替輸入先を探すことは困難だ。対中貿易赤字の問題は折に触れ、蒸し返されるだろう。

貿易赤字削減は、トランプ大統領の選挙公約でもあり中間選挙対策の色彩も濃いが、投資制限は先端技術分野での中国の台頭に対する脅威が背景にある。これが中国が標的にされる第二の理由でもある。「中国企業による米国企業買収を放置していては、技術が中国に流出し、先端技術での覇権を握られる」との懸念が米政府当局にはある。貿易赤字の縮小いかんにかかわらず、投資制限は継続、強化されるだろう。

18年1月にCFIUS(対米外国投資委員会)が、中国・アリババの子会社による米送金サービス会社マネーグラムの買収を認めなかったのをはじめ、これまでも中国企業による買収に待ったがかけられることは多かった。今後はこの傾向に拍車が掛かるとみられる。

対中の巨額の貿易赤字をもたらす構造や、先端分野での中国の台頭を警戒する姿勢は今後も変わることはない。足元の摩擦は回避できたとしても、米中貿易戦争に終わりは見えない。

姫田記事

ウィーチャットペイとアリペイのモバイル決済のQRコード(2017年9月11日撮影、資料写真)。(c)CNS/駱雲飛〔AFPBB News

「アリペイ(Alipay)」や「ウィーチャットペイ(WeChat Pay)」といった名を一度は耳にしたことがあるだろう。スマホのQRコードを店頭のタブレットにかざして決済する中国の第三者決済サービスである。アリペイはアリババ・グループ、ウィーチャットペイはテンセントが運営している。日本でも、中国人客向けのサービスとして導入する店が増えてきた。

これら“新参”サービスの登場によって、日本のインバウンド関連の売り場である異変が起きている。これまで中国人旅行客が利用する第三者決済サービスの代表格だった「銀聯カード」のシェアがみるみる低下しているのだ。

銀聯カードは、銀行間ネットワークを構築する「中国銀聯」(チャイナ・ユニオンペイ)が発行するデビットカードである。十数年前に日本に上陸して以来、道なき道を開拓してきた。反日デモや3.11の原発事故などで訪日客が激減したかと思ったら、その後「爆買い」ブームで取り扱い金額が急増。爆買いは一段落し、ようやく安定成長に入ったかに見えた。

だが、そこに“まさかの展開”が待っていた。急激なシェア低下である。業界に詳しい人物は次のように話す。

「中国ではモバイル決済の利用者が増えて、銀聯カードによる決済が激減しています。ようやく日本市場に根を下ろしたかに見えた銀聯ですが、シェアの半分近くがアリペイなどのモバイル決済サービスに食われてしまっているのです」

中国でも落ち込む銀聯カード

これまで中国人客の海外での決済は、デビットカードの銀聯カードと相場が決まっていた。口座の預金額を限度額に高額決済を可能にする銀聯カードは、外貨持ち出し制限を受ける中国人客にとっては重宝する一枚だった。中国国内でも銀聯カードによる買い物が日常的に行われていた。

だが、ここ数年でその状況は一変してしまった。アリペイやウィーチャットペイなどのモバイル決済が普及する一方で、銀聯カードでの決済が大きく落ち込んでしまったのだ。

中国銀聯とは、中国人民銀行(中央銀行)が2002年に設立した金融サービス機関である。つまり、人民銀行系の銀聯カードは、いわば“国家お墨付きの決済手段”だった。だが、民間資本のアリペイやウィーチャットペイの台頭で、中国でもその存在意義は薄れつつある。

「アリペイとウィーチャットペイは、これまで銀聯から再三ライバル視されてきた」(時事通信社の「時事速報」)という。銀聯にとって、金融市場の“場外”というグレーゾーンを泳ぎ渡ってきた決済サービスが、人民銀行系のカードを駆逐するとは鼻持ちならない事態なのである。

市場の混乱をもたらした第三者決済サービス

中国でモバイル決済が急成長しているのは周知のとおりだ。中国支払精算協会がまとめた「中国支払精算行業運行報告(2016年版)」によると、2015年、中国の第三者機関によるモバイル決済は399億件、その金額は22兆元に成長した。2018年には90兆~100兆元の規模になるとの予想もある。業界ルールも法律もいまだ十分な整備がされていない中で、モバイル決済は爆発的な成長を遂げた。

モバイル決済を利用すれば、送金や振り込みもできるし、残高には金利もつく。利用者は銀行の預金をモバイル決済の口座に移し替えた。企業も資金のやり取りをシフトさせた。

しかし、モバイル決済は既存の銀行業を圧迫するのみならず、不正利用の温床にもなった。マネーロンダリング、フィッシング、各種詐欺行為や贈収賄、税金逃れなどに使われ、違法行為やルール違反が社会問題化した。わずか数年でのスピード発展は中国の金融市場に混乱をもたらし、業界のコンプライアンス遵守の意識の低さも露呈することになった。

だが、監督機関は第三者決済サービスが非正規の金融機関であることを理由に、法の網をかぶせることができないでいた。

ついに管理・監視の対象に

それが、2017年夏ごろから流れが変わる。中国政府が、第三者決済サービスを人民銀行の管理下に置く措置を開始したのだ。

具体的には、「網聯清算有限公司」(以下「網聯」)という法人の発足である。2018年6月30日から、全てのインターネット決済業務はこの「網聯」を通して行われるようになる。すなわち、第三者決済サービスの金の流れが監視できるようになるというわけだ。

網聯は2017年夏、全国統一の決済システムを構築することを目的に設立された。資本金は20億元、株主総数は45社を数える。筆頭株主は中央銀行系の「央行清算中心」で、株式の12%を保有する。

改革のポイントは厳格な管理の導入だ。これまで、第三者決済サービスは利用者と銀行を直接的に結んできたが、今後は網聯が第三者決済サービスと銀行の間に入り込み、資金の流れを把握するようになる。

第三者決済サービスの金の流れを中央銀行が監視するイメージ(出所:央視網)

内部事情に詳しい人物は次のように話している。

「これまで第三者決済サービスは表向きは制限金額を設けていましたが、実質は制限を超えて決済を行ってきました。けれども、第三者決済サービスが動かす金額規模があまりに大きくなり、もはや国が看過できない規模になってしまいました。今後は厳しい規制がかかり、決済も小額になるはずです」

アリペイやウィーチャットペイに押しまくられた銀聯は、この措置によって息を吹き返すことになりそうだ。2016年末からQRコード決済を開始したところ、カードの利用者が増え始めた。間もなく日本にも上陸するという。

野放しにすれば不正の温床となるのが中国の民間企業の常だ。それが正常に向かうのは歓迎すべきことだが、締め付けが過ぎれば民間企業の健全な発展はそがれてしまう。あらゆる方面で管理・監視を強化している習近平体制下だけに、その行方が気になる。

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『中朝対話後、中国の次の「一手」は?米中韓朝の「四カ国平和協定」 新しい安全保障枠組み提案か』(4/4日経ビジネスオンライン 福島香織)、『トランプ氏、戦争始める可能性は低いが』(4/4日経朝刊 4/2The Economist)について

4/4facebook  Yuge Shiyuge氏投稿

道路で車の事故があれば、村民は商品を盗みに来る。家へ帰って見ると自宅は壊され、それでやっと罠だったのに気付く

流氓的人民,流氓的政府,流氓的人民政府……

無頼な人々, 無頼な政府, 無頼な人民の無頼な政府…..

相変わらず酷い民度に酷い政府、どっちもどっち、That’s China.

4/2facebook 八幡和郎「北朝鮮が東京五輪に参加したいというなら、参加させてやることを交渉材料として武器にすれば良い。バッハ会長にも歓迎できるような状況ではないし、その状況が変わらねば、最低限の人数を厳重な行動規制のもとで入国を認めるだけと釘を刺すべきだ。外交交渉で日本はいくらでも交渉材料を持っているのに、国内で安直な妥協をさせようという売国奴的圧力をかける勢力やマスコミがあるから国益をいつも毀損している。」

拉致被害者を放置したままでの北の東京オリンピック・パラリンピックの参加は当然認められません。政治問題ではなく人道問題でしょう。北がIOCを政治的に利用しているのだから、切り返さないと。公家集団かつ事なかれ主義の外務省では何も期待できませんが。

4/3ぼやきくっくりブログ<4/2虎ノ門ニュース 青山繁晴氏>

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2167.html

The Economistの記事中、「軍事行動の命令は不動産の購入を決めるようなものではないと、まるで独り言のように米CBSニュースに語った。「(軍事行動を)決断する重要性は信じがたいほど大きい……それは人を殺すことを意味するからだ。本当に嫌なことだった」。軍用機をいくつか破壊し、10人程の死亡者を出した攻撃にこれだけの衝撃を受け動揺した人物に、何十万人にも上る犠牲者を出しかねない北朝鮮やイランとの戦争を始めることなどできるのだろうか。」とあり、ポンペオもボルトンも脅しの材料としてだけの人員配置だと見透かされれば、北も足元を見るでしょう。中朝で信頼関係がなくともお互い利害で結び付いていて、中国を安全保障の後ろ盾にできたこともありますし。

青山氏もアメリカはしかし、その段階的っていうことをこう受け入れて、騙されたわけではないけれども、やっぱりトランプ大統領は決断できないぐらい、どうしても北朝鮮に反撃されて、最終的には北朝鮮は必ずアメリカに負けるけれども、それまでに韓国にいらっしゃるアメリカ人、日本人、そういう方々に犠牲が出る、あるいは日本の在日米軍基地、沖縄だけじゃなくて、三沢・横須賀、あるいは座間、そして岩国・佐世保そして沖縄というところ全部ミサイルの被害が出ることを心配するから、それで話し合う(米朝首脳会談)になったわけですよ。」と言ってトランプ大統領に戦争への迷いがあることを示唆しています。

戦争を避ける方が良いに決まっていますが、ならず者国家に核保有を認めることは如何なものか。それでしたら日本も核保有を認められてもおかしくないでしょう。米軍基地内に自衛隊を駐屯させ、運用できるようにすれば良いでしょう。NPT体制は崩壊します。そもそもで言えばP5だけが核保有を認められるのがおかしい。植民地大国であったり、侵略国家であったり、とても道徳国家とは言えない国ばかりです。

福島氏の記事で中国は北への制裁を緩和する可能性について触れていますが、米中貿易戦争のカードとして使うつもりでしょう。やはり貿易戦の口火を切るのが早すぎたというか、青山氏の解説の中にあったように昨年中に北を解決しておけば良かったのに。チグハグな印象を受けます。

台湾と半島の軍事的存在のバーターは台湾旅行法やボルトン大統領補佐官就任を考えると台湾に米軍基地を置き、在韓米軍撤退となりますが、中国が核心的利益の台湾には簡単に認めないでしょう。半島はあくまで緩衝ゾーンですので。況してや韓国の文在寅は従北、共産主義者です。

今後の展開は、米朝戦争か日本の核保有かしかないような気がします。日米台で早く軍事同盟を結び、そこに英仏印豪・NATOも加えるようにしてはどうか。

福島記事

朝会談を経て、中国が見据える視線の先には?(写真=提供:KCNA/UPI/アフロ)

あれほど習近平とは犬猿の仲であった北朝鮮の若き独裁者・金正恩がついに訪中し、習近平と会談した。3月25日の電撃訪問であり、一報は北朝鮮の特別列車が北京郊外を走っているのを見た鉄道オタクが写真をSNSにアップしたことで知られたという。乗っているのが金正恩であるという裏を最初に取ったのは、ロイターなどの英国メディアであったと記憶しているが、インテリジェンスを誇る英国のメディアが鉄オタのSNSに後れを取るという前代未聞の展開であった。

金正恩側から対中姿勢を軟化

新華社の報道では習近平の招待に金正恩が応じての“非公式訪問”ということになっているが、朝鮮中央通信によれば、金正恩は26日の晩餐会で「突然、訪中したいと提案したことに対し、中国側が真心と深い懐をもってすぐに受け入れてくれたことに私は深く感動し、心から感謝を申し上げたい」と発言。つまり金正恩サイドから泣きつく形で習近平サイドに訪問を打診したようだ。

この6年の間、中国と北朝鮮の関係は悪化する一方で、張成沢の粛清、金正男の暗殺といった事件が続き、中朝史上空前の関係悪化、絶対零度の中朝関係とささやかれた。このため、米国が北朝鮮に軍事制裁を行った場合、習近平政権が米国側に与する公算が高いとも見られていたし、中国の本気の対北朝鮮経済制裁は、北朝鮮を相当苦しませたようだ。

だが、ここにきて金正恩側から対中姿勢を軟化させ、習近平に助けを求めた。中国としても、頭越しに米朝が何かしらの合意を持つのも、南北で統一話が進むのも嬉しくないはずだから、このタイミングでの金正恩の妥協に乗るしかないだろう。だが、こうなると気になるのは南北対話、米朝対話の行方だ。中朝対話後の中国の影響力は半島問題においてどのように作用するのか考えてみたい。

金正恩の訪中は25日から4日に渡って行われた。その様子はCCTVでも北朝鮮の国営テレビでも詳細に報じられたが、その報じられた中味はかなり違う。CCTVでは、金正恩が習近平の話を聞きながら真剣にメモを取っている様子などが映され、習近平皇帝と朝貢国の金正恩王、といわんばかりの構図が強調されているが、北朝鮮国営テレビがまとめたニュースドキュメンタリー映像では、金正恩がいかに中国から丁寧にもてなされているかを強調する内容になっている。

報道内容の違いに見る中朝の利害

また、北朝鮮側は金正恩が中関村の科学展覧会を参観している様子が映し出されたときに、「核物理学や宇宙工学などの展示物を見学した」と強調し、北朝鮮が今後も「核開発」「宇宙開発」つまり核兵器とミサイルに関心を持ち続けていくことを暗に示すが、CCTVは金正恩が半島の非核化に向けた意思を示した、という部分を強調して報じている。

これは、双方の意思疎通に問題があるのではなく、半島の非核化、つまり在韓米軍の核兵器排除といった部分では、中朝の利害が一致しているということ、また中国側としては、中国の核開発、ミサイル開発の最先端技術を北朝鮮側にアピールすることで、北朝鮮がたとえ当面の核兵器開発を凍結(非核化)しても、危急の事態には、中国が北朝鮮に対する核開発やミサイル開発における国防支援が可能であることを示している、ということなのかもしれない。だが、中朝の本質的な狙い、目標に違いがあることも間違いない。

北朝鮮側が、このタイミングで訪中を急いで決定した狙いは何なのか。

韓国のニュースサイト・朝鮮日報を参考にすれば、米国の軍事的恫喝と制裁効果に追いつめられた北朝鮮側の対抗策として、まず平昌五輪参加を通じた韓国側との関係改善、その後、韓国を通じての米朝首脳会談の提案という流れになったこの時点では、北朝鮮は中国の頭越しに米朝首脳会談を実現しようと考えていたのだろう。だから、会談開催場所としては北京ではなく板門店を指定してきたのだ。

だが、米朝首脳会談を行うことに合意したあとも、トランプが北朝鮮に対して「最高強度の圧力をかけ続ける」方針継続を表明していることに対し、米朝首脳会談が決裂、あるいは暗礁に乗り上げる可能性も想定されるようになった。それどころか、会談直後に開戦などという可能性も出てきた。なにせ介入主義のタカ派でありイラク戦争に向けた世論工作を担当した、あのジョン・ボルトンが、マクマスターに変わって国家安全保障担当大統領補佐官に就くのだ。このまま、中国に後ろ脚で砂をかけたままの状況では、中国は北朝鮮を見捨てて米国に与することもありうる。なので、緊急に中朝改善策を模索する必要に迫られた。

一方、中国側としてはすでに「半島の核問題」の向こう側にある米中関係を見据えている。習近平政権は長らくトランプ政権については「交渉の余地がある」という見方で外交方針を立てていたが、2017年12月の米国の国家安全保障戦略で中国がロシアと並んで“修正主義国家”として名指しされ敵意を示されて以来、米国が対中強硬姿勢に大きく舵を切ったと感じ取っている。その象徴が、台湾旅行法の成立であり、FBIの孔子学院のスパイ容疑捜査であり、そして中国に対する301条を根拠にした600億ドル規模の追加関税賦課の決定だろう。

中国が見据える米中新冷戦構造

人事面も、中国に比較的融和的であったティラーソン国務長官の更迭と後任に対中強硬派のネオコン代表格のポンペオの起用、ドランゴン・スレイヤーでもあるボルトンの国家安全保障問題担当大統領補佐官起用などが、米中対立を先鋭化させる要素になろう。中国としては「半島の核問題」は来る米中新冷戦構造の中での一つの駆け引きであり、プロセスに過ぎない。中国にとっての脅威は、北朝鮮の核兵器ではなく、韓国のTHAADの方であるし、日本の核保有議論の勃興の方だろう。

そういう状況で、万が一にでも、米朝が中国の頭越しに何かしらの合意に至り、半島において中国の影響力が低下してしまえば、これまでの北朝鮮のわがままに手を焼きながらも、「血で固めた友誼」を建前に同盟関係を維持してきたかいがない。なので、このタイミングで、北朝鮮が中国を頼ってきたことは願ったりかなったりであった。

米国に対する警戒感と外交方針の転換という点において中朝の利害は一致するものの、北朝鮮の目標が国家・政権としての延命・安全確保であるのに対し、中国は米中関係の中の一つのカードとしての北朝鮮である。なので、米中関係の行方次第では、北朝鮮カードは捨てる可能性もあった。例えば、米中共同で北朝鮮のレジーム交代を推進する選択肢も比較的最近まで中国は留保していたはずだ。北朝鮮が核保有国であろうがなかろうが、金正恩政権であろうがなかろうが、半島における軍事プレゼンスを米国に傾かせない、というのが中国の目的である。

だが、それ自体も米中対立のゲームカードの一つにすぎない。例えば、一般にはあり得ないし想像できないことだが、米国が仮に、台湾と中国の統一を支持すると言い出したなら、代わりに半島の統一や民主化を認めると言い出すかもしれない。台湾統一と半島の軍事プレゼンスのバーターであれば、中国は半島の軍事プレゼンスを米国に譲歩する可能性だってある。米国が対中制裁的な追加関税措置をやめるから、半島の非核化問題で、米国と共同歩調を取るようにと求められれば、考慮するやもしれない。

そういう部分で、金正恩が習近平を心の底から信用していないのは当然だろうし、習近平も金正恩を信用していない。米国が仮に金正恩政権の安全を確約し、関係改善を進めだしたら、北朝鮮側は血の友誼をあっさり解消して、米国側のカードになってしまう可能性もゼロではなかろう。

さて、中朝会談以降、中国は北朝鮮に対する経済制裁を緩和しそうな気配で、実際、国境の北朝鮮経営のホテルやレストランの営業は再開したもようだ。こういった状況が、今月27日に開催される南北首脳会談、そして5月末までに開催されるといわれている米朝首脳会談にどのように影響するのか。

まず米朝首脳会談で何が話し合われるのか、そもそも本当に5月末までに実現できるのか、という部分がますます不確定になってきた。当たり前だがトップ会談を実現する以上、結果が必要だ。つまり合意文書である。合意文書ができなければ、会談する意味はない。合意文書ができない、つまり会談決裂は、開戦の合図になりかねない。米国側は、当初、軍事オプションをちらつかせながら北朝鮮を追いつめて、がっちり非核化に向けた合意文書を作るつもりでいたかもしれないが、それは中国が米国に協力する、少なくとも北朝鮮側の味方をしない、という条件が必須である。

ところが、中朝首脳会談が先に実現し、しかも金正恩は習近平の訪朝を要請し習近平がこれに応えているので、中国は北朝鮮との同盟関係を維持する公算が高くなった。そうなると、北朝鮮に対する軍事的恫喝効果は薄れるし、同時に中国側は対北朝鮮経済制裁を緩める可能性も出てくれば、国連の制裁効果も一気に薄れる。そんな状況で、米国が望む形での「非核化」を実現できる合意文書がまとめられるか。中途半端な抜け道を認めるような合意文書は、北朝鮮に完全核武装を実現する時間的猶予を与えるだけだ。

「四カ国協議」実現を目論む中国

となると、5月末までの米朝首脳会談の実現自体が怪しくなってくる。そして、中国としては、あたかも米朝に助け船を出すという体で、中国、韓国を交えた四カ国協議に誘導したいところだろう。共同通信などによれば、習近平はトランプ電話で米中韓朝の「四カ国平和協定」という形の新しい安全保障の枠組みを作らないか、と提案したとか。

この種の枠組みが問題解決につながらないことは、過去の六カ国協議などでも証明ずみだが、半島の非核化そのものではなく、米中駆け引きのカードとして半島問題をとらえている中国としては、中国が主導権を取れるこうした枠組みは意味がある。

北朝鮮としては、米朝首脳会談が実現するしないにかかわらず、「習近平の訪朝予定」を盾に、米国の軍事攻撃オプションを当面封じ込められると考えているかもしれない。中国にとっても北朝鮮にとっても時間稼ぎは重要である。特に、トランプが次の大統領選を勝てない可能性もあるとすれば、1年でも2年でも時間稼ぎには意味がある。

ちなみに南北会談はショーであり、正直あまり国際情勢においての重要性は高くなさそうだ。そもそも、文在寅は韓国の国益より北朝鮮へのシンパシーを優先する大統領であり、韓国自身も当事者でありながら当事者としての解決能力を持たない。半島の問題は米中問題であると思ってみた方がわかりやすい。ここに米国がイランとの核合意を破棄するかどうか、という要素が加わってくると、半島情勢がどのように転ぶかはますます不確定だ。米国がイランとの開戦を本気で考えているならば、両面作戦を取るよりも、北朝鮮に関しては中国のシナリオに乗る方を選択するかもしれない。

手持ちの“恫喝”カード少ない日本

こうして考えてみると、北朝鮮の核兵器に一番おびえているはずの日本が、この問題にほとんど関与できていないことがわかるだろう。中国の四カ国平和協定提案は、半島問題から日本とロシアを排除しようという動きでもあり、ここで中国が主導権を取ることになれば、これは日本の安全保障からみても、かなり不利である。日本側がこういう状況に焦っているのを見越してか、6月初めにも日朝首脳会談が行われる可能性についての情報が北朝鮮筋から朝日新聞を通じてもたらされた。

日朝首脳会談が本当に行われるかどうかはまだ不明だが、やったとしても成果がでるか北朝鮮にいいようにあしらわれるのかは、日本の覚悟次第だろう。日本側は“譲歩”カードは多く持つが、“恫喝”カードはあまり持たない。いや、できる“恫喝”というのは、多少はある。例えば朝鮮総連の解体や親北勢力が急激に増えている民団への対応、あるいは日本の核武装論なども、もっと議論されてもいいかもしれない。 だが、それをする意思が国民や国会にはない。そういった論議に意味や効果はないと早々に断じてしまう。となると、米国への“お願い”をするしか、半島問題にはかかわれない状況にある、というのがなんとも残念なところである。

The Economist記事

トランプ米大統領は昨年4月にシリアの空軍基地に巡航ミサイル59発の発射を命じた後、誰よりも自身が驚いている様子だった。軍事行動の命令は不動産の購入を決めるようなものではないと、まるで独り言のように米CBSニュースに語った。「(軍事行動を)決断する重要性は信じがたいほど大きい……それは人を殺すことを意味するからだ。本当に嫌なことだった」。軍用機をいくつか破壊し、10人程の死亡者を出した攻撃にこれだけの衝撃を受け動揺した人物に、何十万人にも上る犠牲者を出しかねない北朝鮮やイランとの戦争を始めることなどできるのだろうか。

■このほどタカ派を側近に登用

トランプ米大統領の新たな国家安全保障担当補佐官のボルトン氏は北朝鮮との戦争も辞さないとの立場だが=AP

だが、トランプ氏は自分が戦争も辞さないと考えていると周囲に思われたがっている。同氏は先月、米が2003年にイラクに武力攻撃したのは「史上最悪の決断だった」と非難していたにもかかわらず、国家安全保障問題担当の大統領補佐官にジョン・ボルトン元国連大使を据えた。もはや米国のイラク戦争を擁護する人はほぼいないが、ボルトン氏はいまだにイラク戦争擁護派だ。北朝鮮やイランへの先制攻撃も支持している。昨年、ルーズベルト元米大統領の発言を引用しつつ「毒ヘビが襲ってきそうなら、かみつかれる前に踏みつぶすものだ。我々にとって北朝鮮とイランが保有する核兵器や弾道ミサイルは、21世紀の毒ヘビだ」と述べていた。

トランプ氏は先日、新たな国務長官にも自分の顧問の中も最もタカ派のポンペオ中央情報局(CIA)長官を指名した。ポンペオ氏もイランと北朝鮮は政権交代が必要だとの立場だ。トランプ氏の北朝鮮とイランを巡る政策は、政権交代までは求めていないが、基本的には同じ方向に向かいつつある。

■トランプ氏の北朝鮮、イラン政策はとんでもない

トランプ氏は、何としても北朝鮮の非核化を実現させる意向だ。昨年8月には、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が核兵器に関する挑発をやめなければ「世界がこれまで目にしたことのない炎と怒りに直面する」と警告した。近く退任するマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)には、金政権への軍事対応として、「ブラッディー・ノーズ(鼻血)攻撃」と呼ぶ核戦争に発展させずに先方の攻撃力を弱める作戦も含め、幅広い選択肢を自分に提示するよう指示した。

一方、トランプ氏は欧米主要6カ国とイランが結んだ核合意については撤回の方向に動いている。それはイランが核開発計画を再開する確率を高めることになり、そこから生じる危機を外交的に解決できる可能性をゼロまで低下させかねない。ワシントンの外交専門家にトランプ氏を支持する人はほぼいないが、彼らは同氏の北朝鮮、イランへの対応をとんでもないと思っている。米外交問題評議会のリチャード・ハース会長は米国が北朝鮮かイラン、あるいは両方と戦争する方向に向かっているとみており「現代米国史上、最も危機的局面にある」とツイッターに投稿した。

確かに不安な状況だ。だがトランプ氏が大規模な武力行使に乗り出すのではないかとの恐れは、実態より大げさに伝えられている感がある。

■妥協に慣れている点は強み

トランプ氏が戦争を始めかねないとの懸念を高めている要因は3つある。彼の性格や判断力に対するかねての危惧、安全保障担当に最近、複数の強硬派を登用した人事、そして大統領選中に展開していた戦争反対の持論から驚くような方向転換をみせている点だ。選挙中は近年の米国の軍事介入をどれも酷評していた。イラクだけでなくリビア、シリア、アフガニスタンについても「軍事介入したことがそもそもひどい過ちだった」と述べていた。この間の歴代大統領が全員、外交など無視して「ビーチにでも繰り出していれば」、世界はもっとましな状況になっていたと主張していた。トランプ氏の選挙中のいろいろな発言から、彼の一貫した考えを見いだそうとしていた人からすると、一連の主張は「米国第一」の孤立主義的な考え方なのだと思えたかもしれない。だが各軍事介入が行われた当時、同氏がそれらを支持していた事実(本人は否定している)を考えると、そういう人はトランプ氏が一貫した思想を持っていると過大評価していたことになる。武力行使をちらつかせる威嚇を好むようになったことからも分かる通り、トランプ氏にはイデオロギーもなければ、きちんとした知識に基づく信念もない。本能に従い、主に自分に関係する利益を日々追求しているだけだ。

北朝鮮と本当に戦争を始めるかといえば、自らの利害を優先するタイプなのでやらないと考えていいだろう。ただトランプ氏は大統領選中、米国は外交に力を入れる必要はないと主張していた時でさえ、核兵器には強い懸念を示していた。北朝鮮がニューヨーク中心部を核攻撃するなどあってはならない、と。大統領就任後は歴代大統領の多くと同様、明らかにタカ派に傾いた。オバマ前大統領は、その前のブッシュ政権時からの戦争を終わらせると誓って就任したが、7カ国を爆撃した。それでもトランプ氏は自分の利益になると思わない限り、戦争を始めそうにはない。実際、彼が大量殺りくから得られるものはない。1947年以降に米国が関与した戦争で、その後も長く支持されているのは90年の短期間で勝利し、米兵の犠牲が少なかった第1次湾岸戦争だけだ。北朝鮮やイランと戦争をした場合、そんなことは期待できない。

トランプ氏が北朝鮮の越えてはならない一線を定義しつつあるようにみえるのは事実だが、だからといってここまでの分析が変わることはない。普通のビジネスパーソンと同様、トランプ氏は交渉で多くを求めても、実際には当初より低いレベルで妥協することには慣れている。どんな結果が出ても、望みを全て手に入れたと言ってのける厚かましさもあり、むしろここではその才能が意味を持つかもしれない。トランプ氏と同じくらい駆け引きをよく理解している金氏が、数十発の核弾頭を放棄する公算は極めて小さい。それは自ら死を選ぶようなものだからだ。だが経済支援を交換条件に長距離弾道ミサイル開発計画の凍結など、譲歩に応じる可能性はある。トランプ氏はこれを勝利と呼ぶだろう。

■恐怖は壊滅的誤算が生じるリスクだ

好ましくない方向へ転じる可能性は多くある。もし北朝鮮が交渉で核保有国と認定されれば、それをきっかけにアジアでは軍拡競争が始まるかもしれない。ただ、そうなったとしても今、戦争に突入するリスクは回避できるかもしれない。その場合、妥協をしないとされるボルトン氏が実は恐れられているほど強硬ではないことがわかるだろう。こうなる可能性は高そうだ。トランプ氏はボルトン氏の傍若無人さを気に入っているが、多様な意見を持つ人々を周囲に置くことを好むし、イデオロギーを説明するような人にはすぐあきてしまうからだ。トランプ氏が仮にボルトン氏にかなりの裁量を与えたとしても、マティス国防長官という強力な安全装置がまだある。多くの人の尊敬を集めるマティス氏はイラン核合意を支持しており、北朝鮮への先制攻撃には反対だ。

現状は理想的とはいえない。トランプ氏、ボルトン氏、「チビのロケットマン」こと金氏の3人が世界の安全保障をどう維持するかで主導的な役割を果たそうとしていること自体、壊滅的な誤算が生じる恐れを強める。だがトランプ氏が核戦争に踏み切る可能性が歴代大統領より高いという考え方に説得力はない。ただ、こうした考え方が救いに思えるのは、現在がそれほど暗黒の時代にあることを示している。

(c)2018 The Economist Newspaper Limited. March 31, 2018 all rights reserved.

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『裏切る文在寅にムチを見せたトランプ 通貨危機の恐怖で韓国を圧迫』(4/3日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『トランプ大統領と習主席と平壌とのポーカーゲーム 朝鮮半島情勢、永続的な合意を確実にするには米中の理解が不可欠』(4/3JBプレス 3/29FT)について

4/2JBプレス BBCより<「あなたは悪魔の化身だそうで」 マティス米国防長官、ボルトン新補佐官に>

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52730

4/2看中国<金正恩对北京的承诺 被朝鲜官媒篡改内幕(图)=金正恩は北京の(非核化の)承諾を官製メデイアに変えて伝えさせた内幕>金は中朝首脳会談で「核放棄」を表明したが、朝鮮メデイアは報道せず。米メデイアは「もし、非核化を人民に説明すれば、金の権威喪失と統治の正統性を失う危険性がある」と。金は習に「段階的、同時非核化」を説明、しかし朝鮮メデイアは非核化も、米朝首脳会談についてもなにも報道されていない。韓国の専門家は「米朝首脳会談は北の詭計かも。北は経済制裁を緩和して貰おうとするが絶対に核放棄はしない」と述べた。ミアシャイマーシカゴ大学教授は「北の核放棄の確率は0.05%くらいだ。0~1%の間である。簡略すれば1%でも良い。中国の対北圧力が必要である」と。中国の軍事専門家は「金は米中貿易のごたごたを見て、細心の注意を払い時期を窺って、中国に来て支持を求めた。中国は国連の制裁に從って、北の支援は出来ないが、米朝首脳会談の間、北は時間稼ぎができる」と。金の訪朝以後、トランプが言った最大の圧力をと言うのは、北と中国に対する警告と看做される。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/04/02/854468.html

韓国の裏切りは今に始まった訳でなく、歴史的に見て事大だからでしょう。でも誰が本当の強者か見抜く目を持たず失敗すると同時に、関係国の信頼も失っています。今、日本で韓国の信頼度を世論調査すれば、高得点で信頼できないと出るでしょう。2015年の調査では73%が信頼できないと答えていました。何せ慰安婦や強制徴用で強請り・タカリをするヤクザ国家ですから。あの中国人ですら韓国人を信用していません。自己中で騙すのが得意な中国人に嫌われる韓国人と言うのは、やはり性格が悪すぎるとしか言いようがありません。

http://www.recordchina.co.jp/b111210-s0-c60.html

4/1ライブドアニュース<中国人の77.4%が「韓国人信用できない」 韓国旅行での体験がベース?>

http://news.livedoor.com/article/detail/14514935/

トランプは韓国も北も信用していないでしょう。朝鮮半島人は、中国人以上に嘘つきと言うのが分かっている筈です。韓国も再度経済危機に陥れば良いと思います。但し、日本に押し掛けて来ないように。就職先がないからと言って日本に押し掛けて来るというのは止めてほしい。入国時に「慰安婦像」と「強制徴用像」の踏み絵を用意し、踏まない限り入国させないし、竹島は日本の領土というのに署名しない限り入国させないようにしてはどうか。いつもいつもやられ放しでは嘗められるだけです。

中国の韓国産輸入品を米国産に切り替えれば、米中への輸出で稼ぐ韓国経済は立ち行かなくなります。また輸入に必要な外貨を稼ぐことができなくなり、韓国のアセンブリー産業は打撃を受けます。そこに為替操作禁止を米国から言い渡された訳ですから、ウオン高となり、輸出にとっては二重の苦しみとなります。また米金利上昇もあるので、外資の撤退を招く展開となるのでは。文在寅は束の間の宴を楽しんでいれば良いです。左翼は経済が分からないのが多いので。

FTの記事は看中国の記事と比べ見方が甘いです。戦争をコストだけで論じ、中国が非核化に協力すると思っています。中国は北を対米カードとして使う腹積りですので、米国には面従腹背でしょう。ただFTが金三胖を「実に見事な外交ゲームを展開している」というのはその通りです。ただ、トランプの次はないような書き方と米中が争えば勝者は金になるので、米中で金が飲める案を提案したらと言うのはどう見てもそんな展開にはならないでしょう。ミアシャイマー教授の言うように北の非核化は0%に近い訳で。

4/3宮崎正弘氏メルマガ<トランプ、ワシントンDCで、ロシアと首脳会談を呼びかけていた 悪化した米露関係を突破するのはプーチンの訪米にあり?>

http://melma.com/backnumber_45206_6665562/

4/3NHKニュース11:56<北朝鮮外相 ロシアなど訪問へ出発 米韓との首脳会談控え>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180403/k10011389071000.html?utm_int=news_contents_news-main_005

宮崎氏は金の訪中直後にロシアにも行くことを予言していました。北の外相が露払いするのかどうか。プーチンとトランプが話し合い、北と中国を封じ込めるのが理想です。

鈴置記事

トランプ大統領は3月29日のオハイオ州での演説で、韓国を威嚇した。(写真:UPI/アフロ)

前回から読む)

非核化を巡り、韓国が中国・北朝鮮側に寝返った。怒った米国は経済を武器に韓国を圧迫する。

FTAで韓国を脅す

鈴置:トランプ(Donald Trump)大統領が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を公然と脅しました。

3月29日のオハイオ州での演説で、大筋合意していた韓国とのFTA(自由貿易協定)改定交渉について「(非核化に関する)北朝鮮との取引が成立するまで棚上げするかもしれない」と語ったのです。

ホワイトハウスの「Remarks by President Trump on the Infrastructure Initiative」(3月30日)で発言全文を読めます。ポイントは以下です。

I may hold it up until after a deal is made with North Korea.

Because it’s a very strong card, and I want to make sure everyone is treated fairly and we’re moving along very nicely with North Korea.

トランプ大統領は「それ(FTA改定)はとても強力な(韓国との交渉)カードだ。誰もが公正に扱われるべきだし、我々は北朝鮮と上手くやっていくだろう」とも語りました。

要は北朝鮮との非核化交渉を念頭に、韓国を脅すムチとしてFTA改定交渉を今後も活用する、と言ったのです。

時間稼ぎに協力する韓国

—北朝鮮との交渉で成功するために、なぜ韓国を脅す必要があるのですか?

鈴置:韓国が米国を裏切って北朝鮮を応援し始めたからです。3月末の中朝首脳会談で両国は「段階的な非核化」で合意しました。

厳密に言うと、会談の場で「段階的で同時的な措置が非核化問題を解決する」と語ったのは金正恩(キム・ジョンウン)委員長でした。

ただ、新華社が発言をそのまま伝えたので中国も「段階的な解決」を支持したと見なされました。人民網の「習近平同金正恩挙行会談」(3月28日、中国語版)で読めます。

「段階的な解決」はトランプ政権がもっとも警戒する北朝鮮の手口です。1993年以降、北朝鮮は何度も小出しに譲歩するフリをしては米国の軍事的な圧迫や経済制裁を緩和させたあげく、最後には非核化の約束を破ってきました。

トランプ政権はそんな時間稼ぎを許すつもりはありません。北朝鮮に完全に核を廃棄させる「一括妥結」方式で解決する方針です。

文在寅大統領もトランプ大統領との3月16日の電話協議で「過去の失敗に起因する憂慮に徹底的に備えたい」と語り「一括妥結」で米国と足並みをそろえると表明していたのです。

文在寅大統領のこの発言は朝鮮日報の(「『ゴルディウスの結び目を断ち切る非核化』と言っていたのに……中朝会談後、後退の兆し」(3月30日、韓国語版)などが報じました。

ところがその韓国が突然に態度を変え「段階的な解決」を言い始めたのです。北朝鮮側に回り、一緒になって米国を封じこみ始めたわけです。

このままだと4月27日の南北首脳会談で「段階的な解決」が合意され、5月末に開く予定の米朝首脳会談までに、中国やロシアも加わってそうした流れを作られかねない。これはまずいと考えた米国は、韓国を抑え込みにかかったのです。

中朝会談を見て手のひら返し

—なぜ韓国は突然、態度を変えたのでしょうか。

鈴置:中朝首脳会談がきっかけでした。先ほど指摘したように、この首脳会談で「段階的な解決」がうたわれた。それが明かされたのが3月28日。

翌3月29日、青瓦台(大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は「段階的な解決」に関し論評を避けました。本来なら真っ向から批判すべきところです。

朝鮮日報は報道官の沈黙も含め、青瓦台の微妙な空気の変化を読み取って「文在寅政権が姿勢を変えるぞ」と報じました。

先ほど引用した「『ゴルディウスの結び目を断ち切る非核化』と言っていたのに……中朝会談後、後退の兆し」(3月30日、韓国語版)がそれです。

3月30日には青瓦台の匿名の高官が、記者との会見で以下のように語るに至りました。米国の主張する「一括妥結」をはっきりと否定したのです。

北朝鮮の核問題が25年間続いているが、電源コードを抜けばテレビが消えるように一括妥結宣言をすれば非核化が終わるものではない。検証と核廃棄は順々に踏んでいくしかないのが現実だ。

発言は中央日報の「青瓦台、『北核解決法』で米と不協和音…『テレビの電源コードを抜くように?不可能』」(3月30日、日本語版)などで読めます。

—トランプ大統領が怒るのも当然ですね。

鈴置:だからトランプ大統領は、大筋で合意したはずの米韓FTAの改定も保留する――「もし、北朝鮮の時間稼ぎに協力したら、経済面で報復するぞ」と韓国を脅したのです。

為替操作をやめさせた

—報復は効果がありますか?

鈴置:やり方によっては韓国経済を窒息させる――通貨危機に陥れることも可能です。

まず、米国は韓国を含む各国に対し、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を上げると威嚇しました(「北より先に韓国に『鼻血作戦』を発動する米国」参照)。

韓国はこの脅しに屈し、3月27日までにFTAの見直しに原則合意。米国製自動車に対する非関税障壁をなくすほか、鉄鋼に関しては関税引き上げ対象から外す見返りに米国への輸出量を減らすと譲歩しました。

米国政府は、不公正な競争優位を生んできた韓国政府の為替操作をやめさせ、透明性ある説明可能な仕組みを約束させたとも発表しました。

ホワイトハウスの「President Donald J. Trump is fulfilling his Promise on the U.S.-Korea Free Trade Agreement and on national Security」(3月28日)の最後のくだりです。

On a separate track, the Treasury Department is finalizing an understanding with South Korea to avoid practices that provide an unfair competitive advantage.

The provisions of the understanding include strong commitments on exchange rate practices, robust transparency and reporting, and a mechanism for accountability.

韓国版プラザ合意

韓国経済新聞は「FTAに続いて為替も米国に譲歩?『韓国版プラザ合意』懸念高まる」(3月30日、日本語版)で「これこそ、円とマルクを強引に切り上げさせたプラザ合意のウォン版だ」と悲鳴をあげました。

異様な合意です。「プラザ」のように、為替の問題は多国間で取り決めるのが普通です。というのになんと今回、米国は韓国に2国間の取り決めで「為替操作しない」と約束させたのですから。

いずれにせよ、これでウォン高基調となり、それが続けば韓国は通貨危機に直面する可能性が出てきました。

ウォンの対ドルレートは3月の最終週から上昇に転じています。金正恩委員長の訪中説(3月27日)、中朝首脳会談の正式発表(3月28日)、米政府の「為替操作禁止」の発表(3月28日)、南北首脳会談の開催日決定(3月29日)などウォン高要因が相次いだからです。

そこに3月29日のトランプ大統領の威嚇発言。これを受け、4月に入ってもウォン高傾向が続いています。

ウォンの対ドルレート

半導体輸出にも暗雲

—通貨高により通貨危機が起きるというのも変な気がします。

鈴置:韓国の場合、1997年、2008年、2010年にそれが起きました。ウォン高などが原因で貿易収支が赤字化すると、あるいは黒字でもその幅が減少すると、通貨危機の恐れから資本逃避が発生したのです(「韓国が脅える『政権末期の通貨危機』」参照)。

債務国の悲哀でした。韓国は近年、債権国に転じましたが、資本の蓄積がまだ薄く資本に逃げられやすい。

それに、これから本格化するであろうウォン高は、ウォンが買われて――つまりドルが流入してのウォン高ではありません。韓国政府がウォン安誘導を禁じられた結果としての、筋の悪い通貨高なのです。「ウォン高に続く資本逃避」が起こっても不思議ではありません。

そもそもドルの利上げ局面に突入しています。すでに韓国は資本逃避が発生しかねない状況に突入していたのです(「米国はいつ『韓国放棄カード』を切るのか」参照)。

それに為替要因以外でも、輸出が減少する可能性が高まっています。まずは米韓FTAの改定に伴い、韓国の鉄鋼輸出に歯止めがかけられたこと。

さらには米中貿易摩擦が激化する中で、中国が一部の半導体の輸入先を韓国から米国にシフトすると決めたとされることです。半導体の輸出が全体の15%前後を占める韓国にとって大打撃となります。

貿易黒字が減れば韓国の格付けが下がる可能性が増し、資本逃避の狼煙になりかねないのです。世界の有力格付け会社のほとんどが米国の会社ですしね。

反米政権を通貨で矯正する米国

—「韓国の反米」を米国が通貨で叩き直す、というのもすごい話ですね。

鈴置:別段、驚く話ではありません。「『14年前のムーディーズ』に再び怯える文在寅」で紹介しましたが、反米を売り物にして当選した左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は就任直前にムーディーズに格付けを下げられました。

資本逃避を恐れた盧武鉉大統領はブッシュ大統領に会った際、恭順の意を表明せざるを得なかった。当時、盧武鉉政権の中枢にいた文在寅氏が回顧録で告白しています。

文在寅政権も発足の少し前に「反米・反日政策をとると、また格付けを下げられるぞ」と米国のアジア専門家から脅されました。

「通貨危機に陥る」とまでは書きませんが、韓国の保守系紙は一斉に「文在寅政権の親北政策が米国との関係を悪化させた」と批判に乗り出しました。

東亜日報の「核の解決で異論を持つなとのトランプの警告」(3月31日、韓国語版)や朝鮮日報の社説「韓国に北の側に立つなと警告したトランプ」(3月31日、韓国語版)です。

馬耳東風の文在寅

—文在寅政権の反応は?

鈴置:馬耳東風です。政権の真意を伝える役回りの文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が訪日し、3月31日に早稲田大学で講演しました。

文正仁・特別補佐官はこの場でも非核化交渉に関し「北朝鮮に対しては、段階ごとに我々が与えるものを与え、とるものをとるというプロセスが必要だ」と述べました。

文在寅政権はトランプ大統領の脅しなど一切無視して「段階的な非核化」を世界に向け宣伝し始めたのです。

(次回に続く)

FT記事

中国・北京の人民大会堂で開催された歓迎式典に出席する習近平主席(中央)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(右)。北朝鮮国営の朝鮮中央通信提供(2018年3月26日撮影、29日公開)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

米国のドナルド・トランプ大統領との首脳会談が実現する公算があり、中国の習近平国家主席にも人民大会堂で謁見した――。

我々としてはあくまで推測するしかないが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏は今ごろ悦に入っているのではないだろうか。

人口2500万の国を支配する後進的で残酷なほど抑圧的な政治体制が、世界の2大大国の指導者から大いに注目されているからだ。

国際社会は金氏の北京訪問を歓迎すべきだ。下手をすれば戦争になっていたかもしれないからだ。

つい数カ月前、トランプ氏は北朝鮮の核兵器開発プログラムを破壊すべく、平壌(ピョンヤン)に「炎と怒り」をお見舞いすると断言していた。米国西海岸を攻撃できる核ミサイルを北朝鮮が保有する可能性など受け入れられない、ということだ。

軍事衝突で発生し得るコストは計り知れない。しかし中国政府には、頑として言うことを聞かない同盟国の北朝鮮を制止する意思がないか、その力がなかった。

それが今、表面的には、真の外交が行われる可能性が生じた。

金氏は平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック大会に選手団を派遣し、冷え切っていた韓国との関係改善に動いた。トランプ大統領との首脳会談を提案して米国政府の計算をひっくり返し、米国は軍事行動の準備を保留した。

また、中国は核開発プログラムを抑制せよという要請を金氏に何度も断られたために排除命令を出していたが、これを解除せざるを得ないと感じていることが、今回の金氏の北京訪問からはうかがえる。

中国の国営新華社通信は、習氏が「今年は、期待の持てる明るい変化が朝鮮半島情勢に生じている。その方向に向けて北朝鮮が行った主要な努力に対し、我々は感謝の意を表する」と述べて金氏を褒めたたえたと報じた。

北朝鮮への国連制裁を支持した中国政府を金氏が数年にわたって酷評した後に、このような言葉が出てきたのだ。

事実上中国の新しい皇帝になった習氏は、ここまで譲歩することに慣れていない。だが、もしトランプ氏に会う用意が金氏にできているのであれば、中国としては傍観するわけにはいかなかった。

皮肉な見方をする人なら――いや、あまり偏見のない懐疑論者でも――北朝鮮の指導者は実に見事な外交ゲームを展開していると言うだろう。

何しろ、弾道ミサイル開発プログラムを推進する時間を稼いだうえに、危機の責任をめぐる話も混乱させている。

朝鮮半島の非核化を議論したいと語るときに金氏が本当に言いたいのは、米国が韓国に軍隊を置いている限り北朝鮮には核兵器を持つ権利がある、ということだ。

どの米国大統領も、この取引には応じられないだろう。しかし、今このタイミングで首脳会談の計画が頓挫すれば(アジア問題のベテランたちは、そうなるとの予想に傾いている)、その責任は米国側にあるとされる恐れがある。

金氏の核開発への野望が弱まったことを示唆するものは、一つもない。米国政府による体制転覆の試みを確実に防ぐ唯一の保障は、爆弾とそれを運ぶ手段を手にすることである、というのが北朝鮮のドクトリン(基本原則)だ。

また、北朝鮮の外交官は西側諸国の外交官と話をするとき、イラクのサダム・フセインとリビアのムアンマル・カダフィに何が起こったかに必ず言及する。

トランプ氏がイランとの国際的な核合意を反故にすると脅しをかけていることは、平壌に追加の弾薬を提供することにしかならない。

金氏が米国との対話で手に入れたがっているのは、本格的な核保有国として認めてもらうことだ。自らの体制を維持できるという安心感を手にしない限り、北朝鮮が半島における核の緊張緩和の検討に乗り出すことはないだろう。

太平洋の対岸まで弾頭を運ぶことができるミサイルの製造に北朝鮮があとどれぐらいの時間を要するかについては、米国の専門家の間でも見方が分かれる。ただ、長らく年単位で語られていたこのテーマは、すでに月単位で語られ始めている。

従って、一連の首脳会談が行われても(金氏は3月29日、韓国の文在寅=ムン・ジェイン=大統領とも会談することを確認した)、期待できるのは戦争の見通しが遠のくという程度のことでしかない。

米国政府はかつがれたことにやがて気づくが、そのときにはもう東アジアのもめ事に対する熱意を失っていた――。そうなることを北朝鮮は(ひょっとしたら中国も)期待しているのかもしれない。

その頃になれば、対話はすでに封じ込めに転じているだろう。今日では世界のほとんどが、トランプ後の時代に備えて外交政策を策定している。北朝鮮は例外だと考える必然性などない。

本当に楽観的な向きは、また別の可能性に着目するだろう。彼らに言わせれば交渉はポーカーのようなものだ。

そしてトランプ氏と習氏がハイカード(強い札)をほぼすべて独占している。しかし両者が張り合う限り、勝者は金氏になる。ゲームの構図が変われば、北朝鮮の指導者は手の内をさらさざるを得なくなるだろう。

最初から明白だったはずだが、和解が成立するか否かは、何よりもまず中国と米国の理解次第だ。

どちらの国も、金氏が核爆弾の保有を断念することを望んでいる。トランプ氏は軍事力を振りかざす。そして、北朝鮮はエネルギーと食糧の供給をほぼ完全に中国に依存している。

ところが中国は、北朝鮮が核兵器を保有することよりも北朝鮮の現体制が崩壊すること――そして北朝鮮と韓国が統一され、米国の影響が中国の国境線にまで及ぶこと――を恐れている。金氏自身は何にもまして、権力の座にとどまりたいと思っている。

そんなものが存在するかどうか筆者には確信がないが、もしもこのもつれた状況を解きほぐす方法が存在するならば、それは北朝鮮の領土の一体性と、考えるのもおぞましいが、金氏の体制の安全とを中国と米国が共同で保証することにある。

そのような共同保証が実現すれば、それは事実上、朝鮮戦争の終わりに署名されなかった条約になる。そして、北京とワシントンが共同で支持すれば、金氏が断りきれないような方法で提案を行うことが可能になるのではないだろうか。

By Philip Stephens

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『核なき朝鮮半島、連邦制へのプロセス始まるか タダ者ではなかった? 文在寅大統領』(4/2日経ビジネスオンライン 森永輔)、『米朝首脳会談の即断が招いた中国の心変わり 米国が仕掛ける貿易戦争に反発』(4/2日経ビジネスオンライン重村智計)について

3/31看中国<传杨洁篪王毅内斗多年 同涉官场一大丑闻(图)=楊潔篪と王毅の内部闘争は数年間続いていると伝えられている 役人は醜聞に関係している>ニセ学歴・学位は共産党の役人の常態である。外交官は出身大学別に派閥がある。王毅は北京第二外国語学院卒であるが、南開大学経済学修士、外交学院国際関係学博士と言うのはニセである。楊潔篪の歴史学博士と言うのもニセで、南京大学の歴史学の研究生だっただけ。韓正も工員出身で大学に行ったこともないのに、研究生やら正教授クラスと経歴詐称しているのはお笑いである。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/03/31/854279.html

流石は偽物大国中国のことだけあります。恥を知らない連中ですが、恥を知った瞬間に、中国では生きていけません。それが当り前の世界ですから。平気で嘘をつき、平気で人を騙します。

森氏の記事を読みますと、本当に左翼と言うのは売国奴でしかない、勿論共産主義者ですから国境はないと信じているのでしょうけど。金大中と言い文在寅と言い、韓国を売り渡しています。でも韓国民が選んだ大統領ですから。韓国が北と一緒になればロウソクデモなんてできなくなるという事に思いを馳せれる韓国民はいないのでしょう。愚かとしか言いようがない。

宮本教授は5月の米朝首脳会談は準備不足で開かれない可能性が高いと見ています。小生はトランプのことですから準備がなくとも開いて、戦争の口実を作るのではと思っています。中間選挙対策と言うのもありますし。北が「朝鮮半島近海に米軍は核兵器を再び持ち込まない」事を要求しても、日本海は除くようにしないと。米国の核の傘は必要です。北の核がなくなっても、中国が日本の属国化を要求して来るでしょうから。

重村氏の記事は久し振りにまともな印象を受けました。彼の述べているのは正論です。メデイアや公明党議員何て何も分かっていないのに、焚き付ける役目だけします。敵のデイスインフォーメーションに乗せられ、記事にする愚かな記者もいます。記事についてよくよく真贋を見極める眼を持ちませんと。

森記事

(写真=提供:CCTV/AFP/アフロ)

中国と北朝鮮が3月26日、電撃的に首脳会談を行い「半島の非核化」で合意した 。新進気鋭の朝鮮半島研究者、宮本悟・聖学院大学教授は、統一のプロセスが進むとすれば、連邦制による1国2制度のような状態になると考える。ただし米軍が撤退を受け入れるのは困難とも指摘する。

(聞き手 森 永輔)

—中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が3月26日、首脳会談に臨みました。まさに「電撃的」。宮本さんも驚かれたのではないですか。

宮本:まさか、首脳会談を行うとは思いませんでした。びっくりしました。ただし、このタイミングで北朝鮮が中国にアクセスするであろうことは、理屈で考えて明らかでした。

宮本悟(みやもと・さとる)
聖学院大学 政治経済学部 教授 1970年生まれ。同志社大学法学部卒。ソウル大学政治学 科修士課程修了〔政治学修士号〕。神戸大学法学研究科博士後期課程修了〔博士号(政治学)〕。日本国際問題研究所研究員、聖学院大学総合研究所准教授を経て、現在、聖学院大学政治経済学部教授。専攻は国際政治学、政軍関係論、比較政治学、朝鮮半島研究。著書に『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?:政軍関係論で読み解く軍隊統制と対外軍事支援』(潮書房光人社)など。

—え、そうなのですか。なぜでしょう。

宮本:北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」を口にし始めたからです。これを支持するのは中国とロシア。なので、南北首脳会談が開かれる1カ月くらい前に、懐刀である崔竜海(チェ・リョンヘ)副委員長などを両国に使節として派遣するだろうと考えていました。しかし、金正恩委員長が自ら訪中するとは。同氏にとって初めての外遊でもありますし。

—今回の中朝首脳会談で注目されたのはどの点でしょう。

宮本:朝鮮半島の非核化に対する北朝鮮の本気度が分かったことです。金委員長が訪中した間に行われた行事の出席者を見ると、中国共産党と朝鮮労働党の要人が並んでいます(次ページの表参照)。中国と北朝鮮の間には政府と政府の関係に加えて、党と党の関係があります。そして、党による外交が政府による外交よりも上位にある。

金正恩委員長の訪中に伴い行われた行事に参加した要人

中国 北朝鮮
習近平 国家主席 金正恩 朝鮮労働党委員長
彭麗媛 夫人 李雪主 夫人
李克強 首相 崔竜海 党副委員長
王滬寧 政治局常務委員 朴光浩 党副委員長
王岐山 国家副主席 李洙墉 党副委員長
丁薛祥 党中央弁公庁主任 金英哲 党副委員長
楊潔篪 党政治局員 李容浩 外相
郭声琨 政治局員    
黄坤明 党中央宣伝部長    
蔡奇 北京市党委書記    
王毅 外相    

特に北朝鮮側の出席者を見ると、フルメンバーといってよいでしょう。金英哲(キム・ヨンチョル)氏の名前も見えます。同氏は韓国との関係を管掌しています。南北会談についての説明を行うためとみられます。ちなみに北朝鮮にとって韓国は外国ではないので、金英哲氏の任務は外交ではありません。

—この場にいなかった人が暗示するものはありますか。当初、金委員長の実妹、金与正(キム・ヨジョン)氏も訪中に参加しているとの情報がありました。金政権の存続を考えると、そんなことがあり得るのかと思いましたが。

宮本:おっしゃる通りです。金委員長と与正氏が一緒に訪中するようなことはあり得ません。二人が同時に事故にでも遭ったら大変なことになりますから。

北朝鮮の要人でこの場にいなかったのは金永南・最高人民会議常任委員会委員長 ですね。これも当然のことです。同氏が同席するとややこしいことになりますから。

—ややこしいことですか。

宮本:金永南氏が就いている最高人民会議常任委員会委員長は国家元首であり、政府外交のトップです。金委員長は、最高指導者ではありますが、政府では最高人民会議で選出される国務委員長であり、形式上は金永南氏より下。したがって外交プロトコルに倣えば、金永南氏が金委員長より上の席に就くことになります。

—確かに、G7での記念撮影を見ても、国家元首である大統領が中央に並び、安倍晋三首相などは端に立ちますね。金委員長と金永南氏の関係は確かにややこしい。

遺言を持ち出して政策転換を権威づけ

—会談の内容について伺います。宮本さんが最も注目したのはどの点ですか。

宮本:中国による発表と北朝鮮による発表にずれがあったことです。ご存知のように、北朝鮮は、半島の非核化についても、米朝首脳会談についても触れていません。

一方、中国の発表によると、金委員長は南北首脳会談と米朝首脳会談への期待を表明。「半島の非核化についての姿勢も変わらない。祖父である金日成(キム・イルソン)国家主席 、父である金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺言に従って進める」と語ったことになっています。

この点について気づいたことがあります。確かに金日成は「核兵器は持たない。米国の核兵器を韓国から撤去させるべきだ。半島の非核化こそ朝鮮民族の進むべき道」と主張していました。しかし、金正日の遺言というのは初めて聞きました。非核化どころか、彼は2006年10月に初の核実験をした後、「核大国になった」と発言したのですから。

金委員長がこうした発言をしたのは、祖父と父の権威を借りて、同席した北朝鮮労働党の幹部に半島の非核化への政策転換を理解させる意図があったのでしょう。金委員長といえども、すべてが思い通りになるわけではありません。北朝鮮の国内で半島の非核化と米朝首脳会談を明らかにしていないのも、このためと思われます。

—金委員長はこれまで核兵器を放棄することはないとしてきました。この方針を半島の非核化に転換したということでしょうか。

宮本:実は北朝鮮は、これまでにも半島の非核化に言及しています。核兵器による抑止力の強化と半島の非核化という二つの政策を両にらみで進めてきたのです。どちらも米国からの核の脅威を除き、北朝鮮という国家と金政権を存続させることが究極の目的。前者は核兵器を保有する米国に対して、核兵器と大陸間弾道弾(ICBM)で対抗するもの。

後者は、北朝鮮は核兵器を放棄するが、同様に、韓国や朝鮮半島周辺からも核兵器を撤廃して、在韓米軍も撤収させることで北朝鮮に対する核の脅威をなくすことです。これに最後に言及したのは2016年7月6日です。以降は、抑止の強化に傾いていました。

半島の非核化は米国と韓国が同意しなければ進みません。

もし米国と韓国が同意することになれば、北朝鮮の姿勢は半島の非核化にぐっと傾くでしょう。しかし、米国が同意する可能性は低いのではないでしょうか。そうであれば、北朝鮮も非核化しないことになります。

北の核をめぐる韓国の姿勢を大転換した文在寅大統領

—北朝鮮はなぜ抑止から非核化に傾いたのでしょう。やはり制裁が効いたのでしょうか。

宮本:それは検証できないですね。少なくとも北朝鮮はそうでないと言っている。経済状況も、政策を大きく転換するまでには至っていないと思います。

—では、なぜ。

宮本:本当のことは分かりません。ただし、北朝鮮は韓国の要請によって米朝対話を始める立場を明らかにしたと言っているので、非核化についても韓国による説得がうまくいった可能性が考えられます。

米国が北朝鮮に対して先制攻撃する事態をなんとしても避けたい

—北朝鮮と韓国はこの点において利害が一致しています。そこで非核化を進めなければ戦争になることを強調したのかもしれません。 対話重視のレックス・ティラーソン国務長官の更迭、イラン戦争の時に主戦派だったジョン・ボルトン氏の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)への起用など、先制攻撃の気配が強くなっています。

宮本:そうですね。さらに、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「米国と北朝鮮との対話を仲介する」という姿勢を取ったのも功を奏したでしょう。平昌五輪の時に金与正氏が訪韓し文在寅大統領と青瓦台で会談した際、「米朝対話を発展させるべき」 と要請しました。その後の3月3日、北朝鮮は「韓国の要請を受けて、米朝会談をする立場を表明した」と公式に言っています。

「北朝鮮の核問題を解決する力は韓国にはない」ことを事実上認めたのは、韓国の歴代大統領としておそらく初めてのことです。これまでの大統領はみな「韓国こそが解決する」と主張していました。北朝鮮は1月の時点まで、南北会談で韓国が非核化を提案することがあれば、破滅的な状況を呼び込むことになると主張していましたから。北朝鮮にとって韓国は非核化について話し合う相手ではないのです。

文在寅大統領は南北間の協力も北朝鮮を説得する材料に使ったことでしょう。米朝関係が改善しなければ、韓国と北朝鮮の協力は不可能なことが多いですから。

「半島の非核化」とは何か

—「半島の非核化」とは、どういう状態を言うのでしょう。何を意味するのか、分かったようで、よく分からない表現です。今のところ韓国は核兵器を持っていません。在韓米軍も配備していないのでは。

宮本:…と韓国は言っています。しかし、米国は配備しているとも、配備していないとも言ったことがありません。“曖昧政策”を取っているのです。イエスともノーとも言わない。

北朝鮮はそこを問題視しているわけです。「在韓米軍が核兵器を配備しているのか、していないのかはっきりさせよ」「査察させろ」と言っている。

—核を持たない米軍なら、韓国への駐留を北朝鮮は認めるのでしょうか。

宮本:北朝鮮は、核兵器と在韓米軍をセットで考えています。在韓米軍がいるから、北朝鮮は核の脅威にさらされている、と。

1995年くらいに、核なき在韓米軍を認めようとした時期があります。米朝枠組み合意ができた翌年 ですね。しかし、そういう姿勢は、今はまったくみられません。北朝鮮が米国を信頼するようになれば可能性はなくはないでしょうが、かなり低いのが現状です。

—半島の非核化が在韓米軍の撤退を意味するなら、中国は大喜びですね。

宮本:おっしゃるとおりです。ロシアも同様でしょう。

北朝鮮が考える統一は連邦制による「1国2制度」

—半島の非核化が進んだ場合、朝鮮半島の統一はどうなるのでしょう。北朝鮮は自らが主導する統一を意図してきました。核兵器の開発はそのための手段である、という話も聞いたことがあります。

宮本:半島統一に核兵器は必ず必要というわけではないでしょう。

核兵器を開発する理由として北朝鮮が統一を挙げたことは一度もありません。

それに統一は朝鮮民族の繁栄が目的です。核兵器を使えば、その被害で国力が衰え、統一朝鮮は没落国家になってしまいます。それでは元も子もない。北朝鮮も韓国も朝鮮戦争で莫大な被害と犠牲が生じたことを覚えています。

—北朝鮮が核兵器の開発を始めたのは朝鮮戦争の後ですから、統一を進める手段として核兵器の開発に着手したという理屈は成り立たないわけですね。

宮本:そういうことです。

—改めて半島の非核化が進めば、統一問題はどうなるのでしょう。

宮本:北朝鮮も韓国も統一の旗は決して降ろさない。最大の目標であり続けます。

北朝鮮は1980年に高麗民主連邦共和国という制度を提案しました。これは連邦制による統一であり、事実上、1国2制度を意味します。北は北朝鮮の制度、南は韓国の制度で治めるのです。

—国土の大きさの違いはありますが、中国と香港のようなものでしょうか。

宮本:はい、そのようなイメージですね。

北朝鮮は韓国の朴槿恵政権を「妄言」として強く非難していました。それは同政権が吸収統一、すなわち制度の統一を主張していたからです。現在の文在寅政権は基本的には、2000年の南北共同宣言に書かれている「緩やかな段階の連邦制」を支持するはずです。

—北朝鮮と韓国が半島の非核化および連邦制で合意すると、在韓米軍は居づらくなるのではありませんか。そもそも朝鮮戦争のために存在するわけですから。

宮本:そういうことになりますね。連邦制が実現すれば、南北で軍事力の削減が始まるでしょう。在韓米軍の存在理由は薄れることになります。

—北朝鮮に融和的な姿勢を示す文在寅政権なら、連邦制に合意することがあり得るのでしょうか。

宮本:先日、文在寅大統領の統一・外交・安保特別補佐官を務める文正仁(ムン・ジョンイン)延世大名誉特任教授が「韓国大統領が出て行けといえば在韓米軍は出て行かなければいけない」と発言しました 。

文在寅大統領の周辺には、こうした考えを持つ人が確かに存在しています。しかし、同大統領自身は、今のところ、在韓米軍の維持を掲げています。在韓米軍の撤退を望んでいるとは思えません。しかし、「将来、必要なくなったら出ていってほしい」とは考えているかもしれません。

—半島の非核化と1国2制度の議論が進むと、朝鮮半島をめぐる国際政治の舞台が大きく回転することになりますね。これまでの“悪者”は核開発を進める北朝鮮でした。それが、韓国から撤退しない米国に代わる。

宮本:90年代の中頃から2000年代の中頃まで、韓国で反米運動が高まりました。特に、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時。民間では「在韓米軍出ていけ」と言う声が非常に強くなりました。同大統領が選挙に勝利した背景の1つに、在韓米軍の戦車が二人の女子高生をひき殺した事件があります。言うまでもなく、盧武鉉大統領は進歩派、在韓米軍批判派でした。

金正日と金大中は連邦制で合意していた

—南北会談の日程が4月27日 に決りました。連邦制に関する合意も議題に上るでしょうか。

宮本:実は、北朝鮮の金正日総書記(当時)と金大中(キム・デジュン)大統領(同)とが2000年に会った第1回の南北首脳会談で、この点について両者は実質的に合意しているのです。共同声明で「北朝鮮が主張する高麗共和国連邦と金大中政権が主張する『緩やかな連邦』には共通する部分がある」とうたっています。したがって、この点に関して改めて合意する必要はありません。

ただし、この議論を先に進めるのは容易ではありません。韓国内の保守勢力が猛反発するでしょうから。

北朝鮮はまず、南北首脳会談で経済制裁の解除について議論するよう要求でしょう。制裁下では南北交流も再開できません。国連決議に基づく制裁は勝手に解除できませんが、韓国が独自に科している制裁は韓国の判断で解除できます。

実際には制裁の一部を解除してしまっていますけどね。平昌五輪の際に、北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」乗せた「万景峰(マンギョンボン)号」 が韓国を訪れました。本来は禁止されていることです。

米朝首脳会談は本当に開けるのか?

—南北会談の後に予定されている米朝首脳会談はどう展開すると見ていますか。

宮本:テーマは間違いなく非核化です。成果は期待できません。北朝鮮がいう半島の非核化と、米国が主張する北朝鮮の非核化は根本的に異なるものだからです。

それに、先ほど触れたように、北朝鮮は半島の非核化や米朝首脳会談について国内で明らかにしていません。国内の同意が得にくいからです。朝鮮労働党の政策として半島の非核化を5月までにまとめ上げるのも困難でしょう。

対する米国も対北朝鮮政策を進めるスタッフが整っていません。

—北朝鮮核問題を巡る6カ国協議で次席代表を務めたビクター・チャ氏 の名が、駐韓米国大使の候補として上がりながら外れたことは記憶に新しいですね。

宮本:はい。なので、5月の会談にはとても間に合いそうもない。

—ということは、会談が流れる可能性もある。

宮本:5月までだと、開かれるよりも、開かれない可能性の方が高いとみています。もちろん断言はできませんが。

今回の米朝首脳会談が非核化に向けた最後のチャンスになるかもしれないことを多くの人に理解してほしいですね。

—なぜ最後のチャンスなのですか。

宮本:米国の大統領はトランプ氏です。会談が彼の思うようにまとまらなければ、先制攻撃を選択しかねません。

北朝鮮も同様です。半島の非核化が実現せず、攻撃を受ければ、これまで以上にかたくなに核兵器に依存するでしょう。どんな制裁を受けようが、核兵器を放棄して国が滅ぶよりましでしょうから。

—そこまで見越して、米国が半島の非核化を受け入れるかどうかが注目点になるわけですね。

宮本:そういうことです。

—在韓米軍の撤退を含む半島の非核化が実現すれば、そもそもの目的である北朝鮮の安全は保障されるのでしょうか。

宮本:少なくとも北朝鮮はそう主張してきました。1月に行なわれた南北の実務者協議の中で、北朝鮮側は「原爆や水爆、弾道ミサイルなどあらゆる兵器は米国だけを対象としており、われわれの同胞(韓国)や中国、ロシアを対象としていない」と発言しています 。つまり、米国だけが北朝鮮の安全保障を核で脅かす脅威なのです。

半島の非核化は、米国の核の傘がなくなること

—米国が半島の非核化を受け入れることはあるでしょうか。

宮本:米国の動向について私は専門ではありませんが、容易ではないでしょう。膨大なコストと、東アジア政策の転換を迫られますから。中国やロシアに対する米軍のプレゼンスが低下することになります。米国の防衛の前線が軍事境界線から対馬海峡に後退することになる。

それに、既に手にしている“権益”を失うことは誰も抵抗感を覚えるでしょう。

—米政府が在韓米軍にどれだけの価値を見出しているのか、よく分からないですね。韓国との自由貿易協定(FTA)再交渉において、在韓米軍の撤収をちらつかせました 。トランプ大統領は3月29日にも、在韓米軍が米国の負担になっているという趣旨の発言をしています 。

宮本:歴史を振り返ると、ニクソン政権もカーター政権も、父ブッシュ政権も在韓米軍の削減や撤収に取り組もうとしました。ホワイトハウスは大きな抵抗感を持っていないのかもしれません。しかし、国防総省の見解はそれとは異なるでしょう。

—半島の非核化が仮に進み、在韓米軍が撤収することになると、日本にはどのような影響があるでしょう。

宮本:先ほど触れたように、米国にとってはプレゼンスの低下、前線の後退があります。他方、日本に影響するのは、北朝鮮が朝鮮半島の非核化の一つとして「朝鮮半島近海に米軍は核兵器を再び持ち込まない」という項目を含めていることです。この部分が日本の安全保障に関わってきます。日本は当然抵抗することになるでしょう。

—仮に、日本の周辺に核を配備した米国の潜水艦が入れば、北朝鮮にとっては半島の非核化が実現したことにならない。しかし、これが認められなければ、日本は米国による核の傘を失うことになる。

宮本:半島の非核化は、日本が手放しで喜べるものではない、ということです。

重村記事

夫人と共に中国に歓待された金正恩委員長(左から2人目)。左隣は李雪主夫人。右隣は習近平国家主席、一番右は彭麗媛夫人(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

中国の習近平国家主席は3月28日、中朝首脳会談を終えた直後にドナルド・トランプ米大統領に電話をかけ、中朝首脳会談について報告した。超大国の首脳が協力して北朝鮮問題に対応しているようにみえるが、習近平国家主席の真の目的は「米中貿易戦争の危機回避」である。トランプ大統領が米朝首脳会談を即断したこと、および米中貿易対立が深まったことで、「非核化」での協力関係が揺れている。朝鮮半島をめぐる国際政治の新しいゲームの始まりだ。日本「乗り遅れ論」が指摘されているが、それに惑わされてはいけない。

中国は昨年の米中首脳会談を境に「北朝鮮の非核化実現」に方針を変えた。中国政府高官は「非核化を約束しない限り、指導者の訪中を認めない」と北朝鮮に伝えた、と明らかにしていた。このため金正恩委員長は訪中できなかった。

ところが中国首脳は、北朝鮮問題と貿易問題に対する米国の振る舞いを見て、方針を変えた。トランプ大統領による最近の反中的な姿勢に反発し、親北朝鮮へと姿勢を変えたのだ。

中朝首脳会談で習近平国家主席は、これまで使っていた「北朝鮮の非核化実現」との表現を「朝鮮半島の非核化実現」に変えた。加えて、金正恩委員長の「朝鮮半島非核化への努力」との言葉を受け入れた。北朝鮮の指導者は非核化「実現」を約束したのではなく、「努力」すると述べただけなのに認めたのだ。

「北朝鮮の非核化」は、北朝鮮に非核化実現を迫る言葉だ。一方、「朝鮮半島の非核化」は、韓国や在韓米軍の非核化も伴うから、両国が受け入れるまで北朝鮮はなお核開発を続けることができる。米韓軍は戦術核兵器を持たない。しかし、大陸や海を越える戦略核兵器を北朝鮮に向けている、と北朝鮮は主張できる。

中国は、北朝鮮指導者の訪中や首脳会談について、米大統領に直接説明することはなかった。中国は、長い歴史の中で、朝鮮半島の国家を自国の影響下にある小国とみなしてきており、他国の関与を許さなかった。

トランプ大統領はツイッターで「金正恩氏からの伝言を習近平氏から受け取った。『私との会談を楽しみにしている』とのことだ」とつぶやいた。中朝首脳会談の報告というのは口実で、中国製品に高関税を課せば貿易戦争になる、北朝鮮の非核化について協力するのは難しくなると示唆したはずだ。

北朝鮮が抱く恐れを利用して、米国の武力攻撃を牽制

中朝関係は、2月までは最悪の状態にあった。金正恩委員長は、権力者のトップに就いて以来7年も中国を訪問しなかった。それなのに、突然、訪中したのはなぜか。

中朝首脳会談が急遽実現した謎を解く鍵が、中国側が発表した会談内容にあった。金正恩委員長は次のように述べた。「朝鮮半島の情勢は、重要な変化が起きている。情義の上でも道義の上でも、私は時を移さず、習近平総書記と対面して状況を報告すべきでもあった」。これは 明らかに「これまで訪中せず、すみませんでした」との意味だ。

また金正恩委員長は「我々の訪問提案を快諾した習近平主席に感謝する」とも語った。北朝鮮は、南北首脳会談と米朝首脳会談の提案について、事前に中国に説明しなかった。中国は相当に怒っていた。

中国のテレビは首脳会談報道で、習近平国家主席のくつろいだ様子と、北朝鮮の若い指導者が緊張した表情でメモを取る場面を、繰り返し流した。北朝鮮が中国の指導下にあると思わせる演出だ。

その代わり、非公式の訪中にもかかわらず、金正恩委員長をトランプ大統領並みに歓迎・歓待した。さすがだ。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪中した時の応接とは比較にならなかった。文在寅大統領との会談や祝宴には、中国首脳部のわずかな幹部しか同席しなかったのに、金正恩委員長との席には北朝鮮側より多くの高官が居並んだ。

北朝鮮は、トランプ大統領が「米朝首脳会談受け入れ」を即断したことに衝撃を受けた。対話派であるレックス・ティラーソン米国務長官の解任と、軍事攻撃を主張するジョン・ボルトン元米国連大使の大統領補佐官起用に、軍事攻撃の恐れを強くしたため、首脳会談を提案したという。

習近平国家主席は、北朝鮮の恐れをふまえて、中朝首脳会談に応じた。反中に傾き貿易戦争を仕掛けるなら、北朝鮮問題では協力できないとの意向を米国に向けてにじませた。中朝首脳会談で「平和的解決」を強調することで、米国による軍事攻撃を牽制したのだった。

日本は「乗り遅れ戦略」が有効だ

中朝首脳会談に関連して、「日本乗り遅れ論」が報じられた。乗り遅れを恐れるのは間違いだ。「核問題」で日本が乗り遅れるのは当然なのだ。日本は、朝鮮問題のメインプレーヤーではない。朝鮮戦争の当事者でもない。冷静に、戦略的な対応をすべきで、的のはずれの報道や論議をすべきではない。

中朝首脳会談が終わった直後に、「日朝首脳会談が6月にも行われる」との観測報道があった。報道は北朝鮮国内の学習会資料を根拠にしているが、この資料を入手し確認したわけではない。

朝鮮問題は、偽情報や工作情報が横行する。日朝の接触は今のところまったくないし、北朝鮮の指導者は米朝首脳会談の準備に手一杯で、他のことを考える余裕はない、のが現実だ。そんな状態の時に、日朝首脳会談に乗り出すわけがない、と判断することが重要だ。

こうした情報は、どうして流されるのか。一つは、外国情報機関の「風船工作」か「あぶり出し」工作だ。日朝の動きが確認できないので、日朝会談の記事を書かせ、日本の反応をみるやり口だ。また、北朝鮮系の組織が、自分たちが官邸と北朝鮮首脳部を仲介しているとメディアに誤解させるために、偽情報を流すことも考えられる。

日本は、白村江の戦いや秀吉の朝鮮侵攻、日清、日露戦争での日韓併合など、朝鮮半島に積極的に関与して失敗した歴史を数多く持つ。成功したのは、朝鮮戦争に関与することなく「朝鮮特需」をテコに経済復興した時のみだ。この歴史から得られるのは、朝鮮半島に積極関与すると、周辺諸国の外交軍事戦略に巻き込まれるという教訓だ。半島国家は、「巻き込み理論」を駆使し、周辺諸国を競わせ利益を得ようとする。日本は、この巻き込み戦略に乗せられてはいけない。「乗り遅れ戦略」に徹することである。

もっと関心を持つべきは、核問題での乗り遅れではなく「拉致問題の解決」だ。

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『全人代、歴代「反対票」に見る中国権力闘争の闇 習近平「満票批判」は徹底削除、王岐山「反対」は誰が?』(3/30日経ビジネスオンライン 北村豊)について

3/31日経<米韓合同軍事演習1日開始 米空母は不参加見通し

【ソウル=山田健一】米韓両軍は1日、韓国内で定例の合同軍事演習を始める。野外機動訓練に米軍1万1500人と韓国軍約29万人が参加する。同訓練は約1カ月間と例年比半減し、昨年参加した米軍の原子力空母や戦略爆撃機といった「戦略兵器」の投入も見送る見通し。4~5月の南北と米朝の両首脳会談を控え、北朝鮮への過度な刺激を避ける意図とみられる。演習は例年2月末から3月上旬に開始しているが、今年は平昌冬季五輪・パラリンピック開催で延期していた。

韓国の米軍基地に到着した米軍機(3月20日)=AP

4月1日から実際に戦力を動かす野外機動訓練「フォール・イーグル」を約1カ月間、米軍が日本などから朝鮮半島に戦力を展開する際の指揮系統などをシミュレーションする「キー・リゾルブ」を4月中旬から約2週間実施する。

韓国国防省などによると、米軍1万1500人と韓国軍約29万人が野外機動訓練に参加する。同省は今年の軍事演習が「例年と同規模」になると説明している。北朝鮮の核・ミサイル開発で朝鮮半島を巡る緊張が高まった2016~17年の「過去最大規模」との説明と異なり、控えめな表現に修正した。

一方、米軍関係者は「現時点で空母などが参加する計画はない」と強調する。北朝鮮が再び軍事的な挑発に出ない限り、空母や爆撃機を投入しない考えを示唆した。北朝鮮は米軍による空母と戦略爆撃機の朝鮮半島近海への展開に強く反発してきた経緯がある。>(以上)

3/31ZAKZAK<トランプ氏、次は米韓同盟破棄か 「反米・親中・従北」の文在寅政権への強い不信感 接近する中朝韓に対抗し「日米台連携」も>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180331/soc1803310004-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop

日米台連携して韓国は切り捨てても良いですが、中国が朝鮮半島を利用して世界に歴史の捏造をアピールしていくのではと懸念されます。「南京」や「慰安婦」以外にもでっち上げしてくるでしょう。でも歴史戦を逆転できる機会が訪れるという事です。今までは米韓同盟があり、韓国の我儘を米国は聞く必要がありましたが、破棄となれば「慰安婦」の嘘も日本は堂々と世界にアピールできるでしょう。「慰安婦」の嘘を朝日新聞は認めたことも世界に大々的に訴え、潰した方が良いと思います。北と中共、日共の指示で吉田清治を使って捏造したわけですから、日本人の名誉を傷つけた報いはキチンと受けさすべきです。

日本は中国に対峙する役割を引き受けざるを得なくなります。韓国が中国側に行けば、日本の防衛線は対馬が最前線になります。対馬にも自衛隊を増強、韓国・中国人にはビザを復活・強化する必要があります。渡部悦和氏の言うように日米台で中国の第一列島線突破を防ぎませんと。河添氏が言うように台湾軍の幹部は外省人が握っていますので、中共と内通する輩も必ずいます。勿論言葉が通じるので逆に台湾側も人民解放軍の幹部をリクルートしてスパイに仕立て上げたりしています。お互いに逮捕したスパイは偶に交換するようなこともしています。まあ、日本の自衛隊も配偶者が中国人や韓国人であれば、敵に通じる可能性もありますので。彼らは大陸や半島にいる親戚を人質に取りますから。まあ、機密漏洩を迫って来たら離婚する覚悟があれば良いですが。

金三胖はバッハIOC会長と会ったり、欧州には外交官を派遣して平和を演出しています。しかし、真の平和の希求ではないことは過去の歴史が証明しています。東京・北京のオリンピックに参加したいのなら検証可能な核放棄と拉致問題の解決に踏み込まなくては。いいとこどりは許されません。安保理では制裁強化の方針が打ち出されました。

3/31NHKニュース13:01<北朝鮮船籍の船舶への「瀬取り」で制裁対象を追加指定 安保理>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180331/k10011386651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_060

3/30宮崎正弘氏メルマガ<「人々の信仰と誠意を裏切るのか、バチカンよ」と中国の地下信者ら  バチカンと中国共産党の手打ちが近い、おそくともイースターまでに>

http://melma.com/backnumber_45206_6664063/

3/31宮崎正弘氏メルマガ<IMF,中国人民銀行と「一帯一路」をめぐる会合>

http://melma.com/backnumber_45206_6664518/

4/1宮崎正弘氏メルマガ<このままではメコン流域が「第二の南シナ海」になってしまう  中国、メコン河に巨大ダムをあちこちに建設、地元住民は反対>

http://melma.com/backnumber_45206_6664805/

宮崎氏の記事では、中共の悪辣さが滲み出ていますが、欧米の打つ手が遅すぎる印象です。怪物を造り上げた製造物責任をもっと感じて貰わねば。勿論日本もですが。

北村氏記事では、共産主義は似非民主主義と言うのが良く分かります。人民日報の論評が何であれ、そもそも共産党の息のかかった者しか選挙人になれないというのがおかしいでしょう。形だけ議会制民主主義を真似て世界を誑かしているだけです。茶番としか言いようがない。

張東蓀の扱い方は、毛沢東の狡猾、性格の悪さが出ています。独裁者だからできることで、やがて習も毛と同じ道を歩むでしょう。ヒットラーやスターリン以上の殺戮を行うかも知れません。流石に毛沢東の虐殺のレベルまでは行かないでしょうけど。金持ちになった中国(砂上の楼閣で借金漬けになっているが)ですから以前より力を持ってしまっているので始末に悪いです。通商法301条適用を逃れるため、米国からの輸入を増やすとのこと。その分日本とか韓国からの輸入を増やすような報道でしたが、そううまく行くかどうか。日韓産のものを米国に代替できるかです。でも、中国の純輸出の額を減らさないと軍拡と賄賂の原資になるので、日本も中国からの輸入を制限するうまい手を役人は考えてほしい。

記事

1969年の中国共産党第9回全国代表大会で、毛沢東の「親密な戦友」林彪は自らに反対票を投じた(写真:Ullstein bild/アフロ)

3月17日の午前9時、第13期全国人民代表大会第1回会議の第5回全体会議が挙行された。会議に出席すべき代表数2980⼈に対して、出席2970人、欠席10人で、出席人数は法定人数に符合していた。会議の進行を取り仕切る司会役の大会執行主席団が正面ステージに着席すると、先ず国務院機構改革法案に関する表決を行い、同法案は賛成多数で採択された。続いて会議は、選挙と任命決定の方法を表決で採択した。こうして選挙は9時23分に開始された。

満票当選、全員起立、熱烈拍手

先ず、開票検査人が会場に設置された28カ所の電子投票箱と電子選挙システムに対して検査を行った。これに続いて、職員が投票用紙の配布を始めた。中国語と7種類の少数民族の文字で印刷された投票用紙は、4枚の色が異なるものが1組で、これが各代表の手に配布されたのだった。投票用紙の配布が終わると、代表たちは投票用紙に記入を始めた。なお、会場の後方には秘密記入ができる場所が設けられていた。

先ほど採択された選挙と任命決定の方法に基づき、中華人民共和国主席、中華人民共和国中央軍事委員会主席、第13期全国人民代表大会常務委員会委員長、副委員長、秘書長、中華人民共和国副主席の“等額選挙(候補者数が定員と同数の選挙)”が行われた。

9時41分に開票責任者、開票検査人が先ず投票を行い、その後に代表たちが投票を行った。投票終了後、開票責任者が投票用紙の配布・回収状況を報告し、選挙が有効であった旨を宣言した。これを受けて、職員が投票の集計結果を読み上げた。これと同時に会場正面に設置された特大の電子掲示板には集計結果が表示された。

国家主席と中央軍事委員会主席の選挙では、“習近平”が2970枚の賛成票を獲得して満票当選を果たし、会場は熱烈な拍手に包まれた。司会者が「習近平同志が中華人民共和国主席に当選しました」と宣言すると、習近平は立ち上がり、代表たちに向けてお辞儀して挨拶を行った。これに対して代表たちは全員が起立し、熱烈な拍手で習近平に敬意を表した。習近平の傍らに立っていた“李克強”、“張徳江”の2人はそれぞれ習近平と握手を交わして祝賀の意を示した。習近平が中央軍事委員会主席に当選したと司会者が宣言した時も、再度熱烈な拍手が湧き上がり、習近平は再び代表たちに向けてお辞儀して挨拶した。

第13期全国人民代表大会常務委員会委員長には“栗戦書”が当選したが、彼は2970枚の賛成票を獲得して満票当選であった。一方、中華人民共和国副主席には習近平の「最も親しい盟友」であり、68歳の年齢制限で共産党政治局常務委員から引退したはずの“王岐山”が当選したが、彼の賛成票は2969枚で、反対票が1枚あり、満票当選ではなかった。

1969年の林彪を連想

王岐山が満票当選でなかったことについて、“清華大学”政治学部の元講師である“呉強”は、メディアに次のように述べた。すなわち、王岐山が満票当選でなかったことは、1969年に開催された中国共産党第9回全国代表大会(4月1日~24日)を連想させる。この大会で行われた選挙で“毛沢東”は党主席に満票当選を果たしたが、副主席に当選した“林彪(りんぴょう)”には2枚の反対票があった。後に判明したところでは、2枚の反対票を投じたのは林彪とその妻の“葉群”であった。これは、毛沢東の「親密な戦友」と言われ、後継者と目されていた林彪が、反対票を投じることで副主席は国家主席の威信に及ばないことを示したものであり、一種の忠誠表明であった。

今回、国家副主席の選挙で王岐山に1枚の反対票を投じたのが誰かは不明だが、上記の林彪の例を考慮に入れると、王岐山が林彪に倣って自身で反対票を投じた可能性もある。毛沢東の「親密な戦友」と言われて国家副主席になりながら、政争に敗れて飛行機でソ連へ逃亡中に墜落死した林彪、習近平の「最も親しい盟友」として国家副主席になった王岐山。同じ国家副主席だが、王岐山の今後がどうなるのかは注目に値する。

反対票と言えば、1949年に当時の“中央人民政府”主席の投票で、毛沢東は満票に1票少なかったため、満票当選を果たすことができなかった。この時、開票人が「少なかった1票は無効として処理しよう」と提案したが、毛沢東は「1票不足は1票不足であり、毛沢東を選ぶ選ばないは投票者の権利であるから、その事実は尊重せねばならない」と述べて気にしない素振りを見せたが、実際は密かに部下に命じて反対票を投じたのは誰かを調査させた。調査により反対票の主と推測されたのは、当時北京市にあった“燕京大学”の哲学部教授、張東蓀であった。

これを境に張東蓀には毛沢東に敵対する人物というレッテルが貼られることになる。1952年に張東蓀は米国へ国家機密情報を漏えいした容疑で逮捕され、最終的には1973年に政治犯収容所である北京市の“秦城監獄”で死去した。彼の3人の息子のうち2人は迫害を受けて自殺、残る1人は長期間拘留された挙句に精神疾患となり、2人の孫は重罪に問われて長期間監禁されたという。これら全ては毛沢東による張東蓀一族に対する報復だったと言われている。こう見ると、中国では反対票が持つ意味はすこぶる重いものがある。

ところで、習近平は国家主席と中央軍事委員会主席に満票当選を果たしたが、3月18日付の香港紙「蘋果日報(Apple Daily)」は次のように報じた。

習近平は満票で国家主席に再選され、毛沢東後の国家主席選挙の先駆けとなった。但し、中国本土のネットユーザーは以前の「人民日報」の評論『“全票当選更危険(満票当選はさらに危険)”』を引っ張り出して、当局が自分で自分の横っ面を張ったと風刺し、当該文章はネット上で転載が繰り返されたが、すぐさま当局によって削除された。

「沈黙の中に滅亡する」

上述した人民日報の評論『満票当選はさらに危険』とは、どのような内容の文章なのか。調べてみると、それは中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」が2011年3月17日付で掲載した評論であることが判明し、ネット検索で当該評論を探し出したが、その全文は以下の通り。

【1】今年はちょうど省・市・県・郷の各党委員会の改選の年に当たり、多くの省・市・県・郷は全面的に選挙を実施し、多くの地方で党委員会の委員と書記が満票当選しているが、これは熟考するに値する。表面から見れば、満票当選は現地の党組織と党員が非常に団結し、選挙に参加する党員の誰もが政治を論じ、大局を見て、歩調を合わせ、異口同音で雑音がないことを意味する。

【2】但し、一般に真の民主的選挙で一辺倒の現象が出現することは非常に少ない。3月14日に閉幕した第11期全国人民代表大会第4回会議でも、全ての法案が満票で採択されたわけではなく、多かれ少なかれ反対票があった。中国は大きいので、何事も全ての人が満足することは不可能で、常に異なる意見を発する人がいる。たとえそれが、党内の関係者が多い選挙でも全員の意見が一致を見ることは難しい。しかも、当面の我が国は社会の転換期にあり、解決を必要とする様々な問題が依然として存在し、社会矛盾が依然として存在している。

【3】満票当選は恐らく民意を力ずくで捻じ曲げた選挙の結果であり、民衆の願望を代表したものではない。たとえ党委員会の選挙であっても、満票当選は選挙資格を持つ党員の願望を代表するものではなく、選挙民たちの真情を吐露したものではない。彼らは特殊な状況下で特殊な選択をしたものである。我が党の民主集中制は個人が組織に服従することを要求するが、選挙では個人が組織を選出すべきであり、組織が個人に対してどのような組織を選出するか要求するものではない。任期満了に伴う改選では、服従を少なく、民主を多くしなければならない。このままで進めば、彼らの反抗意識は沈黙の中に月日を重ね、後の結果は恐ろしいものとなり、最後には爆発する。それは文豪の“魯迅”が彼の作品の中で「沈黙の中から爆発するのでなく、沈黙の中に滅亡する」<注1>と述べたのと同じである。

<注1> この魯迅の言葉は、彼の作品『劉和珍君を紀念して』からの引用。

【4】さらに、もし指名された候補者が組織の要求を背景に満票当選するならば、それは彼らの優越感を助長し、現実をはっきり見えなくさせ、形勢判断を誤らせ、自分がすでに偉く、全ての人から支持と擁護を得ていると考えさせる。ところが実態は単なる見せかけに過ぎず、それが彼らの業務に不利に働き、彼らの意思決定に不利となる。“生於憂患, 死於安楽(憂患に生きてこそ、安楽に死ねる)”<注2>という言葉の通り、満票当選は彼らが安楽な環境の中でずっと生活することで、彼らに憂患(心配して心をいためること)の意識を喪失させ、緊迫感や危機感を喪失させる。それは、たとえ複雑で厳しい社会環境の中にあっても、彼らに危機を感じなくさせるのである。

<注2> 『孟子』の「告子章句下」にある言葉。

金無足赤、人無完人

上記の人民日報の記事から1年が経過した2012年3月31日付の北京紙「北京日報」は、『“全票当選(満票当選)”は必ずしも全て民意ではない』と題する陝西省“安康市”人民代表大会常務委員会研究室主任の“趙明波”の評論を掲載した。その全文は以下の通り。

(1)現在頻繁にこのような現象を見聞きする。それは一部の地方では候補者と任命したい人の推薦・紹介の過程で、某氏の満票当選を全力で確保することが強調される現象である。とりわけ、一つ上の行政レベルがその下の行政レベルの選挙において指導幹部の身分を持つ候補者を推薦する場合はこれがひどくなり、甚だしきに至ってはそれが地方の幹部グループの思想統一、民主団結と調和の象徴と見なされる。

(2)各種のニュースメディアには、常に「〇〇〇が市長や副市長に満票で当選した」というニュースが報じられて、人々を喜ばせているのを見る。しかし、これと同時に「満票当選の短命市長」というニュースもあって、人々を嘆かせている。このような“全票情結(満票コンプレックス)”は人々に結託を促し、表決に投票する代表たちを誤った方向に誘導する可能性がある。なんと彼らにすぐにも“党委員会紀律検査部門”の“双規(取調べ)”を受ける人に投票して、後で驚かされることもある。これは我が国の選挙の中で相当程度存在することが実証されている弊害である。

(3)客観的に言って、現在、投票者たちは、往々にして組織が推薦する候補者の名前を知っているだけで、その人物を知らず、情報が欠如している状態であるのに、候補者を満票当選させるようとするのは無理がある。諺に「“金無足赤, 人無完人(金に純金はなく、人に完璧な人はいない)」とある。候補者や任命したい人が法定の過半数の賛成票を獲得する前提の下で、少数の反対票や棄権票があるのはおかしな事でも悪いことでもない。それはかえって、投票の対象となる候補者や任命したい人に改善が必要なことがあると説明するものであり、一種の警告としてより一層大衆に奉仕する必要があることを意味している。

(4)筆者はこれこそが民主政治が体現しなければならない重要な能力であり、要となる作用だと考える。以上述べたことをまとめると、選挙と任命を受ける人の票数の多寡、という問題において、我々は盲目的に満票を追求するべきでなく、理性的・弁証的に、得票が満票か満票でないか、多いか少ないかを、分析しなければならず、某氏が満票を獲得しているか否かが、いわゆる官界の体面と結びついていると判断することはできない。もしこの種の面子を必要とする、あるいは格好をつける現象がこのまま続くようなら、民意が嫌がることを強制するだけでなく、民主法制建設の中核となる精神にもとることになる。

行く末は「オセアニア」か

この趙明波の評論は明らかに上述した人民日報の評論『満票当選はさらに危険』を拠り所として書かれたものと思われるが、『満票当選はさらに危険』がネット上から削除されていることから考えると、趙明波の文章も削除される可能性が高い。あるいは、すでに削除されているのかもしれない。

習近平が中国共産党中央委員会総書記に就任したのは、2012年11月15日に開催された中国共産党第18期中央委員会第1回全体会議であった。上記の人民日報の評論は2011年3月17日付であり、北京日報の評論は2012年3月31日付である。これは“胡錦濤”総書記の2期目の4年目と5年目に当たるが、その時期に満票当選を危惧する評論が人民日報と北京日報に掲載されたということは、中国国民の中に充満していた満票当選に対する不満や疑問を沈静化させようとする意図があったものと考えられ、一方の中国国民はこうした評論の中に民主選挙への一縷の望みを見出していたのかもしれない。

しかし、国家主席の任期を2期10年までとする制限を撤廃して、総書記、国家主席、中央軍事委員会主席という3冠の2期目に入り、3期目以降も3冠を継続保持することが可能となった習近平にとっては、満票当選だけが肝要なものとなり、いかなる反対票の存在も許せないものとなったのである。今後、習近平政権による言論統制はさらに強化されて、異論が許されない社会が到来する可能性がある。そうなると中国は、ジョージ・オーウェルがその著作『一九八四年』で描いたような一党独裁で、個人の思考まで徹底的に管理された超大国「オセアニア」に類似した国家に変質することが懸念されるのである。

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『日朝首脳会談が日米関係を破壊!?安倍総理が慎重に動くべき理由』(3/30ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『米韓両大統領を手玉に取とる金正恩の腹の内 外交部員は粛清されておらず、外交手腕は米韓をはるかに上回る』(3/29JBプレス 横山恭三)について

3/30日経夕刊<中国、不透明さ増す国防費 軍民の境界あいまいに

中国の国防費が不透明さを増している。2018年の予算は前年比8.1%増の1兆1069億元(約18兆円)。米国に次ぎ世界2位だ。最新兵器の研究開発費や外国からの武器購入費は含まず、実際の軍事費は数倍とも指摘される。そこへ習近平(シー・ジンピン)国家主席が武器開発に民間企業を参入させる「軍民融合」を提唱した。軍民の境界が薄れ、実態はさらに見えにくくなっている。

昨年進水した中国初の国産空母(写真上、共同)と1月、人民解放軍を視察する習近平国家主席(左)(同下、新華社・共同)

「軍民融合へ努力し、軍事力強化という夢の実現を支えなくてはならない」。習氏は12日、国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の会議で発破をかけた。「軍民融合」とは習氏が15年ごろから主張して力を入れてきた政策だ。軍事技術を民間に転用して経済の構造改革を進め、武器開発に民間技術を活用する。人工知能(AI)や航空・宇宙、サイバーなどを重点分野と位置づける。

代表例は16年に設立した中国航空発動機集団。航空エンジンを専門に手掛ける企業で空軍との関係が深い。アキレス腱(けん)である国産エンジンの弱さを克服する切り札だ。16年ごろから軍民融合産業の育成ファンドが相次ぎ誕生した。出資元に国有企業の名前がずらりと並ぶ。

こうした企業の資金は国防費に入らない。軍関連企業の上場は軍事費を市場から調達する仕組みのようだ。共産党・政府が軍民融合を推進する政策を出すと、株価がストップ高になることもある。

軍産複合体は米国にもある。日本では三菱重工業などが軍事産業に関わる。ただ、中国は大半が国有企業。事実上、共産党の指導下にある。海外の軍事筋が「軍民融合が国防費をより不透明にしている」と指摘するゆえんだ。

中国の国防費は人件費、訓練・維持費、装備費で構成され、おおむね3分の1ずつとされるが、内訳は不明。17年には軍人の給与を大幅に上げたが、国防費の伸び率は前年より低い。遠洋訓練が増え、兵器開発は活発なのに計算が合わない、との声がある。

欧米の専門家の多くは、中国が公表する「国防費」には先端装備の研究開発費や海外からの武器購入、治安維持を担う人民武装警察(武警)の経費を含まない、とみている。国産空母の建造費や、国産ステルス戦闘機「殲20」の開発費、ロシア製最新鋭戦闘機「スホイ35」の購入費などは、いずれも枠外とみられる。

こうした隠れ予算を含めた「軍事費」は公表される国防費の1.5~3倍といわれる。事実なら世界1位の米国(約72兆円)に迫る。21世紀半ばまでに「世界一流の軍隊」を造り上げるのが目標だ。

全人代の張業遂・報道官は「人口1人当たり国防費はどの主要国より低い」と話す。国防白書の作成に関わる陳舟・軍事科学院研究員は「隠れ軍事予算などない。中国は軍事支出の基礎データを国連に提供している」と強調する。国内に果敢な姿勢を示しながら海外の警戒は避けたい――。そんなジレンマが見える。

国家の対外的な脅威の大きさは「意思」と「能力」のかけ算で決まるといわれる。中国が南シナ海で進める軍事拠点化や頻繁な遠洋訓練を見れば、少なくとも西太平洋まで勢力圏を広げる意思は明らかだ。巨額な国防費は実態が不透明。すると周辺国も疑心暗鬼になり軍備拡張に動く。手の内を明かさないためとみられる中国の政策だが、自らの安全保障環境の悪化を招いている側面もある。>(以上)

モリカケをやっている野党国会議員に上記記事を読ませたいものです。日本の防衛をどう考えますかと。どうせ何も考えてなく、共産中国の属国になれば良いと言いだすのではと思っています。野党とメデイアは、類は友を呼び、平気で嘘をつき、捏造が当り前の世界です。こんな連中を国会に送り込む責任を国民は感じているのかどうか。「俺は投票していない」と言っても連帯責任になります。自治労が問題でしょう。中国の人権弾圧を自分の目で見てこいと言いたい。でも自分達は弾圧する側に回るから良いと思っているのかも知れませんが。

中国の軍拡を防ぐにはやはり輸出で稼がせないことです。トランプの貿易戦争は正しいです。それと味方を増やして封じ込めることが肝要かと。日米台印豪で封じ込めを行い、渡部悦和氏の言うように、第一列島線を突破させないようにすれば良いと思います。

北野氏の言う日本の抜け駆けでトランプが怒るというのは杞憂では。TPPの復活交渉の件もキチンと米国に仁義を切ってやったはず。戦争になるかもしれないときに米国に相談せずに安倍首相が動くとはとても思えません。角栄は仁義を切らず、キッシンジャーの怒りを買ったでしょうが、時代が違います。今米国に離反されて困るのは日本です。周りを核保有国に囲まれ、米軍が撤退すれば脅され、属国扱いにされるでしょう。今でも米国の属国と言われそうですが、悪辣さが違います。彼の国には人権はありませんから逮捕状無しで拘束、闇夜に紛れて処刑、而も臓器摘出までされてと言うのが考えられます。

キッシンジャーが中国を好きなのは、金を貰っているからです。独系ユダヤ人だけあって金には目がないのでしょう。ケナンとは違う所です。また自分が敷いてきた路線を変更することは自己否定に繋がるためなかなかできないと思います。でも、そのことが大きく米国の国益を損ねている訳です。やっと中国に騙されてきたことに米国人は気付いてきましたので、どこかで軌道修正しなければ。トランプ以外にできる人はいないでしょう。共和党主流派でも無理です。議会慣れしている人間には改革は出来ません。慣れが生じていますので。

常識的に考えれば、世界の覇権を握って来た米国が何の見返りもなく、その一部でも譲るのでしょうか?戦争をして奪われるのならまだしも。而も米軍の力はまだ中国より遙かに強いです。そんな国が台頭してきたとはいえ、あっさり中国の言うことを聞くとは思えません。それでトランプが貿易戦争を仕掛けているのだと思います。

米国の頭越し外交は当り前で各国に相談して反対されても困るでしょう。覇権国の強みです。オバマのようにシリア攻撃すると言って英国議会の反対に遭い、米国議会の判断に委ね、ロシアの斡旋もあり、ストップして世界の笑いものになった事例もあります。覇権国の強みを生かせなかった無能大統領です。

https://www.tkfd.or.jp/research/eurasia/a00752

また、対話をすることは問題ないでしょうが、圧力をかけ続けない限り、「非核化」は実現しません。それ以上に金がまた騙す可能性があります。日本にとって問題は、圧力をかけ続けることではなく、米国が妥協して北に中距離核ミサイル保有を許すことです。そうならないように日米首脳会談を行うのでしょう。北に一部保有を認めるのであれば、日本にも保有を認めるように安倍首相は交渉しませんと。キッシンジャーと周で「日本には核を持たせない」密約があったと言われていますが、中国が米国に敵対行動を取っている以上、ご破算です。

https://blogs.yahoo.co.jp/mitokosei/35020962.html

横山氏の記事で、ポンペオ長官が言った北朝鮮に内通者ができたような発言はどこまで信頼できるかです。デイスインフォメーションの可能性もあります。スーザンライスが北の核保有を認める発言をしたなら、彼女に「日本も核を持てますね?もし持てないとしたらその理由を聞きたい」と質問すれば良いです。横山氏によれば「金正恩は何かを恐れて受動的に態度を転換したのでなく、核保有国としての立場を背景に親北文政権との南北関係の改善および外交での実績を渇望する米ドナルド・トランプ政権との米朝関係の正常化交渉の好機と見て、能動的に態度を転換した、というもの」と考えているようですが、それだとトランプが首脳会談を即時受諾することを読んでいたことになります。やはり戦争の危機、生命の危機を恐れてと見るのが普通では。ただ金が敵対して来た習近平に会いに行ったことは単なる若造ではなく、狡猾さを兼ね備えた政治家だと言えるでしょうけど。

トランプにしてみれば、北を攻撃するのは選挙対策とNEOを考えた8月が最適で、もし本当に北が核放棄すればノーベル平和賞もので、どちらに転んでもトランプにプラスです。戦争になれば、日韓に被害は出るでしょうけど、トランプには痛みがありません。デイールとしてはトランプが有利なのでは。

北野記事

朝鮮半島情勢が大きく動いている。トランプ大統領が金正恩に会うと決定した直後、今度は安倍総理が日朝首脳会談に向けて動き出した。さらに中朝首脳会談が電撃開催され、南北首脳会談も予定されている。安倍総理は存在感を示したい誘惑にかられるだろうが、拙速に動けば、日米関係を破壊するかもしれない問題行動である。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

日米関係を破壊しかねない 安倍総理の動向

昨年までの強硬路線から一転、対話に向けて動き出した金正恩。日本は「置き去りにされている」との焦燥感があふれているが、慎重に行動しなければトランプの怒りを買うかもしれない 写真:北朝鮮「労働新聞」より

北朝鮮問題が、「対話路線」で大きく動いている。金正恩は1月1日、韓国と対話する準備があると声明を出した。1月9日には、実際「南北会談」が再開された。その後、金は3月5日、訪朝した韓国特師団と会談。「4月末に板門店で南北首脳会談を開催する」ことで合意した。
3月8日、驚きのニュースが米国からもたらされる。なんと、トランプが「金正恩に会うことを決めた」というのだ。日本政府は大きな衝撃を受けた。事前に何の相談もなかったからだ。日本ではこの決定について、「頭越しに」「日本は蚊帳の外」といった嘆きの声が聞かれる。

それでも、安倍総理はトランプの決断を支持した。

<10日の別のツイートでトランプ大統領は、安倍晋三(ShinzoAbe)首相は米朝首脳会談に「とても熱狂的」だったと述べた>(読売新聞3月9日)

しかし、総理は直後に、トランプに嫌われても仕方ない決断をする。「トランプが金正恩と会談するなら、俺も会談する」と、日朝首脳会談実現に向けて動き出したのだ。

<日本政府、北朝鮮との首脳会談を模索へ=政府関係者
ロイター 3/13(火) 22:28配信
[東京 13日 ロイター] – 南北会談と米朝会談が開かれる見通しになったことを受け、日本政府も北朝鮮との間で首脳会談を模索する考えであることがわかった>

その後、金は25~28日の日程で中国を訪問し、26日には習近平と初めて会談を行ったが、これも日本政府にとっては想定外で、「日本は置き去りにされているのでは」との疑念が渦巻いている。

安倍総理が日朝首脳会談を成功させ、しっかりと存在感を示したいと焦るのも理解できる状況にはなっている。しかし、実をいうと、これは日米関係を破壊しかねない大問題なのだ。

自己顕示欲が強いトランプは安倍総理の抜け駆けを許さないはず

まず、トランプのキャラから考えてみよう。

トランプは、権力、お金、美女が大好きである。そして、自己顕示欲が強く、常に手柄を自分のものにしたがる。また、「独断型」で、「調整」とか「根回し」の必要性をまったく考えていないように見える。「TPP離脱」「パリ協定離脱」「エルサレムをイスラエルの首都と認定」「金正恩との会談を、誰にも相談せず即決」「ツイッターでティラーソン国務長官を解任」などの事実が、彼の性格をよく表している。

さて、米国の現職大統領はこれまで、北朝鮮のトップと会談したことが一度もない。実現すれば「歴史的事件」だ。そして会談の結果、「非核化」が大きく前進すれば、それこそ「ノーベル平和賞モノ」だろう。

「俺はこの問題を解決して歴史に名を残す!」とワクワクしているであろう彼に、同盟国日本から不穏な情報が入る。なんと、「安倍総理も北との首脳会談を模索している」というのだ。トランプの性格から、安倍総理の決断を彼がどう感じるかは、容易に想像できる。

「シンゾーは、俺を出し抜こうとしている」
「シンゾーが、俺の手柄を横取りしようとしている」

中国だって米国を出し抜いたじゃないか、という意見もあるだろうが、伝統的に北朝鮮と親密な関係を築いてきた国であり、日本とは歴史的背景が違う。かつ、日本は米国の「同盟国」。米国は日本に対しては、足並みを揃えて従うことを当然のように要求してくるだろう。

「ジャップは裏切り者!」と絶叫したキッシンジャー

実をいうと、日本は46年前、米国を激怒させた前例がある。

冷戦時代の初期、米国は共産党の一党独裁国家・中華人民共和国を敵視していた。しかし1970年代初め、強大化するソ連に対抗するため、中国との和解を決断する。

71年、時の大統領ニクソンは「中国から訪問要請があり、それを了承した」と発表。このときも米政府は日本に何の相談もせず、日本側が発表内容を知らされたのは、発表の15分前だった。当然、日本政府は大きな衝撃を受けた。

ニクソンは72年2月、歴史的な訪中を果たした。一方、日本では同年7月、田中角栄が総理大臣に就任した。彼は、同年9月に訪中。「アッ」という間に「日中国交正常化」を成し遂げてしまう。ちなみに米中国交正常化が実現したのは、7年後の79年だ。

米中和解を主導してきたキッシンジャー大統領補佐官は、米国を「出し抜いた」日本に激怒。

「ジャップは最悪の裏切り者!」

と絶叫したことが、明らかになっている。共同通信2006年5月26日から。(太線筆者、以下同)

<「ジャップは最悪の裏切り者」(解禁された米公文書より)72年にキッシンジャー氏

【ワシントン26日共同】ニクソン米大統領の中国訪問など1970年代の米外交政策を主導したキッシンジャー大統領補佐官(後に国務長官)が72年夏、田中角栄首相が訪中して日中国交正常化を図る計画を知り

「ジャップ(日本人への蔑称(べっしょう)」

との表現を使って日本を「最悪の裏切り者」と非難していたことが、26日までに解禁された米公文書で分かった>

キッシンジャーは今も嫌日一方で中国のことは大好き


キッシンジャーは、この時の恨みをその後も忘れていなかったようだ。米国在住の政治アナリスト・伊藤貫氏の名著『中国の「核」が世界を制す』には、キッシンジャーと直接会った時の感想が記されている。

<キッシンジャーは、日本人に対して鋭い敵意と嫌悪感を抱いている。>(116~117p)

<キッシンジャーからは不快なものを感じた。
彼が、日本人をほとんど生理的に嫌悪・軽蔑していることが感じられたからである>(同前117p)

なにはともあれ、田中総理は米国を出し抜いた。それで、キッシンジャーは激怒した。そのキッシンジャーは今、トランプ大統領の顧問的立場にある。安倍総理が金正恩に会うことを模索していることを知ったとき、彼の脳内では、46年前の憤怒がまざまざと蘇ったに違いない。

ちなみに、キッシンジャーは、米国を代表する「親中派」で、「G2論者」である。「G2」とは、「米国と中国で世界を共同統治しよう」という発想だ。米国の著名な戦略家ルトワック氏は「G2」の意味について、こう解説している。

<「G2」が実現すれば、中国は米国の関係だけを考えていれば良い。
それ以外の他国のことは無視できる。
「G2で決めた通りにやれ」と言えば済む―――
彼らはこう思い込んだのである。
「G2」ですべてを決められるのであれば、中国は日本と煩わしい対応をしなくてもよくなり、フィリピンやベトナムも解消される、と>
(「中国4.0」エドワード・ルトワック、100~101p)

これはつまり、「中国が尖閣、沖縄を支配したければ、日本ではなく米国とだけ交渉すればいい」ということである。

安倍総理が日朝首脳会談を急いで米政府を不快にさせれば、日米関係に亀裂が走るだけでなく、米中関係を強固にするという、いわば「敵に塩を送る」がごとくの間抜けな状況になる危険性があるのだ。

日本だけでなく中国、ロシア韓国も「頭越し」されている

では、米国が日本の「頭越し」に米朝会談を決めたこと、日本が「蚊帳の外」にいる問題は、どうすればいいのだろうか?

「頭越しの決定」については、トランプは金正恩と会談する件について、「誰にも相談せず、その場で即決した」ことが明らかになっている。つまり、米国内では、トランプの補佐官も顧問も、国務省も国防総省も相談されていなかった。さらに、この問題に関わる中国、ロシア、韓国、北朝鮮、すべての国々にとって、トランプの決定は驚きであり、やはり「頭越し」であった。

日本だけが「特別冷遇されたポジション」にいるわけでないのだ。しかし、日本だけは「頭越し」と騒いでいる。

次に理解しなければならないのは、トランプが米朝首脳会談を決めたのは「論理的に当然だった」ということだ。

北朝鮮問題については、「前提条件なしの対話」を主張する中国、ロシアと、「前提条件ありの対話」を目指す日本、米国に分かれていた。中ロの立場を「対話派」、日米の立場を「圧力派」という。

では、「圧力派」の目的は何だったのか?そう、北朝鮮を「前提条件ありの対話に同意させること」だ。「前提条件」とは、北が「核兵器の放棄」(=非核化)に合意することである。
金正恩は、「対話」の条件である「非核化」に同意したのだろうか?毎日新聞3月9日から。

< 韓国大統領の特使として訪朝した鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は8日、ホワイトハウスで記者会見し、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の訪朝要請を受け入れ、5月までに米朝首脳会談に応じる意向を示したと明らかにした。
ホワイトハウスは時期や場所は未定とし、「2、3カ月以内」に会談すると説明した。
金委員長は韓国政府の特使団に対して「非核化の意思」を示し、核・ミサイル実験の「凍結」を約束したという>

金正恩は、「非核化」に同意した。このことは、「圧力派が目的を達した」ことを意味する。だから次の段階に進む、すなわち「対話」を開始するのは当然の流れだ。

いまだに「圧力、圧力」と繰り返している人たちは、「圧力の目的」を忘れているのではないだろうか?繰り返すが、「圧力の目的」は、「非核化に同意させて、それを前提にした対話を開始すること」だったはずだ。

「圧力派」を意味なく続ければ日本は必ず世界から孤立する

もう1つ、「日本は蚊帳の外」という意見もある。

日本が「蚊帳の外」に置かれるとすれば、圧力に固執した結果であり、これは「日本自身の責任」である。日本の圧力派は「圧力強化により、非核化前提の対話を開始すること目指す」という当初の目的を忘れている。忘れていなければ、金が「非核化」に合意した時点で「我々は1つの目標に到達した」と喜ぶはずだ。

世界から見ると、「金正恩は非核化に合意したのに、なぜ日本は圧力、圧力と繰り返しているのか?日本はいったい何を目指しているのか?」と、理解不能である。

「圧力派」は言う。「だまされるから対話するな!」と。では、「結局戦争しかない」と言いたいのだろうか?

もちろん、北朝鮮が日米をだます可能性は大いにある。実際、彼らはこれまでウソをつき続けてきた。それでも、「非核化に同意した」のであれば、「対話」に移行するしかない。「だまされるから対話するな」ではなく、「だまされないように対話しよう」というのが正しい態度だろう。

むろん、非核化がすんなり進むかどうかは未知数だ。交渉が決裂して、戦争になる可能性もある。だが、「交渉が決裂して戦争になる」のと、「北が非核化に賛成したのに、交渉もせず戦争になった」のでは、大違いだ。

日本政府が、「圧力派は目的を達したので対話派になる」という世界の流れを理解すれば、日本は「蚊帳の外」にはならない。米国、中国、ロシア、北朝鮮、韓国が「対話派」になっているのに、日本だけ目的がはっきりしない「圧力派」を続ければ、「日本はわざわざ戦争を願っている」と解釈されても仕方がない。その結果、世界から孤立して「蚊帳の外」に置かれるのだ。

安倍総理は、トランプの米朝首脳会談を大いに歓迎し、「金が非核化に合意したのは、あなた(トランプ)が圧力路線を主導してきたからだ」と祝福すべきだ。日本にとって重要な拉致被害者問題や、短・中距離弾道ミサイル放棄を、米国がどこまで重要視してくれるかは未知数だが、これまで見てきたように、米国が「日本は裏切り者だ」と激怒するような勝手な行動をすれば、大きな代償を払うことになるだろう。

冷静に考えれば、トランプが勝手に金との首脳会談を決めたことは、(失礼ではあるが)まったく問題ではない。仮に「頭越し」でも、日本が「蚊帳の外」でも、トランプが「北朝鮮の非核化」という目標を忘れなければいいのだ。

しかし、日本がパニクって、「米国に頭越しされないように、日本の存在感を発揮しよう」と躍起になることで、「米国を出し抜こうとしているのでは」と勘繰られてしまえば、これは大問題に発展するだろう。トランプとキッシンジャーは「ジャップは、やはり裏切り者!」と叫び、日米同盟は危機にさらされる。中国は喜々として、まず尖閣を、次に沖縄を奪うだろう。

世界には深刻な問題が山ほどある。その一方で、問題でないことを「大問題」と勘違いし、墓穴を掘ることもある。安倍総理は歴史の教訓から学び、田中角栄の失敗を繰り返すことなく、現在の内外の危機を乗り切っていただきたい。

横山記事

北朝鮮・平壌で韓国特使団の団長である鄭義溶氏(中央)と握手を交わす、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信提供(2018年3月5日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / KCNA VIA KNS〔AFPBB News

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が1月1日、平昌冬季五輪への参加に前向きな意向を示し、対話姿勢に転じて以来、わずか2カ月余りで南北首脳会談、米朝首脳会談の開催が立て続けに決まった。

北朝鮮は、国際社会の警告を無視して核実験やミサイル発射を強行してきた。新型弾道ミサイル「火星15」型の発射成功を発表した2017年11月29日の声明の中で、金委員長は、米国本土全域が攻撃可能だと主張し、「核武力完成」を宣言した。

その金委員長は、韓国の文在寅大統領の特使団に対して、北朝鮮への軍事的脅威が解消されて体制が保証されれば、「核を保有する理由がない」との考えを明言し、非核化や関係改善に向けて米国と「虚心坦懐に対話する用意がある」とした。

サイコパスはハイリスク・ハイリターンを好む

そのうえで、米朝対話が継続する間は新たな核実験や弾道ミサイル発射などの軍事挑発をやめる方針を明確にした。また、韓国側に軍事行動を起こさないことも確約した。

金委員長があれほど強硬な態度を転換した理由について、経済制裁が功を奏したとする「見立て」が一般的だが、ほかにも米軍の武力攻撃を恐れた(辺真一氏)、中国の北朝鮮への軍事介入を恐れた(寺島実郎氏)などの見立てがある。

どの見立てが当たっているかは金委員長本人に聞かなければ分からないが、いずれの見立ても大きな間違いを起こしていることを筆者は指摘したい。

それは、いずれの見立ても金委員長が何かを恐れて態度を転換したとしていることである。

経済制裁が功を奏したという見立てにしても、つまるところ経済制裁を受け困窮した民衆や軍部の反乱・抵抗を金委員長が恐れているということであろう。

ちなみに筆者の見立ては、何かを恐れて受動的に態度を転換したのでなく、核保有国としての立場を背景に親北文政権との南北関係の改善および外交での実績を渇望する米ドナルド・トランプ政権との米朝関係の正常化交渉の好機と見て、能動的に態度を転換した、というものである。

脳科学者の中野信子氏の著書『サイコパス』には、「サイコパスには、感情を伴う共感はない、恐怖・不安を感じにくい、ハイリスク・ハイリターンを好む」などのサイコパスの特徴が記載されている。

金委員長のこれまでの言動・行為を見れば、金委員長がサイコパスの典型であることは自明である。金委員長が、ウサマ・ビンラディンの殺害作戦のような斬首作戦を警戒しているのかもしれないが、恐れてはいない。

かつてNHKが放映した「ハノイ対話」の中で、ベトナム戦争当時国防長官だったマクナマラ氏は、北爆を続ければ、北ベトナム政府は多数の犠牲者に耐えきれず交渉に応じると思っていたが、かえって抵抗が強くなったという主旨のことを語っていたと筆者は記憶している。

情報分析に際して留意すべきことは、「相手(ここでは金委員長)が我々と同じ考え方をするのであろうか」という疑問を自分自身に投げかけることである。

ここで「北朝鮮に対する米軍の武力攻撃」について述べてみたい。

東京とソウルで210万人が被害に

日本・韓国も、ある意味で米軍の北朝鮮への武力攻撃を恐れている。トランプ米大統領の行動は予測できない。トランプ大統領は、米議会に諮らず、日本・韓国の同意を得ずに、いきなり北朝鮮を攻撃しかねない。

その結果、北朝鮮の反撃により日本・韓国が大きな被害をこうむることになる。

昨年10月に米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮分析サイト「38ノース」が公表した予測では、北朝鮮が核ミサイルで反撃したら「東京とソウルで計210万人が死亡」というものだった。この被害の大きさが、北朝鮮に対する最大限の圧力を弱める要因ともなっている。

さて、金委員長が豹変した狙いは何であるか。それを探るには様々な方面(情報源)から得られるジグソーパズルのピースをつなぎ合わせて真相にたどりつく作業が必要となる。

筆者が接することができる情報は公刊情報(オープンソース)だけに限られている。公刊情報だけでどれだけ真相に近づけるかということはあろうが、批判覚悟で、この課題に取り組んでみたい。以下、いくつかのピースを述べる。

  • 北朝鮮の核保有は「朝鮮半島の統一が目的」

2018年1月23日、ワシントン市内の政策研究機関「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」で講演した米中央情報局(CIA)のポンペオ長官(当時)は北朝鮮の金正恩体制による核・弾道ミサイル開発の目的について、米国からの抑止力確保や体制維持にとどまらず、「自らの主導による朝鮮半島の再統一(原文ではreunification)という究極の目標に向けて核兵器を活用しようとしている」との認識を明らかにした。

この情報は、諜報に接することができない筆者には極めて貴重なものである。

また、同長官は、米情報機関による北朝鮮関連の情報収集能力がこの1年間で大幅に向上していると強調した。これは、上記の情報が北朝鮮内部からもたらされた可能性を示唆している。

  • 北朝鮮は草の根を食べることになっても、核プログラムを中断しない。

北朝鮮の「朝鮮中央通信」は、2016年1月8日、国際社会の圧力で核開発を放棄したイラクのフセイン政権とリビアのカダフィ政権について「制度転覆を企図する米国と西側の圧力に屈し、あちこち引きずられ核開発の土台を完全に潰され、自ら核を放棄したため破滅の運命を避けることができなかった」と言及した。

また、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2017年9月5日、記者会見の中で、「北朝鮮は草の根を食べることになっても体制が安全だと感じられない限り、核プログラムを中断することはないだろう」、「北朝鮮が、このこと(フセイン政権とカダフィ政権の悲惨な最期)をよく知っている状況で、いかなる制裁も効果がなく非効率的」であると述べた。

  • 祖国統一は金日成主席の遺訓

儒教の影響が強い北朝鮮では、先代の指導者が残した遺訓を徹底して貫徹することを、後継者や継承者の最高の徳目としている。

金日成、金正日が残した最大の遺訓は、北朝鮮主導による祖国統一である。そして、北朝鮮は,「在韓米軍」が朝鮮半島の統一に対する最大の障害であると見ている。

一方、韓国にとって統一は「民族の悲願」である。

文氏は、かつて金大中氏の命日である8月18日に演説し、「なぜ、金大中氏の目指した南北朝鮮の連邦政府は実現していないのか。私は絶対に実現させて御意志に応えます」と述べた。

  • 「新北勢力」が青瓦台(大統領府)を占拠

元駐日韓国大使館公使の洪ヒョン氏は、政務職はもちろん、中央省庁の局長・課長級に該当する秘書官とその他の行政官のほとんどは金日成主義である「主体思想」を学習した者であり、彼らは、「韓国そのものを平壌に捧げよう」という強い信念を持つ親北勢力であると述べている。

また、文政権は、金大中、盧武鉉政府の対北朝鮮政策(太陽政策と対北朝鮮抱擁政策)を継承することを明言している。

  • 米国の北朝鮮の非核化政策は一枚岩でない。

トランプ政権は「核・ミサイル開発の放棄」を対話の前提条件としているが、現・元政府高官からはこれと異なる発言がなされている。

レックス・ティラーソン前国務長官は昨年12月12日、ワシントンでの講演で「前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある」と述べた。この発言は直ちに取り消されたが、北朝鮮の核武装を容認するとも取れる発言である。

また、米バラク・オバマ政権で大統領補佐官をつとめたスーザン・ライス氏は、昨年8月10日付米ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で「必要であれば、我々は北朝鮮の核兵器を容認できる」「歴史的に見れば、冷戦時代に旧ソ連の何千という核兵器の脅威を容認したのと同様だ」と述べた。

さらに、「金正恩氏が政権存続のために不可欠と考えていることから、北朝鮮が保有する兵器を放棄する見込みはほとんどない」と記述している。

  • 金委員長は、「やり手の成熟した政治家」である。

2018年1月11日、ロシアのプーチン大統領は、金委員長について「やり手の成熟した政治家」であると、ロシアの記者団との会合で語った。

また、龍谷大学社会学部の李相哲教授は、金体制を支える側近の存在について次のように述べている。

「北朝鮮の外交現場で働く実務者はここ30~40年、顔ぶれがほとんど変わっていない。これは、金委員長が外交ラインを粛清していないためで、トランプ大統領の発言や中国の動向なども、その真意は何かということが彼らには手に取るように分かる」

「大国に対して先手を打つような外交ができるのである。外交素人のトランプ大統領や韓国の文大統領などに比べて、北朝鮮が最もうまく立ち回れているのはこのためである」

  • トランプ大統領の「ディール外交」は北朝鮮に通用しない。

トランプ大統領が展開する交渉術は「相手のペースを乱し不安に陥れ、自分を強者であると印象づける」ことであると言われる。

トランプ大統領は貿易相手の日本や中国などに対しては独特な外交術を駆使してきた。ところが北朝鮮は厄介な相手である。

なぜなら、北朝鮮は対外経済規模が小さいうえに米国との貿易は皆無である。さらに、1990年代の北朝鮮は未曽有のエネルギー難、食糧難に陥ったが、それに打ち勝った歴史を持っているように、北朝鮮は「制裁慣れ」している。

これまでのところ、トランプ大統領の「ディール外交」は北朝鮮に通用していないようである。

  • 北朝鮮の「非核化」などの約束は裏切りの歴史である。

歴史は繰り返すという。情報分析に際して留意すべきことは、「歴史は繰り返すのか」とい疑問を自分自身に投げかけることである。

1992年、北朝鮮は韓国との間で「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」に署名し、核兵器を保有しないことを確認した。

しかし、北朝鮮は翌年に核開発を疑った国際原子力機関(IAEA)による特別査察を拒否し、核拡散防止条約(NPT)脱退を表明した。

1994年10月の米朝枠組み合意では、北朝鮮が核施設を凍結・解体することを約束したが、2002年10月、ウラン濃縮による核開発を秘密裏に進めていることを認めて、同合意を破棄した。

2012年2月、食糧支援と引き換えに核実験と長距離弾道ミサイル発射、ウラン濃縮活動をオバマ政権と合意したが、2か月後に人工衛星と称してミサイル発射を強行などして一方的に合意を破棄した。

我が国においても、拉致問題に関して、これまで北朝鮮には何度も煮え湯を飲まされてきた歴史がある。

次に、金委員長が豹変した“狙い”を推定する。上記のピース(断片情報)から次のことが推測される。

  • 金委員長の究極の目標は核を保有した北朝鮮主導による南北統一である。従って、今回の事象は南北統一に向かっての環境整備である。
  • 北朝鮮に宥和的である文氏が政権にある今がチャンスである。
  • 米韓同盟(米韓相互防衛条約)が存在する限り、文政権の政策選択の自由度は制約される。従って、米朝の関係正常化を図り、米国の朝鮮半島への関与を弱めさせる。

米朝の緊張関係が改善すれば、南北統一は内政問題であると主張することにより米国をはじめ諸外国の介入を阻止することができる。

  • 歴代の大統領の中で最低の支持率を記録し、国民に不人気なトランプ大統領は、11月の中間選挙を控え、実績を作りたいと躍起である。そこで、金委員長はトランプ大統領に「非核化」という餌を与えれば簡単に食いついてくると考え、今回の会談を仕かけた。

また、北朝鮮は、米国内の北朝鮮に対する非核化政策が一枚岩でないことに乗じて、自国が核保有国であるという立場を主張し、非核化交渉を北朝鮮の思惑通りに進める。例えば、米国に届く弾道ミサイルの破棄というレベルで合意する。

  • 南北関係の改善、米朝関係の正常化が達成したとしても、48倍もの経済格差のある韓国に対し、民主的なプロセスによる北朝鮮主導による南北統一は困難である。

従って、武力(核兵器を含む)による威嚇やサイバー攻撃(SNSによるプロパガンダを含む)、工作員による破壊活動などにより韓国社会の混乱を作為し、北朝鮮に優位な立場を構築しつつ、統一プロセスを有利に進める。

以上の推測から金委員長の狙いを推定すれば、「韓国との関係改善と米国との関係正常化を図り、その先に核を保有した北朝鮮主導の祖国統一を目指している」ということである。

筆者の全くの憶測であるが、金委員長の目論む統一プロセスとは次のようなものであろう。

初めに、2つの体制を当分の間維持したまま「高麗連邦共和国」創設のための2つの政府代表からなる最高民族委員会を組織する。

次に最高民族委員会を北朝鮮の支配下に置く。そして、連邦国家でなく一気に「高麗共和国」という単一国家を創設するのである。元首は当然金正恩ということになる。

日本とって最悪なシナリオは核を保有した統一朝鮮の出現である。北朝鮮の核保有が「朝鮮半島の統一が目的」であるとすれば、北朝鮮は統一まで核を決して放棄しないであろう。

そして、統一を達成した後に、統一朝鮮に核放棄の圧力をかける米・中国・ロシアのような強大国がいなければ統一朝鮮が核を放棄する可能性は極めて少ない。

核を保有した統一朝鮮は、日本にとって大きな軍事的脅威であるとともに、国内外に日本の核武装を巡る議論が巻き起こり、国論が二分される可能性が極めて大きい。

現時点においては、日本政府には朝鮮半島からすべての核兵器(核弾頭・弾道ミサイル)の破棄をトランプ政権に頼るしかすべがない。しかし、トランプ政権の閣僚の辞任・罷免が後を絶たずその政権運営は不安定である。

このため、トランプ政権が北朝鮮の核武装容認を前提とした対話に転じる可能性や日本の同意なしで先制攻撃に踏み切る可能性も否定できない。

それゆえ、日本は米国と協力し、時には米国を粘り強く説得し朝鮮半島の「完全かつ検証可能、そして不可逆的な非核化」を求めていく外交を成功させなければならない。

今まさに日本外交の真価が問われているのである。

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