『核なき朝鮮半島、連邦制へのプロセス始まるか タダ者ではなかった? 文在寅大統領』(4/2日経ビジネスオンライン 森永輔)、『米朝首脳会談の即断が招いた中国の心変わり 米国が仕掛ける貿易戦争に反発』(4/2日経ビジネスオンライン重村智計)について

3/31看中国<传杨洁篪王毅内斗多年 同涉官场一大丑闻(图)=楊潔篪と王毅の内部闘争は数年間続いていると伝えられている 役人は醜聞に関係している>ニセ学歴・学位は共産党の役人の常態である。外交官は出身大学別に派閥がある。王毅は北京第二外国語学院卒であるが、南開大学経済学修士、外交学院国際関係学博士と言うのはニセである。楊潔篪の歴史学博士と言うのもニセで、南京大学の歴史学の研究生だっただけ。韓正も工員出身で大学に行ったこともないのに、研究生やら正教授クラスと経歴詐称しているのはお笑いである。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/03/31/854279.html

流石は偽物大国中国のことだけあります。恥を知らない連中ですが、恥を知った瞬間に、中国では生きていけません。それが当り前の世界ですから。平気で嘘をつき、平気で人を騙します。

森氏の記事を読みますと、本当に左翼と言うのは売国奴でしかない、勿論共産主義者ですから国境はないと信じているのでしょうけど。金大中と言い文在寅と言い、韓国を売り渡しています。でも韓国民が選んだ大統領ですから。韓国が北と一緒になればロウソクデモなんてできなくなるという事に思いを馳せれる韓国民はいないのでしょう。愚かとしか言いようがない。

宮本教授は5月の米朝首脳会談は準備不足で開かれない可能性が高いと見ています。小生はトランプのことですから準備がなくとも開いて、戦争の口実を作るのではと思っています。中間選挙対策と言うのもありますし。北が「朝鮮半島近海に米軍は核兵器を再び持ち込まない」事を要求しても、日本海は除くようにしないと。米国の核の傘は必要です。北の核がなくなっても、中国が日本の属国化を要求して来るでしょうから。

重村氏の記事は久し振りにまともな印象を受けました。彼の述べているのは正論です。メデイアや公明党議員何て何も分かっていないのに、焚き付ける役目だけします。敵のデイスインフォーメーションに乗せられ、記事にする愚かな記者もいます。記事についてよくよく真贋を見極める眼を持ちませんと。

森記事

(写真=提供:CCTV/AFP/アフロ)

中国と北朝鮮が3月26日、電撃的に首脳会談を行い「半島の非核化」で合意した 。新進気鋭の朝鮮半島研究者、宮本悟・聖学院大学教授は、統一のプロセスが進むとすれば、連邦制による1国2制度のような状態になると考える。ただし米軍が撤退を受け入れるのは困難とも指摘する。

(聞き手 森 永輔)

—中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が3月26日、首脳会談に臨みました。まさに「電撃的」。宮本さんも驚かれたのではないですか。

宮本:まさか、首脳会談を行うとは思いませんでした。びっくりしました。ただし、このタイミングで北朝鮮が中国にアクセスするであろうことは、理屈で考えて明らかでした。

宮本悟(みやもと・さとる)
聖学院大学 政治経済学部 教授 1970年生まれ。同志社大学法学部卒。ソウル大学政治学 科修士課程修了〔政治学修士号〕。神戸大学法学研究科博士後期課程修了〔博士号(政治学)〕。日本国際問題研究所研究員、聖学院大学総合研究所准教授を経て、現在、聖学院大学政治経済学部教授。専攻は国際政治学、政軍関係論、比較政治学、朝鮮半島研究。著書に『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?:政軍関係論で読み解く軍隊統制と対外軍事支援』(潮書房光人社)など。

—え、そうなのですか。なぜでしょう。

宮本:北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」を口にし始めたからです。これを支持するのは中国とロシア。なので、南北首脳会談が開かれる1カ月くらい前に、懐刀である崔竜海(チェ・リョンヘ)副委員長などを両国に使節として派遣するだろうと考えていました。しかし、金正恩委員長が自ら訪中するとは。同氏にとって初めての外遊でもありますし。

—今回の中朝首脳会談で注目されたのはどの点でしょう。

宮本:朝鮮半島の非核化に対する北朝鮮の本気度が分かったことです。金委員長が訪中した間に行われた行事の出席者を見ると、中国共産党と朝鮮労働党の要人が並んでいます(次ページの表参照)。中国と北朝鮮の間には政府と政府の関係に加えて、党と党の関係があります。そして、党による外交が政府による外交よりも上位にある。

金正恩委員長の訪中に伴い行われた行事に参加した要人

中国 北朝鮮
習近平 国家主席 金正恩 朝鮮労働党委員長
彭麗媛 夫人 李雪主 夫人
李克強 首相 崔竜海 党副委員長
王滬寧 政治局常務委員 朴光浩 党副委員長
王岐山 国家副主席 李洙墉 党副委員長
丁薛祥 党中央弁公庁主任 金英哲 党副委員長
楊潔篪 党政治局員 李容浩 外相
郭声琨 政治局員    
黄坤明 党中央宣伝部長    
蔡奇 北京市党委書記    
王毅 外相    

特に北朝鮮側の出席者を見ると、フルメンバーといってよいでしょう。金英哲(キム・ヨンチョル)氏の名前も見えます。同氏は韓国との関係を管掌しています。南北会談についての説明を行うためとみられます。ちなみに北朝鮮にとって韓国は外国ではないので、金英哲氏の任務は外交ではありません。

—この場にいなかった人が暗示するものはありますか。当初、金委員長の実妹、金与正(キム・ヨジョン)氏も訪中に参加しているとの情報がありました。金政権の存続を考えると、そんなことがあり得るのかと思いましたが。

宮本:おっしゃる通りです。金委員長と与正氏が一緒に訪中するようなことはあり得ません。二人が同時に事故にでも遭ったら大変なことになりますから。

北朝鮮の要人でこの場にいなかったのは金永南・最高人民会議常任委員会委員長 ですね。これも当然のことです。同氏が同席するとややこしいことになりますから。

—ややこしいことですか。

宮本:金永南氏が就いている最高人民会議常任委員会委員長は国家元首であり、政府外交のトップです。金委員長は、最高指導者ではありますが、政府では最高人民会議で選出される国務委員長であり、形式上は金永南氏より下。したがって外交プロトコルに倣えば、金永南氏が金委員長より上の席に就くことになります。

—確かに、G7での記念撮影を見ても、国家元首である大統領が中央に並び、安倍晋三首相などは端に立ちますね。金委員長と金永南氏の関係は確かにややこしい。

遺言を持ち出して政策転換を権威づけ

—会談の内容について伺います。宮本さんが最も注目したのはどの点ですか。

宮本:中国による発表と北朝鮮による発表にずれがあったことです。ご存知のように、北朝鮮は、半島の非核化についても、米朝首脳会談についても触れていません。

一方、中国の発表によると、金委員長は南北首脳会談と米朝首脳会談への期待を表明。「半島の非核化についての姿勢も変わらない。祖父である金日成(キム・イルソン)国家主席 、父である金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺言に従って進める」と語ったことになっています。

この点について気づいたことがあります。確かに金日成は「核兵器は持たない。米国の核兵器を韓国から撤去させるべきだ。半島の非核化こそ朝鮮民族の進むべき道」と主張していました。しかし、金正日の遺言というのは初めて聞きました。非核化どころか、彼は2006年10月に初の核実験をした後、「核大国になった」と発言したのですから。

金委員長がこうした発言をしたのは、祖父と父の権威を借りて、同席した北朝鮮労働党の幹部に半島の非核化への政策転換を理解させる意図があったのでしょう。金委員長といえども、すべてが思い通りになるわけではありません。北朝鮮の国内で半島の非核化と米朝首脳会談を明らかにしていないのも、このためと思われます。

—金委員長はこれまで核兵器を放棄することはないとしてきました。この方針を半島の非核化に転換したということでしょうか。

宮本:実は北朝鮮は、これまでにも半島の非核化に言及しています。核兵器による抑止力の強化と半島の非核化という二つの政策を両にらみで進めてきたのです。どちらも米国からの核の脅威を除き、北朝鮮という国家と金政権を存続させることが究極の目的。前者は核兵器を保有する米国に対して、核兵器と大陸間弾道弾(ICBM)で対抗するもの。

後者は、北朝鮮は核兵器を放棄するが、同様に、韓国や朝鮮半島周辺からも核兵器を撤廃して、在韓米軍も撤収させることで北朝鮮に対する核の脅威をなくすことです。これに最後に言及したのは2016年7月6日です。以降は、抑止の強化に傾いていました。

半島の非核化は米国と韓国が同意しなければ進みません。

もし米国と韓国が同意することになれば、北朝鮮の姿勢は半島の非核化にぐっと傾くでしょう。しかし、米国が同意する可能性は低いのではないでしょうか。そうであれば、北朝鮮も非核化しないことになります。

北の核をめぐる韓国の姿勢を大転換した文在寅大統領

—北朝鮮はなぜ抑止から非核化に傾いたのでしょう。やはり制裁が効いたのでしょうか。

宮本:それは検証できないですね。少なくとも北朝鮮はそうでないと言っている。経済状況も、政策を大きく転換するまでには至っていないと思います。

—では、なぜ。

宮本:本当のことは分かりません。ただし、北朝鮮は韓国の要請によって米朝対話を始める立場を明らかにしたと言っているので、非核化についても韓国による説得がうまくいった可能性が考えられます。

米国が北朝鮮に対して先制攻撃する事態をなんとしても避けたい

—北朝鮮と韓国はこの点において利害が一致しています。そこで非核化を進めなければ戦争になることを強調したのかもしれません。 対話重視のレックス・ティラーソン国務長官の更迭、イラン戦争の時に主戦派だったジョン・ボルトン氏の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)への起用など、先制攻撃の気配が強くなっています。

宮本:そうですね。さらに、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「米国と北朝鮮との対話を仲介する」という姿勢を取ったのも功を奏したでしょう。平昌五輪の時に金与正氏が訪韓し文在寅大統領と青瓦台で会談した際、「米朝対話を発展させるべき」 と要請しました。その後の3月3日、北朝鮮は「韓国の要請を受けて、米朝会談をする立場を表明した」と公式に言っています。

「北朝鮮の核問題を解決する力は韓国にはない」ことを事実上認めたのは、韓国の歴代大統領としておそらく初めてのことです。これまでの大統領はみな「韓国こそが解決する」と主張していました。北朝鮮は1月の時点まで、南北会談で韓国が非核化を提案することがあれば、破滅的な状況を呼び込むことになると主張していましたから。北朝鮮にとって韓国は非核化について話し合う相手ではないのです。

文在寅大統領は南北間の協力も北朝鮮を説得する材料に使ったことでしょう。米朝関係が改善しなければ、韓国と北朝鮮の協力は不可能なことが多いですから。

「半島の非核化」とは何か

—「半島の非核化」とは、どういう状態を言うのでしょう。何を意味するのか、分かったようで、よく分からない表現です。今のところ韓国は核兵器を持っていません。在韓米軍も配備していないのでは。

宮本:…と韓国は言っています。しかし、米国は配備しているとも、配備していないとも言ったことがありません。“曖昧政策”を取っているのです。イエスともノーとも言わない。

北朝鮮はそこを問題視しているわけです。「在韓米軍が核兵器を配備しているのか、していないのかはっきりさせよ」「査察させろ」と言っている。

—核を持たない米軍なら、韓国への駐留を北朝鮮は認めるのでしょうか。

宮本:北朝鮮は、核兵器と在韓米軍をセットで考えています。在韓米軍がいるから、北朝鮮は核の脅威にさらされている、と。

1995年くらいに、核なき在韓米軍を認めようとした時期があります。米朝枠組み合意ができた翌年 ですね。しかし、そういう姿勢は、今はまったくみられません。北朝鮮が米国を信頼するようになれば可能性はなくはないでしょうが、かなり低いのが現状です。

—半島の非核化が在韓米軍の撤退を意味するなら、中国は大喜びですね。

宮本:おっしゃるとおりです。ロシアも同様でしょう。

北朝鮮が考える統一は連邦制による「1国2制度」

—半島の非核化が進んだ場合、朝鮮半島の統一はどうなるのでしょう。北朝鮮は自らが主導する統一を意図してきました。核兵器の開発はそのための手段である、という話も聞いたことがあります。

宮本:半島統一に核兵器は必ず必要というわけではないでしょう。

核兵器を開発する理由として北朝鮮が統一を挙げたことは一度もありません。

それに統一は朝鮮民族の繁栄が目的です。核兵器を使えば、その被害で国力が衰え、統一朝鮮は没落国家になってしまいます。それでは元も子もない。北朝鮮も韓国も朝鮮戦争で莫大な被害と犠牲が生じたことを覚えています。

—北朝鮮が核兵器の開発を始めたのは朝鮮戦争の後ですから、統一を進める手段として核兵器の開発に着手したという理屈は成り立たないわけですね。

宮本:そういうことです。

—改めて半島の非核化が進めば、統一問題はどうなるのでしょう。

宮本:北朝鮮も韓国も統一の旗は決して降ろさない。最大の目標であり続けます。

北朝鮮は1980年に高麗民主連邦共和国という制度を提案しました。これは連邦制による統一であり、事実上、1国2制度を意味します。北は北朝鮮の制度、南は韓国の制度で治めるのです。

—国土の大きさの違いはありますが、中国と香港のようなものでしょうか。

宮本:はい、そのようなイメージですね。

北朝鮮は韓国の朴槿恵政権を「妄言」として強く非難していました。それは同政権が吸収統一、すなわち制度の統一を主張していたからです。現在の文在寅政権は基本的には、2000年の南北共同宣言に書かれている「緩やかな段階の連邦制」を支持するはずです。

—北朝鮮と韓国が半島の非核化および連邦制で合意すると、在韓米軍は居づらくなるのではありませんか。そもそも朝鮮戦争のために存在するわけですから。

宮本:そういうことになりますね。連邦制が実現すれば、南北で軍事力の削減が始まるでしょう。在韓米軍の存在理由は薄れることになります。

—北朝鮮に融和的な姿勢を示す文在寅政権なら、連邦制に合意することがあり得るのでしょうか。

宮本:先日、文在寅大統領の統一・外交・安保特別補佐官を務める文正仁(ムン・ジョンイン)延世大名誉特任教授が「韓国大統領が出て行けといえば在韓米軍は出て行かなければいけない」と発言しました 。

文在寅大統領の周辺には、こうした考えを持つ人が確かに存在しています。しかし、同大統領自身は、今のところ、在韓米軍の維持を掲げています。在韓米軍の撤退を望んでいるとは思えません。しかし、「将来、必要なくなったら出ていってほしい」とは考えているかもしれません。

—半島の非核化と1国2制度の議論が進むと、朝鮮半島をめぐる国際政治の舞台が大きく回転することになりますね。これまでの“悪者”は核開発を進める北朝鮮でした。それが、韓国から撤退しない米国に代わる。

宮本:90年代の中頃から2000年代の中頃まで、韓国で反米運動が高まりました。特に、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時。民間では「在韓米軍出ていけ」と言う声が非常に強くなりました。同大統領が選挙に勝利した背景の1つに、在韓米軍の戦車が二人の女子高生をひき殺した事件があります。言うまでもなく、盧武鉉大統領は進歩派、在韓米軍批判派でした。

金正日と金大中は連邦制で合意していた

—南北会談の日程が4月27日 に決りました。連邦制に関する合意も議題に上るでしょうか。

宮本:実は、北朝鮮の金正日総書記(当時)と金大中(キム・デジュン)大統領(同)とが2000年に会った第1回の南北首脳会談で、この点について両者は実質的に合意しているのです。共同声明で「北朝鮮が主張する高麗共和国連邦と金大中政権が主張する『緩やかな連邦』には共通する部分がある」とうたっています。したがって、この点に関して改めて合意する必要はありません。

ただし、この議論を先に進めるのは容易ではありません。韓国内の保守勢力が猛反発するでしょうから。

北朝鮮はまず、南北首脳会談で経済制裁の解除について議論するよう要求でしょう。制裁下では南北交流も再開できません。国連決議に基づく制裁は勝手に解除できませんが、韓国が独自に科している制裁は韓国の判断で解除できます。

実際には制裁の一部を解除してしまっていますけどね。平昌五輪の際に、北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」乗せた「万景峰(マンギョンボン)号」 が韓国を訪れました。本来は禁止されていることです。

米朝首脳会談は本当に開けるのか?

—南北会談の後に予定されている米朝首脳会談はどう展開すると見ていますか。

宮本:テーマは間違いなく非核化です。成果は期待できません。北朝鮮がいう半島の非核化と、米国が主張する北朝鮮の非核化は根本的に異なるものだからです。

それに、先ほど触れたように、北朝鮮は半島の非核化や米朝首脳会談について国内で明らかにしていません。国内の同意が得にくいからです。朝鮮労働党の政策として半島の非核化を5月までにまとめ上げるのも困難でしょう。

対する米国も対北朝鮮政策を進めるスタッフが整っていません。

—北朝鮮核問題を巡る6カ国協議で次席代表を務めたビクター・チャ氏 の名が、駐韓米国大使の候補として上がりながら外れたことは記憶に新しいですね。

宮本:はい。なので、5月の会談にはとても間に合いそうもない。

—ということは、会談が流れる可能性もある。

宮本:5月までだと、開かれるよりも、開かれない可能性の方が高いとみています。もちろん断言はできませんが。

今回の米朝首脳会談が非核化に向けた最後のチャンスになるかもしれないことを多くの人に理解してほしいですね。

—なぜ最後のチャンスなのですか。

宮本:米国の大統領はトランプ氏です。会談が彼の思うようにまとまらなければ、先制攻撃を選択しかねません。

北朝鮮も同様です。半島の非核化が実現せず、攻撃を受ければ、これまで以上にかたくなに核兵器に依存するでしょう。どんな制裁を受けようが、核兵器を放棄して国が滅ぶよりましでしょうから。

—そこまで見越して、米国が半島の非核化を受け入れるかどうかが注目点になるわけですね。

宮本:そういうことです。

—在韓米軍の撤退を含む半島の非核化が実現すれば、そもそもの目的である北朝鮮の安全は保障されるのでしょうか。

宮本:少なくとも北朝鮮はそう主張してきました。1月に行なわれた南北の実務者協議の中で、北朝鮮側は「原爆や水爆、弾道ミサイルなどあらゆる兵器は米国だけを対象としており、われわれの同胞(韓国)や中国、ロシアを対象としていない」と発言しています 。つまり、米国だけが北朝鮮の安全保障を核で脅かす脅威なのです。

半島の非核化は、米国の核の傘がなくなること

—米国が半島の非核化を受け入れることはあるでしょうか。

宮本:米国の動向について私は専門ではありませんが、容易ではないでしょう。膨大なコストと、東アジア政策の転換を迫られますから。中国やロシアに対する米軍のプレゼンスが低下することになります。米国の防衛の前線が軍事境界線から対馬海峡に後退することになる。

それに、既に手にしている“権益”を失うことは誰も抵抗感を覚えるでしょう。

—米政府が在韓米軍にどれだけの価値を見出しているのか、よく分からないですね。韓国との自由貿易協定(FTA)再交渉において、在韓米軍の撤収をちらつかせました 。トランプ大統領は3月29日にも、在韓米軍が米国の負担になっているという趣旨の発言をしています 。

宮本:歴史を振り返ると、ニクソン政権もカーター政権も、父ブッシュ政権も在韓米軍の削減や撤収に取り組もうとしました。ホワイトハウスは大きな抵抗感を持っていないのかもしれません。しかし、国防総省の見解はそれとは異なるでしょう。

—半島の非核化が仮に進み、在韓米軍が撤収することになると、日本にはどのような影響があるでしょう。

宮本:先ほど触れたように、米国にとってはプレゼンスの低下、前線の後退があります。他方、日本に影響するのは、北朝鮮が朝鮮半島の非核化の一つとして「朝鮮半島近海に米軍は核兵器を再び持ち込まない」という項目を含めていることです。この部分が日本の安全保障に関わってきます。日本は当然抵抗することになるでしょう。

—仮に、日本の周辺に核を配備した米国の潜水艦が入れば、北朝鮮にとっては半島の非核化が実現したことにならない。しかし、これが認められなければ、日本は米国による核の傘を失うことになる。

宮本:半島の非核化は、日本が手放しで喜べるものではない、ということです。

重村記事

夫人と共に中国に歓待された金正恩委員長(左から2人目)。左隣は李雪主夫人。右隣は習近平国家主席、一番右は彭麗媛夫人(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

中国の習近平国家主席は3月28日、中朝首脳会談を終えた直後にドナルド・トランプ米大統領に電話をかけ、中朝首脳会談について報告した。超大国の首脳が協力して北朝鮮問題に対応しているようにみえるが、習近平国家主席の真の目的は「米中貿易戦争の危機回避」である。トランプ大統領が米朝首脳会談を即断したこと、および米中貿易対立が深まったことで、「非核化」での協力関係が揺れている。朝鮮半島をめぐる国際政治の新しいゲームの始まりだ。日本「乗り遅れ論」が指摘されているが、それに惑わされてはいけない。

中国は昨年の米中首脳会談を境に「北朝鮮の非核化実現」に方針を変えた。中国政府高官は「非核化を約束しない限り、指導者の訪中を認めない」と北朝鮮に伝えた、と明らかにしていた。このため金正恩委員長は訪中できなかった。

ところが中国首脳は、北朝鮮問題と貿易問題に対する米国の振る舞いを見て、方針を変えた。トランプ大統領による最近の反中的な姿勢に反発し、親北朝鮮へと姿勢を変えたのだ。

中朝首脳会談で習近平国家主席は、これまで使っていた「北朝鮮の非核化実現」との表現を「朝鮮半島の非核化実現」に変えた。加えて、金正恩委員長の「朝鮮半島非核化への努力」との言葉を受け入れた。北朝鮮の指導者は非核化「実現」を約束したのではなく、「努力」すると述べただけなのに認めたのだ。

「北朝鮮の非核化」は、北朝鮮に非核化実現を迫る言葉だ。一方、「朝鮮半島の非核化」は、韓国や在韓米軍の非核化も伴うから、両国が受け入れるまで北朝鮮はなお核開発を続けることができる。米韓軍は戦術核兵器を持たない。しかし、大陸や海を越える戦略核兵器を北朝鮮に向けている、と北朝鮮は主張できる。

中国は、北朝鮮指導者の訪中や首脳会談について、米大統領に直接説明することはなかった。中国は、長い歴史の中で、朝鮮半島の国家を自国の影響下にある小国とみなしてきており、他国の関与を許さなかった。

トランプ大統領はツイッターで「金正恩氏からの伝言を習近平氏から受け取った。『私との会談を楽しみにしている』とのことだ」とつぶやいた。中朝首脳会談の報告というのは口実で、中国製品に高関税を課せば貿易戦争になる、北朝鮮の非核化について協力するのは難しくなると示唆したはずだ。

北朝鮮が抱く恐れを利用して、米国の武力攻撃を牽制

中朝関係は、2月までは最悪の状態にあった。金正恩委員長は、権力者のトップに就いて以来7年も中国を訪問しなかった。それなのに、突然、訪中したのはなぜか。

中朝首脳会談が急遽実現した謎を解く鍵が、中国側が発表した会談内容にあった。金正恩委員長は次のように述べた。「朝鮮半島の情勢は、重要な変化が起きている。情義の上でも道義の上でも、私は時を移さず、習近平総書記と対面して状況を報告すべきでもあった」。これは 明らかに「これまで訪中せず、すみませんでした」との意味だ。

また金正恩委員長は「我々の訪問提案を快諾した習近平主席に感謝する」とも語った。北朝鮮は、南北首脳会談と米朝首脳会談の提案について、事前に中国に説明しなかった。中国は相当に怒っていた。

中国のテレビは首脳会談報道で、習近平国家主席のくつろいだ様子と、北朝鮮の若い指導者が緊張した表情でメモを取る場面を、繰り返し流した。北朝鮮が中国の指導下にあると思わせる演出だ。

その代わり、非公式の訪中にもかかわらず、金正恩委員長をトランプ大統領並みに歓迎・歓待した。さすがだ。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪中した時の応接とは比較にならなかった。文在寅大統領との会談や祝宴には、中国首脳部のわずかな幹部しか同席しなかったのに、金正恩委員長との席には北朝鮮側より多くの高官が居並んだ。

北朝鮮は、トランプ大統領が「米朝首脳会談受け入れ」を即断したことに衝撃を受けた。対話派であるレックス・ティラーソン米国務長官の解任と、軍事攻撃を主張するジョン・ボルトン元米国連大使の大統領補佐官起用に、軍事攻撃の恐れを強くしたため、首脳会談を提案したという。

習近平国家主席は、北朝鮮の恐れをふまえて、中朝首脳会談に応じた。反中に傾き貿易戦争を仕掛けるなら、北朝鮮問題では協力できないとの意向を米国に向けてにじませた。中朝首脳会談で「平和的解決」を強調することで、米国による軍事攻撃を牽制したのだった。

日本は「乗り遅れ戦略」が有効だ

中朝首脳会談に関連して、「日本乗り遅れ論」が報じられた。乗り遅れを恐れるのは間違いだ。「核問題」で日本が乗り遅れるのは当然なのだ。日本は、朝鮮問題のメインプレーヤーではない。朝鮮戦争の当事者でもない。冷静に、戦略的な対応をすべきで、的のはずれの報道や論議をすべきではない。

中朝首脳会談が終わった直後に、「日朝首脳会談が6月にも行われる」との観測報道があった。報道は北朝鮮国内の学習会資料を根拠にしているが、この資料を入手し確認したわけではない。

朝鮮問題は、偽情報や工作情報が横行する。日朝の接触は今のところまったくないし、北朝鮮の指導者は米朝首脳会談の準備に手一杯で、他のことを考える余裕はない、のが現実だ。そんな状態の時に、日朝首脳会談に乗り出すわけがない、と判断することが重要だ。

こうした情報は、どうして流されるのか。一つは、外国情報機関の「風船工作」か「あぶり出し」工作だ。日朝の動きが確認できないので、日朝会談の記事を書かせ、日本の反応をみるやり口だ。また、北朝鮮系の組織が、自分たちが官邸と北朝鮮首脳部を仲介しているとメディアに誤解させるために、偽情報を流すことも考えられる。

日本は、白村江の戦いや秀吉の朝鮮侵攻、日清、日露戦争での日韓併合など、朝鮮半島に積極的に関与して失敗した歴史を数多く持つ。成功したのは、朝鮮戦争に関与することなく「朝鮮特需」をテコに経済復興した時のみだ。この歴史から得られるのは、朝鮮半島に積極関与すると、周辺諸国の外交軍事戦略に巻き込まれるという教訓だ。半島国家は、「巻き込み理論」を駆使し、周辺諸国を競わせ利益を得ようとする。日本は、この巻き込み戦略に乗せられてはいけない。「乗り遅れ戦略」に徹することである。

もっと関心を持つべきは、核問題での乗り遅れではなく「拉致問題の解決」だ。

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