12/10中国観察<中朝邊境出現大批軍人 距離開戰還有多遠? 希望之聲電台=中朝国境に軍が派遣される 開戦地からどの程度遠い 希望の声TV>「吉林省延辺で多くの軍人が派遣されていた。写真撮影禁止だが遠回りに撮った。ここは北の豊渓里核試験場から近いので、朝鮮半島情勢と関係あるのでは。英国メデイアによれば、CIAはトランプ大統領に3月になれば北のICBMが米国に届くので先制攻撃すべきと報告したと」
12/12中国観察<專家警告:朝鮮若開戰 中國有三大目標或受核攻擊 希望之聲電台=専門家の警告:朝鮮が開戦となれば、中国には3つの標的があり、核攻撃を受けるかもしれない 希望の声TV>「朝鮮のミサイル技術は中国の軍事目標を正確に攻撃できるとは限らないが、膨大な非軍事目標を攻撃するには充分である。第一に、北京・上海・三峡ダム、第二に、中国内の全部の原発は北の射程距離内にある、第三は、人口百万以上でミサイル防衛システムのない都市である。
米国が北の核施設を正確に攻撃できたとしても、北の周辺に近い地方は核汚染され生態に影響を与える。
毛沢東の時代から中共はタダで北に石油を送って来たし、中国に留学生も受入、核技術や原材料も与えて来た。また国際社会の非難にも守って来て、金一族の核兵器技術の最大貢献をしてきた。習近平になってから外交政策を改め、国連と歩調を合わせて制裁したが時既に遅しである」と。飼い犬に手を噛まれた気分でしょう。でも、日米が中国に感じるのと同じです。中国があそこまで発展することに協力してやったのにと言う気分でしょう。中国と朝鮮半島は裏切りの歴史と言うのが日米の為政者・経営者とも分かっていません。況してや中国は核拡散防止条約違反をしてきたのを公言したようなものです。如何に中国・朝鮮半島が嘘をついてきたか分かるでしょう。南京や慰安婦も彼らの嘘・プロパガンダでしかありません。彼らを信じるより我々の父祖を信じる方が合理的でしょう。
12/11増田俊男の時事直言には「極秘情報だが、来年起こす中東戦争前の3月20日までにトランプは北朝鮮に先制攻撃をかけなくてはならなくなった。」と。
https://www.youtube.com/watch?v=vLpwbpnQQYQ&feature=youtu.be
12/11Money Voice<米軍、在韓米軍家族の退避を否定、専門家「北朝鮮にサインと見なされる」>
NEO(non-combatant evacuation operation)はしないとわざわざ言っているので、益々クリスマス・新年休暇で家族・本人が帰っている時に開戦する可能性が高いのでは。
ただ、12/12笹川平和財団主催の「地政学から見た海洋安全保障」セミナーで奥山真司講師は、イスラエル人と話した時に、「トランプが軍事介入するかどうかは3つの点から見れば良い。①アメリカファースト②アメリカグレイト③それ以外は“I don’t care”」と教わった。北の問題は政治問題ではなく、軍事問題。米議会がイランと違って北には厳しくしてこなかったので米国攻撃はないのではというニュアンスでした。
武藤氏記事と鈴置氏記事は、米国の攻撃についてやはり外務省出身と民間人との差があると感じました。
武藤記事
北朝鮮の金正恩委員長は、2018年も挑発行動を繰り返すのか (「労働新聞」より)
各国の立場・対応がバラバラで北朝鮮問題の解決の道筋は立たず
北朝鮮の核問題は、いまだ解決の道筋が立っていない。
これまでの経緯を見ると、北朝鮮が核ミサイルの完成まで突き進む断固たる意志を有していることは間違いない。これに対し、日米はこれを断固阻止すべきとの立場。韓国の立場は、軍事行動は絶対阻止すべきであるが、どこまで非核化に強くコミットしようとしているのかは疑問が残る。中国とロシアは、基本的に現状からの大きな変革は望んでいない。
このように各国の立場はバラバラであり、今後、解決に向けてどのような道筋をたどるべきなのか、正直なところその方向性さえ見当がついていない。ただ、2018年は北朝鮮の核問題が、どういう方向に向かうのかを決定づける”鍵”となる年であろう。そこで、2017年の締めくくりとして、いくつかのシナリオを取り上げ、その可能性とともに、日本にとってのメリットとデメリットを分析してみたい。
シナリオ1 制裁をさらに強化し、北朝鮮の体制崩壊を狙う
ここ1〜2年に実施された北朝鮮に対する制裁は、これまでになく強化されたものとなっている。特に今年9月の制裁は、輸出の9割をストップし、石油製品の輸入も3割減らすという厳しいものだった。加えて、北朝鮮大使を追放したり、貿易を停止したりする国も増えている。その結果、平壌市内ではガソリン価格が高騰している。
だが、北朝鮮には、核ミサイルを放棄する意思などない。むしろ開発を急いでいる。資金が枯渇する前に完成させ、それを逆の圧力として制裁をやめさせようとしているのだ。
そもそも、制裁が効果を発揮するまでには時間がかかる。しかも北朝鮮は、これまで何十年にもわたって制裁をかけ続けられており、そうした環境下でも生き延びる術を学んでいる。つまり、制裁だけで開発をやめさせることは難しいといえるのだ。
金正恩政権は、国内的にも核ミサイルの開発をやめることはできない。というのも、恐怖政治によって国民を黙らせ、たとえ数十万人が死亡しても核開発をやめなかった。それを今になってやめてしまえば、政権の弱さが露呈し、国民の不満が爆発して政権が崩壊しかねないからである。
それでなくても北朝鮮では、穀物生産が今年の初期段階で3割も減少している。また、金正恩政権になって側近の粛清が相次ぎ、国民の間では不満が高まっている。つまり、クーデターが起きる”下地”は整いつつあるのである。
北朝鮮当局は国民に対し、核ミサイルを開発するまでの辛抱だとして我慢を強いてきた。それが、核ミサイルが開発されても、制裁が解除されずに国民の窮乏に一層の拍車がかかった場合にも不満が爆発してしまう可能性は否定できない。問題は、北朝鮮は核ミサイルを開発すれば、それをてこに、制裁解除を求め挑発を強めるだろう。その時に、日本を始めとする国々が制裁を維持できるかである。
このように考えていくと、日本にとって最も好ましいシナリオは、北朝鮮国内で何らかの動きが起きて、金正恩体制が崩壊することだろう。
シナリオ2 中国に金正恩政権の交代を主導させる
これまで、北朝鮮に対し有効な対策を取れなかったのは、国連安保理の常任理事国である米中ロが逃げ腰だったためである。米国は終始この問題に取り組んできたが、オバマ政権時に「戦略的忍耐」と称した戦略で時間を無為に費やしてしまった。一方の中国とロシアは、国連安保理がさらに強力な制裁決議を可決することを妨げてきた。
中でもロシアは、北朝鮮の核技術者をロシアの研究所に招いたり、ウクライナ製のロケットエンジンが北朝鮮に流れていることを黙認したりしているといわれる。ロシアのこうした行動は、「米国を北朝鮮に釘付けにすることで、中東における影響力を強化する意図がある」と分析されている。したがって、ロシアの変化を促し、北朝鮮への圧力強化とすることは難しいかもしれない。
となると、北朝鮮との貿易の9割を占める中国の役割が重要となる。
中国はここ最近、一帯一路の国際会議を開催している最中に北朝鮮から挑発行為を受けるなど、再三にわたって国家の威信を傷つけられてきた。そのため徐々にではあるが態度を変化させ、北朝鮮に対する制裁強化に協力し始めている。
そうした姿勢に対し、北朝鮮の高官からは「中国はもはや血盟関係の盟友ではなくむしろ敵である」「ロシアはいろいろ助けてくれる友人である」といったコメントが出ているが、これは北朝鮮との協力関係に関する変化の表れだ。
そもそも中国は、北朝鮮が核保有国となることは望んでいない。そのため習近平国家主席は、米中首脳会談を受けて、中国共産党大会の結果報告を口実に宋濤政治局員を特使として北朝鮮に派遣、対話説得を試みた。しかし、金正恩委員長は面会にも応じず対話提案を事実上拒否、中国の試みは失敗した。
一方で、中国は北朝鮮が崩壊し、中朝国境地域が不安定化することや、在韓米軍が中朝国境まで北上することは絶対に避けたいと考えている。北朝鮮問題において中国に協力させるためには、こうした中国の懸念を和らげ、金正恩政権崩壊後の将来像について米朝で話し合い、一定の理解に至ることが不可欠である。
また、米国が、金正恩政権を必ず倒す意思を明確にすれば、中国としても北朝鮮に対する影響力を保持し、米国の単独行動を阻止するため動くかもしれない。
このように考えていくと、中国が金正恩政権の交代に一定の役割を果たすことは、北朝鮮暴発の危険を和らげるという意味では好ましいことである。だが、その結果として、中国の影響力が拡大してしまうことは将来的に問題となろう。
シナリオ3 全面非核化は断念し開発凍結などの妥協を模索
米国の一部、主として前政権の民主党関係者の間には、北朝鮮の核開発を止めることはできず、現状で凍結させるべきとの主張がある。韓国にも、北朝鮮は非核化には応じないので、核は現状で凍結してICBMの開発を止めさせることができれば、米国にも妥協の余地があろうとの主張がある。
別の視点から、「トランプ大統領は実業家であり、最初は交渉戦術として強い姿勢を示すものの、最終的には交渉によって最も有利なところで妥協を図る人だ」との見方もある。
しかし、こうした「現状凍結・追認案」の欠点は、北朝鮮が核ミサイルの完成までは開発をやめないとの現実を無視していることである。北朝鮮が仮に対話に応じてきても、これまでの交渉がすべて失敗に終わったのと同様、”時間稼ぎ”のために行っているのである。
その時には、日米韓の側が、制裁を大幅に緩和するなどの大きな代償を求められ、結果的に北朝鮮の核ミサイルの完成を”手助け”したことになると考えておかなければならない。
われわれが肝に銘じるべきことは、「北朝鮮はこれまで約束を守ったことがない」という事実である。そして、合意検証も北朝鮮の妨害に遭ってきたということである。そんな北朝鮮は、次々に挑発や要求を高め、最終的には在韓米軍撤収、韓国の赤化統一を模索するだろう。
このシナリオは、一時的には戦争被害を避けることができるという意味で、好意的に考える人はいると思う。だが、中長期的に見れば、金正恩委員長の絶大な影響力の下に置かれるという意味で最悪のシナリオかもしれない。
シナリオ4 武力で金正恩政権を消滅させる
これは、北朝鮮を非核化させるための最も確実な方法である。クリントン大統領時代に一度検討されたが、米韓が北朝鮮を攻撃すれば報復を受け、韓国の首都ソウルは軍事境界線と近いだけに、首都だけで数十万人の犠牲者が出るとして断念した経緯がある。
北朝鮮の核ミサイル開発が完成間近まで進んだ現在では、仮に核弾頭を搭載した弾道ミサイルが東京に着弾すれば、最大200万人の犠牲者が出るという推計もある。したがって、日本としても絶対に避けなければならないシナリオである。
そうした中でも、米国は軍事行動を取る可能性はあるのか。以前、マティス国防長官が「ソウルの犠牲を大きくしない方法はある」と述べたことがある。トランプ大統領は「北朝鮮を完全に破壊する」と述べた。
こうした発言から想像すると、米国が攻撃する時は、金正恩委員長を一撃の下に殺害し、かつ北朝鮮が報復の愚挙に出られないよう瞬時に大打撃を与えることを想像しているのであろう。しかし本当にそのようなことができるのか疑問だ。
いずれにせよ、核ミサイル施設への限定攻撃は報復の危険性が高く、あり得ないと思われる。また、同様の理由から、米軍は金正恩委員長だけを狙った”斬首作戦”も取らないであろう。
確かにトランプ大統領は、国連演説やツイッターなどで、金正恩委員長を挑発する言動を繰り返しており、つい最近も空母3隻による朝鮮半島周辺での演習を行うなど、北朝鮮に対する軍事的揺さぶりをかけている。また、公式的にも「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」とし、軍事的選択肢を排除していない。
しかし、本音を言えば軍事行動は避けたいであろう。そもそも米国民は朝鮮半島にそれほど関心を抱いているわけではない。特にトランプ大統領の支持層は、あまり関心がないはずである。大きな犠牲を払ってまで北朝鮮を攻撃するメリットについては疑問符が付く。
そう考えると、現在のトランプ大統領が行っている威嚇は、北朝鮮や中国を追い込むことで非核化への道筋を付けたいとの意図であろう。しかし、北朝鮮が現実に核ミサイルを保有するに至った時、米国がどのような行動に出るかが軍事行動の有無を決めるであろう。
反対の当事者である北朝鮮も、本気で米国と戦闘に進もうと考えているとはとても思えない。いったん戦闘が始まれば、北朝鮮という国自体が崩壊することは目に見えているからである。北朝鮮の挑発的言動も脅しによって米国の圧力を弱めようとの意図であろう。
気がかりなのは偶発的な出来事による軍事衝突
ただ、一つ気がかりのは、偶発的な出来事によって軍事衝突に至る事態である。
米国は11月29日の北朝鮮のICBM発射を受け、北朝鮮の海上における臨検などを輸出禁止品目などに広げる制裁を検討しているようであるが、北朝鮮船舶が逃亡したり抵抗したりした場合に、現場で軍事的対立が生じないとも限らない。また、遮断だけでは効果が上がらず、拿捕や撃沈を含む海上封鎖に至れば、それは軍事的行動となる。こうした事態が全面戦争に至らないよう願うのみである。
日本としても、北朝鮮の報復に備えておく必要があるかもしれない。そのためにもミサイル迎撃態勢を点検し、イージスアショアの早期導入を含め対策を急ぐ必要がある。北朝鮮のような国を相手にするときには、「敵地攻撃能力」も備えざるを得ないであろう。北朝鮮による生物化学兵器を使ったテロも懸念材料である。
韓国からの邦人退避は、戦闘が始まる前の事前退避が重要である。日本政府も事態を注視し、少しでも戦闘の懸念があれば危険情報を出すことも検討するが、各国とも日米の動向を見ているので、こうした情報が発せられたときには各国も追随し、空港や港湾はごった返して退避は困難になろう。
したがって、日本人はこうした事態になる前に、少しでも早く動くことが肝要である。また、危険が迫った際には、どこ行きの航空機でも構わないから乗り、とにかく急いでソウルを離れることを考えるべきであろう。
日韓関係が対立していれば邦人の退避などに支障が出る
そして、仮に戦闘が始まってしまえば、まず砲弾が止むまでは防空壕に退避し、これが収まってから退避となるが、基本は米国人と行動を共にすることである。ソウル近郊の空港などは、軍が使用しているので南下することになろうが、その場合にも途中の道路は検問などで自由に動けない。その時、助けてもらうのは米軍である。米国人もいったん韓国から日本に退避することになるので、日本人もこれに加わるという形になる。
いずれにせよ、北朝鮮の核ミサイル開発問題は、出口のない問題である。日本としては米国と緊密に連携しつつ、韓国がこれに協力するようあらゆる努力をしていくことが肝要だ。このとき、日韓関係が歴史問題で対立し協力できないような状況になれば、邦人の退避などに支障が出よう。
重要なことは、あらゆる状況に対応する準備である。最善の結果となればこれに越したことはないが、期待値で判断することは避けるべきであろう。軍事行動の可能性も想定すれば、「日本が平和国家に徹すれば安全」という考えは捨てるべきである。いずれにせよ、来年は朝鮮半島から目が離せない年になりそうである。
(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)
鈴置記事
サンダース米大統領報道官は平昌五輪への選手団派遣を明言しなかった(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)
平昌(ピョンチャン)冬季五輪が開催できるのか、怪しくなってきた。
ロシアに続き、米国も不参加?
鈴置:韓国の平昌五輪が予定通りに開催されるのか、疑問符が付きました。米政府が選手団の派遣に関し、口を濁し始めたからです。
開催時期は2018年2月9日から25日まで。パラリンピックは3月9-18日です。ちょうどそのころ米国が北朝鮮を攻撃する可能性があります(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。
第2次朝鮮戦争の「戦地」となる韓国に、選手など派遣できません。米国が不参加を決めれば、多くの国がならうでしょう。
すでにロシアの選手団がドーピング問題で締め出されています。そんな五輪を開催すべきなのか、首を傾げる人も増えると思います。
11月29日に北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)を試射しました。これにより北朝鮮が米本土まで核攻撃できる能力を持ったか、近く持つと見なされました(「じり貧の北朝鮮、『核武装の総仕上げ』急ぐ」)。
米国は北朝鮮への先制攻撃を露骨に匂わせ始めました(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。
国務省報道官が「核を使う先制攻撃も辞さない」と語ったほか、トランプ(Donald Trump)大統領に近い上院議員が「在韓米軍の家族を韓国から呼び戻せ」と主張しました。
トランプ政権こぞって「戦争間近」の空気を醸し出したのです。もちろん北朝鮮を徹底的に脅し、核を放棄させるためです。
「参加は未定」の大合唱
そんな中、米国のヘイリー(Nikki Haley)国連大使が米選手団の平昌五輪への参加に関し「まだ決まっていない」と語ったのです。
12月6日、FOXのインタビューに答えました。「2018 Winter Olympics an open question due to North Korea threat」で視聴できます。
「米選手団派遣は決まったのか?」との質問に、ヘイリー大使は「決まっていない。それに関し私は聞いていないが、いかにして米国市民を守るのか、政府は議論するものだ」と答えました。
There’s an open question. I have not heard anything about that, but I do know in the talks that we have — whether it’s Jerusalem or North Korea — it’s about, how do we protect the US citizens in the area?
「決まっていない」(There’s an open question)との言葉は米国人にとって衝撃的でした。韓国への選手団派遣を躊躇するほどに朝鮮半島情勢は緊迫しているのか、と誰もが思ったのです。
翌12月7日のホワイトハウスの記者会見で「平昌五輪への参加」が問われました。するとサンダース(Sarah Sanders)報道官も「まだ正式に何も決まっていない」(No official decision has been made on that.)と答えました。
同じ日の国務省の会見でも「参加問題」が俎上に載りました。ナウアート(Heather Nauert)報道官は「ヘイリー大使とホワイトハウスがすでに米政府の立場を明らかにした。我々はこの五輪に参加することを楽しみにしている」と答えました。
記者に執拗に問われましたが、最後まで「参加する」とは言いませんでした。原文は以下です。
I think Ambassador Haley and the White House further clarified our position on this. We look forward to being a part of the Olympics —
文在寅政権も脅す米国
—ポイントは政府関係者の誰もが「参加する」と言わないことですね。
鈴置:そこです。要は「五輪などに関係なく、戦争すべき時はする」と米国は決意を表明したのです。
—北朝鮮への威嚇ですね。
鈴置:もちろんそうですが、同時に韓国も脅したのだと思います。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は平昌五輪を人質にして米国の先制攻撃を阻止しようとしています。それに対し「小細工してもダメだぞ」と米国は言い渡したのです。
文在寅政権は来年2月の五輪と3月のパラリンピックを名分に、例年3月から4月にかけて実施する米韓合同演習の中断を狙ってきました。それを糸口に北朝鮮と対話ができるかもしれないとの期待からです。
北朝鮮の選手を強引に平昌五輪に参加させようとしたり、国連総会で五輪期間中の停戦を呼びかける決議を採択させたり。いろいろと画策しました。
もっとも政権が発足して以来、続けてきた対話作戦は空振りに終わっています(「早くも空回り、文在寅の『民族ファースト』」参照)。
北朝鮮にとって韓国と対話する意味などないからです。放置しておくほどに韓国は焦ってますます顔色をうかがうようになりますから、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は文在寅大統領を泳がせてきたのです。
「五輪休戦」を画策する韓国
ただ、11月29日のICBM試射により「核武装をしたと自信を深める北朝鮮に、いくら対話を申し入れても無駄だ」との声が韓国国内でも高まりました。
中央日報は「レッドラインを超えた北朝鮮…揺れる文大統領の『平昌構想』」(11月30日、日本語版)で、対話政策が挫折したと評しました。
ところが文在寅政権は「五輪休戦」をあきらめません。12月6日、韓国の宗教界指導者らと会談した大統領が「現在、極度に高まっている緊張も時間の問題で(いずれ)解決する。その過程に平昌五輪がある」と述べたことからも分かります。
発言は聯合ニュースの「文大統領『先制攻撃で戦争になることは決して認めない』」(12月6日、韓国語版)で読めます。
米国の目には、この期に及んでも「五輪休戦」などと言っている文在寅政権は北朝鮮の回し者に映ったはずです。世界が声をそろえて北に圧力をかけるべき時に、その主軸である軍事演習を中断しようというのですから。
そこで米国は韓国に対し「五輪を名分に北朝鮮の核武装を幇助するつもりなら、五輪そのものを潰してやるぞ」と脅したのだと思います。
韓国外相に「ダチョウ」
—確かに、文在寅大統領の挙動不審が目立ちます(「文在寅大統領の『反米・親北』の言動」参照)。
- 文在寅大統領の「反米・親北」の言動(2017年)
4月13日 | 大統領選挙の討論会で「(米国が先制攻撃を準備する場合)北朝鮮にホットラインを通じて直ちに連絡し、挑発を中断するよう要請する」と発言 |
5月10日以降 | 「手続きが不透明」としてTHAADの追加配備を認めず。6回目の核実験(9月3日)後の9月5日になって配備容認を決定 |
8月15日 | 「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国の同意なくして誰もできない」と米国の先制攻撃に反対 |
9月21日 | 「時期は未定」としつつ、800万ドルの対北人道支援を発表 |
9月27日 | 国連総会第1委員会で、北朝鮮の非核化も念頭に置いた「核兵器廃絶決議案」を棄権 |
9月28日 | 「戦時作戦統制権を早期に米国から韓国に移す」と国軍の日の記念式典で演説 |
11月29日 | 北朝鮮のICBM発射直後に「米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない」と発言、米国を牽制 |
鈴置:11月29日のICBM試射の直後には、米国の先制攻撃に反対する姿勢を打ち出しました(「高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅」参照)
12月6日の宗教指導者との会談では「先制攻撃で戦争になることは決して認めない。韓国の同意なくして朝鮮半島でのいかなる軍事行動も許さないと米国に断固として通告してある」と、さらにはっきりと米国を牽制しました。
韓国は北朝鮮と裏でつるんでいる、との認識が米国で広がっています。先に引用した12月7日の国務省の会見でも「文大統領は北朝鮮に対する米国の先制攻撃を認めないと語ったが、どう考えるか」と聞いた記者もいました。ナウアート報道官は「その事実は知らない」とはぐらかして逃げましたが。
同じ会見で「韓国政府はテロ国家を――核ミサイルで脅し続ける金正恩政権を(五輪に)招待している。どう考えるか」との質問も出ました。
米国の著名な記者が康京和(カン・ギョンファ)外相とインタビューした際に「砂に首を突っ込むダチョウ」(heading in the sands like ostriches)――現実から目をそらす――と、韓国政府をからかう“事件”も起きました。
米国時間の12月4日、CNNのアマンプール(Christiane Amanpour)国際担当首席記者が康京和外相とテレビ電話で会見した際のことです。「South Korea doubts North Korea’s ability to launch nuclear ICBM」(12月6日)の開始2分11秒あたりからです。
米国の敵を弁護する韓国
—なぜ、ダチョウ扱いしたのですか。
鈴置:康京和外相が「北朝鮮は(核武装の)最終的な段階には至っていない」「だから北朝鮮を核保有国として認めるわけにはいかない」と語ったからです。開始1分30秒後からの発言です。
they have not reached the final completion stage yet.
North Korea will never be accepted as a nuclear power,
要は「北朝鮮は米国を攻撃できる核をまだ持っていない。だから、米国は先制攻撃するな」と暗に主張したのです。
現時点で北が米国に届く核ミサイルを実用化したかは見方が分かれます(「高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅」参照)
しかし早晩、その能力を持つのは確実です。というのに韓国政府はそれに目をつぶって軍事行動に反対する。だからアマンプール記者は「砂に首を突っ込むダチョウ」に例えたのです。
このインタビューを見た米国人は「ダチョウ」よりも「裏切り者」という言葉が頭に浮かんだと思います。同盟国というのに外相が、米国に刃を向ける国を「害がない」とへ理屈をこねて弁護するのですから。
金正恩の思うままに
—韓国での反応は?
鈴置:保守系紙は「ダチョウの平和」に危機感を表明しました。中央日報の社説「米中とかけ離れた韓国政府の北核認識が不安だ」(12月9日、日本語版)の結論が以下です。
誰もが北の核を「差し迫った脅威」と見なして迅速に対応しているが、なぜ我々だけが目の前で起きていることに背を向け続けるのか。
政府の失敗は5000万人の国民の命を担保にしているという点を一時も忘れてはいけない。
朝鮮日報の社説「ダチョウのように砂に頭をうずめている」(12月8日、韓国語版)はもっとはっきりと書きました。
文在寅政権が「ダチョウ」を続けるのは無能のせいではなく、北朝鮮の核武装を認めるつもりであろう、と指摘したのです。
政府と与党関係者からは、核武装を完成したとの北の主張を南北対話再開の契機にしようとの主張が相次いでいる。文大統領の(宗教界代表者らとの会談での)「夜明けが一番暗いものだ」との発言も、南北対話を期待する現れだ。
韓国政府が北の核ミサイル完成という厄災から目をそらし、北と「平和の対話」をすれば、すべてが金正恩の戦略のままにされてしまう。
対北制裁はうやむやになり、我々の頭上の核爆弾はあたかも存在しないように我々は自らを欺いて暮らすことになる。ダチョウが砂の中に頭を突っ込んだら次に何が起きるか、誰でも知っている。
「エルサレム」効果も
—「ダチョウ発言」が効きましたね。
鈴置:ええ。「ダチョウ」に加え「五輪参加は未定」「在韓米軍の家族の撤収」など米国が相次ぎ発信する警告に、韓国人もようやく気づきました。
韓国には「戦争は絶対に起きない」と信じる人が多かった。希望的観測もあるでしょうが何よりも、これまで北朝鮮がいくらやりたい放題やっても米国が我慢してきたからです。
でも米国が青筋を立てて怒っているのを見て、さすがに韓国人の根拠なき確信も揺らいできました。
米国が「イスラエルの首都はエルサレムだ」と認めたことも、韓国人の対米認識を変えるでしょう。「首都認定」にはイスラム世界だけではなく、欧州からも批判が高まっています。米国内でも「余計な波乱を起こす」と問題視する人が多い。
でもそうした批判をものとせず、トランプ大統領は選挙時の公約を実行したのです。「金正恩に核ミサイルを絶対に持たせない」も同様に公約です。世界が何と言おうが、トランプ政権は力ずくでも北の核武装を阻止するだろうな、と考えるのが自然です。
北朝鮮もぞっとしたと思います。もちろん「首都認定」の結果、世界のあちこちで反米デモが起きるでしょう。が、北を包囲する空母を外して中東に転用することにはなりそうにない。
—トランプ大統領は北朝鮮をさらに脅すために、このタイミングを選んで「首都認定」を発表したのでしょうか。
鈴置:それは分かりません。でも、結果的にその効果はあるでしょう。かといって金正恩委員長が白旗を掲げるとは思えませんが。
(次回に続く)
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