トランプが人権にうるさく言わないというのは、まだ分からないのでは。ビジネスマンなので、交渉時にこれを取り上げれば相手が弱みを見せるというのが分かれば、煩く言うでしょう。利用できるものは何でも利用するという考えです。動機が不純でも、言って貰った方が良いでしょう。
共産党と言う組織が如何に人権を抑圧するか、もっと日本人は知る必要があります。その日その日が平和であれば良いと言うだけでは、知らず識らずの内に、共産主義に汚染されていく可能性もあります。日本共産党が反日民進党に食い込んでいくやり方は、「庇を貸して、母屋を取られる」式を狙ったものでしょう。共産主義や社会主義の危険性にもっと敏感になる必要があります。
チベット、ウイグル、モンゴル、香港、台湾に支援の手を差し伸べることは、日本の安全にも直結します。国連でもっともっと取り上げて、中国の非道を非難すべきです。幸い、来年1月には事務局長が潘基文から元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏が就任します。中国の言いなり、無能、ネポテイズムの代名詞みたいに言われた潘基文以上に悪くなることはありませんし、グテーレス氏は「弱者に寄り添う姿勢」を鮮明にしていますので、難民問題以上に人権抑圧されている民族問題に力を入れてほしいと思います。日本もやられ放しになるのでなく、証拠を挙げて、国連組織で中国を糾弾して言ったらどうか?まあ、無能の外務省ではできないでしょうけど。
記事
(写真:AP/アフロ)
先週、チベットの人権擁護活動を支援する国際NGO・インターナショナルキャンペーン・フォー・チベット(ICT)の欧州連合政策担当のヴィンセント・ミッテンが東京の日本外国特派員協会で、「ウイグル人、チベット人に及ぶ中国の反テロ法の危険」と題した報告書について記者会見を行った。残念ながら私はこの記者会見は参加しなかったのだが、前夜に在東京の研究者やジャーナリストたちと一緒に、彼から直接話を聞く機会を得た。
2016年1月に施行された反テロ法は、国家安全法、反外国NGO管理法、反スパイ法などともに中国国内の治安維持強化の要となっている。だが、この真の目的は、テロの撲滅、予防ではなく、中国国内における反共産党体制派を弾圧し、チベット人やウイグル人らマイノリティを迫害するための口実となっているのが、現実だ。しかも、中国の経済的影響力、そして米国のトランプ現象に象徴される自国第一主義の世界的潮流によって、世界の先進国がそういった現実を見ないふりするようになってきのだ、とミッテンは訴えている。
「テロ報道禁止」の危険
この報告書は、ICTと国際人権連盟(FIDH)らによる討議や分析によって浮彫りになった中国反テロ法が内包するリスクについて、まとめられている。報告書自体はICTのホームページからダウンロードでき、また外国特派員協会の記者会見もYOUTUBEなどでアップされているので興味をもった人はぜひ見てほしい。
反テロ法は2015年1月に施行された新国家安全法に続いて、テロリストを対象に特化した法律として2016年1月に施行。施行当時は、海外のIT企業に対しても中国司法当局が要請すれば暗号解読を支援せねばならないといった内容などが企業の経済活動を阻害するのではないかという議論も起きた。だが、その本質は反体制派の勢力をテロリストと位置付けて殲滅することの正当性を担保するための立法である。
この法律の大きな問題点の一つは、テロの報道に対しては、手口の模倣を防ぐという建前で詳細に報道することを禁じていることだ。当局の対応も、テロリストに関する情報も、事前許可がなければ一切報道することが禁止されている。つまり、報道によって事件がテロリズムであるかという検証も行えず、また当局がどのような手法で“テロリスト”たちを殲滅したか、その手法に正当性があったのかなかったのかも検証できない。また反テロ作戦のために海外に解放軍や武装警察を派遣することも同法によって可能になっている。
実際のところ、中国当局がテロ事件と位置付ける新疆ウイグル自治区で急増する暴力事件の中には、テロと言い難いものも多くある。農村にありがちな暴力事件、官憲の横暴に対する農民の抵抗や貧困への不満から自暴自棄になって政府機関を襲うといった事件、あるいは弾圧から逃亡するために密出国しようとしたところを、当局に計画がばれて拘束されそうになったために抵抗したケースなども、計画的な政治目的のテロリズムとして断罪されている。
また女性や子供を含むテロリストとは言い難いような家族や集団をテロリストとして、警察当局が殲滅した事件もあった。こうした事件は当局がテロ事件として発表したあとも、テロリストの年齢や性別、事件発生の状況などの詳細な情報が出てきたときに、国際社会からテロとは言い難いのではないかという疑問が出てきたわけだが、同法によって詳細の報道が禁じられると、新疆地域で起きている“テロリズム”の真相はますます不明となってしまう。
ウイグル、チベットへの「新たな迫害」
この報告書では世界ウイグル会議事務総長のドルクン・エイサの発言も取り上げられている。「テロリズムという言葉が中国によって政治的道具になっている。…反テロ法はウイグル、チベットコミュニティーに対する新たな迫害の手段となり、人民の安全を守るどころか、正当な権利要求活動を犯罪扱いすることで地域の緊張を増大させることになる」。このドルクン・エイサ自身も、中国当局のテロリストリストのナンバー3に指定されている。先週、日本の国会内で講演を行ったチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世も中国はテロリストと呼んでいる。
ミッテンによれば、チベットにもこの反テロ法の影響がヒシヒシと迫っている。ICTはチベット地域の現地の人たちや、旅行者、企業関係者らから、当局の監視の目をぬったSNSなどの手段によってチベット地域の現状を比較的把握してきたが、最近のチベット地域における解放軍の存在感は目に見えて強まっている。彼らはチベット仏教僧侶や信者による焼身自殺をテロリズムと位置付けているので、反テロ法施行を建前に軍の配置を増強している。地域境では解放軍による反テロ演習の頻度が増え、明らかに解放軍は「チベット族の蜂起」と戦うことを想定しているようにみえるという。「ダライ・ラマ14世が崩御したあと、チベット人の間で維持されてきた中道路線が崩れ、中国共産党と命がけで戦おうとする動きが起きる可能性はある。中国当局はそれをチベットの徹底弾圧の好機と考えて待ち構えている」。
さらに反テロ法は、チベットやウイグルだけが対象ではなく、香港の民主化運動も対象になりうるとミッテンは指摘する。
「香港テロリズム」のレッテル
香港については、このコラム欄で何度も指摘したように、2014年の雨傘革命挫折以降、香港本土派と呼ばれる政治勢力が若者の間で広がっている。彼らは一国二制度に絶望し、香港基本法(香港地域の憲法に相当)を改正し、自らの手で香港の未来を決めることのできる高度の自治を望んでいる。香港基本法は憲法といいながらも、中国と英国によって勝手に決められた「押し付け憲法」であり、その解釈権すら香港人には与えられていない。基本法を解釈するのは中国全人代常務委員会なのだ。
そしてその全人代常務委の解釈をそのまま踏襲する形で香港高等法院は、香港有権者が選んだ本土派議員の游蕙禎、梁頌恒(ともに青年新政)の議員資格を剥奪した。9月5日の香港立法会(議会)選挙で香港本土派の議員は6人当選したが、この2人は宣誓式のときに、「香港は中国ではない」と書かれた旗を身に着け定型の宣誓文を無視して、チャイナと英語で読むところを広東語の支那にあたる発音で読み上げるなどして、中国に対する抵抗感を表明した。これにより、宣誓が無効となったが、二人の再宣誓を認めるか否かは、最終的に中国全人代常務委による法解釈に委ねられ、全人代は再宣誓は認められず、宣誓無効により議員資格は剥奪されると判断した。
この後、香港では2人の議員剥奪に反対する若者ら約8000人のデモが起き、警官隊と衝突、けが人の出る乱闘騒ぎとなった。中国側は2議員について「宣誓式で公然と国家と民族を侮辱し、国家分裂と香港の繁栄・安定を破壊する狙いを十分露呈した」として、彼ら香港本土派に対し平和の破壊者というレッテルを張り、にわかに中国国内で胡錦濤政権が制定しようとして香港市民の抵抗にあった結果ずっと棚上げにしていた「基本法23条に基づく国家安全条例の制定」の必要性が訴えられるようになった。
「香港テロリズム」という言葉は、2016年5月の全人代常務委員長(国会議長に相当)の張徳江が香港を訪問する際、公安当局が香港訪問中の指導者の身の安全を守る体制を説明するときに使用した。香港本土派をテロリスト認定しようという思惑を中国側は隠さなくなってきており、このままでは香港の民主を求める運動ですら、国家分裂を画策するテロリズムとして鎮圧される可能性が増大している。
こうした中国の、反テロリズムを建前とした人権や宗教、民族の弾圧は、米国のトランプ政権以降、ますますひどくなるのではないか、とミッテンは予想する。
人権カード捨てるトランプ
トランプは選挙運動中、テロリスト容疑者に対して水責めなど拷問を復活することを約束したり、テロリスト家族の殺害を米軍に命令することも示唆するなど、人権に対する意識はかなり低い。テロリスト容疑者への拷問も愛国である、とする思想は、今の中国の政権と共通するものであり、それも、中国政権サイドがトランプ政権の誕生を歓迎する理由の一つだ。
米国は伝統的に対中外交において人権を外交カードとして利用してきた歴史がある。米中首脳会談の折には、報道の自由や人権問題などがテーマに上がったし、米国国務省の出す人権リポートは常に中国を苛立たせてきた。もっともこの人権優先の建前はときに米国の国益と合致しないこともあった。たとえば天安門事件後、米国は対中経済制裁に踏み切ったが、米国の本音を言えば、一刻も早く制裁解除したかった。だが、人権問題という建前によって米国は制裁を解くことがなかなかできなかった。
だがトランプ政権では人権問題をカードに中国に外交的圧力をかけるという心配はまずなくなったと中国は見ている。反テロリズムという言葉を使えば、民族弾圧も拷問も愛国のためとなり、それはまったく米国も同じことをやっているのだから、とやかく言われる問題にはならない、ということになる。
こうしたトランプ的な思想は、トランプ当選後、欧州にも広がる気配がある。前回のコラムでも触れたがトランプ当選は「国際秩序の分水嶺」であり、中国のこれまでやってきた共産党体制強化のための人権軽視や民族弾圧、言論弾圧、宗教迫害を誰も国際秩序への挑戦であると非難することができなくなるわけだ。なぜなら、中国のそれらの行動は、愛国行動であり、トランプ政権をはじめ一部の欧州国家で広がりはじめた自国第一主義の価値観からいえば、中国が自国第一で動くことに対しては、自国の国家利益を損なわないかぎりは肯定するのが当然ということになるからだ。
もともと中国の経済的影響力がグローバル化の中で拡大していく過程で、先進国の中でも、中国の人権問題に対して真っ向から批判できる国は減ってきていた。それがたとえ外交上のカードとしての利用であっても、あるいは建前であっても、中国を上回る経済力と軍事力をもつ米国が中国の人権問題に関心を寄せているという姿勢は、中国国内で弾圧されてきたチベット、ウイグルの人々や民主化活動家にとっての一縷の望みであったのではないか。人権派弁護士や民主化活動家らの少なからずが米国に政治亡命を希望するのは、米国が中国の民主化を望み、米国だけが政治的に働きかけるだけの力をもっているという期待があったからこそだろう。そういう意味では、トランプ当選は、世界で、とりわけ中国で人権上虐げられている人々に絶望的な気分を味わわせたかもしれない。
日本は「公正さ」捨てるな
さて、日本にとって、トランプ政権が吉とでるか凶と出るかは、まだわからない。トランプの対日知識はほぼ白紙だろうし、両国の関係は日本の安倍外交の結果次第であると考えている。一部保守派が期待するように、日米同盟の見直しは、むしろ日本のプレゼンスが増大してより対等な同盟関係に発展するかもしれない。国際秩序の転換期がきているというならば、その外的環境の変化にあわせて、今までタブー視されて論じられることのなかった日本の安全保障の在り方を核保有論議も含めて行うことができるかもしれない。そのことについては私は肯定的にみている。
だがもし、国際秩序の再構築に当たって、日本もプレイヤーとしてかかわっていく覚悟があるのなら、どうか、人権問題について正しくあろう、公正であろうという姿勢を捨てないでほしい。それが、アジアの盟主として、中国式グローバリズム、中国式価値観に対抗していくための最大の条件となるのではないだろうか。
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