5/23渡部亮次郎メルマガ掲載 平井 修一『何清漣氏の講演「中共6つの難問」』記事について

何清漣は小生が深圳に居た頃(98年~2000年)、『深圳法制報』の経済記者で、鋭く共産党の統治を批判していました。このままでは危ないなあと思っていましたら、『中国現代化の落とし穴』を著わして江沢民の逆鱗に触れ、香港経由でアメリカに亡命しました。

『中国現代化の落とし穴』には「中国の歴史は腐敗の歴史であるがとりわけ共産党に政権が移り改革開放してから、質量ともに以前のレベルとは比べ物にならないほどになった。レントシーキング、「権」=「銭」で官職が金を産む構造になっている」とありますし、『中国の嘘』には「ジョージ・オーウエルの『1984年』と同じ市民監視のシステムが08年にできあがる。アメリカのシスコシステムズ社が協力し反政府活動に目を光らせる」とあります。

如何に共産党統治が腐っていて、正統性がないかです。周永康のように、1兆6000億円もの資産形成ができる国なんてそうザラにないでしょう。こんな国の言うことが信用できますか?南京虐殺も従軍慰安婦も謀略で出て来た話です。日本人がメデイアや学者の意見を鵜呑みにせず、もっと自分で材料を集め、自分の頭で考える習慣を持たないと。敵にやられ放しになります。

本記事を読んで黄文雄の著作の中に、『王力雄の言葉に「四最」がある。今の中国は「人口最多、資源最少、欲望最大、道徳最低」の状況にある』と言うのを思い出しました。

失業率は高く(土地を強制的に召し上げられた農民、大卒新卒、外資撤退による中間層)、石油・食糧等の資源輸入(水の汚染、枯渇問題、毒野菜)、AIIBやブリクス銀行の見せ金によるペテン、どれを取っても一筋縄では解決できない問題です。今の習はニコニコ顔で日本に近づき、日本を利用して彼らの不良債権の穴埋めをさせようとしています。日本を占領すれば借金は踏み倒せると思っているのでしょう。中国が東シナ海に出てくる前に南シナ海での傍若無人をやめさすことです。自衛隊も米・比・越と行動して中国の今そこにある侵略をストップさせないと。

記事

中共から米国へ亡命した経済学者、何清漣女史のバンクーバー講演(5/3)の内容が女史のサイトにアップされた(5/9)。中共の現状について生々しい情報が多いので要約する。

<「新常態:中国が直面する6つのボトルネック」

本日、バンクーバーという美しい町にお招きいただき、主催者に感謝するとともに、バンクーバーの中国領事館が私のような“反革命分子”がこうして公開講演をすることを我慢してくださったことに感謝したいとおもいます。

と申しますのも、米国のニューヨークでは私の公開講演は事実上不可能なのです。ニューヨークの中国領事館は私がどこかの大学で講演すると聞くや、すぐさま邪魔しようとします。たとえばペンシルバニア大学では二度、講演を阻止され、中国留学生の学生会のトップまで辞めさせられる始末でした。

今日の講演テーマは「中国経済発展が直面する6つのボトルネック」です。みなさんのために中国経済の実態を総括検討し、この6つのボトルネックを突破できるかどうか、中国の未来とどう関係するかについてお話しいたしましょう。

★第1のボトルネック;中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。

産業構造再調整は極めて困難

中国という「世界の工場」は2001~2010年まで光り輝いていましたが、いまやついに取り返しのつかないほどの衰亡ぶりです。最新の報道では、主要工場の東莞脱出、工場閉鎖が第二の波となっているといわれ、去年1年あまりに4000の企業が閉鎖となりました。

この衰亡への曲がり角は(リーマンショックの)2008年です。2008年から12年までの公開データでは、東莞では7万2000の企業が閉鎖されました。いま、労働集約型を特徴とする東莞の企業の大量閉鎖は、生態環境と労働者の生命を元手とする中国経済の成長モデルがついに行き詰まったという指標です。

これ以前には中国経済の成長は三頭立ての馬、つまり投資、外国貿易、内需で牽引されていたのですが、いまではこの三頭とも息も絶え絶えで、今年の最初の3か月間の外国貿易は前年比15%減であり、もはや外国貿易という馬が中国経済成長を引っ張れず、別の馬を探さなければならないということです。

過去二十数年来、不動産業界が中国経済成長のトップ産業でしたが、高度にバブル化した不動産業界も停滞に陥っており、政府も企業もなんとか滑りおちるのを支えようとしてはいますが、しかし不動産業の上流・下流の数十にのぼる産業は却って全面的な生産力過剰です。

たとえば、鉄鋼業、セメント産業の生産過剰は約3割、比較的距離のある床板、家具、紡績なども深刻な生産能力過剰です。こうした産業の生産能力過剰危機は「中国経済の核爆弾」ともいわれ、核爆弾と同様にいつ経済危機に引火爆発するかわかりません。

ですから、中国は現在「二つのシルクロード計画」を必要として、アジアインフラ投資銀行をつくって、外国にこの生産過剰を輸出したいのです。

でも、これは別のテーマですから、今日は「この計画が成功する可能性は比較的低い。なぜならこの計画に入っている数十の国家は大部分が主権の信用がよろしからぬ国々であり、中国とパキスタンなど国際協力に別の(政治的、地政学的な)目的がある場合をのぞいて、中国の他の国々への投資はお金が無駄になるだけだと思う」とだけ言っておきます。

以上の問題は中国経済の構造調整は望みがない、ということです。いわゆる経済構造の調整というのは政府が調整したいからといって、そのとおりにできるというものではありません。

かつて2005年に広東省が「籠の中の鳥」を取り替えようと、労働集約型産業を淘汰して、ハイテク集中型産業を導入しようとしましたが、結果は鳥かごは空っぽになって、古い鳥は飛び去り、新しい鳥は飛んできませんでした。現在、珠江デルタ地帯の産業は空洞化しています。

★第2のボトルネック;膨大な失業者の大群

中国は世界一の人口大国で、失業問題は中国の頭上に一本の糸でぶら下がっているかのダモクレスの剣です。

文革当時、私は十数歳でしたが、中国にはもう深刻な失業問題があり、就職は困難でした。当時、都市住民は無理やり「山に登り、田舎に行く」ことを強制されて、企業や軍隊に入れたらましなほうでした。

改革開放後、中国が世界の工場になって輝いていた時代にも、やはり大量の失業人口は存在しました。たとえば農村の過剰労働力は1億をこえていました。現在、世界の工場の地位から滑り落ちて、失業問題はさらに深刻さをましています。

長い間中国政府の発表する都市の失業率はすべて4.5%以下になっていますが、このデータは中国の失業の真実を説明できていません。

第一に、データは都市の政府部門に登記された人口だけで、登記外の人口は入っていません。第二には、都市登記失業率は農村の失業者を除外していますが、その農村の過剰労働力は相当に膨大なもので、このふたつを除いた統計データというのはもともと穴だらけなのです

現在、中国の失業者の大群は4つの層からなっています。

ひとつは農村の過剰労働力。「世界の工場」が倒産したために大量の農民が帰郷し失業状況は深刻です。

ふたつには外資系のホワイトカラーですが、外資大量撤退で、結構な給料をもらっていたホワイトカラーが失業しています。

三番目は大学生で、大学生には就職証明書があってはじめて卒業証書を出すために、学生は両親や親戚に頼んで偽の就業証明を発行してもらいますから、学校が提供する就業率というのは完全に意味を失っております。

四番目は都市の中学・高校を卒業して長期に家にいる「待業青年」たちです。中国のメディアでは「スネカジリ族」とよばれています。

では中国の失業者はどのぐらいなのか? ふたつのデータが参考になります。温家宝前総理は2010年3月、中国発展ハイレベル論壇に出席したとき公開した「中国失業人口は2億」という数字。

もうひとつは元世界銀行副頭取の林毅夫の提供したもので、今年の1月にダボス会議で述べた「中国は1.24億人の製造業の職場が他の発展途上国に移ってしまった」というものです。(合わせて3億人)

現在、中国の労働年齢人口は9.4億人で、失業人口が3億ともなれば真実の失業率は32%になります。こんなに多くの人々が仕事がないのでは、「パンの契約」は効果がない、といえます。

中国は専制独裁国家であり、「パンの契約」の意味は、選挙権や言論、集会、結社の自由などがないかわりに、「庶民にちゃんと飯を食わせる」ということで交換(了解)されている、ということです。

いまやこれほど多くの人々が失業しているということは、一般の人々は(自由という)権利を得ることもなく、パンも得られないということです。いかなる国家もこのような高い比率の失業人口に直面したことはなく、大変頭の痛い問題です。

★第3のボトルネック;資源危機の深刻さと高度の対外依存

中国の環境汚染は立体化しています。つまり水も、土地も、空気も全面的に深刻な汚染です。この方面の資料は多いので時間の関係で省きます。ただ中国経済の発展は厳しい資源的な拘束によって、生産原料で様々に破綻しており、さらに生活の糧である食料でも中国の対外依存ぶりは深刻です。

石油は「経済の血液」といわれますが、中国はその6割以上を輸入に頼っており、鉄、銅、亜鉛などの各種金属鉱石の対外依存度も比較的高く、いちいち数字はあげませんが、ひとことでいえば中国経済の安全は対外的要素に依存しています。

「民は食をもって天と為す」といいますが、食料も中国の農業人口は6割もいるにもかかわらず、自給率は2014年に87%に下がっています。三大食料の大豆、トウモロコシ、コムギはみな輸入に頼っています。

土地汚染による食料汚染のことは別にしても、量的な問題だけでも中国の2億人の食料は輸入に頼っているのです。これは中国の食料価格と国際市場価格が連動することであり、もし天災人災がおこれば、たとえば戦争などで食料生産国が原産したら中国の食料価格は急騰するでしょう。

食料対外依存の不安定さは、20年以上前に米国の生態環境学者ブラウンが「誰が中国を食わせるのか?」という本で中国に警鐘を鳴らしましたが、中国はこの研究を「反中華勢力が中国に泥を塗る陰謀」として「中国脅威論」だと大々的に何年も批判を繰り広げました。

ここ数年、やっと食料の安全が問題となりブラウンに対する態度をかえて、中国で講演させましたが、結局やはりその観点を受け入れることはできず、また熱が冷めました。ブラウンという学者に対する温度変化は中国で真実を語ることの難しさを示しています。

★第4のボトルネック;地方政府の泥沼債務

地方債務は地方財政危機を引き起こしかねず、これは中央政府のひどい頭痛のタネです。中国の債務総額の規模は一昨年の外国投資銀行の推計では中国GDP総量の168%に達しております(マッケンジーの5月8日の最新報告ではすでに282%)。その大部分は政府と企業債務です。

その中で地方政府の債務はトップで、約20兆元(400兆円)。これはわざと地方政府官僚が実績を上げるために少なくしていたものです。実際の債務額の3割から5割でしょう。これに対して中央政府も2014年に地方政府に「2015年1月5日前に債務の実態を報告せよ、中央政府が金をだして地方政府の債務償還をしてやる」とほのめかしました。

地方政府はこれに希望を見出して“誠実”に報告したため地方債務はビッグバンのように膨れ上がりました。財政部はこれらの数字に「父親の愛(の助け)」はとても実際には無理だとわかって、元の20兆程度にしました。

現在の方法は地方政府が報告した20兆の債務の一部を中央政府が払って、一部はマーケットにもたせて、残りを地方政府に負担させることです。

地方政府が借金を踏み倒して集団騒動がおきても、地方政府ではちょっとばかりの補償金をはらって事態を“平穏化”させるぐらいしか手がありません。というのは地方政府というのは土地以外に、別に財を生む手段を持っていないのです。この巨大な債務の泥沼に中央政府が頭を痛めるわけです。

★第5のボトルネックは金融危機(略)

★第6のボトルネック;富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大

この二十数年にわたって中共権力貴族層は公共財と民の財を誰憚らず略奪してきたために、貧富の差、富の偏在は際立ったものになりました。これについてはみなさんもよく感じておられるとおもいますので、ここではひとつだけデータをあげておきます。北京大学の中国社会調査センターがだした「中国民生発展報告2014」のいくつかの数字です。

2012年、中国家庭の財産のジニ係数は0.73(0.4以上は危険水域)で、頂点の1%の家庭が全国の3分の1以上の財産を占有し、底辺の25%の家庭の財産は総量のわずか1%前後でした。このような富の過度の偏在、高いジニ係数は世界中を見渡しても中国しかありません。

ですから中国の低収入階層というのは貧民であり、人口の6割をしめており、貧乏人の多すぎる社会であり、社会的に上昇していこうにもパイプがないという社会ですから、不安定要因に満ち満ちた社会なのです。

民主国家であればこれまでにあげた6つのボトルネックの3つもあれば、政権は崩壊し内閣は辞職ものです。しかし中国の専制政治とコントロールは依然として盤石の統治ぶりです。

とはいえ、こうした問題はいつかは解決されなければならず、長い間ずっとこのままでいくわけにはまいりません。こうした社会危機を解決する方法は大きくいって3つです。

ひとつはマルクス主義、すなわち暴力革命で政権をひっくり返すわけです。1949年以前、中国はこの手の革命をおこないました。農民一揆と共産革命です。

二番目は帝国主義的な、資本主義経済の危機にあたって、戦争による対外的な拡張でもって国内の危機を乗り切るやりかたです。

第三はケインズ方式で、国家の関与を強め、税収をたかめて赤字財政によって投資を刺激し、就職口を生み出し、国民の購買力をたかめて資本主義の生産過剰の危機を解決するやりかたです。

中国政府は事実上計画経済のもとで政府のコントロールとケインズ方式を一緒にしているのですが、効果は芳しくありません。

未来の中国がどの方式を用いて危機を解決するのか? 帝国主義方式とケインズ方式にくらべて、中国では政府のイデオロギーでも民間の価値観からいっても、第一のマルクス主義にもっとも近いのです。

中国と似たような状況にたいするマルクス主義の説明は大変簡単でありまして、一切の危機の根源は「絶対多数の人民が搾取を受け、収入が低すぎるのは、少数の特権階級が搾取収奪によって社会の富の大部分を占有しているから」です。

ですから私たちは中国の制度のやりかた、文化的土壌、政府のイデオロギーと人民の考え方や習慣に基づいて、中国がこの苦境をぬけだす有効な方法はなにか、ということをともに考えることができるでしょう。ご静聴ありがとうございました>(以上)

5/21・22日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「ヴォーゲル声明」に逆襲託す韓国 米韓首脳会談が「外交戦第2ラウンド」に、米国の「うんざり」が「嫌韓」に変わる時 米韓同盟の危機はこれから来る』記事について

韓国の朴大統領は日本の軍艦島の世界遺産について告げ口外交を再開したとのこと。また議長国のドイツを動かし、水面下で謝罪の碑文を造らせようとしているとも。そんなことをすれば、慰安婦と同じ展開になるでしょう。韓国は日本を道徳的に劣った民族と世界に認めさせたいためずっと工作してきましたし、今後も続くでしょう。こんな国に支援するのは愚かです。「非韓三原則」を貫かないと。今の日本人はヤワすぎます。徹底的にやらないとダメです。先ずは経済を崩壊させることです。

6月朴大統領の訪米で、アメリカは「THAAD」配備を必ず求めるでしょう。「もし配備しなければ米軍撤退もありうる」と脅すのでは。北が潜水艦によるSLBM実験をしたこともあって在韓米軍を守る必要があるのにその配備を許可しないのであれば何のために韓国を守るのか本質的な疑問が出ます。まあ、米軍基地は一種治外法権みたいなものだから朴を無視して設置するかも。しかし、ペンタゴンの南沙諸島の中国軍事基地に対する「12海里進入」発言を韓国はどう考えているのでしょう。自国のことしか考えない、国際的なセンスのない国と言えます。

参考:「ぼやきくっくり」 http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1725.html

記事

「外交敗北」としょげ返った韓国。だが、直ちに元気を取り戻した。世界的な学者たちが「慰安婦」で助けに来てくれた、と信じたからだ。

日本孤立化作戦の失敗

—韓国の「外交敗北ショック」は大きかったようですね。

鈴置:ええ、「米中両大国を味方につける外交戦で日本に負けた」と大騒ぎになりました。韓国人は「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が両大国をうまく操り、日本を孤立に追い込んだ」と信じていました。

 でも「大成功した日本孤立化作戦」は、韓国政府とメディアの作った虚構だったことが露見してしまったのです(「ナポレオン3世に擬された朴槿恵」参照)。

 4月の「日中」と「日米」の2つの首脳会談により、中国は日本との関係改善を、米国は日本との同盟強化に動いていることが誰の目にもはっきりしました(「朴槿恵外交に噴出する『無能』批判」参照)。

 ことに、安倍晋三首相が米議会で演説したことに韓国人は大きな衝撃を受けました。「慰安婦で謝罪しない安倍には演説させるな」と国を挙げて米国に働きかけていたからです(「『アベの米議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。

 そこで「韓国こそが孤立しているではないか」とメディアが政府の責任を追及するまでになったわけです。虚構作りには多くのメディアも加担していましたから、責任転嫁そのものですが。

「戦略的敗北」は無視

—では、韓国メディアは外交的な孤立から脱するために「米中どちらに付くべきだ」と主張しているのですか。

鈴置:そこが興味深い点です。大手メディアは米中の間の立ち位置に関しては、上手に言及を避けています。

 ほとんどすべての新聞が社説で「日米が新蜜月関係に入った。韓国も米国との関係を強化すべきだ」と主張します。

 しかし同時に、保守系、左派系を問わず「中国との関係ももっと良くすべきだ」と書くのです。要は「きれいごと」です。

 「米中双方と良好な関係を築け」とは言っても、それが難しくなったからこそ、韓国は苦境に立っているのですけれどね。

—「大騒ぎ」になっているのになぜ、そんな曖昧な主張で終わってしまうのでしょうか。

鈴置:韓国人がショックを受けたのは、あくまで「日本を孤立に追い込んだはずが、実は自分が孤立していた」ことなのです。

 大手メディアは、米国が「慰安婦」で日本に軍配を上げたのは日本のカネに負けたから――と総括しました。「カネ」とは議会工作や、対米軍事協力の拡大を指します。要は、戦術的な失敗と捉えたのです。

 その結果、敗北の根にある戦略的な問題――「二股外交」の危さに目が行かなくなったのです。だからメディアは依然として「米中両大国と仲良く」と、理想論を書き続けるのです。

コウモリの末路

—でも「二股外交」は限界に達したと見るのが自然でしょう。

鈴置:確かにそうです。米中が対立を深める中で、双方の味方であるふりをする韓国は、誰からも信頼されなくなりました。典型的な「コウモリ外交」です。

 でも「二股の失敗」を指摘する以上、メディアは米中どちらに身を寄せるべきか、社論をはっきりさせねばなりません。これを避けたいこともあるのだと思います。

 メディアは今も、米中どちらが覇権を握るのか見極めてから立場を明らかにする――要は、勝ち馬に乗ろうとしているのです。

 もちろん、朴槿恵政権も同じ発想で外交政策を組み立てています。韓国は依然として、国を挙げて機会主義に邁進中なのです。

 それにメディアは、読者に語ってきた「米中両大国を操る夢」をいまさら引っ込められないのでしょう。この共同幻想を作りあげてきたのはメディアですから。

 なお、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムなど、親米保守のネットメディアは「そもそも二股外交が無理筋だった」と批判します。が、メディア全体から見れば、少数派に留まっています。

左派は「孤立」を利用

—では、国民は「米中を操る夢」を未だに見ているのですか。

鈴置:国民の方がメディアや政権より、冷静かもしれません。夢から醒めた人も多いようです。中には初めから「夢だ」と思いながら、夢見ていた人もいると思われます。

 交流ソフト(SNS)や韓国紙の電子版への読者の書き込みを見ると「外交的な孤立」に対し、4つの解決策が語られています。

 まず、米国側への復帰、です。日本が米国にぐんと接近した。だから慰安婦問題でも韓国は言い分を聞いてもらえなかったのだ。だったら日本に負けないよう米国との同盟強化に動くべきだ、との考え方です。

 次が、中国側に走る、です。慰安婦問題で米国は韓国の肩を持ってくれなかった。それなら、一緒になって日本を非難してくれる中国との関係を強めよう、との発想です。

 米国だろうと中国だろうと、どちらかに寄ろうという意見の人は「二股の夢」からは醒めていると言えます。

 残り2つは、すぐには実現しない構想ですから「新たな夢」を見る人々と呼ぶべきかもしれません。まずは北朝鮮との関係改善論です。

 「北朝鮮と対立しているから、米国など周辺国の顔色をうかがわなくてはならないのだ。北と関係を改善すれば、慰安婦で日本側に立った米国に対しても強く出られる」との理屈です。

 この主張はハンギョレなど左派系紙にも見られます。北との対話に消極的な朴槿恵政権を批判する材料として、左派は「外交的孤立」を利用し始めたのです。

 最後は核武装論です。米国に逆らえないのは軍事力がないからだ。核を持てば米韓同盟も不要だ。米国がいくら日本だけを可愛がっても、悩まなくてよくなる――というわけです。

渦巻く米国への不信感

—4つの意見は、それぞれどれぐらいの比重ですか?

鈴置:様々の記事への書き込みからの観察ですから、正確なデータはありません。まあ、ものすごく大雑把に言えば、4つの意見の登場頻度に大きな差はない感じです。

 ここで注目すべきは、【1】「米国への復帰論」に代表される「親米派」が意外と少ないことです。

【2】「中国側に走る」はもちろん、【3】「北朝鮮との関係改善論」も【4】「核武装論」も、米国にはもう期待しない、との意識が根にあります。これらの、言わば対米独立論は合わせると過半数を超えるように思われます。

 慰安婦に象徴される歴史問題に関し「米国は常に韓国の味方だ。必ず日本を叩いてくれる」との思い込みが異様に強かったためでしょう。その反動から米国への不満と不信が渦巻き始めたのです。

亀裂が入った米韓同盟

 そんな空気を映す記事も登場しました。朝鮮日報の金泰勲(キム・テフン)デジタルニュース本部次長が書いた「米国が韓国人の心を得ようとするのなら」(5月7日、韓国語版)です。

 まず「慰安婦を謝罪しない安倍晋三首相に対し、米国が議会演説を許したため韓米日の協力体制に亀裂が入った」と断じます。

 そのうえで米国に強く反省を求めました。ポイントを要約します。日本人に馴染みのない韓国の人名は省きます。

  • 米国が亀裂を縫い合わせようとするなら、韓国政府に「日本との関係を改善しろ」と要求するだけではなく、韓国の国民の心をつかむべきだ。
  • 安倍首相の訪米中に米議会の前でデモした元慰安婦、ハーバード大学で沈黙デモを企画したり、安倍首相に質問した韓国系学生。彼らは韓国人がどう思っているかを米国に知らしめた。
  • 彼らは、107年前に「韓国は日本の保護を受けるべきだ」と主張したD・W・スティーブンスを処断した2人の韓国の義士を思い起こさせる。

 「外交的失敗」から韓国政府は弱腰になり、米国の求める日本との関係改善を受け入れるかもしれない。しかし、韓国の国民は怒っているし「対日懲罰」をあきらめない。韓国民を軽んじると韓米同盟に亀裂が入るぞ――との主張です。

米国人を誅する韓国の義士

—スティーブンスとは?

鈴置:1904年に日本の推薦で大韓帝国の外交顧問に就任した米国人D. W. Stevensのことです。一時帰国中の1908年に「愛国的な」2人の在米韓国人によって暗殺されました。

—駐韓米国大使が韓国のナショナリストによって殺されかけたばかり。なかなか大胆な記事ですね。

鈴置:ええ、米国人が読んだらぎょっとするでしょう。書いた当人は「アベに議会演説を許した米国への韓国人の怒りは、それほどに大きいのだ」と強調するつもりなのでしょうけれど。

 政府が外敵に屈した後も、民間の志ある人々が――つまり義士が立ち上がって敵に一矢報いてきたのだ、という共通認識が韓国社会にはあります。

 この記事中にも、ちゃんと3月の襲撃事件が言及されています。ただ、リッパート(Mark W. Lippert)駐韓米国大使は「韓国人の心をつかもうとしている」と評価されていますから、さらなるテロの対象になるわけでもなさそうですが。

世界の碩学がアベ批判

—「韓国はしょげ返っている」と思っていましたが、そうとばかりは言えないのですね。

鈴置:その通りです。5月5日、世界の187人の学者が英語と日本語で、慰安婦に関し「日本の歴史家を支持する声明」を発表しました。これで韓国人は元気を一気に取り戻しました。

 187人は米国のアジアを研究する学会に所属する人々で、日本研究者が中心です。金泰勲デジタルニュース本部次長も、結語で以下のように触れています。

  • エズラ・ヴォーゲル(Ezra F. Vogel)ハーバード大学名誉教授ら世界的な歴史学者たちが先頃、安倍首相に慰安婦問題の解決を求める声明を発表した。
  • 韓国人の心をつかんで同盟を強化するという米国の韓米日協力外交は、この声明を尊重することから始めるべきだ。

 孤立感を深める中で、韓国人は強力な援軍を得た思いだったのでしょう。各紙は直ちに社説でこの声明を引用し「世界の著名学者がアベを批判した」と一斉に主張しました。

知日派も韓国の味方だ

 朝鮮日報の「日本の慰安婦歪曲、世界的学者が我慢ならないと立ちあがった」(5月7日、韓国語版)、中央日報の「安倍首相は軍の慰安婦を否定せず、歴史を直視せよ」(5月7日、日本語版)、ハンギョレの「安倍首相に対する世界の歴史学者の警告」(5月7日、日本語版)などです。

 中でもエズラ・ヴォーゲル名誉教授は韓国でも「知日派」として知られています。「あのヴォーゲルが日本を叩いてくれた」と喜んだ人が多いのです。

 187人の学者は声明で、日本は動員の強制性などに拘るが、残忍な行為を受けた慰安婦が存在するのは事実だ。日本は制度として女性を搾取した「慰安所」の存在から目をそらすな――と主張しています。そして結論部分は以下です。「ですます調」の日本語版からそのまま引用します。

  • 今年は、日本政府が言葉と行動において、過去の植民地支配と戦時における侵略の問題に立ち向かい、その指導力を見せる絶好の機会です。
  • 4月のアメリカ議会演説において、安倍首相は、人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性について話しました。
  • 私たちはこうした気持ちを賞賛し、その1つ1つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません。

韓国批判には知らんふり

—この声明は、韓国をも批判していると聞きましたが。

鈴置:実はそうなのです。以下の部分です。

  • この問題は日本だけではなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました。
  • 元「慰安婦」の被害者としての苦しみがその国の民族主義的な目的のために利用されるとすれば、それは問題の国際的解決をより難しくするのみならず、 被害者自身の尊厳をさらに侮辱することにもなります。

 でも各紙とも、社説ではこの対韓批判は完全に無視しています。そこを引用したら、対日批判がブーメランのように自分に戻ってきてしまうからです。

 「韓国も批判されているのだ」と指摘した記事は、私が見た限りでは1本だけでした。朝鮮日報の金泰翼(キム・テイク)論説委員の「世界的な歴史学者187人が韓国に送った苦言」(5月12日、韓国語版)です。

 「せっかく日本軍慰安婦を取り上げてくれたのだから、声明では米軍慰安婦にも触れてほしかった」――と書く韓国紙が出るかな、と思いましたが、それも見当たりませんでした。

 朝鮮戦争以来、在韓米軍向けの、この声明風に言えば――制度として女性を搾取する――慰安施設が韓国に生まれました。ここで働いた女性から、韓国政府は訴訟も起こされているのですけれどね。

 いずれにせよ「日本との外交戦に負けた」としょげ返っていた韓国人は「米国の学者が韓国を支持したのだ。それをテコに米国政府を揺さぶって味方に付ければ、対日外交戦争でまだ巻き返せる」と元気を出したのです。

韓国にはない「曲学阿世」批判

—でも、いくら「世界的に著名な学者」とは言っても、学者の主張です。

鈴置:そこが日本人と意識が根本的に異なる点です。韓国では学者が極端に偉いのです。1950年、米国との単独講和に反対した東大総長に対し、当時の吉田茂首相が「曲学阿世」――真理を曲げ、世間におもねるな――と批判しました。

 一方、韓国では学者がどんなに空論を吐いても「曲学阿世」などと非難されません。「学者は偉い」からです。それに先ほども言いましたが、韓国人はとにかく援軍が欲しかったのです。

 「日本の歴史家を支持する声明」が発表された翌日の5月6日、朴大統領が駐韓外交団向けのレセプションで「国際政治は国家利益で動くというが、本当に重要なのは信頼だ」と述べました。

 米国を念頭に置いた発言と思われます。韓日間の外交戦で米国が日本の手を上げたのは、米国の利益に沿って日本が中国包囲網に積極的に協力すると決めたからだ――と韓国では報じられています。

 朴槿恵大統領は米国に対し「そんな目先の利益だけで動くと、韓国の信頼を失うぞ」と釘を刺したつもりでしょう。

「離米従中」で信頼失った韓国

—米中間で二股をしながら、米国に「自分の信頼を失うぞ」と脅すのも変ですね。

鈴置:韓国では、論理的な整合性とか一貫性はさほど重視されないのです。実際のところ、米韓関係の最大の問題は「離米従中」に突き進む韓国に対し、米国が信頼を失ったことにあるのですがね。

 とにもかくにも韓国は、日本との外交戦が終わったとは考えていません。朴槿恵大統領は6月中旬に訪米、オバマ大統領と会談します。その場を対日外交戦の第2ラウンドと位置づけて、逆転を図るつもりと思います。

米国が韓国に言い渡した。中国に対抗するため、米国は日本とスクラムを組んだのだ。「慰安婦」で我々の仲を裂こうとするな――。

韓国を見透かしたマイケル・グリーン

—前回は「日本との外交戦に負けた」としょげ返っていた韓国が、突然、元気になった、という話でした。

鈴置:エズラ・ヴォーゲル(Ezra F. Vogel)ハーバード大学名誉教授ら187人の日本研究者たちが、安倍晋三首相に慰安婦問題の解決を求める声明を発表したからです。

 この「日本の歴史家を支持する声明」は、韓国の姿勢にも疑問を投げましたが、韓国各紙はそれをほとんど無視。この声明を援軍に外交戦で日本に逆襲しようと、メディアは戦意を盛り上げました。

 実は、この状況を見越していたかのような記事があります。マイケル・グリーン(Michael Green)戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長兼ジョージタウン大学准教授が、安倍首相の訪米直前に中央日報に寄稿した「安倍の訪米に韓国は何を期待するのか」(4月24日、日本語版)です。

米国も左派は「反・安倍」

  • ニューヨーク・タイムズ(NYT)のようなメディアは安倍首相の議会演説を非難するだろう。だが彼の演説を歓迎するメディアもあるだろう。
  • 日本と同じように、安倍政権に対する米国エリートの見解は理念によって分かれている。米国人は一般的に日本に対して非常に肯定的な見解を持っている(もちろん韓国に対しても非常に肯定的だ)。

 米国の左派は安倍演説を批判するだろうが、それに舞い上がって現実を見誤ってはいけないよ、とのアドバイスです。

 なお、丸かっこの中の「もちろん韓国に対しても……」のくだりは日本語版と韓国語版(4月24日)にはありますが、大元の英語版「What to expect from Abe’s visit」(4月27日)にはありません。「日本とどちらが上か」を気にする韓国人読者に配慮して入れたのでしょう。

「慰安婦」で対中包囲網を妨害

—このコラムの狙いは?

鈴置:中国の横暴を抑えるため、日米は同盟関係を可能な限り深める。朴槿恵(パク・クンヘ)政権も日―米―韓の3国協力体制にしっかりと入ることが求められるよ――との忠告でしょう。結論部分で以下のように書いています。

  • 日本に対する米国人の信頼度は実は、安倍首相になった後さらに高まった。日米首脳会談が成功裏に終われば、日米防衛協力指針と環太平洋経済連携協定(TPP)にはずみをつけることになろう。
  • オバマ大統領にとっては政治的に大きな勝利になるだろう。米政府は首脳会談の結果として、韓日関係に突破口が用意されることとは期待していない。が、安倍首相の訪米が韓日首脳会談と韓日米協力の強化の契機になることを期待している。

 中国は南シナ海で埋め立てを進めるなど、露骨な膨張政策に乗り出しました。それを阻止するため、米国は日本をはじめ豪州、ベトナム、フィリピンとの軍事協力を急速に強化しています。

 一方、韓国はそれに加わらないどころか、対中包囲網を妨害しています。2014年7月には日本の集団的自衛権の行使容認に中国とともに反対しました。「慰安婦」で韓国が大声を上げるのも、その一環と見なされ始めました。

日本がいくら謝罪しても……

 そんな韓国に対し、グリーン副所長以上に厳しい警告を発したのがビクター・チャ(Victor Cha)ジョージタウン大学教授です。

 日米首脳会談の直後に中央日報に載った「韓日首脳に本当に重要な問題」(5月1日、日本語版)をご覧下さい。ハイライトは以下です。

 なお、大元の英語版は5月4日に掲載された「Hard questions for Park and Abe」です。

  • 今回の首脳会談準備期間に私は慰安婦問題をめぐる談論を絶えず反すうした。この問題に対する本当に難しい質問は、安倍首相ではなく韓国国民に投げかけられたと信じる。
  • 次のような質問だ。もしある日本の首相が「侵略」「植民地支配」「反省」という言葉を慰安婦問題に関連する発言として使うなら、韓国はこれを謝罪と受け止めて最終的な解決のために動くのだろうか。
  • (韓国は)日本が何と言おうと、これを「真情」ではなく「戦術」から出たものとして拒否する可能性が高い。日本があらゆる形態の悔いる権利を拒否し続けるのは、多くの人々にとって政治的に安全だ。不幸なことではあるが。

ゴールポスト論

 日本がいくら謝罪しても、韓国は後から「日本はちゃんと謝罪していない」と言い出します。だから日本の謝罪は問題の解決につながらない――。ここを、ビクター・チャ教授は突いたのです。

 これは「動くゴールポスト論」と呼ばれています。韓国は後から「やっぱり不十分だった」として「謝罪のゴール」の位置をどんどん移すからです。

 ビクター・チャ教授は「もう、韓国の手口は米国にも見透かされている。どんなにうるさく言ってきても今後、米政府は日本に対し慰安婦で韓国に謝れと要求しないと思う。対米交渉の基本方針を変えた方がいい」と示唆したのだと私は思います。

 そもそも、米国人が公開の場で「ゴールポスト論」を持ち出すのは珍しい。本当のこととはいえ、いや、本当のことだからこそ、これを指摘されると怒り出す韓国人が多いのです。そうなると、冷静な話し合いは期待できませんからね。

—では今回、なぜビクター・チャ教授は韓国紙でこれを書いたのでしょうか。

鈴置:同教授に聞いたわけではないので、その意図は分かりません。ただ、多くの米国のアジア専門家が「もう、韓国はかばえない」と言い出しています。

もう、韓国はかばえない

—いわゆる「韓国疲れ」(Korea Fatigue)ですね。

鈴置:ええ、韓国人が米国に押し寄せては「アベに議会演説させるな」「日本に謝らせろ」としつこく要求したからです。筋違いの要求に米国の専門家は困り果てていました(「『アベの議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。

 5月18日、韓国での会見で「慰安婦」を聞かれたケリー(John F. Kerry)国務長官は「日本が謝罪を繰り返したことに留意している」と述べました。「もう、慰安婦の話は米国にするな」ということです。

 それに加え韓国人のあまりのしつこさから、ワシントンには韓国を中国の手先と見なす空気が高まってきました。だから米国のアジア専門家も「もう、かばえない」と言い出したのです。

 3月13日、ワシントンで米シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)は「Japan-Korea relations at 50: The weakest link in Asia」(英語による動画=日韓関係正常化50年、最も弱いアジアの輪)と題するセミナーを開催しました。

 この場で、リチャード・ローレス(Richard Lawless)元米国防副次官は「中国は歴史問題を使って韓国との関係を強化し(「日―米―韓」協力の)現状を分断するつもりだ。それにはある程度成功している」と指摘しました。

 ローレス元米国防副次官は朴正煕(パク・チョンヒ)時代から韓国を知る人、と言われています。この発言は動画開始後10分30秒後あたりからです。

ヴォーゲル声明に反発

 中国は「日―米―韓」の対中軍事同盟を必死で突き崩そうとしています。そのパーツたる「日韓」と「日米」双方を一気に分断する必殺技が、慰安婦など歴史問題です。

 韓国をけしかけ日本と対立させる。当然「日韓」関係が悪化します。さらには「日米」関係をもおかしくすることが可能です。

 韓国の求めに応じ米国が日本に対し「慰安婦で韓国に謝れ」と要求すれば、日本人は米国に悪感情を抱くからです。

 実際、米政府ではありませんが、エズラ・ヴォーゲル ハーバード大学名誉教授ら米国の学会に属する学者が「日本の歴史家を支持する声明」を発表すると、一部の日本人は米国に強く反発しました。

 中国自身が日米離間を図るよりも、米国の同盟国である韓国にやらせる方が、はるかに効果が大きいのです。

対日歴史戦争で中韓が共闘

—「韓国を日本から引き離す」だけではなく「韓国を手先に使って日米関係も壊す」のが中国の作戦なのですね。

鈴置:中韓両国は対日歴史戦争で共闘体制を強めてきました。例えば、表に出たものに「慰安婦の証拠発掘プロジェクト」があります。

 2014年12月15日に聯合ニュースが「中韓両国の政府系機関が慰安婦で共同研究の覚書結ぶ」と報じています。「韓中政府系機関 慰安婦問題共同研究へ=MOU締結」(日本語版)です。

 見落とすべきでないのは、韓国は、日本とだけではなく米国からも離れ始めたことです。「日韓」だけではなく「米韓」も疎遠になっているのです(「米中星取表」参照)。

 この立ち位置の急速な変化こそが「中国の手先化」の何よりの証拠――と米国のアジア専門家は見なしています。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか

(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年5月21日現在)

案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

北朝鮮が水中発射に成功したのに

「離米従中」ですね。

鈴置:米国が在韓米軍に終末高高度ミサイル防衛(THAAD=サード)を配備しようとしています。しかし、韓国は受け入れに応じません。中国から「反対しろ」と命じられたからです。

 米国は、韓国を守るために駐屯する在韓米軍を防御するための装備も持ち込めないのか――と呆然としました。

 4月16日にスカパロッティ(Curtis M. Scaparrotti)在韓米軍司令官は米上院軍事委員会で「私は司令官として米軍の防衛を考慮する必要がある」と述べています。

 5月18日、ソウル市内の在韓米軍基地を訪問したケリー国務長官は「我々はすべての結果に備えなければならない。これが、我々がTHAADを語る理由だ」と述べました。

 北朝鮮がミサイルの水中発射に成功した、と5月9日に発表したばかりです。THAADの在韓米軍への配備に必要性がどんどん高まっています。ケリー長官は韓国政府に「催促」したものと見られています。

 というのに韓国政府はこの発言に対しても「ケリー長官との会談ではTHAADの問題は一切、話し合われなかった」と繰り返すばかりでした。

韓国に操られる米国

 そもそも最近の韓国の「外交敗北論争」自体が米国離れを象徴しています。これは3月30日の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の発言が引き金になりました(「朴槿恵外交に噴出する『無能』批判」参照)。

 尹炳世外相は「米中の間に挟まれた韓国の境遇は厄介なことではなく、双方からラブコールを受ける祝福として受け止めるべきだ」と語ったのです。

 外相が堂々と「二股外交をうまくやっている――米中を上手に操っている」と誇ったのです。「操られている」米国は面白くないに決まっています。

 この発言には批判も出ました。でもそれは「二股が上手くいっていないこと」に対してだったのです。決して「同盟国の米国と、中国を等しく見るべきではない」との世論が高まったわけではなかった。

 米国はますます韓国を疑いの目で見たことでしょう。そんな中、韓国が「慰安婦で日本を叱ってくれ」と言ってきたのです。素直に「分かりました」と日米離間策に乗るほど、米国はお人好しではありません。

「同盟国相場」の急騰

—米国の実務家は韓国の本性を見切ったのですね、学者はともかくとして。その米韓が6月中旬に首脳会談を開きます。

鈴置:会談では、韓国がどれだけ米国の要求に応じるかが見どころです。韓国は同盟国としての義務から逃げ回っています。

 そのうえ安倍首相の訪米によって、米国の同盟国であることの「会員権相場」が一気に跳ね上がったのです。

 このため朴槿恵大統領は、オバマ(Barack Obama)大統領に対しTHAAD受け入れぐらいは表明するだろう、と見る外交専門家もいます。

 ただ、中国は強くこれに反対しています。朴槿恵大統領は9月に訪中の見込みです。「対日戦勝70周年記念式典」参加が目的で、習近平主席と会談する可能性もあります。オバマ大統領に安易に手形を切りにくい状況でもあります。

オバマに直訴して逆転

—結局、米韓首脳会談はどういう展開になるのでしょう。

鈴置:よく分かりません。ただ、興味深い主張が韓国紙に載るようになりました。「朴槿恵はオバマに慰安婦を語るな」との趣旨です。

 逆に言えば「オバマ大統領に対し朴槿恵大統領が直訴すれば、日本との外交戦で逆転できる」との発想が根強いことを物語っています。

 外交通商部北東アジア局長を歴任した、趙世暎(チョ・セヨン)東西大学特任教授は中央日報に「朴大統領の訪米、韓日関係に縛られるべきでない」(5月13日、日本語)を寄せました。注目すべきは以下です。

  • 韓国人は、大統領訪米で韓日の過去の問題に対する米国の協力を引き出せるかに関心を持つ。米国の圧力だけが日本の姿勢の変化を引き出すことができるという主張が多い。
  • しかし、今回の安倍首相の訪米に見られたように、米国は日本に圧力を加えて実利を失うことはしない。安倍政権が圧力を受け入れる可能性もほとんどない。

 まだ、韓国には「米国に頼んで、日本に謝罪させよう」との意見が燻っていることがうかがえます。そして韓国では、朴槿恵大統領は「空気」に流されがちと見なされています。

 実務に長けた外交専門家として、趙世暎教授はその火消しに出たのです(「ナポレオン3世に擬された朴槿恵」参照)。

THAADと慰安婦

 朝鮮日報のペ・ソンギュ政治部次長も「大統領の訪米は『過去を巡る外交戦』の舞台ではない」(5月16日、韓国語)を書きました。ポイントは以下です。

  • 韓国の外交当局には悩みが多い。安倍首相の訪米時に繰り広げた韓日外交戦でいいところがなかったとの無念さからだ。朴槿恵大統領の6月訪米を「歴史認識問題の外交戦の第2ラウンド」と考える一部の人の視線もプレッシャーになっている。
  • 今、韓米間に必要なのは美辞麗句や対日競争外交ではない。韓米間の共通の利益と信頼性を高める実質的な成果だ。

—「慰安婦」に関し、米国が「もう言うな」とイエローカードを切っているのに、まだ韓国は言い募るつもりなのですか?

鈴置:「慰安婦」は日本をへこませるための道具に留まりません。米国が進める「日―米―韓」軍事協力体制に「NO!」と言うための言い訳でもあります。

 オバマ大統領が「THAADを韓国に配備したい」と言い出したら「慰安婦で日本が謝らないから駄目だ」と反撃するかもしれません。

へ理屈を言い続けるしかない韓国

—「THAAD」と「慰安婦」は何の関係があるのでしょうか。理解できません。

鈴置:もちろんへ理屈なのですが、韓国はこれまでもそうした奇妙な理屈を言い訳にしてきました。

 2013年9月30日、訪韓したヘーゲル(Charles T. Hagel)国防長官(当時)が朴槿恵大統領を表敬し、3国軍事協力体制の構築を持ちかけました。

 朴槿恵大統領はそれを断るのに「慰安婦の苦しみ」を持ち出したのです(「ついに米国も韓国に踏み絵を突きつけた」参照)。

 在韓米軍に配備されるTHAADは、在日米軍や日本のミサイル防衛(MD)と連携して運用される可能性が大です。

 韓国は「慰安婦で謝らない日本とは軍事協力できない」と言い張ることで、THAAD配備に「NO!」と言えると考えているでしょう。

—でも、そのへ理屈は米国からすっかり見透かされているのではありませんか。

鈴置:その通りです。でも、米中間で板挟みになった韓国としては、米国から言い逃れるには「慰安婦」を使うしか手がないのです。

5/20日経ビジネスオンライン 福島香織 『習近平の知識人狩り、希望を粛清 良心的知識人を排した先は、悪夢しかない』記事について

習近平は毛沢東を尊敬し、マネをしていると言われていますが、本記事は文化大革命の再来かもしれません。元々毛は文革を政敵倒しの名目に使ったわけですが、知識人もこの網から逃れることはできず、文豪老舎は入水自殺します。実際は、紅衛兵に殺されたも同然でした。習も同じように知識人を目の敵にしています。一党独裁の弊害です。物事の道理が分かる人間=知識人としたら共産党政権にとってこんな怖いことはありません。共産党統治の正統性は否定されるでしょうから。日本共産党だって政権を取ったとしたら中国と同じことをするでしょう。何せ中国は三権分立でなく、為政者の意のままに動かせる国で、反対する者には厳しい弾圧をします。

中国共産党に操作されている政治家(二階とか翁長等親中派議員)や財界(経団連)、マスメデイア(サンケイを除く媒体全部)はこういう状況を知っていて日本国民を誤導しようとしています。本記事を読めば共産党支配の恐ろしさが分かるハズです。選挙のときに、共産党や社民党、民主党左派には入れないことです。またメデイアの洗脳から脱し、保守派の活動を支援して戴きたいと思っています。

記事

中国の人権状況が急速に悪化している。多くの人が、冤罪の言いがかりであると分かっているにもかかわらず、このほど人権派弁護士の浦志強がついに起訴された。その罪名は、民族の仇恨を扇動した罪、という。民族の仇恨とはなんだろう? 4月には改革派ジャーナリスト 高瑜が国家機密漏洩罪で懲役7年の判決を受けた。何が国家機密漏洩だというのだろう。昨年9月には、ウイグル族学者のイリハム・トフティが国家分裂罪で無期懲役判決をうけ、上訴するも、そのまま罪が確定してしまった。誰が国家を分裂させようというのだろうか。

 彼らはみな中国の敵ではなく、暗黒に見える中国人権状況の未来をほのかに照らす小さな星のような人物たちだった。決して急進的ではなく、体制内にも、彼らの主張に賛同する官僚や政治家が大勢おり、現体制を覆すのではなく、むしろ支えて、良い方向に転換させていこうとしてきた、体制内の改革派人権派知識人である。こういった良心的知識人がいるからこそ、真っ暗に見える中国の未来にもかすかな希望があるのだと思い直すことができた。ところが、今やこの体制内にいる、良心的な知識人を習近平政権は「反動知識分子」と呼び、粛清の対象としている。

深刻にして悪辣な「言いがかり罪」

 浦志強が正式に逮捕されたのは昨年の6月30日。この時の逮捕容疑は、いわゆる「騒動挑発罪(言いがかり罪とも訳す)」と「個人情報の不正取得」だった。昨年5月3日、天安門事件(1989年)に関する非公開の私的勉強会に出席し、5月6日に身柄を拘束された。この勉強会に出席したことで同じ時期に身柄拘束された徐友漁ら4人の知識人たちはその後釈放されたが、彼だけが、そのまま正式逮捕され、そして約1年たった今年5月15日に正式起訴が発表された。この時、起訴状に書かれた罪名は「民族の仇恨を扇動した罪」および「騒動挑発罪」。起訴状には、「被告人浦志強はネットを利用して、前後して何度も微博(ツイッターに似たSNS)で、民族の仇恨を扇動。公然と他人を侮辱するなど、その状況は深刻にして悪辣であり、社会秩序を破壊するものとして、刑事責任が問われるべきである」とされた。

では浦志強が微博を通じて煽ったという民族の仇恨とは何なのか。

 香港紙明報によれば、検察側は、浦志強が発信した30あまりの微博の中に「新疆は中国のものだが、中国は植民地のように扱ったり、征服者・掠奪者となってはならない。…相手を敵とみなすのは誤った国策である」「昆明事件(2014年、昆明鉄道駅でウイグル族グループが起こした無差別殺人、29人の無関係の旅客が殺害された)は非常に血なまぐさく、犯人の罪は非常に深い。新疆独立派がテロの恐怖を生んでいるという言い方は、しかし、結果であって原因ではない。きわめて凄惨で、結果は堪えられないものだが、新疆独立派の残虐さに対して、あなたに責任がないというのであれば、私は不満である」といった発言を民族の仇恨を扇動したものとして、問題視しているようである。また「公然と他人を侮辱する」が指すのは、毛沢東の毛新宇に関する議論や、山西省の人民代表(国会議員に相当)申紀蘭が全人代制度が始まった1954年から60年以上も人民代表を続けており、しかも一度も全人代決議において反対票を投じたことがないことなどを指摘した発言のようである。

拷問反対の思想家は、都合が悪い

 浦志強は、弱者の立場にたって人権や自由のために戦う弁護士として中国国内でも評価され、2012年暮れには「南方人物週刊」や「新週刊」などの雑誌が中国社会に影響を与えた「年度人物」として取り上げた。2014年から、中国共産党政治の悪習であった労働教養所が廃止になったのも、その違法性を訴えてきた彼らの地道な活動の成果とポジティブに受け取られていた。当然、国際社会でも注目され、米フォーリンポリシー誌も「百人の思想家」に選んでいる。

 今回、彼が起訴された本当の理由は、おそらく起訴状には書かれていない。彼が習近平政権に都合の悪い人物とみなされたに過ぎない。おそらくは中央規律検査委が司法の外で行う「双規」(共産党幹部に対して司法機関より前に紀律検査委として取り調べを行う制度)の廃止を目指して活動を開始したことが理由だと見られている。2013年に双規の取り調べ中に拷問を受け、3人の官僚が死亡したことで、「双規」が単なる党内調査ではなく、時に政敵に対するリンチが行われ、法治を標榜する国であってはならない制度であることは誰の目にも明らかになっていた。習近平政権の「反腐敗キャンペーン」と言う名の粛清の嵐が吹き荒れる中、多くの地方官僚たちにとって「双規」中の拷問は、明日は我が身の危機でもあり、浦志強の活動に対しては党内でも期待が高まっていたという。

 しかし、双規制度にケチをつけるということは、一党独裁の根幹を揺るがすことでもある。一党独裁の根幹とは、党の掟・党規が司法、憲法を含めて法の上に立つという了解であり、党幹部を裁くのは党中央だけである、というルールである。

 この党幹部を裁くのは党中央だけ、というルールは、習近平政権になってから、さらに党幹部を裁くのは習近平と王岐山である、に変わってきている。つまり、浦志強の「双規撤廃」への活動は、習近平体制への抵抗と受け止められたということだろう。

71歳のジャーナリスト、3度目の投獄

 高瑜の懲役7年の判決も衝撃であった。71歳になる彼女は、そのジャーナリスト人生において天安門事件後の90年、93年に続く3度目の投獄を経験することになった。人生で3度も、言論を理由に投獄されるジャーナリストなど、他の非民主国家でもあまり聞かない。彼女の罪状である国家機密漏洩とは、いわゆる「9号文件」(習近平のイデオロギー政策に関する内部通達文書。西側の民主、人権、公民の権利、市場経済など、7分野について中国の現状を批判する形で流布してはならないと通達するのを否定する内容、大学などで通達されている『七不講(七つのタブーな話題)』の基礎となっている)を外国メディア(米ニューヨークタイムズ、香港明鏡月刊)が2013年8月に報じたことに関与した、ということになっている。

 彼女は2014年4月24日突然、“失踪”。2週間後に機密漏洩で逮捕されていたことが明らかになった。さらに同年5月8日、起訴前の拘置所の中に中国中央テレビ(CCTV)のカメラが入り、彼女が自白と懺悔をする様子を全国に流した。裁判も経ずに、テレビで有罪を印象づけるこうした手法は、習近平政権の劇場型知識人弾圧というべきものだった。そして今年4月17日に北京市中級人民法院で懲役7年が言い渡された。

 これが冤罪であることは、誰もが内心わかっている。まず、9号文献の内容など、すでにネットで流布していたという。

 9号文件のスクープ報道をした明鏡月刊の出版元明鏡新聞出版(本社、米国)の総裁・何蘋は2013年8月時点ですでに流布していたと主張している。その年4月に、各部門に通達され、遼源日報など一部の地方紙はその内容を紙面で紹介し、メディアとして全面的に学習するように呼びかけたという。また明鏡月刊は文件の原文をかなり早い段階で入手しているが、表紙に「秘密」の文字もなければ、流出禁止の注意書きもなかった、と言う。「9号文件の全文を報じたのは、国家や人民の生活を損なうつもりはなく、ただ中国共産党のイデオロギー政策を紹介しただけ」としている。

 彼女を有罪にしたのは、機密漏洩などの問題ではなく、おそらくは中国のジャーナリスト、知識人が外国メディア・記者と自由に意見を交換することを牽制する目的であろうとうかがえる。

反動知識分子に厳しい打撃を

 イリハム・トフティは2014年1月15日、突然自宅に押し寄せた警官隊に「証拠」を押収され、「ネットを使って新疆独立を呼びかけていた」として「国家分裂容疑」で連行され、2月20日に正式に逮捕された。7月30日に起訴され9月23日に無期懲役の一審判決が出て、11月21日に一審判決が確定した。彼は2009年7月5日のウルムチ事件の背景であった当時の新疆ウイグル自治区党委書記の王楽泉の圧政に対する厳しい批判はしてきたが、決して、新疆独立派ではない。少なくとも胡錦濤政権は、彼の主張を受け入れる形で、ウルムチ事件後に一時拘束するも釈放し、王楽泉を更迭し、新疆政策の転換を図ろうとした。彼もまた、まぎれもない冤罪である。

 ではなぜ、習近平政権は、ニセの罪をでっちあげて彼ら体制内の知識分子たちを粛清するのだろうか。習近平は2014年8月19日に全国思想宣伝工作会議でおこなった重要講話(8・19講話)の中で「反動知識分子」について、こう語っている。「一部の知識分子はネットを利用して、党の指導、社会主義制度、国家政権に対し、デマを流し、攻撃し、誣告している。彼らに対し、必ず“厳しい打撃”を与えねばならない」「良い知識分子を奨励し、悪い知識分子を取り締まらねばならない」。

 習近平政権にとって良い知識分子とは自分を賞賛してくれる知識分子であり、自分の政策に批判的な知識分子は悪い知識分子である。悪い知識分子が公民運動家の許志永、イリハム・トフティ、高瑜、浦志強らだった。昨年来、知識分子たちの間では、こんな噂が立っている。「習近平政権は、知識分子のスケープゴートを非常に考え抜いて計画的に選んでいる。許志永が2014年1月に懲役4年の判決を受けたことで、新公民運動に打撃を与えた。続いてネットの微博で『大V』アカウントをもつ発信力のあるネットユーザー、ブロガーたちを威嚇し、続いて浦志強を逮捕することで人権派弁護士たちに容赦のない姿勢をみせて、高瑜にCCTV上で罪を認めさせて独立派ジャーナリストたちを恫喝した。今後もメディア界、評論界、学界で習近平にとって『悪い知識分子』が反動知識分子として狩られることだろう」。その業界で、もっとも有名かつ象徴的な人物をもっとも残酷な方法で見せしめにし、恐怖でもって知識分子たちをコントロールし、政権に従順にすることが狙いだというわけだ。

諫言を断罪、追従を強いる愚

 なので、冤罪であろうが、取り調べや裁判がフェアでなかろうが、政権の目的と全く関係ないのである。香港消息筋の話を信じれば、高瑜の懲役7年判決も、浦志強の起訴も習近平その人が決定したと言う。浦志強はすでに懲役8年から13年を党中央指導部が指示されているという噂もある。こういう状況なので今の中国国内の学者や記者、また日本を含む海外の大学などに在籍する中国人学者や特派員記者が習近平政権を肯定し、習近平をあたかも実力派の優秀な指導者だと賞賛するのは致し方ないことなのだろう。最近、そうした体制内学者や中国人記者たちをネタ元にしている外国メディアや外国の官僚たちに、習近平が非常に優秀な指導者であり政治家であるといった評価を言う人が増えている。

 だが、本当に優秀な為政者とはあえて諫言を聞き入れる人物であり、為政者に気に入られるような発言をするのではなく、あえてその過ちを指摘する人たちを“良い知識分子”とみなすことができる人物のことである。

 今の知識人狩りの様子を見る限りでは、習近平は決してすぐれた為政者ではない。その権力を正しく支え、国家のより良い運営に寄与してくれるはずの“良い知識分子”を自らの手で刈り取って、自分をヨイショするだけの“悪い知識分子”に取り囲まれたまま、どうやって「中国の夢」を叶えることができるだろうか。このままでは、中国に待ち受けているのは「悪夢」でしかない。

5/21Facebook 藤岡信勝氏記事について

欧米人は自分たちの歴史が白人以外の人種に如何に厳しかったかを自覚しているので、有徳の歴史を持つ国に言いがかりをつけ、足を引っ張ろうとします。トリデシャリス条約、重商主義、帝国主義(植民地主義)等、彼らは武力で有色人種を抑えてきました。いつも言っていますように、権威に騙されてはいけません。朝日新聞は戦前は戦争をあれだけ煽り、戦後はGHQの僕になり、今は中韓の奴隷にまで身を窶し隷従の道を進む「反戦平和教」を伝道しています。従軍慰安婦記事も特定国の思いを忖度して、意図的にデッチ上げられたのでしょう。こんなのが「クオリテイペーパー」なんて思わせられているのだから、日本国民の民度も相当低い。日本人が他国の主張に反論しなければ誰がやってくれますか?自分の頭で考え、事実に基づき反論する。それをせず、他人任せ、権威に縋って判断するのでは日本は他国の侵略を免れないでしょう。日本人全体の問題として捉えないと。今回も裏で中国か韓国が蠢いているのが分かります。報道しているのが朝鮮日報ですので。でも数字を挙げて反論すれば、白人も「sex slave」は使えなくなりました。こんなのはちょっと考えれば分かりそうなもの。如何に学者と言うのが頭が悪いかです。多分鼻薬が聞いているのでしょう。南京虐殺30万人もどうやって殺し、どうやって遺体処理したのかを考えれば荒唐無稽としか言いようがありません。彼らは何でも数字を大きく膨らませて声の大きさ、力のある人の買収で自分の正当性を主張します。こちらは事実、数字に基づいて反論していけば良い。「南京虐殺」や「従軍慰安婦」の存在に異論を述べると「極右」、「国粋主義者」、「人種差別主義者」等の悪罵を浴びせなきものにしようとします。日本人もですから。情報を自ら取り、自分の頭で考えることです。

記事

万事につけおっとり、のんびりしている日本の保守派も、さすがにここに来て度肝を抜かれ、危機感を感じ始めたようだ。5月5日に公表されたアメリカを中心とする歴史学者・日本研究者187人の対日批判声明は、その後賛同者がヨーロッパの学者の間にも増え、19日までに、その数457人に達したと朝日新聞(5月20日付け)が報道した。

 私はこれは彼等の既定の方針であり、署名者数はもっと増えて700人ぐらいまで行くのではないかと思う。それだけにとどまらない。日本の歴史学者も、外部の声に呼応して、1000人が署名した、といずれ発表するだろう。これも既定路線で、必ずそうなる。そうした内外からの圧力、日本包囲網、安倍政権への集中砲火の中で、ついに安倍さんは「侵略」への「謝罪」を70年談話に盛り込まなければならないように追い込まれる--これが、連中の作戦である。

 そう思っているうちに、その通りになった。歴史学研究会など、日本の歴史研究関連の16団体が、今月25日に東京で記者会見を行い、「旧日本軍の慰安婦問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体声明」を発表する予定だ、と20日発表したのだ。彼等は、報道資料を通じ「慰安婦問題について、日本の歴史学会および歴史教育団体の意見を発表するため、半年近くにわたって準備を進めてきた」と説明した。その上で「旧日本軍が慰安婦の強制連行に深く関与したことは間違いのない事実だ」という内容を含め、歴史学や歴史教育の関係者たちの統一見解を発表する方針だという。これを報道しているのは、日本の新聞ではなく、朝鮮日報日本語版である。東京=ヤン・ジヘ特派員が書いた記事だ。話が出来すぎている。

 保守派の危機感の表れと思うのだが、夕刊フジが緊急寄稿を、と依頼してきた。その原稿が21日と22日に発売された同紙に載った。本文を以下に転載する。なお、これは編集担当者が送って来たもので、実際に掲載されたものは多少の変更が加えられていることをお含みおき下さい。

 教科書運動の同志・関野通夫さんら数人のグループが、「一番槍」と自称して、187人に英語の手紙を送った、私のこの小文も英訳してネットに投稿せよとの複数の専門家の注文もいただいたので、そうするつもりである。来月1日発売の雑誌『正論』には、私が20枚の反論を書いた。これはすでに茂木さんチームが英訳作業を進めている。出来上がったら署名者全員に送りつけるつもりだ。さらに、あの声明文を、徹底敵に批判した論文を今用意している。そして、日本の保守系学者の総力を結集して、毅然とした反撃の狼煙を上げるつもりだ。(以下、引用)

藤岡信勝氏緊急寄稿  夕刊フジ 5月21・22日発売号に掲載予定

藤岡信勝氏緊急寄稿 上

怪しい声明

反撃の覚悟

 安倍晋三首相が8月に発表する「戦後70年談話」を見据えて、欧米を中心とした日本研究者450人以上が署名した「日本の歴史家を支持する声明」が注目されている。韓国や中国の「民族主義的な暴言」を問題視する一方、日本政府に慰安婦問題など「過去の清算」を促している。当初、「比較的フェア」という見方もあったが、専門家が分析すると「怪しさ」や「狡猾な罠」も感じられるという。日本の知識人による反撃の覚悟とは。拓殖大学の藤岡信勝客員教授が緊急寄稿した。

     ◇

 欧米を中心とした各国の歴史学者・日本研究者187人の声明が発表されたのは今月5日だった。20日までに賛同者は457人に増加したと朝日新聞がうれしそうに報道している。朝日新聞、本日も反省なし。

 声明の趣旨は、戦後70年にあたり、安倍首相は日本の過去の戦争における「過ち」について、「全体的で偏見のない清算」をするように呼びかけ、慰安婦問題の解決に「大胆な行動」を期待する、というものである。明示していないが、安倍首相の「戦後70年談話」で「謝罪」せよと要求したものであると考えられる。

 それにしても、この声明は一体、何なのか。まことに怪しい。

 まず、誰にあてて出されたものか、名宛人がハッキリしない。代表者が誰なのかも分からない(=声明の署名者一覧は、名字のアルファベッド順に並んでいるだけ。取りまとめ役の1人としては、コネティカット大学のアレクシス・ダデン教授の名前が報じられている)。江戸時代、唐傘に円形に署名して首謀者を分からないようにした傘連判(かされんぱん)のようだ。連絡先の事務所も不明で、日付もない。いわば、怪文書の体裁だ。それでいて、首相官邸にも届けたというが、真偽、消息とも不明。

 タイトルは「日本の歴史家を支持する声明」である。この発想は、3月に米国の全米歴史学会の雑誌に投稿された「日本の歴史家たちと連帯する」とそっくりだ。この時は19人が署名した(後に1人が加わって20人)。テーマは米マグロウヒル社の世界史教科書に載っている、「慰安婦」というコラムの記述だった。

 昨年11月3日、産経新聞がマグロウヒル社の世界史教科書の内容を報道した。20万人の若い女性を強制連行し、天皇の贈り物であるとして部隊に下賜したというデタラメ極まりない、ひどい内容である。すると、今まで動いたことのない日本の外務省が、11月から12月にかけて、マグロウヒル社に訂正の申し入れをした。

 米国から見ると日本は属国である。「この国はどんな辱めを受けても反撃してこない特殊なところだ」と高をくくっていたら、意外にも反乱を起こした。ここは示しをつけなければならない、という雰囲気で文書は書かれていた。日本の軍慰安婦は「国営性奴隷制」であるというのが、本質規定だった。

 ところが、今回の声明には「強制連行」「性奴隷」「20万人」などの言葉がすっかり消えているのである。驚くべき変化だ。

 実は、5月の187人の署名者の中には、3月の19人の文書にも名を連ねた人物が12人もいるのである。3月の声明と5月の声明の間に、一体何があったのか。そこには、日本側の毅然とした反論があったのだ。

<別項>

 問題の声明は今月5日、「日本の歴史家を支持する声明」として発表された。ベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者であるハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授ら187人が名前を連ねていたが、21日までにオランダ人ジャーナリスト、イアン・ブルマ氏ら約270人が新たに署名し、450人を超えたという。

 声明の中身だが、「戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、政治的寛容さなどは祝福に値する」としたうえで、「慰安婦問題などの歴史解釈が(祝福の)障害となっている」と指摘している。

 一方で、「韓国と中国の民族主義的な暴言にもゆがめられてきた」と明言。韓国側が「20万人以上」などと主張する慰安婦の数についても「恐らく、永久に正確な数字が確定されることはない」とした。韓国や左派勢力が使う「性奴隷」(Sex slaves)といった言葉は使われていない。

 安倍晋三首相が4月の米上下両院合同会議での演説で「人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性」について語ったことを称賛し、「その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません」と訴えている。

 声明の最後には「ここに表明されている意見は、いかなる組織や機関を代表したものではなく、署名した個々の研究者の総意にすぎません」とあった。

藤岡信勝氏緊急寄稿 下

 3月の声明「日本の歴史家たちと連帯する」と、5月の「日本の歴史家を支持する声明」の間には、日本側の動きがあった。現代史家の秦郁彦氏を代表とする日本の歴史家19人が3月17日、米大手教育出版社「マグロウヒル」の教科書の誤り8カ所を指摘し、同社に訂正勧告をした。

 一例をあげよう。

 教科書は、慰安婦の総数を「20万人」としつつ、「慰安婦が毎日20人~30人の男性を相手にした」と書いている。そうすると、日本軍は毎日、400万回~600万回の性的奉仕を調達したことになる。他方、相手となるべき日本陸軍の海外兵力は、最盛期の1943年で100万人であった。そこで、教科書に従えば、彼らは全員が「毎日4回~6回」慰安所に通ったことになる。これでは戦闘準備をする時間はおろか、まともに生活する暇もなくなる。

 こうした反論は、手裏剣のように相手の論理の急所に突き刺さった。さすがに「20万」という数字は言えなくなった。この推定が当たっているとすると、日本からの訂正勧告は、今年の歴史戦の大戦果の1つになる。

 187人の署名者の中には、3月の19人の文書にも名を連ねた人物が12人もいる。それらの人々が自説を変えたのなら、まずマグロウヒル社の教科書是正をわれわれと一緒に要求すべきだ。

 187人の文書では、戦後日本の国際貢献をやたらに持ち上げている。「世界の祝福に値する」とまで言う。だが、それは1つの伏線で、その祝福を受けるにあたって障害となっているものが「歴史解釈」の問題だとして慰安婦問題を持ち出すのである。

 「20世紀に繰り広げられた数々の戦時における性的暴力と軍隊にまつわる売春のなかでも、『慰安婦』制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして、日本の植民地と占領地から、貧しく弱い立場にいた女性を搾取したという点において、特筆すべきものであります」

 何のことはない。「19人」は刑事部屋の鬼刑事である。被疑者を恫喝(どうかつ)してひたす自白させようとする。嘘がバレてうまくいかなくなったので、今度は「187人」は温情刑事として登場する。「お前さんはいいこともした。罪を認めて謝罪すればもっと褒められる」という。どっちも謝罪させようとする目的は同一なのだ。

 政府は怪文書(声明)を無視したらいい。民間では徹底的に論争する。反日包囲網を敷かれても真実はこちらにあるから、必ず勝利する、と私は確信している。

5/17北野伯幸メルマガ『AIIBショックで、アメリカはロシアとの和解に動く』記事について

昨日ブログのアップ時にトラブルがあり、午前中は開けませんでした。原因はファイル名かと思いましたが、ウイルスバスターを活かしたまま「サイトの公開」をしたためとのこと。今まで充分注意してきたのですが一昨日飲みすぎて頭が注意力散漫になったためです。でも次回同じことが起きても、対応策を聞きましたので一安心です。

一昨日の練習艦出国式に米国駐在武官も来ていました。マッカーサーに似た感じでしたのですぐにアメリカ人だと分かりました。軍関係者は民主党支持者であっても、オバマの優柔不断、反軍、軍事忌避、黒人逆差別の対応は嫌うでしょう。2017年1月20日までの任期ですから、それまで忍の一字なのかもしれませんが。その間に盗める物、取れる者は取ろうと中露は考えていると思います。南沙諸島の中国軍事基地造営に対し、米国防総省は「次の段階は12海里進入」と報道がありました。防空識別圏を設定した時にB52を飛ばしたように、口先だけでなくキチンとやる事が大事。宥和政策はチエンバレンの例を持ち出さなくても戦争に繋がります。抑止力行使を相手に伝えないと。

やっとアメリカも中国の意図を理解し出したという所でしょう。中国はスマートに賄賂を贈る国です。オピニオンリーダーに法外な金を贈っているという話を聞いたこともあります。でもやっとその危険性に目覚めたのでしょう。習近平様様でしょう。韜光養晦を演じていれば日本もアメリカも油断していたと思いますが、習のあからさまな野心を目の当たりにして気づき出しました。新冷戦で終わるかどうかです。戦争をさせないという意味で習の権力は剥奪される(暗殺も含め)可能性が高くなってきていると感じます。ルトワックが言うように、ロシアを味方に付ければ包囲網ができますので完璧です。

記事

中国主導でつくられた「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。これは、やはり「歴史的大事件」だったようです。57か国が参加を表明。その中には、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、イスラエル、韓国などなど、「親米諸国」も山ほどいる。しかもこれらの国々は、アメリカの「入るなよ命令」を無視して参加した。

「誰も俺のいうことを聞いてくれない・・・」(オバマ)

「覇権国家」の面目丸つぶれであります。

しかし、我が国日本だけは、アメリカを裏切りませんでした。

それで、RPEは4月13日号で、「AIIBは、安倍政権にとって第3の【神風】である!」と書きました。

(●詳細はこちら http://archive.mag2.com/0000012950/20150413000000001.html )

そして、安倍総理の、すばらしい米議会演説。

これで、アメリカにとって日本は、イギリス、イスラエル以上に緊密な国になった。

ちょっと前まで、「右翼」「軍国主義者」「歴史修正主義者」だったはずの安倍総理は、「アメリカ最大の親友」に格上げされたのです。

(●安倍演説の戦略的意義、詳細はこちら。http://diamond.jp/articles/-/71510  )

さて、「AIIB」でアメリカの面目はつぶされた。

しかし、それで素直に覇権を中国にゆずるほど、アメリカは落ちぶれていません。必ず「リベンジに動くだろう」。

私は、アメリカの「リベンジ戦略」の詳細を予想し、ダイヤモンド・オンラインに記事を書きました。

http://diamond.jp/articles/-/70786

その一つが、「アメリカはロシアと和解に動く可能性がある」でした。

一部引用してみましょう。

【転載ここから▼】

<最後に、米国が中国に勝つために「ロシアと和解する可能性」について触れておこう。

「そんなバカな!」「モスクワ在住筆者の妄想だ!」──。

恐らくそんな反応が返ってくるだろう。

しかし、歴史は、「米国は勝利するためなら敵とも組む」ことを教えている。

たとえば第2次大戦時、米国は、「資本主義打倒」「米帝打倒」を国是とするソ連と組み、ナチス・ドイツ、日本と戦った。

そして、冷戦がはじまると、米国はかつて敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)と組んだ。

さらに、米国は70年代、ソ連に勝つために中国と和解している。

こう見ると、米国が現在の敵・ロシアと組んでも、まったくおかしくはない。

ニクソンは、ソ連に勝つために、中国と組んだ。

今度は、中国に勝つために、ロシアと組む。

実をいうと、これを主張しているのは、筆者ではない。

日本ではあまり報じられていないが、大物リアリストたち、たとえばヘンリー・キッシンジャー、ジョン・ミアシャイマー(シカゴ大学)、スティーブン・ウォルト(ハーバード大学)などが、「米国はロシアと和解すべき」と主張している

(親中派として知られたキッシンジャーやズビグニュー・ブレジンスキーは、中国の本性を知り、親中派を「卒業」したという)。

理由は簡単で、「米国とロシアが戦えば、得をするのは中国だから」だ。

そして、「AIIB事件」で明らかになったように、中国は今、世界でもっとも(正確にいえば米国に次いで)「覇権」に近いところにいる。

米ロが戦って、「中国に覇権をプレゼントするのは愚かだ」というわけだ。

さらに、米国一の「戦略家」エドワード・ルトワックは、その著書「自滅する中国」の中で、「ロシアを中国包囲網に入れる重要性」を繰り返し説いている。

また、ルトワックは、日本が独立を維持できるか、それとも中国の属国になるかどうかについて、以下のように述べている。

<もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。(188p)>

ルトワックが主張するように、ロシアを米国側に引き入れることができれば、米国の勝利は確実だろう。【転載ここまで▲】

で、実際何が起こったか?

▼ケリーがロシアにやってきた

アメリカのケリー国務長官が5月12日、ソチにやってきました。

<露訪問の米国務長官、ウクライナ停戦履行なら「制裁解除あり得る」

AFP=時事 5月13日(水)7時13分配信

【AFP=時事】米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は12日、ロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相とそれぞれ4時間、合わせて8時間に及ぶ会談を行った。

その後ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>

引用部分は短いですが、とても重要な内容を含んでいます。

まず、ケリーさんがロシアに来るのは、「クリミア併合後」はじめてである。

日韓のことを考えればわかりますが、両国関係が悪いと、なかなか訪問になりません。

「ケリーさんがやってきた」

それだけでも、まず大事件です。

次に、ケリーさんは、プーチンと4時間会談。

ラブロフ外相と4時間会談。

テーマは、シリア、イラン、ウクライナだったとか。

それにして、プーチンと4時間。

「悪魔」「ヒトラーの生まれ変わり」と批判していた男と、何をそんなに話したのでしょうね?

これ、個人でもそうですが、仲良くしたくない相手とは、長く話さないものです。

仕事でもそうでしょう?

取引したくない相手には、あまりご馳走もせず、「すいません次の予定が入っておりますので」などといって、かえってもらうでしょう。

つまり、アメリカ側もロシア側も、「仲直りしたい」という意思がある。

3番目、ケリーさんは決定的なことをいいます。

<ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>

「制裁解除もあり得る!!!」

「AIIB」前と後で、アメリカの対ロシア姿勢は明らかに変化しています。

つまり、「軟化」しているのです。

4番目、この記事では触れられていませんが、ロシアのニュースでいっていました。

「ケリーは、『クリミア』について一度も触れなかった」

これは、要するに、「クリミアはロシア領と認めないけど、黙認ということで『手打ち』にしたい」ということではないでしょうか?いずれにしても、「AIIB事件」でアメリカは、「主敵は中国だ!」ということを、ようやく認識したのだと思います。

アメリカはこれまで、三つの地域で問題を抱えていました。

つまり、

・中東

・ウクライナーロシア

・東シナ海、南シナ海ー中国

中東に関して、アメリカはイランとの和解に動き、イスラエルが怒っている。

そして、ウクライナを見捨ててロシアとの和解に動き始めた。

これは、三つの戦線のうち二つをしめて、「中国との戦いに集中する」という意志の現れでしょう。

これは、私たちが12年前に描いた「日本必勝スキーム」への第1歩なのでしょうか?

まだ流動的ではありますが、期待したいと思います

5/21海上自衛隊練習艦出国式参加について

昨日「防人を励ます会」の一員として表題儀式に参加しました。詳しくは下記の通りですが、朝早くから家族の方の見送りの行列ができていました。式は感動ものです。言葉では言い難い部分があります。やはり参加して初めて心が揺さぶられるのに気付くのではと思います。

なお、来賓として8ケ国の大使と4ケ国の駐在武官が参列しました。

https://youtu.be/T-sVC7CjPGg

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5/16週刊ダイヤモンド 櫻井よしこ新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 『真意を巧妙に隠す中国のしたたかさ』記事について

中国のやり方は常に「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」です。世界は腹黒いですからFDRも支那で麻薬で儲けたために、蒋介石と言うか宋美齢の言うことを聞いて日本を無き者にしようと考えました。裏にはスターリンと言うか共産主義者が彼の周りを取り囲んで日本を戦争への道に誘った訳です。「ユダヤ」の意思とまでは言いませんが。

大野旭教授が言うように中国はマンパワーをドンドン他国に出して、人口増による平和的侵略(戦争をしないという意味で)を仕掛けてきます。長野朗の書いた 『支那30年』にも同じような記述があります。「アメリカは$の力によって、ロシアは軍事力によって、中国は人の数によって」とあります。1941年に書かれた書物ですから74年前からやり方は変わっていないという事です。移民を増やす政策は合法的に中国の侵略を許す愚かな政策です。こういうことを言う政治家は裏で中国とくっついて日本を売ろうとしていると思った方が良い。要注意です。

アメリカのヘタレぶりが中露北の好き勝手を呼んでいます。5/17ケリーが中国の習と会って領土問題で自制を呼びかけても「新型大国関係」と切り返され、相手にされず。5/12にはプーチンと会ったが「4者協議」にアメリカが参加することでお茶を濁されました。北朝鮮の6者協議と同じく相手に時間の利益を与えるだけです。オバマの戦争忌避が相手に分かっているので相手は「何をしても怖くない」と思っているのでしょう。

記事

硬軟織り交ぜた戦略を繰り出す裏で真意を巧妙に隠す中国のしたたかさ 

4月末、米国を訪れた安倍晋三首相は日本の国際社会の立ち位置を新たな次元に引き上げた。祖父、岸信介元首相は約60年前、「日米新時代」という言葉で日本が米国と対等の立場に立つ気概を示した。

安倍首相はガイドラインの見直しを通じて、事実上、日米安全保障条約の改定を行った。これまで国家の危機に直面してもなすすべもなく傍観していなければならなかった安全保障の空白を、かなりの部分、埋めることができるようになり、日本の独立性をさらに高めたことは大いなる前進である。

 それでもまだ完璧には遠いが、日本国が自力で国を守る意思を示し、日本国だけで不足の部分は米国と協働して守り通す決意を示したこと、米国もまた明白に日本と共に自由世界のルールを守り通す決意をオバマ大統領の言葉で示したことの、中国に対する牽制の意味は大きい。

 安倍外交に対して韓国外務省は、「(歴史に対して)心からのおわびもなく、非常に遺憾」と論難し、中国も植民地支配や慰安婦問題への謝罪を表現しなかった安倍首相を批判した。中国はその後も、王毅外相らが中国を訪れた高村正彦自民党副総裁らに70年談話に関して歴史圧力をかけ続けている。

  原則については決して譲らない安倍路線に対して、中国はいま、2つの路線を同時に進行中だ。南シナ海の埋め立てに見られる強硬路線と、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に見られる柔軟路線である。

日本に対してもにわかに人的交流が増え、中国が柔軟路線に切り替えたことが見て取れる。中国の真意を、静岡大学教授の大野旭氏が喝破した。大野氏は南モンゴル出身で、現在は日本国籍を取得している。

「中国の膨張戦略の基本は毛沢東が語った摻沙子政策です。発音はツァンシャーツ、砂を混ぜる、です。侵出したい所にまず中国人をどんどん送り込む。そのとき彼らはこびるような笑顔でやって来ます。現地の人たちは大概、人が良いですから、歓迎したり、同情したりで受け入れます。すると中国人は1人が10人というふうにどんどん増える。人口が逆転し、中国が優勢になると、中国人の笑顔が消えます。彼らは権力を奪い支配者になり、その過程で虐殺が起きます」

 だが、中国のAIIBに見られる金融力を活用しての影響力の拡大路線は必然的に柔軟路線と一体となる。それは最終的に中国国内の民主化につながるとの希望が生まれている。この点についても大野氏は語る。

「私はモンゴル人として中国政府の弾圧を受けて育ちました。モンゴル人の受けている圧政について、いまも書き続けています。その結果言えるのは、中国が民主化することはまずあり得ないということです。民族学者として何十年も中華民族の特徴を研究してきました。彼らの民族性には民主化という要素がないのです」

 なぜこのように断定するのか。

「中国は歴史が始まって以来今日までずっと独裁政治の下にあります。専制政治がずっと続いてきたのが中国です。中国の民主化に期待するのは無邪気な国の、平和と友情を信ずる天真らんまんな発想にすぎないと思います」

 中国の真意は言葉や笑顔には決して表れない。その行動の中にこそ、真実を読み取るべきなのだ。その意味で興味深い記事が連休中の「産経新聞」(5月6日)に報じられていた。

 中国海軍の呉勝利司令官が4月29日、米国海軍制服組トップのグリナート作戦部長に、南シナ海の埋め立てでできた土地を米国も利用しないかと持ち掛けたというのだ。米国議会をはじめ、中国の埋め立てに厳しい反応が出ていることに対して、このようなしらじらしい提案を「こびるような笑顔」でするのが中国である。中国の歴史に学び、中国の真意を見通すことが大事である。

5/13JBプレス 古森義久『歴史学者187人の声明は反日勢力の「白旗」だった 大きく後退した慰安婦に関する主張』記事について

5/19日経朝刊によれば「聯合ニュースはケリー米国務長官が、安倍首相の「人身売買」発言について「旧日本軍による人身売買」と主体を明確にしたことを注目すべきだとの韓国政府内の分析を紹介している」とありました。韓国政府も聯合ニュースも平気で嘘がつける人達ですから眉に唾をつけて聞いた方が良いでしょう。

アメリカの歴史学者187人が白旗を上げたのは米政府の姿勢が変わったからで、反日韓国の裏に中国の存在を見て、アメリカもbuck-passing(日本と中国を争わせる)からbalance(米中直接対決)政策に軌道修正を図ろうとしているためと思います。

この点から判断して聯合ニュースの報道は意図的かどうかは別にしても「正確さに欠ける」と言わざるを得ません。韓国の媒体は政府になり変わり国益追求のプロパガンダ機関に堕しています。ですから改竄・捏造は当り前です。日本の媒体は逆に反日プロパガンダの国益毀損の機関に成り果てていますが。外国の手先になって「言論の自由」を楯に事実を報道しません(報道をしない自由を含む)。「外患罪」を構成するのではと思われるほどです。特に慰安婦・南京虐殺報道は。

本件は、外国相手ではキチンと「主張すべきは主張する」ことの正しさが証明されました。大人の対応をすれば舐められますし、何も主張しなければ相手の言い分を認めたことになります。小生も中国で4回打官司(告訴する。裁判や役所に)され3勝1敗でした(1敗は小生転勤後)。日本人はすぐ金で解決しようとしますから相手に舐められます。徹底的に戦い日本人の名誉を守らないと。

敵の中国は独裁の有利さで国民(共産党の支配下にある奴隷と言った方が正確か?)の意思に関係なく、自分たちの政策を完遂できます。日本は早くから民主化していますので国民の意思が政策を左右します。国民が良き政治家を選び国政に反映させることと悪質媒体は不買で駆逐することが大切です。早く全共闘世代がいなくなることを望んでいます。

記事

慰安婦問題で日本を長年糾弾してきた米国の日本研究者たちが、「日本軍が20万人の女性を強制連行して性奴隷にした」という年来の主張を一気に撤回した。

 この主張には本来根拠がなかったのだが、ここにきてやっと日本側の主張を間接的にせよ認めたのである。日本側にとっては、歴史問題ではやはり相手の不当な攻撃に屈せず、正しい主張を表明し続けることの必要性が証明されたことになる。

歴史への向き合い方を日本に「説教」

 この米国側の「撤回」は、日本の大手新聞各紙も報道した「米国などの日本研究者187人の声明」によって明らかとなった。この声明は「日本の歴史家を支持する声明」と題され、英語と日本語で公表された。表題こそ日本の一部の歴史研究者たちへの支持という形をとっていたが、実際の内容は、安倍晋三首相や日本政府に対する慰安婦問題など歴史案件での要望や指示だった。この声明は首相官邸にも送られたという。

 同声明の主要部分は安倍政権の歴史観、特に慰安婦問題への姿勢に遠まわしながら注文をつけていた。朝日新聞はそのことを一面記事として大きく報道し、全文までを掲載した。

同声明は日本の戦後70年の平和的な実績を賞賛しながらも、第2次大戦での「過ち」について「全体的に偏見なく清算する」ことを求めていた。慰安婦問題などでは「安倍首相の大胆な行動」を要求するというが、それ以上に具体的な求めは明示していない。

 だが、実際にはこの声明は、日本政府に対しても日本国民に対しても、過去への心の持ち方を指示し説教するような口調に満ちていた。外国の学者や研究者が、他の主権国家の政府や国民に精神や心の持ち方についてあれこれ要求し、指示するというのは、考えてみれば傲慢そのものである。「あなた方になぜそんな資格があるのか」と問いたくもなる。日本人の学者たちが連名で米国のオバマ大統領に「過去の直視」の仕方を説く書簡を出すことを考えてみれば、その専横さが分かるだろう。

 声明は、慰安婦問題で長年日本を叩き続けてきたコネチカット大学のアレクシス・ダデン教授が中心となって作成し、ハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授やイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのロナルド・ドア元教授という長老格や新進の日本研究の学者や専門家が名を連ねて署名していた。大多数は米国の学者たちだが、オーストラリアの研究者なども含まれていた。

 同声明は日本政府への要求として以下のようなことを書いていた。

「今年は、日本政府が言葉と行動において、過去の植民地支配と戦時における侵略の問題に立ち向かい、その指導力を見せる絶好の機会です。四月のアメリカ議会演説において、安倍首相は、人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性について話しました。私たちはこうした気持ちを賞賛し、その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません。」(原文のまま)

 要するに日本の首相への指図なのである。日本の首相は日本国民の多数派により民主的に選ばれているから、この指図は日本国民への高圧的な説教だとも言える。日本をまるで彼らの精神的な植民地のように扱っているかにも見えてくる。占領軍のGHQ的な思想警察現代版でも気取っているのだろうか。

日本軍が「20万人を強制徴用」と断じてきた研究者たち

 しかしこの声明の最大の特徴は、慰安婦問題に関して米国の日本研究者、日本歴史学者たちが長年叫び続けてきた主張を引っ込めてしまったことである。

 その主張を簡単にまとめると次のようになる。

「日本軍は組織的に20万人もの女性を強制連行して慰安婦とし、性的奴隷にしていた」

 この主張には根拠がない。しかし米国や国連ではその虚偽の主張が長年まかり通ってきた。今回の187人の研究者の中心となったダデン氏のような米国の日本歴史学者たちが、政治色の濃い虚構の発言を繰り返してきたからである。

 最近のその典型例が、米国大手出版社マグロウヒル社の高校歴史教科書における以下の記述だった。

「日本軍は14歳から20歳の女性を20万人も強制的に徴用し、性的奴隷として売春宿で働かせた」

「日本軍はその活動を隠蔽するため多数の慰安婦を虐殺した」

「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊に供した」

 この3つの記述は根拠のない虚構である。米国の高校生の教科書の記述としてはあまりにも不適格と言えよう。日本外務省は当然のこととして抗議し、訂正を求めた。だがマグロウヒル社は拒絶した。

 日本側の民間の研究者たちの間でも広範な反発が起きた。すると、この日本側の動きに対して、ダデン氏やコロンビア大学のキャロル・グラック教授、同教科書の問題部分を執筆したハワイ大学ハーバート・ジーグラー准教授ら合計19人が、今年3月に連名で反発の声明を出した。この声明では、マグロウヒル社の教科書の記述はすべて正しいとして、その記述に抗議する日本側の動きを「学問や言論の自由への侵害」だと断じていた。

慰安婦問題についての主張が驚くほど後退

 ところがそれから2カ月足らずの間に出た「187人の日本研究者の声明」では、慰安婦についてまったく異なる記述が書かれていたのである。

 この新たな声明には、前述のダデン氏やグラック氏のほか、ハーバード大学教授のアンドリュー・ゴードン氏、コーネル大学上級研究員のマーク・セルデン氏らが名を連ねていた。この4人は3月の声明にも署名している。その他にも、今回の187人の中には3月の声明にサインしていた学者が8人いる。つまり 12人は3月の声明で「20万強制連行」を断言し、その主張に異を唱えることは学問や言論の自由の侵害だとまで宣言していたのだ。

 だが今回の声明は、慰安婦問題についての主張を驚くほど後退させていた。以下がその具体的な骨子である。

「歴史家の中には、日本軍が直接関与していた度合いについて、女性が『強制的』に『慰安婦』になったのかどうかという問題について、異論を唱える方もいます。しかし、大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされたことは、既に資料と証言が明らかにしている通りです。」

「『慰安婦』の正確な数について、歴史家の意見は分かれていますが、恐らく、永久に正確な数字が確定されることはないでしょう。」

 上記の2つの記述が今回の声明での慰安婦問題認識の核心だと言える。つまり、「日本軍が女性たちを強制連行した」とは述べていない。「女性が自己の意思に反して拘束され」という範囲で留まる記述となっている。長年の「日本軍の組織的な強制連行」という断定は消えてしまった。今回の声明に名を連ねた187人のうち12人はその虚構の断定を今年3月の声明で全面支持していたのにもかかわらず、である。

 慰安婦の数も同様に「正確な数は分からない」という。では「20万人」という明確な数字はどうなったのか。これまたダデン氏らは、つい2カ月前の声明で断定していた。こういう人たちは自分自身を学者と呼ぶのなら、その良心に従って非を認めるか、あるいは少なくともこの3月と5月の声明の大きな矛盾について説明すべきだろう。

 さらに今回の声明には、米側でおなじみの「性的奴隷」という言葉もなかった。「日本軍の強制連行、徴用」という言葉も消えていた。正しい主張をする日本の当事者たちを「修正主義者」や「右翼」とののしることもなかった。ほぼ唯一記された同趣旨の言葉は「ナショナリスト(民族主義者)」だった。慰安婦問題は「民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました」という記述である。ただし、従来のように日本だけに向けられたものではなく、中国や韓国の民族主義も批判の対象に含めている点が注目に値する。

誤った主張には断固として反論を続けることが必要

 以上のように、今回の187人の声明を見る限り、慰安婦問題に関するダデン氏らの年来のプロパガンダ的主張は全面的に退けられた形となった。日本側の事実に基づく主張が、遠まわしの形にせよ認められたことになる。

 その点では、実はこの声明は慰安婦問題で日本を叩いてきた勢力が揚げた白旗だとも言えよう。だからこそ、これまで日本糾弾に加わってこなかった研究者たちまでが今回の声明には名を連ねたということなのだろう。

 今回の声明を大きく報道した朝日新聞はもちろんこうした部分には触れていない。だが米側のダデン氏ら19人の3月の声明に反論していた日本側の秦郁彦氏や西岡力氏らにとっては目にみえる成果だと言えよう。やはり歴史問題では、誤った主張には断固として反論を続けねばならないということでもあろう。

5/15ダイヤモンドオンライン 北野幸伯『安倍総理の“米国ヨイショ演説”が日本の戦略的勝利だった理由』記事について

アメリカも5/14上院でTPAが審議再開しました。 オバマの手柄にすると言う意見もありますが、もっと大きく見た方が良いでしょう。真の敵は中国、しかも共産主義国でバブル崩壊すると言われて久しいですが、崩壊しないのは中西輝政氏によれば「自由主義国と違い、不動産(使用権)の供給を抑えれば、不動産価格は下がらない。そんなに簡単にバブル崩壊しないだろう」とのこと。軍事的に対決するのを避ける(左翼が良く言う平和的な解決)には中国の経済をまず崩壊させないと軍事拡張するだけです。敵はRCEP等でTPPをなきものにしようとしていると思います。ADBに対するAIIBみたいなもの。保守派はTPP反対派が多いように見受けられますが、もっと大きな目で見てほしいと思います。対米従属が進むだけと言っても一国で平和は確保できない現状で経済的にも軍事的にも連携を進めるしかないのではと思っています。中国を経済的に多国間で封じ込めないと。

しかし、習は鄧小平にはなれませんね。「韜光養晦」から「有所作為」は中国にとっては大きな戦術的誤りだったと思います。鄧は100年でも200年でも待って中国が覇権を取れば良いと考えていたと思います。だから78年8月に園田直外相が鄧に尖閣について聞いたときに「数年、数十年、100年でも脇に置いておけばいい」と答えたのです。アメリカに中国系アメリカ人の大統領を出すまで待とうと考えていたかもしれません。100年待つことができない習は転ぶ気がします。 アメリカも中国の野望に気付き出したという事でしょう。いいことです。小生が2005年日本に帰国以降、中国の野望に警鐘を鳴らしたら「国粋主義者」「人種差別主義者」と言われた時代からすれば隔世の感があります。これも習のお蔭です。

記事

日本が抱える安全保障面での問題を解消するという目的から見ると、安倍演説は大成功だった。ほんの1年ほど前まで、中国の反日プロパガンダは成功しつつあり、日米分断が進んでいたが、AIIB参加見送りと安倍演説によって関係は修復された。中国の脅威にさらされる日本にとって、日米関係修復は「安全確保」に欠かせない最重要戦略である。

米国を褒めまくっただけの演説だが極めて戦略的に練られている

「すばらしかった!」「全然ダメだった!」安倍総理の米議会演説について、「賛否両論」が山のように出ている。言論の自由がある日本で、ある演説について、「いい」「悪い」と意見がわかれるのは当然だ。

 そして「絶対的な正解」を求めるのは間違っている。そんなものは、あるはずがないのだから。「安倍演説をどう評価するか」は、その人の立場によって異なる。

 たとえば、「親米なのか反米なのか?」「親中なのか反中なのか?」「リベラルなのか、保守なのか?」などだ。

 筆者がこれから書くのは、「親米」でも「反米」でも、「親中」でも「反中」でもない、そして、「保守」でも「リベラル」でもない見方である。筆者の視点は「戦略的に見て、安倍演説は成功だったのか?失敗だったのか?」という一点にある。

 最初に断わっておくが、筆者はいわゆる「安倍信者」ではない。「消費税増税」「残業代ゼロ」「移民受け入れ毎年20万人」など、安倍政権の政策に賛成できないことはたくさんある。しかし「安倍憎し」で、総理のすることは「なんでもかんでも反対」というわけでもない。悪いことは「悪い」というが、「成果」は「きちんと評価すべき」という立場である。そういう前提で、続きをお読みいただきたい。

 最初に、安倍演説の内容を見てみよう。この演説は、はっきりいえば「米国を褒めて、褒めて、褒めまくっただけ」といえる。実際の演説から引用してみよう。

 <「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。>

 <私の名字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。>(エイブとは、リンカーンの愛称)

 <日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。>

 <親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼をささげます。とこしえの、哀悼をささげます。>(中韓には謝罪しなかったが、米国にはきっちり謝った。)

 <私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」(再均衡)を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します。>

<日米同盟は、米国史全体の、4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢(けんろう)さを備え、深い信頼と、友情に結ばれた同盟です。

自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。>

<米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。>

 一見「米国をヨイショするだけの、属国演説」とも思える。しかし裏を知ってみれば、この演説は、きわめて戦略的に練られていたことがわかる。どういうことか、これから説明していこう。

中国の凶暴化に怯える日本  安倍演説の真の目的とは?

 さて、どんな演説にも「目的」がある。つまり「なんのために演説をするのか?」。これが明確であれば、演説はわかりやすくなる。ここが曖昧だと、わけのわからないスピーチになってしまう。

   安倍総理が「米国を褒めて、褒めて、褒めまくった」目的はなんだったのか?それは、「国益」(国の利益)を確保することである。では、「国益」とはなにか?いろいろあるが、もっとも重要なのは、「経済的利益」と「安全の確保」である。「経済的利益」について、今回は触れない。日本は今、「安全保障面」で「深刻な問題」を抱えているのだから。

 背景をおさらいしよう。2008年のリーマンショックから、米国発の「100年に1度の大不況」が起こった。09年、世界の大国は軒並み大幅なマイナス成長になったが、中国は9.2%の成長を果たして「ひとり勝ち状態」になった(より正確にいうとインドも勝ち組)。

   中国は、翌10年には10.4%、11年には9.3%の経済成長をした。そして、この国は、いまやGDPでも軍事費でも世界2位。「G2(=米中)時代」という言葉が流行するのは当然だった。

  「米国は没落した」

「中国はひとり勝ちだ」

 この認識が中国を増長させる。10年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こった。事件直後、中国は「尖閣はわが国『固有の領土』であり『核心的利益』である!」と世界に宣言する。領土要求は1970年代はじめからあったが、ここまで大騒ぎしたのは初めてだった。

 しかも中国は、「レアアース輸出禁止」など過酷な制裁を日本に課し、世界を驚かせた。日中関係は、日本政府が12年9月に尖閣を「国有化」すると、戦後最悪になってしまう。中国政府も国民も、これ(尖閣国有化)に激怒し、大規模な「反日デモ」が起こった。そればかりでなく、中国政府は「日本を破滅させるための戦略」を構築した。

「尖閣国有化」から2ヵ月後の12年11月、中国の代表団が、事実上の同盟国・ロシアの首都モスクワを訪問。そして、中国代表団は、驚愕の「対日戦略」を明らかにした。この戦略については、ロシア国営放送「ロシアの声」HPの記事を熟読していただきたい。

 過去にも触れたことがあるので、ここでは詳述しないが、中国の意図と戦略の重要ポイントは、以下のようになる。

 ・中国は、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線」を組むことを呼びかけた。

 ・日本には、尖閣ばかりか沖縄の領有権もない。

 ・「反日統一共同戦線」には、米国も引き入れなければならない。

 どれもショッキングな内容だ。「平和ボケ」している日本人には、ある国が日本に対し「反日統一共同戦線」を組むなど、想像もできないことだ。そして、中国が「日本には沖縄の領有権もない!」と、ロシアや韓国に公言しているのも驚きだ。しかし、一番の重要ポイントは、「米国を反日統一共同戦線に引き入れる」と宣言していることだろう。

日米分断を狙う中国の戦略は昨年途中までは成功していた

 実際、「日米分断」が、中国の戦略の最重要ポイントである。なぜか?尖閣有事の際、「日米安保」に沿って米軍が日本を助ければ、中国に勝ち目はない。逆に、日米関係が破壊されて「日米同盟」が「無力化」していればどうなるだろう。米軍は日本を助けないだろう。そうなれば、中国は尖閣を容易に奪うことができる。ひょっとしたら、沖縄も強奪できるかもしれない(そういう意味で、沖縄の反米軍基地運動は、中国の国益にはプラスである)。

 そして、「日米分断」には、もっと大きな意義もある。そう、経済力世界1位と3位の同盟を破壊すれば、中国が「覇権国家」になる道が見えてくる。だから、中国にとって、「日米分断」は戦略の「要」なのだ。

 さて、この戦略は、その後どうなったのか?

   戦略を実現するために中国は、「日本は右傾化している」「再び軍国主義化している」「歴史の修正を目指している」と全世界で大プロパガンダを行った(今も行っている)。そして、日本を憎む韓国は、嬉々として中国の先陣をつとめている。

 なぜここ2~3年、「慰安婦問題」が再度クローズアップされるようになったのか?中国の戦略に乗っかった韓国が、米国、カナダ、オーストラリアなどで、「慰安婦像建立運動」を精力的に進めているからである(最近では、「従軍慰安婦」をユネスコの「世界記憶遺産」にする運動もはじまっている)。

 ロシアはどうか?幸い、プーチンが日本との関係改善を望んでいることから、「反日統一共同戦線」には参加していない。

   肝心の米国はどうか?実をいうと、驚くべき勢いで、中国の反日プロパガンダは浸透していった。そもそも、リベラルな米民主党には親中派が多い。また、米財務省は、バリバリの親中である。そしてなによりも「日本が米国の書いた歴史を書き直そうとしている」というのは、米国にとってリアルな脅威なのだ。

 なぜか?「安倍総理は、『日本は悪、米国は善』というこれまでの米国史観をひっくりかえし、『日本は善、米国は悪』にしようとしている」。そんな風に、米国からは見えるからだ。

「中国のプロパガンダは、米国と世界に浸透している」。このことがはっきりわかったのは、安倍総理の「靖国参拝」(13年12月26日)直後だった。中韓だけでなく、米国、英国、EU、ロシア、オーストラリア、台湾、シンガポールなどが参拝を非難した。

   ちなみに、小泉総理は在任中6回靖国を参拝したが、中韓以外の国は、ほとんどノーリアクションだった。ところが、今回はあまりにも多くの国が「安倍参拝」を批判した(「大げさだ!そんなに批判されてなかったぞ!」という方は、こちらをご一読いただきたい)。日本は世界で孤立し、中国の戦略は成功しつつあったのだ。

クリミア併合に救われた日本  AIIBがさらなる追い風に

 しかし、予期せぬ大事件が起こる。ロシアによる「クリミア併合」(14年3月)である。これで、ロシアは米国の敵ナンバーワンになった。米国は「対ロシア制裁」を効果的に行うために、日本を巻き込まざるをえない。それで、「安倍問題」はひとまず棚上げされたのだ。

 しかし、中国の「反日統一共同戦線」戦略は、今も継続されている。そして、「終戦70年目」にあたる今年、中国は「安倍談話」と「憲法改正」問題で、再び「反安倍プロパガンダ」を強化していた。今回の総理訪米前、米国政府は、日本政府に「中韓への謝罪を演説に入れるよう」圧力をかけていた。

 そして演説後、「安倍は中韓に謝罪しなかった」と批判する米議員がいた。常識で考えると、これはとてもおかしなことである。なぜ、日本の総理が米国で中国、韓国に謝罪しないといけないのか?これは、たとえば「米国大統領は、中国にいったら日本への原爆投下を謝罪せよ」というようなものである。

 どう考えても、「日本の総理が米国議会で中韓に謝罪しなければならない理由」は見当たらない。しかし、それが米議員の一部で「常識」になるほど、中国のプロパガンダは成功していたのだ。

   ここまでで、「中国の戦略の要は、日米関係の破壊」であることを、ご理解いただけただろう。では、日本の最重要戦略は、なんなのか?当然、「日米関係を強化すること」となるだろう(プラスで、米中関係を破壊すればさらによい)。

 だから、日本の今の国益も、演説の目的も、「日米関係を強化すること」である。この結論、裏事情を知らない人が聞けば、「結局、日本は米国の属国でありつづけろということか!?」と思える。しかし、背景を詳しく知れば、「日米関係強化」は「戦略的に絶対必要なこと」なのだ。

 これは、あくまで日本の「戦略的選択」である。

 さて、今年3月、安倍総理にさらなる「神風」が吹いた。それが「AIIB事件」である。同盟国であるはずの、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、韓国、イスラエルなどが、米国の制止を無視して、中国主導の「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)に参加した。

 米国は、世界的に孤立。「覇権国家」の権威は、失墜した。そんな中、日本は大国で唯一、米国を裏切らず、AIIB参加を見送った。これは「属国だから」と見る人が多く、実際そうかもしれない。しかし、戦略的にも正しい判断であった。

「米国に逆らう右翼」から一気に「米国の大親友」に

 結果、安倍総理は、中国の反日プロパガンダを見事粉砕し、米国を日本の味方につけることに成功した。つい最近まで「右翼」「軍国主義」「歴史修正主義者」だったはずの安倍総理は、いまや「米国の大親友」になったのだ。

「AIIB事件」で大恥をかかされ、孤立し、意気消沈していたオバマ大統領は、安倍総理の訪問と演説で元気を取り戻した。オバマの反応について、読売新聞5月4日付は、以下のように報じている。

<オバマ氏も同日、これに応じ、ホワイトハウスのツイッターに「歴史的な訪問に感謝する。日米関係がこれほど強固であったことはない」と英語で記した上で、ローマ字の日本語で「また近いうちに」と書き込み、再会に期待を示した。>

 いったい、いつ「日米関係が強固になった」のか?「AIIB事件」と「安倍演説」以外に答えは見当たらない。安倍演説によって、日米関係は一気に改善された。

 これで、中国は、尖閣や沖縄を奪うことが難しくなった。そして日本は、米国から抵抗されることなく、軍事力を増強し、「軍事的自立」に向かっていける。だから、安倍総理の演説は、「大成功だった」といえるのである。

5/16士気の集い講演会について

上橋泉柏市会議員による「日本人の宗教観」についての講演です。仏教の用語が理解しにくかったです。でも「神は人間に使命を果たさすべくこの世に送った。必要でない人はいない」と言うのは良く分かりました。

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