6/3日経ビジネスオンライン 福島香織『赤い帝国主義下の言論出版統制 作家たちは権力とせめぎ合い、自粛心と戦う』記事について

中国の一番ダメな所はいつも言ってますように「騙す人が賢く、騙される人が馬鹿」という基本的価値観です。この考えが続く限り中国とはまともに付き合えません。日本人は人が好過ぎて騙されるだけ。東証1部上場の江守グループの倒産やLIXILのjoyouの660億円の特損等は中国で儲けようという下心の為せる業です。中国に進出している他の日系企業も似たり寄ったりでしょう。小生も在籍していた会社が中国で買った会社を調べて見たら資産の中に使えない井戸も資産計上されていて問題になったことがありました。デユーデリジェンスをしっかりという事で法律事務所に調べさせてもこの程度です。まあ如何に騙すのに長けているかという事ですが。また会社を売る局面にも関与しました。どう言う訳か本社は早く売れと言うばかり。高く買いそうな人もいたのに二束三文で別人に売り渡しました。背任ではと思ったものです。結局、保身を考えるから足元を見られてやられてしまう訳です。戦わないと。

ここに出てきます中国の真のジャーナリストと日本の植村隆のような似非ジャーナリストを比較すれば如何に日本のメデイアが腐っているか分かります。勿論、中国の共産党支配における「党の喉と舌」の役割を果たしている中国のメデイア人は圧倒的に多いですが。ですから命を賭けて自己の主張すべきところを弾圧にも拘らず主張するところが真のジャーナリストたる所以でしょう。植村はアメリカへ行ってまで嘘を吹きまくっているのだから何をか況やです。翁長もアメリカに行ってパフォーマンスだけやっているというのは見抜かれています。彼らは日本人の心象風景から遠い所にいます。

新渡戸稲造の「武士道」は、日本人は神を信じない(一神教の意味)のにどうして道徳が遵守されているのかという問いに対する回答として書かれました。日本社会の規範として武士の生き方が、身分差はあるにせよ下々まで尊ばれたのです。その中でも「義=rectitude of justice」「勇=courage」「仁=benevolence, the feeling of distress 」「礼=politeness」「誠=veracity and sincerity」「名誉=honor」「忠義=the duty of loyalty」を生き方に求めました。皆孔孟の教えです。それを発祥の地である中国人は守ろうともせず、日本人が守って生きてきたわけです。易姓革命の国では前の伝統文化が否定されるので、賢者の教えも根付かないと言ったところでしょう。

「持ち逃げ資産の半分を西側のリベートに」というのは中国人の面目躍如たるものがあります。賄賂が社会にビルトインされているため、「金を与えれば皆言うことを聞くだろう」という発想になりがち。FIFAの事件も過去に遡れば賄賂の得意な国が焙り出されてくるのでは。でも中韓のように道徳心の薄い民族を豊かにさせたのが間違いの素です。アメリカも良く民族性を知ることです。

記事

 今、北京にいる。知日派知識人と待ち合わせをしていたが、待ち合わせ場所に彼がなかなか現れない。さすがに約束の時間になって一時間が過ぎると、心配になってきた。なにせ、天安門事件26年目の記念日まであと5日という敏感な時期であり、しかも習近平政権の「知識人狩り」の凄まじさは、以前にこのコラム欄で紹介した通りである(「習近平の知識人狩り、希望を粛清」参照)

 ちょうど携帯電話を買い替えたばかりで、彼の携帯番号を新しい携帯電話に入れておくのを忘れていたので、電話で安否を確認できなかった。連絡が取れないまま、ヤキモキしていると彼が一時間半遅れて、謝りながらやって来た。遅れた理由は、次に出版する本に関して、いきなり出版社から呼び出されたのだという。「一番大事な一章をまるまる削らないと、検閲審査が通らないと言われて、もめていました。いきなり約束もなく、出版社の社長が訪ねてきて。連絡もできずにすみませんでした」という。

 彼は「中国は、あと2、3年もすると出版社は全部つぶれるんじゃないですかね。今、本を出すことはものすごくリスクが高い。出版社にとっても、ほとんどリスクだけで利益はでません。中国の出版市場はおそらく出版史上、もっとも暗黒時代を迎えていますよ」と、ため息をついていた。

自分の中に生まれた「自粛の心」こそ怖い

 こうした息苦しさを訴える知識人たちの言葉を、今回の中国旅行中に何度聞いたことか。

ある作家はこういっていた。「恐ろしいのは自分の中に自粛の心が出て来たことだ。賞をとり、大学の職を与えられ、安定した収入も約束され、息子たちが結婚して家庭を築くようになると、(当局の怒りを買うかもしれないというリスクを負って)自分の書きたいものを書くには、捨てなければならないものが多すぎる。だが、そうして筆を緩めることは、読者に本当に伝えなければならないもの、意義あるものを書けないということだ。自分が過去に書いたものを超える納得できる作品を生み出せる体力気力がもつのは、あとせいぜい10年くらい。これから、いかに自分の心と闘いながら、書いていくかが、作家としての真価が問われる」。

 メモを取るような場面ではなかったので、発言は私の記憶である。本当に恐ろしいのは、検閲そのものではなく、検閲を避けようとする自分の心だ、というのは心にしみるメッセージだった。

日本にいてモノを書く仕事をしていると、読者に受けるか、市場に受け入れられるかという悩みはあっても、政治権力によって身の危険を感じながら書くということはまずない。本の内容について出版社や編集者の好みと対立することはあっても、あるいは読者からのバッシングを恐れる気持ちはあっても、当局の検閲機関から隠密裏に物書き生命を絶たれる心配もまずない。中国当局の出版物に対する介入圧力は、日本人にはとうてい想像のつかない世界である。

 だが、その検閲に抗いながらエッジボールと呼ばれるぎりぎり編み出された表現というのは、書き手の執念のエネルギーが注ぎこまれている。圧力に抗う気持ちを完全に忘れてしまっては、物書きとしては完全なる敗北だが、圧力とのせめぎあいのなかでこそ生まれる研ぎ澄まされた表現というのも、確かに存在する。本当の政治圧力というものを知らないで、ちょっと書くなと言われたぐらいで被害者ぶって騒ぐとヒーローになれる日本の言論出版界にいると、なかなか到達できない表現の境地である。

文明のロマンも文化論も、ダメ

 で、最近どのようなものが検閲に引っかかりやすいかというと、聞くところによると文明論とか文化論が、結構リスクが高いらしい。胡錦濤政権時代も江沢民政権時代も当然、出版検閲があったが、それはほとんど政治批判、党批判や党の歴史認識を否定するような内容のもので、何が検閲に引っかかるか分かりやすかった。

 ところが最近は中華文明や中華文化の論評まで、なぜそれがダメなのか、というようなものも検閲当局から修正指導がくるそうだ。たとえば周の文明のルーツが、エジプトから伝播してきたものではないかとか、中国の「上帝」(シャンディ)は出エジプト記に出てくるシャダイが由来じゃないか、とかそういう文明のロマンみたいな話も、ダメらしい。あるいは改革開放30年で中国がどんな変化をたどったか、といった文化論や社会学的な検証もダメらしい。今の社会の問題点をあげて、その原因や背景を分析するといった内容も、大変厳しい細かい検閲をうけるという。

ある歴史学者にきけば、「習近平政権のイデオロギー政策の骨子は、西洋文明と西洋的普遍的価値観の否定と、中華文明の独立性と偉大性、中華的価値観を中心としたアジア世界の確立にあるので、中華文明・中華的価値観に対してき否定的な言論、研究の発表が難しくなった。中華文明にも西方の文明や宗教に影響を受けた部分があるなんて仮説は絶対受け入れられない」という。

 前述の作家が言うには、「今の中国人や中国が、なぜこんな風になってしまったか、そういうことに向き合うことが一番必要なのだが、それが一番許されない」と嘆いた。

 また、あるジャーナリストは、「今の中国は1930年代の日本に似ているかもしれない」という。幸いというべきなのは、中国の出版市場では、日本の軍国主義時代の批判を込めた日本の著作の翻訳モノは比較的問題なく出版できる分野であることだという。中国人読者の中には日本の過去の歴史の中に、中国の今の問題点を見出す者がいるかもしれない。日本の軍国主義批判や右傾化批判は、ひょっとすると反日的な思想の人たちだけでなく、中国習近平政権の行方に不安を感じている人たちから、ある種の比喩として発せられている可能性もあるかもしれない。

改革には向かわない「三つの自信」

 習近平政権がどういう政権であるか、ということを知識言論人たちに聞いてみると、3年前と比べて、批判的に言う人が増えた。3年前は、開明的な知識人の中にも、習近平政権を「(隠れ)改革派」だと信じる人はかなりいたが、それが甘い期待であったことを思い知るようになってきたということだろうか。「反腐敗キャンペーンや権力集中は習近平が後に思い切った政治改革を行うための準備であり、実は隠れ“改革派”である」という幻想が根強かったが、2014年から本格化した知識人狩りと、「一帯一路」政策を中心とする外交・経済路線から、習近平政権の目指す「改革」とは少なくとも、私たちが考えるものとは違うようである。

習近平政権の行方については、2013年の段階で、「赤い帝国主義」と早くに達観したのは、元「中国改革」誌社長で独立系政治評論家の李偉東だった。「赤い帝国主義」という形容は、昔、旧ソ連に適用されたものだ。フランス国際放送華字版RFIのインタビュー(2013年7月13日)で李偉東はこう語っている。

「習近平は伝統的権威主義方式を用いて、政治方面のある種の改良を進めている。それを“開明的な専制”と私は表現する。習近平が政権をとってから発表した論理の総論はおよそ三条でまとめられる。一つは進むべき方向は、邪な路(西側的普遍的価値感あるいはゴルバチョフ的改革の路)でもなく従来の路(旧来の社会主義的価値観、社会主義革命の路、文革の路)でもないという路論。二つ目は“中国の夢”(中華秩序の再興)という夢論。三つ目は“靴論”(靴が合うかどうかは履いている本人にしかわからず、傍にいる人が何といおうと無視すればよい、という外国の内政干渉を完全拒絶する)」「加えて習政権は“三つの自信”というのをあげている。すなわち路に対する自信、理論に対する自信、制度に対する自信。これほどの自信があれば、改革など必要あるだろうか。私が基本的に把握している習近平の政治改革とは、“党の指導をよりパーフェクトに強化に向けて改善すること”であり、これは本質的な意味での改革とはいえない」

APECブルーは赤いファシズム的美学の体現

 そして習近平の目指す中国が、「国家主義路線にナショナリズムを加えた赤い帝国の路」であり、それは1930年代のドイツや日本が歩んだ路と似ている、というのである。

この習近平の「赤い帝国主義」論については、賛同にしろ批判にしろ同意見の知識人は決して少なくない。賛同者は、習近平は(皇帝の専制君主制を確立し、名君との評価もある)「清朝の雍正帝」に匹敵する、といった言い方をしている。批判する人は、ドイツのナチズムに似ていると言う。

 そう考えると、最近中国が発表した国防白書で「海上軍事衝突に対する備え」が初めて明記されたことも、また「一帯一路」と呼ばれる外交・経済政策にあわせたAIIBの設立も、腑に落ちることだろう。習近平政権の国家グランドデザインは、日本の戦前の「八紘一宇」にも通じるものがあるといえば、なるほどと思う人もいると思う。ちなみに八紘一宇という言葉のオリジナルは中国であり、『淮南子』にもある。

とすると、現在の中国が国際社会にもたらしうるきな臭い可能性というのもいろいろ想像できるだろう。李偉東はアジア自由ラジオ局で2014年12月、北京APECの総括コメントとして、こんな発言をしていた。「APECブルー(APEC期間中に規制を徹底して大気汚染を軽減し青空を一時的に取り戻した現象)は、赤い帝国のファシズム的美学の体現である。この種の中国のファシズムは世界に危機をもたらすだろう」。

 彼はこの時、中国共産党をナチズムに例えながらこう指摘していた。「ナチズムが備えていて中国共産党が備えていない優位性が三つある。[1]己が全世界で最も優秀な種族であるという信仰にも似た頑強な信念、[2]ナチスは清廉であり、スキャンダルは少なかった、[3]ナチスの団結力は相当なものであった」。

 彼は、習近平が目指す赤い帝国主義への路は、根本的なところでナチスに及ばず、途中で破綻すると見ている。赤い帝国が世界に覇権を築き、今の米国のような新しい国際秩序を打ち立てるまでにいかず、激しい勢いで拡張に走った結果、内部から瓦解するとなると、その混乱に国際社会が巻き込まれるリスクは決して小さいものではない。

持ち逃げ資産の半分を西側へのリベートに?

 もう一つ、リスクがあるとすると、中華的秩序、中華的価値観に西側社会も染まり、アジアにおける中華秩序圏の成立を容認する可能性だ。習近平政権は表向き、オバマ政権に対しては比較的舐めた態度を見せているが、水面下の官僚レベルの交渉は日中よりもよほど密にあると言われている。

 最近、小耳にはさんだのは、財産を持ってカナダやオーストラリア、米国など西側諸国に逃げた反腐敗キャンペーンのターゲットの腐敗官僚、政商たちを西側諸国から引き渡してもらうための交換条件として、持ち逃げした彼らの資産の半分を西側諸国にリベートとして渡す、という案だ。この10年余り、海外逃亡腐敗官僚ら2万人が国外に持ち逃げした資産は軽く1兆元をこえる。

だが、この半額を受け取って、独裁国家から逃げてきた官僚を引き渡すということは、これは西側諸国として西側の普遍的価値観と違う中国の価値観を受け入れたということになるのではないか。汚職官僚だけでなく、海外に逃げた民主活動家や反共産党活動家などは、西側諸国の対応がどういったものになるか神経を尖らしている。

いずれのリスクにしても、中国のすぐ隣に存在する日本にとっては、今の習近平政権の路線は大いに警戒するに値するものだろう。

日本の自由さと安易さを痛感しながら

 さて、日本の安倍政権をナチスに例えて批判する日本人知識人は結構いて、日本が軍国主義化していると本気で心配している人も少なくないようである。私も少し、安倍政権と習近平政権の類似性を感じることもある。ただ、日本と中国の大きな違いは、報道、出版、言論に対する政府当局の本当の圧力の有無であり、日本が曲がりなりにも選挙を通じて、自らの手で為政者を選ぶシステムを保持している点である。

 私たちは、自分の国の政策に対して不安に思うことを誰でも口にすることができるし、執政党への信任不信任を表明する機会を平等に与えられている。そういう与えられた権利を十分に行使しないでの口先の批判に力が宿るはずもない。

 中国の言論知識人たちのモノを書くことへの執念や葛藤を垣間見るたびに、私は日本でモノを書くことの自由さと安易さを痛感するのである。

6/3日経ビジネスオンライン 高濱賛『慰安婦は棚上げ、焦点は北朝鮮に 迫る米韓首脳会談』記事について

朴大統領がアメリカでどういうことを言うか見ものです。告げ口外交を封じられたら言うことがあるのかどうか。父親と違い軍事センスがあるとは思えません。ですから北のSLBM発射実験成功(真偽不明)のニュースを聞いても動じないというか、リスクという感覚がないのでしょう。それは「慰安婦」で日本を叩いていればいいというレベルの話ではなく、戦争が起きるかもしれないということですから。何せ北の若殿は何をするか分かりませんので。自暴自棄にかられ戦争を始めるかもしれません。やるなら朝鮮半島だけでやってほしい。“civil war”ではないですか。

普通の感覚であればTHHADを配備せねばとなるのでしょうが、中国の反対に遭い、米中に良い顔をしようとするので無理が出ます。二股外交、蝙蝠外交の限界です。事大主義で結局外国の介入というかいろんな国につこうとして失敗、結局日本に統合された歴史があるのに。まあ、漢字をいとも簡単に捨てる国ですから、「歴史」を知るはずもない。それで都合よく「歴史」を改竄・捏造するのでしょう。

中国は北をソ連時代の東欧のように西側との緩衝地域のまま残したいと思っているでしょう。直接国境を接すると警護の義務が生じるので。そうでなければとっくに北は中国に呑み込まれていたハズ。南も中国領にしてしまえば、日本とは間に日本海がありますので可能かも知れませんが。中国の東北三省には朝鮮族が多く住んでいます。北の政権が安定していることを中国は望んでいるので、本音で言えば言うことを聞かない金正恩を外し正男に首を挿げ替えたいと思っているのでは。

オバマのアメリカもここにきて少しは変わるのかもしれません。G7宣言で南沙諸島の軍事基地化した中国を非難するようです。でも中国は織り込み済みでしょう。具体的な行動がない限り、舐めるだけ。中国の主張する12海里内に飛行機や艦船を入れないと。戦争になったら米軍は一瞬にして中国軍を制圧してしまうと日高義樹氏は言っています。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150603/dms1506031140004-n1.htm

その方が中国国民にとっては共産党支配から逃れられて幸福かもしれません。米軍が12海里内に進出した時に中国はどうするのか。東シナ海に防空識別圏を設定した時のように何もできず、恥をさらすことになるのか。その場合は少なくとも習体制ではなくなるでしょう。

記事

朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領が6月14日から5日間の日程で米国を訪問する。16日にバラク・オバマ米大統領と首脳会談を行う。その後、テキサス州ヒューストンに立ち寄り、先端医療や航空宇宙関係施設を視察する。

(”Statement by the Press Secretary on the Visit of President Park Geun-hye of the Republic of Korea,” Office of the Press Secretary, 5/26/2015)

(”Park, Obama Set to Tackle Alliance, North Korea Tension,” The Korea Herald, 5/27/2015)

(”Will Pres. Park get a red carpet in the US like Shinzo Abe did?” The Hankyoreh, 5/13/2015)

 さる4月の安倍晋三首相の訪米で日米同盟に「質的変化」(”qualitative change”)が生じた。首相が「歴史認識問題」や「慰安婦問題」で「河野談話」や「村山談話」を踏襲すると確約したことで、米側の「わだかまり」が解けたからだ(「安倍首相の議会演説で米国の『歴史認識問題』は決着」参照)。これを受けての朴大統領の訪米である。

 朴大統領の訪米は就任直後の13年5月以来、2度目。2年前を振り返ってみる――。朴大統領は、13年5月に訪米した際、米議会で演説し「歴史問題に端を発した対立が一層深刻になっている。歴史に正しい認識を持たなければ明日はない」と英語で訴えた。日韓の対立に米国を巻き込むことで対日外交圧力を強めようとした。

 ワシントンも韓国初の女性大統領の初の公式訪米ということもあって歓待した。朴大統領に思いの丈を述べさせる余裕を見せた。朴大統領が「慰安婦問題」を人権問題、とくに女性の人権に絡めたことが功を奏した面も見逃せない。

「日韓が歴史認識でツノ突きあっている場合ではない」

 だが米政府はそれ以後、日韓対立が膠着することに警戒心を抱き、事あるごとに日韓双方に譲歩を促してきた。米政府は、朴大統領が慰安婦問題に執着しなければならない韓国国内の政治社会情勢を理解している。しかし、朴大統領が安倍政権に対して「新たな謝罪・補償を執拗に求める頑なな対応」(米国務省OB)に苛立っているのも事実だ。いわゆる「Korean fatigue」(韓国に対する嫌気)である。

 そして今年4月の安倍訪米でワシントンの空気は一変した。米外交はどこまでもストレートでプラグマティック(実際的)だ。変わり身も速い。

 東アジア情勢は風雲急を告げている。例えば中国は南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島で埋め立て工事を急ピッチで進めている。一方、朝鮮半島では北朝鮮の中枢で異変が起こっている。米国防総省元高官の一人はこう指摘する。「日韓が『歴史認識問題』などでツノ突き合わせている場合ではなくなってきた――こうした認識がワシントンで急速に広がっている。ケリー国務長官と尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外相が2月7日に話し合い、6月の米韓首相会談が急遽決まったのはこのためだ。朴大統領が再び『慰安婦問題』に触れ、日韓の和解を渋るようであれば、日米防衛協力体制を踏まえた日米韓同盟の再構築は遅れるばかりだ。これがオバマ政権の認識だし、この点では民主、共和両党とも一致している」。

 ケリー国務長官、アシュトン・カーター国防長官が相次いで訪韓し、緊迫する北朝鮮情勢への戦略を練る必要性を朴大統領に直接、訴えた。返す刀で両長官は、来るべき訪米では朴大統領が「慰安婦問題」を蒸し返さないよう求めた可能性大だ。

こうした米側の意向を察知した韓国政府の対応にも変化が見られる。「慰安婦問題」は事実上棚上げし、安全保障面では日米に足並みを揃えるスタンスにかじを切った。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の日米韓首席代表が5月27日にソウルで協議した。29日にはシンガポールで日米韓3カ国国防相会談も行われた。すべて、朴大統領の訪米に向けた地ならしと見ていいだろう。

 ワシントンで6月3日、米戦略国際問題研究所(CSIS)が米韓シンポジウムを主催する。朴大統領訪米をにらみ、韓国に対する米国のスタンスを占う上で注目される。米側からはリチャード・アーミテージ元国務副長官、カート・キャンベル元国務次官補、クリスファー・ヒル元国務次官補、ロバート・ガルーチ元北朝鮮核問題担当特使、シドニー・サイラー北朝鮮核問題担当特使が出席する。このシンポジウムでのテーマも米韓軍事同盟、北朝鮮の動向に絞られている。「歴史認識」問題は完全に無視された格好だ。

(”Korea Going Forward,” Center for Strategic & International Studies, 6/3/2015)

「北朝鮮は容易ならざる事態」という現状認識

 北朝鮮は5月8日、日本海側のハンギョムナンドの新浦沖で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射に成功した。「初期段階だが地域の新たな脅威」(米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究大学院米韓研究所の研究員)となってきた。

(”N.Korea Test-fires Submarine-launched Ballistic Missile,” Agence France-Presse, 5/10/2015)

 米下院軍事委員会の軍事専門スタッフの一人は筆者にこう述べた。「SLBMの開発はまだ初期段階で、実際の配備には4~5年はかかるだろう。ただ北朝鮮の脅威が増しているのは、核開発やミサイル開発といった軍事面での動きだけではない。問題は2012年夏の李英浩(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長の解任に始まった粛清人事の異常さだ。その後、張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長や玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相の処刑にまでエスカレートしている。金正恩党第一書記の訪ロが中止になった理由の一つにクーデターの危険を排除するためといった見方も出ている」。

 13年の米韓首脳会談で両首脳は「21世紀におけるいかなる挑戦にも立ち向かうために朝鮮半島およびアジア太平洋地域の平和と安全にとっての楔である米韓同盟を順応、強化させていく」ことを再確認した。

 首脳会談を受けて、米韓軍事協力は着実に進んでいる。具体的には、米韓合同軍事演習が予定通り実施されている。韓国は2014年1月、在韓米軍駐留経負担費(SMA)を6%(8億7000万ドル増)増額した。

(”U.S.-South Korea Relations,” Mark E. Manyin, Congressional Research Service, 6/24/2014)

北朝鮮のSLBMをタテにTHAAD配備交渉開始を要請か

 しかしながら米国が望んでいる、最新鋭ミサイル迎撃ミサイル「戦域高高度防衛ミサイル」(THAAD=Terminal High Altitude Area Defense Missile)を駐韓米軍基地に配備する計画は韓国との間で正式議題にすらなっていない。フランク・ローズ米国務次官補(軍縮・検証・履行担当)は5月19日、ワシントンで開かれたシンポジウムで米高官として初めて「永久配備」に言及した。米韓首脳会談で、THAAD設置についての交渉を開始するようオバマ大統領が自ら打診する可能性大だ。

(”Missile Defense and the U.S. Response to the North Korean Ballistic Missile and WMD Threat,” Frank A. Rose, Assistant Secretary, Bureau of Arms Control, Verification and Compliance, Institute for Corean-American Studies(ICAS), U.S. Department of State, 5/19/2015)

 日米韓3カ国は14年12月、北朝鮮の核とミサイルに関する情報交換に関する「軍事情報共有了解覚書(MOU=Memorandum of Understanding)」を締結している。しかし、この覚書は日韓が情報を直接交換することも共有することも明示していない(日韓両国はこれと類似した「軍事情報包括保護協定(GSOMIA=General Security of Military Information Agreement)の締結を目指したが、韓国国内の反日感情に押された韓国政府が署名直前で一方的に撤回している)。

(”A trilateral intelligence sharing accord between Japan, Korea and the United States: implications and challenges,” Sukjoon Yoon, PacNet #6A, Center for Strategic & International Studies, 1/22/2015)

 朴大統領の訪米を前に、MOUの適用範囲を広げようとする米側の意向が高官の口を通して聞こえてくる。北朝鮮中枢で広がる粛清の動きを含む北朝鮮情報の共有を示唆するものだ。

 デービッド・シアー米国防次官補 は3月27日にワシントンで開かれたCSIS主催のセミナーで次のように発言した。「日米韓3カ国が昨年、締結した『軍事情報共有了解覚書』はグッド・スタートだ。今後さらに追加的な協定を締結するチャンスがあると考える」。

(”U.S.-Japan Security Seminar 2015,” David B. Shear, Assistant Secretary of Defense for Asia and Pacific Security Affairs, Center for Strategic & International Studies, 3/27/15)

 シアー発言について、あるシンクタンクの米国人研究員の一人はこう筆者に述べた。「シアー次官補が言おうとしていることは2つ。1つは、情報共有の対象は、北朝鮮の核、ミサイルだけでなく、北朝鮮の中枢における政治的な動きも含む。核・ミサイル開発の動きと政権中枢部で起こっていることとはどのような相関関係があるのか。いま米国にとって最も重要なのは北朝鮮の軍事的ハード面の情報と政治的ソフト面の情報の両方だからだ。2つ目は、米国を仲介とする日韓間の情報交換という枠を取り除き、三者が自由に迅速に情報を共有することだ」。

 韓国系米国人で国家安全保障会議(NSC)アジア部長を務めたこともあるビクター・チャ ジョージタウン大学教授は、先の安倍訪米に比べ、「今回の朴訪米は格式ばらない、お互いに好意を持った同盟国指導者同士の胸襟を開いた親密な対話になるだろう」と予想している。

(”Not ceremony, but intimacy,” Victor Cha, Joongang Daily, 5/29/2015)

 あるシンクタンクの研究者はこう語る。「米韓両首脳が胸襟を開いた親密な対話をするのであれば、話し合うべきは朝鮮民主主義人民共和国という国家の崩壊の可能性だ。その時に備えて、米韓への影響にはどんな影響があり、何を準備しておくべきか。日本や中国の出方についても、米韓が調整しておく必要がある。金正恩第一書記が継承した金王朝が崩壊しても国家そのものは残るのか、あるいは北朝鮮という国家自体が崩壊してしまうのか――どちらに進むかによって対応が異なる。『北朝鮮の崩壊』の可能性を視野に入れた協力体制の強化が必要だ」。

 ランド研究所は2013年、「北朝鮮崩壊の可能性に備えて」(”Preparing for the Possibility of a North Korean Collapse”)と題する膨大な量の報告書を作成している。「金王朝崩壊→北朝鮮国家の存続」と「北朝鮮国家自体の崩壊→消滅」の2つのシナリオのそれぞれに対して、米韓がどう対処するのか、米国への影響、中国の出方などについての鋭い分析がなされている。

(”Preparing for the Possibility of a North Korean Collapse,” Bruce W. Bennett, RAND Corporation, 2013)

6/2宮崎正弘氏メルマガ「廣池幹堂氏の本」の紹介記事について

廣池幹堂氏は廣池学園理事長とのこと。廣池学園と言っても分かりにくいでしょうが小生が中国語の授業(台湾人の先生)を受けています麗澤大学や大学院・中・高、幼稚園があります。http://www.reitaku.jp/ 

廣池千九郎が創始者で今も連綿と続いていますモラロジーの研究が建学の精神です。惜しむらくは他の私立大学と同じく、日本人の人口減のあおりを受けて他国の留学生を多く受け入れていることです。孔孟の精神を持たない民族が日本に留学してモラロジーを勉強し、帰国した場合何を故国に齎すのでしょう。上海では7不規範を今でも掲げています。守られていないという事でしょう。①不随地吐痰= ところかまわず痰を吐くな②不乱扔垃圾= ゴミを捨てるな③不損坏公物= 公共物を壊すな④不破坏緑地=緑地をこわすな⑤不乱穿馬路=ところかまわず道路を横断するな⑥不在公共場所吸烟=指定(喫煙所)以外の喫煙をするな⑦不説粗話髒話=汚い言葉を使うな。日本に来ても普段守れてないことができるはずがありません。②⑤⑥⑦は日本への中国人観光客は当り前のようにするでしょう。

若泉敬は真面目に自分の生き方を考えたのでしょう。佐藤優の『イスラエルとユダヤ人に関するノート』の中に、手島郁郎先生と財津正彌の「三島由紀夫割腹事件」についての遣り取りがありました。少々長いですが抜粋します。若泉の「戦後の日本人は危機管理など考えたくないことには目をつむり耳を塞いできた。そしてきれいごとをいって、耳に心地よいことばかりを追い求めている。まるで愚者の楽園であり、精神的文化的に根無し草に陥ったようなものである」と東郷の「神明は唯平素の鍛錬に力め、戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者より直ちに之を奪う。古人曰く勝って兜の緒を締めよと」に連なると思います。キリスト教信者であっても真剣に国あり方、人の生き方・死に方を考えていたのに今の日本人たるやと言う気がしてなりません。

美学と死の問題か?

財津先生は、三島事件についてこう記します。

〈十一月ニ十五日のこと、戦後の日本に民族魂の覚醒を訴えた衝撃的な事件が突発した。 作家の三島由紀夫が壮絶な割腹自殺を遂げたのである。

場所は東京市ヶ谷にある陸上自衛隊東部方面総監部の総監室、彼が自分の主宰する「楯の会」の若者四人を引き連れて、バルコニーから下に集まっている千人の自衛隊員に、天皇を中心とする精神的な日本国家を作るために、自衛隊が決起してその担い手となることを叫び訴えたが、それは無視され、その彼は会員の一人の介錯で割腹したのであった。

翌日の新聞に、妻は黙って見入っていた。新聞は、三島は自分の美学を自殺を通して実演した、と報じていたが、妻は芸術家志望だった自分の弟を、やはり自殺で亡くした十三年前の悲しみと思い合わせていたのであろう。

美を文学で極限まで追求してやまなかった義弟は、珠玉の文字を書き連ねて文学美を追求していたが、人間が生きていくということは、純粋に美の追求に徹し抜こうと努めても、それには限度があり、結局生きるということは妥協を続けて自分を醜にさらしゆくことに他ならず、そんなことは自分にはできぬと結論し、自分の生涯の絶頂は今だ、と自覚したその時に、美しい極みの文章だけを残し、自ら自分の生涯を断っていったのだった。二十一歳であった。>(前掲書三六五〜三六六頁)

財津先生は、義弟の自殺の問題に照らして、美学と死の問題について考えました。そして、人を死に誘う美の力に悪魔的なものを感じました。そこで当初、三島由紀夫氏の自決について否定的な評価をしました。

〈翌日曜日の感話では、話はそこで止めておけばよかったのだが、三島由紀夫の問題に自分なりの決着をつけなくてはと思い、彼の今回の行動を、その集会の場で言葉鋭く批判してしまった。

義弟の場合もそうであったが、今やサタンは美学や哲学や思想を使って若い魂を暗黒の深淵に引きずり込みつつある。三島の場合、私がどうしても許せなかったことがあった。この重大事件決行の一か月前に東武百貨店で《三島由紀夫展》なるものを開き、その入り口に、彼がボディ.ビルと剣道で鍛えた豪華な裸体で見事な居合い抜きの斬り捨ての一瞬をとらえた大写しの写真とその刀——それはそれから一か月後に彼の首を介錯するために使用されることになっていた銘刀「関の孫六」——その二つのものを「これを見よ!」とばかりに飾りつけ、三島は、何も知らずにこの展示場に入場してくるすベての者にそれを見せつけ、やがてすぐその刀を使って自決を遂げていったのだ。

私は、こういう芝居じみたことがいただけなかった。しかも、そういう芝居に、なぜ有為な若者までも巻き込んだのか。許せない、と思った。〉(前掲書三六七頁)

諫めるための死

この話を聞いた手島郁郎先生が、財津先生に重要な問題提起をします。

〈その時、先生は黙って聴いておられた。ただ私には、火曜夜の集会まで残るように、と言われた。それもそうだろうと思った。

三島が投げかけた問題は、今の日本にとって極めて重要な問題で、それに文字どおり自分の生命までたたきつけて叫んだ壮挙には、もっと威儀を正して注目すべきであって、美学の範囲に話をしぼり込んだのでは、大事な問題をとらえ損なうのではないのかと、自分のなかに異を唱えるもう一つの自分もあった。

だが、火曜集会の場では、私は日曜に話した立場に留めおかれて、先生はその私と対論風に話を進めながら、問題に入っていかれた。

先生の言いたかったことは、「財津くんは三島の死は狂死だったというが、ぼくは三島は偉いと思った。彼の死を人は狂死というが、だらけた日本を嘆いての憤死ではなかったのか、また諫死ではないのか。演技的行動をやってのけたからといって、それを単なる狂気と言い捨ててよいものか、どうか」ということであった。>(前掲書三六八頁)

手島先生の財津先生に対する問題提起は、外在的なものではありません。財津先生が心の中 に思っているが、明瞭な言語にできない「何か」を引き出すきっかけを手島先生は与えたのです。これこそが理想的な師弟関係と思います。手島先生は、ステパノの殉教との類比で三島由紀夫氏の自決について解釈します。

〈三島の死に引っかけて、先生は私たちに、否、私の魂に言うべきことがあったのだ。このことをさらに一週間後の聖日集会において、先生は「使徒行伝第六章」の殉教者ステパノの講義で激しく取り上げ、「愛に生き狂う生涯」と題して、今や書物の文字を通して強烈に叫び続けている。

「Zくんは『滅びの美学』だと言いますが、そういう面もあるかもしれない。しかし、狂気とも狂い死にとも見えるような行動をなぜしたのか。人間が自分で死ぬということは大変なことです」

「三島由紀夫は、『狂わないような人間は駄目だ』と言っているけれども、私もそうです。利口だったら、原始福音の伝道なんかしません。私は商売でも上手にやります。しかし、すべてを捨てて伝道に没頭しようとするのは、神の愛が私を狂わしめるんです」 「人間の死をもって訴える訴えは、大きい力をもっています。日本には昔から諌死ということがある。誰かの心を諫めるために死ぬ。三島の死は有島武郎や芥川龍之介の死と違って、今の時代に死をもって訴えたということは、ただでは終わらないと思う」

「アベルの血は今も叫んでいます。イエス•キリストの十字架は、宇宙に叫んでいるんです。このことが分からなかったら、宗教などというものは成立しません」

「死を覚悟しないような信仰なら、せぬ方がいい。もう死んでも構わぬというくらいの尊いものがあるから、私たちは命かけて神に信ずるんじゃないですか」

「私は他の人と違います。私をフアツショだと言って笑うなら笑え。そのくらいのことは平気です。もっと日本人の精神が復興することの方が大事だと思うからです」

先生の叫びはこうだ—神を知らぬ三島でさえ、戦後の日本が経済繁栄にうつつを抜かし、国の大本を忘れ、国民精神を失い、自ら魂の空白に落ち込み、国家百年の大計は外国に委ね、日本人自ら日本の歴史と伝統を漬している現状を見るに忍びず、自衛隊員の胸を揺さぶり、共に義のために立ち、日本を真の日本の姿に取り戻すために共に死のうと腹をかき切って死んでいったのだ。私はこの男は偉かったなあと思う……。 あれから四十年、先生は今なお私に問い続けている。 「財津くん、違うかね」と。〉(前掲書三六八〜三七〇頁)」

記事

人生において最も大事なことは何か、55の箴言に学ぶ教訓集 やはり孔孟にたどりつき、西郷、吉田松陰に語り継がれた   

廣池幹堂『人生の名言 歴史の金言』(育鵬社)

 著者の廣池幹堂氏は廣池学園理事長である。

 廣池学園では広く、モラロジーを教える。「道徳科学」を重視する教育方針で、そうとくれば孔孟から荀子老子はもとより佐藤一齋、西郷隆盛、吉田松陰、石田梅岩、新渡戸稲造とずらり並ぶのは当然だろうと予測がつく。

 想定外の金言、格言も挿入されていて、たとえばその一つが若泉敬である。

 若泉は若くして国際外交舞台で大活躍し、沖縄密約のときは、佐藤首相の密使として何回もアメリカへ飛んで、ニクソン、キッシンジャーと渡り合った。評者(宮崎)は、学生時代に何回か会って、また毎月一回は氏のオフィスで新聞のスクラップブック作りのアルバイトをしていた。

政治の現場を離れた若泉さんは京都産業大学で教鞭をとって、しずかな余生を送られ遺書のような大作を残して自裁したのは、つい昨日のような感じである。

 若泉さんは次の金言を残している。

――危機管理とは考えられないこと、或いは考えたくないことを考えることである。

 その通りである。

 日本人の多く、とりわけ付和雷同の人たちが嫌がる防衛論議、日本の核武装、戦争。これら「考えたくないこと」を、じつは真剣に近未来のシナリオとして考えなければならない。それが指導者の役目だ。

 若泉さんは次のことを書き残した。

 「戦後の日本人は危機管理など考えたくないことには目をつむり耳を塞いできた。そしてきれいごとをいって、耳に心地よいことばかりを追い求めている。まるで愚者の楽園であり、精神的文化的に根無し草に陥ったようなものである」と。

 まさにいまのニッポンは「愚者の楽園」だ。

  ほかにも紹介したい金言が廣池氏の選択によって並ぶが、もう一つ。

 日露戦争に勝った立役者のひとりは東郷平八郎である。

 「明治三十八年五月二十七日、対馬海峡付近に集結していた日本連合艦隊の旗艦『三笠』はZ旗と呼ばれる旗を高々と掲揚しました。このZ旗には、艦隊への信号として、次に意味があらかじめ割り当てられていました。

 「皇国の荒廃、この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ」

 (中略)もしも日本が負けていたら、満州や朝鮮半島だけでなく日本列島までロシアに飲み込まれていたことでしょう。陸軍の旅順攻略につづいて、海軍がロシアのバルチック艦隊を全滅させ、講和条約を結んだことで日本はその後も独立国として存続できたのです。

 (中略)「終盤、ロシア艦が白旗を掲げるのを見て、艦長らは砲撃停止を進言しましたが、東郷は威嚇砲撃を続けさせました。なぜならまだエンジンを停止しておらず、国際法上はまだ降伏の意思をしめしていない状態だったからです。それに気づいたロシア艦がエンジンを止めて、日本連合艦隊の完全勝利が確定しました」。

 当時の指導者は外国留学組が多く、国際法に通暁していたのである。

 「戦闘終了後、東郷は、負傷して佐世保の海軍病院で捕虜となっていたロシアのロジェストヴェンスキー司令官を見舞っています。敗軍の将をねぎらい、心を尽くして見舞ったことで、ロジェストヴェンスキーは感動の泪を流したそうです。

 東郷の真骨頂は、大勝利を収め、日本国民が勝利に沸き立っていたときも、少しも奢り高ぶることなく、謙虚な姿勢を貫いたところになります。一九〇五年(明治三十八)十二月に行われた連合艦隊の解散式における挨拶を次の言葉で締めくくりました。

 『神明は唯平素の鍛錬に力め、戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者より直ちに之を奪う。古人曰く勝って兜の緒を締めよと』

 東郷の国葬には英米仏伊の海軍が儀礼艦を日本に派遣して、その武勇を称えた。日本にはこうした英雄達が歴史を引っ張った時代があった。

6/2藤岡信勝氏Facebook『西村幸祐・神社仏閣へ油を撒いた犯人』転載記事について

やはりというか想定通りと言うか神社仏閣に油を撒いたのは在日の帰化人のようですね。日本の帰化政策の誤りと通名制度が日本の弱体化を招いています。意図的に日本を貶めようと世界にアピールしようとしているNYタイムズの在日帰化人の大西哲光(国籍はカナダ)や田淵広子に繋がります。日本人は神仏を畏れているのでどんなに時代が変わろうとも、個人のレベルで天をも恐れぬ行動をできるはずがありません。信長の比叡山焼き討ちとか廃仏毀釈はありましたが。マスメデイアがキチンと名前を挙げて報道しないのは裏に反日勢力の手が伸びていると考えるのは自然でしょう。

西村幸祐氏は「中国時報」の記事も写真で掲載しています。本日麗澤大学図書館で本記事を読みました。韓国人と言うのは「ケンチャナヨ」精神旺盛と言うか、中国語の「没問題」(=mei2Wen4ti2)と同じでno problemではなく、必ず問題であるというところでしょう。中東のSARSでMERS(Middle East)と言われていますが、変な話、砂漠の国のサウデイにSARS菌が繁殖できたかどうか。根本原因は中国のような気がしてなりません。広東省がSARS発生の原因だったように。広東省は雨も多く、高温で鼠やゴキブリも生育が良く大型でした。まして広州のように動物を生きたまま売る市場までありますから。床は動物の血で血塗られていた記憶があります。でも中国と韓国は人命優先でないのは分かります。ハフィントンポストに記事が載っています。

関連記事  http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/02/mers-asiana-air-nagoya_n_7489906.html

分かっていて中国や香港に出張するなんてどういう神経でしょう。テロリストと一緒。日本も油撒き犯人と同じく反日の人間がテロを起こす可能性がありますから。自分は安全と思うのが一番危険です。リスク管理の要諦は「最悪の事態を想定して準備する」ですから。

また、長江での客船の転覆で船長が逃げた可能性がありますね。今の所458人中20人しか救出されず、船長と機関長が助かっているというのはどう考えてもおかしい。我先に逃げたのでは。セウオル号と同じ。中韓は同じ精神構造をしているという事でしょう。

6/2午後7時のNHKTVのニュースで「ハイアール」の名前を堂々と出して宣伝に一役買っていました。いつからNHKは名前を出してもいいようにしたのでしょう。日本の企業名も出しているのでしょうか?http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150602/k10010100881000.html

ビールのラベルが出ないように気を使うほどなのに。如何にメデイアが他国に侵されているかの例証です

記事

コリアンがらみの奇妙な犯罪が相次いでいるのに、日本のメディアは報道管制状態だ。由々しき事態で、これを何とか暴露し、突破しなければならないが、報道の決定権は反日勢力に握られている。捏造報道よりも、歪曲報道よりも、報道遮断がメディアの最大の権力行使、国民支配の手段であることを忘れてはならない。西村幸祐氏のタイムラインからシェアーする。

Masahide Kanayama

 

 

 

 

 

 

 

 

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西村 幸祐さんが新しい写真3枚を追加しました

日本人に銃を向ける、韓国関連情報を隠蔽する異常なメディア。

完全に危険水域を超えた日本メディアの異常な情報統制。韓国人の非文明的な行動が原因でMERSによる初の死者が出て、隔離患者は現在682人に及んでいる。先週からアジア各国で大騒ぎなのに、日本メディアの報道はなかった。

また、今年なってから頻発する全国寺社へのテロは、僕が何回も予想した(https://twitter.com/kohyu1952/status/603271406122504192 )通り、やはり、韓国キリスト教カルトの反日テロだったことが判明したが、日本メディアは全てを隠蔽している。

 韓国特有のキリスト教を名乗るカルト集団の創設者、金山昌秀の犯行と明らかになったのに、容疑者の名前は出ない。しかも、最初は在米の「日本国籍」と報道し、次第に「日本人」と報道。メディアはしきりに「日本人」であることを強調する。

そして彼らは、この事件の本質である、元在日の韓国系日本人の反日カルト的な犯行であることを隠蔽している。韓国人MERS報道も先週から台湾で連日大きく報道されたのに日本人のリスクを無視する情報統制が布かれている。

 安保法制審議も異常な偏向報道が続き、逮捕歴のある辻元清美や5月27日に逮捕された北朝鮮工作員、斉藤まさしの支援を受けて議員になった民主党の後藤祐一の無意味なゴミのような質疑だけが取り上げられ、長島昭久議員(民主)との安保法制にとって有意義な質疑は全く報道されないのだ。

 一連の情報統制は、丹念な取材で韓国軍慰安婦の実態を掴み、報道しようとして自社に潰された、前TBSワシントン支局長、山口敬之氏の悲劇にまで繋がっている。この背景に一体何があるのか? 今、日本のジャーナリズムに問われるもの、そして、その危機は大きい。

※写真は全国の寺社への反日テロ実行犯(当然、組織的な犯行)。

 次の2点は、MERS感染の危機を大きく扱った先週の台湾紙の報道。

5/30産経ニュース 古森 義久 『安保法制、日本の敵は日本か』と6/1ZAKZAK『南シナ海“一触即発” 開き直り中国に日米反撃 警戒監視活動や共同訓練も』記事について

朝日も日本共産党も日本を中国共産党に売り渡そうと言う組織と思えば分かり易い。小生は中国に8年間居て、人権抑圧を目の当たりで見てきたため、当然ああいう社会が理想とは思えず、中国人には「可哀想」としか思えなかったです。今の日本の野党の政治家やメデイアのように政府批判、共産党批判すれば間違いなく逮捕状がなくても拘引されるか、罪名をデッチ上げてでも逮捕、拘留するでしょう。朝日の読者は分かっているのでしょうか?野党の政治家やメデイアは中国共産党的統治が良いと思っている確信犯ですが、読者はそこまで思っている人は少ないでしょう。自分の頭で考えないから、呪縛が解けないのでしょう。

南沙諸島の基地は軍事目的と解放軍は明言しました。日本の左翼メデイアはもっと中国を批判すべきでは。口を開けば「平和」「平和」と唱えているくせに、中国の侵略行為に口を噤むのであれば、彼らの言う「平和」はダブル・スタンダードであり、中国語の「和平」(he2ping2=日本語の「平和」。但し和して後平らげるとも読める、)のようなものではないか。報道しない自由を行使するのは、この場合侵略に手を貸すようなものです。

日本国民一人ひとりの自覚が必要です。国難に際して、大事なことは①左翼新聞は買わない②次の選挙で左翼・親中派・親韓派には投票しない、という事を今からでもやっていくことです。地道な取り組みが大事です。

5/30産経記事

日本の最大の敵は日本なのか-日本の安全保障関連法案の国会質疑やその報道は、そんな疑問を感じさせる。

「暴走」「思うがままに武力を」「ナチスの手口」など、同法案の核心の集団的自衛権行使容認に反対する朝日新聞の記事の見出しは、日本が自ら他国に戦争を仕掛けるためにこの措置を取る、と思わせようとしているのは明らかだ。

同法案の目的を「日本を、戦争をする国にする」と断じる日本共産党の主張も日本がいかにも侵略戦争を始めるかのような暗示がにじむ。なにしろ議論の最大焦点が日本を守るはずの自衛隊の手足を縛る「歯止め」だから、日本はそれほどに危険で自制のない国なのか、といぶかってしまう。

日本を軍事的に威嚇し、侵略しようとする勢力への「歯止め」がまず語られないのだ。

集団的自衛権自体を危険視する側は日米同盟がそもそも集団自衛であることは無視のようだ。日本領土が攻撃され、日本がいくら個別的自衛だと称しても、現実は米国に日本との集団的自衛権を発動してもらうのが日米同盟の抑止力そのものなのである。

自国防衛は集団自衛に全面的に依存しながら、その集団自衛の概念に反対するという日本の従来の姿勢は米側ではあまりに自己中心で他者依存とみなされてきた。

米国側は超党派でもう20年も日本の集団的自衛権解禁を切望してきた。米国が想定するアジア有事、つまり朝鮮半島有事や台湾海峡有事に対しては国防総省にはいつも「ジャパン・イン(内)」と「ジャパン・アウト(外)」という2つのシナリオが存在してきた。

「イン」は日本が米国の軍事行動に対し同じ陣営内部に入り、味方として行動する見通し、「アウト」は日本が集団的自衛権禁止を理由に米軍の後方支援も含めて完全に非協力、外部に立つという意味だという。

歴代の米国政権はもちろん「イン」を望んだが、常に「アウト」をも想定しなければならず、アジア戦略では大きな悩みだった。そして現実の有事で、もし「ジャパン・アウト」となった場合、「日米同盟はその時点で終結する」と断言する米側関係者が多かった。日米安保条約の米側からの破棄という意味だった。

 だから軍事にはあまり熱心ではないオバマ政権も今回の日本の動きは大歓迎するわけだ。米国側全体のいまの反応について大手研究機関AEIの日本研究部長のマイケル・オースリン氏は米紙への5月中旬の寄稿で「日本のいまの動きは自衛隊を他国の軍隊と同様な機能を果たせるように正常化し、米国との安保協力を深め、他のアジア諸国との安保連携をも可能にし、日本がアジアでの責任ある役割を果たせることを目指す」と歓迎の総括を述べた。

米国政府は日本政府に正面から集団的自衛権行使を求めることはしない。主権国家同士の礼儀だろう。だが本音としてのその要望は政府周辺から長年、一貫して発せられてきた。

しかも日本の集団的自衛権は禁止のままだ と日米同盟の崩壊につながりかねないとする警告が多かった。

超党派の研究機関「外交問題評議会」が1997年に日本の集団的自衛権禁止を「日米同盟全体にひそむ危険な崩壊要因」と位置づけたのもその 一例だった。

 こうした米国側の意向や状況は日本でのいまの論議ではまったく欠落したままなのである。(ワシントン駐在客員特派員)

6/1ZAKZAK記事

南シナ海が緊迫している。習近平国家主席率いる中国が国際社会の反発を無視して、岩礁を次々と埋め立てていたが、ついに中国軍幹部が「軍事目的だ」と明言したのだ。人工島には火砲まで配備しているという。一方、日米両国は、中国の「力による現状変更の試み」に反対することで一致し、警戒監視活動や共同訓練などで、牽制(けんせい)していく。

 「中国の主権の範囲内で、合法で正当かつ合理的な活動だ」

 中国人民解放軍の孫建国・副総参謀長は5月31日、シンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で講演し、南シナ海での人工島建設について、こう言い切った。さらに、その目的に「軍事、防衛上のニーズ」を含めた。

 前日の同会議で、カーター米国防長官が「南シナ海で1カ国だけが、いかなる国をも大きく上回る規模と速さで埋め立てを進めている。それは中国だ」と名指しして、即時中止を要求していたが、中国軍幹部は開き直って「本性」をさらけ出したといえる。

 オバマ米大統領の対応を甘く見たのか、中国の暴走は加速している。

 米国防総省のウォーレン報道部長は先月末、中国が人工島の1つに(自走砲などの)火砲を配備したと明言した。米政府は「自走砲を手始めに今後、レーダーや艦船、航空機、ミサイルなどが徐々に配備されていくだろう」(軍事筋)と分析している。

 まさに、「人工島の軍事基地化」だが、南シナ海は日本のシーレーンでもあり、わが国としても中国の野望を看過するわけにはいかない。

 中谷元防衛相とカーター氏は5月30日に会談し、中国の「力による現状変更の試み」に反対することで一致。オーストラリアのアンドリュース国防相を交えた3カ国の防衛相会談では、日米豪3カ国が緊密に連携していくことを確認した。

 東南アジア諸国にも不安が広がっているが、中谷氏は翌31日、シンガポールのウン・エンヘン国防相との会談で「日本も地域の平和と安全に貢献していく」と強調した。

 高い警戒監視能力を誇る海上自衛隊のP3C哨戒機を派遣する可能性があるが、航続距離に問題がある。このため、フィリピンの旧米空軍クラーク基地を活用する案もある。また、中谷氏は同会議での講演で、南シナ海で自衛隊と米艦艇が共同訓練などを行い中国に対抗する考えも示した。

 こうしたなか、中国は分断工作を仕掛けてきた。

 前出の孫氏は同31日、韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相との会談で、米国が韓国への配備を検討している地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について「憂慮する」と通告したのだ。

 韓氏は「韓国の国益と安全保障上の利益を考慮し、わが政府が主導的に判断し決める」と反論したというが、どこまで耐えきれるのか。

5/31伊勢雅臣メルマガ掲載 『地球史探訪: 海洋国家の衰亡への道 ~ 月尾嘉雄『日本が世界地図から消滅しないための戦略』を読む』記事について

月尾氏は東大教授だったにも拘らず左翼に汚染されていません。東大の先生が全部汚染されている訳ではないですが。カルタゴについては昨年9月にチュニジアに行って見てきました。海に面して遺跡がわずかながら残っていました。床がモザイク模様でした。塩野七生の『ローマ人の物語 ハンニバル戦記』と森本哲郎の『ある通商国家の興亡』にカルタゴが出てきます。本記事に書かれているような浮かれた気持ちしか持てない国民は滅ぶしかないという警世の書だったと思います。特に『ある通商国家の興亡』では第二ポエニ戦役でローマが要求した講和の条件は第二次大戦で米国が要求した武力放棄(ローマの命なく戦争してはならない)と酷似しています。

集団的自衛権で後藤とか辻元とか民主党は下らん質問ばかり。中国が南シナ海を手に入れようとしているのに“clear and present danger”と言うのが分からない人達です。「一国平和主義」というのは覇権国アメリカですら難しいのに日本にできる訳ありません。鎖国すればよいのでしょうがグローバルな時代にそれは無理です。民主党は日本に対し「鎖国せよ」とか中国に「隷従せよ」とでも思っているのでしょうか。武力侵攻を喜んでするような国に隷従したら国民がどうなるか分かるでしょう。チベット、ウイグル、モンゴル族が如何に悲惨な目に遭ってきているか、本ブログで何度も書いてきました。多国間同盟で中国を封じ込めるしかありません。

今の日本の経済人は経済にしか目が行きません。金儲けのことだけ。戦後すぐ位は、財界人は「国家と共にある」と言うほどの人物が多かったですが。然るに今は志の低い人ばかり。勿論経済力は軍事力の基礎となりますから、成長させていくことは非常に大切です。しかし、儲かればよいと言って敵に塩を送るのはどうか。三島の諌言、前述の森本の警世など、聞く頭になっていないのでしょう。(今調べて、森本は朝日新聞の編集委員をしていたというのでビックリですが)

オランダの事例で言えば今の米軍に戦闘させて自分は金儲けだけと言うのではアメリカ人の反感を買うという事です。アメリカも日本に多く基地を置いていたのはいわゆる「瓶の蓋」の役目だったのでしょうが、時代と環境が変わりました。日本の基地こそが「自由を守る砦」に変わる訳です。キッシンジャーが周と約束したことは全部裏目に出ました。彼も中国から金を貰っている口でしょうけど。「騙す人が賢く、騙される方が馬鹿」という民族性を知らないためです。中国を恐れ、日本の基地を置き去りにしたらアメリカは末代まで「臆病者」の烙印を押されるでしょう。宮崎正弘氏の言うように「第七艦隊」を日本の持つ米国債で買ってくれとなりますか?

記事

 カルタゴ、ベネチア、オランダに見る海洋国家の衰亡への道。

■1.「日本という国家が消滅することはないという幼児のような楽観」

『日本が世界地図から消滅しないための戦略』というショッキングなタイトルの新刊が出た。著者の月尾嘉雄(つきお・よしお)東大名誉教授はもともとは建築学が専攻だが、最近は地球環境問題やメディア政策など幅広い分野で発信をされている。

 この本の前書きは次のような印象的な一節で始まる。

 国旗掲揚と国歌斉唱に異論のある人々が日本に増加しているようであるが、それをしたくてもできない民族の苦痛を想像してみれば、そのような異論が愚論であることが容易に理解できるはずである。それは日本という国家が消滅することはないという幼児のような楽観を根底とする幻想でしかない。[1,p1]

 チベットやウイグルなど、自らの国家を失い、少数民族として圧政に苦しんでいる民族は少なくない。第二次大戦後に消滅した国家は約180にもなるという。

■2.消滅した古代海洋国家カルタゴ

 我が国と同様の海洋国家で、長く栄えながら滅んだ国が歴史上、いくつもある。

 その一つ、カルタゴは、北アフリカの地中海沿岸、現在のチュニジアの近辺で栄えた古代海洋国家である。紀元前814年に建国されたという伝説を持ち、紀元前6世紀から西地中海の海運交易を握り、エジプトからモロッコ、さらには現在のスペインのあたりまで領土を広げていった。

 しかし、イタリア半島から発展したローマと紀元前264年から146年までの120余年間に3度も大きな戦いを繰り広げ、一時はハンニバル将軍が象の一群を率いてアルプスを越えてイタリア半島にまで攻め込んだが、最終的には敗北した。

 ローマは通常は「敗者さえも同化する」寛大な政策をとって発展したのだが、ことカルタゴに対しては特別で、1世紀以上の度重なる戦いの報復として、カルタゴ市民を虐殺し、都市はすべて破壊した。カルタゴは地上から消滅し、その遺跡は19世紀まで発見されなかった。

■3.滅亡の第1の要因:傭兵

 カルタゴが消滅したのはローマとの戦いに敗れたからであるが、実際にハンニバルのイタリア半島侵攻ではローマ征服の一歩手前までいきながら、最終的にはなぜローマに滅ぼされたのか。

 その理由として月尾氏が最初に挙げているのが、傭兵に依存したことである。海洋国家であるから海軍は自国民中心で構成されていたが、陸軍は大半が傭兵であった。傭兵の目的は金銭であり、カルタゴのために命をかけるという志はない。

 それに比してローマは当時は共和国であり、市民は祖国のために、子孫のために、命をかけて戦うことを名誉と考えていた。いかに名将ハンニバルが何年か活躍しても、1世紀以上も戦い続ければ当然この違いが出てくる。

 傭兵が頼りにならない事は、その後の歴史で何度も実証されている。たとえば、ロシアは日露戦争で当時属領として支配していたポーランド人をロシア軍に含めて送り込んだ。日本軍はポーランドの独立運動と連携して、ポーランド兵の脱走工作を行い、投降したポーランド兵数千人を松山の収容所で厚遇した。[a]

 対する日本兵はすべて国民兵であり、家族のため、国家の独立維持のために命を捧げることを厭わなかった。[b]

 大東亜戦争でも、日本陸軍は開戦後わずか2ヶ月でマレー半島のイギリス軍を駆逐してシンガポールを占領したが、その成功要因の一つに英軍10万の半分を占めるインド兵に呼びかけて、「インド独立のために一緒に戦おう」と呼びかけたことがある。ここで結集したインド将兵たちが、現在の「インド国民軍」の中核となった。[c]

 いくら経済的に繁栄しても、国家の独立を守るのは自前の防衛力である。金で雇った傭兵では、いくら優れた将軍や武器を備えていても、長期的に国家を守る真の防衛力にはならない。

■4.滅亡の第2の要因:経済史上主義

 敗戦の第二の原因が経済至上主義である。月尾氏は次の史家の言葉を引用している。

「カルタゴの歴史は文明の浅薄さと脆弱さを示している。彼らは富の獲得だけに血道をあげ、政治的、文化的、倫理的な進歩を目指す努力をしなかった」(J・トゥーテイン)

 目先の利益にだけに目を奪われていては、日ごろから防衛のための備えをすることもおろそかにされる。青少年には国家公共のために働くことを名誉とみなす倫理教育もできなかったろう。

 そもそも豊かな文化伝統なしに経済至上主義の中で育てられた青少年には、祖国のために尽くし、祖国の危機には立ち上がる祖国愛も育たなかっただろう。

■5.滅亡の第3の要因:ローマの敵意に対する鈍感さ

 滅亡の第三の原因として挙げられているのが、ローマの敵意に対する鈍感さである。

 第一次ポエニ戦争(紀元前264~241年)の敗戦では広大な領土放棄以外に、年間の農業生産に匹敵する賠償金を24年に渡って支払うこと、さらに第二次ポエニ戦争(紀元前149~201年)では、同程度の賠償金を50年間支払い続けることとされたが、カルタゴは、その通商での経済力でいずれも早めに完済してしまう。

 それほどの経済力を持ったカルタゴを危険視して、ローマの政治家たちはカルタゴを滅亡させるべきと決心する。

 第二次ポエニ戦争での敗戦にもかかわらず、その後も発展しているカルタゴを脅威とする人々がローマに増加していくが、その中心にあったのがローマの政治家マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス(大カト)である。第二次ポエニ戦争に従軍して敗走した経験もあり、カルタゴへの敵愾心に満ちていた政治家であった。

 カトはカルタゴから輸送されてきた見事なイチジクを聴衆に見せ、このような立派な農産物を生産する国がローマから三日の航海の距離にあると演説し、その最後を「デレンダ・エスト・カルタゴ(カルタゴを殲せんめつ滅すべし)」と締めくくっていた。この繰返しが次第にローマ市民に浸透し、戦争の気運が高まっていった。これが第三の教訓である。[1,p31]

 ローマはカルタゴに、地中海に面した首都を捨て、内陸部に遷都せよ、という無理難題を要求して、ついに3度目の戦争に追い込む。そしてカルタゴを破った後は、その都市を跡形もなく破壊し、住民を虐殺するという、敗者に対して寛容なローマにしては珍しく残虐な措置をとったのも、こういう反カルタゴ感情がゆえであろう。

 不思議なのは、カルタゴがこういうローマの敵意に対して、鈍感だったことである。経済至上主義で国の安全に無頓着であれば、他国の脅威に対しても、敏感にはなれなかったのだろう。

■6.ベネチアの繁栄と衰亡

 カルタゴと同様に、地中海での通商を握って、長期間、栄えながら滅んだのがベネチアである。海上に浮かぶ小さな人口島を本拠地として、697年の初代元首就任から1797年にナポレオンに征服されるまで、実に1,100年間も独立を維持した[a]。優れた造船技術を武器に、最盛期には地中海最大の海洋国家として栄華を誇った。

 ベネチアについては本誌104号[e]で紹介したので、ここでは繰り返さないが、そこで強調したのは、発展の原動力となったのが貴族も平民も国家に尽くそうという強い同胞感だった事だ。この力によって、人口10倍もの大国トルコと250年間も戦い抜いたのは、カルタゴとは大きく異なる点である。

 しかし、最後には衰退し、ナポレオンに屈服するのだが、そこでの要因として、月尾氏は以下の3つを挙げている。

 第1は技術革新への乗り遅れ。15世紀にポルトガルで3本の帆柱を備えたキャラベル船が開発され、コロンブスのアメリカ大陸到達などの大航海時代が始まった。この船は造船単価が3.5倍にも跳ね上がるが、ベネチアは造船予算を1.5倍にしか増やさなかった。当然、保有する隻数は半分以下となり、海軍力も、交易力も大きく低下した。

 第2はアジアとの交易で、アフリカの希望峰周りの航路が開拓され、ポルトガルやスペインなどの大西洋に面した港湾都市が交易の中心となったこと。従来の東地中海から中近東を通る陸上ルートは危険で、コストも高いので廃れてしまった。

 第3に、国民の通商意欲の減退と、それを反映した人口の減少。海に向かう進取の気風が失われ、ベネチアの対岸の大陸部分に引き込むようになった。守りの生活に入ると、子どもの増加が財産の細分化につながるため、貴族の家庭で独身比率が高まっていった。16世紀の51%から、17世紀に60%、18世紀には66%と上昇していった。

 これは肉体的な精力が減退したというよりは、精神的な意欲の衰退と理解すべき現象である。一八世紀末のナポレオンの恫喝(どうかつ)に戦時問題首脳会議も大評議会も弱腰で右往左往し、簡単に屈服した下地は、二〇〇年近い社会と国民の性質変化によって出来上がっていたということになる。[1,p40]

■7.オランダの海洋覇権がいかにイギリスに奪われたのか

 月尾氏の著書にはないが、弊誌で紹介したオランダの盛衰も関連するので、簡単に触れておこう。

 大英帝国が築かれる前に、オランダはアフリカの希望峰から、セイロン、ジャカルタ、広東、そして長崎の出島に至るまで植民地や通商拠点を置き、17世紀の世界貿易を握っていた。

 オーストラリア大陸はオランダ人が発見し、オランダのホラント州から「ニューホラント」と名付けられていた。ニュージーランドは、同様にゼーラント州から付けられた名前がそのまま残っている。アメリカのニューヨークは、もとはニューアムステルダムだった。

 このオランダの海洋帝国は、その後、ほとんどイギリスに奪われ、大英帝国として「上書き」されてしまう。

 かつてオランダはスペイン帝国の一領地だったが、自由と独立を求めて同盟国イギリスと共に80年戦争を戦い抜く。戦争の途中、オランダの商人たちが実権を握ると、彼らは金はかかるが利益の少ない地上戦闘はイギリスに任せ、自らは海洋権益の拡大を目指した。こうしてオランダは一大海洋帝国を築き上げた。

 しかし、このオランダの姿勢は、イギリスの反感を買った。イギリスの当時の重商主義者トーマス・マンはこう語っている。

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 オランダ人が東西両インドを征服し、その交易の果実をわれわれからむしり取っている間、われわれはオランダの防衛のために血を流しているのである。[2,p219]

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 1648年にスペインとの講和が成立するや、わずか4年後には英蘭戦争が始まっている。その最中でもオランダ商人の中には、イギリスに軍艦用資材を売って大儲けする輩(やから)までいて、そんな状態ではオランダは勝てるはずもなかった。こうしてオランダの海洋覇権は次々とイギリスに奪われ、世界貿易の中心はアムステルダムからロンドンに移ったのである。

■8.日本が世界地図から消滅しないために

 カルタゴ、ベネチア、オランダと、一時は海洋大国として隆盛を誇りながら、その後、滅亡ないし衰退した国家を見てきた。

 これらの国々が発展する過程に共通して見てとれるのは、国民が経済発展を目指して自由に励む姿である。国民が自由に自らの利益を追求する時、個人の創意工夫によって新しい技術が生まれ、新たな航路が切り開かれ、交易が始まる。その活動が海洋大国を築く。

 しかし、いざ戦争となると、経済力とは別次元の力が必要となる。カルタゴの例で見たように金で雇った傭兵では、命を懸けてまで国を守ってはくれない。自分の家族、郷土、国家を自らの生命を犠牲にしても守ろうとする祖国愛を持った国民が必要なのである。経済至上主義では、国民一人ひとりが自分の利益を追求するだけで、そのような祖国愛は生まれない。

 各自が自分の利益だけしか眼中になければ、他国が敵意を燃やしていても気がつかない。カルタゴがローマの敵意に気がつかず、オランダがイギリスの怒りを買ったのも、経済至上主義の故だろう。祖国を守りたいという姿勢があってこそ、敵国や同盟国の動向・心理にも注意を払うようになる。

 また、経済至上主義では、ある程度の豊かさを達成してしまうと、それに満足してしまう。ベネチアのように結婚して子孫を作るよりも、独身のまま今の生活を楽しんだ方が良いと考える。子孫のために、何とか新たな繁栄の道を探ろうという志を持たなくなる。

 カルタゴ、ベネチア、オランダの歴史は、現代日本に二つの道を示している。一つは、経済至上主義で高度成長を遂げた現状で満足してしまって、十分な防衛努力もせず、近隣諸国の敵意や同盟国との連帯に注意を払わずに、少子化と経済停滞の道を歩むか。この道では、いざ敵国に攻め込まれたら、滅亡は必至だ。

 第二の道は、祖国愛を蘇らせ、自らの国は自ら守るという気概を奮い起こし、防衛の備えを怠らず、子孫のために新たな精神的、経済的発展を志す。

 日本が世界地図から消滅しないための岐路に我々は立っている。

(文責:伊勢雅臣)

5/29・30日経の中国の南沙諸島関連記事について

オバマのアメリカは真の敵が読めずにいます。アフガンで借りを中国に作ると言う発想はないでしょう。如何にテロリスト集団と言ったって戦闘レベルの話。中国がアメリカに挑戦しているのは金融、情報、軍事の分野です。タリバンやISの比ではないでしょう。宗教心もなく、拝金、自己中心の民族です。中国が覇権を握ったら、世界を悪に染めようとするでしょう。

中国はオバマが大統領でいる間に取れるものは取ろうとするでしょう。ペンタゴンは目にもの見せんとしても、大統領が軍事忌避で大局観がなく優柔不断であれば、南沙の基地より12海里の進出も難しいかもしれません。中国はそう読んでどんどん既成事実化を進めています。南シナ海が中国の手に落ちれば次に必ずや東シナ海に出て来るでしょう。そして太平洋の西半分を中国のものにとか考えているとアメリカが思っているとしたら甘い。絶対東半分にも出て行こうとします。先ず、その前に中国人を入植させ、いざと言うときにその国で内乱を起こせる準備をするでしょう。選挙のある国には移民をドンドン増やしていくでしょう。

アメリカも日本も中国と言う巨大な怪物を造った製造物責任があります。東南アジアの平和に責任を持たないと。衛星写真を公開したって中国が止まるはずはありません。織り込み済みです。バックパッシングは無責任です。アメリカ、日本、東南アジアが目の前の侵略に何も手を打たないとしたら、未来はもっと悪くなるでしょう。宥和政策は第三次大戦の引き金になります。

日本は早く国連の敵国条項を削除すべきです。中国は国連でそれを主張し、「日本に宣戦布告しろ」と筋違いの発言をして論理のすり替え、目先を変えようとするのでは。常任理事会に入るのに核も持たないのでは発言力なしです。そんなところに金と人力を使うのは無駄です。自民党も愚かと言うかリベラルの意見に引きずられて大局観を持てなくなってしまっています。でも一番罪深いのは日本のメデイアでしょう。不都合な真実を報道せず、中国をここまで大きくしたのは間違いなくメデイアです。高給を食んで日本を裏切った売国奴としか言いようがない。

記事

Nan sha

 

 

 

 

 

南沙諸島で活動する中国のしゅんせつ船を映した米海軍偵察機撮影の映像=ロイター

5/30米、中国に仕掛ける消耗戦(真相深層)

日本が中東から輸入する石油のほとんどが通る南シナ海。人工島の造成をやめない中国に、米軍が監視を強め、緊張が高まってきた。オバマ政権はどこまで本気で、中国の行動を阻むつもりなのか。

 沖合の艦船から放たれた大きなホーバークラフトが、ものすごい勢いで海岸に近づき、砂浜に上陸した。精鋭部隊がそこから飛び出し、すばやく前進する……。

 米海兵隊は19日、ハワイで上陸作戦の演習を実施した。これだけならふつうの光景だが、違ったのは、約20カ国の軍幹部がじっと見守っていたことだ。

 17~21日、米海兵隊が日本や東南アジアの指揮官を招き、島しょ防衛に関する初の研修会を開いた。この中での一幕だ。米軍によると、目的は「各国の島しょ防衛力を高めること」。岩礁を埋め立てる中国をけん制するねらいは明白だ。

■激しい議論の末

 米軍は今月に入り、偵察機や新型戦闘艦を南シナ海に送り、中国への圧力を強めだした。中国が工事をやめなければ、人工島の12カイリ(約22キロ)以内に、軍艦船などを派遣することもあり得るとも警告した。

 背景にあるのは、このままでは南シナ海に中国が軍事拠点を築いてしまうという、オバマ大統領自身の焦りと危機感だ。

 4月28日の日米首脳会談。日本側は、オバマ氏の対中認識が昨年の会談よりずっと険しいのに驚いた。「中国をめぐるオバマ氏の発言はかなり、厳しい。日米の対中認識のズレは埋まった」

 では、米側がどこまで、軍事圧力をかけるつもりなのか。実は、中国が南シナ海で埋め立てを始めた昨年以来、国防総省や米軍内では、激しい議論が交わされてきたという。内情を知る元米政府高官は明かす。

 「軍艦や軍用機を(中国の人工島近くに)送り、けん制すべきだとの意見が海軍首脳から出ていた。ただ、米軍が介入すれば、衝突の危険が高まってしまうとの声が根強く、結局、実行には移されずにきた」

 構図が変わったのは今春。猛烈な勢いで埋め立てが進み、周辺国が懸念を深めるなか、オバマ政権も直接関与に転じざるを得なくなった。

 ただ、中国との衝突を避けたいのは言うまでもない。そこで米政権が採用しようとしているのが、コスト賦課(Cost Imposing)と呼ばれる中長期戦略だという。政権に近い新米国安全保障研究所(CNAS)などが提唱している。

 どんな内容なのか。CNASのパトリック・クローニン上級顧問によると、軍事、外交、宣伝などさまざまな手段を使って、中国の行動に重い代償を払わせ、時間をかけて、強硬策を断念させていくというものだ。いわば、消耗戦略といえる。

■日本の安保左右

 米政府筋によると、すでに一部で実施されつつある。たとえば、(1)埋め立て状況を映した衛星写真などをひんぱんに公表し、国際圧力を強める(2)東南アジア諸国などへの支援を強め、島しょ防衛力を底上げする(3)同盟国と協力し、中国の監視活動を広げる――などが、その具体例だ。

 すでに写真の公表は増やしている。今月、ハワイで開いたアジア太平洋諸国向けの島しょ防衛研修会は、(2)に当たる。米軍が最近、自衛隊による南シナ海での監視活動に期待感を示しているのは、(3)への布石だ。

 もっとも、どこまで効果があるかは分からない。中国が大規模演習で台湾を威嚇した1996年。米国は空母2隻を台湾海峡に送り込むだけで、中国の挑発をやめさせることができた。

 それから約20年。中国軍は強大になり、もはや力ずくでは抑え込むのは難しい。米政権内で「コスト賦課戦略」が浮上するのは、そんな厳しい現実の裏返しでもある。

 9月には中国の習近平国家主席が訪米する。米中関係筋によると、ホワイトハウス内では、温暖化対策やイラン問題で成果を残すため、「南シナ海で対立しても対中関係全体を損なうべきではない」との意見もある。

 勝算がないまま、南シナ海への関与に動くオバマ政権。その成否は、日本の安全保障にも跳ね返ってくる。

(編集委員 秋田浩之)

5/30中国、南沙諸島に兵器持ち込み 米当局者「軍事化反対」

 【ワシントン=共同】米国防総省のウォーレン報道部長は29日、記者団に対し、中国が岩礁埋め立てを進める南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に造った人工島の一つに兵器を持ち込んだことを明らかにした。米メディアによると、砲撃用の装置。

 ウォーレン氏は「われわれは(人工島の)軍事化に反対している」と述べ、撤去すべきだとの認識を示した。現在も設置されたままかどうかは不明。

 これに先立ち、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米軍が撮影した人工島の写真で、移動式の砲撃装置二つが確認されたと報じた。

 米軍艦船や航空機に脅威を与えるような性能はないが、ベトナムが領有権を主張する近くの島を射程に収めるといい、米当局者は同紙に「(周囲を威嚇する)象徴的な意味合いがある」と批判した。

 在米中国大使館の報道官は同紙に対し、兵器持ち込みについて具体的な言及は避けたが「南沙諸島は中国の領土であり、軍事的な防衛のために必要なものを配備する権利がある」と主張した。

5/29中国、ひそかに米に「助け舟」 隠密の仲介工作  編集委員 秋田浩之

南シナ海の岩礁埋め立てをめぐり、米国と火花を散らす中国。ところが、オバマ政権の対外戦略にひそかな「助け舟」を出し、貸しをつくるという、したたかさもうかがえる。

 多くのウイグル族がすむ中国新疆ウイグル自治区。その最大都市であるウルムチで今月20~21日、ある秘密会議が開かれた。

 出席者は、アフガニスタン政府と反政府武装勢力、タリバンの有力者ら。アフガン和平を促すため、中国政府が両者を仲介する会議を主催したのだ。米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が25日、独自情報として伝えた。

 これだけではない。ロイター通信によると、5月3日、カタールでアフガン政府とタリバンの代表団との直接対話が開かれた。この席にも、米国と並び、中国政府関係者の姿があったという。

従来なら想像もできなかった光景だ。中国はアフガン和平にはほとんど、関与しようとしなかったからだ。いたずらに和平交渉にかかわり、イスラム原理主義勢力の反発を買えば、国境を接する新疆ウイグル自治区にテロが飛び火しかねないからだ。

■オバマ氏の訪中が転機

 この姿勢に大きな変化がみられたのが、昨年秋だという。アフガンにかかわる国際機関関係者は明かす。

 「中国は従来、アフガンへの投資には関心があっても、和平や復興には興味を示さなかった。ところが、オバマ大統領が訪中した昨年11月ごろから、中国のアフガンへの対応が目に見えて変わった。米政権の働きかけを受け、和平に積極的にかかわるようになった」

 米国に「貸し」をつくる狙いが透けてみえる。オバマ政権は、アフガニスタンから米軍の大半を、2016年末までに撤収させると公約している。任期が残り2年をきり、この実現に焦っている。

 いまアフガン和平に協力すれば、オバマ政権は評価し、南シナ海や人権問題などで中国に圧力をかけづらくなる――。中国指導部はこう読んでいるのだろう。

 米中関係筋によると、オバマ氏の昨年11月の訪中時に、中国はアフガン問題で協力する用意があると伝達。ホワイトハウスも、中国のそうした姿勢を評価したという。

中国を動かすもうひとつの理由は、米軍が本当に撤収したら、アフガンがさらに混乱しかねないとの懸念だ。米軍が足抜けした後、同国に「力の空白」が生じれば、再び内戦が激化し、テロ組織の温床になりかねない。

 そうなれば、中国にも重大なテロの脅威が及んでしまう。アフガンがさらに混乱に陥るのを防ぐため、今のうちから米国と協力し、和平に取り組もうというわけだ。

■忠告にじます王外相の発言

 日本や東南アジア諸国にとって気がかりなのは、アフガン問題をめぐる米中連携が、南シナ海問題などにどう影響するのかだ。

 南シナ海での埋め立てをやめない中国に対し、オバマ政権は今のところ、強硬な姿勢に傾いている。だが、中国側は「米政権は本気で中国と対立するつもりはない」と、米側の足元をみているかもしれない。

 今月16日、ケリー米国務長官は北京を訪れ、王毅外相らと会談した。南シナ海問題で激しい応酬を交わしたもようだ。ところが、会談後、ケリー氏と記者会見にのぞんだ王外相は、こう力説した。

 「米中関係は最も重要な2国間関係のひとつだ。アフガニスタンの和平、北朝鮮核問題、エボラ出血熱などの国際問題で協議と協力を深めたい」

 中国は、米国が重視するアフガンや北朝鮮問題などで、協力する用意がある。これらの懸案を解決したければ、中国とはケンカしないほうが賢明だ。王氏の発言は言外に、そう米側に訴えているように響いた。

 

 

 

5/29 The Economist 『映画「疾風の9日間」がほのめかす中国の意図 習近平の政治的トークを、あの権力者の口を借りて語る』記事について

本記事の第一印象として、「疾風の9日間」は人民日報と同じように中国人民に思われているのでは。今人民日報をまともに読んでいる人民は共産党員と言えど少ないはずです。プロパガンダと分かっているので。また読んでも全然面白くありません。大衆の欲求から離れていますので。中国も言論の自由(政府・共産党を批判する自由)がないだけで、(と言ってもこれこそが自由の権利の中で一番大切なもの)、他は少しずつ緩和してきました。他に面白い新聞が沢山あるのに読まれるはずがありません。

「疾風の9日間」と「アベンジャーズ」最新作を比べるのはハナから勝負にならないのは見えています。方やハリウッド発のSFアクションと鄧小平のプロパガンダでは。鄧小平は毛沢東の権力基盤を削いだ廬山会議に欠席したにも拘わらず、後で出席したように繕ろおうとしました。共産党・国の常套手段です。どうせ都合の悪いことにはダンマリを決め込むのでしょう。

習は毛沢東をマネしていると言われていますが、それだけでは権威付けが足りないと思い、鄧小平も持ち出したかとの思いです。軍のNo2の氾長龍(団派に近い)が習に靡いたとの話もあります。本当に習が安泰かどうか。米国とは南沙諸島でぶつかる可能性大です。オバマはここで立ち上がらなければヒラリー民主党候補の次期大統領に赤信号が付くかもしれません。共和党は黙っていないでしょうから。

記事

中国共産党が米国の最強ヒーローと相まみえることはまずない。だがこの5月、コミックスの中で活躍するスーパーヒーローたちが登場する米国映画「アベンジャーズ」シリーズの最新作が中国の映画館を“襲った”。中国製の記録映画「疾風の9日間」(原題「疾風九日」)の上映開始から数日後のことである。

 「疾風の9日間」のテーマは超大国の関係だ。1979年 に米中が国交を回復した直後に鄧小平氏が米国を訪問した。この9日間を描いたドキュメンタリーである。アベンジャーたちは人類を滅亡の危機から救うために戦うが、鄧小平氏は中国の国民を飢餓から救わねばならない。

現政権の主張を鄧小平の口を借りて訴える

 この伝記映画には外交上の目論みもある。今年9月に習近平氏が国家主席として初訪米するのに先立ち、中米関係のイメージをアップさせたいのだ。

 この伝記映画は、1978~1992年まで中国の指導者だった鄧小平氏の印象を利用することで、自分自身の地位を強化しようとする習近平氏の政策の一環だ。例えば昨年、国営テレビが鄧氏を扱った全48話のドラマを放映した。今回封切られた「疾風の9日間」は中国政府が直接出資したものではないが、作者でもある傳紅星監督は以前、国が支援する中国電影資料館の館長を務めていた。

 米中以外が関わる地政学的内容の一部は編集の段階で割愛されたようだ。当時生じつつあった中国・ベトナム間の紛争については、英語による描写はあるものの、中国語には翻訳されていない。

 この映画は国内外の観客向けに製作されていて(米国での公開日は今後決定する)、「中国は服従しない」との警告を確固たる態度で発している。鄧小平氏は米国側スタッフに対し、「我々は相手がしかけてこない限り戦争を望んではいない」と宣言する――これは習近平氏自身の外交政策を総括すると言葉と言えるだろう。

 習氏は美辞麗句を並べて中国の「平和的台頭」を謳う一方で、南シナ海の一部を埋め立てたり、その他の地域で挑発的な行動を取ったりして好戦的な態度を強めている。だがこの映画は、中国が後に経済成長を実現するに当たって、米国との関係がいかに重要だったかを繰り返し強調している。

外交について隠し立てしない

 普段、中国の報道から見えてくるのはきっちりと原稿が用意された会議や取引決定の様子だが、この映画からは、中国が外交関係の限界とリスクを隠し立てしなくなってきた状況がうかがえる。中国製の映画には珍しく、鄧氏の訪問が米国でどれほど物議を醸したか、そして政治家や世論からいかに反対されたかについて、包み隠さず描き出している。中国のソーシャルメディアユーザーの多くは今回初めて明かされた「鄧氏がクー・クラックス・クラン(KKK)のメンバーに襲われかけた」という話に多大な関心を寄せている。襲撃者が所持していたのはスプレー式塗料の缶だったが、映画はこの人物を暗殺者の可能性があった人物として描いている。

 鄧小平氏の聖人伝になっている観はあるものの、「疾風の9日間」は他の多くの共産党プロパガンダに比べてずっと出来がいい。90分の間に過去の映像と現代の映像を巧みに織り込み、一部にはアニメーションすら用いている。

 興行収入だけで見ると、「アベンジャーズ」は「疾風の9日間」に圧勝した。「疾風の9日間」の公開初日の収入は100万元(約1900万円)で、およそ2万8000人が映画館に足を運んだ計算。一方、「アベンジャー/エイジ・オブ・ウルトロン」の初日の収入は2億2400万元(約43憶円)で、中国における歴代2位を記録した。

5/28宮崎正弘メルマガ『アンディチャンの台湾通信』について

本記事にありますように来年1月の総統選に国民党は誰も名乗りを挙げません。以前見た中国時報の記事では王金平かと言われ、朱立倫が今月習近平と会ったから彼かもとも思いましたが、やはり昨年11月の地方選で国民党が惨敗しているのが尾を引いているようです。負けると分かっていて、選挙に金もかかるので誰も出ようとしないのではないでしょうか。

多分蔡英文が勝つと思われます。でもここに書かれてますとおり、来年1月に行われる立法院議員の選挙は大事です。2012年1月(任期4年)に行われた選挙結果は国民党65に対し民進党は40でしたから。レイムダックにならないためには立法院も民進党が抑えないと。今回ばかりはさすがのアメリカも馬に率いられて中国のいいなりになってきた国民党を応援することはないでしょう。

日本ももっと台湾の動向に注意を払うべきです。台湾海峡かバシー海峡を通って石油は運ばれるわけです。しかも国民党の教育は反日まで行かなくても、蒋介石の抗日を教えていると言われています。反日の中韓に相手をする必要はありませんが、親日国の台湾と交流を深め、今まで採ってきた誤った中国重視政策を改めるべきです。何も日本にいいことはなかったでしょう。軍拡、侵略の巨大怪物を育てただけです。

アンデイチャンは独立のことしか頭にないから民進党が人気がないと言いますが、それは違うでしょう。言いたいけど言えないだけです。金美齢の主人の周英明は「中華」と言う言葉が大嫌いだったと言われますが仕方がない。日本だって言われなき「侵略」「南京」「慰安婦」でも我慢しているではないですか。シンガポールのように政治的に独立を世界に認めさせれるようになるには時間が必要です。中国の自壊を待ちましょう。

記事

台湾の選挙はアジアの平和に大きな影響を持つ。中国の国際法を無視した進出でアメリカも次々と違った方針を打ち出している。来年1月の台湾選挙と、来年11月のアメリカ選挙が大きな変化を齎すに違いない。

 来年の1月16日に投票が行われる台湾の総統及び国会議員の選挙があと6カ月余となったが、国民党は有力候補を出せないで焦っている。民進党は蔡英文が立候補したが、民間では民進党の人気がイマイチといった状態である。

 しかも57席で国会の過半数を制することが出来る議員選挙では民進党が40区しか有力候補を出せないで困っている。第三勢力と称する民間グループは民進党に協力すると称して民進党が困難な17区に代表を出そうとしたが民進党は協調に乗らない。国会で過半数を取れなければたとえ蔡英文が当選してもレイムダックとなる。

 アメリカは2012年の選挙でダグラス・パールを派遣して投票の二日前に国民党の馬英九支持を明らかにし、内政干渉した。米国の干渉で当選した馬英九は急激な中国接近をはじめた。やがて中国の領土主張と尖閣諸島や南シナ海における勝手な領土主張と埋め立て多島々で基地の建設を始め、アメリカはようやくアジアピボットを唱えるようになった。

 台湾は第一列島線の中央に位置している。中国が台湾を統一すればアジアの平和は失われる。台湾の将来はアジアの平和に大きな影響を持つ。中国が台湾接近を続けることは危険、つまり台湾の選挙はアジアの平和に大きな影響を及ぼす。

  • 民進党が不人気なわけ

国民党は有力候補を出せない。世論調査では国民党の有力候補と言われる朱立倫、王金平と呉敦義の三人で誰が出馬しても蔡英文に勝てないという。

つまり国民党に勝ち目はないと言いう。この三人とは別に洪秀柱が出馬したが彼女の人気は低く、国民党は彼女の出馬に迷惑がっている。

世論調査では蔡英文の当選確実というが、民間では蔡英文と民進党に冷たい。民進党に冷淡な理由は2012年に立候補した蔡英文が「中華民国=台湾、台湾=中華民国」と主張したこと、及び民進党の現状維持、中間路線に反対だからである。

人民は独立を望んでいる、民進党が独立を表明しないから冷淡なのである。民進党を信用しない傾向は海外の台湾人にもっとも顕著で、理由は蔡英文が台湾独立を主張しないからである。

だが蔡英文の懸念は台湾独立を表明したら中国の恫喝を恐れて米国が蔡英文に反対するかもしれないと言うことだ。アメリカは中国の恫喝を恐れる。中国は台湾が独立すれば武力侵攻も辞さないと言っている。だから彼女は2012年の選挙で「台湾=中華民国」と発言してアメリカを慰撫したにも拘らずアメリカは馬英九を支持した。今回も独立を表明すればアメリカが反対するかもしれない。

 だが台湾の政治事情は変わった。

ヒマワリ学生運動と中間選挙で台湾人は中国やアメリカを恐れることなく独立願望を表明し、台湾は中国の一部ではないと主張するようになった。世間調査では台湾人の8割は独立を望んでいる。それなのに民進党が独立を表明せず、民間勢力とも協調しないから不満なのだ。

 この状況では蔡英文が当選しても国会で過半数を制することが出来ず、蔡英文はレイムダックになるかもしれない。つまり来年の選挙は総統選挙よりも国会議員の選挙に重点があると言ってもいい。

  • アメリカの選挙干渉

今は民進党優勢と言ってもアメリカが蔡英文に反対すれば負ける。

2012年の選挙では米国がダグラス・パールを派遣し、投票の二日前に馬英九支持を表明したため蔡英文が落選した。台湾人はアメリカの支持がなくてはならないと知っているが、心の底ではアメリカの干渉に恨みを持っている。

オバマ政権はイスラエルの選挙でもオバマの腹心をイスラエルに送り込んでナタニヤフに反対し、あからさまな干渉を行った。アメリカは台湾の選挙に干渉するなと警告した人は多い。

 だがアメリカの現状維持とは反対に現状は大いに変わった。

アメリカは馬英九の中国接近に警戒心を持つようになった。遅まきながら中国の南シナ海における島々の軍事基地建設や、尖閣諸島の領海侵入に警戒心を持ち始めた。中国はアメリカの衰退とオバマの無能を見越してアメリカの警告を無視した暴言を吐くようになり、米中関係は緊張している。

 こんな状況の変化にアメリカが台湾の国民党候補を支持するとは思えないが、それでも民進党が独立主張に警戒心を抱いている。

 蔡英文が現状維持を主張すればアメリカは干渉しないだろう。国務院の東アジア太平洋地区事務次官ダニエル・ラッセルは、6月初旬にアメリカを訪問する蔡英文を歓迎し、いろいろな問題について意見を交わしたいと述べた。

つまりアメリカは中立路線を取る可能性が高まったが、条件は蔡英文が独立を主張しないことだろう。

また、ラッセル次官は中国の指導者層に対しても台湾の選挙で中立を守るように呼びかけたと言われる。アメリカの呼びかけがどれほどの効力を持つかはわからない。最近の中国は明らかにアメリカを軽視している言動が目立つ。

  • 中国の出方

中国が台湾の選挙に干渉するのは避けられない。

中国で働いている台湾人は50万人以上と言う。前の選挙の時も中国は特別機をチャーター、または格安切符で台湾人を投票させた。もちろん国民党に投票することが条件、監視付きである。

 だが去年11月の中間選挙で国民党が大敗したあと、中国の恫喝や国民党の宣伝は威力を失った感がある。どのような干渉を行うかはわからないが、中国の恫喝は逆効果となって国民党が惨敗する可能性は高い。

  • 総括

以上の状況を総括すれば:

(1)蔡英文は当選するが、国会で過半数を取ることの方が大切。

(2)アメリカは前回のような醜い干渉はしないだろう。

(3)中国の干渉は避けられないが、逆効果になるかもしれない。

台湾の選挙はアジアの平和に大きな影響を持つ。中国の国際法を無視した進出でアメリカも次々と違った方針を打ち出している。来年1月の台湾選挙と、来年11月のアメリカ選挙が大きな変化を齎すに違いない。

 (アンディチャン氏は在米コラムニスト)。

5/27渡部亮次郎メルマガ掲載 杉浦 正章『「リスク」と敵基地攻撃が論戦の焦点に』記事について

 

朝日を筆頭としたメデイアは杉浦氏が言われるように、目の前にある危機についてどう考えているのでしょう。中国が「近海防御」から、「近海防御と遠海護衛の融合」と言っているのは正しく太平洋の西半分を自分のものにするという意思表示です。A2/AD戦略でなく、米国近くまで潜水艦を遊弋させ核搭載のSLBMを発射できるように考えているのでしょう。米軍はとっくに中国大陸を潜水艦で核目標としていますので。日本は周りを核武装した国に囲まれています。日本も核武装を真剣に考えないと。少なくともニュークリアシエアリングは実現させましょう。

そもそもマスコミは今まで自衛隊を継子扱いしてきたのに、今更自衛隊員の命を持ち出すのは卑怯です。男らしさが微塵も感じられない人達です。こういう人たちが高給を食み、エリート臭をプンプンさせるのですから日本の劣化も極まれりです。

人民解放軍の英語名は「PLA=People’s Liberation Army」で陸軍のことです。海軍はこの後ろにNavyを付けます。元々共産党が天下を取るときに海を伝わって敵地に殴り込みをかける発想がなかったというか、日本軍相手に逃げ回っていただけですので。予算も海軍と比べ陸軍が多いし、もっと言えば治安対策の警察の方が予算は多い。如何に共産党が人民を恐れているかです。

敵基地先制攻撃も当たり前で日本に核ミサイルが撃たれるのに何もしないで国民を見殺しにしていいと言うのでしょうか。この人たちは正当防衛なる概念が分かっていませんね。我が身に置き換えて考えればすぐに分かるはずです。そうしないのは中国、北朝鮮に統治して貰いたいという下心があるからでしょう。やはり不買運動で潰さないとダメです。

5/27日経記事

中国国防白書、海軍重視に転換 米国をけん制 日本にも警戒感

【北京=島田学】中国政府は26日、2年ぶりの国防白書を発表した。南シナ海問題を巡る米国との摩擦を念頭に、これまでの陸軍偏重を見直し海軍を重視する戦略を打ち出した。「海上での軍事衝突」の可能性にも初めて言及し、備えを強化する立場を強調。日本の安全保障政策についても警戒感を示した。

 「軍事技術の発達で、海上の戦線はどんどん拡大している」。中国軍戦略企画部の王晋大佐は26日の記者会見で「もはや『近海防御』だけでは、国家安全を守る上で有効とはいえない」と主張した。米軍のアジア太平洋回帰への戦略転換を念頭に置いた発言だ。白書でも海軍の基本戦略を伝統的な「近海防御」から、「近海防御と遠海護衛の融合」に改める必要性を強調した。

 主に西太平洋を意味する「遠海」が、中国の安全保障にとって極めて重要になるとの認識が背景にある。中国は南シナ海を含む西太平洋で米軍と対立する可能性をにじませるようになった。南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島での岩礁埋め立ては今後の中国の強硬な対応を予期させる。

 中国は、米軍が南沙諸島への監視活動を強化しようとするのに反発しているが、中国海軍もハワイ沖に頻繁に監視船を派遣し、米太平洋艦隊の動向を監視し続けている。中国政府は26日、南沙諸島の赤瓜礁(英語名ジョンソン南礁)と華陽礁(同クアテロン礁)で「船舶の安全な航行を確保するため」の灯台を建設したと発表。摩擦は収まりそうにない。

 一方、日本については名指しで「積極的に戦後体制からの脱却を追求し、安全保障政策を大幅に調整している」と指摘し、安倍政権に対する警戒感を示した。

陸軍からは不満

 中国の軍内に波紋を広げたのは「『陸軍重視、海軍軽視』の伝統的発想からの脱却が必須だ」という白書のくだりだ。軍内で伝統的に強い影響力を持ってきた陸軍では、影響力低下につながるとの不満がくすぶる。

 今回の白書では明記されなかったが、習近平国家主席は指揮系統の効率化と迅速な作戦遂行を図るため、現在7つある軍区を5つほどに減らす軍改革を進めたい考えだ。陸軍のポストが減り、さらに海空両軍の影響力が強まることを警戒する陸軍の反対で、改革は思うように進んでいない。

 習氏が軍内で進める反腐敗運動では陸軍出身者が拘束される事例が相次いでおり、関係者の反発を増幅させている。

 中国軍は対外的に示す強硬姿勢とは裏腹に、内部では改革すべき問題が山積している。習氏による軍の掌握も道半ばだ。

5/27杉浦氏記事安保法制は「覚悟」を伴う問題だ

 キンキン声の宍戸梅軒や、仕込み杖の座頭市、太ったクノ一などのあの手この手の斬り込みに、安倍武蔵が兎の毛でついたほどのすきも見せなかったということだろう。

安全保障関連法案が26日の衆院本会議で論戦の火ぶたを切った。ネットで質疑をつぶさに聞いたが、総じて野党の質問は突っ込み不足で、法案を廃案に追い込むほどのきっかけは掴めなかった。

しかし、今後の論争に向けて焦点は絞られてきた。一部野党に主導的役割を果たす朝日新聞の論調を見ると、野党やリベラル派が大きな論点として浮上させたいのは「自衛隊員のリスク」と「敵基地攻撃」の問題だろう。

まず朝日は今日27日の社説で首相・安倍晋三の自民党の役員会における発言に噛みついている。「首相は『自衛隊員のリスクが高まるという木を見て森を見ない議論が多い』と語ったという。事実なら驚くべき発言だ」と大げさに批判した。

しかし、首相発言の全体を見れば驚くに当たらない。続いて首相は「自衛員のリスク以前に安保環境が厳しくなり、国民の安全リスクが高まってきている」と発言している。

国民のリスクをあらゆる手段を講じて低くするのは安全保障の根本思想であり、イロハのイだ。自衛隊員のリスク回避も極めて重要だが、自衛隊が国民のリスク回避のために宣誓して入隊した存在であることを社説子は覚えておいた方がよい。

朝日は「国民のリスクが森を見ると言うことなら、9条を改正して必用な法整備を進めたいと説くのが法治国家の首相の取るべき道であった。その順序は逆転している」と主張するが、我田引水的論理の飛躍だ。

まず朝日は9条の信奉者と思っていたが、いつから改憲論者になったのだろうか。いつから社論が変わったのか。この論説の背景には、国際環境の激変という事態を全く掌握していないか、天から平和が降ってくる一国平和主義のぬるま湯に浸かっている姿が浮かぶ。

論説主幹の立野純二も報道ステーションで「国民のリスクは高まっているという言い方は言葉のすり替え」と口を極めて批判したが、自衛隊員のリスクと国民のリスクはそれこそ表裏一体、密着不可分のものである。

 さらに立野は、安倍がホルムズ海峡などでの機雷掃海を海外派兵の例外としたことについて「重大な変化をあたかも規則のように例外があると説明した」と指摘「ごまかしがある」と批判した。

しかし朝日は安倍の言う「国民の生死にかかわる深刻、重大な影響」があり得ないとでも思っているのだろうか。太平洋戦争の歴史をひもとくまでもなく石油は日本の生死を左右する「生命線」であることくらいは理解した方がよい。

加えて論説主幹は官房長官・菅義偉や防衛相・中谷元が集団的自衛権行使が、敵基地攻撃にまで及ぶ可能性に言及した問題について「外国が日本以外の国にミサイルを撃つかも知れない局面で日本が攻撃を加える事態は、機雷掃海だけが例外ではなく、ほかにも例外があることを物語っている」と言明した。

今後、敵基地攻撃など海外派兵の例外がどんどん出てくると言わんとしているのだろうが、これも安全保障環境の激変を知らない論理だ。 敵基地攻撃論がなぜ出てきたかといえば、紛れもなく北朝鮮の核ミサイル開発である。

日本に届くノドンが200発以上配備され、金正恩がかつて日本の大都市を名指しで攻撃対象とすると表明しており、これが日本に向けて発射の事態となれば、個別的自衛権で敵基地攻撃が可能だ。

一方、米国や米艦に向けて撃たれたケースで基地を攻撃するのは集団的自衛権のカテゴリーだ。これも机上の空論論者は「例外になる」と反対するが、考えても見るがよい。

米国に向けてミサイルが発射されるような事態とは、その3秒後に日本に向けて発射される事態なのであり、「例外反対」などと言っていられる状況ではない。

そもそも国家間の戦争とは何でもありの上に全てが例外であり、例外を実行しなければ侵略できないし、例外を実行しなければ侵略を阻止できないのだ。ただし現在の日本には敵基地攻撃能力はないが、次期主力戦闘機として逐次42機の導入が決まっているFー35Aには攻撃能力はある。

総じて与野党の議論や、リベラル派の議論は、戦後70年の平和がもたらした、安保観欠如に根ざしており、空理空論が幅を利かせている。こうした中で安保法制を支持する立場から元統合幕僚長・齋藤隆が26日NHKで述べた言葉には重みがある。

齋藤は「国際情勢は従来よりはるかにリスクが高くなっているとは思わない。今までもそれなりのリスクはあった。戦死者を出していないのは本当にラッキーだった。そのラッキーだったことに甘えてはいけない。

国家、国民に対して戦死者にどう向き合うかそろそろ考えておく必要がある」と述べているのだ。確かに過去70年戦死者が出ていないのは日本の誇りであり幸運であった。しかしふりかかる火の粉は払わねばならぬ場合もある。安保法制は「覚悟」を伴う問題でもあろう