5/13日経ビジネスオンライン 福島香織『米国を巻き込む習近平の権力闘争 政商もカネも極秘情報も握る米国、どう使う?』記事について

以前も野中広務の朋友である曽慶紅について本ブログで取り上げて来ました。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=381 http://dwellerinkashiwa.net/?p=1611

いよいよ習VS曽の戦いの最終戦となるようです。しかし自分を主席まで押し上げてくれた恩人を政治的に抹殺しようとするのですから、中国人と言うのは凄いものです。日本では企業のトップが禅譲した後、後任に刺されるケースは稀にありますが。多くないと言うのは、そんな気骨のある人を殆ど選んでいないという事なのかも知れません。習の暗殺の危険性は高まっているでしょう。味方は殆どいません。彼の権力の源泉は「党主席」と「国家主席」です。国家主席は打倒された例がありますが党主席はありません。どちらが勝とうが反日は止むことはないでしょうから、高みの見物です。

北朝鮮の金正恩の命令で、4月30日ごろに玄永哲人民武力(国防)部長を無慈悲にも数百人の高官が見守る中、対空砲で処刑したとのこと。軍の反発は物凄いものがあるでしょう。若気の至りでしょうが、政権基盤を揺るがします。金正恩も暗殺されそうな気がします。後は中国の後ろ盾がある金正男に任せるしかないのでは。米中共同で始末するかも知れません。

日本もいい加減引退した政治家(野中、古賀)がしゃしゃり出て来て碌でもない話はしないでほしい。北朝鮮が崩壊或は朝鮮総連の文書の中から金で転んだ政治家の名前が出てくれば面白い。過去のことであろうと売国政治家として名前が残ります。

記事

 少し前だが、中国メディアの財経が、闇の政商こと郭文貴を総力を挙げて批判し、郭文貴が香港メディアのインタビューに答えて反論するという、興味深い出来事があった。この背景には、今年に入って進めた国家安全部の「虎退治」、すなわち馬建副部長が汚職容疑で失脚させられた事件がある。

 習近平の反腐敗キャンペーンが実のところ、権力闘争であることはたびたびこのコラムでも指摘してきたが、国家安全部の情報収集能力が実は党中央の政敵にも向けられ、この馬建が、習近平を含む党中央指導者のスキャンダルを相当握っていたらしい。その情報が、たとえば香港メディアを含む海外メディアに流されて、権力闘争に利用されていたという構造があるらしい。らしい、らしいで申し訳ないが、これは香港のゴシップ誌にしか書けない「裏の取れない話」なのだ。複雑でややこしい話だが、中国の権力闘争の形を見極める上で、このゴシップ情報をちょっと分かりやすく整理してみよう。

馬建は指導者層を盗聴→政商に漏洩→逮捕

 1月初旬、国家安全部の副部長(次官)の馬建が重大な規律違反で身柄を拘束された。中国の報道によれば、彼は6つの別荘と6人の情婦と2人の私生児をもち、しかも諜報機関幹部の立場を利用して、指導者たちの会話を盗聴するなど非合法な活動もしていたとか。

 馬建はかつて安全部第十局(対外保防偵察、海外の中国人駐在員や留学生の監視)の任務なども負っていたが、2006年に副部長に昇進、当時は次期部長候補とも目されていた。その昇進を推したのが元国家副主席の曾慶紅という。この馬建は、先に失脚した元統一戦線部長の令計画の事件にも連座していると話もある。令計画の妻・谷麗萍の国外逃亡(失敗)に協力するよう、元北大方正集団CEO李友から3000万元の賄賂を受け取ったらしい。李友は令計画やその妻の腐敗の温床と化していた西山会(山西省出身官僚利権グループ)に資金提供していた政商で、谷麗萍への贈賄などの疑いがある。

 しかし、馬建が「狩られた」本当の理由は、習近平含む国家指導者たちの秘密を盗聴などの非合法行為を通じて握っていたからだと見られている。その秘密情報を闇の政商の呼び名もある郭文貴が受け取り、現在、米国に高飛びしているという。

 郭文貴は1967年生まれ、山東省出身。河南で起業後、著名俳優・朱時茂との共同出資で北京に投資会社を創った。この会社が、後に摩根投資、北京盤古投資会社と名を変える。また、郭は2002年、新たに政泉不動産(後に政泉ホールディングス)を起業、北京五輪公園の開発計画で摩根、政泉は暗躍した。今、反腐敗キャンペーンで辣腕を振るっている規律検査委トップの王岐山は五輪準備時代の当時、北京市長で、副市長は劉志華(2009年失脚済)だ。郭文貴は馬建と組んで劉志華から便宜を図ってもらい、巨額の利益を得た。五輪公園を見下ろす七つ星ホテル・盤古大観は、盤古投資のものだ。ここの最上階のレストランは、国家安全部幹部たちの御用達でもあった。

馬建と郭文貴は相互利益供与の同盟関係

 国家安全部は諜報・防諜活動のためという建前で巨額の「特費」と呼ばれる予算を自由に使える身分であり腐敗しやすい背景がある。その職務の特殊性から政商と結びつき、情報と金、保護と金という利権関係に陥りやすかった。馬建と郭文貴はまさに、そういう相互利益供与による同盟関係にあったという。ちなみに、郭文貴は李友とも、また王岐山とも相互利益供与の関係にあり、3人が仲良く映っている写真が中国ネットで出回っている。つまり、このころの北京五輪利権には王岐山自身も加担している可能性があり、郭文貴はその証拠を握っている可能性もあるわけだ。

 さて、馬建が失脚した後の3月下旬、中国メディア・財新グループが徹底した郭文貴批判を展開した。財新は中国メディア界の女傑と呼ばれる胡舒立が立ち上げたメディアグループ。その報道では、郭文貴が失脚した馬建の盟友であること、郭文貴と結託していた河南省の官僚が巨額の汚職で死刑になっても郭文貴が無事でおられたこと、李友とのビジネス上のトラブルや確執、劉志華の乱交を盗撮ビデオに収めて、党中央上層部に刺したのは郭文貴の自衛のためであったこと、その他もろもろの悪行を事細かに暴露している。1月中旬に李友ら方正集団幹部が取り調べにあったと見られており、これらのネタは李友サイドが「捜査協力」として当局に提供した可能性がある。

ところがこれに対して、半年前から米国に滞在している郭文貴サイドが3月29日、ネットを通じて、反論を発表した。いわく、財新の報道は事実無根であり、郭文貴本人と盤古大観の名誉を大いに棄損した。胡舒立はメディア人の立場を利用して、悪意をもってニセの情報で世論を操作し、これは報道倫理にもとる。郭文貴サイドはオフィシャルな場で、胡舒立との公開討論を望む、という。

「妻一筋30年、私生児はいない」

 しかも、胡舒立について、「自由の闘士、人権闘士、法律の防衛者と外部に喧伝しているが、巨大な政治人物をバックにつけている。正義の士として、どんな強大な政治的人物にケツモチさせているか公開してはいかが?」と王岐山の庇護をうけていることをにおわせたうえで、「私は妻一筋30年、あなたと李友、その仲間たちのように私生児はいない」と、胡舒立が李友の愛人で、子供までいるといった発言も飛び出た。

 さらに、香港メディアの取材を受けて「自分の手のうちには一部の人たちの致命的な情報がある」「北京五輪期間中、私と王岐山との関係は非常によかった」「米国に来てから、わたしは米国政府やいくつかの国ともずっとやり取りを続けている。米国が私の行動を支持し、未だ公開していない情報も把握している」などと語り、いざとなれば米国政府が自分を守ってくれるといったニュアンスもにおわせている。この郭文貴の反論に対しては、財新側は「胡舒立女史の人格を棄損した。法的手段に訴える」との声明を発表している。

 実は王岐山が7月にも訪米するとの観測がある。その目的が、指導者たちのスキャンダルを握って米国に逃げ込んでいる郭文貴ら政商の身柄を中国に引き渡してもらう交渉のためだと言われている。

 ちなみに郭文貴のほかに、もう一人、爆弾情報を握ったまま米国に逃げ込んでいる人物がいる。王誠こと令完成、つまり令計画の弟だ。このコラムで、米国に逃亡した令完成が、米国政府に追い出されてシンガポールですでに中国当局により身柄拘束されたという情報を紹介したが、実はそれは令計画一味を動揺させるためのガセネタで、令完成はまだ米国内に残留しているという。しかも、令計画の弟にして、元新華社幹部であった令完成の握る情報は、郭文貴の情報レベルではない。

香港ゴシップによれば、令完成が握るのは馬建から預かった現指導者たちの乱交ビデオ、幹部らの不正蓄財、隠し資産情報、そして中国の政治、軍事、経済などに関する国家機密文書約2700件。「令完成の持ち出した情報は、核爆弾級」という報道もあり、その情報価値もあって、米国政府サイドは令完成を中国側に引き渡すことはないのではという観測もある。

 令完成は元新華社を退社した後、王誠の偽名でプライベートエクィティファンドを立ち上げ、香港メディアや中国のネットメディアに積極的に投資、メディアを通じた世論操作を担ってきた。妻はCCTVの美人キャスター・李萍。だが、身の安全のために李萍とは離婚、米国女性と結婚して、すでに米国のグリーンカードを取得しているという話もある。

 ちなみに郭文貴は早くから香港パスポートに切り替えており、香港メディア上では、自分が中国パスポート保持者でないから、いくら中国が米国に対して引き渡しを要求しても、米国政府がそれに応じることはないとも言っている。

「大虎退治」の最終ゴールは恩人・曾慶紅の首か

 郭文貴、馬建を中心とする政商グループを盤古会、令計画、令完成、李友らの政商グループを西山会といい、両グループとも周永康との関係が深いと言われている。だが、本当の黒幕は、曾慶紅だとまことしやかにささやかれている。少なくとも、李友、郭文貴両氏と親密な間柄にあった馬建の背後には、常に曾慶紅の影があった。

 曾慶紅は、ご存知のように江沢民の懐刀と呼ばれた辣腕家であり、今なお太子党でもっとも幅広い人脈を築く実力者である。胡錦濤政権時代は国家副主席まで上り詰めたが、習近平を後継として国家副主席に就けた後、完全引退し、その後、その名前はほとんど表舞台に出ていない。習近平の総書記・国家主席への出世ルートに乗せたのは曾慶紅だとも言われている。こういったことから、習近平の「大虎退治」の最終的ゴールは、自らの最大の恩人である曾慶紅の首を取ることではないか、という観測もでている。

 どこまでが本当かどうかはわからない。だが、中国の国家安全部というインテリジェンスの中枢とビジネスマンたちと政治家が、利権と情報、政治的立場の庇護といった相互利益供与で強く結ばれて、この国の権力と富をほしいままにしていた状況は垣間見える。そして、メディアもまた、この利権構造に加担していたとも見える。興味深いのが、彼らのため込んだ金も、自衛のためにかき集めた情報も最終的に米国に逃げ込んだ。この情報を米国政府がどのように料理するのか。中国の権力闘争の最後の鍵を握るのは、米国だと考えると、中国の権力闘争とは外交や国際情勢にも影響するものだともいえる。

5/13日経ビジネスオンライン 堀田佳男『米国保守派の本音?「やはり中国をやっつけるしかない」』記事について

ここで言う外交問題評議会(CFR=Council on Foreign Relations)はウイキを読むと単純に保守とも言えない気がします。ユダヤ人が多い感じです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E4%BA%A4%E5%95%8F%E9%A1%8C%E8%A9%95%E8%AD%B0%E4%BC%9A

何を以てユダヤ人と言うのかという所ですが。日本は出生の場合、法律上(国籍法2条)は父または母親が日本人であれば子はどこで生まれようとも日本人となります(血統主義)。これに対し移民の国、アメリカは出生地主義です。ユダヤ人はイスラエルの帰還法によれば「ユダヤ人を母に持つもの又はユダヤ教に帰依し、他宗教に帰依しないもの」となるそうです。でもこれはイスラエル国人の定義であって民族的なユダヤ人の定義ではないとパルパースは言っていました。彼はユダヤ人が国を持つことに反対しているユダヤ系オーストラリア人です。そういえばピ-ター・フランクルはユダヤ系フランス人です。講演を聞いたときに「何故長く日本に住んでいるのに、日本に帰化しないのか」と聞かれて、「迫害を受けそうになったときに、2つの国と関係を持っている方が良い」とリスク管理を優先させている様子でした。

アメリカもやっと中国の脅威に気が付いたかという感じです。現実にやっている所を見れば、「中国も豊かになれば民主化される」と思っていた御仁は如何に甘かったかという事です。日本は「換骨奪胎、瞬発適応」で海外の知識・技術を採り入れ、同化してきたのに対し、中国は中華思想を持ち、自己中心で海外を見下す傾向があります。いつも言っていますように「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うのでは安定した取引は見込めません。法治の概念がないのも宣なるかなです。

今は中国と新冷戦が始まっていると思った方が良いでしょう。集団的自衛権なんてのは当り前で、中国を戦争に駆り立てないためには、多国間同盟で中国を封じ込めるしかありません。

次のアメリカ大統領はヒラリーで決まり(バフェットも太鼓判、3000億円の選挙資金を集めた)と言われていますが、中国人から献金を受けたことがある彼女にここに書かれたようなことができるかどうかです。

記事

米国の有名シンクタンクが4月、「米保守派の本音」と呼べるほど強硬な対中政策に関する報告書を発表した。

 まず核心と言える部分を抜粋するので、お読みいただきたい。「中国はアジア地域で米国の力を試そうとしている。米国は、そうした抵抗勢力と戦わなくてはいけない。そして彼らを打ち負かすための戦略を練り上げなくてはいけない」。

 打ち負かす(defeat)を口語訳すれば「やっつける」となる。このような表現が全70ページの中で7回も使われている。米国と同盟関係にある日本に対して使うことはない。つまり、中国と既存の協調路線を模索する一方で、最終的には「やっつけるしかない」という考え方を表している。

 この報告書のタイトルは『中国に対する国家戦略の変更』。発表したのは外交問題評議会(CFR)というシンクタンクだ。CFRは1921年にニューヨークに設立された非営利団体で、主に米国の外交政策について提言している。

 CFRは世界的に広く読まれている隔月雑誌『フォーリン・アフェアーズ』の発行元としても知られる。旧ソ連の封じ込めを説いたジョージ・F・ケナン氏の「X論文」や、サミュエル・P・ハンチントン氏の「文明の衝突」など、米国の外交政策に大きな影響を与えた論文を掲載してきた実績を持つ。

対中強硬+反オバマの考えと

 今回の報告書は中国を刺激する内容で、「あおっている」と呼んでも差し支えない。同評議会の代表であるリチャード・ハース氏は「中国との協調というこれまでの路線は、これから、『戦略的で過激な競争相手』と対峙する路線に置き換えられていくだろう」と述べている。

 同氏は同時に、「すべての人が報告書の内容に賛同するわけではないことは分っている」とも発言している。つまり、米国の中でも対中強硬派の考えとしてこの報告書を理解すべきということだ。

 CFRは特定の政党に肩入れしているわけではないが、思想的には共和党保守に近いと見なして差しつかえない。このため報告書では、バラク・オバマ政権への批判も述べている。例えばこんな下りがある。「オバマ政権は中国の安全保障戦略を十分に理解していないようだ。確実に米国の利害と力を削ごうとしている。大統領は現実をそしゃくできていないのではないか」。

 さまざまな政治的立場がある米国で、中国をやっつけるべきという政治信条を持ち、オバマ政権を批判する一派がいるということである。

 冒頭の段落に次の内容がある。「米国は歴史上、ライバル国との競争に勝つために国家戦略を追求してきた。最初は北米大陸を掌握するため。次に西半球、最終的には世界を牛耳るためだった。(中略)米国にとって中国の経済的、軍事的拡大は間違いなく国家的な危機であり、それを阻止するためには現在の対中政策を変更しなくてはいけない」。

 近年、経済力と軍事力をつけてきた中国に対し、真っ向勝負を挑まなくてはいけないと提唱する。オバマ政権の対中協調路線は「手ぬるい」というのだ。

米国の東部エスタブリッシュメントが賛同

 ジャーナリストで歴史家のエリック・ジュッセ氏は同報告書をこう評している。「この報告書は、米国の特権階級が中国に対して宣戦布告したようなものです。しかも報告書の基本的な内容は、中国がアジアで覇権を獲得しつつあることを表したものです」。中国への宣戦布告という表現は過激である。もちろん軍事的に交戦することを米政府に勧めているわけではない。

 米国はこれまで中国に対して、国際ルールを順守する「責任あるステークホールダー(利害関係者)」になることを期待してきたと言われてきた。だが、この報告書は米国の思い通りに動かない中国にいら立ち、協調は限界点に近づいたと捉えている。

 さらにジュッセ氏によると、ウォールストリートの金融関係者を中心とする財界人の多くがこの報告書の主旨に賛同しているという。いわゆる米東部エスタブリッシュメントと呼ばれる知識層が、中国を脅威として認識し、米国は対中強硬策に出るべきと考えているわけだ。報告書の冒頭の文章から、米国は「最終的には世界を牛耳る」ということが、特定の人たちの間で暗黙のうちに了解されていることが分かる。

「日本ほど重要な国はない」

 報告書はまた、アジアの安全保障問題も論じている。「日本ほど重要な国はない」「米国は日本という重要な同盟パートナーを引き続き支援すべきだ」と述べている。日米両国が防衛協力を強化して、地域の安定に努めることが重要という現実的な指摘をする。以下が論旨だ。

 「アジア地域全体を対象として、日本との安全保障関係を実質的に強化すべき」

 「日本の自衛隊のさらなる増強を支援していく」

 「防衛省との密接な対話を通して、エア・シーバトル(空海戦闘)における自衛隊の役割、目的、能力を確認、向上させていくべきだ」

 日本にとって重要な案件である尖閣諸島での有事にも触れている。「日米安全保障条約の下、日本は米国のアンブレラ(傘)の下で十分に守られている事実を日本側にこれまで以上に発信していく」。

 また報告書は、日米の2国間関係の絆がどれほど強いのか、日米同盟が有事の際に本当に力を発揮するかどうかを中国が探っていると書く。報告書は、日本が米国の軍事力に依存するのと同様に、実は米国も日本の経済的、軍事的なサポートを極めて重視していると説く。

 「米国は同盟国や友好国の持続的な支援なしに、アジアで国益を守ることはできない。そのため中国は、米国が維持する2国間関係を崩そうしてきている」。報告書は、これに対抗するため日米両国の関係を強化しなくてはならないと結んでいる。

 前出のジュッセ氏は米保守派の心中を見透かしたように述べる。「米国は旧ソ連との冷戦に勝ったことで、帝国主義的な優位性を誇っています。それは米社会の特権階級が勝った勢いに乗って今でも社会を仕切っているということなのです」。

 この報告書が提示する視点に則って世界を眺めると、中国は邪魔者であり異物でしかないのかもしれない。だが共和党保守派が報告書にある通りに世界を動かせるわけではないし、オバマ政権の後に共和党政権が誕生するかどうも分からない。

 この報告書は、あくまでCFRというシンクタンクのものである点を最後に記しておく。

5/13日経ビジネスオンライン 熊谷徹『英国保守党の圧勝で、EU脱退が視野に ヒトの移動の自由をめぐる価値観に関わる断層』記事について

5/14日経朝刊「経済教室 英国総選挙とEUの行方上 経済優先奏功、「残留」が濃厚」の記事にもありましたように、キャメロンは国民投票をダシにしてEUと交渉してある程度の譲歩を勝ち取り、鉾を納めるのではと思います。やはり、離脱は英国にとって損失の方が大きい。メデイアの予想を覆して保守党が勝ったのは、ブッシュ父を敗ったクリントンと同じく経済です。経済に悪影響を与えれば次の選挙で保守党は選ばれなくなりますから。EU離脱はスコットランド独立の引き金、外資の本社移転(税金徴収問題、シテイの凋落)、国連P5からの脱落等失うものの方が大き過ぎます。まともな感覚の持主なら絶対にしないでしょう。

ただ移民の問題は欧州全体で考えないと。南欧は北アフリカからの移民ですが、英国は欧州からの移民とのこと。国のありようが壊れます。日本も他人事ではありません。日本の伝統文化が壊されないようにしませんと。“入郷随俗”で日本に敬意を払い、勤勉であれば良いですが、数は多くは必要ないでしょう。その国で経済発展させ得る人材の育成に手を貸すのが一番です。

オズボーン財務相がAIIB参加の旗振りをしたとのことですが、中国の今の経済状況を認識しているとは思えません。中国が日本の参加を執拗に求めて来るのは日米分断の他に「格付け」の問題があるからです。低利で資金を得なければ低利で融資はできません。日米と中国では信用差があり、低利資金獲得は難しいためです。英国のAIIB参加はロスチャイルドが裏で動いて、今後の世界は米国でなく、中国にすると認めたからと言うユダヤ陰謀論に近いことを言う人もいます。真偽のほどは分かりません。ただ、米国の軍部は中国の台頭を認めないでしょう。一旦覇権を握った国がそうやすやすと覇権を手放すことはないと思います。英国もアメリカに渡したのは二度の世界大戦で経済が疲弊したからで、今のアメリカはそんな状況にありません。アイクが心配した軍産複合体(=WASPで構成)がユダヤ人の言いなりになるとは考えにくいです。

朝刊記事

「損得計算は様々だが、外資に依存する英国経済だけに、試算に含まれないタイプの損失も懸念される。EUとの間に貿易障壁ができれば、世界中から進出した多国籍企業は大陸へ生産拠点を移すであろう。外国の多国籍銀行が離脱すれば、ロンドン金融市場は空洞化する。海外直接投資の流入も減少する。自由と開放を誇った英国が移民排斥とナショナリズムへ大転換すれば世界へ悪影響を与える。

ただ、筆者は英国残留の可能性の方が高いとみている。第1に、世論調査で離脱支持の方が多いのは60歳代以上だけで、25歳以下では残留支持が30%も多い。投票率が高ければ残留になる。第2に、今回の選挙でUKIPは不振でファラージユ党首は引責辞任した。影響はこれから出る。第3に、これまで慎重だった産業界が残留運動に乗り出すであろう。英銀行大手HSBCが4月末、「本社の外国移転を検討中」と発表したのはその始まりかもしれない。第4に、英国離脱となればスコットランドは独立し、EU加盟へと進むであろう。離脱は英国分裂へとつながる。第5に、キャメロン首相が残留支持なら、EUとの再交渉次第で、残留を支持するという声がかなり多い。新政権は規制改正などでEUと再交渉し、その成果を背景に国民投票に臨む。EU側にもある程度の譲歩の用意はあろう。

戦後の欧州統合の隠れた目的は、独仏両国を中心とする欧州の不戦体制構築だった。この目的は達成され、不戦は世論を団結させる力を失った。そしてユーロ危機以降、多くの国でEU統合懐疑派の政治運動が盛り上がった。批判の矛先は、統合によるナショナルアイデンティティーの喪失、EUの官僚主義と非効率、EU諸国からの移民流入による雇用や社会保障制度の損失などに向かっている。

だが、統合はEU諸国経済を強固に結びつけている。個々の批判はともかく、EU離脱要求に合理性はない。ユ- ロ危機はすでに終息、域内国民のユーロへの信頼は厚い。ギリシャでさえ8割の国民がユーロ残留を望んでいる。

にもかかわらず、多数国で懐疑派運動が持続する主要な理由は、リーマン危機後の先進諸国経済の低成長とユーロ危機後遺症による高失業、欧州経済の南北分断などだ。

原油安・ユーロ安・QE (欧州中央銀行の量的緩和)と3 重の追い風を受けて、今年と来年のEUの成長率は2%を視野に入れる。経済改善のスタートを期待できそうだ。今回の英議挙は、安定成長の経済こそが政治の安定をもたらす、という古典的命題を再確認させた。国民投票の16年繰り上げもありえよう。」

記事

5月7日に行われた英国総選挙で、「どの政党も過半数を取れない」という報道機関や世論調査機関による事前予測を覆し、キャメロン首相が率いる保守党が大勝利を収めた。保守党は議席数を307から331に大幅に増やして、単独過半数を確保した。これに対し、野党は総崩れとなった。労働党は議席数を258から232に、自由民主党は57から8に減らした。

 筆者は、多くの有権者が保守政党に票を投じた理由の1つは、昨年以来、英国経済に回復の兆しが見えていることだと思う。実際、キャメロンは選挙戦の中で、「保守党は英国経済の体力を着実に強化しつつある」という点を強調していた。

 2014年の英国の実質GDP成長率は2.8%で、EU(欧州連合)平均(1.3%)やドイツの成長率(1.6%)を大幅に上回っている。

実質GDP成長率の推移

UK GDP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資料=欧州連合統計局

 就業者数も、前回の選挙が行われた2010年以来、毎年増加しており、2014年には前年比で2.3%増えた。これは、就業者の数が4年間で170万人増えたことを意味する。2014年の英国の就業者の増加率はEU全体の平均(0.8%)を大幅に上回っている。

 英国の失業率は、2010年以来10%を超えていたが、2014年には4年ぶりに10%台を割って8.4%になった。これは、EU全体の失業率(17.4%)の半分以下である。

失業率の推移

UK Unemployment rate

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資料=欧州連合統計局

 GDPに対する累積公的債務残高の比率は2010年から2014年の間に増加しているものの、キャメロン政権は財政赤字比率(GDPに対する新規債務の比率)を2010年からの4年間で9.7%から5.7%へ4ポイント減らすことに成功した。

 ドイツでメルケル首相が圧倒的な人気を誇っている最大の理由は、ドイツ経済が好調で失業率が1990年以来最低の水準になっていることだ。キャメロンが圧勝した背景にも、有権者の似たような心理を感じる。英国市民は、労働党などのリベラル政党ではなく、保守党に経済の舵取りを任せておいた方が安全だと考えたのだろう。

EUによる政治統合の深化を拒否

 だが今回の保守党の圧勝は、EUの未来に大きな影を投げかける。欧州の報道機関は、「今回の選挙結果により、EUが今の形のまま存続できるかどうかが、わからなくなった」という論調を強めている。その理由は、英国がEUに残留するべきかどうかについて、2017年までに国民投票を行うことをキャメロンが約束しているからだ。

 彼は2013年1月23日に行った演説の中で、EU内で民主主義が実行されていないことを批判。EUの政府に相当する欧州委員会が、独断的な決定を英国に押しつけることを拒否する姿勢を、明確に示した。彼は、この演説の中で、EUが条約を改正して、英国の意向を尊重する改革を行わない限り、国民投票を断行する方針を明らかにした。

 キャメロンは2年前の演説で何を要求したのだろうか。彼は、次の5つの点に要約している。

1.国際競争力の回復

2.柔軟性

3.欧州委員会に集中した権限の、加盟国への部分的な返還

4.民主的な説明責任の強化

5.ユーロ圏に加盟していない国に対する公正さ(フェアネス)

 この5つの要求は、密接にリンクしている。

 彼によると英国がEUに加盟している理由は、ひとえに「単一市場」の利益を享受できるからだ。EU域内では関税が廃止されているだけでなく、金融サービス自由化指令によって、ある国で銀行業や保険業を営む権利を取得すれば、他の加盟国でも営業できる。

 英国にとっては単一市場があれば十分で、他の点については干渉しないでほしいというのが本音だ。

 ユーロ危機をきっかけとして、通貨同盟に属する19カ国の間で、将来ギリシャやイタリアが野放図な借金経営をしないように、政治統合を深化させようという動きが強まっている。キャメロンは「ユーロ危機後のEUは、もはや以前のEUと似ても似つかないほど、違ったものになる」と指摘する。英国は正にこの政治統合を最も恐れている。

英国のことは英国が決める

 キャメロンは「EUが現在めざしている政治的統合は、英国が我慢できる範囲を超える」と断言している。つまりキャメロンは、欧州委員会やドイツ、フランスがめざす政治統合の強化に、「ノー」と言ったのだ。この発言は、英国と大陸諸国との亀裂を決定的にするものだ。ドイツやフランスは、「債務危機の再発を防ぎ、ユーロを防衛するには、これまで以上に政治的統合を強め、財政政策・経済政策を調和させなくてはならない」と考えている。これに対し、英国は政治統合を深めることに真っ向から反対している。

 キャメロンは「EUはこれまで、リスボン条約を変更し、その力をどんどん強大にしてきた。一方、英国民は意見を言う権利を与えられてこなかった。英国民は、EUが不必要な規則や規制を設けることによって自分たちの生活に干渉しつつあるという怒りを抱いている」と訴える。

 キャメロンは「欧州の全てを調和させることは、不可能だ」と断言する。そして彼は「たとえば英国の医師の労働時間が、英国議会や医師たちの意向とは無関係に、ブリュッセルで決められるのはおかしい」と告発する。

 そしてブリュッセルで中心的に決める必要がない事柄については、権限を各国の議会に返すことによって、再び議会の力を強めるべきだと訴える。彼は、そのことがEUの民主的な性格を強化すると考えている。

移民による社会保障ただ乗りに「ノー」

 保守党は、EUによる銀行規制や資本取引税にも反対している。加えて今回の選挙戦の中で、移民の規制を争点の1つにした。EUは、域内での資本や営業の自由と並んで、市民の移動の自由を極めて重視している。つまりEU加盟国の市民は、職業に就くために他の加盟国に移り住み、労働許可なしに働くことができる。しかもEU法は加盟国政府に対し、他のEU加盟国から移住した外国人に対して、原則として自国民と同程度の社会保障サービスを提供するよう求めている。このことは、自国よりも社会保障サービスの水準が高い国をめざして移住する外国人が増える可能性を秘めている。

 このため、ポーランドやハンガリーなど21世紀にEUに加盟した東欧諸国から、英国への移住者が増加した。他の欧州諸国から英国に移住した外国人の数は、2003年から2013年の間に約12万人増えている。英国統計局によると、移民が人口に占める比率は、1991年には7.3%だったが、2011年には13.4%に増えている。

 英国市民の中に移民が占める比率の推移(単位:%)

Uk immigrant

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出所:Office of National Statistics

 キャメロンは、不法移民に対する規制を強化する方針を選挙期間中に打ち出した。彼はマニフェストの中で「真面目に働いている市民が不公平感を抱かないような移民政策を導入する」と訴えていた。具体的には、英国に滞在する資格のない移民を、これまでよりも容易に摘発したり、国外追放にしたりできるようにする。さらに、不法移民が社会保障制度を不正に利用することを制限する。

 保守党は、「我々は、社会保障制度の恩恵を得るために英国に移住する外国人を規制する。労働党が政権についていた頃には、英国の移民制度が不法移民に悪用された。労働党は、今後さらに移民を増やす方針を打ち出している」と主張し、移民の規制が必要だと感じている市民の票をひきつけた。

英国はEUを脱退するか?

 キャメロンは2014年11月に行った演説の中でも、EUに改革を求めた。最も重要な項目の1つとして「EU域内での移動の自由の制限」を規定した。だがこれは欧州委員会にとって、妥協することが難しい根本的な政策目標である。欧州委員会のユンケル委員長や、ドイツの首相、メルケルはすでに「移動の自由について交渉する余地は全くない」と断言している。

 EU加盟国にとって現在の優先課題は、ギリシャで再燃したユーロ危機に対する対応や、ウクライナ危機をめぐる対ロシア政策であり、英国のためにリスボン条約を改正することではない。しかも「移動の自由」のような重要な項目については、原則として全ての加盟国が賛成しなくてはならない。果たして全ての加盟国が、英国の主張に賛成するかどうかは未知数である。

 つまり現状では、欧州委員会や欧州大陸の加盟国が、英国に妥協してリスボン条約を改正する可能性は、極めて低い。もしもEUが英国の要求に屈して、移動の自由を制限する方向に踏み切った場合、他の国も将来、英国と同じような手段で、条約の改正を勝ち取ろうとするかもしれない。その意味でも、EUは英国の圧力の前に負けたという印象を与える措置を避けようとするだろう。

 一方、下院選挙で圧勝した事実を背景に、キャメロンがEUに対し条約改正への圧力を高めることは確実だ。

 また、今年は北アフリカや中東から、地中海を経て欧州にやってくる難民の数も急増している。ドイツ政府は、同国に亡命を申請する外国人の数が今年45万人に達すると予測している。これは過去25年間で最高の数だ。特に「アラブの春」以降混乱が続くシリアやリビアなどからの難民が増えている。現在、イタリアなど南欧諸国に大きな負担がかかっているため、将来はEU加盟国内で難民の受け入れ数を割り振る可能性もある。その際にもキャメロン政権が強く抵抗する事態が起こりうる。

 さて英国でEU残留に関する国民投票が行われた場合、どのような結果になるのかは、予断を許さない。市民の反応は、大きく揺れている。英国の世論調査機関YOUGOVが今年2月に行った世論調査では、「英国はEUに残るべきだ」と回答した市民の比率は45%で、「脱退するべきだ」と答えた回答者の比率(35%)を大幅に上回った。だがこの機関が2011年9月に行った世論調査では、脱退賛成派が52%で、残留希望派(30%)に比べて圧倒的に多かった。

 英国は、ドイツに次ぐEU第2の経済大国。そのGDPは、2014年の時点でEUの約16%に相当する。Brexitと呼ばれる英国脱退が現実化した場合、EUは経済的に大きな打撃を受ける。

Brexitは日本企業にも大きな影響

 英国に展開している日本企業にとっても、BrexitはEU加盟国との貿易のコストを高めることにつながるだろう。EUとの間に特別な協定を結ばない限り、英国とEUとの間に関税が再び導入される。

 英国は、日本企業にとって欧州で最も重要な国の1つである。外務省によると、英国には約1000社の日本企業が進出している。この数はドイツに次いで欧州で2番目に多い。言語が英語であることも、日本人にとっては大きなメリットだ。

 日本企業による対英投資額は1兆3084億円(2013年)で、過去最高。国別に見ると、英国は米国に次いで第2位の投資先である。日本から英国への新規直接投資(プロジェクト件数)も116件と、米国に次いで第2位である(2013年)。また日本から英国への対外直接投資残高は7兆1379億円(2013年末)で、EUではオランダに次いで2番目に多い。

 英国がEUから脱退した場合、欧州経済の中で大陸諸国、特にドイツの影響力と発言力がさらに高まるだろう。欧州経済における英国の地位が低下することは避けられない。

 英国の有権者たちは、経済的な不利益が増加しても、EUと袂を分かつ道を選ぶのだろうか。

英国のEU脱退が、スコットランド独立の火を再燃させる可能性

 今回の選挙でもう1つ注目される出来事は、スコットランド国民党(SNP)が大躍進し、議席数を6から56に伸ばしたことだ。同党は、スコットランドが英国から独立することを求めている。SNPの地滑り的勝利も、欧州で強まる「地域第一主義」という遠心力を象徴している。

 スコットランドで2014年9月に行われた住民投票では、有権者の55.3%が独立に反対したため、スコットランドは英国に残留した。しかし今回の選挙結果は、スコットランド市民の間で独立を求める機運が衰えていないことを示している。2017年の国民投票で英国がEU脱退を選んだ場合、スコットランドでは英国からの独立を求める声が再び燃え上がるかもしれない。

 英国の金融関係者から「スコットランドが独立したら、スコットランドに本社を持つ大手企業は、本社をイングランドに移すだろう」と聞いたことがある。

 キャメロンが国民投票の期限と定めた2017年まで、残された時間は、あと1年半しかない。英国の要求に対してEUはどのように対応するのだろうか。欧州政局に、目を離せない難題がもう1つ増えた。

 

 

 

 

 

5/12渡部亮次郎メルマガ掲載 杉浦 正章『中露の「法秩序無視」が「歴史認識」を霞ませる』記事について  

杉浦正章氏は時事通信出身だけあってリベラルな立場で小生とは意見を異にする時が多くあります。ただ彼の世界を視る眼は曇っていませんというと、小生がさも偉らそうにと思われるかもしれませんが、そうではなく彼の見方が素晴らしいということです。嗅覚鋭く先を読みます。そこが他の底の浅い売国且つ平気で嘘がつける左翼リベラルとの違いかも。

彼の言う『9月の「抗日戦勝記念式典」を“不振”に終わらすのだ。』と言うのは大事なポイントで、9/3に中国が開催する抗日記念行事の参加国を5/9のロシアの70周年戦勝記念のように減らすことです。9/3以降のオバマと習の訪米会談は要注意です。オバマが八方美人のため、4月の安倍首相訪米時の歓迎と同じように行動する可能性もあります。これはラジオで青山繁晴氏が危惧していたところです。議会は上下とも共和党が多数だから習に演説させることはないと思いますが。

TVでは外務省出身の宮家邦彦氏は、「中露はいじめっ子で誰も近づきたがらない」と言っていました。まさしくその通りで、ジャイアンが二人もいたのでは学級崩壊になってしまいます。外務省出身と言うと栗山や孫崎を思い浮かべ、非常に印象が悪いのですが、宮家氏はまともです。「中露の連携は結局のところ「弱者同盟」に過ぎない。要は両国が失敗を続けているからこそ成り立つ関係であって、逆にどちらか一方が成功すれば、早晩弱体化していく運命にあると思う。」と彼のブログにもありました。

ロシアの60周年戦勝記念には50数か国参加したのに今回は20カ国でプーチンも寂しさを感じたのではと思います。軍事大国ではありますが、経済も今いち、欧米日と仲間はずれになって、悔しいけど習近平と手を結ばざるを得なくなってきているということでしょう。オバマがもっと地政学を学ばないとダメです。真の敵は誰かと。ケリーとプーチンが会って話すようですが。もっと早くロシアと話すべきだったのではと思います。ただ習はロシアの帰り、旧ソ連のカザフやバラルーシにも足を運んだとのことでプーチンは内心面白くなく思っているハズです。

「5/12軍事情報メルマガ」によれば、自衛隊も南シナ海での哨戒活動?との記事がありましたので、紹介します。皆で中国の軍事拡張を止めないと。個別に戦えば負けますので合従連衡が大事です。中国の戦略は「そうはさせじ」と分断を図ってきますからその手に乗らないことです。

■防衛省、南シナ海での哨戒活動参加を検討?

http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2015/04/148469.php

によれば防衛省は、米軍と共同しての南シナ海哨戒活動への参加について検討を始めたとのことです。

昨日もお知らせしましたが、南シナ海の危機を煽る報道等が目立ってきているのはその証左でしょう。

ただ、中共の侵略的海洋進出の姿勢がアジア太平洋情勢の不安定化を招いていることだけは確かで、わが国にとっては臺灣、尖閣という目の前の危機に直結する重大問題でもあります。

南沙諸島侵略に直面している東南アジア諸国は、我が国のプレゼンス発揮を待ち望んでいるのが実際のところです。

わが国は、世界の大国としての責任を、国益と天秤にかけつつ果たしてゆく必要があります。いま、南シナ海方面、ホルムズ海峡が有力候補なのは確かでしょう。

たとえば今年3月に米は、ASEANに対し統合海上部隊の結成を呼びかけています。

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/150321/cpd1503210500003-n2.htm

米・豪など各国がASEAN各国と共同演習等を実施してはいますが、南シナ海方面で現在展開している国連活動、多国籍部隊はありません。

ホルムズ海峡では連合任務部隊CTF150が展開しています。

【参考】(H27.4.27配信 軍事情報517号より)

記事

“悪意の枢軸”による「擬似的冷戦」の構図は長期化する

このところ目まぐるしく展開する世界情勢を鳥瞰(ちょうかん)するなら、ナチスや日本軍と戦っていない中国共産党政権が、「戦後70年」をプロパガンダに活用しロシアに急接近し、米欧に対抗し始めたことであろう。

ロシアは北朝鮮にも急接近し、ロシアを軸とする中国、北朝鮮との「悪意の枢軸」を形作っている。一方極東における日米関係は、首相・安倍晋三訪米によりその歴史上最も強い絆で結ばれ、豪州、インドとともに海洋覇権を目指す中国を抑止する構図が確立した。

この「擬似的冷戦構図」ともいえる二つの潮流は、少なくとも10年単位の長期にわたりしのぎを削るものとなり、世界情勢に影響を及ぼし続けるだろう。日米は70年前の歴史認識より、今そこにある法秩序の破壊を展開している国の動きにくさびを入れる国際世論を盛り上げるべきだろう。

まずはモスクワの「対独戦勝70年式典」を米欧日首脳がボイコットしたように、9月の「抗日戦勝記念式典」を“不振”に終わらすのだ。

中露2国の接近はいわば「同病相哀れむ」の色彩を濃くしている。なぜなら両国とも国連憲章の定める法と秩序による世界平和の達成に真っ向から挑戦しているからだ。

ロシアはウクライナ侵攻へのごうごうたる世界世論の非難をどこ吹く風とばかりに、隙あらば軍事行動を本格化させる姿勢である。そればかりかプーチンは窮鼠猫をかむがごとくに核使用までほのめかしている。

一方で中国は、東・南シナ海への覇権行動を繰り返している。最近では東シナ海は安倍訪米で日米共同防衛の方向が確立した結果、容易に進出出来ないと見たか、矛先を軍事力の手薄な南シナ海に向け、過去4か月で埋め立てを4倍に拡大して、軍事拠点化を推し進めている。

南シナ海は欧州のウクライナと同様にアジアの火薬庫としての色彩を深めている。

この中露2国による覇権行動はあの手この手の懐柔策が伴っており、巧みである。プーチンは、北方領土に解決策があるかの如き“そぶり”を安倍に見せて、日本が米ソ冷戦時のような形で米国に付くことを引き留めようとしている。

しかしクリミア半島を濡れ手で粟のごとくかすめ取り、プーチン支持率が天上を突き抜けそうになっていることを目の辺りにして、今ロシアが北方領土で譲歩することはあり得ない。

安倍はプーチンの“たらしこみ”にやすやすと乗ってはならない。一方中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)でG7にくさびを打ち込んだ。イギリス、フランス、ドイツなどの加盟は日経・風見鶏が「渇して盗泉を飲む欧州」と形容したが、まさにその通りだ。

尤も米国はいくらNATOで軍事的結びつきがあるからと言って、その経済活動にまで口を出すことは難しい。欧州は中国とは日本のように安全保障問題に直面していないから、参加は無理もない。

日本は「武士は食わねど高楊枝」でネガティブな立場で静観するしかない。

筆者が最初から指摘しているように、AIIBを巡る中国の思惑はその国内対策であるような気がしてならない。バブル崩壊が始まっているというのは既に通説であり、その対応策としての様相が強いからである。

高度経済成長を維持してきたけた外れの過剰生産能力を振り向けるのに絶好の材料となるからだ。振り向けなければバブルはのっぴきならぬ事態へと発展する。

習近平は海と陸のシルクロードを一路一帯と称して大風呂敷を広げているが、中国内の過疎はどうして起きたかと言えば、人口の都市集中であり、これは高度経済成長にとって構造的に不可欠なものである。

そのシルクロードに沿った過疎地帯に莫大な投資をして利益がどうして上がるだろうか。極めて疑問である。つぎにシルクロードに面した世界的過疎国家群の存在である。やはりこれらの国々に莫大な投資をして、取得できる利益があるのだろうか。

習はアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが世界恐慌を克服するために行ったニューディール政策を意識しているのかもしれない。TVA(テネシー川流域開発公社)などの公共事業を起こして恐慌克服に役立ったが、それを先取りしようとする思惑が見られるのだ。

しかし、まかり間違えば中国のバブルをユーラシア全域に及ぼしかねない側面がある。したがって日米が慎重に参加を見送っているのは賢明である。日本国内には元首相・福田康夫や村山富市のようにAIIBが何であるかも分からない内から参加の必用を説く盲目的親中派があるが、元首相

たるものもう少し情報を集めて判断をしてもらいたいものである。

その習近平が、おそらくりつ然としたのが去る9日にモスクワで行われた「対独戦勝70年式典」だろう。

9月3日に予定している「抗日戦勝記念式典」の“予行演習”で気勢を上げようともくろんでいたに違いないが、ウクライナへの軍事介入の余波で米欧日本がボイコットして、国際政治の厳しさをまざまざと見る羽目陥ったのだ。

これは紛れもなく今そこにある安全保障問題が70年前の歴史認識に優先順位として勝(まさ)ったことを意味する。習にしてみれば抗日式典が、同様の有様になった場合など考えたくもないだろうが、事態の展開は甘くはない。

南沙諸島での埋め立てという領有化政策をどんどん進めて、まるでその竣工祝いのように、抗日戦争式典を催すことに世界がどう反応するかだ。おまけに中国共産党は抗日戦争で一線に立っていない。

日本は国民党政権に負けたのであって、対日軍事行動を避けて逃げ回っていた中国共産党軍に負けたのではない。

安倍は70年記念行事にたじろぐ必要は無い。6月7,8日のドイツ・エルマウサミットで堂々と戦後日本の平和主義を主張し、過去70年間にウイグル侵攻、チベット侵攻、朝鮮戦争に介入、インドに侵攻して中印戦争、中ソ国境紛争、中越戦争と血塗られた好戦的国家・中国の姿と対比させるべきであろう。

今月15日に開かれた先進7か国(G7)外相会合が「海洋安全保障に関する外相宣言」を初めて取りまとめたことは成果であろう。この流れをサミットへと勢いづけ、極東においても今現実にある安保問題を歴史認識より優位に立たせて、中国のプロパガンダにクギを刺すべきであろう。

5/12日経ビジネスオンライン 上野哲也『李克強首相が警戒する、とめどない量的緩和の行く末』記事について

以前、中国の金融緩和について日本と比較しながら論じました。http://dwellerinkashiwa.net/?p=1725

日本と中国がM2+CDとGDPの比では1.8倍とか2倍とかで同じくらい金融緩和しているというものでした。確かに上野氏の言うように出口戦略がなければ麻薬と同じで止まるところを知らなくなります。「悪貨は良貨を駆逐する」のと同じ状況になるのでは。感覚的に言えば、何となく鋳造された小判の金の含有比率が下がっているような感じがします。景気回復を始動させるためのイグニッション・スウイッチだから、景気回復が見込まれるある程度のところでストップをかける必要はあると思います。保守派の論客として名を馳せています佐伯啓思も「貨幣と欲望 資本主義の精神解剖学」か「ケインズの予言」or「アダムスミスの誤算」の中で、金融緩和は「非常手段であって効果が見込まれたらストップすべき」と言っていたと思います。参考:4ページ目「安倍首相は~

http://www.murc.jp/thinktank/rc/quarterly/quarterly_detail/201304_88.pdf#search=’%E4%BD%90%E4%BC%AF%E5%95%93%E6%80%9D+%E9%87%91%E8%9E%8D%E7%B7%A9%E5%92%8C%E3%81%AF%E9%9D%9E%E5%B8%B8%E6%89%8B%E6%AE%B5

勿論デフレがこれで脱却できると言うのがハッキリ分かれば良いのですが。ここが判断の難しい所です。早めに手仕舞いするとデフレに逆戻りしますので。今は2年連続で賃上げが続いているので失われた20年のような閉塞感は少なくなったと思います。もう少し経済に自信がついてからの緩和解除かと思います。2017年4月の消費税増税がありますが、ここで増税すると景気は腰折れし、元の木阿弥になるのでは。2020年まで安倍首相と上野氏は言っていますが、経済政策で失敗すれば特例措置はないと思います。小生は安倍内閣が続いてほしいと思っていますが。

記事

 4月15日に中国国家統計局から発表された1~3月期の中国の実質GDP(国内総生産)は、前年同期比+7.0%になり、景気の減速が続いていることが確認された。2009年1~3月期に、「リーマンショック」発生後の世界経済悪化局面で記録した同+6.6%以来の低成長である<図>。

■図:中国の実質GDP成長率

china economic growth

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「われわれは経済動向を適切に収められる」

 そうした中、英経済紙フィナンシャルタイムズ(アジア版)が4月16日、中国の李克強首相の単独インタビュー記事を掲載した。李首相は、中国経済が下押し圧力に引き続きさらされていることを率直に認めたうえで、7%前後という今年の成長目標を達成するのは容易でないとしつつも、「われわれは経済動向を適切なレンジ内に収める能力がある」と言明。「昨年10~12月期以降、われわれは財政・金融政策にファインチューニング的な調整を加えてきた。しかし、それらの調整は量的緩和政策ではない(but these adjustments are not a QE policy.)。代わりに行われたのはターゲットを絞った規制上の手段であり、それらには効果があった」と説明した。

 上記の発言からもうかがわれるように、量的緩和という政策手段を、李首相は好意的にはとらえていない。むしろ、米国が利上げに続いて量的緩和からの「出口」を模索することが今後見込まれる中で、市場や経済に混乱が生じて、中国も巻き込まれることを警戒しているようである。今回のインタビュー記事には李首相の次のような発言があり、筆者にはかなり印象的だった。

 「量的緩和政策を導入するのはきわめて簡単だ。それはプリンティングマネーと変わらないからだ」

 「量的緩和が行われている時にはすべての種類のプレーヤーが、この大きな海(this big ocean)の中で何とか浮かんでいられるかもしれない」

 「しかし、量的緩和が取りやめられる時にそこから何が起きる可能性があるのかを、現時点で予測するのは難しい」

 李首相はさらに、世界的な金融危機の根本的な原因に対処するために必要な構造改革に、ほとんどの国がまだ取り組んでいないと警告。「点滴と抗生物質投与」を受けており、まだ自力で回復するための免疫機能が強化されていない患者に、世界経済を例えた。

 日本流に言い換えると、量的緩和政策というのは「行きは良い良い、帰りは恐い」である。実験的に試みられた政策であり、実績が伴って信頼感がある「出口」の道筋というものはいまだ存在しない。しかも、量的緩和という「ぬるま湯」につかり続けていると、この政策で「時間を買っている」間に行われるべき構造改革や成長戦略などの政策の推進がどうしてもおろそかになりやすいという、危うい側面を有している。

「われわれは皆QEジアン」なのか?

 筆者には、そうした強い危惧の念がある。だからこそ、日米欧を含む多くの先進国が量的緩和政策を採用している現状を「ニューノーマル」だと安易に呼んだり、黒田東彦・日銀総裁が3月20日に日本外国特派員協会で行った講演の中で伊藤隆敏氏(米コロンビア大学・政策研究大学院大学教授)の言葉を借りて「われわれは今やみなQEジアンだ(“We are all QE-sians now”)」と述べたりしていることには全く高揚感を抱かない。逆にぬぐい去り難い違和感を覚える。

 上記のインタビュー記事が出てくるのとほぼ同時期に、IMF(国際通貨基金)は世界金融安定報告(GFSR)を公表した。世界経済の成長の不均衡や、米国と日欧の間に横たわる金融政策の方向性の違いから、安定性へのリスクが高まっているとIMFは警告。債券市場の流動性の低下や新興国にまつわるリスクに注意を喚起した。

 量的緩和からの「出口」を模索しようとしている米国のケースは、まだましと言える。より大規模な緩和策である日銀の「量的・質的金融緩和」の場合、2013年4月に開始されてからすでに約束の2年程度が経過しているが、「物価安定の目標」である2%を達成するメドはまったく立っておらず、昨年10月に続いての追加緩和がおそらく今年10月に行われるだろうと、筆者を含む多くの日銀ウォッチャーが予想している。

 国会や記者会見の場などで「量的・質的金融緩和」からの「出口」についてたずねられると、そうした議論は「時期尚早」だと黒田日銀総裁は返答している。実は、日銀の「出口」を巡るこうした論議で欠落している大きな部分が一つある。

目標が達成されない時の出口戦略がない

 それは、あたかも当然のことであるかのように2%の「物価安定の目標」が達成されることが前

提になってしまっており、いつまでたっても2%目標が達成されないケースでいつ、どのような形で日銀はあきらめてこの金融緩和を取りやめるのかという議論が、日銀の中でも外でもまったく行われていないことである。

 筆者は、安倍晋三首相がこのまま長期政権を築き、自民党総裁としての任期が3年・2期までという現行の規定から特例で延長されて、2020年夏の東京オリンピック開催の頃まで続投するのではないかと予想している。

 したがって、2018年4月に5年の任期が切れる黒田総裁の後任も「リフレ派」から登用される可能性が高く(むろん黒田総裁の再任も可能性としてはある)、マネタリーベースの積み上げを軸とする「量的・質的金融緩和」は今から5年後も続けられているだろうというシナリオを描いている。

「いつまでも続けられる政策ではない」のだが…

 市場参加者の期待や金利観の安定に寄与するとされる「オープンエンド方式」(事前に終了期限を定めず、条件が満たされるまで続けていく方式)の金融緩和というのは、確かに聞こえがよい。だが、達成できない条件が掲げられている場合には「エンドレス」になり得る。

 日銀の事務方の中にも、今の政策が「エンドレス」になっていくことへの警戒感・恐怖心を抱く向きが出始めたようである。実際、「『いつまでも続けられる政策ではない』と日銀内から焦りの声が漏れ始めた」と、4月4日に日経新聞が報じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

5/8日経ビジネスオンライン 長尾賢『シンガポールに学ぶインドとの防衛協力強化』記事について

中国に対する警戒感の高まりで日経と雖も中国包囲網についての記事を載せるようになりました。インドはパル判事やチャンドラ・ボース、ラス・ビバリ・ボースを出すまでもなく親日国家です。アフターブ・セット元駐日インド大使と飲んだ時に「インドと日本は歴史的に見て争った時はない。(仏教を初め)友好的な交流が続いてきた」と聞きました。

昨日(5/11)の日経に世界の政治腐敗度のランキング(100点満点、低い方が良い)が出てました。日本24、インド62、中国64でした。感覚的に中国の腐敗度はもっと高い気がします。インドは貧しい国で社会主義が長かったためやはり役人の裁量が大きいと思われます。日本はインドともっと経済交流を進め、恩を知らない中国を見限り、軍事的にも手を結ぶことは可能と思います。

インドとシンガポールが軍事的に交流しているのは背景に中国の存在があると思います。シンガポールはマラッカ海峡に面しており、東アジア向けの船はここを通ります。石油タンカーはここを通りますので中国がここを押えることを懼れているのだと思います。日本もマラッカ海峡を航行できることで利益を受けていますので、インドだけでなくシンガポールとも軍事的連携を図っても良いと思いますが、華僑の多いシンガポールの日本に対する受け止め方がどうかがポイントです。過去に重きを置くか、将来の脅威に対抗した方が良いと判断するかどうかです。

記事

昨今、安倍晋三首相の外交成果が報道されることが多くなっている。アジア・アフリカ会議では日中首脳会談が行われた。日米間では新ガイドラインで合意し、日本の首相として米議会上下両院合同会議で初めて演説するなど、日米同盟は強固になりつつある。

 このような成果をみると、日本の安全保障も若干ながら改善しているのだが、注意すべき点がある。それは長期的にみて、日本の安全保障環境がよりよくなる傾向にあるのかどうか、だ。

 南シナ海で中国が滑走路建設工事を進めている。いずれは中国軍機が離発着して、周辺国の航空機や船を追い出すようになることが懸念される。中国の軍事的な活動は徐々に外側に拡大しつつある。日米同盟は、このような中国の行動をどこまで抑えることができるだろうか。将来まで安心な状況とはいえない。

 なぜなら米中のミリタリーバランスは徐々に変化しつつあるからだ。2000年から2014年までの間に、中国は41隻の新しい潜水艦を配備した。米国は11隻にすぎない。米国の潜水艦の方が性能が優れているが、過去と比べ米国のプレゼンス(存在感)が下がりつつあることは明らかだ。

図1:2000~2014年までの潜水艦の新規配備数

number of new submarine

 

 

 

 

 

 

 

 しかも米軍は中国だけでなく、世界中の問題に同時に対応しなければならない。欧州におけるロシアの問題もあれば、中東やアフリカにおけるイスラム過激派などの問題もある。だから、将来、日本が中国の動きに十分に対応できるかどうかは、単に米国との協力だけではなく、米国の同盟国や友好国同士の連携、オーストラリアや東南アジア諸国、そしてインドなどとの連携がより重要性を増していくことになる。

 その中で、東南アジア諸国とインドの潜在性は大きい。経済が発展し、時間とともに軍備が整っていくからだ。日本、東南アジア諸国、インドとの連携は、日本にとって重要性を増していくだろう。

 日本はどのようにしてこれらの国々との連携を強めていくことができるだろうか。何かアイデアはないか。本コラム「日印『同盟』時代」で日印連携の具体的アイデアを探っていたところ、興味深いことに気付いた。東南アジア諸国はインドに対してどう対応しているのかをよく調べれば、日本、東南アジア、インドと協力する際に役立つアイデアがあるかもしれないことだ。

 実際、調べれば調べるほど、興味深いことが行われていることが分かった。本稿はシンガポールに着目する。

図2:シンガポールの位置関係

location of SP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンガポールとインドが南シナ海で海軍演習

 シンガポールは長年にわたって米国と協力してきた国だ。シンガポール軍は装備において、多くの米国製の武器を採用している。だからシンガポールは、中国の海洋進出に対抗する手段として米国との連携強化に取り組んでいる。そして、インドとの連携にも積極的だ。シンガポールは日本と共通の国益を有する。

 そのシンガポールはどうやってインドと連携しようとしているのか。大きく分けて3つある。訪問、共同演習そして基地借用である。

 まず訪問について。シンガポール軍幹部が、1990年代初頭から頻繁にインドを訪問している。特に象徴的だったのは、1998年にインドが核実験をした後、世界の中で最初にインドを訪問した軍高官はシンガポールの海軍参謀長であったことだ。今年3月にはシンガポールの国防大臣が、東南アジアの安全保障でインドがより大きな役割を果たすことを支持する発言をした。シンガポールは事あるごとにインドを特別扱いし、インドが東南アジアの問題に関心を持つように仕向けてきたのである。

 共同演習にも同じような傾向がみられる。シンガポールは1993年、インドと海軍の共同演習を始めた。その演習は、1999年に「シムベックス」と名前を変え、現在まで続いている。

 この演習は、シンガポールの意図を示す非常に興味深い特徴を持っている。例えば1998年以降、対潜水艦戦を想定した内容になっている。中国の潜水艦は昨今、南シナ海だけでなくインド洋でも活動している。シンガポールは当時からそのような事態を想定していたものと考えられる。

 演習を行う地域にも興味深い変化がある。演習はシンガポールとインドがそれぞれ交互に主催する。2005年以降、シンガポールが主催する年は、いつも南シナ海で演習を行っているのだ。シンガポールがインド海軍を南シナ海に呼び込む形を取っている。

シンガポール軍の装備がインド国内に常駐

 シンガポールとインドは2004年から空軍間の共同演習も始めた。2005年からは、陸軍の戦車部隊、砲兵部隊の共同演習も開始している。この陸軍と空軍の演習が、実はシンガポールとインドとの連携強化に有効な役割を果たしている。海軍と違って、陸軍や空軍は陸上の拠点を必要とする。広大な演習場に重装備を運んでいって、ちゃんと整備してからでないと共同演習はできない。

 しかし、そのことがかえって外交的に有用だった。シンガポールは、インドの基地を長期(5年更新で)借用契約し、そこに装備を常駐させ、そこで毎年訓練を行っている。こうすると、シンガポール軍はいつもインドに足場を持っている状態になる。

 これはシンガポールとインドの軍人が意見を交換し、インドにとってあまりなじみがない南シナ海の問題の重要性を訴える、絶好の機会を提供する。また、シンガポール軍の装備をインドにみせることで、武器輸出につながる可能性もある。両国が共通の装備をもって共同訓練することにつながれば、関係はより深まる。連携を考える上で賢い選択だ。

インドと米国が主催する演習にシンガポールが参加

 こうしたシンガポールの努力が近年、成果を上げ始めているかもしれない。例えば2007年にインドと米国が海軍の共同演習を主催した際、シンガポールも参加した。インドと米国以外の参加国はシンガポールのほか、日本とオーストラリアだった。インドがシンガポールとの関係を日豪と並べて、重視し始めている証左といえる。

 また、インド海軍艦艇の寄港地をみてもそのことが分かる。インドは2011年、2012年、2013年と連続して4隻の艦艇を東に派遣している。南シナ海の周辺国であるシンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン(そして日本)を訪問するようになったのだ。2012年12月にはインド海軍のD.K.ジョシ参謀長が、南シナ海でインドの国益が脅かされた場合には、インド海軍艦艇を派遣する用意があると発言した(注)。

(注)インド海軍の昨今の動向については、長尾賢『検証 インドの軍事戦略―緊張する周辺国とのパワーバランス―』(ミネルヴァ書房、2015年)参照。

日本・インド・シンガポールの連携もあり得る

 このようなシンガポールの戦略を見ると、長期的な視点に立ってインドを徐々に南シナ海にひきつけていることが分かる。こうした戦略的な動きには、日本も学ぶべきものがある。

 日本もすでにインドとの防衛交流を開始している。海上自衛隊とインド海軍、海上保安庁とインド沿岸警備隊の共同演習も定期的に行っている。救難飛行艇など海自の装備品輸出も協議している(関連記事「インドに潜水艦を輸出することの損得勘定」)。

 しかし陸上自衛隊とインド陸軍、航空自衛隊とインド空軍は、共同演習を行っていない。だから、共同演習を始めるべきである。その際には、小規模でもいいから、インドの演習場で日本が実弾演習を行うのはどうだろうか。インドの演習場の一部を長期契約し、そこに装備も置いておいて、定期的な実弾演習を行うことは連携を深める手段として有用だ。

 この時、日本とインド、シンガポールの3カ国が協力する枠組みがあると、よりよい連携になると思われる。例えば、シンガポールがすでに借りている倉庫を使わせてもらうのはどうか。

 日本だけがインドと連携を組みたいのではない。米国も、オーストラリアも、東南アジア諸国も、みなインドとの連携に注目して取り組んでいる。ならば同じ目的を持つこれらの国々でアイデアを共有し、より効率的な方法をみつけることができるはずだ。日本は今、協力できる友好国がとても多い。その利点をいかに生かすことができるか、工夫が求められている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5/7日経ビジネスオンライン 福島香織『安倍首相の米議会演説、中国はどう報じたか 対立と駆け引き、「新冷戦」の始まりは低調に』記事について

日本が強くなることに、中国・韓国と日本のメデイアがまともに報じるとは思えません。そういう意味では中国の報道は分かり易いのでは。日本を韓国のように属国にしないまでも、弱い儘であれば金を強請れますので。それでいつも「歴史を鑑」と馬鹿の一つ覚えのように言う訳です。「歴史を鑑」にしたらウイグル、チベット、内蒙古等困った問題が出るのでは。それでも臆面もなく、日本に強弁できるのが中国人の凄い所です。

今回は習近平がAIIBに日本を引き込もうと思っているから批判のトーンが和らいだとの見立てですが、それもあると思います。何とかして日米分断を図りたいと中国は思っているはずですから。日本人の中にもアメリカでなく、中国とくっついた方が良いと思っている人もいます。中国のように裏切るのが当たり前という国と付き合ったら大変と言うのは戦前戦中戦後も体験して分かっているのに。

5/10宮崎正弘メルマガに「中国三大メジャーのトップ全員が交代  「石油派」の利権は、最後に誰が掌握するか」の記事が載っていました。習・王体制VS軍(団派)+上海派の争いです。今は内部での権力闘争が熾烈で、日本を叩きすぎると、後で政権が変わった時に粛清されるかもしれないので報道機関は様子見しているのではという気がします。まあ誰が権力を握ろうと反日は変わらないでしょう。日米同盟を確固たるものにして中国の野望を挫くようにしないと。中韓と日本のメデイアの逆をやる事が正しい。

宮崎記事

『中国の三大石油メジャーとは「シノペック」「ペトロチャイナ」、そして「中国海洋石油」である。中国語では「三桶柚」が三大メジャーを意味する。これまでは江沢民一派が「三桶柚」のトップを独占し、利権を独占して、いわゆる「石油派」のボスとして君臨したのが周永康だった。実際の裏のボスは曽慶紅(江沢民の右腕、元国家副主席)だった。江沢民の家来だった周永康(中国共産党政治局元常務委員)が曽慶紅の禅譲により、トップについてからは露骨に一族で利権を握りしめ、金庫番の蒋潔敏らを駆使して、好き放題をやってきた。

とろこが、習近平の反腐敗キャンペーンで真っ先に血祭りに上げられ、周永康の子分たち400名(三大メジャーの役員クラス、幹部)がその座から転がりおちた。習近平は兄貴分だが、煙たい存在で、目の上のたんこぶだった薄煕来(重慶市書記)を、夫人の外国人殺害事件を口実に逮捕し、党籍剥奪して裁判にかけた。まず自分の権力の邪魔になる厄介者を消した。

 つぎに標的としたのは悪評さくさくだった周永康だった。かれは公安系、司法系を司る政治法政系を牛耳っていたため、つまりは取り締まり側の総元締めだから、誰も手を出せないアンタッチャブルの存在だった上、背後に江沢民がいる。反面、周が君臨したお陰で温家宝首相(当時)の金銭スキャンダルなどは握りつぶされた。

 そこで習近平は辣腕政治家の王岐山とコンビを組んで「反腐敗キャンペーン」を本格化させ、周りから攻め込んだ。石油メジャーの不正経理と乱脈の捜査によって外堀を埋め、さらには周の子分達を経済犯罪を立証しつつ裁判にかけて、五名を処刑した。周の息子もこれらのマフィアと共謀していた。

 周は慌てて王岐山らに懇請したが聞き入れられず、泣きつかれた江沢民が習近平に電話すると途中で切ったという噂も流れた。江沢民一派は追い詰められたことを認識し、反撃に出る。

盛んに地方巡察などと嘯いてマスコミに動静を写真入りで報道させる一方、ヒットマンを送り込み、暗殺を狙った。王岐山への暗殺未遂は数件、もっとも師匠格の朱容基元首相は、暗殺未遂事件が十数回もあった。

 習近平は自分のボディガード軍団を入れ替え、さらに中南海の警備陣を、江蘇省、福建省時代に培った子飼いの公安系に入れ替え、万全なものとした。暗殺を懼れるからである。王岐山に至ってはスケジュールを明かさず、神出鬼没の行動をとる。

 ついで習近平が狙ったのは軍である。中央軍事委員会で習近平の子分はひとりしか居ない。ほかは胡錦涛派、とくに副主任の氾長龍と許基亮。参謀総長の房峰輝の三人が習近平になびかない。そこで、これら軍トップの副官クラスと弁辞処(中央軍事委員会事務局)の高官を入れ替え、軍幹部の独自の動きに注意をはらう人事構造とした。つまり軍事クーデターを警戒する態勢である。あまつさえ習近平は外遊時に、これらの幹部の何人かを引き連れていくようになった。

留守中の動きを封じ込めるためで、たとえば5月8日からのモスクワ、ベラルーシ訪問では氾長龍(軍事委員会副主任)を随行した。

 ▼迂回捜査だったから、本丸を囲まれたことに江沢民は気がつかなかった

 このたびの人事で三大メジャーのトップがすべて交代したことが分かった。

 中国石油のトップは王宣林で、前トップだった周吉平は辞職し、前社長だった寥永遠は失脚した。

 中石化のトップは未発表。前幹部の傳成玉は辞職し、前社長の王天普は失脚、同系工程院副院長だった王玉普は左遷された。中国海洋石油は新トップに楊華が繰り上がり、王宣林は「中国石油」のトップに横滑り、副経理(副社長)だった呉振芳は失脚した。

 この動きから推測できること。習近平は石油派を締め上げることによって、鉄道利権に続いて、江沢民派の利権を取り上げ、つぎに李鵬ら守旧派が握る発電利権、そして江沢民の息子が握る通信の利権を奪回するため、その腐敗構造へのメス入りをしている最中である。

 また利権構造とは言えないが、江沢民残党の影響力がつよく残る行政、地方政府、国有企業にもメスを入れており、外交関係部署では江沢民色の強い楊潔チ国務委員(前外相)と外交部助理の張昆生(令計画と親密だった)らが取り調べを受けた気配がある。げんに王毅外相のまわりからも、多くの幹部が拘束、逮捕されている。

 ▼上海派の牙城、上海市政府の人事にも介入

 上海政府の行政幹部に関しては「調査の対象」(取り調べ)となった幹部が目立つ、戴海波(上海市政府副秘書長)、崔健(実鋼集団副社長)と同社の33名の幹部が取り調べを受けた。

上海政府は、江沢民一派の牙城であり、これまではアンタッチャブルの存在。数年前に陳良宇が失脚した折は、胡錦涛政権だったが、上海で最も汚い手口のデベロッパー逮捕に連座させて、経済スキャンダルを立証したのだった。

 同市の上海光明集団元理事長の王宗南も、江沢民一族と濃密な関連があったが、失脚した、江沢民の長男、江綿恒は中国科学院上海分院長のポストを免職となったうえ、彼のもとに出入りしていた、怪しげな政商らも多数が拘束された。

 周永康の牛耳った法政法(公安関係)でも李東生(弁王室全主審)、馬建(公安部腹部省)らが取り調べを受け、事実上失脚した。馬建失脚直後に郭文貴が外国へ逃亡、令計画の弟の令完成も機密書類を持ち出して、米国へ逃亡した。

 まさに闇の世界に手を付けた結果、計り知れない闇の奥底が広がる。悪魔の生息する伏魔殿へ、本気で習近平の特捜部隊は突入するのだろうか。もしそうなれば地獄の決戦が開始されることを意味し、中国共産党の瓦解が始まる。』

福島記事

日本の安倍晋三首相の訪米と議会での演説についての、日本や海外のニュースを拾い読みしている。日本の報道では主に二通り。高校生よりひどい英語だ、米議会の8割が聞き取れなかったらしい、謝罪の言葉なかった、アメリカに擦り寄っただけ、といった嘲笑・批判の報道。そして、見事な演説だった、10回以上のスタンディングオベーションで共感が示された、米国の信頼取り戻した、というべた褒めの真逆の報道が相半ばしていたかと思う。中身に関しては、日米同盟強化・深化を、TPP交渉の成立と安保関連法案の夏までの成立をもって進めていくという目標提示でもって訴えた。これに対しては日本の世論でも、大きく賛成反対に分かれているテーマなので、本当に政権の思惑どおりすんなりといくかはまた別ではあるが、演説で公言したことは米国としては安倍政権の決意として受けとめられたことだろう。

 個人的な感想を言えば、日本の首相らしからぬうまい演説だと思った。言葉の強弱や息継ぎまで指示されたカンペを見ながらの演説であったことがウォールストリート・ジャーナルで写真付きで報じられたのはご愛嬌だが、アメリカ人の心に響きそうなフレーズを小憎たらしいまでにちりばめたスピーチ原稿や、的確な演技指導をうけてこの日に備えた心構えは非難されることではなく、対米外交に対する安倍政権の真剣さを物語るものとしてむしろポジティブに受け取られるものではないだろうか。

演説のキモは中国へのメッセージ性

 正直、歴史認識に関わる部分、第二次大戦メモリアルのくだりや硫黄島の和解の演出など、日本人の私も不覚にも目が潤んでしまった。ベイナー議長やバイデン副大統領も硫黄島のくだりでは目頭を押さえていたそうだ。泣かせるつもりやな、とわかっていても、思わず目頭が熱くなる、そういうスピーチ原稿を短時間で書けと言われて自分に書けるかというと、これはなかなか難しい。すなおに、いいスピーチであったと思う。

 ただし、この演説のキモは、感傷を盛り上げるような表現のうまさでもなく、謝罪のあるなしでもない。当然、英語のうまいへたでもない。スピーチ上に名前も出てこない国に対するメッセージ性だろう。言う間でもなく、中国に対するものである。そこで中国ではこの演説がどのように報じられているのか、まずそこを見てみたい。

例えば国営通信新華社である。

「日本首相安倍晋三は4月29日に米国議会において演説したが、侵略の歴史と慰安婦問題については謝罪せず、国際世論と専門家から安倍に対する批判があいついだ」

「日本の元首相・村山富市は安倍の演説は日本が歴史を隠蔽しているとの印象を人々に与えたと非難した。村山談話で提示した植民統治と侵略の歴史に対するお詫びの言葉を回避したのは、歴史認識を砂糖衣で包み歴史を隠蔽しているような印象を与え、むしろ外界の不信感を増加させた、と西日本テレビで語っていた」

「安倍の演説は、日本の世論からも批判を受けている。朝日新聞は、(安倍が)アメリカに迎合しアジアに対しては冷ややかで、演説中に“侵略”と“謝罪”という言葉を出さなかったのは歴史のくびきから急いで逃れようとしていると指摘した。日刊現代は安倍演説原稿に、顔を上げて拍手を促すなどの官僚の指示が書き込まれていたことをあげて、笑いものにしていた。東京新聞は安倍の演説内容は中国への対抗心があらわであると指摘した。米国との軍事安保協力を強化し、日米で経済秩序主導権を握ると宣言し、徹頭徹尾、米国へのリバランス政策支持を表明している、としていた」

「米国のニューヨークタイムズ(ネット)は4月30日にこのように報じている。『日本の歴史的役割は今までにすでに明確になっているが、安倍およびその右翼政治の盟友たちは絶えずこの事実を疑い、この後に及んで改ざんを試みている。…』…英国のフィナンシャルタイムズ4月30日付の駐米主席評論員のコラムはこう指摘している。『安倍の演説には何の新鮮味もない。叙述の貴重は濃厚な“軍国主義的色彩”を帯びている。安倍は“慰安婦”問題についての一歩進んだ言及もなく、日本の教科書の歴史修正主義傾向が覆る保証もなく、人を失望させる演説であった』…」

お決まりの批判も低調、保留する政権に同調

 日米のリベラルメディアの報道を引用する形で、国際的な評価は低い、謝罪がなかった、といった形でお決まりの批判は展開しているものの、あまり力の入ったものではない。どちらかというと低調な報道という印象を受けた。目下の中国では、新華社報道の調子からあまりはずれて、各メディアが自由な論評を展開することはない。新華社報道はおおむね、習近平政権の姿勢に合致している。訪中した日中友好議連に応対した唐家璇元国務委員は「歴史について総理の積極的な姿勢を一定程度表したものだと思うが、村山談話などと比べると入っていない要素もあり、依然と差がある」と、比較的穏やかな表現で受け止めている。つまり、習近平政権は、日本に対する出方を保留している感じである。

しかし、この演説の政治的意味について、日本メディアよりも的確に受け止めているようだ。新華社はこうも報じている。

「中国に対する意図が行間ににじみ出ている」

「安倍の演説では明確に中国について指摘している部分はないが、行間に中国に対する意図がにじみ出ている。上海交通大学の日本研究センターの王少普は『安倍の演説の重点は、日米同盟の強調であり、米国に対して明確な政治的シグナルを発している。すなわち、日本は米国の忠実なる盟友であり、米国とアジア太平洋地域の協力を展開して米国の戦略を支持したいということだ』と指摘。…また、中国外交学院副教授の牛仲君は『安倍の演説は、日本が終始、米国の弟分であり、米国の戦略に甘んじて協力するということを米国民に表明した。日米がなぜ同盟強化する必要があるか、安倍は明確に説明しなかったが、中国に対する意図が透けて見える』と指摘した」

 この両専門家が、中国に向けてのメッセージが透けて見えると指摘した演説箇所は例えば、

“アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します” “アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること” といった部分や、 “日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。その営為こそが、TPPにほかなりません” といった部分である。

 報道の自由がある中国の外の華字のメディア、たとえば香港に拠点を置く独立系華字メディア「ボイスオブアメリカ」はもう少し踏み込んでいる。米国の台湾・香港メディア特派員や反共亡命中国人論客を招いた対談ではこんな意見を披露している。

香港独立系メディアが予感する「新冷戦」

「この同盟強化が中国にどんな反応を引き起こすか。もし日米同盟と中露同盟の対立という形になれば、あらたな冷戦時代が到来する。その時、韓国はどちらの陣営につくのか」(中国時報駐ワシントン特派員・劉屏)

「経済領域・安全保障領域での日米同盟強化はともに中国に直接的影響を与える。日米防衛協議では釣魚島(尖閣諸島)問題も明確に日米安保協定内に含まれるが、米国は南シナ海の問題や世界その他の問題にも日本の介入を求めるだろう。…日米同盟のリスクは日本と隣国の領土および歴史領域での衝突だが、これに米国を引き込むことになる。米国が支払う代価も増加する」(香港中天ニュース駐ワシントン特派員・臧国華)

「米日の防衛協力の新指針は、地域の問題がグローバルな問題に変化し、今後、国際的な、特にアジアの地縁政治に深刻な変化をもたらすだろうことを示している。米日同盟関係の深化は安倍外交の重大な勝利であることはもとより、オバマ外交にとっても重大な成果だ。…第二次大戦で、米中同盟は日本と対抗した。その時は東京が軍国主義を奉り、アジアの侵略者だった。今は米日が同盟を結び中国に対抗している。今の北京が独裁国家であり、突出してアジアの多くの国家にとっての不安となっているからだ」(亡命華人政治評論家・陳破空)

「オバマと安倍の会談で、中国をめぐる問題は不可避であっただろう。経済と安全保障の議題は、米日軍事同盟の現代化とTPPを含めて、中国の近年来の拡張姿勢、特に東アジアでの強硬姿勢が背景にある。米国は安倍が日本をアジアの権力の中心に返り咲かそうとしている意図を見抜いているし、日本がさらに積極的な軍事外交政策をとることがオバマのアジアリバランス政策に有利だと見ている。安倍は日本が戦後、民主、自由、人権、人道援助、経済技術援助などの貢献をしてきたことを強調し、米日同盟を体制と価値観を同じくするものとしている。これは中国と違うということの暗示でもある。価値観と利益がともに共通することが米日のゆるぎない関係の基礎である」(亡命華人の民主化活動家・楊建利)

 つまり、安倍演説のキモは、中国が掲げる中華民族の偉大なる復興、つまりアジアにおける新中華秩序の確立を、米国とともに積極的に阻むつもりだというメッセージを米国民と中国に示したことである。その行く先には新たな冷戦時代の到来や地縁政治の劇的変化が待ち受けているかもしれないという予感もある。

 明確に中国に対する牽制ではあるが、中国側があまりムキになって反論していないように見えるのはどうしてだろうか。

対立と駆け引き、外交戦はこれからが本番

 4月22日、インドネシアで短いながらも安倍習近平両首脳は会談しているが、中国の報道ぶりをみても、その雰囲気は悪くなかったようだ。その理由に、習近平が権力掌握、軍権掌握を順調にしており余裕が出て来たため、という解説もあったが、今の中国の内政状況に余裕を持てるならば、それは政治家として相当鈍感である。私は余裕ではなく、嫌々でも戦略として関係改善策にシフトする選択をせざるを得ないからではないかと見ている。

 背景には、昨年の参院選以降、安倍政権長期化の予測がある。そしてその安倍政権が発表する戦後70年の歴史談話の内容がまだ見えていない。AIIBへの日本参加もまだ説得の余地があるかもしれない、と見ていることなどが、批判報道の低調につながっているのではないかと、勝手に想像している。もう一つ言えば、中国はすでに、鄧小平式の韜晦戦略は捨てており、米国秩序に対抗する中華秩序の確立の野心は隠していない。日米が中国を脅威とみなすことは別に心外なことではない。日本が忠実に米国のリバランス政策を支えることも織り込みずみだ。ただ、中国の元官僚から以前に聞いた話では、中国の政治家は、その場しのぎの体裁の良いことを言う人間より、例え対立的でもぶれない方針を持っている相手の方を好む、という。その方が駆け引きをしやすいからだ。中国は安倍政権をちゃんと外交できる政権だと見始めているということではないだろうか。

 中国が本当に手ごわくなるのは、反日世論を盛り上げて感情任せに激しく攻撃してくるときではなく、むしろこういう相手の出方を見極めようと慎重な姿勢を見せるときではないだろうか。

 日本のリベラルメディアの報道で目立った英語の発音がどうだとか、謝罪がなかったとか、国会を無視して安保委関連法案の夏までの成立を公言したとか、実はあまり重要な話ではない。中国の野心やそれに伴うアジアの地政学的変化への対応の仕方として、安倍政権の方針に反対ならば反対だとして、では、どういう代案があるのか議論を促す視点があまりなかったのは残念である。

5/7・8日経ビジネスオンライン 鈴置高史『朴槿恵外交に噴出する「無能」批判 「日本の孤立化」に失敗、ついに身内も「NO!」 ナポレオン3世に擬された朴槿恵 「扇動メディアが国を亡ぼす」と悲鳴を上げる大物記者たち』記事について

置氏の言いたいことは最後のパラグラフにあるとおり韓国とは「適度な間合い」を取って付き合うという事です。小生が思っていますのは1000年「非韓三原則」(=助けず、教えず、関わらず)を貫くことです。今まで付き合って良いことがあったでしょうか。歴史的に見て禍を齎しただけです。平気で嘘を世界に撒き散らし、それで「謝罪」と「賠償」(「道徳的劣等民族の烙印」と「金くれ」)要求です。個人的にもこんな人達を友達にしたいとは思わないでしょう。韓国が好きな日本人は日本国籍を抹消して韓国人になったらよい。ロジャー・パルパースと四方田犬彦の対談集『こんにちは、ユダヤ人です』を読みましたが、四方田は国民国家の存在と日本が嫌いと言うのが読むほどに分かり、不快な気分になりました。日本は国籍を移す自由があります。大江もそうですが、どうして日本が嫌いな人達は他の国の国籍を取得しないのでしょう。アメリカでも、中国でも、朝鮮半島でも好きな国に行けばよい。よその国は日本ほど甘くないし、反日を言えば稼げるのが分かっているからでしょう。我が身を安全地帯に置いて人を悪しざまに言うと言うのは卑怯者のやる事です。自分だけが正しいと思い、国民を見下した物言いは傲慢としか言いようがない。国民は安倍首相の政策を選挙の結果で見れば支持している訳ですから。東大卒は反権力を標榜するのを目的にしているのでは。愚かなことです。

記事

「日本の孤立化」に失敗した朴槿恵(パク・クンヘ)外交。韓国で「無能」と糾弾されるに至った。それも身内の保守系紙からだ。

「2年間の無能と無気力」

—韓国紙が朴槿恵政権の外交を「無能」と批判したそうですね。

鈴置:最大手紙、朝鮮日報が社説「米日新同盟、北東アジアに対決の構図を作ってはならぬ」(4月30日、韓国語版)の結論部分で「無能」という単語を使いました。以下です。

  • 朴槿恵大統領は今年夏頃に米国を訪問する予定だ。韓米同盟を強化できる絶好の機会となる。一方、韓中関係もまた疎かにしてはならない。韓国外交が過去2年あまりの無能と無気力から脱却し、国家生存戦略を掲げ、これを行動に移すべき時だ。

 朴槿恵外交の全否定です。この厳しい書き方には驚きました。朝鮮日報は、保守系紙の中でも政権に最も近いと見られていたのです。

 同紙は続いて、5月4日付の社説「外交も、経済も、改革もできない無気力な青瓦台(大統領府)」(韓国語版)で、結語に「無能」を使いました。以下です。

  • 人事の刷新を通じて国を率いる力を取り戻さなければ、この政権は「無気力」という批判に晒され続けることになろう。そして結局は「無能な政権」という汚名をそそがざるを得なくなるのだ。

許せない指揮官

 朴槿恵外交に関し「無能」という言葉をいち早く使ったのは、同紙の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問でした。「日本の後進外交、韓国の無能外交」(4月24日、韓国語版)というコラムで、です。

 姜天錫論説顧問は日本の外交を「周辺国の恨みを買う子供っぽい外交」と決めつける一方、自国の外交当局も厳しく批判しました。

 韓国の執拗な反日に対し米国が発していた警告と、首脳会談に向け動いていた日中の動きを察知できなかった鈍感さを槍玉に挙げました。そして「この政権は許せない」とまで書いたのです。以下です。

  • 「戦闘に敗れた指揮官を許すことはできても、警戒を怠った指揮官は許すことができない」という言葉は、軍隊だけで適用されるものではない。

—朝鮮日報が「無能攻撃」をかけている感じですね。

与党も「外相更迭論」

鈴置:保守系紙が保守政権に「無能」というレッテルを貼るのは異例です。政権との全面戦争を意味するからです。

 政権末期ならともかく、朴槿恵大統領の任期はまだ2年半以上残っているのです。朴槿恵外交への苛立ちがいかに大きいか分かります。

 朝鮮日報だけではありません。ほかの新聞も「外交敗北」などの単語を日常的に使うようになりました。

 社説だけではなく、シニア記者や社外の識者のコラム、果ては座談会まで、大手紙だけをチェックしても毎日どこかに必ず「失敗続きの外交」を叩く記事に出くわす感じです。

 メディアでここまで「外交敗北論」が盛り上がると、与党、セヌリ党も放っておけなくなりました。尹炳世(ユン・ビョンセ)外相に対し、与党重鎮が辞任する考えはないか、と問い質すまでになりました。

 尹炳世外相や外交部スポークスマンは、記者会見やシンポジウムで「敗北」を追及されては「失策していない」と弁解する羽目に陥っています。それに同意する韓国人はほとんどいないようですけれど。

素人は外交に口を出すな

—ついこの前まで、韓国紙は「米中両大国と過去最高の関係を結び、それをテコに日本を孤立させている」と朴槿恵外交を褒め讃えていました。豹変ぶりというか、しょげぶりには驚きます。

鈴置:3月30日の尹炳世外相の発言が引き金になりました。尹炳世外相は「米中の間に挟まれた韓国の境遇は厄介なことではなく、双方からラブコールを受ける祝福として受け止めるべきだ」と語ったのです。

 韓国は二股外交の結果、終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)など多くの問題で、米中板挟みに陥りました(「米中星取表」参照)。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか

(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年5月6日現在)

案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」

 

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。

(注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。

(注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

 当然、これに対しては韓国メディアも不安の声を上げていました。というのに外相が「板挟み」ではなく「米中双方からのラブコールだ」と強弁したのです。

 また「外交の素人が余計な口を出すな」的な言い方もしたため、メディアの外交批判に火が付いたのです。

米中の賭博の舞台に

 中央日報の裵明福(ペ・ミョンボク)論説委員の「自画自賛の韓国外交」(3月31日、日本語版)は、2つの新聞マンガを転載しました。マンガもネット版で見ることができます。

 1つは、3月にニューヨーク・タイムズ(NYT)がオピニオン欄に載せたものです。米中が、賭博場のテーブルに広げた韓国の地図の上で賭けている図です。

 米国は賭け金としてミサイルの束を、中国は現金を出しています。ミサイルはTHAAD、中国の現金はAIIBを意味します。

 韓国人はこれにいたくプライドを傷つけられたようで、いくつかの韓国紙がこのマンガを報じました。

 彼らは「米中の2大大国を競わせることにより、双方から利益を引き出している」と政府から説明を受けていた。つまり、韓国は「したたかな中堅国外交」を展開していることになっていた。

 だのにNYT――韓国では権威そのものです――が大国同士のギャンブルの舞台として、つまり従属的な国として韓国を描いたのです。

日露の間で悲鳴を上げた朝鮮人

 もう1つのマンガは、100年以上も前の日露戦争当時に、西洋の新聞に載ったものです。日本人とロシア人が朝鮮人に綱を付け、両側から引っ張っている図です。朝鮮人は悲鳴を上げています。

 裵明福論説委員は2つのマンガを並べることにより、下手すると韓国は日本に植民地化される前のように、再び大国が取ったり取られたりする勢力圏争いの場にされるぞ、と警告したのです。

 そして尹炳世外相の「ラブコール」に言及、韓国がこれほど際どい状況に突入しているというのに、外交当局の現状認識がいかに甘いことか、と手厳しく批判したのです。

 尹炳世外相の呑気な自画自賛発言で外交批判が燃え上がったところに、日本が油を注いだ形になりました。

 4月22日、安倍晋三首相がインドネシアのジャカルタで開かれたバンドン会議で習近平主席と会いました。4月29日には米上下院合同会議で演説しました。

 韓国人はこれこそが「外交敗北」の明白な証拠と受け止めました。こんな空気の中、ついに保守系紙が政権に「無能」のレッテルを貼り出したのです。

ハードルに激突した朴槿恵

—「敗北」と言っても、日本が戦争を仕掛けたわけではありません。

鈴置:確かにそうです。韓国がいつものように独り相撲をして、勝手に土俵から転げ落ちただけなのです。

 安倍首相の米議会での演説は日米間の問題だし、日中首脳会談も日中の問題です。そもそも韓国が口出しするのがおかしいのです。

 でも、朴槿恵政権は日本の足を引っ張ることにより内外で得点を稼ごうと、安倍演説に対し反対運動を展開し、失敗しました。

 韓国は無理筋の外交ハードルを設定した挙句、ハードルに激突してしまったのです(「『アベの米議会演説阻止』で自爆した韓国」)。

 5月4日、外遊疲れのため1週間休養していた朴槿恵大統領が、久しぶりに公の席で発言しました。この中で、安倍首相の米議会演説は真の謝罪ではない、と批判しました。

 予想された発言でしたが、大統領は「(演説内容に対しては)米国でも批判がある」と付け加えたのです。「外交敗北」との批判を意識し「完敗したわけではない」と言いたかったのでしょう。

「我が国は孤立した!」

 日中首脳会談も「韓国外交敗北の証拠」と韓国では見なされています。韓国は中国と「反日歴史同盟」を結び「アベとは会ってやらない」と口を揃えて、日本を大いに苛めているつもりでした。

 しかし2014年11月10日、習近平主席は北京で安倍首相と会いました。韓国人は「裏切られた」と大きなショックを受けました(「中国の掌の上で踊り出した韓国」参照)。

 ただ、この会談では習近平主席が苦虫を噛み潰した顔だったこともあり、韓国政府は「廊下の片隅で会った非公式の会談に過ぎない」と説明して世論の鎮静化を図りました。

 でも、今回のジャカルタでの首脳会談は誤魔化しようがありませんでした。習近平主席が薄ら笑いを浮かべる写真が配信されたし、正式の会談でした。

 韓国メディアは「中国は日本と本気で関係を改善するつもりだ。我が国は孤立した!」と大騒ぎしたのです。

—しかし、韓国にも「二股外交なぞはうまくいくはずがない」と指摘する人がだいぶん前からいましたよね(「米国も見透かす韓国の『卑日一人芝居』」参照)。

トラの威を借りて威張る韓国

鈴置:ええ、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムなど保守派サイトは「朴槿恵政権の米中等距離外交、あるいは親中反日外交は危険だ」と警鐘を鳴らしていました。

 親中反日は反米につながる。韓米関係が悪化すれば中国も韓国を軽く扱うだろう――と韓国保守運動の指導者である趙甲済氏や、趙甲済ドットコムの金泌材(キム・ピルジェ)記者、匿名の外交評論家、ヴァンダービルド氏らは2013年から繰り返し指摘していました。

 日本からしても、トラの威を借りて日本を脅す韓国への対応は簡単です。キツネは無視して、トラたる米中との関係さえしっかりしておけばいいからです。2014年夏頃から、安倍政権は「韓国は放っておく」方針を固めたようです。

 そもそも、キツネのような国との関係を無理に改善しなくとも、日本は困りません。一時期は「日―米―韓」の同盟強化を目指す米国から「韓国との関係を良くしろ。謝ったらどうか」などと打診があった模様です。

 が、さすがに今になると米国政府は「韓国を刺激するな」とは言っても「謝罪しろ」とは言ってこなくなったそうです。「韓国は、日本に歴史戦を仕掛ける中国の使い走り」と気づいたからでしょう。

朝鮮日報は扇動メディア

—趙甲済氏らは「ほら見ろ!」という心境でしょうね。

鈴置:朴槿恵外交というか、韓国における意思決定に関し、趙甲済氏が最近も興味深い記事を書いています。「朝鮮日報は反日を主導した扇動メディアだ」というのです。

(次回に続く)

(前回から読む)

 韓国の大物記者2人が相次ぎ「事実よりも感情を優先して書く」と韓国メディアを批判した。矛先は、その扇動型メディアに動かされる朴槿恵(パク・クンヘ)大統領にも及ぶ。

朝鮮日報は扇動メディアだ

—前回は、韓国で朴槿恵政権の外交が「無能」と批判されている、という話でした。

鈴置:保守派指導者の1人、趙甲済(チョ・カプチェ)氏は朴槿恵政権がスタートした2013年から「米中等距離」や「親中反日」外交は反米につながる危険なものだ、と繰り返し主張してきました(「米国も見透かす韓国の『卑日一人芝居』」参照)。

 その意見が韓国でようやく理解され始めた時、趙甲済氏は「国内外で見捨てられる朴槿恵の親中反日路線」(4月23日、韓国語)を自身のネットメディアに載せました。

 この記事が興味深いのは朴槿恵政権だけではなく、「反日」を扇動した主犯として、最大手紙の朝鮮日報を厳しく批判したことです。

 趙甲済氏はまず、朝鮮日報の社説「5カ月ぶりにまた開いた中・日首脳会談、孤立避ける戦略はあるのか」(4月23日、韓国語版)を引用します。この社説も朴槿恵外交への批判が目的でした。趙甲済氏が引用したのは以下の部分です。

  • 「米中双方からのラブコール」などと外交当局のトップが言い、日本との首脳会談を3年間も避けているうちに、中・日首脳会談が相次いで開かれた。
  • 政府は日本の歴史に関する退行的な言動に対しては原則を持って対応しつつも、安保や経済問題についてはもう少し柔軟性のある現実的な打開策を考える必要がある。

手のひら返しで「反日の失敗」と批判

 この社説を引用した後、趙甲済氏は返す刀で次のように朝鮮日報に筆誅を加えます。

  • 朝鮮日報をはじめとする韓国メディアの一方的、感情的、非戦略的な反日報道に迎合し、親中反日の外交路線を堅持してきた朴槿恵大統領が、この社説を読んだらさぞ複雑な思いにとらわれたであろう。
  • もし、朴大統領が条件なしで安倍首相と会談しようとしたら、歴史戦争をそそのかしてきた朝鮮日報などのメディアは「自尊心のない外交」と猛烈に非難したことだろう。
  • (朴大統領の反日外交は)中国のラブコールと韓国メディアの反日報道に忠実に従ったものだ。しかし、日中和解ムードと米日の蜜月関係の進展によって韓国が孤立した姿を見せるや否や、その事態の展開に責任のあるメディアが朴大統領の反日外交に背を向け始めた。

 確かに朝鮮日報は、先頭に立って韓国を「反日」に誘導してきました。それなのに反日路線が破綻すると、突然に手のひらを返し「反日政権」を批判したのです。「いくら何でもご都合主義ではないか」と趙甲済氏は問い質したのです。

世界を知らない韓国人

—朝鮮日報にことさらに厳しい感じですね。

鈴置:「反日」に限らず内政に関しても、朝鮮日報の扇動的な報道がひどくなる一方だ――と、保守層の一部は問題視していました。趙甲済ドットコムでも、しばしば話題になります。

 趙甲済氏はこれまでも、韓国メディアの無責任さを厳しく追及してきました。例えば「安倍が勝ち、韓国言論人が負ける日!」(2014年12月13日、韓国語)です。

 日本の総選挙での自民党大勝に韓国人は驚く。韓国紙が「安倍は内外で四面楚歌に陥っている」と偏向報道してきたからだ。韓国メディアの感情的で偏った反日報道により、韓国人は世界がどう動いているか知らないのだ――との内容でした。

 この記事に関しては「『慰安婦』を無視されたら打つ手がない」で引用、解説してあります。

実利より人気、事実より扇動

 趙甲済氏の「国内外で見捨てられる朴槿恵の親中反日路線」の批判は「扇動メディア」だけではなく「それに迎合する大統領」に及びます。以下です。

  • 指導者が扇動的メディアや扇動的な世論に従うことほど危険なことはない(ナポレオン3世はそうして普仏戦争を起こし、プロシアに大敗北したのだ)。
  • 朴大統領は実利よりも人気、事実よりも扇動に弱い体質を見せてきた。セウォル号に関連した海洋警察の解体、いったんは首相に内定した文昌克(ムン・チャングク)氏の処遇。いずれもメディアの(事実と異なる)攻撃を基にした判断だ。
  • 朴大統領は核武装した北朝鮮の政権に対しては条件なしでの対話を提案する一方、友好国の日本には条件付きの対話を提議した。誰が見ても従軍慰安婦問題は、韓国人の生存自体を脅かす北の核問題よりも優先順位が低いはずなのだが。

 朴槿恵大統領を、おじの七光りで権力を握り大衆迎合で国を治めようとして失敗したナポレオン3世になぞらえる韓国人に会ったことがあります。

 でも、それは私的な席での発言でした。しかし今や、読者の少ないネットメディアとはいえ、公開の場で語られるようになったのです。

強面だから信念がある?

 なお、保守系大手紙は政権を「無能外交」と批判しても、さすがに大統領本人を追い詰めるような攻撃はしません。

 「大統領は外交に明るくない。そこで周辺の人々が外交をやっているのだろうが、この人たちが間違っている」的な書き方が多いのです。

—大統領の意向を忖度して新聞が「反日」記事を書くのではなく、新聞が「反日」だから大統領がそれに引っ張られる、という趙甲済氏の分析は興味深いですね。

鈴置:そこです、この記事の面白い点は。いつも強面で他人を非難する朴槿恵大統領は、何やら確固たる信念があるように見えます。韓国の指導層も外国人にそう説明しますし、米国や日本のアジアハンズにもそう見る人が多い。

 でも実は「反日」を含め、この大統領の激しい言動はメディアや中国に煽られているに過ぎないのだ――と趙甲済氏は断じたわけです。

 そして大統領を煽る韓国メディアも、ご都合主義的にくるくると主張を変える、と批判しているのです。

「信じたいこと」を書く新聞

 趙甲済氏のメディア批判に応えたかのように、朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問が2月17日「李首相承認の敗者はメディアだ」(韓国語版)を書きました。金大中顧問はもちろん同名の元大統領とは別人で、韓国保守言論の大御所的存在です。

 李完九(イ・ワング)前首相の就任を巡る騒動から書き起こしていますが、本質はメディア批判――自己批判です。ハイライトは以下です。

  • メディアの最も危険な要素は「虚偽報道」である。自分の信じたいこと、したいことだけに執着し、事実から目を背け、国民を誤った道に導く「虚偽メディア」は「権力に迎合して書けないメディア」よりも害が大きい。

 金大中顧問は「虚偽メディア」の具体例として「安倍首相の歴史認識に同調する日本の右翼メディア」と、虚報を繰り返した米NBCのアンカーを挙げています。

ナッツリターンも世論に迎合

 しかしこのくだりの少し前を読むと、一番批判したかったのは韓国メディアだったと思えてきます。以下をご覧下さい。

  • 新聞・放送は第4の権力と称されてきたが、今や交流ソフト(SNS)などのインターネット言論が第5の権力を形成したと言っても過言ではない。
  • 今日の新聞・放送はネットが作る“世論”というか、ポピュリズムと戦わなくてはならなくなった。どこかで誰かが作った“世論”の顔色を、メディアはうかがわなくてはならないのだ。
  • 対北朝鮮、旅客船「セウォル号」、ナッツリターン、慰安婦、福祉と税、高齢化などの敏感な問題で、世論によって何らかの雰囲気が醸し出されると、メディアはそれを意識して発言の水位を調節する傾向がある。

 ここを読むと明らかに自己批判です。ただ、同時に“ネット世論”に配慮せざるを得ない、大手メディアの立場を弁解しているようにも見えます。

—「発言の水位を調節する」とは?

鈴置:韓国のネットに書かれる意見は、もちろん既存のメディアと比べ、より感情的で過激です。この結果、既存メディアは“ネット世論”に引っ張られ、主張が過去にも増して感情的で過激になっている――ということでしょう。

ネットと過激さ競う韓国紙

—日本のネットも、既存メディアと比べ過激で感情的です。でも、既存メディアの主張がネットに引っ張られているという話は聞いたことがありません。

鈴置:韓国ではものごとが理屈よりも感情で決まりがちです。既存メディアが“ネット世論”以上の社会的影響力を保とうとすると、それに負けない激しい感情論を展開せざるを得ないのです。

 もともと韓国の新聞やテレビは日本や西欧と比べ、論理よりも感情を基に主張します。それがインターネットとの競争で、ますます感情的、情緒的になったのです。

 趙甲済氏と金大中顧問という、韓国の2人の超大物記者は立場は異なります。が、情緒的になる一方のメディアが国を誤らせる、との危機感では期せずして一致したのです。

 2人の記事を補助線に、韓国という国の「今」を描くと以下の図式が浮かびます。

 大衆迎合的な指導者が登場した。この指導者は民意に極めて敏感で、過激な“ネット世論”と、それに引きずられる既存メディアに動かされている。その結果、韓国は時に常識を超えて暴走する――。

日本の産業遺産登録も阻止

—確かに「反日」を見ても、最近の韓国の行動はこれまでの「争い方の常識」をはるかに超えています。

鈴置:産経新聞の前支局長を在宅起訴して8カ月も出国禁止にする。盗んだ仏像を日本に返さない。戦時徴用者への補償など、国交正常化時に完全に解決した問題を再び蒸し返す。安倍晋三首相の米議会演説は国を挙げて邪魔する。明治日本の産業遺産が世界遺産に登録されそうになると、外交部が「全力で阻止」と宣言――。

 こうした常軌を逸した行いの数々には首をひねらざるを得ません。韓国人の気分は一時的に満足させるでしょうが、長期的には韓国の国益に大いに反するからです。

 ただ「日本をやっつけろ」という激しい“ネット世論”と、それに影響された既存メディアが、大衆迎合的な指導者の背中を押していると考えると、納得がいきます。少なくとも「朴槿恵大統領は頑固だから」といった単純な説明よりは説得力があるのです。

奇妙な動きは止まらない

—内政でも同じ構図なのですね。

鈴置:もちろんそうです。「セウォル号」が沈没した際、“ネット世論”と既存メディアが感情に任せ「海洋警察の不手際」を叩きました。すると朴槿恵大統領は真相究明が始まってもいないのに、海洋警察の解体を決めてしまいました。

 文昌克氏という中央日報の元主筆が首相候補になったことがあります。一部のメディアが文昌克氏を「親日派」と決めつけたら、完全な虚偽報道であるのに、この政権は候補から降ろしてしまったのです。

 いずれも趙甲済氏が「国内外で見捨てられる朴槿恵の親中反日路線」で指摘した「メディアに扇動された大統領の失政」です。

 「国全体が情緒に振り回される」という構造が続く限り、韓国は内政でも外交でも奇妙な動き――韓国の国益にさえ沿っていない行動を続ける可能性が大です。

強硬路線を変える素振り

その韓国が日本との関係改善に動く、との報道があります。

鈴置:「2トラック戦略」などと称し、韓国は日本に対し「歴史問題では対日要求を降ろさないが、安保や経済では協力しよう」と言い出しています。

 「外交的孤立から脱せよ」との“世論”が韓国に充満したからです。“世論”に敏感なこの政権は、少なくとも路線を変える素振りは必要と判断したのでしょう。

 日本に対しては、慰安婦での強硬姿勢は変えないが、通貨スワップは結んでほしいし、北朝鮮の軍事情報は持ってこい――と言ってくるのではないかと思われます。

情緒不安定な人との間合い

—日本はどう対応すればいいのですか?

鈴置:日本の悪口を世界で言いつつ「仲良くしようぜ」と言い出す韓国の虫のよさは、とりあえず横に置きます。先ほどからくどいほど述べたように、韓国という国はますます感情や情緒で動く国になりました。

 今現在は「外交的孤立を恐れる」情緒で動いています。しかし、中国から少し優しくされたら「やはり中国は我が国の味方だ」とそっくり返って、対日協調路線などはすっ飛ぶ可能性があります。

 反対に、中国から「日本などと仲良くするな」と脅されても、韓国の世論は縮み上がり、再び日本叩きに乗り出すかもしれません。

 今の韓国を人間に例えれば、信念がありそうで実は自信がなく、情緒が不安定な人と考えておくべきです。そういう人との付き合いは、適度の間合いを置くのが常道です。

 米国も韓国の、特にこの政権の性格を見切ったのでしょう、非常に慎重に――距離感を持って、韓国を取り扱うようになっています。ことに米大使襲撃事件以降は。

5/7日経ビジネスオンライン 山田泰司『ゴーストタウンで見た中国失速の実態 活気なき建設ラッシュ・楽観と倦怠感が交錯する農村部』記事について

中国の鬼城(ゴ-ストタウン)の記事です。写真で分かるように建物の周りに人影は殆ど見えず、車も少ないです。でも小生が中国にいた1997~2005年の間でもマンションに入っている人は少なかったです。それでもバブル崩壊しないのだから不思議です。やはりお札を刷ることでバブル崩壊を止めているのでしょうか?お札が打ち出の小槌になっています。それもどこまで続くかです。土地の使用権も買う人がいて成り立ちます。バブルがはじけると思えば誰も買わないでしょう。

高速バスで手前の駅で降ろされた経験はありません。そんなに乗らなかったからかもしれません。でも飛行機は乗客が少ないと良くキャンセル、或は他の飛行機と一緒にして乗せていました。合理的と言えば合理的。資源の無駄使いを防ぎます。でも契約の概念からは外れます。元々中国には法治の概念がありませんので。

中国では社会保障が無きに等しいので、老後は子供の世話になる親が多いという事です。でも親と一緒に暮らすのは嫁は嫌がるでしょう。金があれば養老院に入れるでしょうけど。結局嫁や子供を誘拐、トラフッキングするのは自分の老後を誰に見せるかという所から発している気がします。危ないのは男女比が大きく崩れている所です。自己中心ですから、他国からトラフッキングするか戦争を起こして男女比を調整するかが心配です。

2020年,5个男性中将有一个找不到配偶?(2020年、5人の男性中1人は配偶者を見つけられない?)

2020年中国将有3000万到4000万光棍漢(独身男子)找不到老婆(奥さんを見つけられず),這絶不是危言聳听(これは大げさでない)。1月20日,国家統計局発布的数据顕示,大陸人口超13.6億。2014年末,中国大陸人口為136782万人,比上年末(前年末と比べ)增加710万人,其中男性人口70079万人,女性人口66703万人,中国大陸男性比女性多3376万人。

記事

中国人観光客が温水洗浄便座やスナック菓子を日本で爆買いする様子を伝える報道が増えるのと比例するように、昨年あたりから日本のネット上で再び目立ち始めていることがある。中国語で「鬼城」、すなわちゴーストタウンが中国の各地に増え始めているというものである。たいていはまず中国のメディアがどこかのゴーストタウンを取り上げ、日本のメディアがそれを転載し、それを見た中国在住の人たちが、報道されていたゴーストタウンを実際に訪れたり、自分の周囲のゴーストタウンを写真に撮ってブログにアップしたりする、というパターンで広まっている。

「爆買い」の裏で増殖するゴーストタウン

 一口にゴーストタウンといっても、100万都市を目指して開発を始めたものの実際には3万人しか住んでいないといわれる内モンゴル自治区オルドスのように町全体がゴーストタウンになっているところもあれば、売れ行きの悪い分譲マンション、さらに、テナントも客も入らず廃虚のようになっているショッピングモールやデパートなど取り上げる対象は様々だ。そしてこれらの報道に共通するのは、「中国経済、大丈夫か」という懸念で締めくくられていることだろう。

 先に「再び目立ち始めた」と書いた通り、中国のゴーストタウンがクローズアップされるのは最近が初めてではない。オルドスのゴーストタウン化が言われ始めたのは2010年頃のこと。同じ2010年には、浙江省の省都(県庁所在地に相当)杭州の郊外に、パリの町並みを再現しエッフェル塔まで建てた大規模な分譲地がそっくりゴーストタウンになっているという話が広まった。私も当時、日本からのこの「中国のパリ」を取材しにやってきた日本の写真家を案内して現地を訪れたのだが、確かに見事なゴーストタウンっぷりだった。パリのアパルトマンを模した町にはゴミを収集する人しか見当たらない。むき出しの土に岩と雑草だらけという整地されない荒れ果てた地面にポツンと建つエッフェル塔の下で、ウェディングドレスとモーニングに身を包んだカップルが記念写真を撮っているというシュールな光景に出くわしたりした。

 中国でゴーストタウンの話が盛り上がると、上海でも時を同じくして、「空き店舗が目立つようになったな」「店に客が減ったな」と不景気を感じるようになる。そして、メディアや市場で、中国経済は果たしてハードランディングするのか、それともソフトランディングで落ち着くのかという話が活発になってくる。

物差しはアジア金融危機とリーマンショック

 ただ、とりわけ日本のメディアにおける議論は、近年の日中関係を反映して、まるでハードランディングを期待するかのような、初めからバイアスがかかったものが予想以上に多い。そこで私は自分自身の家計がハードにランディングした2度の経験に照らして、「まだ大丈夫」「そろそろヤバい」ということを計るようにしている。

 1度目は、当時住んでいた香港をアジア金融危機が襲った1997年から98年にかけてのこと。「繁栄した返還」を演出するために中国から流入したマネーで、返還の年の1997年の香港は、株式、不動産市場とも活況を呈し、株価を示すハンセン指数は連日のように最高値を更新していた。ところが、返還直後にタイの通貨暴落を機に始まった影響が、投機マネーの流入で株や不動産が実態以上の水準にまで上っていた香港を襲った。1997年8月7日に史上最高値(当時)の1万6673ポイントに達したハンセン指数は、1998年6月10日には7979ポイントと1年足らずで半分以下にまで落ち込んだ。不動産価格も1997年秋をピークに、1年後には35~40%暴落した。

 株もやらず不動産も持っていなかった私は当初、アジア金融危機を我が身に関わることとして実感してはいなかった。しかし、あれは97年の暮れ頃のことだっただろうか。上品な身なりをしたいかにも資産家といった雰囲気を持つ初老の婦人が香港の金融街・セントラルの路上にひざまずき、がっくりと首を落として物乞いをしている姿に衝撃を受けた。カシミアのような柔らく暖かそうな水色のセーターとベージュのウールのスラックスを着ていたが、残されたモノはその身に付けている服だけという雰囲気が伝わってきた。物乞いをして得たお金でどうにかなるような損失ではなかったはずだが、既に万策尽きて進退窮まってのことだったのだろう。成り金風では全くない旧家の夫人のような女性が路上で物乞いしなければらなないほどの切迫した状況にあるのかと、急所が縮こまる思いがした。

 それからほどなくして、私の勤めていた出版社も広告出稿の急減などにより急速に資金繰りが悪化。給料の遅配、一部媒体の廃刊と矢継ぎ早にリストラが進み、30人いた社員も半減した。なぜだか私はリストラの対象にはならなかったのだが、「こんな人を大切にしない会社にいられるか」と自ら辞めてフリーになったものの、不況下で全く仕事がなくたちまち窮し、蓄えを切り崩す生活が続くことになった。

 2度目は2008~09年にかけてのリーマンショックの時のこと。一時帰国した私は、所要で武蔵野線のある駅を訪れた。そこは、日雇い派遣を多く雇う物流会社の倉庫がある町で、駅前は派遣社員たちの集合場所になっているようだった。多くは目立たない色をしたジャンパーや作業着を着込んでいたが、その中に、トレンチコートにダークスーツの丸の内のサラリーマン然としたアラフォーと思しき男性が紛れていた。リーマンショックの影響でリストラに遭ったサラリーマンだろうか。集団から距離をとって1人たたずみ、おれの居場所はここじゃないんだとでもいうような気を全身から発していた。「影響は正社員にも及び始めているのか。これは深刻だ」、と思ったら急所が縮こまる思いがした。あれ? これはいつか来た道、はていつだったか、と思いを巡らせているうちに、私も日本の出版社からの仕事が急減。丸の内サラリーマン風の彼を目撃した2カ月後、私もその駅前に集合し、日雇い派遣として数カ月、日本で「出稼ぎ」することに相成ったのである。

ゴーストなのにさらにマンションを建てる町

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【広徳ではガランとした町にガラガラのマンションが並び、さらなる建築も進む】

 先に書いたように、上海で廃虚のようなショッピングモールや住人の少ないマンションが増えたなと感じ、景気が悪くなっているのかなと警戒したことは2010年以降何度かあった。ただ、アジア金融危機やリーマンショックの時に感じた、急所がキュン、と縮こまる感覚を感じたことは今までのところなかった。ところが今年の4月末、安徽省のある田舎町を訪れ、その町の見事なゴーストタウンの様子には、いささか不安を覚えた。

 その田舎町とは安徽省の広徳という、浙江省との省境にある県。中国の県は、市の下部に来る行政区画である。人口は51万。上海からは220キロの距離にある。県のホームページによると、工業では自動二輪の部品とプリント配線基板の企業が多く、農業では「中国栗の郷」「中国竹の郷」と呼ばれると強調している。ただ、工業も農業も、その産業が「ある」という程度で、例えば竹林の面積は全国6位だが、栗は全国有数と具体的な数字をぼかしている。県のホームページでは、上海、浙江省杭州、江蘇省南京、安徽省合肥と4つの省の省都(県庁所在地に相当)から高速道路を使っていずれも2時間半圏内にあることと、安徽省の県のなかで「潜在力を秘めた10の県」の1つに選ばれたということを前面に打ち出している。言い換えれば、今のところこれといった産業がない、ということにほかならない。

 それに、大都市までのアクセスがいいというのも、ただ「距離がそう遠くない」、というだけのこと。事実、上海からの直行便も少なく、私の乗った高速バスは、広徳で降りる客が私を含めて3人のみだということを確認すると、広徳のサービスエリアで降りるのを無駄だといって嫌がり、手前の浙江省のサービスエリアで私たち3人を他のバスに「売り払って」走り去ってしまった。

 私はこれまで中国で100回以上は高速バスに乗っていると思うが、サービスエリアで放り出されたのは初めての経験だ。中国人はこの手のことに慣れているのだろうが、例え言葉ができても外国人はビックリしてしまうし、言葉ができなければ全くのお手上げだろう。高速バスが行くのを面倒がるような町に喜んで進出する企業はそう多くはない。最低賃金は930元(約1万8000円)で上海の約半分だが、地元の人に聞いたところ、デパートやコンビニの店員の給料で比べると実質は上海の3分の1から4分の1といったところだそうだ。

「資産価値のないマンションなんて誰も買わない」

 というわけで広徳では、上海、南京、杭州といった周辺の大都市に出稼ぎに行く人が圧倒的に多い。町を歩いても、いったいどこに51万人もの人がいるのだろうというほど閑散としている。そんな広徳の町で今、旧市街の再開発や、町の中心部に残る農地を掘り返してせっせと新築マンションを建てているのだが、とにかく空き家が目立つ。価格は1平米あたり5500元(約11万円)が最近の相場。入居が始まって既に2年はたったというマンションでも、入居率は外目に見て平均でざっと5割程度、少ないところでは2割に満たないという印象だ。既に入居しているマンションでさえこうなのに、周囲ではその何倍ものマンションの建設がガンガン進んでいる。

 目下のところ広徳最大級のショッピングモールも、土曜と日曜というのに、まるで客がいない。開業して1年半だというが、まばらという表現で追いつかないほどテナントも入っていない。商店はそれなりに多いが、床材、塗料、壁紙、水周りの設備など家の内装関係を扱う店と、美容院ばかりが目立つ。前者は言うまでもなく建築ブームを当て込んだもの、後者は中国において、最少の資金と技術で手っ取り早く始められる商売の代表。そして、これらの店にもほとんど客の姿がない。

 3年前に上海から妻の実家のある広徳に移り住んできたという30代のある男性は、「広徳の人も、最近の全国的な相場からして、価格が特に高いとは思っていない。出稼ぎに行って稼げば、手が出ない値段じゃない。でも、普段の生活は働きに出ている大都市だから、買ったマンションは誰かに貸す必要がある。その点、地元に産業のない広徳は、賃貸の需要がほとんどない。政府による不動産価格の抑制策も重なって、値上がりもそれほど期待できない。すなわち買っても資産価値が上がらない。そんなマンションを買おうという人は少ないですよね」と話す。

 広徳と同じ程度に閑散としている町やマンション群は、これまで中国のいくつかの町で見てきた。ただ、ここまで入居している人がいないのに、さらに猛烈な勢いでマンションを建てまくっている町を見るのは初めてのことだ。

AIIB推進・金融緩和の背景は内需不振

 中国人観光客の爆買いだけを見れば、「中国経済、どこが心配なの?」という印象を持つのは事実。ただ一方で、利下げや銀行準備金の引き下げなどの相次ぐ金融緩和や、話題のアジアインフラ投資銀行(AIIB)を推進する背景には、内需を刺激し、海外に稼ぎの場を求めることで、失速が鮮明になってきた経済を下支えする狙いがあると指摘されている。高度成長が終わりを告げ、低成長の「新常態」の時代に入った今、広徳のような町で、このようなペースでマンションを建てていては、本当のゴーストタウンになってしまうのではないだろうか。

 と懸念を覚えつつも、ある理由から、この時点ではまだ、私の急所はキュン、とはしなかった。ただ、上海にだけいて感じるよりも、状況は悪いのではないかと心配になったのも事実。そこで、ゴーストタウンでは広徳の先輩格である「中国のパリ」は5年後の今、どうなっているのかを見に行くことにした。

 中国のパリこと「天都城」という分譲地は、杭州市の郊外にある。杭州は中国有数の豊かな都市で、2015年の1人当たりGDP(国内総生産)は1万6936ドルと、上海の1万5847ドルを上回っているほど。ただ、中国のパリは杭州の都心部から20キロほど離れた山に囲まれた農村にあり、直通の交通手段は市バスしかない。ここを手がけたデベロッパーは2001年、7000ムー(約467ヘクタール)というから東京ドーム約100個分の土地に10年間で人口10万の都市を造ることを目標に開発を始め、エッフェル塔を模した鉄塔をアパートが放射状に取り巻く町の建設を始めた。ただ、今年初めの中国メディアの報道によると、15年後の現在、人口は4万人前後で、目標の半分以下にとどまっているという。

 さて、5年ぶりに中国のパリを訪れてみると、相も変わらぬゴーストっぷりだった。白亜のマンションが並ぶメーン通りのあるマンション群は、1階部分がどの棟も店舗用になっているのだが、テナントの入居率は1割にも満たない。住宅の入居率も白亜のマンション群で3割程度といったところだろう。目抜き通りは石畳と芝生が敷き詰められ噴水や広場が数カ所あるのだが、子供を連れた老人たちがちらほらいる程度。平日の午前中ということを割り引いても人の住んでいる気配が伝わってこない。新聞報道の4万人というのも、業者の発表した数字をそのまま書いたのではないかと思えるほどだ。

中国のパリに生じた変化

 一方で、5年前とは違っていたのは、その後に新たに建設したマンション群が何十棟かできていたことである。ただ、入居が始まって2年目というマンションでも、入居率はぱっと見5割程度というところで、はかばかしくない。そしてさらに、周囲では新たなマンション群の建設も進んでいる。5年前は荒れ地だったエッフェル塔の真下でもちょうど、基礎打ちが始まっていた。既存のマンションの入居率が低いのに新たなマンションをボンボン建て始めているのは広徳と同じだ。

 そこで地元の不動産屋に飛び込み、エッフェル塔が見える物件を2軒見せてもらった。いずれも3LDKの130平米で価格は90万元(約1800万円)。中国のマンションは内装がされていないので費用は別途かかり、浴槽や家具のグレードにもよるが、最低限暮らせるような仕上げにするのに15万元程度、トータルで2000万円ちょっとということになる。これを頭金25万元(約500万円)、最長30年のローンで月々3000元台(約6万円)、というのが平均的な返済のモデルだそうだ。

 入居率は古い方で3割、この5年で新しくできた方は6割に届かないぐらい?と尋ねると「まあ、そんなところです。ただ、ゴーストタウンという汚名のせいで値段の上がり方が他の地域よりも低いことで、買っても借りても値ごろ感があるという評判が広まり、ここに住んで杭州の市街地にクルマやバスで通勤するサラリーマンが増えてきています」とのこと。店員が4人のこの小さな不動産屋の成約件数は昨年、ひと月に平均15軒ほどだったが、今年は上向いていて18~20件ほどあるらしい。ちなみに、見せてもらったものと同等の物件を賃貸すると、家賃は月額1000元(約20万円)。駐車場に並んでいたクルマは、現代自動車のソナタとエラントラ、ホンダのフィットとシティ、ビュイックのエクセラなど、200万円前後のものが多かった。

入居率と成約率の差が生み出すゴーストタウン感

案内してくれた不動産屋の店員は、同じ浙江省の象山という海沿いの町から専門学校を出てこの町に働きに来た21歳の男の子。実家は農家だという。キミも将来はこの中国のパリに家を買うの? と尋ねると、「今後もここか杭州で仕事をしようと思いますから普段住むのはここになるでしょうが、買うとなるとやはり、故郷の実家の近く、ということになりますね。中国の田舎出の人間はみんなそうでしょう。結婚するにあたって実家の近くに家を買う。この中国のパリも、上海や北京で働いている地元の農家出身の人たちが、結婚にあたって故郷に家を買ったというケースも多いんです」と言う。

 そう。中国でゴーストタウンと呼ばれるマンション、特に地方の物件は、入居率と成約率が結構離れている場合が少なくない。この中国のパリでも、入居率は5割でも、成約率は7割前後、中には8割を超す棟もあるそうだ。つまり、見た目はとてつもなくゴーストタウンでも、実際には見た目よりは売れているということが多い。これは、中国の農村部でも、息子が嫁をもらうにあたり、マンションは買わなくとも、最低でも15万~20万元(約300万~400万円)かけて、実家をリフォームしなければ、嫁の来手がない、という近年の結婚事情が背景にある。

地元に産業がなく通勤圏にも働き口がない広徳の場合は、中国のパリよりも事態は深刻だろう。ただ、農村の結婚事情を背景に、入居率よりも成約率の方が高いという事情は同じ。新築マンションをボンボン建てている一因は、こうした需要を考慮に入れているということがあるのだろう。広徳のゴーストタウンを見て、私の急所がキュン、としなかったのは、上海にいる農村出身の友人たちから、こうした事情を聞いていて、見た目ほどのゴーストタウンではないということをある程度知っていたためである。「マンションやモノが売れなくてヤバい」という焦燥感や悲壮感のようなものは、中国のパリ、広徳どちらの町や人からも感じることができなかった。

 ただそれでも今回、2つのゴーストタウンを見て、高度成長が終わったというのに本当に大丈夫なのか? という懸念は、見る前よりも確実に強くなった。それは、2つのゴーストタウンがどちらも、「建設ラッシュ」という形容をあてておかしくないほど町中でマンションを建てているにもかかわらず、活気や熱気というものが全く感じられなかった、ということだ。それはやはり、実需を上回る需要を無理に作り出しているというところから発しているものなのだろう。

農村の婚礼需要が支える構図にも限界

 それでも、中国のパリにはまだ、経済が活発に動いている杭州に出勤する人たちのベッドタウンとしての役割が見えてきたことによる明るさのようなものが町にも人にもあった。一方で広徳には、町にも人にもある空気が濃厚に漂っていた。それは倦怠感だ。

 先に紹介した広徳に住む男性は、「広徳では、もちろんぜいたくはできないけれども、月に2000元(約4万円)もあれば、町の中心部にアパートを借りて生活までできてしまう。農家で家を借りる必要がないならなおさらお金はかからない。中国はこれまで一人っ子が原則だったけど、地方の農村では2人以上が当たり前。子供を都会に働きに行かせて2人から仕送りさせれば、親は働かなくても食べられてしまう。広徳には40歳そこそこで、子供の仕送りだけで日がなマージャンをしている人も増えていますよ」という。

 一日でも早く仕送りをさせようと、子供の教育には力を入れず、中卒で出稼ぎに行かせて自分は働き盛りに仕事を辞め遊んで暮らす。そういう大人が、地方の農村部で増殖すれば、子供の結婚にあたってマンションを買ったり実家をリフォームしたりする蓄えも当然できなくなる。こうした人たちが増殖したら、建てまくっているマンションはどうなるのか。

 内陸の農村部でも今や、「食えない」人はごく少数になった。ただ、広徳のような町では、「食えるようになったその先」の展望がない。それならば、これ以上働いたり勉強したりするよりも、働かずにマージャンや株の売買でもした方がマシ? こういう思いが倦怠感の出所なのだろう。倦怠感などつかみ所のない話ではあるが、無視もできない、と思うのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Facebookからの記事『東方之舟(ネット論壇の一つ)>了解東瀛(日本を理解)>靖国神社真的是戦争宣伝和軍国主義的吗?』紹介

これがまだ削除されずに残っているのが不思議なくらいです。周恩来が靖国参拝したとの記事は水間政憲氏のブログにもあります。

http://plaza.rakuten.co.jp/paradise55/4005/

これが中国で広まるかどうかですが、実証を重んじない中国のことですから関係ないのかも。何せ1969年国が発行した地図で尖閣の日本領を認めていても、「釣魚島が中国に属するのは否定できない事実だ。1、2枚の地図を 探し出したところで覆せるものではない」と乱暴なことが平気で言える国ですから。まあ、乱暴(虐殺も含む)しないと出世できない国です。胡錦濤もチベット弾圧して鄧小平に認められ、江沢民の次の主席に推されました。

外務省が勝負しないのが問題です。ドンドン発信すべきなのに。役人根性で安倍内閣が終わった後、誰が政権を取るか分からないので何もしたくないという発想かも。そういう意味で自民党の罪は重い。保守を標榜しながら売国に手を貸してきて平気でいられたのだから。外務省だけを責めるわけには行きません。でもうそいう政治家を選んで来たのは国民です。今後選挙は18歳からになりますが、キチンと自分の頭で判断して選ぶようにしないとダメというのを教えて行きましょう。

記事

http://eastern-ark.com/read.php?tid=22312&page=e

東京博士 2013/10/26投稿・・・環球時報の記事について

中国人对靖国神社的认识五花八门(中国人の靖国対する多様な意見)

日本媒体今天就靖国神社参拜介绍了《环球时报》的文章,介绍了中国人民大学陈先奎教授的观点:“要制作一份参拜靖国神社的日本政客名单,对这些人采取长期不许进入中国的制裁措施”,对此建议,中国网上出现了一些支持的声音,日本媒体还介绍了不少中国人的不同意见:

(日本のメデイアは本日「環球時報」の靖国神社参拝についての中国人民大学の陳先奎教授の見方を紹介した。「日本の靖国参拝した政治家のリストを作り、中国に長期に入国できないよう制裁を加えるべき」という意見にネットでは支持する声もあるが、日本のメデイアは多くの中国人の反対意見を紹介した)

“每年这么抗议,有什么实际意义?”(毎年こんな抗議をして実際どんな意味がある)

“开着日本车,看着日本的电视机,用着日本空调,大喊反日,真不知羞耻。”(日本車を運転し、日本製TVを見、日本製エアコンを使い、反日を叫んでいるのはホント恥知らず)

“日本人参拜靖国神社那是他们的英雄,我们有什么根据说这说那的?”(日本人が靖国参拝しているのは彼らが英雄だからでしょう。我々があれこれ言う根拠は?)

“先把自己家里的事情搞好了,别转移视线。“(まず自分の頭の蠅を追え。他に転嫁するな)

“应该制作中国贪官黑名单,他们整天酒池肉林地在生活。”(中国の腐敗官僚のリストを作るべき。彼らは一日中酒池肉林の生活をしているのに)

“说穿了日本人干吗要来中国,来呼吸污染的空气?吃有毒食品?还是来听GCD唱赞歌?”

(ズバリ言おう、日本人は何故中国に来る必要があるのか。汚染された空気を吸いに、毒入りの食べ物を食べに、或は中国共産党を讃える歌を聞きに来るのか?)

日本媒体还介绍了新中国创始人之一的周恩来总理1918年留学日本时写过的感想:

“早晨读书,午饭后,睡了半小时,晚上在九段一带闲逛,正好遇上靖国神社的春季例大祭,看到这一切让我深受感动”。周恩来知道那里祭祀着日清日俄战争的战死者,还写下了“深受感动”这样的事实。(日本のメデイアは新しい中国を作った人の一人である周恩来が1918年に日本に留学していた時の感想を紹介した。「朝早くから勉強し、昼を食べてから30分ほど午睡した。夕には九段の辺りをブラブラしていたら、丁度靖国の春季例大祭だったのでこれを見て、凄く感動した」と。彼は日清・日露戦争の戦死者を祀っていることを知った上で感動したと言っている)

周恩来与日本留学

1917年周恩来在南开中学毕业后赴日留学。相继参加第一高中(现东京大学)和东京高等师范学校(现筑波大学)考试失败后,先后在东亚高等预备学校(日华同人共立东亚高等预备学校),东京神田区高等预备校(法政大学附属学校),明治大学政治经济科(旧证学部:现政治经济学部)学习。

赴日留学时期,周恩来于1918年5月1日参加了靖国神社的大祭祀,他在6月2日的日记里关于此次访问【游就馆】中写道,“看到这一切让我感触颇深”,对靖国神社有种亲切的感觉。

东京日报记者神近市子(大杉栄の愛人。伊藤野枝に大杉を奪われ、大杉を刺す)对周恩来的采访中写道,“他在下宿读报纸和书,外出穿着碎白点衣服和腰带,带着俄国风的帽子,相当时髦。(日本人中的周恩来),描述了周恩来接受日本风俗的样子。

由于父亲去世回中国,再次来日时周恩来成为了京都大学的旁听生。后来因喝酒的时候被朋友斥责回国。回国后进入南开大学文学部,因热衷于学生运动而被中途退学。参加五四运动被逮捕。

周恩来性格温和,所以受到外国人的喜爱。1972年尼克松大统领访问中国负责膳食的Henry Alfred Kissinger,说周恩来是【至今遇到让他印象最深的人】,并评价他【人品好,忍耐力强,知书达理,感情细微】。

很多日本政治也佩服周恩来。1972年在日本周恩来与当时的日本首相田中角荣签订了中日共同声明。(2013/10/26)