8/17 日経ビジネスオンライン 高濱賛『戦後70年談話を米国はどう受け止めているか 米政府は歓迎、米メディアはネガティブ』について

大局的に見て中国はアメリカの敵というのがやっとアメリカでも気づいてきたという所でしょう。ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長が書いた『百年マラソン』“The Hundred-Year Marathon – China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower”にありますようにやっと騙されていたのに気付くという愚かしさです。FDR、ニクソン、キッシンジャー共に中国に騙されたアメリカ人ということで歴史に名を残すことになります。

アメリカは日本が勝手に中国と戦争されては困るので、自国のメデイアを使って、ブレーキをかけているのでしょう。でも日本人で戦争したいと思っている人はいませんよ。そこが米中とは違います。日清・日露、大東亜戦争だって見方によっては止むにやまれずという構図です。NYTやWPのアメリカメデイアは経営難で中国から金を貰っている可能性もあります。政府要人に金を渡したのがバレると長い間関係がおかしくなるし、警戒感はハンパでなくなりますので、民間で世論形成に役立つメデイアを自分の思うように扱おうと思っても不思議ではありません。何せ中国共産党宣伝部は「党の喉と舌」と言われていますので。

アメリカ政府は日本を「世界中あらゆる国にとってのモデルである」と最大限の賛辞を送りました。中韓にいい加減歴史問題で日本を叩くのは止めろという事です。韓国は桂・タフト協定、アチソン声明に続いて第三のアメリカからの切り捨てを受けるかもしれません。THHADを受けず、9/3抗日70周年記念に参加したら、戦時作戦統帥権はすぐにでも韓国に返すことになるかもしれません。これは期限がついてませんので。見方によっては解約自由という事です。

アメリカ国務省OBも見方が甘い。日本がいくら謝罪したとしても中韓が許す訳がない。大切な金づるですから。また中国の世界制覇の野望のためには日本の存在は地政学上も、文化面、経済面においても邪魔になるので、事実を改竄してでも、日本を道徳的に劣った民族としておきたいのです。それに気付かないというのは国務省も日本の外務省と同じくらいリアリズムが欠けているという事でしょう。

記事

安倍晋三首相が8月14日、「戦後70年談話」を発表した。これに対して米国の政府とメディアは異なった反応を見せている。

 談話が発表されてから数時間後、米国家安全保障会議(NSC)のネッド・プライス報道官は次の声明を発表した。最大限の「歓迎」を表わした声明だ。

 「我々は、安倍首相が次の2つを表明したことを歓迎する。1つは、歴代首相が出した歴史認識に関する談話を継承するとのコミットメント。もう1つは、第二次大戦中に日本が(近隣諸国に)与えた苦しみに対する痛切な反省だ。また我々は、国際社会の平和と繁栄に対する貢献を日本が今後いっそう拡大していく意志を確認したことを評価する。戦後70年間、日本は平和、民主主義,法の秩序への変わらぬコミットメントを具現化させてきた。これは世界中あらゆる国とってのモデルである」

(”Statement by NSC Spokesperson Ned Price on Japanese Prime Minister Abe’s Statement on the 70th Anniversary of the End of World War II,” Office of Press Secretary, The White House, 8/14/2015)

 一方、米メディアはまずAP通信の東京特派員が「Stop short of WWII apology 」(謝罪は思いとどまる)と速報。これを追ってニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど主要紙は「歴代首相の謝罪に共鳴したが、新たな、自らのパーソナルな謝罪(a new, personal apology of his own)はせず」など異口同音のネガティブな報道に終始した。

(”Shinzo Abe Echoes Japan’s Past WWII Apologies but Adds None of His Own,” Jonathan Soble, New York Times, 8/15/2015)

 米メディアは、安倍談話に対する米政府や議会の反応についてはいっさい触れていない。その一方で、中国と韓国の政府がどう出るか、「安倍談話の内容を両政府ともに慎重に精査するだろう」と予測している。

米政府と米メディアの間にある落差

 米政府と米メディアの「落差」はなぜ生じたのか。その理由は3つある。

 その一つは、一般論だが、米政府はよほどのことがない限り、同盟国の言動について公の場では批判はしないことだ。批判したり、異議を申し立てたりしたい時には「ノーコメント」としてコメントを避ける。

 2つ目は、安倍首相の歴史認識についての米政府の立場がはっきりしていることだ。日米政府間において歴史認識については、今年4月29日に安倍首相が米議会で行った演説で決着済みとの認識だ。

 首相が明言した「痛烈な反省」と「戦没米兵への鎮魂」は米議会だけでなく、一般米市民の琴線にも触れた(「安倍首相の議会演説で米国の『歴史認識問題』は決着」参照)。このため米政府は、戦後70年談話が「この米議会演説のトーンをそのまま反映するのであれば、歓迎する基本姿勢を固めていた」――米主要シンクタンクの上級研究員の一人はこう見ている。

直前の安倍・ケネディ会談の中身

 米政府関係者によると、バラク・オバマ米大統領は安倍談話発表前、キャサリン・ケネディ駐日米大使に安倍首相に会うよう訓令を出した。同大使は8月10日午後5時59分から約30分間、首相官邸で安倍首相と会っている。

 話し合われた議題は2つ。1つは8月15日に首相が靖国参拝をするかどうか、いま1つは14日に発表される予定の「戦後70年談話」だったと言われる。安倍首相は前者については「ノー」、後者については談話の内容を示したという。

 安倍首相は靖国参拝には苦い経験がある。第二次政権発足直後の2013年12月、ジョー・バイデン米副大統領らの説得を振り切って靖国神社に参拝した。米政府は まず駐日米大使館名で「失望」を表明。その後、これを国務省声明に格上げした。米政府が「失望感」を表明したのは、A級戦犯を祀る靖国神社に対する中韓の反発が米国の極東戦略を混乱させる要因を孕んでいるからだ。さらに、安倍首相やその周辺にある「極東裁判史観」に対する反発があった。米国にとってこれは譲歩できない一線だった。

 米政府は、今年の終戦記念日に安倍首相が靖国参拝しないことがはっきりすれば、安倍談話については出来うる限りのポジティブな反応を示す――安倍首相の議会演説を受けて米政府の腹は決まっていた。村山談話や小泉談話を継承する姿勢を示せば、「謝罪」とか「植民地主義」とか「侵略」といった個々のキーワードについてとやかく言う必要もない。

 「村山富市首相、河野洋平官房長官が(談話で)示した謝罪は、日本が近隣諸国との関係を改善しようと努力する中で重要な第一章を刻んだというのが我々の見解だ」(2015年1月5日、サキ米国務省報道官)

 「我々は、日本が戦後、平和のために行ってきた貢献とともに、安倍首相が過去1年間に行なった、歴史認識に関するポジティブなコメントを歓迎している。我々は、『過去に関して歴代首相が表明した見解を堅持する』とした安倍首相のワシントンでの発言に留意している。また、我々は、東アジア地域の諸国間の強固で建設的な関係は同地域の平和と安定を促進すると信じている。このことは米国の国益のみならず諸国間の利益に資するものと考えている」(2015年8月6日、トーナー米国務省副報道官)

安保法制、普天間問題で汗を流す安倍首相へのエール

 米政府が安倍談話について最大限の「歓迎」を表明した3つ目の背景は、オバマ政権が直面する対日外交上の懸案がある。

 安倍首相は、野党や一部世論の反対を押し切って安保法案の成立を目指している。同法案は日米新ガイドラインに直結する法案だ。普天間飛行場の移設問題をめぐって、日本政府と沖縄県の確執が続いている。米国は安倍首相に恩義を感じている。

 まだある。ウイキリークスが暴露した、米政府による安倍政権への盗聴問題だ。沖縄県で起きた米軍ヘリコプターの墜落事故もある。オバマ政権にとっては安倍首相に負い目を感じる話ばかりだ。安倍談話について重箱の隅をつつくような反応は示せない。「歓迎」にはこうした直近の政治問題も絡んでいる。

米メディア報道に投影する「米国のホンネ」

 中国、韓国は案の定、安倍談話に物言いをつけている。米政府は「想定内の展開」と見ている。

 ある米国務省OBの一人が筆者にこう指摘した。「中国も韓国も、自分たちが望む文言や表現を安倍首相がしないことぐらい最初から分かっていたはずだ。何をどう言おうとも反発するだろう。だから安倍談話を受けて直ちに日中首脳会談や日韓首脳会が行われるような状況ではない」。

 「正直言って、米政府は安倍談話によって日本と中国・韓国との間にある歴史認識問題をすべて決着し、前に進むことを願っている。歴史認識をめぐる日中、日韓の確執は、東アジアにおける米国の国益に少なからず悪影響を与える。また日米同盟にとっても好ましくない。なによりも、東アジア太平洋地域でより大きな政治的軍事的役割を演じようとしている日本にとっては喉に刺さった骨だ」

 米メディアが、ネガティブな報道している背景には、前出の国務省OBのホンネ――今回の安倍談話で、中韓を満足させるストレートで踏み込んだ謝罪をすることで歴史認識を一気に決着させてほしかった――が投影されていると見るべきか。

 安倍談話を受けて、日韓、日中関係は今後どうなるのか。米国の東アジア研究者による突っ込んだディスカッションが18日、米シンクタンク「ヘリテージ財団」で行われる。マイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)副理事長、シーラ・スミス外交問題評議会級研究員、ブルース・クリンガー ヘリテージ財団上級研究員らが出席する